(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】エネルギー変換用の装置および工程
(51)【国際特許分類】
H02K 99/00 20140101AFI20240725BHJP
【FI】
H02K99/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508304
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022039726
(87)【国際公開番号】W WO2023018664
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524051771
【氏名又は名称】クアンタム ダイナミクス エンタープライズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スプレイン,ハリー ポール
(57)【要約】
エネルギーの変換用の装置が、静止ステータ内に回転可能に取り付けられたロータを有する。ロータは、主ロータ部分と、主ロータ部分に対して半径方向に往復横方向移動するように取り付けられたいくつかのロータ磁石組み立て体とを有する。各ロータ磁石組み立て体は、可動アームと、アームの最外端部または外側端部に取り付けられたロータ磁石とを含む。ステータは、周辺の取り付け台または筐体と、周辺筐体に結合された一連のステータ磁石とを含む。ステータ磁石は、隣接するロータ磁石と同一の極性を有する。ステータ磁石と周辺筐体は、第1の端部すなわち始端部と第2の端部すなわち終端部との間にいくぶんらせん状の配置にして並べられ、それらの端部の間に空間を有する。始端部はロータから遠位に配置される一方、終端部はロータから近位に配置される。エネルギーの変換方法が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主部分と、前記主部分に結合された中心ロータシャフトと、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記主部分に結合されて半径方向に移動する少なくとも一つのロータ磁石組み立て体とを有し、ロータ回転の方向に回転可能であるロータであって、前記ロータ磁石組み立て体が、ロータ磁石、および前記ロータ磁石と前記主部分とに結合された往復アームを含む、ロータと、前記ロータの周囲に配置されたステータであって、前記ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する一連のステータ磁石を有し、前記一連のステータ磁石の各前記ステータ磁石が、前記始端部から前記終端部に至る方向に、前記一連のステータ磁石の手前のステータ磁石よりも前記ロータから近位に配置され、前記ステータ磁石が、前記ロータ磁石と同一の極性のものである、ステータと、
を含んでなる、エネルギー変換用の装置であって、
これによって、前記ロータシャフトの回転により、前記ロータがロータ回転の方向に回転し、またこれによって、前記ロータの回転により、前記ロータの回転方向に、前記始端部の前記ステータ磁石に隣接する位置から前記終端部の前記ステータ磁石に隣接する位置まで前記ロータ磁石が移動するにつれて、前記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、前記ロータ磁石組み立て体が伸長位置から引き込み位置まで移動する、エネルギー変換用の装置。
【請求項2】
前記一連のステータ磁石の前記始端部と前記終端部との間に空間が配置され、前記空間がいかなるステータ磁石をも含まない、請求項1に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項3】
前記ロータが複数のロータ磁石組み立て体を有する、請求項1に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項4】
第2の主部分と、前記第2の主部分に結合された第2の中心ロータシャフトと、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記第2の主部分に結合されて半径方向に移動する少なくとも一つの第2のロータ磁石組み立て体であって、第2のロータ磁石、および前記第2のロータ磁石と前記第2の主部分とに結合された第2の往復アームを含むロータ磁石組み立て体を有し、ロータ回転の第2の方向に回転可能である第2のロータと、
前記第2ロータの周囲に配置された第2のステータであって、前記ロータ回転の第2の方向の第2の始端部から第2の終端部まで延在する第2の一連の第2のステータ磁石を有し、前記一連の第2のステータ磁石の各前記第2のステータ磁石が、前記第2の始端部から前記第2の終端部に至る方向に、前記第2の一連の第2のステータ磁石の手前の第2のステータ磁石よりも前記第2のロータから近位に配置され、前記第2のステータ磁石が、前記第2のロータ磁石と同一の極性のものである、ステータと、
を含んでなる、請求項1に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項5】
前記ロータ回転の第2の方向が、前記ロータ回転の方向とは反対の回転方向である、請求項4に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項6】
主部分と、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記主部分に結合された複数のロータ磁石組み立て体とを有し、ロータ回転の方向に回転可能であるロータであって、前記複数のロータ磁石組み立て体の各前記ロータ磁石組み立て体が、ロータ磁石と、前記ロータ磁石に結合された取り付けアームとを含む、ロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータであって、前記ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する複数のステータ磁石を有し、前記複数のステータ磁石の各前記ステータ磁石が、前記始端部から前記終端部に至る方向に、前記複数のステータ磁石の手前のステータ磁石よりも前記ロータから近位に配置された、ステータと、
を含んでなる、エネルギー変換用の装置であって、
これによって、前記ロータ回転の方向への前記ロータの回転により、ロータ回転の方向に、前記始端部の前記ステータ磁石に隣接する位置から前記終端部の前記ステータ磁石に隣接する位置まで前記ロータ磁石が移動するにつれて、前記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、前記ロータ磁石組み立て体が伸長位置から引き込み位置まで移動する、エネルギー変換用の装置。
【請求項7】
前記一連のステータ磁石の前記始端部と前記終端部との間に空間が配置され、前記空間がいかなるステータ磁石をも含まない、請求項6に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項8】
前記ステータ磁石が、前記ロータ磁石と同一の極性のものである、請求項6に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項9】
第2の主部分と、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記第2の主部分に結合された第2の複数の第2のロータ磁石組み立て体とを有し、ロータ回転の第2の方向に回転可能である第2のロータであって、各前記第2のロータ磁石組み立て体が、第2のロータ磁石と、前記第2のロータ磁石に結合された第2の取り付けアームとを含む、ロータと、
前記第2のロータの周囲に配置された第2のステータであって、前記ロータ回転の第2の方向の第2の始端部から第2の終端部まで延在する第2の複数の第2のステータ磁石を有し、前記第2の複数のステータ磁石の各前記第2のステータ磁石が、前記第2の始端部から前記第2の終端部に至る方向に、前記第2の複数の第2のステータ磁石の手前の第2のステータ磁石よりも前記第2のロータから近位に配置され、前記第2のステータ磁石が、前記第2のロータ磁石と同一の極性のものである、ステータと、
を含んでなる、請求項6に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項10】
前記ロータ回転の第2の方向が、前記ロータ回転の方向とは反対の回転方向である、請求項9に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項11】
伸長位置および引き込み位置の間で移動可能な複数のロータ磁石組み立て体を有し、ロータ回転の方向に回転可能であるロータであって、各前記ロータ磁石組み立て体が、ロータ磁石と、前記ロータ磁石に結合された可動アームとを含む、ロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータであって、前記ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する一連のステータ磁石を有し、前記一連のステータ磁石の各前記ステータ磁石が、前記始端部から前記終端部に至る方向に、前記一連のステータ磁石の手前のステータ磁石よりも前記ロータから近位に配置され、前記ステータ磁石が、前記ロータ磁石と同一の極性のものである、ステータと、
を含んでなる、エネルギー変換用の装置であって、
これによって、前記ロータ回転の方向への前記ロータの回転により、前記ロータ回転の方向に、前記始端部に位置する前記ステータ磁石に隣接する位置から前記終端部に位置する前記ステータ磁石に隣接する位置まで前記ロータ磁石が移動するにつれて、前記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、前記各ロータ磁石組み立て体が伸長位置から引き込み位置まで移動する、エネルギー変換用の装置。
【請求項12】
前記一連のステータ磁石の前記始端部と前記終端部との間に空間が配置され、前記空間がいかなるステータ磁石をも含まない、請求項11に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項13】
前記ロータが筐体を有し、前記複数のロータ磁石組み立て体が前記筐体に結合された、請求項11に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項14】
伸長位置および引き込み位置の間で移動可能な第2の複数の移動する第2のロータ磁石組み立て体を有し、ロータ回転の第2の方向に回転可能である第2のロータであって、各前記第2のロータ磁石組み立て体が、第2のロータ磁石と、前記第2のロータ磁石に結合された第2の往復アームとを含む、ロータと、
前記第2のロータの周囲に配置された第2のステータであって、前記ロータ回転の第2の方向の第2の始端部から第2の終端部まで延在する第2の複数の第2のステータ磁石を有し、前記第2の複数のステータ磁石の各前記第2のステータ磁石が、前記第2の始端部から前記第2の終端部に至る方向に、前記第2の一連の第2のステータ磁石の手前の第2のステータ磁石よりも前記第2のロータから近位に配置され、前記第2のステータ磁石が、前記第2のロータ磁石と同一の極性のものである、ステータと、
をさらに含んでなる、請求項11に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項15】
前記ロータ回転の第2の方向が、前記ロータ回転の方向とは反対の回転方向である、請求項14に記載のエネルギー変換用の装置。
【請求項16】
(a)ロータを、前記ロータの周囲に配置されたステータに相対して設け、前記ロータが、主部分と、前記主部分に結合された中心ロータシャフトと、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記主部分に結合されて半径方向に移動する少なくとも一つのロータ磁石組み立て体であって、ロータ磁石、および前記ロータ磁石と前記主部分とに結合された往復アームを含むロータ磁石組み立て体とを有し、前記ステータが、前記ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する一連のステータ磁石を有し、前記一連のステータ磁石の各前記ステータ磁石が、前記始端部から前記終端部に至る方向に、前記一連のステータ磁石の手前のステータ磁石よりも前記ロータから近位に配置され、前記ステータ磁石が、前記ロータ磁石と同一の極性のものである、ステップと、
(b)前記ロータ回転の方向に前記ロータを回転させることにより、前記ロータ回転の方向に、前記始端部の前記ステータ磁石に隣接する位置から前記終端部の前記ステータ磁石に隣接する位置まで前記ロータ磁石が移動するにつれて、前記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、前記ロータ磁石組み立て体が前記伸長位置から前記引き込み位置に移動するステップと、
を含んでなるエネルギー変換の方法。
【請求項17】
機械的装置を前記往復アームに結合させることによって、前記ロータ磁石組み立て体の横方向外方の推力を作用させて、前記機械的装置に横方向の力を付与するステップをさらに含んでなる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、「エネルギー変換用の装置および工程(Apparatus And Process for Conversion of Energy)」と題して2021年8月9日に出願された、米国仮特許出願第63/230,892号明細書の利益を主張するものであり、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
【0002】
本発明は概して、エネルギーを変換する装置および工程に関するものであり、より具体的には、遠心エネルギーを横方向のエネルギーに変換する装置および工程に関するものである。
【背景技術】
【0003】
エネルギーを発生させる様々な装置および工程の従来技術において数多くの開示がなされている。エネルギー源の例には、原子力、石油、空気、熱、水などが挙げられる。
【0004】
エネルギーは、複数の手段、例えば自動車用およびその他のエンジン、開閉機構、ある場所または位置から別の場所または位置に物体を移動させるシステムなどにおいて使用することができる。エネルギーは、こんにちの世界にとって貴重で必要な商品であるので、効率的で費用対効果の高い工程においてエネルギーを発生させる多くの試みがなされてきた。
【0005】
具体的にエンジンに関しては、米国特許第5,219,034号明細書で、クランクシャフトに取り付けられた磁気ピストンを受ける複数のシリンダを備えたブロックと、エンジンヘッド内に取り付けられて電流の反転によって磁気ピストンを磁気的に作動させる電磁石とを含む磁気エンジンを動力源とする車両が開示されている。米国特許第5,444,369号明細書では、内燃機関内のスロットルバルブの回転位置を検出する際にリニア出力信号を生成するセンサが開示されている。米国特許第6,049,146号明細書では、電磁力によるシリンダ内のピストンの往復移動によって駆動力を生成することができる電磁ピストンエンジンが開示されている。エンジンのこうした例はエネルギーを提供するが、しかしこれらの装置は、エネルギーを浪費する往復運動を典型的には必要とするので、非効率的である。
【0006】
具体的な用途向けにエネルギーを発生させる多くの装置および工程が開発されているが、当業界では、エネルギーを発生させる効果的で安価な、そして信頼性の高い装置および工程への要望があり続けている。したがって本発明は、そうしたものを提供することを主に対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、主部分と、主部分に結合された中心ロータシャフトと、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように主部分に結合されて半径方向に移動する少なくとも一つのロータ磁石組み立て体とを有するロータを含んでなるエネルギー変換用の装置を提供することによって、当業界における要望を満たしている。ロータは、ロータ回転の方向に回転可能である。ロータ磁石組み立て体は、ロータ磁石、およびロータ磁石と主部分とに結合された往復アームを含む。エネルギー変換用の装置はまた、ロータの周囲に配置されたステータを有する。ステータは、ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する一連のステータ磁石を有する。一連のステータ磁石の各ステータ磁石は、始端部から終端部に至る方向に、一連のステータ磁石の手前のステータ磁石よりもロータから近位に配置されている。ステータ磁石は、ロータ磁石と同一の極性のものである。この構造では、ロータシャフトの回転により、ロータ回転の方向にロータが回転し、ロータの回転により、ロータ回転方向に、始端部のステータ磁石に隣接する位置から終端部のステータ磁石に隣接する位置までロータ磁石が移動するにつれて、ロータ磁石とステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、ロータ磁石組み立て体が伸長位置から引き込み位置まで移動する。
【0008】
さらに、前記一連のステータ磁石の前記始端部と前記終端部との間に空間が配置され、前記空間がいかなるステータ磁石をも含まない、上述のエネルギー変換用の装置。
【0009】
さらに、前記ロータが複数のロータ磁石組み立て体を有する、上述のエネルギー変換用の装置。
【0010】
第2の主部分と、前記第2の主部分に結合された第2の中心ロータシャフトと、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記第2の主部分に結合されて半径方向に移動する少なくとも一つの第2のロータ磁石組み立て体であって、第2のロータ磁石、および前記第2のロータ磁石と前記第2の主部分とに結合された第2の往復アームを含むロータ磁石組み立て体とを有し、ロータ回転の第2の方向に回転可能である第2のロータと、前記第2のロータの周囲に配置された第2のステータであって、前記ロータ回転の第2の方向の第2の始端部から第2の終端部まで延在する第2の一連のステータ磁石を有し、前記第2の一連のステータ磁石の各前記第2のステータ磁石が、前記第2の始端部から前記第2の終端部に至る方向に、前記第2の一連の第2のステータ磁石の手前の第2のステータ磁石よりも前記第2のロータから近位に配置され、前記第2のステータ磁石が、前記第2のロータ磁石と同一の極性のものである、ステータとを含んでなる上述のエネルギー変換用の装置。
【0011】
さらに、前記ロータ回転の第2の方向が、前記ロータ回転の方向とは反対の回転方向である、上述のエネルギー変換用の装置。
【0012】
別の態様では、本発明は、ロータと、ロータの周囲に配置されたステータとを含んでなる、エネルギー変換用の装置を提供する。主部分と、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記主部分に結合された複数のロータ磁石組み立て体とを有し、ロータ回転の方向に回転可能であるロータであって、前記複数のロータ磁石組み立て体の各前記ロータ磁石組み立て体が、ロータ磁石と、前記ロータ磁石に結合された取り付けアームとを含む、ロータ。前記ロータの周囲に配置されたステータであって、前記ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する複数のステータ磁石を有し、前記複数のステータ磁石の各前記ステータ磁石が、前記始端部から前記終端部の方向に、前記複数のステータ磁石の手前のステータ磁石よりも前記ロータから近位に配置された、ステータ。ロータ回転の方向へのロータの回転により、ロータ回転の方向に、始端部のステータ磁石に隣接する位置から終端部のステータ磁石に隣接する位置までロータ磁石が移動するにつれて、ロータ磁石とステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、ロータ磁石組み立て体が、組み立て体の伸長位置から引き込み位置まで移動する。
【0013】
さらに、前記一連のステータ磁石の前記始端部と前記終端部との間に空間が配置され、前記空間がいかなるステータ磁石をも含まない、上述のエネルギー変換用の装置。
【0014】
さらに、前記ステータ磁石が、前記ロータ磁石と同一の極性のものである、上述のエネルギー変換用の装置。
【0015】
第2のロータと、前記第2のロータの周囲に配置された第2のステータとをさらに含んでなる、上述のエネルギー変換用の装置。第2の主部分と、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記第2の主部分に結合された第2の複数の第2のロータ磁石組み立て体とを有し、ロータ回転の第2の方向に回転可能である第2のロータであって、各前記第2のロータ磁石組み立て体が、第2のロータ磁石と、前記第2のロータ磁石に結合された第2の取り付けアームとを含む、ロータ。前記第2のロータの周囲に配置された第2のステータであって、ロータ回転の第2の方向の第2の始端部から第2の終端部まで延在する第2の複数の第2のステータ磁石を有し、前記第2の複数のステータ磁石の各前記第2のステータ磁石が、前記第2の始端部から前記第2の終端部に至る方向に、前記第2の複数の第2のステータ磁石の手前の第2のステータ磁石よりも前記第2のロータから近位に配置され、前記第2のステータ磁石が、前記第2のロータ磁石と同一の極性のものである、ステータ。
【0016】
さらに、前記ロータ回転の第2の方向が、前記ロータ回転の方向とは反対の回転方向である、上述のエネルギー変換用の装置。
【0017】
さらに別の態様では、本発明は、ロータと、前記ロータの周囲に配置されたステータとを含んでなる、エネルギー変換用の装置を提供する。伸長位置および引き込み位置の間で移動可能な複数のロータ磁石組み立て体を有し、ロータ回転の方向に回転可能であるロータであって、各前記ロータ磁石組み立て体が、ロータ磁石と、前記ロータ磁石に結合された可動アームとを含む、ロータ。前記ロータの周囲に配置されたステータであって、ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する一連のステータ磁石を有し、前記一連のステータ磁石の各前記ステータ磁石が、前記始端部から前記終端部に至る方向に、前記一連のステータ磁石の手前のステータ磁石よりも前記ロータから近位に配置され、前記ステータ磁石が、前記ロータ磁石と同一の極性のものである、ステータ。ロータ回転の方向へのロータの回転により、ロータ回転の方向に、始端部のステータ磁石に隣接する位置から終端部のステータ磁石に隣接する位置までロータ磁石が移動するにつれて、ロータ磁石とステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、各ロータ磁石組み立て体が伸長位置から引き込み位置まで移動する。
【0018】
さらに、前記一連のステータ磁石の前記始端部と前記終端部との間に空間が配置され、前記空間がいかなるステータ磁石をも含まない、上述のエネルギー変換用の装置。
【0019】
さらに、前記ロータが筐体を有し、前記複数のロータ磁石組み立て体が前記筐体に結合された、上述のエネルギー変換用の装置。
【0020】
第2のロータと、前記第2のロータの周囲に配置された第2のステータとをさらに含んでなる、上述のエネルギー変換用の装置。伸長位置および引き込み位置の間で移動可能な第2の複数の移動する第2のロータ磁石組み立て体を有し、ロータ回転の第2の方向に回転可能である第2のロータであって、各前記第2のロータ磁石組み立て体が、第2のロータ磁石と、前記第2のロータ磁石に結合された第2の往復アームとを含む、ロータ。前記第2のロータの周囲に配置された第2のステータであって、ロータ回転の第2の方向の第2の始端部から第2の終端部まで延在する第2の一連の第2のステータ磁石を有し、前記第2の一連のステータ磁石の各前記第2のステータ磁石が、前記第2の始端部から前記第2の終端部の方向に、前記第2の一連の第2のステータ磁石の手前の第2のステータ磁石よりも前記第2のロータから近位に配置され、前記第2ステータ磁石が、前記第2のロータ磁石と同一の極性のものである、ステータ。
【0021】
さらに、前記ロータ回転の第2の方向が、前記ロータ回転の方向とは反対の回転方向である、上述のエネルギー変換用の装置。
【0022】
さらに別の態様では、本発明は、(a)ロータを、ロータの周囲に配置されたステータに相対して設け、ロータが、ロータ回転の方向に回転し、主部分と、前記主部分に結合された中心ロータシャフトと、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように前記主部分に結合されて半径方向に移動する少なくとも一つのロータ磁石組み立て体であって、ロータ磁石、および前記ロータ磁石と前記メイン部分とに結合された往復アームを含むロータ磁石組み立て体とを有し、ステータが、ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する一連のステータ磁石を有し、前記一連のステータ磁石の各前記ステータ磁石が、前記始端部から前記終端部に至る方向に、前記一連のステータ磁石の手前のステータ磁石よりも前記ロータから近位に配置され、前記ステータ磁石が、前記ロータ磁石と同一の極性のものである、ステップと、(b)ロータ回転の方向にロータを回転させることにより、ロータ回転の方向に、始端部のステータ磁石に隣接する位置から終端部のステータ磁石に隣接する位置までロータ磁石が移動するにつれて、ロータ磁石とステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、ロータ磁石組み立て体が伸長位置から収縮位置に移動するステップとを含んでなる、エネルギー変換を行う方法を提供することによって、当業界における要望を満たす。
【0023】
さらに、機械的装置を往復アームに結合させることによって、ロータ磁石組み立て体の横方向外方の推力を作用させて、機械的装置に横方向の力を付与するステップをさらに含んでなる、上述の方法。
【0024】
本発明の目的、利点、および特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、好ましい形態で本発明の原理を具現化するエネルギー変換用の装置の上面図を例示する。
【
図2】
図2は、
図1に示されるエネルギー変換用の装置の上面図を例示する。
【
図3】
図3は、
図1に示されるエネルギー変換用の装置の選択部分の上面図を例示する。
【
図4】
図4は、
図1に示されるエネルギー変換用の装置のステータの上面図を例示する。
【
図5】
図5は、別の好ましい形態で本発明の原理を具体化したエネルギー変換用の装置の斜視図を例示する。
【
図6】
図6は、
図5に示されるエネルギー変換用の装置の上面図を例示する。
【
図7】
図7は、
図5に示されるエネルギー変換用の装置の一部の上面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に図面を参照すると、
図1~
図4は、好ましい形態で本発明の原理を具体化するエネルギー変換用の装置、すなわちエネルギーコンバータ10を例示している。エネルギーコンバータ10は、遠心エネルギー(または力)を横方向のエネルギー(または力)に変換する。
【0027】
エネルギーコンバータ10は、静止ステータ14の範囲内に概ね同心に取り付けられた回転可能なロータ12を含む。ロータ12は丸い形状をしており、電気モータMなどの回転源に結合されたシャフト20に取り付けられた主ロータ部分18を含む。ロータ12はまた、主ロータ部分18に対して半径方向に往復横方向移動するように取り付けられたいくつかのロータ磁石組み立て体24を有する。ロータ磁石組み立て体24の数は、使用されている具体的な装置に応じて、少なくとも一つからいかなる数のロータ磁石組み立て体24にも変えることができる。
【0028】
各ロータ磁石組み立て体24は、アームブロック26とそれを貫通するアーム通路28、およびアームブロック26に対して半径方向に横方向往復移動するようにアーム通路28内にジャーナル軸受けされた可動アーム30を含む。各アーム30の最外端部または外側端部には、ロータ磁石32が取り付けられている。可動アーム30は、仕事をなすための横方向の駆動力として可動アーム30の内方または内向きの横方向移動を利用する、図示されていない機械的装置に結合されている。
【0029】
ステータ14は、周辺の取り付け台または筐体38と、周辺筐体38の内部または内面42に結合された一連のステータ磁石40とを含む。ステータ磁石40の数は、使用されている具体的な装置に応じて、少なくとも一つからいかなる数の磁石にも変えることができる。あるいは、ステータ磁石40は、いかなるタイプのハルバッハ(Halbach)配列または他の配列にして並べることもできるが、ただしこれは、ステータ磁石40に隣接して配置されたロータ磁石32をその配列が反発させる限りにおいてである。ステータ磁石40は、隣接するロータ磁石32と同一の極性を有する。
【0030】
ステータ磁石40は、第1の端部すなわち始端部46と第2の端部すなわち終端部48の間に、いくぶんらせん状の配置にして並べられている。ステータ磁石40の並びはまた、始端部46と終端部48の間に間隙すなわち空間50をも含んでいる。始端部46はロータ12から遠位に配置されている一方、終端部48はロータ12から近位に配置されており、これはすなわち、始端部46のステータ磁石40が、ロータ12から終端部48のステータ磁石40までの距離よりもロータ12からの距離を大きくとって設定されているということである。したがって、各ステータ磁石40は、
図1および2に示されるロータ回転の方向Rに、一連のステータ磁石40に沿って時計回りの方向と手前のステータ磁石を基準にして主ロータ部分18の外面からの距離を概ね連続的に減少させるような場所にある。
【0031】
ステータ磁石40の場所は、ロータ回転の方向に反発磁界の強さを増加させる磁界を生み出すが、これは、ステータ磁石40がロータ磁石32と同一の極性であるからである。ロータが回転するにつれて、反発磁界の力は、ロータ12の主ロータ部分18に向かって、またはその中に、ロータ磁石組み立て体24を内向きに押し込む。よって、ロータ磁石組み立て体24は、ロータ磁石32が主ロータ部分18から遠位にある伸長位置と、ロータ磁石32が主ロータ主部分18に密に隣接する引き込み位置との間を往復移動する。ロータ磁石32とステータ磁石40とによって生み出される磁界は連続的であるが、例外は、ステータ磁石40に関連する磁力が存在しない、またはせいぜい非常に弱い磁力しか存在しない、ステータ空間50に沿った部分である。
【0032】
使用時には、モータMの始動により、ロータシャフト20が回転し、これによって、ステータ14に対してロータ回転の方向Rにロータ12が回転する。各ロータ磁石32が、空間50の範囲内、したがって主ロータ部分18に対して伸長位置にあるので、それぞれのロータ磁石は、一連のステータ磁石40の始端部46に接近し、反発性の磁界が、常に閉じているステータ磁石40からロータ磁石32を遠ざけるように移動させる。ロータ磁石組み立て体24’は、図面では伸長位置またはほぼ伸長位置にあるのが示されている一方で、ロータ磁石組み立て体24”は、図面では引き込み位置または半引き込み位置にあるのが示されている。この磁気反発力により、ロータ磁石組み立て体24は、回転するロータ磁石組み立て体24に作用する遠心力に抗して内側に移動する。各順次のステータ磁石40が手前のステータ磁石40よりもロータ12から近位に配置されているので、ロータの各サイクルの間にロータ組み立て体が時計回りの方向に移動するにつれて、ロータ磁石組み立て体24は、その完全な引き込み位置にますます近づくように連続的に内方に移動した後、一連のステータ磁石40の終端部48に位置する最後のステータ磁石40に密に隣接して整列する。
【0033】
ロータ磁石組み立て体24が最後のステータ磁石40を通り過ぎてステータ空間50内に移動すると、ロータ磁石32とステータ磁石40との間の反発磁力が速やかに弱まり、回転しているロータ磁石組み立て体24に作用する遠心力によって、ロータ磁石32と可動アーム30が、ロータ磁石組み立て体24の伸長位置まで速やかに外方に移動または推進する。ロータ磁石組み立て体24のこの横方向外方の推進または移動は、接続された機械的装置に作用し、またはこの装置によって利用され、これは、機械的な仕事を生み出すのに利用できる機械的装置への横方向の力を付与するようにしてなされるが、これはすなわち、接続された機械的装置が、ロータ磁石組み立て体の外方移動および質量を通じた横方向の力によって仕事をするということである。
【0034】
各ロータ磁石組み立て体24が空間50を通って順次移動するにつれて、ロータ磁石組み立て体24は、始端部46のステータ磁石40の接近に起因して、その伸長位置からその引き込み位置まで再び内方に移動し始め、それによってロータ12の各回転を伴う新たなサイクルが開始される。
【0035】
次に
図5~
図7を参照すると、本発明の別の好ましい形態でのエネルギーコンバータ組み立て体60が示されている。ここでは、エネルギーコンバータ組み立て体60は、回転するエネルギーコンバータ10のトルク効果を緩和するよう反対方向に回転するような向きにされた、一組の先に記載された二つのエネルギーコンバータ10を含む。図面の上部右側部分に示されたエネルギーコンバータ10は、先の記載のとおり時計回りの方向に回転する。しかし、図面の下部左側部分に示されたエネルギーコンバータ10は、反時計回り方向に回転する。
【0036】
エネルギーコンバータ組み立て体60はまた、四つのロータ磁石組み立て体24を有しているのが示されており、各ロータ磁石組み立て体24は、約90度離れるように設定されている。各エネルギーコンバータ10はまた、シャフト20を安定させるためにステータ14の最上部をまたいで延在する取付けブレース(brace)62をも有する。取付けブレース62は、エネルギーコンバータ10について先に記載された実施形態において利用してもよい。
【0037】
別法として、最後のステータ磁石40をロータ12から最遠位にするにしても、空間50を取り除いて一連のステータ磁石を一続きにしたものにしてもよいということを理解するのが望ましい。このような実施形態では、エネルギーコンバータは、始端部の場所で大幅に低減された磁界を有するが、そのような磁界は、完全には除去されない。大幅に低減された磁界によって、ロータ磁石組み立て体は、先に記載された空間50の結果として生じる作用と同様にその伸長位置まで移動することが可能になる。
【0038】
エネルギー変換用の装置を、中心に位置するステータの外側にロータを配置するインサイド・アウト型モータと同様に構成してもよいということを理解するのが望ましい。そのため、ロータ磁石とステータ磁石という用語は互換的に使用され得る。
【0039】
よって、エネルギー変換用の装置が、主部分と、主部分に結合された中心ロータシャフトと、伸長位置および引き込み位置の間で往復移動するように主部分に結合された半径方向に移動する少なくとも一つのロータ磁石組み立て体とを有するロータを含むことがわかる。ロータは、ロータ回転の方向に回転可能である。ロータ磁石組み立て体は、ロータ磁石、およびロータ磁石と主部分とに結合された往復アームを含む。エネルギー変換用の装置はまた、ロータの周囲に配置されたステータを有する。ステータは、ロータ回転の方向の始端部から終端部まで延在する一連のステータ磁石を有する。一連のステータ磁石の各ステータ磁石は、始端部から終端部に至る方向に、一連のステータ磁石の手前のステータ磁石よりもロータから近位に配置されている。ステータ磁石は、ロータ磁石と同一の極性のものである。この構造では、ロータシャフトの回転により、ロータ回転の方向にロータが回転し、ロータの回転により、ロータ回転方向に、始端部のステータ磁石に隣接する位置から終端部のステータ磁石に隣接する位置までロータ磁石が移動するにつれて、ロータ磁石とステータ磁石との間の反発磁界が増大することに起因して、ロータ磁石組み立て体が伸長位置から引き込み位置まで移動する。
【0040】
よって、遠心エネルギーを横方向のエネルギーに変換することを可能にするエネルギー変換用の装置が提供されることが分かる。エネルギーの変換用の装置をその好ましい形態で図示し記載してきたものの、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その具体的な形態に対して多くの修正、追加、および削除を行うことができると理解されるのが望ましい。
【国際調査報告】