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特表2024-529016電極塗布層の加熱乾燥プロセス及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電極塗布層の加熱乾燥プロセス及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20240725BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240725BHJP
   F26B 3/347 20060101ALI20240725BHJP
   F26B 15/00 20060101ALI20240725BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
F26B3/347
F26B15/00 A
B05D3/02 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506859
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2021137732
(87)【国際公開番号】W WO2023010748
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110892874.2
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524045138
【氏名又は名称】深▲セン▼市信宇人科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN XINYUREN TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】First, Second, Third And Fourth Floors Of No. 2 Plant In Hongfeng (Longgang) Industrial Plant, HuiLongPu Community, Longcheng Street, Longgang District Shenzhen, Guangdong 518116, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】劉 碧剛
(72)【発明者】
【氏名】楊 星
(72)【発明者】
【氏名】楊 志明
(72)【発明者】
【氏名】周 華民
(72)【発明者】
【氏名】陶 波
【テーマコード(参考)】
3L113
4D075
5H050
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AB02
3L113AB06
3L113AC12
3L113AC67
3L113BA32
3L113CB08
3L113DA11
3L113DA24
4D075BB24Z
4D075BB28Z
4D075BB35Z
4D075BB95Z
4D075DB01
4D075DC21
4D075EA10
5H050AA19
5H050BA17
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA29
5H050HA04
5H050HA20
(57)【要約】
表面にスラリーが塗布された金属基材(2)を乾燥室(1)の第1加熱区間(11)に入れてその長手方向に沿って搬送し、第1加熱区間(11)では金属基材(2)に自己熱を発生させる。第1加熱区間(11)を通過した金属基材(2)を乾燥室(1)の第2加熱区間(12)に搬送し、第2加熱区間(12)では金属基材(2)及びその表面に塗布されたスラリーに自己熱を発生させる。第2加熱区間(12)を通過した金属基材(2)を乾燥室(1)の第3加熱区間(13)に搬送して、焼成する。第1加熱区間(11)は交流磁界を含み、第2加熱区間(12)は交流磁界及びマイクロ波加熱アセンブリ(121)を含む。当該装置は、金属基材(2)が入る入口(3)及び金属基材(2)が出る出口(4)が設けられた乾燥室(1)を含み、乾燥室(1)は、第1加熱区間(11)、第2加熱区間(12)及び第3加熱区間(13)を含み、第2加熱区間(12)にマイクロ波加熱アセンブリ(121)及び第2電磁加熱アセンブリ(122)が取り付けられる。マイクロ波加熱アセンブリ(121)及び第2電磁加熱アセンブリ(122)は、いずれも乾燥室(1)内の上面及び下面にそれぞれ設置される。マイクロ波加熱アセンブリ(121)及び第2電磁加熱アセンブリ(122)は、第2加熱区間(12)に間隔を置いて均一に配置される。該プロセス及び装置は、乾燥室の加熱区間をより細かく区画し、複数の加熱方式を組み合わせて均一に加熱することにより、塗布層の全体的な乾燥及び塗布乾燥の均一性を保証できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にスラリーが塗布された金属基材(2)を乾燥室(1)の第1加熱区間(11)に入れてその長手方向に沿って搬送し、
前記第1加熱区間(11)において、前記金属基材(2)に自己熱を発生させるステップ、と
第1加熱区間(11)を通過した金属基材(2)を乾燥室(1)の第2加熱区間(12)に搬送し、
前記第2加熱区間(12)において、前記金属基材(2)と前記金属基材(2)の表面に塗布されたスラリーに自己熱を発生させるステップ、と
第2加熱区間(12)を通過した金属基材(2)を乾燥室(1)の第3加熱区間(13)に搬送して、焼成させるステップ、を含み、
前記第1加熱区間(11)は交流磁界を備え、
前記第2加熱区間(12)は交流磁界とマイクロ波加熱アセンブリ(121)を含む、
ことを特徴とする電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項2】
前記第1加熱区間(11)と前記第2加熱区間(12)の長手方向の距離の合計は、前記第3加熱区間(13)の長手方向の距離の半分以下であり、
前記第1加熱区間(11)の長手方向の距離は、前記第2加熱区間(12)の長手方向の距離以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項3】
前記第3加熱区間(13)は、熱風循環乾燥区間を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項4】
乾燥室(1)における前記金属基材(2)の搬送速度は、単位時間に乾燥室(1)の長手方向の距離の0.5倍~1.5倍の距離を搬送できる速度である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項5】
前記金属基材(2)の乾燥室(1)内での焼成時間は1min~2minである、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセスを実行する電極塗布層の加熱乾燥装置であって、
金属基材(2)が入る入口(3)及び金属基材(2)が出る出口(4)が設けられた乾燥室(1)を備え、
前記乾燥室(1)は、第1加熱区間(11)、第2加熱区間(12)、及び第3加熱区間(13)を含み、
前記第2加熱区間(12)には、マイクロ波加熱アセンブリ(121)及び第2電磁加熱アセンブリ(122)が取り付けられ、
前記マイクロ波加熱アセンブリ(121)及び第2電磁加熱アセンブリ(122)は、いずれも乾燥室(1)内の上面及び下面にそれぞれ設置され、
前記マイクロ波加熱アセンブリ(121)及び第2電磁加熱アセンブリ(122)は、第2加熱区間(12)に間隔を置いて均一に配置される、
ことを特徴とする電極塗布層の加熱乾燥装置。
【請求項7】
前記第1加熱区間(11)の上面及び下面にはそれぞれ第1電磁加熱アセンブリ(111)が取り付けられ、
前記第1電磁加熱アセンブリ(111)の最大電力は、全ての第2電磁加熱アセンブリ(122)の最大電力の合計値以下である、
ことを特徴とする請求項6に記載の電極塗布層の加熱乾燥装置。
【請求項8】
第3加熱区間(13)には、熱風循環乾燥アセンブリ(131)が取り付けられ、
前記熱風循環乾燥アセンブリ(131)は、風ノズル(1311)と循環濾過システム(132)とを含み、
前記循環濾過システム(132)は、乾燥室(1)の上面に設けられ、風路及び風管を介して風ノズル(1311)と連通する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電極塗布層の加熱乾燥装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極塗布層の加熱乾燥プロセス及び電極塗布層の加熱乾燥プロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動力リチウム電池設備の市場需要が急激に増加し、中国の新エネルギー自動車の発展を推進することに重要な意義がある。スラリー(正負極活物質と溶媒を混合してなる)をアルミニウム/銅箔集電体基材に均一に塗布し、乾燥して成形するプロセスにおいて、塗布品質は電池容量、安全性、寿命に重要な影響を与える。
【0003】
中国特許公開番号CN111905996A(公開日2020年11月10日)は、塗布乾燥方法及び塗布乾燥装置を開示し、塗布乾燥装置は乾燥ボックスを含み、乾燥ボックスに金属基材が入る入口及び金属基材が出る出口が設けられ、入口と出口との間に金属基材の搬送経路が形成され、乾燥ボックス内に磁界を形成するための電磁コイルが設けられ、磁界を通過する搬送経路が形成される。
【0004】
しかし、前記引用文献において、乾燥室の前段でマイクロ波加熱乾燥の方式を採用し、乾燥室の後段で熱風乾燥の方式を採用し、このような区画加熱方式は粗く、塗布層の全体乾燥に不利であり、塗布層の乾燥の均一性を阻害する。
【0005】
従って、従来技術における区画加熱方式が粗く、金属基材の塗布が不均一になることによりクラックが発生しやすく、塗布層の全体的な乾燥に不利であり、塗布乾燥の均一性を阻害するという課題を解決する、新たな塗布層の乾燥プロセス及び装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国公開公報CN111905996A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、塗布乾燥プロセス及び装置を提供し、乾燥室の加熱区間をより細かく区画し、複数の加熱方式を組み合わせて均一に加熱し、塗布層全体の乾燥及び塗布乾燥の均一性を保証し、従来技術に存在する欠点を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
塗布層の加熱乾燥プロセスは、以下のステップを含む。
表面にスラリーが塗布された金属基材を乾燥室の第1加熱区間に入れてその長手方向に沿って搬送する。前記第1加熱区間は前記金属基材に自己発熱を生じさせることができる。
【0009】
次に、第1加熱区間を通過した金属基材を乾燥室の第2加熱区間に搬送する。前記第2加熱区間は、前記金属基材及びその表面に塗布されたスラリーに自己発熱を生じさせることができる。
【0010】
そして、第2加熱区間を通過した金属基材を乾燥室の第3加熱区間に搬送して乾燥が完了する。
前記第1加熱区間は交流磁界を含み、前記第2加熱区間は交流磁界とマイクロ波加熱アセンブリを含む。
【0011】
この方法によれば、表面にスラリーが塗布された金属基材を第1加熱区間に投入し、金属基材に自己熱を発生させ、内部から外部へスラリーを加熱して乾燥させる。このため、電磁加熱の効率が高く、昇温速度が速く、所定の加熱目標を数秒以内に完了させることができ、乾燥時間を節約し、第1加熱区間が電磁加熱方式により金属基材を昇温した後、塗布層と金属基材との界面に蒸発気孔が徐々に形成される。それにより、水蒸気又は溶媒ガスの蒸発及び逸散を加速し、乾燥効率を大幅に向上させ、省エネルギーであり、また、ミクロ気孔の発生によりリチウム補充の効率を向上させる。金属基材が第2加熱区間に入ると、金属基材に塗布されたスラリーが金属基材とともに加熱される。このため、金属基材のみを加熱して温度を迅速に上昇させることによる塗布されたスラリーの割れを回避し、温度をより緩やかに上昇させて乾燥させ、塗布されたスラリーを均一に乾燥させる。
【0012】
前記第1加熱区間と第2加熱区間の長手方向の距離の合計は、第3加熱区間の長手方向の距離の半分以下であり、前記第1加熱区間の長手方向の距離は、第2加熱区間の長手方向の距離以下である。
【0013】
さらに、前記第3加熱区間は熱風循環乾燥区間を含む。
このような方法により、金属基材とその表面のスラリーの温度上昇をより緩やかにし、温度上昇曲線が急すぎることによるスラリーの割れを防止する。同時に、温度上昇が遅すぎるために乾燥室が長すぎるという問題を防止できる。
【0014】
乾燥室における前記金属基材の搬送速度は、時間単位(1時間ごと)に乾燥室の長手方向の距離の0.5倍~1.5倍を搬送できる速度である。
【0015】
前記金属基材の乾燥室内での焼成時間は1min~2minである。
【0016】
一方、上記方法を用いた塗布層の加熱乾燥装置であって、金属基材が入る入口と金属基材が出る出口が設けられた乾燥室を備え、前記乾燥室は、第1加熱区間と、第2加熱区間と、第3加熱区間とを含み、前記第2加熱区間にマイクロ波加熱アセンブリと第2電磁加熱アセンブリが取り付けられ、前記マイクロ波加熱アセンブリと第2電磁加熱アセンブリはいずれも乾燥室内の上面と下面にそれぞれ設置され、前記マイクロ波加熱アセンブリと第2電磁加熱アセンブリは第2加熱区間に間隔を置いて均一に配置される。
【0017】
さらに、前記第1加熱区間には、乾燥室内の上面及び下面にそれぞれ第1電磁加熱アセンブリが取り付けられ、前記第1電磁加熱アセンブリの最大電力は、全ての第2電磁加熱アセンブリの最大電力の合計の以下である。
【0018】
このような構造によれば、第1加熱区間を利用して金属基材本体を加熱し、予熱及び予備乾燥処理を行い、加熱ムラ及び温度上昇が速すぎることによる割れの問題を回避することができる。
【0019】
さらに、第3加熱区間に熱風循環乾燥アセンブリが取り付けられる。熱風循環乾燥アセンブリは、ノズルと循環濾過システムとを含み、前記循環濾過システムは、乾燥室の上面に設けられ、風路及び風管を介してノズルと連通する。
【発明の効果】
【0020】
マイクロ波加熱アセンブリと第2電磁加熱アセンブリとが第2加熱区間に間隔を置いて均一に配置された上記構造では、スラリーが塗布された金属基材の加熱乾燥を十分に保証することができる。第2電磁加熱アセンブリによって金属基材本体を自己発熱させ、マイクロ波加熱アセンブリによって金属基材本体とその表面に塗布されたスラリーとを一緒に加熱する。これにより、金属基材のみを加熱した場合、その内部の温度が急速に上昇して外部に近い位置の温度上昇が遅くなることを回避し、全体がより均一に加熱され、塗布されたスラリーが割れることをさらに回避できる。
【0021】
1.本発明では、乾燥室の加熱区間をより細かく区画して塗布物(層)の全体乾燥及び塗布乾燥の均一性を確保する。
2.本発明において、電磁加熱の効率が高く、昇温時間が速く、所定の加熱目標を数秒以内に完了することができ、乾燥時間を節約する。
3.本発明では、まず予熱して予備乾燥してから内部と外部から同時に加熱することにより、スラリーが塗布された金属基材の加熱乾燥を十分に保証する。第2電磁加熱アセンブリにより金属基材本体を自己発熱させ、マイクロ波加熱アセンブリにより金属基材本体とその表面に塗布されたスラリーを一緒に加熱することにより、全体がより均一に加熱され、塗布されたスラリーの割れをさらに回避する。
4.本発明では、第1加熱区間において、電磁加熱方式により金属基材を昇温した後、塗布層と金属基材との界面に蒸発気孔が徐々に形成され、それにより、水蒸気又は溶媒ガスの蒸発及び逸散を加速し、乾燥効率を大幅に向上させることができ、省エネルギーである。
5.本発明は、電磁加熱によるミクロ気孔の生成により、リチウム補充の効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の加熱乾燥装置の金属基材進行方向に沿った断面図。
図2】本発明の図1の加熱乾燥装置の垂直方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な創作をせずに取得した他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0024】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語で示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜及び説明の簡略化のためのものに過ぎず、示される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものと理解してはならない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解されるべきではない。本発明の説明において、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「装着」、「接続」、「接続」は広く理解されるべきである。
【0025】
なお、以下に説明する本発明の異なる実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0026】
実施例1
塗布層の加熱乾燥プロセスは、以下のステップを含む。
【0027】
表面にスラリーが塗布された金属基材2を乾燥室1の第1加熱区間11に入れてその長手方向に沿って搬送する。第1加熱区間11では前記金属基材2に自己熱を発生させることができる、
【0028】
次に、第1加熱区間11を通過した金属基材2を乾燥室1の第2加熱区間12に搬送する。第2加熱区間12では、前記金属基材2及びその表面に塗布されたスラリーに自己発熱を生じさせることができる、
【0029】
そして、第2加熱区間12を通過した金属基材2を乾燥室1の第3加熱区間13に搬送して乾燥が完了する、
【0030】
前記第1加熱区間11は交流磁界を備え、前記第2加熱区間12は交流磁界及びマイクロ波加熱アセンブリ121を含む。
【0031】
このような方法により、表面にスラリーが塗布された金属基材2を第1加熱区間11に投入し、金属基材2に自己熱を発生させ、内部から外部へスラリーを加熱乾燥する。金属基材2が第2加熱区間12に入ると、金属基材2に塗布されたスラリーが金属基材2とともに加熱されるため、金属基材2のみを加熱して温度を急速に上昇させることによる塗布されたスラリーの割れを回避し、温度をより緩やかに上昇させて乾燥させ、塗布されたスラリーを均一に乾燥させる。
【0032】
前記第1加熱区間11と第2加熱区間12の長手方向の距離の合計は、第3加熱区間13の長手方向の距離の半分以下であり、前記第1加熱区間11の長手方向の距離は、第2加熱区間12の長手方向の距離以下である。
【0033】
前記第3加熱区間13は熱風循環乾燥区間を備え、前記熱風循環乾燥区間の焼成温度は140℃である。
【0034】
このような方法により、金属基材2とその表面のスラリーの温度上昇をより緩やかにし、温度上昇曲線が急すぎることによるスラリーの割れを防止する。同時に、温度上昇が遅すぎるために乾燥室1が長すぎるという問題を防止できる。
【0035】
乾燥室1における前記金属基材2の搬送速度は、単位時間に乾燥室1の長手方向の距離の0.5倍~1.5倍の長手方向の距離を搬送することである。
前記金属基材2の乾燥室1内での焼成時間は1min~2minである。
【0036】
実施例2
本実施例は、図1及び図2に示すように、実施例1における方法を使用する。
上記方法を用いた塗布層の加熱乾燥装置であって、金属基材2が入る入口3及び金属基材2が抜ける出口4が設けられた乾燥室1を含み、前記乾燥室1は、第1加熱区間11、第2加熱区間12及び第3加熱区間13を含み、前記第2加熱区間12にマイクロ波加熱アセンブリ121及び第2電磁加熱アセンブリ122が取り付けられ、前記マイクロ波加熱アセンブリ121及び第2電磁加熱アセンブリ122は、いずれも乾燥室1内の上面及び下面それぞれに配置され、前記マイクロ波加熱アセンブリ121及び第2電磁加熱アセンブリ122は、第2加熱区間12に間隔を置いて均一に配置される。
【0037】
前記第1加熱区間11には、乾燥室1内の上面及び下面に位置する第1電磁加熱アセンブリ111が取り付けられる。前記第1電磁加熱アセンブリ111の最大電力は、全ての第2電磁加熱アセンブリ122の最大電力の合計の以下である。
【0038】
このような構造により、第1加熱区間11を利用して金属基材2本体を加熱し、予熱及び予備乾燥処理を行い、加熱ムラ及び温度上昇が速すぎることによる割れの問題を回避する。
【0039】
第3加熱区間13には熱風循環乾燥アセンブリ131が取り付けられ、前記熱風循環乾燥アセンブリ131はノズル1311と循環濾過システム132とを含み、前記循環濾過システム132は乾燥室1の上面に設けられ、風路及び風管を介してノズル1311と連通する。
【0040】
このような構造により、マイクロ波加熱モジュール121と第2電磁加熱モジュール122とが第2加熱区間12に間隔を置いて均一に配置され、スラリーが塗布された金属基材2の加熱乾燥を十分に保証することができ、第2電磁加熱モジュール122によって金属基材2本体を自己発熱させ、マイクロ波加熱モジュール121によって金属基材2本体とその表面に塗布されたスラリーとを一緒に加熱することにより、金属基材2のみを加熱してその内部温度が急速に上昇して外部に近い位置の温度上昇が遅くなることを回避し、全体がより均一に加熱され、塗布されたスラリーが割れることをさらに回避する。
【0041】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
1.本発明は、乾燥室1の加熱区間をより細かく区画して塗布層の全体乾燥及び塗布乾燥の均一性を保証する。
【0042】
2.本発明は、金属基材2のみを加熱して温度を急速に上昇させることによる塗布されたスラリーの割れを回避する。
【0043】
3.本発明は、まず予熱して予備乾燥してから内部と外部から同時に加熱し、スラリーが塗布された金属基材2の加熱乾燥を十分に保証し、第2電磁加熱アセンブリ122により金属基材2本体を自己発熱させ、マイクロ波加熱アセンブリ121により金属基材2本体とその表面に塗布されたスラリーを一緒に加熱することにより、その全体がより均一に加熱され、塗布されたスラリーの割れをさらに回避する。
【0044】
上記の実施例は、明確に説明するための例示に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記の説明に基づいて、他の異なる形式への変更又は改変を行うことができる。ここで、全ての実施形態を網羅する必要はない。このようにして導出された明らかな変化または変動は、依然として本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0045】
1、乾燥室;11、第1加熱区間;111、第1電磁加熱アセンブリ;12、第2加熱区間;121、マイクロ波加熱アセンブリ;122、第2電磁加熱アセンブリ;13、第3加熱区間;131、熱風循環乾燥アセンブリ;1311、風ノズル;132、循環濾過システム;2、金属基材;3、入口;4、出口

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にスラリーが塗布された金属基材(2)を乾燥室(1)の第1加熱区間(11)に入れてその長手方向に沿って搬送し、
前記第1加熱区間(11)において、前記金属基材(2)に自己熱を発生させるステップ、と
第1加熱区間(11)を通過した金属基材(2)を乾燥室(1)の第2加熱区間(12)に搬送し、
前記第2加熱区間(12)において、前記金属基材(2)と前記金属基材(2)の表面に塗布されたスラリーに自己熱を発生させるステップ、と
第2加熱区間(12)を通過した金属基材(2)を乾燥室(1)の第3加熱区間(13)に搬送して、焼成させるステップ、を含み、
前記第1加熱区間(11)は交流磁界を備え、
前記第2加熱区間(12)は交流磁界とマイクロ波加熱アセンブリ(121)を含む、
ことを特徴とする電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項2】
前記第1加熱区間(11)と前記第2加熱区間(12)の長手方向の距離の合計は、前記第3加熱区間(13)の長手方向の距離の半分以下であり、
前記第1加熱区間(11)の長手方向の距離は、前記第2加熱区間(12)の長手方向の距離以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項3】
前記第3加熱区間(13)は、熱風循環乾燥区間を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項4】
乾燥室(1)における前記金属基材(2)の搬送速度は、単位時間に乾燥室(1)の長手方向の距離の0.5倍~1.5倍の距離を搬送できる速度である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【請求項5】
前記金属基材(2)の乾燥室(1)内での焼成時間は1min~2minである、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極塗布層の加熱乾燥プロセス。
【国際調査報告】