(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】改変タンパク質の選択的分解のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240725BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20240725BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20240725BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20240725BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240725BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240725BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240725BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240725BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20240725BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240725BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240725BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240725BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240725BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240725BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/00 ZNA
C07K14/47
C07K16/30
C07K16/18
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/85 Z
C12N5/10
C12N5/0783
C12Q1/02
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506674
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022074589
(87)【国際公開番号】W WO2023015283
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508027464
【氏名又は名称】セルジーン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,クリストファー ウォルトン
(72)【発明者】
【氏名】ダゴスティーノ,ローラ アクリアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイボー
(72)【発明者】
【氏名】シャンムガスンダラム,ビールバフー
(72)【発明者】
【氏名】バラハス,ブルック
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA08
4B063QQ61
4B063QR80
4B063QS36
4B063QX02
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA20
4H045BA41
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、分解ドメインを含む改変ポリペプチド、化合物、組成物、並びにそれらの調製方法および細胞内の改変タンパク質を分解するためのものとしてのそれらの使用方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解ドメインを含む改変ポリペプチドであって、前記分解ドメインが、アミノ酸配列FCX
1X
2CGX
3X
4(配列番号1)を含み、
X
1が、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、グルタミン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、バリン、スレオニン、およびフェニルアラニンから選択され、
X
2が、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、イソロイシン、バリン、およびメチオニンから選択され、
X
3が、アラニン、セリン、システイン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、およびグリシンから選択され、
X
4が、セリン、メチオニン、リシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、グルタミン、アルギニン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから選択される、
改変ポリペプチド。
【請求項2】
X
1が、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、バリン、スレオニン、およびフェニルアラニンから選択され、
X
2が、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、イソロイシン、およびメチオニンから選択され、
X
3が、アラニン、セリン、システイン、およびグリシンから選択され、
X
4が、セリン、メチオニン、ヒスチジン、グルタミン、アルギニン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから選択される、
請求項1に記載の改変ポリペプチド。
【請求項3】
前記分解ドメインが、アミノ酸配列FCX
1X
2CGX
3X
4X
5(配列番号2)を含み、
X
5が、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、チロシン、システイン、およびグルタミンから選択される、
請求項1または2に記載の改変ポリペプチド。
【請求項4】
X
5が、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、チロシン、およびグルタミンから選択される、請求項3に記載の改変ポリペプチド。
【請求項5】
X
5が、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、チロシン、およびグルタミンから選択される、請求項3または4に記載の改変ポリペプチド。
【請求項6】
X
5が、フェニルアラニンである、請求項3に記載の改変ポリペプチド。
【請求項7】
X
1が、アスパラギンである、請求項1~6のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項8】
X
2が、グルタミンである、請求項1~7のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項9】
X
3が、アラニンまたはセリンである、請求項1~8のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項10】
X
3が、アラニンである、請求項9に記載の改変ポリペプチド。
【請求項11】
X
4が、セリンである、請求項1~10のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項12】
前記分解ドメインが、アミノ酸配列FCNQCGAS(配列番号3)を含む、請求項1に記載の改変ポリペプチド。
【請求項13】
前記分解ドメインが、少なくとも1つのジンクフィンガードメインを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項14】
前記分解ドメインが、2つのジンクフィンガードメインを含む、請求項13に記載の改変ポリペプチド。
【請求項15】
少なくとも1つの、またはそれぞれのジンクフィンガードメインが、独立して、配列番号20~47および58から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項16】
前記分解ドメインが、ヒトIkaros、Helios、Aiolos、またはEosのジンクフィンガー2(ZNF2)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項17】
前記分解ドメインが、第2のジンクフィンガードメインを含み、前記第2のジンクフィンガードメインが、ヒトIkaros、Helios、Aiolos、またはEosのジンクフィンガー1(ZNF1)またはZNF3と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する、請求項16に記載の改変ポリペプチド。
【請求項18】
前記分解ドメインが、ヒトIkaros、Helios、Aiolos、またはEosのジンクフィンガー2(ZNF2)およびジンクフィンガー3(ZNF3)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項19】
前記分解ドメインが、配列番号21、27、32、および38から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項20】
前記分解ドメインが、配列番号15、60、61、および62から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項21】
前記分解ドメインが、配列番号6、63、64、および65から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項22】
前記分解ドメインが、以下:
GERPFFCX
1X
2CGX
3X
4X
5TQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCHLCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号5);
GERPFFCX
1X
2CGX
3X
4X
5TQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCSYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号66);
GERPFFCX
1X
2CGX
3X
4X
5TQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDALTGHLRTHS(配列番号67);および
GERPFFCX
1X
2CGX
3X
4X
5TQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号68)
から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項23】
前記分解ドメインが、以下:
GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCHLCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号7);
GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCSYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号69);
GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDALTGHLRTHS(配列番号70);および
GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号71)
から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項24】
分解薬の存在下でユビキチン化される、請求項1~23のいずれか1項に記載の改変ポリペプチドであって、前記分解薬が、前記分解ドメインに結合する小分子である、改変ポリペプチド。
【請求項25】
分解薬の存在下で分解される、請求項1~24のいずれか1項に記載の改変ポリペプチドであって、前記分解薬が、前記分解ドメインに結合する小分子である、改変ポリペプチド。
【請求項26】
前記分解薬が、セレブロンにも結合する、請求項24または25に記載の改変ポリペプチド。
【請求項27】
前記分解薬が、前記分解ドメイン、分解薬、およびセレブロンを含む複合体を媒介する、請求項26に記載の改変ポリペプチド。
【請求項28】
前記分解薬が、
【化1】
およびこれらの互変異性体、これらの薬学的に許容される塩、並びにこれらの互変異性体の薬学的に許容される塩から選択される化合物である、請求項24~27のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項29】
前記分解薬の存在下、細胞内でユビキチン化される、および/または分解される、請求項24~28のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項30】
前記細胞が、インビトロである、請求項29に記載の改変ポリペプチド。
【請求項31】
前記細胞が、インビボである、請求項29に記載の改変ポリペプチド。
【請求項32】
実質的に細胞内の細胞質または核であり、膜貫通ドメインを含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項33】
前記分解ドメインが、内在性タンパク質と融合するか、または内在性タンパク質の内部に位置する、請求項1~32のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項34】
前記内在性タンパク質が、哺乳動物タンパク質である、請求項33に記載の改変ポリペプチド。
【請求項35】
前記内在性タンパク質が、ヒトタンパク質である、請求項33に記載の改変ポリペプチド。
【請求項36】
前記内在性タンパク質が、PRDM1、TGFBR2、CASP8、CBLB、CD5、CISH、CGKA、DGKz、MAP4K1、ARID2、BACH2、CHX37、KLF2、KLF3、KLF6、MAF、SIGLEC9、TOX、ZBTB32、PTPN2、AKT1、PIK3CD、MT1E、MT2A、CSK、ITK、PAG1、PDCD4、ZC3H12A、DNMT1、DNMT3A、PRBM1、STK4、TET2、BNIP3、FAS、CBL、BGAT5、RNF128、STK17B、TRIB1、TXNIP、UBASH3A、BATF、FLI1、IKZF1、IKZF2、IRF4、NFATC1、NR4A1、MAP2K1、MAP2K2、MAP4K4、PPARGC1A、RELB、TMEM173、USP10、MT1A、PP2Aファミリーメンバー、RASA2、NR4A2、NR4A3、AHR、CD70、LHALS1、SOCS1、SOCS2、SOCS3、TAZ、USP21、またはYAP1である、請求項33~35のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項37】
前記内在性タンパク質の生物活性が、前記改変ポリペプチドにおいて実質的に保持される、請求項33~36のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項38】
膜貫通ドメインを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項39】
前記膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、T細胞受容体のゼータ鎖、CD28、CD3s、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS、TIM3、LAB3、TIGIT、PD1、またはCTLA4から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである、請求項38に記載の改変ポリペプチド。
【請求項40】
細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む、請求項38または39に記載の改変ポリペプチド。
【請求項41】
前記細胞外ドメインが、リガンド、リガンド結合ドメイン、または抗原結合ドメインを含む、請求項40に記載の改変ポリペプチド。
【請求項42】
前記細胞外ドメインが、抗原結合ドメインを含む、請求項41に記載の改変ポリペプチド。
【請求項43】
前記抗原結合ドメインが、がん抗原に結合する、請求項42に記載の改変ポリペプチド。
【請求項44】
前記抗原結合ドメインが、4-1BB、5T4、8H9、B7-H6、腺癌抗原、a-フェトプロテイン、B細胞成熟抗原(BCMA)、BAFFR、Bリンパ腫細胞、C242抗原、CA9、癌胎児性抗原、CA-125、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD3、CD4、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、CD28、CD30(T FRSF8)、CD33、CD38、CD40、CD44v6、CD44v7/8、CD51、CD52、CD56、CD70 CD74、CD80、CD123、CD152、CD171、CD200、CD221、CE7、CEA、C-MET、CLAUDIN6、CLAUDIN18.3、CNT0888、CTLA-4、DRS、EpCAM、ErbB2、ErbB3/4、EGFR、EGFRγIII、EphA2、EGP2、EGP40、FAP、Fetal AchR、フィブロネクチンエクストラドメインB、葉酸受容体a、葉酸受容体1、G250/CAIX、GD2、GD3、糖タンパク質75、GP MB、HER2/neu、HGF、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、HMW-MAA、ヒト散乱因子受容体キナーゼ(human scatter factor receptor kinase)、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、IL-6、IL-13、IL-13受容体a2、IL-11受容体a、インスリン様成長因子I受容体、インテグリンa5I31、インテグリンavI33、カッパ軽鎖、Ll-CAM、ラムダ軽鎖、Lewis Y、メソテリン、MORAb-009、MS4A1、MUCl、MUCl 6、ムチンCanAg、NCAM、N-グリコリルノイラミン酸、NKG2Dリガンド、NPC-IC、PDGF-R a、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺特異的癌抗原(PSCA)、前立腺癌細胞、PSMA、PSC1、RANKL、RON、ROR1、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、spl7、TAG72、テネイシンC、TGF β2、TGF-I3、TL1A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、UPK1B、VEGF-A、VEGF受容体、VEGFR-1、VEGFR2、TEM1、TEM8、および/またはビメンチンから選択される抗原に結合する、請求項42または43に記載の改変ポリペプチド。
【請求項45】
前記抗原結合ドメインが、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域を含む、請求項42~44のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項46】
前記抗原結合ドメインが、scFvを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項47】
前記抗原結合ドメインが、単一ドメイン抗体抗原結合ドメインを含む、請求項42~44のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項48】
前記細胞内ドメインが、少なくとも1つの共刺激ドメインを含む、請求項42~47のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項49】
前記細胞内ドメインが、2つの共刺激ドメインを含む、請求項48に記載の改変ポリペプチド。
【請求項50】
少なくとも1つの共刺激ドメインが、4-1BB(CD137)、CD28、OX40、K細胞活性化受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、CDS、ICAM-L LFA-1(CD1la/CD18)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、RANK、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、Kp80(KLRF1)、Kp44、Kp30、Kp46、CD19、CD4、CD8a、CD8p、IL2Rp、IL2Ry、IL7Ra、ITGA4、VLAl、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDlld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDlla、LFA-1、ITGAM、CDllb、ITGAX、CDllc、ITGB1、CD29、ITGB2、IL15Ra、IL7R、CD18、CD132、LFA-1、ITGB7、KG2D、KG2C、TFR2、TRANCE/RA KL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、DAP10、DAP12、CD83のリガンド、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、および/またはシグナル伝達リンパ球活性化分子から選択される受容体タンパク質の共刺激ドメインである、請求項48または49に記載の改変ポリペプチド。
【請求項51】
4-1BB共刺激ドメインを含む、請求項48または49に記載の改変ポリペプチド。
【請求項52】
前記細胞内ドメインが、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含む、請求項40~51のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項53】
前記少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが、免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)シグナル伝達ドメインである、請求項52に記載の改変ポリペプチド。
【請求項54】
前記少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが、CD3ε、CD3ζ、CD3η、FcRγ、FcRβ、CD3δ、CD3γ、CD5、CD22、CD20、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、FcERI、CD66d、DAP10、およびDAP12から選択される受容体タンパク質のシグナル伝達ドメインである、請求項52または53に記載の改変ポリペプチド。
【請求項55】
前記細胞内ドメインが、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む、請求項54に記載の改変ポリペプチド。
【請求項56】
アミノ末端からカルボキシ末端まで、(i)細胞外ドメイン[ECD]-膜貫通ドメイン[TM]-共刺激ドメイン[CoD]-シグナル伝達ドメイン[SigD]-分解ドメイン[DD];または(2)ECD-TM-CoD-DD-SigD;または(3)ECD-TM-DD-CoD-SigDを含む、請求項40~55のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項57】
キメラ抗原受容体(CAR)である、請求項40~56のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項58】
1つ以上のドメイン間に1つ以上のペプチドリンカーを含む、請求項1~57のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項59】
細胞内に含まれる、請求項1~58のいずれか1項に記載の改変ポリペプチド。
【請求項60】
前記細胞が、ヒトエフェクター細胞である、請求項59に記載の改変ポリペプチド。
【請求項61】
前記細胞が、T細胞またはNK細胞である、請求項60に記載の改変ポリペプチド。
【請求項62】
請求項1~61のいずれか1項に記載の改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項63】
請求項62に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項64】
請求項62に記載の核酸分子または請求項63に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項65】
請求項1~61のいずれか1項に記載の改変ポリペプチドを含む、細胞。
【請求項66】
ヒトエフェクター細胞である、請求項64または65に記載の細胞。
【請求項67】
T細胞またはNK細胞である、請求項64~66のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項68】
T細胞である、請求項67に記載の細胞。
【請求項69】
エフェクターT細胞である、請求項68に記載の細胞。
【請求項70】
CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である、請求項68に記載の細胞。
【請求項71】
請求項64~70のいずれか1項に記載の細胞を含む、医薬組成物。
【請求項72】
請求項1~61のいずれか1項に記載の改変ポリペプチドのレベルを減少させる方法であって、前記改変ポリペプチドを
【化2】
およびこれらの互変異性体、並びにこれらの薬学的に許容される塩、並びにこれらの互変異性体の薬学的に許容される塩から選択される分解薬と接触させることを特徴とする、方法。
【請求項73】
細胞における改変ポリペプチドのレベルを減少させる方法であって、請求項64~70のいずれか1項に記載の細胞を
【化3】
およびこれらの互変異性体、並びにこれらの薬学的に許容される塩、並びにこれらの互変異性体の薬学的に許容される塩から選択される分解薬と接触させることを特徴とする、方法。
【請求項74】
対象内の細胞における改変ポリペプチドのレベルを減少させる方法であって、前記方法が、前記対象に
【化4】
およびこれらの互変異性体、並びにこれらの薬学的に許容される塩、並びにこれらの互変異性体の薬学的に許容される塩から選択される分解薬を投与することを特徴とし、前記細胞が、請求項1~61のいずれか1項に記載の改変ポリペプチドを含む、方法。
【請求項75】
前記細胞が、ヒトエフェクター細胞である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記細胞が、T細胞またはNK細胞である、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記改変ポリペプチドが、前記分解薬の存在下でユビキチン化される、請求項72~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記改変ポリペプチドが、前記分解薬の存在下で分解される、請求項72~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記分解薬が、前記分解ドメインに結合する、請求項72~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記分解薬が、セレブロンにも結合する、請求項72~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記分解薬が、前記分解ドメイン、分解薬、およびセレブロンを含む複合体を媒介する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
対象における疾患または障害を治療する方法であって、前記対象に請求項64~70のいずれか1項に記載の細胞を投与することを特徴とする、方法。
【請求項83】
前記細胞が、T細胞である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記細胞が、エフェクターT細胞である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記細胞が、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記細胞が、請求項57に記載の改変ポリペプチドを含む、請求項82~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記疾患または障害が、がんである、請求項82~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記がんが、血液がんまたは固形がんから選択される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病、多発性骨髄腫、または骨髄異形成症候群である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記固形がんが、脳癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌、子宮癌、皮膚癌、肝癌、骨癌、膵癌、卵巣癌、精巣癌、膀胱癌、腎癌、頭頸部癌、胃癌、子宮頸癌、直腸癌、喉頭癌、および食道癌である、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記細胞を前記対象に投与する前に、前記細胞をエクスビボで分解薬と接触させる、請求項82~90のいずれか1項に記載の方法であって、前記分解薬が、前記分解ドメインに結合する小分子である、方法。
【請求項92】
前記細胞を前記対象に、分解薬と一緒に投与することを特徴とする、請求項82~90のいずれか1項に記載の方法であって、前記分解薬が、前記分解ドメインに結合する小分子である、方法。
【請求項93】
前記細胞を前記対象に投与した後に、分解薬を投与することを特徴とする、請求項82~90のいずれか1項に記載の方法であって、前記分解薬が、前記分解ドメインに結合する小分子である、方法。
【請求項94】
前記分解薬が、
【化5】
およびこれらの互変異性体、これらの薬学的に許容される塩、並びにこれらの互変異性体の薬学的に許容される塩から選択される化合物である、請求項91~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
【化6】
およびこれらの互変異性体、これらの薬学的に許容される塩、並びにこれらの互変異性体の薬学的に許容される塩から選択される化合物。
【請求項96】
請求項95に記載の化合物および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月6日出願の米国仮出願第63/230,225号の優先権を主張し、あらゆる目的のために、参照によってその全体が組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、分解ドメインを含む改変ポリペプチド、化合物、組成物、並びにそれらの調製方法および細胞内の改変タンパク質を分解するためのものとしてのそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞などの、改変異種ポリペプチドを含む改変細胞が、治療に用いるために開発されている。かかる改変異種ポリペプチドの発現レベルの調節は、例えば、副作用の減少および/または改変細胞の有効性の向上により、改変細胞の治療効果を改善する場合がある。
【0004】
したがって、一つの態様において、改変ポリペプチドおよび分解薬が本明細書で提供され、ここで改変ポリペプチドは、分解ドメインが分解薬に結合するときに細胞内でユビキチン化を媒介する、分解ドメインを含む。
。
【発明の概要】
【0005】
特定の実施形態において、細胞における異種ポリペプチドのレベルを調節するための化合物およびその組成物が、本明細書に記載される。様々な実施形態において、化合物およびその組成物は、細胞における異種ポリペプチドのレベルを減少させるために使用される場合がある。
【0006】
本願の実施形態は、非限定的な実施形態を例示することを意図する詳細な説明および実施例を参照することによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A-1】
図1Aは、ヒトIKZFファミリータンパク質IKZF1~IKZF5の配列アライメント(配列番号48~52)を示す。
図1Bは、ヒトIKZF1~IKZF5の推定Gモチーフ含有ジンクフィンガー配列の表を示す。Gモチーフ配列には下線が付される。
【
図1A-2】
図1Aは、ヒトIKZFファミリータンパク質IKZF1~IKZF5の配列アライメント(配列番号48~52)を示す。
図1Bは、ヒトIKZF1~IKZF5の推定Gモチーフ含有ジンクフィンガー配列の表を示す。Gモチーフ配列には下線が付される。
【
図1B】
図1Aは、ヒトIKZFファミリータンパク質IKZF1~IKZF5の配列アライメント(配列番号48~52)を示す。
図1Bは、ヒトIKZF1~IKZF5の推定Gモチーフ含有ジンクフィンガー配列の表を示す。Gモチーフ配列には下線が付される。
【
図2】
図2は、C末端IKZF1 ZNF2デグロンを含むキメラ抗原受容体(CAR)のダイアグラムである。
【
図3】
図3は、CAR活性および分解を研究するための、Jurkat細胞レポーターベースのモデル系の模式図である。
【
図4A】
図4A~4Cは、IKZF1 ZNF2標識CARは機能を保持する(
図4A)が、高濃度の化合物Aによって部分的にしか分解されない(
図4C)ことを示す。化合物Aの構造は、
図4Bに示される。
【
図4B-4C】
図4A~4Cは、IKZF1 ZNF2標識CARは機能を保持する(
図4A)が、高濃度の化合物Aによって部分的にしか分解されない(
図4C)ことを示す。化合物Aの構造は、
図4Bに示される。
【
図5A】
図5Aは、C末端IKZF1 ZNF1、2、および/または3デグロンを含むCARの模式図を示す。CARのそれぞれは、N末端CD19結合scFvも含む。
図5Bは、C末端IKZF1デグロンを有するCARが活性を保持することを示す。
図5Cは、化合物Aの濃度を上げていったときの、C末端IKZF1デグロンを有するCARの分解を示す。
図5Dは、分解が野生型IKZF1デグロンに特異的であることを示す。
【
図5B】
図5Aは、C末端IKZF1 ZNF1、2、および/または3デグロンを含むCARの模式図を示す。CARのそれぞれは、N末端CD19結合scFvも含む。
図5Bは、C末端IKZF1デグロンを有するCARが活性を保持することを示す。
図5Cは、化合物Aの濃度を上げていったときの、C末端IKZF1デグロンを有するCARの分解を示す。
図5Dは、分解が野生型IKZF1デグロンに特異的であることを示す。
【
図5C】
図5Aは、C末端IKZF1 ZNF1、2、および/または3デグロンを含むCARの模式図を示す。CARのそれぞれは、N末端CD19結合scFvも含む。
図5Bは、C末端IKZF1デグロンを有するCARが活性を保持することを示す。
図5Cは、化合物Aの濃度を上げていったときの、C末端IKZF1デグロンを有するCARの分解を示す。
図5Dは、分解が野生型IKZF1デグロンに特異的であることを示す。
【
図5D】
図5Aは、C末端IKZF1 ZNF1、2、および/または3デグロンを含むCARの模式図を示す。CARのそれぞれは、N末端CD19結合scFvも含む。
図5Bは、C末端IKZF1デグロンを有するCARが活性を保持することを示す。
図5Cは、化合物Aの濃度を上げていったときの、C末端IKZF1デグロンを有するCARの分解を示す。
図5Dは、分解が野生型IKZF1デグロンに特異的であることを示す。
【
図6A-6C】
図6A~6Cは、Jurkatレポーター系における分解後のCARレベルの減少およびCAR活性の抑制を示す。
【
図7】
図7は、内因性Erkシグナル伝達がCAR分解によって弱められることを示す。
【
図8】
図8は、特定のヒトIKZFファミリーメンバーのGモチーフ含有C2H2ジンクフィンガー(配列番号21、32、27、38、40、29、47、31、23、20、26、および37)のアライメントを示す。
【
図9-1】
図9は、様々なヒトタンパク質に由来する、予測されるC2H2ジンクフィンガーデグロンを示す(配列番号72~109)。
【
図9-2】
図9は、様々なヒトタンパク質に由来する、予測されるC2H2ジンクフィンガーデグロンを示す(配列番号72~109)。
【
図10A-10B】
図10Aは化合物Bの構造を示す。
図10Bは、インビトロユビキチン化アッセイを用いる、Ikaros ZNF2に由来する改変Gモチーフのユビキチン化を示す。
【
図11A-11C】
図11Aは化合物Cの構造を示す。
図11B~11Cは、IKZF1 ZNF2_3 Q1Fデグロン標識CARの分解がCRBNおよびユビキチン-プロテアソーム経路(UPP)依存的であることを示す。
【
図12A-12B】
図12A~12Bは、IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの分解がJurkatレポーターアッセイにおいてCARレベルおよびシグナル伝達を減少させることを示す。
【
図13A】
図13AはIKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの構造を示す。
図13Bは、IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの発現が初代T細胞において化合物Cで調整可能であることを示す。
【
図13B】
図13AはIKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの構造を示す。
図13Bは、IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの発現が初代T細胞において化合物Cで調整可能であることを示す。
【
図14A】
図14A~14Dは、IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの機能が初代T細胞において化合物Cで調整可能であることを示す。
【
図14B】
図14A~14Dは、IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの機能が初代T細胞において化合物Cで調整可能であることを示す。
【
図14C】
図14A~14Dは、IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの機能が初代T細胞において化合物Cで調整可能であることを示す。
【
図14D】
図14A~14Dは、IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの機能が初代T細胞において化合物Cで調整可能であることを示す。
【
図15】
図15は、機能的な持続を試験するために用いられた慢性抗原刺激アッセイの模式図である。
【
図16A-16B】
図16Aは化合物Dの構造を示す。
図16B~16Cは、一過的に休息させたCAR T細胞では慢性抗原曝露による活性化が抑えられ、より多くのナイーブ表現型を維持することを示す。
【
図16C】
図16Aは化合物Dの構造を示す。
図16B~16Cは、一過的に休息させたCAR T細胞では慢性抗原曝露による活性化が抑えられ、より多くのナイーブ表現型を維持することを示す。
【
図17A】
図17A~17Bは、一過的に休息させたCAR T細胞が慢性抗原曝露後に、休息のない細胞よりも多くの炎症性サイトカインを産生し、より優れた抗腫瘍活性を示すことを示す。
【
図17B】
図17A~17Bは、一過的に休息させたCAR T細胞が慢性抗原曝露後に休息のない細胞よりも多くの炎症性サイトカインを産生し、より優れた抗腫瘍活性を示すことを示す。
【
図18A-18B】
図18A~18Cは、Q1Fデグロン標識CARがインビボで可逆的に下方制御され得ることを示す。
【
図18C】
図18A~18Cは、Q1Fデグロン標識CARがインビボで可逆的に下方制御され得ることを示す。
【
図19A-19B】
図19A~19Dは、Q1Fデグロン標識CARの下方制御が腫瘍反応性の増殖をインビボで低下させることを示す。
【
図19C-19D】
図19A~19Dは、Q1Fデグロン標識CARの下方制御が腫瘍反応性の増殖をインビボで低下させることを示す。
【
図20A】
図20A~20Dは、内在性のAURKAまたはTOX遺伝子座へのインフレームデグロン標識ノックインが化合物を介したタンパク質レベルの制御を可能にすることを示す。
【
図20B】
図20A~20Dは、内在性のAURKAまたはTOX遺伝子座へのインフレームデグロン標識ノックインが化合物を介したタンパク質レベルの制御を可能にすることを示す。
【
図20C-20D】
図20A~20Dは、内在性のAURKAまたはTOX遺伝子座へのインフレームデグロン標識ノックインが化合物を介したタンパク質レベルの制御を可能にすることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本明細書で使用される「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、互換的に使用され得る。「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、言及される、記載された特徴または構成要素の存在を特定するものとして解釈されるべきであるが、一つ以上の特徴、または構成要素、またはそれらの群の存在または付加を排除しない。さらに、「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語によって包含される例を含むことが意図される。結果的に、「からなる(consisting of)」という用語は、より具体的な本発明の実施形態を提供するために、「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語の代わりに使用され得る。
【0009】
「からなる(consisting of)」という用語は、特許発明の対象が、それをなす、記載される特徴または構成要素の少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%を有することを意味する。もう一つの実施形態において、「からなる(consisting of)」という用語は、あらゆる後に続く列挙の範囲から、あらゆるその他の特徴または構成要素を除外し、達成されるべき技術的効果にとって必要不可欠でないものを除く。
【0010】
本明細書で使用される「または(or)」という用語は、いずれか1つまたはあらゆる組み合わせを意味する両立的な「または」として解釈されるべきである。したがって、「A、B、またはC」は、以下のいずれかを意味する:「A;B;C;AおよびB;AおよびC;BおよびC;A、B、およびC」。この定義の例外は、要素、機能、ステップ、または行為の組み合わせが、何らかの形で本質的に相互排他的である場合にのみ生じる。
【0011】
本明細書において、あらゆる濃度範囲、パーセント範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に断らない限り、記載される範囲内のあらゆる整数の値、および適切な場合にはその分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むことが理解されるべきである。また、あらゆる物理的特徴(例えば高分子サブユニット、大きさ、または厚さなど)に関する、本明細書に記載されるあらゆる数値範囲は、特に断らない限り、記載される範囲内のあらゆる整数を含むことが理解されるべきである。本明細書で使用される「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、特に断らない限り、示される範囲、値、または構造の±20%、±10%、±5%、または±1%を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「改変ポリペプチド(engineered polypeptide)」は、天然に存在しないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。改変ポリペプチドの一部が天然に存在する場合があるが、改変ポリペプチド全体としては天然に存在しない。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、例えば分解ドメインに融合したり、あるいは分解ドメインを挿入したりすることで改変された、天然に存在するアミノ酸配列を含む。いくつかのかかる実施形態において、得られた改変ポリペプチドは、元の天然に存在するポリペプチドの活性を実質的に保持する。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、2つ以上の、または3つ以上の、または4つ以上の天然に存在するポリペプチドに由来する2つ以上の、または3つ以上の、または4つ以上のドメインを含む。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、分解ドメインを含む。
【0013】
本明細書で使用される「デグロン」および「分解ドメイン」は互換的に使用され、細胞内のポリペプチドに存在するときに、分解ドメインおよびユビキチンリガーゼの両方に結合する化合物の存在下で、ユビキチンリガーゼによるポリペプチドのユビキチン化を引き起こすアミノ酸配列を意味する。いくつかの実施形態において、化合物は、分解ドメインおよびセレブロンに結合する。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、分解ドメインを含む。ユビキチンリガーゼによるユビキチン化の後、分解ドメインを含むポリペプチドは、分解される場合がある。
【0014】
代表的な改変ポリペプチド
分解ドメインを含む改変ポリペプチドが本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、CARである。いくつかの実施形態において、かかるポリペプチドは、膜貫通ドメイン、細胞外ドメイン、および細胞内ドメインを含む。いくつかのかかる実施形態において、分解ドメインは、改変ポリペプチドの細胞内ドメインに位置する。いくつかの実施形態において、細胞外ドメインは、リガンド、リガンド結合ドメイン、または抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、がん抗原に結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖または重鎖可変領域、またはscFvを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、単一ドメイン抗体抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、少なくとも1つの共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、ITAMシグナル伝達ドメインなどの少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、以下でさらに記載されるような分解ドメインを含むCARである。
【0015】
いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、分解ドメインが遺伝子操作によって挿入されているか、あるいは分解ドメインが融合している、天然に存在するタンパク質に基づく。結果として生じる改変ポリペプチドは、追加の天然に存在するアミノ酸配列または天然に存在しないアミノ酸配列を含む場合がある。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、天然に存在する核または細胞質タンパク質に基づく。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、天然に存在するタンパク質の活性を実質的に保持する。改変ポリペプチドの分解は、改変ポリペプチドを発現する細胞を、例えば投与などによって、分解薬と接触させることで達成される場合がある。いくつかのかかる実施形態において、分解ドメインは、Ikaros Family Zinc Finger(ZNF)アミノ酸配列に由来し、分解薬は、E3リガーゼなどのユビキチンリガーゼに結合する小分子である。分解ドメインを含む改変ポリペプチドを発現する細胞に分解薬を投与すると、E3リガーゼによる分解ドメインを含む改変ポリペプチドのユビキチン化および改変ポリペプチドの分解を引き起こす。いくつかの実施形態において、分解薬は、セレブロンおよび分解ドメインに結合する化合物である。
【0016】
いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、天然に存在するタンパク質および天然に存在するタンパク質に融合される、あるいは挿入される分解ドメインを含む。分解ドメインがタンパク質に「融合」される場合、改変ポリペプチドは、アミノ酸リンカーなどの、分解ドメインとタンパク質とを結合するリンカーを含む場合がある。かかるアミノ酸リンカーはどのような長さであってもよく、例えば、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10、または1~5個のアミノ酸であってもよい。いくつかの実施形態において、アミノ酸リンカーは、グリシンおよびセリンから構成される。
【0017】
分解ドメインが融合される場合がある、あるいは分解ドメインが挿入される場合がある代表的なタンパク質には、これらに限定されないが、PRDM1、TGFBR2、CASP8、CBLB、CD5、CISH、CGKA、DGKz、MAP4K1、ARID2、BACH2、CHX37、KLF2、KLF3、KLF6、MAF、SIGLEC9、TOX、ZBTB32、PTPN2、AKT1、PIK3CD、MT1E、MT2A、CSK、ITK、PAG1、PDCD4、ZC3H12A、DNMT1、DNMT3A、PRBM1、STK4、TET2、BNIP3、FAS、CBL、BGAT5、RNF128、STK17B、TRIB1、TXNIP、UBASH3A、BATF、FLI1、IKZF1、IKZF2、IRF4、NFATC1、NR4A1、MAP2K1、MAP2K2、MAP4K4、PPARGC1A、RELB、TMEM173、USP10、MT1A、PP2Aファミリーメンバー、RASA2、NR4A2、NR4A3、AHR、CD70、LHALS1、SOCS1、SOCS2、SOCS3、TAZ、USP21、またはYAP1が挙げられる。いくつかの実施形態において、タンパク質は、ヒトタンパク質などの哺乳動物タンパク質である。
【0018】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、細胞内の内在性タンパク質に融合されるか、あるいは挿入される。いくつかのかかる実施形態において、分解ドメインをコードする配列は、内在性タンパク質に融合される、あるいは挿入される分解ドメインを含む内在性タンパク質を発現する、改変ポリペプチドが発現されるような細胞のゲノムに挿入される場合がある。核酸配列(分解ドメインをコードする配列など)を細胞のゲノムに挿入する様々な方法が当技術分野で既知であり、例えば、CRISPR/Casを用いる、アデノ随伴ウイルス(AAV)を介した、もしくは非ウイルス相同組換え、レンチウイルス形質導入、またはトランスポゾンデリバリーが挙げられる。いくつかの実施形態において、分解ドメインをコードする核酸配列は、免疫細胞(例えばTリンパ球など)内の内在性タンパク質に融合されるか、あるいは挿入される。いくつかのかかる実施形態において、T細胞は単離され、改変ポリペプチドを発現するように改変され、患者に投与される。患者への投与後、改変ポリペプチドの分解が望ましい場合に分解薬が続いて投与される場合がある。
【0019】
いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドをコードする核酸配列は、細胞に導入される。核酸を細胞に導入する方法は当技術分野で既知であり、例えば、本明細書に記載される改変ポリペプチドをコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含む、合成ベクター、レンチウイルスまたはレトロウイルスベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)、または同類のものが挙げられる。
【0020】
代表的な分解ドメイン
本明細書で提供される改変ポリペプチドは、分解ドメインを含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、分解薬に結合するアミノ酸配列を含む。分解薬は、分解ドメインおよびユビキチンリガーゼと結合し、改変ポリペプチドのユビキチン化を引き起こす。
【0021】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、Ikarosファミリータンパク質(例えばIkaros、Helios、Aiolos、Eos、またはPegasusなど)のGモチーフに由来するアミノ酸配列を含む。非限定的な代表的なGモチーフは、
図1Bに示される配列に下線が付されている。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される分解ドメインは、1位のアミノ酸をフェニルアラニン(F)に置換することで天然のGモチーフ配列から改変されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、1位にQを天然に含むGモチーフに由来するので、分解ドメインはQ1F置換を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列FCX1X2CGX3X4(配列番号1)を含む。いくつかの実施形態において、X1は、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、グルタミン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、バリン、スレオニン、およびフェニルアラニンから選択され;X2は、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、イソロイシン、バリン、およびメチオニンから選択され;X3は、アラニン、セリン、システイン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、およびグリシンから選択され;X4は、セリン、メチオニン、リシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、グルタミン、アルギニン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから選択される。いくつかの実施形態において、X1は、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、バリン、スレオニン、およびフェニルアラニンから選択される。いくつかの実施形態において、X2は、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、イソロイシン、およびメチオニンから選択される。いくつかの実施形態において、X3は、アラニン、セリン、システイン、およびグリシンから選択される。いくつかの実施形態において、X4は、セリン、メチオニン、ヒスチジン、グルタミン、アルギニン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから選択される。いくつかの実施形態において、X1は、アスパラギンである。いくつかの実施形態において、X2は、グルタミンである。いくつかの実施形態において、X3は、アラニンまたはセリンである。いくつかの実施形態において、X3は、アラニンである。いくつかの実施形態において、X4は、セリンである。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドの分解ドメインは、アミノ酸配列FCNQCGAS(配列番号3)を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列FCX1X2CGX3X4X5(配列番号2)を含み、ここで、X1、X2、X3、およびX4は、上記で定義されるとおりである。いくつかの実施形態において、X5は、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、チロシン、システイン、およびグルタミンから選択される。いくつかの実施形態において、X5は、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、チロシン、およびグルタミンから選択される。いくつかの実施形態において、X5は、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、チロシン、およびグルタミンから選択される。いくつかの実施形態において、X5は、フェニルアラニンである。
【0024】
様々な実施形態において、分解ドメインは、上記の改変Gモチーフを含む少なくとも1つのジンクフィンガードメインを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのジンクフィンガードメインは、Ikarosファミリータンパク質(例えばIkaros、Helios、Aiolos、Eos、またはPegasusなど)に由来する。Gモチーフを含む非限定的な代表的なジンクフィンガーは、
図1Bに示される。様々な実施形態において、分解ドメインは、1つ、2つ、3つ、または4つのジンクフィンガードメインを含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、Gモチーフを含む1つのジンクフィンガードメインおよびGモチーフを含まない少なくとも1つのジンクフィンガードメインを含む。ジンクフィンガードメインは、同一のタンパク質に由来してもしなくてもよい。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、2つのジンクフィンガードメインを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトIkarosのジンクフィンガー2(ZNF2)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトIkarosのジンクフィンガー2(ZNF2)、および少なくとも1つの追加のジンクフィンガードメイン(Ikarosファミリータンパク質の少なくとも1つの追加のジンクフィンガードメインなど)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトIkarosのジンクフィンガー2(ZNF2)およびヒトIkarosのZNF1またはZNF3と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトIkarosのジンクフィンガー2(ZNF2)およびジンクフィンガー3(ZNF3)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトIkarosの145~167位のアミノ酸(FQCNQCGASFTQKGNLLRHIKLH;配列番号21)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトHeliosの140~162位のアミノ酸(FHCNQCGASFTQKGNLLRHIKLH;配列番号27)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトAiolosの146~168位のアミノ酸(FQCNQCGASFTQKGNLLRHIKLH;配列番号32)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトEosの187~209位のアミノ酸(FHCNQCGASFTQKGNLLRHIKLH;配列番号38)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトIkarosの141~168位のアミノ酸(GERPFQCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHS;配列番号15)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトHeliosの136~163位のアミノ酸(GERPFHCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHS;配列番号60)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトAiolosの142~169位のアミノ酸(GERPFQCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHT;配列番号61)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトEosの183~210位のアミノ酸(GERPFHCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHS;配列番号62)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトIkarosの141~196位のアミノ酸(GERPFQCNQC GASFTQKGNL LRHIKLHSGE KPFKCHLCNY ACRRRDALTG HLRTHS;配列番号6)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトHeliosの136~191位のアミノ酸(GERPFHCNQC GASFTQKGNL LRHIKLHSGE KPFKCPFCSY ACRRRDALTG HLRTHS;配列番号63)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトAiolosの142~197位のアミノ酸(GERPFQCNQC GASFTQKGNL LRHIKLHTGE KPFKCHLCNY ACQRRDALTG HLRTHS;配列番号64)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、ヒトEosの183~238位のアミノ酸(GERPFHCNQC GASFTQKGNL LRHIKLHSGE KPFKCPFCNY ACRRRDALTG HLRTHS;配列番号65)と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCX1X2CGX3X4X5TQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCHLCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号5)を含み、ここで、X1、X2、X3、およびX4、およびX5は、上記で定義されるとおりである。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCX1X2CGX3X4X5TQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCSYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号66)を含み、ここで、X1、X2、X3、およびX4、およびX5は、上記で定義されるとおりである。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCX1X2CGX3X4X5TQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDALTGHLRTHS(配列番号67)を含み、ここで、X1、X2、X3、およびX4、およびX5は、上記で定義されるとおりである。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCX1X2CGX3X4X5TQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号68)を含み、ここで、X1、X2、X3、およびX4、およびX5は、上記で定義されるとおりである。
【0030】
いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCHLCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号7)を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCSYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号69)を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDALTGHLRTHS(配列番号70)を含む。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、アミノ酸配列:GERPFFCNQCGASFTQKGNLLRHIKLHSGEKPFKCPFCNYACRRRDALTGHLRTHS(配列番号71)を含む。
【0031】
代表的なキメラ抗原受容体コンストラクト
CARの発現を分解薬の存在下でそれを分解することによって調節する能力は、CAR発現を調節する能力がない場合と比べて多くの利点を有する。例えば、CARを発現する治療用免疫細胞によってもたらされるオンターゲット・オフ腫瘍効果は、毒性をもたらす可能性があるが、CARを分解することによって減少または除去することができる。強すぎるCAR介在免疫応答は、CARを分解することによって減少または除去することができる。チェックポイントの慢性活性化および過剰発現によって引き起こされるT細胞機能不全は、CARの発現の周期化および/またはCARの発現のタイトレーションによって回避できる。かかるCAR分解は、本明細書で提供される分解ドメインを含むCARを発現させ、必要に応じて分解薬を投与することによって達成される。いくつかのかかる実施形態において、分解薬は、E3リガーゼなどのユビキチンリガーゼに結合する小分子である。分解ドメインを含むCARポリペプチドを発現する細胞に分解薬を投与すると、E3リガーゼによる分解ドメインを含むCARポリペプチドのユビキチン化およびCARポリペプチドの分解を引き起こす。いくつかの実施形態において、分解薬は、セレブロンおよび分解ドメインに結合する化合物である。
【0032】
(a)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞シグナル伝達ドメイン、および/または共刺激ドメインなどのCARの構成要素、および(b)分解ドメインを含むキメラ抗原受容体(CARs)を含むか、またはそれからなる改変ポリペプチドが本明細書で提供される。分解ドメインに融合されるCARが、セレブロン結合化合物などの分解薬の存在下、免疫細胞(例えば、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞)内で発現する場合、セレブロンなどのE3リガーゼおよびCARの分解ドメインが分解薬に結合し、分解ドメインをユビキチン化するE3リガーゼ複合体が形成される。それゆえ、本明細書に記載されるCARの活性(例えば、インビボ活性)は、分解ドメインを含むCARを発現する細胞(例えば、前記CARポリペプチドを発現するように改変されたTリンパ球)をセレブロン結合化合物などの分解薬と接触させることで制御され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内一次シグナル伝達ドメイン、および分解ドメインを含むCARである改変ポリペプチドが本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、本明細書で提供されるアミノ酸配列を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシ末端の順に抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、一次T細胞シグナル伝達ドメイン、および/または共刺激ドメイン、および分解ドメインを含むCARである。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、CARのC末端に位置する。いくつかの実施形態において、分解ドメインは、本明細書で提供されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CARは、共刺激ドメインを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシ末端の順に(i)細胞外ドメイン[ECD]-膜貫通ドメイン[TM]-共刺激ドメイン[CoD]-シグナル伝達ドメイン[SigD]-分解ドメイン[DD]を含むCARである。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシ末端の順にECD-TM-CoD-DD-SigDを含むCARである。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシ末端の順にECD-TM-DD-CoD-SigDを含むCARである。分解ドメインは、好ましくはドメインの望ましい活性が保持されるように、別のドメイン(例えば共刺激ドメインまたはシグナル伝達ドメインなど)に挿入されることもある。
【0036】
代表的な抗原結合ドメイン
本明細書で提供されるCARの抗原結合ドメインは、抗原に結合する任意のポリペプチドドメイン、モチーフ、または配列であり得る。
【0037】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインは、受容体の抗原結合部分である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインは、腫瘍細胞によって産生されるリガンドの受容体である。
【0038】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインは、抗体の抗原結合部分である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインは、抗体、抗体鎖、一本鎖抗体、またはそれらの抗原結合部分、Fcドメイン、グリコホスファチジルイノシトールアンカードメイン、またはscFv抗体フラグメントである。
【0039】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインは、ペプチド系高分子抗原結合剤、例えば、ファージディスプレイタンパク質である。
【0040】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによる抗原結合は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と関連する抗原提示に拘束される。特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによる抗原結合は、MHC非拘束性である。
【0041】
本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによって結合/認識される抗原は、興味の対象となる任意の抗原であり得る。いくつかの実施形態において、抗原は、細胞(例えば、固形腫瘍細胞または血液がん腫瘍細胞などの腫瘍細胞)の表面上に発現する抗原である。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによって結合/認識される抗原は、腫瘍細胞上の抗原であり、例えば、抗原は腫瘍特異抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)である。本明細書に記載されるCARによって認識され得る(すなわち、CARの抗原結合ドメインによって結合され得る)代表的な腫瘍細胞抗原には、これらに限らないが、4-1BB、5T4、8H9、B7-H6、腺癌抗原、a-フェトプロテイン、B細胞成熟抗原(BCMA)、BAFFR、Bリンパ腫細胞、C242抗原、CA9、癌胎児性抗原、CA-125、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD3、CD4、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、CD28、CD30(T FRSF8)、CD33、CD38、CD40、CD44v6、CD44v7/8、CD51、CD52、CD56、CD70 CD74、CD80、CD123、CD152、CD171、CD200、CD221、CE7、CEA、C-MET、CLAUDIN6、CLAUDIN18.3、CNT0888、CTLA-4、DRS、EpCAM、ErbB2、ErbB3/4、EGFR、EGFRγIII、EphA2、EGP2、EGP40、FAP、Fetal AchR、フィブロネクチンエクストラドメインB、葉酸受容体a、葉酸受容体1、G250/CAIX、GD2、GD3、糖タンパク質75、GP MB、HER2/neu、HGF、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、HMW-MAA、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、IL-6、IL-13、IL-13受容体a2、IL-11受容体a、インスリン様成長因子I受容体、インテグリンa5I31、インテグリンavI33、カッパ軽鎖、Ll-CAM、ラムダ軽鎖、Lewis Y、メソテリン、MORAb-009、MS4A1、MUCl、MUCl 6、ムチンCanAg、NCAM、N-グリコリルノイラミン酸、NKG2Dリガンド、NPC-IC、PDGF-R a、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺特異的癌抗原(PSCA)、前立腺癌細胞、PSMA、PSC1、RANKL、RON、ROR1、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、spl7、TAG72、テネイシンC、TGF β2、TGF-I3、TL1A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、UPK1B、VEGF-A、VEGF受容体、VEGFR-1、VEGFR2、TEM1、TEM8、および/またはビメンチンが挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによって結合/認識される抗原は、リンパ腫/白血病、肺癌、乳癌、前立腺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、上咽頭癌、黒色腫、例えば、悪性黒色腫、皮膚癌、結腸直腸癌、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、内分泌腫瘍、ユーイング肉腫、末梢性未分化神経外胚葉性腫瘍、固形胚細胞腫瘍、肝芽腫、神経芽腫、非横紋筋肉腫軟部組織肉腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経膠芽腫、粘液腫、線維腫、脂肪腫、または同類のものの腫瘍細胞上に発現するか、あるいはそれに関連する抗原である。
【0044】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによって結合/認識される抗原は、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫)、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体腔液リンパ腫、バーキットリンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、T細胞性大顆粒リンパ球性白血病、急速進行性NK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉症、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(非特定)、未分化大細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫の腫瘍細胞上に発現するか、あるいはそれに関連する抗原である。
【0045】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによって結合/認識される抗原は、非腫瘍関連抗原または非腫瘍特異抗原である。特定の実施形態において、抗原は、腫瘍の状況、例えば、腫瘍環境に関連する。例えば、腫瘍は、腫瘍周囲の組織における炎症状態を引き起こし得、腫瘍内部および周辺における血管形成を促進する血管新生増殖因子、インターロイキン、および/またはサイトカインを放出し得る。それゆえ、特定の実施形態において、抗原は、増殖因子、サイトカイン、またはインターロイキン(例えば、血管新生または脈管形成血管新生または脈管形成と関連する増殖因子、サイトカイン、またはインターロイキン)である。かかる増殖因子、サイトカイン、およびインターロイキンには、これらに限らないが、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、およびインターロイキン-8(IL-8)を挙げることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによって結合/認識される抗原は、腫瘍に起因する局所損傷に応答して正常組織によって放出されるダメージ関連分子パターン分子(DAMP;別名アラーミン)である。本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインが結合し得る代表的なDAMPには、これらに限らないが、熱ショックタンパク質、クロマチン関連タンパク質高移動度群ボックス1(HMGBl)、S100A8(MRP8、カルグラニュリンA)、S100A9(MRP14、カルグラニュリンB)、血清アミロイドA(SAA)、デオキシリボ核酸、アデノシン三リン酸、尿酸、およびヘパリン硫酸が挙げられる。
【0047】
代表的な膜貫通ドメイン
本明細書で使用される「膜貫通ドメイン」には、膜貫通ドメインを含むポリペプチドが細胞内および細胞外ドメインの両方を含む膜貫通ドメイン、並びに膜貫通ドメインを含むポリペプチドが細胞内ドメインを含むが細胞外ドメインを含まない膜アンカードメインが挙げられる。
【0048】
本明細書に記載される改変ポリペプチドの膜貫通ドメインは、膜貫通ドメインとして機能することが当技術分野で既知の、例えば、それが使用される状況で(例えばCARなどで)機能することが当業者によって既知の、任意の分子を含み得る。本明細書に記載される改変ポリペプチドの膜貫通ドメインは、任意の膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインから得ることができるか、あるいはそれに由来し得、かかる膜貫通ドメインの全部または一部を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドの膜貫通ドメイン(例えばCARなど)は、T細胞受容体から得られるか、あるいはそれに由来し、例えば、本明細書に記載される改変ポリペプチドの膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、T細胞受容体のゼータ鎖から得られるか、あるいはそれに由来する。
【0050】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドの膜貫通ドメインは、CD28、CD3s、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS、TIM3、LAB3、TIGIT、PD1、またはCTLA4、サイトカイン受容体、インターロイキン受容体、または増殖因子受容体から得られるか、あるいはそれに由来する。
【0051】
代表的なシグナル伝達ドメイン
本明細書に記載されるCARの一次細胞シグナル伝達ドメインは、細胞シグナル伝達ドメインとして機能することが当技術分野で既知の、例えば、CARの状況で機能することが当業者によって既知の、任意の分子を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの細胞シグナル伝達ドメインは、一次T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの一次細胞シグナル伝達ドメインは、ZAP-70、またはそのシグナル伝達バリアントであるか、あるいはそれを含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの一次細胞シグナル伝達ドメインは、ITAMであるか、それを含む。いくつかの実施形態において、前記ITAMは、CD3ε、CD3ζ、CD3η、FcRγ、FcRβ、CD3δ、CD3γ、CD5、CD22、CD20、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、FcERI、CD66d、DAP10、またはDAP12のITAMである。
【0054】
代表的な共刺激ドメイン
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARは、共刺激ドメインを含む。本明細書に記載されるCARの共刺激ドメインは、共刺激ドメインとして機能することが当技術分野で既知の、例えば、CARの状況で機能することが当業者によって既知の、任意の分子を含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの共刺激ドメインは、共刺激CD27ポリペプチド配列、共刺激CD28ポリペプチド配列、共刺激OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激4-1BB(CD137)ポリペプチド配列、または共刺激誘導性T細胞共刺激(ICOS)ポリペプチド配列から得られるか、あるいはそれに由来する。
【0056】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの共刺激ドメインは、4-1BB(CD137)、CD28、OX40、K細胞活性化受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、CDS、ICAM-L LFA-1(CD1la/CD18)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、RANK、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、Kp80(KLRF1)、Kp44、Kp30、Kp46、CD19、CD4、CD8a、CD8p、IL2Rp、IL2Ry、IL7Ra、ITGA4、VLAl、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDlld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDlla、LFA-1、ITGAM、CDllb、ITGAX、CDllc、ITGB1、CD29、ITGB2、IL15Ra、IL7R、CD18、CD132、LFA-1、ITGB7、KG2D、KG2C、TFR2、TRANCE/RA KL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、DAP10、DAP12、CD83のリガンド、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、および/またはシグナル伝達リンパ球活性化分子であるか、あるいはそれを含む。
【0057】
その他の代表的な構成要素
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARなどの改変ポリペプチドは、T細胞生存モチーフ(survival motif)をさらに含む。T細胞生存モチーフは、抗原による刺激の後にTリンパ球の生存を促進する任意のアミノ酸配列またはモチーフであり得る。特定の実施形態において、T細胞生存モチーフは、CD3、CD28、IL-7受容体(IL-7R)の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL-12受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL-15受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL-21受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはトランスフォーミング増殖因子β(TGFB)受容体の細胞内シグナル伝達ドメインであるか、あるいはそれに由来する。
【0058】
代表的な修飾
特定の実施形態において、本明細書で提供される改変ポリペプチドは、例えば、アシル化、アミド化、グリコシル化、メチル化、リン酸化、硫酸化、SUMO化、および/またはユビキチン化(またはその他のタンパク質修飾)によって修飾される。
【0059】
特定の実施形態において、本明細書で提供される改変ポリペプチドは、検出可能なシグナルを提供することができる標識、例えば、放射性同位体または蛍光化合物で標識される。
【0060】
特定の実施形態において、本明細書で提供される改変ポリペプチドの1つ以上の側鎖は、例えば、コハクまたはその他のカルボン酸無水物によるリシニルおよびアミノ末端残基の誘導体化、または例えば、ピコリンイミド酸メチルなどのイミドエステル;ピリドキサールリン酸;ピリドキサール;クロロボロハイドライド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O-メチルイソ尿素;2,4ペンタンジオン;およびグリオキシル酸とのトランスアミナーゼ触媒反応による誘導体化によって誘導体化される。特定の実施形態において、カルボキシル側鎖(アスパルチルまたはグルタミル)は、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-(4-エチル)カルボジイミドまたはl-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド(R-N=C=N-)との反応によって選択的に修飾される場合がある。
【0061】
代表的な核酸
本明細書に記載される改変ポリペプチドをコードする核酸が本明細書で提供される。本明細書に記載される改変ポリペプチドの生産に有用な核酸には、DNA、RNA、および核酸アナログが挙げられる。核酸アナログは、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で修飾され得、デオキシチミジンに対するデオキシウリジン置換、デオキシシチジンに対する5-メチル-2’-デオキシシチジンまたは5-ブロモ-2’-デオキシシチジン置換を含み得る。糖部分の修飾には、2’-O-メチルまたは2’-O-アリル糖を形成するリボース糖の2’ヒドロキシルの修飾が挙げられる。デオキシリボースリン酸骨格は、各塩基部分が6員モルフォリノ環に結合したモルフォリノ核酸、またはデオキシリン酸骨格がシュードペプチド骨格に置換され、4つの塩基が保持されるペプチド核酸となるように修飾され得る。例えば、Summerton and Weller (1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7: 187-195; and Hyrup et al. (1996) Bioorgan. Med. Chain. 4:5-23を参照されたい。さらに、デオキシリン酸骨格は、例えば、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート骨格、ホスホロアミダイト、またはアルキルホスホトリエステル骨格に置換され得る。
【0062】
特定の実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドコード核酸は、核酸ベクター内に含まれる。例えば、興味の対象となる細胞(例えば、Tリンパ球)は、本明細書に記載される改変ポリペプチドをコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含む、合成ベクター、レンチウイルスまたはレトロウイルスベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)、または同類のものを用いて形質転換され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドを含むベクターは、レトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターは、レンチウイルスベクターである。細胞(例えば、Tリンパ球)の形質転換に適するレンチウイルスベクターには、米国特許第5,994,136号;第6,165,782号;第6,428,953号;第7,083,981号;および第7,250,299号に記載のレンチウイルスベクターが挙げられるが、これらに限らない。細胞(例えば、Tリンパ球)の形質転換に適するHIVベクターには、米国特許第5,665,577号に記載のベクターが挙げられるが、これに限らない。
【0063】
特定の実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドコード核酸は、プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、T細胞特異的プロモーター、ナチュラルキラー(NK)細胞特異的プロモーター、T細胞またはNK細胞内で機能する誘導性プロモーター、または構成的プロモーターである。
【0064】
代表的な細胞
本明細書で提供される改変ポリペプチドは、改変ポリペプチド(例えばCARなど)の発現が有用である細胞において発現し得る、すなわち、細胞は、細胞における核酸の発現時に細胞が本明細書に記載される改変ポリペプチドを発現するような、本明細書で提供される改変ポリペプチドコード核酸を含むように改変される。例えば、本明細書に記載される改変ポリペプチドは、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞において発現し得る。本明細書に記載されるCARを発現する本明細書で提供される細胞は、「CAR細胞」と呼ばれる場合がある。
【0065】
特定の実施形態において、本明細書で提供される分解ドメインを含む改変ポリペプチドを発現するように改変された細胞(例えば、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞)が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、細胞は、(a)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞シグナル伝達ドメイン、および/または共刺激ドメインなどのCARの構成要素、および(b)分解ドメインを含むCARである改変ポリペプチドを発現するように改変されている。いくつかの実施形態において、細胞は、別のタンパク質に融合される、あるいは挿入される分解ドメインを含む改変ポリペプチドを発現するように改変されている。改変細胞を本明細書で提供される分解薬と接触させると改変ポリペプチドのユビキチン化および分解が引き起こされる。
【0066】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される改変ポリペプチドは、Tリンパ球において発現する。Tリンパ球は、ナイーブTリンパ球またはMHC拘束性Tリンパ球であり得る。特定の実施形態において、Tリンパ球は、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)である。特定の実施形態において、Tリンパ球は、腫瘍生検から単離されているか、あるいは腫瘍生検から単離されたTリンパ球から増殖されている。特定の他の実施形態において、Tリンパ球は、末梢血、臍帯血、またはリンパから単離されているか、あるいはそれから増殖されたTリンパ球から増殖される。
【0067】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドを含む/発現するように改変される細胞(例えば、Tリンパ球)は、本明細書に記載される治療方法の一部として細胞(例えば、Tリンパ球)が投与される個人に対して自己由来である。他の実施形態において、本明細書に記載される改変ポリペプチドを含む/発現するように改変される細胞(例えば、Tリンパ球)は、細胞(例えば、Tリンパ球)が投与される個人に対して同種である。同種細胞(例えば、Tリンパ球)がCAR細胞などの改変細胞を調製するために使用される場合、個人における移植片対宿主病(GVHD)の可能性を低下させる細胞(例えば、Tリンパ球)を選択するのが好ましい。例えば、特定の実施形態において、ウイルス特異的Tリンパ球は、CAR Tリンパ球の調製のために選択され、かかるリンパ球は、任意のレシピエント抗原に結合し、それによって活性化するという元々の能力が大きく低下していることが期待される。特定の実施形態において、レシピエントを介した同種細胞(例えば、Tリンパ球)の拒絶は、1つ以上の免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、シクロホスファミド、または同類のものを宿主に共投与することで軽減することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、Tリンパ球は、個人から得て、適宜増殖され、続いて本明細書で提供される改変ポリペプチドをコードするベクターで形質転換され、次に適宜増殖される。いくつかの実施形態において、Tリンパ球は、個人から得て、適宜増殖され、続いて本明細書に記載されるCARである改変ポリペプチドをコードするベクターで形質転換され、次に適宜増殖される。いくつかの実施形態において、ベクターを含む細胞は、選択可能なマーカーを用いて得ることができる。いくつかの実施形態において、Tリンパ球は、個人から得て、適宜増殖され、続いて内在性タンパク質に融合される、あるいは挿入される分解ドメインを含む改変ポリペプチドが発現するように、分解ドメインを目的の内在性タンパク質遺伝子に挿入するように改変される。改変Tリンパ球は、適宜さらに増殖される場合がある。
【0069】
特定の実施形態において、本明細書で提供される改変ポリペプチドを発現させるために使用されるTリンパ球は、天然TCR複合体を形成することができる天然TCRタンパク質(例えば、TCR-αおよびTCR-β)を含む。特定の他の実施形態において、Tリンパ球においてTCR-αおよびTCR-βをコードする天然遺伝子のいずれか一方または両方は、機能しないように改変され、例えば、一部または全部が欠失されるか、あるいは変異が挿入される。
【0070】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCARのシグナル伝達ドメインは、CARを含む/発現する細胞(例えば、Tリンパ球)の増殖(proliferation)および増殖(expansion)を促進するために使用され得る。例えば、未改変Tリンパ球、およびCD3ζシグナル伝達ドメインおよびCD28共刺激ドメインを含むポリペプチドを含むTリンパ球は、CD3およびCD28に対する抗体、例えば、ビーズに結合した抗体を用いて、増殖され得る。例えば、米国特許第5,948,893号;第6,534,055号;第6,352,694号;第6,692,964号;第6,887,466号;および第6,905,681号を参照されたい。同様に、シグナル伝達モチーフに対する抗体は、本明細書に記載されるCARを含む細胞(例えば、Tリンパ球)の増殖を刺激するために使用され得る。
【0071】
特定の実施形態において、改変ポリペプチドは、望ましいときに改変ポリペプチドを発現する実質的にすべての細胞を死滅させることを可能にする「自殺遺伝子」または「安全スイッチ」として使用される場合がある。例えば、分解ドメインは、生存および/または細胞の特定の活性に必要な内在性タンパク質を発現する遺伝子に挿入される場合がある。細胞を分解薬と接触させると、内在性タンパク質(すなわち、分解ドメインおよび内在性タンパク質を含む改変ポリペプチド)のユビキチン化および分解が引き起こされ、細胞の活性を無効にするか、あるいは細胞を死滅させる。
【0072】
代表的な分解薬
本明細書で使用される「分解薬」という用語は、本明細書で提供される分解ドメインおよびE3リガーゼなどのユビキチンリガーゼと結合することができる分子(例えば、小分子)を指す。いくつかの実施形態において、分解薬は、分解ドメインおよびセレブロンに結合する。いくつかの実施形態において、分解薬は、分解ドメインおよびユビキチンリガーゼに結合し、E3リガーゼと分解ドメインとの会合をもたらす。いくつかのかかる実施形態において、分解ドメインを含む改変ポリペプチドは、分解薬によって媒介される会合の後にユビキチンリガーゼによってユビキチン化される。
【0073】
いくつかの実施形態において、分解薬は、セレブロン結合化合物である。いくつかの実施形態において、分解薬は、3-(5-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-カルボニル)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物B)、3-(5-((4-(2-メチルピリジン-3-イル)ピペラジン-1-イル)メチル)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物C)、または3-[5-[1-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチル)-4-ピペリジル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(化合物D)である。
【表1】
【0074】
いくつかの実施形態において、分解薬は、WO2019/038717A1に記載される化合物であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
本明細書に記載される方法に従って使用される分解薬、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレート、または多形は、単一用量(例えば、単回ボーラス注射、または経口錠剤もしくは丸剤など)として、あるいは時間をかけて(例えば、長時間の持続注入または長時間の分割ボーラス投与)送達され得る。
【0076】
本明細書に記載される方法に従って使用される分解薬は、静脈内、動脈内、非経口、筋肉内、皮下、髄腔内、または眼内投与、または特定の臓器または組織内への投与のために製剤化され得る。
【0077】
代表的な方法
いくつかの実施形態において、分解ドメインを含む改変ポリペプチドのレベルを減少させる方法であって、改変ポリペプチドを分解薬と接触させることを特徴とする、方法が提供される。いくつかの実施形態において、接触は細胞内で起こり、分解薬は分解ドメインおよびユビキチンリガーゼに結合し、改変ポリペプチドのユビキチン化および分解を引き起こす。いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドの分解は、少なくとも1つの細胞の活性の減少および/または少なくとも1つの細胞の活性の増加および/または細胞死をもたらす。非限定的な代表的な効果には、細胞(T細胞など)活性化の閾値の低下、細胞(T細胞など)の機能的な持続(functional persistence)の増加、細胞生存の促進、および細胞増殖の増加が挙げられる。いくつかの実施形態において、分解薬は、化合物B、化合物C、または化合物Dである。いくつかの実施形態において、方法は、対象に分解薬を投与することを特徴とし、ここで、前記対象は、改変ポリペプチドを含む細胞を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、改変ポリペプチドは、分解薬の存在下で分解される。いくつかの実施形態において、分解薬は、分解ドメインおよびセレブロンなどのユビキチンリガーゼと相互作用する。いくつかの実施形態において、分解薬は、分解ドメイン、分解薬、およびユビキチンリガーゼを含む複合体を媒介し、改変ポリペプチドのユビキチン化を引き起こす。
【0079】
改変ポリペプチドを含む/発現するように改変されるTリンパ球(すなわち、T細胞)などの、本明細書で提供される改変細胞(例えば、CAR細胞)は、例えば、CARの標的を発現するがんを有するという理由で改変細胞から利益を得る個人を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、エフェクターT細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞、エフェクターT細胞、CD4+ T細胞、またはCD8+ T細胞のいずれかが、改変ポリペプチドを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARの抗原結合ドメインによって結合される抗原を発現する標的細胞を死滅させる方法が本明細書で提供され、ここで、前記方法は、本明細書に記載されるCARを含む/発現する、本明細書で提供される改変細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)と前記標的細胞を接触させることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記標的細胞は、がん細胞、例えば、血液がん細胞または固形腫瘍細胞である。いくつかの実施形態において、がんを治療する方法であって、本明細書に記載されるCARを含む/発現する、本明細書に記載される改変細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)集団を対象に投与することを特徴とする、方法が本明細書で提供され、ここで、前記CARは、がん抗原(例えば、TSAまたはTAA)に対して特異的な抗原結合ドメインを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、標的細胞またはがん細胞は、1つ以上の以下の抗原、またはその断片を発現する:4-IBB、5T4、8H9、B7-H6、腺癌抗原、a-フェトプロテイン、B細胞成熟抗原(BCMA)、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、CA9、癌胎児性抗原、CA-125、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、CCR4、CD3、CD4、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、CD28、CD30(T FRSF8)、CD33、CD38、CD40、CD44v6、CD44v7/8、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD123、CD152、CD171、CD200、CD221、CE7、CEA、C-MET、CNT0888、CTLA-4、DRS、EpCAM、ErbB2、ErbB3/4、EGFR、EGFRvIII、EphA2、EGP2、EGP40、FAP、Fetal AchR、フィブロネクチンエクストラドメインB、葉酸受容体a、葉酸受容体1、G250/CAIX、GD2、GD3、糖タンパク質75、GP MB、HER2/neu、HGF、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、HMW-MAA、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-I、IgGl、IL-6、IL-13、IL-13受容体a2、IL-11受容体a、インスリン様成長因子I受容体、インテグリンa5I31、インテグリンavI33、カッパ軽鎖、Ll-CAM、ラムダ軽鎖、Lewis Y、メソテリン、MORAb-009、MS4A1、MUCl、MUCl 6、ムチンCanAg、NCAM、N-グリコリルノイラミン酸、NKG2Dリガンド、NPC-IC、PDGF-R a、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺特異的癌抗原(PSCA)、前立腺癌細胞、PSMA、PSC1、RANKL、RON、ROR1、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、spl7、TAG72、テネイシンC、TGF β2、TGF-I3、TL1A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、VEGF-A、VEGF受容体、VEGFR-1、VEGFR2、TEM1、TEM8、および/またはビメンチン。
【0082】
いくつかの実施形態において、CAR細胞などの本明細書で提供される改変細胞の投与後、CARの発現を減少または除去し、それにより標的細胞の死滅を減少または除去することが望ましい場合がある。いくつかのかかる実施形態において、方法は、本明細書で提供される分解薬を対象に投与することをさらに特徴とする場合がある。分解薬の投与は、改変ポリペプチド(例えば、CAR)の分解を引き起こし、CARの抗原結合ドメインによって結合される抗原を発現する細胞への改変細胞の標的化を減少または除去する。この方法では、CAR細胞による治療の活性が調節される場合があり、安全性が向上する場合がある。
【0083】
いくつかの実施形態において、前記改変細胞集団は、最初に対象に投与され、続いて改変細胞集団の投与後一定期間で、例えば、細胞集団の投与後30分、1時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、または1週間で、分解薬が投与される。
【0084】
いくつかの実施形態において、分解薬は、化合物B、化合物C、または化合物Dである。
【0085】
本明細書に記載される治療方法に従って治療され得るがんの非限定的な一覧には、リンパ腫、白血病、肺癌、乳癌、前立腺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、上咽頭癌、黒色腫、皮膚癌、結腸直腸癌、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、内分泌腫瘍、ユーイング肉腫、末梢性未分化神経外胚葉性腫瘍、固形胚細胞腫瘍、肝芽腫、神経芽腫、非横紋筋肉腫軟部組織肉腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、粘液腫、線維腫、および脂肪腫が含まれる。代表的なリンパ腫および白血病には、これらに限らないが、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫)、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体腔液リンパ腫、バーキットリンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、T細胞性大顆粒リンパ球性白血病、急速進行性NK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉症、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(非特定)、未分化大細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫が挙げられる。
【0086】
疾患または障害の治療における、例えば、がんを有する個人の治療における、CAR細胞などの本明細書に記載される改変細胞の有効性は、疾患または障害の進行を示すことが当業者に既知である、特定の疾患または障害に特異的な1つ以上の基準によって評価され得る。一般に、疾患/障害(例えば、癌)を有する個人に対するCAR細胞(例えば、CAR Tリンパ球)の投与は、前記基準のうちの1つ以上が検出可能なほどに、例えば有意に、疾患状態の値または範囲から正常な値または範囲に、あるいはそれに向かって移動する場合に有効である。
【0087】
本明細書に記載される改変細胞は、任意の薬学的に許容される溶液、好ましくは生細胞の送達に適する溶液(例えば生理食塩水(リンゲル液など)、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、アミロース、デンプン、または同類のもの)、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン(pyrolidine)など)中に製剤化され得る。かかる製剤は、好ましくはCAR細胞の添加前に滅菌され、助剤(例えば、滑沢剤、防腐剤、安定化剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、および着色剤など)と混合される場合がある。CAR細胞の製剤化に使用するのに適する医薬担体は、当技術分野で既知であり、例えば、WO96/05309に記載される。
【0088】
特定の実施形態において、本明細書に記載される改変細胞(例えば、CAR細胞)は、個人の用量に製剤化され、ここで、前記個人の用量は、少なくとも、多くても、または約lxl04、5xl04、lx105、5xl05、lxl06、5xl06、lxl07、5xl07、lxl08、5xl08、lxl09、5xl09、lxl010、5xl010、またはlxl011cellsを含む。
【0089】
特定の実施形態において、本明細書に記載される改変細胞(例えば、CAR細胞)は、静脈内、動脈内、非経口、筋肉内、皮下、髄腔内、または眼内投与、または特定の臓器または組織内への投与のために製剤化される。
【実施例】
【0090】
実施例1:IKZF1 ZNF2 Gモチーフ標識CARは機能を保持する
IKZF1 ZNF2標識CD19 CAR T細胞(
図2、配列番号15のZNF2アミノ酸配列)の機能をレポーターアッセイで評価した。ここで、Jurkat細胞は、CARおよびTCRの活性化に関連するNur77遺伝子が活発に転写されるときにtdTomatoを発現するように改変されている(
図3)。ZNF標識CD19 CAR、非標識CD19 CAR、または非標識BCMA CARネガティブコントロールをコードするレンチウイルスベクターをJurkatレポーター細胞株に形質導入した。次に形質導入細胞をCD19発現K562標的細胞株と37℃で共培養した。tdTomatoのレベルを平均蛍光強度(MFI)および全体的な陽性細胞の割合の両方で、フローサイトメトリーによって2時間ごとに12時間評価した。結果は、CAR活性化のタイミングおよびレベルの両方が標識および非標識CD19 CARの間で同じであったが、BCMA CAR TはCD19標的細胞株の存在下で活性化しなかったことを示した(
図4A)。
【0091】
異なる濃度の化合物Aで達成されるCAR分解のレベルを評価するために、化合物A(
図4B)のタイトレーションをIKZF1 ZNF2標識または非標識 CD19 CARを形質導入したJurkatについて行った。化合物Aは、米国特許公開公報2019/0008852A1の42ページ目、表4(化合物A)に示される。細胞を化合物Aとともに24時間、37℃でインキュベートし、その後CARレベルをフローサイトメトリーによって評価した。データは、IKZF1 ZNF2 Gモチーフデグロンが高化合物A濃度で約55%のCAR分解を媒介したことを示す(
図4C)。このCAR分解のレベルは、CARによって認識される抗原を発現するK562でチャレンジする場合に、CAR活性を抑制するのに十分でないことがある(データ示さず)。この結果は、より強力に化合物Aに反応できるようにデグロンタンパク質配列を改変する研究を促した。
【0092】
実施例2:IKZF1ジンクフィンガーの代替配列の評価
改善されたCAR分解を促進するようにIKZF1-ZNF2デグロンをさらに改変した。非標識CARおよびオリジナルのIKZF1-ZNF2デグロンで標識したCARをIKZF1 ZNF1、ZNF2、およびZNF3の別の向きおよび組み合わせと並んで試験した(
図5A)。各CARはCD28膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、およびCD3ζ(CD3z)シグナル伝達ドメインを含んだ。IKZF1デグロンは、C末端に融合された。配列番号53~57を参照されたい。非標識CD19 CARまたは様々な配列のIKZF1-ZNFsで標識されたCARをコードするレンチウイルスベクターをJurkat細胞株に形質導入した。初めに形質導入細胞をCD19発現K562標的細胞株と37℃で7.5時間共培養し、正規化したtdTomatoレポーターのレベルをフローサイトメトリーで評価した。結果は、いずれのデグロン標識も、非標識CARと比較して、抗原の存在下でCAR活性を減少させなかったことを示した。次に、CAR形質導入Jurkat細胞を化合物Aの存在下(タイトレーション)で、37℃で24時間培養し、各デグロンについてY-maxおよびEC50値を決定した。この実験から、ZNF2_3標識が最低濃度の化合物Aで分解を増強させたことが分かった(
図5C)。ZNF1_2標識は、ZNF1がGモチーフを含み、タンデムデグロンにさらなる複雑性を与えるため除外された。したがって、この配列はさらなる試験のために選択された。
【0093】
この分解が機能性のデグロンに依存することを示すために、WT ZNF2_3(配列番号13)で標識されたCARを上記の通り、化合物Aのタイトレーションで、Gモチーフ中にG6N変異を含むZNF2_3(QCNQC
NASF;配列番号17)で標識されたCARと並んで試験した(
図5D)。WTデグロンが高化合物A濃度でCARを強く分解させた一方、G6N変異体標識CARはいかなる用量の化合物Aにも反応しなかった。これらの結果は、GモチーフのG6残基が化合物Aと最適化されたZNF2_3デグロンとの相互作用に寄与することを示唆する。
【0094】
実施例3:IKZF1 ZNF2_3標識CARの分解は活性を抑制する
IKZF1 ZNF2_3標識CD19 CAR T細胞を分解することによってCAR Tシグナル伝達を抑制する能力をJurkatレポーターアッセイで評価した。ZNF2_3標識または非標識CD19 CARをコードするレンチウイルスベクター(実施例2を参照)をレポーター細胞株に形質導入した。次に、形質導入細胞を100nM 化合物Aで48時間前処置し、その後37℃で8時間、CD19発現K562標的細胞株と共培養した。平均蛍光強度(MFI)(
図6B)および全体的な陽性細胞の割合(
図6C)という形でtdTomatoのレベルを、並びに正規化したCARレベルをフローサイトメトリーで評価した(
図6A)。この化合物Aの濃度において、ZNF2_3デグロンを含むCARの分解は、同種抗原を発現するK562細胞でチャレンジした場合にCAR活性を強く抑制するのに十分に強かった。
【0095】
CAR分解によるシグナル伝達の抑制を下流のMAPKシグナル伝達経路の活性化を測定することで評価した。上記のように、Jurkat細胞に非標識、WTデグロン標識、またはG6Nデグロン標識CARを形質導入した。細胞を1mM 化合物Aで12時間、37℃で前処置し、次に親またはCD19発現K562細胞のいずれかと30分間共培養した。次に細胞をペレット化し、溶解し、変性タンパク質ゲル上で泳動させ、メンブレンに転写し、抗体でプローブし、フィルムで可視化した(
図7)。これらの結果は、WT IKZF1 ZNF2_3標識CARを含む細胞に化合物Aを投与すると、CARによって活性化される内因性シグナル伝達経路(ここではErkリン酸化(pErk)で表される)が抗原の存在下で減弱することを示す。
【0096】
実施例4:新規デグロン-化合物ペアを特定するためのデグロン変異導入
構造研究により、基質がセレブロン/化合物複合体に結合するとき、Gモチーフの1位が化合物に近接することが明らかになる(示さず)。IKZFファミリーのGモチーフデグロン配列のアライメント(
図8)およびその他のC2H2ジンクフィンガーにおける予測されるデグロン(
図9)から、この位置には多様なアミノ酸が存在することが明らかになる。したがって、さらなる化合物:デグロンペアを特定するために、IKZF1 ZNF2のQ1位に変異を作り、これらの変異体に対する活性について有望な化合物をスクリーニングした。Q1位に別のアミノ酸を有するIkaros MBP-ZNF2(aa 141~196)を含むプラスミドを構築し、化合物B(
図10A)を含む様々な化合物を用いてインビトロユビキチン化スクリーニングを行った。処置後、細胞をペレット化し、溶解し、変性タンパク質ゲル上で泳動させ、メンブレンに転写し、抗体でプローブし、フィルムで可視化した(
図10B)。
図10Bに示すように、IKZF1 ZNF2 Q1Fは、化合物Bの存在下で強くユビキチン化された。
【0097】
実施例5:Q1Fデグロンに対して強力な活性を有する化合物を特定するための小分子スクリーニング
Q1Fデグロンに対して一連の有望なデグロン標的化合物をスクリーニングし、一連の強力なデグロン/小分子ペアを得た。IKZF1 ZNF2_ZNF3 Q1F Nlucで標識されたCD19 CARを含むレンチウイルスベクターをJurkat細胞に形質導入した。このCD19 CARは、実施例2のCD19と類似しているが、ZNF2_ZNF3 Q1Fデグロン(配列番号19)を含む。形質導入細胞を各小分子のタイトレーションまたは薬物なしで処置し、続いて37℃で18時間インキュベートした。細胞を洗浄し、適切な染色試薬で染色し、CARレベルを測定した。細胞を4℃で、染色試薬中で20分間インキュベートし、続いて3回洗浄した後、フローサイトメーターで読み取った。CARレベルを薬物で処置していない細胞に正規化した。得られたタイトレーションカーブを用いて、EC50およびYmin値を算出した。これによりQ1Fデグロン標識CARを強力に分解した小分子が特定された(表1)。
【表2】
【0098】
実施例6:IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARは化合物Cの存在下でCRBNおよびユビキチン-プロテアソーム経路依存的に分解される
Q1Fデグロン標識CARの分解のCRBNおよびユビキチンタンパク質分解経路への依存を評価した。CD19標的CARはIKZF1 ZNF2_3 Q1F(配列番号19)またはQ1F/G6N(配列番号59)のいずれかで標識された。次に、これらの標識CARを含むレンチウイルスベクターを野生型(WT)またはセレブロン(CRBN)ノックアウト(KO)Jurkat細胞に形質導入した。
【0099】
Q1F標識CARが化合物CによってCRBN依存的に分解され得るかどうかを決定するために、形質導入Jurkat WTまたはJurkat CRBN KO細胞をDMSOまたは1mM 化合物C(
図11A)で、37℃で1時間処置し、その後CARレベルをフローサイトメトリーで評価した。この化合物Cの濃度において、標識CARは、WT Jurkat細胞では20%未満が残るまで分解されたが、Jurkat CRBN KO細胞では標識CARのレベルは非標識CARと同じままであった(
図11B)。次に、CAR分解のユビキチン-プロテオソーム経路への依存を試験するために、標識CARを形質導入したWT Jurkatを2時間、DMSO、20nMまたは200nM 化合物C単独で、あるいは2μMのNEDD8 E1酵素阻害剤 MLN4924または2μMのプロテアソーム阻害薬ボルテゾミブのいずれかとともに処置した(
図11C)。いずれかの阻害薬の存在下で化合物Cが標識CARを分解しなかったことは、機能性のユビキチンプロテアソーム経路(UPP)がQ1F標識CARの分解にとって必須であることを示す。
【0100】
実施例7:IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの分解は活性を抑制する
IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CD19 CAR T細胞を分解することによってCAR Tシグナル伝達を抑制する能力をJurkatレポーターアッセイで評価した(
図2および3)。ZNF2_3 Q1FまたはQ1F/G6N標識CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターをレポーター細胞株に形質導入した。次に、形質導入細胞を1mM 化合物Cまたは化合物Bで12時間前処置し、その後37℃で8時間、親またはCD19発現K562標的細胞株と共培養した。全体的な陽性細胞の割合(
図12A)並びに平均蛍光強度(MFI)(
図12B)という形でtdTomatoのレベルをフローサイトメトリーで評価した。ZNF2_3 Q1Fデグロンを含むCARの分解は、1mM 化合物Cでは約30%、化合物Bでは約75%シグナル伝達を減少させた。この相対的差異は、それぞれで見られる分解の強さと相関する。さらに、活性の減少は、G6N変異が抑制を妨げるように、インタクトなGモチーフを有することに依存する。
【0101】
実施例8:IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識CARの分解は初代T細胞の活性を抑制する
IKZF1 ZNF2_3 Q1F標識抗ROR1 CAR(
図13A)を分解することによって初代CAR Tエフェクター機能を調整する化合物の能力を評価した。CARは、CD19 CARと同様に膜貫通、共刺激、およびシグナル伝達ドメインを含むが、抗ROR1 scFvを有した。ZNF2_3 Q1F標識または非標識抗ROR1 CARをコードするレンチウイルスベクターを活性化初代T細胞に形質導入した。形質導入細胞をIL2、IL7、およびIL15を添加した培地中で10日間増殖させ、その後凍結させた。実験の前に、細胞を解凍し、用量漸増で化合物Cを含む、または薬物なしの培地中に放置した。CARレベルはフローサイトメトリーで測定され(
図13B)、ZNF2_3 Q1F標識CARの表面レベルが化合物Cの濃度範囲で調整できることが示された。CARの分解がCAR T活性に及ぼす影響を決定するために、次に細胞を1:4 エフェクター:標的細胞の比でNuclightレッド標識H-1975 ROR1発現標的細胞株と共培養した。共培養物をIncucyteの中に24時間置き、Nuclightレッドシグナルを介して腫瘍殺傷を監視し(
図14A)、上清を回収して炎症性サイトカイン産生をMSDで測定した(
図14B~14D;IL-2、TNFα、およびIFNγ)。これらの実験は、殺傷およびサイトカイン産生の両方で測定される初代CAR T細胞のエフェクター機能が、異なる濃度の化合物CでZNF2_3 Q1F標識CARを標的化し、分解することによって調整され得ることを示した。
【0102】
実施例9:Q1Fデグロンを介したCARの分解はインビトロ慢性抗原曝露の間、CARの機能を維持する
ZNF2_3 Q1F標識CD19 CARの分解によって、慢性抗原曝露中の初代T細胞に一過性の休息を与えることの機能的影響をインビトロで試験した。刺激はCAR scFvに対する抗体でコーティングしたプレートによって提供され、様々な期間の休息が評価された(
図15)。細胞を3.9nMの化合物D(
図16A)で処置し、続いて洗浄し、培地中に放置してCARをリチャレンジ前に完全にリバウンドさせた。放置した細胞をフローサイトメトリーで分析し、ナイーブ型集団の代わりとしてCD27およびCD28レベルを評価した(
図16Bおよび16C)。次にCAR T細胞をスフェロイド(3D)フォーマットのNuclightレッド標識腫瘍細胞株でチャレンジし、上清を回収して炎症性サイトカイン産生をMeso Scale Discovery ELISAアッセイで測定した。これらの実験は、CAR T細胞に一過性の休息を与えると、継続的な抗原曝露を受けるCAR T細胞と比較して、活性化が抑えられ、より多くのナイーブ型集団が維持されることを示す。この一過性の休息は、IL-2、TNFα、およびIFNγのような炎症性サイトカインの産生(
図17A)および抗腫瘍機能(
図17B)の観点からも機能的利益をもたらす。これらのサイトカインおよび細胞毒性の漸減は、T細胞疲弊の特徴である。
【0103】
実施例10:Q1Fデグロンを介したCARの分解はインビトロ慢性抗原曝露の間、CARの機能を保持する
ZNF2_3 Q1F標識CARをインビボで分解する能力を評価した。ZNF2_3 Q1F標識CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターを活性化初代T細胞に形質導入した。形質導入細胞をIL2、IL7、およびIL15を添加した培地中で10日間増殖させ、その後凍結させた。
【0104】
腫瘍がない場合にデグロン標識CARをインビボで分解する能力を決定するために、CAR T細胞を解凍し、24時間放置し、腫瘍を有さないメスのNSG(商標)免疫不全マウスに1匹あたり2x10
6cellsの用量で適合移植した。24時間後、マウスにビークル、0.85、または8.5mg/kg 化合物D(
図18B)を経口投与した。8、24、48、および72時間後に採血し(
図18A)、抗scFvおよび抗CD3抗体による染色によって決定されるCAR+ T細胞の割合をフローで評価した。どちらの用量においても、8時間の時点でCD3+ CAR+細胞の5%未満が残存し、24時間の時点においてもCARは有意に分解されたままであり(
図18C)、Q1Fデグロン標識CARがインビボで効率的に分解され得ることを示す。投与後48時間までに、CARの発現は実質的に回復した(
図18C)。
【0105】
異種移植がんモデルにおけるデグロン標識CARのインビボ下方制御およびCAR T機能への影響を検討するために、メスのNSG(商標)マウスにウミシイタケルシフェラーゼを安定発現する5x10
5個のRaji腫瘍細胞を注射した。6日後にCAR T細胞を解凍し、24時間放置し、マウスに1匹あたり2x10
6cellsの用量で適合移植した。マウスにビークルまたは6.85mg/kg 化合物DをBIDで0日目および1日目に経口投与した(
図19A)。D1、D3、およびD10で採血し、腫瘍蛍光を測定し(
図19A)、抗scFvおよび抗CD3抗体による染色によって決定されるCAR+ T細胞の割合をフローで評価した。CARの分解はデグロン標識CAR T細胞の増殖および細胞傷害性機能を低下させ(
図19B~D)、CAR T細胞を機能的に休息させるCAR周期化の能力が示される。
【0106】
実施例11:インフレームデグロン標識ノックインは化合物を介した内在性タンパク質レベルの制御を可能にする
化合物を介した内在性タンパク質レベルの調節を可能にするためにデグロン標識をインフレームで遺伝子座にノックインする能力を研究した。Jurkat細胞内で、NおよびC末端の両方向で、インフレームでAURA(
図20A~10B)またはTOX遺伝子座(
図20C~20D)にノックインされるIKZF1 ZNF2_3-V5標識-T2A-muThy1.1標識を送達するようにアデノ随伴ウイルスベクターを設計した。次にJurkatを電気穿孔し、Cas9/ガイドRNAリボヌクレオタンパク質を導入した。5日後、ノックイン細胞を1μM 化合物AまたはDMSOとともに16時間インキュベートした。次に細胞をペレット化し、溶解し、変性タンパク質ゲル上で泳動させ、メンブレンに転写し、抗体でプローブし、フィルムで可視化した。ウェスタンブロッティングは、Aurora A(
図20A~20B)および標識TOX(
図20D)の両方のレベルが化合物Aの存在下で減少したことを示し、デグロンで内在性タンパク質を標識することはタンパク質レベルの小分子制御を可能にすることが示された。
【0107】
実施例12:3-(5-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-カルボニル)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物B)の合成
【化1】
CH
3CN (ACN) (5 mL)中、2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジル)-1-オキソ-イソインドリン-5-カルボン酸(400 mg、1.4 mmol)の溶液に、N,N,N',N'-テトラメチルクロロホルムアミジニウム ヘキサフルオロホスフェート(TCFH) (779 mg、2.8 mmol)、N-メチルイミダゾール(NMI) (1.2 g、14 mmol)、および6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン;ジヒドロクロライド(349 mg、1.8 mmol)を添加した。次に、混合物を室温で1時間攪拌した。反応をLCMSで監視した。沈殿した固体を濾過により回収した。粗製物をPrep-HPLCで精製し、3-[5-(5,7-ジヒドロピロロ[3,4-b]ピリジン-6-カルボニル)-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(438.7 mg、79% 収率)を灰色固体として得た。分析LC/MS (方法5): MS[M+H
+] 391.1.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ 11.03 (s, 1H), 8.54 - 8.43 (m, 1H), 7.94 - 7.65 (m, 4H), 7.41 - 7.23 (m, 1H), 5.23 - 5.11 (m, 1H), 5.00 - 4.75 (m, 4H), 4.62 - 4.36 (m, 2H), 3.04 - 2.84 (m, 1H), 2.69 - 2.56 (m, 1H), 2.50 - 2.36 (m, 1H), 2.12 - 2.00 (m, 1H).
【0108】
実施例13:3-[5-(ブロモメチル)-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(中間体1c)の合成
【化2】
【0109】
化合物2の合成
【化3】
メタノール (1.0 L)中、4-ブロモ-2-メチル安息香酸(120 g、558 mmol)の溶液に、20~40℃の濃硫酸(109 g、1.12 mol、60 mL)を添加し、次に混合物を18時間、65℃に加熱した。TLC (石油エーテル/酢酸エチル = 3:1、R
f (反応物) = 0.1、R
f (生成物) = 0.4)は、反応が終了したことを示した。反応混合物を濃縮し、残留物を水相と有機層とに分液した。水相を酢酸エチル(1 L x 3)で抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500 mL)、ブライン(500 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、メチル 4-ブロモ-2-メチルベンゾエート(122 g、95 % 収率)を黄色油として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.76 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.35 (dd, J = 8.4 Hz, 1.6 Hz, 1H), 3.87 (s, 3H), 2.56 (s, 3H)
【0110】
化合物3の合成
【化4】
アセトニトリル(1.20 L)中、メチル 4-ブロモ-2-メチルベンゾエート(122 g、533 mmol)の溶液に、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル) (6.12 g、37.3 mmol)を添加し、反応混合物を82℃に加熱し、N-ブロモスクシンイミド(142 g、799 mmol)を数回に分けて添加し、3時間攪拌した。LCMSは、反応が終了したことを示した。反応物を真空濃縮した(50℃)。残留物を石油エーテル/ジクロロメタン(20:1、100 mL)中に懸濁し、濾過し、濾液を濃縮し、粗製物 150 gを得、これをさらに精製することなく次のステップにそのまま使用した。
【0111】
化合物5の合成
【化5】
N,N-ジメチルホルムアミド(80 mL)中、メチル メチル 4-ブロモ-2-(ブロモメチル)ベンゾエート(115 g、375 mmol)および3-アミノピペリジン-2,6-ジオン(61.7 g、375 mmol、HCl塩)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(145 g、1.13 mol)を添加した。混合物を50℃で16時間攪拌した。HPLCは、出発物質の大半が消費されたことを示した。反応混合物に酢酸(150 mL)を添加し、50℃で1時間攪拌した。HPLCは、中間体が完全に消費されたことを示した。反応物を20℃に冷却し、濾過し、濾過ケーキを水(200 mL)およびエーテルアセテート(200 mL)で洗浄し、3-(5-ブロモ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(91g、75.1 % 収率)をオフブルー固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 11.01 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.73-7.66 (m, 2H), 5.14-5.09 (m, 1H), 4.47 (d, J = 16 Hz, 1H), 4.34 (d, J = 16 Hz, 1H), 2.92-2.89 (m, 1H), 2.73-2.58 (m, 1H), 2.41-2.37 (m, 1H), 2.03-1.99 (m, 1H)
【0112】
化合物6の合成
【化6】
ドライジオキサン(20 mL)中、3-(5-ブロモ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(80 g、248 mmol)の溶液に、トリブチルスタンニルメタノール(87 g、272 mmol)を添加し、混合物を25℃で攪拌し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (28.6 g、24.8 mmol)を反応物に窒素下で添加した。反応混合物を100℃で16時間攪拌した。LCMSは、反応が終了したことを示した。反応物を濃縮し、ジクロロメタン/メタノール(10:1、250 mL x 2)で洗浄し、3-[5-(ヒドロキシメチル)-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(62 g、91.3 % 収率)を褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 10.96 (s, 1H), 7.64 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.42 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.73 (s, 1H), 5.10-5.06 (m, 1H), 4.59 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.35 (dd, J = 17.2 Hz, 54 Hz, 2H), 2.91-2.85 (m, 1H), 2.59-2.55 (m, 1H), 2.38-2.35 (m, 1H), 2.02-1.99 (m, 1H)
【0113】
化合物1cの合成
【化7】
ジクロロメタン(1.5 L)中、3-[5-(ヒドロキシメチル)-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(62 g、226 mmol)の懸濁液に、臭化スルフィニル(70.5 g、339 mmol)を添加した。反応混合物を18℃で16時間攪拌した。HPLCは、反応が終了したことを示した。反応混合物を濾過し、固体をメタノール(150 mL x 2)で洗浄し、3-[5-(ブロモメチル)-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(45.0 g、 59.0 % 収率)をオフブラウン固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 10.97 (s, 1H), 7.70-7.66 (m, 2H), 7.56 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.10-5.06 (m, 1H), 4.80 (s, 2H), 4.36 (dd, J = 54 Hz, 17.2 Hz, 2H), 2.91-2.85 (m, 1H), 2.59-2.49 (m, 1H), 2.47-2.35 (m, 1H), 2.00-1.98 (m, 1H)
【0114】
実施例14:3-(5-((4-(2-メチルピリジン-3-イル)ピペラジン-1-イル)メチル)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物C)の合成
【化8】
MeCN (ACN) (5 mL)中、3-[5-(ブロモメチル)-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(400 mg、1.2 mmol)の攪拌溶液に、1-(2-メチル-3-ピリジル)ピペラジン(315 mg、1.8 mmol)およびDIEA (460 mg、3.6 mmol)を添加した。混合物を50℃で3時間攪拌した。反応をLCMSで監視した。混合物を濃縮し、残留物をPrep-HPLCで精製し、3-[5-[[4-(2-メチル-3-ピリジル)ピペラジン-1-イル]メチル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(187.9 mg、34% 収率)を灰色固体として得た。分析LC/MS (方法1): MS[M+H
+] 434.2.
1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4): δ 8.40 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.83 - 7.76 (m, 2H), 7.72 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.23 - 5.12 (m, 1H), 4.90 - 4.80 (m, 4H), 4.65 - 4.50 (m, 4H), 3.54 (s, 4H), 2.98 - 2.85 (m, 1H), 2.84 - 2.75 (m, 1H), 2.74 (s, 3H), 2.60 - 2.44 (m, 1H), 2.24 - 2.14 (m, 1H)
【0115】
実施例15:3-[5-[1-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチル)-4-ピペリジル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(化合物D)の合成
【化9】
DCM (20 mL)中、3-[1-オキソ-5-(4-ピペリジル)イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン;ヒドロクロライド(1.5 g、4.12 mmol)の攪拌溶液に、1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボアルデヒド(1.35 g、8.25 mmol)およびNaBH(OAc)
3 (2.62 g、12.37 mmol)を添加した。混合物を室温で終夜攪拌した。混合物を濃縮し、prep-HPLCで精製し、3-[5-[1-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチル)-4-ピペリジル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(968.9 mg、2.0233 mmol、49.076% 収率)を白色固体として得た。LCMS: 475.1 [M+1]
+.
1H NMR (300 MHz, メタノール-d4): δ 9.40 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.22 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.81-7.71 (m, 2H), 7.55-7.36 (m, 2H), 5.24-5.09 (m, 1H), 4.62-4.39 (m, 4H), 3.76-3.62 (m, 2H), 3.33-3.19 (m, 2H), 3.13-2.99 (m, 1H), 2.95-2.73 (m, 2H), 2.60-2.38 (m, 1H), 2.24-1.95 (m, 5H).
【0116】
実施例16:化合物A、化合物B、化合物C、および化合物Dの選択性
ePL標識Aiolos、Ikaros、またはGSPT1を安定発現するDF15多発性骨髄腫細胞およびePL標識CK1aを安定発現するMDS-L細胞を、pLOC-ePL-Aiolos(またはIkaros、GSPT1、またはCK1a)を有するレンチウイルスの感染を介して作成した。ePL標識(DiscoverX)に融合されるIkaros、Aiolos、およびGSPT1を発現するDF15多発性骨髄腫細胞ならびにePL標識に融合されるCK1aを発現するMDS-L細胞を、化合物(化合物A、化合物B、化合物C、および化合物D)を予め添加した384ウェルプレート(Corning no.3570)に分配した。化合物はアコースティックディスペンサー(EDC BiosystemsのATSアコースティックトランスファーシステム)を用いて、10点用量反応曲線で384ウェルプレートに分配され、10μMから3倍希釈で0.0005μMまで希釈された。次に、1ウェルあたり、5000個のDF15またはMSD-L細胞を含む25μLの培地(RPMI-1640+10% 熱不活化FBS+25mM Hepes+1mM ピルビン酸Na+1×NEAA+1×Pen Strep Glutamine)を分配した。アッセイプレートを37℃、5% CO2で4時間(GSPT1は20時間)インキュベートした。インキュベート後、25μLのInCELL Hunter検出試薬ワーキング溶液(カリフォルニア州、フリーモント、DiscoverX、カタログ番号96-0002)を各ウェルに添加し、室温で60分間、遮光してインキュベートした。60分後、EnvisionまたはPHERAstar発光リーダーで発行を読み取った。
【0117】
Heliosについて、CRISPR/Cas9を用いて、インフレームHiBit標識をIKZF2遺伝子のカルボキシ末端リーディングフレームに挿入するように安定なJurkat細胞株を改変した。アコースティックディスペンサーを用いて試験化合物を1536ウェルプレートに移し、DMEM/10% FCS中、Jurkat/Helios/HiBit細胞を10,000cells/well、最終体積5ulで播種した。細胞を37℃、95% RHで18時間インキュベートした。Nano-Glo試薬(Promega)を2ul/wellで添加し、RTで30分間インキュベートし、マイクロタイタープレートリーダーで発光を読み取ることで、ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0118】
所与の基質の分解に対する化合物のEC50値(観察される最大分解の半分を達成する化合物の濃度)を決定するために、4パラメーターロジスティックモデル(シグモイド型用量反応モデル)(FIT=(A+{(B-A)/1+[(C/x)D]}))を用いた(式中、Cは変曲点(EC50)であり、Dは相関係数であり、AおよびBはそれぞれ適合度の下限および上限である)。全ての基質分解曲線は、データ解析ソフトウェアパッケージのActivityBase(IDBS)を用いて処理され、評価された。Yminはタンパク質残存率の最小値である。
【0119】
結果を表2~5に示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0120】
表2に示すように、化合物AはHelios、Aiolos、およびIkarosを0.022μM以下のEC50で分解した。化合物AはCK1aもかなりの程度まで分解した。反対に、化合物Bは実施例5に記載のJurkatアッセイでQ1Fデグロンを5nM未満のEC50で分解した。化合物BはHeliosに対していくらかの分解活性を示したが、EC50は>10μMであり、これはQ1FデグロンにおけるEC50よりも3桁以上高かった(表3)。化合物BはGSPT1に対してもいくらかの分解活性を示した(表3)。化合物Cは、実施例5に記載のJurkatアッセイでQ1Fデグロンに対して高い選択性を示し、EC50は25nM未満であった(表4)。化合物Dもまた、実施例5に記載のJurkatアッセイでQ1Fデグロンに対して選択性を示し、EC50は1nM未満であった(表5)が、Heliosに対してもいくらかの分解を示し、EC50は0.46μMであった(表5)。
【0121】
均等物
本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲を限定されない。実際、本明細書で提供される特許発明の対象の様々な変更は、記載された変更に加えて、本明細書から当業者にとって明らかになる。かかる変更は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0122】
様々な公報、特許、および特許出願が本明細書に引用され、それらの開示内容は参照により全体として組み込まれる。
【0123】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【配列表】
【国際調査報告】