(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】チューブ及びそれを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
F16L 11/04 20060101AFI20240725BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20240725BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240725BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240725BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16L11/04
B32B1/08 B
B32B27/20 A
B32B27/30 D
B32B27/32 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505504
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022075646
(87)【国際公開番号】W WO2023034784
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Performance Plastics, Corporation
【住所又は居所原語表記】31500 Solon Road Solon, 44139 OH USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,キャオシ
(72)【発明者】
【氏名】ケネップ,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ラドロウ,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】グリーソン,コーディ
(72)【発明者】
【氏名】ライオン,ゲイラ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ジエズ
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111BA31
3H111CB03
3H111CB14
3H111CB29
3H111DA08
3H111DB10
3H111EA03
3H111EA04
3H111EA05
3H111EA12
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK07A
4F100AK07B
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4F100GB51
4F100JK07
4F100JL10
4F100JN01
(57)【要約】
【解決手段】 多層チューブが、ポリマーを含む内側層であって、ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、内側層、及び内側層に隣接する外側層であって、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、外側層を含み、内側層、外側層、又はそれらの組み合わせが、少なくとも1種の遮断剤を含み、少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層チューブであって、
ポリマーを含む内側層であって、前記ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、内側層と、
前記内側層に隣接する外側層であって、前記外側層が、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、外側層と、を含み、前記内側層、前記外側層、又はそれらの組み合わせが、少なくとも1種の遮断剤を含み、前記少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる、多層チューブ。
【請求項2】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、二フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、又はそれらの組み合わせ、及び
任意選択的に、エチレン、プロピレン、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つのモノマー単位を含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項3】
前記フルオロポリマーが、少なくとも3つのモノマー単位を含み、前記モノマー単位が、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロビニルエーテル、エチレン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項4】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマーを含む、請求項3に記載の多層チューブ。
【請求項5】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、及びエチレンのテトラポリマーを含む、請求項3に記載の多層チューブ。
【請求項6】
前記フルオロポリマーが、約40MPa未満の曲げ弾性率を有する、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項7】
前記少なくとも1種の遮断剤が、紫外線遮断剤、可視光遮断剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項8】
前記紫外線遮断剤が、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、しゅう酸アニリド、シラノアクリレート酸(cyranoacrylate)、金属酸化物、又はそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の多層チューブ。
【請求項9】
前記可視光遮断剤が、アントロキノン、ベンズアントロン、ペリノン、キサンテン、無機顔料、染料、又はそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の多層チューブ。
【請求項10】
前記多層チューブが、前記多層チューブを通る流体流を可視化するための透明性を有する、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項11】
前記内側層が、40℃で28日間の浸漬条件下で20%以下、又は更には15%以下の化学溶液中での重量増加を有する、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項12】
前記多層チューブが、約0.7インチ未満の最小曲げ半径を有する、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項13】
前記多層チューブが、10ニュートン未満の最大曲げ力を有する、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項14】
ポリマー及び少なくとも1種の遮断剤を含む少なくとも1つの層であって、前記ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含み、前記少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる、少なくとも1つの層を含む、チューブ。
【請求項15】
多層チューブを形成する方法であって、
ポリマーを含む内側層を提供することであって、前記ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、提供することと、
前記内側層に隣接する外側層を提供することであって、前記外側層が、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、提供することと、を含み、前記内側層、前記外側層、又はそれらの組み合わせが、少なくとも1種の遮断剤を含み、前記少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全般的にはチューブ及びチューブを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホース及びチューブ類は、デジタル印刷産業を含む様々な産業で使用されている。そのような産業では、特定の材料が、それらの可撓性のために使用され得る。しかしながら、多くの材料は耐薬品性に乏しく、特に耐紫外線インク性に乏しい。フルオロポリマー材料で作製されたものなどの耐薬品性を有するチューブが使用されてもよく、その理由は、それらが低い表面エネルギーの内面を有し、汚染物質に耐性があるからである。しかしながら、そのようなフルオロポリマーは、しばしば剛性であり、低い可撓性を有するので、特定の用途には望ましくない特性を有することが多い。
【0003】
更に、UVインクを転写するための多くの紫外線チューブは、チューブ内に含まれるインクに紫外線耐性を与えるために不透明である。しかしながら、チューブを通して視覚的に見ることが望ましい。
【0004】
したがって、改良された流体導管が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、多層チューブは、ポリマーを含む内側層であって、ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、内側層、及び内側層に隣接する外側層であって、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、外側層を含む。内側層、外側層、又はそれらの組み合わせが、少なくとも1種の遮断剤を含み、少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる。
【0006】
別の実施形態では、多層チューブを形成する方法は、ポリマーを含む内側層を提供することであって、ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、提供すること、及び内側層に隣接する外側層を提供することであって、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、提供することを含む。内側層、外側層、又はそれらの組み合わせが、少なくとも1種の遮断剤を含み、少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる。
【0007】
特定の実施形態では、チューブは、ポリマー及び少なくとも1種の遮断剤を含む少なくとも1つの層であって、ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含み、少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる、少なくとも1つの層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかにされ得る。
【
図2A】
図2Aは、浸漬試験に曝露された例示的なフッ素化材料のグラフ図を含む。
【
図2B】
図2Bは、浸漬試験に曝露された例示的な非フッ素化材料のグラフ図を含む。
【
図3】
図3は、例示的なフッ素化材料及び非フッ素化材料についての耐薬品性及び最小曲げ半径の性能を示すグラフ図を含む。
【
図4】
図4は、例示的なフッ素化材料及び非フッ素化材料についての耐薬品性及び最大曲げ力の性能を示すグラフ図を含む。 異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を補助するために提供される。以下の考察は、教示の特定の実施態様及び実施形態に焦点を当てている。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に関する限定として解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書で使用する場合、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、又はそれらの任意の他の変形は、オープンエンドの用語であり、「含んでいるが、それに限定されない」を意味するように解釈されるべきである。これらの用語は、より限定的な用語「から本質的になる」及び「からなる」を包含する。一実施形態では、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていない他の特徴、又はそのような方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含み得る。更に、矛盾する記載がない限り、「又は(or)」は、包含的なorを指し、排他的なorを指すのではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)、Bが真である(又は存在する)、及び、AとBとの両方が真である(又は存在する)。
【0011】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、1つ、又は少なくとも1つ、及び単数形が複数形も含むものとして、又はその逆として理解されるべきである。例えば、単一の物品が本明細書に記載されている場合、単一の物品の代わりに2つ以上の物品を使用することができる。同様に、2つ以上の物品が本明細書に記載されている場合、その2つ以上の物品を単一の物品に置き換えることができる。
【0012】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は、例解的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に説明されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、構造に関する技術分野及び対応する製造技術分野内の参照文献及び他の情報源に見出すことができる。別段の指示がない限り、全ての測定値は、別段の指示がない限り、ASTMに従って約23℃+/-5℃である。
【0013】
特定の実施形態では、チューブが提供される。一実施形態では、チューブは、少なくとも1つの層を含む。特定の実施形態では、チューブは、少なくとも内側層及び外側層を有する多層チューブである。一実施形態では、少なくとも1つの層は、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む。例えば、チューブが多層チューブである場合、内側層は、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む。外側層は内側層に隣接しており、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む。更に、チューブの少なくとも1つの層は、少なくとも1種の遮断剤を含み、少なくとも1種の遮断剤は、240ナノメートル(nm)~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%低減させる。有利には、チューブは、化学溶液への曝露を含む用途のための特性を有する。チューブを形成する方法が更に提供される。
【0014】
内側層、外側層、又はそれらの組み合わせなどのチューブの例示的なフルオロポリマーは、モノマーから形成されるホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、又はポリマーブレンドから形成されてもよい。一実施形態では、フルオロポリマーは、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、二フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、又はそれらの組み合わせ、及び任意選択的に、エチレン、プロピレン、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つのモノマー単位を含む。例示的なフルオロポリマーは、少なくとも3つのモノマー単位を含み、モノマー単位は、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、エチレン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0015】
一実施形態では、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマーを含む。別の実施形態では、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、及びエチレンのテトラポリマーを含む。特定の例では、フッ化ビニリデンは、フルオロポリマーの総重量の約50重量%未満、例えば約40重量%未満、例えば約30重量%未満、又は更には約20重量%未満の量で存在する。一実施形態では、テトラフルオロエチレンは、フルオロポリマーの総重量の約30重量%超、例えば約40重量%超、例えば約50重量%超、又は更には約60重量%超の量で存在する。
【0016】
一実施形態では、フルオロポリマーは、少なくとも1つのハードセグメント及び少なくとも1つのソフトセグメントを含むブロックコポリマーを含む。少なくとも1つのハードセグメント及び少なくとも1つのソフトセグメントは、上述のモノマーのうちのいずれかを含んでもよい。少なくとも1つのハードセグメントを含むブロックコポリマーの例は、テトラフルオロエチレン、エチレン、及びヘキサフルオロプロピレンのモノマー単位から構成され、少なくとも1つのソフトセグメントは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンのモノマー単位から構成される。一実施形態では、ハードセグメントは、5モル%超のエチレン、又は更には10モル%超のエチレンを含有する。一実施形態では、ソフトセグメントは、5モル%超のフッ化ビニリデン、又は更には10モル%超のフッ化ビニリデンを含有する。ハードセグメント対ソフトセグメントの任意の比が想定される。一実施形態では、ハードセグメント対ソフトセグメントの重量比は、1:1~1:10である。比は、上記の最小値から最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であり得ることが理解されるであろう。例示的な実施形態では、ブロックコポリマーのデュロメータは、ASTM D2240によって測定されるように、70ショアA未満、例えば65ショアA未満である。ハードセグメント相の融点は、270℃未満、例えば260℃未満である。破断点伸びは、ASTM D412によって測定されるように、300%超、例えば400%超である。
【0017】
典型的には、フルオロポリマーについて、少なくとも60重量%など、少なくとも67重量%など、少なくとも70重量%など、又は更に少なくとも73重量%などの任意の公称フッ素含有量が想定される。例えば、フルオロポリマーは、60重量%~80重量%、又は更には約60重量%~約70重量%の公称フッ素含有量を有する。一実施形態では、フルオロポリマーは、70重量%~80重量%の公称フッ素含有量を有する。一実施形態では、フルオロポリマーは、約50%未満、例えば約30%未満、又は更には約10%未満の結晶化度を有する。例えば、フルオロポリマーは、約50%未満、例えば約30%未満、又は更には約10%未満の結晶化度を有する。有利には、限定された結晶化度は、紫外線インク用途に望ましい可撓性及び弾性回復を有するフルオロポリマーを提供する。
【0018】
少なくとも1つの層のフルオロポリマーは、典型的には可撓性材料である。例えば、フルオロポリマーは、ASTM D790によって測定されるように、約75MPa未満、例えば約70MPa未満、例えば約20MPa~約70MPa、例えば約20MPa~約50MPaの曲げ弾性率を有する。一実施形態では、フルオロポリマーは、ASTM D790によって測定されるように、約40MPa未満、例えば約20MPa~約40MPaの曲げ弾性率を有する。一実施形態では、フルオロポリマーは、ASTM D790によって測定されるように、約5%超、例えば約7%超、例えば約8%超、又は更に約10%超の降伏点伸びを有する。曲げ弾性率及び降伏点伸びは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であり得るということが理解されよう。
【0019】
一実施形態では、チューブは、ポリオレフィンを含む少なくとも1つの層を含むことができる。例えば、内側層、外側層、又はそれらの組み合わせはポリオレフィンであってもよい。一例では、ポリオレフィンとしては、C2~C10アルケンを含む、モノマーから形成されるホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、アロイ、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、オクテン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。例示的なポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、中密度ポリエチレン(medium density polyethylene、MDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene、VLDPE)、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリブテン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレンプロピレンゴム(ethylene propylene rubber、EPR)、エチレンオクテンコポリマー、それらのブレンド、それらの混合物などが挙げられる。ポリオレフィンとしては、オレフィン系ランダムコポリマー、オレフィン系インパクトコポリマー、オレフィン系ブロックコポリマー、オレフィン系特殊エラストマー、オレフィン系特殊プラストマー、メタロセン系オレフィンな、それらのブレンド、それらの混合物などが更に挙げられる。特定の実施形態では、ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、分岐ポリオレフィンコポリマー、ポリプロピレン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、ポリエチレンコポリマーは、ポリマー主鎖に沿って散在するC2~C10アルケンを含むモノマーの少なくとも1つのモノマー単位、又は更には2つのモノマー単位を含む。特定の実施形態では、ポリエチレンコポリマーは、エチレン及びオクテンのモノマー単位を含む。本明細書で使用するとき、「分岐ポリオレフィンコポリマー」は、少なくとも1つのモノマー単位、又は更にはC2~C10アルケンを含むモノマーを含む2つのモノマー単位を含むポリオレフィンを指し、1つのモノマー単位は、ポリマー主鎖に結合した少なくとも第2のモノマー単位から形成された二次ポリマー鎖も有するポリマー主鎖を提供する。一実施形態では、ポリオレフィンは、アクリル酸、酢酸ビニル、アイオノマー、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0020】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、ジエンエラストマーとブレンドされる。ジエンエラストマーは、少なくとも1種のジエンモノマーから形成されるコポリマーであり得る。例えば、ジエンエラストマーは、エチレン、プロピレン及びジエンモノマー(ethylene,propylene and diene monomer、EPDM)とのコポリマー、熱可塑性EPDM複合体、又はそれらの組み合わせであり得る。例示的なジエンモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン;1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエンなどの5~約25個の炭素原子を含む非共役ジエン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン;1-ビニル-1-シクロペンテン、1-ビニル-1-シクロヘキセンなどのビニル環状エン;3-メチルビシクロ-(4,2,1)-ノナ-3,7-ジエンなどのアルキルビシクロノナジエン;メチルテトラヒドロインデンなどのインデン;5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ブチリデン-2-ノルボルネン、2-メタリル-5-ノルボルネン、2-イソプロペニル-5-ノルボルネン、5-(1,5-ヘキサジエニル)-2-ノルボルネン、5-(3,7-オクタジエニル)-2-ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン;3-メチルトリシクロ(5,2,1,02,6)-デカ-3,8-ジエンなどのトリシクロジエン;又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、ポリオレフィンは、少なくとも1つの硬質相マトリックスを含み、少なくとも1つの軟質相が硬質相マトリックス内に分散されている。特定の実施形態では、ポリオレフィンは、架橋エチレン、プロピレン及びジエンモノマー(EPDM)軟質相を有するポリプロピレン硬質相マトリックスを含む。
【0021】
ポリオレフィンは、典型的には可撓性材料である。例えば、ポリオレフィンは、ASTM D790によって測定されるように、約75MPa未満、例えば約70MPa未満、例えば約20MPa~約70MPa、例えば約20MPa~約50MPaの曲げ弾性率を有する。一実施形態では、ポリオレフィンは、ASTM D790によって測定されるように、約40MPa未満、例えば約20MPa~約40MPaの曲げ弾性率を有する。一実施形態では、ポリオレフィンは、ASTM D790によって測定されるように、約5%超、例えば約7%超、例えば約8%超、又は更に約10%超の降伏点伸びを有する。曲げ弾性率及び降伏点伸びは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であり得るということが理解されよう。
【0022】
チューブの少なくとも1つの層は、少なくとも1種の遮断剤を含む。一実施形態では、少なくとも1種の遮断剤は、内側層、外側層、又はそれらの組み合わせに含まれてもよい。任意のブロック剤が想定される。典型的には、少なくとも1種の遮断剤は、紫外線遮断剤と可視光遮断剤との組み合わせであり、チューブを通る透過パーセントの低減のために提供する。本明細書で使用するとき、「遮断(blocking)」とは、特定の波長範囲の光の透過パーセントを低減することを指す。これは、光吸収、反射、散乱、又はそれらの組み合わせによって達成することができる。遮断剤は、有機又は無機であってもよく、溶解染料又は粒子の懸濁液であってもよい。一実施形態では、少なくとも1種の遮断剤は、240nm~450nmの波長でチューブを通る透過パーセントを少なくとも99%低減させる。一実施形態では、少なくとも1種の遮断剤は、紫外線遮断剤、可視光遮断剤、又はそれらの組み合わせを含む。紫外線遮断剤及び可視光遮断剤の任意の組み合わせが、最終チューブに望まれる特性に応じて、内側層、外側層、又はそれらの組み合わせに存在してもよい。一実施形態では、外側層は少なくとも1種の遮断剤を含み、内側層は少なくとも1種の遮断剤を実質的に含まない。別の例では、内側層は少なくとも1種の遮断剤を含み、外側層は少なくとも1種の遮断剤を実質的に含まない。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、個々の層の総重量の約1.0重量%未満、又は更には約0.1重量%未満を指す。
【0023】
紫外線範囲の波長の透過を防止する任意の紫外線遮断剤が想定される。例えば、UV範囲は一般に100nm~400nmであり、UVAは315nm~400nm、UVBは280nm~315nm、及びUVCは100nm~280nmである。記載された最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内の波長を遮断する任意の紫外線遮断剤が想定されることが理解されよう。一実施形態では、紫外線遮断剤は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、しゅう酸アニリド、シラノアクリレート酸(cyranoacrylate)、金属酸化物、又はそれらの組み合わせを含む。例えば、紫外線遮断剤は、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-tetramethylbuytl)フェノール]、N-(2-エトキシフェニル)-N’-(4-エチルフェニル)-エチレンジアミド、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-ヒドロキシフェニル-s-トリアジン誘導体、1,3-ビス-((2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ)-2,2-ビス(((2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ)メチル)-プロパン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、テトラ-エチル-2,2’-(1,4-フェニレン-ジメチリデン)-ビスマロネート、2-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノン、2-[2Hベンゾトリアゾール-2-イル]-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-フェノール、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、又はそれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。紫外線遮断剤としての例示的な金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
可視光範囲の波長の透過を防止する任意の可視光遮断剤が想定される。可視光範囲は、典型的には約400nm~800nmである。記載された最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内の波長を遮断する任意の可視光遮断剤が想定されることが理解されよう。例示的な可視光遮断剤としては、アントロキノン、ベンズアントロン、ペリノン、キサンテン、無機顔料、染料、又はそれらの組み合わせが挙げられる。染料及び/又は顔料としては、赤色、黄色、オレンジ色の染料若しくは顔料、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。無機顔料としては、例えば、酸化物、硫化物など、又はそれらの組み合わせなどの任意の妥当な無機顔料が挙げられる。特に、染料は、典型的には、ポリマー中に溶解する小分子であるのに対して、顔料は、ポリマー中に懸濁された粒子、場合によってはナノ粒子である。
【0025】
遮断剤がフルオロポリマー中に分散される場合、遮断剤は、300℃を超える分解温度を有する。例えば、少なくとも1種のブロック剤は、フルオロポリマーの加工条件中に分解しない。
【0026】
更なる実施形態では、チューブの任意の層は、想定される任意の添加剤を含んでもよい。例えば、内側層、外側層、又はそれらの組み合わせは、想定される任意の添加剤を含んでもよい。添加剤は、例えば、硬化剤、酸化防止剤、充填剤、紫外線(ultraviolet、UV)剤、染料、顔料、老化防止剤、可塑剤など、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、硬化剤は、1つ以上の層の架橋を増加及び/又は強化するために提供される架橋剤である。更なる実施形態では、硬化剤の使用は、硬化剤を含まない層と比較して、小分子の浸透の減少及び層の弾性回復の改善などの、所望の特性を提供し得る。例えば、ジヒドロキシ化合物、ジアミン化合物、有機過酸化物、硫黄化合物、又はそれらの組み合わせなどの任意の硬化剤が想定される。例示的なジヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールAFが挙げられる。例示的なジアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが挙げられる。一実施形態では、硬化剤は有機過酸化物である。任意の量の硬化剤が想定される。あるいは、1つ以上の層は、架橋剤、硬化剤、光開始剤、充填剤、可塑剤、又はそれらの組み合わせを、実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、個々の層の総重量の約1.0重量%未満、又は更には約0.1重量%未満を指す。
【0027】
一例では、少なくとも1つの層は、ポリマー及び少なくとも1種の遮断剤から本質的になってもよい。一例では、少なくとも1つの層のためのポリマーは、フルオロポリマー、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせから本質的になってもよい。一例では、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、及び任意選択的に、エチレンから本質的になってもよい。一例では、ポリオレフィンは、少なくともエチレンモノマー単位から本質的になってもよい。一実施形態では、ポリオレフィンは、超低密度ポリエチレン、エチレンオクテンコポリマー、分岐コポリマー、又はそれらの組み合わせから本質的になってもよい。本明細書で使用される場合、少なくとも1つの層のポリマーに関連して使用される語句「から本質的になる(consists essentially of)」は、ポリマーの基本的かつ新規な特性に影響を及ぼすモノマー及びポリマーの存在を排除するが、一般的に使用される加工剤及び添加剤、例えば、酸化防止剤、充填剤、UV剤、染料、顔料、老化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせをポリマー中で使用することができる。
【0028】
一例では、少なくとも1つの層は、ポリマー及び少なくとも1種の遮断剤からなってもよい。一例では、少なくとも1つの層のためのポリマーは、フルオロポリマー、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせからなってもよい。一例では、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、及び任意選択的に、エチレンからなってもよい。一例では、ポリオレフィンは、少なくともエチレンモノマー単位からなってもよい。一実施形態では、ポリオレフィンは、超低密度ポリエチレン、エチレンオクテンコポリマー、分岐コポリマー、又はそれらの組み合わせからなってもよい。
【0029】
特定の実施形態では、チューブは望ましい硬度を有する。一実施形態では、チューブの硬度は、ASTM D2240によって測定されるように、約95未満、例えば約20~約90、例えば約40~約90、例えば約40~約80、又は更には約40~約65のショアAである。一実施形態では、チューブは多層チューブであり、内側層は、ASTM D2240によって測定されるように、約95未満、例えば約20~約90、例えば約40~約90、例えば約40~約80、又は更には約40~約65のショアA硬度を有する。一実施形態では、チューブは多層チューブであり、外側層は、ASTM D2240によって測定されるように、約95未満、例えば約20~約90、例えば約40~約90、例えば約40~約80、又は更には約40~約65のショアA硬度を有する。外径は、上記の最小値から最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であり得ることが理解されるであろう。一実施形態では、多層チューブは、内側層のショア硬度よりも低いショア硬度を有する外側層を有してもよい。別の実施形態では、多層チューブは、内側層のショア硬度よりも大きいショア硬度を有する外側層を有してもよい。更に別の実施形態では、多層チューブは、内側層のショア硬度と同じショア硬度を有する外側層を有してもよい。
【0030】
チューブは、内側層及び外側層に隣接する結合層を更に含むことができる。例示的な実施形態では、結合層は、熱可塑性材料又は熱硬化性材料などのポリマーを含む。例えば、結合層は、アクリレート、エポキシ、エステル、エチレン、アミン、アミド、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(vinylidene fluoride、VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene、HFP)、ペルフルオロビニルエーテル、ポリウレタン、スチレン-ブロックコポリマー、アクリル酸、酢酸ビニル、アイオノマー、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、結合層は、アクリレート、エチレン、又はそれらの組み合わせを含む少なくとも1つのモノマー単位を含む。
【0031】
結合層は、それが直接隣接する少なくとも1つの層、例えば、外側層、内側層、又はそれらの組み合わせなどへの結合層の接着を増加させるために、結合層のポリマーに添加される接着促進剤を更に含んでもよい。例えば、接着促進剤としては、接着促進剤が挙げられ、接着促進剤は、無水マレイン酸グラフト化PVDF、シラン系接着促進剤、エポキシ系化学物質、EVOH、アクリレートポリマー、アクリレートコポリマー、アセタールコポリマー、高極性を有する熱可塑性物質、又はそれらの組み合わせを含む。
【0032】
例示的な実施形態では、結合層のポリマーは、架橋剤、助剤、光開始剤、充填剤、可塑剤、又はそれらの任意の組み合わせなどの、任意の妥当な添加剤を更に含み得る。結合層のポリマー組成物の架橋を増加させる、かつ/又は強化する任意の助剤が想定される。更なる実施形態では、助剤の使用は、助剤を含まない結合層と比較して、小分子の浸透の減少及び結合層の弾性回復の改善などの、所望の特性を提供し得る。任意の助剤、例えば、ビス-フェノールAF、トリアリールイソシアヌレート(triaryl isocyanurate、TAIC)、トリアリールシアヌレート(Triaryl cyanurate、TAC)、有機過酸化物、又はそれらの組み合わせなどが想定される。任意の妥当な量の助剤が想定される。あるいは、結合層は、架橋剤、助剤、光開始剤、充填剤、可塑剤、又はそれらの組み合わせを、実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、結合層のポリマーの総重量の約1.0重量%未満、又は更には約0.1重量%未満を指す。
【0033】
一例では、
図1は、2つの層を有する例示的な多層チューブ100の図を含む。例えば、内側層102は、外側層104に結合されてもよい。特に、内側層及び外側層(102、104)は、結合層などのいかなる介在層も存在せずに直接接触している。内側層102は、流体が流れる通路を画定する内側管腔106を有する。内側層102は、典型的には、フルオロポリマー、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせであり、外側層104は、典型的には、上記のようなフルオロポリマー、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせである。内側層102及び外側層104は、同じ又は異なるポリマー材料であってもよい。更に、内側層102及び外側層104は、同じ又は異なる少なくとも1種の遮断剤を含んでもよい。内側層102及び外側層104のために選択される材料は、多層チューブ100に望まれる最終的な特性に依存する。
【0034】
図1に戻ると、内側層102は、外側層104よりも薄い。例えば、複合チューブ100の層の総厚さは、約3ミル~約500ミル、又は更には約3ミル~約100ミルなどの、少なくとも約3ミル~約1000ミルであってもよい。一実施形態では、内側層102は、約0.1ミル~約100ミルの範囲、例えば約0.5ミル~約100ミルの範囲、例えば約1ミル~約100ミルの範囲、例えば約1ミル~約50ミルの範囲、例えば約1ミル~約10ミルの範囲、又は更には約1ミル~約2ミルの範囲の厚さを有する。外側層104及び任意選択的に他の層は、差異を構成してもよい。一例では、外側層104は、約0.1ミル~約100ミルの範囲、例えば約1ミル~約100ミルの範囲、例えば約2ミル~約50ミルの範囲、又は更には約5ミル~約50ミルの範囲の厚さを有することができる。更なる例では、外側層104の厚さ対内側層102の厚さの比は、少なくとも約1.0、例えば少なくとも約1.5、例えば少なくとも約2.0、例えば少なくとも約5.0、又は更には少なくとも約10.0である。厚さの値は、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であってもよいということが理解されよう。
【0035】
一実施形態では、少なくとも1つの層は、内側層102と外側層104との間の接着を改善するために処理されてもよい。2つの隣接する層間の接着を増加させる任意の処理が想定される。例えば、外側層104に直接隣接する内側層102の表面が処理される。更に、内側層102に直接隣接する外側層104の表面が処理される。一実施形態では、処理は、表面処理、化学処理、ナトリウムエッチング、プライマーの使用、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、処理は、コロナ処理、UV処理、電子ビーム処理、火炎処理、スカッフィング、ナトリウムナフタレン表面処理、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0036】
一実施形態では、任意の後硬化ステップが想定され得る。特に、後硬化ステップは、任意の熱処理、放射線処理、又はそれらの組み合わせを含む。任意の熱条件が想定される。一実施形態では、後硬化ステップは、例えば、電子ビーム処理、ガンマ処理、又はそれらの組み合わせなどの任意の放射線処理を含む。一例では、ガンマ放射線又は電子ビーム放射線は、約0.1MRad~約100MRad、例えば約0.1MRad~50MRad、又は更には約1MRad~20MRadである。特定の実施形態では、後硬化ステップは、任意の残留揮発性物質を排除するため、層間及び/若しくは層内架橋を増加させるため、又はそれらの組み合わせのために提供され得る。
【0037】
一例では、チューブが多層チューブである場合、外側層のポリマーは更に望ましい特性を有する。例えば、外側層のポリマーは、デュロメータ(又は硬度)、引張強度、伸長、及び可撓性試験の組み合わせによって定義されるように、内側層よりもはるかに高い可撓性を有する。
【0038】
図1には2つの層が示されているが、多層チューブ100は、追加の層(図示せず)を更に含んでもよい。結合層、エラストマー層、補強層、又はそれらの任意の組み合わせなどの任意の追加の層が想定されてもよい。内側層及び外側層に対する追加の層の任意の位置が想定される。例えば、任意の追加の層が、外側層104の表面108上に配設されてもよい。一例では、補強層(図示せず)などの追加の層を、外側層104の表面108に近接して配設された追加の層内又は層間に組み込むことができる。例示的な補強層は、ポリエステル、接着性改質ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ガラス、金属、又はそれらの組み合わせなどの材料から形成された、ワイヤ、繊維、織布などの布、編組、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、多層チューブは、記載されるような内側層及び外側層からなる。別の実施形態では、チューブは、単層である。
【0039】
特定の実施形態では、流体導管などの多層チューブは、内側層を提供し、外側層を塗布して、接着剤又は結合強化層を介在させることなく、内側層の結合表面に直接接触させることによって形成される。内側層のポリマーは、想定される任意の方法によって提供されてもよく、内側層のために選択されるポリマーに依存する。一実施形態では、ポリマーは、溶融加工可能である。本明細書で使用するとき、「溶融加工可能(melt processable)」とは、溶融及び流動して、フィルム、チューブ、繊維、成形品、又はシートなどの任意の妥当な形態で押出成形することができるポリマーを指す。例えば、溶融加工可能なポリマーゴムは可撓性材料である。一実施形態では、ポリマーは、押出成形、射出成形、又はマンドレルラップされる。例示的な実施形態では、内側層のポリマーは、押出成形される。一例では、内側層の結合表面は、表面処理で調製される。一実施形態では、ポリマーは、多層チューブ上への任意の更なる層の塗布前、塗布後、又は塗布中に硬化され得る。内側層は、熱、放射線、又はそれらの任意の組み合わせなどによる様々な硬化技術を使用して、適所で硬化されてもよい。硬化は、架橋ポリマー内側層を提供し得る。例えば、硬化されると、ポリマーのモノマー単位の化学部分は、外側層のポリマーと結合を形成し得る。
【0040】
外側層は、上述のポリマーを含む。ポリマーは、想定される任意の方法によって提供されてもよく、外側層のために選択されるポリマーに依存する。方法は、任意の方法によって外側層を提供することを更に含んでもよい。外側層を提供することは、外側層のために選択されたポリマー材料に依存する。一実施形態では、外側層は「溶融加工可能な」ポリマーである。本明細書で使用するとき、「溶融加工可能なポリマー(melt processable polymer)」は、溶融及び流動して、フィルム、チューブ、繊維、成形品、又はシートなどの任意の妥当な形態で押出成形することができるポリマーを指す。一実施形態では、外側層は、押出成形又は射出成形される。例示的な実施形態では、外側層は、押出成形されてもよい。特定の実施形態では、外側層は、内側層の上に押し出され、外側層は、硬化される。外側層は、熱、放射線、又はそれらの任意の組み合わせなどによる様々な硬化技術を使用して、適所で硬化されてもよい。硬化は、架橋ポリマー外側層を提供し得る。例えば、硬化すると、外側層のモノマー単位の化学部分は、内側層のポリマーと結合を形成し得る。
【0041】
一実施形態では、内側層及び外側は、共押出成形され得る。有利には、内側層及び外側層はまた、同時に硬化されてもよく、これは、2つの層間の接着強度を強化させ得る。特に、内側層及び外側層は、2つの層の間に凝集力を有し、すなわち、凝集破壊が起こり、2つの材料の間の結合が破壊される前に内側層及び/又は外側層の構造的完全性が破壊される。
【0042】
一実施形態では、存在する場合、結合層は、典型的には、想定される任意の方法によって提供され、結合層のために選択される材料に依存する。例えば、結合層は、押し出されてもよい。一実施形態では、結合層は、ポリマーを押出粘度まで加熱し、次いでポリマーを押し出すことによって提供される。特定の実施形態では、結合層は、内側層に直接接触するように押し出される。一実施形態では、内側層、結合層、及び外側層の任意の組み合わせを共押出成形することができる。
【0043】
有利には、内側層、任意選択的な結合層、及び外側層はまた、同時に一緒に結合(例えば、共押出成形)されてもよく、これは、層間の接着強度を強化させ得る。特に、内側層及び外側層は、2つの層の間に凝集力を有し、すなわち、凝集破壊が起こり、2つの材料の間の結合が破壊される前に内側層及び外側層の構造的完全性が破壊される。別の特定の実施形態では、内側層、結合層、及び外側層は、3つの層の間に凝集力を有し、すなわち、凝集破壊が起こり、3つの材料の間の結合が破壊される前に内側層、結合層、及び外側層の構造的完全性が破壊される。特定の実施形態では、内側層と結合層との間の接着強度は、凝集性である。一実施形態では、結合層と外側層との間の接着強度は、凝集性である。
【0044】
チューブとして一般的に記載されているが、任意の妥当なポリマー物品が想定され得る。あるいは、ポリマー物品は、フィルム、ワッシャ、又は流体導管の形態をとってもよい。例えば、ポリマー物品は、積層体などのフィルム、又はセプタム若しくはワッシャなどの平面物品の形態をとってもよい。別の例では、ポリマー物品は、チューブ類、パイプ、ホース、又はより具体的には可撓性チューブ類、インク移送チューブ、移送チューブ類、ポンプチューブ類、耐薬品性液体移送チューブ類、物品洗浄チューブ類、洗濯チューブ類、高純度チューブ類、平滑ボアチューブ類、又はそれらの任意の組み合わせなどの流体導管の形態をとることができる。特定の実施形態では、チューブは、耐薬品性及び可撓性が望まれるチューブ類又はホースとして使用することができる。
【0045】
チューブ類は、チューブの中心管腔を画定する内面を含む。例えば、選択された特定の用途に対して任意の有用な直径サイズを有するチューブ類が提供されてもよい。一実施形態では、チューブ類は、約0.25インチ、0.50インチ、及び1.0インチなど、最大約5.0インチの外径(outside diameter、OD)を有してもよい。一実施形態では、チューブ類は、約0.03インチ~約4.00インチ、例えば、約0.06インチ~約1.00インチの内径(inside diameter、ID)を有してもよい。内径は、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であってもよいということが理解されよう。
【0046】
一実施形態では、結果として得られるチューブは、更に望ましい物理的特性及び機械的特性を有し得る。一実施形態では、内側層など、流体と接触している層は、様々な化学溶液に対する望ましい耐性を有するのに特に適している場合がある。例えば、内側層は、40℃で28日間の浸漬条件下で20%以下、又は更には15%以下の化学溶液中での重量変化を有する。化学溶液は、例えば、モノマー、希釈剤、インク配合物、又はそれらの組み合わせを含む。例示的な化学溶液としては、例えば、低粘度希釈剤、小モノマー希釈剤、インク配合物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。任意の小モノマー希釈剤が想定され、イソボルニルアクリレート(isobornyl acrylate、IBOA)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(hexanediol diacrylate、HDDA)、N-ビニルカプロラクタム(vinyl caprolactam、VCAP)、4-アクリロイルモルホリン(acryloylmorpholine、ACMO)、ビニルメチルオキサゾリジノン(vinyl methyl oxazolidinone、VMOX)、2-(2-vinyloxyethyoxy)エチルアクリレート(vinyloxyethyoxy)ethyl acrylate、VEEA)、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で使用するとき、「低粘度(low viscosity)」は、回転レオメータによって20℃~40℃で測定された2mPa*s~約15mPa*sの動的粘度を指す。
【0047】
一実施形態では、チューブは耐ねじれ性であり、透明又は少なくとも半透明に見える。特定の実施形態では、チューブは、望ましい可撓性及び実質的な透明度又は透光性を有する。例えば、望ましい可撓性を有するチューブは、少なくとも0.5インチの曲げ半径を有する。チューブを曲げるための力は、少なくとも3(N)ニュートン、例えば少なくとも5N、例えば少なくとも7N、又は更には少なくとも10Nである。一実施形態では、チューブは、チューブを通る流体の流れを可視化するために透明性を有する。一実施形態では、透明度は、厚さ1mmの試料を通過する500ナノメートルの波長を有する光の透過パーセントに基づいて、約50%超、例えば60%超、又は更には70%超である。一実施形態では、透過性は、約600nm~800nmの波長において少なくとも80%である。別の実施形態では、チューブは不透明であり、所望の可撓性を有する。
【0048】
チューブ類の用途は多数ある。例示的な実施形態では、チューブ類は、耐薬品性、UV及び可視光耐性、並びに/又は可撓性が望まれる、デジタルプリント機器、家庭用品、工業、廃水、自動車、又は他の用途などの用途において使用され得る。
【0049】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。それらの態様及び実施形態のいくつかを本明細書に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施形態が例解的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される項目のうちのいずれか1つ以上に沿ったものであってよい。
【0050】
実施形態1.多層チューブが、ポリマーを含む内側層であって、ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、内側層、及び内側層に隣接する外側層であって、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、外側層を含み、内側層、外側層、又はそれらの組み合わせが、少なくとも1種の遮断剤を含み、少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる。
【0051】
実施形態2.多層チューブを形成する方法は、ポリマーを含む内側層を提供することであって、ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、提供すること、及び内側層に隣接する外側層を提供することであって、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、提供することを含み、内側層、外側層、又はそれらの組み合わせが、少なくとも1種の遮断剤を含み、少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる。
【0052】
実施形態3.フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、二フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、又はそれらの組み合わせ、及び任意選択的に、エチレン、プロピレン、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つのモノマー単位を含む、実施形態1~2のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0053】
実施形態4.フルオロポリマーが、少なくとも3つのモノマー単位を含み、モノマー単位が、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロビニルエーテル、エチレン、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~3のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0054】
実施形態5.フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマーを含む、実施形態4に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0055】
実施形態6.フッ化ビニリデンが、フルオロポリマーの総重量の約50重量%未満、例えば約40重量%未満、例えば約30重量%未満、又は更には約20重量%未満の量で存在する、実施形態5に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0056】
実施形態7.テトラフルオロエチレンが、フルオロポリマーの総重量の約30重量%超、例えば約40重量%超、例えば約50重量%超、又は更には約60重量%超の量で存在する、実施形態5に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0057】
実施形態8.フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、及びエチレンのテトラポリマーを含む、実施形態4に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0058】
実施形態9.フルオロポリマーが、約40MPa未満の曲げ弾性率を有する、実施形態1~8のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0059】
実施形態10.ポリオレフィンが、C2~C10アルケンを含むモノマーを含む、実施形態1~9のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0060】
実施形態11.ポリオレフィンが、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、分岐ポリオレフィンコポリマー、ポリプロピレン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態10に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0061】
実施形態12.ポリオレフィンが、ジエンエラストマーとブレンドされる、実施形態10に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0062】
実施形態13.少なくとも1種の遮断剤が、紫外線遮断剤、可視光遮断剤、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~12のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0063】
実施形態14.紫外線遮断剤が、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、しゅう酸アニリド、シラノアクリレート酸(cyranoacrylate)、金属酸化物、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態13に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0064】
実施形態15.紫外線遮断剤が、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-tetramethylbuytl)フェノール]、N-(2-エトキシフェニル)-N’-(4-エチルフェニル)-エチレンジアミド、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-ヒドロキシフェニル-s-トリアジン誘導体、1,3-ビス-((2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ)-2,2-ビス(((2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ)メチル)-プロパン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、テトラ-エチル-2,2’-(1,4-フェニレン-ジメチリデン)-ビスマロネート、2-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノン、2-[2Hベンゾトリアゾール-2-イル]-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-フェノール、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態14に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0065】
実施形態16.金属酸化物が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態14に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0066】
実施形態17.可視光遮断剤が、アントロキノン、ベンズアントロン、ペリノン、キサンテン、無機顔料、染料、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態13に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0067】
実施形態18.遮断剤が、300℃を超える溶融温度を有する、実施形態1~17のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0068】
実施形態19.多層チューブが、多層チューブを通る流体の流れを可視化するための透明性を有する、実施形態1~18のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0069】
実施形態20.透明度が、厚さ1mmの試料を通過する500ナノメートルの波長を有する光の透過パーセントに基づいて、約50%超、例えば60%超、又は更には70%超である、実施形態19に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0070】
実施形態21.多層チューブが、95以下、例えば約40~約90、又は更には約40~約80のショアA硬度を有する、実施形態1~20のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0071】
実施形態22.内側層が、95以下、例えば約40~約90、又は更には約40~約80のショアA硬度を有する、実施形態1~21のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0072】
実施形態23.フルオロポリマーが、少なくとも67重量%、例えば少なくとも70重量%、又は更には少なくとも73重量%の公称ポリマーフッ素含有量を有する、実施形態1~22のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0073】
実施形態24.フルオロポリマーが、約50%未満、例えば約30%未満、又は更には約10%未満の結晶化度を有する、実施形態1~23のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0074】
実施形態25.内側層が、40℃で28日間の浸漬条件下で20%以下、又は更には15%以下の化学溶液中での重量増加を有する、実施形態1~24のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0075】
実施形態26.内側層及び外側層に隣接する結合層を更に含む、実施形態1~25のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0076】
実施形態27.結合層が、アクリレート、エポキシ、エステル、エチレン、アミン、アミド、TFE、VDF、HFP、ペルフルオロビニルエーテル、ポリウレタン、スチレン-ブロックコポリマー、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態26に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0077】
実施形態28.内側層が、外側層よりも薄い、実施形態1~27のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0078】
実施形態29.外側層が、約95以下、例えば約40~約90、又は更には約40~約80のショアA硬度を有する、実施形態1~28のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0079】
実施形態30.内側層が、外側層上に直接配設されている、実施形態1~29のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0080】
実施形態31.内側層、外側層、又はそれらの組み合わせが、充填剤を実質的に含まない、実施形態1~30のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0081】
実施形態32.層のうちのいずれかが、硬化剤を更に含む、実施形態1~31のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0082】
実施形態33.硬化剤が、ジヒドロキシ化合物、ジアミン化合物、有機過酸化物、硫黄化合物、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態32に記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0083】
実施形態34.多層チューブが、インクチューブ、蠕動ポンプチューブ、耐薬品性液体移送チューブ、物品洗浄チューブ、洗濯チューブ、又はそれらの組み合わせである、実施形態1~33のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0084】
実施形態35.多層チューブが、約0.7インチ未満の最小曲げ半径を有する、実施形態1~34のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0085】
実施形態36.多層チューブが、10ニュートン未満の最大曲げ力を有する、実施形態1~35のいずれかに記載の多層チューブ又は多層チューブを形成する方法。
【0086】
実施形態37.チューブは、ポリマー及び少なくとも1種の遮断剤を含む少なくとも1つの層であって、ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、それらのブレンド、又はそれらの組み合わせを含み、少なくとも1種の遮断剤が、240nm~450nmの波長で透過パーセントを少なくとも99%低減させる、少なくとも1つの層を含む。
【0087】
実施形態38.内側層及び外側層を提供することが、内側層及び外側層を押出成形することを含む、実施形態2に記載の方法。
【0088】
実施形態39.内側層及び外側層を提供することが、内側層及び外側層を共押出成形することを含む、実施形態38の方法。
【0089】
実施形態40.内側層、外側層、又はそれらの組み合わせを硬化させることを更に含む、実施形態2に記載の方法。
【0090】
実施形態41.熱処理、放射線処理、又はそれらの組み合わせを含む後処理ステップを適用することを更に含む、実施形態2に記載の方法。
【0091】
実施形態42.放射線処理が、電子ビーム処理、ガンマ処理、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態41に記載の方法。
【0092】
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物をよりよく開示及び教示するために提供される。それらは説明のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲に実質的に影響を及ぼすことなく、わずかな変形及び変更を行うことができるということを認識しなければならない。
【実施例】
【0093】
多層チューブの実施例
顔料又はUV吸収剤がチューブから浸出する懸念があり得る非常に攻撃的なインク成分の場合、薄い透明なライナー又は薄い透明なジャケットを含むことが望ましい場合がある。このタイプの多層構造において、透明層は、インクとUV遮断内部層との間のバリアとして機能して、顔料又は吸収剤の浸出を防止する。
【0094】
例えば、2層構造は、0.003~0.015インチ厚の透明なHDPEライナーを有する0.030~0.100インチ厚のUV吸収ポリオレフィン層の壁厚を含むことができる。
【0095】
2層構造の別の例は、0.003~0.015インチの透明THVライナーを有する0.030~0.100インチの厚さのUV吸収THV層の壁厚を含むことができる。
【0096】
3層構造の例は、0.003~0.015インチ厚の透明HDPEライナー及び0.003~0.030インチ厚の透明HDPEジャケットを有する0.030~0.100インチ厚のUV吸収ポリオレフィン層の壁厚を含むことができる。
【0097】
3層構造の別の例は、0.003~0.015インチ厚の透明THVライナー及び0.003~0.030インチ厚の透明THVジャケットを有する0.030~0.100インチ厚のUV吸収THV層の壁厚を含むことができる。
【0098】
フッ素化ライナー又はジャケットをポリオレフィンUV遮断層と対にするために、3層又は5層のチューブ構造が使用されてもよく、結合のための結合層を含んでもよい。
【0099】
例えば、3層チューブは、厚さ0.002~0.010インチのタイ層及び厚さ0.003~0.015インチの透明THVライナーを有する厚さ0.030~0.100インチのUV吸収ポリオレフィンチューブを用いて構成することができる。
【0100】
5層チューブの例は、0.030~0.100インチ厚のUV吸収ポリオレフィンチューブ、両側の2つの0.002~0.010インチ厚の結合層、並びに0.003~0.015インチ厚のTHVジャケット及びライナーである。
【0101】
UV遮断試験
UV遮断添加剤及び黄色顔料の両方を配合した約2インチの半透明ポリオレフィンチューブ、並びに陽性対照条件及び陰性対照条件としての黒色チューブ及び透明チューブに、300~450nmの光に曝露すると重合して硬化する光硬化性インクを充填した。光が側部からチューブに入ることができないように、金属ダウエルピンなどの不透明なストッパで、アセンブリのいずれかの端部にしっかりとキャップをした。発光スペクトルが365nm及び405nmのバンドを含む広域スペクトルメタルハライドランプを使用してアセンブリを照射した。ランプの光強度は、275~450nmの波長範囲で較正された光学計及びプローブで測定された。曝露時間は、この波長範囲内の曝露量が約16J/cm2となるように計算した。曝露後、ストッパを除去し、チューブの内部を硬化した材料の形跡について調べた。黒色チューブ及び着色チューブは、硬化又は顕著な粘度変化の証拠を示さなかった。チューブの内部を発泡綿棒で穏やかにこすり取った。硬化したスキン層の証拠は観察されなかった。逆に、透明チューブの内側のインクは完全に固化していた。したがって、半透明黄色着色チューブは、良好なUV及び低波長可視光遮断能力を有することが観察された。
【0102】
浸漬試験
プラーク又は押出チューブの形態の様々な曲げ弾性率のフルオロエラストマー及び(非フッ素化)ポリオレフィンエラストマーの両方を含む7つの例示的な材料を、40℃で4週間、様々な希釈剤中に完全に浸漬することによって浸漬した。
【0103】
【0104】
【0105】
プラーク又はチューブの重量のパーセント変化を溶媒取り込みの尺度として記録した。結果を
図2A及び
図2Bに見ることができる。非フッ素化材料については、イソボルニルアクリレート(IBOA)が最も攻撃的であったが、n-ビニルカプロラクタム(VCAP)は、フルオロエラストマーの一部に対してより多くの効果を有する傾向があった。フッ素化材料のうちの2つ(
図2Aの#6及び#7)は、IBOA、HDDA、又はVCAPの取り込みが最も低かった。使用条件、移送流体組成物、及びコストに応じて、1つ以上のチューブ類組成物が適切であり得る。
【0106】
最小曲げ半径
試験は、インストロン(Instron)装置に設置されたテキスト固定具で行った。使用したロードセルは100Nであり、試験速度は40mm/分であった。最小曲げ半径に関して、それは、チューブ類が、それを捻転又はそれを損傷することなく、周囲で曲げられることを可能にされる最小許容半径であった。したがって、曲げ半径が小さいほど、材料の可撓性が大きくなる。したがって、最小曲げ半径(minimum bend radius、MBR)は、チューブ類の可撓性又はねじれ抵抗を特徴付けるために使用されることができる。MBR試験では、チューブをU字型に湾曲させ、上部及び底部プラテンの溝に挿入した。プラテン間の開始距離を記録した。試験が開始されると、上部プラテンが特定の速度で移動して、チューブを更に曲げた。クロスヘッド位置の関数としての力を記録した。ねじれにおける曲げ半径が決定され、ピーク力は、通常、ねじれが生じるときに生じ、これが最大曲げ力である。
【0107】
図3は、耐薬品性及び最小曲げ半径の性能のグラフ図である。
図4は、耐薬品性及び最大曲げ力の性能のグラフ図である。
【0108】
一般的な説明又は実施例において、上で説明される活動の全てが必要とされるわけではなく、特定の活動の一部が必要とされない場合があり、説明される活動に加えて1つ以上の更なる活動が行われ得ることに留意されたい。更に、活動が列挙される順序は、必ずしもそれらが行われる順序ではない。
【0109】
前述の明細書では、特定の実施形態を参照して概念を記載してきた。しかしながら、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に掲げる本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解する。そのため、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、全てのこのような修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0110】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上で説明されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらすかより顕著にする可能性がある任意の特徴は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0111】
本明細書を読んだ後、当業者には、特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解されよう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。更に、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
【国際調査報告】