IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国科学院広州能源研究所の特許一覧

特表2024-528821クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムおよび方法
<>
  • 特表-クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムおよび方法 図1
  • 特表-クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムおよび方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20240725BHJP
   B63B 21/50 20060101ALI20240725BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B63B35/00 M
B63B21/50 C
B63B35/44 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501876
(86)(22)【出願日】2023-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2023114715
(87)【国際公開番号】W WO2024008211
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】202310494852.X
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517220748
【氏名又は名称】中国科学院広州能源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】盛 松偉
(72)【発明者】
【氏名】王 坤林
(72)【発明者】
【氏名】王 振鵬
(72)【発明者】
【氏名】丁 偉偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 敏
(57)【要約】
本発明は、クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムおよび方法を開示し、深海採掘の技術分野に関するものであり、このプラットフォームは、メインハル、採掘システム、錨泊システムおよび電気推進装置を備える。メインハルの中央に作業場が設置され、採掘システムは複数の採掘車両を備え、複数の採掘車両は作業場に設置され、錨泊システムはウィンチ、アンカーケーブルキャビン、アンカーケーブルおよびアンカーヘッドを備え、メインハルの上部の四隅にそれぞれウィンチが設置され、各ウィンチの下方にアンカーケーブルキャビンが設置され、アンカーケーブルの一端がウィンチに接続され、他端がアンカーヘッドに接続され、電気推進装置はメインハルの底部の前後端に設置される。従来の深海採掘プラットフォームと比較すると、本発明が提案する錨泊システムおよび電気推進装置は、両者の協働によって、プラットフォームは交互にステップモードで前進することができ、良好な耐風、耐波能力を持ち、同時にエネルギーが節約される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインハル、採掘システム、錨泊システムおよび電気推進装置を備え、
前記メインハルの中央に作業場が設置され、
前記採掘システムは複数の採掘車両を備え、複数の前記採掘車両は前記作業場に設置され、
前記錨泊システムは、ウィンチ、アンカーケーブルキャビン、アンカーケーブルおよびアンカーヘッドを含み、前記メインハルの上部の四隅にそれぞれ前記ウィンチが設置され、各前記ウィンチの下方に前記アンカーケーブルキャビンが設置され、前記アンカーケーブルの一端が前記ウィンチに接続され、他端が前記アンカーヘッドに接続され、
前記電気推進装置は前記メインハルの底部の前後端に設置され、
採掘作業時に、複数の前記アンカーヘッドを海底に沈めて四辺形領域を形成し、前記採掘車両がこの領域で採掘作業を行い、
採掘領域を移動する必要がある場合、複数の前記ウィンチを制御して対応の前記アンカーヘッドを収納および解放すると同時に、前記電気推進装置と協働してメインハルを前進または後退させるように駆動する、ことを特徴とするクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項2】
前記アンカーケーブルは軽量アンカーケーブルであり、前記アンカーヘッドは重力アンカーヘッドである、ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項3】
前記採掘システムはムーンプールおよび作業塔をさらに備え、前記ムーンプールは昇降プラットフォームおよび昇降軌道を備え、前記ムーンプールの両側に前記昇降軌道が設置され、前記昇降軌道は前記作業場に沿って前記メインハルの底部方向に向かって垂直に設置され、前記昇降プラットフォームは前記昇降軌道に接続され、前記作業塔の内部に収納・解放装置が設置され、前記収納・解放装置はロープを介して前記採掘車両に接続され、前記ムーンプールが前記メインハルの底部を貫通して前記作業場の下方に設置されて前記作業場と連通し、前記作業塔は前記作業場の上方に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項4】
前記収納・解放装置は中間ステーションをさらに含み、前記収納・解放装置は前記中間ステーションの一端に接続され、前記中間ステーションの他端が複数の前記採掘車両に接続される、ことを特徴とする請求項3に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項5】
前記メインハルは搬送システムと鉱石貯蔵室をさらに備え、前記鉱石貯蔵室は前記作業場の左右両辺に設置され、前記搬送システムは輸送通路を有し、前記出力通路はそれぞれ前記メインハルの前後端に接続されて前記鉱石貯蔵室を通過し、前記輸送通路内にコンベヤベルトが設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項6】
再生可能エネルギー発電システムをさらに備え、前記再生可能エネルギー発電システムは前記メインハルに電力を供給し、前記再生可能エネルギー発電システムは太陽光発電システム、波力発電システムおよび風力発電システムを含み、前記太陽光発電システムは前記メインハルの上部に設置され、前記波力発電システムはメインハルの前後端に設置され、前記風力発電システムはメインハルの上部に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項7】
前記太陽光発電システムは太陽光発電パネルを含み、前記メインハルの上部に複数のチャンバーが設置され、複数の前記チャンバーの上方に前記太陽光発電パネルが設置される、ことを特徴とする請求項6に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項8】
前記波力発電システムは、波力発電パネル、トラス型支持アーム、ヒンジおよび油圧シリンダを含み、前記メインハルの前後端に設備室がさらに設置され、前記波力発電パネルは前記トラス型支持アームに接続されて前記ヒンジを介して前記設備室に設置され、前記油圧シリンダは前記設備室に設置され、前記油圧シリンダの出力軸は前記波力発電パネルの一端に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項9】
前記風力発電システムは複数の風力タービンを含み、複数の前記風力タービンは前記メインハルの上部に設置される、ことを特徴とする請求項6に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【請求項10】
クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムの採掘方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の採掘システムを利用し、具体的に、
S1、プラットフォームを採掘海域に輸送するステップと、
S2、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの後端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを前進させるステップと、
S3、メインハルの上部後端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S4、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを後退させるステップと、
S5、メインハルの位置を4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域の中心に調整した後に、メインハルの上部前端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を閉じるステップと、
S6、採掘車両を作業場から海底に解放し、作業が終了して採掘車両が海底から作業場へ回収されるまで、4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域内で採掘作業を行うステップと、
S7、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、メインハルの後端のアンカーヘッドの上方に来るまでメインハルを後退させるステップと、
S8、メインハルの前端の電気推進装置を閉じ、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーチェーンを巻き取り、アンカーヘッドを海底から浮上させ、アンカーケーブルキャビンに回収させ、メインハルが前端を中心として船首を旋回し、このときメインハルの前後端が入れ替わるステップと、
S9、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を起動し、メインハルを前進させて船首旋回した後のメインハルの後端のアンカーヘッドの上方海域を通過し、所定距離だけ前進させた後、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S10、海底採掘作業が完全に終了するまで、ステップS4~S9を繰り返すステップと、を含むことを特徴とする採掘方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深海採掘の技術分野に関し、具体的に、クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋は鉱物資源が豊富である。しかし、陸上資源の継続的な開発に伴い、ますます多くの国が深海の資源開発に目を向けるようになるが、深海鉱業は多くの問題に直面し、例えば、海洋プラットフォームは常に多くの悪天候に遭遇するため、プラットフォームを固定するための風や波に耐えることができなく、あるいは、エネルギーを消費してプラットフォームを固定する方法もあるが、海洋プラットフォームは大型のプラットフォームが多く、エネルギーを消費して固定することは、多くのエネルギーを消費することになり、環境保護につながらなく、さらに、移動できない洋上プラットフォームもあり、その場合、輸送船を事前に準備する必要があり、非常に不便である。さらに、上記のような要因のすべてが、採掘作業に支障をきたし、採掘がうまく、安全に、予定通りに完了しない原因となりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術の欠点に対して、本発明は、移動可能で、風や波に強く、エネルギーを節約できる特徴を有するクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策によって実施することができる。
【0005】
第1側面によれば、本発明はクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムを提供し、
メインハル、採掘システム、錨泊システムおよび電気推進装置を備え、
前記メインハルの中央に作業場が設置され、
前記採掘システムは複数の採掘車両を備え、複数の前記採掘車両は前記作業場に設置され、
前記錨泊システムは、ウィンチ、アンカーケーブルキャビン、アンカーケーブルおよびアンカーヘッドを含み、前記メインハルの上部の四隅にそれぞれ前記ウィンチが設置され、各前記ウィンチの下方に前記アンカーケーブルキャビンが設置され、前記アンカーケーブルの一端が前記ウィンチに接続され、他端が前記アンカーヘッドに接続され、
前記電気推進装置は前記メインハルの底部の前後端に設置され、
採掘作業時に、複数の前記アンカーヘッドを海底に沈めて四辺形領域を形成し、前記採掘車両がこの領域で採掘作業を行い、
採掘領域を移動する必要がある場合、複数の前記ウィンチを制御して対応の前記アンカーヘッドを収納および解放すると同時に、前記電気推進装置と協働してメインハルを前進または後退させるように駆動する。
【0006】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、前記アンカーケーブルは軽量アンカーケーブルであり、前記アンカーヘッドは重力アンカーヘッドである。
【0007】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、前記採掘システムはムーンプールおよび作業塔をさらに備え、前記ムーンプールは昇降プラットフォームおよび昇降軌道を備え、前記ムーンプールの両側に前記昇降軌道が設置され、前記昇降軌道は前記作業場に沿って前記メインハルの底部方向に向かって垂直に設置され、前記昇降プラットフォームは前記昇降軌道に接続され、前記作業塔の内部に収納・解放装置が設置され、前記収納・解放装置はロープを介して前記採掘車両に接続され、前記ムーンプールが前記メインハルの底部を貫通して前記作業場の下方に設置されて前記作業場と連通し、前記作業塔は前記作業場の上方に設置される。
【0008】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、前記収納・解放装置は中間ステーションをさらに含み、前記収納・解放装置は前記中間ステーションの一端に接続され、前記中間ステーションの他端が複数の前記採掘車両に接続される。
【0009】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、前記メインハルは搬送システムと鉱石貯蔵室をさらに備え、前記鉱石貯蔵室は前記作業場の左右両辺に設置され、前記搬送システムは輸送通路を有し、前記出力通路はそれぞれ前記メインハルの前後端に接続されて前記鉱石貯蔵室を通過し、前記輸送通路内にコンベヤベルトが設置される。
【0010】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、再生可能エネルギー発電システムをさらに備え、前記再生可能エネルギー発電システムは前記メインハルに電力を供給し、前記再生可能エネルギー発電システムは太陽光発電システム、波力発電システムおよび風力発電システムを含み、前記太陽光発電システムは前記メインハルの上部に設置され、前記波力発電システムはメインハルの前後端に設置され、前記風力発電システムはメインハルの上部に設置される。
【0011】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、前記太陽光発電システムは太陽光発電パネルを含み、前記メインハルの上部に複数のチャンバーが設置され、複数の前記チャンバーの上方に前記太陽光発電パネルが設置される。
【0012】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、前記波力発電システムは、波力発電パネル、トラス型支持アーム、ヒンジおよび油圧シリンダを含み、前記メインハルの前後端に設備室がさらに設置され、前記波力発電パネルは前記トラス型支持アームに接続されて前記ヒンジを介して前記設備室に設置され、前記油圧シリンダは前記設備室に設置され、前記油圧シリンダの出力軸は前記波力発電パネルの一端に接続される。
【0013】
上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムのように、さらに、前記風力発電システムは複数の風力タービンを含み、複数の前記風力タービンは前記メインハルの上部に設置される。
【0014】
第2側面によれば、本発明はクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムの採掘方法を提供し、上記の採掘システムを利用して行われ、具体的に、
S1、プラットフォームを採掘海域に輸送するステップと、
S2、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの後端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを前進させるステップと、
S3、メインハルの上部後端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S4、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを後退させるステップと、
S5、メインハルの位置を4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域の中心に調整した後に、メインハルの上部前端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を閉じるステップと、
S6、採掘車両を作業場から海底に解放し、作業が終了して採掘車両が海底から作業場へ回収されるまで、4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域内で採掘作業を行うステップと、
S7、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、メインハルの後端のアンカーヘッドの上方に来るまでメインハルを後退させるステップと、
S8、メインハルの前端の電気推進装置を閉じ、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーチェーンを巻き取り、アンカーヘッドを海底から浮上させ、アンカーケーブルキャビンに回収させ、メインハルが前端を中心として船首を旋回し、このときメインハルの前後端が入れ替わるステップと、
S9、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を起動し、メインハルを前進させて船首旋回した後のメインハルの後端のアンカーヘッドの上方海域を通過し、所定距離だけ前進させた後、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S10、海底採掘作業が完全に終了するまで、ステップS4~S9を繰り返すステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
先行技術と比較すると、本発明は以下の有益な効果を有する。
1、従来の深海採掘プラットフォームに比べて、本発明が提案する錨泊システムと電気推進装置は、両者の協働により、プラットフォームを交互にステップモードで前進させることができ、良好な耐風、耐波能力を持ち、同時にエネルギーが節約される。
2、従来の深海採掘プラットフォームに比べて、本発明が提案するメインハルは再生可能エネルギーの補完的な電力供給を利用し、洋上エネルギー供給問題を解決するだけでなく、クリーンで環境に優しい。
3、本発明が提案する採掘システムはムーンプールおよび作業塔をさらに含み、両者の協働により、採掘車両の収納・解放がより安全かつ便利である。
4、本発明が提案する鉱石貯蔵室は、鉱石をより長い期間貯蔵することができ、搬送システムは鉱石を迅速に移送することができ、効率が向上する。
5、本発明が提案する採掘方法は、漏れなく、海底のすべての鉱石をより良く収集することができ、採掘率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例中の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例で使用される必要のある添付図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される添付図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの添付図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0017】
図1】本発明の実施例のプラットフォームの構造概略図である。
図2】本発明の実施例のプラットフォームの作業時の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例の添付図面と併せて、本発明の実施例における技術的解決策を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は本出願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が、本出願の実施例に基づいて、創造的な労働をすることなく得られた他の実施例は、すべて本出願の保護範囲に含まれる。
【0019】
(実施例)
なお、本発明の明細書および特許請求の範囲ならびに上記の添付図面における「第1」、「第2」などの用語は類似の対象を区別するために使用され、特定の順序または優先順位を説明するものではないことを理解されたい。このように使用されるデータは、ここで説明される本発明の実施例が、ここで図示または説明された順序以外の順序で実施され得るように、必要に応じて置き換える可能であることを理解されたい。加えて、本発明の実施例における用語「備える」および「含む」およびそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップまたはユニットを含む工程、方法、システム、製品または装置は列挙されたそれらのステップまたはユニットに限定される必要がなく、明確に列挙されていない、またはそれらの工程、方法、製品または装置に固有の他のステップまたはユニットを含んでもよい。
【0020】
なお、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示された方位または位置関係は、添付図面に基づく方位または位置関係に過ぎず、本発明の説明および説明の簡略化のためにのみ使用され、かかる装置またはデバイスが必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作されることを指示または暗示することを意図しておらず、本発明の限定として解釈されないことを理解されたい。
【0021】
本発明の説明において、「複数」とは、明確かつ具体的に限定されない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。また、明確に規定および限定しない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、固定的に接続してもよく、着脱可能に接続してもよく、または一体的に接続してもよいし、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよいし、直接連結してもよく、中間媒体を介して間接的に連結してもよく、2つのデバイスの内部連通であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解すればよい。
【0022】
本発明において、明確に規定および限定しない限り、第1特徴が第2特徴の「上」または「下」にある場合、第1特徴と第2特徴の直接接触であってもよく、または第1特徴と第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。さらに、第1特徴が第2特徴「の上」、「上方」および「上面」にある場合、第1特徴が第2特徴の真上または斜め上方にあってもよく、または第1特徴が第2特徴よりも水平方向に高いことであってもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」および「下面」にある場合、第1特徴が第2特徴の真下または斜め下方にあってもよく、または第1特徴が第2特徴よりも水平方向に低いことであってもよい。
【0023】
図1および図2を参照すると、本発明はクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムを提供し、従来の深海採掘プラットフォームに比べて、本発明が提案する錨泊システムと電気推進装置は、両者の協働により、プラットフォームを交互にステップモードで前進させることができ、良好な耐風、耐波能力を持ち、同時にエネルギーが節約される。それは、メインハル、採掘システム、錨泊システムおよび電気推進装置を備え、メインハルの中央に作業場5が設置され、採掘システムは複数の採掘車両6を備え、複数の採掘車両6は作業場1に設置され、錨泊システムはウィンチ1、アンカーケーブルキャビン2、アンカーケーブル3およびアンカーヘッド4を含み、メインハルの上部の四隅にそれぞれウィンチ1が設置され、各ウィンチ1の下方にアンカーケーブルキャビン2が設置され、アンカーケーブル2の一端がウィンチ1に接続され、他端がアンカーヘッド4に接続され、電気推進装置7はメインハルの底部の前後端に設置され、採掘作業時に、複数のアンカーヘッド4を海底に沈めて四辺形領域を形成し、採掘車両6がこの領域で採掘作業を行い、採掘領域を移動する必要がある場合、複数のウィンチ1を制御して対応のアンカーヘッド4を収納・解放すると同時に、電気推進装置7と協働してメインハルを前進または後退させるように駆動することにより、メインハルが交互にステップモードで採掘領域を移動することができる。本実施例では、本プラットフォームの作業時、主に深海の5000メートルの上方に設置され、錨泊システムを介してメインハルを海面上に固定し、その後採掘車両を解放して採掘作業を行うため、メインハルの上部の四隅にそれぞれウィンチ1が取り付けられ、ウィンチ1の下方にアンカーケーブルキャビン2が設置され、プラットフォームが採掘作業を実施するときに、四隅のウィンチ1が所定の順序で起動または閉じることでアンカーヘッド4を解放または回収し、同時にメインハルの底部の前後端の電気推進装置7と協働し、最終的に、プラットフォームから解放されたアンカーケーブル3は、側面から見ると「八」字形であり、アンカーヘッド4は平面視の場合、深海5000メートルの海底で四辺形の採掘領域を形成し、その後採掘車両6を解放して採掘すればよく、このようにして、プラットフォームが深海でしっかりと固定され、多少大きな風や波に遭遇しても、本プラットフォームは風や波に抵抗して採掘作業を継続することができ、安定性を維持するために大量のエネルギーを消費する既存の深海採掘プラットフォームに比べて、本プラットフォームはエネルギー節約の利点があり、さらに、採掘車両6はアンカーヘッド4によって形成された領域内で採掘作業を行い、採掘に便利であるだけでなく、採掘率も向上し、回収にも便利であり、プラットフォームを航行させる必要がある場合、アンカーヘッド4をアンカーケーブルキャビン2に収納することが可能であり、アンカーヘッド4が水中で抵抗を発生し、プラットフォームの航行に影響を与えることを防止することができ、さらに、いくつかの従来のプラットフォームが輸送船によってのみ航行を実現することと異なり、本プラットフォームはメインハルの底部の電気推進装置7によって航行することができ、このように、津波、台風などの悪天候の場合、迅速に移送することができ、非常に安全で便利であり、プラットフォームが1つの採掘領域で採掘作業を終了し、次の採掘領域に移動する必要がある場合、電気推進装置7によってメインハルを後退させて「八」字形中の「ノ」端のアンカーヘッド4を回収し、その後「
【数1】
」端を中心とし、電気推進装置7によってメインハルを所定距離だけ前進させてからアンカーヘッド4を解放し、メインハルと海底間のアンカーケーブル3が再び「八」字形を形成し、これによって、プラットフォームが海底採掘領域間で交互にステップモードで移動することができる。
【0024】
ある実施例では、アンカーケーブル3は軽量アンカーケーブルであり、アンカーヘッド4は重力アンカーヘッドである。ここで、アンカーケーブル3は、主に抵抗を減らし、アンカーヘッド4の解放および回収を容易にするために軽量アンカーケーブルを採用し、好ましくは、軽量アンカーケーブルは、合成繊維ケーブル、例えばポリエステルアンカーケーブル、高強度ポリエチレンアンカーケーブルなどで形成され、それらは軽量であり、アンカーヘッド4は、主により迅速に海底に沈み、プラットフォームを安定させるために重力アンカーヘッドを採用し、好ましくは、重力アンカーヘッドは、鋳鋼または鍛鋼材料、例えばQ235普通炭素構造鋼で形成され、それは高強度と耐食性の特性を有し、そのアンカーヘッド形状は爪型または菌型であってもよく、アンカーヘッド4を海底の泥に深く係合させることができる。
【0025】
再び図1を参照すると、ある実施例では、採掘システムはムーンプール8および作業塔9をさらに含み、ムーンプール8は昇降プラットフォーム10および昇降軌道11を含み、ムーンプール8の両側に昇降軌道11が設置され、昇降軌道11は作業場に沿ってメインハルの底部方向に向かって垂直に設置され、昇降プラットフォーム10は昇降軌道11に接続され、作業塔9の内部に収納・解放装置(図示せず)が設置され、収納・解放装置はロープを介して採掘車両6に接続され、ムーンプール8はメインハルの底部を貫通して作業場5の下方に設置されて作業場5と連通し、作業塔9は作業場5の上方に設置される。ここで、メインハルの中央にムーンプール8が開設され、ムーンプール8はメインハルの底部を貫通して作業場5と連通して作業場5の下方に設置され、悪天候や悪海面の場合、ムーンプール8で採掘車両6を直接解放および回収することができ、メインハルの船側から解放および回収する必要がなく、メインハルとの衝突事故を回避でき、さらに、ムーンプールに昇降プラットフォーム10および昇降軌道11がさらに取り付けられ、昇降軌道11は作業場に沿ってメインハルの底部方向に向かって取り付けられ、採掘車両6をこの間で容易に移動することができ、同時に、作業場5の上方に作業塔9が設置され、採掘車両6をメインハルの各位置に吊り上げることができ、また、作業塔9内の収納・解放装置は採掘車両6をメインハルから迅速に海底の採掘領域に解放することができ、同時に、採掘車両6が採掘を実施する際に、採掘車両6に常に接続されているため、突然の事件が発生すると迅速に回収でき、採掘効率および安全性をさらに向上させることができる。
【0026】
再び図2を参照すると、上記実施例では、さらに、収納・解放装置は中間ステーション12をさらに含み、収納・解放装置は中間ステーション12の一端に接続され、中間ステーション12の他端が複数の採掘車両6に接続される。ここで、作業要件に応じて、収納・解放装置に中間ステーション12がさらに接続され、中間ステーション12の上方も収納・解放装置に接続され、中間ステーション12の下方に複数台の採掘車両6が接続され、複数台の採掘車両6が同時に採掘作業を実施してもよく、これにより採掘作業の進行が大幅に改善される。
【0027】
再び図1を参照すると、ある実施例では、メインハルに鉱石貯蔵室13がさらに設置され、鉱石貯蔵室は作業場5の左右両辺に設置される。ここで、作業場5の両辺に鉱石貯蔵室13が設置され、採掘車両6が鉱石で満杯になったとき、作業場5に戻り、次の採掘作業のために採掘された鉱石を迅速に鉱石貯蔵室13に移すことができ、採掘効率がさらに向上し、同時に、該プラットフォームの鉱石貯蔵室13がより大きな空間を有し、鉱石をまず一定期間集中させることができる。さらに、プラットフォームは搬送システムも含み得、搬送システムは輸送通路(図示せず)を含み、出力通路がそれぞれメインハルの前後端に接続されて鉱石貯蔵室13を通過し、輸送通路内にコンベヤベルトが設置され、輸送船が鉱石を移送するために来たとき、この搬送システムにより、貯蔵室13の鉱石を、コンベヤベルトを介して輸送通路からメインハルの前端または後端に迅速に移し、その後輸送船がメインハルの前端または後端に接続されて鉱石を移送することができ、これにより、作業人員の労働集約度を低減するとともに、鉱石の移送効率を向上させることができる。
【0028】
ある実施例では、再生可能エネルギー発電システムをさらに備え、再生可能エネルギー発電システムはメインハルに電力を供給し、再生可能エネルギー発電システムは太陽光発電システム、波力発電システムおよび風力発電システムを含み、太陽光発電システムはメインハルの上部に設置され、波力発電システムはメインハルの前後端に設置され、風力発電システムはメインハルの上部に設置される。本プラットフォームに組み立てられた再生可能エネルギー発電システムは、太陽光、波力および風力を利用して補完的に電力を供給することができ、深海におけるエネルギー供給問題を解決するだけでなく、クリーンで環境に優しい要求を満たし、海洋生態系を汚染することがない。
【0029】
再び図1を参照すると、上記実施例では、さらに、太陽光発電システムは太陽光発電パネル15を含み、メインハルの上部に複数のチャンバー14が設置され、複数のチャンバー14の上方に太陽光発電パネル15が設置される。ここで、メインハルの上部に様々なチャンバー14、例えば実験室、事務室、食堂、休憩室などが設置され、作業人員は、プラットフォーム上で日常作業および生活を長期間行うことができ、輸送コストを削減し、資材を節約することができ、さらに、各チャンバー14の上方に太陽光発電パネル15が敷設されることにより、遮光の効果を奏するだけでなく、発電に利用する可能であり、プラットフォームの各種設備に電力を供給し、プラットフォームのエネルギー消費量を削減することができる。
【0030】
上記実施例では、さらに、波力発電システムは波力発電パネル17、トラス型支持アーム18、ヒンジ19および油圧シリンダ(図示せず)を含み、前記メインハルの前後端に設備室16がさらに設置され、波力発電パネル17はトラス型支持アーム18に溶接されてヒンジ19を介して設備室16に取り付けられ、油圧シリンダは設備室16に設けられ、油圧シリンダの出力軸は波力発電パネル17の一端に接続される。ここで、波の作用下で、波力発電パネル17はヒンジ19を中心に往復運動することができ、油圧シリンダの出力軸を往復運動させるように駆動し、さらに波力を水力エネルギーに変換し、エネルギー変換システムを通じて水力エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を供給し、これにより、メインハルへの波の衝撃影響を解消し、プラットフォームの採掘安定性を確保するだけでなく、発電にも利用可能であり、好ましくは、ここで先行技術(特許第2016103652769号)のイーグル型波力発電パネルを使用し、波力発電パネル17を使用する必要がない場合、それを設備室16に収納し、不用意な損傷を生じさせないようにすることができる。
【0031】
上記実施例では、さらに、風力発電システムは複数の風力タービン20を含み、複数の風力タービン20はメインハルの上部に取り付けられる。ここで、海風の作用下で、複数の風力タービン20のファンブレードが回転し、回転の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を供給し、これにより、海風の天然資源を十分に利用し、プラットフォームのエネルギー消費量をさらに低減することができる。
【0032】
本発明をより良く理解するために、以下、本発明の実施例の養殖プラットフォームをその機能に従って説明する。
【0033】
第1部分はメインハルであり、作業場5、鉱石貯蔵室13、設備室16および複数のチャンバー14を備え、作業場5に採掘システム中の採掘車両6が設置され得、作業場5の両辺に鉱石貯蔵室13が設置され、採掘車両6が満杯の鉱石を収集した後迅速に移送し、移送効率を高めるために、搬送システムを追加してもよく、それは搬送通路を有し、搬送通路における2つの通路口はメインハルの前後端に設置されて搬送通路が鉱石貯蔵室を通過し、これにより、鉱石を輸送船に移送する必要がある場合、鉱石を輸送船に接続されたメインハルの前後端に移送することができ、設備室16に油圧シリンダなどの動力変換設備が設置され、複数のチャンバー14は、プラットフォームの作業人員に作業および休憩空間を提供し、作業人員がプラットフォーム上で長期間生活することができ、作業人員を輸送するコストを削減することができ、メインハルは電気推進装置7をさらに備え、プラットフォームが航行機能を有し、台風や津波などの悪状況に遭遇した際に迅速に移送することができる。
【0034】
第2部分は採掘システムであり、それは採掘車両6、ムーンプール8、作業塔9および中間ステーション12を含み、採掘車両6は鉱石収集作業のために海底5000メートルまで潜ることができ、ムーンプール8は採掘車両6を配置する作業場5の下方に設置され、船側から解放する必要がなく、採掘車両6をメインハルの中央から直接解放することができ、非常に便利であり、さらに、ムーンプール8に昇降プラットフォーム10および昇降軌道11がさらに取り付けられ、採掘車両6の解放効率を向上させ、作業塔9は作業場5の上方に設置され、その内部に収納・解放装置が設置され、収納・解放装置はケーブルを介して採掘車両6に常に連結され、これにより、採掘車両6を迅速に解放または回収することができるだけでなく、採掘車両6の作業時、採掘車両6が不用意に採掘領域外に移動することを防止することができ、また、採掘要求に応じて、収納・解放装置に中間ステーション12を追加してもよく、中間ステーション12に複数台の採掘車両6が接続され得、複数台の採掘車両6が同時に作業し、採掘効率を向上させることができる。
【0035】
第3部分は錨泊システムであり、それはウィンチ1、アンカーケーブルキャビン2、アンカーケーブル3およびアンカーヘッド4を含み、ウィンチ1はメインハル上部の四隅に設置され、これにより、アンカーヘッド4が解放された後にプラットフォームをより良く固定することができるだけでなく、ウィンチ1は常に作業人員がアクセスできる海面の上にあることができ、操作が容易であり、アンカーケーブルキャビン2は、プラットフォーム移送時に、アンカーヘッド4を収納および固定し、アンカーヘッド4が航行に影響を与える海中の抵抗を発生することを防止することができ、本プラットフォームは主に5000メートルの深海で採掘作業を実施するため、アンカーケーブル3は軽量アンカーケーブルを採用し、海中の抵抗を低減し、アンカーヘッド4は重力アンカーヘッドを採用し、より迅速に海底に沈むことができ、海底の泥の状況によって、アンカーヘッド4の形状は爪型または菌型であってもよく、プラットフォームを海面上に安定的に固定することができ、海底の大きな鉱石領域において、本錨泊システムは、電気推進装置7と協働して、プラットフォームをステップモードで前進させ、大きな鉱石領域を複数の小さな鉱石領域に分割して採掘することができるので、本アンカーヘッドシステムは、プラットフォームを固定する役割を果たすだけでなく、プラットフォームを「歩かせる」役割も果たす。
【0036】
第4部分は再生可能エネルギー発電システムであり、それは太陽光発電システム、波力発電システムおよび風力発電システムを含む。太陽光発電システムは、複数のチャンバー14の上方に取り付けられた太陽光発電パネル15によって遮光および発電するものであり、波力発電システムは設備室16に取り付けられた油圧シリンダおよび油圧シリンダの出力軸に接続された波力発電パネル17によって消波および発電するものであり、風力発電システムはメインハルの上部に取り付けられた複数の風力タービン20によって風力発電するものであり、本発明の再生可能エネルギー発電システムにおいて、蓄電設備が設置されてもよく、太陽光、波力および風力が提供する電力を通常のために出力することに加えて、余剰電力を蓄電設備に蓄積し、太陽光、波および風力が弱い場合に使用することもできる。本発明の採掘プラットフォームは、それが立地する環境資源を十分に活用する、すなわち環境汚染問題のない電力供給を保証することができる。
【0037】
本発明は、クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムの採掘方法をさらに提供し、この方法は、上記のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムを利用して実施され、具体的に、
S1、プラットフォームを採掘海域に輸送するステップと、
S2、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの後端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを前進させるステップと、
S3、メインハルの上部後端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S4、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを後退させるステップと、
S5、メインハルの位置を4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域の中心に調整した後に、メインハルの上部前端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を閉じるステップと、
S6、採掘車両を作業場から海底に解放し、作業が終了して採掘車両が海底から作業場へ回収されるまで、4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域内で採掘作業を行うステップと、
S7、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、メインハルの後端のアンカーヘッドの上方に来るまでメインハルを後退させるステップと、
S8、メインハルの前端の電気推進装置を閉じ、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーチェーンを巻き取り、アンカーヘッドを海底から浮上させ、アンカーケーブルキャビンに回収させ、メインハルが前端を中心として船首を旋回し、このときメインハルの前後端が入れ替わるステップと、
S9、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を起動し、メインハルを前進させて船首旋回した後のメインハルの後端のアンカーヘッドの上方海域を通過し、所定距離だけ前進させた後、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S10、海底採掘作業が完全に終了するまで、ステップS4~S9を繰り返すステップと、を含む。
【0038】
本発明をより良く理解するために、以下、具体的な実施例により本発明の方法を説明する。
【0039】
本発明のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムの採掘方法は、まず該プラットフォームを海面に設置し、その後輸送船によってプラットフォームを採掘海域まで輸送してもよく、プラットフォームの電気推進装置によって自ら採掘海域まで航行してもよく、このとき、プラットフォームの太陽光発電システム、波力発電システムおよび風力発電システムも作業し始め、遮光、消波および風力によって発電し、プラットフォームの電気推進装置および他の設備に電力を供給し、採掘作業を行う必要がある場合、まずメインハル後端の2つのアンカーヘッドを降ろし、同時にメインハルを前方に航行させ、最初に解放された2つのアンカーヘッドが海底に到達すると、メインハル前端の2つのアンカーヘッドを解放し、メインハルを後方に航行させ、後に解放された2つのアンカーヘッドが海底に到達すると、メインハルの位置を調整し、メインハルを4つのアンカーヘッドによって形成された領域の中間に固定し、最後に採掘車両を解放して海底に潜り、該領域の鉱石が全部収集されるまで、4つのアンカーヘッドによって形成された領域内で採掘作業を行い、採掘領域を移動する必要がある場合、まず採掘車両を全部回収し、その後メインハルを後端の2つのアンカーヘッドの上方まで後方に航行させ、後端の2つのアンカーヘッドを回収し、次に前端の2つのアンカーヘッドを中心とし、メインハルを旋回させて前方に所定距離だけ航行させ、そして後端の2つのアンカーヘッドを解放し、メインハルが4つのアンカーヘッドによって形成された領域の中間まで後方に航行させ、採掘領域の移動を達成し、最後に、採掘作業および採掘領域移動を繰り返して、深海の鉱石を全部収集する。該採掘方法は、採掘過程中の漏れを防ぎ、採掘率を大幅に向上させることができるため、本採掘プラットフォームは非常に革新的な採掘アイディアを提供する。
【0040】
本発明のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムは、全く新しい深海採掘プラットフォームであり、該クリーンエネルギープラットフォームを利用する採掘方法は、海底の鉱石を漏れなく全部収集し、採掘率を向上させることができる。本発明の開発と応用は海洋採掘産業に先進的な採掘設備を提供し、莫大な経済利益を生み出し、海洋採掘産業の発展を強力に促進し、遠大な意義を持つ。
【0041】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示」、「具体例」、または「いくつかの例示」などの参照用語の言及は、該実施例または例示に関連して記載された具体的な特徴、構造、材料または特性が本発明の少なくとも1つの実施例または例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の模式的表現は、必ずしも同一の実施例または例示に限定されない。さらに、記載された具体的な特徴、構造、材料または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例示において適切な方法で組み合わせることができる。さらに、互いに矛盾しない限り、当業者は、本明細書に記載された異なる実施例または例示、および異なる実施例または例示の特徴を結合、組み合わせることができる。
【0042】
上記実施例は本発明の技術的概念および特徴を説明するものに過ぎず、その目的は、当業者が本発明の内容を理解し、それに従って実施できるようにすることであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の実質的な内容に基づいてなされた等価変更または修正は、すべて本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0043】
(付記)
(付記1)
メインハル、採掘システム、錨泊システムおよび電気推進装置を備え、
前記メインハルの中央に作業場が設置され、
前記採掘システムは複数の採掘車両を備え、複数の前記採掘車両は前記作業場に設置され、
前記錨泊システムは、ウィンチ、アンカーケーブルキャビン、アンカーケーブルおよびアンカーヘッドを含み、前記メインハルの上部の四隅にそれぞれ前記ウィンチが設置され、各前記ウィンチの下方に前記アンカーケーブルキャビンが設置され、前記アンカーケーブルの一端が前記ウィンチに接続され、他端が前記アンカーヘッドに接続され、
前記電気推進装置は前記メインハルの底部の前後端に設置され、
採掘作業時に、複数の前記アンカーヘッドを海底に沈めて四辺形領域を形成し、前記採掘車両がこの領域で採掘作業を行い、
採掘領域を移動する必要がある場合、複数の前記ウィンチを制御して対応の前記アンカーヘッドを収納および解放すると同時に、前記電気推進装置と協働してメインハルを前進または後退させるように駆動する、ことを特徴とするクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0044】
(付記2)
前記アンカーケーブルは軽量アンカーケーブルであり、前記アンカーヘッドは重力アンカーヘッドである、ことを特徴とする付記1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0045】
(付記3)
前記採掘システムはムーンプールおよび作業塔をさらに備え、前記ムーンプールは昇降プラットフォームおよび昇降軌道を備え、前記ムーンプールの両側に前記昇降軌道が設置され、前記昇降軌道は前記作業場に沿って前記メインハルの底部方向に向かって垂直に設置され、前記昇降プラットフォームは前記昇降軌道に接続され、前記作業塔の内部に収納・解放装置が設置され、前記収納・解放装置はロープを介して前記採掘車両に接続され、前記ムーンプールが前記メインハルの底部を貫通して前記作業場の下方に設置されて前記作業場と連通し、前記作業塔は前記作業場の上方に設置される、ことを特徴とする付記1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0046】
(付記4)
前記収納・解放装置は中間ステーションをさらに含み、前記収納・解放装置は前記中間ステーションの一端に接続され、前記中間ステーションの他端が複数の前記採掘車両に接続される、ことを特徴とする付記3に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0047】
(付記5)
前記メインハルは搬送システムと鉱石貯蔵室をさらに備え、前記鉱石貯蔵室は前記作業場の左右両辺に設置され、前記搬送システムは輸送通路を有し、前記出力通路はそれぞれ前記メインハルの前後端に接続されて前記鉱石貯蔵室を通過し、前記輸送通路内にコンベヤベルトが設置される、ことを特徴とする付記1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0048】
(付記6)
再生可能エネルギー発電システムをさらに備え、前記再生可能エネルギー発電システムは前記メインハルに電力を供給し、前記再生可能エネルギー発電システムは太陽光発電システム、波力発電システムおよび風力発電システムを含み、前記太陽光発電システムは前記メインハルの上部に設置され、前記波力発電システムはメインハルの前後端に設置され、前記風力発電システムはメインハルの上部に設置される、ことを特徴とする付記1に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0049】
(付記7)
前記太陽光発電システムは太陽光発電パネルを含み、前記メインハルの上部に複数のチャンバーが設置され、複数の前記チャンバーの上方に前記太陽光発電パネルが設置される、ことを特徴とする付記6に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0050】
(付記8)
前記波力発電システムは、波力発電パネル、トラス型支持アーム、ヒンジおよび油圧シリンダを含み、前記メインハルの前後端に設備室がさらに設置され、前記波力発電パネルは前記トラス型支持アームに接続されて前記ヒンジを介して前記設備室に設置され、前記油圧シリンダは前記設備室に設置され、前記油圧シリンダの出力軸は前記波力発電パネルの一端に接続される、ことを特徴とする付記6に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0051】
(付記9)
前記風力発電システムは複数の風力タービンを含み、複数の前記風力タービンは前記メインハルの上部に設置される、ことを特徴とする付記6に記載のクリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システム。
【0052】
(付記10)
クリーンエネルギープラットフォームに基づく交互ステップ式深海採掘システムの採掘方法であって、付記1から9のいずれか一つに記載の採掘システムを利用し、具体的に、
S1、プラットフォームを採掘海域に輸送するステップと、
S2、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの後端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを前進させるステップと、
S3、メインハルの上部後端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S4、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放することにより、アンカーケーブルキャビン内のアンカーヘッドを海底に降下させ、それと同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、降下したアンカーヘッドが海底に到達するまでメインハルを後退させるステップと、
S5、メインハルの位置を4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域の中心に調整した後に、メインハルの上部前端の2つのウィンチを閉じ、ウィンチによるアンカーケーブル解放を停止すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を閉じるステップと、
S6、採掘車両を作業場から海底に解放し、作業が終了して採掘車両が海底から作業場へ回収されるまで、4つのアンカーヘッドによって形成された平面領域内で採掘作業を行うステップと、
S7、メインハルの上部前端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーケーブルを解放すると同時に、メインハルの前端の電気推進装置を起動し、メインハルの後端のアンカーヘッドの上方に来るまでメインハルを後退させるステップと、
S8、メインハルの前端の電気推進装置を閉じ、メインハルの上部後端の2つのウィンチを起動し、ウィンチがアンカーチェーンを巻き取り、アンカーヘッドを海底から浮上させ、アンカーケーブルキャビンに回収させ、メインハルが前端を中心として船首を旋回し、このときメインハルの前後端が入れ替わるステップと、
S9、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を起動し、メインハルを前進させて船首旋回した後のメインハルの後端のアンカーヘッドの上方海域を通過し、所定距離だけ前進させた後、船首旋回した後のメインハルの後端の電気推進装置を閉じるステップと、
S10、海底採掘作業が完全に終了するまで、ステップS4~S9を繰り返すステップと、を含むことを特徴とする採掘方法。
【符号の説明】
【0053】
1 ウィンチ
2 アンカーケーブルキャビン
3 アンカーケーブル
4 アンカーヘッド
5 作業場
6 採掘車両
7 電気推進装置
8 ムーンプール
9 作業塔
10 昇降プラットフォーム
11 昇降軌道
12 中間ステーション
13 鉱石貯蔵室
14 チャンバー
15 太陽光発電パネル
16 設備室
17 波力発電パネル
18 トラス型支持アーム
19 ヒンジ
20 風力タービン
図1
図2
【国際調査報告】