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  • 特表-組成物及びその使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240725BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506982
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022038623
(87)【国際公開番号】W WO2023014565
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/229,745
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ティン-カイ
(72)【発明者】
【氏名】フー、ピン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ヤンナン
(72)【発明者】
【氏名】ピアオ、ホン
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA21
5F057AA28
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA03
5F057EA33
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤;少なくとも1種の銅除去速度抑制剤;少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤;及び水性溶媒を含む組成物に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤と;
少なくとも1種の銅除去速度抑制剤と;
少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤と;
水性溶媒と、を含み、
約7~約14のpHを有する、
組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤は、硝酸、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、リン酸、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ルビジウム、リン酸セシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アンモニウム、硫酸、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、チオシアン酸、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される酸又はその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤は、前記組成物の約0.001重量%~約10重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第一ルテニウム除去速度向上剤とは化学的に異なる少なくとも1種の第二ルテニウム除去速度向上剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の第二ルテニウム除去速度向上剤は、エチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸一水和物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、並びにこれらの塩及び混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の第二ルテニウム除去速度向上剤は、前記組成物の約0.001重量%~約10重量%の量である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の金属酸化物除去剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の金属酸化物除去剤は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ジメチルアミノ-2-メチルプロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-4-オクタノール、アミノプロピルジエタノールアミン、2-[(3-アミノプロピル)メチルアミノ]エタノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、2-ジメチルアミノエタノール、システアミン、L-システイン、N-アセチル-L-システイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の金属酸化物除去剤は、前記組成物の約0.01重量%~約40重量%の量である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の銅除去速度抑制剤は、アゾール類、プリン類、又はピリミジン類を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の銅除去速度抑制剤は、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、1-エチルベンゾトリアゾール、1-プロピルベンゾトリアゾール、1-ブチルベンゾトリアゾール、5-ブチルベンゾトリアゾール、1-ペンチルベンゾトリアゾール、1-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-ヘキシルベンゾトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、5,6-ジクロロベンゾトリアゾール、1-(クロロメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、クロロエチルベンゾトリアゾール、フェニルベンゾトリアゾール、ベンジルベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アミノベンゾイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、アミノテトラゾール、アデニン、キサンチン、シトシン、チミン、ウラシル、9H-プリン、グアニン、イソグアニン、ヒポキサンチン、ベンゾイミダゾール、チアベンダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-アミノベンゾイミダゾール、2-アミノ-5-エチル-1,3,4-チアジアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルピラゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の銅除去速度抑制剤は、前記組成物の約0.001重量%~約10重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤は、非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記低誘電率材除去速度抑制剤は、アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、トリスチリルフェノールアルコキシレート、ソルビタンエステルアルコキシレート、ポリアルコキシレート、ポリアルキレンオキシドブロック共重合体、テトラヒドロキシオリゴマー、アルコキシル化ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤は、前記組成物の約0.001重量%~約10重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記pHは、9~13である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
約0.2重量%以下の研摩粒子を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
研摩粒子を実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
硝酸、硝酸塩、リン酸、リン酸塩、チオシアン酸、チオシアン酸塩、硫酸、硫酸塩、ハロゲン化水素、及びハロゲン化物塩からなる群から選択される少なくとも1種の酸又はその塩と;
アゾール類、プリン類、及びピリミジン類からなる群から選択される少なくとも1種の複素環式化合物と;
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と;
水性溶媒と、
を含み、
約7~約14のpHを有する、
組成物。
【請求項20】
窒素並びに酸素及び硫黄の少なくとも一方を含む少なくとも1種の化合物を更に含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
ポリッシング工具において被研磨(polished)基板の表面上にルテニウム又はその合金を含む前記基板に請求項1に記載の組成物を塗布すること;並びに
パッドを前記基板の表面と接触させて、前記パッドを前記基板に対して移動させて、リンス被研磨基板を形成すること、
を含む、方法。
【請求項22】
前記ポリッシング工具から前記洗浄された基板を取り出すこと、及び、洗浄工具において前記洗浄されたリンス被研磨基板をCMP後洗浄することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記基板から半導体素子を形成することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年8月5日に出願された米国特許仮出願第63/229,745号の優先権を主張し、その開示は、その全体を参照することにより本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体産業は、プロセス及び集積イノベーションによる素子の更なる微細化によりチップ性能を向上するべく継続的に駆り立てられている。化学的機械的研磨/プラナリゼーション(CMP)は、トランジスターレベルにおける多くの複雑な集積スキームを可能とし、それによりチップ密度増加を促進するので、強力な技術である。
【0003】
CMPは、表面ベースの化学反応と同時に摩耗ベースの物理的プロセスを用いた材料の除去によりウエハ表面を平坦化する/平らにする(planarize/flatten)ために使用されるプロセスである。総じて、CMPプロセスは、ウエハ表面を研磨パッドと接触させてウエハに対して研磨パッドを動かしながらウエハ表面にCMPスラリー(例えば、水性化学処方物)を塗布することを含む。CMPスラリーは、研磨剤成分及び溶解された化学成分を通常含み、これらは、CMPプロセス中スラリー及び研磨パッドと相互作用するウエハ上に存在する材料(例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電材料)に依存して大きく異なり得る。
【0004】
CMP処理後、被研磨(polished)ウエハは、通常、高圧リンスと一般的に呼ばれる脱塩水を用いたリンスを行って、いずれの化学反応をも停止し、CMP処理工程後に被研磨ウエハ上に残った水混和性成分(例えば、pH調整剤、有機成分、及び酸化剤)及び副産物(例えば、CMP中に除去されたイオン性金属又はパッドデブリ)を除去する。しかしながら、脱塩水リンス後でさえ、様々な汚染物質が被研磨ウエハの表面上に残留する可能性がある。汚染物質は、例えば、CMPスラリーからの粒状研磨剤、パッドからの有機残留物又はスラリー成分、及びCMPプロセス中ウエハから除去された材料を含む可能性がある。被研磨ウエハの表面上に残った場合、これらの汚染物質は、更なるウエハ処理工程中の不具合及び/又は素子性能低下をもたらす可能性がある。したがって、汚染物質は、被研磨ウエハが更なる処理を予想通りに行えるように、及び/又は最適な素子性能を得るように、効果的に除去される必要がある。
【0005】
一般的に、CMP(及び脱塩水リンス)後のウエハ表面上のこれらのポリッシング後汚染物質又は残留物の除去方法は、CMP後(P-CMP)洗浄溶液を用いて行う。P-CMP洗浄溶液を、ブラシスクラバー又はスピンリンスドライ装置を用いて被研磨ウエハに塗布する(すなわち、ウエハは、CMPポリッシング工具から取り出され、P-CMP洗浄のための異なる装置に移動される)。それにもかかわらず、先端ノード半導体製造における複雑な集積スキーム及び微細化では、伝統的なP-CMP洗浄は、被研磨ウエハから汚染物質を充分に除去するためには不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体チップ製造では、ウエハ表面上の欠陥は、世界的にチップ会社の売上高と純利益を決定するウエハの収率の鍵である。典型的なウエハは、約1000のプロセスを経た後にチップが製造され、個々のダイはウエハから切断される。これらのプロセスの各々において、欠陥は、プロセス前及びプロセス後にモニターされる。CMPは、チップ製造において重要な工程である。しかしながら、CMP工程は、かなり多くの欠陥をウエハにもたらす。上記のように、図1に示される従来のワークフローは、先端ノード半導体製造では汚染物質の除去において充分でないと実証されている。本開示は、ポリッシャーリンス組成物及びポリッシング工具上の被研磨基板それ自体(すなわち、ポリッシング工具から被研磨基板を取り出さないで)の処理方法に関する。本開示に係るポリッシャーリンス組成物を用いた方法の一般ワークフローを図2に示し、本開示において後で詳細に説明する。したがって、本開示は、ウエハ欠陥を減らすだけでなくチップ製造にとって重要な様々な他の電気化学的性質を提供するポリッシャーリンス組成物及び方法を論じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、本開示は、少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤;少なくとも1種の銅除去速度抑制剤;少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤;及び水性溶媒を含み、約7~約14のpHを有する、組成物を特徴とする。
【0008】
別の態様では、本開示は、硝酸、硝酸塩、リン酸、リン酸塩、チオシアン酸、チオシアン酸塩、硫酸、硫酸塩、ハロゲン化水素、及びハロゲン化物塩からなる群から選択される少なくとも1種の酸又はその塩と;アゾール類、プリン類、及びピリミジン類からなる群から選択される少なくとも1種の複素環式化合物と;少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と;水性溶媒と、を含み、約7~約14のpHを有する、組成物を特徴とする。
【0009】
更に別の態様では、本開示は、ポリッシング工具において被研磨基板の表面上のルテニウム又はその合金を含む前記基板に開示されている組成物(例えば、ポリッシャーリンス組成物)を塗布すること;並びにパッドを前記基板の表面と接触させて、前記パッドを前記基板に対して移動させて、リンス被研磨基板を形成すること、を含む、方法を特徴とする。
【0010】
この概要は、詳細な説明で更に記載されている概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求されている主題の重要な又は必須の特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求されている主題の範囲を限定する目的として使用することを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、従来のCMP及びP-CMP洗浄プロセスのワークフロー図である。
図2図2は、CMP及び、任意選択の、CMPプロセス後本明細書に記載されているリンス組成物を組み込んだP-CMP洗浄プロセスのワークフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示されている実施形態は、総じて、基板がポリッシング工具(例えば、CMPポリッシング工具)上にまだある間に基板を洗浄するためのリンス組成物及び前記組成物の使用方法に関する。詳細には、リンス組成物を使用して、CMPプロセス直後に洗浄することができ、これらのリンス組成物は、本明細書では、「リンスポリッシュ」、「バフケミカル」、又は「ポリッシャーリンス」組成物と呼ぶことがある。加えて、本明細書に記載されているリンス組成物は、エッチングプロセス後、アッシングプロセス後、メッキプロセス後、又は従来のP-CMP洗浄プロセス(すなわち、ポリッシング工具から分離した装置を用いて行うプロセス)においてさえ基板表面からの残留物及び/又は汚染物質の除去における使用を見出すこともできる。
【0013】
本明細書で定義されているように、残留物及び/又は汚染物質は、洗浄しようとする基板を研磨するために使用されてきたCMPポリッシング組成物中に存在する成分(例えば、研摩剤、分子成分、ポリマー、酸、塩基、塩、界面活性剤)、基板及びポリッシング組成物間及び/又はポリッシング組成物の成分間の化学反応の結果としてCMPプロセス中に生成される化合物、研磨パッドデブリ粒子(例えば、ポリマーパッドの粒子)、ポリッシング副産物、有機若しくは無機残留物(例えば、CMPスラリー又はCMPパッドからの残留物)、CMPプロセス中に遊離された基板(又はウエハ)粒子、並びに/又はCMPプロセス後基板上に堆積することが知られている他の除去可能な物質を含む可能性がある。
【0014】
図1は、従来のCMP及びP-CMP洗浄プロセスのワークフロー図である。CMP工程は通常ポリッシング工具で行われ、少なくとも、ポリッシングチャンバー(研磨パッド、研磨プラテン、及び研磨ヘッド)、洗浄チャンバー、及び乾燥チャンバーを含む。工程100では、CMPを必要とする基板を、例えば、リソグラフィ後に製造し、及び/又は材料を基板上に堆積する。例えば、堆積される材料は、金属又は誘電材料であり得、基板は、シリコンウエハであり得る。工程102では、化学的機械研磨を、ポリッシング工具のポリッシングチャンバー中で行う。例えば、ウエハを、ポリッシングチャンバー中の研磨ヘッドに送達し、CMP前に真空により研磨ヘッドに取り付けることができる。次いで、ヘッドは、ウエハを研磨パッド上に押圧させ、ウエハを回転し、CMP中にウエハに適切な圧をかけることができる。不必要な堆積物質を除去し、基板上の堆積された材料の表面を平坦化するためにCMPを行う。CMP後、工程104では、被研磨基板(「被研磨基板」は、CMP方法を用いて研磨された基板として定義される)を、脱塩(DI)水でリンスする。この工程は、被研磨基板上に残ったデブリ及び残留物を洗浄(washing)/洗浄(cleaning)する助けとなり、ポリッシング直後より穏やかなポリッシング条件(例えば、より小さいダウンフォース及び回転速度)を用いてポリッシング工具のポリッシングチャンバー中で行うと一般に考えられる。しかしながら、理論に束縛されることを望まないが、CMPポリッシング組成物(非常に酸性又は非常にアルカリ性であり得る)からDI水への劇的なpH変化は、デブリ/残留物の一部を、効果的に被研磨基板表面によりしっかりと固着させ得る何かの有害な化学現象を起こさせる可能性がある。その後、工程106において一旦被研磨基板をポリッシング工具から取り出して従来のP-CMP洗浄装置に移動し、工程108において洗浄すると、このよりしっかりと結合されたデブリ/残留物は従来のP-CMP洗浄プロセスを用いて除去するのがずっとより困難である。任意選択で、工程108における従来のP-CMP洗浄後、被研磨基板を、工程100、工程102、工程104、工程106、及び工程108を反復するワークフロー103に付すことができる。工程108後に更なるリソグラフィ/堆積及びCMPを望まない場合は、被研磨基板を、その後の半導体製造プロセスで使用することができる。
【0015】
図2は、CMPプロセスと任意選択のP-CMPプロセスとの間の本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物を組み込む本発明の方法の一例のワークフロー図である。工程200では、CMPを必要とする基板は、例えば、基板上へのリソグラフィ及び/又は材料の堆積後に製造される。工程202では、化学的機械研磨を、ポリッシング工具のポリッシングチャンバー中で行う。CMP後、工程204において、被研磨基板を本明細書に開示されているようにポリッシャーリンス組成物を用いてリンスする。いくつかの実施形態では、簡単な(例えば、数秒以下)DI水リンスをCMP直後に被研磨基板に適用する。この簡単なDI水リンスは、装置ライン、パッド、及び被研磨基板からあらゆる残存CMPポリッシング組成物を除き、あらゆる大きいデブリを洗い流すことができる。本明細書で言及されているように、工程204におけるプロセスは、「リンスポリッシングプロセス」とも呼ぶ。工程204におけるリンスを、被研磨基板がポリッシング工具のポリッシングチャンバー中になお存在する間に被研磨基板に対して行う(例えば、ポリッシングチャンバー中の研磨ヘッドに取り付けられ、研磨パッドに面しながら)。いくつかの実施形態では、工程204において、研磨パッドが被研磨基板と接触して基板に対して動くのと同時に、ポリッシャーリンス組成物を被研磨基板に塗布する(すなわち、研磨パッドは、CMPプロセス中そうなるように使用される)。CMP工程と工程204におけるリンスポリッシュとの主な違いの1つは、基板に塗布されるポリッシャーリンス組成物が研摩粒子を実質的に含まないか、又はCMPスラリー組成物が含むよりずっと少量の研摩粒子(下記詳述されている)を含むことである。したがって、工程204において被研磨基板から除去される物質は、主に、ポリッシング工程からのデブリ/残留物であり、被研磨基板上に維持されることが意図された堆積された基板物質ではない。
【0016】
いくつかの実施形態では、被研磨基板上で使用されるポリッシャーリンス組成物は、被研磨基板をポリッシュするために使用されるCMP組成物のpH値と約±3以下(例えば、約±2.5以下、約±2以下、約±1.5以下、約±1以下、又は約±0.5以下)のpH値差を有する。いくつかの実施形態では、基板をポリッシュするために使用されるCMP組成物のpH値が酸性であった場合、ポリッシャーリンス組成物のpH値は酸性であり得、又は、基板をポリッシュするために使用されるCMP組成物のpH値が塩基性であった場合、ポリッシャーリンス組成物のpH値は塩基であり得る。いくつかの実施形態では、ポリッシャーリンス組成物のpH値は、被研磨基板をポリッシュするために使用されるCMPポリッシングスラリーのpH値と実質的に同じであり得る。理論に束縛されるものではないが、CMPポリッシュ組成物及びポリッシャーリンス組成物に対して同様なpH値を使用することは、結果として、リンス液として単純なDI水を使用するより、被研磨基板上に取ったデブリ/残留物を効果的に除去することができると考えられる。
【0017】
リンスされた被研磨基板を、工程206においてポリッシング工具から取り出し、工程208における従来のP-CMP洗浄のために洗浄装置に移動する。任意選択で、工程208における従来のP-CMP洗浄後、被研磨基板を工程200、工程202、工程204、工程206、及び工程208を反復するワークフロー203に付すことができる。工程208後に更なる堆積及びCMPを望まない場合、被研磨基板を後続の半導体製造プロセスで使用することができる。
【0018】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で第一ルテニウム除去速度向上剤と異なる少なくとも1種の第二ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で少なくとも1種の金属酸化物除去剤、少なくとも1種の銅除去速度抑制剤、少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤、及び水性溶媒を含む。1又は複数の実施形態では、本開示のポリッシャーリンス組成物は、約0.001重量%~約10重量%の少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で約0.001重量%~約10重量%の少なくとも1種の第二ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で約0.01重量%~約40重量%の少なくとも1種の金属酸化物除去剤、約0.001重量%~約10重量%の少なくとも1種の銅除去速度抑制剤、約0.001重量%~約10重量%の少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤、及び残りの重量パーセント(例えば、約20重量%~約99.99重量%)の水性溶媒(例えば、脱塩水)を含むことができる。
【0019】
1又は複数の実施形態では、本開示は、水で希釈して、最大5倍、又は最大10倍、又は最大20倍、又は最大50倍、又は最大100倍、又は最大200倍、又は最大400倍、又は最大800倍、又は最大1000倍のユースポイント(POU)組成物を得ることができる濃縮ポリッシャーリンス組成物を提供する。他の実施形態では、本開示は、ポリッシング工具で基板表面を洗浄するために直接使用することができるユースポイント(POU)ポリッシャーリンス組成物を提供する。
【0020】
1又は複数の実施形態では、POUポリッシャーリンス組成物は、約0.001重量%~約1重量%の少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で約0.001重量%~約1重量%の少なくとも1種の第二ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で約0.01重量%~約10重量%の少なくとも1種の金属酸化物除去剤、約0.001重量%~約1重量%の少なくとも1種の銅除去速度抑制剤、約0.001重量%~約1重量%の少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤、及び残りの重量パーセント(例えば、約80重量%~約99.99重量%)の水性溶媒(例えば、脱塩水)を含むことができる。
【0021】
1又は複数の実施形態では、濃縮ポリッシャーリンス組成物は、約0.01重量%~約10重量%の少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で約0.01重量%~約10重量%の少なくとも1種の第二ルテニウム除去速度向上剤、任意選択で約0.1重量%~約40重量%の少なくとも1種の金属酸化物除去剤、約0.01重量%~約10重量%の少なくとも1種の銅除去速度抑制剤、約0.01重量%~約10重量%の少なくとも1種の低誘電率材除去速度抑制剤、及び残りの重量パーセント(例えば、約20重量%~約99.99重量%)の水性溶媒(例えば、脱塩水)を含むことができる。
【0022】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、少なくとも1種(例えば、2種又は3種)の第一ルテニウム除去速度向上剤(例えば、有機酸、無機酸、又はこれらの塩)を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の第一ルテニウム除去速度向上剤は、硝酸、硝酸塩、リン酸、リン酸塩、チオシアン酸、チオシアン酸塩、硫酸、硫酸塩、ハロゲン化水素、及びハロゲン化物塩からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、第一ルテニウム除去速度向上剤は、硝酸、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、リン酸、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ルビジウム、リン酸セシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アンモニウム、硫酸、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、チオシアン酸、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第一ルテニウム除去速度向上剤は、硝酸又は硝酸塩である。理論に束縛されるものではないが、第一ルテニウム除去速度向上剤(例えば、硝酸アニオンを含むもの)は、酸化されたルテニウム(ルテニウム含有ウエハに対するポリッシングプロセス後に残った残留物であり得る)に対して強い親和性を有し、更に水可溶性Ru含有錯体(例えば、硝酸Ru錯体)を形成すると考えられる。
【0023】
1又は複数の実施形態では、第一ルテニウム除去速度向上剤は、組成物の約0.001重量%~約10重量%の量でポリッシャーリンス組成物中に含まれる。例えば、第一ルテニウム除去速度向上剤は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、又は約0.5重量%以上)~約10重量%以下(例えば、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、又は約0.02重量%以下)であり得る。
【0024】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、少なくとも1種(例えば、2種又は3種)の第二ルテニウム除去速度向上剤を任意選択で含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、第一ルテニウム除去速度向上剤と第二ルテニウム除去速度向上剤との両方を含み、これらは化学的に異なる化合物である。1又は複数の実施形態では、第二ルテニウム除去速度向上剤は、2つ以上(例えば、3つ又は4つ)の窒素原子を含む錯化剤である。例えば、第二ルテニウム除去速度向上剤は、1つ又は複数(例えば、2つ又は3つ)の酸性基を任意選択で含有するポリアミンであり得る。1又は複数の実施形態では、第二ルテニウム除去速度向上剤は、エチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸一水和物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、これらの誘導体、塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。理論に束縛されるものではないが、各々が1種の向上剤のみを含む2つの組成物の付加効果より、両方の向上剤を含む組成物のほうが前に研磨された基板から酸化されたルテニウムを効果的に除去することができるため、第二ルテニウム除去速度向上剤は第一ルテニウム除去速度向上剤との相乗効果を有すると考えられる。
【0025】
1又は複数の実施形態では、第二ルテニウム除去速度向上剤は、組成物の約0.001重量%~約10重量%の量でポリッシャーリンス組成物中に含まれる。例えば、第二ルテニウム除去速度向上剤は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、又は約0.5重量%以上)~約10重量%以下(例えば、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、又は約0.02重量%以下)であり得る。
【0026】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、少なくとも1種(例えば、2種又は3種)の金属酸化物除去剤を任意選択で含むことができる。1又は複数の実施形態では、金属酸化物除去剤は、窒素並びに酸素及び硫黄の少なくとも一方(例えば、両方)を含む。例えば、金属酸化物除去剤は、アミノアルコール又はアミノ酸であり得る。1又は複数の実施形態では、金属酸化物除去剤は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ジメチルアミノ-2-メチルプロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-4-オクタノール、アミノプロピルジエタノールアミン、2-[(3-アミノプロピル)メチルアミノ]エタノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、2-ジメチルアミノエタノール、システアミン、L-システイン、N-アセチル-L-システイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。理論に束縛されるものではないが、金属酸化物除去剤は、被研磨基板からのあらゆる研磨残留物の溶解及び除去を促進すると考えられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、金属酸化物除去剤は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の約0.01重量%~約40重量%の量である。例えば、金属酸化物除去剤は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の約0.01重量%以上(例えば、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、又は約5重量%以上)~約40重量%以下(例えば、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、又は約0.02重量%以下)であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、金属酸化物除去剤を実質的に含まない。
【0028】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、少なくとも1種(例えば、2種又は3種)の銅除去速度抑制剤を含むことができる。1又は複数の実施形態では、銅除去速度抑制剤は、2つ以上(例えば、3つ又は4つ)の環窒素原子を含有する複素環式化合物などの複素環式化合物である。1又は複数の実施形態では、銅除去速度抑制剤は、トリアゾール類(例えば、ベンゾトリアゾール)、テトラゾール類、ピラゾール類、イミダゾール類、又はチアジアゾール類などのアゾール類であり、これらの各々は、1つ若しくは複数の置換基(例えば、ハロ、アミノ、C~C10アルキル、C~C10アリールアルキル、C~C10ハロアルキル、又はアリール)により任意選択で置換されていてもよい。1又は複数の実施形態では、銅除去速度抑制剤は、プリン類(例えば、9H-プリン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、及びイソグアニン)又はピリミジン類(例えば、シトシン、チミン、及びウラシル)である。1又は複数の実施形態では、銅除去速度抑制剤は、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、1-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール、及び5-メチルベンゾトリアゾール)、エチルベンゾトリアゾール(例えば、1-エチルベンゾトリアゾール)、プロピルベンゾトリアゾール(例えば、1-プロピルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール(例えば、1-ブチルベンゾトリアゾール及び5-ブチルベンゾトリアゾール)、ペンチルベンゾトリアゾール(例えば、1-ペンチルベンゾトリアゾール)、ヘキシルベンゾトリアゾール(例えば、1-ヘキシルベンゾトリアゾール及び5-ヘキシルベンゾトリアゾール)、ジメチルベンゾトリアゾール(例えば、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール)、クロロベンゾトリアゾール(例えば、5-クロロベンゾトリアゾール)、ジクロロベンゾトリアゾール(例えば、5,6-ジクロロベンゾトリアゾール)、クロロメチルベンゾトリアゾール(例えば、1-(クロロメチル)-1H-ベンゾトリアゾール)、クロロエチルベンゾトリアゾール、フェニルベンゾトリアゾール、ベンジルベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アミノベンゾイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、アミノテトラゾール、アデニン、キサンチン、シトシン、チミン、ウラシル、9H-プリン、グアニン、イソグアニン、ヒポキサンチン、ベンゾイミダゾール、チアベンダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-アミノベンゾイミダゾール、2-アミノ-5-エチル-1,3,4-チアジアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルピラゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0029】
1又は複数の実施形態では、銅除去速度抑制剤は、組成物の約0.001重量%~約10重量%の量でポリッシャーリンス組成物中に含まれる。例えば、銅除去速度抑制剤は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.004重量%以上、約0.006重量%以上、約0.008重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、約0.06重量%以上、又は約0.08重量%以上)~約10重量%以下(例えば、約8重量%以下、約6重量%以下、約4重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.8重量%以下、約0.6重量%以下、又は約0.4重量%以下)であり得る。
【0030】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、少なくとも1種(例えば、2種又は3種)の低誘電率材除去速度抑制剤を含むことができる。1又は複数の実施形態では、低誘電率材除去速度抑制剤は、非イオン性界面活性剤である。1又は複数の実施形態では、低誘電率材除去速度抑制剤は、アルコールアルコキシレート(例えば、エチレングリコール)、アルキルフェノールアルコキシレート(例えば、4-ノニルフェニルポリエチレングリコール)、トリスチリルフェノールアルコキシレート(例えば、トリスチリルフェノールエトキシレート)、ソルビタンエステルアルコキシレート(例えば、ポリソルベート)、ポリアルコキシレート(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリアルキレンオキシドブロック共重合体(例えば、C12~C14tert-アルキルアミンのエトキシ化プロポキシ化物)、アルコキシル化ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
1又は複数の実施形態では、低誘電率材除去速度抑制剤は、組成物の約0.001重量%~約10重量%の量でポリッシャーリンス組成物中に含まれる。例えば、低誘電率材除去速度抑制剤は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.004重量%以上、約0.006重量%以上、約0.008重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、約0.06重量%以上、又は約0.08重量%以上)~約10重量%以下(例えば、約8重量%以下、約6重量%以下、約4重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.8重量%以下、約0.6重量%以下、又は約0.4重量%以下)であり得る。
【0032】
POUスラリーを形成するために濃縮ポリッシャーリンス組成物を希釈する場合、任意選択で酸化剤を添加することができる。酸化剤は、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、硝酸銀(AgNO)、硝酸第二鉄又は塩化第二鉄、過酸又は塩、オゾン水、フェリシアン化カリウム、二クロム酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、臭素酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸、三酸化バナジウム、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、過マンガン酸カリウム、他の無機過酸化物又は有機過酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、酸化剤は、過酸化水素である。
【0033】
いくつかの実施形態では、酸化剤は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の約0.05重量%以上(例えば、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、約1.5重量%以上、約2重量%以上、約2.5重量%以上、約3重量%以上、約3.5重量%以上、約4重量%以上、又は約4.5重量%以上)~約5重量%以下(例えば、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、又は約0.1重量%以下)の量である。いくつかの実施形態では、理論に束縛されることを望まないが、酸化剤は、金属をCMPプロセス中に除去することができるように、キレート剤との金属錯体を形成することにより金属薄膜を除去する助けとなり得ると考えられる。いくつかの実施形態では、理論に束縛されることを望まないが、酸化剤は、金属薄膜の耐腐食性を増大することができる酸化膜を形成することにより金属表面を不動態化する助けとなり得ると考えられる。いくつかの実施形態では、酸化剤は、ポリッシャーリンス組成物の貯蔵寿命を低減させる可能性がある。かかる実施形態では、酸化剤を、リンスポリッシングプロセス直前の使用時にポリッシャーリンス組成物に添加することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物のpH値は、約7以上(例えば、約7.5以上、約8以上、約8.5以上、約9以上、約9.5以上、約10以上、約10.5以上、約11以上、又は約11.5以上)~約14以下(例えば、約13.5以下、約13以下、約12.5以下、約12以下、約11.5以下、約11以下、約10.5以下、約10以下、又は約9.5以下)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物のpH値は、約1以上(例えば、約1.5以上、約2以上、約2.5以上、約3以上、約4.5以上、約5以上、約5.5以上、約6以上、又は約6.5以上)~約7以下(例えば、約6.5以下、約6以下、約5.5以下、約5以下、約4.5以下、約4以下、約3.5以下、約3以下、又は約2.5以下)の範囲であり得る。
【0035】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、比較的少量の研摩粒子を任意選択で含むことができる。いくつかの実施形態では、研摩粒子は、シリカ、セリア、アルミナ、チタニア、及びジルコニア研磨剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、研摩粒子は、非イオン性研磨剤、表面改質研磨剤、又は負/正に帯電した研磨剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリッシャーリンス組成物は、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物の0.001重量%以上(例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、又は約0.1重量%以上)~約0.2重量%以下(例えば、約0.15重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、又は約0.01重量%以下)の量の研摩粒子を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、研摩粒子を実質的に含まなくてもよい。
【0036】
1又は複数の実施形態では、組成物は、研摩粒子を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、組成物に「実質的に含まれない」成分は、洗浄組成物に意図的に添加されない成分を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物は、約2000ppm以下(例えば、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下、又は約1ppm以下)の研摩粒子を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物は、研摩粒子を完全に含まなくてもよい。
【0037】
1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、有機溶媒、pH調整剤、第四級アンモニウム化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウム塩などの塩又はテトラアルキルアンモニウム水酸化物などの水酸化物)、アルカリ塩基(アルカリ水酸化物など)、フッ素含有化合物(例えば、フッ化物化合物又はフッ素化化合物(例えば、フッ素化ポリマー/界面活性剤))、シラン類(例えば、アルコキシシラン)などのケイ素含有化合物、窒素含有化合物(例えば、アミノ酸、アミン、イミン(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデカン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)などのアミジン)、アミド、又はイミド)、塩(例えば、ハロゲン化物塩又は金属塩)、ポリマー(例えば、非イオン性、カチオン性、又はアニオン性ポリマー)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤)、可塑剤、酸化剤(例えば、H及び過ヨウ素酸)、腐食防止剤(例えば、アゾール又は非アゾール腐食防止剤)、電解質(例えば、高分子電解質)及び/又は研磨剤(例えば、セリア研磨剤、非イオン性研磨剤、表面改質研磨剤、負/正に帯電した研磨剤、又はセラミック研磨剤複合体)などの特定の成分の1種又は複数種を実質的に含まなくてもよい。組成物に含まれなくてもよいハロゲン化物塩は、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、ナトリウムハロゲン化物又はカリウムハロゲン化物)又はアンモニウムハロゲン化物(例えば、塩化アンモニウム)を含み、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物であり得る。本明細書で使用される場合、ポリッシャーリンス組成物に「実質的に含まれない」成分は、組成物に意図的に添加されない成分を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、約2000ppm以下(例えば、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下、又は約1ppm以下)の上記成分の1種又は複数種を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、上記成分の1種又は複数種を完全に含まなくてもよい。
【0038】
ポリッシャーリンス操作に適用される場合、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物は、被研磨基板がポリッシング工具のポリッシングチャンバー内にまだある間にCMPプロセス工程直後基板表面上に存在する汚染物質を除去するために有用に使用される。1又は複数の実施形態では、汚染物質は、研摩剤、粒子、有機残留物、ポリッシング副産物、スラリー副産物、スラリー誘導有機残留物、及び無機被研磨基板残留物からなる群から選択される少なくとも1種であり得る。1又は複数の実施形態では、本開示のポリッシャーリンス組成物を、水に不溶であり、したがってCMPポリッシング工程後にウエハ表面上に残留する有機粒子を含有する有機残留物を除去するために使用することができる。理論に束縛されるものではないが、有機粒子は、ポリッシング後に基板表面上に堆積し、不溶性で、したがってウエハ表面上の汚染物質として固着するCMPポリッシング組成物成分から生成され得る。上記汚染物質の存在は、ウエハ表面上に欠陥数をもたらす。KLA Tencor社のAIT-XUV工具などの欠陥測定工具で分析される場合、これらの欠陥数は、個々の欠陥数全ての合計である総欠陥数(TDC)を示す。1又は複数の実施形態では、本明細書に記載されている組成物は、ポリッシング/CMPプロセス後基板表面上に残留する総欠陥数(TDC)の約30%以上(例えば、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.9%以上)を除去する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示は、前に研磨された基板(例えば、CMP組成物により研磨されたウエハ)のリンスポリッシング方法を特徴とする。方法は、ポリッシング工具内において、被研磨基板を本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物と接触させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている基板(例えば、ウエハ)は、基板表面上に、タングステン、窒化チタン、炭化ケイ素、酸化ケイ素(例えば、TEOS)、低誘電率及び超低誘電率材料(例えば、ドープシリカ及びアモルファス炭素)、窒化ケイ素、銅、コバルト、ルテニウム、モリブデン、及びポリシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むことができる。
【0040】
リンスポリッシング操作では、ポリッシャーリンス組成物を、CMP組成物が前に研磨された基板に適用されたであろう方法と同様の方法で被研磨基板に適用することができる(例えば、ポリッシャーリンス組成物は、被研磨基板が研磨パッドと接触する間に塗布される)。いくつかの実施形態では、リンスポリッシングプロセスの条件は、CMPプロセス中に使用される条件より穏やかであってよい。例えば、リンスポリッシングプロセスにおけるダウンフォース、回転速度、又は時間は、先行するCMPプロセスにおいて使用された同条件よりも小さくてよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、リンスポリッシングプロセスにおいて使用されるダウンフォースは、CMPプロセス(例えば、先行するCMPプロセス)において使用されたダウンフォースの約5%以上(例えば、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、又は約75%以上)~約90%以下(例えば、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、又は約65%以下)である。1又は複数の実施形態では、CMPプロセスにおいて使用されるダウンフォースは、約1psi~約4psiである。いくつかの実施形態では、研磨パッドを、前に研磨された基板と接触させるが、ダウンフォースは、リンスポリッシングプロセス中では前に研磨された基板に実質的に加えられない。いくつかの実施形態では、リンスポリッシングプロセスにおいて使用されるダウンフォースは、先行するCMP操作において使用されたダウンフォースと実質的に同じである。
【0042】
いくつかの実施形態では、リンスポリッシングプロセスにおいて使用されるリンス時間は、CMPプロセス(例えば、先行するCMPプロセス)において使用されたリンス時間の約10%以上(例えば、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、又は約35%以上)~約50%以下(例えば、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、又は約25%以下)である。1又は複数の実施形態では、CMPプロセスにおいて使用されるリンス時間は、約2秒~約20秒である。いくつかの実施形態では、リンスポリッシングプロセスにおいて使用される時間は、先行するCMP操作において使用されたダウンフォースと実質的に同じである。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物を、CMP後洗浄工程208(すなわち、ポリッシング工具と異なる洗浄装置で行う洗浄工程)においてCMP後洗浄剤として使用することができる。CMP後洗浄用途では、ポリッシャーリンス組成物を、洗浄しようとする基板に任意の適切な方法で塗布することができる。例えば、組成物を、多種多様な従来の洗浄工具及び技術(例えば、ブラシスクラビング、スピンリンスドライ)を用いて使用することができる。いくつかの実施形態では、CMP後洗浄プロセスに適切な洗浄工具又は装置は、ポリッシング装置(例えば、研磨パッド、研磨プラテン、及び/又は研磨ヘッド)を用いない工具(例えば、ブラシスクラバー又はスピンリンスドライヤー)である。いくつかの実施形態では、CMP後洗浄工程における洗浄しようとする基板(例えば、ウエハ)は、基板表面上に、タングステン、窒化チタン、炭化ケイ素、酸化ケイ素(例えば、TEOS)、窒化ケイ素、銅、コバルト、ルテニウム、モリブデン、及びポリシリコンからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているポリッシャーリンス組成物を使用する方法は、1又は複数の工程を通して洗浄組成物により処理された基板から半導体素子を製造することを更に含むことができる。例えば、フォトリソグラフィ、イオン注入、乾式/湿式エッチング、プラズマエッチング、蒸着(例えば、PVD、CVD、ALD、ECD)、ウエハマウンティング、ダイカット、パッケージング、及びテスィングを使用して本明細書に記載されている洗浄組成物により処理された基板から半導体素子を製造することができる。
【0045】
以下の特定の実施例は、単なる例示として解釈すべきであり、いかなることがあっても以下の開示を限定するものではない。更に詳述しなくても、当業者は、本明細書の記載に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。
【実施例
【0046】
実施例1
これらの実施例では、Fujiboパッド及び100mL/分~500mL/分の流速のCMPスラリーを用い、AMAT Reflexion300mm CMPポリッシャーを用いて300mmウエハに対してポリッシングを行った。CMPポリッシング後15秒間同じパッド及び同じ流速を用いてリンスポリッシング工程を行った。リンスポリッシング工程はCMPポリッシング工程の時間の約25%の間ダウンフォースの約66%を使用したことを除いて、先行するCMPポリッシング工程と同様の条件を用いてリンスポリッシング工程を行った。
【0047】
ウエハをCMPポリッシング組成物によりポリッシュした後、上記手順を用いてこの実施例においてポリッシャーリンス(PR)組成物1~ポリッシャーリンス(PR)組成物10を評価した。使用時点に、酸化剤をCMPポリッシング組成物及びPR組成物1~PR組成物10に添加した。CMPポリッシング組成物及びPR組成物1~PR組成物10の処方(酸化剤を添加した後)を表1にまとめ、これらの試験結果を表2にまとめる。CMPポリッシング組成物について得られた欠陥数は、(本明細書で詳述されているように)従来のDI水リンス後に観察した欠陥である。
【0048】
表1及び表2で分かるように、ポリッシング工程後のポリッシャーリンス組成物の使用は、被研磨ウエハ上で観察された総欠陥数(TDC)を著しく低減した。更に、金属酸化物除去剤を含むと(PR組成物7~PR組成物10で示されているように)、DI水リンス後元々研磨されたウエハ上に存在したものと比較した場合、TDCが最も大きく低減した。
【0049】
【表1-1】

【表1-2】
【0050】
【表2】
【0051】
実施例2
ルテニウムを含む被研磨基板上に見られる欠陥の一部を構成すると考えられる酸化ルテニウム粒子を安定化させる能力について、この実施例ではポリッシャーリンス(PR)組成物2及びポリッシャーリンス(PR)組成物11~ポリッシャーリンス(PR)組成物14を評価した。超音波浴中2分間25℃で指定のポリッシャーリンス組成物中0.005gの酸化ルテニウム粒子をインキュベートすることにより試験を行った。次いで、上澄みのサンプルを採取し、ICP-MSによりppb Ruを測定した。これらのPR組成物の処方及びこれらの試験結果を表3にまとめる。
【0052】
【表3】
【0053】
表3に示されるように、PR組成物2(第一及び第二ルテニウム除去速度向上剤の両方を含む)は、PR組成物11(PR組成物2と同量の第一ルテニウム除去速度向上剤のみを含む)及びPR組成物12又はPR組成物14(第二ルテニウム除去速度向上剤のみを含む)の酸化ルテニウム除去速度の合計よりも速い酸化ルテニウム除去速度を示した。加えて、上記結果は、PR組成物2(第一及び第二ルテニウム除去速度向上剤の両方を含む)は、PR組成物13(PR組成物2中のこの成分の量の2倍の量の第一ルテニウム除去速度向上剤を含む)及びPR組成物14(PR組成物2中のこの成分の量の2倍の量の第二ルテニウム除去速度向上剤を含む)よりも速い酸化ルテニウム除去速度を示したことを示している。上記結果は、第一ルテニウム除去速度向上剤及び第二ルテニウム除去速度向上剤が、酸化されたルテニウムの除去において相乗効果を示したことを示唆した。
【0054】
上記詳細にほんの数例の例示的実施形態を説明したが、当業者は、本発明を実質的に逸脱することなく例示的実施形態において多くの改変が可能であると容易に理解するだろう。したがって、全てのかかる改変は、以下の特許請求の範囲に定義されている本開示の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
【国際調査報告】