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特表2024-528850負荷を取り扱うための方法、特にオフショア風力タービンにブレードを設置又は除去するための方法、及びそのような方法を実行するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】負荷を取り扱うための方法、特にオフショア風力タービンにブレードを設置又は除去するための方法、及びそのような方法を実行するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20240725BHJP
   F03D 13/10 20160101ALI20240725BHJP
   F03D 80/50 20160101ALI20240725BHJP
   B66C 23/28 20060101ALI20240725BHJP
   B63B 81/00 20200101ALI20240725BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20240725BHJP
【FI】
F03D13/25
F03D13/10
F03D80/50
B66C23/28 Z
B63B81/00
B63B35/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503674
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2022069160
(87)【国際公開番号】W WO2023001601
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2107966
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2110634
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2112571
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2200731
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524023974
【氏名又は名称】ドルフィンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】オーペリン マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ブルドン ジャン-クロード
(72)【発明者】
【氏名】レポートル ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フレモン ファヴィエン カール
【テーマコード(参考)】
3F205
3H178
【Fターム(参考)】
3F205AA10
3F205AB01
3H178AA03
3H178AA24
3H178AA43
3H178BB73
3H178BB77
3H178CC02
3H178DD61X
3H178DD67X
(57)【要約】
本発明は、風力タービン(2)を備えるオフショア風力タービンシステム(1)の負荷、特にブレード(11A)を取り扱うための方法に関し、クレーン(14)は、プラットフォームに一時的に取り付けられ、前記クレーンは、互いに対して伸縮可能な複数の要素(16)からなるタワー(15)を有する。ブレード(11A)を取り扱うための方法は、ナセル及びロータを、クレーンの取り付けを妨げない取扱位置に不動化するステップと、このクレーンを風力タービンシステムのプラットフォームに取り付けるステップと、ブレードであり得る負荷を取り扱うステップと、クレーンを分解するステップと、ナセル及びロータの移動を解放するステップと、を含む。本発明は、また、クレーン(14)と、この方法を実施するのに適したデバイス(3、218)とに関する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフショア風力タービンシステム(1)の保守作業で、特にブレード(11A)を交換するか、又は前記システム(1)のナセル(8)内に配置された機器であり得る負荷(130)を取り扱うために使用可能な方法であって、前記システムは、風力タービン(2)とプラットフォーム(3)とを備え、前記風力タービンは、マスト(16)と、前記マストによって支持された前記ナセル(8)とを備え、前記ナセルは、ノーズを有するロータ(9)と、前記ノーズから半径方向に延在するブレード(11)とを備え、
前記方法は、
・前記ナセル(8)及び前記ロータ(9)を取扱位置に不動化するステップと、
・いくつかが伸縮可能な複数の要素(16A~16C)を備えるマスト(16)を有するクレーン又は巻上デバイス(14)を供給するステップと、
・前記クレーンを取り付けるステップと、
・前記ブレード(11A)又は前記負荷(130)を取り扱うステップと、
・前記クレーンを分解するステップと、
・前記ナセル及び前記ロータの移動を解放するステップと、
を含むことと、
前記クレーンを取り付けるステップは、前記伸縮可能な要素を互いに対して伸縮させるステップを含むことと、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
オフショア風力タービンシステム(1)の保守作業で、特にブレード(11A)を交換するか、又は前記システム(1)のナセル(8)内に配置された機器を取り扱うために使用可能な請求項1に記載の方法であって、前記システムは、風力タービン(2)とプラットフォーム(3)とを備え、前記風力タービンは、マスト(16)と、前記マストによって支持された前記ナセル(8)とを備え、前記ナセルは、ノーズを有するロータ(9)と、前記ノーズから半径方向に延在するブレード(11)とを備え、
前記方法は、
・前記ナセル(8)及び前記ロータ(9)を取扱位置に不動化するステップと、
・いくつかが伸縮可能な複数の要素(16A~16C)を備えるマスト(16)を有するクレーンを供給するステップと、
・前記クレーン(14)を前記プラットフォームに取り付けるステップと、
・前記ブレード(11A)又は前記機器を取り扱うステップと、
・前記クレーンを分解するステップと、
・前記ナセル及び前記ロータの移動を解放するステップと、
を含むことと、
前記取り付けるステップは、前記クレーンのベースを前記風力タービンシステム(1)の前記プラットフォーム(3)に固定するステップを含むことと、
前記クレーンを取り付けるステップは、前記伸縮可能な要素を互いに対して伸縮させるステップを含むことと、
を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の旧ブレード(11A)を新ブレード(11A)に交換するための方法であって、前記ブレードを取り扱うステップが、前記旧ブレードを除去するステップと、次いで、前記新ブレードを設置するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項4】
前記取扱位置では、前記旧ブレードは、実質的に水平位置にあることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載の方法を実施するための風力タービンシステムであって、前記システム(1)の前記プラットフォーム(3)は、前記クレーン(14)の前記ベースをそこに固定するための手段を備えることを特徴とする、システム。
【請求項6】
前記プラットフォーム(3)は、特にビームからなる剛性構造体(6)によって互いに接続された少なくとも3つのフロータ(4)を備え、前記構造体は前記風力タービン(2)の支持体として機能し、前記クレーンの前記ベースを固定するための前記手段は、前記フロータ(4)のうちの1つ(4A)の頂部に配置されることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
請求項2~4のいずれか一項に記載の方法を実施するためのクレーン(14)であって、請求項5又は6に記載の風力タービンシステム(1)に固定するベースを備えることを特徴とする、クレーン(14)。
【請求項8】
複数の要素(16A~16C)を備えるマストを有し、好ましくは、前記要素の少なくともいくつかは、互いに対して伸縮可能であることを特徴とする、請求項7に記載のクレーン。
【請求項9】
前記ブレード(11A)を水平及び垂直に移動させることのできる巻上手段を備えることを特徴とする、請求項7又は8に記載のクレーン。
【請求項10】
前記巻上手段(17)は、スリーブ(18)と、前記スリーブ内で水平に摺動するように取り付けられ、前記スリーブのそれぞれの側部からそれぞれ突出する2つの端部(20D、20G)を有するダブルジブ(20)とを備え、前記端部のそれぞれは、それぞれの巻上ロープ(21)を有することを特徴とする、請求項9に記載のクレーン。
【請求項11】
前記巻上手段(17)は、スプレッダバー手段を備えることを特徴とする、請求項7に記載のクレーン。
【請求項12】
前記巻上手段は、前記ブレードが実装されている間に、前記ブレードが載ることができる少なくとも1つのクレードルを備えることを特徴とする、請求項7~11のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項13】
風力タービン(2)上の少なくとも1つの負荷(11、130)を取り扱うための請求項1に記載の方法であって、前記風力タービン(1)は、海底(109)に強固に固定されたマスト(7)と、前記マスト(7)によって支持されたナセル(3)とを備え、前記ナセルが、半径方向に延在するブレード(11)を有するロータ(9)を備え、前記方法が、
・自己上昇プラットフォームを供給するステップ(112)と、
・前記プラットフォームを前記風力タービン(1)の近くに不動化するステップと、次いで、
・前記プラットフォーム(112)に巻上システム(111)を取り付けるステップであって、前記システムは、前記システムの軸(X111)に沿って実質的に垂直であり、複数の要素(16A~16C)から構成されるマスト(16)と、上部要素(16C)に固定された巻上ツール(117)とを備える、ステップと、
・前記ナセル(3)を、前記負荷の取り扱いを可能にする位置に不動化するステップと、
・前記マストを上げるステップと、
・前記負荷を把持するステップと、
・前記マストを下げるステップと、次いで、
・前記ナセル及び前記ロータの移動を解放するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
風力タービン(1)のブレード(11A、11B)を取り扱い、又は固定、又は除去するための請求項1に記載の方法であって、前記風力タービン(1)は、海底(109)に強固に固定されたマスト(7)と、前記マスト(7)によって支持されたナセル(3)とを備え、前記ナセルが、半径方向に延在するブレード(11)を有するロータ(9)を備え、前記方法が、
・自己上昇プラットフォーム(112)を供給するステップと、
・前記プラットフォームを前記風力タービン(1)の近くに不動化するステップと、
・前記プラットフォーム(112)に巻上システム(111)を取り付けるステップであって、前記システムは、前記システムの軸(X111)に沿って実質的に垂直であり、複数の要素(16A~16C)から構成されるマスト(16)と、上部要素(16C)に固定された巻上ツール(117)とを備える、ステップと、
・前記ナセル(3)を、前記負荷の取り扱いを可能にする位置に不動化するステップと、
・前記マストを上げるステップと、
・前記ブレードを取り扱うステップと、
・前記マストを下げるステップと、次いで、
・前記ナセルの移動を解放するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法を実施するためのシステムであって、前記ツールは、実質的に前記マストの上部要素(16C)の頂部に固定され、前記マストと共に「T」形状を形成することを特徴とする、システム。
【請求項16】
前記巻上ツール(117)は、前記上部要素(16C)の頂部に取り付けられ、前記上部要素と共に「T」を形成する水平ビーム(120)と、前記ビーム(120)上で水平に摺動するように取り付けられたスライド(119)とを備え、前記スライドは、好ましくは高さ調整可能で、その上にブレード(11A、11B)を載せるために提供される着座手段(119A)を支持することを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ビームは、前記システムの軸(X111)の周りを回転するように取り付けられることと、前記ツールは、前記ビームの一端にウインチ手段(117T)を備えることを特徴とする、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記巻上ツール(117)は、スリーブ(118)と、前記スリーブ内で水平に摺動するように取り付けられ、前記スリーブのそれぞれの側からそれぞれ突出する2つの端部(120D、120G)を有するダブルジブ(120)とを備え、前記端部のそれぞれは、それぞれの巻上ロープ(121)を有することを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
請求項13又は14に記載の方法を実施するためのシステムであって、前記プラットフォーム(112)に対して固定されたベース(135)を備え、前記マスト(16)は、前記システムの軸(X111)の周りで前記ベース(135)上で回転するように取り付けられ、前記巻上ツール(117)は、前記上部要素(16C)の頂部に堅固に配置された実質的に水平なビーム(136)と、前記マスト(16)と同時に前記軸の周りを回転するように前記下部要素(16A)に固定されたウインチ(137)と、前記ウインチに接続されたロープ(138)とを備え、前記システムは、第一のロープリターン(139A)及び第二のロープリターン(139B)をさらに備え、各ロープリターンは、前記ビーム(136)のそれぞれの端部にあり、その結果、
・前記ロープは、2つの前記リターンの間で実質的に水平になり、
・前記ロープは、前記ウインチと前記第一のリターン(139A)との間に垂直に延在し、
・前記ロープの自由端は、前記第二のリターン(139B)を越えて延在し、前記負荷(130)を懸架するようになること
を特徴とする、システム。
【請求項20】
前記システム(111)の前記マスト(16)を前記風力タービンの前記マスト(7)に接続するためのアーム手段(131)を備え、好ましくは、少なくとも1つのアームが前記風力タービンの前記マスト(7)上に摺動可能に取り付けられることを特徴とする、請求項15~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
風力タービン(2)のブレード(11A)を位置決め又は除去するためのツール(218)であって、前記ツールは、スプレッダバー(221)及びポジショナ(222)を備え、前記スプレッダバーは、クレーン(220)を使用して前記ブレードを巻き上げるように設計され、前記スプレッダバー(221)及び前記ポジショナ(222)は、相互把持手段(33、36B、36H)を備え、前記ポジショナは、前記ポジショナを巻上手段(15)に固定するための手段と、前記ブレードを前記巻上手段に対して配向及び移動させるための手段(35、37~39、41~44)とを備えることを特徴とする、ツール。
【請求項22】
前記相互把持手段は、相互挿入手段を備えることを特徴とする、請求項21に記載のツール。
【請求項23】
前記挿入手段は、2つのポール(36B、36H)と、その中に前記ポールを挿入するためのスリーブ(33)とを備え、前記ポールの一方を他方の前に挿入することができ、好ましくは、2つの前記ポールは異なる長さを有することを特徴とする、請求項22に記載のツール。
【請求項24】
前記スプレッダバー(221)は、前記ブレードを把持するための少なくとも1つのクランプ(28)、好ましくは、長手方向に配置されたヤード(27)と、それぞれが前記ヤードのそれぞれの長手方向端部にある2つのクランプ(28)とを備えることを特徴とする、請求項21~23のいずれか一項に記載のツール。
【請求項25】
各クランプは、下部ジョー(31)と、上部ジョー(32)とを備え、前記下部ジョーは、前記ヤード(27)に対して固定され、前記上部ジョーは、垂直に移動することができ、その結果、前記ブレードが前記下部ジョー上に載置されると、前記上部ジョーは、前記ブレードをクランプして、それを保持することを特徴とする、請求項24に記載のツール。
【請求項26】
前記ポジショナ(222)は、
・水平横軸の周りに前記ブレードを傾ける(R1)ための手段(38、41、42)と、
・前記ブレードを長手方向(T3)に移動させるための手段(37、43)と、
好ましくは、
・前記ブレードを横断方向(T2)に移動させるための手段(35、44)と、及び/又は
・垂直軸(X15)の周りに前記ブレードを回転させる(R2)ための手段(39)と、
を備えることを特徴とする、請求項21~25のいずれか一項に記載のツール。
【請求項27】
前記ポジショナ(222)は、
・前記スプレッダバー(21)が配置され得るベース(35)であって、前記ベースは、前記スプレッダバー上の前記ポジショナを把持するための手段(36B、36H)を備える、ベースと、
・トロリー(37)と、
・長手方向ガイド(38)と、
・コネクタ(39)と、
を備えることと、
前記ガイドは、前記コネクタの上端に配置され、前記ガイドが横方向水平軸の周りに傾斜(R1)することを可能にするヒンジ(41)によって前記コネクタに接続され、傾斜アクチュエータ(42)は、前記傾斜を制御することができることと、
前記トロリーは、前記ガイド上で長手方向に摺動するように取り付けられ、長手方向アクチュエータ(43)は、前記ガイドに対する前記トロリーの長手方向並進(T3)を制御するすることができることと、
前記ベースは、前記トロリー上で横断方向に摺動するように取り付けられ、横断アクチュエータ(44)は、前記トロリーに対する前記ベースの横断方向並進を制御することができることと、
を特徴とする、請求項21~26のいずれか一項に記載のツール。
【請求項28】
風力タービン(2)と、浮体式プラットフォーム(3)、特に、ビームの構造体(6)によって接続されたフロータ(4)を有するプラットフォームと、を備えるシステム(1)のための負荷(11A、130)を取り扱うための請求項1に記載の方法であって、前記風力タービン(2)が前記プラットフォームに取り付けられたマスト(7)を有し、前記方法が、
・一時的な実質的に水平なフレームワーク(30)を供給し、前記フレームワークを前記プラットフォームに載せてシステムに設置するステップと、
・前記フレームワークに巻上デバイス(14)を取り付けるステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項29】
前記巻上手段は、垂直タワー(15)と、前記タワーの頂部に、前記負荷を支持するためのツール(218;338)と、を備えることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ツール(218)は、前記風力タービンのためのブレードを取り扱うための手段を備えることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ツール(338)は、クレーン手段(338)を備えることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記フレームワークは、前記デバイスを取り付けるための少なくとも2つの位置を備えるように配置され、前記位置の一方は、他の位置よりも前記風力タービン(2)の前記マスト(7)に近いことを特徴とする、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記フレームワークの一端(332)は、前記プラットフォーム(3)のフロータ(4A)の周壁(336)に実質的に載るように設計されたトリマジョイスト(334)を備えることを特徴とする、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記風力タービンの前記マストの脚部(10)は、前記フレームワークの一端(331)を支持するために使用されるブラケット(333)を備えることを特徴とする、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記フレームワークの一端(331)は、前記マストの脚部に載り、前記フレームワークの他端(332)は、フロータ(4A)に載ることを特徴とする、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記フレームワークの一端(331)は、前記マスト(7)を支持するフロータ(4B)上に載ることを特徴とする、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記フレームワークの各端部は、前記プラットフォーム(3)のそれぞれのビーム(6A)上に載ることを特徴とする、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記フレームワークは、逆「U」の形状を有する横断面を有し、前記フレームワークを前記システム(1)のキャットウォーク(48)の上に配置できるように、エプロン(52)を共に支持する2つの長手方向桁(350)を備えることを特徴とする、請求項28~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフショア風力タービンの分野に関する。本発明は、特に、そのような風力タービンのブレードの設置又は除去に関する。本発明は、また、重い負荷の取り扱い(manipulation de charges lourdes)、特にそのような風力タービンのナセルの設備の取り扱いに関する。
【背景技術】
【0002】
海底が十分浅い場合、風力タービンは、海底に直接固定されたマストを備えることができる。これらの固定風力タービンは、概して、風力タービンファームの一部であり、その組み立てに、特にその基礎を設置し、次いでマストを位置決めし、タービン及びそのブレードを固定するために、多大な手段を投入する。
【0003】
しかしながら、このような風力タービンのブレードを交換しなければならない場合、唯一の既知の方法は、ジャッキアップを使用することであり、ジャッキアップは、脚部を備え、ラフィングジブクレーンを装備した自立式浮体式プラットフォームである。これらのプラットフォームは、海底に置かれ、それらの柱状脚のおかげで自己上昇する。ブレードの取り扱いは、非常に困難であり、高さ容量と負荷保持容量の両方に関してかなりの手段を必要とする。同じことが、そのような風力タービンのナセル、例えば、発電機又はギアボックスを装備する重い負荷にも当てはまる。十分な容量を有するジャッキアップは、ほとんどなく、その利用可能性には制限があり、使用するには極めて高価である。
【0004】
海底が深すぎる場合、風力タービンは、浮体式プラットフォーム上に支持される。そのような浮体式プラットフォームは、少なくとも3つのフロータを一緒に接続するバージ又はビーム構造体から成ってもよい。風力タービンは、概して、港の埠頭でそのプラットフォームに取り付けられ、次いで、海へとその作業現場に牽引される。
【0005】
浮体式風力プラットフォームは、一般に沖合に設置される。海は、概して、風力タービンも、その保守のために使用され得るクレーンも、海底上に静置することができないほど深い。それらは、互いに独立してうねりの影響を受ける。しかしながら、ブレードを支持しなければならないロータにブレードを取り付けるために、又はブレードが動作しなければならないナセルに発電機を設置するためには、事実上静的なアプローチが必要である。このためには、非常に好都合な条件、すなわち、例外的な海及び風の条件を必要とする。唯一の既知の現実的な解決策は、そのプラットフォームを有する風力タービンを、必要な保守を行うことができる港に戻すことである。それにもかかわらず、そのような解決策は、かなりの時間、エネルギー及び手段を消費する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3053020号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2727813号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2970696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決すべき問題は、浮体式風力タービンのブレードを交換するために、あるいはその上の重い負荷を取り扱うために、既知の方法よりも迅速に、より容易で、より安価な方法及び手段を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題を解決するために、本発明は、プラットフォーム、特に浮体式プラットフォームによって、特に支持される風力タービンにブレードを設置又は除去するための方法、又は重い負荷を取り扱うための方法を提案し、いくつかの要素が互いに対して伸縮可能な複数の要素を備えるマストを有するクレーン又はデバイスを一時的に取り付けることができる。
【0009】
本発明の第一の目的は、風力タービンとプラットフォームとを備えるオフショア風力タービンシステムの負荷、特にブレードを取り扱うための方法であり、この風力タービンは、マストと、マストによって支持されるナセルとを備え、ナセルは、ノーズを有するロータと、このノーズから半径方向に延在するブレードとを備え、ブレードには、取り扱う必要があり得るブレードも含まれ、この方法は、
・ナセル及びロータを、クレーンの取り付けを妨げない取扱位置に不動化するステップと、
・このクレーンを風力タービンシステムのプラットフォームに取り付けるステップと、
・ブレードであり得る負荷を取り扱うステップと、
・クレーンを分解するステップと、
・ナセル及びロータの移動を解放するステップと、
を含む。
【0010】
取り付けるステップは、クレーンのベースを風力タービンシステムのプラットフォームに固定するステップを含むことができる。この方法は、有利なことに、複数の要素を備えるマストを有するクレーンを供給することを含む。要素のいくつかは、互いに対して伸縮可能であり、クレーンを取り付けるステップは、その要素を互いに対して伸縮させるステップを含むことができる。
【0011】
負荷を取り扱うための、例えば、旧ブレードを新ブレードに交換するための本発明による方法では、負荷を取り扱うステップは、旧ブレードを除去するステップと、次いで新ブレードを設置するステップとを含んでもよい。好ましくは、取扱位置において、旧ブレードは、実質的に水平な位置にある。
【0012】
本発明は、本発明による方法を実施するための風力タービンシステムにも関し、このシステムのプラットフォームは、クレーンのベースを取り付けるための手段を備える。プラットフォームは、特にビームからなる剛性構造体によって互いに接続された少なくとも3つのフロータを備えてもよく、この構造体は風力タービンの支持体として機能し、クレーンのベースを取り付けるための手段はフロータの1つの頂部に配置される。
【0013】
本発明は、本発明による方法を実施するためのクレーンにも関し、このクレーンは、本発明によるシステムに固定されるベースを備える。有利なことに、クレーンは、複数の要素を備えるマストを有し、好ましくは、これらの要素の少なくともいくつかは、互いに対して伸縮可能である。
【0014】
好ましくは、クレーンは、ブレードを水平及び垂直に移動させるために巻上手段を備える。巻上手段は、スリーブと、スリーブ内で水平に摺動するように取り付けられ、それぞれがスリーブの各側から突出する2つの端部を有し、各端部がそれぞれの巻上ロープを有するダブルジブとを備えてもよい。あるいは、巻上手段は、スプレッダバー(palonnier)手段を備えてもよい。
【0015】
本発明の第二の目的は、風力タービンのブレードを取り扱うための方法であって、この風力タービンは、海底に強固に固定されたマストと、このマストによって支持されたナセルとを備え、このナセルが、半径方向に延在するブレードを有するロータを備え、本方法は、
・自己上昇プラットフォームを供給するステップと、
・プラットフォームを前記風力タービンの近くに不動化するステップと、次いで、
・巻上システムを自己上昇プラットフォームに取り付けるステップであって、前記システムは、システムの軸に沿って実質的に垂直であり、複数の要素から構成されるマストと、上部要素に固定された巻上ツールとを備える、ステップと、
・ナセルを、負荷の取り扱いを可能にする位置に不動化するステップと、
・マストを上げるステップと、
・負荷を把持するステップと、
・マストを下げるステップと、次いで、
・ナセル及びロータの移動を解放するステップと、
を含む。
【0016】
したがって、海底に強固に固定されたマストと、このマストによって支持され、半径方向に延在するブレードを有するロータを備えるナセルとを備える風力タービンのブレードを取り扱い、又は取り付け、又は除去するための方法は、
・自己上昇プラットフォームを供給するステップと、
・プラットフォームを前記風力タービンの近くに不動化するステップと、次いで、
・巻上シスステムをプラットフォームに取り付けるステップであって、システムは、システムの軸に沿って実質的に垂直であり、複数の要素から構成されるマストと、上部要素に固定された巻上ツールとを備える、ステップと、
・ナセルを、負荷の取り扱いを可能にする位置に不動化するステップと、
・マストを上げるステップと、
・ブレードを取り扱うステップと、
・マストを下げるステップと、
・ナセルの移動を解放するステップと、
を含む。
【0017】
有利なことに、要素のいくつかは、互いに対して伸縮可能であり、システムを上げるステップは、これらの要素を互いに対して伸縮させるステップを含む。
【0018】
本発明の第二の目的による方法を実施するための自己昇降プラットフォームは、有利なことに、ホイストシステムのベースを固定するための手段を備える。
【0019】
本発明の第二の目的による方法で実施されるシステムでは、ツールは、実質的に上部マスト要素の頂部に固定され、マストと共に「T」形状を形成する。
【0020】
巻上ツールは、上部要素の頂部に取り付けられ、この要素と共に「T」を形成する水平ビームと、ビーム上で水平に摺動するように取り付けられたスライドとを備えてもよく、このスライドは、ブレードをその上に載せるように設けられた着座手段を支持する。ブレードは、また、システムの軸の周りを回転するように取り付けられてもよく、ツールは、ビームの一端に、負荷を巻き上げるためのウインチ手段を備えてもよい。好ましくは、着座手段の高さは、特にその上に配置しなければならないブレードに適合するように調整することができる。
【0021】
巻上手段は、スリーブと、このスリーブ内で水平に摺動するように取り付けられ、それぞれがスリーブの各側から突出する2つの端部を有し、各端部がそれぞれの巻上ロープを有するダブルジブとを備えてもよい。
【0022】
有利なことに、システムのマストを形成する要素の少なくともいくつかは、互いに伸縮可能である。
【0023】
好ましくは、マストは、本発明の第二の目的によるプラットフォームに固定されるように設計されたベースを形成する下部要素を備える。
【0024】
別の実施形態によれば、本発明によるシステムは、プラットフォームに対して固定されたベースを備えることができ、マストは、システムの軸の周りでベース上で回転するように取り付けられ、巻上ツールは、上部要素の頂部に堅固に配置された実質的に水平なビームと、マストと同時に軸の周りを回転するように下部要素に固定されたウインチと、ウインチに接続されたロープとを備え、システムは、第一のロープリターン(及び第二のロープリターンをさらに備え、各ロープリターンは、ビームのそれぞれの端部に配置され、その結果、
・ロープは、2つのリターンの間で実質的に水平になり、
・ロープは、ウインチと第一のリターンとの間で垂直に延在し、
・ロープの自由端は、第二のリターンを越えて延在し、負荷を懸架するようになる。
【0025】
有利なことに、システムは、システムのマストを風力タービンのマストに接続するアーム手段を備え、好ましくは、少なくとも1つのアームが風力タービンのマストに摺動可能に取り付けられる。
【0026】
本発明の第三の目的は、ビーム構造体によって接続されたフロータを有するプラットフォームと、プラットフォームに取り付けられたマストを有する風力タービンとを備えるシステムのための負荷を処理するための方法であって、本方法は、
・一時的な実質的に水平なフレームワークを供給し、このフレームワークをプラットフォーム上に載せてシステムに設置するステップと、
・フレームワークに巻上デバイス(engin de levage)を取り付けるステップと、
を含む。
【0027】
本発明は、港に戻ることを伴わず、オフショア用の従来のクレーンを装備した比較的小型のボートのみを必要とし、例えば、少なくとも50mのフック高さに対して30メートルで数百トンの容量を有し、有利なことに、うねり補償器を装備したもののみを必要とする。このタイプのボートは、容易に入手可能であり、比較的安価であり、実証された技術が使用されている。
【0028】
好ましくは、巻上手段は、垂直タワー(fut vertical)と、タワーの頂部において負荷を支持するためのツールとを備える。例えば、ツールは、風力タービン又はクレーン手段のためのブレードを取り扱うための手段を備えることができる。有利なことに、タワーは、互いに対して伸縮可能な要素を備える。
【0029】
好ましくは、フレームワークは、巻上デバイスを取り付けるための少なくとも2つの位置を含むように配置され、位置の一方は、他の位置よりも風力タービンのマストに近い。
【0030】
フレームワークの一端は、プラットフォームのフロータの周壁に実質的に載るように設計されたトリマジョイスト(chevetre)を備えてもよい。風力タービンのマストの脚部は、フレームワークの一端を支持するために使用されるブラケットを備えてもよい。
【0031】
フレームワークの一端は、マストの脚部に載ることができ、このフレームワークの他端は、フロータに載ることができる。
【0032】
フレームワークの一端は、マストを支持するフロータ上に載ることができる。
【0033】
あるいは、フレームワークの各端部は、プラットフォームのそれぞれのビーム上に載ることができる。
【0034】
また、フレームワークは、有利なことに、逆「U」の形状を有する横断面を有し、フレームワークをシステムのキャットウォーク(passerelle)の頂部に配置できるように、エプロンを共に支持する2つの長手方向桁(longerons)を備える。
【0035】
本発明の第四の目的は、スプレッダバーとポジショナとを備える風力タービンのブレードを位置決め又は除去するためのツールであって、スプレッダバーは、クレーンを使用してブレードを巻き上げるように設計され、スプレッダバー及びポジショナは、相互把持手段を備え、ポジショナは、ポジショナを巻上手段に固定するための手段と、ブレードを巻上手段に対して配向及び移動させるための手段とを備える。
【0036】
好ましくは、相互把持手段は、相互挿入手段を備える。有利なことに、挿入手段は、2つのポール(perches)と、その中にロッド(tiges)を挿入するためのスリーブとを備え、ロッドの一方を他方の前に挿入することができ、好ましくは、2つのロッドは異なる長さを有する。
【0037】
スプレッダバーは、ブレードを把持するための少なくとも1つのクランプ、好ましくは、長手方向に配置されたヤード(vergue)と、それぞれがヤードのそれぞれの長手方向端部にある2つのクランプとを備えてもよい。各クランプは、下部ジョーと、上部ジョーとを備えてもよく、下部ジョーは、ヤードに対して固定され、上部ジョーは、垂直に移動することができ、その結果、ブレードが下部ジョー上に載置されると、上部ジョーは、ブレードをクランプして、それを保持する。
【0038】
有利なことに、ポジショナは、
・水平横軸の周りにブレードを傾けるための手段と、
・ブレードを長手方向に移動させるための手段と、
好ましくは、
・ブレードを横断方向に移動させるための手段と、及び/又は
・垂直軸の周りに前記ブレードを回転させるための手段と、
を備える。
【0039】
ポジショナは、特に、
・スプレッダバーが配置され得るベースであって、ベースは、スプレッダバー上の前記ポジショナを把持するための手段を備える、ベースと、
・トロリーと、
・長手方向ガイドと、
・コネクタと、
を備えてもよく、
ガイドは、コネクタの上端に配置され、ガイドが横方向水平軸の周りに傾斜することを可能にするヒンジによってコネクタに接続され、傾斜アクチュエータは、傾斜を制御するために使用され、
トロリーは、ガイド上で長手方向に摺動するように取り付けられ、長手方向アクチュエータは、ガイドに対するトロリーの長手方向並進を制御するために使用され、
ベースは、トロリー上で横断方向に摺動するように取り付けられ、横断アクチュエータは、前記トロリーに対する前記ベースの横断方向並進を制御するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明のいくつかの実施形態は、非限定的な例として与えられ、添付の図面を参照して、以下で説明される。
【0041】
図1~13は、本発明の第二の目的を示す。図14は、本発明の第一の目的を示す。図15図24は、本発明の第三の目的を示す。図25図37は、本発明の第四の目的を示す。
【0042】
図1】本発明による巻上システムの第一の実施形態を使用して、風力タービンの損傷したブレードを交換する本発明による第一の方法の第一のステップの概略立面図で、このステップで、予備ブレードは、自己上昇プラットフォーム上に運ばれる。
図2】この方法の第二のステップの概略図で、プラットフォームは、風力タービンの脚部に設置される。
図3】この方法の第三のステップの概略図で、巻上システムは、損傷したブレードを把持する。
図4】この方法の第四のステップの概略図で、巻上システムは、損傷したブレードを切り離す。
図5】この方法の第五のステップの概略図で、巻上システムは、損傷したブレードをラティスブームクレーンによって拾い上げられるまで下げる。
図6】この方法の第六のステップの概略図で、損傷したブレードは、ラティスブームクレーンによって拾い上げられる。
図7】先の図に示した巻上システムを使用して、風力タービンのナセルから負荷、この場合は機器を除去する本発明による第二の方法の第一のステップの概略図で、システムは、負荷を把持する。
図8】第二の方法の第二のステップの概略図で、システムは、負荷を巻き上げる。
図9】第二の方法の第三のステップの概略図で、システムは、負荷を配向する。
図10】風力タービンのブレードを把持するプロセスにおける本発明によるシステムの第二の実施形態の概略立面図である。
図11】ブレードを下げるプロセスにおける図10のシステムの概略図である。
図12】負荷を除去するステップにおける、図7図9に示す本発明によるシステムの第一の実施形態の改良のステップの概略図である。
図13】負荷を除去するステップにおける、本発明によるシステムの第三の実施形態の概略図である。
図14】浮体式風力タービンのプラットフォームに取り付けられた本発明によるクレーンの概略立面図で、この風力タービンのブレードを取り扱うプロセスである。
図15】本発明によるツールを使用する方法による風力タービンのブレードの交換の概略立面図である。
図16】本方法の第一のステップの概略立面図で、風力タービンに設置されるべきブレードは、供給される。
図17】本方法の第二のステップの概略立面図で、ブレードは、巻上システム上に配置される。
図18】本方法の第三のステップの概略立面図で、巻上システムは、ブレードを上昇させる。
図19】本方法の第四のステップの概略立面図で、巻上システムは、ブレードを風力タービンのロータに向かって移動させる。
図20】本方法の第五のステップの概略立面図で、ツールは、ブレードが固定されなければならないフランジに向かってブレードを配向する。
図21】第五のステップの概略平面図である。
図22】本方法の第六のステップの概略立面図で、ツールは、ブレードをフランジに接触させて固定する。
図23】本方法の第八のステップの概略立面図で、ツールは、ブレードを解放する。
図24】本方法の第八のステップの概略平面図で、風力タービンのナセルが回転して、ブレードをツールから解放する。
図25】風力タービンを維持するための第一の方法の概略立面図であり、風力タービンを支持するプラットフォームのフロータによって支持される伸縮式タワーの頂部に固定されたツールが使用される。
図26】風力タービンを維持するための第二の方法の概略斜視図であり、この場合、伸縮式タワーが風力タービンのフロータとマストとの間に配置されたフレームワークによって支持されるという点で図25に示す方法とは異なる。
図27図26に示す方法を用いて風力タービンのブレードを交換する概略立面図である。
図28図26に示す方法を用いて重い負荷を取り扱う概略立面図である。
図29】風力タービンを維持するための第三の方法の概略斜視図であり、この場合、伸縮式タワーが、2つのフロータの間に配置されたフレームワークによって支持され、その一方が風力タービンのマストを支持するという点で、図25及び図26に示すものとは異なる。
図30図29に示す方法を用いて風力タービンのブレードを交換する概略立面図である。
図31図29に示す方法を用いて重い負荷を取り扱う概略立面図である。
図32図29に示す方法で使用される支持フレームワークの詳細の概略斜視図である。
図33】風力タービンを維持するための第四の方法の概略斜視図であり、この場合、伸縮式タワーが、フレームワークによって支持され、その端部がフロータを互いに接続している管状ビーム上に載っているという点で図26図32に示すものとは異なる
図34】本発明によるフレームワークの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここで、図14を参照して、本発明の第一の目的を説明する。本明細書において、「垂直」及び「水平」という用語は、風又は膨潤がないと任意に仮定して、図に示すように、風力タービンシステムの平衡位置に対するものである。風力タービンのマストは、説明を簡単にするために垂直であるとみなすが、実際には、その位置は、うねり及び風の影響を受ける。さらに、「左」又は「右」という用語は、絶対的ではなく、概して、図のうちの1つの上の位置を指し、決して、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。
【0044】
図14は、風力タービンシステム1を示す。図示の例では、システムは、浮体式プラットフォーム3に取り付けられた風力タービン2を備える。プラットフォーム3は、フロータ4と、剛性構造体6とを備える。フロータの数は、一般に、3つ又は4つである。風力タービンは、主軸X1に沿って垂直に延在し、フロータは、この軸X1の周りに均等に分散される。構造体6は、フロータを互いに接続し、風力タービン2を支持する。このようなシステムは、特に特許文献1(Dietswell社)で知られている。
【0045】
この例では、風力タービンは、ノーズ12に固定された3つのブレード11を有する独自のロータ9を有するナセル8をその頂部で支持する管状マスト7を備える。
【0046】
図14は、クレーン14を用いて本発明による方法を実施するブレード11Aの交換を示す。クレーン14は、プラットフォーム3のフロータ4から選択された支持フロータ4Aの頂部に取り付けられている。
【0047】
図示の例では、クレーンは、マスト16と、巻上ヘッド17とを備える。マスト16は、支持フロータ4Aから主軸X1に平行なクレーン軸X14に沿って垂直に延びている。マストは、下部要素16Aと、2つの中間要素16Bと、上部要素16Cとを備える。中間要素16Bは、互いに実質的に同じである。巻上ヘッド17は、上部要素16Cに固定される。
【0048】
支持フロータ4Aは、マスト16のベースのための固定手段(図示せず)を備える。下部要素16Aは、マスト16のベースを含むか、又はベースを形成する。
【0049】
ヘッドは、スリーブ18と、ダブルジブ20とを備える。スリーブ18は、上部要素16Cに固定され、クレーン14のマスト16に対してシフトされる。図14では、スリーブは、図の前方に向かってシフトされている。ダブルジブ20は、スリーブ内で水平に摺動するように、スリーブ内に取り付けられる。図14では、滑動は、図の左から右に起こる。ダブルジブ20は、図14のスリーブの左右にそれぞれスリーブから突出する2つの端部20D、20Gを含む。スリーブは、取り扱われるブレード11Aがマストに衝突しないように、マストに対してシフトされる。
【0050】
ジブ20の各端部20D、20Gは、ウインチに取り付けられたそれぞれの巻上ロープ21を有する。各ロープ21は、フック22を有する。
【0051】
ジブ20は、スリーブ18内で水平に摺動して、ブレードをノーズに向かって、又はノーズから離れるように移動させることができる。同じ速度でロープ21を同時に巻き取ること、又は巻き戻すことによって、ブレードをそれぞれ上方又は下方に並進させることが可能になる。ロープを独立して使用することで、水平に対してブレードの傾斜を制御することができる。
【0052】
図示の位置では、交換されるべきブレード11Aは、ノーズ12の反対側でフック22上に水平に置かれている。この位置において、ブレード11Aは、ノーズ12にボルト留めすることも、あるいはノーズ12からボルト留めを外すこともできる。
【0053】
有利なことに、マスト16の少なくとも中間要素16B及び上部要素16Cは、互いに対して伸縮可能である。したがって、クレーンは、容量及びリーチが小さくなった浮体式クレーンを使用して、取り付けることができる。
【0054】
要素は、管状であっても、あるいは格子構造を有してもよい。
【0055】
本発明による方法では、ナセルを最初に配向し、クレーンの取り付けを妨げない位置に維持して、次いで、クレーンを取り付ける。ブレード11Aを除去する必要があるとき、主軸X1の周りのナセルのヨーを変化させて、ブレードをクレーンの方に運び、ブレードを巻上手段によって容易に把持することができる位置に置くための機構を使用することができる。新しいブレードが設置されると、同じ機構を使用して、クレーンを分解する前にブレードを離すことができる。
【0056】
明らかに、本発明の第一の目的は、上述したばかりの例に限定されない。それどころか、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0057】
図14を参照して上述した実施形態に、開示されたばかりの情報に照らして様々な修正がなされ得ることは、当業者には明らかである。
【0058】
これにより、風力タービンのマストとクレーンマストとの間に小さなブレース(bracons)を設置することができ、より軽量のクレーンを使用することができる。
【0059】
また、独立したロープの代わりに、巻上ヘッドは、スプレッダバーを備えてもよい。また、フックの代わりに、巻上手段は、ブレードが実装されている間にブレードを載せることができる少なくとも1つのクレードルを備えてもよい。したがって、このクレードルを単に垂直に動かすことによって、取り扱われるブレードを拾い上げることも、又は解放することもできる。
【0060】
そのような方法は、記載されたタイプの風力タービンには限定されるものではなく、特に、フロータを接続する構造上に取り付けられ、特許文献1(Dietswell社)に記載されている風力タービンには限定されない。そのような方法は、また、風力タービンが構造体の中心に置かれず、オフセットされる場合にも、例えば、特許文献2(Principle Power INC)に記載されているように、フロータの1つによって支持されてオフセットされる場合、あるいは例えば、特許文献3(Ideol社)に記載されているように、コンクリートリングの縁部上でオフセットされる場合にも適用され得る。そのような方法は、またバージ等のプラットフォーム上に搭載される風力タービン、又はそのプラットフォームが、それを海底に固定されたままにする剛性アンカを備える、風力タービンにも適用することができる。
【0061】
クレーンが風力タービンのプラットフォームに固定されるので、クレーンは、うねり及び風による動きにもかかわらず、比較的固定された位置にあり、それによって、ブレードを設置する困難さを大幅に低減する。さらに、モジュール式クレーンの使用は、ブレードを設置するために必要とされる手段を少なくする。さらに、プラットフォーム及びその風力タービンを港まで移動させる必要がなく、これは、特に、ブレードを交換することによって引き起こされる生産停止がはるかに短くなることを意味する。
【0062】
明らかに、本発明によるクレーンは、ブレードを交換する以外の活動にも使用することができる。例えば、ナセル内に配置された機器の交換、特に発電機又は変圧器の交換などの重い保守作業に使用することができる。
【0063】
ここで、図1図13を参照して、本発明の第二の目的を説明する。「左」又は「右」などの使用される用語のいくつかは、絶対的ではなく、概して、図のうちの1つの上の位置を指し、決して本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。
【0064】
図1図13は、風力タービン2を示す。図示の例では、風力タービン2は、ノーズ12に固定された3つのブレード11を有する独自のロータ9を備えるナセル8をその頂部で支持する管状マスト7を備える。風力タービンは、オフショア固定風力タービン208である。マスト7は、それが係留される海底109から垂直風力タービン軸X1に沿って延在する。
【0065】
図1図6は、巻上システム111を用いて、本発明による第一の方法を実施するブレード11Aの交換を示す。図1図6は、巻上システムの第一の実施形態を示す。システム111は、ジャッキアップ自己上昇プラットフォーム112上に取り付けられる。プラットフォーム112は、金属格子構造を有する二次ラフィングジブクレーン113を備える。
【0066】
図1に示すように、プラットフォーム112は、風力タービン2に浮いている。プラットフォーム112は、そのデッキ112P上に横たわって、損傷したブレード11Aを交換するためのブレード11Bを支持する。
【0067】
図2図6は、風力タービン2のマスト7の近くに不動化され、海底9上に載るその脚部112A上に立設されたプラットフォーム112を示す。プラットフォーム112及び巻上システム111は、風力タービンの軸X1及びシステムの軸X111が互いから第一の距離D1にあるように配置され、第一の方法を実施するように適合される。
【0068】
図1及び図2に示すように、プラットフォームを移動させ、風力タービンの近くで立設させるとき、巻上システムは、後退位置P1にある。損傷したブレード11Aに到達するために、システムは、特に図3及び図4に示すように、展開位置P2をとることができる。
【0069】
図示の例では、システムは、マスト16と、巻上ツール117とを備える。マスト16は、プラットフォーム112から風力タービン軸X1に平行なシステムの主軸X111に沿って垂直に延在する。マスト16は、下部要素16Aと、中間要素16Bと、上部要素16Cとを備える。ツール117は、上部要素16Cに固定される。下部要素16Aは、マスト16のベースを含むか、又は形成する。プラットフォーム112は、マスト16のベースのための固定手段(図示せず)を備える。この第一の実施形態では、中間要素16Bは、それらが互いに対して伸縮可能で、下部要素16Aの内側に入れることができるように取り付けられており、マストを後退位置P1から展開位置P2に上昇させるために、またその逆に、マストを展開位置から後退位置に下降させるために、伸縮自在である。
【0070】
特に図4の詳細D4に示すように、ツール117は、スライド118と、ダブルジブ120とを備える。ダブルジブは、巻上システム111の上部要素に固定される。スライドは、ダブルジブ120上で水平にスライドするように取り付けられる。スライドは、その端部のそれぞれに、図の位置においてそれぞれ右側及び左側に座部119Aを備える。座部119Aは、ブレードを実質的に水平に配置することができるように設計され、その結果、その重心が2つの座部の間にあるようになる。スライド119は、右側に位置する座部119Aの上方に配置されたクランプ手段119Bも備える。クランプ手段119Bは、クランプ手段と下に位置する座部との間でブレードをクランプすることによって、ブレードを着座手段に固定するために使用される。
【0071】
ここで、図1図6を参照して、損傷したブレード11Aを予備ブレード11Bで交換するための方法を説明する。
【0072】
図1に示す第一のステップでは、プラットフォーム112は、交換ブレード11Bがそのデッキ上にある状態で風力タービン2まで運ばれる。
【0073】
図2に示す第二のステップでは、巻上システムが風力タービンに十分に近接しているとき、プラットフォーム112は、不動化され、海底上に立設される。損傷したブレードは、プラットフォーム112の上方で水平に不動化され、ナセル8は、風力タービン軸X1の周りで回転できないように、不動化される。プラットフォーム及び損傷したブレード11Aのこの位置では、システムの軸X111は、損傷したブレードの重心11Gの近くに配置され、ツール117は、損傷したブレードの実質的に垂直上方にある。
【0074】
図3に示す第三のステップでは、巻上システム111のマストは、展開位置P2に到達するまで展開される。スライド119は、システムの軸X111に対して左に方向C1(図3参照)にシフトされる。この位置において、ツール117は、損傷したブレードと接触し、それを保持するので、ロータ9から分離することができる。ブレード11Aの重心11Gは、実質的にスライド119の中心にある。Tの向き及び支持体119Aの高さは、ブレード11Aもロータ9も損傷することなく、次の分離ステップが確実に行われるように調整される。
【0075】
図4に示す第四のステップでは、損傷したブレード11Aがロータ9から分離される。ブレード11Aを支持するスライドは、損傷したブレード11Aの重心11Gがシステムの軸X111と実質的に一致するように、方向C2(図4参照)に水平に右にシフトされる。
【0076】
図5に示す第五のステップでは、巻上システム111のマスト16をその後退位置P1に後退させ、損傷したブレードは、フックデバイス113Cを用いて二次クレーン113によって把持することができる。
【0077】
図6に示す第六のステップでは、二次クレーンは、損傷したブレード11Aをツール117から除去し、交換ブレード11Bのそばでプラットフォーム112のデッキ112P上に配置する。
【0078】
図示されていない次のステップでは、以前のステップと同様であるが、逆の順番で、交換ブレード11Bをロータ9に固定する:
・二次クレーン113は、交換ブレード11Bを把持して、ツール117に載せ、次いで、
・システム111のマスト16は、展開位置P2に展開され、交換ブレードは、ロータ9の反対側にあり、次いで、
・スライドは、ロータ9に向かって移動し、Tの向き及び支持部119Aの高さは、交換ブレード11Bがロータ9に取り付け可能な位置になるまで調整され、次いで、
・マスト16は、その後退位置に戻され、次いで、
・プラットフォーム112は、海底109から分離され、次いで、プラットフォームは、浮動することによって離れ、それとともに損傷したブレード11Aを持ち去る。
【0079】
ここで、図7図9を参照して、本発明によるシステムを使用して実施される第二の方法を説明する。前述した第一の方法と比較した相違点と、第一の方法を実施するために使用された手段と比較したその実施のための相違点とを説明する。
【0080】
この第二の方法は、重い負荷130を巻き上げるために使用され、この負荷は、ナセル8内に収容され、そこから除去されなければならない。この第二の方法を実施するために、ツール117は、その端部の少なくとも1つにウインチ手段117Tを備える。図7において、ツールの右側端部は、ウインチ手段117Tを備えている。ツール117は、システムの軸X11を中心としてマスト16に対して回転するように取り付けられる。
【0081】
図7に示す第一のステップでは、プラットフォーム112及び巻上システム111は、風力タービンの軸X1及びシステムの軸X111が、第二の方法を実施するように適合された、互いから第二の距離D2にあるように配置される。マスト16は、第二の展開位置P3にある。この位置において、マストは、特に図3及び図4に示す展開位置P2において到達するサイズよりも大きいサイズに到達する。ツールの右端は、ナセル8の上方に位置する。ウインチ手段117Tは、この端部から、それが取り付けられる負荷まで垂直に延在するロープ121を備える。
【0082】
図8に示す第二のステップにおいて、負荷130は、まず、ナセル8から垂直に上方に向かって引き出される。
【0083】
図9に示す第三のステップにおいて、ツールは、次いで、デバイスの軸X111の周りを、この場合は180度だけ回転して、風力タービン2の水平フットプリントから離れるように動かされる。
【0084】
図示されていない次のステップでは、負荷130は、次いで、プラットフォーム112のデッキ上に降下され、空にされる。
【0085】
図示されていないステップは、以前のステップと類似しているが、逆の順序で、プラットフォームを使用して、浮かぶことによって取られる重い負荷をナセルに配置するために使用される。
【0086】
明らかに、同じシステム又は同様のシステムを用いて、同様の方法を実施して、風力タービンの任意の負荷又は任意の機器を移動させることができる。
【0087】
ここで、ツール117の第二の実施形態を用いて、図10を参照して、本発明によるシステムの第二の実施形態を用いて実施される第三の方法を説明する。
【0088】
この第二の実施形態では、ツール117は、スリーブ118と、ダブルジブ120とを備える。スリーブ118は、上部要素16Cに固定され、システム111のマスト16に対してシフトされる。図10及び図11では、スリーブは、各図の前方に向かってシフトされている。ダブルジブ120は、スリーブ内で水平に摺動するようにスリーブ内に取り付けられる。図面上では、スライドは、各図の左から右に、及びその逆に起こる。ダブルジブ120は、図のスリーブの左右にそれぞれスリーブから突出する2つの端部120D、120Gを備える。スリーブは、取り扱われるブレード11Aがマスト16に衝突しないように、マストに対してシフトされる。ジブ120の各端部120D、120Gは、ウインチに取り付けられたそれぞれのホイストロープ121を有する。各ロープ121は、フック122を有する。
【0089】
このシステムは、マスト16と、ツール117とを備える。マスト16は、プラットフォーム112から風力タービン軸X1に平行なシステム軸X111に沿って垂直に延在する。マスト16は、下部要素16Aと、中間要素16Bと、上部要素16Cとを備える。巻上ヘッド117は、上部要素16Cに固定される。プラットフォーム112は、マスト16のベースのための固定手段(図示せず)を備える。下部要素16Aは、マスト16のベースを含むか、又は形成する。
【0090】
ジブ120は、スリーブ118内で水平に摺動して、ブレード11Aをノーズ12に向かって、又はそれから離れるように移動させることができる。同じ速度でのロープ121の同時の巻き取り又は巻き出しは、ブレード11Aが、それぞれ上方又は下方に並進することを可能にする。ロープを独立して使用することで、水平に対してブレード11Aの傾斜を制御することができる。
【0091】
図10に示す位置において、交換されるべきブレード11Aは、ノーズ12の反対側でフック122上に水平に置かれる。この位置において、ブレード11Aは、ノーズ12にボルト留めすることも、あるいはノーズ12からボルト留めを外すこともできる。
【0092】
システム111は、ブレード11Aを取り扱うのに必要とされるものと比較して、容量及びリーチが小さくなった二次クレーン113又は浮体式クレーンを使用して搭載されることができる。有利なことに、図1図9に示す実施形態のように、マスト16の中間要素16B及び上部要素16Cの少なくともいくつかは、互いに対して伸縮可能であり、したがって、さらに低い容量のシステムを使用して、システム111を取り付けることができる。
【0093】
要素16A~16Cは、管状であっても、あるいは格子構造を有してもよい。
【0094】
図11では、交換されるブレード11Aは、ノーズ12から除去され、ロープ121から懸架されている。ブレード11Aは、降下中であるように示されている。システム111は、有利なことに、プラットフォーム112に結合された付属ボート上に、又はプラットフォーム112自体上にブレード11Aを配置するために、プラットフォーム112上に配置される。この最後の場合において、二次クレーン113は、プラットフォームがブレード11Aをそこに持っていくために使用された場合、プラットフォーム112上でブレード11Aを拾い上げ、それを付属ボート又は埠頭上に置くように設計することができる。
【0095】
逆のプロセスでは、新しいブレードを設置して、風力タービン1から除去されたブレード11Aを交換することができる。
【0096】
ここで、図12を参照して、図7図9で説明した実施形態及び方法の改良について、相違点のみを言及して説明する。
【0097】
この場合、図示のシステムは、上部要素16Cをナセル8に堅固に接続する水平アーム131を備える。このアームは、マスト16を固定することができる。このアームによって、システムを最適化すること、特に、より軽い断面のマストを使用することができ、こうして、移動及び実装がより容易になる。
【0098】
ナセルに接続された単一の固定アームの代わりに、中間要素16Bの少なくとも1つは、ポスト上、例えば、この目的のために設けられたレール上を摺動するように取り付けられたアームを備えることができ、その結果、風力タービンのマスト7の剛性は、マストを展開又は後退させるときにシステム111のマスト16の剛性を保証する。これによって、システムを設置するにあたって、より軽いシステムをと、より軽い二次クレーンを使用することが可能になる。
【0099】
ここで、図13を参照して、第三の実施形態について、前述した実施形態と比較した相違点を言及して説明する。
【0100】
この実施形態では、システムは、プラットフォーム112のデッキ112P上に固定ベース135を備える。マスト16、特に下部要素16Aは、ベース135上で回転するように取り付けられる。巻上ツール117は、上部要素16Cの頂部に強固に配置された水平ビーム136を備え、その各分岐は、同じ距離L136にわたってシステムの軸X111の両側に延在する。ウインチ137は、マスト16と同時にシステムの軸X111を中心に回転するように、下部要素16Aに固定される。ウインチに接続されたロープ138は、負荷130を巻き上げるために使用される。システムは、第一のロープリターン139A及び第二のロープリターン139B、例えば、プーリを備え、そのそれぞれがビーム136のそれぞれの端部に配置され、その結果、
・ロープは、2つのリターンの間で実質的に水平になり、
・ロープは、ウインチと第一のリターン139Aとの間で垂直に延在し、
・ロープの自由端は、第二のリターン139Bを越えて延在し、負荷130を懸架するようになる。
【0101】
この配置を用いることで、巻上負荷は、システムが最適化されるように、システム111の軸X111と実質的に整列される。
【0102】
明らかに、本発明の第二の目的は、上述したばかりの例に限定されない。それどころか、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0103】
図1図13を参照して上述した実施形態に、開示されたばかりの情報に照らして様々な修正がなされ得ることは、当業者には明らかである。
【0104】
したがって、ジャッキアッププラットフォームは、二次クレーンを備える必要はない。この場合、システムが後退位置にあり、ブレードが巻上ツール上に配置された状態で、港に戻ることができ、次いで、ブレードをポートクレーン又は別の巻上手段に置き換えることができ、次いで、プラットフォームを風力タービンに戻し、新しいブレードを設置することができる。
【0105】
システムは、垂直軸を中心に回転するジブを備えたタワークレーンからなっていてもよい。
【0106】
したがって、第二の実施形態では、ツールは、独立ロープの代わりにスプレッダバーを備えてもよい。
【0107】
本発明による方法では、システム及び風力タービンは、海底に少なくとも間接的に固定されるので、相対的な固定位置を有する。このため、ブレードを取り扱う際の困難を著しく低減する。さらに、モジュール式システムを使用することによって、ブレードを取り扱うために必要とされる手段が少なくなる。したがって、より普通のタイプのジャッキアッププラットフォームを使用することができるので、より入手しやすく、より安価である。
【0108】
本発明による方法は、記載されたタイプの風力タービンに限定されない。これらの方法は、また、バージ等のプラットフォームに取り付けられた風力タービン、又はそのプラットフォームが海底に固定されたままの剛性支柱を備える風力タービン、又は重力ベースの基礎上に取り付けられた風力タービンに適用することができる。
【0109】
また、本発明による方法は、ブレードを修理するために使用することができ、同じブレードは、保守作業後に定位置に戻される。この保守は、ブレードを港に戻す必要がない場合、プラットフォーム112上で有利に実行される。
【0110】
ここで、図15図24を参照して、本発明の第三の目的を説明する。以下の説明では、「左」又は「右」などの使用される用語のいくつかは、絶対的ではなく、概して、図のうちの1つの上の位置を指し、決して、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。風力タービンのマストは、説明を簡単にするために垂直であるとみなすが、実際には、その位置は、うねり及び風の影響を受ける。
【0111】
図15は、風力タービンシステム1を示す。図示の例では、システムは、浮体式プラットフォーム3に取り付けられた風力タービン2を備える。プラットフォーム3は、フロータ4と、剛性構造体6とを備える。フロータの数は、一般に、3つ又は4つである。風力タービンは、風力タービンの主軸X1に沿って垂直に延在し、フロータは、この軸X1の周りに均等に分散される。構造体6は、フロータを互いに接続し、風力タービン2を支持する。このような浮体式風力タービンシステムは、特に特許文献1(Dietswell社)で知られている。
【0112】
図示の例では、風力タービン2は、ロータ12に固定された3つのブレード11を有する独自のロータ12を備えるナセル8をその頂部で支持する管状マスト7を備える。マスト7は、風力タービン軸X1に沿って延びている。
【0113】
図15は、タワー15を備える巻上デバイス14を使用して、本発明による方法を実施するブレード11Aの交換を示す。デバイス14は、プラットフォーム3のフロータ4から選択された支持フロータ4Aの頂部に取り付けられる。タワー15は、巻上軸X15の周りに垂直であり、図示の例では、互いに垂直に摺動するように取り付けられた6つの管状要素16を含む。デバイス14は、タワーの頂部に、ブレード11から選択されたブレード11Aを把持するためのツール218を備える。
【0114】
巻上デバイス14及びツール218は、ツール218及びそれが支持するブレード11Aの負荷降下が常に中立素分(fibre neutre)に、言い換えればタワー15の軸X15にできるだけ近接したままであり、モーメント、半径方向応力又は座屈さえ実質的に回避するように画定される。
【0115】
バージ219は、風力タービンシステム1の近くで停泊している。バージ219は、格子構造を有するラフィングジブクレーン220を備える。バージ219は、ブレード11Aが新しい場合は、ブレードを搬入し、損傷している場合はブレードを搬出するために使用され、損傷したブレードと交換ブレードとを交換するために使用される。図示の例では、バージ219はジャッキアップ型であり、海底が非常に深い場合、システム1の近くで浮遊したままのバージを使用することができる。本発明による手段及び方法を使用すると、風力タービンシステム1とバージ219との相対運動は、ブレード11Aを取り扱うための問題は、もはやない。この作業は、ブレードも風力タービンも損傷することなく行うことができる。
【0116】
図16図24は、ツール218を用いた風力タービン2への新しいブレード11Aの設置を示す。
【0117】
ここで、図16を参照して、ツール218を説明する。特に図16に示すように、ツール218は、互いに分離可能な2つのメインパーツ221、222を備え、第一のパーツは、ブレード11Aを把持するためのスプレッダバー221を形成し、第二のパーツは、ロータ12に対してプレートを位置決めするためのポジショナ222である。図において、ポジショナ222は、タワー15の頂部に固定されている。図16では、タワーは、後退位置にあり、言い換えると、要素16は、互いに挿入されている。
【0118】
特に図16を説明するために、長手方向とは、ブレードに実質的に平行なもの、言い換えれば、図の左から右に延びるものを意味する。横断方向は、水平面において、図の平面に対して垂直であり、したがって、ブレードに対して横断方向であるものを意味する。スプレッダバー221は、
・垂直横断面において立ち上がる直立部223と、
・直立部の上端に固定されたスリング224と、
・直立部の下端に固定された把持手段26と、
を備える。
【0119】
図示の例では、把持手段26は、長手方向に配置されたヤード27と、それぞれがヤード27のそれぞれの長手方向端部にある2つのクランプ28とを備える。さらに、ヤードは、2つのスリーブ33を支持する。
【0120】
各パーツ28は、下部ジョー31と、上部ジョー32とを備える。下部ジョーは、ヤード27及び直立部223に対して固定される。上部ジョーは、垂直に移動することができ、その結果、ブレードが下部ジョー上に載置されると、上部ジョーは、ブレードをクランプして、それを保持する。
【0121】
ポジショナ222は、スプレッダバー221を載せることができるベース35を備える。2つのポール36B、36Hは、ベース35から垂直上方に延在する。ポールは、それぞれがスプレッダバー221のそれぞれのスリーブ33内にしっかりと挿入され得るように設計されている。ポールは、異なる高さを有し、その結果、より高いポール36Hが最初にそのそれぞれのスリーブに挿入され、次いで、より低いポール36Bがそのスリーブに挿入される。このように、ポールを同時に挿入しないので、操作が容易である。ベース35及びポール36A、36Bは、スプレッダバー221とポジショナ222とを正確に結合するために使用される。
【0122】
ポジショナ222は、トロリー37と、長手方向ガイド、この場合は長手方向ビーム38と、コネクタ39とをさらに備える。図示の例では、コネクタは、タワー15の上端に固定された柱の形状を有する。コネクタは、垂直軸X15の周りの回転を可能にする手段を備える。
【0123】
ビーム38は、コネクタの上端に配置され、ヒンジによってコネクタに接続され、横方向水平軸の周りで傾けることを可能にする。チルトアクチュエータ42は、チルトを制御するために使用され、図示の例では、チルトアクチュエータ42は、コネクタとビームとの間に機能的に取り付けられたシリンダである。
【0124】
トロリー37は、ビーム38上を長手方向に摺動するように取り付けられている。長手方向アクチュエータ43は、ビームに対するトロリーの長手方向の並進を制御するために使用され、図示の例では、このアクチュエータは、トロリーとビームとの間に機能的に取り付けられた長手方向シリンダ43である。
【0125】
ベース35は、トロリー37上を横方向に摺動するように取り付けられている。横方向アクチュエータ43は、トロリーに対するベース35の横方向並進を制御するために使用され、図示の例では、このアクチュエータは、トロリーとベースとの間に機能的に取り付けられた長手方向シリンダ44である。このシリンダは横方向であるので、図では円によって示されている。
【0126】
図16は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めする第一のステップを示す。前のステップでは、ブレード11Aをスプレッダバー221内に位置決めし、スプレッダバーを使用してブレードをバージ219上に積み込んだ。
【0127】
この第一のステップでは、スプレッダバー221は、そのスリング224によって、ポジショナ222の上方でバージ219のクレーン220のフック220Aに懸架される。図示の位置では、ポール36B、36Hは、スリーブ33と実質的に整列している。スプレッダバー221は、ブレード11Aがその上に配置され得るように設計され、その結果、図15の位置において、その重心Gがタワー15の軸X15と実質的に整列するようになることに留意されたい。ブレードは、重心Gを通過する実質的に水平な長手方向軸XAを有する。
【0128】
図17は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めする第三のステップを示す。このステップでは、スプレッダバーは、ポジショナ222に挿入されている。この挿入のために、スプレッダバーがポジショナに向かって移動させられると、高いポール36Hが最初に対応するスリーブ33に挿入され、次いで、低いポール36Bが他方のスリーブ33に挿入された。図17の位置では、ツール218が形成され、スプレッダバーは、ベース35上に載っており、もはやクレーン220によって保持されていない。
【0129】
図18は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めする第三のステップを示す。このステップでは、タワー15が上方に展開されている最中で、ブレード11Aが持ち上げられる。
【0130】
図19は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めする第四のステップを示す。このステップでは、タワー15は、展開され続け、位置決めされるブレード11Aは、ロータ12と実質的に同じ高さにある。ロータは、ブレードを固定するための3つのフランジ50を備える。フランジ50のうちの2つは、それぞれ、それぞれのブレード11によって占められている。第三のフランジ50Aは、取り付けられるブレード11Aを自由に受け入れることができる。フランジ50Aは、フランジ軸X5を有し、フランジ軸X5は、そこにフランジ50Aに固定するために、ブレード11Aの軸XAと整列させる必要がある。
【0131】
図の平面内では、フランジ軸X5が水平面Hに対して角度AHで傾斜していることに留意されたい。
【0132】
図20及び図21は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めするための第五のステップを示す。このステップでは、ブレードの軸XAは、ブレード固定が固定されるべきフランジ50Aの軸X5と整列させられる。この位置合わせステップを実行するために、ポジショナ222によって提供される3つの自由度を使用する。
【0133】
図20及び図21に示すように、
・矢印T1(図20参照)の方向におけるシリンダ42の作用によって、ピボット41の周りでブレード11Aを傾けることが可能になり、
・コネクタ39の作用によって、タワーの軸X15の周りでブレードの矢印R2の方向の回転が可能になり、
・矢印T2(図21参照)の方向におけるシリンダ44の作用によって、ブレード11Aの横方向の並進が可能になる。
【0134】
さらに、風力タービンの軸X1を中心とするナセル8の矢印R3の方向の回転を使用して、これをブレード11Aの回転R2及び並進T2と組み合わせて、位置合わせすべきブレード11A及びフランジを水平面内で整列するために使用することもできる。これは、特に図21に示されている。
【0135】
整列は、オペレータが遠隔制御手段を使用して行うことができる。整列は、また、例えば、レーザビーム及びターゲットを使用して自動的に実行することもできる。
【0136】
図22は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めする第七のステップを示す。このステップでは、位置決めされるブレード11Aは、そのフランジ50Aに固定される。ブレード11Aは、その軸XA,X5が整列しているため、フランジ50Aに当接するまで前進する。これを行うために、トロリー37は、長手方向シリンダ43を使用して、矢印T3の方向に、ビーム38に沿って並進移動される。接触すると、ブレード11Aは、例えば、ボルト留めによってそのフランジ50Aに固定される。
【0137】
図23は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めする第八のステップを示す。このステップでは、上部ジョー32を矢印F1の方向に上昇させ、次いで、タワー15を後退させることによって、ツールを矢印F2の方向に下降させ、それにより、定位置に置かれたブレード11Aがジョー31、32に接触しないようにする。
【0138】
図24は、ブレード11Aを風力タービン2上に位置決めする第九のステップを示す。このステップでは、ナセルは、ブレードをツール218の垂直フットプリントから搬出させるために、矢印R4の方向に回転される。
【0139】
その後の段階で、ツールは、タワー15の軸X15上に再整列され、次いで、タワーが後退させられる。
【0140】
明らかに、本発明の第三の目的は、上述したばかりの例に限定されない。それどころか、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0141】
図15図24を参照して上述した実施形態に、開示されたばかりの情報に照らして様々な修正がなされ得ることは、当業者には明らかである。
【0142】
したがって、新しい交換ブレードを設置する前に、損傷したブレードを除去するために、実質的に逆の順序で、前述のステップと同様のステップを使用することができる。
【0143】
また、ポールは、スプレッダバーによって運ばれ、ポジショナのスリーブに係合されてもよい。ポールは、また、図に示されるよりも短くすることもできる。
【0144】
また、ポジショナのビームは、安定性をよくするために、例えば、2つの平行ビーム又は1つのプレートによって置き換えることができる。
【0145】
タワー軸の周りで回転するための手段は、タワーに固有なものであって、ツールコネクタに固有なものとすることはできない。
【0146】
スプレッダバーのスリングは、任意の引掛け手段、特にリング又はフックによって置き換えることができる。
【0147】
ここで、図25図34を参照して、本発明の第四の目的を説明する。以下の説明では、「左」又は「右」などの使用される用語のいくつかは、絶対的ではなく、概して、図のうちの1つの上の位置を指し、決して、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。また、風力タービンのマストは、説明を簡単にするために垂直であるとみなすが、実際には、その位置は、うねり及び風の影響を受ける。
【0148】
図25は、風力タービンシステム1を示す。図示の例では、システムは、浮体式プラットフォーム3に取り付けられた風力タービン2を備える。プラットフォーム3は、フロータ4と、剛性構造体6とを備える。フロータの数は、一般に、3つ又は4つである。風力タービンは、風力タービンの主軸X1に沿って垂直に延在し、フロータは、この軸X1の周りに均等に分散される。構造体6は、フロータを連結する管状ビームを備え、風力タービン2を支持する。このような浮体式風力タービンシステムは、特に特許文献1(Dietswell社)で知られている。
【0149】
この例では、風力タービンは、構造体6上に載置され、主軸X1に沿って垂直上方に延びる管状マスト7を備える。風力タービンは、その頂部で、ノーズコーン(ogive)12に固定された3つのブレード11を有する独自のロータ9を備えるナセル8を支持する。マストは、フロータ4と実質的に同じ高さにわたって延在する管状脚部10を備える。構造体6は、特に、フロータ4を互いに接続し、マストの脚部7Aをフロータに接続する管状ビーム6Aを備える。
【0150】
図25は、タワー15を備える巻上デバイス14を使用して本発明による方法を実施するブレード11Aの交換を示す。デバイス14は、プラットフォーム3のフロータ4から選択された支持フロータ4Aの頂部に取り付けられる。タワー15は、巻上軸X15の周りに垂直であり、図示の例では、互いに垂直に摺動するように取り付けられた6つの管状要素16を備える。デバイス14は、タワーの頂部に、交換されるブレード11Aを把持するための把持ツール218を備える。
【0151】
バージ219は、風力タービンシステム1の近くで停泊している。バージ219は、格子構造を有するラフィングジブクレーン220を備える。バージ219は、ブレード11Aが新しい場合はブレードを持ち上げ、損傷している場合はブレードを取り除くために使用され、損傷したブレードと交換ブレードとを交換するために使用される。図示の例では、バージ219はジャッキアップ型であり、海底が深すぎる場合、システム1の近くで浮遊したままのバージを使用することができる。
【0152】
しかしながら、この方法では、フロートの上端を閉じる床321に、かなりの応力がかかるので、床を補強しなければならず、それによって、フロータが著しく重たくなる。風力タービンファームの場合、各風力タービンプラットフォームの床は、万が一、それらのうちの1つに対して大規模な保守作業が必要になった場合に備えて、補強しなければならない。このため、コストは、過剰なものとなろう。
【0153】
以下で説明される例では、図25図34を参照して、巻上デバイス14のための中間支持体として作用するフレームワーク30が使用される。これらの例では、フレームワークは、格子ビームからなる。
【0154】
図25図28に示す第二の実施形態では、風力タービン2は、図24の例のように、フロータに対して中心に置かれる。この場合、風力タービン2のマストの脚部10の周囲に均等に分散された3つのフロータが存在する。フレームワーク30の第一の端部331は、マスト7の脚部10上に載置され、フレームワークの第二の端部332は、フロータ4A上に載置される。脚部は、フレームワークの第一の端部331が載置される支持フロータ4Aに向かって延在するブラケット333を担持する。第二の端部332は、横方向トリマジョイスト334を備え、横方向トリマジョイスト334は、この特定の使用のために著しく補強する必要なく、負荷に耐えるのに十分に剛性である支持フロータ4Aの円筒形周壁336に負荷を実質的に伝達する。
【0155】
図26及び図27の例は、図25の例と同様に、ブレード11Aの取り扱いを示す。巻上デバイス14は、フレームワーク30の第二の端部332の近くに配置されるので、ブレード11Aが取り扱われるとき、その重心Gは、常にデバイス14のタワー15の上方の垂直線にできるだけ近くにある。トリマジョイストの存在により、タワー15は、床321にいかなる応力もかけることなく、支持フロータ4Aの延長部内に実質的に配置され得る。
【0156】
図28の例は、風力タービン2のナセル8に装備するための重い負荷130の取り扱いを示す。巻上げデバイス14のタワーの上部には、ブレードを取り扱うために使用されるツール218の代わりに、負荷130を巻き上げるように適合された頂部クレーン338が装備される。タワーは、構造30上で、第二の端部332よりも第一の端部331の近くに配置され、その結果、負荷を巻き上げるのに必要なリーチが最小化される。これは、頂部クレーンの重量を制限し、タワーに及ぼされる曲げモーメントを制限し、それによって、より軽いタワーの使用を可能にする。
【0157】
図29図31に示す第三の実施形態では、3つのフロータがある。前述の例とは異なり、3つのフロータ4から選択されたベースフロータ4Bは、風力タービン2のマストの脚部として機能する。ベースフロータ4Bの上部を閉鎖する床は、マストの周囲に環状縁341を形成する。フレームワーク30の第一の端部331は、縁341上に載置され、フレームワークの第二の端部332は、支持フロータ4A上に載置される。2つの端部331、332のそれぞれについて、フレームワークは、この特定の使用のためにそれを著しく補強する必要なく重量に耐えるのに十分に剛性であるフロータ4A、4Bの円筒形周壁336上に実質的に載る。
【0158】
図29及び図30の例は、図26及び図27の例と同様に、ブレード11Aの取り扱いを示す。巻上デバイス14は、フレームワーク30の2つの端部331、332から離れて配置されるので、ブレード11Aが取り扱われるとき、その重心Gは、常にデバイス14のタワー15の上方の垂直線にできるだけ近くにある。
【0159】
図31の例は、図28の例と同様に、風力タービン2のナセル8に装備するための重い負荷130の取り扱いを示す。巻上デバイス14のタワーの頂部は、頂部クレーン338を備えている。タワーは、第二の端部332よりも第一の端部331の近くで構造体30上に配置されるので、負荷130を巻き上げるのに必要なリーチが最小限に抑えられる。
【0160】
図32は、実質的に図31のD8で示す方向におけるフレームワーク30の拡大斜視図である。図32は、プラットフォーム3が、支持フロータ4Aの床321とベースフロータ4Bの縁341とを連結する歩行者キャットウォーク48を備えるので、風力タービンのオペレータが一方のフロータから他方のフロータに移動できることを示している。
【0161】
フレームワーク30は、キャットウォーク48の両側に1つずつ配置された2つの長手方向桁350を備える逆「U」の形状を有する断面を有し、2つの長手方向桁350を共に接続し、キャットウォーク48を覆う長手方向エプロン52をさらに備える。この配置により、プラットフォーム3を変更することなく、構造体30を使用することができる。
【0162】
図33は、本発明の第四の実施形態を示す。この例では、図29図32と同様に、風力タービンは、ベースフロータ4Bに固定されている。ベースフロータの頂部は、構造体3のそれぞれの水平ビーム6Aによって、2つの他のフロータのそれぞれの頂部に接続される。フレームワーク30の各端部は、それぞれのビーム6A上に載っており、フレームワークは、ビームとともに、フレームワークをベースとして実質的に正三角形を形成し、風力タービンは、ベースの反対側の頂点に配置される。タワー15は、フレームワークの端部のほぼ中間に固定される。
【0163】
この場合、図25図26及び図27に示す巻上デバイス14は、ブレード11Aを取り扱うために使用される。重い負荷に対処するために、ビームは、同様の構成を維持しながら、風力タービンのマスト7に近づけることができる。
【0164】
図34は、本発明によるフレームワーク10を風力タービンシステムの構造体3上に、例えば、2つの隣接するフロータ4上に位置決めするために使用することができる手段を示す。図示の例では、各フロータは、それぞれのポール56、57を支持し、その両方とも実質的に垂直である。第一のポール56は、第二のポール57よりも高い。各ポールは、フレームワーク30のそれぞれの端部に形成されたそれぞれのハウジング58に挿入されるように設計されている。
【0165】
構造体上にフレームワークを位置決めするとき、第一のポールは、フレームワークの対応する端部を位置決めするために、最初にそのハウジングに入る。この第一の端部が第一のポール56によって正しく位置決めされ保持されると、第二の低いポールは、フレームワークの第二の端部を位置決めし保持するために、それ自体のハウジング58に挿入されなければならない。そのような構成によって、オペレータが構造体上又はフレームワーク上で作業する必要なしに、バージから構造体上にフレームワークが位置付けることが可能になる。これによって、保守要員にとって最適な安全性が保証される。フレームワークは、いったんフロータ上に置かれると、フロータに固定されるので、スリップ又は分離のいかなるリスクも回避できる。
【0166】
明らかに、本発明の第三の目的は、上述したばかりの例に限定されない。それどころか、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0167】
図25図34を参照して上述した実施形態に、開示されたばかりの情報に照らして様々な修正がなされ得ることは、当業者には明らかである。
【0168】
したがって、異なる高さのポールの代わりに、異なる高さのハウジング、あるいは他の任意の中間構成を使用して、その結果、一方のポールを他方のポールより前に、そのハウジングに係合することができる。また、ポールは、フレームワーク上にあってもよく、ハウジングは、構造体上にあってもよい。
【0169】
以下の説明では、フレームワークは、単一の主寸法を有するビームの形状を有するが、本発明によるフレームワークは、また、2つの主寸法を有し、3つの支持体上に、例えば、3つの異なるフロータ上に載置することもできる。
【0170】
したがって、本方法は、前述のプラットフォームに限定されない。本方法は、他のタイプのプラットフォームで、特に半潜水プラットフォームで、4つのフロータ及びXCF型中央マストを有するもの、4つのフロータ及びオフセットマストを有するもの、NOV T型Tri-Floater、又は2つのHexiconタービンを有するもので使用することができる。本方法は、例えば、BW-Ideol型のバージにも適用することができる。
【0171】
それぞれの場合に、本発明によるフレームワークは、ナセルのブレード又は構成要素を、好ましくは使用されるツールとマストとの間の可変距離で変更して、巻上デバイスのタワーにおける移動を制限するために使用することができる。さらに、そのようなフレームワークは、プラットフォームの既存の硬質点に載せることで、そのような動作に必要とされる補強を最小限にする。
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【国際調査報告】