(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】シリケート材料ZEO-2およびシリケートモレキュラーシーブZEO-3、ならびにこれらの合成方法およびこれらの使用
(51)【国際特許分類】
C01B 39/40 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
C01B39/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502468
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2022099805
(87)【国際公開番号】W WO2023284491
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110806648.8
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524019597
【氏名又は名称】チーリン プロヴィンス ジェイノーベル サイ-テク イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JILIN PROVINCE JNOBEL SCI-TECH INNOVATION CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Chaoda Shuangde Industrial Park, 999 Yueda Road, Changchun High-Tech Industrial Development Zone, Changchun, Jilin, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン フェイチエン
(72)【発明者】
【氏名】リー チエン
(72)【発明者】
【氏名】カオ ツーハオ
(72)【発明者】
【氏名】リン チンファン
(72)【発明者】
【氏名】リン ツォン
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA63
4G073BB48
4G073CZ50
4G073FD21
4G073FD24
4G073GA03
4G073GB03
4G073UA01
4G073UA06
(57)【要約】
本発明は、新規の構造を有する一次元シリケート材料ZEO-2、およびZEO-2を焙焼して得られる三次元シリケートモレキュラーシーブZEO-3、ならびにそれらの合成方法および使用に関する。この2つのシリケート材料の粉末X線回折特性および結晶構造を提示する。一次元シリケートZEO-2は簡単な方法で合成できる。モレキュラーシーブZEO-3は、一次元シリケートZEO-2を焼成して、トポロジー的縮合を起こさせることによって得ることができる。ZEO-2は、新規のモレキュラーシーブの合成におけるケイ素源または前駆体として使用できる。モレキュラーシーブZEO-3は良好な熱安定性を有し、吸着剤または触媒として使用できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリケート材料であって、下記表に示す粉末X線回折特性を有するシリケート材料。
【表1】
【請求項2】
前記シリケート材料の結晶構造が、規則的な長距離秩序化一次元シリカ鎖状構造を有する、請求項1に記載のシリケート材料。
【請求項3】
前記シリケート材料が、化学組成SiO
2.2H
0.4・(OSDA)
yを有し、OSDAが、下記一般式:
【化1】
(式中、R
1はシクロヘキシルであり、R
2およびR
3はフェニルまたはシクロヘキシルであり、R
4はC
1-8アルキル、好ましくはC
1-4アルキル、より好ましくはC
1-2アルキルであり、n=3~8、好ましくは5~7、より好ましくは6であり、Xはリンまたは窒素、好ましくはリンである)
で表される四面体の空間配置を有する有機テンプレートであり、
y=0.075~0.125である、
請求項1または2に記載のシリケート材料。
【請求項4】
シリケートモレキュラーシーブであって、下記表に示す粉末X線回折特性を有するモレキュラーシーブ。
【表2】
【請求項5】
結晶構造に、16×14×14員環の三次元交差チャネル系を有する、請求項4に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項6】
前記モレキュラーシーブの骨格中のT原子が、下記表:
【表3】
に示すトポロジー的特徴を有し、T=Siである、
請求項4または5に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項7】
SiO
2の化学組成を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシリケート材料の合成方法であって、
(1)ケイ素源、有機テンプレート、および水を混合して混合物を得るステップと、
(2)前記混合物を結晶化し、前記シリケート材料生成物を得るステップと、
を含み、
前記有機テンプレートが、下記一般式:
【化2】
(式中、R
1はシクロヘキシルであり、R
2およびR
3はフェニルまたはシクロヘキシルであり、R
4はC
1-8アルキル、好ましくはC
1-4アルキル、より好ましくはC
1-2アルキルであり、n=3~8、好ましくは5~7、より好ましくは6であり、Xはリンまたは窒素、好ましくはリンである)
で表される四面体の空間配置を有する、方法。
【請求項9】
前記有機テンプレートが、下記構造:
【化3】
から選択されるいずれか1つまたは複数であり、
好ましくは下記構造:
【化4】
から選択されるいずれか1つまたは複数であり、
より好ましくは、下記構造:
【化5】
から選択されるいずれか1つまたは複数である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(1)が、撹拌下において、一定の割合のケイ素源、有機テンプレート、および水を均一になるまで混合し、得られた混合物により、式:
rROH:SiO
2:wH
2O
で表される化学組成を有する反応ゲルを形成することを含み、上記式中のRは前記有機テンプレートの正電荷基を表し、rおよびwの対応する値範囲は、r=0.05~5.0、w=1~100であり、
前記ステップ(2)が、前記反応ゲルを赤外線ランプ下またはオーブン内に置き、過剰な溶媒を除去した後に、前記反応ゲルをステンレス鋼反応釜に移し、密閉した状態で、80~240℃、好ましくは120~220℃の温度で、1~60日間、好ましくは2~45日間反応させ、結晶化させることを含み、
前記方法が、(3)前記結晶化生成物を洗浄および乾燥させるステップをさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応ゲルの化学組成を表す式:
rROH:SiO
2:wH
2O
において、好ましくは、rおよびwの対応する値範囲が、r=0.1~2.0、w=1~30である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ケイ素源が、ケイ酸、シリカゲル、シリカゾル、テトラアルキルシリケート、および水ガラスからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(2)の結晶化条件が、80~240℃、好ましくは120~220℃、より好ましくは140~210℃の結晶化温度、および1~60日間、好ましくは2~50日間、より好ましくは3~45日間の結晶化時間を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシリケート材料、または請求項8~13のいずれか一項に記載の方法で合成したシリケート材料を焼成して、前記シリケート材料中のテンプレートを除去し、骨格構造のトポロジー的縮合を起こさせ、それによりモレキュラーシーブ生成物を得ることを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブの合成方法。
【請求項15】
前記焼成温度が300~1000℃である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシリケート材料の、モレキュラーシーブの合成におけるケイ素源または前駆体としての使用。
【請求項17】
請求項4~7のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ、または請求項14または15に記載の方法で合成したモレキュラーシーブと、結合剤とを含むモレキュラーシーブ組成物。
【請求項18】
請求項17に記載のモレキュラーシーブ組成物の、触媒または吸着剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機合成およびその化学的応用の技術分野に関し、具体的には、新規の構造を有する一次元シリケート材料ZEO-2、およびそれを焼成して得られる三次元シリケートモレキュラーシーブZEO-3、さらにそれらの合成方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
産業において、ミクロ細孔シリケート材料は、触媒や吸着分離などの分野で広く使用されている。ミクロ細孔シリケート材料は、比表面積が大きく、チャネル構造に閉塞がなく、熱安定性に優れているため、優れた触媒材料、触媒担体、または吸着分離材料である。
【0003】
結晶性ミクロ細孔シリケート材料は、ゼオライトモレキュラーシーブとも呼ばれる。その基本骨格構造は、TO4(SiO4、AlO4など)単位で構成されている。TO4は酸素原子を共有する四面体の構造を有している。AlO4などの骨格四面体の電荷バランスは、チャネル内のH+、Na+、およびK+などのカチオンによって保たれている。ゼオライトモレキュラーシーブ構造には、特定のチャネル径を持つチャネル系が豊富に存在する。これらのチャネルは互いに交差しており、さまざまな三次元網目構造を形成できる。チャネルサイズによって、ミクロ細孔ゼオライトモレキュラーシーブは、細孔入口のTO4の数が8員環以下、10員環以下、12員環以下、および12員環超に対応して、小細孔、中細孔、大細孔、および超大細孔モレキュラーシーブに分けることができる。一方では、まさに上記のチャネル構造のために、ゼオライトモレキュラーシーブは、多様な有機反応に対して良好な触媒活性、良好な形状選択性、および良好な選択的吸着性能を有しており、他方では、構造の違いにより、チャネル構造が異なるゼオライトモレキュラーシーブ材料は、触媒や吸着分離などの特性、ならびに材料の特徴付けに用いられる基本的な物理パラメータ、例えば、形態、比表面積、細孔径分布、および細孔容積が大きく異なる。
【0004】
現在、産業で使用され成功しているモレキュラーシーブ材料は、チャネル径が通常1nm未満であり、そのため、吸着、分離、および触媒過程における基質分子のサイズや形状が大きく制限されている。チャネル径が1~2nm、チャネルの員環が12員環超である安定した超大細孔モレキュラーシーブの開発と入手は、石油化学、ファインケミカル、およびライフサイエンスの分野で大きな応用価値がある。
【0005】
特定の構造を持つゼオライトモレキュラーシーブは、粉末X線回折によってさらに区別する必要がある。結晶構造が異なるため、モレキュラーシーブごとにチャネル構造が異なり、粉末X線回折試験ではまったく異なる回折パターンが得られる。既存のモレキュラーシーブ、例えばA型ゼオライトモレキュラーシーブ(米国特許第2882243号明細書参照)、Y型ゼオライトモレキュラーシーブ(米国特許第3130007号明細書参照)、ZSM-11ゼオライトモレキュラーシーブ(米国特許第3709979号明細書参照)、ZSM-12ゼオライトモレキュラーシーブ(米国特許第3832449号明細書参照)、ZSM-23ゼオライトモレキュラーシーブ(米国特許第4076842号明細書参照)、ZSM-35ゼオライトモレキュラーシーブ(米国特許第4016245号明細書参照)、MCM-42ゼオライトモレキュラーシーブ(米国特許第4954325号明細書参照)は、いずれも独自の特徴を有する粉末X線回折パターンを示す。
【0006】
さらに、異なる構造を持つモレキュラーシーブ材料の独自性は、その独自のトポロジー的性質に反映される場合もある。国際ゼオライト協会の構造委員会による定義と解釈によれば、特定のモレキュラーシーブのトポロジー骨格では、配位配列と頂点記号を組み合わせると独自性を持つ、つまり、異なるモレキュラーシーブ骨格構造を明確に区別するのに使用できる(国際ゼオライト協会の公式ウェブサイト参照:https://europe.iza-structure.org/IZA-SC/DatabaseHelp_Structures.html#CS)。
【0007】
シリケートゼオライトモレキュラーシーブの典型的な製造方法は、ケイ素源、ヘテロ原子(Al、B、Ti、Sn、Geなど)、有機テンプレート、水、および高温結晶化のための鉱化剤を混合した後に、高温で焼成して有機テンプレートを除去するというものである。ゼオライトモレキュラーシーブ合成技術の開発に伴い、既知のシリケート材料を前駆体として使用し、後処理によってミクロ細孔シリケートゼオライトモレキュラーシーブを得ることも、新規構造を有するモレキュラーシーブ材料を開発するもう1つの重要な方法となっている(Chem. Soc. Rev., 2015, 44, 7177-7206、中国特許出願公開第105728034号明細書を参照)。
【0008】
現在、新規構造を有するミクロ細孔シリケートゼオライトモレキュラーシーブの合成に使用できる前駆体は、いずれも二次元層構造を有し、これらは層間の水素結合またはファンデルワールス相互作用を特徴とすることから、結合が強固でなく、構造多様性と加工性を示し、膨張、柱状構造の形成(pillaring)、剥離、または空孔拡大のためのケイ素挿入といった構造後処理や修飾に使用できる(Chem. Rev., 2014, 114, 4807-4837参照)。層状シリケート前躯体は、水熱法による直接合成または三次元シリケートゼオライト材料(主にケイ素ゲルマニウムゼオライト)の後処理によって調製できる。
【0009】
層状シリケート前躯体からミクロ細孔シリケートゼオライトモレキュラーシーブを得る方法は2つある。1の方法は、層状前駆体を焼成して有機テンプレートを除去し、層間末端シラノール基を脱水縮合して、三次元構造を有するゼオライトモレキュラーシーブ材料を形成する方法である。例えば、MWWおよびFERゼオライトは、それぞれ層状前駆体MCM-22PおよびPREFERを焼成することによって直接合成できる(米国特許第4954325号明細書参照;Micro. Mater.1 996, 6, 259-271参照)。もう1つの方法は、ケイ素挿入による細孔拡大である。これは、有機シラン試薬を架橋基として使用し、層状シリケート前躯体の層中に、規則正しく制御可能な方法でこれを挿入し、それにより元の層の層間隔を拡大して層を結合させるものであり、有機成分はその後の焼成によって除去することができる。この方法は、二次元層構造を三次元ミクロ細孔構造に変換し、モレキュラーシーブ骨格構造の安定性と結晶性を向上させる。さらに、有機シラン試薬の選択肢が複数あるため、ゼオライトモレキュラーシーブ生成物のチャネルサイズ、形状、開口性、および機能性の調整や制御が可能となり、それによりゼオライトモレキュラーシーブの構造化学や、高分子を含む不均一系触媒反応における潜在的用途が大幅に拡大する(J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 8178-8187、Angew.Chem.Int.Ed., 2018, 130, 9659-9663参照)。
【0010】
シリケート前躯体から出発して、構造および機能を設計できることは明らかである。これは、ミクロ細孔シリケートゼオライトモレキュラーシーブを合成するための非常に重要な独自の方法である。しかし現在のところ、このような方法に使用できるシリケート前躯体は、少量の層構造に限られており、一次元鎖状前駆体からシリケートゼオライトモレキュラーシーブを合成した前例はまだない。
【0011】
したがって、新規のシリケート前躯体材料、特に一次元鎖状構造を持つ前駆体を開発し、これを新規のゼオライトモレキュラーシーブの開発に応用することは、ゼオライトモレキュラーシーブの分野における合成、構造、および応用にとって大きな理論的意義と重要な応用価値がある。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様において、本発明は、一次元鎖状構造を有する新規のシリケート材料ZEO-2、およびZEO-2を焼成して得られる三次元シリケートモレキュラーシーブZEO-3を提供する。これらは、ゲルマニウムを含まない純粋なケイ素であり、超高熱安定性と水熱安定性を有する2つの新規のシリケート材料である。これらは非常に重要な実用的価値だけでなく、モレキュラーシーブ構造ファミリーの拡充にとって非常に重要な理論的意義を持つ。
【0013】
一次元鎖状シリケート材料ZEO-2の鎖は、正電荷を持つテンプレートによって隔てられている。テンプレートとシリケート鎖の間に化学結合は存在しない。鎖状構造は、ケイ素の水酸基と、無限に伸びるケイ素-酸素-ケイ素結合のみを有する。有機物はZEO-2材料中に存在するが、ZEO-2材料の本体、すなわち一次元鎖状シリケートとは結合を形成しない、または強い相互作用がない。焼成後に得られるモレキュラーシーブZEO-3は、三次元の超大細孔シリケートモレキュラーシーブ材料である。焼成過程で有機物はすべて除去される。一次元鎖状シリケート構造は、トポロジー的に縮合して三次元モレキュラーシーブを形成し、その中の少量の無機物は水で洗浄することにより除去できる。ZEO-3の骨格は、無限に伸びるケイ素-酸素-ケイ素結合のみを有する。本発明の一次元鎖状構造を有するシリケート材料ZEO-2は、表1に示す粉末X線回折特性を有する。
【0014】
【0015】
上記データにおいて、w、mw、m、s、およびvsは回折ピーク強度を表し、wは弱い、mwはやや弱い、mは中程度、sは強い、vsは非常に強い、を示し、これらは当業者に既知である。一般的に、wは10未満、mwは10~20、mは20~40、sは40~70、vsは70超である。
【0016】
本発明の三次元超大細孔構造のシリケートモレキュラーシーブZEO-3は、表2に示す粉末X線回折特性を有する。
【0017】
【0018】
上記データにおいて、w、mw、m、s、およびvsは回折ピーク強度を表し、wは弱い、mwはやや弱い、mは中程度、sは強い、vsは非常に強い、を示し、これらは当業者に既知である。一般的に、wは10未満、mwは10~20、mは20~40、sは40~70、vsは70超である。
【0019】
第2の態様において、本発明はさらに、上記の一次元シリケート材料ZEO-2および三次元超大細孔モレキュラーシーブZEO-3を調製する方法を提供する。
【0020】
シリケート材料ZEO-2の合成方法は、
(1)ケイ素源、有機テンプレート、および水を混合して混合物を得るステップと、
(2)混合物を結晶化して一次元シリケート材料ZEO-2を得るステップと、
を含み、有機テンプレートは、下記一般式で表される四面体の空間配置を有する。
【0021】
【化1】
式中、R
1はシクロヘキシルであり、R
2およびR
3はフェニルまたはシクロヘキシルであり、R
4はC
1-8アルキル、好ましくはC
1-4アルキル、より好ましくはC
1-2アルキルであり、nは3~8、好ましくは5~7、より好ましくは6の値を有し、Xはリンまたは窒素、好ましくはリンである。
【0022】
モレキュラーシーブZEO-3の合成方法は、本発明のシリケート材料ZEO-2を焼成してテンプレートを除去し、骨格構造のトポロジー的縮合を起こさせ、それにより本発明の三次元超大細孔ゼオライトモレキュラーシーブZEO-3を得ることを含む。
【0023】
第3の態様において、本発明はさらに、本発明の三次元超大細孔シリケートモレキュラーシーブZEO-3と結合剤とを含むモレキュラーシーブ組成物を提供する。
【0024】
第4の態様において、本発明の一次元シリケート材料ZEO-2は、モレキュラーシーブ合成におけるケイ素源または前駆体として使用でき、三次元超大シリケートモレキュラーシーブZEO-3は、触媒または吸着剤として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のシリケート材料ZEO-2の粉末X線回折パターンである(光源はCuターゲットKα線)。
【
図2】本発明のシリケートモレキュラーシーブZEO-3の粉末X線回折パターンである(光源はCuターゲットKα線)。
【
図3】本発明のシリケート材料ZEO-2およびシリケートモレキュラーシーブZEO-3の粉末X線回折パターンの相対強度比較である。
【
図4】本発明のシリケート材料ZEO-2の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【
図5】本発明のシリケートモレキュラーシーブZEO-3の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【
図6】有機テンプレート除去後のシリケート材料ZEO-2の骨格構造の図である。
【
図7】超大細孔モレキュラーシーブZEO-3のチャネル構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のシリケート材料ZEO-2の無機骨格の結晶構造を
図6に示す。シリケート材料ZEO-2の結晶構造は、c軸方向に無限に伸びる規則的な長距離秩序化一次元シリカ鎖状構造を有する。
【0027】
本発明のモレキュラーシーブZEO-3の結晶構造を
図7に示す。
図7からわかるように、ZEO-3結晶構造の(a+b)軸方向と(a-b)軸方向の両方に貫通する14員環チャネルが存在する。さらに、ZEO-3結晶構造のc軸方向には16員環チャネルが存在する。したがって、この構造は16×14×14員環の三次元交差チャネル系と称される。
【0028】
本発明のモレキュラーシーブZEO-3の構造解析とトポロジー解析を行った。モレキュラーシーブの骨格構造は、トポロジー的に独立した11個のT原子、トポロジー的に異なる20本の辺(隣接するT原子とT原子とで構成される線)、トポロジー的に異なる16個の面(T原子で構成される面)、およびT原子で構成されるトポロジー的に異なる8個の構成要素を有する。このうち、モレキュラーシーブZEO-3の骨格構造のトポロジー的に独立した11個のT原子のトポロジー的性質(配位配列および頂点記号など)を表3に示す。
【0029】
【0030】
表中のT1~T11は、本発明の超大細孔モレキュラーシーブZEO-3の骨格構造におけるトポロジー的に異なる11個のT原子を表し、N1~N12は、これらのT原子の第1層から第12層までの配位配列を表す。T原子の命名順序が異なるため、異なる順序で命名されたトポロジー的に独立した11個のT原子は、この表の順序におけるT原子の配位配列および頂点記号と一対一に対応しない場合がある。しかし、ZEO-3トポロジーに属する構造はすべて、またこれらのみが、この表のトポロジー的に独立した11個のT原子の配位配列および頂点記号を含み、配位配列および頂点記号が一対一に対応する。
【0031】
本発明のシリケートZEO-2は、化学組成SiO2.2H0.4・(OSDA)yを有し、上式で、OSDAは有機テンプレートであり、y=0.075~0.125である。
【0032】
本発明の超大細孔シリケートモレキュラーシーブZEO-3は、SiO2の化学組成を有する。
【0033】
本発明のシリケート材料ZEO-2の合成方法において、有機テンプレートの具体例には、表4に示すいずれか1つまたは複数があるがこれらに限定されない。
【0034】
【0035】
有機テンプレートは、好ましくは、テンプレート1、テンプレート6、テンプレート8、およびテンプレート10からなる群から選択されるいずれか1つまたは複数、より好ましくは、テンプレート6およびテンプレート10からなる群から選択されるいずれか1つまたは複数である。
【0036】
本発明のシリケート材料ZEO-2の合成方法において、ステップ(1)は、具体的には、静的または動的に撹拌しながら、ケイ素源、有機テンプレート、および水を一定の割合で均一になるように混合し、得られた混合物により、式:
rROH:SiO2:wH2O
で表される化学組成を有する反応ゲルを形成することを含み得る。上記式中、Rは有機テンプレートの正電荷基を表し、rおよびwの対応する値範囲は、r=0.05~5.0、w=1~100である。ステップ(2)は、具体的には、反応ゲルを赤外線ランプ下またはオーブン内に置き、過剰な溶媒を除去した後に、反応ゲルをステンレス鋼反応釜に移し、密閉した状態で、80~240℃、好ましくは120~220℃の温度で、1~60日間、好ましくは2~45日間反応させて、結晶化させることを含み得る。方法はさらに、(2)結晶化生成物を洗浄、遠心分離し、乾燥させ、シリケート材料ZEO-2生成物を得るステップを含み得る。
【0037】
ステップ(1)では、反応ゲルの化学組成rROH:SiO2:wH2Oにおいて、好ましくは、rおよびwの対応する値範囲は、r=0.1~2.0,w=1~30である。
【0038】
ケイ素源は、ケイ酸、シリカゲル、シリカゾル、テトラアルキルシリケート、および水ガラスからなる群から選択される少なくとも1つであってよく、好ましくは水ガラス、シリカゾル、またはテトラエチルオルトシリケートであってよい。
【0039】
本発明の調製方法では、ゲルマニウムまたはゲルマニウム含有化合物は使用しない。
【0040】
反応ゲルの調製前に、有機カチオンテンプレートはすべて、イオン交換樹脂を介して水酸化物の形態に交換することができ、後で使用するために、これらの濃度を0.1M塩酸溶液で較正する、または、塩化物塩、臭化物塩、もしくはヨウ化物塩の形態で直接導入し得る。
【0041】
ステップ(2)の結晶化条件は、例えば、結晶化温度が80~240℃、好ましくは120~220℃、より好ましくは140~210℃であり、結晶化時間が1~60日間、好ましくは2~50日間、より好ましくは3~45日間であり得る。
【0042】
ステップ(3)では、洗浄、遠心分離、乾燥は、当技術分野で従来知られている任意の方法で行ってよい。例えば、洗浄は水またはエタノールで複数回行い、乾燥はオーブン乾燥で行ってよい。
【0043】
本発明の超大細孔ゼオライトモレキュラーシーブZEO-3の合成方法において、焼成温度は300~1000℃である。
【0044】
本発明のモレキュラーシーブ組成物中の結合剤は、本発明のモレキュラーシーブZEO-3に悪影響を及ぼさない限り、触媒または吸着剤として使用できる当技術分野で既知の任意の結合剤であってよい。
【実施例】
【0045】
本発明をより明確に説明するために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、本発明の保護範囲を何ら限定するものではない。
【0046】
実施例1 テンプレートの調製
テンプレート6を例として、テンプレートの一般的な合成工程を説明する。28.04gのトリシクロヘキシルホスフィンと150mLのアセトニトリルを、250mLの丸底フラスコで混合した。常温で21.29gのヨウ化メチルを混合液に滴加した。系を常温で撹拌しながら2日間反応させ、ロータリーエバポレーターにより反応混合物から溶媒を除去して粗生成物を得たのち、これをエタノールで再結晶化して40.55gの生成物を、96%の収率で得た。この生成物を液体NMR(CDCl3)およびエレクトロスプレー質量分析により特性を評価し、目的化合物であることを確認した。
【0047】
結果の生成物を400mLの脱イオン水に分散させ、前処理を施した717強塩基型アニオン交換樹脂(中国、Sinopharm Group社製)をカラム交換に用いて、得られたテンプレート剤6の水溶液を交換した。この溶液を適量秤量し、フェノールフタレインを指示薬として0.1mol/L塩酸溶液で較正した。較正した構造は、ヨウ化物塩から水酸化ラジカルへの交換効率が97%に達することが確認された。
【0048】
実施例2 テンプレートの調製
テンプレート10を例として、テンプレートの一般的な合成工程を説明する。28.04gのトリシクロヘキシルホスフィンと150mLのアセトニトリルを、250mL丸底フラスコで混合した。12.20gの1,6-ジブロモヘキサンを混合液に滴加した。系を還流下で撹拌しながら2日間反応させ、ロータリーエバポレーターにより反応混合物から溶媒を除去して粗生成物を得たのち、これをエタノールで再結晶化して38.23gの生成物を、95%の収率で得た。この生成物を液体NMR(D2O)およびエレクトロスプレー質量分析により特性評価し、目的化合物であることを確認した。
【0049】
結果の生成物を400mLの脱イオン水に分散させ、前処理を施した717強塩基型アニオン交換樹脂(中国、Sinopharm Group社製)をカラム交換に用いて、得られたテンプレート剤10の水溶液を交換した。この溶液を適量秤量し、フェノールフタレインを指示薬として0.1mol/L塩酸溶液で較正した。較正した構造は、ヨウ化物塩から水酸化ラジカルへの交換効率が96%に達することが確認された。
【0050】
実施例3 ZEO-2およびZEO-3の調製
0.5ROH:SiO2:10H2Oのモル比に従って、モレキュラーシーブの合成用ゲルを次の一般的な手順で調製した。交換後の実施例1のテンプレート溶液を適量秤量し、そこに4mmol(0.833g)のテトラエチルオルトシリケートを添加し、常温で約2時間撹拌してテトラエチルオルトシリケートを完全に溶解した後、混合ゲルを赤外線ランプ下または80℃のオーブン内に置き、過剰な溶媒を除去した。最終的に得られた反応ゲルを、内殻がポリテトラフルオロエチレンの5mLステンレス鋼反応釜に移し、密閉した状態で、175℃で28日間反応させ、生成物を水で2回、エタノールで2回洗浄し、オーブンで乾燥して使用した。生成物を粉末X線回折により直接相同定を行い、ZEO-2であることを確認した。
【0051】
適量の試料をマッフル炉で空気雰囲気下、600℃で2時間焼成し、テンプレートを除去した後、生成物を水で洗浄し、遠心分離して乾燥させた。生成物を粉末X線回折により相同定を行い、ZEO-3であることを確認した。EDS元素分析から、これがケイ素元素と酸素元素を有し、分子式がSiO2であることが示された。
【0052】
実施例4 ZEO-2およびZEO-3の調製
0.3ROH:SiO2:5H2Oのモル比に従って、モレキュラーシーブの合成用ゲルを次の一般的な手順で調製した。交換後の実施例2のテンプレート溶液を適量秤量し、そこに2mmol(0.417g)のテトラエチルオルトシリケートを添加し、常温で約2時間撹拌してテトラエチルオルトシリケートを完全に溶解した後、混合ゲルを赤外線ランプ下または80℃のオーブン内に置き、過剰な溶媒を除去した。最終的に得られた反応ゲルを、内殻がポリテトラフルオロエチレンの5mLステンレス鋼反応釜に移し、密閉した状態で、175℃で30日間反応させ、生成物を水で2回、エタノールで2回洗浄し、オーブンで乾燥して使用した。生成物を粉末X線回折により直接相同定を行い、ZEO-2であることを確認した。
【0053】
適量の試料をマッフル炉で空気雰囲気下、600℃で2時間焼成し、テンプレートを除去した後、生成物を水で洗浄し、遠心分離して乾燥させた。生成物を粉末X線回折により相同定を行い、ZEO-3であることを確認した。EDS元素分析から、これがケイ素元素と酸素元素を有し、分子式がSiO2であることが示された。
【0054】
実施例5 ZEO-2およびZEO-3の調製
0.5ROH:SiO2:10H2Oのモル比に従って、モレキュラーシーブの合成用ゲルを次の一般的な手順で調製した。交換後の表6のテンプレート8溶液を適量秤量し、そこに1mmol(0.208g)のテトラエチルオルトシリケートを添加し、常温で約2時間撹拌してテトラエチルオルトシリケートを完全に溶解した後、混合ゲルを赤外線ランプ下または80℃のオーブン内に置き、過剰な溶媒を除去した。最終的に得られた反応ゲルを、内殻がポリテトラフルオロエチレンの5mLステンレス鋼反応釜に移し、密閉した状態で、175℃で38日間反応させ、生成物を水で2回、エタノールで2回洗浄し、オーブンで乾燥して使用した。生成物を粉末X線回折により直接相同定を行い、ZEO-2であることを確認した。
【0055】
適量の試料をマッフル炉で空気雰囲気下、600℃で2時間焼成し、テンプレートを除去した後、生成物を水で洗浄し、遠心分離して乾燥させた。生成物を粉末X線回折により相同定を行い、ZEO-3であることを確認した。EDS元素分析から、これがケイ素元素と酸素元素を有し、分子式がSiO2であることが示された。
【0056】
実施例6 ZEO-2およびZEO-3の調製
0.5ROH:SiO2:10H2Oのモル比に従って、モレキュラーシーブの合成用ゲルを次の一般的な手順で調製した。交換後の6mmolの実施例1のテンプレート溶液を秤量し、そこに12mmol(2.500g)のテトラエチルオルトシリケートを添加し、常温で一晩撹拌してテトラエチルオルトシリケートを完全に加水分解し、加水分解生成物のエタノールを揮発させた後、混合ゲルを赤外線ランプ下または85℃のオーブン内に置き、過剰な溶媒を除去した。最終的に得られた反応ゲルを、内殻がポリテトラフルオロエチレンの30mLステンレス鋼反応釜に移し、密閉した状態で、190℃で30日間反応させ、生成物を水で2回、エタノールで2回洗浄し、オーブンで乾燥して使用した。生成物を粉末X線回折により直接相同定を行い、ZEO-2であることを確認した。EDS元素分析から、ケイ素、リン、酸素、および炭素元素を有することが示された。フーリエ変換赤外スペクトルのデータから、Si-OH結合伸縮振動があり、このピークが強いピークであることが示され、ZEO-2はシラノール基を有するシリケート材料の一種であり、シラノール基の含有量が多いことがわかった。
【0057】
適量の試料をマッフル炉で空気雰囲気下、600℃で2時間焼成し、テンプレートを除去した後、生成物を水で洗浄し、遠心分離して乾燥させた。生成物を粉末X線回折により相同定を行い、ZEO-3であることを確認した。EDS元素分析から、これがケイ素元素と酸素元素のみを有し、分子式がSiO2であることが示された。フーリエ変換赤外スペクトルのデータから、Si-OH結合伸縮振動はなく、Si-O結合伸縮振動のみであることが示され、ZEO-3はシラノール基を持たず、欠陥のないシリケート材料の一種であることがわかった。
【0058】
実施例7 構造解析
実施例3~6のモレキュラーシーブZEO-2で連続回転電子回折(cRED)試験を実施した。構造解析の結果は、ZEO-2モレキュラーシーブ構造がC2/c空間群を持つ単斜対称を有し、銅ターゲット(Kα)を光源とする粉末X線による精密化後に得られた単位格子パラメータ(
図1)が、a=23.539(9)Å、b=24.744(9)Å、c=14.398(9)Å、β=115.19(9)°であることを示した。
【0059】
実施例3~6のモレキュラーシーブZEO-3で連続回転電子回折(cRED)試験を実施した。構造解析の結果は、ZEO-3モレキュラーシーブ構造がC2/c空間群を持つ単斜対称を有し、銅ターゲット(Kα)を光源とする粉末X線による精密化後に得られた単位格子パラメータ(
図2)が、a=21.505(9)Å、b=21.274(9)Å、c=14.463(9)Å、β=108.72(9)°であることを示した。
【0060】
cRED試験後に得られた結晶学的情報ファイル(CIFファイル)を用いてトポロジー解析を実施した。トポロジー解析ソフトウェアはToposPro5.3.0.2を使用し、解析の手順と方法は、同ソフトウェアの公式サイトに掲載されている操作マニュアルに準拠した(ToposPro公式サイト参照:https://topospro.com/software/)。
【0061】
ZEO-3の結晶構造を解析した結果、モレキュラーシーブの骨格構造は、トポロジー的に独立した11個のT原子、トポロジー的に異なる20本の辺、トポロジー的に異なる16個の面、およびT原子で構成されるトポロジー的に異なる8個の構成単位を有していたことが示された。ZEO-3モレキュラーシーブの骨格構造のより具体的なトポロジー的特徴は上記表3に示した。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリケート材料であって、下記表に示す粉末X線回折特性を有するシリケート材料。
【表1】
【請求項2】
前記シリケート材料の結晶構造が、規則的な長距離秩序化一次元シリカ鎖状構造を有する、請求項1に記載のシリケート材料。
【請求項3】
前記シリケート材料が、化学組成SiO
2.2H
0.4・(OSDA)
yを有し、OSDAが、下記一般式:
【化1】
(式中、R
1はシクロヘキシルであり、R
2およびR
3はフェニルまたはシクロヘキシルであり、R
4はC
1-8
アルキルであり、n=3~8であり、Xはリンまたは窒素である)
で表される四面体の空間配置を有する有機テンプレートであり、
y=0.075~0.125である、
請求項1または2に記載のシリケート材料。
【請求項4】
シリケートモレキュラーシーブであって、下記表に示す粉末X線回折特性を有するモレキュラーシーブ。
【表2】
【請求項5】
結晶構造に、16×14×14員環の三次元交差チャネル系を有する、請求項4に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項6】
前記モレキュラーシーブの骨格中のT原子が、下記表:
【表3】
に示すトポロジー的特徴を有し、T=Siである、
請求項4または5に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項7】
SiO
2の化学組成を有する、
請求項4または5に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項8】
請求項1または2に記載のシリケート材料の合成方法であって、
(1)ケイ素源、有機テンプレート、および水を混合して混合物を得るステップと、
(2)前記混合物を結晶化し、前記シリケート材料生成物を得るステップと、
を含み、
前記有機テンプレートが、下記一般式:
【化2】
(式中、R
1はシクロヘキシルであり、R
2およびR
3はフェニルまたはシクロヘキシルであり、R
4は
C
1-8
アルキルであり、n=3~8であり、Xはリンまたは窒素である)
で表される四面体の空間配置を有する、方法。
【請求項9】
前記有機テンプレートが、下記構造:
【化3】
から選択されるいずれか1つまたは複数
である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(1)が、撹拌下において、一定の割合のケイ素源、有機テンプレート、および水を均一になるまで混合し、得られた混合物により、式:
rROH:SiO
2:wH
2O
で表される化学組成を有する反応ゲルを形成することを含み、上記式中のRは前記有機テンプレートの正電荷基を表し、rおよびwの対応する値範囲は、r=0.05~5.0、w=1~100であり、
前記ステップ(2)が、前記反応ゲルを赤外線ランプ下またはオーブン内に置き、過剰な溶媒を除去した後に、前記反応ゲルをステンレス鋼反応釜に移し、密閉した状態で、
80~240℃の温度で、1~60日間反応させ、結晶化させることを含み、
前記方法が、(3)前記結晶化生成物を洗浄および乾燥させるステップをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記反応ゲルの化学組成を表す式:
rROH:SiO
2:wH
2O
に
おいて、rおよびwの対応する値範囲が、r=0.1~2.0、w=1~30である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ケイ素源が、ケイ酸、シリカゲル、シリカゾル、テトラアルキルシリケート、および水ガラスからなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(2)の結晶化条件が、
120~220℃の結晶化温度、および2~50日間の結晶化時間を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項1または2のいずれか一項に記載のシリケート
材料を焼成して、前記シリケート材料中のテンプレートを除去し、骨格構造のトポロジー的縮合を起こさせ、それによりモレキュラーシーブ生成物を得ることを含む、
請求項4または5に記載のモレキュラーシーブの合成方法。
【請求項15】
前記焼成温度が300~1000℃である、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】