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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電解システム
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/67 20210101AFI20240725BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20240725BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240725BHJP
   C25B 13/07 20210101ALI20240725BHJP
   C25B 13/04 20210101ALI20240725BHJP
【FI】
C25B9/67
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B13/07
C25B13/04 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504229
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 GB2022051965
(87)【国際公開番号】W WO2023012456
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】2111411.1
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアナ,ジョアン クラウディオ ブザティ
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC05
4K021CA12
4K021DB48
(57)【要約】
本発明は、アノード、カソード、および固体酸化物電解質を備える電解スタック(12)を備える固体酸化物電解槽セルシステム(10)に関する。アノードは、アノード入口(14)を備える。システム(10)は、アノード入口(14)を介してアノードにスイープガスを供給するためのスイープガス供給源(16)と、スイープガス供給源(16)とアノード入口(14)との間の流路を画定するスイープガス供給流路(18)とをさらに備える。システム(10)は、スイープガス供給流路(18)と流体連通している第1の熱交換器(30)をさらに備える。第1の熱交換器(30)は、固体酸化物形電解槽セルシステム(10)の外部にある供給源を有し、外部流路(28)を画定する流体流(26)とも流体連通している。第1の熱交換器(30)は、スイープガス供給流路(18)と外部流路(28)との間で熱交換するように構成される。本発明はさらに、第1の熱交換器(30)を介して外部流路(28)とスイープガス供給流路(18)との間で熱交換することによって、そのような固体酸化物電解槽セルシステム(10)を操作する方法に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物電解槽セルシステムであって、
アノード、カソード、および固体酸化物電解質を備える電解スタックであって、前記アノードがアノード入口を備える、電解スタックと、
前記アノード入口を介して前記アノードにスイープガスを供給するためのスイープガス供給源と、
前記スイープガス供給源と前記アノード入口との間の流路を画定するスイープガス供給流路と、
前記スイープガス供給流路と流体連通する第1の熱交換器とを備え、
前記第1の熱交換器は、前記固体酸化物形電解槽セルシステムの外部にある供給源を有し、外部流路を画定する流体流とも流体連通しており、
前記第1の熱交換器は、前記スイープガス供給流路と前記外部流路との間で熱交換するように構成される、固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項2】
前記スイープガス供給流路に接続されたバイパス流路であって、その第1の端部において前記第1の熱交換器の上流側の位置に接続され、その第2の端部において前記第1の熱交換器の下流側の位置に接続されるバイパス流路をさらに備える、請求項1に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項3】
前記スイープガス供給流路内に位置決めされ、前記第1の熱交換器の下流側に接続された第1のヒータをさらに備える、請求項1または請求項2に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項4】
前記電解スタックの前記アノードのためのアノード出口であって、前記アノード出口と第1の排出口との間の流路を画定するアノード出口流路を備える、アノード出口と、
前記スイープガス供給流路と流体連通し、前記スイープガス供給流路内の前記第1の熱交換器の下流側に位置決めされた第2の熱交換器であって、前記アノード出口流路とも流体連通し、前記スイープガス供給流路と前記アノード出口流路との間で熱交換するように構成された第2の熱交換器と
をさらに備える、請求項1~請求項3のいずれかに記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項5】
前記電解スタックの前記カソードのためのカソード入口と、
前記カソード入口を介して前記カソードに燃料を供給するための燃料供給源と、
前記燃料供給源と前記カソード入口との間の流路を画定する燃料供給流路と、
前記電解スタックの前記カソードのためのカソード出口と、
前記カソード出口と第2の排出口との間の流路を画定するカソード出口流路と、
前記燃料供給流路の下流側と流体連通している第3の熱交換器であって、前記カソード出口流路とも流体連通し、前記燃料供給流路と前記カソード出口流路との間で熱交換するように構成された第3の熱交換器と
をさらに備える、請求項4に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項6】
前記カソード出口流路と前記アノード出口流路とを接続して、それらを流体連通させるカソード出口分岐流路をさらに備える、請求項5に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項7】
前記カソード出口分岐流路内に配置された弁をさらに備える、請求項6に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項8】
前記燃料供給流路と流体連通し、前記外部流路とも流体連通し、前記流路間で熱交換するように構成された第4の熱交換器をさらに備える、請求項4~請求項7のいずれか一項に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項9】
前記第3の熱交換器は、前記第4の熱交換器の下流側で前記燃料供給流路と流体連通している、請求項8に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項10】
前記第3の熱交換器の下流側に配置された前記燃料供給流路内に位置決めされた第2のヒータをさらに備える、請求項5~請求項9のいずれか一項に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項11】
前記アノード出口と前記第2の熱交換器との間の前記アノード出口流路内に位置決めされた第3のヒータをさらに備える、請求項4に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項12】
前記アノード出口と前記第2の熱交換器との間の位置で前記アノード出口流路に接続された切換弁をさらに備え、前記切換弁はまた、前記外部流路および第3の排出口に接続され、前記切換弁は、前記アノード出口と前記第2の熱交換器、前記外部流路または前記第3の排出口の少なくとも1つとの間で流れを方向付けるように構成される、請求項4~請求項11のいずれか一項に記載の固体酸化物電解槽セルシステム。
【請求項13】
固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法であって、
アノード入口を介して電解スタックのアノードにスイープガスを供給するためのスイープガス供給源を設けて、前記スイープガス供給源と前記アノード入口との間にスイープガス供給流路を画定することと、
前記固体酸化物電解槽セルシステムの外部に供給源を有する流体流を形成し、前記流体流から外部流路を画定することと、
第1の熱交換器を介して前記外部流路と前記スイープガス供給流路との間で熱交換することと
を含む操作方法。
【請求項14】
前記電解槽の前記アノードのアノード出口と前記システムへの第1の排出口との間のアノード出口流路が画定される、請求項13に記載の固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法。
【請求項15】
前記第1の熱交換器の下流側の位置で前記スイープガス供給流路内に配置された第2の熱交換器によって、前記アノード出口流路と前記スイープガス供給流路との間で熱交換することを含む、請求項14に記載の固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法。
【請求項16】
前記第1の熱交換器の上流側および前記第2の熱交換器の下流側の前記スイープガス供給流路内に配置されたバイパス流路によって前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器をバイパスすることを含む、請求項15に記載の固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法。
【請求項17】
前記アノード出口と前記第2の熱交換器との間の前記アノード出口流路内に配置された第3のヒータから前記アノード出口流路に熱を供給することを含む、請求項15または請求項16に記載の固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法。
【請求項18】
前記アノード出口とバーナとの間の前記流路内に配置された切換弁によって、前記外部流体流路または前記第3のヒータから前記アノード出口流路に熱を供給することを含む、請求項17に記載の固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質を備えたセル内での水(および二酸化炭素)の電解によって水素(または合成ガス)を生成するための電解システムまたは電解槽システムに関する。このようなセルの形態の1つは、固体酸化物電解槽セル、すなわちSOECである。
【背景技術】
【0002】
電解システムは、一般に、電解質、アノードおよびカソードを有する1つまたは複数のセルを備え、それらは、水の電解によって水素を、または水および二酸化炭素の電解によって合成ガスを生成するように動作する。
【0003】
水素を生成するために、セルには、カソードにおいて水が(蒸気の形態で)供給され、アノードには還元ガスまたは燃料が供給される。次いで、DC電流がアノードとカソードとの間に供給される。その後、水(蒸気)は、蒸気が水素ガスと酸素に還元されるように還元を受け、酸素は、アノード側で排ガスを供給するために電解質を横切って燃料を電気化学的に変換し、水素は、カソード側でガスとして出力される。
【0004】
電解槽システムの特徴は、エネルギー効率が悪い傾向があることである。この多くは、それらが室温よりも十分に高い温度、通常は500~800℃で最も効果的に動作するという事実によるものである。始動時にこれらの温度を達成するために、電解槽システムは、一般に、典型的には入力流体流(高温蒸気および高温燃料)を加熱することによって、システムを動作温度まで暖めるためにヒータを使用する。また、電解槽システムは、電解質の効率的な運転を維持するために、システムの運転中に高温で流体供給を維持する必要がある。さらに、電解槽システムは、高温でオフガス(排ガスおよび水素)を排出するが、このこともまたエネルギーを浪費する。
【0005】
排ガスの熱を利用して、蒸気をカソード側に投入する前にその蒸気を加熱するために熱交換器を使用する従来技術のシステムが周知である。例えば、米国特許出願公開第2007217995(A1)号および米国特許出願公開第2009235587号を参照されたい。しかしながら、これは、システムが動作しているときにしか排ガスが生成されないという欠点を有する。そのため、始動中に利用可能な熱が不足する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、始動中、運転中、および冷却中などに、熱流路をより効率的に利用すること目的とする。本発明はさらに、電解槽システムの運転効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、固体酸化物電解槽セルシステムであって、
アノード、カソード、および固体酸化物電解質を備える電解スタックであって、アノードがアノード入口を備える、電解スタックと、
アノード入口を介してアノードにスイープガスを供給するためのスイープガス供給源と、
スイープガス供給源とアノード入口との間の流路を画定するスイープガス供給流路と、
スイープガス供給流路と流体連通する第1の熱交換器とを備え、
第1の熱交換器は、固体酸化物形電解槽セルシステムの外部にある供給源を有し、外部流路を画定する流体流とも流体連通しており、
第1の熱交換器は、スイープガス供給流路と外部流路との間で熱交換するように構成される、固体酸化物電解槽セルシステムが提供される。
【0008】
外部流路は、様々な供給源から入手可能であり得る。外部流路は、固体酸化物電解槽セルシステムの運転の外側にある。したがって、それは別個のプロセスである。この熱は、そうでなければ、浪費されるか、または利用されない場合がある。スイープガス供給流路を加熱するために蒸気を使用することによって、電解スタックの効率を高める。外部流からの熱は、任意の品位であり得る。例えば200℃未満の低品位熱を使用することができる。
【0009】
外部流の使用は、電解スタックが熱を全く生成しないまたはほとんど生成しない電解槽システムの始動中に特に有用であり得る。したがって、外部流は、スイープガス供給流路、ひいてはアノード入口に、あるレベルの熱を供給して始動効率を高め、他の供給源(例えば、ヒータ)から供給される熱を低減する。
【0010】
好ましくは、システムは、スイープガス供給流路に接続されたバイパス流路を備え、バイパス流路は、その第1の端部において第1の熱交換器の上流側の位置に接続され、バイパス流路は、その第2の端部において第1の熱交換器の下流側の位置に接続される。
【0011】
バイパス流路は、第1の熱交換器に接続された外部流路の周りにスイープガス供給流路を迂回させることを可能にする。したがって、その流れは、熱交換なしにアノード入口に向かって方向付けられ得る。これは、外部流体流からの熱の伝達がスイープガス供給流路を加熱するのに不十分である場合に有用であり得る。場合によっては、外部熱源は動作していないことがあり、したがって、外部流との熱交換は、スイープガス供給流路の温度を下げることになるので、回避されることが望ましい場合がある。
【0012】
さらに、例えば熱交換器において、部品の限界に対する最大可能熱回収を超える場合には、バイパス流路を利用することができる。したがって、バイパス流路を使用して、システムの損傷を回避することができる。
【0013】
好ましくは、システムは、スイープガス供給流路内に位置決めされ、第1の熱交換器の下流側に接続された第1のヒータを備える。そのような第1のヒータは、スイープガス入口流路内のスイープガス供給源の加熱のための微調整を行うことができる。特に、外部流体流との熱交換後、アノード入口にとって望ましい追加の熱量は変化する。第1のヒータは、供給される熱を調整し得る。第1のヒータによって供給される熱エネルギーの量は、他の熱源を考慮して必要に応じて低減され、したがって、システムの全体効率を高めることができる。
【0014】
好ましくは、第1のヒータは、電気ヒータまたは燃焼式ヒータである。このヒータは、トリムヒータと呼ばれる場合もある。第1のヒータは、入口ヒータまたはスイープガスヒータと呼ばれ得る。
【0015】
好ましくは、第1のヒータは、バイパス流路の後に位置決めされる。このことにより、第1のヒータは、必要な場合にスイープガス供給流路を加熱することができ、バイパスされない。その代わりに、第1のヒータは、必要なレベルの熱エネルギーを供給するように制御され、必要でない場合には、熱の供給を停止するように制御される。供給される熱の程度もまた、変化させることができる。
【0016】
スイープガスは、CO、O、N、Arなどの任意の数のガスであり得る。スイープガスは空気であってもよい。一般に、酸素と反応しない任意のガスをスイープガスとして使用することができる。スイープガスは、還元ガスと呼ばれ得る。
【0017】
好ましくは、システムは、
電解スタックのアノードのためのアノード出口であって、
アノード出口と第1の排出口との間の流路を画定するアノード出口流路を備えるアノード出口と、
スイープガス供給流路と流体連通し、スイープガス供給流路内の第1の熱交換器の下流側に位置決めされた第2の熱交換器であって、アノード出口流路とも流体連通し、スイープガス供給流路とアノード出口流路との間で熱交換するように構成された第2の熱交換器とを備える。
【0018】
スタック内の電解反応の結果として、排ガスが生成され、アノード出口を通して出力される。この排ガスは、その後、排出口、すなわち第1の排出口から排出される。しかしながら、排ガスは、熱の形態のエネルギーを含む。排ガスは、500℃~650℃の範囲の温度を有し得る。したがって、この熱を使用することも有益である。第2の熱交換器は、スイープガス供給流路を加熱するさらなる手段となる。
【0019】
第2の熱交換器は、第1の熱交換器の下流側にある。暖機後のフル運転中のように排ガスが外部供給源の流れよりも高い温度を有する場合、スイープガス供給流路の温度をアノード入口に到達する前に上昇する必要がある。熱交換器を介した逐次加熱は、システム効率を高める。
【0020】
好ましくは、いくつかの実施形態では、第1の熱交換器は、第2の熱交換器の下流側に配置される。これは、外部流が特に高品位熱であり、したがって熱交換の次数の増加が好ましい場合に有利であり得る。
【0021】
バイパス流路は、第2の熱交換器をバイパスすることもできる。したがって、スイープガス供給流路は、第1の熱交換器および第2の熱交換器を通過しない。これは、アノード排ガス温度がスイープガス供給源温度よりも低くなり得る始動中に有用であり得る。上述したように、部品の限界を超える可能性のある構成要素を保護するためにも有用である。
【0022】
低品位熱および高品位熱という用語は、流路内の熱の質またはレベルを説明するために使用される。プロセスが副産物として熱を生成する場合、これは廃熱と呼ばれ、温度に応じて低品位、中品位、および高品位に分類されることが多い。廃熱または二次熱などの他の用語も使用される。本発明の説明のために、低品位熱は150℃~300℃の範囲であると考えられるが、より低い温度が利用されてもよい。高品位熱という用語も使用され、500℃以上の範囲の温度を意味する。しかしながら、この説明のために、350℃を超える温度もまた、高品位と考えられ得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、バイパス流路は、第1または第2の熱交換器のみをバイパスすることが好ましい。
【0024】
好ましくは、システムは、
電解スタックのカソードのためのカソード入口と、
カソード入口を介してカソードに燃料を供給するための燃料供給源と、
燃料供給源とカソード入口との間の流路を画定する燃料供給流路と、
電解スタックのカソードのためのカソード出口と、
カソード出口と第2の排出口との間の流路を画定するカソード出口流路と、
燃料供給流路の下流側と流体連通している第3の熱交換器であって、カソード出口流路とも流体連通し、燃料供給流路とカソード出口流路との間で熱交換するように構成された第3の熱交換器とをさらに備える。
【0025】
スタック内の電解反応により、水素ガス(または場合によっては合成ガス)が生成され、カソード出口を通って出力される。これは、生成物、生成ガスまたは燃料と呼ばれ得る。次いで、生成物は、排出口に送られ、種々の他のプロセスに使用される。カソード出口における生成物は、500℃~650℃の範囲の高品位熱エネルギーを有する。したがって、ここからの熱は、スイープガス入口流路を加熱するためにも使用され得る。このことにより、カソード入口に高温の蒸気が確実に供給される。
【0026】
好ましくは、システムは、カソード出口流路とアノード出口流路とを接続して、それらを流体連通させるカソード出口分岐流路を備える。
【0027】
第2の熱交換器内での伝達のための熱エネルギーを供給するためにも、アノード出口流路に接続するカソード出口分岐流路を有することが有利である。この分岐流路は、カソード出口流路から、第1の排出口につながるアノード出口流路への生成物の部分的な流れを可能にする。
【0028】
好ましくは、システムは、カソード出口分岐流路内に配置された弁を備える。弁は、アノード排出口への生成ガスの流れの制御を可能にする。特に、スイープガス供給流路の温度の上昇が必要とされる始動中に分岐流路を使用することのみが有利であり得る。
【0029】
好ましくは、システムは、燃料供給流路と流体連通し、外部流路とも流体連通し、流路間で熱交換するように構成された第4の熱交換器を備える。
【0030】
燃料供給源は、スタック内の電解反応のためにカソード入口に接続される。燃料供給源は、通常、水である、より正確には蒸気である。スタック内のより効率的な電解反応のために燃料供給流路を加熱することが有利である。さらに、このことにより、確実に水が蒸気を供給するレベルまで加熱される。したがって、外部流路を使用して燃料供給源も加熱することによって、アノード入口およびカソード入口への両方の流路のために低品位熱を利用することができる。外部流路は、この目的のために、第1の熱交換器のための1つの経路と、第4の熱交換器のための1つの経路とを有するように分割され得る。
【0031】
好ましくは、第4の熱交換器のための外部流路は、第1の熱交換器に供給する流路とは異なる、第4の熱交換器に供給するための第2の流路である。
【0032】
好ましくは、燃料供給流路と流体連通している第3の熱交換器は、この流路内の第4の熱交換器の下流側にある。第3の熱交換器は、カソード出口流路と流体連通し、燃料供給流路とカソード出口流路との間で熱交換するように構成される。
【0033】
上述したように、スタックがフル運転しているときに、カソード出口からの出力は、高品位熱を有する。この熱は、燃料供給流路を加熱するためにも使用され得る。このことにより、カソード入口に高温の蒸気が確実に供給される。第4の熱交換器は、第3の熱交換器に追加され得る。あるいは、第3および第4の熱交換器は、別個の実施形態を形成し得る。同様に、第3および第4の熱交換器は、カソード出口流路をアノード出口流路に接続する分岐流路を含まないシステム内にあってもよい。
【0034】
好ましくは、いくつかの実施形態では、第4の熱交換器は、燃料供給流路内で第3の熱交換器の下流側にある。これは、外部流路が高品位熱の流路である場合に有利であり得る。
【0035】
好ましくは、システムは、燃料供給流路内に位置決めされ、この流路内の第3の熱交換器の下流側に配置された第2のヒータを備える。好ましくは、第2のヒータは、第4の熱交換器の下流側に配置される。このような第2のヒータは、燃料供給流路内の燃料供給源の加熱のための微調整を行うことができる。特に、第3および第4の熱交換器のいずれかまたは両方との熱交換の後、カソード入口に必要な熱量は変化する。第2のヒータは、供給される熱を調整することができる。さらに、このことは、第2のヒータによって供給される熱が必要とされない場合に低減され得るため、エネルギー効率を高め得る。第2のヒータは、(さらなる)入口ヒータまたは燃料供給ヒータと呼ばれ得る。
【0036】
好ましくは、第2のヒータは、電気ヒータまたは燃焼式ヒータである。
【0037】
好ましくは、システムは、アノード出口と第2の熱交換器との間のアノード出口流路内に位置決めされた第3のヒータを備える。第3のヒータは、アノード出口流路の加熱を可能にして、スイープガス供給流路と交換される熱を増加させる。この流路内の第3のヒータは、アノード排ガスがより低いレベルの熱エネルギーを有する始動中に、特に有用であり得る。
【0038】
バーナは、燃焼式ヒータまたは電気ヒータである。これは、スタック出口ヒータ、アノード排ガスヒータ、またはバーナとも呼ばれ得る。好ましくは、第3のヒータが燃焼式ヒータである場合、第3のヒータに対して燃料供給源が設けられる。
【0039】
好ましくは、第3のヒータは、外部燃料供給源によって燃料供給される。アノード排ガスは、燃焼可能でなくてもよい。したがって、アノード排ガスを加熱するためにバーナに対して外部燃料供給源が設けられ、スイープガス供給流路との熱交換を可能にし得る。これは、スタックの始動中または加熱中に特に有利である。
【0040】
分岐流路が設けられる場合には、分岐流路を第3のヒータに接続することが好ましい。カソード出口ガスは、可燃性ガス(例えば、水素または合成ガス)であり、これはバーナ内で燃焼され得る。このことにより、アノード出口流路が加熱され、第2の熱交換器においてスイープガス供給流路が加熱される。これは、始動時に使用され得る。この場合、分岐流路内に配置された弁を開いて、生成ガスをカソード出口からバーナへ流すことができる。これは、スタックの始動中または加熱中など、アノード出口からの排ガスが低品位である場合に有用であり得る。
【0041】
好ましくは、システムは、アノード出口と第2の熱交換器との間の位置でアノード出口流路に接続された切換弁を備え、切換弁はまた、外部流路および第3の排出口に接続され、切換弁は、アノード出口と第2の熱交換器、外部流路または第3の排出口との間で流れを方向付けるように構成される。
【0042】
切換弁は、第2の熱交換器へのアノード出口流路の上記経路ではなく、熱交換器を通過しない第3の排出口へとアノード出口からの排ガスが迂回するのを可能にする。これは、システムの冷却に有用であり得る。このような状況では、復熱(例えば、第2の熱交換器を介する)は必要とされない。したがって、切換弁は、高温ガスが他の場所に、すなわち、第3の排出口を通して排出されるのを可能にする。これは、排気ガスの温度が熱交換器の熱限界を超える場合にも有用である。したがって、ガスは第2の熱交換器の前に排出される。
【0043】
切換弁はまた、外部流路に接続することができる。外部流路は、この目的のために分岐流路を有し得る。このことにより、外部供給源からアノード出口流路への低品位熱の流れが可能になる。これは、外部流を加熱して外部流へのエネルギー入力を低減するために、始動中に有用であり得る。
これは、特に、外部流がアノード出口流路よりも暖かい状況である。これは、外部供給源が可燃性ガスを供給し、第3のヒータ内でのこのガスの燃焼がスイープガス供給流路のための熱を発生させることを可能にする場合にも有益であり得る。その流れは、必要に応じて、例えばアノード出口に向かう方向、または第2の熱交換器に向かう方向のいずれかの方向であり得る。
【0044】
好ましくは、第3のヒータは、切換弁が存在する場合には、切換弁に接続され得る。第3のヒータは、第2の熱交換器と切換弁との間に位置決めされる。
【0045】
好ましくは、分岐流路が存在する場合、これは、切換弁に接続されたアノード出口流路に接続され得る。
【0046】
このような構成は、システムの周りの流れおよび熱の移動に対する大きな適応性を可能にする。特に、始動中に、熱を様々な供給源からスイープガス供給流路に供給することができる。同様に、冷却中に、第3の排出口を通して熱を排出するための選択肢もある。
【0047】
本発明によれば、固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法であって、
アノード入口を介して電解スタックのアノードにスイープガスを供給するためのスイープガス供給源を設けて、スイープガス供給源と前記アノード入口との間にスイープガス供給流路を画定することと、
固体酸化物電解槽セルシステムの外部に供給源を有する流体流を形成し、流体流から外部流路を画定することと、
第1の熱交換器を介して外部流路とスイープガス供給流路との間で熱交換することとを含む操作方法がさらに提供される。
【0048】
スイープガス供給流路を加熱するために外部流体流を使用することによって、電解スタックの効率が向上する。これは、システム温度が低く、熱エネルギーを内部手段から回復させることができない始動中に特に有用であり得る。
【0049】
好ましくは、固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法は、電解槽のアノードのアノード出口とシステムへの第1の排出口との間のアノード出口流路を画定する。
【0050】
好ましくは、固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法は、第1の熱交換器の下流側の位置でスイープガス供給流路内に配置された第2の熱交換器によって、アノード出口流路とスイープガス供給流路との間で熱交換することを含む。
【0051】
そうするのに十分な熱がある場合、スタックからの排ガスは、スイープガス供給流路を加熱するためにも使用され得る。この復熱式熱交換器は、スタックから利用可能な熱の品位に依存する。これは、他の供給源からスイープガス供給流路に熱を供給する必要性を低減する。
【0052】
好ましくは、固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法は、第1の熱交換器の上流側および第2の熱交換器の下流側のスイープガス供給流路内に配置されたバイパス流路によって第1の熱交換器および第2の熱交換器をバイパスすることを含む。このことにより、外部流路からまたはアノード出口流路からなど、交換するのに十分な熱がない場合に、熱交換器をバイパスすることが可能になる。
【0053】
好ましくは、固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法は、アノード出口と第2の熱交換器との間のアノード出口流路内に配置された第3のヒータからアノード出口流路に熱を供給することを含む。これは、アノード出口から生成された熱がスイープガス供給流路と交換するために追加の熱を必要とする場合に有益であり得る。これが起こり得る状況は、スタックが高品位熱を生成していない始動を含み得る。
【0054】
好ましくは、固体酸化物電解槽セルシステムの操作方法は、アノード出口とバーナとの間の流路内に配置された切換弁によって、外部流体流路または第3のヒータからアノード出口流路に熱を供給することを含む。クールダウン中のように、スイープガス供給流路との熱交換が望ましくない状況がある。したがって、切換弁は、アノード出口からの熱を、排出口などの別の経路に方向付けることができる。このことは、システムの冷却速度を増加させることになる。
【0055】
次に、本発明のこれらの特徴および他の特徴について、添付図面を参照しながら、単なる例として、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】スタックのアノード側のための外部流路を有する電解槽システムの概略図である。
図2】アノード排ガス流路内に第3のヒータを含む、図1の概略図である。
図3】外部流路が異なる位置に設けられている、図1の概略図である。
図4】外部流路がスタックのカソード側に設けられている、図1の概略図である。
図5】外部流路が異なる位置に設けられている、図4の概略図である。
図6】切換弁を含む、図2の概略図である。
図7】カソード側およびアノード側の外部流の流れが同じである、図1と同様の電解槽システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次に、本発明の実施形態を詳細に説明するが、その1つまたは複数の実施例を以下に示す。各々の実施例は、本発明の説明のために示されており、本発明を限定するものではない。
【0058】
本明細書で使用される参照符号のリストは、詳細な実施形態の説明の終わりに記載されている。
【0059】
図1を参照すると、電解槽システム10が示されている。電解槽システム10は、一般に、電解スタック12を備える。電解スタック12は、一般に、生成物を生成するための還元反応のためのアノードおよびカソードを備える。
【0060】
スタック12は、アノード入口14を有し、アノード入口14を通してスタック12のアノードに供給される。スイープガス供給源16が設けられ、これは、スイープガス供給流路18によってアノード入口14に接続される。
【0061】
流路について説明するが、一般に、流路は、ある位置から別の位置へパイプまたはラインを通過する流れである。したがって、流路は、点間の流体接続または流体連通を画定する。スイープガス供給流路18について説明するが、これはスイープガス供給パイプまたはライン18でもあり、流体連通を形成する。整合性のために、可能な場合には流路について言及する。
【0062】
一般に、スイープガスは、スイープガス供給源16を通して供給され、スイープガス供給流路18を通ってアノード入口14に至る。
【0063】
スタック12は、アノード出口20を備え、排出生成物はアノード出口20を通って排出される。これは、一般に、排ガスである。アノード出口20は、アノード出口流路24によって第1の排出口22に接続される。その結果、スタック12で生成された排ガスは、アノード出口20で排出され、アノード出口流路24を通って第1の排出口22に至る。
【0064】
排ガスは、システム10の外部で様々な目的のために利用され得る。
【0065】
電解槽システム10へ、外部流体流26が流入する。外部流体流26は、電解槽システム10のプロセスとは別に生成される外部流である。外部流体流26は、流体またはガスの高温流であり得る。
【0066】
外部流体流26は、別のプロセスからの排ガスであり、低品位熱(例えば、約200℃)の流体流であることが予想されるが、より高いまたはより低い品位の熱を外部流体流26に与えるために、異なる供給源を利用することができる。
【0067】
外部流体流26は、外部流路28を形成する。外部流路28は、第1の熱交換器30を通過する。第1の熱交換器30はまた、スイープガス供給源16とアノード入口14との間のスイープガス供給流路18内に配置される。したがって、外部流路28とスイープガス供給路18とは、いずれも第1の熱交換器30を通過し、第1の熱交換器30内で熱交換する。
【0068】
上述したように、外部流体流26、ひいては外部流路28は、熱エネルギーを含むことが予想される。したがって、スイープガス供給流路18の熱量が少ない場合には、スタック12に流入する前に第1の熱交換器30内で熱がスイープガス供給流路18に伝達される。これは、アノード入口14における高温スイープガス供給源16が電解スタック12における電解槽反応にとって好ましいので、有益であり得る。
【0069】
いくつかの状況において、スイープガス供給流路18は、外部流路28よりも高い温度を有する。したがって、第1の熱交換器30における熱伝達は、スイープガス供給流路18から外部流路28へと行われる。これは、例えば、スタック12およびシステム10を冷却するためにスイープガス供給流路18の温度を低下させない限り、一般的に望ましくないことが予想される。
【0070】
システム10、より具体的にはスイープガス供給流路18に熱を供給するために外部流体流26を使用することは、スイープガス供給流路18またはシステム10の他の部品に熱を供給するためにシステム10内のいかなるプロセスにも依存しないので有益である。
特に、システム10が始動中であるとき、電解スタック12内の電解槽反応は、熱を全く/あまり発生させない。したがって、外部流体流26は、独立してシステム10に熱エネルギーを供給することができ、システム10の運転状態に依存しない。
【0071】
図1には、アノード出口流路24が、第1の排出口22に進む前に第2の熱交換器32を通過することも示されている。この第2の熱交換器32も、スイープガス供給流路18内に配置される。第2の熱交換器32は、第1の熱交換器30とアノード入口14との間のスイープガス供給流路18内に配置される。したがって、アノード出口流路24とスイープガス供給流路18とが、第2の熱交換器32において熱交換する。
【0072】
アノード出口流路24は、アノード出口20から排ガスを運ぶことができる。アノード出口20からの排ガスは、熱エネルギーを含み得る。特に、システム10の運転中、排ガスは、高品位熱(例えば、約550℃)を含み得る。したがって、排ガスからの熱を第2の熱交換器32内のスイープガス供給流路18の加熱に利用することができる。これは、スタック12内の電解反応の効率を高めるために、高温のアノード入口14にスイープガスを供給するのに有益である。
【0073】
スイープガス供給流路18には、第1のヒータ34が設けられる。これは、第2の熱交換器32とアノード入口14との間に位置決めされる。第1のヒータ34は、スイープガス供給流路18内のスイープガス供給源16の温度を高くするために使用される。第1のヒータ34は、必要に応じて、電気ヒータまたは燃焼式ヒータであり得る。第1のヒータ34は、必要に応じてスイープガス供給流路18をさらに加熱する。これは、入口ヒータまたはスイープガスヒータと呼ばれ得る。
【0074】
第1および第2の熱交換器30、32における熱伝達能力が高い状況では、第1のヒータ34において供給される熱エネルギーの量を少なくすることができる。一方、第1および第2の熱交換器30、32における熱伝達能力が低い場合、第1のヒータ34において供給される熱エネルギーの量は多くなる。これは、システム10が電解スタック12内の電解反応においてあまり熱エネルギーを生成しない始動中に有益であり得る。
【0075】
第1のヒータ34は、スタック12内の一貫した効率的な電解槽反応を確実にするために、アノード入口14における温度を微調整するための少量の熱を供給するので、トリムヒータとも呼ばれる。
【0076】
バイパス流路36は、スイープガス供給流路18に接続した形で示されている。バイパス流路36は、その第1の端部38において、スイープガス供給源16と第1の熱交換器30との間のスイープガス供給流路18上の点に接続される。したがって、第1の端部38は、第1の熱交換器30の上流側にある。バイパス流路36は、その第2の端部40において、第2の熱交換器32と第1のヒータ34との間の点に接続される。したがって、第2の端部は、第2の熱交換器32の下流側にある。
【0077】
バイパス流路36は、第1および第2の熱交換器30、32をバイパスする。このことにより、スイープガス供給流路18は、熱交換器との熱交換を回避することができる。これは、外部流路28および/またはアノード出口流路24内の熱エネルギーがスイープガス供給流路18に必要とされないレベルである場合に有益であり得る。このような状況は、流路が低温であるかもしれない始動時、またはスイープガス供給流路18への熱の伝達がもはや必要ではなく、スイープガス供給源16がシステム10を冷却するために使用されているクールダウン中を含み得る。
【0078】
バイパス流路36は、制御弁などによって操作可能である。制御弁は、開閉するための特定の設定に設定された機械的または電気的制御弁であってもよいし、または手動で操作されてもよい。コントローラ、すなわちプロセッサおよびメモリを含むコントローラは、必要に応じて特定の状況で制御弁を動作させるようにプログラム可能である。
【0079】
上記は図1に示されるように提示されるが、特定の変形形態が可能であることが強調される。特に、第1の熱交換器30、第2の熱交換器32、第1のヒータ34、およびバイパス流路36の有無は、システム10の機能に対して必要に応じて変更可能である。例えば、外部流体流26が高品位熱である場合など、状況によっては、第2の熱交換器32が必要とされない場合がある。
【0080】
燃料供給源42が設けられ、電解スタック12に設けられたカソード入口44に接続される。カソード入口44は、電解スタック12のカソードへの入口である。それらの間の接続は、燃料供給流路56であり、燃料供給源42においてシステム10内に入り、カソード入口56に至る燃料の流れ、パイプ、またはラインを形成する。
【0081】
電解スタック12はさらに、電解スタック12のカソードからの出口であるカソード出口48を備える。カソード出口48は、カソード出口流路54によって第2の排出口46に接続される。
【0082】
スタック12内の電解槽反応は、燃料供給源42に供給され、カソード入口44において電解スタック12に送られる燃料を必要とする。燃料は、一般に水または蒸気であり、反応の生成物、すなわち一般に水素が生成されるのはカソードの位置である。したがって、カソード出口48で出力され、カソード出口流路54を介して第2の排出口46に送られるのは水素である。第2の排出口46の出力は、必要なプロセスで使用するために捕捉される。
【0083】
図1では、燃料供給源42とカソード入口44との間の燃料供給流路56内に第3の熱交換器50が設けられる。さらに、カソード出口流路54が、カソード出口48とカソード出口流路54の第2の排出口46との間で第3の熱交換器50に接続される。したがって、カソード出口流路54と燃料供給流路42との間で熱交換が行われる。
【0084】
その結果、この熱エネルギーを利用して燃料供給流路56を加熱することができる。これは、電解槽反応に蒸気を使用することが好ましく、したがって燃料が高い熱エネルギーを有することが好ましいので、有益であり得る。したがって、第3の熱交換器50では、カソード出口流路54から燃料供給流路56に熱エネルギーを伝達することができる。この熱交換器50は、復熱式熱交換器と呼ばれ得る。
【0085】
また、これは、第2の排出口46における生成物(例えば、水素)が、他のプロセスに送出するために、より低い熱エネルギーを有することが好ましいので、有益であり得る。したがって、生成物からの熱の伝達は有益である。
【0086】
燃料供給流路56には、流路を加熱するための第2ヒータ52が設けられる。第2のヒータ52は、第3の熱交換器50とカソード入口44との間に位置決めされる。したがって、第2のヒータ52は、燃料入口42の下流側にある。第2のヒータ52は、必要に応じて、電気ヒータまたは燃焼式ヒータであり得るという点で、第1のヒータ34と同様である。第2のヒータ52は、必要に応じて燃料供給流路56をさらに加熱する。
【0087】
第3の熱交換器50における熱伝達能力が高い状況では、第2のヒータ52において供給される熱エネルギーの量を少なくすることができる。一方、第3の熱交換器50における熱伝達能力が低い場合、第2のヒータ52において供給される熱エネルギー量を多くすることができる。これは、システム10が電解スタック12内の電解槽反応においてあまり熱エネルギーを生成しない始動中に有益であり得る。
【0088】
第2のヒータ52は、スタック12内の一貫した効率的な電解槽反応を確実にするために、カソード入口44における温度を微調整するための少量の熱を供給するので、第1のヒータ34と同じ理由で、トリムヒータとも呼ばれる。
【0089】
第3の熱交換器50および第2のヒータ52の追加は任意であり、これらの各々は、システム10の所望の機能および効率のために必要に応じて、第1の熱交換器30、第2の熱交換器32、第1のヒータ34、およびバイパス流路36などの他の構成要素によって異なり得る。
【0090】
図2を参照すると、図1に示されるような電解槽システム10が示されている。ただし、アノード出口流路24には、第3のヒータ58が設けられている。第3のヒータ58は、アノード出口20と第2の熱交換器32との間のアノード出口流路24内に位置決めされる。
【0091】
第3のヒータ58は、アノード出口流路24内のアノード排ガスを加熱するために設けられた電気ヒータまたは燃焼式ヒータである。これは、アノード排ガスが低品位熱を有するとき(例えば、始動中または暖機中)など、スイープガス供給流路18のためのさらなる加熱を行うのに有益であり得る。
【0092】
第3のヒータ58はさらに、アノード出口20と第3のヒータ58との間のアノード出口流路24を加熱することができる。これは、アノード出口流路24を通過する逆流によって実現され得る。逆流は、例えば、外部流体流26から供給され得る。したがって、外部流路28は第3のヒータ58によって加熱され得る。アノード出口20への逆流を使用するアノード出口流路24の加熱は、始動中および運転前にシステム10およびスタック12を加熱するのに有用であり得る。
【0093】
フル運転中、アノード出口20におけるアノード排ガスが高温である場合、第3のヒータ58は必要とされないことがある。その結果、第3のヒータ58によってアノード出口流路24を加熱する必要性が低減される。第3のヒータ58はさらに、必要に応じて、アノード出口流路24に様々な加熱をもたらすように制御され得る。
【0094】
図3を参照すると、図1に示されるような電解槽システム10が示されている。ただし、図3では、第1の熱交換器30の位置は、第2の熱交換器32の位置と逆になっている。すなわち、第2の熱交換器32は第1の熱交換器30の上流側に位置決めされ、第2の熱交換器はスイープガス入口16と第1の熱交換器30との間に位置決めされ、第1の熱交換器は第2の熱交換器32とアノード入口14との間に位置決めされる。それぞれの熱交換器への接続は同じままであり、すなわち、外部流体流26からの外部流路28は、第1の熱交換器30と流体接続された状態のままである。同様に、アノード出口20から第1の排出口22へのアノード出口流路24は、第2の熱交換器32と流体連通している。
【0095】
第1および第2の熱交換器30、32の順番の変更は、アノード排ガスおよびスイープガス供給源16との熱交換の後に、外部流体流26およびスイープガス供給源16との熱交換が好ましい状況を可能にする。これは、外部流体流26が、例えば高品位熱である場合に有益であり得る。
【0096】
図4を参照すると、図1に示されるような電解槽システム10が示されている。図4では、第4の熱交換器60が燃料供給流路56内に設けられている。第4の熱交換器60は、第3の熱交換器50の下流側、すなわち第3の熱交換器50とカソード入口44との間に、または第2のヒータ52が設けられる場合には第3の熱交換器50と第2のヒータ52との間に位置決めされる。
【0097】
第4の熱交換器60はさらに、第2の外部流路64と流体接触している。第2の外部流路64は、電解槽システム10のプロセスとは別に生成される流路である。第2の外部流路64は、システム10の外部にある供給源からの第2の外部流体流62から形成される。外部流体流26と第2の外部流体流62は別々に示されているが、これらの流れは同じであってもよい。このような場合、流れの分割は、電解槽システム10内で、またはシステム10の外側で行うことができる。
【0098】
第2の外部流路64は、第4の熱交換器60を介して燃料供給流路56との間で熱交換を行う。第2の外部流体流62が熱エネルギーを含む場合、これは、第4の熱交換器60内に伝達されて、カソード入口44を通って電解スタック12内に供給するための燃料供給流路56に熱を供給することができる。より高温の燃料は、電解槽反応を補助することができる。これは、カソード出口流路54内の生成物が熱エネルギーを全く有していないか、または低い熱エネルギーを有しており、したがって、第3の熱交換器50を通して熱を回復するために使用されるほど効果的ではない場合の始動中に有益であり得る。
【0099】
図5を参照すると、図4に示されるような電解槽システム10が示されている。ただし、図5では、第4の熱交換器60の位置は、第3の熱交換器50と逆になっている。したがって、第4の熱交換器60は、燃料供給流路56において第3の熱交換器50の上流側にあり、第4の熱交換器60は、燃料供給源42と第3の熱交換器50との間にある。同様に、第3の熱交換器は、第4の熱交換器60と燃料供給流路56内のカソード入口44(または、第2のヒータ52が設けられている場合には第2のヒータ52)との間にある。
【0100】
熱交換器の流体接続は同じままである、すなわち、第4の熱交換器60は、第2の外部流路64と燃料供給流路56との間で熱交換するために第2の外部流路64に接続されている。同様に、第3の熱交換器50は、カソード出口流路54に接続され、カソード出口流路54と燃料供給流路56との間で熱交換を行う。
【0101】
第3および第4の熱交換器50、60の逆転により、第2の外部流体流62を、カソード出口流路54からの熱の前に燃料供給流路56に供給することが可能になる。これは、第2の外部流体流62がより低品位の熱を有し、熱交換器の各々における温度交換を低減するために、カソード出口48からのより高品位の熱の前にこの熱を交換することが望ましい場合に有益であり得る。
【0102】
図6を参照すると、図2に示されるような電解槽システム10が示されている。ここでは、アノード出口流路24内の第3のヒータ58が設けられている。
【0103】
加えて、図6では、アノード出口流路24内に位置決めされ、様々なポートを通る流れを切り換えるように構成された切換弁66が設けられている。切換弁66は、アノード出口20と第2の熱交換器32との間に位置決めされる。より具体的には、第3のヒータ58が存在する場合、切換弁66は、アノード出口20と第3のヒータ58との間のアノード出口流路24内に位置決めされる。
【0104】
切換弁66は、外部流路28へのさらなる接続を有する。したがって、切換弁66は、アノード出口流路24のスタック部72と、アノード出口流路24のバーナ部74と、外部流路28との間で流れを切り換えることができる。
【0105】
外部流路28を切換弁66に接続するために多くの手段を使用することができるが、一実施例では、分岐ライン70(分岐流路)を使用することができる。分岐ライン70は、外部流路70から直接切換弁66に接続する。分岐ライン70は、外部流路、分岐パイプ、延長線、またはダクトとも呼ばれ得る。
【0106】
切換弁66はさらに、別の接続部に接続され得る。別の接続部は、第3の排出口68である。このことにより、切換弁66を通る流れは、第3の排出口68にも向けられ得、第3の排出口68は、一般に、他の構成要素から離れた位置にあり、システム10の外部にあり得る。
【0107】
切換弁66は、必要な運転に応じて、以下のような多くの方法で利用され得る。
(i)スタック12が暖機され、ベース負荷で動作しているときなどのシステム10の通常運転において、切換弁66は、アノード出口流路24のスタック部72とバーナ部74とを接続して、アノード出口20と第2の熱交換器32との間の接続を形成する。これは、高温アノード排ガスを使用して第2の熱交換器32においてスイープガス供給源を加熱することができ、したがって、復熱器として機能する通常運転中に有益である。
【0108】
この構成における第3のヒータ58はさらに、暖機段階中などに第2の熱交換器で使用するために、またはアノード出口20への逆流を加熱してスタック12を暖めるために、アノード出口流路24に追加の熱エネルギーを供給するのに使用され得る。
【0109】
(ii)暖機運転において、切換弁66は、分岐ライン70をアノード出口流路24のスタック部72に接続することができる。これは、外部流体流26からの熱を使用して、スタック12を含むアノード出口20およびアノード出口流路24を加熱することができる。
【0110】
加えて、または代替として、切換弁66は、分岐ライン70をアノード出口流路24のバーナ部74に接続することができる。このことにより、外部流体流26からの高温流が両方の熱交換器を通過し、始動中または暖機運転中などにスイープガス供給流路18を暖めることが可能になる。このモードはまた、第3のヒータ58からの熱を使用して外部流体流26を加熱し、アノード出口流路24のスタック部72を加熱するための逆流を形成することができる。
【0111】
(iii)クールダウン運転において、切換弁66は、アノード出口流路24のスタック部72を第3の排出口68に接続することができる。このことにより、第2の熱交換器32内で熱交換を行わずに、アノード出口20からのアノード排ガスを第3の排気口68を通して排出することができる。
【0112】
このような運転モードは、電解スタック12がクールダウンされ、その結果、第2の熱交換器32における熱の回復がもはや必要とされない場合に有益であり得る。このモードはさらに、フル運転中など、アノード出口20からの排ガスの温度が構成要素の熱限界を超えるときにも運転可能である。
【0113】
切換弁66は4つの接続ポートを有する形で示されているが、切換弁66は、必要に応じて1つまたは複数の接続を可能にするために、多くの方法で構成され得ることが理解されよう。切換弁66は、流れを必要な方向に切り換えるために特定の値に設定された機械的または電気的制御弁であり得る、または手動で操作され得る。いくつかの状況では、コントローラ、すなわちプロセッサおよびメモリを含むコントローラは、必要に応じて切換弁66を動作させるようにプログラム可能である。
【0114】
図7を参照すると、図1に示され、他の図の特徴を組み合わせた、上記で説明したような電解槽システム10が示されている。例えば、上述したように、外部流体流26および第2の外部流体流62は、同じ供給源からのものであってもよい。ここでは、外部流体流26、62が同じ供給源から供給され、その後、第1の熱交換器30に接続するための外部流路28と、第4の熱交換器60に接続するための第2の外部流路64とに分割されることが示されている。したがって、第1および第4の熱交換器30、60は、スイープガス供給源および燃料供給源のそれぞれとの熱伝達のために同じ熱供給源を使用する。
【0115】
第3のヒータ58も図7に示されている。しかしながら、燃焼バーナなどを用いて第3のヒータ58に燃料を供給することができるバーナ燃料供給ライン80が設けられる。
第3のヒータ58は、アノード排ガスが低温であるときの運転中にバーナ燃料供給ライン80を動作させるだけでよいことが理解されよう。供給ラインは、バーナ燃料供給流路とも呼ばれ得る。
【0116】
カソード出口流路54には、アノード出口48と第2の排出口46との間にカソード出口分岐流路76(分岐流路76)が設けられている。分岐流路76は、アノード出口20と第3のヒータ58との間のアノード出口流路24に接続される。したがって、分岐流路76は、アノード出口流路24に生成物(例えば、水素ガス)を供給することができる。この分岐流路76は、カソード出口48からの生成物を第3のヒータ58に供給することを可能にする。そのため、第3のヒータ58には、バーナ燃料供給ライン80を使用せずに、電解スタック12の直接生成物を使用することができる。
【0117】
スタック12の下流側に第3のヒータ58を含むことにより、生成物(例えば、水素)をカソード出口流路54からブリードオフして、電気加熱を必要とせずに第2の熱交換器32におけるスイープガス供給温度を上昇させることが可能になる。システム10の始動中、専用の水素流または他の可燃燃料流をバーナ燃料供給ライン80から供給することができる。
【0118】
システム10の要件に応じてカソード出口流路54から第3のヒータ58への生成物の流れを制御するために、ブリード弁78が分岐流路76に設けられる。ブリード弁78は、流れを必要な方向に切り換えるために特定の値に設定された機械的または電気的制御弁であり得る、または手動で操作され得る。いくつかの状況では、コントローラ、すなわちプロセッサおよびメモリを含むコントローラは、必要に応じてブリード弁78を動作させるようにプログラム可能である。
【0119】
分岐流路76は、カソード出口流路54に沿った任意の場所に位置決めされ得、第3の熱交換器50の前、すなわち上流側、または第3の熱交換器50と第2の排出口46との間、すなわち第3の熱交換器50の下流側のいずれかに位置決めされ得る。生成物は、第3のヒータ58内で燃焼される場合、高温である必要はない。したがって、分岐流路の前で熱交換することが好ましい場合がある。
【0120】
全体として、電解槽システムの設計は、始動中、標準運転中、およびクールダウン中の熱回収および熱交換の使用を改善して、電解スタック内のより効率的な反応、およびプロセスからの他の未利用の熱の効率的な使用を可能にする。
【0121】
本発明は、上記の実施形態のみに限定されず、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が当業者に容易に明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0122】
10 電解槽システム
12 電解スタック
14 アノード入口
16 スイープガス供給源
18 スイープガス供給流路
20 アノード出口
22 第1の排出口
24 アノード出口流路
26 外部流体流
28 外部流路
30 第1の熱交換器
32 第2の熱交換器
34 第1のヒータ
36 バイパス流路
38 バイパス流路の第1の端部
40 バイパス流路の第2の端部
42 燃料供給源
44 カソード入口
46 第2の排出口
48 カソード出口
50 第3の熱交換器
52 第2のヒータ
54 カソード出口流路
56 燃料供給流路
58 第3のヒータ
60 第4の熱交換器
62 第2の外部流体流
64 第2の外部流路
66 切換弁
68 第3の排出口
70 分岐ライン
72 (アノード出口流路の)スタック部
74 (アノード出口流路の)バーナ部
76 カソード出口分岐流路
78 ブリード弁
80 バーナ燃料供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】