(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】組織厚さ検出を備えたハンドヘルド電気機械ステープラ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61B17/115
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505039
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2022057157
(87)【国際公開番号】W WO2023012658
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】モズディエーズ, パトリック ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ハート, アレクサンダー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガリー, マイケル エス.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC35
4C160MM43
(57)【要約】
外科用デバイスが、モータと、複数のステープルを有するリロードとを含む。外科用デバイスはまた、その間の組織をクランプするためにモータによりリロードに対して移動可能なアンビル組立体を含む。デバイスは、アンビル組立体にかけられた力を測定するように構成された力センサをさらに含む。デバイスは、追加として測定された力を標的力と比較し、測定された力が標的力と一致する距離を決定し、距離及び標的力を出力するように構成されたコントローラを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用デバイスであって、
モータと、
複数のステープルを含むリロードと、
その間の組織をクランプするために前記モータにより前記リロードに対して移動可能なアンビル組立体と、
前記アンビル組立体にかけられた力を測定するように構成された力センサと、
コントローラであって、
前記測定された力を標的力と比較し、
前記測定された力が前記標的力と一致する距離を決定し、
前記距離及び前記標的力を出力するように構成されたコントローラと
を含む外科用デバイス。
【請求項2】
前記リロードが、前記標的力を記憶するように構成された記憶デバイスを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項3】
ディスプレイをさらに含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項4】
前記コントローラが、前記測定された力が前記標的力と一致する前記距離及び前記標的力を前記ディスプレイに出力するようにさらに構成される、請求項3に記載の外科用デバイス。
【請求項5】
前記コントローラが、タイマを維持し、
前記標的力を前記タイマの終了時に取得された前記測定された力に更新するようにさらに構成される、請求項4に記載の外科用デバイス。
【請求項6】
前記コントローラが、前記標的力が更新された距離を決定するようにさらに構成される、請求項5に記載の外科用デバイス。
【請求項7】
前記コントローラが、前記タイマの終了時間、前記標的力が更新された前記距離、及び前記標的力を前記ディスプレイに出力するようにさらに構成される、請求項6に記載の外科用デバイス。
【請求項8】
前記コントローラが、前記距離を決定する前に、前記標的力を維持するために前記モータを脈動させるようにさらに構成される、請求項6に記載の外科用デバイス。
【請求項9】
前記コントローラが、前記標的力を予め設定された時間維持するようにさらに構成される、請求項8に記載の外科用デバイス。
【請求項10】
外科用デバイスであって、
モータと、
複数のステープルを含むリロードと、
第1段階及び第2段階においてその間の組織をクランプするために前記モータにより前記リロードに対して移動可能なアンビル組立体と、
前記アンビル組立体にかけられた力を測定するように構成された力センサと、
前記モータ及び前記力センサに結合されたコントローラであって、前記第1段階中、
前記測定された力を標的力と比較し、
前記測定された力が前記標的力と一致する距離を決定し、
前記距離及び前記標的力を出力するように構成されたコントローラと
を含む外科用デバイス。
【請求項11】
前記第1段階中、前記アンビル組立体が一定速度で移動される、請求項10に記載の外科用デバイス。
【請求項12】
前記第2段階中、前記アンビル組立体が可変速度で移動される、請求項10に記載の外科用デバイス。
【請求項13】
前記リロードが、前記標的力を記憶するように構成された記憶デバイスを含む、請求項10に記載の外科用デバイス。
【請求項14】
ディスプレイをさらに含む、請求項10に記載の外科用デバイス。
【請求項15】
前記コントローラが、前記測定された力が前記標的力と一致する前記距離及び前記標的力を前記ディスプレイに出力するようにさらに構成される、請求項14に記載の外科用デバイス。
【請求項16】
前記第2段階中、前記コントローラが、
タイマを維持し、
前記標的力を前記タイマの終了時に取得された前記測定された力に更新するようにさらに構成される、請求項15に記載の外科用デバイス。
【請求項17】
前記コントローラが、前記標的力が更新された距離を決定するようにさらに構成される、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項18】
前記コントローラが、前記タイマの終了時間、前記標的力が更新された前記距離、及び前記標的力を前記ディスプレイに出力するようにさらに構成される、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項19】
前記コントローラが、前記距離を決定する前に、前記標的力を維持するために前記モータを脈動させるようにさらに構成される、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項20】
前記コントローラが、前記標的力を予め設定された時間維持するようにさらに構成される、請求項19に記載の外科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
円形ステープラが、予め横に切断された直腸部分を再び取り付けるための外科的処置又は同様の処置において使用される。従来の円形の締付、切断及び縫合計器は、ピストル又は線形把持様式構造であって、そこから延在する長尺状シャフトと長尺状シャフトの先端に支持されたステープルカートリッジとを有するピストル又は線形把持様式構造を含む。この例において、医師が、円形の縫合計器のアンビル組立体を、切込みを通じて及び横に切断された直腸部分に向かって挿入し得る。医師は次いで、(カートリッジ組立体を含む)円形の縫合計器の残りの部分を患者の直腸に導入し得るとともに、デバイスを、横に切断された直腸部分に向かって患者の結腸管を上へ操作し得る。アンビル及びカートリッジ組立体は互いに向かって近似され、ステープルは、端から端までの吻合に影響を及ぼすように組織におけるステープルを形成するために、カートリッジ組立体からアンビル組立体に向かって取り出され、環状ナイフが、締め付けられた組織部分の一部を取るために前進される。端から端までの吻合がもたらされた後で、円形の縫合装置は手術部位から除去される。
【0002】
バッテリ電源を含む動力電気機械外科用ステープラは、吻合処置の部位を締付、縫合、及び切断中に、動力外科用ステープラの様々な構成要素を作動させるためにモータを用いる。従来の動力ステープラの未解決の課題は、ユーザが手動で適切な組織厚さを見積もり又は測定し、その厚さに適切なステープルカートリッジを合わせる必要があることである。
【0003】
現在、軟組織厚さを測定するための標準的な方法がない。医療デバイス、調査研究又はそのような類似理由の開発及び使用のためにあらゆる組織厚さ測定を提供する各企業又は個人は、この必要性を満たすために試験方法又は製品を生み出してきた。この測定プロセスは医療分野で標準化されていないので、全ての施設によって集められて報告された組織厚さは、量的に組合せ又は比較することができない。したがって、動力外科用ステープラの高精度の電子センサにより、組織厚さを正確に測定するように構成された動力外科用ステープラが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示による動力円形ステープラは、複数の外科技術にわたって種々の組織タイプ、厚さ、及び疾病状態の吻合を生み出すために使用される。組織タイプ、厚さなどに依存して、吻合を形成する組織を近似する必要がある力は、処置によって変化し得る。組織が組織タイプ若しくは状態のために特に厚い又は高密度である状況では、より薄い組織に対するのと同じ速度及び力で締め付けると、組織損傷、過圧縮をもたらし、又は組織を所望の組織間隙に圧縮することができなくなる可能性がある。
【0005】
本開示は、制御組織圧縮(「CTC」)アルゴリズムと一緒に作動する組織厚さ測定アルゴリズムを提供する。CTCアルゴリズム及び組織厚さアルゴリズムは、動力外科用ステープラのコントローラによって実行されるソフトウェア命令として実現され得る。CTCアルゴリズムは、吻合を形成する縫合及び切断プロセスの前に、組織の締付を制御する。動力外科用ステープラは、締付中に力を測定し、アンビルによって移動される距離を同時に監視しながら、測定された力を標的力と連続的に比較するためにひずみゲージを含む。測定された力が標的力と等しい距離が、コントローラによって記録され、組織厚さの正確な測定を提供する動力外科用ステープラのディスプレイに表示される。これは、臨床医が、リロードが適切な大きさからなることを確認し、測定された厚さに基づいて異なるリロードを使用することを可能にする。
【0006】
本開示による組織厚さ測定アルゴリズムが、線形ステープラ及びロボットステープラを含む、あらゆる動力縫合デバイスを実装され得ることが想定される。
【0007】
本開示の一実施形態によると、外科用デバイスが開示され得る。外科用デバイスは、モータと、複数のステープルを有するリロードとを含む。外科用デバイスはまた、その間の組織をクランプするためにモータによりリロードに対して移動可能なアンビル組立体を含む。デバイスは、アンビル組立体にかけられた力を測定するように構成された力センサをさらに含む。デバイスは、追加として測定された力を標的力と比較し、測定された力が標的力と一致する距離を決定し、距離及び標的力を出力するように構成されたコントローラを含む。
【0008】
上記実施形態の実装形態は以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。上記実施形態の一態様によると、リロードは、標的力を記憶するように構成された記憶デバイスを含み得る。外科用デバイスは、ディスプレイを含み得る。コントローラは、測定された力が標的力と一致する距離及び標的力をディスプレイに出力するようにさらに構成され得る。コントローラは、タイマを維持し、標的力をタイマの終了時に取得された測定された力に更新するようにさらに構成され得る。コントローラは、標的力が更新された距離を決定するようにさらに構成され得る。コントローラは、タイマの終了時間、標的力が更新された距離、及び標的力をディスプレイに出力するように構成され得る。コントローラは、距離を決定する前に、標的力を維持するためにモータを脈動させるようにさらに構成され得る。コントローラは、標的力を予め設定された時間維持するようにさらに構成され得る。
【0009】
本開示の別の実施形態によると、外科用デバイスが開示される。外科用デバイスは、モータと、複数のステープルを含むリロードとを含む。外科用デバイスはまた、第1段階及び第2段階においてその間の組織をクランプするためにモータによりリロードに対して移動可能なアンビル組立体と、アンビル組立体にかけられた力を測定するように構成された力センサとを含む。外科用デバイスはまた、モータ及び力センサに結合されたコントローラを含む。第1段階中、コントローラは、測定された力を標的力と比較し、測定された力が標的力と一致する距離を決定し、距離及び標的力を出力するように構成される。
【0010】
上記実施形態の実装形態は以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。上記実施形態の一態様によると、第1段階中、アンビル組立体は一定速度で移動され得る。第2段階中、アンビル組立体は可変速度で移動され得る。リロードは、標的力を記憶するように構成された記憶デバイスを含み得る。外科用デバイスは、ディスプレイを含み得る。コントローラは、測定された力が標的力と一致する距離及び標的力をディスプレイに出力するようにさらに構成され得る。コントローラは、タイマを維持し、標的力をタイマの終了時に取得された測定された力に更新するようにさらに構成され得る。コントローラは、標的力が更新された距離を決定するようにさらに構成され得る。コントローラは、タイマの終了時間、標的力が更新された距離、及び標的力をディスプレイに出力するように構成され得る。コントローラは、距離を決定する前に、標的力を維持するためにモータを脈動させるようにさらに構成され得る。コントローラは、標的力を予め設定された時間維持するようにさらに構成され得る。
【0011】
本開示の実施形態が添付図面を参照して本明細書において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態による、ハンドル組立体と、アダプタ組立体と、エンドエフェクタとを含むハンドヘルド手術器具の斜視図である。
【
図2】
図1のハンドル組立体、アダプタ組立体、及びエンドエフェクタの概略図である。
【
図3】アダプタ組立体及びエンドエフェクタ、本開示の実施形態による
図1のアダプタ組立体に取り付けられた環状のリロード及びアンビル組立体の斜視側面図である。
【
図4】部分的に想像線で示された、
図1のアダプタ組立体内に配置された締付伝達組立体の斜視図である。
【
図5】部分的に想像線で示された、
図1のアダプタ組立体内に配置された縫合伝達組立体の斜視図である。
【
図6】
図1のエンドエフェクタのリロードの断面図である。
【
図7】ひずみゲージ組立体を備えた、部分的に分解された状態で示されたアダプタ組立体の斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態による締付シーケンス中の
図1の手術器具を制御するための方法である。
【
図9】本開示の実施形態による
図1のハンドヘルド外科用デバイスにより実施される締付シーケンス中のアンビル組立体及び対応するモータの移動距離並びに速度を示す概略図である。
【
図10】本開示の実施形態による組織厚さ測定シーケンス中の
図1の手術器具を制御するための方法である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において開示された外科用デバイス、及び外科用デバイスのためのアダプタ組立体及び/又はハンドル組立体の実施形態が図面を参照して詳細に説明され、図面において、同様の参照符号はいくつかの図の各々において同一の又は対応する要素を指す。本明細書で使用される場合、「先端」という用語は手術器具又はその構成要素の、ユーザから遠い方の部分を指す一方で、「基端」という用語は、手術器具又はその構成要素の、ユーザに近い方の部分を指す。
【0014】
本開示は、ハンドル組立体と、ハンドル組立体に結合されたアダプタ組立体と、アダプタ組立体に結合されたエンドエフェクタとを有する動力円形ステープラ10を提供する。ステープラは、3つの機能、すなわち締付、縫合、及び切断の完全な、独立した制御を可能にする。これは、組織が理想的でない状況を呈する場合、ステープラの特定の部分を適応させることを可能にする。
【0015】
図1は、アダプタ組立体200との選択的接続のために構成されたハンドル組立体100を含む、例えば、端々吻合(「EEA」)を形成するための動力円形ステープラ10などの外科用デバイスを示す。アダプタ組立体200は、リロード400とアンビル組立体500とを含む、エンドエフェクタ300との選択的接続のために構成される。エンドエフェクタ300は、エンドエフェクタ300内に把持された組織を締付、縫合、及び切断することにより、患者の組織に外科的効果を生じる、すなわち、構造(例えば腸、結腸など)の2つの部分を接続することにより吻合を形成するために構成される。
【0016】
ハンドル組立体100は、パワーハンドル101と、パワーハンドル101を選択的に受ける及び包み込むように構成された外側シェルハウジング11とを含む。シェルハウジング11は、先端半部10aと、先端半部10aに枢動可能に接続された基端半部10bとを含む。接合されると、先端及び基端半部10a、10bは中にパワーハンドル101が配置されるシェル空洞を画定する。
【0017】
シェルハウジング11の先端及び基端半部10a、10bは、アダプタ組立体200の長手方向軸「X」を横断する平面に沿って分割される。シェルハウジング11の先端半部10aは、アダプタ組立体200の対応する駆動結合組立体210(
図3)を受け入れるように構成された接続部分20を画定する。シェルハウジング11の先端半部10aはトグル制御ボタン30を支持する。トグル制御ボタン30は、4つの方向(例えば左、右、上及び下)に作動され得る。
【0018】
図1及び2を参照すると、パワーハンドル101は、主コントローラ回路基板142と、ハンドル組立体100の電気構成要素のいずれかに電力を供給するように構成された充電式バッテリ144と、バッテリ144に結合された複数のモータ152とを含む。パワーハンドル101はまたディスプレイ146を含む。実施形態において、モータ152は、電気エネルギーをモータ152に提供するように構成された任意の好適な電源、例えばAC/DC変圧器に結合され得る。モータ152の各々は、バッテリ144からモータ152への電気エネルギーのフローを含む、対応するモータ152の動作を制御するモータコントローラ143に結合される。パワーハンドル101を制御する主コントローラ147が提供される。主コントローラ147は、パワーハンドル101の動作を制御する締付、縫合、及び切断アルゴリズムなど本明細書において開示されたアルゴリズムを実現するソフトウェア命令を実行するように構成される。
【0019】
モータコントローラ143は、モータ152及びバッテリ144の動作状態を測定するように構成された複数のセンサ408a…408nを含む。センサ408a~nは、ひずみゲージ408bを含み、また、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、テレメトリセンサ、光学センサ、及びこれらの組合せを含み得る。センサ408a~408nは、バッテリ144により供給された電気エネルギーの電圧、電流、及び他の電気特性を測定し得る。センサ408a~408nはまた、モータ152の毎分回転数(RPM)としての角速度(例えば回転速度)、トルク、温度、電流引き込み、及び他の動作特性を測定し得る。センサ408aはまた、モータ152の回転又は他の指標をカウントするように構成されたエンコーダを含み、これは次いで、モータ152により移動可能な構成要素の線形移動を計算するために主コントローラ147により使用される。角速度は、モータ152又はモータ152に結合されモータ152により回転可能なドライブシャフト(図示せず)の回転を測定することにより決定され得る。様々な軸方向に移動可能なドライブシャフトの位置はまた、シャフトにおいて又はシャフトに近接して配置された様々な線形センサを使用することにより決定され得る、又は、RPM測定値から推定され得る。実施形態において、トルクは、一定のRPMでの、モータ152の調節された電流引き込みに基づき計算され得る。さらなる実施形態において、モータコントローラ143及び/又は主コントローラ147は、例えば測定された値の変化率を決定するために、時間を測定し得るとともに、上で説明された値を、積分及び/又は微分を含み、時間に応じて処理し得る。主コントローラ147はまた、モータ152の回転をカウントすることにより、アダプタ組立体200及び/又はエンドエフェクタ300の様々な構成要素の移動距離を決定するように構成される。
【0020】
モータコントローラ143は主コントローラ147に結合され、主コントローラ147は、モータコントローラ143とインターフェイスを取るための複数の入力及び出力を含む。特に、主コントローラ147は、モータ152の動作状態に関する測定されたセンサ信号をモータコントローラ143から受信し、バッテリ144は、今度は、モータコントローラ143へ制御信号を出力し、センサ読み取り値及び特定のアルゴリズム命令に基づきモータ152の動作を制御する。主コントローラ147はまた、ユーザインターフェイス(例えば主コントローラ147に結合されたスイッチ、ボタン、タッチスクリーンなど)から複数のユーザ入力を受け入れるように構成される。
【0021】
主コントローラ147はまたメモリ141に結合される。メモリ141は、パワーハンドル101を動作させるためのソフトウェア命令を含むデータを記憶するように構成された揮発性(例えばRAM)及び不揮発性記憶装置を含み得る。主コントローラ147はまた、有線又は無線接続を使用してアダプタ組立体200のひずみゲージ408bに結合されるとともに、パワーハンドル101の動作中に使用されるひずみゲージ408bからひずみ測定値を受信するように構成される。
【0022】
パワーハンドル101は、複数のモータ152であって、各々、それらから延在するとともにそれぞれの伝達組立体を駆動するように構成されたそれぞれのモータシャフト(明確には図示せず)を含む複数のモータ152を含む。それぞれのモータによるモータシャフトの回転は、ハンドル組立体100の様々な操作を実施するためにアダプタ組立体200のシャフト及び/又は歯車構成要素を駆動するように機能する。特に、パワーハンドル101のモータ152は、アダプタ組立体200のトロカール組立体270のトロカール部材274(
図4)を選択的に伸長させる/格納するためにアダプタ組立体200のシャフト及び/又は歯車構成要素を駆動するように構成される。トロカール部材274の伸長/格納は、(アンビル組立体500がトロカール組立体270のトロカール部材274に接続されると)エンドエフェクタ300を開き/閉じ、リロード400のステープル423の環状の配列を発射し、リロード400の環状ナイフ(明確には図示せず)を移動させる。
【0023】
リロード400は、始動締付力、最大締付力、力係数などを含むリロード400の動作パラメータを記憶するように構成された記憶デバイス402を含む。各タイプのリロード400は、対応する始動締付力を有することができ、対応する始動締付力は、始動締付力値を記憶デバイス402から読み取ることにより主コントローラ147が自動的に取得することができ、及び/又は、リロード400のタイプ若しくは締付力のいずれかを直接選択することによりユーザにより手動で設定され得る。始動締付力は、約100ポンド~約200ポンドの任意の好適な閾値であってもよく、実施形態において、標的締付力は約150ポンドであり得る。実施形態において、33mmの大きさのリロード400は約150lbsの締付力を有し得る。
【0024】
ここで
図3及び4を見ると、アダプタ組立体200は、外側ノブハウジング202とノブハウジング202の先端から延在する外筒206とを含む。ノブハウジング202及び外筒206は、アダプタ組立体200の構成要素を収納するように構成及び寸法決めされる。ノブハウジング202は、電気接続部312とそれに結合された記憶デバイス310とを含む。記憶デバイス310は、アダプタ組立体200に関連する様々な動作パラメータを記憶するように構成される。アダプタ組立体200は、ハンドル組立体100の結合シャフト(明確には図示せず)の回転を、アダプタ組立体200のトロカール組立体270、アンビル組立体500、及び/又はリロード400のステープルドライバ430又はナイフ組立体(明確には図示せず)を動作させるために有用な軸方向並進運動へ変換するように構成される。
【0025】
アダプタ組立体200は、外筒206の先端において取り外し可能に支持されたトロカール組立体270をさらに含む。トロカール組立体270は、トロカール部材274と、トロカール部材274を外筒206に対して軸方向に移動させるためのトロカール部材274内に動作可能に受け入れられた打ち込みねじ276を含む。トロカール部材274の先端274bは、トロカール部材274の軸方向移動が、打ち込みねじ276の回転を介して、アンビル組立体500の付随する軸方向移動をもたらすように、アンビル組立体500に選択的に係合するように構成される。
【0026】
図4を参照すると、締付伝達組立体240は、モータ152のうちの1つに結合された第1回転可能基端ドライブシャフト212、第2回転可能基端ドライブシャフト281、回転可能先端ドライブシャフト282、及び結合部材286を含み、これらは各々アダプタ組立体200の外筒206内で支持される。締付伝達組立体240は、アダプタ組立体200のトロカール組立体270のトロカール部材274を伸長させる/格納するように、及び、アンビル組立体510がトロカール部材274に接続されるとアンビル組立体510を開く/閉じるように機能する。
【0027】
図5を参照すると、アダプタ組立体200は、モータ152のうちの1つ及びリロード400の第2軸方向並進可能ドライバ部材を相互接続するための縫合伝達組立体250を含み、縫合伝達組立体250は、リロード400から及びアンビル組立体510に対してステープル423を発射させるために、モータ152のうちの1つの回転をアダプタ組立体200の外側可撓性バンド組立体255の軸方向並進へ、ひいては、リロード400のステープルドライバ430へ変換する及び伝達する。
【0028】
アダプタ組立体200の縫合伝達組立体250は、ステープルドライバ結合器254に固定された外側可撓性バンド組立体255を含む。第2回転可能基端ドライブシャフト220はモータ152のうちの1つに結合されるとともに、当該ステープルドライバ結合器254を作動させるように構成され、これは回転移動を長手方向移動に変換する。外側可撓性バンド組立体255は、第1及び第2可撓性バンド255a、255bであって、横方向に間隔を空けて配置されるとともにその基端で支持リング255cに及びその先端で先端プッシャ255dの基端に接続された第1及び第2可撓性バンド255a、255bを含む。第1及び第2可撓性バンド255a、255bの各々は、支持リング255c及び先端プッシャ255dに取り付けられる。外側可撓性バンド組立体255は、支持リング255cから基端側に延在する第1及び第2接続延長部255e、255fをさらに含む。第1及び第2接続延長部255e、255fは、外側可撓性バンド組立体255を縫合伝達組立体250のステープルドライバ結合器254に動作可能に接続するように構成される。
【0029】
図6を参照すると、リロード400のステープルドライバ430は、ドライバアダプタ432とドライバ434とを有するステープルカートリッジ420を含む。ドライバアダプタ432の基端432aは、アダプタ組立体200の縫合伝達組立体250の外側可撓性バンド組立体255の先端プッシャ255dとの選択的接触及び当接のために構成される。動作中、上述のとおり、外側可撓性バンド組立体255の先端側への前進中に、外側可撓性バンド組立体255の先端プッシャ255dは、ドライバアダプタ432の基端432aを接触させて、ドライバアダプタ432及びドライバ434を第1又は基端位置から第2又は先端位置へ前進させる。ドライバ434は、複数のドライバ部材436であって、ステープル423との接触のためのステープルカートリッジ420のステープルポケット421と整列させられた複数のドライバ部材436を含む。対応して、ステープルカートリッジ420に対するドライバ434の前進は、ステープルカートリッジ420からのステープル423の取り出しを引き起こす。
【0030】
トロカール部材274の作動中の力、エンドエフェクタ300の閉鎖(例えばリロード400に対するアンビル組立体500の格納)、及びリロード400からのステープル423の取り出し、及びナイフ組立体440の前進は、様々なプロセス、例えば、リロード400からのステープル423の発射を監視及び制御する、ステープル423がリロード400から取り出されている際のステープル423の発射及び形成中の力を監視する、組織の異なる症状についてステープル423がリロード400から取り出されている際のステープル423の形成(例えばステープル波形高さ)を最適化する、並びにリロード400の環状ナイフの発射の監視及び制御するためにひずみゲージ408bにより測定され得る。
【0031】
図7を参照すると、アダプタ組立体200のひずみゲージ408bはひずみゲージハウジング320内に配置される。ひずみゲージ408bは、トロカール部材274の格納並びにリロード400からのステープル423の取り出し及び形成を測定する及び監視する。エンドエフェクタ300の閉鎖中、アンビル組立体500が組織、障害物、リロード400の組織接触表面、ステープル取り出しなどに接すると、略先端方向の反力がアンビル組立体500にかけられる。この先端側に向けられる反力は、アンビル組立体500からひずみゲージ408bへ伝えられる。ひずみゲージ408bは次いで、信号をハンドル組立体100のパワーハンドル101の主コントローラ回路基板142へ伝える。グラフィックがこのとき、ハンドル組立体100のディスプレイ146に表示されて、ユーザにリアルタイムステータス情報を提供する。
【0032】
トロカール組立体270は、アダプタ組立体200の外筒206内で軸方向に動かないように及び回転しないように固定される。
図6を参照すると、アダプタ組立体200は、外筒206内に動かないように配置された支持ブロック292を含む。ひずみゲージハウジング320は、支持ブロック292とコネクタスリーブ290との間に配置される。リロード400は、コネクタスリーブ290に取り外し可能に結合される。
【0033】
動作中、アダプタ組立体200のひずみゲージ408bは、ひずみゲージ408bを通過するトロカール部材274の格納を測定する及び監視する。第1及び第2可撓性バンド255a、255bもまたひずみゲージ408bを通過するため、アダプタ組立体200のひずみゲージ408bはまた、リロード400からのステープル423の取り出しを測定する及び監視する。締付、縫合及び切断中、反力がアンビル組立体500及びリロード400にかけられ、これは支持ブロック292に伝えられ、これは次いで、反力をひずみゲージ408bのひずみセンサに伝える。
【0034】
ひずみゲージ408bのひずみセンサは、物体が変形すると、ひずみセンサの金属の箔もまた変形し、その電気抵抗を変化させ、この抵抗の変化が次いで、トロカール組立体270が受ける負荷を計算するのに使用されるように、それがくっついている物体(例えば支持ブロック292)のひずみ(大きさの無い量)を測定するように構成された任意のデバイスであり得る。ひずみゲージ408bは、第1、第2及び第3力/回転伝達/変換組立体により提示される発射/締付負荷へ閉鎖ループフィードバックを提供する。
【0035】
ひずみゲージ408bのひずみセンサは次いで、信号を主コントローラ回路基板142に伝える。グラフィックはこのとき、ハンドル組立体100のディスプレイ146に表示されて、ユーザにハンドル組立体100の発射のステータスに関連するリアルタイム情報を提供する。ひずみゲージ408bはまた、基端及び先端ハーネス組立体314、316を介して電気接続部312(
図3)に電気的に接続される。
【0036】
円形ステープラ及びその構成要素の構成及び動作に関するさらなる詳細について、2019年7月3日に出願された国際公開第PCT/US2019/040440号パンフレットが参照されてもよく、その内容の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
ユーザは、トロカール部材274とアンビル組立体510とを含むアダプタ組立体200を直腸結腸又は上部消化管領域内に位置付けることにより外科的処置を開始する。ユーザはトグル制御ボタン30を押して、トロカール部材274をそれが組織を穿刺するまで伸長させる。動作中、アンビル組立体500は(外科医により吻合が行われる組織部位に位置付けられた後)トロカール部材274に取り付けられ、ユーザは、トグル制御ボタン30の底部を押すことにより、リロード400とアンビル組立体500との間に挿入された組織への締付プロセスを始める。トロカール部材274の伸長後、外科医により予め位置付けられたアンビル組立体510はトロカール部材274に取り付けられる。外科医は次いで、トグル制御ボタン30の底部を押下することにより、リロード400とアンビル組立体510との間に挿入された組織への締付プロセスを開始する。
【0038】
締付中、アンビル組立体500は、予め設定された、完全に締め付けられた位置(すなわち第4位置604)に到達するまでリロード400に向かって格納される。予め設定された、締め付けられた位置は、異なるタイプのリロードの各々について変化する。締付中、ひずみゲージ408bは、トロカール部材274がアンビル組立体500をアンビル組立体500とリロード400との間の組織をクランプするように移動させる際に、トロカール部材274にかけられた力について、測定値を主コントローラ147に連続的に提供する。
【0039】
図8は、アンビル組立体500がモータ152によって格納される際のアンビル組立体500の移動距離及び速度を模式的に示す
図9を参照して記載された、本開示による締付アルゴリズムを示す。アンビル組立体500は、第1完全開口位置601からリロード400に近い方の第2位置602への第1セグメントに対する第1速度で、完全開口位置601から格納される、すなわち基端側に移動される。これは、ユーザがトグル制御ボタン30を押すことに応じて行われる。その後、アンビル組立体500は、第2位置602から第3位置603に第1速度より遅い第2速度で第2セグメントに沿って基端側に横断する。アンビル組立体500が第2セグメントを横断する際に、主コントローラ147は、測定された力が始動圧縮距離に到達する前に高い力閾値の限界を超えるかどうかを決定するために、測定された力が既定のパラメータ内であるかどうかを連続的に検証する。この測定値は、障害物、アンビル組立体500とリロード400との間の不一致、及び/又はアンビル組立体500とリロード400の不整列を検出するために使用される。力が高い力閾値より高い場合は、パワーハンドル101は、不整列を修正するために、締付伝達組立体240を一時的に逆行させてアンビル組立体500を格納する。主コントローラ147は次いで、第3位置603に到達するまで連続的に締付を再試行する、すなわちアンビル組立体500をリロード400に向かって基端側に動かす。第3位置603に所定の時間内に到達しない場合は、主コントローラ147は、アンビル組立体500を検査するようにユーザを促す警報を含むエラーをディスプレイ画面146に発する。あらゆる障害物を検査及び排除後、ユーザは次いで、締付プロセスを再開し得る。
【0040】
アンビル組立体500が、第2セグメントの端部である第3位置603に到達すると、パワーハンドル101は、アンビル組立体500の位置をチェックするために回転検証を実施する。次いで主コントローラ147は、制御組織圧縮(「CTC」)アルゴリズムを開始する。CTCアルゴリズムは2段階を有し、第1のCTC段階は第3位置603から始まり、その間にアンビル組立体500は、第4位置604(すなわちクランプ間隙位置)に測定された力に基づいて可変速度で基端側に駆動される。
【0041】
第3位置603と第4位置604との間のアンビル組立体500の前進は、二次予測力フィルタで圧縮中に組織にかけられたゆっくり変化する力及び急速に変化する力を考慮する。予測された力が標的力に近づく際に、締付速度は、行き過ぎを防ぐために速度を落とされる。測定された力が標的力に到達し、クランプ間隙がまだ達成されていないとき、組織を弛緩することができるために締付は停止される。組織の弛緩中、測定された力が標的締付力より下がった後に前進は再開する。組織にかけられた力は、ひずみゲージ408bから主コントローラ147によるひずみ測定値から導き出される。このプロセスは、第4位置604に到達するまで続ける。
【0042】
第4位置604に到達すると、アンビル組立体500は、第5位置605(すなわち伸長されたクランプ間隙位置又はゼロ間隙位置)に基端側に前進させられる。第5位置605は、クランプオフセット距離に基づいて調整され得、クランプオフセット距離は、アダプタ組立体200の記憶装置310から主コントローラ147によって読み取られ得る。アンビル組立体500が第5位置605に前進する前、第4位置604に到達後に、アンビル組立体500は一時的に停止され得、これは約0.5秒~約2秒であり得る。第4位置604と第5位置605との間の距離は、約0.002インチ~約0.02インチであり得る。アンビル組立体500は、第3位置603と第4位置604との間の締付と同じ手法で測定された力に基づいて、第5位置605に基端側に前進させられる。特に、アンビル組立体500は、第4位置604に前進するために使用されるのと同じ力フィードバックを使用して、第4位置604から第5位置605に前進させられ得る。
【0043】
第5位置605に到達すると、第5位置605に到達したという通知がディスプレイ146に表示され得、音声トーンがパワーハンドル101によって出力され得る。アンビル組立体500は、第5位置605に所定の時間維持され、所定の時間は約1秒~約12秒であり得、実施形態において、約2秒~約6秒であり得る。アンビル組立体500は、組織に予め設定された力を維持し、予め設定された力は約80lbs~約150lbsであり得、実施形態において約105lbsであり得る。
【0044】
予め設定された時間が終了すると、アンビル組立体500は、第6位置606から第5位置605に先端側に移動される。予め設定された力を予め設定された時間維持し、次に弛緩し、すなわちアンビル組立体の先端を第5位置605に戻すと、組織ヒステリシスを利用することによりクランプ力が低下し、組織ヒステリシスは物質現象であり、それによって記憶された機械エネルギーは非締付中に締付中より速く散逸される。
【0045】
動力外科用ステープラ10はまた、アンビル組立体500が第2位置602から第4位置604に一定速度、すなわち第1段階で、及びCTC段階中すなわち第2段階で移動する際に、組織厚さを測定するように構成される。主コントローラ147は、
図10に示されたように組織厚さ測定アルゴリズムを実行するように構成される。組織厚さ測定アルゴリズムは、締付プロセス中にひずみゲージ408bによって測定される力を連続的に監視する。力は、予め設定された速度で連続的に測定され、予め設定された速度は約10ms~約500msであり得る。この段階中、力は、測定された力が標的力に等しいかどうかを決定するために監視される。標的力は、組織厚さを決定するために最適力に基づく。標的力は記憶デバイス402に記憶され得、使用されるリロード400に特有であり得る。記憶デバイス402はまた、タイムアウト、修正因子を含む、リロード400に関連する他のパラメータを含み得る。
【0046】
測定された力が標的力に等しい場合は、主コントローラ147は、標的力が測定された距離を記録する。距離は第5位置605(すなわちゼロ間隙)に対して測定され、インチ又はmmで表され得る。この距離は、締め付けられる組織厚さを示す。距離はメモリ141に記憶され得、ディスプレイ146に表示され得る。測定された力が標的力に到達しない場合、これは締め付けられる十分な組織がないことを示すはずであるので、エラーがディスプレイ146に出力され得る。主コントローラ147は、再締付を試み、力検出を再度試みるようにユーザを促し得る。
【0047】
標的力及び距離は、[力]が標的力であり[距離]が測定された距離である場合、「[力]lbsはゼロ間隙から[距離]インチを検出した」などの、あらゆる適切なメッセージを使用して表示され得る。したがって、ひずみゲージ408b及び主コントローラ147の距離計算機能により、動力外科用ステープラ10が正確な圧力(すなわち締付中にかけられた力)の下で組織厚さを正確に測定することができる。
【0048】
標的力に到達すると、組織が弛緩するにつれてモータ152を脈動させることにより組織に標的力を維持しながら、アンビル組立体500は適所に保持される。標的力が予め設定された時間維持されると、主コントローラ147への距離は距離を記録する。組織の弛緩後の距離を測定することにより、組織厚さの変動を除去することでより正確な組織厚さの測定が可能になる。
【0049】
第2位置602から第4位置604に締付中に標的力に一致する測定された力が検出されると、主コントローラ147はまた、ユーザがトグル制御ボタン30の「開」キーを押すことに応答して起き得る締付プロセスをユーザが停止するまで、標的力に一致する力を探すこと(すなわち測定された力を標的力と比較すること)を停止する。締付が再開すると、主コントローラ147は、標的力に一致する測定された力を探すことを再始動する。主コントローラ147はまた、力検出が進行中であるかどうかのメッセージ(例えば「検出オン」又は「検出オフ」)をディスプレイ146に出力し得る。
【0050】
組織厚さはまた、第2段階すなわちCTC段階(
図8参照)中に測定される。CTC段階中、アンビル組立体500は、測定された力に基づいて可変速度で移動される。第4位置604に到達するとCTC段階が開始し、タイマは初期化され、すなわちゼロに設定される。CTC段階は、上記のようにリロード400の記憶デバイス402から主コントローラ147によって検索され得る標的力を維持しながら、組織を締め付けることを含む。アンビル組立体500は、タイマが予め設定された時間に到達するまで、第5位置605に向かって格納されながら、この標的力は維持され、予め設定された時間はまた、記憶デバイス402に記憶され、主コントローラ147によって検索され得る。
【0051】
タイムアウトの後、すなわち測定された時間が予め設定された時間を超えた後、ひずみゲージ408bによって測定された際に測定された力が、標的力より高い場合は、標的力は測定された力に更新される。主コントローラ147は、タイムアウトが起きたというメッセージをディスプレイ146に出力し得、標的力は更新される(例えば「タイムアウトが経過し、…を測定中」)。主コントローラ147はまた、記憶デバイス402から読み取られた修正因子及び修正因子が適用される対応する距離を表示し得る(例えば「リロード修正は…、元の距離は…」)。この修正因子は負又は正値であり得、第5位置605と標的力がCTC段階中に測定された点との間の距離に追加され得る。予め設定された時間は、安定化時間として作用し、その間に流体が締め付けられた組織から染み出しながら、締め付けられた組織への圧力は維持される。標的圧力はまた、力測定値(例えば第5位置605への距離)を記録する前に予め設定された時間維持される。
【0052】
主コントローラ147はまた、新しい標的力及び新しい標的力が第5位置605に対して測定された距離、すなわちタイムアウトが起きた距離を表示し得る。新しい標的力及び距離は、[力]が標的力であり、[時間]が、力測定が起きた時間であり、8及び[距離]が測定された距離である場合、「[力]lbsは[時間]後、ゼロ間隙から[距離]インチを検出した」などの、あらゆる適切なメッセージを使用して表示され得る。
【0053】
標的力を更新後、主コントローラ147は、ユーザがトグル制御ボタン30の「開」キーを押すことに応答して起き得る締付プロセスをユーザが停止するまで、標的力に一致する力を探すこと(すなわち測定された力を標的力と比較すること)を停止する。締付が再開すると、主コントローラ147は、標的力に一致する測定された力を探すことを始める。主コントローラ147は、力検出が進行中であるかどうかのメッセージ(例えば「検出オン」又は「検出オフ」)をディスプレイ146に出力し得る。
【0054】
標的力を更新後、主コントローラ147はまたモータ152を停止し、それによってアンビル組立体500の動きを停止する。さらに主コントローラ147は、音声(例えば複数のビープ)及び/又は視覚表示をディスプレイ146に出力し得る。主コントローラ147はまた、標的力をデフォルト力値にリセットし、デフォルト力値は通常の臨床値が約15lbsであり得る。第2組織厚さ測定後、締付アルゴリズムは、
図8に上記のように続き得る。
【0055】
締付が完了後、主コントローラ147は、組織締付が成功したという信号を発する。締付が成功裏に完了すると、ユーザは縫合シーケンスを開始する。縫合シーケンスを開始するために、ユーザは、安全及びアームトグル制御ボタン30として機能するパワーハンドル101の安全ボタン36のうちの1つを押し、それが縫合を開始することを可能にする。次いでユーザはトグル制御ボタン30を押下し、このことは第2回転伝達組立体250を移動させて、回転を線形運動に変換し、円形のリロード400からステープルを取り出す及び形成する。
【0056】
本明細書において開示された動力外科用ステープラの実施形態には様々な修正がなされ得ることが理解される。したがって、上記は限定としてではなく、実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲及び趣旨内で他の修正形態を想定し得る。
【0057】
1つ又は複数の例において、説明された技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はその任意の組合せにおいて実装され得る。ソフトウェアにおいて実装された場合、機能はコンピュータ可読媒体に1つ又は複数の命令又はコードとして記憶され得るとともにハードウェアベースの処理ユニットにより実行され得る。コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体であって、有形の媒体、例えばデータ記憶媒体(例えばRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、又は命令又はデータ構造の形で望ましいプログラムコードを記憶するために用いることができるとともにコンピュータによりアクセスされ得る他の任意の媒体)に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0058】
命令は、1つ又は複数のプロセッサ、例えば1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、又は他の同等の集積又は離散論理回路により実行され得る。対応して、「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用される場合、前述の構造又は説明された技術の実装に好適な他の任意の物理的構造のいずれかを指し得る。また技術は、1つ又は複数の回路又は論理素子において完全に実装され得る。
【国際調査報告】