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特表2024-528822スポーツのボールデータを評価するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】スポーツのボールデータを評価するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A63B71/06 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501995
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 IB2022057228
(87)【国際公開番号】W WO2023012704
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/203,927
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507002457
【氏名又は名称】トラックマン・アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】TRACKMAN A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ウンシュトルップ
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク トゥクセン
(57)【要約】
スポーツのボールデータの評価に関するシステムおよび方法。方法は、第一のカメラの第一の座標系を野球場の第二の座標系に対して較正することと、第一のカメラで、第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉することと、一つ以上の画像、および第一のカメラの野球場への較正に基づいて、第一の打者の生体認証特性を決定することと、第一の打者の生体認証特性を、第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングすることと、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度を決定することと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のカメラの第一の座標系を、野球場の第二の座標系に対して較正することと、
前記第一のカメラで、第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉することと、
前記一つ以上の画像および前記第一のカメラの前記野球場に対する前記較正に基づいて、前記第一の打者の生体認証特性を決定することと、
前記第一の打者の前記生体認証特性を、前記第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングすることと、
前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの位置限度を決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
投球の飛行を追跡することと、
前記ボールの前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球の一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ボールの三次元軌跡を決定することをさらに含み、
前記投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球の一部分がある三次元位置を含むかどうかを決定することが、前記投球の前記軌跡が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度の前記投球の半径一個分以内に前記投球の一部分がある三次元位置を含むかどうかを決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球がある前記三次元位置を含む時に、ストライク判定を出力することと、
前記投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球がある三次元位置を含まない時に、ボール判定を出力することと、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記投球の前記飛行が、レーダー装置および高ホームポジションに据え付けられた第二のカメラを含む追跡装置を使用して追跡される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第一および第二のカメラならびに前記レーダー装置が、互いに時刻同期されていて、
前記レーダー装置からのデータに基づいて、前記投球に関連するキーモーメントの時間を特定することと、
前記第一の打者の前記生体認証特性を前記第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングするために、前記キーモーメントの前記時間に対応する画像を前記第一および第二のカメラのうちの一つから選択することと、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記投球の前記三次元位置のうちのいずれか一つが、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度から前記投球の半径一個分を超えない時に、前記投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球の一部分がある三次元位置を含むと決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の打者の前記生体認証特性が、前記第一のストライクゾーンの前記位置下限に対応する前記第一の打者の第一の識別された解剖学的特徴に基づいて、前記第一のストライクゾーンの前記位置上限および前記位置下限にマッピングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の打者の前記生体認証特性が、前記第一の打者の第二の識別された解剖学的特徴の高さに加えられた所定の高さに基づいて、前記第一のストライクゾーンの前記位置上限にマッピングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一のストライクゾーンの前記位置上限が、前記第一の打者の前記第一の識別された解剖学的特徴の高さに所定の高さを加えることによって、決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の高さが、前記第一の打者の前記生体認証特性に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一のストライクゾーンの前記位置限度が、ピッチャープレートの中心から本塁の中心までの線に垂直な垂直平面内の前記本塁の幅に対応する平面に基づいて、前記第二の座標系において決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
カメラの第一の座標系を、野球場の第二の座標系に対して較正することと、
前記カメラで、第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉することと、
前記一つ以上の画像および前記野球場に対する前記カメラの前記較正に基づいて、前記第一の打者の三次元姿勢に対応する姿勢データを決定することと、
前記第一の打者の前記姿勢データを、前記第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの少なくとも一つにマッピングすることと、
前記第一のストライクゾーンの前記位置上限および位置下限のうちの前記マッピングされた少なくとも一つに基づいて、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの位置限度を決定することと、を含む、方法。
【請求項14】
投球の飛行を追跡することと、
前記投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球がある三次元位置を含むかどうかを決定することと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球がある前記三次元位置を含む時に、ストライク判定を出力することと、
前記投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球がある三次元位置を含まない時に、ボール判定を出力することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
野球の試合を監視するためのシステムであって、
第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉するように構成された第一のセンサ配設と、
プロセッサであって、
前記第一のセンサ配設の第一の座標系を、野球場の第二の座標系に対して較正するように、
前記一つ以上の画像および前記第一のセンサ配設の前記野球場に対する前記較正に基づいて、前記第一の打者の生体認証特性を決定するように、
前記第一の打者の前記生体認証特性を、前記第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの一つにマッピングするように、および
前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの位置限度を決定するように、構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項17】
第一の投球の飛行を追跡するように構成された第二のセンサ配設をさらに含み、
前記プロセッサが、
前記第一の打者が現在の打者である時、前記ボールの前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記投球の一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサが、
前記第一の投球の三次元軌跡を決定するように、および
前記第一の打者が前記現在の打者である時、前記第一の投球の前記軌跡が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記第一の投球の一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定するように、さらに構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサが、
前記第一の打者が前記現在の打者であり、かつ前記第一の投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記第一の投球がある前記三次元位置を含む時に、ストライク判定を出力するように、および
前記第一の打者が前記現在の打者であり、かつ前記ボールの前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記第一の投球がある三次元位置を含まない時に、ボール判定を出力するように、さらに構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第一のセンサ配設が第一のカメラを含み、前記第二のセンサ配設がレーダー装置および第二のカメラを含み、前記第二のセンサ配設が、高ホームポジションに据え付けられている、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記第一および第二のカメラならびに前記レーダー装置が、互いに時刻同期されていて、前記プロセッサが、
前記レーダー装置からのデータに基づいて、前記第一の投球に関連するキーモーメントの時間を特定するように、および
前記現在の打者の前記生体認証特性を、前記現在の打者に対する前記第一のストライクゾーンの前記位置上限および前記位置下限にマッピングするために、前記キーモーメントの前記時間に対応する画像を前記第一および第二のカメラのうちの一つから選択するように、さらに構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第一の投球の前記三次元位置のうちのいずれか一つが、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度から前記第一の投球の半径一個分を超えない時に、前記第一の投球の前記飛行は、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記第一の投球の一部分がある三次元位置を含むことを、プロセッサが決定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
前記第一の打者の前記生体認証特性が、前記第一のストライクゾーンの前記位置下限に対応する前記第一の打者の第一の識別された解剖学的特徴に基づいて、前記第一のストライクゾーンの前記位置上限および前記位置下限にマッピングされる、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記第一の打者の前記生体認証特性が、前記第一の打者の第二の識別された解剖学的特徴の高さに加えられた所定の高さに基づいて、前記第一のストライクゾーンの前記位置上限にマッピングされる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第一のストライクゾーンの前記位置上限が、前記第一の打者の前記第一の識別された解剖学的特徴の高さに所定の高さを加えることによって、決定される、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記所定の高さが、前記第一の打者の前記生体認証特性に基づく、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第一のストライクゾーンの前記位置限度が、ピッチャープレートの中心から本塁の中心までの線に垂直な垂直平面内の前記本塁の幅に対応する平面に基づいて、前記第二の座標系において決定される、請求項16に記載のシステム。
【請求項28】
第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉するように構成された第一のセンサ配設と、
プロセッサであって、
前記第一のセンサ配設の第一の座標系を、野球場の第二の座標系に対して較正するように、
前記第一の打者が現在の打者である時、前記一つ以上の画像および前記野球場に対する前記第一のセンサ配設の前記較正に基づいて、前記第一の打者の三次元姿勢に対応する姿勢データを決定するように、
前記第一の打者の前記姿勢データを、前記第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの少なくとも一つにマッピングするように、および
前記第一のストライクゾーンの前記位置上限および位置下限のうちの前記マッピングされた少なくとも一つに基づいて、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの位置限度を決定するように、構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項29】
第一の投球の飛行を追跡するように構成された第二のセンサ配設をさらに含み、
前記プロセッサが、
前記第一の投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記第一の投球の一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサが、
前記第一の投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記ボールがある前記三次元位置を含む時に、ストライク判定を出力するように、および
前記第一の投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記第一の投球がある三次元位置を含まない時に、ボール判定を出力するように、さらに構成されている、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記ボール判定が、前記第一の投球の前記飛行が、前記第二の座標系における前記第一のストライクゾーンの前記位置限度内に前記第一の投球がある三次元位置を含まず、かつ前記第一の打者のスイングが検出されない時にのみ出力される、請求項29に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本開示は、2021年8月4日に出願された米国仮特許出願第63/203,927号に対する優先権を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ストライクおよびボールを判定すること、ならびにその他の判定を行うことはもちろん、観察された行動に規則を適用することも、野球の試合の不可欠かつ重要な部分である。ストライクおよびボールの判定は、打者が野球ボールに接触しない限り(この場合、投球は自動的にストライクである)、毎回の投球が打者を通過した後、球審によってなされる。当然ながら、打者が投球と接触したかどうかを決定することは、現在、審判によって決定されるもう一つの判定である。メジャーリーグベースボールの現在の規則の下では、公式のストライクゾーンは、打者の肩とユニフォームのズボンの上部との間の中間点から、打者の膝頭のすぐ下の点までの本塁上の領域である。原則として、ストライクゾーンは、打者が打撃のスタンスをとり、投球に対してバットを振る準備ができた時に決定される。従って、第一の打者のストライクゾーンは、典型的には、第二の打者のストライクゾーンとは異なり、所与の打者に対するストライクゾーンは、打席間または打席中、および野球の試合間で変化しうる。
【0003】
野球ボールの飛行を測定し、試合中の投球を評価するシステムは、長年にわたって存在し、大きな注目を受けてきた。一つの例示的なシステムは、多周波数連続波(MFCW)Xバンドドップラーレーダーを用いる。レーダーから伝送され、飛行中に野球ボールによって反射されるレーダー波は、レーダーによって受信される時に観察可能なドップラーシフトを生成する。このシフトは、レーダーに対する野球ボールの視線速度に比例する。レーダーは、複数の受信アンテナを用い、これらの受信機で受信された信号に関連付けられた位相差を観察することによって、レーダーからボールへの方向を測定する。複数の周波数を用いることによって、ボールまでの距離を決定することもできる。投球を追跡するために、いわゆる「高いホーム(high-home)」位置は、反射波の信号強度が一貫して高いので、視線速度の測定を行うレーダーの特に有利な配置である。「高いホーム」位置では、レーダーを、ピッチャープレートおよび本塁の上方、かつ本塁の後ろの位置に、好ましくは、レーダーがフェンスまたはスタンドなどの既存の構造にしっかりと取り付けられた状態で据える。この位置は、一般的に、打者、捕手、および審判からの妨害を最小化しながら、可能な限り本塁の眺望を明確にするように選択される。
【0004】
別の実施例において、カメラベースのシステムは、高いフレームレート(例えば、60Hz以上)、高解像度(例えば、HD、4K、またはそれ以上)、および投球が投じられる可能性が高い領域(例えば、ピッチャープレート、本塁、およびバッターボックス、それらの間の領域、およびすぐ周囲の領域を含む)をカバーする視野を有するカメラを用いうる。画像平面内のボールの位置は、ボールがカメラの視野内にある時に検出されうる。ボールの位置は、例えば、カメラの焦点からボールの3D位置までの空間内のベクトルによって画定されうる。複数のカメラを使用してボールを同時に検出することにより、ベースボールの3D位置を、これらのベクトルを組み合わせることによって(例えば、既知の立体視技術における三角測量を介して)決定することが可能になる。
【0005】
さらに別の実施例において、システムは、レーダーおよび一つ以上のカメラの両方を含むことができ、両方のタイプのセンサからの観察は、ボールの飛行経路を決定するために組み合わされる。使用されるシステムのタイプにかかわらず、センサ入力を同期させる、またはそうでなければ観察にタイムスタンプして、モダリティを越えたセンサ融合を用いることが有利である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、第一のカメラの第一の座標系を野球場の第二の座標系に対して較正することと、第一のカメラで、第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉することと、一つ以上の画像、および第一のカメラの野球場への較正に基づいて、第一の打者の生体認証特性を決定することと、第一の打者の生体認証特性を、第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングすることと、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度を決定することと、を含む、方法に関する。
【0007】
一つの実施形態において、方法は、投球の飛行を追跡することと、ボールの飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に投球の一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定することと、をさらに含む。
【0008】
一つの実施形態において、方法は、ボールの三次元軌跡を決定することをさらに含み、投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に投球の一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定することは、投球の軌跡が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度の投球の半径一個分以内に投球の一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定することを含む。
【0009】
一つの実施形態において、方法は、投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に投球がある三次元位置を含む時、ストライク判定を出力することと、投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に投球がある三次元位置を含まないとき、ボール判定を出力することと、をさらに含む。
【0010】
一つの実施形態において、投球の飛行は、レーダー装置および高ホームポジションに据え付けられた第二のカメラを含む追跡装置を使用して追跡される。
【0011】
一つの実施形態において、第一および第二のカメラならびにレーダー装置は、互いに時刻同期されていて、方法は、レーダー装置からのデータに基づいて、投球に関連するキーモーメントの時間を特定することと、第一の打者の生体認証特性を第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングするために、キーモーメントの時間に対応する第一および第二のカメラのうちの一つから画像を選択することと、をさらに含む。
【0012】
一つの実施形態において、投球の三次元位置のうちのいずれか一つが、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度から投球の半径一個分を超えない時に、投球の飛行は、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に投球の一部分がある三次元位置を含むと決定される。
【0013】
一つの実施形態において、第一の打者の生体認証特性は、第一のストライクゾーンの位置下限に対応する第一の打者の第一の識別された解剖学的特徴に基づいて、第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングされる。
【0014】
一つの実施形態において、第一の打者の生体認証特性は、第一の打者の第二の識別された解剖学的特徴の高さに加えられた所定の高さに基づいて、第一のストライクゾーンの位置上限にマッピングされる。
【0015】
一つの実施形態において、第一のストライクゾーンの位置上限は、第一の打者の第一の識別された解剖学的特徴の高さに所定の高さを加えることによって、決定される。
【0016】
一つの実施形態において、所定の高さは、第一の打者の生体認証特性に基づく。
【0017】
一つの実施形態において、第一のストライクゾーンの位置限度は、ピッチャープレートの中心から本塁の中心までの線に垂直な垂直平面内の本塁の幅に対応する平面に基づいて、第二の座標系において決定される。
【0018】
加えて、本開示は、カメラの第一の座標系を野球場の第二の座標系に対して較正することと、第一の打者を含む一つ以上の画像をカメラで捕捉することと、一つ以上の画像および野球場に対するカメラの較正に基づいて、第一の打者の三次元姿勢に対応する姿勢データを決定することと、第一の打者の姿勢データを、第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの少なくとも一つにマッピングすることと、マッピングされた第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの少なくとも一つに基づいて、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度を決定することと、を含む方法に関する。
【0019】
一つの実施形態において、方法は、投球の飛行を追跡することと、投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内にボールの一部分がある三次元位置を、含むかどうかを決定することと、をさらに含む。
【0020】
一つの実施形態において、方法は、投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に投球がある三次元位置を含む時、ストライク判定を出力することと、投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に投球がある三次元位置を含まないとき、ボール判定を出力することと、をさらに含む。
【0021】
加えて、本開示は、野球の試合を監視するためのシステムに関し、第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉するように構成された第一のセンサ配設と、プロセッサであって、第一のセンサ配設の第一の座標系を、野球場の第二の座標系に対して較正するように、一つ以上の画像および第一のセンサ配設の野球場に対する較正に基づいて、第一の打者の生体認証特性を決定するように、第一の打者の生体認証特性を、第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの一つにマッピングするように、および第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度を決定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0022】
一つの実施形態において、システムは、第一の投球の飛行を追跡するように構成された第二のセンサ配設をさらに含み、プロセッサは、第一の打者が現在の打者である時、ボールの飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内にボールの一部分がある三次元位置を含むかどうかを決定するようにさらに構成されている。
【0023】
一つの実施形態において、プロセッサは、第一の投球の三次元軌跡を決定するように、および第一の打者が現在の打者である時、第一の投球の軌跡が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に第一の投球の一部分がある三次元位置を含むかどうかを決定するようにさらに構成されている。
【0024】
一つの実施形態において、プロセッサは、第一の打者が現在の打者であり、かつ第一の投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に第一の投球がある三次元位置を含む時に、ストライク判定を出力するように、および第一の打者が現在の打者であり、かつボールの飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に第一の投球がある三次元位置を含まない時に、ボール判定を出力するようにさらに構成されている。
【0025】
一つの実施形態において、第一のセンサ配設は第一のカメラを含み、第二のセンサ配設はレーダー装置および第二のカメラを含み、第二のセンサ配設は、高ホームポジションに据え付けられている。
【0026】
一つの実施形態において、第一および第二のカメラならびにレーダー装置は、互いに時刻同期されていて、プロセッサは、レーダー装置からのデータに基づいて、第一の投球に関連するキーモーメントの時間を特定するように、および現在の打者の生体認証特性を、現在の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングするために、キーモーメントの時間に対応する第一および第二のカメラのうちの一つから画像を選択するように、さらに構成されている。
【0027】
一つの実施形態において、第一の投球の三次元位置のうちのいずれか一つが、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度から第一の投球の半径一個分を超えない時に、第一の投球の飛行は、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に第一の投球の一部分がある三次元位置を含むと、プロセッサは決定する。
【0028】
一つの実施形態において、第一の打者の生体認証特性は、第一のストライクゾーンの位置下限に対応する第一の打者の第一の識別された解剖学的特徴に基づいて、第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限にマッピングされる。
【0029】
一つの実施形態において、第一の打者の生体認証特性は、第一の打者の第二の識別された解剖学的特徴の高さに加えられた所定の高さに基づいて、第一のストライクゾーンの位置上限にマッピングされる。
【0030】
一つの実施形態において、第一のストライクゾーンの位置上限は、第一の打者の第一の識別された解剖学的特徴の高さに所定の高さを加えることによって、決定される。
【0031】
一つの実施形態において、所定の高さは、第一の打者の生体認証特性に基づく。
【0032】
一つの実施形態において、第一のストライクゾーンの位置限度は、ピッチャープレートの中心から本塁の中心までの線に垂直な垂直平面内の本塁の幅に対応する平面に基づいて、第二の座標系において決定される。
【0033】
加えて、本開示は、第一の打者を含む一つ以上の画像を捕捉するように構成された第一のセンサ配設と、第一のセンサ配設の第一の座標系を野球場の第二の座標系に対して構成するように、第一の打者が現在の打者の時、一つ以上の画像および、第一のセンサ配設の野球場に対する較正に基づいて、第一の打者の三次元姿勢に対応する姿勢データを決定するように、第一の打者の姿勢データを、第一の打者に対する第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの少なくとも一つにマッピングするように、およびマッピングされた第一のストライクゾーンの位置上限および位置下限のうちの少なくとも一つに基づいて、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度を決定するように構成されたプロセッサと、を含むシステムに関する。
【0034】
一つの実施形態において、システムは、第一の投球の飛行を追跡するように構成された第二のセンサ配設をさらに含み、プロセッサは、第一の投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に第一の投球の一部分がある三次元位置を含むかどうかを決定するようにさらに構成されている。
【0035】
一つの実施形態において、プロセッサは、第一の投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内にボールがある三次元位置を含む時に、ストライク判定を出力するように、および第一の投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に第一の投球がある三次元位置を含まない時に、ボール判定を出力するようにさらに構成されている。
【0036】
一つの実施形態において、ボール判定は、第一の投球の飛行が、第二の座標系における第一のストライクゾーンの位置限度内に第一の投球がある三次元位置を含まず、かつ第一の打者のスイングが検出されない時にのみ出力される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、例示的な実施形態による例示的なネットワーク配設を示す。
図2図2は、例示的な実施形態による例示的なコンピューティング装置を示す。
図3図3は、第一の例示的な実施形態によるシステムの側面図を示す。
図4図4は、例示的な実施形態によるストライクゾーンの斜視図を示す。
図5図5は、投球評価システムを野球場に対して較正するための方法を示す。
図6図6は、第一の例示的な実施形態による投球を決定するための方法を示す。
図7図7は、第二の例示的な実施形態による投球を決定するための方法を示す。
図8図8は、高ホームポジションにあるカメラの側面図を示す。
図9図9は、第二の例示的な実施形態によるシステムの俯瞰図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
例示的な実施形態は、以下の記載および関連する添付図面を参照してさらに理解することができ、同様の要素には同じ参照番号が提供されている。例示的な実施形態は、野球の試合の審判をするための、または野球の試合の審判を支援するためのシステムおよび方法に関する。本明細書に詳述した例示的な実施形態は、野球の試合の審判を記載するが、当業者であれば、任意のボールまたはその他のスポーツ投射物の正確な追跡は、試合の規則ならびにグラウンド内およびその周辺の主要アイテムの寸法および位置の知識と併せて実施されて、実施形態が、任意のこうした試合で規則に基づいた判定を行うことを可能にし得ることを理解するであろう。例えば、任意のグラウンドの位置および寸法に対応するデータを含む処理配設と組み合わせた類似のハードウェアを用いる実施形態は、ボールまたは任意の他の追跡されるアイテムが、任意の時点でグラウンドから出ているかどうか、または任意の時点で、もしくは指定された時点で、もしくは所定の条件下で、グラウンドの指定された部分から出ているかどうかを決定することができる。さらに、当業者によって理解されるように、記載される実施形態は、規則に基づいた判定(例えば、ストライクおよびボール)のすべてもしくは任意の所望のサブセットについて最終決定を行うために使用されてもよく、または人間の意思決定者(例えば、審判員またはレフリー)に対して、任意の規則に基づいた判定に関して決定されたシステムの表示を、人間の意思決定者がその意思決定においてこの決定を考慮することを可能にする方法で提供してもよい。例えば、こうしたシステムは、任意の判定に関するシステムの決定を示す可聴信号を人間の意思決定者に提供する、イヤピースまたは他の通信装置への無線接続を含んでもよく、表示は、所定の規則に従って、人間の意思決定者によって表示が却下または無視されてもよい。
【0039】
図1は、例示的な実施形態による例示的なネットワーク配設1を示す。ネットワーク配設1は、ネットワーク20(例えば、無線ネットワーク)を介して、複数のデータ収集装置(例えば、第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125)と通信するように構成されたコンピューティング装置10を含む。第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125は、グラウンド、グラウンド上の選手、およびグラウンド内のボール(例えば、投手によって投げられた野球ボールならびに打球、および他の投球)に関するデータ(例えば、生データ)、を捕捉してもよい。具体的には、第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125は、グラウンドの位置および寸法、ならびにグラウンド内およびその周りの主要なアイテムの位置および寸法に対応するデータを捕捉するように構成されてもよい。さらに、第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125は、ネットワーク20を介して、捕捉されたデータをコンピューティング装置10に送信するように構成されてもよい。
【0040】
コンピューティング装置10は、以下に記載の方法を実施するように構成されてもよい。コンピューティング装置は、ネットワーク20を介して捕捉されたデータを受信する能力がある。捕捉されたデータは、コンピューティング装置10によって処理されて、出力データを生成してもよい。例えば、出力データは、ボールまたは任意の他の追跡されるアイテムが、任意の時点でグラウンドから出ているかどうか、または任意の時点、もしくは指定された時点、もしくは所定の条件下で、打たれたボールが地面または野球場もしくはスタジアムの任意の部分と接触する、グラウンドの指定された部分から出ているかどうかを示し得る。
【0041】
当業者であれば理解するであろうように、実際のネットワーク配設は、任意の数のコンピューティング装置および任意の数のデータ収集装置(例えば、カメラ、レーダーなど)を含んでもよい。従って、一つのコンピューティング装置10、一つのレーダー110、および二つのカメラ115、125を有するネットワーク配設1は、単に例示目的のために提供されている。
【0042】
図2は、例示的な実施形態によるコンピューティング装置10を示す。コンピューティング装置10は、プロセッサ11、メモリ配設12、トランシーバ13、入出力(I/O)装置14、表示装置15、および他の構成要素16を含んでもよい。
【0043】
この実施形態のプロセッサ11は、コンピューティング装置10とネットワーク20との間の様々な手順を実施するように構成されている。例示的な実施形態において、プロセッサ11は、第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125からコンピューティング装置10に送信された捕捉データを解釈して、様々な打球および投球の移動経路について決定を下し、これらの経路が試合の規則およびプレーにどのように影響するかを決定するプログラムを実行する。例えば、この実施形態のプロセッサ11は、第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125からのデータに基づいて、ボールまたは他の追跡されるアイテムが、任意の時点でグラウンドから出ているかどうか、または任意の時点で、もしくは指定された時点で、もしくは所定の条件下などで、グラウンドの指定された部分から出ているかどうかを決定してもよい。
【0044】
さらなる例示的な実施形態において、プロセッサ11は、プログラムまたは複数のプログラムを実行するために、二つ以上のプロセッサ間で分割されてもよい。例えば、さらなる例示的な実施形態のうちの一つにおいて、第一のプロセッサは、捕捉されたデータを解釈して、グラウンドの一部の寸法を決定してもよく、第二のプロセッサは、捕捉されたデータを解釈して、投球がボール(すなわち、投球がグラウンドの指定された部分の外側にある)またはストライク(すなわち、投球がストライクゾーン内にある、またはバットもしくはグラウンドの指定された部分に接触するなど)であるかどうかを決定してもよい。
【0045】
この実施形態のメモリ配設12は、コンピューティング装置10によって実施される動作に関連するデータを保存するように構成されたハードウェア構成要素である。例示的な実施形態において、メモリ配設12は、第一のカメラ115、レーダー110および第二のカメラ125からの捕捉データ、ならびにプロセッサ11によって出力されたデータを保存するように構成される。この実施形態のトランシーバ13は、ネットワーク20と、従って、例えば、第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125との接続を確立して、捕捉されたデータを受信するように構成されたハードウェア構成要素である。
【0046】
それ故に、トランシーバ13は、様々な異なる周波数またはチャネル(例えば、連続周波数のセット)で動作し得る。入出力(I/O)装置14は、ユーザーが入力を入れることを可能にするハードウェア構成要素であってもよい。表示装置15は、例えば、投球がボールかストライクかなどのデータに関連する通信を行うように構成されたハードウェア構成要素であってもよい。他の構成要素16には、例えば、音声入力装置、音声出力装置、電源、データ取得装置、コンピューティング装置10を他の装置(例えば、第一のカメラ115、レーダー110、および第二のカメラ125など)に電気的に接続するためのポートを含み得る。
【0047】
図3は、野球ボールの飛行を測定し、投球を評価するための例示的なシステム100を示す。システム100は、レーダーカメラ追跡システムであり、この実施例では、本塁120の上方および本塁120の後方(すなわち、ピッチャープレート122の反対側の本塁120の側面上)に据え付けられた、例えばレーダー110および第一のカメラ115などの組み合わされたレーダーカメラ配設を含む、「高ホーム」ポジションの第一のセンサ配設105を含む。上述のように、「高ホーム」ポジションは、第一のカメラ115およびレーダー110を、打者、捕手、および審判員からの妨害を最小化する高さまで上昇させることによって、可能な限り明確な本塁120の眺望を提供し、一方で投球の飛行経路に関して可能な限り真っ直ぐな本塁120の眺望を提供するように選択される。
【0048】
例示的なシステム100は、センターフィールド位置に第二のセンサ配設106を追加的に含み、この実施例においては、カメラ(例えば、第二のカメラ125)を含む。レーダー110、第一のカメラ115、および第二のカメラ125の各々は、上述のように、ピッチャープレート122からバッターボックス(すなわち、本塁120の上方)までの領域を含む、投球が横断することが予想される領域をカバーする視野(例えば、第一のセンサ配設105の視野160)を有する。当業者によって理解されるように、レーダー110、第一のカメラ115および第二のカメラ125の各々に対するすべての実用的な位置は、選手の位置が完全に予測可能または制御可能ではないため、試合中にある程度の妨害を受ける可能性が高い。
【0049】
例えば、第二のカメラ125は、これが最も一般的な状況であるため、右利きの投手が右利きの打者に投球する時に、本塁120の最適な眺望を与えるように位置付けられてもよい。しかしながら、当業者であれば、任意の所与の投球の最も妨害のない眺望を達成するために、レーダー110、第一のカメラ115、および第二のカメラ125(または一つ以上の追加的なセンサ配設)のいずれかに対する他の位置が提供されてもよいことを理解するであろう。例えば、さらなるセンターフィールドセンサ配設(図示せず)が、左利きの投手または左利きの打者に遭遇した時に提供されてもよい(または第二のカメラ125を移動してもよい)。当業者であれば、任意のシナリオに対する重要な位置への所望の見通し線を確保するために、任意の所望の位置に追加のカメラが配置され得ることを理解するであろう。例えば、カメラは、左利きの打者のより完全な眺望を達成するために、フィールドの三塁側に配置されてもよい。
【0050】
当業者であれば、第一のセンサ配設105および/または第二のセンサ配設106が、上述のように一つ以上のデータ収集装置を含み得ることを理解するであろう。加えて、いくつかの追加的なセンサ配設がシステム100に利用され得る。
【0051】
上記のシステム100などの投球評価システムの別の重要な態様は、システム100のフィールドに対する較正であり、センサ配設の各々のローカル座標系における観測をフィールド座標に変換することを可能にする。こうした較正は、以下の手順のうちの一つ以上を使用して決定することができる。
【0052】
図4は、投球評価システム(例えば、システム100)をフィールドに対して較正するための例示的な方法400を示す。カメラ(例えば、第一および/または第二のカメラ115、125)をフィールド座標に対して較正するために、405では、フィールドの画像がカメラで撮影される。410において、ベース、ピッチャープレート(例えば、ピッチャープレート122)、本塁(例えば、本塁120)、および/またはファウルポールなどの画像の特徴が、(例えば、手動で注釈を付けて)検出されるか、または画像認識または任意の他の既知の方法を使用して自動的に検出される。
【0053】
415において、撮像装置内部パラメータ(例えば、焦点距離、レンズ歪みパラメータなどを含む)、および互いに対する特徴の位置(例えば、標準的な運動場の寸法から仮定されるか、または所与のフィールドで直接測定された相対位置)の知識を使用して、フィールドに対するカメラの外部パラメータ(例えば、位置および配向(例えば、パン、傾斜、ロール)を含む)を決定することができる。
【0054】
レーダー(例えば、レーダー110)をフィールドに対して較正するために、カメラのうちの少なくとも一つが使用されてもよい。組み合わせられたレーダー/カメラベースの追跡システム(例えば、システム100)において、レーダー・カメラ間の較正は、上述のようなフィールドに対するカメラ較正と組み合わせて使用されてもよい。レーダーベースの追跡システムの別の例示的な実施形態において、カメラは、レーダーに取り付けられて、この特定の目的のために使用されてもよい(例えば、カメラは、フィールドに対して較正され、レーダー・フィールド間の較正は、既知のレーダー・カメラ間の較正に基づいて決定される)。レーダー/カメラ較正は、製造の較正工程中に、または当業者に周知の方法によって別の適切な時に決定されてもよい。
【0055】
代替的な実施形態において、(例えば、標準的なフィールド寸法および配設に基づいて)フィールド上の特徴の相対位置を仮定するのではなく、フィールドおよび周囲の構造のライダースキャンを捕捉してもよい。ライダースキャンは、上述の特徴、例えば、ベース、ピッチャープレート、本塁、および/またはファウルポール、ならびにフィールドの弧形、およびフェンスの位置、またはプレーエリアの外を画定するその他の物理的または顕著な境界、ホームランフェンスなどを捕捉し得る。上記と同様に、これらの特徴のうちの一つ以上を捕捉する画像を撮影してもよい。ライダースキャンおよび画像の特徴は、手動で検出(例えば、注釈付け)されてもよく、または自動的に検出され、その後一致させてもよい。これらの一致により、カメラの外部パラメータ(例えば、位置および配向(例えば、パン、傾斜およびロール))は、次に、撮像装置内部パラメータおよびライダースキャンで検出された特徴の位置の知識から決定され得る。
【0056】
較正はまた、打たれた、投げられた、装置によって発射されたボール、またはそうでなければ、フィールドの所定の位置の中で、もしくは所定の位置を通って移動するもしくはバウンドするボールを観測する工程などの工程を含んでもよい。
【0057】
追跡システム(例えば、レーダーベース、カメラベース、または組み合わせられたレーダー/カメラベースの追跡システム)がフィールドのレイアウトに対して較正された後、次いでボールが移動する経路が、観測され、追跡され、フィールドのレイアウトに関連付けられ得る。追跡システムは、飛行中の野球ボールの三次元位置を観測/捕捉し、多項式または物理的モデルを観測に適合させることによって、各ボールの軌跡を決定し、従ってデータを平滑化し、個々の位置測定値の固有ノイズを低減し得る。野球ボールの飛行軌跡が判定されると、特定の時間インスタンスまたはフィールド上の場所(またはフィールドの上方)での軌跡の数学的表現を評価する(すなわち、ボールがプレート上に垂直に延在する空間を通過しているかどうか、およびボールがフェアまたはファウル領域でフィールドを出た場合、ボールがどの高さでこの空間を通過したかなどを決定する)のは単純な手順である。従って、本塁上またはその近くを横断する際の野球ボールの位置に対応するデータ点が決定され得る。システムは、1インチ未満以内でプレートに対するこの位置測定の精度を達成し得る。
【0058】
投球がボールかストライクかを決定するために、システム100は、ボールの軌跡が、本塁120の上に垂直に延在し、かつストライクゾーンの上限と下限の間の体積(例えば、本塁120のものと同じサイズおよび形状を任意の水平面に有する)によって画定される3D形状169を通過するかどうかを決定する。一部の場合において、図4に示すように、簡略化されたストライクゾーン170の簡略化モデルを使用して、ボール175がストライクゾーン170を通過するかどうかを決定してもよい。ストライクゾーン170が、本塁120の3D形状176の前面(例えば、投手に面する側)のサイズおよび形状であるように(例えば、本塁120の前面の長方形からピッチャープレートから離れてファウルラインの交差部まで延在する三角形状を無視する)、ストライクゾーン170は、例えば、上限171(例えば、本塁120の長方形部分の寸法を有する上部の水平な平面)と下限173(例えば、本塁120の長方形部分の寸法を有する下部の水平な平面)との間に垂直に延在する直方体172の形状を有してもよい。ストライクゾーン170は、本塁120の上方の高さhである。高さhは、打者がバッターボックスにいる時に、本塁120から打者の膝までの高さに対応し得るが、所与のリーグの規則または野球の規則に対する将来の任意の変更と一致する任意の方法で決定されてもよい。
【0059】
当業者によって理解されるように、さらに簡略化されたストライクゾーンが、本塁120上を中心とし、同じ幅(すなわち、ピッチャープレートから本塁120への線に垂直な方向の範囲)を有する垂直に延在する平面に基づいて画定されてもよい。こうしたさらに簡略化されたストライクゾーンを画定する平面の部分は、幅が本塁120に等しく、かつ本塁上の任意の所望の点(例えば、ホームの前縁(ピッチャーに最も近い)、本塁の中心など)を中心とするであろう。追跡システムによって決定される軌跡は野球ボールの中心に対応し、投球は、ボールの任意の部分がストライクゾーンの任意の部分を通過する場合、ストライクであるため、ボール/ストライク判定を決定するときに、真のストライクゾーンよりもボール直径の半分だけ大きい、ストライクゾーンの数学的表現を使用することが有利であり得る。別の方法として、システムは、ボールの中心が、ストライクゾーン内またはストライクゾーンのボールの直径の半分以内であると決定されるときはいつでもストライクを判定してもよい。当業者であれば、ボールの半径に対するこの許容量は、本明細書に記載のストライクゾーンのいずれかと併せて有効となることを理解するであろう。
【0060】
先在する選手知識に基づいた投球の決定に対する既存のまたは単純なアプローチ
一般に、ボール位置測定値を使用して、投球がプレート上を通過するかどうかを自動的に決定し、通過した場合は、ボールがプレートの任意の部分の上を通過した時にどの高さだったかを決定し(例えば、プレートの任意の部分の上を通過した際に、ボールはストライクゾーン内であったか)、次いで、これをフィールドの競技役員に合図するために何らかの手段を実施するのは、比較的単純な概念である。しかしながら、上述のように、公式のストライクゾーン定義に従って正確なストライク/ボール判定を行うのは、より困難であり、選手がバッターボックスにいる間にそのスタンスが変化するので、個々の選手の身長、手足の長さ、およびスタンスに依存するストライクゾーンの上限および下限に関して、ある程度の知識および/または仮定を必要とし得る。以下の方法を用いてもよく、各々が図4を参照し、様々な利点/不利益を有する。
【0061】
第一の選択肢において、ストライクゾーン170の上限171および下限173を使用することができる。例えば、ストライクゾーン170は、リーグおよび/またはそのリーグ内の選手の年齢層に依存する上限171および下限173に基づいて画定されてもよい。例えば、上限171および下限173のそれぞれは、リーグ内の選手の平均身長および/または選手の平均の手足の長さ、ならびにそれはこれらの特徴を有する人に適用される規則に基づいて画定されるであろうため、これらの特徴とストライクゾーン170との間の関係に関する仮定に基づいて、上限171および下限173のそれぞれについて地面の上方の一定の高さ(例えば、すべての打者に対して同じ)として定義されてもよい。
【0062】
別の方法として、ストライクゾーン170サイズの上限171および下限173は、リーグからの数人の選手のスタンスを観測し、上限171および下限173の平均値を決定することによって決定されてもよい。ストライクゾーン170に対するこうした上限171および下限173の主な利点は、単純性である。しかしながら、この単純なアプローチは、個々の選手間のサイズおよびスタンスの変動を許容せず、任意の選手の特徴/スタンスによっては、実際のストライクゾーンが所定のストライクゾーンよりも大きいもしくは小さい、または所定のストライクゾーンに対して上下にシフトし得るので、特定の投球に対する不正確な判定をもたらすことになる。
【0063】
さらなる選択肢において、ストライクゾーン170の上限171および下限173は、選手の生体認証特性(例えば、身長および/または手足の長さ)および標準打撃スタンスに関する情報に基づいて、各選手に対して個別化される。この方法は、システムを実行する時に、選手の身長および/または手足の長さが外部ソースから(例えば、オンラインデータベースから)入手可能であると仮定している。次いで、ストライクゾーン170は、生体認証特性(例えば、選手の身長および/または手足の長さ)、およびこうした選手が標準的打撃スタンスにある時の、ストライクゾーン170の上限171および下限173へのこれらの生体認証特性のマッピングに関する仮定/情報に基づいてもよい。例えば、このマッピングは、打撃スタンスにある多数の選手を観測し、選手の生体認証特性を、スタンスと、各場合におけるストライクゾーン170の測定された上限171および下限173とに関連付けることによって取得されたデータから学習されてもよい。この選択肢は、各選手の生体認証特性に対して個別化されたストライクゾーン170を作成するという利点を有する。ただし、この選択肢では、各選手に対する特定のスタンスは考慮されない。
【0064】
加えて、この選択肢は、新しい選手が導入される際に定期的に更新する必要があるであろう選手情報(各選手の身長、手足の長さなど)のデータベースを必要とする。別の方法として、ストライクゾーン170は、簡単に決定されるもう一つの生体認証特性を測定することによって作成されてもよい。例えば、選手が打撃スタンスに入る時、膝の屈曲は画像で容易に明らかであるため、ストライクゾーン170の下限173を正確に決定することはより簡単であり得る。次いで、システムは、測定された下限173の高さの所定の倍数である、または選手の身長の所定の割合だけ下限173よりも高い、または例えば、多数の選手の打撃スタンスを調べることによって到達した任意の他の式を使用して、ストライクゾーン170の上限171を生成してもよい。
【0065】
第三の選択肢において、ストライクゾーン170の上限171および下限173は、以前の打席での個人のスタンスに関する個々の履歴データに基づいて、各選手に対して個別化される。例えば、ストライクゾーン170は、以前のいくつかの試合を通した個々の選手の観測されたスタンスに基づいてもよい。一つのこうしたシステムは、MLBによって用いられていると言われており、センターフィールドカメラ(例えば、第二のカメラ125)を使用して、選手のスタンスを観測して、ストライクゾーン170の上限171および下限173に関連する測定を行う。
【0066】
歴史的に、他の位置(例えば、高ホーム位置)からの画像から、打者の膝の高さおよび肩/ズボンの線の高さを決定することは困難であるため、センターフィールドカメラが使用されてきており、適切なストライクゾーン限度に対応する画像の線を設定するのは手動プロセスであった。移動平均、またはその他のローパスフィルターを、最新の試合からのデータに対して使用して、各選手に対して現在の試合で使用する代表的なストライクゾーンを生成してもよい。この選択肢は、各選手のスタンスおよび生体認証特性を考慮して、個別のストライクゾーンを生成するという利点を有する。しかしながら、この選択肢はまた、様々な不正確さを導入し得る。例えば、以前の複数の試合から捕捉され平均化されたデータは、単一の試合中の打席間または打席中にさえも変化し得る、打者のスタンスの最近の変化を反映しない場合がある。加えて、以前のデータがまだ利用できない新しい選手のストライクゾーンに、個別化された上限および下限を生成することは困難または不可能である場合がある。
【0067】
投球決定の方法
第一の例示的な実施形態において、生体認証特性(例えば、身長および/または手足の長さ)は、フィールドに対して較正された一つ以上のカメラから捕捉された一つ以上の画像から、現在の打者について決定される。上述の第二の選択肢と同様に、第一の例示的な実施形態は、打者のスタンスを考慮しない。むしろ、選手の生体認証特性からのマッピングに関して仮定を使用して、これらの特徴を有する選手の標準的なスタンスに基づいて、ストライクゾーンの上限および下限を生成する。
【0068】
図5は、以下の工程を含む、第一の例示的な実施形態による投球を決定する(ボールまたはストライクを判定する)方法500を示す。505において、第一のカメラの第一の座標系が、例えば、方法400の工程405~415に従って、野球場の第二の座標系に対して較正される。510において、野球場の一つ以上の画像(特に本塁の周りの領域を含む)が捕捉され、一つ以上の画像は特定の選手(例えば、打者)を含む。510において、選手が画像内で検出される。検出は、選手の手動識別または画像認識方法を使用した自動検出を含み得る。加えて、再識別方法を使用して、以前のフレームまたは画像中の同じ選手を検出して、検出の精度を高めてもよい。例えば、特定の実施によっては、直立位置で選手を検出することが重要であり得る。
【0069】
515において、選手の生体認証特性(身長および/または手足の長さ)は、画像の分析に基づいて決定される。生体認証特性の決定は、カメラの較正、およびヒトの画像から特徴を抽出するための方法、例えば、ヒト姿勢検出または何らかの他の方法などに基づいて実施されてもよい。520において、生体認証特性とストライクゾーンの上限および下限との間の予め定義された関係を使用して、選手のストライクゾーンサイズを定義する。身長/手足の長さとストライクゾーンとの間の予め定義された関係は、データから(例えば、生体認証特性が分かっている幾人かの選手の打撃スタンスを取る際の分析に基づいて決定された、実際のストライクゾーンの上限および下限の観測から)、学習されるマッピングであってもよい。
【0070】
525において、投球は、例えば、レーダーおよび/またはカメラを使用して、上述の追跡システムを使用して追跡され、投球の軌跡が決定される。530において、投球位置データは、上述のように、投球が本塁の上または近くを横切る際に投球に対して決定される。535において、投球位置が、以前に決定された2Dまたは3Dのストライクゾーンと比較され、540において、投球が、決定されたストライクゾーンの少なくとも一部分を通過するかどうかに応じて、ストライク/ボール判定が出力される。上述のように、軌跡がボールの中心の移動経路を表すとみなされる場合、ボールの任意の部分がストライクゾーンのいずれかの部分に入るかどうかを決定するために、システムは、ストライクゾーンの各寸法にボールの半径に等しい距離を加え、その後、この拡張ゾーンの任意の部分を通過する任意の軌跡をストライクと見なしてもよい。
【0071】
別の方法として、システムは、ストライクゾーンの任意の部分を通過する、またはストライクゾーンの任意の部分からボールの半径一個分の距離内に来る任意の軌跡をストライクとして見なしてもよい。さらに、当業者によって理解されるように、ボールの軌跡の表現は、上述のような検出位置に基づいて決定されてもよく、ストライクの判定は、実際の測定位置とストライクゾーンとの比較ではなく、軌跡のこの表現のストライクゾーンとの比較に基づいてなされてもよい。
【0072】
第一の例示的な実施形態が使用される時、生体認証特性または選手の以前の観測のデータベースを入力および使用する必要はない。すなわち、上述の方法は、各打席の前に即興で実施され得る。これにより、有利にも、選手の事前知識に依存しないストライクゾーン決定が可能になる。
【0073】
このシナリオにおいて、現在の打者は、バッターボックスへと歩く間に、いくつかの画像で検出/追跡され得る。これにより、例えば、身長/手足の長さの測定値が複数の画像からの測定値に基づいており、結果を精緻化するために平均化(またはその他の方法で組み合わせ)されるため、選手の関連する生体認証特性を正確に決定するシステムの能力が強化される。次に、システムは、上述のような検出された生体認証特性に基づいて、または選手が打撃スタンスを取るときに、それによってストライクゾーンが画定される主要身体部分(例えば、膝、腰および肩)を検出し、このデータに基づいて、各試合、打席、または各投球に対するストライクゾーンの上限および下限を決定することによって、ストライクゾーンの標準的な上限および下限を生成するモデルを用いてもよい。
【0074】
代替的な実施形態において、選手は、打席の直前(またはその間)に検出される必要はない(生体認証特性を決定する必要もない)。この代替的な実施形態において、生体認証特性は、打席の前の任意の時点で測定され、将来の打席で使用するために保存される。従って、この実施形態は、選手の検出および選手特徴の検出のタイミングに関して柔軟である。
【0075】
加えて、特徴が一旦検出されると、その後の打席について選手の生体認証特性を再度検出する必要がない。システムは、情報が、任意の数の打席に使用され得るように、ラインアップ情報を用い、身長/手足の長さの検出を選手と関連付けてもよい。従って、システムは、各選手に対してこれらの生体認証特性を保存するデータベースを用いて、選手が打席に入るたびにストライクゾーンを生成し得る。データベースは、各野球の試合に対して新たに生成されてもよく、または一つの試合から決定された情報が、その後の試合に持ち越されてもよい。この実施形態において、システムは、ストライクゾーンを生成するために、打席に来る選手を特定することのみを必要とすることを当業者であれば理解するであろう。理解されるように、この識別は、既知の打順、ユニフォーム上で検出される名前または選手番号情報、顔認識、手動識別などを含む、様々な要因またはこうした要因の任意の組み合わせに基づき得る。
【0076】
第二の例示的な実施形態において、スタンスは、フィールドに対して較正された一つ以上のカメラから捕捉された一つ以上の画像から、現在の打者について決定される。上述の第三の選択肢と同様に、第二の例示的な実施形態は、観測されたスタンスに基づいてストライクゾーンを決定する。しかしながら、履歴データ(例えば、最近の試合からの画像)を使用する代わりに、この実施形態では、打者がスタンスを取るのに対応する選択された時点での投球リリースに近い時点で(例えば、投手のワインドアップ中、または投球が投げられる直前または投球の飛行中)、スタンスが検出される。
【0077】
図6は、以下の工程を含む、第二の例示的な実施形態による投球を決定するための方法600を示す。605において、選手(打者)の一つ以上の画像が、投球のリリースを囲む時間の間に捕捉される。610において、投球リリースに近い(または投球の飛行中の何らかの他の予め定義された時間)画像が、スタンス決定における使用のために選択される。
【0078】
615において、選手の三次元スタンスが、画像およびカメラ較正に基づいて決定されるか、または最低でも選手の特定の重要な特徴の地面上方の高さが決定されて、ストライクゾーンの上限および下限を確立する。例えば、単一のカメラのみを使用する場合、単眼3D姿勢が決定されてもよく、一方で複数のカメラを使用する場合は、マルチビュー(例えば、三角測量ベースの)3D姿勢が決定されてもよい。スタンスは、例えば、較正されたカメラから2Dもしくは3D姿勢を検出するように訓練されたニューラルネットワーク、または当業者によって理解されるであろう任意の他の関連データを使用して決定され得る。
【0079】
620において、決定された3D姿勢、およびストライクゾーンをスタンスに関連付ける予め定義された規則に基づいて、ストライクゾーンサイズが選手に対して決定される。625において、投球は(例えば、レーダーおよび/またはカメラを使用して)、上述の追跡システムを使用して追跡され、投球の軌跡が決定される。630において、投球位置データは、上述のように、投球が本塁の上または近くを横切る際に投球に対して決定される。635において、投球位置が、以前に決定されたストライクゾーンと比較され、投球が、決定されたストライクゾーンの内側または外側であるかに応じて、ストライク/ボール判定が出力される。
【0080】
第一の例示的な実施形態と同様に、第二の例示的な実施形態が使用される時、選手の姿勢/スタンス観測のデータベースを入力および使用する必要はない。すなわち、方法500、600は、各打席の前(または各打席中)に即興で実施され得る。これにより、有利には、選手の事前知識に依存しないストライクゾーン決定が可能になり得る。
【0081】
しかしながら、いくらかの事前知識を使用して、スタンス検出方法の様々な態様を改善し得る。例えば、スタンス中の3D姿勢検出は、選手の身長および手足の長さの事前知識によって改善することができる。この情報は、打席前に捕捉された画像に基づいて、または選手の事前知識が利用可能な場合は、身長/手足の長さ情報のデータベースから、上述の方法500の工程510および工程515(身長および/または手足の長さの検出方法)から決定されてもよい。第一の実施形態と同様に、システムは、ラインアップ情報を用いて、任意の数の後続の打席に対して、試合の早期から一スタンス検出を使用することができる。
【0082】
第一または第二の例示的な実施形態(例えば、方法500、600)のいずれかについて、システムは、投球を追跡して、打者の身長/手足の長さまたはスタンスを決定するために使用されるのと同じカメラを用いることができる。 図8は、打者205のストライクゾーンの上限および下限を決定することに関連して、打者205のスタンスの生体認証特性および/または特徴を決定するための例示的なシステム200を示す。例示的なシステムは、「高ホーム」ポジション(または任意の他の適切な位置)にあるカメラ215を含み、これは、この実施例では、身長/手足の長さまたは3D姿勢決定のために使用される画像を捕捉する。カメラ215は、バッターボックス領域をカバーする視野210を有する。
【0083】
レーダーのみの追跡システムの場合、または追跡カメラの位置が、必ずしも打者205の生体認証特性またはスタンスを検出するために理想的ではない、組み合わせられたレーダー/カメラ追跡システムの場合、追加の外部カメラおよびセンサ配設を用いることが有利であり得る。当業者によって理解されるように、既知の内部パラメータを有する任意のカメラを使用して、システムが打者205の身長/手足の長さまたはスタンスを検出することを可能にし得る。
【0084】
図9は、野球ボールの軌跡を測定するため、投球を評価するため、および打者の生体認証特性および/またはスタンスを決定してストライクゾーンを画定するための例示的な追跡システム300を示す。システム300は、この実施例では、組み合わされたレーダー/カメラ配設、例えば、レーダー310および第一のカメラ315を含む、例えば、「高ホーム」ポジションにある第一のセンサ配設305を含む。この実施例のシステム300は、この実施例では、例えば、第二のカメラ325を含む、例えば、センターフィールド位置にある第二のセンサ配設325を追加的に含む。レーダー310ならびに第一および第二のカメラ315、325は、投球を追跡するために使用され、ボールが投球される領域を含む視野を有するように位置付けられ、向けられる。システム300は、随意に、フィールドの一方の側に第三のカメラ335、およびフィールドのもう一方の側に第四のカメラ345をさらに含んでもよく、第三および第四のカメラ335、345は、少なくともフィールドのバッターボックス領域を含む視野を有するように位置付けられて、向けられ、これは、打者の生体認証特性および/またはスタンスを決定するために使用されてもよい。
【0085】
第二のカメラ325は、システム300に少なくともほぼ時刻同期されていて、システム300が第二のカメラ325からの画像データをレーダー310からのレーダーデータおよび同じ時間に対応する第一のカメラ315からの画像データに相関させることを可能にする方法で、画像および/またはビデオをシステム300に送信する能力を有する。すなわち、システム300が任意の選択されたレーダーデータに最も密接に対応するフレームを正確に特定できるように、時刻同期は、少なくとも第一のカメラ315のフレームレートよりも小さい範囲内まで正確である。第二のカメラ325から一つ以上の画像を選択し、第二のカメラ325からの画像中の主要な特徴(例えば、本塁320、ピッチャープレート322、ベース324、326、328)を検出し、随意に、投球中に第二のカメラ325からの複数の連続フレーム中のボールを検出し、これらの検出をシステム300によって決定された軌跡と相関させることによって、システム300は、第二のカメラ325の視野に関して外部パラメータを決定することができる。
【0086】
その後の身長/手足の長さまたはスタンスの検出は、リリース時もしくはその近く、または投球の飛行中のある所定の時間において、第二のカメラ325から選択された画像、および第二のカメラ325の較正に基づく。これはまた、第二のカメラ325、ならびに/または第三のカメラ335および第四のカメラ345、ならびに例示的なシステム300の内部の第一のカメラ315などの任意の追加の外部カメラに基づく、マルチビュー3D姿勢推定を可能にする。
【0087】
当業者であれば、その発明の概念から逸脱することなく、上述の実施形態に変更を加え得ることを理解するであろう。さらに当然のことながら、実施形態のうちの一つに関連する構造的特徴および方法は、他の実施形態に組み込むことができる。それ故に、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、むしろ変更もまた、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に網羅されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】