(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】血管内砕石バルーンシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61B17/22 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506611
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022074607
(87)【国際公開番号】W WO2023015295
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522228218
【氏名又は名称】ネクスターン イノベーション,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バチェルダー,サム
(72)【発明者】
【氏名】バラード,ジョン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ブレンゼル,マイケル,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】トム,アレクサンダー,ピー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE12
4C160MM36
(57)【要約】
解剖学的導管内の石灰化病変を分解するためのシステム、方法、および装置の様々な実施形態が提供されている。より詳細には、流体充填バルーン内に配置されている2つの離隔された電極間に電気アークが生成され、流動および圧力波を発生させる。いくつかの実施形態では、電極は相対的に長い距離にわたって離隔されて、より強いショックを発生させる。いくつかの実施形態では、電極間をイオン的に伝導する生理食塩水が拘束され、寄生加熱を抑える。いくつかの実施形態では、アーク生成中にバルーンが部分的に収縮される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンを画定する長尺部材と、
前記長尺部材に取り付けられた少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと電気連結状態にある電圧パルスジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータを取り囲み、最大膨張体積および最大膨張径を備え、前記長尺部材に動作可能に取り付けられている膨張性スリーブと、
前記スリーブを封入し、最大膨張体積および最大膨張径を備える膨張性バルーンと、を備える血管内砕石システム。
【請求項2】
前記膨張性スリーブの前記最大膨張体積が、前記膨張性バルーンの前記最大膨張体積よりも小さいことをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記膨張性スリーブの前記最大膨張径が、前記膨張性バルーンの前記最大膨張径よりも小さいことをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記膨張性バルーンの内部と流体連結状態にある流体リザーバをさらに備え、
前記膨張性バルーンは、前記流体リザーバからの能動的な膨張または前記流体リザーバ内への流体による収縮によって膨張および/または収縮されるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記膨張性スリーブの内部と流体連結状態にある流体リザーバをさらに備え、
前記膨張性スリーブは、前記封入バルーン内からの流体を使用して受動的または拡散的な膨張によって膨張されるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記膨張性スリーブは、近位端および遠位端と、前記膨張性バルーンの前記内部と前記膨張性スリーブの内部との間の流体連結のための前記長尺部材の外面と前記スリーブの前記近位端および/または遠位端との間に配置される少なくとも1つの流路とを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記膨張性スリーブは、前記スリーブを通る1以上の開口部を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータは、それらの間に間隙を有する2つの離隔された電極を備え、前記膨張性スリーブは、前記2つの離隔された電極間の前記間隙を充填するチャネルに流体の体積を制限する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータは、第1電極と第2電極との間の間隙と、前記第1電極と第3電極との間の間隙とを有する3つの離隔された電極を備え、前記膨張性スリーブは、前記間隙を充填するチャネルに流体の体積を制限する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記スリーブはポリマーを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記スリーブはシリコーンを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータのそれぞれは、単一の膨張性スリーブ内に配置されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
第1膨張性スリーブと、第2膨張性スリーブと、をさらに備え、
前記2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータの第1は、前記第1膨張性スリーブ内に配置され、前記2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータの第2は、前記第2膨張性スリーブ内に配置されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記スリーブは、各圧力および流動ジェネレータの外面に対して配置されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
各流動および圧力波ジェネレータの部分に設置される絶縁体をさらに備え、これにより前記ショックジェネレータの導電性の表面積が低減されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
ルーメンを画定する長尺部材と、
前記長尺部材に取り付けられ、少なくとも2つの離隔された電極を備える少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと電気連結状態にある電圧パルスジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータを取り囲み、近位端と遠位端とを備える膨張性スリーブであって、前記近位端および前記遠位端は、前記長尺部材の外面にシールされ、最大膨張体積は、膨張形態にある前記スリーブ内の流体が前記2つの離隔された電極間のチャネルに制限されるようになっている、膨張性スリーブと、
前記膨張性スリーブの内部と流体連結状態にある流体リザーバと、を備える血管内砕石システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータは、それらの間に間隙を有する2つの離隔された電極を備え、前記膨張性スリーブは、前記2つの離隔された電極間の前記間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータは、第1電極と第2電極との間に間隙と、前記第1電極と第3電極との間に間隙とを有する3つの離隔された電極を備え、前記膨張性スリーブは、前記間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記スリーブは、ポリマーを含む、請求項18~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記スリーブは、シリコーンを含む、請求項18~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータのそれぞれは、単一の膨張性スリーブ内に配置されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記スリーブは、前記流体リザーバからの流体で能動的に膨張されるように構成されている、請求項18~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
第1膨張性スリーブと、第2膨張性スリーブとをさらに備え、前記2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータの第1は、前記第1膨張性スリーブ内に配置され、前記2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータの第2は、前記第2膨張性スリーブ内に配置され、前記第1および第2膨張性スリーブのそれぞれは、前記流体リザーバと流体連結状態にある、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記スリーブは、前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータの外面に対して配置されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
各流動および圧力波ジェネレータの部分に設置される絶縁体をさらに備え、これにより前記ショックジェネレータの導電性の表面積が低減されている、請求項19~30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
ルーメンを画定する長尺部材と、
前記長尺部材に取り付けられ、少なくとも2つの離隔された電極を備える少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと電気連結状態にある電圧パルスジェネレータであって、前記少なくとも2つの離隔された電極のうちの1つに電圧を印加し、それらの間にアークを発生させるように構成されている、電圧パルスジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータを取り囲み、前記長尺部材にシールされて内部を形成する膨張性バルーンと、
前記膨張性バルーンの前記内部と流体連結状態にある流体リザーバと、を備え、
前記膨張性バルーンは、前記少なくとも2つの離隔された電極のうちの1つによって電圧が印加される前に前記膨張性バルーンの前記内部内の流体を前記膨張性バルーンの最大膨張体積よりも少ない体積へと制限するように構成されている収縮形態へと収縮し、前記アークが生成される際に前記収縮形態に維持される、血管内砕石システム。
【請求項33】
前記収縮形態にある前記膨張性バルーンは、前記少なくとも2つの離隔された電極間の間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータは、第1電極と第2電極との間に間隙と、前記第1電極と第3電極との間に間隙とを有する3つの離隔された電極を備え、前記収縮形態にある前記膨張性バルーンは、前記間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータをさらに備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項38】
前記収縮形態にある前記膨張性バルーンは、前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータの外面に対して配置されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項39】
各流動および圧力波ジェネレータの部分に設置される絶縁体をさらに備え、これにより前記ショックジェネレータの導電性の表面積を低減している、請求項32~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
ルーメンを画定する長尺部材と、
離隔された近位電極と遠位電極とを備え、前記長尺部材に取り付けられ、前記近位電極と遠位電極との間に間隙が画定されている、少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと電気連結状態にある電圧パルスジェネレータと、
前記長尺部材に取り付けられ、前記近位電極を取り囲み、前記近位電極から離れて、前記間隙内へと延びる開放端を備える近位部分スリーブと、
前記長尺部材に取り付けられ、前記近位電極を取り囲み、前記遠位電極から離れて、前記間隙内へと延びる開放端を備える遠位部分スリーブと、
近位および遠位部分スリーブを封入し、最大膨張体積と最大膨張径とを備える膨張性バルーンと、備える血管内砕石システム。
【請求項41】
各流動および圧力波ジェネレータの部分に設置される絶縁体をさらに備え、これにより前記ショックジェネレータの導電性の表面積が低減されている、請求項39に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明者]
サム・バッチェルダー(Sam Batchelder)、ニューヨーク州ソマーズ、米国民
ジョン・R・バラード(John R. Ballard)、ミネソタ州ワコニア、米国民
マイケル・P・ブレンゼル(Michael P. Brenzel)、ミネソタ州セントポール、米国民
アレクサンダー・P・トーム(Alexander P. Thome)、ミネソタ州ミネアポリス、米国民
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年8月5日に出願され、「血管内砕石術において亜音速圧力波を生成するシステム、装置、および方法(SYSTEMS, DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSY)」と題された米国仮特許出願第63/229737号、2021年10月4日に出願され、「血管内砕石術において亜音速圧力波を生成するシステム、装置、および方法(SYSTEMS, DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSY)」と題された米国実用特許出願第17/449883号、2021年11月11日に出願され、「血管内砕石術において亜音速圧力波を生成するシステム、装置、および方法(SYSTEMS, DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSY)」と題された米国実用特許出願第17/454574号、2021年11月11日に出願され、「血管内砕石術において亜音速圧力波を生成するシステム、装置、および方法(SYSTEMS, DEVICES AND METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSY)」と題された米国実用特許出願第17/454587号、2021年11月12日に出願され、「血管内砕石術において亜音速圧力波を生成する方法、システム、および装置(METHODS, SYSTEMS AND DEVICES FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSY)」と題された米国実用特許出願第17/454667号、2021年11月12日に出願され、「スパークギャップを超える血管内砕石術において亜音速圧力波を生成する方法(METHODS FOR GENERATING SUBSONIC PRESSURE WAVES IN INTRAVASCULAR LITHOTRIPSY WITH MORE THAN SPARK GAP)」と題された米国実用特許出願第17/454668号、2021年11月12日に出願され、「砕石バルーンスパークギャップ内でアーク位置を選択するシステム、装置、および方法(SYSTEMS, DEVICES AND METHODS FOR SELECTION OF ARC LOCATION WITHIN A LITHOPLASTY BALLOON SPARK GAP)」と題された米国実用特許出願第17/454718号、2021年11月12日に出願され、「血管内亜音速砕石システムの電圧および電流をモニタリングおよび電圧を制御するシステム、装置、および方法(SYSTEMS, DEVICES AND METHODS FOR MONITORING VOLTAGE AND CURRENT AND CONTROLLING VOLTAGE OF INTRAVASCULAR SUBSONIC LITHOTRIPSY SYSTEMS)」と題された米国実用特許出願第17/454721号、および2021年12月14日に出願され、「複数のスパークギャップを有する電極対を有する砕石バルーンシステム、装置、および方法(LITHOPLASTY BALLOON SYSTEMS, DEVICES AND METHODS WITH ELECTRODE PAIRS HAVING MULTIPLE SPARK GAPS)」と題された米国実用特許出願第17/644173号の利益を主張するものであり、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
[連邦政府による支援を受けた研究開発に関する記載]
該当なし
【0002】
本発明は、解剖学的導管の石灰化病変を分解するシステム、装置、および方法に関する。より詳細には、流体充填部材内に配置される2つの離隔された電極間に電気アークが生成されて、流動および圧力波を発生させる。
【0003】
[関連技術の説明]
通路内のおよび/または通路を画定する壁内に形成された石灰化病変を除去および/または亀裂を入れることをはじめとして、様々な技術および機器が、動脈および同様の身体通路における組織の除去または治療で使用されるために開発されている。このような技術および機器のよくある目的として、患者の動脈内のアテローム斑の除去がある。アテローム性動脈硬化は、患者の血管の内膜層(すなわち、内皮下)における脂肪性沈着物(アテローム)の蓄積に特徴付けられる。非常に多くの場合、最初は相対的に柔らかく、コレステロール豊富なアテローム性物質として蓄積していたものが、時間の経過とともに、多くの場合、血管壁内で石灰化アテローム斑へと硬化する。このようなアテロームは、血液の流れを制限するので、血管が通常よりも柔軟でなくなり、そのため、しばしば狭窄病変または狭窄症と呼ばれ、閉塞物質は狭窄物質と呼ばれる。もし未治療で放置されると、このような狭窄症は、狭心症、高血圧症、心筋梗塞症、脳卒中などを引き起こしかねない。
【0004】
血管形成術またはバルーン血管形成術は、狭まったまたは閉塞した、動脈または静脈を広げることで治療する血管内手術であり、一般的に、動脈硬化を治療する。潰れたバルーンが、事前に位置付けられたカテーテルに一般的には通され、ガイドワイヤ上を通って、狭まった閉塞内へと入り、それから固定圧へと膨張される。バルーンは、拡張バルーンによって加えられる半径方向の力によって閉塞が降伏するまで、血管内の閉塞および周囲の筋肉壁を強制的に拡張させ、閉塞領域の本来の血管に近いルーメン内径で血管を開き、血流を改善する。
【0005】
血管形成手術は、いくつかの危険性および合併症を呈し、これらには、バルーンカテーテルの過膨脹、不適切に大きなまたは硬いバルーンの使用、石灰化した対象血管の存在、および/または挿入部位の血腫もしくは仮性動脈瘤の形成からの動脈破裂または血管壁組織への他の損傷が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一般的に、従来のバルーン血管形成システムによって作られる圧力は、10~15atmの範囲にあるが、時には圧力がより高いこともある。上述の通り、公知の血管形成システムおよび方法の主要な問題は、高い応力と変形率で相対的に短期間にわたって閉塞が発生し、多くの場合、導管、例えば、血管、壁組織の損傷または解離となることである。
【0006】
ショックウェーブ・メディカル社(Shockwave Medical Inc)は、従来の相対的に高圧なバルーン血管形成術の代替案を市場に出している。先行技術の血管内砕石システムの一例が、
図1に示されており、画像はショックウェーブ・メディカル社の米国特許第9,072,534号から得たものである。
図1は、それぞれが絶縁から剥離されて電極を形成する最遠位端を有する2つの絶縁導体を有するパルスジェネレータを示す。示されるように、電極は離隔されて、それらの間に間隙を有する電極対を形成する。要素番号25は、十分な電圧が絶縁導体のうちの1つに印加されると、電極間に発生するアークを示している。電極は、流体充填バルーン内に設置され、バルーンを通過する衝撃波が発生する。
【0007】
ショックウェーブ・メディカル社により開発および市場に出された公知のシステムは、電極対の電極間に相対的に近い間隔が必要であり、バルーンが、例えば、4atmの圧力を作る膨張状態にある間に、膨張性血管形成バルーンにおいて相対的に大きな体積の流体を用い、相対的に近い間隔で離されている電極の間に所望のアークを作る。数ある中でもこれらの理由で、ショックウェーブ・メディカル社の現在知られているシステムは、2つの離隔された電極を備える単一の衝撃波ジェネレータで病変の相対的に狭い軸方向範囲をカバーする。公知のシステムの離隔された電極間の典型的な距離は、約0.004in+/-0.001inまたは0.1mmである。このように、長尺の病変をカバーするには、ショックウェーブ・メディカル社の電極対の構造は、追加の電極対(それらは全て一対の電極の電極間の間隔が相対的に短い)が長尺キャリアおよび/または電極対(単数または複数)を平行移動させるように使用されてもよい平行移動可能で摺動可能な電極対キャリアに沿って配置される必要がある。
【0008】
アーク放電発生中に、電極間の相対的により短い間隙で生成されるエネルギーよりも大きなエネルギーを発生させるために、より長いアークを作ることができるシステムをとりわけ提供することが有利であるだろう。電極に通電して、相対的により長い間隙にわたってより長い電流アークを形成したことを受け、バルーン流体の安全な温度を維持するシステムを提供することがさらに有利であるだろう。
【0009】
本発明の様々な実施形態は、これらの問題、とりわけ、上記の問題に対処する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
これらの図面は、特定の実施形態の図例であり、つまり、本開示を限定する意図はない。
【
図2】圧力の時間変動に関するプラーク治療のレジームを示す。
【
図3】入射衝撃波によるプラークでの時間依存圧力を示す。
【
図4】電極を通した電流パルスが流動および圧力波を作るイベントのシーケンスを示す。
【
図5】電極を通した電流および電圧の標準的なタイミングを示す。
【
図6】気泡の形成と崩壊中におけるエネルギー生産ピークの標準的なシーケンスを示す。
【
図7A】電極およびイオン電流拘束のための形状を有する距離間隔をあけて離された電極を表す2つのディスク例を提供する。
【
図7C】電極を表す離隔された導体球および関連形状を提供する。
【
図13】本発明の一実施形態の側面斜視断面図を示す。
【
図14】本発明の一実施形態の側面斜視断面図を示す。
【
図15A】本発明の一実施形態の斜視断面図を示す。
【
図15B】本発明の一実施形態の斜視断面図を示す。
【
図30】
図30Aは、本発明の一実施形態の正面斜視図を示す。
図30Bは、アーク放電中の構造の一部の腐食または浸食に続く
図32Aの実施形態の側面斜視図を示す。
【0011】
[発明の詳細な説明]
典型的および公知のバルーン血管形成術は、1atm~20atmの範囲の静水圧(およびこれに伴う張力)を0.1秒~100秒の期間だけ加え、これは、プラークに隣接するまたはプラークにより部分的に取り囲まれている血管の流路径を拡張させるように作用する。もしプラークが柔軟(例えば、石灰化していない、または石灰化が部分的のみ)である場合、このほぼ静圧のサイクルが治療として十分である。もしプラークが柔軟でなく(例えば、石灰化しており)、プラークが血管のほぼ円周にわたって広がっている場合、このほぼ静圧のサイクルによって生成されるプラークにおけるフープ応力は、石灰化を破砕できるため、これも治療として十分である。
【0012】
公知の血管形成術の圧力サイクルに反応しないプラークは、代替的なメカニズムを使用する別の時間尺度の圧力サイクルにより治療され得る。
【0013】
ここで、亜音速で移動する流動パルスまたは流動波または流動と定義される、10マイクロ秒~10ミリ秒の時間尺度で変化するプラークにおける圧力(および張力)、ならびに、ここでは、少なくとも音速で移動する圧力波または衝撃波または爆風または衝撃と定義される、1ナノ秒~1マイクロ秒の時間尺度で変化するプラークにおける圧力(および張力)の2つのレジームが重要である。
図2は、局部的な圧力変化に関する時間的レジームのグラフ例を提供する。下記のプラーク治療の改良は、流動および衝撃レジームに概ね関連する。
【0014】
流動波またはパルスの一例は、当技術分野で周知のようなバルーン内での沸騰またはアーク放電の事象に続いてバルーンの表面が収縮することにより組織に作られる変位波である。バルーン内の液体の一部が気化するにつれ、その密度は、1000分の1に低下し、バルーンが占める体積が増える。激しいイオン電流を使用する通電加熱により生成される気泡は、一般的に数十~数百マイクロ秒で拡大して再度収縮する蒸気溜りであり、ほぼ静的なバルーン膨張のより高速版を実行する。
【0015】
圧力または衝撃波の一例は、バルーン内の電極間の初期アーク放電からのブラストが、バルーン内の生理食塩水に衝撃を与えて生成される圧力波である。
【0016】
図3は、その放電の周辺の組織の領域が受ける局部的圧力の一般的な例を示す。圧力p+(圧力段階)への急激な上昇後の定常状態圧力を下回るp-(張力段階)までの下落は、衝撃波を示すものである。衝撃波の速度は、ブラストまたはアークのすぐ隣では音速よりも速く、距離が離れると音速に対して漸近する。張力段階は圧力段階から、放電からの距離が長いほど時間が遅れ、圧力段階が音速に漸近する場合、張力波が音速より僅かに遅く移動するようになる。従って、亜音速および音速波がバルーン砕石手術中に発生する。
【0017】
公知の砕石バルーンシステムにより生成される初期衝撃波は、
図4に示されるように基本ステップ10~60を有する多重ステップ工程100から生じる。第1ステップ10では、イオン的導電性流体である生理食塩水に接触している2つの電極ElおよびE2は、外部電源によりそれらの間に相当の電圧が印加される。電圧が印加されたすぐ後、電極の表面からコロナ放電が生じ、イオン電流が生理食塩水を通じて電極ElとE2との間に(矢印に示されるように)流れる。
【0018】
一度、イオン電流が確立されると、流体と電極の形状と電圧とに依存する0.3マイクロ秒~1ミリ秒の相対的に長い時間があり、その間に流体(生理食塩水)が加熱される。電流集中は、電極El、E2において、一般的に最も高い(必ずしもそうではないが)ため、ステップ20に見られるように、流体はまず電極El、E2において沸騰する傾向にある。生理食塩水はほとんど水であるため、バブルジェットプリントヘッド等の他の瞬間沸騰システムの沸騰特性に従い、水は350℃以上でマイクロ秒以下の時間枠で局所的に自然発生的に沸騰するであろう。
図4は、両方の電極El、E2でほぼ同時に始まる沸騰の典型的なケースと、結果としてそこから生じる気泡がほぼ同じ速度で成長する様子とを示す。
【0019】
局所的沸騰により作られる蒸気溜りは、当初は内圧が高いため、広がりが速い。
図4のステップ20~40は、広がって、2つの電極を接続する連続的なガスポケットへと融合する蒸気溜りまたは気泡を示す。ステップ30~50に示される、リーダ、すなわち気体内のイオンおよび電子の微視的に薄いストリーマは、電極間に連続的な気体経路がある場合、および圧力、温度、電圧、および電極間隔がパッシェンの法則を満たす場合、電極を接続する生理食塩水蒸気を通して形成可能であり、つまり、電極間距離d
eにわたり静圧p
gで気体内において絶縁破壊を開始するために必要な電圧V
Bが、
【数1】
を満たす。
【0020】
式中、AおよびBは、ガス組成の定数であり、γseは、二次電子放出係数である。一般的に、リーダは、十分に高い電界強度および十分に低い気体圧力で形成することができる。溶液内のイオンの衝突間の平均時間は非常に短いため、電界内でイオンが受ける加速は不十分になり、その後の衝突中に追加的な二次電子およびイオンを発生させるため、液状の生理食塩水で放電を開始することはあまり好ましくない。
【0021】
ステップ30を参照し、リーダが最初に生じると、それは概念的に2つの電極を接続する小さな半径のイオンチャネルである。電子は、アノードへと流れ、チャネルの正イオンは、カソードへと流れる。イオンチャネルは高い導電率を有するにもかかわらず、最初に生じた際はその小さな半径に起因して相対的に高い電気抵抗を有している。この工程に関する初期リーダ抵抗例は、キロオーム~オームの範囲内にある。
【0022】
電極にわたって印加される電圧からの電界は、電流を
図4のステップ40および50に示されるようにリーダに通す。高い電圧差を有する高い電流密度によって、リーダは急速に熱くなり、熱くなるに従って放射状に広がり、これは結果としてリーダの抵抗を低下させる。おおよそ10ナノ秒~30ナノ秒の間に、ステップ40のように、リーダの抵抗は、外部のパルスジェネレータから駆動電流を運ぶカテーテル内の導体の直列抵抗を下回るまで下がる。低いインピーダンスを有するようにリーダが一旦広がると、ジェネレータからの電流によって作られる通電加熱のほとんどは、電極および電圧源または電源に動作可能に接続されるカテーテル内の導体の加熱となる。
【0023】
図5は、
図3のステップ40のように、リーダがアークへと発展する際のリーダのインピーダンスが低下して、電極間の電圧および電流が両方とも相対的に高い中、アーク内に分散された電力が急激にピークに達する様子を示す。電流がピークに達するのも、電圧が降下するのも両方とも非常に急速で、電極間にアークが存在することを示している。アーク内に分散される電力のピークは、その間に成長するリーダをアークへと加熱する有益な作業が全て行われる、相対的に短い時間間隔を示す。
【0024】
図6は、経時的な圧力として
図4および5で説明される工程によって作られる圧力波を示す。初期圧力強度ピークは、伝播した衝撃波のハイドロフォン測定であり、エネルギーが電極へと送られると、気泡が生じ、気泡を通したリーダがアークへと広がる。第2圧力強度ピークは、生じた気泡が潰れ、キャビテーション衝撃波を作ることに対応している。注目に値するのは、初期圧力ピークは、圧力差Δによって示されるように、2番目で、つまり、気泡崩壊時の圧力ピークよりも小さい。
【0025】
これらのレジームにおける波のプラークを治療する能力は、本技術分野では一般的に、プラークが受ける圧力が単調であると議論されている。現時点でプラーク治療に関して我々がわかっていることは、以下の工程のうちの1以上が程度の差はあれ貢献しているということである。
【0026】
1.20atmまでのほぼ静的なバルーン膨張によって作られる半径方向、円周方向、および軸方向の力の下におけるアテローム性物質の降伏またはクリープ。
【0027】
2.ほぼ静的な加圧変位を瞬間的に超え得るバルーンの流れ変位によって作られる半径方向、円周方向、および軸方向の力の下におけるアテローム性物質の降伏またはクリープ。
【0028】
3.石灰化物質を衝撃波が通過し、石灰化物質内に亀裂伝播を引き起こす、張力段階中の張力および剪断力。
【0029】
4.プラーク内の音響的な不一致部位(脂肪組織と石灰化との間の表面等)での衝撃波の伝達およびまたは反射による衝撃波内のピーク圧力の張力への変換。これがおそらく有力な治療メカニズムである。
【0030】
5.先に述べた、反射にあたってピーク圧力波のピーク張力波への変換するような、張力であって、キャビテーションを発生させ、これは次にキャビテーション崩壊に起因して次の衝撃波を生成し、これは次に追加的な張力を広げる。
【0031】
6.石油採掘のために岩石層を破砕する水圧破砕法に類似した方法による亀裂内への毛細管流動による衝撃に誘発された亀裂の膨張。
【0032】
7.収縮を誘発する流動事象および衝撃事象により新しく作られる石灰化の亀裂への液体流入等の上記の効果の補完的な組み合わせ。
【0033】
上記のメカニズムを考慮して、砕石バルーンシステムならびに関連する治療法および成果を最適化するには、以下の観念の調和を要する。
【0034】
1.患者に害を与えず、十分に信頼性があり頑丈なシステム。これは当技術分野で周知である。
【0035】
2.ほぼ閉塞した血管を通って平行移動するのに十分なほど小型であるシステム。これは当技術分野で周知である。
【0036】
3.バルーン、および生理食塩水とインジケータとでバルーンを膨張させる方法であって、ほぼ静的な治療が適用できるようになっており、最終的な血管の開いた径を観点として治療の有効性が測定できる、バルーンおよび方法。これは当技術分野で周知である。
【0037】
4.バルーン表面の急速な収縮および流動波の生成を可能にする縮小されたバルーン膨張形態を併せ持つ、バルーン内での電気(またはその他、例えば、レーザまたは超音波)蒸気泡生成。これは当技術分野で周知ではない。
【0038】
5.最も高いピーク圧力と最も低い張力波圧力とを有する衝撃波を発すること。これは、アークが始まった際に消費される電気エネルギーを最大化することと、アークの長さおよび配向を最適化することとに一致する。これは当技術分野で周知ではない。
【0039】
6.衝撃波の発生源を可能な限りプラークの近くに位置付けて、ピーク衝撃圧力が発生源とプラークとの間の距離によって減衰する程度の低減。ここに説明されるようにこれを実現するメカニズムは、当技術分野で周知ではない。
【0040】
7.治療によって作られた熱加熱を最小化すること。熱加熱を縮小または最小化した、ここに説明されるように上記の目的のいくつかまたは全てを実現するメカニズムは、当技術分野で周知ではない。
【0041】
8.治療パルス間の遅れは、先のパルスによって作られた亀裂内への毛細管流動を可能にし、全体的な治療の速度を上げる。これは、当技術分野で周知ではない。
【0042】
衝撃波を発生させるメカニズムにかかわらず、衝撃波が同様に伝播するということは、当業者には周知である。初期点源ブラストからの半径方向距離rでの強い衝撃波のピーク圧力は、初期ブラストE
0のエネルギーに比例し、点源からの半径の逆3乗に比例する。
【数2】
【0043】
ハンス・ベーテ(Hans Bethe)、クラウス・フックス(Klaus Fuchs)、ジョセフ・ヒルシュフェルダー(Joseph Hirshfelder)、ジョン・マギー(John Magee)、ルドルフ・パイエルス(Rudolph Peierls)、およびジョン・フォン・ニューマン(John von Neumann)、爆風(Blast Wave)、マルティーノ出版(Martino Publishing)、2013年、49ページ、方程式2.48参照。
【0044】
発生源から中間距離では、衝撃波はその初期の超音速から減速し、波の空間的な厚みが拡大する。これらの中間距離では、圧力依存はおおよそ以下のようになる。
【0045】
【0046】
もしブラスト源が長さL
arcの線であり、r<3L
arcであり、
rRが線を2等分する平面にある場合、範囲rの圧力の依存は以下のようになる。
【数4】
【0047】
コール(Cole)、水中爆発(Underwater Explosions)、プリンストン大学プレス(Princeton University Press)、1948年、122~7ページ。
【0048】
対象のプラークが受けるピーク圧力を最適化することは、すなわち、(1)放電の初期の際または放電の初期の一部において実用的である限りで多くのエネルギーを蓄積することと、(2)放電と対象のプラークとの間の距離を最小化することとを必要とする。
【0049】
このように、長さL
arcの線形アークは、アークの配向に関してその強さが変化する衝撃波を発生させる。軸または長手方向において、線形ブラスト源は、等しい初期エネルギーの点源よりも小さなピーク圧力を作り、半径方向においては、ピーク圧力は、少なくともL
arcほどの発生源からの距離の間はより大きくなる。半径方向においては、線形アークの中央から距離rにあるプラークが受けるピーク圧力は以下のような形態を有する。
【数5】
【0050】
式中、0.5≦n≦3である。r>>Larcについては、n=約1.16である。線形アークは、点源のように作用する。非常に短い距離に関しては、r<<Larcで、n=約1.16である。r=約Larcで、n=約0.5までの短距離に関しては、衝撃波はそこまで迅速に減衰しない。プラークへ向けて優先して広がるように配向される相対的に長いアークは、対象であり、少なくとも部分的に石灰化したプラークにおいて、ブラストに関連する電気エネルギーを圧力(および張力)効果へと変換することがより効率的である。
【0051】
低インピーダンスの「定常」状態にアークが安定した後では、もし継続する電圧パルスが能動制御により迅速に停止されても、またはもしパルスを動かす蓄積コンデンサがその蓄積エネルギーを放電する際にそれに経時的に弛みが生じても、治療にはさほど問題ではない。
【0052】
電極に印加されるパルス電圧により作られた因果関係の上記の理解に基づくと、少なくとも以下の観念が出現する。
【0053】
A.流体充填バルーン内で作られる衝撃波のエネルギーは、それが安定したアークになる際にリーダの成長において分散されたエネルギーにより主に決定される。電極間の固定された距離では、アークを形成するようにリーダの成長において分散されたエネルギーは、印加電圧、電極距離、およびカテーテルケーブルインピーダンスによって主に決定される。
a.より長いアークはより大きなエネルギーを放出できる。長いリーダは、より高い初期抵抗を有し、電圧および電流のより多くを熱に変換できる。
b.より低いインピーダンスのカテーテルケーブル配線は、より大きなエネルギーを、リーダの成長段階中にリーダに供給でき、より大きなエネルギーを放出することができる。
c.より高い電圧は、リーダをより高い圧力において形成し、それはリーダの加熱速度を上昇させ、それはより多くのエネルギーを放出する。
【0054】
B.電極間の放電を形成するにあたり分散された熱は、電極間に生理食塩水蒸気経路の形成およびその後のタウンゼント破壊の前に、生理食塩水を通じたイオン伝導によって支配される。電極を接続する生理食塩水流体を通じた全ての経路は電流を並列に伝導するため、バルーンの生理食塩水の体積の大部分をサンプリングする経路はゆっくりと熱くなり、沸騰に寄与せずに組織の加熱を高める。
a.アーク形成の前にイオン伝導に関与する生理食塩水の体積は、好適には、電極のすぐ近辺にある電極を接続するチャネルに制限または最小化されるべきである。
【0055】
C.長いアークは、アークの軸に対して垂直に衝撃波を優先的に発生させる。治療が衝撃レジームで行われる範囲まで、プラークがその垂直方向にあるようにアークを配向させることが有効である。
【0056】
さらに、上記の実施形態および観念のうちのいくつかは、他のものを可能にするように作用する。例えば、もし生理食塩水中の2つの電極間の間隙が大きくなった場合、電極間のイオン抵抗が増加し、電極間の平均イオン電流密度が低下する。その結果、沸騰に達するようにバルーン内で生理食塩水を加熱するにあたってパルスジェネレータによって分散されるエネルギーの量は、電極間隔に対して非線形に増える。望ましいより長いアークを実現するには、イオン伝導に関与する生理食塩水を、電極を接続する小さなチャネルに制限することが望ましくなる。この方法により、必要となる加熱エネルギーは、間隙に対して線形にしか増加しない。
【0057】
長いアークを生理食塩水中で発生させることは、電極を離して、電圧を上げればよいという単純なことではない。以下の例は、関連する問題点を明らかにする。
【0058】
図7Aでは、半径aの流体媒質中の電極例を表す2つの導電ディスクが、導電率σの媒質中でdだけ離されている。ディスク間のイオン抵抗は、以下のとおりである。
【数6】
【0059】
図7Bでは、導電している半径aおよびbの同心球がまた、導電率σの媒質によって離されている。球間のイオン抵抗は、以下のとおりである。
【数7】
【0060】
c=d+2(a-b)だけ離されている半径aのバルーン内の半径bの半球電極の抵抗を、
【0061】
図7Cで示される、R
disksおよび4R
spheres(電流は各電極において「球」の半分を通るだけなので、そこでの抵抗は2倍となり、これは両方の電極で発生する)の和として近似する。
【数8】
【0062】
電流を流す導電率σの媒質の体積は以下の通りである。
【数9】
【0063】
電極間に印加される電圧V
0は電力V
0
2/R
electrodesを放散する。もし媒質が熱容量Cpおよび密度ρを有するのであれば、媒質の温度上昇率の平均は以下の通りである。
【数10】
【0064】
図7Cの見本の3つの限定的なケースの形状を考慮する。第1のケースでは、aは、電極半径bと比較して大きい。もし電極の分離間隔もまたaよりも短いのであれば、この非拘束ケースにおける加熱率は、
【数11】
になり、抵抗は、
【数12】
になる。
【0065】
第2のケース、a~bでは、電極とほぼ同じで、電流の流れに垂直である面積の電極間のシリンダに媒質が拘束されている。この拘束ケースでは、加熱率は、
【数13】
になり、抵抗は、
【数14】
になる。
【0066】
拘束ケースは、平均で4a3/(3bd2)倍の速さで熱くなる。拘束ケースは、bd/a2分の1の電力を放散する。例えば、d=0.5mmほど離されている半径b=0.05mmの電極の拘束ケースであって、同様に半径0.05mmのそれらの間の流体チャネルを通して電流を流している電極の拘束ケースは、内部半径a=4mmのバルーンが、同じサイズおよび間隔の電極からのイオン電流を制限する、非拘束ケースと比較すると、電力の0.2%を使用しながらも平均で6,800倍速く流体を熱する。
【0067】
第3の限定的なケースは、電極間の距離が電極の径に近付く場合である。このケースでは、電極表面付近の電流集中領域が重なり、拘束ケースと非拘束ケースの中間の熱効率が生じる。
【0068】
ひいては電極間のより長いアークに繋がる、拘束または制限されたイオン電流チャネルのメリットは、先行技術の設計を考慮すると、これらの設計のアークの長さがより短いことを主な理由として、明らかではない。
【0069】
沸騰段階の間に生理食塩水中に分散される熱の量を減らすには、イオン電流が電極を接続する狭いチャネルに可能な範囲まで拘束されるべきである。これはまた、アーク生成というよりは加熱に消費される電源部に高電圧で蓄えられるエネルギーの割合も減少する。
【0070】
電極対(単数または複数)の周囲でバルーンを部分的に潰すことによって、電極対において離隔された電極間に流体の狭いチャネルを形成するように作用する。電極周囲で流体を拘束または制限する他のメカニズムは、後述する。
【0071】
長いアーク(約0.5mmよりも長いもの)は、イオン電流がアクセスできる生理食塩水の体積を制限するいくつかの追加のメカニズムなしには膨張したバルーン内では非現実的である。これは、一般的に、加熱率は生理食塩水の導電率と直線的に増加し、適切な流体制限の方策なしに長いアークを発生させることは、結果として治療中に流体の有害な過熱をまねくからである。
【0072】
当業者であればここで気づくだろうが、電極周囲または電極間でより小さく、より狭いチャネルまたは体積に流体を制限することまたは拘束することは、発熱の安全レベルをもってより長いアーク(約0.5mmよりも長い)および/またはより短いアーク、すなわち、0.5mmよりも短いもので実行され得、可能にする技術である。下記の実施形態は、0.1mmから15mmの間の長さを有する、離隔された電極間の間隙、およびそれらの間に生成されるアークに対して有益な効果があるだろう。
【0073】
図8は、電極ElとE2との間に流体Fの狭いチャネルを提供する、スリーブ例300として示される、流体制限または拘束構造内に配置されている2つの離隔された電極El、E2を備える流動および圧力波ジェネレータ例の一例を提供する。長尺カテーテルまたは部材302は、ポリマー、例えば、シリコーンから構成され得るスリーブ内に収められる2つの電極例El、E2を有する。スリーブは、ひいては、少なくとも部分的に膨張された際に、水密な内部を形成するように密封され、流体F、例えば、生理食塩水を備える膨張性バルーン304内に封入可能であり、膨張性バルーン304は、複数の膨張形態を備え、各膨張形態は、異なる液圧を有する。膨張性バルーン304の各膨張形態は、スリーブ300の体積よりも大きな体積を有する。膨張性バルーン300は、当業者にはよく知られているように、長尺カテーテルまたは部材302内またはそれに沿って配置されている流体供給ラインを介して流体チャネルと流体連結状態にあってもよく、これは、膨張性バルーンの内部内でカテーテルにある開口部(弁付きであってもよい)を通して膨張性バルーンを膨張または収縮させるための流体リザーバと近位端で連通状態にあり、流体供給ラインおよび流体チャネルを介して流体リザーバと流体連結状態にある。
【0074】
スリーブ300は膨張可能であってもよいが、最大膨張径が、膨張形態にあるスリーブ300が、バルーン内の流体の量または体積に対して、電極ElとE2との間の流体の体積の量を狭く制限するように、膨張性バルーン304の径よりも小さくなっている。いくつかの実施形態では、スリーブ300の最大膨張径が、バルーン304の最大膨張径の2倍以下である。他の実施形態では、スリーブ300の最大膨張径が、バルーン304の最大膨張径の3倍以下である。他の実施形態では、スリーブ300の最大膨張径が、バルーン304の最大膨張径の5倍以下である。他の実施形態では、スリーブ300の最大膨張径が、バルーン304の最大膨張径の10倍以下である。
【0075】
加えて、スリーブ300の膨張体積は、バルーン304の膨張体積より小さい。いくつかの実施形態では、スリーブ300の最大膨張体積は、バルーン304の最大膨張体積の2倍以下である。他の実施形態では、スリーブ300の最大膨張体積は、バルーン304の最大膨張体積の3倍以下である。他の実施形態では、スリーブ300の最大膨張体積は、バルーン304の最大膨張体積の5倍以下である。他の実施形態では、スリーブ300の最大膨張体積は、バルーン304の最大膨張体積の10倍以下である。他の実施形態では、バルーン304の最大膨張体積は、スリーブ300の最大膨張体積の1.5倍以上である。
【0076】
長尺カテーテルまたは部材例302の径は、1.5mm(0.20~0.40in)であってもよく、電極例El、E2の半径方向の厚さは、0.2mm(8mils)(0.002~0.004in)であってもよく、スリーブ例300の厚さは、0.05mm(2mils)(0.0005~0.003in)であってもよい。他の厚さが使用されてもよく、他の厚さは本明細書中に説明されている本開示および発明の範囲内にある。電極El、E2を電源部または電圧パルスジェネレータに接続する導電性ワイヤが存在するが、図示されておらず、しかしながら当業者には、例えば、本明細書中に説明されているように既知である。
【0077】
オプションでレーザカットスロット(単数または複数)または溝(単数または複数)306が、長尺カテーテルまたは部材302に沿って、スリーブ300の内部内に配置されるように示されている。このオプションのスロットまたは溝306は、その閉またはニュートラル状態で作用してスリーブ内のイオン電流を分離する。沸騰事象が一旦開始されると、スリーブ内の圧力の上昇がスロットを開き、スリーブからの非破壊的な流出が可能となる。事象と事象との間、生理食塩水がスリーブの内部を再充填する。本実施形態の応答が、先に算出された拘束ケースの抵抗および時間応答に続く。
【0078】
図8のスリーブ例300は、少なくとも長尺カテーテルまたは部材302を部分的に取り囲み、膨張形態にある際に封入バルーンの流体Fと少なくとも部分的に流体連結にある、近位端と遠位端とを備える。これは、封入バルーンの流体が、例示的なスリーブ内へと進入し、流体Fを2つの電極間の間隙内へと供給することを可能にする。スリーブ300の近位端および/または遠位端の部分はカテーテルまたは部材302に接着および/または留められて、電極El、E2の絶縁部分周辺の適所にスリーブ300を固定してもよく、スリーブ300は、電極El、E2の非絶縁部分から離隔されている。代替的には、スリーブ300の部分に電極El、E2の一方または両方の絶縁部分に接着されてもよい。好適には、スリーブ300は、示されるように電極El、E2の周囲に設置されてもよいシリコーンを含む。流体Fは、封入バルーンから、例えば、長尺カテーテルまたは部材302と、スリーブの近位および/または遠位端との間に設けられる1以上の流路を通してスリーブ内へ、およびスリーブ300の近位端および/または遠位端との流体連結を介して電極ElとE2との間の間隙内へと移動することが可能にされてもよい。流路は、スリーブ300の近位端および遠位端の内部表面が長尺カテーテルまたは部材302の外面から間隔をあけた結果、チューブまたは導管のような別々に画定された構造であってもよい。
【0079】
出願人は、スリーブ300が、本明細書中に説明されている流動および圧力波ジェネレータの外面上または外面に沿って配置されていてもよく、流動および圧力波ジェネレータの離隔された電極間のアーク放電が、スリーブ300に悪影響を与えたり、損傷を与えたりしないことを発見した。いくつかの実施形態では、スリーブ300は、以下に説明されている流動および圧力波ジェネレータの離隔された電極の表面に沿って設置されていてもよい。スリーブ300のこれらの実施形態は、本明細書中に説明されている全ての流動および圧力波ジェネレータの実施形態に適用可能で、好適には、スリーブ300はシリコーンを含む。
【0080】
実施形態のいくつかでは、スリーブ300は、近位端および遠位端で密封されて、能動的または受動的な流体流入のいずれかに適していてもよい。受動的に充填されたスリーブ300の実施形態では、1以上の開口部、スリット、穴などが、スリーブ300に沿って1以上の点に設けられて、流体が封入バルーンからスリーブ300の内部へと流れることを可能にしてもよい。
【0081】
代替的な実施形態では、スリーブ300は、中央カテーテル内に配置される流体チャネルと流体連結状態にあってもよく、流体チャネルは、その近位端で流体リザーバと流体連結状態にある。弁付きでもよい開口部は、スリーブ内に、カテーテルを通して設けられてもよく、流体チャネルおよびスリーブ300の内部と流体連結状態にあってもよい。流体チャネルは、分離したスリーブ流体チャネルであってもよいし、スリーブおよび膨張性バルーンの両方に使用される共通流体チャネルであってもよい。代替的には、流体チャネルは、カテーテルまたは部材302の外面上に乗っていてもよく、バルーンは、流体チャネルおよびカテーテル外面の周囲に密封されている。この能動的な膨張および収縮メカニズムは、当業者には周知であり、上記でも膨張性バルーン304に関連して説明されており、図示はない。
【0082】
さらに別の代替的な実施形態では、上述の流体リザーバ、流体チャネル、および開口部流路によってスリーブ300の膨張および収縮が実現されつつ、スリーブ300によって電極E1とE2との間に流体Fの所望の狭いチャネルが設けられるように、封入膨張性バルーン304は必須でなくても、設けられていなくてもよい。
【0083】
図9に目を向けると、血管内砕石装置例350が提供されている。長尺カテーテルまたは部材302には、カテーテルまたは部材302の周囲に設けられている封入バルーン304が設けられ、生理食塩水等の流体Fで膨張および/または収縮されることが可能なバルーン内部を画定し、そのため、バルーン304は近位端および遠位端の両方で密封されている。離隔された電極(その構造は以下でさらに説明される)を備える2つの流動および圧力波ジェネレータ352、353が、互いに軸方向に離隔した関係をもって長尺カテーテルまたは部材352に沿って配置されている。流動および圧力波ジェネレータ356および357は、1以上のワイヤ導体Wによっておよび電圧パルスジェネレータ(不図示)で電気的に接続されている。各流動および圧力波ジェネレータ356、357は、スリーブ例300によって取り囲まれ、これは
図10に関連して様々な実施形態で説明されている。
図10でも説明されているように、封入バルーン304は、スリーブ300と、流動および圧力波ジェネレータ356、357とを取り囲む。流体リザーバは、流体供給ラインおよび流体開口部を通じてバルーン304の内部と流体連結しているように示されている。
【0084】
上記で注意されているように、もし電極間に狭い流体チャネルを設けることでイオン電流を拘束するために部分的に潰れたバルーンが使用されるのであれば、アークが形成される際のバルーンとの間の保護用距離を作るようにバルーンの動きまたは位置を制限することが好ましい。
【0085】
図10は、各電極El、E2を覆い、各電極El、E2に対する部分的に潰れたバルーンの膨張形態の距離およびそれらの間のいかなる合成アークも制限するスタンドオフ362を備える、部分スリーブ360を示す。スタンドオフ362は、円環状で示され、各部分スリーブ360の開放端に配置され、関連電極の径より大きな径を備え、スタンドオフ362は、関連電極から軸方向に間隔をあけた位置、および2つの電極E1とE2との間の間隙内に位置付けられる。スタンドオフ362は、直前の要素が満たされる限りにおいていかなる形状から構成されていてもよい。このようにして、スタンドオフ362および部分スリーブ360は、部分的に潰れたバルーンに電極El、E2および合成アークに対するバリアを作る。部分スリーブ360は、カテーテルまたは長尺部材302および/またはその各電極El、E2の絶縁部分に取り付けられて、正しい位置に維持されてもよい。
【0086】
スタンドオフ362は、
図8および9に関連して説明されている特定の実施形態で使用されてもよく、スリーブ300が非絶縁電極およびそれらの間で生成される電気アークから安全な距離で保持されることを確保する。これらの実施形態で、スタンドオフ362は、スリーブ300の内部に接続されても、または長尺カテーテルまたは部材302の外面に接続されてもよい。部分スリーブ360は、その内部がカテーテルまたは部材302を通しておよびバルーンの内部に配置されている流体供給ライン、流体チャネル、および開口部を介して流体リザーバと流体連結状態にある封入膨張性バルーン304により取り囲まれている。
【0087】
図11は、流動および圧力波ジェネレータ400の実施形態を示す。流動および圧力波ジェネレータ400は、導電性だが、絶縁材Iで主として覆われている支持または本体部402を備える。支持部402は、長尺カテーテルまたは部材302に取り付けられていてもよい。支持部402は、切欠き部404および切欠き部404と連通状態にあるチャネル406を備える。チャネル406は、ワイヤ導体Wが支持部402および切欠き部404に沿って延びることを可能にし、電圧パルスジェネレータ(不図示だが本明細書中に説明されている)に接続されているワイヤ導体Wのための固定された受容構造を設ける。リターン導体WRもまた、電圧パルスジェネレータに接続して回路を完成するために示されている。
【0088】
ワイヤ導体Wは、絶縁体に主として覆われ、ワイヤが露出した絶縁被覆が無く、切欠き部404内に配置され、剥離された部分の最遠位端に近位である、剥離部分を備える。ワイヤ導体Wの最遠位絶縁部分および剥離された部分に近位である絶縁ワイヤ導体の一部は、両方とも切欠き部404の対向側のチャネル406内に受容される。剥離された部分は流動および圧力波ジェネレータ400の第1電極410を画定する。
【0089】
示される切欠き部404の実施形態は、切欠き部404の対向側に絶縁体によって覆われていない2つの弓状または凸状構造を備える。2つの弓状または凸状構造は、それぞれ、流動および圧力波ジェネレータ400内に第2電極411および第3電極412を画定する。電極410は、電極411から半径方向に間隔をあけ、また、電極412から対向側で半径方向に間隔をあけて、結果としてそれらの間に間隙を作る。
【0090】
第1、第2、および第3電極410、411、および412は、全て、カテーテル部材302の外面に対して同じ半径位置にあることが好ましい。言い方を変えれば、電極410、411、および412の位置および/または配置は、同径であることが好ましい。
【0091】
他の実施形態では、1つまたは1つより多い電極410、411、412は、異なる半径方向位置にあってもよい、すなわち、他の電極と同径でなくてもよい。これらの実施形態では、1以上の電極410、411、412は、他の電極(単数または複数)410、411、412の半径方向下方または半径方向上方に設けられてもよい。
【0092】
図示されるように、流動および圧力波ジェネレータ400は、電圧パルスジェネレータ(不図示だが上述されている)が第1電極410に十分な電圧を供給する際に存在する、電極410と電極412との間のアーク414および電極410と電極411との間のアーク416によって図示されるような2つのアーク生成可能領域を備える。
【0093】
作動されるアーク生成領域414、416は、弓状電極411、412の相対的なサイズまたは表面積および/または第1電極410と第2および第3電極411、412との間の間隙の相対的なサイズから影響を受けてもよい。
【0094】
電極410、411、および412の表面積は、実質的に等しくてもよい。他の実施形態では、1以上の電極410、411、および412は、同等でない表面積を備えていてもよく、例えば、1つまたは2つの電極が、他の電極よりも大きな表面積を有していてもよい。
【0095】
図12に示されるように、代替的な流動および圧力波ジェネレータ400’が示され、これは、400の流動および圧力波ジェネレータの改良版である。流動および圧力波ジェネレータ400’は、導電性だが主として絶縁材Iで覆われている支持部402’を備える。支持部402’は、長尺カテーテルまたは部材302に取り付けられていてもよい。支持部402’は、切欠き部404’と、切欠き部404’と連通状態にあるチャネル406’とを備える。チャネル406’は、ワイヤ導体Wが支持部402’および切欠き部404’に沿って延びることを可能にし、電圧パルスジェネレータ(不図示だが、本明細書中に説明されている)に接続されるワイヤ導体Wのための固定された受容構造を提供する。リターン導体WRもまた、電圧パルスジェネレータに接続して回路を完成するために示されている。
【0096】
ワイヤ導体Wは、絶縁体に主として覆われ、露出ワイヤによって絶縁体が欠けており、切欠き部404内に配置され、剥離された部分の最遠位端に近位である、剥離された部分を備える。ワイヤ導体Wの最遠位絶縁部分および剥離された部分に近位である絶縁ワイヤ導体の一部は、両方とも切欠き部404の対向側のチャネル406内に受容される。剥離された部分は流動および圧力波ジェネレータ400の第1電極410を画定する。
【0097】
図14に示される切欠き部404’は、切欠き部404’の片側で絶縁体により覆われていない単一の弓状または凸状構造を備える。弓状または凸状構造は、電極410から半径方向に間隔をあけた第2電極412’を画定し、その結果、それらの間に間隙を作る。
【0098】
第1および第2電極410および412’は両方ともカテーテル部材302の外面に対して同じ半径方向位置にあることが好ましい。言い方を変えれば、電極410および412’の位置および/または配置は、同径であることが好ましい。
【0099】
他の実施形態では、1つの電極410および412’は、他の電極から異なる半径方向位置にあってもよく、すなわち、電極410および412’は同径でなくてもよい。これらの実施形態では、1以上の電極410または412’は、他の電極(単数または複数)410または412’の半径方向下方または半径方向上方に設けられてもよい。
【0100】
図示されるように、流動および圧力波ジェネレータ400’は、電圧パルスジェネレータ(不図示だが上述されている)が第1電極410に十分な電圧を供給する際に存在する、電極410と電極412’との間のアーク414’によって図示されるような1つのアーク生成領域を有してもよい。代替的には、第3電極411’が、示されるように平坦な領域に沿って提供されてもよく、そのため、本実施形態は、2つのアーク生成領域を備える。
【0101】
電極410および412’の表面積は、実質的に等しくてもよい。他の実施形態では、1以上の電極410および412’は、同等でない表面積を備えてもよく、例えば、1つまたは2つの電極は、他の電極よりも大きな表面積を有していてもよい。
【0102】
図11および12の実施形態のそれぞれでは、切欠き部404、404’により画定される電極の弓状または凸状は、例にすぎない。他の形状が使用されてもよく、当業者には他の形状が思い浮かぶだろうが、その全てが本実施形態の範囲内に含まれる。
【0103】
図13目を向けると、
図11および12の流動および圧力波ジェネレータ例400、400’は、
図8および9に関連して説明されているように、説明されたより長いアークと関連する利点を得るために、流体制限スリーブ300内に配置されてもよい。この流体制限装置の実施形態例は、
図13に示され、上記に説明されているように、スリーブ300が流体に対して水密エンクロージャを提供するように密封されている場合に封入バルーンを必要としない。スリーブ300は、対象の血管に挿入される前に事前に充填されていてもよい、または、長尺カテーテルまたは部材302を通して、もしくはそれに沿って流体チャネルを使用して能動的に充填されてもよく、スリーブ300は、流体リザーバ(不図示だが、当技術分野で周知でもあり、本明細書中にも説明されている)と流体連結状態にある。
【0104】
従って、全ての流動および圧力波ジェネレータは、スリーブ300を有する実施形態を備えて、本明細書中に説明されているように電極対間の狭いチャネルへと流体を制限してもよく、封入バルーンを必要としてもよいし、必要としなくてもよい。
【0105】
図14は、流動および圧力波ジェネレータ500の代替的な実施形態を示し、流動および圧力波ジェネレータ400のそれと類似しているが、支持部402内に形成または画定される第1および第2切欠き部404、405を有し、切欠き部404、405は、互いから半径方向に離隔している。第1および第2切欠き部404、405のそれぞれは、示されるように、
図11に関連して説明されているように、第1電極410と、第2および第3電極411および412とを備えてもよい。各導電体W、WRは、示されるように電圧パルスジェネレータに接続される。
【0106】
図14の装置に関する電流の流れの一例がここで提供される。はじめに、十分な強さの電圧パルスがワイヤ導体Wを通して電圧パルスジェネレータから送られ、第1電極410と、例えば、第3電極412との間にアーク414を発生させる。初期アーク414は、第1切欠き部404に発生させる。
【0107】
初期アーク414が、第1切欠き部404において、第1と第3電極411、412との間に生成された後、電流は、導電性支持部材402を通って、切欠き部404と同じ電極構成を有する第2切欠き部405へと流れる。このように、電流は、導電性支持部材402から第2切欠き部405の第3電極412へと(図のように)流れ、アーク414’が第2切欠き部405の第3電極412と第1電極410との間に生成されてもよい。
【0108】
代替的には、もし初期アーク415が第1切欠き部404において、第1電極410と第2電極411との間に生成されるのであれば、電流の流れは、支持要素402の周囲で逆向きにされてもよい。この場合、電流は、第2電極411から導電性支持部402を通って第2切欠き部405の第2電極411へと流れるだろう。アーク415’は、第2切欠き部の第2電極411と第1電極410との間に生成されてもよい。
【0109】
両方のケースで、414’または415’のいずれかの第2アークが一旦生成されると、図のようにリターンワイヤ導体WRを介して電圧パルスジェネレータの低電力または接地側へと電流が流れる。
【0110】
ワイヤ導体Wならびにワイヤリターン導体WRならびに関連する剥離され、露出した部分(第1電極410を形成)を受容するために支持部402に画定されるチャネル406も存在する。この方法で、半径方向に離隔されたアークおよび合成圧力波は、単一の流動および圧力波ジェネレータ内に生成されてもよい。これらのチャネル406は、本明細書中に説明されている任意の実施形態に存在する場合、交差プロファイルを低減するのに役立つ。
【0111】
図14は、実質的に正反対の半径位置にある、すなわち、約180度半径方向に離隔された、第1および第2切欠き部404および405を示す。これは、単に一例にすぎず、代替的な半径方向の間隔が提供されてもよい。加えて、1よりも多い切欠き部または2以上の切欠き部には、電極410、411、および412等の関連する電極対が設けられてもよい。従って、例えば、支持部402の周囲で互いから120度離隔する半径方向位置から、例えば、圧力波を作るために2つ、3つ以上の切欠き部が設けられてもよい。
【0112】
図15Aおよび15Bに目を向けると、代替的な流動および圧力波ジェネレータ600が提供される。ここで、支持部402は、第1切欠き部602と第2切欠き部603とを画定する。上述の通り、支持部402は、導電性であるが、第2電極411と第3電極412とを画定する2つの非絶縁部分を除いて絶縁されており、これらの要素もまた上記に説明されている。電圧パルスジェネレータの高電力側に接続される絶縁ワイヤ導体Wは、第1切欠き部602に配置され、第1切欠き部602と流体連結状態にあるチャネル106を通して延び、本明細書中に説明されている第1電極411を画定する剥離された部分を備える。第1電極410は、第2および第3電極411、412から半径方向に間隔をあけ、第2および第3電極411、412と同じ半径方向平面上にあり、それらの間に間隙を作っている。絶縁ワイヤ導体の遠位端は、第1切欠き部603のチャネル405の遠位部分で終端する。
【0113】
第2切欠き部603は、ワイヤ導体Wが絶縁されていて、第2切欠き部602の第1電極410を画定する剥離されて露出された、または非絶縁部分を有する第2ワイヤを備えることを除いて、第1切欠き部602の構造と同じ構造を備え、第2絶縁ワイヤ導体の近位絶縁端は、第2切欠き部603のチャネル406の近位部分で終端する。第2切欠き部603はまた、第2および第3電極411、412を画定するように非絶縁であり、第2切欠き部603の第1電極410に向けて延びている部分を備える。第2切欠き部603の第1電極410は、第2切欠き部603の第2および第3電極411、412から半径方向に間隔をあけ、それらと同径位置にある。
【0114】
流動および圧力波ジェネレータ600は、このように構成されて、
図17Aに説明されて示されるように、切欠き部および画定された電極対を有する支持部の1以上を収容する。第2絶縁ワイヤ導体W2は、電圧パルスジェネレータの低電力側へと単純に戻ってもよい。代替的には、第2絶縁ワイヤ導体W2は、切欠き部と直列接続にある画定された電極対とを有する他の支持部と接続してもよい。
【0115】
図15Bは、第1および第2切欠き部602、603ならびに切欠き部602、603のそれぞれによってまたはその中に配置されているおよび/または画定されている第1、第2、および第3電極410、411、412を有する第1近位支持部402と、第1および第2切欠き部602、603ならびに切欠き部602、603のそれぞれによってまたはその中に配置されているおよび/または画定されている第1、第2、および第3電極410、411、412を有する第2遠位支持部402と、を備える、このような直列接続を示す。
【0116】
図15Aで最もよくわかるように、直列に接続される支持部402のそれぞれに対して、第1切欠き部602の第1電極410と第2電極411との間に生成されるアークが415として表され、第1切欠き部602の第1電極410と第3電極412との間に生成されるアークが414として表されている。そして、直列に接続される支持部402のそれぞれに対して、第2切欠き部603の第1電極410と第2電極411との間に生成されるアークが415’として表され、第2切欠き部603の第1電極410と第3電極412との間に生成されるアークが414’として表されている。
【0117】
図15Aの電流の流れは、
図16に関連して説明されているものと同じである。
図15Bの電流の流れは、以下のように進んでもよい。まず、十分な強さの電圧パルスがワイヤ導体Wを通って電圧パルスジェネレータから送られ、第1電極410と、例えば、第2電極411との間にアーク414を発生させる。初期アーク415は、近位または第1支持部402の第1切欠き部602に生成される。
【0118】
初期アーク415が、第1切欠き部602において、第1電極410と第2電極411との間に生成された後、電流は導電性支持部材402を通って第1切欠き部603と同じ電極構成を有する第2切欠き部603へと流れる。このように、電流は導電性支持部材402から第2切欠き部603の第2電極412へと(図のように)流れ、アーク415’は第1または近位支持部402の第2切欠き部603の第2電極411と第1電極410との間に生成されてもよい。
【0119】
第1または近位支持部402の第2切欠き部603の第1電極410は、第2または遠位支持部402の第1切欠き部602に動作可能に係合されている導電性絶縁ワイヤW2を備える。電流は、第1切欠き部602の第1電極410から第1切欠き部602の第3電極412へとこのように流れてもよく、それらの間にアークを生成してもよい。電流は続いて、第2または遠位支持部402を通って流れて遠位支持部402の第2切欠き部603の第2電極411に到達してもよく、アークは、第2切欠き部603および第2または遠位支持部402の第2電極と第1電極411との間に生成されてもよい。第2切欠き部603の第1電極411もまた、リターン導電性ワイヤWRとして機能し、電圧パルスジェネレータに接続して回路を完成する。
【0120】
流動および圧力波ジェネレータ600のそれぞれは、このように、十分な電圧パルスごとに1つまたは1つよりも多いアークおよび合成圧力波を生成することができる。
図15Bに説明されるケースにおいて、近位および遠位の流動および圧力波ジェネレータ600はそれぞれ、十分な電圧パルスごとに2つの連続的で半径方向に離隔されたアークおよび圧力波を生成するだろう。加えて、2つの流動および圧力波ジェネレータによって生成される圧力波は、軸方向または長手方向に離隔するだろう。
【0121】
図16は、
図15Aおよび15Bの流動および圧力波ジェネレータの断面図であり、実施形態をさらに示し、電極410、411、および412は、全て支持部402の周囲で同径に位置付けられている。
【0122】
図17および18は、
図15Aおよび15Bの流動および圧力波ジェネレータを示し、個々の流動および圧力波ジェネレータ600は、上記の通り、単一スリーブ300内に収められている。代替的な実施形態では、個々の流動および圧力波ジェネレータ600のそれぞれを取り囲むために単一スリーブ300が使用されてもよい。スリーブ(単数または複数)300は、上述の通り、封入バルーンを有してまたは有することなく使用されてもよく、能動的にまたは受動的に膨張または収縮されてもよい。示されるように、スリーブ300の内部は、スリーブ300の内部内に設けられたカテーテルまたは部材302を通して流体供給ライン、流体チャネル、および開口部を介して流体リザーバと流体連結状態にある。
【0123】
図19は、流動および圧力波ジェネレータ700の他の実施形態であり、上述の実施形態と同様の実施形態であるが、切欠き部は、電極を形成するために絶縁されていない弓状または凸状構造を備えていない。その代わりに、切欠き部を画定する支持部402の本体の縁部の少なくとも一部が絶縁されていない。単一切欠き部、例えば、図示の420、または図示の半径方向に離隔された切欠き部420、421が設けられてもよい。
【0124】
流動および圧力波ジェネレータ700は、導電性だが絶縁材Iで主として覆われている支持部418を備える。支持部418は、長尺カテーテルまたは部材(不図示だが本明細書中に説明されている)に取り付けられてもよい。支持部418は、形状が実質的に同一である第1切欠き部420および第2切欠き部421と、切欠き部404’と連通している第1チャネル406および第2チャネル407とを備える。チャネル406は、ワイヤ導体Wが支持部418および第1切欠き部420に沿って延びることを可能にし、チャネル407は、ワイヤリターン導体WRが支持部418および第2切欠き部421に沿って延びることを可能にする。各チャネル406、407は、ワイヤ導体W、WRそれぞれに対して固定された受容構造を提供し、そのいずれも電圧パルスジェネレータ(不図示だが、本明細書中に説明されている)に接続される。
【0125】
当業者は、WRが電圧パルスジェネレータに実際そのまま戻って回路を完成してもよいことを理解するだろうが、WRが第1流動および圧力波ジェネレータから離隔された他の流動および圧力波ジェネレータ600へと繋がってもよいことも容易に理解するであろう。ここでは、
図17Bの電気的構成と同様に、流動および圧力波ジェネレータが直列電気接続で配置され、2以上の流動および圧力波ジェネレータ600の直列のうちの最後の流動および圧力波ジェネレータ600の後、ワイヤ導体は電圧パルスジェネレータに戻る。
【0126】
ワイヤ導体W、WRは、本明細書中に説明されているように、それぞれ絶縁体に主として覆われ、露出されたワイヤを有し、第1切欠き部420(W)および第2切欠き部421(WR)内に設けられている絶縁体を欠いている剥離された部分を備え、露出されたワイヤはワイヤ導体W、WRの絶縁部分間に設けられている。剥離された部分に近位および遠位である絶縁ワイヤ導体Wの部分は両方とも切欠き部420の対向側に沿って画定されているチャネル406内に受容される。同様に、剥離された部分に近位および遠位である絶縁ワイヤ導体WRの部分は両方とも切欠き部421の対向側に沿って画定されているチャネル407内に受容される。剥離された電極425はそれぞれ、第1切欠き部420および第2切欠き部421内の第1電極を画定する。
【0127】
第1切欠き部420は、切欠き部420の縁部Eに沿った少なくとも1つの非絶縁領域を備える。この少なくとも1つの非絶縁領域は、第1電極410に対する第2の離隔された電極423を、それらの間に間隙を有して、少なくとも形成する。切欠き部420の縁部から絶縁体を取り除くことによって、第2非絶縁領域が切欠き部の対向側に形成されてもよく、その結果、第1電極410に対する第3の離隔された電極425を、それらの間に間隙を有して画定する。
【0128】
第2切欠き部421は、第1切欠き部420の構造的特徴と同じ構造的特徴を備えてもよい。
【0129】
流動および圧力波ジェネレータ700の全ての電極410、423、425は、同径にあることが好ましいが、電極のうち1以上が他の電極と同径になくてもよい。
【0130】
ここで
図20および21に目を向けると、例示的な流動および圧力波ジェネレータを通る断面が切り取られて、材料の構成および階層構造の一例を示す。
【0131】
部材AおよびCは、アノード/カソードコア要素である。
【0132】
Bは、部材Aの絶縁層である。
【0133】
Dは、部材Cの絶縁層である。
【0134】
図21で最もよくわかるように、部材AおよびCは、本明細書中に説明されており、第2電極411および第3電極412と間隔をあけた関係となるように設けられている第1電極410を画定する剥離された部分をそれぞれ備える。部材AおよびCのそれぞれと、関連する第2および第3電極411、412は、本明細書中に説明されているように、第1および第2切欠き部内に設けられている。
【0135】
Eは、アノード/カソードコア要素である。
【0136】
Fは、ポリイミド等の高温に耐えることができる部材Eの絶縁層である。
【0137】
Gは、アノード/カソードコア要素であり、非連続導電性支持スリーブ部材である。
【0138】
Hは、支持部材、例えば、I、J、およびKの3つの要素で構成される長尺カテーテルまたは部材302である。
【0139】
INは、ガイドワイヤをわたっての移動を容易にするように低摩擦である電気的に絶縁性の材料で構成される支持部材の内層である。
【0140】
Jは、編組またはコイル等のような機械的な支持特性で構成される支持部材の中間層である。
【0141】
Kは、ポリイミド等の高温に耐えることができる電気的に絶縁性の材料で構成される支持部材の外層である。
【0142】
Lは、他の非連続的な導電性支持スリーブ部材へと延び、部材Gに取り付けられていない接地ワイヤである。
【0143】
ルーメンは、本明細書中に説明されているような長尺カテーテルまたは部材302を受容するために図示のように画定される。
【0144】
一般的に、本発明の実施形態は、血管内の石灰化領域を破壊するまたは石灰化領域に亀裂を入れるための亜音速ならびに音速および/または超音速で移動する流動および圧力波を生成するための方法および装置を備えるが、生成された流動および圧力波の破壊効果は、部分的なまたは非石灰化閉塞物質へと及ぶ可能性がある。より詳細には、
図22~33を参照して、一例であり代替的な実施形態1100は、特定の実施形態ではレーザカットポリイミドチューブから構成され得る長尺キャリア1102の遠位端1103にまたはその付近に取り付けられた公知の空気注入式血管形成バルーン1104を有するカテーテル等の長尺部材またはキャリア1102を備える。バルーン1104の遠位端1105は、長尺キャリア1102に接してまたはその周囲に密封されて、水密バリアを作ってもよく、流体Fでバルーン1104を膨張およびバルーン1104を収縮させるために、バルーン1104の内部と流体連結し、患者の外部に位置する流体含有リザーバ(不図示)と流体連結し、当技術分野で周知である、流体膨張/収縮チャネル1106をさらに備える。ガイドワイヤの平行移動を可能にするように構成されているガイドワイヤルーメン(不図示だが、当技術分野で周知である)は、長尺キャリアを通って、そこから遠心に延び出て、当業者には配置も周知である。
【0145】
本発明の様々な実施形態が流体で満たされた環境、例えば、体腔および/または血管内において、すなわち、流体充填バルーンの必要なく、効果的でもあることが理解されるであろう。様々な実施形態が流体充填バルーンに関連して説明されているが、流体で満たされた環境内に配置される長尺カテーテルにも適用され、以下に説明されている流動および圧力波ジェネレータが流体で満たされた環境内で長尺キャリアに沿って、スリーブ300の有無にかかわらず配置されてもよい。このような実施形態の全てが本発明の範囲内に含まれる。
【0146】
そこで、少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータ1200が提供され、各流動および圧力波ジェネレータは、それらの間に画定される間隙によって離隔された2つの導電特性を備える。いくつかの実施形態では、2つの流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’が提供されてもよい。さらに他の実施形態では、1つよりも多い流動および圧力波ジェネレータ、すなわち、2以上が提供されてもよい。
【0147】
もし単一の流動および圧力波ジェネレータ1200が提供されるのであれば、バルーン1104内において実質的に軸方向中央に置かれてもよい。他の実施形態では、単一の流動および圧力波ジェネレータ1200は、バルーンの内部の近位または遠位端に寄っていてもよい。
【0148】
2以上の流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’が提供される場合、隣接する流動および圧力波ジェネレータ、例えば、1200、1200’は、互いから軸方向に離隔されてもよく、各流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’により画定される合成間隙は、互いから軸方向に離隔されている。3以上の流動および圧力波ジェネレータが提供されるケースでは、隣接する亜音速圧力波ジェネレータ間の合成間隙は実質的に等しくてもよい、または1以上のスパークギャップは、他の流動および圧力波ジェネレータに対するものよりもより長くても、より短くてもよい。
【0149】
上記に説明されているように、流体制限スリーブ1300は、流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’のうちの1以上の周囲に提供されて、電極の一対における電極間の間隙を長くするのに役立ってもよい。
【0150】
引き続き
図22~33を参照し、第1近位流動および圧力波ジェネレータ1200は、それらの間に間隙を画定している、近位電極1201と、軸方向に離隔された遠位電極1202とを備えてもよい。次に、第2のより遠位な流動および圧力波ジェネレータ1200’は、それらの間に同様に間隙を画定している、近位リング電極1203と、軸方向に離隔された遠位リング電極1204とを備えてもよい。さらに説明されるように、流動および圧力波ジェネレータ1200の遠位リング電極1202および流動および圧力波ジェネレータ200’の近位リング電極1203は、互いに電気的に連結して、それらの間に電流を流すことができてもよい。
【0151】
本明細書中に説明されている全ての実施形態に関して、初めに生理食塩水がバルーンを充填することが抵抗加熱器として機能し、印加電圧が生理食塩水をオーム的に加熱するイオン電流を発生させる。生理食塩水は、電流集中が最大の場合、最速で熱くなる。示されるケースでは、電流集中は電極において最大である。上記に説明されているように、最も高い電流集中が電極間の中間位置に現れるように生理食塩水を絶縁特性によってバッフルすることも可能である。この特別なケースは、電極ブラスト破損を削減することと、イオン伝導に関与する生理食塩水の体積を制限すること(排熱が減る)との両方に関して興味深いものである。
【0152】
当業者には理解されるように、電気的連結は、最近位電極との電圧パルスジェネレータの「高」電力側、または最遠位電極との電圧パルスジェネレータの高電力側への初期電気的接続を備えてもよいし、近位電極と遠位電極との間に配置されている中間電極が、電圧パルスジェネレータの高電力側に接続されてもよい。まず、例えば、接続される回路および電源の「高」電力側に電気的に接続または電気的に連結する近位電極、およびそれに接続される回路および電源の「接地」または「リターン」側に電気的に接続または電気的に連結する遠位電極である。第2に、遠位電極が回路および電源の「高」電力側に電気的に接続または電気的に連結されてもよいし、一方で、近位電極が回路および電源の接地またはリターン側に電気的に接続または電気的に連結されてもよい。同様に、中間的に位置付けられた電極が、回路および電源の「高」電力側に電気的に接続または電気的に連結されてもよいし、一方で、他の電極が回路および電源の接地またはリターン側に電気的に接続または電気的に連結されてもよい。いずれのケースにおいても、流動および圧力波ジェネレータ(単数または複数)が一旦作動され、アーク(単数または複数)が生成されると、回路が完成され、電流が回路を流れる。
【0153】
流動および圧力波ジェネレータのうちの少なくとも1つ、例えば、1200は、外部配置電源または電源1300と直接的に電気的に接続および連結していてもよく、電源は、所定の強度およびパルス長さの電圧パルスを導電体に沿って最近位の流動および圧力波ジェネレータ200の近位リング電極へと供給するように構成されていてもよい。代替的には、電圧パルスは所定の強度またはパルス長さなしに届けられてもよい。いくつかの実施形態では、いずれも所定の電圧またはパルス長さを備えないまたは必要とせず、その代わりに、生理食塩水、ケーブル、結果として生じるタウンゼント放電内、EMI内、および流れ内でのパルス中に消費される所定の蓄積エネルギーレベルを備える、インダクタにおける崩壊フィールド、例えば、周知の車の点火機構)またはコンデンサからの減衰電圧が採用されてもよい。
【0154】
各流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’などは、一対の離隔された電極を備える。電極対1201、1202、および1203、1204は、軸方向に離隔された配置で示され、長尺キャリア1102の周囲に、例えば、加締めまたは他の取り付け手段で取り付けられ、膨張性バルーン1104内で流体F中に浸される。従って、間隙は電極対1201と1202との間、および電極対1203と1204との間に画定され、電極1202および1203は、作動電気連結または接続状態にある。上記で説明されているように、間隙は同等の長さであってもよいし、異なる長さで構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、単一の流動および圧力波ジェネレータ1200が提供されてもよく、対して、他の実施形態では、1つよりも多い流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’、などが提供されてもよい。
【0155】
このように、いくつかの実施形態では、第1および最近位電極1201は、導電体を介して、流動および圧力波ジェネレータ(単数または複数)1200を備える電極対(単数または複数)に電圧パルスを供給するために構成される電源、例えば、電源1300と電気的に接続されていてもよい、または電気連結または接続状態にあってもよい。最遠位電極、例えば、1204もまた、第2導電体を介して、電源1300と電気的に接続されていてもよい、または電気連結または接続状態にあってもよい。本体Bおよび/または支持部を含む、電極1201、1202、1203、1204は、示されるように、リング形状または部分的なリング形状を備えてもよい。電極またはその支持部の他の形態または形状は当業者には明確であり、現在説明されている発明の範囲内に含まれる。
【0156】
膨張性バルーン1104内の流体Fは、イオン的に導電性の、例えば、生理食塩水である。生理食塩水は、他のイオン的に導電性の流体とは対照的に、万が一、バルーンが破裂した際に、副作用を軽減するために処方される。上記に説明されているように、流動および圧力波ジェネレータ200および200’を備える各電極対1201、1202および1203、1204の離隔されたリング電極間に数ボルト印加することは、生理食塩水中にイオン電流の流れを開始する。電極間の短絡した経路は、イオン電流の流れに対する相対的により低い抵抗を受ける。電圧差の2乗を抵抗で割るので、局所的に分散された電力は変動し、これらの短絡経路は最速で熱くなる。電極形状に依存して、電極を接続する電界ラインは、最小で電極間の間隙における生理食塩水のごく少量、最大でバルーン内の全ての生理食塩水を通過できる。この生理食塩水加熱段階は、治療効果がほとんどまたは全くなく、電極に印加される電圧から電界を受ける生理食塩水の体積を最小にすることが優先である。
【0157】
もし印加される電圧が、液状生理食塩水を約350℃よりも高く局所的に加熱するのに十分であれば、生理食塩水は速やかに沸騰する。
図22に示される流動および圧力波ジェネレータ例200、200’に関しては、電極における電流集中が、沸騰が電極の近傍で始まることを決定づける。沸騰相転移は、関与する液状生理食塩水をその液量の約1000倍(もしバルーンが加圧されるなら、より少なく、もしバルーンが1気圧より低いのであれば、より多く)へと広げる。これは流れの生成を起こし、水蒸気が広がるにつれてバルーンによって占められる体積が一般的に増加する。
【0158】
もし本明細書中に説明されている流動および圧力波ジェネレータ例の2つの電極が、隣接するガス経路によって接続されるようになると、異なる現象が出現する。隣接するガス経路は、1つの沸騰事象の広がりにより、または2以上の沸騰事象により気泡の前面を結合させることにより形成することができる。隣接するガス経路は、タウンゼント放電が行われることを可能にする。より正確には、もしガスの圧力、間隙、ガス化学、および電圧がパッシェンの法則を満たすのであれば、ガス内の電子およびイオンは衝突と衝突の間の平均自由行程中に電界において十分な加速を経て、これらの衝突の中に追加のイオンおよび電子を生成し、非常に高い電流を運ぶことができるイオンなだれを発生させる。電極を接続する初期のイオンチャネルはリーダと呼ばれ、一旦形成されると、イオンおよび電子密度(および温度)が増加するにつれて迅速に半径方向へと成長する。
【0159】
タウンゼント放電に先立って、流動および圧力波ジェネレータの電極間の電気抵抗は、生理食塩水のイオン伝導率によって影響され、一般的に50オーム~50キロオームの範囲にある。一旦、リーダが形成され、電圧ジェネレータがサポートできる限り半径方向に拡大すると、電極間の抵抗は、実質的に1オームを下回るほど下がり、電源からの電流は、電源と流動および圧力波ジェネレータとの間のケーブル配線によって圧倒的に制限されるようになる。
【0160】
このように、電源1300により生成される十分な電圧を、電源1300と電極1201との間で電気的接続または連結状態にある導体を介して、最近位電極、例えば、1201に印加されると、電極201と電極1202との間に電流が流されてもよく、電極1201と1202との間の画定される間隙にわたるタウンゼント放電が潜在的に結果として生じる。電極1202と動作可能に電気的接続または連結しているリターン導体は、回路を電源1300へと戻し、完成させる。このような方法で、単一の流動および圧力波ジェネレータ1200を備える単一の電極対を有する実施形態では、電極1201と1202との間の放電中に回路抵抗が顕著に変化し得る。
【0161】
図22は、膨張状態にある流体充填バルーン1104を示し、生理食塩水等の導電性流体Fがバルーンの内部スペースを充填しており、離隔された電極1201、1202、および1203、1204がその中に配置され、流体Fに浸されている。電極1201、1202、1203、および1204は、長尺キャリア102の周囲に概して左右対称に、および膨張性バルーン1104の中央線に沿って概して左右対称に配置されている。
【0162】
しかしながら、好適な実施形態では、少なくとも
図27および28に示されるように、チャネルまたは溝1208は、長手平面に沿う電極を通じてまたは電極に沿って画定されて、システムのクロッシングプロファイルを減少させるように絶縁導体(単数または複数)が少なくとも部分的にその中に設けられることを可能にしてもよい。このように、チャネル1208は、電極の一部を切り出すことによって形成されてもよく、電極は長尺キャリア1102周囲に円周方向に延びる。代替的には、少なくとも
図28Bに示されるように、チャネルまたは溝1208は、電極の2つの離隔された端部間に空隙またはスペースを備えてもよく、電極は長尺キャリア1102周囲に部分的に円周方向に延び、導体は長尺キャリア1102の外面に沿って延びてもよい。リング電極(単数または複数)のチャネル208の中断を例外として、好適な構造は、上記で説明されているように対称であるが、非対称の電極(単数または複数)もまた採用されてもよい。
【0163】
図22~33は、各電極対と、そこに接続する導電性ワイヤを形成する離隔された電極の可能な配置と実施形態とを示す。
【0164】
図223は、レーザカットチューブを備えてもよく、ポリイミドまたは他の物質から構成され得る、長尺キャリア1102をこのように示す。2つの流動および圧力波ジェネレータ例1200、1200’は、長尺キャリア1102に沿って互いに対して軸方向に離隔された関係で示されている。各流動および圧力波ジェネレータ、例えば、1200、1200’は、離隔されたリング電極例、それぞれ1201、1202および1203、1204を備え、それぞれが、離隔された電極1201と1202との間、および1203と1204との間の間隔距離である、所定の長さの関連する離隔された電極の間に間隙を画定する。近位の流動および圧力波ジェネレータ1200の遠位電極、例えば、1202と、遠位の流動および圧力波ジェネレータ1200’の近位電極1203が、それらの間にインターフェースIを形成する相対的に近い配置で示され、インターフェースは、インターフェースIを画定する2つの電極間に電気的連結を画定する、および備える。
【0165】
インターフェースIを画定するこれらの中間リング電極1202と1203との間の様々な形態およびタイプの電気的接続が本明細書中にさらに説明されているが、2つの中間リング電極1202と1203との間に接触関係、溶接ビード、またはジャンパ線もしくは他の導電性相互接続要素もしくはメカニズムを備えてもよい2つの中間電極の表面間に物理的なまたは動作可能な電気的接続、または他の導電接続を一般的に備えている。当業者は、中間電極1202と1203との間、すなわち隣接する流動および圧力波ジェネレータ1200と1200’との間に必要な電気的接続を作るための代替的なメカニズムを容易に認めるだろう。そのそれぞれは本発明の範囲内に含まれる。この配置では、2以上の流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’などが効果的に直列回路になるものの中で電気的に接続されてもよい。特定の実施形態で使用される流動および圧力波ジェネレータの数量は、1つでも2つでもよく、2つより多くてもよい。
【0166】
本明細書中にさらに説明されているように、本明細書中に説明されている電極は例示であり、他の電極の形状および構造は本発明の範囲内に含まれる。特定の実施形態において、および以下にさらに説明されているように、流動および圧力波ジェネレータを備える電極対の少なくとも1つの電極は、電極対間に画定される間隙に向かって延びる複数の整列した点または延長部を備えてもよい。これは、
図25によって最も良く示され、各電極1201および1202は、互いと半径方向に並び、それらの間にアークまたはスパークを生成することが可能な複数の個別の間隙を画定する、複数の点または延長部1201を備える。示されるように、これらの複数の個別の間隙は、長尺部材1102の円周の少なくとも一部の周囲に分散されている。
【0167】
さらにその上、特定の実施形態は、複数の電極対を備えてもよく、少なくとも1つの電極対は、電源1300と有線またはその他で電気的に連結している最近位電極を備える。いくつかの実施形態では、複数の中の1つより多くの電極対が、電源1300と有線またはその他で電気的に連結している最近位電極を備えてもよく、複数の中の少なくとも1つの電極対は、電源1300によって別々におよび個別に電圧がかけられてもよい。このように、特定の実施形態は、少なくともいくつかの電極対の平行接続配置を備えてもよいし、電源に戻る並列接続を備える直列接続したセットの電極対と1以上のセットの電極対の組み合わせを備えてもよい。
【0168】
当業者であれば、電極対の最近位電極および電源1300との動作可能な電気的接続または連結の言及は単に例示にすぎないことを認識するであろう。電極対の最遠位電極と電源1300との間の動作可能な電気的接続を単純に切り替えても本発明の範囲内に含まれる。
【0169】
特定の形態では、個別の流動および圧力波ジェネレータ1200、1200’は、印加される電圧の強度、結果的に流動および圧力波ジェネレータを備える電極間のアークとなる電流の流れの強度、電流の流れおよび流動および圧力波ジェネレータを備える電極間のアーク放電の持続時間、放電インダクタの一次側における電流、放電コンデンサにおける帯電、および/または流動および圧力波ジェネレータを備える電極間の電流の流れおよびアーク放電の開始時間に関して制御されてもよい。
【0170】
カテーテルおよび電極
【0171】
上記に提供されているように、
図24~27に示されるような、レーザーエッチングされたポリイミドチューブ例1102には、リング電極1201、1202、および1203、1204が設けられてもよく、電極は、絶縁ワイヤが外部の電圧パルスジェネレータ/電源部1300に戻るように電極を接続している状態で、チューブ1102に取り付けられている。
【0172】
示される2つのワイヤ形態では、電極を追加のワイヤと電気的に接続させつつ、電極対における2つの隣接する中央、中間電極(1202と1203)の間の距離を広げることで、電極間の間隙が短縮されてもよい。
【0173】
図30Aおよび30Bは、カテーテル1102、チャネル208、複数の点1206を画定する表面、および平坦な後面をしっかりと係合させるように構成されている中央開口部Aを画定する本体部Bを有するリング電極例Eを提供する。
図30Aは、腐食していないセットの電極点または延長部1206を示す。
図230Bは、隣接するリング電極間のアーク放電に起因する1つの点における腐食の影響例を示す電極点または延長部1206’を提供する。もし腐食が電極点または延長部1206’のイオン化およびアーク放電に関与する傾向を下げるのであれば、1以上の残りの点1206は、電極対の電極間の間隙にわたるアークを生成するように係合されてもよい。
【0174】
電極点または延長部1206は、示されるように、実質的に三角形のプロファイルを備えてもよいが、これは単に例示にすぎない。最終的には、その他のプロファイルも考慮される。電極点1206の基本的な機能は、アークを電極の異なる位置から始めることを可能にすることである。従って、流動および圧力波ジェネレータを備える、一般的に電極対の最遠位電極に向かい、一般的にそれらの間に画定されるスパークギャップに向かう、電極の本体Bから離れるように延びる形状は、いかなる形状でも十分であるだろう。複数の電極点の隣接するものの先端領域は、特定の実施形態では、互いから半径方向に離隔されている。
【0175】
電極、例えば、1201と1202との間に画定されるスパークギャップ領域に対向する電極例における多数の点は、電気絶縁破壊ストリーマが電極本体B上および/またはその周囲に配置されるいくつかの異なる位置または点1206から開始することを可能にするので、いくつかがアークによって腐食した際に、実行可能な電極点または延長部1206が残る。これは電極の有効性と耐用期間とを延ばし、アークを起こすために必要な電圧を減少させる。加えて、アークの経路は、デブリを備えてもよいので、電極(単数または複数)本体Bの異なる位置、すなわち、点1206から生じるアークはデブリを減らす補助をし、短絡が形成される可能性を減らす。このようにして、電極を取り囲む環境およびそれらの間のスパークギャップ内の環境は、複数のパルスを備える治療セッションの間において可能な限り均一に維持される。
【0176】
従って、図面に示されるように、および当業者には容易に理解できるように、電気アークに関与する腐食していない点(単数または複数)1206は、電気アーク放電が進むにつれて腐食し始める。
図26および30Bに示されるように、電極点206は、繰り返しのアーク放電事象の間に、腐食して短くなり、劣化または腐食した点1206’を形成する恐れがある。ひいては、理解され、図示されるように、腐食しているまたは腐食した点1206’の間のスパークギャップは長くなり、それらの間により長い流体および距離、ならびに抵抗を作る。このように、電流ストリーマは、腐食した点(単数または複数)1206’よりも長い、1以上の腐食していない点1206によって、またはそれらの間に形成または画定される、より短く、抵抗がより少ない、スパークギャップを継続的に探し得る。関連して、いくつかの実施形態では、
図24に最も良く示されるように、1以上の腐食していない点1206は、点(単数または複数)1206のスパークギャップに向けた延びの相対的長さによって測定されて、1以上の他の点1206より長い長さを有してもよい。より長い点(単数または複数)1206は、より短い他の点(単数または複数)1206のスパークギャップの長さ、または腐食した点1206’のスパークギャップの長さより短く、抵抗の低いスパークギャップの長さをこのように備えるため、短縮されて、それらの間により長いスパークギャップの長さを画定する。
図14は、点1206のセットの一例を示し、1つの点1206は、隣接する「より短い」点1206および電気アーク放電による腐食により短縮されたさらにより短い点1206’よりも「より長い」。当業者には容易に理解できるように、電流ストリーマは、好適には、より短い、抵抗がより低いスパークギャップ、すなわち、1以上の「より長い」点1206を備えるスパークギャップを探し出してもよい。
【0177】
図25および26に示されるように、電極対、例えば、1201、1202の延長部または点(単数または複数)1206は、それらの間に複数のスパークまたはアークギャップを画定するように構成されていてもよく、複数のうちの各スパークギャップは、離隔された電極例1201、1202の間に半径方向におよび長手方向に並ぶ一対の対向する延長部または点206と対応する。このようにして、本明細書中に説明されているように腐食に起因して1つのスパークギャップが長くなると、電流ストリーマ形成は、腐食していない長手方向に並んだ対抗する延長部または点1206の他の一対へと移動する可能性があり、従って、いくつかの実施形態では、関連する対向する延長部または点1206の腐食に起因して長くなったスパークギャップよりも短いスパークギャップを画定する。加えて、および示されるように、電極対、例えば、1201、1202の延長部または点1206は、関連する電極201および/または1202の周囲で互いから半径方向に離隔されている。従って、および本明細書中にさらに説明されているように、それらの間の対応するスパークギャップもまた半径方向に離隔されている。その結果、第1スパークギャップにわたる、第1電気アークおよび第1電気アークにより生成される対応する第1圧力波は、電極1201、1202の周囲および長尺部材またはキャリア1102周囲の第1半径位置に発生してもよい。その後の電気アークおよびその生成された圧力波は、電極例1201、1202の周囲であって、第1半径位置から離隔されている、第2半径位置に発生してもよい。
【0178】
電極例1201、1202、1203、1204をはじめとする電極は、金属または半導体であってもよく、二次的な合金でメッキされることができる。卑金属は、銅またはベリリウム銅から構成され得る。メッキは、白金、金、タングステン、オスミウム、銀、チタニウム、ニッケル、または他の電気化学的に低活性の金属から構成され得る。黒鉛、グラフェン、およびダイヤモンド等の炭素表面もまた使用され得る。さらに、ステンレス鋼および鋼鉄合金が使用され得る。
【0179】
電極対、例えば、1201、1202および1203、1204の間の接続は、多くの実施形態で実現されてもよい。上記で説明されているように、および少なくとも
図10に示されるように、一実施形態では、2つの中間電極、例えば、1202および1203は、物理的に接触している関係性で設置されてもよく、電気的接続は接触する電極1202、1203の間に短絡を効果的に有し、それらの間に電流が流れることを可能にする。電極1201、1202、1203、1204は、実質的に平坦にされてもよい後面(
図28Bに示される)を有してもよく、中間リング電極1202、1203の後面は、物理的に接触する係合状態でもよい。代替的には、中間電極例1202、1203の後面は、ここでさらに説明されるように離隔されていてもよい。さらにより代替的には、中間リング電極の後面は、相補的な形状、例えば、一方が凸状で他方が凹状を備えてもよく、一方の後面が他方の後面内に嵌り、中間リング電極、例えば、1202、1203間により完全な物理的に接触する係合を備える。相対的に平坦にされてもよい後面は、各リング電極例1201、1202、1203および1204の表面を形成し、画定する複数の点206の反対の側方を備える。
【0180】
図28に示されるように、中間電極1202、1203の後面は、隣接するが離隔され、非接触な係合に構成されてもよく、ジャンパ導電性ワイヤがインターフェースIを渡って中間電極1202、1203間に配置されている、または溶接ビードがインターフェースIにおいて電極1202、1203を相互に接続してもよい。中間電極1202、1203間でインターフェースIにおいて必要な電気的接続を実現する代替手段を当業者が思い付いてもよく、そのような電気的接続手段はそれぞれ、本発明の範囲内に含まれる。
【0181】
代替的な電極の実施形態は、長尺カテーテル1102に取り付け、または搭載、または接続される少なくともいくつかの非リング状電極を備え、非リング状電極の対は、離隔された形態に配置されて、リング電極の実施形態に関連して前述したような流動および圧力波ジェネレータを形成する。リング状および非リング状電極は、任意のシステムにおいて組み合わされてもよい。
【0182】
上記に説明されているように、流体含有スリーブ300は、
図22~33の何れかの流動および圧力波ジェネレータに設けられて、電極間により長い間隙を設けることに役立ってもよい。
【0183】
特定の実施形態では、選択される個別の点または延長部1206は、少なくともある期間の間、および/または対象の血管の特定の領域の治療中に、個別の有線接続(単数または複数)で具体的に電圧がかけられてもよい、および/または個別の点1206は、それらが電流流れに関与していないことを確実にするために電気供給が停止されてもよい。
【0184】
他の実施形態では、点1206は、材料の選択および/または他の点1206に対する特定の点1206の先端の相対的な長さに基づき、選択的におよび意図的に劣化されても(または劣化されなくても)よい。
【0185】
ワイヤ配線/ケーブル配線
【0186】
使い捨てカテーテルアセンブリは、電極、電極対(単数または複数)、および/または流動および圧力波ジェネレータ(単数または複数)のシステムを電源部に接続する2以上の絶縁導体を備えてもよい。典型的な励起パルスは、発達したアークには200A@4KVであり、ここでは導体が負荷を支配し、20オームの負荷インピーダンスを必要とする。使い捨てカテーテルの往復ケーブル長さは、約10フィートで、ケーブルの最大抵抗は、トレースごとに1オーム/フィートであり、これは40gaの銅ワイヤには一般的である。追加のケーブルの柔軟性は、40gaのワイヤと同じ累積的断面積を有するより緻密な結合ワイヤの多数のストランドを使用して結果的に生じる。
【0187】
図面は、電源1300と動作可能に接続される絶縁体を備える導電体を示し、導電体のうちの1つは、最近位電極1201と電気的に連結しており、当業者には周知の電気構造である。
図27は、接続の実施形態の一例を提供し、絶縁導体の端部は、絶縁から剥離されて、電極1201に動作可能に接続される遠位導体部1212の長さを露出する。同様の接続メカニズムが、他の導電体と最遠位電極、例えば、要素1204との間の接続に採用されてもよい。
【0188】
代替的には、導体は、絶縁から剥離されて、
図29に示されるように溶接ビード1216により関連するリング電極と接続される遠位導体部1214を備えてもよい。導電体のいずれかは、このように関連するリング電極に接続されてもよい。
【0189】
システムの外径およびクロッシングプロファイルを最小限にするために、導電体はカテーテル1102内に画定されるルーメン内に延びてもよく、遠位導体部は、カテーテル102の開口部を通しておよび/または前述のように溶接ビードを介して関連する電極に動作可能に接続される。
【0190】
代替的に、および図面に示されるように、電極1201、1202、1203、1204は、その中に存在するように、導電体(単数または複数)に合わせてサイズ決めされたチャネルまたは溝1208を備えてもよい。チャネル1208は、例えば、
図27および28に示されるように、1以上の電極に対する接続点を提供してもよい。チャネル1208は、装置例1100が患者の血管系を通って前進している間に導電体(単数または複数)がカテーテル1102の姿勢の変化に適応するように、そこに沿って摺動できるようにしてもよい。
【0191】
さらにより代替的には、長手チャネルまたは螺旋もしくは他の形状のチャネルが、長尺カテーテル1102の壁に画定されてもよい。導体(単数または複数)は、システムのクロッシングプロファイルを最小限に抑えることを補助するために少なくとも部分的にチャネル内に配置されてもよい。
【0192】
電源部/パルスジェネレータ
【0193】
いくつかの実施形態では、コンデンサバンクが設けられて、1分間の非導通期間例の間、帯電してもよく、放電およびアーク生成のために電極に対するコンデンサの短絡または接続が続く。帯電期間は、好適な実施形態では1分より短くてもよい。他の実施形態では、電流が変圧器の一次側で確立されてもよく、その電流は、二次側にわたって大きな電圧を生成するために停止される。
【0194】
述べたように、パルスが少なくとも1秒に1度電極に供給されてもよいため、帯電期間は1分よりも大幅に短くてもよい。パルス繰り返し数は、導電性流体Fの検知される温度および/またはバルーン材質によって限定されてもよく、周囲の組織の温度が所定の閾値を越えて上昇、例えば、心臓組織に関しては1℃を越えて温度が上昇しないようにする。温度は、導電性流体F内および/もしくはバルーンの内面上、または他の位置にカテーテル102の外側の表面に沿って取り付けられている温度センサを使用してモニタされてもよい。温度センサは、所定の熱閾値(単数または複数)と運用的に連結する外部に配置されたプロセッサと動作可能に連結状態にあってもよく、ディスプレイまたは他の手段を介して警告が発せられる。いくつかの実施形態では、電圧パルスが、これ以上のパルスが一切認められずにロックアウトされることもある。他の実施形態では、所定の熱閾値が満たされるまたは超えられると、これ以上の電圧パルス一切認められなくなるが、検知された温度が所定の熱閾値を下回るまで下がると、電圧パルスは続行してもよい。
【0195】
コンデンサバンクは、いずれかの方向から帯電されてもよく、FETsまたは引き起こされるスパークギャップは、コンデンサバンクがHブリッジ形態で電極間において放電できるように制御される。いくつかの実施形態では、電流符号は反転するように構成されてもよい。いくつかの実施形態でEMIを抑えるために位相整形が行われてもよい。いくつかの実施形態では、電流および電圧の両方がモニタされて、次のパルス送達の電圧設定が何であるべきか通知してもよい。いくつかの実施形態では、電圧はパルスバイパルスベースで終了されてもよく、他の実施形態では、電圧はパルスバイパルスベースで終了されない。同様に、流動および圧力波ジェネレータを備える任意のセットの電極にわたる電気アークは、いくつかの実施形態では、パルスバイパルスベースで終了されてもよく、その一方で他の実施形態では、前述の電気アークはパルスバイパルスベースで終了されなくてもよい。
【0196】
治療の一部は、病変を通って伝播する衝撃波の圧力および張力段階によって起こる。ピーク圧力は、衝撃波に蓄積されるエネルギーおよび(短い長さの放電の場合)処置部位へのタウンゼント放電からの距離の逆3乗としてスケールする。放電と処置部位との間の半径方向距離が正確に制御されないため、電圧および電流の制御における高い正確さは必要ではない。電流は、パルス間で符号を反転させて、パルス中にドループまたは指数関数的に減衰し、およびパルス中にリングまたは発振してもよい。治療の流動部は、多少バルーンを(気泡の進化と共に広がることができるように)初めに収縮させること、および殆どの水を沸騰させることにより最適化され、流れの時間発展は数十マイクロ秒である。治療の圧力部は、そのインピーダンスが高いうちにタウンゼント放電に電気エネルギーを印加することで最適化され、状態は数十ナノ秒続く。
【0197】
電流および電圧出力は、適正な動作のためにモニタされてもよい。オープンまたは短絡を測定すると、カテーテルアセンブリを新しいカテーテルアセンブリに交換するようにプロンプトまたはアラートを生成してもよい。電極、例えば、201と202との間の直流インピーダンスをモニタし、患者はカテーテルの絶縁漏れが検知および修正されることを可能にする。本明細書中にさらに説明されるように、電極間の直流抵抗をモニタすることは、温度モニタを提供してもよい。さらにその上、もし血管が治療によってうまく開かれたら、電極間を伝導する生理食塩水のより抵抗が変化することがさらに理解される。
【0198】
その上、バルーン単体内で導電性流体Fの導電率を検知および/またはモニタすること、またはバルーンの外でそれを流体、例えば、血液の導電率と比較することは、バルーンが損傷、例えば、破裂または裂断したかどうか判定する代替的なメカニズムを提供する。
【0199】
患者の心拍リズムは、モニタされて、これらのパルスが不活性段階と同期していることがモニタされてもよい。その同期は、コンデンサバンクが目標電圧に到達したら閉じるスパークギャップ等のいくつかの標準的な方法を除外する。関連して、バルーン104は、特有の時間および周波数で膨張および収縮するだろう。電圧パルスは、時間が計られて、自然な拡張/収縮サイクルおよび周波数を利用してもよい。例えば、電圧パルスは、バルーンの自然な拡張および/またはバルーンの自然な収縮のために時間を計られてもよい。流動および圧力波の力は、とりわけ、流動および圧力波ジェネレータの位置がバルーンの拡張/収縮とともに変化するため、バルーンの拡張状態に応じてわずかに異なる角度で、対象の組織および/または閉塞物質、例えば、石灰化に衝撃を与える。
【0200】
温度センサ
【0201】
上記で説明されているように、特定の実施形態は、電極の周辺におよび/または導電性流体F中に埋め込まれた小さな温度センサを備え、電極および/または導電性流体Fは、治療パルス数を組織温度において安全な上昇の限度まで増加させ得るが、一般的に局所的組織温度は約1℃よりも高く上がるべきではない。血液循環によって熱が対流移動されるには電極から5mmほどの熱拡散が必要である。関連する半径範囲の導管における水の熱拡散時間は(5mm)2/k=167秒である。しかしながら、0.5Jパルスは半径5mmの水の球を約0.23℃上昇させ、毎分率1パルス/スパークは、特定の実施形態では、毎分2パルス/スパークに増加してもよい。
【0202】
温度センサは、光ファイバベースでもマイクロ熱電対でもよい。生理食塩水は、温度と共に導電率が増すので、電極に印加される直流バイアスによって作られる電流は、温度とともに単調に増加し、最も暖かい領域の温度が直接的に測定されることを可能にする。上述の通り、所定の熱または温度増加閾値には、プロセッサにより実装されるプログラム化された指示により実装されるその後に続くアラートおよび/または修正もしくは救済動作が設けられてもよい。
【0203】
バルーンおよび膨張液
【0204】
血管形成バルーンが開発されたものであり、微妙な差異もある。本発明の実施形態は、標準の血管形成バルーンと、関連する公知の基本的な膨張/収縮メカニズムとを備えている。典型的なバルーン長さは、12mmであってもよく、0.14~0.35inのガイドワイヤと共に使用されてもよい。膨張されたバルーンのサイズは、公称血管サイズの約90%を備えてもよい。
【0205】
バルーンを膨張させるために使用される水の塩分濃度を変化させることは、沸騰前のイオン電流密度に影響を与え、高い生理食塩水濃度は抵抗を下げ、その結果、一定の駆動電圧のために蓄積される電力密度を増加させる。もしイオン電流経路が電極の近辺に制限されずに、バルーン内部の大部分を貫通することができるようであれば、数ジュールが消費された後でさえも沸騰が起こらないほど、大量の水を加熱するのに多くの電流が消費され得る。
【0206】
少なくとも
図23を参照して、電源または電圧パルスジェネレータ1300により生成される電圧パルスは、流動および圧力波ジェネレータ1200を備える、例えば、近位電極1201と隣のより遠位の電極1202との間に介在する流体Fから形成される水蒸気中にストリーマを発生させる。上述の通り、最遠位リング電極もまた電源1300に動作可能に接続される。近位電極1201に印加される十分な電圧は、結果としてストリーマを生じ、最終的に電極対1201、1202の2つの電極間に電流の流れを生み、アークおよび気泡形態である合成流動および圧力波を生成して流体F中に広がる。気泡がほぼ、跳ね返って第2成長気泡を作る点まで縮むにつれて、その気泡は概して崩壊し、他の流動および圧力波を作る。
【0207】
ここで我々は、圧力波が音速および/または超音速で移動してもよい中で、生成される流動波は亜音速で移動してもよいことを注記する。
【0208】
電極対、例えば、1201、1202の電極間距離は、例えば、5mm以上と相対的に長くてもよい。この場合、生成される気泡および結果として生じる圧力波は、それぞれの端部が形状的により球状である、円筒形状を備えてもよい。
【0209】
本発明および本明細書に記載されたその用途の説明は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。様々な実施形態の特徴は、この発明の解釈内で他の実施形態と組み合わされてもよい。本明細書に開示された実施形態の変形および修正が可能であり、実施形態の様々な要素の実用的な代替物および等価物が、この特許文献の研究の上、当業者に理解され得る。本明細書に開示された実施形態のこれらのおよび他の変形ならびに修正は、本発明の範囲および精神から逸脱することなくなされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンを画定する長尺部材と、
前記長尺部材に取り付けられ
、それらの間に間隙を有する第1のセットの2つの離隔された電極と、
前記
第1のセットの2つの離隔された電極と電気連結状態にある電圧パルスジェネレータと、
少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータを取り囲み、
近位端と、遠位端と、少なくとも1つの膨張体積
と、少なくとも1つの膨張径を備え、
その前記近位端および前記遠位端の両方が前記長尺部材に動作可能に取り付けられ
、流体によって膨張するように構成されている膨張性スリーブと、
前記膨張性スリーブを取り囲むように構成され、前記流体によって膨張するように構成され、少なくとも1つの膨張体積を有する膨張性バルーンであって、前記膨張性バルーンの膨張体積が、前記膨張性バルーンによって取り囲まれている前記膨張性スリーブの膨張体積の少なくとも2倍の大きさの体積を有し、前記膨張性バルーンの内部の流体によって前記膨張性スリーブが取り囲まれている膨張性バルーンと、
を備える血管内砕石システム。
【請求項2】
ルーメンを画定する長尺部材と、
前記長尺部材に取り付けられ
、2つの離隔された電極を備える
第1の流動および圧力波ジェネレータと、
前記
第1の流動および圧力波ジェネレータと電気連結状態にある電圧パルスジェネレータと、
前記
第1の流動および圧力波ジェネレータを取り囲み、近位端と遠位端とを備える膨張性スリーブであって、前記近位端および前記遠位端は、前記長尺部材の外面にシールされ
、膨張形態にある前記
膨張性スリーブ内の流体が前記2つの離隔された電極
を取り囲む狭いチャネルに制限されるように
構成され、前記第1の流動および圧力波ジェネレータの絶縁された外面に対して配置されている膨張性スリーブと、
前記膨張性スリーブの内部と流体連結状態にある流体リザーバと、
を備える血管内砕石システム。
【請求項3】
前記膨張性スリーブは、
前記第1の流動および圧力波ジェネレータの前記2つの離隔された電極間
の間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、
請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
前記
第1の流動および圧力波ジェネレータは、第1電極と第2電極との間
の第1の間隙と、前記第1電極と第3電極との間
の第2の間隙とを有する3つの離隔された電極を備え、
前記膨張性スリーブは、前記
第1の間隙
および前記第2の間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、
請求項
2に記載のシステム。
【請求項5】
前記電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、
請求項
3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の間隙および前記第2の間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、
請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータをさらに備え
、
前記流動および圧力波ジェネレータは、長手方向に相互に離隔されている、
請求項
2に記載のシステム。
【請求項8】
ルーメンを画定する長尺部材と、
前記長尺部材に取り付けられ
、2つの離隔された電極を備える少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと電気連結状態にある電圧パルスジェネレータであって、前
記2つの離隔された電極のうちの1つに電圧を印加し、それらの間にアークを発生させるように構成されている、電圧パルスジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータを取り囲み、前記長尺部材にシールされて内部を形成する膨張性バルーンと、
前記膨張性バルーンの前記内部と流体連結状態にある流体リザーバと、
を備え、
前記膨張性バルーンは、前記少なくとも2つの離隔された電極のうちの1つによって電圧が印加される前に前記膨張性バルーンの前記内部内の流体を
前記2つの離隔された電極の周囲の流体の狭いチャネルに制限するように構成されている収縮形態へと収縮し、前記アークが生成される際に前記収縮形態に維持さ
れ、
前記膨張性バルーンの位置は、前記膨張性バルーンの前記収縮形態が前記離隔された電極間に発生するアークから離れるように制限される、
血管内砕石システム。
【請求項9】
前記収縮形態にある前記膨張性バルーンは、前記2つの離隔された電極間の間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、
請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータは、第1電極と第2電極との間
の第1の間隙と、前記第1電極と第3電極との間
の第2の間隙とを有する3つの離隔された電極を備え、
前記収縮形態にある前記膨張性バルーンは、前記
第1の間隙
および前記第2の間隙を充填するチャネルに前記流体の体積を制限する、
請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
前記
2つの離隔された電極間の前記間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、
請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の間隙および前記第2の間隙は、0.1mm~15mmの範囲内にある、
請求項
10に記載のシステム。
【請求項13】
2つの離隔された流動および圧力波ジェネレータをさらに備える、
請求項
8に記載のシステム。
【請求項14】
前記収縮形態にある前記膨張性バルーンは、前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータの外面に対して配置されている、
請求項
8に記載のシステム。
【請求項15】
ルーメンを画定する長尺部材と、
離隔された近位電極と遠位電極とを備え、前記長尺部材に取り付けられ、前記近位電極と前記遠位電極との間に間隙が画定されている、少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと、
前記少なくとも1つの流動および圧力波ジェネレータと電気連結状態にある電圧パルスジェネレータと、
前記長尺部材に取り付けられ、前記近位電極を取り囲み、前記近位電極から離れて、前記間隙内へと延びる開放端を備える近位部分スリーブと、
前記長尺部材に取り付けられ、前記近位電極を取り囲み、前記遠位電極から離れて、前記間隙内へと延びる開放端を備える遠位部分スリーブと、
前記近位部分スリーブおよび
前記遠位部分スリーブを封入
する膨張性バルーンと、
を備える血管内砕石システム。
【国際調査報告】