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特表2024-528926フッ素化エーテル、熱管理流体、ならびにそれらを使用する方法および装置
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  • 特表-フッ素化エーテル、熱管理流体、ならびにそれらを使用する方法および装置 図1
  • 特表-フッ素化エーテル、熱管理流体、ならびにそれらを使用する方法および装置 図2
  • 特表-フッ素化エーテル、熱管理流体、ならびにそれらを使用する方法および装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】フッ素化エーテル、熱管理流体、ならびにそれらを使用する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/192 20060101AFI20240725BHJP
   C09K 5/10 20060101ALI20240725BHJP
   C07C 43/17 20060101ALI20240725BHJP
   C07C 43/12 20060101ALI20240725BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C07C43/192 CSP
C09K5/10 F
C07C43/17
C07C43/12
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505501
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2022057083
(87)【国際公開番号】W WO2023007465
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,791
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501354624
【氏名又は名称】カストロール リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ,ソーリン ヴァシレ
(72)【発明者】
【氏名】ペイン,マーク ジョン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB99
4H006GP01
4H006GP02
(57)【要約】
本開示は、一般に、フッ素化エーテル化合物及びその合成に関する。より具体的には、本開示は、電気自動車、電気モーター、及びパワーエレクトロニクスに使用されるリチウムイオン電池などの、直接冷却を介して電池システム内の熱を管理する使用に好適なフッ素化エーテル系熱管理流体、かかる熱管理流体を使用する方法、並びにかかる熱管理システムを含むシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;
R1は、-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
R2およびR3のそれぞれは、独立して、HまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5のそれぞれは、独立して、HまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4のそれぞれは、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
【請求項2】
R6が、分岐状C6~C12アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2、R3、R4およびR5のそれぞれが、H、メチルおよびエチルから独立して選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
各R2がHであり、各R3がHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)であり;各R4がHであり、各R5がHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R2がHであり、R3がHであり、R4がHであり、各R5がHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式:
【化2】
を有する(式中、nは1~12の範囲の整数である)、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
mが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
5~30の炭素原子の総数を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の1種以上の化合物を、例えば、熱管理流体の総重量に基づいて50重量%~100重量%の範囲の量で存在して含む熱管理流体。
【請求項11】
前記熱管理流体が、ASTM-D93に従って測定される少なくとも50℃の引火点を有する請求項10に記載の熱管理流体。
【請求項12】
前記熱管理流体が、ASTM-D455に従って測定して、0.1~10cstの範囲の25℃での動粘度を有する、請求項10に記載の熱管理流体。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の熱管理流体を、少なくとも25℃の温度を有する表面と接触させる工程であって、前記表面が熱源と実質的に熱連通している工程と
表面を通して前記熱源から前記熱管理流体の熱エネルギーを吸収することとからなる方法。
【請求項14】
熱源が、作動電気部品、例えば、バッテリーパック、キャパシタ、インバータ、電気ケーブル、燃料電池、モータ、コンピュータ又は高電力充電装置である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
バッテリシステムであって
ハウジングと
前記ハウジング内に配置された1つ以上の電気化学セルと
前記ハウジング内に延在し、前記1つ以上の電気化学セルと実質的に熱連通する流体経路と
前記流体経路内に配置された請求項10~12のいずれか一項に記載の熱管理流体とからなるシステム。
【請求項16】
熱管理回路であって
熱源の周りに及び/又は熱源を通って延びる流体経路と
前記流体経路内に配置され、前記流体経路内を循環し、前記熱源によって生成された熱エネルギーを吸収するように構成された、請求項10~12のいずれか一項に記載の熱管理流体と
前記流体は、前記流体経路、前記熱交換器、前記ポンプ、及び前記接続ダクト内に配置される熱管理回路
【請求項17】
熱管理流体を調製する方法であって
式(II)の化合物
【化4】

mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、H、OH、または-O-R6から選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4はそれぞれ、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり;
塩基の存在下でCH2=CF(CF3)と反応させて、R1が-C(=CH2)-CF3である式(I)の第1の化合物を得ることを含む方法。
【請求項18】
-式(I)の第1の化合物をさらに水素化して、R1が-CH(CH3)-CF3である式(I)の第2の化合物を得る請求項17に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連出願の相互参照)
関連出願の相互参照本出願は、2021年7月30日に出願された米国特許出願第63/227791号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の属する技術分野)
本開示は、一般に、フッ素化エーテル化合物に関する。-より具体的には、本開示は、フッ素化エーテル化合物、並びに、例えば、電池式電気自動車、コンピューティングデータセンター、及び高性能コンピュータにおける熱管理などの熱管理流体におけるそれらの使用に関する。本開示はまた、そのような化合物および熱管理流体を作製する方法、そのような化合物および熱管理流体を使用する方法、ならびにそのような化合物および熱管理流体を含むシステムに関する。
(従来の技術)
【0003】
電流が、CPU、GPU、さらにはバッテリを含む電子部品を流れると、ほとんどの電子部品が熱を発生する。典型的には、部品に流入または部品から流出する電流の量が増加するにつれて、発生する熱の量も増加する。発生した熱が放散されない場合、電子部品の温度は上昇する。ほとんどの電子部品は、部品が安全かつ効率的に動作することを可能にする有効動作温度範囲を有し、部品が最大動作温度を超える場合、電子部品は無効になるか、または熱暴走および故障をもたらすことさえあり得る。場合によっては、温度がわずかに上昇した後、電子構成要素は、単純なヒートシンクを通して、または熱管理なしに、その周囲に熱を放散することが可能であり得る。他の場合には、電子部品によって発生する熱を放散させるために、より具体的な熱管理システムが必要とされる。バッテリ駆動の電子車両、コンピューティングデータセンタ、および高性能コンピュータを含む、より大きな個々の構成要素またはより多数の構成要素のいずれかに依存するより大きなシステムは、望ましくない不必要な熱故障を防止するために、特定の熱管理システムを必要とする。
【0004】
現在、バッテリ駆動の電気自動車は、ほぼリチウムイオンバッテリ技術を専ら使用している。しかしながら、リチウムイオン電池は、高速および超高速の電子車両充電中、または高需要放電中に、著しい熱を発生させる。例えば、充電中に、入力された電力の最大10%が熱として終わる。リチウムイオン電池は、電池温度の変動の影響も受けやすい。例えば、最適なリチウムイオン電池の動作温度は、10℃から35℃の範囲である。温度が35℃から70℃に上昇するにつれて、動作はますます非効率的になり、より重大なことに、これらの温度での動作は、時間とともにバッテリを損傷する可能性がある。70℃を超える温度は、熱暴走のリスクの増加を示す。その結果、リチウムイオン電池は、車両の動作中にそれらの温度を調節するために、特定の熱管理システムを必要とする。リチウムイオン電池の急速充電がより一般的になるにつれて、電池の熱管理のための効率的なシステムが依然として必要とされている。
【0005】
同様に、データセンタおよび高性能コンピュータは、ハードウェア動作中に発生する発熱を効果的に管理するとともに、データセンタの総エネルギー使用量を管理する需要増大によって、著しく挑戦されている。センターのエネルギー使用を追跡するために、データセンタに送達されるエネルギーの量に対する、コンピューティング機器によって使用されるエネルギーの量の比(すなわち、電力使用効率(PUE))が測定される。CPUおよびGPUコア性能に対する要求が高まるにつれて、より低い、すなわち1に近いPUEを達成するために、これらの構成要素の効果的な熱管理が重要である。したがって、熱管理データセンタおよび高性能コンピュータのための効率的なシステムが依然として必要とされている。
【0006】
電子システムは、冷却流体または冷却剤として、熱を構成要素から運び去るための熱管理流体を使用して、直接的または間接的に冷却され得る。電子車両バッテリの熱管理は、直接/浸漬流体熱管理によって最も効果的に保証される。直接冷却は、有利には、熱管理流体(例えば、誘電性流体)が高温部品と直接接触して、そこから熱を運び去ることを可能にする。したがって、電子車両バッテリパック設計は、ますます直接的な誘電性流体管理を組み込み、同様の有利な設計が、「ダイレクトツーチップ」冷却のためにデータセンタおよび高性能コンピューティングセンターに組み込まれ得る。
【0007】
最も一般的な熱管理流体は、水とグリコールとの混合物をベースとする。しかし、水ベースの流体は、典型的には電気を伝導するので、リチウムイオン電池またはコンピュータハードウェアシステムの電気部品の直接冷却には使用できない。間接冷却は、水ベースの冷却剤を使用することを可能にするが、電気的遮蔽の要件は、冷却プロセスにおける熱の流れのボトルネックを生じ得る。非導電性の性質のために電気部品の直接冷却に使用することができる誘電性熱管理流体が存在する。しかしながら、そのような誘電性熱管理流体の熱特性は、典型的には、水-グリコールと比較して不十分である。
【0008】
現在、フッ素化炭化水素及びフッ素化エーテル系流体(例えば、3M-NOVEC範囲)が、様々なプロトタイプ電気自動車、データセンタ、高性能コンピュータセンター、及びビットコイン採掘ファームにおいて熱管理流体として使用されている。これらのうちのいくつかは、冷却剤に必要とされる仕様を満たすが、ほとんどは、それらのフッ素化構造に起因して高い地球温暖化係数(GWP)を被る。特に、これらのフッ素化流体は、過フッ素化および部分フッ素化主鎖を有する分子を含有する。さらに、これらのフッ素化流体は、炭化水素系流体と効果的に配合することができない。
【0009】
したがって、非伝導性であり、粘度、引火点、ならびに熱および電気伝導性要件、ならびに環境基準を含む冷却剤仕様を満たす、改善された誘電熱管理流体の必要性が残っている。また、そのような流体を利用する誘電熱管理システム、特にリチウムイオン電池およびハードウェアシステムの冷却に使用するのに適した誘電熱管理システムも依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際出願2020007954号公報
【特許文献2】国際出願2020007955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示の一態様は、式(I)のフッ素化エーテル化合物を提供する。
【化1】
mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;-C8
R1は、-C(=CH2)-CF3または-CH(CH3)-CF3
R2およびR3はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4のそれぞれは、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
【0012】
本開示の別の態様は、本明細書に記載される本開示の1つ以上の化合物を含む熱管理流体を提供し、1つ以上の化合物は、熱管理流体の総重量に基づいて1重量%~100重量%の範囲の総量で存在する。
【0013】
本開示の別の態様は、バッテリシステムを提供する。電池システムは、ハウジングと、ハウジング内に配置された1つ以上の電気化学セルと、ハウジング内に延在し、1つ以上の電気化学セルと実質的に熱連通する流体経路と、流体経路内に配置された、本明細書に記載される本開示の熱管理流体とを含む。
【0014】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される本開示の電池システムを備える電気自動車を提供する。
【0015】
別の態様では、本開示は、熱供給源の周りにおよび/または熱供給源を通って延在する流体経路と、流体経路内に配置され、流体経路内を循環し、熱供給源によって生成された熱エネルギを吸収するように構成された、本開示の熱管理流体とを含む熱管理回路を提供し、流体は、流体経路、熱交換器、ポンプ、および接続ダクト内に配置される。
【0016】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される本開示の熱管理回路を備えるデータセンタハードウェアユニットを提供する。-別の態様では、本開示は、本明細書に記載される本開示の熱管理回路を備える高性能コンピュータを提供する。
【0017】
本開示の別の態様は、本開示の熱管理流体を、少なくとも25℃(例えば、少なくとも30℃)の温度を有する表面と接触させることであって、表面が熱源と実質的に熱連通している、接触させることと、表面を通して熱源から熱管理流体中に熱エネルギーを吸収することと、を含む方法を提供する。
【0018】
本開示の別の態様は、本開示の化合物を調製するための方法を提供する。-そのような方法は、式(II)の化合物を
【化2】
mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;,
Aは、H、OH、または-O-R6であり;
R2およびR3はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4はそれぞれ、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6はC1-C12アルキルであり;
とCH2=CF(CF3)との反応により、式(I)の第1の化合物を得ることを含む方法である。
【0019】
種々の実施形態において、この方法は、式(I)の第1化合物(すなわち、Aが-C(=CH2)-CF3である)を水素化する工程を包含する。)を得て、式(I)の第2化合物(すなわち、Aが-CH(CH3)-CF3である化合物)を得ることを含む。)。
【0020】
添付の図面は、本開示の組成物および方法のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、様々な要素のサイズは、明確にするために歪められている場合がある。図面は、本開示の1つ以上の実施形態を示し、説明と共に、本開示の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態による熱管理回路の概略断面図である。
図2】本開示の別の実施形態による熱管理回路の概略断面図である。
図3】本開示の熱管理流体の冷却動作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記のように、本開示の化合物は、式(I)の1つ以上の化合物を含む。
【化3】
mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;
R1は、-C(=CH2) -CF3、または-CH(CH3)-CF3
R2およびR3はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4はそれぞれ、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2) -CF3、または-CH(CH3)-CF3である。
【0023】
上記式において、R1およびR6の各々は、種々の実施形態において、の1つであり得る。-C(=CH2)-CF3および-CH(CH3)-CF3を有し、それぞれがエーテル結合を介して分子の残りの部分に結合している化合物。-C(=CH2)-CF3は、対応するアルコールとCH2=CF-CF3との反応によって形成することができる。-C(=CH2)-CF3部分は、都合よく水素化されて、対応する飽和部分-CH(CH3)-CF3を提供することができる。
【0024】
本開示の化合物は、ポリエーテル(例えば、ジエーテル、トリエーテル)として有利に提供され得る。例えば、様々な実施形態において、本明細書に別途記載されている式(I)の化合物では、R1は、-C(=CH2)-CF3であり、Aは-O-R6である。-他の実施形態では、R1は-CH(CH3)-CF3であり、Aは-O-R6である。
【0025】
多種多様なR6基を提供することができる。例えば、本明細書に記載される式(I)の化合物の様々な実施形態において、R6基は-C(=CH2)-CF3である。他の実施形態では、R6基は、-CH(CH3)-CF3である。そのような実施形態において、R6基は、エーテル化反応および任意の水素化反応の数および順序に応じて、R1基と同じであっても異なっていてもよい。-例えば、本明細書に記載される様々な実施形態において、R1は-C(=CH2)-CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-C(=CH2)-CF3本明細書に記載される他の実施形態において、R1は-CH(CH3)-CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-CH(CH3)-CF3である。他の実施形態では、R1はである。-C(=CH2)-CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-C(=CH2)-CF3である。他の実施形態において、R1は、-CH(CH3)-CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-C(=CH2)-CF3である。
【0026】
当然ながら、多種多様な他のR6基を提供することができる。例えば、本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の化合物中、R6はC1~C12アルキルである。当業者は、本明細書の開示に基づいてR6の鎖長および分岐を選択して、材料全体の特性、例えば粘度および引火点を選択することができる。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の化合物中、R6は、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、またはC1~C4アルキルなどのC1~C10アルキルである。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の化合物中、R6は、C8~C10アルキルまたはC10~C12アルキルなどのC8~C12アルキルである。-本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の化合物中、R6は、分岐C6~C12アルキル、例えば、分岐C6~C10アルキル、分岐C6~C8アルキル、分岐C8~C12アルキル、分岐C8~C10アルキル、または分岐C10~C12アルキルである。-分岐は、例えば、R6が結合している酸素原子に対してα位またはβ位に存在し得る。例えば、種々のこのような実施形態において、R6は、α-分枝C1~C12アルキルであるか、またはβ-分枝C1~C12アルキルである。様々な実施形態において、分岐は、酸素原子に対してβ位にある。
【0027】
本明細書に記載される式(I)の化合物の他の実施形態において、AはHである。例えば、本明細書に記載される式(I)の化合物の様々な実施形態において、R1は-C(=CH2)-CF3であり、Aは、Hである。他の実施形態では、R1は-CH(CH3)-CF3であり、AはHである。
【0028】
所望の特性を有する化合物を提供し、一般的なオレフィンおよびエポキシド原料を利用するために、本明細書の開示に基づいて当業者によって選択される様々なR2、R3、R4およびR5基を提供することができる。例えば、本明細書に記載される式(I)の化合物の様々な実施形態において、各R2、R3、R4、およびR5は、独立して、HおよびC1-C4アルキル(例えば、C1-C3アルキルまたはC1-C2アルキル)から選択される。様々なこのような実施形態において、R2、R3、R4、およびR5のそれぞれは、独立して、HおよびC1アルキル(すなわち、メチル)から選択される。
【0029】
式(I)の化合物の様々な実施形態において、各R2はHであり、各R3はHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)であり、各R4はHであり、各R5はHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)である。様々な実施形態において、各R2はC1~C6アルキル(例えば、C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキル)であり、各R3はC1~C6アルキル(例えば、C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキル)であり、各R4はHであり、各R5はHである。様々な実施形態において、各R2はHであり、各R3はHであり、各R4はHであり、各R5はHである。様々な実施形態において、R2はHであり、R4はHであり、R5はHであり、各R3はHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)である。
【0030】
いくつかの実施形態において、すなわち、nが1より大きい場合、各(-C-R2-R3-(C-R4-R5)n-O-)基において、1つより多いR4基および1つより多いR5基が存在する。いくつかのこのような実施形態において、各R4における(-C-R2-R3-(C-R4-R5)n-O-)基は、1つのみのR5基は、H以外である。
【0031】
式(I)の化合物の様々な実施形態において、各R2、R3、R4およびR5はHである。



【0032】
式(I)の化合物の様々な代替実施形態において、R2およびR4は、HまたはC1~C4アルキル(例えば、C1~C3アルキルまたはC1-C2アルキル)、およびR3及びR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成する。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物において、R2であり、R4はHまたはC1-(すなわちメチル)であり、R3及びR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成する。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物において、R2であり、R4はHまたはC1-(すなわちメチル)であり、R3及びR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C6シクロアルキルを形成する。
【0033】
例えば、本明細書に別途記載される様々な実施形態において、本開示は、式(I)の化合物を提供する。
【化4】
mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;
R1は、-C(=CH2)-CF3または-CH(CH3)-CF3
R2およびR3の各々は、独立して、HまたはC1~C6アルキルであり;
R4およびR5のそれぞれは、独立して、HまたはC1~C6アルキルであり;
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
【0034】
そして、本明細書に別途記載される様々な代替の実施形態において、本開示は、式(I)の化合物:
【化5】
mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;
R1は、-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
R2およびR4のそれぞれは、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
【0035】
本明細書に別途記載されている式(I)の1つまたは複数の化合物の様々な実施形態では、各R2、R3、R4、およびR5はHであり、すなわち、化合物は式:を有する。
【化6】
【0036】
本明細書に別途記載されている式(I)の1つまたは複数の化合物の様々な実施形態において、R1、R4、およびR5のそれぞれはHであり、R3はHまたはC1~C6アルキルであり、すなわち、化合物は式(I)を有する。
【化7】
例えば、いくつかの実施形態において、R2、R4、およびR5の各々はHであり、R3はC1~C6アルキル(例えば、C1~C4アルキル、C1~C3アルキル、エチル、またはメチル)である。
【0037】
当業者は、本明細書の開示に基づいて任意選択的に反復する単位の鎖長nを選択して、材料全体の望ましい特性、例えば粘度および引火点を選択することができる。本明細書に別途記載されている式(I)の化合物の様々な実施形態において、nは、1~12の範囲、例えば1~8の範囲の整数である。様々な実施形態において、nは、1~6の範囲、例えば1~4の範囲または1~2の範囲の整数である。様々な実施形態において、nは、4~16の範囲、例えば8~16の範囲または10~16の範囲の整数である。様々な実施形態において、nは、4~12の範囲、例えば6~12の範囲の整数である。
【0038】
種々の実施形態において、nは整数1であり、すなわち、化合物は式:を有する。
【化8】
【0039】
式(I)の化合物の様々な実施形態において、Aは-O-R6であり、nは整数1であり、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にHまたはC1~C6アルキルであり、すなわち、化合物は式:を有する。
【化9】
式Iの化合物の種々の実施形態において、nは、整数2である。
【化10】
【化11】
ある特定のそのような実施形態において、Aは-O-R6であり、各R2はHであり、各R3はHであり、各R4およびR5は独立してHまたはC1~C6アルキルであり、すなわち、化合物は式:を有する。
【化12】
式(I)の1つ以上の化合物の種々の実施形態において、mは1である。しかしながら、他の実施形態では、mは2であるか、またはmは3である。
【0040】
本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物は、式:を有する。
【化13】
(式中、nは1~16の範囲、例えば1~12の範囲、または1~8の範囲、または1~4の範囲、または1~2の範囲の整数であり;-R1は-C(=CH2)-CF3または-CH(CH3)-CF3であり、R6はC1~C12アルキルであり-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3様々なこのような実施形態において、R1は-C(=CH2)-CF3である。様々なこのような実施形態において、R1は-CH(CH3)-CF3であり、様々なこのような実施形態において、R6は、メチルまたはエチルである。様々なそのような実施形態において、R6は、プロピル(例えば、n-プロピル、イソプロピル)またはブチル、例えば、n-ブチル、t-ブチル、sec-ブチルまたはイソブチルである。様々なこのような実施形態において、R6は、分枝ペンチル、例えば、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピルである。様々なこのような実施形態において、R6は、分岐状、例えば、基--CH2-CH(Rb)(Rd)であり、ここで、Rbは、メチルまたはエチルであり、Rdは、C3~C8アルキル、例えば、2-エチルヘキシルである。本明細書に記載される様々な実施形態において、R1は、-C(=CH2)-CF3である。であり、R6は-C(=CH2)-CF3である。本明細書に別途記載される様々な実施形態では、R1は-CH(CH3)-CF3であり、R6は-CH(CH3)-CF3である。
【0041】
種々の置換基は、揮発性および粘度のような特性に影響を与え得る所望の全体の炭素数を有する化合物を提供するように選択され得る。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物は、5~30(例えば、5~26、5~22、5~18、6~30、6~26、6~22、8~30、8~26、または8~22)の総数の炭素原子を含有する。例えば、様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物は、6~22の総数の炭素原子を含有する。様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物は、6~20個の炭素原子の総数を含有する。様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物は、6~18個の炭素原子の総数を含有する。様々な実施形態において、式(I)の1つ以上の化合物は、6~16の総数の炭素原子を含有する。
【0042】
本開示の式(I)の化合物の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【化14】
【化15】
様々な実施形態において、化合物は、ASTM-D93に従って測定され、少なくとも50℃の引火点を有することができる。例えば、様々な実施形態において、本明細書に別に記載される化合物は、ASTM-D93に従って測定され、少なくとも60℃、例えば、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃の引火点を有する。様々な実施形態において、本明細書に別途記載される化合物は、ASTM-D93に従って測定され、少なくとも90℃、例えば、少なくとも95℃、少なくとも100℃、または少なくとも105℃の引火点を有する。50℃未満の引火点を有さない化合物は、材料について引火点が測定できない場合であっても(すなわち、引火点に達する温度未満の温度での分解のため)、本開示の目的のために50℃超の引火点を有する。
【0043】
様々な実施形態において、本明細書に別途記載される化合物は、ASTM-D455に従って測定され、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の25℃での動粘度を有する。
【0044】
様々な実施形態において、本明細書に別途記載される化合物は、ASTM-D455に従って測定され、2~10cstの範囲、例えば、2~8cst、または2~6cst、または3~10cst、または3~8cst、または3~6cst、または5~10cst、または5~6cst、または6~10cst、または8~10cstの40℃での動粘度を有する。様々な実施形態において、本明細書に別途記載される化合物は、ASTM-Dに従って測定され、2~10cstの範囲、例えば、2~8cst、または2~6cst、または3~10cst、または3~8cst、または3~6cst、または5~10cst、または5~6cst、または6~10cst、または8~10cstの40℃での動粘度を有する。また、様々な実施形態において、本明細書に別に記載される化合物は、ASTM-D455に従って測定され、2~5cst、例えば、2~4cst、または2~3cst、または3~5cst、または3~4cst、または4~5cstの範囲の40℃での動粘度を有する。
【0045】
様々なそのような実施形態において、本明細書に別に記載される化合物は、ASTM-D93に従って測定され、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃(例えば、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃)の引火点、およびASTM-D455に従って測定され、2~20cstの範囲、例えば、2~15cst、または3~20cst、または3~15cst、または5~20cst、または5~15cstの範囲の40℃での動粘度を有する。
【0046】
様々な実施形態において、本明細書に別途記載される化合物は、ASTM-D455に従って測定され、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の25℃での動的粘度を有する。
【0047】
以下に記載されるように、本開示の化合物は、ある特定の実施形態において、蒸発冷却法、すなわち、冷却の機構の一部が化合物の蒸発である方法において使用され得る。したがって、本明細書に別途記載される特定の実施形態では、1つ以上の化合物のそれぞれの同一性(したがって、沸点)は、特定のシステムまたはプロセスの所望の動作温度に基づいて選択され得る。したがって、本明細書に別途記載される様々な実施形態において、化合物は、30~300℃、例えば、30~275℃、または30~250℃、または30~225℃、または30~200℃、または30~175℃、または30~150℃、または30~125℃、または30~100℃の範囲の沸点を有する。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、化合物は、50~300℃、例えば、50~275℃、または50~250℃、または50~225℃、または50~200℃、または50~175℃、または50~150℃、または50~125℃、または50~100℃の範囲の沸点を有する。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、化合物は、75~300℃、例えば、75~275℃、または75~250℃、または75~225℃、または75~200℃、または75~175℃、または75~150℃、または75~125℃、または75~100℃の範囲の沸点を有する。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、化合物は、100~300℃、例えば、100~275℃、または100~250℃、または100~225℃、または100~200℃、または100~175℃、または100~150℃の範囲の沸点を有する。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、化合物は、150~300℃、例えば、150~275℃、または150~250℃、または150~225℃、または150~200℃の範囲の沸点を有する。
【0048】
ある望ましい実施形態において、化合物の引火点は、化合物の沸点より少なくとも10℃高く、例えば、少なくとも20℃高く、または少なくとも50℃高い。
【0049】
本発明者らは、本明細書に記載される化合物が、以下により詳細に記載されるように、例えば、冷却剤または伝熱媒体として使用するための熱管理流体として特に有用であり得ることを突き止めた。したがって、本開示の別の態様は、本明細書に記載される式(I)の1つ以上の化合物を含む熱管理流体を提供し、1つ以上の化合物は、熱管理流体の総重量に基づいて1重量%~100重量%の範囲の総量で存在する。1つ以上の化合物は、本明細書に記載される熱管理流体中に様々な量で存在することができる。本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、1つ以上の化合物は、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~100重量%(例えば、5重量%~100重量%、または10重量%~100重量%、または20重量%~100重量%)の範囲の総量で存在する。例えば、様々な実施形態において、1つ以上の化合物は、50重量%~100重量%、例えば、75重量%~100重量%、または85重量%~100重量%、または90重量%~100重量%、または95重量%~100重量%、または98重量%~100重量%の範囲の総量で存在する。例えば、本明細書に別途記載される熱管理流体の様々な実施形態において、1つ以上の化合物は、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~99.9重量%(例えば、5重量%~99.9重量%、または10重量%~99.9重量%、または20重量%~99.9重量%)、または50重量%~99.9重量%、例えば、75重量%~99.9重量%、または85重量%~99.9重量%、または90重量%~99.9重量%、または95重量%~99.9重量%、または98重量%~99.9重量%の範囲の総量で存在する。本明細書に別途記載される熱管理流体の様々な実施形態において、1つ以上の化合物は、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~99重量%(例えば、5重量%~99重量%、または10重量%~99重量%、または20重量%~99重量%)、または50重量%~99重量%、例えば、75重量%~99重量%、または85重量%~99重量%、または90重量%~99重量%、または95重量%~99重量%の範囲の総量で存在する。本明細書に別途記載される熱管理流体の様々な実施形態において、1つ以上の化合物は、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~95重量%(例えば、5重量%~95重量%、または10重量%~95重量%、または20重量%~95重量%)、または50重量%~95重量%、例えば、75重量%~95重量%、または85重量%~95重量%の範囲の総量で存在する。本明細書に別途記載される熱管理流体の様々な実施形態において、1つ以上の化合物は、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~85重量%(例えば、5重量%~85重量%、または10重量%~85重量%、または20重量%~85重量%)、または50重量%~85重量%、例えば、65重量%~85重量%、または75重量%~85重量%の範囲の総量で存在する。
【0050】
当業者は、本開示の化合物の様々な組み合わせが本開示の熱管理流体において使用され得ることを理解するであろう。したがって、上記の化合物の実施形態は、本開示の熱管理流体において任意の数および任意の組み合わせで組み合わせることができる。2つ以上の化合物が熱管理流体中で使用される場合、2つの相対量は、所望の効果に応じて、本明細書の開示に基づいて変動し得る。様々な実施形態において、第1の化合物と第2の化合物との質量比は、1:9~9:1(例えば、1:5~5:1、または1:5~1:1、または1:1~5:1)の範囲である。
【0051】
当業者が理解するように、本開示の熱管理流体はまた、熱管理用途のための組成物において従来使用されるものなどの、様々な他の成分を含むことができる。例えば、熱管理流体は、油、例えば、鉱油、合成油、またはシリコーン油をさらに含んでもよい。例えば、様々な実施形態において、油は、米国石油協会(American-Petroleum-Institute)(API公開1509)によって定義される低粘度グループII、III、IV、またはV基油である。これらを表1(基油ストックAPIガイドライン)に示す。
【表1】
【0052】
グループII及びグループIIIの基油(水素化分解及び水素化処理された基油、並びに炭化水素油、ポリアルファオレフィン、アルキル芳香族化合物、及び合成エステルなどの合成油など)、並びにグループIVの基油(ポリアルファオレフィン(PAO)など)は、周知の基油である。変圧器油としての使用に好適な油は、多くの実施形態において、本開示の組成物、システム、及び方法における使用に好適であり得る。例えば、エステルもまた、GTL(ガス-液体)材料、特に炭化水素源から誘導されるものと同様に、合成エステルを含む有用な基油原料を形成する。例えば、二塩基酸とモノアルコールとのエステル、またはモノカルボン酸のポリオールエステルは、本開示のベースストックとして有用であり得る。脂肪酸メチルエステルなどの生物由来の油も使用することができる。
【0053】
様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、グループII、グループIII、グループIV、またはグループVの基油をさらに含む。例えば、様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、グループIIまたはグループIIIの基油をさらに含む。様々な他の実施形態において、本開示の熱管理流体は、ポリアルファオレフィン(PAO)などのグループIV基油をさらに含む。様々な他の実施形態において、本開示の熱管理流体は、エステル基油ストックをさらに含む。
【0054】
本開示の熱管理流体は、本開示の化合物の組み合わせとベース誘電性流体との組み合わせとして提供され得る。当該技術分野で既知の様々な誘電性流体を、本明細書に記載の組成物、システム、及び方法において好適に使用することができる。ある望ましい実施形態では、1つ以上の誘電性流体は、リチウムイオンバッテリ等のバッテリの構成要素に対して非反応性であるか、または別様に不活性である。
【0055】
本明細書に別途記載されるようなある特定の実施形態では、誘電性流体は、高い引火点及び任意選択的に低い硫黄含有量(例えば、3000ppm未満、2000ppm未満、または1000ppm未満)に配合されたディーゼルであってもよい。
【0056】
本明細書に別途記載されるような特定の実施形態では、1つ以上の誘電性流体のそれぞれは、油、例えば、鉱油、合成油、又はシリコーン油である。例えば、特定の実施形態では、誘電性流体は、米国石油協会(American-Petroleum-Institute)(API公開第1509号)によって定義される低粘度のグループIIIまたはIVの基油である。グループIII基油(水素化分解基油および水素化処理基油、ならびに炭化水素油、ポリアルファオレフィン、アルキル芳香族化合物、および合成エステルなどの合成油など)およびグループIV基油(ポリアルファオレフィン(PAO)など)は、周知の基油である。
【0057】
変圧器油としての使用に好適な油は、多くの実施形態では、本開示の組成物、システム、及び方法における誘電性流体としての使用に好適であり得る。
市販の誘電性流体としては、Perfecto(商標)TR-UN(Castrol-Industrial(United-Kingdom)から入手可能)及びMIDEL-7131(M&I-Materials-Ltd.(United-Kingdom)から入手可能)が挙げられる。市販の基油の例としては、YUBASE-3及びYUBASE-4(SK-Lubricants-Co.-Ltd.,South-Koreaから入手可能)、DURASYN(登録商標)162及びDURASYN(登録商標)164(INEOS-Oligomers,-Houston,-Texasから入手可能)、並びにPRIOLUBETM油(CRODA,-United-Kingdomから入手可能)が挙げられる。
【0058】
式(I)の1つ以上の化合物は、本開示の熱管理流体内に均一に分散され得る。これは、1つ以上の化合物が、熱管理流体全体にわたって均一に(または均質に)混合された小粒子(例えば、直径が最大10μm、最大50μm、またはさらに最大100μmの液滴)として存在し得ること、または1つ以上の化合物が熱管理流体中に本質的に溶解されることを意味する。1つ以上の化合物は、均一に分散され得るが、少量の残留物を分散されないままにするが、これは、非常に少量、すなわち、式(I)の化合物の1重量%未満、または0.5重量%未満、またはさらに0.1重量%未満であることが理解される。
【0059】
本明細書の開示に基づいて、1つ以上の誘電性流体は、所望の全体的な熱容量および熱伝導率を有する本開示の熱管理流体を提供するように選択され得る。さらに、1つまたは複数の誘電性流体は、それらが使用されるシステムの他の構成要素に対して低い反応性を有するように、および所望の粘度を有する熱管理流体を提供するように選択することができる。1つ以上の誘電性流体を選択する際の他の考慮事項としては、それらの誘電率、有害性、環境影響、及びコストが挙げられる。
【0060】
様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、腐食防止剤、酸化防止剤(フェノール系およびアミン系酸化防止剤など)、流動点降下剤、消泡剤、脱泡剤、粘度指数調整剤、保存剤、殺生物剤、界面活性剤、シール膨潤添加剤、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上をさらに含む。様々な実施形態において、腐食防止剤、酸化防止剤(フェノール系及びアミン系酸化防止剤など)、流動点降下剤、消泡剤、脱泡剤、粘度指数調整剤、保存剤、殺生物剤、界面活性剤、シール膨潤添加剤、及びこれらの組み合わせは、例えば、熱管理流体の総重量に基づいて、最大0.5重量%、最大1.0重量%、又は最大5.0重量%の量で存在してもよい。様々なそのような実施形態において、腐食防止剤、酸化防止剤(フェノール系およびアミン系酸化防止剤など)、流動点降下剤、消泡剤、脱泡剤、粘度指数調整剤、保存剤、殺生物剤、界面活性剤、シール膨潤添加剤、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上は、熱管理流体の総重量に基づいて、0.2重量%~5.0重量%、例えば、1.0重量%~2.0重量%、または0.2重量%~1.0重量%、または0.2重量%~0.5重量%、または0.05重量%~0.2重量%の範囲の量で存在する。様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、1つ以上の難燃剤を、例えば、熱管理流体の総重量に基づいて、最大20重量%、最大10重量%、または最大5重量%の量でさらに含む。しかしながら、他の実施形態では、防炎性能は存在しない。
【0061】
本開示の熱管理流体は、望ましくは誘電性流体である。本明細書で使用される場合、誘電性流体は、25℃で液体であり、25℃で少なくとも1.5の誘電率を有する。本明細書での使用に特に望ましい誘電性流体は、望ましくは、比較的高い熱伝導率(例えば、25℃で少なくとも0.05W/m・K、又は少なくとも0.1W/m・K、又は更には少なくとも0.12W/m・K)及び/又は比較的高い比熱容量(例えば、25℃で少なくとも1J/g・K、又は少なくとも1.2J/g・K、又は更には少なくとも1.5J/g・K)を有する。
【0062】
本発明者らは、熱管理流体のための多くの他の望ましい化合物が環境基準を満たすことに注目した。本明細書に記載されるフッ素化エーテル系化合物は、既知の環境に優しいフッ素化オレフィンである2,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エンから誘導される。したがって、特定されたフッ素化エーテル系化合物は、生分解性であることが知られているフッ素化官能基を含有する。具体的には、2,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エンは、地球温暖化係数(GWP)が4であり、オゾン破壊係数がなく、約11日という非常に短い大気寿命を有する。したがって、本発明者らは、2,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エンから誘導される本明細書に記載のフッ素化エーテルが、同様の有利な環境特性を有することを突き止めた。
【0063】
本発明者らはまた、望ましい熱管理流体が特定の冷却剤要件(例えば、粘度、引火点、熱および電気伝導性)を満たすことにも注目した。これらの特性は、特定の電気デバイスまたはシステム(例えば、リチウムイオン電池、データセンター、または高性能コンピューティングセンター)の動作に関連する温度範囲で熱を運び去る高い能力を有することを含み、さらに、デバイスまたはシステムの直接冷却での使用に適するように十分に高い誘電率を有する。重要なことに、システム全体に酸素が入るリスクが常にあるので、望ましい熱管理流体は、着火の危険性を低減するために、高い引火点を有することが有利である。また、動作中により効率的な熱伝達を提供するために、望ましい熱管理流体は、有利には、低粘度を有し、特定の電気デバイスまたはシステムにおいてより良好な流動性を可能にする。
【0064】
本発明者らは、望ましい低粘度を提供するだけでなく、いくつかの実施形態では、高い引火点も有することができ、そのため、低着火の危険性から無圧力でシステムを通して容易にポンプ輸送することができる、熱管理流体組成物用のフッ素化エーテル系化合物を特定した。さらに、本発明者らは、低GWPを有するフッ素化エーテル系化合物を特定した。具体的には、本発明者らは、従来の誘電性流体(例えば、有機またはシリコーン)は、典型的には、良好な熱伝導率および比熱容量を有するが、望ましくないほど高い粘度を有し、一方、代替のフッ素化エーテル系流体は、高いGWPを有することを認識した。しかしながら、典型的な低粘度誘電性流体は、一般に、許容できないほど低い引火点(および他の発火特性)を有し、発火が危険である温度上昇の可能性があるシステムにおける冷却剤としての使用には不適切である。本発明者らは、本開示の化合物が、低い引火点を有さず、有利には低い粘度を有し、低いGWPを有する熱管理流体を提供することができることを見出した。熱管理流体のこれらの特性は、それらを、例えば、電気デバイスおよびシステムの直接冷却に特に好適にする。さらに、同定されたフッ素化エーテル系化合物は、生分解することが知られているフッ素化官能基を含有する。したがって、本発明者らは、フッ素化エーテルが低い地球温暖化係数を有することを突き止めた。
【0065】
本開示の熱管理流体および方法は、従来の流体に対していくつかの追加の利点を有することができる。特に、本開示の熱管理流体はまた、様々な実施形態において、望ましく高い熱伝導率、低い発火リスク、高い誘電率、および速い温度応答のうちの1つまたは複数を提供することができる。本開示の熱管理流体はまた、様々な実施形態において、従来の低粘度誘電性流体よりも低い表面張力を有することができる。
【0066】
したがって、様々な実施形態において、熱管理流体は、ASTM-D93(「Standard-Test-Methods-for-Flash-Point-by-Pensky-Martens-Closed-CupTester」)に従って測定され、少なくとも50℃の引火点、および25℃で少なくとも1.5の誘電率を有する。
【0067】
酸素がシステムに入るかもしれないといういくらかのリスクが常にあるので、本開示の熱管理流体は、有利には、発火を防ぐために高い引火点を有する。上述のように、本開示の熱管理流体は、ASTMD93に従って測定したときに、少なくとも50℃の引火点を有することができる。例えば、様々な実施形態において、本明細書に別途記載される熱管理流体は、ASTM-D93に従って測定される、少なくとも60℃、例えば、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃の引火点を有する。様々な実施形態において、本明細書に別に記載される熱管理流体は、ASTM-D93に従って測定される、少なくとも90℃、例えば、少なくとも95℃、少なくとも100℃、または少なくとも105℃の引火点を有する。50℃未満の引火点を有さない材料は、材料について引火点が測定できない場合であっても(すなわち、引火点に達する温度未満の温度での分解のため)、本開示の目的のために50℃超の引火点を有すると考えられる。
【0068】
特に比較的狭い通路が使用される場合に、システムを通る熱管理流体のポンプ輸送を簡単にするために、熱管理流体には低粘度が望ましいことが多い。当業者は、本開示に基づいて、例えば、システムを通して都合よく伝導されるように、所望の粘度を有する熱管理流体を提供するための成分を選択するであろう。したがって、様々な実施形態において、本明細書に別途記載される熱管理流体は、ASTM-D455に従って測定される、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の25℃での動粘度を有する。 様々な実施形態において、本明細書に別途記載される熱管理流体は、ASTM-D455に従って測定される、2~10cstの範囲、例えば、2~8cst、または2~6cst、または3~10cst、または3~8cst、または3~6cst、または5~10cst、または5~6cst、または6~10cst、または8~10cstの40℃での動粘度を有する。様々な実施形態において、本明細書に別途記載される熱管理流体は、ASTM-Dに従って測定される、2~10cstの範囲、例えば、2~8cst、または2~6cst、または3~10cst、または3~8cst、または3~6cst、または5~10cst、または5~6cst、または6~10cst、または8~10cstの40℃での動粘度を有する。様々な実施形態において、本明細書に別途記載される熱管理流体は、ASTM-D455に従って測定される、2~5cst、例えば、2~4cst、または2~3cst、または3~5cst、または3~4cst、または4~5cstの範囲の40℃での動粘度を有する。また、様々な実施形態において、本明細書に別途記載される熱管理流体は、ASTM-D455に従って測定される、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の25℃での動的粘度を有する。
【0069】
本開示の熱管理流体は、望ましくは、直接冷却用途に使用することができるように誘電性である。したがって、それらは25℃で測定して少なくとも1.5の誘電率を有する。誘電率は、ASTM-D924を用いて、同軸プローブ法を用いて測定される。様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、25℃で測定したときに、少なくとも1.5、例えば、少なくとも1.75、または少なくとも2.0、または少なくとも2.25の誘電率を有する。様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、1.5~10、または1.8~10、または1.5~2.8、または1.8~2.8の範囲の誘電率を有する。
【0070】
本開示の様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、25℃で2.0g/cm3以下の密度を有し得る。例えば、本開示の様々な実施形態において、本明細書に別に記載される熱管理流体は、25℃で1.8g/cm3以下、例えば、25℃で1.6g/cm3以下の密度を有し得る。本開示の様々な実施形態において、本明細書に別途記載される熱管理流体は、25℃で約0.5~2.0g/cm3の範囲、例えば、25℃で約0.6~1.9g/cm3の範囲、25℃で約0.7~1.8g/cm3の範囲、25℃で約0.8~1.7g/cm3の範囲、25℃で約0.9~1.6g/cm3の範囲、または25℃で約0.9~1.5g/cm3の範囲の密度を有し得る。
【0071】
本開示の様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、25℃で少なくとも1J/g・K、または少なくとも1.2J/g・K、またはさらに少なくとも1.5J/g・Kの比熱容量を有し得る。本開示の様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、25℃で0.05W/m・K~1W/m・Kの範囲の熱伝導率を有し得る。本開示の様々な実施形態において、本開示の熱管理流体は、1100×10-6/K以下(例えば、1050×10-6/K以下、または1000×10-6/K以下)の熱膨張係数を有し得る。
【0072】
本開示の様々な実施形態において、熱管理流体は、ASTM-D93に従って測定される、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃の引火点を有し、ASTM-D455に従って測定され、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の25℃での動粘度を有する。
【0073】
本開示の様々な実施形態において、熱管理流体は、ASTM-D93に従って測定され、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃の引火点を有し、ASTM-D455に従って測定され、2~20cstの範囲、例えば、2~15cst、または3~20cst、または3~15cst、または5~20cstの範囲の40℃での動粘度を有する。
【0074】
本開示の別の態様は、本明細書に記載される熱管理流体を、少なくとも25℃、例えば、少なくとも30℃、又は少なくとも40℃の温度を有する表面と接触させることであって、表面が熱源と実質的に熱連通して、接触させることと、表面を通して熱源から熱管理流体中に熱エネルギーを吸収することと、を含む方法を提供する。
【0075】
熱管理流体と表面との接触は、動的または静的(すなわち、伝導性)であり得る。例えば、様々な実施形態において、熱管理流体と表面との接触は、表面上に流体を循環させることによって、例えば、ポンプで送るか、または他の方法で流すことによって実施することができる。様々な実施形態において、接触は、循環なしに、例えば、流体の静止体である熱管理流体と表面を接触させることによって、実施することもできる。
【0076】
表面の温度は変化し得る;熱管理流体は、種々の温度での使用に適合され得る。本明細書に別途記載される様々な実施形態では、表面の温度は、25℃~150℃、例えば、25℃~100℃、または25℃~90℃、または25℃~85℃、または25℃~80℃、または25℃~75℃、または25℃~70℃の範囲である。本明細書に別途記載される様々な実施形態では、表面の温度は、30℃~150℃、例えば、30℃~100℃、または30℃~90℃、または30℃~85℃、または30℃~80℃、または30℃~75℃、または30℃~70℃の範囲である。本明細書に別途記載される様々な実施形態では、表面の温度は、40℃~150℃、例えば、50℃~150℃、または60℃~150℃、または70℃~150℃、または80℃~150℃、または90℃~150℃、または100℃~150℃、または110℃~150℃の範囲である。様々な実施形態における(及び装置又はシステムの動作中の様々な時点における)表面の温度は、熱管理システムの式(I)の1つ又は複数の化合物のいずれの沸点以下である。様々な実施形態において、接触させることを通して、式(I)の1つ以上の化合物のそれぞれは、その沸点に達しない。しかしながら、以下に記載されるように、他の実施形態において、表面は、式(I)の1つ以上の化合物の沸点よりも高く、その結果、蒸発は、冷却方法の一部である。
【0077】
本開示の方法の実施形態が、図1を参照して示される。熱管理回路100は、図1の概略的な側断面図に示されている。熱管理回路100は、回路を通って循環し、表面142を通過する熱管理流体120を含む。表面142の温度は、熱管理流体120の温度と比較して上昇する。その結果、熱エネルギーは、表面142から熱管理流体120に吸収される。
【0078】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、本方法は、電気部品を動作させることによって熱エネルギーを生成することを含む。例えば、熱管理回路100は、動作中に熱を発生する電気部品140に関連付けられる。様々な実施形態において、熱は、電気部品の充電および放電の要素として生成される。当業者には理解されるように、電気部品の動作の非効率性および回路の抵抗は、電流が電気部品の回路および要素を通過するときに熱を生成する。例えば、電気部品140の動作からの熱は、表面142の温度を上昇させ、その結果、熱管理流体120への熱エネルギーの伝達が生じる。他の実施形態では、熱エネルギーは、発熱反応などの化学反応によって、または摩擦によって生成される。さらに他の実施形態では、熱管理流体は冷却され、周囲温度またはわずかに高い温度で表面から熱エネルギーを吸収する。
【0079】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、電気部品は、バッテリシステム、コンデンサ、インバータ、電気ケーブル、燃料電池、モータ、又はコンピュータを含む。例えば、様々な実施形態において、電気部品は、ハウジング内に配置された1つ以上の電気化学セルを含むバッテリシステムである。他の実施形態では、電気部品は、電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサ、例えば、スーパーコンデンサなどの1つまたは複数のコンデンサである。さらに他の実施形態では、電気部品は、高分子電解質膜燃料電池、直接メタノール燃料電池、アルカリ燃料電池、リン酸燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池、固体酸化物燃料電池、または可逆燃料電池などの1つまたは複数の燃料電池である。様々な実施形態において、電気部品は電気モータである。他の実施形態では、電気部品は、コンピュータ、例えば、パーソナルコンピュータまたはサーバである。さらに、他の実施形態では、電気部品は高電力充電装置である。
【0080】
本発明の電気部品は、直流(直流)または交流(交流)で動作することができる。本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、電気部品は、48Vを超えるDCまたはAC電圧で動作する。本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、電気部品は、100V超、200V超、又は300V超のDC又はAC電圧で動作する。
【0081】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、表面は、電気部品の表面である。例えば、図1では、電気部品140のハウジング150は、熱管理流体120のリザーバを含む。熱を生成する様々な回路を含む電気部品の要素は、熱管理流体120に沈められ、熱管理流体は、電気部品140の外面142から熱エネルギーを直接吸収する。
【0082】
本明細書に別途記載される様々な実施形態では、表面は、導管の内部表面である。例えば、図2は、複数の個別のユニット244を含む電気部品240を含む熱管理回路200を示す。特に、電気部品240は、複数の電気化学セル244を含むバッテリである。電気部品240は、電気部品の内部を通って電気化学セル244間に延在する導管246をさらに含む。電気部品が熱エネルギーを生成すると、導管246の内面242が加熱され、熱エネルギーは熱管理流体220によって吸収される。
【0083】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、導管は、電気部品を囲むハウジングを通過する。例えば、熱管理回路200内の導管246は、電気部品240を囲むハウジング250内の開口252を通って延び、これにより、熱管理流体220を熱管理回路200の他の要素に運ぶことができる。
【0084】
本開示の別の態様は、ハウジングと、ハウジング内に配置された1つ以上の電気化学セルと、ハウジングを通って延在し、1つ以上の電気化学セルと実質的に熱連通する流体経路と、流体経路内に配置された、上述の実施形態のいずれかによる熱管理流体とを含むバッテリシステムを提供する。例えば、図2の熱管理回路200は、バッテリシステム210を含む。バッテリシステムは、ハウジング250の内部に配置された複数の電気化学セル244を含む。導管246は、ハウジングを通って延びる流体経路を形成する。導管246内に配置された熱管理流体220は、それによって、電気化学セル244と熱連通するように配置される。電気化学セル244が充電及び放電すると、それらは熱を生成し、その熱は熱管理流体220によって吸収される。様々な実施形態において、電気化学セルは、大量の熱を発生する急速充電を受ける。熱管理流体の高い熱容量は、この大量の熱を、それが生成されるとすぐに吸収することができる。
【0085】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、流体経路は、ハウジングの空洞によって少なくとも部分的に画定される。例えば、種々の実施形態では、構成要素140内の流体経路122と同様に、流体経路の少なくとも一部は、電気化学セルと筐体の内壁との間に形成される。
【0086】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、流体経路は、ハウジング内に配置された少なくとも1つの導管によって少なくとも部分的に画定される。例えば、バッテリシステム210において、導管246は、ハウジング250を通る流体経路222を提供する。
【0087】
本明細書に別途記載される様々な実施形態において、電気化学セルはリチウムイオン電気化学セルである。他の実施形態では、電気化学セルは、固体セル、リチウム硫黄セル、リン酸鉄リチウムセル、リチウムイオンポリマーセル、ナトリウムイオンセル、アルミニウムイオンセル、鉛酸セル、またはマグネシウムイオンセルである。
【0088】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、バッテリシステムは、電気自動車の構成要素である。いくつかの実施形態では、電気自動車は、完全電気自動車またはハイブリッド電気自動車である。他の実施形態では、バッテリシステムは、動力モータ、例えば、電気モータまたはパワーエレクトロニクスにおけるモータの構成要素である。他の実施形態では、バッテリシステムは、固定式エネルギー貯蔵ソリューション、例えば、ソーラーパネルまたは風力タービン等のローカル再生可能エネルギー源と協働して動作する家庭用エネルギー貯蔵ソリューションの一部である。
【0089】
本開示の別の態様は、熱供給源の周りに及び/又は熱供給源を通って延在する流体経路と、流体経路内に配置され、流体経路内を循環し、熱供給源によって生成された熱エネルギを吸収するように構成された、上述の実施形態のいずれかによる熱管理流体とを含む熱管理回路を提供し、流体は、流体経路、熱交換器、ポンプ、及び接続ダクト内に配置される。例えば、図1に示される熱管理回路100は、電気部品140の周りに延びる流体経路122を含む。熱管理流体120は、経路122を通って流れ、電子部品140から熱エネルギーを吸収する。流体経路122から、熱管理流体120は、第1のダクト130を通って熱交換器160に流れる。熱管理流体120に蓄積された熱エネルギは、流体が第2のダクト132を通ってポンプ170に流れる前に、熱交換器160内の流体から除去される。ポンプ170の後、熱管理流体120は、第3のダクト134を通過し、電気部品140を囲む流体経路122に戻る。図1に示される回路100は、記載された熱管理流体を使用する複雑でない実施形態の概略図である。他の実施形態では、熱管理回路は、弁、ポンプ、熱交換器、リザーバ、およびダクトの任意の組み合わせ等の付加的要素を含む。
【0090】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、熱源は、複数の電気化学セルを含むバッテリであり、流体経路は、電気化学セルのうちの少なくとも2つの間を通る。
【0091】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、流体経路は、電気部品の周囲のハウジングによって画定される。例えば、図1のハウジング150は、電気部品140を取り囲み、熱管理流体120のための空洞を提供する。電気部品140は、ハウジング150の壁からある距離をおいてハウジング内に保持され、これにより、ハウジング150と電気部品140との間に熱管理流体120のための経路を形成することが可能になる。ハウジング150は、熱管理流体120のためのアクセスを提供する特定の開口152を有する閉じた形状を有するが、他の実施形態では、ハウジングの上部は開いており、熱管理流体は、重力によってハウジング内に保持される。
【0092】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、流体経路は、電気部品によって生成される熱エネルギーを吸収するように、電気部品と実質的に熱連通する熱管理流体を配置するように構成される。例えば、熱管理回路100において、流体経路122は、電気部品140の周りに延在し、電気部品140の表面と直接接触している。さらに、熱管理回路200において、流体経路222は、電気部品240の要素に隣接して延びる導管246を通過する。両方の場合において、流体経路は、熱管理流体が構成要素から熱エネルギーを容易に吸収するように、熱管理流体を電気構成要素に近接して配置する。
【0093】
本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、熱管理回路は、流体経路と流体連通する熱交換器をさらに含み、熱管理流体は、熱交換器を通して熱を放散するために流体経路と熱交換器との間を循環するように構成される。本明細書に別途記載されるような様々な実施形態において、熱交換器は、熱管理流体から熱を除去するように構成される。例えば、熱管理回路100において、熱管理流体120がハウジング150からポンプで送り出された後、熱管理流体110は熱交換器160に進み、そこで熱エネルギが周囲空気または冷却液などのより冷たい流体に伝達される。
【0094】
本明細書に別途記載される様々な実施形態において、熱管理回路は、上述の実施形態のいずれかによる電池システムを含む。例えば、熱管理回路200は、バッテリシステム210を含む。本明細書に別途記載されるような様々な実施形態では、熱管理回路は、上述の実施形態のいずれかに従って配置された固定化された乾燥剤材料を含む。例えば、熱管理回路300は、電池乾燥剤材料360を含む。様々な実施形態において、熱管理回路は、データセンターハードウェアユニットの構成要素である。様々な実施形態において、熱管理回路は、高性能コンピュータの構成要素である。
【0095】
本発明者らは、有機誘電性流体の優れた誘電特性および熱伝導性を有する、本明細書に記載されるような特定の化合物の相変化および化学的不活性特性を利用する誘電性熱管理流体組成物を特定した。具体的には、本発明者らは、特定の化合物が、リチウムイオン電池などの電気デバイスおよびシステムの動作に関連する温度で相変化(すなわち、液体から気体へ)を受けることができることを認識した。この相変化は、図3に概略的に示されるように、電気部品の冷却を提供するために使用される蒸発の潜熱を有する冷却システムにおいて使用され得る。さらに、多くの化合物は、高い引火点を有するか、または引火点を全く有さない。したがって、化合物の気化がシステム内に化合物蒸気の高濃度を生成することができるとしても、蒸気の着火の危険性はほとんどない。化合物はまた、一般に、有利には、低粘度および高密度を有することができる。しかしながら、多くの化合物は、熱伝導性および比熱容量が低い。比較すると、誘電性流体(例えば、有機またはシリコーン)は、典型的には、良好な熱伝導率および比熱容量を有する。本発明者らは、本明細書に記載されるような気化ベースの冷却が、1つ以上の適切な誘電性流体中に分散された1つ以上の適切な化合物によって有利に提供され得ることを突き止めた。いくつかの実施形態において、本開示の改善された熱管理流体をもたらすのは、化合物と誘電性流体との相乗的な組み合わせであり、化合物成分は、着火の危険性を伴わない蒸発ベースの冷却を提供し、誘電性流体成分は、望ましい熱流および取り扱い特性を提供し、両方の流体は、電気デバイスおよびシステムの直接冷却に必要な誘電特性を提供する。
【0096】
本開示のこの態様の熱管理流体および方法は、従来の流体に対していくつかの利点を有することができる。特に、気化は、典型的には、流体の単なる温度上昇よりもはるかに多くのエネルギーを必要とする。したがって、冷却の機構は、誘電性熱管理流体の化合物成分の気化を含むことができるので、熱管理流体は、冷却のための高い全体的な容量を有することができる。化合物成分の蒸発はまた、高い冷却速度を提供することができ、これは、熱暴走からの保護を助けるためにリチウムイオン電池の文脈において特に望ましいことがある。また、化合物成分は所望の沸点を有するものを選択することができるので、当業者は、電気装置またはシステムの温度を所望の動作範囲内に維持するために、1つまたは複数の所望の温度で高い熱容量を有する流体を提供することができる。本開示の誘電性流体中の材料の組み合わせはまた、様々な実施形態において、望ましく低い粘度、高い熱伝導率、発火の低い危険性、高い誘電率、高い密度、およびより速い温度応答のうちの1つまたは複数を提供することができる。
【0097】
本発明者らは、特定の場合において、望ましい誘電性熱管理流体が、特定の電気デバイスまたはシステム(例えば、リチウムイオン電池)の動作に関連する温度範囲で熱を運び去る高い能力を有し、さらに、デバイスまたはシステムの直接冷却での使用に適するように十分に高い誘電率を有することに注目した。さらに、システム全体に酸素が入るリスクが常にあるため、望ましい熱管理流体は、着火の危険性を低減するために、高い引火点を有するか、理想的には引火点を有さないことが有利である。
【0098】
様々なそのような実施形態において、化合物のうちの1つ以上は、30℃~300℃の範囲の沸点(すなわち、1atmで)を有する。本発明者らは、本明細書に記載されるもののような比較的揮発性の化合物が、液体から気体に蒸発するときに(すなわち、それらの気化熱によって測定されるときに)冷却効果を提供することができることに注目した。この相転移は、非常に狭い温度範囲で起こり、したがって、所与の温度(すなわち、化合物の沸点付近、いくつかの実施形態では、熱管理流体が収容される空間内の圧力によって修正される)で比較的大量の熱を吸収する能力を熱管理流体に提供するように機能することができる。したがって、本明細書で提供される1つ以上の化合物の使用は、1つ以上の温度で比較的高い熱量を吸収することによって、電気部品の熱暴走を防止するのに役立ち得る。同様に、本明細書で提供される1つ以上の化合物の使用は、充電式電池(例えば、リチウムイオン電池)などの電気部品の急速充電において発生する熱を迅速に吸収するのに役立ち得る。
【0099】
特に、1つ以上の化合物が含まれる空間の圧力は、1つ以上の化合物に望ましい沸点を提供するように調節され得る。当業者が理解するように、材料の沸点は圧力に依存し、したがって、圧力を調節することによって、沸点を変更することができる。圧力は、例えば、化合物の沸点を低下させるために大気圧よりも高くなるように調節することができる。本明細書に記載される膨張チャンバは、化合物含有空間内の圧力を調節するために使用され得る。
【0100】
本明細書の開示に基づいて、1つ以上の化合物は、対象となる熱プロセスまたはシステムに関連する沸点を有するように選択され得る。例えば、各化合物は、プロセスまたはシステムに熱「停止」を提供するように選択され得、より多くの熱が熱管理流体によって吸収される場合でさえ、その沸点付近の温度を維持することを助ける。複数の化合物が提供される場合、1つは、所望の動作温度範囲(例えば、上述のように、30~50℃または30~80℃)で熱「停止」を提供することができ、別の1つは、熱暴走を防止するために、より高い温度(例えば、上述のように、80~150℃または80~110℃)で熱停止を提供することができる。さらに、1つ以上の化合物は、それらが使用されるシステムの他の成分に対して低い反応性を有するように、ならびに所望の熱容量、熱伝導率、および粘度を有する熱管理流体全体を提供するように選択され得る。1つ以上の化合物を選択する際の他の考慮事項としては、有害性および環境影響が挙げられ得る。
【0101】
蒸発冷却に関するさらなる詳細は、特許文献1および特許文献2に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および熱管理流体は、そのような方法および装置で使用することができる。
式(I)の化合物の調製
【0102】
本開示の化合物は、安価な出発物質から容易に調製することができる。例えば、式(I)の化合物は、式(II)の化合物を式(III)の化合物と接触させることによって製造することができる。
【化16】
mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、H、OH、または-O-R6から選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4はそれぞれ、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり;
と-C(=CH2)-CF3との反応により、式(I)の第1の化合物を得ることを含む、方法。
【0103】
様々な実施形態において、式(II)の化合物の1つ以上において、AはOHである。様々な実施形態において、式(II)の化合物の1つまたは複数において、Aは-O-R6である。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(II)の1つ以上の化合物において、R6は、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、またはC1~C4アルキルなどのC1~C10アルキルである。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(II)の1つ以上の化合物において、R6は、C8~C12アルキル、例えばC8~C10アルキルまたはC10~C12アルキルである。本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(II)の1つ以上の化合物において、R6は、分岐C6~C12アルキル、例えば、分岐C6~C10アルキル、分岐C6~C8アルキル、分岐C8~C12アルキル、分岐C8~C10アルキル、または分岐C10~C12アルキルである。分岐は、例えば、R6が結合している酸素原子に対してα位またはβ位に存在し得る。例えば、本明細書に別途記載される様々な実施形態において、式(II)の1つ以上の化合物において、R6は、α分岐C1~C12アルキルであるか、またはβ分岐C1~C12アルキルである。様々な実施形態において、分岐は、酸素原子に対してβ位にある。
【0104】
式(I)のエーテルは、一般に、以下の一般スキームに従う任意の好都合な経路によって作製することができる。
【化17】
様々な実施形態において、本開示の化合物の1つ以上は、式(I)の第1の化合物をさらに水素化して、式(I)の第2の化合物を提供することによって作製され得る。当業者に知られているように、水素化の任意の手段を使用することができる。例えば、水素化は、式(I)の第1の化合物を水素化触媒の存在下で水素ガスと接触させて、以下の一般スキームに従う任意の好都合な経路によって式(I)の第2の化合物を得ることによって実施することができる。
【化18】
様々な実施形態において、水素化触媒は、パラジウム、白金、ニッケル(例えば、ラネーニッケル)およびロジウム触媒から選択される。様々な実施形態において、水素化触媒は、パラジウムおよび白金触媒から、例えば、Pd/C、Pt(OH)2、およびPtO2から選択される。
【0105】
様々な実施形態において、式(I)のエーテル(式中、Aは、本明細書に記載されるようにHまたは-O-R6である)は、一般に、以下のスキーム(III)に従う任意の好都合な経路によって作製することができる。
【化19】
例えば、テトラヒドロフラン(150mL)およびジメチルホルムアミド(25mL)中の式(II)のモノアルコール(143mmol)を、窒素ガス下、室温で攪拌した。カリウムtertブトキシド(1当量)をフラスコに少しずつ添加した。反応混合物の温度は、塩基の添加中に20℃から25℃に上昇した。次いで、フラスコに固体CO2/アセトン冷却凝縮器を取り付け、反応混合物を固体CO2/アセトン浴中で-60℃に冷却した。冷却したら、2,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エン(1当量)ガスを溶液に添加し、冷却浴を除去した。反応混合物を周囲温度まで徐々に温め、2時間撹拌した。次いで、反応混合物をNaOH水溶液に添加し、THFを真空下で除去した。得られた残渣をヘキサン中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて赤色油状物を得た。この油の精製をカラムクロマトグラフ(シリカ、2.5%ジエチルエーテル/ヘキサン)および蒸留により行って、無色の油を得た。式(II)のモノアルコールから式(I)の化合物への典型的な反応変換は、>95%であり、精製後の収率は50~70%であった。
【0106】
様々な実施形態において、式(I)のエーテル(式中、Aは、本明細書に記載されるようなOHである)は、一般に、以下のスキーム(IV)に従う任意の好都合な経路によって作製することができる。
【化20】
例えば、式(II)のジオール(150mmol)、テトラヒドロフラン(165mL)、およびトリエチルアミン(2.1当量)を、窒素ガス下、室温で攪拌した。次いで、フラスコに固体CO2/アセトン冷却凝縮器を取り付け、反応混合物を固体CO2/アセトン浴中で-60℃に冷却した。冷却したら、2,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エン(2当量)ガスを溶液に添加し、冷却浴を除去した。反応混合物を周囲温度まで徐々に温め、3時間撹拌した。次いで、反応混合物をNaOH水溶液に添加し、THFを真空下で除去した。得られた残渣をヘキサン中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を真空下で蒸発させて、油状物を得た。この油の精製をカラムクロマトグラフ(シリカ、1%ジエチルエーテル/ヘキサン)および蒸留によって達成して、無色の油を得た。式(II)のモノアルコールから式(I)の化合物への典型的な反応変換は>95%であり、精製後の収率は40~75%であった。
【0107】
種々の実施形態において、本開示の化合物のうちの1つ以上は、スキーム(III)またはスキーム(IV)によって作製されて、式(I)の第1の化合物を提供し得、スキーム(II)によって記載されるようにさらに水素化されて、式(I)の第2の化合物を提供し得る。例えば、エタノール(100mL)およびヘキサン(100mL)中の式(I)のトリフルオロメチルビニルエーテル(147mmol)および10%Pd/C(0.005当量)をオートクレーブに入れ、15バールの水素まで加圧した。混合物を25℃で16時間撹拌した。次いで、圧力を解放し、混合物をセライトで濾過した。次いで、溶媒を蒸発させて、油状物を得た。蒸留によって油の精製を達成して、式(I)の第2の化合物を、ガスクロマトグラフィーによって決定して、>93%の収率および>99%の純度で得た。
【0108】
当業者は、これらの変換を行う際に種々の塩基を使用できることを認識するであろう。tBuOKおよびトリエチルアミンが望ましい塩基であるが、NaH、n-BuLi、t-BuLi、およびMeMgBrを含む他のものを使用することができる。当業者はまた、これらの変換を行う際に種々の溶媒を使用することができることを認識するであろう。ジメチルホルムアミド(DMF)およびテトラヒドロフラン(THF)が好ましいが、他の溶媒を使用することもできる。様々な実施形態において、本明細書に記載される方法によって作製される本開示の化合物のうちの1つ以上は、不活性雰囲気下、例えば、アルゴン雰囲気下または窒素雰囲気下で調製される。式(I)の所望の化合物は、任意の公知の方法によって単離することができる。任意の所望の精製は、任意の公知の方法、例えば蒸留によって達成することができる。
実施例
【0109】
本開示の方法は、以下の実施例によってさらに例示され、これは、本開示の範囲または精神を、それらに記載される特定の手順および化合物に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0110】
本開示の化合物は、以下の表2、表3、表4の化合物を含む。
【表2】
【表3】
【表4】
【0111】
表5,表6は、既知の分子の特性との比較に基づく、上記の構造の特性(沸点、流動点、25℃での密度、25℃での動的粘度、25℃での動粘度、及び25℃での熱伝導率mW/m・K)の推定値を示す。
【表5】
【表6】
【0112】
表7、表8は、本開示のフッ素化エーテルと比較の非フッ素化エーテル類似体との間の引火点の比較を提供する。比較の非フッ素化エーテル類似体は、以下の表中で「C」で示される。
【表7】
【表8】
上記の表から、不飽和フッ素化エーテル化合物は、対応する不飽和および飽和非フッ素化エーテル化合物よりも高い引火点を有するという一般的な傾向が見られる。-また、飽和フッ素化エーテル化合物が、飽和非フッ素化エーテル化合物よりも予想外に低い引火点を有することも注目に値する。理論に束縛されるものではないが、予想外に低い引火点は、CF3基が第三級炭素に対して有する電子求引効果に起因し得ると仮定される。
【0113】
本開示の他の態様は、以下に列挙される実施形態に関して記載され、これらは、技術的または論理的に矛盾しない任意の様式および任意の数で組み合わされ得る。
【0114】
実施形態1は、式(I)の化合物に関する。
【化21】

mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;
R1は、-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
R2およびR3はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4のそれぞれは、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3
【0115】
実施形態2は、R1が、-C(=CH2) -CF3であり、Aは-O-R6である実施形態1の化合物に関する。
【0116】
実施形態3は、R1が、-CH(CH3)-CF3であり、Aは-O-R6である実施形態1の化合物に関する。
【0117】
実施形態4は、R6が、-C(=CH2) -CF3であり、実施形態1~3のいずれかの化合物に関する。
【0118】
実施形態5は、R6が、-CH(CH3)-CF3であり、実施形態1~3のいずれかの化合物に関する。
【0119】
実施形態6は、R1が、-C(=CH2) -CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-C(=CH2) -CF3である実施形態1の化合物に関する。
【0120】
実施形態7は、R1が、-CH(CH3)-CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-CH(CH3)-CF3
である実施形態1の化合物に関する。
【0121】
実施形態8は、R1が、-C(=CH2) -CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-CH(CH3)-CF3である実施形態1の化合物に関する。
【0122】
実施形態9は、R1が、-CH(CH3)-CF3であり、Aは-O-R6であり、R6は-C(=CH2) -CF3である実施形態1の化合物に関する。
【0123】
実施形態10は、R6がC1~C12アルキルである実施形態1~3のいずれかの化合物に関する。
【0124】
実施形態11は、R6が、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、またはC1~C4アルキルなどのC1~C10アルキルである実施形態1~3のいずれかの化合物に関する。
【0125】
実施形態12は、R6が、C8~C12アルキル、例えばC8~C10アルキルまたはC10~C12アルキルである実施形態1~3のいずれかの化合物に関する。
【0126】
実施形態13は、R6が、分岐状C6~C12アルキル、例えば、分岐状C6~C10アルキル、分岐状C6~C8アルキル、分岐状C8~C12アルキル、分岐状C8~C10アルキル、または分岐状C10~C12アルキルである実施形態1~3のいずれかの化合物に関する。
【0127】
実施形態14は、R6の分枝が、R6が結合している酸素原子に対してβ位にある実施形態13の化合物を対象とする。
【0128】
実施形態15は、R1が-C(=CH2) -CF3であり、AはHであるである実施形態1の化合物に関する。
【0129】
実施形態16は、R1が、-CH(CH3)-CF3であり、AはHである実施形態1の化合物に関する。
【0130】
実施形態17は、実施形態1~16のいずれかの化合物を対象とし、式中、各R2、R3、R4およびR5は、独立して、HおよびC1~C4アルキル(例えば、C1~C3アルキルまたはC1~C2アルキル)から選択される。
【0131】
実施形態18は、実施形態1~16のいずれかの化合物を対象とし、式中、R2、R3、R4、及びR5のそれぞれは、独立して、H及びC1アルキル(すなわち、メチル)から選択される。
【0132】
実施形態19は、各R2がHであり、各R3がHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)であり;各R4がHであり、各R5がHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)である、実施形態1~16のいずれかの化合物に関する。
【0133】
実施形態20は、各R2がHであり、R3がHであり、R4がHであり、各R5がHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)である、実施形態1~16のいずれかの化合物に関する。
【0134】
実施形態21は、各R2がHであり、R4がHであり、R5がHであり、R3がHまたはC1~C6アルキル(C1~C4アルキルまたはC1~C2アルキルなど)である、実施形態1~16のいずれかの化合物に関する。
【0135】
実施形態22は、実施形態1~19のいずれかの化合物を対象とし、式中、1つのみのR5は、H以外である。
【0136】
実施形態23は、各R2およびR4が、HまたはC1~C4アルキル(例えば、C1~C3アルキルまたはC1~C2アルキル)であり、R3およびR5が、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成する、実施形態1~16のいずれかの化合物に関する。
【0137】
実施形態24は、各R2及びR4が、Hまたはメチルであり、R3及びR5が、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成する、実施形態1~16のいずれかに記載の化合物に関する。
【0138】
実施形態25は、実施形態1~16のいずれかの化合物を対象とし、式中、各R2及びR4-R4は、HまたはC1(すなわち、メチル)であり、R3及びR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C6シクロアルキルを形成する。
【0139】
実施形態26は、実施形態1~16のいずれかの化合物を対象とし、式中、R2、R3、R4、及びR5のそれぞれは、Hであり、すなわち、化合物は、式(III)を有する。
【化22】
実施形態27は、R2、R4、およびR5のそれぞれがHであり、R3がHまたはC1~C6アルキル(メチルまたはエチルなど)である、実施形態1~16のいずれかの化合物を対象とし、すなわち、化合物は式(I)を有する。
【化23】
実施形態28は、式(I)の化合物を対象とする。
【化24】

mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;
R1は、-C(=CH2) -CF3であり、または-CH(CH3)-CF3
R2およびR3の各々は、独立して、HまたはC1~C6アルキルであり;
R4およびR5のそれぞれは、独立して、HまたはC1~C6アルキルであり;
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2) -CF3、または-CH(CH3)-CF3
式中、種々の基は、上記の実施形態1~22、26および27のいずれかのように定義され得る。
【0140】
実施形態29は、式(I)の化合物に関する。
【化25】

mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、Hまたは-O-R6であり;
R1は、-C(=CH2) -CF3であり、または-CH(CH3)-CF3
R2およびR4のそれぞれは、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり-C(=CH2) -CF3、または-CH(CH3)-CF3
式中、様々な基は、上記の実施形態1~16および23~25のいずれかのように定義することができる。
【0141】
実施形態30は、実施形態1~29のいずれかの化合物を対象とし、式中、nは、整数1~12であり、例えば、nは整数1~8である。
【0142】
実施形態31は、実施形態1~29のいずれかの化合物を対象とし、式中、nは、1~6の整数であり、例えば、nは1~4の整数または1~2の整数である。
【0143】
実施形態32は、実施形態1~29の化合物を対象とし、式中、nは、4~16の整数であり、例えば、nは8~16の整数または10~16の整数である。
【0144】
実施形態33は、実施形態1~29の化合物を対象とし、式中、nは、4~12の整数であり、例えば、nは6~12の整数である。
【0145】
実施形態34は、実施形態1~29のいずれかの化合物を対象とし、式中、nは1であり、例えば、化合物は、次式を有する。
【化26】
実施形態35は、実施形態34の化合物を対象とし、式中、Aは-O-R6であり、すなわち、化合物は、式(VII)を有する。
【化27】
実施形態36は、実施形態1~29のいずれかの化合物を対象とし、式中、nは2であり、すなわち、化合物は、式(I)
【化28】
【化29】
【0146】
実施形態37は、実施形態36の化合物を対象とし、式中、Aは-O-R6であり、各R2はHであり、各R3はHであり、各R4およびR5は独立してHまたはC1-C6アルキルであり、すなわち、化合物は式(VII)を有する。
【化30】
【0147】
実施形態38は、mが1である、実施形態1~37のいずれかの化合物に関する。
【0148】
実施形態39は、mが2である、実施形態1~37のいずれかの化合物に関する。
【0149】
実施形態40は、mが3である、実施形態1~37のいずれかの化合物に関する。
【0150】
実施形態41は、実施形態1~14および30~37の化合物を対象とし、該化合物は、式:を有する。
【化31】
【0151】
実施形態42は、実施形態41の化合物を対象とし、式中、nは、1~16の範囲、例えば、1~12の範囲、1~8の範囲、1~4の範囲、1~2の範囲の整数である。
【0152】
実施形態43は、nが1である、実施形態41の化合物に関する。
【0153】
実施形態44は、実施形態41または実施形態42の化合物に関し、R1は-C(=CH2)-CF3または-CH(CH3)-CF3であり、R6はC1~C12アルキルであり-C(=CH2)-CF3、または-CH(CH3)-CF3である。
【0154】
実施形態45は、R1が、-C(=CH2)-CFである実施形態41または実施形態42の化合物に関する。
【0155】
実施形態46は、R1が、-CH(CH3)-CF3である実施形態41または実施形態42の化合物に関する。実施形態47は、R6がメチルまたはエチルである、実施形態41~46のいずれかの化合物に関する。
【0156】
実施形態48は、R6が、プロピル(例えば、n-プロピル、イソプロピル)またはブチル、例えば、n-ブチル、t-ブチル、sec-ブチルまたはイソブチルである、実施形態41~46のいずれかの化合物に関する。
【0157】
実施形態49は、R6が、分岐状ペンチル、例えば、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピルである、実施形態41~46のいずれかの化合物に関する。
【0158】
実施形態50は、R6が、分岐状、例えば、基-CH2-CH(Rb)(Rd)(式中、Rbは、メチルまたはエチルであり、Rdは、C3~C8アルキルである)であり、例えば、R6が、2-エチルヘキシルである、実施形態41~46のいずれかの化合物を対象とする。
【0159】
実施形態51は、実施形態41~43のいずれかの化合物に関する。R6が-C(=CH2)-CF3であるR1は-C(=CH2)-CF3である。
【0160】
実施形態52は、R6が、-CH(CH3)-CF3であり、R1は-CH(CH3)-CF3である実施形態41~43のいずれかの化合物に関する。
【0161】
実施形態53は、実施形態1~52のいずれかの化合物を対象とし、化合物は、5~30(例えば、5~26、5~22、5~18、6~30、6~26、6~22、8~30、8~26、または8~22)の総数の炭素原子を含有する。
【0162】
実施形態54は、実施形態1~52のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、6~16個の総数の炭素原子を含有する。
【0163】
実施形態55は、実施形態1の化合物を対象とし、化合物は、次式のものから選択される。
【化32】
【0164】
実施形態56は、実施形態1~55のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D93に従って測定して、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃(例えば、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃)の引火点を有する。
【0165】
実施形態57は、実施形態1~55のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D93に従って測定して、少なくとも90℃(例えば、少なくとも95℃、少なくとも100℃、または少なくとも105℃)の引火点を有する。
【0166】
実施形態58は、実施形態1~57のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D455に従って測定して、25℃で、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の動粘度を有する。
【0167】
実施形態59は、実施形態1~57のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D455に従って測定して、40℃で2~20cstの範囲、例えば、2~15cst、または3~20cst、または3~15cst、または5~20cst、または5~15cstの範囲の動粘度を有する。
【0168】
実施形態60は、実施形態1~57のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D455に従って測定して、40℃で2~10cst、例えば、2~8cst、または2~6cst、または3~10cst、または3~8cst、または3~6cst、または5~10cst、または5~8cst、または5~6cst、または6~10cst、または8~10cstの範囲の動粘度を有する。
【0169】
実施形態61は、実施形態1~57のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D455に従って測定して、2~5cst、または2~4cst、または2~3cst、または3~5cst、または3~4cst、または4~5cstの範囲の40℃での動粘度を有する。
【0170】
実施形態62は、実施形態1~61のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D455に従って測定して、25℃で0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の動的粘度を有する。
【0171】
実施形態63は、実施形態1~55のいずれかの化合物を対象とし、化合物は、ASTM-D93に従って測定して、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃(例えば、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃)の引火点、およびASTM-D455に従って測定して、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の25℃での動粘度を有する。
【0172】
実施形態64は、実施形態1~55のいずれかの化合物を対象とし、該化合物は、ASTM-D93に従って測定して、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃(例えば、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃)の引火点、およびASTM-D455に従って測定して、2~20cstの範囲、例えば、2~15cst、または3~20cst、または3~15cst、または5~20cst、または5~15cstの範囲の40℃での動粘度を有する。
【0173】
実施形態65は、実施形態1~64のいずれかの化合物を対象とし、化合物は、30~300℃、例えば、30~275℃、または30~250℃、または30~225℃、または30~200℃、または30~175℃、または30~150℃、または30~125℃、または30~100℃の範囲の沸点を有する。
【0174】
実施形態66は、実施形態1~64のいずれかの化合物を対象とし、化合物は、50~300℃、例えば、50~275℃、または50~250℃、または50~225℃、または50~200℃、または50~175℃、または50~150℃、または50~125℃、または50~100℃の範囲の沸点を有する。
【0175】
実施形態67は、実施形態1~64のいずれかの化合物を対象とし、化合物は、75~300℃、例えば、75~275℃、または75~250℃、または75~225℃、または75~200℃、または75~175℃、または75~150℃、または75~125℃、または75~100℃の範囲の沸点を有する。
【0176】
実施形態68は、実施形態1~64のいずれかの化合物を対象とし、化合物は、100~300℃、例えば、100~275℃、もしくは100~250℃、もしくは100~225℃、もしくは100~200℃、もしくは100~175℃、もしくは100~150℃の範囲内;または150~300℃、例えば、150~275℃、もしくは150~250℃、もしくは150~225℃、もしくは150~200℃の範囲内の沸点を有する。
【0177】
実施形態69は、実施形態1~68のいずれかの化合物を対象とし、化合物の引火点は、化合物の沸点より少なくとも10℃高く、例えば、少なくとも20℃高く、または少なくとも50℃高い。
【0178】
実施形態70は、実施形態1~98のいずれかの1つ以上の化合物を含む熱管理流体であって、1つ以上の化合物が、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~100重量%の範囲の総量で存在する、熱管理流体を対象とする。
【0179】
実施形態66は、1種以上の化合物が、熱管理流体の総重量に基づいて、5重量%~100重量%、または10重量%~100重量%、または20重量%~100重量%の範囲の量で存在する、実施形態65の熱管理流体に関する。
【0180】
実施形態67は、1種以上の化合物が、熱管理流体の総重量に基づいて、50重量%~100重量%、例えば、75重量%~100重量%、または85重量%~100重量%、または90重量%~100重量%、または95重量%~100重量%、または98重量%~100重量%の範囲の量で存在する、実施形態65の熱管理流体に関する。
【0181】
実施形態68は、1種以上の化合物が、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~99.9重量%(例えば、5重量%~99.9重量%、または10重量%~99.9重量%、または20重量%~99.9重量%)、または50重量%~99.9重量%、例えば、75重量%~99.9重量%、または85重量%~99.9重量%、または90重量%~99.9重量%、または95重量%~99.9重量%、または98重量%~99.9重量%の範囲の量で存在する、実施形態65の熱管理流体に関する。
【0182】
実施形態69は、1種以上の化合物が、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~99重量%(例えば、5重量%~99重量%、または10重量%~99重量%、または20重量%~99重量%)、または50重量%~99重量%、例えば、80重量%~99重量%、または85重量%~99重量%、または90重量%~99重量%、または95重量%~99重量%の範囲の量で存在する、実施形態65の熱管理流体に関する。
【0183】
実施形態70は、1種以上の化合物が、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~95重量%(例えば、5重量%~95重量%、または10重量%~95重量%、または20重量%~95重量%)、または50重量%~95重量%、例えば、75重量%~95重量%、または85重量%~95重量%の範囲の量で存在する、実施形態65の熱管理流体に関する。
【0184】
実施形態71は、1種以上の化合物が、熱管理流体の総重量に基づいて、1重量%~85重量%(例えば、5重量%~85重量%、または10重量%~85重量%、または20重量%~85重量%)、または50重量%~85重量%、例えば、65重量%~85重量%、または75重量%~85重量%の範囲の量で存在する実施形態65の熱管理流体に関する。
【0185】
実施形態72は、実施形態65~71のいずれかの熱管理流体を対象とし、グループII、グループIII、グループIV、またはグループVの基油をさらに含む。
【0186】
実施形態73は、実施形態65~71のいずれかの熱管理流体を対象とし、グループIIまたはグループIIIの基油をさらに含む。
【0187】
実施形態74は、実施形態65~71のいずれかの熱管理流体を対象とし、グループIV基油(ポリアルファオレフィン(PAO)など)を更に含む。
【0188】
実施形態75は、エステル基油ストックを更に含む、実施形態65~74のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0189】
実施形態76は、腐食防止剤、酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤及び55酸化防止剤など)、流動点降下剤、消泡剤、脱泡剤、粘度指数調整剤、防腐剤、殺生物剤、界面活性剤、シール膨潤添加剤、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を、例えば、最大0.5重量%、最大1.0重量%、又は最大5.0重量%の量で更に含む実施形態65~75のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0190】
実施形態77は、1種以上の難燃剤を、例えば、最大20重量%、最大10重量%、又は最大5重量%の量で更に含む実施形態65~76のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0191】
実施形態78は、熱管理流体が、ASTM-D93に従って測定される、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、又は少なくとも75℃の引火点を有する実施形態65~77のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0192】
実施形態79は、熱管理流体が、ASTM-D93に従って測定される、少なくとも90℃、例えば、少なくとも95℃、少なくとも100℃、又は少なくとも105℃の引火点を有する、実施形態65~77のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0193】
実施形態80は、ASTM-D455に従って測定して、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の25℃での動粘度を有する、実施形態65~79のいずれかに記載の熱管理流体を対象とする。
【0194】
実施形態81は、ASTM-D455に従って測定したときに、2~20cstの範囲、例えば、2~15cst、または3~20cst、または3~15cst、または5~20cstの範囲の40℃での動粘度を有する、実施形態65~80のいずれかに記載の熱管理流体を対象とする。
【0195】
実施形態82は、ASTM-D455に従って測定したときに、40℃で2~10cst、例えば、2~8cst、または2~6cst、または3~10cst、または3~8cst、または3~6cst、または5~10cst、または5~8cst、または5~6cst、または6~10cst、または8~10cstの範囲の動粘度を有する、実施形態65~80のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0196】
実施形態83は、ASTM-D455に従って測定したとき、40℃で2~5cst、または2~4cst、または2~3cst、または3~5cst、または3~4cst、または4~5cstの範囲の動粘度を有する、実施形態65~80のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0197】
実施形態84は、ASTM-D455に従って測定したとき、25℃で、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、または0.2~6cst、または0.3~10cst、または0.3~8cst、または0.3~6cst、または0.5~10cst、または0.5~8cst、または0.5~6cst、または0.5~5.5cstの範囲の動的粘度を有する、実施形態65~80のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0198】
実施形態85は、25℃で測定したときに、少なくとも1.5、例えば、少なくとも1.75、又は少なくとも2.0、又は少なくとも2.25の誘電率を有する、実施形態65~84のいずれかに記載の熱管理流体を対象とする。
【0199】
実施形態86は、1.5~10、又は1.8~10、又は1.5~2.8、又は1.8~2.8の範囲の誘電率を有する、実施形態65~84のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0200】
実施形態87は、25℃で2.0g/cm3以下(例えば、25℃で1.8g/cm3以下、又は1.6g/cm3以下)の密度を有する、実施形態65~86のいずれかに記載の熱管理流体に関する。
【0201】
実施形態88は、25℃で0.05W/m・K~1W/m・Kの範囲の熱伝導率を有する、実施形態65~87のいずれかに記載の熱管理流体を対象とする。
【0202】
実施形態89は、少なくとも1J/g・K(例えば、25℃で少なくとも1.2J/g・K、又は少なくとも1.5J/g・K)の比熱容量を有する、実施形態65~88のいずれかに記載の熱管理流体を対象とする。
【0203】
実施形態90は、1100×10-6/K以下(例えば、1050×10-6/K以下、又は1000×10-6/K以下)の熱膨張係数を有する、実施形態65~89のいずれかに記載の熱管理流体を対象とする。
【0204】
実施形態91は、熱管理流体が、ASTM-D93に従って測定して、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、又は少なくとも75℃の引火点を有し、ASTM-D455に従って測定して、0.1~10cst、例えば、0.2~8cst、又は0.2~6cst、又は0.3~10cst、又は0.3~8cst、又は0.3~6cst、又は0.5~10cst、又は0.5~8cst、又は0.5~6cst、又は0.5~5.5cstの範囲の25℃での動粘度を有する、実施形態65~91のいずれかの熱管理流体に関する。
【0205】
実施形態92は、熱管理流体が、ASTM-D93に従って測定して、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、又は少なくとも75℃の引火点を有し、ASTM-D455に従って測定して、2~20cstの範囲、例えば、2~15cst、又は3~20cst、又は3~15cst、又は5~20cstの範囲の40℃での動粘度を有する実施形態65~91のいずれかの熱管理流体に関する。
【0206】
実施形態93は、以下を含む方法である:
実施形態65~92の熱管理流体を、少なくとも25℃の温度を有する表面と接触させることであって、前記表面が熱源と実質的に熱連通して、接触させることと
前記表面を通して前記熱源から前記熱管理流体の熱エネルギーを吸収することである。
【0207】
実施形態94は、表面が、少なくとも30℃、例えば、少なくとも40℃の温度を有する、実施形態93に記載の方法に関する。
【0208】
実施形態95は、表面が、25℃~150℃、例えば、25℃~100℃、又は25℃~90℃、又は25℃~85℃、又は25℃~80℃、又は25℃~75℃、又は25℃~70℃の範囲の温度を有する実施形態93に記載の方法に関する。
【0209】
実施形態96は、表面が、30℃~150℃、例えば、30℃~100℃、又は30℃~90℃、又は30℃~85℃、又は30℃~80℃、又は30℃~75℃、又は30℃~70℃の範囲の温度を有する実施形態93に記載の方法に関する。
【0210】
実施形態97は、表面が、40℃~150℃、例えば、50℃~150℃、又は60℃~150℃、又は70℃~150℃、又は80℃~150℃、又は90℃~150℃、又は100℃~150℃、又は110℃~150℃の範囲の温度を有する実施形態93に記載の方法に関する。
【0211】
実施形態98は、熱管理流体が、静止した(すなわち、循環していない)流体の塊である実施形態93~97のいずれか1つに記載の方法に関する。
【0212】
実施形態99は、接触させる工程が、表面上に熱管理流体を循環させることによって実施される実施形態93~97のいずれかに記載の方法に関する。
【0213】
実施形態100は、接触させる工程が、熱交換器と表面との間で熱管理流体を循環させることによって実施される実施形態93~97のいずれか1つに記載の方法に関する。
【0214】
実施形態101は、熱管理流体が1種以上のハロカーボンの沸点を通して加熱されるときに、熱エネルギーが、化合物の1種以上を気化させることによって少なくとも部分的に吸収される実施形態93~100のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0215】
実施形態102は、1つ以上の気化した化合物を凝縮させ、それらを熱管理流体に戻すことを更に含む実施形態101に記載の方法を提供する。
【0216】
実施形態103は、熱源が、動作中の電気部品である、実施形態93~実施形態101のうちのいずれかによる方法を対象とする。
【0217】
実施形態104は、熱源が、バッテリーパック、キャパシタ、インバータ、電気ケーブル、燃料電池、モータ、コンピュータ、又は高電力充電装置である実施形態93~101のいずれかに記載の方法に関する。
【0218】
実施形態105は、熱源が電気化学セルである、実施形態93~実施形態101のうちのいずれかによる方法を対象とする。
【0219】
実施形態106は、電気化学セルが、固体電気化学セル、リチウム硫黄電気化学セル、リン酸鉄リチウム電気化学セル、リチウムイオンポリマー電気化学セル、ナトリウムイオン電気化学セル、アルミニウムイオンセル、鉛酸セル、及びマグネシウムイオンセルから選択される実施形態105の方法に関する。
【0220】
実施形態107は、表面が、熱源と実質的に熱連通している導管の内部表面である実施形態93~実施形態101のうちのいずれかによる方法を対象とする。
【0221】
実施形態108は、導管が、電気構成要素を囲むハウジングを通過する実施形態107に記載の方法を対象とする。
【0222】
実施形態109は、バッテリシステムを対象とし、
ハウジングと
前記ハウジング内に配置された1つ以上の電気化学セルと
前記ハウジング内に延在し、前記1つ以上の電気化学セルと実質的に熱連通する流体経路と
前記流体経路内に配置された実施形態65~92のいずれかの熱管理流体とから構成される。
【0223】
実施形態110は、電気化学セルが、リチウムイオン電気化学セルである、実施形態109の電池システムに関する。
【0224】
実施形態111は、電気化学セルが、固体電気化学セル、リチウム硫黄電気化学セル、リン酸鉄リチウム電気化学セル、リチウムイオンポリマー電気化学セル、ナトリウムイオン電気化学セル、アルミニウムイオンセル、鉛酸セル、又はマグネシウムイオンセルである、実施形態109の電池システムに関する。
【0225】
実施形態112は、実施形態109~111のいずれかの電池システムを備える電気自動車を対象とする。
【0226】
実施形態113は、熱管理回路を対象とし、熱管理回路は
熱源の周りに及び/又は熱源を通って延びる流体経路と
前記流体経路内に配置され、前記流体経路内を循環し、前記熱源によって生成された熱エネルギーを吸収するように構成された実施形態65~92のいずれかの熱管理流体と
前記流体は、前記流体経路、前記熱交換器、前記ポンプ、及び前記接続ダクト内に配置される。
【0227】
実施形態114は、実施形態113の熱管理回路を備えるデータセンタハードウェアユニットを対象とする。
【0228】
実施形態115は、実施形態113の熱管理回路を備える高性能コンピュータを対象とする。
【0229】
実施形態116は、実施形態1~64のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって
式(II)の化合物
【化33】

mは、整数1、2、または3であり;
nは1~16の範囲の整数であり;
Aは、H、OHおよび-O-R6から選択され;
R2およびR3はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであり、R4およびR5はそれぞれ独立してHまたはC1~C6アルキルであるか、または
R2およびR4はそれぞれ、HまたはC1~C6アルキルであり、R3およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になって、C5~C7シクロアルキルを形成し
R6は、C1~C12アルキルであり;
とCH2=CF(CF3)とを反応させて、式(I)の第1の化合物を得ることを含む方法を提供する。
【0230】
実施形態117は、実施形態116の化合物を調製する方法を対象とし、式中、AはOHである。
【0231】
実施形態118は、実施形態116の化合物を調製する方法を対象とし、式中、Aは、-O-R6である。
【0232】
実施形態119は、実施形態116~118のいずれかの化合物を調製するための方法に関し、この方法は、式(I)の第1の化合物を水素化して、式(I)の第2の化合物を提供する工程をさらに包含する。
【0233】
実施形態120は、実施形態116~119のいずれかの化合物を調製する方法を対象とし、ここで、塩基は、tBuOKである。
【0234】
実施形態121は、実施形態116~119のいずれかの化合物を調製する方法を対象とし、ここで、塩基は、トリエチルアミンである。
【0235】
本明細書に示される詳細は、例として、本発明の様々な実施形態の例示的な議論の目的のためだけであり、本発明の様々な実施形態の原理および概念的態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示される。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要なものよりも詳細に本発明の構造的詳細を示す試みはなされず、図面および/または実施例とともになされる説明は、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具現化され得るかを当業者に明らかにする。したがって、開示されるプロセスおよびデバイスが説明される前に、本明細書に説明される側面は、具体的実施形態、装置、または構成に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、本明細書で具体的に定義されない限り、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0236】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の実施形態および特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「a」、「an」、「the」および同様の指示対象は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0237】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、別段の指定がない限り、1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニルおよびn-デシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。「アルキル」基が2つの他の部分の間の連結基である場合、それは直鎖または分枝鎖であってもよい。-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2CH2CHC(CH3)-、および-CH2CH(CH2-CH3)CH2-に限定されない。
【0238】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、単環式または二環式シクロアルキル環系を意味する。単環式環系は、3~8個の炭素原子を含有する環式炭化水素基であり、ここで、このような基は、飽和または不飽和であり得るが、芳香族ではない。ある実施形態において、シクロアルキル基は完全に飽和している。単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0239】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切なステップの順序で実施することができる。本明細書に提供される任意のおよび全ての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図しており、別段に特許請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に必須の任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0240】
文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数または複数を使用する単語は、それぞれ複数および単数も含む。さらに、「本明細書において」、「上記」、および「下記」という単語、ならびに同様の意味の単語は、本出願において使用される場合、本出願全体を指すものとし、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。
【0241】
当業者に理解されるように、本明細書に開示される各実施形態は、その特定の記載された要素、ステップ、成分または構成要素を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなることができる。本明細書で使用される場合、移行句「含む(comprise)」または「含む(comprises)」は、限定されないが、含むことを意味し、大量であっても、特定されていない要素、ステップ、成分、または構成要素の包含を可能にする。移行句「からなる」は、特定されていない任意の要素、ステップ、成分または構成要素を除外する。移行句「から本質的になる」は、実施形態の範囲を、特定の要素、ステップ、成分または構成要素、および実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0242】
本明細書における全ての百分率、比率および割合は、特に指定のない限り、重量による。
【0243】
本開示の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるが、特定の実施例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。-しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる様々な誤差を本質的に含む。
【0244】
本開示の代替的な要素または実施形態のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、またはグループの他のメンバーもしくは本明細書に見出される他の要素との任意の組み合わせで言及され、特許請求され得る。グループの1つ以上のメンバーが、便宜上および/または特許性の理由で、グループに含まれ得るか、またはグループから削除され得ることが予期される。任意のそのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、修正されたグループを含み、したがって、添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュグループの記載された説明を満たすと見なされる。
【0245】
本明細書に記載される方法を実施するための、本発明者らに知られている最良の形態を含む、本開示の様々な態様のいくつかの実施形態が本明細書に記載される。当然ながら、これらの記載された実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。当業者は、必要に応じてそのような変形を使用し、したがって、本開示の方法は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施することができる。したがって、本開示の範囲は、適用可能な法律によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正形態および均等物を含む。さらに、その全ての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本開示によって包含される。
【0246】
最後に、本明細書の様々な実施形態は、本開示の方法を例示するものであることを理解されたい。採用され得る他の修正は、本開示の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、方法の代替構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、本開示の方法は、示され、記載されたものに正確に限定されない。

図1
図2
図3
【国際調査報告】