(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】医療デバイスの制御機構および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20240725BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61B1/005 523
A61B1/04 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506213
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022074230
(87)【国際公開番号】W WO2023015129
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワラク、スティーブン イー.
(72)【発明者】
【氏名】スタンフォード、ブリジット
(72)【発明者】
【氏名】カンチャンダニ、プリヤ バスデブ
(72)【発明者】
【氏名】オショーネシー、シェイマス フィンバル
(72)【発明者】
【氏名】ズプコフスカ、マイケル イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブーラッサ、ヘザー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF32
4C161FF35
4C161HH42
4C161HH47
4C161PP06
(57)【要約】
医療デバイス(10)は、作動デバイスを含むハンドル(20)と、ハンドルから延在するとともに、長手方向軸を有するシース(30)であって、ハンドルからシースの遠位端まで延在する撮像ルーメンを形成するシース(30)と、シースの遠位端にある撮像デバイス(100)と、撮像デバイスに接続された圧電部材(120a、120b)であって、圧電部材の動きによって、撮像デバイスが長手方向軸に対して第1の方向に移動する、圧電部材(120a、120b)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
作動デバイスを含むハンドルと、
前記ハンドルから延在するとともに、長手方向軸を有するシースであって、前記ハンドルから前記シースの遠位端まで延在する撮像ルーメンを形成する、前記シースと、
前記シースの遠位端にある撮像デバイスと、
前記撮像デバイスに接続された圧電部材であって、前記圧電部材の動きによって、前記撮像デバイスが前記長手方向軸に対して第1の方向に移動する、前記圧電部材と、を備えるデバイス。
【請求項2】
前記撮像ルーメンの近位端を前記撮像ルーメンの遠位端から流体密封するプレートが前記撮像ルーメン内に配置されており、前記圧電部材が前記プレートの遠位方向を向く面に結合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記撮像ルーメンの前記遠位端における開口部を流体密封する可撓性部材をさらに備え、前記圧電部材の遠位端は、前記可撓性部材の近位方向を向く面に結合されており、前記撮像デバイスは、前記可撓性部材の遠位方向を向く面に結合されており、前記圧電部材の動きによって、前記可撓性部材が前記長手方向軸に対して屈曲する、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記圧電部材は、前記圧電部材の各々の遠位端が前記撮像ルーメンの最遠位端内の開口部の近位に配置される第1の位置から、前記圧電部材の各々の前記遠位端が前記開口部の遠位に配置される第2の位置まで拡張する、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記圧電部材の前記遠位端は、前記撮像デバイスに接続されており、前記第1の位置から前記第2の位置への動きによって、前記撮像デバイスが前記シースの前記遠位端の近位の位置から前記シースの前記最遠位端の遠位の位置に移動する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、第2の圧電部材をさらに備えており、前記第2の圧電部材の動きによって、前記撮像デバイスが前記長手方向軸に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動し、前記シースは、前記ハンドルから延在するとともに、前記シースの最遠位端の開口部で終端する作業チャネルをさらに含んでいる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記撮像デバイスが前記第1の方向または前記第2の方向のうちの1つに移動されるとき、前記撮像デバイスの視野領域は、前記作業チャネルの前記開口部の一部を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記撮像デバイスは、イメージャおよび発光素子のうちの少なくとも1つを含む、請求項6または7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、前記撮像ルーメンの前記遠位端における開口部を流体密封する可撓性部材をさらに備えており、前記圧電部材の各々の前記遠位端は、前記可撓性部材の近位方向を向く面に結合されており、前記撮像デバイスは、前記可撓性部材の遠位方向を向く面に結合されており、前記圧電部材の動きによって、前記撮像デバイスが前記作業チャネル内の前記開口部および前記シースの遠位側端面から半径方向外側表面を撮像することができるように、前記可撓性部材が前記長手方向軸に対して屈曲する、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記圧電部材は、前記可撓性部材を前記第1の方向および前記第2の方向に同時に屈曲させるように構成されている、請求項6乃至9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスは、複数の撮像デバイスをさらに備え、前記複数の撮像デバイスのうちの第1の撮像デバイスは、前記開口部を撮像し、同時に、前記複数の撮像デバイスのうちの第2の撮像デバイスは、遠位側端面から半径方向外側表面を撮像する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記シースの遠位部分は、複数のリンクを含む関節ジョイントを含んでおり、前記圧電部材は、前記関節ジョイントの第1の側で隣接するリンクにかつ該隣接するリンク間に取り付けられた第1の組の圧電部材と、前記関節ジョイントの第2の側で前記隣接するリンクにかつ前記隣接するリンク間に取り付けられた第2の組の圧電部材とを含んでおり、前記第1の側および前記第2の側は、前記シースの周囲で180度オフセットされている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、前記ハンドルから延在するとともに、前記関節ジョイントの遠位側端面における開口部で終端する作業チャネルをさらに備えており、前記作業チャネルは、医療器具、流体、または吸引のうちの1つまたは複数を受容するように構成されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
複数の圧電部材のうちの各圧電部材は、前記長手方向軸に対する前記関節ジョイントの角度が変更され得るように個別に制御される、請求項12または13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記圧電部材は、前記圧電部材に電圧が印加されていないときに静止状態であり、前記圧電部材に前記電圧が印加されると、形状、大きさおよび方向のうちの少なくとも1つを変化させる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療デバイスおよびそれに関連する使用方法に関する。より詳細には、いくつかの実施形態では、本開示は、内視鏡医療デバイスの撮像デバイスの視野を変更することに関する。
【背景技術】
【0002】
体内の標的部位にアクセスするための医療ツールは、内視鏡の1つまたは複数のルーメンを通して前進させられ得、かつ標的部位を操作するためにルーメンの遠位端から延在し得る。これらの内視鏡システムの欠点は、例えば、単一のスコープが標的部位の側視および端視の両方を提供する能力が限られていることを含んでいる。例えば、多くの内視鏡(または内視鏡を通して挿入される医療ツール)では、撮像デバイスは、横向きまたは前向きのいずれかであるため、内視鏡の側面方向の視野または内視鏡の前方方向の視野のいずれかを提供する。このため、標的部位を内視鏡の遠位端の複数の方向から観察する能力が制限される。このため、標的部位の視野を制限することによって、医療処置において困難が生じ得る。さらに、標的部位の必要な数の視野を提供するために、複数の撮像デバイス等の複数のデバイスを使用する必要があり得、これは、内視鏡システムのサイズおよび/または処置の持続時間を増加させ得る。これは、事故、感染、または他の合併症のリスクを増加させ得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、当技術分野におけるこれらの問題または他の問題のうちの1つまたは複数を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものであり、特定の問題を解決する能力ではない。
【0004】
一態様によれば、医療デバイスは、作動デバイスを有するハンドルと、ハンドルから延在するとともに、長手方向軸を有するシースであって、ハンドルからシースの遠位端まで延在する撮像ルーメンを形成するシースと、シースの遠位端にある撮像デバイスと、撮像デバイスに接続された圧電部材であって、圧電部材の動きによって、撮像デバイスが長手方向軸に対して第1の方向に移動する、圧電部材と、を含む。
【0005】
プレートが、撮像ルーメン内に配置されるとともに、撮像ルーメンの近位端を撮像ルーメンの遠位端から流体密封し得、圧電部材が、プレートの遠位方向を向く面に結合され得る。
【0006】
可撓性部材は、撮像ルーメンの遠位端における開口部を流体密封し得、圧電部材の遠位端は、可撓性部材の近位方向を向く面に結合され得、撮像デバイスは、可撓性部材の遠位方向を向く面に結合され得、圧電部材の動きによって、可撓性部材が長手方向軸に対して屈曲し得る。
【0007】
圧電部材は、圧電部材の各々の遠位端が撮像ルーメンの最遠位端内の開口部の近位に配置され得る第1の位置から、圧電部材の各々の遠位端が開口部の遠位に配置され得る第2の位置まで拡張し得る。
【0008】
圧電部材の遠位端は、撮像デバイスに接続され得、第1の位置から第2の位置への動きによって、撮像デバイスがシースの遠位端の近位の位置からシースの最遠位端の遠位の位置に移動し得る。
【0009】
医療デバイスは、第2の圧電部材をさらに含み得、第2の圧電部材の動きによって、撮像デバイスが長手方向軸に対して、第1の方向とは異なる第2の方向に移動し得、シースは、ハンドルから延在するとともに、シースの最遠位端の開口部で終端する作業チャネルをさらに備え得る。
【0010】
撮像デバイスが第1の方向または第2の方向のうちの1つに移動するとき、撮像デバイスの視野領域は、作業チャネルの開口部の一部を含み得る。
撮像デバイスは、イメージャおよび発光素子のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0011】
医療デバイスは、撮像ルーメンの遠位端における開口部を流体密封する可撓性部材をさらに含み得、圧電部材の各々の遠位端は、可撓性部材の近位方向を向く面に結合され得、撮像デバイスは、可撓性部材の遠位方向を向く面に結合され得、圧電部材の動きによって、撮像デバイスが作業チャネル内の開口部およびシースの遠位側端面から半径方向外側表面を撮像し得るように、可撓性部材が長手方向軸に対して屈曲し得る。
【0012】
圧電部材は、可撓性部材を第1の方向および第2の方向に同時に屈曲させるように構成され得る。
医療デバイスは、複数の撮像デバイスをさらに含み得、複数の撮像デバイスのうちの第1の撮像デバイスは、開口部を撮像し、同時に、複数の撮像デバイスのうちの第2の撮像デバイスは、遠位側端面から半径方向外側表面を撮像する。
【0013】
シースの遠位部分は、複数のリンクを含む関節ジョイントを含み得、圧電部材は、関節ジョイントの第1の側で隣接するリンクに、かつ隣接するリンク間に取り付けられた第1の組の圧電部材と、関節ジョイントの第2の側で隣接するリンクに、かつ隣接するリンク間に取り付けられた第2の組の圧電部材とを含み得、第1の側および第2の側は、シースの周囲で180度オフセットされ得る。
【0014】
医療デバイスは、ハンドルから延在するとともに、関節ジョイントの遠位側端面における開口部で終端する作業チャネルをさらに含み得、作業チャネルは、医療器具、流体、または吸引のうちの1つまたは複数を受容するように構成され得る。
【0015】
複数の圧電部材のうちの各圧電部材は、長手方向軸に対する関節ジョイントの角度が変更され得るように、個別に制御され得る。
圧電部材は、圧電部材に電圧が印加されていないときに静止状態であり、圧電部材に電圧が印加されると、形状、大きさおよび方向のうち少なくとも1つを変化させ得る。
【0016】
別の態様によれば、医療デバイスは、電圧の供給を制御する作動デバイスを含むハンドルと、ハンドルから延在するとともに、長手方向軸を有するシースと、シースの遠位端に結合され、複数の結合されたリンクを有する関節ジョイントと、関節ジョイントの遠位端にある撮像デバイスと、関節ジョイントの第1の側で隣接するリンクに、かつ隣接するリンク間に取り付けられた第1の組の圧電部材と、関節ジョイントの第2の側で隣接するリンクに、かつ隣接するリンク間に取り付けられた第2の組の圧電部材とを含む。
【0017】
第1の組の圧電部材および第2の組の圧電部材の各々のうちの圧電部材は、(1)関節ジョイントが隣接する複数の組のリンク間で異なる角度で屈曲するように、かつ(2)関節ジョイントが隣接する複数の組のリンク間で長手方向軸に対して異なる方向に屈曲するように、独立して制御され得る。
【0018】
ハンドルは、第2の作動デバイスをさらに含み得、第1の作動デバイスの作動により、第1の組の圧電部材の圧電部材に電圧が供給され得、第2の作動デバイスの作動により、第2の組の圧電部材の圧電部材に電圧が供給され得る。
【0019】
別の態様によれば、方法は、挿入デバイスのシャフトを開口部を介して体内に挿入するステップと、挿入デバイスの遠位端が標的部位に隣接するように挿入デバイスを前進させるステップと、少なくとも1つの圧電部材に電圧を供給して、挿入デバイスに取り付けられた撮像デバイスの視野角を変更するステップであって、視野角は、挿入部材の中心長手方向軸に対して変更されるか、または挿入部材の中心長手方向軸から離れるように変更される、ステップと、挿入デバイスのルーメンを通して挿入デバイスの遠位端の開口部から医療器具を前進させて医療処置を行うステップと、を含む。
【0020】
方法は、少なくとも1つの圧電部材のうちの第1の圧電部材に第1の電圧を供給して、挿入デバイスの第1の部分を長手方向中心軸に対して第1の角度で傾斜させるステップと、少なくとも1つの圧電部材のうちの第2の圧電部材に第1の電圧とは異なる第2の電圧を供給して、挿入デバイスの第1の部分とは異なる第2の部分を長手方向中心軸に対して第2の角度で傾斜させるステップとをさらに含み得、第2の角度は第1の角度とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明と共に、開示される実施形態の原理を説明する役割を持つ。
【
図1】一実施形態に係る内視鏡システムの概略図である。
【
図2】一実施形態による、
図1の内視鏡システムの遠位端の断面図である。
【
図3】別の実施形態による、
図1の内視鏡システムの遠位端の断面図である。
【
図4】別の実施形態による、
図1の内視鏡システムの遠位端の断面図である。
【
図5A】別の実施形態による、
図1の内視鏡システムの遠位端の斜視図である。
【
図5B】別の実施形態による、
図1の内視鏡システムの遠位端の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、標的部位を観察するための、例えば、標的部位および内視鏡の遠位端の他の部分に対して、撮像デバイスの位置、方向、および/または視野を変化させることによって標的部位を観察するための、例示的な医療システムおよび医療ツールを参照して説明される。これは、向上した医療ツール機能性を提供し得、かつ/または医療従事者が、医療処置を行うために標的部位の改善された視野および標的部位へのアクセスを得ることを支援し得る。しかしながら、特定のデバイスおよび/または特定の処置への言及は、便宜のためにのみ提供されるものであり、本開示を限定することを意図したものではないことに留意されたい。当業者は、開示されたデバイスおよび適用方法の基礎をなす概念が、任意の適切な処置、医療または他のものにおいて利用され得ることを認識するであろう。本開示は、以下の説明および添付の図面を参照して理解することができ、同様の構成要素は同じ参照番号で参照される。
【0023】
説明を簡単にするために、開示されるデバイスの一部および/または装置の構成要素は、近位部分および遠位部分として参照される。「近位」という用語は、デバイスの使用者により近い部分を指すことが意図され、「遠位」という用語は、本明細書では、使用者からさらに離れた部分を指すために使用されることに留意されたい。同様に、「遠位に」延在するとは、構成要素が遠位方向に延在することを示し、「近位に」延在するとは、構成要素が近位方向に延在することを示す。さらに、本明細書で使用される場合、「約」、「略」および「実質的に」という用語は、明示された値または暗示された値の+/-10%内の値の範囲を示す。さらに、構成要素/表面の幾何学的形状を示す用語は、正確な形状および近似的な形状を指す。
【0024】
図1を参照すると、一実施形態による医療システム10が示されている。医療システム10は、ハンドル20と、ハンドル20の遠位端に接続されるシャフト30(例えば、カテーテル)と、シャフト30の遠位端にある遠位端40と、ハンドル20の近位端から延在する臍部(umbilicus)60とを含み得る。遠位端40は、関節ジョイント、エンドエフェクタ、撮像デバイス、光学素子、吸引デバイス/洗浄デバイス/吹送デバイス/付属デバイスのための開口部等のうちの1つまたは複数を含み得る。シャフト30は、可撓性であり得るとともに、体内の蛇行経路にアクセスするために適切な任意の医療グレード材料から形成され得るが、シャフト30の剛性/可撓性は限定されない。医療システム10は、内視鏡、大腸内視鏡、気管支内視鏡、尿管鏡、十二指腸内視鏡、または他の同様のデバイスであり得る。
【0025】
引き続き
図1を参照すると、ハンドル20は、第1および第2の作動デバイス54、56を含み得る。デバイス54、56は、シャフト30を通って延在し、かつ遠位端40に接続する1つまたは複数の要素を制御し得る。作動デバイス54、56は、例えば、シャフト30の1つまたは複数のルーメン内に延在する作動要素(例えば、図示しないワイヤ)を押したり/引いたりするために、軸を中心に回転する回転可能なノブであり得る。作動デバイス54、56の回転は、関節ジョイントを介して、シャフト30および/または遠位端40を長手方向軸A(
図2)に対して屈曲させ得る。代替的にまたは追加的に、作動要素は、例えば、鉗子を開閉したり、長手方向軸Aを中心にエンドエフェクタを回転させたり、エレベータを上昇または下降させたり、またはエンドエフェクタに他の機能を提供し得る。ハンドル20はまた、作動デバイス52を含み得る。2つの作動デバイスが示されているが、所望の様々な機能のために、3つ以上のデバイス52が使用され得る。例えば、実施形態では、作動デバイス52のうちの1つまたは複数は、遠位端40への空気および/または水の供給を制御し得る。加えて、作動デバイスのうちの1つまたは複数は、発光デバイスおよび/または撮像デバイス100の位置または向きを制御するように、遠位端40にあるデバイス70を制御し得る。例えば、作動デバイス52は、発光デバイスまたは撮像デバイス100の作動を制御し得る押しボタン等であり得る。作動デバイス52はまた、圧電部材(例えば、
図2の圧電部材120a、120b)への電圧の供給を制御して、本明細書で説明するように、制御デバイスの移動、従って制御デバイス70上の要素の位置または方向を制御し得る。例えば、作動デバイス52のうちの1つを押下することにより、圧電部材120a、120bへの電圧の供給が生じて、制御デバイス70が第1の方向に移動し得、一方で、作動デバイス52のうちの別のものを押下することによって、電圧の供給が終了し、かつ/または異なる量の電圧を同じかまたは別の圧電部材120a、120bに供給して、制御デバイス70が反対の方向または異なる方向に移動し得る。臍部60は、発光デバイスおよび/または撮像デバイス100を制御するための光ケーブルおよび/または制御ケーブルまたはワイヤを含み得る。臍部60は、ハンドル20から延在し得るとともに、ディスプレイ、コントローラ、または他の類似デバイスに接続され得る。
【0026】
ハンドル20はまた、シャフト30の1つまたは複数のルーメン(例えば、
図2に示される作業チャネル30a)に流体接続され得る開口部22を含み得る。例えば、医療器具(図示せず)が開口部22に挿入されるとともに、遠位端40まで延ばされ得る。遠位端40の最遠位端にある開口部80は、開口部22に流体結合され得、医療器具は、開口部80から延ばされ得る。代替的に、または付加的に、開口部80を介して標的部位に流体が供給され得るか、または開口部22を介して吸引を行って、開口部80を介して標的部位から破片を除去し得る。
【0027】
図2を参照すると、遠位端40は、(例えば、環状形状の)外壁40aと、外壁40a内の内壁40bとを含む。作業チャネル30a(例えば、第1のルーメン)は、外壁40aと内壁40bの第1の表面との間に形成されている。作業チャネル30aは、遠位端40の最遠位端にある開口部80で終端し得る。本明細書で説明されるように、医療器具、流体、または吸引は、作業チャネル30aを介して標的部位に供給され得る。
【0028】
撮像チャネル30b(例えば、第2のルーメン)は、外壁40aと内壁40bの第2の表面との間に形成されている。1つまたは複数のケーブル100aは、ハンドル20から撮像チャネル30bを通って延在し得るとともに、制御デバイス70の位置、従って、制御デバイス70に直接的または間接的に接続された発光デバイスおよび/または撮像デバイス100の位置を制御するためのコントローラ、回路、または他の制御要素を含み得る近位部材130に遠位端で接続され得る。外壁40aおよび内壁40bは、作業チャネル30aおよび撮像チャネル30bが貫通して形成された単一部材であり得ることが理解されるであろう。撮像チャネル30bは、撮像ケーブルに限定されず、発光デバイスおよび撮像デバイス100を制御するためのケーブルおよび/または発光デバイスおよび撮像デバイス100の方向を制御するための制御デバイス70の動きを制御するためのケーブルを含み得ることも理解されるであろう。近位部材130は、外壁40aおよび内壁40bに接続され得るとともに、撮像チャネル30bの近位端と遠位端との間に流体密封を生成し得る。いくつかの例では、近位部材130は、撮像チャネル30bの断面と同じ断面形状を有し得、かつ/または撮像チャネル30bの断面の直径と同じ直径を有し得る。代替的または追加的に、開口部が、近位部材130内に、および/または近位部材130と外壁40aおよび内壁40bの一方または両方との間に形成され得る。これは、ケーブル(例えば、制御ケーブル)がシャフト30の遠位端まで通過することを可能にし得る。
【0029】
引き続き
図2を参照すると、制御機構70は、撮像ルーメン30bの遠位端に配置され得る。制御機構70は、撮像ルーメン30bの長手方向軸に対して略垂直であり得る近位部材130を含み得る。近位部材130は、撮像ルーメン30bの近位端をその遠位端から流体密封し得る。本明細書に説明されるように、近位部材130は、近位部材130に取り付けられたコントローラ、回路、または同様の機構を含み得る。
【0030】
制御機構70は、近位部材130から遠位に延在し得る圧電部材120a、120bをさらに含む。圧電部材120a、120bは、円筒形であり得るか、または任意の他の形状であり得る。2個の圧電部材120a、120bが示されているが、任意の数(例えば、1個、3個、4個、またはそれ以上)が提供され得る。各圧電部材120a、120bの遠位端は、制御機構70の遠位プレート110に結合され得る。遠位プレート110は、撮像ルーメン30b内に完全に配置され得、撮像ルーメン30b内に部分的に配置され得、または遠位端40の最遠位端の遠位に完全に配置され得る。説明されるように、圧電部材120a、120bは、遠位プレート110を、撮像ルーメン30b内で近位に、および/または遠位端40の最遠位端に対して遠位に移動させることを含めて、遠位プレート110を移動させ得る。
【0031】
1つまたは複数の撮像デバイス100は、遠位プレート110の遠位方向を向く側に取り付けられ得る。撮像デバイス100は、遠位プレート110と一体的に形成され得るか、または撮像デバイス100は、例えば、圧電部材120a、120bが撮像デバイス100に直接接続するように、遠位プレート110に置き換わり換え得ることが理解されるであろう。撮像デバイス100は、1つまたは複数の発光デバイス(例えば、LED)、1つまたは複数の撮像デバイス(例えば、CMOSまたはCCDイメージャを含むカメラ)、またはそれらの組み合わせであり得る。1つの撮像デバイス100のみが図示されているが、2つ以上の撮像デバイス100(例えば、多数の撮像デバイス)、複数の発光デバイス、および/または撮像デバイスおよび発光デバイスの各々のうちの1つまたは複数が設けられ得る。
【0032】
圧電部材120a、120bは、ケーブル100aを介して電圧または電流を受け取り得る。例えば、電圧が第1の圧電部材120aに供給され得、これにより、第1の圧電部材120aが遠位方向に拡張し、かつ/または遠位プレート110が
図2において下方に(例えば、長手方向軸Aに対して垂直以外の角度で)傾斜し得る。第1の圧電部材120aへの電圧の供給を終了することにより、第1の圧電部材120aが静止状態、即ち非拡張状態に収縮し得る。例えば、各圧電部材120a、120bの静止状態は、個々の圧電部材120a、120bが遠位方向を向いており、かつ拡張されていない状態であり得る。これにより、デバイス100が遠位方向を向いており、かつ長手方向軸Aに対してほぼ垂直である静止状態になり得、いくつかの例では、デバイス100は、シャフト30または遠位開口部80から外側表面を撮像し得る。第2の圧電部材120bに電圧を供給することにより、同様に、第2の圧電部材120bが遠位に拡張し、かつ遠位プレート110が上方に(例えば、長手方向軸Aに対して垂直以外の角度で)傾斜し得る。第1および第2の圧電部材120a、120bの両方に電圧を供給することにより、遠位プレート110が遠位方向に、例えば、遠位端40の最遠位端の遠位に移動し得る。追加の圧電部材120は、長手方向軸Aに対して追加の方向、例えば、左および右への移動を可能にし得る。このようにして、オペレータは、標的部位の異なる領域を撮像および/または照明するためにデバイス100の視野を変更し得る。
【0033】
圧電部材120は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、および/またはニオブ酸リチウムを含む1つまたは複数の材料を含み得る。また、圧電部材120は、石英または他の天然に存在する圧電材料を含み得る。追加的または代替的に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムが圧電部材120に貼付され得る。PVDF膜は2つの層を含み得、各層は反対の極性を有し、これにより各圧電部材120が屈曲し得る。単一の部材として説明したが、各圧電部材120は、2つ以上の圧電スタック、例えば、共に積層された複数の圧電部材、マイクロモータ、および/または増幅アクチュエータを含み得、これらは、各圧電部材120のより大きな動きを生じさせ得、かつ撮像デバイス100の変位を増加させ得る。
【0034】
医療システム10を動作させる方法について説明する。医療システム10は、遠位端40を身体開口部を通して挿入することによって、身体開口部(例えば、切開部、自然の開口部等)に挿入され得る。遠位端40は、体内の標的部位まで前進させられ得る。遠位端40が身体を通して前進させられるにつれて、かつ/または遠位端40が標的部位に到達すると、システム10の遠位端40における標的領域および/または他のコンポーネントに対する1つまたは複数のデバイス100の位置、向き、および/または角度が変更され得る。例えば、医療システム10の使用者は、作動デバイス52のうちの1つまたは複数を作動させ得る。作動デバイス52は、電源(図示せず)(例えば、電圧発生器、電源コンセントなど)から1つまたは複数の圧電部材120a、120bに電圧を供給させ得る。圧電部材120a、120bに電圧を供給することにより、圧電部材120a、120bが拡張および/または収縮し得、これにより、遠位プレート110、従って、デバイス100が、長手方向軸Aに対してその角度を変化させ得る(例えば、軸Aに対して垂直な状態から、軸Aに対して平行な状態を含む、軸Aに対して垂直でない状態に)。
【0035】
医療処置中、所望の照明角および/または視野角(前向き、横向き、およびそれらの間の角度を含む)に基づいて、長手方向軸Aに対するデバイス100の角度を変更するために、電圧が圧電部材120a、120bのうちの1つまたは複数に供給され得る。いくつかの例では、1つまたは複数の医療器具が、作業チャネル30aを介して標的部位に前進させられ得る。医療処置が完了すると、医療システム10は、身体から取り除かれ得る。
【0036】
図3には、制御機構70’の別の例を有する遠位端40が示されている。
図2の遠位端40と同様に、作業チャネル30aおよび撮像ルーメン30bは、内壁40bおよび外壁40aによって遠位端40内に形成され得る。ケーブル100aは、ハンドル20から遠位に延びるとともに、近位部材130に接続し得る。
図2の遠位端40と同様に、近位部材130は、壁40a、40bに固定されるとともに、撮像ルーメン30bの近位端を遠位端から流体密封し得る。単一の圧電部材120’は、近位部材130の遠位側表面から遠位に延在し、かつ近位部材130に固定され得る。撮像デバイス100(1つまたは複数の撮像デバイスおよび/または発光デバイスを含み得る)は、圧電部材120’の遠位端に接続され得る。
図2の撮像デバイス100と同様に、撮像デバイス100は、撮像ルーメン30b内に完全に配置され得、撮像ルーメン30b内に部分的に配置され得、または遠位端40の最遠位端に対して遠位に配置され得る。圧電部材120’に電圧を供給することにより、圧電部材120’が長手方向軸Aに対して偏向し(例えば、屈曲し)、遠位端40における治療領域および/または他のコンポーネントに対する撮像デバイス100の位置、向き、および/または角度が変化し得る。このようにして、照射野および/または撮像視野が変化され得、これにより、医療処置中に視野を拡大することができる。圧電部材120’が近位部材130を必要としないことも理解されるであろう。例えば、圧電部材120’は、撮像ルーメン30bの壁に直接結合され得る。圧電部材120’は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、石英または他の天然に存在する圧電材料など、本明細書に記載される任意の材料を含み得る。付加的に、または代替的に、上述したように、PVDFフィルムが圧電部材120’に貼付され得る。付加的に、または代替的に、圧電部材120’は、2つ以上の圧電スタック、マイクロモータ、および/または増幅アクチュエータを含み得、これらは、本明細書に説明されるように、各圧電部材120’のより大きな動きを生じさせ得る。
【0037】
ベローズ110’(例えば、可撓性膜を含む可撓性部材)が、撮像ルーメン30bの遠位開口部の周囲に結合され得る。ベローズ110’は、耐流体性材料/不透過性材料を含み得、撮像ルーメン30bと標的部位との間に流体密封を形成し得る。ベローズ110’の可撓性材料は、撮像ルーメン30bの遠位端における流体密封を維持しながら、圧電部材120’が長手方向軸Aに対して動く(例えば、屈曲する)ことを可能にし得る。いくつかの例では、圧電部材120’に電圧が供給され、これにより、圧電部材120’の横方向動き(例えば、左右の動き)が生じ得る。電圧の供給が増加すると、より大きな屈曲が圧電部材120’に生じ得る。ベローズ110’を上下方向に動かせるために、第2の圧電部材120’(図示せず)が設けられるとともに、圧電部材120’に対して90度回転され得る。第2の圧電部材120’に電圧を供給することにより、第2の圧電部材120’は、第1の圧電部材120’の偏向方向に対して垂直な方向に横方向に偏向され得る。
【0038】
医療システム10を動作させる方法について説明する。医療システム10は、
図2を参照して説明したように、身体開口部(例えば、切開部、自然の開口部等)の中に挿入され、標的部位まで前進させられ得る。遠位端40は、体内の標的部位まで前進させられ得る。遠位端40が身体を通して前進させられるにつれて、かつ/または遠位端40が標的部位に到達すると、システム10の遠位端40における標的領域および/または他のコンポーネントに対する1つまたは複数のデバイス100の位置、向き、および/または角度が、デバイス52を作動させることによって変更され得る。圧電部材120’に電圧を供給することにより、圧電部材120’が左右に屈曲し得、これにより、ベローズ110’が伸張または屈曲して、デバイス100が、長手方向軸Aに対してその角度を変化させ得る(例えば、軸Aに対して垂直な状態から、軸Aに対して平行な状態を含む、軸Aに対して垂直でない状態に)。例えば、圧電部材120’は、圧電部材120’が長手方向軸Aに平行であり、かつ拡張していない静止状態を有し得る。これにより、ベローズ110’は、長手方向軸Aに対して略垂直な平面に沿って位置し得る。非静止位置は、例えば、圧電部材120’が長手方向軸Aに対して平行でなく、かつベローズ110’の少なくとも一部が長手方向軸Aに対して垂直でないように圧電部材120’が動くような、静止位置以外の位置であり得る。医療処置が完了すると、医療システム10は、身体から取り除かれ得る。
【0039】
図4には、遠位端40’の別の例が示されており、環状撮像ルーメン30b’が作業チャネル30a’と同軸であり得る。例えば、外壁40aおよび内壁40bは、略環状の断面を有する撮像ルーメン30b’を形成し得る。内壁40bは、壁40a、40b(図示せず)の間の突出部または他の接続により撮像ルーメン30b’内に支持され得る。内壁40bは、略円形断面を有する作業チャネル30a’を形成し得る。作業チャネル30a’内の遠位開口部80’は、医療器具、流体、吸引等が、標的部位に供給されるか、または標的部位から取り除かれたりすることを可能にし得る。
【0040】
圧電部材110’’は、撮像ルーメン30b’の遠位端を標的部位から流体密封し得る。圧電部材110’’は、本明細書に記載される任意の材料、例えば、圧電部材120および/または圧電部材120’に関して記載された任意の材料を含み得ることが理解されるであろう。圧電材料110’’は、ルーメン30b’内に嵌合するように環状形状を有し得る。圧電材料110’’は、1つの一体構造または複数の別個の構造であり得る。1つまたは複数の撮像デバイス100(1つまたは複数の撮像デバイスおよび/または発光素子を含み得る)は、圧電部材110’’の遠位側表面に取り付けられ得、各デバイス100は、遠位方向を向く静止状態を有する。1つまたは複数のケーブル100aは、ハンドル20から延びるとともに、圧電部材110’’の近位側表面に接続され得る。実施形態において、複数のケーブル100aが同じ圧電材料110’’に接続され得る。
図2および
図3に示すデバイスと同様に、圧電部材110’’に電圧を供給することにより、圧電部材110’’が拡張、収縮、および/または他の態様で形状を変化し得る。また、異なる位置で圧電部材110’’に電圧を供給することにより、圧電部材110’’の一部分が半径方向外向きに傾斜し得る一方で、異なる位置で圧電部材110’’に電圧を供給することにより、圧電部材110’’が半径方向内向きに傾斜し得る。このようにして、オペレータは、各撮像デバイス100の視野を変更し、かつ/または標的部位の異なる領域を照明し得る。圧電部材110’’は、撮像ルーメン30b’の遠位開口部の全周(例えば、360度)に延在するか、または撮像ルーメン30b’の遠位開口部の円周の一部(例えば、180度、270度等)にのみ延在し得ることが理解されるであろう。撮像デバイス100は、圧電部材110’’の中心にあり、静止形態において、即ち、電圧が圧電部材110’’に供給されないとき、遠位方向を向くように示されているが、撮像デバイス100の位置は、これに限定されないことが理解されるであろう。例えば、撮像デバイスは、圧電部材110’’の中心から半径方向内側または半径方向外側に配置され得る。付加的に、または代替的に、撮像デバイス100の遠位側端面は、静止形態において、長手方向軸Aに対して半径方向内向きに傾斜し得るか、または長手方向軸Aから離れて半径方向外向きに傾斜し得る。
【0041】
医療システム10を動作させる方法について説明する。医療システム10は、身体開口部(例えば、切開部、自然の開口部等)に挿入され、身体内の標的部位まで前進させられ得る。遠位端40’が身体を通して前進させられるにつれて、かつ/または遠位端40’が標的部位に到達すると、システム10の遠位端40’における標的領域および/または他のコンポーネントに対する1つまたは複数のデバイス100の位置、向き、および/または角度が、
図2を参照して説明したように、作動デバイス52のうちの1つまたは複数を作動させることによって変更され得る。圧電部材110’’に電圧を供給することにより、圧電部材110’’を長手方向軸Aに対して屈曲させ得る。いくつかの例では、圧電部材110’’の第1の部分は、長手方向軸Aに対して角度が付けられ得、一方、圧電部材110’’の第2の異なる部分は、長手方向軸Aに対する角度を、例えば、遠位端40から半径方向外側表面に向かって変化させ得る(例えば、軸Aに対して垂直な状態から、軸Aに対して平行な状態を含む、軸Aに対して垂直でない状態に)。医療器具は、本明細書に説明される任意の方法で標的部位に前進させられ得る。
【0042】
図5Aおよび
図5Bには、別の例による遠位端40’’が示されている。遠位端40’’は、屈曲位置40b’’で共に接合された複数のリンク40a’’を有する関節ジョイントを含み得る。遠位端40’’は、例えば、押出成形によって単一部材として形成され得る。代替的に、各リンク40a’’は、屈曲位置40b’’において、コネクタ(例えば、バネ)によって接合され得る。遠位端40’’は、屈曲位置40b’’の向きに基づいて、
図5Bに示されるように、単一の平面に沿って2つの方向にのみ屈曲することが可能であり得る。代替的に、屈曲位置40b’’は、各隣接する組のリンク40a’’に対して遠位端40’’の円周の周囲に90度オフセットされ得、これにより、遠位端40’’が、2つを上回る方向、例えば、相互に垂直な2つの平面に沿って4つの方向に屈曲することが可能であり得る。代替的に、屈曲位置40b’’は、関節ジョイントの非恒久的な屈曲を可能にし得る、例えば、ニチノールのような超弾性材料を含み得る。
【0043】
遠位端40’’は、スコープ(例えば、内視鏡、尿管鏡、十二指腸内視鏡等)の最遠位端であり得ることが理解されるであろう。代替的に、遠位端40’’は、医療器具(スコープ等)またはスコープの作業チャネルを通して挿入される医療器具の最遠位端に対して近位にあり得る。1つまたは複数の撮像デバイス100(1つまたは複数の撮像デバイスおよび/または発光デバイスを含む)は、遠位端40’’の遠位側端面上に支持され得る。代替的にまたは追加的に、エンドエフェクタ(例えば、鉗子、ナイフ、スネア等)が遠位側端面40’’に取り付けられ得る。
【0044】
圧電部材120a、120bは、遠位端40’’における関節ジョイントの関節運動に対する改良された制御を提供し得る。隣接するリンク40a’’間には、圧電部材120a,120bが設けられている。圧電部材120a、120bは、リンク40a’’の半径方向最外側表面において隣接するリンク40a’’間に延在し得る。代替的に、圧電部材120a,120bは、半径方向最外側表面から半径方向内側に配置され得る。いくつかの例では、圧電部材120a、120bは、例えば、それぞれ独立して制御される複数の別個の圧電部材120aおよび複数の圧電部材120bが存在するように、隣接するリンクに直接結合され得る。例えば、1つまたは複数の制御ケーブルは、ハンドル20から圧電部材120a、120bの各々まで延びるとともに、圧電部材120a、120bの拡張および収縮を制御し得る。代替的に、圧電部材120a、120bの各々は、それぞれ、関節ジョイントの近位端から遠位端まで延びるロッドを含み得る。例えば、圧電部材120aは、関節ジョイントの第1の側において最近位リンクから最遠位リンクまで延在するロッドであり得、圧電部材120bは、関節ジョイントの第1の側とは反対の第2の側において最近位リンクから最遠位リンクまで延在するロッドであり得る。圧電部材120a、120bは、例えば、最近位リンクの遠位側の位置または最遠位リンクの近位側の位置から、関節ジョイントの一部のみに沿って延在し得ることが理解される。圧電部材120a、120bは、本明細書で説明される任意の材料、例えば、圧電部材120、圧電部材120’、および/または圧電部材110’’に関して説明された任意の材料を含み得ることが理解されるであろう。
【0045】
本明細書で説明するように、
図5Bに示すように、第1の組の圧電部材120aに電圧を供給することにより、第1の組の圧電部材120aが収縮し得、第2の組の圧電部材120bに電圧を供給することにより、第2の組の圧電部材120bが拡張し得る。第1および第2の組の圧電部材120a、120bへの電圧供給を変化させることにより、第1および第2の組の圧電部材120a、120bの拡張および/または収縮を変化させ得、これにより、第1および第2の組の圧電部材120a、120bが長手方向軸Aに対して異なる角度で偏向し得る。図示されていないが、1つまたは複数のルーメン(例えば、作業チャネル、撮像チャネル等)は、ハンドル20からシャフト30を通して延在するとともに、遠位端40’’の遠位側端面における1つまたは複数の開口部で終端し得る。これらのルーメンは、撮像デバイス100、エンドエフェクタ等を制御するためのケーブル(例えば、制御用ケーブル、発光用ケーブル等)を受容し得る。
【0046】
医療システム10を動作させる方法について説明する。医療システム10は、
図2を参照して説明したように、身体開口部(例えば、切開部、自然の開口部等)の中に挿入され、標的部位まで前進させられ得る。遠位端40’’は、体内の標的部位まで前進させられ得る。遠位端40’’が身体を通して前進させられるにつれて、かつ/または遠位端40’’が標的部位に到達すると、1つまたは複数のデバイス100の角度は、デバイス52を作動させることによって変更され得る。圧電部材120a、120bに電圧を供給することにより、圧電部材120a、120bが拡張および/または収縮し、かつ/または左右に屈曲し得、これにより、遠位端40’’、従って、デバイス100が、長手方向軸Aに対して角度が付けられ得る。圧電部材120a、120bは、それぞれ独立して制御され得る。例えば、圧電部材120bに電圧を供給し、圧電部材120aに電圧を供給しないことにより、遠位端40’’が、
図5Aに示される直線位置または整列位置から
図5Bに示されるような角度付け位置に屈曲し得る。電圧は、遠位端40’’を異なる方向に屈曲させるために、圧電部材120aおよび/または120bに異なる順序で供給され得、かつ/または供給され得ない。さらに、電圧が圧電部材120aまたは120bの各々に個別に供給されて、圧電部材120aおよび120bの各々が、異なって拡張または収縮し、それによって、異なる屈曲、例えば、異なる屈曲角度および/または屈曲方向が生じるようにし得る。医療処置が完了すると、医療システム10は、身体から取り除かれ得る。
【0047】
様々な医療システムを説明してきたが、これらの医療システムにおける要素の特定の配置は限定されないことが理解されるであろう。さらに、医療システムのカテーテルまたはシャフト、または医療システムとともに使用される医療器具のサイズおよび形状、および/またはシステムを展開する方法は、限定されない。本明細書の例に説明されるように、医療デバイスの発光デバイスおよび/または撮像デバイスは、標的部位への改善された可視化および/またはアクセスのために、その長手方向軸に対して角度を付けて、照射領域および/または視野領域を変更し得る。これにより、医療処置の結果が改善され、医療処置の時間を短縮することができ、医療処置後の患者の回復時間を改善することができる。
【0048】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイスに対して様々な修正および変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、最大屈曲角度、チューブの長手方向における屈曲位置、圧電部材の数およびその位置、ならびに/または照明デバイスおよび撮像デバイスの数は、所望の医療療法に基づいて変更され得る。本開示の他の実施形態は、本明細書に開示される本明細書の詳細な説明および実施を考慮すれば、当業者には明らかであろう。本明細書および例は例示としてのみ考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲および技術思想は以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】