(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】二段式インフレータ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/264 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B60R21/264
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506447
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-12
(86)【国際出願番号】 US2022073347
(87)【国際公開番号】W WO2023015080
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ジェフリー ダニエル
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA12
3D054DD07
3D054DD11
3D054FF16
(57)【要約】
【解決手段】 膨張可能な車両安全装置のための二段式インフレータ(10)は、第1の部材(68)及び第2の部材(70)を有する第2段の燃焼カップ(46)を含む。第1の部材及び第2の部材は、互いに別個に形成されており、協働して、第2段のガス発生剤材料を受容するための内部(64)を画定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能な車両安全装置の二段式インフレータ10のための第2段の燃焼カップ46であって、
第1の部材68と、
第2の部材70と、を備え、
前記第2の部材70が、前記第1の部材68とは別個に形成され、かつ前記第1の部材68に結合されており、前記第1の部材68及び前記第2の部材70が協働して、第2段のガス発生剤材料を受容するための連続内部64を画定し、前記第2の部材が、前記第2段の燃焼カップの第2段のガス発生剤容量を変化させるために、複数の容積から選択可能であることを特徴とする、第2段の燃焼カップ46。
【請求項2】
前記第1の部材68が、第2段の点火器装置54を受容するための第1の軸方向端部74、及び反対側の第2の軸方向端部76を含み、前記第2の軸方向端部76が、開放端部であり、前記第2の部材70が、前記第1の部材68の前記第2の軸方向端部76を受容する開放接続部分80を含み、その結果、前記第1の部材68及び前記第2の部材70が協働して、連続燃焼チャンバを画定することを特徴とする、請求項1に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項3】
前記第2段の燃焼カップ46の開放側を閉じる第2段の蓋92を更に特徴とし、前記第2段の蓋92が、前記第1の部材68に取り付けられ、かつ前記第2の部材70の前記開放接続部分から軸方向に離間している、請求項2に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項4】
前記第2段の燃焼カップ46の前記第1の部材68及び前記第2の部材70が、互いに圧入されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項5】
前記第2の部材70が、第1の軸方向延在部分84を含み、前記第1の軸方向延在部分84が、第1の内径を有し、前記第2の軸方向延在部分86が第2の内径を有し、前記第2の内径が、前記第1の内径よりも大きいことを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項6】
前記第2の部材70が、第1の軸方向延在部分84、第2の軸方向延在部分86、及び前記第1の軸方向延在部分84と前記第2の軸方向延在部分86との間の半径方向延在フランジ88を含み、前記第1の軸方向延在部分84が、第1の内径を有し、前記第2の軸方向延在部分86が、第2の内径を有し、前記第2の内径が、前記第1の内径よりも大きいことを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項7】
前記第1の軸方向延在部分84が、前記第1の部材68内に延在することを特徴とする、請求項6に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項8】
前記第1の部材68及び前記第2の部材70が、円筒形であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項9】
前記二段式インフレータ10と組み合わされることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の第2段の燃焼カップ46。
【請求項10】
前記二段式インフレータ10が、第1段の燃焼カップを更に含み、
前記第2の部材70の前記第2の軸方向延在部分86が、前記第1段の燃焼カップの上を半径方向に延在することを特徴とする、請求項9に記載の二段式インフレータ10と組み合わされた第2段の燃焼カップ46。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、膨張可能なエアバッグなどの膨張可能な車両安全装置のための膨張ガスを提供するためのインフレータに関する。より具体的には、本開示は、可変ガス発生剤容量を有する第2段の燃焼カップを含む、膨張可能な車両エアバッグのための二段式インフレータに関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、本開示に関連する背景技術情報を提供し、背景技術情報は、必ずしも先行技術ではない。
【0003】
膨張可能な乗員拘束具又はエアバッグは、自動車の乗員に衝撃保護を提供するために、自動車に一般的に含まれる。事故が発生した場合、車両内の1つ以上のセンサが、例えば、異常な減速を測定し、一般に「インフレータ」と称される装置によって生成されるガスによって数ミリ秒以内にエアバッグの膨張をトリガする。膨張したエアバッグは、自動車の乗員を衝撃力から守り、保護する。
【0004】
エアバッグを膨張させるための様々なタイプのインフレータが、当該技術分野において開示されている。1つの既知のインフレータ装置が、同一出願人による米国特許第6,189,927号に示され、説明されている。‘927号特許のインフレータは、2つのチャンバ内にガス発生剤材料を有する適応型火工式インフレータ又は二段式インフレータである。ガス発生剤材料は、2つの点火装置によって独立して作動される。そのようなインフレータのガス発生剤材料収容チャンバは、関連する乗員拘束具を膨張させるために使用されるガスを生成するために中のガス発生剤材料を燃焼させるかさもなければ反応させるので、「燃焼チャンバ」と称され得る。米国特許第6,189,927号は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれている。
【0005】
別の既知の二段式膨張装置が、同一出願人による米国特許出願第17/189,336号に示され、説明されている。本出願のインフレータは、第1のチャンバを画定するハウジングを含む。第1のチャンバは、第1のガス発生剤材料を収容する。燃焼カップは、第1のチャンバ内に配設され、点火器材料を収容する内部を画定する。第1の点火器装置が、燃焼カップの内部に延在している。第1のチャンバ内に配設された燃焼カップ及び蓋が協働して、第2のガス発生剤材料を収容する第2のチャンバを画定する。燃焼カップは、カップ側壁及び開放端部を含む。蓋は、通常、燃焼カップの開放端部を閉じるためにカップ側壁に対して閉位置にあり、燃焼ガスを燃焼カップから排出するために燃焼カップ内の圧力の増加に応答してカップ側壁から離れるように移動可能である。第2の点火器装置が、燃焼カップ内に延在している。蓋及びカップ側壁の少なくとも1つは、蓋がカップ側壁から離れる動きに応じて徐々に現れる軸方向に細長い通気形状を含む。同一出願人による米国特許第17/189,336号は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれている。
【0006】
米国特許第6,189,927号及び同一出願人による米国特許第17/189,336号のインフレータを含むがそれに限定されない、膨張可能な乗員拘束具用の既知のインフレータは、一般に、これらのインフレータの意図された使用に好適であることが判明しているが、関連技術における改善に対する継続する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
この項は、本開示の概要を提供し、本開示の全範囲又は本開示の全ての機能の包括的な開示ではない。
【0008】
本教示の一般的な目的は、固定された第1段の性能及び特定の用途のために調整することができる可変の第2段の性能を有する二段式インフレータを提供することである。
【0009】
特定の一態様によれば、本教示は、膨張可能な車両安全装置の二段式インフレータのための第2段の燃焼カップを提供する。第2段の燃焼カップは、第1の部材及び第2の部材を含む。第1の部材及び第2の部材は、互いに別個に形成されており、協働して、第2段のガス発生剤材料を受容するための内部を画定する。第2の部材は、特定の用途のためにインフレータの性能を調整するために変化させることができる量の第2段のガス発生剤材料を含むことができる。
【0010】
別の特定の態様によれば、本教示は、膨張可能な車両安全装置のための二段式インフレータを提供する。二段式インフレータは、ハウジング並びにハウジング内に配設された第1の燃焼カップ及び第2の燃焼カップを含む。第2の燃焼カップは、第1の部材及び第1の部材と別個に形成されて第1の部材に結合された第2の部材を含む第2段の燃焼カップであってもよい。第1の部材及び第2の部材は、協働して、第2段のガス発生剤材料を受容するための内部を画定する。
【0011】
更に別の特定の態様によれば、本教示は、第1のカップ及び第2のカップ又は燃焼カップを含む膨張可能な車両安全装置のための二段式インフレータを組み立てる方法であって、第1のカップが、点火器材料を収容する点火器カップであり、第2のカップが、第2段の燃焼材料を収容する第2段の燃焼カップである、方法を提供する。この方法は、第2段の燃焼カップの第1の部材をインフレータのハウジング内に挿入することと第1段の燃焼カップをハウジング内に挿入することとを含む。この方法は、第2段の燃焼カップの第1の部材及び第1段の燃焼カップがハウジング内に挿入された後に、第2段の燃焼カップの第2の部材をハウジング内に挿入することを追加で含む。この方法は、第1の部材及び第2の部材がハウジング内にある間に、第2の部材を第1の部材に結合することを更に含む。
【0012】
利用可能性の更なる領域は、本明細書に提供されている説明から明らかになる。この概要における説明及び具体的な例は、例示のみのためであることが意図されており、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に記載の図面は、全ての可能な実装形態ではなく、選択された実施形態の例示のみのためであり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【
図1】
図1は、本教示による膨張可能な膨張可能な車両安全装置のためのインフレータの断面図であり、インフレータは作動前の状態を示している。
【
図2】
図2は、
図1のインフレータの別の断面図であり、インフレータは、例示のために点火器材料及びガス発生剤材料なしで示されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、1つ以上の例示的な実施形態について、添付の図面を参照してより十分に説明する。1つ以上の例示的な実施形態は、本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように提供されている。本開示の実施形態の充分な理解をもたらすために、具体的な構成要素、装置、及び方法の例などの多くの具体的な詳細が記載されている。具体的な詳細は、採用される必要がないこと、及び例示的な実施形態は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことが当業者には明らかである。周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は、本明細書に詳細に説明されていない。
【0015】
「に接続された」、「に結合された」、及び「と連通する」という語句は、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含む、2つ以上のエンティティ間の相互作用の任意の形態を指す。2つの構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接触していなくても、互いに結合され得る。「隣接する」という用語は、ものが互いに物理的に近接するが、これらのものが必ずしも直接接触しなくてもよいことを指す。本明細書で使用される「例示的な」とは、典型的又は代表的な例又は事例として役立つことを意味し、特別又は好ましいことを必ずしも意味しない。
【0016】
図面を全般的に参照すると、本教示による、膨張可能なエアバッグなどの膨張可能な乗員保護装置のための二段式インフレータが、図示されており、概して参照符号10で識別される。図面に示されるインフレータ10は、特に同乗者側フロントエアバッグに適合された二段式インフレータである。しかしながら、本教示の様々な態様は、運転手側フロントエアバッグ及び他のエアバッグでの使用に容易に適合され得ることが理解されよう。
【0017】
インフレータ10は、円筒形の外形を有し、2つの構造部品、すなわち、第1のハウジング部分又はベース部分14及び第2のハウジング部分又はディフューザキャップ部分16から形成されたハウジング12を含むように概略的に図示されている。したがって、ハウジング12は、概ね円形の断面を有してもよい。第1のハウジング部分14及び第2のハウジング部分16は、鋼、アルミニウム又は他の好適な材料から形成されてもよく、例えば、イナーシャ溶接によって互いに固定されてもよいか、又は別様に互いに好適に接続されてもよい。図示の特定の実施形態では、ハウジング12は、約65.8mmの直径及び約68mmの長さLを有してもよい。しかしながら、これらの寸法は例示的であり、本教示の範囲内で容易に適合され得ることが理解されるであろう。
【0018】
図面に示されるように、第2のハウジング部分16は上側ハウジング部分と考えられてもよく、第1のハウジング部分14は下側ハウジング部分と考えられてもよい。これらの記述語(例えば、上側及び下側)、並びにハウジング部分14及び16に関して、並びに本明細書の他の場所で他の特徴又は要素に関して使用される任意の他の方向の記述語は、単に図面への参照を容易にするものとして理解され、限定するものとして理解されない。第2のハウジング部分16は、全体として逆ボウル形状であり、端壁20及び円筒形側壁22を含む。側壁22は、複数の離間されたガス出口ポート24を含む。
【0019】
第1のハウジング部分14は、それぞれ、参照番号26及び28で示される第1の取付け開口部及び第2の取付け開口部を含み、その使用については以下でより詳細に考察される。第1のハウジング部分14は、ハウジング12から半径方向外向きに延在する周辺取付けブラケット32を含むように一体的に形成することができる。
【0020】
ハウジング12は、内部又はチャンバ34を画定するように構成されている。ハウジング12の内部34は、概ね円筒形であってもよい。チャンバ34は、典型的には、エアバッグインフレータで使用されることが知られているような火薬の形態の、第1のガス発生剤材料又は第1段階ガス発生剤材料36の供給物を収容又は内蔵する。第1のガス発生剤材料36を取り囲むのは、フィルタ40である。フィルタ40は、金属スクリーンの複数の層又はラップから形成されてもよい。フィルタ40を囲み、側壁22の内面に概ね隣接するのは、接着剤で裏打ちされた箔シール42である。接着剤で裏打ちされた箔シール42は、ガス発生剤材料36をインフレータ10内に密封し、それによってガス発生剤材料36を湿気などの周囲条件から保護することができる。
【0021】
インフレータ10は、ハウジング12の内部34内に配設された第1のカップ及び第2のカップ又は燃焼カップ44及び46を含む。第1のカップは、点火器カップ又は点火器チューブ44であってもよく、第2のカップは、第2段の燃焼カップ46であってもよい。第1の燃焼カップ44は、円筒形側壁48を含むことができる。点火器材料50が、第1のカップ44内に収容されている。第1段の点火器装置すなわち第1の点火器52は、第1の取付け開口部26を介してハウジング12に取り付けられており、第1のカップ44内に延在している。第2段の点火器装置又は第2の点火器54は、第2の取付け開口部28を介してハウジング12に取り付けられており、第2段の燃焼カップ46内に延在している。本教示に関する限り、第1の点火器装置52及び第2の点火器装置54は、既知の火工式イニシエータ装置の形態をとってもよいことが理解されるであろう。したがって、第1の点火器装置52及び第2の点火器装置54は、スクイブ56、スクイブアダプタ又はホルダ58、及びスクイブシール60を含むことができる。点火器装置52及び54は、従来通り、スクイブアダプタ又はホルダ58によってハウジング12に取り付けられるか、又はハウジング12と嵌合される。スクイブシール60は、従来通り、アダプタ58と共にスクイブ56を密封する。
【0022】
第1のカップ44は、金属のようなガス不透過性材料で形成することができ、円筒形側壁48は、複数の離間された、好ましくはほぼ均一に離間されたガス出口オリフィス62を含む。ガス出口オリフィス62は、通常(例えば、インフレータ10が静止状態又は作動前の状態にあるとき)、覆われてもよく、材料の通過は、感圧カバー又はバリアによって、例えば、当該技術分野でよく知られているような接着剤で裏打ちされた箔シールラップなどによって防止されてもよい。知られているように、カバーは、第1のカップ44の内部から所定の圧力が加えられると開くか又は破裂するように選択されてもよい。
【0023】
作動されると、点火器材料50の点火により、第1のカップ44の内部の圧力が上昇し、カバーの続く所定の破裂又は開放により、点火器材料50の燃焼によって生成された点火生成物が出口オリフィス62を通って第1の点火器装置52からハウジング12の内部に収容されたガス発生剤材料36へと通過することを可能にする。点火生成物と第1のガス発生剤材料36とにより、又はそれらの間で生じる接触は、第1のガス発生剤材料36の点火及び反応をもたらす。生成された膨張ガスは、フィルタ40を通過し、箔シール42を破裂させ、ガス出口ポート24を通過し(
図2の矢印Aによって示されるように)、インフレータ10から出て関連するエアバッグクッション(図示せず)に入る。
【0024】
第2段の燃焼カップ46は、図示された実施形態において、協働して、第2のガス発生剤材料66を貯蔵するための内部容積を有する内部64を画定する、複数の別個の部品又は部材から構成されているように示されている。第2のガス発生剤材料66は、火工材料の形態であってもよく、第1のガス発生剤材料36と比較して、組成、形状、サイズ又は形態が同じであるか又は異なるかのいずれかであり得る。図面に示すように、第2段の燃焼カップ46は、別個に形成されており、協働して、第2のガス発生剤材料66を受容する内部64を画定する、第1又は下部部材68及び第2又は上部部材70を含むことができる。第1の部材68及び第2の部材70は、当該技術分野で周知の任意の様式で、互いに圧入されてもよいか、又は別様に互いに固定されてもよい。代替的に、第2段の燃焼カップ46は、本教示の範囲内で3つ以上の部材を含むことができる。以下でより完全に理解されるように、第2段の燃焼カップ46内の第2段のガス発生剤材料の量は、インフレータ10の性能を調整するために変更することができる。
【0025】
第2段の燃焼カップ46の第1の部材68は、側壁72、第1の軸方向端部74、及び第2の軸方向端部76を含むように、金属などのガス不透過性材料で形成することができる。第1の軸方向端部は、第2の点火器装置54によって閉じられる開放端部74である。図示の実施形態では、カップ側壁72は円筒形の側壁72である。第1の部材68は、第1の直径D1を含む。
【0026】
第2段の燃焼カップ46の第2の部材70は、同様に、側壁78、第1の又は下側軸方向端部80、及び第2の又は上側軸方向端部82を含むように、金属などのガス不透過性材料で形成することができる。第1の軸方向端部80及び第2の軸方向端部82は、開放端部である。図示の実施形態では、側壁78は、第1の軸方向端部80に隣接する第1の円筒形部分84及び第2の軸方向端部82に隣接する第2の円筒形部分86を含む。第1の円筒形部分及び第2の円筒形部分は、それぞれ、第1の軸方向延在部分84及び第2の軸方向延在部分86である。第2の部材70の第1の円筒形部分84は、第1の部材68の開放上端部76内に受容される雄部分を画定する。この点に関して、第1の部材68は、雌部分を画定する。第1の円筒形部分84は、第1の円筒形部分84が第1の部材68に圧入され得るように、第1の部材68の第1の直径D1よりも名目上小さい外径を有する。他の実施形態では、第1の部材68が、雄部分を画定してもよく、第1の円筒形部分84が、雌部分を画定してもよい。更に説明すると、第1の部材68及び第2の部材70の一方が雄部分を画定し、第1の部材68及び第2の部材70の他方が雄部分を受容する部分を画定する。
【0027】
第2の部材70の第2の円筒部86は、第2の内径D2を有する。第2の内径D2は、第1の内径D1よりも大きい。第2の部材70は、第1の軸方向延在部分84と第2の軸方向延在部分86との間に半径方向延在フランジ88を更に含む。
【0028】
第2の部材70の側壁78の第2の円筒形部分86は、複数の離間された、好ましくはほぼ均一に離間されたガス出口オリフィス90を含むことができる。ガス出口オリフィス90は、通常(例えば、インフレータが静止状態又は作動前状態にあるとき)、第2の部材70の第2の端部を閉じ、ガス出口オリフィス90を含む第2の円筒形部分86の一部分の上に軸方向に延在する蓋92によって覆われてもよい。
【0029】
作動されると、第2の燃焼カップ46内のガス発生剤材料66の燃焼は、第2段の燃焼カップ46の内部の圧力の増加をもたらす。第2の点火器46内の圧力の増加は、蓋92を第2の部材70から離れるように変位させ、ガス出口オリフィス90を露出させる。再び、生成された膨張ガスは、フィルタ40及びガス出口ポート24を通過し(
図2の矢印Aによって示されるように)、インフレータ10から出て関連するエアバッグクッション(図示せず)に入る。
【0030】
引き続き図面を参照して、二段式インフレータを組み立てるための本教示の方法をここで説明する。組み立ては、スクイブアダプタ58をハウジング12内に挿入し、アダプタ58をハウジング12に溶接することによって開始され得る。次いで、スクイブ56及びフィルタ40をハウジング12内に挿入することができる。第2段の燃焼カップ46を挿入する前に、第1段の燃焼カップ又は点火器チューブ44がハウジング12に挿入され、点火器材料50が装填される。次に、第2段の燃焼カップ46の第1の部材68が挿入される。次の組み立てステップでは、第1のガス発生剤材料66がハウジング内に装填され、第1段のダンパパッド94が挿入されてもよい。次いで、第2段の燃焼カップ46の第2の部材70を、上で考察された様式で第1の部材68に挿入して圧入することができる。図示のように、第2段の燃焼カップ46の第2の部材70は、第1段の燃焼カップの開放上端部の上を半径方向に延在し、開放上端部を覆っている。次いで、第2のガス発生剤材料66が、第2段の燃焼カップ46内に装填される。第2のガス発生剤材料の量は、インフレータ10の所望の性能に応じて変えることができる。第2段のダンパパッド96が挿入され、蓋92が、第2の部材70に圧入される。ハウジング12のディフューザ16が、所定位置に配置され、ベース14にイナーシャ溶接される。本教示の第2段の燃焼カップ46の2部材構成は、第2段の発生剤装填の前の第1段の発生剤装填を有利に可能にする。第2段の燃焼カップ46の第2の部材70の拡大された容積面積は、密封され、独立している第1の発生剤負荷の上部を覆う。
【0031】
本教示によるインフレータ10は、特定の膨張可能な拘束システムの設置及び用途に必要とされ、又は所望され得る選択された動作条件に従って調整可能な性能を提供することができることが理解されるであろう。動作中、膨張ガス生成の量又は速度の両方は、乗員の存在の1つ以上の状態を考慮に入れるために、車両衝突又は衝突事故の時などに適切に変更され得る。このようなインフレータ性能適合性の結果は、本教示のインフレータ10のガス発生剤材料の2つの別個の弾道的に隔離されたチャンバによって提供される。
【0032】
例えば、このようなインフレータ10は、点火器材料50が点火されて燃焼生成物を生成し、この燃焼生成物がチャンバ34に送られて、第1のガス発生剤材料36を燃焼させる第1段の解放を有するように作動させることができる。このようにして、膨張ガスは、第2段の燃焼カップ44内に収容されたガス発生剤材料66を活性化するために第2の点火器装置54を作動又は点火することなく、第1の出力レベルで生成され得る。理解されるように、そのような動作は、例えば、低速衝突の場合に望まれ得るような、最小化された又は低減されたインフレータ出力を提供するために望ましい場合がある。代替的に、本教示によるインフレータ10は、第1の点火器装置52及び第2の点火器装置54の両方が作動されるように動作されてもよい。
【0033】
理解されるように、第1の点火器装置52及び第2の点火器装置54並びに第1のガス発生剤材料36及び第2のガス発生剤材料66の両方のそのような動作及び点火は、第1の点火器装置52及び第2の点火器装置54の同時又はほぼ同時の作動及び点火を伴い得る。そのような同時又はほぼ同時の作動は、関連するエアバッグクッションの急速な膨張及び展開を提供するために望ましい場合がある。例えば、この急速な膨張及び展開は、高速又は激しい車両衝突に応答して望まれる場合がある。代替的に、中程度の車両衝突の検出に応答して、第1の点火器装置52及び第2の点火器装置54を順次作動及び点火することが望ましい場合もある。更に、このような連続的な作動及び点火によって、第1のスクイブ及び第2のスクイブの作動と点火との間のタイムラグ又は遅延、ひいては第1のガス発生剤材料36及び第2のガス発生剤材料66の燃焼は、当業者によって理解されるように、特定の膨張可能な拘束システムの設置のための特定の要件を満たすように調整され得る。したがって、このようなインフレータアセンブリは、例えば、周囲温度、乗員の存在、シートベルトの使用、及び自動車の減速率などの1つ以上の選択された動作条件に概ね依存して作製され得るという点で、適応出力インフレータとしての用途に特に適している。
【0034】
本開示の具体的な実施形態及び用途が図示及び説明されているが、本発明は、本明細書に開示された正確な構成及び構成要素に限定されないことが理解されよう。当業者には明らかである様々な修正形態、変更形態、及び変形形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及びシステムの配置、動作、及び詳細においてなされてもよい。
【国際調査報告】