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特表2024-529078抗新型コロナウイルスのポリペプチド及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】抗新型コロナウイルスのポリペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/165 20060101AFI20240725BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 15/50 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240725BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 39/215 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C07K14/165 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/50
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/215
A61K9/12
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/16
A61K9/10
A61P31/14
A61P37/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507927
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2022110464
(87)【国際公開番号】W WO2023020298
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110939740.1
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517121939
【氏名又は名称】中国科学院微生物研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF MICROBIOLOGY, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高福
(72)【発明者】
【氏名】王奇慧
(72)【発明者】
【氏名】▲う▼麗麗
(72)【発明者】
【氏名】鄭安▲ち▼
(72)【発明者】
【氏名】孫歓
(72)【発明者】
【氏名】柴彦
(72)【発明者】
【氏名】韓鵬程
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA45
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB25
4C076CC06
4C076CC35
4C076EE30
4C076EE41
4C076EE56
4C085AA03
4C085BA71
4C085CC08
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG08
4C085GG10
4H045BA18
4H045BA19
4H045CA01
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】 本願は、新型コロナウイルスを予防又は治療するポリペプチド及びその使用に関する。
【解決手段】 前記ポリペプチドは、P3ポリペプチド並びにP3ポリペプチドによって誘導されたP3-1ポリペプチド、P3-2ポリペプチド、P3-3ポリペプチド、P3-4ポリペプチド及びP3-5ポリペプチドのうちの少なくとも1種であり、それらのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号1~6で示される。本願のポリペプチドは、新型コロナウイルス親株及び複数種の変異株に対していずれも強い阻害効果があるため、新型コロナウイルスによって引き起こされる疾患を予防及び/又は治療する薬物又はワクチンを製造するために利用することができ、当該ポリペプチドには将来に出現する新しい変異株及びサルベコウイルスに対しても予防及び/又は治療する潜在能力があることが見込まれる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗新型コロナウイルスのポリペプチドであって、
P3ポリペプチド並びにそれによって誘導されたP3-1ポリペプチド、P3-2ポリペプチド、P3-3ポリペプチド、P3-4ポリペプチド及びP3-5ポリペプチドのうちの少なくとも1種であり、ただし、
P3ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1で示され、
P3-1ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2で示され、
P3-2ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3で示され、
P3-3ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号4で示され、
P3-4ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号5で示され、
P3-5ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号6で示される、
ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、P3-1ポリペプチド、P3-2ポリペプチド、P3-3ポリペプチド及びP3-4ポリペプチドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドにはキャリアタンパク質が連結されており、好ましくは、前記キャリアタンパク質は、ヒト血清アルブミンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗新型コロナウイルスのポリペプチド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドが、DNA又はmRNAであり、
好ましくは、前記ポリヌクレオチドが、配列番号7~12で示されるヌクレオチド配列から選ばれるものを含む請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のポリヌクレオチドを含む核酸構築物。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結された少なくとも1つの発現制御エレメントをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の核酸構築物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の核酸構築物を含む発現ベクター。
【請求項9】
請求項4若しくは5に記載のポリヌクレオチド、請求項6若しくは7に記載の核酸構築物又は請求項8に記載の発現ベクターを含む形質転換された細胞。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項4又は5に記載のポリヌクレオチド、請求項6又は7に記載の核酸構築物、請求項8に記載の発現ベクター又は請求項9に記載の形質転換された細胞と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、点鼻スプレー製剤又は経口製剤又は非経口製剤の形態であり、
好ましくは、前記経口製剤が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤及び丸剤から選ばれ、好ましくは、前記非経口製剤が、注射可能な又はボーラス投与可能な製剤であり、
好ましくは、前記医薬組成物が、ワクチン組成物であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
新型コロナウイルスを予防及び/又は治療する薬物又はワクチンの製造における請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項4若しくは5に記載のヌクレオチド配列、請求項6若しくは7に記載の核酸構築物、請求項8に記載の発現ベクター、請求項9に記載の形質転換された細胞又は請求項10若しくは11に記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
前記新型コロナウイルスが、SARS-CoV-2親株及び/又はSARS-CoV-2変異株及び/又はサルベコウイルスであり、
好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株が、D614G株、アルファ(B.1.1.7)株、ベータ(B.1.351)株、ガンマ(P.1)株、カッパ(B.1.617.1)株及び/又はデルタ(B.1.617.2)株であり、前記サルベコウイルスは、ベータコロナウイルス属サルベコウイルス亜属ウイルスであることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
必要とする被験者に予防又は治療有効量の請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項4若しくは5に記載のヌクレオチド配列、請求項6若しくは7に記載の核酸構築物、請求項8に記載の発現ベクター、請求項9に記載の形質転換された細胞又は請求項10若しくは11に記載の医薬組成物を投与することを含む、新型コロナウイルスを予防又は治療する方法。
【請求項15】
前記新型コロナウイルスが、SARS-CoV-2親株及び/又はSARS-CoV-2変異株及び/又はサルベコウイルスであり、
好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株が、D614G株、アルファ(B.1.1.7)株、ベータ(B.1.351)株、ガンマ(P.1)株、カッパ(B.1.617.1)株及び/又はデルタ(B.1.617.2)株であり、前記サルベコウイルスは、ベータコロナウイルス属サルベコウイルス亜属ウイルスである請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年8月16日に提出された、出願番号が202110939740.1で、発明の名称が「抗新型コロナウイルスのポリペプチド及びその使用」である中国特許出願の優先権を主張し、それが全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、バイオ医薬品の分野に関し、具体的には、新型コロナウイルスを予防又は治療するためのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、当該核酸構築物を含む発現ベクター、形質転換された細胞及び前記のものを含む医薬組成物、並びに、新型コロナウイルスを予防及び/又は治療する薬物又はワクチンの製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)によるパンデミックが、世界の公衆衛生及び人類の健康に重大な脅威をもたらしている。SARS-CoV-2ウイルスは、新型コロナウイルス肺炎によるパンデミックの病原体であり、21世紀に入ってから人類にパンデミックを引き起こす3種目のコロナウイルスでもある。現在、SARS-CoV-2に対する複数種のワクチン及びモノクローナル抗体薬は緊急使用許可を得ているが、当面幅広く伝播している新型コロナウイルス変異株、例えば、アルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351)、ガンマ(P.1)などに対してそれらの防御効果が低下していることが多くの研究で明らかになったため、現在流行中の及び将来に出現する新しい変異株に対する広域スペクトルの薬物又はワクチンを開発することが急務となっている。
【0004】
現在、新型コロナウイルスに関連するコロナウイルス(サルベコウイルス(sarbecovirus)に属する)として、例えば、コウモリ由来のRaTG13、RmYN02、ZC45、ZXC21など、センザンコウ由来のGX/P2V/2017及びGD/1/2019が複数報告されており、RaTG13、GX/P2V/2017、GD/1/2019などもヒトに感染する潜在能力があることが研究で明らかになったため、将来に新たに出現するパンデミックに対処するために、それらの関連コロナウイルスに対する薬物又はワクチンを早急に開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、新型コロナウイルスを予防又は治療するためのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、当該核酸構築物を含む発現ベクター、形質転換された細胞及び前記のものを含む医薬組成物、並びに、新型コロナウイルスを予防又は治療する薬物又はワクチンの製造におけるそれらの使用を提供することである。
【0006】
コロナウイルスのスパイク(S)タンパク質は、ウイルス侵入のプロセスを媒介する上で重要な役割を発揮し、S1及びS2の2つのサブユニットに分けられ、ただし、S1サブユニットは受容体を認識し、S2サブユニットはウイルスのエンベロープと宿主細胞膜の膜融合を媒介する。S2中のヘプタペプチドの繰り返し配列HR1及びHR2は6ヘリックスバンドル構造を形成することで膜融合機能を発揮し、外因性のHR1又はHR2ポリペプチドを加えることで、ウイルス自体のHR1及びHR2による6ヘリックスバンドル構造の形成を阻害し、さらに膜融合プロセスを阻害することができるということが研究で明らかになった。本願のポリペプチドは、SARS-CoV-2のSタンパク質のHR2領域に基づいて設計されており、それはSタンパク質の媒介する膜融合プロセスを効果的に阻害し、さらに新型コロナウイルスの感染を阻害することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記の目的を達成するために、次の技術的解決手段を提供する。
第1態様で、本願は、抗新型コロナウイルスのためのポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは、P3ポリペプチド並びにそれによって誘導されたP3-1ポリペプチド、P3-2ポリペプチド、P3-3ポリペプチド、P3-4ポリペプチド及びP3-5ポリペプチドのうちの少なくとも1種であり、ただし、
P3ポリペプチドのアミノ酸配列は、ISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELであり(配列番号1で示される)、
P3-1ポリペプチドのアミノ酸配列は、ISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLKELであり(配列番号2で示される)、
P3-2ポリペプチドのアミノ酸配列は、VDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELであり(配列番号3で示される)、
P3-3ポリペプチドのアミノ酸配列は、VKFGDISGINASVVNIKEEIDRLYEVVKNLNESLIDLQELであり(配列番号4で示される)、
P3-4ポリペプチドのアミノ酸配列は、ISGINASVVNIKEEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELであり(配列番号5で示される)、
P3-5ポリペプチドのアミノ酸配列は、ISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKELNESLIDLQELである(配列番号6で示される)。
【0008】
好ましい具体的な実施形態で、前記ポリペプチドが、P3-1ポリペプチド、P3-2ポリペプチド、P3-3ポリペプチド及びP3-4ポリペプチドから選ばれる少なくとも1種であり、
好ましくは、前記ポリペプチドが、P3-3ポリペプチドである。
【0009】
別の好ましい具体的な実施形態で、前記ポリペプチドには、キャリアタンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンが連結されており、前記キャリアタンパク質を加える目的は、ポリペプチドの体内での半減期を延長させることなどを含む。
【0010】
第2態様で、本願は、第1態様に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0011】
好ましくは、前記ポリヌクレオチドが、DNA又はmRNAであり、
具体的な実施形態で、前記ポリヌクレオチドが、配列番号7~12で示されるヌクレオチド配列から選ばれるものを含み、
具体的には、P3ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号7で示され、P3-1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号8で示され、P3-2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号9で示され、P3-3ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号10で示され、P3-4ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号11で示され、P3-5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号12で示される。
配列番号7:
ATTAGCGGCATTAACGCCTCTGTGGTGAACATTCAGAAGGAGATTGACAGACTGAACGAGGTGGCCAAGAACCTGAACGAGTCTCTCATTGACCTGCAGGAGCTG;
配列番号8:
ATTAGCGGCATTAACGCCTCTGTGGTGAACATTCAGAAGGAGATTGACAGACTGAACGAGGTGGCCAAGAACCTGAACGAGTCTCTCATTGACCTGAAGGAGCTG;
配列番号9:
GTGGACCTGGGCGACATTAGCGGCATTAACGCCTCTGTGGTGAACATTCAGAAGGAGATTGACAGACTGAACGAGGTGGCCAAGAACCTGAACGAGTCTCTCATTGACCTGCAGGAGCTG;
配列番号10:
GTGAAGTTCGGCGACATTAGCGGCATTAACGCCTCTGTGGTGAACATTAAGGAGGAGATTGACAGACTGTACGAGGTGGTGAAGAACCTGAACGAGTCTCTCATTGACCTGCAGGAGCTG;
配列番号11:
ATTAGCGGCATTAACGCCTCTGTGGTGAACATTAAGGAGGAGATTGACAGACTGAACGAGGTGGCCAAGAACCTGAACGAGTCTCTCATTGACCTGCAGGAGCTG;
配列番号12:
ATTAGCGGCATTAACGCCTCTGTGGTGAACATTCAGAAGGAGATTGACAGACTGAACGAGGTGGCCAAGGAGCTGAACGAGTCTCTCATTGACCTGCAGGAGCTG。
【0012】
第3態様で、本願は、上記の第2態様に記載のポリヌクレオチドを含む核酸構築物を提供する。
【0013】
好ましくは、前記核酸構築物が、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結された少なくとも1つの発現制御エレメントをさらに含む。
【0014】
第4態様で、本願は、上記の第3態様に記載の核酸構築物を含む発現ベクターを提供する。
【0015】
第5態様で、本願は、上記の第2態様に記載のポリヌクレオチド、上記の第3態様に記載の核酸構築物又は上記の第4態様に記載の発現ベクターを含む形質転換された細胞を提供する。
【0016】
第6態様で、本願は、上記の第1態様に記載のポリペプチド、上記の第2態様に記載のポリヌクレオチド、上記の第3態様に記載の核酸構築物、上記の第4態様に記載の発現ベクター又は上記の第5態様に記載の形質転換された細胞と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0017】
好ましくは、前記医薬組成物が、点鼻スプレー製剤又は経口製剤又は非経口製剤の形態であり、
より好ましくは、前記経口製剤が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤及び丸剤から選ばれ、
より好ましくは、前記非経口製剤が、注射可能な又はボーラス投与可能な製剤であり、
好ましくは、前記医薬組成物が、ワクチン組成物である。
【0018】
第7態様で、本願は、新型コロナウイルス感染を予防及び/又は治療する薬物又はワクチンの製造における上記の第1態様に記載のポリペプチド、上記の第2態様に記載のポリヌクレオチド、上記の第3態様に記載の核酸構築物、上記の第4態様に記載の発現ベクター若しくは上記の第5態様に記載の形質転換された細胞又は上記の第6態様に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0019】
好ましくは、前記新型コロナウイルスが、SARS-CoV-2親株及び/又はSARS-CoV-2変異株及び/又はサルベコウイルス(sarbecovirus)であり、
より好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株が、D614G株、アルファ(B.1.1.7)株、ベータ(B.1.351)株、ガンマ(P.1)株、カッパ(B.1.617.1)株及び/又はデルタ(B.1.617.2)株であり、前記サルベコウイルス(sarbecovirus)は、ベータコロナウイルス属サルベコウイルス(sarbecovirus)亜属ウイルスである。
【0020】
第8態様で、本願は、必要とする被験者に予防又は治療有効量の上記の第1態様に記載のポリペプチド、上記の第2態様に記載のポリヌクレオチド、上記の第3態様に記載の核酸構築物、上記の第4態様に記載の発現ベクター若しくは上記の第5態様に記載の形質転換された細胞又は上記の第6態様に記載の医薬組成物を投与することを含む、新型コロナウイルスを予防又は治療する方法を提供する。
【0021】
好ましくは、前記新型コロナウイルスが、SARS-CoV-2親株及び/又はSARS-CoV-2変異株及び/又はサルベコウイルス(sarbecovirus)であり、
より好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株が、D614G株、アルファ(B.1.1.7)株、ベータ(B.1.351)株、ガンマ(P.1)株、カッパ(B.1.617.1)株及び/又はデルタ(B.1.617.2)株であり、前記サルベコウイルス(sarbecovirus)は、ベータコロナウイルス属サルベコウイルス(sarbecovirus)亜属ウイルスである。
【発明の効果】
【0022】
本願の発明者は、SARS-CoV-2ウイルスのSタンパク質のHR2領域に基づいて、ポリペプチドP3を設計し、それに対して一連の改変を行って(1つ又は複数のアミノ酸の付加又は置換を含む)誘導ペプチドP3-1、P3-2、P3-3、P3-4及びP3-5を形成させており、ポリペプチドP3及び各誘導ペプチドはSARS-CoV-2親株及び複数種の変異株に対して強い阻害効果があるため、新型コロナウイルスを予防又は治療する薬物又はワクチンを製造するために利用することができ、当該ポリペプチドには将来に出現する新しい変異株及びサルベコウイルス(sarbecovirus)に対しても予防又は治療する潜在能力があることが見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
1つ又は複数の実施例をそれに対応する図面における画像で例示的に説明し、それらの例示的な説明は、実施例に対する限定を構成しない。ここで使用される言葉「例示的な」は「例、実施例又は説明として用いる」ことを意味する。ここで「例示的に」説明される実施例のいずれも、必ずしも他の実施例より優れている又はより良いと解釈する必要がない。
図1】SARS-CoV-2及びその関連コロナウイルスのSタンパク質のHR1及びHR2領域の配列比較図である。
図2】SARS-CoV-2親株及びその変異株のシュードウイルスに対する本願の異なるポリペプチドの阻害効果である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点が一層明瞭になるよう、以下に本願の実施例に係る技術的解決手段を明瞭かつ完全に記述し、言うまでもないことであるが、記述される実施例は全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例である。当業者が本願における実施例に基づいて、進歩性のある作業をすることなく得ているその他の実施例の全てが、本願が保護する範囲に属する。他に明確な断りがない限り、明細書及び特許請求の範囲の全体において、用語「含む」又はその変形、例えば、「含んでいる」又は「含有する」などは、記述されるエレメント又は構成部分を含むが、他のエレメント又は他の構成部分は除外されないように理解される。
【0025】
また、本願の一層の説明のために、後述の具体的な実施形態で具体的な細部の説明を多く提供している。特定の具体的な細部がなくても、本願は実施できるということが当業者は理解しているだろう。いくつかの実施例では、本願の要旨を引き立てるために、当業者の熟知している原料、エレメント、方法、手段などについて詳細に記述していない。
【0026】
以下、本願を詳しく記述する。
【0027】
本願では、SARS-CoV-2のSタンパク質のHR2領域に基づいて、ポリペプチドP3を設計し、P3ポリペプチドに対して一連の改変を行っており(1つ又は複数のアミノ酸の付加又は置換を含む)、改変後のポリペプチドを、それぞれ、P3-1、P3-2、P3-3、P3-4及びP3-5と命名した。当分野で一般的に利用する方法で直接的に合成した。
【0028】
実験の装置及び材料:
HEK293T細胞(ATCC細胞バンクより購入)、
シュードウイルスによってパッケージングされたスケルトンウイルスG*VSV-delG(武漢枢密脳科学技術有限公司より購入)、
真核系タンパク質pCAGGS発現ベクター(蘇州金唯智公司から提供)、
Hela hACE2細胞(出願人によって構築されたhACE2安定トランスフェクション細胞株、実施例1参照)、
深セン翰宇薬業有限公司によって合成された、コード配列が配列番号1であるポリペプチドP3、
深セン翰宇薬業有限公司によって合成された、コード配列が配列番号2であるポリペプチドP3-1、
深セン翰宇薬業有限公司によって合成された、コード配列が配列番号3であるポリペプチドP3-2、
深セン翰宇薬業有限公司によって合成された、コード配列が配列番号4であるポリペプチドP3-3、
深セン翰宇薬業有限公司によって合成された、コード配列が配列番号5であるポリペプチドP3-4、
深セン翰宇薬業有限公司によって合成された、コード配列が配列番号6であるポリペプチドP3-5。
上記の6種のポリペプチドの配列は表1で示され、そのうち太字部分は、ポリペプチドP3に対して付加又は置換されたアミノ酸である。
【表1】
【0029】
本願のSARS-CoV-2親株及びその変異株のシュードウイルスは、発明者の実験室によってパッケージングされたものである(実施例2参照)。
【0030】
実施例1
Hela hACE2細胞株の構築
まず、hACE2遺伝子とflagタグを融合して発現させ、配列を人工合成した後(蘇州金唯智により合成サービスを提供した)、pLVXレンチウイルス発現ベクターに連結して、hACE2発現ベクターpLVX-hACE2を得た。
【0031】
細胞株の構築は、次のとおりであった。
a.細胞の用意である。翌日に80~90%のコンフルエントに達するよう、1日前に6ウェル細胞培養プレートにHEK293T細胞をプレーティングした。
【0032】
b.トランスフェクションである。各目的プラスミド(pLVX-hACE2及びレンチウイルスによってパッケージングされたプラスミドpsPAX2及びpMD2.G)を2:2:1の比率で混合し、プラスミドとPEIの比率が1:3で均一に混合した後にトランスフェクションし、4~6時間後に、細胞培養液を2%のFBSを含むDMEM培地と交換して、引き続き48時間培養した。
【0033】
c.ウイルス収集及び感染である。細胞培養上清にはパッケージング済みのレンチウイルスが含有されており、それを0.45μm滅菌フィルターで濾過して、細胞破片を除去し、1日前に用意したHela細胞に加えた。
【0034】
d.クローンのスクリーニングである。2μg/mLのピューロマイシンを含有する培地を使用してHela細胞を培養して、陽性クローンをスクリーニングした。
【0035】
e.モノクローナル細胞株の確立である。フローサイトメトリー法によりモノクローナル細胞を選別して96ウェル細胞培養プレートに入れ、顕微鏡下で単一の細胞塊が見られるまで引き続き培養し、拡大培養した後、目的遺伝子の配列決定などの方法で確認した。
【0036】
実施例2
SARS-CoV-2親株及び変異株のシュードウイルスのパッケージング
短縮Sタンパク質の発現プラスミドの作製
1)SARS-CoV-2親株(WT)及び変異株(D614G、アルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351)、ガンマ(P.1)、カッパ(B.1.617.1)及びデルタ(B.1.617.2))のSタンパク質の最後から数えた18位置のアミノ酸をコードするヌクレオチドを除去して、それぞれ、ヌクレオチド配列のSARS-CoV-2-WT-S-del18、D614G-S-del18、B.1.1.7-S-del18、B.1.351-S-del18、P.1-S-del18、B.1.617.1-S-del18、B.1.617.2-S-del18を得て(それらの配列はそれぞれ配列番号13~19で示される)、蘇州金唯智公司により合成した。
【0037】
2)それぞれ、1)で得た各ヌクレオチド配列をpCAGGS発現ベクターにクローニングして、発現プラスミドのpCAGGS-SARS-CoV-2-WT-S-del18、pCAGGS-D614G-S-del18、pCAGGS-B.1.1.7-S-del18、pCAGGS-B.1.351-S-del18、pCAGGS-P.1-S-del18、pCAGGS-B.1.617.1-S-del18、pCAGGS-B.1.617.2-S-del18を得た。
【0038】
SARS-CoV-2親株及び変異株のシュードウイルスのパッケージング
a.細胞の用意である。翌日に80%程度のコンフルエントになるよう、10cmの細胞培養用ディッシュにHEK293T細胞をプレーティングした。
【0039】
b.トランスフェクションである。上記のステップ2)で得た各Sタンパク質の発現プラスミドに対して、PEIを用いて30μgのプラスミド/10cmの細胞培養用ディッシュでトランスフェクションし、目的プラスミドとPEIを1:3の比率で均一に混合した後にトランスフェクションし、4~6時間で培養液を交換し(10%のFBSを含むDMEM培地)、37℃で24時間培養した。
【0040】
c.ウイルス添加である。シュードウイルスによってパッケージングされたスケルトンウイルスG*VSV-delG(武漢枢密脳科学技術有限公司より購入)を上記のトランスフェクションした後のHEK293T細胞に加えて、37℃で2時間インキュベートし、培養液を交換して(10%のFBSを含むDMEM培地)、VSV-G抗体を加え(当該抗体を発現するハイブリドーマ細胞はATCC細胞バンクより購入した)、インキュベータで引き続き30時間培養した。
【0041】
d.ウイルス収集である。上清を収集して3000rpmで10分間遠心分離し、クリーンベンチにおいて0.45μm滅菌フィルターで濾過して、細胞破片を除去し、分注して、-80℃の冷蔵庫で冷凍保存した。
【0042】
上記のステップで、それぞれ、SARS-CoV-2親株(SARS-CoV-2 WT)及び変異株(D614G、アルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351)、ガンマ(P.1)、カッパ(B.1.617.1)及びデルタ(B.1.617.2))のシュードウイルスを得た。
【0043】
実施例3
SARS-CoV-2親株及びその変異株のシュードウイルスに対するポリペプチドの阻害効果の評価
当実施例の目的は、親株(SARS-CoV-2 WT)及び変異株(D614G、アルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351)、ガンマ(P.1)、カッパ(B.1.617.1)及びデルタ(B.1.617.2))のシュードウイルスに対するポリペプチドP3及びその5つの誘導ポリペプチド(P3-1、P3-2、P3-3、P3-4及びP3-5)の阻害効果を測定することであった。
【0044】
実験の群分けは、Hela hACE2細胞(ブランクコントロール群、ウイルスに感染していない細胞)、Hela hACE2細胞+親株又は変異株のシュードウイルス+DMEM培地(陰性コントロール群、ウイルスに感染しているがポリペプチドで処理していない細胞)、Hela hACE2細胞+親株又は変異株のシュードウイルス+ポリペプチドP3(P3処理群)、Hela hACE2細胞+親株又は変異株のシュードウイルス+P3-1(P3-1処理群)、Hela hACE2細胞+親株又は変異株のシュードウイルス+P3-2(P3-2処理群)、Hela hACE2細胞+親株又は変異株のシュードウイルス+P3-3(P3-3処理群)、Hela hACE2細胞+親株又は変異株のシュードウイルス+P3-4(P3-4処理群)、Hela hACE2細胞+親株又は変異株のシュードウイルス+P3-5(P3-5処理群)であった。
【0045】
ポリペプチド原液の調製である。それぞれ、ポリペプチドのP3、P3-1、P3-2、P3-3、P3-4及びP3-5をDMSOで10mMの母液として調製し、さらに10%のFBSを含むDMEM培地で母液を20μMに希釈し、これをさらに勾配希釈する原液とした。
【0046】
ポリペプチド勾配希釈液の調製である。10%のFBSを含むDMEM培地で上記の20μMの各ポリペプチド原液を2倍で倍加希釈し、合計で9つの勾配に希釈し(それぞれが10μM、5μM、2.5μM、1.25μM、0.625μM、0.3125μM、0.156μM、0.078μM、0.039μMであった)、各勾配は3ウェル並行であり、各ウェルは50μLであった。
【0047】
シュードウイルスの使用量の決定である。SARS-CoV-2親株又は変異株のシュードウイルス原液及び一連の希釈液をHela hACE2細胞において定量し、1000個のFFUが出現したときの希釈度をポリペプチドの阻害効果を評価するときのウイルスの使用量とした(希釈倍数は6~20倍であった)。
【0048】
ウイルス阻害効果の測定方法は次のとおりであった。
a.96ウェル細胞培養プレートにHela hACE2細胞をプレーティングし、翌日に80~90%のコンフルエントに達するよう培養した。
【0049】
b.上記の実験の群分けに基づいて、上記の各ポリペプチド勾配希釈液に、等体積(50μL)の定量されたシュードウイルス希釈液を加え、均一に混合した後、37℃で1時間インキュベートした。
【0050】
c.ステップaにおける96ウェル細胞培養プレートから注意深く上清を捨て、ステップbにおけるポリペプチド-シュードウイルス液体混合物を加え(100μL/ウェル)、インキュベータで引き続き15~24時間培養した。
【0051】
d.ハイコンテント顕微鏡を利用して感染された細胞の数を統計し、各ポリペプチドの異なる濃度における阻害率を計算し、また、GraphPadを利用して各ポリペプチドのIC50を算出し(図2参照)、結果は表2で示された。また、ポリペプチドP3に対する誘導ポリペプチドP3-1~5のSARS-CoV-2親株のシュードウイルス阻害効果の向上倍数を算出し、結果は表3で示された。
【表2】
【表3】
【0052】
表2、表3から分かるように、P3ポリペプチドは、SARS-CoV-2親株及び複数種の変異株に対していずれも非常に良い阻害効果があり(0.45μM≦IC50≦1.39μM)、P3ポリペプチドと比べて、誘導ポリペプチドのP3-1、P3-2、P3-3及びP3-4のSARS-CoV-2親株及び複数種の変異株に対する阻害効果はいずれも異なる程度の向上を持っているが、特にポリペプチドP3-3は向上が最も明らかであった。P3-5の阻害効果はやや低下しているが、カッパ変異株に対するその阻害効果はP3をやや上回っていた。
【0053】
表2、表3から、本願のポリペプチドは、新型コロナウイルスによって引き起こされる疾患を予防又は治療するために利用することができることが分かったため、サルベコウイルス(sarbecovirus)によって引き起こされる疾患にも幅広く利用できると推定している。
【0054】
SARS-CoV-2が宿主細胞に侵入するプロセスで、本願のポリペプチドはSタンパク質の媒介する膜融合プロセスを阻害することによりウイルスの侵入を阻害し、新型コロナウイルス親株及び変異株、例えば、D614G、B.1.1.7(アルファ)、B.1.351(ベータ)、P.1(ガンマ)、カッパ(B.1.617.1)又はデルタ(B.1.617.2)に対する治療又は予防に適し、サルベコウイルス(sarbecovirus)及び将来に出現する新しい新型コロナウイルス変異株にも阻害効果があり、潜在的な幅広い使用価値があると推定している。
【0055】
最後には、上記の実施例は、本願の技術的解決手段を制限するためではなく、それを説明するものに過ぎないということを明言すべきである。前記実施例で本願を詳細に説明しているが、それでも前記各実施例に記載の技術的解決手段に変更をしたり、又はその一部の技術的特徴に対して同等の置換を行ったりしてもよいということが当業者は理解しているだろう。それらの変更又は置換で、対応する技術的解決手段の主旨が本願の各実施例の技術的解決手段の趣旨及び範囲から逸脱することはない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願は、新型コロナウイルスを予防又は治療するポリペプチド及びその使用を提供し、前記ポリペプチドは、P3ポリペプチド並びにP3ポリペプチドによって誘導されたP3-1ポリペプチド、P3-2ポリペプチド、P3-3ポリペプチド、P3-4ポリペプチド及びP3-5ポリペプチドのうちの少なくとも1種である。本願によって提供されるポリペプチドは、新型コロナウイルス親株及び複数種の変異株に対していずれも強い阻害効果があるため、新型コロナウイルスによって引き起こされる疾患を予防及び/又は治療する薬物又はワクチンを製造するために利用することができ、それは将来に出現する新しい変異株及びサルベコウイルス(sarbecovirus)に対しても予防及び/又は治療する潜在能力があることが見込まれ、これにより臨床で使用する将来性と価値が非常に大きい。
図1
図2-1】
図2-2】
【配列表】
2024529078000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗新型コロナウイルスのポリペプチドであって、
3-2ポリペプチド、P3-1ポリペプチド、P3-3ポリペプチド、P3-4ポリペプチドP3-5ポリペプチド及びP3ポリペプチドのうちの少なくとも1種であり、前記P3-2ポリペプチド、P3-1ポリペプチド、P3-3ポリペプチド、P3-4ポリペプチド、P3-5ポリペプチドは、いずれも、P3ポリペプチドによって誘導されたものであり、ただし、
P3-2ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3で示され、
P3-1ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2で示され、
P3-3ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号4で示され、
P3-4ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号5で示され、
P3-5ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号6で示され、
P3ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1で示される、
ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、P3-2ポリペプチド、P3-1ポリペプチド、P3-3ポリペプチド及びP3-4ポリペプチドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドにはキャリアタンパク質が連結されており、好ましくは、前記キャリアタンパク質は、ヒト血清アルブミンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドが、DNA又はmRNAであり、
好ましくは、前記ポリヌクレオチドが、配列番号7~12で示されるヌクレオチド配列から選ばれるものを含む請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のポリヌクレオチドを含む核酸構築物。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結された少なくとも1つの発現制御エレメントをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の核酸構築物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の核酸構築物を含む発現ベクター。
【請求項9】
請求項4若しくは5に記載のポリヌクレオチド、請求項6若しくは7に記載の核酸構築物又は請求項8に記載の発現ベクターを含む形質転換された細胞。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項4又は5に記載のポリヌクレオチド、請求項6又は7に記載の核酸構築物、請求項8に記載の発現ベクター又は請求項9に記載の形質転換された細胞と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、点鼻スプレー製剤又は経口製剤又は非経口製剤の形態であり、
好ましくは、前記経口製剤が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤及び丸剤から選ばれ、好ましくは、前記非経口製剤が、注射可能な又はボーラス投与可能な製剤であり、
好ましくは、前記医薬組成物が、ワクチン組成物であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
新型コロナウイルスを予防及び/又は治療する薬物又はワクチンの製造における請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項4若しくは5に記載のポリヌクレオチド、請求項6若しくは7に記載の核酸構築物、請求項8に記載の発現ベクター、請求項9に記載の形質転換された細胞又は請求項10若しくは11に記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
前記新型コロナウイルスが、SARS-CoV-2親株及び/又はSARS-CoV-2変異株及び/又はサルベコウイルスであり、
好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株が、D614G株、アルファ(B.1.1.7)株、ベータ(B.1.351)株、ガンマ(P.1)株、カッパ(B.1.617.1)株及び/又はデルタ(B.1.617.2)株であり、前記サルベコウイルスは、ベータコロナウイルス属サルベコウイルス亜属ウイルスであることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
必要とする被験者に予防又は治療有効量の請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項4若しくは5に記載のポリヌクレオチド、請求項6若しくは7に記載の核酸構築物、請求項8に記載の発現ベクター、請求項9に記載の形質転換された細胞又は請求項10若しくは11に記載の医薬組成物を投与することを含む、新型コロナウイルスを予防又は治療する方法。
【請求項15】
前記新型コロナウイルスが、SARS-CoV-2親株及び/又はSARS-CoV-2変異株及び/又はサルベコウイルスであり、
好ましくは、前記SARS-CoV-2変異株が、D614G株、アルファ(B.1.1.7)株、ベータ(B.1.351)株、ガンマ(P.1)株、カッパ(B.1.617.1)株及び/又はデルタ(B.1.617.2)株であり、前記サルベコウイルスは、ベータコロナウイルス属サルベコウイルス亜属ウイルスである請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】