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▶ ストランド セラピューティクス インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240725BHJP
   C12N 15/44 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240725BHJP
   A61K 47/42 20170101ALN20240725BHJP
   A61K 38/20 20060101ALN20240725BHJP
   A61K 39/12 20060101ALN20240725BHJP
   A61P 31/14 20060101ALN20240725BHJP
   A61P 37/04 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/44
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K48/00
A61P35/00
A61K31/7105
A61K31/713
A61K31/7088
A61K47/46
C12N15/113 Z
A61K47/42
A61K38/20
A61K39/12
A61P31/14
A61P37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506487
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022074491
(87)【国際公開番号】W WO2023015221
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/228,892
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523026950
【氏名又は名称】ストランド セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラナ, ジャスプリート エス.
(72)【発明者】
【氏名】シャー, アロック
(72)【発明者】
【氏名】北田 輔
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA91X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA05
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA94
4C076CC06
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE41M
4C076EE57
4C076FF31
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084DA12
4C084MA05
4C084NA05
4C084NA12
4C084ZB261
4C084ZB331
4C085AA03
4C085BA61
4C085CC03
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE05
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZB26
4C086ZB33
(57)【要約】
本開示は、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザ非構造(NS1)タンパク質をコードする第1の核酸分子と、異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子とを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組に関する。本開示はまた、ポリヌクレオチドを作製する方法、細胞を改変する方法、およびそれを使用して対象を処置する方法も含む。本開示は、自然免疫阻害剤、例えば、インフルエンザ非構造(NS1)タンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列と、異種標的mRNAをコードする第2のヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド(例えば、レプリコン)またはポリヌクレオチドの組を提供する。このようなポリヌクレオチドは、細胞内で異種標的mRNAの増強された持続的な発現を駆動することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフルエンザ非構造(NS1)タンパク質をコードする第1の核酸分子および異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子を含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項2】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子および前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第1のベクターに存在する、請求項1に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項3】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子が、第1のベクターに存在し、前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第2のベクターに存在する、請求項1に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項4】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子が、第1のプロモーターの制御下で発現される、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項5】
前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第2のプロモーターの制御下で発現される、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項6】
前記第1のプロモーターと前記第2のプロモーターが同じである、請求項5に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項7】
前記第1のプロモーターと前記第2のプロモーターが異なる、請求項5に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項8】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子と、前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第1のプロモーターの制御下で発現され、前記第1のプロモーターが、前記インフルエンザNS1タンパク質と前記標的mRNAの両方の発現を駆動する、請求項1または2に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項9】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子および前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、IRES配列によって連結されている、請求項8に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項10】
前記第1のベクター、前記第2のベクター、または両方が、1またはそれを超える調節エレメントを含む、請求項2~9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項11】
前記標的mRNAの発現が、前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子の不在下で前記標的mRNAの発現と比較して増加している、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項12】
前記標的mRNAの発現が、前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子の不在下で前記標的mRNAの発現と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加する、請求項11に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項13】
前記標的mRNAの前記発現の前記増加が、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、または少なくとも約48時間持続する、請求項11または12に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項14】
前記標的mRNAが、生物学的に活性なポリペプチドをコードする、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項15】
前記生物学的に活性なポリペプチドが、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、凝固因子、酵素、またはその任意の組合せを含む、請求項14に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項16】
前記サイトカインが、IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IL-18、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-3、IL-5、GM-CSF、IL-6、IL-11、G-CSF、IL-12、LIF、OSM、IL-10、IL-20、IL-14、IL-16、IL-17、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、CD154、LT-β、TNF-α、TNF-β、4-1BBL、APRIL、CD70、CD153、CD178、GITRL、LIGHT、OX40L、TALL-1、TRAIL、TWEAK、TRANCE、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、Epo、Tpo、Flt-3L、SCF、M-CSF、MSP、その断片、その変異体、またはその任意の組合せである、請求項15に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項17】
前記標的mRNAが、IL-12ポリペプチドまたはその断片または変異体をコードする、請求項1~15のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項18】
前記標的mRNAが、IL-12のp35サブユニットおよびIL-12のp40サブユニットをコードする、請求項17に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項19】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが単一のプロモーターから発現される、請求項18に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項20】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが単一の連続したポリペプチドとして発現される、請求項18または19に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項21】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが、1またはそれを超える共有結合によって連結されている、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項22】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが、1またはそれを超えるペプチド結合によって連結されている、請求項18~21のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項23】
前記p35サブユニットをコードする前記mRNAの一部が、IRESによって前記p40サブユニットをコードする前記mRNAの一部から分離されている、請求項18または19に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項24】
前記標的mRNAが、miRNA、siRNA、shRNA、dsRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ガイドRNA、またはその任意の組合せをコードする、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項25】
前記第1のプロモーターが、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである、請求項4~24のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項26】
前記第2のプロモーターが、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである、請求項5~25のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項27】
前記インフルエンザNS1が、A型インフルエンザウイルスNS1、B型インフルエンザウイルスNS1、C型インフルエンザウイルスNS1、またはその変異体である、請求項1~26のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項28】
前記インフルエンザNS1が、H1N1 NS1、H1N2 NS1、H2N2 NS1、H3N2 NS1、H5N1 NS1、H7N9 NS1、H7N7 NS1、H9N2 NS1、H7N2 NS1、H7N3 NS1、H5N2 NS1、H10N7 NS1、またはその任意の組合せである、請求項1~26のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項29】
前記インフルエンザNS1がH5N1 NS1である、請求項1~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項30】
前記インフルエンザNS1がH1N1 NS1である、請求項1~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項31】
前記H1N1 NS1が、前記H1N1 TX91変異体NS1である、請求項30に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項32】
前記第1の核酸分子によってコードされる前記インフルエンザNS1が、配列番号1または2によって示される前記ヌクレオチド配列によってコードされる前記アミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項33】
前記第1の核酸分子によってコードされる前記インフルエンザNS1が、配列番号1または2によって示される前記ヌクレオチド配列によってコードされる前記アミノ酸配列を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項34】
前記第1の核酸分子が、配列番号1または2に示される前記ヌクレオチド配列と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がインフルエンザNS1タンパク質をコードする、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項35】
前記第1の核酸分子が、配列番号1または2に示される前記ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、インフルエンザNS1タンパク質をコードする、請求項1~32のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項36】
1またはそれを超える修飾された核酸分子を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項37】
(i)前記第1の核酸分子、(ii)前記第2の核酸分子、または(iii)(i)と(ii)の両方が環状RNAである、請求項1~36のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項38】
自己複製標的mRNAを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組であって、前記自己複製標的mRNAが、1またはそれを超える修飾された核酸分子を含む、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項39】
前記ポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドの組の中の前記核酸の約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、または約25%未満が修飾された核酸分子である、請求項1~38のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項40】
前記ポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドの組の中の前記核酸の約25%が修飾された核酸分子である、請求項1~39のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項41】
前記1またはそれを超える修飾された核酸分子が、修飾されたrNTPである、請求項36~40のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項42】
前記1またはそれを超える修飾された核酸分子が、N1-メチルシュードウラシル、5-メチルシトシン、N6-メチルアデノシン、またはそれらの組合せを含む、請求項36~41のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組。
【請求項43】
請求項1~42のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組を含むベクターまたはベクターの組。
【請求項44】
レプリコンである、請求項43に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項45】
ベネズエラウマ脳炎(VEE)レプリコンまたはその誘導体もしくは部分である、請求項43または44に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項46】
野生型アミノ酸配列VEEに従って、残基739にリジンをコードするヌクレオチド配列を含むベネズエラウマ脳炎(VEE)レプリコンである、請求項43~45のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項47】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項48】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(vi)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項49】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(v)E1配列;および(vi)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項50】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項51】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項52】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項53】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項54】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項55】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項56】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項57】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91 変異体NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項58】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号1に示される前記ヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項59】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号1に示される前記ヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項60】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項61】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号2に示される前記ヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項62】
前記ベクターが、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号2に示される前記ヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)前記標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、前記標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えば、VEE由来の3’UTRを含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組。
【請求項63】
前記1またはそれを超えるnsPが、VEE nsPまたはその誘導体を含む、請求項47~62のいずれか一項に記載のベクターの組のベクター。
【請求項64】
前記VEE nsPが、nsP2、nsP3、nsP4、およびそれらの任意の組合せから選択される、請求項63に記載のベクターの組のベクター。
【請求項65】
請求項1~42のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組または請求項43~64のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組を含む、細胞。
【請求項66】
哺乳動物細胞である、請求項65に記載の細胞。
【請求項67】
ヒト細胞である、請求項65または66に記載の細胞。
【請求項68】
免疫細胞である、請求項65~67のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項69】
請求項1~42のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組、請求項43~64のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組、または請求項65~68のいずれか一項に記載の細胞と、製薬上許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項70】
細胞において標的mRNAを発現させる方法であって、請求項1~42のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組または請求項43~64のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組で前記細胞をトランスフェクトすることを含む方法。
【請求項71】
前記細胞がヒト細胞である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞がエクスビボヒト細胞である、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記細胞がヒト免疫細胞である、請求項70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
請求項1~42のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組、請求項43~64のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組、請求項65~68のいずれか一項に記載の細胞、または請求項69に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、処置を必要とする対象を処置する方法。
【請求項75】
標的mRNAの発現を必要とする対象において標的mRNAを発現させる方法であって、請求項1~42のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組、請求項43~64のいずれか一項に記載のベクターまたはベクターの組、請求項66~68のいずれか一項に記載の細胞、または請求項69に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項76】
前記対象が癌に罹患している、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記癌が、黒色腫、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、胃癌、および頭頸部扁平上皮癌をはじめとする様々な種類の頭頸部癌からなる群から選択される、請求項76に記載の方法。いくつかの態様では、前記癌は、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、およびそれらの任意の組合せであり得る。
【請求項78】
標的mRNAを細胞において発現させる方法であって、前記標的mRNAとインフルエンザNS1タンパク質とを前記細胞において共発現させることを含み、前記標的mRNAがインフルエンザmRNAではない、方法。
【請求項79】
前記インフルエンザNS1タンパク質が第1の核酸分子によってコードされ、前記標的mRNAが第2の核酸分子によってコードされる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子および前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第1のベクターに存在する、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子が、第1のベクターに存在し、前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第2のベクターに存在する、請求項78または79に記載の方法。
【請求項82】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子が、第1のプロモーターの制御下で発現される、請求項78~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第2のプロモーターの制御下で発現される、請求項78~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記第1のプロモーターと前記第2のプロモーターが同じである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第1のプロモーターと前記第2のプロモーターが異なる、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子と、前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、第1のプロモーターの制御下で発現され、前記第1のプロモーターが、前記インフルエンザNS1タンパク質と前記標的mRNAの両方の発現を駆動する、請求項78~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子および前記標的mRNAをコードする前記第2の核酸分子が、IRES配列によって連結されている、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記第1のベクター、前記第2のベクター、または両方が、1またはそれを超える調節エレメントを含む、請求項80~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記標的mRNAの発現が、前記インフルエンザNS1タンパク質をコードする前記第1の核酸分子の不在下で前記標的mRNAの発現と比較して増加している、請求項78~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
(i)前記第一の核酸分子、(ii)前記第二の核酸分子、または(iii)(i)と(ii)の両方が環状RNAである、請求項79~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
標的mRNAを細胞において発現させる方法であって、1またはそれを超える修飾された核酸分子を含む自己複製標的mRNAを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組で前記細胞をトランスフェクトすることを含む、方法。
【請求項92】
前記ポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドの組の中の前記核酸の約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、または約25%未満が、修飾された核酸分子である、請求項91に記載の。
【請求項93】
前記ポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドの組の中の前記核酸の約25%が修飾された核酸分子である、請求項91または92に記載の方法。
【請求項94】
前記1またはそれを超える修飾された核酸分子が、修飾されたrNTPである、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記1またはそれを超える修飾された核酸分子が、N1-メチルシュードウラシル、5-メチルシトシン、N6-メチルアデノシン、またはそれらの組合せを含む、請求項91~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記標的mRNAの発現が、1またはそれを超える修飾された核酸分子を含まない自己複製標的mRNAからの前記標的mRNAの発現と比較して増加している、請求項91~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記標的mRNAの発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加する、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記標的mRNAの前記発現の前記増加が、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、または少なくとも約48時間持続する、請求項96または97に記載の方法。
【請求項99】
前記標的mRNAが、生物学的に活性なポリペプチドをコードする、請求項70~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記生物学的に活性なポリペプチドが、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、凝固因子、酵素、またはその任意の組合せを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記サイトカインが、IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IL-18、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-3、IL-5、GM-CSF、IL-6、IL-11、G-CSF、IL-12、LIF、OSM、IL-10、IL-20、IL-14、IL-16、IL-17、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、CD154、LT-β、TNF-α、TNF-β、4-1BBL、APRIL、CD70、CD153、CD178、GITRL、LIGHT、OX40L、TALL-1、TRAIL、TWEAK、TRANCE、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、Epo、Tpo、Flt-3L、SCF、M-CSF、MSP、その断片、その変異体、またはその任意の組合せである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記標的mRNAが、IL-12ポリペプチドまたはその断片または変異体をコードする、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記標的mRNAが、IL-12のp35サブユニットおよびIL-12のp40サブユニットをコードする、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが単一のプロモーターから発現される、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが単一の隣接したポリペプチドとして発現される、請求項103または104に記載の方法。
【請求項106】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが、1またはそれを超える共有結合によって連結されている、請求項103~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記p35サブユニットおよび前記p40サブユニットが、1またはそれを超えるペプチド結合によって連結されている、請求項103~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記p35サブユニットをコードする前記mRNAの一部が、IRESによって前記p40サブユニットをコードする前記mRNAの一部から分離されている、請求項103または107に記載の方法。
【請求項109】
前記標的mRNAが、miRNA、siRNA、shRNA、dsRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ガイドRNA、またはその任意の組合せをコードする、請求項70~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記第1のプロモーターが、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである、請求項82~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記第2のプロモーターが、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである、請求項83~90、109および110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記インフルエンザNS1が、A型インフルエンザウイルスNS1、B型インフルエンザウイルスNS1、C型インフルエンザウイルスNS1、またはその変異体である、請求項78~90および109~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記インフルエンザNS1が、H1N1 NS1、H1N2 NS1、H2N2 NS1、H3N2 NS1、H5N1 NS1、H7N9 NS1、H7N7 NS1、H9N2 NS1、H7N2 NS1、H7N3 NS1、H5N2 NS1、H10N7 NS1、またはその組合せである、請求項78~90および109~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記インフルエンザNS1がH5N1 NS1である、請求項78~90および109~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記インフルエンザNS1がH1N1 NS1である、請求項78~90および109~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記H1N1 NS1が、前記H1N1 TX91変異体NS1である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記第1の核酸分子によってコードされる前記インフルエンザNS1が、配列番号1または2によって示される前記ヌクレオチド配列によってコードされる前記アミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項78~90および109~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記第1の核酸分子によってコードされる前記インフルエンザNS1が、配列番号1または2によって示される前記ヌクレオチド配列によってコードされる前記アミノ酸配列を含む、請求項78~90および109~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記第1の核酸分子が、配列番号1または2に示される前記ヌクレオチド配列と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がインフルエンザNS1タンパク質をコードする、請求項78~90および109~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記第1の核酸分子が、配列番号1または2に示される前記ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、インフルエンザNS1タンパク質をコードする、請求項78~90および109~113のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本PCT出願は、2021年8月3日に出願された米国仮出願第63/228,892号に基づく優先権利益を主張し、この仮出願の内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本出願において提出された、電子的に提出された配列表(4597_008PC01_Seqlisting_st26.xml;サイズ:96,785バイト;作成日:2022年8月3日)の内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示の分野
本開示は、自然免疫阻害剤(innate immune inhibitor)、例えば、インフルエンザ非構造(NS1)タンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列と、異種標的mRNAをコードする第2のヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド(例えば、レプリコン)またはポリヌクレオチドの組を提供する。このようなポリヌクレオチドは、細胞内で異種標的mRNAの増強された持続的な発現を駆動することができる。
【背景技術】
【0004】
本開示の背景
核酸治療薬は、幅広い種類の疾患に対する有望で急速に開発されている処置として現れた。これらの治療は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボにおいて、機能性RNAおよび/または治療用ポリペプチドなどの生物学的に活性な分子を、組換えタンパク質では達成が困難であることが多い天然の立体構造および翻訳後修飾を保持した形で産生することを細胞に依存している。合成mRNAは、ウイルスまたはDNAに基づく治療法と比較して安全性プロファイルが改善されており、貴重なツールであることが証明されている。しかしながら、ヒト免疫系はRNAを自然に分解するため、投与された合成RNA(例えば、環状RNA)の効力および持続性を制限する。したがって、インビトロおよびインビボで強力かつ永続的な効果を提供するRNA治療薬が当技術分野で依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の簡単な要旨
本開示のいくつかの態様は、インフルエンザ非構造(NS1)タンパク質をコードする第1の核酸分子および異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子を含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組に関する。
【0006】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第1のベクターに存在する。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は、第1のベクターに存在し、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第2のベクターに存在する。
【0007】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は、第1のプロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第2のプロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは同じである。いくつかの態様では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは異なる。
【0008】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子と、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第1のプロモーターの制御下で発現され、第1のプロモーターは、インフルエンザNS1タンパク質と標的mRNAの両方の発現を駆動する。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、IRES配列によって連結されている。いくつかの態様では、第1のベクター、第2のベクター、または両方は、1またはそれを超える調節エレメントを含む。
【0009】
いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下で標的mRNAの発現と比較して増加している。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下で標的mRNAの発現と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現の増加は、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、または少なくとも約48時間持続する。
【0010】
いくつかの態様では、標的mRNAは、生物学的に活性なポリペプチドをコードする組。いくつかの態様では、生物学的に活性なポリペプチドは、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、凝固因子、酵素、またはその任意の組合せを含む。いくつかの態様では、サイトカインは、IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IL-18、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-3、IL-5、GM-CSF、IL-6、IL-11、G-CSF、IL-12、LIF、OSM、IL-10、IL-20、IL-14、IL-16、IL-17、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、CD154、LT-β、TNF-α、TNF-β、4-1BBL、APRIL、CD70、CD153、CD178、GITRL、LIGHT、OX40L、TALL-1、TRAIL、TWEAK、TRANCE、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、Epo、Tpo、Flt-3L、SCF、M-CSF、MSP、その断片、その変異体、またはその任意の組合せである。
【0011】
いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12ポリペプチドまたはその断片または変異体をコードする。いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12のp35サブユニットおよびIL-12のp40サブユニットをコードする。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは単一のプロモーターから発現される。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは単一の連続したポリペプチドとして発現される。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは、1またはそれを超える共有結合によって連結されている。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは、1またはそれを超えるペプチド結合によって連結されている。いくつかの態様では、p35サブユニットをコードするmRNAの一部は、IRESによってp40サブユニットをコードするmRNAの一部から分離されている。
【0012】
いくつかの態様では、標的mRNAは、miRNA、siRNA、shRNA、dsRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ガイドRNA、またはその任意の組合せをコードする。
【0013】
いくつかの態様では、第1のプロモーターは、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである。いくつかの態様では、第2のプロモーターは、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである。
【0014】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、A型インフルエンザウイルスNS1、B型インフルエンザウイルスNS1、C型インフルエンザウイルスNS1、またはその変異体である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、H1N1 NS1、H1N2 NS1、H2N2 NS1、H3N2 NS1、H5N1 NS1、H7N9 NS1、H7N7 NS1、H9N2 NS1、H7N2 NS1、H7N3 NS1、H5N2 NS1、H10N7 NS1、またはその任意の組合せである。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH5N1 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH1N1 NS1である。いくつかの態様では、H1N1 NS1は、H1N1 TX91変異体NS1である。
【0015】
いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号1または2によって示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号1または2によって示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、第1の核酸分子は、配列番号1または2に示されるヌクレオチド配列と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列はインフルエンザNS1タンパク質をコードする。いくつかの態様では、第1の核酸分子は、配列番号1または2に示されるヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする。いくつかの態様では、(i)第1の核酸分子、(ii)第2の核酸分子、または(iii)(i)と(ii)の両方は、環状RNAである。
【0016】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組は、1またはそれを超える修飾された核酸分子を含む。
【0017】
本開示のいくつかの態様は、自己複製標的mRNAを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組であって、自己複製標的mRNAが、1またはそれを超える修飾された核酸分子を含む、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組に関する。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組の中の核酸の約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、または約25%未満が修飾された核酸分子である。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組の中の核酸の約25%は修飾された核酸分子である。いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾された核酸分子は、修飾されたrNTPである。いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾された核酸分子は、N1-メチルシュードウラシル、5-メチルシトシン、N6-メチルアデノシンまたはそれらの組合せを含む。
【0018】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組を含むベクターまたはベクターの組に関する。いくつかの態様では、ベクターは、レプリコンである。いくつかの態様では、ベクターは、ベネズエラウマ脳炎(VEE)レプリコンまたはその誘導体もしくは部分である。いくつかの態様では、ベクターは、野生型アミノ酸配列VEEに従った残基739にリジンをコードするヌクレオチド配列を含むベネズエラウマ脳炎(VEE)レプリコンである。
【0019】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0020】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(vi)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0021】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(v)E1配列;および(vi)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0022】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0023】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0024】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0025】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0026】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0027】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0028】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0029】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H1N1 TX91 変異体NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0030】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0031】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0032】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)H5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0033】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)VEE 3’UTRまたはその誘導体を含む。
【0034】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)VEE 5’UTRまたはその誘導体;(ii)1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP);(iii)配列番号2に示されるヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、標的mRNAはヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えば、VEE由来の3’UTRを含む。いくつかの態様では、1またはそれを超えるnsPは、VEE nsPまたはその誘導体を含む。いくつかの態様では、VEE nsPは、nsP2、nsP3、nsP4、およびそれらの任意の組合せから選択される。
【0035】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組または本明細書に開示のベクターまたはベクターの組を含む、細胞に関する。いくつかの態様では、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの態様では、細胞は、ヒト細胞である。いくつかの態様では、細胞は、免疫細胞である。
【0036】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組、本明細書に開示のベクターまたはベクターの組、または本明細書に開示の細胞と、製薬上許容され得る担体を含む、医薬組成物に関する。
【0037】
本開示のいくつかの態様は、細胞において標的mRNAを発現させる方法であって、本明細書に開示のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組または本明細書に開示のベクターまたはベクターの組で前記細胞をトランスフェクトすることを含む方法に関する。いくつかの態様では、細胞はヒト細胞である。いくつかの態様では、細胞はエクスビボヒト細胞である。いくつかの態様では、細胞はヒト免疫細胞である。
【0038】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組、本明細書に開示のベクターまたはベクターの組、本明細書に開示の細胞、または本明細書に開示の医薬組成物を対象に投与することを含む、処置を必要とする対象を処置する方法に関する。
【0039】
本開示のいくつかの態様は、標的mRNAの発現を必要とする対象において標的mRNAを発現させる方法であって、本明細書に開示のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組、本明細書に開示のベクターまたはベクターの組、本明細書に開示の細胞、または本明細書に開示の医薬組成物を対象に投与することを含む方法に関する。
【0040】
いくつかの態様では、対象は癌に罹患している。いくつかの態様では、癌は、黒色腫、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、胃癌、および頭頸部扁平上皮癌をはじめとする様々な種類の頭頸部癌からなる群から選択される。いくつかの態様では、癌は、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、およびそれらの任意の組合せであり得る。
【0041】
本開示のいくつかの態様は、標的mRNAを細胞において発現させる方法であって、標的mRNAとインフルエンザNS1タンパク質とを細胞において共発現させることを含み、標的mRNAがインフルエンザmRNAではない、方法に関する。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質は第1の核酸分子によってコードされ、標的mRNAは第2の核酸分子によってコードされる。
【0042】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第1のベクターに存在する。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は、第1のベクターに存在し、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第2のベクターに存在する。
【0043】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は、第1のプロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第2のプロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは同じである。いくつかの態様では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは異なる。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子と、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第1のプロモーターの制御下で発現され、第1のプロモーターは、インフルエンザNS1タンパク質と標的mRNAの両方の発現を駆動する。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、IRES配列によって連結されている。いくつかの態様では、第1のベクター、第2のベクター、または両方は、1またはそれを超える調節エレメントを含む。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下で標的mRNAの発現と比較して増加している。いくつかの態様では、(i)第一の核酸分子、(ii)第二の核酸分子、または(iii)(i)と(ii)の両方は環状RNAである。
【0044】
本開示のいくつかの態様は、標的mRNAを細胞において発現させる方法であって、1またはそれを超える修飾された核酸分子を含む自己複製標的mRNAを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組で細胞をトランスフェクトすることを含む、方法に関する。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組の中の核酸の約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、または約25%未満は、修飾された核酸分子である。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組の中の核酸の約25%は修飾された核酸分子である。いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾された核酸分子は、修飾されたrNTPである。いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾された核酸分子は、N1-メチルシュードウラシル、5-メチルシトシン、N6-メチルアデノシン、またはそれらの組合せを含む。
【0045】
いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、1またはそれを超える修飾された核酸分子を含まない自己複製標的mRNAからの標的mRNAの発現と比較して増加している。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加する。
【0046】
いくつかの態様では、標的mRNAの発現の増加は、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、または少なくとも約48時間持続する。
【0047】
いくつかの態様では、標的mRNAは、生物学的に活性なポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、生物学的に活性なポリペプチドは、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、凝固因子、酵素、またはその任意の組合せを含む。いくつかの態様では、サイトカインは、IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IL-18、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-3、IL-5、GM-CSF、IL-6、IL-11、G-CSF、IL-12、LIF、OSM、IL-10、IL-20、IL-14、IL-16、IL-17、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、CD154、LT-β、TNF-α、TNF-β、4-1BBL、APRIL、CD70、CD153、CD178、GITRL、LIGHT、OX40L、TALL-1、TRAIL、TWEAK、TRANCE、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、Epo、Tpo、Flt-3L、SCF、M-CSF、MSP、その断片、その変異体、またはその任意の組合せである。
【0048】
いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12ポリペプチドまたはその断片または変異体をコードする。いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12のp35サブユニットおよびIL-12のp40サブユニットをコードする。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは単一のプロモーターから発現される。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは単一の連続したポリペプチドとして発現される。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは、1またはそれを超える共有結合によって連結されている。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットが、1またはそれを超えるペプチド結合によって連結されている。いくつかの態様では、p35サブユニットをコードするmRNAの一部は、IRESによってp40サブユニットをコードするmRNAの一部から分離されている。
【0049】
いくつかの態様では、標的mRNAは、miRNA、siRNA、shRNA、dsRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ガイドRNA、環状RNA、またはその任意の組合せを含む。
【0050】
いくつかの態様では、第1のプロモーターは、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである。いくつかの態様では、第2のプロモーターは、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、または構成的に活性なプロモーターである。
【0051】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、A型インフルエンザウイルスNS1、B型インフルエンザウイルスNS1、C型インフルエンザウイルスNS1、またはその変異体である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、H1N1 NS1、H1N2 NS1、H2N2 NS1、H3N2 NS1、H5N1 NS1、H7N9 NS1、H7N7 NS1、H9N2 NS1、H7N2 NS1、H7N3 NS1、H5N2 NS1、H10N7 NS1、またはその組合せである。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH5N1 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH1N1 NS1である。いくつかの態様では、H1N1 NS1は、H1N1 TX91変異体NS1である。
【0052】
いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号1または2によって示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号1または2によって示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、第1の核酸分子は、配列番号1または2に示されるヌクレオチド配列と、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列はインフルエンザNS1タンパク質をコードする。いくつかの態様では、第1の核酸分子は、配列番号1または2に示されるヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1A図1A~1Bは、試料の非細胞変性EGFPベクター(図1A)および非細胞変性NS1-EGFPベクター(図1B)の図である。
図1B図1A~1Bは、試料の非細胞変性EGFPベクター(図1A)および非細胞変性NS1-EGFPベクター(図1B)の図である。
【0054】
図2A-D】図2A~2Dは、Lipofectamine MessengerMaxを使用した、Strand-mCherry(図2A)、mCherry modRNA(図2B)、およびStrand-mCherry+NS1 modRNA mRNA(図2C~2D)によるトランスフェクションの24時間後の4T1細胞の画像である。
【0055】
図2E図2Eは、図2A~2Dで試験された各mRNAトランスフェクションについて観察された平均蛍光強度をまとめたものである。
【0056】
図3A-D】図3A~3Dは、TT3脂質ナノ粒子を使用した、Strand-mCherry(図3A)、mCherry modRNA(図3B)、およびStrand-mCherry+NS1 modRNA mRNA(図3C~3D)によるトランスフェクションの24時間後の4T1細胞の画像である。
【0057】
図3E-F】3E~3Fは、タンデムNS1発現(図3E)またはNS1同時トランスフェクション(図3F)によってトランスフェクトされた各mRNAについて観察された平均蛍光強度をまとめたものである。
【0058】
図4A-B】図4A~4Hは、Lipofectamine MessengerMaxを使用した、NS1 modRNA(図4Bおよび4F)、NS1 repRNA(図4Cおよび4G)、またはNS1-P2A-mCherry mRNA(図4Dおよび4H)によるHcc38腫瘍細胞のトランスフェクションの24時間後(図4A~4D)および48時間後(図4E~4H)にmCherryを発現する細胞数を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。
図4C-D】図4A~4Hは、Lipofectamine MessengerMaxを使用した、NS1 modRNA(図4Bおよび4F)、NS1 repRNA(図4Cおよび4G)、またはNS1-P2A-mCherry mRNA(図4Dおよび4H)によるHcc38腫瘍細胞のトランスフェクションの24時間後(図4A~4D)および48時間後(図4E~4H)にmCherryを発現する細胞数を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。
図4E-F】図4A~4Hは、Lipofectamine MessengerMaxを使用した、NS1 modRNA(図4Bおよび4F)、NS1 repRNA(図4Cおよび4G)、またはNS1-P2A-mCherry mRNA(図4Dおよび4H)によるHcc38腫瘍細胞のトランスフェクションの24時間後(図4A~4D)および48時間後(図4E~4H)にmCherryを発現する細胞数を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。
図4G-H】図4A~4Hは、Lipofectamine MessengerMaxを使用した、NS1 modRNA(図4Bおよび4F)、NS1 repRNA(図4Cおよび4G)、またはNS1-P2A-mCherry mRNA(図4Dおよび4H)によるHcc38腫瘍細胞のトランスフェクションの24時間後(図4A~4D)および48時間後(図4E~4H)にmCherryを発現する細胞数を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。
【0059】
図4I図4I~4Kは、Scc9 HNSCC細胞(図4I)およびFaDu HNSCC細胞(図4J~4K)の蛍光強度中央値(MFI)を示す。
図4J-K】図4I~4Kは、Scc9 HNSCC細胞(図4I)およびFaDu HNSCC細胞(図4J~4K)の蛍光強度中央値(MFI)を示す。
【0060】
図5A-D】図5A~5Dは、元の(Strand)骨格(図5A~5B)かまたはQ739L変異を含有するもの(非細胞変性;図5C~5D)のいずれかを含有するEGFPをコードするレプリコンベクターを含むTT3 LNPを使用した、BT20癌のトランスフェクションの24時間後にEGFPを発現する細胞数を示すフローサイトメトリーデータのグラフによる表示である。
【0061】
図5E-F】図5E~5Fは、蛍光強度中央値(MFI;図5E)GFP陽性細胞のパーセントによって測定されるおよびトランスフェクション効率(図5F)のグラフ表示である。
【0062】
図6A-F】図6A~6Fは、未修飾rNTP(未修飾Rep;図6Aおよび6D)を使用するか、またはUTP対N1-メチル-シュードUTP(psiで示す)の1:1(50%;図6Bおよび6E)または1:3(25%;図6Cおよび6F)の比を使用して作製されたレプリコンを用いてエレクトロポレーションした後の、mCherryを発現するB16.F10細胞(図6A~6C)および4T1細胞(図6D~6F)の数を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。
【0063】
図6G図6Gは、図6A~6Gに記載の細胞の蛍光強度中央値(MFI)のグラフ表示である。
【0064】
図7図7は、未修飾rNTP(unmod)を使用するかまたは1:3の比の特定の
【化1】
;1:3 C:5me-C(M2)(ここで、Cはシチジンを指し、5me-Cは5-メチル-シチジンを指す)を使用して作製された、ホタルルシフェラーゼ(Fluc)をコードするレプリコンを用いてトランスフェクトした4T1細胞の相対発光を示す棒グラフである。エレクトロポレーションによるトランスフェクションの24時間後と48時間後に発光を測定した。
【0065】
図8A-B】図8A~8Bは、未修飾rNTP(unmod)を使用するかまたは1:3の比の特定の
【化2】
;1:3 C:5me-C(M2)(ここで、Cはシチジンを指し、5me-Cは5-メチル-シチジンを指す)のいずれかを使用して作製した、ホタルルシフェラーゼ(Fluc)をコードするレプリコンでトランスフェクトした、インターフェロン誘導性細胞株であるB16-ISG細胞の比色分析(図8B)を用いたSEAPレポーターアッセイを用いて測定した相対発光(図8A)およびI型IFN活性を示す棒グラフである。
【0066】
図9A-B】図9A~9Cは、未修飾または単一(M1)もしくは二重修飾されたrNTPを使用して作製したNS1-EGFP(P2Aリンカー)を発現するQ739Lレプリコンを用いてトランスフェクトされたB16-ISG細胞のペイロード発現(図9A)、シグナル強度(図9B)、およびI型IFN活性(図9C)のグラフ表示である。
図9C図9A~9Cは、未修飾または単一(M1)もしくは二重修飾されたrNTPを使用して作製したNS1-EGFP(P2Aリンカー)を発現するQ739Lレプリコンを用いてトランスフェクトされたB16-ISG細胞のペイロード発現(図9A)、シグナル強度(図9B)、およびI型IFN活性(図9C)のグラフ表示である。
【0067】
図10A-F】図10A~10Fは、組換えタンパク質(エンハンサー)を培地に添加した場合(図10D~10F)または添加しない場合(図10A~10C)の高用量IL-2を含む抗CD3/CD28/CD2カクテルで2日間活性化したT細胞のGFP発現の画像である。T細胞に、脂質1(図10Aおよび10D)、脂質2-コレステロール(図10Bおよび10E)、または脂質2-β-シトステロール(図10Cおよび10F)をトランスフェクトした。
【0068】
図11A-C】図11A~11Cは、IL-2および抗CD3/CD28/CD2を使用して解凍後2日間活性化され、上記で用いたようにNS1-EGFPを駆動するQ739Lレプリコンを使用してトランスフェクトされ、未修飾または単一(M1)もしくは二重修飾された(M2)mRNAを使用して作製された、初代ヒトT細胞におけるトランスフェクション効率(GFP陽性細胞%;図11A)、蛍光強度中央値(図11B)、およびIFN-γレベル(図11C)のグラフ表示である。
【0069】
図12A-B】図12A~12Bは、3人の健康なドナーから単離され、お抗CD3/CD28/CD2カクテル(活性化)の存在下で低用量のIL-2(休止)かまたは高用量のIL-2のいずれかを用いて2日間増殖させた後、NS1-EGFPまたはEGFPを駆動するM2修飾Q739Lレプリコン、または従来のEGFP mRNA(EGFP-mod)を用いてmRNA:脂質を送達したヒトPBMCにおけるトランスフェクション効率(GFP陽性細胞%;図12A)およびIFN-α活性化(図12B)のグラフ表示である。測定は、トランスフェクションの24時間後に行った。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本開示の詳細な説明
本開示のいくつかの態様は、インフルエンザ非構造(NS1)タンパク質をコードする第1の核酸分子と、異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子とを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組に関する。本開示は、ポリヌクレオチド、例えばレプリコンによってコードされる標的mRNAの発現がインフルエンザNS1の存在下で増強され得ることを提供する。特に、インフルエンザNS1と標的mRNAとの共発現は、細胞における標的mRNAの発現量および標的mRNAの発現持続性を増加させる。したがって、本開示のいくつかの態様は、細胞、例えば、ヒト細胞において標的mRNAを発現させる方法であって、インフルエンザ非構造(NS1)タンパク質をコードする第1の核酸分子および異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子を含むポリヌクレオチド(例えば、環状RNA)またはポリヌクレオチドの組(例えば、環状RNAの組)を細胞にトランスフェクトすることを含む方法に関する。いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体をコードする。
【0071】
本開示のさらなる態様は、本出願を通じて提供される。
【0072】
I.定義
本開示がより容易に理解されるように、最初に特定の用語を定義する。本出願で使用される場合、本明細書で他に明示的に提供される場合を除き、以下の各用語は、以下に記載される意味を有するものとする。さらなる定義は、本出願を通じて記載される。
【0073】
「1つの(a)」または「1つの(an)」実体という用語は、1またはそれを超えるその実態を指すことに留意されたい。例えば、「1つの(a)ヌクレオチド配列」は、1またはそれを超えるヌクレオチド配列を表すと理解される。したがって、「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1またはそれを超える」および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「もっぱら」、「のみ」などの排他的な用語を使用したり、「否定的な」限定を使用したりする際の先行根拠となることが意図されている。
【0074】
本明細書で使用される「および/または」という用語は、2つの指定された特徴または成分のそれぞれが他方の有無にかかわらず具体的に開示されると解釈されるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などのフレーズで使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、および/またはC」などのフレーズで使用される「および/または」という用語は、次の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)の各々を包含することを意図する。
【0075】
態様が「含む」という文言で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記載されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0076】
本明細書で使用される場合、1またはそれを超える関心対象の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、記載された基準値に類似しており、特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、記載される基準値のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満に入る値の範囲内にある値を指す(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)。「およそ」または「約」という用語が本明細書で特定の値に適用される場合、「およそ」または「約」という用語のない値も本明細書に開示される。
【0077】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比の範囲、または整数範囲は、特に明記しない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合はその分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解される。
【0078】
本明細書で使用される場合、「ug」および「uM」という用語は、それぞれ「μg」および「μM」と互換的に使用される。
【0079】
別に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示の属する分野の当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。
【0080】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)で承認された形式で示されている。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。値の範囲が記載されている場合、その範囲の記載された上限と下限との間に介在する各整数値およびその各分数もまた、そのような値の間の各部分範囲と共に具体的に開示されることを理解されたい。任意の範囲の上限および下限は、独立に範囲に含めることも範囲から除外することもでき、どちらかの限界を含むか、どちらも含まないか、または両方の限界を含む各範囲も本開示に包含される。したがって、本明細書に列挙される範囲は、列挙された端点を含む、範囲内のすべての値の省略表現であると理解される。例えば、1~10の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群からの任意の数、数の組合せ、または部分範囲を含むと理解される。
【0081】
値が明示的に列挙されている場合、列挙された値とほぼ同じ量または量である値も本開示の範囲内であることを理解されたい。組合せが開示されている場合、その組合せの要素の各部分組合せも具体的に開示されており、本開示の範囲内である。逆に、異なる要素または要素群が個別に開示される場合、それらの組合せも開示される。本開示の任意の要素が複数の代替形態を有するものとして開示されている場合、各代替形態が単独で、または他の代替形態と任意に組み合わせて除外されるその開示の例も本明細書によって開示される。本開示の2つ以上の要素がそのような除外を有することができ、そのような除外を有する要素のすべての組合せが本明細書に開示される。
【0082】
ヌクレオチドは、一般に受け入れられている一文字コードによって呼ばれる。別段示されない限り、ヌクレオチド配列は、5’から3’の向きで左から右に記載される。ヌクレオチドは、IUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨されるその一般的に知られている1文字記号によって本明細書中で言及される。したがって、「a」はアデニンを表し、「c」はシトシンを表し、「g」はグアニンを表し、「t」はチミンを表し、「u」はウラシルを表す。
【0083】
アミノ酸配列は、アミノからカルボキシへの配向で左から右に書かれている。アミノ酸は、一般に知られている3文字の記号か、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される1文字の記号のいずれかによって本明細書で言及される。
【0084】
「投与」、「投与すること」、という用語およびその文法上の変形は、薬学的に許容され得る経路を介して組成物(例えば、本明細書に記載の単離されたポリヌクレオチドなど)を対象に導入することを指す。対象への組成物の導入は、腫瘍内、経口、肺、鼻腔内、非経口(静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内または皮下)、直腸、リンパ内、髄腔内、眼周囲または局所を含む任意の適切な経路によって行うことができる。投与には、自己投与および他者による投与が含まれる。適切な投与経路は、組成物がその意図された機能を果たすことを可能にする。例えば、適切な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物を対象の静脈内に導入することによって投与することができる。
【0085】
本明細書で使用される場合、「癌」という用語は、体内の異常細胞の制御されない増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。制御されていない細胞分裂および増殖分裂および増殖により、悪性腫瘍が形成され、近隣の組織を浸潤し、リンパ系または血流を通って体の離れた部分に転移する可能性がある。本明細書に開示される組成物は、限定されるものではないが、黒色腫、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、胃癌、および頭頸部扁平上皮癌を含む様々な種類の頭頸部癌をはじめとする任意の癌の処置に使用することができる。いくつかの態様では、癌は、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、およびそれらの任意の組合せであり得る。
【0086】
「コード配列」または配列を「コードする」という用語は、本明細書では、特定のタンパク質、例えばインフルエンザNS1タンパク質または標的異種タンパク質を「コードする」DNAまたはRNA領域(転写領域)を意味するために使用される。コード配列は、プロモーターなどの適切な調節領域の制御下に置かれると、インビトロまたはインビボで転写され(DNA)、ポリペプチドに翻訳される(RNA)。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列には、限定されるものではないが、原核生物または真核生物由来のcDNA、原核生物または真核生物由来のゲノムDNA、および合成DNA配列が含まれ得る。転写終結配列は、コード配列の3’側に位置し得る。
【0087】
「下流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の3’に位置するヌクレオチド配列を指す。いくつかの態様では、下流ヌクレオチド配列は、転写の開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写の開始部位の下流に位置する。
【0088】
「賦形剤」および「キャリア」という用語は互換的に使用され、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。
【0089】
本明細書において使用される「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えばRNAまたはポリペプチド(例えば、治療用タンパク質、例えばインフルエンザNS1非構造タンパク質)を産生する過程を指す。それには、限定されないが、マイクロRNA結合部位、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、または任意の他のRNA産物へのポリヌクレオチドの転写が含まれる。それには、限定されないが、メッセンジャーRNA(mRNA)へのポリヌクレオチドの転写、およびポリペプチドへのmRNAの翻訳が含まれる。発現により「遺伝子産物」が産生される。本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、例えば、遺伝子の転写によって産生されるRNAなどの核酸であり得る。本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、遺伝子の転写によって産生される核酸、RNA(例えば、環状RNA)もしくはmiRNA、あるいは転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載の遺伝子産物には、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化またはスプライシングを有する核酸、または翻訳後修飾、例えば、リン酸化、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、またはタンパク質分解切断を有するポリペプチドがさらに含まれる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「異種標的mRNA」という用語は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを使用して標的細胞で発現させることができる、標的細胞に天然には存在しない任意のmRNA(線状または環状)を指す。別段の指示がない限り、異種標的mRNAは、調節機能を有するポリペプチドまたはRNA分子(例えば、miRNA、dsDNA、lncRNA、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)、ペプチド結合ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PPMO)、またはそれらの組合せ)をコードすることができる。したがって、本明細書において使用される、「コードする」という用語は、核酸分子(例えば、異種標的mRNA)からの関心対象の部分(例えば、ポリペプチドまたは環状RNAなどのRNA分子)の産生を指す。いくつかの態様では、異種標的mRNAは、限定されるものではないが、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、凝固因子、酵素、またはその任意の組合せをはじめとする生物学的に活性なポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、異種標的mRNAは、本明細書において「ペイロード」と呼ばれる。別段の指示がない限り、「標的mRNA」および「異種標的mRNA」という用語は互換的に使用される。
【0091】
いくつかの態様では、2またはそれを超える配列は、それらが互いに100%同一である場合に、「同一である」と言われる。いくつかの態様では、2またはそれを超える配列は、それらが互いに少なくとも約70%同一である、少なくとも約80%同一である、少なくとも約90%同一である、または少なくとも約95%同一である場合に、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの態様では、2またはそれを超える配列は、それらが互いに約70%同一である、約80%同一である、約90%同一である、約95%同一である、約98%同一である、または約99%同一である場合に、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの態様では、2またはそれを超える配列は、それらが互いに少なくとも約30%同一である、少なくとも約40%同一である、少なくとも約50%同一である、少なくとも約60%同一である、少なくとも約70%同一である、少なくとも約80%同一である、少なくとも約90%同一である、または少なくとも約95%同一である場合に、「保存されている」と言われる。いくつかの態様では、2またはそれを超える配列は、それらが互いに約30%同一である、約40%同一である、約50%同一である、約60%同一である、約70%同一である、約80%同一である、約90%同一である、約95%同一である、約98%同一である、または約99%同一である場合、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用することもできるし、その一部、領域もしくは特徴に適用することもできる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えばポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子間(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)の全体的なモノマー保存を指す。追加の修飾語を含まない「同一」という用語、例えばタンパク質Aはタンパク質Bと同一であるということは、配列が100%同一である(配列同一性が100%である)ことを意味する。2つの配列を例えば「70%同一」と記載することは、それらを例えば「70%の配列同一性」を有するとして記載することと同等である。
【0093】
2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって行うことができる(例えば、最適なアライメントのために第1および第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較目的のために非同一配列を無視することができる。)。いくつかの態様では、比較目的でアライメントされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または約100%である。次いで、対応するアミノ酸位置のアミノ酸、またはポリヌクレオチドの場合は塩基を比較する。
【0094】
第1の配列のある位置が第2の配列の対応する位置のアミノ酸と同じアミノ酸で占められている場合、分子はその位置において同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮した、配列が共有する同一の位置の数の関数である。配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0095】
タンパク質配列とヌクレオチド配列の両方のアライメントに適したソフトウェア プログラムはさまざまなソースから入手可能である。配列同一性パーセントを決定するのに適したプログラムの1つは、bl2seqである。これは、米国政府の国立生物工学情報センターのBLAST Web サイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手できる一式のBLASTプログラムの一部である。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは核酸配列を比較するために使用され、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の適したプログラムは、例えば、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherである。これらは生物情報科学プログラムの一式のEMBOSSの一部であり、欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)のworldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psaから入手することもできる。
【0096】
配列アライメントは、MAFFT、Clustal(ClustalW、ClustalXまたはClustal Omega)、MUSCLEなどの当技術分野で公知の方法を使用して行うことができる。
【0097】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ独自の配列同一性パーセントを有し得る。配列同一性パーセントの値は、小数点以下第2位が四捨五入されることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、および80.14は切り捨てられて80.1となり、80.15、80.16、80.17、80.18、および80.19は切り上げられて80.2となる。長さの値は常に整数であることにも留意されたい。
【0098】
いくつかの態様では、第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する同一率(%ID)は、%ID=100x(Y/Z)として計算され、式中、Yは、第1および第2の配列のアライメント(目視検査または特定の配列アライメントプログラムによってアライメントされた)において完全一致としてスコア化されたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは、第2の配列の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第2の配列に対する第1の配列の同一性パーセントは、第1の配列に対する第2の配列の同一性パーセントよりも高くなる。
【0099】
当業者であれば、配列同一性パーセントを計算するための配列アライメントの生成は、一次配列データによってのみ駆動されるバイナリ配列-配列比較に限定されないことを理解するであろう。また、配列アライメントは、配列データを、構造データ(例えば、タンパク質の結晶構造)、機能データ(例えば、突然変異の位置)、または系統発生学的データなどの異種ソースからのデータと統合することによって生成され得ることも理解されよう。異種データを統合して多重配列アライメントを生成する適したプログラムは、www.tcoffee.org、あるいは例えばEBIからも入手可能なT-Coffeeである。配列同一性パーセントを計算するために使用される最終アライメントは、自動的にまたは手動でキュレートすることができることも理解されよう。
【0100】
本明細書で使用される場合、「単離」および「精製された」という用語およびその文法上の変形は互換的に使用され、1またはそれを超える精製プロセスを経た本開示の所望の組成物の調製物の状態を指す。いくつかの態様では、本明細書で使用される単離または精製は、汚染物質を含有する試料から本開示の組成物を除去、部分的に除去(例えば、画分)するプロセスである。いくつかの態様では、単離された組成物は、検出可能な望ましくない活性を有していないか、あるいは、望ましくない活性のレベルまたは量が許容され得るレベルまたは量よりも低い。いくつかの態様では、単離された組成物は、許容され得る量および/または濃度および/または活性またはそれ以上の本開示の所望の組成物の量および/または濃度を有する。いくつかの態様では、単離された組成物は、組成物が得られる出発物質と比較して濃縮される。この濃縮は、出発材料と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9999%、または99.9999%超であり得る。いくつかの態様では、単離された調製物は、残留生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離された調製物は、汚染生物学的物質を100%含まない、少なくとも約99%含まない、少なくとも約98%含まない、少なくとも約97%含まない、少なくとも約96%含まない、少なくとも約95%含まない、少なくとも約94%含まない、少なくとも約93%含まない、少なくとも約92%含まない、少なくとも約91%含まない、または少なくとも約90%含まない。残留生物学的産物には、非生物的物質(化学物質を含む)または望ましくない核酸、タンパク質、脂質もしくは代謝産物が含まれ得る。
【0101】
本明細書において使用される「連結した」という用語は、第2のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列にそれぞれ共有結合または非共有結合した第1のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列は、第2のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列に直接結合または並置することができ、あるいは、介在配列が第1の配列を第2の配列に共有結合させることができる。「連結した」という用語は、第1のポリヌクレオチド配列と第2のポリヌクレオチド配列の5’末端または3’末端での融合を意味するだけでなく、第1のポリヌクレオチド配列(または第2のポリヌクレオチド配列)全体の第2のポリヌクレオチド配列(またはそれぞれ第1のポリヌクレオチド配列)中の任意の2つのヌクレオチドへの挿入も含む。第1のポリヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーによって第2のポリヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーは、例えば、ポリヌクレオチドであり得る。
【0102】
本明細書において使用される、「調節する」、「修飾する」という用語、およびその文法上の変形は、一般に、特定の濃度、レベル、発現、機能または挙動に適用される場合に、特定の濃度、レベル、発現、機能もしくは挙動を増加または減少させることによって、例えば直接的または間接的に促進/刺激/上方制御または干渉/阻害/下方制御することによって、例えばアンタゴニストまたはアゴニストとして作用するように、変化させる能力を指す。場合によっては、モジュレーターは、対照と比較して、または一般に予想される平均活性レベルと比較して、または対照活性レベルと比較して、特定の濃度、レベル、活性または機能を増加および/または減少させることができる。
【0103】
本明細書で使用される場合、「非構造タンパク質」という用語は、ウイルスによってコードされるがウイルス粒子の一部ではないタンパク質を指す。より具体的には、本明細書に記載の非構造タンパク質は、限定されるものではないが、A型インフルエンザウイルスNS1、B型インフルエンザウイルスNS1、C型インフルエンザウイルスNS1、H1N1 NS1、H1N2 NS1、H2N2 NS1、H3N2 NS1、H5N1 NS1、H7N9 NS1、H7N7 NS1、H9N2 NS1、H7N2 NS1、H7N3 NS1、H5N2 NS1、H10N7 NS1、それらの組合せ、またはそれらの変異体を含む、インフルエンザNS1タンパク質を含む。そのような非構造タンパク質に関するさらなる開示は、本開示の他所に提供される。
【0104】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」、およびそれらの文法上の変形は、互換的に使用され、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、あるいはホスホロチオエートおよびチオエステルなどのそれらのリン酸エステル類似体の、一本鎖形態または二本鎖らせん形態のいずれかを指す。さらに、本開示から明らかなように、いくつかの態様では、核酸分子は環状形態(例えば、環状RNA)であってもよい。一本鎖核酸配列は、一本鎖DNA(ssDNA)または一本鎖RNA(ssRNA)を指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAらせん体が可能である。核酸分子、特にDNAまたはRNA分子という用語は、分子の一次および二次構造のみを指し、それを特定の三次形態に限定するものではない。したがって、この用語には、とりわけ、線状または環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、スーパーコイル状DNAおよび染色体に見られる二本鎖DNAが含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を議論する際、本明細書では、配列をDNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿って5’から3’方向の配列のみを与える通常の慣例に従って記載することができる。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAには、限定されるものではないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、および半合成DNAが含まれる。
【0105】
本明細書で使用される場合、「環状RNA」という用語は、共有結合によって環状構造を形成するポリリボヌクレオチドを指す。本開示から明らかなように、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドの組、第1の核酸分子および第2の核酸分子はいずれも、構造が環状であり得る。例えば、いくつかの態様において、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および異種標的mRNAをコードする第2の核酸を含む)は、環状RNAを含む。いくつかの態様では、本明細書に提供される第1の核酸分子(例えば、インフルエンザNS1タンパク質をコードする)は、環状RNAを含む。いくつかの態様では、本明細書に提供される第2の核酸分子(例えば、異種標的mRNAをコードする)は、環状RNAを含む。いくつかの態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、第1の核酸分子および第2の核酸分子を含む環状RNAを含む。
【0106】
「薬学的に許容され得る担体」、「薬学的に許容され得る賦形剤」、という用語およびその文法上の変形は、ヒトを含む動物における使用のために、米国連邦政府の規制機関によって承認された薬剤、または米国薬局方に記載された薬剤のいずれか、ならびに、対象への組成物の投与を禁止する程度まで望ましくない生理的影響の産生を引き起こさず、かつ投与された化合物の生物学的活性および特性を無効にしない任意の担体または希釈剤を包含する。医薬組成物の調製に有用であり、一般に安全で、無毒であり、望ましい賦形剤および担体が含まれる。
【0107】
本明細書において使用される場合、「医薬組成物」という用語は、薬学的に許容され得る担体および賦形剤などの1またはそれを超える他の化学成分と混合、または混和、または懸濁された、1またはそれを超える本明細書に記載のポリヌクレオチドを指す。いくつかの態様では、薬学的組成物の目的は、対象へのポリヌクレオチドの調製物の投与を容易にすることである。
【0108】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの類似体、またはそれらの混合物を含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指す。いくつかの態様では、本開示に有用なポリヌクレオチドは直鎖状であり得る。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは環状(例えば、環状RNA)である。この用語は、分子の一次構造を指す。したがって、この用語には、三本鎖、二本鎖および一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)、ならびに三本鎖、二本鎖および一本鎖リボ核酸(「RNA」)が含まれる。これには、例えばアルキル化によって、および/またはキャッピングによって修飾された形態、および修飾されていない形態のポリヌクレオチドも含まれる。
【0109】
より詳細には、「ポリヌクレオチド」という用語には、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有)、スプライシングされているか否かにかかわらず、tRNA、rRNA、hRNA、siRNA、およびmRNA(環状RNAを含む)を含むポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有)、プリン塩基またはピリミジン塩基のN-またはC-グリコシドである任意の他のタイプのポリヌクレオチド、および、非ヌクレオチド(normucleotidic)骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)およびポリモルホリノポリマー、ならびに、他の合成配列特異的核酸ポリマー(このポリマーは、DNAおよびRNAに見られるような塩基対形成および塩基スタッキングを可能にする配置で核酸塩基を含有する)が含まれる。
【0110】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、修飾アミノ酸を含むことができる。この用語は、自然に修飾された、あるいは介入;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合などの任意のその他の操作もしくは修飾、によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1またはそれを超える類似体(例えば、非天然アミノ酸、例えば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸およびクレアチンなどを含む)、ならびに当技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドもこの定義に含まれる。本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを指す。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片および上記の他の等価物、変異体および類似体が含まれる。ポリペプチドは、単一のポリペプチドであってもよいし、二量体、三量体もしくは四量体などの多分子複合体であってもよい。それらは一本鎖または多鎖ポリペプチドを含むこともできる。最も一般的には、ジスルフィド結合は、多重鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1またはそれを超えるアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用され得る。いくつかの態様では、「ペプチド」は、50アミノ酸長以下、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であり得る。
【0111】
本明細書で使用される「防止する」、「防止すること」という用語およびその変形は、疾患、障害および/または症状の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害および/または症状の1またはそれを超える症候、特徴、または臨床症状の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害および/または症状の1またはそれを超える症候、特徴、または徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害および/または症状からの進行を部分的または完全に遅延させること;ならびに/あるいは疾患、障害、および/または症状に関連する病態を発症するリスクを低下させることを指す。いくつかの態様では、アウトカムの防止は、予防的処置によって達成される。
【0112】
本明細書で使用される場合、「類似度」という用語は、ポリマー分子間、例えばポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。ポリマー分子の互いの類似性パーセントの計算は、当技術分野で理解されているように、類似性パーセントの計算が保存的置換を考慮することを除いて、同一性パーセントの計算と同じ方法で行うことができる。類似性のパーセンテージは、使用される比較尺度、すなわち、アミノ酸が例えばそれらの進化的近接性、電荷、体積、柔軟性、極性、疎水性、芳香族性、等電点、抗原性、またはそれらの組合せに従って比較されるかどうかに左右されることが理解される。
【0113】
「対象」、「患者」、「個体」および「宿主」という用語ならびにそれらの変形は、本明細書において互換的に使用され、診断、処置または治療が望まれる、ヒト、飼育動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)および実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)を含むがこれらに限定されない任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。本明細書で提供される開示は、ヒト治療および獣医学用途の両方に適用可能である。
【0114】
本明細書で使用される「処置する」、「処置」、または「処置すること」という用語は、例えば、疾患または症状の重症度の低下;疾患経過期間の短縮;疾患または症状に関連する1またはそれを超える症候の改善または除去;疾患または症状を必ずしも治癒させなくても疾患または症状を有する対象に有益な効果を提供することを指す。この用語はまた、疾患もしくは症状またはその症候の予防または防止も含む。いくつかの態様では、用語「処置すること」または「処置」は、抗原(例えば、本明細書に開示される異種ペイロード)に対する免疫応答を対象において誘導することを意味する。
【0115】
「上流」という用語は、参照ヌクレオチド配列の5’に位置するヌクレオチド配列を指す。
【0116】
II.本開示の組成物
本開示のいくつかの態様は、自然免疫阻害剤をコードする第1の核酸分子および異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子を含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組に関する。いくつかの態様では、第1の核酸分子は環状である。いくつかの態様では、第2の核酸分子は環状である。いくつかの態様では、第1の核酸分子と第2の核酸分子の両方が環状である。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組は環状RNAを含む。したがって、いくつかの態様では、自然免疫阻害剤をコードする第1の核酸分子および異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子を含む環状RNAが本明細書において提供される。自然免疫阻害剤をコードする第1の核酸分子および異種標的mRNAをコードする第2の核酸分子を含む環状RNAの組も本明細書において提供される。
【0117】
任意の自然免疫阻害剤を、本明細書において開示される組成物および方法に使用することができる。自然免疫阻害剤の例としては、限定されるものではないが、インフルエンザNS1、アフリカ豚コレラウイルス(ASFV)g5R、コクサッキーウイルスB3(CVB3)2Aプロテアーゼ、CVB3 3Cプロテアーゼ、脳心筋炎ウイルス(EMCV)2Aタンパク質(例えば、NLSを含まない)、EMCV 3Cプロテアーゼ、ネコカリシウイルス(FCV)3C様プロテアーゼ、口蹄疫ウイルス(FMDV)Lプロテアーゼ、A群ロタウイルス(RVA)NSP3、ハンタウイルスN、ヒトアデノウイルス5(Ad5)100K、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)プロテアーゼ、ヒトライノウイルス(HRV)2Aプロテアーゼ、HRV3Cプロテアーゼ、ヒトヘルペスウイルス1(HSV)vhs、ヒトヘルペスウイルス1(HSV)vhs、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)プロテアーゼ、インフルエンザAウイルス(FluAv)Pol、ヒトヘルペスウイルス8(KSHV)SOX、MD145-12 3C様プロテアーゼ、麻疹ウイルス(MV)N、ポリオウイルス(PV)2Aプロテアーゼ、PV3Cプロテアーゼ、モロニ-マウス白血病ウイルス(MMLV)プロテアーゼ3C、狂犬病ウイルス(RV)M、SARS-CoV NSP1、SARS-CoV S、SARS-CoVスパイク、サルウイルス40(SV40)small T抗原、ワクシニアウイルス(VV)D10、VV D9、マウス4E-BP1(例えば、構成的活性)、マウス4E-BP2(例えば、構成的活性)、マウス4E-BP3(例えば、構成的活性)、マウス4EHP、マウスAgo1、マウスAgo2、マウスAgo3、マウスAgo4、マウスCPEB2、マウスDDX6、マウスeIF4E、マウスeIF4E(S209A)、マウスeIF4E(S209D)、マウスeIF4E(S209E)、マウスeIF4g(N-term)、マウスFMRP、マウスGW182、マウスp54、マウスp56 マウスp60、マウスPABP(eIF4G結合ドメイン)、マウスPDCD4、マウスRNアーゼL(NΔ385:構成的活性)、マウスUpf1(例えば、構成的活性)、マウス(Me31B)、EBFP2、それらの任意の誘導体、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤は、米国特許出願公開第20180296702号に開示されている自然免疫阻害剤であり、その内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤は、ウイルス非構造(NS)タンパク質、例えばインフルエンザNS1タンパク質を含む。いくつかの態様では、第1の核酸分子はウイルス非構造(NS)タンパク質をコードする。いくつかの態様では、第1の核酸分子は、インフルエンザNS1タンパク質またはその誘導体をコードする。
【0118】
いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第1のベクター中に存在する。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は第1のベクターに存在し、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は第2のベクターに存在する。
【0119】
いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、単一のプロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、ポリシストロニックmRNAとして転写される。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は、第1のプロモーターの制御下で発現され、標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第2のプロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは同じである。いくつかの態様では、第1のプロモーターと第2のプロモーターは異なっている。
【0120】
いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、第1のプロモーターの制御下で発現し、第1のプロモーターは、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質と標的mRNAの両方の発現を駆動する。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子は、IRES配列によって連結されている。
【0121】
いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子、標的mRNAをコードする第2の核酸分子、またはその両方は、誘導性プロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子、標的mRNAをコードする第2の核酸分子、またはその両方は、組織特異的プロモーターの制御下で発現される。いくつかの態様では、自然免疫阻害剤、例えばインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子、標的mRNAをコードする第2の核酸分子、またはその両方は、構成的活性型プロモーターの制御下で発現される。
【0122】
本開示のいくつかの態様は、自己複製標的mRNAを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組に関し、自己複製標的mRNAは1またはそれを超える修飾された核酸分子を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組の中の核酸の約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、または約25%未満は、修飾された核酸分子である。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組の中の核酸の約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%または約30%が、修飾された核酸分子である。いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾された核酸分子は修飾rNTPである。
【0123】
いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾核酸分子は、N1-メチルシュードウラシルを含む。いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾核酸分子は5-メチルシトシンを含む。いくつかの態様では、1またはそれを超える修飾核酸分子は、N1-メチルシュードウラシルおよび5-メチルシトシンを含む。本開示で使用することができるさらなる修飾核酸分子の非限定的な例としては:6-アザ-シチジン、2-チオ-シチジン、α-チオ-シチジン、シュード-イソ-シチジン、5-アミノアリル-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、α-チオ-ウリジン、4-チオ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン、デオキシ-チミジン、シュード-ウリジン、イノシン、α-チオ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、O6-メチル-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、N1-メチルアデノシン、2-アミノ-6-クロロ-プリン、N6-メチル-2-アミノ-プリン、6-クロロ-プリン、N6-メチル-アデノシン、α-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデノシン、ピロロ-シチジン、N4-アセチル-シチジン、5-メチル-ウリジン、5-ヨード-シチジン、1,6-ジメチル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-(1-プロピニル)-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-(2-プロピニル)-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-アリル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-エチニル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-ホモアリル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-ビニル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-(2,2,2-トリフルオロエチル)シュード-ウラシル、1-メチル-6-(4-モルホリノ)-シュード-ウラシル、1-メチル-6-(4-チオモルホリノ)-シュード-ウラシル、1-メチル-6-(置換されていてもよいフェニル)シュード-ウラシル、1-メチル-6-アミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-アジド-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ブロモ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ブチル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-クロロ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-シアノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ジメチルアミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-エトキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-エチルカルボキシレート-シュード-ウラシル、1-メチル-6-エチル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-フルオロ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ホルミル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ヒドロキシアミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ヒドロキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ヨード-シュード-ウラシル、1-メチル-6-イソ-プロピル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-メトキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-メチルアミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-フェニル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-プロピル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-tert-ブチル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-トリフルオロメトキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-トリフルオロメチル-シュード-ウラシル、6-(2,2,2-トリフルオロエチル)-シュード-ウラシル、6-(4-モルホリノ)-シュード-ウラシル、6-(4-チオモルホリノ)-シュード-ウラシル、6-(置換されていてもよいフェニル)-シュード-ウラシル、6-アミノ-シュード-ウラシル、6-アジド-シュード-ウラシル、6-ブロモ-シュード-ウラシル、6-ブチル-シュード-ウラシル、6-クロロ-シュード-ウラシル、6-シアノ-シュード-ウラシル、6-ジメチルアミノ-シュード-ウラシル、6-エトキシ-シュード-ウラシル、6-エチルカルボキシレート-シュード-ウラシル、6-エチル-シュード-ウラシル、6-フルオロ-シュード-ウラシル、6-ホルミル-シュード-ウラシル、6-ヒドロキシアミノ-シュード-ウラシル、6-ヒドロキシ-シュード-ウラシル、6-ヨード-シュード-ウラシル、6-イソ-プロピル-シュード-ウラシル、6-メトキシ-シュード-ウラシル、6-メチルアミノ-シュード-ウラシル、6-メチル-シュード-ウラシル、6-フェニル-シュード-ウラシル、6-プロピル-シュード-ウラシル、6-tert-ブチル-シュード-ウラシル、6-トリフルオロメトキシ-シュード-ウラシル、6-トリフルオロメチル-シュード-ウラシル、
1-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュード-ウラシル、1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-シュード-ウラシル、1-(2,4,6-トリメチル-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(2,4,6-トリメチル-フェニル)シュード-ウラシル、1-(2-アミノ-2-カルボキシエチル)シュード-ウラシル、1-(2-アミノ-エチル)シュード-ウラシル、1-(3-アミノ-プロピル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-4-カルボキシブチル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-ブチル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-フェニル)シュード-ウラシル、1-(4-メトキシ-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(4-メトキシ-フェニル)シュード-ウラシル、1-(4-メチル-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(4-ニトロ-ベンジル)シュード-ウラシル、1(4-ニトロ-フェニル)シュード-ウラシル、1-(5-アミノ-ペンチル)シュード-ウラシル、1-(6-アミノ-ヘキシル)シュード-ウラシル、1-アミノメチル-シュード-ウラシル、1-ベンジル-シュード-ウラシル、1-ブチル-シュード-ウラシル、1-シクロブチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロブチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘプチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘプチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘキシルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘキシル-シュード-ウラシル、1-シクロオクチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロオクチル-シュード-ウラシル、1-シクロペンチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロペンチル-シュード-ウラシル、1-シクロプロピルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロプロピル-シュード-ウラシル、1-エチル-シュード-ウラシル、1-へキシル-シュード-ウラシル、1-イソ-プロピル-シュード-ウラシル 1-ペンチル-シュード-ウラシル、1-フェニル-シュード-ウラシル、1-プロピル-シュード-ウラシル、1-p-トルイル-シュード-ウラシル、1-tert-ブチル-シュード-ウラシル、1-トリフルオロメチル-シュード-ウラシル、3-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-シュード-ウラシル、シュード-ウラシル-N1-2-エタン酸、シュード-ウラシル-N1-3-プロピオン酸、シュード-ウラシル-N1-4-ブタン酸、シュード-ウラシル-N1-5-ペンタン酸、シュード-ウラシル-N1-6-ヘキサン酸、シュード-ウラシル-N1-7-ヘプタン酸、シュード-ウラシル-N1-メチル-p-安息香酸、6-フェニル-シュード-ウラシル、6-アジド-シュード-ウラシル、シュード-ウラシル-N1-p-安息香酸、N3-メチル-シュード-ウラシル、5-メチル-アミノ-メチル-ウラシル、5-カルボキシ-メチル-アミノ-メチル-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシルメチルエステル5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、2-アンヒドロ-シトシン、2-アンヒドロ-ウラシル、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウラシル、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウラシル、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)-ウラシル、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウラシル、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)-ウラシル、5-トリデューテロメチル-6-デューテロ-ウラシル、5-(2-クロロ-フェニル)-2-チオ-シトシン、5-(4-アミノ-フェニル)-2-チオ-シトシン、5-(2-フラニル)-ウラシル、8-トリフルオロメチル-アデノシン、2-トリフルオロメチル-アデノシン、3-デアザ-3-フルオロ-アデノシン、3-デアザ-3-ブロモ-アデノシン、3-デアザ-3-ヨード-アデノシン、
1-ヒドロキシメチル-シュード-ウラシル、1-(2-ヒドロキシエチル)-シュード-ウラシル、1-メトキシメチル-シュード-ウラシル、1-(2-メトキシエチル)-シュード-ウラシル、1-(2,2-ジエトキシエチル)-シュード-ウラシル、1-(2-ヒドロキシプロピル)-シュード-ウラシル、(2R)-1-(2-ヒドロキシプロピル)-シュード-ウラシル、(2S)-1-(2-ヒドロキシプロピル)-シュード-ウラシル、1-シアノメチル-シュード-ウラシル、1-モルホリノメチル-シュード-ウラシル、1-チオモルホリノメチル-シュード-ウラシル、1-ベンジルオキシメチル-シュード-ウラシル、1-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)-シュード-ウラシル、1-チオメトキシメチル-シュード-ウラシル、1-メタンスルホニルメチル-シュード-ウラシル、1-ビニル-シュード-ウラシル、1-アリル-シュード-ウラシル、1-ホモアリル-シュード-ウラシル、1-プロパルギル-シュード-ウラシル、1-(4-フルオロベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-クロロベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-ブロモベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-ヨードベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-メチルベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-トリフルオロメチルベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-メトキシベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-トリフルオロメトキシベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-チオメトキシベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-メタンスルホニルベンジル)-シュード-ウラシル、シュード-ウラシル 1-(4-メチル安息香酸)、シュード-ウラシル 1-(4-メチルベンゼンスルホン酸)、1-(2,4,6-トリメチルベンジル)-シュードウラシル、1-(4-ニトロベンジル)-シュード-ウラシル、1-(4-アジドベンジル)-シュード-ウラシル、1-(3,4-ジメトキシベンジル)-シュード-ウラシル、1-(3,4-ビス-トリフルオロメトキシベンジル)-シュード-ウラシル、1-アセチル-シュード-ウラシル、1-トリフルオロアセチル-シュード-ウラシル、1-ベンゾイル-シュード-ウラシル、1-ピバロイル-シュード-ウラシル、1-(3-シクロプロピル-プロパ-2-イニル)-シュードウラシル、シュード-ウラシル 1-メチルホスホン酸ジエチルエステル、シュード-ウラシル 1-メチルホスホン酸、シュード-ウラシル 1-[3-(2-エトキシ)]プロピオン酸、シュード-ウラシル 1-[3-{2-(2-エトキシ)-エトキシ}] プロピオン酸、シュード-ウラシル 1-[3-{2-(2-[2-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、シュード-ウラシル 1-[3-{2-(2-[2-(2-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、シュード-ウラシル 1-[3-{2-(2-[2-{2(2-エトキシ)-エトキシ}-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-プロピオニル}シュード-ウラシル,1-[3-(2-{2-[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-プロピオニル]-シュード-ウラシル、1-ビオチニル-シュード-ウラシル、1-ビオチニル-PEG2-シュード-ウラシル、5-(C3~8 シクロアルキル)-シトシン、5-メチル-N6-アセチル-シトシン、5-(カルボキシメチル)-N6-トリフルオロアセチル-シトシントリフルオロメチルエステル、N6-プロピオニル-シトシン、5-モノフルオロメチル-シトシン、5-トリフルオロメトキシ-シトシン、N6-(1,1,1-トリフルオロ-プロピオニル)-シトシン、4-アセチル-シュード-イソ-シトシン、1-エチル-シュード-イソ-シトシン、1-ヒドロキシ-シュード-イソ-シトシン、または1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-シュード-ウラシル、1,6-ジメチル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-(1-プロピニル)-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-(2-プロピニル)-シュードウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-アリル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-エチニル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-ホモアリル-シュード-ウラシル、1-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-6-ビニル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-(2,2,2-トリフルオロエチル)シュード-ウラシル、1-メチル-6-(4-モルホリノ)-シュード-ウラシル、1-メチル-6-(4-チオモルホリノ)-シュード-ウラシル、1-メチル-6-(置換されていてもよいフェニル)シュード-ウラシル、1-メチル-6-アミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-アジド-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ブロモ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ブチル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-クロロ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-シアノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ジメチルアミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-エトキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-エチルカルボキシレート-シュード-ウラシル、1-メチル-6-エチル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-フルオロ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ホルミル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ヒドロキシアミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ヒドロキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-ヨード-シュード-ウラシル、1-メチル-6-イソ-プロピル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-メトキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-メチルアミノ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-フェニル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-プロピル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-tert-ブチル-シュード-ウラシル、1-メチル-6-トリフルオロメトキシ-シュード-ウラシル、1-メチル-6-トリフルオロメチル-シュード-ウラシル、6-(2,2,2-トリフルオロエチル)-シュード-ウラシル、6-(4-モルホリノ)-シュード-ウラシル、6-(4-チオモルホリノ)-シュード-ウラシル、6-(置換フェニル)-シュード-ウラシル、6-アミノ-シュード-ウラシル、6-アジド-シュード-ウラシル、6-ブロモ-シュード-ウラシル、6-ブチル-シュード-ウラシル、6-クロロ-シュード-ウラシル、6-シアノシュード-ウラシル、6-ジメチルアミノ-シュード-ウラシル、6-エトキシ-シュード-ウラシル、6-エチルカルボキシレート-シュード-ウラシル、6-エチル-シュード-ウラシル、6-フルオロ-シュード-ウラシル、6-ホルミル-シュード-ウラシル、6-ヒドロキシアミノ-シュード-ウラシル、6-ヒドロキシ-シュード-ウラシル、6-ヨード-シュード-ウラシル、6-イソ-プロピル-シュード-ウラシル、6-メトキシ-シュード-ウラシル、6-メチルアミノ-シュード-ウラシル、6-メチル-シュード-ウラシル、6-フェニル-シュード-ウラシル、6-フェニル-シュード-ウラシル、6-プロピル-シュード-ウラシル、6-tert-ブチル-シュード-ウラシル、6-トリフルオロメトキシ-シュード-ウラシル、6-トリフルオロメチル-シュード-ウラシル、1-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュード-ウラシル、1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-シュード-ウラシル、1-(2,4,6-トリメチル-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(2,4,6-トリメチル-フェニル)シュード-ウラシル、1-(2-アミノ-2-カルボキシエチル)シュード-ウラシル、1-(2-アミノ-エチル)シュード-ウラシル、1-(3-アミノ-プロピル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-4-カルボキシブチル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-ブチル)シュード-ウラシル、1-(4-アミノ-フェニル)シュード-ウラシル、1-(4-メトキシ-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(4-メトキシ-フェニル)シュード-ウラシル、1-(4-メチル-ベンジル)シュード-ウラシル、1-(4-ニトロ-ベンジル)シュード-ウラシル、1(4-ニトロ-フェニル)シュード-ウラシル、1-(5-アミノ-ペンチル)シュード-ウラシル、1-(6-アミノ-ヘキシル)シュード-ウラシル、1-アミノメチル-シュード-ウラシル、1-ベンジル-シュード-ウラシル、1-ブチル-シュード-ウラシル、1-シクロブチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロブチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘプチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘプチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘキシルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロヘキシル-シュード-ウラシル、1-シクロオクチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロオクチル-シュード-ウラシル、1-シクロペンチルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロペンチル-シュード-ウラシル、1-シクロプロピルメチル-シュード-ウラシル、1-シクロプロピル-シュード-ウラシル、1-エチル-シュード-ウラシル、1-へキシル-シュード-ウラシル、1-イソ-プロピル-シュード-ウラシル、1-ペンチル-シュード-ウラシル、1-フェニル-シュード-ウラシル、1-プロピル-シュード-ウラシル、1-p-トリル-シュード-ウラシル、1-tert-ブチル-シュード-ウラシル、1-トリフルオロメチル-シュード-ウラシル、3-(置換されていてもよいC1-C6アルキル)-シュード-ウラシル、シュード-ウラシル-N1-2-エタン酸、シュード-ウラシル-N1-3-プロピオン酸、シュード-ウラシル-N1-4-ブタン酸、シュード-ウラシル-N1-5-ペンタン酸、シュード-ウラシル-N1-6-ヘキサン酸、シュード-ウラシル-N1-7-ヘプタン酸、シュード-ウラシル-N1-メチル-p-安息香酸、6-フェニル-シュード-ウラシル、6-アジド-シュード-ウラシル、またはシュード-ウラシル-N1-p-安息香酸、N3-メチル-シュード-ウラシル、5-メチル-アミノ-メチル-ウラシル、5-カルボキシ-メチル-アミノ-メチル-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシルメチルエステルまたは5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0124】
いくつかの態様では、本明細書に記載の組成物は、宿主細胞における異種標的mRNA発現を増加させた。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、1またはそれを超える修飾核酸分子を含まない複製RNAから発現する標的mRNAの発現と比較して増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、または少なくとも約500%増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約100%増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約200%増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約300%増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約400%増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約500%増加する。
【0125】
いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約5.5倍、または少なくとも約6倍増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約2倍増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約3倍増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約4倍増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約5倍増加する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、例えば、少なくとも約6倍増加する。
【0126】
いくつかの態様では、本明細書に記載の組成物は、宿主細胞における異種標的mRNA発現の増加および/または異種標的mRNA持続性の増加を有する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現、例えば、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子の不在下での標的mRNAの発現と比較して、あるいは1またはそれを超える修飾核酸分子を含まない複製RNAから発現する標的mRNAの発現と比較して、増加した発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、または少なくとも約120時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は少なくとも約48時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約48時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約60時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約72時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約84時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約96時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約108時間持続する。いくつかの態様では、標的mRNAの発現は、細胞のトランスフェクション後、少なくとも約120時間持続する。
【0127】
II.A.異種標的mRNA
本開示の異種標的mRNAは、関心対象の任意のポリペプチドまたは機能性RNAをコードすることができる。いくつかの態様では、標的mRNAは生物学的に活性なポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、生物学的に活性なポリペプチドは、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、凝固因子、ホルモン、受容体、マイトジェン、免疫グロブリン(例えば、抗体)、酵素、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0128】
いくつかの態様では、サイトカインは、IL-1α、IL-1β、IL-1RA、IL-18、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-3、IL-5、GM-CSF、IL-6、IL-11、G-CSF、IL-12、LIF、OSM、IL-10、IL-20、IL-14、IL-16、IL-17、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、CD154、LT-β、TNF-α、TNF-β、4-1BBL、APRIL、CD70、CD153、CD178、GITRL、LIGHT、OX40L、TALL-1、TRAIL、TWEAK、TRANCE、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、Epo、Flt-3L、SCF、M-CSF、MSP、その断片、その変異体、またはその任意の組合せから選択されるサイトカインを含む。いくつかの態様では、IL-12は、単鎖IL-12(scIL-12)、プロテアーゼ感受性IL-12、不安定化IL-12、膜結合IL-12、インターカレートIL-12である。いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体をコードする。いくつかの態様では、IL-12はヒトIL-12である。いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12のp35サブユニットおよびIL-12のp40サブユニットをコードする。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは、単一のプロモーターから発現される。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは、単一の連続したポリペプチドとして発現される。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは、1またはそれを超える共有結合によって連結されている。いくつかの態様では、p35サブユニットおよびp40サブユニットは、1またはそれを超えるペプチド結合によって連結されている。いくつかの態様では、標的mRNAは、IL-12のp40サブユニットに共有結合したIL-12のp35サブユニットを含むヒトIL-12ポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、IL-12のp35サブユニットとIL-12のp40サブユニットは、1またはそれを超えるアミノ酸を含むリンカーによって連結される。
【0129】
いくつかの態様では、標的mRNAは第1の部分および第2の部分を含み、標的mRNAの第1の部分はIL-12のp35サブユニットをコードし、標的mRNAの第2の部分はIL-12のp40サブユニットをコードし、第1の部分と第2の部分はIRESによって分離されている。
【0130】
いくつかの態様では、標的mRNAはケモカインをコードする。例示的なケモカインとしては、限定されるものではないが、CCL1、CCL2(MCP-1)、CCL3、CCL4、CCL5(RANTES)、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9(or CCL10)、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、XCL1、XCL2、およびCX3CL1が挙げられる。
【0131】
いくつかの態様では、標的mRNAはインターフェロン(IFN)をコードする。例示的なインターフェロンとしては、限定されるものではないが、インターフェロンI型(例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-κおよびIFN-ω)、インターフェロンII型(例えば、IFN-γ)およびインターフェロンIII型が挙げられる。いくつかの態様では、IFN-αは、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、およびIFNA21を含む約13のサブタイプにさらに分類される。
【0132】
いくつかの態様では、標的mRNAは成長因子をコードする。例示的な成長因子としては、限定されるものではないが、骨形成因子(BMP)、アンジオポエチン、CNTF、LIF、M-CSF、G-CSF、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、エフリン、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞成長因子(FGF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、成長分化因子9(GDF9)、肝細胞成長因子(HGF)、肝細胞癌由来増殖因子(HDGF)、インスリン、インスリン様成長因子インスリン様成長因子-1(IGF-1)、インスリン様成長因子-2(IGF-2)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、遊走刺激因子(MSF)、マクロファージ刺激タンパク質(MSP;肝細胞成長因子様タンパク質、HGFLPとしても公知)、ミオスタチン(GDF-8)、ニューレグリン(NRG)、ニューロトロフィン(例えば、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、およびニューロトロフィン-4(NT-4))、胎盤成長因子(PGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、レナラーゼ(RNLS)、T細胞成長因子(TCGF)、トロンボポエチン(TPO)、トランスフォーミング成長因子トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、血管内皮成長因子(VEGF)、およびWntシグナル伝達経路メンバーが挙げられる。
【0133】
いくつかの態様では、標的mRNAは酵素をコードする。いくつかの態様では、標的mRNAはcas9をコードする。いくつかの態様では、標的mRNAはジンクフィンガーエンドヌクレアーゼをコードする。
【0134】
いくつかの態様では、標的mRNAは機能性RNAをコードする。いくつかの態様では、標的mRNAは、miRNA、siRNA、shRNA、dsRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ガイドRNA、またはそれらの任意の組合せをコードする。いくつかの態様では、標的mRNAは、例えば、cas9と組み合わせて使用するためのガイドRNAをコードする。
【0135】
II.B.インフルエンザNS1
任意のインフルエンザNS1を本開示の組成物および方法において使用することができる。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、A型インフルエンザウイルスNS1、B型インフルエンザウイルスNS1、C型インフルエンザウイルスNS1、またはそれらの変異体である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、A型インフルエンザウイルスNS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、B型インフルエンザウイルスNS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、C型インフルエンザウイルスNS1である。
【0136】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、H1N1 NS1、H1N2 NS1、H2N2 NS1、H3N2 NS1、H5N1 NS1、H7N9 NS1、H7N7 NS1、H9N2 NS1、H7N2 NS1、H7N3 NS1、H5N2 NS1、H10N7 NS1、その変異体、またはそれらの組合せである。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH1N2 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH2N2 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH3N2 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH7N9 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH7N7 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH9N2 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH7N2 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH7N3 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH5N2 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH10N7 NS1である。
【0137】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH1N1 NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザはH1N1 TX91変異体NS1である。いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む(表1)。いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるH1N1 TX91変異体NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1をコードする第1の核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列はインフルエンザNS1タンパク質をコードする。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列はインフルエンザNS1タンパク質をコードする。
【0138】
いくつかの態様では、インフルエンザNS1はH5N1 NS1である。いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む(表1)。いくつかの態様では、第1の核酸分子によってコードされるインフルエンザNS1は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、インフルエンザNS1は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列によってコードされるH1N1 TX91変異体NS1である。いくつかの態様では、インフルエンザNS1をコードする第1の核酸分子は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列はインフルエンザNS1タンパク質をコードする。いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列はインフルエンザNS1タンパク質をコードする。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0139】
II.C.ベクター
いくつかの態様では、インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子および標的mRNAをコードする第2の核酸分子の1つまたは複数は、ベクター中に存在する。本明細書に開示される組成物および方法では、任意のベクターを使用することができる。いくつかの態様では、ベクターは、ウイルスベクター、哺乳動物ベクター、細菌ベクター、またはそれらの組合せもしくはその変異体を含む。いくつかの態様では、ベクターは、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターからなる群から選択される。
【0140】
いくつかの態様では、ベクターはレプリコンを含む。いくつかの態様では、アルファウイルスに由来するレプリコンは、治療用ペイロードを同時に転写し、細胞質に入るとレプリコンを自己増幅するRNA依存性RNAポリメラーゼをコードするプラス鎖RNAを含む。いくつかの態様では、ベクターはレプリコンを含み、レプリコンは、(1)親ウイルスおよび非構造タンパク質のUTRならびに親ウイルスのサブゲノムプロモーター(SGP)と、(2)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子、標的mRNAをコードする第2の核酸分子、またはインフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子と標的mRNAをコードする第2の核酸分子の両方とを含む。本明細書に開示される組成物および方法では、任意のレプリコンを使用することができる。いくつかの態様では、レプリコンはベネズエラウマ脳炎(VEE)レプリコンまたはその誘導体もしくはその部分を含む。いくつかの態様では、レプリコンは、親ウイルスレプリコンに対して1またはそれを超える点突然変異、例えばVEEレプリコン配列に対して1またはそれを超える点突然変異を含む。レプリコンの配列に対する修飾を用いて、標的mRNAの発現を増加させるか、標的mRNAの持続性を増加させるか(例えば、標的mRNAまたは標的mRNAをコードするポリヌクレオチドに対する免疫応答を低下させることによって、かつ/あるいは標的細胞、例えば、標的癌細胞におけるI型インターフェロン活性を低下させることによる)、またはその両方を行うことができる。いくつかの態様では、ベクターはVEEレプリコンを含み、VEEレプリコンは親VEEレプリコンに対してQ739L突然変異を含む。いくつかの態様では、第1のベクター、第2のベクターまたはその両方は、1またはそれを超えるさらなる調節エレメントを含む。いくつかの態様では、第1のベクター、第2のベクター、またはその両方は、組織特異的プロモーター、組織特異的エンハンサー、組織特異的サイレンサー、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0141】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えば、VEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えばVEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えばVEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0142】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えば、VEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えばVEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えばVEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(vi)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0143】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えば、VEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えばVEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えばVEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(v)E1配列;および(vi)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0144】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えば、VEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えばVEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えばVEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;(vii)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0145】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0146】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)インフルエンザNS1タンパク質をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0147】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0148】
いくつかの態様では、ベクターは(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0149】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0150】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)H1N1 TX91変異体NS1またはH5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0151】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)H1N1 TX91変異体NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)配列番号1に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。
【0152】
いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)H5N1 NS1をコードする第1の核酸分子;(iv)P2Aリンカー;(v)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;(vi)E1配列;および(vii)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)配列番号2に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えばVEE由来の3’UTRを含む。いくつかの態様では、ベクターは、(i)親レプリコン由来の5’UTR、例えばVEE由来の5’UTR;(ii)親レプリコン由来の1またはそれを超える非構造タンパク質(nsP)、例えば、VEE由来の1またはそれを超えるnsP、例えば、VEE由来のnsP2、nsP3、およびnsP4;(iii)配列番号2に示されるヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子;(iv)標的mRNAをコードする第2の核酸分子であって、該標的mRNAがヒトIL-12ポリペプチドをコードする第2の核酸分子;および(v)親レプリコン由来の3’UTR、例えば、VEE由来の3’UTRを含む。
【0153】
II.D.脂質ナノ粒子
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組を含む、例えばカプセル化する脂質ナノ粒子に関する。いくつかの態様では、本明細書に開示されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組は、脂質ナノ粒子にパッケージングおよび/または送達される。したがって、いくつかの態様では、本開示は、脂質ナノ粒子によってカプセル化された本明細書に記載のポリヌクレオチド、その組成物、およびその組成物の使用に関する。
【0154】
本明細書において使用される「脂質ナノ粒子」(LNP)は、連続した脂質二重層を有する球状小胞などの小胞を指す。脂質ナノ粒子は、薬物療法を標的部位に送達する方法で使用することができる。LNPの非限定的な例としては、リポソーム、双頭型両親媒性化合物、固体脂質ナノ粒子(SLN)、ナノ構造脂質担体(NLC)、および単層膜構造(例えば、古細菌およびミセル)が挙げられる。
【0155】
いくつかの態様では、脂質ナノ粒子は、1またはそれを超える種類の脂質を含む。脂質は、本明細書において、限定されるものではないが脂肪酸のエステルを含む有機化合物の群を指し、いくつかの態様では、水に不溶性であるが、多くの有機溶媒に可溶性であることを特徴とする。それらは通常、少なくとも3つのクラスに分けられる:(1)脂肪および油ならびにワックスを含む「単純脂質」;(2)リン脂質および糖脂質を含む「複合脂質」;(3)ステロイド等の「由来脂質」。脂質の非限定的な例としては、トリグリセリド(例えば、トリステアリン)、ジグリセリド(例えば、グリセロールベヘネート)、モノグリセリド(例えば、モノステアリン酸グリセロール)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)およびワックス(例えば、パルミチン酸セチル)が挙げられる。いくつかの態様では、LNP中の1またはそれを超える種類の脂質は、カチオン性脂質を含む。いくつかの態様では、LNP中の1またはそれを超える種類の脂質は、リピドイド、例えばTT3を含む。
【0156】
本開示に有用なかかる脂質としては、限定されるものではないが、N1,N3,N5-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド(TT3)、N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-塩化トリメチルアンモニウム(DOTAP);リポフェクタミン;1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA);ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DODMA)、ジステアリルジメチルアンモニウム(DSDMA)、N,N-ジオレイル-N,N,-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);N-(2,3-ジオールイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N-N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB);3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)およびN-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ(dimyristyloxprop)-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)が挙げられる。
【0157】
本開示のいくつかの態様では、脂質、例えばリピドイドはTT3である。本明細書において使用されるTT3は、様々な生物活性剤を細胞に送達するための脂質ナノ粒子を形成することができる。
【0158】
本開示のいくつかの態様では、カチオン性脂質はDOTAPである。本明細書において使用されるDOTAPは、脂質ナノ粒子を形成することもできる。DOTAPは、酵母人工染色体(YAC)を含むDNAを真核細胞に高効率でトランスフェクションし、一過性または安定的に遺伝子を発現させるために使用することができ、また、その他の負に帯電した分子、例えばRNA、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、リボヌクレオタンパク質(RNP)複合体、およびタンパク質などを哺乳動物細胞の研究試料に効率的に導入するのにも適している。
【0159】
本開示のいくつかの態様では、カチオン性脂質はリポフェクタミンである。本明細書において使用されるリポフェクタミンは、Invitrogenによって製造および販売され、分子生物学および細胞生物学で使用される一般的なトランスフェクション試薬である。これは、リポフェクションによるインビトロ細胞培養物へのRNA(mRNAおよびsiRNAを含む)またはプラスミドDNAのトランスフェクション効率を高めるために使用される。リポフェクタミンは、水性環境でリポソームまたは脂質ナノ粒子を形成することができる脂質サブユニットを含み、これはトランスフェクションペイロード、例えばmodRNAを捕捉する。RNA含有リポソーム(表面が正に帯電している)は、リポソームと細胞膜との融合を媒介する中性の共脂質のために、生細胞の負に帯電した細胞膜と融合することができ、核酸カーゴ分子が複製または発現のために細胞質に移行することを可能にする。
【0160】
いくつかの態様では、LNPは、他の脂質成分と共に主にカチオン性脂質から構成される。これらには、通常、限定されるものではないが、ホスファチジルコリン(PC)クラス(例えば、1,s-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、ステロール(例えば、コレステロール)およびポリエチレングリコール(PEG)-脂質複合体(例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[葉酸(ポリエチレングリコール)-2000(DSPE-PEG2000)、およびC14-PEG2000に属する他の脂質分子が含まれる。表2は、例示的なLNP、TT3-LNPおよびDOTAP-LNPの製剤を示す。
【表2】
【0161】
いくつかの態様では、LNPはC14-PEG2000を含む。いくつかの態様では、C14-PEG2000は、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(DMG-PEG2000)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](DMPE-PEG2000)、またはその両方を含む。いくつかの態様では、C14-PEG2000(または本明細書に開示される他の脂質成分)は、ポリヌクレオチドのカプセル化の前にLNPに埋め込むことができる。いくつかの態様では、C14-PEG2000(または本明細書に開示される他の脂質成分)を、ポリヌクレオチドのカプセル化の後にLNPに添加することができる。
【0162】
脂質ナノ粒子の粒径は、薬物放出速度、生体内分布、粘膜付着、細胞による水の取り込みおよびナノ粒子内部への緩衝剤交換、ならびにタンパク質拡散に影響を及ぼし得る。本開示のいくつかの態様では、LNPの直径は、約30~約500nmの範囲である。本開示のいくつかの態様では、LNPの直径は、約30~約500nm、約50~約400nm、約70~約300nm、約100~約200nm、約100~約175nm、または約100~約160nmの範囲である。本開示のいくつかの態様では、LNPの直径は100~160nmの範囲である。本開示のいくつかの態様では、LNPの直径は、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約101nm、約102nm、約103nm、約104nm、約105nm、約106nm、約107nm、約108nm、約109nm、約110nm、約111nm、約112nm、約113nm、約114nm、約115nm、約116nm、約117nm、約118nm、約119nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、または約160nmであり得る。いくつかの態様では、脂質ナノ粒子は約140nmの直径を有する。
【0163】
ゼータ電位は、脂質ナノ粒子表面の有効電荷の尺度である。ゼータ電位の大きさは、粒子安定性に関する情報を提供する。本開示のいくつかの態様では、LNPのゼータ電位は、約3~約6mvの範囲である。本開示のいくつかの態様では、LNPのゼータ電位は、約3mv、約3.1mv、約3.2mv、約3.3mv、約3.4mv、約3.5mv、約3.6mv、約3.7mv、約3.8mv、約3.9mv、約4mv、約4.1mv、約4.2mv、約4.3mv、約4.4mv、約4.5mv、約4.6mv、約4.7mv、約4.8mv、約4.9mv、約5mv、約5.1mv、約5.2mv、約5.3mv、約5.4mv、約5.5mv、約5.6mv、約5.7mv、約5.8mv、約5.9mv、または約6mvであり得る。
【0164】
いくつかの態様では、本開示は、脂質ナノ粒子(LNP)を有するカプセル化されたポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組に関する。本開示のいくつかの態様では、LNPの脂質とポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組との質量比は、約1:2~約15:1の範囲である。いくつかの態様では、脂質とポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組との質量比は、約1:2、約1:1.9、約1:1.8、約1:1.7、約1:1.6、約1:1.5、約1:1.4、約1:1.3、約1:1.2、約1:1.1、約1:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、約1.6:1、約1.7:1、約1.8:1、約1.9:1、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5.5:1、約6:1、約6.5:1、約7:1、約7.5:1、約8:1、約8.5:1、約9:1、約9.5:1、約10:1、約10.5:1、約11:1、約11.5:1、約12:1、約12.5:1、約13:1、約13.5:1、約14:1、約14.5:1、または約15:1であり得る。本開示のいくつかの態様において、脂質とポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組との質量比は約10:1である。
【0165】
II.E.細胞
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組を含むように改変されている細胞が本明細書において提供される。いくつかの態様では、細胞は、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組を含むベクターまたはベクターの組を含む。いくつかの態様では、細胞は、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組を含む脂質ナノ粒子を含む。いくつかの態様では、細胞は癌細胞である。いくつかの態様では、細胞は免疫細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞は、T細胞(例えば、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはその両方)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、腫瘍浸潤リンパ球、樹状細胞、B細胞、骨髄細胞、単球、またはPBMCを含む。
【0166】
いくつかの態様では、本明細書に記載の細胞(すなわち、本開示のポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドの組、またはこれを含むベクターもしくはベクターの組を含む)は、(i)ヒトインフルエンザNS1および(ii)標的異種mRNAを産生することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載の細胞(すなわち、本開示のポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドの組、またはこれを含むベクターもしくはベクターの組を含む)は、インビボで(i)ヒトインフルエンザNS1および(ii)標的異種mRNAを産生することができる。例えば、いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドの組またはこれを含むベクターもしくはベクターの組は、エクスビボで(例えば、トランスフェクションを介して)細胞に導入することができ、次いで、細胞は、対象に投与することができ(例えば、養子細胞治療)、この際、(i)ヒトインフルエンザNS1および(ii)標的異種mRNAは、投与後に対象において産生される。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドの組またはそれを含むベクターもしくはベクターの組は、例えば遺伝子治療の一部として、対象に投与することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載の細胞(すなわち、本開示のポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドの組、または本開示のポリヌクレオチドもしくは一組のポリヌクレオチドを含むベクターもしくはベクターの組を含む)は、インビトロおよびインビボの両方において、(i)ヒトインフルエンザNS1および(ii)標的異種mRNAを産生することができる。
【0167】
いくつかの態様では、細胞は宿主細胞である。いくつかの態様では、宿主細胞は真核細胞である。いくつかの態様では、宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、トランスジェニック哺乳動物細胞、植物細胞、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの態様では、宿主細胞は原核細胞である。いくつかの態様では、原核細胞は細菌細胞である。
【0168】
いくつかの態様では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。本開示に適した哺乳動物宿主細胞の非限定的な例としては、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK 293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10、HBK、NSO、HT1080、HsS78Bst細胞、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0169】
II.F.医薬組成物
本開示から明らかなように、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ベクター、脂質ナノ粒子、および細胞(本明細書では「活性」とも呼ばれる)のいずれも、投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。したがって、いくつかの態様では、医薬組成物は、活性化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む。
【0170】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る賦形剤」(本明細書では「薬学的に許容され得る担体」とも呼ばれる)という用語は、医薬投与に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な化合物のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が企図される。補助活性化合物も組成物に組み込むことができる。
【0171】
いくつかの態様では、(a)本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組および(b)薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの態様では、(a)本明細書に記載のベクターまたはベクターの組および(b)薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの態様では、(a)本明細書に記載の脂質ナノ粒子および(b)薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの態様では、(a)本明細書に記載の細胞(例えば、本開示のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組を含むように改変されたもの)および(b)薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に開示される。
【0172】
本開示の医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。いくつかの態様では、本開示と共に使用することができる適した投与経路は、筋肉内投与を含む。いくつかの態様では、適した投与経路には、鼻腔内投与が含まれる。適した投与経路のさらなる例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口、経皮(局所)、および経粘膜、ならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。別の投与経路には、肺投与が含まれる。さらに、治療有効量の医薬組成物を、処置を必要とする領域に局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、手術中の局所または領域への注入または灌流、局所適用、注射、カテーテル、坐剤、またはインプラント(例えば、サイラスティック膜または繊維などの膜を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状の材料から形成されたインプラント)などによって達成することができる。いくつかの態様では、治療有効量の医薬組成物は、リポソームなどの小胞で送達される(例えば、Langer,Science 249:1527-33,1990およびTreatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez Berestein and Fidler(eds.),Liss,N.Y.,pp.353-65,1989参照)。
【0173】
いくつかの態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、制御放出系で送達することができる。例えば、いくつかの態様では、ポンプを使用することができる(例えば、Langer,Science 249:1527-33,1990;Sefton,Crit.Rev.Biomed.Eng.14:201-40,1987;Buchwaldら、Surgery 88:507-16,1980;Saudekら、N Engl.J Med.321:574-79,1989参照)。いくつかの態様では、ポリマー材料を使用することができる(例えば、Levyら、Science 228:190-92,1985;Duringら、Ann.Neural.25:351-56,1989;Howardら、J Neurosurg.71:105-12,1989参照)。Langer(Science 249:1527-33,1990)によって論じられているものなどの他の制御放出系も使用することができる。
【0174】
許容され得る担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、およびその他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0175】
非経口調製物に使用される薬学上許容され得る担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤ならびに他の薬学的に許容され得る物質が挙げられる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性ブドウ糖注射液、滅菌水注射液、ブドウ糖および乳酸リンゲル注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルには、植物起源の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油およびピーナッツ油が含まれる。静菌濃度または静真菌濃度の抗菌剤を、複数回投与容器に包装された非経口製剤に添加することができる。これにはフェノールまたはクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルおよびプロピルエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムが含まれる。等張剤には、塩化ナトリウムおよびデキストロースが含まれる。緩衝剤には、リン酸塩およびクエン酸塩が含まれる。抗酸化剤には、重硫酸ナトリウムが含まれる。局所麻酔薬には、塩酸プロカインが含まれる。懸濁剤および分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオンの捕捉剤またはキレート剤には、EDTAが含まれる。薬学的担体には、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;pH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も含まれる。
【0176】
非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;ベンジルアルコール、メチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性を調整するための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回投与バイアルに封入され得る。
【0177】
注射用途に適した医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、適した担体としては、生理食塩水、静菌水、CremophorELS(BASF;ニュージャージー州パーシッパニー)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性がなければならない。これは、製造条件および貯蔵条件下で安定していなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)およびそれらの適した混合物を含有する溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖類、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどの多価アルコールを含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0178】
滅菌注射液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒に組み込み、その後濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒と上に列挙した成分の中から必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり得、これにより、予め滅菌濾過されたその溶液から、有効成分と任意の追加の望ましい成分の粉末が得られる。
【0179】
吸入による投与の場合、化合物は、適した噴射剤、例えば二酸化炭素などのガスを含む加圧容器またはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達される。全身投与は、経粘膜または経皮手段によるものであり得る。
【0180】
経粘膜または経皮投与の場合、浸透させるバリアに適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、当技術分野で一般的に知られており、例えば、経粘膜投与用の洗剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻腔スプレーまたは坐剤の使用によって達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物は、当技術分野で一般的に公知の軟膏、サルヴェ、ゲルまたはクリームに製剤化される。化合物は、直腸送達のための坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を用いる)の形態または停留浣腸の形態で調製することもできる。
【0181】
いくつかの態様では、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤など、体内からの急速な排出から化合物を保護する担体とともに調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することもできる。リポソーム懸濁液は、薬学的に許容され得る担体として使用することもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているような、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0182】
いくつかの態様では、本開示の活性化合物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投薬単位形態で製剤化することができる。本明細書において使用される投薬単位形態とは、処置される対象への単位投与量として適する物理的に別々の単位をいい、各単位は、必要な医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有する。本開示の投与単位形態の仕様は、活性化合物の固有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに個体の処置のためにそのような機能性化合物を配合する技術に固有の制限によって決定され、これらに直接依存する。医薬組成物は、投与説明書と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
【0183】
III.本開示の方法
本開示のいくつかの態様は、標的異種mRNAの発現を増加させる核酸分子に関する。したがって、本開示の組成物は、処置を必要とするヒト対象の細胞を含む、細胞における標的の発現を増加させる方法に使用することができる。
【0184】
本開示のいくつかの態様は、細胞において標的mRNAを発現させる方法であって、標的mRNAとインフルエンザNS1タンパク質とを細胞において共発現させることを含み、標的mRNAがインフルエンザmRNAではない方法に関する。いくつかの態様では、例えば、本明細書中に記載されるように、インフルエンザNS1タンパク質は、第1の核酸分子によってコードされ、標的mRNAは、第2の核酸分子によってコードされる。
【0185】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示される組成物、例えば、本明細書に開示されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組、本明細書に開示されるベクターまたはベクターの組、本明細書に開示される脂質ナノ粒子、細胞、または医薬本明細書に開示される組成物を対象に投与することを含む、処置を必要とする対象の疾患または症状を処置する方法に関する。例えば、本明細書に記載の組成物は、いくつかの態様では疾患または障害を処置するのに役立ち得る、細胞(例えば、腫瘍細胞および/または免疫細胞)内のコードされた標的異種mRNAの選択的かつ持続的な発現を誘導するために、インビトロもしくはエクスビボで培養中の細胞に、または例えばインビボでヒト対象に投与され得る。
【0186】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の組成物を使用する治療方法に関する。いくつかの態様では、本開示の組成物を対象に投与することを含む、標的異種mRNAをそれを必要とする対象において発現させる方法が本明細書に開示される。
【0187】
いくつかの態様では、本開示で処置することができる疾患または障害は、癌を含む。いくつかの態様では、癌は、扁平上皮癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)、非扁平上皮NSCLC、胃腸癌、腎癌(例えば、腎明細胞癌)、卵巣癌、肝癌(例えば、肝細胞癌)、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌(RCC))、前立腺癌(例えば、ホルモン難治性前立腺腺癌)、甲状腺癌、膵臓癌、子宮頸癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、および頭頸部癌(または癌腫)、胃癌、胚細胞性腫瘍、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、黒色腫(例えば、皮膚または眼内悪性黒色腫などの転移性悪性黒色腫)、骨癌、皮膚癌、子宮癌、肛門領域の癌、精巣癌、卵管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸部の癌、膣の癌、外陰の癌、食道の癌(例えば、胃食道接合部癌)、小腸の癌、内分泌系の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、小児期の固形腫瘍、尿管の癌、腎盂の癌腫、腫瘍血管新生、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストに誘発される癌を含む環境誘発癌、ウイルス関連癌またはウイルス起源の癌(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV関連もしくはHPV起源の腫瘍))、および、2つの主要な血液細胞系列、すなわち、骨髄系細胞株(顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージおよび肥満細胞を産生する)またはリンパ系細胞株(B細胞、T細胞、NK細胞および形質細胞を産生する)のいずれかに由来する血液悪性腫瘍、例えばすべての種類の白血病、リンパ腫、および骨髄腫、例えば、急性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)、未分化AML(MO)、骨髄芽球性白血病(Ml)、骨髄芽球性白血病(M2;細胞成熟を伴う)、前骨髄球性白血病(M3またはM3変種[M3V])、骨髄単球性白血病(M4または好酸球増加を伴うM4変種[M4E])、単球性白血病(M5)、赤白血病(M6)、巨核芽球性白血病(M7)、孤立性顆粒球肉腫、および緑色腫などの急性、慢性、リンパ性および/または骨髄性白血病;リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞血液悪性腫瘍、例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞様リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、未分化(例えば、Ki1+)大細胞リンパ腫、成人T細胞リンパ腫/白血病、マントル細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫、Tリンパ芽球性など;ならびにリンパ腫/白血病(T-Lbly/T-ALL)、末梢性T細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患、真性組織球性リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、B細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫(LBL)、リンパ系の造血器腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性組織球性リンパ腫(DHL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫(CTLC)(菌状息肉腫またはセザリー症候群とも呼ばれる)、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症を伴うリンパ形質細胞様リンパ腫(LPL);骨髄腫、例えばIgG骨髄腫、軽鎖骨髄腫、非分泌性骨髄腫、くすぶり型骨髄腫(無痛性骨髄腫とも呼ばれる)、孤立性形質細胞腫、および多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞リンパ腫;骨髄系の造血器腫瘍、線維肉腫および横紋筋肉腫をはじめとする間葉系起源の腫瘍;精上皮腫、奇形癌腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫をはじめとする間葉系起源の腫瘍;ならびに、黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞癌および奇形癌腫をはじめとする他の腫瘍、リンパ系の造血器腫瘍、例えば、限定されるものではないが、小細胞型および脳様細胞型を含むT細胞性前リンパ球性白血病(T-PLL)などのT細胞障害を含む、T細胞およびB細胞腫瘍;T細胞型の大顆粒リンパ球性白血病(LGL);a/d T-NHL肝脾リンパ腫;末梢性/胸腺後T細胞リンパ腫(多形性および免疫芽球性サブタイプ);血管中心性(鼻)T細胞リンパ腫;頭頸部の癌、腎癌、直腸癌、甲状腺の癌;急性骨髄性リンパ腫、またはその任意の組合せを含む。
【0188】
いくつかの態様では、本明細書に記載の組成物は、それを必要とする対象に、インビボで腫瘍負荷または癌細胞増殖を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれを超えて減少させるのに十分な量で投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の組成物は、免疫活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれを超えて増加させるのに有効な量で投与される。
【0189】
いくつかの態様では、本開示で処置することができる疾患または障害は、自己免疫疾患を含む。本明細書で使用される場合、「自己免疫疾患」という用語は、宿主の免疫系が外来分子と自己分子を区別できないことによって引き起こされ、その結果、宿主の免疫系が自己分子を攻撃して破壊する疾患を指す。本明細書で使用される場合、「自己分子」(例えば、タンパク質またはDNA)は、宿主に由来するかまたは宿主に固有の分子を指す。本明細書で使用される場合、「外来分子」は、別のものに由来し、非天然起源の分子を指す。自己免疫疾患の非限定的な例としては、多発性硬化症、末梢神経炎、シェーグレン症候群、関節リウマチ、脱毛症、自己免疫性膵炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、セリアック病、デビック病(視神経脊髄炎)、糸球体腎炎、IgA腎症、各種脈管炎、強皮症、糖尿病、動脈炎、白斑、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、乾癬、ブドウ膜炎、全身性エリテマトーデス、グレーブス病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、抗糸球体基底膜疾患(グッドパスチャー症候群)、橋本甲状腺炎、自己免疫性肝炎、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0190】
いくつかの態様では、処置される疾患または障害が自己免疫疾患を含む場合、組成物(例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ベクター、脂質ナノ粒子または医薬組成物)を対象に投与すると、対象のT細胞活性などの免疫活性を低下させることができる。例えば、本開示から明らかなように、いくつかの態様では、免疫細胞機能を低下させるおよび/または免疫抑制活性を促進する(例えば、発生調節性T細胞を促進する)ことのできる標的異種mRNAをコードすることにより、本明細書に記載のポリヌクレオチドを使用して免疫活性を低下させることができる。いくつかの態様では、免疫活性は、参照対象(例えば、組成物の投与前の対象または組成物の投与を受けなかった対応する対象)の免疫活性と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%またはそれ以上低下する。
【実施例
【0191】
実施例1
本実施例で使用したレプリコンプラスミドは以下を含んでいた:Strand-EGFP(配列番号3;表6);Strand-mCherry(配列番号4;表6);非細胞変性EGFP(配列番号5;図1A;表6);Strand-NS1-H5N1(配列番号2;表1);Strand-NS1-TX91(配列番号1;表1);Strand-NS1-EGFP(配列番号6;表6);Strand-NS1-mCherry(配列番号7;表6);および非細胞変性-NS1-EGFP(配列番号8;図1B;表6)。
【0192】
方法
【0193】
鋳型調製
【0194】
レプリコンRNAについては、EGFPをコードするmRNAペイロードを含有するVEEレプリコンベクターを、適切なプラスミド調製法によって調製した。プラスミドをBspQI処置によってさらに線状化した。簡単に説明すると、5μgのレプリコンプラスミドDNAを、NEB3.1緩衝液中のBspQIで50℃で3時間処置した。酵素を80℃で20分間熱不活性化し、試料をDNA浄化ステップに進めた。
【表3】
【0195】
mCherryを含有するレプリコンプラスミド(Strand-mCherryおよびStrand-NS1-mCherry)ならびにNS1のみを含有するプラスミド(Strand-NS1-H5N1およびStrand-NS1-TX91)の場合、ISceIを使用してレプリコンテンプレートを消化した。反応には、Cutsmart緩衝液が含まれ、37℃で3時間反応させた。
【0196】
modRNA鋳型生成
【0197】
修飾RNA(modRNA)鋳型の場合、T7プロモーターおよびサブゲノムプロモーターを含有するフォワードプライマーと、120アミノ酸のストレッチを有する3’-UTR中のリバースプライマーとを有するレプリコンプラスミドを使用して、PCRによってDNAを生成した。
【表4A】

【表4B】
【0198】
DpnI消化
【0199】
PCR反応におけるプラスミドDNA(鋳型)をDpnIによって消化した。1ugの初期プラスミド当たり1uLのDpnIをPCR試料に添加し、37℃で1時間インキュベートする。
【0200】
DNAクリーンアップ
【0201】
PCR増幅DNA試料を、NEBPCRクリーンアップキットを使用して、製造業者のプロトコルに従って洗浄し、DNAを20μLの水に溶出した。
【0202】
PCR(modRNAテンプレート)およびBspQI処置されたレプリコンDNA(repRNAテンプレート)をプレキャストゲルでチェックして、純度(PCR)および完全性(レプリコンテンプレート)を確認した。1μgの精製鋳型を、以下の各20μLのIVT反応に使用した。
【0203】
最大20ngの総DNAを1.2%DNAゲルにロードし、275Vで7~10分間実行した。
【0204】
インビトロ転写
【0205】
NEBHiScribeHighyieldT7キットをRNA産生のために使用した。修飾RNA(modRNA)合成のために、キットのUTP成分をN1-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸で置き換えた。
【0206】
IVT反応の準備ができたら、必要なキット成分を氷上で解凍し、混合し、微量遠心機でパルススピンして溶液をチューブの底に集めた。試料を氷上に保持し、酵素はボルテックスしなかった。
【0207】
共転写キャッピング法
【0208】
キャップ類似体レプリコンプラスミドおよびmodRNA鋳型を使用した産生のために、反応物を以下の順序で室温で組み立てた。
【表4C】
【0209】
次に、試料を完全に混合し、微量遠心機でパルススピンし、サーモミキサーで400rpmで37℃で3時間インキュベートした。品質管理のために1uLのアリコートを保存した。
【0210】
DNase処置
【0211】
Turbo DNase酵素を使用して鋳型DNAを消化させた。酵素はIVT反応で活性であるので、10×緩衝液は添加しなかった。反応物をヌクレアーゼフリー水で200uLに希釈した。
【0212】
100μLのIVT反応あたり20μLの酵素(2U/μL)を使用し、37℃で60分間インキュベートした。反応後、Monarch RNAクリーンアップキットを使用してRNAを精製した。品質管理のためにRNAの1μLアリコートを保存した。
【0213】
RNAの品質管理
【0214】
試料の濃度は、Nanodropでチェックされ、品質管理はすべての中間ステップからのRNAを含むゲルで確認した。最大200ngのRNAを1.2%RNAゲル上で泳動させた。1uLのLonza RNAラダーをサイズマーカーとして使用した。50%ホルムアルデヒド試料緩衝液を65℃で5分間添加することによりRNAを変性させ、試料を直ちに氷上に置き、少なくとも1分間保持した。
【0215】
最大5uLの総試料をゲルに負荷し、可視化した。RNAの完全性は、断片分析装置で実行することによってもチェックすることができる。
【0216】
T接合を有する従来のTT3 LNP製剤を調製する
【0217】
脂質材料をそれぞれ秤量し、エタノールに溶解した。以下のフォームの組成比に従って全ての脂質材料を混合することによってエタノール相を調製した。水相は、最終的な塩の組成が10mMクエン酸緩衝液(pH4.0、150mM NaCl)となるように、シリカカラム精製されたrepRNA/modRNAを20mMクエン酸緩衝液(pH4.0)、300mM NaClおよび水で希釈することによって調製した。従来のTT3 LNPを、LNPのエタノール相と水相をT接合混合によって3:1(水相:エタノール相)の流量比で混合することによって得た。
【表5】
【0218】
T接合を有するPEG後ミセルTT3 LNP製剤の調製
【0219】
脂質材料をそれぞれ秤量し、エタノールに溶解した。上記のフォームの組成比に従って、DMG-PEG-2Kを除くすべての脂質材料を混合することによってエタノール相を調製した。水相は、最終的な塩の組成が10mMクエン酸緩衝液(pH4.0、150mM NaCl)となるように、シリカカラム精製されたrepRNA/modRNAを 20mMクエン酸緩衝液(pH4.0)、300mM NaClおよび水で希釈することによって調製した。対応する体積のDMG-PEG-2KをTBS緩衝液に添加し、ボルテックスによって完全に混合することによってPEGミセル相を調製した。最後に、PEG後ミセルTT3 LNPは、まずLNPのエタノール相と水相をT接合混合によって3:1の流量比(水相:エタノール相)で混合し、続いて1:1の流量比(LNP相:PEG相)でT接合混合によってPEGミセル相で直ちにインライン希釈することによって得た。PEG後ミセルTT3 LNPの最終脂質組成を表Bに記載する。
【表A】

【表B】
【0220】
TT3 LNPの緩衝液交換および凍結/解凍
【0221】
得られたTT3 LNPを透析カセットに移し、TBS緩衝液中で2時間透析した。次いで、接線流濾過によってTT3 LNPを濃縮した。続いて、TBSストック溶液中40%スクロース(W/V)を、調製したすべてのTT3 LNPに添加して、10%スクロース中TT3 LNPの最終溶液を作製した。LNPの最終RNA濃度を、2%TE+Triton(登録商標)でLNPを解離させることによって測定し、さらにQubitアッセイで検出した。TT3 LNPを50μl/チューブの一定分量に分割し、-80℃で凍結させた。細胞をLNPで処置する前に、TT3 LNPを室温で解凍した。
【0222】
脂質トランスフェクション
【0223】
細胞株については、50ngのTT3:RNAをそれぞれのウェルに添加した。いくつかの実験では、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher)を使用して、製造業者の推奨に従ってペイロードを送達した。
【0224】
FACS試料の調製
【0225】
ZombieNIR染色緩衝液を、100倍の色素ストックをPBSで希釈することによって調製した。細胞をPBSで洗浄し、ディープウェルの96ウェルプレートに移し、懸濁細胞について500g、10分で遠心分離した。接着細胞の場合、細胞を5分間トリプシン処理し、続いて500gで10分間遠心分離する。細胞をPBSに再懸濁し、96V底プレートに移し、続いてZombieNIR色素を含有する100uLのPBSを用いて暗所、RTで10分間生/死染色する。200uLのFACS緩衝液(色素をクエンチするためのBSAを含有する)を添加することによって反応を停止させ、再び遠心分離し、最後に200uLのFACS緩衝液に再懸濁する。細胞を、レポーター(GFPまたはmCherry)シグナルおよび生存率についてフローサイトメーターで分析する。
【0226】
結果
【0227】
repRNAによるNS1のタンデムトランスフェクションは、4T1マウス腫瘍細胞株におけるレプリコン発現を改善した。4T1細胞を、Lipofectamine MessengerMaxを使用してStrand-mCherry、mCherry modRNA、NS1 modRNAmRNAでトランスフェクトした。このタンデムトランスフェクションでは、repRNAをトランスフェクトする6時間前にNS1 modRNAをトランスフェクトした。これにより、細胞がレプリコンを経験する前に、細胞にNS1タンパク質を提供する機会が与えられる。トランスフェクションの24時間後、細胞を顕微鏡で可視化するとともに、フローサイトメトリーによって処理して定量的シグナルを調べた(図2A~2D)。repRNAによるH5N1とTX91の両方からのNS1のタンデムトランスフェクションにより、レプリコン発現が改善された(図2E)。
【0228】
次に、4T1細胞を、TT3脂質ナノ粒子を使用してStrand-mCherry、mCherry modRNA、NS1 modRNA mRNAでトランスフェクトした。この同時トランスフェクションでは、repRNAとともにNS1 modRNAをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を顕微鏡で可視化するとともに、フローサイトメトリーによって処理して定量的シグナルを調べた(図3A~3F)。タンデムNS1発現(図3E)およびNS1同時トランスフェクション(図3F)は、4T1細胞においてrepRNAからより高いMFIを媒介した。
【0229】
repRNAによるNS1の同時トランスフェクションは、様々なヒト癌細胞株におけるレプリコン発現を改善する。Lipofectamine MessengerMaxを使用して、Hcc38腫瘍細胞を、NS1 modRNA(図4Bおよび4F)、NS1 repRNA(図4Cおよび4G)、またはNS1-P2A-mCherry mRNA(図4Dおよび4H)でトランスフェクトした。この実験では、NS1をmodRNA(NS1 modRNA;図4Bおよび4F)として、または別個の(NS1 repRNA;図4Cおよび4G)もしくはバイシストロニックなrepRNAベクター(NS1-P2A-mCherry;図4Dおよび4H)として提供した。トランスフェクションの24時間後(図4A~4D)または48時間後(図4E~4H)に、細胞を顕微鏡で可視化するとともに、フローサイトメトリーによって処理して定量的シグナルを調べた。同様に、蛍光強度中央値(MFI)が、Scc9 HNSCC(図4I)およびFaDu HNSCC細胞(図4J~4K)においてNS1発現とともに増大することが認められた。
【0230】
ベクター工学をNS1と組み合わせると、相加的な改善が観察された。BT20癌細胞を、元の(Strand)骨格(図5A~5B)かまたはQ739L変異(非細胞変性;図5C~5D)のいずれかを含有するEGFPをコードするレプリコンベクターを使用してTT3 LNPを使用してトランスフェクトし、フローサイトメトリーを使用して細胞を分析してレポーターシグナルを定量した。Q739Lベクター中のNS1を組み合わせると、相加的改善は容易に明らかになった(図5A~5F)。
【0231】
次に、B16.F10(図6A~6C)または4T1(図6D~6F)細胞に、未修飾rNTP(未修飾Rep;図6Aおよび6D)を使用するか、または1:1(50%;図6Bおよび6E)もしくは1:3(25%;図6Cおよび6F)のUTP:N1-メチル-シュードUTP(psiで示す)の比を使用して作製したレプリコンをエレクトロポレーションした。1:1の比はペイロード発現の有意な減少をもたらすが、1:3の比は発現ならびにシグナル強度を維持する(図6G)。
【0232】
レプリコン駆動ペイロード発現において、ベクター工学と修飾rNTPの使用との組合せで相加効果が観察された(図7)。ホタルルシフェラーゼ(Fluc)をコードしたレプリコンを、未修飾rNTP(unmod)を使用するかまたは1:3の比の特定の
【化3】
;1:3 C:5me-C(M2)(ここで、Cはシチジンを指し、5me-Cは5-メチル-シチジンをさす)を使用して作製した。4T1細胞におけるエレクトロポレーションによるトランスフェクションの24時間後と48時間後に発光を測定した(図7)。これらのFlucレプリコンを次にインターフェロン誘導性細胞株、B16-ISG(Invivogen)にトランスフェクトし、ペイロード発現を発光単位(図8A)で測定し、比色法(図8B)を使用するSEAPレポーターアッセイを使用してI型IFN活性を測定した。単一(M1)もしくは二重修飾された(M2)レプリコンは、ペイロード発現の改善ならびにI型IFN活性の低下を示した。
【0233】
レプリコン駆動ペイロード発現における修飾rNTPの使用は、発現を改善し、IFN活性化を減少させた(図9A~9C)。B16-ISG細胞を、上記のように、未修飾または単一(M1)もしくは二重修飾されたrNTPを使用して作製したNS1-EGFP(P2Aリンカー)を発現するQ739Lレプリコンでトランスフェクトした。二重修飾されたレプリコンは、ポリ(I:C)処置細胞と比較して、ペイロード発現(図9A)、シグナル強度(図9B)、およびI型IFN活性の低下(図9C)を改善する。ポリ(I:C)は、dsRNA類似体であり、強力なI型IFNアゴニストである。
【0234】
高用量IL-2を含む抗CD3/CD28/CD2カクテルで2日間活性化したT細胞におけるLNP送達は、培地への組換えタンパク質(エンハンサー)の添加によって改善され、脂質1でトランスフェクトした細胞およびエンハンサーに曝露されなかった細胞(図10A~10D)と比較して、脂質2-コレステロール(図10E)または脂質2-b-シトステロール(図10F)でトランスフェクトした細胞において、強固なシグナルをもたらした。
【0235】
レプリコン駆動ペイロード発現における修飾rNTPの使用は、発現を改善し、IFN活性化を低下させた。初代ヒトT細胞を、解凍後2日間、IL-2および抗CD3/CD28/CD2を使用して活性化させ、上記で使用されるように、NS1-EGFPを駆動するQ739Lレプリコンを使用してトランスフェクトし、非修飾または単一(M1)もしくは二重修飾された(M2)mRNAを使用して作製した。加えて、未改変ベクターに1または10%のポリ(I:C)、dsRNA類似体をスパイクし、脂質に共カプセル化した。トランスフェクションの24時間後、細胞をフローサイトメトリーによって分析してGFPシグナルを定量し、細胞上清を使用して炎症促進性サイトカイン、例えばIFN-γを分析した。M2レプリコンは、最低量のIFN-γ分泌を維持しながら(図11C)、最高レベルの発現(図11A~11B)を示す。
【0236】
ヒトPBMCを3人の健常ドナーから単離し、抗CD3/CD28/CD2カクテル(活性化)の存在下、低用量IL-2(休止)または高用量IL-2で2日間増殖させ、続いてNS1-EGFPまたはEGFPを駆動するM2修飾Q739Lレプリコンまたは従来のEGFP mRNA(EGFP-mod)を用いてmRNA:脂質送達を行った。トランスフェクションの24時間後、細胞を生死生存率染色で染色し、GFPシグナルについて分析した(図12A)。上清をサイトカインプロファイリングのために収集し、IFN-α検出のためにELISAに供した。レプリコンをコードするNS1は、休止状態と活性化状態の両方でIFN-α活性化を低下させた(図12B)。
配列
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【表6-8】
【表6-9】
【表6-10】
【表6-11】
【表6-12】
【表6-13】
【表6-14】
【表6-15】
【表6-16】
【表6-17】
【表6-18】
【表6-19】
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E-F】
図4A-B】
図4C-D】
図4E-F】
図4G-H】
図4I
図4J-K】
図5A-D】
図5E-F】
図6A-F】
図6G
図7
図8A-B】
図9A-B】
図9C
図10A-F】
図11A-C】
図12A-B】
【配列表】
2024528960000001.xml
【国際調査報告】