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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】臭気制御組成物を有する吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240725BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240725BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20240725BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240725BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20240725BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20240725BHJP
   A61L 15/48 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61F13/15 141
A61F13/15 143
A61F13/15 390
A61F13/511 200
A61F13/514 100
A61F13/53 300
A61L15/20 200
A61L15/44 200
A61L15/48 200
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506272
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 US2022039805
(87)【国際公開番号】W WO2023018698
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/230,879
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】ホセ、エンリケ、ベタンクール
(72)【発明者】
【氏名】チャド、エム.ウェルディショファー
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200AA11
3B200AA12
3B200BB22
3B200BB24
3B200BB25
3B200DB02
3B200DC02
3B200DD02
3B200EA27
(57)【要約】
トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を有する使い捨て吸収性物品が記載される。使い捨て吸収性物品は、防腐剤、界面活性剤、メチル化β-シクロデキストリン(m-BCD)、及び香料を有する、臭気制御組成物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートと、バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備える使い捨て吸収性物品であって、前記使い捨て吸収性物品は、
防腐剤、界面活性剤、メチル化β-シクロデキストリン(m-BCD)、及び香料を含む、臭気制御組成物を更に含む、使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記臭気制御組成物が、約0.5重量%~2.0重量%、より好ましくは0.8重量%~約2.0重量%、又は最も好ましくは約1.2重量%~約2.0重量%の防腐剤を含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記臭気制御組成物が、約0.3重量%~約2.0重量%、より好ましくは約0.5重量%~約2.0重量%、又は最も好ましくは約0.8重量%~約2.0重量%の(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記防腐剤が、次の構造I:
HO-CH-CH-R(I)
[式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である]によって表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記シクロデキストリンが、シクロデキストリンのグルコース単位当たり0.4~2.5個の-R置換基の置換度(DS)を有する置換シクロデキストリン(2位、3位、及び6位におけるOH基のH原子が置換基-Rによって部分的に又は完全に置き換えられている)であり、2位における置換が約20%以上であり、6位における置換が約20%以上であり、3位における置換が、2位及び/又は6位における置換度未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
3位における置換が、50%未満、好ましくは約40%未満、より好ましくは約30%未満、最も好ましくは約20%未満である、請求項5に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記3位における置換が約40%未満である、請求項5に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
前記3位における置換が約30%未満である、請求項5に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項9】
前記置換シクロデキストリンが、約0.9~約2.4の置換度を有する、請求項5~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記置換シクロデキストリンが、約1.2~約2.2の置換度を有する、請求項5~9のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項11】
前記置換シクロデキストリンが、約1.6~約2.1の置換度を有する、請求項5~10のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項12】
前記2位における置換が約20%~約90%である、請求項5~11のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項13】
前記2位における置換が約45%~約80%である、請求項5~12のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項14】
前記6位における置換が約20%~約90%である、請求項5~13のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項15】
前記6位における置換が約40%~80%である、請求項5~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記-R置換基が、直鎖又は分岐の、C1~C5飽和鎖から選択される、請求項5~15のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項17】
前記-R置換基が、メチル及びヒドロキシメチルから選択され、好ましくはメチルである、請求項5~15のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項18】
前記吸収性物品が、Y軸に概ね平行な全長及びX軸に平行な全幅を更に備え、前記臭気制御組成物が、前記吸収性物品の標的ゾーン内に供給されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項19】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置されており、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約20%超~約80%未満を構成している、請求項18に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項20】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置されており、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約30%超~約70%未満を構成している、請求項18又は19に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項21】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置されており、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約40%超~約60%未満を構成している、請求項18又は19に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項22】
前記臭気制御組成物が、前記吸収性コア上に供給されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項23】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項24】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルからなる、請求項1~22のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項25】
前記(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤が、一般式:
(CHSiO-[Si(CH0]-[Si(CH)(R)O]Si(CH
を有するポリアルキレンオキシドポリシロキサンであり、式中、a+bは約1~約50であり、Rは同じか又は異なり、メチル及び一般式;
-(CHO(CO)(CO)
を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基からなる群から選択され、少なくとも1つのRは、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であり、nが3又は4であり、cの合計(全てのポリアルキレンオキシ側鎖基について)は、1~約100の値を有し、dは0~約14であり、c+dは、約5~約150の値を有し、各Rは、同一であるか又は異なり、水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項26】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、一般式:
【化1】
[式中、Rは、アルキル基である]を有するアニオン性界面活性剤である、請求項1~24のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項27】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、親水性ポリ(エチレンオキシド)部分が末端位置にあるポリ(エチレンオキシド)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマーである、請求項1~24のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項28】
前記臭気制御組成物の前記界面活性剤が、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンである、請求項1~24のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項29】
前記香料が、約8%~約10%、又はより好ましくは約9%~約10%の量で存在している、請求項1~28のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項30】
前記置換シクロデキストリンが、約80%~約90%、又はより好ましくは約85%~約90%の量で存在している、請求項1~29のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項31】
臭気制御組成物を有する使い捨て吸収性物品の製造方法であって、
トップシート材料を得る工程と、
バックシート材料を得る工程と、
吸収性コア材料を得る工程と、
前記トップシート材料と前記バックシート材料との間に前記吸収性コア材料を配置する工程と、
前記トップシートと前記吸収性コアとの間、及び/又は前記吸収性コアと前記バックシートとの間に配置される1つ以上の任意選択の材料を得る工程と、
置換シクロデキストリン、防腐剤、シクロデキストリンと相溶性の界面活性剤、及び香料を含む水性臭気制御組成物を得る工程と、
前記水性臭気制御組成物を、前記トップシート、前記バックシート、前記吸収性コア、又は前記任意選択の材料のうちの少なくとも1つに適用する、又は適用させる工程と、を更に含む、方法。
【請求項32】
前記臭気制御組成物が、約0.5重量%~1.0重量%、より好ましくは約0.5重量%~約0.8重量%の防腐剤を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記臭気制御組成物が、0.1重量%~約2重量%、より好ましくは0.1重量%~約1.0重量%、又は最も好ましくは約0.1重量%~約0.5重量%の(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤を含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記防腐剤が、次の構造I:
HO-CH-CH-R (I)
[式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である]によって表される化合物を含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記シクロデキストリンが、シクロデキストリンのグルコース単位当たり0.4~2.5個の-R置換基の置換度(DS)を有する置換シクロデキストリン(2位、3位及び6位におけるOH基のH原子が置換基-Rによって部分的又は完全に置換されている)であり、2位における置換が約20%以上であり、6位における置換が約20%以上であり、3位における置換が、2位及び/又は6位における置換度未満である、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
3位における置換が50%未満、好ましくは約40%未満、より好ましくは約30%未満、最も好ましくは約20%未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記3位における置換が約40%未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記3位における置換が約30%未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記置換シクロデキストリンが、約0.9~約2.4の置換度を有する、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記置換シクロデキストリンが、約1.2~約2.2の置換度を有する、請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記置換シクロデキストリンが、約1.6~約2.1の置換度を有する、請求項35~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記2位における置換が約20%~約90%である、請求項35~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記2位における置換が約45%~約80%である、請求項35~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記6位における置換が約20%~約90%である、請求項35~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記6位における置換が約40%~80%である、請求項35~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記-R置換基が、直鎖又は分岐の、C1~C5飽和鎖から選択される、請求項35~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記-R置換基が、メチル及びヒドロキシメチルから選択され、好ましくはメチルである、請求項35~45のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項48】
前記吸収性物品が、Y軸に概ね平行な全長及びX軸に平行な全幅を更に備え、前記臭気制御組成物が、前記吸収性物品の標的ゾーン内に供給される、請求項31~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置され、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約20%超~約80%未満を構成する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置され、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約30%超~約70%未満を構成する、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項51】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置され、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約40%超~約60%未満を構成する、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項52】
前記臭気制御組成物が、前記吸収性コア上に供給される、請求項31~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルを含む、請求項31~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルからなる、請求項31~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤が、一般式:
(CHSiO-[Si(CH0]-[Si(CH)(R)O]Si(CH
を有するポリアルキレンオキシドポリシロキサンであり、式中、a+bは約1~約50であり、R同じか又は異なり、メチル及び一般式;
-(CHO(CO)(CO)
を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基からなる群から選択され、少なくとも1つのRはポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であり、nは3又は4であり、cの合計(全てのポリアルキレンオキシ側鎖基について)は、1~約100の値を有し、dは0~約14であり、c+dは、約5~約150の値を有し、各Rは、同一であるか又は異なり、水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基からなる群から選択される、請求項31~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、一般式:
【化2】
[式中、Rは、アルキル基である]を有するアニオン性界面活性剤である、請求項31~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、親水性ポリ(エチレンオキシド)部分が末端位置にあるポリ(エチレンオキシド)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマーである、請求項31~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記臭気制御組成物の前記界面活性剤が、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンである、請求項31~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記香料が、約8%~約10%、又はより好ましくは約9%~約10%の量で存在している、請求項31~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記置換シクロデキストリンが、約80%~約90%、又はより好ましくは約85%~約90%の量で存在している、請求項31~59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、改善された臭気制御組成物を含む吸収性物品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
身体滲出物を吸収するための女性用衛生パッドの使用は、何十年も前から知られている。長年にわたる改善により、着用者の皮膚に対するパッドの柔らかさ/感触、並びにこれらのパッドの流体捕捉速度、流体捕捉の保持、及び/又は流体容量に対処してきた。女性用衛生パッドの改善の別の領域は、臭気制御の領域である。
【0003】
女性用パッドのための臭気制御組成物は、月経液及び/又は尿の分解によって発生する臭気に対抗するために利用される。これらの臭気制御組成物は、上記臭気に対抗するのに有効であることが証明されているが、残念ながら、女性用衛生パッドへのそれらの適用はかなり複雑であり得る。
【0004】
多くの臭気制御組成物は、溶媒担体を介して適用されると記載されている。溶媒担体は、組成物が女性用衛生物品上で容易に乾燥することを可能にする。しかしながら、これらの溶媒は、女性用衛生パッドの製造の複雑さを増大させ得る。例えば、蒸発した溶媒は、多くの場合、揮発性有機化合物除害システムによって吸収/低減される必要がある。これらのシステムは高価であり、操作が過度に複雑であり得る。加えて、これらの溶媒、特にそれらの蒸気は、可燃性であり得る。これらは、火災の危険性を増大させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に基づいて、溶媒担体を必要とせず、女性用衛生パッドへの適用を容易にする臭気制御組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の使い捨て吸収性物品は、吸収性物品上に吸収された身体滲出物によって引き起こされる臭気からの保護を提供することができる。1つの特定の例では、使い捨て吸収性物品は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備え、使い捨て吸収性物品は、防腐剤、界面活性剤、メチル化β-シクロデキストリン(m-BCD)、及び香料を含む、臭気制御組成物を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本発明としてみなされる主題を詳細に示しかつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって完結するが、本発明は、以下の説明文を添付の図面と併せて読むことで更に深い理解がなされるものと考えられる。一部の図は、より明確に他の要素を示す目的のために、選択された要素を省略することによって簡略化されている場合がある。一部の図中のそのような要素の省略は、対応する書面による説明の中で明確に叙述されている場合を除き、例示的な実施形態のいずれかの中の特定要素の有無を必ずしも示すものではない。いずれの図面も必ずしも一定の縮尺に従っていない。
図1】加水分解、還元、及びアセチル化されたメチルβ-シクロデキストリンの代表的なクロマトグラムを示すグラフである。
図2】吸収性物品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用する場合、以下の用語は後に指定される意味を有するものとする。
「吸収性物品」は、液体を吸収する及び/又は収容する着用可能デバイスを指し、より詳細には、着用者の身体に対して又は近接して配置されて、身体から排出される様々な滲出物を吸収及び収容するデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用下着(例えば、ライナー、パッド、及びブリーフ)、及び/又は女性用衛生製品を挙げることができる。
【0009】
「ClogP」は、化合物の親水性の尺度である計算されたlogP値を指し、logPは、Advanced Chemistry Development,Inc.(ACD/Labs、Toronto,Canada)によるACD/Perceptaのバージョン14.02において実施されるConsensusアルゴリズムによって計算されるオクタノール/水分配係数である。
【0010】
「複合体」とは、IUPAC Compendium of Chemical Terminology 2nd Edition(1997)の意味の範囲内の「包接複合体」を意味するものとし、錯化剤(この場合はシクロデキストリン)はホストであり、錯化された成分は「ゲスト」である。
【0011】
「シクロデキストリン複合体」は、シクロデキストリンと香料との複合体を指す。
【0012】
「シクロデキストリン複合体安定度定数」又は「複合体安定度定数」(logK)は、シクロデキストリンに結合する香料原料の能力を指す。熱量測定法によって測定される、様々なシクロデキストリンに関する多数の材料の複合体安定度定数は、文献、例えば、Rekharsky and Inoue(1998),Complexation Thermodynamics of Cyclodextrins,Chemical Review,98,1875-1917に見出すことができる。加えて、参考のために、香料原料及びそれらの推定複合体安定度定数のリストを以下の表に含める。
【0013】
「分子量」は、別段の指定がない限り、分子中の元素の分子量の合計を使用することによって計算することができる重量平均分子量を指す。これらは、例えば、Atomic Weights of the Elements,Weiser,2005に見出すことができる。
【0014】
「臭気検出閾値」は、ヒトの嗅覚に知覚可能な特定の臭気化合物の空気中の最低濃度を指す。多数の材料の臭気検出閾値は、vanGemert,L.J.;Odour Thresholds(Compilations of Odour Threshold Values in Air Water and Other Media;Oliemans Punter & Partners;The Netherlands,2011に見出すことができる。臭気検出閾値は、-logモル濃度の単位である。この文脈において、ヒトの臭気検出閾値(odor detection threshold、ODT)は、嗅覚の累乗、又はp.ol(ヒトが臭気物質の存在を最初に感知する、空気中の臭気物質のモル濃度の負の対数)として表される。これらの値を、ppm(体積)及びppb(体積)などの他の一般に使用される単位に直接変換することができ、1ppm及び1ppbの閾値は、それぞれ、p.ol=6、及びp.ol=9と等価である。臭気30検出閾値は、例えば、国際公開第2006/138726号の方法によって測定することができる。
【0015】
本開示の臭気制御組成物は水性組成物であり、メチル化βシクロデキストリン(methylated beta cyclodextrin、mBCD)、シクロデキストリンと相溶性の界面活性剤、防腐剤、及び芳香剤を含む。本開示の臭気制御組成物は、製造中の複雑性の低減、並びに製造中の使用リスクの低減を可能にする。更に、本発明者らは、驚くべきことに、本開示の臭気制御組成物が使い捨て吸収性物品にとってより良好な安定性を提供することを見出した。視覚信号(使い捨て吸収性物品の層上に配置された着色剤)及び従来の臭気制御組成物を含む使い捨て吸収性物品は、臭気制御組成物により、視覚信号が外観を変化させる可能性が高いことが発見された。しかしながら、本開示の臭気制御組成物では、視覚信号は、時間が経過した場合であっても元の状態のままである。更に、従来の臭気制御組成物は、包装材料上に配置されたインクにも同様に悪影響を与えることが同様に発見された。例えば、パッケージ材料の消費者に面する表面上に配置されたインクは、パッケージ材料内の物品上の従来の臭気制御組成物の存在により、外観が変化し得る。
【0016】
シクロデキストリンと相溶性の界面活性剤
シクロデキストリンと相溶性の界面活性剤は、組成物が疎水性表面上で容易に、より均一に広がることを可能にする低い表面張力を提供する。そのような界面活性剤を含まない水溶液は、十分には広がらないことが見出された。組成物を広げると、組成物をより迅速に乾燥させることもまた可能となり、その結果、処理された材料は直ちに使える状態になる。
【0017】
本発明の組成物において必要とされる低い表面張力を提供する際に使用するための界面活性剤は、シクロデキストリンと相溶性であるべきである。すなわち、界面活性剤はシクロデキストリンと実質的に複合体を形成して、シクロデキストリン及び/又は界面活性剤の性能を低下させないものであるべきである。複合体形成は、芳香剤を放出することができるシクロデキストリンの量及び水性組成物の表面張力を低下させる界面活性剤の能力の両方を減少させる。好適なシクロデキストリンと相溶性の界面活性剤は、界面活性剤によって提供される表面張力に対するシクロデキストリンの影響がないことによって容易に同定することができる。これは、溶液中に約1%の特定のシクロデキストリンが存在する場合と存在しない場合とで、界面活性剤の水溶液の表面張力(ダイン/cmで)を測定することによって達成される。水溶液は界面活性剤を約0.5%、0.1%、0.01%、及び0.005%の濃度で含有する。シクロデキストリンは、界面活性剤溶液の表面張力を上昇させることによって界面活性剤の表面活性に影響を及ぼし得る。水中の所与の濃度での表面張力が、シクロデキストリンの1%溶液中の同じ界面活性剤の表面張力と約10%を超えて異なる場合、それは、界面活性剤とシクロデキストリンとの間の強い相互作用の指標である。本明細書の好ましい界面活性剤は、水溶液中で、1%シクロデキストリンを含有する同じ濃度の溶液の表面張力と約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約1%未満だけ異なる(低い)表面張力を有するべきである。
【0018】
シクロデキストリンと相溶性の非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーが挙げられる。ほとんどのシクロデキストリンと相溶性のある好適なブロックポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリマー界面活性剤としては、初期の反応性水素化合物としてエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及びエチレンジアミンをベースとするものが挙げられる。初期化合物とC12~18脂肪族アルコールなどの単一の反応性水素原子との連続エトキシル化及びプロポキシル化により作製されるポリマー化合物は、概して、シクロデキストリンと相溶性ではない。
【0019】
BASF-Wyandotte Corp.(Wyandotte,Mich.)によってPluronic(登録商標)及びTetronic(登録商標)と命名された特定のブロックポリマー界面活性剤化合物は、容易に入手可能である。このタイプのシクロデキストリンと相溶性の界面活性剤の非限定的な例としては、一般式:H(EO)n(PO)m(EO)nH(式中、EOはエチレンオキシド基であり、POはプロピレンオキシド基であり、n及びmは界面活性剤中の基の平均数を示す数である)を有するPluronic界面活性剤が挙げられる。
【0020】
シクロデキストリンと相溶性のPluronic界面活性剤の典型的な例を表1に示す。
【0021】
【表1】
並びにこれらの混合物がある。
【0022】
一般式:
【0023】
【化1】
(式中、EO、PO、n、及びmは上記と同じ意味を表す)を有するTetronic界面活性剤。シクロデキストリンと相溶性のTetronic界面活性剤の典型的な例を表2に示す。
【0024】
【表2】
並びにこれらの混合物がある。
【0025】
「Reverse」Pluronic界面活性剤及びTetronic界面活性剤は、以下の一般式を有する:Reverse Pluronic界面活性剤:H(PO)m(EO)n(PO)mH、Reverse Tetronic界面活性剤
【0026】
【化2】
(式中、EO、PO、n、及びmは上記と同じ意味を有する)。
【0027】
シクロデキストリンと相溶性のReverse Pluronic界面活性剤及びReverse Tetronic界面活性剤の典型的な例は:
表3のReverse Pluronic界面活性剤:
【0028】
【表3】
表4のReverse Tetronic界面活性剤:
【0029】
【表4】
並びにこれらの混合物がある。
【0030】
シクロデキストリンと相溶性の非イオン性界面活性剤の好ましいクラスは、ジメチルポリシロキサン疎水性部分及び1つ以上の親水性ポリアルキレン側鎖を有するポリアルキレンオキシドポリシロキサンであり、以下の一般式を有し:
-(CHSiO-[(CHSiO]a[(CH3)(R)SiO]b-Si(CH-R
式中、a+bは約1~約50、好ましくは約3~約30、より好ましくは約10~約25であり、各R1は同じか又は異なり、メチル及び一般式:
-(CHO(CO)(C3HO)
を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基からなる群から選択され、少なくとも1つのR1は、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であり、式中、nは3又は4、好ましくは3であり;cの合計(全てのポリアルキレンオキシ側鎖について)は、1~約100、好ましくは約6~約100の値を有し;dの合計は、0~約14、好ましくは0~約3であり、より好ましくはdは0であり;c+dの合計は、約5~約150、好ましくは約9~約100の値を有し、各Rは、同じか又は異なり、水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基からなる群から選択され、好ましくは水素及びメチル基である。
【0031】
このタイプの界面活性剤の例は、OSi Specialties,Inc.(Danbury,Conn.)から入手可能なSilwet(登録商標)界面活性剤である。代表的なSilwet界面活性剤を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】
ポリアルキレンオキシ基(R)の分子量は、約10,000以下である。好ましくは、ポリアルキレンオキシ基の分子量は約8,000以下であり、最も好ましくは約300~約5,000の範囲である。したがって、c及びdの値は、これらの範囲内の分子量を提供する数であり得る。しかしながら、ポリエーテル鎖(R)中のエチレンオキシ単位(-CO)の数は、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンを水分散性又は水溶性にするのに十分であるべきである。プロピレンオキシ基がポリアルキレンオキシ鎖中に存在する場合、それらは鎖中にランダムに分布していてもよく、ブロックとして存在していてもよい。好ましいSilwet界面活性剤は、L-7600、L-7602、L-7604、L-7605、L-7657、及びそれらの混合物である。表面活性に加えて、ポリアルキレンオキシドポリシロキサン界面活性剤はまた、帯電防止効果、潤滑性、及び柔軟性などの他の効果を布に付与することもできる。ポリアルキレンオキシドポリシロキサンの調製は、当該技術分野において周知である。本発明のポリアルキレンオキシドポリシロキサンは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,299,112号に記載の手順に従って調製することができる。典型的には、本発明の界面活性剤ブレンドのポリアルキレンオキシドポリシロキサンは、ヒドロシロキサン(すなわち、ケイ素結合水素を含有するシロキサン)と、アルコキシ又はヒドロキシ末端ブロックポリアルキレンオキシドのアルケニルエーテル(例えば、ビニル、アリル、又はメタリルエーテル)との間の付加反応によって容易に調製される。このタイプの付加反応において用いられる反応条件は、当該技術分野において周知であり、概して、白金触媒(例えば、塩化白金酸)及び溶媒(例えば、トルエン)の存在下で反応物を加熱すること(例えば、約85℃~110℃の温度で)を伴う。
【0034】
シクロデキストリンと相溶性のアニオン性界面活性剤の非限定的な例は、一般式:
【0035】
【化3】
(式中、Rは、アルキル基である)を有するアルキルジフェニルオキシドジスルホネートである。このタイプの界面活性剤の例は、Dow Chemical CompanyからDowfax(登録商標)(式中、Rは直鎖又は分岐鎖C6~C16アルキル基である)の商品名で入手可能である。これらのシクロデキストリンと相溶性のアニオン性界面活性剤の例は、Rがおよそ直鎖状のC10基であるDowfax3B2である。界面活性剤及び活性物質の両方の効果が低下するので、これらのアニオン性界面活性剤は、好ましくは、カチオン活性物質との相互作用を最小にするようなカチオン性の抗菌活性物質又は防腐剤を使用する場合には使用されない。上記の界面活性剤は、シクロデキストリンと弱く相互作用するか(表面張力の上昇が5%未満)、又は相互作用しないか(表面張力の上昇が1%未満)のいずれかである。ドデシル硫酸ナトリウム及びドデカノールポリ(6)エトキシレートのような通常の界面活性剤は、強く相互作用し、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン及びメチル化β-シクロデキストリンのような典型的なシクロデキストリンの存在下で表面張力が10%を超えて上昇する。
【0036】
使用組成物中のシクロデキストリンと相溶性の界面活性剤の典型的な濃度は、組成物の約0.01重量%~約2重量%、好ましくは約0.03重量%~約0.6重量%、より好ましくは約0.05重量%~約0.3重量%(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)である。
【0037】
防腐剤
臭気制御組成物は、水溶性抗菌防腐剤を更に含む。先に述べたように、シクロデキストリン分子は様々な数のグルコース単位から構成されており、これによりシクロデキストリン分子は、特に水性組成物中に存在する場合に、特定の微生物にとって主要な繁殖原因となり得る。この欠点は、任意の有意な長さの時間にわたるシクロデキストリン溶液の貯蔵安定性の問題をもたらし得る。特定の微生物による混入とそれに続く微生物増殖は、見苦しい及び/又は悪臭を放つ溶液をもたらす場合がある。シクロデキストリン溶液中での微生物増殖は、生じると非常に不快なので、水溶性シクロデキストリンを含有する好ましくは透明な水性臭気吸収溶液の貯蔵安定性を増大させるために、微生物増殖を阻害及び/又は調節するのに有効である可溶化された水溶性抗菌防腐剤を含むことが非常に好ましい。
【0038】
広範囲防腐剤、例えば、細菌(グラム陽性及びグラム陰性の両方)及び真菌の両方に有効な防腐剤を使用することが好ましい。限られた範囲の防腐剤、例えば単一の微生物群、例えば真菌に対してのみ有効である防腐剤を、広範囲防腐剤又は相補的及び/若しくは補足的活性を有する他の限られた範囲の防腐剤と組み合わせて使用することができる。広範囲防腐剤の混合物を使用することもできる。微生物混入物質の特定の群が問題となるいくつかの場合(グラム陰性など)、アミノカルボキシレートキレート剤を、単独で、又は他の防腐剤と併せて増強剤として使用してもよい。例えば、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acids、EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、及び他のアミノカルボキシレートキレート剤、並びにそれらの混合物、並びにそれらの塩、並びにそれらの混合物を含むキレート剤は、グラム陰性細菌、特にシュードモナス種に対する防腐効果を増大させることができる。本開示の臭気組成物において有用な抗菌防腐剤としては、殺生物性化合物、すなわち微生物を死滅させる物質、又は静菌性化合物、すなわち微生物の増殖を阻害及び/又は調節する物質が挙げられる。有機防腐剤は、シクロデキストリン分子と包接複合体を形成し、シクロデキストリン空洞を求めて芳香分子と競合し、それによって芳香剤を放出するのに利用可能なシクロデキストリンの量を制限することができるので、好ましい抗菌防腐剤は、水溶性であり、低レベルで有効なものである。本発明において有用な水溶性防腐剤は、水100mL当たり少なくとも約0.3g、すなわち室温で約0.3%超、好ましくは室温で約0.5%超の水への溶解度を有するものである。これらのタイプの防腐剤は、少なくとも水相においてシクロデキストリン空洞に対してより低い親和性を有し、したがって、抗菌活性を提供するためにより利用可能である。約0.3%未満の水溶解度及びシクロデキストリン空洞に容易に適合する分子構造を有する防腐剤は、シクロデキストリン分子と包接複合体を形成する傾向がより大きいので、シクロデキストリン溶液中の微生物の制御に対する防腐剤の有効性が低下する。したがって、パラベンとして一般的に知られているp-ヒドロキシ安息香酸の短鎖アルキルエステルなどの多くの周知の防腐剤;3,4,4’-トリクロロカルバニリド又はトリクロカルバンとしても知られているN-(4-クロロフェニル)-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素;トリクロサンとして一般に知られている2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテルは、シクロデキストリンと共に使用した場合に比較的効果がないので、本開示の臭気制御組成物において好ましくない。
【0039】
本開示の臭気制御組成物中の水溶性防腐剤は、有効量で含まれる。本明細書で定義される「有効量」という用語は、特定の期間にわたって腐敗を防止するか、又は不注意に加えられた微生物の増殖を防止するのに十分なレベルを意味する。換言すれば、防腐剤は、微生物によって生じる臭気を消すために、組成物を堆積させる表面上の微生物を死滅させるために使用されるものではない。むしろ、好ましくは、組成物の保存寿命を長くする目的でシクロデキストリン溶液の腐敗を防ぐために防腐剤が用いられる。
【0040】
防腐剤の好ましい濃度は、使用組成物の約0.5重量%~約1.0重量%、より好ましくは0.5重量%~約0.9重量%、最も好ましくは約0.5重量%~約0.8重量%(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)である。理論に束縛されるものではないが、防腐剤が約0.5重量%未満であると、許容できないレベルの微生物増殖が起こり得ると考えられる。更に、約1.0%を超えると、追加の防腐剤から得られる利益が大幅に減少すると考えられる。
【0041】
臭気制御のためにシクロデキストリンの大部分を保存するために、シクロデキストリンと防腐剤とのモル比は、約5:1より大きく、好ましくは約10:1より大きく、より好ましくは約50:1より大きく、更により好ましくは約100:1より大きくあるべきである。防腐剤は、吸収性物品の任意の層、例えばトップシート、二次トップシート、吸収性コア、バックシートなどに、変色、着色、漂白による損傷を引き起こさない任意の有機防腐剤材料であり得る。好ましい水溶性防腐剤としては、有機硫黄化合物、ハロゲン化化合物、環状有機窒素化合物、低分子量アルデヒド、第四級アンモニウム化合物、デヒドロ酢酸、フェニル化合物及びフェノール化合物、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
以下は、本開示の臭気制御組成物において使用するのに好ましい水溶性防腐剤の非限定的な例である。
【0043】
(A).有機硫黄化合物
本発明で使用するのに好ましい水溶性防腐剤は、有機硫黄化合物である。本発明での使用に適した有機硫黄化合物のいくつかの非限定的な例は、以下の(i)及び(ii)である。
【0044】
(i)3-イソチアゾロン化合物
好ましい防腐剤は、次式:
【0045】
【化4】
[式中、Yは、約1~約18個の炭素原子の非置換アルキル、アルケニル、若しくはアルキニル基、約3~約6個の炭素環及び12個までの炭素原子を有する非置換若しくは置換シクロアルキル基、約10個までの炭素原子の非置換若しくは置換アラルキル基、又は約10個までの炭素原子の非置換若しくは置換アリール基であり;Rは、水素、ハロゲン、又は(C1~C4)アルキル基であり;Rは、水素、ハロゲン、又は(C1~C4)アルキル基である]を有する3-イソチアゾロン基を含有する抗菌性有機防腐剤である。好ましくは、Yがメチル又はエチルである場合、R及びRの両方が水素であることはない。
【0046】
化合物を塩酸、硝酸、硫酸などの酸と反応させることによって形成されるこれらの化合物の塩も好適である。このクラスの化合物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,265,899号(Lewisら、1981年5月5日発行)に開示されている。当該化合物の例は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、及びこれらの混合物である。好ましい防腐剤は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの水溶性混合物、より好ましくは、Rohm and Haas CompanyによってKathon(登録商標)CGの商品名で1.5%水溶液として入手可能な広範囲防腐剤である、約77%の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと約23%の2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物である。他のイソチアゾリンとしては、Proxel(登録商標)製品の商品名で入手可能な1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、及びPromexal(登録商標)の商品名で入手可能な2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オンが挙げられる。Proxel及びPromexalは共にZenecaから入手可能である。それらは、広いpH範囲(すなわち、4~12)にわたって安定性を有する。これらの防腐剤は、活性ハロゲンを含まず、ホルムアルデヒドを放出しない。
【0047】
(ii)ナトリウムピリチオン
別の好ましい有機硫黄防腐剤は、約50%の水溶解度を有するナトリウムピリチオンである。好ましい有機硫黄化合物の混合物も、本発明において防腐剤として使用することができる。
【0048】
(B).ハロゲン化化合物
本発明で使用するのに好ましい防腐剤はハロゲン化化合物である。本開示の臭気制御組成物での使用に好適なハロゲン化化合物のいくつかの非限定的な例は、HenkelからBronidox L(登録商標)の商品名で入手可能な5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサンである。Bronidox L(登録商標)は、水中で約0.46%の溶解度を有しており、水中で約25%の溶解度を有する、InolexからBronopol(登録商標)の商品名で入手可能な2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール:クロロヘキシジンとして一般に知られている1,1’-ヘキサメチレンビス(5-(p-クロロフェニル)ビグアニド)並びに、例えば、酢酸及びグルコン酸とのその塩は、本開示の臭気制御組成物中の防腐剤として使用することができる。ジグルコン酸塩は水溶解度が高く、水中で約70%であり、二酢酸塩は水中で約1.8%の溶解度を有する。別の好適な防腐剤は、一般にクロロブタノールとして知られており、約0.8%の水溶解度を有する1,1,1,-トリクロロ-2-メチルプロパン-2-オール;約50%の水溶解度を有する4,4’-(トリメチレンジオキシ)ビス-(3-ブロモベンズアミジン)ジイセチオネート、つまりジブロモプロパミジン;又はそれらの混合物である。
【0049】
(C).環状有機窒素化合物
本開示の臭気制御組成物で使用するのに好ましい水溶性防腐剤は、環状有機窒素化合物である。本発明での使用に適した環状有機窒素化合物のいくつかの非限定的な例は、次の(i)及び(ii)である。
【0050】
(i)イミダゾリジンジオン化合物
本開示の臭気制御組成物で使用するのに好ましい防腐剤は、イミダゾリジオン(imidazolidione)化合物である。本発明での使用に適したイミダゾリジンジオン化合物のいくつかの非限定的な例は、例えば、LonzaからGlydant(登録商標)として入手可能な、ジメチロールジメチルヒダントイン、すなわちDMDMヒダントインとして一般に知られている、1,3-ビス(ヒドロキシメチ1)-5,5-ジメチル-2,4-イミダゾリジンジオンである。DMDMヒダントインは、水中で50%を超える水溶解度を有し、主に細菌に対して有効である。DMDMヒダントインを使用する場合、Kathon CG(登録商標)などの広範囲防腐剤、又はホルムアルデヒドと組み合わせて使用することが好ましい。好ましい混合物は、LonzaからGlydant Plus(登録商標)の商品名で入手可能な、約95:5のDMDMヒダントイン対3-ブチル-2-ヨードプロピニルカルバメートの混合物である。Sutton Laboratories,Inc.(Sutton)からGermall II(登録商標)の商品名で入手可能な、ジアゾリジニル尿素として一般に知られている、N-[1,3-ビス(ヒドロキシメチル)2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル]-N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素は、本開示の臭気制御組成物において防腐剤として使用することができる。例えば、3V-SigmaからAbiol(登録商標)の商品名で、InduchemからUnicide U-13(登録商標)の商品名で、(Sutton)からGermall 115(登録商標)の商品名で入手可能な、イミダゾリジニル尿素として一般的に知られている、N,N”-メチレンビス{N’-[1-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル]尿素}、又はこれらの混合物は、本開示の臭気制御組成物において防腐剤として使用することができる。
【0051】
(ii)ポリメトキシ二環式オキサゾリジン
別の好ましい水溶性環状有機窒素防腐剤は、一般式:
【0052】
【化5】
[式中、nは約0~約5の値を有する]を有し、Huls AmericaからNuosept(登録商標)Cの商品名で入手可能なポリメトキシ二環式オキサゾリジンである。好ましい環状有機窒素化合物の混合物も、本開示の臭気制御組成物中の防腐剤として使用することができる。
【0053】
(D).低分子量アルデヒド
(i).ホルムアルデヒド
本開示の臭気制御組成物に使用するのに好ましい防腐剤は、ホルムアルデヒドである。ホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドの37%水溶液であるホルマリンとして通常入手可能な広範囲防腐剤である。
【0054】
(ii)グルタルアルデヒド
本開示の臭気制御組成物に使用するのに好ましい防腐剤は、グルタルアルデヒドである。グルタルアルデヒドは、25%又は50%水溶液として一般に入手可能な水溶性の広範囲防腐剤である。
【0055】
(E).第四級化合物
本発明で使用するのに好ましい防腐剤は、カチオン性及び/又は第四級化合物である。このような化合物としては、以下の一般式を有するポリヘキサメチレンビグアニドとしても知られているポリアミノプロピルビグアニドが挙げられる。
HCl・NH-(CH-[-(CH-NH-C(=NH・HC1)-NH-(CH-]-(CH-NH-C(=NH)-NH・CN
【0056】
ポリアミノプロピルビグアニドは、ICI Americas,Inc.,からCosmocil CQ(登録商標)の商品名で、又はBrooks,IncからMikrokill(登録商標)の商品名で入手可能な20%水溶液として入手可能な水溶性の広範囲防腐剤である。例えば、Dow ChemicalからDowicil200の商品名で入手可能な1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロリドは、有効な第四級アンモニウム防腐剤であり、水に易溶性であるが、変色(黄変)する傾向があるので、あまり好ましくない。
【0057】
好ましい第四級アンモニウム化合物の混合物も、本開示の臭気制御組成物中の防腐剤として使用することができる。
【0058】
(F).デヒドロ酢酸
本発明で使用するのに好ましい防腐剤は、デヒドロ酢酸である。デヒドロ酢酸は、水溶性であるように、好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩の形態の広範囲防腐剤である。この防腐剤は、殺生物性防腐剤よりむしろ静菌性防腐剤として作用する。
【0059】
(G).フェニル化合物及びフェノール化合物
本開示の臭気制御組成物における使用に好適なフェニル化合物及びフェノール化合物のいくつかの非限定的な例は、約16%の水溶解度を有する、プロパミジンイセチオネートとして一般的に知られている4,4’-ジアミジノ-α,ω-ジフェノキシプロパンジイセチオネート、及びヘキサミジンイセチオネートとして一般に知られている4,4’-ジアミジノ-α,ω-ジフェノキシヘキサンジイセチオネートである。他の例は、約4%の水溶解度を有するベンジルアルコールである。
【0060】
本開示の組成物にとって好適な更なる防腐剤は、次の構造(I):
HO-CH-CH-R (I)
[式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である]によって表される1つ以上の化合物からなることができ、又は当該化合物を含むことができる。例えば、Rは、非置換フェニル基又は非置換フェノキシ基のいずれか一方であってもよい。構造(I)によって表される化合物の混合物もまた使用してもよい。
【0061】
したがって、約2.67%の水溶解度を有する2-フェノキシエタノール、及び約2%の水溶解度を有する2-フェニルエタノールのいずれか又は両方が、本開示の組成物において防腐剤として使用することができる。2-フェノキシエタノールは、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、及び1-ヒドロキシ-2-フェノキシエタンとしても知られており、DOWANOL PhE,DOWANOL EPh、又はDOWANOL EPとして様々な商業的供給元から入手することができる。2-フェニルエタノールは、フェニルエタノール、2-フェニルエタン-1-オール、フェネチルアルコール、β-ヒドロキシエチルベンゼン、フェニルエチルアルコール、β-フェニルエタノール、及びベンジルカルビノールとしても知られており、様々な商業的供給元から入手することができる。
【0062】
(H).これらの混合物
本発明の防腐剤は、広範囲の微生物を制御するために混合物で使用することができる。制菌効果は、水性組成物について、組成物pHを酸性pH、例えば約pH4未満、好ましくは約pH3未満、又は塩基性pH、例えば約10超、好ましくは約11超に調整することによって得ることができる。微生物制御のための低pHは、低pHがシクロデキストリンの化学分解を引き起こし得るので、本発明における好ましいアプローチではない。微生物制御のための高pHもまた、高pH(例えば、約10を超える、好ましくは約11を超える)では、シクロデキストリンがイオン化され得、有機物質と複合体を形成するそれらの能力が減少するので、好ましくない。したがって、本開示の臭気制御組成物の水性組成物は、約3~約10、好ましくは5,約4~約8、より好ましくは約4.5~約6のpHを有するべきである。pHは、シクロデキストリンとの複合体形成を最小限に抑えるために無機分子で調整することができる。
【0063】
香料組成物
本開示の臭気制御組成物は、香料組成物も含む。香料組成物は、担体中に提供され得る香料原料を含む。担体は、ジプロピレングリコール及びミリスチン酸イソプロピルを含む任意の好適な材料であってもよい。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、担体としてのジプロピレングリコールの使用が、吸収性物品上の視覚信号への経時的な悪影響及び/又は吸収性物品が内部に配置されるパッケージ材料の消費者に面する表面上に配置されたインクへの悪影響を生じさせ得ることを見出した。対照的に、本発明者らは、驚くべきことに、ミリスチン酸イソプロピルが同じ効果を有していないことを見出した。したがって、ミリスチン酸イソプロピルは、香料組成物の原料のための担体として利用されてもよい。
【0064】
香料原料の少なくとも一部分は、約3.0以下、約2.5以下、約2.0以下、約1.0以下、約0まで、約-1まで、約-2まで、又はそれらの任意の組み合わせの複合体安定度定数を有してもよい。香料原料の一部は、約2.5以下、約2.0以下、約1.5以下、約1.0以下、約-3までのClogPを有してもよい。香料原料の一部は、約200ダルトン以下、約180ダルトン以下、約150ダルトン以下、約100ダルトン以下、約50ダルトンまでの重量平均分子量を有してもよい。香料原料は、ある臭気検出閾値を有する。香料組成物中の香料原料の少なくとも一部分は、約7-logモル濃度以上、約8-logモル濃度以上、約9-logモル濃度以上、約11.5-logモル濃度までの臭気検出閾値を有する。
【0065】
香料組成物は、約3.0以下の複合体安定度定数、約2.5以下のClogP、及び約200ダルトン以下の重量平均分子量を有する香料原料を、香料の約10重量%以上含む。更に進むと、香料組成物は、約3.0以下の複合体安定度定数、約2.5以下のClogP、及び約200ダルトン以下の重量平均分子量を有する香料原料を、約20%以上、約30%以上、約40%以上、又は約50%以上、100%まで含む。加えて、香料組成物はまた、約7-logモル濃度の臭気検出閾値を有する香料原料を含んでもよい。約3.0以下の複合体安定度定数、約2.5以下のClogP、及び約200ダルトン以下の重量平均分子量を有する香料原料の代表的な非限定的リストを、以下の表6に示す。
【0066】
【表6-1】
【0067】
【表6-2】
【0068】
【表6-3】
【0069】
【表6-4】
【0070】
【表6-5】
【0071】
【表6-6】
【0072】
【表6-7】
【0073】
約3.0以下の複合体安定度定数、約2.5以下のClogP、及び約200ダルトン以下の重量平均分子量を有する香料原料の1つの群としては、βγヘキサノール、酢酸cis3ヘキセニル、酪酸エチル-2-メチル、酢酸アミル(異性体ブレンド)、バニリン、アネトール、メチルイソオイゲノール、グアヤコール(guiacol)、フロラロール;エチルバニリン、2,6-ノナジエン-1-オール、クマリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
約3.0以下の複合体安定度定数、約2.5以下のClogP、及び約200ダルトン以下の重量平均分子量を有する香料原料の別の群としては、酪酸エチル-2-メチル、βγヘキサノール、酢酸イソアミル、酢酸アミル、酢酸cis-3-ヘキセニル、γ-オクタラクトン、エチルバニリン、バニリン、ベンズアルデヒド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。約3.0以下の複合体安定度定数、約2.5以下のClogP、及び約200ダルトン以下の重量平均分子量を有する香料原料の更なる群としては、アントラニル酸ジメチル、酢酸イソオイゲニル、カントキザール(canthoxal)、3,6-ノナジエン-1-オール、トリプラール、及びこれらの組合せが挙げられる。酪酸エチル-2-メチル、βγヘキサノール、酢酸イソアミル、酢酸アミル、酢酸cis-3-ヘキセニル、γオクラタクトン、エチルバニリン、バニリン、ベンズアルデヒドが挙げられる。
【0075】
7-log ppb以上の臭気検出閾値を有する香料原料のいくつかの例は、上記の表に見出すことができる。
【0076】
香料は、本開示の臭気制御組成物中に、約3重量%以上、又はより好ましくは約4重量%以上の量(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)で存在してもよい。例えば、香料は、約3重量%~約6重量%、又はより好ましくは約4重量%~約6重量%の量(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)で存在してもよい。
【0077】
理論に束縛されるものではないが、約4重量%未満の香料は、使用中の物品において所望のレベルの臭気制御を提供し得ないと考えられる。また、約6重量%を超えると、本明細書に記載の香料は、置換シクロデキストリンによって完全には被包化され得ないと考えられる。例えば、吸収性物品をその包装から最初に取り出す際に、使用者に対して非常に低い香料のブルームを生成するか又は香料のブルームを生成しないことが望ましい場合、約6重量%以下の香料レベルが有益であり得る。本明細書に開示される置換シクロデキストリンの重量百分率では、約6%以下の香料レベルは、完全ではないにしても、置換シクロデキストリンによって実質的に被包化することができると考えられる。
【0078】
しかしながら、吸収性物品の使用前の香料の最初のブルーム及び置換シクロデキストリンの活性化(湿潤)時の追加のブルームを使用者に提供することが望ましい場合には、約6重量%を超える香料レベルを利用してもよい。約10.4重量%を超える重量百分率レベルは、水性臭気制御組成物中の香料のおよそ40%が被包化され得ないので、過度に強烈であり得ると考えられる。被包化されていない香料が約40パーセントを超えると、使い捨て吸収性物品中に強烈な香りの初期ブルームが生じると考えられる。
【0079】
位置特異的に置換されたシクロデキストリン
本開示の臭気制御組成物は、1つ以上の臭気制御化合物を含む位置特異的置換シクロデキストリンである、シクロデキストリン複合体(以下、「置換シクロデキストリン複合体」)を含む。本明細書に記載の位置特異的置換シクロデキストリンは、2位、3位、及び6位における様々な置換度を含む。本明細書中で述べるように、2位及び6位における置換を有する位置特異的置換シクロデキストリンは、従来のβ-シクロデキストリン及び完全に置換されたシクロデキストリン(すなわち、2位、3位、及び6位における完全な置換)を超える利点を提供する。位置特異的置換シクロデキストリンを利用することには多くの利点が存在する。例えば、位置特異的置換シクロデキストリンは、それらの従来のβ-シクロデキストリン対応物よりも高い溶解度を有する。増大した溶解度は、位置特異的置換シクロデキストリンに被包化された芳香剤のより迅速な放出をもたらすことができる。また、溶解度が増大すると、位置特異的置換シクロデキストリンに被包化された芳香剤を放散させるのに必要な水分が少なくてよい。この増大した溶解度は、β-シクロデキストリン対応物よりも少ない位置特異的置換シクロデキストリンが吸収性物品において利用され得ることも意味し得る。
【0080】
位置特異的置換シクロデキストリンの溶解度が増大したために、それらの従来のβ-シクロデキストリン対応物には利用することができない位置特異的置換シクロデキストリンの適用方法が存在する。新しい適用方法を用いて、それらの従来のβ-シクロデキストリン対応物では可能であり得なかった吸収性物品の領域に、位置特異的置換シクロデキストリンを提供することができる。更に、位置特異的置換シクロデキストリンは、それらの従来のβ-シクロデキストリン対応物よりも高い有効性を提供することができる。
【0081】
知られているように、シクロデキストリンは、いくつかのグルコース単位が環状構造で一緒に結合している化合物(環状オリゴ糖)のファミリーである。より具体的には、シクロデキストリンは、グルコース環上の1位及び4位におけるグリコシド結合を介して連結された5個以上のα-D-グルコピラノシド単位によって形成される。典型的には、各環を形成するグルコース単位の数は6~12個であり、最も一般的な形態は、それぞれα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンとも呼ばれる6、7又は8個のグルコース単位を有する形態である。
【0082】
全てのシクロデキストリンにおいて、各グルコース単位は、2位、3位及び6位において炭素原子に結合した3つのOH基を有する。先に述べたように、本発明者らは、驚くべきことに、位置特異的置換シクロデキストリンの利用が、それらのβ-シクロデキストリン対応物及び完全に置換された対応物を超える利点を提供することを見出した。
【0083】
本明細書中で使用するとき、「位置特異的置換シクロデキストリン」という用語は、グルコース単位の2位及び6位におけるOH基の1つ以上の水素原子が置換基-Rによって置換され、それによって-OR基を形成する、任意のシクロデキストリンを包含する。同様に、本明細書中で使用するとき、「完全に置換されたシクロデキストリン」という用語は、2位、3位、及び6位におけるOH基の各々がOR基によって置換されている任意のシクロデキストリンを包含する。所与の試料中の各グルコース単位についての-R置換基の平均数は、「置換度」(degree of substitution、DS)を表し、これは、0~3の範囲の数であり、0は、置換なし(2位、3位及び6位における全てのOH基が存在する)に対応し、3は、完全な置換(2位、3位及び6位における全てのOH基がOR基によって置換されている)に対応する。平均はモル基準で計算される。
【0084】
本発明の吸収性物品は、1つ以上の臭気制御有機化合物の置換シクロデキストリン複合体を含み、置換シクロデキストリン複合体は、位置特異的置換シクロデキストリンを含む。置換シクロデキストリン複合体は、シクロデキストリン1分子当たり0.4以上の-R置換基の置換度(DS)を有し、2位における置換が20%以上であり、6位における置換が20%以上である。
【0085】
本発明のいくつかの形態において、平均置換度は、0.4~2.5、0.9~2.4、1.2~2.2、1.6~2.1(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)であってもよい。本発明のいくつかの形態において、2位における置換は、20~90%、より好ましくは45%~80%であってもよい。本発明のいくつかの形態において、6位における置換は、20~90%、より好ましくは45%~80%であってもよい。いくつかの形態において、本発明は、上述の好ましい態様の組合せを包含し得る。
【0086】
位置特異的置換シクロデキストリンが従来のシクロデキストリンから合成されるという点は、注目すべきである。この合成を介して、種々のシクロデキストリン分子が作製される。例えば、シクロデキストリン分子のいくつかは、全く置換されていなくてもよく、すなわち、2位、3位、及び6位における全てのOH基が存在する。別の例として、シクロデキストリン分子のいくつかは、所望のように置換される(すなわち、位置特異的置換シクロデキストリン)。そして、別の例として、シクロデキストリンのいくつかは、完全な置換を経る(すなわち、全てのOH基が、2位、3位、及び6位においてOR基によって置換される)。しかしながら、本明細書中で述べるように、2位及び6位における置換を有する位置特異的置換シクロデキストリンは、完全に置換されたシクロデキストリンを超える更なる利点を提供する。したがって、3位における置換度が2位及び/又は6位における置換レベル未満である、本発明の形態が企図される。いくつかの形態では、3位における置換度は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、又は約10%未満(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)である。
【0087】
-OR基中の-R基は、1位に炭素原子を有する(それによって、酸素と-O-C-結合を形成する)任意の置換基から選択することができる。好適な-R置換基は、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖であり得る、炭素原子鎖を含み得る。例えば、好適な-R置換基としては、飽和及び直鎖C1~6アルキル、ヒドロキシアルキル、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好適な-R置換基は、1~6個の炭素原子の炭素鎖を有し、アルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、カルボキシ-アルキル、アリール、マルトシル、アリル、ベンジル、アルカノイル、及びこれらの混合物から選択され、「アルキル」という用語は、直鎖アルキル鎖及び分岐アルキル鎖の両方を包含する。
【0088】
いくつかの形態において、-R置換基は、プロピル、エチル、メチル、及びヒドロキシプロピルを含み得る。異なる-R置換基が、同じシクロデキストリン分子上の同じ位置特異的置換シクロデキストリン試料中に存在してもよく、更に同じシクロデキストリングルコース単位上に存在してもよい。
【0089】
1つの特定の形態において、全ての-R置換基がメチル置換基であってもよい。この場合、シクロデキストリンは「メチル化β-シクロデキストリン」とも呼ばれる。例えば、本発明に特に好適なシクロデキストリン材料は、0.4以上、好ましくは0.4~2.5、より好ましくは0.9~2、更により好ましくは1.2~1.8のDSを有し、2位及び6位における-OH基の少なくとも20%、好ましくは20%~90%、より好ましくは45%~80%がそれぞれメチル化されている、メチル化シクロデキストリンである。
【0090】
置換度は、β-シクロデキストリン中のメチル置換基に関して、以下に記載するようにガスクロマトグラフィーで測定することができる。
【0091】
驚くべきことに、本発明による置換シクロデキストリン複合体は、シクロデキストリンが位置特異的置換シクロデキストリンを含まないか、又は置換が2位、3位、及び6位の間に分布している類似の複合体と比較して、吸収性物品が水性流体と接触したときに臭気制御有機化合物をより迅速に放出することが見出された。
【0092】
概して、置換シクロデキストリン複合体を含むシクロデキストリン複合体は、複合体化された芳香化合物の蒸発を防止するのに役立ち得る。使用中、尿又は月経分泌物からの水分がシクロデキストリン複合体に接触し、シクロデキストリン複合体の結晶構造を溶解する。これにより、シクロデキストリン複合体内の芳香材料が放出される。しかしながら、シクロデキストリン複合体を吸収性衛生物品に組み込むときに問題が存在する。吸収性物品の吸収性コア及び/又は超吸収性材料などの他の構成要素は、体液、例えば月経分泌物及び尿に対して強い親和性を有し、体液の中には水分が含まれている。したがって、吸収性物品が月経分泌物又は尿などの体液の放出を受けたとき、シクロデキストリン複合体は、体液に含まれる水分に関して吸収性コア及び/又は超吸収性材料と競合する場合がある。吸収性コア及び/又は超吸収性材料は、水分に対して強い親和性を有しており、吸収性コア及び/又は超吸収性材料が体液と接触すると、吸収性コア及び/又は超吸収性材料は、体液の水分を効果的に「固定」し、それによってシクロデキストリン複合体と接触するのに利用可能な水分の量を減少させる。そのため、シクロデキストリン結晶構造を溶解し、芳香化合物を放出して臭気制御利益を提供するために利用可能である水分の量は限定的であり得る。
【0093】
従来のシクロデキストリン複合体では、シクロデキストリン分子を可溶化し、被包化された芳香剤を放出するために、より多量の水分が必要とされ得る。同じことが、2位、3位、及び6位が置換されている完全に置換されたシクロデキストリンにも当てはまる。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載される位置特異的置換シクロデキストリンの使用により、位置特異的置換シクロデキストリンを可溶化するために必要とされる水分が少なくなり得ることを見出した。したがって、吸収性物品の吸収容量又は保持容量を損なうことなく、より多くの芳香複合化合物を放出することができる。
【0094】
置換シクロデキストリンは、本開示の臭気制御組成物中に、約40パーセント以上、又はより好ましくは約50パーセント以上(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)の量で存在してもよい。例えば、置換シクロデキストリンは、本開示の臭気制御組成物中に、約40重量%~約60重量%、又はより好ましくは約50重量%~約60重量%(具体的には、この範囲内の全ての値及びこの値によって作成される任意の範囲が列挙される)の量で存在してもよい。理論に束縛されるものではないが、約60重量%を超える濃度では、置換シクロデキストリンの溶解度が問題となる場合があると考えられる。
【0095】
メチル置換基分布の測定
メチル化β-シクロデキストリン(以下「mBCD」)におけるメチル置換基分布は、スプリット/スプリットレス注入及び水素炎イオン化検出によるガスクロマトグラフを使用して測定される(好適な機器は、Agilent(Santa Clara,CA)から入手可能なAgilent 7890B GC、又は同等物である)。β-シクロデキストリンを加水分解し、還元し、次いで分析のためにアセチル化する。更に、ガスクロマトグラフィー/質量分析(好適なユニットは、同様にAgilentから入手可能な5777A質量選択検出器(Mass Selective Detector、MSD)、又は同等物である)を使用して、アセチル化生成物を同定し、ピーク同一性を確認することができる。機器は共に、製造業者の説明書に従って較正及び操作される。
【0096】
誘導体化試薬は、ホウ化水素(98%)を除いて、99%以上の純度で使用されるものとし、Sigma Aldrichから入手することができ、又は同等物であってもよい。50mgのmBCD及び5mLの2Mトリフルオロ酢酸溶液を、磁気撹拌棒を備えた50mL丸底フラスコに加えた。反応容器に水冷凝縮器を取り付け、撹拌しながら4時間加熱還流した。加水分解が完了した後、反応混合物を真空下で蒸発乾固させた。次に、加水分解生成物、10mLの水酸化アンモニウム(水中32%)、及び101mgの水素化ホウ素ナトリウム(2.67mmol)を、50mL丸底フラスコ中、40℃で2時間撹拌した。残留水素化ホウ素ナトリウムを、溶液のpHが4.5~6の範囲になるまで氷酢酸を滴下することによってクエンチした。得られたホウ酸を、反応混合物へのメタノール(4×20mL)の連続添加によって除去し、続いて40℃にて真空下で蒸発させた。反応生成物、10mLのピリジン、36mgの4-ジメチルアミノピリジン(0.2947mmol)、及び630μLの無水酢酸(630μL、6.6794mmol)を、磁気撹拌棒を備えた50mL丸底フラスコに加えた。反応物を室温で20時間激しく撹拌した。アセチル化アルジトール生成物を、60mLの分液漏斗を用いて10mLのクロロホルムで抽出し、10mLの脱イオン水で3回洗浄した。クロロホルム抽出物をクロロホルムで希釈(1:3)し、ガスクロマトグラフィー分析のためにサンプリングした。
【0097】
GC分析は、1μmの膜厚で5%フェニルアリーレンメチルポリシロキサン相を有する長さ30m×内径0.250mmのカラムで行った(好適なカラムは、Agilentから入手可能なDB5MS、又は同等のUSP G27相である)。GC入口を、3mLセプタムパージを用いてスプリットモード(5:1スプリット、グラスウール充填ライナー)で280℃に設定した。ヘリウムの1.5mL/分のカラム流量を、一定流量条件下で150℃のオーブン温度に設定した。検出器を300℃に設定し、流量を機器製造業者の推奨条件に設定した。GCオーブンを、150℃で1分かけて開始し、次いで15℃/分で250℃まで上昇させ、250℃で4分間保持し、次いで10℃/分で315℃まで上昇させ、最後に1分間保持するようにプログラムした。1μLのクロロホルム抽出物を分析のために注入する。当業者は、必要に応じて必要な分離を達成するためにクロマトグラフィー条件をわずかに変更することができることが理解される。
【0098】
GC-MS分析は、水素炎イオン化検出(flame ionization detection、FID)の場合と同じクロマトグラフィー条件下で行われる。MSD移送ライン及び検出器の温度は、それぞれ280℃及び300℃に設定した。MSDは、257ミリ秒/スキャンのスキャン速度で35m/zから400m/zまでスキャンする-70eVでの電子イオン化のために構成された。総イオンクロマトグラムを、表1のフラグメンテーションデータを用いて評価して、グルシトール生成物の保持順序を割り当てた。次いで、保持順序をGC-FIDクロマトグラムに適用した。
【0099】
定量化のために、グルシトールモノマーに関連するGC-FIDによって測定された各ピークを積分して、ピーク面積を得る。次いで、面積を式1及び2で使用して、各グルシトールモノマーのモルパーセント(モル%)を計算し、0.1mol%単位で報告する。実施例のクロマトグラムからの結果を表7に示す。
【0100】
【数1】
式中、MWはアセチル化グルシトールの分子量であり、
mgβ-シクロデキストリンは、非誘導体化mBCDの出発質量である。
【0101】
【数2】
【0102】
更に、特定の置換のモル%は、個々のモル%の加算によって計算される。例えば、6位でメチル化された全てのグルシトール(表7においてX6として示される)のモル%は、S2,6、S3,6及びS2,3,6のモル%の合計である。
【0103】
平均置換度は、式3に従って計算した。同じ数のメチル置換基(0、1、2、又は3)を共有する全てのグルシトールモノマーについてのモル%を合計し、それらのそれぞれのメチル置換基数(0、1、2、又は3)を掛け、100で割った。結果を0.1モル%刻みで記録する。
【0104】
【数3】
式中、モル%xは、同じ数のメチル基を有するグルシトールモノマーの合計に等しい。
【0105】
上記の手順を用いてmBCDから調製したアセチル化D-グルシトール誘導体のガスクロマトグラムからのデータを表7に提供する。表7は、電離した酢酸D-グルシトールの選択されたフラグメントを示し、図1は、FIDトレースである。
【0106】
【表7】
【0107】
表8は、mBCDについての置換基分布、O6位及びO2位の平均メチル化度、並びにグルコース単位当たりの平均置換度(DS)のデータを提供する。
【0108】
【表8】
【0109】
本発明の位置特異的置換シクロデキストリンは、シクロデキストリンの選択的修飾のための当技術分野で公知の方法を使用することによって調製することができる。例えば、Khanらによって記載される方法(Chem.Rev.1998,98,1977-1996)によって調製されてもよい。本発明の位置特異的置換シクロデキストリンの調製のための代替の合成経路は、化学当業者に公知であり、文献に広く記載されている。例えば、米国特許第5,710,268号、及び教本である「Advances in cyclodextrin chemistry」by Werz,Vidal,Guiou,Sollogoub,Matthieu,Wiley-VCH Verlag GmbH ed.2014及び「Modern Synthetic Methods in Carbohydrate Chemistry:From Monosaccharides to Complex Glycoconjugates」,Werz,Daniel B.;Vidal,Sebastian,eds,2014 Wiley-VHC Verlag GmbHは、更なる詳細を提供している。
【0110】
位置特異的置換シクロデキストリンが提供されると、悪臭に対して活性である臭気制御有機化合物の置換シクロデキストリン複合体は、例えば、米国特許第5,571,782号及び米国特許第5,543,157号に記載されている混練法を使用して、又は国際公開第2008/104690(A2)号に記載されている噴霧乾燥法を使用して、既知のシクロデキストリン複合体について当該技術分野で既知のように調製することができる。
【0111】
例示的な臭気制御組成物を、本開示に従って作製した。含有量及び重量百分率を以下の表1に示す。
【0112】
【表9】
【0113】
更に、臭気制御組成物の成分についての重量百分率がこれまで提供されてきたが、これらの重量百分率は水性形態で提供された。臭気制御組成物を乾燥させてからの、水を除いた本開示の臭気制御組成物の成分の重量百分率を表2に提供する。
【0114】
【表10】
【0115】
乾燥形態では、本開示の臭気制御組成物は、置換シクロデキストリンを約80%~約90%、又はより好ましくは約85%~約90%(具体的には、その範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)の重量百分率で含んでもよい。香料は、約8%~約10%、又はより好ましくは約9%~約10%(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)の量で存在してもよい。界面活性剤は、約0.3%~約2.0%、より好ましくは0.5%~約2.0%、又は最も好ましくは約0.8%~約2.0%(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)の量で存在してもよい。また、防腐剤は、0.5%~2.0%、より好ましくは0.8%~約2.0%、又は最も好ましくは約1.2%~約2.0%(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)の量で存在してもよい。
【0116】
吸収性物品
本開示の臭気制御組成物は、任意の好適な場所において吸収性物品に提供されてもよい。例えば、本開示の吸収性物品は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備える。臭気制御組成物は、トップシート上、吸収性コア上、及び/又はバックシートの内側表面上に供給されてもよい。吸収性物品中の臭気制御組成物が液体放出によって湿潤されると、置換シクロデキストリンは、その中の香料を放出して、液体放出の臭気を覆い隠すのを助ける。したがって、臭気制御組成物は、物品内で吸収性物品への液体放出にアクセスすることができる場所に配置することができる。
【0117】
吸収性物品の特定の構成要素に関して、トップシートは、順応性のある、柔らかい感触であり、着用者の皮膚及び毛に非刺激性であることが好ましい。更に、トップシートは液体透過性であり、液体(例えば、月経分泌物及び/又は尿)がその厚さを通って容易に浸透可能になる。好適なトップシートは、織布及び不織布材料(例えば、繊維の不織布ウェブ)、開口が形成された熱可塑性プラスチックフィルム、開口が形成されたプラスチックフィルム及びハイドロフォーム熱可塑性プラスチックフィルムなどのポリマー材料、多孔性発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性プラスチックフィルム、及び熱可塑性プラスチックスクリムなどの広範な材料から製造してもよい。好適な織布材料及び不織布材料は、天然繊維(例えば、木質繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせから構成され得る。トップシートが不織布ウェブを含む場合、ウェブは、多くの周知の手法によって製造してもよい。例えば、ウェブは、スパンボンド、カード、湿式堆積、メルトブロー、水流交絡、上記の組み合わせなどの処理を施されてもよい。
【0118】
いくつかの形態では、トップシートは、例えば不織布及びフィルムを含む、2つ以上の材料の積層体であってもよい。このような形態では、不織布は、トップシートの身体に面する表面を形成してもよい。又は、フィルムは、トップシートの身体に面する表面の少なくとも一部分を形成してもよい。トップシートとして使用するためのフィルムは、米国特許第4,629,643号、同第5,460,623号、及び同第6,563,013号に記載されている。トップシート又はその一部分として使用するのに好適な成形フィルムの更なる例は、1975年12月30日にThompsonに発行された米国特許第3,929,135号、1982年4月13日にMullaneらに発行された米国特許第4,324,246号、1982年8月3日にRadelらに発行された米国特許第4,342,314号、1984年7月31日にAhrらに発行された米国特許第4,463,045号、1991年4月9日にBairdに発行された米国特許第5,006,394号、1986年9月2日にCurroらに発行された米国特許第4,609,518号、及び1986年12月16日にCurroらに発行された米国特許第4,629,643号において記載されている。
【0119】
トップシート又はその一部分として使用するのに好適な織布及び不織布材料の非限定例としては、天然繊維、改質天然繊維、合成繊維、又はこれらの組み合わせから製造された繊維状材料が挙げられる。これらの繊維状材料は、親水性であっても疎水性であってもよいが、トップシートは疎水性であるか又は疎水性になることが好ましい。トップシートとして使用するのに好適ないくつかの好適な不織布材料は、米国特許第5,792,404号及び同第5,665,452号に記載されている。
【0120】
バックシートは、液体(例えば、経血及び/又は尿)に対して不透過性とすることができ、好ましくは薄いプラスチックフィルムから製造できるが、不織布のような他の柔軟性材料も使用してよい。本明細書で使用するとき、「可撓性」という用語は、順応性があり、人体の全体的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を指す。バックシートは、吸収性コアに吸収及び保持された滲出物によって、ベッドシーツ、パンツ、パジャマ及び下着などの吸収性物品に接触する物品が濡れることを防止し得る。バックシートはまた、液体不浸透性でありながら蒸気浸透性(「通気性」)であり得る。バックシートは、織布若しくは不織布材料、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルム、又はフィルムコーティングされた不織布材料などの複合材料を含んでもよい。
【0121】
バックシートは、着用したときにその物品がユーザの股部とパンティとの間の適所に留まるように、その表面、具体的には吸収性物品から外側に面する表面に装着されたパンティ止着手段を含むことができる。そのようなパンティ止着手段は、例えば、Velcro(登録商標)などの1層の接着剤若しくは機械的手段又はその組み合わせとすることができる。接着剤が存在する場合、通常は、使用前の接着剤を保護するために剥離紙も存在する。
【0122】
バックシート及びトップシートはそれぞれ、吸収性コアの衣服面及び身体面に隣接して配置してもよい。吸収性コアは、当技術分野において周知の方法などの、取り付け手段で知られている任意の方法によって、トップシート、バックシート、又は双方に接合することが可能である。吸収性コア全体の部分が、トップシート、バックシートのいずれか、又は双方に取り付けられていない、本発明の実施形態が想定される。
【0123】
吸収性コアは、当業者に周知の任意の材料から形成され得る。このような材料の例としては、複数プライの縮みセルロース詰め物(creped cellulose wadding)、毛羽立てられたセルロース繊維(fluffed cellulose fibers)、エアフェルトとしても知られる木材パルプ繊維、織物繊維、繊維のブレンド、繊維の塊又は芯、繊維の風成ウェブ、ポリマー繊維のウェブ、及びポリマー繊維のブレンドが挙げられる。その他の好適な吸収性コア材料には、ポリウレタンフォーム又は高内相エマルション(「HIPE」)フォームなどの吸収性フォームが挙げられる。好適なHIPEフォームは、米国特許第5,550,167号、同第5,387,207号、同第5,352,711号、及び同第5,331,015号に開示されている。吸収性コアに使用するための他の好適な材料は、連続気泡フォーム又はその断片を含む。吸収性コアにおけるフォーム(発泡体)の使用は、米国特許第6,410,820号、同第6,107,356号、同第6,204,298号、同第6,207,724号、同第6,444,716号、同第8,211,078号、及び同第8,702,668号において更により詳細に記載されている。
【0124】
いくつかの形態では、吸収性コア構造は、不均質塊層を含んでもよく、又は、2015年5月19日出願の米国特許出願第14/715,984号、2015年6月25日出願の米国特許出願第14/750,399号、2015年6月26日出願の米国特許出願第14/751,969号、2016年3月23日出願の米国特許出願第15/078,132号、2015年6月25日出願の米国特許出願第14/750,596号、2016年3月30日出願の米国特許出願第15/084,902号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/343,989号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,273号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,294号、2015年5月5日出願の米国特許出願第14/704,110号、2016年6月28日出願の米国特許出願第15/194,894号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,050号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,117号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,177号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,198号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,221号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,239号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/344,255号、2016年11月4日出願の米国特許出願第15/464,733号、2016年12月21日出願の米国仮特許出願第62/437,208号、2016年12月21日出願の米国仮特許出願第62/437,225号、2016年12月21日出願の米国仮特許出願第62/437,241号、又は2016年12月21日出願の米国仮特許出願第62/437,259号に記載されているものなどの方法又はパラメータを利用してもよい。不均質塊層は、奥行き、幅、及び高さを有する。
【0125】
いくつかの形態において、吸収性コア材料の組み合わせが利用されてもよい。例えば、吸収性コアの第1の層が前述のような発泡材料又はその断片を含み、吸収性コアの第2の層がエアレイド材料を含む、形態が企図される。そのような組み合わせは、米国特許出願公開第2014/0336606号及び米国特許第9,649,228号に記載されている。
【0126】
いくつかの吸収性物品では、吸収性コアは比較的薄く、厚さが約5mm未満、又は約3mm未満、又は約1mm未満であり得る。厚さは、当該技術分野において周知のいずれかの手段によって、1.72kPaの均一な圧力下にある間に、パッドの長手方向中心線沿いの中点の厚さを測定することによって決定することができる。
【0127】
吸収性コアは、当該技術分野において周知の、AGM繊維を含む吸収性ゲル材料(AGM)などの超吸収性材料を含むことができる。したがって、吸収性コアは、超吸収性材料を含む層を構成し得る。
【0128】
吸収性物品は、例えば、トップシートと吸収性コアとの間に、二次トップシート又は捕捉層などの他の追加の構成要素を含むことができる。二次トップシート又は捕捉層は、ティッシュ層又は不織布、例えば、カード加工樹脂接着不織布、エンボス加工されたカード加工樹脂接着不織布、嵩高カード加工樹脂接着不織布、カード加工エアスルー接着不織布、カード加工熱溶着不織布、スパンボンド不織布などを含むことができる。例えば、木材パルプ、綿、羊毛などの天然繊維、並びにポリ乳酸繊維などの生分解性繊維、並びにポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース誘導体(例えば、RAYON(登録商標)、Lyocell)、酢酸セルロース、バイコンポーネント繊維、及びこれらのブレンドなどの合成繊維を含む種々の繊維を、二次トップシート又は捕捉層に使用することができる。二次トップシート又は捕捉層の坪量は、所望の用途に応じて異なり得る。いくつかの形態では、二次トップシート又は捕捉層は、その上に堆積された超吸収性ポリマー、例えばAGMを含んでもよい。そのような形態では、二次トップシート又は捕捉層は第1のAGMを含んでもよく、吸収性コアは第2のAGMを含んでもよい。いくつかの形態では、第1のAGMは、第2のAGMと異なっていてもよい。
【0129】
吸収性物品は、典型的にはおむつに見られるサイドカフ、又は典型的には生理用ナプキンに見られるサイドウィング若しくはサイドフラップなどの更なる構成要素を備えてもよい。
【0130】
吸収性生理用タンポンは、通常は円筒形に圧縮された吸収性繊維を含むプレジットにより作られる、膣内で使用するための吸収性物品である。タンポンは、自立形状を有し指で挿入することができる「指状タンポン」であっても「アプリケータタンポン」、すなわちアプリケーターを使用して導入されるタンポンであってもよい。タンポンはまた、膣からの抜き取りを容易にするための抜き取り紐を備えてもよい。
【0131】
本明細書の吸収性衛生物品は、多くの場合、複数のユニットを収容するパッケージで商品化され、多くの場合、パッケージはプラスチックフィルム又は段ボール箱である。商業用パッケージに収容される単一単位は、個別に包装されてもされなくてもよい。
【0132】
いくつかの形態では、本開示の吸収性物品は、トップシートと吸収性コアとの間、及び/又は吸収性コアとバックシートとの間に配置された追加の層を含んでもよい。いくつかの例としては、トップシートと吸収性コアとの間で曝露され得る、二次トップシート、捕捉層、及び/又は分配層が挙げられる。他の例としては、吸収性コアとバックシートとの間に配置される、分配層又は液体不透過性層が挙げられる。
【0133】
いくつかの形態では、置換シクロデキストリン複合体、例えばmBCDは、吸収性物品の標的ゾーン内に供給されてもよい。図2に示すように、吸収性物品300の標的ゾーン330は、流体放出が予想される吸収性物品の領域を表す。吸収性物品300は、Y軸に概ね平行な長手方向全長と、X軸に概ね平行な横方向全幅とを有して示されている。吸収性物品300は、X軸及びY軸によって形成されるX-Y平面に垂直なZ方向(図示せず)に厚さを更に含む。
【0134】
示されるように、標的ゾーン330は、2つの外側ゾーン335の間に配置されてもよい。いくつかの形態では、標的ゾーン330は、吸収性物品300の(Y軸に沿った)長手方向全長の約60%を構成してもよく、外側ゾーンの各々は、吸収性物品300の全長以下の約30パーセント以下を構成する。いくつかの形態では、標的ゾーン330は、吸収性物品の全長の約50%を構成してもよく、外側ゾーン335は、吸収性物品の全長の約40%以下を構成する。いくつかの形態では、標的ゾーン330は、吸収性物品300の全長の約20%超~約80%未満、約30%超~約70%未満、約40%超~約60%未満(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)に延びてもよい。
【0135】
標的ゾーン300が吸収性物品300の(X軸に沿った)横方向全幅の一部分のみに沿って延びる形態が企図される。例えば、いくつかの形態では、標的ゾーン330は、吸収性物品300の全幅の約90%未満にわたって延びてもよい。別の例として、標的ゾーン330は、吸収性物品300の全幅の約75%未満にわたって延びてもよい。更に他の形態では、標的ゾーン330は、吸収性物品300の全幅の約50%未満にわたって延びてもよい。更に別の例として、標的ゾーン330は、全幅の約10%超~約90%未満、約20%超~約80%未満、約30%超~約70%未満(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びこれらの値によって作成される任意の範囲が列挙される)にわたって延びてもよい。このような形態では、標的ゾーン330の外側の物品の領域は、置換シクロデキストリン複合体を含まなくてもよい。又は、他の形態では、標的ゾーン330は、外側ゾーン335のいずれかよりも多くの置換シクロデキストリン複合体を含んでもよい。
【0136】
生理用タンポンの場合、置換シクロデキストリン複合体は、タンポン本体を形成する吸収性圧縮プレジット、オーバーラップ、及び抜き取りコードを含むタンポンの任意の構成要素の上又は中に存在することができる。例えば、それはタンポン本体中に、若しくはタンポン表面上に、又は、オーバーラップが存在する場合にはオーバーラップのいずれかの表面上に含まれ得る。吸収性材料の二次的塊がタンポンの抜き取り端部の近位の延長紐に沿って存在する場合、置換シクロデキストリン複合体は、この二次的塊の中に含まれてもよい。
【0137】
全ての場合において、本発明の置換シクロデキストリン複合体は、吸収性物品を構成する層のうちの1つに粉末形態で適用され得るか、又は液体担体若しくは半固体担体に組み込まれてローションとして適用され得る。この場合、置換シクロデキストリン複合体を担体中に分散させて分散液を形成し、この分散液を吸収性物品に適用することができる。担体は、例えば、ポリシロキサンオイル、鉱油、ワセリン、ポリエチレングリコール、グリセリンなど、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。担体は、シリコーングリコールコポリマー(Dow Corning 190 FluidとしてDow Corningから市販)などのポリシロキサンオイルが好ましい。
【0138】
先に述べたように、本開示の臭気制御組成物は、使い捨て吸収性物品上の任意の好適な場所に供給することができる。しかしながら、臭気制御複合体を使い捨て吸収性物品の1つ以上の層上に噴霧することを伴うプロセスでは、臭気制御複合体がいくつかの層に適用される場合に混入をもたらし得ると考えられる。例えば、トップシートは、迅速な流体捕捉のために設計されているので、臭気制御組成物をトップシート上に噴霧するときに臭気制御組成物の一部分がトップシートを通過して製造装置に達し、それによって製造ラインの混入を引き起こすような程度に透過性である場合がある。同様に、二次トップシートは、噴霧された臭気制御組成物の一部分が二次トップシートを吹き抜ける程度に透過性であるように設計されている場合がある。
【0139】
対照的に、吸収性コアは、多くの場合、使い捨て吸収性物品の最も高密度の層である。したがって、臭気制御組成物が吸収性コア上に噴霧される場合、臭気制御組成物の一部分が層を吹き抜ける可能性ははるかに低いと考えられる。したがって、いくつかの形態では、本開示の臭気制御組成物は、吸収性コア上に供給されてもよい。
【0140】
トップシートと吸収性コアとの間、及び/又はバックシートと吸収性コアとの間に追加の任意選択の層が設けられてもよいという点は、注目すべきである。したがって、本開示の水性臭気制御組成物は、使い捨て吸収性物品を構成する1つ以上の層に適用されてもよい。
【0141】
臭気制御組成物適用の他の機構が想到される。加えて、本開示の臭気制御組成物は、米国特許出願公開第2018/033515号に開示されるように、吸収性コア内のAGMに適用されてもよい。加えて、吸収性物品の製造業者が供給業者から材料のウェブを入手する場合、臭気制御組成物の提供は材料の供給業者によってもたらされてもよい。例えば、吸収性コア供給業者は、臭気制御組成物を吸収性コア原料に適用してもよい。吸収性コア原料は、その後、吸収性物品製造業者によって変換されてもよい。独立して又はそれと併せて、トップシート供給業者、二次トップシート供給業者、又は他の原料供給業者は、本開示の臭気制御組成物を原料に適用し、その後吸収性物品に変換してもよい。
【0142】
本開示の臭気制御組成物は、使い捨て吸収性物品及び/又は使い捨て吸収性物品を構成する層への適用中、水性である。使い捨て吸収性物品の製造業者は、供給業者から水性臭気制御組成物を入手してもよく、又は製造業者が臭気制御組成物自体を製造してもよい。
【0143】
吸収性物品からのmBCDの抽出
mBCDは、水によるソックスレー抽出及びその後のロータリーエバポレーターを使用した溶媒(水)の除去によって、物品全体又は構成要素から収集することができる。メチル置換の更なる分析のために、50mgのmBCDを収集するのに十分な物品を抽出する必要がある。
【0144】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0145】
相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含めた、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるとみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0146】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートと、バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備える使い捨て吸収性物品であって、前記使い捨て吸収性物品は、
防腐剤、界面活性剤、メチル化β-シクロデキストリン(m-BCD)、及び香料を含む、臭気制御組成物を更に含む、使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記臭気制御組成物が、約0.5重量%~2.0重量%、より好ましくは0.8重量%~約2.0重量%、又は最も好ましくは約1.2重量%~約2.0重量%の防腐剤を含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記臭気制御組成物が、約0.3重量%~約2.0重量%、より好ましくは約0.5重量%~約2.0重量%、又は最も好ましくは約0.8重量%~約2.0重量%の(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記防腐剤が、次の構造I:
HO-CH-CH-R(I)
[式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である]によって表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記シクロデキストリンが、シクロデキストリンのグルコース単位当たり0.4~2.5個の-R置換基の置換度(DS)を有する置換シクロデキストリン(2位、3位、及び6位におけるOH基のH原子が置換基-Rによって部分的に又は完全に置き換えられている)であり、2位における置換が約20%以上であり、6位における置換が約20%以上であり、3位における置換が、2位及び/又は6位における置換度未満である、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
3位における置換が、50%未満、好ましくは約40%未満、より好ましくは約30%未満、最も好ましくは約20%未満である、請求項5に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記3位における置換が約40%未満である、請求項5に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
前記3位における置換が約30%未満である、請求項5に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項9】
前記置換シクロデキストリンが、約0.9~約2.4の置換度を有する、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記置換シクロデキストリンが、約1.2~約2.2の置換度を有する、請求項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項11】
前記置換シクロデキストリンが、約1.6~約2.1の置換度を有する、請求項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項12】
前記2位における置換が約20%~約90%である、請求項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項13】
前記2位における置換が約45%~約80%である、請求項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項14】
前記6位における置換が約20%~約90%である、請求項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項15】
前記6位における置換が約40%~80%である、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記-R置換基が、直鎖又は分岐の、C1~C5飽和鎖から選択される、請求項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項17】
前記-R置換基が、メチル及びヒドロキシメチルから選択され、好ましくはメチルである、請求項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項18】
前記吸収性物品が、Y軸に概ね平行な全長及びX軸に平行な全幅を更に備え、前記臭気制御組成物が、前記吸収性物品の標的ゾーン内に供給されている、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項19】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置されており、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約20%超~約80%未満を構成している、請求項18に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項20】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置されており、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約30%超~約70%未満を構成している、請求項18に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項21】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置されており、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約40%超~約60%未満を構成している、請求項18に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項22】
前記臭気制御組成物が、前記吸収性コア上に供給されている、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項23】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルを含む、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項24】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルからなる、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項25】
前記(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤が、一般式:
(CHSiO-[Si(CH0]-[Si(CH)(R)O]Si(CH
を有するポリアルキレンオキシドポリシロキサンであり、式中、a+bは約1~約50であり、Rは同じか又は異なり、メチル及び一般式;
-(CHO(CO)(CO)
を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基からなる群から選択され、少なくとも1つのRは、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であり、nが3又は4であり、cの合計(全てのポリアルキレンオキシ側鎖基について)は、1~約100の値を有し、dは0~約14であり、c+dは、約5~約150の値を有し、各Rは、同一であるか又は異なり、水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項26】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、一般式:
【化1】
[式中、Rは、アルキル基である]を有するアニオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項27】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、親水性ポリ(エチレンオキシド)部分が末端位置にあるポリ(エチレンオキシド)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマーである、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項28】
前記臭気制御組成物の前記界面活性剤が、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンである、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項29】
前記香料が、約8%~約10%、又はより好ましくは約9%~約10%の量で存在している、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項30】
前記置換シクロデキストリンが、約80%~約90%、又はより好ましくは約85%~約90%の量で存在している、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項31】
臭気制御組成物を有する使い捨て吸収性物品の製造方法であって、
トップシート材料を得る工程と、
バックシート材料を得る工程と、
吸収性コア材料を得る工程と、
前記トップシート材料と前記バックシート材料との間に前記吸収性コア材料を配置する工程と、
前記トップシートと前記吸収性コアとの間、及び/又は前記吸収性コアと前記バックシートとの間に配置される1つ以上の任意選択の材料を得る工程と、
置換シクロデキストリン、防腐剤、シクロデキストリンと相溶性の界面活性剤、及び香料を含む水性臭気制御組成物を得る工程と、
前記水性臭気制御組成物を、前記トップシート、前記バックシート、前記吸収性コア、又は前記任意選択の材料のうちの少なくとも1つに適用する、又は適用させる工程と、を更に含む、方法。
【請求項32】
前記臭気制御組成物が、約0.5重量%~1.0重量%、より好ましくは約0.5重量%~約0.8重量%の防腐剤を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記臭気制御組成物が、0.1重量%~約2重量%、より好ましくは0.1重量%~約1.0重量%、又は最も好ましくは約0.1重量%~約0.5重量%の(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤を含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記防腐剤が、次の構造I:
HO-CH-CH-R (I)
[式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である]によって表される化合物を含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項35】
前記シクロデキストリンが、シクロデキストリンのグルコース単位当たり0.4~2.5個の-R置換基の置換度(DS)を有する置換シクロデキストリン(2位、3位及び6位におけるOH基のH原子が置換基-Rによって部分的又は完全に置換されている)であり、2位における置換が約20%以上であり、6位における置換が約20%以上であり、3位における置換が、2位及び/又は6位における置換度未満である、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項36】
3位における置換が50%未満、好ましくは約40%未満、より好ましくは約30%未満、最も好ましくは約20%未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記3位における置換が約40%未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記3位における置換が約30%未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記置換シクロデキストリンが、約0.9~約2.4の置換度を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記置換シクロデキストリンが、約1.2~約2.2の置換度を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記置換シクロデキストリンが、約1.6~約2.1の置換度を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記2位における置換が約20%~約90%である、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記2位における置換が約45%~約80%である、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記6位における置換が約20%~約90%である、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記6位における置換が約40%~80%である、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記-R置換基が、直鎖又は分岐の、C1~C5飽和鎖から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記-R置換基が、メチル及びヒドロキシメチルから選択され、好ましくはメチルである、請求項35に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項48】
前記吸収性物品が、Y軸に概ね平行な全長及びX軸に平行な全幅を更に備え、前記臭気制御組成物が、前記吸収性物品の標的ゾーン内に供給される、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項49】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置され、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約20%超~約80%未満を構成する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置され、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約30%超~約70%未満を構成する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記標的ゾーンが、2つの外側ゾーンの間に配置され、前記標的ゾーンが、前記吸収性物品の前記全長の約40%超~約60%未満を構成する、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記臭気制御組成物が、前記吸収性コア上に供給される、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項53】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルを含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項54】
前記香料が担体を含み、前記担体がミリスチン酸イソプロピルからなる、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項55】
前記(シクロデキストリンと相溶性の)界面活性剤が、一般式:
(CHSiO-[Si(CH0]-[Si(CH)(R)O]Si(CH
を有するポリアルキレンオキシドポリシロキサンであり、式中、a+bは約1~約50であり、R同じか又は異なり、メチル及び一般式;
-(CHO(CO)(CO)
を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基からなる群から選択され、少なくとも1つのRはポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であり、nは3又は4であり、cの合計(全てのポリアルキレンオキシ側鎖基について)は、1~約100の値を有し、dは0~約14であり、c+dは、約5~約150の値を有し、各Rは、同一であるか又は異なり、水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基からなる群から選択される、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項56】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、一般式:
【化2】
[式中、Rは、アルキル基である]を有するアニオン性界面活性剤である、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項57】
前記臭気制御組成物中の前記界面活性剤が、親水性ポリ(エチレンオキシド)部分が末端位置にあるポリ(エチレンオキシド)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマーである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項58】
前記臭気制御組成物の前記界面活性剤が、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項59】
前記香料が、約8%~約10%、又はより好ましくは約9%~約10%の量で存在している、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項60】
前記置換シクロデキストリンが、約80%~約90%、又はより好ましくは約85%~約90%の量で存在している、請求項31又は32に記載の方法。
【国際調査報告】