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特表2024-528908メタオプティクスを含む眼科用レンズを形成するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】メタオプティクスを含む眼科用レンズを形成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/02 20060101AFI20240725BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20240725BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240725BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G02C7/02
G02C7/04
G02B5/30
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505320
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 IB2022000435
(87)【国際公開番号】W WO2023007246
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】17/386,276
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, スティーヴン, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, チャオイー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ウェイティン
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフ, ケロロス
(72)【発明者】
【氏名】カパッソ, フェデリコ
【テーマコード(参考)】
2H006
2H149
4C097
【Fターム(参考)】
2H006BC04
2H149BB28
4C097AA25
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097DD01
4C097EE13
4C097MM02
4C097MM03
4C097SA02
(57)【要約】
眼科用レンズは、凸部と平面部とを有するハイブリッド平凸屈折レンズ本体を含む。メタサーフェスアレイは、平面部に関連付けられ、光波長から寸法決めされたメタサーフェス構築要素の配列を含むことができる。メタサーフェス構成要素は、眼科用レンズの光学特性を画定するためにレンズ本体にわたって画定することができる。メタサーフェス構築要素の配置は、眼科用レンズで受光した光の偏光依存集束を誘導するように構成されたメタ原子を含むことができる。アレイのメタ原子の形状は、グレア/ハローの低減を含む眼科用レンズの機能に基づいて決定することができる。メタ原子は標準形状及び/又は自由形状として形成することができる。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用レンズであって、
凸部及び平面部を有するハイブリッド平凸屈折レンズ本体と、
前記平面部に関連付けられたメタサーフェスアレイであって、前記眼科用レンズの光学特性を画定するように前記レンズ本体にわたって構成されたメタサーフェス構築要素の配列を含むメタサーフェスアレイと、
を備える、眼科用レンズ。
【請求項2】
前記平面部は、前記ハイブリッド平凸屈折レンズ本体の実質的に平らな面を画定し、
前記メタサーフェスアレイは、前記実質的に平らな面上に配置されている、請求項1に記載の眼科用レンズ。
【請求項3】
前記凸部は、前記実質的に平らな面の反対側に配置された凸面を画定し、
前記凸部は、前記眼科用レンズの屈折特性を画定するようにされた、請求項2に記載の眼科用レンズ。
【請求項4】
前記メタサーフェス構築要素の配列が、空間的に変化するジョーンズ行列を画定するメタ原子を含む、請求項1に記載の眼科用レンズ。
【請求項5】
前記メタサーフェス構築要素の配列が、前記眼科用レンズで受光した光の偏光依存集束を誘導するように構成されたメタ原子を含む、請求項1に記載の眼科用レンズ。
【請求項6】
前記光の偏光依存集束が、前記眼科用レンズのグレア/ハロー特性を低減するようにされた、請求項5に記載の眼科用レンズ。
【請求項7】
前記光の偏光依存集束が、前記受光した光の偏光状態に基づく少なくとも第1の焦点と第2の焦点を有する多焦点レンズとして前記眼科用レンズを画定するように構成され、
前記メタ原子は、前記偏光状態の直交性に応じて、前記第1の焦点と前記第2の焦点との間の干渉を低減するようにされた、請求項5に記載の眼科用レンズ。
【請求項8】
前記平面部が二酸化チタン材料から形成されている、請求項1に記載の眼科用レンズ。
【請求項9】
前記メタサーフェス構築要素が、可視光スペクトルにおいて高い屈折率を有する低光損失誘電体材料を含むナノポストの集合を有する、請求項1に記載の眼科用レンズ。
【請求項10】
前記メタサーフェス構築要素の配列が、標準形状又は自由形状を有するメタ原子を含む、請求項1に記載の眼科用レンズ。
【請求項11】
メタサーフェスアレイを形成する方法であって、
眼科用レンズのためのメタサーフェスアレイの機能を決定するステップと、
前記機能に基づいて前記メタサーフェスアレイのメタ原子の幾何学的形状を決定するステップと、
前記幾何学的形状を有するメタ原子を有するメタ原子ライブラリを形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記メタ原子ライブラリの前記メタ原子は、メタ原子設計を画定し、
前記幾何学的形状が、標準形状又は自由形状を有しており、
前記機能に基づいて前記メタ原子設計を最適化するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
シミュレーションツールを使用して前記最適化されたメタ原子設計を検証し、前記メタサーフェスアレイの機能に対する前記最適化されたメタ原子設計の検証メトリックを決定するステップと
前記検証メトリックを閾値と比較するステップと、
前記検証メトリックが前記閾値より小さい場合に、前記メタ原子設計の最適化を繰り返すステップと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記幾何学的形状が、等方性ナノ構造を有する標準形状を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記幾何学的形状が、異方性ナノ構造を有する標準形状を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記幾何学的形状が、少なくとも2回の対称性を有する自由形状を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記機能が、前記眼科用レンズの低減されたグレア/ハロー特性を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記メタ原子ライブラリの前記メタ原子が、前記眼科用レンズによって受光した光の偏光依存集束を誘導するようにされたメタ原子設計を協働して画定する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
眼科用レンズを製造する方法であって、
メタ原子ライブラリを形成するステップであって、
眼科用レンズのためのメタサーフェスアレイの機能を決定するステップ、
前記機能に基づいて前記メタサーフェスアレイのメタ原子の幾何学的形状を決定するステップ、及び
前記幾何学的形状を有するメタ原子を有する前記メタ原子ライブラリを形成するステップ、
を含む、メタサーフェスアレイの機能を決定するステップと、
前記メタ原子ライブラリの前記メタ原子を含むメタサーフェス構築要素をマトリックス内に設置することによってメタサーフェスアレイを形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記マトリックスが二酸化チタン材料のプラットフォームで保持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記メタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付けるステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記レンズ本体が、凸部と平面部とを有するハイブリッド平凸屈折レンズ本体であり、
前記メタ原子を有する前記二酸化チタン材料のプラットフォームを前記平面部に関連付けるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年7月29日に出願され、「メタオプティクスを含む眼科用レンズを形成するためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR FORMING OPHTHALMIC LENS INCLUDING METAOPTICS)」と題された米国特許出願16/842,403号、及び2019年7月29日に出願され、「メタオプティクスフィールドを含む眼科用レンズを形成するためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR FORMING OPHTHALMIC LENS INCLUDING METAOPTICS FIELD)」と題された米国仮出願第62/879,834号の優先権を主張するものであり、それら開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、眼科用デバイスに関し、より具体的には、メタサーフェス構造を使用してレンズの光学特性を変更するためのシステム及び技術に関する。
【背景技術】
【0003】
眼科用デバイスは、ユーザーに視力矯正を提供したり、さまざまな病気を治療したりするために使用できる。多くの従来のアプリケーションでは、屈折などにより治療に関連するレンズ本体の望ましい光学特性を作るために、デバイス自体の形状が使用される。多くの従来のシステムは、デバイスの物理的特性と寸法が所望の光学特性によって制限される可能性があるという大きな欠点を有していた。これにより、過度にかさばる眼科用デバイスが作製され、ユーザーコンプライアンスや、特定の外科技術やその他の使用例への適応性が低下する可能性がある。眼科用デバイスのためのメタレンズは、B. MacInnisによる「メタレンズ眼科用デバイス:光学の新しい世界はフラットである(Metalens ophthalmic devices: the new world of optics is flat)」、Canadian Journal of Ophthalmology 53, 91-93 (2018);Z.-B. Fanらによる「可視域積分イメージングのための広帯域アクロマティック金属アレイ(A broadband achromatic metals array for integral imaging in the visible)」、Light: Science & Applications 8, 1-10 (2019);J.-S. Parkらによる「深紫外投影リソグラフィーを用いた可視波長域でのオールガラス製大型メタレンズ(All-glass, large metalens at visible wavelength using deep-ultraviolet projection lithography)」、Nano letters 19, 8673-8682 (2019);及びS. Wangらによる「可視域の広帯域アクロマティック・メタレンズ(A broadband achromatic metalens in the visible)」、Nature nanotechnology 13, 227-232 (2018)に開示されており、これらの開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、メタサーフェス転写のための浸漬及び剥離プロセスは、S. Karepov及びT. Ellenbogenによる「色覚異常のためのメタサーフェス・ベースのコンタクトレンズ(Metasurface-based contact lenses for color vision deficiency)」、Optics Letters 45, 1379-1382 (2020)に記載されており、その開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、曲面上の電子ビームリソグラフィーは、D. W. Wilson、R. E. Muller、P. M. Echternach、及びJ. P. Backlundによる「マイクロオプティクスとナノオプティクスのための微細加工技術III (Micromachining Technology for Micro-Optics and Nano-Optics III)」、International Society for Optics and Photonics, 2005, vol. 5720, pp. 68-77に記載されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。眼科用デバイスが、所望の光学特性によって幾何学的に制約されないようにするためのシステム及び技術に対する必要性が続いている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、眼科用デバイス又はレンズ及びそれらの製造方法に関する。眼科用レンズは、レンズ本体とともに1つ又は複数のメタサーフェス構造を画定するメタサーフェスアレイを有することができる。メタサーフェス構造は、レンズの光学特性を変更するように作用することができ、これには焦点、収差特性、グレア/ハロー特性、及び/又は視力矯正に関連する他の特性を変更することが含まれる。メタサーフェスアレイはまた、本明細書で企図されるように、第1の経線に関連する第1の焦点距離及び第2の経線に関連する第2の焦点距離を有するなど、レンズのそれぞれの経線に対する焦点距離を画定するように作用することができる。メタサーフェス構造は、レンズ本体自体の形状に依存する手法に頼ることなく、レンズの光学特性を変更して光学効果を生成するために使用することができる。このように、本開示の眼科用レンズは、必ずしもレンズ本体の形状に依存することなく所望の光学効果を有することができ、したがって、設計の多様性を高め、レンズ基板の設計の標準化を含む製造の可能性を広げることができる。
【0005】
以上のことを容易にするために、メタサーフェス構造は、レンズ本体に関連付けられた(結合された)メタサーフェスアレイによって画定することができる。概して、メタサーフェスアレイは、入射光の位相をシフトするように構成することができ、これは、電気的及び磁気的タイプの共鳴効果を含む、共鳴に基づく効果を使用して実現することができる。他の場合では、メタサーフェスアレイは、光の変更を容易にするためにパンチャラトナム-ベリー位相(Pancharatnam-Berry phase)を使用できる。他の場合には、入射光の位相をシフトするために他の技術を使用することができる。このことを容易にするために、メタサーフェスアレイは、メタサーフェス構築要素の配列を有することができる。メタサーフェス構築要素の配列は、関連付けられたレンズ本体を通過する光と相互作用して、眼科用デバイスに所望の光学効果を生じさせるように特に調整することができる。例えば、メタサーフェス構築要素は、光の周期波長などの可視光波長の寸法、又はそれよりも小さい寸法とすることができる。メタサーフェス構築要素は、異なるサイズ、グループ化、向き、密度などのメタサーフェス構築要素を有することを含む、様々な構成で物理的に配置することもできる。従って、関連付けられたレンズ本体を通る可視光波長は、メタサーフェス及びレンズ本体上の要素の特定の配置によって影響を受ける特性を示す。この配置は、本明細書で概説されるように、所望の視力矯正を生じさせることを含む、所望の光学特性を生じさせるように調整することができる。
【0006】
多くの例が本明細書に開示されているが、一実施形態では、眼科用レンズが開示されている。眼科用レンズはレンズ本体を含む。眼科用レンズは、レンズ本体上にメタサーフェスアレイをさらに含み、メタサーフェスアレイは、可視光波長から寸法が決められて眼科用レンズのグレア特性の低減を画定するようにレンズ本体にわたって配置されたメタサーフェス構築要素の配列を有する。低減されたグレア特性は、眼で使用するために眼科用レンズを物理的に操作した後にも、維持される。
【0007】
追加的又は代替的に、本明細書に記載のメタサーフェス構築要素の配列を使用して眼科用レンズの他の光学特性を変更することができる。例えば、一実施形態では、メタサーフェス構築要素の配列は、眼科用レンズのハローの低減のためにレンズ本体にわたって配置される。さらに、メタサーフェス構築要素の配列を、眼科用レンズのコントラスト増強のためにレンズ本体にわたって配置することができる。コントラスト増強は、とりわけ、ケンブリッジ低コントラストグレーティングテスト(Cambridge low-contrast grating test)、CSV-1000テスト、ペリーロブソンテスト(Pelli-Robson test)、マーズレターズテスト(Mars letters test)を含む、さまざまなテストに基づいて測定できる。コントラストの特定の値は母集団に基づいて変化する可能性があるが、本開示の眼科用デバイスは、1つ又は複数のこれらのスケールを使用して、コントラスト値を最大5%、最大10%、最大で15%、又はそれ以上に向上させることができる。
【0008】
収差特性も変更及び修正できる。例えば、別の実施形態では、メタサーフェス構築要素の配列は、レンズ本体の収差特性を低減するようにレンズ本体にわたって配置される。収差特性は、色収差又は単色収差の一方又は両方を含むことができる。本明細書では、メタサーフェス構築要素を使用した視覚強化も企図されている。
【0009】
場合によっては、レンズ本体は広角コンタクトレンズ本体とすることができる。メタサーフェス構築要素の配列は、レンズ本体を通る光の波長よりも小さい寸法を含むことができる。メタサーフェス構築要素の寸法は、メタサーフェス構築要素の高さ寸法を含むことができる。
【0010】
別の実施形態では、メタサーフェス構築要素は、ナノポストの集合を含むことができる。ナノポストの集合には、異なる形状のナノポストを含めることができる。さらに、ナノポストの集合には、異なる向きのナノポストを含めることができる。場合によっては、ナノポストの集合は、レンズ本体の第1の部分上でのメタサーフェス構築要素の第1の密度と、レンズ本体の第2の部分上での、第1の密度とは異なるメタサーフェス構築要素の第2の密度を画定することができる。第1及び第2の密度は、変更された光学特性を有する又は示すように調整することができる。
【0011】
別の実施形態では、光学特性は、レンズ本体の1つ又は複数の焦点を含むことができる。これに関連して、メタサーフェスアレイは、視力矯正のために、遠近両用、累進多焦点、及び三焦点に関連する光学特性を生じさせるように作用することができる。
【0012】
別の実施形態では、光学特性は非点収差補正特性を含むことができる。これに関連して、メタサーフェスアレイは、第1の経線に関連付けられた第1の焦点距離及び第2の経線に関連付けられた第2の焦点距離を有するなど、レンズのそれぞれの経線に対する焦点距離を画定又は変更するように作用することができる。
【0013】
別の実施形態では、焦点を変更することが中心からずれた焦点を変更することを含むようにできる。これに関連して、メタサーフェスアレイは、レンズの中心軸に対して中心からずれているものとして焦点を画定するように作用することができる。追加的又は代替的に、これは、中心窩から離れて配置された周辺位置に集束される1つ又は複数の焦点を画定又は変更することを含み得る。場合によっては、変更された焦点は近視の進行を制御するように構成される。
【0014】
別の実施形態では、メタサーフェス構造は、屈折及び/又は回折ベースの光学ゾーンと組み合わせることができる。例えば、レンズは、メタサーフェス構造を有する中央光学ゾーンと、屈折及び/又は回折ベースの光学特性ゾーンによって構成される中央光学ゾーンを取り囲む周辺光学ゾーンとを含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、レンズ本体は眼と関連付けることができる。これに関連して、メタサーフェス構築要素の配列は、眼に対して視力矯正を提供するようにすることができる。物理的操作には、約1mmから2mmの間の切開部に挿入するために眼科用レンズを巻くことが含まれる。本明細書で説明されるように、他の場合には、切開部は1mm未満とするか又は2mmを超えることができ、眼科用レンズは、それを通した挿入のために適切に構成することができる。メタサーフェス構築要素の配列は、眼で使用するためにレンズ本体を物理的に操作した後も維持されるようにすることができる。メタサーフェス構築要素の配列は、手術中に眼の領域に導入するためにレンズ本体を折りたたんだ後も維持されるようにすることができる。
【0016】
別の実施形態では、眼科用レンズは眼内レンズ(IOL)とすることができる。場合によっては、レンズ本体は実質的に平坦であるようにすることができる。レンズ本体は、約0.25mmの厚さの部分とすることができる。場合によっては、所定の用途に対する要求に応じて、厚さは0.25mmより大きくしたり小さくしたりすることができる。レンズ本体及びより一般的にはレンズの厚さは、レンズの1つ又は複数の寸法に沿って変わるようにすることができる。これに関連して、レンズ本体が約0.25mmの厚さの部分を有する限りにおいて、これは必ずしも均一な厚さであるとは限らない。例えば、光学ゾーンは、レンズの周辺ゾーンの厚さとは異なる厚さを有することができる。
【0017】
別の実施形態では、眼科用レンズはコンタクトレンズとすることができる。コンタクトレンズは、硬質ガス透過性眼用レンズ又は強膜レンズのうちの1つを含むことができる。場合によっては、コンタクトレンズは、実質的に柔らかい周辺を有する実施形態を含む、ハイブリッドレンズとすることができる。追加的又は代替的に、このレンズは、特定の用途に対して適切であるように、ヒドロゲル成分を含むことができる。場合によっては、コンタクトレンズは成形レンズとすることができる。さらに、本明細書に記載の眼科用レンズのいずれも、少なくとも部分的に二酸化チタン材料から形成することができる。他の場合には、他の材料が、使用可能であり、また本明細書で企図されていることが理解されよう。
【0018】
別の実施形態では、折り畳み可能な眼科用レンズを製造する方法が開示されている。この方法は、マトリックスにメタサーフェス構築要素を設けることによってメタサーフェスアレイを形成することを含む。この方法は、眼の形状に一致するように形作られたプロファイルを有するレンズ本体を形成することをさらに含む。この方法はさらに、メタサーフェスアレイをレンズ本体と関連付けて、折り畳み可能な眼科用レンズを形成することを含む。折り畳み可能な眼科用レンズは、手術中に切開部を通して眼の領域に導入するために折り畳むこと又は巻くことが可能である。メタサーフェスは、眼に装填された状態で、折り畳み可能な眼科用レンズの低収差特性、低グレア特性、又は増強されたコントラスト特性のうちの少なくとも1つをもたらすようにされている。
【0019】
形成されたメタサーフェスを有する折り畳み可能な眼科用レンズは、眼との外科的関連付けのために、眼のかなり小さな領域を通して挿入されるようにされている。場合によっては、折り畳み可能なレンズは、2.0mm以下、1.5mm以下、又はより小さな切開部のサイズを有する切開部内へとそれを通して挿入するようにされている。
【0020】
折り畳み可能な眼科用レンズは、切開部から挿入可能であり、レンズが切開部を通って前進するときの当該レンズの折り畳み、巻き、又は他の物理的操作にもかかわらず、眼の光学特性を変更するように構成される。レンズ本体はまた、レンズの物理的操作を容易にするようにすることができ、これには切開部を通して導入するために折り畳まれたり巻かれたりする前に実質的に平坦であるなどの特性を有することが含まれる。これに関連して、場合によっては、折り畳み可能な眼科用レンズは、切開部を通しての導入を容易にすることができる、約6mm未満の直径及び約0.25mm未満の厚さを有する眼内デバイスとすることができる。
【0021】
別の実施形態では、上述した関連付ける操作は、メタサーフェスアレイを非固体基質と結合することを含む。非固体基質は、レンズ本体の前駆体形態を含むことができる。
【0022】
別の実施形態では、メタサーフェスアレイとレンズ本体とを関連付ける操作は、成形装置を使用して実行することができる。成形装置は、メタサーフェスアレイを受け入れるように構成された第1の型部分を含むことができる。成形装置は、レンズ材料をメタサーフェスアレイに押し付けるように構成された第2の型部分をさらに含むことができる。レンズ材料は、レンズ本体の前駆体形態を画定する液体レンズ材料を含むことができる。これに関連して、レンズ本体を形成する操作は、第1及び第2の型部分を組み合わせることによってメタサーフェスアレイに沿って液体レンズ材料を広げることをさらに含むことができる。場合によっては、レンズ本体を形成する操作は、液体レンズ材料を硬化させてレンズ本体を形成することをさらに含むことができる。
【0023】
別の実施形態では、マトリックスは、関連付けの操作の後に少なくとも部分的に除去されるように構成された犠牲マトリックスを含むことができる。メタサーフェスアレイを形成する操作は、二酸化チタン層をパターニングして、メタサーフェス構築要素を画定するナノポストを形成することを含むことができる。ナノポストは、可視光波長以下のサイズを有することができる。場合によっては、パターニングの操作は、レンズ本体のプロファイルに合わせて調整されたナノポストの配列を画定することを含む。メタサーフェスアレイを形成する操作は、リソグラフィーとドライエッチングの一方又は両方をさらに含むことができる。メタサーフェスアレイを形成する操作は、マトリックスを形成するマトリックス材料にナノポストを関連付けることをさらに含むことができる。マトリックス材料は、可能な材料の中でもとりわけ、ポリジメチルシロキサンを含むことができる。
【0024】
別の実施形態では、メタサーフェスアレイを形成する操作は、メタサーフェスアレイをレンズ本体と関連付ける操作中にレンズ本体の外表面に付着するように構成された剥離可能なシートを形成することを含む。
【0025】
別の実施形態では、標準化された眼科用レンズを製造する方法が開示されている。この方法は、一群の標準化されたレンズ本体を提供することを含む。この方法は、第1のメタサーフェスアレイを、一群の標準化されたレンズ本体の第1のレンズ本体と関連付けることによって、第1の眼科用レンズを製造することをさらに含む。この方法は、第2のメタサーフェスアレイを、一群の標準化されたレンズ本体の第2のレンズ本体と関連付けることによって、第2の眼科用レンズを製造することをさらに含む。第1及び第2のメタサーフェスアレイは、メタサーフェス構築要素の異なる配列を有し、それにより、第1及び第2の眼科用レンズの標準化された本体に対して異なる光学特性を生じさせる。
【0026】
別の実施形態では、標準化されたレンズ本体は、約0.25mm以下の厚さである部分を有することができる。場合によっては、標準化されたレンズ本体は実質的に平坦であるようにすることができる。
【0027】
別の実施形態では、標準化されたレンズ本体は眼内レンズのための触覚構造部を含むことができる。他の場合において、第1及び第2の眼科用デバイスは、硬質ガス透過性眼用レンズ又は強膜レンズを含むコンタクトレンズである。
【0028】
別の実施形態では、第1の眼科用レンズは第1の焦点を有することができ、第2の眼科用レンズは第1の焦点とは異なる第2の焦点を有することができる。第1及び第2の眼科用レンズの両方のメタサーフェスは、可視光波長以下の寸法を有することができる。
【0029】
別の実施形態では、第1又は第2の眼科用レンズを製造する操作は、第1又は第2のメタサーフェスアレイのうちの対応する方を、いずれかの標準化されたレンズ本体の前駆体形態を含む非固体基質と関連付けることをさらに含むことができる。
【0030】
別の実施形態では、第1又は第2のメタサーフェスアレイを第1又は第2のレンズ本体のうちの対応する方と関連付ける操作は、成形プロセスを使用して非固体基質を広げることをさらに含むことができる。非固体基質は硬化可能であり、第1又は第2の眼科用レンズのそれぞれの1つを形成することができる。
【0031】
種々の光学特性が、本明細書に記載の光学特性のうちの1つ又は複数であり得ることが理解されよう。例えば、標準化されたレンズ本体の種々の光学特性は、本明細書に記載されているように、一群の標準化されたレンズの個々のレンズ本体に対して調整及びカスタマイズされ得る、眼科用レンズの低減されたグレア特性、ハロー低減、コントラスト増強、及び/又は収差補正を含むことができる。
【0032】
例えば、別の実施形態では、眼科用眼内レンズ(IOL)が開示される。IOLは、凸部と平面部とを有するハイブリッド平凸屈折レンズ本体を含む。レンズは、平面部に関連付けられた(結合された)メタサーフェスアレイをさらに含む。メタサーフェスアレイは、光波長から寸法決めされたメタサーフェス構築要素の配列を含む。メタサーフェス構築要素は、眼内レンズの光学特性を画定するようにレンズ本体にわたって構成される。
【0033】
別の例では、平面部はハイブリッド平凸屈折レンズ本体の実質的に平らな面を画定することができる。メタサーフェスアレイは実質的に平らな面上に配置することができる。さらに、凸部は、実質的に平らな面の反対側に配置された凸面を画定することができる。凸部は、眼内レンズの屈折特性を画定するように構成することができる。
【0034】
別の実施形態では、メタサーフェス構築要素の配置は、空間的に変化するジョーンズ行列(spatially varying Jones’ matrix)を有するメタ原子を含むことができる。メタサーフェス構築要素の配置は、レンズで受光した光の偏光依存集束(polarization-dependent focusing)を誘導するように構成され得るメタ原子を含み得る。例えば、光の偏光依存集束は、眼科用レンズのグレア/ハロー特性を低減するように構成することができる。いくつかの例では、光の偏光依存集束は、眼科用レンズを、受光した光の偏光状態に基づく少なくとも第1の焦点と第2の焦点を有する多焦点レンズとして画定するように構成することができる。メタ原子は、偏光状態の直交性(an orthogonality of the polarization states)に応じて、第1の焦点と第2の焦点との間の干渉を低減するように構成され得る。
【0035】
別の例では、平面部は二酸化チタン材料から形成することができる。二酸化チタン材料は、メタサーフェス構築要素の配列のメタ原子を保持するための材料プラットフォーム又はマトリックス材料を画定することができる。いくつかの例では、メタサーフェス構築要素は、可視光スペクトルにおいて高い屈折率を有する低光損失誘電体材料を含むナノポストの集合をさらに含む。
【0036】
別の実施形態では、メタサーフェス構築要素の配置は、眼科用レンズの所望の光学特性に基づいて、単純な幾何学的形状すなわち標準形状(canonical shape)、又はより複雑な自由形状(freeform shape)を有するメタ原子を含むことができる。
【0037】
別の実施形態では、メタサーフェスアレイを形成する方法が開示される。この方法は、眼科用レンズのメタサーフェスアレイの機能を決定することを含む。本方法はさらに、機能に基づいてメタサーフェスアレイのメタ原子の幾何学的形状を決定することを含み、幾何学的形状は標準形状又は自由形状を含む。さらに、本方法は、幾何学的形状を有するメタ原子を含むメタ原子ライブラリ(meta-atom library)を形成することを含む。
【0038】
別の実施形態では、メタ原子ライブラリのメタ原子は、メタ原子設計(meta-atom design)を画定することができる。本方法は、機能及び少なくとも1つの制約に基づいてメタ原子設計を最適化することを含むことができる。本方法は、シミュレーションツールを使用して最適化されたメタ原子設計を検証し、メタサーフェスアレイの機能に対する最適化されたメタ原子設計の検証メトリック(validation metric)を決定することをさらに含み得る。いくつかの例では、本方法は、検証メトリックを閾値と比較することと、検証メトリックが閾値より小さい場合に、メタ原子設計の最適化を繰り返すことと、をさらに含み得る。
【0039】
別の実施形態では、幾何学的形状は、等方性ナノ構造を含む標準形状とすることができる。
【0040】
別の実施形態では、幾何学的形状は、異方性ナノ構造を含む標準形状とすることができる。
【0041】
別の実施形態では、幾何学的形状は自由形状とすることができる。
【0042】
別の実施形態では、機能は、眼科用レンズの低減されたグレア/ハロー特性を含み得る。例えば、メタ原子ライブラリのメタ原子は、眼科用レンズで受光した光の偏光依存集束を誘導するように構成されたメタ原子設計を画定するように協働することができる。
【0043】
別の実施形態では、眼科用レンズを製造する方法が開示される。本方法は、本明細書に開示される技術のいずれかに従ってメタ原子ライブラリを形成することを含む。本方法はさらに、メタサーフェス構築要素を設置することによってメタサーフェスアレイを形成することを含む。メタサーフェス構築要素は、マトリックス中にメタ原子ライブラリのメタ原子を含む。
【0044】
別の実施形態では、マトリックスは二酸化チタンの材料プラットフォームで保持される。
【0045】
別の実施形態では、本方法は、メタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付けることをさらに含む。いくつかの例では、レンズ本体は、凸部と平面部とを有するハイブリッド平凸屈折レンズ本体を含み得る。これに関して、本方法は、メタ原子を有する二酸化チタンの材料プラットフォームを平面部に関連付けることをさらに含み得る。
【0046】
上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、さらなる態様及び実施形態が、図面を参照しまた以下の説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本開示は、以下に説明する添付図面及び以下の詳細な説明によって容易に理解される。この図面において、同様の参照番号は、同様の構造要素を示す。
【0048】
図1A】第1の焦点を有する眼科用レンズの実施形態を示す。
【0049】
図1B】第2の焦点を生じさせるメタサーフェスアレイを有する眼科用レンズの実施形態を示す。
【0050】
図1C】レンズ本体の反対側にメタサーフェスアレイを有し、第2の焦点を生じさせる眼科用レンズの実施形態を示す。
【0051】
図1D】本開示の眼科用レンズのメタサーフェス構築要素を示す。
【0052】
図2A】第1の焦点を有する標準化されたレンズ本体を示す。
【0053】
図2B】第2の焦点を有する標準化されたレンズ本体を示す。
【0054】
図2C】第3の焦点を有する標準化されたレンズ本体を示す。
【0055】
図3A】所定の焦点を有する第1のレンズ本体を示す。
【0056】
図3B図3Aの所定の焦点を有する第2のレンズ本体を示す。
【0057】
図3C図3Aの所定の焦点を有する第3のレンズ本体を示す。
【0058】
図4A】メタサーフェスアレイを含むサンプルの眼内レンズを示す。
【0059】
図4B図4Aの眼内レンズの例示的な断面を示す。
【0060】
図4C】本開示の原理による、光を眼に向ける眼内レンズの一実施形態の断面図を示す。
【0061】
図4D】本開示の原理による、光を眼に向ける眼内レンズの一実施形態の断面図を示す。
【0062】
図4E】本開示の原理による、光を眼に向ける眼内レンズの一実施形態の断面図を示す。
【0063】
図4F】本開示の原理による、軸を外して光を網膜の周辺領域に向けるための構造を備えた眼用レンズの一実施形態の部分断面斜視図である。
【0064】
図5A】所定の配列のメタサーフェスアレイを有する別の眼内レンズを示す。
【0065】
図5B】手術中に眼との関連付けのために折り畳まれた構成の図5Aの眼内レンズを示す。
【0066】
図5C】眼に取り付けられており、図5Aのメタサーフェスアレイの所定の構成を実質的に有する、図5Aの眼内レンズを示す。
【0067】
図6A】所定の配列でメタサーフェスアレイを有するサンプルのコンタクトレンズを示す。
【0068】
図6B】眼に取り付けるための操作形態における、図6Aのコンタクトレンズを示す。
【0069】
図6C】眼に取り付けられた形態における、図6Aのメタサーフェスアレイの所定の構成を実質的に有する、図6Aのコンタクトレンズを示す。
【0070】
図7A】ハイブリッド眼内レンズの側面概要図である。
【0071】
図7B図7Aのハイブリッド眼内レンズの平面部上のメタサーフェスアレイを示す。
【0072】
図8A】変更された視野を有する患者の側面図を示す。
【0073】
図8B】変更された視野を有する図8Aの患者の上面図を示す。
【0074】
図9A】成形プロセスを使用してメタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付ける操作を示す。
【0075】
図9B】成形プロセスを使用してメタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付ける別の操作を示す。
【0076】
図9C】成形プロセスを使用してメタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付ける別の操作を示す。
【0077】
図9D】成形プロセスを使用してメタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付ける別の操作を示す。
【0078】
図10A】メタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付ける操作を示す。
【0079】
図10B】メタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付ける別の操作を示す。
【0080】
図11A】レンズ本体上にメタサーフェスアレイを形成する操作を示す。
【0081】
図11B】レンズ本体上にメタサーフェスアレイを形成する別の操作を示す。
【0082】
図12】眼科用レンズを製造するためのフロー図を示す。
【0083】
図13】標準化された眼科用レンズを製造するためのフロー図を示す。
【0084】
図14A】メタサーフェスアレイのメタ原子の標準形状の一例を示す図である。
【0085】
図14B】メタサーフェスアレイのメタ原子の標準形状の別の例を示す図である。
【0086】
図14C】メタサーフェスアレイのメタ原子の標準形状の別の例を示す図である。
【0087】
図14D】メタサーフェスアレイのメタ原子の標準形状の別の例を示す図である。
【0088】
図15A】メタサーフェスアレイのメタ原子の自由形状の一例を示す図である。
【0089】
図15B】メタサーフェスアレイのメタ原子の自由形状の一例を示す図である。
【0090】
図15C】メタサーフェスアレイのメタ原子の自由形状の一例を示す図である。
【0091】
図15D】メタサーフェスアレイのメタ原子の自由形状の一例を示す図である。
【0092】
図16】眼科用レンズを製造するためのフロー図である。
【0093】
添付の図面でのクロスハッチング又はシェーディングの使用は、概して、隣接する要素間の境界を明確にし、図面を見やすくするためのものである。したがって、クロスハッチング又はシェーディングの有無は、添付の図面に示されている要素の特定の材料、材料特性、要素の比率、要素の寸法、同様に示されている要素の共通性、又はその他の特性、属性、又は特性、に対する選択又は要件を伝えたり示したりするものではない。
【0094】
さらに、様々な構造及び要素(それらの集合及び一群)の(相対的な又は絶対的な)比率及び寸法、ならびにそれらの間に現れる境界、分離、及び位置関係は、添付の図面においては、単に本明細書に記載の様々な実施形態の理解を容易にするためであり、したがって、必ずしも一定の縮尺で提示又は図示されているとは限らず、参照して記載された実施形態を除いた図示の実施形態の任意の選好又は要件を示すことを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下の説明は、本開示の様々な要素を具体化するサンプルのシステム、方法、及びデバイスを含む。しかしながら、記載された開示は、本明細書に記載されたものに加えて、様々な形態で実施され得ることを理解されたい。
【0096】
本開示は、眼科用レンズ(本明細書では「眼科用デバイス」又はその変形名称でも呼ばれる)に関連するシステム、デバイス、及び技術を説明する。眼科用レンズは、眼科用レンズのメタサーフェス構造を画定し、含み、又はそうでなければ関連するメタサーフェスアレイを有することができる。メタサーフェス構造は、必ずしもレンズの形状に依存して目的の光学効果を生じさせるのではなく、レンズの光学特性を変更するように具体的に調整することができる。例えば、メタサーフェス構造は、本明細書に記載の他の光学特性の中でもとりわけ、ハローの低減及び/又はコントラストの強調に寄与する、レンズのグレア特性を低減するために、レンズの本体全体にわたって構成することができる。したがって、本開示の実施形態は、例えば、メタサーフェス構造を使用してレンズの光学特性を変更することにより、視力矯正の提供又は他の治療目的のための従来の技術を超えるものである。従来の技術は、レンズの設計を過度にかさばる構造やレンズの適応性を制限する設計に制限し得る。これは、一例として、眼内レンズの場合のように、より大きな切開及び不快感につながる可能性がある。これらの従来の技術はまた、他の懸念の中でもとりわけ、光を制限し、したがってレンズの感度を低下させる可能性がある。
【0097】
本開示の眼科用レンズは、そのような問題を軽減することができ、それにより、少なくともいくつかの幾何学的制限なしにレンズを設計することを可能にする。これにより、さまざまなレンズサイズに対して、グレアを低減したりその他の光学特性を補正したりするために、従来の手法を超えて、より広範囲のレンズ形状にわたって光学特性を補正及び変更する性能を拡張できる。説明のために、眼科用レンズは、レンズ本体にメタサーフェスアレイを設けるようにすることができる。メタサーフェスアレイは、レンズ本体、レンズ、又はより一般的にはデバイスの光学特性を変更するように作用し、レンズが特定の治療目的のために標準化又はカスタマイズされているかどうかにかかわらず、レンズの形状に適応できる。例えば、メタサーフェスアレイは、レンズ本体を通って伝搬する光の特性を変更するように構成できる。これにはメタサーフェスアレイを使用して、電気共鳴効果、磁気共鳴効果、及び/又は他の適切な効果をもたらして、レンズに関連する1つ又は複数の光学特性に様々な変化を生じさせることを含むことができる。例えば、場合によっては、メタサーフェスアレイは、本明細書に記載の光の変更のためにパンチャラトナム-ベリー位相(Pancharatnam-Berry phase)を使用することができる。他の例では、本明細書で企図されるように、他の技術を使用して、入射光の位相をシフトすることができる。これは、他の可能な寸法の中でも、400nm以下など、可視光波長以下のメタサーフェス構築要素の寸法を決めることによって容易にすることができる。メタサーフェス構築要素はまた、メタサーフェスアレイ内及び/又はレンズ本体上に、特定の形状、サイズ、向き、グループ、密度、パターンなどを有することを含む、所定の構成で配置されて、所望の光学効果を生み出すことができる。例として、メタサーフェスアレイの構造の形状、サイズ、向き、グループ、密度、及び/又はパターンを調整して、他の光学効果の中でもとりわけ、レンズのグレア特性を低減することができる。
【0098】
メタサーフェスアレイは、関連付けられた眼科用レンズに偏光依存機能を提供するように構成することができる。例えば、メタサーフェスアレイは、メタ原子を有するメタサーフェス構築要素の配列を含むことができる。メタ原子は、眼科用レンズで受光した光の偏光依存集束を誘導するように構成することができる。光の偏光依存集束は、眼科用レンズのグレア/ハロー特性を低減するように構成することができる。一例として、光の偏光依存集束は眼科用レンズを少なくとも第1の焦点と第2の焦点を有する多焦点レンズとして画定するために使用することができる。光の偏光依存集束により、第1の焦点と第2の焦点及び/又は他の焦点の間の干渉を低減して、レンズのグレア/ハロー特性を低減することができる。
【0099】
一実施態様では、メタサーフェスアレイは、凸部と平面部とを有するハイブリッド平凸屈折レンズ本体に配置することができる。メタサーフェスアレイは、レンズの平面部に関連付ける(結合する)ことができる。これにより、アレイのメタ原子を、二酸化チタンマトリックス又は他の材料などで又はその一部として、凸レンズとは別に最初に形成し、続けて平面部に転写することができる。マトリックス中のメタ原子は、レンズのグレア/ハローの低減特性に基づいて最適化された設計などのメタ原子設計を有することができる。メタ原子を平面部に関連付けることは、製造中にメタ原子をメタ原子設計構成に維持することに役立つ。
【0100】
本開示のメタ原子は、様々な幾何学的形状を含み得る。幾何学的形状は、少なくとも部分的に眼科用レンズの機能に基づいて選択され得る。例えば、幾何学的形状は、レンズのグレア/ハロー特性を低減するために、眼科用レンズの機能に基づいて選択され、最適化され得る。一例では、標準形状を使用することができ、これは、本明細書に記載されるように、順設計法(forward design method)を使用して決定することができる。標準形状は、他の例の中でも、円柱や角柱などの等方性ナノ構造を含むことができる。標準形状は、矩形ナノフィンなどの異方性ナノ構造をさらに含むことができる。さらに、レンズの特定の機能に適合した任意の形状を含む自由形状も実施できる。自由形状は、逆設計法(inverse design method)を用いて決定することができる。自由形状は湾曲した輪郭を持つことができ、また2回の対称性又は4回の対称性を有するなど、対称性を有するように設計することができる。
【0101】
一実施形態では、メタサーフェス構築要素は、ナノポストによって画定することができる。ナノポストは、材料プラットフォーム(material platform)として二酸化チタンを使用して形成することができる。Si、SiO、GaNなどの他の材料を使用できることが理解されよう。ナノポストは、基質を画定するマトリックス材料内に配置することができる。基質は、ナノポストを所望の向きに保持又は配置するのに役立つ。基質はまた、所望の向きでターゲット表面(例えば、レンズ本体)上にナノポストを設けることを容易にすることができる。本明細書で説明するように、これにより、メタサーフェスアレイを、実質的に回転対称なレンズ、回転非対称なレンズ、及びそれらの変形を含む、多種多様なレンズの表面及び構成で使用することが可能になる。そのような適応性はまた、いくつかの例として、眼内レンズ、ならびに硬質なガス透過性レンズ及び/又はスクレラルレンズなどのコンタクトレンズを含む、種々のレンズタイプでメタサーフェスアレイを使用することを可能にすることができる。しかしながら、実施例にかかるレンズは、例示の目的で説明されており、本明細書に記載されている眼科用レンズは、多種多様な状況で使用できることが理解されよう。例えば、追加の実施形態では、眼科用レンズは、柔らかい周辺部を有するレンズを含むハイブリッドレンズとすることができる。追加的又は代替的に、レンズはヒドロゲル成分を含むことができる。さらなる例として、眼科用レンズは、本明細書で企図されるように、様々な角膜内レンズ、角膜インレー、角膜アンレー、及び埋め込み型のコンタクトレンズなどでの用途を有することができる。その他の場合、他の用途が可能である。
【0102】
本開示の眼科用レンズは、使用中及び設置中に物理的操作を受けることがある。本明細書に記載のメタサーフェスアレイは、そのような物理的操作の後に所要の光学特性を維持することを可能にする。したがって、眼科用レンズは、メタサーフェスの構造が所要用途に耐えるのに十分に頑丈とされた状態で、レンズの所要用途に合う耐久性を示す。例えば、眼科用レンズは、手術中での眼との関連で行われ得る折り畳み、巻き、又は他の態様で物理的に取り扱うことができる折り曲げ可能なレンズであり得る。メタサーフェスアレイは、この物理的な処理に耐え、処理が終わった後も所要の光学特性を適切に変更し続けることができる。
【0103】
この耐久性により、眼科用デバイスはさまざまな眼内レンズの状況に適応できる。眼内レンズは、永久的又は半永久的に使用するために、ユーザーの眼に外科的に取り付けることができる。これは、多くの場合、眼を切開し、折りたたまれた眼内レンズを眼の設置位置に導入するために切開部を通して挿入することを伴う。本明細書に記載の眼科用レンズは、そのような切開部を通した挿入のために折りたたむことができる。そして、眼科用レンズは、展開されて眼の設置位置に関連付けられると、メタサーフェス構造によって生じる所望の光学効果を維持するか、さもなければ示すことができる。
【0104】
本開示の眼科用デバイスはまた、メタサーフェスアレイが幾何学的考慮が実質的に必要ないレンズ本体の製造を容易にするので、眼内レンズとしての使用に合わせることができる。レンズ本体はまた、従来のアプローチよりも実質的に小さい切開部に適合するように折り畳まれたり巻かれたりするようにすることができ、したがって合併症のリスクを低減することができる。例えば、デバイスは、約1mmから2mmの切開部に適合するように折り畳まれるか又は丸められ、場合によっては、1mm未満の切開部を通されるようにすることができる。例えば、本開示のレンズ本体は、非限定的な例として、実質的に平坦であり、0.25mmの厚さを有することができる。レンズ本体、及びより一般的にはレンズの厚さは、レンズの1つ又は複数の部分に沿って変化し得ることが理解されよう。これに関連して、レンズ本体が約0.25mmの厚さの部分を有する限りにおいて、これは必ずしも均一な厚さであるとは限らない。例えば、光学ゾーンが、レンズの周辺ゾーンとは異なる厚さを有することができる。このレンズの厚さは、レンズの折り畳みを容易にすることができる。レンズが6mmの直径を示す場合など、場合によっては、レンズの直径が、切開部に導入するためにレンズを折り畳むことも容易にし得る。対照的に、従来の眼内レンズは、設置のためにより大きな切開部を必要とする場合がある。さらに、大きな切開部は、感染症などの手術中の合併症のリスクを高める可能性がある。
【0105】
前述の眼科用レンズの設計及び機能を容易にするために、様々な製造技術が本明細書に開示されている。概して、これらの製造技術は、レンズ本体の一部を画定又は形成する標準化された基質を可能にすることができる。これにより、製造コストを大幅に削減し、デバイスへの多種多様なレンズパラメータの組み込みを容易にすることができる。例えば、視力矯正に関連する特性などの光学特性はメタサーフェスアレイによって調整されるため、レンズの形状は、異なる光学特性を有する眼科用デバイスのスペクトルにわたって実質的に標準化することができる。逆に、メタサーフェスアレイを適宜調整することにより、さまざまな異なるレンズ形状が同様の光学特性を持つことができる。
【0106】
一実施形態では、本開示の眼科用レンズは、成形プロセスを使用して製造することができる。例えば、成形装置の第1の型部分は、メタサーフェスアレイを受け入れるように構成することができる。本明細書で説明するように、このアレイは、所定の構成で配置された、二酸化チタンナノポストなどのメタサーフェス構築要素の配列を含むことができる。液体レンズ材料などのレンズ材料を、成形装置内のメタサーフェスアレイに実質的に塗布して、メタサーフェスアレイを非固体基質と結合することができる。成形装置の第2の型部分を使用して、液体レンズ材料とメタサーフェスアレイからレンズ形状を形成することができる。例えば、第2の型部分を、第1の型部分に向かって前進させて、液体レンズ材料をメタサーフェスアレイ上に広げ、それぞれを第1及び第2の型部分によって実質的に画定されるモールド形状にすることができる。硬化プロセスを使用して、メタサーフェスアレイに関連付けられた最終的なレンズ本体を形成することができる。
【0107】
これに関連して、成形プロセスは、成形装置によって実質的に画定される標準化されたレンズ本体の形状を形成するように調整することができる。ただし、形状は標準化されるが、製造された各レンズの光学特性は、例えばメタサーフェスアレイの配列に基づいて、異なるものとなり得る。さまざまなレンズ形状の製造に関連して従来行われていた機械工具やその他のパラメータを再調整することがないので、製造コストを削減できる。このプロセスは、レンズ本体の形状を比較的一定とし、メタサーフェスアレイを使用して、光学パラメータの超微細な調整をできるようにすることもできる。
【0108】
種々のサイズ及び形状のレンズ本体を製造するために使用される方法を含む、他の製造方法が可能であり、また本開示において企図されていることが理解されよう。例えば、前述の成形プロセスは、眼内レンズ、コンタクトレンズなどの種々の眼科用レンズタイプに望まれるように、種々のサイズ及び構成の型を用いることができ、それには非対称の輪郭を持つ眼の治療を含むさまざまな状態の治療のための型又は型のセットアップの調整が含まれる。他の製造技術では、旋盤プロセスを使用してレンズ本体の一部又はすべてを形成することができ、そのレンズ本体はその後メタサーフェスアレイに関連付けられる。例えば、メタサーフェスアレイは、レンズ本体とは別に製造され、その後レンズ本体に関連付けられる剥離可能なシート又は他の構造とすることができる。他の場合には、メタサーフェスアレイは、例えば、ドライエッチング又はリソグラフィプロセスによって、レンズ本体の表面上により直接的に形成することができる。他の場合には、他の技術が可能であり、本明細書に記載される。
【0109】
ここで、本開示の様々な構造を説明するために添付の図面を参照する。以下の記述は、例示的説明と記述の目的で示される。さらに、この記述は、本発明を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。したがって、以下の教示ならびに関連技術の技能及び知識に見合った変形及び修正は本発明の範囲内である。
【0110】
図1Aは、眼科用レンズ100を示している。眼科用レンズ100は、後面106a及び前面106bを有するレンズ本体104を含む。レンズ本体104は、本明細書に記載されるように、様々な異なる光学的及び構造的特性を有するようにすることができる。これに関連して、レンズ本体104は、光が通過して所定の光学効果を生じさせる光学領域110を有することができる。例えば、光は、前面106bから概ね経路112に沿って進み、後面106aから経路114aに沿って進むことができる。経路114aは、概ね、後面106aから所定の距離だけ離されている焦点116に向かって収束することができる。レンズ本体104はまた、眼への適切な装着を可能にするなどの、構造的安定性をレンズに与えるようにする様々な他の構造的特徴を有することができる。これは、光学領域110を実質的に取り囲むことができるタンジェント領域108によって概して画定することができる。
【0111】
図1Aの眼科用レンズ100は、メタサーフェスの構造、又はメタサーフェスアレイなどの光の配置に影響を与える他の要素なしで示されている。したがって、経路112、114aは、レンズ本体104の形状に基づいて実質的に決定される。例えば、前面106bの凸状の輪郭は、光が本体104を通るときに、光が経路112と経路114aとの間で遷移するようにすることができる。したがって、図1Aは、焦点などのレンズの光学特性を変更するためにレンズ本体104の形状が調整される従来の技術を示している。
【0112】
本明細書に記載の実施形態は、必ずしも基礎となるレンズ構造の幾何学的特性に依存すくことなく又はそれを調整することなく、レンズの光学特性を変更することを可能にする。眼科用レンズ100の特性を変更するために、例えば、メタサーフェスアレイを使用して、メタサーフェス構造をレンズ本体104に関連付けることができる。
【0113】
これに関連して、図1Bは、レンズ本体104に関連付けられた(結合された)メタサーフェスアレイ150を有する眼科用レンズ100の実施形態を示している。メタサーフェスアレイ150が関連付けられることにより、光は、後面106aから新しい経路に沿って伝播され、焦点116’で実質的に集束する。以下でより詳細に説明するように、メタサーフェスアレイ150は、メタサーフェスを含み、もしくは画定するものであり、又はメタサーフェスであり、新しい方向又は経路に沿って光を誘導するように作用するメタサーフェス構造を構成することができる。図1Bは、説明のために拡大された例示的なメタサーフェスの構造を示している。図1A及び図1Bのレンズ本体104は、一群の標準化されたレンズ本体から形成されるような同一の構造とすることができ、図1Bの焦点116’は、メタサーフェスアレイ150の導入により、図1Aの焦点116とは異なっている。説明のために、メタサーフェスアレイ150は、前面106bに関連付けられて示されている。図1Cに示されるような他の場合においては、メタサーフェスアレイ150は、後面106aに関連付けることができる。メタサーフェスアレイ150を後面106aと関連付けることにより、図1Cに示されるような焦点116’を生じさせることもできる。
【0114】
図1A図1Cは、メタサーフェスアレイ150の導入によって生じる焦点の変化を示していることが理解されるであろう。他の場合には、他の光学特性が、メタサーフェスアレイ150によって促進されるようにして、任意選択的に修正又は維持されるようにすることができる。サンプルの光学特性は、メタサーフェスアレイ150の導入によって低下させることが可能なレンズ本体の収差特性を含むことができる。例えば、メタサーフェスアレイ150は、色収差、単色収差などの補正を容易にするようにすることができる。別の例として、その光学特性は、メタサーフェスアレイによって低下させることが可能なレンズ本体のグレア特性を含むことができる。例えば、グレア特性は、一例として、統一グレア評価を使用して測定できる。統一グレア評価(UGR)での分類は、通常5~40の範囲である。より小さい数値が、より低いグレアに対応する。UGRは、本明細書に記載のメタサーフェスアレイを使用して低減することができる。例示としては、本明細書に記載の眼科用デバイスを使用して、所与の照明環境において、UGR値を最大5%、最大10%、最大15%、又はそれ以上減少させることができる。他の場合には、視力矯正、疾患治療、治療用途、美容機能、色覚異常の治療などに関連するものを含む他の光学特性を変更又は維持することができる。
【0115】
多くの組合せの光学特性及び効果を達成できることが理解されるであろうが、一実施形態においては、光学特性はレンズ本体の1つ又は複数の焦点を含むことができる。これに関連して、メタサーフェスアレイは、視力矯正のために、遠近両用、累進多焦点、及び三焦点に関連する光学特性を生じさせるように作用することができる。
【0116】
別の例として、その光学特性は非点収差補正特性を含むことができる。これに関連して、メタサーフェスアレイは、第1の経線に関連付けられた第1の焦点距離及び第2の経線に関連付けられた第2の焦点距離を有するなど、レンズのそれぞれの経線に対する焦点距離を画定又は修正するように作用することができる。
【0117】
別の例として、焦点を変更することは、中心からずれた焦点を変更することを含み得る。これに関連して、メタサーフェスアレイは、レンズの中心軸に対して中心からずれた焦点を画定するように作用することができる。追加的又は代替的に、これは、中心窩から離れた周辺位置に焦点を結ぶ1つ又は複数の焦点を画定又は修正することを含み得る。
【0118】
別の実施形態では、メタサーフェス構造は、屈折及び/又は回折ベースの光学ゾーンと組み合わせることができる。例えば、レンズは、メタサーフェス構造を有する中央光学ゾーンと、屈折及び/又は回折ベースの光学特性ゾーンによって構成された、中央光学ゾーンを取り囲む周辺光学ゾーンとを含むことができる。
【0119】
レンズ本体104は、特定の用途に適合させることができる任意の適切な形状とすることができることが理解されよう。場合によっては、レンズ本体104は、相当に大量なレンズの効率的な製造を容易にするために標準化された形状を有することができる。形状が標準化されていても、メタサーフェスアレイ150は、グレア特性の低減、ハローの低減、収差補正などの異なる光学効果をそれらのレンズの特定のものに生じさせるように調整することができる。他の場合には、レンズ本体104は、特定の患者に合わせてカスタマイズされた形状を有することができる。これは、レンズが外科的に眼と関連付けられて特別に適合することが望まれる場合など、レンズの特定の治療用途に対する場合などである。これに関連して、メタサーフェスアレイ150は、レンズのカスタマイズされた幾何学的形状にもかかわらず、所望の光学効果を生み出すように調整することができる。広角コンタクトレンズ本体を有するものなどの広角レンズ、及び他のレンズ形状も必要に応じて使用することができる。
【0120】
図1Dは、レンズ本体104及びメタサーフェスアレイ150を有する眼科用レンズ100の斜視図を示している。図1Dは、本明細書に記載の様々な眼科用デバイスの機能を促進することができるアレイ150のサンプルの構造及び構成を示す。このメタサーフェスアレイの構造は、説明の目的で描かれており、実際のサイズのスケールの指標を提供するのではなく、本開示を説明することを意図した拡大されたものが含まれることが理解されよう。
【0121】
レンズ本体104は、様々なタイプの視力矯正に使用できるように、実質的に回転対称のプロファイルを有するものとして示されている。他の場合には、レンズ本体104は、所定の用途に適切なように、実質的に回転非対称のプロファイル、不規則なプロファイルを形成し、及び/又は実質的に平坦なセクションを含むことができる。図1Dの前面106bは非平面であり、眼の形状に一致するように構成されるように湾曲している。メタサーフェスアレイ150は、図1Dに示されるように、レンズ本体104のこの非平面の外層に関連付けられるようにされている。他の場合には、メタサーフェスアレイ150はレンズ本体104の他の表面に関連付けることができ、これには、レンズ本体の必ずしもすべてではないがいくらかの部分がメタサーフェスアレイに関連付けられている実施形態も含まれる。
【0122】
メタサーフェスアレイ150は、概括的には、眼科用レンズ100の光学特性を変更するように作用する。上記のように、これは、広範囲にわたる利用可能な光学特性の変更の中で、図1Aの焦点116から図1Bの焦点116’までレンズの焦点を変更することを含み得る。そのような光学特性の変更を容易にするために、メタサーフェスアレイ150は、図1Dに示されるようなメタサーフェス構築要素160の配置を含むことができる。
【0123】
メタサーフェス構築要素160は多くの形態をとることができるが、要素160はナノポストの集合を含むものとして図1Dに示されている。ナノポストは、それを通る光に影響を与えるか又は変更するように、レンズ本体104の表面に対して所定の態様で配置された物理的構造とすることができる。例えば、ナノポストは、特定の場合には約400nm又はそれよりも小さくするなど、光の周期波長よりも小さい寸法にすることができる。レンズ本体表面に沿ったナノポストの寸法及び配置は、ポストに当たる光を変化又は変更する特定の効果を生じさせることができ、これには、電気共鳴効果、磁気共鳴効果、及び/又は光を変更するように作用する他の適切な効果が含まれ得る。例えば、場合によっては、メタサーフェスアレイは、本明細書に記載の光の変更のためにパンチャラトナム-ベリー位相を使用することができる。他の場合には、本明細書で企図されるように、他の技術を入射光の位相をシフトするために使用することができる。例えば、ナノポストの集合は、レンズの焦点及び/又は任意選択で視力矯正に関連付けることができる他の構造を変更するなど、レンズの光学特性を変更するように作用することができる。
【0124】
ナノポストは、所望の光学効果を生じさせるために、様々な材料から形成することができる。いくつかの例では、二酸化チタン及び/又は二酸化銀材料が、ナノポストの一部又はすべてを形成することができる。以下でより詳細に説明するように、ナノポストは、リソグラフィーの使用を含むエッチングプロセスで形成することができる。この方法では、二酸化チタンの層などの出発材料又は基質層をエッチングして、所望の形状でナノポストの集合を形成することができる。そしてこのナノポストの集合は、図8A図10Bに関して以下に説明するように、成形プロセス及び/又は剥離可能なシートを使用することを含む様々な方法で、レンズ本体に関連付けられる。他の場合には、他の製造技術を使用することができ、これは本明細書で企図されているところである。
【0125】
図1Dのサンプルでは、メタサーフェス構築要素160を含むメタサーフェスアレイ150が示されている。メタサーフェス構築要素160は、メタサーフェスアレイ150のマトリックス154に配置された多数のメタサーフェス構築要素のうちの1つとすることができる。マトリックス154は、メタサーフェス構築要素160などのメタサーフェス構築要素をレンズ本体104に関連付けるために使用される。例えば、マトリックス154は、特定の実施形態では、ポリジメチルシロキサン材料、及び/又はポリマー及び可撓性基質を含む他の材料から形成することができる。場合によっては、マトリックス154は、マトリックス154がレンズ本体104に結合するか、さもなければ付着することを可能にする接着特性を有することができる。マトリックス154は、ユーザーによる眼科用レンズ100の使用の前に、当該マトリックス154の一部又はすべてが除去される犠牲マトリックス(sacrificial matrix)として使用することができる。他の場合において、マトリックス154は、眼科用デバイス100の使用中に完全にそのままとすることができ、これには、マトリックスが、メタサーフェス構築要素を完全に及び/又は少なくとも部分的に包含して、所望の光学効果を生じさせるための所望の向き及び配置を維持することを容易にする場合が含まれる。
【0126】
本明細書で説明するように、メタサーフェス構築要素は、ナノポストの集合によって画定することができる。図1Dのサンプルでは、メタサーフェス構築要素160は、ナノポスト164によって画定されるものとして示されている。ナノポストは、所望の光学効果を生じさせるために、形状、サイズ、向き、及び/又は他の特徴又は特性を有し得る。例えば、ナノポスト164は、図1Dに示されるように、必須ではないが、実質的に六角形の形状を有することができる。他の場合には、他の可能性の中でもとりわけ、長方形、円形、及び/又は不規則もしくは非対称の形状を含む他の形状が企図される。ナノポスト164のそのような特徴は、本明細書に記載されるように、所望の光学特性を生じさせるために調整することができる。
【0127】
特定の実施形態では、ナノポスト164の少なくとも一部は、マトリックス154に直接関連付けることができる。説明のために、図1Dは、ナノポスト164のマトリックス部分168を示している。マトリックス部分168は、マトリックス154によって取り囲まれるナノポスト164の部分であり得、それにより、ナノポスト164とレンズ本体104との関連付けを容易にする。ある場合には、マトリックス部分168はナノポスト164のすべて又は実質的にすべてを含むことができ、一方で他の場合には、マトリックス部分168は、所定の用途に適切なように、量を削減することができ、又は任意選択で除去されるか、又はナノポスト164の底面上に配置され得る。
【0128】
これに関連して、ナノポスト164は、本明細書で望まれる光学効果を促進するために、特定の構成で配置される。ナノポスト164は、一般に、マトリックス154及び/又は他の構造、基質、又は方法を使用して、手術中のレンズの操作(例えば、眼内レンズでの使用)及び/又はコンタクトレンズ環境での外部使用などの眼科用レンズの物理的操作を通してその構成を維持することができる。説明のために、図1Dは、レンズ本体104の表面に対して持続可能に垂直な構成で、形状が六角形であるナノポスト164を含むメタサーフェス構築要素160を示している。図1Dはまた、ポスト高さ167を有するナノポストを示しており、これは、可視光波長からそのように寸法が決められ、それには光の周期波長よりも小さいものが含まれる。これに関連して、ポスト高さ167は、400nm以下であり得る。他の場合には、ポスト高さ167は、所望の光学特性に適切なように、約500nm、900nm、又はそれ以上であるなど、400nmより大きくすることができる。高さ167が1つのサンプル寸法として提示されていることが理解されよう。追加的又は代替的に、ナノポスト164は、光の波長又はそれよりも小さい、直径、幅、厚さなどの他の寸法を有し得る。
【0129】
上で概説したメタサーフェス構築要素160の物理的特性を考慮して、レンズ本体104を通る光の振る舞いを変更することができる。例えば、図2A図2Cにより詳細に示されるように、メタサーフェスの物理的特性を使用して、レンズの焦点を変更することができる。レンズの累積光学効果は、メタサーフェスアレイ150のメタサーフェス構造によって影響を受ける。例えば、焦点距離などの光学特性は、メタサーフェス構築要素の特定の構成及び物理的特性を含むメタサーフェス構築要素の集合の配置に基づいて、レンズ全体に対して変更することができる。例えば、メタサーフェスアレイ150のメタサーフェス構築要素の集合は、異なる形状、異なる高さ、向きなどのナノポストを含む、個々のメタサーフェス構築要素を含むことができる。そのような違いは、レンズの光学特性の超微調整、ならびに図3A図3Bに関して以下でさらに説明するように、レンズの固有の形状のための調整を可能にすることができる。
【0130】
説明のために、図1Dは第2のメタサーフェス構築要素160’を示している。第2のメタサーフェス構築要素160’は、例として、メタサーフェス構築要素160のものとは異なる向き、サイズ、及び形状を有することができる。したがって、第2のメタサーフェス構築要素160’の異なる形状は、メタサーフェス構築要素160とは異なる態様で光に影響を与えることができる。これは、例えば、第2のメタサーフェス構築要素160’が、メタサーフェス構築要素160に対してレンズ本体104の幾何学的に異なる部分に配置され、別個の態様で光と相互作用する場合に望ましい場合がある。さらに、光を異なる態様でメタサーフェス構築要素に相互作用させて、メタサーフェス構築要素160及び第2のメタサーフェス構築要素160’との光の相互作用の結合光学効果を実現することが望ましい場合があり、その結合光学効果にはグレアと収差の低減で得ることができる結合効果が含まれる。色に影響を与えることを含むコスメティック用途も企図されている。
【0131】
図1Dは、上で概説したメタサーフェス構築要素の物理的特性に加えて、メタサーフェス構築要素の密度及びグループ化を、レンズ本体104の表面に沿って変更することができることを示す。例えば、レンズのある領域ではより高い密度のメタサーフェス構築要素を有し、レンズの別の領域ではより低い密度のメタサーフェス構築要素を有することが望ましい場合がある。この差は、例えば、湾曲したレンズが使用される場合、レンズの曲率を考慮することができる。追加的又は代替的に、それは、本明細書に記載される様々な光学効果の変更に寄与することができる。
【0132】
これに関連して、図1Dは、メタサーフェス構築要素の第1の密度を有する第1の部分122aを含むメタサーフェスアレイを示す。図1Dはまた、メタサーフェス構築要素の第2の密度を有する第2の部分122bを有するメタサーフェスアレイ150を示している。場合によっては、メタサーフェス構築要素は、部分122aと部分122bの密度の間の勾配を画定することができる。他の場合において、部分122a、122bの間の密度の変化は、特定のアプリケーションに応じて、メタサーフェス構築要素が実質的にないメタサーフェスアレイの部分を有することを含む、突然な又は不連続なものであり得る。
【0133】
これに関連して、ナノポストの集合、又は本明細書に記載のメタサーフェス構築要素のいずれかをレンズの形状と組み合わせて使用して、結合光学効果を生じさせることができることが理解されよう。例えば、レンズ本体104は、光の回折及び/又は屈折に関連する特定の光学特性を示す形状を有することができる。したがって、ナノポストの集合は、レンズ本体104に関連した回折及び/又は屈折によって生じるレンズ本体を通る光の特性に影響を与えるように作用することができる。これは、例えば、レンズ本体の形状が特定の治療効果を提供するために使用される場合に有益であり、そのような形状には患者の眼へのレンズの特定の適合を可能にする形状が含まれる。
【0134】
本明細書のメタサーフェスアレイ及び実施形態を使用して、幾何学的に同一又は類似のレンズ本体を有するレンズ全体に様々な異なる光学特性を生じさせることができる。例えば、メタサーフェスアレイは、レンズ本体の幾何学的形状だけに依存するのではなく、メタサーフェス機能を使用して光学的変化を生じさせることができる。このことを説明するために、図2A図2Cは、共通の又は標準化されたレンズ本体の一連の眼科用レンズであって、それぞれが異なる焦点を有するなどの異なる光学特性を有するようにしたものを示している。例えば、上述したようなメタサーフェスアレイは、異なっていて、個々の眼科用デバイスのそれぞれに関して同じ又は類似のレンズ形状を有するデバイスに対して異なる光学効果を生じさせるように調整することができる。
【0135】
図2Aには、眼科用レンズ200aが示されている。眼科用レンズ200aは、レンズ本体204を有し、メタサーフェスアレイ250aが設けられている。メタサーフェスアレイ250aは、眼科用レンズ200aが光を経路214aに沿って焦点216aに向かわせるように、メタサーフェス構築要素の配列を含むことができる。
【0136】
図2Bには、眼科用レンズ200bが示されている。眼科用レンズ200bは、レンズ本体204を有し、これは、図2Aのレンズ本体204と類似又は同一とすることができる。図2Bのレンズ本体204は、メタサーフェスアレイ250bに関連付けられており、これは、メタサーフェスアレイ250aとは異なるものとすることができる。例えば、メタサーフェスアレイ250bは、メタサーフェスアレイ250aと比較して、異なるサイズ、形状、向き、密度などのメタサーフェス構築要素を含むことができる。このようにして、メタサーフェスアレイ250bは、レンズ本体204が眼科用レンズ200aのものと幾何学的に同一又は類似しているにもかかわらず、眼科用レンズ200bに対して異なる光学特性を生じさせるように作用することができる。図2Bに示されるように、メタサーフェスアレイ250bのメタサーフェス構築要素は、眼科用レンズ200bが光を経路214bに沿って焦点216aとは異なる焦点216bに向かわせるように設けることができる。
【0137】
図2Cには、眼科用レンズ200cが示されている。眼科用レンズ200cはレンズ本体204を有し、これは、図2A又は図2Bのレンズ本体204と類似又は同一なものとすることができる。図2Cのレンズ本体204はメタサーフェスアレイ250cに関連付けられており、これは、メタサーフェスアレイ250a及び/又は250bとは異なるものとすることができる。例えば、メタサーフェスアレイ250cは、メタサーフェスアレイ250a及び/又は250bと比較して、異なるサイズ、形状、向き、密度などのメタサーフェス構築要素を含むことができる。このようにして、メタサーフェスアレイ250cは、レンズ本体204が眼科用レンズ200a及び/又は200bのものと幾何学的に同一又は類似であるにもかかわらず、眼科用レンズ200cに対して異なる光学特性を生じさせるように作用することができる。図2Cに示されるように、メタサーフェスアレイ250cのメタサーフェス構築要素は、眼科用レンズ200cが光を経路214cに沿って焦点216a、216bとは異なる焦点216cに向かわせるように配置することができる。
【0138】
したがって、レンズ本体204は、図9A図11Bに示されるような標準化されたプロセスから製造することができる。例えば、レンズ本体204は、一群の標準化されたレンズ形状のうちの1つとすることができる。これにより、製造の複雑さが軽減され、結果として得られる眼科用レンズの光学特性を、レンズ本体の幾何学的特性ではなく、メタサーフェスアレイによって実質的に画定できるようになる。図2A図2Cは、メタサーフェスアレイの結果として変更することができる例示的な光学特性として、焦点の変化を示している。その他の場合、収差、グレア、視力矯正などに関連するものを含め、より多くの又は種々の光学特性を変更することができることが理解されよう。
【0139】
本明細書のメタサーフェスアレイ及び実施形態はまた、異なる形状を有するレンズに対して実質的に同じ光学特性を生じさせるために使用することができる。例えば、メタサーフェスアレイは、光学効果を生じさせるために幾何学的形状のみに依存するのではなく、光学的変化を生じさせるメタサーフェス構造を採用することができる。この態様においては、共通の光学特性を示すようにレンズ本体を通過する光に影響を与えるために、レンズ本体の幾何学的形状を占めるようにメタサーフェスの構造を調整することができる。これは、例えば、さまざまな異なる状態を治療するために使用される、異なるサイズ及び形状のレンズのそれぞれが、共通の焦点又は共通して望まれる他の光学特性を有する場合に有益であり得る。このことを説明するために、図3A図3Cには、それぞれが実質的に同じ焦点を有するが幾何学的に異なるレンズ本体を有する一連の眼科用レンズを示している。例えば、上述したようなメタサーフェスアレイは、相互に異なるものとすることができ、異なるレンズ形状を有するデバイスに共通の光学効果を生じさせるように個々の眼科用デバイスのそれぞれについて調整することができる。
【0140】
図3Aには、眼科用レンズ300aが示されている。眼科用レンズ300aは、レンズ本体304aを有し、メタサーフェスアレイ350aに関連付けられている。メタサーフェスアレイ350aは、眼科用レンズ300aが光を経路314aに沿って焦点316に向かわせるように、メタサーフェス構築要素の配列を含むことができる。
【0141】
図3Bには、眼科用レンズ300bが示されている。眼科用レンズ300bは、レンズ本体304bを有し、これは、図3Aのレンズ本体304aとは幾何学的に異なることができる。図3Bのレンズ本体304bは、メタサーフェスアレイ350bに関連付けられており、これは、メタサーフェスアレイ350aとは異なるものとすることができる。例えば、メタサーフェスアレイ350bは、メタサーフェスアレイ350aと比較して、異なるサイズ、形状、向き、密度などのメタサーフェス構築要素を含むことができる。このようにして、メタサーフェスアレイ350bは、レンズ本体304bが眼科用レンズ300aのものと幾何学的に異なるにもかかわらず、眼科用レンズ300bに共通の光学特性(例えば、焦点316)を生じさせるように作用することができる。図3Bに示されるように、メタサーフェスアレイ350bのメタサーフェス構築要素は、眼科用レンズ300bが光を経路314bに沿って図3Aの眼科用レンズ300aの焦点316と同じ又は実質的に類似する焦点316に向かわせるように配置することができる。
【0142】
図3Cには、眼科用レンズ300cが示されている。眼科用レンズ300cは、レンズ本体304cを有し、これは、図3Aのレンズ本体304a及び/又は図3Bのレンズ本体304bとは幾何学的に異なるものとすることができる。図3Cのレンズ本体304cは、メタサーフェスアレイ350cに関連付けられており、これは、メタサーフェスアレイ350a及び/又は350bとは異なるものとすることができる。例えば、メタサーフェスアレイ350cは、メタサーフェスアレイ350a及び/又は350bと比較して、異なるサイズ、形状、向き、密度などのメタサーフェス構築要素を含むことができる。この態様においては、メタサーフェスアレイ350cは、レンズ本体304cが眼科用レンズ300a、300bのものとは幾何学的に異なるにもかかわらず、眼科用レンズ300cに共通の光学特性(例えば、焦点316)を生じさせるように作用することができる。図3Cに示すように、メタサーフェスアレイ350cのメタサーフェス構築要素は、図3Aのレンズ300aが光を経路314cに沿って、図3A及び図3Bの眼科用レンズ300bの焦点316と同じか又は実質的に類似する、焦点316に向かわせるように配置することができる。
【0143】
図3A図3Cは、メタサーフェスアレイの結果として変更することができる例示的な光学特性としての焦点の変化を示している。その他の場合、収差、グレア、視力矯正などに関連するものなど、より多くの又は種々の光学特性を変更することができる。
【0144】
本明細書に記載のメタサーフェスアレイは、レンズが外科手術の間に又は医療従事者によって取り付けられるように構成されたものを含む、多種多様な用途で使用することができる。一例として、メタサーフェスアレイは、眼内デバイス又はレンズを含むか又は画定するレンズ又はレンズシステムで使用することができる。眼内レンズは、白内障又は近視を治療するために使用することができ、したがって、通常、外科的処置中に眼に関連付けられる。例えば、光と光学特性の変更は単にレンズ本体の形状によるのではなくむしろメタサーフェスアレイによって制御できるので、眼内レンズで使用されるメタサーフェスアレイは、レンズ本体がさまざまな異なる物理的特性を有することを可能にする。これに関連し、眼内レンズは、手術前及び手術後において実質的に平坦とすることができ、そしてまたレンズ本体が、外科的処置中の切開サイズを減少させることができる他の特徴、例えば厚さが0.25mm以下で、折り畳み及び/又はロール状にして、1mm以下の切開部などの2mm以下の切開部を通して挿入できるようにすることを含む特徴を有することを可能にする。
【0145】
これに関連して、図4A図4Bに眼科用レンズ400を示している。眼科用レンズ400は、メタサーフェスアレイを有する眼内レンズ又はデバイスとすることができる。これに関連して、図4Aは、レンズ本体404及びメタサーフェスアレイ450を有する眼科用レンズを示している。メタサーフェスアレイ450は、本明細書に記載のメタサーフェスアレイに実質的に類似したものすることができるものであり、わかりやすくするためにここでは冗長な説明を省略している。
【0146】
上記にかかわらず、メタサーフェスアレイ450は、眼内レンズと共に使用するのに適しているようにすることができる。これは、本明細書の製造技術に従って、メタサーフェスアレイ450及び関連付けられたレンズ本体404を製造することを含み得る。例えば、メタサーフェスアレイ450は、レンズを取り付ける外科手術プロセスの後に、所要の光学特性及び変更を維持するのに十分な耐久性を有することができる。いくつかの実施形態では、図5A図5Cに関連してより詳細に示されるように、メタサーフェスアレイのメタサーフェス構築要素の配列は、外科的処置中及びその後に維持されるようにすることができる。
【0147】
図4Aの眼科用レンズはまた、眼内レンズ用途のための他の適応を含む。例えば、レンズ本体404は、手術中のレンズの位置合わせを容易にする特定の構造を有するように構成することができる。図4Aは、第1の触覚構造部405a及び第2の触覚構造部405bを有するレンズ本体404を示している。第1及び第2の触覚構造部405a、405bは、手術中にレンズ本体404を眼の特定の特徴部と位置合わせすることを容易にすることができる。他の場合には、眼に対してレンズ400を位置合わせ及び/又は構造的に乗せるための翼型形状及び他の形状を画定するものを含む、他の触覚構造部を任意選択的に使用できることが理解されよう。
【0148】
図4Bには、図4Aの眼科用レンズ400の例示的な断面図が示されている。図4Bは、眼科用レンズ400が、外科手術で取り付けられる前などにおいて、実質的に平坦な形状を有することができることを示している。これに関連して、図4Bは眼科用デバイスが厚さ440を有していることを示している。厚さ440は、概ね約0.25mmとすることができる。眼科用レンズ400の寸法をそのように決定することにより、図5A図5Cに示すように、眼科用レンズ400がかなり小さな切開部を通して取り付けられるのを可能にするために、手術中にレンズを折り畳む、巻く、又は他の態様で物理的に操作することができる。厚さ440はまた、使用のために操作された後に眼科用レンズがその形状を保持することを可能にするように、当該眼科用レンズ400に一定の剛性を生じさせるように調整することができる。これに関連して、0.25mmは1つのサンプル寸法であり、眼科用レンズの材料に基づいてさらに適合させることができることが理解されよう。従って、場合によっては、厚さ440は、0.20mm未満など0.25mm未満とすることができるが、他の場合では、厚さ440は、0.50mm未満又は1mm未満など、より厚くすることができる。
【0149】
さらに、1つの例示的な実施形態によれば、図4C図4Fに示されるように、特に若者における、近視の進行を治療するために、メタサーフェスアレイをコンタクトレンズの表面に組み込むことができる。近視は、眼の望ましくない軸方向の長さによって引き起こされる。小児期に眼の軸方向の長さの成長を制御することができれば、近視又は遠視は、青年期に減少するか又はなくすことができることが見出されている。
【0150】
眼の軸方向の長さの成長は、網膜内で受ける視覚的フィードバックの影響を受ける可能性がある。視覚的フィードバックは、眼の軸方向の長さを、角膜及び水晶体の集合的な度数とバランスさせるのに使用される。眼は、網膜に焦点合わせされた光の焦点を使用して、眼の軸方向の長さがいつバランスされるかを判断する。そのような視覚的フィードバックは、中心視野のための網膜の中心部分だけでなく、網膜の表面積の全体に基づいている。したがって、中心領域よりも大きな表面積を有する網膜の周辺が、軸方向の長さを延長するための視覚的フィードバックを受け取ると、眼は、眼の軸方向の長さを増加させるように成長することによって応答する。これは、中心視野がすでにバランスが取れている場合に発生する可能性がある。したがって、そのような視覚的フィードバックは、中心視力に焦点ずれを引き起こす可能性がある。
【0151】
網膜の周辺領域に向けられた光は、眼が眼の成長速度を判断するための視覚的フィードバックとして受け取り得る刺激を提供することができる。いくつかの例では、網膜の周辺領域に向けられた光は、網膜の周辺領域上に正確に焦点合わせされる。周辺に向けられた光の焦点を網膜上に正確に置くことにより、眼は、眼の軸方向の長さが眼の度数との一貫したバランスを維持するように、眼の成長速度を変化させることができる。これにより、眼の成長が遅くなったり、成長が完全に停止したりする可能性がある。
【0152】
他の例では、光は網膜の周辺領域の手前で焦点合わせされる。その結果、向けられた光の焦点は網膜の前にある。そのような刺激は、眼に周辺近視を引き起こす可能性がある。これは、眼の成長を遅らせたり、成長を完全に停止させたりする効果を有し得る。
【0153】
一般的に、小児は、網膜の後ろに焦点が形成される遠視状態から始まる。したがって、眼は、眼の度数と軸方向の長さとの間のバランスを修正するように眼を成長させる初期の刺激を有する。子供が中心遠視状態にある場合、光は、網膜の周辺領域に向けてられて、網膜の後ろに意図的に焦点を合わせされ得る。これは、米国特許第10,429,670号に教示されているように、眼の成長及び/又は形状を調整するための追加の刺激を眼に提供し、これにより眼の中心視力を矯正することができる。米国特許第10,4291,670号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0154】
本明細書に記載の原理の一実施形態では、眼科用レンズは、眼に対して位置決めされるように構成されたレンズ本体を含む。レンズ本体は、光を眼の網膜の中心領域に向けるように構成された光学ゾーンを含む。レンズ本体のメタサーフェスアレイを含む少なくとも1つの光学的特徴構造は、選択的に光を網膜の中心領域から離れるように向ける特性を有する。
【0155】
この光学的特徴構造は、眼用レンズの前面又は後面のいずれかに形成することができる。レンズ本体が複数の層で構成されている例では、光学的特徴構造は、いずれかの層の内表面又は外表面に形成することができる。そのような内表面又は外表面は、中間層上、又は前層又は後層の別の表面上とすることができる。いくつかの例示的な実施形態では、メタサーフェスアレイは、眼用レンズの像面湾曲に影響を与えることなく、レンズ本体に組み込むことができる。このメタサーフェスアレイは、眼用レンズに組み込まれて網膜の特定の領域に光を向けるように独立して調整された、複数の独立したメタサーフェスアレイ又は場所の1つとすることもできる。そのような光学的特徴構造は、異なるサイズを有することができ、異なる波長の光に対して調整することができ、また異なる断面形状、異なる屈折率、異なる度数、他の異なる特性、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0156】
図4Cは、本開示の原理に従って光を眼12に向ける眼用レンズ10の一実施形態の断面図である。この例では、眼用レンズ10は眼12の上に配置されている。周囲からの光線14、16、18は、眼用レンズ10を通過した後、眼12に入る。これらの光線は、眼用レンズ10の光学ゾーン20によって網膜24の中心領域22に向かって集束される。光線14、16、18の焦点25は網膜24の中心領域22上に形成され、これにより、眼は、眼に近い物体と眼から遠い物体の両方をはっきりと見ることができる。
【0157】
他の周囲からの光線26、28、30もまた、眼用レンズ10を通って眼12に入る。これらの光線26、28、30は、光線14、16、18とは異なって屈折される。光線26、28、30は、網膜24の周辺領域32に向けられる。図4Cの例では、光線26、28、30は、網膜24の周辺領域32に焦点が合わせられる。これにより、眼12が、眼の度数と軸方向長さ34とのバランスが取れていることを示す刺激を有するようにできる。したがって、眼12は、度数と軸方向長さ34との間の現在の比率を維持するように誘導され得る。
【0158】
光線26、28、30は、眼用レンズ10の光学ゾーン20の屈折特性とは異なる屈折特性を有するメタサーフェスアレイ36において眼用レンズ10を通過するため、光線14、16、18とは異なって屈折される。メタサーフェスアレイ36は、これらの図のみにおいて、説明及び識別を容易にするために突起として示されている。上記のように、メタサーフェスアレイは、眼科用レンズの表面プロファイル形状又はレンズの厚さを実質的に又は著しくは変更しない。1つの例示的な実施形態によれば、メタサーフェスアレイ36は、入射角、波長、及びアレイの周期などの当該アレイの形状に応じて、正又は負の屈折を作り出すことができる。メタサーフェスアレイ36は、アクティブ又はパッシブなメタサーフェスアレイであり得る。メタサーフェスアレイ36は、本明細書に開示されるプロセスに従って形成することができる。
【0159】
いくつかの例では、眼用レンズ10は、コンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、埋め込み型コンタクトレンズ、別のタイプのレンズ、又はそれらの組み合わせである。あるいは、眼用レンズ10は、眼鏡用レンズを含む任意の眼科用レンズとすることができる。図4Cの例では、光学ゾーン20は、メタサーフェスアレイ36を含まないか、又は網膜24の中心領域22に光を向けるように構成されたメタサーフェスアレイを含む。その結果、その構造から眼の中心視野への影響はほとんど又は全くない。しかしながら、複数の独立したメタサーフェスアレイ36は、それがなければ眼に入らないか又は異なる態様で眼に入るであろう、非光学領域において眼用レンズ10に接触する光の一部をそらす。その結果、軸の外側に位置決めされたメタサーフェスアレイ36によって、眼12に入る光の量が増加する。メタサーフェスアレイ36なしで眼12の周辺領域32に向かって進むであろう光の少なくともほとんどは、メタサーフェスアレイ36の助けなしに眼12に引き続き入射する。この光は、眼の成長に影響を与える視覚的なフィードバックをすでに眼に提供している。しかしながら、メタサーフェスアレイ36によって眼に向け直される追加の光は、その視覚的フィードバックを打ち消したり、その視覚的フィードバックを強化したり、その視覚的フィードバックを修正したり、又はさもなければ眼の成長に影響を与える刺激を提供したりするように制御することができる。追加の視覚的フィードバックは、近視の進行を制御したり、場合によっては近視の発生を防いだりするために使用することができる。網膜24の周辺領域32に向けられる光の量は、眼の成長に対する所望の効果を得るために必要な光の量に基づいて選択され得る。場合によっては、所望の結果を達成するために、メタサーフェスアレイ36から向けられる追加の光は少量で十分である。しかしながら、他の場合では、望ましくない軸方向の長さの増加を引き起こす強い自然刺激を克服するために、より多くの光を向けることが有益となる。
【0160】
図4Dは、本開示の原理に従って光を眼12に向ける眼用レンズ10の一実施形態の断面図である。この例では、メタサーフェスアレイ36は、光を網膜の周辺領域32に向けるが、向けられた光の焦点25は、網膜24の前に形成される。したがって、メタサーフェスアレイ36によって向けられた光線26、28、30は、周辺近視状態を引き起こす。そのような刺激は、眼12の軸方向成長の成長を停止又は減速することを示し得る。いくつかの例では、そのような周辺近視刺激は、光学ゾーンの光が網膜に正しく焦点を合わされているのでユーザーの視力に悪影響を与えることなく、眼の成長を変えるために眼12により強い刺激を提供し得る。いくつかの例では、方向転換された光線26、28、30を網膜24の周辺領域32の手前に焦点を合わせるように向けることは、そのような刺激が軸方向の長さ34が長すぎることを示すので、近視の症例を治療するために望ましい場合がある。
【0161】
図4Eは、本開示の原理に従った、光を眼12に向ける眼用レンズ10の一実施形態の断面図である。この例では、メタサーフェスアレイ36は光を網膜の周辺領域32に向けるが、向けられた光の焦点25は網膜24の後ろに形成される。したがって、メタサーフェスアレイ36によって向けられた光線26、28、30は、周辺遠視状態を引き起こす。そのような刺激は、眼12の軸方向成長を増加させることを示し得る。いくつかの例では、そのような周辺遠視刺激は、眼の成長速度を変化させるように眼12に刺激を提供し得る。いくつかの例では、方向転換された光線26、28、30を網膜24の周辺領域32の後ろに焦点を合わせるように向けることは、そのような刺激が軸方向の長さ34が短すぎることを示す可能性があるため、遠視の症例を治療するために望ましい場合がある。図4Dに示される実施形態と同様に、図4Eの所望の刺激は光学ゾーンの外側に提供されており、ユーザーの直接的な視体験には悪影響を与えない。
【0162】
図4C図4Eは、方向転換された光を網膜24に対して3次元空間内で集束させることに関して説明されているが、メタサーフェスアレイ36は、任意の適切な理由で、眼12の硝子体房40の周辺空間に光を向けることができる。例えば、光は、所定の焦点なしに周辺空間に向けられるようにできる。他の例では、光は、図4C図4Eに記載されているように、所定の焦点で周辺空間に向けられるようにできる。場合によっては、近視及び遠視以外の症状を治療するために、光が硝子体房40の周辺空間に向けられるようにできる。例えば、光は、他の症状を治療するため、娯楽目的のため、眼に埋め込まれたデバイスと通信するため、他の目的のため、又はそれらの組み合わせのために、周辺空間に向けられるようにできる。
【0163】
さらに、図4C図4Eには、説明の目的のために、網膜の限られた領域に光を向ける限られた数のメタサーフェスアレイが描かれている。複数の独立したメタサーフェスアレイは、網膜の複数の領域に光を集束させることができる。独立したメタサーフェスアレイのそれぞれは、眼の特定の状況に合わせてカスタマイズできる。例えば、いくつかのメタサーフェスアレイは、様々な程度の、度数、屈折特性、形状、サイズ、材料、厚さ、他の物理的特性、幾何学的パラメータ、入射角、波長、周期、又はそれらの組み合わせを含み得る。同じ眼用レンズの異なるメタサーフェスアレイが、網膜の前、網膜上、又は網膜の後ろに独立して光を焦点合わせさせることができる。他の例では、網膜の異なる領域が異なる強度の方向転換された光を受ける。
【0164】
いくつかの例では、メタサーフェスアレイは、方向転換された光の波長が分離されないように形成される。言い換えれば、これは、可視光スペクトル内のすべての波長を同じ方向に向けることができる。しかしながら、いくつかの例では、メタサーフェスアレイの少なくともいくつかは、選択された波長の光だけを網膜の周辺領域に方向転換するように形成することができる。図4C図4Fの典型的な図に示されるように、メタサーフェスアレイは、説明及び識別を容易にするためにのみ、突起として示されている。上記のように、メタサーフェスアレイは、眼科用レンズの表面プロファイル形状又はレンズの厚さを実質的に又は著しくは変更しない。
【0165】
図4Fは、本開示の原理に従った、軸からずれた光を網膜の周辺領域に向けるためのメタサーフェスアレイ36を備えた眼用レンズ10の一実施形態の斜視図である。この例では、眼用レンズ10は、光学ゾーン20及び非光学領域92を含む。メタサーフェスアレイ36は、非光学領域92に形成されている。
【0166】
図4Fに示されるように、光学ゾーン20は、そこを通る中心光96を、眼用レンズ10が装着されている眼の中心領域22内の網膜24上に集束させるように構成される。光学ゾーン20は、眼の瞳孔の前に位置する。多くの場合、非光学領域92は、光学ゾーン20を取り囲み、眼用レンズ10の残りの部分を構成する。この非光学領域92は、虹彩、場合によっては、眼の結膜及び強膜の一部の上に位置する。従来、眼用レンズ10の非光学領域92を通過する光は、そのような光線が虹彩や強膜などの光が入ることを許容しない眼の領域に当たるため、眼に入らない。しかしながら、従来のレンズとは対照的に、眼用レンズ10に組み込まれたメタサーフェスアレイ36は、設計により、(それ以外の場合は、眼に入る軌道上にはない)周辺光線98を網膜24の周辺領域32に向ける角度で瞳孔に向ける。
【0167】
方向転換された周辺光98は、周辺視野が処理される網膜の周辺領域32に向けられるので、眼の中心視野に影響を及ぼさない。そのため、眼に所望の刺激を提供するために、網膜24の周辺領域32に向けられる周辺光98の焦点を意図的にデフォーカスさせることが可能である。例えば、方向転換された周辺光98の焦点を、網膜に正確に合わせることができる。場合によっては、そのような刺激は、眼の軸方向の長さが眼の度数に適切につり合いが取れていることを示し得る。他の例では、方向転換された光線98は、網膜に届かないように集束される。場合によっては、そのような刺激は、眼の軸方向の長さが眼の度数に対して長すぎることを示し、それによって眼の軸方向の成長を遅くするか又は停止させる。さらに他の場合には、方向転換された光線98が網膜の後ろで集束されることがあり、これは、眼の軸方向の長さが眼の度数に対して短すぎることを示す刺激を生じさせる。眼の成長能力に応じて、眼の軸方向の長さと眼の度数との間のバランスを刺激に基づいて少なくとも部分的に改善するような方法で眼を成長させることができる。
【0168】
網膜24の周辺領域32に方向転換される光の量は、メタサーフェスアレイ36の数、メタサーフェスアレイ36の屈折率、メタサーフェスアレイ36の形状又は形態、その他の要因、及びそれらの組み合わせに基づく。眼用レンズ10は、眼の状態に合わせてカスタマイズすることができる。例えば、専門家が強い刺激が望ましいと感じる場合には、より多くのメタサーフェスアレイ36を眼用レンズに追加して、より多くの光を方向転換するか、又は選択されたメタサーフェス構造の度数を高めることができる。他の例では、刺激の所望の強度を達成するために、特定の屈折率を有する材料又は異なる形状の構造を使用することができる。同様に、これらのパラメータは、異なる眼の状態に基づいて、必要に応じて刺激の強さを減らすために縮小することができる。
【0169】
メタサーフェスアレイを使用すると、眼用レンズの設計に大きな柔軟性とプログラム可能性がもたらされる。さまざまなメタサーフェスアレイを眼用レンズの1つ又は複数の表面の一部又はすべてに配置できるため、レンズ設計者がいくつかのメタサーフェスアレイを調整して視覚に与える光学効果を最大化することを可能にしながら、他のメタサーフェスアレイを調整して眼のシステムに刺激を与えることが可能になる。
【0170】
図5A図5Cには、眼科用レンズ500が示されている。眼科用レンズ500は、図4A図4Bに関して上述した眼科用レンズ400のような眼内レンズ又はデバイスとすることができる。これに関連して、眼科用レンズ500は、レンズ本体504、メタサーフェスアレイ550、及びわかりやすくするためにここでは説明は省略するが特定の触覚構造を含むことができる。
【0171】
眼科用レンズ500は、眼との外科的関連のためにレンズ500を物理的に操作した後にも、光学特性(例えば、焦点、収差特性、グレア特性など)を維持するように構成することができる。このことを容易にするために、メタサーフェスアレイ550は、図5Aの例に示されるように、画定された配置を有するメタサーフェス構築要素570を含むことができる。メタサーフェス構築要素570は、特定の状況において、手術中の処理の後にも、この画定された配置を維持することができる。追加的に又は代替的に、メタサーフェス構築要素570は、レンズ本体504が眼と関連付けられたときに当該メタサーフェス構築要素570が所望の光学効果を生み出す構成で配置されるように、設置前(例えば、手術のための物理的操作の前)に好適な態様でレンズ504上に配置することができる。
【0172】
図5Bを参照すると、眼科用レンズ500は、折りたたまれた状態で示されている。特定の例として、眼科用レンズ500は、手術中に切開部を通したレンズ500の導入を容易にすることができるように、実質的に丸められて示されている。しかしながら、図5Bに示されている丸めた構成は、説明を目的とするものであることが理解されるであろう。他の場合には、切開部を通してレンズ500を導入するために、異なる折りたたみ、部分的な折りたたみ、よりコンパクトなロール(丸め)などを含む他の構成を使用して、レンズ500を眼との関連付けするときのフットプリントを物理的に減らすことができる。
【0173】
説明のために、図5Bはサンプルの眼590を含む。眼590は、例えば、白内障手術を受けている使用者のものであり得る。眼590は、形状又はプロファイル591を有することができる。プロファイル591は、眼590の多くの異なる属性に対応することができ、レンズ500は、所与の構成に適切であるように、プロファイル591に一致するか、そうでなければ適合するようにすることができる。このようにして、プロファイル591は、回転対称又は回転非対称である眼590に関する情報を含むことができ、レンズ504は、本明細書に記載の図9A図11Bの方法に従って製造することができる、適切な関連した形状を有することができる。
【0174】
眼590は、外科的処置を受けることができる。図5Bは、切開部592を示している。切開部592は、眼の構造に対する方向などの説明のために示されている。切開部592の位置は、手術のタイプなどの様々な要因に依存する。切開部592は長さ593を有するものとして示されている。長さ593は、レンズ500が設置される眼590の領域への開口部の合計サイズ又は最長サイズに対応することができる。例えば、感染やその他の合併症のリスクを減らすために、長さ593の値を減らすことが望ましい場合がある。したがって、レンズ500は、長さ593の値を最小化するように適合することができる。例えば、長さ593は、実質的に約1mmから2mmの間とすることができる。場合によっては、長さ593は、0.75mm未満など、1mm未満とすることができる。他の場合において、長さ593は、所与の用途に基づいて、2mm未満又はそれ以上であるなど、2mmよりも大きくすることができる。これに関連して、切開部592は、例示の目的で示されており、本明細書に記載の実施形態の文脈における切開部592の長さは、図5Bに示される切開部592よりも比例的に小さく又は大きくなり得ることが理解されよう。
【0175】
これに関連して、レンズ500は、切開部592を通して挿入するために、図5Bに示されるように丸めたり折りたたんだりすることができる。一実施形態では、レンズ500は、針注射又は他の低侵襲挿入手段によって切開部592を通して挿入することができる。より具体的には、レンズ500は、丸められ、又は折り畳まれ、(その状態において)切開部592の長さ593の値以下の幅を有するようにすることができる。本明細書で説明するように、レンズ500のこの物理的操作は、メタサーフェスアレイによって結果として生じるレンズの光学的修正をサポートするように調整することができる。例えば、切開部592を通してレンズ500を前進させることができる構成へのレンズ500の物理的操作は、レンズ500を眼590に対して展開し関連付けしたときのメタサーフェスアレイの作用を妨げない。
【0176】
このことを説明するために、図5Cは、眼590と関連付けられた眼科用レンズ500を示している。図5Cに示す構成は、折り畳みの終わった後の外科的段階の代表的なものである。例えば、レンズ500は、図5Bの切開部592を通して挿入することができ、その後、展開されて眼590上に適切に配置される。この配置により、メタサーフェス構築要素570は、特定の視覚及び/又は疾患治療の利益を提供するために光学特性を適合させるなどの、レンズ500の光学特性の要望通りの変更をするために、位置決めされる。図5Cは、メタサーフェス構築要素570が、図5Aのものと実質的に同じ構成で配置されることができることを示している。例えば、メタサーフェス構築要素570は、(図1Dのマトリックス154などの光学マトリックス層に結合して)十分に耐久性があり、その結果、レンズ本体504の展開時に、メタサーフェス構築要素570は、例えば、図1Aに示されるような初期配置に実質的に戻る。追加的又は代替的に、メタサーフェス構築要素570は、折り畳みプロセス及び/又はレンズ本体504を眼590に関連付けるプロセスの結果として変更することができる。このようにして、メタサーフェス構築要素570は、この修正を構成するように図5Aの実施形態で配置されて、図5Cの設置された構成において所望の光学特性を生じさせるようにすることができる。
【0177】
本開示の眼科用レンズ及びデバイスはまた、ユーザーによって眼に装着される外部コンタクトレンズのようなコンタクトレンズにおいて使用することができる。これには、例えば、可能な例として、硬質ガス透過性眼用レンズ又は強膜レンズが含まれ得る。コンタクトレンズはまた、レンズをつまむ、回転又は部分的に回転させる、又は他の物理的操作などの、ユーザーがレンズを眼に関連付けるための物理的操作の影響を受けやすい可能性がある。これに関連して、コンタクトレンズタイプの実施形態に関連するメタサーフェスアレイは、眼で使用するためにレンズ本体を物理的に操作した後に、レンズの変更された光学特性を維持するように構成することができる。例えば、アレイは、レンズの操作を考慮して配置され、操作後に適切な光学効果を生じさせるメタサーフェス構築要素又は他のメタサーフェス構造を含むことができる。
【0178】
このことを説明するために、図6A図6Cは、本開示の実施形態にかかる眼科用レンズ600の実施形態を示す。眼科用レンズ600は、眼の外部で使用されるなど、眼で使用するために操作可能である。眼科用レンズ600は、本明細書に記載の眼科用レンズに実質的に類似したものとすることができ、分かりやすくするためにここでは冗長な説明は省略するが、レンズ本体604、メタサーフェスアレイ650、及びメタサーフェス構築要素670を含む。
【0179】
図6Aを参照すると、眼科用レンズ600は、取り付け前の構成で示されている。メタサーフェス構築要素670が、眼科用レンズ600に対して所望の光学効果を生じさせるような構成で図6Aに示されている。追加的又は代替的に、メタサーフェス構築要素670は、レンズ本体604を眼と関連付けたときにメタサーフェス構築要素670が望ましい光学効果をもたらす構成で配置されるように、取り付け前にレンズ本体604上に配置することができる。
【0180】
図6Bを参照すると、眼科用レンズ600は、レンズ本体604が物理的に操作された構成で示されている。物理的操作の程度は、説明のため、図6Bに拡大して示されている。他の場合には、レンズ本体604の変形及び動きはより少なくなる。図6Bに示す眼科用レンズ600の物理的操作の状態は、ユーザーがレンズ600を眼と関連付けるために扱っている状態に対応する。
【0181】
図6Cを参照すると、眼科用レンズ600は、眼690に対して外部に設置された構成で示されている。図6Cの設置構成では、メタサーフェスアレイ650は、図6Aのメタサーフェス構築要素670の構成と実質的に同じ構成のメタサーフェス構築要素670を有するものとして示されている。この態様においては、メタサーフェス構築要素670は、図6Bに示されるレンズ本体604の物理的操作の後において、所望の態様でレンズ本体604の光学特性を変更するように作用することができる。追加的又は代替的に、メタサーフェス構築要素670は、図6Bの物理的操作及び/又はレンズ本体604を眼690に関連付けるプロセスの結果として変更することができる。このように、メタサーフェス構築要素670は、この変更を構成するように図6Aの実施形態で配置され、図6Cの設置された構成において所望の光学特性を生じさせるようにすることができる。
【0182】
別の例では、IOLなどの眼科用レンズ又はデバイスは、ハイブリッド平凸屈折レンズを含むことができる。例えば、図7A及び図7Bに示すように、ハイブリッド平凸屈折レンズ700は、凸凹形状の屈折レンズと平面部とを組み合わせることができる。平面部は、レンズとメタサーフェスアレイを関連付けるために使用することができる。ハイブリッドレンズはハロー/グレアの低減に役立つ偏光依存集束を実現することができる。
【0183】
図7Aを参照すると、ハイブリッド平凸屈折レンズ700は、レンズ本体704を有するものとして示されている。レンズ本体704は、凸部704a及び平面部704bを有するものとして示されている。凸部704aは、外側凸面712を有する屈折レンズ部分とすることができる。平面部704bは、メタ原子のためのハイブリッド平凸屈折レンズ700の取り付け面を画定するために使用することができる。図7Aの概略図に示すように、平面部704bは、平らな面708を有し得る。メタ原子のアレイは、最初に、メタ原子設計を有するレンズ700とは別に形成することができる。平らな面708を使用して、メタ原子設計を実質的に維持しながら、メタ原子をレンズ700に取り付けるか、又は他の方法で関連付けることができる。
【0184】
図7A及び図7Bの例に示すように、ハイブリッド平凸屈折レンズ700は、メタサーフェスアレイ750を含むことができる。メタサーフェスアレイ750は、レンズ700のグレア/ハロー特性を低減するように構成することができる。例えば、メタサーフェスアレイ750は、眼科用レンズで受光した光の偏光依存集束を誘導するように構成されたメタ原子770の配列を含むことができる。これを容易にするために、メタ原子770の配列は、空間的に変化するジョーンズ行列に従って、平らな面708にわたって配列され得る。図7Bの例では、第1の配向を有する第1のメタ原子770a、第2の配向を有する第2のメタ原子770b、及び第3の配向を有する第3のメタ原子770cが、説明の目的で示されている。レンズの機能に部分的に基づいて、より多くの、より少ない、又は異なる配向が使用され得ることが理解されよう。メタ原子の形状が、説明の目的で図7A及び図7Bに示されていることがさらに理解されよう。図14A-16を参照して以下に説明するような、等方性及び異方性を含む標準形状、及び/又は自由形状を使用することができる。
【0185】
偏光に依存した機能を実現するために、メタ原子770の配置を空間的に設計することができる。屈折レンズと組み合わせることにより、ハイブリッド設計は、異なる偏光の光によって寄与される複数の焦点スポットを有することができる。したがって、偏光状態の直交性により、焦点スポット間の干渉を最小限に抑えることができる。この点で、レンズ700は、第1及び第2の焦点を有する多焦点レンズとして構成することができる。メタ原子は、偏光状態の直交性に応じて、第1及び第2の焦点間の干渉を低減するように構成され得る。
【0186】
多くの材料構造が可能であるが、1つの例示的な実施形態によれば、メタ原子770の配置は、二酸化チタン材料ベースで形成することができる。二酸化チタンベースは、メタ原子設計を維持しながらレンズ700の平面部704bに転写することができる。材料ベースはまた、Si、SiO、及びGaNの1つ又は複数の材料から完全に又は部分的に形成することもできる。さらに、本明細書に記載のナノポスト又はメタ原子は、可視光スペクトルにおいて高い屈折率を有する低光損失誘電体材料から構成することができる。
【0187】
いくつかの実施形態では、メタサーフェスアレイは、所与の患者の視野を増強するように構成することができる。例えば、本明細書に記載のメタサーフェスアレイは、標準レンズと比較して視野を拡張又は拡大するように調整することができる。図8A及び図8Bは、左眼802a及び右眼802bを有する患者800を示している。図8Aは、垂直視野αを示している。一例として、垂直視野αは約150度である。図8Aはさらに、拡大された垂直視野αΔを示している。拡張された垂直視野αΔは、150度を超えるか、そうでなければ、151度、153度、160度、又はそれ以上であるなど、垂直視野αの値よりも大きい。拡大された視野αΔは、本明細書に記載のメタサーフェスアレイによってもたらされる垂直視野に対応する。例えば、患者800は、メタサーフェスアレイを含むコンタクトレンズ又は他のレンズ(例えば、眼科用レンズ100)を右眼802bと関連付けて、拡大された垂直視野αΔを体験することができるようにすることができる。
【0188】
図8Bを参照すると、左眼802aは水平視野βを有するものとして示され、右眼802bは水平視野βを有するものとして示されている。左眼802a及び右眼802bは、組み合わされた水平視野σを有するものとして示されている。一例として、水平視野β、βは約150度とすることができる。結合された水平視野σは約180度とすることができる。本明細書に記載のメタサーフェスアレイはまた、水平視野βを増強又は変更するために使用することができ、右眼802bは、水平視野βを有するものとして示されている。これに関連して、メタサーフェスアレイは、患者800が、標準的なコンタクトレンズを着用することと比較して、増強された、又はそうでなければ変更された水平視野を有するようにできる。以上を説明するために、図8Bはさらに、拡張された水平視野βaΔ、拡張された水平視野βbΔ、及び組み合わされた拡張された水平視野σΔを示している。拡張された水平視野βaΔ、βbΔは、150度より大きくすることができ、すなわち、水平視野β、βの値より大きくすることができ、例えば、151度、153度、160度、又はそれ以上とすることができる。拡張された水平視野βaΔ、βbΔは、本明細書に記載のメタサーフェスアレイによって生じる水平視野に対応し得る。例えば、患者800は、メタサーフェスアレイを有するコンタクトレンズ又は他のレンズ(例えば、眼科用レンズ100)を右眼802bと関連付けて、拡大された水平視野βaΔ、βbΔを体験することができるようにすることができる。拡張された水平視野βaΔ、βbΔは、協働して、組み合わされた拡張された水平視野σΔを画定することができる。
【0189】
メタサーフェスアレイを有する本開示の眼科用レンズは、様々な適切な技術を使用して製造することができる。眼科用レンズは、レンズに特定の光学特性を生じさせるように調整されたメタサーフェス構築要素又は他のメタサーフェス構造を有するメタサーフェスアレイを形成するために製造することができる。これは、光の周期波長以下の高さなどの寸法を有するメタサーフェス構築要素を形成することができる製造技術を含むことができる。本明細書の製造技術はまた、メタサーフェスアレイを様々な異なるレンズの状況又は実施形態に適合させ、関連付けることができる。例えば、この製造技術を使用して、手術中に眼に関連付けされるような眼内レンズを製造することができる。別の状況では、この技術は、硬質ガス透過性眼用レンズ、強膜レンズなどを含むコンタクトレンズ、眼鏡用レンズなどの実質的に外部のレンズに使用することができる。したがって、以下に記載の方法が眼科用レンズを製造するために一般的に使用されるものとして述べられる限りにおいて、本明細書で企図されているように、他の眼科用レンズを製造するためにその製造技術を使用することもできることが理解されよう。図9A図9Dは、本開示の1つ又は複数の眼科用レンズを形成するための成形プロセスを使用するための操作を示す。概括的には、メタサーフェスアレイを形成し、その後、成形プロセス中にレンズ本体の前駆体と関連付けることができる。レンズ本体の前駆体は、例えば、成形プロセスにおいてその後プレス又は成形されて仕上げのために硬化される液体レンズ材料とすることができる。これに関連して、図9A図9Dの成形プロセスは、メタサーフェスアレイを非固体基質に関連付けることを可能にすることができる。成形プロセスは、例えば、一群の標準化されたレンズ本体を製造するための標準化された型形状を用いることによって望ましいものとすることができる。メタサーフェスアレイは、標準化されたレンズ本体に所望の光学効果を生じさせるために、メタサーフェス構築要素又は他のメタサーフェス構造の所望の配置を含む型に関連付けることができる。
【0190】
図9Aは、本開示の1つ又は複数の眼科用レンズを形成する操作を示す例示的な断面図である。図9Aには、成形装置930が示されている。成形装置930は、第1の型部分932a及び第2の型部分932bを含むことができる。第1の型部分932a及び第2の型部分932bは、相互に移動するように動作可能であり、例えば、それらの間に配置された材料を広げて成形することができる。第1及び第2の型部分932a、932bはまた、特定の押出タイプのシステムを含む、成形用の材料を導入する様々なシステムと関連付けることができる。
【0191】
図9Aの実施形態では、第1の型部分932aは、本明細書に記載のいずれかのメタサーフェスアレイ及びそのバリエーションのようなメタサーフェスアレイを受け入れるように構成することができる。これに関連して、図9Aはメタサーフェスアレイ950を示している。メタサーフェスアレイ950は、レンズ本体とは別に製造することができる。例えば、メタサーフェスアレイ950は、メタサーフェスアレイ950を非固体基質に関連付けることができるマトリックス964又は他の材料に配置された、様々なメタサーフェス構築要素960を含むことができる。本明細書に記載されるように、マトリックス964は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)基質から形成することができる。マトリックス964は、メタサーフェス構築要素960を所望の向きに保持するのを助けることができる。マトリックス964はまた、図9Bに示されるように、メタサーフェス構築要素960を非固体基質に関連付けるために使用することができる。メタサーフェスアレイ950を形成するために多くの技術を使用することができるが、一実施形態では、メタサーフェスアレイ950は、ベース層をパターニングしてメタサーフェス構築要素960を形成するエッチングプロセスを使用して形成することができる。他の場合には、他の技術を使用してメタサーフェス構築要素960を形成することができ、これには、少なくとも部分的に二酸化銀又は二酸化チタンの材料からメタサーフェス構築要素960を形成する技術が含まれる。
【0192】
図9Bを参照すると、本開示の1つ又は複数の眼科用レンズを形成する別の動作の例示的な断面図が示されている。図9Bの実施形態では、液体レンズ材料944が成形装置930に導入される。特定の実施形態では、液体レンズ材料944は、押し出しプロセスを介して成形装置930に導入することができる。液体レンズ材料944は、本開示の1つ又は複数の眼科用レンズのレンズ本体の前駆体とすることができる。これに関連して、液体レンズ材料944は、レンズ本体での使用に適した任意の材料から作ることができる。例えば、液体レンズ材料944は、キュアリング(cured)、重合、又は硬化(hardened)されたときに硬質であり且つガス透過性又は酸素透過性である任意の材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料944は、モノマー材料又はポリマー材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料944はシロキサン材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料944はアクリレート材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料944は、酢酸酪酸セルロース、シロキサンアクリレート、t-ブチルスチレン、フルオロシロキサンアクリレート、パーフルオロエーテル、他のタイプのポリマー、又はそれらの組み合わせを含むことができる。これらの材料は、最終的なポリマーを形成するためのモノマー、ポリマー、及び他の材料の様々な組み合わせを含むことができる。例えば、これらの材料の一般的な成分には、HEMA、HEMA-GMAなどが含まれ得る。
【0193】
図9Bは、メタサーフェスアレイ950に接している液体レンズ材料944を示している。このようにして、メタサーフェスアレイ950は、非液体基質と関連付けることができる。液体レンズ材料944として供給される材料の量は、ターゲットレンズ本体のサイズ及び物理的特性に基づくことができ、標準化することができる。
【0194】
図9Cには、第1の型部分932a及び第2の型部分932bが相互に移動された構成で、成形装置930が示されている。特に、第2の型部分932bは、液体レンズ材料944をメタサーフェスアレイ950に対して押し付けるように構成することができる。第2の型部分932bは、液体モールド材料944をメタサーフェスアレイ950全体に広げ、図9Cに示すように、液体レンズ材料944に、第1及び第2の型部分932a、932bによって画定される形状を実質的にとらせることができる。所望の形状をとると、液体レンズ材料944は、本開示の眼科用レンズを製造するためにキュアリング(cure)又は他の方法で硬化(harden)することができる。
【0195】
これに関連して、図9Dは、図9A図9Cに示された成形装置を使用して製造された眼科用レンズ900を示す。眼科用レンズ900は、例えば、液体レンズ材料944から形成されたレンズ本体904を有する図9Dに示されたレンズ900を製造するために、任意選択的に、1つ又は複数の成形後仕上げプロセスを受けることができる。例えば、1つ又は複数の表面は、さまざまな精密工具を使用して研磨及び/又はさらに成形することができる。眼科用レンズ900はまた、当該レンズ900の1つ又は複数の表面を仕上げるために化学浴又は他の形態の処理を受けることができる。これは、マトリックスが犠牲マトリックスである場合のように、少なくともマトリックス964を眼科用レンズ900から除去させることを含むことができるが、これは必須ではない。
【0196】
図10A図10Bは、本開示の1つ又は複数の眼科用レンズを形成するための製造技術の別の実施形態を示している。特に、図10A図10Bは、本明細書に記載の様々なメタサーフェスアレイ及びその実施形態のようなメタサーフェスアレイを剥離可能なシートとして形成することを示している。剥離可能なシートは、本明細書に記載の様々な眼科用デバイスのレンズ本体の外表面にメタサーフェスアレイを接着するように構成することができる。これに関連して、メタサーフェスアレイとレンズ本体は、別個のプロセスを介するなどして別個に形成又は製造され、その後関連付けられるようにできる。例えば、標準化されたレンズ本体のバッチ又は一群を製造し、その後、必要に応じて、一群の標準化されたレンズ本体のそれぞれをレンズ本体の目標とする光学効果に合わせて調整されたメタサーフェスアレイに関連付けるなどすることによって、眼科用レンズの製造技術の適応性を高めることができる。
【0197】
図10Aには、メタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付ける操作の例示的な断面図が示されている。特に、メタサーフェスアレイ1050は、レンズ本体1004に向かって動かされていることが示されている。レンズ本体1004及びメタサーフェスアレイ1050は、わかりやすくするためにここでの冗長な説明を省略するが、本明細書に記載の様々な本体及びアレイに実質的に類似したものとすることができる。
【0198】
メタサーフェスアレイ1050は、レンズ本体1004に付着するように構成することができる。例えば、メタサーフェスアレイ1050は、その後の分離を実質的に軽減することができるように、レンズ本体1004と関連付けられる1つ又は複数の剥離可能なシートを画定することができる。このことを容易にするために、アレイ1050は、マトリックス1064に配置されたメタサーフェス構築要素1060を含むことができる。マトリックス1064は、メタサーフェス構築要素1060をレンズ本体1004の外表面に関連付けるように適合させることができる。例えば、マトリックス1064は、メタサーフェスアレイ1050がレンズ本体1004の外表面との接触を維持するようにする特定の接着特性を有することができる。追加的又は代替的に、マトリックス1064は、接着剤処理、ラミネート、又は他の層、コーティングなどを受ける表面を画定して、アレイ1050とレンズ本体1004との関連付けを容易にすることができる。
【0199】
メタサーフェスアレイ1050とレンズ本体1004は、眼科用レンズ1000を形成するために互いに関連付けることができる。眼科用レンズ1000は、メタサーフェス構造を使用してレンズの光学特性を変更する、本明細書に記載の眼科用レンズのうちの1つ又は複数とすることができる。これに関連して、図10Bは、図10Aに示されるアレイ1050と本体1004との関連付けの後の眼科用レンズ1000を示す。図9Dに関連して説明したように、眼科用レンズ1000は、アレイとレンズ本体とを関連付けた後に、1つ又は複数の処理プロセスを受けることができる。図10Bは、マトリックス1064の少なくとも一部が除去された状態を示している。他の実施形態では、レンズ1000は、研磨及び様々な化学処理を含む他の処理プロセスを受けることができる。
【0200】
図11A図11Bは、本開示の1つ又は複数の眼科用レンズを形成するための製造技術の別の実施形態を示す。特に、図11A-11Bは、レンズ本体上に又はレンズ本体と直接接触してメタサーフェスアレイを形成することを示している。例えば、レンズ本体は1つ又は複数のプロセスで製造でき、メタサーフェス構造はレンズ本体に直接パターニングできる。これに関連して、このメタサーフェス構造は、レンズ本体の製造後に形成される。
【0201】
図11Aには、レンズ本体上にメタサーフェスアレイを設置する操作の例示的な断面図が示されている。特に、図11Aは製造作業中の眼科用レンズ1100を示している。この眼科用レンズ1100は、本明細書に記載の眼科用レンズのうちの1つ又は複数とすることができ、これには1つ又は複数の眼内レンズ又は実質的に外付けであるコンタクトレンズが含まれる。
【0202】
眼科用レンズ1100は、少なくともレンズ本体1104及びメタサーフェスアレイ1150を含むことができる。メタサーフェスアレイ1150は、最初に、レンズ本体1104上にかぶせられた二酸化チタン層などの1つ又は複数のベース材料から形成することができる。メタサーフェスアレイ1150は、電磁放射又は他の入力を受け、当該アレイ1150が所望の構成でメタサーフェス構築要素を含むように層をパターニングすることができる。これに関連して、図11Aは、経路1182に沿ってエネルギーを放出するように構成された機器1180を示している。場合によっては、機器1180は、エッチング及び/又はリソグラフィー用に構成することができる。エッチングの際に、1つ又は複数のマトリックス層、バインダー、基質などをメタサーフェスアレイ1150に追加して、メタサーフェス構築要素の特徴的な向きを維持することを容易にすることができる。
【0203】
図11Bには、図11Aに示されるパターニング操作の後の眼科用レンズ1100が示されている。特に、図11Bは、機器1180によって実行されたパターニングによって生じた配列でのメタサーフェス構築要素1160を示している。眼科用レンズ1100はまた、レンズを折りたたんだ後又は他の物理的操作の後にメタサーフェス構築要素の向きを維持するなど、使用中にメタサーフェス構築要素の向きを維持するために使用することができるマトリックス材料1164を含む。
【0204】
本明細書で論じられる実施形態の様々な機能についての読者の理解を容易にするために、それぞれ、プロセス1200及び1300を示している図12及び図13のフロー図を参照する。本明細書で提示された方法の特定のステップ(及びステップの順序)が示されており、それについて述べられているが、本明細書に提示された教示と一致する他の方法(図示されたものよりも多い、少ない、又は異なるステップを含む)も想定され、本開示に含まれる。
【0205】
図12に示されるように、プロセス1200は、眼科用レンズの製造に関する。プロセス1200は、例えば、眼科用レンズ100、200、300、400、500、600、700、900、1000、及び1100、ならびにそれらの変形例及び実施形態などの、本明細書に記載の様々な眼科用レンズ及びデバイスを製造するために使用することができる。
【0206】
ステップ1204において、メタサーフェスアレイが、マトリックスにメタサーフェス構築要素を設けることによって形成される。例えば、図9Aを参照すると、メタサーフェス構築要素960は、マトリックス964に設けることができる。メタサーフェス構築要素960は、様々なメタサーフェス構造を画定するために、例えばエッチングプロセスによってパターニングすることができ、関連するレンズの光学特性を修正するように調整された特性を有する。図11Aは、ベース層をパターニングして、光の波長よりも小さい寸法を有するナノポストとしてメタサーフェス構築要素を形成するために使用される例示的な機器1180を示す。他の実施形態では、他の技術を使用して、マトリックス中にメタサーフェス構築要素を形成することができる。
【0207】
ステップ1208において、レンズ本体が、眼の形状に一致するように形作られたプロファイルを有するように形成される。例えば、図9Bに示されるように、液体レンズ材料944を成形装置930に導入することができる。第1及び第2の型部分932a、932bは、共同して、液体レンズ材料944を眼の形状に一致するように形作られたプロファイルを有するようなレンズ形状に形成することができる。例えば、図9Cは、第1及び第2の型部分932a、932bが互いに向かって移動したときに、メタサーフェスアレイ950に沿って広げられてレンズ形状にされる液体レンズ材料944を示している。
【0208】
ステップ1212において、メタサーフェスアレイは、レンズ本体と関連付けられ、それにより、本明細書に記載されるような折り畳み可能な眼科用レンズなどの眼科用レンズを形成することができる。例えば、図9A図9Cに示されるように、メタサーフェスアレイ950は、液体レンズ材料944などの非固体基質と関連付けることができる。液体レンズ材料944は、レンズ本体904の前駆体であるか、又はその一部を形成することができる。したがって、液体レンズ材料944は、その後、キュアリング(cure)又は他の方法で硬化されてレンズ本体904を形成することができ、そのようにしてレンズ本体904とメタサーフェスアレイ950との関連付けを容易にすることができる。別の例として、図10A図10Bに示されるように、メタサーフェスアレイ1050は、レンズ本体1004に関連付けられる剥離可能なシートとすることができる。例えば、メタサーフェスアレイ1050は、特定の接着特性を有するか、又は特定の接着特性に関連付けることができ、それによりレンズ1000の使用中のアレイ1050と本体1004との分離を低減する態様で、レンズ本体1004と関連付けることができる。別の例では、図11A図11Bに示されるように、メタサーフェスアレイ1150は、レンズ本体1104上に直接形成することができる。その結果得られたレンズは、手術中に切開部を通して眼の領域に導入するために、折り畳むことや巻くことが可能であるなどのように折り畳み可能とされる。特定の場合において、メタサーフェスアレイは、眼に装着された状態において、折り畳み可能な眼科用レンズの低収差特性、低グレア特性、又は増強されたコントラスト特性のうちの少なくとも1つをもたらすように構成される。
【0209】
図13には、標準化された眼科用レンズの製造に関するプロセス1300が示されている。プロセス1300は、例えば、眼科用レンズ100、200、300、400、500、600、700、900、1000、及び1100、ならびにそれらの変形及び実施形態などの、本明細書に記載の様々な眼科用レンズ及びデバイスを製造するために使用することができる。
【0210】
ステップ1304において、一群の標準化されたレンズ本体が提供される。例えば、図9A図9Cに示されるように、一群の標準化されたレンズ本体は、成形装置を使用して製造することができる。第1及び第2の型部分932a、932bを使用して、液体レンズ材料944からレンズ本体904を形成することができる。したがって、レンズ本体904は、一群の標準化レンズ本体の1つとすることができる。他の場合には、レンズ本体は他の技術を使用して製造することができる。
【0211】
ステップ1308において、第1のメタサーフェスアレイを一群の標準化されたレンズ本体の第1のレンズ本体と関連付けることによって、第1の眼科用レンズが製造される。例えば、図9A図9Cに示されるように、レンズ本体904及びメタサーフェスアレイ950は、第1の眼科用レンズの構築要素とすることができる。アレイ950は、レンズ本体に第1の光学効果を生じさせるために使用される第1の構成を有するメタサーフェス構築要素を含むことができる。
【0212】
ステップ1312において、第2のメタサーフェスアレイを一群の標準化された本体の第2のレンズ本体と関連付けることによって、第2の眼科用レンズが製造される。例えば、図9A図9Cに示されるように、レンズ本体904及びメタサーフェスアレイ950は、第2の眼科用レンズの構築要素とすることができる。このようにして、この操作におけるアレイ950は、レンズ本体に第2の光学効果を生じさせるために使用される第2の構成を有するメタサーフェス構築要素を含むことができる。
【0213】
図14A-14Dは、メタ原子の標準形状のサンプルを示す。図14A-14Dに示されたメタ原子は、本明細書に記載されたメタサーフェスアレイの実質的にいずれとも使用することができ、又はいずれを形成することもできる。図16の方法に関して以下にさらに説明するように、図14A-14Dの標準形状は、レンズのグレア/ハロー特性を低減するためなど、レンズの機能に部分的に基づいて決定されるように、順設計法を使用して形成することができる。標準形状は、等方性及び異方性の形状を含むことができる。
【0214】
図14Aを参照すると、本体1402aと輪郭1406aとを有する標準形状1400aが示されている。輪郭1406aは、標準形状1400aを実質的に円形として画定することができる。図14Bを参照すると、本体1402b及び輪郭1406bを有する標準形状1400bが示されている。輪郭1406bは、標準形状1400bを実質的に正方形の形状として画定することができる。図14Cを参照すると、本体1402c及び輪郭1406cを有する標準形状1400cが示されている。輪郭1406cは、標準形状1400cを実質的に長方形の形状として画定することができる。図14Dを参照すると、標準形状1400dが、第1の輪郭1406dを有する第1の本体1402dと、第2の輪郭1416dを有する第2の本体1412dとを有するものとして示されている。輪郭1406d、1416dは、標準形状1400dを、大きさの異なる2つの実質的に矩形の形状を有するものとして画定することができる。
【0215】
図15A-15Dは、メタ原子の自由形状のサンプルを示す。図15A-15Dに示すメタ原子は、本明細書で説明するメタサーフェスアレイの実質的にいずれにでも使用することができる。図16の方法に関して以下にさらに説明するように、図15A-15Dの自由形状は、レンズのグレア/ハロー特性を低減するためなど、レンズの機能に部分的に基づいて決定される逆設計法を用いて形成することができる。
【0216】
図15Aを参照すると、本体1502aと輪郭1506aとを有する自由形状1500aが示されている。輪郭1506aは、自由形状1500aの不規則な又は任意の曲率1508aを画定することができる。図15Bを参照すると、本体1502bと輪郭1506bとを有する自由形状1500bが示されている。輪郭1506bは、自由形状1500bの不規則な又は任意の曲率1508bを画定することができる。図15Cを参照すると、本体1502cと輪郭1506cとを有する自由形状1500cが示されている。輪郭1506cは、自由形状1500cの不規則な又は任意の曲率1508cを画定することができる。図15Dを参照すると、本体1502dと輪郭1506dとを有する自由形状1500dが示されている。輪郭1506dは、自由形状1500dの不規則な又は任意の曲率1508dを画定することができる。
【0217】
図14A-15Dの標準形状及び自由形状は、メタサーフェスアレイを設計及び形成するために使用することができる。図16を参照すると、プロセス1600は、概して、レンズのハロー/グレア特性を低減するように構成されたメタサーフェスアレイなどの、メタサーフェスアレイを有する眼科用レンズの設計及び製造に関する。プロセス1600は、例えば、眼科用レンズ100、200、300、400、500、600、700、900、1000、及び1100、ならびにそれらの変形例及び実施形態など、本明細書に記載される様々な眼科用レンズ及びデバイスを製造するために使用することができる。
【0218】
ステップ1604において、メタサーフェスアレイの機能を決定することができる。例えば、及び図7A及び図7Bを参照すると、レンズ700は、レンズ700のハロー/グレア特性を低減する機能を有するように設計され得る。追加的に又は代替的に、レンズの集束挙動、光の遮断特性、眼の異常に対する調節等を決定することを含む、他の機能をレンズに基づいて決定することができる。また、メタサーフェスアレイの機能は、図3A-3Cの例に示すように、レンズ本体の大きさの違いにもかかわらず、それぞれのメタサーフェスアレイが各レンズの標準焦点位置を画定するように働くような、レンズ本体の幾何学的形状を考慮又は補正することに部分的に基づくこともできる。
【0219】
ステップ1608において、メタ原子の幾何学的形状を決定することができる。たとえば、図14A図15Dを参照して、メタ原子のそれぞれの標準形状及び/又は自由形状の1つ又は複数の形状が、メタサーフェスアレイの決定された機能に部分的に基づいて、メタサーフェスアレイに含めるために特定され得る。標準形状に関して、ステップ1612aにおいて、メタ原子の標準形状は、順設計法を使用して形成され得る。例えば、及び図14A-14Dを参照すると、1つ又は複数の標準形状1400a-1400d、又は他の標準形状が、順設計法を使用して形成され得る。形成された標準形状は、レンズのグレア/ハローの低減特性を含む、眼科用レンズの決定された機能をサポートするように構成され得る。例えば、レンズの決定された機能に部分的に基づいて、標準形状は、円柱及び/又は角柱などの等方性ナノ構造を含むことができる。追加的に又は代替的に、標準形状は、矩形ナノフィンなどの異方性ナノ構造を含むことができる。追加的に又は代替的に、光の状態を修正又は変更するように構成されたナノフィン回転角を画定することを含む、他の構成が本明細書において企図される。サイズの異なる2つのナノフィンを含むダブルフィンメタ原子など、標準構成要素を組み合わせることによって、より複雑な形状を形成することもできる。
【0220】
自由形状に関して、ステップ1612bにおいて、メタ原子の自由形状は、逆設計法を使用して形成され得る。例えば、図15A図15Dを参照すると、自由形状1500a-1500dの1つ又は複数の自由形状、又は他の自由形状が、逆設計法を使用して形成され得る。形成された自由形状は、レンズのグレア/ハローの低減特性を含む、眼科用レンズの決定された機能をサポートするように構成され得る。例えば、レンズの決定された機能に部分的に基づいて、自由形状は、標準形状によって実質的に制約されない、任意の形状又は不規則な形状を有することができる。いくつかの例では、2回の対称性又は4回の対称性を自由形状によって画定することができる。
【0221】
ステップ1616では、メタ原子ライブラリを形成することができる。例えば、ステップ1612a又は1612bに関連して決定された幾何学的形状を含むメタ原子を有するメタ原子ライブラリが形成され得る。メタ原子ライブラリ内のメタ原子は、例えばステップ1604で決定されたような、メタサーフェスアレイの決定された機能に部分的に基づくメタ原子設計又は配置を有し得る。
【0222】
ステップ1620において、メタ原子設計を最適化することができる。例えば、メタ原子設計は、少なくとも1つの制約を含む機能に関して分析され得る。制約は、材料の選択、光学特性、レンズの形状、レンズの目的などの様々な要因を含むことができる。メタ原子設計の最適化後、ステップ1624でメタ原子設計を検証することができる。いくつかの例では、シミュレーションツールを使用して、メタサーフェスアレイの決定された機能に対する最適化されたメタ原子設計の検証メトリックを決定することができる。例えば、検証メトリックは、意図した用途でのメタサーフェスアレイの潜在的な性能を示すものとすることができる。いくつかの例では、検証メトリックを閾値と比較することができる。閾値は、最終的な眼科用レンズにおける製造のためのメタサーフェスアレイの性能の許容レベルに対応し得る。検証メトリックが閾値より小さい場合、メタ原子設計をさらに最適化するためにステップ1620を繰り返すことができる。
【0223】
ステップ1628では、メタサーフェスアレイを形成することができる。メタサーフェスアレイは、上述のメタ原子などのマトリックス内にメタサーフェス構築要素を設置することによって形成することができる。たとえば、図9Aを参照すると、メタサーフェス構築要素960は、マトリックス964内に設置することができる。他の実施形態では、他の技術を使用して、図10A-11Bに関して本明細書で説明するような、マトリックス内のメタサーフェス構築要素を形成することができる。
【0224】
ステップ1632では、レンズ本体を形成することができる。いくつかの例では、レンズ本体は、眼の形状に一致する形状のプロファイルを有するように形成され得る。図9A-9Dの非限定的な例を続けると、図9Bを参照して、液体レンズ材料944を成形装置930に導入することができる。第1及び第2の型部分932a、932bは協働して、液体レンズ材料944を、眼の幾何学的形状に一致する外形を有するようなレンズ形状に成形することができる。例えば、図9Cは、第1及び第2の型部分932a、932bが互いに向かって移動するときに、液体レンズ材料944がメタサーフェスアレイ950に沿って分配されて、レンズ形状になることを示している。
【0225】
ステップ1636では、メタサーフェスアレイをレンズ本体に関連付けることができ、それによって眼科用レンズを形成することができる。図9A図9Dの非限定的な例を続けると、図9A図9Cを参照して、メタサーフェスアレイ950は、液体レンズ材料944などの非固体基質と関連付けることができる。液体レンズ材料944は、レンズ本体904の前駆体形態の一部であるか、又はそれを形成することができる。このように、液体レンズ材料944は、続いてキュア又は他の方法で硬化させてレンズ本体904を形成し、レンズ本体904とメタサーフェスアレイ950との関連付け(結合)を容易にすることができる。他の例では、メタサーフェスアレイ950は、図7A及び図7Bに示すような平凸ハイブリッドレンズの平面部に付けることができる。
【0226】
他の例及び実装は、開示した添付の特許請求の範囲及び精神の範囲内にある。例えば、機能を奏する構造は様々な位置に物理的に配置され、これには機能の一部が異なる物理的位置になるように分散されるようにすることが含まれる。また、特許請求の範囲を含めて本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」で始まる項目のリストで使用される「又は」は、例えば、「A、B、又はCの少なくとも1つ」のリストは、A、又はB、又はC、又はAB、又はAC、又はBC、又はABC(つまり、A及びB及びC)を意味する。さらに、「例示的」という用語は、説明された例が他の例よりも好ましい又は優れていることを意味するものではない。
【0227】
例示を目的とする上記記載は、説明した実施形態の完全な理解を与えるために特定の名称を使用している。しかしながら、その特定の詳細は、説明した実施形態を実施するために要求されないことが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載の特定の実施形態の上記記載は、説明及び記載の目的で提示されている。それらは、説明された正確な形式に対して実施形態が網羅的であることや実施形態に限定されることを目的としていない。上述の教示を考慮して多くの変更及び変形が可能であることは当業者には明らかであろう。

図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
【国際調査報告】