(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】体表位置決め装置のレジストレーション方法、穿刺誘導方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240725BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508303
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2022112009
(87)【国際公開番号】W WO2023024932
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110977438.5
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524051173
【氏名又は名称】真健康(広東横琴)医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】True Health (Guangdong hengqin) Medical Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 806, Research Headquarters Building, Guangdong Macao Cooperative Traditional Chinese Medicine Technology Industrial Park, No. 1 Doukou Road, Hengqin New District, Zhuhai, Guangdong 519000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 向前
(72)【発明者】
【氏名】史 紀鵬
(72)【発明者】
【氏名】張 昊任
(57)【要約】
体表位置決め装置のレジストレーション方法、穿刺誘導方法及び装置であって、レジストレーション方法は、体表に配置された光学追跡装置における各追跡点の画像空間座標を取得すること(S1)と、位置決め装置が光学追跡装置における各追跡点の現在位置に基づいて生成した手術空間座標を収集すること(S2)と、画像空間座標及び手術空間座標に基づいて各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定し、且つ回転行列及び/又は平行移動行列を計算すること(S3)と、各追跡点の画像空間座標、回転行列及び平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算すること(S4)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表位置決め装置のレジストレーション方法であって、
前記体表位置決め装置は複数の追跡点を含み、且つ任意のペアの追跡点の間隔は異なり、前記方法は、
体表に配置された光学追跡装置における各追跡点の画像空間座標を取得することと、
位置決め装置が前記光学追跡装置における各追跡点の現在位置に基づいて生成した手術空間座標を収集することと、
前記画像空間座標及び前記手術空間座標に基づいて前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定し、且つ回転行列及び/又は平行移動行列を計算することと、
前記各追跡点の画像空間座標、前記回転行列及び前記平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算することと、を含むことを特徴とする体表位置決め装置のレジストレーション方法。
【請求項2】
前記画像空間座標は、前記各追跡点のコンピュータトモグラフィー画像データにおける三次元座標であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手術空間座標は、前記各追跡点を撮影する複眼ビデオカメラによって提供される三次元座標であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定することは、具体的には、
前記画像空間座標に基づいて画像空間における各追跡点の距離行列D
Qを計算し、前記手術空間座標に基づいて手術空間における各追跡点の距離行列D
Pを計算することと、
距離行列D
Q及び距離行列D
Pに基づいて各列の距離を計算して誤差行列Mを取得することと、
誤差行列Mにおける各列の最小要素に基づいて前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
距離行列D
Q及び距離行列D
Pに任意のペアワイズの追跡点間の距離がそれぞれ含まれることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
間隔行列D
Q及び間隔行列D
Pに基づいて各列の距離を計算して誤差行列Mを取得することは、具体的には、
それぞれ間隔行列D
Q及び間隔行列D
Pを昇順に配列することと、
昇順に配列された2つの行列における各列の距離をそれぞれ計算して、誤差行列Mを取得することと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記各追跡点の画像空間座標、前記回転行列及び前記平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算するステップにおいて、具体的には、下記式で前記レジストレーション誤差データFREを計算し、
ここで、nは前記追跡点の数を示し、q
iはi番目の追跡点の画像空間座標を示し、Rは前記平行移動行列を示し、Tは前記回転行列を示すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の追跡点同士がフレキシブルな接続部材により直列に接続され、各追跡点の手術空間座標が独立して変更できるようにすることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
穿刺誘導方法であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法に基づいて穿刺被験者の少なくとも1つの呼吸周期におけるレジストレーション誤差データを計算し、前記画像空間座標は固定値であり、前記手術空間座標は穿刺被験者の呼吸時の体表の起伏につれて変化し、前記レジストレーション誤差データを動的値にすることと、
レジストレーション誤差データの最小値に対応する時刻を決定し、且つ該時刻で穿刺動作を誘導することと、を含むことを特徴とする穿刺誘導方法。
【請求項10】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリとを備え、前記メモリには前記1つのプロセッサにより実行され得る命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~8のいずれか1項に記載の体表位置決め装置のレジストレーション方法及び/又は請求項9に記載の穿刺誘導方法を実行させることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用画像データ処理の分野に関し、特に体表位置決め装置のレジストレーション方法、穿刺誘導方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手術用ナビゲーション位置決めシステムは光学追跡方式で位置決めを実現することができ、システムに付属の光学追跡装置が設けられ、該装置に反射ビーズが設けられ、光学システムが反射ビーズを追跡することによりターゲットのリアルタイムな追跡・位置決めを実現する。
【0003】
現在、整形外科や脳神経外科の分野の臨床で使用されている手術用ナビゲーション位置決めシステムでは、追跡装置を骨格又は頭蓋骨フレームに固定して手術部位にフィットするのを保持し、ナビゲーション位置決めシステムが対応する追跡装置を追跡することにより手術部位の位置決めを実現している。
【0004】
胸部や腹部の位置は、人の呼吸運動により体表が起伏運動してしまい、この運動により位置決めにばらつきが発生してしまう。穿刺術の場合、まず手術前にCT画像に基づいて穿刺経路を決定し、次に手術中に所定の穿刺経路に応じて穿刺を実施する必要があるが、人体の呼吸による体表起伏の影響を受けて、実際の穿刺経路が所定の穿刺経路と異なる恐れがあり、これを本願ではレジストレーション誤差と呼ぶ。レジストレーション誤差が大きすぎると穿刺針が標的に正確に到達できなくなるため、医者が穿刺術を実施する難度は比較的高い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに鑑みて、本発明は体表位置決め装置のレジストレーション方法を提供し、前記体表位置決め装置は複数の追跡点を含み、且つ任意のペアの追跡点の間隔は異なり、前記方法は、
【0006】
体表に配置された光学追跡装置における各追跡点の画像空間座標を取得することと、
【0007】
位置決め装置が前記光学追跡装置における各追跡点の現在位置に基づいて生成した手術空間座標を収集することと、
【0008】
前記画像空間座標及び前記手術空間座標に基づいて前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定し、且つ回転行列及び/又は平行移動行列を計算することと、
【0009】
前記各追跡点の画像空間座標、前記回転行列及び前記平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算することと、を含む。
【0010】
選択肢として、前記画像空間座標は前記各追跡点のコンピュータトモグラフィー画像データにおける三次元座標である。
【0011】
選択肢として、前記手術空間座標は、前記各追跡点を撮影する複眼ビデオカメラによって提供される三次元座標である。
【0012】
選択肢として、前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定することは、具体的には、
【0013】
前記画像空間座標に基づいて画像空間における各追跡点の距離行列DQを計算し、前記手術空間座標に基づいて手術空間における各追跡点の距離行列DPを計算することと、
【0014】
距離行列DQ及び距離行列DPに基づいて各列の距離を計算して誤差行列Mを取得することと、
【0015】
誤差行列Mにおける各列の最小要素に基づいて前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定することと、を含む。
【0016】
選択肢として、距離行列DQ及び距離行列DPに任意のペアワイズの追跡点間の距離がそれぞれ含まれる。
【0017】
選択肢として、間隔行列DQ及び間隔行列DPに基づいて各列の距離を計算して誤差行列Mを取得することは、具体的には、
【0018】
それぞれ間隔行列DQ及び間隔行列DPを昇順に配列することと、
【0019】
昇順に配列された2つの行列における各列の距離をそれぞれ計算して、誤差行列Mを取得することと、を含む。
【0020】
選択肢として、前記各追跡点の画像空間座標、前記回転行列及び前記平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算するステップにおいて、具体的には、下記式で前記レジストレーション誤差データFREを計算し、
【0021】
【0022】
ここで、nは前記追跡点の数を示し、qiはi番目の追跡点の画像空間座標を示し、Rは前記平行移動行列を示し、Tは前記回転行列を示す。
【0023】
選択肢として、前記複数の追跡点同士がフレキシブルな接続部材により直列に接続され、各追跡点の手術空間座標が独立して変更できるようにする。
【0024】
本発明は穿刺誘導方法を更に提供し、該穿刺誘導方法は、上記方法に基づいて穿刺被験者の少なくとも1つの呼吸周期におけるレジストレーション誤差データを計算し、前記画像空間座標は固定値であり、前記手術空間座標は穿刺被験者の呼吸時の体表の起伏につれて変化し、前記レジストレーション誤差データを動的値にすることと、レジストレーション誤差データの最小値に対応する時刻を決定し、且つ該時刻で穿刺動作を誘導することと、を含む。
【0025】
本発明は電子機器を更に提供し、該電子機器は少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリとを備え、前記メモリには前記1つのプロセッサにより実行され得る命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、前記少なくとも1つのプロセッサに上記体表位置決め装置のレジストレーション方法を実行する。
【0026】
本発明は電子機器を更に提供し、該電子機器は少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリとを備え、前記メモリには前記1つのプロセッサにより実行され得る命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、前記少なくとも1つのプロセッサに上記穿刺誘導方法を実行させる。
【発明の効果】
【0027】
体表位置決め装置のレジストレーション方法、穿刺誘導方法及び装置によれば、算出されたレジストレーション誤差データは人体の呼吸姿勢と手術前CTスキャン時の人体の呼吸姿勢との適合度を数値で示すことができ、これにより、医者が適切なタイミングで穿刺術を実施できるようにし、実際の穿刺経路が所定の穿刺経路に一致することを保証し、穿刺術の難度を低減し、手術効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術的解決策をより明確に説明するために、以下に具体的な実施形態又は従来技術の記述に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に記載する図面は本発明の実施形態の一例であって、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0029】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係る光学追跡装置の構造模式図である。
【0030】
【
図2】
図2は本発明の実施例に係る体表位置決め装置のレジストレーション方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の技術的解決策を明確且つ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は本発明の実施例の一部であり、実施例の全部ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに取得する他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0032】
また、互いに衝突しない限り、以下に説明される本発明の異なる実施形態に関わる技術的特徴は互いに組み合わせられてもよい。
【0033】
光学追跡装置は人体の体表に配置されるため、体表位置決め装置とも呼ばれる。手術ナビゲーションシステムにおける複眼ビデオカメラは光学追跡装置の位置を収集することにより、人体位置及び穿刺を実施しようとする位置を正確に決定することができる。
【0034】
図1に示すように、本実施例は光ナビゲーション位置決めシステムと協働して使用されるための光学追跡装置を提供し、光ナビゲーション位置決めシステムは赤外光ナビゲーション位置決めシステムであってもよく、可視光ナビゲーション位置決めシステムであってもよく、本実施例の光学追跡装置は汎用することができる。具体的には、本実施例の光学追跡装置は2つ以上の反射ビーズアセンブリ及び複数の体表位置決め用テープ3を備える。
【0035】
反射ビーズアセンブリは手術用ナビゲーション位置決めシステムと協働して位置決めするためのものである。反射ビーズアセンブリが手術用ナビゲーション位置決めシステムと協働して位置決めするための動作原理は本分野の周知技術に属するので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0036】
複数の体表位置決め用テープ3は軟質構造であり、体表位置決め用テープ3の数は反射ビーズアセンブリの数と同じであり、2つ以上の反射ビーズアセンブリは順に体表位置決め用テープ3により接続されて閉ループを形成する。
【0037】
本願の光学追跡装置の好適な実施例として、本実施例では、反射ビーズアセンブリが5組設置されることに対応して、体表位置決め用テープ3が5本設置される。理解すべきことは、実際の必要の相違によって、当業者が更に3組、4組、6組、7組の反射ビーズアセンブリを採用してもよいことに対応して、体表位置決め用テープ3の数は3本、4本、6本、7本となることである。
【0038】
本実施例における反射ビーズアセンブリは5組設置される。実験によれば、ビーズが5組あれば、精度及び効率に対する要件を両立させて、構造及びアルゴリズムを簡素化できることが判明した。
【0039】
図1に示すように、5組の反射ビーズアセンブリのうちの2組ごとの反射ビーズアセンブリは1本の体表位置決め用テープにより接続され、5組の反射ビーズアセンブリは順に体表位置決め用テープにより接続されて閉ループを形成する。本願は5組の反射ビーズアセンブリの相互位置及び2組ごとの反射ビーズアセンブリの間に接続される体表位置決め用テープ3の長さを具体的には限定するものではなく、実際の必要に応じて設定する必要がある。
【0040】
本実施例は軟質体表位置決め用テープを用いることにより、複数の位置決め構造からなる位置決め構造全体の基本形状が固定されるように保証する一方、軟質材質であるため、各位置決め構造同士は独立して運動できる。このような利点は、体表位置決め用テープが皮膚の体表にフィットする場合、各位置決め構造同士が体表に従って動的に運動できるため、体表皮膚の運動幅を動的に追跡でき、それにより動的なナビゲーション位置決めを実現し、従来の剛体位置決め装置が静的にしか追跡できない問題を解決したことにある。
【0041】
動的位置決め効果を更に向上させるために、本実施例では、体表位置決め用テープ3は弾性を有する軟質構造である。好ましくは、本実施例では、体表位置決め用テープ3はシリコ-ンゴムテープを採用する。しかしながら、理解すべきことは、弾性を有する軟質材質で製造された体表位置決め用テープ3であれば、いずれも本願の保護範囲内に属すべきことである。体表位置決め用テープ3は軟質構造であり、シリコ-ンゴムで製造され、良好な生体適合性を有し、より高い吸着力を有し、人体に柔軟に調整できるため、体表位置決め用テープ3の両端に接続される位置決め構造は体表に適用でき、肌にフィットできる。
【0042】
本実施例の体表動的位置決め装置を対応する人体の表面に置く際に人体の表面に良くフィットして、体表での動的位置決め精度を向上させることを保証するために、本実施例では、体表位置決め用テープ3の下面を位置決め構造の下面と同一平面にして、体表位置決め用テープ3及び位置決め構造の下面を隙間なしに体表にフィットさせる。また、体表位置決め用テープ3の下面を位置決め構造の下面と同一平面にすることは更にその後で医療用テープで体表位置決め用テープ3を固定することを容易にし、更にリアルタイムな追跡・位置決めを行うことを容易にする。
【0043】
反射ビーズアセンブリと体表位置決め用テープ3との接続方式は、係着、ねじ込み接続、ホットメルト接着又は他の固定接続方式であってもよく、本願の好適な実施例として、本実施例では、反射ビーズアセンブリは、体表台座5、ビーズ固定座2及びビーズ固定ポール4を含み、
【0044】
体表台座5は、体表位置決め用テープ3を接続するためのものであり、体表台座5の下面はそれに接続される体表位置決め用テープ3の下面と同一平面にあり、体表台座5に制限溝6が成形されており、
【0045】
体表台座5は円柱構造であり、体表位置決め用テープ3を接続するためのものであり、体表台座5及び体表位置決め用テープ3は数が一致し、順に互いに接続されて1つの閉ループを構成し、体表位置決め用テープ3は体表台座5の外側面に接続されるとともに、皮膚にフィットするために、体表台座5の下面はそれに接続される体表位置決め用テープ3の下面と同一平面にあり、
【0046】
それと同時に、体表台座5の上面にはビーズ固定座2を取り付けるための制限溝6が成形されており、
【0047】
ビーズ固定座2は、反射ビーズ1を取り付けるためのものであり、ビーズ固定座2は制限溝6内に取り付けられ、その構造は制限溝6に適合し、
【0048】
ビーズ固定ポール4は、ビーズ固定座2内に挿入されることでビーズ固定座2及び体表台座5を固定する。ビーズ固定ポール4はボルトなどのアセンブリであってもよく、制限溝6の溝底を貫通しており、下方から挿入して制限溝6内に係合されるビーズ固定座2に接続されればよい。接続方式はビーズ固定座2の下面にねじ穴を同時に設置し、ビーズ固定ポール4が貫通孔から入ってビーズ固定座2の下面に設置されるねじ穴に捩じ込まれる、ということであってもよい。
【0049】
手術ナビゲーションシステム及び上記光学追跡装置により人体の呼吸動作を追跡することができる。本発明の実施例は体表位置決め装置のレジストレーション方法を提供し、該方法はコンピュータ又はサーバなどの電子機器により実行されてもよく、
図2に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0050】
S1 体表に配置された光学追跡装置における各追跡点の画像空間座標を取得する。本実施例に記載の追跡点は上記実施例における反射ビーズであってもよいが、これに限定されない。具体的には、手術前にコンピュータトモグラフィー方式で光学追跡装置を着用している人体部位をスキャンすることにより、CT画像データ(三次元)を取得し、次にその中の各追跡点の位置を識別して、そのCT画像データにおける空間座標を取得してもよく、該空間座標は画像空間座標と呼ばれ、このデータは静的値である。具体的な実施例では、光学追跡装置は5つの追跡点を有し、画像空間座標はQ=[q1,q2,q3,q4,q5]と記され、ここで、q1…q5は5つの追跡点の三次元座標を示す。
【0051】
S2 位置決め装置が光学追跡装置における各追跡点の現在位置に基づいて生成した手術空間座標を収集する。具体的には、手術中に位置決め装置(ナビゲーション用の複眼ビデオカメラ)により各追跡点の現在位置を追跡して、その手術空間における座標を取得してもよく、該座標は手術空間座標と呼ばれ、人体の呼吸起伏により光学追跡装置が運動するため、手術空間座標が人の呼吸につれて変化する動的値である。具体的な実施例では、光学追跡装置は5つの追跡点を有し、手術空間座標はP=[p1,p2,p3,p4,p5]と記され、ここで、p1…p5は5つの追跡点の三次元座標を示す。
【0052】
S3 画像空間座標及び手術空間座標に基づいて各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定し、且つ回転行列及び/又は平行移動行列を計算する。光学追跡装置の各追跡点の画像座標及び手術空間座標の配列は無秩序であり、リアルタイムな追跡レジストレーションを行うために、2つの空間における各追跡点の対応関係を識別する必要がある。光学追跡装置の各追跡点のうちの任意の2点のペアワイズの距離はいずれも異なるため、点間距離の不一致に基づいてマッチングを行えば、対応するマッチングする点を決定することができる。CT装置及び複眼ビデオカメラによる同じターゲットの走査及び撮影方位が異なるため、上記対応関係を決定した後、更に回転行列及び/又は平行移動行列を計算する必要がある。2つの座標系に対して回転行列及び平行移動行列を計算するアルゴリズムは周知技術に属するので、本願では詳細な説明は省略する。
【0053】
S4 各追跡点の画像空間座標、回転行列及び/又は平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算する。このレジストレーション誤差データは、現在(手術中)の人体の呼吸姿勢と手術前CTスキャン時の人体の呼吸姿勢との適合度を特徴づけるためのものである。例えば、誤差データが小さければ小さいほど、適合することになる。具体的な計算方法は様々あり、例えば、それぞれ各追跡点に対してレジストレーション誤差データを計算し、次にその中の最大値、最小値、平均値などを取ってもよい。
【0054】
本発明の実施例に係る体表位置決め装置のレジストレーション方法に基づいて算出されたレジストレーション誤差データは、人体の呼吸姿勢と手術前CTスキャン時の人体呼の吸姿勢との適合度を数値で示すことができ、これにより、医者が適切なタイミングで穿刺術を実施できるようにし、実際の穿刺経路が所定の穿刺経路に一致することを保証し、穿刺術の難度を低減し、手術効率を向上させる。
【0055】
好適な実施例では、フレキシブルな材料で製造された体表位置決め用テープの場合、上記ステップS4において、具体的には、下記式でレジストレーション誤差データFREを計算し、
【0056】
【0057】
ここで、nは追跡点の数を示し(例えば、n=5)、qiはi番目の追跡点の画像空間座標を示し、Rは平行移動行列を示し、Tは回転行列を示す。本解決手段により算出されたレジストレーション誤差データは精度が比較的高く、手術中の体表の呼吸起伏状態と手術前の画像スキャン時の呼吸起伏状態との相違をより正確に反映することができる。
【0058】
上記ステップS3において手術空間における追跡点と画像空間における追跡点とのマッチング方式については、本願は好適なマッチング方法を提供する。
【0059】
S31 手術空間におけるペアワイズの追跡点の距離及び画像空間におけるペアワイズの追跡点の距離をそれぞれ計算する。5つの追跡点を例とすると、手術空間におけるi番目の追跡点と他の追跡点との距離(ユークリッド距離)はdpi=[||pi-p1||…||pi-p5||]と記され、ここで、i=1…5であり、画像空間におけるi番目の追跡点と他の追跡点との距離はdqi=[||qi-q1||…||qi-q5||]と記され、ここで、i=1…5である。
【0060】
これにより、画像空間における各追跡点の距離行列DQ及び手術空間における各追跡点の距離行列DPを取得することができ、DP=[dp1 dp2 dp3 dp4 dp5]、DQ=[dq1 dq2 dq3 dq4 dq5]である。
【0061】
S32 距離行列D
Q及び距離行列D
Pに基づいて各列の距離を計算して誤差行列Mを取得する。好適な実施例として、まずそれぞれ間隔行列D
Q及び間隔行列D
Pを昇順に配列して、
次にそれぞれ昇順に配列された2つの行列における各列の距離m
ijを計算し、計算公式は、
【0062】
mij=||dpj-dqi||であり、
【0063】
ここで、dpjは距離行列DQにおける第j列を示し、dqiは距離行列DPにおける第i列を示す。算出した2つの行列における各列の距離は誤差行列Mを構成する。
【0064】
S33 誤差行列Mにおける各列の最小要素に基づいて各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定する。5つの追跡点に対して取得した誤差行列Mは5*5次元の行列であり、行列Mにおける各列の最小要素を検索し、例えば、第j列のi番目の要素が最も小さい場合には、点集合Pにおけるj番目の追跡点pjは点集合Qにおけるi番目の追跡点qiにマッチングすることを表す。このようにして、2つの点集合における全ての追跡点のマッチング対応関係を取得することができる。
【0065】
上記実施例に基づいて、本発明の別の実施例は穿刺誘導システムを提供し、該穿刺誘導システムは位置決め装置(複眼ビデオカメラ及びプロセッサなど)、穿刺装置(ロボットアーム及び穿刺針把持構造部材など)及び光学追跡装置を備え、該穿刺誘導システムは以下を含む操作を実行するように配置される。
【0066】
上記実施例のレジストレーション方法により穿刺被験者の少なくとも1つの呼吸周期におけるレジストレーション誤差データをリアルタイムに計算し、画像空間座標は固定値であり、手術空間座標は穿刺被験者の呼吸時の体表の起伏につれて変化し、レジストレーション誤差データを動的値にし、
【0067】
これによりレジストレーション誤差データFREが時間につれて周期的に変化する誤差曲線を取得することができ、該誤差曲線が変化する時間周期は人の呼吸周期に対応する。1つの呼吸周期において、誤差値が最も小さい場合には、人の現在の呼吸状態が手術前の走査画像の呼吸状態に最も適合することを表す。
【0068】
レジストレーション誤差データの最小値に対応する時刻を決定し、且つ該時刻で穿刺動作を誘導する。穿刺装置が穿刺部位に位置合わせされる場合、システムはレジストレーション誤差データに基づいて医者が穿刺するように誘導することができ、それにより呼吸変形による位置決め誤差を効果的に低減する。具体的な誘導動作は音声による通知であってもよく、例えば、音声で現在時刻でのレジストレーション誤差値の大きさを提示し、又は、レジストレーション誤差データが所定閾値よりも小さい場合に音声を出して通知し、それにより医者が適切なタイミングで穿刺針を人体に挿入するように通知する。
【0069】
当業者は、本発明の実施例が、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供されてもよいことを理解すべきである。従って、本発明は完全にハードウェアの実施例、完全にソフトウェアの実施例、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施例の形式を採用してもよい。且つ、本発明は、コンピュータ利用可能プログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータ利用可能記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むが、それらに限らない)上で実施されるコンピュータプログラム製品の形式を採用してもよい。
【0070】
本発明は、本発明の実施例に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明されている。理解すべきことは、フローチャート及び/又はブロック図における各プロセス及び/又はブロック、並びにフローチャート及び/又はブロック図におけるプロセス及び/又はブロックの組合せはコンピュータプログラム命令によって実現できることである。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を生産するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令は、フローチャートの1つ又は複数のプロセス及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する装置を創出する。
【0071】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定の方式で動作させるように誘導可能なコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、それによって該コンピュータ可読メモリに記憶された命令は、フローチャートの1つ又は複数のプロセス及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する命令装置を含む製品を創出する。
【0072】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードすることにより、コンピュータ実行処理を生成するように、コンピュータ又は他のプログラマブル装置において一連の操作ステップを実行させるようにしてもよく、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブル装置において実行される命令はフローチャートの1つ又は複数のプロセス及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0073】
明らかに、上記実施例は単に明確に説明するために挙げた例であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて更に他の異なる形式の変更又は修正を行うことができる。ここではすべての実施形態を挙げる必要はなく、また不可能である。そして、これにより派生した明らかな変更又は修正は依然として本発明創造の保護範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表位置決め装置のレジストレーション方法であって、
前記体表位置決め装置は複数の追跡点を含み、且つ任意のペアの追跡点の間隔は異なり、前記方法は、
体表に配置された光学追跡装置における各追跡点の画像空間座標を取得することと、
位置決め装置が前記光学追跡装置における各追跡点の現在位置に基づいて生成した手術空間座標を収集することと、
前記画像空間座標及び前記手術空間座標に基づいて前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定し、且つ回転行列及び/又は平行移動行列を計算することと、
前記各追跡点の画像空間座標、前記回転行列及び前記平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算することと、を含むことを特徴とする体表位置決め装置のレジストレーション方法。
【請求項2】
前記画像空間座標は、前記各追跡点のコンピュータトモグラフィー画像データにおける三次元座標であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手術空間座標は、前記各追跡点を撮影する複眼ビデオカメラによって提供される三次元座標であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定することは、具体的には、
前記画像空間座標に基づいて画像空間における各追跡点の距離行列D
Qを計算し、前記手術空間座標に基づいて手術空間における各追跡点の距離行列D
Pを計算することと、
距離行列D
Q及び距離行列D
Pに基づいて各列の距離を計算して誤差行列Mを取得することと、
誤差行列Mにおける各列の最小要素に基づいて前記各追跡点の画像空間及び手術空間における対応関係を決定することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
距離行列D
Q及び距離行列D
Pに任意のペアワイズの追跡点間の距離がそれぞれ含まれることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
間隔行列D
Q及び間隔行列D
Pに基づいて各列の距離を計算して誤差行列Mを取得することは、具体的には、
それぞれ間隔行列D
Q及び間隔行列D
Pを昇順に配列することと、
昇順に配列された2つの行列における各列の距離をそれぞれ計算して、誤差行列Mを取得することと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記各追跡点の画像空間座標、前記回転行列及び前記平行移動行列に基づいて光学追跡装置のレジストレーション誤差データを計算するステップにおいて、具体的には、下記式で前記レジストレーション誤差データFREを計算し、
ここで、nは前記追跡点の数を示し、q
iはi番目の追跡点の画像空間座標を示し、Rは前記平行移動行列を示し、Tは前記回転行列を示すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の追跡点同士がフレキシブルな接続部材により直列に接続され、各追跡点の手術空間座標が独立して変更できるようにすることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
穿刺誘導方法であって、
請求項
1に記載の方法に基づいて穿刺被験者の少なくとも1つの呼吸周期におけるレジストレーション誤差データを計算し、前記画像空間座標は固定値であり、前記手術空間座標は穿刺被験者の呼吸時の体表の起伏につれて変化し、前記レジストレーション誤差データを動的値にすることと、
レジストレーション誤差データの最小値に対応する時刻を決定し、且つ該時刻で穿刺動作を誘導することと、を含むことを特徴とする穿刺誘導方法。
【請求項10】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリとを備え、前記メモリには前記1つのプロセッサにより実行され得る命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~
7のいずれか1項に記載の体表位置決め装置のレジストレーション方法及び/又は請求項9に記載の穿刺誘導方法を実行させることを特徴とする電子機器。
【国際調査報告】