(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置及び電気駆動アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20240725BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16H57/04 G
F16H57/04 F
H02K9/19 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506568
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2022093089
(87)【国際公開番号】W WO2023010947
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110887039.X
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】リー ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】パン ファーユー
【テーマコード(参考)】
3J063
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB02
3J063AC01
3J063BA11
3J063BA15
3J063CA01
3J063CD41
3J063XD03
3J063XD23
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5H609BB16
5H609BB18
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5H609PP17
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5H609QQ09
5H609RR01
5H609RR26
5H609RR46
5H609RR67
5H609SS03
5H609SS17
(57)【要約】
電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置であって、冷却潤滑装置は油ポンピング組立体、油ポンピング通路及び返油通路を含み、油ポンピング通路はいくつかの油分配通路(1)を含み、各油分配通路の油排出位置はそれぞれモータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品、及び減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対応し、油ポンピング組立体は第1ハウジング内の潤滑油を油ポンピング通路内へポンピングし、各油分配通路を介して冷却すべき部品と潤滑すべき部品まで搬送するために用いられ、返油通路は第2ハウジングの底部に設けられ、第2ハウジング内の潤滑油を第1ハウジング内に還流させるために用いられ、そのうち、第1ハウジングはモータハウジングであり、第2ハウジングは減速機ハウジングであるか、又は、第1ハウジングは減速機ハウジングであり、第2ハウジングはモータハウジングである。当該冷却潤滑装置は冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対する能動的かつ指向性のある冷却及び潤滑を実現することができ、冷却及び潤滑の効率がより高くなる。さらに、電気駆動アセンブリに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置であって、前記電気駆動アセンブリはモータ組立体と減速機組立体とを含み、前記モータ組立体はモータハウジングを含み、前記減速機組立体は減速機ハウジングを含み、前記冷却潤滑装置は油ポンピング組立体、油ポンピング通路及び返油通路を含み、
前記油ポンピング通路はいくつかの油分配通路を含み、各前記油分配通路の油排出位置はそれぞれ前記モータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品、及び前記減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対応し、
前記油ポンピング組立体は油供給口と油排出口とを含み、前記油供給口は第1ハウジングと連通し、前記油排出口は前記油ポンピング通路に接続され、前記油ポンピング組立体は前記第1ハウジング内の潤滑油を前記油ポンピング通路内へポンピングし、各前記油分配通路を介して前記冷却すべき部品と前記潤滑すべき部品まで搬送するために用いられ、
前記返油通路は前記第2ハウジングの底部に設けられ、前記第2ハウジング内の潤滑油を前記第1ハウジング内に還流させるために用いられ、
そのうち、第1ハウジングはモータハウジングであり、第2ハウジングは減速機ハウジングであるか、又は、第1ハウジングは減速機ハウジングであり、第2ハウジングはモータハウジングである、ことを特徴とする電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置。
【請求項2】
前記冷却潤滑装置は油濾過組立体を更に含み、
前記油濾過組立体は前記第1ハウジングの底部に設けられ、潤滑油の濾過に用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却潤滑装置。
【請求項3】
前記油濾過組立体は取り外し可能なオイルフィルタである、ことを特徴とする請求項2に記載の冷却潤滑装置。
【請求項4】
前記冷却潤滑装置は冷却器組立体を更に含み、
前記冷却器組立体は、前記油ポンピング組立体と前記油濾過組立体との間又は前記油濾過組立体と前記第1ハウジングとの間における油路に設けられ、前記油路内の潤滑油の冷却に用いられる、ことを特徴とする請求項2に記載の冷却潤滑装置。
【請求項5】
前記油ポンピング組立体は機械式オイルポンプを含み、
前記機械式オイルポンプは前記減速機ハウジング内に設けられ、前記減速機組立体に伝動接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却潤滑装置。
【請求項6】
前記減速機組立体は中間軸を更に含み、
前記機械式オイルポンプは前記中間軸に伝動接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の冷却潤滑装置。
【請求項7】
前記油ポンピング組立体は電子オイルポンプ及び電子制御ユニットを含み、
前記電子オイルポンプは前記モータハウジング又は前記変速機ハウジングの底部に設けられ、前記電子制御ユニットは前記電子オイルポンプの動作を制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却潤滑装置。
【請求項8】
前記油ポンピング組立体はいくつかの温度センサを更に含み、
各前記温度センサは前記モータハウジング及び/又は前記減速機ハウジング内に設けられ、前記電子制御ユニットは、前記温度センサが検出した温度に基づいて前記電子オイルポンプの動作を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の冷却潤滑装置。
【請求項9】
前記油ポンピング組立体は回転速度センサを更に含み、
前記回転速度センサはモータ又は減速機の回転速度を検出するとともに、検出した回転速度を前記電子制御ユニットに伝達するために用いられ、前記電子制御ユニットは前記モータ又は前記減速機の回転速度に基づいて前記電子オイルポンプの動作を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の冷却潤滑装置。
【請求項10】
電気駆動アセンブリであって、請求項1~9のいずれか一項に記載の冷却潤滑装置を用いてモータ及び減速機の冷却及び潤滑を行う、ことを特徴とする電気駆動アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年08月03日に中国特許庁に出願された、出願番号が第202110887039.X号、発明名称が「電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置及び電気駆動アセンブリ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本願に組み込まれる。
[技術分野]
本発明は、電気駆動アセンブリの冷却潤滑技術の分野に属し、特に、電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置及び電気駆動アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー自動車が絶えず発展するにつれて、自動車の安全、動力、エネルギー消費、騒音等の関連性能に対する要求がますます高まっている。自動車を様々な複雑な道路状況に適応させるために、自動車の電気駆動アセンブリは高パワー、高トルク、高回転速度、高効率等の技術的特性を有する必要があり、また同時に電気駆動アセンブリにおけるモータ及び減速機の潤滑及び冷却に対してより高い要求が求められている。
【0003】
現在、自動車の電気駆動アセンブリの減速機の潤滑及び冷却は、一般的に歯車を介してハウジング内部の潤滑油を撹拌することによってそれを飛散させる方式で実現されており、減速機の潤滑油は歯車の撹拌に伴って、歯車、軸受、オイルシール等の回転部品の摩擦対の位置への流動又は飛散が発生して受動的に潤滑し、潤滑油の流動により、回転部品の運転時に発生する熱を運び去られ、受動冷却が実現される。しかしながら、このような受動的な飛散潤滑及び冷却方式は十分に潤滑することができず、かつ減速機の高回転速度、高トルク出力時に発生する大量の熱をタイムリーに運び去ることもできない。また、モータの冷却方式は、冷却液が固定子ハウジングの水路を流れてモータの運転時に発生する熱を運び去ることによって実現されるものであり、このような従来の冷却方式はモータの局所的範囲内の温度のみを低減又は安定させることができるが、モータ内のモータコイル及び回転子の温度は固定子の温度よりも遥かに高く、モータ構造と従来の冷却方式の制限により、モータが長時間、高パワー、高トルク、高回転速度の動作状況で発生した熱を十分にかつ迅速に運び去ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に対して、本発明は、上記問題を解消するために、あるいは、上記問題を少なくとも部分的に解決するために、電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置及び電気駆動アセンブリを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明には、以下の技術案が用いられている。
【0006】
本願の1つの局面では、電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置が開示され、前記電気駆動アセンブリはモータ組立体と減速機組立体とを含み、前記モータ組立体はモータハウジングを含み、前記減速機組立体は減速機ハウジングを含み、前記冷却潤滑装置は油ポンピング組立体、油ポンピング通路及び返油通路を含み、
前記油ポンピング通路はいくつかの油分配通路を含み、各前記油分配通路の油排出位置はそれぞれ前記モータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品、及び前記減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対応し、
前記油ポンピング組立体は油供給口と油排出口とを含み、前記油供給口は第1ハウジングと連通し、前記油排出口は前記油ポンピング通路に接続され、前記油ポンピング組立体は前記第1ハウジング内の潤滑油を前記油ポンピング通路内へポンピングし、各前記油分配通路を介して前記冷却すべき部品と前記潤滑すべき部品まで搬送するために用いられ、
前記返油通路は前記第2ハウジングの底部に設けられ、前記第2ハウジング内の潤滑油を前記第1ハウジング内に還流させるために用いられ、
そのうち、第1ハウジングはモータハウジングであり、第2ハウジングは減速機ハウジングであるか、又は、第1ハウジングは減速機ハウジングであり、第2ハウジングはモータハウジングである。
【0007】
さらに、前記冷却潤滑装置は油濾過組立体を更に含み、
前記油濾過組立体は前記第1ハウジングの底部に設けられ、潤滑油の濾過に用いられる。
【0008】
さらに、前記油濾過組立体は取り外し可能なオイルフィルタである。
【0009】
さらに、前記冷却潤滑装置は冷却器組立体を更に含み、
前記冷却器組立体は、前記油ポンピング組立体と前記油濾過組立体との間又は前記油濾過組立体と前記第1ハウジングとの間における油路に設けられ、前記油路内の潤滑油の冷却に用いられる。
【0010】
さらに、前記油ポンピング組立体は機械式オイルポンプを含み、
前記機械式オイルポンプは前記減速機ハウジング内に設けられ、前記減速機組立体に伝動接続される。
【0011】
さらに、前記減速機組立体は中間軸を更に含み、
前記機械式オイルポンプは前記中間軸に伝動接続される。
【0012】
さらに、前記油ポンピング組立体は電子オイルポンプ及び電子制御ユニットを含み、
前記電子オイルポンプは前記モータハウジング又は前記変速機ハウジングの底部に設けられ、前記電子制御ユニットは前記電子オイルポンプの動作を制御するために用いられる。
【0013】
さらに、前記油ポンピング組立体はいくつかの温度センサを更に含み、
各前記温度センサは前記モータハウジング及び/又は前記減速機ハウジング内に設けられ、前記電子制御ユニットは、前記温度センサが検出した温度に基づいて前記電子オイルポンプの動作を制御する。
【0014】
さらに、前記油ポンピング組立体は回転速度センサを更に含み、
前記回転速度センサはモータ又は減速機の回転速度を検出するとともに、検出した回転速度を前記電子制御ユニットに伝達するために用いられ、前記電子制御ユニットは前記モータ又は前記減速機の回転速度に基づいて前記電子オイルポンプの動作を制御する。
【0015】
本願のもう1つの局面では、電気駆動アセンブリが開示され、前記電気駆動アセンブリは上記のいずれか一項に記載の冷却潤滑装置を用いてモータ及び減速機の冷却及び潤滑を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明の利点及び有益な効果は以下の通りである。
【0017】
本願の冷却潤滑装置では、油ポンピング組立体及びいくつかの油分配通路が設けられ、かつ各油分配通路の油排出位置がそれぞれモータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品、及び減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対応するようにされ、油ポンピング組立体によって減速機ハウジング又はモータハウジング内の潤滑油が油ポンピング通路内へポンピングされ、各油分配通路を介して冷却すべき部品と潤滑すべき部品まで搬送されることで、冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対する能動的かつ指向性のある冷却及び潤滑が実現され、冷却及び潤滑の効率がより高くなり、それに、当該冷却潤滑装置によれば、モーターと減速機の冷却及び潤滑の一体化が実現され、電気駆動アセンブリの構造がよりコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【
図1】
図1は本願の一実施例における電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置の構造模式図である。
【
図2】
図2は本願の一実施例における他の電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の具体的な実施例及び対応する図面と併せて、本願の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかなことに、記載された実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて当業者が創造的な労働を払わずに得られた他のすべての実施例は、本願の保護範囲内に含まれる。
【0020】
以下、図面を参照しながら、本願の各実施例による技術案を詳しく説明する。
【0021】
本願の一実施例において、電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置が開示されており、電気駆動アセンブリはモータ組立体と減速機組立体とを含み、モータ組立体はモータハウジングを含み、減速機組立体は減速機ハウジングを含み、減速機ハウジングはモータハウジングの後端に設けられる。当該冷却潤滑装置は、油ポンピング組立体と、油ポンピング通路と、返油通路とを含む。
【0022】
図1~
図2に示すように、油ポンピング通路はいくつかの油分配通路1を含み、油分配通路1は油管又は油路であってもよく、油分配通路1が油路である場合、油路はモータハウジングと減速機ハウジングに直接鋳造されてもよい。各油分配通路1の油排出位置はそれぞれモータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品、及び減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対応する。
【0023】
油ポンピング組立体は油供給口2と油排出口3とを含み、油供給口2は第1ハウジングと連通し、第1ハウジング内の潤滑油は、油供給口2を介して油ポンピング組立体に進入することができ、油排出口3は油ポンピング通路に接続され、油ポンピング組立体は第1ハウジング内の潤滑油を油ポンピング通路内へポンピングし、各油分配通路1を介して冷却すべき部品と潤滑すべき部品まで搬送し、冷却すべき部品に対する冷却及び潤滑すべき部品に対する潤滑が的確に実現される。そのうち、冷却すべき部品は軸受、歯車、モータコイル、モータ回転子等を含み、潤滑すべき部品は軸受、歯車、オイルシール等を含む。
【0024】
例えば、一つ又は複数の油分配通路1の油排出位置がモータコイルに対応することで、潤滑油によるモータコイルへの能動的かつ指向性のある冷却が実現され、モータコイルの動作時に生じた熱がリアルタイムかつ迅速に運び去され、特殊な動作状況でモータが過度に高い動作温度とされることによる車両全体の早期故障が回避又は低減され、モータのパワー密度及び全体的な効率が向上される。
【0025】
返油通路は第2ハウジングの底部に設けられ、第2ハウジング内の潤滑油を第1ハウジング内に還流させる。
【0026】
そのうち、第1ハウジングはモータハウジングであり、第2ハウジングは減速機ハウジングであるか、又は、第1ハウジングは減速機ハウジングであり、第2ハウジングはモータハウジングである。第1ハウジングの底部の高さは、第2ハウジングの底部の高さよりも低い。
【0027】
第1ハウジングが減速機ハウジングであり、第2ハウジングがモータハウジングである場合、潤滑油が減速機ハウジング内で流動する流路は以下のようになる。即ち、減速機ハウジングの底部の潤滑油は油ポンピング組立体によって油ポンピング通路内へポンピングされ、そして各油分配通路1を介して減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品まで搬送され、潤滑油は潤滑及び冷却作用を奏した後、重力の作用により、減速機ハウジングの底部に戻される。潤滑油がモータハウジング内で流動する流路は以下のようになる。即ち、減速機ハウジングの底部の潤滑油は油ポンピング組立体によって油ポンピング通路内へポンピングされ、そして各油分配通路1を介してモータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品まで搬送され、潤滑油は潤滑及び冷却作用を奏した後、重力の作用により、モータハウジングの底部に戻され、最後に、潤滑油は返油通路を介して減速機ハウジング内に戻される。
【0028】
上述をまとめて、本実施例の冷却潤滑装置では、油ポンピング組立体及びいくつかの油分配通路が設けられ、かつ各油分配通路の油排出位置がそれぞれモータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品、及び減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対応するようにされ、油ポンピング組立体によって減速機ハウジング又はモータハウジング内の潤滑油が油ポンピング通路内へポンピングされ、各油分配通路を介して冷却すべき部品と潤滑すべき部品まで搬送されることで、冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対する能動的かつ指向性のある冷却及び潤滑が実現され、冷却及び潤滑の効率が更に高くなり、車両の電気駆動アセンブリが様々な動作状況で長時間、高パワー、高トルク、高回転速度で動作する時に求められる冷却及び潤滑のニーズを満たすことができ、車両の信頼性が向上され、それに、当該冷却潤滑装置によれば、モータと減速機の冷却及び潤滑の一体化が実現されるため、電気駆動アセンブリの構造がよりコンパクトになり、占有スペースがより小さくなる。
【0029】
一実施形態において、
図1~
図2に示すように、冷却潤滑装置は油濾過組立体を更に含む。
【0030】
油濾過組立体は、第1ハウジングの底部に設けられ、潤滑油の濾過に用いられる。第1ハウジング内の潤滑油は、油ポンピング組立体への進入前に、先に油濾過組立体により濾過が行われて、潤滑油中の粒子を濾過除去されてもよい。こうすれば、粒子による油分配通路1の詰まり及びモータと減速機の正常な運転への影響が防止される。油濾過組立体が第1ハウジングの底部に設けられることによって、第1ハウジングの底部のスペースが十分に利用される一方で、第1ハウジングの底部の潤滑油が重力の作用により油濾過組立体に進入して濾過されることが可能となる。
【0031】
さらに、油濾過組立体の長時間使用による濾過効果の低下を防止するために、油濾過組立体は取り外し可能なオイルフィルタであり、フィルタエレメントを交換することによって油濾過組立体の濾過効果が保証される。
【0032】
一実施形態において、電気駆動アセンブリの冷却効果を更に向上させるために、冷却潤滑装置は冷却器組立体を更に含む。
【0033】
冷却器組立体は油ポンピング組立体と油濾過組立体との間又は油濾過組立体と第1ハウジングとの間における油路4に設けられ、油路4内の潤滑油の冷却に用いられる。冷却器組立体内には、循環用の冷却液が設けられてもよく、油路4内の潤滑油は、冷却器組立体によって潤滑油と冷却液との間の熱交換が実現され、電気駆動アセンブリ内の熱が運び去られ、電気駆動アセンブリの放熱性能が更に向上される。
【0034】
一実施形態において、油ポンピング組立体は機械式オイルポンプを含む。
【0035】
機械式オイルポンプは減速機ハウジング内に設けられ、減速機組立体に伝動接続され、減速機は回転動作時に、機械式オイルポンプの動作を直接駆動可能であり、別途の制御ユニットを設ける必要がなく、それに、機械式オイルポンプのコストが低い。
【0036】
一実施形態において、
図1に示すように、減速機組立体は、中間軸5を更に含む。
【0037】
機械式オイルポンプは中間軸5に伝動接続され、中間軸5を介して機械式オイルポンプの回転速度の制御が実現される。
【0038】
1つ又はいくつかの実施形態において、油ポンピング組立体は電子オイルポンプ及び電子制御ユニットを含む。
【0039】
電子オイルポンプはモータハウジング又は変速機ハウジングの底部に設けられ、スペースが節約され、電子制御ユニットは必要に応じて電子オイルポンプの動作を制御することができる。
【0040】
1つ又はいくつかの実施形態において、油ポンピング組立体はいくつかの温度センサを更に含む。
【0041】
各温度センサはモータハウジング及び/又は減速機ハウジング内に設けられ、各温度センサは、検出した温度を電子制御ユニットに伝送し、電子制御ユニットは、温度センサが検出した温度に基づいて電子オイルポンプの動作を制御する。例えば、温度センサは、モータコイルに設けられ、モータコイルの温度を検出するために用いられ、モータコイルの温度が所定の値に達すると、制御ユニットは、電子オイルポンプを動作させるように制御し、潤滑油をモータコイルにポンピングすることにより、モータコイルの降温が実現される。
【0042】
1つ又はいくつかの実施形態において、油ポンピング組立体は回転速度センサを更に含む。
【0043】
回転速度センサはモータ又は減速機の回転速度を検出するとともに、検出した回転速度を電子制御ユニットに伝達し、電子制御ユニットは、モータ又は減速機の回転速度に基づいて電子オイルポンプの動作を制御し、即ちモータ又は減速機の回転速度が予め設定された値よりも高い場合、電子制御ユニットは、電子オイルポンプを動作させるように制御し、電気駆動アセンブリの冷却及び潤滑が実現される。
【0044】
本願の一実施例において、電気駆動アセンブリが開示されており、電気駆動アセンブリは上記のいずれか1つの実施例における冷却潤滑装置を用いてモータ及び減速機の冷却及び潤滑を行い、当該電動アセンブリは、冷却及び潤滑に優れた利点を有し、高トルク及び高回転速度の出力を実現することができる。
【0045】
上述したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記教示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の具体的な記載は、本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解すべきである。
【符号の説明】
【0046】
1 油分配通路、2 油供給口、3 油排出口、4 油路、5 中間軸
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置であって、前記電気駆動アセンブリはモータ組立体と減速機組立体とを含み、前記モータ組立体はモータハウジングを含み、前記減速機組立体は減速機ハウジングを含み、前記冷却潤滑装置は油ポンピング組立体、油ポンピング通路及び返油通路を含み、
前記油ポンピング通路はいくつかの油分配通路を含み、各前記油分配通路の油排出位置はそれぞれ前記モータハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品、及び前記減速機ハウジング内の冷却すべき部品と潤滑すべき部品に対応し、
前記油ポンピング組立体は油供給口と油排出口とを含み、前記油供給口は第1ハウジングと連通し、前記油排出口は前記油ポンピング通路に接続され、前記油ポンピング組立体は前記第1ハウジング内の潤滑油を前記油ポンピング通路内へポンピングし、各前記油分配通路を介して前記冷却すべき部品と前記潤滑すべき部品まで搬送するために用いられ、
前記返油通路
は第2ハウジングの底部に設けられ、前記第2ハウジング内の潤滑油を前記第1ハウジング内に還流させるために用いられ、
そのうち、第1ハウジングはモータハウジングであり、第2ハウジングは減速機ハウジングであるか、又は、第1ハウジングは減速機ハウジングであり、第2ハウジングはモータハウジングである、ことを特徴とする電気駆動アセンブリの冷却潤滑装置。
【請求項2】
前記冷却潤滑装置は油濾過組立体を更に含み、
前記油濾過組立体は前記第1ハウジングの底部に設けられ、潤滑油の濾過に用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却潤滑装置。
【請求項3】
前記油濾過組立体は取り外し可能なオイルフィルタである、ことを特徴とする請求項2に記載の冷却潤滑装置。
【請求項4】
前記冷却潤滑装置は冷却器組立体を更に含み、
前記冷却器組立体は、前記油ポンピング組立体と前記油濾過組立体との間又は前記油濾過組立体と前記第1ハウジングとの間における油路に設けられ、前記油路内の潤滑油の冷却に用いられる、ことを特徴とする請求項2に記載の冷却潤滑装置。
【請求項5】
前記油ポンピング組立体は機械式オイルポンプを含み、
前記機械式オイルポンプは前記減速機ハウジング内に設けられ、前記減速機組立体に伝動接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却潤滑装置。
【請求項6】
前記減速機組立体は中間軸を更に含み、
前記機械式オイルポンプは前記中間軸に伝動接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の冷却潤滑装置。
【請求項7】
前記油ポンピング組立体は電子オイルポンプ及び電子制御ユニットを含み、
前記電子オイルポンプは前記モータハウジング又は前記
減速機ハウジングの底部に設けられ、前記電子制御ユニットは前記電子オイルポンプの動作を制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却潤滑装置。
【請求項8】
前記油ポンピング組立体はいくつかの温度センサを更に含み、
各前記温度センサは前記モータハウジング及び/又は前記減速機ハウジング内に設けられ、前記電子制御ユニットは、前記温度センサが検出した温度に基づいて前記電子オイルポンプの動作を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の冷却潤滑装置。
【請求項9】
前記油ポンピング組立体は回転速度センサを更に含み、
前記回転速度センサはモータ又は減速機の回転速度を検出するとともに、検出した回転速度を前記電子制御ユニットに伝達するために用いられ、前記電子制御ユニットは前記モータ又は前記減速機の回転速度に基づいて前記電子オイルポンプの動作を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の冷却潤滑装置。
【請求項10】
電気駆動アセンブリであって、請求項1~
6のいずれか一項に記載の冷却潤滑装置を用いてモータ及び減速機の冷却及び潤滑を行う、ことを特徴とする電気駆動アセンブリ。
【国際調査報告】