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特表2024-528897金属製品から酸化物層を剥離するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】金属製品から酸化物層を剥離するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/36 20140101AFI20240725BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240725BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B23K26/36
B23K26/00 N
B23K26/03
B23K26/00 M
B23K26/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505146
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 IB2021056864
(87)【国際公開番号】W WO2023007221
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512072614
【氏名又は名称】アペラム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イスマエル・ロマリック・アレクシ・ギヨット
(72)【発明者】
【氏名】バティスト・ピエール・ジャン・ラトゥーシュ
(72)【発明者】
【氏名】マルコス・ヴィニシウス・オリヴェイラ・ロペス
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB07
4E168CB24
4E168DA02
4E168DA24
4E168DA43
4E168FC01
4E168GA01
4E168KA04
(57)【要約】
方法は、製品(3)の部分から酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップであって、剥離された領域を形成するために剥離レーザ(13)と等しい波長およびパルス持続時間の分析パルスを部分のセグメントへ伝達すること、セグメントの画像を取り込むこと、この画像から剥離された領域を代表する寸法を判定すること、および前記寸法から除去エネルギー密度閾値を評価することを含む、ステップと、剥離パルスを部分に伝達するステップであって、剥離パルスのエネルギー密度が除去エネルギー密度閾値より高いステップとを含み、剥離レーザ(13)は、部分の各点が除去エネルギー密度閾値より高いエネルギー密度に曝されるように制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面上に酸化物層を呈する流れる金属製品(3)を剥離するための方法であって、前記方法は少なくとも1つの剥離レーザ(13)によるレーザ剥離を使用し、
前記流れる製品の複数の連続部分の各部分上で連続して実施される以下のステップ、すなわち
- 検討対象の前記部分における前記酸化物層の除去に必要な最小エネルギー密度に対応する、前記流れる金属製品(3)の検討対象の前記部分上の前記酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップであって、
レーザ源(30)を備えた伝達システム(20)により分析レーザパルスを伝達することであって、前記分析レーザパルスは、セグメント内で、前記酸化物層がない剥離された領域を形成するために検討対象の前記部分の前記セグメントの上で前記剥離レーザ(13)と等しい波長およびパルス持続時間である、伝達すること、
前記分析レーザパルスによって影響を受ける前記表面の前記セグメントの画像を取り込むこと、
前記画像から、前記剥離された領域を代表する寸法を判定すること、
前記代表的寸法および前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報により酸化物層除去エネルギー密度閾値を評価すること
を含むステップと、
- 剥離するために検討対象の前記部分上で剥離レーザパルスを前記剥離レーザ(13)によって伝達するステップであって、前記剥離パルスのエネルギー密度が前記判定された酸化物層除去エネルギー密度閾値より高い、ステップとを含み、
前記剥離レーザ(13)は、検討対象の前記部分の各点が前記酸化物層除去エネルギー密度閾値より高いエネルギー密度に少なくとも一瞬曝されるように、前記判定された酸化物層除去エネルギー密度閾値を受ける制御ユニット(15)によって制御される、方法。
【請求項2】
前記酸化物層の下の金属が損傷を受けた損傷した領域を前記セグメント内で成形する分析レーザパルスを伝達するステップを含み、前記画像から前記損傷した領域を代表する寸法を判定するステップと、前記損傷した領域を代表する前記寸法および前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する前記情報から、前記酸化物層の下で前記金属製品(3)の前記表面の劣化がそれを上回ると観察されるエネルギー密度に対応する、金属損傷エネルギー密度閾値を評価するステップとをさらに含む、請求項1に記載の剥離方法。
【請求項3】
前記伝達システム(20)へ前記損傷エネルギー密度閾値を伝達するステップをさらに含み、前記流れる金属製品(3)の次の部分で、前記伝達システム(20)は、前記分析レーザパルスによって影響を受ける前記セグメントの任意の点において、前記エネルギー密度が前記損傷エネルギー密度閾値より低いように適応されたエネルギーの分析レーザパルスを伝達することを特徴とする、請求項2に記載の剥離方法。
【請求項4】
エネルギープロファイルに関連する前記情報は、エネルギープロファイルの形状および前記分析レーザパルスのエネルギーまたは電力を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の剥離方法。
【請求項5】
前記酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定する前記ステップは、前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルの前記形状を判定するステップ、および/または前記分析レーザパルスの前記エネルギーもしくは電力を判定するステップを含む、請求項4に記載の剥離方法。
【請求項6】
前記酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定する前記ステップは、ビーム分析器(64)に向けて各分析レーザパルスの一部をそらすこと、および前記ビーム分析器(64)によって前記エネルギープロファイル形状を評価することを含む、前記分析レーザパルスの前記エネルギープロファイル形状を判定するステップを含む、請求項5に記載の剥離方法。
【請求項7】
前記酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定する前記ステップは、電力メータに向けて各分析レーザパルスの一部をそらすこと、ならびに前記電力メータによって前記分析レーザパルスの前記エネルギーおよび/または電力を評価することを含む、前記分析レーザパルスの前記エネルギーおよび/または電力を判定するステップを含む、請求項5または6のいずれか一項に記載の剥離方法。
【請求項8】
前記酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定する前記ステップは、前記伝達システム(20)によって伝達される補助レーザパルスのエネルギープロファイルの形状および/またはエネルギーもしくは電力を判定するステップであって、前記補助レーザパルスは前記分析レーザパルスとは別個である、ステップを含む、請求項4に記載の剥離方法。
【請求項9】
前記補助レーザパルスのエネルギープロファイルの前記形状および/または前記エネルギーもしくは電力を判定する前記ステップは、前記伝達システム(20)による前記補助レーザパルスの伝達、検流計ミラースキャンデバイス(74)によるビーム分析器(70)に向けたおよび/もしくは電力メータ(72)に向けた前記補助レーザパルスの配向、前記ビーム分析器(70)による前記補助レーザパルスのエネルギープロファイルの前記形状の評価、ならびに/または前記電力メータ(72)による前記補助レーザパルスの前記エネルギーおよび/もしくは電力の評価を含む、請求項8に記載の剥離方法。
【請求項10】
前記金属製品(3)は、ストリップ、バー、シート、プレート、管またはワイヤである、請求項1から9のいずれか一項に記載の剥離方法。
【請求項11】
少なくとも1つの剥離レーザ(13)によりその表面上に酸化物層を呈する流れる金属製品(3)のレーザ剥離のための装置であって、
- 前記流れる金属製品(3)の複数の連続部分それぞれで、検討対象の前記部分上の前記酸化物層を除去するのに必要な最小エネルギー密度に対応する、酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するように構成された判定アセンブリ(10)を備え、前記判定アセンブリ(10)は、
セグメント内で、前記酸化物層がない剥離された領域を形成するために前記剥離レーザ(13)と等しい波長およびパルス持続時間の分析レーザパルスを検討対象の前記部分の前記セグメント上で伝達するように構成され、レーザ源(30)を備えた伝達システム(20)と、
前記製品が流れている間に前記分析レーザパルスによって影響を受ける前記セグメントの画像を取得するように構成された画像取得システム(22)と、
前記画像取得システム(22)によって取得される各画像から前記剥離された領域を代表する寸法を判定し、前記代表的寸法および前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報から前記酸化物層除去エネルギー密度閾値を評価するように構成された処理システム(24)とを備え、
前記装置はさらに、
- 剥離するために前記流れる金属製品の前記複数の連続部分それぞれに剥離レーザパルスを伝達するように構成された少なくとも1つの剥離レーザ(13)、およびその部分に対する前記酸化物層除去エネルギー密度閾値を受け、検討対象の前記部分の各点が前記酸化物除去エネルギー密度閾値より高いエネルギー密度に少なくとも一瞬曝されるように、前記酸化物層除去エネルギー密度閾値より高いエネルギーのレーザパルスの前記剥離レーザ(13)による伝達を制御するように構成された制御ユニット(15)を備えたレーザ剥離装置(12)を備えていることを特徴とする、装置。
【請求項12】
前記分析レーザパルスは、前記酸化物層の下の金属が前記分析レーザパルスによって損傷を受けた損傷した領域を前記セグメント内で形成するようになっており、前記処理システム(24)は、前記画像から前記損傷した領域を代表する寸法を判定し、前記損傷した領域を代表する前記寸法および前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する前記情報から、前記酸化物層の下で前記金属製品(3)の前記表面の劣化がそれを上回ると観察されるエネルギー密度に対応する、金属損傷エネルギー密度閾値を評価するように構成されている、請求項11に記載のレーザ剥離装置。
【請求項13】
前記処理システム(24)は前記伝達システム(20)へ前記損傷エネルギー密度閾値を伝達するように構成され、前記伝達システム(20)は、移動中の前記製品の次の部分の影響を受けるセグメントの任意の点で、前記エネルギー密度が前記損傷エネルギー密度閾値より低いように、前記損傷エネルギー密度閾値の関数として前記分析レーザパルスのエネルギーを適応させるように構成されている、ことを特徴とする、請求項12に記載のレーザ剥離装置。
【請求項14】
エネルギープロファイルに関連する前記情報は、エネルギープロファイルの形状および前記分析レーザパルスのエネルギーまたは電力を含み、前記レーザ剥離装置は、前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルの前記形状を判定するシステム、および/または前記分析レーザパルスの前記エネルギーもしくは電力を判定するシステムを備えている、請求項11から13のいずれか一項に記載のレーザ剥離装置。
【請求項15】
前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルの前記形状を判定する前記システムは、ビーム分析器(64)、および光学デバイス(62)、特に、前記ビーム分析器(64)に向けて各分析レーザパルスの一部を偏向するように構成されたビームスプリッタを備え、前記ビーム分析器(64)は、前記分析レーザパルスの前記偏向した部分からエネルギープロファイルの前記形状を評価するように構成されている、請求項14に記載のレーザ剥離装置。
【請求項16】
前記分析レーザパルスの前記エネルギーまたは電力を判定する前記システムは、電力メータ、および光学デバイス(62)、特に前記電力メータに向けて各分析レーザパルスの一部を偏向するように構成されたビームスプリッタを備え、前記電力メータは、前記分析レーザパルスの前記偏向した部分から前記分析レーザパルスの前記エネルギーおよび/または電力を評価するように構成されている、請求項14または15のいずれか一項に記載のレーザ剥離装置。
【請求項17】
エネルギープロファイルに関連する前記情報は、前記分析レーザパルスのエネルギープロファイルの形状およびエネルギーまたは電力を含み、前記レーザ剥離装置は、前記伝達システム(20)によって伝達される補助レーザパルスのエネルギープロファイルの形状および/またはエネルギーもしくは電力を判定するシステムを備え、前記補助レーザパルスは前記分析レーザパルスとは別個である、請求項11から13のいずれか一項に記載のレーザ剥離装置。
【請求項18】
ストリップ、バー、管、シート、プレートまたはワイヤからなる前記金属製品の表面全体を処理するために、前記金属製品(3)の近傍に分配された、レーザ源(30)のグループおよび剥離レーザ(13)のグループを備えていることを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば熱処理炉中でその時間の間に成分のいくつかに対して酸化を進める環境に曝された後、金属製品、特に鋼の表面を覆う酸化物層を剥離するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本書の残りの部分では、本発明の好ましい応用例は、熱間圧延または冷間形成されたかどうかに関わらず、全ての分類(オーステナイト、フェライト、オーステナイトフェライトなど)のステンレス鋼ストリップおよびシートの分野である。しかし、これは限定するものではなく、本発明は、ステンレス鋼ストリップおよびシート、特に様々な種類のカーボン鋼および特殊合金、特に鉄合金で遭遇されるものと同様の技術的問題がある他の金属に適用されてもよいことを理解すべきである。また、当業者に自明である記載された装置に改変を加えて、ストリップおよびシート以外の製品、例えば、ワイヤならびに溶接管および継ぎ目無し管に適用することもできる。
【0003】
ステンレス鋼シートおよびストリップが、空気などの酸化環境に接触して、その表面上で高温で形成される望ましくない酸化物層につながる処理が行われることは普通である。これらの酸化物の組成は、実質的に、母材の組成およびそれらが形成される条件にしたがって様々である。最も一般的には、元素Fe、Cr、MnおよびSiの酸化物が主流である。
【0004】
この形成につながる処理は典型的には、これに限らないが、半仕上げ製品(インゴット、スラブ、ブルーム、ビレット)が熱間圧延および熱間圧延後に受ける解放空気内での時間前に受ける再加熱、およびこの焼鈍が完全に不活性でも還元性でもない環境で行われる場合に、ストリップまたはシートがその冷間圧延サイクルの前および/またはその間および/またはその後に受ける数百度での様々な焼鈍プロセス(後者は、1つまたは複数の段階で行われ、そのうちいくつかは中間焼鈍プロセスによって分離されてもよい)である。これらの望ましくない酸化物は、もちろん、シートまたはストリップが、使用可能製品または使用可能製品にする仕上げ成形動作を受ける準備ができた半仕上げ製品になる前に取り除かなければならない。また、圧延中に酸化物が半仕上げ製品の表面にはまり込み、良くない表面仕上げにつながるのを防ぐために、第1の冷間圧延段階の前にこれらの酸化物を取り除くことがしばしば重要である。
【0005】
ここで言及される望ましくない酸化物層は、ステンレス鋼の表面上に空気中および室温で自然に形成されて、酸化から保護する薄いCr酸化物ベース層(「不動態層」として知られる)ではないことを理解されたい。問題を提示し、取り除きたい酸化物層は、ストリップが高温で酸化環境で過ごす時間の間に形成されるものである。この層が取り除かれると、ステンレス鋼の表面が露出され、Cr酸化物の保護不動態層は再び、迅速および自然に形成されて、通常の使用条件においてステンレス鋼を再び作ることができる。
【0006】
酸化物の大部分を、例えば、ブラッシングによって容易に裂くまたは取り除くことを可能にする、ショットブラスティング(処理される表面の上の固いボールの投射)、および/または酸化物破断(屈曲、圧縮および牽引の際に働く対のローラの間のストリップの通過)による機械的スケール除去の使用は、全てを取り除くのに十分でない可能性がある。ショットブラスティングはまた、表面粗さを増加させるという欠点を有し、シートまたはストリップ上のその後の動作は、望ましくない場合に修正が可能ではないことがある。
【0007】
最も一般的には、望ましくない酸化物層は、化学または電解剥離方法、またはこのような剥離動作の連続により取り除かれる。
【0008】
化学剥離は、フッ化水素酸、塩酸、硫酸または硝酸の1つまたは複数の槽内で行われる。電解剥離は典型的には、硫酸ナトリウム槽または酸槽(硝酸または硫酸)内で行われる。
【0009】
これらの剥離動作は、普通は様々な標準的カテゴリーに分類される表面仕上げを呈するストリップまたはシートの獲得につながる。
- 熱間圧延、焼鈍、および剥離、概して化学剥離が行われる製品に対する仕上げ1D。機械剥離(酸化物破断、ショットブラスティング)はまた、一般的に、化学剥離の上流側で使用される。
- 焼鈍、剥離、概して電解および化学およびスキンパッシング(普通は約数%の製品厚さの低い還元率でストリップ平面度を改善し、粗さを減らす加工硬化圧延装置)が行われる製品に対する仕上げ2B。
- 焼鈍および剥離されたが、スキンパッシングされていない冷間圧延製品に対する仕上げ2D。
- 焼鈍、ショットブラスティング、剥離がされているが、スキンパッシングされていない冷間圧延製品に対する仕上げ2E。
【0010】
化学剥離は、望ましくない酸化物を取り除くための最も根本的な方法である。しかし、多くの欠点がある。
【0011】
後の再使用のための部分を回収する多くても極めて限られた可能性で大量の酸を消費する。
【0012】
方法に必要なインフラ、すなわち、連続剥離槽およびその付属品は、費用がかかり扱いにくい。最大200m長さのコンベヤベルト用の化学剥離工場を見つけることは珍しくはない。
【0013】
これらの装置は、有害製品、特にフッ化水素酸を使用する。その液体および固体汚染物質排出(剥離液体と混合される酸化物を含むスラッジ)は、厳格な規制にしたがって貯蔵および再加工しなければならず、その重大性は将来増加する可能性があるだけであり、費用がかかる。酸槽はまた、加熱される場合、中和しなければならない酸蒸気を伝達する。硝酸はまた、捕捉および処理しなければならないNOx排出源である。
【0014】
電解剥離方法も使用され、これもまた使用後に再加工されなければならない硫酸ナトリウム、硝酸または硫酸を概してベースとした槽に、ストリップまたはシートが浸漬されながら行われる。電解剥離は、比較的大量の電気エネルギーを使用してかなり費用のかかる装置を必要とする。電界剥離は、化学剥離のみより軽いが、上に記載したのと同じ欠点を呈する化学酸剥離によって補足することができる。電解剥離はまた、貯蔵および再加工しなければならないスラッジを作り出す。使用済みの槽は再加工しなければならない。スラッジおよび槽再加工は、酸槽での化学剥離の場合より費用がかからず、危険でなく複雑でないが、方法の使用に極めて重要な制約をさらに構成する。
【0015】
最後に、剥離液体内の溶液中の六価クロムの存在は、人および環境に対する重大な健康リスクを呈し、液体内のそのレベルおよび人の曝露が測定および監視される。
【0016】
したがって、少なくとも特定の場合で、金属製品の化学または電解剥離を、レーザを使用する方法に交換する可能性を研究した。古典的な書物、「Laser Cleaning」(Boris Luk'yanchuk、2002年12月、ISBN: 978-981-02-4941-0)は、特に芸術作品および建築物の洗浄、したがって、比較的小さな固定表面のこのような可能性を論じている(特に、第2章、「an overview of experimental research into the laser cleaning of contaminants from surfaces」)。レーザビームは、洗浄される表面上に投影され、酸化物層を取り外す。
【0017】
このように、酸および/または硫酸塩の使用が避けられ、汚染および有害スラッジおよび液体を再加工する必要がない。取り外された酸化物のみ、例えば吸引によって収集する必要があり、含まれる金属を回収およびリサイクルするために、好ましくは乾燥方法によって再加工することが可能である。人および作業場環境の安全性がより良く保証される。レーザ表面洗浄動作全体はまた、レーザ動作の電気費用が、特に電解剥離に必要なものに対して極めて高くない限り、湿式洗浄(化学および/または電解)によるよりも良い全エネルギーバランスを呈する。装置は、装置を組み立てる場合に土木工学動作の費用の点で明らかな利点を有し、いくつかの連続槽を含む剥離のための装置よりはるかに小型である可能性がある。パルスレーザが使用される場合、極めて短い時間に、高周波数および大きな自律性で高いエネルギーレベルを運ぶことが可能であり、これらのレーザの耐用年数は、特に保守なしで数年に到達することができる。
【0018】
しかし、CO2またはエキシマレーザと結合された既存の技術の使用は、大変な保守、レーザまたは長すぎるパルスでの連続動作モード、および電流ラインの高い速度を前提として、使用されるレーザの数による高い動作費用に起因して、工業規模ライン上のストリップまたはシート上で最適な結果が得られることを可能にしない。さらに、提供される解決法は、ストリップの幅および長さ(EP0927595-A1参照)、たいていは固定ライン速度による均一な表面状態を仮定する。同じストリップ上では、ラインの速度が特定の理由で変化する場合、機械、特に炉の慣性は、酸化物層の(厚さおよび/またはタイプの)変更につながる。取り除かれる酸化物層の性質および厚さが知られていると前に考えられた場合でさえ、これらはその後変更され、パルス周波数またはエネルギーの適応は、酸化物層が変化しない(これはほぼ当てはまらない)場合に機能するだけである。最後に、ライン速度は今や、約100から150m/分に到達している。
【0019】
文献EP3631049A1は、酸化物層の組成と厚さがレーザ誘導プラズマ分光法によって判定される、酸化物層を剥離するための方法を記載している。
【0020】
この技術は、酸化物層の下の金属への損傷が必要であるので、満足ではない。加えて、酸化物層の厚さおよび組成を判定することは、信頼性のある方法で、どの剥離パラメータが酸化物層を剥離するために使用されるべきであるかを判定することを可能にしない。
【0021】
文献WO2018/096382はさらに、金属製品のレーザ剥離のための方法および装置を記載している。
【0022】
本方法によると、剥離される金属製品の酸化表面の放射率は、第1のレーザによりこの表面の上にビームを伝達し、酸化表面により反射されるビームをインターセプトし、これらの反射したビームを分析することによって判定される。剥離レーザの動作パラメータはその後、放射率の関数として適応され、したがって、判定される。
【0023】
この方法は、表面上に存在する酸化物層を効果的に剥離するために、剥離レーザによって伝達されるエネルギーを適応させることを可能にする。
【0024】
しかし、放射率は、酸化物層の効果的剥離のための正しいパラメータを判定することを常に可能にするわけではないので、本方法は全体的に満足ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】EP0927595-A1
【特許文献2】EP3631049A1
【特許文献3】WO2018/096382
【特許文献4】EP0509177-A2
【特許文献5】EP0695808-A1
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】「Laser Cleaning」(Boris Luk'yanchuk、2002年12月、ISBN: 978-981-02-4941-0)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の1つの目的はしたがって、流れる金属製品を剥離して、効果的剥離が工業規模で得られることを可能にするための方法および装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この目的で、本発明は、その表面上に酸化物層を呈する流れる金属製品を剥離するための方法をその目的として有し、前記方法は少なくとも1つの剥離レーザによるレーザ剥離を使用し、方法は、流れる製品の複数の連続部分の各部分上で連続して実施される以下のステップ、すなわち
- 検討対象の部分における酸化物層の除去に必要な最小エネルギー密度に対応する、前記流れる金属製品の検討対象の部分上の酸化物層除去エネルギー密度閾値の判定ステップであって、
レーザ源を備えた伝達システムによる分析レーザパルスの伝達であって、分析レーザパルスは、セグメント内で、酸化物層がない剥離された領域を形成するために検討対象の前記部分の前記セグメントの上で剥離レーザと等しい波長およびパルス持続時間である伝達、
前記分析レーザパルスによって影響を受ける表面のセグメントの画像の取込み、
前記画像からの剥離された領域を代表する寸法の判定、
前記代表的寸法および分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報による酸化物層除去エネルギー密度閾値の評価
を含むステップと、
- 剥離するために検討対象の部分上での剥離レーザパルスの剥離レーザによる伝達ステップであって、剥離パルスのエネルギー密度が判定された酸化物層除去エネルギー密度閾値より高い、ステップとを含み、
剥離レーザは、検討対象の部分の各点が酸化物層除去エネルギー密度閾値より高いエネルギー密度に少なくとも一瞬曝されるように、判定された酸化物層除去エネルギー密度閾値を受ける制御ユニットによって制御される。
【0029】
本発明の他の有利な態様によると、方法は、単独で、またはあらゆる技術的に可能な組合せでとられる以下の特性の1つまたは複数を含み、特性は
- 酸化物層の下の金属が損傷を受けた損傷した領域を前記セグメント内で成形する分析レーザパルスを伝達するステップであり、方法はさらに、前記画像から損傷した領域を代表する寸法を判定するステップと、損傷した領域を代表する寸法および分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報から、酸化物層の下で金属製品の表面の劣化がそれを上回ると観察されるエネルギー密度に対応する、金属損傷エネルギー密度閾値を評価するステップとを含み、
- 方法はさらに、伝達システムへの損傷エネルギー密度閾値の伝達を含み、流れる金属製品の次の部分で、伝達システムが、分析レーザパルスによって影響を受けるセグメントの任意の点で、エネルギー密度が損傷エネルギー密度閾値より低いように適応されたエネルギーの分析レーザパルスを伝達し、
- エネルギープロファイルに関連する情報は、エネルギープロファイルの形状および分析レーザパルスのエネルギーまたは電力を含み、
- 酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップは、分析レーザパルスのエネルギープロファイルの形状を判定するステップ、および/または分析レーザパルスのエネルギーもしくは電力を判定するステップを含み、
- 酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップは、ビーム分析器に向けて各分析レーザパルスの一部をそらすこと、およびビーム分析器によってエネルギープロファイルの形状を評価することを含む、分析レーザパルスのエネルギープロファイルの形状を判定するステップを含み、
- 酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップは、電力メータに向けて各分析レーザパルスの一部をそらすこと、ならびに電力メータによって分析レーザパルスのエネルギーおよび/または電力を評価することを含む、分析レーザパルスのエネルギーおよび/または電力を判定するステップを含み、
- 酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップは、伝達システムによって伝達される補助レーザパルスのエネルギープロファイルの形状および/またはエネルギーもしくは電力を判定するステップであって、補助レーザパルスは分析レーザパルスとは別個である、ステップを含み、
- 補助レーザパルスのエネルギープロファイルの形状および/またはエネルギーもしくは電力を判定するステップは、
伝達システムによる補助レーザパルスの伝達、
ミラー検流計スキャンデバイスによりビーム分析器に向けておよび/または電力メータに向けて補助レーザパルスを案内するステップ、
ビーム分析器によって補助レーザパルスのエネルギープロファイルの形状を評価するステップ、および/または電力メータによって補助レーザパルスのエネルギーおよび/または電力を評価するステップを含み、
- 金属製品は、ストリップ、バー、シート、プレート、管またはワイヤである。
【0030】
本発明はまた、少なくとも1つの剥離レーザによりその表面上に酸化物層を呈する流れる金属製品のレーザ剥離のための装置をその目的として有する。装置は、
- 流れる金属製品の複数の連続部分それぞれで、検討対象の部分に必要な最小酸化物層除去エネルギー密度に対応する、酸化物層の除去のためのエネルギー密度閾値を判定するように構成された判定アセンブリを備え、判定アセンブリは、
セグメント内で、酸化物層がない剥離された領域を形成するために剥離レーザと等しい波長およびパルス持続時間の分析レーザパルスを検討対象の前記部分の前記セグメント上で伝達するように構成され、レーザ源を備えた伝達システムと、
製品の移動中に分析レーザパルスによって影響を受けるセグメントの画像を取得するように構成された画像取得システムと
画像取得システムによって取得される各画像から剥離された領域を代表する寸法を判定し、前記代表的寸法および分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報から酸化物層除去エネルギー密度閾値を評価するように構成された処理システムとを備え、
装置はさらに、
- 剥離するために流れる金属製品の複数の連続部分それぞれに剥離レーザパルスを伝達するように構成された少なくとも1つの剥離レーザ、および検討対象のその部分に対する酸化物層除去エネルギー密度閾値を受け、検討対象の部分の各点が酸化物除去エネルギー密度閾値より高いエネルギー密度に少なくとも一瞬曝されるように、酸化物層除去エネルギー密度閾値より高いエネルギーのレーザパルスの剥離レーザによる伝達を制御するように構成された制御ユニットを備えたレーザ剥離アセンブリを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の他の有利な態様によると、装置は、単独で、またはあらゆる技術的に可能な組合せでとられる以下の特性の1つまたは複数を備え、特性は
- 分析レーザパルスは、酸化物層の下の金属が分析レーザパルスによって損傷を受けた損傷した領域を前記セグメント内で成形することが可能であり、処理システムは、前記画像から損傷した領域を代表する寸法を判定し、損傷した領域を代表する寸法および分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報から、酸化物層の下で金属製品の表面の劣化がそれを上回ると観察されるエネルギー密度に対応する、金属損傷エネルギー密度閾値を評価するように構成され、
- 処理システムは伝達システムへ損傷エネルギー密度閾値を伝達するように構成され、伝達システムは、流れる製品の次の部分の影響を受けるセグメントの任意の点で、エネルギー密度が損傷エネルギー密度閾値より低いように、損傷エネルギー密度閾値の関数として分析レーザパルスのエネルギーを適応させるように構成され、
- エネルギープロファイルに関連する情報は、エネルギープロファイルの形状および分析レーザパルスのエネルギーまたは電力を含み、
- レーザ剥離装置は、分析レーザパルスのエネルギープロファイルの形状を判定するシステム、および/または分析レーザパルスのエネルギーもしくは電力を判定するシステムを備え、
- 分析レーザパルスのエネルギープロファイルの形状を判定するシステムは、ビーム分析器、および光学デバイス、特に、ビーム分析器に向けて各分析レーザパルスの一部を偏向するように構成されたビームスプリッタを備え、ビーム分析器は、分析レーザパルスの偏向した部分からエネルギープロファイルの形状を評価するように構成され、
- 分析レーザパルスのエネルギーまたは電力を判定するシステムは、電力メータ、および光学デバイス、特に電力メータに向けて各分析レーザパルスの一部を偏向するように構成されたビームスプリッタを備え、電力メータは、分析レーザパルスの偏向した部分から分析レーザパルスのエネルギーおよび/または電力を評価するように構成され、
- エネルギープロファイルに関連する情報は、分析レーザパルスのエネルギープロファイルの形状およびエネルギーまたは電力を含み、レーザ剥離装置は、伝達システムによって伝達される補助レーザパルスのエネルギープロファイルの形状および/またはエネルギーもしくは電力を判定するシステムを備え、補助レーザパルスは分析レーザパルスとは別個であり、
- ストリップ、バー、管、シート、プレートまたはワイヤからなる前記金属製品の表面全体を処理するために、前記金属製品の近傍に分配された、レーザ源のグループおよび剥離レーザのグループを備えている。
【0032】
本発明はまた、本発明による剥離装置を備えた金属製品用の連続処理ラインに関する。
【0033】
本発明は、添付の図を参照して、以下の説明を読めばより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態によるレーザ剥離装置を備えた連続ラインをプロファイルで示す略図である。
図2】レーザパルスエネルギープロファイル34の例を示す図である。
図3】レーザパルスエネルギープロファイル35の例を示す図である。
図4】レーザパルスエネルギープロファイル36の例を示す図である。
図5図2に示されたエネルギープロファイルを有するレーザパルスを伝達することにより得られる表面態様の例を示す図である。
図6図3に示されたエネルギープロファイルを有するレーザパルスを伝達することにより得られる表面態様の例を示す図である。
図7図4に示されたエネルギープロファイルを有するレーザパルスを伝達することにより得られる表面態様の例を示す図である。
図8】第2の実施形態による剥離装置の一部を示す略図である。
図9図8の剥離装置の詳細を示す図である。
図10】第3の実施形態による剥離装置の一部を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
連続ライン上でちょうど冷間圧延および焼鈍を受けた、移動中の冷間圧延ステンレス鋼ストリップの処理を参照した例により詳細に記載および図示されるレーザ剥離装置、および本剥離機能の少なくとも基本的部分を保証する本発明によるレーザ剥離装置はまた、このタイプの連続ラインで普通使用される電解および/または化学剥離システムと置き換わる、またはその上流側のこの連続ライン内に一体化される(このような連続ラインの例が、特に、文献EP0509177-A2およびEP0695808-A1で見ることができる)。
【0036】
ここに記載されたレーザ剥離装置はまた、ここに記載したより多いもしくは少ない機器を含む連続処理ラインに一体化させることができる、またはこのような剥離の専用の別個の装置の対象である可能性があることは言うまでもない。
【0037】
また、主な冶金役割がなく、あらゆる場合で、本発明により行われるレーザ剥離動作に関連していないこのようなライン上に普通は存在する機器が図示されていない。特に、ストリップを動作の際に開始するピンチローラ、および機器のいくつかの間の「バッファ」として働くストリップアキュムレータを挙げることができ、それぞれ異なるストリップ速度を必要としてもよい。
【0038】
示された連続ラインは、熱間圧延ステンレス鋼ストリップ3のコイル2用のほどき装置1を含み、その厚さは典型的には、数十mmまたは数mmおよび最大2m幅である。このストリップ3は、典型的には最大150m/分の速度で移動し、概して、図示しないあらゆる化学および/または機械手段により、または記載するように本発明による手段を伴うレーザにより剥離された後に、冷間圧延機4内まで通過し、冷間圧延ストリップを得るために、典型的には約0.2から15mmの値にその厚さを減少させる。
【0039】
冷間圧延ストリップ3はその後、数百度の温度に加熱される焼鈍炉5内に通過し、この温度は焼鈍の冶金目的に応じて適応される。この焼鈍が酸素などの無視できない量の酸化ガスの存在下で(意図的にまたは偶然に)行われる場合、ストリップ3の表面上の望ましくない酸化物層の形成につながり、ストリップ3上のその組成、厚さおよび接着性は、特に、ストリップ3の組成、炉5内の環境の組成、炉5内の温度、およびストリップ3が炉5内にある時間の長さに左右される。全てが容易に制御可能ではなく、あらゆる場合において、行われる正確な処理により実質的に変化し得る、これらの多くのパラメータ(特に、ストリップ3の組成、および焼鈍条件)と、製造の危険原因を鑑みて、ストリップ3に対する剥離条件の容易な標準化を可能にする正確な体系的特徴をこの酸化物層に割り当てることは可能ではない。これはまた、湿式剥離方法、特に化学の欠点の1つであり、槽の組成は、最低の費用でストリップ3の満足な剥離を得るのに実際必要なものに容易に適応させることができない。
【0040】
図1に示す実施形態によると、レーザ剥離装置は、焼鈍炉5の後にラインに配置される。
【0041】
レーザ剥離装置は、エネルギー密度閾値判定ユニット10およびレーザ剥離装置12を含む。
【0042】
エネルギー密度閾値判定アセンブリ10は、流れるストリップ上の酸化物層を剥離するのに必要な効果的エネルギー密度を評価することを意図している。実際、自発的または非自発的変化により、ラインの上流側の動作パラメータ、例えば、ライン上のストリップの減速もしくは加速、または炉5内で起こったストリップ3の幅にわたる異種汚染において、この前または後に、剥離されるストリップ3の長さおよび/または幅にわたって異種酸化物層を得ることが可能である。
【0043】
エネルギー密度閾値判定アセンブリ10は、剥離される金属製品の移動中に、製品表面上に存在する酸化物層を剥離するために、製品の上にレーザ剥離装置12によって伝達される最小エネルギー密度に対応する、これ以下酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpと呼ばれる最小値またはエネルギー密度閾値を判定することを意図している。エネルギー密度閾値判定アセンブリ10はさらに、酸化物層の下で製品表面、すなわち金属の劣化がそれを上回ると観察される、損傷エネルギー密度閾値Sendとこれ以下呼ばれる最大レーザエネルギー密度閾値を判定するように構成されていることが好ましい。
【0044】
判定アセンブリ10は、製品表面の複数の部分上で連続して、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpおよび、適用可能である場合、損傷エネルギー密度閾値Sendを判定するように構成されている。
【0045】
部分は、例えば、(長手方向としても知られる)製品の移動の方向の所与の長さおよび製品と等しい幅の横ストリップである。このようなストリップは、ストリップ3の形態である場合に、製品と対照的に「要素ストリップ」と呼ばれる。部分はその後、レーザ剥離装置12の前を通過するときに、レーザ剥離装置12によって次々に剥離されることを意図している。
【0046】
以下に記載するように、判定アセンブリ10は、各部分のセグメント上の酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpおよび、適用可能である場合、損傷エネルギー密度閾値Sendを判定するように構成され、このように判定された閾値はしたがって、検討対象の部分全体の代表として考えられることが好ましい。
【0047】
例えば、部分は製品の移動の方向の所与の長さおよび製品と等しい幅の横要素ストリップであり、判定アセンブリ10は、この要素ストリップのセグメント上の酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpおよび、適用可能である場合、損傷エネルギー密度閾値Sendを判定するように構成され、このように判定された閾値はしたがって、要素ストリップ全体の代表として考えられる。
【0048】
レーザ剥離装置12は、判定アセンブリ10によって判定されるエネルギー密度閾値の関数として、酸化物層を剥離するために、流れる製品の上にレーザビームを伝達することを意図している。
【0049】
特に、レーザ剥離装置12は、この部分に対して判定アセンブリ10によって判定されるエネルギー密度閾値の関数として、酸化物層を剥離するために、流れる製品の各部分の上にレーザビームを伝達することを意図している。
【0050】
エネルギー密度閾値判定アセンブリ10は、レーザパルス伝達システム20、画像取得システム22、処理システム24、およびコントローラ26を備えている。
【0051】
レーザパルス伝達システム20は、流れる製品の上に、剥離のために使用されるレーザ(例えば、1064nmの波長を有するNd:YAGレーザ)と等しい波長およびパルス持続時間のレーザパルスのビームを伝達するように構成されている。これらのレーザパルスはこれ以下、分析レーザパルスとも呼ばれる。
【0052】
レーザパルス伝達システム20は、このような分析レーザパルスを伝達することが可能な少なくとも1つのレーザ源30を備えている。レーザ源30は、剥離のために使用されるレーザと同じ波長およびパルス持続時間のレーザパルスを伝達することが可能である。
【0053】
レーザ源30の波長およびパルス持続時間が剥離レーザのものと同じであるという事実は、製品を覆う酸化物によるレーザ源30からの光線の吸収が剥離レーザに関するものと同じであり、剥離レーザの設定はしたがって、エネルギー密度閾値判定ユニット10によって得られるデータに直接基づくことができることを保証することを可能にする。
【0054】
レーザ源30は、ラインに対して移動可能、特に、製品表面と平行および製品の移動の方向と垂直な方向に移動可能(すなわち、製品幅により移動可能)であるように取り付けられていることが好ましい。したがって、製品の幅にわたって、移動中にレーザ源によって影響を受ける製品のセグメントの位置を変更することが可能である。この目的で、レーザパルス伝達システム20は、例えば、流れる製品に対して横にレーザ源を変位させることが可能なスキャンデバイスを備えている。別の方法では、判定アセンブリ10は、ラインに対して全体的に移動可能であり、それによって、製品の幅にわたって、移動中にレーザ源によって影響を受ける製品のセグメントの位置を変更することも可能である。
【0055】
例えば、検討される各部分が剥離される製品と等しい幅の要素ストリップである場合、スキャンデバイスは、レーザ源によって影響を受ける製品のセグメントの位置が製品(ストリップ)3の幅にわたって時間の経過と共に変化するように、流れる製品に対して横にレーザ源を変位させることが可能である。
【0056】
レーザパルス伝達システム20はまた、流れる製品の表面の上にレーザ源30によって伝達されるレーザパルスの焦点を集めるように構成された光学デバイス32を備えている。
【0057】
レーザ源30は、そのエネルギー密度がこのセグメント上の位置の関数として変化する、流れる製品の表面の検討対象の部分のセグメントの上に分析レーザパルスを伝達するように構成されている。したがって、影響を受けるセグメントの各点で受けられるエネルギー密度は、その点の位置によって左右される。分析レーザパルスによって影響を受ける製品表面の領域は、これ以下、「スポット」と呼ばれる。
【0058】
例えば、特定の点では、受けられるエネルギー密度は低すぎて酸化物層を剥離することができず、他の点では、エネルギー密度は酸化物層を剥離するのに十分であるが、下の金属を損傷させるのに不十分である。特定の場合、特定の点で受けられるエネルギー密度は、酸化物層を剥離することと、酸化物層の下の金属を損傷させることの両方に十分であってもよい。
【0059】
影響を受けるセグメントの各点で受けられるエネルギー密度は、パルスのエネルギー密度プロファイル、またはより単純なエネルギープロファイルを特徴とする。
【0060】
エネルギープロファイルはしたがって、各位置で、または複数の位置で、製品表面の平面内で、その位置で伝達されるエネルギー密度と関連付ける。
【0061】
図2図3および図4はそれぞれ、エネルギープロファイル34、35、36の3つの例を示している。図示した3つのプロファイルでは、横座標軸Xは製品表面の平面に含まれる軸に沿った位置を示し、序数軸Yはその位置で受けられるエネルギー密度である。エネルギープロファイル上の各点はしたがって、所与の位置、その位置で受けられるエネルギー密度に関連付けられる。
【0062】
例えば、パルスは、パルス伝搬の方向と平行な対称軸Zを呈し(製品上のパルスインパクトは例えば円形である)、エネルギープロファイルはエネルギー密度をパルスインパクトによって形成される円の中心(またはパルス中心)に対する各距離に関連付ける。
【0063】
エネルギープロファイル34、35は、このようなプロファイルの例である。
【0064】
エネルギープロファイル34は、円形形状である、すなわち、パルス中心から同じ距離での全ての点は同じエネルギー密度を受けるようになっている。
【0065】
エネルギープロファイル35は、その中心としてパルスの中心を有する四角形の辺上に配置された全ての点が同じエネルギー密度を受けるような、四角形状である。
【0066】
別の例によると、製品上のパルスのインパクトは、影響を受けるセグメント上のエネルギー密度がパルス伝搬の方向と垂直な軸Yにしたがって一定であるようなものであり、エネルギープロファイルはエネルギー密度を軸Yと垂直な軸Xに沿った各位置、およびパルス伝搬の方向に関連付ける。
【0067】
エネルギープロファイル36は、このようなプロファイルの例である。この例では、エネルギー密度は、軸Xに沿った位置の増加直線関数である。
【0068】
例えば、プロファイル34によって図示されるように、エネルギープロファイルはガウス分布である、すなわち、パルス伝搬の方向と垂直な平面で受けられるエネルギー密度はガウス分布に沿うことが好ましい。
【0069】
ガウス分布パルスのエネルギープロファイルは、以下のように表すことができる。
E(x)=Epic*exp(-x2/2σ2)
Epic=Epulse/(2πσ2)
式中、Epicはガウス分布のピークエネルギー密度である。
Epulseはパルスエネルギーであり、
xはパルスの中心までの距離であり、
E(x)はパルスの中心からの距離xで受けられるエネルギー密度であり、
σはガウス分布の標準偏差である。
【0070】
エネルギー密度プロファイルは低い傾斜を呈し、すなわち、位置に関連するエネルギー密度の導関数は1未満であることが好ましい。特に、ガウス分布プロファイルである場合、σ>Epic*exp(-1/2)である。
【0071】
レーザ源30は、知られているエネルギープロファイルでレーザパルスを伝達するように構成されていることが好ましい。
【0072】
別の方法では、以下に記載するように、レーザパルスのエネルギープロファイルは先験的に知られておらず、エネルギー密度閾値判定アセンブリ10は加えて、レーザ源によって伝達されるパルスのエネルギープロファイル用の判定システムを含む。
【0073】
全ての場合において、エネルギープロファイルは、(図2から図4に示すように)その形状、およびパルスの電力またはエネルギーを特徴とする。
【0074】
画像取得システム22は、検討対象の各製品部分に対して、製品の移動中に、伝達システム20によって伝達されるレーザパルスによって影響を受けるセグメントの画像を取得するように構成されている。
【0075】
画像取得システム22は、例えば、カメラ38、特に高解像度カメラを備えている。動作中、カメラ38は、製品の移動中に前に位置決めされている。
【0076】
コントローラ26は、レーザパルス伝達システム20および画像取得システム22を同期するように構成されている。特に、コントローラ26は、伝達システム20によってレーザパルスの伝達を制御し、画像取得システム22によってこれらのパルスによって影響を受ける領域の画像の取得を制御するように構成されている。
【0077】
処理システム24は、画像取得システム22によって取得される各画像から、検討対象の部分から酸化物層を取り除くのに必要な最小エネルギー密度に対応する、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpを判定するように構成されている。
【0078】
処理システム24はさらに、画像取得システム22によって取得される各画像から、酸化物層の下で、製品表面の劣化がそれを上回ると観察されるエネルギー密度に対応する金属損傷エネルギー密度閾値Sendを判定するように構成されていることが好ましい。
【0079】
この目的で、処理システム24は、画像取得システム22から取得される各画像を受けるように構成されている。
【0080】
処理システム24はさらに、レーザパルス伝達システム20によって、特に、レーザ源30によって、流れる製品の上に伝達されるレーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報を受けるように構成されている。
【0081】
処理システム24は、例えば、画像分析器40および閾値判定モジュール42を備えている。
【0082】
画像分析器40は、画像取得システム22によって伝達されるような各取得画像の分析によって、金属製品表面の剥離された領域、すなわち酸化物のない少なくとも1つの寸法を判定するように構成されている。
【0083】
画像分析器40は、剥離された領域に関連する情報、特に、この領域の形状、特にこの領域の輪郭を代表する少なくとも1つの寸法を判定することが可能である。
【0084】
例えば、エネルギー密度プロファイルがガウス分布であるパルスの場合、剥離された領域は円形形状を有し、この形状を代表する寸法は、例えば、円形領域の直径、半径、周または面積である。
【0085】
別の例によると、剥離された領域は矩形形状であり、この形状を代表する寸法は、矩形領域の長さおよび/または幅である。
【0086】
画像分析器40は、閾値判定モジュール42に剥離された領域に関連する情報を伝達することが可能である。
【0087】
画像分析器40は加えて、金属製品の表面の損傷した領域、すなわち、酸化物層の下にある金属が損傷を受けた領域の少なくとも1つの寸法を判定するように構成されていることが好ましい。
【0088】
閾値判定モジュール42は、この情報を受けることが可能である。
【0089】
閾値判定モジュール42はさらに、その伝達が剥離された領域を生成したレーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報を受けることが可能である。この情報は概して、エネルギープロファイルの形状およびパルスの電力またはエネルギーを含む。
【0090】
特に、レーザ源が検討対象の製品部分のセグメント上の瞬間teでパルスを伝達し、このセグメントの画像が瞬間te+Δtで取得され、レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報は、瞬間teで伝達されるレーザパルスを代表する。
【0091】
レーザパルスのエネルギープロファイルに関連するこの情報は、例えば、閾値判定モジュール42のメモリ内に記憶される。
【0092】
閾値判定モジュール42は、エネルギープロファイルに関連する情報、および剥離された領域に関連する情報から、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpを判定することが可能である。
【0093】
閾値判定モジュール42はさらに、エネルギープロファイルに関連する情報、および剥離された領域に関連する情報から、金属損傷エネルギー密度閾値Sendを判定するように構成されていることが好ましい。
【0094】
この目的で、閾値判定モジュール42は、レーザパルスのエネルギープロファイルから、剥離された領域を得るためにどのエネルギー密度が剥離につながったかを判定することが可能である。
【0095】
例えば、閾値判定モジュール42は、エネルギープロファイルから、どのエネルギー密度が剥離された領域の輪郭上で受けられるかを判定することが可能であり、このエネルギー密度はその後、酸化物層を剥離するための最小エネルギー密度に対応する。
【0096】
特に、伝達システム20によって伝達されるパルスがガウス分布パルスである場合、剥離された領域は直径Dの円形であり、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpは、以下の形で表される。
Sexp=Epic*exp(-D2/8σ2)
【0097】
例として、図5から図7は、それぞれ図2から図4に示されたようなプロファイルを有するパルスによって影響を受けた製品表面のセグメントを示している。
【0098】
図5に示すように、表面46は、エネルギープロファイル34でパルスを伝達することから得られる。輪郭47は、酸化物のない、製品の剥離された領域を区切る。表面46はしたがって、剥離されていないセグメント48、および輪郭47によって区切られた円形の剥離された領域を備えている。剥離された領域は、円形輪郭49によって区切られた、中心の損傷した領域を備えている。
【0099】
剥離された領域は、酸化物層を剥離するのに十分なエネルギー密度を受けた表面46上の点によって形成される。剥離された領域の輪郭47はしたがって、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpと等しいエネルギー密度を受けた点によって形成される。
【0100】
図5に示すように、寸法の判定、提示した例では、剥離された領域の直径Dexpはしたがって、表面から酸化物を取り除くための最小エネルギー密度である、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpであるエネルギープロファイル34(図2)との比較による判定を可能にする。
【0101】
さらに、損傷した領域は、酸化物層の下で製品を損傷させるのに十分なエネルギー密度を受けた表面46上の点によって形成される。損傷した領域の輪郭49の直径Dendを判定することにより、どの損傷エネルギー密度閾値Sendが金属に対するものであるかを、エネルギープロファイル34との比較によって判定することが可能になる。
【0102】
図6では、表面50は、エネルギープロファイル35を有するパルスの伝達から得られる。四角形状の輪郭51は、製品の酸化物がない剥離された領域を区切る。表面50はしたがって、剥離されていないセグメント52および剥離された領域を備えている。本実施形態では、剥離された領域は四角形状である。剥離された領域は、四角形輪郭53によって区切られた、その中心に損傷した領域を備えている。
【0103】
輪郭51の側部長さを区切ることにより、したがって、エネルギープロファイル35との比較によって、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpを判定することが可能になる。同様に、損傷した領域の側部の長さを判定することにより、金属損傷エネルギー密度閾値Sendを判定することが可能になる。
【0104】
最後に、図7では、表面55はエネルギープロファイル36を有するパルスを伝達することから得られる。矩形形状の輪郭56は、製品の酸化物のない剥離された領域を区切る。表面55はしたがって、剥離されていないセグメント57および剥離された領域を備えている。本実施形態では、剥離された領域は矩形形状である。剥離された領域は、矩形輪郭58によって区切られた中心の損傷した領域を備えている。
【0105】
軸Xにより輪郭56の長さを区切ることにより、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpをエネルギープロファイル36との比較によって判定することが可能になる。同様に、損傷した領域の輪郭58の軸Xにより長さを判定することにより、金属損傷エネルギー密度閾値Sendを判定することが可能になる。
【0106】
閾値判定モジュール42は、そのように判定された酸化物除去エネルギー密度閾値Sexp、および適用可能な場合、金属損傷エネルギー密度閾値Sendをレーザ剥離装置12に伝達することが可能である。
【0107】
処理システム24、特に閾値判定モジュール42はまた、伝達システム20に、後者が判定された場合に、酸化物除去エネルギー密度閾値および金属損傷閾値Sendを伝達するのに適していることが好ましい。伝達システム20はその後、分析レーザパルスの伝達が、金属を損傷することなく、影響を受けたセグメントの一部の剥離に効果的につながるように、分析レーザパルスのエネルギーを制御するようになっている。
【0108】
特に、前の分析レーザパルスを伝達することにより、剥離された領域が生成されなかった(除去エネルギー密度閾値がその後存在していない)場合、伝達システム20は処理システム24からこの情報を受けることが可能である。伝達システム20はその後、前の瞬間に伝達される分析レーザパルスより高いエネルギーの分析レーザパルスの伝達を制御することが可能である。
【0109】
逆に、前の分析レーザパルスの伝達が損傷した領域を生成した場合、伝達システム20は、処理システム24から損傷エネルギー密度閾値を受けることが可能である。伝達システム20はその後、前の瞬間に伝達された分析レーザパルスより低いエネルギー、特に、分析レーザパルスのエネルギー密度が損傷エネルギー密度閾値の下に留まるようなエネルギーの分析レーザパルスの伝達を制御するように構成されている。
【0110】
信頼性のある測定を得るために、ストリップ3はエネルギー密度閾値判定アセンブリ10に対して一定の距離を維持する、すなわち、ストリップ3は振動してはならず、固定の高さに留まらなければならないことが望ましい。これは、Sブロックを使用してストリップ3に十分大きな引張を加えることによって、またはレーザパルス伝達システム20の下に固定の高さを保証するようにストリップ3の下に支持ローラ24を置くことによって達成することができる。
【0111】
単純化のために、図1は、ストリップ3の上表面上のみのエネルギー密度閾値判定アセンブリ10を示している。しかし、もちろん、他のレーザおよび関連するセンサはまた、ストリップ3の下表面上にも存在する。同様に、ローラ24に匹敵する支持ローラは、ストリップ3がその下表面を検査するレーザに対して固定距離を維持することを保証するために、ストリップ3の上表面に接触して置くことができる。
【0112】
レーザ剥離装置は、剥離レーザ13のアレイを備えている。
【0113】
剥離レーザ13は、例えば、パルス化されたNd:YAG1064nmレーザである。
【0114】
これらの剥離レーザ13は、製品表面上に存在する酸化物層を剥離することを意図している。
【0115】
各剥離レーザ13は、流れる製品の表面の上に、剥離するためのビーム14のパルスを伝達するように構成されている。各パルスは、スポットとして知られる製品表面の領域を覆う。
【0116】
レーザ剥離装置12はさらに、剥離レーザ13を制御するように、特に、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexp、および適用可能な場合、金属損傷エネルギー密度閾値Sendの関数としてレーザ13の動作パラメータを判定するように構成された制御ユニット15を備えている。
【0117】
特に、制御ユニット15は、製品表面の検討対象の部分の各点が、この部分に対して判定されるように、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpより高いエネルギー密度に少なくとも一瞬曝されるように、剥離レーザ13を制御するように構成されている。
【0118】
この目的で、制御ユニット15は、剥離レーザ13によって伝達されたパルスのスポットが検討対象の部分全体を覆い、この部分の各点が酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpより高いエネルギー密度に少なくとも一瞬曝されるように、各剥離レーザ13によって伝達されたピークエネルギー密度を監視し、レーザによって検討対象の部分のスキャンを制御するように構成されている。
【0119】
各剥離レーザ13によって伝達されるピークエネルギー密度は、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpより高く、必要に応じて、損傷エネルギー密度閾値Send未満であるように選択される。
【0120】
このようなスキャンを制御するため、制御ユニット15は、例えば、製品表面上にビーム14のスポットを横方向に変位させるように構成された光学および/または機械スキャンシステム、ならびにスポットをラインに変換する光学システムを備えている。
【0121】
エネルギー密度閾値判定アセンブリ10と同様の方法で、ストリップ3は剥離レーザ13の下を通過する際に固定高さを維持し、前の支持ローラ24に匹敵する支持ローラ25、またはあらゆる他の機能的に等価なデバイスをこの目的で使用することができることが望ましい。
【0122】
また、図示しないが他のレーザ13、およびその可能な関連する支持ローラが、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexp、および適用可能な場合、金属損傷エネルギー密度閾値Sendに基づいて、ストリップ3の下表面を剥離するために設けられる。
【0123】
剥離レーザ13はそれぞれ、レーザ13自体、または列内の他のレーザ13によって伝達される前のパルスによって投げ上げられる酸化物粒子によって入射ビームの攪乱を最小限に抑えるために、金属シートに非垂直に位置決めすることができる。
【0124】
一実施形態によると、各部分は要素ストリップであり、各要素ストリップは、連続パルスが前のパルスからの粒子および/またはプラズマによって吸収されないようにするため、剥離レーザによって数回処理される。この場合、横ラインを剥離する第1のサブステップは、均一な範囲を得るために必要なパルスの間の距離のN倍に等しい距離Dinterによって分離されたパルスで行われ、その後、このラインは、距離Dinterだけラインの開始の位置をシフトするように各サブステップ間で気を付けてN回にわたって通過される。
【0125】
ストリップ3の表面全体を処理するために必要な剥離レーザ13の数は、各剥離レーザ13が、スポット重畳領域内に過剰量のエネルギーを送るリスクを避けるために、好ましくはスポットの重畳がゼロまたは最小で、ストリップ3の幅全体を覆う連続ラインを形成するように、スポットを並置するように、ビームスポット14の横変位を行う、光学もしくは機械のいずれか、または両方の組合せの高速スキャンシステムを備えているという事実によって最小限に抑えられる。別の方法では、レーザ剥離装置12は、ストリップ3の幅全体を限られた数の剥離レーザ13で覆うことを可能にする、長距離フォーカスデバイスを含んでいる。
【0126】
本発明により行われるレーザ剥離の使用は、動作中に最適未満であると分かった場合に、特に、剥離パラメータを処理中に容易に調節することができるので、剥離装置に大きな汎用性を提供する。これは、例えば、従来のビームフォーカス調節システムよりむしろ、各剥離レーザ13のスポット表面を変更することが可能であり得る場合である。
【0127】
剥離レーザ13の近傍に、例えば、容器に向けた吸引またはブラッシングによって、ストリップ3の表面から取り外された酸化物と、(金属粒子、酸化物、または有機物質の蒸発によって)処理中に生成され得るあらゆる煙を除去、および好ましくは収集するための手段(図示せず)が提供される。このように、最大量のこのような酸化物は、大気環境内に分散し、汚染するのを防ぐために、および含まれている金属を回収する視点で最大部分を再加工することを可能にするために容易に回収することができる。加えて、この動作は、レーザ13によってストリップ3の表面から不完全にのみ取り外されてもよいあらゆる酸化物を(特に、酸化物を取り外すのを助けるために重力によることができない、ストリップ3の上表面上で)取り除くことを可能にする。最後に、これらの塵および蒸気の吸引は、収集することができるレーザの光学システムへの損傷を避けて、加熱さらには破断させることを可能にする。
【0128】
別の方法では、ストリップ3は、レーザ13によってストリップ3の表面から取り外される酸化物がストリップ3の表面上、または判定アセンブリ10上、特に判定アセンブリ10の光学部品上に再堆積するのを防ぐように垂直に循環する。
【0129】
剥離レーザ13の下を通過した後に、ストリップ3はしたがって、基本的に、完全に剥離される。これは、適切な手段によって、例えば、その幅全体にわたってストリップ3の表面を検査し、ストリップ3のどの領域が満足な方法で剥離されていない可能性があるかを判定する、カメラ16などの光学剥離品質制御デバイス、または一式のこのような光学デバイス16によりチェックされる。ストリップ3の表面上の色差は、この判定に基準として働くことができる。上記吸引またはブラッシングデバイスまたは等価物の利点の1つはまた、ストリップ3の(特に)上表面上に留まっている可能性がある酸化物のあらゆる片を、上表面から取り外しながら、まだ存在しており、したがって、取り除くためにさらなる剥離を必要とすると、カメラ16によって誤って検討されないようにすることが可能なことである。
【0130】
光学デバイス16によって提供される結果が満足でない場合、ストリップ3の不完全に剥離された部分上で、または大事を取って、ストリップ3全体にさらなる剥離を行う可能性がある。
【0131】
加えて、ラインは、レーザ剥離部分の後に、発見されるあらゆる欠点をなくすために、少なくとも一時的に充填されてもよい湿式化学および/または電解剥離タンクの部分を備えていてもよい。ストリップ3が上手く剥離された場合、これらの槽は空のままである。
【0132】
別の解決法は、ストリップ3をストリップ3の上表面上に作用することができるような方法で配置された、垂直変位可能プランジローラによって剥離槽内に偏向させることからなる。通常の動作では、これらのローラは、流れるストリップ3が、ローラが配置される近傍で剥離槽の外側にあることを可能にする位置にある。ストリップ3の化学および/または電解剥離が局所的に必要であることが明らかになった場合、これらプランジローラの少なくとも1つが、ストリップ3の上表面上に押され、使用される対応する剥離槽を通して処理されるストリップ3のセグメントを一時的に通過するように下げられる。
【0133】
一実施形態により酸化物層をその表面上に呈する流れる金属製品を剥離するための方法を次に、図1を参照して記載した装置により記載および実施する。
【0134】
記載した例では、剥離方法は、焼鈍炉5を通した製品の通過後に実施される。
【0135】
したがって、例として、検討対象の各部分は剥離される製品と等しい幅を有する要素ストリップであることを検討すべきである。
【0136】
検討対象の製品の各部分では、方法は、酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップ、その後、そのように判定された除去エネルギー密度閾値の関数として剥離するステップを含む。
【0137】
各部分では、酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定するステップは、セグメント内に、酸化物層がない剥離された領域を形成するために、検討対象の部分の前記セグメント上への剥離レーザ13と等しい波長およびパルス持続時間の分析レーザパルスの伝達を含む。
【0138】
分析レーザパルスは、伝達システム20によって、特にレーザ源30によって伝達され、光学デバイス32によって対象セグメント上にフォーカスされる。
【0139】
分析レーザパルスの伝達は、パルスが伝達される瞬間を制御する、コントローラ26によって制御される。
【0140】
加えて、分析レーザパルスのエネルギーは、分析レーザパルスの伝達が金属を損傷することなく、影響を受けたセグメントの一部を剥離することに効果的につながるように、伝達システム20によって制御されていることが好ましい。
【0141】
分析レーザパルスのエネルギーは、前の瞬間での分析レーザパルスの伝達の後に、例えば処理システム24(特に、閾値判定モジュール42)から伝達システム20によって受ける情報の関数として選択される。
【0142】
特に、前の分析レーザパルスの伝達が剥離された領域を生成しなかった(除去エネルギー密度閾値がその後存在しない)場合、伝達システム20は、処理システム24からこの情報を受ける。処理システム20はその後、前の瞬間に伝達された分析レーザパルスより高いエネルギーの分析レーザパルスを伝達する。
【0143】
逆に、前の分析レーザパルスの伝達が損傷した領域を生成した(損傷エネルギー密度閾値がその後、処理システム24によって判定された)場合、伝達システム20は、処理システム24から損傷エネルギー密度閾値を受ける。伝達システム20はその後、特に、分析レーザパルスのエネルギー密度が損傷エネルギー密度閾値より下に留まるようなエネルギーの、前の瞬間に伝達された分析レーザパルスより低いエネルギーの分析レーザパルスの伝達を生成する。
【0144】
製品セグメントは、移動の際にその後、画像取得システム22の前を通過する。
【0145】
除去エネルギー密度閾値を判定するステップはその後、取得システム22による、分析レーザパルスによって影響を受ける表面のセグメントの画像の取込みを含む。
【0146】
この画像は、この画像から、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpを判定する処理システム24に伝達される。
【0147】
処理システム24はまた、この画像から、金属損傷エネルギー密度閾値Sendを判定することが好ましい。
【0148】
酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpを判定することは、画像から、剥離された領域の寸法を判定することを含む。この寸法は、例えば、画像分析器40によって判定される。
【0149】
酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpを判定することはその後、剥離された領域の寸法から、酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定することを含む。
【0150】
酸化物層除去エネルギー密度閾値は、例えば、剥離された領域の寸法、および剥離された領域をその伝達が生成した分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報から閾値判定モジュール42によって判定される。
【0151】
金属損傷エネルギー密度閾値Sendを判定することは、画像から、影響を受けたセグメント上の損傷した領域の寸法を判定することを含む。この寸法は、例えば、画像分析器40によって判定される。
【0152】
金属損傷エネルギー密度閾値Sendを判定することはその後、そのように判定された寸法から、金属損傷エネルギー密度閾値を評価することを含む。
【0153】
金属損傷エネルギー密度閾値Sendは、例えば、損傷した領域の寸法、および損傷した領域をその伝達が生成した分析レーザパルスのエネルギープロファイルに関連する情報から閾値判定モジュール42によって評価される。
【0154】
除去エネルギー密度閾値Sexpおよび損傷エネルギー密度閾値Sendは、後の瞬間での分析レーザパルスの伝達が金属を損傷することなく影響を受けたセグメントの一部を剥離することに効果的につながるように、これら後の瞬間で伝達される分析レーザパルスの電力を制御することを可能にするために、伝達システム20に伝達されることが好ましい。
【0155】
さらに移動している検討対象の製品部分はその後、レーザ剥離装置12の前を通過し、剥離ステップに曝される。
【0156】
剥離段階中、レーザ13は剥離するために検討対象の部分の上にレーザパルスを伝達し、パルスのエネルギー密度は所定の除去エネルギー密度閾値より高い。
【0157】
特に、制御ユニット15は、検討対象の部分について判定される酸化物除去エネルギー密度閾値Sexp、および適用可能な場合、損傷エネルギー密度閾値Sendを受け、検討対象の部分の各点が酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpより高いエネルギー密度に少なくとも一瞬曝されるように、レーザ13を制御する。
【0158】
この目的で、制御ユニット15は、レーザ13によって伝達されたパルスのスポットが検討対象の部分全体を覆い、この部分の各点が酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpより高いエネルギー密度閾値に少なくとも一瞬曝されるように、各レーザ13によって伝達されたピークエネルギー密度を監視し、レーザによって検討対象の部分のスキャンを制御する。
【0159】
各レーザ13によって伝達されるピークエネルギー密度は、酸化物除去エネルギー密度閾値Sexpより高く、適用可能な場合には、損傷エネルギー密度閾値Sendより低いように選択される。
【0160】
剥離の後に、取り外された酸化物は除去され、好ましくは、例えば、容器の方向に吸引またはブラッシングによって収集される。
【0161】
レーザ13の下を通過した後、検討対象の部分は、基本的に、完全に剥離される。上に記載したように、部分の状態は、例えば、その幅全体にわたって部分の表面を検査し、この部分のどの領域が満足な方法で剥離されていない可能性があるかを判定する、カメラ16などの光学剥離品質制御デバイスの助けをかりてチェックされる。
【0162】
酸化物層除去エネルギー密度閾値を判定し、除去エネルギー密度閾値の関数として剥離するステップは、流れる製品の各部分に対して連続して行われる。
【0163】
1つの部分から次まで、レーザ源30は、製品の移動の方向に垂直なレーザ源30によって影響を受ける製品のセグメントの位置が1つの部分から次に変化するように、製造ラインに対して、特に製品の移動の平面に平行および移動の方向に垂直な(すなわち、製品幅による)方向に変位されることが好ましい。
【0164】
例えば、(表面に平行および移動の方向に対して横の方向yによる)幅Lのストリップ3では、第1の部分は座標y=y0のセグメント上でレーザ源30によって影響を受け、第2の部分は座標y=y0+Δyのセグメント上でレーザ源30によって影響を受けるなどである。
【0165】
一実施形態によると、レーザ源30によって伝達されるパルスのエネルギープロファイルに対する少なくとも特定の情報ng、特にその形状またはその電力もしくはエネルギーは先験的に知られていない。
【0166】
エネルギープロファイルの形状が知られていない場合、エネルギー密度閾値判定アセンブリ10は、例えば、この形状を判定するためのシステムを含む。
【0167】
判定システムは、伝達システム20によって伝達されるレーザパルスを分析し、エネルギープロファイルの形状を判定するように構成されている。このような判定システムは、伝達システム20によって伝達されるパルス化されたビームの形状が時間の経過と共に安定しない場合に特に有用である。
【0168】
図8に例として示した判定システムは、ビーム分析器64に向けて伝達システム20によって伝達される各分析レーザパルスの一部を偏向するように構成された、光学デバイス62、例えばビームスプリッタを備えている。
【0169】
判定システムはさらに、偏向したパルスの一部からパルスエネルギープロファイルの形状を判定し、閾値判定モジュール42にこの形状を伝達するように構成された、ビーム分析器64を備えている。
【0170】
ビーム分析器64は、光学デバイス62から所定の距離で保持されたセンサを備え、この距離は、光学デバイス62と流れる製品の表面の間の距離に等しい。
【0171】
この目的で、ビーム分析器64および光学デバイス62は、例えば、互いに対して、および製品表面と垂直な方向に製品に対して固定であるが、ストリップ3の移動の方向に対して可動に取り付けられている。例えば、図9に示すように、ビーム分析器64および光学デバイス62は、製品3表面上で転動システム67上に固定して取り付けられている。転動システムは、製品移動の方向xに製品に対して(転動によって)平行に移動可能である。
【0172】
したがって、一定の距離が、一方ではビーム分析器64と光学デバイス62の間で、もう一方では光学デバイス62と製品3表面の間で維持される。
【0173】
さらに、閾値判定モジュール42は、このプロファイルがパルス化されたビームの一部で得られるという事実を考慮するように、受けたエネルギープロファイルを修正するように構成されている。
【0174】
本実施形態によると、方法はプロファイルの形状を判定するステップを含む。
【0175】
プロファイルの形状を判定するステップは、例えば、ビーム分析器64に向けて伝達システム20によって、特にビームスプリッタにより伝達されたレーザパルスの一部を偏向し、ビーム分析器64によってエネルギープロファイルの形状を評価することを伴う。
【0176】
このように判定されたエネルギープロファイルの形状はその後、閾値判定モジュール42に伝達される。
【0177】
本実施形態によると、そのエネルギープロファイルが判定されるパルスは、分析レーザパルス、すなわち、剥離された領域を生成する際に製品表面に影響を与えるものと同じである。
【0178】
エネルギー密度閾値判定アセンブリ10はまた、レーザ源30によって伝達される各パルスのエネルギーを判定するためのデバイスを含んでいることが好ましい。実際、平均パルスエネルギーが知られている場合でさえも、このエネルギーの変動が可能であり、製品表面上へレーザ源30によって伝達される各パルスのエネルギーを知っていることにより、その後、エネルギー密度閾値のより正確な判定が可能になる。このようなパルスエネルギー判定デバイスは、例えば、レーザビームの一方側に位置決めされたキャリブレーションされた光ダイオードを含む。
【0179】
別の実施形態によると、伝達システム20によって伝達されたパルスのエネルギープロファイルの形状は知られているが、パルスのエネルギーまたは電力は知られておらず、エネルギー密度閾値判定アセンブリ10はさらに、伝達システム20によって伝達されるパルスのエネルギーまたは電力を判定するためのシステムを含んでいる。
【0180】
このような判定システムは概して、再キャリブレーションを行うために伝達されたパルスの電力(またはエネルギー)を周期的に判定することを意図しているが、上に記載したようなエネルギー判定デバイスは概して、リアルタイムで各パルスのエネルギーを判定することを意図している。
【0181】
このエネルギー判定システムは、基本的に、ビーム分析器64が電力メータに交換される点において、図9で例として示したものと異なる。
【0182】
本実施形態では、さらに、電力メータが、光学デバイスと流れる製品の表面との間の距離と等しい光学デバイスから所定の距離で保持される必要はない。
【0183】
本実施形態によると、方法は、パルスのエネルギーまたは電力を判定するステップを含む。
【0184】
パルスのエネルギーまたは電力を判定するステップは、例えば、電力メータに向けて伝達システム20によって、特にビームスプリッタにより伝達されたレーザパルスの一部を偏向し、電力メータによってパルスのエネルギーおよび/または電力を評価することを含む。
【0185】
このように判定されたパルスエネルギーおよび/または電力はその後、閾値判定モジュール42に伝達される。
【0186】
本実施形態によると、そのエネルギーまたは電力が判定されるパルスはまた、剥離された領域を生成する、製品表面に影響を与えるものと同じである。
【0187】
図10に例として示した別の実施形態によると、エネルギープロファイルおよび/または電力は、剥離された領域を生成する際の製品表面に影響を与えるパルスではなく、これ以下補助パルスと呼ばれる、後者の前または後に伝達されるパルスに基づいて判定される。
【0188】
本実施形態によると、判定システムは、ビーム分析器および/もしくは電力メータに向けて、または製品表面に向けて選択的に伝達システム20によって伝達されるパルス化されたビームを案内するように構成された光学デバイス68を備えている。判定システムはさらに、ビームのエネルギープロファイルの形状および/またはエネルギーを判定するように構成された、ビーム分析器70および/または電力メータ72を備えている。
【0189】
光学デバイス68は、例えば、検流計ミラースキャナ74、ミラー76、および好ましくはビームスプリッタ78を備えている。
【0190】
検流計ミラースキャンデバイス74(図10において2つの位置に示す)は、製品表面に向けて、またはミラー76に向けて選択的に、伝達システム20によって伝達されるビーム全体を偏向させるように構成されている。
【0191】
ミラー76は、ビームスプリッタ78に向けてこのように偏向されたビームを反射するように構成されている。
【0192】
ビームスプリッタ78は、一方の部分をビーム分析器70に、もう一方の部分を電力メータ72に向けて案内する、2つのサブビームにパルス化されたビームを分離することを意図している。
【0193】
エネルギープロファイルの形状が知られている場合、ビーム分析器70およびビームスプリッタ78を省くことができる。
【0194】
逆に、パルスエネルギーが知られている場合、電力メータ72およびビームスプリッタ78を省略することができる。
【0195】
本実施形態によると、方法は、伝達システム20による補助パルスの伝達、ならびにビーム分析器70に向けたおよび/または電力メータ72に向けたこれらのパルスの配向を含む。
【0196】
エネルギープロファイルの形状およびエネルギーまたは電力を判定することが望ましい場合、補助パルスは、ビーム分析器70に向けておよび/または電力メータ72に向けての両方に、特にビームスプリッタ78によって配向される。
【0197】
補助パルスは、検流計ミラースキャンデバイス74により、ビーム分析器70に向けておよび/または電力メータ72に向けて配向される。
【0198】
方法はその後、ビーム分析器70による補助パルスのエネルギープロファイルの形状の評価、および/または電力メータ72によるパルスのエネルギーもしくは電力の評価を含む。
【0199】
このように判定された形状、エネルギーおよび/または電力はその後、閾値判定モジュール42に伝達される。
【0200】
補助パルスが伝達されると、検流計ミラースキャナ74は、その後のパルスを製品3表面に向けて配向する。
【0201】
本発明による方法および装置はしたがって、特に、酸化物層を効率的に剥離することが可能なパラメータの正確な判定のおかげで、工業規模での金属製品の効率的剥離を得ることを可能にする。
【0202】
示した例では、ストリップなどの平らな製品に言及したが、本発明は、金属バー、管または金属ワイヤなど他のタイプの製品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0203】
1 ほどき装置
2 コイル
3 ステンレス鋼ストリップ
4 冷間圧延機
5 焼鈍炉
10 エネルギー密度閾値判定ユニット、エネルギー密度閾値判定アセンブリ
12 レーザ剥離装置
13 剥離レーザ
14 ビーム、ビームスポット
15 制御ユニット
20 レーザパルス伝達システム
22 画像取得システム
24 処理システム
25 支持ローラ
26 コントローラ
30 レーザ源
32 光学デバイス
34 エネルギープロファイル
35 エネルギープロファイル
36 エネルギープロファイル
38 カメラ
40 画像分析器
42 閾値判定モジュール
46 表面
47 輪郭
48 セグメント
49 輪郭
50 表面
51 輪郭
52 セグメント
53 輪郭
62 光学デバイス
64 ビーム分析器
68 光学デバイス
70 ビーム分析器
72 電力メータ
74 検流計ミラースキャナ、検流計ミラースキャンデバイス
76 ミラー
78 ビームスプリッタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】