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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】容器のための出口弁
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506774
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 GB2022052030
(87)【国際公開番号】W WO2023012469
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】2111331.1
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519167379
【氏名又は名称】オリバイオテク・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファーラン・ヴェライチ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ライムズ
(72)【発明者】
【氏名】エナス・ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】アルマン・アミニ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・パーマー
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA08
4B029AA09
4B029AA27
4B029BB11
(57)【要約】
例えばバイオリアクタ容器などの容器のための出口弁が記載されている。出口弁は膜を備え、出口弁は、膜が容器の内部容積に向いて配置されるように、容器の壁に取り付け可能である。出口弁は、膜を、膜が容器の壁の平面に実質的にある第1の位置から、膜が錐台形とされるように、膜の一部が容器の壁の平面から変位させられる第2の位置へと、移動させるように動作可能なアクチュエータをさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えばバイオリアクタ容器といった容器のための出口弁であって、前記出口弁は膜を備え、前記出口弁は、前記膜が前記容器の内部容積に向くように配置されるように、前記容器の壁に取り付け可能であり、前記出口弁は、前記膜を、
前記容器の前記壁の平面に実質的にある第1の位置から、
前記膜が錐台形とされるように、前記膜の一部が前記容器の前記壁の前記平面から変位させられる第2の位置へと
移動させるように動作可能なアクチュエータをさらに備える、出口弁。
【請求項2】
出口導管をさらに備え、前記出口導管は、前記出口導管が前記第1の位置において前記膜によって前記容器から封止されるように、および前記膜が前記第2の位置にあるときに流体路が前記容器と前記出口導管との間に形成されるように配置される、請求項1に記載の出口弁。
【請求項3】
前記第2の位置において、前記膜は、錐台形とされ、前記出口導管に向けて収束する、請求項2に記載の出口弁。
【請求項4】
前記出口導管は前記膜に対して中心に配置される、請求項2または3に記載の出口弁。
【請求項5】
前記膜が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動させられるとき、前記膜を穿孔するように配置される針の少なくとも一部をさらに備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の出口弁。
【請求項6】
前記容器の前記壁に取り付け可能であり、前記アクチュエータを備える筐体をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の出口弁。
【請求項7】
前記第2の位置に変位されている前記膜の一部に連結される運搬部分をさらに備え、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの動作が前記運搬部分を移動させ、前記膜を前記第2の位置へと移動させるように、前記運搬部分と係合するように配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の出口弁。
【請求項8】
前記アクチュエータは回転可能である、請求項7に記載の出口弁。
【請求項9】
前記アクチュエータおよび前記運搬部分の一方はカムを備え、前記アクチュエータおよび前記運搬部分の他方は、前記アクチュエータの回転が前記運搬部分を移動させて前記膜を前記第1の位置から前記第2の位置へと移動させるように前記カムと係合するように配置されるカム従動子を備える、請求項8に記載の出口弁。
【請求項10】
前記カムは、最大で360度までの前記アクチュエータの回転によって、前記膜を前記第1の位置から前記第2の位置へと移動させるように構成される、請求項8または9に記載の出口弁。
【請求項11】
前記アクチュエータは1つまたは複数の把持部分を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の出口弁。
【請求項12】
前記膜が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動させられるのを防止するように配置される係止部を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の出口弁。
【請求項13】
内部容積を定める複数の壁と、前記膜が前記容器の前記内部容積に向くように前記容器の壁に備え付けられる、請求項1から12のいずれか一項に記載の前記出口弁とを備える容器。
【請求項14】
底壁と少なくとも1つの側壁とを備え、前記出口弁は前記容器の前記底壁に備え付けられる、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
前記底壁は、実質的に円形であり、実質的に平面である、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
前記出口弁は前記底壁の中心からずれている、請求項14または15に記載の容器。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の出口弁を複数備える、請求項13から16のいずれか一項に記載の容器。
【請求項18】
流体を前記容器の前記内部容積の外へ移送するために前記膜が前記第2の位置にあるとき、前記容器と流体連通するように配置される移送導管をさらに備える、請求項13から17のいずれか一項に記載の容器。
【請求項19】
前記移送導管は柔軟管である、請求項18に記載の容器。
【請求項20】
前記柔軟管は前記出口弁に取り付けられ、前記膜が前記第1の位置にあるとき、前記柔軟管は保管のために前記容器に取り付けられる、請求項19に記載の容器。
【請求項21】
流体を前記容器から前記移送導管を介して受け入れるように配置されるさらなる容器をさらに備える、請求項18から20のいずれか一項に記載の容器。
【請求項22】
前記容器は細胞培養過程のためのバイオリアクタ容器である、請求項13から21のいずれか一項に記載の容器。
【請求項23】
前記出口弁は、細胞培養過程が前記バイオリアクタ容器において実施された後に細胞を採取するための採取弁である、請求項22に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のための出口弁に関し、好ましくは、バイオリアクタ容器のための採取弁に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞および遺伝子の治療の製造過程は、しばしば複雑であり、いくつかのデバイスにわたる手作業または半自動のステップを含む。細胞に基づく治療生成物(CTP)の製造の様々なステップ(つまり、単位動作)において使用される機器システムは、細胞収集、細胞分離/選択、細胞増殖、細胞洗浄および体積縮小、細胞の保管および輸送のためのデバイスを含み得る。単位動作は、数ある中でも、製造モデル(つまり、自己移植か同種間か)、細胞の種類、意図されている目的に基づいて大きく変わる可能性がある。また、細胞は、最も単純な操作(細胞移送処置における違いなど)に対しても敏感な「生きている」存在である。拡張性および再現性を確保する上での細胞製造機器の役割は、細胞および遺伝子の治療製造にとって重要な因子である。
【0003】
また、細胞に基づく治療生成物(CTP)はかなり機運が高まっており、そのため、例えば、限定されることはないが、幹細胞濃縮、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の生成、および収集、浄化、遺伝子組み換え、培養/回収、洗浄、患者への注入、および/または凍結などの様々な細胞製造過程といった、様々な細胞製造処置のための向上した細胞製造機器に対する要求がある。
【0004】
細胞の培養および処理は、典型的には、細胞を培養するときに、例えば適切な培養媒体内で、細胞を保持するためのデバイスの使用を必要とする。知られているデバイスには、振とうフラスコ、ローラボトル、T型フラスコ、およびバッグが含まれる。このような瓶またはフラスコは幅広く使用されているが、いくつかの欠点に悩まされている。数ある問題の中でも主な点は、後に続く通過または処理のときの汚染無しでの細胞の移送についての要件、ならびに、補足物および因子の無菌での追加である。既存の細胞培養デバイスは、継続的な細胞成長のために、培養媒体および酸素の再供給を必要とする。ガス透過性の細胞培養デバイスが米国特許第8415144号に記載されている。しかしながら、このようなデバイスは、デバイスに出入りする媒体および/または細胞の移送も必要とする。
【0005】
薬物における使用のための細胞または遺伝子の治療の生成物における重要な制限因子は、汚染のない単位動作を実施するためのコンパクトで自動化された閉じたシステムがないことである。例えば、細胞培養の間、上流または後続の細胞の処理において、培養容器に追加を行うとき、または細胞を取り出すもしくは液体試料を取り出すとき、汚染の危険性がある。運用システムは、大部分が手作業であり、そのため運用するのに費用が掛かる。機器の複数の部品が、細胞無しの培養ステップのすべてを覆うために典型的には必要とされ、これは多くの移送を伴い、それら移送の各々が作業者の誤りおよび汚染が起こる機会となる。さらに、増加する手作業の動作が手作業の誤りの危険性を増加させ、そのため、現在の労働集約的な過程は、臨床グレードの治療物の製造に必要なロバストネスを欠いている。
【0006】
さらに、細胞培養過程に続いて細胞を採取するために、細胞懸濁液が、細胞懸濁液を注ぐことなど、開口を通じて細胞懸濁液を移送させることで、または、例えばピペットを使用して、細胞懸濁液を抽出するために実験器具を導入することで、外部容器へと移動させられる。これは、細胞懸濁液を露出させ、汚染の危険性を提供し、細胞懸濁液のこのような取り扱いは細胞を損傷させる可能性もある。
【0007】
したがって、細胞懸濁液の採取を改善する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8415144号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の技術および知られている技術に対する改善を提供すること、具体的には、汚染物への内容物の露出を低減または排除する、例えばバイオリアクタ容器といった容器の内容物を採取するための向上した構成を提供することが、本発明の特定の態様の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の1つの態様によれば、例えばバイオリアクタ容器といった容器のための出口弁であって、出口弁は膜を備え、出口弁は、膜が容器の内部容積に向くように配置されるように、容器の壁に取り付け可能であり、出口弁は、膜を、膜が容器の壁の平面に実質的にある第1の位置、および膜が錐台形とされるように、膜の一部が容器の壁の平面から変位させられる第2の位置から移動させるように動作可能なアクチュエータをさらに備える、出口弁が提供される。
【0011】
したがって、出口弁は、流体をバイオリアクタから抽出するための単純な無菌の手段を提供する。膜は、バイオリアクタの内容物が細胞培養過程の間に無菌のままとなるように封止を提供する。第1の位置において、膜は、細胞処理のための平らな面を提供するために、実質的に容器の壁の平面にある。膜は、容器の内容物を出口弁の出口に向けて案内するために錐台形とされる第2の位置へと移動させることができる。
【0012】
いくつかの例では、出口弁は、材料を容器へと追加するために、入口弁として代わりに使用されてもよい。
【0013】
出口弁は出口導管をさらに備えてもよく、出口導管は、出口導管が第1の位置において膜によって容器から封止されるように、および膜が第2の位置にあるときに流体路が容器と出口導管との間に形成され得るように配置される。出口導管は、バイオリアクタ容器の内容物が容器の内部容積の外へ流れるための流体通路を提供することができる。
【0014】
第2の位置では、膜は錐台形とされる。錐台形の膜は出口導管に向けて収束し得る。第2の位置における弁の錐台形は、バイオリアクタの内容物を出口導管に向けて漏斗で流すのを助ける。
【0015】
第2の位置において、膜は、円錐形、または角錐形、または他の錐台形であり得る。出口導管は膜に対して中心に配置され得る。出口導管は、代わりに、膜に対して中心にない位置に配置されてもよい。
【0016】
出口弁は、膜が第1の位置から第2の位置へと移動させられるとき、膜を穿孔するように配置される針の少なくとも一部を含み得る。針は、第2の位置において、容器の内容物が針を通じて出口導管へと流れることができるように、出口導管と流体連通していてもよい。
【0017】
代替の例において、膜は、第1の位置において封止され、膜を通る流体路を作り出すために第2の位置において引っ張られて開くスリットまたは極小の開口といった開口を備え得る。いくつかの例では、出口弁、具体的には出口導管は、第2の位置において膜における開口と係合または位置合わせする突出部を備え得る。
【0018】
例では、出口弁は、容器の壁に取り付け可能である筐体をさらに備え得る。筐体はアクチュエータを備え得る。いくつかの例では、膜は筐体に取り付けられ、筐体は容器の壁に取り付け可能である。他の例では、膜は容器の壁に直接に取り付け可能であり、筐体は膜を収容するために容器の壁に取り付け可能である。筐体および/または膜は、細胞培養過程が実施され得る閉じた無菌の環境を提供する。出口弁および/または膜は、容器の壁に密閉で封止され得る。
【0019】
膜は、第2の位置に変位させられる膜の一部に連結される運搬部分を備え得る。アクチュエータは、アクチュエータの動作が運搬部分を移動させ、膜を第2の位置へと移動させるように、運搬部分と係合するように配置され得る。
【0020】
運搬部は、針、または、出口導管の突出部などの出口導管の一部を受け入れるために、開口を有し得る。それによって、運搬部は、膜が第1の位置から第2の位置へと移動させられるとき、膜に向けての針の接近の方向を制御することができる、または、出口導管と膜における開口との位置合わせを制御することができる。
【0021】
出口弁は、針を保持するために配置される針ハブをさらに備え得る。針ハブは、膜が第1の位置から第2の位置へと移動させられるとき、針を膜に向けて案内するために運搬部分と係合するように配置され得る。
【0022】
例では、アクチュエータは回転可能であり得る。アクチュエータは出口弁の筐体に回転可能に備え付けられ得る。他の例では、アクチュエータは、膜および/または運搬部分を第1の位置から第2の位置へと移動させるために、代替でスライド可能、押圧可能、または引っ張り可能であり得る。
【0023】
いくつかの例では、アクチュエータは回転可能であり、アクチュエータおよび運搬部分の一方はカムを備え、アクチュエータおよび運搬部分の他方は、アクチュエータの回転が運搬部分を移動させて膜を第1の位置から第2の位置へと移動させるようにカムと係合するように配置されるカム従動子を備える。
【0024】
カムは、最大で360度までの移動可能部の回転によって、膜を第1の位置から第2の位置へと移動させるように構成され得る。移動可能部は1つまたは複数の把持部分を備え得る。1つまたは複数の把持部分は1つまたは複数のつまみであり得る。
【0025】
例では、出口弁は、膜が第2の位置から第1の位置へと移動させられるのを防止するように配置される係止部を備え得る。これは、バイオリアクタ容器の内容物の採取の最中または後に、第1の位置へと戻る膜の移動を防止することになる。係止部は、出口弁が「使い捨て」であることを確実にすることができる。
【0026】
出口弁は、膜が第1の位置にあるときに出口導管および/または針が包囲されるように、膜と筐体の一部との間に延びるように配置されるゲートルをさらに備え得る。ゲートルの1つの端は膜または運搬部分に取り付けられ得る。ゲートルは、容器の内部容積と出口導管との間の流体路の無菌性を維持する。ゲートルは、第1の位置から第2の位置への膜の移動を受け入れるように、圧縮可能または折り畳み可能など、柔軟性であり得る。
【0027】
本開示の別の態様によれば、内部容積を定める複数の壁と、容器であって、膜が容器の内部容積に向くように容器の壁に備え付けられる、上に記載されているような出口弁とを備える、例えばバイオリアクタ容器などの容器が提供される。
【0028】
容器は、底壁と少なくとも1つの側壁とを備えることができ、出口弁は容器の底壁に備え付けられ得る。これは、重力による容器の内容物の採取を可能にする。
【0029】
容器は上壁または蓋をさらに備え得る。上壁または蓋は、1つまたは複数のポートを備える境界板であり得る。上壁または蓋は、細胞培養過程に無菌環境を提供するために、内部容積を封止することができる。境界板は、細胞培養過程の間のポートを通じての材料の導入または抽出を提供することができる。
【0030】
代替の例では、出口弁は、入口弁であってもよく、材料を容器へと追加することを提供するために境界板に備え付けられてもよい。
【0031】
側壁は圧縮可能であり得る。側壁は圧縮可能な蛇腹構造を有し得る。したがって、底壁は、バイオリアクタの内容物の混合のため、および、バイオリアクタの体積および容器の内容物の高さの調整のために、上壁または蓋に向けて移動可能とできる。
【0032】
底壁は実質的に円形であり得る。底壁は実質的に平面であり得る。
【0033】
出口弁は底壁の中心からずれていてもよい。これは、容器が傾けられ、重力によって内容物を取り出すことができるため、小さい体積の流体または細胞懸濁液の向上した取り出しを提供する。出口弁は、代替で底壁の中心部分に位置決めされてもよい。
【0034】
容器は複数の出口弁を備えてもよい。出口弁のうちの少なくとも1つは、先の段落に記載されているような出口弁であり得る。
【0035】
容器は、流体を容器の内部容積の外へ移送するために膜が第2の位置にあるとき、容器と流体連通するように配置される移送導管をさらに備え得る。移送導管は柔軟管であり得る。これは、容器の採取された内容物の患者への移送、またはバッグもしくはさらなるバイオリアクタなどの外部容器への移送を可能とする。
【0036】
柔軟管は出口弁に取り付けることができ、膜が第1の位置にあるとき、柔軟管は保管のために容器に取り付けられ得る。柔軟管は、柔軟管を容器の底壁にクリップ留めすることで保管され得る。カバーが底壁に取り外し可能に連結され得る。カバーは底壁にヒンジで連結され得る。カバーは、使用中でないとき、柔軟管および出口弁を覆うことができる。
【0037】
容器は、流体を容器から移送導管を介して受け入れるように配置されるさらなる容器をさらに備え得る。さらなる容器はバッグであり得る。バッグは、保管のために容器に取り付けられ得る。さらなる容器は、さらなる細胞培養過程が第2のバイオリアクタにおいて実施され得るように、第2のバイオリアクタであり得る。
【0038】
容器は、細胞培養過程のためのバイオリアクタ容器であり得る。
【0039】
出口弁は、細胞培養過程がバイオリアクタ容器において実施された後に細胞を採取するための採取弁であり得る。
【0040】
ここで、本発明の例の実施形態が、例としてのみ、以後において添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】採取弁を伴うバイオリアクタの斜視図である。
図2】バイオリアクタ容器の基礎壁の斜視図である。
図3】バイオリアクタ容器およびセンサ器具の側面図である。
図4】基礎カバーによって覆われたバイオリアクタ容器の基礎壁の斜視図である。
図5】バイオリアクタ容器および基礎カバーの側面図である。
図6】採取フレームに組み立てられたバイオリアクタの斜視図である。
図7】採取フレームに組み立てられたバイオリアクタの斜視図である。
図8】バイオリアクタ容器の断面斜視図である。
図9】採取弁の分解図である。
図10】採取弁の断面図である。
図11(a)】第1の位置における採取弁の底面図である。
図11(b)】第2の位置における採取弁の底面図である。
図12(a)】第1の位置での採取弁を含むバイオリアクタ容器の基礎壁の内部側面の斜視図である。
図12(b)】第2の位置での採取弁を含むバイオリアクタ容器の基礎壁の内部側面の斜視図である。
図13(a)】第1の位置における採取弁の断面図である。
図13(b)】第2の位置における採取弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
記載されている例の実施形態は、生物学的材料を取り扱うための組立体に関する。具体的には、いくつかの実施形態は、除菌したまたは無菌の組立体に関する。「除菌した」および「無菌の」という用語が本開示全体を通じて置き換え可能に使用され得ることは、留意されている。詳細な記載における流体への言及は、このような材料への保護の範囲を限定するように意図されていない。当業者によって認識されるように、本明細書に記載されているような流体が、記載されているような組立体との使用に適した材料の単なる例である。同様に、容器、バイオリアクタなどが参照され得るが、このような参照は、保護の範囲をこのような容器またはバイオリアクタに限定するように意図されていない。当業者によって認識されるように、容器、バイオリアクタなどは、単なる例として本明細書に記載されている。
【0043】
特定の専門用語が、利便性だけのために以下の記載に使用されており、限定とはならない。「上方」および「下方」という言葉は、参照される図面における方向を指示しており、組み立てられて備え付けられるときの、説明される構成要素に対してである。「内側」、「内方」ならびに「外側」、および「外方」という言葉は、記載されている要素の指定された中心線もしくは幾何学的中心(例えば、中心軸)に向かう方向または離れる方向にそれぞれ言及しており、具体的な意味は、記載の文脈から容易に明らかになる。さらに、「近位」(つまり、~により近い)および「遠位」(つまり、~より離れる)という用語は、取付の軸または点に対する位置を指示している。
【0044】
さらに、本明細書で使用されているように、「連結」、「固定」、「結合」などの用語は、任意の他の部材が間に介在されていない2つの部材の間の直接的な連結だけでなく、1つまたは複数の部材が間に介在されている部材間の関節的な連結を含むように意図されている。専門用語は、先に明確に言及されている言葉、その派生語、および同様の意味の言葉を含む。
【0045】
さらに、他に明示されていない場合、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順序の形容詞の使用は、同様の対象の異なる例が言及されていることを指示しているだけであり、そのように記載されている対象が、時間的、空間的、階級的、または任意の他の様態において、与えられている順番でなければならないことを意味するようには意図されていない。同様の参照符号が、全体を通じて同様の特徴を描写するために使用されている。
【0046】
図1は、内部容積を間に有する基礎壁14と側壁16とを有する容器12を含むバイオリアクタ10を示している。内部容積は細胞懸濁液を保持するように適合されている。基礎壁14は円形である。しかしながら、基礎壁14は、楕円、正方形、三角形、または別の多角形など、任意の他の適切な形であり得る。基礎壁14は実質的に平面であり得る。容器12は、その長手方向軸に沿って拡大可能であり得る。例えば、側壁16は圧縮可能であり得る。圧縮可能な側壁16は蛇腹構造を有し得る。蛇腹構造は複数の横方向剛性区域を有する。隣接する横方向剛性区域の各々の対が、長手方向軸に沿ってのバイオリアクタの圧縮を許容するために、変形可能な領域と交互に配置されている。
【0047】
バイオリアクタ10には、容器12の内部容積を封止するように側壁16に連結される境界板18も設けられている。境界板18は基礎壁14の反対にある。境界板は、流体または固体の懸濁液などの材料が、内部容積に追加、および/または内部容積から抽出され得るのに通る複数のポートを含み得る。材料には、細胞、培養媒体、成長因子、タンパク質、試料、洗浄溶液、ビーズ、抗体、ウイルス、または、細胞培養のために使用される任意の他の材料が含まれ得る。細胞培養過程の間、このような材料は、あらかじめ決定されたときに、または必要とされるにつれて、または、必要とされるときに、ポートを通じて追加または抽出され得る。したがって、バイオリアクタ10は細胞を閉じたシステムにおいて培養するために使用できる。
【0048】
細胞をバイオリアクタ10内で培養するために、細胞が容器12へと追加される。細胞は懸濁液に追加され得る。培養媒体が、細胞と一緒に、細胞を追加する前に、または、細胞の追加に続いて、容器へと追加される。例えば、成長因子、タンパク質、洗浄溶液、ビーズ、抗体、またはウイルスといった他の材料も、容器へと追加され得る。細胞は容器において増殖および拡大することができる。細胞は、廃棄物媒体を除去し、任意選択で、細胞を洗浄するために緩衝剤を使用し、次に新たな培養媒体をバイオリアクタに追加することで、洗浄することができる。細胞培養過程の終わりにおいて、細胞懸濁液は容器から取り出され、これは細胞採取として知られている。細胞が採取されると、細胞は、さらなるバイオリアクタまたはバッグといった別の容器60へと移送され得る。採取された細胞は患者へと注入され得る。
【0049】
図1図3は、容器12の基礎壁14に設けられた出口弁、明確には採取弁20を示している。採取弁20は、容器12をさらなる容器60に連結するために使用され得る移送管50に連結され得る。移送管50は柔軟管であり得る。さらなる容器は、本明細書に記載されているような蛇腹の容器、バッグ60、または任意の他の適切な無菌の容器であり得る。最初に、採取弁20は封止されている。採取弁20は、細胞を容器12からさらなる容器60へと移動させるために、容器12と移送管50とさらなる容器60との間の流体路を開放するように動作可能である。
【0050】
採取弁20および移送管50は、バイオリアクタ10とあらかじめ組み立てられて提供され得る。バッグ60も、移送管50にあらかじめ組み立てられて提供され得る。基礎壁14は、移送管50および/またはバッグ60を保持するために、容器12の内部容積の反対における基礎壁14の下側に、クリップを含んでもよい。図3図5に示されているような基礎カバー80が、使用されていないとき、バッグ60を保護するために、および、採取弁20の意図しない作動を防止するために、採取弁20、移送管50、およびバッグ60を覆うように設けられてもよい。基礎カバー80は、感知器具といった器具を、基礎壁14と接触させる、またはさもなければ基礎壁14と相互作用させる開口82を含み得る。基礎カバー80は、基礎壁14にヒンジで連結され得る、または、さもなければ基礎壁14に取り外し可能に連結され得る。基礎カバー80は、基礎カバー80を基礎に連結させるためにクリップ84をさらに備え得る。使用者または自動化されたデバイスが、基礎カバー80を取り外して採取弁20にアクセスするために、クリップ84を動作させることができる。基礎カバー80は、バイオリアクタ10の内容物が採取される準備ができたときに取り外される。
【0051】
バイオリアクタ10、採取弁20、移送管50、および任意選択でバッグ60は、バイオリアクタ10と移送管50との間の封止された無菌の連結を提供するために、無菌環境においてあらかじめ組み立てることができる、または、使用の前に殺菌され得る。代替の構成によれば、移送管50は、細胞が採取される準備ができたとき、使用者によって採取弁20に連結させることができる。移送管50は、採取された細胞の汚染を回避するために、ラミナーフローフードまたはクリーンルームなどの無菌環境において採取弁20に連結され得る。
【0052】
採取弁20は、図8に示されているように、基礎壁14に結合される膜22を有する。膜22は容器12の内部容積に向いている。膜22は、基礎壁14の中心からずれた位置に設けられ得る。以後において明らかになるように、膜22をこの位置に設けることで、図6および図7に示されているように、バイオリアクタ10を採取弁20の膜22の方へと傾けることができるため、採取するとき、具体的には、小さい体積の細胞懸濁液を採取するとき、容器12の内容物の向上した除去を可能とする。膜22は、代替で基礎壁14の中心に位置決めされてもよい。膜22は円形であり得る。膜22は、代替で、楕円、正方形、三角形、または他の多角形など、任意の他の適切な形とできる。膜22は柔軟性材料から形成される。柔軟性材料は弾性材料であり得る。柔軟性材料は、熱可塑性エラストマ(TPE)、シリコーン、低密度ポリエチレン(LDPE)、または任意の他の適切な柔軟性もしくは弾性の材料であり得る。膜22は基礎壁14に密閉して封止されてもよい。密閉の封止は、膜22を基礎壁14と一体的に成型または共押出することで、または、超音波溶接などで膜22を基礎壁14に溶接することで、形成され得る。他の例では、以後に記載されているように、膜22は筐体に封止で取り付けられてもよく、筐体はさらに、膜22が容器12の内部容積に向き、基礎壁14が封止されるように、基礎壁14に封止で取り付けられる。
【0053】
採取弁20は、アクチュエータ32と、針ハブ34と、針ハブ34に固定的に備え付けられた針36と、ゲートル38と、カムキャップ48とを含む、図9に示されているような筐体30も有する。アクチュエータ32は、回転可能部品40と、カム表面を有するカムリング42とを有する。図10に示されているように、筐体30は基礎壁14に連結され、容器12の内部容積の反対の表面において膜22を直接包囲する。筐体30は、代替で、容器12の内部容積の反対の表面において膜22に連結されてもよい。
【0054】
代替の配置によれば、膜22は筐体30の一部であり得る。筐体30は、流体密封の封止を提供するために、基礎壁14に圧入または溶接されるように取り付けられる膜22を含み得る。
【0055】
図8に示されているように、出口導管24が、容器12の内部容積から離れるように、採取弁20から延びる。出口導管24は、後でさらに説明されるように、膜22と一体に形成され得る、または、膜22に成型もしくは他の方法で取り付けられ得る。出口導管24は、膜22の中心部に位置決めされてもよい。採取弁20の作動の前に、出口導管24は膜22によって容器12から封止される。
【0056】
図10に示されているように、膜22は、容器12の内部容積から離れるように延び、穿孔可能領域を定める成型された連結形成部22aを含む。成型された連結形成部22aは、膜22と一体に形成され得るか、膜22に成型され得るか、または膜22に取り付けられ得る。連結形成部22aは膜22の中心部に位置決めされ得る。成型された連結形成部22aは膜22と同じ材料から形成され得る。
【0057】
運搬部分26が、膜22、具体的には連結形成部22aに連結される。図10に示されているように、栓49が、成型された連結形成部22aを運搬部分26に連結するために配置される。栓49は、連結形成部22aと一体に成型される、または連結形成部22aに取り付けられる。栓49は、例えば、ポリカーボネート、高密度ポリエチレン(HDPE)、または任意の他の適切な剛性ポリマなど、剛性材料から形成され得る。図10に示されているように、運搬部分26には周方向の唇部28aが設けられ、栓49には周方向の溝28bが設けられており、それにより周方向の唇部28aと周方向の溝28bとが相互連結して、栓49を介して連結形成部22aと運搬部分26との間にしっかりとした連結を提供する。
【0058】
代替で、運搬部分26は、留め付け構成またはネジ連結によって、栓49または連結形成部22aに連結されてもよい、あるいは、運搬部分26は、接着剤によって、もしくは、対応する取り付け形成部によって、栓49または膜22に連結されてもよい。例では、栓49が設けられておらず、運搬部分26は膜22に直に取り付けられる。例では、膜22は連結形成部22aを含んでおらず、運搬部分26は接着剤または溶接などによって、膜22に取り付けられる。
【0059】
運搬部分26は、カム従動子を有し、アクチュエータ32のカムリング42に連結可能である。アクチュエータ32の回転は、膜22を第1の位置から第2の位置へと移動させるために、運搬部分26の並進移動を引き起こすことになる。アクチュエータの詳細は後でさらに詳細に説明されている。運搬部分26の並進移動は、基礎壁14の平面に対して垂直な方向においてである。
【0060】
図12aおよび図13aに示されている第1の位置では、膜22は実質的に容器12の基礎壁14の平面にある。膜22は、第1の位置にあるとき、実質的に平坦である。代替で、膜22は、第1の位置にあるとき、例えば湾曲した基礎壁14の表面に対応するために湾曲されてもよい。
【0061】
アクチュエータ32は、膜22の一部を、容器12の底壁14の平面から、図12bおよび図13bに示されている、膜が錐台形とされる第2の位置へと変位させるように動作可能である。膜22の変位した部分は、膜22の中心部分であり得る。代替で、変位した部分は膜22の中心からずれていてもよい。第2の位置では、錐台形の部材22が出口導管24に向けて収束する。
【0062】
膜22が第2の位置へと移動させられるとき、開口が膜に形成される。開口は、膜22が第2の位置に向けて移動するとき、膜を針36で穿孔することで形成され得る。針36は、アクチュエータ32による膜22の並進が、膜22を、膜を穿孔して開口を作り出す針36の方へ引っ張るように、針ハブ34によって不動で保持され得る。それによって、流体路が容器12の内部容積と針36の内部導管との間に作り出される。バイオリアクタ10の内容物は、収束する錐台形の膜22によって針36の斜面44に向けて方向付けられることになり、それによって採取され得る。
【0063】
代替の配置によれば、針36は、膜22が第2の位置へと移動された後に膜22を穿孔するために、例えば押圧または滑動させられるなど、作動させられてもよい。
【0064】
針36は、好ましくは、採取収率および流量を最大化するために、大きなゲージの針である。結果として、膜22は、細胞懸濁液の採取の後に再封止することはできない。したがって、容器12は、使い捨て容器であり、細胞懸濁液の採取の後に再使用することはできない。
【0065】
代替の構成によれば、より小さい針が膜22を穿孔するために使用されてもよい。膜22は、例えばシリコーンなどの自己封止ポリマであってもよい。したがって、膜22は、穿孔された後に封止を維持する。膜22は、2回以上で穿孔することができ、封止を維持し続けることができる。これによって、弁20は細胞溶液の複数回の採取のために使用することができる、または、試験のために細胞溶液の1つまたは複数の試料を弁20に取らせることができる。この構成は、材料を容器へと追加するために、入口弁として代わりに使用されてもよい。
【0066】
栓49および/または成型された連結形成部22aは、膜22が第1の位置から第2の位置へと移動させられるときに針36が膜22を通過および穿孔することができるように、針36の斜面端44を受け入れることができる。具体的には、栓49および/または成型された連結形成部22aは、針36が通過する開口を有し得る。栓49および/または成型された連結形成部22aにおける開口は、針36と膜22と運搬部分26との間で、移動を案内し、安定性を向上させるために、針36および/または針ハブ34と協働することができる。これは、膜22に向けての針36の接近の方向を制御することができる。
【0067】
アクチュエータ32の回転可能部品40はカムリング42に固定的に結合される。したがって、回転可能部品40の回転はカムリング42も回転させる。回転可能部品40は、使用者が回転可能部品40を把持および回転することができるように、図11(a)および図11(b)に示されているように、例えばつまみ40などの1つまたは複数の把持特徴部を有し得る。
【0068】
針ハブ34は、図示されているように回転可能部品40に、または、カムリング42に備え付けられ得る。針ハブ34は、回転可能部品40の回転が針ハブ34または針36を回転させないように、回転可能部品40に回転可能に結合され得る。
【0069】
図10に示されているように、ゲートル38は、カムキャップ48と針ハブ34との間の下端においてに留め付けられ、例えばサークリップまたは同様のものなどによって運搬部分に取り付けられる運搬部分26へと上向きに延びる。ゲートル38は針ハブ34および運搬部分26にしっかりと連結され得る。運搬部分26は、カムキャップ48、針ハブ34、および/またはゲートル38に対して回転において抑制され、運搬部分26が筐体30に対して軸方向に滑ることができるように配置され得る。:
【0070】
回転可能部品40の回転はカムリング42を回転させる。カムリング42が回転するとき、運搬部分26のカム従動子がカムリング42におけるカムと相互作用し、運搬部分26を基礎14の平面に対して垂直の方向に並進させることで、膜22を第1の位置から第2の位置へと移動させる。
【0071】
第1の位置から第2の位置への膜22の並進を達成するために、回転可能部品は、4分の1回転(つまり、約90度)、2分の1回転(つまり、約180度)、完全な回転(つまり、約360度)、または任意の他の適切な回転の角度で回転させられ得る。
【0072】
図11(a)に示されているように、回転可能部品40は閉じた位置にある。弁20を作動させ、膜22を第2の位置まで移動させるために、回転可能部品は、図11(b)に示されている位置へと90度回すことができる。
【0073】
代替の構成によれば、アクチュエータ32の回転可能部品40は、運搬部分26のカム従動子に結合されるカム表面を備える。そのため、回転可能部品の回転は、カム従動子を回転可能部品40におけるカムと相互作用させて、運搬部分26を基礎14の平面に対して垂直の方向に並進させることで、膜22を第1の位置から第2の位置へと移動させることになる。
【0074】
代替の構成では、運搬部分26がカム表面を有してもよく、回転可能部品40またはカムリング42が、運搬部分26におけるカム表面と係合するように配置されるカム従動子を有してもよい。したがって、回転可能部品40および/またはカムリング42の回転は、先に記載されているのと同じ様態で運搬部分26の並進をもたらすことになる。
【0075】
図10および図13(a)に示されているように、ゲートル38は、針ハブ34と運搬部分26との間に延び、針36を包囲する。ゲートル38は、容器12の内部容積と、出口導管24との間、この例では弁出口46との間の流体路の無菌性を維持する。ゲートル38は、運搬部分26および/または膜22の成型された連結形成部22aに連結された端板38aを有する。ゲートル38は折り畳み可能なコンサーティーナ状の壁を有する。コンサーティーナ状の壁は、膜22が第1の位置にあるとき運搬部分26を支持するのに十分な剛性を有し、膜22および運搬部分26が第2の位置に向けて移動するように作動させられるときに折り畳まれるのに十分な柔軟性を有する折り畳み可能な壁を提供する。
【0076】
筐体30は、膜22および/または運搬部分26を第2の位置に係止するために、係止構成(図示されていない)を含み得る。これは、バイオリアクタ10の内容物の採取の間に、第1の位置への膜22の移動を防止することになる。例えば、係止構成は、運搬部分26を第2の位置に係止するために、運搬部分26における対応する開口と係合する、筐体30における(例えば、カムリング42における)板ばねであり得る。
【0077】
例では、採取弁20の出口導管24は、筐体30において針36と連通して形成される弁出口46を備える。弁出口46は、針ハブ34に形成されており、針36の内部導管に流体連結される。弁出口46はルアー式境界面またはバーブ式蛇口であり得る。弁出口46は移送管50に連結され得る。代替で、バイオリアクタ10は、弁出口46にあらかじめ組み込まれた移送管50が設けられてもよく、それによって、移送管50と採取弁20との間に無菌の連結を提供する。
【0078】
バイオリアクタ10の内容物を採取するために、バイオリアクタは、図6および図7に示されているように、採取フレーム70の支持アーム72に配置され得る。採取フレーム70はスタンド74をさらに備え、支持アーム72は、角度αでスタンド74に対して枢動可能である。支持アームは、水平位置からおおよそ-60度からおおよそ60度までの角度αで枢動可能であり得る。支持アームは、好ましくは、水平位置からおおよそ-45度からおおよそ45度までの角度αで枢動可能である。
【0079】
細胞を採取する方法は、バイオリアクタ10を支持アーム72に配置するステップを含む。アームは、採取弁20が基礎壁14の最も低い位置に向けて位置決めされるように、任意の適切な角度αへと枢動させられる。アームは、水平位置からおおよそ45度の角度αまで枢動させられ得る。バッグまたはさらなる容器60と移送管50とは採取弁20であらかじめ組み立てられ得る。代替で、移送管50とバッグまたはさらなる容器60とは、採取フレーム70に配置された後に採取弁20に連結されてもよい。さらなる容器60は、バイオリアクタ10の下方の位置に配置される。そのため、採取弁20は、例えば、膜22を第1の位置から第2の位置へと移動させるために回転可能部品40を回転させることなどで、使用者によって開けられる。膜22は穿孔され得る。それによって、流体通路が採取弁20を通じてバイオリアクタ10とバッグまたはさらなる容器60との間に作り出される。そのため、バイオリアクタの内容物が重力の下で流れ、バッグまたはさらなる容器60へと移動する。採取が完了すると、バッグまたはさらなる容器60は封止され得る。
【0080】
バイオリアクタ10からの細胞懸濁液の採取の間、弁20は流体のための二方向の通路を提供する。これは、バイオリアクタ10の内部容積を洗浄し、採取収率を最大化するために、生理食塩水の緩衝剤または採取された細胞懸濁液などの流体を採取の間に容器12の内部容積へと流すことができる。代替の構成によれば、弁20は、流体を容器12の内部容積から移送管50への単一の方向に流すのを許可するだけであり得る。例えば、内部容積への細胞懸濁液の逆流を防止するために、逆止弁が針36または出口導管24に設けられてもよい。
【0081】
代替の構成によれば、バイオリアクタは、自動化されたシステムの中の作動板によって傾けられ得る。そのため、採取弁20は、バイオリアクタ10の内容物を採取するために、自動化されたシステムによって作動させられ得る。
【0082】
代替の実施形態によれば、膜22を穿孔する針36の代わりに、膜22はスリットまたは極小の開口を含んでもよい。スリットまたは極小の開口は、膜が第1の位置にあるときに封止されてもよく、容器12の内部容積と出口導管24との間に流体路を作り出すために膜が第2の位置へと移動させられるときに露出または開放されてもよい。
【0083】
アクチュエータ32は、本明細書において回転可能部品40およびカムリング42として記載されているが、代替の形態のアクチュエータが、本発明との使用のために検討されている。例えば、アクチュエータは、採取弁20を作動させて膜22を第1の位置から第2の位置へと移動させるために、滑らされるか、押されるか、または引っ張られ得る。
【0084】
採取弁20は、本明細書では基礎壁14に連結されるとして記載されている。採取弁20は、代替で、側壁16または境界板18に連結されてもよい。バイオリアクタ10は、内容物を採取するときに採取弁20がバイオリアクタ10の下端に位置決めされるように、バイオリアクタ10の内容物を採取するために傾けられる、および/または逆さまにされてもよい。本明細書に記載されている容器12は、単一の採取弁20を有するとして記載されている。しかしながら、容器12には、複数の、例えば2つ以上の採取弁20が設けられてもよい。
【0085】
概して、上記の実施形態が、例としてのみ記載されており、限定の意味では記載されていないことと、様々な代替および変更が、添付の特許請求の範囲によって定められているような本発明の範囲から逸脱することなく可能であることとは、当業者によって理解されるものである。先に記載されているような詳細な設計への様々な変更が可能であり、例えば、形、大きさ、構成、組み立て、順序などに変化が存在し得る。例えば、包囲体、平面状の境界面、構成要素を保持する要素などのうちのいずれか1つが、任意の適切な組合せで使用され得る。さらに、本発明は自動化された過程に関して記載されているが、使用者が上記の過程のステップのうちの1つまたは複数を手作業または半自動で引き受けることができることは、当業者によって理解されるものである。
【符号の説明】
【0086】
10 バイオリアクタ
12 容器
14 基礎壁、基礎、底壁
16 側壁
20 採取弁
22 膜、錐台形の部材
22a 連結形成部
24 出口導管
26 運搬部分
30 筐体
32 アクチュエータ
34 針ハブ
36 針
38 ゲートル
38a 端板
40 回転可能部品、つまみ
42 カムリング
44 斜面、斜面端
46 弁出口
48 カムキャップ
49 栓
50 移送管
60 別の容器、さらなる容器、バッグ
70 採取フレーム
72 支持アーム
74 スタンド
80 基礎カバー
82 開口
84 クリップ
α 枢動の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
【国際調査報告】