(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】オリゴヌクレオチドを有効成分として含む三重陰性乳癌を予防または治療するための薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7115 20060101AFI20240725BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240725BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240725BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240725BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240725BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240725BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240725BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240725BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240725BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240725BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240725BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240725BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240725BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240725BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61K31/7115
A61P35/00
A61P35/04
A61P15/00
A61P11/00
A61P25/00
A61P19/08
A61P1/16
A61P7/00
A61K9/10
A61K47/42
A61K9/06
A61K9/70 401
A61K31/7105
C12N15/11 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507041
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2022011723
(87)【国際公開番号】W WO2023014196
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0104105
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522435595
【氏名又は名称】インターオリゴ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INTEROLIGO CORPORATION
【住所又は居所原語表記】A-F902,66,Beolmal-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do 14058,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ,セナ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ハンスル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA16
4C076AA72
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB25
4C076BB30
4C076BB31
4C076EE43
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA21
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA56
4C086MA59
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA96
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、オリゴヌクレオチドを有効成分として含む三重陰性乳癌を治療するための薬学的組成物に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の構造を有する変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩を含み、
三重陰性乳癌を予防または治療するための薬学的組成物:
[化学式1]
(N)
x-[TGG]
m[TTG][TGG]
n-(M)
y
(式中、N及びMは独立に5-位または2'-位にハロゲンまたはヒドロキシが結合されたデオキシウリジン(deoxyuridine、dU)、デオキシシチジン(deoxycytidine、dC)、ウリジン(uridine、U)またはシチジン(cytidine、C)であり;x及びyは独立に0~10の整数であり(ただし、xとyが同時に0である場合は除く)、nは1~10の整数であり;mは1~10の整数である)。
【請求項2】
前記N及び前記Mは独立に5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2',2'-ジフルオロデオキシシチジン、カペシタビン及びブロモビニルデオキシウリジンからなる群から選択されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記変形されたオリゴヌクレオチドは下記化学式2~化学式34のうちのいずれか一つの構造を有するものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
[化学式2]
(N)
2-[TGG]
1[TTG][TGG]
1、
[化学式3]
(N)
2-[TGG]
1[TTG][TGG]
2、
[化学式4]
(N)
2-[TGG]
2[TTG][TGG]
1、
[化学式5]
(N)
2-[TGG]
2[TTG][TGG]
2、
[化学式6]
(N)
2-[TGG]
2[TTG][TGG]
3、
[化学式7]
(N)
2-[TGG]
3[TTG][TGG]
2、
[化学式8]
(N)
2-[TGG]
3[TTG][TGG]
3、
[化学式9]
(N)
2-[TGG]
3[TTG][TGG]
4、
[化学式10]
(N)
2-[TGG]
4[TTG][TGG]
3、
[化学式11]
(N)
2-[TGG]
4[TTG][TGG]
4、
[化学式12]
(N)
2-[TGG]
4[TTG][TGG]
5、
[化学式13]
(N)
2-[TGG]
5[TTG][TGG]
4、
[化学式14]
(N)
2-[TGG]
5[TTG][TGG]
5、
[化学式15]
(N)
2-[TGG]
5[TTG][TGG]
6、
[化学式16]
(N)
2-[TGG]
6[TTG][TGG]
5、
[化学式17]
(N)
2-[TGG]
6[TTG][TGG]
6、
[化学式18]
[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
1、
[化学式19]
[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
2、
[化学式20]
[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
3、
[化学式21]
[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
4、
[化学式22]
[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
5、
[化学式23]
[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
1、
[化学式24]
[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
2、
[化学式25]
[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
3、
[化学式26]
[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
4、
[化学式27]
[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
5、
[化学式28]
[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
10、
[化学式29]
(N)
1-[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
1、
[化学式30]
(N)
3-[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
3、
[化学式31]
(N)
5-[TGG]
4[TTG][TGG]
4-(M)
5、
[化学式32]
(N)
1-[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
1、
[化学式33]
(N)
3-[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
3、
[化学式34]
(N)
5-[TGG]
4[TTG][TGG]
5-(M)
5
【請求項4】
nは1~5の整数であり、mは1~5の整数である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
x及びyは独立に0~5の整数である(ただし、xとyが同時に0である場合は除く)、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記変形されたオリゴヌクレオチドは下記化学式12の構造を有するものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
[化学式12]
(N)
2-[TGG]
4[TTG][TGG]
5
【請求項7】
前記Nは2',2'-ジフルオロデオキシシチジンである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
三重陰性乳癌が転移性三重陰性乳癌である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
三重陰性乳癌の外科的切除を受けた対象体に投与されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記対象体で転移性癌または腫瘍を予防または治療する、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記転移性癌は肺癌、脳癌、骨肉腫、肝癌、またはリンパ腫である、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記変形されたオリゴヌクレオチドの投与量は約0.01mg/kg~約100mg/kgである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または毎月1回の周期で投与されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
生体材料をさらに含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
コラーゲン分散液製剤またはハイドロゲル分散液製剤で投与される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
ゾル-ゲル製剤またはパッチ形態の製剤で投与される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
これを必要とする対象体の三重陰性乳癌の外科的切除部位に移植されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
これを必要とする対象体に静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、膀胱内、皮内、経皮、局所、または皮下投与されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
下記化学式1の構造を有するオリゴヌクレオチド変形体またはこの薬学的に許容可能な塩を含み、
三重陰性乳癌の外科的切除を受けた対象体に投与され、
三重陰性乳癌の外科的切除後に発生する転移性癌または腫瘍を予防または治療するための薬学的組成物。
[化学式1]
(N)
x-[TGG]
m[TTG][TGG]
n-(M)
y
(式中、N及びMは独立に5-位または2'-位にハロゲンまたはヒドロキシが結合されたデオキシウリジン(deoxyuridine、dU)、デオキシシチジン(deoxycytidine、dC)、ウリジン(uridine、U)またはシチジン(cytidine、C)であり;x及びyは独立に0~10の整数であり(ただし、xとyが同時に0である場合は除く)、nは1~10の整数であり;mは1~10の整数である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三重陰性乳癌を治療するための薬学的組成物に関するものである。
【0002】
[国家支援研究開発に関する説明]
本出願は、科学技術情報通信部、産業通商資源部、保健福祉部の財源で国家新薬開発事業団の国家新薬開発事業支援によって行われたものである(課題固有番号:HN22C058500)。
【背景技術】
【0003】
乳癌は、米国やヨーロッパ等の先進国における女性の癌のうち最もありふれた癌であり、40歳から55歳の間の米国女性の第1の死亡原因となっている。一生の間9人の女性のうちの1人において乳癌が発生し、乳癌の患者数も毎年約15%ずつ増加する傾向にある。韓国では1995年の女性癌患者のうち、約11.9%を乳癌が占めており、子宮頸がんと胃癌に続き3番目に多い癌となり、胃癌、肝癌、子宮癌、肺癌に続き5番目に死亡率が高い癌であり、その頻度は毎年増加する傾向にある。
【0004】
乳癌のうち、三重陰性乳癌(triple-negative breast cancer;TNBC)は乳癌の全証例の10~20%を占める。三重陰性乳癌はエストロゲン受容体(ER)及びプロゲステロン受容体(PR)の発現がなく、ヒト表皮成長因子受容体2(HER-2)が過発現しないか、HER-2の増幅がない腫瘍と定義され、免疫組織化学を通じて診断される乳癌腫瘍の亜型(subtype)である。三重陰性乳癌は、多くの化学療法薬品に対する速やかな耐性と適切な標的不足による攻撃的臨床挙動と不良な予後を特徴とする。TNBC患者は他の類型の乳癌と比較すると全般的に予後が悪く、早期に遠隔臓器で再発する確率と死亡率が高い。現在、利用可能な承認された標的療法はない。パクリタキセル及びこの半合成誘導体のような古典的な微小管標的化薬品(MTD)は乳癌新生物の臨床調節において相当な成功を果たした。アントラサイクリン系及びタキサン系の化学療法は三重陰性乳癌に対する標準療法である。しかし、結局は、大部分の三重陰性乳癌患者に初期療法に対する一時的反応後、薬品耐性、腫瘍の再発及び/または転移が発生する。従って、原発性または転移性三重陰性乳癌を優れた効能で治療したり、三重陰性乳癌から他の臓器(特に、肺)への転移を効果的かつ優秀に抑制したりする薬品を開発するのは非常に難しかった。三重陰性乳癌治療に対してより持続的な反応を達成する革新的、かつ、より効果的な治療的アプローチ方式を至急開発する必要がある。
【0005】
また、既存の乳癌切除術の施行時に原発性腫瘍の除去後、周辺組織に奥深く根付いている微細癌や残存癌を全て完璧に除去するのが容易ではない。また、1次の癌手術後、患者の体力が回復するまで1~2週間は抗癌治療や放射線治療を試みていない。この時期に残存癌あるいは微細癌を積極的に治療する方法はこれまで皆無であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
(特許文献1)US 2008-0318887 A1
【非特許文献】
【0007】
(非特許文献1)Magdalena M. Dailey et al., Nucleic Acids Research, 2010, Vol. 38, No. 14, pp. 4877-4888
(非特許文献2)YI ZHANG et al. ONCOLOGY LETTERS, 2018, Vol. 15, No. 5, pp. 6233-6240
(非特許文献3)Park et al., Sci. Transl. Med., 2018, Vol. 10, No. 433, eaar1916
【発明の概要】
【技術的課題】
【0008】
本開示は従来治療が難しかった三重陰性乳癌を効果的に予防または治療できる薬学的組成物を提供することを目的とする。本開示は1次癌手術後、抗癌治療または放射線治療の難しい時期に三重陰性乳癌を積極的に治療できる世界初の方法を提示し、本開示の薬学的組成物を用いて三重陰性乳癌患者の生存率の最大化及び再発危険性の軽減を期待することができる。
【0009】
三重陰性乳癌は悪性度が高くて進行速度が速いだけでなく、転移も速く進む特性を有していて標的治療剤開発の要求が高いが、乳癌標的療法の代表的な標的抗原であるエストロゲン受容体、HER-2受容体、及びプロゲステロン受容体が陰性(正常細胞に比べて違いなし)であるという特徴を有するため、適切な標的療法がなかった。特に、三重陰性乳癌の外科的切除後に現れる転移性癌の場合、従来治療が非常に難しく、このような転移性癌を予防したり治療したりする薬品も皆無であった。最近、抗癌剤が含まれたハイドロゲルパッチを用いて三重陰性乳癌の外科的切除後の癌転移抑制効果を研究した事例がある(非特許文献3参照)。当該論文では抗癌剤として免疫抗癌剤(Anti-PD-1及びAnti-CTLA-4)、サイトカイン(IL-15sa)及び小分子薬品(レナリドミド、セレコキシブ、STING-RR、及びレシキモド)を用いた。マウスに対して実験した結果、最も優れた実験群(レシキモド及びSTING-RR実験群)において薬品/ハイドロゲルパッチを切除部位に挿入して50日が経った後、マウスの生存率が60%を示した。このような結果は、現在まで最も発展した移植型標的治療法(implantable target therapy)における三重陰性乳癌転移抑制の結果である。一方、本開示の一実施様態による薬学的組成物の場合、100%の生存率を示す、驚くべき非常に優れた効果を奏した。現在まで前臨床動物実験でこのような生存率の結果を示す治療剤または治療方法は存在しなかった。
【0010】
本開示はオリゴヌクレオチドを有効成分として含む三重陰性乳癌を治療するための薬学的組成物を提供することを目的とする。本開示は体内安定性及び抗癌効果に優れた薬学的組成物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は従来治療が難しかった三重陰性乳癌の原発性または転移性治療に対して優れた効果を奏する薬学的組成物を提供することを目的とする。
【技術的解決方法】
【0012】
1.本開示の一実施様態は、下記化学式1の構造を有する変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩を含み、三重陰性乳癌を予防または治療するための薬学的組成物:
[化学式1]
(N)x-[TGG]m[TTG][TGG]n-(M)y
(式中、N及びMは独立に5-位または2'-位にハロゲンまたはヒドロキシが結合されたデオキシウリジン(deoxyuridine、dU)、デオキシシチジン(deoxycytidine、dC)、ウリジン(uridine、U)またはシチジン(cytidine、C)であり;x及びyは独立に0~10の整数であり(ただし、xとyが同時に0である場合は除く)、nは1~10の整数であり;mは1~10の整数である)。
【0013】
2.一実施様態において、N及び前記Mは独立に5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2',2'-ジフルオロデオキシシチジン、カペシタビン及びブロモビニルデオキシウリジンからなる群から選択されるものであってもよい。
【0014】
3.一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドは、下記化学式2~化学式34のうちのいずれか一つの構造を有するものであってもよい。
[化学式2]
(N)2-[TGG]1[TTG][TGG]1、
[化学式3]
(N)2-[TGG]1[TTG][TGG]2、
[化学式4]
(N)2-[TGG]2[TTG][TGG]1、
[化学式5]
(N)2-[TGG]2[TTG][TGG]2、
[化学式6]
(N)2-[TGG]2[TTG][TGG]3、
[化学式7]
(N)2-[TGG]3[TTG][TGG]2、
[化学式8]
(N)2-[TGG]3[TTG][TGG]3、
[化学式9]
(N)2-[TGG]3[TTG][TGG]4、
[化学式10]
(N)2-[TGG]4[TTG][TGG]3、
[化学式11]
(N)2-[TGG]4[TTG][TGG]4、
[化学式12]
(N)2-[TGG]4[TTG][TGG]5、
[化学式13]
(N)2-[TGG]5[TTG][TGG]4、
[化学式14]
(N)2-[TGG]5[TTG][TGG]5、
[化学式15]
(N)2-[TGG]5[TTG][TGG]6、
[化学式16]
(N)2-[TGG]6[TTG][TGG]5、
[化学式17]
(N)2-[TGG]6[TTG][TGG]6、
[化学式18]
[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)1、
[化学式19]
[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)2、
[化学式20]
[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)3、
[化学式21]
[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)4、
[化学式22]
[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)5、
[化学式23]
[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)1、
[化学式24]
[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)2、
[化学式25]
[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)3、
[化学式26]
[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)4、
[化学式27]
[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)5、
[化学式28]
[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)10、
[化学式29]
(N)1-[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)1、
[化学式30]
(N)3-[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)3、
[化学式31]
(N)5-[TGG]4[TTG][TGG]4-(M)5、
[化学式32]
(N)1-[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)1、
[化学式33]
(N)3-[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)3、
[化学式34]
(N)5-[TGG]4[TTG][TGG]5-(M)5
【0015】
4.一実施様態において、nは1~5の整数であり、mは1~5の整数であってもよい。
【0016】
5.一実施様態において、x及びyは、独立に0~5の整数であってもよい(ただし、xとyが同時に0である場合は除く)。
【0017】
6.一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドは、下記化学式12の構造を有するものであってもよい。
[化学式12]
(N)2-[TGG]4[TTG][TGG]5
【0018】
7.一実施様態において、Nは、2',2'-ジフルオロデオキシシチジンであってもよい。
【0019】
8.一実施様態において、三重陰性乳癌が転移性三重陰性乳癌であってもよい。
【0020】
9.一実施様態において、薬学的組成物は、三重陰性乳癌の外科的切除を受けた対象体に投与され得る。
【0021】
10.一実施様態において、薬学的組成物は、前記対象体で転移性癌または腫瘍を予防または治療するものであってもよい。
【0022】
11.一実施様態において、転移性癌は、肺癌、脳癌、骨肉腫、肝癌、またはリンパ腫であってもよい。
【0023】
12.一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドの投与量は、約0.01mg/kg~約100mg/kgであってもよい。
【0024】
13.一実施様態において、薬学的組成物は、週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または毎月1回の周期で投与され得る。
【0025】
14.一実施様態において、薬学的組成物は、生体材料をさらに含み得る。
【0026】
15.一実施様態において、薬学的組成物は、コラーゲン分散液製剤またはハイドロゲル分散液製剤で投与され得る。
【0027】
16.一実施様態において、薬学的組成物は、ゾル-ゲル製剤またはパッチ形態の製剤で投与され得る。
【0028】
17.一実施様態において、薬学的組成物は、これを必要とする対象体の三重陰性乳癌の外科的切除部位に移植され得る。
【0029】
18.一実施様態において、薬学的組成物は、これを必要とする対象体に静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、膀胱内、皮内、経皮、局所、または皮下投与され得る。
【0030】
19.本開示の一実施様態は、下記化学式1の構造を有するオリゴヌクレオチド変形体またはこの薬学的に許容可能な塩を含み、三重陰性乳癌の外科的切除を受けた対象体に投与され、三重陰性乳癌の外科的切除後に発生する転移性癌または腫瘍を予防または治療するための薬学的組成物に関するものであってもよい。
[化学式1]
(N)x-[TGG]m[TTG][TGG]n-(M)y
(式中、N及びMは独立に5-位または2'-位にハロゲンまたはヒドロキシが結合されたデオキシウリジン(deoxyuridine、dU)、デオキシシチジン(deoxycytidine、dC)、ウリジン(uridine、U)またはシチジン(cytidine、C)であり;x及びyは独立に0~10の整数であり(ただし、xとyが同時に0である場合は除く)、nは1~10の整数であり;mは1~10の整数である)。
【発明の効果】
【0031】
本開示の一実施様態による変形されたオリゴヌクレオチドは、癌細胞表面、細胞質または核に存在するヌクレオリン(Nucleolin)を効果的にターゲッティングすることができる。
【0032】
本開示の一実施様態による変形されたオリゴヌクレオチドは、癌細胞の成長を抑制したり癌細胞を死滅させたりすることができる。
【0033】
本開示の一実施様態による変形されたオリゴヌクレオチドは、特定配列のオリゴヌクレオチドに変形核酸(N)を結合させることによって、変形核酸の体内酵素による分解速度を減少させることができる。
【0034】
本開示の一実施様態による薬学的組成物は、三重陰性乳癌を効果的に予防または治療することができる。
【0035】
本開示の一実施様態による薬学的組成物は、三重陰性乳癌の外科的切除後に発生する転移性癌または腫瘍を効果的に予防または治療することができる。
【0036】
本開示の一実施様態による薬学的組成物は、三重陰性乳癌の外科的切除後、癌または腫瘍の転移を効果的に抑制することができる。
【0037】
本開示の一実施様態による薬学的組成物は、三重陰性乳癌の腫瘍除去以後すぐに投与されることができ、1次癌手術後の抗癌治療または放射線治療が難しい時期に三重陰性乳癌を積極的かつ効果的に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、ゲムシタビン、IO101L、及びIO101L-対照群の4T1細胞株に対する細胞増殖抑制結果を示したグラフである。
【
図2】
図2は、ゲムシタビン、IO101L、及びIO101L-対照群のMDA-MB-231細胞株に対する細胞増殖抑制結果を示したグラフである。
【
図3】
図3は、ゲムシタビン、IO101L、及びIO101L-対照群のMCF-7細胞株に対する細胞増殖抑制結果を示したグラフである。
【
図4】
図4は、4T1細胞株に対する細胞質内流入実験結果を示したグラフである。
【
図5】
図5は、マウスモデル製作過程を示した図であり、原発性腫瘍を除去する前後のIVIS撮影結果を示した図である。
【
図6】
図6は、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルの製作及び試験物質の投与スケジュールを示した図である。
【
図7a】
図7aは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである薬品未処理試験群を観察したIVIS(in vivo imaging system)結果を示した図である。
【
図7b】
図7bは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、試験物質(ゲムシタビン)を腹腔内に投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図7c】
図7cは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、試験物質(IO101L-対照群)を腹腔内に投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図7d】
図7dは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、試験物質(IO101L)を腹腔内に投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図8】
図8は、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、薬品未処理試験群のマウス生存率及び試験物質(ゲムシタビン、IO101L-対照群、及びIO101L)を腹腔内に投与した試験群のマウス生存率を示したグラフである。
【
図9a】
図9aは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである薬品未処理試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図9b】
図9bは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、2mg IO101L-ローディングコラーゲンパッチを腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図10】
図10は、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、薬品未処理試験群と2mg IO101L-ローディングコラーゲンパッチを腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウス生存率を示したグラフである。
【
図11】
図11は、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、薬品未処理試験群と2mg IO101L-ローディングコラーゲンパッチを腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウスの重さ変化を示したグラフである。
【
図12a】
図12aは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、薬品未処理試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図12b】
図12bは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、コラーゲン単独パッチ試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図12c】
図12cは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、ゲムシタビン-ローディングコラーゲンパッチ試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図12d】
図12dは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、IO101L-ローディングコラーゲンパッチを用量別に腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図12e】
図12eは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、IO101L-ローディングコラーゲンパッチを用量別に腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図12f】
図12fは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、IO101L-ローディングコラーゲンパッチを用量別に腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図13】
図13は、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、薬品未処理試験群、コラーゲン単独パッチ試験群、ゲムシタビン-ローディングコラーゲンパッチ試験群、及びIO101L-ローディングコラーゲンパッチを用量別に腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウス生存率を示したグラフである。
【
図14】
図14は、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、薬品未処理試験群、コラーゲン単独パッチ試験群、ゲムシタビン-ローディングコラーゲンパッチ試験群、及びIO101L-ローディングコラーゲンパッチを用量別に腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウスの重さ変化を示したグラフである。
【
図15】
図15は、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルの製作過程及び試験物質投与方法を示した図である。
【
図16a】
図16aは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、薬品未処理試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【
図16b】
図16bは、三重陰性乳癌の同所移植動物モデルである、IO101L-ローディングハイドロゲルパッチを腫瘍除去部位に移植して投与した試験群のマウスを観察したIVIS結果を示した図である。
【発明の実施のための最善の形態】
【0039】
本文書に記載された多様な実施様態または実施例は、本開示の技術的思想を明確に説明するための目的で例示されたものであり、これを特定の実施形態で限定しようとするものではない。本開示の技術的思想は、本文書に記載された各実施様態または実施例の多様な変更(modifications)、均等物(equivalents)、代替物(alternatives)及び各実施様態または実施例の全部または一部から選択的に組み合わせられた実施様態または実施例を含む。
【0040】
本開示で用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、異なって定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。
【0041】
本文書で用いられる単数形の表現は、文脈上異なって意味しない限り複数形の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0042】
本開示で、用語「略」は技術分野の熟練した技術者に広く公知となった通り、それぞれの値に対する通常の誤差範囲を示し得る。これは本開示に記載された数値または範囲の脈絡で、一実施様態で言及されるか、または請求された数値または範囲の±20%、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%であることを意味し得る。
【0043】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、当該表現が含まれる語句または文章で異なって言及されない限り、「含む」と類似の方式で他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)として理解されるべきである。
【0044】
本開示で用いられた用語「及び/または」は当該用語と連関した項目において、項目のうちの任意の一つ以上、項目の任意の組合わせまたは項目の全部を意味し得る。
【0045】
本開示に記述された本開示の一実施様態は、一実施様態を「含む」、これより「なる」及び/または、これより「必須になる」ことを含むものと理解される。
【0046】
本開示で、用語「薬学的組成物」は、含有された活性成分の生物学的活性が効果的なように許容する、そのような形態の製剤を指し得、対象体に投与され得る組成物が許容されない毒性の追加成分を含有しない。
【0047】
本開示で、用語「薬学的に許容可能な」は、一般に安全かつ無毒性であり、生物学的に、または他に好ましい薬学的組成物を製造するのに有用であり、獣医学だけでなくヒト薬学的用途に許容可能な物質の属性を示すことができ、例えば各国の管理機関により承認されたか、各国の薬局方で列挙されたものを意味し得る。
【0048】
本開示で用いられる用語「薬学的に許容可能な塩」はイオン性結合を含有し、化合物を対象体に投与するのに適した酸または塩基と反応させて通常生産された生成物を意味し得る。
【0049】
本開示で、用語「薬学的に許容可能な賦形剤」は治療活性がなく、無毒性である任意の成分、例えば薬学的生成物を製剤化するのに用いられた結合剤、充填剤、溶媒、緩衝剤、毒性剤、安定化剤、酸化防止剤、界面活性剤、潤滑剤を示し得る。
【0050】
本開示で、用語「薬学的に許容可能な担体」は活性成分以外に薬学的組成物の成分を指し、これは対象体に無毒性である。薬学的に許容可能な担体は非制限的で、緩衝剤、賦形剤、安定化剤または保存剤を含み得る。
【0051】
本開示で用いられた用語「担体(carriers)」は、適用された投与量と濃度で細胞または哺乳動物に非毒性の、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または安定化剤を含み得る。往々にして前記薬学的に許容可能な担体は、水溶性pHバッファ溶液である。薬学的に許容可能な担体の例は、フォスフェート、クエン酸及び他の有機酸のようなバッファ;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10個の残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのような蛋白質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンのようなアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類及び他の炭水化物;EDTAのようなキレーティング剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような塩-形成対イオン;及び/またはTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)及びPLURONICS(登録商標)のようなノニオン性界面活性剤を含み得るが、これに制限されはしない。
【0052】
本開示で用いられた用語、「薬学的に許容可能な担体及び/または希釈剤」は全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤と抗真菌剤、等張用製剤と吸着遅延剤等を含み得るが、これに制限されはしない。
【0053】
本開示で用いられた用語「有効量」は有益か、所望の臨床または生化学的結果をもたらすのに十分な量を意味し得る。有効量は1回以上で投与され得る。有効量は疾病状態の進行を緩和させたり、改善したり、安定化させたり、遅くしたりまたは遅延させたりするのに十分な量を意味し得る。
【0054】
本開示で、薬学的組成物の「薬学的有効量」、「投与用量」、「治療有効量」または「効果投与量」は、目的とした治療的または予防的結果を達成するために、必要な時間の間に投与するのに効果的な量を指し得る。
【0055】
本開示で用いられた用語「個体」または「対象体」は哺乳動物を意味し得る。哺乳動物には、家畜(例えば、牛、羊、猫、犬、及び馬)、霊長類(例えば、ヒト及び猿のような非ヒト霊長類)、うさぎ、並びにげっ歯類(例えば、マウスとラット)が含まれるが、これに制限されはしない。一実施様態において、個体または対象体はヒトであってもよい。
【0056】
本開示で用いられた用語、「治療」は有益か、所望の臨床結果を得るための手段(approach)を意味し得る。本開示の目的上、有益か、所望の臨床結果は、感知できるか、感知できない、症状の軽減、疾病程度の減少、疾病状態の安定化(即ち、悪化させない)、疾病進行の遅延及び先送り、疾病状態の改善または緩和、及び病の快方(部分的であれ全体的であれ)を含むが、これに制限されはしない。「治療」は、また、治療を受けなかった場合に期待される寿命に比べて生存率を延長させることを意味することもできる。「治療」は治療のための治療と予防または防止のための措置のいずれも意味する。治療を必要とする対象は疾患が予防される個体だけでなく、既に疾患が発病した個体を含む。疾病の「症状の緩和(Palliating)」は、治療がない状況と比較して、疾病状態の程度及び/または所望しない臨床症状が減ること、及び/または病の進行の経過(time course)が遅くなったり、長くなったりすることを意味する。
【0057】
本開示で用いられた用語「予防」またはこれを「予防する」は、(i)疾病状態にさらされたり、これに脆弱になり得るが、まだ疾病状態を経験していなかったり、疾病状態の症状を示さない対象体において発達していない疾病の臨床的症状のうちの一つ以上を引き起こす危険を減少させるか、または(ii)疾病をもたらす危険を減少させることを意味し得る。
【0058】
本開示の一実施様態は、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩を含む三重陰性乳癌を治療するための薬学的組成物に関するものであってもよい。
【0059】
本開示の一実施様態は、変形されたオリゴヌクレオチドに関するものであってもよい。
【0060】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドはオリゴヌクレオチドと変形核酸が連結されたものであってもよい。
【0061】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドは[TGG]m[TTG][TGG]nの核酸配列を含むか、またはこのような核酸配列からなるものであってもよい。
【0062】
一実施様態において、nは1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の整数であってもよい。また、nは1~10、2~9、3~8、4~7、5~6の整数であってもよい。
【0063】
一実施様態において、mは1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の整数であってもよい。また、mは1~10、2~9、3~8、4~7、5~6の整数であってもよい。
【0064】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドは下表1に記載された核酸配列のうちいずれか一つであってもよいが、これに制限されはしない。
【0065】
【0066】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドはグアノシンが豊富でG-クァッドラプレクス(G-quadruplex)構造を形成することができ、ヌクレオリンに特異的なアプタマーであってもよい。
【0067】
本開示で用いられた用語「ヌクレオリン」は、形質転換細胞で高い水準に発現する蛋白質を意味する。大部分の腫瘍細胞は細胞質及び核でヌクレオリンを発現するだけでなく、細胞表面にヌクレオリンを露出すると知られている。ヌクレオリンは、細胞で多様な機能をし、リボソームの生成、細胞成長及びDNA複製に関与し得る。
【0068】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドは癌細胞に、より選択的に結合し得、細胞内で複数の機作を通じて癌細胞の成長を阻害することができる。
【0069】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに一つ以上の変形核酸を結合させたものであってもよい。このような結合によって変形されたオリゴヌクレオチドは変形核酸を安定化させたり、体内で変形核酸の非活性化を防止したりすることができる。
【0070】
一実施様態において、変形核酸は自然界に存在する核酸またはヌクレオチドでなく、5-位または2'-位に少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシが結合されたデオキシウリジン(deoxyuridine、dU)、デオキシシチジン(deoxycytidine、dC)、ウリジン(uridine、U)またはシチジン(cytidine、C)であってもよい。例えば、変形核酸は5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2',2'-ジフルオロデオキシシチジン、カペシタビン及びブロモビニルデオキシウリジンまたはこれらの誘導体からなる群から選択されたものであってもよいが、これに制限されはしない。
【0071】
一実施様態において、変形核酸はオリゴヌクレオチド配列のうちの任意の位置に独立に結合または接合され得る。例えば、変形核酸はオリゴヌクレオチド配列の5'-位、2'-位、またはオリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に結合または接合され得る。
【0072】
一実施様態において、変形核酸はリンカーによってオリゴヌクレオチドの5'方向、3'方向、またはオリゴヌクレオチド配列内に位置する任意のヌクレオチドのうちの少なくとも一つに連結され得る。
【0073】
本開示で用いられる用語「変形核酸」は、また、天然発生ヌクレオチド(A、G、T/U、及びC)の類似体、置換体またはエステルを意味し得、通常の技術者が容易に用いることができる変形ヌクレオチドを包括する広範囲な概念を意味し得る。例えば、変形されたヌクレオチドはC-5位での置換を有するか(例:C-5変形されたピリミジン)ヌクレオチドを構成する糖類(リボースまたはデオキシリボース)が変形されるか、またはこのような変形を全て有するヌクレオチドを意味し得る。
【0074】
一実施様態において、リンカーは、[-(CH2)a-]、[-(CH2CH2O)b-]、[butylramidomethyl-1-(2-nitrophenyl)-ethyl]-2-cyanoethyl-]、[1',2'-dideoxyribose-]または(PEG)yであってもよい。一実施様態において、aは1~10、2~9、3~8、4~7、5~6の整数であってもよく;bは1~10、2~9、3~8、4~7、5~6の整数であってもよく;yは1~20、2~19、3~18、4~17、5~16、6~15、7~14、8~13、9~12または10~11の整数であってもよい。
【0075】
一実施様態において、リンカーが結合される場合、変形されたオリゴヌクレオチドは、例えば、(N)x-L-[TGG]m[TTG][TGG]n-L-(M)y [L=linker]の構造を有するものとして表現され得る。
【0076】
一実施様態において、変形核酸がオリゴヌクレオチドの3'方向に連結される場合、変形核酸の3'方向にidT(inverted dT)、LNA(locked nucleic acid)、ポリエチレングリコール(PEG)または2'OMeNu(2'-Methoxy Nucleosides)をさらに結合させることができる。
【0077】
一実施様態において、変形核酸の3'方向にidT、LNA、PEGまたは2'OMeNuをさらに結合させることによってヌクレアーゼの攻撃から変形されたオリゴヌクレオチドの3'末端を保護することができ、これによって変形されたオリゴヌクレオチドが体内で分解(degradation)される速度を下げ、変形核酸がさらに長い間オリゴヌクレオチドに結合されているようにして変形核酸の抗癌効能を増加させられるはずである。
【0078】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドは化学式1の構造を有するものであってもよい:
[化学式1]
(N)x-[TGG]m[TTG][TGG]n-(M)y
化学式1でN及びMは変形核酸であり、NとMは同一であるか、または異なる種類の変形核酸であってもよい。変形核酸に関する内容は前述した通りである。
【0079】
一実施様態において、化学式1でx及びyは独立に0~10であってもよく、xとyが同時に0である場合は除く。一実施様態において、化学式1でxは0~10、1~9、2~8、3~7、4~6の整数であってもよく、yは0~10、1~9、2~8、3~7、4~6の整数であってもよい。ただし、xとyが同時に0である場合は除く。
【0080】
一実施様態において、化学式1でnは1~10の整数であり、mは1~10の整数であってもよい。一実施様態において、化学式1でnは1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の整数であってもよい。また、化学式1でnは1~10、2~9、3~8、4~7、5~6の整数であってもよい。
【0081】
一実施様態において、化学式1でmは1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の整数であってもよい。他の例として、化学式1でmは1~10、2~9、3~8、4~7、5~6の整数であってもよい。
【0082】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドは下表2に記載された化学式のいずれか一つの構造を有するものであってもよい。
【0083】
【0084】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドは配列番号10のオリゴヌクレオチドの5'方向及び3'方向のうちの少なくとも一つにゲムシタビン(2',2'-ジフルオロデオキシシチジン)が連結されたものであってもよい。例えば、変形されたオリゴヌクレオチドは配列番号10のオリゴヌクレオチドの5'方向に10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下のゲムシタビンが結合されたものであってもよい。
【0085】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドは配列番号11のオリゴヌクレオチドの5'方向または3'方向に少なくとも一つのゲムシタビンが連結されたものであってもよい。例えば、変形されたオリゴヌクレオチドは配列番号11のオリゴヌクレオチドの5’方向に10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下のゲムシタビンが結合されたものであってもよい。
【0086】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドと変形核酸を連結するための方法は前述したオリゴヌクレオチドの5'末端及び3'末端のうちの少なくとも一つに前述した変形核酸を結合させる段階を含み得る。
【0087】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドと変形核酸を連結するための他の方法は前述したオリゴヌクレオチドの5'末端及び3'末端のうちの少なくとも一つに化学的な合成を通じてリンカーを連結させた後、連結されたリンカーに前述した変形核酸を結合させる段階を含み得る。
【0088】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドを製造するために変形核酸を結合させる段階は、固相反応基を用いることもできる。
【0089】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドはGRO(guanine-rich oligonucleotide)アプタマーであり、このようなオリゴヌクレオチドはその内部に存在するリンカーの判断基準に応じて異なって表記され得る。例えば、米国公開特許第2008/0318887号によれば、[GGT]m-TGT-[GGT]n-GGの構造を有する配列であってもよく、非特許文献1の論文[Nucleic Acids Research, 2010, 38(14), 4877-4888]によると、[GGT]m-GG-TTGT-[GGT]n-GGの構造を有する配列であってもよい。一実施様態において、オリゴヌクレオチドは前記説明した通り変形核酸と結合され得、オリゴヌクレオチドを構成する核酸が変形ヌクレオチドに置換され得る。一実施様態において、オリゴヌクレオチドは下表3のように示すことができる。
【0090】
【0091】
一実施様態において、上記表3でN1、N2、N3、N4、N5、N6はそれぞれ核酸分子であってもよく、自然界に存在する非変形核酸ヌクレオチドであるA、T、C、G、Uのいずれか一つであるか、またはこれらの変形体であってもよい。
【0092】
一実施様態において、オリゴヌクレオチド配列に含まれたそれぞれの核酸ヌクレオチドは変形核酸または変形ヌクレオチドに置換され得、オリゴヌクレオチド配列はその配列内に1個以上の変形核酸または変形ヌクレオチドを含み得る。
【0093】
一実施様態において、オリゴヌクレオチドまたはこれらの変形体に関する化学式でn、m、x、y、n1、n5、n6はそれぞれ1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、または1~2の整数であってもよい。一実施様態において、n5またはn6はそれぞれ0であってもよい。
【0094】
一実施様態において、例えば、オリゴヌクレオチドは下表4に示したものであってもよい。表4でGemはゲムシタビンを意味する。
【0095】
【0096】
一実施様態において、三重陰性乳癌は原発性及び/または転移性三重陰性乳癌であってもよい。一実施様態において、転移性三重陰性乳癌は乳房で発生した原発性三重陰性乳癌から対象体の他の組織または臓器に転移した癌または腫瘍を意味し得る。このような転移性三重陰性乳癌は原発性三重陰性乳癌を対象体の患部から外科的手術で切除した後も発生し得、このような転移は三重陰性乳癌の予後が悪い原因の一つとして作用することがある。
【0097】
一実施様態において、薬学的組成物は、三重陰性乳癌の外科的切除を受けた対象体に投与され得る。一実施様態において、薬学的組成物は、前記外科的切除を受けた対象体で転移性癌または腫瘍を予防または治療するものであってもよい。一実施様態において、転移性癌は、肺癌、脳癌、骨肉腫、肝癌、またはリンパ腫であってもよいが、これに制限されはしない。
【0098】
一実施様態において、薬学的組成物は、三重陰性乳癌の外科的切除部位に移植され得る。
【0099】
一実施様態において、薬学的組成物は、薬物伝達組成物であってもよい。
【0100】
本開示の一実施様態は、前述した薬学的組成物を含む薬物伝達デバイスに関するものであってもよい。
【0101】
本開示の一実施様態は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物を対象体に投与する段階を含む、三重陰性乳癌を予防または治療する方法に関するものであってもよい。一実施様態において、対象体は三重陰性乳癌の外科的切除を受けた対象体であってもよい。
【0102】
本開示の一実施様態は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物の三重陰性乳癌を予防または治療するための用途に関するものであってもよい。
【0103】
本開示の一実施様態は、三重陰性乳癌を予防または治療するための方法に用いるための、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物に関するものであってもよい。
【0104】
本開示の一実施様態は、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩を含む三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後に発生する転移性癌または腫瘍を予防または治療するための薬学的組成物に関するものであってもよい。本開示の一実施様態は、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩を含む三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後、癌または腫瘍の転移を抑制するための薬学的組成物に関するものであってもよい。
【0105】
本開示の一実施様態は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物を対象体に投与する段階を含む、三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後に発生する転移性癌または腫瘍を予防または治療する方法に関するものであってもよい。本開示の一実施様態は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物を対象体に投与する段階を含む、三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後、癌または腫瘍の転移を抑制する方法に関するものであってもよい。
【0106】
本開示の一実施様態は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物の、三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後に発生する転移性癌または腫瘍を予防または治療するための用途に関するものであってもよい。本開示の一実施様態は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物の、三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後、癌または腫瘍の転移を抑制するための用途に関するものであってもよい。
【0107】
本開示の一実施様態は、三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後に発生する転移性癌または腫瘍を予防または治療するための方法に用いるための本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物に関するものであってもよい。本開示の一実施様態は、三重陰性乳癌(TNBC)の外科的切除後、癌または腫瘍の転移を抑制するための方法に用いるための本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物に関するものであってもよい。
【0108】
一実施様態において、投与または投与する段階は薬学的組成物を対象体に移植するものであってもよく、具体的に三重陰性乳癌の切除部位に薬学的組成物を移植するものであってもよい。
【0109】
本開示の一実施様態は、本開示の薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスを外科的に移植することによって原発性三重陰性乳癌の再増殖を予防する方法に関するものであってもよい。本開示の一実施様態は、本開示の薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスを外科的に移植することによって三重陰性乳癌の再発及び/または転移を予防する方法に関するものであってもよい。
【0110】
一実施様態において、前記方法は三重陰性乳癌の腫瘍の外科的切除後、前記薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスを移植することをさらに含み得る。一実施様態において、前記方法は三重陰性乳癌の腫瘍の切除部位に前記薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスを移植することをさらに含み得る。
【0111】
本開示の薬学的組成物、用途、治療方法において記載された事項は互いに矛盾しない限り、同一に適用され得る。
【0112】
一実施様態において、薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスは生体材料、薬学的に許容可能な賦形剤、薬学的に許容可能な担体、及び薬学的に許容可能な希釈剤の一つ以上を含み得る。
【0113】
一実施様態において、生体材料はスキャフォールドまたはデポであってもよい。このようなスキャフォールドまたはデポは、本開示に記載されたような薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイス内の任意の治療剤の持続したまたは延長した放出を含有及び増進させるのに適した任意の合成または自然に発生する材料を含み得る。一実施様態において、生体材料は、本開示に記載された組成物及びデバイスの有利な特性(例えば、貯蔵弾性率、生分解、治療剤の放出プロファイル)を提供する特性を保有し得る。一実施様態において、生体材料は溶液中の特定治療剤の投与と比較して腫瘍切除部位内での前記治療剤の放出を延長させることができる。一実施様態において、生体材料は溶液中の特定治療剤の投与と比較して腫瘍切除部位内での前記治療剤の放出を少なくとも5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週、3週、または4週だけ延長させることができる。
【0114】
一実施様態において、生体材料はヒアルロン酸、アルギネート、キトサン、キチン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、ゼラチン、ハイドロゲル、コラーゲン、デンプン、セルロース、ポリサッカライド、フィブリン、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド-含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(β-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単一壁炭素ナノチューブ、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(アルファエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、その誘導体、及び/またはその組合わせを含み得るが、これに制限されはしない。
【0115】
一実施様態において、生体材料は疎水性重合体であってもよい。一実施様態において、疎水性重合体はエチレン-ビニルアセテート(EVA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単一壁炭素ナノチューブ、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、ポリ(アルファエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、またはポリヒドロキシアルカノエートであってもよいが、これに制限されはしない。疎水性重合体を生体材料として用いるのは、前記薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイス内の(各)治療剤が親水性の場合に特に有用であり得る。疎水性治療剤は治療効果を付与するのにさらに役立つ放出時間尺度(例えば、数時間)よりも長い期間(例えば、数日/数週)にわたって放出されると予想される。従って、一実施様態において、生体材料が疎水性重合体である場合、前記薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスの(各)治療剤は親水性分子であってもよい。
【0116】
本開示で用いられた用語「生体材料」は医学的な目的(例えば、治療的、または診断的な目的)のために生物学的システムと相互作用するように操作させた任意の生体適合性物質を意味し得る。ここで、生体材料は自然から由来し得るか、または合成され得る。
【0117】
本開示で用いられた用語「ハイドロゲル」は親水性で、往々にして水が分散媒質であるコロイド性ゲルとして発見される重合体鎖のネットワーク構造を有し得る。ハイドロゲルは高度に吸水性の(90%超の水を含有することができる)自然または合成重合体性ネットワーク構造を有し得る。ハイドロゲルは、また、相当な水分含量により自然組織と類似するほどの柔軟性を保有することができる。
【0118】
本開示で用いられた用語「移植可能な」、「移植」、「移植する」及び「移植する」は、薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスを対象体内の特定の位置、例えば腫瘍切除部位内にまたは監視リンパ節に、典型的かつ一般的な外科方法によって位置設定することを指し得る。
【0119】
本開示で用いられた用語「生体適合性」はその使用目的の生体内環境において実質的に無毒性で、患者の生理学的システムによって実質的に拒絶されない(即ち、非-抗原性である)材料を指し得る。これは、国際標準機構(ISO)標準番号10993及び/または米国薬局方(USP) 23及び/または「国際標準ISO-10993の使用、医学的デバイスパート-1の生物学的評価:評価及び試験」という題目の米国食品医薬局(FDA)青書提案書番号G95-1に提示された生体適合性試験を通過できる特定材料の能力によって判断されることができる。典型的に、これらの試験は特定材料の毒性、感染性、発熱性、刺激潜在性、反応性、溶血活性、発ガン性、及び/または免疫原性を測定する。生体適合性構造または材料は大多数の患者内へ導入されるとき、好適でなく有害であったり、長く持続したりまたは拡大する生物学的反応または反応を誘発させないものであり、典型的に手術または異物を、生きている有機体内に移植することを伴う軽症の一時的な炎症と区別される。
【0120】
一実施様態において、薬学的組成物はコラーゲン分散液を含み得る。一実施様態において、コラーゲン分散液は、PBS溶液100mlに対してコラーゲンが0.5~5.5g、1~4.5g、2~3.5g含まれたものであってもよい。コラーゲン分散液のコラーゲンの濃度は、0.6~6.0%、0.5~5.5%、0.5~3.0%、1~4.5%、または2~3.5%であってもよい。一実施様態において、薬学的組成物に含まれたコラーゲンの濃度によって薬品の持続時間または治療効果に差が発生し得るので、コラーゲンが組成物に適正濃度で含まれなければならない。
【0121】
一実施様態において、本開示の薬学的組成物に含まれたコラーゲンは組成物に含まれた変形されたオリゴヌクレオチドを取り囲んでいる形態で存在し得る。
【0122】
一実施様態において、本開示の薬学的組成物は多様な製剤で製造または使用され得る。一実施様態において、前記製剤は粉末、顆粒、錠剤、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、軟質または硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末、ゾル-ゲル製剤、スキャフォールド形態の製剤またはパッチ形態(ディスク形態)の製剤であってもよいが、これに制限されはしない。一実施様態において、本開示の薬学的組成物はコラーゲン分散液製剤またはハイドロゲル分散液製剤であってもよい。一実施様態において、本開示の薬学的組成物はゾル-ゲル製剤、スキャフォールド形態の製剤、パッチ形態の製剤、またはディスク形態の製剤であってもよい。一実施様態において、本開示の薬学的組成物は上記記載された製剤で投与され得る。
【0123】
一実施様態において、薬学的組成物は非経口用組成物であってもよい。非経口用組成物は投与量の均一性と投与の容易性のための単位製剤(dosage unit form)の形態に製剤化するのが有利なこともある。
【0124】
一実施様態において、本開示の薬学的組成物は、個体に、これに制限されはしないが、次を含む任意の経路を通じて投与され得る:静脈内(IV)、腹腔内(IP)、眼内、鼻腔内、動脈内、肺内、経口、吸入、膀胱内、膣内、皮内、筋肉内(IM)、気管内、皮下(SC)、脊椎腔内、経皮、経胸膜、局所、粘膜(例えば、鼻腔粘膜を介して)、胃腸管、関節内、嚢内、心室内、頭蓋内、尿道内、肝内及び腫瘍内(IT)。一実施様態において、本開示の薬学的組成物は、外科的に移植されて対象体に投与され得る。一実施様態において、本開示の薬学的組成物は、腫瘍を切除した患部または部位に外科的に移植されて対象体に投与され得る。一実施様態において、本開示の組成物は、例えば、インフュージョン注射またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚内壁(mucocutaneous linings)(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜と腸粘膜など)を介した吸収のような全ての一般的な経路で投与され得、他の生物学的有効成分と共に投与されることもできる。投与は、全身的または局所的であってもよい。
【0125】
一実施様態において、三重陰性乳癌の予防または治療のための薬学的組成物、薬物伝達組成物または薬物伝達デバイスに含まれる、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩の含量は、癌の予防または治療に効果を奏し得る含量として対象体の状態及び/または疾患の重症度によって適切に調節され得る。一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩、またはこれらを含む薬学的組成物の最適有効量は、実験的に決定することができ、疾患の類型及び重症度、投与の経路、疾患の進行及び健康、個体の体重及び体面積によって変わり得る。このような決定は通常の技術者の技術内に含まれる。
【0126】
一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩は、例えば、一日に体重kg当り0.05ng~約100mgが投与され得る。一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩の投与量は、約0.01mg/kg以上、約0.1mg/kg以上、約0.5mg/kg以上、約1.0mg/kg以上、約1.5mg/kg以上、約2.0mg/kg以上、約2.5mg/kg以上、約3.0mg/kg以上、約3.5mg/kg以上、約4.0mg/kg以上、約4.5mg/kg以上、約5.0mg/kg以上、約6.0mg/kg以上、約8.0mg/kg以上、約10.0mg/kg以上、約15.0mg/kg以上であるか、または約20.0mg/kg以下、約17.0mg/kg以下、約14.0mg/kg以下、約11.0mg/kg以下、約9.0mg/kg以下、約7.0mg/kg以下、約5.5mg/kg以下、約5.0mg/kg以下、約4.5mg/kg以下、約4.0mg/kg以下、約3.5mg/kg以下、約3.0mg/kg以下、約2.5mg/kg以下、約2.0mg/kg以下、約1.5mg/kg以下、または約1.0mg/kg以下であってもよい。一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこの薬学的に許容可能な塩の投与量は約1.0mg/kg~約10.0mg/kg、または約1.0mg/kg~約5.0mg/kgであってもよい。
【0127】
一実施様態において、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドの有効量は約0.01mg~約1,000mgであってもよい。一実施様態において、本開示の薬学的組成物は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドを約0.001mg、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約30mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、または約1,000mg(包含的、これらの数字間の任意の値を含む)で単一用量に含み得る。
【0128】
一実施様態において、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたはこれを含む薬学的組成物は、単回一日用量で投与されるか、または総一日用量が一日2、3、または4回の分けられた投与量で投与され得る。一実施様態において、本開示の薬学的組成物は、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、隔週毎に1回、3週毎に1回、毎月1回、2カ月毎に1回、3カ月毎に1回、6カ月毎に1回、9カ月毎に1回、または毎年1回投与され得る。一実施様態において、本開示の薬学的組成物は、より頻繁でない頻度で、例えば、3カ月毎に1回、4カ月毎に1回、5カ月毎に1回、6カ月毎に1回、7カ月毎に1回、8カ月毎に1回、9カ月毎に1回、10カ月毎に1回、11カ月毎に1回、または毎年1回投与され得る。
【0129】
一実施様態において、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたはこれを含む薬学的組成物は、単独で、または一つ以上の追加の治療剤と組み合わせて用いられ得、この場合、単一または多重投与され得る。例えば、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたはこれを含む薬学的組成物は、単独で、または抗癌活性を示す他の治療剤と組み合わせて投与され得る。一実施様態において、組合わせは同時投与で提供され得、本開示の変形されたオリゴヌクレオチド及び少なくとも一つの治療剤が同一の組成物内で共に投与されたり、異なる組成物内で同時に投与されたりし得る。一実施様態において、組合わせは別個の投与で提供され得、変形されたオリゴヌクレオチドまたはこれを含む薬学的組成物の投与は少なくとも一つの治療剤の投与以前、及び/または投与と同時、及び/または投与後に生じ得る。順次的な投与間の間隔は少なくとも数分、数時間、または数日(または、代案として、未満)の期間であってもよい。一実施様態において、本開示の薬学的組成物は他の治療療法と組み合わせて用いられることができる。
【0130】
本開示の一実施様態は、本開示の三重陰性乳癌を治療するための約学的組成物の製造方法に関するものであってもよい。
【0131】
一実施様態において、薬学的組成物の製造方法は、前述した変形されたオリゴヌクレオチドが分散した分散液を製造する段階を含む。一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドが分散した分散液は、変形されたオリゴヌクレオチドをPBSと混合させて製造することができる。一実施様態において、薬学的組成物の製造方法は、前述した変形されたオリゴヌクレオチドが分散した分散液をコラーゲン分散液またはハイドロゲル分散液と混合する段階をさらに含み得る。一実施様態において、変形されたオリゴヌクレオチドが分散した分散液は、変形されたオリゴヌクレオチドをPBSと混合して製造されたものであってもよい。
【0132】
一実施様態において、前記コラーゲンに関する内容は生体材料に同様に適用可能である。
【0133】
本開示の一実施様態は、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドまたはこれを含む薬学的組成物を適切な包装内に含む製造物品またはキットに関するものであってもよい。一実施様態において、前記適切な包装は当該分野によく知られており、例えば、バイアル(例えば、密封されたバイアル)、容器、アンプル、ビン、壷、柔軟な包装(例えば、密封されたマイラーまたはプラスチックバック)等を含み得るが、これに制限されはしない。このような製造物品は追加で滅菌及び/または密封され得る。
【0134】
一実施様態において、キットは、前記組成物を本開示に記述された方法または用途で用いる方法に関する説明書をさらに含み得る。一実施様態において、キットは、商業的及び使用者の観点から望ましい他の構成品をさらに含み得、例えば、その他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、ニードル、シリンジ、及び本開示に記述された任意の方法を行うための説明書を含むパッケージインサート(package inserts;PI)を含み得る。例えば、一実施様態において、キットは、(i)本開示に記述された変形されたオリゴヌクレオチド、(ii)薬学的に許容可能な担体、及び(iii)次のうち、一つ以上を含み得る:緩衝液、希釈剤、フィルタ、ニードル、シリンジ、及び投与を行うための説明書を含むパッケージインサート。
【0135】
以下、実施例を挙げて本開示の構成及び効果をより具体的に説明する。しかし、これら実施例は、本開示に対する理解に役立てるために例示の目的でだけ提供されたものに過ぎず、本開示の範疇及び範囲が下記の実施例によって制限されるわけではない。
【0136】
[実施例1]変形されたオリゴヌクレオチドの製作
実施例1-1.ゲムシタビン含有オリゴヌクレオチドの合成
28種のオリゴヌクレオチドを設計して製作し、製作されたオリゴヌクレオチドのそれぞれにゲムシタビンを結合させて変形されたオリゴヌクレオチドを製作した。設計された28種のオリゴヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドに変形核酸が結合された28種の変形されたオリゴヌクレオチドを下表6に示した。以下でゲムシタビンはGemでも表現され得る。
【0137】
【0138】
「ゲムシタビン含有オリゴヌクレオチド」(変形されたオリゴヌクレオチド)を固相ホスホロアミダイト化学方法(solid phase phosphoramidite chemistry)でMermade 12 DNA synthesizer (BioAutomation Manufacturing, Irging, TX)を用いて合成した。
【0139】
Biotage MPLC, C18カートリッジを用いて脱塩(desalting)を行った。化合物を蒸溜水(D.W.)に溶かしてWaters Acquity UPLC H-Classを用いてXbridge Oligonucleotide BEH C18 130A, 1.7 μm, 2.1×50mm column, Column oven temperature 50℃, mobile phase A solvent(0.1M TEAA), B solvent(100 ACN), Flow 0.3mL/minで分離/精製した。Waters G2-XS Q-TOF質量分析器(Mass Spectrometer)で分子量を同定した。全オリゴヌクレオチドの合成は独自に行った。
【0140】
1-2.他の種類の変形されたオリゴヌクレオチドの合成
上の1-1に記載された方法と同一の方法で((N)x-[TGG]4[TTG][TGG]4/または5、([TGG]4[TTG][TGG]4/または5-(N)x)及び((N)x-[TGG]4[TTG][TGG]4/または5-(N)y)を合成した(下表7参照)。
【0141】
【0142】
[実施例2]変形されたオリゴヌクレオチド(IO101L)の合成
化合物11の変形されたオリゴヌクレオチドであり、[Gem]2-T-[GGT]4-TGT-[GGT]4-GGまたは[Gem]2-T-[GGT]3-GG-TTGT-[GGT]4-GGの構造を有する変形されたオリゴヌクレオチド(IO101L)を実験に用いるために準備した。
【0143】
具体的に、IO101Lは、MerMade 12(バイオオートメーション、米国)を用いて一般的なDNA自動合成方法で合成した。[Deblocking→Coupling→Capping→Oxidation]の4段階工程を行ったcycleで1merずつ(1個のヌクレオチドずつ)3'末端から5'末端に順次合成した。IO101Lの5'末端はゲムシタビン2分子で構成されており、ゲムシタビン3'-CE phosphoramidite(5’-O-DMT-N4-Bz-2’、2’-difluoro-2’-dC-3’-CE Phosphoramidite)を用いて合成した。
【0144】
合成した核酸リガンドをPrep150精製器(Waters、米国)で精製した。精製は逆相C18カラムを用いた。精製した分画物をWaters ACQUITY UPLC H-Class Bio PLUS System(Waters、米国)の逆相C18カラムで分析して純度80%以上の分画を集めて乾燥した。
【0145】
分析:最終産物をWaters ACQUITY UPLC H-Class Bio PLUS Systemで分析して純度を確認し、質量分析を実施した。質量分析装備はWaters Xevo G2-XS Q-TOF System(Waters、米国)を用いた。
【0146】
以下ではIO101LとIO101L-対照群に対して三重陰性乳癌に関する効果を評価した。各物質の配列及びCy5蛍光物質が結合された物質の構造は下記の通りである。IO101L-対照群の場合、IO101Lの核酸配列においてGをCに全て置換し、最後のTGG単位を除去して製造した。このようなIO101L-対照群物質はG-クアドロプレックス構造を形成して安定したIO101L物質と異なって、GをCに置換したCRO(C-rich oligonucleotide)に該当し、G-クアドロプレックス構造を形成できないため、構造が不安定で、抗癌活性を示すことができない。
【0147】
IO101L(配列番号29):(Gem)(Gem)[TGG]4[TTG][TGG]5
【0148】
IO101L-対照群(配列番号30):(Gem)(Gem)[TCC]4[TTC][TCC]4
【0149】
Cy5-標識されたIO101L:Cy5-(Gem)(Gem)[TGG]4[TTG][TGG]5
【0150】
Cy5-標識されたIO101L-対照群:Cy5-(Gem)(Gem)[TCC]4[TTC][TCC]5
【0151】
[実施例3]IO101Lのin vitro効能の評価
3-1.IO101Lの三重陰性乳癌細胞株に対する細胞増殖抑制効能の評価
3-1-1.TNBC細胞株の培養及び薬品処理後の細胞増殖抑制効果の測定
4T1(ATCC、米国)とMDA-MB-231(韓国細胞株バンク、韓国)のTNBC細胞株を5% CO2、37℃の培養器で培養し、培養液はATCC modified RPMI-1640(サーモサイエンティフィック、米国)に10% FBS、1%抗生剤を入れた培地を用いた。細胞が容器の80%以上育ったとき、PBSで細胞を洗滌して0.05%トリプシン-EDTAを添加して3分間反応させた。反応が終わった細胞に新たな培地を添加してトリプシン-EDTAを不活性化させ、遠心分離して細胞を回収した。回収された細胞は新たな培地に1:4の割合で継代して培養した。全細胞は周期的にマイコプラズマの汚染の有無を確認し、汚染が検出されていない細胞のみ実験に用いた。
【0152】
TNBC細胞株を96-wellプレートの各wellに1×10
4個ずつ分株し、16時間培養して細胞を付着させた。5% FBSが含まれたRPMI培地に交換して薬品を処理して72時間追加培養し、各wellにWST(ドンインLS、韓国)試薬を10μlずつ添加して3時間培養した。最後に、生成されたホルマザンを、Glomaxプレート測定機(プロメガ、米国)を用いて450nm吸光度で測定した。このような結果を
図1及び
図2に示した。
【0153】
3-1-2.抑制効果の測定結果
4T1細胞株とMDA-MB-231細胞株において薬品による抑制効果をそれぞれ
図1及び
図2から確認できる。このような結果から本開示の変形されたオリゴヌクレオチドがTNBC細胞の増殖を効果的に抑制できることを確認した。
【0154】
3-2.IO101LのHER2陰性乳癌細胞株に対する細胞増殖抑制効能の評価
3-2-1.HER2陰性乳癌細胞株の培養及び薬品処理後の効能の評価
本実験ではHER2陰性乳癌細胞株である、MCF-7細胞株(韓国細胞株バンク、韓国)を用いた。前記実施例3-1-1.に記載された方法と同一にHER2細胞株を培養し、薬品を処理した後、細胞増殖抑制効能を評価した。このような結果を
図3に示した。
【0155】
MCF-7細胞株における薬品による抑制効果を
図3から確認できる。このような結果から本開示の変形されたオリゴヌクレオチドがHER2陰性乳癌細胞の増殖を効果的に抑制できることを確認した。
【0156】
3-3.IO101Lの細胞質内流入確認実験
3-3-1.4T1細胞株の培養及び薬品処理後の細胞吸収(cell uptake)の評価
本実験では4T1 Luc2細胞株(ATCC、米国)を用い、前記実施例3-1-1.に記載された方法と同一に細胞株を培養した。
【0157】
4T1 Luc2細胞株を24-wellプレートの各wellに2×10
5個ずつ分株し、16時間培養して細胞を付着させた。5% FBSが含まれたRPMI培地に交換して薬品を処理して2、4、6、24時間追加培養し、反応が終了するとDAPI染色を行った。完成したサンプルは流細胞分析機(flow cytometer)(Beckman Coulter CytoFlex(3 lasers))を用いて蛍光発現程度を対照群細胞株と比較した。細胞吸収結果を
図4に示した。
【0158】
3-3-2.薬品の細胞吸収実験結果
4T1細胞に対する流細胞分析機の分析結果、24時間経過時、蛍光(Cy5)で標識されたIO101Lが細胞内に80%以上流入したことを確認した。IO101L-対照群処理グループよりIO101L処理グループの細胞内流入が顕著に優れることを確認した。このような結果から、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドがTNBC細胞を効果的に標的化し、TNBC細胞内に効果的に流入できることを確認した。
【0159】
[実施例4]ゲムシタビン-ローディングコラーゲンパッチ(Gemcitabine-loaded collagen patch)及びIO101L-ローディングコラーゲンパッチ(IO101L-loaded collagen patch)の製造
高純度のコラーゲン(COLTRIX(登録商標) Tendoregen、(株)ユーバイオシス)分散液(0.5%~3.0%)と薬品を混合し、直径1cmの円形シリコーンモールドに注いで凍結乾燥して薬品(ゲムシタビンまたはIO101L)が担持されたパッチ型コラーゲン薬物伝達体を製造した。一つのパッチ型コラーゲン薬物伝達体当たりゲムシタビンが0.12mg担持され、IO101Lが0.5mg、2.0mg、及び4.0mgそれぞれ担持されるように製造した。
【0160】
具体的に、高純度のコラーゲンに薬品(例えば、ゲムシタビンまたはIO101L)を添加した後、multi-mixer(SLRM-3、MYLAB)を用いて常温で30分間均一に混合した。その後、コラーゲン-薬品混合物を直径1cmの円筒状シリコーンモールドに一定量分株した。コラーゲン-薬品混合物が分株された円筒状シリコーンモールドを-20℃で4時間以上1次凍結した。1次凍結が完了した混合物を円筒状シリコーンモールドから分離して滅菌ディッシュやプレートに移した後、-80℃で2時間以上2次凍結した。凍結乾燥機のコールドトラップ温度が-80℃になるように予備凍結した後、凍結乾燥機に混合物を入れて16時間以上凍結乾燥した。凍結乾燥した混合物を、アクリルプレートを用いてパッチ形態に圧着した後、アルミニウムパウチに入れて密封した。包装されたパッチ型コラーゲン薬物伝達体は4℃で冷蔵保管した。
【0161】
以下では、前述した方法で製造された多孔性物質をディスク(disk)またはパッチ(patch)と表現する。
【0162】
[実施例5]変形されたオリゴヌクレオチド/コラーゲン組成物の三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(Triple-Negative Breast Cancer orthotopic model)における抗癌効能の評価
三重陰性乳癌に対する抗癌効能を評価するにおいて、どのようなin vivo実験モデルを選択して用いるかが重要である。ヒト体内の免疫学的及び生理学的作用は複雑に作用するので、非臨床動物実験の結果からヒトにおける抗癌効能の信頼を得るためには、ヒトの体内での環境と類似のモデルを用いることが必要なためである。特に、三重陰性乳癌の場合、侵襲性、転移性及び再発性を有し、早期に遠隔臓器で再発する確率と死亡率が高いので、モデルの選定がより一層重要となり得る。また、転移性三重陰性乳癌に対する抗癌効能と三重陰性乳癌の外科的な切除後、癌転移の抑制または癌の再発防止効能等を評価するためには、癌転移メカニズムが信頼性の保障される水準に具現されなければならないため、正しい非臨床動物モデルを確立することが重要である。
【0163】
現在利用可能な前臨床自発転移性TNBC同所マウスモデル(preclinical spontaneously metastatic TNBC orthotopic murine model)には免疫欠乏ヒトMDA-MB-231モデルと免疫適格マウス4T1モデルが存在する。ここで、ヒト-由来の癌細胞であるMDA-MB-231細胞株の場合、マウスに対する移植が異種移植に該当してNOD/SCID(Non Obese Diabetic-Severe Combined Immunodeficiency)マウス、またはヌードマウスを用いなければならないという限界がある。このような点で、異種移植された癌細胞(xenografted cancer cell)は宿主がヒトではないので、基本的にマウスで行う実験のように侵襲的であったり攻撃的であったりはない。従って、一般に異種移植を行う際、マトリゲルを用いることになり、これはヒト-由来の癌細胞がマウス体内で生着が十分になされず、十分に付かないためである。また、MDA-MB-231モデルはヒトの細胞株をマウスに移植する異種移植モデルなので、4T1、CT26、MC38、またはB16F10等のようなマウス細胞のようにマウス内で早く育たない。従って、癌細胞の侵襲性/攻撃性(Aggressive)が相対的に低いため、マウスモデルでも転移があまり発生せず、異種移植により用いなければならないNOD/SCIDマウスまたはヌードマウスの場合、免疫細胞が一部または全て存在しないため、免疫体系が除去されたり、正しく作動したりしない。従って、MDA-MB-231モデルでの結果をヒトでの抗癌効能として信頼するには限界があり得、特に三重陰性乳癌のような侵襲性及び転移性癌の場合には癌発生と抗癌機作を正しく実現または評価できず、限界が存在し得る。また、癌転移のメカニズムにおいて免疫細胞が寄与する部分もあるので、免疫欠乏マウスを用いざるを得ないMDA-MB-231モデルは4T1モデルに比べてTNBCに対する効能を評価するのに限界が存在し、正しい評価結果を導き出し難い。
【0164】
これにより、本実験では4T1モデルを用いて三重陰性乳癌に対する本開示の変形されたオリゴヌクレオチドの予防または治療効果を評価しようとした。また、4T1モデルは三重陰性乳癌のモデルとして、マウスの乳房脂肪パッド(4th fat pad)に4T1腫瘍細胞を注射した後、育った原発性腫瘍を手術的に完全に除去すれば、残存していた腫瘍細胞が他の臓器、特に肺に自発的に転移され、乳癌の自発的な転移モデルが作られる。このとき、4T1細胞としてルシフェラーゼレポーター遺伝子(Luciferase reporter gene)がタギング(tagging)された細胞を用いれば、注射した腫瘍細胞をルシフェリン(Luciferin)及び生物発光イメージングシステム(in vivo imaging system;IVIS)を用いて多様な視点からイメージングできるので、薬品の三重陰性乳癌に対する治療効果を観察できる有用なモデルである。
【0165】
5-1.細胞培養
4T1-Luc2三重陰性乳癌細胞株は、ATCC(米国)から分譲を受けて実験に用い、10% FBSと1%の抗生剤が含まれた培地を用いて、37℃、5% CO2条件の培養器で培養した。継代培養は細胞が培養容器の80%以上増殖したときに行い、方法は次の通りである。PBSで洗滌した細胞に0.05%トリプシン-EDTAを添加して3分間反応させ、新たな培地を添加してトリプシンを不活性化させる。遠心分離機を用いて細胞を得た後に、新しい培養容器に1:5の割合で希釈して培養した。全ての細胞はマイコプラズマの汚染の有無を、キット(バイオマックス、韓国)を用いてPCR方法で確認し、汚染が検出されていない細胞のみを用いて実験を進めた。
【0166】
5-2.動物の準備
Balb/c雌マウス(7週齢)は、ORIENT BIO(ソンナム、韓国)から購入し、全ての動物実験は成均館(ソンギュングァン)大学校動物実験倫理委員会(Institutional Animal Care and Use Committee, IACUC)の規定に沿って行われた。
【0167】
5-3.三重陰性乳癌の同所移植動物モデルを用いたIO101Lの腹腔内投与(IP injection)の抗癌効能の評価
5-3-1.三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(腫瘍切除モデル)の製作及び試験物質の投与
上記記載した方法で培養された4T1-Luc2細胞株(5×10
5 cell)を1×PBS(Hyclone)溶液30μlに希釈して(1匹当り5×10
5 cells/30μl)、準備されたBalb/c雌マウスの乳房脂肪パッド(4th fat pad)に同所移植(orthotopic injection)した。細胞注入後(平均60mm
3の大きさの腫瘍形成時点)、10日目になる日に腫瘍を手術的に除去した。このようにマウスモデルを製作する過程を
図5に示した。
図5で確認できるように、マウスは腫瘍を手術的に除去する前には原発性腫瘍を有していたが、手術後は腫瘍が除去されたことが確認できる。
【0168】
腫瘍を除去した後、陽性対照群の薬品であるゲムシタビン(Gemcitabine)と陰性対照群の薬品であるIO101L-対照群(IO101L-Control)及び試験物質であるIO101Lを腹腔内注射(Intraperitoneal injection, IP injection)して腫瘍転移抑制効能を比較した。
【0169】
試験群の構成は、表8の通りであり、試験計画は
図6に示した。試験群のうち、薬品未処理試験群は腫瘍を手術的に除去した後、何も注射しなかった試験群である。陽性対照群の薬品であるゲムシタビン(1mg)と陰性対照群の薬品であるIO101L-対照群(2mg)及び試験物質であるIO101L(2mg)を2日に1回ずつ計10回(Day 0、2、4、6、8、10、12、14、16、18)腹腔内に注射し、各試験群の転移(metastasis)状態をIVIS(IVIS Lumina XRMS, Perkin Elmer)で確認した。
【0170】
【0171】
5-3-2.試験物質の投与後、マウスの観察及び結果の測定
薬品を腹腔内に投与後、約7日間隔で50日が経過するまでIVIS(in vivo imaging system)撮影した。マウス1匹当たり150mg/kgの濃度でルシフェリンを注射し、10分の反応後にIVIS撮影した。このような結果を
図7に示した。
【0172】
また、薬品投与後、70日程度までマウスの生存率を観察した。生存率はGraphPad Prism7プログラムを用いて示し、生存率のp-valueはLog-rank testで計算した(以下、同一)。このような結果を
図8に示した。
【0173】
5-3-3.実験結果
腫瘍の除去後、何の処置もしなかった薬品未処理試験群の場合、TNBC腫瘍の除去後、肺への腫瘍転移が確認され、全個体は腫瘍除去後35日を超えられず、全て死亡した。一般に、薬品未処理試験群のマウスは1カ月前後で癌転移により全て死亡する。陽性対照群の薬品(ゲムシタビン)投与群も、肺への腫瘍転移が起こり、30日後全て死亡した。陰性対照群の薬品であるIO101L-対照群の投与群では76日まで1匹だけ生存した。本開示のIO101Lを腹腔内に投与した場合、7匹のうち3匹だけ肺への癌転移が確認され、7匹のうち4匹は肺への癌転移なしで76日まで全て生存した。これは、TNBC腫瘍の切除後、腹腔内への投与時、試験物質であるIO101Lが陽性対照群に該当するゲムシタビンに比べて顕著に優れた癌転移抑制効果を奏したものである。現存する薬品のうちで腹腔内への投与によりTNBCマウスモデルで60%生存率を示した事例はないものと理解している。
【0174】
5-4.三重陰性乳癌の同所移植動物モデルを用いたIO101L-ローディングコラーゲンパッチの抗癌効能の評価
5-4-1.三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(腫瘍切除モデル)の製作及び試験物質の投与
三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(腫瘍切除モデル)の製作方法は、5-3-1.で記載した内容と同一である。細胞注入後(平均60mm3の大きさの腫瘍形成時点)、10日目になる日、腫瘍を手術的に除去した後、腫瘍が除去された部位にパッチを移植して腫瘍転移抑制効能を比較した。
【0175】
試験群の構成は表9の通りである。試験群のうち、薬品未処理試験群は腫瘍を手術的に除去した後、何も注射しなかった試験群である。パッチ移植後の10日後から各試験群の転移状態をIVIS(IVIS Lumina XRMS, Perkin Elmer)で確認した。
【0176】
【0177】
5-4-2.パッチ移植後、マウスの観察及び結果の測定
パッチ移植後、約7日間隔で50日が経過するまでIVIS(in vivo imaging system)撮影した。マウス1匹当たり150mg/kgの濃度でルシフェリンを注射し、10分の反応後にIVIS撮影した。その結果を
図9に示した。
【0178】
また、約90日までマウスの生存率及び重さの変化を観察した。その結果を
図10及び
図11に示した。
【0179】
5-4-3.実験結果
腫瘍の除去後、何の処置もしなかった薬品未処理試験群の場合、約30日以内に全マウスが転移癌細胞によって死亡した。一般に、薬品未処理試験群のマウスは1カ月前後で癌転移により全て死亡する。本開示のIO101L-ローディングコラーゲンパッチを挿入した試験群の場合、9匹のうち1匹だけ肺への転移が起こり、30日後に死亡し、8匹は転移なしに全て90日以後まで生存した。このような結果から、本開示の変形されたオリゴヌクレオチドがTNBCの外科的切除を受けた対象体で癌転移を効果的に抑制することを確認した。
【0180】
5-5.三重陰性乳癌の同所移植動物モデルを用いたIO101L-ローディングコラーゲンパッチの用量別抗癌効能の評価
5-5-1.三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(腫瘍切除モデル)の製作及び試験物質の投与
三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(腫瘍切除モデル)の製作方法及び試験物質の投与経路は、実施例5-4-1.で記載した内容と同一である。
【0181】
試験群の構成は表10の通りである。試験群のうち、薬品未処理試験群は腫瘍を手術的に除去した後、何も注射しなかった試験群である。パッチ移植後の10日後から各試験群の転移状態をIVIS(IVIS Lumina XRMS, Perkin Elmer)で確認した。
【0182】
【0183】
5-5-2.パッチ移植後、マウスの観察及び結果の測定
パッチ移植後、約7日間隔で50日が経過するまでIVIS(in vivo imaging system)撮影した。マウス1匹当たり150mg/kgの濃度でルシフェリンを注射し、10分の反応後にIVIS撮影した。その結果を
図12に示した。
【0184】
約90日までマウスの生存率及び重さの変化を観察した。その結果を
図13及び
図14に示した。
【0185】
5-5-3.実験結果
腫瘍の除去後、何の処置もしなかった薬品未処理試験群及び薬品を担持していないコラーゲンパッチだけを移植した試験群(Only Collagen Patch)の場合、約30日以内に全マウスが癌転移によって死亡した。陽性対照群であるゲムシタビン-ローディングコラーゲンパッチを移植した試験群の場合、全マウスが30日目まで生存したが、5匹のうち3匹が肺への癌転移が確認され、当該個体は38日目には全て死亡し、45日目まで生存したマウスは1匹だけであった。それに対して、本開示のIO101Lを用量別(0.5mg、2.0mg及び4.0mg)に担持したコラーゲンパッチを移植した試験群の場合、全ての用量でマウスが全て生存した。100%の生存率を示した結果は非常に予想外のもので、陽性対照群に該当するゲムシタビン-ローディングコラーゲンパッチに比べて顕著に優れた癌転移抑制効果を奏したものである。現存する薬品のうち、TNBCマウスモデルで100%生存率を示した事例は皆無である。このような結果から本開示の変形されたオリゴヌクレオチドがTNBCの外科的切除を受けた対象体で癌転移を効果的に抑制することを確認した。
【0186】
実験が進められる間、試験群マウスの重さは時間が経っても大きく変化せず、これからIO101L-ローディングコラーゲンパッチの移植による副作用がないことを確認できる。
【0187】
5-6.三重陰性乳癌の同所移植動物モデルを用いたIO101L-ローディングハイドロゲルパッチ(IO101L-loaded Hydrogel patch)の抗癌効能の評価
5-6-1.三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(腫瘍切除モデル)の製作及び試験物質の投与
三重陰性乳癌の同所移植動物モデル(腫瘍切除モデル)の製作方法及び試験物質の投与経路は、実施例5-4-1.で記載した内容と同一である。
【0188】
IO101L-ローディングハイドロゲルパッチは、Hystem kit(GS310, Advanced Biomatrix, USA)を用いて製造した。Glucosil(登録商標)(GS222)を含有するDGウォーター(Degassed, deionized water at pH 5.0~8.0)1mlを円形モールドに満たした後、IO101L 20μl(1mg/20μl)をその上に追加し、最後にExtralink-Lite(GS3009)を含有するDGウォーター0.25mlを入れて混合した。前記混合物を常温に90分ほど置き、完全にゼラチン化されれば、実施例6-5のIO101L-ローディングコラーゲンパッチと同様にマウスに移植した。このような実験方法は
図15に示した。
【0189】
試験群の構成は表11の通りである。試験群のうち、薬品未処理試験群は腫瘍を手術的に除去した後、何も注射しなかった試験群である。パッチ移植後、10日後から各試験群の転移状態をIVIS(IVIS Lumina XRMS, Perkin Elmer)で確認した。
【0190】
【0191】
5-6-2.パッチ移植後、マウスの観察及び結果の測定
パッチ移植後、約7日間隔で50日が経過するまでIVIS(in vivo imaging system)撮影した。IVIS撮影はマウス1匹当たり150mg/kgの濃度でルシフェリンを注射し、10分の反応後、IVIS撮影した。その結果を
図16に示した。
【0192】
5-6-3.実験結果
腫瘍の除去後、何の処置もしなかった薬品未処理試験群の場合、約41日以内に全マウスが転移癌細胞によって死亡した。一方、IO101L-ローディングハイドロゲルパッチを挿入した試験群の場合、41日までは全マウスが生存し、48日目に1匹死亡した後、80日まで4匹全て生存した。このような結果から本開示の変形されたオリゴヌクレオチドがTNBCの外科的切除を受けた対象体で癌転移を効果的に抑制することを確認した。
【0193】
[製剤例1]IO101L/コラーゲンゾル-ゲルタイプ(Sol-Gel Type)製剤
(Gem)2-[TGG]4[TTG][TGG]5(IO101L)をPBSに入れて室温でmixerを用いて完全に溶かした後、高純度のコラーゲン(COLTRIX(登録商標) Tendoregen、(株)ユーバイオシス)分散液(0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、3.0%それぞれ)にPBSに混合されたIO101Lを混合した(例:投与量により0.5mg、2.0mg、4.0mg)。
【0194】
室温でmulti-mixerを用いて30分間混合させて混合液を製造した。低い温度で液体状態(Sol)の(Gem)2-[TGG]4[TTG][TGG]5(IO101L)/collagen(Sol-Gel Type)は生体内の腫瘍に直接注入時、37℃で固形化(Gel)され、(Gem)2-[TGG]4[TTG][TGG]5(IO101L)を取り囲んでいたコラーゲンが徐々に溶けて薬品が徐々に放出されて効果的な腫瘍治療剤として使用可能である。
【0195】
以上の説明から、本開示が属する技術分野の通常の技術者は、本開示の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施され得るということを理解できるものである。これと関連し、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。本開示の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する請求の範囲の意味及び範囲、並びに、その等価概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本開示の範囲に含まれるものと解釈されるべきでる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
[国家支援研究開発に関する説明]
本出願は、科学技術情報通信部、産業通商資源部、保健福祉部の財源で国家新薬開発事業団の国家新薬開発事業支援によって行われたものである(課題固有番号:RS-2022-DD128903 以前は HN22C058500)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】