(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電気分解によりガスを生成する装置
(51)【国際特許分類】
C25B 9/60 20210101AFI20240725BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240725BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240725BHJP
C25B 9/73 20210101ALI20240725BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20240725BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20240725BHJP
C25B 13/08 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C25B9/60
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B9/73
C25B15/08 302
C25B9/23
C25B13/08 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507018
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2021071805
(87)【国際公開番号】W WO2023011714
(87)【国際公開日】2023-02-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519379879
【氏名又は名称】ヘラー・エレクトロライザー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hoeller Electrolyzer GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021CA08
4K021CA09
4K021CA15
4K021DB04
4K021DB50
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
電気分解装置は、二つのスタック(1)を有し、その電気分解装置の電解セル(2)は、それぞれ、機械的機能だけを有するエンドプレート(7)と、反応体、冷却媒体の供給のためならびに反応生成物および冷却媒体の搬出のためのエンドプレート(6)との間に挟み付けられている。両方のスタック(1)は、そのスタックの極性に関して反対に構成されかつ接続を案内するエンドプレート(6)ひいてはエンドプレートの接続部は、動作時に同じ電位がかけられているように直列接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層状に配置されかつ直列接続された多数の電解セル(2)を有し、前記電解セルは、反応体および/または冷却媒体を供給するために、前記電解セル(2)に対して垂直にまたは斜めに延びる少なくとも一つの通路(18)を備えている、電気分解によりガスを、特に水から水素と酸素を生成する装置において、前記通路(18)は、直接直列接続された二つの電解セル(2)の間で、前記反応体および/または前記冷却媒体を供給する供給ライン(8,12)に接続されていることを特徴とする、電気分解によりガスを、特に水から水素と酸素を生成する装置。
【請求項2】
積層して配置されかつ積層体(1)内で電気的に直列接続された電解セル(2)の少なくとも二つの電気的に直列接続されたセル積層体(1)が設けられ、各セル積層体(1)は、反応体および/または冷却媒体を供給するための、前記積層体(1)を貫通する少なくとも一つの通路(18)を有し、前記通路(18)の各々は、前記それぞれのセル積層体(1)の一方の側だけで前記供給ライン(12)に接続され、かつ前記電気的に直列接続された二つのセル積層体(1)の前記通路接続部(8)は、前記セル積層体(1)が電気的に互いに結合されている側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記直列接続された二つのセル積層体(1)は、同じ側で電気的に互いに結合されているように互いに並んで配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記直列接続された二つのセル積層体(1)は、前記積層体の通路接続部(8)が同じ側に配置されているように互いに並んで配置されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
各々のセル積層体(1)は、前記反応生成物および/または前記冷却媒体を搬出するための別の通路(20)を有し、かつ全ての通路(18,20)は、その都度の前記セル積層体(1)の一方の側に接続されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
各々のセル積層体(1)は、前記電解セル(2)に対して電気的に絶縁されて配置されているエンドプレート(6,7)の間に挟み付けられていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
各々のセル積層体(1)は、水を供給するための、前記積層体(1)を貫通する少なくとも一つの通路(18)を有し、前記二つの互いに並んで配置されかつ電気的に直列接続されたセル積層体(1)の前記水通路(18)は、一つの共通のライン(12)から供給されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
一つの共通のエンドプレート(6a)を有する二つのセル積層体(1)が設けられていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記セル積層体(1)の前記水通路(18)は、前記共通のエンドプレート(6a)を介して供給されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
各々のセル積層体(1)は、水供給のための少なくとも一つの通路(18)と、水搬出および酸素搬出のための少なくとも一つの通路(20)と、水素搬出のための少なくとも一つの通路を有し、前記通路(18,20)は、一つのエンドプレート(6)によって、好ましくは前記共通のエンドプレート(6a)によってライン結合されかつ接続されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
二つのエンドプレート(7)の間に一緒に挟み付けられている直列接続された二つの積層体(1a,1b)が設けられ、前記積層体(1a,1b)の間に、少なくとも反応体を供給するための接続プレート(6b)が設けられていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記電解セル(2)はPEMセルであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気分解によりガスを生成する装置、特に水から水素と酸素を生成する装置に関する。この種の電気分解装置は、先行技術に数えられ、積層体の形に配置されかつ直列接続された多数の電解セルからなる。この積層体には、反応体と、大抵は同様に必要な冷却媒体を供給する複数の通路が貫通しており、積層体を貫通するこれらの通路は、大抵は電解セルに対して垂直またはほぼ垂直に、つまり、斜めに延びており、それぞれ個々の電解セルは通路結合し、つまり、反応体と場合による冷却媒体とを供給し、また冷却媒体を搬出し、反応生成物の搬出を予定している。水素電解セルの場合には、反応体として純水が過剰に供給され、この純水はさらに冷却媒体として用いられ、またこの過剰な水、つまり、冷却媒体は搬出される。大抵は、反応生成物として、水素だけを捕捉し、酸素は、過剰な水と一緒に搬出される。
【背景技術】
【0002】
セル積層体、いわゆるスタックに使用されるこのような電解セルは、アルカリ性電解セル、PEM電解セル、高温電解セル、AEM電解セルなどであることができる。この電気的に直列接続されかつ積層状に配置された電解セルは、これらのセルに個別に電圧を印加する必要がなく、スタック全体に電圧を印加するだけであるため、各々の個別のセルに同じ電流が流れることが実証された。このようなスタックの出力は、電解セルの面積だけでなく、電解セルの数にも依存する。しかしながら、スタックの数が増えればそれだけ、スタックに印加される電圧も高くなる。この場合、効率および構造サイズを改善するために、常にこのような電気分解装置内のエネルギー密度を高く保つように努力される。一方で、通路を通したセル供給および十分な冷却を保証しなければならず、これが構造上の限界を設定している。したがって、実際には、これらの要求を満たすために、電解セルが一つのスタックの形にまとめて接続されているだけでなく、スタックは並行してかつ直列接続されている。構造に実際に影響を及ぼす技術的ガイドラインも存在する。例えば、電気的な安全要件を設定する低電圧ガイドラインは、供給電圧を最大1,500ボルトに制限している。この電圧水準を明らかに超えることは技術的には問題ないが、それにより本質的により費用がかさむ安全措置が必要となる。
【0003】
このような高電圧を印加する際の問題は、通路を介して供給される蒸留水の導電率が極端に低いが、この電圧の場合には無視できないほどの導電率を有していることであり、この導電率は、5×10-6S/mに相当する0.055μS/cmである。したがって、セル積層体の直列接続に関連する、供給が行われる両方のセル積層体のエンドプレートの電気的結合は、長時間にわたり電位差に基づく電気酸化による表面変化を確実に排除することができる程度に高抵抗であることが、相応して長いライン経路にわたって保証されなければならない。しかしながら、他方で、長いライン経路は不都合である、というのもこの長いライン経路は、装置を拡大して流れの抵抗を増大させ、また流れる水の純度にも悪影響を与える可能性があるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この背景から、本発明の根底をなす課題は、上述の問題を回避するように、上述の構造様式の電気分解によりガスを生成する装置を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明により、請求項1に記載の特徴を有する装置により解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項、下記の説明および図面から明らかになる。
【0006】
本発明による、電気分解によりガスを生成する装置、特に水から水素と酸素を生成する装置は、積層状に配置されかつ直列接続された多数の電解セルを有し、この電解セルは、反応体および/または冷却媒体を供給するために、電解セルに対して垂直または斜めに延びる少なくとも一つの通路を備えている。本発明によると、通路は、直接直列接続された二つの電解セルの間で、反応体および/または冷却媒体を供給する供給ラインに接続されている。
【0007】
この場合、直接直列接続された二つの電解セルの間で供給ラインに接続されている通路は、反応体だけを供給するかまたは反応体と冷却媒体を一緒に供給することを前提としている。
【0008】
本発明の基本思想は、同じ電位を印加することを保証するために直接直列に接続された二つの電解セルの間に反応体および/または冷却媒体、特に水の供給を行い、こうして従来では必要な長いライン経路を回避し、かつコンパクトな構造様式にもかかわらず、積層体の供給の範囲内で電位差が生じないことを保証することである。
【0009】
この場合、本発明によると、この供給を積層体の中央で行うかまたは二つのスタックのエンドプレートを用いて行うことができ、この供給は、供給が行われる二つのエンドプレートの各々に同じ電位が印加されるように、つまり、エンドプレートに当接する電解セルに同じ電気的電位がかかるように行われる。
【0010】
本発明による装置は、好ましくは、PEM構造様式の直列接続された電解セルから形成され、この電解セルは、二つのエンドプレートの間に挟み付けられてスタックを形成し、好ましくは、電気分解により水から水素と酸素を生成するために用いられる。しかしながら、本発明は、この構造様式に限定されるものではなく、冒頭に述べたまたは別のセルを使用することもでき、別の反応体を別の反応生成物と共に使用することもできる。
【0011】
例えば、冒頭に述べたような積層して配置されかつ積層体内で電気的に直列接続された電解セルの少なくとも二つの直列接続されたセル積層体(スタック)が予定されている場合が特に好ましく、この場合、各セル積層体は、反応体および/または冷却媒体を供給するために積層体を貫通する少なくとも一つの通路を有し、これらの通路の各々は、それぞれのセル積層体の一方の側でだけ供給ラインに接続されている。このような配置の場合、本発明の好ましい発展形態によると、電気的に直列接続された二つのセル積層体の通路接続部は、末端側に配置され、この末端側でセル積層体は相互に電気的に結合されていることが予定されている。この構成は、全部の通路がそれぞれのエンドプレートに接続されている場合、つまり、他のエンドプレートが機械的保持機能だけを有している場合に特に好ましいことは自明である。この本発明による発展形態は、供給のために使用されるエンドプレートを、両方の積層体で同じ側に配置するのではなく、異なる側に配置するため、それぞれのエンドプレートに当接する電解セルには動作時に同じ電気的電位がかかることが予定される。
【0012】
直列接続された二つのセル積層体が、同じ側で互いに電気的に結合されているように互いに並んで配置されている場合が、構造的に特に好ましい。その場合、電気的結合は、好ましくは直線的なライン結合により、例えば銅板断片により、最短経路で行うことができる。この場合、本発明の発展形態によると、直列接続された二つのセル積層体は、そのセル積層体の通路接続部も同じ側に配置されるように互いに並んで配置されている。それにより、供給ラインもしくは搬出ラインと結合されるべき通路接続部にとって短い経路が形成され、一方で、両方のスタックを直列接続するために短い電気的結合が形成され、最終的に、スタックの他方の側の付近に有利に配置された電気的接続部が形成される。
【0013】
スタックには、典型的には、反応体を供給するためおよび/または冷却媒体を供給するための通路が貫通しているだけでなく、このスタックは、合理的にはさらに、反応生成物、例えば水素を搬出するための少なくとも一つの通路と、別の反応生成物、例えば酸素を搬出するためおよび冷却媒体を搬出するための別の通路も有している。これらの通路接続部の全部がそれぞれのセル積層体の一方の側に、好ましくは一つのエンドプレートに設けられている場合、これらの接続部は、互いに並んでいるセル積層体の場合に同様に両方のセル積層体の一方の側で互いに並んでいることが、構造的に特に好都合であることは明らかである。
【0014】
各々のセル積層体はエンドプレートの間に挟み付けられ、これらのエンドプレートは、電解セルに対して電気的に絶縁されて配置されている場合が特に好ましい。それにより、装置内での短絡の危険性が明らかに低減される。この場合、エンドプレートは、好ましくは接地電位で結合されているため、電圧は挟み付けられた電極セル間にだけ印加される。
【0015】
特に反応体、つまり、特に水のためのライン経路をできる限り短い経路で供給するために、反応体を供給するための、それぞれの積層体を貫通する通路は、二つの互いに並んで配置されかつ電気的に直列接続されたセル積層体で引き出され、一つの共通の供給ラインに接続されている。好ましくは、生成物ガスを搬出するための通路も、過剰な反応体、特に冷却媒体の搬出のための通路も、同じ方法でまとめられていることは明らかである。
【0016】
最短の経路で、両方の直列接続されたスタックの電気的結合の範囲内で、末端側の電解セルは同じ電位がかけられており、つまり、互いに導電性に結合されていることを保証するために、これらのスタックは、好ましくは、反対向きの極性を有するように、つまり、一方のスタックでは、通路接続が行われるエンドプレートが、最初のもしくは最後の電解セルのプラス側におかれ、隣接するスタックでは、このエンドプレートが、このスタックの最初のもしくは最後の電解セルのマイナス側におかれるように構成および配置される。このような好ましい配置では、二つの互いに並んで配置されかつ電気的に互いに結合されたセル積層体が一つの共通のエンドプレートを有する場合が、構造的に特に好ましい。それにより、ライン経路をさらに短縮することができる。二つのセル積層体が直接互いに並んで配置された極端にコンパクトな構造形式が生じる。この場合、両方のセル積層体は、全体の通路接続が、この一つの共通のエンドプレートによって行われる、つまり、各々のセル積層体は、水供給のための少なくとも一つの通路、水搬出のためおよび酸素搬出のための少なくとも一つの通路、ならびに水素搬出のための少なくとも一つの通路を有し、これらの通路が好ましくは一つの共通のエンドプレートによって接続されかつライン結合されているように設計されることが好ましい。
【0017】
好ましくは、本発明による原理は、直列接続された両方の積層体が、一つの共通の積層体を形成しかつ機械的機能だけを有する二つのエンドプレートの間で挟み付けられており、この場合、これらの積層体の間の中央に一つの接続プレートが設けられ、その接続プレートを介して、少なくとも一つの反応体供給部が、好ましくは全体の積層体の全部の流体接続部がそこに配置されていることによっても実現することができる。
【0018】
好ましくは、電気分解によりガスを生成する本発明による装置は、PEM構造様式の電解セルから構成され、したがって、純水から水素と酸素を生成する。
【0019】
本発明を、以下に、図面で示される実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による電気的に互いに結合された二つの電解スタックの概略的配線図を示す。
【
図2】
図1による図面での本発明による第一の実施形態を示す。
【
図3】
図1による図面での本発明の第二の実施形態を示す。
【
図4】
図1による図面での本発明による第三の実施形態を示す。
【
図5】本発明による第一の実施形態の二つのセル積層体の斜視図を示す。
【
図8】本発明の第二の実施形態による共通のエンドプレートを備えた二つのセル積層体の斜視図を示す。
【
図11】
図6によるセル積層体の斜視断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、電解セル、いわゆるスタック1の二つの積層体から構成されている本発明による電気分解装置を示す。各スタック1は、PEM(高分子電解質膜(
Polymer
Elektrolyt
Membran))構造様式の多数の電解セル2を有する。このようなスタック1の構造は、先行技術に数えられ、例えば国際公開第2019/228616号に記載されており、この先行技術はここで参照される。
【0022】
これらの電解セル2は、その間に配置されたバイポーラプレートと互いに当接するように積み重ねられて積層体を形成し、セル2の端部側で、積層体の一方の側に電気的接続プレート3が設けられ、積層体の他方の側に接続プレート4が設けられている。接続プレート3と4の間で電解セル2は直列接続されており、接続プレート3と4の、セル2に対して反対側に絶縁プレート5が配置され、これらの絶縁プレートにエンドプレート6および7が接続され、これらのエンドプレートの間に、電解セル2の積層体1が機械的に挟み付けられている。
【0023】
必要な機械的応力は、典型的には、積層体1を貫通する多数のボルトによりもたらされ、これらのボルトがエンドプレート6および7の外側から応力をかけている。この場合、エンドプレート7は、積層体1の一方の側でもっぱら機械的固定のために利用されるが、それに対してエンドプレート6は、機械的固定の他に接続部8、9および10も有し、これらの接続部は、積層体を貫通する通路を介して個々の電解セル2に供給または排出を行う。例えば、接続部8は、反応体の水を供給することが予定されている。水は過剰に供給され、同時に冷却媒体として利用される。接続部9を介して生成物ガスの水素がスタック1から搬出される。接続部10は、生成物ガスの酸素ならびに冷却媒体、つまり、過剰な水を搬出することが予定されている。
【0024】
このようなスタック構造は実証済みであり、この場合、多数の電解セル2は、接続プレート3と4の間で最大で750ボルトの電圧が印加されるように選択される。この場合のように、電気分解装置が、
図1に基づき示されているように直列接続された二つのスタック1から構成されている場合、
図1の左側のスタック1の接続プレート3には、この装置のプラス極があり、右側のスタック1の接続プレート4には、この装置のマイナス極があり、左側のスタック1の接続プレート4と右側のスタック1の接続プレート3とは、電気的ライン11により互いに結合されている。したがって、この装置は、1,500ボルトの最大電圧で動作するように設計されているので、低電圧のためのガイドラインに従って動作可能である。これは、ここでは例示的であると理解されるべきであり、原則的にこの構造は、スタック1中の電解セル2の数を増減するとかまたは複数のスタック1を互いに接続するなどして、各々の所望の電圧用に設計することができる。
【0025】
図1に基づき示された実施形態では、通路結合は詳細には示されていない。ここでは、単に直列接続されたスタック1の基本原理が示されているだけで、ここでは、二つのスタック1が逆方向の分極で構成されているので、これらのスタックをライン11により接続する場合、両方のスタック1の通路接続部8に同じ電位が印加されることが保証される。純水を案内しかつ反応体としておよび冷却媒体として接続部8でスタック1に供給する、
図1に示されていない供給ライン12の間のライン結合は、できる限り短く形成することができる。全ての接続部8~10は、スタック1の場合に同じ電位がかけられているため、ライン長さに相応して生じる純水の電気抵抗は、この装置の場合考慮する必要がない。
【0026】
スタック1内の電解セル2のこの異なる配置に基づき、
図2に示されているように、二つのスタック1のそれ自体好ましいライン結合11を実現することができる。ここでは、両方のスタック1は、スタックの接続を案内するエンドプレート6が一方の側に配置されており、機械的にのみ作用するエンドプレート7が他方の側に配置されているように配置されている。それにより、この範囲内での電位差によって電気酸化または他の電気分解現象を引き起こす危険を冒すことなく、スタック1の接続部8に純水を供給するための共通の供給ライン12の間のライン結合を比較的短く形成することが可能である。生成物ガスの水素を搬出するための接続部9は、過剰の水および生成物ガスの酸素を搬出する接続部10と同様に、同じ方法でまとめることができることは明らかである。
【0027】
図2に基づき示されるこの配置は、
図2に示される両方のスタック1が共通のエンドプレート6aを有し、このエンドプレート内に接続部8、9および10が既にまとめられているかまたはこれらの接続部を、接続部8に基づいて
図3に示されているように、極めて短い経路でまとめることができる場合にさらにコンパクトに形成することができる。この配置は、特にコンパクトであり、両方のスタック1のエンドプレート7と共通のエンドプレート6aは、絶縁プレート5および5aによって電解セル2に対して絶縁されており、かつアース電位がかけられる。ライン接続部8、9および10は、スタック1の一方の側でエンドプレート6a内に設けられ、電気的接続部は、他方の側で、つまり、
図3の左側のスタックの接続プレート3と
図3の右側のスタックの接続プレート4により導き出されている。スタック1の電気的結合は、共通の銅板11aによって行われる。
【0028】
図4に基づいて、冒頭に記載された原理に従う別の実施態様が示され、両方の積層体1内への水接続部8の供給は、最初にかけられる電解セル2に同じ電位がかかるように、つまり、この範囲内で電位差が生じないように行われる。
図4に示す電気分解装置は、原則として同様に二つの積層体1aおよび1bからなり、これらの積層体は接続プレート6bを介在させて互いに結合されている。両方の積層体1aおよび1bの挟み付けは、二つのエンドプレート7を介して行われ、これらの両方のエンドプレートは、機械的な仕事のみを引き受け、絶縁プレート5を介してスタック1aおよび1bの電解セル2に対して絶縁されている。接続プレート3と4は、ここではエンドプレート7の付近であるが、両方の積層体1aおよび1bの異なる末端側に配置されている。
【0029】
図1~4に基づいて電気分解装置の基本構造が説明されている。
図5~7は、
図2に相応する実施形態を示し、ここでは二つの同じに構成されたスタック1が互いに並べて配置され、個々のスタック中の電解セル2は逆向きに、つまり、反対向きの極性で配置されている。ここでは、機械的エンドプレート7は、スタック1の下側に配置され、それに対して、接続部8~10を備えるエンドプレート6は上側にある。接続部8、9および10が、エンドプレート7からのそれぞれのスタックから後方に向かってもしくは上方に向かってどのように導き出され、その結果、これらの接続部が最短の経路で互いに共通のラインで結合することができることが明確に解る。機械的には、電解セル2は、多数の通しボルト13により結合されており、これらの通しボルトは、皿ばねパッケージ14を介在してエンドプレート6と7およびそれらの間に配置された電解セル2を挟み付ける。
【0030】
図8~10に基づき示される実施形態は、
図3による実施態様に対応する、つまり、個々では二つのスタック1は、一つの共通の接続プレート6aを備えている。この実施形態の場合には、ライン結合は、接続部8、9および10の間で供給ライン12もしくは搬出ライン15および16に明らかに見ることができる。短いライン結合を備えた極端にコンパクトな構成であり、この構成は高効率な動作を保証する。接続プレート3および4は、それぞれの積層体の前面側で突起部3aおよび4aによって引き出されている。両方のスタック1中の極性は反対向きに延びているため、ライン11を用いる電気的結合のために短い銅板が必要なだけであり、この銅板が図中で上方の接続プレート3と4の突起部3aと4aを相互に電気的に結合している。スタック1の電気的接続は、図中で下方の接続プレート3と4の突起部3aと4aを介して行われる。
【0031】
図11に基づき、スタック1の内部構造を認識することができる。特に、セル積層体1に対して垂直に延びる、純水を供給するために使用する通路18を認識することができる。この通路18には、接続部8に接続する供給ライン12を介して水が供給される。生成物ガスの酸素と、冷却媒体として使用される過剰の水は、通路20内に達し、そこで接続部10に到達し、そこでライン16を介して搬出される。生成物ガスの水素のための通路は、
図11では見ることはできず、この通路は、通路18および20に対して平行に延びている。
【符号の説明】
【0032】
1 積層体/スタック
1aおよび1b
図3、8~10中の積層体/スタック
2 電解セル
3 接続プレート+
3a 接続プレート3の突起部
4 接続プレート-
4a 接続プレート4の突起部
5 絶縁プレート
5a
図3および8~10中の絶縁プレート
6 接続部を備えたエンドプレート
6a 共通のエンドプレート
6b
図4中の接続プレート
7 機械的エンドプレート
8 純水用の接続部
9 生成物ガスH
2用の接続部
10 生成物ガスO
2および水搬出用の接続部
11 電気的ライン
11a 銅板
12 純水の供給ライン
13 通しボルト
14 皿ばねパッケージ
15 水素用の生成物ライン
16 酸素および過剰の水用の生成物ライン
18 スタック内の水の供給用の通路
20 スタック内の水および酸素の搬出用通路
【国際調査報告】