(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】車両用の電気駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20240725BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16H57/04 G
F16H57/04 J
H02K9/19 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505443
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2021071445
(87)【国際公開番号】W WO2023006219
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】テオドア ガスマン
(72)【発明者】
【氏名】イアン ストーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フォールシャム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ビーバイ
【テーマコード(参考)】
3J063
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB01
3J063AC01
3J063BA11
3J063BA15
3J063CA01
3J063CD41
3J063XD03
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3J063XH42
5H609BB16
5H609BB18
5H609PP09
5H609PP17
5H609QQ05
5H609QQ09
5H609QQ20
5H609RR01
5H609RR48
5H609RR67
5H609SS22
(57)【要約】
ハウジングと、電気機械と、トランスミッションと、流体を循環させて電気機械およびトランスミッションを冷却および潤滑するための液圧回路とを有する、車両用の電気駆動装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の電気駆動装置であって、
ハウジング(1)と、
前記ハウジング(1)に接続されて固定子端部巻線(31)を含む固定子(9)、および前記ハウジング(1)内に回転可能に支持された回転子シャフト(11)を備えた回転子(10)を含む、電気機械(2)と、
前記回転子シャフト(11)からの回転運動を伝達して前記車両のドライブラインを駆動するトランスミッション(3)と、
流体を循環させて前記電気機械(2)および前記トランスミッション(3)を冷却および潤滑するための液圧回路(7)と
を備え、
前記液圧回路(7)が、
前記ハウジング(1)の下部に形成されたオイルサンプ(4)と、
前記オイルサンプ(4)の上方に配置されており、オイルを一時的に貯留して前記トランスミッション(3)の回転部品に供給するように構成されている、リザーバ(5)と、
吸引側で前記オイルサンプ(4)に液圧的に接続され、さらに第1の圧力側(22)で前記リザーバ(5)に液圧的に接続され、第2の圧力側(26)で前記電気機械(2)の冷却ノズル(33)に液圧的に接続された、双方向ポンプ(24)と
を備え、
前記双方向ポンプ(24)が第1の回転方向に作動されると、流体が前記リザーバ(5)に供給され、前記双方向ポンプ(24)が第2の回転方向に作動されると、流体が前記固定子端部巻線(31)を冷却するために前記冷却ノズル(33)に供給される、
電気駆動装置。
【請求項2】
前記双方向ポンプ(24)はさらに、前記リザーバ(5)を介して、駆動シャフトの内径部(18)および/または前記トランスミッション(3)に液圧的に接続され、前記双方向ポンプ(24)が前記第1の回転方向に作動されると、流体がさらに前記駆動シャフト(11)の内径部(18)および/または前記トランスミッション(3)に供給される、請求項1記載の電気駆動装置。
【請求項3】
前記双方向ポンプ(24)は、前記第1の圧力側および/または前記第2の圧力側で熱交換器(35)に液圧的に接続されている、請求項1または2記載の電気駆動装置。
【請求項4】
前記液圧回路(7)は、前記第1の圧力側および前記第2の圧力側で前記双方向ポンプ(24)に液圧的に接続されたモード制御弁(12)と、前記モード制御弁(12)を前記冷却ノズル(33)に接続する液圧固定子経路(14)と、前記モード制御弁(12)を前記リザーバ(5)に接続する液圧伝達経路(15)とを備える、
請求項1から3までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【請求項5】
前記モード制御弁(12)は、前記第1の圧力側(22)で前記双方向ポンプ(24)に液圧的に接続された圧力ライン(30)を介して液圧的に作動される、請求項4記載の電気駆動装置。
【請求項6】
前記双方向ポンプ(24)が前記第1の回転方向に作動されると、前記第1の圧力側が、前記回転子(10)の能動的な冷却および前記トランスミッション(3)の能動的な潤滑のための流体を供給する第1の圧力レベルまで加圧され、トランスミッションサンプ(6)内の液面が、前記リザーバ(5)に流体を供給することによって低減される、請求項1から5までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【請求項7】
前記双方向ポンプ(24)が前記第2の回転方向に作動されると、前記第2の圧力側は、前記冷却ノズル(33)に流体を供給する前記第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで加圧され、一方、トランスミッションサンプ(6)内の液面は上昇する、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【請求項8】
前記リザーバ(5)は、前記ハウジング(1)の内部に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【請求項9】
前記リザーバ(5)は、前記駆動シャフト(11)の内径部(18)および/または前記トランスミッション(3)に流体を供給するための出口(8)を備える、請求項8記載の電気駆動装置。
【請求項10】
前記リザーバ(5)は、前記ハウジング(1)の外部に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【請求項11】
前記外部リザーバ(5)は、前記駆動シャフト(11)の内径部(18)および/または前記トランスミッション(3)に流体を供給するために、導管(17)を介して前記トランスミッション(3)に液圧的に接続される、請求項10記載の電気駆動装置。
【請求項12】
前記リザーバ(5)は、前記オイルサンプ(4)に液圧的に接続されており、前記双方向ポンプ(24)が第2の回転方向に作動されると、流体が、前記リザーバ(5)から前記オイルサンプ(4)に戻るように流れる、請求項1から11までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【請求項13】
前記双方向ポンプ(24)の吸引側は、前記流体を冷却するための冷却装置(19)に接続される、請求項1から12までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【請求項14】
前記冷却装置(19)は、
内部を通して水性冷却剤が流されるケーシング冷却構造(43)を形成する、前記ハウジング(1)の内側ケーシング部分(41)および外側ケーシング部分(42)と、
前記外側ケーシング部分(42)の径方向外側に、かつ少なくとも部分的に前記回転子(10)の回転軸線(A)の下方に配置され、これにより、内部を通って流体が前記オイルサンプ(4)へ向かって流れることのできるシールド冷却構造(44)を形成する、ハウジングシールド(40)と
を備え、
前記冷却剤を含む前記ケーシング冷却構造(43)は、流体のための前記シールド冷却構造(44)から液圧的に分離されており、これにより、前記冷却剤と前記流体との間の熱交換が提供される、
請求項1から13までのいずれか1項記載の電気駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、電気機械と、トランスミッションと、流体を循環させて電気機械およびトランスミッションを冷却および潤滑するための液圧回路とを有する車両用の電気駆動装置に関する。
【0002】
米国特許出願公開第2019/0229582号明細書から、ケーシング内に貯留されたオイルを第1のオイルポンプで汲み上げて動力伝達機構に供給して動力伝達機構を潤滑する第1のオイルポンプを含む潤滑経路と、潤滑経路から分離されて回転電気機械に設けられた冷却経路であって、ケーシング内に貯留されたオイルを第2のオイルポンプで汲み上げて回転電気機械のみに供給して回転電気機械を冷却する第2のオイルポンプを含む冷却経路とを備え、第2のオイルポンプは電動オイルポンプであり、回転電気機械に供給されるオイルを冷却するオイルクーラが冷却経路に設けられている、車両用駆動デバイスが公知である。
【0003】
国際公開第2020/069744号から、ハウジング装置と、電気機械と、遊星ユニットと、動力伝達ユニットとを有する、自動車を駆動するための電気駆動装置が公知である。ハウジング装置は、モータ側の第1のハウジング部分と、トランスミッション側の第2のハウジング部分と、モータ空間とトランスミッション空間とを相互に分離する中間ハウジング部分とを有する。中間ハウジング部材は、第1のハウジング部材の外側ケーシング部分内に軸線方向に延在するモータ側ケーシング部分と、第2のハウジング部材内に軸線方向に延在するトランスミッション側ケーシング部分とを有する。モータ側ケーシング部分の外面と第1のハウジング部分の内面との間には、冷却剤を流通させるための密閉空間が形成されている。
【0004】
国際公開第2015/058788号には、第1のギヤおよび第2のギヤを有し、第1のギヤおよび第2のギヤが相互に駆動可能に接続されている、自動車用の駆動アセンブリと、駆動アセンブリの静的な組み込み状態において潤滑剤レベルを規定する潤滑剤充填物とが開示されている。第1のリザーバは、第1のギヤの回転の結果として潤滑剤で充填されうる潤滑剤レベルの上方に配置されている。第2のリザーバは、第2のギヤの回転の結果として潤滑剤で充填されうる潤滑剤レベルの上方に配置されている。第1のリザーバは第1の軸受領域を潤滑するように機能し、第2のリザーバは駆動アセンブリの第2の軸受領域を潤滑するように機能する。
【0005】
米国特許出願公開第2018/241288号明細書には、ポンプによって回転電気機械の固定子および回転子に冷却媒体を供給することにより、固定子および回転子を冷却する回転電気機械の冷却構造であって、ポンプから固定子に冷却媒体を供給する第1の通路と、ポンプから回転子に冷却媒体を供給する第2の通路と、第1の通路の冷却媒体の流れおよび第2の通路の冷却媒体の流れを調整する弁とを備え、固定子の冷却状態および回転子の冷却状態は、弁によって制御される、回転電気機械の冷却構造が開示されている。
【0006】
米国特許第10272767号明細書には、電気ドライブトレインシステムが開示されており、当該電気ドライブトレインシステムは、電気車両の電気ドライブトレインを備え、当該電気ドライブトレインは、インバータ構成要素と、ギヤボックス構成要素と、モータ構成要素とを備える。第1の冷却システムは、エチレングリコールおよび水性冷却剤(EGW)を使用する。第1の冷却システムは、インバータ構成要素、ギヤボックス構成要素のハウジングおよびモータ構成要素のハウジングから熱を除去するために、インバータ構成要素、ギヤボックス構成要素のハウジングおよびモータ構成要素のハウジングのうちの少なくとも1つを通して冷却剤を分配するためのEGW冷却剤ループを備える。第2の冷却システムは、油性冷却剤を使用している。第2の冷却システムは、少なくともギヤボックス構成要素の内部構成要素から、かつ少なくともモータ構成要素の内部構成要素から熱を除去するために、ギヤボックス構成要素の内部構成要素およびモータ構成要素の内部構成要素のうちの少なくとも1つを通して油性冷却剤を分配するための油性冷却剤ループを備える。オイル冷却剤ポンプは、オイル冷却剤ループを通る油性冷却剤の流れを制御し、熱交換器は、オイル冷却剤ループからEGW冷却剤ループへ、電気ドライブトレインから離れて、ラジエータを有する車両冷却システムへ熱を伝達する。
【0007】
欧州特許出願公開第3517335号明細書には、電力制御ユニットと、駆動モータと、第1の熱交換器内で冷却された第1の冷却液を電力制御ユニットおよび第2の熱交換器にこの順序で流して第1の熱交換器に戻す第1のポンプが取り付けられた第1の冷却チャネルと、第2の熱交換器内で第1の冷却液によって冷却された第2の冷却液を駆動モータに流して第2の熱交換器に戻す第2のポンプが取り付けられた第2の冷却チャネルとを含む、電気車両が開示されている。第2のポンプは、電力制御ユニットの温度および第1の冷却液の温度の一方または双方に基づいて、第2の冷却液の循環を開始もしくは停止し、または第2の冷却液の循環量を増大もしくは減少させる。
【0008】
車両用の電気駆動装置の電気機械およびトランスミッションは、動作条件に応じて異なる冷却要件および潤滑要件を有する。電気機械の性能は、動作中、熱的に制限されている。電動モータの銅、鉄および磁石において固有の損失が発生する可能性があり、材料特性によってそれぞれの構成要素および構造の温度が制限される。十分なトルク性能を達成するためには、効果的な冷却が必要である。トランスミッションの受動的なスプラッシュ潤滑は、高速動作の下でチャーニング損失をもたらす。電気機械およびトランスミッションの双方に対する冷却と潤滑との組み合わせは、効率に関して妥協したものとなっている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、電気機械およびトランスミッションの効率的な冷却および潤滑のために流体を循環させるための液圧回路を有する車両用の電気駆動装置を提案することである。
【0010】
この目的は、車両用の電気駆動装置であって、電気駆動装置は、
ハウジングと、
ハウジングに接続されて固定子端部巻線を含む固定子、およびハウジング内に回転可能に支持された回転子シャフトを備えた回転子を含む、電気機械と、
回転子シャフトからの回転運動を伝達して車両のドライブラインを駆動するトランスミッションと、
流体を循環させて電気機械およびトランスミッションを冷却および潤滑するための液圧回路と
を備え、
液圧回路が、
ハウジングの下部に形成されたオイルサンプと、
オイルサンプの上方に配置されており、オイルを一時的に貯留してトランスミッションの回転部品に供給するように構成されている、リザーバと、
吸引側でオイルサンプに液圧的に接続され、さらに第1の圧力側でリザーバに液圧的に接続され、第2の圧力側で電気機械の冷却ノズルに液圧的に接続された、双方向ポンプと
を備える、電気駆動装置によって解決される。
【0011】
双方向ポンプが第1の回転方向に作動されると、流体がリザーバに供給され、双方向ポンプが第2の回転方向に作動されると、流体が固定子端部巻線を冷却するために冷却ノズルに供給される。
【0012】
電気駆動装置の利点は、第1の回転方向と第2の回転方向との間で切り替えることによって、実際の冷却および潤滑要件に応じて、電気機械およびトランスミッションの冷却および潤滑を最適化するように液圧回路の双方向ポンプを動作させることができることである。第1の回転方向は、有利には、車両の高速動作、したがって回転子およびトランスミッション部品の高い回転速度に適用することができる。高速動作では、電気機械のトルク要求が低いため、冷却ノズルを介した巻線ヘッドの噴霧冷却は不要である。その代わりに、高速で回転するトランスミッション構成要素の潤滑は、リザーバに供給される流体によって有利に達成することができる。例えば、トランスミッションのファイナルドライブは依然として受動的にスプラッシュ潤滑されうる。オイルサンプ内のオイルレベルが低減されることにより、チャーニング損失が有利に低減される。
【0013】
第2の回転方向は、有利には、車両の低速動作に適用することができ、したがって、高速モードと比較して、回転子およびトランスミッション部品の低い回転速度に適用することができる。低速動作では高いトルク要求が一般的であり、高電流により銅損失が発生するため、冷却ノズルに供給される流体により固定子端部巻線が有利に冷却され、したがって損失が低減可能となる。巻線ヘッドの高圧噴霧冷却は、双方向ポンプが第2の回転方向に作動されるときに可能であり、一方、低速モードでのトランスミッションの潤滑は能動的な流体供給を必要としない。トランスミッションの受動的スプラッシュ潤滑は、低回転速度に起因してチャーニング損失がより低いため、低速条件下で有効である。
【0014】
液圧回路内を循環する流体は、例えばオイルのような冷却および潤滑流体である。オイルサンプは、重力によって電気機械およびトランスミッションから滴下する流体を収集するように配置され、この流体は、オイルサンプという表現にもかかわらず、油性の冷却および潤滑流体に限定されない。
【0015】
一実施形態によれば、双方向ポンプは、リザーバを介して駆動シャフトの内径部および/またはトランスミッションに液圧的に接続され、双方向ポンプが第1の回転方向に作動されると、流体が駆動シャフトの内径部および/またはトランスミッションに供給される。トランスミッションの能動的な潤滑は、高速条件下で高圧流体供給を必要とせず、電気機械には、有利には、駆動シャフトを介して、例えば、内径部を回転子と接続する駆動シャフトの径方向ボアを介して、低圧冷却剤流体を供給することができる。回転子は冷却され、流体はさらに固定子に向かって遠心分離され、したがって固定子端部巻線も冷却される。
【0016】
さらなる実施形態によれば、双方向ポンプは、流体を冷却するために、第1の圧力側および/または第2の圧力側で熱交換器に液圧的に接続されている。熱交換器は、例えば、流体/水の熱交換器である。第1の圧力側および第2の圧力側は液圧的に分離されていてよく、それぞれ熱交換器に接続されている。なお、2つの熱交換器は、1つの一体部品として配置されてもよい。
【0017】
代替的に、第1の圧力側および第2の圧力側は、単一の熱交換器の上流の圧力側接合点において液圧的に接続することもできる。第1の圧力側と第2の圧力側との間の流体の逆流は、双方向ポンプと圧力側接合点との間に配置された逆止弁によって回避される。さらなる実施形態によれば、液圧回路は、第1の圧力側および第2の圧力側で双方向ポンプに液圧的に接続されたモード制御弁と、モード制御弁を冷却ノズルに接続する液圧固定子経路と、モード制御弁をリザーバに接続する液圧伝達経路とを備える。したがって、双方向ポンプは、第1の圧力側でモード制御弁を介してリザーバに液圧的に接続され、第2の圧力側でモード制御弁を介して冷却ノズルに液圧的に接続される。
【0018】
さらなる実施形態によれば、モード制御弁は、第1の圧力側で双方向ポンプに液圧的に接続された圧力ラインを介して液圧的に作動させることのできる3ポート2位置弁である。双方向ポンプが第1の回転方向に作動されると、第1の圧力側が第1の圧力レベルまで加圧され、これにより、双方向ポンプが第1の圧力側でリザーバに液圧的に接続されるようにモード制御弁が作動される。液圧ライン分岐の下流には圧力制御弁が配置されており、この圧力制御弁は、第1の圧力側からモード制御弁への流体の流れを開放して可能にする前に、形成された圧力によってモード制御弁が作動されるようにする。双方向ポンプが第2の回転方向に作動されると、第2の圧力側が第2の圧力レベルまで加圧され、以前の第1の圧力側が双方向ポンプの吸引側となる。圧力ライン内の圧力が低下し、弁はその非作動位置に戻るが、これは、付勢ばねによって、双方向ポンプが第2の圧力側で冷却ノズルに液圧的に接続されるように達成することができる。
【0019】
双方向ポンプが第1の回転方向に作動されると、第1の圧力側が第1の圧力レベルまで加圧されて、回転子の能動的な冷却およびトランスミッションの能動的な潤滑のための流体を供給し、オイルサンプ内の液面は、有利には、流体をリザーバに供給することによって低減される。双方向ポンプが第2の回転方向に作動されると、第2の圧力側が冷却ノズルに流体を供給する第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで加圧され、一方、オイルサンプ内の液面は上昇する。さらなる実施形態によれば、リザーバはオイルサンプに液圧的に接続され、双方向ポンプが第2の回転方向に作動されるが、流体は、リザーバからオイルサンプに戻るように流れる。
【0020】
さらなる実施形態によれば、リザーバは、ハウジングの内部に配置される。代替的な実施形態によれば、リザーバは、ハウジングの外部に配置される。リザーバは、少なくとも部分的に回転子シャフトの径方向上方に配置することができる。
【0021】
さらなる実施形態によれば、電気駆動装置は、双方向ポンプの吸引側に液圧的に接続された、流体を冷却するための冷却装置を備えることができる。双方向ポンプのそのつど非アクティブな第1の圧力側または第2の圧力側が吸引側となるため、第1の圧力側および第2の圧力側は、冷却装置に接続されうる双方向ポンプの上流の吸引側接合点において接続される。そのつどアクティブな第1の圧力側または第2の圧力側から吸引側への逆流を防止するために、逆止弁が双方向ポンプと接合点との間に配置されている。
冷却装置は、
-内部を通して水性冷却剤が流されるケーシング冷却構造を形成する、ハウジングの内側ケーシング部分および外側ケーシング部分と、
-外側ケーシング部分の径方向外側に、かつ少なくとも部分的に回転子の回転軸線の下方に配置され、これにより、内部を通って流体がオイルサンプへ向かって流れることのできるシールド冷却構造を形成する、ハウジングシールドと
を備える。
【0022】
冷却剤を含むケーシング冷却構造は、流体のためのシールド冷却構造から液圧的に分離されており、これにより、冷却剤と流体との間の熱交換が提供される。
【0023】
ケーシング冷却構造の径方向外側に配置され、ケーシング冷却構造を少なくとも部分的に包囲するシールド冷却構造は、有利には、ケーシング冷却構造を通って流れる水性冷却剤とシールド冷却構造を通って流れる流体との間の熱交換を可能にする。このようにして、流体を冷却するための追加の吸引側熱交換器が設けられ、流体のより効果的な冷却をもたらす。回転子の回転軸線の下方に配置されたシールド冷却構造は、回転子および巻線ヘッドを冷却するために使用される流体を収集することを可能にする。以下の表現は、電気駆動装置が動作可能な設置状態にあるときの重力の方向を参照して理解されるべきである。したがって、ハウジングシールドは、外側ケーシング部分とオイルサンプとの間に径方向に配置することができる。ハウジングシールドは、例えば、回転子の回転軸線の周方向で少なくとも45°のセクタを覆う。
【0024】
冷却装置の熱交換をさらに向上させるために、シールド冷却構造は、軸線方向にほぼ平行に延在するチャネルを備えることができる。チャネルは、有利には、より大きな表面を提供し、したがって、流体からシールド冷却構造への改善された熱伝達を提供する。さらに、チャネルは、双方の軸線流方向を使用することを可能にする。一般に、シールド冷却構造は、重力による流体の流れを提供するために下向きの傾斜を有することができ、流体は、例えば、シールド冷却構造から出口通路に向かってオイルサンプ内に流れる。各チャネルは、同様に下向きの傾斜を有してもよい。シールド冷却構造は、外側冷却ケーシングおよび/またはハウジングシールドに接続されたフィンをさらに備えることができる。フィンはまた、より大きな表面を提供し、したがって、流体からシールド冷却構造への改善された熱伝達を提供する。
【0025】
車両用の電気駆動装置の例示的な実施形態およびさらなる利点を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】電気駆動装置の例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】
図1の実施形態を示し、第1の回転方向における双方向ポンプの動作を示す図である。
【
図3】
図1の実施形態を示し、第2の回転方向における双方向ポンプの動作を示す図である。
【
図4】電気駆動装置のさらなる例示的な実施形態の概略図である。
【
図5】電気駆動装置のさらなる例示的な実施形態の概略図である。
【0027】
図1には、車両用の電気駆動装置が示されており、ハウジング1、電気機械2、トランスミッション3、オイルサンプ4およびリザーバ5が、電気機械2の回転子10の回転軸線Aに沿った長手方向断面の概略図として示されている。電気機械2は、ハウジング1に接続されて固定子端部巻線31を含む固定子9と、固定子9に対して回転可能な回転子10とを有する。回転子10には駆動シャフト11が接続されており、この駆動シャフト11はハウジング1内で回転軸線Aを中心として回転可能に支持されている。トランスミッション3は、駆動シャフト11からの回転運動を伝達して、図示されていない車両のドライブラインを駆動するように適応化されている。トランスミッション3は、例えば、図示されていない減速ギヤ、ディファレンシャルドライブ、およびカップリングを備えることができる。流体を循環させて電気機械2およびトランスミッション3を冷却および潤滑するための液圧回路7が、部分的に概略的に示されている。液圧回路7は、ハウジング1の下部に形成されたオイルサンプ4と、オイルサンプ4の上方に配置されたリザーバ5であって、流体を一時的に貯留してトランスミッション3の回転部品に供給するように構成されたリザーバ5と、流体供給ライン20を介して吸引側でオイルサンプ4に液圧的に接続された双方向ポンプ24とを備える。双方向ポンプ24はさらに、第1の圧力側22でリザーバ5に、第2の圧力側26で電気機械2の冷却ノズル33に液圧的に接続される。双方向ポンプ24が第1の回転方向に作動されると、流体がリザーバ5に供給され、双方向ポンプ24が第2の回転方向に作動されると、流体が固定子端部巻線31を冷却するために冷却ノズル33に供給される。双方向ポンプ24はさらに、リザーバ5を介して、駆動シャフト11の内径部18およびトランスミッション3に液圧的に接続される。双方向ポンプ24が第1の回転方向に作動されると、流体がさらに、駆動シャフト11の内径部18およびトランスミッション3に供給される。図示の実施形態では、トランスミッション側のハウジング1内に配置されたリザーバ5は、流体をトランスミッション3の軸受およびギヤに供給すると共に駆動シャフト11の内径部18を介して回転子10に供給する出口8を有している。流体は、内径部18を回転子10と接続する駆動シャフト11の径方向ボア21を介して投入される。流体は、回転子10に沿って固定子9に向かって遠心分離され、矢印Fで示されているように、重力によってオイルサンプ4に戻るように流れる。
【0028】
ハウジング1は、ハウジング1のモータ側のオイルサンプ4をハウジング1のトランスミッション側のトランスミッションサンプ6から分離する中間壁16を含む。中間壁16内の通路37は、矢印Fによって示されているように、トランスミッション3から滴下する流体が機械側リザーバ5内に流れることを可能にする。トランスミッションサンプ6内の液面は、適切なスプラッシュ潤滑を提供するために低速動作中により高くすることができ、一方、高速動作中には、トランスミッションサンプ6内の液面は、チャーニング損失を低く保つために低減される。
【0029】
モード制御弁12は、双方向ポンプ24の第1の圧力側22と第2の圧力側26との双方に液圧的に接続されており、当該第1の圧力側22と第2の圧力側26とは、双方向ポンプ24の下流の接合点28で合流する。逆止弁装置29は、第1の圧力側22および第2の圧力側26のそれぞれのアクティブな側から非アクティブな側への流体の流れを防止する。モード制御弁12は、この実施形態では第1の圧力側22で双方向ポンプ24に液圧的に接続される圧力ライン30を介して液圧的に作動される。したがって、双方向ポンプ24の回転方向に応じて、モード制御弁12は、その2つの位置の間で作動される。双方向ポンプ24が第1の回転方向に作動されると、モード制御弁12が、圧力ライン30内の圧力によって第1の位置に作動される。第1の圧力側22上の逆止弁装置29の下流逆止弁は、逆止弁ばね39によってその閉鎖位置に向かって付勢され、逆止弁ばね39は、第1の圧力側22がアクティブな側となったときに逆止弁を閉鎖状態に維持して圧力が圧力ライン30内に蓄積されることを可能にするように適応化されている。第1の位置では、モード制御弁12をリザーバ5に接続する液圧伝達経路15は、第1の圧力側22で双方向ポンプ24に液圧的に接続される。双方向ポンプ24が第2の回転方向に作動されると、モード制御弁12は加圧されず、したがって、戻しばね32によって第2の位置に作動される。第2の位置では、モード制御弁12を冷却ノズル33に接続する液圧固定子経路14は、第2の圧力側26で双方向ポンプ24に液圧的に接続される。
【0030】
双方向ポンプ24の2つの回転方向は、電気駆動装置の動作条件に応じて、電気機械2およびトランスミッション3の最適化された冷却および潤滑のための液圧回路7の2つのモードを提供する。双方向ポンプ24は、電動モータ34によって駆動される。双方向ポンプ24の上流の流体供給ライン20には、吸引フィルタ25が配置されている。吸引フィルタ25の下流で、流体供給ライン20は、吸引側接合点27で2つの分岐に分割され、これらは、双方向ポンプ24の第1の圧力側22および第2の圧力側26にそれぞれ接続される。双方向ポンプ24のそのつどの非アクティブな第1の圧力側22または第2の圧力側26が双方向ポンプ24の吸引側となるため、そのつどアクティブな第1の圧力側22または第2の圧力側26から吸引側への流体の逆流は、双方向ポンプ24と吸引側接合点27との間に配置された逆止弁29によって回避される。双方向ポンプ24の第1の圧力側22および第2の圧力側26において、流体は、モード制御弁12の上流に配置された熱交換器35において冷却される。
【0031】
次に、
図2を参照して電気駆動装置の実施形態をさらに説明する。
図2は、双方向ポンプ24が第1の回転方向に動作している
図1の電気駆動装置を示している。双方向ポンプ24の圧送方向を第1の回転方向に逆転させることによって、液圧回路7は、電気機械2の高速動作に最適化された潤滑および冷却流体を提供する。第1の圧力側22上の下流逆止弁29は、逆止弁ばね39によってその閉鎖位置に向かって付勢され、逆止弁ばね39は、圧送方向が逆転される瞬間に逆止弁29を閉鎖したままにして、圧力ライン30内に圧力を蓄積するように適応化されている。第1の圧力側22を加圧することによって、モード制御弁12は、戻しばね32の付勢力に抗して圧力ライン30を介して作動される。モード制御弁12は、流体の流れを液圧伝達経路15に方向付ける。逆止弁29は、供給ライン20から双方向ポンプ24を通って第1の圧力側22に向かう液圧伝達経路15内への流体の流れを確立し、この流れは実線によって示されており、一方、点線は非アクティブなラインを示している。一般に、交差するラインは、別段の記載がない限り、または点によって示されていない限り、接続されていない。第1の圧力側22は、回転子10の能動的な冷却およびトランスミッション3の能動的な潤滑のための流体を供給するために、第1の圧力レベルまで加圧される。リザーバ5に流体を供給することによって、リザーバ5内の高い液面38が示されているのに対して、トランスミッションサンプ6内の液面36は低下する。
【0032】
次に、
図3を参照して電気駆動装置の実施形態をさらに説明する。
図3には、双方向ポンプ24が第2の回転方向に動作している
図1の電気駆動装置が示されている。第2の圧力側26は、冷却ノズル33に流体を供給するために、第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベルまで加圧され、一方、トランスミッションサンプ6内の液面36は、例えばオイルサンプ4内の液面まで上昇する。リザーバ5は、オイルサンプ4に液圧的に接続されて、流体がリザーバ5からオイルサンプ4に戻るように流れることを可能にし、リザーバ5内に対応する液面38をもたらす。第1の圧力側22は双方向ポンプ24の吸引側を形成するため、液圧ライン30は双方向ポンプ24によって加圧されない。したがって、モード制御弁12は、戻しばね32によってその第2の位置に向かって作動される。逆止弁29は、供給ライン20から双方向ポンプ24を通って第2の圧力側26へ向かい、さらに液圧固定子経路14に入る、流体の流れを確立する。流体は冷却ノズル33に供給され、冷却ノズル33は流体を固定子9の巻線ヘッド31に噴霧する。固定子9から、流体は、矢印Fによって示されているように、重力によってオイルサンプ4に向かって流れ落ちる。液圧伝達経路15は加圧されず、流体はトランスミッション3に能動的には輸送されずに、トランスミッションサンプ6からスプラッシュ潤滑されるが、これは、車両の低速動作、すなわちトランスミッション3の回転子10および回転部品の低い回転速度にとって十分である。
【0033】
図4には、電気駆動装置のさらなる例示的な実施形態が、
図1の実施形態と同様の概略図で示されている。同様の部品は同様の参照符号で示されている。この実施形態による電気駆動装置は、ハウジング1と、電気機械2と、トランスミッション3と、オイルサンプ4とを備えるが、これらにつき繰り返して詳細には説明しない。上記の説明を参照されたい。
【0034】
ただし、リザーバ5は、ハウジング1の外部に配置されている。流体を循環させて電気機械2およびトランスミッション3を冷却および潤滑するための液圧回路7は、ハウジング1の下部に形成されたオイルサンプ4と、オイルサンプ4の上方に配置された外部リザーバ5とを備え、外部リザーバ5は、流体を一時的に貯留し、トランスミッション3の回転部品に流体を供給するように構成されている。双方向ポンプ24は、流体供給ライン20を介して吸引側でオイルサンプ4に液圧的に接続される。双方向ポンプ24はさらに、第1の圧力側22で外部リザーバ5に、第2の圧力側26で電気機械2の冷却ノズル33に液圧的に接続される。双方向ポンプ24が第1の回転方向に作動されると、流体が外部リザーバ5に供給され、双方向ポンプ24が第2の回転方向に作動されると、流体が固定子端部巻線31を冷却するために冷却ノズル33に供給される。双方向ポンプ24はさらに、外部リザーバ5および導管17を介して、駆動シャフト11の内径部18およびトランスミッション3に液圧的に接続される。図示の実施形態では、流体は、導管17を通って外部リザーバ5からトランスミッション3の軸受およびギヤに供給され、駆動シャフト11の内径部18を介して回転子10に供給される。オイルサンプ4内の液面36は2本の破線で示されており、双方向ポンプ24が第1の回転方向に動作しているときには低い方の液面36が現れ、双方向ポンプ24が第2の回転方向に動作しているときには高い方の液面36が現れる。
【0035】
図5には、電気駆動装置のさらなる例示的な実施形態が、
図4の実施形態と同様の概略図で示されている。
図6では、
図5の実施形態が、電気機械2の軸線方向位置でハウジング1を通る概略断面図で示されており、電気機械2の部品は示されていない。
図5および
図6を一緒に説明する。同様の部品は、同様の参照符号で示されている。この実施形態による電気駆動装置は、ハウジング1と、電気機械2と、トランスミッション3と、オイルサンプ4と、外部リザーバ5とを備えるが、これらにつき繰り返して詳細には説明しない。上記の説明を参照されたい。
【0036】
流体を循環させて電気機械2およびトランスミッション3を冷却および潤滑するための液圧回路7は、ハウジング1の下部に形成されたオイルサンプ4と、流体を一時的に貯留してトランスミッション3の回転部品に供給するように構成された外部リザーバ5と、流体供給ライン20を介して吸引側でオイルサンプ4に液圧的に接続された双方向ポンプ24とを備える。この実施形態では、双方向ポンプ24は、第1の圧力側22でリザーバ5に、第2の圧力側26で電気機械2の冷却ノズル33に直接に液圧的に接続される。したがって、第1の圧力側22または第2の圧力側26を液圧伝達経路15および液圧固定子経路14にそれぞれ接続するためのモード制御弁は不要である。流体の圧力側冷却は、1つまたは2つの熱交換器を配置することによって、液圧伝達経路15および液圧固定子経路14の一方または双方のために提供可能である。
【0037】
ただし、図示の実施形態では、電気駆動装置は、双方向ポンプ24の吸引側に配置された、流体を冷却するための代替的な冷却装置19を備える。双方向ポンプ24のそのつどの非アクティブな第1の圧力側22または第2の圧力側26が吸引側となるため、第1の圧力側22および第2の圧力側26は、冷却装置19に接続された双方向ポンプ24の上流の吸引側接合点27で接続される。そのつどアクティブな第1の圧力側22または第2の圧力側26から吸引側への流体の逆流を防止するために、逆止弁29が双方向ポンプ24と吸引側接合点27との間に配置されている。冷却装置19は、内部を通して水性冷却剤が流されるケーシング冷却構造43を形成する、ハウジング1の内側ケーシング部分41および外側ケーシング部分42を含む。ハウジングシールド40は、外側ケーシング部分42の径方向外側に、かつ少なくとも部分的に回転子10の回転軸線Aの下方に配置され、これにより、内部を通して流体がオイルサンプ4に向かって流れることのできるシールド冷却構造44を形成する。ケーシング冷却構造43は、前述の実施形態のハウジング1内に同様に配置することもできる。冷却剤を含むケーシング冷却構造43は、流体のためのシールド冷却構造44から液圧的に分離され、これにより、冷却剤と流体との間の熱交換が提供される。有利には、流体を冷却するための吸引側熱交換器がこのように設けられ、その結果、圧力側の熱交換器およびモード制御弁が省略されて、より複雑でない液圧回路7が得られる。
【0038】
回転子10の回転軸線Aの下方に配置されたシールド冷却構造44は、回転子10および巻線ヘッド31を冷却するための流体を収集する。冷却装置19の熱交換をさらに向上させるために、シールド冷却構造44は、軸線方向にほぼ平行に延在するチャネル45,47を備えることができる。チャネル45,47は、有利には、より大きな表面を提供し、したがって、流体からシールド冷却構造44への改善された熱伝達を提供する。さらに、チャネル45,47は、双方の軸線流方向を使用することを可能にする。一般に、シールド冷却構造44は、重力による流体の流れを提供するために下向きの傾斜を有することができ、流体は、例えばシールド冷却構造44から少なくとも1つの出口通路46に向かってオイルサンプ4内に流れ、このことは矢印Fによって示されている。各チャネル45,47が同様に下向きの傾斜を有してもよい。シールド冷却構造44は、外側冷却ケーシング部分42および/またはハウジングシールド40に接続されたフィン48をさらに備えることができる。フィン48はまた、より大きな表面を提供し、したがって、流体からシールド冷却構造44への改善された熱伝達を提供する。シールド冷却構造44を通るオイルの流れは、矢印Fで示されている。ケーシング冷却構造43内の水性冷却剤は、内側ケーシング部分41内に形成された周方向チャネル(図示せず)を通って流れることができ、したがってクロスフロー熱交換器を形成する。シールド冷却構造44は、軸線方向にほぼ平行に延在する第1のチャネル45および第2のチャネル47を備えることができる。第1のチャネル45は、壁49によって第2のチャネル47から分離することができ、その結果、オイルは、第2のチャネル47内のオイルの流れと比較して反対の軸線方向に第1のチャネル45内を流れることができる。シールド冷却構造44は、内側ケーシング部分41の内側の回転子10から流体を受け入れるための少なくとも1つの入口通路50をさらに含み、出口通路46および入口通路50は、シールド冷却構造44の対向する端部において軸線方向に配置されている。シールド冷却構造44の対向する端部に配置された2つの入口通路50が存在することができ、流体は、第1のチャネル45または第2のチャネル47のいずれかを通って流れる。
【0039】
オイルサンプ4内の液面36は2本の破線で示されており、双方向ポンプ24が第1の回転方向に動作しているときには低い方の液面36が現れ、双方向ポンプ24が第2の回転方向に動作しているときには高い方の液面36が現れる。
【0040】
電気駆動装置の全ての例示的な実施形態の図示の部分および特徴は概略的な表現であり、技術的な図面基準から逸脱していることもある。部品および特徴の機能および技術的詳細に関しては、説明が図面よりも優先される。
【符号の説明】
【0041】
1 ハウジング
2 電気機械
3 トランスミッション
4 オイルサンプ
5 リザーバ
6 トランスミッションサンプ
7 液圧回路
8 出口
9 固定子
10 回転子
11 駆動シャフト
12 モード制御弁
14 液圧固定子経路
15 液圧伝達経路
16 中間壁
17 導管
18 回転子シャフトの内径部
19 冷却装置
20 流体供給ライン
21 径方向ボア
22 第1の圧力側
24 双方向ポンプ
25 フィルタ
26 第2の圧力側
27 吸引側接合点
28 圧力側接合点
29 逆止弁装置
30 圧力ライン
31 固定子端部巻線
32 ばね
33 冷却ノズル
34 電動モータ
35 熱交換器
36 液面
37 通路
38 液面
39 逆止弁ばね
40 ハウジングシールド
41 内側ケーシング部分
42 外側ケーシング部分
43 ケーシング冷却構造
44 シールド冷却構造
45 第1のチャネル
46 出口通路
47 第2のチャネル
48 フィン
49 壁
50 入口通路
A 回転軸線
F 矢印
【国際調査報告】