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▶ シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】殺真菌組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 41/10 20060101AFI20240725BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240725BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20240725BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20240725BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20240725BHJP
   A01N 43/836 20060101ALI20240725BHJP
   A01C 1/08 20060101ALI20240725BHJP
   A01C 1/06 20060101ALI20240725BHJP
   A01G 13/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A01N41/10 A
A01P3/00
A01N43/40 101D
A01N43/40 101E
A01N43/56 C
A01N43/653 N
A01N43/836
A01C1/08
A01C1/06
A01G13/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508352
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022072684
(87)【国際公開番号】W WO2023017155
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】21191213.4
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ハース ウルリヒ ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ランバース クレメンス
【テーマコード(参考)】
2B051
4H011
【Fターム(参考)】
2B051AB01
2B051BA09
2B051BB01
2B051BB14
4H011AA03
4H011BA06
4H011BB07
4H011BB09
4H011BB10
4H011DD03
(57)【要約】
植物病原体によって引き起こされる疾病の防除に適した組成物であって、(A)式I
【化1】
(式中、R1は、水素又はC1~C3アルキルC(=O)-であり、R2は、ハロゲン又はC1~C3アルコキシC(=O)-であり、及びR3は、C1~C3ハロアルキル又はC1~C3ハロアルコキシである)
の化合物と、(B)その殺真菌活性について知られている化合物から選択される少なくとも1種の化合物とを含む組成物並びに有用な植物上において疾病、特に葉斑病、うどん粉病及び菌枯病を防除する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物病原体によって引き起こされる疾病の防除に適した組成物であって、
(A)式I:
【化1】
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、R1は、水素又はC1~C3アルキルC(=O)-であり、R2は、ハロゲン又はC1~C3アルコキシC(=O)-であり、及びR3は、C1~C3ハロアルキル又はC1~C3ハロアルコキシである)
の化合物又はその農薬上許容される塩若しくはN-オキシドと、
(B)シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミン又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の化合物と
を含む組成物。
【請求項2】
化合物(A)において、R1は、水素又はアセチルであり、R2は、クロロ、ブロモ又はメトキシカルボニルであり、及びR3は、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシである、請求項1に記載の組成物又はその農薬上許容される塩若しくはN-オキシド。
【請求項3】
化合物(A)において、R1は、アセチルであり、及びR3は、トリフルオロメトキシである、請求項1又は2に記載の組成物又はその農薬上許容される塩若しくはN-オキシド。
【請求項4】
化合物(A)は、構造I.a:
【化2】
によるメチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート、及び/若しくは構造I.b:
【化3】
によるN-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミドから選択される化合物又はその農薬上許容される塩若しくはN-オキシドを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分B)として、シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザムン、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド及びピジフルメトフェンから選択される殺真菌剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(A)と成分(B)との重量比は、2000:1~1:1000の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
有効成分として、
(i)シクロブトリフルラム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(ii)シモキサニル、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(iii)フルベネテラム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(iv)フルフェノキサジアザム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(v)フルメチルスルホリム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(vi)フルオキシチオコナゾール、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は
(vii)イソチアニル、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は
(viii)メタリルピコキサミド、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は
(ix)ピジフルメトフェン、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(x)ピリモルフ、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xi)ピリオフェノン、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は
(xii)セボクチルアミン、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びピリオフェノンから選択される化合物
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
有効成分として、
(xiii)シクロブトリフルラム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xiv)シモキサニル、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xv)フルベネテラム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xvi)フルフェノキサジアザム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xvii)フルメチルスルホリム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xviii)フルオキシチオコナゾール、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xix)イソチアニル、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xx)メタリルピコキサミド、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xxi)ピジフルメトフェン、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xxii)ピリモルフ、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、
(xxiii)ピリオフェノン、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は
(xxiv)セボクチルアミン、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びピリオフェノンから選択される化合物
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
1種以上の更なる駆除剤、好ましくは1種以上の更なる殺真菌剤、殺虫剤又は除草剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
有用な植物上又はその繁殖材料上において、植物病原体によって引き起こされる疾病を防除する方法であって、前記有用な植物、その場所又はその繁殖材料に、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を施用することを含む方法。
【請求項11】
前記植物病原体は、植物を攻撃し、且つ疾病、特に葉斑病、うどん粉病及び菌枯病を引き起こしている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1~5000g a.i./haの成分(B)と共に成分(A)を5~2000g a.i./haの割合で施用することを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
種子の処理に使用する場合、種子1kg当たり0.001~50gの成分(A)の化合物及び種子1kg当たり0.001~50gの成分(B)の化合物を施用することを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
コーティングされた植物繁殖材料であって、前記コーティングは、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を含む、コーティングされた植物繁殖材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病原体、特に植物病原性真菌によって引き起こされる疾病の防除に適した新規な殺真菌組成物並びに有用な植物、特に果実及び野菜上において疾病を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/182021号及び国際公開第2020/091031号から、特定の2-エチルスルホニル-ベンズアミド誘導体及び前記2-エチルスルホニル-ベンズアミド誘導体を含む混合物は、植物病原性真菌に対する生物学的活性を有することが知られている。他方で、化学的種類の異なる種々の殺真菌化合物は、栽培植物の種々の収穫物における施用のための植物殺真菌剤として広く知られている。しかし、作物の忍容性及び植物病原性植物真菌に対する活性は、多くの事例及び側面において農業慣行の需要を常に満たすものではない。特に、ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)などの葉斑病を引き起こす病原体、大麦の網斑病の病原、またウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)などのうどん粉病(powdery mildew)の病原、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)などのブドウうどん粉病及び菌枯病(fungal blight)の病原、様々な作物の初期枯病の病原は、作物生産において一層重要な問題となっており、かなりの収量損失をもたらしている。多くの一般的な殺真菌剤は、葉斑病、うどん粉病及び菌枯病の防除に適していないか、又はピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)及びアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)などの種に対するその作用が不満足である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、作物の忍容性増加並びに/又は葉斑病、うどん粉病及び菌枯病など、植物病原性真菌に対する活性の増加のための農業慣行の上述の需要から、本発明により、植物病原体によって引き起こされる疾病の防除に適した新規組成物であって、
(A)式I
【化1】
(式中、R1は、水素又はC1~C3アルキルC(=O)-であり、R2は、ハロゲン又はC1~C3アルコキシC(=O)-であり、及びR3は、C1~C3ハロアルキル又はC1~C3ハロアルコキシである)
の化合物と、
(B)シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含む新規組成物が提案される。
【発明を実施するための形態】
【0004】
式Iの化合物中に不斉炭素原子が存在する場合、その化合物は、光学異性体の形態、すなわちエナンチオマー的又はジアステレオマー的な形態で生じ得る。配座異性体は、単結合の周りの制限された回転の結果としても存在し得る。本発明は、式Iの化合物のこのような全ての可能な異性体形態及びその混合物を包含する。同様に、式Iは、可能な全ての互変異性体を含むものとする。本発明は、式Iの化合物の可能な全ての互変異性形態及びラセミ化合物、すなわち実質的に50:50の比率の少なくとも2つのエナンチオマーの混合物を含む。
【0005】
それぞれの場合において、本発明による式Iの化合物は、遊離形態、N-オキシドなどの酸化された形態又は塩の形態、例えば農学的に使用可能な塩の形態である。
【0006】
N-オキシドは、三級アミンの酸化された形態又は窒素含有複素芳香族化合物の酸化された形態である。それらは、例えば、A.Albini及びS.Pietraによる書籍“Heterocyclic N-oxides”,CRC Press,Boca Raton 1991に記載されている。
【0007】
好ましい組成物は、
(A)式I
【化2】
(式中、R1は、水素又はアセチルであり、R2は、クロロ、ブロモ又はメトキシカルボニルであり、及びR3は、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシである)
の化合物と、
(B)シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザムン、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド及びピジフルメトフェンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含むものである。
【0008】
成分(B)を成分(A)と組み合わせて使用すると、驚くべきことに且つ大幅に後者の真菌に対する有効性が増大し、逆も同様であることが見出された。更に、本発明の方法は、独立して単独で使用される場合、この方法の有効成分により抑制できるものと比較してより広いスペクトルのそのような真菌に対して有効である。
【0009】
本発明の更なる態様は、有用な植物上又はその繁殖材料上において、植物病原体によって引き起こされる疾病を防除する方法であって、有用な植物、その場所又は繁殖材料に、本発明による組成物を施用することを含む方法である。有用な植物又はその場所に本発明による組成物を、より好ましくは有用な植物に施用することを含む方法が好ましい。有用な植物の繁殖材料に、本発明による組成物を施用することを含む方法が更に好ましい。本発明は、全ての立体異性体及びあらゆる比率のその混合物を網羅する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、成分A)として、式(I)(式中、R1は、アセチルであり、及びR3は、トリフルオロメトキシであり、最も好ましくは、R1は、アセチルであり、R2は、メトキシカルボニルであり、及びR3は、トリフルオロメトキシであるか、又はR1は、アセチルであり、R2は、ブロモであり、及びR3は、トリフルオロメトキシである)の化合物を含む組成物によって表される。
【0011】
式(I)の好ましい化合物は、
構造I.a:
【化3】
によるメチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート(化合物A-1.1)、及び
構造I.b:
【化4】
によるN-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(化合物A-1.2)
である。
【0012】
本発明の更に好ましい実施形態は、成分B)として、シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザムン、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド及びピジフルメトフェンから選択される殺真菌剤を含む組成物によって表される。
【0013】
本発明による特に好ましい組成物は、成分(A)としての、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート(化合物A-1.1)及びN-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(化合物A-1.2)から選択される化合物と、成分(B)としての、シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザムン、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド及びピジフルメトフェンから選択される化合物とを含む。
【0014】
化合物A-1.1は、国際公開第2016/182021号に概説されているのと同様の方法で有利に調製することができる。
【0015】
化合物A-1.2は、特開2017/226638号公報に概説されているのと同様の方法で有利に調製することができる。
【0016】
成分(B)は、公知であり、いわゆる「ISO一般名」又は個別の場合に使用されている別の「一般名」若しくは商標名により上記で言及されている。
【0017】
以下の好ましい成分(B)は、British Crop Production CouncilによるPesticide Manual Online(“E-pesticide Manual”)及びAlan WoodによるCompendium of Pesticide Common Namesに含まれている:シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミン。
【0018】
成分(B)として特に適切な化合物の例は、以下のグループPから選択される化合物である:シクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミン。
【0019】
本明細書全体を通して、表現「組成物」は、例えば、単一の「レディミックス」形態、「タンクミックス」などの単一の有効成分構成要素の別々な製剤から構成される組み合わせスプレー混合物及び逐次的に、すなわち数時間又は数日など適度に短い期間で順々に施用される場合の単一の有効成分の組み合わせ使用での成分(A)及び(B)の種々の混合物又は組み合わせを表す。成分(A)及び(B)を施用する順序は、本発明を実施するのに必須ではない。
【0020】
3種の有効成分を含む本発明による組成物の更なる例は、実施形態E1及びE2として定義される。
【0021】
好ましい実施形態E1:
本明細書において用語「TX1」は、「化合物A-1.1+グループPから選択される化合物」を意味する。好ましい例には、以下の組成物が含まれる:シクロブトリフルラム+TX1、シモキサニル+TX1、フルベネテラム+TX1、フルフェノキサジアザム+TX1、フルメチルスルホリム+TX1、フルオキシチオコナゾール+TX1、イソチアニル+TX1、メタリルピコキサミド+TX1、ピジフルメトフェン+TX1、ピリモルフ+TX1、ピリオフェノン+TX1、セボクチルアミン+TX1。
【0022】
好ましい実施形態E2:
用語「TX2」は、「化合物A-1.2+グループPから選択される化合物」を意味する。好ましい例には、以下の組成物が含まれる:シクロブトリフルラム+TX2、シモキサニル+TX2、フルベネテラム+TX2、フルフェノキサジアザム+TX2、フルメチルスルホリム+TX2、フルオキシチオコナゾール+TX2、イソチアニル+TX2、メタリルピコキサミド+TX2、ピジフルメトフェン+TX2、ピリモルフ+TX2、ピリオフェノン+TX2、セボクチルアミン+TX2。
【0023】
実施形態E1及びE2は、3種の有効成分を含む本発明による組成物を定義する。前記実施形態において、グループPから選択される混合パートナーは、記載される他の混合パートナーと異ならければならない。例えば、組成物「シクロブトリフルラム+TX1」は、有効成分として、ベンゾチオストロビン、化合物A-1.1+グループPから選択される化合物を含む組成物を意味する。前記組成物において、グループPから選択される化合物は、シクロブトリフルラムと異なる。
【0024】
以下の組成物が好ましい:
(A)化合物A-1.1及び(B)グループPから選択される化合物を含む組成物。そのような組成物の例は、化合物A-1.1及びシクロブトリフルラムである、グループPからの第1の化合物を含む組成物である。
【0025】
したがって、特に好ましい組成物には、有効成分として、(i)シクロブトリフルラム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物を含む組成物が含まれる。更に好ましい組成物は、有効成分として、(ii)シモキサニル、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(iii)フルベネテラム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(iv)フルフェノキサジアザム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(v)フルメチルスルホリム、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(vi)フルオキシチオコナゾール、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(vii)イソチアニル、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(viii)メタリルピコキサミド、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(ix)ピジフルメトフェン、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(x)ピリモルフ、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xi)ピリオフェノン、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xii)セボクチルアミン、メチル2-[アセチル-[2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]-5-(トリフルオロメトキシ)ベンゾエート並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びピリオフェノンから選択される化合物を含む。
【0026】
特に更に好ましい組成物には、有効成分として、(xiii)シクロブトリフルラム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xiv)シモキサニル、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xv)フルベネテラム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xvi)フルフェノキサジアザム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xvii)フルメチルスルホリム、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xviii)フルオキシチオコナゾール、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xix)イソチアニル、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xx)メタリルピコキサミド、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、ピジフルメトフェン、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xxi)ピジフルメトフェン、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピリモルフ、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xxii)ピリモルフ、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリオフェノン及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xxiii)ピリオフェノン、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びセボクチルアミンから選択される化合物、又は(xxiv)セボクチルアミン、N-アセチル-N-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-エチルスルホニル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド並びにシクロブトリフルラム、シモキサニル、フルベネテラム、フルフェノキサジアザム、フルメチルスルホリム、フルオキシチオコナゾール、イソチアニル、メタリルピコキサミド、ピジフルメトフェン、ピリモルフ及びピリオフェノンから選択される化合物を含む組成物が含まれる。
【0027】
本発明による組成物は、植物病原性疾病を引き起こす微生物などの有害微生物、特に植物病原性の真菌及び細菌に対して効果的である。
【0028】
本発明による組成物は、特に以下の種類に属する植物病原性真菌に対して効果的である:子嚢菌類(Ascomycetes)(例えば、ベンツリア(Venturia)、ポドスファエラ(Podosphaera)、エリシフェ(Erysiphe)、モニリニア(Monilinia)、ミコスフェレラ(Mycosphaerella)、ウンシヌラ(Uncinula)、ピレノフォラ(Pyrenophora));担子菌類(Basidiomycetes)(例えば、ヘミレイア(Hemileia)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、ファコプソラ(Phakopsora)、プッチニア(Puccinia)、ウスチラゴ(Ustilago)、ティレティア(Tilletia)属);不完全真菌(Fungi imperfecti)(別名不完全菌類(Deuteromycetes);例えば、ボトリティス(Botrytis)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、リンコスポリウム(Rhynchosporium)、フザリウム(Fusarium)、ジモセプトリア(Zymoseptoria)、セルコスポラ(Cercospora)、アルテルナリア(Alternaria)、ピリキュラリア(Pyricularia)及びシュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella));卵菌類(Oomycetes)(例えば、フィトフトラ(Phytophthora)、ペロノスポラ(Peronospora)、シュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)、アルブゴ(Albugo)、ブレミア(Bremia)、ピシウム(Pythium)、シュードスクレロスポラ(Pseudosclerospora)、プラスモパラ(Plasmopara))。
【0029】
本発明によると、「有用な植物」は、典型的には、以下の植物の種を含む:ブドウのつる木;コムギ、オオムギ、ライムギ又はエンバクなどの穀類;サトウダイコン又は飼料用ビートなどのビート;ナシ状果、核果又は小軟果などの果実、例えばリンゴ、西洋ナシ、プラム、モモ、アーモンド、チェリー、ストロベリー、ラズベリー又はブラックベリー;豆、レンズ豆、えんどう豆又は大豆などのマメ科植物;セイヨウアブラナ、アブラナ、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、トウゴマ、カカオ豆又は落花生などの油科植物;ペポカボチャ、キュウリ又はメロンなどのキュウリ植物;綿、フラックス、麻又はジュートなどの線維植物;オレンジ、レモン、グレープフルーツ又はマンダリンなどの柑橘類;ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリ科植物又はパプリカなどの野菜;アボカド、シナモン又はショウノウなどのクスノキ;トウモロコシ;タバコ;堅果;コーヒー;サトウキビ;茶;つる植物;ホップの実;ドリアン;バナナ;天然ゴム植物;芝生又は花、灌木、広葉樹若しくは常緑植物、例えば針葉樹などの観賞植物。このリストは、何ら限定するものではない。
【0030】
用語「有用な植物」は、従来の育種又は遺伝子操作の方法の結果として、ブロモキシニル又は数種の除草剤(例えば、HPPD阻害剤、ALS阻害剤、例えばプリミスルフロン、プロスルフロン及びトリフロキシスルフロン、EPSPS(5-エノール-ピロビル-シキマート-3-ホスファート-シンターゼ)阻害剤、GS(グルタミンシンセターゼ)阻害剤又はPPO(プロトポルフィリノーゲン-オキシダーゼ)阻害剤など)のような除草剤に耐性を有するようにされた有用な植物も含むと理解されるものとする。従来の育種方法(突然変異誘発)により、イミダゾリノン、例えばイマザモックスに耐性を有するようにされた作物の例は、Clearfield(登録商標)夏ナタネ(キャノーラ)である。遺伝子操作方法により、除草剤又は数種の除草剤に耐性を有するようにされた作物の例には、商品名RoundupReady(登録商標)、Herculex I(登録商標)及びLibertyLink(登録商標)で市販されているグリホサート及びグルホシネート耐性のトウモロコシ品種がある。
【0031】
用語「有用な植物」は、例えば、毒素産生性細菌から知られているもの、特にバチルス(Bacillus)属のものなど、1種以上の選択的に作用する毒素を合成できるように、組換えDNA技法の利用により形質転換された有用な植物も含むと理解されるものとする。
【0032】
用語「有用な植物」は、例えば、いわゆる「病因関連タンパク質」(PRP、例えば欧州特許出願公開第0392225号明細書を参照されたい)など、選択的作用を有する抗病原体物質を合成できるように、組換えDNA技法の利用により形質転換された有用な物質も含むと理解されるものとする。そのような抗病原体物質及びそのような抗病原体物質を合成できる遺伝子導入植物の例は、例えば、欧州特許出願公開第0392225号明細書、国際公開第95/33818号及び欧州特許出願公開第0353191号明細書から公知である。そのような遺伝子導入植物を産生する方法は、一般的に当業者に公知であり、例えば上述の公報に記載されている。
【0033】
本明細書での用語、有用な植物の「場所」は、有用な植物が生長している場所、有用な植物の植物繁殖材料が蒔かれる場所又は有用な植物の植物繁殖材料が土壌中に配置される場所を包含するものとする。そのような場所の例は、畑であり、そこで作物が生長する。
【0034】
用語「植物繁殖材料」は、植物の増殖に使用できる種子などの植物の生殖部分及び切穂又は塊茎、例えばジャガイモなどの栄養物質を指すと理解される。例えば、種子(厳密な意味において)、根、果実、塊茎、球根、根茎及び植物の一部が挙げられ得る。発芽又は土からの出現後に移植すべき発芽した植物及び苗も挙げられ得る。これらの苗は、移植前に、浸漬による全体的又は部分的な処理により保護することができる。好ましくは「植物繁殖材料」は、種子を指すと理解される。
【0035】
更なる態様では、本出願は、本発明による組成物でコーティングされた植物繁殖材料にも関する。
【0036】
本発明の組成物は、真菌の攻撃に対して貯蔵物品を保護する分野でも使用できる。本発明によると、用語「貯蔵物品」は、植物及び/又は動物由来の天然物質並びにその加工された形態を指すと理解され、それらは、自然のライフサイクルから取られ、その長期保護が望まれるものである。植物又はその一部、例えば茎、葉、塊茎、種子、果実又は穀粒などの植物由来の貯蔵物品は、収穫したての状態でも、予備乾燥された、湿らされた、粉砕された、すりつぶされた、プレスされた又は炒られたなど、加工した形態でも保護することができる。材木も、建築用木材、電柱及び電気的障壁などの原木の形態であろうと、家具又は木から製造した物体などの完成品の形態であろうと、貯蔵物品の定義に当てはまる。動物由来の貯蔵物品は、獣皮、革、毛皮、髪などである。本発明による組成物は、腐敗、変色又はカビなどの不都合な作用を防ぐことができる。好ましくは、「貯蔵物品」は、植物由来の天然物質及び/又はそれらの加工された形態、より好ましくはナシ状果、核果、小軟果及び柑橘類並びにそれらの加工された形態などの果実及びそれらの加工された形態を指すように理解される。本発明の別の好ましい実施形態において、「貯蔵物品」は、木を指すと理解される。
【0037】
したがって、本発明の更なる態様は、貯蔵物品に本発明による組成物を適用することを含む、貯蔵物品を保護する方法である。
【0038】
本発明の組成物は、真菌の攻撃に対して工業製品を保護する分野にも使用できる。本発明によると、用語「工業製品」は、紙;カーペット;構造物;冷却及び加熱システム;壁板;換気及び空調システムなどを含む。好ましくは、「工業製品」は、壁板を指すと理解される。本発明による組成物は、腐食、変色又はカビなどの不都合な作用を防ぐことができる。
【0039】
本発明による組成物は、アルテルナリア(Alternaria)種、アスコキタ(Ascochyta)種、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、セルコスポラ(Cercospora)種、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)、コレトトリカム(Colletotrichum)種、エピコッカム(Epicoccum)種、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・モリニフォルム(Fusarium moniliforme)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・プロリフェラツム(Fusarium proliferatum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、フザリウム・サブグルチナンス(Fusarium subglutinans)、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)種、ミクロドキウム・ニバーレ(Microdochium nivale)、フォーマ(Phoma)種、ピレノフォラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)、ピリキュラリア・オリゼ(Pyricularia oryzae)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、リゾクトニア・セレアリス(Rhizoctonia cerealis)、スクレロチニア(Sclerotinia)種、ザイモセプトリア(Zymoseptoria)種、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reilliana)、ティレティア(Tilletia)種、ティフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)、ウロシスティス・オキュラータ(Urocystis occulta)、ウスチラゴ(Ustilago)種又はバーティシリウム(Verticillium)種などの種子伝染性及び土壌伝染性の疾病に対して更に特に効果的であり、とりわけコムギ、オオムギ、ライムギ又はエンバクなどの穀類;トウモロコシ;コメ;綿;大豆;芝生;サトウダイコン;アブラナ;ジャガイモ;エンドウ豆、レンズ豆又はヒヨコ豆などのしゅく穀類;及びヒマワリの病原体に対して効果的であり得る。
【0040】
本発明による組成物は、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、コレトトリカム・ムサエ(Colletotrichum musae)、カーブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)、フザリウム・セミテクム(Fusarium semitecum)、ゲオトリクム・カンジドゥム(Geotrichum candidum)、モニリニア・フルクチコラ(Monilinia fructicola)、モニリニア・フルクチゲナ(Monilinia fructigena)、モニリニア・ラクサ(Monilinia laxa)、ムコール・ピリフォルミス(Mucor piriformis)、ペニシリウム・イタリカム(Penicilium italicum)、ペニシリウム・ソリツム(Penicilium solitum)、ペニシリウム・ディギタータム(Penicillium digitatum)又はペニシリウム・エクスパンサム(Penicillium expansum)などの収穫後の疾病に対して更にとりわけ効果的であり、とりわけナシ状果の果実、例えばリンゴ及び西洋ナシ、核果、例えばモモ及びプラム、柑橘類、メロン、パパイヤ、キウイ、マンゴー、ベリー類、例えばストロベリー、アボカド、ザクロ及びバナナ並びに堅果などの果実の病原体に対して効果的である。
【0041】
本発明による組成物は、以下の作物における以下の疾病を防除するのに特に有用である:果物及び野菜及びジャガイモにおけるアルテルナリア(Alternaria)種、イチゴ、トマト、ヒマワリ、豆類作物、野菜及びブドウにおけるボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、ジャガイモ及び野菜におけるリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ブドウにおけるウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)、穀類におけるブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)、アブラナにおけるエリシフェ・クルシフェララム(Erysiphe cruciferarum)、大豆におけるミクロスファエラ・ディフーサ(Microsphaera diffusa)、リンゴにおけるポドスファエラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、タマネギにおけるレベイユラ・タウリカ(Leveillula taurica)、豆類におけるポドスペラ・キサンチイ(Podosphaera xanthii)、豆類におけるエリシフェ・シコラセアルム(Erysiphe cichoracearum)、穀類におけるフザリウム(Fusarium)種、大麦におけるピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)、ザイモセプトリア・トリチシ(Zymoseptoria tritici)などの穀類におけるセプトリア(Septoria)種、セプトリア・グリシン(Septoria glycines)などの油糧作物におけるセプトリア(Septoria)種、ピーナッツにおけるミコフォスアレラ・アラキジコーラ(Mycosphaerella arachidicola)など、トマト、豆類、ペナツ(penatus)及び油糧作物におけるセルコスポラ(Cercospora)種又は大豆におけるセラスポラ・ソジナイ(Cercospora sojinae)及びセルコスポラ・キクキイ(Cercospora kikuchii)。
【0042】
しかし、殺真菌活性に関する実際の相乗的な作用に加えて、本発明による組成物は、更なる驚くべき有利な性質も有し得る。言及され得るそのような有利な性質の例は、より有利な分解性;改善された毒物学的及び/又は生態毒物学的挙動;又は下記を含む有用な植物の改善された性質:出現、作物収量、より発達した根系、分げつ増加、草丈の増加、葉身の増大、枯れた根生葉の減少、より強い分げつ枝、緑の濃い葉の色、肥料の必要量減少、種子の必要量減少、より実りの多い分げつ枝、より早い開花、早い穀粒の成熟、植物のバース(倒伏)減少、新芽の成長の増大、植物の成長力向上及び早い発芽である。
【0043】
本発明による組成物の一部は、全身性作用を有し、葉、土壌及び種子の処理殺真菌剤として使用できる。
【0044】
本発明による組成物により、種々の有用な植物中において、植物又は植物の部分(果実、花、葉、茎、塊茎、根)に存在する植物病原性微生物を阻害又は破壊することが可能であると同時に、後に生長する植物の部分も植物病原性微生物による攻撃から保護される。
【0045】
本発明による組成物は、植物病原性微生物、有用な植物、その場所、その繁殖材料、微生物の攻撃により脅かされる貯蔵物品又は工業製品に施用できる。
【0046】
本発明による組成物は、有用な植物、その繁殖材料、貯蔵物品又は工業製品の微生物による感染前又は後に施用できる。
【0047】
施用すべき本発明による組成物の量は、利用される化合物;例えば、植物、土壌又は種子など処理の対象;例えば、噴霧、散布又は種子粉衣など処理の種類;例えば、予防的又は治療的など処理の目的;防除すべき真菌の種類又は施用期間などの種々の因子に依存する。
【0048】
有用な植物に施用する場合、成分(A)は、典型的には、5~2000g a.i./ha、特に10~1000g a.i./ha、例えば50、75、100又は200g a.i./haの割合において、典型的には1~5000g a.i./ha、特に2~2000g a.i./ha、例えば100、250、500、800、1000、1500g a.i./haの成分(B)と共に施用される。
【0049】
農業慣行において、本発明による組成物の施用の割合は、所望の効果の種類に依存し、典型的には1ヘクタール当たり20~4000gの全組成物の範囲である。
【0050】
本発明による組成物が種子の処理に施用される場合、種子の1kg当たり0.001~50gの成分(A)の化合物、好ましくは種子の1kg当たり0.01~10g及び種子の1kg当たり0.001~50gの成分(B)の化合物、好ましくは種子の1kg当たり0.01~10gの割合は、一般的に、十分である。
【0051】
本発明の組成物は、任意の従来の形態、例えばツインパック、乾燥種子処理用粉末(DS)、種子処理用乳剤(ES)、種子処理用フロアブルコンセントレート(FS)、種子処理用液剤(LS)、種子処理用水和性粉末(WS)、種子処理用カプセル懸濁剤(CF)、種子処理用ゲル(GF)、乳化濃縮物(EC)、懸濁濃縮液(SC)、サスポエマルジョン(SE)、カプセル懸濁剤(CS)、顆粒水和剤(WG)、乳化粒剤(EG)、油中水型エマルション(EO)、水中油型エマルション(EW)、マイクロエマルション(ME)、油中分散液(OD)、油混和性フロアブル剤(OF)、油混和性液剤(OL)、可溶性濃縮物(SL)、超微量散布用懸濁剤(SU)、超微量散布用液剤(UL)、濃縮原体(TK)、分散性濃縮物(DC)、水和剤(WP)又は任意の技術的に可能な製剤の形態において、農学上許容できる補助剤と組み合わせて利用できる。
【0052】
そのような組成物は、従来の方法において、例えば有効成分を少なくとも1種の適切な不活性な製剤補助剤(例えば、希釈剤、溶媒、充填剤並びに界面活性剤、殺生物剤、不凍剤、固着剤、増粘剤及び任意に、補助作用を与える化合物などの他の製剤成分)と混合することにより製造できる。持続性の有効性が意図される場合、従来の徐放性製剤も利用することができる。特に、水和性コンセントレート(例えば、EC、SC、DC、OD、SE、EW、EOなど)、水和剤及び顆粒剤などの噴霧形態で施用すべき製剤は、湿潤剤及び分散化剤などの界面活性剤並びに補助作用を与える他の化合物、例えばホルムアルデヒドとナフタレンスルホネートとの縮合生成物、アルキルアリールスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪族アルキルスルファート並びにエトキシ化アルキルフェノール及びエトキシ化脂肪族アルコールを含み得る。
【0053】
本発明による組成物は、例えば、殺真菌剤、殺虫剤又は除草剤などの農薬も更に含み得る。
【0054】
種子粉衣製剤は、自体公知の方法で、種子に、本発明による組成物及び好適な種子粉衣製剤形態の希釈剤を利用して、例えば水性懸濁剤として又は種子に良好な密着性を有するドライパウダー形態で施用される。そのような種子粉衣製剤は、当技術分野で公知である。種子粉衣製剤は、単一の有効成分又は例えば徐放性カプセル若しくはマイクロカプセルとしてカプセル化された形態の有効成分の組み合わせも含み得る。
【0055】
一般に、製剤は、0.01~90重量%の活性薬剤、0~20%の農学上許容できる界面活性剤並びに10~99.99%の固体又は液体の製剤不活性物質及び補助剤を含み、活性薬剤は、少なくとも成分(A)の化合物及び成分(B)の化合物並びに任意に他の活性薬剤、特に殺菌剤又は防腐剤などからなる。濃縮された形態の組成物は、一般に、約2~80%、好ましくは約5~70重量%の活性薬剤を含む。施用形態の製剤は、例えば、0.01~20重量%、好ましくは0.01~5重量%の活性薬剤を含み得る。市販製品は、好ましくは、濃縮物として製剤されるであろうが、末端消費者は、通常希釈された製剤を利用するであろう。
【0056】
式(I)の化合物を含む組成物の更なる特性、植物へのそれらの施用方法及びそれらの使用割合は、式(I)の化合物及び更に少なくとも1種の上述の成分(B)を含む組成物に関して記載された通りである。それらの施用は、植物又はその部分の真菌による感染前又は後であり得る。処理は、好ましくは、感染前に実施される。式(I)の化合物がそれ自体で使用される場合、本発明による方法における施用割合は、上述の通りであり、例えば5~2000g a.i./ha、特に10~1000g a.i./ha、例えば50、75、100又は200g a.i./haの割合が典型的である。式(I)の化合物は、生育期間中、1回又は2回以上植物に施用できる。本発明による方法に使用するために、式(I)の化合物を例えば液剤、乳剤、懸濁剤、粉剤、粉末、ペースト剤及び顆粒剤などの上述の通常の製剤に変換できる。使用形態は、特定の意図される目的に依存する。それぞれの場合において、それは、式(I)の化合物の微細で均一な分布を確実にすべきである。
【0057】
本明細書での用語「植物」は、果実及び野菜の実生、低木及び作物を含む。
【0058】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立ち、「有効成分」は、特定の混合比率の成分(A)及び成分(B)の混合物を指す。同じ製剤は、有効成分として式(I)の化合物のみを含む組成物に使用され得る。
【実施例
【0059】
製剤実施例
【0060】
【表1】
【0061】
有効成分を、他の製剤成分と完全に混合し、混合物を好適な粉砕機中で完全に粉砕すると、水和剤を与え、それを水で希釈すると、所望の濃度の懸濁液を与える。
【0062】
【表2】
【0063】
有効成分を他の製剤成分と完全に混合し、混合物を好適な粉砕機中で完全に粉砕すると、粉末を与え、それを種子処理に直接使用できる。
【0064】
乳化性濃縮物
有効成分(A):B)=1:6) 10%
オクチルフェノールポリエチレングリコールエーテル 3%
(4~5モルの酸化エチレン)
カルシウムドデシルベンゼンスルホナート 3%
ヒマシ油ポリエチレングリコールエーテル(35モルの酸化エチレン) 4%
シクロヘキサノン 30%
キシレン混合物 50%
【0065】
植物保護に使用できる、必要なあらゆる希釈度の乳液は、この濃縮物から水による希釈により得ることができる。
【0066】
【表3】
【0067】
そのまま使用できる粉剤は、有効成分を担体と混合し、混合物を好適な粉砕機中で粉砕することにより得られる。そのような粉末は、種子の乾燥粉衣にも使用できる。
【0068】
押し出された顆粒 %w/w
有効成分(A):B)=2:1) 15%
ナトリウムリグノスルホネート 2%
ナトリウムアルキルナフタレンスルホナート 1%
カオリン 82%
【0069】
有効成分を他の製剤成分と混合及び粉砕し、混合物を水で湿らせる。混合物を押し出し、次いで気流中で乾燥させる。
【0070】
懸濁液濃縮物
有効成分(A):B)=1:8) 40%
プロピレングリコール 10%
ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル(15モルの酸化エチレン) 6%
ナトリウムリグノスルホネート 10%
カルボキシメチルセルロース 1%
シリコーンオイル(水における75%の乳化物の形態において) 1%
水 32%
【0071】
微粉砕された有効成分を他の製剤成分と完全に混合すると懸濁濃縮液を与えるが、それを所望の割合で水に希釈できる。そのような希釈物を用いて、生きている植物並びに植物繁殖材料を処理し、噴霧、注ぎいれ又は浸漬により、微生物による侵襲に対して保護できる。
【0072】
種子処理のための流動性濃縮物
有効成分(A):B)=1:8) 40%
プロピレングリコール 5%
コポリマーブタノールPO/EO 2%
トリスチレンフェノールエトキシレート(10~20モルのEOを有する) 2%
1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン 0.5%
モノアゾ顔料カルシウム塩 5%
シリコーンオイル(水における75%の乳化物の形態において) 0.2%
水 45.3%
【0073】
微粉砕された有効成分を、他の製剤成分と完全に混合すると懸濁濃縮液を与えるが、それを、種子に施用する水に更に希釈できる。そのような希釈物を用いて、繁殖材料を処理し、噴霧、注ぎいれ又は浸漬により、微生物による侵襲に対して保護できる。
【0074】
したがって、本発明の更なる態様は、植物上の葉斑病を防除する方法であって、植物、その場所又はその繁殖材料に、式(I)の化合物を含む組成物を施用することを含む方法である。
【0075】
方法であって、植物病原体が植物を攻撃し、且つ葉斑病、うどん粉病及び菌枯病などの疾病を引き起こしている、方法が好ましい。
【0076】
式(I)の化合物を含む組成物を植物又はその場所、好ましくは植物に施用することを含む方法が好ましい。
【0077】
式(I)の化合物を含む組成物を植物の繁殖材料に施用することを含む方法が更に好ましい。
【0078】
本発明による方法は、特に、式(I)の化合物が少なくとも1種の上述の化合物(B)と組み合わせて使用される場合、植物に多くの場合に発生する他の有害な真菌の良好な防除も可能にする。
【0079】
好ましいのは、式(I)
【化5】
(式中、R1は、水素又はアセチルであり、R2は、クロロ、ブロモ又はメトキシカルボニルであり、及びR3は、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシである)
の化合物を含む組成物を、有用な植物、その場所又はその繁殖材料に施用することを含む、油糧種子及び穀類の疾病、特に葉斑病によって引き起こされる疾病を防除する方法である。
【0080】
一般に、成分(A)と成分(B)との重量比は、2000:1~1:1000の範囲である。成分(A)と成分(B)との重量比は、好ましくは、100:1~1:100、より好ましくは20:1~1:50、更により好ましくは12:1~1:25、更により好ましくは10:1~1:10、なおもより好ましくは5:1~1:15、最も好ましくは2:1~1:5である。
【0081】
驚くべきことに、成分(A)と成分(B)との特定の重量比は、相乗的な活性をもたらすことが可能であることが見出された。したがって、本発明の更なる態様は、成分(A)及び成分(B)が、相乗効果をもたらす量で組成物中に存在する組成物である。この相乗的な活性は、成分(A)及び成分(B)を含む組成物の殺真菌活性が成分(A)及び成分(B)の殺真菌活性の和より高い事実から明らかである。
【0082】
この相乗的な活性は、成分(A)及び成分(B)の作用の範囲を2つの方法で拡大させる。第一に、成分(A)及び成分(B)の施用の割合は、作用が同様に良好なままで低下するが、これは、有効成分混合物が、2つの個別成分がそのような低い施用割合範囲で全く効果がなくなった場合でも、高い程度の植物病原体の防除を依然として達成していることを意味する。第二に、防除できる植物病原体のスペクトルの著しい拡大がある。
【0083】
相乗効果は、有効成分組み合わせの作用が個別の成分の作用の和より高い場合には常に存在する。所与の有効成分組み合わせに予想される作用Eは、いわゆるコルビー(COLBY)式に従い、下記の通り計算できる(COLBY,S.R.“Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combination”.Weeds,Vol.15,pages20-22;1967):
ppm=スプレー混合物の1リットル当たりの有効成分(=a.i.)のミリグラム
X=p ppmの有効成分を使用した有効成分A)による作用%
Y=q ppmの有効成分を使用した有効成分B)による作用%。
【0084】
コルビーによると、p+q ppmの有効成分を使用した有効成分A)+B)の予想される(加法的な)作用は、
【数1】
である。
【0085】
実際に観察された作用(O)が、予想された作用(E)より高い場合、組み合わせの作用は、超加法的であり、すなわち相乗効果がある。数学的に言うと、相乗作用は、(O-E)の差の正の値に対応する。純粋に相補的な活性の加法(予想される活性)の場合、前記差(O-E)は、ゼロである。前記差(O-E)の負の値は、予想される活性と比較した活性の低下を表す。
【0086】
生物学的実施例
アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)(初期疫病トマト/ジャガイモ):
極低温保存から出した真菌の分生子をニュートリエントブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)に直接混合した。試験化合物のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に配置した後、真菌胞子を含むニュートリエントブロスを加えた。試験プレートを24℃でインキュベートし、成長の阻害を48時間後に光度測定により決定した。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色カビ病):
極低温保存から出した真菌の分生子をニュートリエントブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)に直接混合した。試験化合物のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に配置した後、真菌胞子を含むニュートリエントブロスを加えた。試験プレートを24℃でインキュベートし、成長の阻害を72時間後に光度測定により決定した。
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
【表11】
【0096】
【表12】
【0097】
【表13】
【0098】
【表14】
【0099】
グロメレラ・ラゲナリウムsyn.(Glomerella lagenarium syn.)コレトトリカム・ラゲナリウム(Colletotrichum lagenarium)(ウリ科の炭疽病):
極低温保存から出した真菌の分生子をニュートリエントブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)に直接混合した。試験化合物のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に配置した後、真菌胞子を含むニュートリエントブロスを加えた。試験プレートを24℃でインキュベートし、成長の阻害を72時間後に620nmで光度測定により決定した。
【0100】
【表15】
【0101】
【表16】
【0102】
ミコスファエレラ・アラキジスsyn.(Mycosphaerella arachidis syn.)セルコスポラ・アラキディコラ(Cercospora arachidicola)(ピーナッツの茶色の葉斑):
極低温保存から出した真菌の分生子をニュートリエントブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)に直接混合した。試験化合物のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に配置した後、真菌胞子を含むニュートリエントブロスを加えた。試験プレートを24℃でインキュベートし、成長の阻害を5~6日後に620nmで光度測定により決定した。
【0103】
【表17】
【0104】
スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)(綿腐病、白カビなど):
新鮮な液体培養物から調製した真菌の菌糸体断片をニュートリエントブロス(PDBジャガイモデキストロースブロス)に直接混合した。試験化合物のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェルフォーマット)に配置した後、真菌胞子を含むニュートリエントブロスを加えた。試験プレートを24℃でインキュベートし、成長の阻害を72時間後に620nmで光度測定により決定した。
【0105】
【表18】
【国際調査報告】