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特表2024-529069デグロン含有組換えウイルスおよびその調製方法と使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】デグロン含有組換えウイルスおよびその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20240725BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 15/33 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240725BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20240725BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 39/385 20060101ALI20240725BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20240725BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20240725BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20240725BHJP
   C07K 14/005 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/33
C12N15/113 130Z
C12N15/09 Z
C12N15/63 Z
A61P31/12
A61P37/04
A61K47/62
A61K39/12
A61K39/145
A61K39/39
A61K39/385
C07K19/00
C07K7/06
C07K7/08
C07K14/005
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507170
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2022110258
(87)【国際公開番号】W WO2023016336
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110923852.8
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519002014
【氏名又は名称】中国科学院深▲チェン▼先進技術研究院
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN INSTITUTES OF ADVANCED TECHNOLOGY CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】1068, Xueyuan Avenue, Shenzhen University Town, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518055, China
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】司 龍龍
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC06
4C076CC07
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE59
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA51
4C085BA55
4C085BB11
4C085CC03
4C085CC05
4C085CC08
4C085CC21
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE06
4C085FF24
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA18
4H045BA19
4H045BA41
4H045CA01
4H045EA31
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】デグロン含有組換えウイルスおよびその調製方法と使用であって、前記デグロン含有組換えウイルスは、少なくとも1種のウイルスタンパク質には、宿主細胞のタンパク質分解系により識別可能なデグロンが少なくとも1つ含まれる。そのうち、前記デグロンは、アミノ酸配列、ポリペプチドまたは構造モチーフのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む。本願はさらに、核酸分子、組換えベクター、前記デグロン含有組換えウイルスの調製方法、デグロン含有組換えウイルスの調製システム、ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、および医薬品を提供する。
【手段】本願に係るデグロン含有組換えウイルスは、宿主細胞におけるタンパク質分解系により識別されて分解されることができ、複製能が弱め、ひいてはなくなり、該当するワクチン、腫瘍溶解性ウイルスまたは医薬品として調製された後、効果が良好であり、実際的な適用価値がある。

【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のウイルスタンパク質には、宿主細胞のタンパク質分解系により識別可能なデグロンが少なくとも1つ含まれる、デグロン含有組換えウイルスであって、
前記デグロンは、アミノ酸配列、ポリペプチドまたは構造モチーフのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む、デグロン含有組換えウイルス。
【請求項2】
前記タンパク質分解系は、ユビキチン-プロテアソーム系、リソソーム系、オルガネラ加水分解系、細胞膜表面加水分解系またはCaspaseプロテアーゼ系のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む、請求項1に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項3】
前記デグロンの位置は、ウイルスタンパク質のC末端、N末端または中間コード領域のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せにある、請求項1または2に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項4】
前記デグロンは、SEQ ID No.1~110で表されるアミノ酸配列のうちのいずれか1種を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項5】
前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、エイズウイルス、新型コロナウイルス、手足口ウイルス、コクサッキーウイルス、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、巨大細胞ウイルス、水痘-帯状ヘルペスウイルス、水胞性口内炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、デングウイルス、えぼらウイルス、マールブルグウイルス、ジカウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、中東呼吸器症候群ウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、日本脳炎ウイルス、森林脳炎ウイルス、ハンタウイルス、新型腸管ウイルス、風疹ウイルス、耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、青耳ウイルス、ブタ熱ウイルス、口蹄病ウイルス、微小ウイルス、プリオン、天然痘ウイルス、タバコモザイクウイルス、ファージ、ヘルペスウイルス、西ナイルウイルス、ノロウイルス、ヒトボカウイルスまたはコロナウイルスのうちのいずれか1種を含み、インフルエンザウイルス、エイズウイルスまたは新型コロナウイルスのうちのいずれか1種であることが好ましい、請求項1~4のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスをコードする、核酸分子。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸分子を含む組換えベクターであって、
好ましくは、前記組換えベクターが、請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを発現する、組換えベクター。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製方法であって、
タンパク質分解系欠損の細胞系を構築することと、
ウイルスタンパク質のコード遺伝子に、デグロンをコードするヌクレオチド配列を導入することと、
請求項7に記載の組換えベクターを構築し、前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得ることと、を含み、
好ましくは、前記タンパク質分解系欠損には、E3リガーゼノックアウトまたはノックダウン、プロテアソームノックアウトまたはノックダウンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含むユビキチン-プロテアソーム系欠損が含まれ、
好ましくは、前記細胞系には、CHO細胞系、Vero細胞系、MDCK細胞系、HEK293T細胞系、MDCK細胞系、A549細胞系、BHK細胞系、BHK-21/BRS細胞系、Sp2/0細胞系、HEK293細胞系、293F細胞系、HeLa細胞系、TZM-bl細胞系、Sup-T1細胞系、MRC-5細胞系、VMK細胞系、LLC-MK2細胞系、HCT-8細胞系、Huh-7細胞系またはCaco2細胞系のうちのいずれか1種を含む哺乳動物細胞系が含まれ、HEK293T細胞系、MDCK細胞系またはA549細胞系のうちのいずれか1種であることが好ましく、
好ましくは、前記デグロン含有組換えウイルスは、調製過程においてタンパク質分解系阻害剤が添加され、
好ましくは、前記タンパク質分解系阻害剤には、MG132、MG-341またはラクタシスチンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含むプロテアソーム阻害剤が含まれる、調製方法。
【請求項9】
前記調製方法はさらに、前記タンパク質分解系欠損の細胞系および修飾されていない細胞系における前記デグロン含有組換えウイルスの複製能、安全性および免疫原性を検出するステップを含み、
好ましくは、前記調製方法はさらに、大規模に生産するステップを含み、
好ましくは、前記調製方法は、
タンパク質分解系欠損の哺乳動物細胞系を構築するステップ(1)であって、
遺伝子編集技術により、細胞系におけるタンパク質分解系のキー要素をノックアウトするステップ(1)と、
デグロンを導入したウイルスタンパク質、および前記デグロンの種類、数、および導入サイトを確定し、ウイルスタンパク質のコード遺伝子にデグロンをコードするヌクレオチド配列を導入して、組換えウイルス配列を得るステップ(2)と、
組換えベクターを構築するステップ(3)であって、
ステップ(2)における組換えウイルス配列とプラスミドを連結させて、前記組換えベクターを得るステップ(3)と、
組換えベクターを前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得るステップ(4)であって、
逆遺伝学技術により、ステップ(3)における組換えベクターとウイルスレスキュープラスミドを、前記タンパク質分解系欠損の細胞系に共トランスフェクトし、タンパク質分解系阻害剤を添加し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得るステップ(4)と、
前記タンパク質分解系欠損の細胞系および修飾されていない細胞系における前記デグロン含有組換えウイルスの複製能、安全性および免疫原性を検出し、大規模に生産するステップと、を含む、請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製システムであって、
タンパク質分解系欠損の細胞系、組換えベクターおよびウイルスレスキュープラスミドを含む、調製システム。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルス、請求項6に記載の核酸分子、請求項7に記載の組換えベクター、請求項8または9に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製方法または請求項10に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製システムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せの、ワクチン、腫瘍溶解性ウイルスおよび/または医薬品の製造における使用。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを含むワクチンであって、
好ましくは、前記ワクチンは、弱毒化生ワクチン、複製能のない生ワクチン、複製制御可能生ワクチンまたは腫瘍溶解性ウイルスワクチンのうちのいずれか1種を含み、
好ましくは、前記ワクチンはさらに、アジュバントおよび補助材料を含む、ワクチン。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを含む、腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを含む医薬品であって、
好ましくは、前記医薬品はさらに、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む、医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、生物技術分野に属し、特に、デグロン含有組換えウイルスおよびその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス感染は、人間の健康、および社会経済の発展に対して深刻に危害をもたらしている。ワクチンとは、ウイルス感染を予防するための最も効果的な手段の1つである。現在、ウイルスワクチンの種類には、主に、不活化ワクチン、弱毒化ワクチン、サブユニットワクチン、ウイルスベクターワクチン、DNAワクチン、mRNAワクチンおよびウイルス様粒子などが含まれている。
【0003】
過去数十年間、ウイルスワクチン技術は、大きく進歩しているが、依然として、例えば、ウイルスの不活化処理に起因して抗原の天然構造が破壊されてウイルスワクチンの免疫原性が低下し、または、ウイルスの弱毒化の不十分に起因してウイルスワクチンの複製活性が残留してワクチンが安全リスクを持ち、または、ウイルスワクチンの調製技術が複雑であることに起因して他のウイルスワクチンにおいて普及できなかった、という一定の限界がある。そのため、従来のウイルスワクチンの設計構想を突破し、安全で高効率であり、シンプルで汎用な新規なワクチン技術を開発することは、将来の理想的なウイルスワクチンの重要な発展方向であり、重要な科学的価値および臨床価値がある。
【0004】
より安全で、適用性が広く、免疫原性が強いウイルスワクチンの調製方法を如何に提供するかは、早急に解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、デグロン含有組換えウイルスおよびその調製方法と使用を提供する。ウイルスの少なくとも1つのタンパク質コード遺伝子に少なくとも1つのデグロンを挿入することにより調製された組換えウイルスは、宿主細胞におけるタンパク質分解系により識別され、ウイルスタンパク質が分解されることができ、ウイルスの複製能が弱め、ひいては複製能が完全になくなり、調製されたワクチンまたは腫瘍溶解性ウイルスは、より安全であり、適用見込みが広い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様として、本願は、少なくとも1種のウイルスタンパク質には、宿主細胞におけるタンパク質分解系により識別可能なデグロンが少なくとも1つ含まれるデグロン含有組換えウイルスであって、
前記デグロンは、アミノ酸配列、ポリペプチドまたは構造モチーフのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含むデグロン含有組換えウイルスを提供する。
【0007】
本願において、ウイルスの少なくとも1つのタンパク質に少なくとも1つのデグロンを挿入することにより、該デグロンは、ウイルスゲノムの複製につれて複製されることができるとともに、ウイルスタンパク質の翻訳につれてウイルスタンパク質に融合発現されることができ、それによって、デグロンにより部位特異的修飾された組換えウイルスを得る。それと同時に、宿主細胞におけるタンパク質分解系を利用して、ウイルスタンパク質の宿主細胞における安定的な分解を実現し、ウイルスの宿主における複製などの生命活動を人為的に制御し、複製制御可能なウイルスワクチンまたは腫瘍溶解性ウイルスの調製に用いられ、極めて高い適用価値を有する。
【0008】
本願において、デグロン(Degrons)とは、タンパク質分解系により特異的識別可能となり、さらにマトリックスタンパク質の分解を媒介する各種の分子、例えば、特異的なアミノ酸配列、ポリペプチド、構造モチーフまたは他の分子を指す。デグロンは、通常、短い線形モチーフ(motif)であり、特異的な配列モデルを有し、相互作用が非常に重要なアミノ酸残基に対して強い進化的な保存性を示す。
【0009】
好ましくは、前記タンパク質分解系には、ユビキチン-プロテアソーム系、リソソーム系、オルガネラ加水分解系、細胞膜表面加水分解系またはCaspaseプロテアーゼ系のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せが含まれる。
【0010】
本願において、ウイルスタンパク質の機能の正常な実行は、ウイルスの宿主細胞における複製などのすべての生命活動の前提条件である。宿主細胞において複数種の天然なタンパク質分解系が存在し、細胞内にタンパク質の安定状態を維持して正常な細胞機能を維持することに対して極めて重要である。タンパク質分解系は、マトリックスタンパク質におけるデグロンを特異的に識別することができる。デグロンの一つの重要な特徴は、移動可能であり、遺伝子工学によってそれらのデグロンを連結した後、生命周期が長いタンパク質が不安定になる。それらのタンパク質分解系、および対応するデグロンは、調節制御可能なウイルスタンパク質の宿主細胞における安定化及び分解する「生命スイッチ」を設計するために生物学基礎を提供する。
【0011】
好ましくは、前記デグロンの位置は、ウイルスタンパク質のC末端、N末端または中間コード領域のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せにある。
【0012】
本願において、動物や人体などのタンパク質分解系は、複数種のデグロンを識別することができるため、ウイルスタンパク質のN末端、C末端または他のいずれかのサイトに、異なる種類、異なる数のデグロンを導入することができる。それらの種類や数が異なるデグロンは、任意に組み合わせて、複製効率が異なり、弱毒化程度が異なるウイルスワクチンの調製のために保障を提供することができる。それは、ウイルスワクチンの生産効率および免疫原性に対して極めて重要である。
【0013】
好ましくは、前記デグロンは、SEQ ID No.1~110で表されるアミノ酸配列のうちのいずれか1種を含む。
【0014】
SEQ ID No.1:ALAPYIP、
SEQ ID No.2:DRHDSGLDSM、
SEQ ID No.3:SHGFPPEVEEQDDGTLPMSCAQESGMDRHPAACASARINV、
SEQ ID No.4:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKA、
SEQ ID No.5:DSGXXS(そのうち、Xは、いずれかのアミノ酸を示す)、
SEQ ID No.6:DRHDSGXXSM(そのうち、Xは、いずれかのアミノ酸を示す)、
SEQ ID No.7:LGSWRHWRGQEG、
SEQ ID No.8:SLYKKVVGTMAAG、
SEQ ID No.9:MLSESRNFPAQA、
SEQ ID No.10:ERAPTGRWGRRG、
SEQ ID No.11:KKVGRARPCQRG、
SEQ ID No.12:APRAPRQRSRDG、
SEQ ID No.13:SWRLTGSGMKG、
SEQ ID No.14:WRPGRRGPSSGG、
SEQ ID No.15:LRGPSPPPMAGG、
SEQ ID No.16:WRPGRRGPSSGG、
SEQ ID No.17:MALAVRVVYCGA、
SEQ ID No.18:KKNVEAIGLLGG、
SEQ ID No.19:PPGPPLSSPRPR、
SEQ ID No.20:TMNNEEDLLRSL、
SEQ ID No.21:TMEPPGGRQKKR、
SEQ ID No.22:QERGPTWDKNLR、
SEQ ID No.23:GTMAVLRQRPGR、
SEQ ID No.24:LCTRSWDVTPNR、
SEQ ID No.25:ANQPAQCRKTRI、
SEQ ID No.26:EEARLKYDKSRI、
SEQ ID No.27:LNDGPKPGQSRF、
SEQ ID No.28:TSLYKKVGMGRK、
SEQ ID No.29:YKKVGTMRGRGL、
SEQ ID No.30:VGTMAAGRAPGK、
SEQ ID No.31:KKVGTMRGVGYP、
SEQ ID No.32:EGPLWHPRICGS、
SEQ ID No.33:EMALSPPRSWGQ、
SEQ ID No.34:RSGLRRRRHRGE、
SEQ ID No.35:VSGIMRRPWGMN、
SEQ ID No.36:KRVLIRVTYCGL、
SEQ ID No.37:MALAVRVVYCGA、
SEQ ID No.38:PSSPVQTTPLSQAVATPSRSSAAAAAALDLSGRRG、
SEQ ID No.39:HHGKGFFGSGHYTAYCYNTEGGACALLCGVGDTERG、
SEQ ID No.40:VAEITKQLPPVVPVSKPGALRRSLSRSMSQEAQRG、
SEQ ID No.41:KKRPPPGLDR、
SEQ ID No.42:SVNSLLKELR、
SEQ ID No.43:HEWVLREGEE、
SEQ ID No.44:EYLLKMATEE、
SEQ ID No.45:ELCKSYRRLQ、
SEQ ID No.46:VALKFKPRKH、
SEQ ID No.47:GLGCKVLRRH、
SEQ ID No.48:RHCGRT、
SEQ ID No.49:RSHGTL、
SEQ ID No.50:RFRGLR、
SEQ ID No.51:RNLGIR、
SEQ ID No.52:RGRLTRNKGP、
SEQ ID No.53:SLFRKRNKGK、
SEQ ID No.54:RTAASGRRWG、
SEQ ID No.55:GLLKRPCLRG、
SEQ ID No.56:QRKLQRTSRG、
SEQ ID No.57:PKSKVCQQRG、
SEQ ID No.58:KRLLKGSQYG、
SEQ ID No.59:PHKRLLKGSQYG、
SEQ ID No.60:KESNDCSCGG、
SEQ ID No.61:DCVCRGSTGG、
SEQ ID No.62、VAPRSRDERG、
SEQ ID No.63:AHQLQALRRG、
SEQ ID No.64:LTGKG、
SEQ ID No.65:YYCFFG、
SEQ ID No.66:LEKGG、
SEQ ID No.67:AAHKG、
SEQ ID No.68:ALRRG、
SEQ ID No.69:GGSGG、
SEQ ID No.70:RDERG、
SEQ ID No.71:SRVKG、
SEQ ID No.72:PASGG、
SEQ ID No.73:AIHGG、
SEQ ID No.74:GAEAG、
SEQ ID No.75:GSTGG、
SEQ ID No.76:RGMGG、
SEQ ID No.77:LVHAG、
SEQ ID No.78:SLQTG、
SEQ ID No.79:PVPGG、
SEQ ID No.80:NYKSG、
SEQ ID No.81:PRKQG、
SEQ ID No.82:TPRGG、
SEQ ID No.83:GCSGG、
SEQ ID No.84:EAQRG、
SEQ ID No.85:GKAWG、
SEQ ID No.86:PAGGG、
SEQ ID No.87:VVLYG、
SEQ ID No.88:LTLKG、
SEQ ID No.89:GFQSG、
SEQ ID No.90:RVQWG、
SEQ ID No.91:SRTEGQFGTTQSNGTFFNGASPGTPPAPSQHQQSLTSL、
SEQ ID No.92:
YRPIPFQPEGAGEGTDEDKSNRIGNNGLRLNDGNGNGQLAPSPTPQGTEAVRA、
SEQ ID No.93:RKFSNNPQPNAISNGTSTSERPGEGATQGIVEEEVLQ、
SEQ ID No.94:IRTESAEEAEMASVPNGSPSWHPGASHVVNGAAGHSN、
SEQ ID No.95:WHEIEMESGEEAMEPANETGNTLNGSPSWHPSPSHVI、
SEQ ID No.96:NRTDFAGEEDEMDGVLNGSPSWHAATSHIVNGATVHQ、
SEQ ID No.97:NRTDTAAEAEMDSVLNGSPSWHPPAGHVVNGATVHRS、
SEQ ID No.98:NRTDTAAEAEMDSVLNGSPSWHPPAGHVVNGAAVHRS、
SEQ ID No.99:NRTEVLEGAEIPSTVNGSPSWHPADSRAVSGATGHSS、
SEQ ID No.100:NRTEAPEGTELPSTVNGSPSWHPADSRAGSGATGHSS、
SEQ ID No.101:NRTEAPEGTESERETPSAINGNPSWHLADSPAVNGAT、
SEQ ID No.102:
NRTEAPEGTESEVETPSAINGNPSWQLADSPAINGATGHSSSLDAREVIPMAAVKQQAL、
SEQ ID No.103:NRTEAPEGTESDMETPSAINGNASWHLADSPAVNGAT、
SEQ ID No.104:NRTEAPEGTGPEMETPSAINGNPAWHPADSPAVNGAT、
SEQ ID No.105:NRTEAPEGTESDMETPSAINGNPSWHLADSPAVNGAT、
SEQ ID No.106:NRTEAPEGTESEAETPSAINGNPSWHLADSPAVNGAT、
SEQ ID No.107:NRTEAPEGTESEMETPSAINGNPSWHLADSPPANGAT、
SEQ ID No.108:NRTEAPEGTDSEMETPSAINGNPAWHLADSPAVNGAT、
SEQ ID No.109:NRTEAPEGTDSEMETPSAINGNPSWHLADSPVVNGAT、または
SEQ ID No.110:NRTEAPEGTESEMETPSAINGNPSWHLADSPAVNGAT。
【0015】
好ましくは、前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、エイズウイルス、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)、手足口ウイルス、コクサッキーウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、A型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス(EBウイルス)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、巨大細胞ウイルス、水痘-帯状ヘルペスウイルス、水胞性口内炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、デングウイルス、えぼらウイルス、マールブルグウイルス、ジカウイルス(Zika)、重症急性呼吸器症候群ウイルス(SARS)、中東呼吸器症候群ウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、日本脳炎ウイルス、森林脳炎ウイルス、ハンタウイルス、新型腸管ウイルス、風疹ウイルス、耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、青耳ウイルス、ブタ熱ウイルス、口蹄病ウイルス、微小ウイルス、プリオン、天然痘ウイルス、タバコモザイクウイルス、ファージ、ヘルペスウイルス、西ナイルウイルス、ノロウイルス(Norovirus)、ヒトボカウイルスまたはコロナウイルスのうちのいずれか1種を含み、インフルエンザウイルス、エイズウイルスまたは新型コロナウイルスのうちのいずれか1種であることが好ましい。
【0016】
好ましくは、インフルエンザウイルスのPAタンパク質、PB1タンパク質、PB2タンパク質、NPタンパク質、HAタンパク質、NAタンパク質、M1タンパク質、M2タンパク質、NS1タンパク質またはNEPタンパク質のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せには、少なくとも1つのデグロンが含まれる。例えば、インフルエンザウイルスのPAタンパク質およびPB2タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPAタンパク質およびPB1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPB2タンパク質およびPB1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPAタンパク質、PB2タンパク質およびPB1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPAタンパク質、PB2タンパク質、PB1タンパク質およびM1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPAタンパク質、PB2タンパク質、PB1タンパク質、M1タンパク質およびNPタンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPB2タンパク質、PB1タンパク質およびM1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPAタンパク質およびM1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPB1タンパク質およびM1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPB2タンパク質およびM1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPB2タンパク質、PB1タンパク質、M1タンパク質およびNS1タンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのPB2タンパク質、PB1タンパク質、M1タンパク質およびNEPタンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよいし、インフルエンザウイルスのNS1タンパク質およびNEPタンパク質には、いずれも少なくとも1つのデグロンが含まれてもよい。
【0017】
好ましくは、エイズウイルスのGagポリタンパク質(Gag polyprotein)、polポリタンパク質(pol polyprotein)、gp160、HIV転写トランス活性化因子(HIV trans-activator of transcription、Tat)、ビリオンタンパク質発現調節タンパク質(regulator of expression of virion proteins、Rev)、Nef(negative factor、Nef)、レンチウイルスタンパク質R(lentivirus protein R、Vpr)、ウイルス感染因子(viral infectivity factor、Vif)、ウイルスタンパク質U(virus protein U、Vpu)、マトリックスタンパク質(matrix protein、MA、p17)、カプシドタンパク質(capsid protein、CA、p24)、スペーサーペプチド1(spacer peptide 1、SP1、p2)、ヌクレオカプシドタンパク質(nucleocapsid protein、NC、p7)、スペーサーペプチド2(spacer peptide 2、SP2、p1)、P6、逆トランスクリプターゼ(reverse transcriptase、RT)、リボヌクレアーゼH(Rnase H)、インテグラーゼ(integrase、IN)、HIVプロテアーゼ(HIV protease、PR)、gp120またはgp41タンパク質のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せには、少なくとも1つのデグロンが含まれる。
【0018】
好ましくは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(spike protein、S protein)、エンベロープ糖タンパク質(envelope glycoprotein、E glycoprotein)、膜糖タンパク質(membrane glycoprotein、M glycoprotein)、ヌクレオカプシドタンパク質(nucleocapsid protein、N protein)、非構造タンパク質1(nonstructural protein 1、nsp1)、非構造タンパク質2、非構造タンパク質3、非構造タンパク質4、非構造タンパク質5、非構造タンパク質6、非構造タンパク質7、非構造タンパク質8、非構造タンパク質9、非構造タンパク質10、非構造タンパク質11、非構造タンパク質12、非構造タンパク質13、非構造タンパク質14、非構造タンパク質15、非構造タンパク質16、3aタンパク質、3bタンパク質、6タンパク質、7aタンパク質、7bタンパク質、8aタンパク質、8bタンパク質、9bタンパク質、3C様プロテアーゼ(3C-like proteinase)、リーダータンパク質(leader protein)、2’-O-リボシルメチルトランスフェラーゼ(2’-O-ribose methyltransferase)、エンドヌクレアーゼ(endoRNAse)、3’-~-5’エキソヌクレアーゼ(3’-to-5’ exonuclease)、ヘリカーゼ(helicase)、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RNA-dependent RNA polymerase)、orf1aポリタンパク質(orf1a polyprotein)、ORF10タンパク質(ORF10 protein)、ORF8タンパク質(ORF8 protein)、ORF7aタンパク質(ORF7a protein)、ORF6タンパク質(ORF6 protein)またはORF3aタンパク質(ORF3a protein)のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せには、少なくとも1つのデグロンが含まれる。
【0019】
本願において、前記組換えウイルスは、さらに修飾されてもよく、例えば、一部の免疫補強剤をウイルスタンパク質の特定領域または特定のアミノ酸に導入することで、性能が改善されて免疫原性が補強された組換えウイルスを得る。
【0020】
第2の態様として、本願は、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスをコードする、核酸分子を提供する。
【0021】
第3の態様として、本願は、第2の態様に記載の核酸分子を含む組換えベクターを提供する。
【0022】
好ましくは、前記組換えベクターは、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスを発現する。
【0023】
第4の態様として、本願は、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製方法であって、
タンパク質分解系欠損の細胞系を構築することと、
ウイルスタンパク質のコード遺伝子に、デグロンをコードするヌクレオチド配列を導入することと、
第3の態様に記載の組換えベクターを構築し、前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得ることと、を含む、調製方法を提供する。
【0024】
本願において、タンパク質分解系が広く宿主細胞に分布するため、組換えウイルスが調製過程において細胞におけるタンパク質分解系により分解されることに起因して生産効率が低下することを回避するように、本願は、タンパク質分解系に欠損の、人為的に修飾された細胞系を提供する。この人為的に修飾された細胞系において、デグロンが識別されず、ウイルスタンパク質がタンパク質分解系により分解されずに保留されるので、組換えウイルスは、この特定の人為的に修飾された細胞系において効率的に複製し、大量の調製を行うことができる。正常な細胞において、タンパク質分解系は、ウイルスタンパク質と融合するデグロンを識別して、ウイルスタンパク質を分解させて、ウイルスの複製能が弱め、ひいては複製能が完全になくなるため、組換えウイルスは、極めて高い安全性を有する。
【0025】
この特定のウイルス生産体系に対する組換えウイルスの依存性により、このシステムにおいて組換えウイルスの大量の調製を行うことができる。人体や動物などの正常な細胞においてタンパク質分解系が存在するので、ウイルスタンパク質と融合発現するデグロンを識別してウイルスタンパク質を分解させることができる。そのため、調製された組換えウイルスは、動物や人体における複製能が低下するか、または複製繁殖を行うことができず、ウイルスの安全性を向上させて、この組換えウイルスが名実ともに弱毒化生ウイルスワクチンとなる。
【0026】
本願において、前記組換えウイルスの調製原理は以下の通りである。(1)ウイルスタンパク質の特定サイトに導入されたデグロンは、宿主細胞におけるタンパク質分解系により識別されることができて、関連するウイルスタンパク質の分解、不活化を誘導する。(2)ウイルスタンパク質の特定サイトに導入されたデグロンは、特定のウイルス生産システムにおいて識別されず、または抑制されることができて、ウイルスタンパク質が宿主細胞におけるタンパク質分解系により分解されることを回避または低減する。(3)ウイルスタンパク質の特定サイトに導入されたデグロンは正常な宿主細胞においてタンパク質分解系により識別されるため、調製されたウイルスは、動物や人体などの宿主細胞においてタンパク質分解系により識別・分解可能となることで、複製能が低下し、ひいては複製繁殖能が完全になくなり、ウイルスの安全性を向上させる。
【0027】
好ましくは、前記タンパク質分解系欠損には、E3リガーゼノックアウトまたはノックダウン、プロテアソームノックアウトまたはノックダウンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含むユビキチン-プロテアソーム系欠損が含まれる。
【0028】
好ましくは、前記細胞系には、CHO細胞系、Vero細胞系、MDCK細胞系、HEK293T細胞系、MDCK細胞系、A549細胞系、BHK細胞系、BHK-21/BRS細胞系、Sp2/0細胞系、HEK293細胞系、293F細胞系、HeLa細胞系、TZM-bl細胞系、Sup-T1細胞系、MRC-5細胞系、VMK細胞系、LLC-MK2細胞系、HCT-8細胞系、Huh-7細胞系またはCaco2細胞系のうちのいずれか1種を含む哺乳動物細胞系が含まれ、HEK293T細胞系、MDCK細胞系またはA549細胞系のうちのいずれか1種であることが好ましい。
【0029】
本願において、さらに、哺乳動物細胞系を選用することにより、従来方法においてニワトリ胚を用いてウイルスを繁殖することによる人体のアレルギーなどの不良反応を引き起こしやすいという欠点を解決した。
【0030】
好ましくは、前記デグロン含有組換えウイルスは、調製過程においてタンパク質分解系阻害剤が添加される。
【0031】
好ましくは、前記タンパク質分解系阻害剤には、MG132、MG-341またはラクタシスチン(lactacystin)のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含むプロテアソーム阻害剤が含まれる。
【0032】
好ましくは、前記調製方法はさらに、前記タンパク質分解系欠損の細胞系および修飾されていない細胞系における前記デグロン含有組換えウイルスの複製能、安全性および免疫原性を検出するステップを含む。
【0033】
本願において、前記タンパク質分解系欠損の細胞系および修飾されていない細胞系における前記デグロン含有組換えウイルスの複製能を検出することにより、前記組換えウイルスの修飾に成功するか否かを確定する。そのうち、前記タンパク質分解系欠損の細胞系において正常に複製する、修飾されていない正常な宿主細胞において複製能が低下する、または複製できない組換えウイルスは、修飾に成功する組換えウイルスである。
【0034】
好ましくは、前記調製方法はさらに、大規模に生産するステップを含む。
【0035】
好適な技術態様として、本願に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製方法は以下のステップを含む。
ステップ(1)、タンパク質分解系欠損の哺乳動物細胞系を構築することであって、
遺伝子編集技術により、細胞系におけるタンパク質分解系のキー要素をノックアウトする。
ステップ(2)、デグロンが導入されたウイルスタンパク質および前記デグロンの種類、数、および導入サイトを確定し、ウイルスタンパク質のコード遺伝子に、デグロンをコードするヌクレオチド配列を導入して、組換えウイルス配列を得る。
ステップ(3)、組換えベクターを構築することであって、
ステップ(2)における組換えウイルス配列とプラスミドを連結させて、前記組換えベクターを得る。
ステップ(4)、組換えベクターを前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得ることであって、
逆遺伝学技術により、ステップ(3)における組換えベクターとウイルスレスキュープラスミドを前記タンパク質分解系欠損の細胞系に共トランスフェクトし、タンパク質分解系阻害剤を添加し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得る。
前記タンパク質分解系欠損の細胞系および修飾されていない細胞系における前記デグロン含有組換えウイルスの複製能、安全性および免疫原性を検出し、大規模に生産する。
【0036】
本願のステップ(2)において、インフルエンザウイルスに対して生物情報学分析およびタンパク質構造予測を行うことにより、ウイルスの各タンパク質にデグロン配列が導入されたウイルスのタンパク質構造を予測して分析することにより、デグロンが導入されたウイルスタンパク質を選別し、導入されたデグロンの種類、数及び具体的なサイトを確定する。
【0037】
本願のステップ(4)において、逆遺伝学技術により、従来のウイルスモデルにおけるいずれかの遺伝子を、他の亜型または毒株の遺伝子に置き換えることができ、または既有のウイルスモデルを、他の亜型または毒株に置き換えることによって、他の亜型または毒株の組換えウイルスを調製し、その方法が、いずれかの亜型または毒株のウイルスに用いることができ、さらに、調製されたウイルスはタンパク質分解系欠損の細胞株で大量複製し、正常な宿主細胞においてタンパク質分解系により識別され、分解される。
【0038】
本願において、修飾に成功する組換えウイルスは、ステップ(2)~(4)を繰り返して、組換えウイルスの複数のウイルスタンパク質にいずれもデグロンを導入するか、または組換えウイルスのいずれかのウイルスタンパク質に複数のデグロンを導入することを実現できる。
【0039】
また、逆遺伝学技術により、さらに多価のウイルスを調製することができ、より重要なことは、調製された突然変異型強毒、および多価ウイルスは、極めて高い安全性および有効性を有することである。
【0040】
第5の態様として、本願は、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製システムであって、タンパク質分解系欠損の細胞系、組換えベクターおよびウイルスレスキュープラスミドを含む調製システムを提供する。
【0041】
第6の態様として、本願は、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルス、第2の態様に記載の核酸分子、第3の態様に記載の組換えベクター、第4の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製方法または第5態様に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製システムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せの、ワクチンおよび/または医薬品の調製における使用を提供する。
【0042】
第7の態様として、本願は、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスを含むワクチンを提供する。
【0043】
好ましくは、前記ワクチンは、弱毒化生ワクチン、複製能のない生ワクチン、複製制御可能な生ワクチンまたは腫瘍溶解性ウイルスワクチンのうちのいずれか1種を含む。
【0044】
好ましくは、前記ワクチンはさらに、アジュバントおよび補助材料を含む。
【0045】
第8の態様として、本願は、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスを含む腫瘍溶解性ウイルスを提供する。
【0046】
第9の態様として、本願は、第1の態様に記載のデグロン含有組換えウイルスを含む医薬品を提供する。
【0047】
好ましくは、前記医薬品はさらに、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む。
【発明の効果】
【0048】
従来技術と比べ、本願は、以下の有益な効果を有する。
【0049】
(1)汎用性については、ウイルスタンパク質にデグロンを導入するだけでウイルスの複製を制御することができるので、本願の技術方案は、すべてのウイルスを修飾することができ、すべてのウイルスワクチンの調製に用いることができ、選択可能なタンパク質分解系、および対応するデグロンは、複数種あり、限定要素が少なく、適用性が強い。
【0050】
(2)操作がシンプルである。簡単なウイルスベクターの構築、およびウイルスのパッケージング技術だけが必要であり、技術が成熟し、成功率が高く、関連製品の調製および普及を促進する。
【0051】
(3)効果が良好である。本願の技術方案により、不活化程度が異なるワクチンを設計することができ、安全な制御可能性を有し、調製されたワクチンは、極めて良好な免疫原性を有し、使用将来性が広い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1A】実施例3においてDegron1を含む毒株の調製効率を示す図である。
図1B】実施例3においてDegron2を含む毒株の調製効率を示す図である。
図1C】実施例3において同時にDegron1およびDegron2を含む組換え毒株の調製効率を示す図である。
図2A】実施例3においてDegron1を含む毒株の、MDCK細胞における生長曲線である。
図2B】実施例3においてDegron2を含む毒株の、MDCK細胞における生長曲線である。
図2C】実施例3において複数のDegron1および/またはDegron2を含む組換え毒株の、MDCK細胞における生長曲線である。
図3】実施例4においてWestern Blotで検出されたウイルスタンパク質発現レベルを示す図である。
図4A】実施例5においてマウスの組換えインフルエンザウイルスを接種した後の体重の変化を示す図である。
図4B】実施例5においてマウスの組換えインフルエンザウイルスを接種した後の生存率を示す図である。
図4C】実施例5においてマウスの組換えインフルエンザウイルスを接種した後に肺におけるウイルス力価を示す図である。
図5A】実施例6において組換えインフルエンザウイルスを接種した後の中和抗体価、および凝血抑制抗体価を示す図である。
図5B】実施例6において組換えインフルエンザウイルスを接種した後のanti-NP IgG、anti-HA IgG、anti-NP IgAの力価を示す図である。
図5C】実施例6において組換えインフルエンザウイルスを接種した後の脾臓、肺臓におけるT細胞応答を示す図である。
図5D】実施例6においてマウスは、組換えインフルエンザウイルスを接種してから野生型同種インフルエンザ毒株(WSN)の攻撃を行った後の体重変化を示す図である。
図5E】実施例6においてマウスは、組換えインフルエンザウイルスを接種してから野生型同種インフルエンザ毒株(WSN)の攻撃を行った後の生存率を示す図である。
図5F】実施例6においてマウスは、組換えインフルエンザウイルスを接種してから野生型同種インフルエンザ毒株(WSN)の攻撃を行った3日後の肺におけるウイルス力価を示す図である。
図6A】実施例7においてマウスは、組換えインフルエンザウイルスを接種してから野生型異種インフルエンザ毒株(H3N2)の攻撃を行った後の体重変化を示す図である。
図6B】実施例7においてマウスは、組換えインフルエンザウイルスを接種してから野生型異種インフルエンザ毒株(H3N2)の攻撃を行った後の生存率を示す図である。
図6C】実施例7においてマウスは、組換えインフルエンザウイルスを接種してから野生型異種インフルエンザ毒株(H3N2)の攻撃を行った3日後の肺におけるウイルス力価を示す図である。
図7】デグロンを含むウイルスのワーク原理を示す図である。正常な細胞において、ウイルスタンパク質と共有結合したデグロンは、E3ユビキチンリガーゼとウイルスタンパク質の識別を誘導し、ウイルスタンパク質をユビキチン化させ、さらに、プロテアソームは、ユビキチン化されたウイルスタンパク質を分解させ、最終に、ウイルスを弱毒化させてワクチンにする。E3ユビキチンリガーゼのノックアウトされた細胞において、デグロンは、ウイルスタンパク質のユビキチン化を誘導できないため、ウイルスタンパク質は、プロテアソームにより分解されることなく保留されて、最終に、ウイルスが、野生型ウイルスのように効率的に複製し、大量の調製を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
さらに本願に用いられる技術手段およびその効果を説明するために、以下は、実施例を参照しながら本願をさらに説明する。ここで説明する具体的な実施形態は、本願を解釈するためのものに過ぎ、本願を限定するためのものではないことを理解できる。
【0054】
実施例において具体的な技術または条件が明記されていないものについては、当該分野における文献に記載された技術または条件、若しくは製品マニュアルに応じて行う。用いられる試薬または装置は、メーカが明記されていない場合、いずれも正規卸売業者から購入可能な通常のものである。
【0055】
材料:
pHH21、pCDNA3(neo)およびpcAAGGS/MCSベクターは、北京中科裕博生物技術有限公司から購入されるものである。
【0056】
実施例1
本実施例は、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスを発現する組換えベクターを提供する。前記組換えベクターは、以下の方法によって調製される。
【0057】
(1)ウイルスレスキュープラスミドの構築
pubmedに公開されたインフルエンザウイルスA/WSN/1933の遺伝子配列に基づく。
【0058】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+PB2、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+PB1、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+PA、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+HA、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+NA、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+NP、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+M、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=WSN+NS。
【0059】
遺伝子全体の合成により、該インフルエンザウイルスの各遺伝子セグメントの遺伝子を得た。それぞれ、pHH21、pCDNA3(neo)、pcAAGGS/MCSベクターに連結して、野生型インフルエンザウイルスレスキュープラスミドを得た。得たプラスミドの命名および構成は、表1に示される。
【表1】
【0060】
(2)組換えベクターの構築
ウイルスタンパク質にデグロンのコード配列を導入し、プラスミドに連結させ、一連の組換えプラスミドを構築した。この作業は、Beijing Tsingke Biotech Co., Ltd.の協力を依頼して完成されており、シーケンシングを行い、突然変異構築に成功したことを検証した。
【0061】
組換えベクターの命名原則は、以下の通りである。
【0062】
1.ウイルスタンパク質のN末端にデグロンを導入して、構築されたウイルスベクターは、「ウイルスタンパク質名称-N-デグロン名称」と命名された。
【0063】
2.ウイルスタンパク質のC末端にデグロンを導入して、構築されたウイルスベクターは、「ウイルスタンパク質名称-C-デグロン名称」と命名された。
【0064】
3.ウイルスタンパク質のコード領域内にデグロンを導入して構築されたウイルスベクターは、「ウイルスタンパク質名称-導入サイトと隣り合う上流アミノ酸の名称およびアミノ酸の番号-デグロン名称」と命名された。
【0065】
構築された組換えプラスミドは、以下の通りである。
【0066】
PB2-N-Degron1、PB2-R70-Degron1、PB2-I176-Degron1、PB2-V457-Degron1、PB2-N510-Degron1、PB2-Y531-Degron1、PB2-A623-Degron1、PB2-D680-Degron1、PB2-E700-Degron1、PB2-C-Degron1、PB1-N-Degron1、PB1-D70-Degron1、PB1-D295-Degron1、PB1-R327-Degron1、PB1-R430-Degron1、PB1-F490-Degron1、PB1-T566 Degron1、PB1-N626-Degron1、PB1-G710-Degron1、PB1-C-Degron1、PA-N-Degron1、PA-D294-Degron1、PA-N350-Degron1、PA-E372-Degron1、PA-L425-Degron1、PA-H510-Degron1、PA-A553-Degron1、PA-E604-Degron1、PA-S624-Degron1、PA-C-Degron1、NP-N-Degron1、NP-G126-Degron1、NP-N247-Degron1、NP -R317-Degron1、NP -V353-Degron1、NP -A366-Degron1、NP-Q409-Degron1、NP-E465-Degron1、NP-M481-Degron1、NP-C-Degron1、M1-N-Degron1、M1-A33-Degron1、M1-V68-Degron1、M1-D89-Degron1、M1-R105-Degron1、M1-M135-Degron1、M1-Q164-Degron1、M1-H222-Degron1、M1-A239-Degron1、M1-C-Degron1、M2-C-Degron1、NEP-C-Degron1、NS1-N-Degron1、NS1-A76-Degron1、NS1-A82-Degron1、NS1-H101-Degron1、NS1-A122-Degron1、NS1-T151-Degron1、NS1-L163-Degron1、NS1-C-Degron1、HA-N-Degron1、HA-C-Degron1、NA-N-Degron1、NA-C-Degron1、PB2-N-Degron2、PB2-R70-Degron2、PB2-I176-Degron2、PB2-V457-Degron2、PB2-N510-Degron2、PB2-Y531-Degron2、PB2-A623-Degron2、PB2-D680-Degron2、PB2-E700-Degron2、PB2-C-Degron2、PB1-N-Degron2、PB1-D70-Degron2、PB1-D295-Degron2、PB1-R327-Degron2、PB1-R430-Degron2、PB1-F490-Degron2、PB1-T566 Degron2、PB1-N626-Degron2、PB1-G710-Degron2、PB1-C-Degron2、PA-N-Degron2、PA-D294-Degron2、PA-N350-Degron2、PA-E372-Degron2、PA-L425-Degron2、PA-H510-Degron2、PA-A553-Degron2、PA-E604-Degron2、PA-S624-Degron2、PA-C-Degron2、NP-N-Degron2、NP-G126-Degron2、NP-N247-Degron2、NP-R317-Degron2、NP-V353-Degron2、NP-A366-Degron2、NP-Q409-Degron2、NP-E465-Degron2、NP-M481-Degron2、NP-C-Degron2、M1-N-Degron2、M1-A33-Degron2、M1-V68-Degron2、M1-D89-Degron2、M1-R105-Degron2、M1-M135-Degron2、M1-Q164-Degron2、M1-H222-Degron2、M1-A239-Degron2、M1-C-Degron2、M2-C-Degron2、NEP-C-Degron2、NS1-N-Degron2、NS1-A76-Degron2、NS1-A82-Degron2、NS1-H101-Degron2、NS1-A122-Degron2、NS1-T151-Degron2、NS1-L163-Degron2、NS1-C-Degron2、HA-N-Degron2、HA-C-Degron2、NA-N-Degron2およびNA-C-Degron2。
【0067】
そのうち、Degron1の配列は、SEQ ID No.1、コードヌクレオチド配列は、SEQ ID No.111、Degron2の配列は、SEQ ID No.2、コードヌクレオチド配列は、SEQ ID No.112に示すとおりである。
【0068】
SEQ ID No.111:GCATTGGCCCCCTACATTCCA、
SEQ ID No.112:GATCGCCACGATTCAGGGCTCGATTCCATG。
【0069】
実施例2
本実施例は、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスを提供する。前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルスは、以下の方法によって調製される。
【0070】
(1)タンパク質分解系欠損の哺乳動物細胞系を構築した。
【0071】
CRISPR/Cas9遺伝子ノックアウト技術を用いて、細胞系におけるタンパク質分解系の要素をノックアウトした。
【0072】
(2)組換えベクターを前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得た。
【0073】
実施例1における組換えベクターを用いて対応する野生型プラスミドを代替し、他の11種のプラスミドとともに、タンパク質分解系欠損の哺乳動物細胞系に共トランスフェクトし(例:組換えベクターPB2-N-Degron1を用いてプラスミドBen1を代替し、他の11種のプラスミドとともに共トランスフェクトし)、各プラスミドの添加量が0.2μgであり、トランスフェクトされた細胞を、0.5%のFBS、2μg/mLのTPCK-トリプシンを含むDMEM培地に培養した。
【0074】
トランスフェクト化4日後、宿主細胞を完全に病変または90%以上病変させた後、上清を収集し、新たなタンパク質分解系欠損の細胞に感染した。培地は、0.5%のFBS、2μg/mLのTPCK-トリプシンを含むDMEM培地である。タンパク質分解系阻害剤を添加し、感染4日後、宿主細胞を完全に病変させた後、上清を収集した。
【0075】
上清を遠心処理し、0.4μmの濾膜を通過して細胞砕片を除去し、パッケージング生成物に対してタンパク質分解系欠損依存性の検出、およびパッケージング生成物の不活化のタンパク質分解系に対する依存性の検出を行い、タンパク質分解系欠損依存性を維持している突然変異体を保留して組換えウイルスとする。
【0076】
組換えベクターと同様な方式に応じて、調製された組換えウイルスを命名した。
【0077】
実施例3
前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルス(下記表2に示された)について、調製効率および細胞レベルにおける安全性の評価








































【表2-1】
【表2-2】
【0078】
(1)デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの調製効率
デグロン含有組換えインフルエンザウイルス、野生型インフルエンザウイルスを、それぞれE3ユビキチンリガーゼがノックアウトされた細胞系(MOI=0.01)に感染し、48時間培養した後、細胞の上清を収集し、そのうちのウイルス力価を測定した。デグロン含有組換えインフルエンザウイルスと野生型ウイルス力価を比較することにより、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの調製効率を判定した。本実施例において、Degron1、Degron2、およびこれらの組合せを含む毒株を例として、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの調製効率を示した。その結果(図1)から分かるように、VHL E3ユビキチンリガーゼがノックアウトされたHEK293T細胞において、すべてのDegron1を含む組換えインフルエンザ毒株の力価は野生型インフルエンザウイルスWSNの力価に匹敵し、β-TrCP E3ユビキチンリガーゼがノックアウトされたHEK293T細胞において、すべてのDegron2を含む組換えインフルエンザ毒株の力価は野生型インフルエンザウイルスWSNの力価に匹敵し、同時に複数のDegron1および/またはDegron2を含む組換えインフルエンザ株の力価は野生型インフルエンザウイルスWSNの力価に匹敵した。それらの結果は、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスが高い調製効率を有することを示した。
【0079】
(2)デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの細胞レベルにおける安全性
デグロン含有組換えインフルエンザウイルス、野生型インフルエンザウイルスの正常なMDCK細胞における生長曲線を考察することにより、毒株の安全性を判断した。毒株の安全性についての判断標準は以下の通りである。毒株は、野生型ウイルスと比べて、正常なMDCK細胞系において複製能が弱め、ひいては複製しないと(ウイルス力価が野生型ウイルス力価よりも低い)、該毒株が安全であることを示した。本実施例において、Degron1、Degron2、及びこれらの組合せを含む毒株を例として、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの安全性を示した。生長曲線に基づいて検出するステップは、以下の通りである。
【0080】
調製されたデグロン含有組換えインフルエンザウイルスおよび野生型インフルエンザウイルスを、MOI=0.001の比率で正常なMDCK細胞系に感染した。感染後の24h、48h、72hおよび96hで、qPCRで細胞におけるウイルス力価を検出することで、ウイルスの細胞における複製能を検出した。その結果(図2)から分かるように、正常なMDCK細胞系において、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスは、野生型インフルエンザウイルスと比べ、複製能が弱め、ひいては複製に欠損があった。この結果は、調製されたデグロン含有組換えインフルエンザウイルスが細胞レベルにおける安全性を有することを示した。
【0081】
実施例4
デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの弱毒化メカニズムの検証
デグロン含有組換えインフルエンザウイルス、野生型インフルエンザウイルスを、それぞれ正常なMDCK細胞系(MOI=0.1)に感染した。培地にそれぞれ50nMおよび100nMのプロテアソーム阻害剤MG-132を補充し、DMSO(ウイルスと同じ希釈比率である)をコントロールとした。48h感染した後、細胞サンプルを収集し、Western Blotを用いてウイルスタンパク質発現レベルを検出した。
【0082】
試験結果(図3)から分かるように、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスを正常なMDCK細胞に感染した後、大量複製できないため、少ないウイルスタンパク質M1のシグナルを検出した。細胞のプロテアソーム系が阻害された後、ウイルスタンパク質M1のシグナルが増加した。そのため、プロテアソーム系が阻害された後、ウイルスの複製能が補強されることを示した。タンパク質加水分解標的分子の導入が細胞のプロテアソームのウイルスタンパク質に対する分解を媒介して、ウイルスの複製能を阻害できることが証明された。それは、前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの設計原理と合致した。
【0083】
実施例5
デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの動物レベルにおける安全性の評価
C57BL/6Jマウスを用いて、前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの動物レベルにおける安全性を評価した。同時にDegron1およびDegron2を含む組換え毒株(Degrons組換え毒株と命名される)を代表として、ウイルスの安全性を評価した。
【0084】
安全性の評価の具体的なステップは、以下の通りである。
【0085】
(a)30匹の7週齢のメスC57BL/6Jマウスを3群に分け、各群10匹とした。
【0086】
(b)第1の群は、各マウスにDMEMを点鼻接種し、第2の群は、各マウスに10 TCID50 Degrons組換え毒株を点鼻接種し、第3の群は、各マウスに10 TCID50野生型WSNインフルエンザウイルスを点鼻接種した。
【0087】
(c)接種の3日後、各群より5匹のマウスを取り、その肺組織を採取し、そのうちのウイルス力価を検出した。
【0088】
(d)続いて各群の残りの5匹のマウスの体重および死亡の状況を観察し、監視し、14日間持続した。
【0089】
その結果(図4)から分かるように、野生型WSNインフルエンザウイルスは、マウスの肺において高度複製できて、マウスの体重の明らかな低下、およびマウスの死亡を引き起こす。ところが、マウスの肺における前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルス力価が検出限界以下にあり、マウスの体重の低下を引き起こすことなく、マウスの死亡を引き起こすこともない。そのため、前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルスワクチンは、良好な安全性を有する。
【0090】
実施例6
デグロン含有組換えインフルエンザウイルスワクチンの動物レベルにおける免疫原性および保護性についての考察
前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルスの動物レベルにおける免疫原性および保護性を評価した。不活化インフルエンザワクチン(IIV)をコントロールとして(不活化インフルエンザウイルスワクチンは、発明者が中国薬典に提供された方法に従って、同種のインフルエンザウイルス粒子を用いて調製されたものである)、同時にDegron1およびDegron2を含む組換え毒株(Degrons組換え毒株と命名される)を代表として、デグロン含有組換えインフルエンザウイルスワクチンの免疫原性および保護性を評価した。
【0091】
免疫原性および保護性を考察する具体的なステップは、以下の通りである。
【0092】
(1)60匹の7週齢のメスC57BL/6Jマウスを3群に分け、各群20匹とした。
【0093】
(2)第1の群は、各マウスにDMEMを点鼻接種し、第2の群は、各マウスに10 TCID50 Degrons組換え毒株を点鼻接種し、第3の群は、各マウスに10 PFU不活化インフルエンザワクチンIIVを点鼻接種した。
【0094】
(3)接種の1週後、各群より5匹のマウスを取り、その肺組織および脾臓を採取し、そのうちのT細胞の免疫反応を検出した。
【0095】
(4)接種の3週後、各群より5匹のマウスを取り、採血し、それぞれ凝血抑制(HI)試験、中和(NT)抗体検出およびELISA検出に使用し、そのうちの抗体免疫反応を検出した。
【0096】
(5)接種の3週後、各群は、マウスに2×10 TCID50の野生型WSNインフルエンザウイルスを点鼻接種した。
【0097】
(6)野生型WSNインフルエンザウイルスの接種の3日後、各群より5匹のマウスを取り、その肺組織を採取し、そのうちのウイルス力価を検出した。
【0098】
(7)続いて各群の残りの5匹のマウスの体重および死亡の状況を観察し、監視し、14日間持続した。
【0099】
この結果(図5)から分かるように、Degrons組換え毒株は、動物の体内で高レベルの凝血抑制抗体価、中和抗体価、anti-NP IgG、anti-HA IgG、anti-NP IgAなどを誘導することができる。Degrons組換え毒株により誘導された凝血抑制抗体、中和抗体、anti-NP IgG、anti-HA IgGおよびanti-NP IgAレベルは、顕著に不活化インフルエンザワクチンにより誘導された抗体レベルよりも高い。Degrons組換え毒株の接種により、完全な免疫保護を提供することができ、例えば、マウスの肺におけるウイルス力価を検出限界以下に抑制することができ、マウスがすべて生きておりかつ体重が不変である。ところが、不活化ワクチンの接種により、有限な免疫保護効果しか提供することができず、例えば、マウスの肺において高レベルの野生型インフルエンザウイルスの複製が依然として存在し、マウスの一部が生きてかつ体重が明らかに低下した。これらのデータから分かるように、Degrons組換え毒株ワクチンによる保護は、顕著に不活化インフルエンザワクチンよりも優れる。そのため、前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルスワクチンは、より優れた免疫原性および保護効果を有する。
【0100】
実施例7
デグロン含有組換えインフルエンザウイルスワクチンの動物レベルにおける交差免疫保護効果についての考察
具体的なステップは、以下の通りである。
【0101】
(1)10匹の7週齢のメスC57BL/6Jマウスを3群に分け、各群10匹とした。
【0102】
(2)第1の群は、各マウスにDMEMを点鼻接種し、第2の群は、各マウスに10 TCID50 Degrons組換え毒株を点鼻接種し、第3の群は、各マウスに10 PFU不活化インフルエンザワクチンIIVを点鼻接種した。
【0103】
(3)接種の3週後、各群は、マウスに10 TCID50の野生型H3N2インフルエンザウイルスを点鼻接種した。
【0104】
(4)野生型H3N2インフルエンザウイルスの接種の3日後、各群より5匹のマウスを取り、その肺組織を採取し、そのうちのウイルス力価を検出した。
【0105】
(5)続いて各群の残りの5匹のマウスの体重および死亡の状況を観察し、監視し、14日間持続した。
【0106】
この結果(図6)から分かるように、Degrons組換え毒株の接種により、交差免疫保護を提供することができ、例えば、マウスの肺におけるウイルス力価を検出限界以下に抑制することができ、マウスがすべて生きておりかつ体重が不変である。ところが、不活化ワクチンの接種により、交差免疫保護効果を提供することができず、例えば、マウスの肺におけるH3N2インフルエンザウイルスレベルがワクチンが接種されていないものに匹敵し、マウスがすべて死亡し、体重が明らかに低下した。これらのデータから分かるように、Degrons組換え毒株ワクチンにより提供された交差免疫保護は、顕著に不活化インフルエンザワクチンよりも優れる。そのため、前記デグロン含有組換えインフルエンザウイルスワクチンは、より優れた交差免疫原性および保護効果を有する。
【0107】
要するに、本願では、ウイルスタンパク質にデグロンを導入することにより、調製された組換えウイルスは、宿主細胞におけるタンパク質分解系により識別されて分解され、組換えウイルスの複製能が弱め、ひいては除去されることができる。ただし、前記組換えウイルスは、タンパク質分解系欠損の細胞内に複製することができることで、その大規模生産を実現することができる。前記組換えウイルスは、対応するワクチンまたは医薬品として調製された後、極めて良好な安全性および免疫原性を有し、適用見込みが広い。前記組換えウイルスの調製方法は、適用性が極めて強く、操作が簡単であり、製品の使用および普及を促進することができる。
【0108】
本願は、上記実施例により本願の詳細方法を説明するが、上記詳細方法に限定されるものではなく、即ち、本願は上記詳細方法に依存して実施しなければならないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本願に対するいかなる改良、本願の製品の各原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本願の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図7
【配列表】
2024529069000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のウイルスタンパク質には、宿主細胞のタンパク質分解系により識別可能なデグロンが少なくとも1つ含まれる、デグロン含有組換えウイルスであって、
前記デグロンは、アミノ酸配列、ポリペプチドまたは構造モチーフのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む、デグロン含有組換えウイルス。
【請求項2】
前記タンパク質分解系は、ユビキチン-プロテアソーム系、リソソーム系、オルガネラ加水分解系、細胞膜表面加水分解系またはCaspaseプロテアーゼ系のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む、請求項1に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項3】
前記デグロンの位置は、ウイルスタンパク質のC末端、N末端または中間コード領域のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せにある、請求項に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項4】
前記デグロンは、SEQ ID No.1~110で表されるアミノ酸配列のうちのいずれか1種を含む、請求項に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項5】
前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、エイズウイルス、新型コロナウイルス、手足口ウイルス、コクサッキーウイルス、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、巨大細胞ウイルス、水痘-帯状ヘルペスウイルス、水胞性口内炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、デングウイルス、えぼらウイルス、マールブルグウイルス、ジカウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、中東呼吸器症候群ウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、日本脳炎ウイルス、森林脳炎ウイルス、ハンタウイルス、新型腸管ウイルス、風疹ウイルス、耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、青耳ウイルス、ブタ熱ウイルス、口蹄病ウイルス、微小ウイルス、プリオン、天然痘ウイルス、タバコモザイクウイルス、ファージ、ヘルペスウイルス、西ナイルウイルス、ノロウイルス、ヒトボカウイルスまたはコロナウイルスのうちのいずれか1種を含み、インフルエンザウイルス、エイズウイルスまたは新型コロナウイルスのうちのいずれか1種であることが好ましい、請求項に記載のデグロン含有組換えウイルス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスをコードする、核酸分子。
【請求項7】
核酸分子を含む組換えベクターであって、
前記核酸分子は請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスをコードし、
好ましくは、前記組換えベクターが、請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを発現する、組換えベクター。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製方法であって、
タンパク質分解系欠損の細胞系を構築することと、
ウイルスタンパク質のコード遺伝子に、デグロンをコードするヌクレオチド配列を導入することと、
組換えベクターを構築し、前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得ることと、を含み、そのうち、前記組換えベクターは核酸分子を含み、前記核酸分子は請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスをコードし、
好ましくは、前記タンパク質分解系欠損には、E3リガーゼノックアウトまたはノックダウン、プロテアソームノックアウトまたはノックダウンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含むユビキチン-プロテアソーム系欠損が含まれ、
好ましくは、前記細胞系には、CHO細胞系、Vero細胞系、MDCK細胞系、HEK293T細胞系、MDCK細胞系、A549細胞系、BHK細胞系、BHK-21/BRS細胞系、Sp2/0細胞系、HEK293細胞系、293F細胞系、HeLa細胞系、TZM-bl細胞系、Sup-T1細胞系、MRC-5細胞系、VMK細胞系、LLC-MK2細胞系、HCT-8細胞系、Huh-7細胞系またはCaco2細胞系のうちのいずれか1種を含む哺乳動物細胞系が含まれ、HEK293T細胞系、MDCK細胞系またはA549細胞系のうちのいずれか1種であることが好ましく、
好ましくは、前記デグロン含有組換えウイルスは、調製過程においてタンパク質分解系阻害剤が添加され、
好ましくは、前記タンパク質分解系阻害剤には、MG132、MG-341またはラクタシスチンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含むプロテアソーム阻害剤が含まれる、調製方法。
【請求項9】
前記調製方法はさらに、前記タンパク質分解系欠損の細胞系および修飾されていない細胞系における前記デグロン含有組換えウイルスの複製能、安全性および免疫原性を検出するステップを含み、
好ましくは、前記調製方法はさらに、大規模に生産するステップを含み、
好ましくは、前記調製方法は、
タンパク質分解系欠損の哺乳動物細胞系を構築するステップ(1)であって、
遺伝子編集技術により、細胞系におけるタンパク質分解系のキー要素をノックアウトするステップ(1)と、
デグロンを導入したウイルスタンパク質、および前記デグロンの種類、数、および導入サイトを確定し、ウイルスタンパク質のコード遺伝子にデグロンをコードするヌクレオチド配列を導入して、組換えウイルス配列を得るステップ(2)と、
組換えベクターを構築するステップ(3)であって、
ステップ(2)における組換えウイルス配列とプラスミドを連結させて、前記組換えベクターを得るステップ(3)と、
組換えベクターを前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得るステップ(4)であって、
逆遺伝学技術により、ステップ(3)における組換えベクターとウイルスレスキュープラスミドを、前記タンパク質分解系欠損の細胞系に共トランスフェクトし、タンパク質分解系阻害剤を添加し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得るステップ(4)と、
前記タンパク質分解系欠損の細胞系および修飾されていない細胞系における前記デグロン含有組換えウイルスの複製能、安全性および免疫原性を検出し、大規模に生産するステップと、を含む、請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスの調製システムであって、
タンパク質分解系欠損の細胞系、組換えベクターおよびウイルスレスキュープラスミドを含む、調製システム。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルス、核酸分子、組換えベクター、デグロン含有組換えウイルスの調製方法またはデグロン含有組換えウイルスの調製システムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せの、ワクチン、腫瘍溶解性ウイルスおよび/または医薬品の製造における使用であって、
そのうち、前記核酸分子は請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスをコードし、
そのうち、前記組換えベクターは前記核酸分子を含み、
そのうち、前記デグロン含有組換えウイルスの調製方法は、タンパク質分解系欠損の細胞系を構築することと、
ウイルスタンパク質のコード遺伝子に、デグロンをコードするヌクレオチド配列を導入することと、
前記組換えベクターを構築し、前記タンパク質分解系欠損の細胞系に導入し、パッケージングして前記デグロン含有組換えウイルスを得ることと、を含み、
そのうち、前記デグロン含有組換えウイルスの調製システムは、タンパク質分解系欠損の細胞系、組換えベクターおよびウイルスレスキュープラスミドを含む
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを含むワクチンであって、
好ましくは、前記ワクチンは、弱毒化生ワクチン、複製能のない生ワクチン、複製制御可能生ワクチンまたは腫瘍溶解性ウイルスワクチンのうちのいずれか1種を含み、
好ましくは、前記ワクチンはさらに、アジュバントおよび補助材料を含む、ワクチン。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを含む、腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載のデグロン含有組換えウイルスを含む医薬品であって、
好ましくは、前記医薬品はさらに、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む、医薬品。
【国際調査報告】