(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】処理のための装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20240725BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20240725BHJP
C07H 21/02 20060101ALI20240725BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C12N15/10 100Z
B01D29/10 510A
C07H21/02
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504768
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 US2022038427
(87)【国際公開番号】W WO2023009568
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミスラ,トゥーシャー・カンティ
(72)【発明者】
【氏名】セルツァー,オルガ
(72)【発明者】
【氏名】シニコラ,ダニエル・ピー
【テーマコード(参考)】
4B029
4C057
4D116
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB20
4C057AA04
4C057CC03
4C057DD01
4C057MM02
4D116BB01
4D116BC29
4D116BC45
4D116BC74
4D116DD01
4D116DD06
4D116GG12
4D116GG21
4D116KK04
4D116QC32A
4D116QC34A
4D116VV30
(57)【要約】
本発明は、概して、(a)ろ液チャンバと(b)廃棄物回収チャンバと、これらを隔てる(c)フィルタとを備えるリザーバを備える加圧装置であって;リザーバが(d)圧力入口ポートに接触している取り外し可能なキャップを更に備える;正圧源と流体連通している装置の使用を含む、環状ポリリボヌクレオチドの調製及び処理のための装置、システム、及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ろ液チャンバと廃棄物回収チャンバとの間に配設されたフィルタを備えるリザーバを備える装置を提供するステップであって;前記リザーバが、圧力入口ポートを有する取り外し可能なキャップを更に備え;前記装置が前記圧力入口ポートを通じて正圧源と流体連通している、ステップ;
(b)第1の流体中の環状ポリリボヌクレオチドを前記ろ液チャンバに提供するステップ;
(c)前記リザーバを前記正圧源で加圧するステップであって、前記第1の流体が前記フィルタを通過し、且つ前記環状ポリリボヌクレオチドが前記フィルタを通過しないステップ;
(d)前記リザーバに第2の流体を適用するステップ;及び
(e)前記リザーバを前記正圧源で加圧するステップであって、前記第2の緩衝液が前記フィルタを通過し、且つ前記環状ポリリボヌクレオチドが前記フィルタを通過しないステップ
を含む、環状ポリリボヌクレオチドを処理する方法。
【請求項2】
ステップ(d)及び(e)を1~5回繰り返すステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(f)ステップ(e)の後に前記フィルタから前記環状ポリヌクレオチドを吸引するステップを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
50mg~150mgの環状ポリリボヌクレオチドが前記フィルタから吸引される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の流体が、前記キャップにある流体入口ポートを通じて適用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記流体入口ポートが流体源と流体連通している、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
加圧するステップ(c)及び(d)が、前記リザーバを10~100PSIで加圧することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
適用するステップ(d)が、前記リザーバに5mL~15mLの流体を適用することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び/又は第2の流体が液体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記液体が溶液である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶液が緩衝液である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記緩衝液が、製剤化緩衝液、貯蔵緩衝液、又は精製緩衝液である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
フィルタによって隔てられたろ液チャンバと廃棄物回収チャンバとを備えるリザーバを備える装置であって;前記リザーバが、圧力入口ポートに接触している取り外し可能なキャップを更に備え;正圧源と流体連通している装置。
【請求項14】
前記リザーバが管である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記管が遠心管である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ろ液チャンバが漏斗状である、請求項13~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
センサーを更に含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記センサーが液体検出センサーである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記キャップが流体入口ポートを更に備える、請求項13~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記リザーバの容積が5~100mLである、請求項13~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記ろ液チャンバの容積が5~15mLである、請求項13~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記フィルタが2~200kDaである、請求項13~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記ろ液チャンバ及びフィルタが、前記リザーバの上に積み重ねられるか、その中にねじ込まれるか、又はそれに入れ子にされる、請求項13~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記圧力入口ポートが密閉されている、請求項13~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
フィルタを有するろ液チャンバを備える試料リザーバを有するフィルタトレーと、前記フィルタトレーを間に配設する、圧力入口ポートを有する蓋と、廃棄物リザーバとを備えるシステムであって;前記圧力入口ポートが正圧源と流体連通している、システム。
【請求項26】
前記ろ液チャンバが漏斗状である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記ろ液チャンバの容積が5mL~15mLである、請求項25又は26に記載のシステム。
【請求項28】
前記廃棄物リザーバが重力又は真空ドレンを備える、請求項25~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
液体検出センサーを更に備える、請求項25~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
ベントを更に備える、請求項25~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記フィルタトレー、蓋、及び廃棄物リザーバが一体に密閉可能に接続されている、請求項25~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記ろ液チャンバが、前記試料リザーバの上に積み重ねられるか、その中にねじ込まれるか、又はそれに入れ子にされる、請求項25~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記蓋が流体入口ポートを更に備える、請求項25~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記フィルタトレーが複数の試料リザーバを備える、請求項25~33のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
環状ポリリボヌクレオチドの作製及び処理のための方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、概して、環状ポリリボヌクレオチドの調製及び処理のための装置、システム、及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様において、本発明は、環状ポリリボヌクレオチドを処理する方法を特徴とする。この方法は、(a)装置を提供するステップであって、装置が(i)フィルタと、それを間に配設する(ii)ろ液チャンバと(iii)廃棄物回収チャンバとを有するリザーバを備え、リザーバが、圧力入口ポートを有する取り外し可能なキャップを更に備え;装置が圧力入口ポートを通じて正圧源と流体連通している、ステップ;(b)第1の流体中の環状ポリリボヌクレオチドをろ液チャンバに提供するステップ;(c)リザーバを正圧源で加圧するステップであって、ひいては第1の流体がフィルタを通過し、且つ環状ポリリボヌクレオチドがフィルタを通過しないステップ;(d)リザーバに第2の流体を適用するステップ;及び(e)リザーバを正圧源で加圧するステップであって、ひいては第2の緩衝液がフィルタを通過し、且つ環状ポリリボヌクレオチドがフィルタを通過しないステップを含む。
【0004】
一部の実施形態において、本方法は、ステップ(d)及び(e)を1~5回繰り返すステップを更に含む。一部の実施形態において、本方法は、(f)ステップ(e)の後にフィルタから環状ポリヌクレオチドを吸引するステップを更に含む。一部の実施形態において、1mg~1000mgの環状ポリリボヌクレオチドがフィルタから吸引される。一部の実施形態において、50mg~150mgの環状ポリリボヌクレオチドがフィルタから吸引される。一部の実施形態において、約100mgの環状ポリリボヌクレオチドがフィルタから吸引される。
【0005】
一部の実施形態において、第2の流体は、キャップにある流体入口ポートを通じて適用される。一部の実施形態において、流体入口ポートは流体源と流体連通している。一部の実施形態において、第1及び/又は第2の流体は液体である。一部の実施形態において、液体は溶液である。一部の実施形態において、溶液は緩衝液である。一部の実施形態において、緩衝液は、製剤化緩衝液、貯蔵緩衝液、又は精製緩衝液である。
【0006】
一部の実施形態において、加圧するステップ(c)及びステップ(d)は、リザーバを10PSI~100PSIで加圧することを含む。一部の実施形態において、適用するステップ(d)は、リザーバに5mL~15mLの流体を適用することを含む。
【0007】
別の態様において、本発明は、フィルタによって隔てられたろ液チャンバ及び廃棄物回収チャンバと、圧力入口ポートに接触している取り外し可能なキャップとを有するリザーバを備える装置であって;正圧源と流体連通している装置を特徴とする。
【0008】
一部の実施形態において、リザーバは管である。一部の実施形態において、管は遠心管である。一部の実施形態において、ろ液チャンバは漏斗状である。一部の実施形態において、キャップは流体入口ポートを更に備える。一部の実施形態において、リザーバの容積は5mL~100mLである。一部の実施形態において、ろ液チャンバの容積は5mL~15mLである。一部の実施形態において、フィルタは2kDa~200kDaである。一部の実施形態において、ろ液チャンバ及びフィルタは、リザーバの上に積み重ねられるか、その中にねじ込まれるか、又はそれに入れ子にされる。一部の実施形態において、圧力入口ポートは密閉されている。
【0009】
一部の実施形態において、本装置はセンサー(例えば、液体検出センサー)を更に備える。一部の実施形態において、液体検出センサーは、光センサー、振動センサー、超音波センサー、浮力センサー、静電容量センサー、レーダーセンサー、伝導度センサー、又は抵抗センサーからなるリストから選択される。一部の実施形態において、センサーは光センサーである。
【0010】
別の態様において、本発明は、(i)フィルタを有するろ液チャンバを備える試料リザーバを有するフィルタトレーと、フィルタトレーを間に配設する(ii)圧力入口ポートを有する蓋と、(iii)廃棄物リザーバとを備えるシステムであって;圧力入口ポートが、(iv)正圧源と流体連通しているシステムを特徴とする。
【0011】
一部の実施形態において、ろ液チャンバは漏斗状である。一部の実施形態において、ろ液チャンバの容積は5mL~15mLである。一部の実施形態において、廃棄物リザーバは重力又は真空ドレンを備える。一部の実施形態において、本システムは液体検出センサーを更に備える。一部の実施形態において、本システムはベントを更に備える。一部の実施形態において、フィルタトレー、蓋、及び廃棄物リザーバは、一体に密閉可能に接続されている。一部の実施形態において、ろ液チャンバは、試料リザーバの上に積み重ねられるか、その中にねじ込まれるか、又はそれに入れ子にされる。一部の実施形態において、蓋は流体入口ポートを更に備える。一部の実施形態において、フィルタトレーは複数の試料リザーバを備える。
【0012】
定義
本発明は、詳細な実施形態に関して、及び特定の図を参照して記載されることになるが、本発明がそれらに限定されることはなく、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。以下に示すとおりの用語は、特に指示がない限り、概してその一般的な意味で理解されるものとする。
【0013】
本明細書で使用されるとき、用語「環状ポリリボヌクレオチド」又は「circRNA」又は「環状RNA」は同義的に使用され、遊離末端を有しない(即ち、遊離3’及び/又は5’末端を有しない)構造を有するポリリボヌクレオチド分子、例えば、共有結合性又は非共有結合性の結合を通じて環状又はエンドレス構造を形成するポリリボヌクレオチド分子を意味する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、共有結合性の結合を通じて環状又はエンドレス構造を形成した「共有結合的に閉じたポリリボヌクレオチド」である。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語「環状ポリリボヌクレオチド試料」、「circRNA試料」、及び「環状RNA試料」は同義的に使用され、circRNA分子と溶液とを含む組成物を意味する。
【0015】
本明細書で使用されるとき、用語「発現配列」は、産物、例えば、ペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列、又は調節性の核酸を指す。
【0016】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は同義的に使用され、2つ以上のアミノ酸が共有結合性の結合(例えば、アミド結合)によってつなぎ合わされたポリマーを指す。本明細書に記載されるとおりのポリペプチドには、完全長タンパク質(例えば、完全にプロセシングされたタンパク質)並びにより短いアミノ酸配列(例えば、天然に存在するタンパク質の断片又は合成ポリペプチド断片)が含まれ得る。ポリペプチドには、天然に存在するアミノ酸(例えば、自然界で合成されるペプチドに一般に見出される、一文字略記A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVによって公知の20個のアミノ酸のうちの1つ)及び天然に存在しないアミノ酸(例えば、合成アミノ酸、アミノ酸類似体、及びアミノ酸模倣体を含めた、自然界で合成されるペプチドに一般に見出される20個のアミノ酸のうちの1つでないアミノ酸)が含まれ得る。
【0017】
本明細書で使用されるとき、用語「アプタマー配列」又は「アプタマー」は、標的分子に特異的に結合する天然に存在しない又は合成のオリゴヌクレオチドを指す。典型的には、アプタマーは20~250ヌクレオチドである。典型的には、アプタマーはその標的に対し、配列相同性よりむしろ、二次構造を通じて結合する。
【0018】
本明細書で使用されるとき、用語「結合部位」は、別の実体、例えば、化学的化合物、タンパク質、核酸等と相互作用する環状ポリリボヌクレオチド中の領域を指す。結合部位には、アプタマー配列が含まれ得る。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「緩衝液」は、酸性又は塩基性成分を加えたときのpHの変化に耐えることのできる溶液である。「緩衝液」の例としては、組成物の製剤化に使用するための「製剤化緩衝液」、組成物の貯蔵に使用するための「貯蔵緩衝液」、精製に使用するための「精製緩衝液」などが挙げられる。
【0020】
用語「緩衝液交換」は、本明細書で使用されるとき、ポリリボヌクレオチドなど、分子又は粒子を第1の緩衝液から取り出して、第2の緩衝液に取り込むための過程を指す。
【0021】
用語「流体連通」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも2つの装置要素、例えば、リザーバ、圧力源等の間にある接続であって、流体がかかる装置要素間を1つ以上の介在する装置要素を通過して又は通過せずに移動することを可能にするような接続を指す。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「溶液」は、溶媒及び溶質を含めた2つ以上の物質の均一な混合物である。
【0023】
参照による援用
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、又は特許出願が参照により援用されることが具体的且つ個別に示されたものとするのと同程度に本明細書において参照により援用される。
【0024】
環状ポリリボヌクレオチドについては、例えば、米国特許出願公開第2020/0306286号明細書、及び国際公開第2020/181013号パンフレット及び同第2020/023655号パンフレット(これらは参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0025】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと一層良く理解されるであろう。本発明を例示することを目的に、図面には実施形態が示され、それらの実施形態は本明細書で例として挙げられているものである。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の正確な構成及び手段に限定されないことが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】ろ液チャンバと廃棄物回収チャンバとの間に配設されたフィルタ、並びに圧力入口ポートを有するキャップを有するリザーバを備える加圧装置を示し、ここで加圧装置は正圧下にあり、及び圧力は正圧ポートを通じて及ぼされる。
【
図2】ろ液チャンバと廃棄物回収チャンバとの間に配設されたフィルタ、並びに圧力入口ポートと流体入口ポートとの両方を有するキャップを有するリザーバを備える加圧装置を示し、ここで加圧装置は正圧下にあり、及び圧力は圧力入口ポートを通じて及ぼされ;及びここで新鮮な流体が流体入口ポートを通じてろ液チャンバに適用されてもよい。
【
図3A】少なくとも1つのポートを有する蓋と、フィルタを有する試料リザーバを複数有するフィルタトレーと、廃棄物リザーバとを備える加圧システム又は加圧ロボットアセンブリを示す。
【
図3B】少なくとも1つのポートを有する蓋と、フィルタを有する試料リザーバを複数有するフィルタトレーと、廃棄物リザーバとを備える加圧システム又は加圧ロボットアセンブリを示す。
【
図3C】少なくとも1つのポートを有する蓋と、フィルタを有する試料リザーバを複数有するフィルタトレーと、廃棄物リザーバとを備える加圧システム又は加圧ロボットアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、概して、環状ポリリボヌクレオチド試料の処理のための、例えば、かかる試料の緩衝液交換のための装置、システム、及び方法に関する。本発明者らは、環状ポリヌクレオチドを含む溶液(例えば、緩衝液)などの流体を加圧すると、簡単且つ迅速な液体交換につながることを見出した。本発明の一実施形態は、加圧、例えば、加圧とろ過との組み合わせを用いて環状ポリリボヌクレオチドを第1の流体から第2の流体へと移し替えるように構成された装置である。
【0028】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状であるポリリボヌクレオチド、即ち、遊離末端を有しないポリリボヌクレオチドである。環状ポリリボヌクレオチドについては、例えば、米国特許出願公開第2020/0306286号明細書、及び国際公開第2020/181013号パンフレット及び同第2020/023655号パンフレット(これらは参照により本明細書に援用される)に記載されている。環状ポリリボヌクレオチドについてはまた、例えば、国際公開第2015/034925号パンフレット、国際公開第2016/011222号パンフレット、米国特許第10407683号明細書、国際公開第2017/222911号パンフレット、国際公開第2021/041541号パンフレット、国際公開第2019/236673号パンフレット、国際公開第2020/237227号パンフレット、国際公開第2016/197121号パンフレット、国際公開第2018/191722号パンフレット、及び国際公開第2020/023595号パンフレット(これらは参照により本明細書に援用される)にも記載されている。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、対応する線状ポリリボヌクレオチドと比較して、安定性の向上、半減期の増加、免疫原性の低下、及び/又は機能性(例えば、本明細書に記載される機能についての機能性)の向上を呈する。
【0029】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20塩基対、少なくとも約30塩基対、少なくとも約40塩基対、少なくとも約50塩基対、少なくとも約75塩基対、少なくとも約100塩基対、少なくとも約200塩基対、少なくとも約300塩基対、少なくとも約400塩基対、少なくとも約500塩基対、又は少なくとも約1,000塩基対である。
【0030】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、長さが少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも7,500ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも15,000ヌクレオチド、少なくとも20,000ヌクレオチドであり、有用であり得る。
【0031】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列、例えば、ポリペプチドをコードする発現配列を少なくとも1つ含む。一部の実施形態において、発現配列は、ペプチド又はポリヌクレオチドをコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、同じであっても異なってもよい複数の発現配列を含む。一部の実施形態において、発現配列は、長さが5000bp未満(例えば、約5000bp未満、4000bp、3000bp、2000bp、1000bp、900bp、800bp、700bp、600bp、500bp、400bp、300bp、200bp、100bp、50bp、40bp、30bp、20bp、10bp、又はそれ以下)である。一部の実施形態において、発現配列は、独立に、又はそれに加えて、長さが10bp超(例えば、少なくとも約10bp、20bp、30bp、40bp、50bp、60bp、70bp、80bp、90bp、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1000kb、1.1kb、1.2kb、1.3kb、1.4kb、1.5kb、1.6kb、1.7kb、1.8kb、1.9kb、2kb、2.1kb、2.2kb、2.3kb、2.4kb、2.5kb、2.6kb、2.7kb、2.8kb、2.9kb、3kb、3.1kb、3.2kb、3.3kb、3.4kb、3.5kb、3.6kb、3.7kb、3.8kb、3.9kb、4kb、4.1kb、4.2kb、4.3kb、4.4kb、4.5kb、4.6kb、4.7kb、4.8kb、4.9kb、5kb又はそれ以上)である。
【0032】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列など、1つ以上のエレメントを含み、それらの1つ以上のエレメントは、スペーサー配列又はリンカーによって互いに隔てられていてもよい。一部の実施形態において、エレメントは、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、約5ヌクレオチド、約10ヌクレオチド、約15ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約60ヌクレオチド、約80ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約150ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約250ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、又は約1000ヌクレオチドだけ互いに隔てられていてもよい。一部の実施形態において、1つ以上のエレメントは互いに隣接しており、例えば、スペーサーエレメントを欠いている。一実施形態において、約0.05:1、約0.06:1、約0.07:1、約0.08:1、約0.09:1、約0.1:1、約0.12:1、約0.125:1、約0.15:1、約0.175:1、約0.2:1、約0.225:1、約0.25:1、約0.3:1、約0.35:1、約0.4:1、約0.45:1、約0.5:1、約0.55:1、約0.6:1、約0.65:1、約0.7:1、約0.75:1、約0.8:1、約0.85:1、約0.9:1、約0.95:1、約0.98:1、約1:1、約1.02:1、約1.05:1、約1.1:1、約1.15:1、約1.2:1、約1.25:1、約1.3:1、約1.35:1、約1.4:1、約1.45:1、約1.5:1、約1.55:1、約1.6:1、約1.65:1、約1.7:1、約1.75:1、約1.8:1、約1.85:1、約1.9:1、約1.95:1、約1.975:1、約1.98:1、又は約2:1のスペーサー配列と環状ポリリボヌクレオチドの非スペーサー配列、例えば、発現配列との比。一実施形態において、スペーサー配列は、スペーサー配列の両側にある環状ポリリボヌクレオチドのエレメント間にコンホメーション上の柔軟性を付与するように構成されている。
【0033】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の繰り返しのエレメントを含み得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の修飾を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%の修飾ヌクレオチドを含む。
【0034】
環状ポリリボヌクレオチドは、標的に対する、例えば、標的の結合部分に対する少なくとも1つの結合部位を含み得る。環状ポリリボヌクレオチドは、標的に結合する少なくとも1つのアプタマー配列を含み得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の標的に対して1つ以上の結合部位を含む。標的としては、限定はされないが、核酸(例えば、RNA、DNA、RNA-DNAハイブリッド)、小分子(例えば、薬物、フルオロフォア、代謝産物)、アプタマー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、抗体、ウイルス、ウイルス粒子、膜、多成分複合体、細胞小器官、細胞、他の細胞構成部分、これらの任意の断片、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、単一の標的又は複数の(例えば、2つ以上の)標的との結合部位を含む。一実施形態において、単一の環状ポリリボヌクレオチドが、単一の標的に対して2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれ以上の異なる結合部位を含む。一実施形態において、単一の環状ポリリボヌクレオチドが、単一の標的に対して同じ結合部位の2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれ以上を含む。一実施形態において、単一の環状ポリリボヌクレオチドが、1つ以上の異なる標的に対して2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれ以上の異なる結合部位を含む。一実施形態において、標的の混合物又はライブラリなど、2つ以上の標的が試料中にあり、試料は、その2つ以上の標的に結合する2つ以上の結合部位を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0035】
環状リボヌクレオチド試料の処理においては、環状リボヌクレオチドを第1の流体から第2の流体へと移し替える必要があることもあり、ここで第2の流体は、更なる処理、製剤化、貯蔵、精製等に一層適している。本発明の流体交換は、環状ポリリボヌクレオチドを有するフィルタを含め、リザーバを空にすることなく行われてもよく、一層手のかからない、ロバストな方法論が提供されることになる。一実施形態において、このプロセスを流体検出センサーで更に強化してもよく、フィルタそれ自体が過度に乾燥するのを防ぐ制御されたプロセスを提供し得る。環状ポリリボヌクレオチド試料は、流体で分配されてもよい。一実施形態において、流体は液体又は気体である。一実施形態において、流体は溶液である。一実施形態において、溶液は緩衝液である。本発明で使用されることになる緩衝液としては、環状ポリリボヌクレオチドを安定したpH及び/又は安定した構造に維持する任意の水溶液が挙げられる。緩衝液には、組成物の製剤化に使用するための製剤化緩衝液、組成物の貯蔵に使用するための貯蔵緩衝液、及び精製の使用のための精製緩衝液などが含まれ得る。緩衝液としては、クエン酸ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリスベースの緩衝液、リン酸ナトリウム、水などを挙げることができる。本発明は、複数の流体で連続して使用されてもよく(例えば、一つずつ使用されてもよく)、又は並行して使用されてもよい(例えば、一緒に使用されてもよい)。
【0036】
一部の実施形態において、本装置及びシステムでは、市販品のフィルタが使用されてもよい。フィルタとしては、Amicon(登録商標)ウルトラフィルタ、Pierce(商標)タンパク質コンセントレータPESフィルタ等が挙げられる。種々のフィルタ細孔径が考えられ、限定はされないが、2kDa未満、3kDa、20kDa、30kDa、50kDa、100kDa、200kDaなどが挙げられる。種々の分子量カットオフ(MWCO)を有するフィルタが考えられ、限定はされないが、10MWCO、30MWCO、及び100MWCOが挙げられる。
【0037】
種々の環状ポリリボヌクレオチド濃度が考えられ、限定はされないが、0.5~2.0mg/mLが挙げられる。
【0038】
緩衝液など、第2の流体への取り込みのための、結果として得られる種々の環状ポリリボヌクレオチド重量が考えられ、1~200mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、150mg、又は200mgが挙げられる。
【0039】
図1は、ろ液チャンバ(104)と廃棄物回収チャンバ(105)との間に配設されたフィルタ(102)、並びに圧力入口ポート(108)を有するキャップ(106)を有するリザーバ(103)を備える加圧装置(101)を示し、ここで加圧装置は正圧下にあり、及び圧力は圧力入口ポート(108)を通じて及ぼされる。加圧装置(101)は、流体接続構成要素(107)を更に備えてもよく、これによってリザーバが圧力源と流体連通した状態に置かれ得る。
【0040】
図2は、ろ液チャンバ(204)と廃棄物回収チャンバ(205)との間に配設されたフィルタ(202)、並びに圧力入口ポート(208)と流体入口ポート(209)とを有するキャップ(206)を有するリザーバ(203)を備える加圧装置(201)の代替的実施形態を示し、ここで加圧装置(201)は正圧下にあり、及び圧力は圧力入口ポート(208)を通じて及ぼされ;及びここで新鮮な流体が、流体入口ポート(209)を通じてろ液チャンバ(204)に適用されてもよい。加圧装置(201)は流体接続構成要素(207)を更に備えてもよく、これによってリザーバが圧力源と流体連通した状態に置かれ得る。一部の実施形態において、キャップは圧力入口ポートを備える。圧力入口ポートは流体接続構成要素によって圧力源に接続されてもよい。本明細書に記載される特定の装置、方法、及びシステムでは、流体をフィルタに押し通すため、正圧源によって圧力入口ポートから正圧が及ぼされ得る。環状ポリリボヌクレオチドの流体交換には、ある範囲の圧力が想定され、10PSI~100PSI、例えば、10PSI~20PSI、10PSI~25PSI、10PSI~30PSI、10PSI~40PSI、10PSI~50PSI、10PSI~60PSI、10PSI~70PSI、10PSI~80PSI、10PSI~90PSI、20PSI~25PSI、20PSI~30PSI、20PSI~40PSI、20PSI~50PSI、20PSI~60PSI、20PSI~70PSI、20PSI~75PSI、20PSI~80PSI、20PSI~90PSI、20PSI~100PSI、30PSI~40PSI、30PSI~50PSI、30PSI~60PSI、30PSI~70PSI、30PSI~75PSI、30PSI~80PSI、30PSI~90PSI、30PSI~100PSI、40PSI~50PSI、40PSI~60PSI、40PSI~70PSI、40PSI~75PSI、40PSI~80PSI、40PSI~90PSI、40PSI~100PSI、50PSI~60PSI、50PSI~70PSI、50PSI~75PSI、50PSI~80PSI、50PSI~90PSI、50PSI~100PSI、60PSI~70PSI、60~75PSI、60PSI~80PSI、60PSI~90PSI、60PSI~100PSI、70PSI~75PSI、70PSI~80PSI、70PSI~90PSI、70PSI~100PSI、80PSI~90PSI、80PSI~100PSI、90PSI~100PSI、又は約10、20、30、40、50、60、65、70、80、90、又は100PSIが挙げられる。一実施形態において、1つ又は複数の圧力入口ポート及び/又は1つ又は複数の流体入口ポートを有するキャップは、加圧に耐えるように密閉されていてもよい。一実施形態において、本リザーバ、フィルタ、キャップ、及び関係する流体接続は、加圧に耐えるように一体に接続され、例えば、留め金で固定される。一実施形態において、金属留め金を使用して本装置及びシステムを一体に固定してもよい。
【0041】
正圧は、ある期間にわたってリザーバ全体に維持されてもよい。リザーバは1分間~数時間まで加圧されてもよい。一実施形態において、リザーバは3時間未満、より好ましくは1時間未満加圧される。一実施形態において、リザーバは初期流体洗浄について10分未満加圧され、続く流体洗浄について10分~55分間加圧される。ある範囲の加圧ろ過時間が考えられ、5分未満、10分、15分、20分、30分、40分、45分、1時間、90分、2時間、3時間、10分~40分、20分~40分、30分~60分等が挙げられる。
【0042】
一部の実施形態において、キャップは、圧力入口ポートに加えて流体入口ポートを備える。一部の実施形態において、キャップは、複数の流体入口ポート、例えば、1~3個のポート、1~5個のポート、2~5個のポート、又は1、2、3、4、5個等のポートを備える。一部の実施形態において、流体入口ポートは流体源と流体的に連通していてもよい。一部の実施形態において、複数の流体が同じ流体入口ポート又は異なる流体入口ポートを通じてリザーバに加えられてもよい。一部の実施形態において、流体入口ポートの前に流体接合部があってもよく、ここでは流体接合部の各分岐が別個の流体源と流体的に接続している。一部の実施形態において、流体入口ポート及び緩衝液入口ポートは同じポートである。流体入口ポートは接続構成要素を介して流体源に接続し得る。一部の実施形態において、接続構成要素は管であってもよい。一部の実施形態において、管材は使い捨てであり、各リザーバへの流体の送達及び溶出を無菌的に行うことが可能になる。
【0043】
ポリリボヌクレオチドは、加圧後にフィルタから取り除かれてもよい。ポリリボヌクレオチドは吸引によって取り除かれてもよく、例えば、フィルタ表面から吸引されてもよい。一部の実施形態において、1mg~1000mgの環状ポリリボヌクレオチド、例えば、1mg~5mg、1mg~10mg、1mg~25mg、1mg~50mg、1mg~75mg、1mg~100mg、1mg~125mg、1mg~150mg、1mg~200mg、5mg~25mg、5mg~50mg、10mg~50mg、25mg~50mg、25mg~50mg、25mg~75mg、25mg~100mg、25mg~125mg、25mg~150mg、50mg~75mg、50mg~100mg、50mg~150mg、50mg~200mg、50mg~250mg、75mg~125mg、75mg~150mg、75mg~200mg、80mg~120mg、90mg~110mg、100mg~150mg、100mg~200mg、100mg~250mg、125mg~175mg、150mg~250mg、250mg~500mg、250mg~750mg、又は500mg~1000mgがフィルタから吸引される。
【0044】
本発明の一実施形態は、
図3A~
図3Cに見られるとおりの、少なくとも1つのポート(303)を有する蓋(302)と、フィルタを有する複数の試料リザーバ(305)を有するフィルタトレー(304)と、廃棄物リザーバ(306)とを備える加圧システム(301)又は加圧ロボットアセンブリである。一部の実施形態において、本加圧システムは、2個のリザーバ~24個のリザーバ、好ましくは8個のリザーバ~12個のリザーバ、例えば、8個のリザーバ~10個のリザーバ、10個のリザーバ~12個のリザーバ、又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個等のリザーバなど、複数のリザーバを並行して処理することができる。本加圧システムは、種々のリザーバ容積、例えば、50mL及び15mLの両方のリザーバ向けに構成される。一部の実施形態において、本加圧システムはロボットアームを更に備える。
【0045】
一部の実施形態において、本装置、システム、及び方法を使用すると、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、又は100個以上など、複数の環状ポリリボヌクレオチド試料を処理し得る。一部の実施形態において、複数の加圧システム、例えば10~12個の加圧システムが併せて使用される。
【0046】
一部の実施形態において、本装置及びシステムはセンサーを備える。センサーを使用すると、リザーバの液体レベルが一定のレベルにまで下がったときに加圧を停止させることができる。一部の実施形態において、液体検出センサーは、光センサー、振動センサー、超音波センサー、浮力センサー、静電容量センサー、レーダーセンサー、伝導度センサー、及び抵抗センサーからなる群から選択される。一部の実施形態において、センサーは光センサーである。
【0047】
一部の実施形態において、本装置及びシステムは、加圧に起因したリザーバの破砕など、操作者の負傷を防ぐため、少なくとも1つの安全構成要素又は少なくとも1つの安全機能を備えている。例えば、リザーバ及び接続部などの、高圧に耐えることができる高圧用構成要素、又は留め金などの固定構成要素が含まれてもよい。
【実施例】
【0048】
以下の例は、本発明の一部の実施形態を例示するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない;その例示的性質により、当業者に公知の他の手順、方法論、又は技法が代わりに用いられてもよいことは理解されるであろう。
【0049】
実施例1
本例は、加圧装置の使用を実証する。
【0050】
図2に示されるとおりの、10kDaのフィルタ多孔度を有するAmicon(登録商標)Ultra-15フィルタを、正圧を使用した緩衝液交換用に適合させた。
図1に示されるとおり、Amicon(登録商標)Ultra-15フィルタと共に使用するための圧力入口ポートを有するキャップを作製した。このキャップは、システムがより高い圧力、例えば15PSI超に耐えるのを助けるための密閉構成要素を備えた。正圧源に接続するための構成要素のシステムは、後から取り付けられるキャップを有するAmicon(登録商標)Ultra-15フィルタを備えた緩衝液交換装置を加圧する使用向けに設計した。
【0051】
環状ポリリボヌクレオチドの緩衝液交換のため、初めに圧力入口ポートを有するキャップを取り外し、初期緩衝液100mM TEAA中5~10%アセトニトリルの溶液中の5mLの環状ポリリボヌクレオチドを装置のリザーバ内のフィルタ上方に分注し、次に再びキャップを被せた。圧縮空気を使用して15PSIの圧力を圧力入口ポートからリザーバに適用すると、第1の緩衝液がフィルタに押し通されて廃棄物回収域に至り、環状ポリリボヌクレオチドはフィルタに残ったままであった。第1の加圧は約4分かかった。次に圧縮空気を止めて、キャップをゆっくりと開いた。次に、5mLの水をリザーバへとフィルタ上方に分注し、再びキャップを被せ、圧力を回復させた。圧力を一時的に停止させて、キャップを取り外し、第2の緩衝液を加え、再びキャップを被せて圧力を戻すプロセスを5回繰り返し、第2の緩衝液による緩衝液洗浄を合計6回行った。続く加圧ろ過は5~40分かかった。次にキャップを開け、下流処理に組み込むための200μLの環状ポリリボヌクレオチドをフィルタから吸引した。
【0052】
実施例2
本例は、加圧装置の使用を実証する。
【0053】
10kDaのフィルタ多孔度を有するAmicon(登録商標)Ultra-30フィルタユニットを、遠心に対立するものとしての加圧を使用した緩衝液交換用に適合させた。Amicon(登録商標)Ultra-30フィルタユニットと共に使用するための圧力入口ポートを有するキャップを作製した。このキャップは、システムがより高い圧力、例えば65PSI超に耐えるのを助けるための密閉構成要素を備えた。正圧源と接続するための構成要素のシステムは、後から取り付けられるキャップを有するAmicon(登録商標)Ultra-30フィルタユニットを備えた装置を加圧する使用向けに設計した。
【0054】
環状ポリリボヌクレオチドの緩衝液交換のため、初めに圧力入口ポートを有するキャップを取り外し、100mM TEAA中5~10%アセトニトリルの溶液中の3.1mgの環状ポリリボヌクレオチドを有する45mLを装置のリザーバ内のフィルタ上方に分注し、次に再びキャップを被せた。65PSIの圧力を圧力入口ポートからリザーバに適用すると、第1の緩衝液がフィルタに押し通されて廃棄物回収域に至り、環状ポリリボヌクレオチドはフィルタに残ったままであった。第1の加圧ろ過は約4分かかった。次に圧力を止め、キャップを開けた。次に、10mLのクエン酸ナトリウムをリザーバへとフィルタ上方に加え、再びキャップを被せ、圧力を回復させた。圧力を一時的に停止させて、キャップを取り外し、第2の緩衝液を加え、再びキャップを被せて圧力を戻すプロセスを5回繰り返し、第2の緩衝液による緩衝液洗浄を合計6回行った。続く加圧ろ過は35~50分かかった。次にキャップを開け、下流処理に組み込むための2mg(1335ng/μL)の環状ポリリボヌクレオチドをフィルタから吸引した。
【0055】
実施例3
本例は、加圧装置の使用を実証する。
【0056】
10kDaのフィルタ多孔度を有するAmicon(登録商標)Ultra-15フィルタを、遠心に対立するものとしての加圧を使用した緩衝液交換用に適合させた。
図1に示されるとおり、Amicon(登録商標)Ultra-15フィルタと共に使用するための圧力入口ポート及び緩衝液入口ポートを有するキャップを作製した。このキャップは、システムがより高い圧力、例えば65PSI超に耐えるのを助けるための密閉構成要素を備えた。正圧源及び緩衝液供給源に接続するための構成要素のシステムは、緩衝液交換装置を加圧し及び緩衝液交換に新鮮な緩衝液を供給する使用向けに設計した。
【0057】
環状ポリリボヌクレオチドの緩衝液交換のため、初めに装置のキャップを取り外し、100mM TEAA中5~10%アセトニトリル中の4mgの環状ポリリボヌクレオチドを装置のリザーバ内のフィルタ上方に分注し、次に再びキャップを被せた。65PSIの圧力を圧力入口ポートからリザーバに適用すると、第1の緩衝液がフィルタに押し通されて廃棄物回収域に至り、環状ポリリボヌクレオチドはフィルタに残ったままであった。第1の加圧ろ過は約12分かかった。次に圧力を一時的に停止させた後、緩衝液入口ポートを介してリザーバへとフィルタ上方に15mLのクエン酸ナトリウムを加え、圧力を回復させた。圧力を一時的に停止させて、緩衝液入口ポートを通じて第2の緩衝液を加えて圧力を戻すプロセスを5回繰り返し、第2の緩衝液による緩衝液洗浄を合計6回行った。続く加圧は18~50分かかった。次にキャップを開け、下流処理に組み込むための3.42mg(1898.1ng/μL)の環状ポリリボヌクレオチドをフィルタから吸引した。
【0058】
実施例4
本例は、自動加圧装置の使用を実証する。
【0059】
10kDaのフィルタ多孔度を有するAmicon(登録商標)Ultra-15フィルタを、遠心に対立するものとしての加圧を使用した自動緩衝液交換用に適合させ得る。
図1に示されるとおり、Amicon(登録商標)Ultra-15フィルタと共に使用するための圧力入口ポート及び緩衝液入口ポートを有するキャップを作製した。このキャップは、システムがより高い圧力、例えば60PSI超に耐えるのを助けるための密閉構成要素を備えた。正圧源及び緩衝液供給源に接続するための構成要素のシステムは、緩衝液交換装置を加圧し及び緩衝液交換に新鮮な緩衝液を供給する使用向けに設計した。装置は更に、流体検出センサーを備えるように適合させてもよい。
【0060】
緩衝液交換は、液体検出センサーを用いてプロセスを自動化することを除いては、実施例1又は実施例2のプロセスに従い得る。液体検出センサーは、決まった容積の第1若しくは第2の緩衝液又は任意の後続の緩衝液がフィルタに押し通されて廃棄物回収域に至ると検知する。フィルタ域より上方にあるリザーバの液体レベルが目標レベルに達すると、圧力が一時的に停止されることになり、所定の容積の第2の緩衝液がリザーバへとフィルタ上方に加えられてもよい。次には圧力が回復し得る。目標液体レベルが検知されたことによる圧力の一時的停止、第2の緩衝液の追加、及び圧力の回復は5回繰り返されて、第2の緩衝液による緩衝液洗浄が合計6回行われてもよく、その後キャップが取り外され、フィルタ上の環状ポリリボヌクレオチドが吸い出されて、第2の緩衝液の溶液中、又は第3の緩衝液の溶液中のいずれかに取り込まれる。
【国際調査報告】