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特表2024-528855外科訓練のための婦人科病理学手術シミュレーションモデル及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】外科訓練のための婦人科病理学手術シミュレーションモデル及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/28 20060101AFI20240725BHJP
   G09B 19/24 20060101ALI20240725BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B19/24 Z
G09B9/00 Z
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503874
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022039063
(87)【国際公開番号】W WO2023009895
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,530
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/227,502
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シー チェ
(72)【発明者】
【氏名】パテル トゥルシー
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥンプ エマ
(72)【発明者】
【氏名】レイガン オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ホフステッター グレゴリー ケイ
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
(57)【要約】
本発明の実施形態は、外科訓練のためのGYN病理学シミュレーションモデルを提供する。これらのモデルは、外科訓練生及び外科医による高度なOB/GYN手術技能の練習を可能にする、女性生殖器系の組織ベースの疾患をエミュレートするエネルギー適合性モデルである。1つの模擬GYNモデルは、非導電性材料の塊を封入する細長い導電性チューブを含む。細長いチューブは、近位端と遠位端との間に延びる内面及び外面を含む側壁を有する。側壁は、非導電性材料塊で満たされた時に外部隆起を生じる特定の容積の空洞を有するように構成される。別の模擬GYNモデルは、導電性の球根状中空構造内に封入された流体充填嚢胞体を含む。流体充填嚢胞体は、少なくとも1又は2以上の領域において球根状中空構造に選択的に接着されることにより、鈍的切開と鋭的切開との組み合わせのための平面を形成する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムであって、
長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める、導電性材料で形成された管状構造と、
粘着性材料であって、前記粘着性材料で満たされた時に外部隆起を生じるように前記中心内腔の少なくとも一部に沿って形成された空洞内に封入される、粘着性材料と、
を含むことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記粘着性材料は非水溶性材料を含む、
請求項1に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記粘着性材料は非導電性材料を含む、
請求項1又は2に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記粘着性材料は、一液型シリコーンと中綿との混合物で形成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記一液型シリコーンと中綿との混合物は、9グラム対2cm×2cmの比率である、
請求項4に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記粘着性材料を封入した前記管状構造が子宮外妊娠をシミュレートする、
請求項1から5のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記管状構造は卵管を表し、前記粘着性材料は胚様一貫性を再現する、
請求項6に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項8】
前記管状構造は、前記粘着性材料にアクセスするように電気外科器具を使用して外科的に切開可能である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項9】
前記粘着性材料は非水性着色剤をさらに含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項10】
前記非水性着色剤は乾燥鉱物顔料を含む、
請求項9に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項11】
前記管状構造のための付着点として機能する中実又は中空構造をさらに含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項12】
前記粘着性材料を封入した前記管状構造は、前記中実又は中空構造内にオーバーモールドされる、
請求項11に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項13】
前記中実又は中空構造は導電性材料で形成される、
請求項11又は12に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項14】
前記中実又は中空構造は半子宮をシミュレートする、
請求項11から13のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項15】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムの製造方法であって、
マンドレルを準備するステップと、
前記マンドレルを2部品成形空洞内に懸架するステップと、
前記マンドレル上に導電性材料の層を適用するステップと、
前記導電性材料の層を硬化させて、中心内腔を定める薄肉管状構造を形成するステップと、
粘着性材料を準備するステップと、
前記薄肉管状構造の一部に沿って形成された空洞内に前記粘着性材料を封入するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記粘着性材料は、非水溶性かつ非導電性の材料である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記粘着性材料は、繊維性材料及び未硬化シリコーンを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記粘着性材料は、9グラム対2cm×2cmの比率の一液型シリコーンと中綿との混合物から形成される、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記マンドレルを準備するステップは、ヒトの卵管の少なくとも一部を模倣するように成形された、近位端、遠位端及び長手方向軸を有するマンドレルを準備することを含み、前記長手方向軸に沿ったマンドレルの一部は、前記長手方向軸に沿ったマンドレルの残り部分に比べて大きな直径を有するように変更される、
請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記大きな直径を有する前記マンドレルの一部は、前記粘着性材料の配置を可能にする空洞を形成する、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記粘着性材料を封入するステップは、
注射器を準備するステップと、
前記注射器に粘着性材料を充填するステップと、
前記粘着性材料を前記空洞内に注入するステップと、
前記空洞が前記粘着性材料で満たされるまで、前記充填するステップ及び前記注入するステップを繰り返すステップと、
を含む、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記粘着性材料を封入するステップは、前記粘着性材料を前記空洞内に封入するステップをさらに含む、
請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記封入するステップは、導電性組織キャップを準備するステップと、前記空洞内に配置された前記粘着性材料に前記導電性組織キャップを接着するステップとを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記導電性組織キャップは、接着剤を使用して適所に接着される、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記薄肉管状構造を取り付けるための基準点を形成するために中実又は中空構造を準備するステップと、
前記薄肉管状構造を前記中実又は中空構造内にオーバーモールドするステップと、
をさらに含む、請求項15から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記中実又は中空構造は導電性材料で形成される、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記中実又は中空構造を準備するステップは、子宮の一部をシミュレートする中実構造を準備することを含む、
請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記オーバーモールドするステップは、前記粘着性材料を封入するステップを実行した後に実行される、
請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
トレイ及び接地パッドを準備するステップをさらに含む、
請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記トレイ及び接地パッドを準備するステップは、前記オーバーモールドされた中実又は中空構造とトレイとの間に前記接地パッドを配置するステップと、前記接地パッドを電気外科用発電機にさらに接続するステップとをさらに含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
外科訓練のための婦人科病理学手術シミュレーションシステムであって、
近位端と遠位端との間に延びて長手方向軸に沿って中心内腔を定める内面及び外面を含む側壁を有する模擬卵管を含み、
前記側壁は、前記模擬卵管の外側から模擬異所性腫瘤又は胚の位置が識別可能であるように、前記長手方向軸に沿った位置において前記模擬異所性腫瘤又は胚を封入するように構成される、
ことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項32】
前記模擬卵管の前記近位端に接続された模擬半子宮をさらに含む、
請求項31に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項33】
前記模擬半子宮は、導電性材料で形成された中実構造を含む、
請求項32に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項34】
前記模擬卵管は導電性材料で形成され、前記側壁は、電気外科器具を使用して切開可能である、
請求項31に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項35】
前記模擬異所性腫瘤又は胚は、非水溶性かつ非導電性の材料で形成されるのに対し、前記模擬卵管は導電性材料で形成される、
請求項31に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項36】
前記模擬異所性腫瘤又は胚は、一液型プラチナ硬化シリコーン熱硬化物と中綿との混合物で形成される、
請求項31に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項37】
前記一液型プラチナ硬化シリコーンと中綿との混合物の比率は、9グラム対2cm×2cmである、
請求項36に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項38】
前記中綿は繊維性材料から形成される、
請求項36に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項39】
前記模擬異所性腫瘤又は胚は、ヒト胚の自然色を忠実にエミュレートするように着色剤をさらに含む、
請求項31に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項40】
前記着色剤は、310uLの赤色食品着色料及び15.5uLの青色食品着色料を含む、
請求項39に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項41】
前記着色剤はアクリルインク着色料を含む、
請求項39に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項42】
前記着色剤は乾燥鉱物顔料を含む、
請求項39に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項43】
前記模擬卵管の前記近位端に接続された前記模擬半子宮を受け取るように構成されたGYN病理学トレイをさらに含む、
請求項32に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項44】
前記GYN病理学トレイは、腹腔鏡トレーナーの内部空洞に挿入可能であるとともに、接地パッドを収容し又は含むように構成される、
請求項43に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項45】
前記模擬半子宮は、接着剤を使用して前記接地パッドに取り付けられる、
請求項44に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項46】
前記GYN病理学トレイは、前記トレイの縁部に沿って円周方向に延びるチャネル又は空洞を有する平らな平面を含む、
請求項43に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項47】
前記チャネル又は空洞は、粘着性材料又は液体を収集するように構成される、
請求項46に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項48】
手術シミュレーションシステムであって、
子宮外妊娠モデルと、
胴体を模倣するように構成された外科訓練装置と、
を含み、前記子宮外妊娠モデルは、
長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める管状構造であって、導電性材料で形成された管状構造を有する、模擬卵管と、
粘着性材料であって、前記粘着性材料で満たされた時に外部隆起を生じるように前記中心内腔の少なくとも一部に沿って形成された空洞内に封入される、粘着性材料と、
を含み、前記外科訓練装置は、
ベースと、
トップカバーと、
を含み、前記トップカバーは、前記トップカバーと前記ベースとの間に内部空洞を定めるように前記ベースに接続されて前記ベースから間隔を空け、前記内部空洞は、ユーザによる直接的な観察から少なくとも部分的に隠され、前記トップカバーは、前記内部空洞にアクセスするためのアパーチャ又は貫通可能な模擬組織領域を含み、
前記子宮外妊娠モデルは、前記外科訓練装置の前記内部空洞内に挿入可能であるように構成されたGYN病理学トレイ内に収容された接地パッド上に配置されるように構成される、
ことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項49】
前記粘着性材料は、非水溶性材料及び導電性材料を含む、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項50】
前記粘着性材料は、ヒト胚の脆弱性及び一貫性をエミュレートするように構成される、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項51】
前記粘着性材料は、9グラム対2cm×2cmの比率の一液型シリコーンと中綿との混合物から形成される、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項52】
前記中綿は繊維性材料から形成される、
請求項51に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項53】
前記粘着性材料は非水性着色剤をさらに含み、前記非水性着色剤は乾燥鉱物顔料を含む、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項54】
前記子宮外妊娠モデルは模擬半子宮をさらに含み、前記模擬半子宮は、導電性材料で形成された中実構造を有する、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項55】
前記模擬半子宮は、前記模擬卵管のための付着点として機能し、前記模擬卵管は、前記模擬半子宮内にオーバーモールドされる、
請求項54に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項56】
前記模擬半子宮は、基準点を提供することにより、ユーザが前記模擬卵管と相互作用しながら同時に両手の器用さ及び組織の取り扱いに関して訓練することを可能にするように構成される、
請求項54に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項57】
前記模擬半子宮は、接着剤を使用して前記接地パッドに接着される、
請求項54に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項58】
前記GYN病理学トレイは、前記トレイの縁部に沿って円周方向に延びるチャネルを有する平らな平面を含み、前記チャネルは、粘着性材料又は液体を収集するように構成される、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項59】
前記卵管は、前記粘着性材料にアクセスして前記粘着性材料を除去するように電気外科器具を使用して切開可能である、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項60】
前記導電性材料は、ダブルネットワークヒドロゲル(DNゲル)を含む、
請求項48に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項61】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムであって、
長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を有する、導電性材料で形成された細長いチューブと、
前記細長いチューブに取り付けられ、前記長手方向軸に対して横向きの方向に延びる、前記細長いチューブよりも大きな封入湾曲体と、
を含むことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項62】
前記封入湾曲体の一部のみが導電性材料で形成される、
請求項61に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項63】
前記封入湾曲体に取り外し可能に取り付けられた導電性パッドをさらに含む、
請求項61又は62に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項64】
導電性材料で形成された前記封入湾曲体の前記一部のみに導電的に取り付けられた導電性パッドをさらに含む、
請求項62に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項65】
前記細長いチューブは、前記導電性パッドに直接接触していない、
請求項63又は64に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項66】
前記導電性パッドに直接接触していない前記細長いチューブと、前記導電性パッドに直接接触している前記封入湾曲体との間でRFエネルギーを伝えるように配置された単極電気外科器具をさらに含む、
請求項63、64又は65に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項67】
前記封入湾曲体は、前記封入湾曲体の内部へのアクセス手段を含まない、
請求項61から66のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項68】
前記細長いチューブ内の非導電性材料塊をさらに含む、
請求項61から67のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項69】
前記非導電性材料塊は、前記細長いチューブの前記中心内腔内の空洞内に配置された不均一な半固体である、
請求項68に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項70】
前記非導電性材料塊は、前記細長いチューブ又は前記封入湾曲体よりも高い粘度を有する、
請求項68に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項71】
前記非導電性材料塊は液体繊維混合物を含む、
請求項68、69又は70記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項72】
前記非導電性材料塊は繊維性材料を含む、
請求項68、69又は70記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項73】
前記非導電性材料塊は、前記細長いチューブの切れ目を通じて前記細長いチューブから取り外し可能であるように配置される、
請求項68から72のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項74】
前記非導電性材料塊は、前記封入湾曲体に接続された前記細長いチューブの一部の直径よりも大きな幅を有する、
請求項68から73のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項75】
前記非導電性材料塊は、前記細長いチューブの長さよりも短い長さを有する、
請求項68から74のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項76】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムであって、
近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状中空構造内に封入された流体充填嚢胞体を含み、
前記流体充填嚢胞体は、前記流体充填嚢胞体と前記球根状中空構造との間の界面の少なくとも1又は2以上の領域において前記球根状中空構造に選択的に接着されることにより、鈍的切開と鋭的切開との組み合わせのための平面を形成する、
ことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項77】
前記球根状中空構造は導電性材料で形成される、
請求項76に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項78】
前記流体充填嚢胞体は、複数の脆弱な接着部位を形成するように前記流体充填嚢胞体と前記球根状中空構造との間の界面の前記少なくとも1又は2以上の領域を増粘剤でコーティングされる、
請求項76又は77に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項79】
前記増粘剤はコーンスターチを含む、
請求項78に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項80】
前記流体充填嚢胞体と前記球根状中空構造との間の前記界面の前記少なくとも1又は2以上の領域は、複数の脆弱な接着部位を形成するように接着強度の低い接着剤を使用して接着される、
請求項76又は77に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項81】
前記球根状中空構造の前記近位伸長部は第1の長さを有し、前記球根状中空構造の前記遠位伸長部は第2の長さを有する、
請求項1から80のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項82】
前記第2の長さは前記第1の長さよりも長い、
請求項81に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項83】
前記流体充填嚢胞体は、単一の強力な接着部位を形成するように1箇所が高強度接着剤を使用して前記球根状中空構造に接着される、
請求項1から82のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項84】
前記1箇所は、前記流体充填嚢胞体の基部を定める、
請求項83に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項85】
前記1箇所は、前記近位伸長部に近接して配置される、
請求項83又は84に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項86】
前記流体充填嚢胞体は、一定希釈率のプラチナ硬化シリコーン熱硬化物から形成される、
請求項1から85のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項87】
前記流体充填嚢胞体は、シリコーン及びNovocs(登録商標)シリコーン溶媒を含む溶液から形成される、
請求項1から86のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項88】
前記流体充填嚢胞体は水で満たされる、
請求項1から87のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項89】
前記流体充填嚢胞体は、リアルな外観を達成するように着色剤と混合された液体又は流体で満たされる、
請求項1から88のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項90】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムであって、
長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める管状構造と、
流体充填嚢胞体を封入し、近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状中空構造と、
所望のパターンに切断される、1mm以下の厚みを有する極薄シートと、
を含み、前記極薄シート及び前記管状構造は、前記球根状中空構造の捻転及び捻転解除を容易にするように配置される付属器官である、
ことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項91】
前記管状構造、前記球根状中空構造及び前記極薄シートは、導電性材料で形成される、
請求項90に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項92】
前記管状構造及び前記球根状中空構造は、柔軟な導電性接着剤を使用して前記極薄シートに取り付けられる、
請求項90又は91に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項93】
前記柔軟な導電性接着剤は、酢酸に希釈させた中間分子量キトサンを含む、
請求項92に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項94】
前記極薄シートは、前記近位端における前記近位伸長部に沿って前記球根状中空構造の少なくとも一部に接着されるように配置される、
請求項90から93のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項95】
前記極薄シートは、前記長手方向軸に沿って管状構造の少なくとも一部に接着されるように配置される、
請求項90から94のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項96】
前記流体充填嚢胞体と前記球根状構造との間の界面が、複数の脆弱な接着部位及び単一の強力な接着部位を形成するように少なくとも1又は2以上の領域において接着される、
請求項90から95のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項97】
前記流体充填嚢胞体と前記球根状構造との間の前記界面における前記複数の脆弱な接着部位は、接着強度の低い接着剤を使用して形成される、
請求項96に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項98】
前記複数の脆弱な接着部位は、前記流体充填嚢胞体を増粘剤でコーティングすることによって形成される、
請求項96に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項99】
前記単一の強力な接着部位は、前記球根状中空構造の前記近位伸長部に隣接する位置において強度の高い接着剤を使用して形成される、
請求項96から98のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項100】
前記流体充填嚢胞体は水で満たされ、前記水は、リアルな外観をエミュレートするように着色剤と混合される、
請求項96から99のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項101】
前記流体充填嚢胞体は、一定希釈率のプラチナ硬化シリコーン熱硬化物及びNovocs(登録商標)シリコーン溶剤から形成される、
請求項90から100のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項102】
ユーザが前記球根状中空構造及び前記管状構造と相互作用するのを可能にする基準点を形成する中実又は中空構造をさらに含み、前記中実又は中空構造は導電性材料で形成される、
請求項90から101のいずれか一項に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項103】
前記流体充填嚢胞体を封入する前記球根状中空構造及び前記管状構造は、前記中実又は中空構造内にオーバーモールドされる、
請求項102に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項104】
前記中実又は中空構造は子宮の一部をシミュレートし、前記流体充填嚢胞体を封入する前記球根状中空構造、前記管状構造及び前記極薄シートは、それぞれ模擬卵巣嚢胞、模擬卵管及び模擬卵管間膜を表す、
請求項102に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項105】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムの製造方法であって、
流体充填嚢胞体を準備するステップと、
前記流体充填嚢胞体を増粘剤でコーティングするステップと、
近位端における近位伸長部と、遠位端における、前記近位伸長部よりも長い遠位伸長部とを有する流体充填嚢胞体の形状に適合する形状を有する2部品成形空洞を準備するステップと、
前記増粘剤でコーティングされた前記流体充填嚢胞体を導電性材料内に封入するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項106】
前記流体充填嚢胞体を封入するステップは、
前記空洞内に導電性材料の第1の層を適用するステップと、
前記導電性材料の第1の層を硬化させるステップと、
前記増粘剤でコーティングされた前記流体充填嚢胞体を、前記硬化した導電性材料の第1の層を覆って前記空洞内に配置するステップと、
前記空洞内に、前記流体充填嚢胞体を覆って導電性材料の第2の層を適用するステップと、
前記導電性材料の第2の層を硬化させて、近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状中空構造を形成するステップと、
を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記流体充填嚢胞体を封入するステップは、前記封入するステップの完了後にユーザが前記流体充填嚢胞体の位置を特定するのに役立つように、1又は2以上の位置において前記流体充填嚢胞体を覆って追加材料を鋳造するステップをさらに含む、
請求項105又は106に記載の方法。
【請求項108】
前記鋳造するステップは、前記導電性材料の第2の層を適用する前に実行される、
請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記流体充填嚢胞体を封入するステップは、前記増粘剤でコーティングされた前記流体充填嚢胞体上の1箇所に強度の高い接着剤を塗布するステップをさらに含む、
請求項105から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記流体充填嚢胞体を配置するステップは、前記1箇所が前記空洞の前記近位伸長部の近くに位置するように前記流体充填嚢胞体を配置するステップを含む、
請求項109に記載の方法。
【請求項111】
マンドレルを準備するステップと、
前記マンドレルを2部品成形空洞内に懸架するステップと、
前記マンドレル上に導電性材料の層を適用するステップと、
前記導電性材料の層を硬化させて、中心内腔を定める薄肉管状構造を形成するステップと、
をさらに含む、請求項105から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記薄肉管状構造及び前記球根状中空構造を取り付けるための基準点を形成するために中実又は中空構造を準備するステップと、
前記薄肉管状構造及び前記球根状中空構造を前記中実又は中空構造内にオーバーモールドするステップと、
をさらに含む、請求項106から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記中実又は中空構造は導電性材料で形成される、
請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記中実又は中空構造を準備するステップは、子宮の一部をシミュレートする中実構造を準備することを含む、
請求項112又は113に記載の方法。
【請求項115】
導電性材料の極薄シートを準備するステップをさらに含み、前記極薄シートは1mm以下の厚みを有する、
請求項105から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記導電性材料の極薄シートを準備するステップは、
2プレート金型を準備するステップと、
導電性材料を使用して前記極薄シートを鋳造するステップと、
前記導電性材料の極薄シートを所望のパターン及び形状に切断するステップと、
を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記極薄シートを切断するステップは、打ち抜き工程を使用して実行される、
請求項116に記載の方法。
【請求項118】
柔軟な導電性接着剤を準備するステップと、
前記オーバーモールドするステップを実行した後に、前記導電性材料の極薄シートを前記薄肉管状構造及び前記球根状中空構造に接着するステップと、
をさらに含む、請求項112から117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
トレイ及び接地パッドを準備するステップをさらに含み、前記トレイ及び接地パッドを準備するステップは、前記オーバーモールドされた中実又は中空構造とトレイとの間に前記接地パッドを配置するステップと、前記接地パッドを電気外科用発電機にさらに接続するステップとをさらに含む、
請求項112から118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記トレイは、モデル支持体又は側壁を受け取るように構成された1又は2以上のスロットをさらに含み、前記モデル支持体は、前記球根状中空構造の少なくとも一部に接続するように構成される、
請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記球根状中空構造の前記一部は前記遠位伸長部を含む、
請求項120記載の方法。
【請求項122】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムであって、
近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状構造を有する模擬卵巣嚢胞カプセルと、
長手方向軸に沿って前記近位端と前記遠位端との間に延びる中心内腔を定める模擬卵管と、
を含み、前記模擬卵巣嚢胞カプセル及び前記模擬卵管は、卵巣嚢胞の捻転及び捻転解除を可能にするように柔軟な接着技術を使用して模擬卵管間膜シートに取り付けられる、
ことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項123】
前記模擬卵巣嚢胞カプセル、前記模擬卵管及び前記模擬卵管間膜シートは導電性材料で形成され、前記導電性材料はダブルネットワークヒドロゲル(DNゲル)を含む、
請求項122に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項124】
前記卵巣嚢胞の捻転及び捻転解除は、前記模擬卵管の関与の有無にかかわらず可能である、
請求項122に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項125】
前記柔軟な接着技術は、干渉抵抗を最小化した連続する導電経路を形成するように柔軟な導電性接着剤を含む、
請求項122に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項126】
前記柔軟な導電性接着剤は、粘度を高めて接着剤の移動を抑えるように酢酸に希釈させた中間分子量のキトサンを含む、
請求項125に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項127】
前記模擬卵巣嚢胞カプセル内に流体充填嚢胞体が封入される、
請求項122に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項128】
前記流体充填嚢胞体は、90g:12mLの比率のプラチナ硬化シリコーン熱硬化物及びNovocs(登録商標)シリコーン溶剤から形成される、
請求項127に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項129】
前記流体充填嚢胞体は水で満たされる、
請求項127に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項130】
前記流体充填嚢胞体は、前記模擬卵巣嚢胞カプセル内に封入されて、これらの間に鋭的切開及び鈍的切開のための複数の脆弱な接着部位及び単一の強力な接着部位を有する平面が形成される、
請求項127に記載の模擬シミュレーションシステム。
【請求項131】
前記近位伸長部は前記遠位伸長部よりも短く、前記単一の強力な接着部位は、前記近位伸長部の近傍に形成される、
請求項130に記載の模擬シミュレーションシステム。
【請求項132】
前記模擬卵管間膜シートは1mm以下の厚みを有する、
請求項122に記載の模擬シミュレーションシステム。
【請求項133】
前記模擬卵管間膜シートは、接着中における前記模擬卵巣嚢胞カプセルの最適な位置決めのために所望のパターンに切断される、
請求項122に記載の模擬シミュレーションシステム。
【請求項134】
導電性材料で形成された模擬半子宮をさらに含み、前記模擬卵巣嚢胞カプセル及び前記模擬卵管は、前記模擬半子宮内にオーバーモールドされる、
請求項122に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項135】
前記模擬半子宮内にオーバーモールドされた前記模擬卵巣嚢胞カプセル及び前記模擬卵管を受け取るように構成されたGYN病理学トレイをさらに含む、
請求項134に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項136】
前記GYN病理学トレイは、前記トレイの縁部に沿って円周方向に延びるチャネル又は空洞を有する平らな平面を含み、前記チャネル又は空洞は、粘着性材料又は液体を収集するように構成される、
請求項135に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項137】
前記GYN病理学トレイは、モデル支持体又は側壁を受け取るように構成された1又は2以上のスロットをさらに含む、
請求項134に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項138】
前記モデル支持体又は側壁は、前記模擬卵巣嚢胞カプセルの少なくとも一部に接続するように構成される、
請求項137に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項139】
前記モデル支持体又は側壁は、穴が打ち抜かれた熱成形可能な熱可塑性シートから形成され、前記模擬卵巣嚢胞カプセルの前記遠位伸長部は、前記穴を通じて接続され、解剖学的に正しい向きのために接着剤を使用して前記モデル支持体又は側壁に取り付けられる、
請求項138に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項140】
手術シミュレーションシステムであって、
卵巣嚢腫茎捻転モデルと、
胴体を模倣するように構成された外科訓練装置と、
を含み、前記卵巣嚢腫茎捻転モデルは、
近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状構造を有する模擬卵巣嚢胞カプセルと、
前記近位端と前記遠位端との間に延びて長手方向軸に沿って中心内腔を定める内面及び外面を含む側壁を有する模擬卵管と、
前記模擬卵巣嚢胞カプセル及び前記模擬卵管に接続するように所望のパターンに切断される模擬卵管間膜シートと、
を含み、前記外科訓練装置は、
ベースと、
トップカバーと、
を含み、前記トップカバーは、前記トップカバーと前記ベースとの間に内部空洞を定めるように前記ベースに接続されて前記ベースから間隔を空け、前記内部空洞は、ユーザによる直接的な観察から少なくとも部分的に隠され、前記トップカバーは、前記内部空洞にアクセスするためのアパーチャ又は貫通可能な模擬組織領域を含み、
前記卵巣嚢腫茎捻転モデルは、前記外科訓練装置の前記内部空洞内に挿入可能であるように構成されたGYN病理学トレイ内に収容された接地パッド上に配置されるように構成される、
ことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項141】
前記模擬卵管間膜及び前記模擬卵管は、前記模擬卵管の有無にかかわらず前記模擬卵巣膿胞カプセルの捻転及び捻転解除を可能にするように構成された付属器官である、
請求項140に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項142】
前記卵巣嚢胞捻転モデルは模擬半子宮をさらに含み、前記模擬半子宮は、導電性材料で形成された中実構造を有する、
請求項140に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項143】
前記模擬半子宮は、前記模擬卵管及び前記模擬卵巣嚢胞カプセルのための付着点として機能し、前記模擬卵管及び前記模擬卵巣嚢胞カプセルは、前記模擬半子宮内にオーバーモールドされる、
請求項142に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項144】
前記模擬半子宮は、基準点を提供することにより、ユーザが前記模擬卵巣嚢胞カプセル及び前記模擬卵管と相互作用しながら同時に手術中の意思決定、両手の器用さ、組織の取り扱い、電気外科器具の使用、及びカメラの方向に関して訓練することを可能にするように構成される、
請求項142に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項145】
前記模擬半子宮は、接着剤を使用して前記接地パッドに接着される、
請求項142に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項146】
前記GYN病理学トレイは、前記トレイの縁部に沿って円周方向に延びるチャネルを有する平らな平面を含み、前記チャネルは、粘着性材料又は液体を収集するように構成される、
請求項140に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項147】
前記GYN病理学トレイは、モデル支持体又は側壁を受け取るように構成された1又は2以上のスロットをさらに含み、前記モデル支持体又は側壁は、卵巣嚢腫茎捻転モデルの一部を収容するように穴が打ち抜かれた熱成形可能な熱可塑性シートから形成される、
請求項140に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項148】
前記模擬卵巣嚢胞カプセル、前記模擬卵管及び前記模擬卵管間膜は、導電性材料から形成される、
請求項140に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項149】
前記導電性材料はダブルネットワークヒドロゲル(DNゲル)を含む、
請求項148に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項150】
前記流体充填嚢胞体は前記模擬卵巣嚢胞カプセル内に封入され、前記模擬卵巣嚢胞カプセルは、前記流体充填嚢胞体にアクセスするように電気外科器具を使用して切開可能であり、前記流体充填嚢胞体と模擬卵巣嚢胞カプセルとの間の平面は、鈍的切開と鋭的切開との組み合わせを使用して切開可能である、
請求項140に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項151】
婦人科病理学手術シミュレーションシステムであって、
近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状構造を有する模擬卵巣嚢胞カプセルと、
長手方向軸に沿って前記近位端と前記遠位端との間に延びる中心内腔を定め、前記模擬卵巣嚢胞カプセルの前記近位伸長部の一部の周囲にねじれた部分を有する模擬卵管と、
を含むことを特徴とする手術シミュレーションシステム。
【請求項152】
前記模擬卵巣嚢胞カプセル及び前記模擬卵管は、導電性材料で形成される、
請求項151に記載の手術シミュレーションシステム。
【請求項153】
前記模擬卵巣嚢胞カプセル内に流体充填嚢胞体が封入される、
請求項151に記載の手術シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年7月30日に出願された「子宮外妊娠モデル(Ectopic Pregnancy Model)」という名称の米国仮特許出願シリアル第63/227,502号、及び2021年7月30日に出願された「卵巣嚢腫茎捻転モデル(Ovarian Cyst Torsion Model)」という名称の米国仮特許出願シリアル第63/227,530号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、これらの文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に明確に組み入れられる。
【0002】
本発明は、一般に外科訓練ツールに関し、具体的には、限定するわけではないが、腹腔鏡手術、内視鏡手術及び低侵襲手術に関連する様々な外科技術及び処置の指導及び練習のための婦人科(GYN)病理学手術シミュレーションモデル及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
子宮外妊娠及び卵巣捻転は、いずれも外科的緊急事態に相当する。異所性又は子宮外妊娠とは、受精卵が子宮の主腔外に着床して成長する際に発生する妊娠のことである。90%超の事例では卵子が卵管に着床し、卵管性子宮外妊娠とも呼ばれる。残りの事例では、卵子が子宮頸部、卵巣、腹部又は子宮筋に着床する。子宮外妊娠は、妊娠初期における死亡原因の第1位を保っており、妊娠関連死全体の約3~4%を占める。卵管性子宮外妊娠の治療では、依然として腹腔鏡手術が治療の基本である。子宮外妊娠のための外科的アプローチは、根治手術(卵管切除術)から保存療法(卵管開口術)へと進化している。卵管切除術は、片方又は両方の卵管を外科的に除去するものである。一方で、卵管開口術は、妊娠部位にわたって卵管切開を行うことにより、卵管の内容物を除去する処置である。この処置は、女性に未破裂卵管妊娠が見つかった時に最適な外科的処置とみなされ、将来的な妊娠のために卵管を温存する目的で行われる。
【0004】
一方で、付属器茎捻転とも呼ばれる卵巣捻転は、しばしば卵巣への血液供給が部分的に又は完全に遮断されてしまう付属器支持器官(adnexal supporting organ)の完全な又は部分的な回転を意味する。この症状は、主に卵巣及び時には卵管がこれらの臓器を支えて適所に保持している靭帯様組織上でねじれた際に発生する。卵巣捻転は、閉経前の女性及び閉経後の女性を含む全年齢の女性が罹患する可能性がある。80%超の事例では、卵巣捻転の発生原因は直径5cmを超える卵巣嚢腫又は腫瘤である。このうち、卵巣捻転の約20%は妊婦で発生する。非嚢胞性卵巣の捻転は、発育異常によって卵巣が捻転しやすい幼児に多くみられる。卵巣の機能を維持して他の合併症を予防するには、卵巣捻転の早期診断が必要である。
【0005】
子宮外妊娠と同様に、卵巣捻転の治療の中心も手術である。手術は、捻転を確認する唯一の方法でもある。卵巣の外観にかかわらず、付属器構造の捻転を解除して保存する低侵襲性の外科的アプローチが推奨される。良性卵巣嚢腫摘出術及び卵巣捻転解除術の大部分は腹腔鏡下で行うことができる。腹腔鏡手術前には、卵巣悪性腫瘍のリスク評価のための基本検査を完了させなければならない。卵巣捻転解除術及び卵巣嚢腫摘出術では、保存的治療が最適な治療とみなされる。しかしながら、組織が壊死している場合には、卵巣の外科的除去(卵巣摘出術)又は卵巣及び卵管の両方の外科的除去(卵管卵巣摘出術)などの根治的処置が最適な治療となり得る。
【0006】
卵巣捻転は、まれな症状ではあるが外科的緊急疾患症状であり、卵巣機能を確実に温存するには迅速な診断及び腹腔鏡による介入を必要とする。しかしながら、医学訓練中にこのような病状に遭遇することはめったにないと考えられる。一方で、子宮外妊娠についても、世界的に増加しているとはいえ医学訓練中に遭遇することはまれである。すなわち、OB/GYN(産婦人科)訓練生の間では、低侵襲性婦人科手術訓練の機会が不十分であるとの懸念が高まっている。また、昔ながらの4年間の産婦人科研修期間中の外科訓練、とりわけ腹腔鏡外科訓練の妥当性に関しても共通の懸念が高まってきている。このことは、手術室に入る前にリアルで分かりやすい訓練を必要とする訓練生にとって問題である。また、外科訓練生による腹腔鏡下での異所性腫瘤の摘出及び/又は卵巣嚢腫の捻転解除及び摘出の練習を可能にする、忠実性、エネルギー適合性の高いシミュレーションモデルの選択肢はほとんどない。モデル内の臓器は、生体に酷似するようにシミュレートされているだけでなく、体内に存在しているかのように移動及び操作できることも必要である。さらに、モデル上の臓器は、最適な手術体位に移動させて位置付けることができるようにモデルに取り付けられていなければならない。
【0007】
さらに、多くの外科的処置では、例えば電気手術用の把持鉗子(electrosurgical graspers)、はさみ、ピンセット、ブレード、プローブ又は剥離鉗子などのエネルギーベースの手術器具が使用される。これらの器具は、ほとんど力を使わずに組織の切断及び切開を行いながらほぼ瞬時に熱的止血を行って失血を抑えるという利便性を外科医にもたらす。このような器具は外科コミュニティ内で標準になってきており、様々な処置で常用されている。従って、エネルギーベースの手術器具又は電気手術器具の使用を訓練する能力を含む臓器モデル、模擬組織要素、又は訓練モジュールが必要とされている。従って、外科医が外科技術を訓練できる模擬骨盤トレーナーと併用されるリアルな臓器モデルが必要とされていることが明らかであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,764,452号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
様々な実施形態によれば、外科訓練のためのGYN(婦人科)病理学手術シミュレーションモデル又はシステムが提供される。これらのモデル又はシステムは、例えば卵管開口術、卵巣嚢腫摘出術、卵巣嚢腫摘出及び捻転解除術などの高度なOB/GYN手術技能、並びに縫合術などの他の基本的なOB/GYN手術技能を外科訓練生及び外科医が練習することを可能にするように女性生殖器系の組織ベースの疾患をシミュレートするエネルギー適合性モデル(energy-compatible models)である。様々な実施形態では、単極電気手術器具を使用して模擬手術部位にRFエネルギーを供給して模擬標的組織を切開し、模擬的異常を除去及び/又は切断する。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムが提供される。GYN病理学手術シミュレーションシステムは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める管状構造と、粘着性材料で満たされた時に外部隆起を生じるように中心内腔の少なくとも一部に沿って形成された空洞内に封入される粘着性材料と、を含むことができる。本発明の実施形態による粘着性材料は、非水溶性材料及び非導電性材料を含むことができる。様々な実施形態では、粘着性材料が不均一であり、繊維性材料又は液体繊維混合物から形成される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムの製造方法が提供される。方法は、マンドレルを準備するステップと、マンドレルを2部品成形空洞内に懸架するステップと、マンドレル上に導電性材料の層を適用するステップと、導電性材料の層を硬化させて、中心内腔を定める薄肉管状構造を形成するステップと、粘着性材料を準備するステップと、薄肉管状構造の一部に沿って形成された空洞内に粘着性材料を封入するステップと、を含む。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムが提供される。婦人科病理学手術シミュレーションシステムは、近位端と遠位端との間に延びて長手方向軸に沿って中心内腔を定める内面及び外面を含む側壁を有する模擬卵管を含むことができる。本発明の実施形態による模擬卵管の側壁は、模擬卵管の外側から模擬異所性腫瘤又は胚の位置が識別可能であるように、長手方向軸に沿った位置において模擬異所性腫瘤又は胚を封入するように構成される。様々な実施形態における模擬異所性腫瘤又は胚は、非水性かつ非導電性の材料で形成され、模擬卵管は、導電性材料で形成される。様々な実施形態では、模擬異所性腫瘤又は胚が、9グラム対2cm×2cmの比率の一液型プラチナ硬化シリコーン熱硬化物(single-part platinum-cured silicone thermoset)と中綿との混合物(batting mixture)から形成される。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、手術シミュレーションシステムが提供される。手術シミュレーションシステムは、子宮外妊娠モデルと、胴体を模倣するように構成された外科訓練装置とを含むことができる。様々な実施形態による子宮外妊娠モデルは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める管状構造であって、導電性材料で形成された管状構造を有する、模擬卵管と、粘着性材料で満たされた時に外部隆起を生じるように中心内腔の少なくとも一部に沿って形成された空洞内に封入される粘着性材料とを含む。本発明の実施形態による外科手術用訓練装置は、ベース及びトップカバーを含むことができ、トップカバーは、トップカバーとベースとの間に内部空洞を定めるようにベースに接続されてベースから間隔を空ける。外科訓練装置の内部空洞は、ユーザによる直接的な観察から部分的に隠され、トップカバーは、内部空洞にアクセスするためのアパーチャ又は貫通可能な模擬組織領域を含む。様々な実施形態における子宮外妊娠モデルは、外科訓練装置の内部空洞内に挿入可能であるように構成されたGYN病理学トレイ内に収容された接地パッド上に配置されるように構成される。
【0014】
様々な実施形態によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムが提供される。婦人科病理学手術シミュレーションシステムは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を有する細長いチューブと、細長いチューブに取り付けられ、長手方向軸に対して横向きの方向に延びる、細長いチューブよりも大きな封入湾曲体(encapsulated curved body)とを含むことができる。様々な実施形態では、細長いチューブが、模擬卵管、及び/又は模擬卵巣嚢胞カプセルの1又は2以上の部分であり、又はこれらを表す。様々な実施形態では、封入湾曲体が模擬子宮であり、又は模擬子宮を表す。様々な実施形態では、封入湾曲体の一部のみが導電性材料で形成される。様々な実施形態では、細長いチューブの一部が封入湾曲体に対して隆起する。婦人科病理学手術シミュレーションシステムは、封入湾曲体に取り外し可能に取り付けられる導電性パッドをさらに含む。様々な実施形態における導電性パッドは、導電性材料で形成された封入湾曲体の一部のみに電気的/導電的に取り付けられる。
【0015】
本発明の他の1つの態様によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムが提供される。婦人科病理学手術シミュレーションシステムは、近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状中空構造(bulbous hollow structure)内に封入された流体充填嚢胞体(fluid-filled cystic body)を含むことができる。様々な実施形態では、流体充填嚢胞体が、流体充填嚢胞体と球根状中空構造との間の界面の少なくとも1又は2以上の領域において球根状中空構造に選択的に接着されることにより、鈍的切開と鋭的切開との組み合わせのための平面を形成する。
【0016】
本発明の別の態様によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムが提供される。婦人科病理学手術シミュレーションシステムは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める管状構造、流体充填嚢胞体を封入する球根状中空構造、及び/又は所望のパターンに切断され及び/又は1mm以下の厚みを有する極薄シートを含むことができる。球根状中空構造は、近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部をさらに含む。様々な実施形態における極薄シート及び管状構造は、近位伸長部及び遠位伸長部の少なくとも一方の周囲での球根状中空構造の捻転及び捻転解除を容易にするように配置される付属器官である。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムの製造方法が提供される。この方法は、流体充填嚢胞体を準備するステップと、流体充填嚢胞体を増粘剤でコーティングするステップと、近位端における近位伸長部と、遠位端における、近位伸長部よりも長い遠位伸長部とを有する流体充填嚢胞体の形状に適合する形状を有する2部品成形空洞を準備するステップと、増粘剤でコーティングされた流体充填嚢胞体を導電性材料内に封入するステップと、を含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、婦人科病理学手術シミュレーションシステムが提供される。婦人科病理学手術シミュレーションシステムは、近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状構造を有する模擬卵巣嚢胞カプセルと、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める模擬卵管と、を含むことができる。模擬卵巣嚢胞カプセル及び模擬卵管は、模擬卵管の有無にかかわらず卵巣嚢胞の捻転及び捻転解除を可能にするように柔軟な接着技術を使用して模擬卵管間膜シートに取り付けられる。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、手術シミュレーションシステムが提供される。手術シミュレーションシステムは、卵巣嚢腫茎捻転モデルと、胴体を模倣するように構成された外科訓練装置とを含むことができる。様々な実施形態による卵巣嚢胞捻転モデルは、近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状構造を有する模擬卵巣嚢胞カプセルと、近位端と遠位端との間に延びて長手方向軸に沿って中心内腔を定める内面及び外面を含む側壁を有する模擬卵管と、模擬卵巣嚢胞カプセル及び模擬卵管に接続するように所望のパターンに切断された模擬卵管間膜シートと、を含むことができる。本発明の実施形態による外科訓練装置は、ベース及びトップカバーを含むことができ、トップカバーは、トップカバーとベースとの間に内部空洞を定めるようにベースに接続されてベースから間隔を空ける。外科訓練装置の内部空洞は、ユーザによる直接的な観察から部分的に隠され、トップカバーは、内部空洞にアクセスするためのアパーチャ又は貫通可能な模擬組織領域を含む。様々な実施形態における卵巣嚢腫茎捻転モデルは、外科訓練装置の内部空洞内に挿入可能であるように構成されたGYN病理学トレイ内に収容された接地パッド上に配置されるように構成される。
【0020】
本発明の付随する特徴の多くは、上記の及び以下の説明を参照し、全体を通じて同じ参照記号が同じ部分を示す添付図面に関連して検討することによって本発明がよりよく理解されるにつれて、容易に認識されるようになるであろう。
【0021】
以下の添付図に関連して本開示を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態による子宮外妊娠モデルの上面図である。
図2】本発明の実施形態による子宮外妊娠モデルの分解上面図である。
図3】本発明の実施形態による、GYN病理用トレイ内の接地パッド上に配置された子宮外妊娠モデルを示す図である。
図4】模擬卵管から摘出した後の異所性腫瘤の画像を示す図である。
図5】本発明の実施形態による卵巣嚢腫茎捻転モデルの上面図である。
図6】本発明の実施形態による卵巣嚢腫茎捻転モデルの分解上面図である。
図7】本発明の実施形態による、GYN病理用トレイ内の接地パッド上に配置された卵巣嚢腫茎捻転モデルを示す図である。
図8】本発明の実施形態による、子宮外妊娠モデルと共に使用される腹腔鏡トレーナーの上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図では、同様の構成要素及び/又は特徴が同じ参照ラベルを有することができる。さらに、同じタイプの様々な構成要素については、同様の構成要素同士を区別するダッシュ記号及び第2のラベルを参照ラベルの後に付すことによって区別することができる。本明細書において第1の参照ラベルのみを使用している場合、その説明は、第2の参照ラベルにかかわらず、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のうちのいずれか1つに対して当てはまる。
【0024】
以下の説明は(単複の)例示的な実施形態を示すものにすぎず、本開示の範囲、適用性又は構成を限定するように意図するものではない。むしろ、以下の(単複の)例示的な実施形態の説明は、本開示の例示的な実施形態を実装するための実施可能な説明を当業者に提供するものである。なお、添付の特許請求の範囲に定める本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置は様々に変更することができると理解されたい。
【0025】
本開示は、一般に模擬組織構造及び臓器モデルに関する。具体的には、本開示は、外科訓練生及び外科医が手術室に入る前に十分な手術技能を習得するのを支援するための、例えば子宮外妊娠モデル及び卵巣嚢腫茎捻転モデルなどの婦人科(GYN)病理学手術シミュレーションモデル及びシステムに関する。
【0026】
この目的のために、本発明の実施形態による腹腔鏡下手術のための子宮外妊娠モデルを提供する。このモデルは、子宮外妊娠をシミュレートして、外科訓練生による対応する外科的処置の練習を可能にするエネルギー適合性モデルである。この処置に関与する生体構造をシミュレートするために、模擬異所性腫瘤は、血栓の脆弱性をエミュレートして、過度の力を受けた時に壊れる恐れがある半固体腫瘤をリアルにシミュレートする。また、模擬卵管は、模擬異所性腫瘤を封入するとともに電気手術装置との適合性も有する。このモデルには、例えば模擬子宮などの他の付属器官も付属する。本発明の実施形態による子宮外妊娠モデルは、外科訓練生による両手の器用さ(bimanual dexterity)、組織の取り扱い、電気外科器具の使用、及び/又はカメラの向きに関する訓練を可能にする。
【0027】
最初に、図1図2に子宮外妊娠モデル100の実施形態を示す。この点、図1は子宮外妊娠モデル100の上面図であり、図2は分解上面図である。これらの図に示すように、子宮外妊娠モデル100は、模擬異所性腫瘤又は胚120を含むことができる。本発明の実施形態によれば、模擬異所性腫瘤又は胚120は粘性を有し、水性ではない。様々な実施形態では、模擬異所性腫瘤又は胚120が非水性かつ非導電性の材料で形成される。いくつかの実施形態では、模擬異所性腫瘤又は胚120が繊維性材料及び/又は未硬化シリコーンを含む。様々な実施形態によれば、本発明の模擬異所性腫瘤又は胚120は、一液型プラチナ硬化シリコーン熱硬化物と中綿との混合物から形成される。なお、この混合物は水性又は水溶性材料を一切含んでおらず、このため周囲の導電性組織(conductive tissue)による吸収性の問題が解決される。ヒト胚の脆弱性及び一貫性をエミュレートするために、9グラムの一液型(one part)SORTA-Clear(商標)シリコーンパートA又はパートBを2cm×2cmの中綿と共に使用する。この比率は、胚様一貫性(embryonic-like consistency)を再現するのに効率的であることが証明されている。同様の特性を達成するために、例えばEcoflex(登録商標)、Dragon Skin(登録商標)などの他の一液型プラチナ硬化シリコーン熱硬化物を使用することもできる。
【0028】
ヒト胚の天然色を忠実にエミュレートするために、上記の混合物に着色剤を添加することもできる。いくつかの実施形態では、リアリズム及び解剖学的精度を最大化するために、一液型プラチナ硬化シリコーン熱硬化物と2cm×2cmの中綿との混合物に赤色食品着色料(310uL)及び青色食品着色料(15.5uL)などの食品着色料が添加される。他の実施形態では、リアルな外観を模倣するために、混合物にアクリルインクを添加することができる。選択的実施形態では、一液型プラチナ硬化シリコーン熱硬化物と2cm×2cmの中綿との混合物中の最適な着色剤として非水性着色剤などの乾燥鉱物顔料(dry mineral pigments)が使用される。これにより、卵管全体にわたる潜在的色浸出(potential color leaching)が回避され、従って製品の保存寿命を延ばすことができる。限定ではなく一例として、赤色着色剤のための乾燥鉱物顔料としては、Alzarin Red Lakeなどの1、2-ジヒドロキシアントラキノン、有機合成、Primary Redなどのキナクリドン、並びにIvory Blackなどの炭素及びリン酸カルシウムを挙げることができる。褐色着色剤については、選択される褐色の色合いに応じて、ケイ酸マンガン又は二酸化マンガンを含むこともできる酸化鉄(Fe2O3)を最適な着色剤として使用することもできる。
【0029】
様々な実施形態では、中綿をいずれかの好適な繊維性材料から形成することができる。このような材料の例としては、綿花(例えば、羊毛)及びグルテンファイバー(例えば、セイタン)を挙げることができる。いくつかの実施形態では、中綿を天然繊維製のフェルトファブリックから形成することができる。他の実施形態では、中綿を植物繊維スポンジ及び/又は動物繊維スポンジ製の天然スポンジから形成することができる。選択的実施形態では、中綿を発泡体から形成することができる。
【0030】
様々な実施形態によれば、模擬異所性腫瘤又は胚120を、鉱油ゲル組成物(mineral oil gel compositions)及び中綿で形成することができる。限定ではなく一例として、このような組成物は、(12~13:1)の希釈率のHYNAP(登録商標)HT100及びKRATON(登録商標)G1651を含むことができる。いくつかの実施形態では、中綿と共にNusil(登録商標)シリコーンベースゲルなどの高純度シリコーンゲルを使用することもできる。選択的実施形態では、中綿を、ポリアクリル酸ナトリウム及びゼラチンの混合物、又はポリアクリル酸ナトリウム、接着剤及びホウ砂の混合物と共に使用することができる。1つの実施形態では、例えばVaseline(登録商標)ゼリーなどのワセリン(petroleum jelly)を中綿懸濁液(batting suspension)と共に使用することができる。別の実施形態では、ソフトワックスとオイルとの組み合わせの混合物を中綿と共に使用することができる。さらに別の実施形態では、必要に応じて、ダイラタント流体(dilatant fluid)を含む弾道ゼラチン(ballistics gelatin)を中綿と共に使用することができる。他の実施形態では、いずれかの好適な導電性材料を中綿と共に使用することもできる。他の好適な生成物、組成物及び/又は溶液を中綿と共に使用することもできる。このような生成物の例としては、凝固血液生成物(coagulated blood products)、コスチューム「血液」生成物(costume “blood” products)、及び食品生成物を挙げることができる。
【0031】
上記でさらに説明して図1図2にも示すように、本発明の実施形態による子宮外妊娠モデル100は、模擬卵管140をさらに含むことができる。この器官モデルは、模擬異所性腫瘤又は胚120を封入する一方で、電気外科器具を使用して切開可能である。また、ユーザが模擬異所性腫瘤又は胚120の位置などの関心アイテムを識別するのを支援するために、胚の位置はこの器官モデルの外側から識別可能とすべきである。様々な実施形態では、本発明の模擬卵管140が、導電性材料又は導電性組織で形成された中空構造である。図2からより明確に分かるように、模擬卵管140は、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を定める管状構造を含むことができる。中心内腔は、近位端と遠位端との間に延びる外面及び内面を有する切頭円錐形の側壁を形成するように、近位端から遠位端に向かって次第に拡大する。いくつかの実施形態では、側壁の近位端を閉じることもできる。
【0032】
様々な実施形態によれば、2部品成形空洞内にマンドレルを懸架することによって薄肉構造が形成される。薄肉構造は、2mm以下の厚みを有することができる。本発明の実施形態によるマンドレルは、リアルな外観及び空洞サイズをもたらすように実際の卵管の形状を有する。胚に必要な空間の容積を決定するために、マンドレルには、その長手方向軸に沿った位置に変更が加えられている。具体的には、マンドレルの一部が、マンドレルの残り部分に比べて長手方向軸に沿って大きな直径を有するように変更されている。この大きな直径は、模擬異所性腫瘤又は胚120の配置を可能にする空間又は空洞を形成する。従って、様々な実施形態によれば、模擬卵管140は、内部に模擬異所性腫瘤120が挿入された時にリアルな外部隆起又は膨らみを生じる(図3に示す)特定の容積の空洞を有するように成形される。この外部隆起又は膨らみは、子宮外妊娠の位置を特定するのに役立つことにより、この特徴をモデル100の機能にとって有用なものにする。
【0033】
卵管の空洞サイズ及び胚の体積比を決定した後に、様々な実施形態によれば、模擬異所性腫瘤又は胚120を封入し、又は別様に模擬卵管の空洞内に配置する。1つの実施形態では、注射器を使用して模擬異所性腫瘤又は胚120を模擬卵管の空洞内に注入して封入することができる。この目的のために、最初に注射器に模擬胚の材料を充填し、次に模擬卵管140の遠位端を通じて、模擬卵管の空洞内の胚のために形成された空間内に注入する。封入工程を完了するために、充填及び注入段階を複数回繰り返すことができる。封入工程中には、あらゆる空気が放出されるように注意すべきである。模擬胚の材料が模擬卵管の空洞内の指定空間に完全に注入されると、例えば導電性組織キャップ(図示せず)を使用して模擬異所性腫瘤又は胚120を模擬卵管140内に封入する。いくつかの実施形態では、導電性組織キャップが、Loctite(登録商標)接着剤などの接着剤を使用して適所に接着される。
【0034】
様々な実施形態では、模擬卵管140の導電性材料をダブルネットワークヒドロゲル(DNゲル)から形成することができる。この種のヒドロゲルのイオン構造は、電気外科器具に対するリアルな反応を生み出すことで、単極/双極外科器具などの電気外科器具をこのモデルと共に使用できるようにする。単極/双極外科器具などの電気外科器具を使用して卵管の薄壁を切開し、模擬異所性腫瘤又は胚120にアクセスして除去することができる。いくつかの実施形態では、模擬卵管140を形成するためにヒドロゲルファイバーを使用することができる。これらのヒドロゲルファイバーの例としては、繊維構造に食塩水又は酢溶液を染み込ませたもの、及び繊維構造の表面にSurgilube(登録商標)潤滑剤を塗布したものを挙げることができる。他の実施形態では、模擬卵管140を形成するために、導電性溶液でコーティングした繊維ファブリックを使用することができる。
【0035】
図1図2をさらに参照すると、異所性モデル100は、模擬子宮160をさらに含むことができる。本発明の実施形態による模擬子宮160は、模擬卵管140の付着点として機能するとともに、電気接地を目的する広い表面積を提供する。この構成は、模擬卵管140と相互作用すると同時に両手の器用さ及び組織の取り扱いに関する訓練を行う能力を外科訓練生及び外科医に対して可能にする基準点を提供する。様々な実施形態では、模擬子宮160が、固体の、モノリシックな、又は中空の構造を有することができる。様々な実施形態では、模擬子宮160が、導電性材料又は導電性組織で形成された中実構造又はその一部である。模擬子宮160を形成する導電性材料は、導電性ヒドロゲル配合物(electro-conductive hydrogel formulation)を含むことができる。1つの実施形態では、模擬子宮160が金属パックで形成される。別の実施形態では、模擬子宮160が、電解質溶液で飽和した天然又は合成スポンジから形成される。
【0036】
様々な実施形態では、模擬子宮160が、電気接地目的で表面積を増加させて製造に関連する全体的コストを抑えるために、例えば導電性材料で形成された接地パッドに近接して配置された子宮の半分又はその様々な部分/量を有する半子宮(half uterus)として成形される。例えば接着剤などを使用する従来の技術によって模擬卵管140を模擬子宮160に取り付けると、一貫した電流の流れが得られなくなる場合がある。模擬臓器間に連続的な電気経路が形成されることを確実にするために、本発明の実施形態による模擬卵管140は、模擬子宮160内にオーバーモールドされる。子宮外妊娠モデル100又は他のいずれかのGYN病理学シミュレーションモデルを接地させる手段については、以下でさらに詳細に説明する。
【0037】
次に、図3に、本発明の実施形態によるGYN病理学トレイ50内に配置された子宮外妊娠モデル100を示す。GYN病理学的トレイ50(「トレイ50」)は、子宮外妊娠モデル100を受け取るように構成されるとともに、電気外科用発電機(electrosurgical generator)(図示せず)に取り外し可能に接続可能な接地パッド10を収容し又は含むように配置される。接地パッド10は、子宮外妊娠モデル100又はその一部に接触するように構成され、モデル100とトレイ50との間に配置される。図3に示すように、様々な実施形態による模擬子宮160は、本発明の接地パッド10に配置されて取り付けられることにより、模擬卵管140と接地パッド10との間に接地への接続を提供する。いくつかの実施形態では、接着剤を使用して模擬子宮160を接地パッド10に取り付けることができる。接地パッド10及びトレイ50の左側などの片側には、接地ワイヤの接続のための接地接続部12がさらに設けられる。
【0038】
様々な実施形態では、トレイ50が、チャネル又は空洞を有する平らな平面を含むことができる。空洞は、トレイの縁部に沿って縁部の付近で円周方向に延びることができる。空洞は、模擬臓器モデルから排出される物質などの液体又は粘着性材料を収集するように構成される。トレイ50又はその一部は不浸透性であるように構成される。トレイ50は、液体を円周空洞に向けるように構成される。トレイ50は、トレイの円周部分、円周空洞又はその一部よりも高く隆起又は上昇した中央上部を含むことができる。隆起した中央上部からは、円周空洞に向かって1又は2以上のテーパ面が延びることができる。1つの実施形態では、トレイ50が、共に平面であって互いに平行に配置された上面及び下面を含むことができる。下面、上面、又はこれらの両面は、例えばそれぞれの面に取り付けられ又は一体化され、上面と下面との間に配置されてトレイの隆起した中央上部を形成できる、上面及び/又は下面支持部などの1又は2以上の突起部又は突出部を含むことができる。トレイ50は、トレイの円周空洞及び外縁又は周縁の付近に配置された1又は2以上のスロットをさらに含むことができる。1又は2以上のスロットは、模擬臓器モデルの一部に接続するように構成されたモデル支持体を受け取るように構成される。
【0039】
様々な実施形態では、モデル100が、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延びる中心内腔を有する、導電性材料で形成された細長いチューブと、細長いチューブに取り付けられ、長手方向軸に対して横向きの方向に延びる、細長いチューブよりも大きな封入湾曲体とを含む。様々な実施形態では、封入湾曲体の一部のみが導電性材料で形成される。様々な実施形態では、封入湾曲体に導電性パッドが取り外し可能に取り付けられる。様々な実施形態では、導電性材料で形成された封入湾曲体の一部のみに導電性パッドが電気的/導電的に取り付けられる。様々な実施形態では、細長いチューブが導電性パッドに直接接触していない。様々な実施形態では、単極電気外科器具が、導電性パッドに直接接触していない細長いチューブと、導電性パッドに直接接触している封入湾曲体との間でRFエネルギーを伝えるように配置される。様々な実施形態では、封入湾曲体が、封入湾曲体の内部へのアクセス手段を含まない。
【0040】
様々な実施形態では、細長いチューブ内に非導電性材料塊が(non-conductive material mass)配置される。様々な実施形態では、非導電性材料塊が不均一かつ半固体であり、細長いチューブの中心内腔内の空洞内に配置される。様々な実施形態では、非導電性材料塊が、細長いチューブ又は封入湾曲体よりも高い粘度を有する。様々な実施形態では、非導電性材料塊が液体繊維混合物を含む。様々な実施形態では、非導電性材料塊が繊維性材料を含む。様々な実施形態では、非導電性材料塊が、細長いチューブの切れ目を通じて細長いチューブから取り外し可能であるように配置される。様々な実施形態では、非導電性材料塊が、封入湾曲体に接続された細長いチューブの一部の直径よりも大きな幅を有する。様々な実施形態では、非導電性材料塊が、細長いチューブの長さよりも短い長さを有する。
【0041】
以下では、子宮外妊娠を除去する外科的処置の実行に関与する手順についてさらに詳細に説明する。練習生は、腹腔鏡外科訓練装置又は腹腔鏡トレーナーなどの模擬腹腔鏡環境内に子宮外妊娠モデル100を配置することによって腹腔鏡下卵管開口術を練習する。この目的のために、最初にモデル100をGYN病理学トレイ50の接地パッド10に接続し、その後に腹腔鏡トレーナーの内部空洞に挿入する。トレイ50は、締結手段を使用して腹腔鏡トレーナーの底部に締結することもできる。1つの実施形態では、トレイの下面の下方などのトレイ50の下方にフックアンドループ型の締結手段を使用して、腹腔鏡トレーナーの内部空洞にモデル100を取り付けることができる。その後、練習生は、卵管を把持して操作し、卵管を最適な手術体位に向ける。外科用メス又はその他の電気手術器具を使用して、卵管壁を長手方向に切開する。その後、練習生は、模擬異所性又は胚120を把持してこれを卵管140から摘出する。次に、胚のいずれかの残っている残部を除去するための検査を行う。その後、卵管の切開部を縫合によって閉じ、又はその場で開いたままにしておく。
【0042】
図4に、本発明の実施形態による、模擬卵管140から摘出した後の異所性腫瘤の画像を示す。外科手術を成功したとみなすには、胚が卵管から完全に除去されていなければならない。本発明の実施形態による除去は、1つの「主」病変及び複数のさらに小さな病変から成る。腹腔鏡下卵管切除術では、子宮外妊娠及び卵管の両方が除去される。
【0043】
別の実施形態では、子宮外妊娠モデル100が、別のさらに大きなモデル又は組織構造の一部として形成される。一例として、本発明の実施形態による子宮外妊娠モデル100は、以下でさらに詳細に説明する腹腔鏡外科訓練装置の内部に配置されるようなサイズ及び構成を有する腹部臓器モデル又は骨盤モデルの一部であることができる。
【0044】
本発明の別の態様によれば、腹腔鏡手術のための卵巣嚢腫茎捻転モデルも提供される。このモデルは、外科訓練生及び外科医による対応する外科的処置の練習を可能にするように靭帯の周囲で部分的又は全体的にねじれることができる卵巣捻転などの卵巣嚢腫をシミュレートするエネルギー適合性モデルである。この処置に関与する生体構造をシミュレートするために、模擬嚢胞には液体が満たされる一方で、模擬液体で満たされた嚢胞と模擬卵巣組織との間の平面は、リアルな手術力を受けた時に捻転解除可能である。訓練経験を高めるために、このモデルには他の付属器官も付属する。他の付属臓器の例としては、卵管、卵管間膜靭帯様組織、及び子宮などを挙げることができる。訓練経験をさらに深めるために、捻転に関与する臓器の接続には柔軟な接着技術が使用される。本発明の実施形態による卵巣嚢腫茎捻転モデルは、外科訓練生及び外科医が、手術中の意思決定、両手の器用さ、組織の取り扱い、電気外科器具の使用、及び/又はカメラの向きに関して訓練することを可能にする。
【0045】
図5図6に、卵巣嚢腫茎捻転モデル200の1つの実施形態を示す。この点、図5は卵巣嚢腫茎捻転モデル200の上面図であり、図6は分解上面図である。これらの図に示すように、卵巣嚢腫茎捻転モデル200は、模擬卵巣嚢腫カプセル240、240-1及び模擬卵管間膜260を含むことができる。模擬卵巣嚢腫カプセル240は、近位端における近位伸長部及び遠位端における遠位伸長部を有する球根状中空構造を含むことができる。近位伸長部は、第1の内腔を有する管状構造を有し、遠位伸長部は、第2の内腔を有する管状構造を有する。第1の管腔及び第2の管腔は、いずれもその長さに沿って実質的に一定の直径プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、近位伸長部及び遠位伸長部が実質的に同じ直径を有することができる。他の実施形態では、近位伸長部及び遠位伸長部が異なる直径を有することができる。様々な実施形態では、近位伸長部が遠位伸長部よりも短い。様々な実施形態による近位伸長部及び遠位伸長部は、卵巣を適所に保持する靭帯を表す。
【0046】
図6に示すように、模擬卵巣嚢胞カプセル240は、模擬卵巣の導電性材料内に全体が封入される模擬嚢胞体又は嚢胞220を含むことができる。様々な実施形態では、模擬嚢胞体又は嚢胞220が、例えば3~5cmの所望のサイズの球形を有するマンドレルを使用して形成される。本発明の実施形態による模擬嚢胞体又は嚢胞220は、いずれかのタイプの液体又は流体で満たすことができる。様々な実施形態によれば、本発明の模擬嚢胞体又は嚢胞220は、プラチナ硬化シリコーン熱硬化物で形成されたパウチであることができる。様々な実施形態では、プラチナ硬化シリコーン熱硬化物が、天然のヒト組織と同様の柔軟性及び/又は弾力性を有し、及び/又は0010以下のショア硬度を有する。好適なプラチナ硬化シリコーン熱硬化物の一例は、Smooth-On Dragon Skin(登録商標)0010シリコーンである。他のプラチナ硬化シリコーン熱硬化物を使用して同様のデュロメータ及び引裂強度に到達することもできる。
【0047】
リアルな耐久性を有する嚢胞壁の脆弱性をエミュレートするために、一定希釈率のプラチナ硬化シリコーン熱硬化物が使用される。様々な実施形態では、模擬嚢胞体又は嚢胞220が、(例えば、90g:12mL)の希釈率を有するシリコーン及びNovocs(登録商標)シリコーン溶媒で形成された溶液から鋳造される。様々な実施形態による、この比率のDragon Skin(登録商標)シリコーン対Novocs(登録商標)シリコーン溶媒は、リアルに貫通するのが困難な耐久性のある嚢胞壁を形成するのに効率的であることが証明されている。各成分の量が少ない異なる比率のシリコーン対Novocs(登録商標)(例えば、約3~12g:1mL~5mLの間、及び/又は約2~3対1の比率)を使用して、異なる嚢胞壁の脆弱性を達成することもできる。いくつかの実施形態では、模擬嚢胞体又は嚢胞220を、例えばウレタンゴム、ゴム及びポリイソプレンゴム(例えば、水風船)などの他のいずれかの好適な組成物で形成することができる。1つの実施形態では、模擬嚢胞体又は嚢胞220をKRATONポリマー又はウルトラゲルで形成することができる。選択的実施形態では、模擬嚢胞体又は嚢胞220を、いずれかの好適な硬化した導電性材料又は組織で形成することができる。
【0048】
様々な実施形態によれば、本発明の模擬嚢胞体又は嚢胞220は、流体注入のための流体出口を定める嚢胞開口部を含むことができる。流体で満たされた嚢胞体を形成するために、流体を充填した注射器を使用して本発明の模擬嚢胞体又は嚢胞220を満たすことができる。様々な実施形態では、模擬嚢胞体又は嚢胞220が水で満たされる。いくつかの実施形態では、嚢胞開口部に、水などの液体を漏らさずに注入できるようにする自動閉鎖式シリコーンキャップ(図示せず)が設けられる。様々な実施形態では、嚢胞開口部が、自動閉鎖式シリコーンキャップに同一平面的に(in a flush manner)適合してこれを受け取るようなサイズ及び構成を有する。任意に、リアルな外観を模倣するために、流体に様々な着色剤を添加することもできる。他の充填剤を使用して模擬嚢胞体又は嚢胞220を満たすこともできる。このような充填剤の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PG)、グリセリン、一液型シリコーン、及び食品生成物を挙げることができる。
【0049】
本発明の1つの態様では、模擬嚢胞体又は嚢胞220を破裂させることなく鈍的切開によって切開できるように、模擬嚢胞と卵巣組織との間に切開面を提供する。この切開面は、模擬嚢胞及び模擬卵巣の2つの材料間に増粘剤(thickening material)の層を追加することによって達成される。様々な実施形態では、流体充填嚢胞体などの模擬嚢胞体又は嚢胞220を増粘剤でコーティングすることができる。限定ではなく一例として、この目的で使用される増粘剤としてはコーンスターチを挙げることができる。本発明の実施形態によれば、模擬卵巣と模擬嚢胞との間の界面におけるコーンスターチなどの増粘剤は、鈍的切開を行うための1又は2以上の領域に脆弱な接着部を形成する。
【0050】
成形動作中、模擬卵巣嚢胞カプセル240を形成するための最終ステップは封入工程である。この目的のために、2部品成形空洞が使用される。完全な封入を達成するために、本発明の模擬流体充填嚢胞を導電性材料でオーバーモールドして模擬卵巣組織を形成する。模擬卵巣組織の形成は、2ステップ鋳造工程を使用して達成される。第1のステップでは、第1の卵巣半分を形成して嚢胞の配置を可能にする。第2のステップでは、第2の卵巣の半分を形成して嚢胞の完全な封入を可能にする。第2のステップの前には、外科訓練生及び外科医が嚢胞の位置を特定するのに役立つように、コーティングされた嚢胞上の1又は2以上の位置に任意に導電性材料などの追加材料を鋳造することもできる。
【0051】
訓練経験をさらに高めるために、封入工程中に模擬嚢胞体又は嚢胞220上に接着剤を選択的に塗布することもできる。なお、様々な実施形態では、模擬嚢胞体の基部が、模擬嚢胞体の残り部分と比べて周囲組織へのより強い接着性を示すべきである。この接着性は、鋭的切開を使用して分離できる単一の強力な接着部位を形成するように、模擬嚢胞の基部に塗布される高強度接着剤を使用して達成される。従って、成形動作中には、嚢胞の配置前に、流体を充填されてコーティングされた嚢胞の所定の位置に高強度接着剤を塗布する。その後、この所定の位置を金型の近位伸長部の近傍に配置する。単一の強力な接着部位を形成するには、正しい接着を確実にするように注意を払わなければならない。その後、成形工程は、嚢胞を完全に封入する最終工程に進む。本発明の実施形態によれば、単一の強力な接着部位を形成するために、Loctite(登録商標)454接着剤などの好適な接着剤を使用することができる。この目的で他のこのような接着剤を使用することもできる。別の実施形態では、鈍的切開を使用して分離できる複数の弱い接着部位を形成するように、模擬嚢胞体又は嚢胞220の残り部分の少なくとも1又は2以上の領域に接着強度の低い接着剤を塗布することができる。鈍的切開のための接着剤の好適な一例としては、Elmer’s Glue-All(商標)接着剤を挙げることができる。この選択的接着は、外科訓練生及び外科医が実際の外科設定のように鈍的切開と鋭的切開との組み合わせを使用して模擬嚢胞体又は嚢胞220を卵巣組織から分離することを可能にする。
【0052】
様々な実施形態では、模擬卵巣の導電性材料をダブルネットワークヒドロゲル(DNゲル)から形成することができる。この種のヒドロゲルのイオン構造は、電気外科器具に対するリアルな反応を生み出すことで、例えば単極及び/又は双極電気外科器具をこのモデルと共に使用できるようにする。単極手術器具を使用して卵巣嚢胞カプセル240-1を切開し、本発明の模擬嚢胞体又は嚢胞220にアクセスして除去することができる。いくつかの実施形態では、卵巣組織を形成するために、例えばヒドロゲルファイバーなどの導電剤で被覆された繊維製品を使用することができる。限定ではなく一例として、このような組成物としては、繊維構造に食塩水又は酢溶液を染み込ませたもの、及び繊維構造の表面にSurgilube(登録商標)潤滑剤を塗布したものを挙げることができる。
【0053】
上記でさらに説明したように、様々な実施形態によれば、卵巣嚢腫茎捻転モデル200は模擬卵管間膜260をさらに含む。この器官モデルは、模擬卵巣嚢腫カプセル240の捻転及び捻転解除を可能にする付属器官として機能する。リアルな捻転を達成するために、この器官モデルのために極薄シートが成形される。このシートは、模擬卵巣嚢胞カプセル240の捻転/捻転解除を可能にできるほど十分に薄くしなやかなものとすべきである。従って、本発明の実施形態によれば、卵管間膜靭帯様組織をシミュレートするのに十分な薄さのシートを鋳造するために2プレート金型(2-plate mold)が使用される。様々な実施形態では、模擬卵管間膜260が約1mm以下の厚みを有することができる。薄いシートが製造されると、薄いシートを所望のサイズ及び形状に切断するための(図6に示す)カスタムパターンを展開することができる。いくつかの実施形態では、所望のサイズ及び形状を作成するために手動トレーシング及び切断工程を使用することができる。様々な実施形態では、薄いシートを所望のパターンに切断するために打ち抜き工程が使用される。この所望のパターンは、接着中における模擬卵巣嚢胞カプセル240の最適な位置決めに役立つ。いくつかの実施形態では、捻転中の自己接着を避けるために、模擬卵管間膜260上にVaseline(登録商標)ゼリーなどのワセリンを塗布することができる。
【0054】
本発明の卵巣嚢腫茎捻転モデル200のさらなる特徴は、エネルギーベースの外科器具の使用中にユーザがリアルな組織の取り扱い、及び周囲生体構造に対するいずれかの偶発的損傷の評価を行うのを支援する点である。従って、本発明の実施形態による模擬卵管間膜260は、導電性材料又は導電性組織で形成される。様々な実施形態では、模擬卵管間膜260の導電性材料が、二重又は双対ネットワークヒドロゲル(DNゲル)を含むことができる。選択的実施形態では、模擬卵管間膜260をシリコーンで形成することができる。いくつかの実施形態では、任意に導電性溶液でコーティングされた繊維ファブリックを所望のサイズ及び形状に切断することができる。他の実施形態では、模擬卵管間膜260の形成にKRATONポリマー及び油の混合物を使用することができる。この実施形態では、テトラヒドロフラン(THF)中のKRATONポリマー溶液が、非常に薄いフィルムの形成をもたらす溶媒キャスト法を可能にする。所望の厚みを達成するために、複数の層を形成することができる。
【0055】
引き続き図5図6を参照すると、卵巣嚢腫茎捻転モデル200は、模擬卵管140をさらに含む。模擬卵管間膜260と同様に、模擬卵管140も、模擬卵巣嚢腫カプセル240の捻転及び捻転解除を可能にする付属器官として機能する。また、この器官モデルは、(図7に示す)卵巣と共に卵管も捻転にかかわっている外科的症例をシミュレートするのに役立つ。様々な実施形態では、模擬卵管140が、導電性材料又は導電性組織で形成された中空構造である。この実施形態では、2部品成形空洞内にマンドレルを懸架することによって薄肉構造が形成される。本発明の実施形態によるマンドレルは、リアルな外観及び空洞サイズをもたらすように実際の卵管の形状を有する。様々な実施形態では、模擬卵管140の導電性材料が、二重又は双対ネットワークヒドロゲルを含むことができる。この材料のイオン構造は、エネルギーベースの外科器具の使用中にリアルな組織の取り扱い及び周囲生体構造に対するいずれかの偶発的損傷の評価を行うのに役立つ。いくつかの実施形態では、模擬卵管140を形成するためにヒドロゲルファイバーを使用することができる。これらのヒドロゲルファイバーの例としては、繊維構造に食塩水又は酢溶液を染み込ませたもの、及び繊維構造の表面にSurgilube(登録商標)潤滑剤を塗布したものを挙げることができる。選択的実施形態では、模擬卵管140をシリコーンで形成することができる。他の実施形態では、模擬卵管140を形成するために、導電性溶液でコーティングした繊維ファブリックを使用することができる。
【0056】
捻転に関与する模擬臓器の接続にはキトサン系接着剤が使用される。多くの接着剤は、接続された模擬臓器間のエネルギーの伝達を妨げる。柔軟な導電性接着剤を使用することで、接続された構成要素間の干渉抵抗を最小限に抑えた連続する導電経路を形成することができる。様々な実施形態では、模擬卵管間膜260を模擬卵巣嚢胞カプセル240及び模擬卵管140に接着する接着剤として、4%キトサンを2%酢酸に希釈させたものが使用される。この実施形態では、中間分子量キトサンを使用して粘度を高めることにより、接着剤の移動を抑制又は低下させる。他の実施形態では、異なる比率のキトサン及び酢酸を使用して接着剤を調製することができる。また、より高い粘度を達成するために架橋試薬を追加することもできる。架橋試薬の好適な一例としては、コラーゲンを挙げることができる。いくつかの実施形態では、紫外線硬化接着剤を接着剤として使用することができる。別の実施形態では、ホットメルト接着剤(HMA)を接着剤として使用することができる。1つの実施形態では、樹液などの天然接着剤を接着剤として使用することができる。選択的実施形態では、模擬器官をオーバーモールドして付着させる接合部を形成するために未硬化ヒドロゲルを鋳造することができる。
【0057】
図5図6をさらに参照すると、卵巣嚢腫茎捻転モデル200は、模擬子宮160をさらに含むことができる。本発明の実施形態による模擬子宮160は、模擬付属器(卵管140/模擬卵管間膜260/卵巣嚢腫カプセル240)の付着点として機能するとともに、電気接地を目的する広い表面積を提供する。この構成は、模擬卵巣及び模擬卵管と相互作用すると同時に両手の器用さ及び組織の取り扱いに関する訓練を行う能力を外科訓練生及び外科医に対して可能にする基準点を提供する。様々な実施形態では、模擬子宮160が、固体の、モノリシックな、又は中空の構造を有することができる。様々な実施形態では、模擬子宮160が、導電性材料又は導電性組織で形成された中実構造又はその一部である。模擬子宮160を形成する導電性材料は、導電性ヒドロゲル配合物を含むことができる。1つの実施形態では、模擬子宮160が金属パックで形成される。別の実施形態では、模擬子宮160が、電解質溶液で飽和した天然又は合成スポンジから形成される。
【0058】
様々な実施形態では、模擬子宮160が、電気接地目的で表面積を増加させて製造に関連する全体的コストを抑えるために、例えば導電性材料で形成された接地パッドに近接して配置された子宮の半分又はその様々な部分/量を有する半子宮(half uterus)として成形される。例えば接着剤を使用するような従来の技術によって模擬付属器(卵管140/模擬中膜260/卵巣嚢胞240)を模擬子宮160に取り付けると、一貫した電流の流れが得られなくなる場合がある。模擬臓器間に連続的な電気経路が形成されることを確実にするために、本発明の実施形態による模擬付属器(卵管140/模擬卵管間膜260/卵巣嚢胞240)は、模擬子宮160内にオーバーモールドされる。様々な実施形態では、このオーバーモールドステップの前又は後に、模擬卵管間膜260を模擬卵巣嚢胞カプセル240及び模擬卵管140に接着するステップを実行することができる。
【0059】
次に、図7に、本発明の実施形態によるGYN病理学的トレイ50内に配置された卵巣嚢腫茎捻転モデル200を示す。GYN病理学的トレイ50(「トレイ50」)は、卵巣嚢腫捻転モデル200を受け取るように構成され、電気外科用発電機(図示せず)に取り外し可能に接続可能な接地パッド10を収容し又は含むように配置される。接地パッド10は、卵巣嚢腫茎捻転モデル200又はその一部と接触するように構成され、モデル200とトレイ50との間に配置される。図3に示すように、様々な実施形態による模擬子宮160は、本発明の接地パッド10に配置されて取り付けられることにより、模擬付属器(卵管140/模擬卵管間膜260/卵巣嚢腫カプセル240)と接地パッド10との間に接地への接続を提供する。いくつかの実施形態では、接着剤を使用して模擬子宮160を接地パッド10に取り付けることができる。接地パッド及びトレイの左側などの片側には、接地ワイヤの接続のための接地接続部12がさらに設けられる。
【0060】
上記でさらに説明したように、様々な実施形態によれば、トレイ50は、チャネル又は空洞を有する平らな平面を含むことができる。空洞は、トレイの縁部に沿って縁部の付近で円周方向に延びることができる。空洞は、卵巣嚢腫茎捻転モデル200から排出される物質などの液体又は粘着性材料を収集するように構成される。トレイ50又はその一部は不浸透性であるように構成される。トレイ50は、液体を円周空洞に向けるように構成される。トレイ50は、トレイの円周部分、円周空洞又はその一部よりも高く隆起又は上昇した中央上部をさらに含む。トレイ50は、トレイの円周空洞及び外縁又は周縁の付近に配置された1又は2以上のスロットをさらに含むことができる。1又は2以上のスロットは、模擬臓器モデルの一部に接続するように構成されたモデル支持体又は側壁56を受け取るように構成される。モデル支持体又は側壁56の例示的な実施形態は図6図7に示している。モデル支持体又は側壁56は、KYDEXなどの熱成形可能な熱可塑性シートから形成することができる。本発明の実施形態によれば、KYDEX(登録商標)熱可塑性シートには、模擬臓器モデルの一部を収容するための穴が打ち抜かれる。様々な実施形態では、例えば卵巣嚢腫カプセルの1又は2以上の部分などの卵巣靭帯が模擬子宮160から横向きに延び、模擬子宮及び/又はトレイ50の底面に対して隆起した部分を有する。図7に示す実施形態では、モデル支持体又は側壁56が、モデル200の模擬卵巣嚢腫カプセル240-2に接続できるように、トレイ50の外縁又は周縁の右側に設けられた1つのスロット内に配置される。この実施形態では、モデル支持体又は側壁56が、卵巣嚢腫茎捻転モデル200をトレイ50内に配置しながら卵巣嚢腫カプセルの1又は2以上の部分などの卵巣靭帯を解剖学的に正しい向きで提示するのに役立つ。図7から分かるように、様々な実施形態では、モデル200の卵巣靭帯様組織がモデル支持体又は側壁56の穴を通じて引っ張られ、外科的処置中にモデル200の最適な位置決めを確実にするように適所に接着される。
【0061】
以下では、卵巣嚢腫の捻転解除及び除去のための外科的処置の実行に関与するステップについてさらに詳細に説明する。練習生は、腹腔鏡外科訓練装置又は腹腔鏡トレーナーなどの模擬腹腔鏡環境内に卵巣嚢腫茎捻転モデル200を配置して腹腔鏡下嚢胞摘出術を練習する。この目的のために、最初にモデル200をGYN病理学トレイ50の接地パッド10に接続し、その後に腹腔鏡トレーナーの内部空洞に挿入する。トレイ50は、例えばフックアンドループ型締結手段などの締結手段を使用して腹腔鏡トレーナーの底部に固定することもできる。次に、練習生は、ねじれた生体構造の向きを判定し、嚢胞性卵巣を周囲構造からほどく。そして、嚢胞性卵巣を嚢胞の除去に最適な手術体位に配置し、次に外科用メス又はその他の電気手術器具を使用して卵巣嚢胞240の壁を切開する。次に、練習生は、嚢胞と卵巣組織との間の切開面を特定し、鈍的切開と鋭的切開とを組み合わせて嚢胞を組織から分離する。その後、卵管の切開部を縫合によって閉じ、又はその場で開いたままにしておく。
【0062】
別の実施形態では、卵巣嚢腫茎捻転モデル200が、別のさらに大きなモデル又は組織構造の一部として形成される。一例として、本発明の実施形態による卵巣嚢腫茎捻転モデル200は、以下でさらに詳細に説明する腹腔鏡外科訓練装置の内部に配置されるようなサイズ及び構成を有する腹部臓器モデル又は骨盤モデルの一部であることができる。
【0063】
図8に、本発明の実施形態による腹腔鏡外科訓練装置300を示す。腹腔鏡下外科訓練装置300は、模擬の又は生きている組織又はモデル臓器、或いは本発明で説明するような訓練用モデルを収容するための、ユーザから実質的に隠された内部空洞308を提供する。体腔308は、体腔308内に配置されていることが分かっている組織又は練習モデルに対して外科技術を練習するために、装置を使用するユーザによって貫通される組織シミュレーション領域310を介してアクセスされる。内部空洞308については、組織シミュレーション領域310を介してアクセス可能であるように示しているが、代わりにハンドアシスト式アクセス装置(hand-assisted access device)、トロカール、又は単一部位ポート装置(single-site port device)を採用して内部空洞308にアクセスすることもできる。例示的な腹腔鏡外科訓練装置は、2011年9月29日に出願された「ポータブル腹腔鏡トレーナー(Portable Laparoscopic Trainer)」という名称の米国特許第8,764,452号に記載されており、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。腹腔鏡外科訓練装置300は、とりわけ腹腔鏡手術又はその他の低侵襲性外科手術の練習に適している。
【0064】
腹腔鏡外科訓練装置300は、複数の脚部306によってベース304に接続されてベース304から間隔を空けたトップカバー302を含む。腹腔鏡外科訓練装置300は、腹部領域などの患者の胴体を模倣するように構成される。トップカバー302は患者の前面を表し、トップカバー302とベース304との間の空間は、臓器が存在する患者の内部又は体腔を表す。腹腔鏡外科訓練装置300は、外科的処置を受ける患者のシミュレーションにおいて様々な外科的処置及び関連する器具の指導、練習及び実演を行うのに有用なツールである。手術器具は、組織シミュレーション領域310、及びトップカバー302に予め準備されたアパーチャ312を通じて空洞内に挿入される。トップカバー302を貫通して、トップカバー302とベース304との間に配置された模擬臓器又は練習モデルに対して模擬処置を行うには、様々なツール及び技術を使用することができる。ベース304は、模擬組織モデル又は生きている組織を載置又は保持するためのモデル収容エリア314又はトレイ(図示せず)を含む。ベースのモデル収容エリア314は、モデルを適所に保持するためのフレーム様要素を含む。模擬組織モデル又は生きている臓器をベース304上に保持するのに役立つように、ベース304の周囲の様々な位置には、格納可能ワイヤに取り付けられたクリップが設けられる。この格納可能ワイヤを引き伸ばしてクリップ留めすることで、組織モデル又は臓器モデルを組織模擬領域310の実質的に下方の位置に保持する。組織モデルを保持する他の手段としては、モデル収容エリア314内のベース204に取り付けられて、組織モデル又は臓器モデルに取り付けられた相補的なフックアンドループ型締結具の要素に取り外し可能に接続できるようなフックアンドループ型締結具のパッチが挙げられる。
【0065】
図8では閉じた向きで示す)トップカバー302には、ビデオディスプレイモニタ316がヒンジ連結される。ビデオディスプレイモニタ316は、モニタに画像を配信する様々な視覚システムに接続可能である。例えば、ビデオディスプレイモニタ316及び/又はモバイルコンピュータ装置には、予め準備されたアパーチャ312のうちの1つを通じて挿入される腹腔鏡、又は内部空洞308内に配置されて模擬処置を観察するために使用されるウェブカムを接続してユーザに画像を提供することができる。また、オーディオ及びビジュアル能力を提供するために、録音又は音声配信手段を設けて腹腔鏡外科訓練装置300に統合することもできる。訓練手順を記録し、及び/又は予め記録されたビデオを実証目的でモニタ上で再生するために、フラッシュドライブ、スマートフォン、デジタルオーディオ又はビデオプレーヤ、又はその他のデジタルモバイル装置などのポータブルメモリストレージデバイスを接続する手段も設けられる。当然ながら、モニタよりも大きな画面にオーディオビジュアル出力を提供するための接続手段も設けられる。別の変形例では、トップカバー302がビデオディスプレイモニタを含まず、ラップトップコンピュータ、モバイルデジタル装置又はタブレットに接続してこれらを有線又は無線でトレーナーに接続する手段を含む。
【0066】
組み立て時には、トップカバー302をベース304の真上に配置し、複数の脚部306を実質的に周縁部に沿って配置してトップカバー302とベース304との間を相互接続する。トップカバー302及びベース304は実質的に同じ形状及びサイズであり、実質的に同じ周辺輪郭を有する。内部空洞308は、部分的又は全体的に視界から隠される。複数の脚部306は、内部空洞ができるだけ周囲光によって照らされるとともに、持ち運びに便利なようにできるだけ重量を抑えるために開口部を含む。トップカバー302は複数の脚部306から取り外し可能であり、脚部306は、ベース304に対してヒンジなどを介して取り外し可能又は折り畳み可能である。従って、組み立てていない腹腔鏡外科訓練装置300は、持ち運びを容易にする低い高さを有する。本質的に、腹腔鏡外科訓練装置300は、ユーザから隠された模擬体腔又は内部空洞308を提供する。内部空洞308は、少なくとも1つの組織模擬領域310及び/又は予めトップカバー302に形成されたアパーチャ312を介してアクセス可能な少なくとも1つの手術モデルを収容するように構成され、ユーザはアパーチャ312を通じてモデルにアクセスして腹腔鏡下手術又は内視鏡的低侵襲外科技術を練習することができる。
【0067】
臓器又は訓練モデルのいずれかの部分は、以下に限定するわけではないが、ヒドロゲル、単一ポリマーヒドロゲル、マルチポリマーヒドロゲル、ゴム、ラテックス、ニトリル、プロテイン、ゼラチン、コラーゲン、大豆、熱可塑性エラストマーなどの非有機ベースポリマー、KRATONポリマー、シリコーン、発泡体、シリコーン系発泡体、ウレタン系発泡体及びエチレン酢酸ビニル発泡体などを含む1又は2以上の有機ベースポリマーで形成することができる。また、いずれかのベースポリマーには、ファブリック、織布又は不織布、ポリエステル、ナイロン、綿及び絹、グラファイトなどの導電性充填材、プラチナ、銀、金、銅、一般添加剤、ゲル、油、コーンスターチ、ガラス、ドロマイト、炭酸塩鉱物、アルコール、デッドナー、シリコーン油、顔料、発泡体、ポロキサマー、コラーゲン及びゼラチンなどの1又は2以上の充填材を採用することができる。接着剤としては、以下に限定するわけではないが、シアノアクリレート系、シリコーン系、エポキシ系、スプレー接着剤、及びゴム系接着剤などが挙げられる。
【0068】
上記の説明は、当業者による装置又はシステムの作製及び使用、並びに本明細書で説明した方法の実行を可能にするように行ったものであり、本発明を実行する発明者らが検討する最良の形態を記載したものである。しかしながら、当業者には様々な修正が明らかなままであろう。これらの修正は、本開示の範囲に含まれるように企図される。本明細書全体を通じて、異なる実施形態又はこのような実施形態の態様を様々な図に示して説明することができる。しかしながら、単独で図示又は説明した各実施形態及びその態様は、別途明示していない限り、他の実施形態及びその態様のうちの1つ又は2つ以上と組み合わせることもできる。各組み合わせを明示していないのは、本明細書の可読性を容易にするためにすぎない。
【0069】
以上、特定のモデル及び装置に関連して本開示の原理を説明したが、本説明は一例として行ったものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではないと明確に理解されたい。
【符号の説明】
【0070】
10 接地パッド
12 接地接続部
50 GYN病理学トレイ
100-1 子宮外妊娠モデル
140-1 模擬卵管
160 模擬子宮
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】