IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イェール ユニバーシティーの特許一覧

特表2024-529044レプトスピラ病毒性調節タンパク質とその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】レプトスピラ病毒性調節タンパク質とその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/02 20060101AFI20240725BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240725BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240725BHJP
   C07K 16/12 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240725BHJP
   C07K 14/20 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
A61K38/02
A61K39/395 Y
A61K47/68
A61K31/7088
A61K39/00 H
A61K39/39
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P33/14
A61K9/51
A61K48/00
A61P37/04
C07K16/12
C12N15/13
C07K14/20 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507020
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022074601
(87)【国際公開番号】W WO2023015290
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/230,244
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593152720
【氏名又は名称】イェール ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Yale University
【住所又は居所原語表記】2 Whitney Avenue, New Haven, CT 06510, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ビネッツ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076AA95
4C076CC06
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA41
4C084DA33
4C084MA38
4C084NA13
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZB33
4C084ZB35
4C084ZB37
4C084ZC75
4C085AA05
4C085AA25
4C085BA15
4C085BB11
4C085CC07
4C085EE01
4C085FF14
4C085FF17
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA38
4C086NA13
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB37
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA31
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
レプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質、又はそのDNaseドメインを含む断片、並びにワクチン及び治療薬としてのこれらの使用が提供される。また複数のVMタンパク質を含む汎ワクチンも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群から選択される少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質又はその断片を含む組成物:
a)LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091からなる群から選択されるVMタンパク質;そして
b)LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091からなる群から選択されるVMタンパク質のDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片。
【請求項2】
標的分子への結合に特異的な標的化ドメインに融合した、レプトスピラVMタンパク質又はDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記標的分子が、細菌抗原、ウイルス抗原、寄生虫抗原、癌抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異的抗原からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
2つ以上のレプトスピラVMタンパク質又はDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片の組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
LIC_12340とLIC_12985の組み合わせを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせを含む、請求項4記載の組成物。
【請求項7】
、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、又は配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのレプトスピラVMタンパク質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
配列番号10及び配列番号12に記載の配列を含むVMタンパク質の組み合わせを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、及び配列番号12に記載の配列を含むVMタンパク質の組み合わせを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのVMタンパク質又はDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片を含む少なくとも1つの脂質ナノ粒子(LNP)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも2つのVMタンパク質又はDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片を含む少なくとも2つのLNPの組み合わせを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
以下からなる群から選択される少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質又はその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む組成物:
a)LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091からなる群から選択されるVMタンパク質;そして
b)LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091からなる群から選択されるVMタンパク質のDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片。
【請求項13】
前記核酸分子が、標的分子への結合に特異的な標的化ドメインに融合した、レプトスピラVMタンパク質又はVMタンパク質のDNaseドメインを含む断片を含む融合タンパク質をコードする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記標的分子が、細菌抗原、ウイルス抗原、寄生虫抗原、癌抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異的抗原からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
LIC_12340とLIC_12985の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記核酸分子が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、及び配列番号12からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記核酸分子が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
配列番号10と配列番号12の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
配列番号9と配列番号11の組み合わせを含む1つ以上の核酸分子を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、及び配列番号12の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、及び配列番号11の組み合わせを含む1つ以上の核酸分子を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
DNaseドメインを含む少なくとも1つのVMタンパク質又はその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む少なくとも1つの脂質ナノ粒子(LNP)を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項24】
前記核酸分子が、少なくとも1つのVMタンパク質又はDNaseドメインを含むその断片をコードするmRNA分子を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
ワクチンを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
アジュバントを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記アジュバントが、安定な水中油型ナノエマルション(SE)中に配合されたグルコピラノシル脂質A(GLA)である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
トキソイドワクチンを含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
以下からなる群から選択されるCDR配列を含む抗レプトスピラVMタンパク質抗体:
a)配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載のHCDR配列と、配列番号24、配列番号25、及び配列番号26に記載のLCDR配列;
b)配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載のHCDR配列と、配列番号37、配列番号38、及び配列番号39に記載のLCDR配列;
c)配列番号45、配列番号46、及び配列番号47に記載のHCDR配列と、配列番号48、配列番号49、及び配列番号50に記載のLCDR配列;
d)配列番号61、配列番号62、及び配列番号63に記載のHCDR配列と、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66に記載のLCDR配列;そして
e)配列番号77、配列番号78、及び配列番号79に記載のHCDR配列と、配列番号80、配列番号81、及び配列番号82に記載のLCDR配列.
【請求項30】
以下からなる群から選択される重鎖配列及び軽鎖配列を含む、請求項29に記載の抗レプトスピラVMタンパク質抗体:
a)配列番号27に記載のHC配列、及び配列番号28に記載のLC配列;
b)配列番号27に記載のHC配列、及び配列番号43に記載のLC配列;
c)配列番号51に記載のHC配列、及び配列番号52に記載のLC配列;
d)配列番号67に記載のHC配列、及び配列番号68に記載のLC配列;そして
e)配列番号83に記載のHC配列、及び配列番号84に記載のLC配列。
【請求項31】
請求項29~30のいずれか1項に記載の抗体又はその断片をコードする核酸分子。
【請求項32】
以下からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項31に記載の核酸分子:
a)HCDRをコードする配列番号29、配列番号30、及び配列番号31を含むヌクレオチド配列;
b)LCDRをコードする配列番号32、配列番号33、及び配列番号34を含むヌクレオチド配列;
c)LCDRをコードする配列番号40、配列番号41、及び配列番号42を含むヌクレオチド配列;
d)HCDRをコードする配列番号53、配列番号54、及び配列番号55を含むヌクレオチド配列;
e)LCDRをコードする配列番号56、配列番号57、及び配列番号58を含むヌクレオチド配列;
f)HCDRをコードする配列番号69、配列番号70、及び配列番号71を含むヌクレオチド配列;
g)LCDRをコードする配列番号72、配列番号73、及び配列番号74を含むヌクレオチド配列;
h)HCDRをコードする配列番号85、配列番号86、及び配列番号87を含むヌクレオチド配列;そして
i)LCDRをコードする配列番号88、配列番号89、及び配列番号90を含むヌクレオチド配列。
【請求項33】
配列番号35、配列番号36、配列番号44、配列番号59、配列番号60、配列番号75、配列番号76、配列番号91、及び配列番号92からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項32に記載の核酸分子。
【請求項34】
請求項32に記載の少なくとも2つの核酸分子の組み合わせを含む組成物。
【請求項35】
以下からなる群から選択される核酸分子の組み合わせを含む、請求項34に記載の組成物:
a)HCDRをコードする配列番号29、配列番号30、及び配列番号31を含む第1の核酸分子と、LCDRをコードする配列番号32、配列番号33、及び配列番号34を含む第2のヌクレオチド配列;
b)HCDRをコードする配列番号29、配列番号30、及び配列番号31を含む第1の核酸分子と、LCDRをコードする配列番号40、配列番号41、及び配列番号42を含む第2のヌクレオチド配列;
c)HCDRをコードする配列番号53、配列番号54、及び配列番号55を含む第1の核酸分子と、LCDRをコードする配列番号56、配列番号57、及び配列番号58を含む第2のヌクレオチド配列;
d)HCDRをコードする配列番号69、配列番号70、及び配列番号71を含む第1の核酸分子と、LCDRをコードする配列番号72、配列番号73、及び配列番号74を含む第2のヌクレオチド配列;
e)HCDRをコードする配列番号85、配列番号86、及び配列番号87を含む第1の核酸分子と、LCDRをコードする配列番号88、配列番号89、及び配列番号90を含む第2のヌクレオチド配列。
【請求項36】
以下からなる群から選択される核酸分子の組み合わせを含む、請求項34に記載の組成物:
a)配列番号35を含む第1の核酸分子と、配列番号36を含む第2のヌクレオチド配列;
b)配列番号35を含む第1の核酸分子と、配列番号44を含む第2のヌクレオチド配列;
c)配列番号59を含む第1の核酸分子と、配列番号60を含む第2のヌクレオチド配列;
d)配列番号75を含む第1の核酸分子と、配列番号76を含む第2のヌクレオチド配列;そして
e)配列番号91を含む第1の核酸分子と、配列番号92を含む第2のヌクレオチド配列。
【請求項37】
請求項1~28のいずれか1項に記載の組成物、請求項29~30のいずれか1項に記載の抗体、請求項31~33のいずれか1項に記載の核酸分子、又は請求項34~36のいずれか1項に記載の組成物を被験体に投与することを含む、被験体における免疫応答を誘導する方法。
【請求項38】
前記被験体が現在レプトスピラ属に感染しており、及び前記組成物がレプトスピラ属に対する免疫応答を誘導する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1~28のいずれか1項に記載の組成物、請求項29~30のいずれか1項に記載の抗体、請求項31~33のいずれか1項に記載の核酸分子、又は請求項34~36のいずれか1項に記載の組成物を被験体に投与することを含む、被験体における疾患又は障害を治療又は予防する方法。
【請求項40】
前記疾患又は障害が、癌、細菌感染症、ウイルス感染症、及び寄生虫感染症からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府の援助による研究又は開発に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与されたAI115658、AI108276、及びAI064466に基づく政府支援によりなされた。政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月6日に出願された米国仮出願第63/230,244号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
PF07598遺伝子ファミリーは、病原性レプトスピラ(Leptospira)にのみ属すると同定された(Fouts et al, 2016, PLoS Negl Trop Dis. 10(2): e0004403; Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468)。この遺伝子ファミリーのメンバーはモル浸透圧濃度によってアップレギュレートされることが以前から知られていたが、その遺伝子機能はまだわかっていない(Matsunaga et al, 2007; Infect Immun, 75(6): 2864-2874)。PF07598遺伝子ファミリーメンバーのインビボのアップレギュレーションがハムスターモデルで報告されており(Lehmann et al, 2013; PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468)、この遺伝子ファミリーのメンバーの1つに対するヒト抗体応答がインビボで報告されている(Lessa-Aquino, 2017, PLoS Negl Trop Dis, 11(1):e0005349)。さらに、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)血清型マニラエ(Manilae)のランダムなトランスポゾン突然変異誘発が報告されている(Marcsisin et al, 2013, J Med Microbiol, 62(Pt 10):1601-1608)が、その機能は依然として不明である。
【0004】
ヒトのレプトスピラ症は発展途上国でよく見られ、先進国では発生率が増加している。効果的な公衆衛生対策の実施に向けた進展は限られており、ヒト用のワクチンは登録されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野においては、病原性レプトスピラに対するワクチンの可能性を有する新規組成物のニーズが依然として存在する。本発明は、この満たされていないニーズを満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質又はDNaseドメインを含むその断片を含む組成物に関する。1つの実施態様において、少なくとも1つのVMタンパク質は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、又はLMANV2_170091である。
【0007】
1つの実施態様において、本発明は、レプトスピラVMタンパク質又はレプトスピラVMタンパク質DNaseドメインと、標的分子への結合に特異的な標的化ドメインとを含む融合タンパク質に関する。1つの実施態様において、少なくとも1つのVMタンパク質は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、又はLMANV2_170091である。1つの実施態様において、標的分子は、細菌抗原、ウイルス抗原、寄生虫抗原、癌抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異的抗原である。
【0008】
1つの実施態様において、組成物は、2つ以上のレプトスピラVMタンパク質の組み合わせを含む。1つの実施態様において、組成物は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091のうちの2つ以上の組み合わせを含む。1つの実施態様において、組成物は、LIC_12340とLIC_12985の組み合わせを含む。1つの実施態様において、組成物は、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせを含む。
【0009】
1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、又は配列番号12のアミノ酸配列を含む少なくとも1つのレプトスピラVMタンパク質を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号10及び配列番号12に記載の配列を含むVMタンパク質の組み合わせを含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、及び配列番号12に記載の配列を含むVMタンパク質の組み合わせを含む。
【0010】
1つの実施態様において、組成物は、少なくとも1つのVMタンパク質又はDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片を含む少なくとも1つの脂質ナノ粒子(LNP)を含む。1つの実施態様において、組成物は、少なくとも2つのVMタンパク質又はDNaseドメインを含むVMタンパク質の断片を含む少なくとも2つのLNPの組み合わせを含む。
【0011】
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質又はVMタンパク質のDNaseドメインを含むその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む組成物に関する。1つの実施態様において、VMタンパク質は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、又はLMANV2_170091である。
【0012】
1つの実施態様において、核酸分子は、標的分子への結合に特異的な標的化ドメインに融合した、レプトスピラVMタンパク質又はVMタンパク質のDNaseドメインを含む断片を含む融合タンパク質をコードする。1つの実施態様において、標的分子は、細菌抗原、ウイルス抗原、寄生虫抗原、癌抗原、腫瘍関連抗原、又は腫瘍特異的抗原である。
【0013】
1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、又は配列番号12の少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0014】
1つの実施態様において、組成物は、LIC_12340とLIC_12985の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号10及び配列番号12の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号9及び配列番号11の組み合わせを含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0015】
1つの実施態様において、組成物は、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、及び配列番号12の組み合わせをコードする1つ以上の核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、及び配列番号11の組み合わせを含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0016】
1つの実施態様において、組成物は、少なくとも1つのVMタンパク質又はDNaseドメインを含むその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む少なくとも1つの脂質ナノ粒子(LNP)を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、少なくとも1つのVMタンパク質又はDNaseドメインを含むその断片をコードするmRNA分子を含む。
【0017】
1つの実施態様において、組成物はワクチンを含む。
【0018】
1つの実施態様において、組成物はアジュバントを含む。1つの実施態様において、アジュバントは、安定な水中油型ナノエマルジョン(SE)中に配合されたグルコピラノシル脂質A(GLA)である。
【0019】
1つの実施態様において、本発明は、被験体における免疫応答を誘導する方法であって、少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質若しくはDNaseドメインを含むその断片を含む組成物を、又は少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質若しくはVMタンパク質のDNaseドメインを含むその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む組成物を、被験体に投与することを含む方法に関する。1つの実施態様において、被験体は現在レプトスピラ属に感染しており、組成物はレプトスピラ属に対する免疫応答を誘導する。
【0020】
1つの実施態様において、本発明は、被験体における疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質若しくはDNaseドメインを含むその断片を含む組成物を、又は少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質若しくはVMタンパク質のDNaseドメインを含むその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む組成物を、被験体に投与することを含む方法に関する。1つの実施態様において、疾患又は障害は、癌、細菌感染、ウイルス感染、又は寄生虫感染である。
【0021】
1つの実施態様において、本発明は、被験体における疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)抗体を含む組成物を、又は少なくとも1つのレプトスピラ病毒性修飾(VM)抗体をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む組成物を、被験体に投与することを含む方法に関する。1つの実施態様において、疾患又は障害はレプトスピラ症である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の好ましい実施態様に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとよりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的で、現時点で好ましい実施態様が図面に示される。しかしながら、本発明は、図面に示される実施態様の正確な構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0023】
図1図1は、汎ワクチンチャレンジ(vaccine challenge)試験の計画を示す。
図2図2は、汎ワクチンチャレンジの実験スケジュールを示す。
図3図3は、免疫C3H/HeJマウスが、致死的チャレンジ(低継代エル・インテロガンス(L.interrogans)血清型カニコーラ(Canicola))後の死亡/体重減少から、汎ワクチンにより防御されることを証明する例示的な実験データを示す。5つの抗原(LA3490、LA0620、及びLA1402の全長mCherry融合体、並びに全長LIC12340及びLIC12985)の混合物。2つの抗原(全長LIC12340及びLIC12985の混合物。比較ゲノム分析は、エル・インテロガンスを含む(排他的ではない)すべての病原性レプトスピラ間でこれらのタンパク質が高レベルで保存されていることが示しており、これらのタンパク質ホモログが、これらのタンパク質及び相同的なタンパク質に対して開発されたワクチン、薬剤、生物学的製剤を含む予防及び治療介入に対して同様の機能と感受性を有する可能性が高いと考えられる。
図4図4は、致死的チャレンジ後の汎レプトスピラ症ワクチンによる免疫マウスの死亡/体重減少の統計解析を示す。
図5図5は、PBS陰性対照と比較して、VMタンパク質ワクチンが腎臓における細菌負荷を低下させることを証明する例示的な実験データを示す。データは、ダンの多重比較ポストテストを伴うクラスカル・ウォリス検定によって統計解析され、すべての条件をPBS処理マウスと比較して、複数の群を比較した(**、p<0.01;***、p<0.001)。異なるワクチン群間では腎臓の細菌負荷に差があった(クラスカル・ウォリス検定、P=0.0003***)。
図6図6は、VMタンパク質ワクチンによる免疫後の腎臓における細菌負荷の統計解析を示す。
図7図7は、PBS陰性対照と比較して、VMタンパク質ワクチンが肺における細菌負荷を低下させたことを証明する例示的な実験データを示す。
図8図8は、VMタンパク質ワクチンによる免疫後の肺における細菌負荷の統計解析を示す。
図9-1】図9は、チャレンジ前の交差反応性VMタンパク質抗体の検出を証明する例示的な実験データを示す。t検定、ノンパラメトリック検定、対応のない両側検定、マン・ホイットニー検定、p<0.05、p<0.0001。
図9-2】図9は、チャレンジ前の交差反応性VMタンパク質抗体の検出を証明する例示的な実験データを示す。t検定、ノンパラメトリック検定、対応のない両側検定、マン・ホイットニー検定、p<0.05、p<0.0001。
図9-3】図9は、チャレンジ前の交差反応性VMタンパク質抗体の検出を証明する例示的な実験データを示す。t検定、ノンパラメトリック検定、対応のない両側検定、マン・ホイットニー検定、p<0.05、p<0.0001。
図10図10A及び図10Bは、VMタンパク質のAlphaFold由来の3次元構造の評価及びコンピューター計算による検証を示す。図10Aは、Zlab(zlab.umassmed.edu/bu/rama/)オンラインサーバーを使用して、VMタンパク質の人工知能に基づく誘導3次元構造を評価するラマチャンドランプロット解析を示す。これは、タンパク質構造の品質と3次元コンフォメーションの安定性との重要な指標として機能するねじれ角度値の許容領域と不許容領域の概要を提供する。残基のパーセント98.211(LA3490)、96.59(LA0620)、98.59(LA1400)、95.11(LA1402)、及び96.32(LA0591)は好適な領域(コアベータ)であり、1.78(LA3490)、2.50(LA0620)、1.20(LA1400)、4.70(LA1402)、及び2.57(LA0591)は許容領域(コアアルファ)であり、そして0.00(LA3490)、0.896(LA0620)、0.20(LA1400)、0.18(LA1402)、及び1.13(LA0591)は外れ値(コア左巻きアルファ)であった。図10Bは、オンラインPROVE解析サーバーを使用して計算されたZスコア平均、Zスコアstddev、及びZスコアRMSを示す。
図11A図11A及び図11Bは、エル・インテロガンス血清型ライにおけるVMタンパク質中のQxWモチーフの構造と配列表現を証明する実験結果を示す。図11Aは、AlphaFoldによって生成されたLA3490VMタンパク質の高解像度3D構造を示し、アミノ酸が表面芳香族パッチ(赤色:チロシン、フェニルアラニン、及びトリプトファン)をコードしていることを示す。青色はN末端RBL1ドメイン中のQxWモチーフを表す。
図11B図11A及び図11Bは、エル・インテロガンス血清型ライにおけるVMタンパク質中のQxWモチーフの構造と配列表現を証明する実験結果を示す。図11Bは、3つの保存されたQxWモチーフ(青色:40QKP42134QRW136、及び78QCW80)を示すRBL1ドメインを示し、ここで、134QRW136モチーフはリシンB鎖にも保存されている。芳香モチーフ158YGY160はVMタンパク質とリシンB鎖で高度に保存されている。
図12A図12A及び図12Bは、VMタンパク質のRBL2とCARDs毒素(D3ドメイン)との構造的及び機能的類似性を証明する実験結果を示す。図12Aは、RMSD 1.218Åを有するCARDs毒素(PDB:4TLV_A鎖、ピンク色)のC末端と構造的に重ねられたLA3490VMタンパク質のRBL2ドメイン(緑色:196aa~335aa)を示す。
図12B図12A及び図12Bは、VMタンパク質のRBL2とCARDs毒素(D3ドメイン)との構造的及び機能的類似性を証明する実験結果を示す。図12Bは、CARDs毒素のC末端(D3ドメイン)が8個のトリプトファンをコードし、LA3490VMタンパク質が9個のトリプトファンをコードしていることを示す。このトリプトファンのうちの6個は、CARDs毒素のC末端とRBL2ドメインの両方に構造的に重なっている。
図13図13A図13Eは、LA3490VMタンパク質とリシン毒素におけるジスルフィド結合の表示と類似性を証明する実験結果を示す。図13Aは、10個のシステイン残基を対合することによる5個のジスルフィド結合を示す、AlphaFoldアルゴリズムによって生成されたLA3490の3Dリボン構造を示す。図13Bは、10個のシステイン残基を対合することによる5個のジスルフィド結合を示すリシン毒素(PDB:2AAI)を示す。図13Cは、ジスルフィド結合と共にLA3490のCBR(RBL1)とのリシンB鎖の重ね合わせを示すが、リシンA鎖はLA3490のC末端ドメインと重ならない。図13Dは、LA3490(赤紫色:Cys62aa~Cys79aa、Cys105aa~Cys127aa、Cys244aa~Cys262aa、Cys353aa~Cys608aa、及びCys630aa~Cys635aa)とリシン毒素(紫色:Cys4aa~Cys259aa、Cys151aa~Cys164aa、Cys20aa~Cys39aa、Cys62aa~Cys79aa、Cys63aa~Cys80aa、Cys105aa~Cys127aa、Cys244aa~Cys262aa)との間の同様のパターンのジスルフィド結合の重ね合わせを示す。図13Eは、Cys303~Cys308の位置に示されるLA0591における単一ジスルフィド結合の存在を示す。
図14A図14A図14Dは、LA3490VMタンパク質のCTD(カルボキシ末端ドメイン)におけるホットスポットとリガンド結合残基の評価を示す。図14Aは、FTMap機械学習ベースのアルゴリズムが、高い結合エネルギー親和性に基づくホットスポット残基及びクラスターとの相互作用の数を示すことを証明するデータを示す。
図14B図14A図14Dは、LA3490VMタンパク質のCTD(カルボキシ末端ドメイン)におけるホットスポットとリガンド結合残基の評価を示す。図14Bは、ホットスポット残基(Arg615、His533、Cys403、Gln486、Thr549、及びGln523)がリガンドとの結合を示すことを3次元的に証明するデータを示す。
図14C図14A図14Dは、LA3490VMタンパク質のCTD(カルボキシ末端ドメイン)におけるホットスポットとリガンド結合残基の評価を示す。図14Cは、LA3490のCTDの表面図が、深いポケット内のホットスポット残基とのリガンドの結合を示すことを証明するデータを示す。
図14D図14A図14Dは、LA3490VMタンパク質のCTD(カルボキシ末端ドメイン)におけるホットスポットとリガンド結合残基の評価を示す。図14Dは、LA3490のCTDとウシDNase(3DNI)の構造的重ね合わせが、His533(LA3490)とウシDNaseの触媒性残基His134との重複を示すことを証明するデータを示す。
図15図15A図15Cは、全長のFTMapに基づくホットスポット残基とVMタンパク質のC末端ドメインの比較証明を示す。図15Aは、AlphaFoldが生成した全長VMタンパク質(LA3490、LA0620、LA1402、及びLA1400)の構造が、高い結合エネルギーを有し、クラスターとの相互作用を多数有するアミノ酸を示すことを証明するデータを示す。図15Bは、クラスターとの相互作用を多数有する高結合エネルギーアミノ酸を有するVMタンパク質(LA0620、LA1400、LA1402、及びLA0591)のカルボキシ末端ドメイン(CTD)を示すヒストグラムを示す。図15Cは、リガンド結合部位を示すVMタンパク質のCTDの3次元図を示す。
図16図16A図16Dは、LA3490VMタンパク質のリガンド結合部位のPrankWeb及びDeepsiteベースの評価を示す。図16Aは、ParnkWebに供されたAlphaFoldアルゴリズムに基づく全長LA3490PDBファイルを示す。機械学習ベースのツールにより14個の深いリガンド結合ポケットが特定され、最高スコア(18.39)のポケット1を溶媒アクセス可能表面(SAS)とともに青色で示し、進化的に保存されたポケットの位置を下のパネルに示す。図16Bは、最高スコア15.64を有する5つのポケットを示すLA0591を示し、ポケット1は溶媒アクセス可能表面(SAS)と共に青色で示され、進化的に保存されたポケットの位置は下のパネルに示される。相互作用性アミノ酸として深いポケット内のHis533残基を示すDeepsite機械学習ベースのアルゴリズムは、LA3490(図16C)及びLA0591(図16D)の表面図を示す。
図17図17は、LA3490及びウシDNaseにおけるホットスポット残基及びリガンド結合部位の比較評価を示す。
図18図18A図18Fは、VMタンパク質のDNase活性に対する二価カチオンの作用を証明する。HeLa DNA(150ng)を、3mM MgClを含む(図18A)、(二価陽イオン)MgClを含まない(図18B)、2mM ZnClが存在する(図18C)、3mM CaClが存在する(図18D)、CaCl+3mM MgClが存在する(図18E)TM緩衝液(10mM トリス、pH7.4)中の、30nMの精製可溶性組換えVMタンパク質(t3490、LA3490、LA0620、LA1402、LA1400、及びLA0591)と30分間インキュベートし、試料を1%アガロースゲル電気泳動に供した。VMタンパク質によるDNase活性は、DNAのスメアリング(smearing)と消失によって示される;t3490、t0620にはそのような作用はなかった。(図18F)MGLTools1.5.7を使用するドッキング試験は、リン酸塩及びマグネシウムイオンがGln412(結合エネルギー0.95kCal/mol)及びArg615(結合エネルギー2.58kCal/mol)と相互作用することを示した。
図19図19A図19Cは、組換えHisタグ付きVMタンパク質の、DeepMind AlphaFoldアルゴリズム由来の構造、クローニングのための戦略、精製、及び抗原性を示す。図19Aは、AlphaFoldアルゴリズムを使用する(LA3490、LA0620、LA1402、LA1400、及びLA0591)の人工知能ベースの高解像度構造モデル化を示す。図19Bは、本試験で使用される組換えmCherry(mC)融合VMタンパク質の構成を示す概略図を示す:t3490、アミノ酸位置40aa~147aa(シグナル配列なし);LA3490(19aa~639aa)、LA0620(32aa~637aa)、LA1402(28aa~641aa)、LA1400(1aa~573aa)、及びLA0591(23aa~313aa)。クローンはシグナル配列なしで設計された。LA1400には当然ながらシグナル配列がない。組換え融合体には、グリシン-セリン(Gly4S)3リンカー(柔軟性のため)、N及びC末端His6タグ(精製)、及びN末端チオレドキシンが含まれる。図19Cは、AKTA精製した可溶性Hisタグ付きVMタンパク質(LA3490、t3490、LA0620、LA1402、LA0591、及びLA1400)を4±12%のSDS-PAGEと次のクマシー染色によって分析したことを示す。多重測定ゲルに免疫ブロット分析を実行した。タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、ブロットをマウス抗HisモノクローナルALPコンジュゲート(1:2,000希釈;Santa Cruz Biotechnology, USA)とプローブ結合させた。Mは分子量マーカーを表す。
図20図20は、マウスの免疫スケジュール及び試料収集を示す。C3H/HeJマウスを、25μgの総抗原でアジュバント(5μgのGLA-スクアレン-水中油型エマルション)とともに、それぞれ0、21、42日目に筋肉内経路で免疫した。各免疫前及びチャレンジ感染前に事前に採血し、剖検日に血液を採取した。対照マウスは、PBS緩衝液とアジュバントで免疫した。52日目の免疫後、マウスに生きたエル・インテロガンス血清型カニコーラ(約1×10レプトスピラ、LD50<100)を腹腔内経路により感染させた。次の感染後に血液と臓器を採取した。
図21図21A図21Cは、エル・インテロガンス血清型カニコーラでチャレンジされたマウスの体重変化、細菌負荷、及び炎症性サイトカイン応答を証明するデータを示す。図21Aは、感染後0日から13日まで記録されたマウスの体重(変化%)を示す。臨床状態(身だしなみ、食事、飲水、エネルギーレベル)の同時評価も観察された。G-I及びG-IIマウスは6日目と5日目に殺処分された(‡及び†)。対応のない両側マン・ホイットニーT検定を使用して統計解析を実施して、PBS対照群とワクチン接種群の間の体重の統計的有意性を決定した。p値:VM混合物vsPBS、549、p=0.0152:ラベルなしVM対PBS、p=0.0005:ラベルなしVM対VM混合物、p<0.0001****:t3490対PBS、p=0.3869、有意差なし。エラーバーは標準誤差を示す。総ゲノムDNAを腎臓(図21B)及び肝臓(図21C)から抽出し、lipL32プライマー及びSYBER Greenプローブを用いてqPCRを二重測定で実施することにより分析して、レプトスピラ組織負荷を定量した。統計解析は、クルスカル-ウォリス(Kruskal-Wallis)検定とダン(Dunn)の多重比較検定を使用して実行した。p<0.0001は有意であると見なされた。図21Dは、各群からのプールされた血清試料における炎症性サイトカイン応答を示す:チャレンジ前及びチャレンジ後のG-I(PBS対照)、G-II(t3490)、G-III(5つのVMタンパク質の混合物)、及びG-IVマウス(2つのVMタンパク質の混合物)を使用して、V-PLEX炎症促進性パネル1マウスキット(Meso Scale Discovery, MD, USA)(これは電子化学発光に基づく免疫アッセイである)によりIL-1β、IL-6、IL-5、IL-10、IFN-γ、TNF-α、KC/GROのレベルを測定した。PIBは免疫前の血液を意味する。
図22図22A及び図22Bは、組換えVMタンパク質免疫に対するIgG応答を証明するデータを示す。図22Aは、チャレンジ前及びチャレンジ後の各試験群において、ELISAを使用して3重測定で個々のVMタンパク質に対する抗体力価が測定されたことを証明するデータを示す。各データ線は、各動物の平均IgG応答を表す(n=10)。箱ひげ図(Box and Whisker Plot)は、それぞれt3490、LA3490、LA0620、LA1402、LA1400、及びLA0591に対する抗体力価を表す。4つの試験群は、G-I:PBS、G-II:t3490、G-III:VM混合物、及びG-IV:ラベルなしのVMを含む。箱の境界は中央値と四分位範囲を示し、ひげは最大値と最小値を示す。統計解析は、t検定とノンパラメトリック検定、対応のない両側マン・ホイットニー検定によって実行された。p<0.0001の値は有意と見なされる。図22Bは、免疫した組換え精製VMタンパク質からのアリコートを4±12%のSDS-PAGEで泳動し、次にニトロセルロース膜に転写してウェスタンブロット分析を行ったデータを示す。膜を、チャレンジ後に収集した1:500のプール血清とプローブ結合させた。PIBは、免疫前の血液を意味し、対照とした。VMタンパク質は、G-II、G-III、及びG-IVの血清によって認識された。レーン1はVM混合物タンパク質(LA3490、LA0620、LA1402、LA1400、及びLA0591)を示し、レーン2はラベルのないVMタンパク質(LA1400及びLA0591)を示す。矢印は、VMタンパク質の予測されるサイズを示す。Mは分子量マーカーを表す。
図23図23A図23Cは、免疫マウス群の血清によるレプトスピラ無細胞溶解物中のVMタンパク質のインビトロ及びインビボ認識を証明するデータを示す。病原性エル・インテロガンス血清型カニコーラ、ライ(Lai)、コペンハーゲニ(Copenhagni)、及び非病原性エル・ビフレキサ(L. biflexa)血清型パトック(Pathoc)を、対数期で120mM NaClで4時間誘導した馴化EMJH培地と非馴化EMJH培地で増殖させて、細胞を採取した。無細胞溶解物を4~12%のSDS-PAGEで分析し、次にニトロセルロース膜に転写しウェスタンブロット分析を行った。図23Aは、膜が、ポリクローナルLA3490抗体(1:2,000希釈)、及びローディング対照として機能したLipL32モノクローナル抗体(1:10,000)とプローブ結合されたことを証明するデータを示す。図23Bは、別のセットの膜が、免疫前(採血前)に、並びに群I(PBS+アジュバント)、群II(t3490)、群III(VM混合物)、及び群IV(VM非標識)のチャレンジ後に収集されたプール血清(1:100希釈)とプローブ結合させたことを証明するデータを示す。図23A及び23Bは、NaClを添加せずにEMJH培地中で増殖させたレプトスピラがマイナス(-)で表され、及びEMJH培地中で対数増殖期まで増殖させ、この時点で120nM NaClを添加したレプトスピラがプラス(+)で表されることを示す。矢印は、70.29kDaの天然VMタンパク質の発現を示す。図23Cは、C3H/HeJが疑われるマウスの実験的感染後に血清型カニコーラに対して抗レプトスピラ免疫グロブリンが生成されたことを証明するデータを示す。全細胞IgG ELISAを、事前採血及びチャレンジ後の免疫マウスの血清を使用して実施した。血清型パトックを陰性対照として使用した。
図24図24は、群Iの病原性レプトスピラにおけるPF07598遺伝子ファミリーメンバーのオルソログとアミノ酸類似性パーセントの表を示す。
図25図25は、モノクローナル上清(YUSM001B)と組換えVMタンパク質との反応性を証明するデータを示す。
図26図26は、500nM濃度の標的抗原LA0591に対するYUMS1Bからの5つのクローンを用いて実行された探索結果を示す表を示す。
図27図27は、YUMS1Bからの5つのクローンの反応性の概要を示す。
図28図28は、モノクローナル上清(YUSM001A、LA1400)と組換えVMタンパク質との反応性を証明するデータを示す。
図29図29は、スクリーニングデータ確認の表を示す。
図30図30は、YUSM001A及びYUSM001BマウスのIgG定量データの表を示す。
図31図31A図31Cは、ここではLA3490で表されるレプトスピラPF07598遺伝子ファミリーメンバーが、2つのタンデムに繰り返されるN末端リシンB様(RBL)レクチンドメインを有すると高い信頼性で予測されることを証明するデータを示す。図31Aは、全長LA3490(Callaway, 2020; Jumper et al., 2020; Senior et al., 2020)のAlphaFold 3Dで生成されたモデルの視覚化を示し、PyMOL 2.4.0 pymol.org/2/. Phyre2 (Protein Fold Prediction Server; sbg.bio.ic.ac.uk/phyre2/html/page.cgi?id=index)で視覚化されたN末端からC末端(青色から赤色)までの残基の4つの球状ドメインが、最初に予測した高い(>94%)信頼度で、LA3490並びにPF07598遺伝子ファミリーによってコードされる全ての他の病毒性修飾(VM)タンパク質が、リシンBドメインとして同定されるN末端のb-三つ葉構造を含有することを予測していたことを示す。図31Bは、リシンBドメイン(PBD;2AAI-B、7aa~129aa)を示す。図31Cは、PyMOL(TM)2.4.0を使用して実行された2AAI-BとLA3490のN末端領域(すなわち、アミノ酸位置40~150)との重ね合わせを示し、RBL1及びリシンのB鎖の構造保存を示す(RMSD=1.796Å)。
図32図32A図32Dは、(オルソロガス)VMタンパク質クラスターを示す3次元計量多次元スケーリング(3DMMDS/Galaxy)プロットを証明するデータを示す。bios2mds(Pele et al., 2012)を使用して分析された940個のPF07598ファミリーVMタンパク質の中から、クラスターが同定され、Rの主成分分析を使用して視覚化された。典型的なPF07598パラログに加えて、リシンB様レクチン、RBL、サブドメイン(すなわち、アミノ末端シグナル配列と毒素ドメインのみを含む)が欠如している42個の天然の欠失変異体が含まれていた。図32Aは、2つの同一でないタンデムRBLサブドメインを含む炭水化物結合領域(CBR)を示す。図32Bは、個別の輸送及びDNaseサブドメインを包含するカルボキシ末端毒素ドメイン(CTD)を示す。どちらの場合も、3D効果を強化して視覚化を支援するために、初期レンダリングが編集された(表面上の変更のみ)。座標は変更されなかった。レプトスピラ・インテロガンスで見つかったVMタンパク質変種を含むクラスターが強調表示され(大きな球)、参照エル・インテロガンス血清型コペンハーゲニ株(PMID15028702)、L1-130(UniProtKB)タンパク質IDを使用して、名前が付けられている。オルソログクラスターは、同一性パーセント(PID)に基づいて、VMタンパク質パラログ(A、n=2、B、n=7、及びC、n=4)を含む3つのスーパークラスターに群別された。カラーキーには次の規則が使用される:種については、エル・インテロガンス(ins)、エル・キルシュネリ(L. kirschneri)(kri)、エル・ノグチイ(L. noguchii)(nii)など;血清型については、例えば、カニコーラ(CLA)、ライ(LAI)、ハードジョーー(HJO)など;及び、スリランカ(Sri Lanka)に由来する株については、例えば、エル・インテロガンス血清型の未知の株KW1(KW1)などである。図32Cは、VMタンパク質の理論的な進化の歴史を示す概略図を示し、側方転移(LGT)、遺伝子重複(紫色の矢印、II)と侵食(黒い実線の矢印)、及び組換え(青い矢印=側方遺伝子転移を介して獲得されたドナー、I;破線の矢印は、密接に関連するパラログからのゲノム内ドナーを示す)を含む。円は、時間の経過ととも理論的に進化するVMタンパク質を表す;四角は現時点での最終進化形を表す。図32Dは、Q72NW3(例えば、WP.017856587.1)及びQ72TZ4(例えば、QHH71994.1)(約99.1%PID)に関連するものなどの、密接に関連したCBRクラスターに属するパラログのCBR及びCTDドメイン融合から生じるキメラレプトスピラVMタンパク質のドメイン構成と結合を示す。これらの天然VMタンパク質変種は、エル・インテロガンス並びにその姉妹種であるエル・キルシュネリ及びエル・ノグチイでは、まれに(約2%)存在する。キメラVMタンパク質は、一般に、代表されるパラログに関係なく、共通の接合部を共有する。
図33図33A図33Dは、VMタンパク質LA3490が真正のR型レクチンであることを証明するデータを示す。図33Aは、この試験で使用される組換えmCherry(mC)融合タンパク質の構成を示す概略図を示す:t3490、アミノ酸位置40~147aa(SS、シグナル配列を除く);及びrLA3490、19~639aa、これもSSを欠いている。組換え融合体はまた、グリシン-セリンリンカー、C末端His6タグ(精製)、及びN末端チオレドキシンも含む。RBL及びCTDは、それぞれリシンB様レクチン及びカルボキシ末端ドメインを指す。図33Bは、末端切断型(t3490)及び全長(rLA3490)VMタンパク質が、市販のリシンB鎖と同様に、用量依存的にアシアロフェツインに結合することを証明するアシアロフェツイン結合アッセイを示す。図33Cは、末端切断型(t3490)、別のVMタンパク質のリシンBドメイン、LA0620(t0620)、及び全長(rLA3490)が、組換えリシンB鎖(25nM及び50nM)と同じ結合部位に対して競合することを示す競合アッセイを示す。アッセイは、ELISA形式を使用してマイクロタイタープレートで実施した。マウスポリクローナル抗LA3490及び抗LA0620抗体(1:1,000希釈)を1次抗体として使用し、抗マウスIgGを2次抗体として使用した(特異性対照として単独で使用され、2Ab対照と表示)。図33Dは、120mM NaClの存在下でエル・インテロガンス血清型ライによってEMJH培養上清中に分泌された天然LA3490(70.29kDa)がアシアロフェチュイン結合セファロースビーズ(AFS)に結合することを示す。タンパク質は0.5Mラクトースで溶出された。エル・インテロガンス血清型ライ調整培地でインキュベートした非結合セファロースビーズ、及びPBSを含むAFSビーズを対照として使用した。アッセイは3重測定で実行し、実験は2回繰り返した。平均吸光度(±SEM)はGraphPad Prism 8で視覚化され、p<0.05で統計的に有意であると見なされた。
図34図34A図34Cは、組換えタンパク質調製物の同一性及び純度を確認するウェスタン免疫ブロット及びカブトガニ(limulus)変形細胞(limulus)溶解物アッセイを証明するデータを示す。図34A及び図34Bは、予測されるサイズの単一バンドの存在を確認する組換えタンパク質調製物のウェスタンブロットを示す。A、t3490、B.rLA3490。膜を抗His抗体(レーン2)及びポリクローナル抗LA3490抗体(レーン3)とプローブ結合させた。M-分子量マーカー。図34Cは、大腸菌LPSを陽性対照として用いるカブトガニ変形細胞溶解物アッセイには、感知できるほどのエンドトキシン汚染がないことを示す。データはGraphPad Prism v8で視覚化された。
図35図35A図35Fは、rLA3490の細胞障害性作用を証明するデータを示す。図35Aは、トリパンブルー色素排除により評価される、r3490によって誘導される用量依存性のHeLa細胞死滅を示す。陰性対照、t3490、BSA、及び無処理では、そのような作用はなかった。細胞単層を、LA3490、t3490、及びBSAの段階的モル比用量(0~904nM)で4時間処理した。データは、各条件で3重測定で行った2つの独立した実験の平均±SDを表す(対応のあるt検定、p<0.005)。図35Bは、タイムラプス位相差顕微鏡画像(40フレーム、5秒間隔)を示し、45nMのrLA3490及び対照への曝露後のHeLa細胞の細胞障害作用を示す。rLA3490の場合のみ、1時間以降に細胞小疱形成が明らかであった[拡大図で見られる(左上及び右パネル、黒い矢印)]。ライカDMi8倒立顕微鏡を使用して、×40対物レンズを使用して、タイムラプス画像をキャプチャした。スケールバー、10mm。図35Cは、rLA3490処理後の早期にアクチン脱重合が起きることを示す。HeLa細胞単層を45nMのrLA3490、t3490、及びBSAとともに最大1時間インキュベートした。単層を4%パラホルムアルデヒドで固定し、続いてPBS透過処理で0.1% トリトンX-100で固定した。単層をファロイジン-アレクサフルオール-488nmコンジュゲートとともにインキュベートし、洗浄し、次にDAPIを含むProLongTM Gold Antifade封入剤でマウントした。画像は、ライカDMi8共焦点顕微鏡[アレクサ_488nm(緑)、DAPI(青)]を使用して倍率40倍でキャプチャした。未処理のHeLa細胞をコントロールとして使用した。スケールバー、20mm。図35Dは、蛍光生/死染色によって評価したrLA3490によって誘導されるHeLa細胞死滅を示す。陰性対照(t3490、BSA、及び無処理)にはそのような作用はなかった。HeLa細胞単層の生/死染色は、45nMのrLA3490(左上のパネル)及びt3490(左下のパネル)に4時間曝露した後に実行された。rLA3490で処理すると、付着細胞の劇的な減少とそれに付随する死細胞の蓄積が観察されたが、t3490又はBSAでは観察されなかった。画像は、ライカDMi8倒立顕微鏡を使用して10倍の倍率でキャプチャされた。スケールバー、100mm。図35Eは、陰性対照曝露(t3490、BSA、及び無処理)と比較した、4時間曝露後の単層からのHeLa細胞のLA3490誘導性剥離の定量を示す。rLA3490を1時間曝露した後、細胞が単層から明らかに解離していた。図35Fは、陰性対照と比較した、rLA3490での処理後の乳酸デヒドロゲナーゼ放出による時間依存性のHeLa細胞死滅の定量化を示す。GraphPad Prism 8の一元配置t検定を使用して群を比較し、p<0.05で統計的に有意であると見なした;ns、有意ではない。**は、p=0.0054で統計的に有意であることを意味する。
図36図36A図36Cは、HeLa細胞のrLA3490処理後のカスパーゼ活性化を証明するデータを示す。超解像度共焦点蛍光顕微鏡により、rLA3490-mCherry融合タンパク質をHeLa細胞に添加すると、緑色蛍光を生成するカスパーゼ3認識配列/基質(DEVD)の切断によって証明されるように、組換えタンパク質の内在化に関連するカスパーゼ3の活性化をもたらすことが示された。この共局在はまた、陰性対照t3490や未処理HeLa細胞とは異なり、核内で顕著な形態学的変化も示した(図36A図36B)。簡単に述べると、細胞単層を45nMの組換え融合タンパク質で4時間処理した。細胞を洗浄し、10μMのNucView(登録商標)488基質を含むPBSで染色し、次にProLong(商標)Gold Antifade Mount plus DAPIでマウントした。画像は、適切なフィルター(青、DAPI;緑、カスパーゼ-3活性細胞;赤、mCherry融合体)を使用する63倍の油浸対物レンズを使用してキャプチャされた。図36Bは、t3490とは異なり、核におけるrLA3490の共局在と細胞アポトーシスを導くカスパーゼ3活性化を示す拡大図を示す。図36Cは、カスパーゼ-3阻害剤と活性カスパーゼ-3の蛍光の影響を、分光光度計プレートリーダーで488/520nm(励起/発光)で読み取ったことを証明するデータを示す。カスパーゼ-3阻害剤によるHeLa細胞の事前処理により、アポトーシス細胞に対するrLA3490の作用が緩和された。GraphPad Prism 8のt検定によってさまざまな処理を評価し、p<0.05である場合有意であると見なし、ns=有意でないとした。
図37図37A図37Cは、HeLa細胞におけるrLA3490の表面結合と核局在を証明するデータを示す。mCherry-rLA3490及びmCherry-t3490融合タンパク質のHeLa細胞への結合動態を証明する蛍光共焦点顕微鏡。図37Aは、60分の時点の2次元図を示し、t3490は細胞表面(赤色)上でのみ見える。rLA3490は60分までに内在化される(赤/ピンク)。図37Bは、高解像度蛍光共焦点顕微鏡法によって得られた3次元Zスタック及び直交画像を示し、30分以降のmCherry-rLA3490融合体の内在化を示し、60分以内に核転座及び染色体分解(斑状DAPI染色によって示される、右下)が明らかである。t3490は30分及び60分の時点で細胞表面に残った。処理された細胞の視覚化は、CellMaskTM green plasma膜染色剤で染色し、ProLongTM Gold Antifade 封入剤+DAPI核染色を使用してマウントした後に行った。画像は、油浸×100対物レンズを使用して適切なフィルター(青、DAPI;緑、細胞膜;赤、mCherry融合体)を使用したキャプチャされた。図37Cは、mCherryタグ付きrLA3490及びt3490タンパク質とHeLa細胞との時間依存性相互作用を示す(表面結合と内在化)。蛍光共焦点顕微鏡法(ImageJバージョン1.53ソフトウェアを使用)を使用して、HeLa細胞単層を用いて組換え融合タンパク質を定量した。単層を45nMの組換え融合タンパク質又は対照に最大60分間曝露した。mCherry-t3490及び-LA3490融合タンパク質の蛍光強度を、0分から60分まで10分間隔で測定した。データはGraphPrism 8で視覚化された。
図38図38A図38Fは、レプトスピラVMタンパク質のDNase活性を証明するデータを示す。図38Aは、3mM Mg2+を含有するTM緩衝液中でHeLa細胞由来の150ngのDNAを示された用量及び時間インキュベートした際に観察されたrLA3490のDNase活性を示す(反応中にMg2+が存在しない場合、DNA分解は生じなかった)。試料を1%アガロースゲル電気泳動に供した。rLA3490のDNase活性は、DNAのスメアリングと消失によって示される。t3490にはそのような作用はなかった。図38Bは、他の組換えVMタンパク質(LA0620、LA1400、LA1402、及びLA0591)がすべて同様のDNase活性を有することを証明するデータを示す。図38Cは、400ngの未消化プラスミドpET28に対するrLA3490のDNase活性が、コイル解除、線状化、及び部分分解を伴う部分分解を示し、白い矢印で示されるようにt3490の影響を受けないことを示す。図38Dは、線状プラスミドに対するrLA3490のDNase活性が、用量依存性及び時間依存性のスメアリングを伴い、線状及び弛緩プラスミドの完全な消失を示すことを示す。L、DNAラダー。図38Eは、リアルタイムPCRとFAM蛍光プローブを使用するrLA3490 DNase活性の定量を示す。ウシDNase、0.02U/mlを陽性対照として使用した。データは、3つの独立した実験の平均±SDを表す。図38Fは、それぞれLA3490及びLA0591のAlphaFoldで生成したCTDの重ね合わせを示す。図1Aに示すように、LA3490は2つのRBL、CTD、及び介在する機能配列を有するVMタンパク質の大部分を表すが、LA0591はRBL1とRBL2を欠いているが、残りの機能配列を含む。LA0591で表されるこのパラログは、エル・インテロガンス種にのみ完全に存在するが、他の病原性群Iレプトスピラには存在しない。LA3490及びLA0591のCTDは、0.532ÅのRMSD値が示すように、アミノ酸配列の相違にもかかわらず、構造レベルで高度に保存されていると予測される。 図39A及び図39Bは、LA3490のCTDが、ウシDNaseIと同一の保存された活性部位残基を有することを示す。図39Aは、LA3490、ウシDNaseI(ユニポートID:P00639)、マウスDNase1(P49183)、ラットDNase1 P21704、ヒトDNaseI(P24855)、大腸菌_CdtB(Q46669)、そしてヒトエンドヌクレアーゼ(P27695)のCTDからのアミノ酸配列整列に基づく系統樹が、phylogeny.fr.を使用して生成された。スケールバー、アミノ酸部位ごとに1つの置換。数字は、100個の代替ツリーのブートストラップ分析によって決定された分岐順序の統計的信頼性を示す。図39Bは、LA3490(368~639aa)とウシDNase(PDB:3DNI)のCTDの重ね合わせが、9.012ÅのRMSDを有するウシDNaseIの活性部位における予測される構造的類似性であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本発明は、レプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質、その変種及び断片、並びにそれらを含むワクチン組成物に関する。レプトスピラVMタンパク質は免疫原性があり、従って、必要とする被験体のレプトスピラ症を治療又は予防するためのワクチン又は免疫原性組成物として使用できることが本明細書で証明される。
【0025】
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも1つの病毒性修飾(VM)タンパク質又はその断片若しくは変種を含む組成物を提供する。1つの実施態様において、少なくとも1つのVMタンパク質は、エル・インテロガンス血清型ライ、L.インタロガンス血清型コペンハーゲニ、L.インタロガンス血清型マニラエ、又はこれらの組み合わせに由来する。1つの実施態様において、少なくとも1つのVMタンパク質は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片若しくは変種である。
【0026】
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、又は5つを超えるVMタンパク質の組み合わせを含むワクチンに関する。1つの実施態様において、ワクチンは、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片又は変種の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つの、又は5つを超える組合わせを含む。1つの実施態様において、ワクチンは、LIC_12340とLIC_12985の組み合わせを含む。1つの実施態様において、ワクチンは、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせを含む。
【0027】
別の実施態様において、本発明の組成物は、少なくとも1つのVMタンパク質、その断片、又はその変異体をコードする核酸配列を含む。別の実施態様において、本発明の組成物は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片若しくは変種の、少なくとも1つのVMタンパク質をコードする核酸配列を含む。1つの実施態様において、本発明の組成物は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片又は変種の、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つの、又は5つを超える組合わせをコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、ヌクレオチド配列は、LIC_12340とLIC_12985の組み合わせをコードする。1つの実施態様において、ヌクレオチド配列は、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせをコードする。
【0028】
1つの実施態様において、本発明は、免疫応答を誘導又は増強するための組成物及び方法を提供する。例えば、特定の実施態様において、本発明は、所望の抗原に対する細胞性免疫及び/又は体液性免疫を誘導又は増強することに関する。
【0029】
1つの実施態様において、本発明の組成物は、レプトスピラ種の細菌に対する免疫を誘導するための抗原として機能する。特定の実施態様において、組成物及び方法は、レプトスピラによる感染を予防、治療、及び診断するために使用される。特定の実施態様において、組成物及び方法は、限定されるものではないが、レプトスピラ症、腎臓損傷、髄膜炎、肝不全、呼吸困難、さらには死亡を含むレプトスピラによる感染に関連する疾患又は障害を予防又は治療するために使用される。1つの実施態様において、本発明の組成物は、少なくとも1つのレプトスピラ種タンパク質に対する細胞性免疫及び/又は体液性免疫を誘導するワクチンである。
【0030】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料が説明される。
【0031】
本明細書で使用される場合、以下の各用語は、このセクション内でそれに関連付けられた意味を有する。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではないことも理解されたい。
【0032】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1つ以上の(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として「要素」は、1つの要素又は複数の要素を意味する。
【0033】
量、持続時間などの測定可能な値を指す場合、本明細書で使用される「約」は、指定された値から±20%、又は±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、及びさらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味し、それは、このような変動が、開示された方法を実行するのに適切であるためである。
【0034】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然源又は組換え源に由来する無傷の免疫グロブリンであってもよく、また無傷の免疫グロブリンの免疫反応性部分であってもよい。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab、及びF(ab)、並びに単鎖抗体及びヒト化抗体を含む様々な形態で存在し得る(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY; Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
【0035】
本明細書で使用される「抗原」又は「Ag」という用語は、免疫応答を引き起こす分子として定義される。この免疫応答には、抗体の産生、又は特定の免疫担当細胞の活性化、又はその両方が関与する可能性がある。当業者であれば、事実上すべてのタンパク質又はペプチドを含む任意の巨大分子が抗原として機能し得ることを理解するであろう。さらに、抗原は組換えDNA又はゲノムDNAに由来する場合がある。従って、当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列又は部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、本明細書で使用される用語「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗原が遺伝子の全長ヌクレオチド配列のみによってコードされる必要がないことを理解するであろう。本発明が、限定されるものではないが、2つ以上の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含むこと、及びこれらのヌクレオチド配列が、所望の免疫応答を誘発するために様々な組み合わせで配置されることは、容易に明らかである。さらに、当業者であれば、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要は全くないことを理解するであろう。抗原は合成して生成することも、生体試料に由来することもできることは明らかである。
【0036】
本明細書で使用される「自家」という用語は、後に同じ個体に再導入される個体に由来する任意の物質を指すことを意味する。
【0037】
本明細書で使用される「アジュバント」という用語は、抗原特異的適応免疫応答を増強する任意の分子として定義される。
【0038】
「薬剤」という用語には、任意の物質、代謝産物、分子、元素、化合物、又はこれらの組み合わせが含まれる。これには、限定されるものではないが、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、有機低分子、グリカン、多糖、ポリヌクレオチドなどが含まれる。それは、天然物、合成化合物、化合物、又は2つ以上の物質の組み合わせでもよい。特に指定しない限り、「薬剤」、「物質」、及び「化合物」という用語は互換的に使用することができる。さらに「試験薬剤」又は「候補薬剤」は、一般に、本発明のアッセイで使用するための被験体薬剤である。
【0039】
「結合」という用語は、例えば、共有結合、静電的相互作用、疎水性相互作用、イオン結合相互作用、及び/又は水素結合相互作用による、少なくとも2つの分子間の直接的な会合を指す。
【0040】
「CDR」は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987) を参照されたい。免疫グロブリンの可変部分には、3つの重鎖及び3つの軽鎖CDR(又はCDR領域)がある。従って、本明細書で使用される「CDR」は、3つすべての重鎖CDR、又は3つすべての軽鎖CDR(又は、適切な場合、すべての重鎖及びすべての軽鎖CDR)を指す。抗体の構造及びタンパク質の折り畳みは、他の残基が抗原結合領域の一部であると考えられることを意味する可能性があり、当業者にはそのように理解されるであろう。例えば、Chothia et al., (1989) Conformations of immunoglobulin hypervariable regions; Nature 342, p 877-883を参照されたい。
【0041】
「キメラ抗体」とは、ドナー抗体に由来する天然の可変領域(軽鎖及び重鎖)を、アクセプター抗体に由来する軽鎖及び重鎖定常領域と結合して含む、工学作成された抗体のタイプを指す。
【0042】
「接触する」とは、2つ以上の分子、又は同じ分子若しくは異なる分子の2つ以上の成分が相互作用できるように物理的に近接させるプロセスを指す。分子又はその成分は、分子を含む2つ以上の異なる成分を組み合わせることによって、例えば、2つ以上の溶液成分を混合することによって、標的分子、候補分子、又は競合結合参照分子などの2つ以上の分子を含む溶液を調製することによって、及び/又は2つ以上の流れる成分を組み合わせることによって、接触され得る。
【0043】
本明細書で使用される「併用療法」とは、第1の薬剤が別の薬剤と併用して投与されることを意味する。「と併用して」とは、別の治療法に加えて、ある治療法を施すことを指す。従って、「と併用して」とは、個体に他の治療法を施す前、その最中、又後に、ある治療法を施すことを指す。このような組み合わせは、単一の治療計画又は治療体制の一部であると見なされる。
【0044】
本明細書で使用される「同時投与」という用語は、併用療法における第1の治療法の実施と第2の治療法の実施が時間的に互いに重なることを意味する。
【0045】
「疾患」とは、動物が恒常性を維持できない健康状態であり、疾患が改善されない場合、動物の健康は悪化し続ける。対照的に、動物の「障害」とは、動物が恒常性を維持することはできるが、動物の健康状態が障害がない場合よりも好ましくない健康状態のことである。病気を治療せずに放置しても、必ずしも動物の健康状態がさらに悪化するとは限らない。
【0046】
「ドナー抗体」という用語は、その可変領域、CDR、又はその他の機能性断片若しくは類似体のアミノ酸配列を第1の免疫グロブリンパートナーに提供する抗体(モノクローナル及び/又は組換え)であって、こうして、このドナー抗体に特徴的な抗原特異性及び中和活性特性を備えた改変された免疫グロブリンコード領域と、その結果として発現されるドナー抗体を提供する抗体を指す。
【0047】
「アクセプター抗体」という用語は、ドナー抗体に対して異種の抗体(モノクローナル及び/又は組換え)であって、その重鎖及び/又は軽鎖のフレームワーク領域及び/又はその重鎖及び/又は軽鎖の定常領域をコードするアミノ酸配列のすべて(又は任意の部分、しかし、いくつかの実施態様においてすべて)を、最初の免疫グロブリンパートナーに提供する抗体を指す。特定の実施態様において、ヒト抗体はアクセプター抗体である。
【0048】
本明細書で使用される「有効量」とは、治療的又は予防的利益を提供する量を意味する。
【0049】
本明細書で使用される「発現」という用語は、そのプロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳として定義される。
【0050】
「発現ベクター」とは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターには、発現に十分なシス作用性要素が含まれる。発現のための他の要素は、宿主細胞によって、又はインビトロ発現系で供給され得る。発現ベクターには、当技術分野で知られているすべてのベクター、例えば、組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、裸であるか又はリポソームに含まれる)、及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)が含まれる。
【0051】
本明細書で使用される用語「重鎖抗体」又は「複数の重鎖抗体」は、ペプチドによる免疫及び次の血清の単離によって、又はそのような抗体をコードする核酸配列のクローニング及び発現によって、ラクダ科動物種から得られる免疫グロブリン分子を含む。「重鎖抗体」又は「複数の重鎖抗体」という用語はさらに、重鎖疾患を有する動物から単離された免疫グロブリン分子、又は動物からのVH(可変重鎖免疫グロブリン)遺伝子のクローニング及び発現によって調製された免疫グロブリン分子を包含する。
【0052】
「相同的」とは、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較される配列の両方の位置が同じ塩基又はアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、例えば2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、それらの分子はその位置で相同的である。2つの配列間の相同性のパーセントは、2つの配列が共有する一致又は相同的な位置の数を、比較される位置の数で割った値に100を乗じた関数である。例えば、2つの配列の10個の位置のうち6個が一致する場合、又は相同的である場合、2つの配列は60%相同的である。一例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは50%の相同性を共有する。一般に、比較は、2つの配列を整列させて最大の相同性を得るときに行われる。
【0053】
「ヒト化抗体」は、非ヒトドナー免疫グロブリンに由来するCDRを有し、分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1つ(又は複数)のヒト免疫グロブリンに由来する、工学作成された抗体のタイプを指す。さらに、結合親和性を維持するためにフレームワーク支持残基を改変してもよい(例えば、1989, Queen et al., Proc. Natl. Acad Sci USA, 86:10029-10032; 1991, Hodgson et al., Bio/Technology, 9:421を参照)。適切なヒトアクセプター抗体は、従来のデータベース、例えばKABATデータベース、ロスアラモスデータベース、及びスイスタンパク質データベースから、ドナー抗体のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列に対する相同性によって、選択されるものであり得る。ドナー抗体のフレームワーク領域(アミノ酸ベース)に対する相同性を特徴とするヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域及び/又は重鎖可変フレームワーク領域を提供するのに適している可能性がある。軽鎖定常領域又は可変フレームワーク領域を供与することができる適切なアクセプター抗体は、同様の方法で選択され得る。アクセプター抗体の重鎖と軽鎖は、同じアクセプター抗体に由来する必要はないことに留意すべきである。先行技術には、そのようなヒト化抗体を産生するいくつかの方法が記載されている(例えば、EP-A-0239400及びEP-A-054951を参照)。
【0054】
本明細書で使用される「免疫グロブリン」又は「Ig」という用語は、抗体として機能するタンパク質のクラスとして定義される。B細胞によって発現される抗体は、BCR(B細胞受容体)又は抗原受容体と呼ばれることもある。このクラスのタンパク質に含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgD、及びIgEである。IgAは、体の分泌物、例えば唾液、涙、母乳、胃腸分泌物、並びに気道及び泌尿生殖器系の粘液分泌物中に存在する1次抗体である。IgGは最も一般的な循環抗体である。IgMは、ほとんどの被験者の1次免疫応答で生成される主要な免疫グロブリンである。これは、凝集、補体結合、及びその他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌やウイルスに対する防御において重要である。IgDは抗体機能は知られていないが、抗原受容体として機能する可能性がある免疫グロブリンである。IgEは、アレルゲンに曝露されると肥満細胞と好塩基球からメディエーターの放出を引き起こすことにより、即時型過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
【0055】
本明細書で使用される用語「免疫応答」には、T細胞媒介及び/又はB細胞媒介の免疫応答が含まれる。例示的な免疫応答には、T細胞応答、例えばサイトカイン産生及び細胞毒性、及びB細胞応答、例えば抗体産生が含まれる。さらに、免疫応答という用語には、T細胞活性化によって間接的に影響を受ける免疫応答、例えば抗体産生(体液性応答)及びサイトカイン応答性細胞(例えばマクロファージ)の活性化が含まれる。免疫応答に関与する免疫細胞には、B細胞やT細胞(CD4+、CD8+、Th1及びTh2細胞)などのリンパ球;抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞、及びケラチン細胞、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、乏突起膠細胞などの非プロフェッショナル抗原提示細胞;ナチュラルキラー細胞;骨髄細胞、例えば、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、好塩基球、顆粒球が含まれる。
【0056】
本明細書で使用される「阻害有効量」とは、活性の阻害の検出可能な(例えば、測定可能な)量である。場合によっては、活性とは、別の成分と結合する能力である。
【0057】
「単離された」とは、自然状態から改変又は除去されたことを意味する。例えば、生きている動物に自然に存在する核酸又はペプチドは「単離」されていないが、同じ核酸又はペプチドが自然状態の共存物質から部分的又は完全に分離された場合は「単離」されている。単離された核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができ、又は例えば宿主細胞などの非天然環境に存在することもできる。
【0058】
本明細書で使用される「突然変異」とは、参照配列(好ましくは天然に存在する正常な配列又は「野生型」配列である)と比較した核酸又はポリペプチド配列の変化を指し、転座、欠失、挿入、及び置換/点突然変異を指す。本明細書で使用される「変異体」とは、突然変異を含む核酸又はタンパク質のいずれかを指す。
【0059】
免疫原性組成物の「非経口」投与には、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、若しくは皮内(i.d.)注射、又は注入技術が含まれる。
【0060】
「患者」、「被験体」、「個体」などの用語は、本明細書では互換的に使用され、インビトロ又はインサイチュを問わず、本明細書に記載の方法に従う任意の動物又はその細胞を指す。特定の非限定的な実施態様において、患者、被験体、又は個体はヒトである。
【0061】
抗体に関して本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、特定の抗原を認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識又は結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種からの抗原に特異的に結合する抗体は、1つ以上の種からのその抗原にも結合する可能性がある。しかし、そのような種間の反応性自体は、抗体の特異的分類を変更するものではない。別の例では、抗原に特異的に結合する抗体は、抗原の異なる対立遺伝子型にも結合する可能性がある。但し、そのような交差反応性自体は、抗体の特異的分類を変更するものではない。場合によっては、「特異的結合」又は「特異的に結合」という用語は、抗体、タンパク質、又はペプチドと第2の化学種との相互作用に関して使用され、相互作用が化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存することを意味する。例えば、抗体はタンパク質一般ではなく、特定のタンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「X」に特異的である場合、ラベル化された「X」と抗体とを含む反応中に、エピトープX(又は未標識の遊離A)を含む分子が存在すると、抗体に結合するラベル化されたXの量が減少する。
【0062】
本明細書で使用される「合成抗体」という用語は、組換えDNA技術を使用して生成される抗体、例えば本明細書に記載のバクテリオファージによって発現される抗体を意味する。この用語はまた、抗体をコードするDNA分子の合成によって生成され、そのDNA分子が抗体タンパク質を発現する抗体、又は抗体を特定するアミノ酸配列を意味するものと解釈されるべきであり、ここで、DNA又はアミノ酸配列は、当該技術分野において利用可能でよく知られている合成DNA又はアミノ酸配列技術を使用して得られる。
【0063】
本明細書で使用される「治療」という用語は、治療及び/又は予防を意味する。治療効果は、病状の抑制、軽減、寛解、又は根絶によって得られる。
【0064】
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家が求めている、組織、系、又は被験体の生物学的又は臨床的応答を誘発する対象化合物の量を指す。「治療有効量」という用語には、投与された場合、治療される障害又は疾患の1つ以上の徴候又は症状の発症を予防するか、又はある程度軽減するのに十分な化合物の量が含まれる。治療有効量は、化合物、疾患、及びその重症度、並びに治療を受ける被験体の年齢、体重などに応じて変化するであろう。
【0065】
この用語が本明細書で使用される場合、疾患を「治療する」とは、被験体が経験する疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状の頻度又は重症度を軽減することを意味する。
【0066】
本明細書で使用される「トランスフェクトされる」又は「形質転換される」又は「形質導入される」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に移入又は導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸を用いてトランスフェクト、形質転換、又は形質導入された細胞である。細胞には、1次被験体細胞及びその子孫が含まれる。
【0067】
範囲:この開示を通じて、本発明のさまざまな態様を範囲形式で表すことができる。範囲形式での説明は単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。従って、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、1から6などの範囲の説明は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値(例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6)を具体的に開示するものと見なされる必要がある。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0068】
説明
本発明は、PF07598レプトスピラ遺伝子ファミリーによってコードされるレプトスピラ病毒性修飾(VM)タンパク質、並びにその変種及び断片に関する。
【0069】
いくつかの実施態様において、本発明は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片を含む組成物を提供する。いくつかの実施態様において、組成物は、レプトスピラVMタンパク質の断片を含む。例えば、1つの実施態様において、組成物はレプトスピラVMタンパク質の断片を含み、この断片は、レプトスピラVMタンパク質のヌクレアーゼ活性を含むC末端ドメイン(本明細書ではDNaseドメインと呼ぶ)を含む。
【0070】
1つの実施態様において、組成物は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片を含む第1のドメインを含む融合タンパク質を含む。1つの実施態様において、融合タンパク質は第2のドメインを含む。1つの実施態様において、第2のドメインは標的化ドメインであり、標的化ドメインは融合タンパク質を目的の特定の細胞又は組織に向ける。例えば、1つの実施態様において、標的化ドメインは、抗原(例えば、腫瘍抗原)に特異的に結合し、それによって融合タンパク質を抗原を発現する細胞又は組織に導く抗体、抗体断片、又はペプチドを含む。1つの実施態様において、第2のドメインは、融合タンパク質の視覚化を可能にする検出可能なタンパク質又はペプチド(例えば、蛍光タンパク質)を含む。
【0071】
1つの実施態様において、本発明は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片をコードする単離された核酸分子を提供する。いくつかの実施態様において、単離された核酸分子は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片をコードするDNA、cDNA、RNA、又はmRNAを含む。1つの実施態様において、単離された核酸分子は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片を含む融合タンパク質をコードする。
【0072】
1つの実施態様において、組成物は、(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子を含む免疫学的組成物を含む。本明細書で証明されるように、特定の実施態様において、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片は、それを必要とする被験体においてレプトスピラ感染又はレプトスピラ症を治療又は予防できる防御免疫応答を誘導する。1つの実施態様において、免疫学的組成物はワクチンを含む。1つの実施態様において、免疫学的組成物は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片を発現するように修飾された細菌(例えば、レプトスピラ属由来の細菌)を含む。1つの実施態様において、細菌は、病毒性が低下しているという点で弱毒化されているが、防御免疫応答を誘導することができる。この組成物は、免疫防御のための予防的治療薬として有用であるだけでなく、進行中の感染症、疾患、又は障害の治療のための治療薬としても有用である。
【0073】
1つの実施態様において、本発明は、以下を含む組成物を細胞に投与することを含む、細胞死滅又は損傷を誘導する方法に関する:(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子。例えば、本明細書で証明されるように、レプトスピラVMタンパク質は細胞障害性タンパク質である。1つの実施態様において、この方法は、組成物を腫瘍に投与し、それによって腫瘍細胞死滅又は損傷を誘導することを含む。
【0074】
本発明はまた、それを必要とする被験体においてレプトスピラ属の細菌によって引き起こされる感染を予防、阻害、及び治療する方法を提供する。1つの実施態様において、本発明の方法は、被験体においてレプトスピラVMタンパク質に対する免疫応答を生じさせることによって、被験体においてレプトスピラ属に対する免疫を誘導する。特定の実施態様において、この方法は、レプトスピラ属全体にわたって広範な免疫を誘導する。1つの実施態様において、本発明の方法は、被験体においてVMタンパク質特異的抗体の産生を誘導する。1つの実施態様において、本発明の方法は、それを必要とする被験体においてレプトスピラ症(ワイル病としても知られている)などのレプトスピラ関連病状を予防する。1つの実施態様において、本発明の方法は、以下を含む組成物を被験体に投与することを含む:(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子。
【0075】
組成物
本発明は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片を含むか又はコードする組成物を提供する。
【0076】
1つの実施態様において、組成物は、エル・インテロガンス血清型ライ、エル・インテロガンス血清型コペンハーゲニ、エル・インテロガンス血清型マニラエ、又はこれらの組み合わせに由来するレプトスピラVMタンパク質を含む。1つの実施態様において、少なくとも1つのVMタンパク質は、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片若しくは変種である。
【0077】
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、又は5つを超えるVMタンパク質の組み合わせを含むワクチンに関する。1つの実施態様において、ワクチンは、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片又は変種の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つの、又は5つを超える組合わせを含む。1つの実施態様において、ワクチンは、LIC_12340とLIC_12985の組み合わせを含む。1つの実施態様において、ワクチンは、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせを含む。
【0078】
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は5つを超えるVMタンパク質を含むトキソイドワクチンに関する。1つの実施態様において、トキソイドワクチンは、
LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片又は変種の、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は5超を含む。1つの実施態様において、トキソイドワクチンは、LIC_12340とLIC_12985の組み合わせを含む。1つの実施態様において、トキソイドワクチンは、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402の組み合わせを含む。
【0079】
1つの実施態様において、本発明の組成物又はワクチンは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、若しくは配列番号12のアミノ酸配列を含むVMタンパク質、又はその断片若しくは変種を含む。1つの実施態様において、本発明の組成物又はワクチンは、配列番号10及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVMタンパク質の組み合わせを含む。1つの実施態様において、本発明の組成物又はワクチンは、配列番号10、配列番号12、配列番号2、配列番号4、及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVMタンパク質の組み合わせを含む。
【0080】
特定の実施態様において、組成物は、レプトスピラVMタンパク質の断片を含む。例えば、1つの実施態様において、組成物は、レプトスピラVMタンパク質のDNaseドメインを含む。
【0081】
様々な実施態様において、本発明は、本明細書の他の場所に記載されるタンパク質、又はその断片、ホモログ、変異体、変種、誘導体、若しくはタンパク質の塩を提供し、ここで、レプトスピラVMタンパク質の様々なドメインの活性(例えば、免疫原性活性、細胞障害活性、又はレプトスピラVMタンパク質の作用機序に関連する活性)が保持される。
【0082】
本発明のタンパク質又はペプチドは、公知の技術を使用して調製することができる。例えば、タンパク質は、組換えDNA技術又は化学合成のいずれかを使用して合成的に調製できる。本発明のタンパク質は、個別に合成されてもよいし、2つ以上のタンパク質から構成されるより長いタンパク質として合成されてもよい。本発明のタンパク質は単離することができ、すなわち、他の天然の宿主細胞タンパク質及びその断片を実質的に含まないようにすることができる。
【0083】
本発明のタンパク質は、修飾がタンパク質の免疫活性を破壊しない限り、グリコシル化、非グリコシル化、側鎖酸化、又はリン酸化などの修飾を含んでいてもよい。他の修飾には、例えばタンパク質の血清半減期を延長するために使用できるD-アミノ酸又は他のアミノ酸模倣物の組み込みが含まれる。
【0084】
本発明のタンパク質は、アミノ酸をアミノ酸側鎖の特性が保存されている別のアミノ酸で置換することにより修飾することができる(保存的アミノ酸置換として知られているプロセス)。アミノ酸側鎖の特性の例は、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、及び以下の共通の官能基又は特徴を有する側鎖である:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);水酸基含有側鎖(S、T、Y);硫黄原子を含む側鎖(C、M);側鎖(D、N、E、Q)を含むカルボン酸とアミド;側鎖(R、K、H)を含む塩基;側鎖(H、F、Y、W)を含む芳香族である。なお、括弧内の文字はアミノ酸の一文字コードを示す。本明細書で使用される場合、Xは任意のアミノ酸を表す。
【0085】
本発明はまた、本発明のタンパク質(又はそれをコードするDNA)の「変異体」、「誘導体」、及び「変種」を包含すると解釈されるべきであり、これらの変異体、誘導体、及び変種は、1つ以上のアミノ酸で改変されたポリペプチドであり(又は、これをコードするヌクレオチド配列に言及している場合、1つ以上の塩基対で改変されている)、得られるタンパク質(又はDNA)は、本明細書に記載の配列と同一ではないが、本明細書に開示されるタンパク質と同じ生物学的特性を有する。
【0086】
本発明はまた、本明細書に開示されるアミノ酸配列と実質的な相同性を有する任意の形態のタンパク質変種を含むと解釈されるべきである。1つの実施態様において、タンパク質変種は、本明細書に開示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%相同的である。
【0087】
本発明はまた、本明細書に開示される実質的な長さのアミノ酸配列を有する任意の形態の断片を含むと解釈されるべきである。1つの実施態様において、断片は本明細書に開示されるアミノ酸配列の長さの少なくとも約50%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%である。
【0088】
本発明はまた、本明細書に開示されるアミノ酸配列と実質的な相同性及び実質的な長さの両方を有するタンパク質変種の断片の任意の形態を含むと解釈されるべきである。1つの実施態様において、タンパク質変種の断片は、本明細書に開示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%相同的であり、本明細書に開示されるアミノ酸配列の長さの少なくとも約50%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%である。
【0089】
あるいは、タンパク質は、組換え手段によって、又はより長いタンパク質からの切断によって作製されてもよい。タンパク質はアミノ酸分析又は配列決定によって確認することができる。
【0090】
本発明によるタンパク質の変種は、(i)1つ以上のアミノ酸残基が保存又は非保存アミノ酸残基(例えば、保存されたアミノ酸残基)で置換されており、そのように置換アミノ酸残基が遺伝暗号によってコードされ得るかされ得ないもの、(ii)1つ以上の修飾アミノ酸残基、例えば、置換基の付着によって修飾される残基が存在するもの、(iii)タンパク質が、本明細書に記載のタンパク質又はドメインの選択的スプライス変種を含むもの、(iv)本明細書に記載のタンパク質又はドメインの断片、及び/又は(v)タンパク質が、リーダー配列若しくは分泌配列、又は精製(例えば、Hisタグ)若しくは検出(例えば、Sv5エピトープタグ)に使用される配列と融合したものでもよい。断片には、元の配列のタンパク質分解切断(複数部位のタンパク質分解を含む)によって生成されたタンパク質又はペプチドが含まれる。変種は翻訳後修飾又は化学修飾を受ける場合がある。このような変種は、本明細書の教示から当業者の範囲内であると見なされる。
【0091】
当該技術分野で知られているように、2つのペプチド間の「類似性」は、1つのペプチドのアミノ酸配列とその保存されたアミノ酸置換体を第2のペプチドの配列と比較することによって決定される。変種は、元の配列とは異なるペプチド配列、例えば、元の配列と対象のセグメント当たり残基の40%未満が異なる、元の配列と対象のセグメント当たり残基の25%未満が異なる、元の配列と対象のセグメント当たり残基の10%未満が異なる、又は元の配列と対象のセグメント当たり数個の残基が異なるのみであり、そして同時に、元の配列と十分に相同的であり、元の配列の機能が保存されているペプチド配列を含むと定義される。本発明は、元のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、90%、又は95%類似又は同一であるアミノ酸配列を含む。2つのペプチド間の同一性の程度は、当業者に広く知られているコンピュータアルゴリズム及び方法を使用して決定することができる。2つのアミノ酸配列間の同一性は、BLASTPアルゴリズム(BLAST Manual, Altschul, S., et al., NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894, Altschul, S., et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990))を使用して決定することもできる。
【0092】
本発明のタンパク質は、翻訳後修飾されていても、されていなくてもよい。例えば、本発明の範囲に含まれる翻訳後修飾には、シグナルペプチド切断、グリコシル化、アセチル化、イソプレニル化、タンパク質分解、ミリストイル化、タンパク質折り畳み、及びタンパク質分解プロセシングなどが含まれる。いくつかの修飾又はプロセシング事象は追加の生物学的機構の導入を必要とする。例えば、シグナルペプチド切断及びコアグリコシル化などのプロセシング事象は、イヌのミクロソーム膜又はアフリカツメガエル(Xenopus)卵抽出物(米国特許第6,103,489号)を標準的な翻訳反応に添加することによって調べられる。本発明のポリペプチド又はタンパク質は、Reedijk et al. に記載された方法 (The EMBO Journal 11(4):1365, 1992) などの従来の方法を使用してリン酸化され得る。
【0093】
本発明のタンパク質には、翻訳後修飾により又は翻訳中の非天然アミノ酸の導入により形成された非天然アミノ酸が含まれていてもよい。ポリペプチドの翻訳中に非天然アミノ酸を導入するには、さまざまなアプローチが利用可能である。
【0094】
本発明のタンパク質は、ポリエチレングリコール(PEG)などの他の分子と結合されてもよい。これは、化学反応性PEG誘導体で修飾できるシステイン変異又は非天然アミノ酸を挿入することによって達成される。1つの実施態様において、タンパク質を他のタンパク質に結合させて融合タンパク質が調製される。これは、例えば、得られる融合タンパク質が本明細書に記載のタンパク質の機能を保持している限り、N末端又はC末端融合タンパク質の合成によって達成され得る。
【0095】
本発明のタンパク質の環状誘導体も本発明の一部である。環化は、タンパク質が他の分子と結合して、より好ましい立体構造をとることを可能にする。環化は、当技術分野で知られている技術を使用して達成することができる。例えば、ジスルフィド結合は、遊離スルフヒドリル基を有する適切に離間した2つの成分間で形成され得るか、又はアミド結合は、ある成分のアミノ基と別の成分のカルボキシル基との間に形成され得る。環化はまた、Ulysse, L., et al., J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 8466-8467 に記載されたアゾベンゼン含有アミノ酸を使用して達成することができる。結合を形成する成分は、アミノ酸の側鎖、非アミノ酸成分、又はその2つの組み合わせでもよい。本発明の1つの実施態様において、環状ペプチドは正しい位置にベータターンを含み得る。アミノ酸Pro-Glyを正しい位置に付加することによって、ベータターンを本発明のペプチドに導入することができる。
【0096】
上述のようなペプチド結合を含む環状タンパク質よりも柔軟な環状タンパク質を生成することが望ましい場合がある。より柔軟なタンパク質は、ポリペプチドの右側と左側の位置にシステインを導入し、2つのシステイン間でジスルフィド架橋を形成することによって調製することができる。2つのシステインはベータシート及びターンを変形させないように配置される。このタンパク質は、ジスルフィド結合の長さとベータシート部分の水素結合の数が少ないため、より柔軟になる。環状タンパク質の相対的な柔軟性は、分子動力学シミュレーションによって決定することができる。
【0097】
本発明はまた、融合タンパク質に関する。例えば、1つの実施態様において、融合タンパク質は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片を含む第1のドメインを含む。1つの実施態様において、融合タンパク質は第2のドメインを含む。1つの実施態様において、第2のドメインは標的化ドメインであり、標的化ドメインは融合タンパク質を目的の特定の細胞又は組織に向ける。例えば、1つの実施態様において、標的化ドメインは、抗原(例えば、腫瘍抗原)に特異的に結合し、それによって融合タンパク質を抗原を発現する細胞又は組織に導く抗体、抗体断片、又はペプチドを含む。1つの実施態様において、第2のドメインは、融合タンパク質の視覚化を可能にする検出可能なタンパク質又はペプチド(例えば、蛍光タンパク質)を含む。
【0098】
1つの実施態様において、融合タンパク質は、得られるタンパク質を所望の細胞成分又は細胞型又は組織に向けることができる標的化ドメインを含む。キメラタンパク質又は融合タンパク質もまた、追加のアミノ酸配列又はドメインを含むことができる。キメラタンパク質又は融合タンパク質は、さまざまな成分が異なる供給源に由来し、従って自然界では一緒に見出されない(すなわち、異種である)という意味で組換えである。
【0099】
1つの実施態様において、標的化ドメインは、膜貫通ドメイン、膜結合ドメイン、又は例えばタンパク質を小胞又は細胞表面と結合するように向ける配列であり得る。1つの実施態様において、標的化ドメインは、タンパク質を特定の細胞型又は組織に標的化することができる。例えば、標的化ドメインは、細胞表面リガンド、又は標的組織の細胞表面抗原に対する抗体であり得る。標的化ドメインは、本発明のタンパク質を細胞成分に標的化することができる。
【0100】
1つの実施態様において、標的化ドメインは、抗体又はその抗体断片を含み得る。抗体は、抗原結合ドメインが、例えば、単一ドメイン抗体断片(sdAb)、一本鎖抗体(scFv)、及びヒト化抗体を含む連続したポリペプチド鎖の一部として発現されるさまざまな形態で存在し得る(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY; Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。1つの実施態様において、本発明の組成物の標的化ドメインは抗体断片を含む。1つの実施態様において、標的化ドメインは、scFvを含む抗体断片を含む。
【0101】
本発明のVMドメイン含有融合分子は、限定されるものではないが、腫瘍抗原、細菌抗原、ウイルス抗原、又は自己抗原を含む、任意の所望の目的の抗原又はその断片と反応するように生成することができる。本発明の文脈において、「腫瘍抗原」又は「過剰増殖性障害抗原」又は「過剰増殖性障害に関連する抗原」は、癌などの特定の過剰増殖性障害に共通する抗原を指す。特定の態様において、本発明の過剰増殖性障害抗原は、限定されるものではないが、原発性又は転移性黒色腫、中皮腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌、肝臓癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、子宮癌、子宮頸癌、膀胱癌、腎臓癌、及び腺癌、例えば乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌などを含む癌に由来する。
【0102】
本明細書で議論される抗原は、単に例として含まれているに過ぎない。このリストは排他的であることを意図したものではなく、当業者にはさらなる例が容易に明らかとなるであろう。
【0103】
本発明のタンパク質は、従来の技術によって合成することができる。例えば、タンパク質は、固相ペプチド合成を使用する化学合成によって合成され得る。これらの方法は、固相合成法又は液相合成法のいずれかを使用する(例えば、固相合成技術については、J. M. Stewart, and J. D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Co., Rockford Ill. (1984) and G. Barany and R. B. Merrifield, The Peptides: Analysis Synthesis, Biology editors E. Gross and J. Meienhofer Vol. 2 Academic Press, New York, 1980, pp. 3-254;及び、 古典的な溶液合成については、M Bodansky, Principles of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin 1984, and E. Gross and J. Meienhofer, Eds., The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, suprs, Vol 1 を参照)。例として、本発明のポリペプチドは、N-フルオレニルメトキシ-カルボニル-O-ベンジル-L-ホスホスレオニン誘導体としてホスホスレオニンを直接組み込む9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)固相化学を使用して合成することができる。
【0104】
少なくとも1つの他の分子と結合した、本発明のペプチド又はタンパク質を含むN末端又はC末端融合タンパク質は、組換え技術によって、ペプチド又はタンパク質のN末端又はC末端を、及び所望の生物学的機能を有する選択されたタンパク質若しくは選択可能なマーカーの配列を融合することによって調製され得る。得られた融合タンパク質は、本明細書に記載の選択されたタンパク質又はマーカータンパク質に融合されたレプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片を含む。融合タンパク質を調製するために使用され得るタンパク質の例には、免疫グロブリンとその領域、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ヘマグルチニン(HA)、及び末端切断型mycが含まれる。
【0105】
本発明のタンパク質は、生物学的発現システムを使用して開発することができる。これらのシステムを使用すると、ランダム配列の大規模なライブラリーの生成と、特定のタンパク質に結合する配列についてのこれらのライブラリーのスクリーニングが可能になる。ライブラリーは、ランダムなペプチド配列をコードする合成DNAを適切な発現ベクターにクローニングすることによって作製され得る(Christian et al 1992, J. Mol. Biol. 227:711; Devlin et al, 1990 Science 249:404; Cwirla et al 1990, Proc. Natl. Acad, Sci. USA, 87:6378を参照)。ライブラリーはまた、重複ペプチドの同時合成によって構築することもできる(米国特許第4,708,871号を参照)。
【0106】
本発明のタンパク質は、無機酸、例えば塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸など、又は有機酸、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などと反応させることによって医薬的塩に変換することができる。
【0107】
本発明はさらに、本発明のタンパク質又はその断片が、異種タンパク質(すなわち、無関係なタンパク質又はその一部、例えば、ポリペプチドの少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、又は少なくとも500アミノ酸)に組換え融合又は化学的に結合(共有結合と非共有結合の両方を含む)されて生成される融合タンパク質を包含する。融合は必ずしも直接的である必要はなく、リンカー配列を介して生じてもよい。
【0108】
一例では、本発明のタンパク質又はその断片が、様々なタイプの免疫グロブリンに由来する配列に融合され得る融合タンパク質である。例えば、本発明のポリペプチドは、例えば本明細書に記載されるように、ヒトIgG又はIgM分子の定常領域(例えば、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメイン)に融合して、融合タンパク質又はその断片をインビボでより可溶性に及び安定にすることができる。別の実施態様において、このような融合タンパク質は、被験体に投与して、インビボでリガンドとその受容体の間の相互作用を阻害することができる。このような相互作用の阻害は、特定の細胞反応を引き起こすシグナル伝達をブロック又は抑制する。
【0109】
1つの態様において、融合タンパク質は、そのN末端で異種シグナル配列に融合された本発明のポリペプチドを含む。例えば、本発明のタンパク質に天然に見出されるシグナル配列は、異種起源に由来するシグナル配列によって置換され得る。さまざまなシグナル配列が市販されている。例えば、メリチン及びヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌配列(Stratagene; La Jolla, Calif.)は、真核生物の異種シグナル配列として入手可能である。原核生物の異種シグナル配列の例として、phoA分泌シグナル(Sambrook, et al., supra; and Current Protocols in Molecular Biology, 1992, Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons)及びプロテインA分泌シグナル(Pharmacia Biotech; Piscataway, N.J.)が挙げられる。別の例は、バキュロウイルスのエンベロープタンパク質のgp67分泌配列である(Current Protocols in Molecular Biology, 1992, Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons)。
【0110】
別の実施態様において、本発明のタンパク質は、タグ配列、例えばヘキサヒスチジンペプチド、例えばpQEベクターに提供されるタグ(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, Calif., 91311)に融合され得、その多くは市販されている。例えばGentz, et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載されているように、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の便利な精製を提供する。ペプチドタグの他の例は、インフルエンザ血球凝集素タンパク質(Wilson, et al., 1984, Cell 37:767)に由来するエピトープに対応する血球凝集素「HA」タグ、及び「フラグ」タグ(Knappik, et al., 1994, Biotechniques 17(4):754-761)である。これらのタグは、本発明の組換え生成されたタンパク質の精製に特に有用である。
【0111】
1つの実施態様において、本発明のタンパク質は、蛍光タグなどの検出可能な標識物に融合され得る。蛍光タグの非限定的な例には、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、オレンジ蛍光タンパク質(OFP)、eGFP、mCherry、hrGFP、hrGFPII、アレクサ488、アレクサ594などが含まれる。蛍光タグはまた、例えばキンドリングレッド蛍光タンパク質(KFP-レッド)、PS-CFP2、Dendra2、CoralHue Kaede、及びCoralHue Kikumeなど、光変換可能であってもよい。しかしながら、本発明は特定の標識物に限定されるべきではない。むしろ、任意の検出可能な標識物を使用して、発現されたタンパク質をタグ付けすることができる。
【0112】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の少なくとも1つのVMタンパク質又はペプチドに結合又はカプセル化された脂質ナノ粒子(LNP)又はリポソームを含む組成物を提供する。1つの実施態様において、組成物は、2つ以上のVMタンパク質の組み合わせを封入する2つ以上のLNPの組み合わせを含む。場合によっては、LNPはVMタンパク質の細胞取り込みを強化する。
【0113】
いくつかの実施態様において、組成物は、増殖因子をコードする核酸分子を含む組織工学足場などの足場を含む。例えば、1つの実施態様において、足場は、増殖因子をコードする核酸分子を封入するLNPを含む。1つの実施態様において、足場は、増殖因子をコードする核酸分子を含む細胞又は細胞集団を含む。いくつかの実施態様において、足場は、バイオポリマー、合成ポリマー、又はこれらの組み合わせを含むヒドロゲル、エレクトロスパン足場などを含む。
【0114】
本発明はまた、本明細書に記載のタンパク質をコードする単離された核酸分子を提供する。従って、1つの実施態様において、本発明の組成物は、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片をコードする単離された核酸分子を含む。
【0115】
1つの実施態様において、単離された核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、又は配列番号12のアミノ酸配列、又はその断片若しくは変種を有するタンパク質又はトキソイドをコードする。1つの実施態様において、単離された核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、又は配列番号12のDNaseドメインを含む断片をコードする。1つの実施態様において、単離された核酸分子は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は5つを超えるVMタンパク質をコードする。1つの実施態様において、単離された核酸分子は、LIC_12340及びLIC_12985をコードする。1つの実施態様において、単離された核酸分子は配列番号10及び配列番号12をコードする。1つの実施態様において、単離された核酸分子は配列番号9及び配列番号11を含む。1つの実施態様において、単離された核酸分子は、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402をコードする。1つの実施態様において、単離された核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、及び配列番号12をコードする。1つの実施態様において、単離された核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、及び配列番号11を含む。
【0116】
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は5つを超えるVMタンパク質若しくはトキソイドの組み合わせをコードする少なくとも2つの単離された核酸分子の組み合わせに関する。1つの実施態様において、少なくとも2つの単離された核酸分子は、LIC_12340及びLIC_12985をコードする。1つの実施態様において、組成物は、配列番号10と配列番号12の組み合わせをコードする少なくとも2つの単離された核酸分子の組み合わせを含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号9及び配列番号11を含む少なくとも2つの単離された核酸分子の組み合わせを含む。1つの実施態様において、少なくとも2つの単離された核酸分子は、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402をコードする。1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号10、及び配列番号12の組み合わせをコードする少なくとも2つの単離された核酸分子の組み合わせを含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、及び配列番号11を含む少なくとも2つの単離された核酸分子の組み合わせを含む。
【0117】
1つ以上の単離された核酸分子は、限定されるものではないが、DNA、cDNA、及びRNAを含む任意のタイプの核酸を含み得る。例えば、1つの実施態様において、組成物は、例えば、タンパク質又はその機能性断片をコードする単離されたcDNA分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、タンパク質又はその機能性断片をコードする単離されたRNA分子を含む。
【0118】
核酸配列には、RNAに転写されるDNA配列と、タンパク質に翻訳されるRNA配列との両方が含まれる。他の実施態様によれば、本発明の核酸配列は、本発明のタンパク質のアミノ酸配列から推定される。当技術分野で知られているように、翻訳されたタンパク質の生物学的活性を保持しながら、重複コドンにより、いくつかの代替核酸配列が可能である。
【0119】
さらに、本発明は、本明細書に開示されるVMタンパク質と実質的な相同性を有するタンパク質をコードする単離された核酸分子を包含する。いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に開示されるタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも約75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする単離された核酸分子を包含する。いくつかの実施態様において、本発明のタンパク質をコードする核酸配列は、本明細書に記載の核酸配列と「実質的に相同的」、すなわち約50%相同的、約70%相同的、約80%相同的、約90%相同的、約91%相同的、約92%相同的、約93%相同的、約94%相同的、約95%相同的、約96%相同的、約97%相同的、約98%相同的、又は約99%相同的である。
【0120】
本発明の範囲が、より短い及びより長いタンパク質及び核酸分子、並びに1つ以上のアミノ酸又は核酸置換を有するタンパク質及び核酸分子類似体、並びに、当該技術分野で知られているアミノ酸又は核酸誘導体、非天然アミノ酸又は核酸、及び合成アミノ酸又は核酸を含む、ホモログ、類似体、変種、断片、誘導体、及び塩を包含するが、但し、これらの修飾は元の分子の活性を保持しなければならないことを明確に理解するべきである。具体的には、活性タンパク質及び核酸分子の任意の活性断片、並びに伸長物、コンジュゲート、及び混合物が含まれ、本発明の原理に従って本明細書に開示される。
【0121】
本発明は、本明細書に記載され参照される核酸配列と相同的であるあらゆる単離された核酸配列を含むが、但し、これらの相同核酸配列が本明細書に開示されるタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質をコードすると解釈されるべきである。
【0122】
当業者は、本発明の核酸配列が、配列が細胞に結合していない時又は細胞に結合している時に、その配列をより安定にさせるDNA又はRNAの化学修飾を含む、本発明のタンパク質をコードするRNA又はDNA配列及びその任意の修飾形態を包含することを理解するであろう。ヌクレオチドの化学修飾を使用して、核酸配列が細胞に取り込まれる効率、又は細胞内で発現される効率を高めることもできる。核酸配列の修飾のあらゆる組み合わせが本発明において企図される。
【0123】
さらに、例えば、Sambrook et al. (2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)、及び Ausubel et al. (1997, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York) に記載されているような、当該分野で公知の組換えDNA法を使用することにより、本発明のタンパク質の変異体、誘導体、又は変種形態の生成のために、任意の数の方法を使用することができる。1つ以上のポリペプチドをコードするDNA配列を改変することによるポリペプチド中にアミノ酸の変化を導入するための方法は当該分野で公知であり、これらの及び他の論文にも記載されている。
【0124】
本発明の核酸分子は、細胞培養用の血清中又は増殖培地中での安定性を改善するために修飾することができる。修飾を加えることにより、本発明の核酸分子の安定性、機能性、及び/又は特異性を増強し、免疫刺激特性を最小限に抑えることができる。例えば、安定性を増強するために、3'残基を分解に対して安定化してもよく、例えば、それらがプリンヌクレオチド、特にアデノシン又はグアノシンヌクレオチドからなるように選択してもよい。あるいは、修飾類似体によるピリミジンヌクレオチドの置換(例えば、ウリジンの2'-デオキシチミジンによる置換)は許容され、分子の機能に影響を与えない。
【0125】
本発明の1つの実施態様において、核酸分子は少なくとも1つの修飾ヌクレオチド類似体を含み得る。例えば、修飾ヌクレオチド類似体を組み込むことによって末端を安定化することができる。
【0126】
ヌクレオチド類似体の非限定的な例には、糖及び/又は主鎖が修飾されたリボヌクレオチド(すなわち、リン酸-糖主鎖への修飾を含む)が含まれる。例えば、天然RNAのホスホジエステル結合を修飾して、窒素又は硫黄ヘテロ原子の少なくとも1つを含むようにすることができる。例示的な主鎖修飾リボヌクレオチドでは、隣接するリボヌクレオチドに接続しているホスホエステル基が、例えばホスホチオエート基などの修飾基によって置換されている。例示的な糖修飾リボヌクレオチドでは、2'OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、又はONから選択される基によって置換され、ここで、Rは、C1~C6アルキル、アルケニル、又はアルキニルであり、及びハロは、F、Cl、Br、又はIである。
【0127】
修飾物の他の例は、核酸塩基修飾リボヌクレオチド、すなわち、天然核酸塩基の代わりに少なくとも1つの非天然核酸塩基を含むリボヌクレオチドである。塩基を修飾して、アデノシンデアミナーゼの活性をブロックすることもできる。例示的な修飾核酸塩基としては、限定されるものではないが、5位で修飾されたウリジン及び/又はシチジン、例えば、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ブロモウリジン;8位で修飾されたアデノシン及び/又はグアノシン、例えば8-ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7-デアザ-アデノシン;O-及びN-アルキル化ヌクレオチド、例えばN6-メチルアデノシンが含まれる。上記の変形例は組み合わせてもよい。
【0128】
場合によっては、核酸分子は、以下の化学修飾のうちの少なくとも1つを含む:1つ以上のヌクレオチドの2'-H、2'-O-メチル、又は2'-OH修飾。いくつかの実施態様において、本発明の核酸分子は、ヌクレアーゼに対する耐性が強化され得る。ヌクレアーゼ耐性を高めるために、核酸分子は、例えば、2'-修飾リボース単位及び/又はホスホロチオエート結合を含むことができる。例えば、2'ヒドロキシル基(OH)は、多くの異なる「オキシ」又は「デオキシ」置換基で修飾又は置換することができる。ヌクレアーゼ耐性を高めるために、本発明の核酸分子は、2'-O-メチル、2'-フッ素、2'-O-メトキシエチル、2'-O-アミノプロピル、2'-アミノ、及び/又はホスホロチオエート結合を含むことができる。ロックされた核酸(LNA)、エチレン核酸(ENA)、例えば2'-4'-エチレン架橋核酸、及び特定の核酸塩基修飾、例えば、2-アミノ-A、2-チオ(例えば、2-チオ-U)、Gクランプ修飾も、標的への結合親和性を高めることができる。
【0129】
1つの実施態様において、核酸分子は、2'-修飾ヌクレオチド、例えば、2'-デオキシ、2'-デオキシ-2'-フルオロ、2'-O-メチル、2'-O-メトキシエチル(2'-O-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、又は2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)を含む。1つの実施態様において、核酸分子は少なくとも1つの2'-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、いくつかの実施態様において、核酸分子のヌクレオチドのすべてが2'-O-メチル修飾を含む。
【0130】
本明細書で論じられる核酸薬剤には、その他の点では修飾されていないRNA及びDNA、並びに例えば有効性を改善するために修飾されたRNA及びDNA、及びヌクレオシド代替物のポリマーが含まれる。非修飾RNAは、核酸の構成要素、すなわち糖、塩基、及びリン酸部分が、自然界に存在するものと本質的に同じ、例えば人体に自然に存在するものと同じである分子を指す。当技術分野では、まれな、又は珍しいが天然に存在するRNAを修飾RNAと呼んできた。例えば、Limbach et al. (Nucleic Acids Res., 1994, 22:2183-2196) を参照。このような稀な又は異常なRNAは、修飾RNAと呼ばれることが多く、典型的には転写後修飾の結果であり、本明細書で使用する非修飾RNAという用語の範囲内に含まれる。本明細書で使用される修飾RNAとは、核酸の構成要素のうちの1つ以上、すなわち糖、塩基、及びリン酸部分が自然界に存在するものとは異なる、例えば人体内に存在するものとは異なる分子を指す。これらは「修飾されたRNA」と呼ばれるが、もちろん修飾されているため、厳密にはRNAではない分子も含まれる。ヌクレオシド代替物は、リボリン酸主鎖が非リボリン酸構築物で置換された分子であり、これにより、ハイブリダイゼーションがリボリン酸主鎖で見られるものと実質的に類似(例えば、リボリン酸主鎖の非荷電模倣体)するように、塩基が正しい空間関係で提示されることを可能にする。
【0131】
本発明の核酸の修飾は、リン酸基、糖基、主鎖、N末端、C末端、又は核酸塩基のうちの1つ以上に存在し得る。
【0132】
本発明はまた、本発明の単離された核酸が挿入されたベクターも含む。当技術分野には、本発明において有用な適切なベクターが豊富にある。
【0133】
簡単に要約すると、タンパク質をコードする天然又は合成核酸の発現は、典型的には、タンパク質又はその一部をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結し、その構築物を発現ベクターに組み込むことによって達成される。使用されるベクターは、真核細胞での複製、及び任意選択的に組み込みに適している。典型的なベクターには、所望の核酸配列の発現の調節に有用な、転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、及びプロモーターが含まれる。
【0134】
本発明のベクターはまた、標準的な遺伝子送達プロトコールを使用して、核酸免疫及び遺伝子治療に使用することもできる。遺伝子送達の方法は当技術分野で知られている。例えば、米国特許第5,399,346号、第5,580,859号、第5,589,466号(これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。別の実施態様において、本発明は遺伝子治療ベクターを提供する。
【0135】
本発明の単離された核酸は、多くのタイプのベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸は、限定されるものではないが、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドを含むベクターにクローニングすることができる。特に興味深いベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、及び配列決定ベクターが含まれる。
【0136】
さらに、ベクターはウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は当技術分野で公知であり、例えば、Sambrook et al. (2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)に、及び他のウイルス学及び分子生物学のマニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスには、限定されるものではないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスが含まれる。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製開始点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ以上の選択マーカーを含む(例えば、WO01/96584、WO01/29058、及び米国特許第6,326,193号)。
【0137】
哺乳動物細胞への遺伝子導入のために、ウイルスに基づいたシステムが数多く開発されている。例えば、レトロウイルスは遺伝子送達システムに便利なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、当技術分野で知られている技術を使用してベクターに挿入し、レトロウイルス粒子にパッケージすることができる。次に、組換えウイルスを単離し、インビボ又はエクスビボで被験体の細胞に送達することができる。多くのレトロウイルス系が当技術分野で知られている。いくつかの実施態様において、アデノウイルスベクターが使用される。多くのアデノウイルスベクターが当技術分野で知られている。1つの実施態様において、レンチウイルスベクターが使用される。
【0138】
例えば、レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、トランス遺伝子の長期の安定した組み込みと娘細胞でのその増殖を可能にするため、長期の遺伝子導入を達成するのに適したツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞に形質導入できるという点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコレトロウイルス由来のベクターに比べてさらなる利点を有する。また、これらは免疫原性が低いという追加の利点もある。1つの実施態様において、組成物は、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターを含む。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、さまざまな疾患の治療のための強力な遺伝子送達ツールとなっている。AAVベクターは、病毒性の欠如、最小限の免疫原性、安定かつ効率的な方法で分裂終了細胞に形質導入する能力など、遺伝子治療に理想的に適した多くの特徴を備えている。AAV血清型、プロモーター、送達方法の適切な組み合わせを選択することにより、AAVベクター内に含まれる特定の遺伝子の発現を1つ以上のタイプの細胞に特異的に標的化することができる。
【0139】
いくつかの実施態様において、ベクターはまた、プラスミドベクターでトランスフェクトされた細胞、又は本発明によって産生されたウイルスに感染した細胞における転写、翻訳、及び/又は発現を可能にする様式で、トランス遺伝子に作動可能に連結された従来の制御要素も含む。本明細書で使用される「作動可能に連結された」配列には、目的の遺伝子と隣接する発現制御配列と、トランスで又は離れて作用して目的の遺伝子を制御する発現制御配列の両方が含まれる。発現制御配列には、適切な転写開始配列、転写終結配列;スプライシングやポリアデニル化(ポリA)シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を高める配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を高める配列;そして必要に応じて、コードされた産物の分泌を増強する配列が含まれる。天然の、構成性、誘導性、及び/又は組織特異的なプロモーターを含む多数の発現制御配列が当技術分野で知られており、利用することができる。
【0140】
エンハンサーなどの追加のプロモーター要素は、転写開始の頻度を制御する。通常、これらは開始部位の30~110bp上流の領域に位置するが、最近では多くのプロモーターが開始部位の下流にも機能要素を含むことが示されている。プロモーター要素間の間隔は多くの場合柔軟であるため、要素が相互に反転又は移動された場合でもプロモーターの機能は維持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、活性が低下し始める前に、プロモーター要素間の間隔を50bpまで広げることができる。プロモーターに応じて、個々の要素が協力的に又は独立して機能して転写を活性化できるようである。
【0141】
適切なプロモーターの一例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成性プロモーター配列である。適切なプロモーターの別の例は、伸長増殖因子-1α(EF-1α)である。しかしながら、他の構成性プロモーター配列も使用することができ、限定されるものではないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、鳥白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、並びにヒト遺伝子プロモーター、例えば、限定されるものではないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、及びクレアチンキナーゼプロモーターが含まれる。さらに、本発明は構成性プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも本発明の一部として企図される。誘導性プロモーターの使用は、発現が望ましい場合に作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をオンにし、発現が望まれない場合に発現をオフにすることができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例としては、限定されるものではないが、メタロチオニンプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、及びテトラサイクリンプロモーターが挙げられる。
【0142】
ベクター上に見られるエンハンサー配列も、ベクターに含まれる遺伝子の発現を調節する。通常、エンハンサーはタンパク質因子と結合して、遺伝子の転写を増強する。エンハンサーは、それが調節する遺伝子の上流又は下流に位置する場合がある。エンハンサーは、特定の細胞又は組織タイプでの転写を増強するために組織特異的な場合もある。1つの実施態様において、本発明のベクターは、ベクター内に存在する遺伝子の転写を促進するための1つ以上のエンハンサーを含む。
【0143】
タンパク質の発現を評価するために、細胞に導入される発現ベクターはまた、ウイルスベクターを介してトランスフェクト又は感染されることが求められる細胞集団からの発現細胞の同定と選択を容易にするために、選択マーカー遺伝子又はレポーター遺伝子、あるいはその両方が含まれることもある。他の態様において、選択マーカーは別個のDNA片上に保持され、同時トランスフェクション手順で使用され得る。選択可能なマーカーとレポーター遺伝子の両方には、宿主細胞での発現を可能にする適切な調節配列が隣接していてもよい。有用な選択マーカーとしては、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
【0144】
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞を同定したり、調節配列の機能を評価したりするために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、受容体生物又は組織には存在せずまた発現もされず、その発現が何らかの容易に検出可能な特性、例えば酵素活性によって明らかにされるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAが受容体細胞に導入された後の適切な時点でアッセイされる。適切なレポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリホスファターゼ、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子が含まれ得る(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。適切な発現系は公知であり、既知の技術を使用して調製することも、市販されている場合もある。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小の5'フランキング領域を有する構築物がプロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結され、プロモーター駆動の転写を調節する能力について薬剤を評価するために使用され得る。
【0145】
遺伝子を細胞に導入し発現させる方法は当技術分野で知られている。発現ベクターの場合、ベクターは、当技術分野の任意の方法によって、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、又は昆虫細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的手段によって宿主細胞に導入することができる。
【0146】
ペプチド又はタンパク質を宿主細胞に導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃、微量注入法、電気穿孔法などが含まれる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を産生する方法は、当技術分野でよく知られている。例えば、Sambrook et al. (2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York) を参照されたい。
【0147】
目的のペプチド又はタンパク質を宿主細胞に導入する生物学的方法には、DNAベクター及びRNAベクターの使用が含まれる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するために最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第米国特許第5,350,674号及び第5,585,362号を参照されたい。
【0148】
ペプチド又はタンパク質を宿主細胞に導入するための化学的手段には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散系、及び水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベース系が含まれる。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用される例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0149】
非ウイルス送達システムが利用される場合、例示的な送達ビヒクルはリポソームである。脂質配合物の使用は、宿主細胞への核酸の導入(インビトロ、エクスビボ、又はインビボ)のために企図される。別の態様において、核酸は脂質と結合していてもよい。脂質に結合した核酸は、リポソームの水性内部にカプセル化され、リポソームの脂質二重層内に散在し、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方に結合する連結分子を介してリポソームに結合し、リポソームに捕捉され得、リポソームと複合体を形成し、脂質を含む溶液中に分散され、脂質と混合され、脂質と結合し、脂質中に懸濁液として含まれ、ミセルに含まれるか複合体を形成し、又はその他の方法で脂質と結合する。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクターに関連した組成物は、溶液中のいかなる特定の構造にも限定されない。例えば、これらは二重層構造で、ミセルとして、又は「崩壊した」構造で存在する可能性がある。また、これらは単に溶液中に分散しているだけであり、サイズや形状が均一ではない凝集体を形成する可能性がある。脂質は脂肪物質であり存在し、天然に存在する脂質でも合成脂質でもよい。例えば、脂質には、細胞質内に自然に存在する脂肪滴のほか、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、アルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素とその誘導体を含む化合物のクラスが含まれる。
【0150】
使用に適した脂質は商業的供給源から入手できる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma, St. Louis, MOから入手できる。リン酸ジセチル(「DCP」)は、K & K Laboratories (Plainview, NY)から入手できる。コレステロール(「Choi」)はCalbiochem-Behringから入手できる。ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids, Inc. (Birmingham, AL) から入手できる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保存できる。クロロホルムはメタノールよりも蒸発しやすいため、唯一の溶媒として使用される。「リポソーム」は、封入された脂質二重層又は凝集体の生成によって形成されるさまざまな単層及び多層脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜と内部水性媒体を備えた小胞構造を有するとして特徴づけられる。多重層リポソームには、水性媒体によって分離された複数の脂質層がある。リン脂質が過剰な水溶液に懸濁されると、それらは自発的に形成される。脂質成分は、自己再配列を受けた後に、閉じた構造を形成し、脂質二重層の間に水及び溶質を捕捉する(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5: 505-10)。しかしながら、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質はミセル構造をとることもあれば、単に脂質分子の不均一な集合体として存在することもある。リポフェクタミン-核酸複合体もまた企図される。
【0151】
外因性核酸を宿主細胞に導入するために使用される方法に関係なく、宿主細胞における組換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが実施され得る。このようなアッセイには、例えば、サザンブロッティング及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCRなどの当業者に公知の「分子生物学的」アッセイ;例えば、免疫学的手段(ELISA及びウエスタンブロット)によって、又は本明細書に記載されるアッセイによって特定のポリペプチドの存在又は非存在を検出して、本発明の範囲内に入る薬剤を同定する「生化学的」アッセイが含まれる。
【0152】
1つの実施態様において、本発明は、タンパク質、又はタンパク質をコードする核酸分子を含む送達ビヒクルを提供する。例示的な送達ビヒクルには、限定されるものではないが、マイクロスフェア、微粒子、ナノ粒子、ポリマーソーム、リポソーム、及びミセルが含まれる。例えば、いくつかの実施態様において、送達ビヒクルには、タンパク質、又はタンパク質をコードする核酸分子が装填される。いくつかの実施態様において、送達ビヒクルは、積載された積み荷の制御放出、遅延放出、又は連続放出を提供する。いくつかの実施態様において、送達ビヒクルは、送達ビヒクルを治療部位に標的化する標的化部分を含む。
【0153】
1つの実施態様において、本発明は、タンパク質又はタンパク質をコードする核酸分子を含む移植可能な足場又はデバイスを提供する。例えば、いくつかの実施態様において、本発明は、限定されるものではないが、足場内又は足場上にタンパク質又はタンパク質をコードする核酸分子を含むヒドロゲル、エレクトロスパン足場、ポリマーマトリックスなどを含む組織工学足場を提供する。
【0154】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の少なくとも1つのVMタンパク質又はペプチドをコードする少なくとも1つの核酸分子に結合するか、又はこれを封入する脂質ナノ粒子(LNP)又はリポソームを含む組成物を提供する。1つの実施態様において、組成物は、本発明の少なくとも2つ以上のVMタンパク質又はペプチドをコードする2つ以上の核酸分子の組み合わせを封入する2つ以上のLNPの組み合わせを含む。1つの実施態様において、核酸分子は、本発明の少なくとも1つのVMタンパク質又はペプチドをコードするmRNA分子を含む。従って、いくつかの実施態様において、本発明は、少なくとも1つのVMタンパク質をコードする少なくとも1つのmRNA分子に結合又はこれを封入する少なくとも1つのLNP又はリポソームを提供する。1つの実施態様において、本発明は、LIC_12340及びLIC_12985をコードするmRNA分子に結合又はこれを封入するLNP又はリポソームの組み合わせを提供する。1つの実施態様において、本発明は、LIC_12340、LIC_12985、LA_3490、LA_0620、及びLA_1402をコードするmRNA分子に結合又はこれを封入するLNP又はリポソームの組み合わせを提供する。
【0155】
特定の態様において、本発明は、被験体に投与されると免疫応答を誘発又は増強するポリペプチド、ヌクレオチド、ベクター、細菌、及びワクチンを含む組成物を包含する。特定の例では、組成物は、レプトスピラ属の細菌に対する免疫応答、例えばレプトスピラVMタンパク質に対する免疫応答を誘発する。さらに、組成物が被験体に投与されると、接種された被験体をレプトスピラ感染に関連する状態から防御する役割を果たす免疫応答を誘発する。
【0156】
1つの実施態様において、本発明は、例えば、免疫応答を刺激し、レプトスピラ関連の病状を予防するための免疫調節剤として有用な組成物を提供する。様々な実施態様において、免疫調節剤は、(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子を含む。1つの実施態様において、免疫応答は宿主に有害ではないため、本発明の組成物はワクチンとして有用である。1つの実施態様において、免疫調節剤はアジュバントと組み合わせて投与される。1つの実施態様において、アジュバントは、GLA-SEアジュバントと呼ばれる、安定な水中油型ナノエマルジョン(SE)中に配合されたグルコピラノシル脂質A(GLA)である。別の実施態様において、免疫調節剤はアジュバントの非存在下で投与される。
【0157】
いくつかの実施態様において、組成物は、特異的抗体の産生を誘導又は増強するための免疫刺激剤として使用される。特定の態様において、免疫刺激剤は、レプトスピラ誘発性の病態から防御する。
【0158】
1つの実施態様において、組成物は、(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子を含む細菌を含む。例えば、1つの実施態様において、組成物は、以下を含むレプトスピラ属の細菌を含む:(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子。1つの実施態様において、組成物は、レプトスピラ属の細菌ではない細菌を含み、前記細菌は、(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子を含む。
【0159】
レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードするヌクレオチド配列を含む細菌は、限定されるものではないが、対立遺伝子交換及び部位特異的突然変異誘発を含む当技術分野で公知の任意の方法を使用して生成することができる。
【0160】
レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を有する任意の細菌又は細菌株は、本発明に従って選択及び使用することができる。1つの実施態様において、天然に存在する変異体若しくは変種、又は自然発生性変異体を選択することができる。別の実施態様において、変異体細菌は、細菌を紫外線照射若しくは化学的突然変異原などの突然変異原に曝露することによって、あるいは複数回の継代及び/又は非許容宿主中での継代によって生成することができる。示差的増殖システムにおけるスクリーニングを使用して、レプトスピラVMタンパク質に変異を有する変異体を選択することができる。
【0161】
別の実施態様において、「逆遺伝学(reverse genetics)」アプローチを使用して、突然変異を細菌、例えばレプトスピラ細菌に導入することができる。このようにして、不活化又は減弱した表現型を与える自然の他の突然変異を、細菌株に工学作成することができる。例えば、レプトスピラVMタンパク質の原因となる遺伝子のコード領域の欠失、挿入、又は置換を工学作成することができる。レプトスピラVMタンパク質の原因となる遺伝子の非コード領域における欠失、置換、又は挿入もまた企図される。この目的を達成するために、レプトスピラVMタンパク質の原因となる遺伝子の転写、複製、ポリアデニル化、及び/又はパッケージングに関与するシグナルの変異を工学作成することができる。
【0162】
1つの実施態様において、細菌は、レプトスピラVMタンパク質が欠損するように工学作成される。例えば、特定の実施態様において、1つ以上のレプトスピラVMタンパク質が欠如している毒素欠損変異体細菌又はウイルスは、疾患を引き起こすことはできないが、レプトスピラ属に対する適応免疫応答を誘導することができる。
【0163】
本明細書に記載のアプローチによって生成される細菌は、本明細書に記載のワクチン及び医薬製剤に使用することができる。逆遺伝学技術を使用して、ワクチン生産に重要な他の遺伝子に追加の変異を工学作成することもできる。すなわち、有用なワクチン株変種のエピトープを細菌中に工学作成することができる。あるいは、他の病原体に由来する抗原を含む完全に外来のエピトープを、不活化又は弱毒化株中に工学作成することもできる。
【0164】
本発明の不活化又は弱毒化細菌は、それ自体を、ワクチン又は医薬製剤の有効成分として使用することができる。特定の実施態様において、細菌は、組換え生産されたワクチンのベクター又は「骨格」として使用され得る。この目的を達成するために、「逆遺伝学」技術を使用して突然変異を工学作成したり、「親」株として機能する細菌に外来エピトープを導入したりすることができる。このようにして、菌株変種に対する免疫、又は完全に異なる感染因子又は疾患抗原に対する免疫のために、ワクチンを設計することができる。
【0165】
例えば、1つの実施態様において、本発明の免疫学的組成物は、所定の病原体の1つ以上のエピトープ若しくは抗原を発現するように工学作成された細菌を含む。例えば、細菌は、他の予め選択された菌株の中和エピトープを発現するように工学作成することができる。あるいは、他の病原体のエピトープを変異体細菌に組み込むこともできる。
【0166】
1つの実施態様において、細菌は宿主において強力な免疫応答を誘導することができる。この特徴は、ワクチンとして使用される場合に強力な免疫応答の生成に寄与し、細菌を、抗原に関連する感染症、疾患、又は障害の予防及び/又は治療のための医薬品として有用にする他の生物学的結果をもたらす。例えば、特定の実施態様において、細菌は抗レプトスピラ免疫応答を誘導する。
【0167】
抗原性組成物がワクチンとして有用であるためには、抗原性組成物は細胞、組織、又は被験体(例えば、ヒト)において抗原に対する免疫応答を誘導しなければならない。特定の態様において、ワクチンは被験体において防御免疫応答を誘導する。本明細書で使用される「免疫学的組成物」は、例として、抗原(例えば、タンパク質)、抗原をコードする核酸分子(例えば、抗原発現ベクター)、又は抗原を発現若しくは提示する細胞を含み得る。特定の実施態様において、抗原性組成物は、本明細書に記載の任意のタンパク質抗原、又はその免疫学的機能同等物の全部又は一部を含むか又はコードする。他の実施態様において、抗原性組成物は、追加の免疫刺激剤又はそのような薬剤をコードする核酸を含む混合物中にある。免疫刺激剤には、限定されるものではないが、追加の抗原、免疫調節剤、抗原提示細胞、又はアジュバントが含まれる。他の実施態様において、1つ以上の追加の薬剤は、任意の組み合わせで抗原又は免疫刺激薬剤に共有結合する。特定の実施態様において、抗原性組成物は、HLAアンカーモチーフアミノ酸に結合されるか、又はこれを含む。
【0168】
本発明の文脈において、「ワクチン」という用語(免疫原性組成物とも呼ばれる)は、動物に接種すると免疫を誘導する物質を指す。1つの実施態様において、ワクチンは抗レプトスピラ免疫を誘導する。多様な実施形態において、本発明のワクチンは を含む。
【0169】
1つの実施態様において、ワクチンはアジュバントと組み合わせて投与される。別の実施態様において、ワクチンはアジュバントの非存在下で投与される。
【0170】
本発明のワクチンは、その核酸及び/又は細胞成分の組成が異なっていてもよい。非限定的な例では、抗原をコードする核酸もアジュバントとともに製剤化され得る。もちろん、本明細書に記載される様々な組成物が追加の成分をさらに含むことができることは理解されるであろう。例えば、1つ以上のワクチン成分が脂質又はリポソームに含まれていてもよい。別の非限定的な例では、ワクチンは1つ以上のアジュバントを含み得る。本発明のワクチン及びその様々な成分は、本明細書に開示される任意の方法によって、又は本開示を考慮して当業者に公知である方法によって、調製及び/又は投与され得る。
【0171】
1つの実施態様において、本発明のタンパク質ワクチンには、限定されるものではないが、少なくとも1つのレプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片が、任意選択的にアジュバント物質と混合されて含まれる。いくつかの実施態様において、タンパク質は抗原提示細胞(APC)と一緒に導入される。後者のタイプのワクチンに使用される最も一般的な細胞は骨髄由来樹状細胞及び末梢血由来樹状細胞で、これらの細胞はT細胞の活性化を助ける共刺激分子を発現するためである。WO00/06723は、腫瘍関連抗原性ポリペプチドを提示するAPCを含む細胞ワクチン組成物を開示する。タンパク質の提示は、タンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)をAPCに投入するか、又はタンパク質自体をAPCに投入することによって達成され得る。
【0172】
例えば、細胞毒性Tリンパ球の誘導を検出する方法はよく知られている。生体内に侵入した異物は、APCの働きによりT細胞やB細胞に提示される。APCによって提示された抗原に抗原特異的に応答するT細胞は、抗原による刺激により細胞毒性T細胞(細胞毒性Tリンパ球又はCTLとも呼ばれる)に分化する。次に、これらの抗原刺激を受けた細胞は増殖する。このプロセスは、本明細書ではT細胞の「活性化」と呼ばれる。従って、本発明の特定のポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせによるCTL誘導は、APCによってポリペプチドをT細胞に提示し、CTLの誘導を検出することによって評価することができる。さらに、APCはCD4+T細胞、CD8+T細胞、マクロファージ、好酸球、NK細胞を活性化する作用がある。
【0173】
APCとして樹状細胞(DC)を用いてCTLの誘導作用を評価する方法は当技術分野でよく知られている。DCは、APCの中で最も強いCTL誘導作用を有する代表的なAPCである。この方法では、ポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせを最初にDCと接触させ、次にこのDCをT細胞と接触させる。DCとの接触後に目的の細胞に対して細胞毒性効果を有するT細胞の検出は、ポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせが細胞毒性T細胞を誘導する活性を有することを示す。さらに、誘導された免疫応答は、ELISPOTアッセイにおいて抗IFN-ガンマ抗体を使用して視覚化することにより、固定化ポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせを保持する抗原提示細胞の存在下で、CTLによって産生及び放出されるIFN-ガンマを測定することによっても調べることができる。
【0174】
DCとは別に、末梢血単核球(PBMC)もAPCとして使用され得る。CTLの誘導は、GM-CSF及びIL-4の存在下でPBMCを培養することによって増強されることが報告されている。同様に、CTLは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)及びIL-7の存在下でPBMCを培養することによって誘導されることが示されている。
【0175】
これらの方法によりCTL誘導活性を有することが確認されたポリペプチド、又はポリペプチドの組み合わせは、DC活性化作用及び以後のCTL誘導活性を有するポリペプチドである。従って、レプトスピラVMタンパク質に対してCTLを誘導するポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせは、レプトスピラ関連病態に対するワクチンとして有用である。さらに、APCによるポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせの提示により細胞毒性を獲得したCTLも、レプトスピラ感染に対するワクチンとして使用することができる。
【0176】
一般に、細胞免疫療法にポリペプチドを使用する場合、構造の異なる複数のポリペプチドを組み合わせてDCと接触させることにより、CTL誘導の効率を高めることができる。従って、タンパク質断片でDCを刺激する場合、複数のタイプの断片の混合物を使用することが有利である。
【0177】
ポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせによる免疫の誘導は、特定の抗原に対する抗体産生の誘導を観察することによってさらに確認することができる。例えば、ポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせに対する抗体が、そのポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせで免疫された実験動物において誘導され、レプトスピラ関連病態がこれらの抗体によって抑制される場合、そのポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせは、抗レプトスピラ免疫を誘導すると決定される。
【0178】
方法
様々な実施態様において、本発明の組成物は、タンパク質(例えば、アシアロフェチュイン)を検出する方法を含む生物学的アッセイにおいて使用することができる。例示的な生物学的アッセイには、限定されるものではないが、免疫クロマトグラフィーアッセイ、免疫ドットアッセイ、Luminexアッセイ、ELISAアッセイ、ELISPOTアッセイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、ウェスタンブロットアッセイ、質量分光光度アッセイ、放射免疫測定法(RIA)、放射免疫拡散アッセイ、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析アッセイ、オクタロニー免疫拡散アッセイ、逆相タンパク質マイクロアレイ、ロケット免疫電気泳動アッセイ、免疫組織染色アッセイ、免疫沈降アッセイ、補体結合アッセイ、FACS、酵素-基質結合アッセイ、酵素アッセイ、発色団、発蛍光団、又は放射性基質などの検出可能な分子を使用する酵素アッセイ、そのような基質を使用する基質結合アッセイ、そのような基質を使用する基質置換アッセイ、及びプロテインチップアッセイ(また、2007, Van Emon, Immunoassay and Other Bioanalytical Techniques, CRC Press; 2005, Wild, Immunoassay Handbook, Gulf Professional Publishing; 1996, Diamandis and Christopoulos, Immunoassay, Academic Press; 2005, Joos, Microarrays in Clinical Diagnosis, Humana Press; 2005, Hamdan and Righetti, Proteomics Today, John Wiley and Sons; 2007 も参照)が含まれる。いくつかの実施態様において、生物学的試料中のアシアロフェチュインのレベルは、少なくとも1つのレプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は本明細書の他の場所に記載された、本発明のレプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子を使用するアッセイで測定される。
【0179】
様々な実施態様において、本発明は、本明細書に記載の組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。例えば、1つの実施態様において、この方法は、以下を含む組成物を被験体に投与することを含む:(a)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片;又は(b)レプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子。様々な実施態様において、本発明の組成物は、レプトスピラ免疫を誘導するための薬剤として、又は疾患若しくは障害を治療するための細胞毒性薬剤として使用することができる。
【0180】
本発明の組成物は、治療(又は予防)すべき疾患に適切な方法で投与することができる。投与量と投与頻度は、患者の状態、患者の疾患のタイプと重症度などの要因によって決定されるが、適切な投与量は臨床試験によって決定される場合がある。「有効量」又は「治療量」が示される場合、投与される本発明の組成物の正確な量は、患者(被験体)の年齢、体重、疾患の進行、及び状態の個人差を考慮して医師が決定することができる。特定の患者に対する最適な用量及び治療計画は、疾患の兆候について被験体を追跡し、それに応じて治療を調整することによって、医学の当業者であれば容易に決定することができる。
【0181】
対象組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、経口摂取、輸血、埋め込み、又は移植を含む任意の便利な方法で実施することができる。本明細書に記載される組成物は、被験体に皮下、皮内、腫瘍内、節内、髄内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射により、又は腹腔内に投与され得る。
【0182】
本明細書に記載の方法において有用であり得る投与形態としては、限定されるものではないが、所望の臓器への直接送達、経口、吸入、鼻腔内、気管内、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮下、皮内、及び他の非経口投与経路が挙げられる。さらに、必要に応じて、投与経路を組み合わせてもよい。1つの実施態様において、投与経路は皮内注射又は腫瘍内注射である。1つの実施態様において、1つ以上の組成物は、外科的処置中、例えば腫瘍の全部又は一部の外科的切除中に、治療部位に投与される。
【0183】
ワクチンとしての使用方法
従って、本発明は、本明細書に記載の組成物の1つ以上を使用して抗レプトスピラ免疫を誘導する方法も包含する。抗レプトスピラ免疫は、本発明の組成物を投与することによって誘導することができ、抗レプトスピラ免疫の誘導により、レプトスピラ感染に関連する病状の治療及び予防が可能になる。従って、本発明は、レプトスピラ属による感染を治療又は予防する方法を提供する。
【0184】
特定の組成物が動物への接種時にレプトスピラ免疫応答を誘導する場合、その組成物は免疫誘導効果を有すると判断される。組成物による免疫の誘導は、組成物に対する宿主の免疫系の応答をインビボ又はインビトロで観察することによって検出することができる。
【0185】
別の実施態様において、本発明の方法は、被験体に、レプトスピラVMタンパク質、その変種、又はその断片をコードする核酸分子をコードする核酸配列を含む細菌又はウイルスを投与することを含む。別の実施態様において、本発明の方法は、被験体に、レプトスピラVMタンパク質が存在しない細菌又はウイルスを投与することを含む。例えば、特定の実施態様において、レプトスピラVMタンパク質が存在しない毒素欠損変異体細菌又はウイルスの投与は、疾患を引き起こすことはできないが、適応免疫応答を誘導することはできる。
【0186】
本発明の治療用化合物又は組成物は、抗原に関連する感染症、疾患、又は障害に罹患しているか、又は発症する危険性があるか、又は発症しやすい被験体に予防的又は治療的に投与することができる。そのような被験体は、標準的な臨床方法を使用して特定することができる。本発明の文脈において、予防的投与は、疾患の明白な臨床症状が現れる前に行われ、従って、疾患又は障害が予防されるか、あるいはその進行が遅延される。医学分野の文脈では、「予防する」という用語には、病気による死亡率又は罹患率の負担を軽減するあらゆる活動が含まれる。予防は、1次、2次、及び3次予防レベルで行われる。1次予防は病気の発症を回避するものであるが、2次及び3次レベルの予防には、機能を回復し疾患に関連する合併症を軽減することによって、疾患の進行と症状の出現を予防すること、またすでに確立された疾患の悪影響を軽減することを目的とした活動が含まれる。
【0187】
免疫学的活性を有する本発明のポリペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ、あるいはそのようなポリペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせをコードするポリヌクレオチド若しくはベクターは、任意選択的にアジュバントと組み合わせることができる。アジュバントとは、免疫活性を有するポリペプチドと一緒に(又は連続して)投与した場合に、ポリペプチド又はポリペプチドの組み合わせに対する免疫応答を増強する化合物を指す。適切なアジュバントの例としては、合成TLR4アゴニストアジュバント、GLA-SE、コレラ毒素、サルモネラ毒素、ミョウバンなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明のワクチンは、医薬的に許容し得る担体と適宜組み合わせることができる。このような担体の例としては、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、培養液などが挙げられる。さらに、ワクチンは、必要に応じて、安定剤、懸濁剤、保存剤、界面活性剤等を含むことができる。ワクチンは全身又は局所的に投与される。ワクチン投与は、単回投与によって行ってもよいし、複数回投与によって追加免疫してもよい。
【0188】
1つの実施態様において、本発明の方法は、a)少なくとも1つのレプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片、又は(b)少なくとも1つのレプトスピラVMタンパク質、その変種、若しくはその断片をコードする核酸分子を、被験体に投与することを含む。いくつかの実施態様において、VMタンパク質の断片は、VMタンパク質のDNaseドメインを含む。組成物の投与には、例えば、筋肉内、静脈内、腹膜、皮下、皮内、並びに局所投与が含まれ得る。
【0189】
実際の用量及びスケジュールは、組成物が他の医薬組成物と組み合わせて投与されるかどうかに応じて、あるいは薬物動態、薬物の性質、及び代謝における個体間の違いに応じて変わり得る。同様に、インビトロ適用では、使用する特定の細胞株に応じて量が変わる(例えば、細胞表面に存在するベクター受容体の数、又は遺伝子導入に使用される特定のベクターがその細胞株内で複製する能力に基づいて)。さらに、細胞あたりに添加されるベクターの量は、ベクターに挿入される治療用遺伝子の長さと安定性、さらには配列の性質によって異なる可能性が高く、特に経験的に決定する必要があるパラメーター、そして、本発明の方法に固有ではない要因(例えば、合成に関連するコスト)によって変動する可能性がある。当業者であれば、特定の状況の緊急性に応じて必要な調整を容易に行うことができる。
【0190】
本明細書に記載されるこれらの方法は決して包括的なものではなく、特定の用途に適するさらなる方法は当業者には明らかであろう。さらに、組成物の有効量は、所望の効果を発揮することが知られている化合物との類推によってさらに見積もることができる。
【0191】
抗体
いくつかの実施態様において、本発明は、限定されるものではないが、LA_3388、LA_0835、LA_0591、LA_0589(v)、LA_1402、LA_1400、LA_3271、LA_0934、LA_0769、LA_2628、LA_0620、LA_3490、LIC_10778、LIC_12791、LIC_12985、LIC_12986、LIC_12339、LIC_12340、LIC_10870、LIC_12715、LIC_12844、LIC_11358、LIC_10639、LIC_12963、LIC_10695、LMANV2_260038、LMANV2_240079、LMANV2_70075、LMANV2_70078、LMANV2_210058、LMANV2_210056、LMANV2_80114、LMANV2_320010、LMANV2_240142、LMANV2_150103、LMANV2_170032、LMANV2_70050、及びLMANV2_170091、又はその断片若しくは変種を含む、本発明の抗原のVMタンパク質に結合する組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明のVMタンパク質に結合する組成物は抗体である。
【0192】
本発明は、抗VMタンパク質抗体の設計及び開発、並びにレプトスピラ感染症又はレプトスピラ症の免疫療法のためのその使用に関する。抗VMタンパク質抗体は、レプトスピラ感染症又はレプトスピラ症の免疫予防戦略として機能する。
【0193】
抗VM抗体は、被験体内に存在する標的抗原(すなわち、VMタンパク質)に結合することができる。このような結合は、抗原を中和し、別の分子、例えばタンパク質又は核酸による抗原の認識をブロックし、抗原に対する免疫応答を誘発又は誘導することができる。
【0194】
1つの実施態様において、組成物は、合成抗体又はその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、抗VMタンパク質抗体の可変重鎖領域をコードするヌクレオチド配列、及び可変軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、本発明は、抗VMタンパク質抗体の可変重鎖領域をコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸分子と、抗VMタンパク質抗体の可変軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子とを含む組成物を提供する。
【0195】
本発明の抗VMタンパク質抗体断片を含む抗体は、特定の実施態様において、任意の適切なポリヌクレオチドによってコードされる本明細書に開示される抗体アミノ酸配列、又は任意の単離若しくは配合された抗体が含まれる。さらに、本開示の抗体は、本明細書に記載の抗VMタンパク質抗体の構造的特徴及び/又は機能的特徴を有する抗体を含む。1つの実施態様において、抗VMタンパク質抗体はレプトスピラVMタンパク質に結合し、それによってレプトスピラVMタンパク質の少なくとも1つの生物活性を部分的又は実質的に変化させる。
【0196】
1つの実施態様において、本発明の抗VMタンパク質抗体は、VMタンパク質に特異的な少なくとも1つのエピトープに免疫特異的に結合し、他のポリペプチドには特異的に結合しない。少なくとも1つのエピトープは、全長VMタンパク質の少なくとも一部を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことができる。本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体に結合できるタンパク質決定基を指す。エピトープは通常、アミノ酸や糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面群で構成され、通常、特定の3次元構造特性と特定の電荷特性を有する。立体構造エピトープと非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下では前者への結合は失われるが、後者への結合は失われないという点で区別される。
【0197】
いくつかの実施態様において、本発明は、VMタンパク質に特異的に結合する抗体(例えば、抗体の結合部分)を含む組成物を含む。1つの実施態様において、抗VMタンパク質抗体はポリクローナル抗体である。別の実施態様において、抗VMタンパク質抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、抗VMタンパク質抗体はキメラ抗体である。さらなる実施態様において、抗VMタンパク質抗体はヒト化抗体である。
【0198】
抗体の結合部分は、結合パートナー分子(例えば、レプトスピラVMタンパク質)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を含む。抗体の結合機能は、全長抗体の断片によって実行できることが示されている。抗体の「結合部分」という用語に含まれる結合断片の例としては、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab')2断片;(iii)VHドメインとCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVL及びVHは別個の遺伝子によってコードされているが、これらは、組換え法を使用して合成リンカーによって結合することができ、これにより、VLとVHが対合して一価分子(単鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; and Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883 を参照)を形成している単一のタンパク質鎖として作ることができる。このような単鎖抗体も、抗体の「結合部分」という用語内に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に知られている従来の技術を使用して得られ、その断片は、無傷の抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。結合部分は、組換えDNA技術によって、又は無傷の免疫グロブリンの酵素的又は化学的切断によって生成することができる。
【0199】
本発明のレプトスピラVMタンパク質に結合する抗体は、インビトロ、インサイチュ、及び/又はインビボで、少なくとも1つのレプトスピラVMタンパク質活性を阻害、ブロック、又は干渉する抗体である。
【0200】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号45、配列番号46、及び配列番号47に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号61、配列番号62、及び配列番号63に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号77、配列番号78、及び配列番号79に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。
【0201】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号24、配列番号25、及び配列番号26に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号37、配列番号38、及び配列番号39に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号48、配列番号49、及び配列番号50に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号80、配列番号81、及び配列番号82に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。
【0202】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載のHCDR配列と、配列番号24、配列番号25、及び配列番号26に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載のHCDR配列と、配列番号37、配列番号38、及び配列番号39に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号45、配列番号46、及び配列番号47に記載のHCDR配列と、配列番号48、配列番号49、及び配列番号50に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号61、配列番号62、及び配列番号63に記載のHCDR配列と、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号77、配列番号78、及び配列番号79に記載のHCDR配列と、配列番号80、配列番号81、及び配列番号82に記載のLCDR配列とを含む。
【0203】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号27に記載のHC配列及び配列番号28に記載のLC配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号27に記載のHC配列及び配列番号43に記載のLC配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号51に記載のHC配列及び配列番号52に記載のLC配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号67に記載のHC配列及び配列番号68に記載のLC配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体は、配列番号83に記載のHC配列及び配列番号84に記載のLC配列を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0204】
1つの実施態様において、本発明は、レプトスピラVMタンパク質抗体又はその断片をコードするヌクレオチド配列に関する。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードするヌクレオチド配列は、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードするRNA配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードするヌクレオチド配列は、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードするDNA配列を含む。
【0205】
1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号45、配列番号46、及び配列番号47に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号61、配列番号62、及び配列番号63に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号77、配列番号78、及び配列番号79に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。
【0206】
1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号24、配列番号25、及び配列番号26に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号37、配列番号38、及び配列番号39に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号48、配列番号49、及び配列番号50に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号80、配列番号81、及び配列番号82に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。
【0207】
1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載のHCDR配列と、配列番号24、配列番号25、及び配列番号26に記載のLCDR配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号21、配列番号22、及び配列番号23に記載のHCDR配列と、配列番号37、配列番号38、及び配列番号39に記載のLCDR配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号45、配列番号46、及び配列番号47に記載のHCDR配列と、配列番号48、配列番号49、及び配列番号50に記載のLCDR配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号61、配列番号62、及び配列番号63に記載のHCDR配列と、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66に記載のLCDR配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号77、配列番号78、及び配列番号79に記載のHCDR配列と、配列番号80、配列番号81、及び配列番号82に記載のLCDR配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。
【0208】
1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号27に記載のHC配列と配列番号28に記載のLC配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号27に記載のHC配列と配列番号43に記載のLC配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号51に記載のHC配列と配列番号52に記載のLC配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号67に記載のHC配列と配列番号68に記載のLC配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号83に記載のHC配列と配列番号84に記載のLC配列とを含むレプトスピラVMタンパク質抗体をコードする。
【0209】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号29、配列番号30、及び配列番号31に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号53、配列番号54、及び配列番号55に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号69、配列番号70、及び配列番号71に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号85、配列番号86、及び配列番号87に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのHCDR配列を含む。
【0210】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号32、配列番号33、及び配列番号34に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号40、配列番号41、及び配列番号42に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号56、配列番号57、及び配列番号58に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号72、配列番号73、及び配列番号74に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号88、配列番号89、及び配列番号90に記載の少なくとも1つ、2つ、又は3つのLCDR配列を含む。
【0211】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号29、配列番号30、及び配列番号31に記載のHCDR配列と、配列番号32、配列番号33、及び配列番号34に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号29、配列番号30、及び配列番号31に記載のHCDR配列と、配列番号40、配列番号41、及び配列番号42に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号53、配列番号54、及び配列番号55に記載のHCDR配列と、配列番号56、配列番号57、及び配列番号58に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号69、配列番号70及び配列番号71に記載のHCDR配列と、配列番号72、配列番号73、及び配列番号74に記載のLCDR配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号85、配列番号86、及び配列番号87に記載のHCDR配列と、配列番号88、配列番号89、及び配列番号90に記載のLCDR配列とを含む。
【0212】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号35に記載のHC配列と配列番号36に記載のLC配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号35に記載のHC配列と配列番号44に記載のLC配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号59に記載のHC配列と配列番号60に記載のLC配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号75に記載のHC配列と配列番号76に記載のLC配列とを含む。1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質抗体をコードする核酸分子は、配列番号91に記載のHC配列と配列番号92に記載のLC配列とを含む。
【0213】
本発明の組成物は、レプトスピラ感染に関連する疾患、障害、又は症状を治療、予防、及び/又は防御することができる。
【0214】
本発明の組成物は、安全であるため、病気や死亡を引き起こさない;病気から防御すること;及び投与が容易で、副作用が少なく、生物学的安定性があり、用量当たりのコストが低いという、有効な組成物に求められる特徴を備えることができる。
【0215】
いくつかの実施態様において、本発明のレプトスピラVMタンパク質結合分子(例えば、抗体など)は、例えば、当該技術分野で知られているいくつかのインビトロ及びインビボアッセイのうちのいずれか1つによって評価すると、塩、化合物、及び他のポリペプチドの複雑な混合物中のレプトスピラVMタンパク質を検出及び結合する高い能力を示す。当業者は、疾患の診断方法及び治療方法及び予防方法において有用であるとして本明細書に記載されるレプトスピラVMタンパク質結合分子(例えば、抗体など)が、以下を含む本発明の手順及び方法においても有用であることを理解するであろう:限定されるものではないが、免疫クロマトグラフィーアッセイ、免疫ドットアッセイ、Luminexアッセイ、ELISAアッセイ、ELISPOTアッセイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、ウェスタンブロットアッセイ、質量分光測光アッセイ、放射免疫測定法(RIA)、放射免疫拡散アッセイ、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析アッセイ、オクタロニー免疫拡散アッセイ、逆相タンパク質マイクロアレイ、ロケット免疫電気泳動アッセイ、免疫組織染色アッセイ、免疫沈降アッセイ、補体結合アッセイ、FACS、プロテインチップアッセイ、分離及び精製プロセス、及び親和性クロマトグラフィー(2007, Van Emon, Immunoassay and Other Bioanalytical Techniques, CRC Press; 2005, Wild, Immunoassay Handbook, Gulf Professional Publishing; 1996, Diamandis and Christopoulos, Immunoassay, Academic Press; 2005, Joos, Microarrays in Clinical Diagnosis, Humana Press; 2005, Hamdan and Righetti, Proteomics Today, John Wiley and Sons; 2007 を参照)。
【0216】
いくつかの実施態様において、本発明のレプトスピラVMタンパク質結合分子(例えば、抗体など)は、当該分野で公知のいくつかのインビトロ及びインビボアッセイのいずれか1つによって評価すると、レプトスピラVMタンパク質活性を低減又は中和する高い能力を示す。
【0217】
特定の実施態様において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、又はIgD定常領域などの重鎖定常領域を含む。好ましくは、重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域又はIgG4重鎖定常領域である。さらに、抗体は、軽鎖定常領域であるカッパ軽鎖定常領域又はラムダ軽鎖定常領域のいずれかを含むことができる。好ましくは、抗体はカッパ軽鎖定常領域を含む。あるいは、抗体部分は、例えば、Fab断片又は単鎖Fv断片であり得る。
【0218】
用量と製剤
本発明は、本発明の1つ以上の治療薬(例えば、本発明のVMドメイン融合構築物;トキソイドワクチン、抗VM抗体、又は抗VM抗体をコードする核酸分子)の投与により被験体における疾患、例えばレプトスピラ病原体に関連する疾患を治療することを企図する。
【0219】
本発明による組成物の投与は、投与の目的が治療であっても予防であっても、例えば受容者の生理学的状態、及び当業者に知られている他の要因に応じて、連続的又は断続的であり得る。本発明の薬剤の投与は、予め選択された期間にわたって本質的に連続的であってもよく、又は一連の間隔をあけた投与であってもよい。1つの実施態様において、本発明のサイトカイン組成物、抗原受容体組成物、及び組み込み組成物は、局所的に同じ部位に投与される。投与量は、限定されるものではないが、選択した組成物、哺乳動物の特定の疾患、体重、体調、年齢、並びに予防又は治療を達成するかどうかの様々な要因に応じて変化する。このような因子は、臨床家が、動物モデル又は当技術分野でよく知られている他の試験システムを使用して容易に決定することができる。
【0220】
本発明の治療薬を有する1つ以上の適切な単位剤形は、以下に論じるように、任意選択的に徐放用に製剤化することができ(例えば、マイクロカプセル化を使用、国際公開第94/07529号、及び米国特許第4,962,091号を参照、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)、静脈内及び筋肉内経路を含む非経口、並びに罹患組織への直接注射を含む様々な経路によって投与することができる。例えば、治療薬は腫瘍に直接注射されてもよい。製剤は、必要に応じて、別個の単位剤形で都合よく提供することができ、薬学上よく知られている方法のいずれかによって調製することができる。このような方法は、治療薬を液体担体、固体マトリックス、半固体担体、微粉固体担体、又はこれらの組み合わせと結合させる工程、次に、必要に応じて、生成物を所望の送達システムに導入又は成形する工程を含み得る。
【0221】
脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム、又はリポプレックスは、治療用タンパク質、ペプチド、又は核酸ベースの治療薬などの、本来細胞不透過性である生物学的に活性な化合物にとって効果的な薬物送達システムである。従って、いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の少なくとも1つのVMタンパク質、又はそれをコードする核酸分子を含む1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム、若しくはリポプレックスを含む組成物に関する。
【0222】
特定の実施態様において、治療薬は、医薬的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わされて、医薬製剤又は単位剤形を形成する。このような製剤中の全有効成分は、製剤の0.1~99.9重量%を含む。「医薬的に許容し得る」とは、製剤の他の成分と適合し、その受容者に有害ではない担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は塩である。投与用の有効成分は粉末又は顆粒として、溶液、懸濁液、又は乳濁液として存在し得る。
【0223】
本発明の治療薬を含む医薬製剤は、当技術分野で知られている手順によって、公知の容易に入手可能な成分を使用して調製することができる。本発明の治療薬はまた、例えば筋肉内、皮下又は静脈内経路による非経口投与に適した溶液として製剤化することもできる。
【0224】
本発明の治療薬の医薬製剤は、水性若しくは無水の溶液若しくは分散液の形態、又はエマルジョン若しくは懸濁液の形態をとることもできる。
【0225】
従って、治療薬は、非経口投与(例えば、ボーラス注射又は持続注入などの注射による)用に製剤化することができ、アンプル、充填済みシリンジ、少容量の輸液容器、又は防腐剤が添加された複数用量の単位剤形で提供することができる。有効成分は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又はエマルジョンなどの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの配合剤を含有することができる。あるいは、有効成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば滅菌された発熱物質を含まない水で復元するために、滅菌固体の無菌単離又は溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態であってもよい。
【0226】
各剤形の個々のエアロゾル用量に含まれる有効成分の単位含有量は、それ自体が特定の適応症又は疾患を治療するための有効量を構成する必要はないことが理解されるであろう。なぜなら、必要な有効量は、複数の投与単位の投与によって達成され得るからである。さらに、有効量は、剤形中の用量より少ない量を使用して、個別に又は一連の投与で達成され得るからである。
【0227】
本発明の医薬製剤は、任意選択的な成分として、医薬的に許容し得る担体、希釈剤、可溶化剤又は、乳化剤、及び当技術分野で公知のタイプの塩を含んでもよい。本発明の医薬製剤において有用な担体及び/又は希釈剤の非限定的な具体例としては、水及び生理学的に許容される緩衝化生理食塩水、例えばpH7.0~8.0のリン酸緩衝化生理食塩水が挙げられる。
【0228】
本発明の発現ベクター、形質導入細胞、ポリヌクレオチド、及びポリペプチド(有効成分)は、有効成分と生物体内の薬剤の作用部位との接触を生じさせる任意の手段によって、様々な疾患状態を治療するために製剤化及び投与することができる。これらは、個々の治療有効成分として、又は治療活性成分の組み合わせとして、医薬と併用するために利用可能な任意の従来の手段によって投与することができる。これらは単独で投与することもできるが、一般的には、選択された投与経路及び標準的な製薬慣行に基づいて選択された医薬担体とともに投与される。
【0229】
一般に、水、適切な油、生理食塩水、ブドウ糖水溶液(グルコース)、及び関連する糖溶液、並びにグリコール、例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコールは、非経口溶液の適切な担体である。非経口投与用の溶液には、有効成分、適切な安定化剤、及び必要に応じて緩衝物質が含まれる。硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸などの抗酸化剤は、単独又は組み合わせて、適切な安定剤である。また、クエン酸とその塩、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)も使用される。さらに、非経口溶液には、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノールなどの防腐剤が含まれる場合がある。適切な医薬担体は、この分野の標準参考文献であるRemington's Pharmaceutical Sciences に記載されている。
【0230】
本発明の有効成分は、哺乳動物、特にヒトでの使用に適した医薬的に許容し得る組成物中に懸濁されるように製剤化され得る。このような製剤には、ムラミルジペプチド誘導体(MDP)又は米国特許第4,082,735号、第4,082,736号、第4,101,536号、第4,185,089号、第4,235,771号、及び第4,406,890号に記載されている類似体のようなアジュバントの使用が含まれる。有用な他のアジュバントには、ミョウバン(Pierce Chemical Co.)、脂質A、トレハロースジミコレート、及び臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA)、フロイントアジュバント、及びIL-12が含まれる。他の成分には、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー(Pluronic(登録商標))、非イオン性界面活性剤、及びスクアレンなどの代謝可能な油(米国特許第4,606,918号)が含まれ得る。
【0231】
さらに、標準的な薬学的方法を使用して、作用期間を制御することもできる。これらは当技術分野で公知であり、制御放出製剤が含まれ、適切な高分子、例えばポリマー、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又は硫酸プロタミンを含むことができる。放出を制御するために、高分子の濃度及び取り込み方法を調整することができる。さらに、薬剤は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)、又はエチレン酢酸ビニルコポリマーなどのポリマー材料の粒子に組み込むことができる。これらの物質は、組み込まれるだけでなく、マイクロカプセル内に化合物を捕捉するために使用することもできる。
【0232】
従って、本発明の組成物は、特定の効果を達成するために、様々な経路を介して哺乳動物の体内の様々な部位に送達され得る(例えば、Rosenfeld et al., 1991; Rosenfeld et al., 1991a; Jaffe et al., 前述; Berkner、前述、を参照)。当業者であれば、投与には複数の経路を使用できるが、特定の経路が別の経路よりも即時的かつ効果的な反応を提供できることを認識するであろう。1つの実施態様において、上記の組成物は腫瘍内注射によって被験体に投与される。本明細書に記載の方法において有用であり得る他の投与形態としては、限定されるものではないが、所望の器官への直接送達、筋肉内、皮下、皮内、及び他の非経口投与経路が含まれる。
【0233】
本発明の有効成分は、単位剤形で提供することができ、各投与単位、例えば小さじ一杯、錠剤、溶液、又は坐剤は、所定量の組成物を単独で、又は他の活性物質と適切に組み合わせて含有する。本明細書で使用される「単位剤形」という用語は、ヒト及び哺乳動物被験体に対する単位剤形として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所定量の本発明の組成物を単独で又は他の活性薬剤と組み合わせて、所望の効果を生み出すのに十分であると計算された量で、必要に応じて医薬的に許容し得る希釈剤、担体、又はビヒクルと組み合わせて含有する。本発明の単位剤形の規格は、達成すべき特定の効果、及び特定の宿主における組成物に関連する特定の薬物動力学に依存する。
【0234】
本明細書に記載されるこれらの方法は決して包括的なものではなく、特定の用途に適したさらなる方法は当業者には明らかであろう。さらに、組成物の有効量は、所望の効果を発揮することが知られている化合物との類推によってさらに概算することができる。
【0235】
治療方法
1つの実施態様において、本発明は、本発明のレプトスピラVMタンパク質、トキソイドワクチン、抗VM抗体、又は抗VM抗体をコードする核酸分子を投与することを含む、それを必要とする被験体において免疫応答を誘導する方法を含む。
【0236】
1つの実施態様において、レプトスピラVMタンパク質若しくはペプチド、又はレプトスピラVMタンパク質若しくはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、トキソイドワクチンとして機能する。また、本明細書では、トキソイドワクチンを被験体に投与することによって、それを必要とする被験体の疾患を治療、防御、及び/又は予防する方法も提供される。被験体へのワクチンの投与は、被験体において免疫応答を誘導又は誘発することができる。誘導された免疫応答は、疾患、例えば、限定されるものではないが、レプトスピラ感染に関連する病態を含む感染症を、治療、予防、及び/又は防御するために使用することができる。
【0237】
1つの実施態様において、抗原性ペプチドに融合されたレプトスピラVMタンパク質若しくはペプチドを含む融合タンパク質、又は抗原性ペプチドに融合されたレプトスピラVMタンパク質若しくはペプチドを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、抗原性ペプチドに関連する疾患又は障害の治療のための治療薬剤として機能する。
【0238】
いくつかの実施態様において、抗原性ペプチドは腫瘍関連ペプチドである。従って、いくつかの実施態様において、誘導された免疫応答を使用して、癌を治療、予防、及び/又は防御することができる。以下は、開示された方法及び組成物によって治療され得る癌の非限定的な例である:急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、虫垂癌、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌及び脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胎児性腫瘍、中枢神経系リンパ腫、小脳星細胞腫、大脳星状細胞腫/悪性腫瘍神経膠腫、大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、子宮頸癌、小児視覚路腫瘍、脊索腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚癌、皮膚t細胞リンパ腫、子宮内膜癌、上衣芽腫、上衣腫、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、頭蓋外癌、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、肝外癌、眼癌、菌状突起、胆嚢癌、胃(胃)癌、消化管癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(gist)、胚細胞腫瘍、妊娠癌、妊娠絨毛膜腫瘍、神経膠芽腫、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部及び視覚経路神経膠腫、視床下部腫瘍、眼内(眼)癌、眼内黒色腫、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞)癌、ランゲルハンス細胞癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、唇・口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、マクログロブリン血症、骨悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、隠れ原発性転移性頸部扁平上皮癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、真菌症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病、骨髄性白血病、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、骨肉腫及び骨悪性線維性組織球腫、卵巣、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、乳頭腫症、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、中間分化型松果体実質腫瘍、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、血漿細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系癌、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、腎盂及び尿管癌、第15染色体上のnut遺伝子が関与する気道癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、セザリー症候群、皮膚癌(黒色腫)、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織癌、軟部肉腫、扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、胃(胃)癌、テント上原始神経外胚葉腫瘍、テント上原始神経外胚葉腫瘍及び松果体芽腫、T細胞リンパ腫、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、移行上皮癌、腎盂及び尿管の移行上皮癌、絨毛性腫瘍、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視覚路及び視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、及びウィルムス腫瘍。
【0239】
1つの実施態様において、本発明の方法は、抗原性タンパク質、ペプチドを被験体に投与することを含み、ここで、抗原性タンパク質、ペプチドは、抗原に対する免疫応答の生成を促進する。1つの実施態様において、本発明の方法は、核酸分子を被験体に投与することを含み、ここで、核酸分子は、少なくとも1つの抗原性タンパク質又はペプチドの発現のための発現構築物を含み、ここで、抗原性タンパク質又はペプチドは、コードされた抗原タンパク質又はペプチドに対する免疫応答の生成を促進する。1つの実施態様において、本発明の方法は、疾患関連抗原を標的とする抗体を被験体に投与することを含む。1つの実施態様において、本発明の方法は、抗体又はその断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を被験体に投与することを含み、ここで、コードされた抗体は疾患関連抗原を標的とする。
【0240】
いくつかの実施態様において、誘導された免疫応答には、誘導された体液性免疫応答及び/又は誘導された細胞性免疫応答が含まれ得る。体液性免疫応答は、約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、又は約3倍~約10倍誘導され得る。誘導された体液性免疫応答には、IgG抗体及び/又は中和抗体を含み得る。誘導された細胞性免疫応答には、誘導されるCD8T細胞応答が含まれ得、これは約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、又は約4倍~約20倍誘導される。
【0241】
ワクチン用量は、1μg~10mg活性成分/kg体重/回であり得、20μg~10mg成分/kg体重/回であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31日毎に投与され得る。効果的な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回である。
【0242】
1つの実施態様において、本発明のワクチン又は抗体を単独で投与することができる。1つの実施態様において、本発明のワクチン又は抗体は、疾患又は障害の別の治療法と組み合わせて投与することができる。
【0243】
1つの実施態様において、本発明のワクチン又は抗体は、初期刺激ワクチン又は追加ワクチンとして追加のワクチン組成物と組み合わせて投与される。1つの実施態様において、ワクチン(初回刺激ワクチンとして)で免疫された被験体に、免疫応答を高めるために本発明のワクチンが追加免疫ワクチンとして投与される。
【0244】
1つの実施態様において、本発明のベクターは、少なくとも2つの抗原性ポリペプチドを発現することができ、ここで、少なくとも1つの抗原性ポリペプチドは、本発明のレプトスピラVMタンパク質である。
【0245】
投与
本発明の組成物は、製薬分野の当業者に公知の標準技術に従って製剤化することができる。このような組成物は、具体的な被験体の年齢、性別、体重、及び状態、並びに投与経路などの要因を考慮して、医療分野の当業者に公知の用量及び技術によって投与することができる。被験体は、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、又はマウスなどの哺乳動物であり得る。
【0246】
組成物は予防的又は治療的に投与することができる。予防的投与では、組成物は、免疫応答を誘導するのに十分な量で投与され得る。治療用途において、組成物は、治療効果を引き出すのに十分な量で、それを必要とする被験体に投与される。これを達成するのに十分な量は、「治療有効量」として定義される。この使用に有効な量は、例えば、投与される治療計画の特定の組成物、投与方法、疾患のステージ及び重症度、患者の全身の健康状態、及び処方する医師の判断に依存するであろう。
【0247】
組成物は、Donnelly et al. (Ann. Rev. Immunol. 15:617-648 (1997)); Felgner et al. (米国特許第5,580,859号、1996年12月3日発行);Felgner (米国特許第5,703,055号、1997年12月30日発行);及び Carson et al. (米国特許第5,679,647号、1997年10月21日発行)に記載されている当技術分野で公知の方法によって投与することができ、これらすべての内容は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。当業者であれば、生理学的に許容される化合物を含む医薬的に許容し得る担体の選択は、例えば、発現ベクターの投与経路に依存することを承知しているであろう。
【0248】
組成物は、さまざまな経路を介して送達することができる。典型的な送達経路には、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腫瘍内、又は皮下送達が含まれる。他の経路には、経口投与、鼻腔内、膣内経路が含まれる。特に組成物のDNAについては、組成物は個体の組織の間質空間に送達され得る(Felgner et al.、米国特許第5,580,859号及び第5,703,055号、これらのすべての内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。組成物は筋肉に投与することもできるし、皮内又は皮下注射を介して、あるいはイオントフォレシスなどによって経皮的に投与することもできる。組成物の表皮投与も使用することができる。表皮投与には、表皮の最外層を機械的又は化学的に刺激して、刺激物に対する免疫応答を刺激することが含まれ得る(Carson et al.、米国特許第5,679,647号、参照のためその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0249】
1つの実施態様において、本発明のタンパク質、核酸分子、又は抗体は、ヒトを含む哺乳動物の細胞に投与することができる。
【0250】
いくつかの実施態様において、本発明のタンパク質、核酸分子、又は抗体は、ヒトを含む哺乳動物の細胞に注射(皮下、皮内、又は筋肉内注射)として投与することができる。注射剤は標準的方法により調製することができる。例えば、必要に応じて、ウイルスベクターを含む培養上清を濃縮し、適当な担体や賦形剤とともにPBSや生理食塩水などの緩衝液に懸濁する。次に、必要に応じて、懸濁液をフィルター等で濾過滅菌した後、無菌容器に充填して注射剤を調製することができる。注射剤には、必要に応じて安定剤、保存剤等を添加してもよい。このようにして得られた発現ベクターは、注射剤として被験体に投与することができる。
【0251】
いくつかの実施態様において、タンパク質、核酸分子、又は抗体は、皮内(ID)ワクチン接種による投与用に製剤化され得る(例えば、マントゥー技術によるID注射、中空マイクロニードルの使用、遺伝子銃の使用、スカリフィケーションの使用、又はID送達のための他の方法により)。IDワクチン接種用製剤は標準的方法により調製することができる。例えば、タンパク質、核酸分子、又は抗体を含む培養上清を必要に応じて濃縮し、適切な担体又は賦形剤とともに、PBSなどの緩衝液、核酸分子安定化液、生理食塩水などに懸濁する。次に、必要に応じて、懸濁液をフィルター等で濾過滅菌し、次に無菌容器に充填してIDワクチン接種用製剤を調製することができる。IDワクチン接種用製剤には、必要に応じて安定化剤、保存剤等を添加してもよい。このようにして得られた組成物は、被験体に皮内投与することができる。
【0252】
本発明はまた、動物において免疫応答を生じさせる方法であって、上述のタンパク質、ペプチド、核酸分子、又は組成物のいずれかを、免疫応答を刺激するのに有効な量で動物に投与することを含む方法も提供する。1つの実施態様において、免疫応答は、発現された標的抗原に特異的なメモリーCD8+T細胞の産生、発現された標的抗原に特異的なメモリーCD4+T細胞の産生、及び発現された標的に特異的な抗体の産生のうちの1つ以上を含む。1つの実施態様において、抗体の少なくとも一部は中和抗体である。
【0253】
本発明はさらに、本発明のレプトスピラVMタンパク質を含む医薬組成物(例えば、ワクチン)を提供する。1つの実施態様において、組成物は、医薬的に許容し得る希釈剤、担体、又は賦形剤担体を含む。組成物はまた、組成物の活性及び/又は貯蔵寿命を延ばすために、水性媒体又は水を含む懸濁液を含んでもよい。培地/懸濁液は、塩、グルコース、pH緩衝剤、安定剤、乳化剤、及び保存剤を含み得る。
【0254】
いくつかの実施態様において、組成物はアジュバントをさらに含み、アジュバントは、例えば、限定されるものではないが、ムラミルジペプチド、水酸化アルミニウム、サポニン、ポリアニオン、両親媒性物質。カルメットゲラン桿菌(BCG)、エンドトキシンリポ多糖類、キーホールリンペットヘモシアニン(GKLH)、そしてサイトキサンを含む。
【0255】
1つの態様において、本発明は、本発明による治療上有効な組成物を投与する方法を提供する。所望の治療効果には、以下の1つ以上が含まれる:細菌負荷の低下又は除去;コードされた抗原を認識するCD4+及び/又はCD8+T細胞又は抗体の数の増加;CD4+T細胞の全体的なレベルの上昇;抗原を認識する中和抗体のレベルの上昇;病気の症状の数又は重症度の低減;癌特異的マーカーの発現の減少;腫瘍のサイズ又は増殖速度の低下;腫瘍の転移の予防;病原体による感染の防御など。治療効果は、生物学的マーカー及び/又は異常な生理学的応答を評価することによって追跡され得る。一般に、本発明による組成物の有効用量は、コードされた抗原に特異的なメモリーT細胞が生成されるように、コードされた抗原に対する免疫応答を調節できる力価を含む。
【0256】
用量及び投与手段は両方とも、患者の状態(例えば、年齢、体重、全身の健康状態)、疾患を発症するリスク、又は疾患の進行状態に基づいて決定することができる。
【0257】
1つの実施態様において、組換えウイルスの有効量は、約1×1010~1×1011プラーク形成単位(pfa)ウイルス/mlの濃度を含む約10μl~約25μlの範囲の食塩水である。
【0258】
本発明の1つの実施態様において、初回免疫が行われ、次に、必要に応じて、初回免疫の約3~4週間後に追加免疫が行われる。しかし、次の免疫は、初回免疫-追加免疫後少なくとも約4ヶ月、約6ヶ月、約8ヶ月、約12ヶ月、約10ヶ月、約16ヶ月、約18ヶ月、又は約24ヶ月後まで行う必要はない。1つの態様において、組成物は予防ワクチンであり、ワクチン抗原検査で陽性でない患者、例えば、レプトスピラ菌に曝露される危険性のある個体に投与される。別の態様において、ワクチンは、ワクチン抗原に対して血清陽性である(但し、必ずしも症状を示しているわけではない)人(すなわち、レプトスプリア陽性個体など)に治療的に投与される。
【0259】
キット
本発明はまた、本明細書に記載の組成物の1つ以上を含むキットを含む。例えば、1つの実施態様において、キットは、レプトスピラVMタンパク質、その変種若しくは断片、レプトスピラVMタンパク質、その変種若しくは断片をコードする核酸分子、又はレプトスピラVMドメインを含む融合構築物を含む。1つの実施態様において、キットは、抗レプトスピラVM抗体、又はそれをコードする核酸分子を含む。1つの実施態様において、キットは、組成物の使用法を記載する説明資料を含む。例えば、いくつかの実施態様において、説明資料は、本明細書の他の場所に記載されるように、治療的処置又は非治療的使用として、被験体に組成物を投与することを記載する。1つの実施態様において、キットは、アッセイ、例えば本発明の免疫アッセイで使用するための1つ以上の追加の試薬をさらに含む。
【実施例
【0260】
以下の実験例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。これらの例は、説明のみを目的として提供されており、他に明記されない限り、限定することを意図したものではない。従って、本発明は、決して以下の実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるあらゆる変形態様を包含すると解釈されるべきである。
【0261】
実施例1:レプトスピラVM(「病毒性修飾」)タンパク質
1つ又は複数のVMタンパク質を含むレプトスピラVMタンパク質ワクチンが設計され、レプトスピラのチャレンジからマウスを防御する能力について試験された。複数のVMタンパク質を含む汎ワクチンは、死からの完全な防御を示す。
【0262】
レプトスピラVMタンパク質は2つの方法で発現された。エル・インテロガンス血清型ライタンパク質、LA3490、tLA3490、LA0620、及びLA1402は、mCherry融合体として生成された。パートII、エル・インテロガンス血清型コペンハーゲニタンパク質LIC12340(LA1400の保存されたオルソログ)及びLIC12985(LA0591の保存されたオルソログ)は、mCherry融合体として生成されなかった。
【0263】
図1と2は、汎ワクチンチャレンジ試験の設計と実験スケジュールを示す。
【0264】
免疫されたC3H/HeJマウスは、致死的チャレンジ後に、汎ワクチン(低継代エル・インテロガンス血清型カニコーラ)によって死亡/体重減少から防御される(図3及び図4)。
【0265】
VMタンパク質ワクチンは、PBS陰性対照と比較して、腎臓(図5及び図6)及び肺(図7及び図8)における細菌負荷を低下させた。
【0266】
交差反応性VMタンパク質抗体がチャレンジ前に検出された(図9)。
【0267】
VMプロテイン-mCherry融合タンパク質ワクチンの成分
全長LA3490(アミノ酸40~639)、末端切断型tLA3490(短い、リシンBドメインのみ、アミノ酸40~174)、全長LA0620(アミノ酸41~637)、及び全長LA1402(アミノ酸28~641)の、pET32bのXhoI/NcoI制限部位への発現。これらのタンパク質は、アミノ末端でチオレドキシン(TrxA)、Sタグ、His6親和性/エピトープタグ、及びエンテロキナーゼ切断部位との融合体として、またカルボキシ末端で追加のエンテロキナーゼ切断部位、及びmCherry融合体、及びHis6親和性/エピトープタグとの融合体として発現される。リンカーはヒンジとして(GlySer)である。
【0268】
チャレンジ試験:細菌負荷の防御と軽減の結果
チャレンジ細菌接種材料:レプトスピラ・インテロガンス血清型カニコーラ
【0269】
群1:PBSとグルコピラノシル脂質A(GLA)、安定な水中油型ナノエマルション(SE)、(GLA-SE)アジュバント中で配合。防御なし、組織1gあたり約8.5log10の細菌コピー。
【0270】
群2:t3490(LA3490のリシンBドメイン)とアジュバント。群1と比較して、腎臓では細菌負荷が約2.5log10マグニチュードだけ減少し、肝臓では細菌負荷が約4log10マグニチュードだけ減少した。
【0271】
群3:(5つのタンパク質)組換え全長LA3490、LA0620、LA1402とLIC12340(LA1400)及びLIC12985(LA0591とGLA-SEアジュバント)とGLA-SEアジュバント。群1と比較して、死から完全に防御され、腎臓で細菌負荷が約3.5log10マグニチュードだけ減少し、細菌負荷が肝臓では約3.9log10マグニチュードだけ減少した。
【0272】
群4:(2つのタンパク質)組換え全長LIC12340(LA1400)及びLIC12985(LA0591)とGLA-SEアジュバント、群1と比較して、死から完全に防御され、腎臓で細菌負荷が約4.0log10マグニチュードだけ減少し、肝臓で細菌負荷が約4.1log10マグニチュードだけ減少した。
【0273】
pET32bで発現されたLA3490-mCherry
pET32bにクローニングされた構築物の全長LA3490 DNA配列(大腸菌優先コドン)(配列番号1)
TTCGAATACGGCGTGAATCATACCCATATTCATGCCCTGAGTAAAATTGAATATAGTGTTATTCAGAAGCCGACCGATCCGCCGAAAGATAAACCGATTAAGGTTATTGTTAGCGATGGTGGCAAATTTTGTTATGGTCCGAATTTTAGCGGCGGCGAAAGCTATATTATTATTGAACAGTGTTGGCAGATGCATGTGATGAATGCACGCTATGATGTGTTTCAGCGTATTAGTTATAACATTAACAACACCTGGCTGTGTATTACCGCACCGGAAAAAGTGATTAAGGCAGAAAAGAATTGGGATTATGTGCATCTGCGTCCGTGCACCATTAATGATCCGCTGCAGCGCTGGATTATTAAGAATAATAGTTTTTGGACCGCCAATGGTTTTTATCGTCTGAAAGATTATAACTGGTACGGCTATATTAGCCGTAATAGTGGTGACCGTTATAATCATACCCTGGATAGCAGCATGAATGATTGGGTTAATACCATTGCCACCCCGGGTAATATTAGCATTCAGACCAGTATTGCCTGGAATCTGCAGACCACCGAAGGTCAGGAACGTTATTTTATTCGCTGGGGTGGCAGCGATAAAAATACCACCCCGCTGTATTATAATCCGGAAAATGGCCATCTGGCCCAGTATGATCCGATTAGCGGTAGCCTGTATTGCATGTATAGTCAGGTGGATAATTATCAGTGGAATTGGGTTAAATGGAAATGGTGTAGCGATCTGCTGGAAAGCAAAAGTAAAGGCAATCCGACCTTTTGGAATGTGTTTTTCGAAACCGATCAGGGTGGCATGATTACCGATTATAAAGGTAATGCCCTGCGCGTTACCCGCTATGGTAGCAATTGGGGTAGCGCATATACCGCCAAACCGAGTTATCTGGAAAAAGATACCACCAATAGCCCGACCAGCCTGTTTGTGGTGAATAAGGATCTGCTGGATTGGACCCGTTATACCGCCAGTAATCTGGGTAAAACCGGTCAGTATTGCCCGGCCGGCAAACGCGAAAATATTGTGCATCGCCGCGTTAAACGCGAACTGCCGCCGGATTTTCAGCTGACCGAAGCCTGGATTCGCCGCCTGTATGAAATTGCCACCAGCGTTAGCGCAGAAAGCGAAACCCGTGTGAGCGGTATTTGTGGCCCGTGTGCACTGCATAGTTTTCAGATGCTGGCAGAACTGCTGGAATATCATAGCCGCGAACCGCTGCAGAGTGGTGGCTATTTCTTTGATACCGCACCGAATACCGATCCGTTTATTAGTTTTGGCCAGCGTTATCCGCATCTGGAACGTCTGCTGGAAGATATTCCGAAAAAATATGCACCGTATCCGCATTATAGCACCCAGAGCTTTCTGAGCTTTGCCAGTATTGATAGCATGCTGCCGCAGTATTTTTGGAGTGCAAGTACCGAATTCACTAATCGTGATGAAATTCTGAGCCATATTAGTAGTCTGATTAATAGTCCGGCAGGCAGCATTTGGCTGGGTGTGATGGAACAGCAGCATCCGGATGGTACCATTACCGGTCATGCAGCACCGATTCTGCGTATTAGTCAGGGTCTGGTTGTGATTCCGACCAATGTTCATCTGTGGACCCTGGAAGAATTTCGCCGCTTTCTGATTCCGACCACCGAACTGAGCCAGATTGTGGCCAATCTGGAAGGTAGCAATACCCTGATTCGTTTTACCACCATTCAGAGTCTGGGCATGCTGACCACCAATATGTTTGATAGCATGGTTAGCAATCGCAATTGTACCGGTGAAGGTGAAGATCGTCGCGGTAGTGGCGAATATCCGACCAGTACCAGTGTTAATCAGTGCCCGAGTGGTCGTTGTGCCCTGCCGTTTGGCGGTGGTGGCAGCGGTGGTGGTGGTAGTGGCGGCGGTGGCAGCGACGATGATGATAAAATGGTTAGTAAAGGTGAAGAAGATAACATGGCAATTATTAAGGAATTCATGCGCTTTAAAGTGCATATGGAAGGCAGCGTGAATGGTCATGAATTTGAAATTGAAGGTGAAGGCGAAGGTCGTCCGTATGAAGGTACCCAGACCGCAAAACTGAAAGTGACCAAAGGTGGCCCGCTGCCGTTTGCATGGGATATTCTGAGCCCGCAGTTTATGTATGGCAGTAAAGCATATGTTAAGCATCCGGCCGATATTCCGGATTATCTGAAACTGAGTTTTCCGGAAGGCTTTAAATGGGAACGCGTTATGAATTTTGAAGATGGCGGTGTTGTGACCGTGACCCAGGATAGCAGTCTGCAGGATGGTGAATTCATCTATAAAGTGAAACTGCGTGGCACCAATTTTCCGAGCGATGGCCCGGTTATGCAGAAAAAGACTATGGGTTGGGAAGCCAGTAGTGAACGCATGTATCCGGAAGATGGTGCACTGAAAGGTGAAATTAAGCAGCGCCTGAAACTGAAAGATGGTGGTCATTATGATGCAGAAGTGAAAACCACCTATAAAGCAAAAAAGCCGGTTCAGCTGCCGGGCGCCTATAATGTGAATATTAAGCTGGATATTACCAGTCATAACGAAGATTATACCATTGTTGAACAGTATGAACGCGCCGAAGGCCGCCATAGTACCGGCGGTATGGATGAACTGTATAAAtaa
【0274】
全長LA3490アミノ酸配列
名前:LA_3490_mCherry、配列:タンパク質,5'配列:、3'配列:、配列長さ:877(配列番号2)
FEYGVNHTHIHALSKIEYSVIQKPTDPPKDKPIKVIVSDGGKFCYGPNFSGGESYIIIEQCWQMHVMNARYDVFQRISYNINNTWLCITAPEKVIKAEKNWDYVHLRPCTINDPLQRWIIKNNSFWTANGFYRLKDYNWYGYISRNSGDRYNHTLDSSMNDWVNTIATPGNISIQTSIAWNLQTTEGQERYFIRWGGSDKNTTPLYYNPENGHLAQYDPISGSLYCMYSQVDNYQWNWVKWKWCSDLLESKSKGNPTFWNVFFETDQGGMITDYKGNALRVTRYGSNWGSAYTAKPSYLEKDTTNSPTSLFVVNKDLLDWTRYTASNLGKTGQYCPAGKRENIVHRRVKRELPPDFQLTEAWIRRLYEIATSVSAESETRVSGICGPCALHSFQMLAELLEYHSREPLQSGGYFFDTAPNTDPFISFGQRYPHLERLLEDIPKKYAPYPHYSTQSFLSFASIDSMLPQYFWSASTEFTNRDEILSHISSLINSPAGSIWLGVMEQQHPDGTITGHAAPILRISQGLVVIPTNVHLWTLEEFRRFLIPTTELSQIVANLEGSNTLIRFTTIQSLGMLTTNMFDSMVSNRNCTGEGEDRRGSGEYPTSTSVNQCPSGRCALPFGGGGSGGGGSGGGGSDDDDKMVSKGEEDNMAIIKEFMRFKVHMEGSVNGHEFEIEGEGEGRPYEGTQTAKLKVTKGGPLPFAWDILSPQFMYGSKAYVKHPADIPDYLKLSFPEGFKWERVMNFEDGGVVTVTQDSSLQDGEFIYKVKLRGTNFPSDGPVMQKKTMGWEASSERMYPEDGALKGEIKQRLKLKDGGHYDAEVKTTYKAKKPVQLPGAYNVNIKLDITSHNEDYTIVEQYERAEGRHSTGGMDELYK
【0275】
pET32bで発現されたLA0620-mCherry
pET32bにクローニングされた構築物の全長DNA配列(大腸菌優先コドン)(配列番号3)
AGCAGTAAAATCGAATACAGCGTGATTCAGAAACCGACCGATCCGCCGAAAGATAAACCGATTAAGGTTATTGTTAGCGATGGCGGTAAATTTTGTTATGGTCCGAATTTTAGCGGTGGTGAAAGCTATATTATTATTGAACAGTGTTGGCAGATGCATGTTATGAATGCCCGCTATGATGTTTTTCAGCGTATTAGCTATAACATTAACAACACCTGGCTGTGTATTACCGCACCGGAAAAAGTTATTAAGGCCGAAGAAACCTGGGATTATGTTCATCTGCGTCCGTGCACCATTAATGATCCGCTGCAGCGTTGGATTATTAAGAATAATAGTTTCTGGACCGCCAATGGCTTTTATCGCCTGAAAGATTATAATTGGTACGGCTATATTAGCCGTAATAGTGGTGACCGCTATAATCATACCCTGGACCCTAGTATGAATGATTGGGTTAATACCATTGCCACCCCGGGCAATATTAGCATTCAGACCAGTATTGCCTGGAATCTGCAGACCACCGAAGGTCAGGAACGTTATTTTATTCGTTGGGGCAGTAGTAATAAGAATACCACCCCGCTGTATTATAATCCGGAAAATGGCCATCTGGCACAGTATGATCCGATTAGTGGTAGTCTGTATTGCATGTATAGTCAGGTGGATAATTATCAGTGGAATTGGGTGAAATGGAAATGGTGCAGCGATAGCCTGGAAAGCAAAAGCAAAGGTAATCCGACCTTTTGGAATGTTTTCTTTGAAACCGATCAGGGCGGTATGATTACCGATTATAAAGGCAATGCCCTGCGTGTGACCCGTTATGGTAGTAATTGGGGCGTGGCATATACCGCCAAACCGGATTTTGTTAAAACCGATACCAAAAATAGCCCGACCAGCCTGTTTGTGGTTGATAAAAGTCTGCTGGATTGGACCCGCTATACCAGCAGTAATCTGGGTAAAACCGAACAGTATTGCCCGGCCGGTAATAAGGAAAGTGTGGTGCATAAAAAAGCCAAACGCACCCTGCCGCCGGATTTTCAGCTGACCGAAGCCTGGATTCGCCGTCTGTATGAAATTGCCCGCACCGATCCGAGCAGTCGCACCAGTCGCGGTGTTTGCGGTGTTTGTATGCTGCAGGCCCTGCAGATGATTGCAGAACTGCAGGAATATCATAGTCAGGGCCCGCTGCAGAGCGGTGGTTATTTCTTTAATACCGCACCGAATACCAATCCGTTTATTAGTTTTGGTCAGCGTTATCCGCATCTGGATCGCCTGCTGGTTGATATCTATCGCGTGTTTGATCATTTCTTTGATACCAGCCATACCCTGGGTTATCTGAGTGCCATGAATCTGCTGCCGCAGTATGAATGGGGTCGTACCCGCGAATTTTCTACCATGAGTGAAATTCGCAGCCATATTCGTAGCCTGATTACCAGCCCGCCGGGTAATATTTGGCTGGTGCTGATGACCATGATCTATCCGGATGGCACCCGCGGTGGTCATGCAGTTCCGATTCTGCGTACCCCGCAGGGCCTGGTGGTTATTGAAACCACCATGGCAACCGCAACCTTTGAAGAATATCGTGCCGCACTGCGTCCGACCACCGATTTTGAACAGATTATTCGTAATCTGCGTGGTCCGAATAATATTCTGATTGGTCTGAGCACCCTGCAGCTGGGTCGTTTTTATCATAATCCGCTGGATAGCATGATTAGTAATCGCAATTGTACCGGTGAAGGTAGCGATCGCCGTGGTACCGGCGGCTATCCGGCAAGCACCAGCGTGAATCAGTGCAGTAGTAAAAGCAGCCGTTGCAGCCTGCAGGGCGGTGGTGGTAGTGGTGGCGGCGGTAGCGGTGGTGGCGGTTCAGATGATGATGATAAAATGGTGAGTAAAGGTGAAGAAGATAATATGGCCATTATTAAGGAATTCATGCGCTTTAAAGTGCATATGGAAGGTAGCGTTAATGGTCATGAATTTGAAATTGAAGGTGAAGGTGAAGGCCGTCCGTATGAAGGCACCCAGACCGCCAAACTGAAAGTTACCAAAGGTGGCCCGCTGCCGTTTGCCTGGGATATTCTGAGTCCGCAGTTTATGTATGGTAGTAAAGCCTATGTTAAGCATCCGGCAGATATTCCGGATTATCTGAAACTGAGCTTTCCGGAAGGCTTTAAATGGGAACGTGTTATGAATTTTGAGGATGGTGGCGTTGTTACCGTTACCCAGGATAGCAGCCTGCAGGATGGCGAATTCATCTATAAAGTGAAACTGCGCGGTACCAATTTTCCGAGTGATGGTCCGGTTATGCAGAAAAAGACTATGGGCTGGGAAGCAAGTAGCGAACGTATGTATCCGGAAGATGGTGCCCTGAAAGGCGAAATTAAGCAGCGTCTGAAACTGAAAGATGGCGGCCATTATGATGCCGAAGTTAAAACCACCTATAAAGCAAAAAAGCCGGTTCAGCTGCCGGGTGCATATAATGTGAATATTAAGCTGGATATCACCAGCCATAATGAAGATTATACCATTGTTGAACAGTACGAACGCGCCGAAGGCCGTCATAGCACCGGTGGTATGGATGAACTGTATAAAtaa
【0276】
アミノ酸配列
名前:Full_LA_0620_mCherry、配列:タンパク質,5'配列:、3'配列:、配列長さ:862(配列番号4)
SSKIEYSVIQKPTDPPKDKPIKVIVSDGGKFCYGPNFSGGESYIIIEQCWQMHVMNARYDVFQRISYNINNTWLCITAPEKVIKAEETWDYVHLRPCTINDPLQRWIIKNNSFWTANGFYRLKDYNWYGYISRNSGDRYNHTLDPSMNDWVNTIATPGNISIQTSIAWNLQTTEGQERYFIRWGSSNKNTTPLYYNPENGHLAQYDPISGSLYCMYSQVDNYQWNWVKWKWCSDSLESKSKGNPTFWNVFFETDQGGMITDYKGNALRVTRYGSNWGVAYTAKPDFVKTDTKNSPTSLFVVDKSLLDWTRYTSSNLGKTEQYCPAGNKESVVHKKAKRTLPPDFQLTEAWIRRLYEIARTDPSSRTSRGVCGVCMLQALQMIAELQEYHSQGPLQSGGYFFNTAPNTNPFISFGQRYPHLDRLLVDIYRVFDHFFDTSHTLGYLSAMNLLPQYEWGRTREFSTMSEIRSHIRSLITSPPGNIWLVLMTMIYPDGTRGGHAVPILRTPQGLVVIETTMATATFEEYRAALRPTTDFEQIIRNLRGPNNILIGLSTLQLGRFYHNPLDSMISNRNCTGEGSDRRGTGGYPASTSVNQCSSKSSRCSLQGGGGSGGGGSGGGGSDDDDKMVSKGEEDNMAIIKEFMRFKVHMEGSVNGHEFEIEGEGEGRPYEGTQTAKLKVTKGGPLPFAWDILSPQFMYGSKAYVKHPADIPDYLKLSFPEGFKWERVMNFEDGGVVTVTQDSSLQDGEFIYKVKLRGTNFPSDGPVMQKKTMGWEASSERMYPEDGALKGEIKQRLKLKDGGHYDAEVKTTYKAKKPVQLPGAYNVNIKLDITSHNEDYTIVEQYERAEGRHSTGGMDELYK
【0277】
prSETで発現されたt3490(LA3490,アミノ酸40~174)、mCherry融合体、
pRSETにクローニングされた構築物のDNA配列(大腸菌優先コドン)(配列番号5)
CAAAAGCCTACTGACCCACCCAAGGATAAACCAATTAAGGTGATTGTCTCAGACGGGGGTAAATTTTGCTACGGGCCGAACTTTTCTGGCGGGGAGAGTTACATCATTATCGAACAGTGTTGGCAAATGCACGTTATGAACGCTCGTTATGATGTATTCCAACGCATCTCTTACAATATCAATAACACATGGCTGTGTATCACGGCCCCCGAGAAAGTAATCAAGGCCGAAAAAAACTGGGACTATGTCCATCTGCGCCCATGTACGATCAACGACCCACTGCAGCGTTGGATCATCAAAAATAATAGTTTCTGGACAGCTAATGGATTCTACCGTTTAAAAGATTACAATTGGTATGGCTATATCAGCCGCAATTCCGGTGACCGTTATAACCATACTCTGGATGGGGGTGGAGGCAGCGGTGGGGGCGGTTCAGGGGGAGGAGGCTCAGATGACGACGACAAAATGGTATCGAAAGGTGAGGAAGATAATATGGCCATCATTAAGGAATTTATGCGCTTCAAGGTTCACATGGAAGGATCGGTAAATGGTCACGAATTTGAGATCGAAGGCGAAGGTGAGGGACGCCCATACGAGGGGACCCAAACTGCTAAACTTAAGGTAACAAAGGGTGGTCCGTTGCCGTTCGCCTGGGACATTCTGTCCCCGCAATTTATGTACGGTTCAAAGGCTTATGTAAAACACCCAGCGGACATTCCGGACTACCTGAAACTGTCTTTTCCAGAGGGGTTCAAATGGGAACGTGTGATGAACTTCGAAGATGGCGGTGTTGTAACCGTTACACAGGATTCTTCATTACAAGACGGAGAGTTCATCTATAAGGTGAAGTTGCGTGGAACCAACTTTCCTTCAGATGGTCCCGTAATGCAGAAGAAGACAATGGGCTGGGAAGCGTCATCTGAACGTATGTATCCAGAAGATGGAGCGCTGAAGGGAGAAATTAAACAACGTCTGAAGCTTAAGGACGGGGGTCATTATGACGCGGAGGTCAAGACGACGTACAAGGCAAAGAAACCCGTCCAGTTACCCGGTGCGTATAACGTCAACATTAAGCTGGACATTACGAGTCACAATGAAGATTACACCATCGTTGAACAGTATGAACGCGCAGAGGGACGCCACTCCACCGGAGGTATGGACGAGCTGTACAAA
【0278】
アミノ酸配列(配列番号6)
QKPTDPPKDKPIKVIVSDGGKFCYGPNFSGGESYIIIEQCWQMHVMNARYDVFQRISYNINNTWLCITAPEKVIKAEKNWDYVHLRPCTINDPLQRWIIKNNSFWTANGFYRLKDYNWYGYISRNSGDRYNHTLDGGGGSGGGGSGGGGSDDDDKMVSKGEEDNMAIIKEFMRFKVHMEGSVNGHEFEIEGEGEGRPYEGTQTAKLKVTKGGPLPFAWDILSPQFMYGSKAYVKHPADIPDYLKLSFPEGFKWERVMNFEDGGVVTVTQDSSLQDGEFIYKVKLRGTNFPSDGPVMQKKTMGWEASSERMYPEDGALKGEIKQRLKLKDGGHYDAEVKTTYKAKKPVQLPGAYNVNIKLDITSHNEDYTIVEQYERAEGRHSTGGMDELYK
【0279】
pET32bで発現されたLA1402-mCherry
pET32bにクローニングされた構築物のDNA配列(大腸菌優先コドン)(配列番号7)
AGCAGCAGTAAAGCCAATTATAGTATTGCACAGAAACCGACCGATCCGCCGAAAGATAAACCGATTAATATTGTTACCCACGATGGCAAAACCTATTGTTATAGTCCGGTGTTTAGTAAAGGTGAAGGCTATGTGTGGATTGAAAAATGTGGCGATAATACCGCAAAAGCCCGCTATGATGTGTTTCAGCGCATTAGTTATAATATTAACAACACCTGGCTGTGTATTACCGCACCGGAACCGGTGGTGAAAGGTAATGCACGCTGGGGTTATGTGAATCTGCGTCCGTGTACCATTAATGATCCGCTGCAGCGTTGGATTGTTAAAGAAAATAGTTTTTGGACCGCCGATGGCAAATATCGTCTGAAAGATACCAATTGGTATGGTTATATTAGCAAAACCAGCGGTGACAATTATAATCATACCCTGAATAGCAGTATGGATAATTGGGTTAAAACCGTTGCAACCCCGGGCAATATTAGTATTCGTACCAGCATTAGCTGGAATAGTGGCTGGGGTGACGGTATTTGGGATATTAATATGGCACCGAGCGCCTATTTTATTCATAGCAAAGGCAGTAGCAAAGAAGATATTATTCCGCTGTATTATAACCCGGAAAGTGGTCATATTGCACAGTATGATCCGAGTAGTGGTCTGCTGAGCTGTATGTATAGTAAAATGACCGATAAATACGACTGGAATTGGGTTCAGTGGGGCAAATGCAGCGATGCCCCGATTAAGAAAGAAAATCCGGCCTTTTGGAATGTGTATTTTGTGGCAAATGCCGGCGGTATGATTACCGATTATAAAGGCAATATTCTGCGTGTTACCAAAGAAGGCCCGAATTGGGGTGTGGCATATACCGCAAAACCGAGCTATCTGGAAAAAGATACCACCCATAGCCCGACCAGCGTGTTTACCGTGGATGTGGATCTGCTGAAATGGATTCGTTATACCACCAGTAATCTGGGTAAAACCGATCAGTATTGCCCGGCAGGTAAAAAAGAAAGTCGCATCTATCAGCGTGTGAAACGTAATCTGCCGAGCGATTTTCAGCTGAGTGTGGCATGGGTTCAGCGTCTGTATGATATTGCACGCAGCGCCACCTTTGAAAGTGCCAATCCGGGCGCCATTCCGCAGCGTCATGGTGCCTGTGGTGTTTGCCTGCTGCATAGTTTTCAGATGATTGCCGAACTGATGGAATATCATAGCCGCGAACCGCTGACCAGTGGTGGTTATTTCTTTAATACCGCAAGTAATCGTGATCCGTTTCTGAGCTTTAGCCAGCGCTATCCGGAACTGGATCGTCTGGTTACCAATGTTCCGGTTGATTATGCAAATCGTGGTCGCGTGCTGGCCTTTGCAAGTGCCATGATTATGCTGCCGCAGTATGAATGGGAAAGCAGCAGCCCGCTGACCACCCGCAGCGATATTCAGAGTCATATTCGCAGTCTGATTAATAGCCCGCCGGGTAGCATTTGGCTGGGCCTGCTGCGCCGTCAGCGTGCAAATGGCAGTATTAGTGGCCATGCAGTGCCGATTCTGCGTACCAGCGAAGGCCTGGTGGTTATTCCGACCAATATGCCGACCGCAAGTCTGAATACCTATATTCAGAGCCTGGCACCGACCATGGACCCTAATGAAGTGATTAATCGTCTGGAAAATGGCCGTACCCTGACCACCCTGACCACAATTCGCCCGGTGGGCACCTATGAAACCCCGTTTAGTCTGACCGTTAGCAGCCGTGATTGCACCGGTGACGGTGACGATCGTCGTGGTAGCGGTCGCTATCCGATTAGCAGCCTGATTAATCAGTGCAGTGGTGGTCGCTGTATTCTGCAGGGCGGCGGCGGTAGCGGCGGTGGTGGTAGCGGTGGTGGCGGTAGTGATGATGATGATAAAATGGTTAGTAAGGGTGAAGAAGATAATATGGCCATTATTAAGGAATTCATGCGCTTTAAAGTGCATATGGAAGGCAGCGTGAATGGTCATGAATTTGAAATTGAAGGCGAAGGTGAAGGTCGTCCGTATGAAGGCACCCAGACCGCAAAACTGAAAGTGACCAAAGGCGGCCCGCTGCCGTTTGCATGGGATATTCTGAGCCCGCAGTTTATGTATGGCAGCAAAGCATATGTGAAACATCCGGCCGATATTCCGGATTATCTGAAACTGAGCTTTCCGGAAGGTTTTAAATGGGAACGCGTGATGAATTTTGAAGATGGCGGTGTTGTGACCGTTACCCAGGATAGTAGCCTGCAGGATGGTGAATTCATCTATAAAGTGAAACTGCGCGGTACCAATTTTCCGAGCGATGGCCCGGTTATGCAGAAAAAGACTATGGGCTGGGAAGCAAGCAGCGAACGCATGTATCCGGAAGATGGCGCACTGAAAGGCGAAATTAAGCAGCGTCTGAAACTGAAAGATGGCGGCCATTATGATGCAGAAGTTAAAACCACCTATAAAGCAAAAAAGCCGGTTCAGCTGCCGGGTGCATATAATGTGAATATTAAGCTGGATATCACCAGTCATAATGAAGATTATACCATTGTTGAGCAGTATGAACGTGCCGAAGGTCGCCATAGTACCGGTGGTATGGATGAACTGTATAAAtaa
【0280】
アミノ酸配列
名前:LA_1402_mCherry、配列:タンパク質、5'配列:、3'配列:、配列長さ:870(配列番号8)
SSSKANYSIAQKPTDPPKDKPINIVTHDGKTYCYSPVFSKGEGYVWIEKCGDNTAKARYDVFQRISYNINNTWLCITAPEPVVKGNARWGYVNLRPCTINDPLQRWIVKENSFWTADGKYRLKDTNWYGYISKTSGDNYNHTLNSSMDNWVKTVATPGNISIRTSISWNSGWGDGIWDINMAPSAYFIHSKGSSKEDIIPLYYNPESGHIAQYDPSSGLLSCMYSKMTDKYDWNWVQWGKCSDAPIKKENPAFWNVYFVANAGGMITDYKGNILRVTKEGPNWGVAYTAKPSYLEKDTTHSPTSVFTVDVDLLKWIRYTTSNLGKTDQYCPAGKKESRIYQRVKRNLPSDFQLSVAWVQRLYDIARSATFESANPGAIPQRHGACGVCLLHSFQMIAELMEYHSREPLTSGGYFFNTASNRDPFLSFSQRYPELDRLVTNVPVDYANRGRVLAFASAMIMLPQYEWESSSPLTTRSDIQSHIRSLINSPPGSIWLGLLRRQRANGSISGHAVPILRTSEGLVVIPTNMPTASLNTYIQSLAPTMDPNEVINRLENGRTLTTLTTIRPVGTYETPFSLTVSSRDCTGDGDDRRGSGRYPISSLINQCSGGRCILQGGGGSGGGGSGGGGSDDDDKMVSKGEEDNMAIIKEFMRFKVHMEGSVNGHEFEIEGEGEGRPYEGTQTAKLKVTKGGPLPFAWDILSPQFMYGSKAYVKHPADIPDYLKLSFPEGFKWERVMNFEDGGVVTVTQDSSLQDGEFIYKVKLRGTNFPSDGPVMQKKTMGWEASSERMYPEDGALKGEIKQRLKLKDGGHYDAEVKTTYKAKKPVQLPGAYNVNIKLDITSHNEDYTIVEQYERAEGRHSTGGMDELYK
【0281】
mCherry融合体のないVMタンパク質
LIC12340(LA1400の>99%保存されたオルソログ)のアミノ酸31~627及びLIC12985(LA0591の>99%保存されたオルソログ)のアミノ酸23~314をコードするエル・インテロガンス血清型コペンハーゲニタンパク質をコードする遺伝子を、大腸菌優先コドンで合成し、pET32bのXhoI/NcoI制限部位にクローニングした。これらのタンパク質は、アミノ末端でチオレドキシン(TrxA)、Sタグ、His6親和性/エピトープタグ、及びエンテロキナーゼ切断部位との融合体として、及びカルボキシ末端でHis6親和性/エピトープタグとの融合体として発現され、すべての融合体パートナーはpET32bベクターによってコードされていた。
【0282】
LIC12340(LA1400の保存されたオルソログ)
pET32bにクローニングされた構築物のDNA配列(大腸菌優先コドン)(配列番号9)
AGCAGTAAAAGCGATTATAGTATCGCACAGAAACCGGCAGATCAGCCGAAAGATAAAAGTATTCAGGTGGTTATGCATGGTGGCAGCAATTATTGCTATAGTCCGGTGTTTACCAAAGGTGAAGGTTATATTTGGATTGATTACTGCAGCGATAATACCGCCAAAGCACGTTATGATGTGTTTCAGCGCATTAGCTATAATATTAATAACACCTGGCTGTGCATTACCGCACCGGAAACCGTTGTTAAAGGCGAAGAAACCTGGAATTATGTGAATCTGCGTCCGTGTACCATTAATGATCCGCTGCAGCGCTGGATTGTTAAAGATAATAGTTTTTGGACCGCAAATGGCCGTTATCGCCTGAAAGATACCAATTGGTATGGCTATATTAGTCGCAATAGCGGCGATCGTTATGATCATACCCTGAATAGCAGTATGGATGATTGGATTAAGACCGTGGCAATTCCGGGCAATATTAGTATTCAGACCAGCATTGCCTGGGATCTGCAGACCACCGAAGGCAATGAACGTTATTTTATTCGTTGGGGCAGTAGTAATAAGAATACCACCCCGCTGTATTATAATCCGGAAAGTGGTCATATTGCACAGTATGATCCGAGTAGCGGCCTGCTGAATTGCATGTATAGTAAAATGACCGATAAGTATGACTGGAATTGGGTGAAATGGGGCAAATGCAGCGATGCACCGATTAAGAAAGATAATCCGGCATTTTGGAATGTTTTCTTTGAAACCGATAAGGAAGGTGCAATTACCGATTATAAAGGTAATGTGCTGCGCGTTACCCGTTATGGCCTGAATTGGGGCGTTGCATATACCGTGAAACCGAGTTATCTGGAAAAAGATACCACCCATAGCCCGACCAGTCTGTTTGTGATTGATAAAGATCTGCTGGATTGGACCCGTTATACCTATAGTAATCTGGGCAAAACCGATCAGTATTGTCCGGCAGGCAATAAGGAAAGCCTGGTTCGCAAACGCGTTAAACGTAATCTGAATCTGCCGAGCGATTTTCAGCTGACCCGCGAATGGATTCAGCGCCTGTATGAAATTGCCCGCAGCAGTATTAGCCGTGCAATTCCGTGTCGTGGCGTGTGTGGCGTTTGTATGCTGCATAGTTATCAGATGATTGCAGAACTGCTGGAATATCATAGTCGTGGTCCGCTGACCGGCGGTGGTTATTTCTTTGATACCGCCCCGAATCGTGATCCGTTTATTAGCTTTAATCAGCGTTATCCGCAGCTGAATGCCCTGCTGACCAATGTGCCGAGTTATGCAAATCGCCCGGGCTTTGGCAGTACCCTGGTTATGCTGCCGCAGTATGAATGGACCAGTAGCGATACCATTACCACCCGTAGTGGTCGCCTGCTGCATGCCCGTAGCCTGATTAATAGCCCGCCGGGCAGTATTTGGCTGGGCCTGCTGCGCGGCCGCGATGCAGATGGTAGCACCTGGGGTCATGCAGTGCCGATTCTGCGCACCAGCCAGGGCATTGTGGTTATTCCGACCAATAGTCCGACCATGAGCCTGAATACCTATATTCGCAGCCTGGCACCGACCATGGATCCGAATGAAGTGATTAATCGTCTGGAAAATGGCAGTACCTTAACCGAACTGACCACCATTCAGCCGGTTCGCATCTATGATATTCCGTTTAGCCTGACCGTGAGTACCCGTGATTGCACCGGTGACGGCGATGGTCGTCGTGGTAGTGGCCGTTATCCGACCAGTAGTCTGATTAATCAGTGTAGTGGTGGTCGCTGTATTCTGCAGtaa
【0283】
アミノ酸配列
名前:LIC_12340(LA_1400オルソログ),配列:タンパク質、5'配列:、3'配列:、配列長さ:597(配列番号10)
SSKSDYSIAQKPADQPKDKSIQVVMHGGSNYCYSPVFTKGEGYIWIDYCSDNTAKARYDVFQRISYNINNTWLCITAPETVVKGEETWNYVNLRPCTINDPLQRWIVKDNSFWTANGRYRLKDTNWYGYISRNSGDRYDHTLNSSMDDWIKTVAIPGNISIQTSIAWDLQTTEGNERYFIRWGSSNKNTTPLYYNPESGHIAQYDPSSGLLNCMYSKMTDKYDWNWVKWGKCSDAPIKKDNPAFWNVFFETDKEGAITDYKGNVLRVTRYGLNWGVAYTVKPSYLEKDTTHSPTSLFVIDKDLLDWTRYTYSNLGKTDQYCPAGNKESLVRKRVKRNLNLPSDFQLTREWIQRLYEIARSSISRAIPCRGVCGVCMLHSYQMIAELLEYHSRGPLTGGGYFFDTAPNRDPFISFNQRYPQLNALLTNVPSYANRPGFGSTLVMLPQYEWTSSDTITTRSGRLLHARSLINSPPGSIWLGLLRGRDADGSTWGHAVPILRTSQGIVVIPTNSPTMSLNTYIRSLAPTMDPNEVINRLENGSTLTELTTIQPVRIYDIPFSLTVSTRDCTGDGDGRRGSGRYPTSSLINQCSGGRCILQ
【0284】
LIC12985(LA0591の高度に保存されたオルソログ)
pET32bにクローニングされた構築物のDNA配列(大腸菌優先コドン)(配列番号11)
GTTAACCCGGATCAGTATTGTCCGGCAAGTAAAAAAGAAAATCATAATATCCGCATCAAGCGCACCCTGCCGCCGGATTTTCAGCTGACCGAAGAATGGCTGCGTCGCCTGTATGATATTGCAACCAGTGCCAGTCTGACCGAAGGTCAGATTCATGGCATTTGTGGCGTTTGTCTGCTGCAGACCTTTCAGATGCTGGCAGAACTGCAGGAATATCATAGTCATGGCCCGCTGCAGGGTGGCGGCTATTTCTTTAATACCGCACCGGATACCGATCCGTTTGATAGTTTTCGTCAGCGCTATCCGGAACTGGATACCATGCTGACCGATGCAGCCACCGCATATGGTCCGGCATATAATACCACCCGTCTGCTGACCCTGGTGAGCGCCATGACCATGATGCCGCAGTATGAATGGACCCCGAGCCGTGAATTCACTACCCGTAGCGATATGCATAGCCATATTCGCAGTCTGATTGATAGCCCGCCGGGTAGTATTTGGCTGGGTCTGATGCAGCGTCGCGAAAGTGATGAAACCCTGCGCTGGCATGCCCTGCCGATTCTGCGCACCAGTCAGGGTCTGATTGTTATTCAGACCCGTGTTAGCACCATGAGCTTTGAACTGTATCGCCTGTATCTGACCCCGAGCACCAGTATTGTGCAGATTATTAATGATTACCTGGAAGAAGCAGATCGCACCCTGACCGTTCTGGTTACCATTCAGCTGGAACAGGCATATCAGAATCTGTTTGATTTTATGGTTAGCAATATGAACTGCACCGGCGAAGGTGAAAATCGCCGTGGCAGTGGCGGCTATCCGACCAGCGCAACCGTGAATCAGTGTAGCGGTGGTCGCTGCGCACTGCCGAATTGGtaa
【0285】
アミノ酸配列
名前:LIC_12985(LA_0591オルソログ)、配列:タンパク質、5'配列:、3'配列:、配列長さ:291(配列番号12)
VNPDQYCPASKKENHNIRIKRTLPPDFQLTEEWLRRLYDIATSASLTEGQIHGICGVCLLQTFQMLAELQEYHSHGPLQGGGYFFNTAPDTDPFDSFRQRYPELDTMLTDAATAYGPAYNTTRLLTLVSAMTMMPQYEWTPSREFTTRSDMHSHIRSLIDSPPGSIWLGLMQRRESDETLRWHALPILRTSQGLIVIQTRVSTMSFELYRLYLTPSTSIVQIINDYLEEADRTLTVLVTIQLEQAYQNLFDFMVSNMNCTGEGENRRGSGGYPTSATVNQCSGGRCALPNW
【0286】
Q8F6A9_LEPIN リシンB型レクチンドメイン含有タンパク質 OS=レプトスピラ・インテロガンス血清型イクテロヘモラジエ(Icterohaemorrhagiae)血清型ライ(56601株)OX=189518 GN=LA_1400 PE=4 SV=2(配列番号13)
MHGGSNYCYSPVFTKGEGYIWIDYCRDNTAKARYDVFQRISYNINNTWLCITAPETVVKGEETWNYVNLRPCTINDPLQRWIVKDNSFWTANGRYRLKDTNWYGYISRNSGDRYDHTLDSSMDDWIETVAIPGNISIQTSIAWDLQTTEGNERYFIRWGSSNKNTTPLYYNPESGHIAQYDPSSGLLNCMYSKMTDKYDWNWVKWGKCSDAPIKKDNPAFWNVFFETDKEGAITDYKGNVLRVTRYGLNWGVAYTVKPSYLEKDTTHSPTSLFVIDKDLLDWTRYTYSNLGKTDQYCPAGNKESLGRKRVKRNLNLPSDFQLTREWIQRFYEIARSNISGTIPRRGVCGVCMLHSYQMIAELLEYHSRGPLTSGGYFFDTAPNRDPFISFNQRYPQLNTLLTDVPNYANRLGFGSTLVMLPQYEWTSSDTITTRSGRLLHARTLINSPPGSIWLGLLRGRNANGSTWGHAVPILRTSQGIVVIPTNVLTMSLNTYIRSLAPTMDPNEVINRLENGNTLTELTTIQPVRIYDIPFSLTVSTRDCTGDGDGRRGSGRYPTSSLINQCSGGRCILQ
【0287】
Q72PX7_LEPIC 特性解析されていないタンパク質 OS=レプトスピラ・インテロガンス血清型クテロヘモラジエ血清型コペンハーゲニ(フィオクルツL1-130(FiocruzL1-130)株)GN=LIC_12340 PE=4 SV=1(配列番号14) シグナル配列(太字)は、組換えタンパク質構築物には含まれていない.
MGRWIVLRVSLLVLIGIGFEYGINHTSINASSKSDYSIAQKPADQPKDKSIQVVMHGGSNYCYSPVFTKGEGYIWIDYCSDNTAKARYDVFQRISYNINNTWLCITAPETVVKGEETWNYVNLRPCTINDPLQRWIVKDNSFWTANGRYRLKDTNWYGYISRNSGDRYDHTLNSSMDDWIKTVAIPGNISIQTSIAWDLQTTEGNERYFIRWGSSNKNTTPLYYNPESGHIAQYDPSSGLLNCMYSKMTDKYDWNWVKWGKCSDAPIKKDNPAFWNVFFETDKEGAITDYKGNVLRVTRYGLNWGVAYTVKPSYLEKDTTHSPTSLFVIDKDLLDWTRYTYSNLGKTDQYCPAGNKESLVRKRVKRNLNLPSDFQLTREWIQRLYEIARSSISRAIPCRGVCGVCMLHSYQMIAELLEYHSRGPLTGGGYFFDTAPNRDPFISFNQRYPQLNALLTNVPSYANRPGFGSTLVMLPQYEWTSSDTITTRSGRLLHARSLINSPPGSIWLGLLRGRDADGSTWGHAVPILRTSQGIVVIPTNSPTMSLNTYIRSLAPTMDPNEVINRLENGSTLTELTTIQPVRIYDIPFSLTVSTRDCTGDGDGRRGSGRYPTSSLINQCSGGRCILQ
【0288】
実施例2:発症メカニズムを推測するためのAB毒素のレプトスピラ新規PF07598VM遺伝子ファミリーの計算知能ベースの再評価
いくつかのレプトスピラ病毒性因子、有益なインビトロ及び小動物モデルが同定されているにもかかわらず、レプトスピラの発症メカニズムと生物学は依然として課題が残っている。血管の不安定性、肝臓及び腎臓の機能不全、並びに肺出血は、病原性レプトスピラ菌が分泌する循環毒素によって引き起こされると考えられる重度のレプトスピラ症で主に見られる。病毒性修飾(VM)タンパク質(PF07598)は、群I病毒性レプトスピラの典型的な特徴であり、実験的に検証された真正のR型レクチンドメイン含有外毒素である。VMタンパク質は、タンデムN末端リシンB鎖様β-三つ葉ドメインとC末端DNase活性とを含み、これが急速に染色体の断片化と細胞死滅を引き起こした。
【0289】
ここでは、計算ツールと、DeepMind AlphaFoldアルゴリズムを使用するVMタンパク質の人工知能由来の高解像度3次元構造を使用して、新規レプトスピラ毒素の作用機序が配列、原子、構造レベルで探索される。今回の知見は、PF07598タンパク質ファミリーが、植物由来のリシンB鎖[N末端のユニークな(QxW)モチーフ]、細菌性CARDs毒素[D3ドメイン、芳香族パッチ]、及び哺乳動物のDNase[C末端触媒性残基](すべて1つの遺伝子と1つのタンパク質によって排他的にコードされる)と、注目すべき程度の特徴的な保存配列モチーフ及び構造類似性を共有していることを示す。ユニークなVMタンパク質の進化的分岐起源は、病毒性と宿主指向性に関する重要な実態を提供する。突然変異誘発アプローチによるVMタンパク質の構造-機能検証は、発症メカニズムを理解し、レプトスピラ症の新しい治療及び予防測定を開発するユニークな機会を提供する。
【0290】
レプトスピラの新規R型レクチン:特徴的な炭水化物結合性芳香族パッチと配列モチーフ(QXW) の存在は、VMタンパク質が正真正銘のR型レクチンであることを裏付ける
R型レクチンはタンパク質のスーパーファミリーのメンバーであり、それらはすべて炭水化物認識ドメイン(CRD)と、リシンB鎖などの複合糖質の複合炭水化物(糖タンパク質、プロテオグリカン/グリコサミノグリカン、及び糖脂質)に対する結合機能を含む(Cummings et al., 2017, Cold Spring Harbor Laboratory Press)。トウゴマ(Ricinus Communis)由来の有毒タンパク質であるリシンは、植物で発見された最初のレクチンである(Olsnes et al., 1974, Nature, 249(458):627-31)。R型レクチンドメインはAB毒素の結合ドメイン(B鎖)と関連している(Varki et al., 2015, Cold Spring Harbor)。B鎖の組成と構造におけるより大きな不均一性は、広範囲の標的細胞を認識するように進化した可能性が最も高い(DiRienzo et al., 2014, New Journal of Science, 26)。
【0291】
AlphaFoldアルゴリズムによって得られたVMタンパク質の高解像度3次元(3D)構造フレームワークにより、我々は、多球状タンパク質(印刷中)の構造-機能相関の重要性を理解できるようになった(Callaway et al., 2020, Nature, 588(7837):203-4; Jumper et al., 2020, predictioncenterorg/casp14/doc/CASP14_Abstracts; Senior et al., 2020, Nature, 577(7792):706-10)。病毒性レプトスピラは、分子量約640aaのパラログ12個強のパラログVMタンパク質をコードしており、これらは、単一の遺伝子座から転写された単一のポリペプチドをコードしており、他のほとんどの細菌性AB毒素とは異なる。VMタンパク質の3D構造は、ラマチャンドラン(Ramachandran)プロットとそれに続くVerify3Dによって検証された(doe-mbi.ucla.edu/verify3d/)[残基LA3490:89.20%、LA0620:92.15%、LA1402:90.02%、LA1400:98.60%、及びLA0591:84.98%は、3D-1Dスコアの平均値≧0.2を示し、スコアを合格した](Pontius et al., 1996, J Mol Biol, 264(1):121-36)。この構造は、プログラムPROVE(PROtein Volume Evaluation)(saves.mbi.ucla.edu/Jobs/1016444/prove/PROVE_PLOT.ps)によってさらに検証され、Zスコア平均、Zスコアstddev、及びZスコアRMSが計算された(図10)。
【0292】
高度に保存されたタンデムN末端三つ葉様レクチンドメイン(RBL1及びRBL2)及び可変C末端ドメインを含むVMタンパク質のパラログ(Chaurasia et al., 2022, Front Microbiol, 13:859680)。特に、エル・インテロガンスは、予測されたシグナル配列を含む天然のCBR欠失変種(約313aa)を含む。コンピューター及びインビトロ実験による検証により、RBL1ドメイン(LA3490のN末端領域、40aa~150aa)のみが、RMSDが1.796のリシンB鎖(PBD;2AAI-B:7aa~129aa)と構造的に重なっており、宿主細胞受容体上に存在するN末端ガラクトシル糖タンパク質部分への結合に関与していることが確認された(Chaurasia et al., 2022, Front Microbiol, 13:859680)。RBL1とRBL2は、表面に露出した芳香族アミノ酸(チロシン)及び複素環式アミノ酸(フェニルアラニンとトリプトファン)の存在により、芳香族パッチが豊富である(図11A)。これらの芳香パッチは、宿主受容体/炭水化物の認識において重要な役割を果たしているようである。芳香族パッチに加えて、RBL1ドメインは、リシンB鎖と同様にβ-三つ葉ドメイン内に保存されたQxWモチーフの3つの配列(40QKP4278QCW80、及び134QRW136)を含む(図11B)。興味深いことに、RBL1とリシンB鎖の多重配列整列は、134QRW136モチーフのみがRBL1とリシンB鎖の両方で保存されており、注目すべきことに、RBL1ドメインの最初のQxWモチーフ(40QKP42)でトリプトファンがプロリンに置換されていることを示している。QxW配列の保存されたモチーフは、受容体認識において重要な役割を果たし、炭水化物結合モチーフ内の水素結合による構造の安定化に寄与している(Hatakeyama et al., 2007, J Biol Chem, 282(52):37826-35; Hazes et al., 1995, Nat Struct Biol, 2(5):358-9; Hazes et al., 1996, Protein Sci, 5(8):1490-501)。RBL1ドメインでは、配列モチーフ158YGY160がリシンB鎖で高度に保存されており、リシンB鎖と同様の機能的な炭水化物結合能力を有すると考えられている。LA1402とLA1400は、群Iの病毒性レプトスピラの祖先VMタンパク質であり、同じクラスターAに属する。コンピューター分析による予測は、これら2つのタンパク質(LA1402とLA1400)には78QCW80モチーフが欠如しており、これが、連続的な遺伝子重複によるVMタンパク質の進化が、宿主細胞表面/宿主指向性への結合のための78QCW80モチーフの本質性の獲得をもたらしたことを説明できることを示唆している(Chaurasia et al., 2022, Front Microbiol, 13:859680; Fouts et al., 2016, PLoS Negl Trop Dis, 10(2):e0004403)。VMタンパク質の宿主受容体への結合の本質は、宿主-病原体の相互作用のメカニズムを理解する上で重要なステップである。よく研究されているリシンB鎖(RTB)は、2つの同一の糖結合部位、好ましくはオリゴ糖を含むガラクトース特異的レクチンである(Frankel et al., 1996, Biochemistry, 35(47):14749-56)。一方の末端ガラクトースはRTBの結合部位1(W37)に結合するが、もう一方の末端ガラクトースは立体障害なしにRTBの別の分子の結合部位2(Y248)に結合することができ、強い疎水性相互作用をしてタンパク質-糖複合体を安定化させる(Sphyris et al., 1995, J Biol Chem, 270(35):20292-7)。従って、理論に拘束されるものではないが、リシンB鎖に関して、VMタンパク質の(QxW)又は158YGY160モチーフにおける芳香族パッチの欠失又はチロシン及びトリプトファンの置換は、β-三つ葉型折り畳みの基本構造を不安定にする可能性が高いという仮説が立てられた。これにより、宿主細胞表面へのVMタンパク質の結合が阻害され、毒素の集合が阻害され、そして顕著な病毒性因子がブロックされる可能性が非常に高いという仮説が立てられた。突然変異誘発と、グリカン-タンパク質(宿主-病原体)相互作用を調査や宿主受容体/自然免疫受容体の同定に優れたツールであるグリカンマイクロアレイによって、これらのモチーフ又は炭水化物結合ドメインの基礎的な研究が達成できる可能性がある(Geissner et al., 2019, Proc Natl Acad Sci USA, 116(6):1958-67)。
【0293】
結合と内在化における機能的類似性を理論的に説明する、VMタンパク質のRBL2ドメインとCARDS毒素の配列と構造の類似性
VMタンパク質のRBL2の構造と機能を解明するために、VMタンパク質のアミノ酸配列を高処理能力のPredictproteinオンラインサーバー(predictprotein.org)に供した(Bernhofer et al., 2021, Nucleic Acids Res, 49(W1):W535-W40)。このソフトウェアは進化的情報を用いる機械学習アルゴリズムを使用し、タンパク質の構造と機能を予測する。Predictproteinにより32個のタンパク質を整列させると、31個の一致がPF07598タンパク質ファミリーに属し、他のヒットはCARDs毒素(PDB:4TLV_A鎖)であり、これは、同一性0.55、期待値:2e-94及び一致長(310aa)というかなりの一致を示した。VMタンパク質とCARDs毒素(PDB:4TLV)の全長を構造的に重ね合わせ、PyMOL2.4.0(pymol.org/2/)によって視覚化した。VMタンパク質のRBL2(196a~335aa)のみが、RMSDが1.218ÅのCARDs毒素(PDB:4TLV、D3ドメイン:447aa~591aa)のC末端と重なった(図12A、B)。PF07598タンパク質ファミリーのRBL2(196aa~335aa)とCARDs毒素(PDB:4TLV、447aa~591aa)のアミノ酸配列を、L-INS-i(正確度指向)アルゴリズムを有するMAFFT(高速フーリエ変換を使用する多重整列)を使用して整列させ、Jalview v2.11.5(jalview.org)で視覚化した。CARDs毒素のD3ドメインは8個のトリプトファンを含み、そしてRBL2は9個のトリプトファンを含み、興味深いことに、RBL2とCARDs毒素の両方において6個のトリプトファンが配列及び構造レベルで保存されていた。CARDs毒素(D2+D3三つ葉)にはガラクトース結合部位がなく、VMタンパク質のRBL1が唯一の炭水化物結合パートナーである可能性が高いことを示唆している。D3の適切な折り畳みとその芳香パッチの形成に不可欠なCARDs毒素の残基571aa~591aaの突然変異誘発にはHeLa細胞による内在化が欠如していたため、CARDs毒素がD3ドメインを介して宿主細胞に侵入することを示唆している(Becker et al., 2015, Proc Natl Acad Sci USA, 112(16):5165-70; Ramasamy et al., 2018, mBio, 9(1))。RMSD=1.218Åを有するVMタンパク質のRBL2とCARD(D3ドメイン)との重ね合わせと芳香パッチ内の6つの保存されたトリプトファンは、VMタンパク質を宿主細胞に内在化させるVMタンパク質の転座ドメインとしてのRBL2の機能を強化している。この情報から、理論に拘束されるものではないが、これらの保存されたトリプトファン/芳香族パッチにおける突然変異により、宿主細胞へのタンパク質の内在化が消失したという仮説が立てられた。まとめると、突然変異誘発、グリカンマイクロアレイ、及び表面プラズマ共鳴(SPR)は、RBLドメインの機能を特徴づけ、それらの炭水化物結合パートナーと、宿主細胞内でのVMタンパク質の転座を特定するための扉が開くであろう。
【0294】
リシン毒素と類似した分子内ジスルフィド結合の構造により、VMタンパク質が本物のAB毒素であることが確認される
文献研究は、ジフテリア毒素[ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae): AB (Murphy et al., 2011, Toxins (Basel), 3(3):294-308)]、百日咳毒素[百日咳菌(Bordetella pertussis):A(S1)-B(S2-S5)(Stein et al., 1994, Structure, 2(1):45-57)]、志賀毒素[赤痢菌(Shigella dysenteriae):AB5 (Johannes, 2017, Toxins (Basel), 9(11))]、外毒素A[緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)AB(Ogata et al., 1990, J Biol Chem, 265(33):20678-85)]、及び植物由来のリシン毒素[トウゴマ(Ricinus communis):AB (Lord et al., 2011, Toxins (Basel), 3(7):787-801)]などのいくつかの外毒素が、AB型毒素のクラスに属することを示した(Cherubin et al., 2018, Sci Rep, 8(1):2494)。これらは、細胞表面上の特定の受容体を認識する少なくとも1つのサブユニット又はポリペプチド(B鎖)と、細胞に侵入して標的部位にアクセスする1つのサブユニット又はポリペプチド(A鎖)を含むため、AB毒素として知られている。これらのAB毒素は、ADPリボシル化、グリコシル化、脱アミド化、脱アデニル化、タンパク質分解、アセチル化などによって、宿主標的を特異的に修飾する。これらの修飾は多くの場合、標的の不活化をもたらし、これにより細胞生理機能が変化したり、壊死性又はアポトーシス性の細胞死滅につながる可能性がある(Odumosu et al., 2010, Toxins (Basel), 2(7):1612-45; Biernbaum et al., 2022, Toxins (Basel), 14(1))。AB毒素におけるジスルフィド結合の形成は、その機能的役割の活性化に必要な折り畳みと安定性のニーズを調節するため、AB毒素の構造的及び機能的特性に影響を及ぼす(Hogg, 2003, Trends Biochem Sci, 28(4):210-4)。リシンのA鎖及びB鎖におけるジスルフィド結合の減少は、マウスにおけるその毒性を低下させ、HeLa細胞のタンパク質合成を阻害する能力も低下させる(Lappi et al., 1978, Proc Natl Acad Sci USA, 75(3):1096-100)。
【0295】
AlphaFoldアルゴリズム由来のVMタンパク質の構造アーキテクチャは、それらが12個のシステイン残基を含み、10個のシステインがリシン毒素と同様の5つのジスルフィド架橋(5-ジスルフィド結合)の形成に関与することを示す(Chaurasia et al., 2022, Front Microbiol, 13:859680; Lappi et al., 1978, Proc Natl Acad Sci USA, 75(3):1096-100)(図13A、B、C)。興味深いことに、VMタンパク質のRBL1は2つのジスルフィド結合(62aa~79aa、105aa~127aa)を含み、RBL2ドメインは1つのジスルフィド結合(244aa~262aa)を含み、そしてC末端の球状ドメインは2つのジスルフィド結合(353aa~608aa及び630aa~635aa)をコードしている(図13A~D)。VM遺伝子はリシン毒素とは異なり単一のポリペプチド鎖をコードしているため、ジスルフィド結合のタンパク質分解的切断は、RBL1、RBL2、及びC末端をそれらの機能ドメインにプロセシングする際に重要な役割を果たす。リシンA鎖(RTA)は2つのシステイン残基(Cys171とCys259)を含み、Cys259はリシンB鎖(RTB)のCys4とリシンホロトキシンの鎖間ジスルフィド結合を形成する。興味深いことに、A鎖における部位特異的突然変異誘発によるこのジスルフィド結合の破壊(リシンの259位アミノ酸のシステインがアラニンに置換される)により、細胞毒性が減少する(Mohanraj et al., 1995, Biochim Biophys Acta, 1243(3):399-406)か、又はリシンA鎖への新しいジスルフィド結合の導入が、リシンの細胞毒性を低下させる(Argent et al., 1994, J Biol Chem, 269(43):26705-10)。リシンとVMタンパク質の構造的重ね合わせに基づいて、353aa~608aa(リシンでは4aa~259aa)の位置のジスルフィド結合は、エンドソームにおけるC末端タンパク質分解又は加水分解に非常に重要であると考えられ、次に生物学的に活性なC末端ドメインはサイトゾルに放出され、核に移行するいる。興味深いことに、LA0591(313aa)は天然ではRBL(RBL1及びRBL2)を欠いており、この天然の変異体変種が宿主細胞への結合及び内在化を必要としないことを示唆しており、従って発症におけるそれらの細胞間役割が推測される。LA0591の2つのシステインはC末端(303aa~308aa)でジスルフィド結合を形成しており、この突然変異誘発研究はVMタンパク質及びそのオルソログにおけるジスルフィド結合の機能的役割について有益であると考えられる(図13E)。
【0296】
CARDs毒素はアミノ酸位置230、247、324、406、425、及び548の6つのシステイン残基をコードしており、その細胞毒性に不可欠なジスルフィド結合形成が残基C230とC247の間で起きる。突然変異誘発研究により、ジスルフィド結合がCARDS毒素のADPRT(D1)ドメインをプロテアーゼから防御し、破壊されたジスルフィド結合が細胞結合、内在化、及び細胞内輸送に影響を及ぼさないことが明らかになった(Balasubramanian et al., 2019, Cell Microbiol, 21(8):e13032)。志賀毒素のA鎖では、ジスルフィド結合が、エンドソーム又はトランスゴルジネットワークにおけるプロテアーゼ切断後に毒素サブユニットを安定化させた(Garred et al., 1995, J Biol Chem, 270(18):10817-21; Tam et al., 2007, Microbiology (Reading), 153(Pt 8):2700-10)が、志賀毒素のジスルフィド結合欠損変種は、プロテアーゼによる分解を受けやすく、細胞に対する細胞毒性が低かった(Garred et al., 1997, J Biol Chem, 272(17):11414-9)。同様に、百日咳毒素では、ジスルフィド結合を還元すると、毒素がNADグリコヒドロラーゼ及びADPRT活性を示すのに必要なコンフォメーションが変化する(Moss et al., 1983, J Biol Chem, 258(19):11879-82; Burns et al., 1989, J Biol Chem, 264(1):564-8)。ジフテリア毒素及びコレラ毒素では、ジスルフィド結合の還元により、エンドソームからサイトゾルへの活性断片の放出が起きる(Falnes et al., 1994, J Biol Chem, 269(11):8402-7; Collier, 2001, Toxicon, 39(11):1793-803; Tsai et al., 2001, Cell, 104(6):937-48; Sandvig et al., 2002, FEBS Lett, 529(1):49-53)。
【0297】
細菌毒素におけるジスルフィド結合の重要性及び発症におけるそれらの役割は、PF07598タンパク質ファミリーのRBL及びジスルフィド結合構造の計算情報を強化する(図13)。VMタンパク質のシステイン残基の部位特異的突然変異誘発又は新しいジスルフィド結合の工学作成に向けたアプローチは、細胞毒性を軽減するために使用できる可能性があるため、ワクチン候補として使用できる可能性がある。これらのデータは、まとめるとジスルフィド結合の極めて重要な役割がVM毒素の活性化と以後の細胞病理学的事象にあるという仮説につながる。
【0298】
PF07598タンパク質ファミリーのC末端のホットスポット残基と活性部位を解明する比較計算分析
この研究は、基質又はリガンドの結合に積極的に関与するVMタンパク質のアミノ酸の機能的に重要な領域を特定するために実施された。構造に基づくリガンド結合部位の予測と、リガンド結合に積極的に関与した比較的保存されたホットスポット残基を決定するために、AlphaFoldアルゴリズムで生成されたVMタンパク質の3D構造(全長及びC末端ドメイン)が、FTMapサーバー(ftmap.bu.edu)(Kozakov et al., 2015, Nat Protoc, 10(5):733-55)、PrankWeb(prankweb.cz)(Jendele et al., 2019, Nucleic Acids Res, 47(W1):W345-W9)、及びDeepsite(playmolecule.com/deepsite/)(Jimenez et al., 2017, Bioinformatics, 33(19):3036-42)などのオンライン機械学習ベースのサーバーに供された。リガンド結合部位の解析は、機能の特定や3D構造に基づく創薬にしばしば使用される。FTMapサーバーはプローブとして16個の低分子(エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、アセトン、アセトアルデヒド、ジメチルエーテル、シクロヘキサン、エタン、アセトニトリル、尿素、メチルアミン、フェノール、ベンズアルデヒド、ベンゼン、アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド)を使用し、結合自由エネルギーに大きく寄与するためリガンドの結合にとって重要な領域であるホットスポット領域を特定する(Kozakov et al., 2015, Nat Protoc, 10(5):733-55; Ngan et al., 2012, Nucleic Acids Res, 40:W271-5)。FTMap解析により、アミノ酸Cys403、His533、Ser482が全長LA3490タンパク質のホットスポット残基であることが明らかになり、クラスターとの相互作用の数が2111、1457、及び1128回であることを示したが、LA3490のC末端ドメイン(368aa~369aa)は、より多数のホットスポット残基及びクラスターとの相互作用を示した(Arg615-3109、His533-2510、Cys403-2400、Gln486-1890、Thr549-1622、及びGln523-1357)(図14及び図15)。興味深いことに、LA3490に関して、His533は、最良のホットスポット残基として他のVMタンパク質(LA0620:His530、LA1400:His469、LA1402:His537、LA0591:His205)においても同様に、高い結合エネルギーを示した(図15B)。この研究は、His533(LA3490)が極めて重要なアミノ酸であり、触媒作用におけるその機能的役割が突然変異誘発アプローチによって明らかにされる可能性があることを示唆している。
【0299】
PrankWebとDeepsiteは、構造ベースのリガンド結合部位予測のための別のテンプレートを使用しないオンライン機械学習ベースのアルゴリズムである(Jendele et al., 2019, Nucleic Acids Res, 47(W1):W345-W9; Jimenez et al., 2017, Bioinformatics, 33(19):3036-42; Krivak et al., 2018, J Cheminform, 10(1):39)。PrankWebは、全長LA3490中に14個のポケットを特定し、それらを確率と溶媒アクセス可能表面(SASポイント)に基づいて1から14にランク付けされた。ポケット1は、0.817の最も高い確率で18.30のスコアを有し、残りのポケットの中で106の溶媒アクセス可能な表面(SASポイント)を示した(図16A、16C)。特に、最高スコアのポケット1はC末端溝に位置し、重要なことにアミノ酸Cys403、Gln523、His533、及びThr549を含み、これもFTMapサーバーによってスクリーニングされた(図17)。Deepsite機械学習ベースのアルゴリズムにより2つのディープポケットが特定され、ポケット1のC末端にHis533、Thr549、及びGln523が位置し、ポケット2にHis451、Tyr621が位置していた。ポケット1のアミノ酸も、FTMapとPrankWebの両方によって特定された。特に、アミノ酸Cys406、His525、Thr531、Pro548、Asn550、Trp554、及びAsn580が、PrankWebとDeepsiteの両方によって特定され及び共有されたが、FTMapサーバーによっては特定されなかった(図17)。この比較研究は、His533、Thr549、及びGln523が保存性が高く、信頼性が高く、リガンド結合に積極的に関与しており、従って、これらのアミノ酸が部位特異的突然変異誘発による機能研究に有用である可能性があることを示唆している。RBLを欠く天然の変異体変種LA0591は、3つすべてのオンラインサーバー(FTMAp、PrankWeb、及びDeepsite)によって特定されたHis205が、リガンド結合に関与していることを示す(図16B、16D、及び図17)。
【0300】
DNase活性のため、VMタンパク質のリガンド結合部位を特定する比較研究はウシDNase(PDB:3DNI)の3D構造を用いて検証され、その活性部位がVMタンパク質と重ね合わされた(図17)。特に、ウシDNaseでは、Asn7、Glu39、Tyr76、Arg111、Asp251、His134、Asp168、Asn170、及びHis252がFPMapによってホットスポット残基として特定され、これらのアミノ酸はPrankWeb及びDeepsiteによって共有された(図17)。ウシDNase(PDB:3DNI)及びヒトDNase(4AWN)の結晶構造は、Arg9、Arg41、Tyr76、Glu78、His134、Asp168、Asp212、及びHis252が活性部位に存在するアミノ酸であることを示唆している(Suck et al., 1984, EMBO J, 3(10):2423-30; Parsiegla et al., 2012, Biochemistry, 51(51):10250-8)。3つの独立したサーバーFTMap、PrankWeb、及びDeepsiteによるVMタンパク質の共有アミノ酸のリストと、活性部位と重複するウシとヒトDNaseのリガンド結合部位の特定は、これらの機械学習ベースのアルゴリズムが、タンパク質のホットスポット残基/リガンド結合部位/活性部位をスクリーニングするのに信頼できることを示唆している。ウシとヒトでは、His134とHis252及びこれらの水素結合対であるGlu78とAsp212が、機能的なDNaseI活性に極めて重要であり(Pan et al., 1998, Protein Sci, 7(3):628-36)、4つの触媒性アミノ酸(His134、His252、Glu78、及びAsp212)のいずれかの突然変異は、DNaseIの加水分解活性を劇的に低下させた(Pan et al., 1998, Protein Sci, 7(3):628-36)。VMタンパク質の触媒部位を強化するウシDNaseの複素環His134とPF07598遺伝子ファミリーのHis533(LA3490)の重ね合わせは、VMタンパク質のC末端で高度に保存されているHis533(LA0620:His530、LA1400:His469、LA1402:His537、LA0591:His205)によって媒介される(図14D図15)。部位特異的突然変異誘発へのアプローチは、VMタンパク質のC末端にある機能的な触媒性残基を明らかにするのに役立つであろう。また、Predictprotein(predictprotein.org)オンラインサーバーはさらに、VMタンパク質のC末端のDNA結合ドメインを示すことで、構造-機能に関する有益な知識をさらに提供し、コンピューター解析を強化した(図15)。
【0301】
VMタンパク質のDNase活性はMg+2イオンに依存するが、Zn+2、Ca+2の存在、又はMg+2イオンの欠如はVMタンパク質の触媒活性を喪失させる(図18)。MGLTools1.5.7を使用して、リン酸イオンとマグネシウムイオンを用いてLA3490のC末端に対してドッキング試験を実行した。マグネシウムイオンはホットスポット残基Gln412と相互作用し、結合エネルギー0.95kCal/molを示したが、リン酸イオンはホットスポット残基Arg615と相互作用し、結合エネルギー2.58kCal/molを示した(図18)。ホットスポット残基又はリガンド結合残基は、PF07598タンパク質ファミリーの活性部位の機能特性評価につながる部位特異的突然変異誘発アプローチの最適な標的である。
【0302】
実施例3:レプトスピラ・インテロガンスPF07598遺伝子ファミリーにコードされた病毒性修飾タンパク質を用いるワクチン接種は、マウスを重度のレプトスピラ症から防御し、肝臓及び腎臓の細菌負荷を低下させる
レプトスピラ症の病因が最初に記載されて以来、病原性レプトスピラが重篤な疾患を引き起こすメカニズムは不明なままである(Noguchi et al., 1917, J Exp Med, 25(5):755-63; Inada et al., 1915, The Journal of Experimental Medicine, XXIII:377-402)。歴史的にレプトスピラの命名は複雑であったが、最近のゲノム的及び分子的アプローチにより、種と血清型との関係が明らかになった。特に重要なのは、PF07598遺伝子ファミリーが病原性の群1のレプトスピラにのみ存在し、最も病原性の高い種であるエル・インテロガンスやエル・キルシュネリ及びエル・ノグチイにも拡大しているという発見である。ヒトの重篤な疾患は主に、エル・インテロガンスに属する血清型による感染に起因すると考えられている。そのような症例で感染しているレプトスピラ菌を確実に特定することができる重篤なレプトスピラ症の症例から得られる分離株が不十分なため、そのようなデータは限られている。レプトスピラに対する現在の遺伝子ノックアウトアプローチは、特に複数遺伝子ファミリーに適用される場合には依然として限られているため、免疫学的アプローチを使用して、レプトスピラPF07598遺伝子ファミリーにコードされるVMタンパク質が、マウスモデルにおける重篤なレプトスピラ症の症状発現に寄与する病毒性因子である可能性があるかどうかを証明した。ここで提示されたデータは、VMタンパク質が重度のレプトスピラ症の発症における病毒性因子として中心的な重要性を有するという仮説を裏付けている。
【0303】
最小で2つのエル・インテロガンス血清型ライVMタンパク質(G-IV、LA1400、及びLA0591)であるが、最大5つのエル・インテロガンス血清型ライVMタンパク質(G-III、LA1400、及びLA0591、さらにLA3490、LA0620、及びLA1402)をC3H/HeJマウスにワクチン接種すると、マウスは、疾患のあらゆる臨床症状からが防御され、レプトスピラ症の発症とレプトスピラの伝播における2つの重要な臓器である肝臓と腎臓の細菌負荷をそれぞれ約3~4log10低下させた。以前のデータは、すべてのPF07598遺伝子ファミリーメンバーが、急性の重度レプトスピラ症のハムスターモデルにおいて様々にアップレギュレートされることを示している(Lehmann et al., 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468)。インビボで最も高い発現及び最も低い発現を示す以前のデータに基づいて、群G-III及びG-IVに特異的なVMタンパク質抗原が選択された(Lehmann et al., 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468)。今回の知見は、最小限の交差反応性VMタンパク質の相補体によるVMタンパク質のワクチン接種が防御免疫を与える可能性があることを示唆しているが、現時点ではLA1400とLA0591の両方が免疫原として必要かどうかは不明のままである。興味深いことに、G-IV由来の免疫後/チャレンジ前の血清は、相同性タンパク質に対する力価が低いにもかかわらず、LA1402及びLA3490に対して最高の力価で異種交差反応をした。LA1400は、クラスターAに属する群1病原性レプトスピラの祖先VMタンパク質であり(Fouts et al., 2016, PLoS Negl Trop Dis. 10(2):e0004403)、2つのN末端のタンデムに繰り返されるリシンB様レクチンドメイン(RBL)とC末端毒素ドメイン(CTD)を有する。LA0591にはCTDを有するが、RBLが欠如している。これらのドメインは、相同的VMタンパク質と最も強く交差反応することが先験的に予測されるかもしれないが、実験データは、むしろ異種の交差反応性が最も強かったことを示す。これらのタンパク質の単独の、さまざまなVMタンパク質の連結されたサブドメイン、又は分離されたサブドメイン、又はLA1402やLA3490などのもう1つの全長VMタンパク質のいずれかによる免疫が汎レプトスピラ免疫を付与する可能性があるかどうかをさらに決定するために、さらなる実験が進行中である。考えられるシナリオは、LA1400及びLA0591のワクチン接種によって誘導されるVMタンパク質に対する一般的な交差反応性が、致死的チャレンジ感染及び組織定着に対する防御を媒介するというものである。この可能性は、VMタンパク質がエル・インテロガンス内のアミノ酸レベルで高度に保存されていることを示すバイオインフォマティクス分析によって示唆されており、実験的にも裏付けられている(Chaurasia et al., 2022, Frontiers in Microbiology, 13:859680)。
【0304】
全長レプトスピラVMタンパク質によるレプトスピラ疾患感受性C3H/HeJマウスの免疫(Viriyakosol et al., 2006, Infect Immun. 74(2):887-95)は重篤な疾患に対して防御したが、単離されたRBL、t3490、N末端リシンBドメイン(G-II)のみを含む組換えタンパク質は、疾患を増強させたが、肝臓と腎臓の細菌負荷を低下させた。血清に対する多重サイトカイン分析では、群IIマウスが、炎症性サイトカインマーカー(IL-β、IL-6、IL-10、IFN-γ、TNF-α、及びKC/GRO(Wolpe et al., 1989, Proc Natl Acad Sci USA. 86(2):612-6))(げっ歯類のIL-8に関連する好中球化学誘引物質)のユニークな上昇を示したが、これは、これらのサイトカインストームがマウスの死をもたらした可能性があることを示唆している。RBDドメインに誘導される免疫増強が重篤な疾患を引き起こすメカニズムは不明である。理論に拘束されるものではないが、t3490免疫が疾患の増強につながる1つの潜在的なメカニズムは、インビボで全長タンパク質をFc受容体含有細胞の炎症促進性経路に運ぶレプトスピラ分泌VMタンパク質のN末端RBLに対する抗体の誘導である可能性があると推測されたが、この仮説には実験的検証が必要である。それにもかかわらず、G-II免疫マウスでRBDに対して生成された交差反応性抗体は重篤な疾患を防御しなかった。これらの観察は、N末端RBDのみをVMタンパク質ベースのレプトスピラ症ワクチン研究に使用すべきではないことを示唆している。RBDを介する免疫増強を調べるさらなる研究が必要である。
【0305】
本研究では、組換えVMタンパク質と浸透圧誘導したインビトロ培養エル・インテロガンス血清型ライを用いるワクチン接種後の血清のELISA及びウェスタンブロット分析は、ワクチン接種が防御免疫に関連する同種及び異種のVMタンパク質認識の両方をもたらしたことを示す。これらの実験結果は、エル・インテロガンス属内のVMタンパク質に対するポリクローナル抗血清の交差反応性の生物情報学的予測を確認している。げっ歯類モデルにおけるチャレンジ感染に対する他のエル・インテロガンス血清型による防御を確認するためのさらなる研究が不可欠である。VMタンパク質ワクチン接種後の、他の群1の高病原性レプトスピラ種である近縁種エル・キルシュネリ及びエル・ノグチイの病毒性分離株によるチャレンジに対する種間防御実験(Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468; Fouts et al., 2012, J Hepatol, 56(6):1283-92)が計画されている。同種又は異種のVMタンパク質ワクチン接種後に、エル・ボルグペテルセニイ(L.borgpetersenii)などの他の群1病原体(これは、ゲノム内にPF07598パラログがほとんどない)の毒性分離株によるチャレンジ感染後の種間防御実験は、汎レプトスピラ症ワクチンのさらなる開発に向けてどのVMタンパク質が適切であるかを決定するのに寄与するであろう。
【0306】
レプトスピラ症に対する防御を与える、血清型に依存しない汎レプトスピラ症ワクチンは、レプトスピラ症分野における主要な優先事項である(Wunder et al., 2021, Elife., 10; Beutler et al., 2000, Eur Cytokine Netw, 11(2):143-52)。さまざまな不活化全細菌細胞ベースのワクチン(バクテリン)は血清型に特異的であり、動物での使用に限定されており、この従来の技術は依然として有効性は不完全である。サブユニットワクチン、そして最近ではエル・インテロガンス血清型コペンハーゲニの自然発生的弱毒変種(Wunder et al., 2021, Elife., 10)が、汎レプトスピラ症ワクチン候補の探索の中で提案されている(Haake et al., 1999, Infect Immun, 67(12):6572-8223; Conrad et al., 2017, PLoS Negl Trop Dis, 11(3):e0005441; Techawiwattanaboon et al., 2019, Vaccines (Basel), 7(3); Govindan et al., 2021, Appl Nanosci, 1-15; Phoka et al., 2021, Vet Microbiol, 262:109220; de Oliveira et al., 2021, Vaccine, 39(39):5626-34; Haake et al., Front Immunol, 11:579907; Teixeira et al., 2020, Front Immunol, 11:568694; Coutinho et al., 2011, PLoS Negl Trop Dis, 5(12):e1422)。バクテリンは、持続的な防御免疫及び滅菌免疫の欠如を含む副作用及び次善の有効性のため、広範な使用が制限されている(Felix et al., 2020, Expert Opin Drug Discov. 15(2):179-88; Techawiwattanaboon et al., 2019, Vaccines (Basel), 7(3); Levett, 2001, Clin Microbiol Rev, 14(2):296-326; Zaugg et al., 2021, Schweiz Arch Tierheilkd, 163(9):545-52)。
【0307】
本報告は、致死的チャレンジ感染に対するエル・インテロガンスVMタンパク質のサブセットによるワクチン接種によって誘導される防御免疫を証明する。抗VMタンパク質抗体を誘導する免疫戦略により、レプトスピラ症の発症を媒介するVMタンパク質の役割が検証される。
【0308】
実験に使用した材料と方法について説明する。
【0309】
細菌培養物
レプトスピラ・インテロガンス血清型カニコーラ株LOCaS46を、液体エリングハウゼン-マカロウ-ジョンソン-ハリス(Ellinghausen-McCullough-Johnson-Harris)(EMJH、BD Biosciences, USA)中で30℃で増殖させた(Ellinghausen et al., 1965, Am J Vet Res, 26:39-44)。レプトスピラを、インビトロで病毒性遺伝子発現を誘導することが知られているインビボ宿主環境を模倣した条件下で増殖させた(Matsunaga et al., 2005, Infect Immun, 73(1):70-8)。簡単に説明すると、非改変EMJH培地中の対数中期の培養物を18,514gで遠心分離して回収した。ペレット化した細胞を1×リン酸緩衝化生理食塩水で2回洗浄し、120mM NaClを補足した液体EMJH培地に再懸濁し、37℃で4時間インキュベートした(Sigma Aldrich, USA)。LOCaS46株のLD50は、致死量中央値LD50<100である(Salinas et al., 2020, Vaccines (Basel), 8(4))。
【0310】
化学的にコンピテントな大腸菌株DH5α(New England Biolabs, Ipswich, MA)を遺伝子クローニングに使用し、SHuffle(登録商標)T7コンピテントな大腸菌細胞(New England Biolabs, USA)をタンパク質の発現と精製に使用した。大腸菌を、100μg/mLアンピシリン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補足したルリア-ベルターニ(Luria-Bertani)(LB)培地(BD Biosciences, Sparks, MD)中で増殖させた。
【0311】
エル・インテロガンス血清型ライ、カニコーラ、コペンハーゲニ、及び非病原性血清型エル・ビフレキサ血清型パトックを液体EMJH培地で増殖させ、18,514gで10分間遠心分離して採取した。細胞を1×PBS(pH7.4)で2回洗浄し、ペレットを「EDTAを含むプロテアーゼ阻害剤カクテル」(Roche, USA)を含む5mL/グラムのBugBuster(登録商標)タンパク質抽出試薬(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)に再懸濁した。細胞溶解物を回転ミキサー上で室温で15分間インキュベートした。不溶性細胞破片を、4℃、18,514gで20分間遠心分離することによって除去した。上清は分析まで-20℃で保存した。
【0312】
計算生物学
PF07598ファミリーのN末端アミノ酸配列とC末端アミノ酸配列(LA3490、LA0620、LA1402、LA1400、及びLA0591)を、L-INS-i(正確度重視)を有するMAFFT(高速フーリエ変換を使用する多重整列)使用して整列させ、Jalview v2.11.5(jalview.org)を使用して視覚化した。元々寄託されたLA1400配列は、完全にコードされたタンパク質の最初の54アミノ酸をコードする配列を欠如しているという点で不完全であることが判明した。この結論は、エル・インテロガンス血清型ライLA1400のアミノ酸配列を、エル・インテロガンス血清型コペンハーゲニ株FioCruzL1-130のLA1400オルソログであるLIC12340と比較するクラスター分析の使用に基づいていた(補足情報)。本研究においてLA1400と称する組換えタンパク質は、LIC12340由来のアミノ酸31~54、次にLA1400由来のアミノ酸55~末端までから構成される。
【0313】
動物
3週齢の特定病原体を含まない雌のC3H/HeJマウス(The Jackson Laboratory, ME, USA)をJackson Laboratories (ME, USA) から購入し、エールアニマルリソースセンター(Yale Animal Resources Center)の特定病原体を含まない環境で維持した。マウスを、週に2回交換される滅菌吸収性寝具を備えた個別に換気されたマイクロアイソレーターケージに収容した。実験の間中、動物には餌と水を与えた。エル・インテロガンス血清型カニコーラをチャレンジ後、マウスの体重を量り、最終エンドポイントまで毎日2回追跡した。彼らを、食欲不振、重度の倦怠感、呼吸困難、衰弱、毛皮の乱れ、10%の体重減少について観察した。これらの症状を呈したマウスは、AAALAC/AVMAが承認した手順に従ってCO2により安楽死させられ、重度/致死性レプトスピラ症のエンドポイントを満たしたと見なされた。
【0314】
プラスミド構築とクローニング
血清型ライ由来のNCBI遺伝子座タグLA3490(Uniprot:Q8F0K3)、LA0620(Q8F8D7)、及びLA1402(Q8F6A7)、血清型コペンハーゲニ由来の遺伝子座タグLIC12340(Q72PX7)(Laiオルソログ:LA1400)、及びLIC12985(Q72N53)(Laiオルソログ:LA0591)をコードする完全なPF07598遺伝子、予測されるシグナルペプチドを除いたコード配列、又はN末端ドメインである末端切断型3490からなる合成大腸菌コドン最適化遺伝子が、Gene Universal (geneuniversal.com) によって構築され、合成され、
pET32b(+)(Gene Universal Inc., USA)にクローニングされた。LA3490、LA0620、LA1402、及びt3490は、グリシン-セリンヒンジ(Gly4Ser)3を介してmCherry(AST15061.1)に連結され、mCherry蛍光タグの便利な除去のためのエンテロキナーゼ切断部位間でpET32b(+)(Gene Universal Inc., USA)にクローニングされた。mCherry融合のない全長LA1400及びLA0591構築物を作製した(図19A)。使用前に、構築物中の遺伝子の配列及び方向を制限消化及び配列決定によって検証した。
【0315】
組換え可溶性PF07598抗原の発現と精製
組換えPF07598タンパク質構築物を、SHuffle(登録商標)T7コンピテント大腸菌細胞(New England Biolabs, USA)で発現させた。形質転換体を、100μg/mLのアンピシリンを含むルリア-ベルターニ(LB)培地で継代培養した。PF07598タンパク質の発現は、1mMのイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG;Sigma-Aldrich, USA)の添加によりOD0.6で誘導し、16℃、250rpmで24時間インキュベートした。誘導後、細胞を採取し、50単位のベンゾナーゼヌクレアーゼ(Sigma-Aldrich, USA)、0.2μg/mLリゾチーム、非EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche, USA)と100mM PMSF(Sigma-Aldrich, USA)を含むCelLytic(商標)B(細胞溶解試薬;Sigma-Aldrich, USA) で37℃で30分間、ペレットを溶解した。上清とペレットを分離し、次に4~12%ビス-トリスドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析した。タンパク質濃度はBCAアッセイ(Bio-Rad, Hercules, CA)によって測定した。
【0316】
組換えPF07598融合体及び融合タンパクのない構築物を、100mM NaHPO、10mMトリス-HCl、25mMイミダゾール(pH8.0)を含む緩衝液で予め平衡化した5mLの充填済みNi-セファロースAKTAHi-TRAPカラム(GE Healthcare, USA)を使用して精製した。次に、Hi-TRAPカラムに結合したPF07598タンパク質を500mMイミダゾール(pH8.0)の存在下で溶出した。溶出液をプールし、10kDaのAmicon(登録商標)超遠心フィルターで濃縮し、さらに4℃で穏やかに撹拌(350rpm)しながら1×PBS(pH7.4)に対して一晩透析した(10kDaカットオフ、Slide-A-Lyzer、Thermo Scientific(商標)、USA)。精製した組換えPF07598タンパク質をSDS-PAGEで分離し、マウス抗Hisモノクローナル-ALPコンジュゲート(1:2,000希釈、Santa Cruz Biotechnology, USA)を用いる免疫ブロッティングによって検証した。ブースター及びSDS-PAGE用のアリコートを単一の調製物から調製し、-80℃で保存して凍結融解の繰り返しを防いだ。
【0317】
動物の免疫、レプトスピラチャレンジ、及び試料収集
C3H/HeJマウスを、筋肉内(IM)経路を介して組換えPF07598タンパク質で免疫した(Viriyakosol et al., 2006, Infect Immun, 74(2):887-95)。GLA-スクアレン-水中油型エマルジョンアジュバント(0.25mg/mL)を、感染症研究所(Infectious Disease Research Institute (IDRI), Seattle, WA, USA (idri.org)から入手した。注射の直前に、アジュバントを組換えタンパク質又はPBSに最終容量100μLまで加え、短時間ボルテックス混合した(Patra et al., 2015, Infect Immun, 83(5):1799-1808)。
【0318】
マウスを4つの群に分けた;G-Iは陰性対照として、アジュバント(EM082;5μg GLA-スクアレン-水中油型エマルション)と混合した1Xリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を注射した。同様に、G-II(t3490)、G-III[VM混合物、(LA3490、LA0620、LA1400、LA1402、及びLA0591]、及びG-IV[VM未標識、(LA1400及びLA0591)]を等モル比の総抗原25μgで、アジュバント(5μg GLA-スクアレン-水中油型エマルション)を用いて免疫し、次に3週間間隔で25μgの総抗原を2回注射して免疫した(図20)。最後の免疫の2週間後に、免疫マウスから採血し、群の個体差を平準化するために、血清試料をプールし、事前チャレンジ出血として知られている血清中の抗VM抗体を測定した。すべての群に、1×10個の毒性の低継代の微生物エル・インテロガンス血清型カニコーラ株LOCaS46株の分離株を腹腔内(IP)注射して実験的に感染させた。感染を生き延びたマウスは、感染チャレンジの13日後に安楽死させた。血液は終末心臓穿刺により採取し、全血から血清を単離した。血清は室温で凝固させ、4℃で一晩保存した。次に試料を、11,292gで4℃で15分間遠心分離した。血清を収集し、-80℃で保存した。臓器を収集し、RNALaterに4℃で保存した。腎臓及び肝臓の組織を使用して、定量的PCR(qPCR)により、エル・インテロガンスを定量した。
【0319】
ELISAによるPF07598タンパク質誘導免疫の評価
免疫群における組換えPF07598タンパク質に対する血清抗体反応をELISAによって定量化した(61)。簡単に説明すると、100μLの重炭酸塩/炭酸塩コーティング緩衝液中のPF07598抗原(それぞれLA3490、LA0620、LA1402、LA1400、及びLA0598)を、96ウェルマイクロタイターELISAプレート(Corning, USA)にコーティングし(250ng)、4℃で一晩インキュベートした。各抗原セットを免疫前及び免疫後の血清群(群I~IV、1:1000)と1時間インキュベートした後、ヤギ抗マウスIgG(Fc特異的)-アルカリホスファターゼコンジュゲート(1:5000;KPL, USA)で1時間インキュベートし、TBSTで3回洗浄し、p-ニトロフェニルリン酸(1-Step(商標)PNPP基質溶液;KPL, USA)で発色させた。反応を2M NaOHで停止させ、SpectraMax(登録商標)M2eマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, USA) を使用して405nmで吸光度を読み取った。全細胞ELISAの場合、プレートを500ng/ウェルの無細胞溶解物でコーティングした。対照は、採血前、免疫前の血清試料、抗原、及び抗体ブランクを含有した。
【0320】
ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)及びウェスタン免疫ブロット分析
SDS-PAGEは、Laemmliの方法 (Laemmli, 1970, Nature, 227(5259):680-5) に従って行った。免疫ブロット分析を行って、免疫動物の血清が組換え又は天然のレプトスピラPF07598タンパク質を認識するかどうかを決定した。精製した組換えPF07598タンパク質又はレプトスピラ全細胞溶解物(120mM NaClで誘導及び誘導なし)をニトロセルロース膜に移し、1×TBST緩衝液(AmericanBio, USA)に溶解した5%脱脂粉乳で2時間ブロックした。膜を免疫群(群I~IV、1:100)からプールした血清と、対照としての事前採血及び免疫前採血を、ロッカー上で4℃で一晩インキュベートした。これらをヤギ抗マウスIgG(Fc特異的)-アルカリホスファターゼコンジュゲート(1:5000;KPL, USA)で2時間半プローブ結合させ、TBSTで3回洗浄し、p-ニトロフェニルリン酸(1-Step(商標)PNPP基質溶液)で発色させた。モノクローナルLipL32抗体はローディング対照とした(1:10,000希釈)。
【0321】
定量的PCR
40±50mgの腎臓及び肝臓組織をさいの目切りにし、500μLの1×PBSに懸濁することによってDNAを抽出した。相互汚染のリスクを軽減するため、すべての作業は、レプトスピラ及びPCR生成物の他の取り扱いとは別の場所で陽圧下で行われた。組織をホモジナイズ後、DNeasy Blood and Tissue キット(Qiagen, USA)を製造元の説明書に従って使用して、25mg相当の組織から全ゲノムDNAを抽出し、50μLの溶出緩衝液で溶出した。エル・インテロガンス血清型カニコーラを2×10レプトスピラ/mLの密度で5mLのEMJH培地で増殖させた。細胞を採取し、同じDNeasy Blood and Tissue キット(Qiagen, USA)を使用して標準曲線用にDNAを抽出した。
【0322】
溶出したDNAの濃度は、NanoDrop分光光度計ND-1000(NanoDrop Technologies, DE, USA)を使用して測定した。すべてのDNA試料は、使用するまで-80℃で保存された。DNAの連続希釈(1×10°~1×10ゲノム当量(GEq)/5μL)を調製し、エル・インテロガンス血清型カニコーラゲノムを5pmolの前進LipL32プライマー(5'-TCTGTGATCAACTATTACGGATAC-3'; 配列番号19)と逆進LipL32プライマー(5'-ATCCAAGTATCAAACCAATGTGG-3'; 配列番号20)を含む2XiQ5 SYBR Greenスーパーミックス(Bio-Rad, CA, USA)を使用するqPCRによって定量した。4マイクロリットルの標準DNA又は試料DNAを10μLPCRミックスに添加し、反応物を、次のプログラム(95℃で3分間、95℃で0.10分、62℃で0.30分、続いて72℃で1.00分を44サイクル、次に最終伸長を72℃で7分)を使用して、CFX96リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, USA)で増幅させた。Bio-Rad iQCycle5 ソフトウェアを使用して標準曲線を作成し、GEqの数を閾値サイクル(CT)値から外挿した。増幅が起きなかった場合、又はCT値が3SD+Ctを超えた場合、陰性結果が割り当てられた。データは、組織1グラムあたりのエル・インテロガンスGEqの数として示されている。
【0323】
統計解析
すべての実験は3重測定で2回繰り返された。クラスカル・ウォリス(Kruskal-Wallis)検定を使用して、異なる免疫群からの生存者間の腎臓又は肝臓中の細菌数の有意差を決定した。結果は、ノンパラメトリックのマン・ホイットニー(Mann-Whitney)検定によって解析して、個々の群間の有意差を決定し、p<0.05、p<0.001の場合に統計的に有意であると見なされた。すべての解析とグラフは、Graph Prism バージョン8(GraphPad Software, Inc., La Jolla, CA)を使用して作成された。
【0324】
ここで実験結果が提供される。
【0325】
病原性レプトスピラにおけるPF07598タンパク質ファミリーとそのオルソログの保存
PF07598によってコードされるVMパラログタンパク質ファミリーは、エル・インテロガンス内で拡張されたレパートリーを有し、血清型ライ、コペンハーゲニ、及びカニコーラには少なくとも12の異なるパラログがある。オルソログは、>90%のアミノ酸同一性を有する(図24)。ほとんどのVMタンパク質は、約640個のアミノ酸で構成され、ABドメイン構造は、2つのタンデムに配列されたβ-三葉型、N末端のリシンB様レクチンドメイン、及びDNase活性を有するC末端の毒素ドメインで構成される。エル・インテロガンス血清型はまた単一のユニークなオルソログもコードし、このオルソログは、N末端リシンB様ドメイン(約313aaのLA0591に代表される)を欠くがシグナル配列を含む。
【0326】
全長VMタンパク質による免疫によりマウスの重篤なレプトスピラ症が予防された
全長組換えVMタンパク質LA3490、LA0620、LA1402、LA1400、LA0591(エル・インテロガンス血清型ライの命名法に従う)を、溶解性と親和性精製を促進するためにチオレドキシン(TRX)-His6親和性タグとのN末端融合体として、及びタンパク質の親和性精製と蛍光顕微鏡による視覚化をそれぞれ容易にするためにmCherry-His6とのC末端融合体として、大腸菌で発現させた(図19A)。組換えVMタンパク質の均一性は、SDS-PAGE及びウェスタン免疫ブロットによって検証された(図19B)。
【0327】
マウスに、グルコピラノシル脂質A/スクアレン水中油(GLA-SE)アジュバントと混合した組換えタンパク質又はPBS対照を筋肉内注射した(図20に概略的に示す)。このアジュバントはヒトでの使用に適合しており、ヒト用の最終的なワクチン開発に向けて動物モデルで試験するのに有用であるため、本実験に選択された。GLA成分(二糖主鎖上の6つのアシル鎖と1つのリン酸基を有する合成の非毒性部分(Pantel et al., 2012, Eur J Immunol, 42(1):101-9))は、C3H/HeJマウス(このマウスは、機能的Toll様受容体(TLR4)をコードする遺伝子の突然変異のために、脂質Aに対する反応性が遺伝的に低下している)においてTLR4アゴニストの免疫刺激効果を有することは期待されないであろう(Beutler et al., 2000, Eur Cytokine Netw, 11(2):143-52)。
【0328】
この免疫研究の主な結果は、マウスが致死的チャレンジ感染(致死量中央値LD50<100であるエル・インテロガンス血清型カニコーラ株LOCaS46株による低継代(P3)の10個の微生物(Salinas et al., 2020, Vaccines (Basel), 8(4))後にレプトスピラ症の重篤な症状を発症したかどうかであった。実験の開始時から>15%の体重減少と定義されるか、又は毛づくろいをしたり、食べたり飲んだりすることができなかったり、重度の倦怠感や猫背を発症して、チャレンジ感染後に重篤な症状を発現した場合、マウスは安楽死させ、重篤な疾患エンドポイントに到達したとみなした。副次的結果は、1)定量的リアルタイムPCRによって測定された肝臓及び腎臓の定量的な細菌負荷、及び2)ELISA及びウェスタン免疫ブロットによって測定された抗体反応であった。
【0329】
免疫化プロトコール後に重篤な疾患を発症したマウスはいなかった。PBS(G-I)とアジュバント、又はリシンBドメインRBL1[t3490,(G-II)]とアジュバントを投与されたマウス群は、チャレンジ感染後にわずかな体重減少を示したが、倦怠感と摂食・飲酒不能によって現れる重篤な病気のために、それぞれ6日目と5日目に安楽死させなければならなかった。5種の混合物(G-III)又は2種の混合物(G-IV)のいずれかである全長VMタンパク質によるワクチン接種は、観察可能なすべての臨床的疾患を予防した(図21A)。この観察は、重度のレプトスピラ症からの防御には全長VMタンパク質が必要であることを示す。
【0330】
rVMタンパク質による免疫は肝臓と腎臓の細菌負荷を大幅に低下させた
4つの実験群の肝臓及び腎臓におけるレプトスピラのレプトスピラ負荷をqPCRによって定量した。チャレンジ感染後、組換えタンパク質とアジュバント(G-II、G-III、及びG-III)で免疫した3つの群では、PBS対照群(G-I)と比較して、肝臓及び腎臓における組織1グラムあたりのゲノム当量(Geq)が約10~10倍減少した(クルスカル-ウォリス検定、ANOVAの結果:肝臓p<0.0001、腎臓p=0.0003)(図21B及び図21C)。対照群PBS(G-I)とのダンの多重比較統計検定(VM混合物(G-III)、p=0.0054、及びVM非標識タンパク質(G-IV)、p<0.0001)により、この統計的有意差が確認された。
【0331】
t3490による免疫は、肝臓と腎臓の細菌負荷を大幅に低下させたにもかかわらず、炎症性サイトカインによって引き起こされる重篤な疾患をもたらした
最初の高度に保存されたリシンB様ドメイン(RBL1)による免疫が致死的チャレンジからの防御を与えるかどうかを確認するために、全長VMタンパク質LA3490の対照として、大腸菌産生組換えRBL1ドメイン(末端切断型3490、t3490)を産生させ、全長LA3490と同じ手順を使用して精製し、免疫研究に使用した。驚くべきことに、t3490で免疫したマウス(G-2)は、チャレンジ感染後に加速された臨床疾患を発症したが、肝臓及び腎臓における細菌負荷は低下した(図21B図21C)。G-2における疾患の増強は、PBS及び全長タンパク質受容体群と比較して、高レベルのTNF-アルファ、IFN-ガンマ、IL-6、及びIL-10、並びにケモカインKC/GROと関連していた(図21D)。
【0332】
チャレンジ前後のPF07598(VM)タンパク質に対するマウス応答の抗体プロフィールと交差反応性
VMタンパク質で免疫されたマウスがIgG抗体応答を発現するかどうかを決定するために、免疫前及び免疫後のマウスから血清を収集し、研究で使用した6つの抗原すべてを使用してELISAによって抗体プロフィールを調べた(図22A)。対照群(G~I)及び免疫前血清は、いずれのVM抗原に対しても検出可能なIgG抗体を示さなかった。t3490抗原に対する抗体応答は、t3490免疫マウス(G-II)の血清で観察され、交差反応性は、LA3490(p=0.0010)とLA1402(p=0.0010)抗原で見られた。
【0333】
VM混合物で免疫したマウス(G-III)の血清は、試験したすべてのVM抗原[t3490、LA3490、LA0620、LA1402、LA1400、及びLA0591、(p<0.0001)]と反応し、最も高い力価はLA3490抗原及びLA1402抗原に対して見られた。VM混合物抗原群の各抗原に対する抗体応答[t3490(p=0.0015)、LA3490(p<0.0001)、LA0620(p=0.0004)、LA1402(p<0.0001)、LA1400(p=0.0003)、LA0591(p<0.0001)]は、VM非標識群(G-IV)の血清で観察され、最も高い力価はLA1400、LA0591、及びLA0620抗原で検出された。t3490、LA3490、及びLA1402抗原に対する抗体応答は、免疫後でチャレンジ前のマウスでも観察された。LA1400、LA0591、及びLA0620に対するチャレンジ前の抗体力価は、生きたエル・インテロガンス血清型カニコーラでチャレンジした後の感染後力価よりも低かった。VMタンパク質の直接的な作用とそのインビボでの免疫プロファイリングについては、さらなる実験的研究が必要である。90%を超えるアミノ酸類似性を有するにもかかわらず、各VMタンパク質はチャレンジ前後の血清に対して独特の反応性を示し、異なるインビボ機能を有する可能性がある。VMタンパク質の反応性の違いは免疫原性の違いを示しており、アミノ酸類似性が高いため、これらはチャレンジ前後の血清と交差反応する。VMタンパク質特異的モノクローナル抗体の生成と防御エピトープの同定は、さまざまなVMタンパク質がレプトスピラ症の発症に寄与する役割とメカニズムを区別するのに役立つであろう。
【0334】
交差反応性は、免疫動物のプール血清を用いて、ニトロセルロース膜上に固定化された組換えVMタンパク質を調べるウェスタン免疫ブロット分析によって確認された(図22B)。採血前血清及びPBS対照(G-1)群は、VM混合物及びVM非標識組換え抗原のカクテル(それぞれ5つのタンパク質と2つのタンパク質)との反応性を示さなかった。t3490で免疫したマウスの血清は、t3490抗原に対して大きな抗体力価を示し(図示していない)、全長VMタンパク質と交差反応したが、LA1400とはわずかに反応し、N末端リシンBドメインを欠くLA0591とは反応せず、t3490のみがVMタンパク質のN末端領域で共有されるエピトープと交差反応することを示唆している。VM混合物群(G-III)の血清は5つの抗原すべてと交差反応し、反応性パターンはそれぞれと一致した。VM非標識群(G-IV)の血清とのLA1400の反応性は、すべてのVMタンパク質の中で、またG-III及びG-IVマウスに免疫されたVM抗原の同じカクテルロットにおいて、最も高かった。LA1400抗原に対する高力価抗体(ELISAとウェスタンブロットの両方で測定)がVM非標識群血清(G-IV)で誘導されたという知見は、LA1400が他のVMタンパク質と比較して、マウスで最も強い体液性免疫応答を誘発し、防御免疫を媒介することに関与している可能性があることを示唆している。しかしながら、これらのデータは、これらのVMタンパク質の1つ以上がこの動物モデルの発症を仲介するという強い確信を提供しない。これらの観察に基づくワクチン接種にどのVMタンパク質を使用すべきかについての将来の最適化は、これらのデータによって裏付けられる。
【0335】
インビトロ及びインビボでのVMタンパク質の発現と病原性血清型間での交差反応
120mM NaCl有り又はなしで誘導したエル・インテロガンス血清型ライ、カニコーラ、及びコペンハーゲニ、及び非病原性株エル・ビフレキサ(L.biflexa)血清型パトックからのタンパク質抽出物を、ポリクローナル抗LA3490抗体を使用してウェスタンブロットで調べた。天然VMタンパク質の発現は、病原性血清型ライ、カニコーラ、及びコペンハーゲニでは分子量約70kDaの予測されたサイズで見られたが、血清型パトックでは見られなかった(陰性対照は、この腐生種にはPF07598遺伝子ファミリーメンバーが存在しないことを示した)(図23A)。
【0336】
限られたセットのVMタンパク質による免疫が広範な交差反応性の抗VMタンパク質抗体をもたらすかどうかを判断するために、レプトスピラ・インテロガンス血清型カニコーラ及び非感染性腐生菌エル・ビフレキサ血清型パトックからの無細胞タンパク質抽出物を使用するウェスタン免疫ブロット分析によって、インビボでのVMタンパク質発現と交差反応性血清型免疫プロフィールを推定した。免疫群からの抗体は、血清型カニコーラに対する抗体が予測サイズ(約70kDa)のVMタンパク質を認識することを示し、チャレンジ感染中のインビボのVMタンパク質発現を示唆した。この抗体反応性は、チャレンジ後のG-III及びG-IV血清とも反応した。しかしながら、陰性対照である血清型パトック無細胞溶解物では反応性は見られなかった(図23B)。より低分子量の反応性タンパク質がG-III及びG-IVからのの血清で検出され、VMタンパク質がタンパク質分解プロセシングを受けている可能性を示唆している(図23B)。これらの低分子量タンパク質がレプトスピラの発症に役割を果たしているかどうかを判断するには、さらなる研究が必要である。
【0337】
IgG抗体プロフィールは、同種及び異種VMタンパク質に対して定量化された。エル・インテロガンス血清型カニコーラ及び非病毒性株エル・ビフレキサ血清型パトックからの無細胞タンパク質抽出物を、ELISAプレートに吸着させた固相抗原として使用した。ELISAにより、血清型カニコーラと、チャレンジ後のVM混合物(G-III)及びVM非標識(G-IV)マウス群の血清との反応性が確認された。G-III及びG-IV群の免疫に使用されたエル・インテロガンス血清型ライがコードするVMタンパク質は、血清型カニコーラの溶解物と交差反応した。特に、VMタンパク質のオルソログは血清型エル・インテロガンスで高度に保存されており、この観察された交差反応性と一致している。非病原性血清型パトックは、チャレンジ前又はチャレンジ後のいずれにおいても、対照マウス群及び免疫マウス群のマウスの血清と交差反応しなかった(図23C)。
【0338】
実施例4:マウスモノクローナル研究
500nM濃度の標的抗原LA0591に対してYUMS1Bからの5つのクローンを使用して、スカウティングを実行した。5つのクローンすべてが、pMから2桁のnMの範囲の親和性を有し陽性であると判定された。上の表では、クローンは親和性が最も高いものから最も低いものまでランク付けされている。単一の分析物濃度でのスカウティングからのKDは概算値にすぎず、5~6の分析物濃度範囲で完全な反応速度論によって決定されたKDと比較すると、最大10倍高い又は低い値になる可能性があることに注意されたい。
【0339】
図25~27は、組換えVMタンパク質とのモノクローナル上清(YUSM001B)の反応性を示す。
図28は、組換えVMタンパク質とのモノクローナル上清(YUSM001A、LA1400)の反応性を示す。
図29は、確認のためのスクリーニングデータを提供する。
図30は、マウスIgG定量データの表を提供する。
【0340】
実施例5:病毒性レプトスピラは、リシンB様レクチンドメインを含有する細胞毒素からなる独特の遺伝子ファミリーを進化させた
ここでは、LA3490(Q8F0K3)に代表されるレプトスピラの病毒性修飾(VM)タンパク質が、実験的に検証された最初のレプトスピラ外毒素である、正真正銘のR型レクチンドメインを含有する細胞毒素であることが証明される。rLA3490は、末端ガラクトシル残基に対する特異性を有するN末端R型レクチンドメインを介してHeLa細胞に結合し、迅速に細胞内に取り込まれる。これは、結合/内在化後、核標的化シグナルと核内受容体結合用のツインLxxLLモチーフを介してHeLa細胞核に移行する。細胞表面の結合と内在化は急速であることが示されており、曝露後30分以内に起きる。rLA3490は、HeLa細胞に対して多面的な作用を引き起こし、この作用には、アクチンの脱重合、カスパーゼ3の活性化、核の断片化、そして最終的には水疱形成と細胞死滅が含まれる。細胞死滅のメカニズムの1つは、VMタンパク質の核局在後に起きるゲノムDNAの分解に起因すると考えられる。精製されたHeLa細胞ゲノムDNA、及びスーパーコイル化及び線状化された細菌プラスミドDNAを使用するインビトロ実験の裏付けは、rLA3490、及びこれまでに試験された少なくとも4つの他のVMタンパク質が、エンドDNase活性及びエキソDNase活性を有することを示す。
【0341】
CBR欠失変種を除いて、ほとんどのVMタンパク質は古典的なAB毒素パラダイムに適合する(Odumosu et al., 2010, Toxins (Basel), 2:1612-1645)。レプトスピラVMタンパク質遺伝子全体には、他の細菌の2つ又は3つの別個の遺伝子によって共通にコードされるドメインが含まれている。VMタンパク質には少なくとも2つの機能的に異なる領域があり、N末端は宿主細胞の標的化(結合と内在化)に部分的に関与し、C末端は細胞毒性(細胞内輸送/酵素活性)を部分的に媒介する。N末端セグメントは、レプトスピラ血清型間でかなりよく保存されており(対になったアミノ酸の平均同一性が約78%)、糖タンパク質の末端ガラクトシル残基に対するリシンB鎖と結合特異性を共有する確認済みのR型レクチンドメイン(アミノ酸位置40~174)を含む。対照的に、C末端セグメントはあまり保存されておらず(対になったアミノ酸の平均同一性が約63%)、細胞毒性を媒介すると考えられる。これまでに試験された他のVMタンパク質はインビトロでDNase活性を示すため、この配列多様性は、触媒活性ではなく、VMタンパク質の細胞標的化特異性(すなわち、結合/内在化及び細胞内輸送の成功)に影響を与えると考えられる。パラログのファミリークラスターが拡張されたという証拠にもかかわらず、PF07598遺伝子ファミリーの多様化の理由は依然として不明であるが、1つの有力な仮説は、パラログの拡張により、異なるレプトスピラの異なる宿主への適応が可能になったというものである。PF07598ファミリーメンバー間の病毒性の違いを示す可能性のある配列モチーフを決定するには、VMタンパク質の構造と機能を比較するさらなる実験とインシリコ分析が必要である。
【0342】
ゲノム内距離の比較により、毒性の高い群I病原性レプトスピラにおける拡張されたVMタンパク質レパートリーは、一連の遺伝子重複事象とそれに続くN末端セグメントとC末端セグメントの自律的進化から生じ、後者ではそれがより急速に起きていることが明らかになった。入手可能なデータに基づくと、最初の重複事象によりLA1402//LA1400が生成されたようであり、これは、毒性の低い群I病原性種の近似オルソログを用いてこれまでに同定された唯一のエル・インテロガンスVMタンパク質を構成する(Fouts et al., 2016, PLoS Negl Trop Dis. 10(2):e0004403)。この最初の事象に続いて、おそらくLA1400に由来すると考えられる連続した重複が続き、3つの別個の遺伝子クラスター[A、B、及びC(Fouts et al., 2016, PLoS Negl Trop Dis. 10(2):e0004403)]が形成され、最大のものは7つのVMタンパク質をコードする遺伝子(LA3490及びLA0620を含む)を含む。一部の血清型は、特定のVMタンパク質遺伝子を喪失している(例えば、血清型ライからLICRS03300及びハードジョー(Hardjo)からLA3271)ように見え、一方、他の血清型はさまざまなCBR欠失変種を含む。レプトスピラ血清型間でのVMタンパク質の不均一な分布と、宿主細胞を標的とする特異性におけるこれらの暗黙の差異は、一部の血清型が他の血清型よりも本質的に毒性が高く、従って臨床的及び公衆衛生上の重要性が高まっていることを示す最初の決定的な証拠である。VMタンパク質をコードする遺伝子のほとんどは、エル・インテロガンスとその姉妹種でのみ見つかる。LA3490(Q8F0K3)などの一部のVMタンパク質はヒト細胞に対して特に有毒であることが証明されているため、血清中のVMタンパク質の存在は重篤な疾患の合併症を予兆し、効果的な臨床的リスク評価の基礎となる予後情報を提供する可能性がある。
【0343】
毒性と病原性が明確に関連し、経路に依存するリシン(吸入と重篤な呼吸障害が最も致死的である)と同様に、宿主細胞の特異性の推定される差異(すなわち、宿主細胞の曝露と感受性)と結びついている特定のVMタンパク質の部位特異的発現は、重度のレプトスピラ症のさまざまな臨床症状を説明できる可能性がある。実際、レプトスピラ症の分子的の及び細胞的発症を理解する努力はまだ初期段階にあり、レプトスピラ症を予防したりその発症を改善したりするアプローチは、レプトスピラと宿主の相互作用の生物学の機構的理解に基づいている。例えば、肺出血及び難治性ショックは、レプトスピラ症の特に重要な臨床症状である(Sehgal et al., 1995, Indian J. Med. Res, 102:9-12; Marotto et al., 1999, Clin. Infect. Dis, 29:1561-1563; Segura et al., 2005, Clin. Infect. Dis, 40:343-351; Gouveia et al., 2008, Emerg. Infect. Dis, 14:505-508; Truong and Coburn, 2011, Front. Cell Infect. Microbiol, 1:24; Helmerhorst et al., 2012, Neth. J. Med. 70:215-221; Ruwanpura et al., 2012, Med. J. Malaysia, 67:595-600)。これらの重篤な症状が血液透析/血液濾過によって改善されるという間接的な証拠(Andrade et al., 2007; Cleto et al., 2016)は、レプトスピラ症では循環する可溶性毒素が存在する可能性を示唆している。重度の肺レプトスピラ症症候群における肺組織の組織病理学的分析では、無傷のレプトスピラは検出されず(Nicodemo et al., 1997, Am. J. Trop. Med. Hyg, 56:181-187)、むしろ肺胞上皮の損傷と内皮細胞の活性化が検出され、2次的事象として免疫グロブリン及び補体が沈着する(Nally et al., 2004; Croda et al., 2010, Clin. Microbiol. Infect, 16:593-599; De Brito et al., 2013, PLoS One, 8:e71743)。それにもかかわらず、さまざまなスフィンゴミエリナーゼ/溶血素(Narayanavari et al., 2015, PLoS Negl. Trop. Dis. 9:e0003952; Chaurasia and Sritharan, 2020, Microbiology (Reading) 166, 1065-1073)及びコラゲナーゼ(Kassegne et al., 2014, Leptospira species. J. Infect. Dis, 209:1105-1115)とは別に、いくつかの潜在的なレプトスピラ毒素が同定されているが、レプトスピラ症の多様な臨床スペクトルの病因的特徴を適切に説明できるものはない。それにもかかわらず、血液透析と血液濾過は依然として救命介入であるが、レプトスピラ症流行地域の大部分においては臨床資源及び/又は能力を超えている。対照的に、他のAB毒素(Odumosu et al., 2010, Toxins (Basel), 2(7):1612-45)、例えばCARDS(Somarajan et al., 2014, mBio, 5:e01497-e01514; Becker et al., 2015, Proc Natl Acad Sci USA, 112(16):5165-70)、及びリシン(Yermakova et al., 2014, mBio, 5:e00995; Gal et al., 2017, Toxins (Basel), 9:311)と同様に、VMタンパク質の細胞表面結合/細胞侵入及び/又は細胞内輸送/毒性を撹乱するモノクローナル抗体(mAb)ベースの生物製剤又は小分子阻害剤(Benz and Barth, 2017, Curr. Top. Microbiol. Immunol, 406:229-256)を使用してVMタンパク質の毒性を軽減することは、より一般的に利用可能な代替手段を構成するであろう。
【0344】
ここで提示されたデータは、既に発表された観察(Matsunaga et al, 2007; Infect Immun, 75(6): 2864-2874; Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468; Fouts et al., 2016, PLoS Negl Trop Dis. 10(2):e0004403)に基づいており、レプトスピラVMタンパク質が、おそらくレプトスピラ症の分子的及び細胞的病因に関与する主要な病毒性因子であることを示す。それ以来、トランスポゾン突然変異誘発スクリーニングにより、複数のVMタンパク質、特にQ8F6G8(遺伝子ID、LA0589)がハムスターの致死性疾患に寄与していることが示された(Murray et al., 2009, Infect. Immun, 77:810-816; Truong and Coburn, 2011, Front. Cell Infect. Microbiol, 1:24)。それにもかかわらず、これまでVMタンパク質は、役に立たない機能不明のタンパク質ファミリーであるPF07598として分類された。今回、Phyre2に基づく予測により、これらのタンパク質が、タンパク質のスーパーファミリーであるR型レクチンに属し、リシンB鎖にちなんで名付けられ構造的に類似した炭水化物結合活性を有し、植物、動物、細菌に存在することが確認された(Cummings et al., 2017, Cold Spring Harbor Laboratory Press)。リシンとそのB鎖(及び他のR型レクチン)は、さまざまな宿主細胞表面複合糖質の末端ガラクトース又は他の関連グリカンに結合し、これにより、リシンA鎖の標的細胞への移行と内在化が促進され、タンパク質合成の阻害を介して細胞死滅が引き起こされる(Montanaro et al., 1973, Biochem. J, 136:677-683; Sperti et al., 1973, Biochem. J, 136:813-815; Lord et al., 2003, Toxicol. Rev, 22:53-64; Sowa-Rogozinska et al., 2019, Toxins (Basel), 11:350)。同様に、志賀毒素、百日咳毒素、ジフテリア毒素などの細菌性AB毒素は、28SrRNA又はヘテロ三量体Gタンパク質のaiサブユニットのADPリボシル化、又は伸長因子2の不活化のいずれかによって細胞死滅を媒介する(Brown et al., 1980, FEBS Lett. 117, 84-88; Cemal, 1999, Design And Construction Of Membrane-Acting Immunotoxins For Intracellular And Secreted Protein Expression In Pichia Pastoris. Ph.D. Thesis, University of Cambridge, Cambridge; Coutte and Locht, 2015, Future Microbiol, 10:241-254; Cherubin et al., 2018, Sci Rep, 8(1):2494)。レプトスピラVMタンパク質のような遺伝毒素(例えば、細胞致死的膨張毒素(CDT))はあまり研究されていない。レプトスピラVMタンパク質の特性評価により、細菌遺伝毒素のいくつかの一般的な特徴が明らかになった。例えば、それらはDNase活性を示し、核局在化シグナルを介して核に移行し(McSweeney and Dreyfus, 2004, Cell Microbiol, 6:447-458)、そしてカスパーゼ3依存性及び非依存性メカニズムを介して細胞死滅を引き起こすなど、標的細胞に対して多面的な発現作用を有する(Ohara et al., 2008, Infect. Immun, 76:4783-4791)。
【0345】
ここで提示したデータを古典的なAB毒素パラダイム内で再文脈化することにより、重複するVMタンパク質-リシンB炭水化物結合特異性を与えたリシンBについて報告されているように(Simmons et al., 1986, J. Biol. Chem, 261:7912-7920; Lord et al., 1992, Biochem. Soc. Trans, 20:734-738; Newton et al., 1992, J. Biol. Chem, 267:11917-11922)、おそらくマンノース受容体を介して細胞表面に結合後、リシン及びほとんどのAB毒素、例えば志賀毒素のように(Arfilli et al., 2010, Biochem. J, 432:173-180)、VMタンパク質はエンドサイトーシスされ;細胞質に放出され、次に、1つ以上のLxxLLモチーフを含む両親媒性αヘリックスを介して核孔複合体に結合した後、内部核局在化シグナル獲得侵入を介して核に運ばれ;次に、細孔を通って核質に活発に移動し、固有のエキソヌクレアーゼ活性を介して核の断片化を引き起こし;おそらく、サイトゾル内で遊離している場合、輸送中に未知の機構を介してカスパーゼ-3の活性化と細胞主鎖の分解を誘導する可能性がある、と提案されている、
【0346】
異なるVMタンパク質(rLA3490、t3490、及びt0620)のリシンB様レクチンドメインが、固定化されたアシアロフェチュイン(Wales et al., 1994, Glycoconj J, 11:274-281; Frankel et al., 1996, Biochemistry, 35:14749-14756; Dawson et al., 1999, J. Appl. Toxicol, 19:307-312)に結合したことが証明されているが、天然の標的リガンド、及び細胞標的はまだ明確になっていない。第2に、VMタンパク質間の細胞障害性能の違い、これらの宿主細胞標的特異性、及びそれらが多面発現効果を発揮する分子経路はまだ十分に解明されていないが、これらの最初の実験は、これらがAB型の細胞毒性遺伝毒素である可能性が高いことを示している。第3に、レプトスピラVMタンパク質が連続する遺伝子重複事象から生じたことがますます明らかになりつつある一方で、他の病原性レプトスピラ種(Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468; Fouts et al., 2016, PLoS Negl Trop Dis. 10(2):e0004403)と比較して、エル・インテロガンス、エル・キルシュネリ、及びエル・ノグチイ(Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468) でレパートリーが拡大した理由は理解されておらず、レプトスピラ血清型間でVMパラログが不均一に分布している理由も理解されていないが、まだ知られていない生態学的ニッチの特殊性は非常にもっともらしいが、おそらく大腸菌における志賀毒素産生に似た、土壌/地表水における真核生物の捕食に対する防御であると考えられる(Lainhart et al., 2009, J. Bacteriol, 191:5116-5122)。
【0347】
実験に使用された材料と方法について説明する。
【0348】
コンピューター解析
機能的なサブドメインを同定するために、エル・インテロガンス血清型ライのそれぞれLA3490とLA0620によってコードされるQ8F0K3とその最も近いパラログQ8F8D7のアミノ酸配列が、Phyre2リモート相同性検索ポータル1に別々に提出された(Kelley et al., 2015)。両親媒性の潜在的に膜結合性のαヘリックス、推定上の真核生物のタンパク質選別シグナル、タンパク質分解性切断、リン酸化部位、結合/ドッキングモチーフなどの短い機能領域とモチーフが、HeliQuest2(Gautier et al., 2008, Bioinformatics, 24:2101-2102)及び真核生物線形モチーフ(Eukaryotic Linear Motif)(ELM)リソース3(Kumar et al., 2020, Nucleic Acids Res. 48, D296-D306)によって特定された。臨床的に関連するすべてのレプトスピラ種、並びにエル・アレクサンデリ(L. alexanderi)とエル・アルストニイ(L. alstonii)を表す約3,000のPF07598|VMタンパク質を、完全なPF07598参照整列に基づくカスタム構築されたHMMモデルに対して整列された。整列したアミノ酸残基を目視検査した後、ドラフトゲノムに由来する場合、あいまいなアミノ酸を含むすべての(VMタンパク質)配列に部分的な注釈が付けられた;少なくとも1つの推定される機能的サブドメイン[すなわち、RBL1/RBL2/CTD(カルボキシ末端ドメイン)のいずれか]にまたがらないものは除外された。クラスター化分析では、CBR(炭水化物結合領域)及びCTD(すなわち、Q8F0K3に関して、それぞれアミノ酸位置23~343及び344~639)を含む部分整列が、厳選されたグローバル整列から除去され、Rパッケージbio2mds(Pele et al., 2012, BMC Bioinformatics, 13:133)を使用して、「ギャップのある」列(すなわち、>50%のギャップを含む)を除外して、全離散対全ての対の距離行列の計算の入力として使用した。全長整列とCBR及びCTD部分整列の密接なアミノ酸関連性を示す対の距離行列が、公衆衛生上重要な6つのレプトスピラ血清型(エル・インテロガンス血清型コペンハーゲニ、カニコーラ、ハードジョー、ライ、マニラエ、及びポモナ、及びエル・キルシュネリ・ポモナ)が提供される。整列が不十分な列は、Jalviewv2.11.4の目視検査によって用手的に改善された。断片化されたVMタンパク質(すなわち、少なくとも1つの機能サブドメインにまたがらないもの)は除去された。厳選された複数の配列整列は、HHpred4を介するPDB、SCOPe70、SMARTv6、及びUniProt-SissProt-viral70データベースに対するHMMプロフィールベースのリモート相同性検索の入力として使用された。コンセンサス2次構造はAli2D5を使用して予測され、3D(タンパク質)構造はAlphaFoldを使用して予測された(Callaway et al., 2020, Nature, 588(7837):203-4; Jumper et al., 2020, predictioncenterorg/casp14/doc/CASP14_Abstracts; Senior et al., 2020, Nature, 577(7792):706-10)。予測されたレクチンドメインを含むアミノ末端半分と、推定上の毒素サブドメインを含むC末端半分の別々の距離行列を生成して、これらの進化的関連とクラスター化関係を推測した。
【0349】
インビトロでのレプトスピラ培養と病毒性遺伝子発現
ハムスターを介して継代されて高病毒性(LD50<100)を回復した低継代の病毒性エル・インテロガンス血清型ライ株56,601(Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468)は、半固体エリングハウゼン-マカロウ-ジョンソン-ハリス培地(EMJH, BD Biosciences, United States)中で30℃で維持された(Ellinghausen et al., 1965, Am J Vet Res, 26:39-44)。公表されたデータは、VMタンパク質が急性レプトスピラ症のハムスターモデルにおいてインビボで転写的にアップレギュレートされて(Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468)、インビトロでの発現を最大化することを示したため、インビトロで病毒性遺伝子発現を誘導することが知られているインビボの宿主環境を模倣した条件下でレプトスピラを増殖させた(Matsunaga et al., 2005, Infect Immun, 73(1):70-8)。EMJH培地中の中間対数期培養物(2×10レプトスピラ/ml)を18,514gで遠心分離して採取した。ペレット化した細胞を1×PBSで2回洗浄し、120mM NaClを補足した液体EMJH培地に再懸濁し、次に37℃で4時間インキュベートした(Sigma Aldrich, United States)。
【0350】
病毒性遺伝子の誘導後、培養上清を18,514×gで20分間遠心分離して収集し、0.22mmメンブレンフィルター(Merck Millipore, Germany)で濾過して清澄化し、次に30kDaのAmicon(登録商標)超遠心フィルター(Merck Millipore, Germany)で濃縮した。誘導された培養上清と誘導されていない培養上清(ベースラインのインビトロ発現に相当する)を、ウサギ抗LA3490ポリクローナル抗血清とプローブ結合させたウェスタンブロットによって分析した。総タンパク質は、BCAアッセイ(Pierce(商標) BCA Protein Assay Kit, Thermo Fisher Scientific, United States)によって推定された。
【0351】
哺乳動物細胞培養
アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection, United States)から入手したHeLa細胞を、10%ウシ胎児血清と1%抗生物質-抗真菌溶液(ペニシリン、100単位/ml;ストレプトマイシン、100mg/ml;及びアンホテリシン、25mg/ml;Invitrogen, United States)を補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Sigma-Aldrich, United States)中で、組織培養プレートで単層として5%COを含有する加湿インキュベーター内で37℃で増殖させた。各実験の前に、抗生物質を含む培地を新鮮な抗生物質を含まない培地と交換した。
【0352】
プラスミド構築物とクローニング
完全なLA3490コード配列(NP_713670.1)から予測シグナルペプチド(すなわち、ヌクレオチド位置57~1,917bpに相当)を除いたもの、又は位置40~174bpを含むN末端切断型のいずれかからなり、グリシン-セリンヒンジ(GGGGSGGGGSGGGGS;配列番号93)を介してmCherry(AST15061.1)に連結されたPhyre2で予測されるリシンB様レクチンサブドメインを含む大腸菌コドン最適化遺伝子融合体を合成し、pET32b(+)(Gene Universal Inc., United States)にクローニングした。使用前に、構築物を配列決定によって検証した。
【0353】
組換えタンパク質の発現と精製
PF07598タンパク質はシステインに富んでいる[LA3490は12個のシステインをコードする]ため、細胞質内でジスルフィド結合を促進し、適切なタンパク質のフォールディングを確保する能力により、組換えタンパク質をSHuffleR T7コンピテント大腸菌細胞(New England Biolabs, United States)で発現させた。形質転換体を、100mg/mlのアンピシリンを含むルリア-ベルターニ(LB)培地で継代培養した。培養物のODが0.6に達したら、1mMイソプロピル-b-D-チオガラクトシド(IPTG;Sigma-Aldrich, United States)を添加して、16℃、250rpmで24時間、発現を誘導した。
【0354】
誘導後、細胞を遠心分離によってペレット化し、50Uのベンゾナーゼヌクレアーゼ(Sigma-Aldrich, United States)、0.2mg/mlのリゾチーム、非EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche, United States)と1mMPMSF(Sigma-Aldrich, United States)を含むCelLytic(商標)B(細胞溶解試薬;Sigma-Aldrich, United States)で、細胞を37℃で30分間溶解した。溶解物を4℃、18,514×gで10分間遠心分離した。上清とペレットを分離し、4~12%ビス-トリスドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分析した。
【0355】
上記のように、タンパク質濃度をBCAアッセイによって測定した。組換えチオレドキシン(TRX)-His6-VMタンパク質-(GGGGSGGGGSGGGGS;配列番号93)-mCherry-His6融合タンパク質を、100mM NaHPO、10mMトリス-HCl、及び25mMイミダゾールを含む緩衝液(pH8.0)であらかじめ平衡化した5mlの充填済みNi-セファロースAKTAHi-TRAPカラム(GE Healthcare, United States)を使用して単離した。次に、結合した融合タンパク質を、500mMイミダゾール(pH8.0)の存在下でカラムから溶出した。溶出液をプールし、30kDaのAmicon(登録商標)超遠心フィルターで濃縮し、次に大容量エンドトキシン除去スピンカラム(Thermo Fisher Scientific, United States)を使用して遠心分離してリポ多糖汚染を除去した。組換えタンパク質調製物を、4℃で穏やかに撹拌(350rpm)しながら、1×PBS(pH7.4)に対して一晩透析し(30kDaカットオフ、Slide-A-Lyzer、Thermo Fisher Scientific, United States)、次に、40-kDa Zeba(商標)脱塩スピンカラム(Thermo Fisher Scientific, United States)を使用してイミダゾールを除去し、使用するまで-80℃で保存した。
【0356】
アシアロフェチュイン結合とリシンB鎖競合結合アッセイ
Phyre2予測リシンB様レクチンドメインの結合特異性を確認するために、大腸菌で産生された組換え全長型及び末端切断型Q8F0K3(すなわち、それぞれrLA3490とt3490)及びレプトスピラ分泌VMタンパク質が、リシンBのように固定化アシアロフェツインに結合するかどうかを試験した。rLA3490/t3490を使用する結合アッセイは、ImmulonR 2HB平底マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific, United States)を使用して実施した。プレートをアシアロフェツイン(炭酸-重炭酸緩衝液(pH9.4)中5ng/ml)でプレコートし、4℃で一晩インキュベートした。使用前に、プレートを1×TBST中の5%脱脂粉乳を用いて37℃で2時間ブロックした。ブロック後、rLA3490、t3490、及び組換えリシンB鎖(Vector Laboratories, Inc., United States)を、1×TBST中で0.9、4.50、及び9.05nMのモル濃度で個別に3重測定で追加した。プレートを2時間インキュベートし、1×TBSTで3回洗浄し、次にTBST(Invitrogen, United States)中1:1,000の抗LA3490ポリクローナル抗体又は抗リシンB鎖モノクローナル抗体と共に1時間インキュベートした。結合したrLA3490/t3490を定量するために、プレートをヤギ抗マウスIgG(1:5,000;KPL, United States)と共に1時間インキュベートし、TBSTで3回洗浄し、p-ニトロフェニルリン酸(1-Step(商標)PNPP基質溶液;KPL, United States)で発色させた。反応を2M NaOHで停止し、SpectraMaxR M2eマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, United States)を使用して405nmで吸光度を読んだ。競合結合アッセイでは、アシアロフェチュイン(2.5ng/ml)で予備コーティングしたプレートを25又は50nMの組換えリシンB鎖(Vector Laboratories, United States)と2時間予備インキュベートした後、50nMのrLA3490/t3490を加え、最後の2時間インキュベートした。抗LA3490ポリクローナル抗体を使用して、結合した組換えタンパク質を定量した。レプトスピラ分泌VMタンパク質がアシアロフェチュインに結合する能力は、コーティングされたセファロースRビーズを使用して評価した。0.1M NaHCO3に溶解した市販のアシアロフェチュイン(1mg/ml)(Sigma-Aldrich, United States)を、PBSで洗浄したNHS活性化セファロースビーズ(GE Healthcare, United States)と結合させた。懸濁液を室温で1時間ゆっくり撹拌し、占有されていないNHS基を1Mエタノールアミン(pH9)で1時間ブロックした。洗浄したビーズを、分泌されたタンパク質を含む清澄化されたレプトスピラ培養上清250mgと1時間インキュベートし、次にMEPBS(4mMb-メルカプトエタノール、2mM EDTA、及び20mMリン酸ナトリウム(pH7.2)緩衝液を用いて、200×gで1分で2回洗浄した。結合タンパク質を0.5Mラクトースで溶出し、4~10%ビス-トリスSDS-PAGEで分析した後、上記と同様にマウス抗LA3490ポリクローナル抗体(1:2,000希釈)を用いるウェスタンブロットを行った。
【0357】
rLA3490媒介HeLa細胞の細胞毒性
HeLa細胞(35,000細胞/200ml)を8ウェルチャンバースライド(LabTek, United States)に接種し、5%COを含む加湿雰囲気中、37℃で24時間インキュベートした。細胞を、事前に最適化された濃度の45nMのrLA3490で処理し;t3490処理、BSA処理、及び未処理のHeLa細胞を対照として使用した。スライドを最大4時間インキュベートし、ライカDMi8倒立顕微鏡(Leica Microsystems, Germany)を使用して×40対物レンズでタイムラプス画像を撮影した。rLA3490、t3490、又はBSAへの曝露の前後の接着細胞、又は未処理のHeLa細胞を×10倍対物レンズでキャプチャし、LAS AF 2D定量的画像解析ソフトウェア(Leica Application Suite X, LAS X; Leica Microsystems, Germany)を使用して細胞を計数した。画像の鮮明さを向上させるために、グレースケールプレフィルターを適用した。剥離は100×(4時間の細胞数/0時間の細胞数)として定量化され、2回以上の反復実験の平均として報告される。
【0358】
生死及びLDHアッセイ、並びにF-アクチン染色
HeLa細胞を45nMのrLA3490又はt3490に4時間曝露した。次に、単層を1×PBS(pH7.4)で2回洗浄した。PBSに溶解した2mMカルセインAM/4mMエチジウムホモダイマー-1(Live/Dead(登録商標)ViabilityKit, Invitrogen, United States)200mlを各ウェルに添加し、プレートを暗所で30分間インキュベートした。単層をPBS(pH7.4)で洗浄して、非特異的なバックグラウンド蛍光を軽減した。BSAと未処理のHeLa細胞を対照として使用した。画像は、緑色(生細胞)及び赤色(死細胞)蛍光用の適切な励起及び発光フィルターを備えた×10対物レンズを介して、ライカDMi8顕微鏡を使用して撮影された。細胞溶解は、培養上清中の乳酸デヒドロゲナーゼの濃度をアッセイすることによって定量化された(CyQUANT(商標)LDH細胞毒性アッセイ、Invitrogen, United States)。F-アクチン染色では、細胞単層を最大1時間暴露し、PBS(pH7.4)で2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒド(Sigma-Aldrich, United States)で室温で30分間固定した。固定液の吸引後、単層をPBSで2回洗浄し、次にPBS中の0.1%トリトンX-100を各ウェルに5分間添加してから、PBSで洗浄を繰り返した。製造業者の説明書に従って、単層をファロイジンAlexa_488nmコンジュゲート(Invitrogen, United States)とともに室温、暗所で30分間インキュベートした。核を、DAPIを含む0.1mg/mlのProLong(商標)Gold Antifade Mountで10分間染色した。すべての画像は、適切なフィルター[Alexa_488nm(緑色)、DAPI(青色)]を備えたライカDMi8顕微鏡を使用し、×40対物レンズで撮影された。
【0359】
HeLa細胞によるrLA3490の内在化
HeLa細胞を8ウェルチャンバースライド(LabTek, United States)に接種し、上記のようにインキュベートした。単層を45nMのrLA3490又はt3490で最大60分間処理し、PBSで2回洗浄した後、製造業者の説明書に従ってCellMask(商標)Green Plasma Membrane 染色液(Invitrogen, United States)で染色した。核を、DAPIを含む0.1mg/mlのProLong(商標)Gold Antifade Mountで10分間染色した。画像は、ライカSP8 Gated STED 3×超解像度共焦点顕微鏡(Leica Microsystems, Germany)を使用し、油浸の×100対物レンズを介して撮影した。3次元Z投影は、LAS Xソフトウェアを介して24~42の断面画像(深さ、6.87mm、間隔、298.5nm)から得られた。
【0360】
DNA断片化/ラダーリングアッセイ
DNaseアッセイは、10mMトリス及び3mM MgCl(pH7.5)を含む最終容量15mlの1×トリス塩化マグネシウム(TM)試料緩衝液(pH7.5)(Nakamura and Wisnieski, 1990, J. Biol. Chem, 265:5237-5241)中で、単離されたHeLa細胞ゲノムDNA(QiAmp DNesay Blood and Tissueキット;Qiagen, Invitrogen, United States)を使用して行い、90%コンフルエントになったときに単層をトリプシン処理し、有核哺乳動物細胞について製造業者が推奨するプロトコールに従ってゲノムDNAを単離した。組換えタンパク質rLA3490又はt3490(陰性対照として)をTMで希釈し、使用前に22℃に平衡化させた。3、10、30、又は100nMの組換えタンパク質を含む3重測定の反応物を、150ngのゲノムDNA(22℃にあらかじめ平衡化)で開始し、異なる時点で、予備混合したローディング緩衝液、ゲルローディング色素、紫色(6x)(New England Biolabs, United States)の添加により終了させ、1%アガロースゲル電気泳動によって分析した。ゲルを臭化エチジウム(0.5ml/ml)で染色した。ゲル画像は、Gel Doc UV照明(Gel Logic 212 Pro、Carestream Molecular imaging, United States)を使用して撮影された。エンドヌクレアーゼ活性は、400ngの未消化(すなわち、スーパーコイル状)pETプラスミドベクター又はHindIII消化pETプラスミドベクターをインプットとして使用して評価した。これらのアッセイは、補完的な蛍光ベースのアプローチを使用して、その50末端がフルオレセインで標識され、及びその30末端がブラックホールクエンチャーBHQ-1Rで標識された二重標識オリゴヌクレオチドプローブ[これは、DNase存在下で強力な蛍光(励起/発光495/520nm)を発する]を使用して、繰り返された。前と同様に、組換えタンパク質をTM(3、10、又は30nM)で希釈し、使用前に22℃で10分間平衡化させた。マスターミックス、オリゴヌクレオチドプローブ、検出緩衝液、ROX参照色素、及び10mlの予備平衡化した組換えタンパク質(TM緩衝液中)を含む20マイクロリットルの反応物を、CFX96TouchリアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, United States)を使用して、36℃で10秒間、及び37℃で50秒間を30サイクルからなる2ステップ熱サイクルプロトコールに供した。蛍光を5分ごとに記録した。DNaseI(0.02単位/ml)を陽性対照として使用し、PCRグレードの水を陰性対照として使用した。
【0361】
統計解析と画像編集
再現性を評価するために、すべての実験を3重測定で少なくとも2回繰り返した。結果は平均値と標準偏差として表される。対応のない両側スチューデントのt検定を使用して、統計的有意性を評価した。データはGraph Prism 8により視覚化された。すべての図はAdobe Illustratorを使用して作成された。
【0362】
実験結果について説明する
【0363】
レプトスピラの病毒性修飾タンパク質のユニークな構造
病毒性のレプトスピラ属は、それぞれがタンデムN末端リシンB様レクチン(RBL)サブドメイン[RBL1及びRBL2、総称して炭水化物結合領域(CBR)又はレクチンドメインと呼ばれる]を含む、約640アミノ酸(aa)の10~12個のマルチドメインVMタンパク質をコードする(図31)。これらのタンデムで繰り返されるRBLの存在は、逆方向(図31)であるが、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)市中感染性呼吸窮迫症候群(すなわち、CARDS)毒素に似ている(Becker et al., 2015, Proc Natl Acad Sci USA, 112(16):5165-70)。しかし、レプトスピラVMタンパク質とCARDS毒素のC末端領域は関連していない。レプトスピラのVMタンパク質は、単一の遺伝子座から転写された単一のポリペプチドに含まれており、これは、通常2つ以上の遺伝子によってコードされている(従ってA-Bと呼ばれる)他のほとんどの細菌性AB毒素とは異なり、多量体タンパク質複合体を組み立てられる(Brown et al., 1980, FEBS Lett. 117, 84-88; Nakamura and Wisnieski, 1990, J. Biol. Chem, 265:5237-5241; McSweeney and Dreyfus, 2004, Cell Microbiol, 6:447-458; Coutte and Locht, 2015, Future Microbiol, 10:241-254; Cherubin et al., 2018, Sci Rep, 8(1):2494)。エル・インテロガンスには特徴的に、予測されたシグナル配列を含む天然のCBR欠失変種(約313aa)が存在する(以下を参照)。
【0364】
レプトスピラの病毒性修飾タンパク質変種の分布と進化
すべて(当時)の認識された病原性レプトスピラ属の全ゲノム比較分析は、遺伝子重複と崩壊が、病毒性群Iのレプトスピラ属の間でVMタンパク質変種の不均等な分布が生じ、これがさらにエル・インテロガンス、エル・キルシュネリ、及びエル・ノグチイにのみ広がったことを示唆した(Fouts et al, 2016, PLoS Negl Trop Dis. 10(2): e0004403)。距離行列の計算に続いて、、3次元(3D)計量多次元尺度構成法(MMDS)を使用して、カスタマイズされたRスクリプトとbio2mdsを使用してオルソログのスクラスターが定義及び視覚化された(図32A、B)。一貫性を保つために、クラスターには関連するCopenhageni UniProtKB IDを使用して名前が付けられる。VMタンパク質パラログ(及びその派生CBR及びCTD)は、割り当てられた(オルソログの)クラスターID、例えばQ8F0K3(クラスターID、Q72UG2)を使用して参照される(図32A、B)。
【0365】
これらの観察の進化的意味をさらに調査するために、病原性レプトスピラ種に由来する約3,000個のレプトスピラVMタンパク質の系統ゲノム分析が実行された。アミノ酸配列は、包括的な完全なPF07598参照整列に基づいて、カスタム構築されたHMMERv3(Potter et al., 2018, Nucleic Acids Res, 46:W200-W204)プロフィールに対してhmmalignを介して整列された。レプトスピラ属の病原性クレード内では、VMタンパク質は非常に多様であり、少なくとも36個の別個のオルソログクラスターを含むが、重要なアミノ酸類似性を有する(図32A、B)。少数のレプトスピラ種に限定されたクラスターは、5~50個の個別のVMタンパク質を含む中程度のサイズである。エル・インテロガンス、エル・キルシュネリ、及びエル・ノグチイに特異的なタンパク質を含むクラスターはより大きく、サイズは80~375のメンバータンパク質の範囲であり、おそらくアクセス可能なゲノムデータベースにおけるこれらの種に対する偏りを反映している。
【0366】
対になった距離行列とMMDSクラスターメンバーシップを検査することで、重要な結論を導き出すことができる。まず、パラログの中で、CBRを含むN末端セグメントは、対になった約63%のアミノ酸同一性、ライ範囲62~72%のCTDと比較して、より保存されている対になった約78%のアミノ酸同一性、ライゲノム内範囲66~99%である。対照的に、CTDは、オルソログ間でより保存されており、容易に識別できる遠縁種間であっても最小アミノ酸同一性が>75%であり、パラログとオルソログの区別を容易にしている。第2に、定義された多くのオルソログクラスター(図32B)のうちで、1つのみ(Q72PX8)が、医学的に重要なすべての種(及びエル・アレクサンデリ(L. alexanderi)及びエル・アルストニイ(L. alstonii))に由来するタンパク質(N=375)を含む。Q72PX8の周りのクラスター化パターンは、このタンパク質が群I病原性レプトスピラの祖先VMタンパク質であることを示す可能性がある。逆に、ほとんどの種は、エル・インテロガンスのCBR欠失変種(n=139)などの、少なくとも1つの明確なクラスターを含んでいる。第3に、炭水化物結合及び毒素機能の範囲は、同じ種に属する血清型であっても、血清型によって異なる可能性がある。例えば、それぞれQ8F0K3[UG2]のCBRとCTDに対応するCBRUG2とCTDUG2は両方とも、ゲノム当たり1つの例で、エル・インテロガンス血清型コペンハーゲニ(8株と98タンパク質で表される)、カニコーラ(8と95)、ハードジョー(2と21)、ライ(3と28)、マニラエ(2と26)、及びポモナ(5と62)で存在し、それぞれ>99%のアミノ酸同一性を有する。ライとコペンハーゲニのオルソログは予測されるCBRUG2//CTDUG2の組み合わせを特徴としているが、カニコーラの一部の株は保存されたキメラ変種CBRUG2//CTDTZ4及びCBRUL8//CTDUG2を含んでいる。同族のQ8F0K3[UG2]CBRとCTDは交互のタンデム対合で存在するが、本物のキメラと見なされるには、変種が複数のゲノムで存在する必要があり、CBRとCTDはそれぞれ、指定されたクラスター中心内で>99%のアミノ酸同一性を共有する必要がある。このような変種は、同一又はほぼ同一のCBRを有するパラログを有する血清型(例えば、コペンハーゲニのQ72U83及びQ72NP1)でより一般的である(図32A、B)。まとめると、これらの観察は、特定の系統におけるCBRドメインとCTDドメインの両方の進化とそれらの再集合(おそらくは組換えを介する)が、レプトスピラVMタンパク質の多様性、特に哺乳動物のニッチへの群I病原体の適応の理解に寄与することを示唆している(図32C)。
【0367】
キメラ病毒性修飾タンパク質の融合接合部の探索:機能的な結果
レプトスピラVMタンパク質が、CBR及びCTDの遺伝子重複及び系統依存的な再集合を介して病毒性種内で広がり多様化することが証明されたため(図32)、VMタンパク質ドメインの融合接合部が機能的に保存されているかどうかを示す証拠が求められた。CTDのすべて又は一部が置換されるかどうかを試験するために、まず相補配列に基づくアプローチを使用してキメラVMタンパク質を同定した。キメラ変種は医学的に重要なレプトスピラ属に存在するが、同じスーパークラスターに属する最近分岐したパラログ対間にのみ存在する(図32D)。関与するパラログに関係なく、2つのタイプのキメラ変種のみが検出され、これは、キメラ変種の出現が、インビボ機能に極めて重要ないくつかの特定の構造的特徴に依存していることを示唆している。キメラ接合部の検査により、融合接合部が著しく一貫していることが明らかになり(複数の株の比較によって裏付けられた)、これらの置換が機能的に制限されていることを示唆している。従って、キメラVMタンパク質は、1つのパラログのアミノ末端CTDセグメントに存在する輸送モチーフが、関連するパラログの2番目のCTDセグメントに位置するDNase活性と対になる、新規なサブドメインハプロタイプである(図32D)。これらの観察は、これらのキメラタンパク質が(同族のドナー及びレシピエントと比較して)細胞標的化能力を変化させている可能性が高いこと、すなわち、異なる宿主に対するレプトスピラの適応を反映している可能性があることを示唆している。
【0368】
レプトスピラ病毒性修飾タンパク質の第1のリシンB様レクチンサブドメイン(RBL1)はリシンB鎖と同様の炭水化物結合特異性を有する
リモート相同性検索により、レプトスピラVMタンパク質のアミノ末端領域にタンデムリシンB様レクチンサブドメインが同定されたため(図31)、リシンB鎖と同様に、レプトスピラVMタンパク質がモデルタンパク質であるアシアロフェチュインなどの末端ガラクトース及びN-アセチルガラクトサミン残基に結合するという仮説が試験された(Dawson et al., 1999, J. Appl. Toxicol, 19:307-312; Blome et al., 2010, Anal. Biochem, 396:212-216; Falach et al., 2020, Sci. Rep, 10:9007)。初期の実験では、組換えQ8F0K3(ここではその遺伝子座タグrLA3490と呼ばれる)に焦点を当てた。これは、以前の研究で、LA3490がインビボで転写的に高度にアップレギュレートされ、病毒性に関与していることが示されたためである(Lehmann et al, 2013, PLoS Negl Trop Dis, 7(10): e2468)。一貫性を保つために、すべての全長組換えVMタンパク質[すなわち、完全なCDSからSS(シグナル配列)を除いたもの]が同様に参照される。例えば、RBL1のみを含むQ8F0K3の組換えN末端切断物は、以下のように呼ばれる:末端切断されたLA3490の場合はt3490。天然VMタンパク質を使用する実験では、レプトスピラ細胞を内部宿主環境を模倣した条件下で増殖させて、インビトロでの病毒性遺伝子発現を促進した(Matsunaga et al., 2005, Infect Immun, 73(1):70-8; Lo et al., 2006, Infect. Immun, 74:5848-5859; Matsunaga et al, 2007; Infect Immun, 75(6): 2864-2874)。
【0369】
組換えVMタンパク質は、溶解度を向上させるためにチオレドキシン-His6(TRX)とのN末端融合体として大腸菌で発現された。C末端をmCherry-His6と融合させて、親和性精製及び蛍光顕微鏡を用いたタンパク質の視覚化を容易にした(図33A)。リムルス変形細胞溶解物アッセイによってエンドトキシンを含まないことが示されたウェスタン免疫ブロットは、汚染しているリポ多糖の潜在的な細胞毒性を除外した(図34)。LA3490及びt3490は両方ともアシアロフェチュインに結合した(図33B)。競合アシアロフェチュイン結合アッセイによって測定すると、VMタンパク質はリシンB鎖と同様の炭水化物結合特異性を有する(Sehnke et al., 1994, J. Biol. Chem. 269, 22473-22476; Dawson et al., 1999, J. Appl. Toxicol, 19:307-312; Blome et al., 2010, Anal. Biochem, 396:212-216;図33C)。予測された分泌シグナルの存在に基づいて予測されたように、Q8F0K3[rLA3490](及びおそらく他のVMタンパク質)は、レプトスピラ馴化培地中で可溶性タンパク質として見つかり、そのような分泌は生理学的浸透圧と温度によって誘導される。アシアロフェツイン結合セファロースビーズを用いる固相結合アッセイにより、Q8F0K3がアシアロフェツインに結合することが確認された(図33D)。組換えリシンBと同様に、アシアロフェツイン結合Q8F0K3は0.5M乳糖を使用して溶出することができ、レプトスピラVMタンパク質が正真正銘のリシンB様レクチン炭水化物結合活性を有するという結論をさらに裏付けている。
【0370】
これらの観察は、LA3490のCBD(RBL1)、及び同様に他のVMタンパク質のCBDが正真正銘のR型レクチンであることを示している。
【0371】
HeLa細胞単層に対するrLA3490の用量依存性細胞毒性
RBL1がR型レクチンであることが確認されたため、理論に拘束されることなく、VMタンパク質が、まだ特徴付けられていないC末端領域によって媒介される作用を有する細胞毒であるという仮説が立てられた。
【0372】
トリパンブルー排除、位相差顕微鏡、蛍光生/死染色、及び乳酸デヒドロゲナーゼの放出によって証明されたように、HeLa細胞をrLA3490に曝露すると、用量依存的な細胞障害性作用及びHeLa細胞単層の破壊が誘導された(図35)。アクチン脱重合(図35C)及びカスパーゼ活性化(図36)が観察された。t3490、ウシ血清アルブミン(BSA)などの陰性対照や無処理ではそのような変化は観察されず、細胞死滅がrLA3490処理の直接の結果であり、融合タンパク質の親和性/エピトープタグや培養条件のアーチファクトによるものではないことが確認された。。
【0373】
リシンB様レクチン1は単独でHeLa細胞表面への結合には十分であるが、内在化には充分ではない
rLA3490-及びt3490-mCherry融合タンパク質の内在化及び/又は細胞内輸送を、超解像度蛍光共焦点顕微鏡を使用して追跡した(図37)。両方の融合タンパク質は細胞表面に結合したが、rLA3490のみが内在化され、細胞核に局在化された(図37A、B)。RBL1単独は、固定化されたアシアロフェチュイン(上記)とHeLa細胞表面の両方への結合にはで十分であるが、内在化はRBLドメインを越えてタンパク質の折り畳みに依存した。細胞表面でのrLA3490とt3490の両方の結合は、処理後30~60分で起きたが、内在化、転座、及び核断片化は30分以降に明らかであった(図37B、右パネル)。rLA3490の最大蓄積は、全長タンパク質依存性の内在化に依存しており、t3490の最大結合及び蓄積は10分であったが、rLA3490はHeLa細胞内に蓄積し続けた(図37C)。t3490は、HeLa細胞の表面に結合したが、内在化されず(図37B、左パネル)、細胞毒性ではなかった。動画の直交スタックとZスタックは、30分及び60分でのHeLa細胞によるrLA3490及び/又はt3490の結合と内在化を示す。
【0374】
レプトスピラ病毒性修飾タンパク質はインビトロでエンドDNase活性及びエキソDNase活性を有する
rLA3490がHeLa細胞核に局在して染色体断片化を引き起こすことが証明されたため、理論に拘束されるものではないが、Q8F0K3(及び、拡張してすべてのVMタンパク質)が細胞死滅の機構に寄与する可能性のあるDNase活性を保持しているという仮説を立てた。無細胞アッセイは、rLA3490が精製HeLa細胞のゲノムDNAに対して強力な用量依存性DNase活性を有し(図38A)、スーパーコイルプラスミドDNAに対して用量依存性のニッキング、エンドヌクレアーゼ活性、及びエキソヌクレアーゼ活性を有し、弛緩及び線状化したプラスミドを生成することを証明した(図38C、D)。線状プラスミドは完全に消化され(図38D)、組換えウシDNaseIの活性に匹敵するエキソDNase活性が確認された(図38E)。他の組換えVMタンパク質であるLA0591[血清型ライCBR欠失変種(図38F)]、rLA0620、rLA1400、及びrLA1402もまた、エキソDNase活性を示した(データは示していない)。陰性対照であるt3490(及びt0620、示していない)は、検出可能なDNase活性を有さなかった(図38)。
【0375】
ウシDNaseIを有するLA3490のレプトスピラのカルボキシ末端ドメインの配列、構造類似性
組換え全長VMタンパク質におけるDNase活性を実験的に証明した後、新しい配列整列を実行し、VMタンパク質のアミノ酸配列のCTDとさまざまな哺乳動物DNase及び大腸菌細胞致死膨張毒素(CdtB)配列との比較に焦点を当てる系統発生関連の解析を行った。これらの解析は、識別可能なC末端DNaseドメインを有するレプトスピラVMタンパク質と一致した。LA3490のCTDとウシDNaseIを重ね合わせる試みでは、特に活性部位に構造類似性があったが、予測された活性部位以外では全体的な構造類似性が低かったため、9.012ÅのRMSD値しか得られなかった(図39)。
【0376】
レプトスピラ病毒性修飾タンパク質の構造-機能相関
VMタンパク質の細胞毒性とDNase活性の証明に基づいて、これらのタンパク質の多様性と毒性レプトスピラ属の種間でのこれらの広がりについて、より良い理解が求められた。HHpred相同性検索により、RBL1とRBL2が、CARDSのD2及びD3と高い配列相同性及び構造相同性を共有することが示され(Becker et al., 2015, Proc Natl Acad Sci USA, 112(16):5165-70)(E=2.7e-96)、機能的には類似しているように見える。AlphaFold構造モデル化は、VMタンパク質のCTDが、実験的に証明された細胞内輸送、細胞毒性、及びDNase活性を説明する機能的に異なるサブドメインを含む可能性を示唆している(図35)。
【0377】
CBR欠失変種を含むすべてのVM CTDには、統計的に十分に裏付けられた(すなわち、p<1e-4)ヒトの短い線形モチーフ(Short Linear Motif)(SLiM)模倣物がいくつか含まれている(Samano-Sanchez and Gibson, 2020, Trends Biochem. Sci, 45:526-544)ことが、真核生物線形モチーフ(ELM)リソースを使用して同定され、これが、VMタンパク質の輸送と核局在化シグナル(NLS)を含む核移行を促進すると考えられる。13のエル・インテロガンスパラログのうち、CBR欠失変種だけが別のパラログと共通のNLSを共有しており、これはおそらくこれらの進化的起源を反映していると考えられる。同じ種に属する特定のオルソログクラスターのほとんどのメンバーには、不変のNLSが含まれている。その側面と比較して、NLSを含むサブドメイン(14aa)は特に変動しており、強力な選択を示唆している。このサブドメインの後には、推定上のLxxLL核内受容体モチーフを含む連続した両親媒性αヘリックスが続く[LIG_NRBOX(ELME000045):451HLERLLE457;配列番号94、及びSH2結合モチーフLIG_SH2_SRC(ELME000474):Yxxx8(385YEIAT389);配列番号95]。また、アクセサリーエンドサイトーシスタンパク質(ELME000190)に結合するための、EF2転写因子(Q8F0K3には存在しない)と、単一のLIG_AP2alpha_2模倣物(440DPF442)とに特徴的なLxxLFDモチーフが存在する。Q8F0K3を含むQ72UG2クラスターメンバーは、第2のLxxLLモチーフ(413MLAELLE419;配列番号96)を含む複数の異なるSLiM模倣物を含む。
【0378】
pLxISモチーフ(536PILRIS541;配列番号97)は、IRF-3依存性シグナル伝達及びアダプチン結合エンドソーム-リソソーム-基底外側部選別シグナルの干渉を介して、免疫回避を媒介する可能性がある(p<8.4e-5):TRG_DiLeu_BaEn_3[ELME000525]及び557EEFRRFL563(配列番号98)。
【0379】
VMタンパク質のC末端は無秩序であるように見え、通常はCAAXモチーフ(すなわち、MOD_CAAXbox[ELME000059]、p<2.4e-6)によって終結されており、このモチーフは、細胞内細菌レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)によって産生されるF-boxタンパク質を連想させる(Perpich et al., 2017)。これらのモチーフはプレニル化基質として機能し、通常は膜の付着を媒介する。Q8F0K3[UG2]及びQ8F6G6[CBR欠失変種]には標準CAAXボックスが欠如しているが、PDZドメインの結合のためのLIG_PDZ_Class_2[ELME000091]モチーフ:634RCALPF639(配列番号:99)(p<7.9e-5)によって終結されており、PDZドメインは、真核生物の調節タンパク質に見られる球状タンパク質モジュールである。
【0380】
実施例6:レクチン-DNAseVMタンパク質抗原配列
野生型-Q04T47_12844_0769(配列番号:15)
CCATGGGCGTGAATAGCGCACTGATTGATATTGTTAGCCGCAGTATTCCGGGCAGTATTATTCAGAAACCGACCGATACCCCGCAGGATCGTGCAATTAAGATTGTTATTCATGATCGCGGCAAATTTTGTTATGCACCGGTTTTTAGTGGCGGTGAAAGCTATATTCGCATTCTGCAGTGCTGGGAACAGGATGTGAGCGATGCACGCTATGATGTGTTTCAGCGTATTAGTTATTACATTAAGAACACCTGGCTGTGTATTACCGCCCCGGAAAGCGTGGTTCAGGGTCGTGTTAATTGGGATTATGTTAATCTGCGCCCGTGCACCATTAATGATCCGCTGCAGCGTTGGATTGTGAAAGAAAATGCATTTTGGACCGCAGATGAACGTTATCGCCTGAAAGATGTGGGTTGGTATGCCTATATTAGTAAAACCAGTAGCGATTATTACAACCATACCCTGGATAGCAGCATGAATAATTGGGTGCGTACCGTTAGCACCCCGGGCAATATTAGTATTAAGACCAGTATTGCCTGGCATCTGGGTAGTGCACGTTATTTTATTAATAGTCGCGGCAGCAAAAAGAATACCACCCCGATCTATTATAATCCGGAAAGCGGTCATCTGGCACAGTATAATCCGATGAGTGGTCGTCTGAGCTGCATGTATAGTAAAGTGGGTAGTTATCAGTGGAATTGGATTCAGTGGGCACTGTGTAGCGATGCACCGATTAGTAAAGATAATCCGGCATATTGGAATGTTTATCTGGAAACCGAAGAAGGCGGCATGCTGACCGATTATAAAGGTAATATTCTGCGCGTGACCCGCTATGGTCCGAATTGGGGCGTGGCCTATGCCGTTAAACCGAGTTTTCTGGTGAAAGATGCCACCCATAGCCCGACCAGTCTGTTTGTTGTGGATAAAGATCTGCTGGATTGGATTCGCTATACCACCGGTAATCTGGGCAAAACCGAACAGTATTGCCCGGCCGGCTATCGCAGCGTTTATAAACGTGTGAAACGCACCCTGCCGCCGGATTTTCAGCTGAGCGATGATTGGATTCGTCGCCTGTATGAAATTGCAGTTAGTACCATTGATACCGCACAGGGCAGCGGCATTTGTGGCGTGTGCATGCTGCAGAGTTTTCAGATGCTGGCCGAACTGCAGGAATATCATTTTCAGGGTCCGCTGCAGAGTGGTGGTTATTTCTTTGATACCGCACGCGATCGTGATCCGTTTATTAGTTTTCGTCAGCGTTATAGCTATCTGGATCGTCTGCTGGCAGATGTTCCGTATGTGTATACCAGTGCAGGTGACACCAATCGTCAGATGGTTCTGGCAACCGCACGTACCATGCTGCCGCAGTATAATTGGACCCTGAGTAGTGCATTCACTACCCGCAGCGAAATTATGAGCCATATTAATAGTCTGATCCATTTTCCGCCGGGCAGCATTTGGCTGGGTGTTCTGGGTCGCCGCCGTCCGGATGGCACCTTAAGCTGGCATGCAGTGCCGATTCTGCGTACCAGTCAGGGCCTGGTTGTGATTCGCACCCGTGTGCCGAGTGCCCCGTTTGATCTGTATCGCCAGGCACTGACCCCGACCACCGATCTGCTGCAGGTTATTAATAATCTGGAAACCCCGAATCGCATTCTGACCACCTTTATGACCATTCAGCTGGGTGACGTTTATCGTAATACCTTTGATTTTGCCATTAGTAATCGTAATTGCACCGGCGAAGGTGACGATCGCCGCGGCACCGGTGGTTATCCGGCCGGTACCAGTGTTAATCAGTGCAGTTGGCGTGGTGGTCGTTGTGCCCTGCAGGGTGGCGGCGGTAGCGGTGGTGGTGGTAGCGGTGGCGGTGGTAGTGATGATGATGATAAAATGGTGAGCAAAGGCGAAGAAGATAATATGGCAATTATTAAGGAGTTCATGCGCTTTAAAGTTCATATGGAAGGTAGTGTGAATGGTCATGAATTTGAAATTGAAGGTGAAGGTGAAGGCCGCCCGTATGAAGGTACCCAGACCGCCAAACTGAAAGTGACCAAAGGTGGTCCGCTGCCGTTTGCATGGGATATTCTGAGCCCGCAGTTTATGTATGGTAGCAAAGCCTATGTTAAACATCCGGCAGATATTCCGGATTATCTGAAACTGAGTTTTCCGGAAGGCTTTAAATGGGAACGCGTTATGAATTTTGAAGATGGCGGTGTTGTTACCGTGACCCAGGATAGCAGCCTGCAGGATGGTGAATTCATCTATAAAGTGAAACTGCGCGGCACCAATTTTCCGAGCGATGGCCCGGTTATGCAGAAAAAGACTATGGGCTGGGAAGCAAGCAGTGAACGCATGTATCCGGAAGATGGTGCACTGAAAGGTGAAATTAAGCAGCGTCTGAAACTGAAAGATGGTGGTCATTATGATGCCGAAGTGAAAACCACCTATAAAGCAAAAAAGCCGGTTCAGCTGCCGGGTGCATATAATGTTAATATTAAGCTGGATATCACCAGTCATAATGAAGATTATACCATTGTTGAGCAGTATGAACGCGCCGAAGGTCGCCATAGCACCGGCGGTATGGATGAACTGTATAAACTCGAG
【0381】
変異体-Q04T47_12844_0769(配列番号16)
CCATGGGCGTGAATAGTGCCCTGATTGATATTGTTAGTCGTAGCATTCCGGGTAGCATTATTCAGAAACCGACCGATACCCCGCAGGATCGTGCAATTAAGATTGTTATTCATGATCGTGGCAAATTTTGCTATGCCCCGGTTTTTAGTGGCGGTGAAAGCTATATTCGTATTCTGCAGTGCTGGGAACAGGATGTTAGCGATGCACGCTATGATGTTTTTCAGCGTATTAGTTATTACATCAAGAACACCTGGCTGTGCATTACCGCACCGGAAAGTGTTGTGCAGGGCCGTGTGAATTGGGATTATGTTAATCTGCGCCCGTGCACCATTAATGATCCGCTGCAGCGTGCCATTGTGAAAGAAAATGCCTTTTGGACCGCAGATGAACGCTATCGCCTGAAAGATGTGGGCTGGTATGCCGCCATTAGTAAAACCAGTAGCGATTATTATAACCATACCCTGGATAGCAGCATGAATAATTGGGTGCGCACCGTGAGCACCCCGGGCAATATTAGCATTAAGACCAGTATTGCCTGGCATCTGGGTAGCGCCCGTTATTTTATTAATAGCCGCGGCAGCAAAAAGAATACCACCCCGATCTATTATAATCCGGAAAGTGGTCATCTGGCACAGTATAATCCGATGAGTGGCCGCCTGAGTTGTATGTATAGTAAAGTGGGCAGTTATCAGTGGAATTGGATTCAGTGGGCCCTGTGCAGCGATGCACCGATTAGTAAAGATAATCCGGCATATTGGAATGTTTATCTGGAAACCGAAGAAGGCGGCATGCTGACCGATTATAAAGGCAATATTCTGCGCGTTACCCGTTATGGCCCGAATTGGGGTGTTGCATATGCAGTGAAACCGAGCTTTCTGGTGAAAGATGCAACCCATAGCCCGACCAGCCTGTTTGTTGTTGATAAAGATCTGCTGGATTGGATTCGCTATACCACCGGCAATCTGGGTAAAACCGAACAGTATTGCCCGGCCGGCTATCGTAGTGTTTATAAACGCGTTAAACGTACCCTGCCGCCGGATTTTCAGCTGAGTGATGATTGGATTCGTCGCCTGTATGAAATTGCAGTTAGTACCATTGATACCGCCCAGGGCAGCGGCATTTGCGGTGTTTGTATGCTGCAGAGCTTTCAGATGCTGGCAGAACTGCAGGAATATGCATTTCAGGGTCCGCTGCAGAGTGGCGGTTATTTCTTTGATACCGCACGCGATCGTGATCCGTTTATTAGCTTTCGTCAGCGCTATAGTTATCTGGATCGTCTGCTGGCAGATGTGCCGTATGTGTATACCAGCGCCGGCGATACCAATCGCCAGATGGTGCTGGCCACCGCACGCACCATGCTGCCGCAGTATAATTGGACCCTGAGCAGTGCATTCACTACCCGCAGCGAAATTATGAGTGCCATTAATAGCCTGATTCATTTTCCGCCGGGTAGCATCTGGCTGGGTGTTCTGGGTCGTCGTCGTCCGGATGGCACCCTGAGTTGGGCAGCCGTGCCGATTCTGCGCACCAGTCAGGGTCTGGTTGTTATTCGCACCCGCGTGCCGAGCGCCCCGTTTGATCTGTATCGCCAGGCACTGACCCCGACCACCGATCTGCTGCAGGTTATTAATAATCTGGAAACCCCGAATCGTATTCTGACCACCTTTATGACCATTCAGCTGGGCGATGTGTATCGCAATACCTTTGATTTTGCAATTAGTAATCGCAATTGCACCGGTGAAGGTGACGATGCCCGTGGTACCGGTGGTTATCCGGCCGGCACCAGCGTGAATCAGTGCAGTTGGCGTGGCGGTCGCTGCGCCCTGCAGGGTGGTGGTGGTAGTGGTGGCGGTGGCAGTGGCGGTGGTGGCAGTGATGATGATGATAAAATGGTTAGTAAGGGCGAAGAAGATAATATGGCAATTATTAAGGAGTTCATGCGTTTTAAAGTGCATATGGAAGGCAGCGTTAATGGTCATGAATTTGAAATTGAAGGTGAAGGCGAAGGTCGTCCGTATGAAGGCACCCAGACCGCCAAACTGAAAGTTACCAAAGGTGGTCCGCTGCCGTTTGCCTGGGATATTCTGAGCCCGCAGTTTATGTATGGCAGCAAAGCATATGTTAAACATCCGGCAGATATTCCGGATTATCTGAAACTGAGCTTTCCGGAAGGTTTTAAATGGGAACGTGTTATGAATTTTGAGGATGGCGGCGTTGTTACCGTGACCCAGGATAGTAGTCTGCAGGATGGTGAATTCATCTATAAAGTTAAACTGCGTGGCACCAATTTTCCGAGCGATGGCCCGGTTATGCAGAAAAAGACTATGGGCTGGGAAGCCAGCAGCGAACGCATGTATCCGGAAGATGGTGCACTGAAAGGTGAAATTAAGCAGCGTCTGAAACTGAAAGATGGTGGCCATTATGATGCCGAAGTTAAAACCACCTATAAAGCAAAAAAGCCGGTTCAGCTGCCGGGCGCATATAATGTGAATATTAAGCTGGATATCACCAGTCATAATGAAGATTATACCATTGTTGAGCAGTATGAACGCGCCGAAGGTCGCCATAGCACCGGCGGTATGGATGAACTGTATAAACTCGAG
【0382】
野生型-Q04V07_12339_1402(配列番号17)
CCATGGGCGGTAGCAGCATTAGCAGTAGTGGCATTCCGGGCAGCGTGGTGCAGAAACCGACCGATAAACCGAATGATAAACCGATTAAGATTGTTGCCCATAATGGTAAAAACTATTGCTATAGCCCGATGTTTGGCCGTAATGAAAGTTATATTCAGCTGGAACAGTGCGGTGACAAAACCCTGAAAGCCCGTTATGATGTTTTTCAGCGCATTAGCTATTATATTAACAACACCTGGCTGTGTATTACCACCCCGGAAAAAGTTATTAAGGGCGAAACCAATTGGGATTATGTGAATCTGCGCCCGTGCACCATTAATAATCCGGGCCAGCGTTGGATTGTTAAAAATAATGCATTTTGGACCGCCAATGGTCGTTATCAGCTGAAAGATGTGCATTGGCTGGCCTATATTAGCAAAACCAGCAGTGATTATTACAATCATACCCTGGATACCACCATGAATGATTGGATTAAGACCGTGGCAACCCCGGGTAATGTTAGCGTTCAGACCAGCATTGCATGGGATAGTAATTGGGGCGATGGCTTTTGGAATGGTACCCCGGGTCGTTATTTTATTCGTAGCGGCGGCAGTAATCGTAATACCACCCCGATCTATTATAATCCGGAAAATGGCCATCTGGCCCAGTATAATCCGGCCAATGGCCTGCTGAGCTGCATGTATAGCAAAATTGGTAAATATAACTGGAACTGGGTGCAGTGGGCCAGTTGCAGCGATGCACCGGTGAGCAGTAAAGAAAATAGCGCCTATTGGAATGTGTATTTTGAAACCGCAGAAGGTGGTATGATTACCGATTATCAGGGCAATATTCTGCGTGTGACCAAAACCGGTCCGAATTGGGGCGTTGCCTATACCGTTCGTCCGAGTTATCTGCAGGCAGATACCACCCATAGCCCGACCAGCCTGTTTATTGTGGATAAAGATCTGCTGAATTGGGTTCGTTATACCACCGGTAATCTGGGCAATACCGAACAGTATTGCCCGGCAGGCAATAAGAAAAATCATACCTATAAACGCGTGAAACGTAATCTGCCGAGCGATTTTGAACTGACCGATGATTGGATTCGTCGCCTGTATGATATTGCCCGCAGCGCAACCTATGCCAGTGCCCGTCCGGGCTATCGTCCGCAGCAGGCAGGCGTGTGTGGTACCTGTCTGCTGCATAGCTTTCAGATGCTGGCAGAACTGCATGAATATCATAGCCAGCGCCCGCTGCAGAGCGGTGGCTATTTCTTTGATACCGCCATTGATCGCGATCCGTTTATTAGCTTTAGTGTTCGTTATCGCGAACTGTATCGCCTGCTGACCAATGTGCCGGCCACCTATGCCAATCGCGGTCGTGTTCTGGCCTATGCCAGTACCGCACTGATGATGCCGCAGTATGAATGGGAAAGCAGTCCGCCGATTACCATTCGCAGCGAAATGCTGAGTCATATTCGCAGTATGATTAATAGCCCGACCGGCAGCATTTGGCTGGCAATTATGCGTCGCCAGCGTACCGATGGCACCATTAGTGGTCATGCAGTGCCGATTCTGCGCACCAGCCAGGGTCTGGTTGTGATTCGCACCAATACCCCGACCACCAGCTTTAATGATTATCGTAGCAGTCTGATTCCGCGCATGAATCCGGATGAAATTCTGGCCAATCTGGAAGGCCCGGGCCGCACCATGCTGACCTTTACCACCATTCAGCCGGTTGGCGCCTATGAAAATGCCTTTGATCTGATGGTGAGTACCAAAGATTGTACCGGCGAAGGTGACGATCGCCGCGGCAGTGGCCGTTTTCCGATTAGCAGTCTGGTGAATCAGTGTAGTGGCGGTCGTTGCATTCTGCAGGGCGGTGGTGGTAGTGGCGGCGGTGGTAGTGGTGGTGGTGGCAGCGATGATGATGATAAAATGGTGAGCAAAGGCGAAGAAGATAATATGGCAATTATTAAGGAGTTCATGCGCTTTAAAGTTCATATGGAAGGCAGCGTTAATGGTCATGAATTTGAAATTGAAGGCGAAGGCGAAGGTCGTCCGTATGAAGGTACCCAGACCGCCAAACTGAAAGTTACCAAAGGTGGCCCGCTGCCGTTTGCATGGGATATTCTGAGCCCGCAGTTTATGTATGGCAGCAAAGCATATGTGAAACATCCGGCAGATATTCCGGATTATCTGAAACTGAGCTTTCCGGAAGGCTTTAAATGGGAACGCGTTATGAATTTTGAAGATGGCGGTGTGGTGACCGTGACCCAGGATAGCAGTCTGCAGGATGGTGAATTCATCTATAAAGTGAAACTGCGTGGTACCAATTTTCCGAGCGATGGTCCGGTTATGCAGAAAAAGACTATGGGTTGGGAAGCCAGCAGCGAACGCATGTATCCGGAAGATGGCGCACTGAAAGGCGAAATTAAGCAGCGCCTGAAACTGAAAGATGGCGGTCATTATGATGCAGAAGTGAAAACCACCTATAAAGCAAAAAAGCCGGTGCAGCTGCCGGGTGCATATAATGTTAATATTAAGCTGGATATCACCAGTCATAATGAAGATTATACCATTGTTGAGCAGTATGAACGCGCAGAAGGCCGCCATAGTACCGGCGGTATGGATGAACTGTATAAACTCGAG
【0383】
変異体-Q04V07_12339_1402(配列番号18)
CCATGGGCGGTAGCAGCATTAGCAGTAGCGGTATTCCGGGTAGTGTTGTGCAGAAACCGACCGATAAACCGAATGATAAACCGATTAAGATTGTTGCCCATAATGGTAAAAACTATTGCTATAGTCCGATGTTTGGTCGCAATGAAAGCTATATTCAGCTGGAACAGTGTGGCGATAAAACCCTGAAAGCACGTTATGATGTGTTTCAGCGTATTAGTTATTACATTAACAACACCTGGCTGTGTATTACCACCCCGGAAAAAGTGATTAAGGGTGAAACCAATTGGGATTATGTGAATCTGCGTCCGTGCACCATTAATAATCCGGGCCAGCGCGCCATTGTGAAAAATAATGCATTTTGGACCGCCAATGGCCGTTATCAGCTGAAAGATGTTCATTGGCTGGCAGCCATTAGCAAAACCAGCAGCGATTATTATAATCATACCCTGGATACCACCATGAATGATTGGATTAAGACCGTTGCAACCCCGGGCAATGTTAGTGTTCAGACCAGTATTGCATGGGATAGTAATTGGGGTGACGGCTTTTGGAATGGTACCCCGGGTCGCTATTTTATTCGTAGTGGTGGCAGTAATCGCAATACCACCCCGATCTATTATAATCCGGAAAATGGCCATCTGGCACAGTATAATCCGGCAAATGGTCTGCTGAGTTGCATGTATAGCAAAATTGGTAAATACAACTGGAACTGGGTGCAGTGGGCCAGTTGCAGTGATGCACCGGTTAGCAGTAAAGAAAATAGTGCCTATTGGAATGTTTACTTTGAAACCGCAGAAGGCGGTATGATTACCGATTATCAGGGTAATATTCTGCGTGTTACCAAAACCGGCCCGAATTGGGGCGTTGCATATACCGTGCGTCCGAGCTATCTGCAGGCCGATACCACCCATAGCCCGACCAGTCTGTTTATTGTGGATAAAGATCTGCTGAATTGGGTTCGTTATACCACCGGCAATCTGGGCAATACCGAACAGTATTGCCCGGCAGGTAATAAGAAAAATCATACCTATAAGCGTGTGAAACGTAATCTGCCGAGCGATTTTGAACTGACCGATGATTGGATTCGTCGCCTGTATGATATTGCACGCAGCGCAACCTATGCCAGCGCCCGCCCTGGTTATCGTCCGCAGCAGGCCGGTGTTTGCGGCACCTGCCTGCTGCATAGCTTTCAGATGCTGGCCGAACTGCATGAATATGCCAGCCAGCGTCCGCTGCAGAGTGGCGGTTATTTCTTTGATACCGCAATTGATCGTGATCCGTTTATTAGTTTTAGTGTGCGTTATCGCGAACTGTATCGTCTGCTGACCAATGTGCCGGCAACCTATGCAAATCGCGGTCGCGTTCTGGCCTATGCAAGTACCGCCCTGATGATGCCGCAGTATGAATGGGAAAGCAGTCCGCCGATTACCATTCGCAGTGAAATGCTGAGTGCAATTCGCAGCATGATTAATAGTCCGACCGGCAGTATTTGGCTGGCAATTATGCGCCGTCAGCGTACCGATGGTACCATTAGCGGCGCCGCCGTTCCGATTCTGCGTACCAGTCAGGGTCTGGTTGTTATTCGCACCAATACCCCGACCACCAGTTTTAATGATTATCGTAGTAGTCTGATCCCGCGCATGAATCCGGATGAAATTCTGGCAAATCTGGAAGGCCCGGGTCGTACCATGCTGACCTTTACCACCATTCAGCCGGTGGGTGCCTATGAAAATGCCTTTGATCTGATGGTGAGTACCAAAGATTGCACCGGTGAAGGCGATGATGCCCGCGGTAGCGGTCGTTTTCCGATTAGCAGTCTGGTGAATCAGTGTAGCGGTGGCCGCTGCATTCTGCAGGGTGGTGGCGGCAGCGGTGGCGGTGGTTCAGGTGGTGGCGGTAGCGATGATGATGATAAAATGGTTAGTAAAGGCGAAGAAGATAATATGGCAATTATTAAGGAGTTCATGCGCTTTAAAGTTCATATGGAAGGTAGCGTTAATGGCCATGAATTTGAAATTGAAGGTGAAGGCGAAGGCCGTCCGTATGAAGGCACCCAGACCGCCAAACTGAAAGTGACCAAAGGTGGTCCGCTGCCGTTTGCCTGGGATATTCTGAGCCCGCAGTTTATGTATGGTAGTAAAGCCTATGTTAAGCATCCGGCAGATATTCCGGATTATCTGAAACTGAGTTTTCCGGAAGGTTTTAAATGGGAACGTGTGATGAATTTTGAAGATGGTGGTGTGGTGACCGTGACCCAGGATAGTAGTCTGCAGGATGGCGAATTCATCTATAAAGTGAAACTGCGTGGTACCAATTTTCCGAGTGATGGTCCGGTTATGCAGAAAAAGACTATGGGCTGGGAAGCAAGCAGCGAACGTATGTATCCGGAAGATGGCGCACTGAAAGGTGAAATTAAGCAGCGTCTGAAACTGAAAGATGGTGGTCATTATGATGCAGAAGTGAAAACCACCTATAAAGCAAAAAAGCCGGTTCAGCTGCCGGGCGCCTATAATGTTAATATTAAGCTGGATATCACCAGTCATAATGAAGATTATACCATTGTTGAGCAGTATGAACGTGCAGAAGGTCGTCATAGTACCGGCGGTATGGATGAACTGTATAAACTCGAG
【0384】
本明細書で引用されるそれぞれの特許、特許出願、及び刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明を特定の実施態様を参照して開示したが、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施態様及び変更態様が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての実施態様及び同等の変更態様を含むと解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
【配列表】
2024529044000001.xml
【国際調査報告】