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特表2024-528876接触装置、接触装置の製造方法、及びアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】接触装置、接触装置の製造方法、及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/22 20060101AFI20240725BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01R13/22 Z
H01R31/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504832
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2021071171
(87)【国際公開番号】W WO2023006196
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーゲル,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】トレットバー,ステフェン
(57)【要約】
接触装置を提案する。該接触装置は複数本の電気導体を備え、前記複数本の電気導体は前記接触装置の第1側面から該第1側面とは別の側面である前記接触装置の第2側面まで延在しており、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面に夫々に第1電気接続面が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されており、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面に夫々に第2電気接続面が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されている。前記複数個の第1電気接続面の単位面積当たり個数は前記複数個の第2電気接続面の単位面積当たり個数と異なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触装置であって、
複数本の電気導体(110)を備え、前記複数本の電気導体(110)は前記接触装置の第1側面(120)から該第1側面(120)とは別の側面である前記接触装置の第2側面(130)まで延在しており、且つ、前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面(120)に夫々に第1電気接続面(111)が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されており、且つ、前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面(130)に夫々に第2電気接続面(112)が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されており、
前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数は前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数と異なっている、
ことを特徴とする接触装置。
【請求項2】
前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数は、前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数と、両者の個数比が2以上であるように異なっていることを特徴とする請求項1記載の接触装置。
【請求項3】
前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数は、前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数より多いことを特徴とする請求項1又は2記載の接触装置。
【請求項4】
前記複数個の第1電気接続面(111)の相互間隔は、不等間隔とされていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の接触装置。
【請求項5】
前記複数個の第1電気接続面(111)は、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の接触装置。
【請求項6】
前記複数個の第1電気接続面(111)は、同一任意形状面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の接触装置。
【請求項7】
前記複数個の第2電気接続面(112)は、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の接触装置。
【請求項8】
前記複数個の第2電気接続面(112)の相互間隔は、等間隔とされていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の接触装置。
【請求項9】
前記複数個の第2電気接続面(112)の相互間隔は、不等間隔とされていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の接触装置。
【請求項10】
前記複数本の電気導体(110)は保持材料(160)で包埋されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の接触装置。
【請求項11】
前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙が空の空間とされ、前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体の各々の前記第1端部、又は、前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体の各々の前記第2端部がライン搬送用支持体(140、150)の表面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の接触装置。
【請求項12】
前記第1電気接続面(111)の大きさは、前記第2電気接続面(112)の大きさより小さいことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載の接触装置。
【請求項13】
前記第2電気接続面(112)の大きさは、前記第1電気接続面(111)の大きさより小さいことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載の接触装置。
【請求項14】
前記複数本の電気導体(110)は、空間内を3次元的に延在していることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項記載の接触装置。
【請求項15】
接触装置の製造方法(1000)であって、
複数本の電気導体(110)を形成する電気導体形成ステップ(1002)を含み、該電気導体形成ステップにおいては前記複数本の電気導体が前記接触装置の第1側面から前記第1側面とは別の側面である前記接触装置の第2側面まで延在するようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面に夫々に第1電気接続面が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されるようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面に夫々に第2電気接続面が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されるようにし、
更に、前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数を前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数と異ならせる、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記複数本の電気導体を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ(1004)を更に含むことを特徴とする請求項15記載の方法(1000)。
【請求項17】
前記保持材料は、前記接触装置に求められる、機械的特性、電気的特性、磁気的特性、光学的特性、及び/又は、音響振動的特性に基づいて選択された材料であることを特徴とする請求項16記載の方法(1000)。
【請求項18】
前記複数本の電気導体を形成する前記電気導体形成ステップ(1002)と前記複数本の電気導体を前記保持材料で包埋する前記電気導体包埋ステップ(1004)とを、付加製造法を用いて実施することを特徴とする請求項16又は17記載の方法(1000)。
【請求項19】
前記複数本の電気導体を形成する前記電気導体形成ステップ(1002)において、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙を空の空間としつつ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の前記第1端部、又は、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の前記第2端部をライン搬送用支持体の表面に形成することを特徴とする請求項15乃至17の何れか1項記載の方法(1000)。
【請求項20】
前記複数本の電気導体を保持材料で包埋する前記電気導体包埋ステップの後に前記ライン搬送用支持体を除去するステップを更に含むことを特徴とする請求項16又は17の何れか1項記載の方法であって更に請求項19記載の特徴を備えた方法(1000)。
【請求項21】
アセンブリ(900)において、
請求項1乃至14の何れか1項記載の接触装置を備えており、
複数個の電気部品(170-1、…、170-4)を備えており、前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)は前記第1側面に配列されており、前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)に含まれる個々の電気部品の各々の電気接続部は前記複数個の第1電気接続面に含まれる個々の第1電気接続面の各々に夫々に電気接続されている、
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項22】
前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)は複数個のセンサ及び/又は複数個のアクチュエータを含むことを特徴とする請求項21記載のアセンブリ(900)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気部品の接触構造に関する。また特に、実施例は、接触装置、接触装置の製造方法、及びアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばセンサやアクチュエータなどの電気で作動させる機器を組付ける場合には、その機器即ち電気部品への電気接続を要することがしばしばある。電気部品への電気接続は多くの場合、ケーブルを用いて行われる。しかるに、ケーブルによる電気部品への電気接続は、その電気部品が小さければ小さいほど、また、その電気部品の配設密度が高ければ高いほど、困難度が高まる。特殊なケーブル、多層配線板、可撓性導電パターンなども用いられているが、ただし、接触構造が何らかの特定の特性を備えることが付加的要件として要求される場合には、それらを用いた接触構造は十分な解決手段とはなり得ず、ここで言う特定の特性には、例えば、音響振動減衰特性、振動モード制御可能性、所要伝熱特性などがある。センサやアクチュエータの中には、そのような特定の特性を備えた接触構造を必要とするものがあるにもかかわらず、従来の一般的な電気接続技術により採用可能な構造では、また、その構造における材料特性では、そのような特定の特性を適切に設定することが殆ど不可能であった。更に加えて、特にセンサ機器に関しては、複数個のセンサ機器を高度の位置精度で配列せねばならないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の背景事情により、複数個の電気部品の電気接続のための接触構造を改善可能とすることが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明によれば、夫々の独立請求項に記載したところの接触装置、接触装置の製造方法、及びアセンブリによって解決される。また、本発明の更なる特徴及び具体的構成としては、従属請求項、以下の詳細な説明、それに添付図面に記載したものがある。
【0005】
第1実施例は接触装置に関する実施例である。同実施例によれば、接触装置は複数本の電気導体を備え、前記複数本の電気導体は前記接触装置の第1側面から該第1側面とは別の側面である前記接触装置の第2側面まで延在しており、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面に夫々に第1電気接続面が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されており、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面に夫々に第2電気接続面が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されている。前記複数個の第1電気接続面の単位面積当たり個数は前記複数個の第2電気接続面の単位面積当たり個数と異なっている。
【0006】
第2実施例は接触装置の製造方法に関する実施例である。同実施例によれば、接触装置の製造方法は複数本の電気導体を形成する電気導体形成ステップを含み、該電気導体形成ステップにおいては前記複数本の電気導体が前記接触装置の第1側面から前記第1側面とは別の側面である前記接触装置の第2側面まで延在するようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面に夫々に第1電気接続面が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されるようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面に夫々に第2電気接続面が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されるようにする。更に、前記複数個の第1電気接続面の単位面積当たり個数を前記複数個の第2電気接続面の単位面積当たり個数と異ならせる。
【0007】
第3実施例はアセンブリに関する実施例である。同実施例によれば、アセンブリは上記実施例に係る接触装置を備えると共に複数個の電気部品を備える。前記複数個の電気部品は前記第1側面上に配列されている。前記複数個の電気部品に含まれる個々の電気部品の各々の電気接続部は前記複数個の第1電気接続面に含まれる各々の第1電気接続面に夫々に電気接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る接触装置、本発明に係る接触装置の製造方法、並びに本発明に係るアセンブリによれば、複数個の電気部品の電気接続のための接触構造を改善することが可能である。また特に、高密度で密集した配列の複数個の電気部品に対する電気接続が可能であり、更に、所与の電気接続手段(例えば差込形コネクタなど)を用いた電気接続も可能である。
【0009】
以下に添付図面を参照しつつ、装置及び/又は方法に関する幾つかの実施例について説明して行くが、それら実施例はあくまでも、具体例を提示することのみを目的としたものである。また、添付図面については以下に示す通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】接触装置の一実施例の第1側面及び第2側面を示した平面図である。
図2】接触装置の一実施例を示した立体斜視図である。
図3】接触装置の別実施例を示した立体斜視図である。
図4】接触装置の更なる別実施例を示した立体斜視図である。
図5】接触装置の更なる別実施例を示した立体斜視図である。
図6】ライン搬送用支持体を備えた接触装置の一実施例を示した立体斜視図である。
図7】ライン搬送用支持体及び保持材料を備えた接触装置の一実施例を示した立体斜視図である。
図8】保持材料を備えた接触装置の一実施例を示した立体斜視図である。
図9】アセンブリの一実施例を示した立体斜視図である。
図10】接触装置の製造方法の一実施例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これより添付図面を参照しつつ幾つかの実施例について更に詳細に説明して行く。ただし、その他の可能な実施例として、以下に詳細に説明する実施例の特徴を必ずしも備えない実施例もある。そのような実施例としては、以下に詳細に説明する実施例の特徴の、改変特徴、均等特徴、ないしは代替特徴を備えた実施例などがある。また、本明細書において個々の実施例を説明するために用いる用語は、その他の可能な実施例の範囲を限定するものではない。
【0012】
図面を参照して進める以下の説明の全体を通して、互いに同一ないし同等の構成要素ないし特徴要素には、即ち、構成形態が互いに同一であるか、或いは、構成形態に相違があっても提供する機能が互いに同一ないし同等であるような構成要素ないし特徴要素には、互いに同一ないし同等の参照符号を付すものとする。また、図面においては、図の見やすさを考慮して、線の太さ、層の厚さ、領域の広さなどを誇張して描くことがある。
【0013】
要素Aと要素Bを「又は」という用語で結んだ単語列は、その単語列の意味するところを個別に明記する場合を除き、あり得る全ての組合せ(即ち、Aのみ、Bのみ、それに、A及びB)の全てを開示したものと解釈さるべきである。また、それら組合せと同じものを表す別の表現として「A及びBの少なくとも一方」や、「A及び/又はB」という表現を用いることもある。また、このことは、要素の個数が3個以上の場合も同様である。
【0014】
ある実施例に関して、ある要素が単数表現で説明されていることによって当該実施例にただ1つだけ備えられていることが明示的にせよ暗示的にせよ確定的に記載されている場合でも、別の実施例として、そのただ1つの要素によって提供される機能と同等の機能が複数個の要素によって提供されるような実施例とすることも可能である。また逆に、以下の説明において、ある実施例に関して、ある機能が複数個の要素によって提供される旨が記載される場合であっても、別の実施例として、その機能と同等の機能がただ1つの要素によって、ないしは、ただ1つの機能主体によって提供されるような実施例とすることも可能である。また、本明細書に用いる「~を含む」、「~を備える」などの動詞による表現は、それら動詞の目的語として記載されているところの、特徴、数値、ステップ、オペレーション、プロセス、エレメント、コンポーネント、及び/又は、それらのものの集合体、等々が存在していることを意味するものであり、それら動詞の目的語として記載されているもの以外の特徴、数値、ステップ、オペレーション、プロセス、エレメント、コンポーネント、及び/又は、それらのものの集合体、等々が存在しないことや、付加されないことを意味するものではない。
【0015】
図1の上半部に示したのは接触装置100の第1側面120の平面図であり、下半部に示したのは第1側面120とは別の側面である接触装置100の第2側面130の平面図である。第1側面120と第2側面130とは、例えば、接触装置100の互いに平行に延在する両側面であってもよい。或いはまた、第1側面120と第2側面130とは互いに角度をもって延在する2つの側面であってもよく、具体的には例えば、互いに直交する方向に延在する2つの側面であってもよい。
【0016】
接触装置100は複数本の電気導体110を備えている(それら電気導体は、例えば集合体として一括して形成されることもある)。複数本の電気導体110は、第1側面120から第2側面130まで延在しており、また、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって第1側面120に夫々に第1電気接続面111が形成されることで第1側面120に複数個の第1電気接続面111が形成されており、また、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって第2側面130に夫々に第2電気接続面112が形成されることで第2側面130に複数個の第2電気接続面112が形成されている。尚、図1は平面図であるため複数本の電気導体の夫々の第1端部及び第2端部だけが示されており、第1端部と第2端部とを接続しているそれら電気導体の本体部分は示されていない。
【0017】
複数本の電気導体110は、例えば、金属材料(銀、銅、アルミニウムなど)や黒鉛などの材料から成る電気導体とすることができる。複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々を、その全体が導電性材料から成るものとするのもよい。また別法として、複数本の電気導体のうちの1本ないし数本(全部でもよい)を非導電性材料及び導電性材料から成るものとするのもよい。例えば、非導電性材料で形成した構成体の表面に導電性材料の被膜を被着することで複数本の電気導体を形成するのもよい。複数本の電気導体は、2本以上(N≧2)の電気導体から成るものである。例えば、複数本の電気導体は、5本以上、10本以上、25本以上、50本以上、100本以上、250本以上、500本以上、1000本以上、又は、更にそれ以上の本数の電気導体から成るものとすることが可能である。また更に、複数本の電気導体は、そこに含まれる個々の電気導体の全てを互いに同一の形態の電気導体(即ち、材料も構成も同一の電気導体)として形成してもよく、互いに異なる形態の電気導体(即ち、材料と構成のいずれか一方もしくは両方が異なる電気導体)を含むものとしてもよい。
【0018】
複数個の第1電気接続面111も、また複数個の第2電気接続面112も、いずれも導電性材料の表面であり、それら複数個の表面の各々が、例えばセンサ、アクチュエータ、コネクタなどの何らかの複数個の電気部品の夫々に接触して電気接続状態となることで、それら電気部品への電気接続が成される。
【0019】
複数個の第1電気接続面111の単位面積当たり個数(例えば、1mm当たり個数、10mm当たり個数、1cm当たり個数、或いは、10cm当たり個数、等々)は、複数個の第2電気接続面112の単位面積当たり個数と異なっている。換言するならば、第1側面120における複数個の第1電気接続面111の面密度は、第2側面130における複数個の第2電気接続面112の面密度と異なっている。例えば、複数個の第1電気接続面111の単位面積当たり個数が、複数個の第2電気接続面112の単位面積当たり個数と、両者の個数比が2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、或いは10以上であるように異なっているようにすることができる。また、図1に示したように、複数個の第1電気接続面111の単位面積当たり個数を、複数個の第2電気接続面112の単位面積当たり個数より多くするのもよい。換言するならば、第1側面120における複数個の第1電気接続面111の面密度を、第2側面130における複数個の第2電気接続面112の面密度より高密度とするのもよい。別実施例として、これとは逆に、複数個の第1電気接続面111の単位面積当たり個数を、複数個の第2電気接続面112の単位面積当たり個数より少なくしてもよい。複数本の電気導体110は空間内を3次元的に延在するように形成されており、このように形成することで、接触装置100の両側の第1側面120と第2側面130とで、それら両側面に夫々に形成される複数個の電気接続面の面密度を異ならせることができるようにしている。
【0020】
接触装置100においては、複数本の電気導体110から成る導体構造を、空間内で導体密度が変化して行くような構造としており、これによって、複数個の電気部品の電気接続のための改善された接触構造を提供可能にしている。また特に、第1側面120と第2側面130とで、それら側面上の複数個の電気接続面の面密度を互いに異ならせることで、接触装置100の第1側面120には複数個の電気部品を高密度で配列してそれら複数個の電気部品への電気接続を行う一方で、反対側の第2側面130には例えば一般的な差込形コネクタなどの電気コネクタを装備して、複数個の電気部品との電気信号の導通を行わせることが可能となっている。
【0021】
図1の実施例では、第1電気接続面111の大きさを第2電気接続面112の大きさより小さくしている。ただしこれとは逆に、第2電気接続面112の大きさを第1電気接続面111の大きさより小さくした実施例とすることも可能である。また、更なる別実施例として、第1電気接続面111と第2電気接続面112とを同じ大きさとした実施例とすることも可能である。
【0022】
図1の実施例においては、複数個の第1電気接続面111は、それらの相互間隔が不等間隔であるようにして(即ち、互いに隣り合う第1電気接続面111どうしの間の間隔が様々に異なるようにして)第1側面120に形成されているのに対して、複数個の第2電気接続面112は、それらの相互間隔が等間隔であるようにして(即ち、互いに隣り合う第2電気接続面112どうしの間の間隔が一定であるようにして)第2側面130に形成されている。換言するならば、複数個の第1電気接続面111は第1側面120に不規則的な配列で分布しているのに対して、複数個の第2電気接続面112は第2側面130に規則的な配列で分布している。別実施例として、第1側面120における複数個の第1電気接続面111の相互間隔を第2側面の第2電気接続面と同じく等間隔とした実施例とすることも可能である。更なる別実施例として、第2側面130における複数個の第2電気接続面112の相互間隔を第1側面の第1電気接続面と同じく不等間隔とした実施例とすることも可能である。
【0023】
複数個の第1電気接続面111の相互間隔及び複数個の第2電気接続面112の相互間隔を、等間隔と不等間隔とのいずれとするかに関わらず、第1電気接続面111どうしの相互間隔は、例えば10μm~100mmの範囲内の大きさとすることもあり、また、第2電気接続面112どうしの相互間隔は、例えば100μm~10mmの範囲内の大きさとすることもある。
【0024】
第1側面120と第2側面130との間の離隔距離は、接触装置100の高さ寸法とも言えるし、厚さ寸法とも言えるが、この寸法は、例えば5mm~100mmの範囲内の寸法とすることもある。
【0025】
接触装置100によれば、例えば図1に示したように、一方の側面には1つ1つの大きさが大寸法で規則的な配列とした複数個の電気接続面(接続パッド)を備え、他方の側面には1つ1つの大きさが極めて小寸法で不規則的な密集した配列とした複数個の電気接続面を備えた接触構造を提供することが可能である。
【0026】
図2に示したのは、一実施例に係る接触装置200の立体斜視図である。図2からは複数本の電気導体110が空間内を3次元的に延在していることが見て取れる。図1に示した接触装置100と同様に、図2に示した接触装置200でも、複数個の第1電気接続面111の単位面積当たり個数は、複数個の第2電気接続面112の単位面積当たり個数より多い。
【0027】
図2の実施例では、複数個の第1電気接続面111は同一平面上に位置している。また同様に、複数個の第2電気接続面112もそれとは別の同一平面上に位置している。複数個の第1電気接続面111がその面上に位置しているところの平面は、複数個の第2電気接続面112がその面上に位置しているところの平面に対して実質的に平行に延展している。また、複数個の第1電気接続面111がその面上に位置しているところの平面は接触装置200の第1側面120を形成しており、一方、複数個の第2電気接続面112がその面上に位置しているところの平面は接触装置200の第2側面130を形成している。それゆえ、第1側面120と第2側面130とは、接触装置200の互いに平行で互いに逆方向を向いた両側面を成すものとなっている。
【0028】
図3に示したのは、図2の接触装置200の変更実施例に相当する接触装置300である。この図3に示した接触装置300でも、図2の実施例と同じく複数個の第1電気接続面111は同一平面上に位置しており、当該平面はこの接触装置300の第1側面120を画成している。一方、図2の実施例と異なる点は、複数個の第1電気接続面111がその面上に位置しているところの平面は、複数個の第2電気接続面112がその面上に位置しているところの平面に対して傾斜していることである。換言するならば、接触装置300の第1側面120と第2側面130とは、互いに相対的に傾斜した両側面を成すものとなっている。
【0029】
図4に示したのは、別実施例に係る接触装置400であり、この接触装置400では、図2の実施例及び図3の実施例と異なり、複数個の第1電気接続面111は同一平面上ではなく、同一任意形状面上に位置している。この図4の接触装置400において、複数個の第1電気接続面111がその面上に位置しているところの任意形状面は実質的に凹面を成しており、その凹面は、接触装置400の中心点へ近付く方向へ、即ち、接触装置400の重心点へ近付く方向へ陥凹した凹面である。複数個の第2電気接続面112は上述の実施例と同じく同一平面上に位置している。
【0030】
複数個の第1電気接続面111がその面上に位置しているところの任意形状面は接触装置400の第1側面120を形成しており、一方、複数個の第2電気接続面112がその面上に位置しているところの平面は接触装置400の第2側面130を形成している。
【0031】
図5に示したのは、変更実施例に係る接触装置500であり、この接触装置500でも、図4の実施例と同様に複数個の第1電気接続面111は同一任意形状面上に位置している。ただし、図4の実施例と異なる点として、図5の接触装置500における任意形状面は実質的に凸面とされており、その凸面は、接触装置500の中心点から離れる方向へ、即ち、接触装置500の重心点から離れる方向へ膨出した凸面である。
【0032】
以上に説明した数々の実施例では、それらのいずれにおいても、複数個の第2電気接続面112は同一平面上に位置していた。しかしながら本開示は、この特徴を備えた実施例に限定されるものではない。それらの変更実施例として、複数個の電気接続面112が同一任意形状面上に位置するような実施例とすることも可能である。また、本開示において「任意形状面」とは、例えば、当該面が延展する位置を近似的に示す複数個の基準点や、内挿法により求め得る当該面を表す境界面などにより、当該面の形状が規定されており、ないしは、当該面の形状が規定可能であるような面などをいうものである。更には、複数個の第1電気接続面111が同一曲面上に位置すると共に複数個の第2電気接続面112もそれとは別の同一曲面上に位置しており、それら2つの曲面のいずれもが数式の関数によって記述可能な曲面であるようなものも含まれる。
【0033】
また、以上に説明した数々の実施例では、複数本の電気導体110はそれらの全てが、第1側面120から第2側面130まで完全に延在しており、それら電気導体の各々が、第1側面120には第1電気接続面111を形成し、第2側面130には第2電気接続面112を形成していた。しかるに、かかる電気導体に加えて更に、第1側面120から延出しているが第2側面130には到達していない電気導体や、逆に第2側面130から延出しているが第1側面120に到達していない電気導体を追加したものも、本発明に係る接触装置の実施例となり得るものである。その場合に、追加したそのような電気導体は、当該電気導体の一端部が、第1側面120に第1電気接続面を形成するか、または、第2側面130に第2電気接続面を形成するが、当該電気導体の他端部は、その接触装置の他方の側面に電気接続面を形成することはない。従って、追加したそのような電気導体は、接触装置の一方の側面から、即ち第1側面120又は第2側面130から、他方の側面へ向かって延出するものの、他方の側面に到達する手前で終端し、即ち、接触装置の内部で終端する電気導体となる。
【0034】
複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体は、その各々が高剛性の電気導体であるようにしてもよく、また、可撓性の電気導体であるようにしてもよい。更には、それらの混合形態としてもよく、即ち、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体の各々が、高剛性の部分(高剛性の領域)と可撓性の部分(可撓性の領域)とを有する電気導体であるようにしてもよい。
【0035】
図6に示した接触装置600では、更に2枚のライン搬送用支持体140及び150が示されている。また、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部が、第1ライン搬送用支持体140の表面に形成されており、構造的及び/又は材料的に当該表面に結合している。これによって複数本の電気導体110は互いに物理的に連結されている。同様に、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部が、第2ライン搬送用支持体150の表面に形成されており、構造的及び/又は材料的に当該表面に結合している。換言するならば、第1ライン搬送用支持体140は第1側面120において複数本の電気導体110を互いに連結しており、そして、第2ライン搬送用支持体150は第2側面130において複数本の電気導体110を互いに連結している。
【0036】
複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙は、この段階では空の空間となっている。換言するならば、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体どうしの間にこの段階で存在している間隙は空の空間であり、それは、この段階ではまだその空間に材料が充填されていないからである。
【0037】
接触装置600を製造するには、例えば、先ず、第1ライン搬送用支持体140と第2ライン搬送用支持体150のいずれか一方のライン搬送用支持体の表面に複数本の電気導体110を3次元的に形成する。続いて、その形成した複数本の電気導体110の上に他方のライン搬送用支持体を装着し、これによって、電気導体110が後続の製造段階において変形させられるなどして損傷するのを防止する。ただし、これとは別の製造方法として、第1ライン搬送用支持体140と第2ライン搬送用支持体150の、いずれか一方しか用いない製造方法とすることも可能である。
【0038】
図7に示した更に進んだ段階の接触装置700は、図6に示した段階の接触装置600と比べて、複数本の電気導体110が保持材料160で包埋されていることが異なっている。この段階の接触装置700とするには、例えば、図6に示した段階の接触装置600において、その複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙空間に材料を充填すればよく、この充填は鋳型に所要の材料特性を備えた材料を注入するなどの方法で行えばよい。
【0039】
保持材料160としては、例えば、接触装置700に求められる、電気的特性、磁気的特性、光学的特性、及び/又は、音響振動的特性などをもたらし得る適宜の材料特性を備えた材料などが用いられる。そのような材料特性を備えた保持材料160によって、例えば、接触装置700の弾性率、接触装置700の質量密度、接触装置700の内部音速、接触装置700の光吸収特性、それに接触装置700の透磁率などを調節することができる。更に加えて、保持材料160として用いる材料を適宜選択することによって、接触装置700のその他様々な特性も調節できることは当然にして自明である。
【0040】
ライン搬送用支持体140及び150は、図7及び図8に示したような、平板状及び/又は、平面的な板状の部材とすることもある。そうした場合には、複数個の第1電気接続面111は同一平面上に位置することになり、また、複数個の第2電気接続面112もそれとは別の同一平面上に位置することになる。一方、複数個の第1電気接続面111が同一任意形状面上に位置するようにする場合、及び/又は、複数個の第2電気接続面112が同一任意形状面上に位置するようにする場合には、ライン搬送用支持体140ないし150の表面形状を、そのような任意形状面に対応した形状とすればよい。
【0041】
図8に示した更に進んだ段階の接触装置800は、図7に示した段階の接触装置700と比べて、ライン搬送用支持体140及び150の除去が完了していることが異なっており、その撤去によって第1側面120の複数個の第1電気接続面111が見えている。ただし、この図8の視線方向では、第2側面130の複数個の電気接続面は見えていない。
【0042】
接触装置800においては、第1側面120における複数個の電気接続面の面密度を、第2側面130における複数個の電気接続面の面密度と異ならせることで、そして、保持材料160として、接触装置800に求められる特性に応じた適宜の材料を選択することで、複数個の電気部品の電気接続のための改善された接触構造を提供可能にしている。
【0043】
図9に示したのは、接触装置800を備え、更に、複数個の電気部品170-1、…、170-4を備えたアセンブリ900である。複数個の電気部品170-1、…、170-4は第1側面120に配列されている。複数個の電気部品170-1、…、170-4に含まれる個々の電気部品の各々の電気接続部は、接触装置800の第1側面120の複数個の第1電気接続面111に含まれる個々の第1電気接続面の各々に夫々に電気接続されている。複数個の電気部品170-1、…、170-4と、複数個の第1電気接続面111とを夫々に電気接続するには、例えば、互いに対応する電気部品と第1電気接続面とをハンダ付けにより接続するなどの手段を用いればよい。
【0044】
接触装置800の第2側面130の複数個の第2電気接続面112については、それら電気接続面112を例えば一般的な差込形コネクタなどの電気接続用コネクタに電気接続するのもよく、そうすることで、複数個の電気部品170-1、…、170-4との電気信号の導通を行わせることが可能となる。
【0045】
複数個の電気部品170-1、…、170-4とは、例えば、複数個のセンサ及び/又は複数個のアクチュエータを含むものである。ここで、複数個のセンサとは、例えば、ボリュームイメージング用の超音波センサ、ソナーアンテナ用の超音波センサ、それにマルチエレメントセンサ用の超音波センサなどであり、それらの用途では、複数個の超音波センサが不規則的な2次元配列で接触装置800の第1側面120に配列される。またここで、複数個のアクチュエータとは、例えば、超音波治療用のアクチュエータ(この用途では複数個のアクチュエータが3次元的に配列される)、ソナーアンテナ用のアクチュエータ、それに非破壊検査用の超音波トランスデューサなどである。尚、以上に挙げた用途例は、あくまでも利用可能な用途のうちの幾つかを具体例として示したに過ぎず、本開示がそれらの用途例に限定されないことは当然にして自明である。基本的に、いかなる種類のセンサ及び/又はアクチュエータでも、本発明に係る接触装置を用いて電気接続することができ、従って、本発明に係る接触装置と組合せてアセンブリを構成することが可能である。更に、複数個の電気部品の個数についても、あくまでも具体例を示すという目的で以下に記載しておく。複数個の電気部品の個数Mは、一般的にはM≧2で表される。より具体的には、例えば、第1側面120に配列可能な電気部品の個数としては、5個以上、10個以上、25個以上、100個以上、250個以上、500個以上、それに、1000個以上とするこが可能であり、更に多くの電気部品を配列することも可能である。図8及び図9に示した実施例では、接触装置800の第1側面120の複数個の第1電気接続面111は、それらが同一平面上に位置するようにして形成されている。しかしながら、別実施例として複数個の第1電気接続面111が同一任意形状面上に位置するようにした実施例とすることも可能であり、その場合には、例えば、複数個の電気部品170-1、…、170-4は、空間内に不規則的に(即ち、所与の形状に適合するように)配列されることになる。
【0046】
接触装置800に代えてその他の本発明に係る接触装置を用いても、本発明に係るアセンブリを構成することが可能である。
【0047】
本発明に係る接触装置の製造方法について、以下に図10を参照しつつ更に詳細に説明する。図10は接触装置の製造方法1000を示したフローチャートである。
【0048】
方法1000は、複数本の電気導体を形成する電気導体形成ステップ1002を含み、該電気導体形成ステップにおいては、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体が前記接触装置の第1側面から前記第1側面とは別の側面である前記接触装置の第2側面まで延在するようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面に夫々に第1電気接続面が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されるようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面に夫々に第2電気接続面が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されるようにする。前記複数個の第1電気接続面の単位面積当たり個数は前記複数個の第2電気接続面の単位面積当たり個数と異なっている。
【0049】
方法1000により製造することのできる接触装置は、一方の側面における複数個の電気接続面の面密度と他方の側面における複数個の電気接続面の面密度とを異ならせることで、複数個の電気部品の電気接続のための接触構造を改善可能とする接触装置。
【0050】
方法1000は、更に、複数本の電気導体110を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ1004を含むものとするとよい。その場合の保持材料は、例えば、接触装置に求められる、機械的特性、電気的特性、磁気的特性、光学的特性、及び/又は、音響振動的特性に基づいて選択された材料とするとよい。そのような保持材料を用いることで、例えば、接触装置の弾性率、接触装置の質量密度、接触装置の内部音速、接触装置の光吸収特性、それに接触装置の透磁率などを調節することができる。また更に、保持材料として適切な材料を選択することによって、接触装置に求められるその他様々な特性をも調節可能であることは当然にして自明である。
【0051】
複数本の電気導体110を形成する電気導体形成ステップ1002では、例えば、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙を空の空間としつつ、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部、又は、複数本の電気導体110に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部をライン搬送用支持体の表面に形成するとよい。そうすることで、複数本の電気導体110を互いに物理的に連結して、それら電気導体どうしの相対位置を確定することができる。また、複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の他方の端部も、同様にしてもう1つのライン搬送用支持体に構造的及び/又は材料的に結合し、もって、それら電気導体どうしの相対位置を確定及び/又は固定するようにするのもよい。以上を完了したならば、続いて、複数本の電気導体110を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ1004を実行し、それには、例えば、鋳型に所要の材料特性を備えた材料を注入するなどの方法を用いるとよい。複数本の電気導体を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ1004が完了したならば、続いて、ライン搬送用支持体の少なくとも1つを除去するステップを実行することで、図示したような接触装置が得られる。
【0052】
以上とは別の製造方法として、複数本の電気導体110を形成する電気導体形成ステップ1002と、複数本の電気導体110を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ1004とを、付加製造法を用いて同時並行的に実施するようにするのもよい。付加製造法とは、接触装置などの製造対象物を製造する際に、除去製造法とは逆に、体積要素である層を次々と付加して積み重ねて行く製造方法であり、この層の積み重ね作業は、コンピュータ制御によって3Dデジタルデータに直接的に基づいた自動製造作業として行われ、例えば、ライン搬送用支持体の上に構築されるワークピースに次々と体積要素を積み重ねることによって行われる。付加製造法の特徴の1つに、製造対象物に合わせた特定のツールや処理工程を必要としないこと(ツールフリー製造)がある。付加製造法は「3Dプリンティング」と呼ばれることもあり、「生成製造法」と呼ばれることもある。
【0053】
付加製造法による製造過程では、1種類または複数種類の液体状材料及び/又は固体状材料から成る製造材料が用いられ、例えばその製造材料を1層ずつ積層するなどの方式で、接触装置などの製造対象物が製造される。付加製造法における製造材料としては、例えば、プラスチック材料類、合成樹脂材料類、セラミック材料類、金属材料類、それに炭素材料類ないし黒鉛材料類などが用いられる。接触装置などの製造対象物の形成に際しては、物理的ないし化学的な硬化処理及び/又は溶融処理が繰り返し実施されることにより、その接触装置などの製造対象物が少しずつ形成されて行く。
【0054】
複数本の電気導体110を形成する電気導体形成ステップ1002及び複数本の電気導体110を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ1004を実施するために用いる付加製造法は、任意の付加製造法であってよい。その具体例を挙げるならば、例えば以下に列挙する付加製造法などを用い得る。即ち、熱溶解積層法(FDM)、フィラメント溶融製造法(FFF)、ステレオリソグラフィ法(SLないしSLA)、選択的レーザ焼結法(SLS)、選択的レーザー溶融法(SLM)、レーザ粉末床溶融結合法(LPBF)、(選択的)電子ビーム溶融法((S)EBM)、(選択的)電子ビーム焼結法((S)EBS)、マルチジェット造形法(MJM)、ポリジェット造形法(PJM)、バインダージェット法、積層造形物製造法(LLM)、それにデジタルライトプロセッシング法(DLP)などを用い得る。尚、以上に列挙した数々の付加製造法は、具体例を示すことだけを目的とし、具体例のうちの幾つかを選択して示したに過ぎない。また、その他の様々な付加製造法を用いて、複数本の電気導体110を形成する電気導体形成ステップ1002及び複数本の電気導体110を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ1004を実施することが可能である。
【0055】
例えば、複数本の電気導体110を形成する電気導体形成ステップ1002と、複数本の電気導体110を保持材料で包埋する電気導体包埋ステップ1004とを、導電体材料と非導電体材料の両方を使用する複合プリンティング法を用いて実施するのもよい。例えば、導電体材料として1種類または複数種類の金属材料を用いると共に、非導電体材料として例えば補強特性や振動減衰特性などを始めとする所望の材料特性を備えた材料を選択するようにするのもよい。複合プリンティング法を用いる場合の利点は、保持材料を充填する工程を実施せずに済み、導電体材料と非導電体材料との両方を同時並行プリンティングによって層形成できることにある。
【0056】
接触装置を製造するための方法であり、及び/又は接触構造を製造するための方法でもある、この方法1000は、自由配列ないし任意配列とされしかも高密度で配列された複数個の電気部品(例えば超音波トランスデューサなど)への電気接続を可能にする接触装置を、及び/又はそのような接触構造を提供し得る方法である。保持材料を適切に選択することで、センサやアクチュエータにとって最適な保持材料を用いることができるため、こうして電気接続したセンサは従来の手段で電気接続したセンサと比べて、より優れたセンサ特性を備えたものとなる。接触装置の第2側面における複数個の第2電気接続面の面密度は、例えばそれら第2電気接続面に一般的な差込形コネクタを装備して利用することも可能なほどの十分に低い密度とすることもできるため、本発明に係る接触装置を使用することで、自由配列とされ高密度で配列された複数個の電気部品の電気接続に、低価格で信頼性の高い差込形コネクタを用いることも可能となる。
【0057】
以上の実施例の特徴のうち、特定の1つの実施例にのみ関連して説明した特徴であっても、当該特徴をその他の1つないし幾つかの実施例に組込むことが可能であり、即ち、当該特徴を、その他の実施例の同様ないし類似の特徴の代替特徴とすること、並びに、その他の実施例に付加することが可能である。
【0058】
更に、本明細書ないし請求の範囲に記載した一連のステップ、一連のプロセス、一連のオペレーション、または一連のファンクションは、記載した通りの順序とすべきことが明記されている場合と、記載した通りの順序とせねばならない技術的理由が存在する場合とを別にして、それら以外の場合には必ずしも記載した通りの順序である必要はない。従って、そのような一連のステップや、一連のファンクションなどの順序は、本明細書に記載した順序に限定されるものではない。また、1個のステップ、1個のファンクション、1個のプロセス、または1個のオペレーションを、複数の部分ステップ、複数の部分ファンクション、複数のプロセス、または複数のオペレーションを含むものとしてもよく、即ちそれらを、複数の部分ステップ、複数の部分ファンクション、複数のプロセス、または複数のオペレーションに分解するようにしてもよく、そのような実施例とすることも可能である。
【0059】
以上の記載において、装置ないしシステムの特徴として説明したものの幾つかは、当該装置ないし当該システムに対応した方法の説明にも該当するものである。そのため、例えば、当該装置ないし当該システムにおける、1つのブロック、1つの機器、または、1つの機能的な特徴は、当該装置ないし当該システムに対応する方法における1つの特徴(例えば方法ステップなど)に対応するものであることもある。また同様に、方法の特徴として説明したもののうちには、当該方法に対応した装置ないしシステムにおける、対応する1つのブロック、対応する1つのエレメント、1つの特性または1つの機能的特徴の説明に該当するものもある。
【0060】
本明細書の記載に加えて、特許請求の範囲の記載もまた、詳細な説明の一部を成すものであり、個々の請求項はその各々が個別の実施例を示すものと見なし得る。また、特許請求の範囲の記載において、従属請求項には、当該従属請求項が特定の1つまたは複数の他の請求項と組合せられるものである旨が記載されており、それゆえ、当該従属請求項の主題と、従属請求項または独立請求項である他の請求項の主題との組合せが、また別の実施例を構成するものとなる。そのような組合せは、特定の組合せが意図しないものであるとの特段の記載が無い限り、本開示において明確に提案された組合せたるべきものである。更に、ある独立従属項に直接的にではなく間接的に従属している従属請求項の特徴も、当該独立請求項との関連において考慮されるべきものであある。
【0061】
以上の成果を得るに至った本件研究は欧州連合の補助を受けて遂行されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリ(900)であって、
接触装置を備えており、前記接触装置複数本の電気導体(110)を備え、前記複数本の電気導体(110)は前記接触装置の第1側面(120)から該第1側面(120)とは別の側面である前記接触装置の第2側面(130)まで延在しており、且つ、前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面(120)に夫々に第1電気接続面(111)が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されており、且つ、前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面(130)に夫々に第2電気接続面(112)が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されており、前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数は前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数と異なっており、前記複数本の電気導体(110)は保持材料(160)で包埋されていて前記複数本の電気導体(110)に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙に前記保持材料(160)が充填されており、
複数個の電気部品(170-1、…、170-4)を備えており、前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)は前記第1側面に配列されており、前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)に含まれる個々の電気部品の各々の電気接続部は前記複数個の第1電気接続面に含まれる個々の第1電気接続面の各々に夫々に電気接続されており、前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)は複数個のセンサ及び/又は複数個のアクチュエータを含む、
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数は、前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数と、両者の個数比が2以上であるように異なっていることを特徴とする請求項1記載のアセンブリ(900)
【請求項3】
前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数は、前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数より多いことを特徴とする請求項1又は2記載のアセンブリ(900)
【請求項4】
前記複数個の第1電気接続面(111)の相互間隔は、不等間隔とされていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項5】
前記複数個の第1電気接続面(111)は、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項6】
前記複数個の第1電気接続面(111)は、同一任意形状面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項7】
前記複数個の第2電気接続面(112)は、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項8】
前記複数個の第2電気接続面(112)の相互間隔は、等間隔とされていことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項9】
前記複数個の第2電気接続面(112)の相互間隔は、不等間隔とされていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項10】
前記第1電気接続面(111)の大きさは、前記第2電気接続面(112)の大きさより小さいことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項11】
前記第2電気接続面(112)の大きさは、前記第1電気接続面(111)の大きさより小さいことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項12】
前記複数本の電気導体(110)は、空間内を3次元的に延在していることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載のアセンブリ(900)
【請求項13】
アセンブリの製造方法(1000)であって、
接触装置を製造する接触装置製造ステップを含んでおり、
前記接触装置製造ステップは複数本の電気導体(110)を形成する電気導体形成ステップ(1002)を含み、該電気導体形成ステップにおいては前記複数本の電気導体が前記接触装置の第1側面から前記第1側面とは別の側面である前記接触装置の第2側面まで延在するようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第1端部によって前記第1側面に夫々に第1電気接続面が形成されることで前記第1側面に複数個の第1電気接続面が形成されるようにし、且つ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の第2端部によって前記第2側面に夫々に第2電気接続面が形成されることで前記第2側面に複数個の第2電気接続面が形成されるようにし、且つ、前記複数個の第1電気接続面(111)の単位面積当たり個数を前記複数個の第2電気接続面(112)の単位面積当たり個数と異ならせ、
更に、前記複数本の電気導体を保持材料で包埋することで、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙に前記保持材料を充填する、電気導体包埋ステップ(1004)を含んでおり、
更に、電気部品配列ステップを含んでおり、該電気部品配列ステップにおいては複数個の電気部品(170-1、…、170-4)を前記第1側面に配列し、前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)に含まれる個々の電気部品の各々の電気接続部を前記複数個の第1電気接続面に含まれる個々の第1電気接続面の各々に夫々に電気接続し、前記複数個の電気部品(170-1、…、170-4)は複数個のセンサ及び/又は複数個のアクチュエータを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記保持材料は、前記接触装置に求められる、機械的特性、電気的特性、磁気的特性、光学的特性、及び/又は、音響振動的特性に基づいて選択された材料であることを特徴とする請求項13記載の方法(1000)。
【請求項15】
前記複数本の電気導体を形成する前記電気導体形成ステップ(1002)と前記複数本の電気導体を前記保持材料で包埋する前記電気導体包埋ステップ(1004)とを、付加製造法を用いて実施することを特徴とする請求項13又は14記載の方法(1000)。
【請求項16】
前記複数本の電気導体を形成する前記電気導体形成ステップ(1002)において、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体どうしの間の間隙を空の空間としつつ、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の前記第1端部、又は、前記複数本の電気導体に含まれる個々の電気導体の各々の前記第2端部を搬送用支持体の表面に形成することを特徴とする請求項13又は14記載の方法(1000)。
【請求項17】
前記複数本の電気導体を保持材料で包埋する前記電気導体包埋ステップの後に前記搬送用支持体を除去するステップを更に含むことを特徴とする請求項16記載の方法(1000)。
【国際調査報告】