(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】エアロゾル生成、及びカルボキシル化活性物のための送達システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/30 20200101AFI20240725BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240725BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20240725BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20240725BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240725BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240725BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/10
A24F40/60
A61K31/192
A61K31/05
A61K47/10
A61P25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502653
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 GB2022051892
(87)【国際公開番号】W WO2023002192
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ストロファイア, オリオール
(72)【発明者】
【氏名】デイビーズ, アシュリー
【テーマコード(参考)】
4B162
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA07
4B162AB14
4B162AC17
4B162AC22
4B162AC27
4B162AC41
4B162AD15
4B162AD16
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4C206MA05
4C206MA33
4C206NA10
4C206ZA01
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、電力供給されるエアロゾル生成デバイスとエアロゾル化可能な材料とを備える送達システムであって、電力供給されるエアロゾル生成デバイスが、電源及びコントローラーを備え、システムが、第1のエアロゾル化可能な材料及び第2のエアロゾル化可能な材料を含み、第2のエアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種のカルボキシル化活性物を含み、第1のエアロゾル化可能な材料とは個別にシステムに保管されている、送達システムに関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給されるエアロゾル生成デバイスとエアロゾル化可能な材料とを備える送達システムであって、前記電力供給されるエアロゾル生成デバイスが、電源及びコントローラーを備え、前記システムが、第1のエアロゾル化可能な材料及び第2のエアロゾル化可能な材料を含み、前記第2のエアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種のカルボキシル化活性物を含み、前記第1のエアロゾル化可能な材料とは個別に前記システムに保管されている、送達システム。
【請求項2】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、前記第1のエアロゾル化可能な材料が配置されている第1のリザーバとは個別の第2のリザーバに保管されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
1つ又は複数のヒーターが、前記第2のリザーバの前記第2のエアロゾル化可能な材料を加熱するように構成されている、請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記1つ又は複数のヒーターが、前記第2のエアロゾル化可能な材料と接触している1つ若しくは複数の内部ヒーター及び/又は前記第2のエアロゾル化可能な材料と接触していない1つ若しくは複数の外部ヒーターから選択される、請求項3に記載の送達システム。
【請求項5】
前記1つ又は複数のヒーターが、前記第2のエアロゾル化可能な材料を、周囲超の、ただし、前記第2のエアロゾル化可能な材料の有意な気化が起こり得る温度未満の温度に加熱するように構成されている、請求項3又は4に記載の送達システム。
【請求項6】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が加熱される前記温度が、50℃~150℃である、請求項5に記載の送達システム。
【請求項7】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、ある持続期間にわたって加熱される、請求項3~6のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項8】
前記第1及び第2のリザーバが流体接続している、請求項2~7のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項9】
使用者が、前記第1のリザーバへの前記第2のエアロゾル化可能な材料の移送が起こる程度を制御することができる、請求項8に記載の送達システム。
【請求項10】
ポンプが、前記使用者によってそうするように制御される場合、特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料の移送を制御する、請求項9に記載の送達システム。
【請求項11】
ボタン、スイッチ、タッチパッドなどが、前記第1のリザーバへの前記第2のエアロゾル化可能な材料の移送を制御するために使用される、請求項9又は10に記載の送達システム。
【請求項12】
前記コントローラーが、特定のスケジュールに従って、前記第1のリザーバへの特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料の移送を開始するように構成されている、請求項9又は10に記載の送達システム。
【請求項13】
前記システムが、前記第1のエアロゾル化可能な材料をエアロゾルに変換するように構成された、ヒーターなどのエアロゾル生成器を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項14】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、前記システム内に配置された基板に配置されており、そのため、使用時に前記第1のエアロゾル化可能な材料からのエアロゾルが前記基板に接触している、請求項13に記載の送達システム。
【請求項15】
前記基板が多孔質基板である、請求項14に記載の送達システム。
【請求項16】
前記少なくとも1種のカルボキシル化活性物が、カンナビジオール酸(CBDA)などの、カンナビノイドである、請求項1~15のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項17】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、カンナビノイドなどの1種又は複数種のさらなる活性物を含み、前記1種又は複数種のさらなる活性物が、前記エアロゾル化可能な材料にあるとき、脱カルボキシル化形態である、請求項1~16のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項18】
前記脱カルボキシル化形態の前記1種又は複数種のさらなる活性物がカンナビジオール(CBD)である、請求項17に記載の送達システム。
【請求項19】
前記カルボキシル化形態で存在する少なくとも1種の活性物の、前記脱カルボキシル化形態の1種又は複数種のさらなる活性物に対する比が、99:1~1:99である、請求項17又は18に記載の送達システム。
【請求項20】
前記第1のエアロゾル化可能な材料が、前記第1のエアロゾル化可能な材料にあるときに脱カルボキシル化形態の前記1種又は複数種の活性物を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項21】
前記エアロゾル化可能な材料が、担体構成成分及び任意選択で1種又は複数種の香料をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項22】
前記担体構成成分が、1種又は複数種のプロピレングリコール及びグリセロールを含む、請求項21に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、送達システム、並びにこのシステムにおける使用のための成分及びエアロゾル化可能な材料に関する。
【背景】
【0002】
使用者による吸入のためのエアロゾルを生成する送達システムは、当技術分野で公知である。特に、使用者による吸入のためのエアロゾルを生成する不燃性エアロゾル供給システムは、当技術分野で公知である。そのようなシステムは、典型的には、エアロゾル化可能な材料をエアロゾルに変換することができるエアロゾル生成器を備える。いくつかの場合では、生成されるエアロゾルは、凝縮エアロゾルであり、そのため、エアロゾル化可能な材料は、最初に気化され、続いて、凝縮されてエアロゾルになる。他の例では、生成されるエアロゾルは、エアロゾル化可能な材料の霧化から生じるエアロゾルである。そのような霧化は、機械的に、例えば、エアロゾル化可能な材料を振動に供して空気流に同伴する材料の小さな粒子を形成することによってもたらされ得る。或いは、そのような霧化は、静電的に、又は圧力などの使用などによる他の手段でもたらされ得る。
【0003】
エアロゾル化可能な材料は、典型的には、使用者に送達すべき様々な成分を含有している。エアロゾル生成器の動作モードに応じて、これらの成分は、様々な形でエアロゾル生成器によって影響され得る。
【0004】
最終的に、そのような送達システム及び関連するエアロゾル化可能な材料を、これらの送達システム及び関連するエアロゾル化可能な材料が有利な使用者経験を提供するように設計することが重要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、電力供給されるエアロゾル生成デバイスとエアロゾル化可能な材料とを備える送達システムであって、エアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種のカルボキシル化活性物を含み、システムが、カルボキシル化活性物の選択的脱カルボキシル化をもたらすように構成されている、送達システムに関する。
【0006】
カンナビノイドなどのいくつかの活性材料のカルボキシル化形態は、脱カルボキシル化形態と比較して、異なる安定性プロファイルを有し得る。例えば、カンナビジオールのカルボキシル化形態であるカンナビジオール酸(CBDA)は、脱カルボキシル化形態(CBD)と比較して、いくつかの溶媒系において異なる挙動をする。一方で、所望の安定性プロファイルを達成するために特定の形態のカンナビノイドを活用することが可能であるため、安定性におけるこの差を利用することができる。しかしながら、一般に、カンナビノイドは、それらの脱カルボキシル化形態においてより高い薬理学的効果を発揮する場合がある。したがって、カンナビノイドをそのカルボキシル化形態で提供することは、それほど所望されないであろう。しかしながら、カンナビノイドをそれらのカルボキシル化形態からそれらの脱カルボキシル化形態に変換することが可能である。
【0007】
本発明は、システム内で、カンナビノイドなどの活性物の選択的脱カルボキシル化をもたらす。「カルボキシル化活性物の選択的脱カルボキシル化」とは、システムが、カルボキシル化活性物の脱カルボキシル化が起こる程度を選択的に増加させることができることを意味する。これは、活性物の安定性プロファイルを制御し、その一方で、活性物の脱カルボキシル化形態のみを含有するエアロゾル化可能な材料に由来し得るものと同様の脱カルボキシル化量を有するエアロゾルの提供を可能にもする利益を利用することが可能であるため、有利である。
【0008】
一態様では、本発明は、電力供給されるエアロゾル生成デバイスとエアロゾル化可能な材料とを備える送達システムであって、電力供給されるエアロゾル生成デバイスが、電源及びコントローラーを備え、システムが、第1のエアロゾル化可能な材料及び第2のエアロゾル化可能な材料を含み、第2のエアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種のカルボキシル化活性物を含み、第1のエアロゾル化可能な材料とは個別にシステムに保管されている、送達システムに関する。誤解を避けるために記すと、代替的なアプローチの使用は、カルボキシル化活性物の選択的脱カルボキシル化のための本明細書に記載されている他のアプローチと組み合わせることができる。
【0009】
第1のエアロゾル化可能な材料とは個別に第2のエアロゾル化可能な材料を配置することは、多くの理由から有益であり得る。第1に、この配置によって、第2のエアロゾル化可能な材料を、第1のエアロゾル化可能な材料を加熱する温度未満の温度への選択的加熱に供することが可能になり得る。例えば、第2のエアロゾル化可能な材料は、第1のエアロゾル化可能な材料が配置されているリザーバとは個別の第2のリザーバに保管され得る。このようにして、第2のリザーバは、この第2のリザーバに含まれているカルボキシル化活性物(例えば、カンナビノイド)の脱カルボキシル化を促進するために、(デバイス又は他の箇所の電源からの電力によって)選択的に加熱され得る。1つ又は複数のヒーターが、第2のエアロゾル化可能な材料を加熱するために設けられ得る。第2のリザーバは、第2のエアロゾル化可能な材料と接触し得る内部ヒーター及び/又は第2のエアロゾル化可能な材料と接触していなくてもよい外部ヒーターを収容し得る。
【0010】
第2のリザーバが加熱される程度は、起こり得る脱カルボキシル化の程度に影響を及ぼす。例えば、ヒーター(内部、外部、又はその両方であるかは問わない)は、第2のエアロゾル化可能な材料を、周囲超の、ただし、第2のエアロゾル化可能な材料の有意な気化が起こり得る温度未満の温度に加熱するように構成されている。この点に関して、第2のエアロゾル化可能な材料は、50℃超、60℃超、70℃超、80℃超、90℃超、100℃超、110℃超、120℃超、130℃超、140℃超、又は145℃超などの温度に加熱され得る。好ましくは、第2のエアロゾル化可能な材料は、第2のリザーバにあるとき、150℃超に加熱されない。好ましくは、第2のエアロゾル化可能な材料は、50℃~150℃、例えば、50℃~140℃、50℃~130℃、50℃~120℃、50℃~110℃、50℃~100℃、50℃~90℃、50℃~80℃、又は60℃~150℃、70℃~80℃、90℃~150℃、100℃~150℃、110℃~150℃、120℃~150℃、130℃~150℃、140℃~150℃の温度に加熱される。
【0011】
第2のエアロゾル化可能な材料は、典型的には、ある持続期間にわたって、先に言及されている温度のうちの1つに加熱され得る。例えば、第2のエアロゾル化可能な材料は、10秒超、20秒超、30秒超、40秒超、50秒超、60秒超、1分超、2分超、3分超、4分超、5分超、10分超、15分超、20分超、又は30分超にわたって、先に言及されている温度のうちの1つに加熱され得る。総加熱時間は、温度の増加に伴って減少し得る。この点に関して、使用者は、コントローラーを介して、より高い温度でより短い期間にわたって、又はより低い温度でより長い期間にわたって、第2のエアロゾル化可能な材料を加熱するように選択することができる。加熱の正確な温度及び長さは、使用者によって決定され得る。
【0012】
第1及び第2のリザーバは、流体接続している。この流体接続は、第1のリザーバへの第2のエアロゾル化可能な材料の移送を促進する。流体接続は、ウィック、ポンプ、膜などのうちのいずれか1つであり得る。膜は、これが第2のリザーバから第1のリザーバへの脱カルボキシル化活性物の通過を可能にするために使用され得る点で有用であり得る。使用者は、第1のリザーバへの第2のエアロゾル化可能な材料の移送が起こる程度を制御することができる。例えば、ポンプは、使用者によって手動で操作され得るか、又は電力供給されるポンプは、使用者によってそうするように制御される場合、特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料を移送するように制御され得る。この点に関して、1つ又は複数のボタン、スイッチ、タッチパッドなどは、第1のリザーバへの第2のエアロゾル化可能な材料の移送を制御するために使用され得る。或いは、この移送は、送達システムのデバイスに(例えば、ワイヤレスで)リモート接続された別のデバイスを介して制御され得る。流体接続はまた、カルボキシル化活性物を脱カルボキシル化する働きをし得る。例えば、流体接続は、1つ又は複数のヒーターに熱的に結合され得る。このようにして、脱カルボキシル化活性物を第1のリザーバに直接的に送ることができる。このアプローチは、加熱されている流体接続部分のみが脱カルボキシル化に供されるため、第2のリザーバ全体(及び第2のリザーバ内のカルボキシル化活性物)を加熱して脱カルボキシル化する必要がなくなる。
【0013】
本発明のこの態様は一般に2つのリザーバを伴って用いられるが、単一のエアロゾル化可能な材料を収容する単一のリザーバのみでも可能である。この場合、単一のエアロゾル化可能な材料がカルボキシル化活性物を含有しており、この単一のエアロゾル化可能な材料が(先に記載されている)専用の内部及び/若しくは外部ヒーターからの熱に供されるか、又はエアロゾル生成器によって生成された熱が使用され得ることが可能である。
【0014】
(各々のリザーバで)第1のエアロゾル化可能な材料とは個別に第2のエアロゾル化可能な材料を保管することが有益であり得る別の理由は、脱カルボキシル化形態の場合に可能であり得るよりも高い、場合によってはるかにより高いカルボキシル化形態の濃度で活性物(カンナビノイドなど)を安定に保管することが可能である点である。結果として、第1のエアロゾル化可能な材料を補充するための高濃度のカルボキシル化活性物を有するエアロゾル化可能な材料を使用することが可能である。これは、使用者が、望むように第1のエアロゾル化可能な材料内にカルボキシル化活性物含有量を「ブースト」又は単純に補充することが可能であることを意味する。したがって、エアロゾル化の最中に促進され得るインサイチュ脱カルボキシル化を利用する能力に基づいて、使用者は、比較的高い濃度のカルボキシル化活性物を有するエアロゾル化可能な材料を安定して保管することが可能であるが、それでいて、そのような材料を使用の直前に第1のエアロゾル化可能な材料に投与することが可能である。よって、第2のリザーバの第2のエアロゾル化可能な材料を加熱することで先制的な脱カルボキシル化を促進することができるが、これは必須ではない。このアプローチは、活性物がカンナビノイドである場合に特に好適である。
【0015】
先に説明されているように、第1及び第2のリザーバは、流体接続している。この流体接続は、第1のリザーバへの第2のエアロゾル化可能な材料の移送を促進する。流体接続は、ウィック、ポンプ、膜などのうちのいずれか1つであり得る。使用者は、第1のリザーバへの第2のエアロゾル化可能な材料の移送が起こる程度を制御することができる。例えば、ポンプは、使用者によって手動で操作され得るか、又は電力供給されるポンプは、使用者によってそうするように制御される場合、特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料を移送するように制御され得る。この点に関して、1つ又は複数のボタン、スイッチ、タッチパッドなどは、第1のリザーバへの第2のエアロゾル化可能な材料の移送を制御するために使用され得る。或いは、この移送は、送達システムのデバイスに(例えば、ワイヤレスで)リモート接続された別のデバイスを介して制御され得る。
【0016】
コントローラーを、これが特定のスケジュールに従って特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料の移送を開始するようにプログラムすることも可能である。例えば、特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料、例えば、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、又は1mlを、毎時間、毎日、毎週、又は毎月のスケジュールで移送することも可能であり得る。
【0017】
コントローラーは、第1のエアロゾル化可能な材料のエアロゾル化に応じて第2のエアロゾル化可能な材料の移送を制御することも可能である。例えば、コントローラーは、第1のエアロゾル化可能な材料をエアロゾル化し、第2のエアロゾル化可能な材料の関連する割合を移送するために供給される電力のインスタンス(instances)及び/若しくは持続時間(又はそれらの組合せ)を監視するように構成され得る。この点に関して、特定のシステム、デバイス、エアロゾル化可能な材料、及び電力設定の場合、第1のエアロゾル化可能な材料のエアロゾル化から生じる質量損失を経験的に決定することが可能である。この質量損失は、移送される第2のエアロゾル化可能な材料の関連する割合を定義するために使用され得る。第2のエアロゾル化可能な材料が第1のリザーバに移送されたら、第2のエアロゾル化可能な材料は、第1のエアロゾル化可能な材料の一部になると理解されるであろう。
【0018】
(選択的脱カルボキシル化のための先の実装形態のうちのいずれか1つ又は組合せに加えて)第2のエアロゾル化可能な材料が、システム内に配置された基板に配置されており、そのため、使用時に第1のエアロゾル化可能な材料からのエアロゾルが基板に接触していることも可能である。この点に関して、特にエアロゾルが気化及び続く凝縮によって形成される場合、基板は、一般に、周囲を大幅に超える温度、例えば、50℃超、60℃超、70℃超、80℃超、90℃超、又は100℃超のエアロゾルに曝露されるであろう。第1のエアロゾル化可能な材料からのエアロゾルの温度は、基板に存在するカルボキシル化活性物の脱カルボキシル化を可能にする。次いで、そのようにして脱カルボキシル化された活性物は、エアロゾルに同伴し、続いて、使用者によって吸入され得る。
【0019】
一例では、使用者は、第1のエアロゾル化可能な材料からのエアロゾルと基板との間の相互作用の条件を変化させることが可能である。例えば、第1のエアロゾル化可能な材料からのエアロゾルがヒーターを介して生成される場合、基板がヒーターに近くなるほどエアロゾルが曝露されるエアロゾル温度が高くなるように、基板とヒーターとの間の相対距離を変化させることができる。また、基板は、単にエアロゾルを通じてではなくヒーターから直接的に放射熱を受け得るため、基板を移動させてヒーターに近づけることによって、放射加熱の程度も増加すると理解されるであろう。
【0020】
エアロゾルが基板と相互作用する程度を変化させることも可能である。ある場合では、第1のエアロゾル化可能な材料に由来するエアロゾルの実質的にすべてが基板を通過する。他の場合では、第1のエアロゾル化可能な材料に由来するエアロゾルの一部又は実質上すべてが基板を迂回することができる。よって、使用者は、基板がエアロゾル及びヒーターに曝露される程度を制御することができる。
【0021】
別の態様では、エアロゾル生成デバイスは、電気的電源などの電源と、コントローラーと、エアロゾル化可能な材料をエアロゾル化して吸入可能なエアロゾルを形成するように構成された少なくとも1つのエアロゾル生成器とを備え、コントローラーは、1つより多くの電力レベルでエアロゾル生成器への電力の送達を促進するように構成されている。エアロゾル生成器は、ヒーターであり得る。誤解を避けるために記すと、カルボキシル化活性物の選択的脱カルボキシル化のための代替的なアプローチの使用は、カルボキシル化活性物の選択的脱カルボキシル化のための本明細書に記載されている他のアプローチと組み合わせることができる。
【0022】
使用の最中に、エアロゾル生成器(例えば、ヒーター)への可変的な電力送達を有するコントローラーが存在することに基づいて、使用者は、カルボキシル化形態を脱カルボキシル化形態にするインサイチュ変換の程度を制御するようにシステムを操作することが可能である。いくつかのカンナビノイドについてのインサイチュ変換率は一般に温度に依存する(Cannabis and Cannabinoid Research.Volume 1.1,2016,Decarboxylation Study of Acidic Cannabinoids:A Novel Approach Using Ultra-High-Performance Supercritical Fluid Chromatography/Photodiode Array-Mass Spectrometryを参照)ため、より高い電力をエアロゾル生成器、例えばヒーターに供給することによって、一般に、ヒーターにおいてより高い局部温度が生じ、すなわち、一般に、カルボキシル化形態から脱カルボキシル化形態への変換がより大きくなるであろう。したがって、使用者は、様々な量の脱カルボキシル化活性物を有するエアロゾルを提供するようにシステムを制御することができる。例えば、カルボキシル化活性物がCBDAである場合、使用者は、様々な量のCBDを有するエアロゾルを提供するようにシステムを制御することができる。
【0023】
コントローラーは、様々な形で1つより多くの電力レベルでエアロゾル生成器(例えば、ヒーター)への電力の送達を促進するように構成され得る。例えば、コントローラーは、「通常の」電力プロファイル及び「増大した」電力プロファイルによってヒーターに電力を送達するように構成され得る。通常の電力プロファイルは、使用者が後のエアロゾルにおいて特に増加した含有量の脱カルボキシル化活性物を求めていない場合、典型的には、デバイスのヒーターに送達される電力プロファイルに対応する。増大した電力プロファイルは、特定の閾値電力以上の電力に対応し、この閾値電力は、通常の電力プロファイルの最中に適用される電力を上回る電力である。
【0024】
実際に、エアロゾル化可能な材料は、脱カルボキシル化活性物(例えば、カンナビノイド)をすでにいくらか含むことがあり、したがって、通常の電力プロファイルによって、「ベースライン」量の脱カルボキシル化活性物(例えば、カンナビノイド)を有するエアロゾルが生じる。そのような通常の電力プロファイルの最中に送達すべき正確な電力は、システム固有である。さらに、増大した電力プロファイルの最中に送達すべき正確な電力は、エアロゾル化可能な材料のカルボキシル化活性物の濃度、並びにエアロゾル生成器からエアロゾル化可能な材料へのエネルギーの伝達効率に応じ得る。任意の特定のシステム及びエアロゾル化可能な材料の場合、通常の電力プロファイルから生じる「ベースライン」を超える特定のレベル(又は最小レベル)の脱カルボキシル化を達成するために、増大した電力プロファイルが設定され得る。しかしながら、増大した電力プロファイルは、典型的には、閾値電力以上の電力に対応し、この閾値電力は、通常の電力プロファイルの最中に適用される電力に比べて、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、60%超、70%超、80%超%、90%超、100%超、110%超、120%超、130%超、140%超、150%超、160%超、170%超、180%超、190%超、又は200%超の電力の増加を表す。例えば、特定のシステムについての通常の電力プロファイルが3Wである場合、増大した電力プロファイルは、4.5W超であり得る(50%超の電力の増加を表し得る)。別の例は、特定のシステムについての通常の電力プロファイルが5Wである場合に、増大した電力プロファイルが12W超であり得る(100%超の電力の増加を表し得る)ことであり得る。
【0025】
デバイスは、一般に、様々な形で通常の電力プロファイルを提供するように作動させられ得ると理解されるであろう。例えば、デバイスは、(センサーが、例えば圧力又は空気流の変化によって、吸入の存在を検出するという意味合いで)パフ作動(puff actuated)させることが可能であり得るか、又はデバイスは、ボタン、スイッチ、タッチパッドなどによって手動で作動させることが可能であり得る。
【0026】
コントローラーが、増大した電力プロファイルによって電力をヒーターに送達することができるように、コントローラーは、そのような増大した電力プロファイルに対する要望を示す特定の入力に応答するように構成され得る。例えば、デバイスは、ボタン、スイッチ、タッチパッドなどを含んでいてもよく、コントローラーは、前記ボタン、スイッチ、タッチパッドなどの使用者によって作動を検出することができる。ボタン、スイッチ、タッチパッドなどは、「増大した」電力プロファイルを提供することを目的としたものであり得る。或いは、コントローラーは、既存のボタン、スイッチ、タッチパッドなどを作動させる特定のプロファイルを検出し、この特定の作動プロファイルを、増大した電力プロファイルを送達するための命令として認識するようにプログラムされ得る。増大した電力プロファイルに関連する特定の作動プロファイルは、典型的には、通常の電力プロファイルを送達する作動プロファイルとは異なる。これによって、コントローラーは、通常の電力プロファイル又は増大した電力プロファイルを生じさせることが意図された作動間で区別することができる。例えば、「増大した」電力プロファイルについての特定の作動プロファイルは、ボタン、スイッチ、タッチパッドなどの特定の数の作動又は「タップ」、例えば、短い連続での、例えば、互いに1又は2秒内での2回又は3回のタップを包含し得る。
【0027】
或いは、増大した電力プロファイルに関連する特定の作動プロファイルは、特定の作動圧力に対応し、例えば、ある特定の圧力閾値に対して作動する。適用される増大した電力が、適用される圧力に比例することも可能である。これによって、作動の程度とエアロゾル生成器(例えば、ヒーター)に送達される電力との間の相関が可能になり、それによって、増大した電力プロファイルの直観的な適用が可能になる。
【0028】
コントローラーは、現在の吸入、次の吸入、及び/又は続くすべての吸入について、増大した電力プロファイルを適用するように構成され得る。
【0029】
コントローラーは、予め定められたスケジュールに従って、増大した電力プロファイルを適用する能力を制限するように構成され得る。例えば、増大した電力プロファイルは、一日のある特定の時間後にのみ、又はシステムのそれまでのある特定の使用パターンに基づいてのみ、使用者に「利用可能」であり得る。そのような状況では、コントローラーは、「増大した」電力プロファイルに関連する特定の作動プロファイルを無視するように構成されるであろう。予め定められたスケジュールは、このデバイスを介して、又は他の箇所に記載されているシステムのデバイスと通信しているリモートデバイスを介して、使用者によって設定され得る。
【0030】
或いは、コントローラーは、予め定められたスケジュールに従って、増大した電力プロファイルを自動で適用するように構成され得る。例えば、増大した電力プロファイルは、一日のある特定の時間後に、又はシステムのそれまでのある特定の使用パターンに基づいて、アクティブ化され得る。そのような状況では、コントローラーは、スケジュールに従ったエアロゾル生成のすべての場合で、増大した電力プロファイルを適用するであろう。
【0031】
コントローラーは、増大した電力プロファイルのための電力レベル設定の範囲を保存するように構成されていてもよく、使用者は、特定の吸入のための所望のより高い設定を利用及び選択することができる。そのような選択は、デバイスのボタン、スイッチ、タッチパッドなどを介して行われ得る。電力レベルは、送達システムのデバイスから離れているがこれと通信することができる別のデバイスを介して調整することができ、例えば、電力レベルは、スマートフォン又はタブレットで実行されるアプリを介して調整することができ、スマートフォン又はタブレットは、送達システムのデバイスと通信して電力設定を更新するであろう。
【0032】
エアロゾル生成器は、典型的には、ヒーターである。エアロゾル生成器がヒーターである場合、ヒーターにおける温度は、一般に、ヒーターに供給される電力によって影響され、そのため、より高い電力は、より高いヒーター温度を促進するであろう。当業者であれば、ヒーターを通過する空気流、又はエアロゾル化可能な材料がヒーターの近傍の箇所で置き換えられ得る速度などの他の要因がヒーターの正確な温度に影響し得ることを把握しているであろう。いくつかの実施形態では、システムによって、エアロゾル生成器(例えば、ヒーター)を通過する空気流の変動が可能になること、及び/又はエアロゾル生成器(例えば、ヒーター)へのエアロゾル化可能な材料の送達の速度の変動が可能になることが想定されている。空気流を変化させる1つの手法は、システムの1つ又は複数の空気入口の総面積を修正することであろう。これは、シャッターなどを介して行われ得る。エアロゾル生成器へのエアロゾル化可能な材料の送達の速度を変化させる1つの手法は、異なる流速でポンプを使用することであろう。
【0033】
このシステムがカルボキシル化活性物の選択的脱カルボキシル化のために提供することができる代替的な手法は、このシステムを、様々な長さの時間にわたってパフを送達するように構成することである。パフがより長いことによってエアロゾルの脱カルボキシル化活性物のより大きな相対パーセンテージをもたらすことができると見出された。ある特定の長さのパフを送達するようにシステムを構成することによって、脱カルボキシル化の程度に選択的に影響することが可能である。よって、デバイスは、ある特定のパフ長さを送達するように事前に構成され得る(使用者は、脱カルボキシル化を増加させるために、事前に構成されるパフ長さを変化させることができる)、及び/又はデバイスは、脱カルボキシル化の程度に影響を与えるために、使用者がある特定の長さの時間にわたってパフすることを促進するように構成され得る。
【0034】
さらなる態様では、エアロゾル化可能な材料を含む物品であって、エアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種の存在するカルボキシル化活性物を含む、物品が提供される。
【0035】
この物品は、エアロゾル化可能な材料を収容するための少なくとも1つの第1のリザーバを備え得る。この物品は、本明細書に記載されている第1及び第2のエアロゾル化可能な材料を収容するための第1及び第2の容器を備え得る。
【0036】
エアロゾル化可能な材料(複数可)は、一般に、1種又は複数種のカルボキシル化活性物、担体構成成分、及び任意選択で1種又は複数種の香料を含む。一般に、エアロゾル化可能な材料(複数可)は、液体の形態をとる。この液体は、デバイスのリザーバ内に自由に保たれ得るか、又は担体に保持され得ると理解されるであろう。
【0037】
先に記載されているように、エアロゾル化可能な材料(複数可)は、少なくとも1種のカルボキシル化活性物を含有している。いくつかの実施形態では、送達すべき物質は、活性物質を含む。
【0038】
本明細書で使用される活性物質は、生理学的応答を達成又は強化することを意図する材料である生理活性材料であり得る。活性物質は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択され得る。活性物質は、天然に存在するものであっても、又は合成的に得られたものであってもよい。活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6若しくはB12若しくはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、又はそれらの構成成分、誘導体若しくは組合せを含み得る。活性物質は、タバコ、アサ、又は別の植物性物質の1種又は複数種の構成成分、誘導体、又は抽出物を含み得る。
【0039】
一実施形態では、活性物質は、法的に許される娯楽用薬物である。
【0040】
いくつかの実施形態では、活性物質は、ニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性物質は、カフェイン、メラトニン、又はビタミンB12を含む。いくつかの実施形態では、活性物は、カンナビノイドを含む。好ましくは、カルボキシル化活性物は、カルボキシル化カンナビノイドである。
【0041】
カンナビノイドは、脳の神経伝達物質の放出を抑制する細胞のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)に作用する天然化合物又は合成化合物のクラスである。カンナビノイドは、血液脳関門を容易に通過する能力などの特定の性質を呈する環状分子である。カンナビノイドは、アサ(cannabis)などの植物からの天然に存在するもの(フィトカンナビノイド)、動物からの天然に存在するもの(エンドカンナビノイド)、又は人工的に製造されたもの(合成カンナビノイド)であり得る。
【0042】
アサ種は、少なくとも85種の異なるフィトカンナビノイドを発現し、これらのフィトカンナビノイドは、カンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノール及びカンナビノジオール、並びに他のカンナビノイドを含むサブクラス、例えば、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、異性体Δ6a,10a-テトラヒドロカンナビノール(Δ6a,10a-THC)、Δ6a(7)-テトラヒドロカンナビノール(Δ6a(7)-THC)、Δ8-テトラヒドロカンナビノール(Δ8-THC)、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)、Δ10-テトラヒドロカンナビノール(Δ10-THC)、Δ9,11-テトラヒドロカンナビノール(Δ9,11-THC)を含むテトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビノール(CBN)、カンナビノール酸(CBNA)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、並びにカンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)に分けることができる。
【0043】
天然由来のカンナビノイドは、一般に、それらのカルボキシル化形態で存在する。この点に関して、カンナビジオール(CBD)及びカンナビジオール酸(CBDA)は、各々の脱カルボキシル化及びカルボキシル化形態である。
【0044】
【0045】
本明細書で言及されるカルボキシル化カンナビノイドは、先に言及されている脱カルボキシル化カンナビノイドのうちのいずれかのカルボキシル化形態であり得る。好ましくは、カルボキシル化カンナビノイドは、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビノール酸(CBNA)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、及びそれらの組合せである。好ましくは、脱カルボキシル化カンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、及びそれらの組合せである。
【0046】
エアロゾル化可能な材料(複数可)は、脱カルボキシル化形態である1種又は複数種の他の活性物も含み得る。好ましくは、1種又は複数種の他の活性物は、カンナビノイドである。好ましくは、1種又は複数種の他のカンナビノイドは、カルボキシル化カンナビノイドの脱カルボキシル化形態である。したがって、エアロゾル化可能な材料がCBDAを含む場合、エアロゾル化可能な材料は、CBDも含み得る。好ましくは、エアロゾル化可能な材料は、CBDA及びCBDを含有している。しかしながら、他の活性物が、エアロゾル化可能な製剤に存在するカルボキシル化カンナビノイドの脱カルボキシル化から生じたものではない脱カルボキシル化カンナビノイドであることがあり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のカルボキシル化カンナビノイドを含むエアロゾル化可能な材料は、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、及びカンナビノール(CBN)のうちの1種又は複数種も含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、カンナビジオール酸(CBDA)と、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、及びカンナビノール(CBN)からなる群から選択される少なくとも1種の脱カルボキシル化カンナビノイドとを含む。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、カンナビジオール酸(CBDA)及びテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。
【0048】
エアロゾル化可能な材料の活性物のカルボキシル化/脱カルボキシル化形態の各々のモル比は、様々であり得る。例えば、カルボキシル化活性物の、それが対応する脱カルボキシル化活性物に対するモル比は、99:1~1:99であり得る。好ましくは、活性物はカンナビノイドであり、カルボキシル化カンナビノイドの、それが対応する脱カルボキシル化カンナビノイドに対するモル比は、99:1~1:99であり得る。この点に関する特定の比は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、又は1:5であり得る。好ましくは、カルボキシル化形態は、脱カルボキシル化形態に対してモル過剰で存在する。
【0049】
カンナビノイドは、合成又は天然の由来のものであり得る。一実施形態では、カンナビノイドは、単離物の形態で存在する。単離物は、アサなどの植物からの抽出物であり、目的の活性物質(この場合は、CBDAなどのカンナビノイド)は、高純度で、例えば、95%超、96%超、97%超、98%超、又は約99%の純度で存在する。
【0050】
カンナビノイド(カルボキシル化又は脱カルボキシル化であるかは問わない)は、エアロゾル化可能な材料のmg/mlベースに基づいて、エアロゾル化可能な材料に存在し得る。以下の「この」カンナビノイドへの言及は、カルボキシル化されているか否かにかかわらず、個々に、エアロゾル化可能な材料に存在する各カンナビノイドに関連する。以下の量は、カンナビノイドの文脈において記載されているが、以下の範囲はそれぞれ、本明細書で言及されている(カルボキシル化又は脱カルボキシル化された)他の活性物に等しく適用され得る。
【0051】
一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約200mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約150mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約90mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約80mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約70mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約60mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約50mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約40mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約30mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約20mg/mlの量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml~最大約10mg/mlの量で存在する。
【0052】
一実施形態では、カンナビノイドは、約5mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約10mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約15mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約20mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約25mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約30mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約35mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約40mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約45mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約50mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約55mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約60mg/ml以上の量で存在する。一実施形態では、カンナビノイドは、約65mg/ml以上の量で存在する。
【0053】
このエアロゾル化可能な材料又は各エアロゾル化可能な材料に存在するすべての活性物の総量は、200mg/mlであり得る。
【0054】
このエアロゾル化可能な材料又は各エアロゾル化可能な材料に存在するすべてのカンナビノイドの総量は、200mg/mlであり得る。
【0055】
担体構成成分は、特に蒸発させて凝縮させた場合に、エアロゾルを形成することができる1種又は複数種の構成成分を含む。いくつかの実施形態では、担体構成成分は、グリセロール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、meso-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、二酢酸トリエチレングリコール、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1種又は複数種を含み得る。好ましくは、担体構成成分は、プロピレングリコール及び/又はグリセロールを含む。
【0056】
一実施形態では、プロピレングリコールは、エアロゾル化可能な材料の総重量に基づいて、10%w/w~95%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、20%w/w~95%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、30%w/w~95%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、40%w/w~95%w/wの量で存在する。
【0057】
一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~85%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~80%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~75%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~60%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~65%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~60%w/wの量で存在する。
【0058】
一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、55%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、60%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、65%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、70%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、75%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、80%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、85%w/w~90%w/wの量で存在する。
【0059】
一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも10%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも20%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも30%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも40%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも50%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも55%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも60%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも65%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも70%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも75%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも80%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも85%w/wの量で存在する。一実施形態では、プロピレングリコールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも90%w/wの量で存在する。
【0060】
一実施形態では、担体構成成分は、グリセロールを含む。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、10%w/w~95%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、20%w/w~95%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、30%w/w~95%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、40%w/w~95%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~95%w/wの量で存在する。
【0061】
一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~85%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~80%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~75%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~60%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~65%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、50%w/w~60%w/wの量で存在する。
【0062】
一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、55%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、60%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、65%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、70%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、75%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、80%w/w~90%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、85%w/w~90%w/wの量で存在する。
【0063】
一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも10%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも20%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも30%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも40%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも50%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも50%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも55%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも60%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも65%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも70%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも75%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも80%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも85%w/wの量で存在する。一実施形態では、グリセロールは、材料の総重量に基づいて、少なくとも90%w/wの量で存在する。
【0064】
一実施形態では、グリセロール及びプロピレングリコールはどちらも、担体構成成分として存在する。一実施形態では、グリセロール及びプロピレングリコールは、エアロゾル化可能な材料に、材料に存在するグリセロール及びプロピレングリコールの総重量に基づいて、以下の量:
60~90%w/wのプロピレングリコール、及び
40~10%w/wのグリセロール
で存在する。
【0065】
一実施形態では、グリセロール及びプロピレングリコールは、エアロゾル化可能な材料において、材料に存在するグリセロール及びプロピレングリコールの総重量に基づいて、以下の量:
70~80%w/wのプロピレングリコール、及び
30~20%w/wのグリセロール
で存在する。
【0066】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、約70%w/wのプロピレングリコール及び約30%のグリセロールを含む。
【0067】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、約25℃で液体である。
【0068】
エアロゾル化可能な材料は、1種又は複数種のさらなる構成成分を含み得る。特に、1種又は複数種のさらなる構成成分は、1種若しくは複数種の生理学的及び/若しくは嗅覚的に活性な構成成分、及び/又は1種若しくは複数種の官能性構成成分から選択され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、活性構成成分は、嗅覚的に活性な構成成分であり、現地の規制が許す場合に、成人消費者のための製品に所望の味、香り、又は感覚を生み出すために使用され得る「香料」及び/又は「香味料」から選択され得る。いくつかの場合では、そのような構成成分は、香料、香味料、冷却剤、加熱剤、又は甘味剤と呼ばれることがあり、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はミント属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤若しくは刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤のうちの1種又は複数種を含み得る。構成成分は、模造成分、合成成分若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。構成成分は、任意の好適な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0070】
香料は、いわゆる「香料ブロック」の一部として、エアロゾル化可能な材料に添加することができ、その際、1種又は複数種の香料が、まとめてブレンドされ、次いで、エアロゾル化可能な材料に添加される。
【0071】
いくつかの実施形態では、嗅覚的に活性な構成成分は、テルペンを含む。いくつかの実施形態では、テルペンは、麻(hemp)などのカンナビス・サティバ(cannabis sativa)種の系統からの植物などのフィトカンナビノイド生成植物から誘導可能なテルペンである。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、フィトカンナビノイド生成植物から誘導可能なテルペンと組み合わせたカンナビノイド単離物を含む。
【0072】
この点に関して好適なテルペンとしては、10個の炭素原子を含むテルペンであるいわゆる「C10」テルペンが挙げられる。さらに、この点に関して好適なテルペンとしては、15個の炭素原子を含むテルペンであるいわゆる「C15」テルペンも挙げられる。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、1種より多くのテルペンを含む。例えば、エアロゾル化可能な材料は、本明細書で定義されているように、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、又はそれよりも多くのテルペンを含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、テルペンの組合せを含む。いくつかの実施形態では、テルペンの組合せは、少なくともゲラニオール及びリナロールの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、テルペンの組合せは、少なくともユーカリプトール及びメントンの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、テルペンの組合せは、少なくともユーカリプトール、カルボン、ピペリトン及びメントンの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、テルペンの組合せは、少なくともユーカリプトール、カルボン、ベータ-ブルボネン、ゲルマクレン、ピペリトン、イソ-メントン、及びメントンの組合せを含み得る。
【0074】
一実施形態では、テルペン(複数可)は、香料ブロックに存在する。これは、テルペンが、(任意選択で、適切な溶媒、例えばプロピレングリコールと一緒に)1種又は複数種の他の香料とブレンドされ、次いで、香料ブロックが、エアロゾル化可能な材料の製造の最中に添加されることを意味する。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在する香料ブロックの総量は、最大約10w/w%である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在する香料ブロックの総量は、最大約9w/w%である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在する香料ブロックの総量は、最大約8w/w%である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在する香料ブロックの総量は、最大約7w/w%である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在する香料ブロックの総量は、最大約6w/w%である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在する香料ブロックの総量は、最大約5w/w%である。
【0075】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約9mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約8mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約7mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約6mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約5mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約4mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約3mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約2mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、最大約1mg/mlである。
【0076】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.2mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.3mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.4mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.5mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約1.0mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約2.0mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約3.0mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約4.0mg/ml~最大約10mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約5.0mg/ml~最大約10mg/mlである。
【0077】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約9.0mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約8.0mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約7.0mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約6.0mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約5.0mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約1mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約0.9mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約0.8mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約0.7mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約0.6mg/mlである。一実施形態では、エアロゾル化可能な材料に存在するテルペンの総量は、約0.1mg/ml~最大約0.5mg/mlである。
【0078】
誤解を避けるために記すと、先の終点の組合せは、本開示によって明確に想定されている。これは、本明細書に開示されている範囲のいずれにも当てはまる。
【0079】
1種又は複数種の他の官能性構成成分は、pH調整剤、着色剤、防腐剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1種又は複数種を含み得る。特に、pH調整剤としては、有機酸又は無機酸から選択される1種又は複数種の酸が挙げられ得る。無機酸の例は、リン酸である。有機酸としては、カルボン酸が挙げられ得る。一実施形態では、カルボン酸は、任意の好適なカルボン酸であり得る。一実施形態では、酸は、モノカルボン酸である。一実施形態では、酸は、酢酸、乳酸、ギ酸、クエン酸、安息香酸、ピルビン酸、レブリン酸、コハク酸、酒石酸、オレイン酸、ソルビン酸、プロピオン酸、フェニル酢酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0080】
エアロゾル化可能な材料は、水も含み得る。例えば、水は、エアロゾル化可能な材料の総重量に基づいて、最大10%w/wの量で存在し得る。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、最大約5%w/wの量で存在する。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、最大約3%w/wの量で存在する。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、約1%w/wの量で存在する。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、約1%w/wの量で存在する。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、約2%w/wの量で存在する。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、約3%w/wの量で存在する。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、約4%w/wの量で存在する。一実施形態では、水は、エアロゾル化可能な材料において、約5%w/wの量で存在する。
【0081】
ある程度の水の存在が脱カルボキシル化プロセスを促進し得ることが提示されている。
【0082】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、材料の総重量に基づいて、
1%~10%w/wのカルボキシル化活性物、
60~80%w/wのプロピレングリコール、
20%~30%w/wのグリセロール、及び
0%~10%w/wの水
を含み得る。
【0083】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、材料の総重量に基づいて、
約5%w/wのカルボキシル化活性物、
約70%w/wのプロピレングリコール、
約25%w/wのグリセロール、及び
0%w/wの水
を含み得る。
【0084】
一実施形態では、エアロゾル化可能な材料は、材料の総重量に基づいて、
約5%w/wのカルボキシル化活性物、
約70%w/wのプロピレングリコール、
約22%w/wのグリセロール、及び
3%w/wの水
を含み得る。
【0085】
ある特定の、例えばより低い電力をエアロゾル化可能な製剤に送達するように構成されたデバイスで水含有製剤を使用することが有利であり得る。したがって、一実施形態では、電力供給されるエアロゾル生成デバイスとエアロゾル化可能な材料とを備える送達システムであって、エアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種のカルボキシル化活性物及び水を含み、電力供給されるエアロゾル生成デバイスが、パフ1回あたり12W未満をエアロゾル化可能な材料に送達するように構成されている、送達システムが提供される。一実施形態では、電力供給されるエアロゾル生成デバイスは、11W、10W、9W、8W、7W、6W、又は5W未満をエアロゾル化可能な材料に送達するように構成されている。
【0086】
本明細書に定義されているエアロゾル化可能な材料も提供される。特に、本明細書に記載されている構成成分のいずれか及びそれらの各々の量は、エアロゾル化可能な材料を特徴付けるために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】本開示によるeシガレットなどの例示的な送達システムの概略図(縮尺通りではない)である。
【
図2】本明細書に記載されているエアロゾル送達システムを通る空気流チャネルの一部の概略図を提供する。
【
図2A】本開示による除去可能なセグメントの概略図を提供する。
【
図3】本明細書に記載されているエアロゾル送達システムを通る空気流チャネルの一部の概略図を提供する。
【
図4】第1のリザーバ及び第2のリザーバが配置されているエアロゾル供給システムの概略図を提供する。
【詳細な説明】
【0088】
図1は、実施形態が適用可能なeシガレット10などの例示的な送達システムの非常に概略的な図(縮尺通りではない)である。eシガレットは、破線で示される長手軸に沿って延在する一般に円筒形の形状を有し(ただし、本発明の態様は、他の形状及び構成体で構成されたeシガレットに適用可能である)、2つの主要な構成要素、すなわち、エアロゾル供給デバイス20及び物品30を備える。
【0089】
物品30は、エアロゾルを生成するエアロゾル化可能な材料(原料液体)38のための保管部又はリザーバを含む。物品30は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成構成要素(加熱要素又はヒーターなど)36をさらに備える。エアロゾル化可能な材料を保管部38から加熱要素36に送達するために、輸送要素又はウィッキング要素又はウィック37が設けられている。ウィック37の一部分又は複数の部分が、保管部38のエアロゾル化可能な材料と流体連通しており、ウィッキング又は毛細管作用によって、エアロゾル化可能な材料は、ウィック37に沿って、又はウィック37を通して、ヒーター36と接触しているウィック37の一部分又は複数の部分に引き寄せられる。当業者であれば、液体をヒーターに輸送する他のモード、例えば、ポンプ圧送、滴下などが使用され得ると理解するであろう。
【0090】
エアロゾル化可能な材料の気化は、エアロゾル化可能な材料に熱エネルギーを供給して蒸発を引き起こすことによってウィック37とヒーター36との間の界面で起こり、したがって、エアロゾルを生成する。ウィック37及びヒーター36は、総称して気化器又は霧化器15と呼ばれ得る。
【0091】
典型的には、単一のウィックが存在するであろうが、1つより多くのウィック、例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つのウィックが存在し得ることが想定される。
【0092】
上記のように、ウィックは、焼結材料から形成され得る。焼結材料は、焼結セラミック、焼結金属繊維/粉末、又はこれら2つの組合せを含み得る。焼結ウィック(複数可)(又はそのうちの少なくとも1つ/すべて)は、電気抵抗ヒーターを堆積させたもの/埋め込んだものであろう。そのようなヒーターは、NiCr合金などの熱伝導合金から形成され得る。或いは、焼結材料は、電流が流れると焼結材料が加熱されるような電気的特性を有し得る。したがって、エアロゾル生成構成要素及びウィックは、一体化されていると考えられ得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素及びウィックは、同じ材料から形成されており、単一の構成要素を形成する。
【0093】
いくつかの実施形態では、ウィックは、焼結金属材料から形成されており、一般に、平面シートの形態である。したがって、ウィック要素は、実質的に薄い平坦な形状を有し得る。例えば、これは、シート、層、フィルム、基板などであると考えられ得る。これは、ウィックの厚さが、ウィックの長さ及び幅のうちの少なくとも一方よりも小さいか、又はこれよりもかなり小さいことを意味する。したがって、ウィックの厚さ(その最小寸法)は、最長寸法よりも小さいか、又はこれよりもかなり小さい。
【0094】
ウィックは、毛細管構造を形成するように、均質、粒状、繊維状、又は綿状の焼結金属(複数可)で作製され得る。ウィック要素は、ステンレス鋼の繊維などの金属繊維を含む不織焼結多孔質ウェブ構造である導電性材料から作製され得る。例えば、ステンレス鋼は、AISI(American Iron and Steel Institute)316L(欧州規格1.4404に対応)であり得る。材料の重量は、100~300g/m2の範囲であり得る。
【0095】
ウィックが一般に平面である場合、ウィックの厚さは、75~250μmの範囲であり得る。典型的な繊維の直径は、約12μmであり得、典型的な平均細孔サイズ(繊維間の空隙のサイズ)は、約32μmであり得る。このタイプの材料の例は、NV Bekaert SA,Belgiumによって製造されたBekipor(RTM)ST多孔質金属繊維媒体であり、ステンレス鋼繊維を焼結することによって作製された多孔質不織繊維マトリックス材料の範囲である。
【0096】
また、材料が平面として説明されており、このことは、シート材料及びウィックの相対的な寸法(厚さは、長さ及び/又は幅より何倍も小さい)を指すが、平坦性、特に、材料から作製された最終的なウィックの平坦性を必ずしも示すわけではないことにも留意されたい。ウィックは、平坦であってもよいが、代替的には、シート材料から、湾曲状、起伏状、波形、うね状などの非平坦形状に形成されても、管に形成されても、又はそうでなければ凹状及び/若しくは凸状にされてもよい。
【0097】
ウィック要素は、様々な特性を有し得る。ウィック要素は、ウィック要素を通してエアロゾル化可能な材料のための保管部(ここでウィックが保管接触部位のエアロゾル化可能な材料と交わる)から気化界面に原料液体を引き込むための必要なウィッキング又は毛細管効果を可能にするために、多孔質材料から形成されている。多孔性は、典型的には、エアロゾル化可能な材料全体にわたって複数の相互接続又は部分的に相互接続された細孔(穴又は隙間)によってもたらされ、エアロゾル化可能な材料の外側表面に向かって開いている。材料、細孔のサイズ、及び必要なウィッキング率に応じて、任意のレベルの多孔率が用いられ得る。例えば、30%~85%、例えば、40%~70%、50%~80%、35%~75%、又は40%~75%の多孔率が選択され得る。多孔率は、ウィック全体で均一であること又はそうでないことがあるため、多孔率は、ウィック要素全体の平均多孔率値であり得る。例えば、保管接触部位の細孔サイズは、ヒーターのより近くでの細孔サイズとは異なり得る。
【0098】
ウィックが物品においてそれ自体を支持するのに十分な剛性を有することが有用である。例えば、ウィックは、1つ又は2つの縁又はその近くに取り付けられることがあり、実質的に屈曲、曲がり又はたるみなしで、その位置を維持することが必要とされ得る。
【0099】
一例として、多孔質焼結セラミックは、ウィック要素としての使用に有用な材料である。適切な多孔率を有する任意のセラミックが使用され得る。多孔質セラミックを多孔質ウィック材料として選択する場合、この多孔質ウィック材料は、焼結(場合によって圧力をかけて、加熱して凝集させる)によって固体に形成することができる粉末として入手可能である。次いで、焼結によってセラミックが固化し、多孔質ウィックが生み出される。
【0100】
物品30は、使用者が気化器15によって生成されたエアロゾルを吸入することができる開口部を有するマウスピース35をさらに含む。吸入のためのエアロゾルは、エアロゾル流又は吸入可能な空気流として説明され得る。
【0101】
エアロゾル送達デバイス20は、eシガレット10に電力を供給するための電源(再充電可能な電池又はバッテリー14、本明細書では以下でバッテリーと呼ぶ)と、コントローラー(プリント回路基板(PCB))28、及び/又はeシガレット10を一般に制御するための他の電子機器とを含む。したがって、エアロゾル送達デバイスは、バッテリーセクション、又はコントロールユニット若しくはセクションであると考えることもできる。
【0102】
デバイスの操作の最中、コントローラーは、使用者がエアロゾルの生成の要求を開始したことを判定する。これは、エアロゾル生成器に電力を供給すべきであるという信号をコントローラーに送信するデバイスのボタンを介して行われ得る。或いは、気流経路内又は気流経路の近位に配置されたセンサーが、気流経路を通る気流を検出し、この検出をコントローラーに伝達することができる。センサーは、気流、エアロゾル生成のタイミングなどのある特定の使用特性を決定するために使用され得るため、センサーは、ボタンの存在に加えて存在することもある。
【0103】
例えば、使用において、ヒーター36が、空気圧センサー(図示せず)によって検出された圧力変化に応答し得る回路基板28によって制御されているとき、バッテリー14から電力を受容すると、ヒーター36は、ウィック37によって送達されたエアロゾル化可能な材料を気化してエアロゾルを生成し、次いで、このエアロゾル流は、マウスピース35の開口部を通して使用者によって吸入される。エアロゾルは、使用者がマウスピースで吸入すると、エアロゾル源をマウスピース開口部に接続する空気チャネル(
図1には図示せず)に沿って、エアロゾル源からマウスピース35に運ばれる。
【0104】
この特定の例では、デバイス20及び物品30は、
図1に示されるように、長手軸に平行な方向での分離によって互いに取り外し可能であるが、システム10が使用される際に、係合要素21,31(例えば、ねじ、磁気又はバヨネットフィッティング)を協働させることによって一緒に結合されて、デバイス20と物品30との間の機械的及び電気的接続を形成して、特にヒーター36をバッテリー14に接続する。バッテリーは、当業者に公知のように充電され得る。
【0105】
言及されているように、電子タバコの霧化部分(原料液体から蒸気を生成するように構成された部品)で利用され得る加熱要素などのエアロゾル生成構成要素のタイプは、電気伝導性(抵抗性)及び多孔性の両方であることによって、加熱及び液体送達の機能を組み合わせる。ここで、電気伝導性(抵抗性)であることへの言及は、内部に流れる電流に応答して熱を生成する能力を有する構成要素を指すことに留意されたい。そのような流れは、いわゆる抵抗加熱又は誘導加熱によって付与され得る。この流れのための好適な材料の例は、シート状の形状、すなわち、その長さ又は幅より何倍も小さな厚さを有する平面形状に形成された金属又は金属合金などの電気伝導性材料である。この点に関する例は、メッシュ、ウェブ、格子などであり得る。メッシュは、一緒に織られるか、又は代替的には凝集化されて不織布構造になる金属ワイヤ又は繊維から形成され得る。例えば、繊維は、金属繊維の集合体に熱及び/又は圧力を適用してこれらの集合体を単一の多孔質塊に圧縮する焼結によって凝集化され得る。
【0106】
これらの構造は、適切にサイズ決めされた空隙及び隙間を金属繊維間にもたらして、液体をウィッキングするための毛細管力を提供することができる。したがって、これらの構造は、液体の取り込み及び分配を実現するため、多孔質であると考えることもできる。さらに、空隙及び隙間が金属繊維間に存在することを理由に、空気が前記構造に浸透することが可能である。また、金属は、電気伝導性であり、したがって、抵抗加熱に好適であり、そのため、電気抵抗を有する材料を流れる電流は、熱を生成する。しかしながら、このタイプの構造は、金属に限定されておらず、他の伝導性材料は、繊維に形成し、メッシュ、格子、又はウェブ構造にすることができる。例としては、メッシュの物理的特性を調節することを意図した物質でドープされていてもそうでなくてもよいセラミック材料が挙げられる。
【0107】
この種の平面シート状の多孔質エアロゾル生成構成要素は、これが空気流チャネルの一部を形成するエアロゾル生成チャンバ内にあるように、電子タバコ内に配置され得る。エアロゾル生成構成要素は、チャンバを通る空気流が、表面方向に、すなわち、ほぼ平面のシート状のエアロゾル生成構成要素の面に実質的に平行に流れ得るように、チャンバ内で方向付けされ得る。そのような構成の例は、国際公開第2010/045670号及び国際公開第2010/045671号に見られ、その含有量は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。空気は、それから、加熱要素の上方を流れ、蒸気を収集する。それによって、エアロゾル生成は、非常に効果的になる。代替的な例では、エアロゾル生成構成要素は、チャンバを通る空気流が、表面方向を実質的に横切る方向に、すなわち、ほぼ平面のシート状のエアロゾル生成構成要素の面に実質的に直行して流れ得るように、チャンバ内で方向付けされ得る。そのような構成の例は、国際公開第2018/211252号に見られ、その含有量は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0108】
エアロゾル生成構成要素は、以下の構造:織布又は織物構造、メッシュ構造、ファブリック構造、開孔繊維構造(open-pored fiber structure)、開孔焼結構造(open-pored sintered structure)、開孔発泡体(open-pored foam)、又は開孔堆積構造(open-pored deposition structure)のうちのいずれか1つを有し得る。前記構造は特に、高度な多孔性を有するエアロゾル生成構成要素を提供するのに好適である。高度な多孔性は、エアロゾル生成構成要素によって生成された熱を主に液体の蒸発のために使用し、高い効率を得ることができることを確実にすることができる。50%超の多孔率が前記構造で想定され得る。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素の多孔率は、50%以上、60%以上、70%以上である。開孔繊維構造は、例えば、任意に圧縮可能であり、凝集を改善するためにさらに焼結可能である不織布ファブリックからなり得る。開孔焼結構造は、例えば、フィルムキャスティングプロセスによって製造された、粒状、繊維状、又は綿状の焼結複合体からなり得る。開孔堆積構造は、例えば、CVDプロセス、PVDプロセス、又は火炎噴霧によって製造され得る。開孔発泡体は、原則的に、市販されており、薄い微細孔設計で入手可能でもある。
【0109】
一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、少なくとも2つの層を有し、これらの層は、以下の構造:プレート、箔、紙、メッシュ、織布構造、ファブリック、開孔繊維構造、開孔焼結構造、開孔発泡体、又は開孔堆積構造のうちの少なくとも1つを含む。例えば、エアロゾル生成構成要素は、毛細管構造を含む構造と組み合わされた金属箔からなる電気加熱抵抗体によって形成され得る。エアロゾル生成構成要素が単一の層から形成されると考えられる場合、そのような層は、金属ワイヤファブリックから、又は不織布金属繊維ファブリックから形成され得る。個々の層は、有利には、焼結又は溶接などの熱処理によって互いに接続されるが、必ずしもそうなるわけではない。例えば、エアロゾル生成構成要素は、ステンレス鋼箔とステンレス鋼ワイヤファブリック(材料、例えば、AISI 304又はAISI 316)の1つ又は複数の層とからなる焼結複合体として設計され得る。或いは、エアロゾル生成構成要素は、ステンレス鋼ワイヤファブリックの少なくとも2つの層からなる焼結複合体として設計され得る。これらの層は、スポット溶接又は抵抗溶接によって互いに接続され得る。個々の層はまた、機械的に互いに接続され得る。例えば、二重層ワイヤファブリックは、単一の層を折るだけで製造することが可能であり得る。ステンレス鋼の代わりに、例えば、ステンレス鋼よりもさらに高い比電気抵抗を有する加熱導体合金、特に、NiCr合金及びCrFeAl合金(「Kanthal」)を使用することもできる。層間の材料接続は、熱処理によって得られ、その結果、これらの層は、悪条件下でさえ、例えば、エアロゾル生成構成要素による加熱及びその結果として誘発される熱膨張の最中でさえ、互いに接触を維持する。或いは、エアロゾル生成構成要素は、複数の個々の繊維を一緒に焼結することで形成され得る。したがって、エアロゾル生成構成要素は、焼結繊維、例えば焼結金属繊維から構成され得る。
【0110】
エアロゾル生成構成要素は、例えば、白金、ニッケル、モリブデン、タングステン、又はタンタルなどの電気抵抗性材料の電気伝導性薄層を含んでいてもよく、前記薄層は、PVD若しくはCVDプロセスによって、又はその他の好適なプロセスによって、気化器の表面に適用される。この場合、エアロゾル生成構成要素は、電気絶縁材料、例えばセラミックの電気絶縁材料を含み得る。好適な電気抵抗性材料の例としては、ステンレス鋼、例えば、AISI304又はAISI316、及び加熱導体合金、特に、NiCr合金及びCrFeAl合金(「Kanthal」)、例えば、DIN材料番号2,4658、2,4867、2,4869、2,4872、1,4843、1,4860、1,4725、1,4765、及び1,4767が挙げられる。
【0111】
先に記載されているように、エアロゾル生成構成要素は、焼結金属繊維材料から形成することができ、シートの形態であり得る。この種類の材料は、メッシュ又は不規則なグリッドであると考えることができ、離間された金属繊維又はストランドのランダムに整列された構成体又はアレイを焼結することによって生み出される。単一の繊維層、又はいくつかの層、例えば最大5つの層が使用され得る。一例として、金属繊維は、8~12μmの直径を有していてもよく、厚さ0.16mmのシートを与えるように配置されており、且つ100g/m2~1500g/m2、例えば、150g/m2~1000g/m2、200g/m2~500g/m2又は200~250g/m2の材料密度及び84%の多孔率をもたらすように間隔が空けられている。シート厚さはまた、0.1mm~0.2mm、例えば0.1mm~0.15mmの範囲であり得る。特定の厚さとしては、0.10mm、0.11mm、0.12mm、0.13mm、0.14mm、0.15mm、又は0.1mmが挙げられる。一般に、エアロゾル生成構成要素は、均一な厚さを有する。しかしながら、以下の検討から、エアロゾル生成構成要素の厚さも様々であり得ると理解されるであろう。これは、例えば、圧縮を受けたエアロゾル生成構成要素のいくつかの部分を理由とし得る。異なる繊維直径及び厚さは、エアロゾル生成構成要素の多孔率を変化させるように選択され得る。例えば、エアロゾル生成構成要素は、66%以上、又は70%以上、又は75%以上、又は80%以上、又は85%以上、又は86%以上の多孔率を有し得る。
【0112】
エアロゾル生成構成要素は、第1及び第2の表面を含むほぼ平坦な構造を形成し得る。ほぼ平坦な構造は、任意の二次元形状の形態、例えば、円形、半円形、三角形、正方形、長方形、及び/又は多角形をとり得る。一般に、エアロゾル生成構成要素は、均一な厚さを有する。
【0113】
エアロゾル生成構成要素の幅及び/又は長さは、約1mm~約50mmであり得る。例えば、気化器の幅及び/又は長さは、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mmからであり得る。幅は、一般に、エアロゾル生成構成要素の長さより小さくてもよい。
【0114】
エアロゾル生成構成要素が電気抵抗性材料から形成されている場合、電流がエアロゾル生成構成要素を流れて熱を発生することができる(いわゆるジュール加熱)。この点に関して、エアロゾル生成構成要素の電気抵抗は、適切に選択され得る。例えば、エアロゾル生成構成要素は、2オーム以下、例えば1.8オーム以下、例えば1.7オーム以下、例えば1.6オーム以下、例えば1.5オーム以下、例えば1.4オーム以下、例えば1.3オーム以下、例えば1.2オーム以下、例えば1.1オーム以下、例えば1.0オーム以下、例えば0.9オーム以下、例えば0.8オーム以下、例えば0.7オーム以下、例えば0.6オーム以下、例えば0.5オーム以下の電気抵抗を有し得る。材料、厚さ、幅、長さ、多孔率などのエアロゾル生成構成要素のパラメータは、所望の抵抗を提供するように選択され得る。この点に関して、比較的低い抵抗は、電源からより高い電力取り出しを促進し、このことは、高速のエアロゾル化をもたらすのに有利であり得る。他方で、抵抗は、エアロゾル生成器の完全性を損なうほど低くするべきではない。例えば、抵抗は、0.5オーム未満であってはならない。
【0115】
本明細書に開示されているシステム、デバイス、及び物品における使用に好適な加熱要素などの平面エアロゾル生成構成要素は、多孔質材料のより大きなシートから必要な形状を打ち抜き又は切断(レーザー切断など)することによって形成され得る。これは、エアロゾル生成構成要素に開口部を生み出すために材料を打ち抜くこと、切断すること、又は他の手法で除去することを含み得る。これらの開口部は、空気がエアロゾル生成構成要素を通過する能力及び電流がある特定の領域を流れる傾向の両方に影響し得る。
【0116】
先に記載されているように、一態様では、本発明は、電力供給されるエアロゾル生成デバイスとエアロゾル化可能な材料とを備える送達システムであって、エアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種のカルボキシル化活性物を含み、システムが、カルボキシル化活性物の選択的脱カルボキシル化をもたらすように構成されている、送達システムに関する。特に、エアロゾル生成デバイスは、電気的電源などの電源と、コントローラーと、エアロゾル化可能な材料をエアロゾル化(加熱)して吸入可能なエアロゾルを形成するように構成された少なくとも1つのエアロゾル生成器(ヒーターなど)とを備え、コントローラーは、1つより多くの電力レベルでエアロゾル生成器(ヒーター)への電力の送達を促進するように構成されている。
【0117】
より詳細には、物品30は、第1のリザーバ38内に配置されたエアロゾル化可能な材料を収容している。エアロゾル化可能な材料は、カンナビノイドなどの少なくとも1種の活性物を、CBDAなどのカルボキシル化形態で含有している。デバイスの作動後に、ボタン又はパフセンサー(図示せず)のいずれかによって、エアロゾルが形成されるように電力がヒーター36に送達されるであろう。使用者によってそうするように制御される場合、コントローラー28は、「増大した」電力プロファイルで電力をヒーター36に送達する。この増大した電力レベルによって、エアロゾル化可能な材料に存在するCBDAは、気化されながら、インサイチュで次第に脱カルボキシル化されていく。したがって、得られたエアロゾルは、CBDAから誘導された脱カルボキシル化CBD、及び加熱プロセスの最中にエアロゾル化されたその他のカンナビノイドを含有している(エアロゾル化可能な材料にすでに存在する脱カルボキシル化カンナビノイドなど)。
【0118】
ここで、
図2及び2Aを参照すると、本明細書に記載されているエアロゾル送達システムを通る空気流チャネルの一部の概略図が記載されている。特に、
図2及び2Aは、第1のエアロゾル化可能な材料及び第2のエアロゾル化可能な材料がシステム内において異なる箇所で保管されている本発明の別の実施形態を参照しており、ヒーター136は、空気流チャネル100に配置されて示されている。ヒーター136には、(例えば、ウィック(図示せず)を介して)本明細書に記載されている手法で第1のエアロゾル化可能な材料が供給される。使用の最中に、電力がデバイスの電源からヒーター136に送達され、そのため、エアロゾルが第1のエアロゾル化可能な材料から形成される。この第1のエアロゾルは、これが基板200(綿、酢酸セルロース、又はいくつかの他の多孔質材料などの毛細管材料から形成され得る)に衝突するまで、チャネル100内を下流に移動する。基板200には、カルボキシル化形態(X-A-であり、Xは活性物に関連し、Aは活性物のカルボキシル基に関連する)の少なくとも1種の活性物(カンナビノイドなど)を含む第2のエアロゾル化可能な材料が装入される。基板200は、完全に空気流チャネル100に広がっているが、その多孔質の性質を理由に、第1のエアロゾルは、基板20を通過することができ、そのため、第1のエアロゾルからの熱は、X-Aの脱カルボキシル化を促進して、活性物、例えばカンナビノイド(
図2ではXとして示されている)の脱カルボキシル化形態を含む第2のエアロゾルを形成する。基板200は、ヒーター136から距離Dで配置されている。エアロゾルが基板に衝突するときのエアロゾルの衝撃温度を変化させるようにこの距離Dを変化させることが可能である。この変形は、使用者によって所望される空気流チャネル内の様々な箇所に位置し得る除去可能なセグメント210(
図2Aに図示)に基板200を用いることによって達成され得る。除去可能なセグメント210は、典型的には、基板200が一般に配置されている下流端205と、使用者のためのマウスピースを形成する上流端206とを含むであろう。基板200は、基板200を時折交換することを容易にするために、除去可能なセグメント210内で交換可能であり得る。除去可能なセグメント210は、チャネル100に挿入される際に締まりばめを容易にするために、多少先細っていてもよい。
【0119】
図3は、基板200が完全には空気流チャネル100に広がっていない別の実施形態を参照している。この構成体は、第1のエアロゾルがすべてのセグメントを通過するが、セグメントの一部のみが基板200を含むように、除去可能なセグメント210の下流端205内にセグメント化された領域を設けることによって達成され得る。そのようなアプローチは、第1のエアロゾルと基板との間の相互作用を本質的に希薄化し、カンナビノイドなどの脱カルボキシル化活性物のレベルが比較的低減された第2のエアロゾルをもたらす。
【0120】
図4は、第1のエアロゾル化可能な材料及び第2のエアロゾル化可能な材料がシステム内において異なる箇所で保管されている本発明の別の実施形態を参照している。特に、第1のリザーバ310及び第2のリザーバ320が配置されているエアロゾル供給システムの一部が概略的に示されている。第1のリザーバ310は、第1のエアロゾル化可能な材料A1を収容しており、第2のリザーバ320は、第2のエアロゾル化可能な材料A2を収容している。第1及び第2のリザーバは、流体接続している。この特定の例では、膜330が2つのリザーバを分離しているが、2つのリザーバ間の流体移送のためのポンプ又は他の手段が設けられていることもある。第2のリザーバ320は、1つ又は複数のヒーター336、337を収容し得る。ヒーター336は、内部に設けられている。ヒーター337は、外部に設けられている。両方が設けられ得る。各ヒーターは、デバイスの電源(図示せず)に接続されており、本明細書に記載されているように制御される。簡潔に言うと、使用者によってそうするように制御される場合、ヒーター336及び/又はヒーター337に、電源から電力が供給され、そのため、これらのヒーターは、本明細書に記載されているように、エアロゾル化可能な材料A2を高温に加熱する。追加のヒーターも設けられ得ると理解されるべきである。高温を理由に、エアロゾル化可能な材料A2内のカルボキシル化カンナビノイドが脱カルボキシル化されるであろう。経時的に、エアロゾル化可能な材料A2は、脱カルボキシル化活性物(脱カルボキシル化カンナビノイドなど)で次第に濃縮され、したがって、この脱カルボキシル化カンナビノイドは、エアロゾル生成器(例えば、ヒーター(図示せず))によるエアロゾル化のために第1のリザーバに供給されて、吸入可能なエアロゾルにされ得る。各リザーバに存在するカンナビノイドは、同じであっても、又は異なっていてもよく(そのカルボキシル化状態から独立している)、本明細書に記載されているカンナビノイドのうちのいずれかであり得る。例えば、第1のリザーバに存在するカンナビノイドはCBDであり得、第2のリザーバに存在するカンナビノイドはCBDAであり得る。或いは、第1のリザーバに存在するカンナビノイドはTHCであり得、第2のリザーバに存在するカンナビノイドはCBDAであり得る。
【実施例】
【0121】
例1
ベイピングの最中のeエアロゾルにおけるCBDAからCBDへの脱カルボキシル化を調べる調査を行った。4.5%のCBDAを含有するeリキッドサンプルを製剤化した。
【0122】
次いで、エアロゾルを、「ePod」(https://www.vuse.com/gb/en/e-cigarette-devices/epod-devicesで入手可能)を使用して、このeリキッドから生成した。
【0123】
eリキッド及びeエアロゾルについてのCBD測定を、ベイピングの前後のCBDレベルの変化を測定するために実施した。エアロゾル化の前後のCBDの測定を、紫外線ダイオードアレイ検出器と組み合わせた液体クロマトグラフィーに基づく定量的方法を使用して行った。
【0124】
材料及び装置
表1は、カンナビノイド標準を含む、使用される材料及び装置の一意的識別子を示す:
【0125】
【0126】
eリキッドの調製
10.4gの4.5% CBDA eリキッドを調製した(プロピレングリコール、7.0250g;グリセロール、2.9468g;CBDA、0.4659g)。eリキッドを、光を遮断するためにスズ箔で覆われたシンチレーションバイアルに保管した。次いで、eリキッドを、ボルテックス混合し、涼しい乾燥した環境で一晩かけて保管し、eリキッドは、均質化してエアロゾル化の準備をすることができた。
【0127】
エアロゾル分析
初期サンプルを調製した翌日に、製剤化されたeリキッドのサンプリングが開始した。eリキッドを3つのePodカトマイザー(それぞれ1.2mL)間で分割した。充填後に、カトマイザーを、光を避けて保管しながら1時間静置した。エアロゾル生成を、Borgwaldt 20ポートパフィングエンジンLM20eで実行した。完全に充電されたデバイス及びそれらの各々のカトマイザー(事前に計量)をケンブリッジフィルターパッド(CFP)(事前に計量)を収容するパッドホルダーに15度のデバイス角度で接続した。
【0128】
エアロゾル生成には、CRM81パフィング方式(30秒のパフ間隔で55mLの3秒間のパフ持続時間)を利用した。それぞれ20パフからなる4パフブロックを実施した。これらのパフブロックはそれぞれ、同じパッドに集めた。ACM生成の軌道を推定するために、デバイスの質量損失(DML)を各パフブロック間で測定した。80回連続でパフするのではなく、約4分の間隔をパフブロック間に置いて、より代表的なベイピングサンプルを試作及び生成した。
【0129】
最後に、すべてのパフブロックの完成後に、デバイス及びパッドホルダーを計量して、表2に示されるエアロゾル回収質量(ACM)及びデバイス質量損失(DML)を計算した。パフブロックの間では、パッドホルダーは計量せず、デバイスのみを計量したことに留意されたい。
【0130】
【0131】
エアロゾルの生成及び回収後に、CFPをパッドホルダーから除去し、半分に折り、デバイスに面していない側のパッドホルダーを使用して、パッドホルダーの内側を拭いた。次いで、これらを三角フラスコに移送し、20mLのメタノールを各フラスコに添加した。これを行って、脱カルボキシル化が100%であると仮定して約1mg/mLのCBD濃度を目指した。フラスコを箔で覆って、光を遮断し、45分間150rpmで振とうした。
【0132】
振とう後に、溶液の抽出物をシリンジ濾過(Merck Miilipore Milex-GV PVDF0.22μmフィルター)してLCバイアルに入れた。1mg/mLの目標をACMの抽出溶液希釈で達したため、さらなる希釈は必要なかった。溶液を、クリンプし(crimped)、5秒間ボルテックス混合し、それから、機器に装入した。HPLC-UVDAD注入のためのサンプルをバイアルに入れる間、パッド抽出物への光の曝露を低減するためにあらゆる努力をした。可能なすべての点においてフラスコに箔を巻いた。
【0133】
Eリキッド分析
CBDA製剤の3つの複製を生成した。三重で、220μLのeリキッドを体積的に分注し、計量した。次いで、eリキッドを、10mLのメタノールで希釈し、穏やかに反転させることで完全に混合し、続いて、ボルテックスミキサーで5秒間混合した。次いで、サンプルをシリンジ濾過(Merck Miilipore Milex-GV PVDF0.22μmフィルター)してLCバイアルに入れ、クリンプし、さらに、5秒間ボルテックス混合した。次いで、これらのサンプルを同日に注入するために機器に装入した。
【0134】
この方法の精度を実証するために、表3に示されているように、希釈したeリキッドの1つの複製及び希釈したエアロゾルの1つの複製を、既知の濃度のCBDを添加することによって強化した。
【0135】
【0136】
HPPL-UVDAD分析
すべての校正標準、校正チェック標準、ブランク、試験サンプル、及び強化サンプルを、オートサンプラー、カラムオーブン、及びダイオードアレイ検出器(DAD)によるUV分析、及び1260バイナリポンプを有するAgilent 1260液体クロマトグラフを使用して、HPLC-UVDADによって分析した。
【0137】
1つの個別のシーケンスを実行した。実行を開始する前に、新たに調製した移動相を使用して、LCラインをフラッシュした。ラインをフラッシュした後に、移動相をカラムに通して転換させた。これを、注入が開始する前に、放置して1時間パージした。Agilent OpenLab CDS ChemStation Editionを使用して、シーケンス及びデータ処理を実行した。すべてのクロマトグラムを、保持時間、ピーク形状について見直し、ソフトウェアによって好適なピーク積分を確認した。
【0138】
結果
0.05~2mg/mLのCBDの範囲にわたる6つの校正標準をシーケンスの一部として注入した(表4に示されている)。
【0139】
【0140】
この校正曲線の精度を、校正チェック標準及び強化サンプルの注入によって、実行全体で監視した。校正曲線は、実行全体で良好な精度を実証した(表5を参照)。さらに、良好な精度が強化eエアロゾルで観察される。
【0141】
【0142】
強化されていないeリキッドの本来のCBD量がLOQ(定量限界)未満であったため、強化eリキッドについて、定量的結果の生成は可能ではなかった。
【0143】
eリキッドのCBDの測定レベル(mg/g)は、表6.1に示されている。
【0144】
【表6】
エアロゾル複製のCBDの測定レベルは、表6.2に示されている(eリキッド1グラムあたりのmg CBD)。
【0145】
【0146】
表6.1に提示されている結果は、エアロゾル化前のCBDのレベルがLOQ未満であることを示す。したがって、エアロゾルにおいて見られたCBDは、エアロゾル化プロセスによるものであるはずである。脱カルボキシル化のパーセンテージを推定するためには、以下の計算が必要である。最初に、eリキッドのCBDAの濃度は、eリキッドを実験室で製剤化したことから、公知である。この濃度を使用して、脱カルボキシル化が100%であると仮定してCBDの濃度を計算した。これらの化合物(CBDA及びCBD)の比が必要であった。これは、化合物の分子量が異なることを理由とする。
【0147】
式1 CBDAからのCBDの比=(314.469gmol-1÷358.478gmol-1)=0.877
【0148】
この比及び初期CBDA濃度を使用して、CBDの予想濃度を計算した(脱カルボキシル化が100%であると仮定)。この予想濃度は、製剤化に使用されるCBDAの純度が100%であり、製剤化とeエアロゾル回収との間にeリキッドのCBDAの化学的又は物理的損失がないとも仮定している。
【0149】
【数1】
最後に、表6.2からの値を39.5mg/gで割って、表7に示されている値を与えた。
【0150】
決定された脱カルボキシル化は、表7に示されている。
【0151】
【0152】
これらの結果は、CBDA eリキッドのCBDの初期レベルが定量限界未満であることを示す。エアロゾル化後に、定量可能なCBDレベルが提示される。したがって、CBDAをCBDにする脱カルボキシル化が、試験されたベイピングシステムに存在する。
【0153】
例2
変換プロセスに対する様々な使用条件の影響を調べるために、さらなる試験を行った。
【0154】
この例に使用したeリキッドは、5.61%w/wのCBDAを含有していた(製剤の残りは、70%w/wのプロピレングリコール及び24.39%w/wのグリセロールを含む)。
【0155】
調査デバイスは、市販のeシガレットデバイス(Kanger EVODクリアロマイザー+MT32合成シリカウィック1.8Ωコイルを有するKangertech Evod可変電圧(VV)1300mah)である。
【0156】
このデバイスをボタン操作し、電圧/電力を、デバイスのベースを回転させることによって変化させる。このデバイスは、電力及びパフ持続時間の両方を従来のベイピング挙動の境界内で変化させることができるため、使用した。すべてのタンクは、最大液体レベルの50%の体積の最小で維持され、実験間で一貫性がある。デバイスを通る空気流は固定されていた。
【0157】
電力変動:
5W
8W
12W
パフィング変動:
低-55mLのパフ体積、3秒のパフ持続時間
中-55mLのパフ体積、4秒のパフ持続時間
高-55mLのパフ体積、5秒のパフ持続時間
【0158】
CBDA、CBDの分析は、LC-DAD-MSアプローチを用いた(オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)によるUV分析、クォータナリポンプ(600bar)を有するAgilent 1260液体クロマトグラフ;エレクトロスプレーイオン源が備えられたVarian/Agilent MS500イオントラップ)。使用した固定相は、1.7ミクロンの粒径を有するAgilent SB C18 4,6×100であった。
【0159】
参照化合物は、Sigma Aldrichから得た。サンプルを初期濃度に基づいて1:1のアセトン/エタノール混合物で希釈し、約100マイクログラム/mLの最終CBD/CBDA濃度に達した。
【0160】
カンナビノイドを検出するために、DAD検出器を280nmに設定し、スペクトルを200~400nmの範囲で集める。質量スペクトルを(中性カンナビノイドの分析のために)正イオンモードで、(酸性形態の分析のために)負イオンモードで取得した。500~5ug/mLの範囲で面積(280nm)対濃度(ug/mL)をプロットして校正曲線を得た。280nmでのDADによる検出限界は、0.5マイクログラム/mLである。質量分析を、検出された化合物の構造の確認として、且つより少量の微量化合物を分析するために使用した。校正曲線をイオン種(中性形態の場合は[M+H]+、酸性形態の場合は[M-H]-)対濃度の質量分析プロット領域でも得た。
【0161】
CBDA及びCBD(製品コード=PHL85705 https://www.sigmaaldrich.com/GB/en/product/supelco/phl85705)の定量化、並びにCBDA(製品コード=39961 https://www.sigmaaldrich.com/GB/en/product/sial/39961)に使用した参照標準。
【0162】
電力及びパフィングの変動の評価の結果は、表8に示されている:
【0163】
【0164】
電力を増加させることによってエアロゾルのCBDの量が増えることは明らかである。特に、エアロゾルのCBDの相対パーセンテージ(CBDAと比較)は、一般に、電力設定が高くなるほど高い。さらに、パフがより長いことによって、一般に、エアロゾルのCBDの相対パーセンテージ(CBDAと比較)の増加ももたらされる。
【0165】
例3
さらなる例を、例2と同じ手法で、ただし、水(CBDA 5.61%w/w、プロピレングリコール70%w/w、グリセロール21.39%w/w、水3%w/w)も含有する製剤を使用して行った。この例の結果は、表9に示されている。
【0166】
観察され得るように、より低い電力では、水を製剤に添加することによって、水が存在しない製剤よりもCBDの相対パーセンテージ(CBDAと比較)の増加がもたらされた。したがって、水を含む製剤を使用することによって、より低い電力でエアロゾルのCBDパーセンテージをより高くすることが可能になる。
【0167】
【0168】
本明細書に記載されている様々な実施形態は、特許請求されている特徴の理解及び教示を補助するためにのみ提示されている。これらの実施形態は、実施形態の代表サンプルとしてのみ提供されるのであって、網羅的及び/又は排他的なものではない。本明細書に記載されている利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様が、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲に対する限定又は特許請求の範囲の等価物に対する限定であると考えられるべきではないこと、並びに他の実施形態を利用することができ、特許請求されている本発明の範囲から逸脱することなく修正を行うことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載されているもの以外の、開示されている要素、成分、特徴、部分、ステップ、手段などの適切な組合せを含むか、これらからなるか、又は本質的にこれらからなることが好適であり得る。さらに、この開示は、ここでは特許請求されていないが将来的に特許請求され得る他の発明を含み得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給されるエアロゾル生成デバイスとエアロゾル化可能な材料とを備える送達システムであって、前記電力供給されるエアロゾル生成デバイスが、電源及びコントローラーを備え、前記システムが、第1のエアロゾル化可能な材料及び第2のエアロゾル化可能な材料を含み、前記第2のエアロゾル化可能な材料が、少なくとも1種のカルボキシル化活性物を含み、前記第1のエアロゾル化可能な材料とは個別に前記システムに保管されている、送達システム。
【請求項2】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、前記第1のエアロゾル化可能な材料が配置されている第1のリザーバとは個別の第2のリザーバに保管されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
1つ又は複数のヒーターが、前記第2のリザーバの前記第2のエアロゾル化可能な材料を加熱するように構成されている、請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記1つ又は複数のヒーターが、前記第2のエアロゾル化可能な材料と接触している1つ若しくは複数の内部ヒーター及び/又は前記第2のエアロゾル化可能な材料と接触していない1つ若しくは複数の外部ヒーターから選択される、請求項3に記載の送達システム。
【請求項5】
前記1つ又は複数のヒーターが、前記第2のエアロゾル化可能な材料を、周囲超の、ただし、前記第2のエアロゾル化可能な材料の有意な気化が起こり得る温度未満の温度に加熱するように構成されている、請求項
3に記載の送達システム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のヒーターが、前記第2のエアロゾル化可能な材料を、周囲超の、ただし、前記第2のエアロゾル化可能な材料の有意な気化が起こり得る温度未満の温度に加熱するように構成されている、請求項4に記載の送達システム。
【請求項7】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が加熱される前記温度が、50℃~150℃である、請求項
6に記載の送達システム。
【請求項8】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、ある持続期間にわたって加熱される、請求項
7に記載の送達システム。
【請求項9】
前記第1及び第2のリザーバが流体接続している、請求項2~
8のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項10】
使用者が、前記第1のリザーバへの前記第2のエアロゾル化可能な材料の移送が起こる程度を制御することができる、請求項
9に記載の送達システム。
【請求項11】
ポンプが、前記使用者によってそうするように制御される場合、特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料の移送を制御する、請求項
10に記載の送達システム。
【請求項12】
ボタン、スイッチ、タッチパッドなどが、前記第1のリザーバへの前記第2のエアロゾル化可能な材料の移送を制御するために使用される、請求
項10に記載の送達システム。
【請求項13】
前記コントローラーが、特定のスケジュールに従って、前記第1のリザーバへの特定の量の第2のエアロゾル化可能な材料の移送を開始するように構成されている、請求
項10に記載の送達システム。
【請求項14】
前記システムが、前記第1のエアロゾル化可能な材料をエアロゾルに変換するように構成された、ヒーターなどのエアロゾル生成器を備える、請求項1~
8のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項15】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、前記システム内に配置された基板に配置されており、そのため、使用時に前記第1のエアロゾル化可能な材料からのエアロゾルが前記基板に接触している、請求項1
4に記載の送達システム。
【請求項16】
前記基板が多孔質基板である、請求項1
5に記載の送達システム。
【請求項17】
前記少なくとも1種のカルボキシル化活性物が、カンナビジオール酸(CBDA)などの、カンナビノイドである、請求項1~
8のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項18】
前記第2のエアロゾル化可能な材料が、カンナビノイドなどの1種又は複数種のさらなる活性物を含み、前記1種又は複数種のさらなる活性物が、前記エアロゾル化可能な材料にあるとき、脱カルボキシル化形態である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項19】
前記脱カルボキシル化形態の前記1種又は複数種のさらなる活性物がカンナビジオール(CBD)である、請求項1
8に記載の送達システム。
【請求項20】
前記カルボキシル化形態で存在する少なくとも1種の活性物の、前記脱カルボキシル化形態の1種又は複数種のさらなる活性物に対する比が、99:1~1:99である、請求
項18に記載の送達システム。
【請求項21】
前記第1のエアロゾル化可能な材料が、前記第1のエアロゾル化可能な材料にあるときに脱カルボキシル化形態の前記1種又は複数種の活性物を含む、請求項1
8に記載の送達システム。
【請求項22】
前記エアロゾル化可能な材料が、担体構成成分及び任意選択で1種又は複数種の香料をさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項23】
前記担体構成成分が、1種又は複数種のプロピレングリコール及びグリセロールを含む、請求項2
2に記載の送達システム。
【国際調査報告】