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特表2024-529052透明結晶化ガラス、その調製方法および使用
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  • 特表-透明結晶化ガラス、その調製方法および使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】透明結晶化ガラス、その調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/12 20060101AFI20240725BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C03C10/12
C03B32/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507071
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 CN2022110155
(87)【国際公開番号】W WO2023011571
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110897039.8
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521475495
【氏名又は名称】重慶▲シン▼景特種玻璃有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 双
(72)【発明者】
【氏名】黄 昊
(72)【発明者】
【氏名】汪▲ギョク▼博
(72)【発明者】
【氏名】談 宝権
(72)【発明者】
【氏名】胡 偉
【テーマコード(参考)】
4G015
4G062
【Fターム(参考)】
4G015EA02
4G062AA11
4G062BB06
4G062CC10
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB03
4G062DC01
4G062DC02
4G062DC03
4G062DD02
4G062DD03
4G062DE01
4G062DE02
4G062DE03
4G062DF01
4G062EA04
4G062EB01
4G062EB02
4G062EB03
4G062EC01
4G062ED01
4G062ED02
4G062ED03
4G062EE01
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4G062EG01
4G062FA01
4G062FB01
4G062FC02
4G062FC03
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM02
4G062MM12
4G062NN29
4G062QQ06
4G062QQ09
(57)【要約】
透明結晶化ガラスの調製方法、透明結晶化ガラスおよび使用。調製方法は、原ガラスシートに対して核形成を行うステップ(1)と、核形成処理後の原ガラスシートに対して結晶化を行うステップ(2)と、結晶化処理後のガラスシートに対して熱処理を行い、XRD回折ピークの高さHがH≧870を満たす結晶化ガラスを得るステップ(3)と、を含み、前記結晶化ガラスにおいて、二珪酸リチウムおよびペタライトの含有量が90~100%であり、前記熱処理は、昇温段階、高温段階および降温段階を有し、前記昇温段階は、n段の昇温段階に分けられ、前記高温段階は、k段の高温段階に分けられ、前記降温段階は、m段の降温段階に分けられ、前記kは、(n+k+m)/3の値を丸めた整数であり、6≦n+k+m≦30を満たし、前記高温段階における一定の温度TKiのうち、最大値がTKmaxであり、かつTKmax=Tg+ΔTを満たし、k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~50℃の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明結晶化ガラスの調製方法であって、
原ガラス片に対して核形成を行うステップ(1)と、
核形成処理後の原ガラスシートに対して結晶化を行うステップ(2)と、
結晶化処理後のガラスシートに対して熱処理を行い、XRD回折ピークの高さHがH≧870を満たす結晶化ガラスを得るステップ(3)と、を含み、
前記熱処理は、昇温段階、高温段階および降温段階を有し、前記昇温段階は、n段の昇温段階に分けられ、前記高温段階は、k段の高温段階に分けられ、前記降温段階は、m段の降温段階に分けられ、前記kは、(n+k+m)/3の値を丸めた整数であり、6≦n+k+m≦30を満たし、
各高温段階は、それぞれ一定の温度TKi(i=1、2、3、…)を有し、
前記k段の高温段階における一定の温度TKiのうち、最大値がTKmaxであり、かつTKmax=Tg+ΔTを満たし、前記Tgが原ガラスシートのガラス転移点温度であり、
前記ΔTは、
H=(965.522±21.205)+(0.816±1.876)|(Tg+ΔT)-(715.212±5.120)|^(1.465±0.566)の式を満たし、
前記k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~50℃の範囲内である
ことを特徴とする透明結晶化ガラスの調製方法。
【請求項2】
前記核形成の温度がTg+10℃~Tg+80℃の範囲内であり、前記核形成の時間が120~360分の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記結晶化の温度がTg+ΔTであり、前記結晶化の時間が30~150分であり、ΔTが100℃≦ΔT≦150℃を満たす
ことを特徴とする請求項1または2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記結晶化ガラスのXRD回折ピークの高さHが、960~1150である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項5】
前記k段の高温段階、n段の昇温段階およびm段の降温段階の処理時間は、それぞれ独立して、10~90秒から選択される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項6】
前記n段の昇温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差が10~150℃の範囲内であり、
所望により、前記m段の降温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差が10~150℃の範囲内である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項7】
前記k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~30℃の範囲内であり、好ましくは、10~20℃の範囲内である
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項8】
前記原ガラスシートは、リチウムアルミニウムシリケート系ガラスであり、
好ましくは、前記原ガラスシートは、モル%で下記の成分を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の調製方法。
SiO 65~72
Al 3~7
ZrO 0.5~5
LiO 15~25
NaO 0~2
0.5~2
0~2
MgO 0~3
ZnO 0~3
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の調製方法で調製される結晶化ガラスであって、
前記結晶化ガラスのXRD回折ピークの高さHが870以上であり、好ましくは、960~1150であり、さらに好ましくは、980~1132であり、
好ましくは、前記結晶化ガラスのb値が0.4以下であり、
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、二珪酸リチウムおよびペタライトの含有量が90~100%であり、
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、珪酸リチウムおよびβ-石英結晶相の含有量が0~10%であり、好ましくは5以下であり、さらに好ましくは0である
ことを特徴とする結晶化ガラス。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の調製方法で調製される結晶化ガラスの、携帯電話カバー、タブレットカバー、腕時計カバー、自動車ディスプレイカバーのうちのいずれか1種としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、結晶化ガラスの分野に属し、具体的には、透明結晶化ガラス、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話インテリジェンス時代の到来に伴い、携帯電話は、日常生活にとって不可欠な通信手段となっている。携帯電話利用者の数が年々増加しているため、携帯電話利用者の要求を満たし、ユーザー体験を向上させるために、携帯電話の更新や買い替えのスピードが速くなる。携帯電話カバーガラスが最初の2Dガラスから2.5Dガラス、そして今の3Dガラスへと進化し、外観の面で携帯電話端末製品の目新しさが向上するとともに、利用者の触感が向上する。
【0003】
ガラスが携帯電話カバーとして使用できる理由は、その機械的特性が良好であるだけでなく、その透明性が比較的高いことにもある。熱処理が施されるとき、一般のガラスは光学特性が変わらない。これに対して、結晶化ガラスは、ガラス相と結晶相とからなり、熱処理が施されるとき、その内部に大小の結晶が生成する。異なる結晶状態の結晶化ガラスに含まれる結晶相には、特定の違いがある。研究により、結晶相とガラス相との屈折率の差が結晶化ガラスの光学特性の劣化の主な原因であることが解明されている。リチウムアルミニウムシリケート系(LAS)の結晶化ガラスの場合、珪酸リチウム(LiSiO)およびβ-石英(β-SiO)は、結晶化ガラスの光学特性を悪化させる可能性があり、珪酸リチウム(LiSiO)は主に低結晶化度および過剰結晶化の過程で出現し、β-石英(β-SiO)は主に過剰の結晶化の過程で出現する。
【0004】
異なる熱処理プロセスにより、結晶状態の異なる結晶化ガラスを得ることができる。結晶状態の異なる結晶化ガラスの光学特性には一定の相違がある。熱処理プロセス中、結晶化ガラスの異常な結晶化は避けられない。すなわち、ガラス片が白くなる。
【0005】
このため、どのようにして熱処理時に光学特性が優れる透明結晶化ガラスを得るかは、とても重要である。このようにすれば、結晶化ガラスの品質を向上させるとともに、結晶化ガラスの生産における良品率を向上させ、生産コストを削減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、本開示は、透明結晶化ガラス、その調製方法および使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
結晶化原ガラス片に対して、本開示は、熱処理プロセスから始まり、関連するプロセスパラメータを制御することにより、XRD回折ピークの高さHがH≧870を満たす結晶化ガラスを得る。調製された結晶化ガラスは、光学特性が優れ、加工時間が短く、生産における良品率および生産効率が高い。
【0008】
第1局面において、本開示は、透明結晶化ガラスの調製方法を提供する。この調製方法は、以下のステップを含み得ることを特徴とする。
(1) 原ガラス片に対して核形成を行うステップ、
(2) 核形成処理後の原ガラス片に対して結晶化を行うステップ、
(3) 結晶化ガラス片に対して熱処理を行い、XRD回折ピークの高さHがH≧870を満たす結晶化ガラスを得るステップ(3)
【0009】
前記熱処理は、昇温段階、高温段階および降温段階に分かれている。前記昇温段階は、n段の昇温段階に分けられ、前記高温段階は、k段の高温段階に分けられ、前記降温段階は、m段の降温段階に分けられ、前記kは、(n+k+m)/3の値を丸めた整数であり、6≦n+k+m≦30を満たす。
各高温段階は、それぞれ一定の温度TKi(i=1、2、3、…)を有し、前記k段の高温段階における一定の温度TKiのうち、最大値がTKmaxであり、かつTKmax=Tg+ΔTを満たし、前記Tgが原ガラス片のガラス転移点温度であり、前記ΔTは、H=(965.522±21.205)+(0.816±1.876)|(Tg+ΔT)-(715.212±5.120)|^(1.465±0.566)の式を満たし、前記k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~50℃の範囲内である。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記核形成の温度がTg+10℃~Tg+80℃であり、核形成の時間が120~360分である。
いくつかの実施形態において、前記結晶化の温度がTg+ΔTであり、前記結晶化の時間が30~150分であり、ΔTが100℃≦ΔT≦150℃を満たす。
いくつかの実施形態において、前記結晶化ガラスのXRD回折ピークの高さHは、960~1150である。
いくつかの実施形態において、前記k段の高温段階、n段の昇温段階およびm段の降温段階の処理時間は、それぞれ独立して10~90秒から選択される。
いくつかの実施形態において、前記n段の昇温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差が10~150℃の範囲内であり、所望により、前記m段の降温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差が10~150℃の範囲内である。
いくつかの実施形態において、前記k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~30℃の範囲内であり、好ましくは、10~20℃の範囲内である。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記原ガラス片は、リチウムアルミニウムシリケート系ガラスである。
いくつかの実施形態において、前記原ガラス片は、モル%で下記の成分を含む。
SiO 65~72
Al 3~7
ZrO 0.5~5
LiO 15~25
NaO 0~2
0.5~2
0~2
MgO 0~3
ZnO 0~3
【0012】
第2局面において、本開示は、上記の方法で調製された、XRD回折ピークの高さHが、870以上であり、好ましくは、960~1150であり、さらに好ましくは、980~1132である結晶化ガラスを提供する。
好ましくは、前記結晶化ガラスのb値は、0.4以下である。
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、二珪酸リチウムおよびペタライトの含有量は、90~100%である。
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、珪酸リチウムおよびβ-石英結晶相の含有量は、0~10%であり、好ましくは5以下であり、さらに好ましくは0である。
【0013】
第3局面において、本開示は、上記の方法で調製される結晶化ガラスの使用を提供する。前記結晶化ガラスは、携帯電話カバー、タブレットカバー、腕時計カバーおよび自動車ディスプレイカバーのうちのいずれか1種として使用されることを特徴とする。
【0014】
本開示は、少なくとも下記の有益な技術効果を有する。
本開示は、熱処理プロセスを用い、熱処理を昇温段階、高温段階および降温段階の3段階に分ける。高温段階における最高温度値Tmax=Tg+ΔTを制御することにより、前記ΔTは、H=(965.522±21.205)+(0.816±1.876)|(Tg+ΔT)-(715.212±5.120)|^(1.465±0.566)の式を満たし、XRD回折ピークの高さHがH≧870を満たす結晶化ガラスが得られる。
【0015】
本プロセスにより調製された結晶化ガラスは光学特性が優れ、特に、得られる結晶化ガラスの回折ピークの高さHを960~1150にしたとき、b値が0.4以下の結晶化ガラスを得ることができ、そして、該プロセスは、透明結晶化ガラスカバーの生産における良品率を向上させ、加工時間が短く、生産効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の実施例の技術的解決策をより明瞭に説明するため、以下、関連技術および本開示の実施例に用いられる図面を簡単に説明する。説明する図面は、本開示のいくつかの実施例を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることが可能である。
図1】リチウムアルミニウムシリケート系結晶化ガラスの、熱処理後のXRDの最高回折ピークの高さ(H)とb値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施例の目的、技術的解決策および利点をより明瞭にするため、以下、本開示の実施例の技術的解決策を明瞭かつ完全に説明する。
実施例において、具体的な条件が明記されていない場合、従来の条件またはメーカーの推奨する条件で行うことが可能である。使用した試薬または機器のメーカーが明記されていない場合、いずれも市販の従来品を使用することが可能である。
【0018】
以下、本開示の実施形態による透明結晶化ガラス、その調製方法および使用を具体的に説明する。
本開示は、透明結晶化ガラスの調製方法を提供する。該方法は、下記のステップを含む。
ステップ(1):原ガラス片に対して核形成を行う。
ステップ(2):核形成処理後の原ガラス片に対して結晶化を行う。
ステップ(3):結晶化処理後のガラス片に対して熱処理を行い、XRD回折ピークの高さHがH≧870を満たす結晶化ガラスを得る。具体的に、回折ピークの高さHは、900、920、940、960、980、1000、1020、1040、1060、1080、1100、1120、1140、1160、1170などであり得る。好ましくは、回折ピークの高さHは、960~1150である。より好ましくは、回折ピークの高さHは、980~1132である。
【0019】
前記熱処理は、昇温段階、高温段階および降温段階を有する。前記昇温段階は、n段の昇温段階に分けられ、それぞれN、N、N、…、Nである。前記高温段階は、k段の高温段階に分けられ、それぞれK、K、K、…、Kである。前記降温段階は、m段の降温段階に分けられ、それぞれM、M、M、…、Mである。前記kは、(n+k+m)/3の値を丸めた整数であり、6≦n+k+m≦30を満たす。
【0020】
熱処理プロセスにおいて、昇温段階および降温段階は、結晶化ガラスに対して予熱および冷却の役割を果たす。ガラスを、直接、低温環境から高温環境にまたは高温環境から低温環境に移動すると、ガラス自体に熱ムラが生じ、これによるガラスの破損を招きやすい。
高温段階は、結晶化ガラスの2次結晶化段階であり、k段の高温熱処理を経て、結晶化ガラスにおける結晶の成長がより成熟し、これが結晶化ガラスの結晶化度の増加として現われる。
発明者は、実験により、結晶化が比較的容易である結晶化ガラス、例えばリチウムアルミニウムシリケート系の結晶化ガラス、の場合、熱処理プロセスの総段数を比較的少なくて済むことを見出した。
6≦n+k+m≦15である場合、結晶化度が90%超の結晶化ガラスを得ることができ、結晶化しにくい結晶化ガラス、例えばスピネル系の結晶化ガラス、の場合、熱処理プロセスの段数を適宜に増加させ、すなわち、15≦n+k+m≦30である場合、結晶化度が90%超の結晶化ガラスを得ることができる。
しかしながら、熱処理の段数が30を超えると、得られる結晶化ガラスの状態が熱処理プロセスの段数が30であるときに得られる結晶化ガラスの状態と大きな相違がないため、熱処理プロセスの段数が30に増加したとき、結晶化ガラスの結晶化が飽和状態になると考えられる。したがって、効率およびコストを考慮して、熱処理プロセスの総段数を6≦n+k+m≦30の範囲内に制御する。
【0021】
具体的に、n+k+mは、7、8、9、10、12、14、16、18、20、21、22、25、27、28などであり得る。昇温段階および降温段階の段数が等しいかまたは近いのが好ましく、例えばn+k+m=9段である場合、高温段階が9/3=3段であり、昇温段階および降温段階がそれぞれ3段である。
n+k+m=10段である場合、高温段階は10/3の値を丸めたときの整数の3段であり、昇温段階および降温段階は一方が3段であり、他方が4段である。n+k+m=11段である場合、高温段階は11/3の値を丸めたときの整数の3段であり、昇温段階および降温段階がそれぞれ4段である。
【0022】
各高温段階は、一定の温度TKi(i=1、2、3、…)を有する。
前記k段の高温段階における一定の温度TKiのうち、最大値がTKmaxであり、かつTKmax=Tg+ΔTであり、前記Tgが原ガラス片のガラス転移点温度である。
前記ΔTは、以下の式を満たす。
H=(965.522±21.205)+(0.816±1.876)|(Tg+ΔT)-(715.212±5.120)|^(1.465±0.566)
前記k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~50℃の範囲内であり、具体的に、8℃、10℃、15℃、18℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃または45℃などであり得、好ましくは、5~30℃の範囲内であり、さらに好ましくは、10~20℃の範囲内である。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記核形成の温度がTg+10℃~Tg+80℃の範囲内であり、核形成の時間が120~360分の範囲内である。具体的に、核形成の温度は、Tg+20℃、Tg+30℃、Tg+40℃、Tg+50℃、Tg+60℃またはTg+70℃などであり得る。核形成の時間は130分、150分、180分、200分、240分、260分、300分、320分または340分などである。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記結晶化の温度はTg+ΔTであり、前記結晶化の時間は30~150分であり、ここで、100℃≦ΔT≦150℃である。具体的に、ΔTが110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃または145℃などであり得、結晶化の時間が35分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、130分または140分などであり得る。
【0025】
本発明者は、ガラスの核形成、結晶化および熱処理の過程において、異なる結晶化プロセスおよび熱処理プロセスを設定することにより、結晶状態の異なる結晶化ガラスを得ることができ、これに対応して、結晶化ガラスのXRD最高回折ピークの高さの変化も規則的であることに気づいた。
【0026】
結晶化および熱処理の過程において、結晶化処理時の温度ΔTおよび熱処理時の高温段階の温度ΔTを調整することにより、XRD最高回折ピークの高さHの異なる結晶化ガラスを得ることができ、この両者の関係は、下記のとおりである。
XRD最高回折ピークの高さが870未満である場合、
H=-(0.23197±0.02596)ΔT^3+(86.57095±9.6945)ΔT^2-(10724.28028±1205.81659)ΔT+(441572.3243±49947.99012) [式1]、
XRD最高回折ピークの高さが870超である場合、
H=(965.522±21.205)+(0.816±1.876)|(Tg+ΔT)-(715.212±5.120)|^(1.465±0.566) [式2]。
【0027】
その中で、結晶化処理により得たガラスの最高回折ピークの高さHが870未満である場合、式1と組み合わせると、回折ピークの高さHの具体的な範囲は、結晶化プロセスにおける関連パラメータのΔTのサイズを調整することにより確定する。この時点では、結晶化ガラスの結晶成長は、まだ成熟しておらず、結晶化ガラスの結晶化度が比較的低く、結晶化度y≦70%であり、すなわち、この状態のガラスは透明性が比較的劣る。
【0028】
ガラスの透明性をさらに向上させるためには、結晶化処理後のガラスを熱処理して結晶化ガラスの結晶化度を向上させる必要がある。結晶化ガラスの結晶化度yが70%以上になると、結晶化ガラスの結晶の成長も徐々に成熟し、対応して、XRD最高回折ピークの高さも高くなり、このとき、最高回折ピークの高さHが870以上になる。この状態のガラスを得るには熱処理の温度を上げる必要がある。
式2によれば、回折ピークの高さHの具体的な範囲が熱処理プロセスにおける高温段階の関連温度パラメータΔTのサイズを調整することにより確定される。
【0029】
さらに、発明者は、結晶化ガラスのXRD最高回折ピークの高さおよびb値に一定の変化パターンがあることを見出した。
図1は、リチウムアルミニウムシリケート系結晶化ガラスの、熱処理後のXRD最高回折ピークの高さ(H)とb値との関係を示すグラフである。グラフにおいて結晶化ガラスシートのXRD最高回折ピークの高さを横座標とし、b値を縦座標とした。
XRD最高回折ピークの高さが870未満であるとき、結晶化ガラスのb値が0.4超であり、このとき、ガラスに含まれる主結晶相は、珪酸リチウム(LiSiO)とペタライト(LiAlSi10)とを含む。
【0030】
XRD最高回折ピークの高さが870超であるとき、特にピークの高さが960~1150であるとき、結晶化ガラスのb値は0.40以下であり、このとき、ガラスに含まれる主結晶相が二珪酸リチウム(LiSi)、ペタライト(LiAlSi10)であり、そしてガラスには少量の珪酸リチウム(LiSiO)と少量のβ-石英(β-SiO)結晶相が含まれる(あるいは、β-石英(β-SiO)結晶相は含まれない)。
【0031】
ピークの高さHが960であるとき、つまり図面における点Aの箇所で、ガラスがちょうど完全結晶化の状態になり、このとき、珪酸リチウム(LiSiO)結晶相が基本的に完全に二珪酸リチウム(LiSi)結晶相(結晶化の不完全な珪酸リチウムが残っていても、その量は比較的少ない)に転移し、この点が完全結晶化の始点である。
【0032】
ピークの高さHが1150になったとき、つまり図面における点Bの箇所で、ガラスが依然として完全結晶化の状態にあり、この点が完全結晶化の終点である。
【0033】
XRD最高回折ピークの高さが1150超であるとき、つまり点Bを過ぎたあと、b値は0.40超になり、ピークの高さの増加につれて、b値が継続的に大きくなり、このとき、結晶化ガラスに過剰の結晶化が発生し、珪酸リチウム(LiSiO)、β-石英(β-SiO)などの不純物相が再び生成する。つまり、ガラスに含まれる主結晶相が二珪酸リチウム(LiSi)、ペタライト(LiAlSi10)であり、ガラスには少量の珪酸リチウム(LiSiO)と少量のβ-石英(β-SiO)結晶相が含まれる(あるいは、β-石英(β-SiO)結晶相は含まれない)。
【0034】
完全結晶化:結晶化ガラスにおいて、珪酸リチウム(LiSiO)結晶相が完全に二珪酸リチウム(LiSi)結晶相に転移し、珪酸リチウム(LiSiO)、β-石英(β-SiO)などの結晶相がない(あるいは、比較的少ない)。
過剰の結晶化:結晶化ガラスが完全結晶化に達するとともに、珪酸リチウム(LiSiO)、β-石英(β-SiO)などの結晶相が生成している。
b値:黄、青の色味の強さの値であり、b値テストでは透過光を利用する。正のb値は透過する青色光が少ないこと、つまり反射した青色光が多いことを表し、b値が大きいほど、ガラスがより青いことを表す。
【0035】
本開示は、式2:H=(965.522±21.205)+(0.816±1.876)|(Tg+ΔT)-(715.212±5.120)|^(1.465±0.566)を組み合わせて、熱処理プロセスにおける高温段階の関連プロセスパラメータΔTの値を調整することにより、熱処理後の結晶化ガラスカバーのXRD最高回折ピークの高さの範囲を特定する。該ピークの高さHを870超、好ましくは960~1150にすれば、珪酸リチウム結晶相およびβ-石英結晶相の生成を最大限に回避し、光学特性が優れる透明結晶化ガラスカバーを得ることができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、k段の高温段階、n段の昇温段階およびm段の降温段階の処理時間は、それぞれ独立して、10~90秒から選択され、具体的に、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、60秒、65秒、70秒、75秒、80秒または85秒などであり得る。各段の時間を制御することにより、回折ピークの高さの制御を実現し、光学特性が優れる結晶化ガラスを得るとともに、生産時間を短縮し、生産効率を上げることができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記n段の昇温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、10~150℃の範囲内であり、具体的には、15℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃または140℃などであり得る。所望により、前記m段の降温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、10~150℃の範囲内であり、具体的に、15℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃または140℃などであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記原ガラス片は、リチウムアルミニウムシリケート系ガラスである。好ましくは、前記ガラスは、以下の成分(モル%)を含む。SiO 65~72%(例えば66%、67%、68%、69%、70%または71%など)、Al 3~7%(例えば3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%または6.5%など)、ZrO 0.5~5%(例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%または4.5%など)、LiO 15~25%(例えば16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%または24%など)、NaO 0~2%(例えば0.1%、0.8%、1%、1.2%、1.5%、1.8%または1.9%など)、P 0.5~2%(例えば0.7%、0.9%、1%、1.2%、1.5%、1.8%または1.9%など)、B 0~2%(例えば0.1%、0.5%、1%、1.2%、1.5%、1.8%または1.9%など)、MgO 0~3%(例えば0.1%、0.5%、0.7%、0.9%、1%、1.2%、1.5%、1.8%、2.4%、2.7%または2.9%など)、ZnO 0~3%(例えば0.1%、0.3%、0.6%、0.9%、1%、1.2%、1.5%、1.8%、2%、2.5%または2.7%など)。
【0039】
本開示は、また、上記の方法で調製される結晶化ガラスを提供する。前記結晶化ガラスのXRD回折ピークの高さHは、870以上であり、好ましくは、960~1150であり、さらに好ましくは、980~1132である。
【0040】
好ましくは、前記結晶化ガラスのb値は、0.4以下であり、具体的には、0.39、0.38、0.37、0.36、0.35、0.34、0.33、0.32、0.31または0.3などであり得る。
【0041】
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、二珪酸リチウムおよびペタライトの含有量は、90~100%であり、具体的には、91%、93%、94%、95%、97%または99%などであり得る。
【0042】
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、珪酸リチウムおよびβ-石英結晶相の含有量は、0~10%であり、好ましくは、5以下であり、さらに好ましくは、0である。
【0043】
本開示は、また、上記の方法で調製される結晶化ガラスの使用を提供する。前記結晶化ガラスは、携帯電話カバー、タブレットカバー、腕時計カバー、自動車ディスプレイカバーのうちのいずれか1種として使用される。
【実施例
【0044】
本開示の技術的解決策をさらに明瞭に解釈、説明するため、下記の非限定的な実施例を提供する。
【0045】
表1に示す酸化物基準のモル%表示のガラスが得られるようにガラス原材料を調合した。材料の混合を経て融解、成形を行った。成形方式としては、フロート法、オーバーフロー法、圧延および流し込みなどが挙げられる。成形後のガラス板がアニールされたあと、切断、研磨を経て、同寸法の原ガラスシートを得た。調製された原ガラスシートの厚さは0.58mm±0.02mmであった。
【0046】
表1に示すガラス転移温度Tgについて、下記の方式で評価した。
示差熱分析法によりガラスDSC曲線を得た。該曲線における最初の発熱ピークの始点に対応する温度がガラス転移温度Tgである。
【0047】
【表1】
【0048】
表2~5に記載された条件で原ガラスシートを調製した。表の結晶化プロセスの項目にΔTの大きさが記載されており、具体的な結晶化の温度はTg+ΔTであった。表の熱処理プロセスの項目にガラス1~ガラス5の熱処理温度が記載されている。ΔTは高温段階における最も高い熱処理温度からガラス転移温度Tgを引いた値である。表2~5における結晶含有量の項目において、A、B、C、Dが、それぞれ、ペタライト結晶相、二珪酸リチウム結晶相、珪酸リチウム結晶相、石英結晶相を表す。そして、表2~5における結晶含有量は、ガラスにおける結晶の総質量に対する該当結晶の質量の割合を表す。
【0049】
表2~5における回折ピークの高さ、析出された結晶、ガラスb値は、下記の方式で評価した。
1.ガラスb値:結晶化処理後のガラスシートを超音波洗浄機において洗浄した。洗浄条件は、洗浄時間:5~10分、使用される洗浄剤:10倍希釈の一般的な洗剤、洗浄温度:45℃~65℃、洗浄周波数:20kHz~40kHzであった。次に、ヘイズメーターを使用して様々な波長でのガラスの透過率、ガラスb値を測定した。「GB/T 7962.12-2010 無色光学ガラス測定方法 パート12:分光透過率」に従って測定を行った。本開示に使用されたヘイズメーターは、日本コニカミノルタ社製の分光測色計CM-3600Aであった。
【0050】
2.回折ピークの高さ:結晶化処理後の結晶化ガラスシートを粉砕機を利用して粒径が75μm未満のガラス微粉末にし、X線回折装置で測定して、XRD回折ピーク曲線を得た。次に、JADEソフトウェアを利用してXRDガラス回折ピークの高さを得た。
本開示に使用されたX線回折装置は島津製のXRD-6100であり、測定に使用された入射角範囲は2θ=10~80°、走査速度は6°/分、動作電圧は40KV、動作電流は30KAであった。
【0051】
3.析出された結晶:
JADEソフトウェアにおけるJCPDSカードのデータベースを利用して、結晶化ガラスに含まれる結晶相を分析した。
【0052】
表2 実施例1~10
【表2】
【0053】
表3 実施例11~20
【表3】
【0054】
表4 実施例21~30
【表4】
【0055】
表5 実施例31~40
【表5】
【0056】
特性測定結果の説明
実施例1~8において、ガラス1の原ガラス片に対して異なる結晶化プロセスおよび熱処理プロセスで処理を施した。実施例1~6は、核形成プロセスおよび結晶化プロセスが同じであり、熱処理プロセスが異なり、熱処理プロセスの違いは、主に高温段階の熱処理温度の相違、つまりΔTの相違に反映されている。
このうち、実施例1において、ΔTが最も高く、それに応じて熱処理後のXRD最高回折ピークの高さHが1155と最も高く、得られたガラス結晶相に過剰の結晶化による珪酸リチウムが含まれており、ガラスb値が0.43であり、その他の実施例に対して、光学特性が比較的劣った。
また、実施例6において回折ピークの高さHが最も低く、結晶相に未完全に結晶化が不完全な珪酸リチウムなどが含まれているが、その含有量は2%であり、ガラスb値が0.38であった。
実施例1、7、8を比較すると、核形成プロセスが同じである場合、結晶化の温度の上昇に伴い、結晶化後のXRD最高回折ピークの高さHも高くなることが分かる。
【0057】
実施例9~16は、ガラス2の原ガラス片に対して異なる熱処理プロセスで処理を施しており、熱処理プロセスの違いは、主にΔTの違いに反映されている。実施例9においてΔTおよび回折ピークの高さHが最も高く、結晶相に珪酸リチウムが存在し、ガラスb値が0.4を超え、その他の実施例に対して、光学特性が比較的劣っている。
【0058】
実施例17~22は、ガラス3の原ガラス片に対して異なる熱処理プロセスで処理を施しており、熱処理プロセスの違いは、主にΔTの違いに反映されている。実施例17においてΔTおよび回折ピークの高さHが最も高く、結晶相に珪酸リチウムが存在し、その他の実施例に対して、光学特性が比較的劣っている。
【0059】
実施例25~30は、ガラス4の原ガラス片に対して異なる熱処理プロセスで処理を施しており、熱処理プロセスの違いは、主にΔTの違いに反映されている。実施例25においてΔTおよび回折ピークの高さHが最も高く、結晶相に珪酸リチウムが存在し、その他の実施例に対して、光学特性が比較的劣っている。また、実施例30においてΔTおよび回折ピークの高さHがその他の実施例に対して最も低く、結晶相に残った結晶化が不完全な珪酸リチウムの含有量が1%と比較的高く、得られたガラスb値は0.38であった。
【0060】
実施例33~38は、ガラス5の原ガラス片に対して異なる熱処理プロセスで処理を施しており、熱処理プロセスの違いは、主にΔTの違いに反映されている。実施例33においてΔTおよび回折ピークの高さHが最も高く、結晶相に珪酸リチウムが存在し、その他の実施例に対して、光学特性が比較的劣っている。
【0061】
上記は、本開示の実施形態にすぎず、本開示の特許範囲を限定するものではない。本開示の明細書および図面を利用して得た、または他の関連技術分野に直接的または間接的に適用された、同等の構造または同等のプロセスの変形も、本開示の保護範囲に属する。

図1
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明結晶化ガラスの調製方法であって、
原ガラス片に対して核形成を行うステップ(1)と、
核形成処理後の原ガラスシートに対して結晶化を行うステップ(2)と、
結晶化処理後のガラスシートに対して熱処理を行い、XRD回折ピークの高さHがH≧870を満たす結晶化ガラスを得るステップ(3)と、を含み、
前記熱処理は、昇温段階、高温段階および降温段階を有し、前記昇温段階は、n段の昇温段階に分けられ、前記高温段階は、k段の高温段階に分けられ、前記降温段階は、m段の降温段階に分けられ、前記kは、(n+k+m)/3の値を丸めた整数であり、6≦n+k+m≦30を満たし、
各高温段階は、それぞれ一定の温度TKi(i=1、2、3…)を有し、
前記k段の高温段階における一定の温度TKiのうち、最大値がTKmaxであり、かつTKmax=Tg+ΔTを満たし、前記Tが原ガラスシートのガラス転移点温度であり、
前記ΔTは、
H=(965.522±21.205)+(0.816±1.876)|(Tg+ΔT)-(715.212±5.120)|^(1.465±0.566)の式を満たし、
前記k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~50℃の範囲内である
ことを特徴とする透明結晶化ガラスの調製方法。
【請求項2】
前記核形成の温度がT+10℃~T+80℃の範囲内であり、前記核形成の時間が120~360分の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記結晶化の温度がT+ΔTであり、前記結晶化の時間が30~150分であり、ΔTが100℃≦ΔT≦150℃を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記結晶化ガラスのXRD回折ピークの高さHが、960~1150である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項5】
前記k段の高温段階、n段の昇温段階およびm段の降温段階の処理時間は、それぞれ独立して、10~90秒から選択される
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項6】
前記n段の昇温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差が10~150℃の範囲内であり、
所望により、前記m段の降温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差が10~150℃の範囲内である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項7】
前記k段の高温段階において、任意の隣接する2段の熱処理段階の温度差は、5~30℃の範囲内であり、好ましくは、10~20℃の範囲内である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項8】
前記原ガラスシートは、リチウムアルミニウムシリケート系ガラスであり、
好ましくは、前記原ガラスシートは、モル%で下記の成分を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の調製方法。
SiO 65~72
Al 3~7
ZrO 0.5~5
Li 15~25
Na 0~2
0.5~2
0~2
MgO 0~3
ZnO 0~3
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の調製方法で調製される結晶化ガラスであって、
前記結晶化ガラスのXRD回折ピークの高さHが870以上であり、好ましくは、960~1150であり、さらに好ましくは、980~1132であり、
好ましくは、前記結晶化ガラスのb値が0.4以下であり、
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、二珪酸リチウムおよびペタライトの含有量が90~100%であり、
好ましくは、前記結晶化ガラスにおいて、珪酸リチウムおよびβ-石英結晶相の含有量が0~10%であり、好ましくは5以下であり、さらに好ましくは0である
ことを特徴とする結晶化ガラス。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の調製方法で調製される結晶化ガラスの、携帯電話カバー、タブレットカバー、腕時計カバー、自動車ディスプレイカバーのうちのいずれか1種としての使用。
【国際調査報告】