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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】導入針およびアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508044
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022039742
(87)【国際公開番号】W WO2023018669
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/231,092
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB33
4C267CC07
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】
導入針(104)および導入器アセンブリが開示される。導入器アセンブリ(100)は、流体連通されるシリンジ(102)と針(104)とを含む。針(104)は、針シャフトと針ハブとを含み、針ハブは、ポートと、ポート内に配置される弁とを含む。ポートは、針シャフトの近位端の近位にある針ハブの側面にある。弁は、アクセスガイドワイヤ(106)のような長尺状の医療器具がポートを通って針ハブの針ハブ内腔に入ると、そのような長尺状の医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される。このようなアクセスガイドワイヤ(106)は、針の針先端のすぐ近位で導入器アセンブリ内に予め配置することができる。このようにして、アクセスガイドワイヤ(106)は、針(104)でそこに針経路を確立すると、直ちに血管管腔に進めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入器アセンブリであって、
シリンジと、
前記シリンジに流体連通された針と、を備えており、針は、
針シャフトと、
前記針シャフトの近位部分上の針ハブと、を有しており、針ハブは、
前記針シャフトの近位端の近位にある前記針ハブの側面にあるポートと、
前記ポート内に配置される弁であって、長尺状の医療器具が前記ポートを通って前記針ハブの針ハブ内腔に入るときに、長尺状の医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される弁と、を有している、導入器アセンブリ。
【請求項2】
導入器アセンブリの展開準備完了状態において、導入器アセンブリ内に摺動可能に配置されるアクセスガイドワイヤをさらに備えており、アクセスガイドワイヤが、アクセスガイドワイヤの遠位部分のガイドワイヤ先端が、前記針シャフトの遠位部分の針先端のすぐ近位に配置されるように、前記ポートを通り、前記針ハブ内腔を通り、前記針シャフトの近位端を通って、前記針シャフトの針シャフト内腔に入る、請求項1に記載の導入器アセンブリ。
【請求項3】
前記ガイドワイヤ先端が、「J」字形のガイドワイヤ先端であり、このガイドワイヤ先端が、導入器アセンブリの展開準備完了状態では直線状となり、ガイドワイヤ先端が導入器アセンブリの展開状態では前記針先端を越えて前進するときに湾曲状となる、請求項2に記載の導入器アセンブリ。
【請求項4】
前記アクセスガイドワイヤが、裸線部分と、裸線部分の近位の巻線部分とを含んでおり、裸線部分が、液密シールを形成するために、導入器アセンブリの少なくとも展開準備完了状態において、前記弁を通って遠位に延在する、請求項2または3に記載の導入器アセンブリ。
【請求項5】
前記アクセスガイドワイヤが、導入器アセンブリの展開準備完了状態において、前記ポートから近位に延在する近位部分を含んでおり、前記アクセスガイドワイヤの近位部分が、該アクセスガイドワイヤの無菌状態を維持するように構成される無菌バリア内に配置される、請求項2~4のいずれか一項に記載の導入器アセンブリ。
【請求項6】
前記弁が、前記ポート内で圧縮された分割隔壁を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の導入器アセンブリ。
【請求項7】
前記針ハブが、前記ポートの近位に針ハブ穴を有する針ハブコネクタをさらに含んでおり、前記シリンジのシリンジ先端が、前記針ハブ穴内に配置されており、それによって、前記針を前記シリンジに流体連通させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の導入器アセンブリ。
【請求項8】
導入針であって、
針シャフトと、
前記針シャフトの近位部分上の針ハブと、を備えており、針ハブは、
前記針シャフトの近位端の近位にある針ハブの側面にあるポートと、
前記ポート内に配置される弁であって、長尺状の医療器具が前記ポートを通って針ハブの針ハブ内腔に入るときに、長尺状の医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される弁と、を有している、導入針。
【請求項9】
前記弁が、前記ポート内で圧縮された分割隔壁を含む、請求項8に記載の導入針。
【請求項10】
前記針ハブが、導入針を前記シリンジに流体連通させるために、その中に挿入されるシリンジ先端を受け入れるように構成される前記ポートの近位の針ハブ穴を有する針ハブコネクタをさらに含む、請求項8または9に記載の導入針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に係り、詳しくは、導入針およびアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドワイヤは通常、中心静脈カテーテル(「CVC」)などをガイドワイヤ上で血管内に挿入する前に、導入器アセンブリを用いて血管内に留置される。導入器アセンブリは通常、シリンジに接続された針を含む。針を用いて血管にアクセスする際には、針をシリンジから外して、ガイドワイヤを針ハブを通して針に挿入し、その後血管に挿入できるようにしなければならない。シリンジから針を外すだけでなく、ガイドワイヤを針に挿入する際にも、針を過度に扱うために血管の後壁を穿刺したり、血管へのアクセスを失ったり、あるいはその両方を引き起こしたりする危険性がある。必要なのは、ガイドワイヤを血管に挿入するために針をシリンジから外す必要のない導入器アセンブリである。
【0003】
本明細書で開示するのは、前述に対処する導入器構成要素、アセンブリ、および方法である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示するのは、いくつかの実施形態において、シリンジと、シリンジに流体連通される(fluidly connected to)針とを含む、導入器アセンブリである。針は、針シャフトと、針シャフトの近位部分上の針ハブとを含む。針ハブは、ポートと、ポート内に配置される弁とを含む。ポートは、針シャフトの近位端の近位にある針ハブの側面にある。弁は、長尺状の医療器具がポートを通過して針ハブの針ハブ内腔に入ると、その医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、導入器アセンブリはさらに、導入器アセンブリの展開準備完了状態において、導入器アセンブリ内に摺動可能に配置されるアクセスガイドワイヤを含む。アクセスガイドワイヤは、アクセスガイドワイヤの遠位部分のガイドワイヤ先端が、針シャフトの遠位部分の針先端のすぐ近位に配置されるように、ポートを通り、針ハブ内腔を通り、針シャフトの近位端を通って、針シャフトの針シャフト内腔に入る。
【0006】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ先端は、「J」字形のガイドワイヤ先端である。ガイドワイヤ先端は、導入器アセンブリの展開準備完了状態では直線状となり、導入器アセンブリの展開状態においてガイドワイヤ先端が針先端を越えて前進すると湾曲状となる。
【0007】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤは、裸線部分と、裸線部分の近位にある巻線部分とを含む。裸線部分は、液密シールを形成するために、導入器アセンブリの少なくとも展開準備完了状態において、弁を通って遠位に延在する。
【0008】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤは、導入器アセンブリの展開準備完了状態においてポートから近位に延在する近位部分を含む。アクセスガイドワイヤの近位部分は、アクセスガイドワイヤの無菌性を維持するように構成される無菌バリア内に配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、弁は、ポート内に圧縮された分割隔壁を含む。
いくつかの実施形態では、針ハブは、針ハブコネクタをさらに含む。針ハブコネクタは、ポートの近位にある針ハブ穴を含む。シリンジのシリンジ先端は、針ハブ穴に配置されており、それによって、針をシリンジに流体連通させる。
【0010】
また、本明細書に開示するのは、いくつかの実施形態では、針シャフトと、針シャフトの近位部分上の針ハブとを含む、導入針である。針ハブは、ポートと、ポート内に配置される弁とを含む。ポートは、針シャフトの近位端の近位にある針ハブの側面にある。弁は、長尺状の医療器具がポートを通過して針ハブの針ハブ内腔に入ると、その医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、弁は、ポート内に圧縮された分割隔壁を含む。
いくつかの実施形態では、針ハブは、針ハブコネクタをさらに含む。針ハブコネクタは、ポートの近位にある針ハブ穴を含む。針ハブ穴は、針をシリンジに流体連通させるために、その中に挿入されたシリンジ先端を受け入れるように構成される。
【0012】
また本明細書では、血管アクセスを確保する方法も開示する。本方法は、いくつかの実施形態では、導入器アセンブリ取得ステップと、針経路確立ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップとを含む。導入器アセンブリ取得ステップは、導入器アセンブリを取得することを含む。導入器アセンブリは、シリンジと、シリンジに流体連通される(fluidly coupled to)針と、導入器アセンブリ内に摺動可能に配置されるアクセスガイドワイヤとを含む。針は、側面にポートを有する針ハブを含む。ポートは、針ハブ内に配置される針シャフトの近位端の近位にある。アクセスガイドワイヤは、ポート内に配置される弁を通り、針ハブの針ハブ内腔を通り、針シャフトの近位端を通り、針シャフトの針シャフト内腔に入る。針経路確立ステップは、患者の皮膚の領域から血管管腔までの針経路を針で確立することを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、血管アクセスを確保するために、アクセスガイドワイヤを血管管腔内に前進させることを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、導入器アセンブリ調節ステップをさらに含む。導入器アセンブリ調節ステップは、導入器アセンブリが展開準備完了状態になるように、導入器アセンブリを調節することを含む。導入器アセンブリの展開準備完了状態では、アクセスガイドワイヤの遠位部分のガイドワイヤ先端は、針経路確立ステップにおける針経路の確立直後にアクセスガイドワイヤ前進ステップを行うために、針シャフトの遠位部分の針先端のすぐ近位に配置される。
【0014】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ前進ステップによって、アクセスガイドワイヤのガイドワイヤ先端は、アクセスガイドワイヤ通路内の直線状から血管管腔内の湾曲状に移行することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、プランジャ引き抜きステップをさらに含む。プランジャ引き抜きステップは、シリンジのバレルからプランジャを引き抜いて、血管管腔に到達する前にわずかな真空を生成することを含む。わずかな真空によって、血液が少なくともシリンジ先端内に逆流し、針経路確立ステップで針経路の確立を確認する。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、血液吸引ステップをさらに含む。血液吸引ステップは、針経路確立ステップにおける針経路の確立を確認するために、シリンジで血液を吸引することを含む。ポート内に配置される弁は、血液吸引ステップ中に真空を維持するために、アクセスガイドワイヤの裸線部分の周囲に液密シールを形成するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、針引き抜きステップをさらに含む。針引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤを血管管腔内に残したまま患者から針を引き抜くことを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、針引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤの近位部分上で針を引き抜く間、針経路を含む皮膚の領域またはその近傍でガイドワイヤを定位置に保持することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、シリンジおよび針分離ステップをさらに含む。シリンジおよび針分離ステップは、針引き抜きステップの前に、シリンジから針を分離するステップを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、空気抜きステップ(air-bleeding step)をさらに含む。空気抜きステップは、アクセスガイドワイヤを押して弁に対してポートの側へ近づけることによって、針引き抜きステップ中にポートに向かって空気を排出させることを含む。ポートに向かって空気を排出させる空気抜きステップによって、シリンジから針を分離する分離ステップが不要になる。
【0021】
いくつかの実施形態では、弁は、ポート内に圧縮された分割隔壁を含む。
本明細書で提供される概念のこれらおよび他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に開示する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】いくつかの実施形態による導入器アセンブリの斜視図を示す。
図2】いくつかの実施形態による導入器アセンブリの側面図を示す。
図3】いくつかの実施形態による導入器アセンブリの上面図を示す。
図4】いくつかの実施形態による導入器アセンブリの分解図を示す。
図5】いくつかの実施形態による導入針の上面図を示す。
図6】いくつかの実施形態による導入針の側面図を示す。
図7】いくつかの実施形態による導入針の長手方向断面を示す。
図8】いくつかの実施形態による、中に配置されるアクセスガイドワイヤを含む導入針の長手方向断面を示す。
図9】いくつかの実施形態による導入器アセンブリを使用する方法の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の複数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0024】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、これらの用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、特徴またはステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、シリアルまたは数値の制限を提供しない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。加えて、前述の特徴またはステップのいずれかは、別様に示されない限り、1つ以上の特徴またはステップをさらに含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などの表示は便宜上のものであり、例えば特定の固定された位置、方向、向きなどを意味するものではない。代わりに、そのような表示は、たとえば、相対的な位置、向き、または方向を反映するために使用される。「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の単数形には、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の対象が含まれる。
【0025】
例えば、カテーテルの「近位」、「近位部分」または「近位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0026】
例えば、カテーテルの「遠位」、「遠位部分」または「遠位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0027】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
上述したように、ガイドワイヤは通常、CVCなどをガイドワイヤ上で血管内に挿入する前に、導入器アセンブリを用いて血管内に配置される。導入器アセンブリは通常、シリンジに接続された針を含む。針を用いて血管にアクセスする際には、針をシリンジから外して、ガイドワイヤを針ハブを通して針に挿入し、その後血管に挿入できるようにしなければならない。シリンジから針を外すだけでなく、ガイドワイヤを針に挿入する際にも、針を過度に扱うために血管の後壁を穿刺したり、血管へのアクセスを失ったり、あるいはその両方を引き起こしたりする危険性がある。必要なのは、ガイドワイヤを血管に挿入するために針をシリンジから外す必要のない導入器アセンブリである。
【0028】
本明細書に開示するのは、一般的な導入器アセンブリのようにガイドワイヤを血管に挿入するために針をシリンジから外す必要のない、導入器構成要素、アセンブリ、および方法である。そのような導入器構成要素、アセンブリ、および方法は、針を過度に扱うために血管の後壁を穿刺したり、血管へのアクセスを失う危険性がないという点で有利である。一実施例では、流体連通されたシリンジおよび針を含む導入器アセンブリを開示する。針は、針シャフトと、針シャフトの近位部分上の針ハブとを含む。針ハブは、ポートと、ポート内に配置される弁とを含む。ポートは、針シャフトの近位端の近位にある針ハブの側面にある。弁は、アクセスガイドワイヤのような長尺状の医療器具がポートを通って針ハブの針ハブ内腔に入ると、そのような長尺状の医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される。医療器具がアクセスガイドワイヤである場合、ガイドワイヤは、針の針先端のすぐ近位で導入器アセンブリ内に配置される。このようにして、アクセスガイドワイヤは、針を用いて血管管腔に針経路を確立すると、即座に血管管腔に進めることができる。別の実施例では、前述の導入器アセンブリを用いて血管アクセスを確保する方法を開示する。繰り返しになるが、これらの特徴および他の特徴は、特定の実施形態をより詳細に説明する添付図面および以下の説明を考慮すれば、より明らかになるであろう。
導入器アセンブリ
図1~4は、いくつかの実施形態による導入器アセンブリ100の様々な図を示す。
【0029】
図示するように、導入器アセンブリ100は、シリンジ102と、導入器アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてシリンジ102に流体連通される針104とを含む。さらに、導入器アセンブリ100は、導入器アセンブリ100の展開準備完了状態において、導入器アセンブリ100内に摺動可能に配置されるアクセスガイドワイヤ106を含むことができる。実際、以下に詳述するように、アクセスガイドワイヤ106は、導入器アセンブリ100の展開準備完了状態においてガイドワイヤ先端154が針先端138のすぐ近位に位置するように、ポート144を通り、針ハブ内腔148を通り、針シャフト136の近位端を通って、針シャフト136の針シャフト内腔142に入る。このようにして、アクセスガイドワイヤ106は、針104を用いて血管管腔に針経路を確立すると、即座に血管管腔に進めることができる。
【0030】
シリンジ102は、シリンジハブ108と、バレル110と、導入器アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてバレル110内に配置されるプランジャ112とを含む。
【0031】
シリンジハブ108は、バレル110の遠位部分(例えば、遠位端)から延在するシリンジ先端114を含む。さらに、シリンジハブ108は、バレル110の遠位部分(例えば、遠位端)からシリンジ先端114の周りに延在するねじ付きカラー116を含むことができる。
【0032】
シリンジ先端114は、シリンジ102を針104に流体連通させるために、以下に述べる針ハブ140の針ハブ穴152に挿入するように構成される。実際に、シリンジ先端114は、針ハブ穴152に挿入するように構成されるルアーテーパ(例えば、6%テーパ)を有することができ、針ハブ穴152は、以下に述べるように相補的に構成される。
【0033】
ねじ付きカラー116は、以下に述べる針ハブ140の針ハブフランジと螺合するように構成される雌ねじ118を含む。この場合、シリンジハブ108のねじ付きカラー116は、針ハブ140の針ハブフランジとのいわゆるルアーロック式接続を有利に提供し、ルアースリップ式接続よりも不注意による切り離しに対する安全性を高める。
【0034】
バレル110は、バレル壁120、バレル壁120によって画定されるバレル室122、以下に述べるプランジャフランジ128、プランジャカラーなどと共にシリンジ102を作動させるように構成されるバレル110またはバレル壁120の近位部分(例えば、近位端)から外向きに延びるバレルフランジ124、バレルカラーなどを含む。
【0035】
バレル室122は、そこに挿入されたプランジャ112を受け入れるように構成される。実際、バレル室122は、バレル110の閉端であるバレル110の遠位端(シリンジ先端114を除く)から、プランジャ112が挿入可能なバレル110の開端であるバレル110の近位端まで延びている。
【0036】
プランジャ112は、一体型のプランジャシャフト126、プランジャシャフト126の遠位部分(例えば、遠位端)上に嵌合されたピストン127、バレルフランジ124、バレルカラーなどと共にシリンジ102を作動させるように構成されるプランジャ112の近位部分(例えば、近位端)から外向きに延びるプランジャフランジ128、プランジャカラーなどを含む。
【0037】
プランジャシャフト126は、プランジャシャフト126の中心軸で長手方向縁部に沿って交わる直交ストラット130を含む。
ピストン127は、一体型の弾性ピストンであってもよく、バレル壁120と共に1つまたは複数のシールをそれぞれ形成するように構成される1つまたは複数のリングを含む。1つまたは複数のリングは、バレル壁120とシールを形成するように構成される少なくとも前方リング132を含む。1つまたは複数のリングはまた、図4に示すように、後方リング134を含むことができる。前方リング132と同様に、後方リング134は、バレル壁120とシールを形成するように構成される。実際、後方リング134は、存在する場合、バレル壁120とバックアップシールを提供する。前方リング132および後方リング134は共に、シリンジ102が作動している間、ピストン127とバレル壁120との間のシール(例えば、前方リング132、後方リング134、または前方リング132および後方リング134の両方によって提供されるシール)を確実に無傷のまま維持し、それによって、プランジャ112がバレル110から引き抜かれるとき、シリンジ102が血液などの液体を継続して吸引することを可能にする。
【0038】
針104は、針シャフト136と、針シャフト136の遠位部分の針先端138と、針シャフト136の近位部分上の針ハブ140とを含む。
針シャフト136は、針先端138の開口部から針シャフト136の近位端まで延在する針シャフト内腔142を含む。
【0039】
針ハブ140は、ポート144と、ポート144内に配置される弁146と、ポート144から半径方向内側の針ハブ内腔148とを含む。ポート144は、アクセスガイドワイヤ106がポート144を通り、針ハブ内腔148の一部を通り、針シャフト136の近位端に入ることができるように、針シャフト136の近位端の近位にある針ハブ140の側面にある。弁146は、ポート144内に配置される隔壁または分割隔壁であってもよく、アクセスガイドワイヤ106がポート144を通って針ハブ140の針ハブ内腔148に入ると、アクセスガイドワイヤ106の周囲に液密シールを形成するように構成される。
【0040】
針ハブ140は針ハブコネクタ150をさらに含み、針ハブコネクタ150は、ポート144の近位にある針ハブ穴152と、針ハブコネクタ150の近位部分の周りの任意選択の針ハブフランジとを含む。
【0041】
針ハブ穴152は、針104をシリンジ102に流体連通させるために、その中にシリンジ先端114を受け入れるように構成される。実際に、針ハブ穴152は、その中にシリンジ先端114を受け入れるように構成されるルアーテーパ(例えば、6%テーパ)を有することができ、シリンジ先端114は、上述のように相補的に構成される。
【0042】
図示していないが、針ハブフランジは、シリンジハブ108のねじ付きカラー116の雌ねじ118と螺合するように構成される。この場合、針ハブフランジは、シリンジハブ108のねじ付きカラー116の雌ねじ118とのいわゆるルアーロック式接続を有利に行って、ルアースリップ式接続に比べて不注意による接続解除に対する安全性を高める。
【0043】
この場合、導入器アセンブリ100は、導入器アセンブリ100の展開準備完了状態において、導入器アセンブリ100内に摺動可能に配置されるアクセスガイドワイヤ106を含むことができる。実際、アクセスガイドワイヤ106は、導入器アセンブリ100の展開準備完了状態においてガイドワイヤ先端154が針先端138のすぐ近位に位置するように、ポート144を通り、針ハブ内腔148を通り、針シャフト136の近位端を通って、針シャフト136の針シャフト内腔142に入る。このようにして、アクセスガイドワイヤ106は、針104を用いて血管管腔に針経路を確立すると、即座に血管管腔に進めることができる。特に、アクセスガイドワイヤ106は、導入器アセンブリ100の展開準備完了状態においてポート144から近位に延在する近位部分を含む。図示していないが、アクセスガイドワイヤ106の近位部分は、長尺状のバッグまたはガイドワイヤ分配デバイスなどの無菌バリア内に配置することができ、無菌バリアまたはガイドワイヤ分配デバイスは、アクセスガイドワイヤ106の無菌性を維持するように構成される。
【0044】
アクセスガイドワイヤ106は、血管の後壁を穿刺することを防止するように構成される、「J」字形のガイドワイヤ先端の形態におけるガイドワイヤ先端154を含むことができる。そのようなガイドワイヤ先端は、導入器アセンブリ100の展開準備完了状態では直線状をなし、導入器アセンブリ100の展開状態においては、ガイドワイヤ先端154が針先端138を越えて前進すると、湾曲状となる。
【0045】
アクセスガイドワイヤ106は、裸線部分156と、裸線部分156の遠位、裸線部分156の近位、または両方にある巻線部分158とをさらに含むことができる。裸線部分156は、液密シールを形成するために、導入器アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、弁146を通って遠位に延在する。実際、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分が血管腔内に進んだときでも、液密シールを維持するために、裸線部分156は、導入器アセンブリ100の1つまたは複数の展開状態においても、弁146を通ってさらに遠位に延びることができる。特に、アクセスガイドワイヤ106は、裸線部分156および巻線部分158を有する必要はない。少なくとも前述の裸線部分156は、代わりに、アクセスガイドワイヤ106の平巻き部分または地巻き部分であってもよく、平巻き部分は、丸線の代わりにテープの巻線を含み、地巻き部分は、巻線を平らにするために研磨された丸線の巻線を含む。
方法
方法には、少なくとも血管アクセスを確保する方法が含まれる。そのような方法は、導入器アセンブリ取得ステップと、導入器アセンブリ調節ステップと、針経路確立ステップと、プランジャ引き抜きステップと、血液吸引ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、シリンジおよび針分離ステップと、空気抜きステップと、針引き抜きステップとから選択される1つまたは複数のステップを含む。
【0046】
導入器アセンブリ取得ステップは、導入器アセンブリ100を取得することを含む。上述したように、導入器アセンブリ100は、シリンジ102と、シリンジ102に流体連通される針104と、導入器アセンブリ100内に摺動可能に配置されるアクセスガイドワイヤ106とを含む。針104は、針ハブ140の側面にポート144を有する針ハブ140を含む。この場合も、ポート144は、針ハブ140内に配置される針シャフト136の近位端の近位にある。導入器アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態では、アクセスガイドワイヤ106は、ポート144内に配置される弁146を通り、針ハブ140の針ハブ内腔148を通り、針シャフト136の近位端を通って、針シャフト136の針シャフト内腔142に入る。
【0047】
導入器アセンブリ調節ステップは、導入器アセンブリ取得ステップをまだ実行していない場合、導入器アセンブリ100が展開準備完了状態にあるように、導入器アセンブリ100を調節することを含む。この場合も、導入器アセンブリ100の展開準備完了状態では、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分のガイドワイヤ先端154は、針経路確立ステップにおける針経路の確立直後にアクセスガイドワイヤ前進ステップを実行するために、針シャフト136の遠位部分の針先端138のすぐ近位にある。
【0048】
針経路確立ステップは、針104を用いて患者の皮膚の領域から血管管腔までの針経路を確立することを含む。
プランジャ引き抜きステップは、針経路確立ステップにおいて血管管腔に到達する前にわずかな真空を生成するために、シリンジ102のバレル110からプランジャ112を引き抜くことを含む。わずかな真空によって、血液が少なくともシリンジ先端114内に逆流し、針経路確立ステップにおいて針経路の確立を確認する。
【0049】
血液吸引ステップは、針経路確立ステップにおける針経路の確立を確認するために、シリンジ102で血液を吸引することを含む。ポート144内に配置される弁146は、血液吸引ステップ中に真空を維持するために、アクセスガイドワイヤ106の裸線部分156の周囲に液密シールを形成するように構成される。
【0050】
アクセスガイドワイヤ前進ステップは、血管アクセスを確保するために、アクセスガイドワイヤ106を血管管腔内に前進させることを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップによって、アクセスガイドワイヤ106のガイドワイヤ先端154が、アクセスガイドワイヤ通路内の直線状から血管管腔内の湾曲状に移行することが可能になる。
【0051】
シリンジおよび針分離ステップは、針引き抜きステップの前に、シリンジ102から針104を分離するステップを含む。ただし、空気抜きステップを行う場合には、シリンジおよび針分離ステップを行う必要はない。
【0052】
図9は、いくつかの実施形態による、針引き抜きステップを示す。
針引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤ106を血管管腔内に残したまま患者から針104を引き抜くことを含む。図示するように、針引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤ106の近位部分上で針104を引き抜く間、針経路を含む皮膚の領域またはその近傍でガイドワイヤを定位置に保持することを含む。
【0053】
空気抜きステップは、アクセスガイドワイヤ106を押して弁146に対してポート144の側に近づけることによって、針引き抜きステップ中にポートに向かって空気を排出させることを含む。しかし、いくつかの実施形態では、針ハブ140は、空気抜きステップのために針ハブ140の別の側に押しボタン式排出弁を含む。ポート144内に空気を排出することによって、シリンジ102から針104を分離する分離ステップが不要になる。とはいえ、いくつかの実施形態では、シリンジおよび針分離ステップと空気抜きステップの両方を実行することができる。
【0054】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。追加の適合または修正は当業者には明らかであり得、より広い態様では、これらの適合または修正もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入器アセンブリであって、
シリンジと、
前記シリンジに流体連通された針と、を備えており、針は、
針シャフトと、
前記針シャフトの近位部分上の針ハブと、を有しており、針ハブは、
前記針シャフトの近位端の近位にある前記針ハブの側面に直接設けられたポートと、
前記ポート内に配置される弁であって、長尺状の医療器具が前記ポートを通って前記針ハブの針ハブ内腔に入るときに、長尺状の医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される弁と、を有しており
導入器アセンブリの展開準備完了状態において、導入器アセンブリ内に摺動可能に配置されるアクセスガイドワイヤをさらに備えており、前記弁がアクセスガイドワイヤの裸線部分の周りに液密シールを形成するように、アクセスガイドワイヤの裸線部分は前記弁を通って遠位に延在する、導入器アセンブリ。
【請求項2】
前記アクセスガイドワイヤが、アクセスガイドワイヤの遠位部分のガイドワイヤ先端が、前記針シャフトの遠位部分の針先端のすぐ近位に配置されるように、前記針ハブ内腔を通り、前記針シャフトの近位端を通って、前記針シャフトの針シャフト内腔に入る、請求項1に記載の導入器アセンブリ。
【請求項3】
前記ガイドワイヤ先端が、「J」字形のガイドワイヤ先端であり、このガイドワイヤ先端が、導入器アセンブリの展開準備完了状態では直線状となり、ガイドワイヤ先端が導入器アセンブリの展開状態では前記針先端を越えて前進するときに湾曲状となる、請求項2に記載の導入器アセンブリ。
【請求項4】
前記アクセスガイドワイヤが、前記裸線部分の近位の巻線部分、請求項2または3に記載の導入器アセンブリ。
【請求項5】
前記アクセスガイドワイヤが、導入器アセンブリの展開準備完了状態において、前記ポートから近位に延在する近位部分を含んでおり、前記アクセスガイドワイヤの近位部分が、該アクセスガイドワイヤの無菌状態を維持するように構成される無菌バリア内に配置される、請求項2~4のいずれか一項に記載の導入器アセンブリ。
【請求項6】
前記弁が、前記ポート内で圧縮された分割隔壁を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の導入器アセンブリ。
【請求項7】
前記針ハブが、前記ポートの近位に針ハブ穴を有する針ハブコネクタをさらに含んでおり、前記シリンジのシリンジ先端が、前記針ハブ穴内に配置されており、それによって、前記針を前記シリンジに流体連通させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の導入器アセンブリ。
【請求項8】
導入針であって、
針シャフトと、
前記針シャフトの近位部分上の針ハブと、を備えており、針ハブは、
前記針シャフトの近位端の近位にある針ハブの側面に直接設けられた開口部と、
前記開口部内に配置される弁であって、長尺状の医療器具が前記開口部を通って針ハブの針ハブ内腔に入るときに、長尺状の医療器具の周りに液密シールを形成するように構成される弁と、を有している、導入針。
【請求項9】
前記弁が、前記ポート内で圧縮された分割隔壁を含む、請求項8に記載の導入針。
【請求項10】
前記針ハブが、導入針を前記シリンジに流体連通させるために、その中に挿入されるシリンジ先端を受け入れるように構成される前記開口部の近位の針ハブ穴を有する針ハブコネクタをさらに含む、請求項8または9に記載の導入針。
【国際調査報告】