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特表2024-528848超音波センサ用のデカップリング要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】超音波センサ用のデカップリング要素
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20240725BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20240725BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20240725BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20240725BHJP
【FI】
H04R1/00 332
B60R19/48 B
H04R1/00 331
G01S7/521 B
G01S15/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503615
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022069531
(87)【国際公開番号】W WO2023001648
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118641.2
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、アイデル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、トリーブル
(72)【発明者】
【氏名】パウル、ボウ-サレハ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、ベライツェ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ハーク
【テーマコード(参考)】
5D019
5J083
【Fターム(参考)】
5D019AA14
5D019AA16
5D019AA26
5D019FF01
5D019GG09
5J083AA02
5J083AB13
5J083AF09
5J083AF10
5J083BA01
5J083CA32
5J083CA36
(57)【要約】
本発明は、切欠(7)を有する車両(5)用の二次元部品(6)に取り付けられ得る超音波センサ(1)であって、前記切欠(7)に導入され得る円筒状超音波送受信要素(3)を有する超音波センサ(1)用のデカップリング要素(8)を提供する。デカップリング要素(8)は、前記超音波センサ(1)の前記円筒状超音波送受信要素(3)を包囲するための中空円筒状要素(15)と、前記中空円筒状要素(15)の径方向において外側に配置されるとともに前記中空円筒状要素(15)の前記周方向において互いに間隔を空けて配置される複数の支持リブ(13)であって、前記円筒状超音波送受信要素(3)の軸方向端部分が前記円筒状超音波送受信要素(3)を包囲する中空円筒状要素(15)とともに前記切欠(7)に導入された際に、前記デカップリング要素(8)を前記二次元部品(6)の領域において前記切欠(7)の外側で支持するための支持リブ(13)と、を有する。各支持リブ(13)は、前記デカップリング要素(8)の軸方向断面で見た場合、前記軸方向において前記中空円筒状要素(15)の他方の軸方向端部に向けて開放するアーチ状に成形される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(5)用の平坦部品(6)であって切欠(7)を有する平坦部品(6)に取り付けられ得る超音波センサ(1)であって、前記切欠(7)に導入され得る円筒状超音波送受信要素(3)を有する超音波センサ(1)用のデカップリング要素(8)であって、
前記超音波センサ(1)の前記円筒状超音波送受信要素(3)を包囲するための中空円筒状要素(15)と、
前記中空円筒状要素(15)の前記径方向(r)において外側に配置されるとともに前記中空円筒状要素(15)の周方向において互いに間隔を空けて配置される複数の支持リブ(13)であって、前記円筒状超音波送受信要素(3)がこれを包囲する中空円筒状要素(15)とともに軸方向端部における端部分により前記切欠(7)に導入された際に、前記デカップリング要素(8)を前記平坦部品(6)の領域において前記切欠(7)の外側で支持するための支持リブ(13)と、を有し、
前記デカップリング要素(8)の軸方向断面において、それぞれの支持リブ(13)は、前記軸方向(a)において前記中空円筒状要素(15)の他方の軸方向端部に向けて開放するアーチ形状を有する、
デカップリング要素(8)。
【請求項2】
前記アーチ形状は、前記径方向(r)において内方に傾斜する、
請求項1に記載のデカップリング要素。
【請求項3】
前記アーチ形状の2つの縁部(16、17)の各々が、前記アーチ形状の前記開放側における前記縁部(16、17)間の内側距離(s)の少なくとも2倍長い、
請求項1または2に記載のデカップリング要素。
【請求項4】
前記軸方向(a)において前記アーチ形状の前記開放側の、前記アーチ形状の径方向内側縁部(16)の前記軸方向(a)における一端部は、前記中空円筒状要素(15)の前記他方の軸方向端部と面一であるとともに、前記中空円筒状要素(15)に接続する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデカップリング要素。
【請求項5】
当該支持リブ(13)のうちの1つは、前記中空円筒状要素(15)の前記周方向において、30°~60°の角度範囲、好適には40°~50°の角度範囲、特に好適には50°の角度範囲に亘って延びる、
請求項1~4のいずれか一項に記載のデカップリング要素。
【請求項6】
前記デカップリング要素(8)は、一体的に形成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載のデカップリング要素。
【請求項7】
少なくとも前記支持リブ(13)は、20~60ショアA、好適には30~50ショアA、特に好適には40ショアAの硬度を有する材料から形成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のデカップリング要素。
【請求項8】
前記デカップリング要素(8)は、可撓性材料、好適にはポリマー、特に好適にはシリコーンから形成される、
請求項1~7のいずれか一項に記載のデカップリング要素。
【請求項9】
円筒状超音波送受信要素(3)と請求項1~8のいずれか一項に記載のデカップリング要素(8)とを有する超音波センサ(1)において、
前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)は、前記円筒状超音波送受信要素(3)を包囲する、
超音波センサ(1)。
【請求項10】
車両(50)用の平坦部品(6)であって切欠(7)を有する平坦部品(6)と、前記平坦部品(6)に取り付けられる請求項9に記載の超音波センサ(1)と、を含む構成体(10)において、
前記円筒状超音波送受信要素(3)は、これを包囲する前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)とともに、一方の前記軸方向端部における前記端部分により前記切欠(7)に導入され、
前記デカップリング要素(8)は、前記平坦部品(6)の内側面の領域において前記切欠(7)の外側で支持される、
構成体(10)。
【請求項11】
前記円筒状超音波送受信要素(3)およびこれを包囲する前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)の軸方向端部は、前記平坦部品(6)の外側面と面一である、
請求項10に記載の構成体。
【請求項12】
前記平坦部品(6)は前記車両(50)の外周面であり、前記平坦部品(6)の前記外側面は車両外側面であり、前記平坦部品(6)の前記内側面は車両内側面である、または、
前記平坦部品(6)は前記車両(50)の内装トリムパネルであり、前記平坦部品(6)の前記外側面は車両内側面であり、前記平坦部品(6)の前記内側面は車両外側面である、
請求項10または11に記載の構成体。
【請求項13】
前記超音波センサ(1)は、所定の接触圧力の下で、前記デカップリング要素(8)とともに前記平坦部品(6)の前記切欠(7)に押し込まれる、
請求項10~12のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項14】
前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)は、前記円筒状超音波送受信要素(3)にアンダーサイズで取り付けられる、
請求項10~13のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項15】
請求項10~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの構成体を有する自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の平坦部品であって切欠を有する平坦部品に取り付けられ得る超音波センサ用のデカップリング要素に関する。本発明は、デカップリング要素を有する超音波センサ、超音波センサおよび平坦部品を有する構成体、およびこのような構成体を有する自動車にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、送信超音波パルスおよび受信エコー超音波パルスを使用して車両の周囲環境に関する情報を記録するとともに、車両の周囲環境に関する情報を駐車支援システム、ドライバー支援システム等に送信するために、車両において使用されている。
【0003】
図2は、平坦部品6に取り付けられた、超音波センサ1を有する既知の構成体100を示す。超音波センサ1は、センサハウジング2と、これから突出する膜ポット3であって、超音波パルスを車両(図1の50)の周囲環境9に対して送受信するために使用される膜5を支持する円筒状壁4を有する膜ポット3と、を有している。膜ポット3は、軸方向端部分(軸Aに沿った端部における部分)により、車両(図1の50)のバンパー等の平坦部品6の切欠7に導入される。
【0004】
振動が車体から平坦部品6を介して膜ポット3の膜5に伝達されないように、既知の中空円筒状デカップリングリング108が設けられている。デカップリングリング108は、膜ポット3の円筒状壁4を包囲するとともに、これとともに切欠7に導入される。振動デカップリングの他に、デカップリングリング108は、膜ポット3を湿気や水の侵入から保護する機能も有している。
【0005】
超音波センサ101は、平坦部品6に所定の接触圧力で押し付けられることで切欠7に押し込まれている。デカップリングリング108の外面は円錐状であるため、デカップリングリング108と平坦部品6の縁部とが接触する箇所11では、デカップリングリング108に保持力が作用する。保持力は、径方向成分と軸方向成分とを有している。径方向成分は、径方向rにおいて内方に作用して、切欠7内で膜ポット3をデカップリングリング108に対して固定する。軸方向成分は、デカップリングリング108を軸方向においてセンサハウジング2に対して押し付ける。しかしながら、保持力の軸方向成分は小さい、特に径方向成分よりも顕著に小さい。また、製造に関連した切欠7の所望の形状からの逸脱において、周方向に沿ったいくつかの箇所11において、デカップリングリング108と平坦部品6との接触がない場合があり、保持力が発揮され得ない。
【0006】
図2の構成体100の場合、例えば車両を高圧洗浄機で清掃するとき、水がデカップリングリング108と膜ポット3との間、および/またはデカップリングリング108と平坦部品6との間に侵入し得ることが認識されている。軸方向に作用する保持力成分は小さいため、ここで発生する圧力は、デカップリングリング108を軸方向において外方に、車両(図1の50)の周囲環境9の方向に押し出す傾向がある。このため、デカップリング要素8とセンサハウジング2との間に生じた隙間、特に脚部点12に水が溜まって氷結することがある。このようなアイスブリッジは、超音波センサ1の膜ポット3の機能に悪影響を及ぼし得る。また、デカップリングリング108が平坦部品6の外面を超えて突出している場合、デカップリングリング108は容易に破損し得る、または開口から抜け出し得る。
【0007】
したがって、EP 2 616 836 B1は、図3に概略的に示す構成体を提案している。デカップリング要素208は、切欠よりも径方向において外方に配置された複数のスペーサ要素213を有している。デカップリング要素208のスペーサ要素213の上側面214は、平坦部品6に対する支持プラットホームを形成している。このようにして、平坦部品6は、軸方向において大きな力成分を有する保持力を発揮し得る。この保持力は、切欠7の真円度等を理由としてデカップリング要素208の中空円筒状部分215と平坦部品6とが密接していない場合であっても、デカップリング要素208をセンサハウジング2に押し付ける。したがって、原理的には、デカップリング要素208が図3で軸方向において上方に押されて、水が溜まりアイスブリッジが形成され得るような隙間が脚部点12に生じることが回避され得る。
【0008】
しかしながら、EP 2 616 836 B1の教示において、スペーサ要素213の軸方向寸法、平坦部品6の軸方向における厚さ、およびセンサハウジング2の装着位置を、比較的正確に互いに対して調整する必要がある。ところが、平坦部品の厚さ6は、異なる車種の車両間で、また同一車種の車両でも異なる位置間で異なり得る。同時に、周囲環境9に面する膜5と平坦部品6とは、常に面一であることが望ましい。同一タイプのデカップリング要素208を厚さの異なる平坦部品6に使用し、膜5と平坦部品6の外面とが面一になるように常に圧入を実施する場合、軸方向においてスペーサ213に及ぼされる接触圧力は、スペーサ要素214の力‐変位曲線に従って変化する。デカップリング要素208は一定の可撓性を有するが、特に非常に厚い平坦部品6では、膜5を平坦部品6の外面と面一にするために必要な接触圧力は非常に高く、組付が困難または不可能であることがあり得る。また、厚い平坦部品6を原因とする高圧力でスペーサ要素213が圧迫されて外方に傾くおそれもある。この場合、デカップリング要素208が上方に押し上げられ、水が溜まりアイスブリッジが形成され得るような隙間が脚部点11に生じ得る。
【0009】
WO 2015/104094 A1およびEP 2 812 723は、先行技術の更なる例である。
【発明の概要】
【0010】
このような背景に対して、本発明は、改良されたデカップリング要素を提供するという目的に基づいている。
【0011】
第1態様によれば、この目的を達成するため、車両用の平坦部品であって切欠を有する平坦部品に取り付けられ得る超音波センサであって、前記切欠に導入され得る円筒状超音波送受信要素を有する超音波センサ用のデカップリング要素が提案される。提案されたデカップリング要素は、前記超音波センサの前記円筒状超音波送受信要素を包囲するための中空円筒状要素と、前記中空円筒状要素の前記径方向において外側に配置されるとともに前記中空円筒状要素の周方向において互いに間隔を空けて配置される複数の支持リブであって、前記円筒状超音波送受信要素がこれを包囲する中空円筒状要素とともに軸方向端部における端部分により前記切欠に導入された際に、前記デカップリング要素を前記平坦部品の領域において前記切欠の外側で支持するための支持リブと、を有する。前記デカップリング要素の軸方向断面において、それぞれの支持リブは、前記軸方向において前記中空円筒状要素の他方の軸方向端部に向けて開放するアーチ形状を有する。
【0012】
支持リブは、軸方向断面においてアーチ形状を有する。アーチ形状は、特に、一側において開放したアーチ形状または中空のアーチ形状として、または一側において開放したリブ形状または中空のリブ形状として表現され得る。有利なことに、この開放または中空の支持リブは、中実の支持リブ(すなわち、開放しておらず、かつ中空でなく、例えば凸状の断面を有する)と比較して容易に圧縮し得るため、厚さの異なる広範囲の平坦部品に柔軟に使用され得る。すなわち、より有利な力‐変位曲線を有する。
【0013】
特に、提案されたデカップリング要素が、支持リブの軸方向寸法、平坦部品の軸方向の厚さ、および超音波センサの装着位置が正確に調整された第1平坦部品と使用される場合、アーチ形状の支持リブは、高い安定性を提供するとともに、デカップリング要素がセンサハウジングに固定されて押し付けられるように平坦部材が支持リブに及ぼす力に耐えることができる。提案されたデカップリング要素が、第1平坦部品よりも厚い、特に1.5~1.6倍厚い第2平坦部品と使用される場合、中空支持リブは、非常に高い接触圧力を必要とすることなく圧縮し得る。この場合でも、リングはセンサに押し付けられたままであり、径方向において外方に傾くことはない。
【0014】
したがって、厚さの異なる平坦部品に対して超音波センサを装着するために同一のデカップリング要素を使用することができる。組付はより容易に実施できる。有利には、アーチ形状は、支持リブの外方への傾きにも抗し得る。高い接触圧力において、アーチ形状は、有利には、センサハウジングに対して軸方向に、また超音波送受信要素に対して径方向において内方に圧縮される、または押し付けられる。したがって、デカップリング要素が軸方向において上方または外方に押されること、およびデカップリング要素とセンサハウジングと超音波送受信要素との間で水が溜まりアイスブリッジが形成されて氷結し得ることが防止され得る。
【0015】
複数の支持リブが、中空円筒状要素の周方向において互いに間隔を空けて配置されるという事実により、例えば高圧洗浄機で洗浄する際に中空円筒状要素と円筒状超音波送受信要素との間に侵入した水を、支持リブが配置されていない周方向における領域で排水することができる。
【0016】
特に、「デカップリング要素」とは、a)車体の平坦部品から超音波送受信要素の膜への振動の伝達を緩和する能力、およびb)超音波送受信要素を湿気や水から保護する能力を有する要素を意味するものとして理解すべきである。
【0017】
平坦部品は、例えば、車両のボディパネル、バンパー、内装トリムパネル等である。
【0018】
「円筒形状」とは、ここでは、2つの相互に幾何学的に類似した端面と端面同士を接続する側面とにより形成される任意の幾何学的形状を意味すると理解すべきである。好適には、2つの端面は、互いに一致し得る。好適には、2つの端面は、変位により互いに変換され得る。好適には、端面は、円または楕円であり得る。特に好適には、少なくとも2つの軸方向に交差する面に沿った円筒形状は、鏡面対称であり得る。特に好適には、円筒形状は、その軸を中心として回転対称または実質的に回転対称であり得る。「軸方向」を規定する「円筒形状」の「軸」とは、端面の幾何学的中心同士を互いに接続する軸を意味すると理解すべきである。
【0019】
したがって、「円筒状超音波送受信要素」とは、外面が全体として円筒形状を形成する超音波送受信要素を意味すると理解すべきである。例えば、超音波送受信要素は、膜ポットと称されるものであり得る。「中空円筒状要素」という用語は、全体として形状が円筒状である空のスペースを包囲する要素を意味すると理解すべきである。中空円筒状要素を有するデカップリング要素は、例えば、デカップリングリングと称されるものであり得る。「全体として円筒形状を有する」とは、側面上の溝、フルート、バリ、リブ等の厳密に幾何学的な円筒形状からの最大10°好適には最大5°の側面の傾き(厳密に幾何学的な意味では、円筒形状ではなく円錐形状に近似)も、「円筒形状」という用語に含まれることが意図されていることを意味すると理解すべきである。
【0020】
「軸方向端部」とは、特に、円筒形状の軸の方向における端部を意味すると理解すべきである。「軸方向断面」とは、特に、円筒形状の軸(図2図4の軸Aを参照)を含む円筒形状を通る断面である。
【0021】
デカップリング要素の中空円筒状要素が円筒状超音波送受信要素を包囲した状態でデカップリング要素が超音波センサに取り付けられた状況における「一方の軸方向端部」とは、円筒状超音波送受信要素およびデカップリング要素の中空円筒状要素の端部の端部であって、超音波を送信および受信するように超音波送受信要素の膜が配置された端部を意味すると理解すべきである。したがって、「他方の軸方向端部」とは、軸方向において一方の軸方向端部の反対側の端部を意味すると理解すべきである。
【0022】
本明細書において、「一方の軸方向端部」が位置する側を「上」とも称する。また、「他方の軸方向端部」が位置する側を「下」とも称する。これらの「上」および「下」の呼称は、円筒形状の軸の仮想的な方向を意味し、超音波が発信される方向における軸方向端部を「上」端部と称し、反対側の端部を「下」端部と称する。「上」及び「下」という呼称は、車両における装着状況を明示的に指すものではない。デカップリング要素を有する超音波センサおよび平坦部品は、車両内のいずれの方向にも装着することができる
【0023】
「アーチ形状」とは、全体としてアーチ形の自由形状を意味すると理解できる。具体的には、「アーチ形状」は、他方の下側軸方向端部に面するアーチ形状の一側において互いから距離を置くとともに、一方の上側軸方向端部に対面するアーチ形状の側において収束する2つの縁部により形成される形状を意味すると理解できる。縁部は、直線状であっても、曲線状であっても、一部で直線状で一部で曲線状であってもよい。曲率半径は、一定である必要はない。アーチ形状は、鏡面対称である必要はない。アーチ形状の例には、逆「U」字形状および逆「V」字形状が含まれる。
【0024】
一実施形態によれば、前記アーチ形状は、前記径方向において内方に傾斜する。
【0025】
換言すれば、特に、軸方向においてアーチ形状の最上点は、アーチ形状の下側端部におけるアーチ形状の2つの縁部の間の距離の中央点よりも、軸方向に直交する径方向に対してさらに内方に配置される。特に、アーチ形状の径方向内側縁部は、アーチ形状の径方向外側縁部よりも短くてもよい。
【0026】
したがって、アーチ形状の支持リブが高圧で外方に傾くことがより良好に防止される。むしろ、内方に傾斜したアーチ形状の支持リブが、降伏した場合でも内方に座屈することがより有利に促進される。したがって、超音波送受信要素の外側面とセンサハウジングの上側面とアーチ形状の支持リブの内側縁部の下側面とが接する脚部点において、水が溜まり得る空いたスペースが生じることが確実に防止される。
【0027】
更なる実施形態によれば、前記アーチ形状の2つの縁部の各々が、前記アーチ形状の前記開放側における前記縁部間の内側距離の少なくとも2倍長い。
【0028】
したがって、特に有利な力‐変位曲線を有する、長く細い縁部を持つアーチ形状が提案される。
【0029】
更なる実施形態によれば、前記軸方向において前記アーチ形状の前記開放側の、前記アーチ形状の径方向内側縁部の前記軸方向における一端部は、前記中空円筒状要素の前記別の軸方向端部と面一であるとともに、前記中空円筒状要素に接続する。
【0030】
好適には、アーチ形状の径方向外側縁部は、特にいずれの他の要素にも接続しない自由端部を有し得る。
【0031】
このような実施形態により、有利には、高圧を受けたときに支持リブが内方に傾いて外方に傾かないことがさらに促進されるため、円筒状超音波送受信要素と円筒状支持リブとセンサハウジングの上側面とが接する脚部点における更なる圧縮が提供される。
【0032】
「接続する」とは、特に、一部品接続を意味すると理解すべきである。特に好適には、接続は一体であり得る。これは、支持リブと中空円筒状要素とが一次成形により接合されることなく、1つの部品として形成されることを意味する。この場合、アーチ形状の径方向内側縁部の径方向において内方に向く外側面は、中空円筒状要素の径方向において外方に向く外側面に直接的に接続し得る。ただし、径方向内側縁部の径方向において内方に向く外側面と中空円筒状要素の径方向において外方に向く外側面との間に距離を設けてもよい。例えば、デカップリング要素の下側面において少なくとも径方向内側縁部と中空円筒状要素との間で水平方向に延在するウェブが、この距離を埋める。水平に延在するウェブは、アーチ形状の径方向外側縁部まで、場合によりこれを超えて径方向において外方にも延び得ることに留意すべきである。
【0033】
更なる実施形態によれば、当該支持リブのうちの1つは、前記中空円筒状要素の前記周方向において、30°~60°の角度範囲、好適には40°~50°の角度範囲、特に好適には50°の角度範囲に亘って延びる。
【0034】
当該支持リブが中空円筒状要素の所定の角度範囲に亘って延びる場合、そのアーチ形状が一側において中空である、または開放していても、支持リブは、及ぼされる接触圧力に安定して耐える十分な剛性を有し得る。これにより、支持リブは、外方に傾かず、むしろ、超音波送受信要素の外側面とセンサハウジグの上側面とアーチ形状の支持リブの内側縁部の下側面とが接する脚部点に対してしっかりと押し付けられる。このため、この箇所に水が溜まって氷結したり、リングを上方に押し上げたりすることがない。
【0035】
ここで、好適には、中空円筒状要素周方向の周囲に互いに距離を空けて配置された4つまたは5つの支持リブが存在し得る。この場合、侵入した水を排水するための支持リブ間に十分なフリースペースが有利に存在する。
【0036】
更なる実施形態によれば、前記デカップリング要素は、一体的に形成される。
【0037】
一体的に形成されるとは、特に1回の作業工程において一次成形により形成されることを意味すると理解すべきである。
【0038】
一体的に形成されたデカップリング要素は、特に有利な音響特性を有し得る。
【0039】
更なる実施形態によれば、少なくとも前記支持リブは、20~60ショアA、好適には30~50ショアA、特に好適には40ショアAの硬度を有する材料から形成される。
【0040】
材料の全体デカップリング要素も、上述の硬度のうちの1つを有する材料から形成され得る。
【0041】
上述の硬度は、一方では、平坦部品からデカップリング要素の中空円筒状要素に導入され得る超音波センサの超音波送受信要素への振動の伝達を回避するのに適している。他方で、これらの硬度は、支持リブの領域において適切な剛性を達成するのに適している。このことにより、支持リブは、及ぼされる接触圧力に安定して耐える十分な剛性を有し得ることで、外方に傾かず、むしろ、超音波送受信要素の外側面とセンサハウジグの上側面とアーチ形状の支持リブの内側縁部の下側面とが接する脚部点に対してしっかりと押し付けられる。このため、この箇所に水が溜まって氷結したり、リングを上方に押し上げたりすることがない。
【0042】
更なる実施形態によれば、前記デカップリング要素は、可撓性材料、好適にはポリマー、特に好適にはシリコーンから形成される。
【0043】
好適には、シリコーンは液体加工された架橋シリコーンである。これにより、車両の動作中に予想される-40℃~+80℃の温度に対する良好な耐性が得られる。
【0044】
第2態様によれば、超音波センサが提案される。超音波センサは、円筒状超音波送受信要素と上述のデカップリング要素とを有し、前記デカップリング要素の前記中空円筒状要素は、前記円筒状超音波送受信要素を包囲する。
【0045】
第3態様によれば、車両用の平坦部品であって切欠を有する平坦部品と、前記平坦部品に取り付けられる第2態様の超音波センサと、を含む構成体が提案される。この場合、前記円筒状超音波送受信要素は、これを包囲する前記デカップリング要素の前記中空円筒状要素とともに、一方の前記軸方向端部における前記端部分により前記切欠に導入され、前記デカップリング要素は、前記平坦部品の内側面の領域において前記切欠の外側で支持される。
【0046】
第3態様の構成体の一実施形態によれば、前記円筒状超音波送受信要素およびこれを包囲する前記デカップリング要素の前記中空円筒状要素の軸方向端部は、前記平坦部品の外側面と面一である。
【0047】
したがって、有利には、同一平面が、例えば車体の外側面に設けられ得る。これは、美観上有利であるだけでなく、超音波送受信要素の破損や汚れができる限り回避されるという技術的利点も得られる。
【0048】
更なる実施形態によれば、前記平坦部品は前記車両の外周面であり、前記平坦部品の前記外側面は車両外側面であり、前記平坦部品の前記内側面は車両内側面である。
【0049】
したがって、超音波センサを、車両の周囲環境に関する情報を記録するように使用することができる。
【0050】
更なる実施形態によれば、前記平坦部品は前記車両の内装トリムパネルであり、前記平坦部品の前記外側面は車両内側面であり、前記平坦部品の前記内側面は車両外側面である。
【0051】
したがって、超音波センサを、車両の内装トリムパネルに設置することができ、車両の内部に関する情報、例えば車室における人数に関する情報を提供することができる。
【0052】
更なる実施形態によれば、前記超音波センサは、所定の接触圧力の下で、前記デカップリング要素とともに前記平坦部品の前記切欠に押し込まれる。
【0053】
接触圧力により、有利には、平坦部品から支持リブに作用する反力を介して、センサハウジングの表面上にデカップリング要素が確実に着座する。
【0054】
更なる実施形態によれば、前記デカップリング要素の前記中空円筒状要素は、前記円筒状超音波送受信要素にアンダーサイズで取り付けられる。
【0055】
「アンダーサイズで取り付けられる」とは、特に組付前のデカップリング要素の弛緩状態に置いて、中空円筒状要素の内径が、円筒状超音波送受信要素の外径よりも小さいことを意味すると理解すべきである。
【0056】
したがって、デカップリング要素の中空円筒状要素は、径方向において内方に作用するクランプ力により、円筒状超音波送受信要素に保持され得る。したがって、中空円筒状要素と円筒状超音波送受信要素との間への水の侵入が妨害され得る。
【0057】
第4実施形態によれば、第3実施態様の少なくとも1つの構成体、または第3態様の実施形態のうちの1つを有する自動車が提案される。
【0058】
本発明の更なる可能な実施態様も、例示的実施形態に関して上述または後述の特徴または実施形態の明示されない組み合わせを含む。当業者には、この場合でも、個々の態様を改良または追加として本発明のそれぞれの基本形態に付加し得る。
【0059】
本発明の更なる有利な構成および態様は、従属請求項および以下に説明する本発明の例示的態様の主題である。本発明について、添付図面を参照しつつ、好適な例示的実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、車両の正面図を示す。
図2図2は、平坦部品と既知のデカップリング要素を有する超音波センサとを含む既知の構成体の断面図を示す。
図3図3は、平坦部品と既知のデカップリング要素を有する超音波センサとを含む別の既知の構成体の断面図を示す。
図4図4は、平坦部品と第1の例示的実施形態によるデカップリング要素を有する超音波センサとを含む構成体の断面図を示す。
図5図5は、平坦部品と第1の例示的実施形態によるデカップリング要素を有する超音波センサとを含む構成体の断面図を示す。
図6図6は、更なる平坦部品と第1の例示的実施形態によるデカップリング要素を有する超音波センサとを含む構成体の断面図を示す。
図7図7は、第3の例示的実施形態によるデカップリング要素の実寸大平面図である。
図8図8は、第3の例示的実施形態によるデカップリング要素の実寸大側面図である。
図9図9は、図7の第3の例示的実施形態のデカップリング要素を通る実寸大の軸方向断面B-Bを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図面において、同一または機能的に同一の要素には、特に断りのない限り同一の参照符号を付す。
【0062】
図1は、第1の例示的実施形態による車両の正面図であり、これは乗用車50である。乗用車50は、平坦部品6の例であるフロントバンパーを有している。フロントバンパー6において、第1の例示的実施形態による超音波センサ1が切欠7内に装着されている。図3に示され、以下でより詳細に説明する構成体10が、第1の例示的実施形態に従って使用されている。
【0063】
図2および図3は、超音波センサ1をフロントバンパー6に取り付けるための既知の構成体100、200を示す。これらの構成体については、導入部で既に説明した。
【0064】
図4は、フロントバンパー6と超音波センサ1とを有する第1の例示的実施形態による構成体の軸方向断面図を示す。超音波センサ1は、フロントバンパー6に取り付けられるとともに、第1の例示的実施形態によるデカップリング要素8を有している。超音波センサ1は、センサハウジング2と、これから突出する膜ポット3であって超音波送受信機要素の例である膜ポット3と、を有している。膜ポット3は、膜5を支持する円筒状壁4を有している。膜5は、車両(図1の50)の周囲環境9に対して超音波パルスを送受信するために使用される。膜ポット3は、上側軸方向端部分(軸Aに沿った端部における部分)により、車両(図1の50)のバンパー6の平坦部品6の切欠7に導入されている。
【0065】
図面で「a」で示す矢印は、軸Aにより規定される軸方向において上方を向いていることに留意すべきである。ここで、「上/上方/上側」とは、図4における像平面を指し、構成体10の装着位置に関する制限として理解すべきではない。「r」で示す矢印は、軸方向に対して直交する径方向において外方を向いている。
【0066】
振動が車体からフロントバンパー6を介して膜ポット3の膜5に伝達されないように、デカップリング要素8の例であるデカップリングリング8が設けられている。デカップリングリング8は、中空円筒状要素15と、中空円筒状要素15の径方向において外側に配置された複数の支持リブ13と、を有している。図4には示さないが、複数の支持リブ13は、中空円筒状要素15の周方向において互いに間隔を空けて配置されている。
【0067】
支持リブ13の最上点14は、フロントバンパー6に対する支持プラトーを形成している。特に、超音波センサ1は、その軸方向上端部の一部に対する所定の接触圧力下において、フロントバンパー6の切欠7内に、図4に示すように膜5とフロントバンパー6の外側面とが面一となるようにして導入されている、または押し込まれている。この状態で、デカップリングリング8は、支持リブ13により、図4におけるフロントバンパー6の下側の外面の領域において切欠7の外側で支持されている。これは、フロントバンパー6の下面が、保持力を当該支持リブ13の最上点14に対して軸方向において下方に及ぼし、支持リブ13が、デカップリングリング8を超音波センサ1のセンサハウジング2に対して軸方向に押圧しているということを意味する。この保持力により、高圧洗浄機での洗浄中にバンパーと中空円筒状要素15との間、または中空円筒状要素15と膜ポット3との間に侵入し得る水が、デカップリングリング8を軸方向において上方に押し上げて切欠7から押し出し得ることが有利に回避され得る。したがって、デカップリングリング8の下方において、特にデカップリングリング8と膜ポット3とセンサハウジング2とが接する脚部点12に水が溜まり、場合によっては氷結することが回避され得る。
【0068】
この場合、当該支持リブ13は、図4に示す軸方向断面においてアーチ形状を有している。アーチ形状は、本例において、屈曲した内側縁部16および屈曲した外側縁部17により形成されている。アーチ形状の縁部16および17は、軸方向において下側軸方向端部に向けて開放しており、最上点14における上側軸方向端部に向けて収束している。したがって、支持リブ13のアーチ形状は、キャビティ18に亘っている(及んでいる)。
【0069】
アーチを形成するように形成された支持リブ13は、特に高い構造安定性を有する。したがって、支持リブ13は、フロントバンパー6により及ぼされる保持力に抗することができ、デカップリングリング8はセンサハウジング2に対して軸方向において安定して押圧保持される。
【0070】
フロントバンパー6に代えて、軸方向に厚くかつ平坦な部品6が使用される場合、超音波センサ2を平坦部品に取り付ける際、より大きな力が平坦部品6からアーチ形状の支持リブ13に作用する。しかしながら、細い縁部16および17を有するアーチ形状の支持リブ13は、接触圧力を過度に増加させることなく、この大きな力を吸収して緩和することができる。支持リブ13のアーチ形状により、本例における支持リブ13が軸方向において下方に圧縮され、径方向において側方の外方に傾かないという効果がさらに促進される。
【0071】
特に、アーチ形状の軸方向において開放側の径方向内側縁部16は、中空円筒状要素15の下側軸方向端部と面一であり、中空円筒状要素15に接続している。これに対して、径方向外側縁部17の軸方向端部は、自由端部である。このような構成により、支持リブが高い接触圧力で押し潰されるとともに、径方向において内方に押し潰されて圧縮され、外方に傾かないという効果がますます促進される。
【0072】
図5および図6は、第2の例示的実施形態による、平坦部品6とデカップリング要素8を有する超音波センサ2とを含む構成体10の断面図を示す。同一または機能的に同一の要素には、第1の例示的実施形態と同じ参照符号を付し、相違点のみを説明する。
【0073】
図5および図6では、既に説明した要素に加えて、センサハウジング2を所定位置に保持するホルダ19の一部を示す。ホルダ19は、支持リブ13のアーチ形状の第2縁部17の径方向において外方への移動を制限するように配置され得る。
【0074】
第2の例示的実施形態のデカップリングリング(デカップリング要素)8の場合、当該支持リブ13は、径方向において内方に傾斜したアーチ形状を有している。すなわち、アーチ形状の最上点14は、アーチ形状の軸方向において下方の開放側における径方向外側縁部17と径方向内側縁部18との間の中央位置21よりも、径方向rにおいてさらに内方に配置されている。
【0075】
図5に示す装着状況において、支持リブ14は、安定したアーチ形状を有している。これにより、最上点14に対してフロントバンパー6からその2つの縁部16および17を介して作用する力が得られ、このようにして、デカップリングリング8がセンサハウジング2に軸方向に押し付けられるとともに、加圧水の攻撃点となり得る脚部点12に隙間が生じないことが確実とされる。
【0076】
図5に示す装着状況において、フロントバンパー6を軸方向aにおいてより厚い平坦部品66に代えるが、それ以外は変更されない条件とした場合、図6に示す装着状況となる。より厚い平坦部品66を理由として、接触圧力が増加し、径方向内側縁部16が潰れる。しかしながら、支持リブ13は、外方に傾かず、むしろ平坦部品66とセンサハウジング2と膜ポット3とホルダ19とにより画定されるスペースにおいて、ともに押し潰される。したがって、この状況においても、デカップリングリング8は、脚部点12において膜ポット3とセンサハウジング2とにより形成される隅部に押し込まれる。よって、外部9から侵入する高圧洗浄機等の水ジェットが、デカップリングリング9を切欠7を介して軸方向において上方に押し出すことが有効に回避され得る。
【0077】
上述の効果は、支持リブ13が潰れることができるスペースを画定するホルダ19により促進されることに留意すべきである。ただし、ホルダ19が設けられていない、または図示の位置に設けられていない場合でも、上述の効果は生じる。
【0078】
第3の例示的実施形態として提案される解決策によるデカップリングリング8の実施例について、図7図8、および図9に基づいて説明する。
【0079】
図7は、第3の例示的実施形態のデカップリングリング8の、図4図6において「上」と称される方向の上面図である。すなわち、中空円筒状要素15の軸Aは、図7において像平面の外方に延びている。
【0080】
デカップリングリング8は、4つの支持リブ13を有している。支持リブ13は、中空円筒状要素15の周囲において径方向において外方に同心状に配置されるとともに、中空円筒状要素15の周方向に沿って各々α=40°の距離において均一に間隔を空けて配置されている。したがって、当該支持リブ13は、50°の角度範囲に亘って周方向において延びている。したがって、一方で、支持リブ13は、本明細書で説明した効果を達成するのに十分な剛性を有している。また他方で、支持リブ13の間に十分に大きな角度領域が残されており、侵入した水はこの角度領域を介して流出し得る。
【0081】
図8は、図8からのデカップリングリングの側面図を示す。図8に示すように、支持リブ13は、軸方向における下側端部に向けて開放するアーチ形状を各々有している。
【0082】
図9は、図7の断面B-Bを示す。第3の例示的実施形態のデカップリングリング8の支持リブ13のアーチ形状も、内方に傾斜している。アーチ形状の最上点14は、アーチ形状の軸方向下側の開放端部における2つの縁部16、17の間の中央位置21よりも、径方向rにおいてさらに内方に位置している。
【0083】
中空円筒状要素15は、その内周面に製造に関連する凹部22を有している。凹部22の軸方向高さにおける膜ポットは、凹部22に適したバリを有し得ることに留意すべきである。
【0084】
例えば、デカップリングリング8の中空円筒状要素15は、15mmの内径および17.32mmの外径を有している。支持リブ14を含むデカップリングリング8は、21.7mの外径を有している。例えば、支持リブ13のアーチ形状の内側高さh1は、2.42mmである。例えば、中空円筒状要素15の高さh2は、5mmである。支持リブ13のアーチ形状の下側の開放端部における径方向内側縁部16と径方向外側縁部17との間の内側距離は、例えば0.91mmである。径方向外側縁部の幅は、例えば0.36mmである。
【0085】
図7図9のデカップリングリング8は、架橋シリコーン液駅処理により一体的に一次成形されており、40ショアAの硬度を有する。
【0086】
本発明者らによる試験により、このように製造されたデカップリングリング8は、図4図6に示すように、円筒状膜ポット3の膜5が平坦部品6の外面と実質的に面一に配置された装着状況において、実際に許容される接触圧力がある状態で、特に脚部点12におけるデカップリングリング8のシール機能が損なわれることなく、軸方向aの厚さが2.5mm~4mmの範囲にある平坦部品6とともに使用できることが示された。これに対して、従来技術からの図3の例のように設計された同一寸法のデカップリングリング208(妥当な場合)では、接触圧力が非常に高くなったりシール機能が損なわれたりせずに対応できるのは、2.7mm~3.3mmの範囲のみである。したがって、図7図9からの提案されたデカップリングリング8は、従来技術からのデカップリングリング208よりも有利な力‐変位曲線を有する。
【0087】
本発明を例示的実施形態に基づいて説明したが、種々の変更が可能である。
【0088】
デカップリングリングは、シリコーンから製造する必要はない。例えば、TPE等の別のゴム状材料からも製造できる。
【0089】
第3の例示的実施形態に示した具体的寸法および図面に示した自由形状は、純粋に例示としてのものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0090】
すべての例示的実施形態において、例えば超音波センサ1に装着する前のデカップリングリング8の弛緩状態において、デカップリングリングの中空円筒状要素15の内径は、好適には、超音波センサ1の膜ポット3の外径よりも小さくてもよい。このため、デカップリングリング8は、アンダーサイズで膜ポット3に嵌合する。
【0091】
例示的実施形態において、フロントバンパー6を平坦部品6の例として挙げた。しかしながら、平坦部品6は、車両50のリアバンパー、サイドバー、または他の外周面であってもよい。上述の場合、平坦部品の内側面は車両内側面であり、超音波センサ1は、車両50の周囲環境9に関する情報を記録する。ただし、この代替例として、超音波センサ1は、車両内部に関する情報を記録してもよい。この場合、平坦部品6の外側面は車両内側面であり、平坦部品6は、車両50の内装トリムパネルの任意の要素である。
【0092】
乗用車を車両50の例として純粋に例示的に示した。しかしながら、提案された超音波センサ、提案された構成体、および提案されたデカップリング要素は、運転支援システム、駐車支援システム、および/または一部または完全な自律運転のためのシステムを有する他の移動体または可動体、例えばトラック、フォークリフト、ロボット等においても使用され得る。
【0093】
1 超音波センサ
2 センサハウジング
3 超音波送受信要素、膜ポット
4 壁、側面
5 膜
6 平坦部品、フロントバンパー
7 切欠
8 デカップリング要素
9 車両の周囲環境
10 平坦部品とデカップリング要素を有する超音波センサとを含む構成体
11 接触点
12 脚部点
13 アーチ形状の支持リブ
14 アーチ形状の最上点
15 中空円筒状要素
16 アーチ形状の径方向内側縁部
17 アーチ形状の径方向外側縁部
18 キャビティ
19 ホルダ
21 中央位置
22 凹部
50 車両、乗用車
66 厚い平坦部品
100 平坦部品とデカップリング要素を有する超音波センサとを含む既知の構成体
101 既知の超音波センサ
108 既知のデカップリング要素
200 平坦部品とデカップリング要素を有する超音波とを含む既知の構成体
201 既知の超音波センサ
208 既知のデカップリング要素
213 既知のスペーサ要素
214 既知のスペーサ要素の上側面
215 既知の中空円筒状要素
A 中空円筒状要素の軸
a 軸方向、特に上向きの軸方向
h1 アーチ形状の内側高さ
h2 中空円筒状要素の高さ
r 径方向、特に外向きの径方向
α 支持リブ間の周方向における距離
s アーチ形状の開放端部における縁部間の内側距離
b 径方向外側縁部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(5)用の平坦部品(6)であって切欠(7)を有する平坦部品(6)に取り付けられ得る超音波センサ(1)であって、前記切欠(7)に導入され得る円筒状超音波送受信要素(3)を有する超音波センサ(1)用のデカップリング要素(8)であって、
前記超音波センサ(1)の前記円筒状超音波送受信要素(3)を包囲するための中空円筒状要素(15)と、
前記中空円筒状要素(15)の前記径方向(r)において外側に配置されるとともに前記中空円筒状要素(15)の周方向において互いに間隔を空けて配置される複数の支持リブ(13)であって、前記円筒状超音波送受信要素(3)がこれを包囲する中空円筒状要素(15)とともに軸方向端部における端部分により前記切欠(7)に導入された際に、前記デカップリング要素(8)を前記平坦部品(6)の領域において前記切欠(7)の外側で支持するための支持リブ(13)と、を有し、
前記デカップリング要素(8)の軸方向断面において、それぞれの支持リブ(13)は、前記軸方向(a)において前記中空円筒状要素(15)の他方の軸方向端部に向けて開放するアーチ形状を有する、
デカップリング要素(8)。
【請求項2】
前記アーチ形状は、前記径方向(r)において内方に傾斜する、
請求項1に記載のデカップリング要素。
【請求項3】
前記アーチ形状の2つの縁部(16、17)の各々が、前記アーチ形状の前記開放側における前記縁部(16、17)間の内側距離(s)の少なくとも2倍長い、
請求項に記載のデカップリング要素。
【請求項4】
前記軸方向(a)において前記アーチ形状の前記開放側の、前記アーチ形状の径方向内側縁部(16)の前記軸方向(a)における一端部は、前記中空円筒状要素(15)の前記他方の軸方向端部と面一であるとともに、前記中空円筒状要素(15)に接続する、
請求項に記載のデカップリング要素。
【請求項5】
当該支持リブ(13)のうちの1つは、前記中空円筒状要素(15)の前記周方向において、30°~60°の角度範囲、好適には40°~50°の角度範囲、特に好適には50°の角度範囲に亘って延びる、
請求項に記載のデカップリング要素。
【請求項6】
前記デカップリング要素(8)は、一体的に形成される、
請求項に記載のデカップリング要素。
【請求項7】
少なくとも前記支持リブ(13)は、20~60ショアA、好適には30~50ショアA、特に好適には40ショアAの硬度を有する材料から形成される、
請求項に記載のデカップリング要素。
【請求項8】
前記デカップリング要素(8)は、可撓性材料、好適にはポリマー、特に好適にはシリコーンから形成される、
請求項に記載のデカップリング要素。
【請求項9】
円筒状超音波送受信要素(3)と請求項に記載のデカップリング要素(8)とを有する超音波センサ(1)において、
前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)は、前記円筒状超音波送受信要素(3)を包囲する、
超音波センサ(1)。
【請求項10】
車両(50)用の平坦部品(6)であって切欠(7)を有する平坦部品(6)と、前記平坦部品(6)に取り付けられる請求項9に記載の超音波センサ(1)と、を含む構成体(10)において、
前記円筒状超音波送受信要素(3)は、これを包囲する前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)とともに、一方の前記軸方向端部における前記端部分により前記切欠(7)に導入され、
前記デカップリング要素(8)は、前記平坦部品(6)の内側面の領域において前記切欠(7)の外側で支持される、
構成体(10)。
【請求項11】
前記円筒状超音波送受信要素(3)およびこれを包囲する前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)の軸方向端部は、前記平坦部品(6)の外側面と面一である、
請求項10に記載の構成体。
【請求項12】
前記平坦部品(6)は前記車両(50)の外周面であり、前記平坦部品(6)の前記外側面は車両外側面であり、前記平坦部品(6)の前記内側面は車両内側面である、または、
前記平坦部品(6)は前記車両(50)の内装トリムパネルであり、前記平坦部品(6)の前記外側面は車両内側面であり、前記平坦部品(6)の前記内側面は車両外側面である、
請求項10に記載の構成体。
【請求項13】
前記超音波センサ(1)は、所定の接触圧力の下で、前記デカップリング要素(8)とともに前記平坦部品(6)の前記切欠(7)に押し込まれる、
請求項10に記載の構成体。
【請求項14】
前記デカップリング要素(8)の前記中空円筒状要素(15)は、前記円筒状超音波送受信要素(3)にアンダーサイズで取り付けられる、
請求項10~13のいずれか一項に記載の構成体。
【請求項15】
請求項10~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの構成体を有する自動車。
【国際調査報告】