(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】拡張可能なシース
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61M25/00 504
A61M25/00 610
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506976
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022038481
(87)【国際公開番号】W WO2023014551
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロイ・シトリット
(72)【発明者】
【氏名】アミール・ダヴィデスコ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA15
4C267AA56
4C267BB06
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB15
4C267BB40
4C267CC19
4C267EE01
4C267GG05
4C267GG06
4C267HH02
4C267HH07
4C267HH14
(57)【要約】
本明細書に開示される拡張可能なシース(100)は、内側ライナー(102)と、内側ライナーの半径方向外向きに位置付けられた第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きに位置付けられた編組層(104)と、編組層の半径方向外向きに位置付けられた第二のポリマー層と、第二のポリマー層の半径方向外向きに位置付けられた外側ライナー(108)と、を含む、複数の半径方向に配置された層を有する。シースは、折り畳んだ(拡張していない)構成の複数の長手方向に延在するプリーツを含み、長手方向に延在するプリーツは複数の半径方向に配設された層を組み込む。医療装置がシースを通過するとき、シースの直径は、医療装置の周りで局所的に拡張する一方で、第一及び第二のポリマー層が、シースの長さが実質的に一定の状態に留まるように、シースの軸方向の伸長に抵抗する。シースは、医療装置の通過後に弾性的に折り畳む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置を展開するための拡張可能なシースであって、
一つ以上のポリマー層を含む内側ライナーであって、前記内側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、前記内側ライナーの前記第一の表面が、前記拡張可能なシースの内側表面を画定する、内側ライナーと、
前記内側ライナーを半径方向外向きに囲む第一のポリマー層であって、前記内側ライナーの前記第二の表面に位置付けられ、前記第一のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第一のポリマー層と、
前記第一のポリマー層の半径方向外向きに配置された編組層と、
前記編組層を半径方向外向きに囲む第二のポリマー層であって、前記第二のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層と、
一つ以上のポリマー層を含む外側ライナーであって、前記外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、前記外側ライナーの前記第一の表面が、前記第二のポリマー層の上にあり、その中で前記外側ライナーの前記第二の表面が、前記拡張可能なシースの外側表面を画定する、外側ライナーと、を含み、
前記内側ライナー、前記第一のポリマー層、前記第二のポリマー層、及び前記外側ライナーが積層構造を形成し、
医療装置がシースを通過するとき、前記シースの直径が、前記医療装置の周りで第一の拡張していない直径から第二の拡張した直径に拡張する一方で、前記第一及び前記第二のポリマー層が、前記シースの長さが実質的に一定の状態に留まるように、前記シースの軸方向の伸長に抵抗し、
前記シースが、前記医療装置の通過後に、第三の直径に弾性的に戻る、拡張可能なシース。
【請求項2】
前記内側ライナーが、二つ以上のポリマー層を含み、前記ポリマー層の各々が、約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有し、前記二つ以上のポリマー層が、一緒に積層され、及び/又は前記外側ライナーが、二つ以上のポリマー層を含み、前記ポリマー層の各々が、約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有し、前記二つ以上のポリマー層が、一緒に積層される、請求項1に記載の拡張可能なシース。
【請求項3】
前記第一のポリマー層が二つ以上のポリマー副層を含み、前記ポリマー副層の各々が、約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有し、前記二つ以上のポリマー副層が一緒に積層され、及び/又は前記第二のポリマー層が二つ以上のポリマー副層を含み、前記ポリマー層の各々が、約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有し、前記二つ以上のポリマー副層が一緒に積層される、請求項1~2のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項4】
前記拡張可能なシースの近位端の一部分が、一つ以上の層を含み、第三のポリマー層が前記外側ライナーの少なくとも一部分に接合されるように、前記外側ライナーを半径方向外向きに囲む第三のポリマー層をさらに含み、前記第三のポリマー層が、患者の体内への挿入時に患者の自然な解剖学的構造と実質的なシールを形成し、前記近位端の前記部分が、前記シースの近位縁から約10mm~約150mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項5】
前記第三のポリマー層が、前記内側ライナー、前記第一のポリマー層、前記第二のポリマー層、及び前記外側ライナーが前記積層構造を形成する後に前記外側ライナーに塗布される、請求項4に記載の拡張可能なシース。
【請求項6】
前記第三のポリマー層の外側表面が、前記外側ライナーの外側表面よりも実質的に滑らかであり、及び/又は前記第三のポリマー層の外側表面が、前記外側ライナーの外側表面よりも実質的に小さい粗さを有し、及び/又は前記第三のポリマー層が、前記外側ライナーの空隙率よりも実質的に大きい空隙率を有する、請求項4又は5のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項7】
前記第三のポリマー層が、前記編組層に接合されていない、請求項4~6のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項8】
前記内側ライナー及び/又は前記外側ライナーの前記一つ以上のポリマー層が、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)ポリマー層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項9】
前記第一のポリマー層が、ポリオレフィン又はポリウレタンを含む少なくとも1つの副層を含み、及び/又は前記第二のポリマー層が、ポリオレフィン又はポリウレタンを含む少なくとも1つの副層を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項10】
前記ポリオレフィンが、二方向性ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、又はそれらの組み合わせを含むポリプロピレンを含み、かつ/又は前記ポリオレフィンが、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はそれらの組み合わせを含むポリエチレンを含む、請求項9に記載の拡張可能なシース。
【請求項11】
第三のポリマー層が、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)ポリマー層を含む、請求項4~10のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項12】
前記シースが、複数の長手方向に延在するプリーツを含み、前記複数のプリーツが、前記シースの周囲の少なくとも一部分の周りに延在し、前記複数のプリーツの各々が、前記内側ライナーの少なくとも一部分、前記第一のポリマー層の少なくとも一部分、前記第二のポリマー層の少なくとも一部分、及び前記外側ライナーの少なくとも一部分を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項13】
前記複数のプリーツが、複数の円周方向に離間した隆起部及び複数の円周方向に離間した谷部を形成し、前記医療装置が前記シースを通過すると、前記隆起部及び前記谷部が少なくとも部分的に水平になり、シース壁が半径方向に拡張することを許容する、請求項12に記載の拡張可能なシース。
【請求項14】
前記第一のポリマー層が、前記内側ライナーの前記第二の表面の少なくとも一部分に接合又は接着され、前記第二のポリマー層が、前記外側ライナーの前記第一の表面の少なくとも一部分に接合又は接着される、請求項1~13のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項15】
前記内側ライナーの前記一つ以上のポリマー層が多孔性フィルムを含む場合、前記第一のポリマー層の少なくとも一部分が、前記内側ライナーの前記多孔性フィルムの少なくとも一部分内に延在し、及び/又は前記外側ライナーの前記一つ以上のポリマー層が多孔性フィルムを含む場合、前記第二のポリマー層の少なくとも一部分が、前記外側ライナーの前記多孔性フィルムの少なくとも一部分内に延在する、請求項14に記載の拡張可能なシース。
【請求項16】
編組層が一緒に編組された複数のらせん状のマルチフィラーフィラメントを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項17】
前記編組層が、近位端及び遠位端を有し、前記編組層が、前記編組層の前記遠位端に複数の閉ループを備え、前記編組層の前記近位端が、前記シースの近位端に沿って位置付けられる、請求項16に記載の拡張可能なシース。
【請求項18】
前記編組層が、前記編組層の前記近位端から前記編組層の前記遠位端まで延在する長さを有し、前記編組層の長さが、前記シースの近位端から前記シースの前記遠位端まで測定される前記シースの長さよりも短い、請求項17に記載の拡張可能なシース。
【請求項19】
前記編組層の前記フィラメントが、前記編組層が、医療装置が前記シースを通過するにつれて半径方向に拡張する一方で、前記シースの前記長さが実質的に一定の状態に留まるように構成されるように、前記第一のポリマー層と前記第二のポリマー層との間で移動可能であり、及び/又は前記編組層の前記フィラメントが、前記シースが折り畳んだ構成にあるときに弾性的に座屈し、前記第一及び前記第二のポリマー層が、前記編組層の前記フィラメント間の複数の開放空間で互いに取り付けられる、請求項16~18のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項20】
熱収縮材料から形成され、前記第一のポリマー層及び前記第二のポリマー層の少なくとも長手方向部分の上に延在する外側カバーをさらに備え、前記外側カバーが、一つ以上の長手方向に延在するスリット、弱化した部分、又は開裂線を備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項21】
前記シースが、前記シース壁に内向きの半径方向の力を適用し、前記シースを前記拡張していない状態に向けて付勢する、弾性外側層をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項22】
拡張可能なシースを作製する方法であって、
内側ライナーを形成することであって、前記内側ライナーが、一つ以上のポリマー層を含み、前記内側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を含む、内側ライナーを形成することと、
第一のポリマー層を形成することであって、前記第一のポリマー層が前記内側ライナーの半径方向外向きに位置付けられ、前記第一のポリマー層が一つ以上の副層を含み、前記第一のポリマー層が前記内側ライナーの前記第二の表面の上にある、第一のポリマー層を形成することと、
編組層を第一のポリマー層の半径方向外向きに位置付けることと、
前記編組層の半径方向外向きに位置付けられるように第二のポリマー層を形成することであって、前記第二のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層を形成することと、
前記第二のポリマー層の半径方向外向きに外側ライナーを形成することであって、前記外側ライナーが、一つ以上のポリマー層を含み、前記外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、前記外側ライナーの前記第一の表面が、前記第二のポリマー層の少なくとも一部分と接触している、外側ライナーを形成することと、
前記内側ライナー、前記第一のポリマー層、前記編組層、前記第二のポリマー層、及び前記外側ライナーを加熱して、積層構造を形成することと、
前記積層構造を圧着して複数の長手方向に延在するプリーツを形成することであって、前記複数の長手方向に延在するプリーツが、前記シースを通した医療装置の通過に伴い拡張するように構成される、プリーツを形成することと、を含む、方法。
【請求項23】
i)内側ライナーを形成する工程が、第一の材料を初期マンドレルの周りに巻き付けることを含み、
ii)前記第一のポリマー層を形成する前記工程が、前記内側ライナーの前記第二の表面の半径方向外向きに第二の材料を巻き付けることを含み、又は前記第一のポリマー層を形成する前記工程が、前記第一のポリマー層の前記一つ以上の副層を形成するために、前記内側ライナーの前記第二の表面を第二の材料の一つ以上の層でコーティングすることを含み、
iii)前記第二のポリマー層を形成する前記工程が、前記編組層の外向きに第三の材料を巻き付けることを含み、又は前記第二のポリマー層を形成する前記工程が、前記第一のポリマー層の前記一つ以上の副層を形成するために、前記編組層を第三の材料の一つ以上の層でコーティングすることを含み、及び/又は
iv)前記外側ライナーを形成する前記工程が、前記第二のポリマー層の前記第二の表面の半径方向外向きに第四の材料を巻き付けることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記積層構造を形成した後、前記方法が、前記シースの前記近位端の少なくとも一部分で第三のポリマー層を形成することをさらに含み、前記第三のポリマー層を形成する前記工程が、第五の材料を前記外側ライナーの外側表面の半径方向外向きに巻き付けて、前記第三のポリマー層の一つ以上のポリマー層を形成することを含む、請求項22~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記加熱する工程が、前記内側ライナー、前記第一のポリマー層、前記第二のポリマー層、及び前記外側ライナー内に前記編組層を少なくとも部分的に封入することを含み、及び/又は前記加熱する工程が、前記多孔性の第一の材料を少なくとも部分的に貫通する前記第二の材料を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月6日出願の米国仮特許出願第63/230,631号、及び2022年3月28日出願の米国仮特許出願第63/324,436号の利益を主張するものであり、それらの各々の内容全体は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、経カテーテル心臓弁などの人工装置のための拡張可能なイントロデューサシース、及びそれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血管内送達カテーテル組立品は、外科手術によって容易にアクセス可能ではない、又は侵襲性手術を伴わないアクセスが望ましい身体の内側の場所で、人工弁などの人工装具を移植するために使用される。例えば、低侵襲性外科的技法を使用して、大動脈、僧帽、三尖、及び/又は肺動脈人工弁を治療部位に送達することができる。
【0004】
イントロデューサシースを使用して、送達装置を患者の脈管構造(例えば、大腿動脈)内に安全に導入することができる。イントロデューサシースは、概して、脈管構造に挿入される細長いスリーブと、最小限の失血で送達装置が脈管構造と流体連通して配置されることを可能にする、一つ以上の密封弁を含むハウジングとを有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本拡張可能なシースの態様は、送達システムに適応するためにイントロデューサシースの一部の一時的拡張を可能にし、続いて、送達システムが通過すると元の直径に戻ることによって、血管への外傷を最小限にすることができる。いくつかの態様は、先行技術のイントロデューサシースの外形よりも小さい外形を有するシースを備えることができる。さらに、特定の態様は、処置にかかる時間の長さを短縮することができ、さらには、いくつかの異なるサイズのシースではなく、1つのシースのみが必要であるため、長手方向又は半径方向の血管の裂け、又はプラークの剥脱のリスクを低減することができる。本拡張可能なシースの態様では、血管の拡張のために複数回の挿入を必要とする代わりに、単一の血管挿入のみを必要とし得る。
【0006】
いくつかの態様によれば、シースが内側ライナー及び外側層を含む人工装置を導入するためのシースが開示されている。シースの少なくとも一部分は、人工装置がシースの内腔を通して押されると、第一の直径(静止直径)から第二の直径(拡張した直径)に局所的に拡張し、その後、人工装置が通過すると、少なくとも部分的に第一の直径に戻るように設計又は構成され得る。
【0007】
いくつかの態様によれば、医療装置を展開するための拡張可能なシースが開示されている。拡張可能なシースは、近位端及び遠位端、内側表面及び外側表面を有し、一つ以上のポリマー層を含む内側ライナーであって、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、内側ライナーの第一の表面が、シースの内側表面を画定する、内側ライナーと、内側ライナーを半径方向外向きに囲む第一のポリマー層であって、内側ライナーの第二の表面で位置付けられるようにされ、かつ第一のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きに配置された編組層と、編組層を半径方向外向きに囲む第二のポリマー層であって、一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層と、一つ以上のポリマー層を含む外側ライナーであって、外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が第二のポリマー層の上にあり、その中でライナー層の第二の表面がシースの外側表面を画定する、外側ライナーと、を備え、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層及び外側ライナーが積層構造を形成し、医療装置がシースを通過するとき、医療装置の周りでの第一の拡張していない直径から第二の拡張した直径に局所的に拡張する一方で、シースの直径が、第一及び第二のポリマー層がシースの長さが実質的に一定の状態に留まるようにシースの軸方向の伸長に抵抗し、シースが、医療装置の通過後に、第三の直径に弾性的に戻る。
【0008】
いくつかの実装形態では、第一のポリマー層は、フィルムとして、又はコーティングとして提供され得る。いくつかの態様では、第二のポリマー層は、フィルムとして、又はコーティングとして提供され得る。
【0009】
また、拡張可能なシースの近位端の一部分が、一つ以上の層を含み、外側層を半径方向外向きに囲む第三のポリマー層をさらに含む実装形態が開示される。
【0010】
いくつかの態様によれば、シースは複数の長手方向に延在するプリーツを含む。こうした例示的及び非限定的な態様では、複数のプリーツは、シースの周囲の少なくとも一部分の周りに延在し得る。加えて、又は別の方法として、複数のプリーツが複数の円周方向に間隔を置いた隆起部及び複数の円周方向に間隔を置いた谷部を形成することができ、医療装置がシースを通過するにつれて、隆起部及び谷部が少なくとも部分的に水平になり、シース壁が半径方向に拡張することを可能にする態様が開示されている。
【0011】
近位端及び遠位端、内側表面及び外側表面を有し、一つ以上のポリマー層を含む内側ライナーであって、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、内側ライナーの第一の表面が、シースの内側表面を画定する、内側ライナーと、内側ライナーを半径方向外向きに囲む第一のポリマー層であって、内側ライナーの第二の表面で位置付けられるようにされ、かつ第一のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きに配置された編組層と、編組層を半径方向外向きに囲む第二のポリマー層であって、一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層と、一つ以上のポリマー層を含む外側ライナーであって、外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が第二のポリマー層の上にあり、その中でライナー層の第二の表面がシースの外側表面を画定する、外側ライナーと、を備え、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層及び外側ライナーが積層構造を形成し、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層及び外側ライナーが積層構造を形成し、医療装置がシースを通過するとき、医療装置の周りでの第一の拡張していない直径から第二の拡張した直径に局所的に拡張する一方で、シースの直径が、第一及び第二のポリマー層がシースの長さが実質的に一定の状態に留まるようにシースの軸方向の伸長に抵抗し、シースが、医療装置の通過後に、第三の直径に弾性的に戻る、医療装置を展開するための拡張可能なシースの態様もまた、開示されている。
【0012】
また、拡張可能なシースを作製する方法が本明細書に開示されており、方法は、内側ライナーを形成することであって、内側ライナーが一つ以上のポリマー層を含み、内側ライナーが第一の表面及び反対側の第二の表面を有する、内側ライナーを形成することと、第一のポリマー層を形成することであって、第一のポリマー層が内側ライナーの半径方向外向きに位置付けられ、第一のポリマー層が一つ以上の副層を含み、第一のポリマー層が内側ライナーの第二の表面の上にある、第一のポリマー層を形成することと、編組層を第一のポリマー層の半径方向外向きに位置付けることと、編組層の半径方向外向きに位置付けられるようにされ、かつ第二のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層を形成することと、第二のポリマー層の半径方向外向きに外側ライナーを形成することであって、外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が、第二のポリマー層の少なくとも一部分と接触する、外側ライナーを形成することと、内側ライナー、第一のポリマー層、編組層、第二のポリマー層、及び外側ライナーを加熱して積層構造を形成することと、積層構造を圧着して複数の長手方向に延在するプリーツを形成することであって、複数の長手方向に延在するプリーツが、シース積層構造を通った医療装置の通過に伴い拡張するように構成されている、圧着することと、を含む。
【0013】
いくつかの態様によれば、拡張可能なシースを作製する方法が開示されており、方法は、内側ライナーを形成することであって、内側ライナーが一つ以上のポリマー層を含み、内側ライナーが第一の表面及び反対側の第二の表面を有する、内側ライナーを形成することと、第一のポリマー層を形成することであって、第一のポリマー層が内側ライナーの半径方向外向きに位置付けられ、第一のポリマー層が一つ以上の副層を含み、第一のポリマー層が内側ライナーの第二の表面の上にある、第一のポリマー層を形成することと、編組層を第一のポリマー層の半径方向外向きに位置付けることと、編組層の半径方向外向きに位置付けられるようにされ、かつ第二のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層を形成することと、第二のポリマー層の半径方向外向きに外側ライナーを形成することであって、外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が、第二のポリマー層の少なくとも一部分と接触する、外側ライナーを形成することと、内側ライナー、第一のポリマー層、編組層、第二のポリマー層、及び外側ライナーを加熱して積層構造を形成することと、積層構造を圧着して複数の長手方向に延在するプリーツを形成することであって、複数の長手方向に延在するプリーツが、シースを通った医療装置の通過に伴い拡張するように構成されている、圧着することと、次に、外側ライナーの少なくとも一部分の半径方向外向きに第三のポリマー層を形成することであって、第三のポリマー層が一つ以上のポリマー層を含む、第三のポリマー層を形成することと、を含む。
【0014】
いくつかの態様では、人工装置を処置部位に送達する方法が開示され、方法は、拡張可能なシースを患者の脈管構造内に少なくとも部分的に挿入することであって、拡張可能なシースが、内側ライナー、内側ライナーの半径方向外向きの第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きの編組層と、編組層の半径方向外向きの第二のポリマー層と、外側ライナーと、を備え、シースが複数の長手方向に延在するプリーツを含む、挿入することと、シースの内側ライナーの第一の表面によって画定される内側管腔を通して医療装置を前進させることであって、医療装置が、シースの内側ライナーに外向きの半径方向の力を加える、前進させることと、シースを拡張されていない状態から局所的に拡張した状態に局所的に拡張することと、シースの局所的拡張中に、複数の長手方向に延在するプリーツを少なくとも部分的に広げることであって、複数の長手方向に延在するプリーツのそれぞれが、複数の半径方向に配置された層の少なくとも一部分を組み込む、広げることと、医療機器の通過後に、シースを局所的に拡張した状態から拡張していない状態に少なくとも部分的に折り畳むことと、を含む。
【0015】
いくつかの態様によれば、人工装置を処置部位に送達する方法が開示され、方法は、拡張可能なシースを患者の脈管構造内に少なくとも部分的に挿入することであって、拡張可能なシースが、内側ライナー、内側ライナーの半径方向外向きの第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きの編組層と、編組層の半径方向外向きの第二のポリマー層と、外側ライナーと、外側ライナーの少なくとも一部分の半径方向外向きに配置された第三のポリマー層と、を備え、シースが複数の長手方向に延在するプリーツを含む、挿入することと、シースの内側ライナーの第一の表面によって画定される内側管腔を通して医療装置を前進させることであって、医療装置が、シースの内側ライナーに外向きの半径方向の力を加える、前進させることと、シースを拡張していない状態から局所的に拡張した状態に局所的に拡張することと、シースの局所的拡張中に、複数の長手方向に延在するプリーツを少なくとも部分的に広げることであって、複数の長手方向に延在するプリーツのそれぞれが、複数の半径方向に配置された層の少なくとも一部分を組み込む、広げることと、医療機器の通過後に、シースを局所的に拡張した状態から拡張していない状態に少なくとも部分的に折り畳むことと、を含む。
【0016】
本開示の態様は、部分的には、以下の詳細な説明、図、及び特許請求の範囲に記載され、部分的には、詳細な説明から導出されるのであり又は本発明の実施によって学習され得る。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、単に例示的及び説明的であり、開示される本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
[001]
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一態様による、心臓血管人工装置用の送達システムを図示する。
【
図2】
図2は、一態様による、
図1の送達システムと組み合わせて使用することができる拡張可能なシースを図示する。
【
図3】
図3は、
図2の拡張可能なシースの一部分の拡大図である。
【
図4】
図4は、
図2の拡張可能なシースの一部分の側面横断面図である。
【
図5A】
図5Aは、例示目的で外側層を取り外した
図2の拡張可能なシースの一部分の拡大図である。
【
図6】
図6は、人工装置がシースを通って前進するときのシースの拡張を図示する、
図2の拡張可能なシースの一部分の拡大図である。
【
図7】
図7は、マンドレル上に配設された
図2のシースの構成層を図示する拡大された部分的な横断面図である。
【
図8】
図8は、拡張可能なシースの別の態様を図示する拡大図である。
【
図9】
図9は、一態様による、拡張可能なシースを形成するために使用できる装置の断面図である。
【
図10A】
図10Aは、編組層のフィラメントが、シースが半径方向に折り畳んだ状態にあるときに座屈するように構成されている、編組層の一部の態様を図示する。
【
図10B】
図10Bは、編組層のフィラメントが、シースが半径方向に折り畳んだ状態にあるときに座屈するように構成されている、編組層の一部の態様を図示する。
【
図10C】
図10Cは、編組層のフィラメントが、シースが半径方向に折り畳んだ状態にあるときに座屈するように構成されている、編組層の一部の態様を図示する。
【
図10D】
図10Dは、編組層のフィラメントが、シースが半径方向に折り畳んだ状態にあるときに座屈するように構成されている、編組層の一部の態様を図示する。
【
図11】
図11は、脈管ダイレータを有する拡張可能なシースのアセンブリの側面断面図を示す。
【
図13】
図13は、拡張可能なシース及び脈管ダイレータを含む一部のアセンブリ態様の側面図を示す。
【
図14】
図14は、脈管ダイレータが拡張可能なシースから部分的に押し出された、
図13のアセンブリ態様の側面図を示す。
【
図15】
図15は、脈管ダイレータが拡張可能なシースから完全に押し出された、
図13のアセンブリ態様の側面図を示す。
【
図16】
図16は、脈管ダイレータが拡張可能なシース内に後退している、
図13のアセンブリ態様の側面図を示す。
【
図17】
図17は、脈管ダイレータが拡張可能なシース内にさらに後退している、
図13のアセンブリ態様の側面図を示す。
【
図18】
図18は、脈管ダイレータが拡張可能なシース内に完全に後退している、
図13のアセンブリ態様の側面図を示す。
【
図19】
図19は、拡張可能なシース及び脈管ダイレータを含む例示的なアセンブリ態様の側面断面図を示す。
【
図20】
図20は、本明細書に記載の拡張可能なシースと組み合わせて使用することができる脈管ダイレータの態様を図示する。
【
図21】本明細書に記載の拡張可能なシースと組み合わせて使用することができる脈管ダイレータの態様を示す。
【
図22】
図22は、外側カバー及び突出部分を有する拡張可能なシースの態様の横断面を切り取った側面図を示す。
【
図23】
図23は、長手方向の開裂線を有する外側カバーの例示的な態様を示す。
【
図24】
図24は、拡張可能なシースの編組層の態様の端部分を示す。
【
図25A】
図25Aは、拡張可能なシースを圧着するためのローラベースの圧着機構の態様の透視図を図示する。
【
図26】
図26は、細長い拡張可能なシースを圧着するための装置の態様を示す。装置の丸で囲まれた部分は、図面の左側における挿入図で拡大されている。
【
図27】
図27は、開裂線を備えた内側層を有する拡張可能なシースの態様を示す。
【
図28】
図28は、拡張可能なシースの編組層の例示的な態様を示す。
【
図29】
図29は、例示的な拡張可能なシースの態様の透視図を示す。
【
図30】
図30は、外側熱収縮チューブ層を内側シース層から部分的に引き剥がした、
図29の態様の透視図を示す。
【
図31】
図31は、シースを通した送達システムの移動前のシースの態様の側面図を示す。
【
図32】
図32は、送達システムが熱収縮チューブ層を通過し、それを裂いた時のシースの態様の側面図を示す。
【
図33】
図33は、送達システムが熱収縮チューブ層を完全に通過し、熱収縮チューブ層がシースの長さに沿って完全に裂けた時のシースの態様の側面図を示す。
【
図34】
図34は、イントロデューサの周りで折り畳まれた遠位端部分を有するシースの態様の透視図を示す。
【
図35】
図35は、イントロデューサの周りで折り畳まれた遠位端部分の拡大された断面図を示す。
【
図36】
図36は、例示的な拡張可能なシースの態様の断面図を示す。
【
図39】
図39は、例示的な拡張可能なシースの態様の側面図を示す。
【
図41】
図41は、例示的な拡張可能なシースの態様の横断面を示す。
【
図42】
図42は、例示的な拡張可能なシースの態様の部分的な長手方向の断面を示す。
【
図43】
図43は、拡張した状態における例示的な拡張可能なシースの態様の横断面を示す。
【
図45】
図45は、拡張した状態における、
図43のシースと同様のシースの態様の透視図を示す。
【
図46】
図46は、折り畳まれて圧縮された状態における、
図43のシースと同様のシースの態様の透視図を示す。
【
図49】
図49は、一態様において複数の長手方向に延在するプリーツを持つシース壁の簡略化された断面を示す。
【
図51】
図51は、一態様において複数の長手方向に延在するプリーツを持つシース壁の遠位部分の簡略化された断面を示す。
【
図52】
図52は、一態様において複数の長手方向に延在するプリーツを持つシース壁の遠位部分の簡略化された断面を示す。
【
図53】
図53は、拡張可能なシースの例示的な製作工程を示すフローチャートを示す。
【
図54】
図54は、一態様における、シースの近位部分における拡張可能なシースの態様の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、以下の詳細な説明、実施例、図面、及び特許請求の範囲、並びにそれらの前述及び以下の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本物品、システム、及び/又は方法が開示及び記載される前に、本開示は、別段の指定がない限り、開示される物品、システム、及び/又は方法の具体的又は例示的態様に限定されず、したがって、当然ながら変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを記載する目的のためのものであり、限定的であることを意図していないことも理解されたい。
【0019】
本開示の以下の説明は、その最良の現在知られている態様における本開示の実現可能な教示として提供される。この目的のために、関連分野の当業者は、依然として本開示の有益な結果を取得しながら、多くの変更が本明細書に記載される本開示の様々な態様に行われ得ることを認識及び理解するであろう。また、他の特徴を利用することなく、本開示の特徴のうちのいくつかを選択することによって、本開示の所望の利益のうちのいくつかが取得され得ることも明らかであろう。したがって、関連分野の当業者は、本開示に対する多くの修正及び適合が可能であり、特定の状況では望ましくさえもあり得、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、本開示の原理の限定ではなく、その例示として再び提供される。
【0020】
本開示は、イントロデューサシースに関する。かかるイントロデューサシースは、半径方向に拡張可能であり得る。しかしながら、現在知られているシースは、シースの元の直径よりも大きな直径のデバイスが導入されると、拡張された構成でシースを維持する、ラチェット機構などの複雑な機構を有する傾向がある。既存の拡張可能なシースはまた、人工装置をシースに通す際にかかる長手方向の力の印加の結果として、軸方向の伸長が生じやすい場合がある。かかる伸長は、シースの直径の対応する減少を引き起こし、狭くなったシースを通して人工装置を挿入するのに必要な力が増加してしまう。
【0021】
したがって、当技術分野では、弁及び他の人工装置を移植するために使用される血管内システムのための改良されたイントロデューサシースの必要性が依然として存在する。
【0022】
[003] 定義
本出願及び特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形を含む。したがって、例えば、文脈が別途明確に示さない限り、「ポリマー」への言及は、二つ以上のそのようなポリマーを有する態様を含む。
【0023】
明確にするために、別個の態様の文脈で記載される、本開示の特定の特徴は、単一の態様では組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の態様の文脈で記載される、本開示の様々な特徴も、別個に、又は任意の好適な組み合わせで提供され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、後に記載される事象又は状況が生じる場合とそうではない場合があり、説明が、当該事象又は状況が生じる事例及び生じない事例を含むことを意味する。
【0025】
また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを記載する目的のためのものであり、限定的であることを意図していないことも理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は、「からなる」及び「本質的に~からなる」態様を含むことができる。加えて、「含む(includes)」という用語は、「備える(comprises)」を意味する。
【0026】
「例えば」及び「など」という用語、並びにそれらの文法的等価物については、明示的に別段記述されない限り、「限定されるものではないが」という語句が後に続くと理解される。
【0027】
組成物又は物品中の特定の要素又は構成要素の重量による部分への本明細書及び結論付ける請求項における言及は、重量による部分が表される、要素又は構成要素と組成物又は物品中の任意の他の要素又は構成要素との間の重量関係を示す。したがって、構成要素Xの重量による2つの部分と、構成要素Yの重量による5つの部分とを含む、組成物又は組成物の選択された部分では、X及びYは、2:5の重量比で存在し、付加的構成要素が組成物中に含まれるかどうかにかかわらず、そのような比で存在する。
【0028】
本開示の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値で見出される標準偏差から必然的に生じる、特定の誤差を本質的に含む。さらに、変動する範囲の数値範囲が本明細書に記載されるとき、列挙された値を含むこれらの値の任意の組み合わせが使用され得ることが企図される。さらに、範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表され得る。そのような範囲が表されるとき、一部の態様は、一方の特定の値から、及び/又は他方の特定の値までを含む。
【0029】
同様に、値が近似値として表されるとき、「約」という先行詞の使用によって、特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。範囲の各々の終点は、他方の終点に関連して、及び他方の終点から独立して、両方で有意であることがさらに理解されるであろう。別段記述されない限り、「約」という用語は、「約」という用語によって修飾された特定の値の5%以内(例えば、2%又は1%以内)を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列記された事項のうちの一つ以上のあらゆる組み合わせを含む。「及び/又は」という用語は、関連する列挙された品目のうちの一つが存在する、関連する列挙された品目の両方が存在する態様、又は関連する列挙された品目の任意の組み合わせを含むことも理解される。
【0031】
本開示の全体を通して、本開示の様々な態様を、範囲形式で提示することができる。範囲形式の説明は、便宜性及び簡潔性のためにすぎず、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の全ての可能な部分範囲並びに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6、並びにそれらの間の任意の全体的及び部分的増分を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、後に記載される事象若しくは状況が完全に生じるか、又は後に記載される事象若しくは状況が、概して、典型的には、若しくは近似的に生じることを意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、組成物又は化合物に関連して使用されるときの「実質的に」という用語は、組成物の総重量に基づいて、指定された特徴又は構成要素の少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約91重量%、少なくとも約92重量%、少なくとも約93重量%、少なくとも約94重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、例えば、「実質的に含まない」という文脈における「実質的に」という用語は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%未満、例えば、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、又は約0.01重量%未満の記述された材料を有する組成物を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「実質的に同一の参照組成物」又は「実質的に同一の参照物品」という用語は、本発明の構成要素の非存在下で実質的に同一の構成要素を含む参照組成物又は物品を指す。別の例示的な態様では、例えば「実質的に同一の参照組成物」という文脈における、「実質的に」という用語は、実質的に同一の構成要素を含み、発明の構成要素が当技術分野で一般的な構成要素で置換された、参照組成物を指す。
【0036】
さらに、「結合される」及び「関連付けられる」という用語は、概して、電気的、電磁的、及び/又は物理的に(例えば、機械的若しくは化学的に)結合又は連結されることを意味し、結合された又は関連付けられた事項間の中間要素の存在を除外しない。
【0037】
しかし、「第一の」、「第二の」などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために本明細書で使用され得ることが理解されるであろう。これらの要素、構成要素、領域、層、セクション及び/又は工程は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを、別の要素、構成要素、領域、層、セクション、又は工程と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で論じられる第一の要素、構成要素、領域、層、セクション、又は工程は、例示的態様の教示から逸脱することなく、第二の要素、構成要素、領域、層、セクション、又は工程と称され得る。
【0038】
「層」及び「ライナー」という用語は、同義的に使用されることが理解される。例えば、「内側ライナー」を説明する態様はまた、内側層を説明する態様を含む。同様に、「外側層」を説明する態様はまた、「外側ライナー」を説明する態様を含む。
【0039】
「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」、及び同等物などの空間的に相対的な用語は、図に図示される一つの要素又は特徴の別の要素又は特徴に対する関係を記載する説明を容易にするために、本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描写される配向に加えて、使用又は動作時のデバイスの異なる配向を包含することを意図していることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転される場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」として記載される要素は、他の要素又は特徴の「上方」に配向されるであろう。したがって、「下方」という用語は、上方及び下方の配向の両方を包含することができる。本デバイスは、(90度回転されて、又は他の配向で)別様に配向されてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「非外傷性」という用語は、当技術分野で一般的に知られており、組織損傷を最小限にした機器又は手技を指す。
【0041】
本明細書に開示される態様の一部は、複数の長手方向に延在するしわを含む。これらの態様に関連して使用される「しわ」、「折り目」、及び「プリーツ」という用語は互換的に使用することができることが理解される。プリーツ又はしわは、特定のパターンで配置することも、シースの長さに沿ってランダムに形成することもできることが理解される。例えば、シースの長さに沿って形成されたプリーツは、さまざまなポリマー層が編組(又は編組層。編組層及び編組層は互換的に使用できることが理解される)を封入し、弁の拡張プロセス中に平坦化できるしわを形成する製造工程の結果として形成される。いくつかの態様では、プリーツは配列されたパターンを有し得る。例えば、プリーツはシースの先端に配列されたパターンを有し得るが、これらに限定されない。いくつかの実装形態では、プリーツは断面の弧長において平らな領域を有し得る。こうした態様では、形成されたプリーツのそれぞれは、2つのプリーツ、又は3つのプリーツ、又は4つのプリーツ、又は5つのプリーツなどがあるかどうかにかかわらず、実質的に同一の領域を有し得る。いくつかの実装形態では、プリーツは、望ましい用途のための所定の設計を有し得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「折り畳んだ」という用語は、シースの自然な拡張していない状態を指すことが理解される。
【0043】
開示される方法の例示的態様の動作は、便宜的な提示のために、特定の逐次的な順序で記載され得るが、開示される態様は、開示される特定の逐次的な順序以外の動作順序を包含し得ることを理解すべきである。例えば、逐次的に記載される動作は、場合によっては、再配列されるか、又は同時に実施され得る。さらに、1つの特定の態様に関連して提供される説明及び開示は、その態様に限定されず、開示される任意の態様に適用され得る。
【0044】
本開示の態様は、システム法定分野などの特定の法定分野で記載及び請求され得るが、これは便宜上にすぎず、当業者は、本開示の各態様が任意の法定分野で記載及び請求され得ることを理解するであろう。明示的に別段記述されない限り、本明細書に記載される任意の方法又は態様が、そのステップが具体的な順序で実施されることを要求するものとして解釈されることは、決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、請求項又は説明において、ステップが具体的な順序に限定されるものであることを具体的に記述しない場合、順番が任意の点に関して推測されることは決して意図されていない。これは、ステップの配列若しくは動作フロー、文法構成若しくは句読点に由来する明白な意味、又は本明細書に記載される態様の数若しくはタイプに関する論理の問題を含む、解釈のための任意の可能な非明示的な根拠のために有効である。
【0045】
さらに、簡単にするために、添付図は、開示されるシステム、方法、及び装置を、他のシステム、方法、及び装置と組み合わせて使用することができる、様々な方法(本開示に基づいて、当業者によって容易に認識できる)を示さない場合がある。加えて、本説明は、時として、開示される方法を説明するために、「生産する」及び「提供する」などの用語を使用する。これらの用語は、実施され得る実際の動作の高レベル抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装に応じて変化し得、本開示に基づいて、当業者によって容易に認識できる。
【0046】
本開示は、本開示の様々な態様の以下の詳細な説明、並びにその中に含まれる実施例、並びに図及びそれらの以前及び以降の説明を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0047】
本開示は、本開示の様々な態様の以下の詳細な説明、並びにその中に含まれる実施例、並びに図及びそれらの以前及び以降の説明を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0048】
本明細書に記載される拡張可能なイントロデューサシースは、患者の脈管構造を通して、体内の処置部位に人工装置を送達するために使用することができる。シースは、シースの軸方向の伸長を制限し、それによって内腔の望ましくない狭小化を制限しながら、半径方向に高度に拡張可能であり、かつ折り畳むことが可能であるように構築することができる。一態様では、拡張可能なシースは、編組層、一つ以上の比較的薄い非弾性ポリマー層、及び弾性層を含む。シースは、人工装置がシースを通って前進するときに、その本来の直径から拡張した直径まで弾性的に拡張することができ、弾性層の影響下で人工装置の通過時にその本来の直径に戻ることができる。特定の態様では、一つ以上のポリマー層は、編組層と係合することができ、編組層の軸方向の伸長を防ぎながら編組層の半径方向の拡張を許容するように構成することができ、別様でシースの伸長及び狭小化がもたらされ得る。
【0049】
図1は、患者に人工心臓弁又は他の人工インプラントなどの医療装置を送達するための代表的な送達装置10を図示する。送達装置10は例示のみであり、本明細書に記載される拡張可能なシースの態様のいずれかと組み合わせて使用することができる。同様に、本明細書に開示されるシースは、様々な既知の送達装置のいずれかと組み合わせて使用することができる。図示した送達装置10は、概して、操縦可能なガイドカテーテル14、及びガイドカテーテル14を通って延在するバルーンカテーテル16を含み得る。人工心臓弁12などの人工装置は、バルーンカテーテル16の遠位端上に位置決めすることができる。ガイドカテーテル14及びバルーンカテーテル16は、患者の体内の埋め込み部位において人工心臓弁12の送達及び位置決めを容易にするために、互いに対して長手方向にスライドするように適合され得る。ガイドカテーテル14は、ハンドル部分18、及びハンドル部分18から延在する細長いガイドチューブ又はシャフト20を含む。
【0050】
人工心臓弁12は、半径方向に圧縮した構成で患者の体内に送達され、所望の展開部位において半径方向に拡張した構成に半径方向に拡張することができる。図示される態様では、人工心臓弁12は、バルーンカテーテル16(
図1に示される)のバルーン上で半径方向に圧縮した構成で患者の体内に送達され、その後、バルーンを膨張させることによって(又は送達装置の別のタイプの拡張デバイスを作動させることによって)展開部位において半径方向に拡張した構成に半径方向に拡張される、可塑的に拡張可能な人工弁である。本明細書に開示されたデバイスを使用して埋め込むことができる可塑的に拡張可能な心臓弁に関する一部の詳細は、米国特許公開第2012/0123529号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、人工心臓弁12は、送達装置のシース又は他の構成要素によって半径方向に圧縮した構成に拘束され、シース又は送達装置の他の構成要素によって解放されると、半径方向に拡張した構成に自己拡張する、自己拡張可能な心臓弁であり得る。本明細書に開示されたデバイスを使用して埋め込むことができる自己拡張可能な心臓弁に関する一部の詳細は、米国特許公開第2012/0239142号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、人工心臓弁12は、ヒンジ又はピボットジョイントによって接続された複数のストラットを含み、人工弁に拡張力を適用する拡張機構を作動させることによって、半径方向に圧縮した構成から半径方向に拡張した構成に拡張可能である、機械的に拡張可能な心臓弁であり得る。
【0051】
本明細書に開示されたデバイスを使用して埋め込むことができる機械的に拡張可能な心臓弁に関する一部の詳細は、米国特許公開第2018/0153689号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、人工弁は、上述の技術のうちの二つ以上を組み込むことができる。例えば、自己拡張可能な心臓弁は、人工心臓弁の拡張を補助する拡張デバイスと組み合わせて使用することができる。
【0052】
図2は、一態様による、送達装置10及び人工装置12を患者の体内に導入するために使用できるアセンブリ90(イントロデューサデバイス又はアセンブリと称され得る)を図示している。イントロデューサデバイス90は、デバイスの近位端におけるハウジング92、及びハウジング92から遠位に延在する拡張可能なシース100を備え得る。ハウジング92は、デバイスのハンドルとして機能することができる。拡張可能なシース100は、人工心臓弁の送達装置の通過をガイドするための中央管腔112(
図4)を有する。一般的に、使用中に、シース100の遠位端が患者の皮膚を通過し、大腿動脈などの脈管に挿入される。次いで、そのインプラント12を備える送達装置10がハウジング92及びシース100を通して挿入され、患者の脈管構造を通して、インプラントが送達され、患者内に埋め込まれる治療部位まで前進させることができる。特定の態様では、イントロデューサハウジング92は、加圧された血液の漏出を防ぐために、ハウジングを通して挿入されると、ガイドカテーテル14の外側表面の周りにシールを形成する止血弁を含むことができる。
【0053】
代替的な態様では、イントロデューサデバイス90は、ハウジング92を含む必要はない。例えば、シース100は、ガイドカテーテルなど、送達装置10の構成要素の一体部分であり得る。例えば、シースは、ガイドカテーテルのハンドル18から延在し得る。イントロデューサデバイス及び拡張可能なシースの一部の実施例は、米国特許出願第16/378,417号、及び米国仮特許出願第62/912,569号に見出すことができ、これらは参照によりその全体が組み込まれる。
【0054】
図3は、拡張可能なシース100をより詳細に図示している。
図3を参照すると、シース100は、本来の拡張されていない外径D
1を有することができる。特定の態様では、拡張可能なシース100は、シースの長さL(
図2)の少なくとも一部分に沿って延在する複数の同軸層を備えることができる。例えば、
図4を参照すると、拡張可能なシース100は、第一の層102(内側層又は内側ライナーとも称される)、第一の層102の周囲及び半径方向外向きに配設される第二の層104、第二の層104の周囲及び半径方向外向きに配設される第三の層106、並びに第三の層106の周囲及び半径方向外向きに配設される第四の層108(外側層又は外側ライナーとも称される)を含むことができる。示した構成では、内側層(ライナー)102は、中心軸114に沿って延在するシースの内腔112を画定することができる。
【0055】
図3を参照すると、シース100が拡張していない状態にあるとき、内側層102及び/又は外側層108(ライナー)は、シースの表面が複数の隆起126(本明細書では「折り目」又は「プリーツ」とも称される)を備えるように、長手方向に延在する折り目又はプリーツ又はしわを形成することができる。隆起部126は、長手方向に延在する谷部128によって互いに円周方向に離れて間隔をあけることができる。シースがその本来の(初期の)直径D
1を越えて拡張すると、以下に説明するように、表面が半径方向に拡張し、円周が増加するにつれて、隆起部126及び谷部128は水平になるか、又は取り込まれ得る。シースが折り畳まれてその本来の直径に戻る(言い換えれば、拡張していない状態に戻る)と、隆起部126及び谷部128は再形成することができる。
【0056】
特定の態様では、内側層(ライナー)102及び/又は外側層(ライナー)108は、ポリマー材料の比較的薄い層を含み得る。例えば、いくつかの態様では、内側層102の厚さは、0.01mm~0.5mm、0.02mm~0.4mm、又は0.03mm~0.25mmであり得る。特定の態様では、外側層108の厚さは、0.01mm~0.5mm、0.02mm~0.4mm、又は0.03mm~0.25mmであり得る。さらにいくつかの態様では、内側ライナー102及び外側ライナー108は、少なくとも1つのポリマー層を含むことができる。いくつかの態様では、内側ライナー及び外側ライナーはそれぞれ、二つ以上のポリマー材料の層を含むことができる。
【0057】
特定の例では、内側層102及び/又は外側層108は、潤滑性、低摩擦、及び/又は比較的非弾性の材料を含み得る。特定の態様では、内側層102及び/又は外側層108は、400MPa以上の弾性係数を有するポリマー材料を含み得る。 例示的な材料には、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)(例えば、Dyneema(登録商標))、高分子量ポリエチレン(HMWPE)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれ得る。特に内側層102に関して、かかる低摩擦係数の材料は、内腔112を通る人工装置の通過を容易にすることができる。内側層及び外側層に好適ないくつかの材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ナイロン、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)など)、ポリエーテルブロックアミド(例えば、Pebax)、二方向性ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、及び/又は上記のいずれかの組み合わせを挙げることができる。シース100のいくつかの態様は、内側層102の内側表面上に追加の潤滑性ライナーを含むことができる。好適な潤滑性ライナーの例には、PTFE、ポリエチレン(例えば、HMWPE、UHMWPE、LDPE、HDPEなど)、ポリフッ化ビニリデン、及びそれらの組み合わせなど、内側層102の摩擦係数をさらに低下させることができる材料が含まれる。潤滑性ライナーに好適な材料には、望ましくは0.1以下の摩擦係数を有するいくつかの材料も含まれる。
【0058】
加えて、シース100の一部の態様は、外側層(ライナー)108の外側表面上に外部親水性コーティングを含むことができる。かかる親水性コーティングは、患者の脈管へのシース100の挿入を容易にし、潜在的な損傷を低減することができる。好適な親水性コーティングの例には、ミネソタ州エデンプレーリーのSurModics,Inc.から入手可能なHarmony(商標)高度な潤滑性コーティング及び他の高度な親水性コーティングが含まれる。DSM医療コーティング(Koninklijke DSM N.V、ヘールレン、オランダから入手可能)、並びに他の親水性コーティング(例えば、PTFE、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン)も、シース100との使用に好適である。かかる親水性コーティングはまた、内側層102の内側表面上に含まれ、シースと送達システムとの間の摩擦を低減し、それによって使用を容易にし、安全性を改善することができる。いくつかの態様では、ペリレンなどの疎水性コーティングは、摩擦を低減するために、外側層108の外側表面又は内側層102の内側表面上に使用され得る。
【0059】
特定の態様では、第二の層104は、編組されてもよい。
図5A及び
図5Bは、外側層108が取り外されて弾性層106が露出されたシース100を図示する。
図5A及び
図5Bを参照すると、編組層104は、一緒に編組された複数の部材又はフィラメント110(例えば、金属又は合成ワイヤ又は繊維)を備えることができる。編組層104は、任意の所望の数のフィラメント110を有することができ、任意の好適な数の軸に沿って一緒に配向及び編組することができる。例えば、
図5Bを参照すると、フィラメント110は、第一の軸Aと平行に配向されたフィラメント110Aの第一のセット、及び第二の軸Bと平行に配向されたフィラメント110Bの第二のセットを含むことができる。フィラメント110A及び110Bは、軸Aに沿って配向されたフィラメント110Aが軸Bに沿って配向されたフィラメント110Bと角度θを形成するように、二軸編組で一緒に編組することができる。特定の態様では、角度θは、5°~70°、10°~60°、10°~50°、又は10°~45°であり得る。図示した態様では、角度θは45°であるが、これは例示のみを目的としており、限定するものではないことが理解される。いくつかの実装形態では、フィラメント110はまた、3つの軸に沿って配向されて三軸編組に編組されるか、又は任意の数の軸に沿って配向されて任意の好適な編組パターンに編組され得る。
【0060】
編組層104は、シース100の実質的に全長Lに沿って延在することができるか、若しくはシースの長さの一部分に沿ってのみ延在することができる。特定の態様では、フィラメント110は、金属(例えば、ニチノール、ステンレス鋼など)、又はさまざまなポリマー若しくはポリマー複合材料、例えば、炭素繊維のいずれかから作製されたワイヤであり得る。特定の態様では、フィラメント110は、円形であり得、0.01mm~0.5mm、0.03mm~0.4mm、又は0.05mm~0.25mmの直径を有することができる。いくつかの実装形態では、フィラメント110は、0.01mm×0.01mm~0.5mm×0.5mm、又は0.05mm×0.05mm~0.25mm×0.25mmの寸法の平坦な断面を有することができる。一態様では、平坦な断面を有するフィラメント110は、0.1mm×0.2mmの寸法を有することができる。しかしながら、他の幾何学形状及びサイズもまた、特定の態様に好適である。編組ワイヤが使用される場合、編組密度を変化させることができる。いくつかの態様は、インチ当たり10ピック~インチ当たり80ピックの編組密度を有し、様々な編組パターンで8本のワイヤ、16本のワイヤ、又は最大52本のワイヤを含むことができる。いくつかの実装形態では、第二の層104は、管からレーザー切断されるか、又はシート素材からレーザー切断、型押し、打ち抜きなどされ、管状構成に圧延され得る。層104はまた、所望に応じて、織り又は編むことができる。いくつかの態様では、編組層は、例えば、1×1(1つ上、1つ下)、2×2(2つ上、2つ下)、又は2×1(2つ上、1つ下)の織りパターンを有し得る。
【0061】
編組層104は、シースの所望の拡張のために提供され得る、当技術分野で公知の任意の材料を含み得る。例えば、編組層104は、超弾性特性を呈することができるニチノール又は何らかの他の形状記憶金属若しくは材料を含むことができるが、これらに限定されない。こうした態様では、これらの材料は、特定の温度でオーステナイト仕上げ(AF)を可能にする利点を有することができる。例えば、摂氏15度以下のAFを有するニチノール編組層は、超弾性特性を依然として示しながらも比較的冷たい手術室での使用を可能にする。いくつかの実装形態では、編組層を形成するために使用される材料は、摂氏約15度以上の温度で超弾性特性を示し得る。
【0062】
第三の層106は、弾力性のある弾性層(弾性材料層とも称される)であり得る。特定の態様では、弾性層106は、送達装置がシースを通過することによって、シースがその本来の直径を越えて拡張するときに、下地層102及び104に半径方向に(例えば、シースの中心軸114に向かって)力を適用するように構成することができる。言い換えれば、弾性層106は、弾性層106の下のシースの層に包囲圧力を適用して、シースの拡張に対抗するように構成することができる。半径方向に内向きに向けられた力は、送達装置がシースを通過した後、シースが半径方向に折り畳まれ、その拡張していない状態に戻すことを生じさせるのに十分である。しかしながら、層106は任意選択であり得ることが理解される。また、本明細書では、この第三の弾性層が存在せず、本明細書で説明する他の全ての層が存在する態様も説明する。当然のことながら、本記載は、層の様々な全ての組み合わせを含み、別様で記載がない限り、本明細書に記述された層(ライナー)の一部が存在する可能性がある一方、その他が存在しない可能性がある。いくつかの実装形態では、以下に示すように、追加の層も存在し得る。
【0063】
図示される態様では、弾性層106は、編組層104の周りにらせん状に巻き付けられたストランド、リボン、又はバンド116として構成された1つ以上の部材を備えることができる。例えば、図示される態様では、弾性層106は、編組層の周りに反対のらせんで巻き付けられた2つの弾性バンド116A及び116Bを備えるが、弾性層は、所望の特性に応じて任意の数のバンドを備え得る。弾性バンド116A及び116Bは、例えば、ポリウレタンシロキサンコポリマー、ウレタン、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィンエラストマーなどのシリコーンゴム、天然ゴム、様々な熱可塑性エラストマーのいずれか、ポリウレタンを含む、様々な天然又は合成エラストマーのいずれかから作製することができる。いくつかの態様では、弾性層は、200MPa以下の弾性係数を有するエラストマー材料を含むことができる。いくつかの態様では、弾性層106は、200%以上の破断伸び、又は400%以上の破断伸びを呈する材料を含むことができる。弾性層106はまた、エラストマー材料を含む管状層、メッシュ、熱収縮チューブ層などの収縮性ポリマー層など、他の形態も取り得る。弾性層106の代わりに、又はそれに加えて、シース100はまた、外側層108の周りにエラストマー又は熱収縮チューブ層も含み得る。かかるエラストマー層の実施例は、米国特許公開第2014/0379067号、米国特許公開第2016/0296730号、及び米国特許公開第2018/0008407号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、弾性層106はまた、ポリマー層108の半径方向外向きであり得る。
【0064】
特定の態様では、内側層102及び/若しくは外側層108の一方又は両方は、シースが拡張するときにシース100の軸方向の伸長に抵抗するように構成され得る。より詳細には、内側層102及び/若しくは外側層108の一方又は両方は、シースが拡張及び縮まるときに長さLが実質的に一定の状態に留まるように、人工装置とシースの内側表面上との間の摩擦によって引き起こされる長手方向の力に対する伸張に抵抗することができる。シースの長さLに関して本明細書で使用される場合、「実質的に一定」という用語は、シースの長さLが1%以下、5%以下、10%以下、15%以下、又は20%以下で増加することを意味する。一方、
図5Bを参照すると、編組層のフィラメント110A及び110Bは、シースが拡張及び縮小するときに角度θが変化するように、互いに対して角度的に移動することを許容し得る。これは、層102及び108の長手方向の折り目126と組み合わせて、シースの内腔112が、人工装置が内腔を通って前進するときに拡張することを可能にし得る。
【0065】
例えば、いくつかの態様では、内側層102及び外側層108は、編組層104及び弾性層106が層102と108との間に封入されるように、製造プロセス中に熱接合され得る。より詳細には、特定の態様では、内側層102及び外側層108は、編組層104のフィラメント110間の空間及び/又は弾性バンド116間の空間を通して互いに接着させることができる。層102及び108はまた、シースの近位端及び/若しくは遠位端で一緒に接合又は接着させることもできる。特定の態様では、層102及び108は、フィラメント110に接着されていない。これにより、フィラメント110は、互いに対して、かつ層102及び108に対して角度的に移動することが許容可能となり得、編組層104の直径、かつそれによってシースの直径を増加又は減少させることが許容される。フィラメント110Aと110Bとの間の角度θが変化すると、編組層104の長さも変化し得る。例えば、角度θが増加するときに、編組層104は、縮小することができ、角度θが低減するときに、編組層104は、層102及び108が接合される領域によって許容される程度まで長くなることができる。しかしながら、編組層104は層102及び108に接着されていないため、フィラメント110Aと110Bとの間の角度θの変化に伴う編組層の長さの変化は、シースの長さLに有意な変化をもたらさない。
【0066】
図6は、人工装置12が矢印132の方向(例えば、遠位方向)にシースを通過するときのシース100の局所的な半径方向の拡張を図示する。人工装置12がシース100を通って前進するときに、シースは、人工装置のサイズ又は直径に対応する第二の直径D
2まで弾性的に局所的に拡張することができる。人工装置12がシース100を通って前進するときに、人工装置は、人工装置とシースの内側表面との間の摩擦接触によって、運動方向にシースに長手方向の力を適用することができる。しかしながら、上述のように、内側層(ライナー)102及び/又は外側層(ライナー)108は、シースの長さLが一定、又は実質的に一定の状態に留まるように、軸方向の伸長に抵抗することができる。これにより、編組層104が長くなり、それによって内腔112が圧縮するのを低減又は防止することができる。
【0067】
一方、フィラメント110Aと110Bとの間の角度θは、人工弁を収容するためにシースが第二の直径D2まで拡張するときに増大し得る。これにより、編組層104が縮むことがもたらされ得る。しかしながら、フィラメント110が層102又は108と係合又は接着されないため、角度θの増加に伴う編組層104の短縮は、シースの全長Lに影響を与えない。さらに、層102及び108に形成される長手方向に延在する折り目126のため、層102及び108は、比較的薄く、比較的非弾性であるにもかかわらず、破断することなく第二の直径D2まで拡張することができる。このようにして、シース100は、人工装置がシースを通って前進するときに、長くなったり短くなったりすることもなく、その本来の直径D1から直径D1よりも大きい第二の直径D2まで弾性的に拡張することができる。したがって、人工インプラントをシースを通して押し込むのに必要な力は著しく減少する。
【0068】
一部の実施例では、弾性層106によって適用される半径方向の力のため、シース100の半径方向の拡張は、人工装置によって占有されるシースの特定の部分に局在化され得る。例えば、
図6を参照すると、人工装置12がシース100を通って遠位に移動するときに、人工装置12のすぐ近位にあるシースの部分は、弾性層106の影響下で、半径方向に折り畳んで初期直径D
1に戻ることができる。層102及び108は、シースの円周が低減する際に座屈することもでき、隆起部126及び谷部128の再形成をもたらす。これにより、所与のサイズの人工装置を導入するために必要なシースのサイズを低減することができる。一部の実施例では、拡張の一時的で局所的な性質は、人工装置により占有されるシースの一部分のみがシースの本来の直径を越えて拡張し、デバイスが通過するとシースが折り畳んで初期直径に戻るため、シースが挿入される血管と周囲の組織への外傷を低減することができる。これにより、人工装置を導入するために伸張される必要がある組織の量、及び脈管の所与の部分を広げなければならない時間量が制限される。
【0069】
上記の利点に加えて、本明細書に記載の拡張可能なシースの態様は、既知のイントロデューサシースと比較して驚くほど優れた性能を提供することができる。例えば、本明細書に記載されるように構成されたシースを使用して、シースの本来の外径の2倍、2.5倍、又はさらには3倍大きい直径を有する人工装置を送達することが可能である。例えば、一態様では、7.2mmの直径を有する圧着人工心臓弁は、上述されるように構成され、3.7mmの本来の外径を有するシースを通して問題なく前進される。人工弁がシースを通って前進すると、人工弁によって占有されるシースの部分の外径は8mmに増加した。言い換えれば、それはシースを通してシースの外径の2倍を超える直径を有する人工装置を前進させることが可能であり、その間にシースの外径は216%弾性的に増加される。一部の実施例では、4.5mm~5mmの初期又は本来の外径を有するシースは、8mm~9mmの外径まで拡張するように構成され得る。
【0070】
代替的な態様では、シース100は、所望の特定の特徴に応じて、層108のない層102、又は層102のない層108を任意に含み得る。
【0071】
図10A~
図10Dは、フィラメント110が座屈するように構成された編組層104の一部の態様を図示する。例えば、
図10Aは、完全に拡張した状態の編組層に対応する構成の編組層104の単位セル134を図示する。例えば、
図10Aに示される拡張した状態は、
図7を参照して以下でさらに記載するように、上述の直径D
2、及び/又はシースがその機能設計直径D
1に半径方向に折り畳む前のシース100の初期構築中の編組層の直径に対応し得る。フィラメント110Aと110Bとの間の角度θは、例えば、40°とすることができ、単位セル134は、x方向に沿って長さL
xを有することができる(デカルト座標軸が示されていることに留意されたい)。
図10Bは、拡張した状態での単位セル134のアレイを含む編組層104の一部分を図示する。
【0072】
図示される例では、編組層104は、上述のようにポリマー層102と108との間に配設される。例えば、ポリマー層102及び108は、シース100の端部において、及び/又は単位セル134によって画定されるオープンスペース136内のフィラメント110間で、互いに接着又は積層され得る。したがって、
図10C及び
図10Dを参照すると、シース100がその機能直径D
1まで半径方向に折り畳むと、角度θが減少するにつれて、編組層104の直径は減少し得る。しかしながら、接合されたポリマー層102及び108は、編組層104が半径方向に折り畳むにつれて、長くなることを抑制又は防止することができる。これにより、フィラメント110は、
図10C及び
図10Dに示されるように、軸方向に弾性的に座屈することができる。座屈の程度は、単位セル134の長さL
xが、シースの折り畳まれた直径と完全に拡張した直径との間で同じであるか、又は実質的に同じであるようにすることができる。これは、編組層104の全長が、シースの本来の直径D
1と拡張した直径D
2との間で一定のままであるか、又は実質的に一定のままであることを意味する。医療装置の通過中にシースがその初期直径D
1から拡張すると、フィラメント110は、座屈が緩和されるにつれて真っ直ぐになることができ、シースは半径方向に拡張することができる。医療装置がシースを通過すると、編組層104は、弾性層106(存在する場合)によって初期直径D
1に戻るよう促され、フィラメント110は再び弾性的に座屈することができる。
図10A~
図10Cの構成を使用して、シースの本来の外径D
1の2倍、2.5倍、又はさらには3倍大きい直径を有する人工装置を収容することも可能である。
【0073】
ここで拡張可能なシースを作製する方法を参照すると、
図7は、一態様による、円筒形マンドレル118上に配設された拡張可能なシース100の層102~108を図示する。特定の態様では、マンドレル118は、完成したシースの所望の本来の外径D
1より大きい直径D
3を有することができる。例えば、いくつかの態様では、マンドレルの直径D
3のシースの外径D
1に対する比率は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、又はそれ以上であり得る。特定の態様では、マンドレルの直径D
3は、シースの拡張した直径D
2と等しくすることができる。言い換えれば、マンドレルの直径D
3は、人工装置がシースを通って前進するときのシースの所望の拡張した直径D
2と同じであるか、又はほぼ同じであり得る。したがって、特定の態様では、拡張したシースの拡張した外径D
2の拡張していないシースの折り畳んだ外径D
1に対する比率は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、又はそれ以上であり得る。
【0074】
図7を参照すると、拡張可能なシース100は、マンドレル118の周りにePTFE層120を、続けて第一のポリマー層102を巻き付けるか、又は据えることによって作製することができる。いくつかの態様では、ePTFE層は、製作プロセスの完了時にマンドレル118からシース100を取り外すのを助けることができる。第一のポリマー層102は、マンドレル118の周りに巻き付けることによって適用される予め製作されたシートの形態であり得るか、又は浸漬コーティング、エレクトロスピニングなどによってマンドレルに適用され得る。 編組層104は、第一の層102の周りに位置することができ、その後に弾性層106が続く。弾性層106が1つ以上の弾性バンド116を含む態様では、バンド116は、編組層104の周りにらせん状に巻き付けることができる。いくつかの実装形態では、弾性層106は、浸漬コーティング、エレクトロスピニングなど施すことができる。その後、外側ポリマー層108は、弾性層106の周りに、次いでePTFEの別の層122及び熱収縮チューブ又は熱収縮テープの1つ以上の層124の周りに巻き付けるか、据えるか、又は適用することができる。
【0075】
特定の態様では、弾性バンド116は、伸張した状態、ピンと張った状態、又は延在した状態で編組層104に適用することができる。例えば、特定の態様では、バンド116は、それらの本来の弛緩した長さの2倍の長さに伸張された編組層104に適用することができる。これにより、完成したシースは、マンドレルから取り外されたときに弾性層の影響で半径方向に折り畳み、以下に記載されるように、弾性層の対応する弛緩を引き起こす。いくつかの実装形態では、層102及び編組層104は、マンドレルから取り外すことができ、弾性層106は、弛緩した状態又は適度に引き伸ばされた状態で適用することができ、次いで、外側層108を適用する前に、弾性層が半径方向に拡張され、ぴんと張られた状態に引き伸ばされるように、アセンブリをマンドレルに戻して配置することができる。
【0076】
次いで、アセンブリは、熱収縮層124が収縮し、層102~108を一緒に圧縮するのに十分に高い温度まで加熱され得る。特定の態様では、アセンブリは、ポリマー内側層102及び外側層108が柔軟性及び粘着性となり、編組層104と弾性層106との間のオープンスペースで互いに接合し、編組層及び弾性層を封入するように、十分に高い温度に加熱され得る。いくつかの実装形態では、内側層102及び外側層108は、それらが編組層104及び弾性層106の周り並びにそれらを通って流れるように、リフロー又は溶融され得る。例示的な態様では、アセンブリは、150℃で20~30分間加熱することができる。
【0077】
加熱後、シース100は、マンドレル118から取り外すことができ、熱収縮チューブ124並びにePTFE層120及び122を取り外すことができる。こうした例示的な態様では、これらのePTFE層は、犠牲層として挙動することができる。マンドレル118から取り外されると、シース100は、弾性層106の影響下で、本来の設計直径D
1まで少なくとも部分的に半径方向に折り畳むことができる。特定の態様では、シースは、圧着機構の任意選択的な補助により、設計直径に半径方向に折り畳むことができる。それに伴う円周の低減は、
図10C及び10Dに示されるように、内側層102及び外側層108とともにフィラメント110を座屈させて、長手方向に延在する折り目126を形成することができる。
【0078】
特定の態様では、PTFEの層は、内側及び外側ポリマー層102、108のそれぞれのePTFE層120及び122からの分離を容易にするために、ePTFE層120と内側層102との間、及び/又は外側層108とePTFE層122との間に介在させることができる。いくつかの実装形態では、内側層102又は外側層108のうちの1つが上述のように省略可能である。
【0079】
図8は、シースに沿って長手方向に延在し、編組層104に付着させた糸又はコード130として構成された1つ以上の部材を含む、拡張可能なシース100の一部の態様を図示する。
図8にはコード130が1つだけ図示されているが、実際には、シースは、シースの周囲に等角度間隔で配列された2つのコード、4つのコード、6つのコードなどを含むことができる。コード130は、編組層104の外側に縫合することができるが、他の構成及び付着方法も可能である。編組層104に付着されることにより、コード130は、人工装置がシースを通過するときに、編組層104の軸方向の伸長を防止するように構成され得る。コード130は、弾性層106と組み合わせて、又は別々に採用することができる。コード130はまた、所望の特定の特徴に応じて、内側層及び/若しくは外側層102及び108のうちの一方又は両方と組み合わせて使用することもできる。コード130はまた、編組層104の内側(例えば、内側層102と編組層104との間)に配置されてもよい。
【0080】
拡張可能なシース100はまた、他の方法で作製することもできる。例えば、
図9は、格納容器202、及び214で概略的に図示される加熱システムを含む装置200を図示する。装置200は、材料の二つ以上の層から構成されているデバイス(医療装置又は非医療用途のデバイス)を形成するのに特に好適である。装置200によって形成されるデバイスは、シース100又はカテーテル用のシャフトなどの材料の二つ以上の同軸層から形成することができる。あるいは、装置200によって形成されるデバイスは、互いの上に積み重ねられた2つ以上の層など、二つ以上の非同軸層によって形成することができる。
【0081】
格納容器202は、内部体積又はチャンバ204を画定することができる。図示される態様では、容器202は、閉鎖端206及び開放端208を含む金属チューブであり得る。容器202は、比較的高い熱膨張係数を有する熱膨張性材料210で少なくとも部分的に充填することができる。特定の態様では、熱膨張性材料210は、2.4×10-4/℃以上の熱膨張係数を有し得る。例示的な熱膨張性材料には、シリコーン材料などのエラストマーが含まれる。シリコーン材料は、5.9×10-4/℃~7.9×10-4/℃の熱膨張係数を有することができる。
【0082】
図7のマンドレル118と類似し、その周りに配設されたシース材料層の所望の組み合わせを含むマンドレルは、熱膨張性材料210に挿入することができる。あるいは、マンドレル118は、チャンバ204に挿入することができ、マンドレルが材料210によって取り囲まれるように、チャンバの残りの体積を熱膨張性材料210で満たすことができる。マンドレル118は、例示の目的で概略的に示されている。したがって、マンドレル118は、
図7に描写されるような円筒形であり得る。同様に、材料210の内側表面及び容器202の内側表面は、マンドレル118の形状及びシース100の最終形状に対応する円筒形状を有することができる。円筒形又は円形マンドレル118の設置を容易にするために、容器202は、2つの部分を備えることができ、2つの部分はマンドレルを容器の内側に設置させるための開放構成と、マンドレルの周りに延在する閉鎖構成との間で移動することが許容されるように、ヒンジによって互いに接続される。例えば、
図9に示す容器の上半分及び下半分は、容器の閉鎖側(
図9の容器の左側)でヒンジによって互いに接続することができる。
【0083】
容器202の開放端208は、キャップ212で閉鎖することができる。次いで、容器202は、加熱システム214によって加熱することができる。加熱システム214による加熱は、材料210をチャンバ204内で拡張させ、マンドレル118上の材料の層に対して半径方向の圧力を適用することができる。熱及び圧力の組み合わせは、マンドレル118上の層が互いに接合又は接着してシースを形成することができる。特定の態様では、装置200を使用して、マンドレル118に100MPa以上の半径方向の圧力を適用することが可能である。マンドレルに適用される半径方向の力の量は、例えば、選択される材料210の種類及び量、並びにその熱膨張係数、マンドレル118を取り囲む材料210の厚さ、材料210が加熱される温度などによって制御することができる。
【0084】
いくつかの態様では、加熱システム214は、中に容器202が設置されるオーブンであり得る。いくつかの態様では、加熱システムは、容器202の周りに位置決めされた1つ以上の加熱要素を含むことができる。いくつかの態様では、容器202は、加熱システム214によって制御される電気抵抗加熱要素又は誘導加熱要素であり得る。いくつかの態様では、加熱要素は、熱膨張性材料210内に埋め込むことができる。いくつかの態様では、材料210は、例えば、炭素繊維又は金属粒子などの導電性充填材料を追加することによって加熱要素として構成することができる。
【0085】
装置200は、その長さに沿ったマンドレル118への半径方向の力の均一で高度に制御可能な適用、及び高い再現性を含む、既知のシース製作方法に勝るいくつかの利点を提供することができる。装置200はまた、熱膨張性材料210の迅速及び正確な加熱を容易にすることもでき、熱収縮チューブ及び/若しくはテープの必要性を低減又は排除し、材料費及び労力を低減することができる。適用される半径方向の力の量は、例えば、取り囲む材料210の種類又は厚さを変更することによって、マンドレルの長さに沿って変更することもできる。特定の態様では、複数の容器202を、単一の固定具内で処理することができ、及び/又は複数のシースを、単一の容器202内で処理することができる。装置200を使用して、シャフト又はカテーテルなどの他のデバイスを生成することもできる。
【0086】
1つの特定の方法では、シース100は、マンドレル118上に層102、104、106、108を設置させ、熱膨張性材料210が最外層108を取り囲む容器202の内側に層を有するマンドレルを設置させることによって形成することができる。必要に応じて、ePTFE(又は同様の材料)の1つ以上の内側層120及びePTFE(又は同様の材料)の1つ以上の外側層122は、マンドレル118及び材料210からの最終シースの除去を容易にするために(
図7に示すように)使用することができる。次いで、アセンブリは、加熱システム214で加熱して、層102、108をリフローする。その後の冷却時に、層102、108は、互いに少なくとも部分的に接合され、層104、106を少なくとも部分的に封入する。
【0087】
図11は、拡張可能なシース100が、事前イントロデューサ又は脈管ダイレータ300として構成された装置を受容するように構成されている一部の態様を図示する。特定の態様では、イントロデューサデバイス90は、脈管ダイレータ300を含むことができる。
図12を参照すると、脈管ダイレータ300は、シャフト部材302の遠位端部分に位置するノーズコーン304として構成されたテーパ状ダイレータ部材を含むシャフト部材302を備えることができる。脈管ダイレータ300は、円周方向スペース310がシャフト部材302の外部表面と保持部材306の内部表面との間に画定されるように、ノーズコーン304の近位端部分308から近位に延在するカプセル又は保持部材306をさらに備えることができる。特定の態様では、以下でさらに記載されるように、保持部材306は、薄いポリマー層又はシートとして構成することができる。
【0088】
図11及び13を参照すると、シース100の第一又は遠位端部分140は、シースがノーズコーン304と係合するように、及び/又は保持部材306がシースの遠位端部分140の上を覆って延在するように、空間310に受容され得る。使用時に、結合された又は組み立てられた脈管ダイレータ300及びシース100は、その後、切開部を通して血管に挿入され得る。ノーズコーン304のテーパ状円錐形状は、血管及び周囲組織への外傷を最小限にしながら、血管及びアクセス部位を徐々に広げるのを補助することができる。アセンブリが所望の深さまで挿入されると、脈管ダイレータ300は、
図14に図示されるように、シース100が安定して保持されている間、血管内に(例えば、遠位に)さらに前進させることができる。
【0089】
図15を参照すると、脈管ダイレータ300は、保持部材306がシース100の遠位端部分140を越えて取り外されるまで、シース100を通って遠位に前進させることができる。特定の態様では、シースのらせん状に巻かれた弾性層106は、シースの遠位端142の近位で終端することができる。したがって、シースの遠位端部分140が覆われていない場合、(熱設定され得る)遠位端部分は、広がるか、又は拡張し、第一の直径D
1(
図13)から第二のより大きな直径D
2(
図15)まで、遠位端142の開口部の直径を増加させることができる。次いで、脈管ダイレータ300は、
図16~
図18に示されるように、シース100を脈管内の適所に残して、シース100を通して引き抜くことができる。
【0090】
脈管ダイレータ300は、シース100を係合及び保持するための様々な能動的及び/又は受動的機構を含むことができる。例えば、特定の態様では保持部材306は、シース100の遠位端部分の周りに折り畳むことができるポリマー熱収縮層を備えることができる。
図1に図示される態様では、保持部材は、シース100の遠位端部分140を圧縮するように構成された弾性部材を含むことができる。いくつかの態様では、保持部材306及びシース100は、選択された量の力を適用すると、シース100から解放された保持部材306の間の接着接合が壊れ、脈管ダイレータを引き抜くことが許容されるような方法で一緒に糊付け又は融着(例えば、熱接合)することができる。いくつかの態様では、編組層104の端部分は、脈管ダイレータ300の対応する部分に圧力を適用するために、半径方向に内向き若しくは外向きに広がるか、又は拡張するように熱設定することができる。
【0091】
図19を参照すると、アセンブリは、ダイレータシャフト部材302とシース100との間に配設されたシャフト312などの機械的に作動する保持機構を含むことができる。特定の態様では、シャフト312は、脈管ダイレータ300をシース100に解放可能に結合することができ、本体の外側から作動させる(すなわち、手動で非作動にする)ことができる。
【0092】
図20及び
図21を参照すると、いくつかの態様では、シャフト304は、その外部表面の周りに円周方向に配列され、膨張したときにシース100と係合するように構成された1つ以上のバルーン314を備えることができる。バルーン314は、シース100を解放し、脈管ダイレータを引き抜くために、選択的にしぼませることができる。例えば、膨張すると、バルーンは、シース100の捕捉された遠位端部分をカプセル306の内側表面に押し付けて、シースを脈管ダイレータに対して適所に保持することを支援する。バルーンがしぼむと、脈管ダイレータは、シース100に対してより簡単に移動することができる。
【0093】
いくつかの態様では、上述のように構成された拡張可能なシースは、
図22に示される熱収縮チューブ層400などの収縮可能なポリマー外側カバーをさらに備えることができる。熱収縮チューブ層400は、脈管ダイレータ300とシースの遠位端部分140との間の滑らかな移行を許容するように構成することができる。熱収縮チューブ層400は、シースを選択された初期の低減された外径に拘束することもできる。特定の態様では、熱収縮チューブ層400は、シース100の長さにわたって完全に延在し、クランプ、ナット、接着剤、熱溶接、レーザー溶接、又は弾性クランプなどの機械的固定手段によってシースハンドルに付着させることができる。いくつかの態様では、シースは、製造中に熱収縮チューブ層内に圧入される。
【0094】
いくつかの態様では、熱収縮チューブ層400は、
図22に示される遠位突出部408として、シースの遠位端部分140を越えて遠位に延在することができる。脈管ダイレータは、シース管腔112を通って突出部408の遠位縁を越えて挿入することができる。突出部408は、挿入された脈管ダイレータに厳密に適合して、ダイレータの直径とシースの直径との間の滑らかな移行を与え、ダイレータとシースとを組み合わせた挿入を容易にする。脈管ダイレータが取り外されると、突出部408がシース100の一部として脈管内に残る。熱収縮チューブ層400は、長手方向軸に沿ってシースの外径全体を収縮させるという更なる利点を提供する。しかしながら、
図42に示されるシース301などのいくつかの態様は、シース301の遠位端で停止するか、又はいくつかの態様では、シースの遠位端まで完全には延在しない、熱収縮チューブ層401を有し得ることが理解されるであろう。遠位突出部のない態様では、熱収縮チューブ層は、主に外側収縮層として機能し、シースを圧縮構成内に維持するように構成されている。こうした態様は、ダイレータが回収されると、シースの遠位端において突出部がはためくことはもたらされない。
【0095】
いくつかの態様では、熱収縮チューブ層は、送達装置10などの送達装置がシースを通って前進するときに裂けて開くように構成することができる。例えば、特定の態様では、熱収縮チューブ層は、選択された場所で層が裂け始めるように構成された、
図22に示されるような、1つ以上の長手方向に延在する開口部、スリット、又は弱化した細長い開裂線406を備えることができる。送達装置10がシースを通って前進するにつれ、熱収縮チューブ層400は、引き続き裂けて開く可能性があり、上述のようにシースが低減した力で拡張することが許容される。特定の態様では、シースは、シースが最初から自動的に拡張し、熱収縮チューブ層が裂けて開いたときに直径が低減するような弾性層106を備える必要はない。熱収縮チューブ層400は、ポリエチレン又は他の好適な材料を含むことができる。
【0096】
図23は、一態様による、本明細書に記載される拡張可能なシースの周りに設置することができる熱収縮チューブ層400を図示する。いくつかの態様では、熱収縮チューブ層400は、管層400に沿って軸方向に延在し、円形開口部404として構成されている遠位応力緩和特徴で終端する複数のカット又は開裂線402を備えることができる。遠位応力緩和特徴部は、例えば、楕円形及び/又は卵形の開口部を備える、任意の他の規則的又は不規則な曲線形状として構成できることが企図される。また、熱収縮チューブ層400に沿って、かつその周りの様々な形状の遠位応力緩和特徴部も企図される。送達装置10がシースを通って前進するにつれ、熱収縮チューブ層400は、開裂線402に沿って裂けて開くことができ、遠位に位置決めされた開口部404は、それぞれの開裂線に沿ったチューブ層の更なる引き裂き又は裂けを阻止することができる。したがって、熱収縮チューブ層400は、シースの長さに沿ってシースに付着した状態に留まる。図示される態様では、開裂線及び関連付けられた開口部404は、長手方向及び円周方向に互いからオフセットされるか、又は互い違いになっている。したがって、シースが拡張すると、開裂線402は菱形構造を形成することができる。開裂線はまた、シースの長手方向軸の周りにらせん状に、又はジグザグパターンでなど、他の方向にも延在することができる
【0097】
いくつかの態様では、熱収縮チューブ層の裂け又は引き裂きは、例えば、化学溶剤を適用する、器具若しくはレーザーによる表面の切断、開襞形成、若しくは切除、及び/又は壁の厚さを低減する若しくはチューブ壁に空洞を作製する(例えば、フェムト秒レーザ切除による)ことにより、チューブ表面に弱化した領域を形成することによるなど、様々な他の方法で誘導され得る。
【0098】
いくつかの態様では、熱収縮チューブ層は、接着、溶接、又は任意の他の好適な固定手段によってシースの本体に付着させることができる。
図29は、内側層802、編組層804、弾性層806、外側層808、及び熱収縮チューブ層809を含むシースの態様の透視図を示す。
図36に関して以下で記載されるように、いくつかの態様は、弾性層806を含まなくてもよい。熱収縮チューブ層809は、裂け811、及び熱収縮チューブ層809に沿って延在するミシン目813を含む。熱収縮チューブ層809は、接着継ぎ目815において外側層808と接合される。例えば、特定の態様では、熱収縮チューブ層809は、継ぎ目815において、溶接、熱接合、化学接合、超音波接合、及び/又は接着剤(例えば、LDPE繊維ホットグルーなどのホットグルーを含むが、これらに限定されない)を使用して接合され得る。外側層808は、継ぎ目815においてシースに沿って軸方向に、又はスパイラル状若しくはらせん状に、熱収縮チューブ層809と接合され得る。
図30は、熱収縮チューブ層809がシースの遠位端において裂けて開いた同じシースの態様を示す。
【0099】
図31は、熱収縮チューブ層809を有するシースを示すが、その中を送達システムが移動する前である。
図32は、熱収縮チューブ層809が、通過する送達システムがシースの直径を広げるときに部分的に裂けて開かれ、分離されたシースの透視図を示す。熱収縮チューブ層809は、接着継ぎ目815によって保持されている。このような方法で熱収縮チューブ層809をシースに付着させることは、
図33に示されるように、層が裂けてシースが拡張した後、シースへの熱収縮チューブ層809の付着を維持するのを助けることができ、送達システム817はシースを通って完全に移動し、シースの全長に沿って熱収縮チューブ層809を裂く。
【0100】
いくつかの態様では、拡張可能なシースは、弾性熱可塑性材料(例えば、Pebax)を含む遠位端又は先端部分を有することができ、これは、脈管ダイレータ300の対応する部分との締まりばめ又は締まり構造を提供するように構成することができる。特定の構成では、シースの外側層は、遠位端部分をシースの本体に溶接するために、ポリアミド(例えば、ナイロン)を含み得る。特定の態様では、遠位端部分は、送達装置が遠位端部分を通って前進するときに遠位端部分が裂けて離れることを許容するために、意図的に弱化された部分、開裂線、スリットなどを備えることができる。
【0101】
いくつかの実装形態では、シース全体が、ハンドルからシースの遠位端部分140まで長手方向に延在し、任意で前方に延在して、
図22に示される突出部408と同様の突出部を作製するエラストマー外側カバーを有し得る。エラストマー突出部分は、脈管ダイレータにしっかりと適合するが、脈管ダイレータが取り外されると、シースの一部として残る。送達システムが通過すると、エラストマー突出部分は拡張し、次いで折り畳んでその通過を許容する。エラストマー突出部分、又はエラストマー外側カバー全体は、送達装置が遠位端部分を通って前進するときに遠位端部分が裂けて離れることを許容するために、意図的に弱化された部分、開裂線、スリットなどを含むことができる。
【0102】
図24は、フィラメントがシースに沿って反対方向にループするか、又は延在して戻るように、編組フィラメント110の部分150が曲げられてループ152を形成する、編組層104の一部の態様の端部分(例えば、遠位端部分)を図示する。フィラメント110は、様々なフィラメント110のループ152が、編組において互いに軸方向にオフセットされるように配置され得る。編組層104の遠位端に向かって(図の右側に)移動すると、編組フィラメント110の数は減少し得る。例えば、5で示されるフィラメントは、最初にループ152を形成し、その後、4、3、及び2で示されるフィラメントが続き、1でフィラメントが最遠位のループ152を形成することができる。したがって、編組内のフィラメント110の数は、遠位方向に減少し、編組層104の半径方向の可撓性を増加させることができる。
【0103】
いくつかの態様では、拡張可能なシースの遠位端部分は、脈管ダイレータ300の直径までテーパ状にすることができる、Dyneema(登録商標)などのポリマーを含むことができる。破線状切り目、開襞形成などの弱化された部分を遠位端部分に適用して、それが再現できる方法で裂けて開き、かつ/又は拡張するようにすることができる。いくつかの実装形態では、かつ以下で詳細に説明するように、拡張可能なシースの遠位端部分は、本明細書に開示される層のいずれかを含み得る。
【0104】
本明細書に記載の拡張可能なシースの態様の圧着は、上述のように、様々な方法で実施することができる。いくつかの態様によれば、シースは、より長いシースに沿って長手方向に数回、従来の短い圧着機を使用して圧着させることができる。いくつかの態様では、シースは、シースが熱収縮チューブで包まれ、加熱下で折り畳む1つ又は一連の段階で、特定の圧着した直径まで折り畳む可能性がある。例えば、第一の熱収縮チューブは、シースの外側表面に適用され得、シースは、第一の熱収縮チューブを(熱を介して)収縮させることによって中間直径に圧縮され得、第一の熱収縮チューブは、取り外され得、第二の熱収縮チューブは、シースの外側表面に適用され得、第二の熱収縮チューブは、熱を介して中間直径よりも小さい直径に圧縮され得、第二の熱収縮チューブは、取り外され得る。これを必要なだけ何周も継続して、所望の圧着シース直径を達成することができる。
【0105】
本明細書に記載の拡張可能なシースの態様の圧着は、上述のように、様々な方法で実施することができる。
図25A~
図25Cに示されるものなどのローラベース圧着機構602は、本明細書に開示されるシースなどの細長い構造を圧着するのに有利であり得る。圧着機構602は、第一の端表面604、第二の端表面605、並びに第一及び第二の端表面604、605の間に延在する縦軸a-aを有する。複数のディスク状ローラ606a~fは、縦軸a-aの周りに半径方向に配置され、各々が圧着機構602の第一及び第二の端表面の間に少なくとも部分的に位置決めされる。態様に6つのローラが描写されているが、ローラの数は変化し得る。各ディスク状ローラ606は、コネクタ608によってより大きな圧着機構に付着させられる。個々のディスク状ローラ606及びコネクタ608の側面断面図が
図25Bに示され、個々のディスク状ローラ606及びコネクタ608の上面図が
図25Cに示される。個々のディスク状ローラ606は、
図25Cに示されるような、円形縁610、第一の側表面612、第二の側表面614、並びに第一及び第二の側表面612、614の中心点間を延在する中心軸c-cを有する。複数のディスク状ローラ606a~fは、ディスク状ローラ606の各中心軸c-cが、圧着機構602の縦軸a-aに対して垂直に配向されるように、圧着機構602の縦軸a-aの周りに半径方向に配置される。ディスク状ローラの円形縁610は、縦軸a-aに沿って圧着機構602を通って軸方向に延在する通路を部分的に画定する。
【0106】
各ディスク状ローラ606は、複数のコネクタの各々の場所が圧着機構602の第一の端表面に対して固定されるように、1つ以上のファスナ619を介して圧着機構602に付着されたコネクタ608によって、半径方向に配置された構成内で適所に保持される。描写される態様では、ファスナ619は、ディスク状ローラ606の半径方向外向きに、圧着機構602の外側部分に隣接して位置決めされている。示される態様では、2つのファスナ619が各コネクタ608を位置決めするために使用されるが、ファスナ619の数は変更することができる。
図25B及び
図25Cに示されるように、コネクタ608は、第一のアーム616及び第二のアーム618を有する。第一及び第二のアーム616、618は、円形縁610の半径方向の外向き部分からディスク状ローラ608の中央部分まで、ディスク状ローラ608の上を覆って延在する。ボルト620は、第一及び第二のアーム616、618を通り、ディスク状ローラ608の中央管腔を通って延在し、中央管腔は、中心軸c-cに沿ってディスク状ローラ606の前部表面612の中心点から後部表面614の中心点まで通過する。ボルト620は、ディスク状ローラ608が中心軸c-cの周りに回転することを許容する実質的なクリアランス/スペースを有して、管腔内に緩く位置決めされている。
【0107】
使用中、細長いシースが圧着機構602の第一の側604から、ローラ間の軸方向通路を通って、圧着機構602の第二の側605へと出て前進する。ディスク状ローラ606の円形縁610からの圧力は、それが細長いシースの外側表面に沿って転動するにつれ、シースの直径を圧着された直径に減少させる。
【0108】
図26は、シースなど、細長い構造の圧着を容易にするように設計された圧着デバイス700の態様を示す。圧着デバイスは、細長い基部704、及び細長い基部704の上に配置された細長いマンドレル706、及び細長い基部704と付着された保持機構708を含む。保持機構708は、マンドレル706を基部704の上の上昇位置で支持する。保持機構は、圧着機構702を含む第一の端部片710を含む。マンドレル706は、第一の端部片710の狭小化管腔714の第一のテーパー部分713内にはまる円錐形端部分712を含む。マンドレル706の円錐形端部分712は、円錐形端部分712と管腔714との間に十分なスペース又はクリアランスを有して、狭小化管腔714内に緩く位置決めされ、細長いシースがマンドレル706の円錐形端部分712の上を通過し、かつ狭小化管腔714を通過することを許容する。使用中、円錐形端部分712は、圧着中のシースの円周方向の座屈を回避するのを支援する。いくつかの態様では、マンドレル706はまた、円錐形端部分712から外向きに延在し、マンドレル706の端部726を画定する円筒形端部分724を含むことができる。
【0109】
狭小化管腔714の第一のテーパー部分713は、テーパーの最も広い側が第一の端部片710の内側表面722上に位置するように、保持機構708の第二の端部片711に向かって開く。示される態様では、第一のテーパー部分713は、狭小化管腔714の狭小円筒形部分716と接続する狭小端715まで狭小化する。この態様では、狭小円筒形部分716は、狭小化管腔714の最も狭小な直径を画定する。マンドレル706の円筒形端部分724は、管腔の円筒形端部分724と狭小円筒形部分716との間に十分なスペース又はクリアランスを有し、細長いシースの通過を許容するために、狭小化管腔714の狭小円筒形部分716内に緩くはまり得る。狭小円筒形部分716の細長い性質は、圧着シースがマンドレルの円錐形端部分712を通過した後、圧着シースを滑らかにするのを容易にし得る。しかしながら、狭小化管腔714の円筒形部分716の長さは、本開示を限定することを意味するものではなく、いくつかの態様では、圧着機構702は、狭小化管腔714の第一のテーパー部分713のみを含み得、依然として細長いシースを圧着するのに有効である。
【0110】
図26に示される第一の端部片710の反対側の端では、狭小化管腔714の第二のテーパー部分718は、テーパーの最も広い側が第一の端部片710の外側表面720上に位置するように、狭小円筒形部分716から開く。第二のテーパー部分718の狭小端部719は、圧着機構702の内部で狭小化管腔714の狭小円筒形部分716と接続する。狭小化管腔714の第二のテーパー部分718は、いくつかの態様では存在しなくてもよい。
【0111】
保持機構708は、第一の端部片710から細長い基部704の反対側に位置決めされた第二の端部片711をさらに含む。第二の端部片711は、第一の端部片710と第二の端部片711との間の距離が調節可能であり、したがって様々なサイズのマンドレルを支持できるように、細長い基部704に対して移動可能である。いくつかの態様では、細長い基部704は、1つ以上の細長い摺動トラック728を含み得る。第二の端部片711は、第二の端部片711及び細長い摺動トラック728内に、又はそれらを通って延在するボルトなどであるが、これらに限定されない、少なくとも1つのリバーシブルファスナ730を介して摺動トラック728と摺動可能に係合することができる。第二の端部片711を移動させるために、ユーザは、リバーシブルファスナ730を緩めるか、又は取り外し、第二の端部片711を所望の場所まで摺動させ、リバーシブルファスナ730を交換するか、又は締める。
【0112】
使用中、圧着されていない直径でのシースは、圧着されていないシースの全長の内側表面がマンドレルによって支持されるように、
図26に示される圧着デバイス700の細長いマンドレル706の上に設置され得る。次いで、圧着されていないシースは、円錐形端部分712の上を、かつ圧着機構702の狭小化管腔714を通って前進する。圧着されていないシースは、狭小化管腔714の内側表面からの圧力を介して、より小さな圧着された直径に圧着される。いくつかの態様では、シースは、圧着機構702を出る前に、狭小化管腔714の第一のテーパー部分713及び円筒形部分716の両方を通って前進する。いくつかの態様では、シースは、圧着機構702を出る前に、狭小化管腔714の第一のテーパー部分713、円筒形部分716、及び第二のテーパー部分718を通って前進する。
【0113】
いくつかの態様では、
図25Aに示される圧着機構602は、
図26に示される圧着デバイス700などのより大きな圧着デバイス内に位置決めされ得る。例えば、圧着機構602は、圧着機構702の代わりに、又はそれと組み合わせて、圧着デバイス700の第一の端部片710内に位置決めされ得る。例えば、転動圧着機構602は、第一のテーパー部分713が、複数の半径方向に配置されたディスク状ローラ606を通して拡張可能なシースを供給するように、圧着機構702の狭小化管腔714を完全に置き換えることができるか、又はローラ圧着機構602は、圧着機構702の狭小化管腔714の狭小円筒形部分716内にはまり得る。
【0114】
図34及び
図35は、遠位端部分902を含むシースの態様を示し、これは、近位方向にシースに沿って長手方向に延在する外側カバーの延長部であり得る。
図34は、イントロデューサの周りに折り畳まれた遠位端部分902を示す(圧着され折り畳まれた構成)。
図35は、イントロデューサ908の周りに折り畳まれた遠位端部分902の断面を示す(圧着され折り畳まれているか、又は拡張していない構成)。遠位端部分902は、例えば、制限されることなく、シースの外側層(ライナー)を形成するために使用される類似又は同じ材料の1つ以上の層から形成され得る。なおも、いくつかの実装形態では、遠位端部分は、本明細書に開示されるすべての層を含むことができる。なおも、いくつかの実装形態では、遠位部分は、編組層を除き、本明細書に開示されるすべての層を含むことができる。
【0115】
しかしながら、シースの遠位端部分が、外側ライナーで使用されるものと類似した材料に加えて、又はその代わりに使用される追加の材料を含み得る態様もある。例えば、かつ制限されることなく、シースの遠位部分は、シースの他の部分の層の数を超える材料の層を含み得る。いくつかの態様では、遠位端部分902は、別個の処理技法によって追加される1つ以上の追加の層を有するか、又は有さない、シースの外側層の延長部を含む。遠位端部分は、1~8層の材料(1、2、3、4、5、6、7、及び8層の材料を含む)をどこにでも含むことができる。いくつかの態様では、遠位端部分は、Dyneema(登録商標)材料の複数の層を備える。遠位端部分902は、編組層904及び弾性層906を含むシースの長手方向部分を越えて遠位方向に延在し得る。実際、いくつかの態様では、
図34及び
図35に示されるように、編組層904は、弾性層906を越えて遠位方向に延在し得、遠位端部分902は、編組層904及び弾性層906の両方を越えて遠位方向に延在し得る。
【0116】
遠位端部分902は、シースのより近位部分よりも小さな折り畳まれた直径を有し、テーパ状の外観を与え得る。これにより、イントロデューサ/ダイレータとシースとの間の移行が滑らかになり、シースが患者への挿入中に組織に引っかからないことを確実にする。より小さな折り畳まれた直径は、遠位端部分の周りに円周方向に(均一に又は不均一に離間して)位置決めされた複数の折り目(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8つの折り目)の結果であり得る。例えば、遠位端部分の円周方のセグメントを一緒にし、次いで、遠位端部分の隣接する外側表面に対して置いて、重なった折り目を創出することができる。折り畳んだ構成では、折り目の重なった部分は、遠位端部分902に沿って長手方向に延在する。例示的な折り畳み方法及び構成は、米国出願第14/880,109号及び米国出願第14/880,111に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。スコアリングは、遠位端部分の折り畳みの代替として、又はそれに加えて使用することができる。遠位端部分902のスコアリング及び折り畳みの両方により、送達システムの通過時に遠位端部分の拡張が許容され、処置が完了すると、送達システムのシース内への後退が容易になる。いくつかの態様では、シース(及び/又は脈管ダイレータ)の遠位端部分は、シースの初期直径(例えば、8mm)から3.3mm(10F)まで減少し得、かつガイドワイヤの直径まで減少し得、シース及び/又は脈管ダイレータ300がガイドワイヤ上に広がることが許容される。
【0117】
いくつかの態様では、以下の方法によって、遠位端部分が追加され得、シース及び先端が圧着され得、遠位端部分及びシースの圧着が維持され得る。上述のように、遠位端部分902は、シースの外側層(ライナー)の延長部であり得る。それはまた、先端圧着処理ステップの前に、シースの残りの部分と熱接合される別個の多層チューブであり得る。いくつかの態様では、別個の多層チューブは、シースの外側層の遠位延長部と熱接合されて、遠位端部分902を形成する。先端付着後のシースの圧着については、シースを小さなマンドレル上で加熱する。遠位端部分902は、マンドレルの周りに折り畳まれて、
図34に示される折り畳まれた構成を創出することができる。折り目は、先端圧着プロセスの前に、又は先端圧着プロセス中の中間点において、遠位端部分902に追加される。いくつかの態様では、小さなマンドレルは、約2ミリメートル~約4ミリメートル(約2.2ミリメートル、約2.4ミリメートル、約2.6ミリメートル、約2.8ミリメートル、約3.0ミリメートル、約3.2ミリメートル、約3.4ミリメートル、約3.6ミリメートル、約3.8ミリメートル、及び約4.0ミリメートルを含む)の直径であり得る。加熱温度は、使用する材料の融点よりも低くなるであろう。これにより、材料のそれ自体のある程度の収縮をもたらし得る。例えば、Dyneema(登録商標)材料が、シースの外側層及び/又は遠位端部分の材料の一部として利用されるものなどを含むがこれらに限定されない、いくつかの態様では、3ミリメートルのマンドレル上でシースを摂氏約125度(摂氏約140度のDyneema(登録商標)の融点よりも低い)に加熱することによって、シース圧着プロセスが開始する。これにより、シース自体が約6ミリメートルの外径に圧着される。この時点で、シース及び遠位端領域902を冷却することが可能である。次いで、熱収縮チューブが適用され得る。いくつかの態様では、熱収縮チューブは、遠位端部分の材料の融点とほぼ同じ融点を有し得る。シース及び遠位端部分902の上に延在する熱収縮チューブを有するシースは、再び加熱され(例えば、Dyneema(登録商標)外側層及び遠位端部分を含むシースの場合、摂氏約125度まで)、シースはさらに小さな直径に圧着させされる。遠位端部分902では、より高い温度(例えば、Dyneema(登録商標)材料の場合、摂氏約145度~摂氏約155度)を適用して、材料の層を
図34に示される折り畳まれた構成内で一緒に溶融させることができる(折り目は、このプロセス中の任意の時点で追加することができる)。高温溶融ステップによって誘導される遠位端部分902での接合は通過する送達システムによって破壊されるほど依然として十分に弱いであろう。最終ステップとして、熱収縮チューブが取り除かれ、シースの形状が圧着された直径のままである。
【0118】
図43は、シースの一つの態様の遠位端(先端)近くで、編組層に対して長手方向遠位の点において取られた横断面を示す。こうした態様では、シースの遠位端は編組層を含まない。シース501の遠位端は、内側ポリマー層(内側ライナー)513、外側ポリマー層(外側ライナー)517、及び外側カバー561を含む。しかしながら、当然のことながら、内側ライナーと外側ライナーとの間に追加的な層を配置することができる。これらの層の一部を以下に詳細に説明する。拡張可能なシースの遠位部分(先端)を圧縮する方法は、拡張可能なシース501の遠位部分を、内側及び外側のポリマー層の融解温度TM2よりも低い融解温度TM1を有する外部カバー層561で予め圧縮した状態でカバーすることと、カバー層561と拡張可能なシース501との間の重複領域全体に及ばない少なくとも1つの領域を、TM2以上である第一の温度に加熱し、それによって、カバー層561及び拡張可能なシース501の外側ポリマー層517の両方を融解させ、それらの間に付着領域569を形成することと、マンドレルを拡張可能なシース501のルーメンに挿入し、拡張可能なシース501の遠位部分などの少なくともその一部分を圧着することと、事前に定義された第一の時間ウィンドウで、拡張可能なシース501の遠位部分の上を覆う外部カバー層561を、外部カバー層561の融解温度TM1以上であり、内側及び外側ポリマー層の融解温度TM2よりも低い、第二の温度まで加熱することと、を含むことができる。
【0119】
この方法は、熱収縮チューブの欠陥(弱化された点又は意図しない開口)により、開襞又は分裂線(
図29に示されるミシン目813など)で開始された引き裂きが、意図した引き裂き伝搬の軸方向からそれるリスクを有利に回避する。この方法は、拡張可能なシースの内部層又は外部層に必要な温度よりも低い温度で加熱して適度に付着させた折り目を形成し得る材料で作製された外部カバー層を選択することをさらに可能にする。
【0120】
内側及び外側ポリマー層(ライナー)513、517、並びに外部カバー層561の圧着は、例えば、約8.3mmの圧縮前の直径から約3mmの圧縮された直径とすることができる。
図44は、圧着中の
図43(シースの遠位部分(先端))の拡張可能なシースの態様の横断面を示す。折り目563は、圧着中に外層561に沿って作製される。第二の温度への加熱は、内側及び外側ポリマー層の同様の溶融及び付着を回避しながら、折り目563を互いに付着させるように外部カバー層561を溶融するのに十分である。再び、以下に記載されるように、追加の層は、シースの内側ライナーと外側ライナーとの間に存在し得ることが理解される。いくつかの実装形態では、本開示に記載されるように、内側ライナー及び/又は外側ライナーは、一つ以上のポリマー層を含むことができることも理解される。
【0121】
拡張可能なシースの遠位部分を圧縮する方法は、拡張可能なシース501及び外部カバー層561を、第二の温度への加熱前、加熱中、又は加熱後に熱収縮チューブ(HST)で覆うステップを含むことができる、第二の温度は、外部カバー層561及び拡張可能なシース501を圧縮状態に保持するために、HSTを収縮させるように作用する。HSTは、カバー層563の折り目563が所望の圧縮した状態で互いに十分に付着され、十分な期間冷却された後、拡張可能なシース501及び外部カバー層561から取り外すことができる。
【0122】
いくつかの態様によれば、HSTは熱収縮テープとして利用され、外部カバー層561及び拡張可能なシース501の上でそれを巻き付けて加熱することによって外部半径方向に圧力を適用する。
【0123】
いくつかの態様によれば、熱収縮チューブの代わりに非熱収縮テープを使用することができる。
【0124】
図45は、拡張可能な編組521を有する拡張可能なシース501の遠位部分を示し、その遠位部分は、長さL1に沿って拡張可能なシース501の遠位端513まで延在するように示される外部カバー層561によってカバーされる。D1は、圧縮する前の状態での拡張可能なシース501の遠位直径を示す。
図46は、圧縮した状態での拡張可能なシース501の遠位部分を示し、その遠位直径D2はD1より小さい。外部カバー層561を、拡張可能なシース501の圧縮していない状態から圧縮した状態に圧縮することは、外部カバー層561、並びに層517及び513(
図44)に沿って折り目563(
図44及び46)の形成をもたらし、圧縮した状態に達すると、その直径が低減することに留意されたい。折り目563間の適度な付着を促進することが望ましい。本明細書で使用される「適度な付着」という用語は、DS構成要素がその管腔を通って前進する前に、拡張可能なシース501を圧縮した状態に維持する構造カバーを形成するのに十分であるが、DS構成要素が管腔を通って前進することが、折り目563(
図44)間の付着部565を破壊又は切り離すのに十分で、それによって拡張可能なシース501の拡張を可能にするのに十分に低い大きさの付着力を指す。
【0125】
外部カバー層561は、拡張可能なシース501のポリマー層513及び517内で同様の折り目が融解して付着されることを回避しながら、外部カバー層561内で適度な付着を伴う折り目563の形成を促進するため、その融解温度TM1が拡張可能なシース100のポリマー層の融解温度TM2よりも低くなるように選択される。
【0126】
いくつかの態様によれば、外部カバー層561は、低密度ポリエチレンである。ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタンなどの当技術分野で即知である他の好適な材料を利用して、外部カバー層561を形成することができる。
【0127】
図45及び
図46は、
図43及び
図44と同様又は同じシースの態様の透視図を示す。外部カバー層561及び拡張可能なシース501は、外部カバー層561の近位端においてそれらの間の円周方向の境界面に沿って第一の温度TM2まで加熱され、円周方向の近位付着領域569を形成した。
【0128】
いくつかの態様によれば、外部カバー層561は、長手方向に方向付けられた付着線に沿ってなど、異なる付着領域で、拡張可能なシース501の外側表面(例えば外側ポリマー層)に付着される。いくつかの態様によれば、外部カバー層561は、複数の円周方向に離間した付着領域569によって拡張可能なシース501の外部表面に付着され、隣接する付着領域間の円周方向の距離は、間に折り目(又はプリーツ)563を形成することを許容するように選択される。付着領域569は、外部カバー層561が、その圧縮した状態又は拡張した状態のいずれかの間、拡張可能なシース501に常に付着された状態に留まることを確実にする。
【0129】
いくつかの態様によれば、外部カバー層561を用いて覆うことは、外層561がシース501の内側層513及び/又は外側層517の予め形成された折り目を覆うように、拡張可能なシース501を圧着した後に実施される。
【0130】
いくつかの態様によれば、折り目563の間の接合は、適度な接着強度を伴う接着に基づく。
【0131】
本明細書に記載されるシースの態様は、親水性若しくは疎水性コーティング、及び/又は表面ブルーミング添加剤若しくはコーティングを含む、様々な潤滑性外側コーティングを含み得る。
【0132】
図27は、管状内側層502を備えるシース500の別の態様を図示する。内側層502は、ナイロンなどの弾性熱可塑性材料から形成され得、管状層502が複数の長くて薄いリブ又は部分506に分割されるように、その長さに沿って複数の切り目又は開裂線504を備えることができる。送達装置10が管状層502を通って前進すると、開裂線504は弾性的に拡張又は開くことができ、これにより、リブ506が離れて広がり、層502の直径が増加して送達装置の収容が可能となる。
【0133】
いくつかの態様では、開裂線504は、菱形、六角形などの様々な幾何学的形状、又はそれらの組み合わせを有する開口部又は切抜き部として構成され得る。六角形の開口部の場合、開口部は、拡張時にシースの短縮を低減するために、比較的長い軸方向寸法を有する不規則な六角形であり得る。
【0134】
シース500は、比較的低いデュロメータ、弾性熱可塑性材料(例えば、Pebax、ポリウレタンなど)を含むことができ、かつ内側ナイロン層に(例えば、熱又は超音波溶接など、接着又は溶接によって)接合できる外側層(図示せず)を備えることができる。内側層502に外側層を付着させることにより、シースの半径方向の拡張及び折り畳みの間、内側層に対する外側層の軸方向移動を低減することができる。外側層はまた、シースの遠位先端を形成し得る。
【0135】
図28は、本明細書に記載されるシースの態様のいずれかと組み合わせて使用することができる編組層600のいくつかの態様を図示する。編組層600は、編組層のフィラメントが一緒に編組される複数の編組部分602、及びフィラメントが編組されず、絡み合うことなく軸方向に延在する非編組部分604を備えることができる。特定の態様では、編組部分602及び非編組部分604は、編組層600の長さに沿って交互にすることができるか、又は任意の他の好適なパターンに組み込まれ得る。編組部分602及び非編組部分604に与えられる編組層600の長さの比率は、編組層の拡張及び短縮特性の選択並びに制御を可能にすることができる。
【0136】
図47は、少なくとも1つの放射線不透過性ストラット又はフィラメントを有する編組層の態様を描写する。拡張可能なシース601及びその拡張可能な編組層621は、図示の目的で、X線蛍光透視法で視覚化されるように、ポリマー層なしで示されている。
図47に示されるように、拡張可能な編組層621は、例えば、拡張可能なシース601の遠位部分において遠位ループ又はアイレットの形態で、遠位クラウン633を形成することができる複数の交差ストラット623を備える。
【0137】
拡張可能なシース601は、例えば腹部大動脈又は大動脈分岐に沿った標的領域まで圧縮する前の状態で前進するように構成されており、その時点で医師は、それ以上の前進を中止し、その管腔を通してDSを導入して、その拡張を促進する必要がある。その目的のために、医師は、拡張可能なシースの前進中にその位置のリアルタイムの指示を受ける必要がある。本開示の態様によれば、拡張可能な編組層621の少なくとも1つの領域において、又はそれに沿って、少なくとも1つの放射線不透過性マーカが提供され、これは放射線蛍光透視下で拡張可能なシースの位置を視覚化できるように構成されている。
【0138】
一態様によれば、遠位クラウン633のうちの少なくとも1つは、放射線不透過性マーカを備える。いくつかの態様によれば、遠位クラウン633は、放射線不透過性マーカとして機能するように構成された、少なくとも1つの金めっきクラウン635(
図47)を備える。金めっきは単なる実施例であり、クラウン635は、タンタル、プラチナ、イリジウム及び同様のものなど、当技術分野で即知である他の放射線不透過性材料を含むことができることは明らかであろう。
【0139】
拡張可能なシース601は、その長さに沿って配設された複数の交差ストラット623を有する拡張可能な編組層621を備えるため、この構造は、放射線不透過性要素のより便利な組み込みのために有利に利用することができる。
【0140】
いくつかの態様によれば、ストラット623は、放射線不透過性コアを有する少なくとも1つの放射線不透過性ストラット625をさらに備える。例えば、(例えば、Fort Wayne Metals Research Products Corp.によって提供され得るような)金コアを備える延伸充填チューブ(DFT)ワイヤは、放射線不透過性ストラット625として機能し得る。
図47は、複数の不透明度の低いストラット又はフィラメント623、並びに放射線不透過性のストラット又はフィラメント625a、625b、及び625cを備える例示的な拡張可能な編組層621を示す。いくつかの事例では、ストラット625a及び625cは、単一のワイヤで作製することができ、ワイヤは、ストラット625aの経路に沿って延在し、遠位クラウン635においてループし、そこからストラット625cの経路に沿って延在する。したがって、DFTワイヤなどの単一のワイヤを利用して、放射線不透過性ストラット625a及び625c、並びに放射線不透過性遠位クラウン635を形成することができる。
【0141】
DFTワイヤなどの放射線不透過性ワイヤはコストがかかり得るため、拡張可能な編組層621は、例えば、それぞれニチノールなどの形状記憶合金及びPETなどのポリマーワイヤで作製され、少なくとも1つの放射線不透過性ストラット625と絡み合った、複数の非放射線不透過性又はより低い放射線不透過性のストラット623を備えることができる(
図47)。
【0142】
いくつかの態様によれば、放射線不透過性ワイヤは、不透過性の低い材料で作製されている外側ポリマー層617又は内側ポリマー層615などのポリマー編組内に埋め込まれている。
【0143】
有利には、拡張可能なシース内に埋め込まれる拡張可能な編組は、放射線透視下でのシースの位置のリアルタイムでの視覚化を向上させるように、その特定の部分に沿って放射線不透過性マーカを組み込むために、本開示に従って利用される。
【0144】
本開示のなおもいくつかの態様によれば、放射線不透過性チューブを、遠位クラウン若しくはループ633にねじ込むか、又は放射線不透過性リベットを、遠位クラウン若しくはループ633に延伸加工して、放射線透視下での視認性を向上させることができる。
【0145】
図36は、(熱収縮チューブ51による圧縮下で、製作プロセス中にマンドレル91上に位置決めされる)拡張可能なシース11のいくつかの態様の長手方向の断面を示す。シース11は編組層21を備えるが、前の態様で記載した弾性層を欠く。収縮手順の間に適用される熱は、内側ポリマー層31及び外側ポリマー層41(ライナー)の少なくとも部分的な融解を促進し得る。いくつかの態様では、内側ライナーと外側ライナーとの間に追加的な層が存在する場合、収縮手順はまた、これらの層の少なくとも部分的な溶融を促進することができる。編組のフィラメントはその間に連続セルを画定するため、内側31及び外側41ポリマー層がセル開口部に融解し、編組層21のフィラメントを覆うと、不均一な外側表面が形成され得る。
【0146】
不均一な表面形成を軽減するために、緩衝ポリマー層61a、61bが、シース11の内側層31と外側層41との間に追加され、シース圧縮中に半径方向に作用する力を均一に分散するように構成されている。第一の緩衝層61aは、内側ポリマー層31と編組層21との間に設置され、第二の緩衝層61bは、外側ポリマー層41と編組層21との間に設置される。いくつかの態様では、緩衝ポリマー層61a及び61bは犠牲的なものであり、後の処理ステップで取り除かれる。
【0147】
緩衝層61a、61bは、多孔性内部領域内にナノポア63(
図37及び
図38)の複数のマイクロポアを有する多孔性材料を含むことができる。そのような材料の1つには、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が含まれるが、これに限定されない。多孔性緩衝層は、圧縮力を十分に広げて内側31及び外側41ポリマー層に沿った不均一な表面形成を防止するのに必要な最小限の厚さh1で有利に形成することができる。厚さh1は、緩衝層の半径方向(内側表面から外側表面まで)で測定され、約80ミクロン~約1000ミクロン(例えば、約80ミクロン、約90ミクロン、約100ミクロン、約110ミクロン、約120ミクロン、約130ミクロン、約140ミクロン、約150ミクロン、約160ミクロン、約170ミクロン、約180ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、約500ミクロン、約550ミクロン、約600ミクロン、約650ミクロン、約700ミクロン、約750ミクロン、約800ミクロン、約850ミクロン、約900ミクロン、約950ミクロン、及び約1000ミクロンを含む)であり得る。いくつかの態様では、厚さh1の範囲は、約110~150ミクロンである。
【0148】
しかしながら、緩衝層がナノポア63の複数のマイクロポアを含む場合(
図37~38)、内側31及び外側41ポリマー層は、製造プロセス中に加熱されると、緩衝層61a、61bのポアに融解され得る。内側31及び外側41ポリマー層が緩衝層61のポア63に融解するのを防ぐために、第一のシーリング層71aは、内側ポリマー層31と第一の緩衝層61aとの間に配置することができ、第二のシーリング層71bは、外側ポリマー層41と第二の緩衝層61bとの間に配置することができる。(
図36に示すように)。シーリング層71a、71bは、ポリマー層31及び41よりも高い融点を有することができ、それを通る流体の流れを防止するために、非多孔性材料(ポリテトラフルオロエチレンなどであるが、これに限定されない)で形成することができる。各シーリング層71(
図37)の厚さh2は、シーリング層の内側表面から外側表面まで半径方向に測定され、例えば、約15~約35ミクロン(約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン、約30ミクロン、及び約35ミクロンを含む)まで、緩衝層61の厚さよりもはるかに薄くすることができる。いくつかの態様では、シーリング層71a及び71bは犠牲的なものであり、後の処理ステップで取り除かれる。
【0149】
上述の理由から有利ではあるが、緩衝材及びシールを追加すると、シース11を組み立てるのに必要な複雑さ及び時間が増加する可能性がある。有利なことに、緩衝及びシール機能の両方を提供するように構成された単一のシールされた緩衝部材を提供することにより(各々が1つの機能を提供するように構成された2つの別個の緩衝層及びシーリング層を提供する代わりに)、シースの組み立て時間が短縮され、プロセスが大幅に簡素化される。本開示の態様によれば、シースの内側及び外側ポリマー層と中央の編組層との間に設置するように構成された、単一のシールされた緩衝部材が提供される。単一のシールされた緩衝部材は、緩衝層、及び半径方向のポア内への漏出/融解を防止するように構成されたシール表面を備える。
【0150】
図37は、シール表面を形成するために、より薄い厚さh2を有する対応するシーリング層71に固定的に付着される、本明細書の上で詳述した幅の厚さh1を有する緩衝層61を備える、単一のシールされた緩衝部材81’の態様を示す。シーリング層71及び緩衝層61は、例えば接着、溶接などによって単一の部材81’を一緒に形成するために、互いに予め組み立てられるか、又は予め付着される。
【0151】
図38は、幅の厚さh1を有する緩衝層61を備える、単一のシールされた緩衝部材81の一態様を示し、緩衝層61は、シース11内に組み立てられたときに内側ポリマー層31又は外側ポリマー層41に面するように構成された、少なくとも1つのシール表面65が提供されている。いくつかの態様によれば、シール表面65は、緩衝層61の表面を流体的にシールするように構成された表面処理によって形成され得る。したがって、シール表面65は、緩衝層61と同じ材料であり得る。
【0152】
本開示のいくつかの態様によれば、
図36に関して上述したように、軸方向の伸長に対する好ましい抵抗が提供されたシースの拡張性を保持するには、最低3層で十分であり得る。これは、シース内に追加の弾性層を組み込む必要性を排除することによって達成され、それによって製造コストを有利に低減させ、製造手順を簡素化することができる。
【0153】
シースは、必ずしも初期直径に戻る必要はないが、弾性層が存在しない場合、弁の通過時に拡張した直径に留まり得る。
【0154】
図39及び
図40は、
図3に示される拡張可能なシース100に類似しているが、弾性層106がない拡張可能なシース101を示す。内側及び外側層103及び109は、拡張中のシース101の軸方向の伸長に抵抗するように構造化し、かつ構成することができる。しかしながら、提案された構成では、弾性層が存在しない結果、シース101は、弁が長手方向に通過した後に必ずしも折り畳まれて初期直径D
1に戻ることなく、弁に近位のシースの部分に沿って拡張した直径に留まる。
図39は、弁の通路に近位の部分に沿って拡張した直径D
2に留まるシース101の概略図である。
【0155】
いくつかの態様では、第一のポリマー層、第一のポリマー層の半径方向外向きの編組層、及び編組層の半径方向外向きの第二のポリマー層を備える、医療装置を展開するための拡張可能なシースが本明細書で提供される。編組層は、一緒に編組された複数のフィラメントを含む。第二のポリマー層は、編組層が第一のポリマー層と第二のポリマー層との間に封入されるように、第一のポリマー層と接合され得る。医療装置がシースを通過するとき、シースの直径は、医療装置の周りで第一の直径から第二の直径に拡張する一方で、第一及び第二のポリマー層は、シースの長さが実質的に一定の状態に留まるように、シースの軸方向の伸長に抵抗する。しかしながら、いくつかの態様によれば、第一及び第二のポリマー層は、軸方向の伸長に抵抗するように必ずしも構成されていない。
【0156】
本開示のいくつかの態様によれば、拡張可能なシースは弾性層を含む。しかし、
図3に示される弾性層106とは異なり、弾性層は実質的な半径方向の力を適用するようには構成されていない。それは依然として、カラム強度をシースに提供するのに役立ち得る。編組の接線方向(直径)の拡張を制限することによって、弾性層は、軸方向での編組及びシースの強度(カラム強度)を強化する。そのため、より高い引張強度(伸張に対する抵抗)を有する弾性材料を使用すると、より大きなカラム強度を有するシースをもたらすことになる。同様に、遊離状態での張力が大きい弾性材料もまた、伸張に非常に抵抗するため、押し出し時のカラム強度が大きいシースをもたらすことになる。任意のらせん状に巻かれた弾性層のピッチは、シースのカラム強度に寄与する別の変数である。追加のカラム強度により、シースが遠位方向への前進時に適用される摩擦力によって自発的に拡張することがなく、送達システムがシースから引き出される際に座屈しないことが確実になる。
【0157】
いくつかの任意選択的な態様では、弾性層は、弾性材料(限定されないが、シリコーン又はTPUなど)に浸漬コーティングすることによって適用することができる。浸漬コーティングは、ポリマー外側層に、又は編組層に適用することができる。
【0158】
したがって、第一のポリマー層、第一のポリマー層の半径方向外向きの編組層、編組層の半径方向外向きの弾性層、及び編組層の半径方向外向きの第二のポリマー層を備える、医療装置を展開するための拡張可能なシースが提供される。編組層は、一緒に編組された複数のフィラメントを含む。弾性層は、シースの軸方向の移動中に周囲の解剖学的構造によってそれに適用される摩擦力による自発的な拡張の座屈に抵抗するのに十分なカラム強度を拡張可能なシースに提供するように構成されている。第二のポリマー層は、編組層が第一のポリマー層と第二のポリマー層との間に封入されるように、第一のポリマー層と接合される。医療装置がシースを通過するとき、シースの直径は、医療装置の周りで第一の直径から第二の直径に拡張する一方で、任意選択的に、第一及び第二のポリマー層は、シースの長さが実質的に一定の状態に留まるように、シースの軸方向の伸長に抵抗する。
【0159】
本開示の一態様によれば、内側ポリマー層、内側ポリマー層と接合された外側ポリマー層、及び内側ポリマー層と外側ポリマー層との間に封入された編組層を備える、3層の拡張可能なシースが提供され、編組層は、弾性コーティングを含む。
【0160】
図41は、拡張可能なシース201の横断面を示す。拡張可能なシース201は、内側及び外側ポリマー層203及び209、並びに編組層205を含む。上記の
図3を参照して記載した弾性層の代わりに、編組層205には、弾性コーティング207が提供される。弾性コーティング207は、
図41に示すように、編組層205のフィラメントに直接的に適用することができる。弾性コーティングは合成エラストマーで作製することができ、弾性層106に関連して記載したものと同様の性質を呈する。
【0161】
いくつかの態様では、第二の外側ポリマー層209は、編組層205及び弾性コーティング207が第一のポリマー層と第二のポリマー層との間に封入されるように、第一の内側ポリマー層203に接合される。さらに、編組フィラメントに直接的に適用される弾性コーティングは、弾性層106と同じ機能を果たす(すなわち、編組層及び第一のポリマー層に半径方向の力を適用する)ように構成されている。
【0162】
図41の態様は、編組層205の全てのフィラメントの全周を覆う弾性コーティング207を示しているが、フィラメントの一部分、例えば、編組層の外側表面を本質的に構成する部分のみが、弾性コーティング207によってコーティングされ得ることが理解されるであろう。
【0163】
代替的又は追加的に、弾性コーティングは、シースの他の層に適用することができる。
【0164】
いくつかの態様では、
図39及び
図40に示されるもののような編組層105は、ニチノールなどであるがこれに限定されない、形状記憶材料又は特定の条件下で超弾性特性を示す材料で作製される自己縮小可能なフレームを有することができる。自己収縮するフレームは、例えば、第一のポリマー層の周りのマンドレル上に設置される前に、シースの初期圧縮直径D1に等しい遊離状態直径を有するように予め設定することができる。自己収縮するフレームは、人工弁などの内部デバイスがシースの管腔を通過する間に、より大きな直径D2に拡張し、弁の通過時に自己収縮して初期直径D1に戻ることができる。いくつかの態様では、編組のフィラメントは、自己収縮するフレームであり、形状記憶材料で作製される。
【0165】
いくつかの態様によれば、拡張可能なシースは、少なくとも1つの拡張可能なシーリング層に付着される、編組された拡張可能な層を含むことができる。いくつかの態様では、編組層及びシーリング層は、拡張可能なシースの2つの層のみである。編組層は、第一の直径に対して受動的又は能動的に拡張可能であり、少なくとも1つの拡張可能なシーリング層は、第一の直径に対して受動的又は能動的に拡張可能である。拡張可能なシーリング層は、上述の態様のいずれにも有用であり、自己収縮するフレーム又はフィラメントを有する編組に特に有利であり得る。
【0166】
編組層は、その全長に沿って拡張可能なシーリング層と付着又は接合させることができ、外科的切開部を通した進入時又は退出時のいずれかでポリマー層に適用され得る摩擦力によって、ポリマー層が編組層から剥がれるリスクが有利に減少する。少なくとも1つのシーリング層は、血管内のシースの通過を容易にするため、及び、又はシースを通して弁を運ぶ送達装置の通過を容易にするために、潤滑性の低摩擦材料を含むことができる。
【0167】
シーリング層は、血流に対して透過性ではない層として定義される。シーリング層は、ポリマー層、膜、コーティング、及び/又はポリマー布などの布を含むことができる。いくつかの態様によれば、シーリング層は、潤滑性の低摩擦材料を含む。いくつかの態様によれば、シーリング層は、血管内のシースの通過を容易にするために、編組層に対して半径方向外向きである。いくつかの態様によれば、シーリング層は、シースを通る医療装置の通過を容易にするために、編組層に対して半径方向に内向きである。
【0168】
いくつかの態様によれば、少なくとも1つのシーリング層は、受動的に拡張可能及び/又は収縮可能である。いくつかの態様では、シースの特定の長手方向位置ではシーリング層が他の位置よりも厚く、シーリング層が薄い他の長手方向位置よりも広い直径で自己収縮する編組層を開いた状態に保持することができる。
【0169】
編組層を、互いに結合した2つのポリマー層の間に封入する代わりに、少なくとも1つの拡張可能なシーリング層と付着させることは、製造工程を簡略化し、コストを削減し得る。
【0170】
いくつかの態様によれば、血管に沿ったシースの通過を容易にし、かつシース内の医療装置の通過を容易にしつつ、編組層を両側からシールするように、外側の拡張可能なシーリング層及び内側の拡張可能なシーリング層の両方に編組層を付着させることができる。かかる態様では、編組層は、第一のシーリング層に付着させることができる一方で、他のシーリング層もまた第一のシーリング層に付着させることができる。例えば、編組層及び内側シーリング層は、各々、外側シーリング層に付着され得るか、又は編組層及び外側シーリング層は、各々、内側シーリング層に付着され得る。
【0171】
いくつかの態様によれば、編組層は、シーリングコーティングによってさらにコーティングされる。これは、編組層が単一の拡張可能な層にのみ付着される構成において有利であり得、コーティングは、拡張可能な層によって覆われていない領域に沿っても、編組層が血流又は他の周囲の組織からシーリングされた状態に留まることを確実にする。例えば、編組層が一方の側でシーリング層に付着されている場合、編組層の他方の側はシーリングコーティングを受容し得る。いくつかの態様では、シーリング層の一方若しくは両方の代わりに、又はそれに加えて、シーリングコーティングを使用することができる。
【0172】
いくつかの態様によれば、医療装置を展開するための拡張可能なシースも開示されている。これらの例示的な態様では、シースは、上述の層、要素、又は材料のいずれかを含み得ることが理解される。また、シースを作製する上述の方法のいずれかを、以下の例示的なシースに開示に適用することができることも理解される。同様に、圧着手順などのプリーツ(折り目)を作製する方法は、以下に開示する例示的なシースにも適用可能である。
【0173】
いくつかの例示的な態様を
図48~52に示す。本明細書に開示される例示的なシースは、近位端及び遠位端、内側表面、及び外側表面を有する。
図48は、こうした例示的なシース901の断面を示す。例示的なシース901(
図48)は、内側表面917及び外側表面915を有する。
【0174】
いくつかの態様では、
図48に示す拡張可能なシース901は、第一の表面及び反対側の第二の表面を有する摩擦の低い内側ライナー903をさらに備え、内側ライナーの第一の表面はシース901の内側表面917を画定する。内側ライナーは、一つ以上のポリマー層を含むことができることが理解される。いくつかの態様では、内側ライナーは二つ以上の層を含むことができる。いくつかの実装形態では、内側ライナーは、例示的な量の2、3、4、5、6、及び7つの層を含む、1~8つの層を含むことができる。当然のことながら、内側ライナーはまた、8層以上の層を含むことができ、例えば、9層、10層、15層、20層、又は25層以上の層を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、ポリマーの層は、製造プロセス中に一緒に溶融され得ることが理解される。
【0175】
いくつかの実装形態では、所望される場合、例えばPTFEなど(図示せず)の追加的な摩擦の低いポリマー層を、内側ライナーの第一の表面上に配置することができる。こうした例示的な態様では、PTFE層はシースの内側表面を画定する。
【0176】
いくつかの実装形態では、例示的なシース901は、第一の表面及び反対側の第二の表面を有する摩擦の低い外側ライナー911をさらに備え、外側ライナーの第二の表面はシース901の外側表面915を画定する。内側ライナー903と同様に、外側ライナー911が一つ以上のポリマー層を含むことができることも理解される。なおも、いくつかの実装形態では、外側ライナー911は、二つ以上のポリマー層を含むことができる。いくつかの実装形態では、外側ライナーは、例示的な量の2、3、4、5、6、及び7つの層を含む、1~8つの層を含むことができる。当然のことながら、外側ライナーはまた、8層以上の層を含むことができ、例えば、9層、10層、15層、20層、又は25層以上の層を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、ポリマーの層は、製造プロセス中に一緒に溶融され得ることが理解される。
【0177】
いくつかの実装形態では、外側ライナー911は、本明細書に開示される親水性コーティングのいずれかをさらに含み得る。
【0178】
シース901は、内側ライナー903の第二の表面の上にあるように、内側ライナー903を半径方向外向きに囲む第一のポリマー層905をさらに備えることができる。本明細書に開示される態様では、第一のポリマー層は、一つ以上の副層を含み得る。なおもいくつかの実装形態では、第一のポリマー層は二つ以上のポリマー副層を含むことができる。例えば、第一のポリマー層は、例示的な量の2、3、4、5、6、及び7つの副層を含む、1~8つの副層を含むことができる。当然のことながら、第一のポリマー層はまた、8層以上の副層を含むことができ、例えば、9層、10層、15層、20層、又は25層以上の副層を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、第一のポリマー層の副層は、製造プロセス中に一緒に溶融され得ることが理解される。
【0179】
いくつかの実装形態では、シース901は、第一のポリマー層905の半径方向外向きに配置される編組層907をさらに含み得る。
【0180】
いくつかの実装形態では、シース901は、編組層907を半径方向外向きに囲む第二のポリマー層909をさらに含み得る。本明細書に開示される態様では、第二のポリマー層は、少なくとも1つの副層又は二つ以上のポリマー副層を含み得る。例えば、第二のポリマー層は、例示的な量の2、3、4、5、6、及び7つの副層を含む、1~8つの副層を含むことができる。当然のことながら、第二のポリマー層はまた、8層以上の副層を含むことができ、例えば、9層、10層、15層、20層、又は25層以上の副層を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、第二のポリマー層の副層は、製造プロセス中に一緒に溶融され得ることが理解される。本明細書に開示されるように、外側ライナー911の第一の表面は、第二のポリマー層909の上にある。
【0181】
図48は、例示的な目的のために分解図として示される。実際には、隣接する層は、互いに接触し、一部の事例では、それらが互いに混合されるか、又は互いを通って延在するように積層される。いくつかの実装形態では、この例示的なシースの層は積層構造を形成する。
【0182】
例えば、限定されるものではないが、本明細書に開示される編組層のいずれかを、編組層907として使用することができる。特定の例示的な態様では、編組層は、一緒に編組された複数のらせん状のマルチフィラーフィラメントを含み得る。こうした態様では、第一のポリマー層905及び第二のポリマー層909は、編組層がこれらの2つのポリマー層の間に封入されるように、編組層907の開放空間を通して互いに熱結合され得る。いくつかの実装形態では、第一のポリマー層905及び第二のポリマー層909はまた、隣接する内側ライナー903及び外側ライナー911に熱結合され得る。こうした態様では、編組層は、シースのすべての層の間に封入される。いくつかの態様では、本明細書に開示されるように、内側ライナー及び外側ライナーは、様々なポリマー材料を含むことができる。特定の態様では、これらのポリマー材料は多孔性であり得る。こうした例示的な態様では、第一及び第二のポリマー層は、製造プロセス中に内側ライナー及び/又は外側ライナーの多孔性材料中に存在するポアの少なくとも一部分を貫通することができる。結果として、シースは、当技術分野で公知の任意の他のシースよりも機械的に安定である。
【0183】
上記に詳細に開示されるように、第一のポリマー層、第二のポリマー層、内側ライナー、及び外側ライナーが編組層を封入するとき、それらは、上記(例えば、
図50A~50B)に示すように、編組層のフィラメントの間の空間を通って互いに接続する(多孔性材料が存在する場合に接着又は貫通する)ことができる。いくつかの実装形態では、シースの層はまた、シースの近位端及び/又は遠位端で一緒に接合(存在する場合、ポア内に接着又は貫通)され得る。
【0184】
いくつかの実装形態では、編組層のフィラメントは、シースのポリマー層に接着されないことが理解される。これにより、フィラメントが、上記に開示した態様と同様に、互いに対して、ならびに第一及び第二のポリマー層に対して、ならびに積層構造のすべてのポリマー層に対して、角度的に移動することが可能になり、編組層の直径、及びそれによってシースの直径が、医療装置の通過時に増加又は減少することが可能になり得る。繰り返しになるが、上記に開示されるように、この例示的なシースでは、フィラメント間の角度θは変化し得、編組層の長さも変化し得る。例えば、角度θが増加するときに、編組層は、縮むことができ、角度θが低減するときに、編組層は、積層構造のポリマー層が接合される領域によって許容される程度まで長くなることができる。しかしながら、編組層はシースのポリマー層に接着されていないため、フィラメント間の角度θの変化に伴う編組層の長さの変化は、シースの長さLに著しい変化をもたらさない。
【0185】
いくつかの実装形態では、この例示的なシースの積層構造は、ねじれ及びバルーニングに対する抵抗を容易にすることができる。
【0186】
いくつかの実装形態では、内側ライナー及び外側ライナーは、上記に開示された材料のいずれかを含むことができる。特定の態様では、内側ライナーは第一の材料を含む。いくつかの実装形態では、外側ライナーは第四の材料を含むことができる。特定の例示的な態様では、第一及び第四の材料は、同一であっても異なっていてもよい。
【0187】
いくつかの態様では、摩擦の低い内側ライナー903及び外側ライナー911の材料(第一及び第四の材料)は、比較的低い摩擦係数を有するが、比較的高い引張強度を有する材料とすることができる。内側ライナー及び/又は外側ライナーは、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満、約0.09未満、約0.08未満、約0.07未満、約0.06未満、約0.05未満、約0.04未満、約0.03未満、約0.02未満、又はさらに約0.01未満の摩擦係数を有することができる。
【0188】
いくつかの例示的な態様では、内側ライナー及び外側ライナー(第一及び第四)の材料は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むことができる。いくつかの実装形態では、UHMWPEは、布、ラミネート、又は多孔性フィルム若しくは膜として存在し得る。例えば、内側ライナー及び外側ライナーは、Dyneema(登録商標)UHMWPEを含むか、又はDyneema(登録商標)UHMWPEから形成され得る。いくつかの態様では、内側ライナー及び外側ライナーは、約20MPaの引張強度を有するDyneema Purity(登録商標)膜を含むか、又はDyneema Purity(登録商標)膜から形成され得る。いくつかの例示的及び非限定的な態様では、内側ライナー及び外側ライナーはまた、コーティングによって形成され得る。こうした態様では、UHMWPEは、例えばポリマー溶液として提供され得る。当技術分野で公知の任意のコーティング方法を利用することができる。例えば、コーティング方法は、浸漬、ドクターブレードコーティング、噴霧などを含み得る。
【0189】
(上記で開示した内容に加えて、又は上記で開示した内容の代わりとして)内側ライナー及び外側ライナーに好適な他の材料には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ナイロン、ポリエチレン、ポリエーテルブロックアミド(例えば、Pebax)、及び/又は上記のいずれかの組み合わせが含まれ得る。繰り返しになるが、これらの材料は当技術分野で公知の任意の形態で提供され得ることが理解される。
【0190】
いくつかの実装形態では、第一のポリマー層及び第二のポリマー層はまた、本明細書に開示される材料のいずれかを含むことができる。いくつかの態様では、第一のポリマー層及び第二のポリマー層は、同一であっても異なっていてもよい。いくつかの態様では、第一のポリマー層は第二の材料を含むことができ、第二のポリマー層は第三の材料を含むことができる。再び、上述のように、第二の材料及び第三の材料は、同一であっても異なっていてもよい。特定の態様では、第二の材料及び/又は第三の材料は、ポリオレフィン又はポリウレタンを含み得る。いくつかの実装形態では、ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、第二の材料及び/又は第三の材料がポリオレフィンである場合、こうしたポリオレフィンは、二方向性ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、又は高密度ポリエチレン(HDPE)、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。第二の材料及び/又は第三の材料がポリウレタンであるいくつかの実装形態では、こうした態様は熱可塑性ポリウレタンを含む。
【0191】
第二及び/又は第三の材料は当技術分野で公知の任意の形態で提供され得ることが理解される。いくつかの態様では、それらはフィルムとして、又は溶液として提供され得る。こうした態様では、材料が溶液として提供される場合、第一及び第二のポリマー材料は、コーティング、例えば、浸漬、噴霧、ドクターブレードコーティングなどによって形成されうる。
【0192】
いくつかの実装形態では、第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度は、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度と実質的に同一であるか、又は異なる。いくつかの実装形態では、第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度は、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度よりも大きくてもよい。いくつかの実装形態では、第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度は、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度よりも小さくてもよい。
【0193】
いくつかの例示的な態様では、内側ライナー903及び外側ライナー911の多孔性構造は、第一のポリマー層905及び第二のポリマー層909が処理中にポア内に流れて層を機械的に一緒に結合することを可能にすることができる。こうした積層構造は、シースがより機械的に安定し、耐久性を有することを可能にする。こうした例示的な態様では、内側ライナー及び外側ライナーは、実質的に同一の積層構造を含まない基準シースの機械的強度よりも高い機械的強度を示し得る。いくつかの実装形態では、本明細書に開示されるシースは、積層構造の非存在下で実質的に同一の基準シースと比較した場合、改善されたカラム強度を示し得る。
【0194】
いくつかの態様では、ライナー903、911は、ライナー又は膜の外観を有する、隣接する第一及び第二のポリマー層の半径方向の厚さと比較して比較的薄くてもよい。例えば、ライナーは、約1ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約10ミクロン、約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン、約30ミクロン、約35ミクロン、及び約40ミクロンを含む、約0.5ミクロン~約40ミクロンの半径厚さの範囲を有し得る。
【0195】
いくつかの実装形態では、
図49に示すように、シースは、シースの周囲の少なくとも一部分に沿って、かつその長さに沿って延在する、複数のプリーツ又はしわを含み得る。例えば、類似のプリーツ(折り目、隆起部を有するしわ、及び谷部126/128)が、
図3に示されている。
図49は、シースの一部分の断面を示す。編組フィラメント907は、内側ライナー903及び外側ライナー911と、それぞれ第一のポリマー905及び第二のポリマー907との間に封入されていることが分かる。隆起部126及び谷部128を有するプリーツは、シースに沿って円周方向に離間している。複数のプリーツのそれぞれは、内側ライナーの少なくとも一部分、及び/又は第一のポリマー層の少なくとも一部分、及び/又は編組層の少なくとも一部分、及び/又は第二のポリマー層の少なくとも一部分、及び/又は外側ライナーの少なくとも一部分を含み得ることが理解される。これらのプリーツは、シースが拡張した状態にあるときに平坦化し、折り畳まれた後に拡張していない状態に戻るように構成される。これらのプリーツは、シースの周囲の周りに、又はシースの長さに沿って、ランダムなパターンを有し得ることが理解される。これらのプリーツは、シースの長さの異なる部分で同じではないランダムな長手方向パターンを有し得ることも理解される。いくつかの実装形態では、複数のプリーツは、中央部分のみに沿って、近位部分のみに沿って、又は遠位部分の近くに沿って、又はそれらの任意の組み合わせに沿って、延び得る。
【0196】
図49に示す通り、いくつかの態様では、複数のプリーツは、シースの一部分のみに沿って、又はシースの全長に沿って、長手方向に延在し得る。シースが折り畳んだ状態(拡張していない状態)にあるとき、円周方向に間隔を置いたプリーツは、谷部128によって互いに円周方向に間隔を置いた複数の隆起部126を形成することができる。これらの円周方向に間隔を置いたプリーツは、規則的又はランダムな方法で長手方向に延在できることが理解される。
【0197】
なおも、いくつかの実装形態では、プリーツは円周方向又は長手方向に望ましい任意のパターンで構造化され得る。シースの長さに沿ったこれらのプリーツは、様々なポリマー層が製造手順中に編組を封入し、編組の拡張の結果として平坦化又は短縮される際に形成されることも理解される。
【0198】
言い換えれば、いくつかの態様では、複数のプリーツは、シースの長さの少なくとも一部分及びシースの周囲の少なくとも一部分に沿って均一に分布し得るが、いくつかの実装形態ではでは、複数のプリーツは、シースの長さの少なくとも一部分及びシースの周囲の少なくとも一部分に沿ってランダムに分布され得る。
【0199】
いくつかの実装形態では、医療装置がシースを通過すると、プリーツの隆起部及び谷部は少なくとも部分的に水平になり、シース壁が半径方向に拡張し、シース又は患者の血管系を損傷することなく、医療装置が通過することを可能にする。局所的に折り畳まれたシースと、局所的に拡張されたシースの写真を、それぞれ
図50A~50Bに示す。
【0200】
図50Aから分かるように、折り畳んだ状態では、シース5002は、角度θを有するフィラメント5100A及び5100B(
図5Bに示すフィラメント類似して配置)を有する編組層を含む。複数のプリーツは、編組層のフィラメントの周りに隆起部5400及び谷部5300を形成する。シースが、
図50Bに示すように拡張した状態5004にあるとき、複数のプリーツは5200に示すように真っ直ぐになり、フィラメント5100A及び5100Bの間の角度θは増大する。角度θは、シースが折り畳んだ状態、部分的に折り畳んだ状態、部分的に拡張した状態、又は拡張した状態のどれであるかに応じて、約10°、約15°、約20°、約25°、約30°、約35°、約40°、約45°、約50°、約55°、約60°、及び約65°の例示的な値を含む、約5°~約70°の任意の値を有し得ることが理解される。
【0201】
図51及び52は、シースの遠位端又は先端を示す。シースの遠位端で、プリーツは、プリーツのより整理された構造を有し得る。シースの先端は編組を含まなくてもよく、したがって、プリーツは編組構造及び状態に依存しないことが理解される。示されるように、先端(又はシースの遠位部分)は、複数の長手方向に延在するプリーツ(折り目)を含み得る。
図51に示すように、シース701の折り畳んだ(拡張していない)壁703は、複数のプリーツ763を含み得る。複数のプリーツのそれぞれは、内側ライナーの少なくとも一部分、第一のポリマー層の少なくとも一部分、第二のポリマー層の少なくとも一部分、及び外側ライナーの少なくとも一部分を含み得ることが理解される。
【0202】
折り目は、
図51に示すように、規則正しい様式で配置することができるが、必ずしもそうではない。いくつかの態様では、製造プロセスは、
図52に示されるように、よりランダムに配置された長手方向に延在する折り目、谷部、及び隆起部につながる。
【0203】
医療装置が先端の内側管腔を通過するについて、シース壁703上に外向きの半径方向の力が適用される。これにより、複数の長手方向に延在するプリーツ763が、部分的又は完全に広がる(又は少なくとも部分的に滑らかになる)(すなわち、単一の長手方向に延在するプリーツは、部分的又は完全に広がる可能性があり、長手方向に延在するプリーツのいくつかは、部分的又は完全に広がる可能性があり、又は長手方向に延在するプリーツの全てが部分的又は完全に開く可能性がある)。
【0204】
いくつかの実装形態では、追加の潤滑性ライナーを使用することができる。こうした態様では、このライナーは、シースの第一の表面に塗布することができ、シースの最も内側表面になる。こうした態様では、この追加の潤滑性ライナーは、内側管腔を通る医療装置の通過を容易にすることができる摩擦係数の低い材料を含むことができる。
【0205】
拡張可能なシースを作製する方法の一例を、
図53に示す。
図53を参照して言及されるすべての材料は、例示にすぎず、本開示に詳述するその他の材料で置換されてもよい。いくつかの実装形態では、工程は、異なる順序を取ってもよい。第一の工程として、初期金属マンドレル(例えば、スすぎレス鋼)は、第一の犠牲予備層(例えば、ePTFE)で巻かれてもよく、随意に第二の犠牲予備層(例えば、PTFE)が続く。初期金属マンドレルの直径+犠牲層の直径は、拡張されたシースの内径にほぼ対応する。犠牲層は、マンドレル又は後続のシース層に接着せず、それによって、初期金属マンドレルからのシース層の最終的な除去を支援する。
【0206】
次に、
図53を参照すると、近位スリーブは、第二の犠牲予備層の近位端の上に位置付けられる。次いで、Dyneema(登録商標)などの第一の材料を含む摩擦の低い内側ライナーは、第二の犠牲予備層及び近位スリーブの遠位端の周りに巻き付けられるか、又は別の方法で位置付けられる。第一の材料は、所望の用途に応じて、一つ以上のポリマー層を形成するために複数回巻かれ得ることが理解される。いくつかの態様では、例えば、
図48~52に示すものにおいて、第一のポリマー層は、第二の材料を内側ライナー(
図49には図示せず)の周りに巻き付ける(又は別の方法で位置付ける)ことによって形成され得る。第一のポリマー層は、実際には、第二の材料を複数回巻き付けることによって形成されるいくつかの副層を含むことができる。次いで、編組層(例えば、ニチノール)が、内側ライナー又は第一のポリマー層の上に位置付けられる。次いで、第二のポリマー層は、第三の材料を編組層の周りに巻き付けることによって形成される。繰り返しになるが、第二のポリマー層は、いくつかの副層を含むことができ、そのそれぞれが第三の材料を複数回巻き付けることによって形成される。特定の態様では、追加の中間層及び副層が存在し得ることが理解される。こうした態様では、これらの中間層及び副層(例えば、シリコーン又はエラストマーバンド、追加のポリマー層、及び/又は放射線不透過性層など)は、所望の用途に応じて、編組層の上又は第二のポリマー層の上に巻き付かれるか、又は別の方法で位置付けられる。摩擦の低い外側ライナーは、第四の材料(例えば、Dyneema(登録商標))を巻き付けるか、又は存在する場合、第四の材料を第二のポリマー層の上若しくは任意の追加の中間層の上に位置付けることによって形成される。摩擦の低い外側ライナーはまた、第四の材料を複数回巻き付けることによって形成された二つ以上の層を含むことができる。
【0207】
図53を引き続き参照すると、次の工程では、遠位先端(例えば、LDPE)は、摩擦の低い外側ライナーの遠位端の上に位置付けられる。ePTFE、PTFE、TPE、及び/又はPVCテープなどの犠牲外側層も、補強層及び遠位先端の上に巻き付けるか、又は別の方法で位置付けることができ、任意選択的に、追加の外側犠牲層(例えば、ePTFE)が続く。これらの犠牲層は、製造プロセス中にシースの完全性を保護するために使用され、最終製品から除去される。
【0208】
次いで、層は、熱収縮ラップによって覆われ、加熱によって積層される。この工程は、ポリマー層が編組層の単位セル内に流れることを可能にする。犠牲外側層は、シース層又は熱収縮ラップに接着せず、したがって、熱収縮ラップの除去を支援する。
【0209】
図53を引き続き参照すると、次の工程では、層はステンレス鋼製マンドレルから除去され、熱収縮ラップ及び犠牲外側層及び犠牲予備層はシース層から除去される。シース層は、可撓性マンドレル(例えば、シリコーン)の上に配置され、圧着されて、長手方向に延在するプリーツを作製する。いくつかの態様では、部分的に完了したシースは、折り畳んだ(拡張していない)シースの内径のサイズとほぼ同じ直径を有する第二の金属マンドレルに移動される。熱収縮チューブ/ラップがシースの外側に適用され、長手方向に延在するプリーツを覆う。次に、長手方向に延在するプリーツは、それらが少なくとも部分的に相互に接合する追加的な加熱工程によって設定される。熱収縮チューブが取り外され、ほぼ完了したシースは第二の金属マンドレルから取り外される。遠位先端はトリミングされ、拡張可能なシースの構造を仕上げるために、近位ハウジングが取り付けられる。
【0210】
開示されたシースの例示的な態様を
図54に示す。この態様では、一つ以上の層を含む第三のポリマー層920は、シースの近位端の少なくとも一部分上に配置され得る。こうした態様の写真が
図55に示されており、L
1は近位部分における第三のポリマー層の長さを示す。こうした態様では、第五の材料は、外側ライナー911の少なくとも一部分の半径方向外向きに巻かれて、第三のポリマー層を形成する。特定の態様では、第五の材料は、外側ライナーの一部分の周りに少なくとも2回巻き付けられる。なおも、いくつかの実装形態では、第五の材料は複数回巻き付けられ、約2~約10層を形成することができる。
【0211】
いくつかの実装形態では、第五の材料は、所望の用途に適した任意の材料とすることができる。しかし、いくつかの実装形態では、第五の材料は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むことができる。いくつかの実装形態では、UHMWPEは、布、ラミネート、又は多孔性フィルム若しくは膜として存在し得る。例えば、第三のポリマー層を形成する第五の材料は、Dyneema(登録商標)UHMWPEを含むか、又はDyneema(登録商標)UHMWPEから形成され得る。いくつかの態様では、第三のポリマー層は、約20MPaの引張強度を有するDyneema Purity(登録商標)膜を含むか、又はDyneema Purity(登録商標)膜から形成され得る。
【0212】
いくつかの例示的及び非限定的な態様では、第三のポリマー層はまた、コーティングによって形成され得る。こうした態様では、UHMWPEは、例えばポリマー溶液として提供され得る。当技術分野で公知の任意のコーティング方法を利用することができる。例えば、コーティング方法は、浸漬、ドクターブレードコーティング、噴霧などを含み得る。
【0213】
当然のことながら、第三のポリマー層が存在する態様では、こうした層は、本明細書に記載され、かつ内側ライナー、第一のポリマー層、編組層、第二のポリマー層、及び外側ライナーを含む積層構造が形成される後に、形成される。
【0214】
いくつかの実装形態では、第五の材料を巻くことによって、又はコーティングするによって、第三のポリマー層が形成された後、構造は、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、及び約145℃の例示的な値を含む、約120℃~約150℃の温度に加熱される。このような温度では、第三の材料は完全に溶融されておらず、したがって、その下のすべての層を貫通するとは予想されず、より具体的には、編組層に接合されるとは予想されない。いくつかの実装形態では、こうした温度では、第三のポリマー層は、外側ライナーに少なくとも部分的に接合される。
【0215】
特定の態様では、第三のポリマー層を上述の温度に曝露する前に、犠牲的な熱チューブが最初に第三のポリマー層上に配置され、次いでシースが高温に曝露される。なおもいくつかの実装形態では、本明細書に記載されるシースを形成するための第三のポリマー層の加熱は、犠牲的な熱チューブの存在なしに実施することができる。
【0216】
第三のポリマー層が外側ライナーの少なくとも一部分に積層されるいくつかの実装形態では、第三のポリマー層の外側表面は、シース上のどの場所でも外側ライナーの外側表面よりも滑らかである。いくつかの実装形態では、第三のポリマー層の外側表面は、シース上のどの場所でも外側ライナーの外側表面よりも粗さが低い。
【0217】
なおもいくつかの実装形態では、第三のポリマー層は、外側ライナーよりも高い空隙率を示す。
【0218】
いくつかの実装形態では、第三のポリマー層によって覆われるシースの近位端の少なくとも一部分は、約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、約6cm、約7cm、約8cm、約9cm、約10cm、約11cm、約12cm、約13cm、及び約14cmの例示的な値を含む、最大約15cmである。
【0219】
いくつかの実装形態では、第三のポリマー層を有するシースの少なくとも一部分が患者の体内に挿入される。こうした態様では、第三のポリマーシースは、不要な失血を防止するために、患者の自然な解剖学的構造と実質的なシールを形成することができる。
【実施例】
【0220】
以下の実施例は、本明細書に特許請求される化合物、組成物、物品、装置、及び/又は方法がどのように作製及び評価され、純粋に例示的であることが意図され、本開示を限定することを意図するものではないか、についての完全な開示及び説明を当業者に提供するように提示される。数字(例えば、量、温度など)に関する正確性を確保するために努力がなされてきたが、いくらかの誤差及び偏差を考慮に入れるべきである。
【0221】
本明細書に開示されるシースの性能を、小さな血管を有する動物モデルで評価した。本明細書に開示されるシースを動作させるのに必要な押力及び引張力を、他の従来の及び市販のシースを動作させるのに必要な押力及び引張力と比較した。動脈及び周辺部への損傷を評価した。
【0222】
本明細書で使用されるシースは、Dyneema(登録商標)内側ライナー及び外側ライナー、ならびに第一及び第二のポリマー層としてキャストポリプロピレン又は低密度ポリエチレンを含んでいた。シースの内径は12 F~14 Fの範囲であった。シースは右大腿動脈又は左大腿動脈のいずれかに挿入され、結果が比較された。
【0223】
試験に使用した動物の平均重量は約105~110kgであり、大腿動脈のサイズは約4.5~5.5mmであった。本明細書に開示されるように、シースは、異なる設計(>60N)を有する市販のシースと比較して、著しく低い押力(25~55N)を必要とすることが見出された。
【0224】
[004] 例示的な態様
記載されるプロセス及び組成物の観点から、本明細書では、本開示の特定のより詳細に記載された態様を以下に説明する。しかしながら、これらの特に記載された態様は、本明細書に記載された異なる又はより一般的な教示を含む何らかの異なる請求項に対して何らかの限定する効果を有すると解釈されるべきではなく、又は「特定の」態様が、そこで文字通りに使用される言語及び式の固有の意味以外の何らかの方法でどうにかして制限されると解釈されるべきではない。
【0225】
実施例1: 近位端及び遠位端、内側表面及び外側表面を有し、一つ以上のポリマー層を含む内側ライナーであって、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、内側ライナーの第一の表面が、シースの内側表面を画定する、内側ライナーと、内側ライナーの半径方向外向きに囲む第一のポリマー層であって、内側ライナーの第二の表面で位置付けられるようにされ、かつ第一のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きに配置された編組層と、編組層の半径方向外向きに囲む第二のポリマー層であって、一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層と、一つ以上のポリマー層を含む外側ライナーであって、外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が第二のポリマー層の上にあり、その中でライナー層の第二の表面がシースの外側表面を画定する、外側ライナーと、を備え、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層及び外側ライナーが積層構造を形成し、医療装置がシースを通過するとき、医療装置の周りでの第一の拡張していない直径から第二の拡張した直径に局所的に拡張する一方で、シースの直径が、第一及び第二のポリマー層がシースの長さが実質的に一定の状態に留まるようにシースの軸方向の伸長に抵抗し、シースが、医療装置の通過後に、第三の直径に弾性的に戻る、医療装置を展開するための拡張可能なシース。
【0226】
実施例2:第三の直径が、第一の拡張していない直径と実質的に類似している、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1に記載の拡張可能なシース。
【0227】
実施例3: 内側ライナーが二つ以上のポリマー層を含み、ポリマー層の各々が約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有する、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~2の拡張可能なシース。
【0228】
実施例4:二つ以上のポリマー層が一緒に積層される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例3に記載の拡張可能なシース。
【0229】
実施例5:外側ライナーが二つ以上のポリマー層を含み、ポリマー層の各々が約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~4に記載の拡張可能なシース。
【0230】
実施例6:二つ以上のポリマー層が一緒に積層される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例5のいずれか一つに記載の拡張可能なシース。
【0231】
実施例7:第一のポリマー層が二つ以上のポリマー副層を含み、ポリマー副層の各々が約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~6に記載の拡張可能なシース。
【0232】
実施例8:二つ以上のポリマー副層が一緒に積層される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例7のいずれか一つに記載の拡張可能なシース。
【0233】
実施例9:第二のポリマー層が二つ以上のポリマー副層を含み、ポリマー層の各々が約0.5ミクロン~約40ミクロンの厚さを有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~8に記載の拡張可能なシース。
【0234】
実施例10:二つ以上のポリマー副層が一緒に積層される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例9のいずれか一つに記載の拡張可能なシース。
【0235】
実施例11:第一のポリマー層がフィルムとして、又はコーティングとして提供される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~10に記載の拡張可能なシース。
【0236】
実施例12:第一のポリマー層の一つ以上の層は、フィルムの一つ以上の層である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例11に記載の拡張可能なシース。
【0237】
実施例13:第一のポリマー層の一つ以上の層は、コーティングの一つ以上の層である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例12に記載の拡張可能なシース。
【0238】
実施例14:第二のポリマー層がフィルムとして、又はコーティングとして提供される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~13に記載の拡張可能なシース。
【0239】
実施例15:第二のポリマー層の一つ以上の層は、フィルムの一つ以上の層である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例14に記載の拡張可能なシース。
【0240】
実施例16:第二のポリマー層の一つ以上の層は、コーティングの一つ以上の層である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例14に記載の拡張可能なシース。
【0241】
実施例17: 拡張可能なシースの近位端の一部分が、一つ以上の層を含み、外側層を半径方向外向きに囲む第三のポリマー層をさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~16に記載の拡張可能なシース。
【0242】
実施例18:第三のポリマー層がフィルムとして、又はコーティングとして提供される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17に記載の拡張可能なシース。
【0243】
実施例19: 第三のポリマー層が、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層、及び外側ライナーが積層構造を形成する後に外側ライナーに塗布される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17又は18に記載の拡張可能なシース。
【0244】
実施例20: 第三のポリマー層の外側表面が、外側ライナーの外側表面よりも実質的に滑らかである、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~19に記載の拡張可能なシース。
【0245】
実施例21: 第三のポリマー層の外側表面が、外側ライナーの外側表面よりも粗さが実質的に低い、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~20に記載の拡張可能なシース。
【0246】
実施例22: 第三のポリマー層が、外側ライナーの空隙率よりも実質的に大きい空隙率を有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~21に記載の拡張可能なシース。
【0247】
実施例23: 第三のポリマー層が、外側ライナーの少なくとも一部分に接合されている、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~22に記載の拡張可能なシース。
【0248】
実施例24: 第三のポリマー層が、編組層に接合されていない、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~23に記載の拡張可能なシース。
【0249】
実施例25: 近位端の一部分が、シースの近位縁から約10mm~約150mmである、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~24に記載の拡張可能なシース。
【0250】
実施例26: 第三のポリマー層が、約2~約10つの層を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~25に記載の拡張可能なシース。
【0251】
実施例27: 第三のポリマー層が、患者の体内への挿入時に患者の自然な解剖学的構造と実質的なシールを形成する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~26に記載の拡張可能なシース。
【0252】
実施例28:内側ライナー及び/又は外側ライナーの一つ以上のポリマー層が、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)ポリマー層を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~27に記載の拡張可能なシース。
【0253】
実施例29:UHMWPポリマー層が多孔性フィルムである、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例28に記載の拡張可能なシース。
【0254】
実施例30:UHMWPポリマーがDyneema(登録商標)である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例28又は29に記載の拡張可能なシース。
【0255】
実施例31:第一のポリマー層が、ポリオレフィン又はポリウレタンを含む少なくとも1つの副層を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~30に記載の拡張可能なシース。
【0256】
実施例32:第二のポリマー層が、ポリオレフィン又はポリウレタンを含む少なくとも1つの副層を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~31に記載の拡張可能なシース。
【0257】
実施例33:ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例31~32に記載の拡張可能なシース。
【0258】
実施例34:ポリプロピレンが、二方向性ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例33に記載の拡張可能なシース。
【0259】
実施例35:ポリエチレンが、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例33に記載の拡張可能なシース。
【0260】
実施例36:ポリオレフィンが、二方向性ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例33に記載の拡張可能なシース。
【0261】
実施例37:ポリウレタンが、熱可塑性ポリウレタンを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例32に記載の拡張可能なシース。
【0262】
実施例38:第三のポリマー層が、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)ポリマー層を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例17~37に記載の拡張可能なシース。
【0263】
実施例39:UHMWPポリマー層が多孔性フィルムである、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例38に記載の拡張可能なシース。
【0264】
実施例40:UHMWPポリマー層がDyneema(登録商標)である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例38又は39に記載の拡張可能なシース。
【0265】
実施例41:第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度が、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度と実質的に同じであるか、又は異なる、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~40に記載の拡張可能なシース。
【0266】
実施例42:第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度が、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度よりも大きい、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~41に記載の拡張可能なシース。
【0267】
実施例43:第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度が、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度よりも小さい、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~41に記載の拡張可能なシース。
【0268】
実施例44:シースの内側表面が実質的に滑らかである、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~43に記載の拡張可能なシース。
【0269】
実施例45:シースが、複数の長手方向に延在するプリーツに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~44に記載の拡張可能なシース。
【0270】
実施例46:複数のプリーツがシースの周囲の少なくとも一部分の周りに延在する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例45に記載の拡張可能なシース。
【0271】
実施例47:複数のプリーツのそれぞれが、内側ライナーの少なくとも一部分、第一のポリマー層の少なくとも一部分、第二のポリマー層の少なくとも一部分、及び外側ライナーの少なくとも一部分を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例45又は46に記載の拡張可能なシース。
【0272】
実施例48:複数のプリーツがシースの長さの少なくとも一部分に沿って延在する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例45~47に記載の拡張可能なシース。
【0273】
実施例49:複数のプリーツがシースの長さの少なくとも一部分及びシースの周りの少なくとも一部分に沿って均一的に分布される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例45~48に記載の拡張可能なシース。
【0274】
実施例50:複数のプリーツがシースの長さの少なくとも一部分及びシースの周りの少なくとも一部分に沿ってランダムに分布される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例45~49に記載の拡張可能なシース。
【0275】
実施例51:複数のプリーツが、複数の円周方向に離間した隆起部及び複数の円周方向に離間した谷部を形成し、医療装置がシースを通過すると、隆起部及び谷部が少なくとも部分的に水平になり、シース壁が半径方向に拡張することを許容する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例45~50に記載の拡張可能なシース。
【0276】
実施例52:第一のポリマー層が、内側ライナーの第二の表面の少なくとも一部分に接合又は接着され、第二のポリマー層が、外側ライナーの第一の表面の少なくとも一部分に接合又は接着される、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~51に記載の拡張可能なシース。
【0277】
実施例53:内側ライナーの一つ以上のポリマー層が多孔性フィルムを含む場合、第一のポリマー層の少なくとも一部分が、内側ライナーの多孔性フィルムの少なくとも一部分内に延在する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例52に記載の拡張可能なシース。
【0278】
実施例54:外側ライナーの一つ以上のポリマー層が多孔性フィルムを含む場合、第二のポリマー層の少なくとも一部分が、外側ライナーの多孔性フィルムの少なくとも一部分内に延在する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例52又は53に記載の拡張可能なシース。
【0279】
実施例55:内側ライナー及び外側ライナーが、積層構造が存在しない場合に、実質的に同一の基準シースの機械的強度よりも高い機械的強度を示す、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例52~54に記載の拡張可能なシース。
【0280】
実施例56:編組層が一緒に編組された複数のらせん状のマルチフィラーフィラメントを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~55に記載の拡張可能なシース。
【0281】
実施例57:複数のらせん状のマルチフィラーフィラメントがニチノールを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56に記載の拡張可能なシース。
【0282】
実施例58:編組層が近位端及び遠位端を有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56又は57に記載の拡張可能なシース。
【0283】
実施例59:編組層が、編組の遠位端で複数の閉ループを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例58に記載の拡張可能なシース。
【0284】
実施例60:編組層の近位端が、シースの近位端に位置付けられる、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例58~59に記載の拡張可能なシース。
【0285】
実施例61:編組層が、編組層の近位端から編組層の遠位端まで延在する長さを有し、編組層の長さが、シースの近位端からシースの遠位端まで測定されるシースの長さよりも短い、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例58~60に記載の拡張可能なシース。
【0286】
実施例62:編組層が1×1の織りパターンを有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~61に記載の拡張可能なシース。
【0287】
実施例63:編組層が2×2の織りパターンを有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~61に記載の拡張可能なシース。
【0288】
実施例64:編組層が2×1の織りパターンを有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~61に記載の拡張可能なシース。
【0289】
実施例65:編組層が自己収縮材料を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~64に記載の拡張可能なシース。
【0290】
実施例66:編組層が、摂氏15度以上の温度で超弾性特性を示す形状記憶材料を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~65に記載の拡張可能なシース。
【0291】
実施例67:複数のフィラメントが弾性コーティングを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~66に記載の拡張可能なシース。
【0292】
実施例68:編組層のフィラメントが、医療装置がシースを通過する際に編組層が、半径方向に拡張する一方で、シースの長さが実質的に一定の状態に留まるように構成されるように、第一及び第二のポリマー層の間で移動可能である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~67に記載の拡張可能なシース。
【0293】
実施例69:シースが折り畳んだ構成にあるとき、編組層のフィラメントが弾性的に屈曲し、第一及び第二のポリマー層が編組層のフィラメント間の複数の開放空間で互いに取り付けられる、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例56~68に記載の拡張可能なシース。
【0294】
実施例70:熱収縮材料から形成され、第一のポリマー層及び第二のポリマー層の少なくとも長手方向部分の上に延在する外側カバーをさらに備え、外側カバーが、一つ以上の長手方向に延在するスリット、弱化した部分、又は開裂線を備える、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~69に記載の拡張可能なシース。
【0295】
実施例71:シースが、弾性外側層をさらに備え、弾性外側層が、シース壁に内向きの半径方向の力を適用し、シースを拡張していない状態に向けて付勢する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~70に記載の拡張可能なシース。
【0296】
実施例72:シースが、積層構造が存在しない場合に、実質的に同一の基準シースと比較して改善されたカラム強度を示す、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~71に記載の拡張可能なシース。
【0297】
実施例73:医療装置が、人工心臓弁である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例1~72に記載の拡張可能なシース。
【0298】
実施例74: 近位端および遠位端、内側表面および外側表面を有し、一つ以上のポリマー層を含む内側ライナーであって、第一の表面および反対側の第二の表面を有し、内側ライナーの第一の表面が、シースの内側表面を画定する、内側ライナーと、内側ライナーの半径方向外向きに囲む第一のポリマー層であって、内側ライナーの第二の表面で位置付けられるようにされ、かつ第一のポリマー層が一つ以上のサブ層を含む、第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きに配置された編組層と、編組層の半径方向外向きに囲む第二のポリマー層であって、一つ以上のサブ層を含む、第二のポリマー層と、一つ以上のポリマー層を含む外側ライナーであって、外側ライナーが、第一の表面および反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が第二のポリマー層の上にあり、その中でライナー層の第二の表面がシースの外側表面を画定する、外側ライナーと、を備え、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層および外側ライナーが積層構造を形成し、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層および外側ライナーが積層構造を形成し、医療装置がシースを通過するとき、シースの直径が、第一および第二のポリマー層がシースの長さが実質的に一定のままであるようにシースの軸方向伸長に抵抗する間、医療装置の周りでの第一の拡張していない直径から第二の拡張した直径に局所的に拡張し、シースが、医療装置の通過後に、第三の直径に弾性的に戻る、医療装置を展開するための拡張可能なシース。
【0299】
実施例75:拡張可能なシースを作製する方法であって、内側ライナーを形成することであって、内側ライナーが一つ以上のポリマー層を含み、内側ライナーが第一の表面及び反対側の第二の表面を有する、内側ライナーを形成することと、第一のポリマー層を形成することであって、第一のポリマー層が内側ライナーの半径方向外向きに位置付けられ、第一のポリマー層が一つ以上の副層を含み、第一のポリマー層が内側ライナーの第二の表面の上にある、第一のポリマー層を形成することと、編組層を第一のポリマー層の半径方向外向きに位置付けることと、編組層の半径方向外向きに位置付けられるようにされ、かつ第二のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層を形成することと、第二のポリマー層の半径方向外向きに外側ライナーを形成することであって、外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が、第二のポリマー層の少なくとも一部分と接触する、外側ライナーを形成することと、内側ライナー、第一のポリマー層、編組層、第二のポリマー層、及び外側ライナーを加熱して積層構造を形成することと、積層構造を圧着して複数の長手方向に延在するプリーツを形成することであって、複数の長手方向に延在するプリーツが、シース積層構造を通った医療装置の通過に伴い拡張するように構成されている、圧着することと、を含む、方法。
【0300】
実施例76:内側ライナーを形成する工程が、第一の材料を初期マンドレルの周りに巻き付けることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75に記載の方法。
【0301】
実施例77:第一の材料が、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)ポリマーフィルムを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75又は76に記載の方法。
【0302】
実施例78:第一の材料を巻き付ける工程が、内側ライナーの二つ以上のポリマー層を形成することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例76又は77に記載の方法。
【0303】
実施例79:UHMWPポリマーフィルムが多孔性である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例77又は78に記載の方法。
【0304】
実施例80:第一のポリマー層を形成する工程が、第二の材料を内側ライナーの第二の表面に半径方向外向きに巻き付けることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~79に記載の方法。
【0305】
実施例81:第二の材料を巻き付ける工程が、第一のポリマー層の二つ以上のポリマー副層を形成することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例80に記載の方法。
【0306】
実施例82:第一のポリマー層を形成する工程が、第一のポリマー層の一つ以上の副層を形成するために、第二の材料の一つ以上の層で内側ライナーの第二の表面をコーティングすることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~81に記載の方法。
【0307】
実施例83:コーティングが、浸漬、噴霧コーティング、ブラシコーティング、ドクターブレードコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例82に記載の方法。
【0308】
実施例84:第二のポリマー層を形成する工程が、第三の材料を編組層に外向きに巻き付けることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~83に記載の方法。
【0309】
実施例85:第三の材料を巻き付ける工程が、第二のポリマー材料の二つ以上のポリマー副層を形成することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例84に記載の方法。
【0310】
実施例86:第二のポリマー層を形成する工程が、第一のポリマー層の一つ以上の副層を形成するために、第三の材料の一つ以上の層で編組層をコーティングすることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~83に記載の方法。
【0311】
実施例87:コーティングが、浸漬、噴霧コーティング、ブラシコーティング、ドクターブレードコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例86に記載の方法。
【0312】
実施例88:第二の材料及び第三の材料が、同一又は異なる、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例81~87に記載の方法。
【0313】
実施例89:第二の材料及び第三の材料が、ポリオレフィン又はポリウレタンを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例81~88に記載の方法。
【0314】
実施例90:ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例89に記載の方法。
【0315】
実施例91:ポリプロピレンが、二方向性ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例90に記載の方法。
【0316】
実施例92:ポリエチレンが、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例91に記載の方法。
【0317】
実施例93:ポリオレフィンが、二方向性ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はその組み合わせを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例92に記載の方法。
【0318】
実施例94:第二の材料及び第三の材料が、熱可塑性ポリウレタンを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例89に記載の方法。
【0319】
実施例95:外側ライナーを形成する工程が、第四の材料を第二のポリマー層の第二の表面に半径方向外向きに巻き付けることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~94に記載の方法。
【0320】
実施例96:第四の材料を巻き付ける工程が、外側層の二つ以上のポリマー層を形成することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例95に記載の方法。
【0321】
実施例97:第四の材料及び第一の材料が、同一又は異なる、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例95又は96に記載の方法。
【0322】
実施例98:第四の材料が、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)ポリマーフィルムを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例95~97に記載の方法。
【0323】
実施例99:UHMWPポリマーフィルムが多孔性である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例98に記載の方法。
【0324】
実施例100:積層構造を形成した後、方法が、シースの近位端の少なくとも一部分に第三のポリマー層を形成することをさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~99に記載の方法。
【0325】
実施例101:第三のポリマー層を形成する工程が、第五の材料を外側ライナーの外側表面に半径方向外向きに巻き付けて、第三のポリマー層の一つ以上のポリマー層を形成することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100に記載の方法。
【0326】
実施例102:第五の材料が、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)ポリマーフィルムを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例101に記載の方法。
【0327】
実施例103:UHMWPポリマーフィルムが多孔性である、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例102に記載の方法。
【0328】
実施例104:シースが約120℃~150℃の温度で加熱されて、第三のポリマー層を外側ライナーの少なくとも一部分に積層する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~103に記載の方法。
【0329】
実施例105:第三のポリマー層の外側表面は、外側ライナーの外側表面よりも実質的に滑らかである、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~104に記載の方法。
【0330】
実施例106:第三のポリマー層の外側表面は、外側ライナーの外側表面よりも粗さが実質的に低い、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~105に記載の方法。
【0331】
実施例107:第三のポリマー層が、外側ライナーの空隙率よりも実質的に大きい空隙率を有する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~106に記載の方法。
【0332】
実施例108:第三のポリマー層が、編組層に接合されていない、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~107に記載の方法。
【0333】
実施例109:近位端の一部分が、シースの近位縁から約10mm~約150mmである、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~108に記載の方法。
【0334】
実施例110:第三のポリマー層が、約2~約10つの層を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~109に記載の方法。
【0335】
実施例111:第三のポリマー層が、患者の体内への挿入時に患者の自然な解剖学的構造と実質的なシールを形成する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例100~110に記載の方法。
【0336】
実施例112:第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度が、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度と実質的に同じであるか、又は異なる、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~111に記載の方法。
【0337】
実施例113:第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度が、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度よりも大きい、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~112に記載の方法。
【0338】
実施例114:第一のポリマー層及び/又は第二のポリマー層の引張強度が、内側ライナー及び/又は外側ライナーの引張強度よりも小さい、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~112に記載の方法。
【0339】
実施例115:積層構造を形成する工程の前に、方法が、外側ライナーの第二の表面の半径方向外向きに第一の熱収縮チューブを位置付けることをさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~114に記載の方法。
【0340】
実施例116:加熱する工程が、内側ライナー、第一のポリマー層、編組層、第二のポリマー層、外側ライナー、及び熱収縮チューブを加熱することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例115に記載の方法。
【0341】
実施例117:積層構造を形成した後で第一の熱収縮チューブを取り外すことをさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例116に記載の方法。
【0342】
実施例118:加熱する工程の後、方法が、積層構造を以前の初期マンドレルから取り外すことを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~117に記載の方法。
【0343】
実施例119:圧着する工程が、積層構造を第二のマンドレル上に位置付けることを含み、第二のマンドレルが第一のマンドレルと同一であるか、又は異なり、積層構造を圧着して複数の長手方向に延在するプリーツを形成する、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~118に記載の方法。
【0344】
実施例120:複数の長手方向に延在するプリーツの半径方向外向きに第二の熱収縮チューブを位置付けることと、複数の長手方向に延在するプリーツ及び第二の熱収縮チューブを有する積層構造を加熱して、複数の長手方向に延在するプリーツを少なくとも部分的に相互に接合させることと、をさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例119に記載の方法。
【0345】
実施例121:第二の熱収縮チューブを取り外すことをさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例120に記載の方法。
【0346】
実施例122:加熱する工程が、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層、及び外側ライナーを一緒に少なくとも部分的に接合することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~121に記載の方法。
【0347】
実施例123:加熱する工程が、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層、及び外側ライナー内に編組層を少なくとも部分的に封入することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~122に記載の方法。
【0348】
実施例124:加熱する工程が、多孔性の第一の材料を少なくとも部分的に貫通する第二の材料を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例80~123に記載の方法。
【0349】
実施例125:加熱する工程が、多孔性の第四の材料を少なくとも部分的に貫通する第三の材料を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例84~124に記載の方法。
【0350】
実施例126:内側ライナーを形成する前に一つ以上の内側犠牲層を位置付けることと、複数の長手方向に延在するプリーツを作製する前に一つ以上の内側犠牲層を除去することと、をさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~125に記載の方法。
【0351】
実施例127:外側ライナーを形成する後に外側ライナーを半径方向外向きに一つ以上の外側犠牲層を位置付けることと、複数の長手方向に延在するプリーツを作製する前に一つ以上の外側犠牲層を除去することと、をさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~126に記載の方法。
【0352】
実施例128:編組層に隣接して緩衝層を位置付けることと、後の処理工程で緩衝層を取り外すことと、をさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~127に記載の方法。
【0353】
実施例129:シーリング層を緩衝層に適用することをさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例128に記載の方法。
【0354】
実施例130:編組層が一緒に編組された複数のらせん状のマルチフィラーフィラメントを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~129に記載の方法。
【0355】
実施例131:複数のらせん状のマルチフィラーフィラメントがニチノールを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例130に記載の方法。
【0356】
実施例132:方法が弾性コーティングを複数のらせん状のマルチフィラーフィラメントに適用することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例130又は131に記載の方法。
【0357】
実施例133:第一のポリマー層を半径方向外向きに編組層に配置する前に、編組層を収縮した直径に設定することをさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~132の方法。
【0358】
実施例134:医療装置が形成されたたシースを通過するとき、シースの直径は、医療装置の周りで第一の拡張していない直径から第二の拡張した直径に局所的に拡張する一方で、第一及び第二のポリマー層が、シースの長さが実質的に一定の状態に留まるように、シースの軸方向の伸長に抵抗し、医療装置の通過後にシースが第三の直径に弾性的に戻る、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例75~133に記載の方法。
【0359】
実施例135:拡張可能なシースを作製する方法であって、内側ライナーを形成することであって、内側ライナーが一つ以上のポリマー層を含み、内側ライナーが第一の表面及び反対側の第二の表面を有する、内側ライナーを形成することと、第一のポリマー層を形成することであって、第一のポリマー層が内側ライナーの半径方向外向きに位置付けられ、第一のポリマー層が一つ以上の副層を含み、第一のポリマー層が内側ライナーの第二の表面の上にある、第一のポリマー層を形成することと、編組層を第一のポリマー層の半径方向外向きに位置付けることと、編組層の半径方向外向きに位置付けられるようにされ、かつ第二のポリマー層が一つ以上の副層を含む、第二のポリマー層を形成することと、第二のポリマー層の半径方向外向きに外側ライナーを形成することであって、外側ライナーが、第一の表面及び反対側の第二の表面を有し、外側ライナーの第一の表面が、第二のポリマー層の少なくとも一部分と接触する、外側ライナーを形成することと、内側ライナー、第一のポリマー層、編組層、第二のポリマー層、及び外側ライナーを加熱して積層構造を形成することと、積層構造を圧着して複数の長手方向に延在するプリーツを形成することであって、複数の長手方向に延在するプリーツが、シースを通った医療装置の通過に伴い拡張するように構成されている、圧着することと、次いで、第三のポリマー層を外側ライナーの少なくとも一部分に半径方向外向きに形成し、第三のポリマー層が一つ以上のポリマー層を含む、形成することと、を含む、方法。
【0360】
実施例136:人工装置を処置部位に送達する方法であって、拡張可能なシースを患者の脈管構造内に少なくとも部分的に挿入することであって、拡張可能なシースが、内側ライナー、内側ライナーの半径方向外向きの第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きの編組層と、編組層の半径方向外向きの第二のポリマー層と、外側ライナーと、を備え、シースが複数の長手方向に延在するプリーツを含む、挿入することと、シースの内側ライナーの第一の表面によって画定される内側管腔を通して医療装置を前進させることであって、医療装置が、シースの内側ライナーに外向きの半径方向の力を加える、前進させることと、シースを拡張されていない状態から局所的に拡張した状態に局所的に拡張することと、シースの局所的拡張中に、複数の長手方向に延在するプリーツを少なくとも部分的に広げることであって、複数の長手方向に延在するプリーツのそれぞれが、複数の半径方向に配置された層の少なくとも一部分を組み込む、広げることと、医療機器の通過後に、シースを局所的に拡張した状態から拡張していない状態に少なくとも部分的に折り畳むことと、を含む、方法。
【0361】
実施例137:人工装置を処置部位に送達する方法であって、拡張可能なシースを患者の脈管構造内に少なくとも部分的に挿入することであって、拡張可能なシースが、内側ライナー、内側ライナーの半径方向外向きの第一のポリマー層と、第一のポリマー層の半径方向外向きの編組層と、編組層の半径方向外向きの第二のポリマー層と、外側ライナーと、外側ライナーの少なくとも一部分の半径方向外向きに配置された第三のポリマー層と、を備え、シースが複数の長手方向に延在するプリーツを含む、挿入することと、シースの内側ライナーの第一の表面によって画定される内側管腔を通して医療装置を前進させることであって、医療装置が、シースの内側ライナーに外向きの半径方向の力を加える、前進させることと、シースを拡張されていない状態から局所的に拡張した状態に局所的に拡張することと、シースの局所的拡張中に、複数の長手方向に延在するプリーツを少なくとも部分的に広げることであって、複数の長手方向に延在するプリーツのそれぞれが、複数の半径方向に配置された層の少なくとも一部分を組み込む、広げることと、医療機器の通過後に、シースを局所的に拡張した状態から拡張していない状態に少なくとも部分的に折り畳むことと、を含む、方法。
【0362】
実施例138:シースを拡張していない状態から局所的に拡張した状態に局所的に拡張することが、編組層の複数のフィラメントを少なくとも部分的に真っ直ぐにすることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例136又は137に記載の人工装置を送達する方法。
【0363】
実施例139:シースを局所的に拡張することが、複数の長手方向に延在するプリーツを少なくとも部分的に滑らかにすることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例136~138に記載の人工装置を送達する方法。
【0364】
実施例140:シースを局所的に折り畳むことが、複数の半径方向に配設された層上に内向きの半径方向の力を方向付けることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例136~139に記載の人工装置を送達する方法。
【0365】
実施例141:シースを局所的に折り畳むことが、内向きの半径方向の力を方向付けるが、複数の半径方向に配設された層を管状の外側弾性層によって圧縮することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例140に記載の人工装置を送達する方法。
【0366】
実施例142:複数の半径方向に配設された層上に内向きの半径方向の力を方向付けることが、内側ライナー、第一のポリマー層、第二のポリマー層、及び外側ライナーの移動を編組層の移動と結合することを含み、編組層が自己収縮材料を含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例140又は141に記載の人工装置を送達する方法。
【0367】
実施例143:シースを局所的に折り畳む工程が、編組層の複数のフィラメントを座屈することを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例136~142に記載の人工装置を送達する方法。
【0368】
実施例144:医療装置を前進させることが、シースの内側ライナーの第一の最も内側の表面によって画定される内側管腔を通して人工心臓弁を前進させることを含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例136~143に記載の人工装置を送達する方法。
【0369】
実施例145:人工心臓弁を処置部位に導入し、処置部位内で人工心臓弁を拡張することをさらに含む、本明細書の実施例のいずれか一つ、特に実施例144に記載の人工装置を送達する方法。
【0370】
本出願全体を通して、様々な刊行物及び特許出願が参照される。これらの刊行物の開示内容は、本開示が関係する技術状態をより完全に説明するために、その全体が参照により本願に組み込まれる。しかしながら、本明細書において参照により組み込まれるとされる特許、刊行物、又はその他の開示資料の全部又は一部は、組み込まれた資料が本開示に定める既存の定義、声明、又はその他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを理解されたい。そのため、及び必要な範囲で、本明細書に明示的に記載される本開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の相反する材料に優先する。参照により、本明細書に組み込まれるとされるが、本明細書に記載される既存の定義、声明、又はその他の開示資料と矛盾する任意の資料又はその一部は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間にいかなる矛盾も生じない程度でのみ、組み込まれるものとする。
【国際調査報告】