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特表2024-529096粘着面を有する患者インターフェース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】粘着面を有する患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61M16/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508064
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 AU2022050865
(87)【国際公開番号】W WO2023015340
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2021902463
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2022900954
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラックラン・リチャード・ゴールドスピンク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・クリストファー・ホッグ
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート・ジョセフ・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナイ・マンジュナス
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・リチャード・デイヴィース
(57)【要約】
1つ又は複数の粘着面を有するシール形成構造を含む患者インターフェースが提供される。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成される。患者インターフェースは、周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーをさらに含んでもよい。治療圧力での呼吸可能なガス流れが空気回路を介して提供される。シール形成構造は、患者の鼻の下向き面、例えば鼻翼縁領域に粘着するように構成され得る。特定の形態では、患者インターフェースは、シール形成構造を空気回路から少なくとも部分的に分離するように構成された分離構造を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースであって、
周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーであって、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含む、プレナムチャンバーと、
前記プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造であって、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成され、前記呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有し、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバー内に前記治療圧力を維持するように構成された、シール形成構造と、
患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバー内部から周囲へ流れることを可能にする換気構造であって、使用時にプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、を含み、
前記シール形成構造は、使用時に患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含み、
前記患者の顔の領域は、患者の鼻穴の両方を取り囲み、前記領域は、患者の鼻翼の下向き面と、患者の上唇の上部領域とを含む、患者インターフェース。
【請求項2】
前記患者の顔の領域は、患者の鼻尖点のすぐ下にある鼻の前部領域を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記患者の顔の領域は、前記鼻翼の側領域を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記シール形成構造は、前記シール形成構造が患者の顔に粘着されたときに、前記シール形成構造の最上部が前記患者の鼻翼折れ目に粘着されるように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記患者の顔の領域は、前記患者の鼻翼と患者の鼻唇溝との間の領域を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記シール形成構造は、前記少なくとも1つの粘着面の形状が患者の顔の領域に実質的に類似するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記シール形成構造は実質的にD字形のバンドである、請求項1~6のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記シール形成構造は、使用時に患者の鼻尖点よりも実質的に下方の患者の鼻の領域に粘着されるように構成されたシール形成構造の領域のエッジに切り欠きを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記少なくとも1つの粘着面の第1領域は、使用時に、前記少なくとも1つの粘着面の第2領域よりも大きな粘着強度で患者の顔に粘着される、請求項1~8のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記患者インターフェースが前記患者によって着用されたときに、前記シール形成構造の厚さが約0.2mm~0.3mmの範囲にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記シール形成構造と前記プレナムチャンバーは、単一コンポーネントとして一体的に形成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記シール形成構造の粘着面には、患者の顔へのシール形成構造の少なくとも1回の再適用に適した粘着剤が設けられる、請求項1~11のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースシステムであって、
周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーであって、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含む、プレナムチャンバーと、
患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバー内部から周囲に流れることを可能にする換気構造であって、使用時に前記プレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、
第1シール形成構造及び第2シール形成構造と、を含み、
前記第1シール形成構造及び第2シール形成構造は、前記プレナムチャンバーに交換可能に接続され、
前記第1シール形成構造は、前記第2シール形成構造と異なる寸法及び/又は形状を有し、
前記第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成され、前記第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有し、前記第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成され、また、
前記第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、使用時に患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含む、患者インターフェースシステム。
【請求項14】
呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースであって、
周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーであって、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含む、プレナムチャンバーと、
前記プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造であって、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成され、前記呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有し、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバー内に前記治療圧力を維持するように構成され、使用時に、使用時に患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含む、シール形成構造と、
患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバー内部から周囲へ流れることを可能にする換気構造であって、使用時に前記プレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、
使用時に空気回路に接続され、前記プレナムチャンバー入口ポートを介して前記呼吸可能なガスを前記空気回路から前記プレナムチャンバーに送達するように構成された接続ポートと、
前記シール形成構造を前記空気回路から少なくとも部分的に分離するように構成された分離構造と、を含む、患者インターフェース。
【請求項15】
前記分離構造は、前記接続ポートに設けられた第1磁気部材を含み、前記第1磁気部材は、前記空気回路が前記接続ポートに接続されたときに、前記空気回路に設けられた第2磁気部材に磁気的に結合されるように構成される、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記第1磁気部材は磁石である、請求項15に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記第1磁気部材は、非磁化強磁性材料である請求項15に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記第1磁気部材は環状であり、前記接続ポートを取り囲む、請求項15~17のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記患者インターフェースは、第1端から第2端までガスが通過できるようにする中心穴を有するアダプタを含み、前記第1端は、前記空気回路に直接又は間接的に流体接続されるように構成され、前記第2端は、前記プレナムチャンバー入口ポートに取り外し可能に挿入されるように構成され、前記第1端は前記接続ポートを形成する、請求項15~18のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記分離構造は、前記空気回路と前記プレナムチャンバーとの間に設けられたボールジョイントを含む、請求項14~19のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記分離構造は、前記接続ポートに接続された空気回路の端部が前記プレナムチャンバーに対して傾斜させられたときに変形するように構成された変形可能なコンポーネントを含む、請求項14~20のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記変形可能なコンポーネントは前記プレナムチャンバーである、請求項21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記患者インターフェースは、第1端と第2端とを有するチューブを含み、前記第1端は前記プレナムチャンバー入口ポートに流体接続され、前記第2端は前記接続ポートを含み、前記チューブは変形可能なコンポーネントを含む、請求項21~22のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記チューブは、前記チューブの他の部分よりも可撓性が高くなるように構成された可撓性部分を含み、前記変形可能なコンポーネントは、前記可撓性部分を含む、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記チューブの前記可撓性部分は、前記チューブの他の部分よりも狭い直径を有する、請求項24に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースであって、
周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーであって、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含む、プレナムチャンバーと、
前記プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造であって、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成され、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有し、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたって、前記プレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成された、シール形成構造と、
患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバー内部から周囲へ流れることを可能にする換気構造であって、使用時に前記プレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、を含み、
前記シール形成構造は、使用時に患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含み、
前記シール形成構造は、前記シール形成構造を把持するための1つ又は複数のタブをさらに含み、前記1つ又は複数のタブは、患者に面する粘着面を有さない、患者インターフェース。
【請求項27】
前記1つ又は複数のタブは、前記シール形成構造の周辺に配置されている、請求項26に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記1つ又は複数のタブは、前記開口部の第1側に位置する第1タブと、前記開口部の第2側に位置する第2タブとを含み、前記第1側は前記第2側と反対である、請求項26又は27のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記少なくとも1つの粘着面は、前記少なくとも1つの粘着面の変形によって前記粘着面の粘着強度が低下するように構成される、請求項26~28のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記少なくとも1つの粘着面は、前記少なくとも1つの粘着面を伸長することにより、前記粘着面の粘着強度が低下するように構成される、請求項29に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
前記1つ又は複数のタブは、引っ張られて前記少なくとも粘着面を変形させるように構成される、請求項29又は30のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースであって、
周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーであって、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含む、プレナムチャンバーと、
前記プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造であって、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成され、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有し、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたって前記プレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成された、シール形成構造と、
患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバー内部から周囲へ流れることを可能にする換気構造であって、使用時に前記プレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成された、換気構造と、を含み、
前記シール形成構造は、使用時に患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含み、
前記患者インターフェースは、前記シール形成構造が患者の顔に粘着される前に、前記シール形成構造の形状の保持を容易にするように構成された1つ又は複数の形状保持具をさらに含む、患者インターフェース。
【請求項33】
前記1つ又は複数の形状保持具は、前記シール形成構造が患者の顔に粘着された後に、前記シール形成構造の形状を実質的に保持するように構成される、請求項32に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記シール形成構造は、前記1つ又は複数の形状保持具を含む、請求項32~33のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記1つ又は複数の形状保持具は、使用時に患者の顔とは反対側を向くシール形成構造の側面に配置される、請求項32~34のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記1つ又は複数の形状保持具は、細長い部材を含む、請求項32~35のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
前記1つ又は複数の形状保持具及び前記シール形成構造は、1つの材料で作られている、請求項32~36のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項38】
前記1つ又は複数の形状保持具及び前記シール形成構造は、一体的に形成されている、請求項37に記載の患者インターフェース患者インターフェース。
【請求項39】
前記1つ又は複数の形状保持具及び前記プレナムチャンバーは、1つの材料で作られている、請求項32~38のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項40】
前記1つ又は複数の形状保持具及び前記プレナムチャンバーは、一体に形成されている請求項39に記載の患者インターフェース。
【請求項41】
前記1つ又は複数の形状保持具は、前記シール形成構造が患者の顔に粘着されると、前記シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーから取り外されるように構成される、請求項32~40のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項42】
前記1つ又は複数の形状保持具は、前記シール形成構造が他の方向よりも一方向に容易に伸長することを可能にするように構成される、請求項32~41のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項43】
前記少なくとも1つの粘着面は、前記少なくとも1つの粘着面の変形によって前記粘着面の粘着強度が低下するように構成される、請求項32~42のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
【請求項44】
前記少なくとも1つの粘着面は、前記少なくとも1つの粘着面を伸長することにより、前記粘着面の粘着強度が低下するように構成される、請求項43に記載の患者インターフェース。
【請求項45】
前記シール形成構造は、前記シール形成構造を把持するための1つ又は複数のタブをさらに含み、前記1つ又は複数のタブは、患者に面する粘着面を有さない、請求項44に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
前記1つ又は複数のタブは、引っ張られて少なくとも前記粘着面を変形させるように構成されるように構成される請求項45に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1.1技術分野]
本技術は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、モニタリング、治療、予防、及び改善のうちの1つ又は複数に関する。本技術はまた、医療デバイス又は装置、及びそれらの使用に関する。本技術は、具体的には、粘着面を介して患者の気道との間にシールを形成する患者インターフェースのためのシール形成構造に関する。
【背景技術】
【0002】
[1.2関連技術の説明]
[1.2.1人間の呼吸器系とその障害]
体の呼吸器系はガス交換を促進する。鼻と口は患者の気道の入口を形成する。
【0003】
気道には一連の分岐管があり、肺の奥深くに到達するにつれて、より狭く、より短く、より多くなる。肺の主な機能はガス交換で、取り込んだ空気から静脈血に酸素が入り、二酸化炭素が反対方向に移動することを可能にする。気管は左右の主気管支に分かれ、さらに最終的には末端細気管支に分かれる。気管支は伝導気道を構成し、ガス交換には関与しない。気道のさらなる分裂は呼吸細気管支を引き起こし、最終的には肺胞を引き起こす。肺の肺胞領域はガスの交換が起こる場所で、呼吸ゾーンと呼ばれている。非特許文献1を参照する。
【0004】
さまざまな呼吸障害が存在する。特定の障害は、無呼吸、低呼吸、過呼吸などの特定の事象を特徴とする場合がある。
【0005】
呼吸障害の例としては、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満性過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)及び胸壁障害が含まれる。
【0006】
このような状態を治療又は改善するために、さまざまな治療法が使用されている。また、健康な個体は呼吸障害の発生を防ぐためにこの治療法を利用することができる。ただし、これらには多くの欠点がある。
【0007】
呼吸療法における主要な問題の1つは、コンプライアンスとも呼ばれるアドヒアランスである。通常、患者は呼吸療法の一環として、長期間患者インターフェースを着用する必要がある場合がある。かさばる、及び/又は邪魔な患者インターフェースは、多くの場合、患者が不快感、不便さ、又は睡眠の妨げのために呼吸療法を中止することにつながる。特に、呼吸療法中に乳児や小児が患者インターフェースを取り外さないようにすることは困難である。
【0008】
[1.2.2治療法]
上記の呼吸障害の1つ又は複数を治療するために、持続気道陽圧(CPAP)療法、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、高流量療法(HFT)などのさまざまな呼吸療法が使用されている。
【0009】
[1.2.2.1呼吸圧療法]
呼吸圧療法は、患者の呼吸サイクル全体にわたって大気に対して名目上陽圧である制御された目標圧力で気道の入口に空気を供給する(タンク型人工呼吸器や胸当てのような陰圧療法とは対照的に)。
【0010】
持続気道陽圧(CPAP)療法は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療に応用されている。作用機序としては、持続的な気道陽圧が空気圧副子として作用し、軟口蓋と舌を前方に押して中咽頭後壁から遠ざけるなどして上気道の閉塞を防ぐことができる。CPAP療法によるOSAの治療は任意で行われることがあるため、患者は、不快感、使用困難性、高価性、見栄えの悪さの1つ又は複数のデバイスがこの治療を提供するために使用されていることを発見した場合には、治療に従わないことを選択することがある。
【0011】
非侵襲的換気(NIV)は、上気道を通じて患者に換気をサポートし、呼吸仕事の一部又はすべてを行うことで患者の呼吸を補助したり、体内の適切な酸素レベルを維持したりする。換気サポートは、非侵襲滴な患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、胸壁障害などのCSR及び呼吸不全の治療に使用されてきた。いくつかの形態では、これらの療法の快適性と有効性が改善される可能性がある。
【0012】
侵襲的換気(IV)は、自分で効果的に呼吸できなくなった患者に換気をサポートするもので、気管切開チューブ又は気管内チューブを使用して提供される場合がある。いくつかの形態では、これらの療法の快適性と有効性が改善される可能性がある。
【0013】
[1.2.3呼吸療法システム]
これらの呼吸療法は、呼吸療法システム又はデバイスによって提供され得る。このようなシステム及びデバイスは、治療を行うことなく、疾患をスクリーニング、診断又はモニタリングするためにも使用され得る。
【0014】
呼吸療法システムは、呼吸圧療法デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素源、及び/又はデータ管理を含んでもよい。
【0015】
[1.2.3.1患者インターフェース]
患者インターフェースは、例えば気道の入口に空気の流れを提供することによって、呼吸デバイスをその着用者にインターフェースするために使用され得る。空気の流れは、患者の鼻及び/又は口、口へのチューブ、又は気管への気管切開チューブに提供され得る。適用される治療法に応じて、患者インターフェースは、例えば、患者の顔の領域とシールを形成して、周囲の圧力と十分に異なる圧力での気体の送達を容易にし、それにより、例えば、周囲の圧力に対して約10cmHOの陽圧での治療を可能にすることができる。
【0016】
従来、マスクシステムは、空気の流れを搬送するための患者インターフェースとして使用されてきた。これらのマスクシステムは、一般に、ヘッドギアを介して患者の顔に固定されたプレナムチャンバーを含む。プレナムチャンバーは患者の顔とともに一定の空間を囲み、鼻や口などの患者の顔の特徴に合わせて患者の顔から突き出ている。多くの場合、プレナムチャンバーは剛性材料で作られていてもよい。従来の患者インターフェース設計のいくつかのこのような側面は、患者インターフェースを着用している間に、患者の睡眠を困難にし、不快感を与え、閉所恐怖症を引き起こす可能性がある。
【0017】
呼吸療法に一般的に使用されるマスクシステムを除いて、マスクシステムは当業者には機能的に適さない場合がある。例えば、純粋な装飾用のマスクでは、適切な圧力を維持できない場合がある。水中水泳や潜水のためのマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水の侵入を防止するように構成されてもよいが、内部の空気を環境より高い圧力に維持することはできない。
【0018】
特定のマスクは、鼻を通る空気の流れを遮断し、口だけを通る空気の流れを許容する場合など、臨床的に本技術に不利な場合がある。
【0019】
特定のマスクは、患者が口の中にマスク構造の一部を挿入して唇を介して密閉を形成及び維持する必要がある場合、現在の技術では不快であるか非実用的である可能性がある。
【0020】
ベッドで横向きに寝たり、枕に頭を乗せて寝たりするときなど、就寝時に使用できないマスクもある。
【0021】
患者インターフェースの設計には多くの課題がある。顔は複雑な立体形状をしている。鼻や頭の大きさや形は個人差が大きくある。ヘッドには骨、軟骨、軟組織が含まれているため、顔の異なる領域は機械的な力に対する反応が異なる。顎骨又は下顎骨は、頭蓋骨の他の骨に対して動くことがある。呼吸療法の期間中に頭全体が動くことがある。
【0022】
これらの課題の結果、いくつかのマスクは、目障りである、美的に望ましくない、高価である、フィット感が低い、使用が難しい、特に長時間着用した場合や患者がシステムに慣れていない場合に不快であるという問題を抱えている。マスクのサイズが間違っていると、コンプライアンスが低下し、快適性が低下し、患者の転帰が悪化する可能性がある。飛行士専用に設計されたマスク、個人用保護具の一部として設計されたマスク(フィルターマスクなど)、スキューバマスク、又は麻酔薬の投与用に設計されたマスクは、本来の用途には耐えられるかもしれないが、それでも、そのようなマスクは、一定の時間、たとえば数時間など、長時間着用すると不快になる可能性がある。前述したように、この不快感は患者の治療コンプライアンスの低下につながる可能性がある。睡眠中にマスクを着用する場合は、さらにそうである。
【0023】
CPAP療法は、患者が治療に従う限り、特定の呼吸障害の治療に非常に効果的である。マスクが不快だったり、使いにくかったりした場合、患者は治療に従わない可能性がある。
【0024】
通常、定期的にマスクを洗浄することが患者に推奨されるが、マスクの洗浄が必要な場合、又は洗浄が困難な場合(例えば、組み立てや分解が困難な場合)は、患者はマスクを洗浄しないことがあり、患者のコンプライアンスに影響を及ぼす可能性がある。
【0025】
他の用途(飛行士など)用のマスクは睡眠呼吸障害の治療での使用には適していない可能性があるが、睡眠呼吸障害の治療で使用するために設計されたマスクは他の用途には適している可能性がある。
【0026】
これらの理由から、睡眠中にCPAPを送達する患者インターフェースは独自の領域を形成している。
【0027】
[1.2.3.1.1シール形成構造]
患者インターフェースは、シール形成構造を含んでもよい。シール形成構造は患者の顔に直接接触するため、シール形成構造の形状と構成は患者インターフェースの有効性と快適性に直接影響を与える可能性がある。
【0028】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造が顔に係合する場所の設計意図に従って部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態では、シール形成構造は、左鼻穴の周囲にシールを形成する第1サブ部分と、右鼻穴の周囲にシールを形成する第2サブ部分とを含んでもよい。患者インターフェースの一形態では、シール形成構造は、使用時に両方の鼻穴取り囲む単一の要素を含んでもよい。このような単一の要素は、例えば、顔の上唇領域及び/又は鼻梁領域を覆うように設計され得る。これらのさまざまなタイプの患者インターフェースは、鼻クッション、鼻枕、鼻パフなど、メーカーによってさまざまな名前で知られている場合がある。
【0029】
患者インターフェースの一形態では、シール形成構造は、例えば顔の下唇領域にシールを形成することにより、使用時に口領域を取り囲む要素を含んでもよい。患者インターフェースの一形態では、シール形成構造は、使用時に鼻穴及び口領域の両方を取り囲む単一の要素を含んでもよい。これらの患者インターフェースは、当技術分野では、当技術分野では口腔クッション、口腔鼻クッション、又はフルフェイスクッションと呼ばれることがある。
【0030】
例えば、患者の顔の異なる形状、構造、可変性及び敏感な領域のために、患者の顔のある領域で有効である可能性のあるシール形成構造が、他の領域では不適切である可能性がある。例えば、患者の額にかぶせる水泳用ゴーグルのシールは、患者の鼻に使用するのは適切ではない可能性がある。
【0031】
特定のシール形成構造は、1つの設計が広範囲の異なる顔の形状及びサイズに適合し、快適かつ効果的であるように、大量生産向けに設計され得る。患者の顔の形状と大量生産された患者インターフェースのシール形成構造との間に不一致がある場合、シールを形成するには一方又は両方が適応する必要がある。
【0032】
1つのタイプのシール形成構造は、患者インターフェースの周辺に延在し、患者インターフェースに力が加えられたときに患者の顔と相対的に係合して患者の顔をシールするように設計されている。シール形成構造は、空気又は流体が充填されたクッション、又はゴムなどの弾性体からなる弾性シール要素の成形又は成形された表面を含んでもよい。このタイプのシール形成構造では、嵌合が不十分な場合、シール形成構造と顔との間に隙間が存在し、シールを達成するために患者インターフェースを顔に対して強制するために追加の力が必要となる。
【0033】
別のタイプのシール形成構造は、マスク内に陽圧が加えられたときに患者の顔に対して自己シール作用をもたらすように、マスクの周辺に配置された薄い材料のフラップシールを組み込んでいる。従来のシール形成部と同様に、顔とマスクの密着性が悪い場合、シールするのに余分な力が必要になったり、マスクが漏れたりする可能性がある。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と一致しない場合、使用中にしわが寄ったり座屈したりして、漏れが生じる可能性がある。
【0034】
別のタイプのシール形成構造は、摩擦嵌め要素、例えば、摩擦嵌め要素を含んでいてもよい。ただし、患者によってはこれを不快に感じる人もいる。
【0035】
シール形成構造の別の形態では、シールを達成するために粘着剤を使用することができる。典型的な治療圧力(例えば、最大20cmHO)では、粘着剤で形成されたシールは、漏れがほとんどないか、ほとんど有効である。
【0036】
粘着剤ベースのシール形成構造を定期的に貼り付けたり取り外したりすると、皮膚の外傷や炎症を引き起こす可能性がある。さらに、従来の粘着剤ベースのシール形成構造は、シール形成構造を貼り付ける前に、シール形成構造が粘着される皮膚の領域を洗浄する必要がある。アルコール綿棒などの洗浄を繰り返すと、皮膚に損傷を与える可能性がある。
【0037】
また、鼻領域内又はその周囲に粘着剤ベースのシール形成構造を貼り付けると、患者の呼吸からの水分により粘着力が弱まることがある。顔の他の領域では、皮膚から水分が放出されることもあり、これが粘着力を緩めて漏れを引き起こし、無効な呼吸療法を引き起こすことがある。加えて、患者が酸素療法を受けている場合、漏れにより酸素ガスが不必要に失われる可能性がある。このような酸素の漏れは、医療用酸素が希少で高価な資源である先進国では特に不利かもしれない。
【0038】
粘着剤ベースのシール形成構造は、場合によってはシール形成構造を剥がした後でも、患者の皮膚に残留物、臭い、又は色を残す可能性がある。
【0039】
一連の患者インターフェースシール形成構造技術は、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3において開示されている。
【0040】
鼻枕の1つの形式は、ピューリタンベネットによって製造されたアダム回路で見つかる。別の鼻枕、又は鼻パフは、特許文献4の主題である。
【0041】
レスメド社は、鼻枕を組み込んだ以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスク、MIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9は、鼻枕マスクの例を記載している。
【0042】
[1.2.3.1.2位置決め及び安定化]
陽圧治療に使用される患者インターフェースのシール形成構造は、対応する空気圧の力を受けてシールが破壊される。したがって、シール形成構造を位置決めし、顔の適切な部分とシール関係に維持するために、多くの技術が使用されてきた。
【0043】
1つの技術は粘着剤を使うことである。例えば、特許文献10を参照する。シール形成構造を患者の顔に配置して安定させるために粘着剤を使用する利点の1つは、不快で閉所恐怖症になり、製造コストと複雑さが増す可能性があるヘッドギア(後述)の必要性を回避できることである。しかしながら、前述したように、当業者に知られている粘着剤の使用にはいくつかの欠点がある。
【0044】
別の技術は、1つ又は複数のストラップ及び/又は安定化ハーネスの使用である。このようなハーネスの多くは、サイズが合わない、かさばる、不快、使いにくいという問題を抱えている。粘着剤ベースのシール形成構造よりも気密性が低い傾向がある。さらに、ストラップや安定化ハーネスは、一晩使用すると顔に跡が残る傾向がある。
【0045】
[1.2.3.1.3加圧空気導管]
患者インターフェースに流体接続する空気回路内の導管を介して加圧空気の流れが患者インターフェースに提供され、使用中に患者インターフェースが患者の顔に配置されると、導管が患者インターフェースから患者の顔から前方に伸長する。これを「チューブダウン」構成と呼ぶことがある。
【0046】
患者の顔の前面にあるインターフェースに接続されている導管は、寝具に絡まりやすい場合がある。
【0047】
[1.2.3.2呼吸圧療法(RPT)デバイス]
呼吸圧療法(RPT)デバイスは、個別に、又はシステムの一部として使用して、気道へのインターフェースに送達するための空気の流れを生成するようにデバイスを操作することなどにより、上述の多くの治療のうちの1つ又は複数を送達することができる。空気の流れは、圧力制御(呼吸圧療法のため)又は流量制御(HFTなどの流量療法のため)としてもよい。したがって、RPTデバイスは、流量療法デバイスとしても使用することができる。RPTデバイスの例としては、CPAPデバイス及び人工呼吸器が挙げられる。
【0048】
[1.2.3.3空気回路]
空気回路は、使用時に呼吸療法システムの2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイスと患者インターフェース)の間を空気の流れが流れることを可能にするように構築及び配置された導管又はチューブである。場合によっては、吸気と呼気のために空気回路の分岐が別個に存在することもある。他の場合には、単一の四肢空気回路が吸気と呼気の両方に使用される。
[1.2.3.4加湿器]
加湿せずに空気の流れを送り込むと、気道の乾燥を引き起こす可能性がある。RPTデバイスと患者インターフェースを備えた加湿器を使用すると、加湿ガスが生成され、鼻粘膜の乾燥が最小限に抑えられ、患者の気道の快適性が向上する。加えて、涼しい気候では、患者インターフェース内及びその周囲の顔領域に一般的に当てられる温風の方が、冷気よりも快適である。
[1.2.3.5換気技術]
治療システムの一部の形式には、呼気された二酸化炭素を洗い流すための換気口が含まれる場合がある。この換気口は、患者インターフェースの内部空間(例えばプレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば周囲)へのガス流れを可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】国際公開第1998/004310号
【特許文献2】国際公開第2006/074513号
【特許文献3】国際公開第2010/135785号
【特許文献4】米国特許第4782832号明細書
【特許文献5】国際公開第2004/073778号
【特許文献6】米国特許出願第2009/0044808号明細書
【特許文献7】国際公開第2005/063328号
【特許文献8】国際公開第2006/130903号
【特許文献9】国際公開第2009/052560号
【特許文献10】米国特許出願公開第2010/0000534号明細書
【非特許文献】
【0050】
【非特許文献1】John B. West著、Lippincott Williams & Wilkins著、2012年発行の第9版「呼吸生理学」
【発明の概要】
【0051】
本技術は、改呼吸障害のスクリーニング、診断、モニタリング、改善、治療、又は予防に使用される、改善された快適性、コスト、有効性、使いやすさ、及び製造性のうちの1つ又は複数を有する医療デバイスを提供することを目的とする。
【0052】
本技術の第1態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、モニタリング、改善、治療又は予防に使用される装置に関する。
【0053】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸療法に対する患者のコンプライアンスを改善する方法及び/又は装置を提供することである。
【0054】
本技術の一形態の一態様は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造を含む患者インターフェースである。
【0055】
本技術の一態様の別の態様は、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも入口に送達されるように開口部を有するシール形成構造を含む患者インターフェースである。
【0056】
本技術の一態様の別の態様は、シール形成構造を含む患者インターフェースであり、シール形成構造は、使用時に患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面をさらに含む。
【0057】
本技術の一形態の一態様は、周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーを含む患者インターフェースであって、該プレナムチャンバーは、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含む患者インターフェースである。
【0058】
本技術の一形態では、シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成される。
【0059】
一形態では、シール形成構造は、呼吸可能なガスを患者の気道に送達するための開口部を含んでもよい。
【0060】
本技術の一態様の別の態様は、対象となる着用者の外周形状と相補的な外周形状を有する患者インターフェースである。
【0061】
一形態では、シール形成構造は、シールを形成するために患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域と相補的な周囲形状を有するように構成される。
【0062】
シール形成構造が粘着される領域は、ターゲットシール領域と呼ばれることがある。
【0063】
一形態では、シール形成構造は、患者の顔の領域が鼻穴に隣接する患者の顔の領域を含むように構成される。
【0064】
一形態では、シール形成構造は、患者の顔の領域が鼻の下向き面と上唇の上部領域とを含むように構成される。例えば、この領域は、患者の鼻翼の下向き面を含んでもよい。例えば、この領域は、患者の上唇の最上領域を含んでもよい。一形態では、患者の顔の領域は、患者の鼻尖点のすぐ下にある鼻の前部領域を含んでもよい。
【0065】
一形態では、シール形成構造は、患者の顔の領域が鼻翼の側部領域、例えば鼻翼の側部領域の下側領域を含むように構成される。
【0066】
一形態では、シール形成構造は、患者の顔の領域が鼻翼の側部領域、例えば鼻翼の側部領域の下側領域を含むように構成される。
【0067】
特定の形態では、シール形成構造は、患者の顔の領域が患者の鼻翼と患者の鼻唇溝との間の領域を含むように構成され得る。
【0068】
特定の形態では、シール形成構造は、少なくとも1つの粘着面の形状が患者の顔の領域に実質的に類似するように構成される。
【0069】
本技術の一形態の一態様は、実質的にD字形のバンドであり得るシール形成構造を含む患者インターフェースである。
【0070】
一形態では、D字形形態は、ステム部、2つのコーナー部、2つの肩部、及び頂点部のうちの1つ又は複数を含んでもよい。一形態では、コーナー部は、ステム部のいずれかの端部に配置されてもよい。別の形態では、肩部は、各コーナー部を頂点部に接続することができる。一形態では、シール形成構造は、患者の矢状面上に位置し、頂部とステム部の中間セクションを通過する軸に関して鏡映対称を有し得る。一形態では、ステム部は実質的に真っ直ぐであってもよい。別の形態では、ステム部は、その半径方向外側の中央セクションに凹状の凹部を形成し、その半径方向内側の中央セクションに凸状の突出部を形成するように、半径方向内側に弧を描いてもよい。一形態では、凹部及び突部は、全体的に丸い形状であってもよい。一形態では、コーナー部は略三角形の形状であり、シール形成構造のステム部の凹部と同じ側の半径方向外側にエッジをそれぞれ含んでもよい。一形態では、エッジは角度を付けて、角度を付けたエッジとステム部分の凹部との間に鈍角を形成してもよい。一形態では、頂点部は、その半径方向内側に凹状凹部と、その半径方向内側に凸状突起とを含んでもよい。凹部及び突起は、通常、円形であってもよい。一形態では、頂点部は、鼻尖点よりも下の鼻の前部領域に粘着するように構成される。一形態では、肩部は鼻翼の下部領域に粘着するように構成される。一形態では、コーナー部は、鼻翼折れ目及び/又は鼻翼の横方向外側領域及び/又は鼻翼折れ目に隣接する頬領域を含むがこれに限定されない鼻翼折れ目領域に粘着するように構成される。一形態では、ステム部は、上唇の上部領域に粘着するように構成される。
【0071】
一形態では、シール形成構造は、使用時に患者の鼻の鼻尖点よりも実質的に下方の領域に粘着するように構成されたシール形成構造の領域のエッジに切り欠きを含む。
【0072】
本技術の一形態の一態様は、複数の形状及び寸法を有するマルチシール形成構造を含む患者インターフェースシステムである。
【0073】
一形態では、シール形成構造は、患者インターフェースのプレナムチャンバーに交換可能に接続される。マルチシール形成構造のうちの任意の1つを患者インターフェースの一部として使用することができ、患者が自分のニーズに最も適した形状及びサイズのシール形成構造を選択できるようにしてもよい。例えば、患者は、シール形成構造が着用されるべき患者の顔の領域に位置する顔の特徴に最も近い形状を有するシール形成構造を選択してもよい。さらに、患者は、最大限の快適性を提供するシール形成構造を選択してもよい。
【0074】
呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースシステム。患者インターフェースシステムは、周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーを含んでもよい。プレナムチャンバーは、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含んでもよい。患者インターフェースシステムは、さらに、患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバー内部から周囲へ流れることを可能にする換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースシステムは、第1シール形成構造及び第2シール形成構造をさらに含んでもよい。第1シール形成構造及び第2シール形成構造は、プレナムチャンバーに交換可能に接続されてもよい。第1シール形成構造は、第2シール形成構造と異なる大きさ及び/又は形状を有してもよい。第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されてもよい。第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有してもよい。第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。第1シール形成構造及び第2シール形成構造の各々は、使用時に患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含んでもよい。
【0075】
一形態では、シール形成構造の形態は、少なくとも一形態が所与の患者集団のほとんどの患者に適合するように構成される。これは、離散的な数の一般的な形状及びサイズのシール形成構造のみを使用して、良好なレベルの適合性を提供するように患者インターフェースを構成できることを意味する。個別の数のシール形成構造のみを製造することにより、製造及び供給におけるコスト効率が向上してもよい。
【0076】
別の形態では、異なる数の異なる形状及びサイズのシール形成構造が提供されてもよい。提供されるシール形成構造の数が多ければ多いほど、個々の患者が自分に非常に効果的にフィットするシール形成構造を見つけられる可能性が高くなる。
【0077】
別の代替形態では、シール形成構造を個々の患者に合わせてカスタマイズしてもよい。カスタマイズでは、患者の顔の特徴、特にターゲットシール領域及びその周囲を考慮することができる。
【0078】
一形態では、シール形成構造の形状及び寸法は、集団内の異なるメンバーの鼻領域の形状及び寸法について実施される主成分分析(PCA)に基づいて決定されるシール形成構造の1つ又は複数の主成分に基づいてもよい。
【0079】
一形態では、主成分の1つは、ターゲットシール領域のサイズに関係し得る。ターゲットシール領域が鼻領域である場合、鼻のサイズが関係する。
【0080】
別の形態では、主成分の1つは、ターゲットシール領域の曲率に関連していてもよい。ターゲットシール領域が鼻領域である場合、主成分は鼻穴の湾曲度に関係する。
【0081】
別の形態では、主成分の1つは、シール領域における顔の特徴の全体的な形状及び/又は比率に関係してもよい。ターゲットシール領域が鼻領域である場合、主成分は、鼻の長さ及び/又は幅を含む可能性がある鼻の形状及び/又は比率に関する。
【0082】
一形態では、患者インターフェースは、使用時に空気回路に接続され、プレナムチャンバー入口ポートを介して呼吸可能なガスを空気回路からプレナムチャンバーに送達するように構成された接続ポートをさらに含む。
【0083】
本技術の一形態の一態様は、異なる粘着強度の大きさの面積を有する少なくとも1つの粘着面をさらに含むシール形成構造を含む患者インターフェースである。一形態では、少なくとも1つの粘着面の第1領域は、使用時に、少なくとも1つの粘着面の第2領域よりも大きな粘着強度で患者の顔に粘着されてもよい。
【0084】
一形態では、ターゲットシール領域の敏感な領域とシールするように構成されたシール形成構造の領域は、より低い粘着強度を有してもよい。敏感な領域は、シール形成構造を繰り返し適用して除去する際に皮膚外傷を被る可能性が高い領域を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0085】
別の形態では、ターゲットシール領域のうちシールが困難な領域とシールするように構成されたシール形成構造の領域は、より高い粘着強度を有してもよい。
【0086】
別の形態では、シール形成構造の領域は、ターゲットシール領域の敏感でシールが困難な領域とシールするように構成され、バランスのとれた粘着強度の大きさを有してもよい。
【0087】
一態様では、患者インターフェースが患者によって着用されたときに約0.2mmから0.3mmの範囲の厚さを有するシール形成構造を含む患者インターフェースが提供される。
【0088】
一態様では、シール形成構造を含む患者インターフェースが提供され、このシール形成構造は、患者の顔上にシール形成構造を少なくとも1回再適用するのに適した粘着剤を有する粘着面を含む。
【0089】
本技術の一形態の一態様は、シール形成構造を空気回路から少なくとも部分的に分離するように構成された分離構造をさらに含む患者インターフェースである。
【0090】
本発明の一態様は、呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースを提供する。患者インターフェースは、周囲気圧よりも少なくとも6cmH2O高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーを含んでもよい。プレナムチャンバーは、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含んでもよい。患者インターフェースはまた、プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造を含んでもよい。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されてもよい。シール形成構造は、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有してもよい。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成ように構成された少なくとも1つの粘着面を含んでもよい。患者インターフェースはまた、患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバー内部から周囲へ流れることを可能にする換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースは、使用時に空気回路に接続され、プレナムチャンバー入口ポートを介して呼吸可能なガスを空気回路からプレナムチャンバーに送達するように構成された接続ポートをさらに含んでもよい。患者インターフェースはまた、シール形成構造を空気回路から少なくとも部分的に分離するように構成された分離構造を含んでもよい。
【0091】
一形態では、分離構造は、接続ポートに接続された空気回路の一端がプレナムチャンバーに対して傾斜させられたときに変形するように構成された変形可能なコンポーネントを含む。
【0092】
変形可能なコンポーネントは、特に力が所定の大きさより大きい場合に、空気回路に加わる力から患者インターフェースを隔離してもよい。患者インターフェースを過大な力から隔離して、患者の顔から強制的に剥がされないようにシール形成構造を確実にする。
【0093】
一形態では、変形可能なコンポーネントはプレナムチャンバーである。
【0094】
一形態では、プレナムチャンバーは、熱可塑性弾性体(TPE)又はシリコーン樹脂のような可撓性材料で作られた1つ又は複数の領域を有してもよいが、これらに限定されない。
【0095】
一形態では、患者インターフェースは、第1端と第2端とを有するチューブを含み、第1端はプレナムチャンバー入口に流体接続され、第2端は接続ポートを含み、チューブは変形可能なコンポーネントを含む。
【0096】
一形態では、チューブは、チューブの他の部分よりも可撓性が高くなるように構成された可撓性部分を含み、変形可能なコンポーネントは、可撓性部分を含む。
【0097】
一形態では、チューブの可撓性部分は、チューブの他の部分よりも狭い直径を有する。
【0098】
一形態では、分離構造は、空気回路とプレナムチャンバーとの間に配置されたボールジョイントを含む。
【0099】
一形態では、ボールジョイントは、ボール及びソケットを含むクイックリリースボールジョイントとしてもよい。ボール及びソケットは、空気回路に所定の大きさを超える力が加わるに係合が外れるように構成されてもよい。
【0100】
一形態では、分離構造は、接続ポートに設けられた第1磁気部材を含み、第1磁気部材は、空気回路が接続ポートに接続されたときに、空気回路に設けられた第2磁気部材に磁気滴に結合されるように構成される。
【0101】
一形態では、空気回路が第1磁気部材と第2磁気部材との間の磁気吸引力よりも大きい力で患者インターフェースから引き離されると、第1磁気部材は第2磁気部材から分離される。
【0102】
一形態では、第1磁気部材は磁石である。別の形態では、第1磁気部材は非磁化強磁性材料である。
【0103】
一形態では、第1磁気部材はリング状であり、接続ポートを取り囲む。
【0104】
特定の形態では、患者インターフェースは、第1の端から第2の端までガスが通過できるようにする中央穴を有するアダプタを含む。第1端は、空気回路に直接又は間接的に流体接続するように構成され、第2端は、プレナムチャンバー入口ポートに取り外し可能に挿入されるように構成されてもよい。別の形態では、第2端は、使用時にプレナムチャンバーの前面に接続されるように構成されてもよい。第1端は、空気回路(又はそれ自体が空気回路に結合されるコンポーネント)と磁気的に結合するように構成されてもよい。
【0105】
いくつかの形態では、アダプタは熱湿気交換器を含んでもよい。
【0106】
本技術の一形態の一態様は、外面と内面とを有するフランジを有するシール形成構造をさらに含み、外面はフランジの内面とは反対側に位置し、粘着面はフランジの外面に設けられる、患者インターフェースである。
【0107】
一形態では、フランジは湾曲した形状を形成することができ、プレナムチャンバー内のガスからの圧力は内面に加わる。
【0108】
本技術の一形態の一態様は、患者が呼気したガスから湿度を捕捉し、その湿度を患者が呼吸するための呼吸可能なガス流れに送達するように構成された熱湿気交換器をさらに含む患者インターフェースである。
【0109】
一態様では、熱湿気交換器は、プレナムチャンバーの内面に設けられた熱湿気交換材料本体を含む。
【0110】
一形態では、患者インターフェースは、第1端と第2端とを有するチューブを含み、第1端はプレナムチャンバー入口ポートに流体接続され、第2端は接続ポートを含み、熱湿気交換器は、チューブ内に設けられた熱湿気交換材料本体を含む。
【0111】
一形態では、患者インターフェースは、使用時に患者インターフェースのプレナムチャンバーから離れた熱湿気交換器を含む。例えば、患者インターフェースは、熱湿気交換器とプレナムチャンバーとを流体接続する導管を含んでもよい。いくつかの形態では、患者インターフェースは、熱湿気交換器を含む熱湿気交換モジュールを含んでもよい。熱湿気交換モジュールは、換気口をさらに含んでもよい。
【0112】
本技術の一形態の一態様は、シール形成構造とプレナムチャンバーとを含み、これらは一体的に単一コンポーネントとして形成されている患者インターフェースである。
【0113】
一形態では、シール形成構造及びプレナムチャンバーは、同じ材料から形成されてもよい。
【0114】
別の形態では、シール形成構造及びプレナムチャンバーは、異なる材料から形成されてもよい。
【0115】
本技術の一形態の一態様は、少なくとも1つの粘着面を形成するためにシール形成構造に設けられた1つ又は複数の粘着テープ部分をさらに含む患者インターフェースである。
【0116】
本技術の一形態の一態様は、患者の鼻穴に係合し、呼吸可能なガス流れを患者の鼻穴内に送達するように構成された鼻プロングをさらに含む患者インターフェースである。
【0117】
一形態では、鼻プロングは、それぞれが患者の一方の鼻穴と係合するように構成された一対の鼻枕を含んでもよい。
【0118】
本技術の一形態の一態様は、シール形成構造を含む患者インターフェースであって、使用時に患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面をさらに含み、使用時に患者の顔に対する患者インターフェースの位置決めを容易にするように構成された位置決めガイド部材をさらに含む、患者インターフェースである。
【0119】
一形態では、位置決めガイド部材は、患者の顔に対向する凹状部を有する部材を含んでもよい。例えば、部材は、患者インターフェースが患者の顔に対して正確に位置決めされたときに鼻中隔に係合するように構成されたV字形部材を含んでもよい。
【0120】
一形態では、位置決めガイド部材はプレナムチャンバーの一部を形成してもよい。位置決めガイド部材は、患者が位置決めガイド部材との患者インターフェースをほとんど不快感なく長時間連続的に着用することを可能にする、柔らかく柔軟な材料で形成されてもよい。
【0121】
別の形態では、位置決めガイド部材は、プレナムチャンバーに着脱可能に設けられてもよい。位置決めガイド部材は、患者インターフェースを位置決めした後に患者インターフェースから取り外し可能である。
【0122】
本技術の一形態の一態様は、アプリケータをさらに含む患者インターフェースである。
【0123】
一形態では、アプリケータは、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーの前面に取り外し可能に取り付けられてもよい。アプリケータは、取り外される前に、患者インターフェースを患者の顔の治療上効果的な位置に配置するのを支援するように構成されてもよい。
【0124】
一形態では、アプリケータは、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーの前面に粘着されてもよい。
【0125】
一形態では、アプリケータの表面は、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーの前面に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0126】
別の形態では、アプリケータは、シール形成構造がシールを形成するように構成される患者の顔の領域を補完するような形状であってもよい。
【0127】
本技術の一形態の一態様は、粘着面に取り外し可能に取り付けられ、粘着面を覆う除去可能な層をさらに備える患者インターフェースである。
【0128】
一形態では、除去可能な層は、患者インターフェースが患者の顔シールと接触するように位置決めされる前に取り外されるように構成されてもよい。
【0129】
一形態では、除去可能な層は、除去可能な層が粘着面に取り付けられたときにシール形成構造の周囲を越えて延在するタブを含む。
【0130】
本技術の一形態の一態様は、シール形成構造を含む患者インターフェースであって、シール形成構造を保持するための1つ又は複数のタブをさらに含み、少なくとも1つのタブは、使用時に患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成され、1つ又は複数のタブは、患者に面する粘着面を有されない、シール形成構造を含む患者インターフェースである。
【0131】
特定の形態では、1つ又は複数のタブは、シール形成構造の周辺に配置される。例えば、1つ又は複数のタブは、開口部の第1側に位置する第1タブと、開口部の第2側に位置する第2タブとを含み、第1側は第2側と対向する。
【0132】
本技術の別の形態の態様は、シール形成構造を含む患者インターフェースであって、使用時に患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面をさらに含み、粘着面は、粘着面が伸びたときのように、粘着面の変形によって粘着面の粘着強度が低下するように構成される、患者インターフェースである。
【0133】
特定の形態では、シール形成構造は、シール形成構造を把持するための1つ又は複数のタブを含んでもよく、1つ又は複数のタブは、患者に面する粘着面を有さず、タブは、シール形成構造を変形(例えば、伸長)させ、粘着面の粘着強度を低下させるために引っ張られるように構成され、例えば、患者の顔からシール形成構造を取り外すように構成される。
【0134】
本技術の一形態の一態様は、1つ又は複数の形状保持具をさらに含む患者インターフェースである。形状保持具は、シール形成構造が患者の顔に粘着される前及び任意選択で使用時に、すなわちシール形成構造が患者の顔に粘着された後に、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーの形状の保持を容易にするように構成されてもよい。例えば、形状保持具は、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーの形状を、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーがしわになる、折れ曲がる、又は垂れ下がるのを防止するのに十分な程度に維持するのに役立ち、それによって患者が患者インターフェースを顔に固定するのを困難にする。
【0135】
特定の形態では、1つ又は複数の形状保持具は、シール形成構造が患者の顔に粘着された後、シール形成構造の形状を実質的に維持するように構成されてもよい。
【0136】
特定の形態では、シール形成構造は、1つ又は複数の形状保持具を含む。
【0137】
一形態では、形状保持具は、使用時に患者の顔とは反対側を向く側に配置されてもよい。
【0138】
特定の形態では、1つ又は複数の形状保持具は、細長い部材を含む。
【0139】
一形態では、形状保持具は、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーと同じ材料で作られてもよい。例えば、形状保持具は、シール形成構造及び/又はプレナムチャンバーと一体に形成されてもよい。
【0140】
別の形態では、形状保持具は1つ又は複数のタブを含んでもよい。
【0141】
一形態では、形状保持具は、患者インターフェースが患者の顔に位置すると、シール形成構造/プレナムチャンバーから取り外す、例えば除去するように構成されてもよい。特定の形態では、形状保持具はシール形成構造/プレナムチャンバーに比較的弱く粘着されてもよい。別の形態では、シシール形成構造体/プレナムチャンバーに特定の方向に力が加えられると、形状保持器がシール形成構造体/プレナムチャンバーから切り離されてもよい(例えば剥離する)。
【0142】
一形態では、形状保持具は、シール形成構造が異なる方向に伸長するよりも一方向に容易に伸長することができるように構成されてもよい。
【0143】
本技術の一形態の一態様は、呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースシステムである。患者インターフェースシステムは、患者インターフェースを含んでもよい。患者インターフェースは、周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーを含んでもよい。プレナムチャンバーは、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含んでもよい。患者インターフェースは、使用時にプレナムチャンバーに提供されるように構成された少なくとも1つのシール形成構造をさらに含んでもよい。少なくとも1つのシール形成構造の各々は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されてもよい。少なくとも1つのシール形成構造の各々は、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有してもよい。少なくとも1つのシール形成構造の各々は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。少なくとも1つのシール形成構造の各々は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つのシール面を含んでもよい。患者インターフェースはまた、患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバー内部から周囲へと流れることを可能にする換気構造を含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。患者インターフェースシステムは、患者インターフェースの少なくとも1つのシール形成構造の少なくとも1つのシール面に塗布するための粘着剤をさらに含んでもよい。
【0144】
特定の態様では、患者インターフェースは、患者インターフェースは、プレナムチャンバーの内部から周囲へガスの換気流れを拡散するように構成されたディフューザディフューザをさらに含んでもよい。
【0145】
本技術の一形態の一態様は、本技術のいずれか1つ又は複数の他の態様の患者インターフェースであり、空気が患者インターフェースに供給される前に、受け入れられた空気を排出するように構成された第2換気口をさらに含む。第2換気口は、患者インターフェース内の第1の通気口とは異なる位置にあってもよい。
【0146】
一形態では、患者インターフェースは、患者インターフェースに接続するように構成された第1端と、空気回路に接続するように構成された第2端とを含むチューブを含む。一形態では、第1換気口は、チューブの第1の端部又はその近傍に配置されてもよい。一形態では、第2換気口は、チューブの第2の端部又はその近傍に配置されてもよい。
【0147】
一形態では、粘着剤は流体であってもよい。
【0148】
本技術の一形態の一態様は、少なくとも1つのシール形成構造の少なくとも1つのシール面に提供するように構成された1つ又は複数の粘着テープ部分をさらに含む患者インターフェースシステムである。
【0149】
本技術の一形態の一態様は、第1シール面を含む第1シール形成構造をさらに含む患者インターフェースシステムである。第1シール面は、患者の顔の第1領域に粘着するように構成されてもよい。患者インターフェースシステムは、第2シール面を含む第2シール形成構造をさらに含んでもよい。第2シール面は、患者の顔の第2領域に粘着するように構成することができ、第1領域は第2領域とは異なる。
【0150】
一形態では、第1シール形成構造及び第2シール形成構造は、プレナムチャンバーに対して選択的に交換可能に設けられるように構成される。
【0151】
一形態では、第1シール面及び第2シール面は、患者の顔の第2領域が患者の顔の第1領域を取り囲むように構成される。
【0152】
一形態では、第1領域は、患者の顔の鼻翼縁、上唇の上部領域、及び任意選択で鼻柱を含む。
【0153】
一形態では、第2領域は、鼻翼、上唇の上部領域、及び鼻尖点を含む。
【0154】
本技術の一形態の一態様は、患者インターフェースを患者の顔の治療上有効な位置に位置決めするのを支援するように構成され得るアプリケータをさらに含む患者インターフェースシステムである。
【0155】
一形態では、アプリケータは、患者インターフェースが患者の顔の治療上有効な位置に配置された間、患者インターフェースを受け入れて保持するように構成された凹部を含む本体を含む。
【0156】
一形態では、アプリケータの本体は、シール形成構造がシールを形成するように構成される患者の顔の領域を補完する形状の表面を備え、この表面は、シール形成構造を支持するために凹部の周囲に設けられ、その間、患者インターフェースは患者の顔の治療上効果的な位置に置かれる。
【0157】
一形態では、アプリケータは、本体に設けられたグリップ部分を備え、グリップ部分は、患者インターフェースが患者の顔の治療上有効な位置に置かれている間、患者又は別の使用者によって保持されるように構成されている。
【0158】
一形態では、アプリケータは、除去前に患者の顔の治療上有効な位置に患者インターフェースを位置決めするのを支援するために、患者インターフェースの前面に取り外し可能に接続されるように構成される。
【0159】
一形態では、アプリケータは、粘着剤によって前面に取り外し可能に取り付けられる。
【0160】
別の形態では、アプリケータは前面に磁気的に結合されてもよい。
【0161】
一形態では、本体は、凹部から延在する2つのプロングを含み、これらのプロングは、患者インターフェースが患者の顔の治療上有効な位置に置かれている間に患者の鼻穴に挿入されるように構成される。
【0162】
本技術の一形態の一態様は、呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェースをカスタマイズする方法である。この方法は、患者インターフェースがシールを形成する患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域の形状及び/又はサイズを示すデータを受信することを含んでもよい。この方法はまた、予め形成された患者インターフェースアセンブリを選択することをさらに含んでもよい。予め形成された患者インターフェースアセンブリは、周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーを含んでもよい。プレナムチャンバーは、患者が呼吸するための治療圧力での呼吸可能なガス流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバー入口ポートを含んでもよい。予め形成された患者インターフェースアセンブリは、プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造をさらに含んでもよい。シール形成構造は、患者の顔の領域とシールを形成するように構成されてもよく、このシール形成構造は、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも1つの入口に送達されるように、その中に開口部を有し、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。シール形成構造は、ために患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含んでもよい。この方法は、患者の顔の領域を補完するためにシール形成構造を形成及び/又はサイズ変更することをさらに含み、患者の顔の領域の形状及び/又はサイズを示すデータに基づいて形成及び/又はサイズ変更を行うことができる。
【0163】
一形態では、予め形成された患者インターフェースアセンブリを選択することは、複数の予め形成された患者インターフェースから選択された予め形成された患者インターフェースを選択することを含み、複数の予め形成された患者インターフェースの各々は、異なる形状及び/又は大きさを有する。
【0164】
一形態では、シール形成構造を成形することは、シール形成構造を成形デバイスに挿入することを含む。
【0165】
一形態では、成形デバイスは熱成形デバイスであり、成形シール形成構造は、熱成形シール形成構造を含む。
【0166】
一形態では、この方法は、データを用いて成形デバイスの金型部分を形成することをさらに含む。
【0167】
一形態では、この方法は、患者の顔の領域をスキャンしてデータを生成することをさらに含む。
【0168】
本技術の一形態の一態様は、複数の患者インターフェースを製造するように構成された成形デバイスである。
【0169】
一形態では、成形デバイスは、材料のシート、例えばテープを受け入れるように構成され得、そこから患者インターフェースのための1つ以上のシール形成構造が切り取られるように構成される。
【0170】
一形態では、成形デバイスは、コアコンポーネントと相互作用してテープをシール形成構造の所望の形状に成形するように構成されたキャビティコンポーネントを含んでもよい。
【0171】
一形態では、キャビティコンポーネントとコアコンポーネントとは、成形プロセスで一緒にされるときにそれらの間にギャップを有するように構成される。一形態では、溶融オーバーモールド材料をギャップに注入して、シール形成構造上にプレナムチャンバーをオーバーモールドしてもよい。
【0172】
一形態では、成形機は、各患者インターフェースをテープから取り外すための切断デバイスを含んでもよい。
【0173】
本技術の一態様によれば、患者インターフェースが提供される。患者インターフェースは、周囲圧力よりも高い治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバーを含んでもよい。患者インターフェースはまた、プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造を含んでもよい。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されてもよい。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体にわたってプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。シール形成構造は、するために患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含んでもよい。患者インターフェースは、患者が呼吸するために周囲からプレナムチャンバー内部へのガス流れを可能にし、患者が呼気したガスがプレナムチャンバー内部から周囲へのガス流れを可能にする換気構造をさらに含んでもよい。換気構造は、使用時にプレナムチャンバー内に治療圧力を維持するように構成されてもよい。
【0174】
特定の態様では、換気構造は、患者が呼気したガス流れからプレナムチャンバー内に治療圧力を生成し、維持するように構成されてもよい。このような換気口は呼気抵抗弁と呼ばれることがあり、そのような換気口を使用する治療は呼気気道陽圧(EPAP)と呼ばれることがある。
【0175】
本発明の技術の一態様によれば、患者インターフェースが提供される。患者インターフェースはプレナムチャンバーを含んでもよい。患者インターフェースはまた、プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造を含んでもよい。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されてもよい。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着するように使用してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含んでもよい。患者インターフェースは、患者が呼吸するために周囲からプレナムチャンバー内部へのガス流れを可能にし、患者が呼気したガスがプレナムチャンバー内部から周囲へのガス流れを可能にする換気構造をさらに含んでもよい。患者インターフェースはまた、患者の呼吸の特徴及び/又は患者の健康及び/又は生理機能の他の特徴を検出するように構成されたセンサモジュールをさらに含んでもよい。
【0176】
特定の態様では、センサモジュールによって検出された患者の呼吸の特徴は、例えば閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のような呼吸状態を診断するなど、患者の医療状態を決定するために使用されてもよい。
【0177】
本発明の一態様によれば、患者インターフェースを含む呼吸診断システムが提供される。患者インターフェースはプレナムチャンバーを含んでもよい。患者インターフェースはまた、プレナムチャンバーに設けられたシール形成構造を含んでもよい。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成されてもよい。シール形成構造は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着してシールを形成するように構成された少なくとも1つの粘着面を含んでもよい。患者インターフェースは、患者が呼吸するために周囲からプレナムチャンバー内部へのガス流れを可能にし、患者が呼気したガスがプレナムチャンバー内部から周囲へのガス流れを可能にする換気構造をさらに含んでもよい。患者インターフェースはまた、患者の呼吸の特徴、及び/又は患者の健康及び/又は生理学的な他の特徴を検出するように構成されたセンサモジュールを含んでもよい。
【0178】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば、医療訓練を受けていない人、手先の器用さや視力が限られている人、又はこの種の医療機器の使用経験が限られている人によって使用される、使いやすい医療デバイスである。
【0179】
もちろん、態様の一部が本技術のサブ態様を形成してもよい。また、サブ態様及び/又は態様のうちの様々なものは、様々な方法で組み合わせることができ、本技術の追加の態様又はサブ態様を構成することもできる。
【0180】
技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面、及び特許請求の範囲に含まれる情報を考慮することによって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0181】
本技術は、限定としてではなく例として添付図面に示されており、同じ参照番号は以下を含む同様の要素を指す。
図1】RPTデバイス4000から陽圧空気供給を受ける患者インターフェース3000を着用した患者1000を含むシステムを示す。患者は横向きに寝ている。
図2A】鼻腔及び口腔、喉頭、声帯、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓及び横隔膜を含む人間の呼吸器系の概要を示す。
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道及び気管を含む人間の上気道の図を示す。
図2C】上唇、上唇紅、下唇、下唇紅、口幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝、及びケイリオンを含む、表面解剖学的構造のいくつかの特徴が確認された顔の正面図である。上方向、下方向、半径方向内側、半径方向外側も示されている。
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点、及び下耳底点を含む、特定された表面解剖学的構造のいくつかの特徴を有するヘッドの側面図である。上方向と下方向、前方向と後方向も表示されている。
図2E】ヘッドのさらなる側面図である。フランクフォート水平角と鼻唇角のおおよその位置が示されている。冠状面も示されている。
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻穴、鼻下、鼻柱、鼻尖点、鼻穴の長軸、及び正中矢状面を含む、いくつかの特徴が確認された鼻の底面図を示す。
図2G】鼻の表面特徴の側面図を示す。
図2H】側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起及び繊維脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
図2I】正中矢状面から数mm程度離れた鼻の内側の切開を示し、とりわけ、中隔軟骨及び大鼻翼軟骨の内側下腿を示している。
図2J】前頭骨、鼻骨及び頬骨を含む頭蓋骨の正面図を示す。上顎骨及び下顎骨と同様に、鼻甲介が示されている。
図2K】頭蓋骨の側面図と、頭の表面の輪郭及びいくつかの筋肉を示す。前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨、及び後頭骨などの骨格が示されている。オトガイ隆起が示されている。二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋が示されている。
図2L】鼻の前側面図を示す。
図3A】本技術の一形態による、患者の顔の鼻翼縁領域に粘着するように構成された患者インターフェースを示す。
図3B図3Aの患者インターフェースのシール形成構造の側面透視図(左)と、図3Aのシール形成構造が使用時に粘着される顔領域を示す鼻の側面透視図(右)を示す。
図3C図3Aの患者インターフェースのシール形成構造の正面透視図を示す。
図4A】本技術の一形態による患者の顔に固定された患者インターフェースの斜視図である。
図4B図4Aの患者インターフェースの側面図を示す。
図4C図4Aの患者インターフェースの正面図を示す。
図4D】使用時に図4Aのシール形成構造が粘着される顔領域を示す鼻の側面透視図である。
図5A】本技術の一形態による患者の顔の鼻翼折れ目領域に固定された患者インターフェースの斜視図である。
図5B図5Aの患者インターフェースのシール形成構造の正面図を示す。
図5C図5Aの患者インターフェースの背面図を示す。
図6】本技術の別の態様によるシール形成構造の断面図である。
図7】本技術の一形態による、患者インターフェースシステムの第1シール形成構造及び第2シール形成構造が粘着され得る領域を示す。
図8】本技術の別の形態による患者インターフェースの斜視図である。
図9A】本技術の別の形態による患者インターフェースの斜視図である。
図9B図9Aの患者インターフェースの分解図である。
図9C】患者の顔に位置する図9Aの患者インターフェースの正面図を示す。
図9D】シール形成構造が患者の顔に粘着されているときの図9Aの患者インターフェースの正面図を示す。
図10A】患者インターフェースシステムの分解図を示す。
図10B】本技術の別の形態による磁気結合構造を有する患者インターフェースシステムの分解図を示す。
図10C図10Bの患者インターフェースシステムのチューブ及び空気回路の分解図を示す。
図10D】組み立てられたときの図10Bの患者インターフェースシステムのチューブ及び空気回路の断面図を示す。
図10E図10Bの患者インターフェースシステムの空気回路が患者インターフェースから取り外された患者インターフェースを着用した患者の正面図を示す。
図10F】本技術の一形態による患者インターフェースを装着して横向きに寝ている患者の側面図を示す。
図11】本技術の一形態による熱湿気交換器を有する患者インターフェースの断面図を示す。
図12A】本技術の一形態による成形ツール及び患者インターフェースを示す図である。
図12B図12Aの患者インターフェースを示す。
図12C】本技術の別の形態による、複数の予め形成された患者インターフェースを示す。
図13A】本技術による患者インターフェースシステムの一形態を示す。患者インターフェースシステムは、シール形成構造を有する患者インターフェースと、シール形成構造を患者の顔に移すように構成されたアプリケータとを含む。
図13B】シール形成構造が患者の顔に移される前のシール形成構造及びアプリケータの配置を示す図である。
図13C】シール形成構造を患者の顔に移し、シール形成構造からアプリケータを解放する際のシール形成構造とアプリケータの配置を示す。
図14A】本技術の一形態による患者インターフェースシステムを示す図である。患者インターフェースシステムは、シール形成構造を有する患者インターフェースと、除去可能な層と、前層とを含む。
図14B】患者インターフェースが患者の顔に移されているときの、図14Aの患者インターフェースシステムのコンポーネントの配置を示す。
図14C】患者インターフェースを患者の顔に移した後の、図14Aの患者インターフェースシステムのコンポーネントの配置を示す図である。
図15A】除去可能な層を含む患者インターフェースの背面図、側面図、及び正面図を示す。
図15B】本技術の一形態による、延長部を有する前層を含む患者インターフェースの分解図を示す。
図15C】組み立てられたときの図15Bの患者インターフェースの斜視図を示す。
図16A】本技術の特定の形態に係るシール形成構造の平面図である。
図16B】本技術の特定の形態に係るシール形成構造の平面図である。
図16C】本技術の特定の形態に係るシール形成構造の平面図である。
図16D】本技術の特定の形態に係るシール形成構造の平面図である。
図16E】本技術の特定の形態に係るシール形成構造の平面図である。
図16F】本技術の特定の形態に係るシール形成構造の平面図である。
図17】本技術の一形態による患者インターフェース及びアプリケータの分解図である。
図18A】本技術によるアプリケータの他の形態を示す図である。
図18B】本技術によるアプリケータの他の形態を示す図である。
図18C】本技術によるアプリケータの他の形態を示す図である。
図19A】本技術の一形態による位置決めガイド部材を含む患者インターフェースの斜視図である。
図19B図19Aに示す患者インターフェースを位置決めした患者の正面図である。
図19C】本技術の別の形態による位置決めガイド部材を含む患者インターフェースの正面図である。
図19D図19Cに示す患者インターフェースの斜視図である。
図19E】本技術の別の形態による位置決めガイド部材を含む患者インターフェースの断面図である。
図20A】本技術の一形態による患者インターフェース及び空気回路の分解断面図である。
図20B】本技術の一形態によるシール形成構造の部分斜視図である。
図20C】本技術の一形態による患者インターフェース及び空気回路の分解詳細図である。
図20D】本技術の一形態によるアダプタの断面図である。
図20E】本技術の一形態によるアダプタの背面斜視図である。
図20F】本技術の一形態によるアダプタの正面斜視図である。
図21A】本技術の一形態に係る粘着テープの斜視図である。
図21B】本技術の一形態による射出成形ツール及び患者インターフェースブランクを示す図である。
図21C図21Bの射出成形ツールによる患者インターフェースブランクの成形を示す。
図21D図21Cの断面図を示す。
図22A】本技術の一形態による形状保持具を有する患者インターフェースの斜視図である。
図22B図22Aの患者インターフェースの底面透視図を示す。
図22C】端部に力が加えられたときの図22Aの患者インターフェースの上面図を示す。
図23A】本技術の一形態による成形機の斜視図を示す。
図23B】本技術の一形態による、図23Aの成形機が使用されているときのテープの拡大斜視図を示す。
図24A】技術の一形態によるテープの分解図を示す。
図24B図24Aのテープの一部の斜視図を示す。
図25A】本技術の一形態による患者インターフェースを形成するための製造プロセスの一ステップを示す。
図25B】本技術の一形態による患者インターフェースを形成するための製造プロセスの別のステップを示す。
図25C】本技術の一形態による患者インターフェースを形成するための製造プロセスの別のステップを示す。
図25D】本技術の一形態による患者インターフェースを形成するための製造プロセスの別のステップを示す。
図25E】本技術の一形態による患者インターフェースを形成するための製造プロセスの別のステップを示す。
図26】本技術の一形態による患者インターフェースの正面図を示す。
図27】本技術の一形態による粘着シール形成構造の一部の分解断面図を示す。
図28】本技術の一形態によるスプリットベントを備える呼吸療法システムの斜視図を示す。
図29】本技術の一形態による患者インターフェースシステムの斜視図を示す。
図30】本技術の一形態による患者インターフェース及び呼気抵抗モジュールの斜視図を示す。
図31】本技術の一形態による患者インターフェース及びセンサモジュールの斜視図を示す。
図32】本技術の一形態による呼吸療法システムの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0182】
本技術をさらに詳細に説明する前に、本技術は本明細書に記載の特定の例に限定されず、変更される可能性があることを理解されたい。また、本開示で使用される用語は、本明細書で説明される特定の例のみを説明することを目的としたものであり、限定することを意図したものではないことも理解されたい。
【0183】
以下の説明は、1つ又は複数の共通の特徴及び/又は特徴を共有することができる様々な例に関連して提供される。任意の1つの例の1つ以上の特徴は、別の例の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。加えて、任意の例における任意の単一の特徴又は特徴の組み合わせがさらなる例を構成し得る。
【0184】
[4.1治療法]
一形態では、本技術は、患者1000の気道の入口に陽圧を加えることを含む呼吸障害を治療するための方法を含む。
【0185】
本技術の特定の例では、陽圧空気供給は、一方又は両方の鼻穴を介して患者の鼻腔に供給される。
【0186】
本技術の特定の例では、口呼吸は制限され、拘束され、又は阻止される。
【0187】
[4.2呼吸療法システム]
一形態では、図1に示すように、本技術は、呼吸障害を治療するための呼吸療法システム2000を含む。呼吸療法システム2000は、空気回路4170及び患者インターフェース3000を介して患者1000に空気の流れを供給するRPTデバイス4000を含んでもよい。
【0188】
図1に示す技術の形態では、RPTデバイス4000は持ち運び可能であり、例えば患者の衣服に取り付けて患者1000が持ち運ぶことができる。本技術の代替形態(図示せず)では、RPTデバイスは、使用時に近くの表面、例えばベッドサイドテーブル上に置かれるように構成された従来のRPTデバイスであってもよい。
【0189】
さらに、呼吸療法システム2000は、患者に送達される空気又はガスの絶対湿度を周囲空気と比較して変更するための加湿器(図示せず)を含んでもよい。一般的に、加湿器は、患者の気道に送達される前に絶対湿度を高め、空気の流れの温度(周囲空気と比較して)を高めるために使用される。
【0190】
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、以下により詳細に説明されるように、熱湿気交換器3700を含んでもよい。
【0191】
[4.3患者インターフェース]
図3A~8、10A~18C、20A~22C、及び26~32は、患者インターフェース3000(又はその一部)を提供する技術の形態を示しており、患者インターフェース3000は患者1000の鼻穴内に延在していない。図9A~9Dに示す技術の形態では、患者インターフェース3000は、鼻穴に係合する、及び/又は鼻穴内に延在する鼻プロングを含む。これらのタイプの患者インターフェースについては、以下の段落でより詳細に説明する。
【0192】
例えば図3Aに示すように、本技術の一態様によれば、患者インターフェース3000は、シール形成構造3100と、プレナムチャンバー3200と、空気回路4170に接続するための接続ポート3600と、を含む。
【0193】
いくつかの形態では、機能的態様は、1つ又は複数の物理コンポーネントによって提供されてもよい。いくつかの形態では、1つの物理コンポーネントは、1つ又は複数の機能的態様を提供してもよい。使用時には、シール形成構造3100は、患者の気道1000の入口に陽圧を維持するために、患者の気道の入口(複数可)を取り囲むように配置される。したがって、密封された患者インターフェース3000は、陽圧治療の送達に適している。
【0194】
プレナムチャンバー3200は、異なるコンポーネント、例えば、異なるサイズ及び/又は形状のコンポーネントと交換できるという意味で、1つ又は複数のモジュール式コンポーネントで形成されてもよい。
【0195】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を気道に快適に供給できない場合、その患者インターフェースは呼吸圧治療に適さない可能性がある。
【0196】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmHOの陽圧で空気供給を提供することができるように構築及び配置されている。
【0197】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmHOの陽圧で空気供給を提供することができるように構築及び配置されている。
【0198】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmHOの陽圧で空気供給を提供することができるように構築及び配置されている。
【0199】
[4.3.1シール形成構造]
本技術の一形態では、患者インターフェース3000は、患者の顔の領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造3100を含む。これにより、シール形成構造3100は、プレナムチャンバー3200を患者の顔に対してシール係合状態に固定するように構成される。シール形成構造3100は、呼吸可能なガス流れが患者の鼻穴の少なくとも入口に送達されることを可能にする開口部3110を形成してもよい。
【0200】
本技術の一形態では、シール形成構造3100は、ターゲットシール形成領域を提供する。ターゲットシール形成領域は、シール形成構造3100上のシールが行われる可能性のある領域である。実際にシーリングが行われる領域、すなわち実際のシーリング表面は、例えば、患者インターフェースが顔に配置される位置及び患者の顔の形状を含む一連の要因に応じて、所与の処置中に患者と患者との間で日ごとに変化することがある。
【0201】
本技術の特定の形態のシール形成構造3100は、粘着剤によって患者の顔の1つ又は複数の領域に粘着されて、患者の気道の1つ又は複数の入口を取り囲む患者の顔の領域とシールを形成するように構成される。例えば、図3A図32のシール形成構造3100は、患者1000の鼻気道をシールするようにそれぞれ構成されている。しかしながら、本技術の代替形態(図示せず)では、シール形成構造は、患者1000の口の周りをシールするように構成されてもよい。シール形成構造は、患者1000の鼻気道及び口の両方とシールするように構成することもできる。
【0202】
シール形成構造3100を粘着剤で患者の顔に取り付けることにより、高気密シールの形成が可能になる。粘着剤ベースのシールは、ヘッドギアを介して顔に保持される従来の圧縮シールよりもはるかに漏れを少なくすることができることがわかってきた。その理由の1つは、患者の顔に粘着されるシール形成構造3100が患者の顔に合わせて動的に変形できるほど十分に柔軟である形態では、患者の顔又は皮膚が動いてもシールが維持されることである。このような動きにより、従来の圧縮シールでは漏れが発生する可能性がある。特に、顔の形状は、患者が直立姿勢から横たわった姿勢に移動するとき、また、横たわった姿勢の間(例えば、仰向け(仰臥位)、正面(うつ伏せ)、又は横向き)に移動するときに特に変化する可能性がある。
【0203】
高品質のシールは、必要な圧力を患者インターフェースで維持することができるので、陽圧呼吸療法の有効性を向上させることができる。さらに、高品質のシールは、患者インターフェース3000内の呼吸可能ガスの圧力を維持するためにRPTデバイス4000が消費する総電力を低減する。この電力要件の削減は、ポータブルRPTデバイスなど、比較的低電力で動作するRPTデバイスを使用できることを意味する。これにより、患者が旅行中など自宅外の状況で治療を受けやすくなる。また、電力要件の削減により、RPTデバイス4000のコストと複雑さが軽減される可能性がある。
【0204】
従来の圧縮シールでは、快適さと漏れの間にはトレードオフの関係がある。患者インターフェースを顔に保持する保持力が大きくなると(通常、ヘッドギアストラップの引っ張りによって加えられる)、漏れのリスクは軽減されるが、患者インターフェースの着用感が低下し、患者の顔に跡が残る可能性が高くなる。乳児や子供の場合、ヘッドギアを長時間使用する、と顔や頭蓋骨に変形が生じる可能性があり、非常に重大な結果をもたらす可能性がある。
【0205】
一方、保持力が低すぎると、特に高い治療圧力下で漏れが発生する。さらに、これらの考慮事項のバランスを適切に保つ干渉のレベルは、特定の患者インターフェースのシールの周囲で異なる可能性があり、個人の顔の形状の違いにより患者ごとに異なる場合もある。粘着剤ベースのシールは、特にシール形成構造が十分に柔軟であり、シール形成構造の周囲で皮膚に安定した保持力で粘着されている場合には、シールが患者の顔の形状により効果的に追従することができるので、これらの困難を回避することができる。
【0206】
漏れを防止することは、酸素療法において、特に酸素の供給が非常に不足している国、地域、又は期間において有利である。
【0207】
さらに、ヘッドギアがないため、患者の快適性が大幅に向上する。これにより、患者1000は、快適な患者インターフェース3000を調整しないか、又は他の方法で動かす傾向があるので、呼吸療法の全体的な効果を高めることができる。
【0208】
特に、子供や乳児は通常、大人よりも不快感に対する許容度が低い。その結果、使用中にヘッドギアを外したり、外そうと繰り返し試みたりする傾向がある。使用時に患者のヘッドギアとのインターフェースが外れたり、繰り返し干渉を受けたりすると、治療や治療の効果に著しい影響を及ぼす可能性がある。本明細書に記載された技術の形態のシール形成構造3100は、ヘッドギアと比較してより快適で、したがってより効果的なシールを提供する。さらに、シール形成構造3100を有する患者インターフェース3000は、ヘッドギアの使用が不要になり、それによってヘッドギアが頭蓋骨に加える力がなくなるので、子供や幼児に呼吸療法を施すためのより安全な手段を提供する。
【0209】
また、シール形成構造3100を粘着剤を用いて患者の顔に取り付けると、他のタイプの患者インターフェースで経験されるよりも患者の鼻穴の閉塞が少なくなることが観察されている。説明されるように、後述するように、本技術の例示的な形態のシール形成構造3100は、患者の鼻の鼻翼縁の周囲に粘着するように構成されている。これは、実質的に鼻穴領域全体が入ってくるガスを受け入れることができることを意味するさらに、シール形成構造3100が患者の顔に合わせて屈曲できる技術の形態では、入ってくる加圧ガスの結果として鼻が自由にわずかに膨らみ、鼻穴の面積がさらに増加する。これらの効果により、本明細書に記載の技術の形態による患者インターフェース3000を使用する場合、従来のいくつかの患者インターフェースと比較して、患者の呼吸が容易になる。例えば、圧縮シールを使用する患者インターフェースは、鼻穴を内側に押して、鼻穴を外側に拡張しにくくすることができ、一部の患者インターフェースは、鼻穴の内面と外面の両方が加圧プレナムチャンバーに収まるように構成される。これは、鼻の内面と外面の間に圧力差がないため、バルーニング効果が発生しないことを意味する。対照的に、本明細書に記載された技術のいくつかの形態は、鼻穴の内面と外面との間に圧力差が生じるように鼻翼縁の周囲にシールを形成し、このバルーニング効果を可能にする。このような利点は、鼻穴狭窄の患者に特に顕著である可能性がある。
【0210】
[4.3.1.1粘着面]
シール形成構造3100は、粘着剤によって患者の顔に対して治療上有効な位置に固定されるように構成される。本技術のいくつかの形態では、シール形成構造は、1つ又は複数の粘着剤に加えて、真空誘起アタッチメントによって患者の顔に粘着するように構成されてもよい。
【0211】
一形態では、シール形成構造3100は、少なくとも1つの粘着面3102を有する領域を含む。例示的な粘着面3102が、本技術の一形態で図5Cに示されている。
【0212】
粘着剤は粘着面3102に塗布され、使用中、粘着面3102は患者の顔に接触し、その結果、粘着剤はシール形成構造3100の粘着面3102を患者の顔に粘着する。
【0213】
本技術の特定の形態では、シール形成構造3100は、粘着面3102の形状が、シール形成構造3100が使用時に取り付けられる患者の顔の領域の形状に実質的に一致するか又は類似するように構成される。後でより詳細に説明するように、特定の形態では、シール形成構造3100は、特定の患者の顔の領域の形状に実質的に一致する/類似するように構成されてもよく、すなわち、シール形成構造3100は、個々の患者に合わせてカスタマイズされてもよい。本明細書に記載されるタイプの患者インターフェース3000におけるシール形成構造3100をカスタマイズすることは、他のタイプの患者インターフェースの場合よりも商業的に実行可能である可能性がある。なぜなら、シール形成構造3100の設置面積が小さいため、シール形成構造3100は比較的小さなコンポーネントとなり、シール形成構造3100は、粘着テープなどの平らな材料片から切り出すことができ、個々の患者の相対的な製造コストを削減することができる。あるいは、シール形成構造3100は、一般的な顔の適切な対象領域の形状又は群集のサブグループの一般的な顔の形状を実質的に補完する形状(例えば、顔の形状の大きさ又は種類に基づく)を有するように構成されてもよい。あるいは、シール形成構造3100は、シール形成構造3100が使用時に着用される患者の顔の領域の形状を採用することができるように、シール形成構造3100を十分に可撓性を有する材料及び形状で形成されてもよい。
【0214】
シール形成構造3100及び/又は粘着面3102は、シール形成構造3100が粘着される患者の顔の領域に実質的に一致するように、又は同様に形成されているか、又は変形するのに十分に柔軟であることの利点の1つは、患者インターフェース3000の使用時に粘着面3102が下の皮膚を引っ張ることを回避することである。これにより、皮膚にせん断応力を及ぼす粘着剤によって発生する不均一な応力が排除され、患者の快適さが大幅に向上する。
【0215】
さらに、粘着剤は顔全体にわたって横方向に皮膚を引っ張る力を及ぼさないため、シール形成構造3100を患者の顔に固定するのに必要な粘着力を提供する粘着剤の量が、そうでない場合に必要となる粘着剤の量よりも少なくて済む場合もある。
【0216】
粘着剤が塗布されるシール形成構造体3100の領域は、ターゲットシール形成領域とみなされてもよい。一形態では、粘着剤はシール形成構造3100の外縁の周囲のリング状領域上に配置され、リング状領域は開口部3110を完全に取り囲む。これにより、患者の顔上のシール形成構造3100の設置面積を最小限に抑えることができ、それによって、患者インターフェース3000のかさばり、及び患者1000に対するその不便さを軽減することができる。
【0217】
シール形成構造3100が近接していること、及び皮膚の表面に粘着剤が存在することにより、下にある皮膚からの汗が蓄積し、及び/又は粘着剤と相互作用する可能性がある。睡眠中など、患者インターフェース3000が長時間着用される場合には、汗の蓄積は不都合である可能性がある。したがって、ターゲットシール形成領域の面積及び/又はシール形成構造3100によって覆われる面積が小さいほど、患者1000に与える不都合は小さくなる。
【0218】
[4.3.1.2患者の顔の領域]
シール形成構造は、使用時にシールを形成し、患者の顔の領域は、鼻穴及び/又は口の周りなど、患者の気道の入口を取り囲む。
【0219】
技術の特定の形態によるシール形成構造3100が使用中に患者の顔のどの領域に取り付けられるように構成され得るかを決定する際には、いくつかの考慮事項がある。
【0220】
1つの要因は、シール形成構造3100が患者の顔上に設置される面積が小さいことが望ましいことである。設置面積が大きいほど、患者インターフェース3000はより目立つ。患者インターフェース3000が大きな設置面積を占めると、閉所恐怖症や不快感を引き起こす可能性がある。設置面積が小さいということは、通常、患者インターフェース3000が小さくなることも意味し、使用する材料が少なくなり、その結果、製造コストが安くなる。
【0221】
同様に、粘着面3102とその下の皮膚との間の粘着面積が小さいほど、付着したシール形成構造3100に反応する可能性がある皮膚の面積が小さく、粘着剤によって異なる方向に引っ張られることができる皮膚の面積が小さいので、患者への快適性が良好である。
【0222】
さらに、シール形成構造3100の設置面積が小さいということは、通常、患者インターフェースが小さくなり、その結果、プレナムチャンバーが小さくなることを意味するため、これは、プレナムチャンバー3200内の空気の圧力が作用する面積が小さくなることに対応する。任意の所与の圧力に対して、面積が小さいことにより、患者インターフェース3000を患者の顔から押し出すために作用する力が減少する。したがって、設置面積が小さいことは、粘着剤が患者の顔に患者インターフェース3000を保持するためにそれほど強固である必要がないことを意味する。
【0223】
比較的小さい設置面積を有するシール形成構造3100を有することの別の利点は、やはり、これは通常、より小さい患者インターフェース3000を意味するので、患者インターフェース3000が患者の顔からあまりにも遠くに突出する傾向がないことである。これにより、患者インターフェース3000と枕カバー、カウンターガラスなどの周囲の物体との間の摩擦相互作用の可能性が排除又は低減される。患者1000が眠っているとき、患者の顔の特定の領域は周囲の物体と接触する可能性がより高い。そのような領域には、頬、顎、鼻尖点、及び患者の顔のその他の顕著な特徴が含まれる。患者インターフェース3000が患者の顔のそれらの領域から大きく突き出ている場合、シール形成構造3100が皮膚からわずかに又は完全に剥がれる可能性が高い。特に、患者インターフェース3000が長時間の睡眠のために着用される場合には、このようになる。
【0224】
顔の特定の領域は、患者1000が体位を変えるとき、例えば、直立して座っている状態から横たわった状態、又は以下のいずれかの横たわった状態の間で形状が大きく変化する傾向がある:仰向け、うつぶせ、横に横たわる。これは、患者の皮膚や筋肉に作用する重力のかかり方が場所によって異なり、その結果、下の骨構造に対して異なる動き方をするからである。シール形成構造3100は、患者インターフェース3000が着用されたときに、下側の顔領域の形状変化により、粘着面3102が形状変化に適合するように伸長されるか、又は下側の皮膚から離れることになるので、患者の体の位置の変化に伴ってより大きな形状変化が生じる領域を回避し、より大きな快適性を提供する。粘着面3102及び/又はシール形成構造が伸長すると、復元力が下の皮膚に作用し、患者1000に不快感を与える。シール形成構造3100が患者の顔から外れると、無効なシールが生じ、それによって無効な呼吸療法が生じる可能性がある。
【0225】
顔の一部の領域では、特に男性の場合、他の領域よりもひげが多くなる傾向がある。粘着面3102が主に毛のない部分に付着するように構成されたシール形成構造体3100は、脱毛による痛みを引き起こすことなくシール形成構造体の適用及び除去を可能にする。顔の毛を引っ張ることによる痛みは、患者が呼吸治療を続けるのを妨げる可能性がある。したがって、患者の顔の毛のない、又は毛の少ない領域に粘着されるシール形成構造が有利である。
【0226】
上記の要因に加えて、シール形成構造3100の形状を考慮すると、シール形成構造3100が患者の顔に取り付けられる領域も要因の1つであり、個々の患者のためにカスタマイズされるのではなく、人の群れの多くのメンバーに適合することができる。複数のグループメンバーが効果的に使用することができる患者インターフェースを形成することは、規模の経済が可能になり、製造コストが削減される可能性がある。
【0227】
この考察に基づいて、集団のメンバー間での顔のさまざまな領域の変動の範囲を理解するために広範な分析が行われてきた。特に、多くの人々の気道周囲の領域の3D顔スキャンの主成分分析(PCA)が実施された。この分析により、気道周囲の顔の特定の領域は、他の領域とは対照的に、集団全体でより程度の差はあることが判明したことが特定された。
【0228】
本技術の特定の形態では、シール形成構造3100の形状は、使用時に形状の相対的な変化が少ない顔領域に取り付けられるように構成される。以下のセクションでは、分析に適していると判断された表面領域、及びこれらの領域をシールするのに特に適している技術の特定の形態のシール形成構造の形状を説明する。
【0229】
一般に、上記の要因を考慮すると、特定の形態の技術に粘着するのに適していると認識されるシール形成構造3100の顔領域は、鼻穴に隣接する領域、例えば、鼻穴に隣接する領域である。これらの領域は、一般に、鼻翼の下向き面と、上唇の上部領域、例えば、上唇の最上部領域である。
【0230】
本技術の一形態では、図3A図3Cに示すように、シール形成構造3100は鼻穴のすぐ周囲の患者の顔の領域に粘着するように構成される。これらの領域は、図3Bの右側の非ハッシュ領域によって示されてり、鼻翼縁領域3141(すなわち、鼻穴に直接隣接しており、概して下向きである可能性がある鼻翼の領域)、鼻下点及び/又は鼻下点に隣接する領域を含んでもよい上唇3142の最上部領域、例えば鼻尖点3143に隣接する鼻の前部領域を含む。横方向において、シール形成構造3100は、鼻翼頂上点よりわずかに下の領域3144、例えば鼻翼頂上点と鼻唇溝との間の接合部のすぐ内側の領域まで延在する。図示された技術の形態では、シール形成構造3100は鼻翼側領域の顕著な部分には粘着されていないが、一部の形態では、又は一部の面では、鼻翼側領域の下部領域に粘着されていてもよい。また、図3A~Cのシール形成構造3100は、鼻尖点には粘着されていない。
【0231】
図3A~3Cに示された技術の形態では、シール形成構造3100が粘着される患者の顔の領域は、患者の2つの鼻穴を完全に取り囲むバンドである。バンドの幅は、バンドの周囲の幅がほぼ一定であってもよい。
【0232】
図3A~3Cに示す技術形態のシール形成構造3100によって覆われた顔領域は、主に軟骨及び骨を含み、頬又は顎領域と比較して脂肪組織が比較的少ないので、患者1000がその位置を変えても、実質的にはその形状が変化しないことが見出された。この顔領域も、一般的には、顔の毛がないか、又は非常に少ない(例えば、一部の顔の毛は、上唇3142の最上部領域上に存在することができる)。この領域に粘着するシール形成構造3100は、上唇に毛がある患者1000にとって特に有利であり得る。
【0233】
また、図3A~3Cに示す技術の形態のシール形成構造3100によって覆われた顔領域は、代表的な集団サンプル中の患者(様々な人種の患者を含む)の間で比較的小さい形状変化を有することが分かった。
【0234】
また、この領域(鼻翼縁領域と呼ぶこともできる)は、鼻穴を直接囲むため、サイズが小さい。
【0235】
別の実施形態では、図4A~4Dに示すように、シール形成構造3100は、図3Bに示す領域よりも高く延在し、鼻翼の側部領域を含む顔領域に粘着するように構成される。いくつかの形態では、シール形成構造3100は、鼻翼の側部領域に粘着するように構成されており、使用時に鼻翼と鼻唇溝との間の領域など、鼻翼頂上点3145に隣接する頬領域に粘着するのに十分な距離だけ半径方向外方に延在することもできる。このシール形成構造3100は、図3A図3Cのシール形成構造が粘着される面の領域にも粘着されていてもよい。図3A図3Cのシール形成構造と比較して、図4A図4Dのシール形成構造の粘着面積を大きくすることにより、粘着量が向上し、漏れが少なくなるが、患者に不快感を与える可能性が高い。
【0236】
別の例示的な形態では、図5A~5Cに示すように、シール形成構造3100は、図3A~3C及び4A~4Dのシール形成構造が貼り付けられた領域よりも大きい患者の顔の領域に貼り付けられるように構成される。この形態では、シール形成構造が鼻翼折れ目領域まで上方向に延在する領域、すなわち、シール形成構造が患者の顔に粘着されたときに、シール形成構造の最上部が患者の鼻翼折れ目に粘着される。このような形態のシール形成構造3100は、上唇の大部分に追加的に又は代替的に粘着することができる。さらに、このような形態のシール形成構造3100は、鼻尖点鼻領域に追加的に又は代替的に粘着することができ、この領域は、鼻尖点よりも直接的に優れた点を含んでもよい。横方向において、この形態のシール形成構造3100は、鼻翼と鼻唇溝との間の領域を含む、鼻翼に隣接する患者の頬の領域に粘着され、シール形成構造3100は、使用時に鼻翼を完全に覆うことができる。このシール形成構造3100は、図3A図3C及び/又は図4A図4Dのシール形成構造が粘着される面の領域にも粘着されてもよい。あるいは、図3A図3C及び/又は図4A図4Dのシール形成構造が粘着される一部の領域に比べて、図5A図5Cのシール形成構造が鼻穴から半径方向外方に位置する一部の領域に粘着されるように構成されてもよい。
【0237】
本技術の特定の形態、例えば図7に示す技術形態では、シール形成構造3100は、鼻柱に粘着するように構成されてもよい。例えば、シール形成構造3100は、シール形成構造3100の半径方向に対向する2つの領域の間に延在する鼻中隔領域3132を含み、鼻中隔領域3132は、使用時に鼻柱に粘着するように構成されていてもよい。
【0238】
[4.3.1.3患者の顔の領域に基づく粘着強度]
シール形成構造3100が取り除かれると、顔の一部の領域は、他の領域よりも粘着剤及び/又は皮膚の引っ張りに起因する外傷に対して敏感である可能性がある。特定の形態では、シール形成構造3100の特定部分が粘着されるように構成された表面の特定領域に応じて粘着強度が異なる粘着面領域を有するシール形成構造3100が提供される。
【0239】
患者の顔の敏感な部分の全部又は大部分を避けながら気密シールすることはできない場合がある。粘着面3102上の異なる粘着強度を有するシール形成構造3100は、シール形成構造3100を患者の顔の比較的敏感でない領域に比較的強固に粘着し、比較的小さな粘着強度で顔の比較的敏感な領域に粘着することを可能にする。このような配置の利点は、より敏感な部位での急性皮膚外傷を回避しつつ、効果的なシールをもたらす負荷を患者の顔の比較的敏感でない部位で負担することができることである。
【0240】
同様に、顔の特定の領域は、他の領域よりも効果的なシールを達成することが困難である。例えば、唇の上部のような領域は、頬のような比較的平坦で毛の少ない領域に比べて、ここで人間の輪郭及び顔の毛が生える傾向があるため、シール形成構造3100にとって効果的なシールを形成することがより困難である。これにより、粘着強度を大きくすることで、よりシールが困難な領域でのシールをより効率的に行う上で有利となる。これにより、シール形成構造3100のうち、比較的シールが困難な領域に粘着するように構成された部分の粘着面を、シール形成構造3100の他の部分をシールする粘着剤よりも粘着強度を大きくすることができる。
【0241】
鼻翼折れ目は、効果的なシールを形成することが困難な患者の顔の領域であり(領域の輪郭のため)、敏感な領域でもある。これにより、シール形成構造3100の鼻翼折れ目がシールされている部分の粘着強度を選択することができ、有効なシールをバランスよく形成することができるが、シール形成構造3100の繰り返し適用及び除去による皮膚への外傷を低減することができる。
【0242】
患者の顔の特定の領域は、効果的なシールを形成するのに適している場合があり、その結果、シール形成構造3100のこれらの領域に接触する部分は、低い粘着強度を必要とする場合がある。このような領域の例としては、鼻の側面に位置する患者の顔の領域及び頬領域が挙げられる。これらの領域とシールを形成するように構成されたシール形成構造3100の部分の粘着強度は、有効なシールをもたらすのに十分な大きさであってもよいし、他の領域における低い粘着強度を補償するのに必要な大きさよりも高い大きさであってもよい。
【0243】
特定の形態では、シール形成構造3100の粘着面3102の領域には、他の領域と比較してその領域でより強力な粘着剤を使用することによって、より大きな粘着強度を与えることができる。代替的に又は追加的に、別の形態では、シール形成構造3100の領域のより大きな粘着強度は、より多量の粘着剤、例えば同じ粘着剤を塗布することによって提供され得る。他の形態では、シール形成構造3100の異なる領域間の粘着強度を変化させる別の態様が提供される。
【0244】
[4.3.1.4シール形成構造の例示的な形状]
図16A図16Fは、本技術の特定の形態の例示的なシール形成構造3100を示しており、図4Dに示され、上述したような突出領域に粘着するように形成されている。
【0245】
[4.3.1.4.1シール形成構造の一般形状]
図16に示すシール形成構造3100は、中間に開口部3110を有するシート状の材料で形成されている。シール形成構造3100の形態は、ステム部3178と、2つのコーナー部3176と、2つの肩部3174と、頂点部3172とを含む。図16に示すように、コーナー部3176は、ステム部3178の両端に位置しており、肩部3174は、各コーナー部3176と頂点部3172とを接続している。図16に示すシール形成構造3100の各々は、頂点部3172とステム部3178との中間を通る軸線を中心とする反射対称性を有している。このシャフトは、使用時に患者の中矢状面に位置決めされるように設計されている。
【0246】
ステム部3178は、その半径方向外側の中間部に凹状凹部3180を含み、半径方向内側の中間部に凸状突起3182を含むように、一部の形態では実質的に直線であってもよいが、他の形態では半径方向内側に円弧状であってもよい。凹部3180及び突起3182は、一般に円形であってもよい。
【0247】
コーナー部3176は、典型的には三角形の形状とすることができ、各コーナー部3176は、ステム部3178の凹部3180と同じ側に位置するシール形成構造3100の半径方向外側のエッジ3184を含んでもよい。エッジ3184は、角度付けされたエッジ3184とステム部分3178の凹部3180との間に鈍角3186を形成するように角度付けされてもよい。
【0248】
頂部3172は、半径方向内側に凹状凹部3188を有し、半径方向外側に凸状突起3190を有していてもよい。凹部3188及び突起3190は、一般に円形であってもよい。
【0249】
肩部3174は、半径方向外側エッジ上に凸状突起を有し、半径方向内側エッジ上に溝を有するように、半径方向外側エッジ及び/又は半径方向内側エッジを半径方向外側に円弧状に有することができる。
【0250】
図16A~16Fに示す技術の形態では、シール形成構造3100は、一般にD字形バンドの形態を有する。本技術の他の形態では、シートから形成されたシール形成構造3100は、上記の部分のうちの1つ又は複数を含んでもよいが、形状が異なることがある。
【0251】
図16に示すシール形成構造は、例えば図4Dの輪郭領域に示すように、使用時に面に貼り付けるように構成される。例えば、使用時に、頂点部3172は、鼻尖点の下方に位置する鼻の前部領域に粘着するように構成され、肩部3174は、鼻翼の下方領域に粘着するように構成され、コーナー部分3176は、鼻翼折れ目領域、例えば、鼻翼折れ目及び/又は鼻翼の横方向外側領域及び/又は鼻翼折れ目に隣接する頬領域に粘着するように構成され、ステム部分3178は、上唇の上部領域に粘着するように構成される。
【0252】
[4.3.1.4.2シール形成構造の形状変化]
図16A~16Fは、複数の形状及び/又は大きさを有するシール形成構造3100を示している。本明細書で説明されるタイプの患者インターフェース3000は、患者インターフェース3000のプレナムチャンバー3200に交換可能に接続され得るマルチシール形成構造3100のうちのいずれか1つが患者インターフェースの一部として使用され得るように構成され得る。このようにして、患者は、適合性及び快適性の観点などから、自分のニーズに最適な形状及び寸法を有するシール形成構造3100を選択することができる。
【0253】
図16A~16Fに示すシール形成構造3100の形状の範囲は、これらの形状の少なくとも1つが所与の患者集団のほとんどの患者に適合するように選択されてもよい。これは、患者インターフェースが、図16A~16Fに示された6つの例示的な形態のような、個別の数のシール形成構造3100の一般的な形状及び寸法の良好なレベルのみを提供するように構成され得ることを意味する。個別の数のシール形成構造3100のみを製造することにより(個々の患者に適合するようにシール形成構造をカスタマイズする場合と比較して)、製造及び供給においてコスト効率を提供することができる。本技術の他の形態では、シール形成構造3100の異なる数の異なる形状及び寸法が提供されてもよいことを理解されたい。提供されるシール形成構造3100の数が多いほど、個々の患者が非常に効果的に適合するシール形成構造を見つける可能性が高くなるが、製造され提供される構造の異なる形状が多くなる。本技術の他の形態では、シール形成構造3100は、個々の患者のためにカスタマイズすることができる。
【0254】
図16A~16Fにはシール形成構造3100の形状が示されており、一般的な形状及び大きさの患者の顔の対象領域に適合すると考えられるシール形成構造3100の特定の形状及び大きさを採用し、鼻領域の形状及び大きさに関するPCAから決定されたシール形成構造の1つ又は複数の主要なコンポーネントの変化に基づいて形状及び大きさを変化させることによって識別される。例えば、図16に示すシール形成構造3100を生成するためのPCAでは、対象シール領域(図4Dに示す)の3つの主成分がグループメンバーの間で変化していると判断され、これら3つの主成分のそれぞれを独立して変化させることにより、図16に示すシール形成構造3100の異なる形状・寸法が生成される。より具体的には、図16A及び16Bは、第1主成分をマイナス3標準偏差(図16A)及びプラス3標準偏差(図16B)だけ変化させることによって生成される。図16C及び16Dは、第2主成分をマイナス3標準偏差(図16C)及びプラス3標準偏差(図16D)だけ変化させることによって生成される。図16E及び16Fは、第3主成分をマイナス3標準偏差(図16E)及びプラス3標準偏差(図16F)だけ変化させることによって生成される。
【0255】
PCAにおいて決定された主成分は、必ずしも領域の大きさ/形状の特定の特徴又は属性と等価ではないことが理解されるべきである。しかしながら、第1主成分は典型的にはターゲットシール領域の大きさ、したがって鼻の大きさに関係し、第2主成分は典型的には鼻の穴の曲がり具合に関係し、第3の主成分は典型的には鼻の全体的な形状及び/又は比率、例えば鼻が長くて細いか短くて広いかに関係していることが概して分かる。本技術の他の形態では、患者の顔に粘着するように適合されたシール形成構造3100の範囲は、異なる主成分に基づいて、又はシール形成構造の各バージョン間で複数の主成分を変更することによって変化することができる。
【0256】
図16A及び図16Bに示すシール形成構造3100の例示的な形態において、第1主成分の変更は、シール形成構造3100の全体的な寸法を変更すること、すなわち、図16Bに示すシール形成構造は、図16Cに示すシール形成構造の拡大版であることが分かる。また、図16Bに示したシール形成構造は、図16Aに示したシール形成構造よりも鈍角3186が広く、すなわち、図16Bに示したシール形成構造のエッジ3184が図16Aに示したシール形成構造の場合よりもステム部3178の外縁と平行に向いている。さらに、頂点部3172の凹状突起3190は、小さい鼻(図16Aのように)の方が大きい鼻(図16Bのように)よりもシール形成構造3100において目立つことがある。
【0257】
図16C及び図16Dに示すシール形成構造3100の一例において、第2主成分を変更することにより、ステム部3178の凹部3180及び突起3182の凹凸がそれぞれ変化する。図16Dに示すシール形成構造では、いずれの場合も、図16Cに示すシール形成構造よりも凹凸が大きいため、図16Cに示すシール形成構造の場合よりも肩部3174が長く、コーナー部3176が頂点部3172から遠い位置にある。図16Cに示されるシール形成構造の場合、ステム部3178は実質的に真っ直ぐであり、エッジ3184は2つのコーナー部3176を結ぶ線に対して角度が付けられている。これに対して、図16Dに示すシール形成構造のエッジ3184は、2つのコーナー部3176を結ぶ線と平行である。図16Cに示すシール形成構造は、鼻穴が比較的平坦な面に適しており、図16Dに示すシール形成構造は、鼻穴が比較的湾曲した面に適している。
【0258】
図16E及び図16Fに示すシール形成構造3100の例示的な形態において、第3主成分の変更は、2つのコーナー部3176を結ぶ線に垂直な方向におけるシール形成構造3100の長さ、すなわち、ステム部3178と頂点部3172とを隔てる距離を変化させる。図16Eに示されるシール形成構造は、一般に、長い鼻及び/又は細い鼻を有する患者により適している可能性があり、一方、図16Fに示されるシール形成構造は、一般に、より短い及び/又は幅広の鼻を有する患者により適している可能性がある。図16Eに示すシール形成構造では、図16Fに示すシール形成構造に比べて、頂点部3172がステム部3178に近接している、すなわち、図16Eのシール形成構造3100は、図16Fに示すシール形成構造よりも反射対称軸に平行な方向に伸長している。
【0259】
[4.3.1.4.3シール形成構造の他の例示的な形状]
図26は、本技術によるシール形成構造3100及びプレナムチャンバー3200を含む患者インターフェース3000の別の形態を示す。図26のシール形成構造3100は、図16A図16Fのシール形成構造と同様に、頂点部3172、第1及び第2コーナー部3176、及びステム部3178を含む。シール形成構造3100はさらに、頂点部3172と対応するコーナー部3176との間に位置する肩部3174を含む。
【0260】
図26の患者インターフェース3000が患者によって着用されるとき、頂点部3172は、患者1000の鼻尖点よりも実質的に下方の患者の鼻の領域に粘着するように構成される。いくつかの形態では、頂点部3172を患者1000の鼻尖点に粘着することもできる。いくつかの形態では、頂点部3172は、その半径方向外側エッジに切り欠き3160を含む。切り欠き3160は、シール形成構造3100における中央開口部からの半径方向の距離が隣接する部分よりも小さい頂点部3172の領域である。頂部3172の外側を内側に折り曲げて切り欠き3160を形成してもよい。シール形成構造3100が患者の顔に固定されると、シール形成構造3100の過剰な材料がその領域に集中するため、シール形成構造3100の鼻尖点近傍の領域にしわが生じる可能性がある。図26に示すようなシール形成構造3100の切り欠き3160は、このような折れ目を回避するのに役立つことができる。シール形成構造3100のいかなる部分の折れ目も、特に、シール形成構造3100が夜間などの長時間着用されている場合に、不快感及び/又は患者の顔に線を形成する原因となる可能性がある。シール形成構造3100の折れ目(複数可)は、シールの一部又は全部を無効にして気密性を失わせ、治療の有効性に影響を及ぼす可能性がある漏れを許容することもある。他の形態では、頂点部3172は、切り欠き3160を有しないように設けられてもよい。
【0261】
同様の切り欠きは、他の形態のシール形成構造3100、例えば、異なる形状のシール形成構造3100の頂点部3172、又は使用時に鼻尖点の近傍又は上に粘着するように構成されたシール形成構造3100の一部に設けられてもよいことも理解されるべきである。
【0262】
図26のシール形成構造3100の肩部3176は、患者1000の鼻翼縁領域3141に実質的に粘着するように構成されてもよい。
【0263】
ステム薬剤3178は、患者の顔の上唇3142、例えば上唇の上部に付着するように構成されてもよい。
【0264】
図26のシール形成構造1000のコーナー部3176は、図16A~16Fに示された技術の形態のコーナー部よりも大きい。図26の形態のコーナー部3176は、シール形成構造3100の翼部として説明することができる。コーナー部3176は、使用時に鼻の両側で患者の鼻翼に粘着するように構成されてもよい。一形態では、コーナー部3176は、着用されたときに、患者の顔の各側の鼻翼ひだ領域まで上方向に延在し、鼻翼頂上点と鼻唇溝との間の接続部のすぐ内側領域まで横方向に延在するように構成されてもよい。他の形態では、コーナー部3176は、鼻翼に隣接する患者の顔の領域、例えば鼻翼折れ目の上の領域及び/又は鼻翼に隣接する患者の頬の領域に粘着することもできる。例えば、一形態では、コーナー部3176は、着用されたときに、鼻翼頂上点と鼻唇溝との間の接続部のすぐ近くの領域まで横方向に延在することができる。任意の所定の患者のシール領域は、患者の顔に対するシール形成構造3100のサイズ、及び顔上のシール形成構造3100の位置に依存することが理解されるべきである。
【0265】
[4.3.1.5開口部]
シール形成構造3100は、呼吸可能なガスが患者の気道に送達される少なくとも1つの開口部3110を含む。一形態では、開口部3110は、図3B、3C、5C及び16Aに示されるような穴であってもよい。開口部は、開口部を形成するシール形成構造3100が患者の顔の鼻穴の周囲の領域に粘着されるように、一般的にD字形とすることができる(例えば図16A~16F参照)。他の形態では、穴は、例えば実質的に円形、楕円形、又は三日月形などの異なる形状であってもよい。
【0266】
[4.3.1.6フランジ]
使用時に患者の顔に粘着するように構成されたシール形成構造3100の周辺領域は、フランジと見なすことができる。フランジは、内面と外面とを有してもよく、外面は、内面とは反対側のフランジに位置している。内面はプレナムチャンバー3200の内面に当接するフランジ側に位置し、外面はプレナムチャンバー3200の外面に当接するフランジ側に位置する。
【0267】
例えば、図3図5及び図8図11に示す技術形態では、フランジの内面に粘着面が設けられている。すなわち、使用時には、フランジの内面が患者の顔に密着する。
【0268】
図6に示す技術の形態では、シール形成構造3100はフランジ3112を含む。フランジ3112は、内面3114と外面3116とを含む。この形態の粘着面3102は、フランジ3112の外面3116上に設けられる。外面3116は、シール形成構造3100の外面の一部であってもよい。フランジ3112は、プレナムチャンバー3200内の内容積を内側に向け、患者の顔に付着するようにその外面3116を患者1000に向けて形成されている。
【0269】
図6に示す技術の形態は、圧力補助シール機構を利用することから利益を得ることができる。使用時には、プレナムチャンバー3200内のガス陽圧がフランジ3112の内面3114に作用し、外面3116が表面により密にシール係合することを促す。従って、この形態では、プレナムチャンバー3200内のガス圧は、シール形成構造3100を皮膚から遠ざけるのではなく、粘着性を向上させる役割を果たすことができる。これにより、患者の顔とシール形成構造3100との間のシールを維持するために必要な粘着力の量を低減することができる。シール形成構造3100の適用及び除去の繰り返しにもかかわらず、所望の粘着力の低下は、皮膚細胞の除去及び皮膚外傷の減少をもたらすことができる。追加的に又は代替的に、これは、強度の低い粘着剤、又は粘着剤の量が少ない粘着剤が、いくつかの形態でシール形成構造体3100の粘着面に塗布されることを意味する場合がある。
【0270】
[4.3.1.7非粘着性タブ]
本技術の特定の形態では、例えば図21A~21Dに示すように、シール形成構造3100は、患者1000又は他の任意のユーザがシール形成構造3100を把持するための1つ又は複数のタブ3108を含む。タブ3108は、シール形成構造3100の領域であり、患者に面する粘着面を有しない。
【0271】
タブ3108は、シール形成構造3100の周辺に位置してもよい。例えば、図21A及び図21Dに示す例では、第2シール形成構造3100は、シール形成構造3100の側周に位置する2つのタブ3108を含み、2つのタブ3108は、患者の鼻穴へのガスの通過を許容するシール形成構造3100の開口部3110の両側に互いに対向して位置する。
【0272】
タブ3108は、指が粘着剤又は粘着面3102に接触することなく、及び/又はシール形成構造3100を顔から取り外すためにシール形成構造3100を掴むことなく、シール形成構造3100を掴み、シール形成構造3100を顔に移送するためのグリップ部を患者1000に提供することができる。これにより、シール形成構造3100を患者の顔に取り付ける間に粘着剤の粘着強度が失われないことが保証される。
【0273】
特定の形態では、タブ3108は、患者1000がシール形成構造3100を引っ張って伸長することを容易にすることができる。これは、後続の段落で詳細に説明する、伸長剥離型粘着剤を使用する技術の形態で特に有用である。この形態では、シール形成構造3100の粘着面3102を伸長することにより、伸長剥離型粘着剤の粘着強度を低下させることができ、シール形成構造3100を患者の顔から容易に取り外すことができる。
【0274】
本技術の特定の形態では、タブ3108は、粘着面3102に取り付けられた非粘着材料の部分として形成されてもよい。例えば、粘着面3102のエッジに非粘着性材料の部分を付着させることができる。他の形態では、タブ3108は、粘着面3102の部分の非粘着材料の部分を覆うように形成されていてもよい。他の形態では、タブ3108は、粘着剤が塗布されていない構造体3100を形成する部分をシールするように形成されていてもよい。
【0275】
[4.3.1.8形状保持具]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース1000は、1つ又は複数の形状保持具3140を含んでもよい。形状保持具(複数可)は、患者1000がシール形成構造3100を顔に着用することを困難にするようにシール形成構造3100が皺を寄せたり、折れ曲がったり、垂れ下がったりすることを十分に防止するなど、シール形成構造3100を患者の顔に着用する前にシール形成構造3100の形状の保持を容易にするように構成されてもよい。
【0276】
1つ又は複数の形状保持具3140は、シール形成構造3100の形状の所望の保持レベルを容易にするのに適した所定の剛性レベルを提供するために、形状及び/又は材料から形成された1つ又は複数のコンポーネント、アセンブリ又は構造とすることができる。特定の形態では、シール形成構造3100の一部として1つ又は複数の形状保持具3140が含まれる。他の形態では、形状保持具(複数可)3140は、例えばシール形成構造3100の1つ又は複数の領域を補強することによって、シール形成構造3100の形状の保持を容易にするためにシール形成構造3100に取り付けられることができる。
【0277】
[4.3.1.8.1形状保持具を備えたシール形成構造]
特定の形態では、シール形成構造3100は、1つ又は複数の形状保持具3140を含む。そのような形態の1つを図22A~22Cに示す。これらは、シール形成構造3100が1つ又は複数の形状保持器3140を備える技術の他の形態とともに、以下で説明される。
【0278】
特定の形態では、形状保持具(複数可)3140は、例えば図22Aに示すように、患者インターフェース3000が磨耗されたときに患者に背を向けるシール形成構造3100の側に配置されてもよい。形状保持具3140は、シール形成構造3100の大部分の形状を保持するように構成されてもよい。例えば、形状保持具(複数可)3140は、患者に背向するシール形成構造3100の側面の大部分を覆うことができる。
【0279】
図22A図22Cに示す例示的な形態では、形状保持具3140は、シール形成構造3100の前面を通って延在する細長い部材を含む。この特定の例では、形状保持具3140は、シール形成構造3100のいずれかの部分が形状保持具3140に十分に接近することを保証する経路においてシール形成構造3100の表面を横切って蛇行する湾曲部材であり、それによってシール形成構造3100の形状を維持するのを助ける所望の効果を有する。これにより、形状保持具3140は、シール形成構造3100に骨格支持を提供する。
【0280】
他の例では、形状保持具3140は、1つ又は複数の細長い部材からなる他の構成のような別の形状を有していてもよく、形状保持具は、非細長い形状であってもよい。一形態では、形状保持具3140は、患者インターフェース3000が着用されたときに患者に背向するシール形成構造3100の側面に配置された複数の細長い部材から形成される。部材は、格子内に平行四辺形形状の穴を配置することができる。他の形状の格子もまた、三角孔又は他の形状の孔を有するような、本技術の他の形状(複数可)で形成することができる。格子内の穴は、必ずしも同じ形状ではない。
【0281】
患者インターフェース3000を使用する場合、使用される形状保持材料の重量及び量は、シール形成構造3100の過度の剛性など、患者1000に不快感を与えるほど大きくない可能性があり、これにより、シール形成構造3100を患者の顔、特に患者の顔の隙間に強固に取り付けることが困難になる可能性がある。一方、形状保持具3140は、患者インターフェース3000を顔に粘着するのを助けるためにシール形成構造3100の形状を十分に維持するのに十分な大きさ及び/又は範囲を有することが好ましい。これらの考慮された所望のバランスを達成するために、形状保持材料の量及び形状保持材料が被覆する面積の量を選択することができる。
【0282】
いくつかの形態では、形状保持具3140は、シール形成構造3100の周辺領域の周りに配置された細長い部材のような1つ又は複数の形状保持部材を含む。周辺部材の内側に位置するシール形成構造3100の中央領域(複数可)には、形状保持部材がなくてもよいし、シール形成構造3100の中央領域に設けられた形状保持部材の数が少なくてもよい。これにより、シール形成構造3100の中央領域(複数可)に十分な可撓性を提供して患者の顔の輪郭に適合させることができ、一方、周辺形状保持部材はシール形成構造3100に十分なレベルの全体的な形状保持を提供することができる。いくつかの形態では、1つ又は複数の形状保持部材がシール形成構造3100の中央領域を横切ってもよい。
【0283】
形状保持具を製造する材料量のバランスと同様に、形状保持具の剛性のバランスも求めることができる。特定の形態では、形状保持具(複数可)3140は、快適に着用するために患者の顔の輪郭に適合するのに十分な柔軟性を有してもよいが、シール形成構造3100の形状を十分に維持するのに十分な剛性を有してもよい。なお、所望の可撓性・剛性は、形状保持具を形成する材料の硬度を適切に選択することにより、及び/又は形状保持具を形成する材料を適切に選択することにより得ることができる。加えて、患者が皮膚に押し込まれる位置に形状保持具を採用する場合、形状保持具のある程度のコンプライアンスは、患者の皮膚へのマーキングを回避するのに役立つ可能性がある。
【0284】
図22A及び22Bの図示形態では、形状保持具3140は、磨耗時に、例えばプレナムチャンバー3200とシール形成構造3100の横方向エッジとの間に、非粘着性タブ3108がいくつかの形態で位置することができるように、本体に対して横方向に延在するように配置されている。他の形態では、形状保持具(複数可)3140は、プレナムチャンバー3200とシール形成構造3100のエッジの1つ又は複数の部分との間で異なる方向に延在することができる。
【0285】
特定の形態では、形状保持具3140は、シール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバー3200と共に単一コンポーネントとして形成されてもよい。例えば、一形態では、形状保持具3140を含んでもよいシール形成構造3100とプレナムチャンバー3200とを一緒に成形することができる。例えば、形状保持具3140は、シール形成構造3100の比較的厚い領域とすることができる。別の例では、形状保持具3140及びプレナムチャンバー3200は、シール形成構造3100の表面、例えば外面3116にオーバーモールドされてもよい。あるいは、形状保持具3140及び/又はプレナムチャンバー3200をシール形成構造3100に積層することができる。
【0286】
他の形態では、形状保持具(複数可)3140及びシール形成構造3100の残りの部分及び/又はプレナムチャンバー3200は、別個に形成され、例えば粘着によって互いに結合されたコンポーネントであってもよい。この形態では、形状保持具は、シール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバー3200の残りの部分とは異なる材料で形成され得る。シール形成構造3100と形状保持具3140とを同一材料で形成してもよく、例えば一体に形成してもよい。
【0287】
形状保持具(複数可)3140を形成するために使用され得る例示的な材料は、低デュロシリコン樹脂及びTPEのようなシリコン樹脂を含む。
【0288】
特定の形態では、形状保持具3140は、使用中の患者に背向するシール形成構造3100の表面に配置され、シール形成構造3100の内面の表面から患者に向かって外側に突出していない。形状保持具がシール形成構造の一部としてどのように構成されるかにかかわらず、形状保持具3140は内面3114と実質的に面一に構成され得る。これにより、患者インターフェース3000を着用したときに、形状保持具が顔にマーキングを行うことを回避することができる。
【0289】
一形態では、形状保持具(複数可)3140は、シール形成構造3100を異なる方向に伸長するよりも一方向に伸長する方が容易であるように構成されてもよい。すなわち、形状保持具(複数可)3140は、応力-歪み異方性であってもよく、又は、シール形成構造3100に応力-歪み異方性を付与してもよい。例えば、図22A~22Cの湾曲部材は、図22CのFで示す方向に垂直方向よりも容易に伸長してもよい。
【0290】
特定の形態では、形状保持具(複数可)3140は、シール形成構造3100の異なる方向の変形特性を変化させるようにさらに構成されてもよく、例えば、形状保持具(複数可)3140は、シール形成構造の一方向の変形が塑性変形であり、シール形成構造の他の方向の変形が弾性変形であるように構成されてもよい。あるいは、弾性変形と塑性変形との間の遷移を異なる方向に変化させることができる。
【0291】
本技術の特定の形態では、シール形成構造3100の粘着面3102は、伸長剥離型粘着剤を備えていてもよいし、伸長剥離型粘着剤によって形成されていてもよい。技術のこれらの形態については後でより詳細に説明するが、ここでは、形状保持具3140に関連するこれらの形態の態様について説明する。
【0292】
本技術の特定の形態では、形状保持具(複数可)3140は、シール形成構造3100が比較的容易に伸長可能な方向と、シール形成構造3100が伸長可能な方向とが整列しているか又は実質的に整列して、伸長剥離型粘着剤を剥離するように構成される。例えば、図22A~22Cに示す技術の形態では、湾曲部材は、主に図22CのFで示す方向に対して垂直な方向を向くように配置されており、湾曲部は、その方向を向く部分を連結している。この構成は、湾曲形状保持具が矢印Fの方向に外側に湾曲することを意味する。このような構成では、F方向に力が加わったときに形状保持具(複数可)3140が変形しやすくなる。図22A~22Cに示す形態の場合、患者インターフェース3000を着用したときの向きは、横方向である。非粘着性タブ3108を用いる場合には、プレナムチャンバー3200に対して非粘着性タブ3108の方向と一致させることができる。逆に、シール形成構造3100は、Fに垂直な方向に力を加えても容易には伸長しない。
【0293】
このような形態の技術は、形状保持具3140の形状保持の利益を維持しつつ、伸長剥離型粘着剤の使用を可能にするために使用することができる。
【0294】
別の形態では、形状保持具(複数可)3140は、特定の方向に力Fが加えられたときにシール形成構造3100から積層されるか、又は別の方法で取り外されるように構成されてもよい。例えば、形状保持具(複数可)3140は、患者100がタブ(複数可)3108を引っ張って伸長剥離型粘着剤の粘着強度を低下させることによってシール形成構造3100を患者の顔から外すと、シール形成構造3100から取り外されるように構成されてもよい。
【0295】
一形態では、シリコンビーズ材料を使用して形状保持具(複数可)3140を形成することができる。シリコンビーズとシール形成構造3100との結合強度は、シリコンビーズ間の内部結合強度よりも低い場合がある。これは、シール形成構造3100に力が特定の方向に加えられると、形状保持具(複数可)3140がシール形成構造3100から剥離及び/又は取り外すことを引き起こす可能性がある。別の形態では、形状保持具3140は、シール形成構造3100の残りの部分上にTPEオーバーモールドとして形成されてもよく、これは、シール形成構造3140が伸長されるときに形状保持具の成層化をもたらすことが分かっている。
【0296】
シール形成構造3100から取り外すことにより、形状保持具(複数可)3140は、一旦取り外されると、伸長剥離型粘着剤がシール形成構造3100を取り外すのに必要な力を増大させない。これにより、伸長剥離型粘着剤を剥離するのに必要な伸長の量が、そうでない場合よりも減少し、患者1000にとって不快な可能性がある粘着剤を剥離するための過剰な力を回避することができる。
【0297】
[4.3.1.8.2前層形状保持具]
上述したように、本技術の特定の形態では、形状保持具(複数可)3140は、例えばシール形成構造3100の1つ又は複数の領域を補強することによって、シール形成構造3100の形状の保持を容易にするために、シール形成構造3100に取り付けられてもよい。
【0298】
本技術の特定の形態では、例えば図15B及び図15Cに示すように、患者インターフェース3000は、シール形成構造3100の形状を保持するように構成された、前層3230の形態の形状保持具3140をさらに含むことができ、それにより、前層を除去する前に患者インターフェース3000を患者の顔の治療上有効な位置に位置決めすることを容易にする。前層3230は、シール形成構造3100の前面に取り外し可能に接続されてもよく、オプションとしてプレナムチャンバー3200に接続されてもよい。例えば、前層3230は、患者インターフェース3000が位置すると、前層3230が患者によって容易に除去されるように、弱く結合された粘着剤によってシール形成構造3100及びプレナムチャンバー3200の前面に粘着され得る。粘着剤は、前層の表面上に配置され、前層が除去されたときに、患者インターフェース3000の表面上に粘着剤がほとんど又は全く感じられないようにすることができる。
【0299】
特定の形態では、前層3230は、シール形成構造3100が除去される前に特定の形状に保持するように構成されてもよい。この特性にはいくつかの利点がある。例えば、前層3230は、患者の顔に固定される前にシール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバー3200がその形状を変更することを防止することができる。さらに、製造工程において、前層3230は、シール形成構造3100を形成する材料を変形させたり、他の方法で損傷させたりすることなく、シール形成構造3100を形成する材料をより容易に取り扱うことができるようにすることができる。
【0300】
一形態では、前層3230は、材料でできていてもよく、表面層がシール形成構造3100と比較して相対的に剛性のある形状に形成されていてもよい(前述したようにシール形成構造3100は可撓性であってもよい)。
【0301】
上述したように、シール形成構造3100が患者の顔に粘着されると、前層3230はシール形成構造3100から除去されてもよい。前層3230は、前層がシール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバー3200に取り付けられたときにシール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバー3200の周囲を超えて延在するように構成された延長部3232(タブとも呼ばれる)を備えることができる。シール形成構造3100が顔に固定されると、延長部3232は、患者1000が指で前層3230を掴んで除去するのに有用である。
【0302】
特定の形態では、前層3230は、粘着によってシール形成構造3100に取り付けられることができる。一形態では、シール形成構造3100が前層3230から分離されたときに、前層3230と接触するシール形成構造3100の表面が粘着しないように、使用される粘着剤を塗布することができる。
【0303】
別の形態では、患者インターフェース3000が使用される間、前層3230は、シール形成構造3100に全期間にわたって取り付けられたままであってもよい。
【0304】
特定の形態では、前層3230は、使用時に構造体3100が取り付けられる領域内の患者の顔を密封形成する特徴を密接に模倣するように、又は実質的に類似するように形成され得る。図15B及び図15Cに示す形態では、例えば、前層3230は、患者インターフェース3000が顔に接触したときに患者の鼻翼折れ目に挿入されるように位置決めされ、形成された2つの折れ目3232を含む。したがって、患者が前層3230を顔に押し付けると、シール形成構造3100は鼻翼折れ目の中に押し込まれ、シール形成構造3100の粘着を容易にし、そうでない場合、シール形成構造3100は、その領域の輪郭のために粘着を得ることが困難な領域である可能性がある。ターゲットシール領域の他のフィーチャにも同様のフィーチャを提供することができる。
【0305】
特定の形態では、前層3230の形状及び寸法は、個々の患者の顔に応じてカスタマイズされてもよい。あるいは、前層3230は、患者が自分の顔の形状及び/又は大きさに最も近い前層3230を選択できるように、異なる形状及び大きさの複数の異なる前層3230のうちの1つであってもよい。これは、患者が患者インターフェース3000を自分の顔に正確に位置付けるのを助けることができる。
【0306】
図15B及び図15Cに示す技術の形態では、前層3230は、中央領域に穴を有する環状の形状を有する。穴は、使用中に患者とは反対側を向いたシール形成構造体3100の表面に接触する前層3230でプレナムチャンバー3200を受け入れるように構成され得る。前層は、前層の除去を容易にするために、1つ又は複数のスリットを備えていてもよい。
【0307】
特定の形態(図示せず)では、前層3230は、複数の部分を含んでもよい。例えば、表層3230は2枚形成することができ、好ましくは3枚形成することができる。前層3230の異なる部分は、互いに相対的に向きを変えることができる。前層3230が比較的剛性である場合、これにより、シール形成構造3100の異なる部分を患者の顔に良好に粘着するように配向させることができ、例えば、患者の顔の隙間及び隅部に押し込まれることができる。一形態では、前層3230は、中央部分、左部分及び右部分の3つの部分を含んでもよい。左右部分は、中央部分のいずれかの側に位置するように構成されてもよい。中央部分は、実質的に楕円形であってもよい。左右部分は、対応して、中央部分に係合するように構成された凹形を有することができる。
【0308】
一形態では、前層3230はプラスチックでできていてもよい。
【0309】
前層3230は、患者インターフェース3000を患者の顔の治療上有効な位置に位置決めするのを助けるアプリケータの形態と考えることができる。本節で説明され、図15B及び図15Cに示される技術の形態では、アプリケータは、患者インターフェース3000を着用する前に患者インターフェース3000に取り付けられることができる患者インターフェース3000の一部を形成する。本技術の他の形態では、以下により詳細に説明するように、患者インターフェース3000とは独立したアプリケータ3800を提供することができる。
【0310】
[4.3.1.9マルチシール形成構造]
本技術の特定の形態では、患者インターフェースシステム5000は、患者インターフェースを形成するためにマルチシール形成構造のセットの各々に交換可能に接続されるように構成されたプレナムチャンバー3200を含んでもよい。マルチシール形成構造の各々は、異なる顔領域に粘着するように構成されてもよい。
【0311】
本技術の形態の患者インターフェース3000の従来の使用は、シール形成構造3100を繰り返し適用し、除去することを含む。シール形成構造3100を除去する度に、粘着剤に付着して皮膚から剥離した皮膚細胞の一部を除去することができる。このような皮膚細胞の除去は、シール形成構造3100が付着している患者の顔の領域に時間の経過とともに外傷を与える可能性がある。
【0312】
この問題を緩和するために、本技術の形態は、患者インターフェースシステム5000を提供し、このシステムは、表面の皮膚の異なる領域をカバーするマルチシール形成構造を含む。これにより、患者は、連続的な処置の間に同じ顔領域が侵されないように、付着する顔領域を変更することができ、顔領域は、両者の間に若干の時間的な回復を可能にすることができる。
【0313】
一形態では、例えば図7に示すように、患者インターフェースシステム5000は、第1シール形成構造3120、第2シール形成構造3130、及びプレナムチャンバー3200を含んでもよい。第1シール形成構造3120は、患者の顔の第1領域に粘着するように構成された第1シール面を含む。第2シール形成構造3130は、患者の顔の第2領域に粘着するように構成された第2シール面を含む。第1領域は、第2領域と異なることができる。
【0314】
特定の形態では、患者の顔の第2領域3130は、第1領域3120を取り囲むことができる。すなわち、第2領域3130の一部は、第1領域3120の半径方向に隣接する部分よりも半径方向外側に位置することができる。さらに、特定の形態では、第1領域と第2領域との間に重複がないことがある。
【0315】
一形態では、第1領域は、鼻翼縁、上唇の上部領域(例えば、鼻のすぐ下の上唇部分を含んでもよい鼻下領域)、及び鼻柱のうちの1つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0316】
一形態では、第2領域は、鼻翼、鼻翼折れ目、上唇、及び鼻尖点のうちの1つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0317】
本技術の他の形態では、第1シール形成構造及び第2シール形成構造3120、3130は、付着する患者の顔の領域が上記の領域と異なることができるように構成される。
【0318】
治療セッションが存在するたびに、患者は、第1シール形成構造3120及び第2シール形成構造3130のいずれかと同じタイプのシール形成構造を選択し、プレナムチャンバー3200に接続して患者インターフェース3000を形成することができる。患者1000は、第1シール形成構造3120と第2シール形成構造3130とを交換して、例えば、連続セッション中に第1シール形成構造と第2シール形成構造との間で皮膚の回復を可能にすることができる。これは、呼吸療法が患者インターフェース3000を毎日又は他の方法で定期的に使用することを必要とする場合に特に有用である。
【0319】
[4.3.1.10シール形成構造用組成物]
[4.3.1.10.1材料-シール形成構造]
本技術の特定の形態では、シール形成構造3100は、生体適合性、柔らかい、可撓性、伸縮性、があり、必要に応じて弾力性の特性のうちの1つ以上を有する材料から構成される。本技術の例示的な形態では、シール形成構造3100は、シリコーン樹脂又は熱可塑性弾性体(TPE)から形成される。
【0320】
TPEは、安価であり、リサイクル可能であり、柔軟であり、アクリル酸エステル系粘着剤のような複数の粘着剤と共に使用することができるので、本技術の特定の形態においてシール形成構造を形成するために特に有利な材料であり得る。また、TPEを伸長可能なシート状に成形してもよく、伸長状態を維持することができる。これにより、TPEベースのシール形成構造3100は、顔の領域(例えば、翼状の折れ目)との間で非常に緊密なシールを形成することができる。TPEの塑性変形性は、患者の顔の領域とシールされたシール形成構造3100が元の形状に跳ね返そうとしないことを意味する。これはまた、この領域に引っ張り力が作用しないことを意味し、患者インターフェースの着用による不快感を低減する。これは、鼻翼折れ目の部分など、患者の顔のデリケートな部分を密封するために特に重要な考慮事項となる可能性がある。
【0321】
TPEは薄いセクションに切断できるため、シール形成構造を皮膚表面に密着させることができる。これには2つのメリットがある。第一に、薄いセクションにより、下にある皮膚や顔の特徴に非常に近い形状が得られる。第二に、薄いセクションは皮膚表面と同一平面に留まり、皮膚表面からはみ出さない可能性が高くなる。これにより、患者の顔と枕カバー、シーツなどの周囲の物体との間の摩擦により、シール形成構造3100が部分的又は完全に緩む可能性を低減することができる。
【0322】
シール形成構造3100を軟質材料(例えば、TPE)で形成し、シール形成構造3100を湾曲可能な構成で形成する利点は、シール形成構造3100が患者の顔の形状に適合することができ、患者の顔の形状が変化した場合、例えば位置が変化した場合、シール形成構造3100はそれを継続することができることである。これがなぜ有利なのかは上で説明した。
【0323】
特定の形態では、シール形成構造3100が屈曲及び/又は伸張する際に塑性変形を受ける、すなわち、元の形状又は寸法に跳ね返らない、又は少なくとも完全には戻らない材料をシール形成構造3100に使用することが有利である可能性がある。これにより、シール形成構造3100が元の形状/大きさに戻ろうとするときに、患者の皮膚にせん断力が作用することを防止することができる。
【0324】
特定の形態では、シール形成構造3100を形成するために使用される材料は、伸縮可能であってもよい。この材料は、引張時に弾性変形可能であってもよく、塑性変形可能であってもよい。伸長剥離型粘着剤が使用される場合、患者の顔からシール形成構造3100を容易に除去するために、伸長能力を使用することができる。これらの粘着剤については、次のセクションで詳しく説明する。剥離型粘着剤の伸長に適した伸縮性材料の一例はシリコーンゴムである。
【0325】
本技術のいくつかの形態において、シール形成構造として使用するのに適合され得る材料の例は、3M(登録商標)Nexcare(登録商標)テープ及びLeukoplastテープである。これらのテープはまた、粘着面を有する。いくつかの形態では、この材料は、粘着剤が塗布されたレーヨン基材を含んでもよい。一形態では、シール形成構造は、3M(登録商標)製品番号2484、3M(登録商標)医療用テープ9833、又は同様のタイプの製品又は同様の構造を有する製品から形成されてもよく、又はこれらの製品を含んでもよい。シール形成構造3100は、多層テープ又は製品を用いて形成することができる。
【0326】
図27は、本技術の一形態による粘着剤シール形成構造3100の一部の分解断面図を示す。シール形成構造3100は、第1層アセンブリ6532と、第2層アセンブリ6534と、除去可能な層3104との複数の層を含む。一方、図27に示すように、シール形成構造3100は、2つの層のアセンブリ6532、6534を含み、他の形態では、シール形成構造3100は、1つの層のアセンブリのみを含んでもよい。他の形態では、シール形成構造3100は、3つ以上の層のアセンブリを含んでもよい。
【0327】
第1層アセンブリ6532は、裏打ち層6532Aと粘着層6532Bとを含む。第2層アセンブリは、裏打ち層6534Aと粘着層6534Bとを含む。別の形態の追加層アセンブリが存在する場合、各追加層アセンブリは、裏打ち層及び粘着層をさらに含んでもよい。
【0328】
図27に示すように、下地層、例えば第2下地層6534Aがシール形成構造3100の一方の面を形成し、除去可能な層3104がシール形成構造3100の反対側を形成するように、これらの層を配置することができる。第2裏打ち層6534Aと第1裏打ち層6532Aとの間に粘着層6534Bが挟持されている。第1粘着層6532Bは、第1裏打ち層6532Aと除去可能な層3104との間に挟まれている。
【0329】
除去可能な層3104は、シール形成構造3100が患者の顔に取り付けられるまで、第2粘着層6532Bを保護するために使用される。例示的な除去可能な層3104の機能及び属性は、本明細書の後続のセクションでより詳細に説明される。除去可能な層3104は、代替的にライナーと呼ばれてもよい。
【0330】
特定の形態では、各裏打ち層は、ポリウレタンフィルムのようなプラスチックの薄い層から形成することができる。各粘着層は、医療用シリコーン粘着剤のような適当な粘着剤で形成することができる。特定の形態では、各粘着層は、高粘着性3M(登録商標)医療用シリコン粘着剤から形成されてもよい。除去可能な層3104は、ポリプロピレンフィルムのような薄いプラスチック又はポリマーから形成することができる。一形態では、除去可能な層3104は、片面に非シリコーン樹脂剥離物を有するポリプロピレンフィルムから形成される。本技術の一例示的な形態では、シール形成構造3100は、2層の3M(登録商標)製品番号2484から形成される。
【0331】
いくつかの形態では、患者インターフェース3000は、シール形成構造3100の外側裏打ち層6534Aに接続されたプレナムチャンバー3200を有することができる。
【0332】
[4.3.1.10.2厚み-シール形成構造]
シール形成構造3100が薄すぎる場合、患者インターフェース3000が患者の顔の不適切な領域に適用された場合、患者インターフェース3000を取り外して患者の顔に再適用することを困難にすることができる。厚すぎるシール形成構造3100は、その形状が失われやすく、取り外せば、自身の上に折れ曲がり、自身に貼り付いて取り扱いが困難になる。また、薄すぎるシール形成構造3100は容易に引き裂くことができる。
【0333】
一方、シール形成構造3100が厚すぎると、シール形成構造3100が患者の顔に密着してかなり硬く感じる傾向があり、使用上の不快感を招く可能性がある。さらに、硬い及び/又は厚いシール形成構造3100は、患者の顔の角及び/又は隙間に押し込むことが困難であり、それによって達成可能な顔へのシールの品質に影響を与えることができる。シール形成構造3100の厚さは、下側顔領域の顔の動きに適合するようにシール形成構造がその形状を変更するのを阻止することもできる。
【0334】
適切な厚さは、シール形成構造3100に使用される材料の選択に依存し、シール形成構造の形状及び構造にも依存する。
【0335】
特定の形態では、シール形成構造3100は、実質的に約0.2mm~0.3mm(除去可能な層3104の厚さを含まない)の範囲内の厚さ、又は除去可能な層の約0.3mm~0.45mmの範囲内の厚さを有することができる。例えば、図27のシール形成構造3100の場合、2層3Mの製品2484を使用した場合、厚さは、除去可能な層3104がない場合にはほぼ0.24mmであり、除去可能な層3104がある場合には0.33mmであってもよい。この例示的な形態では、裏打ち層6532A及び裏打ち層6534Aは、それぞれ約0.02mmの厚さを有し、粘着層6532b及び粘着層6534Bは、それぞれ約0.1mmの厚さを有することができる。他の形態では、シール形成構造3100は、異なる厚さを有することができる。形状保持性及び快適性の適切なバランスを提供する適切な厚さは、例えば使用する材料の選択及び層の数を含むいくつかの要因に依存することができる。
【0336】
[4.3.1.10.3その他の特性-シール形成構造]
特定の形態では、シール形成構造3100は、それを介して水分を伝達することができることが有利である場合がある。これにより、患者の皮膚からの水分がシール形成構造3100を通過するようにすることができる。患者インターフェース3000は、通常、長時間着用することができるので、これは、シール形成構造3100の下での湿気の蓄積及び不快感を回避するために望ましいかもしれない。シール形成構造3100を形成するために使用される材料は、特定の形態では、実質的に50gm/m/日から1000gm/m/日、例えば、3M(登録商標)製品番号2484の場合、実質的に700gm/m/日の範囲の水蒸気透過率(MVTR)を有することができる。患者インターフェース3000を長時間着用する場合には、MVTR値を高くすることが望ましいかもしれない。患者インターフェース3000が比較的短い期間にわたって使用されるように設計されている場合、シール形成構造3100は、より低いMVTR値を有することができる。
【0337】
シール形成構造3100を変形可能な材料で形成することが有利であることが説明された。
【0338】
いくつかの形態では、シール形成構造3100は透明又は半透明であり得る。これは、患者の顔上の患者インターフェース3000の視覚的フットプリントを低減し、患者インターフェースを長時間着用するのにさらに望ましいものにするのに役立つ可能性がある。
【0339】
[4.3.1.11粘着剤の形態]
本技術の形態は、シールを形成するために患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域に粘着するように使用される少なくとも1つの粘着面を含むシール形成構造3100を含む患者インターフェース3000を提供する。
【0340】
任意の適切な粘着剤を使用することができ、いくつかの形式の技術において使用される粘着剤の適切な特性は、次の段落で説明される。特に明記されていない限り、技術の形態は特定の粘着剤に限定されないことが理解されるべきである。また、いくつかの形態では、粘着剤は、1つ又は複数の構成粘着剤材料から構成されていてもよい。
【0341】
特定の形態では、シール形成構造3100の粘着面に塗布された粘着剤は、通常の使用時にシール形成構造3100が容易に離脱しないように、患者インターフェース3000の使用時に通常経験する方向及び大きさの力が加えられたときに粘着を維持することができる粘着強度を有する粘着剤である。同様に、粘着強度は、治療を中止した後に皮膚に損傷を与えることなく患者インターフェース3000を除去することができないような大きさであってはならない。特定の形態では、シール形成構造は、25.4mm幅あたり約2N~3.5Nの範囲の実質的な粘着強度を有することができる。
【0342】
特定の態様では、粘着剤は、患者の皮膚上の水分(例えば、汗)及び/又は皮膚からの熱の存在にかかわらず、顔の皮膚に対する所望の粘着レベルを維持するように構成されてもよい。
【0343】
粘着剤は、粘着される患者の皮膚の輪郭、例えば、折れ目、山、又は平坦な領域の有無にかかわらず、皮膚に粘着することができることが望ましい。
【0344】
粘着剤は、(患者が通常知覚できる限りにおいて)無臭であり、無色であるか、又は美的に魅力的な色を有することが望ましい。さらに、本技術の特定の形態は、皮膚から除去された後に残留物が残らないか、又はほとんど残らない粘着剤を使用する。これらの特性を有しない粘着剤は、いくつかの形態の技術において使用することができ、効果的に操作することができるが、患者はその使用を望まないかもしれない。
【0345】
一部の粘着剤では、効果的な粘着を形成するために、粘着剤が粘着する表面を準備するために特定の手順を実行する必要がある。例えば、粘着剤の中には、使用前にアルコールなどの洗浄液で患者の皮膚を拭く必要があるものもある。このような準備の必要性は、患者の追加的なステップを必要とし、特に疲労時に皮膚を効率的に準備することができない可能性があるため、望ましくない場合がある。したがって、特定の形態の技術は、このような表面処理を必要としない粘着剤を使用する。
【0346】
皮膚には効果的に付着するが、髪にはうまく付着しない粘着剤を使用することが望ましい。これにより、シール形成構造が取り除かれ、それに伴って毛髪が取り除かれたときに患者が不快感を経験することを回避することができる。
【0347】
粘着剤は、シール形成構造3100を皮膚に粘着するのに適していることが好ましく、必要に応じて除去し、その後患者の皮膚に再粘着する。患者インターフェース3000が初めて着用されたとき、患者はシール形成構造3100を必ずしも正確に位置決めするとは限らない可能性がある。例えば、不快な場所、又は他の望ましくない場所に位置することがある。本技術の特定の形態では、シール形成構造3100の粘着面は、シール形成構造3100を患者の顔に少なくとも1回再適用するように適合された粘着剤を備えている。
【0348】
3M(登録商標)2484製品、3M(登録商標)Nexcare(登録商標)テープ、及びLeukoplastテープに使用される粘着剤は、上記の特性の1つ又は複数を有する粘着剤を担持するのに適した材料の一例であり、本技術のいくつかの形態で使用される。例えば、ゴム酸化亜鉛系粘着剤を用いることができる。他の形態では、他の粘着テープ、例えばアクリル又はアクリレート粘着剤、あるいはシリコーン粘着剤が使用される。テープ上の粘着剤は、シール形成構造3100又はその一部として有利に使用されるか、又はシール形成構造3100に容易に取り付けることができる基材(すなわちテープ)上に提供されている。3M(登録商標)製品番号2484の場合、粘着剤はシリコーン粘着剤(「Hi-Tack 3M医療用シリコーン粘着剤」)である。3M(登録商標)製品番号2484製品の粘着強度は25.4ミリ幅当たり2.8N。3M(登録商標)医療用テープ9833の場合、粘着剤はアクリル酸/アクリル酸エステル系粘着剤である。
【0349】
本技術の他の形態では、以下のように、構造体3100をシール形成するための粘着剤を粘着剤表面3102上に直接堆積させることができる。製造工程の一部として、粘着剤表面に粘着剤を堆積させることができる。あるいは、いくつかの形態では、患者インターフェース3000は、粘着剤が粘着面に塗布されておらず、患者(又は臨床医)が使用前に粘着剤を表面に塗布する形態で提供されてもよい。
【0350】
[4.3.1.11.1液体粘着剤]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、粘着面を形成するために液体粘着剤を塗布することができる少なくとも1つの表面を有するシール形成構造3100を含む。
【0351】
[4.3.1.11.2スプレー粘着剤]
本技術の代替形態では、患者インターフェース3000は、粘着面を形成するためにスプレー可能な粘着剤をスプレーすることができる少なくとも1つの表面を有するシール形成構造3100を含む。
【0352】
[4.3.1.11.3アクション剥離粘着剤]
いくつかの形態では、シール形成構造3100は、1つ又は複数の作用を用いて、患者の顔への粘着剤の付着を解除することができる。アクション剥離粘着剤(複数可)は、「アクション」が実行されると粘着強度が低下するように構成されていてもよい。粘着強度の低下は、許容可能なレベルの不快感を引き起こしながら、シール形成構造3100を患者の顔から容易に取り外すことを可能にするのに十分である可能性がある。以下にアクション例を示す。いくつかの形態では、作用は、粘着剤又は粘着剤が塗布されたコンポーネント(例えば、シール形成構造3100)に塗布された何らかの変化又は効果であってもよい。
【0353】
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、粘着面3102を有するシール形成構造3100を含み、粘着面3102の変形によって粘着面3102の粘着強度を低下させることができる。変形すると、粘着面3102は、その粘着性が実質的に又は全体的に失われるか又は変化し、その粘着強度が低下又は失われるように構成されてもよい。これにより、患者1000は、シール形成構造3100を変形させることにより、シール形成構造3100を容易に取り外すことができる。
【0354】
特定の形態では、粘着面3102は、伸長剥離型粘着剤を備えていてもよく、又は伸長剥離型粘着剤によって形成されていてもよい。粘着面3102が実質的に伸長されていない場合にのみ、伸長剥離型粘着剤が一定の粘着性能を有することができる。粘着面3102が伸長されたとき、粘着面3102は、低下した及び/又は粘着性を有さないように構成されてもよい。特定の形態では、アクリル酸エステル系粘着剤は、粘着面3102のための伸長剥離型粘着剤、例えば、フィックスモル(登録商標)又は3M(登録商標)伸長剥離型テープとして使用することができる。
【0355】
特定の形態では、粘着面3102は、伸長剥離型粘着剤を塗布可能な担体材料から形成することができる。いくつかの例では、担体材料はポリウレタンであってもよい。ポリウレタンは、軽く、柔軟で、延性があり、皮膚に安全に使用でき、通気性があり、粘着剤を保持することができ、患者インターフェースの他のコンポーネントをオーバーモールドできるため、適切である可能性がある(本明細書の他の場所で説明されているように)。他の形態では、他の適切な担体材料が使用されてもよい。
【0356】
特定の形態では、伸長剥離型粘着剤が設けられた粘着面3102は、伸長可能なポリウレタン層のようなポリウレタン除去可能な層3104を含んでもよい。本明細書では、粘着剤を患者に粘着することを可能にするために粘着層から除去可能な層をライナーと呼ぶことができる。シール形成構造3100は、粘着面3102を伸長することにより、伸長剥離型粘着剤を用いて患者の顔から容易に除去することができる。
【0357】
他の例では、アクション剥離型粘着剤は、加熱されたとき、又は所定の温度よりも高い温度にさらされたときに粘着強度を失う熱剥離型粘着剤(複数可)を含んでもよい。別の例では、アクション剥離型粘着剤は、粘着剤(及び/又は粘着剤を担持するシール形成構造3100)が濡れたとき及び/又は湿潤したときにシール形成構造3100を取り外す水剥離型粘着剤とすることができる。別の例では、アクション剥離型粘着剤(複数可)は、特定の周波数の放射線(例えば、紫外線)に曝されたときに粘着力を失うように構成されていてもよい。
【0358】
[4.3.1.11.4粘着テープ部分]
本技術の代替形態では、患者インターフェース3000は、少なくとも1つのシール形成構造の少なくとも1つのシール面に提供するように構成された1つ又は複数のテープ部分を含む。各テープ部分は、一方の側に第1粘着剤を、他方の側に第2粘着剤を含んでもよい。第1粘着剤は、シール形成構造3100にテープ部分を固定するように構成され得る。第2粘着剤は、シール形成構造3100を患者1000の皮膚に固定するように構成されてもよい。これにより、粘着テープ部分の第2側が粘着面となる。
【0359】
テープ部分は、シール形成構造3100を組み立てる前に、第1及び第2粘着剤を汚染及び/又は粘着損失から保護するための除去可能な層(複数可)を備えていてもよい。
【0360】
いくつかの形態(図示せず)では、テープ部分は、テープ部分の形状保持を向上させることができる1つ又は複数の形状保持具を備えていてもよい。形状保持具は、粘着テープ部のみに設けられていてもよく、除去可能な層(複数可)に設けられていなくてもよい。
【0361】
除去可能な層(複数可)が除去されると、形状保持具はテープ部分に構造的な支持を提供し、テープ部分がしわになったり、実質的に形状又は方向が変化したりするのを防止する。テープ部分の形状及び/又は方向を十分に変更すると、いくつかの欠点が生じる可能性がある。
【0362】
第一に、シール形成構造3100は、患者の顔の誤った位置に粘着される可能性がある。例えば、シール形成構造3100が鼻の鼻翼縁領域に取り付けられるように設計されている場合、粘着面の形状が変化すると、鼻中隔3132、鼻柱、又は鼻穴領域など、鼻翼縁領域以外の鼻又は顔の他の領域が粘着面に接触することになり得る。これは、患者1000に、密封不良、不都合、不快感、及び/又は痛みをもたらす可能性がある。
【0363】
第二に、除去可能な層(複数可)が剥離されたときにテープ部分にしわや変形が生じた場合には、テープ部分の1つ又は複数の部分を互いに折りたたむことができる。これにより、露出した粘着剤の表面積が減少し、患者の顔とシール形成構造3100との間に無効なシールが生じる可能性がある。
【0364】
第三に、テープ部分の1つ又は複数の部分が互いに折れ曲がると、これは、患者の顔に痕跡を残す可能性のある平坦でない粘着面3102をもたらす可能性がある。
【0365】
テープ部分の形状保持具(複数可)は、本明細書で前述した形状保持具3140と同じ特性、構成、及び/又は利点を有することができる。また、テープ部の形状保持具を形状保持具(複数可)3140と同様に形成してもよい。
【0366】
[4.3.1.11.5除去可能な層]
特定の形態では、患者インターフェース3000はまた、粘着面3102に取り外し可能に取り付けられ、それを覆う除去可能な層3104を含んでもよい。除去可能な層3104は、患者インターフェース3000が患者の顔シールと接触するように位置決めされる前に除去することができる。上述したように、除去可能な層3104はライナーと呼ばれることができる。除去可能な層3104は、パラフィン紙のような紙、又はポリプロピレンのようなプラスチックを含む任意の適切な材料から製造することができる。
【0367】
除去可能な層3104は、患者インターフェース3000が使用されていないときに、粘着面3102上の粘着剤を汚染、意図しない他の表面への粘着、及び/又は粘着損失から保護するために使用され得る。患者インターフェース3000が輸送され、保管され、又は使用されない場合、除去可能な層3104は、粘着剤によって粘着面3102に付着することができるが、例えば、粘着面3102に接触する平滑面を有することによって、粘着面3102に対して一般的に弱い付着を形成するように構成されてもよい。除去可能な層3104は、患者インターフェース3000を着用する前に、患者1000によって除去されてもよい。患者インターフェース3000が除去可能な層3104を含む技法の例示的な形態が図14A、14B、15A、15B、及び17に示されている。一形態では、除去可能な層3104は、シール形成構造3100の被覆領域及び/又は周囲の外側に延在するタブ3104Tを含んでもよい。除去可能な層3104は、図14Bに示すように、タブ3104Tを把持し、除去可能な層3104をシール形成構造3100から引き離すことによって、患者1000によって剥離することができる。
【0368】
一形態では、図15A及び図15Bに示すように、除去可能な層3104は、第1部分3105及び第2部分3106の2つの部分を含む。除去可能な層3104の第1部分3105は、患者の顔の第1側に向かって剥離するように構成され、除去可能な層3104の第2部分3106は、第2側に向かって剥離するように構成されてもよい(第1側と対向していてもよい)。第1部分3105は第1タブ3105Tを有し、第2部分3106は第2タブ3106Tを有することができる。第1及び第2タブ3105T,3106Tは、第1及び第2部分3105,3106が粘着面3102に取り付けられたときに、異なる方向、例えば反対方向に延在することができる。患者1000は、第1タブ3105Tを掴んで関連する方向に引っ張ることにより、第1部分3105を剥離することができる。同様に、第2部分3016は、患者1000が第2タブ3106Tを掴んで関連する方向に引っ張ることによって剥離することができる。
【0369】
タブ3104T、3105T及び3106Tは、患者インターフェース3000が患者の顔に対して正しく位置決めされた後に、対応する除去可能な層3104,3105,3106を剥離することを可能にする。粘着剤が付着していない場合(すなわち、除去可能な層が位置している場合)に、患者インターフェース3000を顔に対して位置決めする能力は、患者インターフェース3000が粘着される前に患者が異なる位置を試すことを可能にする。これにより、患者は、シール形成構造3100を患者の顔に固定するための快適で効果的な位置を認識することができる。これは、シール形成構造3100が、シール形成構造3100が粘着される患者の顔の特定の領域に合致する/類似するように形成されている場合に特に重要である。
【0370】
第1ステップでは、適切な位置が認識されるまで、除去可能な層3104、3105、3106を有する患者インターフェース3000を患者の顔に対して配置する。第2ステップでは、患者1000は、タブ3104T、3105T、又は3106Tの下に指をスライドさせ、及び/又は患者インターフェース3000をわずかに前方に移動させて、患者1000がタブ3104T、3105T、又は3106Tを把持するための隙間を提供することができる。第3ステップでは、タブ3104T、3105T、及び3106Tを剥離して、下側の粘着面3102を露出させる。第4ステップでは、シール形成構造3100は、粘着面を患者の顔に向けて押圧することにより、患者の顔に貼り付けられる。
【0371】
一形態では、タブ3104T、3105T、又は3106Tは、患者インターフェース3000が所望の位置にあるとき、患者の顔の特徴から遠ざかるように構成されてもよい。例えば、患者インターフェース3000が鼻領域内又は周囲に取り付けられるように構成される場合、タブ3104T、3105T、又は3106Tは、鼻が邪魔にならずに、患者がタブ3104T、3105T、又は3106Tを掴むことができるように、鼻から離れて位置することができる。
【0372】
あるいは、タブ3104T、3105T、又は3106Tは、患者インターフェースが意図された位置にあるときに、把持のために指がタブ3104T、3105T、又は3106Tの下に滑ったときに変形する軟部組織に沿って横たわるように構成されてもよい。例えば、患者インターフェース3000が口領域内又は口領域の周囲に取り付けられるように構成される場合、タブ3104T、3105T、又は3106Tは、タブ3104T、3105T、又は3106Tが把持されたときに、患者の指を受け入れるように頬に対してわずかに変形するように配置することができる。
【0373】
[4.3.2プレナムチャンバー]
本技術の特定の形態のプレナムチャンバー3200は、患者が呼吸するための治療圧力下の呼吸可能なガス流れを空気回路4170から受け取るように構成される。プレナムチャンバーは、周囲気圧よりも少なくとも6cmHO高い治療圧力まで加圧可能であり、特定の形態では約20cmHO又は30cmHOまで加圧可能であるように形成することができる。
【0374】
一形態では、プレナムチャンバー3200は、使用時にシールが形成される領域において、普通の人の顔の表面輪郭と相補的に形成されるように形成された周囲を有する。プレナムチャンバー3200の周囲の相補的な形状は、使用時に患者インターフェース3000を患者の顔に対して正確に位置決めすることを容易にするように構成されてもよい。
【0375】
あるいは、特定の形態では、プレナムチャンバー3200は、個々の患者のためにカスタマイズされた方法で形成されてもよい。あるいは、患者インターフェース3000のプレナムチャンバー3200は、プレナムチャンバー3200の複数の可能な形態のうちの1つから選択され、個々の患者に最適なプレナムチャンバーを選択することができる。
【0376】
使用時には、プレナムチャンバー3200のエッジは、フェース部に非常に近接した隣接する表面に位置決めされる。シール形成構造3100により、面との実際の接触を提供することができる。シール形成構造3100は、使用時にプレナムチャンバー3200の略全周にわたって延在することができる。
【0377】
いくつかの形態では、プレナムチャンバー3200及びシール形成構造3100は、シリコン樹脂又はTPEのような単一の均一な材料片から形成される。
【0378】
特定の形態の技術では、図4A~4C、5A、8、9A~9D、10B、26、及び28~32に示すように、プレナムチャンバー3200は実質的に扁平截頭体形状であってもよい。プレナムチャンバー3200の形態は、使用中の患者に近い第1端と、使用時に患者から遠い第2端とを有し、第1端の開口部面積は、第2端の開口部面積よりも大きい。いくつかの形態では、プレナムチャンバー3200は、第1端から第2端に向かって徐々に細くなっていてもよく、プレナムチャンバー3200の一部は、プレナムチャンバー入口ポート3202取り囲むプレナムチャンバー3200の領域など、この方向に徐々に細くなっていてもよい。プレナムチャンバー3200の第1及び/又は第2端の断面は、実質的に円形であってもよい。あるいは、断面は楕円形などの他の形状であってもよい。
【0379】
プレナムチャンバー3200の第1端及び第2端は、実質的に開放されていてもよい。第1端は、患者の気道に加圧ガスを供給するためにシール形成構造3100と流体的に接続されるように構成され得る。第2端は、開口部3110に実質的に対向することができ、以下でさらに説明するようにプレナムチャンバー入口ポート3202を形成することができる。
【0380】
プレナムチャンバー3200の第1端は、患者の気道を覆う(例えば、鼻を横切って、又は鼻と口を覆う)のに十分に広い領域を有し、それにより、鼻穴を出入りする空気の流れが患者インターフェース3000を介して案内されるようにすることができる。
【0381】
プレナムチャンバー3200の第2端は、空気回路4170に接続するように構成することができ、したがって、空気回路4170に接続するためのより小さな面積を有することができる。これは、空気回路4170とプレナムチャンバー入口ポート3202との間の実質的に気密な接続を容易にする。
【0382】
特定の形態では、プレナムチャンバー3200の壁は円錐面を形成してもよく、又は真の円錐面から離れて湾曲してもよく、例えば外側に突出してもよい。
【0383】
代替形態では、プレナムチャンバー3200は、ほぼ半球状又は他のカップ形状を有することができる。
【0384】
[4.3.2.1プレナムチャンバアライメント]
使用時にシールが形成される領域において一般人の顔の表面プロファイルと相補的に形成されるように形成された周囲を有するプレナムチャンバー3200は、使用時に患者の顔に対する患者インターフェース3000の正確な位置決めを容易にすることができることが説明されてきた。
【0385】
代替的に又は追加的に、位置決めガイド部材を使用して、着用時に患者の顔に対する患者インターフェース3000の正確な位置決めを容易にすることができ、これにより、シール形成構造3100が患者の顔に粘着される前に患者インターフェース3000を正確に位置決めすることができる。
【0386】
特定の形態では、図19A~19Eに示すように、位置決めガイド部材3220はプレナムチャンバー3200の内部から患者に向かって延びている。位置決めガイド部材3220は、患者1000が患者インターフェース3000を正確に位置決めすることを可能にするために有利であり、いくつかの形態では、自分自身がそれを行うことを必要としない。これは、暗闇の中で、又は鏡やフロントカメラを備えたデバイスがない中で患者インターフェース3000を配置するときに役立つ可能性がある。
【0387】
さらに、位置決めガイド部材3220は、粘着面3102が患者の皮膚に接触する前に、患者1000が患者インターフェース3000を再位置決め及び/又は調整することを可能にすることができる。患者インターフェース3000が顔に貼り付けられている位置に患者1000が満足する前に、粘着面3102が患者の顔に接触した場合、患者1000が患者インターフェース3000を取り外して再配置するときに、汚染及び/又は粘着力の損失が存在する可能性がある。加えて、シール形成構造1000の繰り返しの適用及び除去は、意図せず皮膚外傷及び/又は皮膚細胞の剥離を引き起こす可能性がある。
【0388】
特定の形態では、図19A~19Eに示すように、位置決めガイド部材3220は、患者の顔に対向する凹部分を有する部材を含んでもよい。凹部分は、患者インターフェース3000を着用したときに患者の顔の一部を受け入れるように構成され、患者が患者インターフェース3000を自分の顔上に正確に位置決めするのを助けることができる。
【0389】
特定の形態では、図19A、19B及び19Eに示すように、位置決めガイド部材3220は、プレナムチャンバー3200の一部を形成するか、プレナムチャンバー3200から外側に突出するV字形部材を含んでもよい。使用時には、V字形部材は、V字形の内側頂点に接触する患者1000の鼻中隔を受けるように構成されてもよい。V字形部材は、患者インターフェース3000が着用されたときに変形することができ、患者1000に不快感を与えないように軟質材料で形成することができる。V字部材のV字形状は円形であってもよい。位置決めガイド部材3200は、同様の目的でU字形の部材を含んでもよい。
【0390】
別の形態では、図19C及び19Dに示すように、位置決めガイド部材3220は、凹部分を有する部材であって、キャビティを含むエッジに沿って滑らかに湾曲した側面を有する部材を含む。
【0391】
位置決めガイド部材3220は、使用時に患者の気道を塞がないような大きさであってもよい。位置決めガイド部材3220は、TPE等の軟質材料でできていてもよい。
【0392】
図19A図19Dに示す技術の形態では、位置決めガイド部材3220はプレナムチャンバー3200の一部を形成し、他の形態では、位置決めガイド部材3220はプレナムチャンバー3200の一部に配置される。
【0393】
本技術の特定の形態では、位置決めガイド部材3220は、患者インターフェース3000が着用されて適切に位置決めされた後に、患者インターフェース3000から取り外されてもよい。いくつかの形態では、患者インターフェース3000が空気回路4170に接続される前に、位置決めガイド部材3220を除去して、呼吸可能なガス供給の円滑な流れを確保することが必要とされる場合がある。
【0394】
本技術のいくつかの形態では、位置決めガイド部材3220は、細長い本体及び患者接触端を含んでもよい。上述したように、患者接触端は、例えば鼻中隔などの患者の顔の一部に係合するために、V字形又はU字形のように凹んでいてもよい。細長い本体は、プレナムチャンバー入口ポート3202を通って延在し、患者接触端はプレナムチャンバー3200の第1端(使用中の患者の端部に近い)を通って延在するように構成されてもよい。位置決めガイド部材3220は、患者インターフェース3000が着用されたときにその位置にあり、患者が患者インターフェース3000の位置決めに満足すると、プレナムチャンバー入口ポート3202を介して取り外されてもよい。
【0395】
本技術の特定の形態では、取り外し前に、位置決めガイド部材3220は、使用前及び患者インターフェース3000の着用中にプレナムチャンバー3200に対する位置決めガイド部材3220の位置を維持するようにプレナムチャンバー3200に接続されてもよいが、患者インターフェース3000が適切に位置決めされた後に位置決めガイド部材3220を容易に取り外すことができる。例えば、一形態では、位置決めガイド部材3220がプレナムチャンバー3200に僅かに粘着されてもよい。別の形態では、位置決めガイド部材3220は、プレナムチャンバー3200に磁気的に取り付けられるように構成されてもよい。例えば、位置決めガイド部材3220の本体は、プレナムチャンバー3200の他の磁気部材に磁気的に取り付けられる磁気部材を有することができる。
【0396】
位置決めガイド部材3220を取り外すために患者1000が加える力の大きさは、好ましくは、シール形成構造3100の粘着剤アタッチメントを患者の顔から取り外すのに実質的に不十分であるべきであることが理解されるべきである。
【0397】
本技術の特定の形態では、プレナムチャンバー3200の磁気部材は、位置決めガイド部材3220が取り外されると、空気回路4170に磁気的に接続されるように構成されてもよい。例えば、プレナムチャンバー3200の磁気部材は、以下でさらに詳細に説明するように磁気部材3510とすることができる。
【0398】
本技術の図示形態では、位置決めガイド部材3220は、プレナムチャンバー3200の第1端(すなわち、患者インターフェース3000が着用されたとき、プレナムチャンバー3200はシール形成構造3100に接続され、使用中の患者の端部に近い)の開口部の下に位置することができる。
【0399】
例えば、位置決めガイド部材3220は、プレナムチャンバー3200内の開口部の周囲のエッジの一部として機能してもよく、又は、空気の流れが患者の鼻穴に送達される開口部の周囲のエッジに着脱可能又は着脱不能に配置されてもよい。位置決めガイド部材3220は、エッジの一部として含まれてもよく、あるいは、患者インターフェース3000が着用されたときに開口部の下側に位置するエッジの一部のようなエッジの一部に提供されてもよい。あるいは、位置決めガイド部材3220は、開口部の周囲にプレナムチャンバー3200のエッジの主要部分を形成することができる。エッジは、鼻下点、鼻柱、鼻中隔3132、及び/又は鼻翼頂上点の領域、及び/又は鼻の上唇のうちの1つ又は複数とインターフェースするように構成されてもよい。
【0400】
本技術の特定の形態では、図19Eに示すように、位置決めガイド部材3220(V字形又はU字形であってもよい)は、患者インターフェース3000が貫通され、位置決めガイド部材3220が患者の鼻中隔3132に係合するときに開くように構成されたプロングを含んでもよい。例えば、プロングは、そのような可撓性を有するのに十分な長さであってもよく、及び/又は位置決めガイド部材3220を形成するための材料は、十分に可撓性であってもよい。示された形態では、プロングは、患者1000の鼻穴内に実質的に延在することができる。位置決めガイド部材3220が患者インターフェース3000を着用した後に取り外されるように構成される技術形態において、位置決めガイド部材3220がプレナムチャンバー入口ポート3202を通って取り外されると、プロングが集合して位置決めガイド部材3220が取り外されることを可能にする。
【0401】
技術の特定の形態では、例えば図19Bに示すように、シール形成構造3100の粘着面3102は、シール形成構造3100を顔に適用する前に、シール形成構造3100が顔に接触する際に、ガイド部材3220が位置決めされる前に、粘着面が顔に接触しないように位置決めされるように構成されてもよい。例えば、粘着面3102は、角度から遠ざかるように方向付けられていてもよく、あるいは患者の顔カールから、例えば自重で遠ざかるようにしてもよい。このような配置の1つの利点は、位置決めガイド部材3220をガイドとして使用することにより、患者インターフェース3000が正しい位置になるまで調節することによって位置決めされ、その過程で粘着面3102が顔のどの部分にも接触しないことである。また、患者1000は、片手で位置決めガイド部材3220を顔に支持した後、同一の手でシール形成構造3100を顔の皮膚に確実に押し付けることにより、例えば、片手だけでシール形成構造3100の顔上での位置を正確に位置決めすることができる。
【0402】
特定の形態では、プレナムチャンバー3200は、一般的に患者の鼻の形状と相補的な形状に形成されてもよく、使用時に患者の鼻の近くに位置する。この形態では、プレナムチャンバー3200の患者1000に近い部分(複数可)は、患者インターフェース3000が着用されたときに位置決めガイド部材(複数可)3220と考えることができる。
【0403】
[4.3.2.2プレナムチャンバー材料]
本技術の特定の形態では、プレナムチャンバー3200は、ポリカーボネートのような比較的硬い材料で構成される。
【0404】
特定の形態では、プレナムチャンバー3200は、プレナムチャンバー3200を比較的剛性にし、典型的な治療圧力で加圧されたときにプレナムチャンバー3200の形状を維持することができる材料及び構造から形成される。プレナムチャンバー3200は、患者インターフェース3000に強度及び構造を与えることができる。
【0405】
他の形態では、プレナムチャンバー3200は、シリコーン樹脂又は熱可塑性弾性体(TPE)のような、より軟質及び/又はより柔軟な材料で形成される。シール形成構造3100のためのTPEに関する上述の利点のいくつかは、本技術の特定の形態でTPEによって形成されたプレナムチャンバー3200にも適用されてもよい。加えて、プレナムチャンバー3200を可撓性材料(例えばTPE)で形成することにより、プレナムチャンバー3200の壁を変形させることができる。変形可能なプレナムチャンバーの別の利点は、本明細書の後で説明される。
【0406】
[4.3.2.3プレナムチャンバー入口ポート]
本技術の特定の形態では、例えば図4A、4B、4C、5A、10A及び10Eに示すように、プレナムチャンバー3200はプレナムチャンバー入口ポート3202を含む。図に示された技術の他の形態もプレナムチャンバー入口ポート3202を有しているが、各図には記載されていない。呼吸可能なガス流れは、プレナムチャンバー入口ポート3202を通ってプレナムチャンバー3200に送達されるように構成されてもよい。特定の形態では、プレナムチャンバー入口ポート3202は、空気回路4170に直接又は間接的に接続されるように構成される。本技術の例示的な形態では、プレナムチャンバー入口ポート3202は、プレナムチャンバー3200の第2端に配置されることが好ましい。プレナムチャンバー入口ポート3202は、プレナムチャンバー3200の本体内に開口として形成することができる。
【0407】
[4.3.3一体型シール形成構造及びプレナムチャンバー]
本技術の特定の形態では、プレナムチャンバー3200とシール形成構造3100とは、単一コンポーネント3300として一体的に形成される。図8は、このような形態の一例を示す。
【0408】
プレナムチャンバー3200とシール形成構造3100とを一体的に単一コンポーネント3300として形成する利点は、部品点数の削減、製造の容易性、及びパッケージの削減を含んでもよい。
【0409】
[4.3.4接続ポート]
本技術の特定の形態では、例えば、図10B、10C、及び10Dに示すように、患者インターフェース3000は、使用時に空気回路4170に接続され、空気回路4170からプレナムチャンバー入口ポート3202を介してプレナムチャンバー3200に呼吸可能なガスを送達することができる接続ポート3600をさらに含む。本技術の他の形態では、接続ポート3600はプレナムチャンバー入口ポート3202と同じ開口である。接続ポート3600は、各図に記載されていない。
【0410】
特定の形態では、図10B~10Dに示すように、患者インターフェース3000は、第1端と第2端とを有するチューブ3502を含み、チューブの第1端はプレナムチャンバー入口ポート3202に流体接続され、チューブの第2端は接続ポート3600を含む。チューブ3502の第1及び第2端は互いに対向している。第1端は、プレナムチャンバー3200の入口ポート3202に接続されるように構成される。第2端は接続ポート3600を形成する。
【0411】
一形態では、空気回路4170の第1端は、ファスナーを介してチューブ3502の第2端(すなわち、接続ポート3600)に接続することができる。図10Cの図示された実施形態では、例えば、ファスナーはツイストロック又はバヨネットファスナーであり、空気回路4170は、チューブ3502のレシーバ3522に挿入されるプロング3520を有する。あるいは、チューブ3502と空気回路4170とを一緒に形成することができる。
【0412】
[4.3.5換気口]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、二酸化炭素のような呼気ガスの排出を可能にするように構築及び配置された換気口3400を含む。換気口3400は、患者インターフェース3000の任意の1つ又は複数のコンポーネントに形成又は配置され得る換気口構造によって実現され得る。
【0413】
特定の形態では、換気口3400は、プレナムチャンバー3200の内部から環境への連続した換気ポートの流れを可能にするように構成されており、同時にプレナムチャンバー内の圧力は周囲に対して正である。換気口3400は、使用時にプレナムチャンバー内に治療圧力を維持しつつ、患者が吐き出すCOの再呼吸を減少させるのに十分な大きさの換空気の流れ量を有するように構成される。
【0414】
本技術の一形態による換気口3400は、複数の穴、例えば、約5~約80個の穴、又は約10~約40個の穴、又は約20~約25個の穴を含む。
【0415】
本技術の特定の形態では、例えば図5Aに示すように、換気口3400はプレナムチャンバー3200内に位置することができる。
【0416】
あるいは、上記のように、換気口3400は、プレナムチャンバー3200に流体的に接続されたチューブ3502内に配置されてもよい。他の形態では、換気口3400は、回転継手のような分離構造(例えば、以下でさらに詳細に説明する)に位置することができる。他の形態、例えば図10B及び図10Cの形態では、以下により詳細に説明するように、換気口を熱湿気交換器3700に設けることができる。
【0417】
特定の形態では、例えば図20Dに示すように、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバー3200の内部から周囲中にガスの流れを拡散するように構成されたディフューザ3410をさらに含む。ディフューザは、換気口3400内の通路内に配置することができる。例えば、図20Dに示す形態では、ディフューザ3410は、換気口3400の通路に沿ってチャンバ内に配置されたディフューザ材料本体を含む。
【0418】
ディフューザ3410の利点は、換空気の流れによって発生する騒音を低減することと、噴射を防止することである。エアジェットが換気口から排出されると、これらのジェットが寝ているパートナーに向けられたり、近くの表面に接触して騒音が発生したりすることがある。騒音及びエアジェットは、患者1000及び/又は睡眠中のパートナーの睡眠を妨害し、その結果、彼らの睡眠の質を低下させ、又は他の不快感を引き起こす可能性がある。
【0419】
[4.3.5.1ポート]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバー3200内の容積へのアクセスを可能にする1つ又は複数のポートを含む。特定の形態では、これは臨床医が補充酸素を供給することを可能にする。一形態では、これにより、プレナムチャンバー3200内のガスの特性、例えば圧力を直接測定することができる。
【0420】
[4.3.5.2呼吸-大気換気口]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、少なくとも2つの構成を採用することができるように構成された換気口3400を含んでもよい。開放構成と呼ばれる1つの構成では、換気口3400により、患者は、有意なインピーダンスなしで、又は患者がほとんど気付かないレベルのインピーダンスで、通気口3400を介して吸気及び呼気を行うことができる。閉鎖構成と呼ばれる別の構成では、換気口3400は、開放構成よりもさらに閉塞される。いくつかの形態では、閉鎖構成において、換気口3400は、呼気ガスをプレナムチャンバー3200の内部から周囲中にフラッシングすることを可能にし、同時にプレナムチャンバーの圧力を周囲に対して実質的にプラスに維持する。他の形態では、閉鎖構成では、この換気口は、この換気口を通過するすべてのガスの排出を実質的に阻止することができ、代わりに、別の換気口構造によって、呼気ガスを排出することができる。この換気口3400は、「大気への呼吸」換気口(BTA換気口)と呼ぶことができる。
【0421】
BTA換気口が開放又は閉鎖の構成をとるか否かは、RPTデバイス4000から患者インターフェース3000に供給される呼吸可能なガス供給の圧力に基づいてもよい。BTA換気口は、呼吸可能なガスが供給されない場合、又は、特定の閾値より低い圧力、例えば6cmHOのような治療圧力レベルより低い圧力での呼吸可能なガス流れが供給される場合、開放構成を採用するように構成されてもよい。BTA換気口は、特定の閾値よりも高い圧力、例えば6cmHOのような治療圧力レベルよりも高い圧力での呼吸可能なガス流れが供給される場合に、閉鎖構造を採用するように構成されてもよい。
【0422】
上記のBTA換気口のように動作すると考えられる換気口を含む患者インターフェースシステムの更なる説明は、PCT出願番号PCT/US2012/055148に記載されており、その内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0423】
1つの用途では、BTA換気口は、患者が患者インターフェース3000を初めて着用したとき、及び患者がRPTデバイス4000によって覚醒していると検出されたときに、開放された構成を採用するように構成された患者インターフェースシステムで使用することができる。このような構成では、RPTデバイスは、呼吸可能なガス流れを提供しなくてもよく、又は、プレナムチャンバー3200から呼気COを洗い流すのを助けるために、呼吸可能なガスの小流量を提供するように構成されてもよい。RPTデバイス4000が、患者が睡眠状態に入ったことを検出すると、呼吸可能なガス流れを治療圧力で供給することができ、これにより、BTA換気口が閉鎖構成を採用することができる。
【0424】
患者の顔に粘着されたシール形成構造3100を有する患者インターフェース3000は、従来の患者インターフェース3000と比較して、BTA換気口の点でいくつかの利点を有する。
【0425】
このような患者インターフェース3000の例示的な形態では、プレナムチャンバー3200内の容積は、他の方法(例えば、ヘッドギアストラップ)によって顔に保持されるいくつかの患者インターフェースと比較して、比較的小さくてもよい。この体積又は関連する体積は、患者インターフェース内の「不感帯」と呼ばれてもよい。プレナムチャンバー3200の容積が小さいということは、開放構成において、患者がBTA換気口を介して呼吸するときに、呼吸が蒸れる可能性が低いことを意味する。さらに、BTA換気口が開放構成であり、患者が覚醒しているときに、RPTデバイス4000がCOフラッシングを助けるために呼吸可能なガスの小流量を供給する場合、小容積は、プレナムチャンバー3200内の容積が大きい場合、同じレベルのCOフラッシングを達成するのに必要な流量よりも流量が低いことを意味する。これらの要因は、患者がマスクを着用していても覚醒している場合に、流量を最小化又は減少させるのに役立つ可能性があり、不快感を軽減し、患者の入眠を助けることができる。
【0426】
BTA換気口と併用する患者インターフェースの課題は、患者が睡眠状態にあることが検出されると、RPTデバイスが呼吸可能なガス供給の圧力を高め、加圧された室内圧力の増加に伴ってヘッドギアストラップの望ましい張力が変化することである。プレナムチャンバー内の圧力が高いほど、患者インターフェースを患者の顔から押し出す力が大きくなる。位置決め及び安定化構造はこの力を相殺し、これは通常、必要な張力を有するヘッドギアベルトによって達成される。このようなシステムでは、患者が覚醒時に患者インターフェースマスクを着用することがあり、呼吸可能なガスが低圧で供給されている場合、又は全く供給されていない場合、ヘッドギアの張力は、患者インターフェースと顔とのシール接触を維持するのに十分であるが、呼吸可能なガスが高い圧力(例えば、治療圧力)で供給されている場合、張力は、患者インターフェースと顔とのシール接触を維持するのに十分ではない可能性がある。本明細書の技術の形態で説明される患者インターフェース3000は、シール形成構造3100が粘着剤で患者の顔に粘着されるので、この問題を回避する。粘着剤が、ガスが治療圧力で供給されているときに患者インターフェース3000を適切な位置に保持するのに十分な強さで選択されている場合、患者が一旦ガスの圧力が上昇しても、患者インターフェース3000は良好な品質のシールで適切な位置に保持される。
【0427】
加えて、患者の鼻穴の周囲の領域に粘着されたシール形成構造3100は、鼻穴に空気の流れを供給し、鼻穴を閉じるように機能するヘッドギアストラップ張力を用いて顔に保持される従来の患者インターフェースよりも、患者の鼻穴を閉塞しにくい可能性があることが観察されている。これは、呼吸可能なガスが供給されていないか又は供給が低圧であるときに患者の顔に粘着されるシール形成構造3100を有する患者インターフェース3000を着用すると、従来の一部の患者インターフェースと比較して、患者が呼吸しやすいことを発見することができることを意味する。
【0428】
[4.3.5.2.1窒息防止弁]
BTA換気口の1つの形式は窒息防止弁(AAV)であり、これは通常、窒息のリスクを軽減する措置として鼻と口の患者インターフェースを覆うのに用いられる。AAVは、プレナムチャンバー3200及び/又は患者1000の気道への呼吸可能なガスの供給が遮断された場合に、患者1000の気道への換気を確保する。本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、上述したようにBTA出口として使用されるAAVの従来の設計を含んでもよい。
【0429】
例えば、図29に示す技法の形態では、患者インターフェース3000は、上記のように使用されるときにBTA換気口として機能する換気口3400を含む。BTA換気口は、窒息防止弁3402の形態とすることができる。本技術の図示形態では、窒息防止弁3402は、プレナムチャンバー3200の入口ポート3202に接続された空気回路4170の端部に位置するか又はその近傍にある。他の形態では、AAVは、例えばプレナムチャンバー3200内に、又は空気回路4170とプレナムチャンバー3200との間に接続されたチューブ内に位置することができる。
【0430】
窒息防止弁3402は、弁3402が閉鎖された構成にあるとき、空気回路4170の壁の開口部を覆い、使用中のプレナムチャンバー3200に含まれるガスの漏れを防止又は制限するように構成されたバッフルを含んでもよい。フラッパがプレナムチャンバー3200への呼吸可能ガス流れが遮断又は減少している場合など、弁が開放構成にあるとき、又はRPTデバイス4000によって供給される呼吸可能ガスの圧力が上昇していない場合(例えば、患者がまだ覚醒していることが検出された場合)には、患者1000が周囲の雰囲気に直接又は周囲の雰囲気から呼吸することを可能にするために、開口部が閉塞されることが少ない位置にある。
【0431】
[4.3.5.3呼気抵抗弁]
本技術の特定の形態では、RPTデバイス4000からプレナムチャンバー3200に空気を供給することに加えて、プレナムチャンバー3200内の陽圧を生成することができる。例えば、呼吸療法システム2000の一形態では、患者の呼気によって空気の流れがプレナムチャンバー3200内に陽圧を発生させる。このシステムは呼気気道陽圧換気(EPAP)システムと呼ぶことができる。本技術によるEPAPシステムの特定の形態は、本明細書に記載されているようなRPTデバイス又は空気回路を含まなくてもよい。逆に、EPAPシステムは、患者が呼気したガス流れからプレナムチャンバー内の治療圧力を生成し維持するように構成された換気口を含んでもよい。
【0432】
図30は、EPAPシステムにおいて使用される患者インターフェース3000の一例の形態を示す。図30の患者インターフェース3000は、プレナムチャンバー3200及びシール形成構造3100を含み、これは、本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの技術の形態である。
【0433】
図示の形態では、患者インターフェース3000は、呼気抵抗弁3404の形態の換気口3400も含む。呼気抵抗弁3404は、ガスが2方向に流れるように構成される。ガスは、呼気抵抗弁3404を一方向に通って、周囲空気からプレナムチャンバー3200に流入して、患者の呼吸に供することができる。呼気抵抗弁3404は、この方向の空気の流れが患者の呼吸に十分に供給されるように構成される。ガスは、呼気抵抗弁3404を逆方向に通ってもよく、プレナムチャンバー3200の内容積から環境に向かって流れ、呼気ガスを患者から排出することができる。呼気抵抗弁3404は、患者に治療効果を与えるのに十分な周囲圧力と比較して、この方向に許容されるガス流れ量がプレナムチャンバー3200内に陽圧を生成して維持するように構成される。
【0434】
本技術の特定の形態では、呼気抵抗弁3404は、例えばプレナムチャンバー3200に永久的に取り付けられる。
【0435】
他の形態では、呼気抵抗弁3404がプレナムチャンバー3200に着脱可能に設けられている。これにより、呼気抵抗弁3404の交換及び/又は清掃を可能にすることができる。例えば、図30に示す形態では、呼気抵抗弁3404は、プレナムチャンバー3200の入口ポート3202に設けられるように構成される。このような構成により、プレナムチャンバー3200とシール形成構造3100との同じアセンブリを呼気抵抗弁3404と交換して使用することができ、空気回路4170に接続され、呼吸治療(例えば、CPAP)を実施するために、患者の好みに応じてRPTデバイス4000から空気の流れを受け取ることができる。
【0436】
呼気抵抗弁3404は、チューブ3406とキャップ3408とを含んでもよい。チューブ3406は、プレナムチャンバー3200の入口ポート3202に挿入されるように構成することができ、キャップ3408は、過挿入を防止するために呼気抵抗弁3404のチューブ3406が入口ポート3202に挿入されるときに、入口ポート3202を実質的に横切るように構成されてもよい。図30に示すように、カバー3408は、使用中のプレナムチャンバー3200へのガスの流入及び流出を可能にするように動作し、上述したように、患者インターフェース3000の使用時にプレナムチャンバー3200内の圧力を制御する弁コンポーネント3409を含んでもよい。
【0437】
一方、図30における患者インターフェース3000は、患者インターフェース3000は、EPAP治療のためのスタンドアロン装置として機能することができ、本技術の代替形態では、呼吸圧療法システム2000は、RPTデバイス4000から陽圧の呼吸可能なガス流れを受け取る患者インターフェース3000と、プレナムチャンバー3200内の治療圧を増加させ、維持するのを助ける呼気抵抗弁3404とを含んでもよい。これは、RPTデバイス4000に必要とされる電力レベル及び/又はサイズを低減しながら、CPAP及びEPAPシステムの両方の利点のいくつかを提供することができる。例えば、空気回路4170を入口ポート3202に接続し、呼気抵抗モジュール3404を入口ポート3202と空気回路4170との間に接続することができる。
【0438】
[4.3.5.4分割型換気口]
本技術のいくつかの形態では、呼気ガスの排出を可能にするように構成及び配置された換気口3400(第1換気口3422と呼ぶことができる)に加えて、患者インターフェース3000に供給される前に、RPTデバイス4000から受け取った空気を排出するように構成された第2換気口3424があってもよい。第2換気口3424は、患者1000への空気の圧力を維持しながら、患者インターフェース3000によって受け取られたRPTデバイス4000からの空気の流量を減少させるように構築及び配置され得る。第2換気口3424は、第1換気口3422とは異なる位置に呼吸療法システム内に配置され得る。
【0439】
例えば、図28に示す技術の形態では、患者インターフェースシステム5000は、患者インターフェース3000及びチューブ3420を含む。使用時には、空気回路4170からチューブ3420を介して患者インターフェース3000内に呼吸可能なガスが供給される。チューブ3420は、第1端3426と第2端3428とを含む。第1端3426はプレナムチャンバー3200の入口ポート3202に接続される。第2端3428は、空気回路4170に接続されるように構成される。一部の形態では、チューブ3420は、約200~400mmの長さ、例えば約300mmとすることができる。
【0440】
第1換気口3422は、チューブ3420の第1端3426又はその近傍に、例えば第1端3426におけるエンドレスカフ上に、あるいは患者インターフェース3000上、例えばプレナムチャンバー3200上に位置することができる。第2換気口3424は、チューブ3420の第2端3428に、又はその近傍に位置することができる。例えば、チューブ3420は、空気回路3170に接続されるように構成されたカフをその第2端3428に含むことができ、カフの一部として第2換気口3424を含んでもよいか、又はカフに接続されてもよい。
【0441】
例えば、第2換気口3428は、本明細書の他の箇所に記載された任意の換気口の形態をとることができる。
【0442】
図28に示された形態のような「別個の換気口」構成によって提供される1つの利点は、患者インターフェース3000に同じ圧力又は流量を送るのに必要なチューブ3420の直径を、第2換気口3424がないシステムに比べて小さくすることができることである。快適で使用しやすいように、使用中の患者の近くに配置されたより細いチューブ3420が望ましいかもしれない。
【0443】
[4.3.6鼻プロング/鼻枕]
図9A~9Dに示す技術の一形態では、患者インターフェース3000は、1対の鼻パフ、鼻プロング、又は鼻枕3250を含む。各鼻枕3250は、患者1000の対応する鼻穴とシールを形成するように構築及び配置される。
【0444】
本技術の一態様に係る鼻枕3250は、少なくとも一部が患者の鼻の下側にシールを形成する円錐台3252と、シャンク3254と、円錐台3252の下側の可撓性領域とを含み、円錐台3252をシャンク3254に連結する。
【0445】
一形態では、本技術の鼻枕3250は、図9A及び9Bに示すようにプレナムチャンバー3200の内部に配置された鼻枕本体から形成される。鼻枕3250の円錐台3252は、鼻枕本体の一端に形成され、プレナムチャンバー3200の第1端に位置合わせされるように構成される。柄3254の端部は、鼻枕本体の対向する端部に形成され、第2端にプレナムチャンバー3200の入口ポート3202と整列するように構成された開口部を含む。鼻枕本体は、使用時に、呼吸可能なガスがシャンク3254の開口部からノーズコーン3252に流れ、ノーズコーン3252から患者1000の鼻穴に流れるように位置決めされる。
【0446】
一形態では、プレナムチャンバー3200及び鼻枕3250は、鼻枕本体をプレナムチャンバー3200内に位置決めすることによって患者1000が組み立てることができる別個のコンポーネントである。鼻枕本体の寸法及び形状は、鼻枕本体内の空気の流れ路以外のキャビティを回避するためにプレナムチャンバー3200内に適合することができる。鼻枕3250はプレナムチャンバー3200から容易にスライドすることができ、これはプレナムチャンバー3200及び/又は鼻枕3250を容易に洗浄するのに役立つ。
【0447】
特定の形態では、鼻枕3250は柔軟であってもよい。これにより、特に患者インターフェース3000が長時間着用された場合の患者の快適性が向上する。
【0448】
図9A~9Dに示されている患者インターフェース3000の形態では、鼻枕3250に加えて粘着面3102を含むシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、本技術の他の形態に関連して説明された構造と同様であってもよく、鼻枕3250取り囲む粘着面3102を含んでもよい。シール形成構造3100によって形成されたシールは、鼻枕と患者の鼻穴とによって形成されたシールに付加することができる。これにより、シールの品質を向上させることができるとともに、粘着性が失われた場合には、鼻枕3250をバックアップシールとして使用することができるので、所望の粘着剤の粘着強度を低下させることができる。代替形態では、鼻枕3250は、鼻穴とのシールをほとんど又は全く提供するように構成される。この形態では、鼻枕は、患者インターフェース3000を患者の顔の正しい位置に位置決めするのを助ける役割を果たす。この利点はまた、鼻ピロー3250が鼻穴とシールを形成する形態で提供される。
【0449】
[4.3.7分離構造(複数可)]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、シール形成構造3100を空気回路4170から少なくとも部分的に分離するように構成され得る1つ又は複数の分離構造3500を含む。
【0450】
分離構造3500は、シール形成構造3100と患者の顔との間の粘着剤付着物を完全に又は部分的に分離(又は隔離)して、使用時に空気回路4170又は呼吸療法システムの他の部分に加わる力の伝達から保護するように構成されてもよい。このような力は、例えば、患者、ベッドパートナー、又は患者の周囲の物体との接触による空気回路4170の意図しない牽引や引っ張りを含んでもよい。これらの力がシール形成構造3100に直接伝達されると、シール形成構造3100が患者の顔から引きちぎられたり、シール形成構造が患者の顔の皮膚を強く引っ張ることになる可能性がある。どちらの場合も、多くの不快感、痛み、皮膚外傷を引き起こすことがある。
【0451】
本技術の形態の分離構造(複数可)3500は、シール形成構造3100に伝達される力の量を低減するように構成される。一部の形態では、分離構造は、所定の大きさよりも大きい力が空気回路4170に入射したときに、空気回路4170とプレナムチャンバー3200とを切り離すことができる。空気回路4170とプレナムチャンバー3200との容易な切断も、例えば、患者1000が呼吸療法システム2000から一時的に切断することを望む場合に有用である。
【0452】
この場合、分離は、第1コンポーネントに伝達された力が、第1コンポーネントに何らかの形で接続された第2コンポーネントに及ぼす影響を絶縁又は低減することと理解することができる。例えば、コンポーネントは、シール形成構造3100及び空気回路4170であってもよい。
【0453】
本技術の特定の形態では、分離構造3500は、プレナムチャンバー3200又は空気回路4170の一部を形成することができる。あるいは、図10Bの例のように、空気回路4170とプレナムチャンバー3200とは、それらの間に配置された分離構造3500によって接続されてもよい。次に、例示的な分離構造3500について説明する。いくつかの例示的な形態に関して説明された技術的な形態は、一形態の分離構造のみを含んでもよいが、他の形態では、患者インターフェース3000は、1つ又は複数の例示的な形態の分離構造3500の組み合わせを含んでもよいことを理解されたい。
【0454】
[4.3.7.1変形可能なコンポーネント]
特定の形態では、分離構造3500は、空気回路4170の第1端が、プレナムチャンバー3200に対する中立位置(すなわち、空気回路4170に作用する力がない場合に採用される位置)に対して傾くようになったときに変形するように構成された変形可能なコンポーネントを含んでもよい。前述したように、空気回路4170の第1端は、プレナムチャンバー入口ポート3202及び/又は接続ポート3600に接続するように構成されてもよい。
【0455】
このように空気回路4170の第1端が傾くと、変形可能なコンポーネントは、シール形成構造3100に伝達される力の量を除去又は低減する。変形可能なコンポーネントは、特に、空気回路4170の長手軸に垂直な方向に空気回路4170に作用する力からシール形成構造3100を絶縁するために使用される。
【0456】
[4.3.7.1.1変形可能なプレナムチャンバー]
一形態では、変形可能なコンポーネントはプレナムチャンバー3200である。この形態では、プレナムチャンバーは、プレナムチャンバーが実質的に可撓性であるように形成することができ、例えば、プレナムチャンバー3200は、軟質材料で形成され、及び/又は、薄い壁を有することができる。例えば、プレナムチャンバー3200は、比較的薄いシリコン樹脂又はTPE層で形成することができる。
【0457】
この形態では、可撓性プレナムチャンバー3200は、力が空気回路4170の第1端をその長手軸に垂直な方向に押すと変形する(すなわち、空気回路4170の第1端が中間位置に対して傾斜する)ように構成されてもよい。例えば、プレナムチャンバー3200の部分は、空気回路4170の位置が乱れたときに、しわ、折り畳み、及び/又は伸長するように構成されてもよい。
【0458】
一形態では、プレナムチャンバー3200は、力によって空気回路4170が傾斜したときに、空気回路4170の一方の側に位置するプレナムチャンバー3200の一方の側が圧縮又は折り畳まれ、空気回路4170の第1側とは反対側に位置するプレナムチャンバー3200の一方の側が伸長するように構成され得る。
【0459】
[4.3.7.1.2チューブ]
本技術の特定の形態、例えば図10B~10Dに示す例示的な形態では、分離構造3500は、実質的に可撓性を有するように形成された可撓性部分3504をさらに含むチューブ3502を含む。例えば、可撓性部分3504は、チューブ3502及び/又は患者インターフェース3000の他の部分よりも可撓性であってもよい。
【0460】
可撓部分3504は、チューブ3502の他の部分を形成する材料よりも柔らかい材料で形成することができる。代替的に又は追加的に、可撓性部分3504は、チューブ3502を形成するために使用される他の部分よりも薄い材料で形成されていてもよい。
【0461】
図示の例示的な形態では、可撓性部分3504は、チューブ3502の他の部分の断面直径よりも狭い断面直径を有する変形可能な首部の形態である。これにより、可撓部分3504をチューブ3502の他の領域よりも容易に屈曲させることができる。
【0462】
可撓性部分3504は、力が空気回路4170に加えられてその近位端が横方向に移動するときに撓みとして機能し、この撓みは、横方向の力がシール形成構造3100に伝達される前に発生して、シール形成構造3100を空気回路4170から少なくとも部分的に分離するように機能する。
【0463】
[4.3.7.2ボールジョイント]
一形態(図示せず)では、分離構造は、空気回路4170からシール形成構造3100に空気回路4170の長手軸に垂直な方向に伝達される力(複数可)の量を低減するために、空気回路4170がプレナムチャンバー3200に対して回転運動することを可能にするように構成された回転継手又はボールジョイントを含んでもよい。
【0464】
一形態(図示せず)では、ボールジョイントは、空気回路4170に所定値以上の力が加えられたとき(力成分はいずれの方向にも)、空気回路4170をプレナムチャンバー3200から取り外すように構成されたクイックリリースボールジョイントであってもよい。ボールジョイントは、空気回路4170の長手軸に垂直な方向及び/又は空気回路4170の長手軸に平行な方向に所定値以上の力が加えられたときに取り外し可能である。
【0465】
[4.3.7.3磁気結合]
本技術の特定の形態では、分離構造3500は、接続ポート3600に設けられた第1磁気部材3510を含む。第1磁気部材3510は、空気回路4170が接続ポート3600に接続されたときに空気回路4170に供給される第2磁気部材3512と磁気結合するように構成される。第1磁気部材3510は、第1磁気部材3510と第2磁気部材3512との間の磁気吸引力よりも大きい力で空気回路4170が患者インターフェース3000から引き離されたときに、第2磁気部材3512から離れるように構成されてもよい。
【0466】
図10A図10E、及び図10Fは、そのような分離構造3500の例示的な形態を示す。分離構造3500は、第1磁気部材3510(図示せず)と第2磁気部材3512との間の磁気結合により、接続ポート3600と空気回路4170の第1端との間に接続を提供する。本技術のこの形態では、プレナムチャンバー入口ポート3202は接続ポート3600を形成する。
【0467】
第2例示的な形態では、図10B、10C及び10Dに示すように、分離構造3500は、プレナムチャンバー入口ポート3202に配置された第1磁気部材3510と、チューブ3502の第1端に配置された第2磁気部材3512との間の磁気結合を介して接続された、チューブ3502の第1端とプレナムチャンバー入口ポート3202との間の磁気結合を含む。この形態では、プレナムチャンバー入口ポート3202が接続ポート3600を形成すると考えられる。
【0468】
さらなる例示的な形態では、図11に示すように、分離構造3500は、プレナムチャンバー入口ポート3202に配置された第1磁気部材3510と空気回路4170の端部に配置された第2磁気部材3512との間の磁気結合によって結合された空気回路4170の端部とプレナムチャンバー入口ポート3202との間の磁気結合を含む。
【0469】
第1磁気部材3510と第2磁気部材3512とは、使用時に互いに磁気的に結合するように構成される。例えば、第1及び第2磁気部材は、共に強磁性体等の磁石であってもよく、第1及び第2磁気部材3510,3512は、互いに引き合うように極性が同様に揃えられている。第1又は第2磁気部材の一方は磁石であってもよく、第1又は第2磁気部材の他方は磁石に吸着可能な非磁石材料、例えば磁石に吸着可能な金属であってもよい。
【0470】
磁気部材は、任意の適切な形状であってもよい。いくつかの形態では、第1及び第2磁気部材3510、3512は環状であり、それらがその一部を構成する対応するコンポーネントの開口部を取り囲むように配置される。この形状は、接続コンポーネントの周辺の磁気吸引力の確保に寄与し、ガス漏れの低減に寄与する。他の形態では、第1及び第2磁気部材3510、3512の一方又は両方は、例えば、それぞれの開口部の周りにアレイ状に配置された複数の個別の磁気部材を含んでもよい。他の形態では、第1磁気部材3510及び第2磁気部材3512の一方又は両方は、複数の別個の磁石を含んでもよい。複数の磁石は、接続ポート3600の周辺及び/又は空気回路4170の端部の周囲に配置されてもよい。
【0471】
第1磁気部材3510と第2磁気部材3512との間の磁気結合は、例えばチューブ3502が存在する場合には、空気回路4170及び/又はチューブ3502を直接切断することにより、患者1000が患者インターフェース3000から空気回路4170を容易に接続及び/又は切断することを可能にする。この使いやすさは、図10E及び図10Fに示されている。
【0472】
特定の態様では、第1磁気部材3510と第2磁気部材3512との間の磁気吸引力の強さは、空気回路4170に所定の大きさ以上の力が加えられた場合にのみ断線するようにそれぞれ選択される。この力は、使用時に遭遇する可能性のある典型的な力を受けた場合に、空気回路4170が容易に切断されないように選択されてもよいが、患者に著しい不快感を与える可能性のある力が遭遇した場合には切断される。所定の力の大きさは、シール形成構造3100が患者の顔に付着するときに患者の顔から引き離すのに必要な力の量よりも小さくなるように選択することができる。
【0473】
本技術のいくつかの例示的な形態では、患者インターフェース3000の一部は使い捨てであることが意図されており、交換される前に限られた回数しか使用されない。例えば、図10Bに示す技術の例示的な形態では、シール形成構造3100及びプレナムチャンバー3200は、単一の使い捨てコンポーネントを形成することができる。廃棄しようとする部材に金属コンポーネントなどの磁気部材が含まれている場合、製造コストが過大になる可能性がある。
【0474】
図20A~20Fは、この問題を解決する技術による患者インターフェース3000の例示的な形態を示す。この形態では、患者インターフェースは、プレナムチャンバー3200及びシール形成構造3100を含み、これらは製造コストが低く、熱可塑性弾性体(TPE)のようなリサイクル可能な材料で形成されてもよい。シール形成構造3100の粘着面3102には、例えばスプレーにより粘着剤が塗布される。
【0475】
空気回路4170は、チューブ3502に接続されており、チューブ3502の先端は磁気部材3512である。前述したように、チューブ3502は、可撓性部分3502も含んでもよい。
【0476】
本技術のこの形態では、空気回路4170と患者インターフェース3000との間の磁気結合は、図20E及び20Fの斜視図及び図20Dの断面図に示されているアダプタ3514によって達成される。アダプタ3514は、プレナムチャンバー入口ポート3202内に取り外し可能に挿入され、プレナムチャンバー入口ポート3202内に保持されるように構成され、空気回路4170に接続された患者インターフェース3000を保持するために空気回路4170に磁気的に結合される。
【0477】
アダプタ3514は、一般に管状であってもよく、ガスの通過を可能にする中心孔3515を有していてもよい。アダプタ3514は、各端部に第1フランジ3712及び第2フランジ3714を含んでもよい。第1フランジ3712と第2フランジ3714との間には、第1及び第2フランジよりも小径の首部3710が設けられている。第2フランジ3714は、フランジの端部から首部3710に向かって連続的に狭くなる断面直径を有することができ、これにより、図20Dに最もよく見られるように、第2フランジ3714は円錐台形状を有する。
【0478】
アダプタ3514は、プレナムチャンバー入口ポート3202に挿入可能な大きさである。挿入されると、フランジ3712、3714は、例えば摩擦嵌合によって保持されたシール配置でプレナムチャンバー入口ポート3202に係合する。示された形態では、プレナムチャンバー入口ポート3202を取り囲むプレナムチャンバーの縁がフランジ3712、3714の間に挟まれている。
【0479】
上述したように、特定の形態では、プレナムチャンバチャンバ3200は、プレナムチャンバチャンバ入口ポート3202に向かって徐々に細くなってもよく、例えば、プレナムチャンバチャンバ3200の患者に近い部分は、患者の気道を覆うのに十分な広さであり、プレナムチャンバチャンバ3200の患者から遠い部分は、空気回路4170に接続するのに十分な狭さである。これにより、プレナムチャンバー3200は、患者から遠ざかるにつれて先細りになる傾斜した側面を有することができる。
【0480】
したがって、アダプタ3514は、このテーパによって生じるプレナムチャンバー3200の傾斜した側と相補的な傾斜した側を有することができる。図20A~20Fの図示形態では、第2フランジ3714は、空気回路4170の遠位端(使用中の患者の近位端)のより大きな幅及び空気回路4170の近位端(使用中の患者の遠位端)のより狭い幅から徐々に細くなる傾斜した側を有してもよい。プレナムチャンバー3200との実質的に有効な嵌合を提供することに加えて、傾斜した第2フランジ3714の角度は、アダプタ3514をプレナムチャンバー入口ポート3202内に容易にスライドさせることができる。傾斜した第2フランジ3714は、アダプタ3514がプレナムチャンバーから容易に抜け出るのを防止することもできる。
【0481】
プレナムチャンバー入口ポート3202は、アダプタ3514のフランジ3712、3714のうちの1つがそこを通って挿入されることを可能にするように変形可能である。一部の形態では、プレナムチャンバー入口ポート3202は、そのような変形を容易にするために、その周辺に1つ又は複数の小さなスリットを備えていてもよい。スリットは、存在する場合には、プレナムチャンバー3200内の加圧された空気のための漏れ経路を生成するのに十分な大きさではない可能性がある。
【0482】
一形態では、図2に示す。20E、アダプタ3514の首部3710は、アダプタ3514の中間部分の周辺の一部又は全部を取り囲む両端間に延在する溝の形態をとる。首部3710は、プレナムチャンバー入口ポート3202を形成するプレナムチャンバー3200の部分を受け入れて、アダプタ3514を使用中のシール形成構造3100に固定するように構成される。
【0483】
特定の例示的な形態では、図20Eに示すように、アダプタ3514の首部3710は、アダプタ3514の中間部分の両端間の全周囲に延在する環状(すなわち円形)の溝を形成する。この形態のプレナムチャンバー3200は、プレナムチャンバー入口ポート3202を形成する環状リング3216を含んでもよい。
【0484】
アダプタ3514は、プレナムチャンバー3200の環状リング3216が首部3710に連動するようにプレナムチャンバー3200内に押し込むことができる。環状リング3216及び首部3710は、このインターロックが実質的に気密であるように、すなわち、アダプタ3514及びシール形成構造3100の通路を介して空気回路4170からのガスが環状リング3216及び首部3710がインターロックされる領域を通って漏れないように構成され得る。
【0485】
別の形態では、アダプタ3514の首部3710は、楕円形のような非円形であってもよく、又は角の丸い形状を含む別の幾何学的形状であってもよく、プレナムチャンバー入口部分3202はそれに応じて形成されてもよい。非円形を使用して、アダプタ3514及びプレナムチャンバー3200がコンポーネントに特定の相対的な方向で確実に接続されるようにすることができる。これは、例えば、患者に呼気が排出されないように換気口を方向付けるのに役立つ可能性がある。別の形態では、アダプタ3514とプレナムチャンバー3200との間の方向付けは、別の構造的特徴によって達成されてもよい。
【0486】
例えば、いくつかの形態では、アダプタ3514は1つ又は複数の突起を含むことができ、プレナムチャンバー3200は、突起によって受容されるように構成された1つ又は複数の凹部を含んでもよい(その逆もまた同様である)。これらの配置はまた、アダプタ3514と使用中のプレナムチャンバー3200との間の相対回転を防止することができる。相対回転を防止することにより、使用時に空気回路4170がねじれて邪魔になったり、損傷したりしにくくなる可能性がある。
【0487】
別の形態では(いずれの図にも示されていない)、アダプタ3514は、使用中のシール形成構造3100にアダプタ3514を固定するためにプレナムチャンバー3200内の圧痕によって受容されるように構成された突起を含んでもよい。突起が圧痕に受け入れられると、アダプタ3514とプレナムチャンバー3200とのアセンブリが気密になるように、アダプタ3514をプレナムチャンバー3200に取り付けることができる。
【0488】
アダプタ3514の一端に磁気部材3510を設けてもよい。例えば、第1フランジ3712の端面に磁気部材3510を設けることができる。使用時には、アダプタ3514のこの端部はプレナムチャンバー入口ポート3202の前方から突出しており、チューブ3502上の磁気部材3512は、空気回路4170を患者インターフェース3000に結合するためにアダプタ3514上の磁気部材3510に接続される。
【0489】
アダプタ3514及びチューブ3502上の磁気部材3510及び3512は、それぞれ環状であってもよく、空気回路3170からプレナムチャンバー3200への呼吸可能なガスの流入を可能にする対応する開口部を取り囲むように配置されている。
【0490】
特定の形態では、磁気部材の接続面は、アダプタ3514及びチューブ3502の長手方向軸にそれぞれ実質的に直交して配向されていてもよい。
【0491】
他の形態では、例えば図20A~20Fに示すように、磁気部材の接続面は、アダプタ3514及びチューブ3502の長手方向軸に対してそれぞれ非直交角をなすことができる。例えば、図20A~20Fの磁気部材3510は傾斜面3510aを有し、磁気部材3512は対応する形状の表面3512aを有する。このような磁気接続面の形成は、アダプタ3514とチューブ3502との間の磁気接続を意図した位置合わせで容易にするのに役立つ。
【0492】
特定の形態では、磁気部材3510、3512の傾斜面3510a、3512aの一方は凸であってもよく、傾斜面の他方は他方の磁気部材の凸面と嵌合するように凹であってもよい。一形態では、凸面はアダプタ3514の傾斜面3510aであり、凹面はチューブ3502の傾斜面3512aであり得る。別の形態では、凹面はアダプタ3514の傾斜面3510aであってもよく、凸面はチューブ3502の傾斜面3512aであってもよい。
【0493】
他の形態では、磁気部材3510,3512の表面は、他の形態の輪郭を有していてもよい。
【0494】
プレナムチャンバー3200及びシール形成構造3100を含むコンポーネントは、廃棄する準備ができたとき(例えば、汚れているため)、廃棄又は回収することができ、アダプタ3514は、取り外され、保持され、交換されたプレナムチャンバ/シール形成構造コンポーネントと共に使用されてもよい。ただし、アダプタ3514が汚れていて掃除が困難な場合は、交換する必要がある場合がある。
【0495】
一形態では、磁気部材3510は非磁化強磁性体であってもよく、磁気部材3512は永久磁石であってもよい。これは、アダプタ3514を交換する必要がある場合に有利である可能性がある。別の形態では、磁気部材3510は永久磁石であってもよく、磁気部材3512は非着磁の鉄系金属片であってもよい。他の代替形態では、磁気部材3510及び磁気部材3512の両方が永久磁石であってもよい。
【0496】
一例示的な形態では、換気口3400はアダプタ3514上に配置することができる。例えば、アダプタ3514は、その壁を貫通して中心孔3515と使用中の周囲とを流体的に接続し、呼気ガスを排出することができる換気口を備えていてもよい。
【0497】
図20A~20Fに示す形態では、換気口は第1フランジ3712に位置する。これは、使用されるプレナムチャンバ入口ポート3202の前側から突出するフランジである。この形態では、図示された形態のアダプタ3514の円筒形状に対して半径方向に換気口が配置されている。ディフューザ3410は、各換気オリフィス内に配置されて、換気ガスの流れを拡散することができる。
【0498】
一形態では、アダプタ3514は、図20D及び20Eによく見られるフレーム3518を含んでもよい。フレーム3518は、アダプタ3514の本体を形成し、アダプタ3514の構造及び剛性を与えることができる。フレーム3518はまた、後でより詳細に説明するように、熱湿気交換器3700を収容するように構成された溝又はキャビティを形成することができる。
【0499】
一形態では、フレーム3518は、一体的に形成された部品であってもよい。あるいは、フレーム3518は、フレーム3518を形成するために一緒に取り付けられた複数のフレームパーツを含んでもよい。
【0500】
アダプタ3514はまた、以下でより詳細に説明する熱湿気交換器3700を含んでもよい。
【0501】
別の形態では(いずれの図にも示されていない)、アダプタ3514は、それ又はその大部分がプレナムチャンバ3200の外部に位置するように構成されてもよい。例えば、アダプタは、図20D及び20Eに示すアダプタ3514と同様であってもよいが、チューブ3502に接続された端部とは反対側のアダプタの端部がプレナムチャンバの前面に接続され、例えばプレナムチャンバの入口を取り囲むリングに接続され得るように構成される。この形態では、アダプタ3514は、2つのフランジとその間の首部とによって形成されなくてもよい。アダプタ3514をプレナムチャンバ3200の外部に配置する利点の1つは、アダプタ3514が患者の鼻と接触する危険性があるプレナムチャンバ3200の内部の空間に、アダプタ3514のいかなる部分も延在しないことである。鼻に接触するコンポーネント、特にアダプタ3514のような硬いコンポーネントは不快で望ましくないかもしれない。あるいは、アダプタ3514とノーズとの間の接触が確実に起こらないようにするために、プレナムチャンバ3200をより大きくする必要がある場合もあるが、これも望ましくない場合がある。また、アダプタ3514の一部をプレナムチャンバ3200内に位置させることにより、プレナムチャンバ3200を硬くして変形を防止することができる。上述したように、変形可能なプレナムチャンバー3200は、いくつかの形態において理想的であり得る。
【0502】
[4.3.7.4面ファスナー留め]
本技術の特定の形態(図示せず)では、プレナムチャンバ入口ポート3202と空気回路4170の第1端及び/又はチューブ3502の第1端との間の接続は、面ファスナーを介して提供されてもよい。本技術の代替形態では、シール形成構造3100は、シャックルによってプレナムチャンバ3200を形成するコンポーネントに締結されてもよい。例えば、シール形成構造3100の非患者接触側にフック又はループ材料を設けることができ、プレナムチャンバ3200の周辺に補助材料(すなわち、ループ又はフック)を設けることができ、これにより、使用時にコンポーネントを互いに連結することができる。
【0503】
上記の磁気結合と同様に、上記のような面ファスナーは、空気回路4170に所定の大きさを超える力が加えられたときに取り外すように構成することができ、それに応じて面ファスナー材料の特性(例えば、フックの密度)を選択することができる。
【0504】
[4.3.7.5テザー]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、テザーを含むことができ、又は、患者1000に対して空気回路4170をテザーするためにテザーと共に使用するように構成されてもよい。例えば、テザーは、患者の身体の一部(例えば、首部又は腕)の周りに固定されたストラップを含むことができ、テザーは、空気回路4170の一部に接続されるように構成されたストラップ上のクリップを含んでもよい。テザーは、テザーが患者から最大限引き離されたときに空気回路4170が締め付けられないように、使用時に位置決めすることができる。これは、患者から引き離すために空気回路4170に加えられるいかなる過剰な力も、患者の体に密着して引っ張られるときにテザー内の張力によって制限されることを意味する。
【0505】
[4.3.8熱湿気交換器]
本技術の特定の形態では、患者インターフェース3000は、患者1000が吐き出すガスから湿度及び/又は熱を捕捉し、その湿度を患者1000が呼吸するための呼吸可能なガス流れに伝達するように構成された熱湿気交換器3700を含んでもよい。
【0506】
熱湿気交換器3700は、呼気ガスから熱及び/又は水分を吸収し、吸収された熱及び水分を空気回路4170から入ってくる新鮮な呼吸可能なガス中に放出する熱及び水分交換材料本体を含んでもよい。
【0507】
一形態では、熱湿気交換器3700は、呼吸可能なガス流れに沿った点に堆積された熱湿気交換材料を含んでもよい。例えば、図10B、10C、10Dに示す技術の形態では、熱湿気交換材料はチューブ3502の内部に配置される。熱湿気交換材料は、ガスが熱湿気交換材料を通過することなくチューブ3502を通過することができないように、チューブ3502の一部の断面全体を占めることができる。熱湿気交換材料3700は、チューブ3502の内部の容積の一部に均一に堆積することができる。
【0508】
別の形態では、図11に示すように、熱湿気交換材料3700はプレナムチャンバー3200の内壁上に配置される。例えば、熱湿気交換材料3700は、プレナムチャンバ3200の内壁に形成されたキャビティ内に位置することができる。
【0509】
熱湿気交換材料は、ガスが熱湿気交換材料3700を通さずに呼吸器系から排出されないように、患者の気道と換気口3400との間に配置されてもよいことが理解されるべきである。例えば、図10B図10C及び図10Dに示す技術の形態の場合、熱湿気交換材料は、呼気ガス流れ方向を考慮すると、出口3400を形成する管の孔よりも上流側のチューブ3502の部分に配置される。換気口3400がプレナムチャンバー3200内の穴によって形成される図11に示される技術形態の場合、熱湿気交換材料は、換気口3400の穴を覆うようにプレナムチャンバー3200の内壁に対して位置決めされる。
【0510】
図20A図20Fに示す技術の例示的な形態では、熱湿気交換器3700はアダプタ3514の一部として含まれる。例えば、熱湿気交換材料は、アダプタ3514の中心孔3515内に位置することができる。図示形態では、熱湿気交換材料は、アダプタ3514の端部の第2フランジ3714内にあり、第2フランジ3714は使用中プレナムチャンバ3200内に内向きに突出している。
【0511】
別の形態では(いずれの図にも示されていない)、アダプタ3514は、熱湿気交換器3700がプレナムチャンバ3200の外部にあるが、プレナムチャンバ3200に入るガス流れの経路内にあるように構成されてもよい。例えば、熱湿気交換器3700は、プレナムチャンバ3200の外部に配置されたアダプタの一部として上記のように機能することができる。
【0512】
本技術の特定の形態では、熱湿気交換材料は、発泡体(例えば、塩を添加していないか、塩を添加した発泡体)、紙又は不織材料を含んでもよい。他の材料は、呼吸器系の熱湿気交換器のために従来知られている材料を含めて、本技術の他の形態に使用することができる。
【0513】
[4.3.8.1独立したHMEモジュール]
特定の形態(いずれの図にも示されていない)では、熱湿気交換器3700は、プレナムチャンバ3200及びシール形成構造3100のような患者インターフェースの他の一部のコンポーネントから離れていてもよい。この形態では、患者インターフェース3000は、熱湿気交換器3700を含む熱湿気交換(HME)モジュールを含んでもよい。HMEモジュールは、プレナムチャンバ3200から物理的に分離されたハウジングを含んでもよい。
【0514】
この形態では、導管はプレナムチャンバ3200をHMEモジュールに流体的に接続することができる。導管は、前述のものを含む任意の適切な接続機構を使用してプレナムチャンバ3200及び/又はHMEモジュールに接続することができる、例えば磁気結合機構に接続することができる。HMEモジュールは、同様の又は異なる機構を介して、空気回路4170によってRPTデバイスに流体接続することもできる。
【0515】
特定の形態では、HMEモジュールはまた、換気口3400を含んでもよい。
【0516】
特定の形態では、HMEモジュールは、HMEモジュールを構造に保持するための係合機構を含んでもよい。このような構成の利点は、熱湿気交換器3700の重量による粘着面3102の粘着強度への影響を排除できることである。特定の形態では、この構造は、例えばシャツのような上半身に着用されるような患者の衣服であってもよい。これにより、HMEモジュールとプレナムチャンバ3200とを接続する比較的短い導管の使用が可能となり、絡み合いの危険性が低減される。
【0517】
[4.3.9センサモジュール]
特定の形態では、図31に示すように、患者インターフェース3000は、入口ポート3202においてセンサモジュール2100に接続されてもよい。これにより、センサモジュール2100は、患者の呼吸の特徴、及び/又は患者の健康及び/又は生理学的な他の特徴を検出することができる。例えば、センサモジュール2100は、患者の血液中の酸素レベルを測定するパルスオキシメータを含んでもよい。センサモジュール2100は、追加的に又は代替的に、患者が吸入又は呼気する空気の流量を経時的に測定するように構成されてもよい。
【0518】
特定の形態では、センサモジュール2100は、例えば閉塞性睡眠時無呼吸のような呼吸状態の診断など、患者の医療状態を決定するために使用できる特徴を検出するように構成されてもよい。センサモジュール2100は、そのような決定を行うために必要な患者の呼吸及び/又は状態の特徴を決定するように適合された任意のセンサを含んでもよい。
【0519】
図示の形態では、1つ又は複数の電極2112は、患者インターフェース3000が着用されたときに患者の皮膚と接触する位置にシール形成構造3100上に配置されてもよい。電極2112は、パルスオキシメータと組み合わせることができ、患者の血液の酸素レベルを検出し、センサモジュール2100に情報を中継するように構成される。例えば、電極2112は、ヒドロゲル接点又は他の適切なパッドであってもよい。
【0520】
他の形態では、センサモジュール2100は、プレナムチャンバ3200に着脱可能に設けられる。これにより、センサモジュール2100の交換及び/又はクリーニングを可能にすることができる。例えば、図31に示す形態では、センサモジュール2100は、プレナムチャンバ3200の入口ポート3202に提供されるように構成される。この構成により、プレナムチャンバ3200及びシール形成構造3100の同じアセンブリをセンサモジュール2100と交換して使用することができ、空気回路4170に接続され、呼吸療法(例えば、CPAP)を実施するためにRPTデバイス4000から空気の流れを受け取ることができる。一形態では、センサモジュール2100は、チューブ2110及びキャップ2114を含んでもよい。チューブ2110は、プレナムチャンバ3200の入口ポート3202に挿入されるように構成されてもよく、キャップ2114は、センサモジュール2100のチューブ2110が過挿入を防止するために入口ポート3202に挿入されるときに、入口ポート3202を実質的に横切るように構成されてもよい。キャップ2114は、患者の呼吸及び/又は状態の特定の特徴を検出してその機能を実行するために必要なセンサコンポーネントを含んでもよい。
【0521】
センサモジュール2100はまた、換気口3400を含んでもよい。例えば、換気口3400をキャップ2114に設けることができる。図31の本技術の形態では、換気口3400は、ガスが換気口を2方向に流れるように配置された換気構造を含む。ガスは、換気口3400を一方向に通って、周囲雰囲気からプレナムチャンバ3200に流入して、患者の呼吸に供することができる。換気口3400は、その方向の空気の流れが患者の呼吸に十分に供給されるように構成される。ガスはまた、プレナムチャンバ3200の内容積から周囲と反対方向に換気口3400を通って流れることができ、患者からの呼気ガスの排出を可能にする。
【0522】
図31に示されるようなセンサモジュールを含む技術の形態による患者インターフェース3000は、呼吸療法システムの一部として使用されなくてもよい。代わりに、呼吸診断システムの一部として用いることができる。このような呼吸診断システムは、本明細書に記載されているようなRPTデバイス又は空気回路を含まなくてもよい。
【0523】
特定の形態では、センサモジュール2100は、そのセンサによって検出された特徴を処理するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含んでもよい。例えば、プロセッサは、検出された特徴を分析し、及び/又はOSAのような患者の医療状態を診断するように構成され得る。他の形態では、センサモジュール2100は、センサによって検出された情報を患者インターフェース3000から離れたプロセッサに送信するように構成された送信機を含んでもよい。RF通信、ブルートゥース(登録商標)、RFID、NFCなど、任意の適切な有線又は無線通信プロトコルを使用することができる。特定の形態では、センサモジュール2100は、センサによって検出された特徴を示すデータを記憶するように構成されたデータ記憶デバイスを含んでもよい。データ記憶デバイスは、後で処理又は送信するためにデータを記憶することができる。追加的に又は代替的に、データ記憶デバイスをセンサモジュール2100から取り外して、そこに記憶されているデータを処理のために送信することができるプロセッサに持ち込むことができる。データ記憶デバイスは、例えば、SDカードなどであってもよい。
【0524】
[4.4空気回路]
一形態では、患者インターフェースシステム5000は、空気回路4170を含む。空気回路4170は、呼吸可能なガスを患者インターフェース3000に送達して患者1000の気道に送達するように構成される。例えば、図1に示す技術の形態の空気回路4170は、RPTデバイス4000からプレナムチャンバ3200に呼吸可能なガスを送る。
【0525】
空気回路4170の第1端は、プレナムチャンバ入口ポート3202及び/又は接続ポート3600に接続することができる。空気回路4170の第2端は、第1端と対向することができ、RPTデバイス4000に接続することができる。
【0526】
本技術の例示的な形態では、空気回路4170は柔軟である。
【0527】
特定の形態では、空気回路4170は、HMEモジュールをプレナムチャンバ3200に接続する導管をさらに含んでもよい。
【0528】
特定の形態では、空気回路4170の幾何学的寸法は、RPTデバイス4000から患者に供給される呼吸可能なガス流れパラメータに依存することができる。例えば、RPTデバイス4000が比較的低い圧力(例えば、2~6cmHO)、すなわち低圧で治療するように構成される場合、空気回路4170の直径は比較的小さくてもよい。空気回路4170の直径は、より高い圧力(例えば、6~20cmHO)で呼吸可能なガスを供給するように構成されたRPTデバイス4000と共に使用するために比較的大きくすることができる。
【0529】
[4.4.1追加チューブ]
いくつかの形態では、図27に示すように、呼吸可能なガスは、空気回路4170によってチューブ3420に送られ、チューブ3420は、それ自体が呼吸可能なガスをプレナムチャンバ3200に送る。チューブ3420の直径は、空気回路4170の直径よりも小さくてもよい。
【0530】
一形態では、患者インターフェース3000は、チューブ3420を含んでもよい。例えば、チューブ3420は、空気入口ポート3202に着脱可能に又は永久的に接続されてもよい。別の形態では、空気回路4170は、一体的に形成されるか、又は一体的に(取り外し可能に又は永久的に)結合されて単一のアセンブリを形成するチューブ3420を含んでもよい。
【0531】
[4.4.2空気回路の位置決め]
本明細書の様々な形態の技術的説明に関連する患者インターフェース3000は、患者の様々な配置に対する空気回路4170の位置決めに適合することができる。
【0532】
特定の形態では、空気回路4170は、患者の鼻及び/又は口の領域、例えばフランクフォート水平面を通るように構成された横方向平面よりも実質的に高い方向から患者インターフェース3000にルーティングするように構成されてもよい(図2E参照)。この形態では、患者インターフェース3000は、空気回路4170の一部を患者のヘッドに対して所望の位置に保持するように構成された位置決め構造を含むことができ、例えば、空気回路4170の一部を患者の上耳底点よりも高い位置に保持することができる。例えば、位置決め構造は、患者のヘッドに着用され、空気回路4170に係合するように構成された1つ又は複数のバンドを含んでもよい。一形態では、空気回路4170は、患者のヘッドの上部及び/又は後部を通るように構成されてもよい。代替的に又は追加的に、空気回路4170は、患者インターフェースシステム5000の使用時に患者の頸部の後方を通過するように、及び/又は患者の頸部の後方に近接するように構成されてもよい。
【0533】
別の形態では、空気回路4170は、患者の鼻及び/又は口の領域、例えばフランクフォート水平領域を通るように構成された横方向の平面から患者インターフェース3000に達するように構成されてもよい。このような構成は、例えば図3A図4A図10Bに示されている。このような形態では、患者インターフェース3000は、空気回路4170を所定の位置に固定するために位置決め構造を必要としない可能性がある。
【0534】
一形態では、空気回路4170は、患者1000の一方又は両方の耳の周り及び/又は近くに配線されてもよい。例えば、空気回路4170は、患者インターフェース3000の空気回路4170の末端に接続される前に、2つの導管に分岐することができる。各カテーテルは、使用中の患者1000の対応する耳の後ろを通過するように構成されてもよい。
【0535】
[4.5アプリケータ]
本技術の特定の形態では、例えば図13A図14C図17及び図18A図18Cに示すように、患者インターフェースシステム5000は、患者1000が患者インターフェース3000を患者の顔の治療上有効な位置に位置付けるのを助けるように構成されたアプリケータ3800を含む。
【0536】
アプリケータ3800の利点の1つは、層(又はライナー)3104が取り除かれてからシール形成構造3100が患者の顔に取り付けられるまで、シール形成構造3200の形状を維持することを容易にすることである。アプリケータ3800は、形状保持具(複数可)3140の代替又は補完として使用することができる。
【0537】
特定の形態では、アプリケータ3800は、患者の顔の治療上有効な位置に患者インターフェースが配置されたときに患者インターフェースを受容して保持するように構成された凹部3802と、凹部3802の周囲に配置された表面3808と、グリップ部3804とを含む本体3810を含む。
【0538】
[4.5.1本体]
本技術の例示的な形態では、アプリケータ3800は本体3810を含む。本体3810は、材料から形成されてもよく、本体3810が実質的に剛性であるような構造を有してもよい。例えば、本体3810は、ポリカーボネートのようなプラスチック材料で形成することができる。本体3810は、射出成形などの成形方法で形成することができる。
【0539】
本技術の例示的な形態では、本体3810は、凹部3802及び表面3808を含み、ここで説明する。
【0540】
特定の形態では、本体3810は、例えば図15B及び15Cに示すように、本明細書で前述したように、前層3230の形態をとることができる。
【0541】
本体3810は、形状保持具(複数可)3140又は前層3230のように、シール形成構造3100の形状を保持し、シール形成構造3100が患者の顔に固定される前に、その形状がしわになること、折り畳まれること、垂れ下がること、又はその他任意の方法で変化することを防止するために使用され得る。
【0542】
一形態では、本体3810は、使用時にシール形成構造3100の形状保持支持を提供する骨格構造のようなフレームとして形成されてもよく、又は含んでもよい。
【0543】
[4.5.2凹部]
例示的な形態、例えば図示された形態では、アプリケータ3800の本体3810は、凹部3802を含む。本体3810の側面には、凹部3802が形成されている。凹部3802は、患者インターフェース3000が患者の顔の治療上有効な位置に配置されたときに患者インターフェース3000を受け入れて保持するように構成される。図13Aに示す例示的な形態では、凹部3802は患者インターフェース3000のプレナムチャンバー3200を収容するように構成され、シール形成構造3100は凹部3802の外側に位置する。凹部3802は、シール形成構造3100の粘着面3102がアプリケータ3800から離れた本体3810に対向するように患者インターフェース3000を受け入れるように構成される。特定の形態では、凹部3802は、患者インターフェース3000が受け入れられて保持されているときに、シール形成構造3100を少なくとも部分的に収容することもできる。
【0544】
凹部3802は、それが受け入れて保持することを意図しているコンポーネント(複数可)の形状に適合するように形成されてもよいが、その逆、すなわち、コンポーネント(複数可)が突起を有する場所に凹部を有すること、及びその逆であることが理解されるべきである。
【0545】
図13Aに示す技術の形態では、アプリケータ3800の本体3810は、凹部3802から突出する2つのプロング3806を含む。プロング3806は、患者インターフェース3000が患者の顔の治療上有効な位置に配置されたときに、患者1000の鼻穴に挿入できるような大きさ及びピッチで配置される。これは、患者が患者インターフェース3000を自分の顔に正確に位置付けるのに役立つ。
【0546】
患者インターフェース3000を凹部3802内に保持することは、シール形成構造3100が患者の顔に付着するまで摩擦嵌合によって達成されることができ、すなわち凹部3802の寸法は、摩擦嵌合によって患者インターフェース3000を適切な位置に保持することができる。摩擦嵌合の強度は、シール形成構造3100と患者の顔との間の粘着よりも強くなければならない。このようにして、図13C及び14Cに示すように、シール形成構造が患者の顔に粘着され、アプリケータ3800が取り外された後に、アプリケータ3800を患者インターフェース3000から取り外すことができる。あるいは、重力の影響下で患者インターフェース3000を凹部3802内に位置させることができ、凹部3802が上方に開くようにアプリケータ3800を保持することができる。
【0547】
別の形態では、患者インターフェース3000とアプリケータ3800との間の一時的な保持は、磁気吸引によって達成することができる。例えば、図17に示された例示的な形態に示すように、磁気部材3812は、凹部3802内に配置されてもよく、あるいは、代わりに、本体3810の凹部3802に近い位置に配置されてもよく、患者インターフェース3000上に配置された磁気部材(例えば、プレナムチャンバ3200の入口ポート3202の第1磁気部材3510)と磁気的に結合されてもよい。シール形成構造3100を患者の顔に粘着した後、アプリケータ3800を上方又は下方に傾けることにより、磁気部材間の磁気結合を容易に破壊することができる。
【0548】
特定の形態では、アプリケータ3800は、シール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバ3200の前面に取り外し可能に取り付けられることができる。特定の形態では、シール形成構造3100及び/又はアプリケータ3800に取り外し可能に取り付けられたプレナムチャンバ3200の前面は、粘着面3102に対向していてもよい。特定の形態では、アプリケータ3800は、シール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバ3200の前面に粘着するように構成されてもよい。例えば、アプリケータ3800は、患者インターフェース3000が位置すると、アプリケータ3800が患者によって容易に取り外されるように、弱結合粘着剤によってシール形成構造3100及び/又はプレナムチャンバ3200の前面に粘着され得る。粘着剤は、アプリケータ3800が取り外されたときに、患者インターフェース3000の前面に粘着剤がほとんど又は全く感じられないように、アプリケータ3800の表面3808上に配置されてもよい。これにより、患者インターフェース3000をアプリケータ3800上に保持したままにして、患者が所望の位置にインターフェースを着用することを容易にすることができる。
【0549】
代替形態では、アプリケータ3800をシール形成構造3100の粘着面3102に部分的に取り外し可能に取り付けることができる。
【0550】
[4.5.3表面]
特定の形態では、アプリケータ3800の本体3810は、表面3808も含む。表面3808は、凹部3802の周囲に配置され、患者インターフェース3000が患者の顔の治療上有効な位置に配置されている間、シール形成構造3100を支持する。特定の形態では、表面3808は、アプリケータ3800の本体3810の片側又は端部を形成することができる。アプリケータ3800の本体3810の幅は、表面3808の幅及び/又は長さと実質的に類似していてもよい。あるいは、表面3808は、本体3810の一端に設けられたフランジの表面であってもよい。
【0551】
表面3808は、患者の顔の領域を補完するように形成することができ、患者インターフェースは、この領域とシールを形成するように構成される。例えば、表面3808は、患者の顔の領域に一致するように又は類似するように形成され得る。表面3808は、個々の患者の顔の形状を補完するように形状をカスタマイズすることができる。あるいは、表面3808は、一般に表面形状であってもよい。あるいは、異なる顔の形状及び大きさに適合するように複数のアプリケータ3800を設けることができ、個々の患者は、それぞれの顔の形状及び大きさに最も近い表面3808を有するアプリケータ3800を選択することができる。
【0552】
例えば、シール形成構造3100が鼻の鼻翼縁領域に取り付けられるように構成される場合、表面3808は、患者1000の鼻翼縁形状又は汎用鼻翼縁形状を補完する部分を含むように形成され得る。表面3808は、アプリケータ3800が患者の顔に向けて配置され、シール形成構造が所望の位置にあるとき、表面3808の輪郭がシール形成構造3100を鼻翼縁領域に密接に係合させるように、鼻翼縁領域の角及び折れ目に相補的な形状を含んでもよい。これにより、シール形成構造3100が患者の顔に粘着され、シール形成構造が鼻翼縁領域に強固に粘着されると、アプリケータ3800が引き出されてもよい。表面3808は、例えば、図15B及び図15Cに示される技術に関して上述した形態で、シール形成構造3100を鼻翼折れ目に粘着するのを助けるために、折れ目3232を含む、シール形成構造3100が粘着されるように構成された患者の顔の他の部分を補完するように形成された表面特徴を含んでもよい。
【0553】
顔の特徴、特に鼻翼、鼻翼縁、鼻ひだ、鼻唇の溝の周りの特徴で、指先の凸度よりも凹みが大きいひだや角を含む。その結果、患者1000は、顔の折れ目領域に密着するようにシール形成構造3100の粘着面に粘着することが困難になる可能性がある。特定の形態では、アプリケータ3800は、シール形成構造3100を正確に位置決めし、人間の指で達成できるよりも顔の特徴に密着するようにシール形成構造3100を患者の顔に接触させるように押すことができるように構成されてもよい。さらに、アプリケータ3800は、患者インターフェース3000の位置決め時に、シール形成構造3100の粘着面に接触することを患者が回避するのを助け、粘着の有効性の損失をもたらす可能性のある粒子による粘着面の汚染を回避するのを助ける。これは、患者1000が指でシール形成構造を処理するときに起こることができる。
【0554】
本技術の例示的な形態では、表面3808は凹部3802を完全に取り囲んでいる。本技術の代替形態では、表面3808は、凹部3802の一部の側にのみ、凹部3802から外側に延在することができる。特定の形態では、本体3810は複数の表面3808を含み、各表面は、凹部3802から異なる側で外側に延在することができる。
【0555】
特定の形態では、アプリケータ3800は、アプリケータ3800に対して所望の位置に患者インターフェース3000を位置決めするための1つ又は複数のガイド3814を含んでもよい。より具体的には、1つ又は複数のガイド3814が、シール形成構造3100の周囲を包含するように、表面3808の周辺に配置されてもよい。
【0556】
図17に示す技術の一例の形態では、アプリケータ3800は、表面3808から上方に延在するリッジ形状のガイド3814(すなわち、表面3808から上方に延在する、表面3808の周囲の部分は、表面3808の全平面にほぼ垂直な方向にある。図18A図18Cに示す技術の代替の例示的な形態では、アプリケータ3800は、複数のガイド3814を含む。各ガイド3814は、表面3808から実質的に垂直に外側に延在するタブを含む。ガイド3814は、表面3808の周辺に間隔をおいて配置されている。図示の形態では、タブはスロット上に配置され、各タブは、タブによって画定される領域の寸法を変更するために、それぞれのスロットに沿って移動可能であり、シール形成構造3100はタブ内に保持される。使用中、患者は、使用中の患者インターフェース3000のシール形成構造3100を適切な位置に最も効果的に維持するためにタブの位置を変更することができる。タブは、それぞれのスロット内で摩擦嵌合することにより、適切な位置に保持されてもよい。
【0557】
[4.5.4グリップ部]
本技術の特定の形態では、アプリケータ3800は、患者インターフェース3000が患者の顔の治療上有効な位置に置かれたときに、患者1000又は他のユーザによって把持されるように構成されたグリップ部3804をさらに含む。本体3810には、グリップ部3804が設けられていてもよい。一部の形態では、グリップ部3804と本体3810とは、互いに接続された独立したコンポーネントである。また、グリップ部3804と本体3810とを一体的に形成してもよく、例えば単一コンポーネントとして一体成形してもよい。グリップ部3804は、凹部3802が形成された本体3810側とは反対側の本体3810側に設けられていてもよい。
【0558】
図13A図13B及び図13Cに示す技術の形態では、グリップ部3804は、人の手で把持するのに適した長さのハンドルである。図14A、14B、14Cの実施形態では、グリップ部3804のサイズは小さく、本体3810の凹部3802とは反対側に突起を有し、この突起は、使用のために患者インターフェース3000を位置決めする際に患者の指で把持するように適合されている。グリップ部3804は、高摩擦表面仕上げを含んでもよい。
【0559】
[4.6患者インターフェースの製造及び/又は形成]
本技術の形態は、本技術の形態に従って異なる方法を使用して患者インターフェース3000を製造及び/又は形成する方法を提供する。
【0560】
[4.6.1患者インターフェースの製造方法]
ここで、図21A図21D図23A図23B図24A図24B、及び図25A図25Eを参照して、本明細書の他に記載された技術の形態に従って患者インターフェース3000を製造するための例示的な方法を説明する。
【0561】
図21Aでは、複数のシール形成構造3100が形成された、例えばテープ6500の形態の材料シートが提供されている。粘着テープ6500は、1枚の粘着テープであってもよいし、粘着層6530を含む多層の積層体であってもよい。テープ6500の他の例が図24A及び図25Aに示されている。
【0562】
粘着層6530は、粘着剤が塗布された裏打ちによって形成されていてもよい。特定の形態では、裏打ちはポリウレタンから形成されていてもよい。これは、ポリウレタンが柔軟で弾力性があるので、伸長剥離型粘着剤を使用する技術の形態において有用であるかもしれない。
【0563】
本技術の例示的な形態では、テープ6500は、テープ6500の片側又は両側に非粘着テープ6540を有するテープとして形成され得る。シール形成構造3100をストリップから切り出す際に、粘着層6530を含むテープ6500の中央部からシール形成構造3100の大部分を形成し、非粘着性ストリップ6540からシール形成構造3100の周辺部分を形成するように切り込みを位置させることができる。この工程は、前述したように、片面又は両面に非粘着シート3108(非粘着テープ6540により形成される)を有するシール形成構造3100を形成するために使用することができる。非粘着テープ6540は、粘着層6530に貼付されていてもよく、粘着層6530と一体に形成されていてもよく、粘着剤が塗布されていない領域である。
【0564】
前述したように、タブ3108は、使用時にシール形成構造3100を容易に適用及び/又は除去するために、シール形成構造3100をユーザが掴むことを可能にすることができる。加えて、粘着剤(例えば、アクリル酸エステル系粘着剤)が伸長剥離型粘着剤である場合、タブ3108を使用して、シール形成構造3100を掴んで伸長し、患者インターフェースを患者から除去することができる。
【0565】
他の形態では、非粘着テープ6540が存在しなくてもよい。
【0566】
図24A及び図25Aに示すように、テープ6500は、除去可能な層(ライナー)6550をさらに含んでもよい。除去可能な層6550は、粘着層6530の粘着面を覆っているので、使用前に何物にも付着することがなく、粘着ロスを軽減することができる。加えて、除去可能な層6550は、テープ6500に十分な強度を加えることができ、テープ6500に損傷を与える機会が他の場合に比べて少なく、テープ6500を製造工程中に巻き付けたり、他の方法で操作したりすることができる。
【0567】
図25Aに示す技術形態では、非粘着テープ6540が粘着層6530と除去可能な層6550との間に挟持されている。除去可能な層3104が患者によって除去されると、非粘着テープ6540及び粘着面3102が露出する。非粘着テープ6540の露出側は、粘着層6530の周辺領域の非粘着側と共にタブ3108を形成し、患者1000が粘着面3100に接触することなく患者インターフェース3000を掴むことができる。
【0568】
特定の形態では、テープ6500は、第1スプール6510に巻き付けられることができる。製造工程では、図23Aに示すように、第2スプール6520にテープ6500を巻き付けることができる。
【0569】
[4.6.1.1切断]
シール形成構造3100のためのブランク3158は、材料シート(例えば、テープ6500)から切断することができる。例示的な形態では、ブランク3158は、例えば、図21Aのシール形成構造の形状を示す線に示すように、先に説明されたシール形成構造3100の任意の形状に成形するのに適した形状に切断されてもよい。特定の形態では、ブランク3158は、ダイカットされてもよく、レーザー切断されてもよい。
【0570】
本技術の特定の形態では、初期切断ステップは、部分切断を含むことができ、これは、代替的にプレカットと呼ばれることがある。プレカットステップでは、ブランク3158はテープ6500から完全には切り出されていない。代わりに、ブランク3158の一部は、テープ6500に接続されたままである。本技術の例示的な形態によれば、プレカットステップの結果が図23B及び図24Bに示されている。これらの図では、テープ6500が切断されて、テープ6500の残りの部分に接続されたままのブランク3158が形成されている。プレカット穴6560は、各ブランク3158の途中から完全に切り出すことができる。プレカットエッジ6570は、ブランク3158をまだテープ6500に取り付けたままにするために、端部で合流しない1つ又は複数の円弧でブランク3158の外側の周りにカットされてもよい。あるいは、テープ6500は、テープ6500は、切断ステップの前に凹みを付けるか、又は別の方法でマークを付けることができ、その利点については以下で説明する。
【0571】
特定の例示的な形態では、テープ6500からのブランク3158の切断の残りの部分は、例えばプレナムチャンバ3200をシール形成構造ブランクに適用するための成形プロセスと同時又は後に、後の製造ステップで発生することができる。
【0572】
[4.6.1.2成形]
切り込み又は部分的に切り込まれたブランク3158は、次に、構造体3100をシール形成するために必要な形状に成形されてもよい。
【0573】
図21Bは、成形デバイス6000の2つの部分の間に位置するブランク3158を示す。これら2つの部分は、成形中にブランク3158が挿入可能なキャビティ6012を含むキャビティコンポーネント6002と、キャビティとコアコンポーネントとの間でブランク3158がキャビティコンポーネント6002のキャビティ6012に挿入されるように構成された突起6014を含むコアコンポーネント6004とであり得る。同様の構成を図25Aに示す。
【0574】
図23A、23Bに示された本技術の形態では、部分的に切り出されたブランクがスプール6510、6520によってキャビティコンポーネント6002及びコアコンポーネント6004に対して位置決めされる。例えば、スプールは、間隙を隔てて対向配置されたキャビティコンポーネント6002とコアコンポーネント6004との間にテープ6500を供給するように配置される。キャビティコンポーネント6002は、複数のキャビティ6012を含むことができ、コアコンポーネント6004は、それに応じて複数の突起6014を含んでもよい。複数の突起6014の各々は、キャビティコンポーネント6002のキャビティ6014によって受け止められる。プリカット素材3158がキャビティコンポーネント6002及びコアコンポーネント6004上のキャビティ6012及び突起6014とそれぞれ同一直線上に位置するように、スプールを停止するようにスプールを制御することができる。プリカット(又はプリエンボス又はプリマーキング)テープ6500のもう1つの利点は、テープ6500がコアコンポーネント6004とキャビティコンポーネント6002との間を移動するときに、切断、エンボス及び/又はマーキングにより、デジタルセンサがテープ6500の位置を検出することができることである。デジタルセンサは、第1スプール6510及び/又は第2スプール6520の動作及び/又は停止を制御するプロセッサにデータを提供するように構成され得る。これにより、コアコンポーネント6004がキャビティコンポーネント6002に受け入れられたときに、穴6560が突起6014及びキャビティ6012に位置合わせされるようにテープ6500を位置決めすることができる。
【0575】
次に、キャビティコンポーネントとコアコンポーネントとを組み合わせる。これを図21C及び図25Bに示す。このステップでは、キャビティ6012及び突起6014の形状が示す所望の形状に成形するために、キャビティコンポーネントとコアコンポーネントとの間にブランク3158を挟み込む。いくつかの形態では、いくつかの形態の成形プロセスを助けるために、ブランク3158に熱を加える熱成形ステップを使用することができる。例えば、キャビティコンポーネント及びコアコンポーネントは熱伝導性であってもよく、熱的に接触する発熱体が存在していてもよい。その他の形態では、熱成形は適用されない。例えば、粘着剤が加熱の影響を受けている場合には、熱成形を使用しないことが望ましい場合がある。
【0576】
いくつかの形態では、例えば図21Cに示すように、ブランク3158の周縁パーツのいくつかは、キャビティコンポーネントとコアコンポーネントとの間から外側に突出することができ、例えば、周縁パーツはタブ3108を含む。
【0577】
いくつかの形態では、成形デバイスは、カッターを含むか、又は既に備えていてもよい。カッターは、切断端部6200を有する切断刃6210を含んでもよい。切断刃6210は、キャビティコンポーネント6002上の各キャビティ6012のいずれかの側に配置することができる。別の形態では、切断端部6200は、キャビティコンポーネント6002を完全に又は部分的に包囲するように構成されてもよい。別の形態では、切断端部は、テープ6500に接続されたままのブランク3158の部分と整列するように配置することができる。あるいは、コアコンポーネント6004に切断刃6210を設けてもよい。この形態を図25A~25Eに示す。この形態では、切断刃6210は、キャビティコンポーネント6002(又はコアコンポーネント6004)内の通路内に位置することができ、通路内でコアコンポーネント6004(又はキャビティコンポーネント6002)に向かって長手方向に移動するように構成される。
【0578】
使用時には、図25Cに示すように、切断端部6200をブランク3158に向かって移動させて、ブランク3158をテープ6500から完全に切断することができる。これは、これから説明するオーバーフォームプロセスの前、同時、又は後に発生する可能性がある。代替的に又は追加的に、シール形成構造3100を形成するために、同様の切断ステップによってブランク3158から余分なタップ材料をトリミングすることができる。
【0579】
本技術の特定の形態では、プレナムチャンバ3200は、シール形成構造3100のためのブランク3158が成形デバイス内に保持されている間、オーバーモールド工程によってシール形成構造3100に提供される。このような処理ステップを図21D及び図25Cに示す。キャビティコンポーネント6002は、TPE又はシリコンのような溶融オーバーモールド材料をブランク3158と接触するように射出することができるチャネル3908を含んでもよい。チャネル3908からキャビティ6012とブランク3158との間の隙間に溶融オーバーモールド材料料を射出することができる。このギャップは、プレナムチャンバ3200がシール形成構造3100上のオーバーモールドとして形成されるように、プレナムチャンバ3200にとって所望の形状に成形され得る。
【0580】
図23Aに示すように、成形デバイス6000は、溶融オーバーモールド材料のリザーバであるホッパー6100を含むことができる。溶融オーバーモールド材料は、導管6110及びチャネル3908を介してギャップ6020に流入する。
【0581】
キャビティコンポーネント6002及びコアコンポーネント6004を引き離すと、成形されたオーバーモールドプレナムチャンバ3200及びシール形成構造3100が形成され、コレクタ6300内に落下するように成形デバイス6000を形成することができる。
【0582】
本技術の特定の形態では、形状保持具3140は、プレナムチャンバ3200のために上記と同様の方法でブランク3158にオーバーモールドされてもよく、キャビティコンポーネント6002は、形状保持具3140を形成するために、オーバーモールド材料を受け入れるのに適した1つ又は複数のギャップをブランク3158と形成する。
【0583】
[4.6.2患者インターフェースのカスタマイズ]
一形態では、患者インターフェース3000は、個々の患者1000に適合するようにカスタマイズされる。別の形態では、一般的に形成され、一般的な顔形状に適合するように設計された患者インターフェース3000が製造される。さらに別の形態では、患者インターフェース3000は、限られた複数の異なる形状及び大きさに製造され、これにより、限られた複数の予め形成された患者インターフェース3152が存在し、任意の患者1000は、複数の予め形成された患者インターフェース3152の中から、自分のニーズに最適な予め形成された患者インターフェース3150を選択する。
【0584】
先に述べたように、一般的な形状及び寸法のプリフォーム患者インターフェース3150は、個々の患者1000の正確な顔の特徴に対応するようにカスタマイズされたシールフォーム構造3100よりも安価に、大量に製造、供給及び分配することができる。しかしながら、前述したように、顔の特徴を模倣したシール形成構造3100には多くの利点がある。予め形成された患者インターフェース3150を複数の異なる形状及び寸法に形成することは、スケールメリットのいくつかの利点を利用するための有用な妥協案を提供することができ、一方で、個々の患者に十分に適合することができるシール形成構造3100を提供することができる。多様な形状とサイズが提供されればされるほど、患者が自分にぴったり合った患者インターフェースを選択できる可能性が高くなる。形状やサイズの多様性が少なければ少ないほど、規模の経済は大きくなる。
【0585】
本技術の例示的な形態に従って、呼吸可能なガスを患者に送達するための患者インターフェース3000をカスタマイズする方法について、ここでさらに詳細に説明する。
【0586】
[4.6.2.1患者データの受け入れ]
一例示的な形態では、患者インターフェース3000をカスタマイズする方法は、患者の気道の入口を取り囲む患者の顔の領域の形状及びサイズを示すデータを受信する第1ステップを含む。この方法は、患者の顔の領域をスキャンして、患者の顔の領域の形状及びサイズを示すデータを生成するステップをさらに含んでもよい。
【0587】
[4.6.2.2予め形成された患者インターフェースアセンブリの選択]
さらに、本方法は、図12Cに示すように、複数の予め形成された患者インターフェース3152の中から予め形成された患者インターフェース3150を選択する第2ステップを含んでもよい。本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの技術の形態によれば、各予備成形患者インターフェース3150/3152は、プレナムチャンバー3200及びシール形成構造3100を含む。
【0588】
本技術の一形態では、予め形成された複数の患者インターフェース3152の各々は、異なる形状及び/又は大きさを有することができる。例えば、複数の予め形成された患者インターフェース3152は、一連のものであってもよく、各予め形成された患者インターフェース3150は、その一連の中の次の予め形成された患者インターフェース3150とはサイズが異なる。複数の予め形成された患者インターフェース3152は、群衆内の典型的な顔のタイプに応じて形状を変えることもできる。例えば、異なる性別、年齢、人種、鼻のタイプ等に対応する予め形成された患者インターフェース3152が存在することができる。
【0589】
複数の予め形成された患者インターフェース3152の中から、シール形成構造3100が粘着されるべき患者の顔の領域に最も密接に適合する予め形成された患者インターフェース3150が選択される。
【0590】
本技術の代替形態では、複数の予め形成された患者インターフェース3152の各々は同一であるか、又は非常に少量の異なる予め形成された患者インターフェース3152が存在する。これは、予め形成された患者インターフェース3152を製造するためのコスト(例えば、金型を製造するためのコスト)を低減するが、一部の患者のために緊密に確認された予め形成された患者インターフェースを見つけることがより困難になることを意味する。
【0591】
[4.6.2.3成形]
例示的な形態の次のステップでは、シール形成構造などの選択された予め形成された患者インターフェース3152は、予め形成された患者インターフェース3150から形成されたときにシール形成構造3100が粘着されるべき個々の患者1000の顔領域により密接に一致する/類似するように形成される。
【0592】
1つの例示的な形態では、選択されたプリフォーム患者インターフェース3152を形成するステップは、プリフォーム患者インターフェース3152を所望の形状に形成するステップを含む。
【0593】
例えば、図12A及び12Bに示す技術の形態では、2つの部分成形デバイス3900が、選択された予め形成された患者インターフェース3152を成形するために使用される。成形デバイス3900は、第1部分3902と第2部分3904とを含む。図12Aに示すように、選択された予め形成された患者インターフェース3152は、第1部分3902と第2部分3904との間に配置される。成形デバイス3900の2つの部分3902、3904は、選択された予め形成された患者インターフェース3152を成形するために一緒にプレスされる。より具体的には、成形デバイス3900は、選択された予め形成された患者インターフェース3152のシール形成構造3100を成形するために使用され得る。シール形成構造3100は、使用時に患者の顔に接触する患者インターフェース3000の部分であるので、これは形成されるべき最も重要な部分であるかもしれない。一形態では、図12A及び12Bに示すように、成形デバイス3900の第2部分3904は、プレナムチャンバ3200を収容する凹部3906を含み、プレナムチャンバ3200が成形中にそのまま維持される。選択された予め形成された患者インターフェース3152のプレナムチャンバ3200は、追加的に又は代替的に、成形デバイス3900によって、本技術のいくつかの形態で成形されてもよい。
【0594】
成形デバイス3900の第1部分3902及び第2部分3904は、シール形成構造3100が取り付けられたフェース領域に実質的に近接したシール形成構造3100を生成するように成形され得る。これを実現するために、患者の顔の領域の形状及びサイズを示すデータを使用して、第1部分3902及び/又は第2部分3904が顔領域に応じて形成される。
【0595】
一形態では、患者1000の関係する顔領域が3D画像スキャンされ、第1の部分3902及び第2の部分3904が、スキャンされた仮想画像に従って形成され得る。第1部分3902及び第2部分3904は、3次元印刷可能である。
【0596】
特定の形態では、成形デバイス3900は、選択された予め形成された患者インターフェース3152又はその一部(例えば、シール形成構造3100)を所望の形状に熱成形する熱成形デバイスとすることができる。
【0597】
代替形態では、成形デバイス3900は、予め形成された患者インターフェース3512を成形し、射出成形された基材を成形された予め形成された患者インターフェース3152上に流し込むことによってその形状を維持する射出成形デバイスとすることができる。いくつかの形態では、基板は、成形済みの予め形成された患者インターフェース3152の上にオーバーモールドされる。
【0598】
本技術の一形態では、予め形成された患者インターフェース3152は、上述したように(例えば、図21A~21D又は23A~25Eに関して)ブランク3158を切断し、成形し、オプションとしてオーバーモールドすることによって形成することができる。
【0599】
[4.6.2.4レーザー曲げ]
一形態(図示せず)では、選択された予め形成された患者インターフェース3152は、レーザー曲げによって成形され得る。
【0600】
[4.6.2.53D印刷]
一形態(図1には示されていない)では、患者インターフェース3152は、3-D印刷によって生成することができる。
【0601】
[4.7RPTデバイス]
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械的、空気的、及び/又は電気的コンポーネントを含み、本明細書で説明される任意の方法のような1つ又は複数のアルゴリズムを全部又は部分的に実行するように構成される。RPTデバイス4000は、本明細書の別の箇所に記載された1つ又は複数の呼吸障害の治療などのように、患者の気道に搬送するための空気の流れを生成するように構成されてもよい。
【0602】
特定の形態では、RPTデバイス4000は、空気の流れを周囲に対して陽圧で患者インターフェース3000に送るように構成されてもよい。RPTデバイス4000は、例えば周囲に対して少なくとも6cmHOの治療圧力で空気を送るように構成されてもよい。従来のRPTデバイス4000は、この目的のために使用することができる。
【0603】
他の形態では、RPTデバイス4000は、より低い圧力(ただし、周囲に対して陽圧のまま)で、例えば周囲に対して2~6cmHOのガス流れ又は空気を患者インターフェース3000に送るように構成されてもよい。RPTデバイス4000と組み合わされた呼吸療法システムは、低レベルの治療を提供するために、このような圧力で空気の流れを搬送することができる。このようなシステムは、例えば、いびき又は他の軽度の呼吸障害を治療又は改善するために使用することができる。このようなシステムは、閉塞性睡眠時無呼吸の治療に適している可能性のあるRPTデバイスのように、より高い圧力で空気を送達することができるRPTデバイスに比べて、より安価に製造することができ、より少ない電力を使用し、よりコンパクトにすることができる。
【0604】
図32は、先に説明したタイプのRPTデバイス4000を組み込んだ呼吸療法システム2000を示している。図32に示された形態では、呼吸可能なガスは、患者インターフェース3000RPTデバイス4000に送られ、このデバイスは、コンパクトなサイズであり、したがって携帯可能であり、すなわち、使用時に患者によって持ち運ぶことができる、例えば、患者の身体又は衣服に着用することができる。例えば、RPTデバイス4000は、使用時に患者の首や腕に着用したり、ポケットに入れて携帯したりすることができる。
【0605】
RPTデバイス4000からの呼吸可能な気体は、空気回路4170を介して患者インターフェース3000に送達することができる。プレナムチャンバ3200の入口ポート3202は、空気回路4170の一端に接続されてもよく、空気回路4170の他端はRPTデバイスに接続されている。空気供給の流速及び/又は圧力は、従来のRPTデバイス4000(例えばCPAPデバイス)よりも低いことができるので、空気回路4170は、従来の空気回路に比べて直径を小さくすることができる。例えば、特定の形態では、空気回路4170は、5~15mmの範囲の直径、例えば10mmを有することができる。直径の小さいチューブは、直径の大きいチューブよりも空気の流れに対して大きなインピーダンスを提供するが、これは、送達される流量及び/又は圧力が低い場合にも許容される。直径の小さいチューブは、体積が小さく突出せず、保管や梱包が容易であり、製造コストが低いために望ましいかもしれない。
【0606】
[4.8用語]
本技術の開示のために、本技術の特定の形態において、次の1つ又は複数の定義を適用することができる。本技術の他の形態では、代替定義を適用することができる。
【0607】
[4.8.1一般]
空気:本技術の特定の形態では、空気は大気として理解され、本技術の他の形態では、空気は、酸素富化空気のような、呼吸可能な気体の他の組み合わせとして理解され得る。
【0608】
周囲:本技術の特定の形態では、周囲という用語は、(i)治療システム又は患者の外部、及び(ii)治療システム又は患者を直接取り囲むものとして理解される。
【0609】
例えば、加湿器の周囲の湿度は、患者が寝ている部屋の湿度など、加湿器の周囲の空気の湿度であってもよい。この周囲湿度は、患者が寝ている部屋の外の湿度と異なっていてもよい。
【0610】
別の例では、周囲圧力は、体の周囲又は体の外部に隣接する圧力であってもよい。
【0611】
特定の形態では、周囲(例えば、音響)雑音は、例えばRPTデバイスによって生成される雑音、又はマスク又は患者インターフェースから発せられる雑音ではなく、患者がいる部屋における背景雑音レベルと考えられる。周囲騒音は、屋外の音源から発生している場合がある。
【0612】
自動気道陽圧換気(APAP)療法:SDB(睡眠呼吸障害)イベントの兆候の有無に応じて、治療圧力が、たとえば呼吸ごとに最小値と最大値の間で自動的に調整されるCPAP療法。
【0613】
持続的気道陽圧換気(CPAP)療法:呼吸圧療法であり、その中で治療圧は患者の呼吸周期にほぼ一定である。一部の形態では、気道の入口の圧力は、呼気時にはやや高く、吸気時にはやや低くなる。いくつかの形態では、圧力は、例えば、部分的な上部気道閉塞の表示の検出に応答して増加し、部分的な上部気道閉塞の表示なしに減少するように、患者の異なる呼吸周期の間で変化する。
【0614】
流量:単位時間あたりに輸送される空気の量(又は質量)。流速は瞬時量を指し得る。場合によっては、流量への参照は、スカラー量、つまり大きさだけを持つ量への参照になる。他の場合には、流量への参照は、ベクトル量、つまり大きさと方向の両方を持つ量への参照になる。流速は符号Qで表すことができる。「流速」は単に「流量」や「空気の流れ」と呼ばれることがある。
【0615】
患者の呼吸の例では、流速は、患者の呼吸周期の吸気部分については名目上正であってもよく、したがって、患者の呼吸周期の呼気部分については負であってもよい。デバイス流速Qdは、RPTデバイスから出る空気の流速である。総流量Qtは、空気及び任意の補充ガスが空気回路を通って患者インターフェースに到達する流量である。換気流量Qvは、換気口から出て呼気ガスを排出する空気の流量である。漏れ流量Qlは、患者インターフェースシステム等から漏れた流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸系に入る空気の流量である。
【0616】
流量療法:制御された流量で空気の流れを気道の入口に送ることを含む呼吸療法。これは治療流量と呼ばれ、患者の全呼吸サイクルで通常プラスである。
【0617】
加湿器:加湿器とは、患者の医学的呼吸状態を改善するために、治療上有益な量の水(HO)蒸気を空気の流れに供給することができる物理的構造を有するように構築及び配置され、又は構成された加湿デバイスを指すものと解される。
【0618】
漏れ:漏れという言葉は意外な空気の流れだと思われる。一例では、マスクと患者の顔との間の不完全なシールが原因で漏れが発生することがある。別の例では、周囲への回転エルボで漏れが発生する可能性がある。
【0619】
伝導雑音(音響):本明細書では、伝導雑音とは、空気回路、患者インターフェース、空気などの空気経路を介して患者に伝達される雑音を指す。一形態では、伝導雑音は、空気回路の端部の音圧レベルを測定することによって定量化することができる。
【0620】
放射雑音(音響):本明細書では、放射雑音とは、周囲の空気によって患者に運ばれる雑音を指す。一形態では、ISO3744によれば、放射雑音は、対象物の音響パワー/圧力レベルを測定することによって定量化することができる。
【0621】
換気口(音響)騒音:本明細書では、換気口騒音とは、換気口(患者インターフェースの換気口など)を通過することによって発生する騒音を指す。
【0622】
酸素富化空気:少なくとも約50%の酸素、少なくとも約60%の酸素、少なくとも約70%の酸素、少なくとも約80%の酸素、少なくとも約90%の酸素、少なくとも約95%の酸素、少なくとも約98%の酸素、又は少なくとも約99%の酸素など、大気(21%)よりも酸素濃度が高い空気。「酸素富化空気」は略して「酸素」と呼ばれることがある。
【0623】
医療用酸素:医療用酸素とは、酸素濃度が80%以上の酸素富化空気を指す。
【0624】
患者:呼吸障害の有無にかかわらず、1人の人。
【0625】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、cmHO、g-f/cm2、ヘクトパスカルを含む一連の単位で表すことができる。1cmHOは、1g-f/cm2であり、約0.98hPa(1hPa=100pa=100N/m=1mbar~0.001atm)である。本明細書では、別段の記載がない限り、圧力はcmHOの単位で与えられる。
【0626】
患者インターフェースにおける圧力には符号Pmが付され、現時点でインターフェース圧力Pmによって達成すべき目標値を示す治療圧力には符号Ptが付されている。
【0627】
呼吸圧療法:通常は大気に対して正の治療圧で、気道の入口に空気を供給する。
【0628】
人工呼吸器:呼吸作業の一部又は全部を完了するために患者に圧力支援を提供する機械デバイス。
【0629】
[4.8.1.1材料]
シリコーン又はシリコーン弾性体:合成ゴムの一種。本明細書において、シリコーンとは、液状シリコーンゴム(LSR)又は圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を意味する。市販のLSRの一形態は、シリコーンゴム(当該商標の下で販売されている製品の範囲内に含まれる)であり、ダウコーニング社によって製造されたものである。LSRのもう1つのメーカーはWackerである。別段の規定がない限り、例示的な形態のLSRは、ASTMD2240を使用して測定されたショアA(又はタイプA)圧痕硬さが約35~約45の範囲にある。
【0630】
ポリカーボネート:ビスフェノールA炭酸エステルの熱可塑性重合体。
【0631】
[4.8.1.2機械的性質]
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収し、アンロード時にエネルギーを放出する材料の能力。
【0632】
弾力性:無負荷時にほぼすべてのエネルギーが放出される。例えば、特定のシリコーン及び熱可塑性弾性体が含まれる。
【0633】
硬度:材料自体の変形に対する抵抗力(ヤング率で記述されているか、標準化されたサンプルサイズで測定された圧痕硬度スケールなど)。
●「柔らかい」材料は、シリコーン樹脂又は熱可塑性弾性体(TPE)を含むことができ、例えば、指の圧力で容易に変形する。
●「硬い」材料には、ポリカーボネート、ポリプロピレン、スチール、アルミニウムなどがあり、指の圧力で容易に変形しない場合がある。
【0634】
構造又はコンポーネントの剛性:荷重が加えられたときの構造又はコンポーネントの変形に対する抵抗力。荷重は、圧縮、引張り、曲げ、ねじれなどの力又はモーメントであることができる。この構造又はコンポーネントは、異なる方向に異なる抵抗を提供することができる。剛性の対義語は可撓性である。
【0635】
軟らかい構造又はコンポーネント:自重を支えると、比較的短時間(1秒など)で形状が変化する(曲がるなど)構造又はコンポーネント。
【0636】
リジッド構造又はコンポーネント:一般的に使用される荷重を受けても、実質的な形状変化を起こさない構造又はコンポーネント。このような使用の一例は、例えば、約20~30cmHOの圧力の負荷下で、患者の気道の入口から密封された患者インターフェースを確立し、維持することであり得る。
【0637】
例えば、I字ビームは、第2直交方向と比較して、第1方向において異なる曲げ剛性(耐曲げ荷重)を含んでもよい。別の例では、構造又はコンポーネントは、第1方向では軟らかく、第2方向では剛性であってもよい。
【0638】
[4.8.2解剖学]
[4.8.2.1顔解剖学]
鼻翼:各鼻の穴の外側の壁又は「翼」(複数:鼻翼)
【0639】
鼻翼最外側点:鼻翼の一番外側の点。
【0640】
鼻翼曲がり(又は鼻翼頂上点)点:各鼻翼の曲がりの基線の最後の点で、鼻翼と頬の結合によって形成される折れ目の中にある。
【0641】
耳介:耳の外部から見える部分全体。
【0642】
(鼻)骨の枠組み:鼻の骨の枠組みは、鼻の骨、上顎の前頭突起、及び前頭骨の鼻部分で構成される。
【0643】
(鼻)軟骨の枠組み:鼻の軟骨の枠組みは、中隔軟骨、側軟骨、大軟骨、小軟骨で構成される。
【0644】
鼻柱:鼻穴を分離し、鼻尖点から上唇まで続く皮膚の細片。
【0645】
鼻柱角:鼻穴の開口部の中点を通って引かれた線と、鼻下と交差しながらフランクフォートの水平線に垂直に引かれた線との間の角度。
【0646】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下点から左トライオンまで伸長する線。耳珠:耳珠の上の切目の最も深い点である。
【0647】
眉間:軟組織上に位置し、額の正中矢状面が最も突き出ている点。
【0648】
外側鼻軟骨:通常三角形を呈する軟骨板。その上縁は鼻骨と上顎骨の額突起に、下縁は大きな鼻翼の軟骨につながっている。
【0649】
唇、下部(下唇):
【0650】
唇、上部(上唇):
【0651】
大鼻翼軟骨:鼻の外側の軟骨の下にある軟骨。鼻穴の前部を中心に曲がっている。その後端部は、3つ又は4つの前翼の小さな軟骨を含む強靭な繊維膜の層を介して上顎骨の前頭突起に接続されている。
【0652】
鼻穴(Nare):鼻腔の入り口を形成する楕円形に近い孔。鼻穴の単数形は鼻穴(nostril)である。鼻の穴は鼻中隔で隔てられている。
【0653】
鼻唇溝又は鼻唇溝:鼻の両側から口角に伸長する皮膚のしわ又は溝で、頬と上唇を隔てる。
【0654】
鼻唇角:鼻柱と上唇の間の角度で、鼻の下と交わる角度。
【0655】
下耳底点:耳介が顔皮膚に付着する最低点。
【0656】
上耳底点:耳介と顔の皮膚の最高点。
【0657】
鼻尖点:鼻の最も突き出た点又は先端で、ヘッドの残りの部分を側面から見たときに確認できる。
【0658】
人中:上唇領域の鼻中隔の下縁から唇の上部まで伸長する正中線の溝。
【0659】
オトガイ点:顎の最も前方の中央の軟部組織に位置する点。
【0660】
(鼻)堤:鼻堤は鼻の中央線の突起で、鼻翼から鼻尖点まで伸びている。
【0661】
矢状面:前(前方)から後(後方)への垂直面。中矢状面とは、体を左右半分に分ける矢状面のこと。
【0662】
セリオン:軟部組織上にあり、鼻前額の縫合糸領域を覆う最も凹んだ点。
【0663】
鼻中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は鼻中隔の一部を形成し、鼻腔の前部を隔てる。
【0664】
鼻翼最下点:鼻翼の下の縁の点で、鼻翼の基部と上唇の皮膚のつなぎ目。
【0665】
鼻下点:軟組織上に位置し、鼻柱と上唇が中矢状面で合流する点である。
【0666】
スプラメントン:下唇の中央線下唇と軟部組織突起の間にある最大のくぼみ点
【0667】
頭蓋骨解剖学
【0668】
前頭骨:前頭骨には、額と呼ばれる領域に対応する額鱗という大きな垂直部分が含まれている。
【0669】
下顎骨:下顎骨は下顎を形成する。オトガイ隆起とは、顎を形成する顎の骨の隆起である。
【0670】
上顎骨:上顎骨は上顎を形成し、下顎骨の上と眼窩の下に位置する。上顎骨の前頭突起は、鼻の側で上方に突出しており、その側方境界の一部を形成している。
【0671】
鼻骨:鼻骨は2つの長方形の小骨で、異なる個体の中で大きさと形が異なり、顔の中央上部に並べて配置し、そのつなぎ目で鼻筋を形成する。
【0672】
鼻骨:前頭骨と2つの鼻骨の交わる部分で、両目の間と鼻筋のすぐ上にあるくぼみの領域。
【0673】
後頭骨:後頭骨は頭蓋骨の後部と下部に位置する。頭蓋腔が脊柱管に通じる楕円形の穴である大後頭孔を含む。後頭骨の大きな穴の後ろにある湾曲した板が後頭鱗である。
【0674】
眼窩:頭蓋骨の中で眼球を収容する骨腔。
【0675】
頭頂骨:頭頂骨は、頭蓋骨の頂部と側面を形成するように連結された骨である。
【0676】
側頭骨:側頭骨は頭蓋骨の底と側面にあり、顔のこめかみと呼ばれる部分を支えている。
【0677】
頬骨:顔には2つの頬骨が含まれ、顔の上部と側面に位置し、頬の突起を形成する。
【0678】
[4.8.2.2呼吸器解剖学]
横隔膜:胸腔の底部を通って伸びている筋肉。横隔膜は、心臓、肺、肋骨を含む胸腔と腹腔を分離している。横隔膜の収縮に伴って胸腔の容積が増え、肺に空気が吸い込まれる。
【0679】
喉頭:喉頭又は声帯は声帯を収容し、咽頭(下咽頭)の下部と気管をつなぐ。
【0680】
肺:人間の呼吸器。肺の伝導領域には気管、気管支、細気管支、終末細気管支がある。呼吸野には呼吸細気管支、肺胞管、肺胞が含まれる。
【0681】
鼻腔:鼻腔(又は鼻窩)とは、顔の中央にある鼻の上と後ろにある、空気で満たされた大きな空間のことである。鼻腔は鼻中隔と呼ばれる垂直のひれで2つに分かれている。鼻腔の両側に3つの水平な突起があり、鼻甲(奇数の「鼻甲」)又は鼻甲と呼ばれる。鼻腔の前方には鼻があり、後方は鼻穴を介して鼻咽頭につながっている。
【0682】
咽頭:喉の部分で、鼻腔のすぐ下(下)にあり、食道と喉頭よりも上にある。咽頭は通常、上咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻側部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口腔部分)、及び喉頭咽頭(下咽頭)の3つの部分に分けられる。
【0683】
[4.8.3患者インターフェース]
窒息防止弁(AAV):フェールセーフ方式で大気に開放することにより、患者が再び過剰なCO2を呼吸するリスクを低減するマスクシステムのコンポーネント或いはサブアセンブリ。
【0684】
エルボ:エルボは、それを通過する空気の流れの軸が角度によって方向を変えるように方向付ける構造の一例である。一形態では、角度は約90度とすることができる。別の形態では、角度は90度よりも大きくてもよく、90度よりも小さくてもよい。エルボは、ほぼ円形の断面を有することができる。別の形態では、エルボは楕円形又は長方形の断面を持つことができる。特定の形態では、エルボは嵌合するコンポーネントに対して約360度などの回転をすることができる。特定の形態では、エルボは、スナップ結合などによって、嵌合するコンポーネントから除去することができる。特定の形態では、肘は、製造工程中に使い捨ての留め具を介して嵌合するコンポーネントに組み付けることができるが、患者が取り外すことはできない。
【0685】
フレーム:フレームとは、ヘッドギアとの2つ以上の接続点の間に張力荷重を受けるマスク構造のことである。マスクフレームは、マスク内の非気密支持構造体であってもよい。しかし、マスクフレームの一部の形態は気密であることもある。
【0686】
機能のデッドスペース:(説明をここに挿入)
【0687】
膜:膜は、好ましくは、曲げに対しては実質的に抵抗を持たないが、引き伸ばしに対しては抵抗を有する、典型的には薄い要素を意味すると解釈される。
【0688】
プレナムチャンバー:マスクプレナムチャンバは、使用時に大気圧よりも高い圧力で加圧される空気の空間容積を少なくとも部分的に閉鎖する壁を有する患者インターフェースの一部として理解される。シェルは、マスクプレナムチャンバ壁の一部を形成することができる。
【0689】
シール:構造を指す名詞形式(「シール」)でも、効果を指す動詞形式(「シールする」)でもよい。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とせずに、それらの間を「シール」するように、又は「シール」するように構成及び/又は配置することができる。
【0690】
シェル:シェルとは、曲げ、引張り、及び圧縮の剛性を持つ、曲げられた比較的薄い構造体のことである。例えば、マスクの湾曲した構造壁はシェルであってもよい。一部の形態では、シェルは多面的であることがある。一部の形態では、シェルは密閉されている場合がある。一部の形態では、シェルが密閉されていない場合がある。
【0691】
補強材:補強材は、少なくとも1つの方向における別のコンポーネントの曲げ抵抗を増加させるように設計された構造コンポーネントを意味すると解釈される。
【0692】
ストラット:ストラットは、少なくとも1方向における別のコンポーネントの圧縮抵抗を増加させるように設計された構造コンポーネントとみなされる。
【0693】
スイベル(名詞):共通の軸の周りを、好ましくは独立して、好ましくは低トルクで回転するように構成されたコンポーネントのサブアセンブリ。一形態では、スイベルは少なくとも360度の角度にわたって回転するように構成され得る。別の形態では、スイベルは360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈で使用される場合、コンポーネントのサブアセンブリは、好ましくは、適合する一対の円筒形導管を備える。使用中にスイベルからの空気漏れがほとんどない場合がある。
【0694】
タイ(名詞):張力に耐えるように設計された構造。
【0695】
換気(名詞):マスク内部や導管から外気に空気が流れることを可能にする構造で、臨床的に呼気を効果的に排出するために用いられる。例えば、臨床的に効果的な洗浄には、マスクの設計と治療圧力に依存して、約10リットル/分~約100リットル/分の流速が関与することがある。
【0696】
[4.9その他の注意事項]
本特許文献の開示の一部には、著作権保護された資料が含まれている。著作権者は、特許書類又は特許公告が特許庁の特許書類又は記録に記載されていることを理由として、何人も特許書類又は特許公告をファクスで複製することに異議を唱えないが、その他の点ではすべての著作権を保持するものである。
【0697】
文脈に別段の明示的な規定がない限り、値の範囲が与えられている場合には、範囲の上限と下限の間の下限単位の10分の1の値、及びその範囲内の他の規定された値又はその範囲内の値は、技術に含まれることが理解されるべきである。これらの中間範囲の上限及び下限は、独立して中間範囲に含まれてもよく、また、当該範囲から特に除外された制限のいずれかによる技術に含まれてもよい。範囲が1つ又は2つの限界を含む場合には、含まれる限界の1つ又は2つを除外する範囲も技術に含まれる。
【0698】
さらに、1つ又は複数の値が技術の一部として実施されるものとして本明細書に記載されている場合、これらの値は、別段の記載がない限り近似することができ、実際の技術的実施が許容又は必要とする可能性がある程度で、任意の適切な有効な数字に利用することができることが理解されるべきである。
【0699】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当技術の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有するものとする。本明細書に記載された方法及び材料と類似又は同等の任意の方法及び材料も、本技術の実施又は試験に使用することができるが、本明細書には、限られた数の例示的な方法及び材料が記載されている。
【0700】
コンポーネントを構築するために特定の材料が決定された場合には、類似した特性を有する明白な代替材料を代替材料として使用することができる。さらに、別段の規定がない限り、本明細書に記載されているコンポーネントのいずれか及びすべては、製造可能であると理解され、したがって、一緒に又は別々に製造することができる。
【0701】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つ(a)」、「一(an)」及び「該(the)」は、文脈で別段の規定がない限り、それらの複素等価物を含むことに留意されたい。
【0702】
本明細書で言及されているすべての出版物は、それらの出版物の主題である方法及び/又は資料を開示及び記述するために、参照によって本明細書に統合される。本明細書に記載されている刊行物は、本出願の出願日前にそれらを公開するためにのみ使用される。本明細書に記載されている内容は、当該技術が先の発明により当該刊行物よりも前に権利を有していないことを認めるものと解釈することはできない。さらに、提供された出版日は実際の出版日と異なる場合があり、個別に確認する必要がある場合がある。
【0703】
用語「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、要素、コンポーネント、又はステップを非排他的に指すものとして解釈され、参照された要素、コンポーネント、又はステップが存在し、使用され、又は明示的に参照されていない他の要素、コンポーネント、又はステップと結合され得ることを意味する。
【0704】
詳細な説明において使用される主題語は、読者の参照を容易にするためにのみ含まれており、開示又は特許請求の範囲全体に見出される主題を限定するためには適用されない。主題の見出しは、特許請求の範囲又は特許請求の範囲の限定を解釈するために使用されるべきではない。
【0705】
本明細書では、特定の例を参照して技術を説明してきたが、これらの例は、技術の原理及び応用の説明にすぎないことを理解されたい。場合によっては、用語や記号は、テクノロジーの実践には必要のない特定の詳細を暗示している場合がある。例えば、「第1」及び「第2」という用語が使用されてもよいが、別段の記載がない限り、それらはいかなる順序も示すことを意図しておらず、異なる要素を区別するために使用されてもよい。さらに、本方法におけるプロセスステップは、順序で説明又は説明されてもよいが、この順序は必須ではない。当業者は、そのような順序付けが修正されてもよく、及び/又はその態様が同時に、あるいは同期して行われてもよいことを認識する。
【0706】
したがって、例示的な例には多くの修正を加えることができ、他の構成は、技術の精神及び範囲を逸脱することなく設計することができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0707】
[4.10符号の説明]
1000 患者
3132 鼻中隔領域
3141 鼻翼縁領域
3142 上唇の最上領域
3143 鼻尖点よりも下の鼻の前部領域
3144 鼻翼頂上点より下の領域
3145 鼻翼頂上点に隣接する頬の領域
2000 呼吸療法システム
2100 センサモジュール
2110 センサモジュールのチューブ
2112 センサモジュールの電極
2114 センサモジュールのキャップ
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3102 粘着面
3104 除去可能な層
3104T タブ
3105 第1部分
3106 第2部分
3105T 第1タブ
3106T 第2タブ
3108 タブ
3110 シール形成構造の開口部
3112 フランジ
3114 フランジ内面
3116 フランジ外面
3120 第1シール形成構造
3130 第2シール形成構造
3140 形状保持具
3150 予め形成された患者インターフェース
3152 複数の予め形成された患者インターフェース
3158 ブランク
3160 切り欠き
3172 シール形成構造の頂点部
3174 シール形成構造の肩部
3176 シール形成構造のコーナー部
3178 シール形成構造のステム部
3180 シール形成構造の凹部
3182 シール形成構造の凸状突起
3184 シール形成構造のエッジ
3186 シール形成構造の鈍角
3188 シール形成構造の凹状凹部
3190 シール形成構造の凹状突起
3200 プレナムチャンバー
3202 プレナムチャンバー入口ポート
3216 環状リング
3230 前層
3232 折れ目(複数可)
3250 鼻枕
3252 円錐台
3254 茎
3300 一体型/単一コンポーネント
3400 換気口
3402 窒息防止弁
3404 呼気抵抗弁
3406 呼気抵抗弁のチューブ
3408 呼気抵抗弁のキャップ
3409 呼気抵抗弁の弁コンポーネント
3410 ディフューザ
3420 チューブ
3422 第1換気口
3424 第2換気口
3426 チューブの第1端
3428 チューブの第2端
3500 分離構造
3502 チューブ
3504 可撓性部分
3510 第1磁気部材
3512 第2磁気部材
3514 アダプタ
3518 フレーム
3520 空気回路のプロング
3522 チューブ受け部
4170 空気回路
3600 接続ポート
3700 熱湿気交換器
3710 アダプタの首部
3712 アダプタの第1フランジ
3714 アダプタの第2フランジ
3800 アプリケータ
3802 アプリケータの凹部
3804 グリップ部
3806 アプリケータのプロング
3808 アプリケータ表面
3810 アプリケータの本体
3812 磁気部材
3814 アプリケータのガイド(複数可)
3908 チャンネル
4000 RPTデバイス
5000 患者インターフェースシステム
6000 成形デバイス
6002 キャビティコンポーネント
6004 コアコンポーネント
6012 キャビティ(又は複数のキャビティ)
6014 突起
6020 ギャップ
6100 ホッパー
6110 導管
6200 切断端(複数可)
6210 切断刃
6300 コレクタ
6500 テープ
6510 第1スプール
6520 第2スプール
6530 粘着層
6532 第1層アセンブリ
6532A 第1層アセンブリの裏打ち層
6532B 第1層アセンブリの粘着層
6534 第2層アセンブリ
6534A 第2層アセンブリの裏打ち層
6534B 第2層アセンブリの粘着層
6540 非粘着性ストリップ
6550 除去可能な層
6560 プリカット穴(複数可)
6570 プリカットエッジ(複数可)
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図21A
図21B
図21C
図21D
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図25D
図25E
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【国際調査報告】