(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】病変部指標を備えるエネルギー送達システム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/00 20060101AFI20240725BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
A61B18/00
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504991
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022038461
(87)【国際公開番号】W WO2023009586
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513228661
【氏名又は名称】アクタス メディカル インク
【氏名又は名称原語表記】Acutus Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】2210 Faraday Ave,Suite 100 Carlsbad CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファラハトピシェ アフマド
(72)【発明者】
【氏名】シ シンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ショーメ シバジ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ デリック
(72)【発明者】
【氏名】コルビー ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】アスコンガイ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ミケルセン スティーブン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ティン
(72)【発明者】
【氏名】グッド ウィルソン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ザウター エリック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】フラハティー ジェイ クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK07
4C160KK13
4C160KK23
4C160KK38
4C160KK63
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】患者の組織を治療するためのシステム、デバイス、及び方法が、本明細書において提供される。
【解決手段】システムは、患者の標的組織に近接して配置される第1のエネルギー送達要素を有する第1のエネルギー送達デバイスと、第2のエネルギー送達要素と、第1のエネルギー送達要素と第2のエネルギー送達要素との間にエネルギーを供給するエネルギー送達コンソールと、ユーザに情報を提供するためのディスプレイを有するユーザインタフェースとを含む。エネルギー送達コンソールによって供給されるエネルギーは、第1のエネルギー送達要素に近接するエネルギー送達体積内に1つ以上の電場を生成し、エネルギー送達体積内の少なくとも1つの電場は、エネルギー送達体積内の標的組織を不可逆的に電気穿孔するのに十分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織を治療するためのシステムであって、
前記患者の標的組織に近接して配置されるように構成された第1のエネルギー送達要素を含む第1のエネルギー送達デバイスと、
第2のエネルギー送達要素と、
前記第1のエネルギー送達要素と前期第2のエネルギー送達要素との間にエネルギーを供給するように構成されたエネルギー送達コンソールと、
組織及び/又はエネルギー送達体積情報をユーザに提供するように構成されたディスプレイを含むユーザインタフェースと、を備え、
ここで前記エネルギー送達コンソールによって供給される前記エネルギーは、前記第1のエネルギー送達要素に近接するエネルギー送達体積内に1つ以上の電場を生成し、前記エネルギー送達体積内の少なくとも1つの電場は、前記エネルギー送達体積内の標的組織を不可逆的に電気穿孔するのに十分である、
システム。
【請求項2】
前記第1及び/又は前記第2のエネルギー送達要素の一方は電流を供給するように構成され、前記第2及び/又は前記第1のエネルギー送達要素の他方は電流を受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のエネルギー送達要素は、前記第1のエネルギー送達デバイス上に配置される、請求項1から2の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項4】
第2のエネルギー送達デバイスを更に備え、前記第2のエネルギー送達要素が前記第2のエネルギー送達デバイス上に配置される、請求項1から3の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のエネルギー送達デバイスは、ガイドワイヤと同様に構築及び配置された可撓性フィラメントを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のエネルギー送達デバイスは、心外膜血管内に配置されるように構築及び配置される、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のエネルギー送達要素は、心腔内から前記標的組織に近接して配置されるように構成され、前記第2のエネルギー送達要素は、心外膜血管内から前記標的組織に近接して配置されるように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のエネルギー送達デバイスは、複数のエネルギー送達要素のセットを含み、前記第1のエネルギー送達要素及び前記第2のエネルギー送達要素は、前記複数のエネルギー送達要素のセットからユーザによって選択される、請求項1から7の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1及び第2のエネルギー送達要素は、前記エネルギー送達体積の所望の形状及び/又はサイズに基づいて選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記供給されるエネルギーの構成を決定する調整可能なパラメータのセットを含む、請求項1から9の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記調整可能なパラメータは、電圧、電流、周波数、パルス幅、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
コントローラ、前記コントローラに結合されたメモリ、及びアルゴリズムを更に備え、前記メモリは、前記コントローラが前記アルゴリズムを実行するための命令を記憶するように構成される、請求項1から11の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記アルゴリズムは、形成される病変部及び/又は既に形成された病変部の病変部パラメータを決定するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記病変部パラメータは、長さ、幅、深さ、体積、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記病変部パラメータは、前記供給されたエネルギーのピーク電圧、前記標的組織に対する前記第1及び第2のエネルギー送達要素の向き、及び/又は、前記患者及び/又は前記システムの1つ以上の電気物理パラメータに基づく、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上の電気物理パラメータは、接触力、パルス振幅、パルス持続時間、パルス数、前記エネルギーを送達するエネルギー送達要素の数、組織温度、組織インピーダンス、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、前記標的組織に対する前記第1及び第2のエネルギー送達要素の前記向きを、前記エネルギー送達要素の位置特定を介して決定するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記位置特定は、磁気的位置特定及び/又はインピーダンス位置特定を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を前記ユーザインタフェース上に設けるように構成される、請求項1から18の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記GUIは、前記エネルギー送達体積の前記サイズ、形状、及び/又は位置を表すオーバレイを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記オーバレイは、前記1つ以上の電場の前記生成の前に前記ユーザに表示される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記オーバレイの外観は、前記供給されたエネルギーの前記構成に基づく、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記オーバレイは複数の層を含み、各層は前記エネルギー送達体積の変化を示す、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記オーバレイは、1つ以上の視覚特性を含み得て、前記1つ以上の視覚特性は、前記エネルギー送達体積の前記特性に基づいて変化する、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つ以上の視覚特性は、前記エネルギー送達体積と閾値との比較に基づいて変化する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記閾値は、心筋組織への閾値深さである、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記GUIは、前記エネルギー送達体積内の組織が1つ以上の電場の前記生成によって効果的に治療される確率を表すオーバレイを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
前記GUIは、標的組織が1つ以上の電場の前記生成によって効果的に治療される確率を表すオーバレイを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
前記GUIは、前記第1のエネルギー送達デバイスと前記標的組織との間の配向角度に関する情報を表する、請求項19に記載のシステム。
【請求項30】
前記GUIは、前記患者の心臓の少なくとも一部分のコンピュータ生成された解剖学的モデルを含む組織表示を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
前記組織表示は、心腔の内面を表すシェルを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記シェルは、ゼロの厚さを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記シェルの少なくとも一部分は、前記心筋の前記厚さを表す厚さを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記GUIは、前記シェルに関して表示される前記エネルギー送達体積を表すオーバレイを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
前記シェルの外側に位置する前記エネルギー送達体積の前記一部分のみは、前記オーバレイによって表示される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
患者の組織を治療する方法であって、
前記患者の標的組織に近接して配置されるように構成された第1のエネルギー送達要素を含む第1のエネルギー送達デバイスを供給し、
第2のエネルギー送達要素を供給し、
前記第1のエネルギー送達デバイスを標的組織へナビゲートし、
エネルギー送達コンソールで前記第1のエネルギー送達要素と前記第2のエネルギー送達要素との間にエネルギーを供給し、
ここで、前記エネルギー送達コンソールによって供給される前記エネルギーは、前記第1のエネルギー送達要素に近接するエネルギー送達体積内に1つ以上の電場を生成し、ここで前記エネルギー送達体積内の少なくとも1つの電場は、前記エネルギー送達体積内の標的組織を不可逆的に電気穿孔するのに十分であり、そして、
ユーザインタフェースデバイス上に組織及び/又はエネルギー送達体積情報を含む表示を生成することを含む、
方法。
【請求項37】
前記第1及び/又は前記第2のエネルギー送達要素の一方が電流を供給し、前記第2及び/又は前記第1のエネルギー送達要素の他方が電流を受け取ること、
を含む、請求項36又は請求項1から35の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のエネルギー送達要素は、前記第1のエネルギー送達デバイス上に配置される、請求項36又は請求項1から37の少なくとも他の一項に記載の方法。
【請求項39】
第2のエネルギー送達デバイスであって、前記第2のエネルギー送達要素がその上に配置される、第2のエネルギー送達デバイスを供給すること、
を更に含む、請求項36又は請求項1から38の少なくとも他の一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第2のエネルギー送達デバイスは、ガイドワイヤと同様に構築及び配置された可撓性フィラメントを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第2のエネルギー送達デバイスは、心外膜血管内に配置されるように構築及び配置される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のエネルギー送達要素を心腔内から前記標的組織に近接して配置し、
前記第2のエネルギー送達要素を心外膜血管内から前記標的組織に近接して配置すること、
を更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のエネルギー送達デバイスは、複数のエネルギー送達要素のセットを含み、前記第1のエネルギー送達要素及び前記第2のエネルギー送達要素は、前記複数のエネルギー送達要素のセットからユーザによって選択される、請求項36又は請求項1から42の少なくとも他の一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1及び第2のエネルギー送達要素は、前記エネルギー送達体積の前記所望の形状及び/又はサイズに基づいて選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記エネルギー送達コンソールに、前記供給されるエネルギーの前記構成を決定する調整可能なパラメータのセットを供給すること、
を更に含む、請求項36又は請求項1から44の少なくとも他の一項に記載の方法。
【請求項46】
前記調整可能なパラメータは、電圧、電流、周波数、パルス幅、及びそれらの組み合わせからなる前記グループから選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記エネルギー送達コンソールは、コントローラ、前記コントローラに結合されたメモリ、及びアルゴリズムを含み、前記メモリは、前記コントローラが前記アルゴリズムを実行するための命令を記憶するように構成される、請求項36又は請求項1から46の少なくとも他の一項に記載の方法。
【請求項48】
前記アルゴリズムを実行して、形成される病変部及び/又は既に形成された病変部の病変部パラメータを決定することを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記病変部パラメータは、長さ、幅、深さ、体積、及びそれらの組み合わせからなる前記グループから選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記病変部パラメータは、前記供給されたエネルギーの前記ピーク電圧、前記標的組織に対する前記第1及び第2のエネルギー送達要素の向き、及び/又は、前記患者及び/又は前記システムの1つ以上の電気物理パラメータに基づく、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記1つ以上の電気物理パラメータは、接触力、パルス振幅、パルス持続時間、パルス数、前記エネルギーを送達するエネルギー送達要素の数、組織温度、組織インピーダンス、及びそれらの組み合わせからなる前記グループから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記標的組織に対する前記第1及び第2のエネルギー送達要素の前記向きを、前記エネルギー送達要素の位置特定を介して決定することを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記位置特定は、磁気的位置特定及び/又はインピーダンス位置特定を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を前記ユーザインタフェース上に生成することを更に含む、請求項36又は請求項1から53の少なくとも他の一項に記載の方法。
【請求項55】
前記GUIを生成することは、前記エネルギー送達体積の前記サイズ、形状、及び/又は位置を表すオーバレイを表示することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記1つ以上の電場の前記生成の前に、前記GUIを介して前記オーバレイを表示することを更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記オーバレイの前記外観は、前記供給されたエネルギーの前記構成に基づく、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記オーバレイは複数の層を含み、各層は前記エネルギー送達体積の変化を示す、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記オーバレイは、1つ以上の視覚特性を含み、前記1つ以上の視覚特性は、前記エネルギー送達体積の前記特性に基づいて変化する、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記方法は、前記1つ以上の視覚特性を前記エネルギー送達体積と閾値との比較に基づいて変えることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記閾値は、心筋組織への閾値深さである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記エネルギー送達体積内の組織が1つ以上の電場の前記生成によって効果的に治療される前記確率を表すオーバレイを、前記GUIを介して表示することを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
標的組織が1つ以上の電場の前記生成によって効果的に治療される前記確率を表すオーバレイを、前記GUIを介して表示することを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
前記第1のエネルギー送達デバイスと前記標的組織との間の前記配向角度に関する情報を、前記GUIを介して表示することを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
前記患者の心臓の少なくとも一部分のコンピュータ生成された解剖学的モデルを含む組織表示を、前記GUIを介して表示することを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項66】
前記組織表示は、心腔の前記内面を表すシェルを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記シェルは、ゼロの厚さを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記シェルの少なくとも一部分は、前記心筋の前記厚さを表す厚さを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記シェルに対して表示される前記エネルギー送達体積を表すオーバレイを、前記GUIを介して表示することを更に含む、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記シェルの外側に位置する前記エネルギー送達体積の前記一部分のみが、前記オーバレイによって表示される、請求項69に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年7月27日に出願された「ENERGY DELIVERY SYSTEMS WITH LESION INDEX」と題する米国仮特許出願第63/226,040号に対する優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、2022年4月28日に出願された「ENERGY DELIVERY SYSTEMS WITH LESION INDEX」と題する米国仮特許出願第63/336,245号に対する優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に援用される。
【0003】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2021年7月27日に出願された「Tissue Treatment System」と題する米国仮出願第63/203,606号に関連する場合があり、これは参照により本明細書に援用される。
【0004】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2021年8月13日に出願された「Intravascular Atrial Fibrillation Treatment」と題する米国仮出願第63/260,234号に関連する場合があり、これは参照により本明細書に援用される。
【0005】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2022年2月17日に出願された「Energy Delivery Systems With Ablation Index」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2022/016722号の米国国内段階移行出願に関連する場合があり、これは2021年2月17日に出願された「Energy Delivery Systems With Ablation Index」と題する米国仮出願第63/150,555号に対する優先権を主張しており、それぞれの出願は参照により本明細書に援用される。
【0006】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2019年3月22日に出願された「Ablation System with Force Control」と題する米国特許出願第16/335,893号に関連する場合があり、これは、2017年10月11日に出願された「Ablation System with Force Control」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2017/056064号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2016年10月11日に出願された「Ablation System with Force Control」と題する米国仮特許出願第62/406,748号、及び2017年5月10日に出願された「Ablation System with Force Control」と題する米国仮特許出願第62/504,139号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0007】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2018年10月31日に出願された「Cardiac Information Dynamic Display System and Method」と題する米国特許出願第16/097,955号に関連する場合があり、これは2017年5月3日に出願された「Cardiac Information Dynamic Display System and Method」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2017/030915号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2016年5月3日に出願された「Cardiac Information Dynamic Display System and Method」と題する米国仮特許出願第62/331,351号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0008】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2020年4月29日に出願された「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same,Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」と題する米国特許出願第16/861,814号に関連する場合があり、これは、2018年6月19日に出願された「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same,Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」と題する米国特許第10,667,753号の継続であり、これは、2015年2月20日に出願された「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same,Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」と題する米国特許第10,004,459号の継続であり、これは、2013年8月30日に出願された「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same,Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2013/057579号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2012年8月31日に出願された「System and Method for Diagnosing and Treating Heart Tissue」と題する米国仮特許出願第61/695,535号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0009】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2019年1月8日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board(PCB)Electrical Pathways」と題する米国特許出願第16/242,810号に関連する場合があり、これは、2015年7月23日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board(PCB)Electrical Pathways」と題する米国特許第10,201,311号の継続であり、これは、2014年2月7日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board(PCB)Electrical Pathways」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2014/015261号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは2013年2月8日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board(PCB)Electrical Pathways」と題する米国特許仮出願第61/762,363号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0010】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2019年8月6日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許出願第16/533,028号に関連する場合があり、これは、2018年6月21日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許第10,413,206号の継続であり、これは、2017年2月17日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許第10,376,171号の継続であり、これは、2015年9月25日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許第9,610,024号の継続であり、これは、2014年11月19日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許第9,167,982号の継続であり、これは、2014年2月25日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許第8,918,158号の継続であり、これは、2013年4月8日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許第8,700,119号の継続であり、これは、2009年2月3日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題する米国特許第8,417,313号の継続であり、これは、2007年8月3日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」と題するPCT出願番号PCT/CH2007/000380号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であって、これは2006年8月3日に出願されたスイス特許出願第1251/06号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0011】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2019年9月12日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第11,116,438号に関連する場合があり、これは、2018年1月29日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第10,463,267号の継続であり、これは、2016年10月25日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第9,913,589号の継続であり、これは、2015年10月19日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第9,504,395号の継続であり、これは、2013年7月19日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第9,192,318号の継続であり、これは、2010年7月16日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第8,512,255号の継続であり、これは、2009年1月16日に出願された「A Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する特許協力条約出願番号PCT/IB2009/000071号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であって、これは、2008年1月17日に出願されたスイス特許出願第00068/08号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0012】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2022年2月17日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許出願第17/673,995号に関連する場合があり、これは2019年4月19日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第11,278,209号の継続であり、これは、2018年3月20日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第10,314,497号の継続であり、これは、2017年8月8日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第9,968,268号の継続であり、これは、2013年9月6日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する米国特許第9,757,044号の継続であり、これは、2012年3月9日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2012/028593号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2011年3月10日に出願された米国特許仮出願第61/451,357号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0013】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2019年2月28日に出願された「Set of Transducer-Electrode Pairs for a Catheter」と題する米国意匠特許第29/681,827号に関連する場合があり、これは、2017年2月6日に出願された「Set of Transducer-Electrode Pairs for a Catheter」と題する米国意匠特許第D851,774号の分割であり、これは、2013年12月2日に出願された「Transducer-Electrode Pair for a Catheter」と題する米国意匠特許第D782,686号の分割であり、これは、2013年8月30日に出願された「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same,Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2013/057579号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2012年8月31日に出願された「System and Method for Diagnosing and Treating Heart Tissue」と題する米国特許仮出願第61/695,535号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0014】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2018年8月24日に出願された「Gas-Elimination Patient Access Device」と題する米国特許出願第16/111,538号に関連する場合があり、これは、2016年7月14日に出願された「Gas-Elimination Patient Access Device」と題する米国特許第10,071,227号の継続であり、これは、2015年1月14日に出願された「Gas-Elimination Patient Access Device」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2015/011312号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2014年1月17日に出願された「Gas-Elimination Patient Access Device」と題する米国特許仮出願第61/928,704号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0015】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2022年1月19日に出願された「Cardiac Analysis User Interface System and Method」と題する米国特許出願第17/578,522号に関連する場合があり、これは、2016年9月23日に出願された「Cardiac Analysis User Interface System and Method」と題する米国特許第11/278,231号の継続であり、これは、2015年3月24日に出願された「Cardiac Analysis User Interface System and Method」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2015/022187号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2014年3月25日に出願された「Cardiac Analysis User Interface System and Method」と題する米国特許仮出願第61/970,027号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0016】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2020年10月6日に出願された「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」と題する米国特許出願第17/063,901号に関連する場合があり、これは、2016年3月2日に出願された「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」と題する米国特許第10,828,011号の継続であり、これは、2014年9月10日に出願された「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2014/054942号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは2013年9月13日に出願された「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」と題する米国特許仮出願第61/877,617号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0017】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2020年4月15日に出願された「Localization System and Method Useful in the Acquisition and Analysis of Cardiac Information」と題する米国特許出願第16/849,045号に関連する場合があり、これは、2017年10月26日に出願された「Localization System and Method Useful in the Acquisition and Analysis of Cardiac Information」と題する米国特許第10,653,318号の継続であり、これは、2016年5月13日に出願された「Localization System and Method Useful in the Acquisition and Analysis of Cardiac Information」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2016/032420号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2015年5月13日に出願された「Localization System and Method Useful in the Acquisition and Analysis of Cardiac Information」と題する米国特許仮出願第62/161,213号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0018】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2017年10月25日に出願された「Cardiac Virtualization Test Tank and Testing System and Method」と題する米国特許出願第15/569,231号に関連する場合があり、これは2016年5月11日に出願された特許協力条約出願番号PCT/US2016/031823号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2015年5月12日に出願された「Cardiac Virtualization Test Tank and Testing System and Method」と題する米国特許仮出願第62/160,501号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0019】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2022年5月3日に出願された「Ultrasound Sequencing System and Method」と題する米国特許出願第17/735,285号に関連する場合があり、これは、2017年10月25日に出願された「Ultrasound Sequencing System and Method」と題する米国特許出願第15/569,185号の継続であり、これは、2016年5月12日に出願された特許協力条約出願番号PCT/US2016/032017号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2015年5月12日に出願された「Ultrasound Sequencing System and Method」と題する米国特許仮出願第62/160,529号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0020】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2022年7月6日に出願された「Cardiac Mapping System with Efficiency Algorithm」と題する米国特許出願第17/858174号に関連する場合があり、これは、2018年10月31日に出願された「Cardiac Mapping System with Efficiency Algorithm」と題する米国特許出願第16/097,959号の継続出願あり、これは2017年5月3日に出願された「Cardiac Mapping System with Efficiency Algorithm」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2017/030922号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは2016年10月26日に出願された「Cardiac Mapping System with Efficiency Algorithm」と題する米国特許仮出願第62/413,104号、及び2016年5月3日に出願された「Cardiac Mapping System with Efficiency Algorithm」と題する米国特許仮出願第62/331,364号に対する優先権を主張するものであり、これらはそれぞれ、参照により本明細書に援用される。
【0021】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2020年7月13日に出願された「System for Identifying Cardiac Conduction Patterns」と題する米国特許出願第16/961,809号に関連する場合があり、これは、2019年1月22日に出願された「System for Identifying Cardiac Conduction Patterns」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2019/014498号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2018年1月21日に出願された「System for Recognizing Cardiac Conduction Patterns」と題する米国特許仮出願第62/619,897号、及び2018年5月8日に出願された「System for Identifying Cardiac Conduction Patterns」と題する米国特許仮出願第62/668,647号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0022】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2020年10月16日に出願された「Cardiac Information Processing System」と題する米国特許出願第17/048,151号に関連する場合があり、これは、2019年5月7日に出願された「Cardiac Information Processing System」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2019/031131号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2018年5月8日に出願された「Cardiac Information Processing System」と題する米国仮出願第62/668,659号、及び2019年2月28日に出願された「Cardiac Information Processing System」と題する米国特許仮出願第62/811,735号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0023】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2019年11月8日に出願された「Systems and Methods for Calculating Patient Information」と題する特許協力条約出願番号PCT/US2019/060433号に関連する場合があり、これは、2018年11月9日に出願された「Systems and Methods for Calculating Patient Information」と題する米国仮出願第62/757,961号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0024】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2021年10月5日に出願された「System for Creating a Composite Map」と題する米国特許出願第17/601,661号に関連する場合があり、これは、2020年4月17日に出願された「System for Creating a Composite Map」と題する特許協力条約出願第PCT/US2020/028779号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2019年4月18日に出願された「System for Creating a Composite Map」と題する米国仮出願第62/835,538号、及び、2019年10月23日に出願された「System for Creating a Composite Map」と題する米国仮出願第62/925,030号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0025】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2021年11月22日に出願された「Systems And Methods For Performing Localization Within A Body」と題する米国特許出願第17/613,249号に関連する場合があり、これは、2020年6月4日に出願された「Systems and Methods for Performing Localization Within a Body」と題する特許協力条約出願第PCT/US2020/036110号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2019年6月4日に出願された「Systems and Methods for Performing Localization Within a Body」と題する米国仮出願第62/857,055号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0026】
本出願は、優先権を主張するものではないが、2022年5月16日に出願された「Tissue Treatment Systems,Devices,and Methods」と題する米国特許出願第17/777,104号に関連する場合があり、これは、2020年11月20日に出願された「Tissue Treatment Systems,Devices,and Methods」と題する特許協力条約出願第PCT/US2020/061458号の米国特許法371条に基づく国内段階移行出願であり、これは、2019年11月22日に出願された「Tissue Treatment Systems,Devices,and Methods」と題する米国仮出願第62/939,412号、及び、2020年9月7日に出願された「Tissue Treatment Systems,Devices,and Methods」と題する米国仮出願第63/075,280号に対する優先権を主張するものであり、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0027】
本発明概念の分野
本発明の概念は、一般に、組織を切除するための、特に患者の心臓の組織を切除するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0028】
多くの医療処置は、組織を切除し、又はその他の治療をするためのエネルギーの送達を含む。組織治療の望ましい特異性と効能を達成することは困難な場合があり、それができなければ望ましい結果が得られない可能性がある。
【0029】
エネルギーの送達を介して改善された組織治療を達成するシステム、方法、及びデバイスが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】国際公開第2021/102230号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の概念の一態様によれば、患者の組織を治療するためのシステムは、患者の標的組織に近接して配置されるように構成された第1のエネルギー送達要素を具備する第1のエネルギー送達デバイスと、第2のエネルギー送達要素と、第1のエネルギー送達要素と第2のエネルギー送達要素との間にエネルギーを供給するように構成されたエネルギー送達コンソールと、ユーザに情報を提供するためのディスプレイを有するユーザインタフェースとを含む。エネルギー送達コンソールによって供給されるエネルギーは、第1のエネルギー送達要素に近接するエネルギー送達体積内に1つ以上の電場を生成し、エネルギー送達体積内の少なくとも1つの電場は、エネルギー送達体積内の標的組織を不可逆的に電気穿孔するのに十分である。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のエネルギー送達要素の一方は電流を供給する(source)ように構成され、第2及び/又は第1のエネルギー送達要素の他方は電流を受け取る(sink)ように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、第2のエネルギー送達要素は、第1のエネルギー送達デバイス上に配置される。
【0034】
いくつかの実施形態では、システムは第2のエネルギー送達デバイスを更に具備し、第2のエネルギー送達要素は第2のエネルギー送達デバイス上に配置される。第2のエネルギー送達デバイスは、ガイドワイヤと同様に構築及び配置された可撓性フィラメントを含み得る。第2のエネルギー送達デバイスは、心外膜血管内に配置されるように構築及び配置され得る。第1のエネルギー送達要素は、心腔内から標的組織に近接して配置されるように構成され得て、第2のエネルギー送達要素は、心外膜血管内から標的組織に近接して配置されるように構成され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のエネルギー送達デバイスは、複数のエネルギー送達要素のセットを含み、第1のエネルギー送達要素及び第2のエネルギー送達要素は、複数のエネルギー送達要素のセットからユーザによって選択される。第1及び第2のエネルギー送達要素は、エネルギー送達体積の所望の形状及び/又はサイズに基づいて選択され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、システムは、供給されるエネルギーの構成を決定する調整可能なパラメータのセットを含む。調整可能なパラメータは、電圧、電流、周波数、パルス幅、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、システムは、コントローラ、コントローラに結合されたメモリ、及びアルゴリズムを更に含み、メモリは、コントローラがアルゴリズムを実行するための命令を記憶するように構成される。アルゴリズムは、形成される病変部及び/又は既に形成された病変部の病変部パラメータを決定するように構成され得る。病変部パラメータは、長さ、幅、深さ、体積、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択され得る。病変部パラメータは、供給されたエネルギーのピーク電圧、標的組織に対する第1及び第2のエネルギー送達要素の向き、及び/又は、患者及び/又はシステムの1つ以上の電気物理パラメータに基づき得る。1つ以上の電気物理パラメータは、接触力、パルス振幅、パルス持続時間、パルス数、エネルギーを送達するエネルギー送達要素の数、組織温度、組織インピーダンス、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択され得る。システムは、標的組織に対する第1及び第2のエネルギー送達要素の向きを、エネルギー送達要素の位置特定を介して決定するように構成され得る。位置特定は、磁気的位置特定及び/又はインピーダンス位置特定を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、システムは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)をユーザインタフェース上に設けるように構成される。GUIは、エネルギー送達体積のサイズ、形状、及び/又は位置を表すオーバレイを含み得る。オーバレイは、1つ以上の電場を生成する前にユーザに表示され得る。オーバレイの外観は、供給されたエネルギーの構成に基づき得る。オーバレイは複数の層を含み得て、各層はエネルギー送達体積の変化を示し得る。オーバレイは、1つ以上の視覚特性を含み得て、1つ以上の視覚特性は、エネルギー送達体積の特性に基づいて変化し得る。1つ以上の視覚特性は、エネルギー送達体積と閾値との比較に基づいて変化し得る。閾値は、心筋組織への閾値深さであり得る。GUIは、エネルギー送達体積内の組織が1つ以上の電場の生成によって効果的に治療される確率を表すオーバレイを含み得る。GUIは、標的組織が1つ以上の電場の生成によって効果的に治療される確率を表すオーバレイを含み得る。GUIは、第1のエネルギー送達デバイスと標的組織との間の配向角度に関する情報を表示し得る。GUIは、患者の心臓の少なくとも一部分のコンピュータ生成された解剖学的モデルを含む組織表示を含み得る。組織表示は、心腔の内面を表すシェルを含み得る。シェルは、ゼロの厚さを含み得る。シェルの少なくとも一部分は、心筋の厚さを表す厚さを含み得る。GUIは、シェルに対して表示されるエネルギー送達体積を表すオーバレイを含み得る。シェルの外側に位置するエネルギー送達体積の一部分は、オーバレイによって表示され得る。
【0039】
本明細書で説明される技術は、その特性及び付随する利点とともに、代表的な実施形態が例として説明される添付図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮することによって最も良く認識され、理解されるであろう。
【0040】
本発明の概念の一態様によれば、患者の組織を治療する方法は、患者の標的組織に近接して配置されるように構成された第1のエネルギー送達要素を含む第1のエネルギー送達デバイスを供給し、第2のエネルギー送達要素を供給し、第1のエネルギー送達デバイスを標的組織へナビゲートし、エネルギー送達コンソールで、第1のエネルギー送達要素と第2のエネルギー送達要素との間にエネルギーを供給し、ユーザインタフェースデバイス上に組織及び/又はエネルギー送達体積情報を含む表示を生成することを含む。エネルギー送達コンソールによって供給されるエネルギーは、第1のエネルギー送達要素に近接するエネルギー送達体積内に1つ以上の電場を生成し、ここでエネルギー送達体積内の少なくとも1つの電場は、エネルギー送達体積内の標的組織を不可逆的に電気穿孔するのに十分である。
【0041】
いくつかの実施形態では、方法は、第1及び/又は第2のエネルギー送達要素の一方が電流を供給し、第2及び/又は第1のエネルギー送達要素の他方が電流を受け取ることを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2のエネルギー送達要素は、第1のエネルギー送達デバイス上に配置される。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、第2のエネルギー送達デバイスを供給することを含み、第2のエネルギー送達要素は、第2のエネルギー送達デバイス上に配置される。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2のエネルギー送達デバイスは、ガイドワイヤと同様に構築及び配置された可撓性フィラメントを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2のエネルギー送達デバイスは、心外膜血管内に配置されるように構築及び配置され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のエネルギー送達要素を心腔内から標的組織に近接して配置し、第2のエネルギー送達要素を心外膜血管内から標的組織に近接して配置することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1のエネルギー送達デバイスは、複数のエネルギー送達要素のセットを含み、第1のエネルギー送達要素及び第2のエネルギー送達要素は、複数のエネルギー送達要素のセットからユーザによって選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のエネルギー送達要素は、エネルギー送達体積の所望の形状及び/又はサイズに基づいて選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法は、エネルギー送達コンソールに、供給されるエネルギーの構成を決定する調整可能なパラメータのセットを供給することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、調整可能なパラメータは、電圧、電流、周波数、パルス幅、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、エネルギー送達コンソールは、コントローラ、コントローラに結合されたメモリ、及びアルゴリズムを含み、メモリは、コントローラがアルゴリズムを実行するための命令を記憶するように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法は、アルゴリズムを実行して、形成される病変部及び/又は既に形成された病変部の病変部パラメータを決定することを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、病変部パラメータは、長さ、幅、深さ、体積、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される。
【0054】
いくつかの実施形態では、病変部パラメータは、供給されたエネルギーのピーク電圧、標的組織に対する第1及び第2のエネルギー送達要素の向き、及び/又は、患者及び/又はシステムの1つ以上の電気物理パラメータに基づく。
【0055】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電気物理パラメータは、接触力、パルス振幅、パルス持続時間、パルス数、エネルギーを送達するエネルギー送達要素の数、組織温度、組織インピーダンス、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される。
【0056】
いくつかの実施形態では、方法は、標的組織に対する第1及び第2のエネルギー送達要素の向きを、エネルギー送達要素の位置特定を介して決定することを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、位置特定は、磁気的位置特定及び/又はインピーダンス位置特定を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、方法は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)をユーザインタフェース上に生成することを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、GUIを生成することは、エネルギー送達体積のサイズ、形状、及び/又は位置を表すオーバレイを表示することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の電場を生成する前に、GUIを介してオーバレイを表示することを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、オーバレイの外観は、供給されたエネルギーの構成に基づく。
【0062】
いくつかの実施形態では、オーバレイは複数の層を含み、各層はエネルギー送達体積の変化を示す。
【0063】
いくつかの実施形態では、オーバレイは、1つ以上の視覚特性を含み、1つ以上の視覚特性は、エネルギー送達体積の特性に基づいて変化する。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の視覚特性をエネルギー送達体積と閾値との比較に基づいて変化させることを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、閾値は、心筋組織への閾値深さである。
【0066】
いくつかの実施形態では、方法は、エネルギー送達体積内の組織が1つ以上の電場の生成によって効果的に治療される確率を表すオーバレイを、GUIを介して表示することを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法は、標的組織が1つ以上の電場の生成によって効果的に治療される確率を表すオーバレイを、GUIを介して表示することを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のエネルギー送達デバイスと標的組織との間の配向角度に関する情報を、GUIを介して表示することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の心臓の少なくとも一部分のコンピュータ生成された解剖学的モデルを含む組織表示を、GUIを介して表示することを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、組織表示は、心腔の内面を表すシェルを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、シェルは、ゼロの厚さを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、シェルの少なくとも一部分は、心筋の厚さを表す厚さを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、方法は、シェルに対して表示されるエネルギー送達体積を表すオーバレイを、GUIを介して表示することを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、シェルの外側に位置するエネルギー送達体積の一部分のみが、オーバレイによって表示される。
【0075】
参照による援用
本明細書で言及されるすべての出版物、特許、及び特許出願は、個々の出版物、特許、又は特許出願が参照により援用されることが具体的かつ個別に示されているのと同じ範囲で、参照により本明細書に援用される。本明細書で言及されるすべての出版物、特許、及び特許出願の内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】本発明の概念と一致する、患者に医療処置を実行するためのシステムの一実施形態の概略図を示す。
【
図2】本発明の概念と一致する、患者の組織にエネルギーを送達するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図3】本発明の概念と一致する、患者の組織にエネルギーを送達するための方法の別の実施形態のフローチャートを示す。
【
図3A】本発明の概念と一致する、所望の周期点を含む心周期のグラフを示す。
【
図4】本発明の概念と一致する、患者の組織にエネルギーを送達するための方法の別の実施形態のフローチャートを示す。
【
図5】本発明の概念と一致する、患者の組織にエネルギーを送達するための方法の別の実施形態のフローチャートを示す。
【
図6】本発明の概念と一致する、患者の組織にエネルギーを送達するための方法の別の実施形態のフローチャートを示す。
【
図7】本発明の概念と一致する、患者の組織にエネルギーを送達するための方法の別の実施形態のフローチャートを示す。
【
図8】本発明の概念と一致する、エネルギー送達デバイスの一実施形態の側面図を示す。
【
図8A】本発明の概念と一致する、様々なエネルギー送達幾何学的形状で形成された病変部深さを示すグラフである。
【
図8B】本発明の概念と一致する、様々なエネルギー送達幾何学的形状で形成された病変部深さを示すグラフである。
【
図9A】本発明の概念と一致する、様々なエネルギー送達幾何学的形状で形成された病変部体積を示すグラフである。
【
図9B】本発明の概念と一致する、様々なエネルギー送達幾何学的形状で形成された病変部体積を示すグラフである。
【
図9C】本発明の概念と一致する、様々なエネルギー送達幾何学的形状で形成された病変部体積を示すグラフである。
【
図9D】本発明の概念と一致する、様々なエネルギー送達幾何学的形状で形成された病変部体積を示すグラフである。
【
図10A】本発明の概念と一致する、異なる配向角度で組織表面に接触するエネルギー送達デバイスの一実施形態の遠位部分の解剖学的断面図である。
【
図10B】本発明の概念と一致する、異なる配向角度で組織表面に接触するエネルギー送達デバイスの一実施形態の遠位部分の解剖学的断面図である。
【
図11A】本発明の概念と一致する、エネルギー送達デバイスの異なる配向角度に関連する情報を表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態のユーザビューである。
【
図11B】本発明の概念と一致する、エネルギー送達デバイスの異なる配向角度に関連する情報を表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態のユーザビューである。
【
図12】本発明の概念と一致する、灌注流体を送達するための複数のポートを含むエネルギー送達デバイスの一実施形態の遠位部分の斜視図である。
【
図13】本発明の概念と一致する、組織表面と接触し、灌注流体を送達するエネルギー送達デバイスの一実施形態の遠位部分の側断面解剖図である。
【
図14A】本発明の概念と一致する、組織の断面部分に近接したエネルギー送達デバイスの一実施形態の側面図である。
【
図14B】本発明の概念と一致する、組織の断面部分に近接したエネルギー送達デバイスの一実施形態の側面図である。
【
図15A】本発明の概念と一致する、組織の断面部分に近接したエネルギー送達デバイスの一実施形態の側面図である。
【
図15B】本発明の概念と一致する、組織の断面部分に近接したエネルギー送達デバイスの一実施形態の側面図である。
【
図15C】本発明の概念と一致する、組織の断面部分に近接したエネルギー送達デバイスの一実施形態の側面図である。
【
図16】本発明の概念と一致する、医療処置を実行するためのシステムのグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分を示すユーザビューである。
【
図17】本発明の概念と一致する、血管とともに組織の断面部分に近接して配置された2つのエネルギー送達デバイスの実施形態の斜視図を示す。
【
図18A】本発明の概念と一致する、解剖学的モデルを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分のユーザビューを示す。
【
図18B】本発明の概念と一致する、解剖学的モデルを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分のユーザビューを示す。
【
図19】本発明の概念と一致する、オーバレイを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分を示す。
【
図20】本発明の概念と一致する、予測された治療データと実際の治療データを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分を示す。
【
図21】本発明の概念と一致する、様々な治療段階の一実施形態の概略図を示す。
【
図22A】本発明の概念と一致する、電極構成の様々な実施形態の有限要素モデルを示す。
【
図22B】本発明の概念と一致する、電極構成の様々な実施形態の有限要素モデルを示す。
【
図23A】本発明の概念と一致する、電極構成の様々な実施形態の有限要素モデルを示す。
【
図23B】本発明の概念と一致する、電極構成の様々な実施形態の有限要素モデルを示す。
【
図24A】本発明の概念と一致する、解剖学的モデルを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一部分の一実施形態のユーザビューを示す。
【
図24B】本発明の概念と一致する、解剖学的モデルを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一部分の一実施形態のユーザビューを示す。
【
図25A】本発明の概念と一致する、治療閾値に対するデータを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一部分の一実施形態のユーザビューを示す。
【
図25B】本発明の概念と一致する、治療閾値に対するデータを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一部分の一実施形態のユーザビューを示す。
【
図25C】本発明の概念と一致する、治療閾値に対するデータを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一部分の一実施形態のユーザビューを示す。
【
図25D】本発明の概念と一致する、治療閾値に対するデータを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一部分の一実施形態のユーザビューを示す。
【
図26】本発明の概念と一致する、場タグ付けを実行するためのアルゴリズムの一般的なワークフローを示しているフローチャートを示す。
【
図27】本発明の概念と一致する、ドメイン描写のグラフィカル表示を示す。
【
図28A】本発明の概念と一致する、測定されたカテーテルパラメータのグラフを示す。
【
図28B】本発明の概念と一致する、カテーテルの様々な表示を示す。
【
図29A】本発明の概念と一致する、場推定の様々な技術を示す。
【
図29B】本発明の概念と一致する、場推定の様々な技術を示す。
【
図29C】本発明の概念と一致する、場推定の様々な技術を示す。
【
図30A】本発明の概念と一致する、マルチレベルの減衰プロファイルが、適用される治療に対してどのように動的更新されるかを示す。
【
図30B】本発明の概念と一致する、マルチレベルの減衰プロファイルが、適用される治療に対してどのように動的更新されるかを示す。
【
図30C】本発明の概念と一致する、マルチレベルの減衰プロファイルが、適用される治療に対してどのように動的更新されるかを示す。
【
図31A】本発明の概念と一致する、深さ投影特徴の例を示す。
【
図31B】本発明の概念と一致する、深さ投影特徴の例を示す。
【
図31C】本発明の概念と一致する、深さ投影特徴の例を示す。
【
図32A】本発明の概念と一致する、予想される病変部セット計画がどのように実行され得るかの一例を示す。
【
図32B】本発明の概念と一致する、予想される病変部セット計画がどのように実行され得るかの一例を示す。
【
図32C】本発明の概念と一致する、予想される病変部セット計画がどのように実行され得るかの一例を示す。
【
図33A】本発明の概念と一致する、厚さベースの治療計画の一例を示す。
【
図33B】本発明の概念と一致する、厚さベースの治療計画の一例を示す。
【
図33C】本発明の概念と一致する、厚さベースの治療計画の一例を示す。
【
図33D】本発明の概念と一致する、厚さベースの治療計画の一例を示す。
【
図34】本発明の概念と一致する、いくつかの左心房幾何学的形状にわたって実装されたUACベースのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
ここで、その例が添付の図面に示される技術の本実施形態を詳細に参照する。同様の参照番号を用いて、同様の構成要素を指す場合がある。しかしながら、説明は、本開示を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本明細書に記載される実施形態の様々な変更、等価、及び/又は代替を含むものとして解釈されるべきである。
【0078】
単語「備えている(comprising)」(及び「備える(comprise)」と「備える(comprises)」などの任意の形式の備える)、「有している(having)」(及び「有する(have)」と「有する(has)」などの任意の形式の有する)、「含んでいる(including)」(及び「含む(includes)」と「含む(include)」などの任意の形式の含む)、又は「含有している(containing)」(及び「含有する(contains)」と「含有する(contain)」などの任意の形式の含有する)は、本明細書で使用される場合、明記された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことを理解する。
【0079】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書において様々な制限、要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用され得るが、これらの制限、要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションがこれらの用語によって限定されるべきではないことを更に理解する。これらの用語は、1つの制限、要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の制限、要素、構成要素、領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下で論じられる第1の制限、要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、本出願の開示から逸脱することなく、第2の制限、要素、構成要素、領域、層、又はセクションと言える。
【0080】
ある要素が別の要素に対して「上に(on)」、「取り付けられて(attached)」、「接続されて(connected)」又は「結合されて(coupled)」いると称される場合、それは他の要素の直接上に又は上にあるか、あるいは接続又は結合され得るか、1つ以上の介在要素が存在できることが更に理解される。対照的に、ある要素が別の要素に対して「直接上に」、「直接取り付けられて」、「直接接続されて」、又は「直接結合されて」いると称される場合、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様の方法で解釈されるべきである(例えば、「間に」対「直接間に」、「隣接して」対「直接隣接して」など)。
【0081】
第1の要素は第2の要素の「中(in)」、「上(on)」、及び/又は「内(within)」であると言われる場合、第1の要素は、第2の要素の内部空間内、第2の要素の一部分内(例えば、第2の要素の壁内)に配置され得る、第2の要素の外面、及び/又は内面に配置され得る、かつこれらの1つ以上の組み合わせであり得ることを更に理解する。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「近接(proximate)」は、第1の構成要素又は位置の、第2の構成要素又は位置への近接性を説明するのに使用されるとき、第2の構成要素又は位置に近い1か所以上の位置と、同様に第2の構成要素又は位置の中、上、及び/又は内の位置を含むものと解釈されるべきである。例えば、解剖学的部位(標的組織位置など)に近接して配置された構成要素は、解剖学的部位の近くに配置された構成要素と、同様に解剖学的部位の中、上、及び/又は内に配置された構成要素を含むものとする。
【0083】
「~の真下(beneath)」、「~より下(below)」、「下方(lower)」、「~より上(above)」、「上方(upper)」などの空間的に相対的な用語は、例えば、図面に示すように要素及び/又は特徴の、別の要素(複数可)及び/又は特徴(複数可)との関係を説明するために用いられ得る。空間的に相対的な用語は、図面に示される向きに加えて、使用中及び/又は動作中のデバイスの異なる向きを包含するように意図されることを更に理解する。例えば、図面中のデバイスが反転された場合、他の要素又は特徴「より下」及び/又は「真下」として説明される要素は、他の要素又は特徴「より上」に配向される。デバイスは、その他に配向される(例えば、90°又は他の方向に回転される)場合があり、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0084】
本明細書で使用される場合、「減少する(reduce)」、「減少している(reducing)」、「減少(reduction)」などの用語は、量の減少を含み、ゼロへの減少を含んでいる。発生の可能性を減らすことは、発生の防止を含むものとする。同様に、用語「防止する(prevent)」、「防止している(preventing)」及び「防止(prevention)」は、それぞれに「減少する」、「減少している」及び「減少」の行為を含むものとする。
【0085】
本明細書で使用される用語「及び/又は(and/or)」は、他の有無を問わず、2つの指定された特徴又は構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、それぞれが本明細書で個々に述べられているかのように、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びB、のそれぞれの具体的な開示と解釈されるべきである。
【0086】
本明細書で使用される「1つ以上(one or more)」という用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上、任意の数までを意味し得る。
【0087】
「及びそれらの組み合わせ(and combinations thereof)」及び「及びこれらの組み合わせ(and combinations of these)」という用語は、それぞれ、単独で、又は集合的に含まれるべき項目の列挙の後に本明細書で使用され得る。例えば、A、B、C、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される構成要素、プロセス、及び/又は他の項目は、1つ、2つ、3つ以上の項目A、1つ、2つ、3つ以上の項目B、及び/又は1つ、2つ、3つ以上の項目Cを含む1つ以上の構成要素のセットを含むものとする。
【0088】
本明細書では、別段の定めがない限り、「及び(and)」は「又は(or)」を意味することができ、「又は」は「及び」を意味することができる。例えば、特徴はA、B、又はCを有すると説明される場合、その特徴はA、B、及びC、又はA、B、及びCの任意の組み合わせを有し得る。同様に、特徴はA、B、及びCを有すると説明される場合、その特徴はA、B、又はCのうちの1つ又は2つのみ有することができる。
【0089】
本明細書で使用する場合、定量化可能なパラメータが、第1の値Xと第2の値Yとの「間(between)」の値を有すると説明される場合、それは、少なくともX、Y以下、及び/又は、少なくともXとY以下の値を有するパラメータを含むものとする。例えば、1と10との間の長さは、少なくとも1の長さ(10よりも大きい値を含む)、10未満の長さ(1よりも小さい値を含む)、及び/又は、1よりも大きくて10よりも小さい値を含むものとする。
【0090】
本開示で使用される表現「~ように構成(configured)(又は設定(set))された」は、例えば、状況に応じて、表現「~に適する」、「~能力を有する」、「~ように設計された」、「~ように適合された」、「~ように作製された」及び「~可能である」と交換可能に使用され得る。表現「~ように構成(又は設定)された」は、ハードウェアで「特別に設計された」のみを意味するものではない。代替的に、いくつかの状況では、表現「~ように構成されたデバイス」は、デバイスが別のデバイス又は構成要素と一緒に動作「できる」ことを意味してもよい。
【0091】
本明細書で使用される場合、用語「閾値(threshold)」は、所望の状態又は望ましくない状態に関連付けられた値の最大レベル、最小レベル、及び/又は範囲を指す。いくつかの実施形態では、システムパラメータは、最小閾値より上、最大閾値より下、値の閾値範囲内、及び/又は値の閾値範囲外に維持され、所望の効果(例えば、有効な治療)を引き起こし、及び/又は望ましくない事象(例えば、デバイス及び/又は臨床的な有害事象)を防止するか、又は減少する(以下、「防止する」)。いくつかの実施形態では、システムパラメータは、第1の閾値より上に(例えば、組織に所望の治療効果をもたらすため第1の温度閾値より上に)、及び第2の閾値より下に(例えば、望ましくない組織損傷を防止するため第2の温度閾値より下に)維持される。いくつかの実施形態では、閾値は、安全余裕を含むように決定され、例えば患者の変動性、システムの変動性、許容差などを考慮する。本明細書で使用される場合、「閾値を超える」は、最大閾値を上回る、最小閾値を下回る、閾値の範囲内、及び/又は閾値の範囲外のパラメータに関する。
【0092】
本明細書に記載される場合、「室圧(room pressure)」は、本発明の概念のシステム及びデバイスを取り巻く環境の圧力を意味するものとする。正圧は、室圧より高い圧力、又は、単に別の圧力よりも大きい圧力を含み、例えば、バルブなどの流体経路構成要素を横切る正差圧である。負圧は、室圧よりも低い圧力、又は、別の圧力よりも小さい圧力を含み、例えば、バルブなどの流体構成要素経路を横切る負差圧である。負圧は、真空を含み得るが、真空よりも低い圧力を意味しない。本明細書で使用する場合、用語「真空」を用いて、完全真空、又は部分真空、あるいは、上述のような任意の負圧を示し得る。
【0093】
用語「直径(diameter)」は、本明細書で非円形の幾何学的形状を説明するために使用される場合、説明される幾何学的形状を近似する仮想的な円の直径として解釈される。例えば、構成要素の断面などの断面を説明する場合、用語「直径」は、説明されている構成要素の断面と同じ断面積を備える仮想的な円の直径を表すと解釈されるものとする。
【0094】
本明細書で使用される構成要素の「長軸(major axis)」及び「短軸(minor axis)」という用語は、構成要素を完全に取り囲むことができる最小体積の仮想的な円筒のそれぞれ長さ及び直径である。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「機能的要素(functional element)」は、機能を実行するように構築され配置された1つ以上の要素を含むと解釈される。機能的要素は、センサ及び/又はトランスデューサを含み得る。いくつかの実施形態では、機能的要素は、エネルギーを送達し、及び/又はそうでなければ組織を治療するように構成される(例えば、治療要素として構成された機能的要素)。代替的又は追加的に、機能的要素(例えば、センサを含む機能的要素)は、患者の生理学的パラメータ、患者の解剖学的パラメータ(例えば組織形状パラメータ)、患者環境パラメータ、及び/又はシステムパラメータなどの1つ以上のパラメータを記録するように構成され得る。いくつかの実施形態では、センサ又は他の機能的要素は、診断機能を実行するように(例えば、診断を実行するために使用されるデータを集めるように)構成される。いくつかの実施形態では、機能的要素は、治療機能を実行するように(例えば、治療エネルギー及び/又は治療剤を送達するように)構成される。いくつかの実施形態では、機能的要素は、エネルギーの送達、エネルギーの抽出(例えば、構成要素を冷却するため)、薬物又は他の薬剤の送達、システム構成要素又は患者の組織の操作、患者の生理学的パラメータ又はシステムパラメータなどのパラメータの記録又は感知、及びこれらの1つ以上の組み合わせからなるグループから選択される機能を実行するように構築され配置される1つ以上の要素を含む。機能的要素は、流体及び/又は流体送達システムを含むことができる。機能的要素は、拡張可能なバルーン又は他の流体維持リザーバなどのリザーバを含むことができる。「機能的アセンブリ(functional assembly)」は、診断及び/又は治療機能などの機能を実行するように構築され配置されたアセンブリを含むことができる。機能的アセンブリは、拡張可能なアセンブリを含み得る。機能的アセンブリは、1つ以上の機能的要素を含み得る。
【0096】
本明細書で使用される用語「トランスデューサ(transducer)」は、エネルギー又は任意の入力を受け取り、出力を生成する任意の構成要素又は構成要素の組み合わせを含むと解釈される。例えば、トランスデューサは、電気エネルギーを受け取り、電気エネルギーを(例えば、電極のサイズに基づいて)組織に分配する電極を含み得る。いくつかの構成では、トランスデューサは電気信号を任意の出力に変換し、例えば、光(例えば、発光ダイオード又は電球を含むトランスデューサ)、音(例えば、超音波エネルギーを送達するように構成された圧電結晶を含むトランスデューサ)、圧力(例えば、印加された圧力又は力)、熱エネルギー、極低温エネルギー、化学エネルギー、機械的エネルギー(例えば、モータ又はソレノイドを含むトランスデューサ)、磁気エネルギー、及び/又は異なる電気信号(例えば、トランスデューサへの入力信号とは異なる)に変換する。代替的又は追加的に、トランスデューサは、物理量(例えば、物理量の変動)を電気信号に変換することができる。トランスデューサは、エネルギー及び/又は薬剤を組織に送達する任意の構成要素を含むことができ、例えば、トランスデューサは、以下のうちの1つ以上を送達するように構成され、それは、組織への電気エネルギー(例えば、1つ以上の電極を含むトランスデューサ)、組織への光エネルギー(例えば、レーザ、発光ダイオード及び/又はレンズ若しくはプリズムなどの光学構成要素を含むトランスデューサ)、組織への機械的エネルギー(例えば、組織操作要素を含むトランスデューサ)、組織への音エネルギー(例えば、圧電結晶を含むトランスデューサ)、化学エネルギー、電磁エネルギー、磁気エネルギー、及びこれらの1つ以上の組み合わせである。
【0097】
本明細書で使用する場合、用語「流体(fluid)」は、液体、気体、ゲル、又は、任意の流動性物質、例えば管腔及び/又は開口部を通って推進され得る物質を指し得る。
【0098】
本明細書で使用する場合、用語「物質(material)」は、単一の物質、又は、2つ、3つ、4つ、若しくはそれより多数の物質の組み合せを示し得る。
【0099】
本発明の概念の特定の特徴は、明確にするため別個の実施形態の文脈で説明され、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよいことが理解される。反対に、本発明の概念の様々な特徴は、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明され、別個に又は任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。例えば、請求項のいずれかに記載されたすべての特徴は、(独立又は従属に関わらず)任意の所与の方法で組み合わせられ得ることが理解される。
【0100】
本発明の概念の少なくともいくつかの図及び説明は、本発明の概念の明確な理解に関連する要素に焦点を合わせるために簡略化され、明確にするために、当業者が、本発明の概念の一部分を構成し得ると理解するであろう他の要素も排除している。しかしながら、そのような要素は当技術分野でよく知られており、それらは必ずしも本発明の概念のより良い理解を容易にするわけではないため、そのような要素の説明は本明細書では提供されない。
【0101】
本開示で定義される用語は、本開示の特定の実施形態を説明するためにのみ使用され、本開示の範囲を限定することは意図されない。単数形で提供される用語は、文脈で明確に示されない限り、複数形も含むことを意図する。本明細書で使用されるすべての用語は、技術用語又は科学用語を含め、本明細書で別段の定義がない限り、関連技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義される用語は、関連する技術の文脈上の意味と同じ又は類似の意味を持つものとして解釈されるべきであり、本明細書で明確に定義されない限り、理想的又は誇張された意味を有するものとして解釈されるべきではない。場合によっては、本開示で定義される用語は、本開示の実施形態を除外するように解釈されるべきではない。
【0102】
本明細書では、患者の標的組織を治療し、例えば患者に治療効果をもたらすためのシステム、デバイス、及び方法が提供される。エネルギー送達コンソールは、1つ以上のエネルギー送達デバイスによって送達される様々な「ドーズ(dose)」のエネルギーを送達して、標的組織を切除し、壊死を引き起こし、及び/又はその他の方法で治療的に改変するように構成され得る。1つ以上のエネルギー送達デバイスは、電極及び/又は他のエネルギー送達要素を含むカテーテル及び/又は外科用ツールを含み得る。システムは、組織及び/又はエネルギー送達体積情報をユーザに提供するように構成されたディスプレイを含むユーザインタフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、複数の、相互に依存するエネルギードーズが共通の組織位置に送達され、例えば改善された治療利益を患者に提供する。初期ドーズは、高周波(RF)、熱、及び/又は他のエネルギーの送達など、組織を温めるように構成され得る。後続のドーズは、以前に温められた組織を、例えば、組織が上昇した温度(例えば、体温より高い)状態にある間に不可逆的に電気穿孔するように構成されたエネルギーのドーズを含み得る。
【0103】
ここで
図1を参照すると、本発明の概念と一致する、患者(例えば、人間又は他の生きている哺乳類)に医療処置を行うためのシステムの一実施形態の概略図が示される。医療処置は、診断処置、治療処置、又は組み合わせた診断及び治療処置を含み得る。システム10は、1つ以上のアブレーションカテーテル及び/又は他のエネルギー送達デバイスであるEDD100、1つ以上のマッピングデバイスであるマッピングカテーテル200、1つ以上のシースであるシース12、1つ以上の患者電極パッチであるパッチ60、及び/又はエネルギーを送達するコンソールであるEDC300を含み得る。EDC300は、1つ以上のデバイス100、200(例えば、2つ、3つ以上のデバイス100、200)、及び/又は1つ以上のパッチ60に動作可能に取り付けられる(例えば、電気的、機械的、流体的、音響的、及び/又は光学的に取り付けられる)。システム10は、組織(例えば、標的組織)及び/又はエネルギー送達情報、例えば、システム10によって実行された以前のエネルギー送達に関連する情報、及び/又はシステム10によって実行される、今後予想されるエネルギー送達に関連する情報をユーザに提供するように構成され得る。
【0104】
EDC300は、1つ以上の形態のエネルギーを送達する(例えば、システム10のカテーテル又は他のエネルギー送達デバイスを介して組織にエネルギーを送達する)ように構成されたコンソール又は他のデバイスを含み得る。本明細書で使用される場合、組織へのエネルギーの送達は、組織へのエネルギーの伝達(例えば、標的組織を加熱、切除、及び/又はその他、影響を与えるため)と、組織からのエネルギーの抽出(例えば、標的組織を冷却、凍結及び/又は極低温で切除するため)を含む。代替的又は追加的に、本明細書で使用される組織へのエネルギーの送達は、電場、例えば、標的組織の細胞構造を改変するのに十分な強度の電場の生成を含むものとする。例えば、組織へのエネルギーの送達は、1つ以上のパルスフィールドアブレーションのパルス(例えば、2つ以上の電極間)の送達を含み得て、1つ以上のパルスは、標的組織の細胞構造を「開く」ように構成された電場を生成する(例えば、標的組織に不可逆的に電気穿孔するため)。EDC300は、エネルギーを組織に(例えばEDD100を介して)送達して、標的組織内に病変部を形成するように、例えば、心臓の組織(本明細書では「心臓組織」とも呼ばれる)内に1つ以上の治療的病変部を形成し、患者の心房細動(AF)及び/又はその他の不整脈を治療するように構成され得る。
【0105】
EDC300は、1つ以上の形態のエネルギーをEDD100の1つ以上の電極及び/又は他のエネルギー送達要素130(本明細書では電極130とも称する)に送達し得る。
図1では、EDD100は、4つのエネルギー送達要素130、つまりEDD100の遠位端の要素である要素130a(例えば、「先端電極」)、及びより近位に取り付けられた3つの要素130である要素130b~d(例えば、「リング電極」)を、それぞれ図示のように含む。いくつかの実施形態では、EDD100は、1~64個のエネルギー送達要素130、例えば直線状又は曲線状に配置された1~12個の要素130を含む。いくつかの実施形態では、EDD100は、脈管構造の内側から(例えば、静脈又は動脈内から)エネルギーを送達するように構成されたデバイスを含む。例えば、EDD100は、心臓の脈管構造を通して前進するように、例えば心腔に近い心外膜血管内に位置決めするように構築及び配置されたデバイスを含み得る。EDD100は、ガイドワイヤと同様に構築及び配置された可撓性フィラメント(例えば、同様の寸法及び/又は可撓性を具備する)を含み得て、EDD100は、少なくとも1つのエネルギー送達要素130を含み得る。いくつかの実施形態では、EDC300は、システム10の任意の2つの電極に、及び/又は電極間にエネルギーを送達するように構成される。例えば、EDC300は、EDD100のエネルギー送達要素130と、第2のデバイス、例えば第2のEDD100(例えば、ガイドワイヤとして構成されたEDD100)及び/又はマッピングカテーテル200の電極との間にエネルギーを送達し得る。いくつかの実施形態では、EDD100は、心膜腔内に配置されるように構築及び配置される(例えば心外膜の1つ以上の部分にエネルギーを送達する)。
【0106】
いくつかの実施形態では、EDC300は、第1のエネルギードーズであるDOE1と、第2のエネルギードーズであるDOE2とを送達するように構成され得て、ドーズDOE2はドーズDOE1とは異なる(例えば、ドーズDOE1及びDOE2は、異なる種類のエネルギー、エネルギーレベル、エネルギー送達の波形、エネルギー送達の継続時間、及び/又は他の異なるエネルギーパラメータを含む)。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1及びDOE2は、それらの間のエネルギー送達パラメータに複数の差異を有する。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1が組織の第1の部分に送達され、ドーズDOE2が組織の第2の部分に送達される。組織の第1の部分と第2の部分は、組織の同じ部分であり得る(例えば、エネルギーの連続的な送達が同じ組織位置に行われる場合)。いくつかの実施形態では、組織の第1の部分の少なくとも一部は、組織の第2の部分に含まれる。
【0107】
ドーズDOE1は、標的組織(例えば、ドーズDOE1によって可逆的に変化させることが意図される組織の体積)を可逆的に変化させるエネルギーの送達を含み得て、一方、ドーズDOE2は、標的組織(例えば、ドーズDOE2によって不可逆的に変化させることが意図される組織の体積)を不可逆的に変化させるエネルギーの送達を含み得る。組織(例えば、標的組織)に対する変化、又は変化の欠如は、本明細書では、標的組織の、すべてである必要はないが大部分が受ける影響の観点から説明されるものとする。例えば、本明細書で使用される場合、「組織を可逆的に変化させる」などは、すべての、又は単に組織の大部分(例えば、標的組織の大部分)の可逆的な変化を指すことができ、言い換えると、標的組織(例えば、ドーズDOE1によって可逆的に変化することが意図された組織)の僅かな部分(例えば、30%、20%、又は10%未満)は、エネルギーの送達によって不可逆的に変化されるか、又はまったく変化されない場合があり、一方、標的組織の大部分(例えば、それぞれ少なくとも70%、80%、又は90%)は可逆的に変化される。同様に、本明細書で使用される場合、「不可逆的に変化する組織」などは、標的組織のすべて、又は単に大部分(例えば、ドーズDOE2によって変化することが意図される組織の大部分)の不可逆的な変化を指し得る。言い換えれば、標的組織の僅かな部分(例えば、30%、20%、又は10%未満)は、エネルギーの送達によって可逆的に変化されるか、まったく変化されない場合があり、一方、標的組織の大部分(例えば、それぞれ少なくとも70%、80%、又は90%)は不可逆的に変化される。
【0108】
ドーズDOE1は、本明細書に記載されるように、ドーズDOE2によって引き起こされる効果(例えば、組織効果)を増強するように構成され得る(例えば、ドーズDOE2の少なくとも一部が送達される前に、ドーズDOE1の送達が完了する場合)。
【0109】
ドーズDOE1は、送達されるエネルギーの閾値などの閾値を下回るエネルギーの送達を含み、それは標的組織(例えば、エネルギーを受け取る組織、及び、潜在的に一部の隣接する組織)を初期状態(例えば、初期の温度、圧力、細胞膜透過性のレベル、生存率レベル、健康状態、及び/又はその他の組織状態)から変化させ、その後、時間の経過により(例えば、10分以内、1時間以内、又は1日以内)、その初期状態に戻す。例えば、ドーズDOE1は、単に標的組織を体温から冷却又は加温させるエネルギーの送達を含み得て、ここで標的組織は、エネルギー送達の停止後、比較的短い時間内に体温に戻り、それは例えば、ドーズDOE1が、標的組織を切除するには不十分であり、壊死させるには不十分であり、及び/又は、その他の方法で永久的に変化させるには不十分なエネルギー送達(例えば、標的組織を切除、壊死、及び/又はその他の方法で永久的に変化させるのに不十分な振幅、周波数、持続時間、及び/又はその他のパラメータを有するRFエネルギー送達)を含む場合である。ドーズDOE1は、単極モード(例えば、EDD100のエネルギー送達要素130a及び/又は他のエネルギー送達要素130と戻り電極130’との間)で送達されるRFエネルギー、及び/又は、双極モード(例えば、EDD100の2つの送達要素130間、及び/又はシステム10の任意の2つの要素間)で送達されるRFエネルギーの送達を含み得る。ドーズDOE1は、ドーズDOE1を受け取る組織(例えば、ドーズDOE2を受け取るのと同じ組織)のパラメータ変化(例えば、温度の上昇)を引き起こす非電気エネルギー(例えば、光エネルギー、超音波エネルギー、及び/又はサーマルエネルギー)の送達を含み得る。
【0110】
ドーズDOE2は、送達されるエネルギーの閾値などの閾値を上回るエネルギーの送達を含み得て、それは、標的組織(例えば、エネルギーを受け取る組織、及び、潜在的に一部の隣接する組織)を初期状態(例えば、初期の圧力、細胞膜透過性のレベル、生存率レベル、健康状態、及び/又はその他の組織状態)から変化させ、その後、時間の経過において標的組織を初期状態に戻すことがない(例えば、4時間、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、又は2年の期間内で戻らない)。例えば、ドーズDOE2は、標的組織に不可逆的な変化、及び/又はその他の望ましい長期効果をもたらすエネルギーの送達を含み得て、例えば、ドーズDOE2が、標的組織を切除するのに十分な、壊死させるのに十分な、及び/又はその他の方法で永久的に変化させるのに十分なエネルギーレベルを含む場合である(例えば、後述するIEPドーズの形態で送達されるエネルギーであり、例えば、患者のAF又はその他の不整脈を治療するために、標的組織内に所望の病変部を生じさせるのに十分な振幅、周波数、持続時間、及び/又はその他のパラメータを有する)。
【0111】
ドーズDOE1及びDOE2は、連続して送達され得て、例えば、ドーズDOE2が、ドーズDOE1の送達完了の直後、又は少なくとも間もなく送達される場合である。いくつかの実施形態では、ドーズDOE2の送達の少なくとも一部分(例えば、ドーズDOE2の最初の部分)は、ドーズDOE1の送達の少なくとも一部分(例えば、ドーズDOE1の最後の部分)の間に、例えば重複及び/又は交互構成で送達される。
【0112】
いくつかの実施形態では、ドーズDOE2は、標的組織の不可逆的な電気穿孔を引き起こすエネルギーの送達を含む。例えば、ドーズDOE2は、「IEP」ドーズの送達を含み得る。本明細書で使用されるIEPドーズは、2つ以上の電極間に送達される1つ以上の電気パルスを含むことができ、パルスは、2つの電極に近接する組織内に電場を生成するように構成される。電気パルスのパラメータは、結果として生じる電場が、標的組織の不可逆的な電気穿孔を生じさせる一方で、組織への重大な熱損傷を回避する(例えば、組織への過剰な熱の送達が回避される)ように選択され得る。例えば、IEPドーズは、ドーズを受け取る組織の温度が50℃を超えるのを防ぐように構成され得る。いくつかの実施形態では、IEPドーズは、組織(例えば、IEPドーズを受け取る組織)に結果として生じる温度上昇を制限するように構成され、例えば、IEPドーズの影響を制限して、温度上昇が13℃、11℃、9℃、又は7℃を超えないようにする。
【0113】
いくつかの実施形態では、IEPドーズは、電極ベースのエネルギー送達要素130を備えたEDD100によって送達され、エネルギー送達要素130は少なくとも1.46mmの長さ、及び/又は8mm以下の長さを有する。いくつかの実施形態では、IEPドーズは、2つの電極ベースのエネルギー送達要素130を備えたEDD100によって送達され、2つのエネルギー送達要素130は少なくとも1mm離隔され、及び/又は11mm以下で離隔される。いくつかの実施形態では、IEPドーズは、少なくとも500V、及び/又は5000V以下の供給電圧(例えば、EDC300によって供給される)に基づいて送達される。いくつかの実施形態では、IEPドーズは、少なくとも200V/cm、及び/又は1000V/cm以下の電場強度を含む。いくつかの実施形態では、IEPドーズは、少なくとも0.1μ秒、及び/又は200μ秒以下のパルス幅を含む。いくつかの実施形態では、IEPドーズは、少なくとも1μ秒のパルス繰り返し間隔を有する一連のパルスを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明の概念のIEPドーズは、以下からなるグループから選択された1つ、2つ、3つ、又はその以上のエネルギー送達パラメータを含み、そのグループは、少なくとも50V/cm、少なくとも100V/cm、少なくとも300V/cm、又は少なくとも400V/cmの電圧勾配、8000V/cm以下、又は800V/cm以下の電圧勾配、5000V以下の振幅、2000V以下の振幅、1000V以下の振幅、少なくとも2つのパルスのセット、15個以下のパルスのセット、それぞれの持続時間が少なくとも1マイクロ秒のパルスのセット、少なくとも5マイクロ秒のIEP持続時間、30秒以内のIEP持続時間、及びそれらの組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、ドーズDOE2は、少なくとも2mm、5mm、7mm、又は10mm離れて配置された2つの電極ベースのエネルギー送達要素130の間に送達されるIEPドーズを含む。いくつかの実施形態では、IEPドーズを受け取り及び/又は送達する送達要素130のうちの1つは、EDD100の遠位端(先端)に配置される(例えば、図示の要素130a)。いくつかの実施形態では、IEPドーズを受け取り及び/又は送達する送達要素130の一方又は両方は、形状が円形の電極(例えば、リング電極)を含む。いくつかの実施形態では、IEPドーズを受け取り及び/又は送達する送達要素は、複数のデバイス上に配置される1セットの電極を含み、例えば、EDD100上に配置される第1のエネルギー送達要素130と、システム10の別のデバイス(例えば、マッピングカテーテル200及び/又はガイドワイヤとして構成された第2のEDD100)上に配置される第2のエネルギー送達要素である。
【0115】
いくつかの実施形態では、ドーズDOE2は、IEPドーズを含み、ドーズDOE1は、標的組織を加温する(例えば、ドーズDOE2の送達前に実行される組織を加温する)エネルギー(例えば、RFエネルギー)の送達を含む。ドーズDOE1によって引き起こされる加温は、1つ以上の利点をもたらし得て、例えば、エネルギー送達を成功させる(病変部形成を成功させる)ための、ドーズDOE2のIEPドーズの必要とされる振幅の減少、IEPドーズの持続時間の短縮、IEPドーズの頻度の変更、IEPドーズの波形形状の変更、及び/又は、IEPドーズの効力(切除効果)の改善である。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1は、ドーズを受け取る組織を、少なくとも2℃、例えば少なくとも3℃又は少なくとも4℃上昇させるように構成される。
【0116】
いくつかの実施形態では、ドーズDOE2は、1対以上の電極ベースのエネルギー送達要素130によって送達されるIEPドーズを含み、例えば、各対の要素130のうちの一方がカソードとして構成され、他方がアノードとして構成されている場合である。システム10(EDC300など)は、(例えば本明細書に記載されるアルゴリズム335を介して)どの要素130がIEPドーズを送達し(例えば、3つ以上の要素130のセットのどの対か)、及び、どの要素130がカソードであり、どれがアノードであるかを選択するように構成され得る。いくつかの実施形態において、先端に配置された要素130(例えば、シャフト110の遠位端に配置された、
図1の要素130a)はカソードとして構成され、より近位の要素130(例えばリング電極で、
図1の要素130b~dの1つ以上など)がアノードとして構成される。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1及び/又はDOE2は、アノードとして構成された1つ以上の要素130と、カソードとして構成された1つ以上の要素130とを含む1対の電極の間で、電気エネルギーの送達を含む。例えば、システム10(1つ以上のEDD100など)は、アノード、カソード、又はその両方として機能するように構成された複数のエネルギー送達要素130を含み得る。
【0117】
ドーズDOE2は、ドーズを受け取る組織のインピーダンスがシステム10によって監視されている間に送達されるIEPドーズを含み得て、例えば、システム10が(例えば、インピーダンスレベルに基づいて)閉ループ構成でIEPドーズを送達する場合、及び/又は標的組織の不可逆的な電気穿孔の成功がインピーダンス測定によって確認された場合(そして、システム10は確認によりIEPドーズの送達を自動的に停止する場合など)である。
【0118】
ドーズDOE1及び/又はDOE2は、1つ以上のエネルギー送達要素130によって、1つ以上のタイプの標的組織に送達され得て、標的組織は、例えば、心臓組織(心筋組織又は「心筋」など)、神経組織、血管壁組織、及び/又は任意の器官組織である。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1及び/又はDOE2は、心臓組織、神経組織、血管壁組織、器官組織、脳組織、肺組織、腎臓組織、肝臓組織、胃組織、筋肉組織、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択された組織に送達されるように構成され得る。ドーズDOE1及び/又はDOE2は、器官の表面(例えば、心臓の心内膜及び/又は心外膜表面)、及び/又は器官の固形組織内(例えば、心臓壁組織内などの表面下、及び/又は別のタイプの器官の表面下及び固形組織内など)に送達され得る。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1及び/又はDOE2は、血液又は非標的組織とみなされる他の組織への悪影響を回避するように構成される。
【0119】
EDC300は、エネルギー送達モジュールを含み得て、モジュール360として示され、それはEDD100に切除エネルギーを供給する(例えば、ドーズDOE1及びDOE2のエネルギー及び/又は他のエネルギーを、1つ以上の電極及び/又は他のエネルギー送達要素を含む1つ以上のエネルギー送達要素130に供給する)ように構成されるエネルギー送達モジュールである。エネルギー送達モジュール360は、患者インタフェースユニットである、PIU310(本明細書に図示され説明される)、又はその他を介してEDD100にエネルギーを供給し得る。本明細書に記載されるように、モジュール360によって供給されるエネルギーは、以下からなるグループから選択されるエネルギー形態を含み得て、そのグループは、熱エネルギー又は極低温エネルギーなどのサーマルエネルギー、高周波(RF)エネルギー及び/又はマイクロ波エネルギーなどの電磁エネルギー、レーザによって供給される光エネルギーなどの光エネルギー、亜音速エネルギー又は超音波エネルギーなどの音エネルギー、化学エネルギー(例えば、医薬品又は他の薬剤によって送達されるものなど)、及びこれらの組み合わせからなる。エネルギー送達モジュール360は、以下からなるグループから選択されるエネルギー送達モジュールを含み得て、そのグループは、RF発生器、光エネルギー送達ユニット、極低温エネルギー送達ユニット、超音波エネルギー送達ユニット、マイクロ波エネルギー送達ユニット、電気穿孔エネルギー送達ユニット、及びこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、エネルギー送達モジュール360は、RF切除エネルギーを1つ以上のエネルギー送達要素130に供給するように構成されたRF発生器を含む(すなわち、各エネルギー送達要素130が電極を含む場合)。ドーズDOE1及びDOE2は、類似又は異なる形態のエネルギー(例えば、RFエネルギー及び別の形態のエネルギー)を含み得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、EDC300は、1つ以上の機能要素、例えば、本明細書に示され説明される機能要素309を含む。
【0121】
EDD100は、エネルギーを送達するように構成された1つ以上のデバイスを含み得て、例えば、それぞれがカテーテル、外科用ツール、腹腔鏡ツール、及び/又は内視鏡ツールを備える1つ、2つ又はそれ以上のエネルギー送達デバイスである。EDD100は、近位端111を含むシャフト110、典型的には可撓性シャフトを含み得る。EDD100は、示される遠位部分102を含む。オペレータ把持可能部分であるハンドル120は、シャフト110の近位端111に配置され得る。ハンドル120は、図示のコントロール121などの、1つ以上のコントロール(例えば、1つ以上のボタン、スイッチ、レバーなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、EDD100の遠位部分102は、本明細書に記載される
図8のEDD100の遠位部分と同様に構築及び配置される。
【0122】
EDD100は、組織にエネルギーを送達するように構成された1つ以上の要素を含み、例えば、
図1に示されるエネルギー送達要素130a~dである。いくつかの実施形態では、1つ以上のエネルギー送達要素130は、第1のエネルギードーズであるドーズDOE1(例えば、EDC300によって供給され、本明細書に記載されるように、単極又は双極配置で送達されるRFエネルギーなど)を送達するように構成され、1対のエネルギー送達要素130は、第2のエネルギードーズであるドーズDOE2(例えば、これもEDC300によって供給され、本明細書に記載される)を送達するように構成される。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1及びドーズDOE2は、同じセットの構成要素(例えば、同じ対の要素130)によって送達される。代替的に、ドーズDOE1を送達するために使用されるエネルギー送達要素130は、ドーズDOE2を送達するために使用される要素130のセットに含まれず、又はその逆も同様である。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1は、1つ以上のエネルギー送達要素130(例えば、少なくとも要素130a)によって送達され、ドーズDOE2は、少なくとも2つのエネルギー送達要素130(例えば、少なくとも要素130a及び1つ以上の要素130b~d)によって送達される。
【0123】
各エネルギー送達要素130は、以下からなるグループから選択される1つ、2つ以上の形態のエネルギーを送達するように構成された1つ以上の要素を含み得て、そのグループは、熱エネルギー又は極低温エネルギーなどのサーマルエネルギー、高周波(RF)エネルギー及び/又はマイクロ波エネルギーなどの電磁エネルギー、レーザによって供給される光エネルギーなどの光エネルギー、亜音速エネルギー又は超音波エネルギーなどの音エネルギー、化学エネルギー、及びこれらの組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエネルギー送達要素130は、以下からなるグループから選択される少なくとも2つの形態のエネルギーを送達するように構成され、そのグループは、熱エネルギー又は極低温エネルギーなどのサーマルエネルギー、高周波(RF)エネルギー及び/又はマイクロ波エネルギーなどの電磁エネルギー、レーザによって供給される光エネルギーなどの光エネルギー、亜音速エネルギー又は超音波エネルギーなどの音エネルギー、化学エネルギー、及びこれらの組み合わせからなる。エネルギー送達要素130は、EDD100の遠位部分、図示ではデバイスの遠位部分102上に配置された1つ以上のエネルギー送達要素を含み得る。エネルギー送達要素130は、EDD100の遠位端に、「先端電極」構成で配置された少なくとも1つのエネルギー送達要素(例えば、少なくとも1つの電極、光エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの光学要素、及び/又は少なくとも1つの極低温流体送達要素)を含み得る。いくつかの実施形態では、EDD100は、2つ、3つ、又はそれ以上のエネルギー送達要素130を含み得て、例えば、単極及び/又は双極の電磁(例えばRF)エネルギーを送達して、標的組織を加熱、切除、及び/又は治療的に影響を与える(例えば、標的組織に所望の病変部を形成する)ように構成された複数の電極である。1つ以上のエネルギー送達要素130は、それぞれ電極を含み得て、例えば、高周波(RF)及び/又は他の電磁エネルギーを送達するように構成された電極である。2つ以上のエネルギー送達要素130は、不可逆的な電磁穿孔のエネルギーのパルス(例えば、本明細書に記載されるようにEDC300によってドーズDOE2として供給されるような)を送達する1対の電極として構成され得る。エネルギー送達要素130は、EDD100の端部に配置された1つ以上の電極(
図1に示される要素130aなど)を含み得る。エネルギー送達要素130は、
図1及び
図8に示されるような、エネルギー送達要素のアレイ(電極のアレイなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、エネルギー送達要素130は、戻り電極パッドを含み、
図1では電極130’で示される。電極130’は、EDD100の1つ以上の要素130の間でエネルギーを送達するための(例えば、EDD100による単極RFエネルギーの送達のため)戻り電極として構成された電極を含み得る。いくつかの実施形態では、対として構成された2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のエネルギー送達要素130(双極エネルギー送達の対など)は、別個のデバイス上に配置され得て、例えば、第1のエネルギー送達要素130はEDD100上に配置され、第2のエネルギー送達要素130はガイドワイヤとして構成された第2のEDD100上に配置される(心外膜血管内に配置される第2のEDD100などで、
図17を参照して以下に説明する)。
【0124】
いくつかの実施形態では、EDD100は、組織にエネルギーを送達するための2つ以上のデバイスを含み、例えば、1つ以上のエネルギー送達要素130を含む第1のEDD100’、及び1つ以上のエネルギー送達要素130を含む第2のEDD100”(EDD100’及び100”は図示されていないが、それぞれ1つ以上の送達要素130を含む同様又は異なるエネルギー送達デバイス)である。これらの実施形態では、ドーズDOE1及び/又はドーズDOE2は、EDD100’の要素130とEDD100”の要素130との間に送達されるドーズを含み得る。例えば、RFエネルギードーズ及び/又はIEPドーズは、心臓の心内膜表面上の位置に配置されたEDD100’の要素130と、心臓の心外膜表面上の位置(例えば、EDD100’の要素130の心内膜表面位置に比較的近い心外膜表面位置)に配置されたEDD100”の要素130との間に送達され得る。
【0125】
EDD100は、力(例えば、組織とEDD100の1つ以上の部分との間の力)を測定、監視、反応、及び/又は維持するように構成されたアセンブリ、例えば、図示の力維持アセンブリ150を含み得る。力維持アセンブリ150は、ハンドル120内、シャフト110の一部分内(例えば、EDD100の遠位部分102内)、及び/又はシャフト110の遠位端上(例えば、図示のEDD100の遠位部分102内)に配置され得る。力維持アセンブリ150は、力を供給するか、又は維持するように構成された1つ以上の要素、図示及び本明細書で説明される力維持要素160を含み得る。例として、そのような力維持要素160は、油圧要素、ばね、磁石、圧縮性流体、記憶材料などのうちの1つ以上であり得て、又はそれらを含み得る。力維持要素160は、EDD100の遠位端、近位端、若しくは中間部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせに配置され得る。力維持アセンブリ150はまた、1つ以上の感知要素、図示の感知要素158を含み得て、それは1つ以上のセンサ(例えば、近接センサ)の形態をとることができ、及び/又は1つ以上のセンサ(例えば、近接センサ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、力維持アセンブリ150は、2019年3月22日に出願された「Ablation System with Force Control」と題する、出願人の同時係属中の米国特許出願第16/335,893号に記載されているのと同様の構築及び配置と、同様の構成要素を含む。
【0126】
力維持アセンブリ150は、アセンブリ150が遠位部分102と位置合わせされる場合などに、シャフト110と軸方向に位置合わせされ得る(例えば、力維持アセンブリ150の長軸は、遠位部分102の中心軸と位置合わせされる)。力維持アセンブリ150は、機械的衝撃を吸収するように構成され得る。代替的又は追加的に、力維持アセンブリ150は、1つ以上のエネルギー送達要素130がエネルギーを送達するために配置される心臓壁又はその他の心臓組織の動きに対して、動的に(例えば、動的かつ自動的に)反応するように構成され得る(例えば、心臓切除処置において心内膜表面の動きに手動で反応する臨床医への依存を避ける)。力維持アセンブリ150は、高周波及び/又は低周波の動き、様々な動きの範囲などを許容し、及び/又は補償し得る。力維持アセンブリ150は、「移動距離」(「圧縮距離」とも呼ばれ、力が印加されたときに力維持アセンブリ150が圧縮する距離に等しい)にわたり、予め決められた最大距離(「最大圧縮距離」又は「最大移動距離」)まで圧縮するように構成され得て、例えば、0.1mm~10mmの長さを含む最大距離、0.1mm~5mmの長さを含む最大距離、及び/又は、いくつかのその他の所定の距離範囲及び/又は限界である。
【0127】
力維持アセンブリ150は、移動距離の全体又は一部分にわたって所定の力範囲、例えば、所定の一定及び/又は可変の力(0.1gmf~100gmf、5gmf~30gmf、及び/又は10gmf~30gmfの間の力)を供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、力維持アセンブリ150は、移動距離の全体又は一部分にわたって比較的一定の力、例えば0.1gmf~100gmfの間で、5gmf~30gmfの間、又は10gmf~30gmfの間などの所定の一定の力を供給するように構成される。加えて、又は代替的に、いくつかの実施形態では、力維持アセンブリ150は、移動距離の全体又は一部分にわたって可変力、例えば、所定の力の範囲(圧縮量に比例する力の範囲など)内で変化する可変力を供給するように構成される。例えば、力維持アセンブリ150は、5gmf~30gmfの間で変化する力、例えば10gmf~30gmfの間で変化する力を加えるように構成され得る。
【0128】
上記で説明したように、力維持アセンブリ150は、1つ以上の感知要素又はセンサ、図示の感知要素158などを含み得て、それは力維持アセンブリ150の圧縮量に相関する信号を生成するように構成され得る。加えて、又は代替的に、感知要素158は、力維持アセンブリ150の最大圧縮(圧縮中に達成される最大力など)に相関する信号を生成するように構成され得る。
【0129】
エネルギー送達要素130は、力維持アセンブリ150がシャフト110内に配置される場合など、シャフト110の遠位端に配置され得る。あるいは、エネルギー送達要素130は、力維持アセンブリ150の遠位端に配置され得る。
【0130】
EDD100は、心臓の心房の切除(例えば、1つ以上の病変部を形成して心房細動又は右心房粗動を治療するため)及び/又は心臓の心室の切除(例えば、心室頻拍を治療するため)に構成され得る。心房の切除の場合、力維持アセンブリ150は、第1の最大圧縮距離、例えば、10mm以下、5mm以下、又は3mm以下の距離で構成され得る。代替的に、心室の切除の場合、力維持アセンブリ150は、第2の最大圧縮距離、例えば、第1の最大圧縮距離よりも大きい距離で、第1の最大圧縮距離より少なくとも1mm大きい距離などを備えて構成され得て、第2の(心室)最大圧縮距離は少なくとも3mm又は少なくとも6mmである。いくつかの実施形態では、第1の(心房)最大圧縮距離は、約2~3mmの距離を含む。いくつかの実施形態では、第2の(心室)最大圧縮距離は、約4~6mmの距離を含む。
【0131】
システム10は、少なくとも第2のエネルギー送達デバイスであるEDD100’、例えば心臓の心房及び/又は心室で使用するように構成された第2のEDD100’を含み得る(例えば、EDD100’は、患者の血管系及び患者の心腔に挿入するためのカテーテルを含む)。いくつかの実施形態では、第1のEDD100は、心房で使用する(そして、例えば心室では使用しない)ように構成され、第2のEDD100’は、心室で使用する(そして、例えば心房では使用しない)ように構成される。これらの実施形態では、第1のEDD100は、第2のEDD100’内に配置された力維持アセンブリ150の最大圧縮距離と比較して、より短い最大圧縮距離を含む力維持アセンブリ150を含み得る。いくつかの実施形態では、ドーズDOE2は、IEPドーズが5kV以下の電圧に基づく場合など、患者の心臓の心室に有効な病変部を形成するように構成されたIEPパルスを含む。いくつかの実施形態では、ドーズDOE2は、IEPドーズが2kV以下の電圧に基づく場合など、患者の心臓の心房に有効な病変部を形成するように構成されたIEPパルスを含む。
【0132】
EDD100は、図示のマッピング電極135である1つ以上の電極を含み得て、それは生体電位情報(例えば、心臓の電気活動データなど)を記録し、及び/又は位置情報(例えば、患者の解剖学的構造内のEDD100の位置に関するデータ)を記録するように構成され得る。マッピング電極135は、図示のように、EDD100の遠位部分102上に配置された1つ以上の電極を含み得る。マッピング電極135は、リング電極を含み得る。いくつかの実施形態では、マッピング電極135は、少なくとも1つのセンサ又は感知要素(本明細書では「センサ」)を含み、例えば、電極ベースのセンサ及び/又は非電極ベースのセンサ(例えば、光センサ、温度センサ、pHセンサ、血液センサなどの生理学的センサ、血液ガスセンサなど)である。いくつかの実施形態では、1つ以上のマッピング電極135及び1つ以上のエネルギー送達要素130は、同じ構成要素を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のマッピング電極135は、戻り電極(IEPパルス用の戻り電極など)として構成され得る。
【0133】
EDD100は、EDC300に動作可能に取り付けられるように構成される。EDD100は、1つ以上のワイヤ、フィラメント、及び/又は他の導管である導管125、ならびに1つ以上の取り付けられたコネクタであるコネクタ126を含む。コネクタ126は、EDC300の相手側コネクタであるコネクタ301bに動作可能に取り付けられる(例えば、少なくとも電気的に取り付けられる)。導管125は、1つ以上のワイヤ又は導電性トレース(本明細書では「ワイヤ」)、光ファイバ、チューブ(例えば、油圧、空気圧、灌注又は他の流体送達チューブ)、導波管、及び/又は機械的連結(例えば、平行移動フィラメント)を含み得て、これらのそれぞれを使用して、EDC300の1つ以上の構成要素をEDD100の1つ以上の構成要素に動作可能に取り付けることができる。
【0134】
システム10は、1つ以上の機能要素、例えば、
図1に示され本明細書で詳細に説明された機能要素119、129、219、229、及び/又は309を含み得る。機能要素119、129、219、229、及び/又は309はそれぞれ、本明細書に記載されるように、1つ以上のセンサ及び/又は1つ以上のトランスデューサを含み得る。いくつかの実施形態では、機能要素119、129、219、229、及び/又は309は、以下からなるグループから選択されるトランスデューサを含み、そのグループは、加熱要素、冷却要素、振動トランスデューサ、超音波トランスデューサ、電極、光送達要素、薬物又は他の薬剤送達要素、及びこれらの1つ以上の組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、機能要素119、129、219、229、及び/又は309は、以下からなるグループから選択されるセンサを含み、そのグループは、生理学的センサ、血圧センサ、血液ガスセンサ、圧力センサ、歪みゲージ、力センサ、化学センサ、インピーダンスセンサ、磁気センサ、電極、変位センサ(例えば、力維持アセンブリ150が圧縮される距離を決定するように構成されたセンサ)、流量センサ、及びこれらの1つ以上の組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、機能要素129及び/又は229は、フィードバックを提供し、及び/又はユーザにシステム10の1つ以上の構成要素の状態(例えば、望ましくない状態が存在するとき)を警告するように構成された機能要素を含む。機能要素129及び/又は229は、触覚トランスデューサ、LED光源などの光源、スピーカなどのオーディオトランスデューサ、及びこれらの1つ以上の組み合わせからなるグループから選択される要素を含み得る。
【0135】
システム10のマッピングカテーテル200は、シャフト210を含み、それは典型的には、1つ以上の管腔を含む可撓性シャフトである。バスケットアセンブリ230は、図示のように遠位端213上に配置されるか、又はシャフト210の少なくとも遠位部分上に配置される。オペレータ把持可能部分であるハンドル220は、シャフト210の近位端211に配置される。ハンドル220は、図示のコントロール221などの1つ以上のコントロールを含み得る。
【0136】
バスケットアセンブリ230は、拡張可能なアセンブリを含み得て、例えば、半径方向に拡張されるか、又は圧縮された状態に弾性的に付勢され、そしてそれぞれ対応して圧縮されるか、又は拡張されるように構成されたアセンブリであり、この圧縮及び拡張は、コントロール221を介して、シースの遠位端から前進させることによって(半径方向に拡張する)、及び/又は、シース12などのシース内に引き込まれることによって(半径方向に圧縮する)行われる。バスケットアセンブリ230は、フィラメントのアレイであるスプライン231を含み、これは、弾性的に付勢された(例えば、拡張状態及び/又は圧縮状態で付勢された)金属(ステンレス鋼及び/又はニッケルチタン合金など)及び/又はプラスチックフィラメントを含み得る。バスケットアセンブリ230は、スプライン231に結合される複数の電極である電極232を含み得る。加えて、又は代替的に、バスケットアセンブリ230は、スプライン231に結合することもできる複数の超音波トランスデューサであるトランスデューサ233を含み得る。いくつかの実施形態では、バスケットアセンブリ230及び/又はマッピングカテーテル200は、2022年2月17日に出願された「Device and Method For the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」と題する出願人の同時係属中の米国特許出願第17/673,995号、及び/又は、2019年1月8日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board(PCB)Electrical Pathways」と題する出願人の同時係属中の米国特許出願第16/242,810号に記載されている同様の構成要素と同様の構築及び配置である。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極232及び/又は超音波トランスデューサ233は、追加的又は代替的に、本明細書に記載されるような生理学的センサ及び/又は他のセンサなどのセンサを含む。
【0137】
システム10のマッピングカテーテル200は、本明細書に図示され説明される機能要素219、229などの1つ以上の機能要素を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能要素219及び/又は229は、バスケットアセンブリ230上(例えば、1つ以上のスプライン231上)に配置される。
【0138】
マッピングカテーテル200は、EDC300に動作可能に取り付けられるように構成され得る。マッピングカテーテル200は、それぞれ示されるように、1つ以上のワイヤ、フィラメント、及び/又は他の導管である導管225、ならびに1つ以上の取り付けられたコネクタであるコネクタ226を含み得る。コネクタ226は、EDC300の相手側コネクタであるコネクタ301aに動作可能に取り付けられる(例えば、少なくとも電気的に取り付けられる)。導管225は、1つ以上のワイヤ、光ファイバ、チューブ(例えば、油圧、空気圧、灌注又は他の流体送達チューブ)、導波管、及び/又は機械的連結(例えば、平行移動フィラメント)を含み得て、これらのそれぞれを使用して、EDC300の1つ以上の構成要素をマッピングカテーテル200の1つ以上の構成要素に動作可能に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、EDC300は、2つ、3つ、又はそれ以上の相互接続された別個の構成要素を含み、それぞれが、システム10の1つ以上の他の構成要素(例えば、EDD100及び/又はマッピングカテーテル200)に動作可能に取り付けられるように構成される。例えば、EDC300は、マッピングカテーテル200に動作可能に取り付けられて、本明細書に記載されるシステム10の1つ以上のマッピング機能を実行するように構成された第1の構成要素と、EDD100に動作可能に取り付けられて、本明細書に記載されるようにEDD100にエネルギーを送達するように構成された第2の構成要素とを含み得る。これらの別個の構成要素は、相互に(例えば、イーサネットあるいは他のデータ及び/又は電力伝送機構を介して)動作可能に接続され得て、及び/又は各構成要素は、第1の構成要素と第2の構成要素との間のインタフェースを設けるように構成された第3の構成要素に動作可能に接続され得る。
【0139】
システム10は、1つ以上のパッチ電極である、図示のパッチ60を含み得て、これは、患者の皮膚に取り付け(例えば接着により取り付け)、患者を介して電気信号を送信し、及び/又は患者から電気信号を受信するように構成された標準的な皮膚電極、及び/又は他の電極を含み得る。いくつかの実施形態では、パッチ60は、患者の心電図(ECG)を記録するように、及び/又はシステム10の位置特定信号を送信及び/又は受信するように構成される。各パッチ60は、EDC300に動作可能に取り付けられる(例えば、少なくとも電気的に取り付けられる)ように構成され得る。各パッチ60は、1つ以上の導管である導管65(1つ以上のワイヤなど)、及び1つ以上の取り付けられたコネクタであるコネクタ66を含み得る。コネクタ66は、EDC300の相手側コネクタであるコネクタ301cに動作可能に取り付けられる。
【0140】
EDC300は、1つ以上の内部構成要素を含み、それは、1つ以上のエネルギー送達デバイスであるEDD100、1つ以上のマッピングカテーテル200、及び/又は1つ以上のパッチ60を制御し、及び/又はそれらとインタフェースするように構成される。EDC300は、1つ以上のワイヤ、フィラメント、及び/又は他の導管である導管302、例えば302a、302b、及び/又は302cを含み、これらはコネクタ301a、301b、及び/又は301cを介して、1つ以上のEDD100、1つ以上のマッピングカテーテル200、及び/又は1つ以上のパッチ60とそれぞれに動作可能に接続する(例えば、少なくとも電気的に接続する)。導管302は、1つ以上のワイヤ、光ファイバ、チューブ(例えば、油圧、空気圧、灌注又は他の流体送達チューブ)、導波管、及び/又は機械的連結(例えば、平行移動フィラメント)を含み得る。
【0141】
EDC300は、患者インタフェースユニットであるPIU310を含み得る。PIU310は、それぞれ本明細書で詳細に説明される構成要素320、330、340、350、360、及び/又は370のうちの1つ以上に、例えば、図示のバス305を介して接続され得る(例えば、少なくとも電気的に接続され得る)。バス305は、給電し、データを送信し、及び/又はデータを受信するように構成された1つ以上のワイヤ、光ファイバ、及び/又は他の導管を含み得る。いくつかの実施形態では、バス305は、本明細書に記載されるような油圧作動液、灌注流体、及び/又は他の流体を供給するように構成された1つ以上の流体送達チューブを含む。PIU310は、構成要素340、350、360、及び/又は370に動作可能に取り付けられ、電力、データ、流体、及び/又は機械的連結が、PIU310と、EDD100、マッピングカテーテル200、及び/又はパッチ60のうちの1つ以上との間を通過できるようにし得る。いくつかの実施形態では、PIU310は、EDC300の2つ以上のモジュール間の望ましくない電気的相互作用を低減し得る。例えば、PIU310は、1つ以上のフィルタ(1つ、2つ以上の並列LCノッチフィルタ及び/又はローパスフィルタなど)を含み得て、これはマッピングモジュール(マッピングモジュール350又はシステム10の他のマッピングモジュールなど)とRF発生器(エネルギー送達モジュール360又はシステム10の他の電磁エネルギー送達モジュールなど)との間の電気的干渉、例えば、患者に送信され、患者から受信される信号からの干渉を低減するように構成される。PIU310は、以下からなるグループから選択される1つ以上の構成要素を含み得て、このグループは、フィルタ、変圧器、バッファ、増幅器、パススルー(例えば、PIU310によりフィルタされず、又はそれ以外で変更されない導管、例えば流体導管)、及びこれらの1つ以上の組み合わせからなる。いくつかの実施形態において、PIU310は電気保護回路を含み、これは、EDC300を高エネルギー信号、例えば患者に送達される除細動パルス及び/又はRF切除エネルギーによって引き起こされる損傷から保護するように構成される。
【0142】
EDC300は、1つ、2つ、又はそれ以上のインタフェースである、図示のユーザインタフェース320を含み得て、各インタフェース320は、システム10のユーザに、及び/又はシステム10のユーザから、情報を提供及び/又は受信するように構成され得る。ユーザインタフェース320は、1つ、2つ、又はそれ以上のユーザ入力及び/又はユーザ出力構成要素を含み得る。例えば、ユーザインタフェース320は、ジョイスティック、キーボード、マウス、タッチスクリーン、及び/又は別のヒューマンインタフェースデバイスで、図示ではユーザ入力デバイス321を含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース320は、同じく図示のディスプレイ322などのディスプレイを含む。プロセッサ330は、ディスプレイ322上に表示されるグラフィカルユーザインタフェースである、GUI325を提供し得る。
【0143】
EDC300は、信号処理アセンブリであるプロセッサ330を含み得る。プロセッサ330は、少なくとも1つのマイクロプロセッサ、コンピュータ、及び/又は別の電子コントローラを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ330は、コントローラ、コントローラに結合されたメモリ、及び1つ、2つ、又はそれ以上のアルゴリズムで、図示のアルゴリズム335を含む。プロセッサ330のメモリは、コントローラがアルゴリズム335を実行するための命令を記憶するように構成され得る。プロセッサ330は、アルゴリズム335を介して、本明細書に記載されるシステム10のプロセス及び/又は機能のうちの1つ以上を実行(例えば、その性能をガイド及び/又は制御)し得る。プロセッサ330は、ディスプレイ322上に表示されるグラフィカルユーザインタフェースであるGUI325を設けることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ330は、ユーザがGUI325を介してシステム10に入力する1つ以上のコマンドに応答してプロセスを実行するように構成される。プロセッサ330は、信号、例えばEDD100及び/又はマッピングカテーテル200の1つ以上のセンサ(本明細書に記載)からの信号を受信し得る。プロセッサ330は、受信信号に対して1つ以上の数学的演算を実行し、EDD100によって組織に加えられる力、力維持アセンブリ150の圧縮量、EDD100の向き、EDD100の一部分の心臓組織への近接性、及び/又はEDD100の一部分と心臓組織との間の接触のレベル若しくは質の、定量的又は定性的測定に相関する結果を生成するように構成され得る。1つ以上の数学的演算は、以下からなるグループから選択された関数の演算を含み得て、そのグループは、算術演算、統計演算、線形関数及び/又は非線形関数、時間の関数としての演算、空間又は距離の関数としての演算、閾値との比較、範囲との比較。及びこれらの1つ以上の組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、アルゴリズム335は、機械学習又はその他の人工知能(AI)アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、アルゴリズム335は、力維持アセンブリ150を監視、評価及び/又は制御(本明細書では「制御」)する(例えば、力維持アセンブリの1つ以上のパラメータを、閉ループ又は半閉ループ構成において調整する)ように、例えば、センサ信号に基づき制御するように構成される。いくつかの実施形態において、アルゴリズム335は、EDD100によって組織(例えば、標的組織)に加えられる接触、力、又は圧力の少なくとも1つを決定及び/又は評価するように構成される。いくつかの実施形態にでは、アルゴリズム335は、システム10の1以上のセンサから受けた1つ以上の信号、例えば、エネルギー送達要素の温度、エネルギー送達要素の周囲及び/又は近接する組織の温度、組織へのエネルギー送達の持続時間、組織に送達されるエネルギーのレベル、組織に加えられる力及び/又は圧力、ならびにこれらの1以上の組み合せに相関する信号を処理する。アルゴリズム335は、これらの信号に基づいてエネルギー送達を変更するように構成され、例えば、十分なパラメータレベルの組み合せに到達したとき、例えば、十分な時間にわたって十分な圧力で十分なエネルギー送達に到達したときに、エネルギー送達を停止させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム10は、増大されたエネルギーレベルを送達して、組織(標的組織など)へのエネルギー送達の持続時間を減少させるように構成される。代替的、又は追加的に、システム10は、組織へのエネルギー送達の持続時間を増大させて、エネルギー送達のエネルギーレベルを相対的に減少させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム10は、1つ以上のエネルギー送達要素130と組織との間の力を(例えば、閉ループ方式において)制御し、エネルギー送達の持続時間及び/又はエネルギー送達のレベル(電圧レベル、電流レベル及び/又は電力レベルなど)のうちの1以上を調整する。いくつかの実施形態において、システム10は、エネルギー送達の持続時間及び/又はエネルギー送達のレベルを、1つ以上のエネルギー送達要素130と組織との間の力の測定されたレベル、及び/又は制御されたレベルに基づいて調整する。
【0144】
いくつかの実施形態では、アルゴリズム335(例えば、AIアルゴリズム)は、EDC300によるEDD100へのエネルギーの送達を規定、調整、及び/又は制御し、例えば、ドーズDOE1及び/又はDOE2を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、アルゴリズム335は、ドーズDOE1及び/又はDOE2の送達を(閉ループ構成において)変更するように構成され、例えば、変更を患者の組織インピーダンス及び/又は他の生理学的パラメータに基づいて行うように構成される。いくつかの実施形態では、アルゴリズム335は、以前に送達されたドーズDOE1に関連するパラメータ(例えば、測定されたパラメータ)に基づいてドーズDOE2を変更するように構成される。
【0145】
アルゴリズム335は、
図10~
図11を参照して本明細書で説明されるように、EDD100の配向角度を決定するように構成され得て、例えば、決定は、システム10のセンサによって、及び/又は個別の撮像装置によって提供されるデータに基づく。
【0146】
アルゴリズム335は、
図10~
図13を参照して本明細書で説明されるように、電場強度を決定するように、例えば、パルスフィールドアブレーションを実行するために使用される電場の場強度を決定するように構成され得る。
【0147】
アルゴリズム335は、
図10~
図13を参照して本明細書で説明されるように、病変部情報、例えば、形成される病変部の予測サイズ(長さ、幅、深さ、及び/又は体積など)を提供するように構成され得る。
【0148】
EDC300は、流体送達モジュールである図示のモジュール370を含み得て、それは、図示のようなPIU310を介して、EDD100及び/又はマッピングカテーテル200に流体(例えば、本明細書に記載の油圧作動液及び/又は灌注流体)を送達するように構成され得る。代替の実施形態では、流体送達モジュール370は、PIU310を通過することなく、EDD100及び/又はマッピングカテーテル200に接続される。流体送達モジュール370は、1つ以上の流体送達デバイス(例えば、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、重力送給流量コントローラ及び/又は他の流体推進デバイス)を含み得て、これは生理食塩水及び/又は他の流体である図示の流体70の1つ以上の供給源に取り付けられ得る。
【0149】
流体70は、既知の導電率(例えば、比較的低い導電率及び/又は血液の導電率より少なくとも低い導電率)の流体、例えば、電流を操作するため及び/又は電磁場を操作するために(例えば、標的組織のパルスフィールドアブレーションを引き起こすためのエネルギーの送達中などに、1つ以上の電極を取り囲むため)送達される流体を含み得る。
【0150】
EDC300は、力維持モジュールである図示のモジュール340を含み得る。力維持モジュール340は、システム10がEDD100によって組織に加えられる力を調整することを可能にする信号を提供するように、例えば、力維持アセンブリ150に制御信号を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、力維持モジュール340は、例えば閉ループ構成において、EDD100に(流体送達モジュール370を介してなどで)油圧作動液の供給を送達及び/又は少なくとも制御(例えば、その圧力を制御)するように構成される。
【0151】
いくつかの実施形態では、力維持モジュール340は、1つ以上の電極130と組織との間の力を自動的に調整し、例えば、標的組織のパルスフィールドアブレーション中に所望の電場を形成するように構成される。
【0152】
EDC300は、マッピングモジュールである図示のモジュール350を含み得る。いくつかの実施形態では、マッピングモジュール350は、超音波情報を記録及び/又は処理するように構成されたモジュール、例えば、図示の超音波モジュール351を含む。いくつかの実施形態では、マッピングモジュール350は、生体電位情報を記録及び処理するように構成されたモジュール、例えば図示の生体電位モジュール352を含む。マッピングモジュール350は、エネルギー及び/又は信号をEDD100、マッピングカテーテル200、及び/又はパッチ60に、PIU310(図示)などを介して送信できる。マッピングモジュール350は、1つ以上の信号を患者に送信し(例えば、1つ以上のパッチ60を介して)、例えば、患者内に位置特定場を生成するように構成され得る。更に、マッピングモジュール350は、EDD100及び/又はマッピングカテーテル200の1つ以上の電極(又は他のセンサ)から信号、例えば、位置特定信号に相関する信号を受け取り、位置特定場内の1つ以上の電極の位置特定を決定し得る(例えば、患者内の関連するカテーテル(複数可)の位置及び/又は配向を決定するため)。いくつかの実施形態では、2つ以上の位置特定場が、同時に使用され得る。位置特定場を生成及び/又は感知するために使用される構成要素(例えば、パッチ60及び/又はEDD100の1つ以上の電極又はマッピングカテーテル200)は、位置特定信号を送出し(本明細書では「ソース」)、位置特定信号を受け取る(本明細書では「シンク」)ように構成され、及び/又は位置特定信号を互換的に送受信するように構成され得る。例えば、構成要素は、位置特定信号を互いの間で、マッピングモジュール350によって受信される位置特定情報を増強するように構成されたパターンでソース及びシンクするように多重化され得て、例えば位置特定情報は、システム10の構成要素と、心腔内の心臓組織若しくはその他の構造物及び/又はシステム10の別の構成要素との間の相対位置に関する情報である。
【0153】
例えば、位置特定測定を行うために使用される2つ以上の構成要素間の電流の流れの方向は、逆向きにされ得る。例えば、インピーダンスベースのシステムでは、複数(例えば3つ又は4つ)の位置特定場は、例えば複数の周波数範囲を用いることによって同時に生成され得る。場内のすべての電極及び/又はセンサを用いて、位置特定場を感知し得る。位置特定場をソースし(例えば、位置特定信号を送信し)及びシンクする(例えば、位置特定信号を感知する)のに使用される構成要素は、固定及び静的であり得て、例えば、体表面上に配置されたパッチ60が位置特定場をソースするために使用され、システム10の1つ以上の構成要素上に置かれた電極及び患者の体内に配置された電極が位置特定信号をシンクするために使用される場合である。代替的に、構成要素は、様々な周波数及び/又は様々な時間で、構成要素の異なるセットから電流を供給し、及び受け取ることなどによって、時間多重化及び/又は周波数多重化され得る。時間多重位置特定方法の一例として、システム10は、3つのソース/シンク構成要素A~Cを含み得る。第1の構成では、構成要素Aを用いてソースし、構成要素Bを用いてシンクする。第2の構成では、Bを用いてソースし、Aを用いてシンクし得る。第3の構成では、Cを用いてソースし、Bを用いてシンクする。これら3つの構成を多重化して、強化された位置特定方法を提供し得る。考えられるすべての順列を使用すると、ソース-シンク構成を介して利用可能な情報を完全に補足する。これらの構成のサブセットを選択して、電子的及びアルゴリズムの複雑さを軽減しながら必要な条件及び/又は状態の数を決定するのに十分な情報を提供できる。いくつかの実施形態では、電子機器は、位置特定場内に存在する、及び/又は位置特定場の測定に使用されるセンサ及び/又は電極を介して、ある周波数範囲(10~100kHzなど)内で電流漏れ(例えば、接地への経路)を最小限に抑えるように構成される。例えば、電流漏れは、対象となる位置特定周波数範囲で十分に高い入力インピーダンスを設計することで、最小限に抑制され得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、マッピングモジュール350の超音波モジュール351は、マッピングカテーテル200の1つ以上の超音波トランスデューサ233を介して超音波信号を送受信し、例えば、超音波トランスデューサ233と心臓組織との間の距離を決定し、位置特定データと連携して、心臓組織の解剖学的モデルを生成するように構成される。マッピングモジュール350の生体電位モジュール352は、1つ以上の生体電位信号を、マッピングカテーテル200の電極232などを介して記録し、心腔の電気活動マップを作成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、超音波モジュール351及び生体電位モジュール352を含むマッピングモジュール350は、2022年5月3日に出願された「Ultrasound Sequencing System and Method」と題する、出願人の同時係属中の米国特許出願第17/735,285号、及び/又は2020年4月15日に出願された「Localization System and Method Useful in the Acquisition and Analysis of Cardiac Information」と題する出願人の同時係属中の米国特許出願第16/849,045号に記載されている同様の構成要素と同様の構築及び配置である。
【0155】
EDD100の1つ以上のセンサ(例えば、1つ以上のセンサとして構成された機能要素119又は129のうちの1つ以上、及び/又は本明細書に記載の他のセンサ)は、1つ以上のエネルギー送達要素130と組織(心臓組織など)と間の接触レベルに相関する信号を生成するように構成され得る。提供される信号は、最小(十分な)レベルの接触と不十分なレベルの接触(接触の欠如など)を簡単に区別し得て、及び/又は、それは、様々なレベルの接触を区別するデータ(例えば、1つ以上のエネルギー送達要素130と組織間の力の定量的評価)を提供し得る。EDC300は定性的及び/又は定量的な接触情報をユーザ(臨床医など)に、ディスプレイ322などを介して提供し得て、情報は、1つ以上のエネルギー送達要素130と組織(例えば、心臓壁及び/又は他の心臓組織)と間の接触レベルを示す。いくつかの実施形態では、システム10は、以下を含む情報を(ディスプレイ322を介して)提供するように構成され、情報は、達成された十分な接触の表記(例えば、標的組織へのエネルギーの効果的な送達を実行するのに十分な接触)、達成された不十分な接触の表記、達成された力のレベル、達成された圧力レベル、境界までの距離又は近接性、境界又は他の組織位置に対する向き又は迎角、近接境界のトポロジー、接触効率レベル、及びこれらの1つ以上の組み合わせを含む。
【0156】
図2~
図7を参照して以下に説明する組織治療方法は、カテーテルを参照して、例えば、患者の標的組織に2つの形態のエネルギーを送達する、本明細書に記載のエネルギー送達デバイスEDD100を参照して説明される。本出願の趣旨及び範囲内で、他のタイプのエネルギー送達デバイス、例えば、外科用ツール、腹腔鏡ツール、内視鏡ツール、及び/又は他のエネルギー送達ツールが使用され得ることを考慮すべきである。
図2~
図7を参照して以下に説明する方法は、心臓組織、例えば、エネルギーが心臓の心内膜表面に送達される心腔組織などを含む標的組織に関して説明される。エネルギーが、代替的に、心臓壁の固形組織内(例えば冠状血管から送達されるエネルギー)及び/又は心外膜表面に、及び/又は任意の固形組織表面若しくは組織表面に送達され得ることは、本出願の趣旨及び範囲内で考慮されるべきである。
図2~
図7を参照して説明したエネルギードーズであるドーズDOE1及びドーズDOE2は、同様の形態のエネルギー(例えば、両方がRFエネルギー送達を含む場合)、又は異なる形態のエネルギー(例えば、ドーズDOE2がRF又は他の電磁エネルギー送達を含み、ドーズDOE1が非電磁エネルギー送達を含む場合)を含み得る。ドーズDOE1は、標的組織を可逆的に温めるように構成されたエネルギーの送達を含み得て、一方、ドーズDOE2は、標的組織を、例えば、本明細書に記載のIEPの送達を介して、不可逆的に電気穿孔し、標的組織に所望の病変部を形成する(例えば、患者のAF又は他の不整脈を治療するために)ように構成されたエネルギーの送達を含み得る。この組織の事前加温は、本明細書に記載されるように、多くの利点を提供することができ、例えば、ドーズDOE2が、標的組織が体温であった(例えば、ドーズDOE1によって事前に温められていない)場合に、標的組織を不可逆的に電気穿孔するのに必要とされる振幅よりも低い振幅のエネルギー(例えば、RFエネルギー)の送達を含む場合などである。
【0157】
いくつかの実施形態では、EDC300は、監視デバイスとして構成され、例えば、システム10の1つ以上のセンサが患者の生理学的情報及び/又は患者の環境に関連する情報を提供する場合である。いくつかの実施形態では、EDC300は、ドーズDOE1及び/又はドーズDOE2をこの情報に基づいて構成する(例えば、そのエネルギー送達パラメータを設定する)。例えば、EDC300は、ドーズDOE1及び/又はドーズDOE2を、以下からなるグループから選択される患者の生理学的情報に基づいて提供するように構成され得て、そのグループは、心周期、心拍数、血圧、血流量、呼吸数、脳の活動、電位図の振幅(例えば、単極モード及び/又は双極モードで測定されたもの)、組織インピーダンス、及びこれらの組み合わせからなる。
【0158】
いくつかの実施形態では、EDC300は、慢性的に有効な病変部の形成の有効性(例えば、EDD100を介して組織にエネルギーを加えることによって形成された病変部の6ヶ月及び/又は12ヶ月の有効性)を測定する(例えば、その後、予後予測及び/又はその他の推定をする)ように構成される。このような有効性測定は、1つ、2つ、又はそれ以上のパラメータ(本明細書では「入力データ」)の関数である場合があり、パラメータは、例えば、エネルギー送達時間、エネルギー送達電力(例えば、送達される平均電力及び/又は送達される累積電力)、及び/又はエネルギーを送達する1つ以上のエネルギー送達要素とエネルギーを受け取る組織との間の近接力及び/又は接触力である。アルゴリズム335は、「切除指標」、すなわち病変部品質指標326の有効性(例えば、6ヶ月又は12ヶ月の有効性)を示す値を計算するように構成され得る。病変部品質指標326は、形成されている病変部の現在の状態(例えば、エネルギーが送達されるにつれて変化する値)を表す(例えば、定量的及び/又は定性的に表す)ことができ、及び/又は指標326は、既に形成された病変部の状態を表し得る(例えば、単一の病変部又は以前に形成された一連の病変部について表又は他の形式で提供され得る)。アルゴリズム335は、伝達関数を適用し、及び/又は実装し、入力データに基づいて病変部品質指標326を決定し得る。
【0159】
アルゴリズム335は、EDD100によって生成された電場が標的組織(本明細書では「予測PFAゾーン」と呼ばれる)を不可逆的に電気穿孔するのに十分である体積を画定する幾何学的境界を決定する(例えば、計算する)ように構成され得る。いくつかの実施形態では、予測PFAゾーンは、任意の組織が不可逆的に電気穿孔される「等電位境界」を含み得る。予測PFAゾーンの表示は、ユーザに、図示の境界オーバレイ3251(オーバレイ3251とも呼ばれる)を介して表示され得て、例えば、EDD100の視覚的表示に対してGUI325を介して表示されるオーバレイである。境界オーバレイ3251は、
図14~
図16及び本明細書のその他を参照して本明細書で説明されるオーバレイと同様の構成とすることができる。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251は、IEPパルスによって形成される電場のおおよそのサイズ及び形状と、その場が標的組織と交差する位置をユーザに伝えることができる。アルゴリズム335によって決定される予測PFAゾーンは、以下からなるグループから選択される1つ、2つ、又はそれ以上のパラメータに基づくことができ、そのグループは、電極ソース及び/又は戻り構成パラメータ(例えば、どの電極130の間に電場が生成されるか)、EDD100の構成(例えば、EDD100上の電極130の間隔)、電場を生成するために送達されるエネルギーの電圧、送達された(例えば30秒以内)及び/又は送達される1つ以上のドーズDOEのパラメータ、少なくとも30秒前に送達されたドーズなどの、以前に送達された1つ以上のドーズDOEのパラメータ、及びこれらの組み合わせからなる。予測PFAゾーンは、確率的メトリック、例えば、経時的に特定の位置に送達される1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のドーズDOEに少なくとも部分的に基づくメトリック(例えば、どれだけのエネルギーが処置をとおして位置に送達されたか)を含み得る。いくつかの実施形態では、境界オーバレイ3251は、複数の領域を含み、例えば、複数の領域は、様々な治療シナリオ、例えば、複数のドーズDOE1及びDOE2が組織に送達されるシナリオ(例えば、単一のドーズDOE2のみが送達されるシナリオに対して)に基づく予測ゾーンなど、様々な予測PFAゾーンを表す。いくつかの実施形態では、アルゴリズム335は、予測PFAゾーンを決定するために1つ以上のシミュレーション(例えば、電場シミュレーション)を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、予測PFAゾーンは、組織が効果的に治療される(例えば、不可逆的に電気穿孔される)確率が高い体積を含み、例えば、ゾーン内の組織の少なくとも50%が効果的に治療される確率、例えば、ゾーン内の組織の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、及び/又は少なくとも90%が効果的に治療される確率である。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251の特性(例えば、グラフィカル特性)は、有効な治療の確率を表し、例えば、本明細書の
図15A~
図15Cを参照して説明されるように、オーバレイ3251の不透明度は確率に相関し得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、アルゴリズム335は、空間の体積(例えば、本明細書に記載の予測PFAゾーンなどの組織の体積)全体にわたる治療効果スコアを計算するように構成され得る。この治療効果スコアは、本明細書では「体積分布スコア」又は「VDS」と称され、1つ以上のデバイスのエネルギー送達部分を取り囲む体積について計算され得る。計算されたVDSは、今後予想されるエネルギー送達に対する治療効果の推定(本明細書では、1つ以上の提案されたエネルギー送達パラメータに基づく「予測VDS」)、及び/又はシステム10によって既に実行されたエネルギー送達の治療効果の計算(本明細書では「実際のVDS」)を表し得る。VDSによって表される空間の体積は、治療上有効なエネルギーの送達(例えば、不可逆的な電気穿孔エネルギーの送達)を受け取る可能性が非常に高い、可能性が僅かにある、及び/又は可能性が最小限である領域を包含するのに十分なほど広範囲に及ぶことができる。エネルギーの送達の成功は、複数のエネルギー送達の送達(例えば、同時に及び/又は順次に送達される複数のIEPパルス)を含み得て、その組み合わせにより所望の結果(例えば、標的組織の所望の不可逆的な電気穿孔)が達成される。
【0161】
所望の臨床結果は、所望の(例えば許容可能な)結果のセット、例えば標的組織が変化しない、一時的に変化する、及び/又は永続的に変化する結果のうちの1つの結果を含み得る。このような変更は、組織の電気的変化(例えば、組織の細胞が機能不全になる、又は死滅する場合)、組織の生物物理学的変化(例えば、組織が肥厚した場合、組織が薄くなった場合、及び/又は浮腫が生じた場合)、組織の生化学的変化、組織の物質的変化(例えば、組織が硬化する、軟化する、多孔質になる、及び/又は脆くなる)、及びこれらの組み合わせを含む。
【0162】
VDSは、電場強度などの単一のメトリックに基づき得て、又は1つ以上のメトリック、例えば、電場強度、接触の領域、接触の角度、接触の力、温度、インピーダンス、1つ以上の組織特性、血液特性、及びこれらの組み合わせからなるグループから選択される2つ以上のメトリックに基づき得る。いくつかの実施形態では、VDSスコアは、IEPパルスによって生成される電場に対する様々な組織及び/又は組織の変動(例えば、血液と心筋組織間の変動)の定量的な影響を無視し得る(例えば、電場に対する組織特性の影響が無視できる場合)。
【0163】
治療の適用について(例えば、過去及び/又は今後予想される各エネルギー送達について)、アルゴリズム335は、VDS(例えば、それぞれ実際のVDS又は予測VDS)を、エネルギー送達構成(例えば、エネルギー送達要素130の構成)、EDC300の構成(例えば、提供されるエネルギー波形及び/又は他のエネルギー送達パラメータの構成)、及び/又は、エネルギー送達環境(例えば、血液の形状、標的組織の形状、及び/又は送達デバイスに関する特性)のうちの1つ以上を考慮することなどにより計算し得る。VDSは、アルゴリズム335によって使用される場モデル、例えば、EDC300の構成及び/又はエネルギー送達環境を組み込んだ場モデルの結果を含むように構成され得る。アルゴリズム335は、場モデルを使用し得て、それは分析的な計算及び/又は方程式、離散的及び/又は数値的手法(例えば、モデル化された境界条件を備えたランダム化された点ソース)、及び/又は、ルックアップテーブル及び/又は推定及び/又は最適化アルゴリズムで事前データに基づくデータフィッティング(例えば、シミュレーション、データベース、又はトレーニングデータセット)を備えるものに基づく。アルゴリズム335に含まれる最適化アルゴリズムは、統計モデル、パターンマッチング、機械学習、人工知能、及び/又は他のデータ駆動型技術(例えば、履歴データに基づく技術)を含み得る。
【0164】
システム10は、VDSと、VDSの計算に寄与したすべてのパラメータの両方を保存し得ることで、パラメータの1つ以上が追加情報(例えば、より正確な情報)で更新される場合、1つ以上のVDS値が再計算され、及び/又は更新され得る。例えば、システム10は、電場強度、エネルギー送達要素130の位置、組織位置、組織の向き、組織特性、及び送達された及び/又は提案されたすべてのエネルギー送達適用のVDS値を保存し得る。組織位置、組織の向き、及び/又はその他の組織特性が更新されると、関連するVDS値は、更新されたパラメータが影響するあらゆる領域で再計算され得る。VDS値は、長方形のボクセルグリッドなどの空間的に分布するデータ構造に保存され得る。データ構造を使用して、複数のエネルギー送達適用からの同じ及び/又はオーバラップする空間位置のVDS値を追うことができる。アルゴリズム335は、2つ以上のVDS値の組み合わせを評価して、「複合VDS」を生成し得る。複合VDSは、治療効果の決定(例えば、予後又は他の推定)をもたらし得るが、成分であるVDS値は、それぞれ、有効性の欠如の個々の決定を生じ得る。
【0165】
VDS値のセットが利用可能になると、値は、ユーザインタフェース(例えば、GUI325)を通じて表示されて、例えば、システム10のオペレータ(例えば、患者の臨床医)に値を提供し得る。VDS値の空間分布は、インタフェース(例えば、3Dインタフェース)内に、色、不透明度、強度、及び/又は別の可変グラフィカルパラメータを使用することなどによって表示(例えば、区別)され得る。いくつかの実施形態では、システム10は、VDS値を、コーキングガンから出る物質のビードと同様の視覚的な形式で表示するように構成され、例えば、ビードが様々な3D寸法の細長い構造を有する場合である。システム10は、ユーザによって設定又は変更され得る閾値(例えば、閾値を動的にスイープする)などの閾値を超えるVDS値のみを含むように表示を制限し、例えば、異なる領域のスコアの差異のばらつきを視覚的に評価し得る。この閾値ベースの構成を用いて、以下で説明するように、更なる治療が必要となる可能性がある「脆弱な」領域の存在を評価し得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、システム10は、標的組織に送達される、及び/又は送達されたVDSの部分(例えば、心臓壁組織の1つ以上の部分)のみを表示するように構成され得る。例えば、空洞(心臓の小室など)内の1つ以上の場所から標的組織(心臓壁組織の1つ以上の部分など)にエネルギーを送達する場合、システム10は、システム10によって提供される心内膜表面再構成の「向こう側(beyond)」(例えば、本明細書に記載のようにシステム10によって作成される解剖学的モデルに含まれる表面の外側)であるVDS部分を表示し得る。この表示方法では、関連する組織の厚さ(心臓壁の厚さなど)を表すデータの必要がない。しかしながら、小室を取り囲む壁の任意の部分の厚さが既知である場合、システム10は、壁組織内に送達されるVDSの部分のみを表示するように構成され得る。
【0167】
システム10は、システム10によって生成された解剖学的モデル(例えば、本明細書に記載の超音波及び/又は他のセンサを介して生成された解剖学的モデル)上への投影としてVDS値を表示するように構成され得る。システム10は、各VDSを、解剖学的モデルから外側に向かって法線方向に計算し得る。この方向に沿ったVDS値は、距離及び/又は深さの関数であるデータシリーズの形式で保存され得る。このデータシリーズは、必要に応じてグラフ及び/又はプロットの形式で表示され得る。VDS閾値を設定して治療品質の限界を設定することで、標的組織の中への「有効な」距離が定量化され得る。標的組織内への有効距離は、色、不透明度、強度、及び/又は他の可変グラフィカルパラメータのアレイを使用して表示(例えば、定量化及び/又はその他の方法で区別)され得る。閾値を動的に調整して、異なる領域におけるVDSの分布を視覚化し得る。この表示方法は、更なる行為(更なるエネルギー送達など)が必要となる可能性のある脆弱性の領域を評価するために使用され得る。システム10は、累積VDS、最大VDS、組み合わせVDS、又は様々なVDSデータの他の数学的演算を計算し得る。
【0168】
治療の適用(例えば、エネルギーの送達)の前に、推定VDSは、現在のエネルギー送達構成、エネルギー送達環境パラメータ、及び/又はEDD100と標的組織との間の接触力に基づいて、システム10によって動的に計算され得る。予測VDS値の3D表示は、動的に提示され、その時点での治療適用の予想される結果をユーザに示し得る。表示は、拡張されたビジュアル(色、透明度、パターン、ラベル、及び/又はその他のグラフィカルパラメータの変化)を使用して、施された治療と今後予想される治療を区別し得る。表示は、接触力の存在及び/又は接触力の程度に基づき得る。この予測VDS値の表示は、ユーザによって使用され、送達構成(位置、角度、電極選択、波形、及び/又はその他の発生器構成)に必要な調整を行い、例えば、所望のエネルギー送達を最適化し得る。数値的閾値を使用して、表示される予測VDS値を変更し得る。予測VDS値の表示には、更に、独自の視覚機能を含めることができ、以前に施された治療との相互作用に基づいて、追加で適用された治療の位置及び/又は効果を強調する。例えば、予測VDS表示は、以前に施された治療(例えば、実際のVDSが計算されたエネルギー送達)とオーバラップする領域を含み得て、これは、実際のVDSとオーバラップする予測VDSの部分を追加、発展、及び/又は改善する可能性がある。オーバラップしている部分は、オーバラップしていない部分と区別して表示され得る。この差異は、色、不透明度、強度、及び/又はその他のグラフィカルパラメータの変化によって表示され得る。
【0169】
アルゴリズム335は、「脆弱性アルゴリズム」を含み得て、それは、領域の実際のVDS値のセットを処理して、施される治療(例えば、送達されるエネルギー)が所望の有効性閾値を下回る場合がある領域を定性的にラベル付け及び/又は定量的に表示する。脆弱性アルゴリズムは、VDS値のセットを処理して、決定論的及び/又は確率論的に効果のないデータ特徴を識別し得る。脆弱性アルゴリズムは、VDS値の空間ギャップ、エッジ、チャネル、及び/又は空間的不均一性を検索するように構成され得る。脆弱性アルゴリズムは、組織内のVDS距離を使用して、2次元平面に投影し、次元の複雑さの少ない空間情報を有利に処理し、速度、精度、及び/又はその他のパフォーマンスパラメータを向上させ得る。脆弱性アルゴリズムは、画像処理及び/又はパターンマッチング技術を利用して脆弱性を評価し得る。脆弱性アルゴリズムには、統計モデル、パターンマッチング、機械学習、人工知能、及び/又は他のデータ駆動型技術を含み得て、例えば、履歴データに基づく場合、及び/又は履歴データを分析するように構成された場合である。
【0170】
ここで
図2を参照すると、本発明の概念と一致する、組織にエネルギーを送達する方法の一実施形態のフローチャートが示される。方法2000は、本明細書で説明されるように、システム10及びその構成要素を使用して説明される。
【0171】
ステップ2010では、EDD100の遠位部分が患者の心腔内に挿入される。いくつかの実施形態では、カテーテル200の遠位部分もまた、患者の心腔内に挿入され、生体電位測定、解剖学的視覚化、及び/又は他の心臓マッピング機能を提供する。
【0172】
ステップ2020では、EDD100の1つ以上のエネルギー送達要素130が、治療のための組織部位、本明細書では「標的組織」の近くに移動される。
【0173】
ステップ2030では、第1のエネルギードーズ、つまり本明細書に記載のドーズDOE1は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130によって標的組織に送達される。
【0174】
ステップ2040では、第2のエネルギードーズ、つまり本明細書に記載のドーズDOE2は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130(例えば、ステップ2030でドーズDOE1を送達したのと同じ及び/又は異なるエネルギー送達要素130)によって標的組織に送達される。
【0175】
ステップ2050では、処置の完全性のチェックが行われる。処置が完了していない場合、例えば、追加の組織(追加の標的組織など)が治療される場合、方法はステップ2020に戻る。処置が完了した場合、処置はステップ2070で終了する。
【0176】
ここで
図3を参照すると、本発明の概念と一致する、組織にエネルギーを送達する方法の一実施形態のフローチャートが示される。方法3000は、本明細書で説明されるように、システム10及びその構成要素を使用して説明される。
【0177】
ステップ3010では、EDD100の遠位部分が患者の心腔内に挿入される。いくつかの実施形態では、カテーテル200の遠位部分もまた、患者の心腔内に挿入され、生体電位測定、解剖学的視覚化、及び/又は他の心臓マッピング機能を提供する。
【0178】
ステップ3020では、EDD100の1つ以上のエネルギー送達要素130が、標的組織の近くに移動される。
【0179】
ステップ3030では、第1のエネルギードーズ、つまり本明細書に記載のドーズDOE1は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130によって標的組織に送達される。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1は、一定期間のエネルギー(例えば、RFエネルギー)の送達を含む。いくつかの実施形態では、ステップ3030は、患者の心周期に基づいてトリガ(例えば、開始)される(例えば、その結果、ステップ3035は、患者の心周期の後続の時点で実行され得る)。
【0180】
ステップ3032では、患者の心周期は、EDC300又はシステム10の他の構成要素などによって監視される。
【0181】
ステップ3033では、「タイムアウト」に到達したことのチェックが実行され、例えば、タイムアウト期間は、ドーズDOE1の送達が終了してからの時間を含む。タイムアウト期間に達した場合、ステップ3060が実行され、システム10は警報モードに入り、方法3000は以下に説明するステップ3050へ続く。タイムアウト期間に達していない場合、ステップ3035が実行される。
【0182】
ステップ3035では、患者の心周期が所望の周期点である周期点CPDにあるかどうかを判定するためのチェックが行われる。患者の心周期が点CPDにない場合、方法3000はステップ3033に戻る。患者の心周期が点CPDにある場合、ステップ3040が実行される。
【0183】
ステップ3040では、第2のエネルギードーズ、つまり本明細書に記載のドーズDOE2は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130(例えば、ステップ3030でドーズDOE1を送達したのと同じ及び/又は異なるエネルギー送達要素130)によって標的組織に送達される。
【0184】
いくつかの実施形態では、周期点CP
Dは、ステップ3035において選択され、その結果、ステップ3040において、ドーズDOE2は、R波が発生した後50ミリ秒~200ミリ秒の間の時間で送達され、
図3Aを参照する。
【0185】
ステップ3050では、処置の完全性のチェックが行われる。処置が完了していない場合、例えば、追加の組織(追加の標的組織など)が治療される場合、方法はステップ3020に戻る。処置が完了した場合、処置はステップ3070で終了する。
【0186】
ここで
図4を参照すると、本発明の概念と一致する、組織にエネルギーを送達する方法の一実施形態のフローチャートが示される。方法4000は、本明細書で説明されるように、システム10及びその構成要素を使用して説明される。
【0187】
ステップ4010では、EDD100の遠位部分が患者の心腔内に挿入される。いくつかの実施形態では、カテーテル200の遠位部分もまた、患者の心腔内に挿入され、生体電位測定、解剖学的視覚化、及び/又は他の心臓マッピング機能を提供する。
【0188】
ステップ4020では、EDD100の1つ以上のエネルギー送達要素130が、標的組織の近くに移動される。
【0189】
ステップ4030では、第1のエネルギードーズ、つまり本明細書に記載のドーズDOE1の送達が開始される。エネルギーは、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130によって標的組織に送達される。いくつかの実施形態では、ステップ4030は、患者の心周期に基づいてトリガ(例えば、開始)される(例えば、その結果、ステップ4035は、患者の心周期の後続の時点で実行され得る)。
【0190】
ステップ4032では、患者の心周期は、EDC300又はシステム10の他の構成要素などによって監視される。
【0191】
ステップ4033では、「タイムアウト」に到達したことのチェックが実行され、例えば、タイムアウト期間は、ドーズDOE1の送達が終了してからの時間を含む。タイムアウト期間に達した場合、ステップ4060が実行され、システム10は警報モードに入り、ドーズDOE1の送達が停止され、方法4000は以下に説明するステップ4050へ続く。タイムアウト期間に達していない場合、ステップ4035が実行される。
【0192】
ステップ4035では、患者の心周期が所望の周期点である周期点CPDにあるかどうかを判定するためのチェックが行われる。患者の心周期が点CPDにない場合、方法4000はステップ4033に戻る。患者の心周期が点CPDにある場合、ステップ4040が実行される。患者の心周期のモニタリングは、システム10の1つ以上の構成要素によって、ステップ4035中、及び/又は方法4000の他のステップ中に実行され得る。
【0193】
ステップ4040では、ドーズDOE1の送達が停止され、第2のエネルギードーズ、つまり本明細書に記載のドーズDOE2は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130(例えば、ステップ4030でドーズDOE1を送達したのと同じ及び/又は異なるエネルギー送達要素130)によって標的組織に送達される。
【0194】
ステップ4050では、処置の完全性のチェックが行われる。処置が完了していない場合、例えば、追加の組織(追加の標的組織など)が治療される場合、方法はステップ4020に戻る。処置が完了した場合、処置はステップ4070で終了する。
【0195】
ここで
図5を参照すると、本発明の概念と一致する、組織にエネルギーを送達する方法の一実施形態のフローチャートが示される。方法5000は、本明細書で説明されるように、システム10及びその構成要素を使用して説明される。
【0196】
ステップ5010では、EDD100の遠位部分が患者の心腔内に挿入される。いくつかの実施形態では、カテーテル200の遠位部分もまた、患者の心腔内に挿入され、生体電位測定、解剖学的視覚化、及び/又は他の心臓マッピング機能を提供する。
【0197】
ステップ5020では、EDD100の1つ以上のエネルギー送達要素130が、標的組織の近くに移動される。
【0198】
ステップ5022では、患者の心周期が、EDC300又はシステム10の他の構成要素などによって監視される。
【0199】
ステップ5024では、今後予想される所望の心周期点CPDの時刻T1が、システム10によって(例えば、アルゴリズム335を介して)予測される。
【0200】
ステップ5030では、第1のエネルギードーズ、つまり本明細書に記載のドーズDOE1を送達する追加のステップが、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130によって標的組織に送達される。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1は、一定期間(例えば、時間T1より前に終了する一定期間)にわたるエネルギー(例えば、RFエネルギー)の送達を含む。
【0201】
ステップ5035では、時間T1における患者の心周期が所望の周期点である周期点CPDにあるかどうかを判定するためにチェックが行われる(例えば、時間T1又はその直前に)。患者の心周期がCPD点にある場合、ステップ5040が実行される。患者の心周期がCPD点にない場合、ステップ5060が実行され、システム10は警報モードに入り、ドーズDOE1の送達が停止され(オプションのステップ5030を介して送達されている場合)、方法5000は以下に説明するステップ5050に続く。
【0202】
ステップ5040では、エネルギーのドーズ(例えば、第1又は第2のエネルギードーズ)である本明細書に記載のドーズDOE2は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130(例えば、オプションのステップ5030でドーズDOE1を送達した場合と同じ及び/又は異なるエネルギー送達要素130)によって標的組織に送達される。
【0203】
ステップ5050では、処置の完全性のチェックが行われる。処置が完了していない場合、例えば、追加の組織(追加の標的組織など)が治療される場合、方法はステップ5020に戻る。処置が完了した場合、処置はステップ5070で終了する。
【0204】
ここで
図6を参照すると、本発明の概念と一致する、組織にエネルギーを送達する方法の一実施形態のフローチャートが示される。方法6000は、本明細書で説明されるように、システム10及びその構成要素を使用して説明される。
【0205】
ステップ6010では、EDD100の遠位部分が患者の心腔内に挿入される。いくつかの実施形態では、カテーテル200の遠位部分もまた、患者の心腔内に挿入され、生体電位測定、解剖学的視覚化、及び/又は他の心臓マッピング機能を提供する。
【0206】
ステップ6020では、EDD100の1つ以上のエネルギー送達要素130が、標的組織の近くに移動される。
【0207】
ステップ6022では、患者の心周期が、EDC300又はシステム10の他の構成要素などによって監視される。
【0208】
ステップ6024’では、「ゴー」信号(例えば、開始要求)がシステム10のオペレータ(例えば、EDC300のユーザインタフェース320を介して提供される患者の臨床医)から受信された後、今後予想される所望の心周期点CPDの時間T1が、システム10によって(例えば、アルゴリズム335を介して)予測される。
【0209】
ステップ6026では、第1のエネルギードーズであるドーズDOE1が、時間T1までに送達される(例えば、時間T1まで連続的に、及び/又は時間T1まで断続的なパルスで送達される)目標エネルギー量(例えば、目標ジュール量)を達成するために決定される。この目標エネルギー量は、システム10及び/又は患者の臨床医によって決定され得る。
【0210】
ステップ6030では、本明細書に記載されて、ステップ6026で規定されるドーズDOE1が、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130によって標的組織に送達される。
【0211】
ステップ6035では、時間T1における患者の心周期が所望の周期点である周期点CPDにあるかどうかを判定するためにチェックが行われる(例えば、時間T1又はその直前に)。患者の心周期がCPD点にある場合、ステップ6040が実行される。患者の心周期がCPD点にない場合、ステップ6060が実行され、システム10は警報モードに入り、ドーズDOE1の送達が停止され、方法6000は以下に説明するステップ6050に続く。
【0212】
ステップ6040では、第2のエネルギードーズである本明細書に記載のドーズDOE2は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130(例えば、ステップ6030でドーズDOE1を送達した場合と同じ及び/又は異なるエネルギー送達要素130)によって標的組織に送達される。
【0213】
ステップ6050では、処置の完全性のチェックが行われる。処置が完了していない場合、例えば、追加の組織(追加の標的組織など)が治療される場合、方法はステップ6020に戻る。処置が完了した場合、処置はステップ6070で終了する。
【0214】
ここで
図7を参照すると、本発明の概念と一致する、組織にエネルギーを送達する方法の一実施形態のフローチャートが示される。方法7000は、本明細書で説明されるように、システム10及びその構成要素を使用して説明される。
【0215】
ステップ7010では、EDD100の遠位部分が患者の心腔内に挿入される。いくつかの実施形態では、カテーテル200の遠位部分もまた、患者の心腔内に挿入され、生体電位測定、解剖学的視覚化、及び/又は他の心臓マッピング機能を提供する。
【0216】
ステップ7020では、EDD100の1つ以上のエネルギー送達要素130が、標的組織の近くに移動される。
【0217】
ステップ7030では、本明細書に記載されるドーズDOE1が、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130によって標的組織に送達される。
【0218】
ステップ7040では、第2のエネルギードーズである本明細書に記載のドーズDOE2は、EDC300によってEDD100に供給され、1つ以上のエネルギー送達要素130(例えば、ステップ7030でドーズDOE1を送達した場合と同じ及び/又は異なるエネルギー送達要素130)によって標的組織に送達される。
【0219】
ステップ7045では、現在の標的組織に追加のエネルギーを送達すべきかどうかのチェックが実行される。追加のエネルギー送達が送達される場合(例えば、システム10のオペレータによって手動で決定される、及び/又はアルゴリズム335がAIアルゴリズムを含む場合など、アルゴリズム335によって自動的に決定される)、方法7000は戻ってステップ7030を繰り返す。そうでない場合、ステップ7050が実行される。
【0220】
ステップ7050では、処置の完全性のチェックが行われる。処置が完了していない場合、例えば、追加の組織(追加の標的組織など)が治療される場合、方法はステップ7020に戻る。処置が完了した場合、処置はステップ7070で終了する。
【0221】
図7の方法7000では、ステップ7030及び7040におけるエネルギーの送達は、ドーズDOE1とDOE2の交互構成における送達を含み得る(例えば、ドーズDOE1の少なくとも一部分がステップ7040中に送達され、及び/又はドーズDOE2の少なくとも一部分がステップ7030中に送達される)。例えば、ドーズDOE1の一部分をドーズDOE2の一部分の間に送達することができ、あるいはその逆も可能である。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1は、パルス構成で送達されるエネルギー(RFエネルギーなど)を含み、例えば、ドーズDOE1が「オフタイム」期間(DOE1TP
OFF)によって区切られた1つ以上の「オンタイム」期間(DOE1TP
ON)を含む場合であり、ここでエネルギーはDOE1TP
ON期間中に送達され、DOE1TP
OFF期間中にはエネルギーは送達されない(例えば、パルス幅変調構成)。これらの実施形態では、ドーズDOE2は、ドーズDOE1のDOE1TP
OFF期間中に送達され得る。いくつかの実施形態では、ドーズDOE2は、パルス構成で送達されるエネルギー(IEPドーズなど)を含み、例えば、ドーズDOE2が「オフタイム」期間(DOE2TP
OFF)によって区切られた1つ以上の「オンタイム」期間(DOE2TP
ON)を含む場合であり、ここでエネルギーはDOE2TP
ON期間中に送達され、DOE2TP
OFF期間中にはエネルギーは送達されない(例えば、パルス幅変調構成)。これらの実施形態では、ドーズDOE1は、ドーズDOE2のDOE2TP
OFF期間中に送達され得る。いくつかの実施形態では、ドーズDOE1及びDOE2はそれぞれ、パルス構成で送達されるエネルギーを含み得る。これらの実施形態では、ドーズDOE1及びDOE2中に送達されるエネルギーは、交互構成で送達され得て、例えば、ドーズDOE1のエネルギー送達がドーズDOE2のDOE2
OFF期間中に送達され、ドーズDOE2のエネルギー送達がドーズDOE1のDOE1
OFF期間中に送達される場合などである。
【0222】
ここで
図8を参照すると、本発明の概念と一致する、エネルギー送達デバイスの遠位部分の一実施形態の側面図が示される。
図8A及び
図8Bは、本発明の概念と一致する、
図8のデバイスを用いた電気穿孔研究中の病変部深さ対電極対の2つのグラフである。更に
図9A~
図9Dを参照すると、
図8のデバイスを用いた電気穿孔研究中の病変部体積対電極対を表す4つのグラフが示されており、これも本発明の概念と一致する。出願人は、インシリコ研究を行っており、それは、
図8に示されるEDD100などのEDD100が、本明細書で定義されるIEPを含むエネルギーのドーズを組織に送達する(
図1を参照して本明細書で説明されるように、EDC300によって供給されるIEPドーズ)。
図8のEDD100は、遠位部分102に配置された4つの電極130(例えば、4つの電極ベースのエネルギー送達要素130)を含む。EDD100は、シャフト110の遠位端に配置されたエネルギー送達要素である電極130aと、シャフト110上のより近位に配置された3つのエネルギー送達要素(例えば、電極130b~d)とを連続した直線配置で含む。電極130bは先端電極130aに最も近くに配置され、電極130cは電極130bの遠位に配置され、電極130dは電極130cの遠位に配置され、すべて
図8に示す。インシリコ研究の結果は、標的組織の病変部の形状及びサイズが、特定の電極対130を選択し、その対にIEPを送達させることによって制御し得ることを示した。
図8A~
図8Bは、3対の電極130からの試験を示し、対「1-2」は電極130a及び130bであり、対「1-3」は電極130a及び130cであり、対「1-4」は電極130a及び130dであった。シミュレーションでは、EDD100の遠位部分は、エネルギーを受け取るために組織表面に対してほぼ直角(90°)に配置され、電極130aは3.46mmの長さを有し、電場の振幅は一定に保たれた。試験は、図にマークされるように、3対のそれぞれについて、異なる電圧500V、1000V、1500V、及び2000Vで繰り返された。
図8Aは、各電極130の対の病変部深さのグラフであり、
図8Bは、各電極130の対の病変部表面積のグラフである。
図9A~
図9Cは、それぞれ、対1-2、1-3、及び1-4を使用して形成された病変部の体積のグラフであり、EDD100の遠位部分が組織上に(例えば約0°の角度で)配置された。
図9Dは、
図9A~
図9Cの組み合わせた(重ね合わせた)病変部のグラフである。
【0223】
出願人によって行われた研究によって示されるように、システム10は、IEPを受け取り、及び/又は送達する電極130の対を(振幅を変更することなく)切り替えて、病変部深さを変更し、及び/又は所望の幾何学的な体積を有する病変部を形成するように構成され得る。例えば、
図8Aに示すように、1000VのIEPで形成された病変部は、対1-3によって送達された場合に、対1-2によって送達された場合よりも、より深い病変部を形成する。
図9A~
図Dに示されるように、より長い病変部(図示のように約1.5cm)は、複数の対の電極間にIEPドーズを送達することによって(例えば、EDD100の遠位部分を再配置する必要なく)形成され得る。
【0224】
ここで
図10A~
図10Bを参照すると、本発明の概念と一致する、異なる配向角度で組織表面に接触するエネルギー送達デバイスの一実施形態の遠位部分の2つの解剖学的断面図が示される。本明細書に記載されるように、システム10は、EDD100を介して、2つ以上のエネルギー送達要素である、図示の電極130(例えば、電流を供給するように構成された1つ以上の電極130、及び電流を受け取るように構成された1つ以上の電極130)の間に1つ以上の電気パルスを送達するように構成され得る。各パルスのパラメータ(例えば、電圧、電流、周波数、パルス幅など)は、2つ以上の電極に近接する組織内に高電圧電場を生成し、例えば、所望の標的組織を切除するため「パルスフィールドアブレーション」を実行するように選択され得る。エネルギーは、本明細書に記載されるように、EDC300によってEDD100に供給される。電気パルスのパラメータは、結果として生じる電場が標的組織の可逆的又は不可逆的な電気穿孔を引き起こすように更に選択され得る。切除される組織の空間的範囲(例えば、全ての体積)とパルスフィールドアブレーションの有効性は、標的位置(例えば、本明細書に記載されるように、患者に治療上の利益を提供するために切除用に選択される標的位置)の電場の強度に依存する。電場の強さは、電極(例えば、図示のようにEDD100のシャフト110に取り付けられた電極130)からの距離に関係し、ここで、電場強度は電極からの距離が増加するにつれて指数関数的に減少する。システム10は、切除されるすべての標的組織(例えば、標的組織のすべての意図された幅、長さ、及び深さ)に対して十分なレベルの電場強度を供給するように構成される。
【0225】
システム10(例えば、本明細書に記載されるアルゴリズム335)は、病変部サイズパラメータ(例えば、病変部の長さ、幅、深さ、及び/又は体積)L
Pを決定するように構成され得て、ここで、L
Pは、パルスフィールドアブレーション(PFA)のピーク電圧であるパルスV
PEAK、配向角度α、及び/又は1つ以上の電気物理パラメータEP
Pの関数である。角度αは、EDD100の遠位部分102(例えば、電極及び/又は他のエネルギー送達構成要素を含む)の軸と、EDD100の遠位部分102に近接する組織表面の平面との間の角度である。
図10Aでは、角度αは90°であり(すなわち、EDD100の遠位部分102は隣接する組織表面に直交する)、
図10Bでは、角度αは0°である(すなわち、EDD100の遠位部分102は隣接する組織表面と平行であり接触する)。パラメータEP
Pは、接触力、パルス振幅、パルス持続時間、パルス数、電流を供給し及び/又は受け取る電極の数、組織温度、及び/又は組織インピーダンスのうちの1つ、2つ、又はそれ以上を含み得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、EDD100は、配向角度αを決定するように構成されたセンサ又は他の構成要素を含み、例えば、配向角度αは上述のように病変部サイズを決定するための計算に使用される。例えば、力維持アセンブリ150の1つ以上のセンサ(例えば、本明細書に記載の感知要素158)は、角度αを(例えば、アルゴリズム335によって)決定し得る信号を提供するように構成され得て、例えば、力維持アセンブリ150が、光ファイバ、磁気センサ、インピーダンス測定センサ、及び/又は角度αに関連する信号を提供するように構成された他の感知要素を含む場合である。代替的又は追加的に、角度αは、システム10のマッピング及び/又はナビゲーションセンサによって提供される信号を介して決定され得て、例えば、アルゴリズム335がインピーダンス及び/又は磁気ベースの位置特定を実行して角度αを決定する場合である。代替的又は追加的に、システム10は、図示されていないが、以下からなるグループから選択される撮像装置などの撮像装置を含み得て、そのグループは、心臓内超音波画像、X線、透視装置、磁気共鳴画像装置、コンピュータ断層撮影イメージャ、可視光カメラ、赤外線カメラ、及びこれらの組み合わせからなる。アルゴリズム335は、撮像装置によって提供される情報を利用して角度αを決定し得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、電気パルスが、先端電極130aと1つ以上の隣接電極130(例えば、図示の電極130b、130c、及び/又は130d)との間に加えられる。それは、角度αのみに関係するため、組織内の電場強度は、角度αが、
図10Aに示すように90°の場合に最小となり、電場強度は、角度αが90°から減少するにつれて増強し、最終的には、角度αが
図10Bに示すように0°のときに最大に達する。換言すれば、1つ以上のPFAパルスがEDD100によって標的組織に送達されるとき、結果として生じる病変部の空間的範囲(例えば、結果として生じる病変部の深さ)は、各PFAパルスに関連付けられた電極130(例えば、電流を供給する電極及び/又は受け取る電極)が組織表面に近づくにつれて増大する。
【0228】
ここで
図11A~
図11Bを参照すると、本発明の概念と一致する、エネルギー送達デバイスの異なる配向角度に関連する情報を表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の2つのユーザビューが示される。システム10は、EDC300のユーザインタフェース320を介して、グラフィカルユーザインタフェースである図示のGUI325を含み得る。GUI325は、本明細書に記載される配向角度αに関連する情報を提供するように構成され得て、例えば、図示されている配向角度表示3250によって提供される。GUI325は、EDD100に関連する(例えば、EDD100の遠位部分102に関連する)現在の(例えば、リアルタイムの)位置情報を表示し得る。GUI325は、遠位部分102の位置を表しているカテーテル表示3210、及び/又は切除される組織表面(例えば、遠位部分102に近い組織表面)の位置を表している組織表示3220を含み得て、それぞれ図示される。
【0229】
GUI325は更に、インジケータグラフ3230を含み得て、それはオペレータに電場強度フィードバック、例えば、電極130に近接する組織内の電場強度の推定値のグラフ表示を提供し得る。インジケータグラフ3230は、エネルギーの電場強度(例えば、現在送達されているPFAパルス、又はオペレータがエネルギー送達を開始すると存在することになる電場強度)を示し得る。インジケータグラフ3230によって提供される情報、及びGUI325によって提供される他の情報は、オペレータによって使用され(例えば、反復的及び/又は他の調整可能な様式で)、所望のサイズ(例えば、所望の長さ、幅、及び/又は深さ寸法)の病変部を形成し得る。インジケータグラフ3230は、それぞれ示されるように、第1のマーカ3231及び第2のマーカ3232を含み得る。マーカ3231と3232との間の相対位置は、組織内の電場強度と相関し得て、マーカ3231は、電場強度が増加するにつれてマーカ3232に接近する(例えば、
図11Aのカテーテル表示3210に示される直交カテーテル配向から、角度αが5°である
図11Bのカテーテル表示3210に示されるカテーテル配向への移行に示されるように)。システム10は、現在(例えばリアルタイム)又は今後(現在の条件に基づいて送達される)パルスフィールドアブレーションエネルギー送達の電場強度及び/又は他の切除パラメータに関して、様々な他の形態の視覚的フィードバックをオペレータに提供し得ることを理解する必要がある。
【0230】
いくつかの実施形態では、GUI325は、図示の接触力表示3260によって視覚的に提供され得るような、接触力に関連する情報を提供するように構成され得て、接触力表示3260は、加えられている現在の接触力(
図11A及び
図11Bのそれぞれにおいて同じレベルで示される)を表す力インジケータ3261を含む。接触力表示3260は更に、閾値インジケータ3262を含み得て、加えられる接触力の必要な、又は推奨される制限(例えば、利用可能な最大接触力未満の量)を示し得る。提供された接触力情報は、力の絶対的な測定値(例えば、グラム又は接触力を示す他の測定基準で表される測定値)、及び/又は相対的な測定値(例えば、接触力の最大量のパーセンテージ)を提供し得る。いくつかの実施形態では、GUI325は、第1のマーカ3231と第2のマーカ3232との間の距離を、接触力が変わるにつれて変化させるように更に構成され、例えば、距離は、接触力が増加すると減少し得る(例えば、組織内の電場の増加を示す)。いくつかの実施形態では、2つのマーカ間の距離は角度αと接触力の両方に基づき、オペレータは、いずれか又は両方を変更して、組織内の電場強度を変えることができる。いくつかの実施形態では、GUI325は、角度α、接触力、及び/又は1つ以上の電気物理パラメータEP
Pのすべて又は一部に基づいて2つのマーカ間の距離を変更する。
【0231】
ここで
図12を参照すると、本発明の概念と一致する、灌注流体を送達するための複数のポートを含むエネルギー送達デバイスの一実施形態の遠位部分の斜視図が示される。
図12のEDD100は、遠位部分102上に示される電極130aを含む。EDD100の遠位部分102は、1つ以上のポートであるポート1305(6つが示される)を含み得て、灌注流体70、例えば、本明細書に記載されるようなEDC300の流体送達モジュール370によって供給される1つ以上の類似又は異なる灌注流体70を送達する。2つ以上のポート1305は、所望のパターンで、例えば電極130を含む遠位部分102の一部分又は大部分を覆うパターンで、空間的に分布され得る。2つ以上のポート1305は、独立した管腔に接続され得て、異なる灌注流体70(例えば、本明細書に記載されるような異なる導電率の流体などの異なる流体70a、70bなど)を送達する。代替的又は追加的に、2つ以上のポート1305は、同じ灌注流体70を(例えば、灌注流体70の単一の供給源から)送達するために、共通の管腔に接続され得る。
【0232】
更に
図13を参照すると、本発明の概念と一致する、組織表面と接触し、灌注流体を送達するエネルギー送達デバイスの一実施形態の遠位部分の側断面解剖図が示される。EDD100の遠位部分102は、0°に等しい配向角度αで示され、電極130a、130b、130c、及び130dのそれぞれが切除される組織表面と接触する。灌注流体70は、ポート1305(8つが示される)によって送達されており、送達された流体70は図示のように電極130a及び130bを取り囲んでいる(例えば、比較的導電性の物質である血液が電極の周囲を取り囲むのを防いでいる)。
【0233】
EDD100は、電磁場を生成して標的組織を切除する(例えば、本明細書に記載のような組織の可逆的又は不可逆的な電気穿孔を引き起こすため)PFAパルスを送達するように構成され得る。1つ以上の灌注流体70は、ポート1305を介して送達され、パルス電場に影響を及ぼし得る。例えば、送達された電場は、導電性媒体を通過するときに「塊となり(bunch)」、より抵抗性の高い媒体を通過するときに、電流が最小抵抗の経路(つまり、最も高い導電率の経路)をたどるため「拡散する(spread)」であろう。システム10は、既知の導電率の1つ以上の灌注流体70を電極130の周囲の領域に送達し、送達された電流と、これにより生成された電場を能動的に「操作する(steer)」ように構成され得る。
【0234】
いくつかの実施形態では、EDD100の遠位部分102は、少なくとも6つのポート1305(12個のポート1305など)を含み、少なくとも2つのポート1305(4つのポート1305など)が前方を向き(例えば、シャフト110の遠位端から遠位方向を向く)、少なくとも2つのポート1305(4つのポート1305など)が先端電極130aの遠位端に配置され、少なくとも2つのポート1305(4つのポート1305など)が先端電極130の近位端に配置される。システム10は、血液の導電率とは異なる導電率(例えば、より低い導電率)を有する灌注流体70を含み得る。パルス電場エネルギーを印加する前に、EDD100は、1つ以上のポート1305が組織との接触を介してブロックされる(例えば、左心房又は心臓の他の小室の組織表面によってブロックされる)ように配向され得る。残りのポート1305を介した灌注流体70の送達は、所望の電場にステアリング効果をもたらすであろう。例えば、血液よりも低い導電率を有する灌注流体70の送達は、電極130によって送達される電流を接触する組織に集中させ、組織内への電場を増大させる場合がある(例えば、電流を送達している電極130の周囲の流体が、比較的低い導電率の灌注流体70に包囲されるため)。
【0235】
PFAパルス送達前及び/又は送達中に、配向角度αは、本明細書に記載のように(例えば、システム10の1つ以上のセンサを介して、及び/又は別個の撮像装置によって)監視され、送達される電場、及び/又は送達されている電場に関するフィードバック情報を提供し得て、ここでシステム10(例えば、アルゴリズム335、アルゴリズム335がAIアルゴリズムを含む場合など)は、低導電率の灌注流体70の送達による電場強度の増大(例えば、電場のステアリング)を考慮し得る。
【0236】
ここで
図14A及び
図14Bを参照すると、本発明の概念と一致する、組織の断面部分に近接して配置されたエネルギー送達デバイスの一実施形態の側面図が示される。
図14Aは、EDD100を示しており、その遠位端は組織Tに近接して、約45°の配向角度αで配置される。
図14Bは、約0°の配向角度αで組織Tに近接して配置されたEDD100を示す。GUI325は、
図14A~
図14Bに示されるものと同様の画像を表示するように構成され得る。GUI325は、オーバレイ3251を含み得る。オーバレイ3251は、
図1を参照して本明細書で説明される境界オーバレイ3251と同様であり得る。オーバレイ3251は、EDD100に対して示され、エネルギーがEDD100を介して送達される場合に、組織Tが効果的に治療される(例えば、不可逆的な電気穿孔される)であろう予測PFAゾーンを(例えば、本明細書に記載されるように、有効な治療を受けるゾーンの予測をそれに応じて修正するように変更され得る、システム10の現在の設定において)表す。
【0237】
図14A~
図14Bを参照すると、オーバレイ3251は、予測PFAゾーンの2D表示を含み得て、このゾーンは、EDD100を取り囲む(例えば、EDD100のエネルギー送達部分を取り囲む)3D体積を含む。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251の3D表示は、GUI325が、心臓の解剖学的モデルの3D表示を、モデルに対するEDD100の表示を含んで示す場合などに、GUI325を介して表示される。
図14A~
図14Bに示されるように、予測PFAゾーン内の組織の量は、ゾーンのサイズ及び/又は組織に対するEDD100の向きに基づいて変化し得る。
図14Bでは、
図14Aに示す同様のサイズのゾーン内に存在する組織よりも、より多くの組織がゾーン内にあり、これは2つの図の間でEDD100の向きが異なるためである。
【0238】
更に
図15A~
図15Cを参照すると、本発明の概念と一致する、組織の断面部分に近接して配置されたエネルギー送達デバイスの一実施形態の追加の側面図が示される。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251の不透明度は、治療ゾーン内の効果的な治療の確率(例えば、治療されている組織のゾーン内の任意の細胞が不可逆的に電気穿孔されるであろう確率)を表すように構成される。例えば、システム10によってオペレータに提示されるオーバレイ3251の不透明度が高くなるほど、ゾーン内の組織が本発明の概念のエネルギー送達によって効果的に治療される可能性が高くなる。例えば、
図15Bのオーバレイ3251は、
図15Aのオーバレイ3251よりも不透明であり(すなわち、不透明度が高い)、
図15Cのオーバレイ3251は、
図15Bのオーバレイ3251よりも不透明であり、これらはまとめると、実行される治療の有効性の確率の増加を表している。多数のグラフィカル特性を使用して、システム10によって提供される有効性及び/又は他の予測を定量化又は定性化し得る。いくつかの実施形態では、アルゴリズム335は、以下からなるグループから選択されるパラメータに基づいて効果的な治療の確率を調整し、そのグループは、体積に送達されるドーズDOEの数、送達されるエネルギーのドーズDOEの持続時間、各DOEに送達されるエネルギーのパルス数など、送達されるドーズDOEの他のパラメータ、及び/又はこれらの組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、EDD100が組織に近接して操作されると、オーバレイ3251は継続的に更新され(例えば、リアルタイム及び/又はほぼリアルタイムで、本明細書では「リアルタイム」)、ユーザは組織の領域にどれだけのエネルギーが送達されたかを確認できる。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251は、30秒ごとに少なくとも1回、例えば15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒ごとに少なくとも1回更新される。例えば、より多くのエネルギーが領域に送達されると(例えば、順次送達されるドーズDOEによって)、システム10は、オーバレイ3251の不透明度を増加させることによって、オーバレイ3251を継続的及び/又は半継続的に更新する(及び/又は、それに応じて別のグラフィカルパラメータを連続的に変更する)。いくつかの実施形態では、目標不透明度(及び/又は他のグラフィカルパラメータ目標)がシステム10によって提供され、一連のエネルギー送達が目標に達した時を示す(例えば、継続的に更新される不透明度又は他のグラフィカルパラメータは、システム10のオペレータによって目標と比較され得る)。
【0239】
ここで
図16を参照すると、本発明の概念と一致する、エネルギー送達デバイスと組織との間の配向角度に関連する情報を表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分のユーザビューが示される。
図16のGUI325は、
図1及び本明細書を参照して説明したGUI325と同様であり得る。GUI325は、本明細書に記載された配向角度αに関連する情報を提供するように構成され得て、例えば、図示の配向角度表示3250によって提供される。GUI325は、EDD100に関連する(例えば、EDD100の遠位部分102に関連する)現在の(例えば、リアルタイムの)位置情報を表示し得る。いくつかの実施形態では、GUI325は、この位置情報、及び/又はシステム10によって記録及び/又は決定される他の情報(例えば本明細書で説明されるような)を、少なくとも30秒ごとに1回、例えば少なくとも15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒ごとに1回更新する。GUI325は、カテーテル表示3210及び組織表示3220を含み、例えばEDD100の遠位部分102に近接した組織表面の位置を表す情報を提供し得る。いくつかの実施形態では、GUI325は、オーバレイ3251を含み、それは図示されるように、カテーテル表示3210に対して配置され得る。いくつかの実施形態では、GUI325により、ユーザは組織に対してEDD100を、標的組織の所望の部分が予測PFAゾーン内に位置するように配置することができ、その結果、標的組織の所望の部分は、1回、2回、3回以上、ドーズDOEが送達されるときに治療される。
【0240】
ここで
図17を参照すると、本発明の概念と一致する、血管とともに組織の断面部分に近接して配置された2つのエネルギー送達デバイスの実施形態の斜視図が示される。心腔内に配置された第1のエネルギー送達デバイスであるEDD100aは、その遠位端が組織Tに近接して配置された状態で示され、第2のエネルギー送達デバイスであるEDD100bは、血管V(例えば、心外膜静脈又は動脈)内に配置され、その遠位端がEDD100aの遠位端の近くに配置されて示される。IEPは、EDD100aのエネルギー送達要素130aとEDD100bのエネルギー送達要素130bとの間で送達され得て、結果として生じる電場は、図示のように組織Tを通って経壁的に生成され、その結果、電場内の組織(例えば、標的組織)を不可逆的に電気穿孔する。いくつかの実施形態では、EDD100aは、心腔内に配置される2つ以上のエネルギー送達デバイスを含み、IEPは、各心腔に配置されるデバイスの少なくとも1つのエネルギー送達要素130を通じて送達され得る。代替的又は追加的に、EDD100bは、1つ以上の心外膜血管(例えば、1つ以上の心外膜静脈及び/又は1つ以上の心外膜動脈)内に配置される2つ以上のエネルギー送達デバイスを含み、IEPは、各心外膜血管に配置されたデバイスの少なくとも1つのエネルギー送達要素130を通じて送達され得る。
【0241】
ここで
図18A及び
図18Bを参照すると、本発明の概念と一致する、解剖学的モデルを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分のユーザビューが示される。
図18のGUI325は、
図1及び本明細書を参照して説明したGUI325と同様であり得る。GUI325は、図示の組織表示3220を含み得て、これは、心臓の少なくとも一部分(例えば、システム10によって心房組織が治療される心臓の心房)のコンピュータ生成した解剖学的モデルを含み得る。いくつかの実施形態では、組織表示3220は、心腔の内面を表すシェル(例えば、厚さゼロのシェル)を含む。代替的又は追加的に、組織表示3220は、シェルの少なくとも一部が非ゼロの厚さ、例えば、心筋の測定された厚さ及び/又は推定された厚さを表す厚さ(例えば、少なくとも1mm、2mm、及び/又は3mmの厚さ)を有するシェルを含み得る。
【0242】
GUI325は、EDD100の表示、図示のカテーテル表示3210を含み得て、組織表示3220に対して表示され得る。組織に対するEDD100の位置は、本明細書に記載されるようなシステム10の位置特定方法によって決定され得る。GUI325は、1つ以上のオーバレイ3251、例えば本明細書で説明されるような1つ以上のオーバレイ3251を含み得る。オーバレイ3251は、本明細書ではいずれも「エネルギー送達体積」と呼ばれる、予測PFAゾーン及び/又はVDS(例えば、予測VDS又は実際のVDS)を示し得る。オーバレイ3251は、3D体積の2D表示を含み得る。いくつかの実施形態では、組織表示3220のシェルを越えて延びる体積の部分(例えば、標的組織を含む体積の部分)は、異なるグラフィカル特性、例えば、シェル内の体積の部分(例えば、心腔内にある体積の部分の一部分)とは異なる色などで表され得る。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251は、複数のオーバレイ、例えば、
図18Bに示されるオーバレイ3251a及び3251bを含む。オーバレイ3251a、bは、エネルギー送達体積の異なる部分(例えば、2つ以上の別個の体積で構成される予測VDS)を表し得る。オーバレイ3251は、複雑な幾何学的形状、例えば、複雑な電場に基づくエネルギー送達体積を表す複雑な幾何学的形状を含み得る。例えば、オーバレイ3251は、ピーナッツ形状のエネルギー送達体積を表す「ピーナッツ」形状を含み得る。
【0243】
更に
図19を参照すると、本発明の概念と一致する、オーバレイを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分が示される。
図19では、組織表示3220は、説明を明確にするために示されていない。いくつかの実施形態では、図示されるように、組織表示3220のシェルの外側にあるエネルギー送達体積の部分のみが、オーバレイ3251によって表される。これらの実施形態では、オーバレイ3251は、エネルギー送達ゾーン内に位置する心筋組織の体積をユーザに示す。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251は、エネルギー送達体積の変化を示す複数の「層」を含み得る(体積全体のVDSスコアなど)。いくつかの実施形態では、オーバレイ3251の1つ以上のグラフィカル特性は変化し得て、例えば、オーバレイが現在表している心筋組織の深さを示す。例えば、VDSスコアが組織への深さの閾値を超えている場合、閾値を超えて位置するオーバレイ3251の部分はグラフィカルに区別されて、閾値が達成されたことを示し得る。
【0244】
ここで
図20を参照すると、本発明の概念と一致する、予測された治療データと実際の治療データを表示するグラフィカルユーザインタフェースの実施形態の一部分が示される。
図20のGUI325は、
図1及び本明細書を参照して説明したGUI325と同様であり得る。GUI325は、心臓の少なくとも一部分(例えば、システム10によって治療される心臓の心房)のコンピュータ生成された解剖学的モデルを含む組織表示3220を含み得て、GUI325は、EDD100の表示、カテーテル表示3210を含むことができ、これは、図示のように組織表示3220に対して表示され得る。GUI325は、実際のエネルギー送達情報を表すオーバレイ3251
Aと、予測されたエネルギー送達情報を表すオーバレイ3251
Pとを含み得る。例えば、オーバレイ3251
A及び3251
Pは、それぞれ、実際のVDS及び予測VDSを表し得る。いくつかの実施形態では、治療部位で治療が送達された(例えば、エネルギーが送達された)後、予測VDSを表すオーバレイ3251
Pは、治療送達に関連付けられた実際のVDSを表すために色を変える(例えば、オーバレイ3251
Aに変える)ことができる。いくつかの実施形態では、追加の治療(例えば、追加のエネルギー)がその治療位置の近くに送達されると、オーバレイ3251
Aは、その治療位置の近くの複数の治療の送達に関連付けられた現在の実際のVDSを表す。いくつかの実施形態では、
図20に表示される情報は、現在の実際のVDS値を改善するためにユーザ(臨床医など)によって使用され得る。例えば、ユーザは、結果として得られる予測VDSが、その構成において施される治療が現在の実際のVDSを改善することを示すように、オーバレイ3251
Pを(例えばEDD100を操作することによって)配置し得る。
【0245】
更に
図21を参照すると、本発明の概念と一致する、様々な処理ステップの一実施形態の概略図が示される。組織表面(例えば、心筋表面)に対するEDD100の様々な治療方向が示される。EDD100aは、組織表面に対して約90°に向けられて示されるが、組織とは接触していない。EDD100aを取り囲むエネルギー送達体積が示されており、組織と部分的にのみ交差している。EDD100bは、組織表面に対して約90°に向けられて示されており、EDD100bの先端は組織表面に接触している。EDD100bを取り囲むエネルギー送達体積が示されており、より多くの体積が組織と交差している(すなわち、EDD100aを取り囲んでいる体積よりも多い)。EDD100cは、組織に対してある角度(例えば約45°)に向けられて示されており、EDD100cの先端は組織表面に接触している。EDD100cを取り囲むエネルギー送達体積も示される。最後に、EDD100dは、組織表面に沿って向けられて示されている(例えば、部分的に組織表面上に置かれている)。EDD100dを取り囲むエネルギー送達体積が示されており、ゾーンの最大パーセンテージが組織と交差している(すなわち、示されている4つの実施形態のうち最大)。
【0246】
いくつかの実施形態では、1つ以上の治療エネルギー送達に関連するデータは、システム10によって記録され得る(例えば、実際のVDSデータとして記録される)。エネルギーが体積全体にわたって(例えば、心筋の中を含む心腔全体にわたって)送達されると、システム10は、体積全体にわたる治療の予測有効性(VDSなど)を計算し得る(例えば、有効性の高、中、及び/又は低確率)。予測された有効性は、GUI325などを介してユーザに表示され得る。表示は、様々な表示特性(例えば、色、形状、陰影、テクスチャなど)を利用して、異なるレベルの有効性及び/又は他のパラメータをユーザに示し得る。いくつかの実施形態では、予測有効性レベルは、有効性の1つ以上の閾値に基づいて差次的に表示される。いくつかの実施形態では、特定の体積又は体積の部分についての予測有効性は、処置全体を通じて再評価され得る(例えば、少なくとも5秒、2秒、及び/又は1秒ごとに1回など、追加のエネルギーが送達されるときに継続的に評価される)。システム10は、治療体積の心筋組織内の深さ及び/又は組織の表面にわたる幅(例えば、組織表面の体積の断面の幅)を評価するように構成され得る。
【0247】
ここで
図22A~
図22B及び
図23A~
図23Bを参照すると、本発明の概念と一致する、電極構成の様々な実施形態の有限要素モデルが示される。
図22Aは、アブレーションカテーテルの先端電極とリング電極(例えば、EDD100の電極130aと電極130b)との間の双極電極構成の有限要素モデルを示す。
図22Bは、アブレーションカテーテルの先端電極及び分散電極(例えば、EDD100の先端電極130a及び戻り電極で、例えば図示されていない戻り電極130’)の単極電極構成の有限要素モデルを示す。
図23A及び
図23Bは、「キッシング(kissing)カテーテル」構成の2つのカテーテル(例えば、EDD100a及び100b)の有限要素モデルを示し、
図23Bに示すように、電極130a及び130bが互いに近接するように移動されると、モデル化された電場が互いに相互作用する。
【0248】
本明細書に記載されるように、パルスフィールドアブレーション(PFA)又は電気穿孔は、組織を高電位電場に曝露することを含み、代謝を介したメカニズムを経て、不可逆的な細胞死を引き起こし、患者の様々な不整脈(例えば、AF)を治療するために使用され得る。
【0249】
心筋細胞は、約400~500V/cmの閾値電場でPFAの影響を受けやすい。システム10によって生成される電場は、高圧電位を、電極(例えば、カソードとして構成されたEDD100の先端電極130aなどのカテーテルの先端)と戻り経路(例えば、アノードとして構成され、カソードから一定の距離に配置されるリング電極130b)との間に印加することによって、双極電極構成で生成され得る。この双極電極の距離は、通常、数センチメートル程度である。
【0250】
PFAに適した強い電場はまた、単極構成のシステム10によって生成され得て、例えば、EDD100の遠位先端の電極(電極130aなど)がカソードとして構成され、大型の分散電極(パッチ60の1つ以上の電極など)がアノードとして構成される場合である。大型の分散電極は、患者の背中又は胸骨に配置され得る。単極構成では、戻り経路が広い領域にわたって分布され、カソードから遠く離れているため、高電位電場はEDD100の先端電極に比較的近い体積に限定される。
【0251】
いくつかの実施形態では、第2のカテーテルを用いて、戻り経路を提供する(例えば、第2のカテーテルの電極130はアノードとして構成される)。第2のカテーテルは、別のアブレーションカテーテル、シース(例えば、遠位電極を有する)、及び/又は多極固定カテーテル若しくは操縦可能なカテーテルを含み得る。第2のカテーテルは、冠状血管系、心臓の別の小室、及び/又は心膜腔内に配置されるように構成され得る。このタイプの構成では、電極間の距離は固定されておらず、臨床医により必要に応じて調整され得るため、電場等高線(及び病変部体積)は、関連するデバイスの位置(例えば、関連する電極の位置)の関数である。
【0252】
本発明の概念のシステム10を使用すると、複数のカテーテルの位置は、本明細書に記載されるような、インピーダンスベース及び/又は磁気ベースの位置特定方法などを用いて決定され得る。これらの計算された位置を使用して、電場等高線は、リアルタイム及び/又はほぼリアルタイム(本明細書では「リアルタイム」)で計算され得る。電場等高線は、ユーザ(例えば、臨床医)が治療計画を立てるために1つ以上の画面に表示され得る。カテーテルの位置を使用して、カソード-アノード対に電場形状と病変部深さを制御する手段として印加される電圧を、動的に調整し得る。いくつかの実施形態では、システム10は、カテーテルの位置データを使用して電圧レベルを調整するように構成され、例えば、非常に高い電場電位で発生する可能性があり、かつ絶縁破壊及びプラズマの形成につながる可能性があるフラッシュアーキングを回避する。
【0253】
ここで
図24A及び
図24Bを参照すると、本発明の概念と一致する、解剖学的モデルを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分のユーザビューが示される。
図24A及び
図24BのGUI325は、
図1及びその他、本明細書で説明したGUI325と同様であり得る。GUI325は、心臓の少なくとも一部分(例えば、システム10によって治療される心臓の心房)のコンピュータ生成した解剖学的モデルを含む組織表示3220を含み得て、GUI325は、EDD100の表示、カテーテル表示3210を含み得て、これは、図示のように組織表示3220に対して表示され得る。GUI325は、実際のエネルギー送達情報を表すオーバレイ3251
Aと、予測されたエネルギー送達情報を表すオーバレイ3251
Pとを含み得る。例えば、オーバレイ3251
A及び3251
Pは、それぞれ、実際のVDS及び予測VDSを表し得る。いくつかの実施形態では、治療が送達された(例えば、エネルギーが送達された)後、予測VDSを表すオーバレイ3251
Pは、実際のVDSを表すために色を変える(例えば、オーバレイ3251
Aに変える)ことができる。いくつかの実施形態では、GUI325は、予測された電場が電場内に存在する標的組織(電場内の心臓壁組織など)に影響を与えるのに十分なレベルであるEDD100の周囲の領域を表すオーバレイ3251
NCを含み得るが、標的組織は、予測された電場のその部分内に存在しない。
【0254】
図24Aでは、EDD100(例えば、カテーテル表示3210によって表される)は、心臓壁の一部分に対して軸方向に(例えば、直交して)配置される。オーバレイ3251
Aは、図示の方向から適用される治療に関連する実際のVDSを示す。
図24Bでは、EDD100は、治療が以前に適用された組織の部分に近接した、心臓壁の一部分の側方に(例えば平行に)配置される。オーバレイ3251
Pは、図示の向きでEDD100から適用される治療に関する予測VDSを表す。オーバレイ3251
Aは、以前に治療が適用された実際のVDSを表す。
【0255】
ここで
図25A~
図25Dを参照すると、本発明の概念と一致する、治療閾値に関するデータを表示するグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態の一部分のユーザビューが示される。
図25A~
図25DのGUI325は、
図1及びその他、本明細書を参照して説明したGUI325と同様であり得る。GUI325は、心臓の少なくとも一部分(例えば、システム10によって治療される心臓の心房)のコンピュータ生成した解剖学的モデルを含む組織表示3220を含む。GUI325は、治療(例えば、エネルギー)が標的組織に適用された位置を示す1つ以上のオーバレイ、図示ではオーバレイ3252を含み得る。オーバレイ3252は、第1のオーバレイ部分であるオーバレイ3252aを含み得て、それは、閾値未満の深さ(例えば、3mm未満の深さ、及び/又は貫壁未満の深さ)で治療が標的組織に送達された位置を示す。オーバレイ3252は、第2のオーバレイ部分であるオーバレイ3252bを含み得て、それは、閾値以上の深さ(例えば、少なくとも3mmの深さ、及び/又は壁を貫通)で標的組織に治療が送達された位置を示す。
【0256】
患者の治療では、システム10を使用してエネルギー(例えば、EDD100を介して送達されるエネルギー)を組織に送達することによって、連続する治療病変部を形成することが望ましい場合がある。治療効果を最大化するために、連続する治療病変部は、少なくとも閾値深さ(例えば、所望の有効性を十分に達成するための最小深さ)、例えば少なくとも3mmの深さを含み得る。代替的又は追加的に、病変部は、治療効果を最大化する(例えば、所望の有効性を十分に達成する)ために、経壁的に(例えば、心臓壁の全厚の全体に)実現され得る。
図25Aは、閾値を超える厚さを有する不連続な病変部を示すオーバレイ3252bを示す。
図25Bは、施される治療(例えば、EDD100を介して送達されるエネルギー、図示せず)を表すオーバレイ3251
P(本明細書に記載される)を含み、例えば、
図25Aの病変部の不連続な領域を「埋める」(例えば、十分に治療する)(例えば、「ギャップを埋める」)。
図25Cは、施された治療を表すオーバレイ3251
A(本明細書でも記載される)を示す。
図25Dは、閾値深さを超える連続する病変部(例えば、連続オーバレイ3252b)を示し、
図25Cに示されるように施された治療が治療病変部のギャップを首尾よく「埋める」ことができたことを示す。
【0257】
ここで
図26を参照すると、本発明の概念と一致する、場タグ付けを実行するためのアルゴリズムの一般的なワークフローを示すフローチャートが示される。いくつかの実施形態では、システム10は、1つ以上の「場タグ付けアルゴリズム」(
図1及びその他、本明細書を参照して説明されるアルゴリズム335など)を含み、例えば、様々なレジーム、本明細書では「ドメイン前処理」、「カテーテル変換及び状態モニタリング」、ならびに「場推定及びメトリック後処理」と呼ばれるレジームで動作する1つ以上のアルゴリズムである。
【0258】
ドメイン前処理アルゴリズムは、解剖学的構造及び/又は周囲の空間に対して実行される様々な操作を定義するシステム10の1つ以上のアルゴリズムを指すことができ、典型的には、空間演算子が計算され得る離散構造を生成するアルゴリズムに関連する。
図26に示すように、ドメイン前処理がシステム10によって実行され得た後に、後続のアルゴリズムが決定及び/又は利用される。ドメイン離散化は、あらゆる計算モデルの基礎となり得て、測定、分析、及び/又は視覚化などの目的で、空間連続体(解剖学的構造など)を取得し、それを細分化するプロセスを含む場合がある。解剖学的表面の離散化はシステム10によって実行され得て、その離散化をシステム10によって使用して、例えば、単純な表面に拘束された三角形要素ベースの離散化を生成し得る。いくつかの実施形態では、場タグ付け操作は、体積測定操作を含むため、体積測定の離散化を必要とする。この体積離散化は、例えば、ラスタ化された構造格子(例えば、六面体要素を含む格子)、あるいは四面体要素の非構造化テッセレーションなど、多くの形式を取り得る。本明細書では体積メッシュと呼ばれる離散化体積は、解剖学的構造を超えて(例えば、一部又はすべての次元で)拡張するように構築され得て、用途に応じて変化し得る所定の密度を含み得る。体積メッシュにデータ入力され、及び/又は適切な寸法にスケールされると、システム10は、メッシュの各要素のどの組織が、特定の位置及び/又は典型的なタイプの組織(例えば、血液、心筋、及び/又は心膜に存在する位置)に位置するかを決定することができ、その結果、システム10は組織依存特性を各要素に関連付け得る。
【0259】
更に
図27を参照すると、本発明の概念と一致する、ドメイン描写のグラフィカル表示が示される。システム10が計算領域を体積メッシュで満たした後、システム10は様々な組織タイプを描写し得て、その結果、場計算は強化され、存在すると判定された組織に基づいて分析が実行され得る。この組織描写は、符号付き距離演算を使用するシステム10によって実行され得て、それは表面ベースのメッシュ(例えば、「ウォータタイト」メッシュ)を使用して、ドメインのどの部分(複数可)が解剖学的構造内に位置するか、そしてどの部分(複数可)が解剖学的構造の外側にあるかを区別する。いくつかの実施形態では、組織描写は、例えば
図27に示す概略図に示されるように、いくつかの表面メッシュに基づいて層別化され得る。これらの表面は、相互に任意の構成(例えば、同心円、相互排他、及び/又は相互排他でない)を有し得る。このプロセスは、システム10によって任意の数の表面に適用され得て、元の解剖学的表面のレベルセットソリューションにわたって実行され得る。この操作の結果として、システム10は、体積メッシュのどの要素が各表面内にあるか、かつドメイン内の各表面から離れた各要素の測地線距離を決定し得る。これらのデータ層(組織及び組織からの距離がシステム10によって格納される)は、ワークフロー(
図26に示す)の変換部分及び場推定部分で実行される操作の基礎となる。いくつかの実施形態では、システム10は、カテーテルのデジタル表示(例えば、図示されていないが本明細書に記載されているカテーテル表示3210)が表面にどのように「スナップ」するか(又はスナップしないか)を、描写されたドメインに基づき、カテーテルが近くにある組織の位置及び/又は組織のタイプに基づいて適応させるように構成される。
【0260】
ドメインが満たされて描写されると、システム10は、心臓内のカテーテルのナビゲーションを視覚化する(例えば、心臓内のカテーテルの位置を決定し、解剖学的構造に関してカテーテルの表示をユーザに表示する)ように構成され得て、この機能を本明細書では「カテーテル変換及び状態モニタリング」と呼ぶ。ワークフローのこの部分では、カテーテルの位置をリアルタイムで更新し、関連するプリミティブジオメトリを変換する(例えば、カテーテルは、事前アイコナール解を含むデジタル表示を含み得て、及び/又はシース若しくは追加のハードウェアは、プリミティブなデジタル表示を含み得る)。本明細書で使用される場合、「カテーテル(a catheter)」及び/又は「カテーテル(the catheter)」の表示は、任意の1つ、2つ、又はそれ以上のカテーテル、あるいは位置特定されてユーザに表示される他の挿入デバイス(例えば、アブレーションカテーテル、シース、マッピングカテーテル、及び/又は他のデバイス)を指し得る。この変換を実行するために、システム10は、デフォルトのカテーテル位置と新しいカテーテル位置との間の変換行列を決定し得る。この決定は、ライブ座標と、そのデフォルト位置にあるカテーテルの座標の間の剛体回転行列を解くことによって実行され得る。この変換は、オイラー角及び/又はクォータニオンベースの解を使用して実行され得る。回転行列を解くことにより、システム10に、カテーテル及び/又は関連するプリミティブ場の位置、向き、及び/又は極性を提供し得る。カテーテルの任意の位置について、システム10は、カテーテルが現在位置しているドメイン(例えば、組織タイプ)、及び/又は表面(例えば、任意の表面)からカテーテルまでの距離を決定し得る。
【0261】
更に
図28A及び
図28Bを参照すると、本発明の概念と一致する、測定されたカテーテルパラメータのグラフ及びカテーテルの様々な表示が示される。システム10は、カテーテルに関連して記録及び/又は決定された(例えば計算された)情報を使用して、カテーテルモデルの状態変化(例えばモデルの視覚的表示の変化)を駆動し得る。いくつかの実施形態では、状態変化はカテーテルのみの位置決めに基づく。例えば、システム10は、カテーテルが標的位置(例えば、心腔の心内膜表面の一部分)の閾値距離内(例えば、そこから1mm未満で離れている)にあるときに、色及び/又は別の視覚化特徴を変更するように構成され得る。加えて又は代替的に、力などの他のパラメータを使用して、これらの状態変化を駆動し得る。いくつかの実施形態では、システム10によって使用されるパラメータは厳密には幾何学的なものではない。状態変化は、局所組織のインピーダンス変化、全体的なインピーダンス変化、局所的に誘発された温度変化、力の大きさ、及び/又は他の生物物理量の変化に基づいて誘導され得る(例えば、システム10によって決定され得る)。状態変化は、永続的な変化、及び/又は過渡現象(誘発された温度変化など)に関連付けられた変化であり得る。例えば、
図28A及び
図28Bに示すように、一過性の変化が示されており、予測される治療のサイズは、計算領域への変化に基づいて増大される。これらの状態変化はまた、局所的な環境に基づいて、ワークフローの「場推定」フェーズで使用される操作モードに関連する場合がある。いくつかの実施形態では、事前アイコナール解は、システム10によってリアルタイムで計算され得て、及び/又は計算リソースに応じて事前に計算され得る。状態変化は、選択されたエネルギー送達パラメータ(例えば、電力レベル、電極構成、パルス列パターン、及び/又は他のPFAパラメータ)に基づき得る。
【0262】
場タグ付けワークフローの最終部分である「場推定及び後処理」は、切除が実行される時にシステム10によって開始され得て、新規貢献(contributions)の大部分を含み得る。切除中に、場は(例えば、多くの方法のうちの1つ以上で)推定され得て、場タグ付けが(例えば、多くの操作状態において)機能することを可能にする。例えば、体積ラスタが完了され得ない場合、アルゴリズム335は、厳密にプリミティブな能力で実行され得て、例えば、アイコナールプリミティブと解剖学的シェルとの間の相互作用がアイコナール解と比較して計算される。加えて、又は代替的に、システム10は、局所的な解剖学的特徴及び解剖学的シェルに対するカテーテルの向きを利用して、解剖学的表面上にマッピング及び/又は投影される多数の事前に計算された解から選択するプロセスを実行し得る。
【0263】
加えて、
図29A~
図29Cを参照すると、本発明の概念と一致する、場推定の様々な技術が示される。各方法は、基礎となる格子を利用して、解を電場シミュレーションにパラメータ化し得る。
図29Aには、アイコナール推定が示される。
図29Bには、幾何学的プリミティブ推定が示される。
図29Cには、パラメトリックルックアップ方法が示される。
【0264】
更に
図30A~
図30Cを参照すると、本発明の概念と一致して、適用される治療に対する動的更新を可能にするマルチレベル欠落(attrition)プロファイルの表示が示される。各切除中に、体積電場はシステム10によって推定され、治療閾値及び/又は体積欠落プロファイルを評価するために使用され得る。システム10によってこの情報をモニタリングすることにより、1回の適用(例えば、1回のエネルギー送達)後にEDD100(例えば、パルスフィールドアブレーション及び/又は他のエネルギーを送達するように構成されたカテーテル)の治療量下域内にあるが、後続の適用(例えば、数秒、数分、及び/又は数時間にわたって実行されるその後のエネルギー送達)によって治療され得る組織領域が、システム10によって識別(例えば追跡)されることが可能になる。いくつかの実施形態では、システム10によって決定される治療の推定値(例えば、治療の有効性)は、動的に適応され得る。システム10によって生成される欠落プロファイルは、
図30A~
図30Cに示すように、基礎となる機能によって駆動され得て、それらの図には印加された場(電場など)と細胞死との間の関係が示されている。細胞死は、電場(例えば、電場の強度)、所与の電極からの距離、及び/又は場プリミティブ(例えば、電場を記述する事前幾何学的テンプレート)からの距離の関数であり得る。
図30Cは、2つの治療量以下の領域をどのように重ね合わせて治療最大量の領域を作成し得るかを示す。これらの閾値は、温度、力、解剖学的近接性、局所的な解剖学的特徴による変化、局所的/全体的なインピーダンス、及び/又は他の生物物理量によって同様に増大され得る。
【0265】
更に
図31A~
図31Cを参照すると、本発明の概念と一致する、深さ投影特徴の例が示される。システム10が場の推定を計算した後、後続の閾値超過組織は推定され、視覚化され、及び/又はシステム10による後続の後処理に利用され得る。組織にエネルギーを送達するたびに(例えば、印加電場の送達を介して)、電場の治療ドーズの深さは決定され、システム10によって解剖学的構造のシェルに投影され得る。この投影は、解剖学的表面法線を用いて、治療の等値面の表面法線(最近傍投影による)を用いて、及び/又は複合レベルセットタイプの投影を用いて実行され得る。この投影を使用して、投影距離と、したがって所望の治療の深さを推定し得る。この投影は、解剖学的シェル上、解剖学的構造のオフセットバージョン上、及び/又はシステム10によって(例えば、撮像情報及び/又はアトラスベースの情報を使用して)別の方法で決定される別のシェル上にあり得る。各エネルギー送達(各病変部の形成など)後、及び/又はその間に、投影は、最大深さが要素ごと(又はノードごと)に保存されるようにリファクタリングされ得る。この視覚化は、帯状、二値化、及び/又は連続的な形式であり得る。これらの深さ投影から、システム10は、心内膜表面の表面上と表面下の両方の病変部ギャップを推定できる。このような予測は
図31Cに示されており、病変部は陰影パターンで示される。二値化閾値及びその後続の深さの連続性評価が評価され得る深さは、ユーザ指定の閾値及び/又はシステム10が決定した閾値で設定され得る。この閾値は、解剖学的表面又は他の解剖学的位置(例えば、解剖学的構造のレベルセット)からのオフセットであり得て、オフセットはアトラスベースとすることができ、及び/又はオフセットは患者固有とすることができる(例えば、撮像データに基づいてシステム10によって決定されるように)。
【0266】
いくつかの実施形態では、病変部予測(例えば、病変部品質及び/又は有効性の予測)は、前向き及び/又は後ろ向きであり得る。後ろ向き状態では、設定可能な距離閾値内の病変部のすべての対が、システム10によって、表面及び/又は深さの両方での連続性の評価などが評価され得る。壁内ギャップ(深さギャップなど)及び/又は心外膜ギャップ(表面ギャップなど)があると判断された病変部は、例えば、深さ投影において、及び/又は体積メッシュを介して識別される場合、視覚的に強調表示され得て、及び/又はギャップ充填目標をシステム10によって識別及び/又は提供することができる(
図30A~
図30Cに示すように)。
【0267】
更に
図32A~
図32Cを参照すると、本発明の概念と一致する、予想される病変部セット計画の方法の一例が示される。いくつかの実施形態では、
図32Aに示すように、ユーザは、表面上に2つ、3つ、又はそれ以上の点を配置し得て、
図32Bに示すように、最短の表面ベースの距離(例えば、測地線距離及び/又はユークリッド距離)は、システム10によって解剖学的表面にわたって(又はオフセットなどのアナログ表面にわたって)計算され得る。いくつかの実施形態では、
図32Cに示すように、最適化された病変部配置がシステム10によって推定され、表示され得る。いくつかの実施形態では、病変部間ギャップ基準がシステム10によって使用され、例えば、リアルタイムアイコナールプリミティブの状態を変更し得る(例えば、ギャップを埋める位置にあるときにデフォルトの色から別の色に変更する)。いくつかの実施形態では、これらの経路及び病変部の推定は、ユーザが選択した深さにおける連続性パラメータに依存し得て、それはアルゴリズムが深さを推定する際に、ユーザ指定の深さを使用し得る。代替的又は追加的に、推定はアトラスベースの厚さ情報及び/又は患者固有の厚さ情報に依存し得る。
【0268】
更に
図33A~
図33Dを参照すると、本発明の概念と一致する、厚さベースの治療計画の一例が示される。システム10によって提供される予測は、EDD100(例えば、パルスフィールドアブレーションカテーテル)構成の変更、及び/又は送達される電場がシステム10によって推定されているドメインに基づいて(例えば、リアルタイムで)適合され得る。いくつかの実施形態では、システム10によって決定されるこれらの病変部セットは、上で示したように、点をドロップ(dropping)することによって選択され得て、又は病変部セットは、共通の病変部セットアプローチ(例えば、システム10によって記憶される)のグループから選択され得る。病変部セットが選択された場合、同じ予測が自動的に識別された病変部セットに対してシステム10によって実行され得て、例えば、予測が心臓の解剖学的構造(例えば、心房の解剖学的構造)に基づく場合である。システム10のユニバーサル心房座標(UAC)システムにより、解剖学的推論がシステム10によって計算されることが可能になり、例えば、推論は、解剖学的表面の一連のトポロジー的及び/又は多様体ベースの評価に基づく。
【0269】
更に
図34を参照すると、本発明の概念と一致する、いくつかの左心房幾何学的形状にわたって実装されたUACベースのシステムが示される。図示されるように、システム10のUACベースのマッピングは、解剖学的構造に一般化され得て、システム10は、幾何学的形状間の解剖学的マッピング、例えば、スカラー情報、ベクトル情報、治療情報、症例情報、及び/又はテンソル情報の解剖学的マッピングを可能にするように構成され得る。
【0270】
上述の実施形態は、例示的な例としてのみ役立つと理解されるべきであり、更なる実施形態が想定される。任意の1つの実施形態に関して本明細書で説明される任意の特徴は、単独で、又は説明される他の特徴と組み合わせて使用され得て、また、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴、又は任意の他の実施形態の任意の組み合わせと組み合わせて使用され得る。更に、上記されていない同等物及び変更もまた、本発明概念の範囲から逸脱することなく使用されてもよく、それは添付の特許請求の範囲で定義される。
【図】
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【国際調査報告】