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特表2024-529114キャプチャフリップフロップのためのオフセット回路及び閾値基準回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】キャプチャフリップフロップのためのオフセット回路及び閾値基準回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20240725BHJP
   H04L 25/03 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H04L25/02 R
H04L25/03 E
H04L25/02 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508398
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2022029897
(87)【国際公開番号】W WO2023018460
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】17/398,675
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウェンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ウパディヤヤ, パラッグ
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA01
5K029DD24
5K029HH08
5K029KK25
(57)【要約】
通信システムのための受信機回路(122)は、信号処理回路(213)、電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路(229)及びスライサ回路(218、220)を含む。信号処理回路は、データ信号(130)を受信し、処理されたデータ信号を生成する。電圧DAC回路は、第1の閾値基準電圧(235)を生成する。スライサ回路は、信号処理回路の出力に結合される。スライサ回路は、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧(235)を受信するキャプチャフリップフロップ(CapFF)回路を含む。CapFF回路は、第1のデータ信号(218out、220out)を更に生成する。第1のCapFF回路は、第1のCapFF回路の寄生容量を調整する第1のオフセット補償回路(223又は225)を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムのための受信機回路であって、前記受信機回路が、
データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、
第1の閾値基準電圧を生成するように構成された電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路と、
前記信号処理回路の出力に結合されたスライサ回路と、を備え、前記スライサ回路が、
前記処理されたデータ信号及び前記第1の閾値基準電圧を受信し、第1のデータ信号を生成するように構成された第1のキャプチャフリップフロップ(CapFF)回路であって、前記第1のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第1のオフセット補償回路を備える、第1のCapFF回路を備える、受信機回路。
【請求項2】
前記電圧DAC回路が、
複数の電圧を生成するように構成された分圧器回路と、
前記分圧器回路に結合され、前記複数の電圧に基づいて、前記第1の閾値基準電圧を出力するように構成されたマルチプレクサ回路と、を備える、請求項1に記載の受信機回路。
【請求項3】
前記マルチプレクサ回路が、
前記複数の電圧のうちの第1の電圧を選択し、前記第1の閾値基準電圧の第1の差動電圧として前記第1の電圧を出力するように構成された第1のマルチプレクサと、
前記複数の電圧のうちの第2の電圧を選択し、前記第1の閾値基準電圧の第2の差動電圧として前記第2の電圧を出力するように構成された第2のマルチプレクサと、を備える、請求項2に記載の受信機回路。
【請求項4】
前記第1のオフセット補償回路が、
前記第1のCapFF回路の第1のノードに接続され、前記第1のノードに第1の寄生容量を印加するように構成された第1のコンデンサDAC(CDAC)と、
前記第1のCapFF回路の第2のノードに接続され、前記第2のノードに第2の寄生容量を印加するように構成された第2のCDACと、を備える、請求項1に記載の受信機回路。
【請求項5】
前記第1のCDACが、第1の制御信号に基づいて、前記第1の寄生容量を増加させるように更に構成されており、前記第2のCDACが、第2の制御信号に基づいて、前記第1の寄生容量を増加させるように更に構成されている、請求項4に記載の受信機回路。
【請求項6】
前記第1の寄生容量が、前記第2の寄生容量と異なる、請求項4に記載の受信機回路。
【請求項7】
前記電圧DAC回路が、第2の閾値基準電圧を生成するように更に構成されており、前記スライサ回路が、前記処理されたデータ信号及び前記第2の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、前記第2のCapFF回路が、前記第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、請求項1に記載の受信機回路。
【請求項8】
前記スライサ回路が、前記処理されたデータ信号及び前記第1の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、前記第2のCapFF回路が、前記第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、請求項1に記載の受信機回路。
【請求項9】
通信システムであって、
データ信号を送信するように構成された送信機回路と、
チャネルを介して前記送信機回路に接続された受信機回路と、を備え、前記受信機回路が、
前記データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、
第1の閾値基準電圧を生成するように構成された電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路と、
前記信号処理回路の出力に結合されたスライサ回路と、を備え、前記スライサ回路が、
前記処理されたデータ信号及び前記第1の閾値基準電圧を受信し、第1のデータ信号を生成するように構成された第1のキャプチャフリップフロップ(CapFF)回路であって、前記第1のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第1のオフセット補償回路を備える、第1のCapFF回路を備える、通信システム。
【請求項10】
前記電圧DAC回路が、
複数の電圧を生成するように構成された分圧器回路と、
前記分圧器回路に結合され、前記複数の電圧に基づいて、前記第1の閾値基準電圧を出力するように構成されたマルチプレクサ回路と、を備える、請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記マルチプレクサ回路が、
前記複数の電圧のうちの第1の電圧を選択し、前記第1の閾値基準電圧の第1の差動電圧として前記第1の電圧を出力するように構成された第1のマルチプレクサと、
前記複数の電圧のうちの第2の電圧を選択し、前記第1の閾値基準電圧の第2の差動電圧として前記第2の電圧を出力するように構成された第2のマルチプレクサと、を備える、請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記第1のオフセット補償回路が、
前記第1のCapFF回路の第1のノードに接続され、前記第1のノードに第1の寄生容量を印加するように構成された第1のコンデンサDAC(CDAC)と、
前記第1のCapFF回路の第2のノードに接続され、前記第2のノードに第2の寄生容量を印加するように構成された第2のCDACと、を備える、請求項9に記載の通信システム。
【請求項13】
前記電圧DAC回路が、第2の閾値基準電圧を生成するように更に構成されており、前記スライサ回路が、前記処理されたデータ信号及び前記第2の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、前記第2のCapFF回路が、前記第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、請求項9に記載の通信システム。
【請求項14】
前記スライサ回路が、前記処理されたデータ信号及び前記第1の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、前記第2のCapFF回路が、前記第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、請求項9に記載の通信システム。
【請求項15】
受信機回路を動作させるための方法であって、前記方法が、
データ信号を受信し、処理されたデータ信号を前記データ信号から生成することと、
電圧/アナログ変換器(DAC)回路を介して、第1の閾値基準電圧を生成することと、
第1のCapFF回路において、前記処理されたデータ信号及び前記第1の閾値基準電圧を受信することと、
前記第1のCapFF回路の第1のオフセット補償回路を介して、前記第1のCapFF回路の寄生容量を調整することと、
前記処理されたデータ信号から出力信号を生成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、概して、キャプチャフリップフロップ内のオフセットを補正することと、キャプチャフリップフロップに基準電圧を提供することと、に関する。
【背景技術】
【0002】
受信機は、一般的に、受信された入力信号を処理し、対応するデータ信号を生成するスライサ回路を含む。オフセット補償がスライサ回路に適用されて、スライサ回路内のあらゆる不整合を補正する。不整合は、製造公差及びプロセス公差に基づいて生じる、回路要素及びルーティングの違いに起因し得る。スライサ回路は、閾値基準電圧に基づいてデータ信号を生成する1つ以上のスライスを含む。スライサ回路内の不整合を補償するために、閾値基準電圧は、スライサ回路のスライサに提供される前に調整される。例えば、閾値基準電圧は、電流/電圧回路によって調整され、次いで、スライサ回路に出力される。閾値基準電圧は、スライサ回路の外部のスライサ回路内の不整合を補償するように調整される。したがって、2つ以上のスライサを含むスライサ回路において、各スライサに対する閾値基準電圧は、スライサ回路に通信される前に、互いに独立して調整される。
【0003】
パルス振幅変調4レベル(pulse amplitude modulation 4-level、PAM4)受信機の受信機回路は、データスライサ回路及びエラースライサ回路を含む。データスライサ回路は、4つのデータレベル(例えば、00、01、10及び11)を検出するために、クロック位相ごとに3つのデータスライサを含む。データスライサの各々は、DH(高データラッチ電圧)閾値、DZ(中データラッチ電圧)閾値、及びDL(低データラッチ電圧)閾値のそれぞれ1つに対応する。したがって、4つのクロック位相の場合、データスライサ回路は12個のデータスライサを含む。更に、受信機回路内のオフセット補償及び閾値レベル適応のために、エラースライサ回路は、クロック位相ごとに1つのエラースライサを含む。第1のエラースライサは、電圧レベルEHP(高い電圧の大きさを有する正のエラーラッチ電圧)を検出し、第2のエラースライサは、電圧レベルELP(低い電圧の大きさを有する正のエラーラッチ電圧)を検出し、第3のエラースライサは、電圧レベルEHN(高い電圧の大きさを有する負のエラーラッチ電圧)を検出し、第4のエラースライサは、電圧レベルELN(低い電圧の大きさを有する負のエラーラッチ電圧)を検出する。したがって、4つのクロック位相を使用する受信機回路は、合計16個のスライサ(例えば、12個のデータスライサ及び4個のエラースライサ)を有する。
【0004】
スライサ(例えば、データスライサ及びエラースライサ)の各々は、対応する閾値基準電圧を受信する。更に、スライサに通信される前に、オフセット補償が閾値基準電圧の各々に適用されて、スライサ内の不整合を補償する。したがって、閾値基準電圧を共有する2つの異なるスライサの場合、各スライサに提供される閾値基準電圧は、各スライサにおける不整合を補償するように独立して調整される。16個のスライサを含む受信機回路では、16個の閾値基準電圧が生成され、補償され、受信機回路の回路面積及び電力要件を増加させる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示される受信機回路は、1つ以上のスライサを有するスライサ回路を含む。各スライサは、対応するスライサ内でオフセット補償を実行するコンデンサデジタル/アナログ変換器(capacitor digital-to-analog converter、CDAC)回路を含む。スライサは、閾値基準電圧に基づいて、入力信号から出力データ信号を生成する。スライサの閾値基準電圧は、電圧デジタル/アナログ変換器(digital-to-analog converter、DAC)回路によって生成される。更に、スライサ回路が複数のスライサを含む例では、オフセット補償が各スライサ内で生じているときに、1つ以上の閾値基準電圧値が2つ以上のスライサ間で共有され得る。したがって、対応する受信機回路の電力及び回路面積のオーバーヘッドは、オフセット補償のためのCDAC回路及び/又は基準電圧レベルを生成するための電圧DAC回路を採用しない受信機回路と比較して、低減される。
【0006】
一例では、通信システムのための受信機回路は、信号処理回路、電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路及びスライサ回路を含む。信号処理回路は、データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成されている。電圧DAC回路は、第1の閾値基準電圧を生成するように構成されている。スライサ回路は、信号処理回路の出力に結合される。スライサ回路は、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信するように構成されたキャプチャフリップフロップ(capture flip-flop、CapFF)回路を含む。CapFF回路は、第1のデータ信号を生成するように更に構成されている。第1のCapFF回路は、第1のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第1のオフセット補償回路を含む。
【0007】
一例では、通信システムは、送信機回路及び受信機回路を含む。送信機回路は、データ信号を送信するように構成されている。受信回路は、チャネルを介して送信機回路に接続される。受信機回路は、信号処理回路、電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路及びスライサ回路を含む。信号処理回路は、データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成されている。電圧DAC回路は、第1の閾値基準電圧を生成するように構成されている。スライサ回路は、信号処理回路の出力に結合される。スライサ回路は、第1のキャプチャフリップフロップ(CapFF)回路を備える。第1のCapFF回路は、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信し、第1のデータ信号を生成するように構成されている。第1のCapFF回路は、第1のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第1のオフセット補償回路を備える。
【0008】
一例では、受信機回路を動作させるための方法は、データ信号を受信し、処理されたデータ信号をデータ信号から生成することと、電圧/アナログ変換器(DAC)回路を介して、第1の閾値基準電圧を生成することと、を含む。本方法は、第1のCapFF回路において、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信することと、第1のCapFF回路の第1のオフセット補償回路を介して、第1のCapFF回路の寄生容量を調整することと、を更に含む。更に、本方法は、処理されたデータ信号から出力信号を生成することを含む。
【0009】
これら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」を参照して理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上記の特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡潔に要約されたより具体的な説明が、例示的な実装形態を参照することによって行われ得、それらの実装形態のうちのいくつかが添付の図面に例解される。しかしながら、添付の図面は、典型的な例示の実装形態のみを例解しており、したがって、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。
図1】一例による、例示的な通信システムを描示するブロック図である。
図2】一例による、例示的な受信機回路を描示するブロック図である。
図3】一例による、受信機回路の例示的なアイダイアグラムである。
図4】一例による、例示的な受信機回路のブロック図である。
図5】一例による、例示的なスライサ回路の概略図である。
図6】一例による、例示的な電圧デジタル/アナログ変換器の概略図である。
図7】一例による、データ信号を処理するための方法のフローチャートである。
【0011】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一例の要素は、他の例に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
送信機の受信機のための本明細書で開示される受信機回路は、入力信号の電圧レベルを検出するスライサ回路を含む。例示的なスライサ回路は、データスライサ回路及びエラースライサ回路を含む。データスライサ回路は、1つ以上のデータスライサを含み、エラースライサ回路は、1つ以上のエラースライサを含む。各スライサは、関連付けられた電圧を入力データ信号から検出する。スライサはまた、キャプチャフリップフロップ(CapFF)回路と称されることもある。CapFF回路は、閾値基準電圧に基づいて、入力信号の電圧レベルを検出する。閾値基準電圧は、CapFF回路が対応する電圧レベルを検出することができるように選択される。更に、各CapFF回路は、CapFF回路内の不整合を補償するための対応するオフセット補償回路を有する。したがって、各CapFF回路には、互いに独立して、オフセット補償が適用される。CapFF回路内の不整合は、製造公差及び/又はプロセス公差による、CapFF回路の回路要素及びルーティング要素の違いに起因する。一例では、各CapFF回路に対するオフセット補償回路は、コンデンサデジタル/アナログ変換器(CDAC)である。各CapFF回路に対するオフセット補償は各CapFF回路内で生じるので、CapFF回路に加えられた閾値基準電圧は、CapFF回路内の不整合を補償するように調整されない。したがって、各CapFF回路に対する閾値基準電圧は、電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路によって提供され得る。それぞれのオフセット補償回路を用いて各CapFF回路に対するオフセット補償を実行することと、電圧DAC回路を用いて閾値基準電圧を生成することと、により、他の受信機回路設計と比較して、対応する受信機回路の電力要件及び回路面積のオーバーヘッドを低減する。
【0013】
一例では、受信機回路は、データスライサ回路及びエラースライサ回路を含む。データスライサ回路は、1つ以上のデータスライサを含み、エラースライサ回路は、1つ以上のエラースライサを含む。例えば、受信機回路は、パルス振幅変調4レベル(PAM4)受信機である。PAM4受信機では、データスライサ回路は、4レベル振幅変調と関連付けられた4つのデータレベル(例えば、00、01、10及び11)を検出するために、クロック位相ごとに3つのデータスライサを含む。データスライサの各々は、DH(高データラッチ電圧)閾値、DZ(中データラッチ電圧)閾値、及びDL(低データラッチ電圧)閾値のそれぞれ1つに対応する。したがって、4つのクロック位相に対して、受信機回路は12個のデータスライサを含む。更に、受信機回路は、各クロック位相に対するエラースライサを含む。例えば、4つのクロック位相に対して、受信機回路は、電圧レベルEHP(高い電圧の大きさを有する正のエラーラッチ電圧)を検出する第1のエラースライサと、電圧レベルELP(低い電圧の大きさを有する正のエラーラッチ電圧)を検出する第2のエラースライサと、電圧レベルEHN(高い電圧の大きさを有する負のエラーラッチ電圧)を検出する第3のエラースライサと、電圧レベルELN(低い電圧の大きさを有する負のエラーラッチ電圧)を検出する第4のエラースライサと、を含む。したがって、4つのクロック位相に対して、受信機回路は4つのエラースライサを含む。合計で、4つのクロック位相を使用する受信機回路は、合計16個のスライサ(例えば、12個のデータスライサ及び4個のエラースライサ)を有する。PAM4が上記で説明されているが、他の例では、受信機回路はPAM-N受信機であってもよく、ここで、Nは、2以上である。
【0014】
別の例では、受信機回路は、バイナリ非ゼロ復帰(non-return-to zero、NRZ)受信機である。PAM4受信機と同様に、NRZ受信機は、対応する閾値電圧を有する1つ以上のスライサ(例えば、データスライサ及び/又はエラースライサ)を含む。
【0015】
各データ及びエラースライサは、各スライサ内で局所的補償を実行する対応するオフセット補償回路を有するCapFF回路である。更に、電圧DAC回路は、各スライサに閾値基準電圧を提供する。したがって、それぞれのオフセット補償回路を用いて各スライサに対する局所的オフセット補償を実行せず、電圧DAC回路を用いて閾値基準電圧を生成しない受信機(例えば、とりわけ、PAM-N受信機又はNRZ受信機)と比較して、上述のような受信機回路の電力及び回路面積のオーバーヘッドが低減される。例えば、上述の受信機回路は、電力及び回路面積の低減回路要素(例えば、CDAC回路及び電圧DAC回路)を使用する代わりに、オフセット補償及び閾値基準電圧生成用の他の受信機回路の設計で使用される、DAC-FARM回路及び電流/電圧(current to voltage、I2V)回路を省略する。
【0016】
様々な特徴が、図面を参照して以下に記載される。図面は縮尺どおりに描かれている場合もあるか、描かれていない場合もあり、同様の構造又は機能の要素は図面全体を通して同様の参照番号によって表されていることに留意されたい。図面は、特徴の説明を容易にすることのみを意図していることに留意されたい。それらは、特許請求された発明の網羅的な説明として又は特許請求された発明の範囲を限定するものとして意図されていない。加えて、例解された例は、示された全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の例に関連して記載される態様又は利点は、必ずしもその例に限定されず、そのように例解されていなくても、又はそのように明示的に記載されていなくても、任意の他の例において実施され得る。
【0017】
図1は、1つ以上の例による、通信システム100のブロック図を例解する。通信システム100は、シリアライザ/デルシリアライザ(serializer/derserializer、SerDes)110及びSerDes120を含む。SerDes110は、チャネル130を介してSerDes120に通信可能に結合される。チャネル130は、1つ以上のトレース(ルーティング)を含んでもよい。例えば、チャネル130は、2つのトレースを含んでもよく、差動通信チャネルであってもよい。SerDes110及びSerDes120は、1つ以上の特定用途向けIC(application specific IC、ASIC)又は1つ以上のプログラマブルIC(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA))など、1つ以上の集積回路(integrated circuit、IC)の一部であってもよい。
【0018】
SerDes110は、パラレルインシリアルアウト(parallel-in-serial-out、PISO)回路112及び送信機回路114を含む。様々な例では、SerDes110は、追加の回路要素を含む。例えば、SerDes110は、受信機回路及び対応する回路要素を含むことができる。更に、SerDes110は、信号処理回路(例えば、とりわけエンコーダ回路又はデコーダ回路)を含むことができる。PISO回路112は、チャネル130を介した送信機回路114による送信のために、パラレル入力データをシリアル出力データに変換する。
【0019】
SerDes120は、受信機回路122及びシリアルインパラレルアウト(serial-in-parallel-out、SIPO)回路124を含む。SerDes120は、図1に例解されていない追加の回路要素を含むことができる。例えば、SerDes120は、送信機回路及び/又は信号処理回路(例えば、とりわけエンコーダ回路又はデコーダ回路)を含むことができる。受信機回路122は、チャネル130を介して送信機回路114から信号を受信する。更に、受信機回路122は、受信された信号を処理し、出力信号をSIPO回路124に出力する。出力信号はシリアルデータ信号である。SIPO回路124は、受信機回路122から受信されたシリアルデータ信号をパラレル出力データに変換する。
【0020】
通信システム100は、SerDes110及びSerDes120を含むものとして例解されているが、他の例では、送信機回路114及び/又は受信機回路122は、スタンドアロン回路要素であってもよい。更に、送信機回路114及び受信機回路122は、1つ以上のASIC又は1つ若しくはプログラマブルICなど、1つ以上のICの一部であってもよい。
【0021】
図2は、1つ以上の例による、受信機回路122の概略ブロック図を例解する。一例では、受信機回路122は、マルチレベル受信機である。例えば、受信機回路122は、パルス振幅変調4レベル(PAM4)受信機であってもよく、4つのレベルを有するデータ信号を受信して処理する。更に、1つ以上の例では、受信機回路122は、4つのレベルより少ない又は多いデータ信号を受信して処理する。他の例では、受信機回路122は、2つのレベルを有するデータ信号を受信して処理するNRZ受信機である。
【0022】
図2の例では、受信機回路122は、入力パッド212、レベルシフタ回路214、連続時間線形等化器(continuous time linear equalizer、CTLE)回路216、データスライサ回路218、エラースライサ回路220、デシリアライザ回路222、224、クロック及びデータ復元(clock and data-recovery、CDR)適応回路226、クロック生成器回路228及び電圧DAC回路229を含む。
【0023】
送信機回路(例えば、送信機回路114)から送信された信号は、チャネル130を介して、入力パッド212において受信される。レベルシフタ回路214は、入力パッド212に接続され、受信された信号の電圧レベルをCTLE回路216の動作パラメータ内になるように調整する。CTLE回路216は、レベルシフタ回路214に接続される。CTLE回路216は、チャネル130の低域通過特性を補償するために高域通過フィルタ又は帯域通過フィルタとして動作する。レベルシフタ回路214及びCTLE回路216は、信号処理回路213の少なくとも一部を形成する。
【0024】
CTLE回路216は、等化アナログ信号をデータスライサ回路218及びエラースライサ回路220に出力する。データスライサ回路218の各データスライサは、対応する閾値電圧と関連付けられた等化アナログ信号内の電圧レベルを検出する。更に、エラースライサ回路220の各データスライサは、対応する閾値基準と関連付けられた等化アナログ信号内の電圧レベルを検出する。PAM4受信機では、データスライサ回路218は、閾値基準DH、DZ及びDLと関連付けられた等化アナログ信号内の1つ以上のデータレベルを検出する。閾値基準DH、DZ及びDLは各々、それぞれのデータ閾値電圧と関連付けられる。図3のアイダイアグラム300を参照すると、閾値基準DHはデータ閾値電圧DH306に対応し、閾値基準DZはデータ閾値電圧DZ304に対応し、閾値基準DLはデータ閾値電圧DL302に対応する。データ閾値電圧DL302の電圧レベルは、データ閾値電圧DZ304の電圧レベルよりも低く、データ閾値電圧DZ304の電圧レベルは、データ閾値電圧DH306の電圧レベルよりも低い。NRZ受信機(又は、4つより少ない電圧レベルを検出する受信機)では、第1のデータスライサが、第1のデータ閾値電圧と関連付けられ、第2のデータスライサが、第2のデータ閾値電圧と関連付けられる。第2のデータ閾値電圧は、第1のデータ閾値電圧よりも低い電圧レベルを有する。したがって、第1のデータスライサは、第2のデータスライサによって検出されたデータレベルより高い電圧レベルを有するデータレベル(例えば、電圧レベル)を検出する。
【0025】
図3は、PAM-4シグナリング方式の例示的なアイダイアグラムを例解する。PAM-4などの4レベルシグナリング方式では、信号導体(例えば、チャネル130)上の電圧(例えば、送信されるデータ信号)は、増加する電圧の4つの値のうちの1つをとる。例えば、電圧は、第1の値であるエラー電圧値ELN308、第2の値であるエラー電圧値EHN310、第3の値であるエラー電圧値ELP312、又は第4の値であるエラー電圧値EHP314をとり得る。図3に例解されるように、エラー電圧値ELN308はエラー電圧値EHN310よりも低く、エラー電圧値EHN310はエラー電圧値ELP312よりも低く、エラー電圧値ELP312はエラー電圧値EHP314よりも低い。一例では、エラー電圧値EHP314及びエラー電圧値EHN310の大きさは同様である(例えば、製造公差内、回路関連の公差内、及び/又は互いの信号処理の公差内、又は互いに約5パーセント~約10パーセント内)。更に、エラー電圧値ELP312及びエラー電圧値ELN308の大きさは同様である(例えば、製造公差内、回路関連の公差内、及び/又は互いの信号処理の公差内、又は互いに約5~約10パーセント内)。更に、一例では、エラー電圧値EHP314及びエラー電圧値ELP312は正の電圧であり、エラー電圧値EHN310及びエラー電圧値ELN308は負の電圧である。エラー電圧値EHP314及びエラー電圧値ELP312は、データ閾値電圧DZ304を基準にして正の値を有し得、エラー電圧値EHN310及びエラー電圧値ELN308は、データ閾値電圧DZ304を基準にして負の値を有し得る。
【0026】
データ閾値電圧DL302は、エラー電圧値ELN308とエラー電圧値EHN310との間にある。データ閾値電圧DZ304は、エラー電圧値EHN310とエラー電圧値ELP312との間にある。データ閾値電圧DH306は、エラー電圧値ELP312とエラー電圧値EHP314との間にある。
【0027】
図2を更に参照すると、データスライサ回路218は、データスライサ219~219を含む。Nは、2以上である。一例では、データスライサ219~219の各々は、閾値基準DH、DZ、及びDLのうちのそれぞれ1つを検出する。データスライサ回路218は、クロック生成器回路228からクロック信号234を受信する。クロック信号234の各位相について、第1のデータスライサ回路は、閾値基準DHと関連付けられ、等化アナログ信号をサンプリングすることによって第1のデータ信号を出力し、第2のデータスライサ回路は、閾値基準DZと関連付けられ、等化アナログ信号をサンプリングすることによって第2のデータ信号を出力し、第3のデータスライサ回路は、閾値基準DLと関連付けられ、等化アナログ信号をサンプリングすることによって第3のデータ信号を出力する。第1のデータ信号、第2のデータ信号及び第3のデータ信号の各々は、1つ以上のデータビットに対応し得る。
【0028】
データスライサ219~219の各々は、クロック信号234の対応する位相を受信する。例えば、クロック信号234の第1の位相は、データスライサのうちの第1の3つに提供され、クロック信号234の第2の位相は、データスライサのうちの第2の3つに提供され、クロック信号234の第3の位相は、データスライサのうちの第3の3つに提供され、クロック信号234の第4の位相は、データスライサのうちの第4の3つに提供される。一例では、第1の位相は0度であり、第2の位相は90度であり、第3の位相は180度であり、第4の位相は270度である。
【0029】
データスライサ回路218によって生成されたデータ信号は、デシリアライザ回路222に出力される。デシリアライザ回路222は、シリアルデータ信号をパラレル信号に変換し、パラレル信号を通信システム(例えば、通信システム100)内の他の回路要素に提供する。
【0030】
各データスライサ219は、対応するオフセット補償回路223を含む。補償回路223の各々は、制御信号232に基づいて、対応するデータスライサ219内の不整合を補償する。
【0031】
エラースライサ回路220は、CTLE回路216から等化アナログ信号を受信する。エラースライサ回路220は、等化アナログ信号をサンプリングすることによって、エラー出力信号を生成する。例えば、エラースライサ回路220は、等化アナログ信号をサンプリングし、対応するエラー出力信号を出力することによって、エラー電圧値EHP、ELP、EHN、及びELNを表すエラー出力信号を生成する。
【0032】
エラースライサ回路220は、エラースライサ221~221を含む。Nは、2以上である。一例では、エラースライサ回路220は、各エラー電圧値に対するエラースライサを含む。例えば、エラースライサ回路220は、エラー電圧値EHPに対する第1のエラースライサと、エラー電圧値ELP、EHN及びELNに対する第2のエラースライサと、エラー電圧値EHNに対する第3のエラースライサと、エラー電圧値ELNに対する第4のエラースライサと、を含む。
【0033】
一例では、エラースライサ回路221の第1のエラースライサ(例えば、エラースライサ220)は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってEHPのエラー電圧レベルを検出し、エラースライサ回路221の第2のエラースライサ(例えば、エラースライサ220)は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってELPの電圧レベルを検出し、エラースライサ回路221の第3のエラースライサ(例えば、エラースライサ220)は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってエラー電圧レベルEHNを検出し、第4のエラースライサ回路220(例えば、エラースライサ221)は、等化アナログ信号をサンプリングすることによってエラー電圧レベルELNを検出する。各エラースライサは、検出された電圧レベルに基づいて、それぞれのエラー信号を出力する。
【0034】
エラースライサ回路220によって生成されたエラー信号は、デシリアライザ回路224に出力される。デシリアライザ回路224は、エラー信号をシリアルデータ信号からパラレル信号に変換する。
【0035】
各エラースライサ221は、対応するオフセット補償回路225を含む。補償回路225の各々は、制御信号232に基づいて、対応するエラースライサ221内の不整合を補償する。
【0036】
データスライサ回路218及びエラースライサ回路220は、PAM4受信機に関して説明されるが、他の例では、データスライサ回路218及びエラースライサ回路220は、他の種類の受信機に含まれる。例えば、データスライサ回路218及びエラースライサ回路220は、NRZ受信機又はPAM-N受信機内で使用されてもよく、ここで、Nは、4未満である。そのような受信機では、データスライサ回路218は、1つ又はデータスライサ219を含む。各データスライサ219は、それぞれの閾値基準を検出し、それぞれのデータ信号をデシリアライザ回路222に出力する。更に、そのような例では、エラースライサ回路119は、1つ以上のエラースライサ221を含む。各エラースライサ221は、それぞれの閾値基準を検出し、それぞれのエラー信号をデシリアライザ回路224に出力する。
【0037】
CDR適応回路226は、デシリアライザ回路222及びデシリアライザ回路224の出力信号を受信する。CDR適応回路226は、デシリアライザ回路222及びデシリアライザ回路224によって提供される出力信号からクロック制御信号236を生成する。クロック制御信号236は、クロック信号234を生成するためにクロック生成器回路228に出力される。
【0038】
更に、CDR適応回路226は、制御信号232及び制御信号233を生成する。制御信号232は、各スライサ219、221のオフセット補償回路223及び225に出力され、各スライサのオフセット補償回路を制御する。制御信号233は、電圧DAC回路229に出力され、電圧DAC回路229を制御して、各データスライサ及びエラースライサに対する閾値基準電圧235を生成する。
【0039】
電圧DAC回路229は、制御信号233に基づいて、1つ以上の閾値基準電圧235を生成する。例えば、電圧DAC回路229は、データスライサ219及びエラースライサ221に対する閾値基準電圧235を生成する。
【0040】
図4は、1つ以上の例による受信機回路400の一部分を例解する。受信機回路400は、NRZ受信機又はPAM-N受信機内で使用されてもよく、ここで、Nは、2以上である。受信機回路400は、CTLE回路410、スライサ回路420及び電圧DAC回路430を含む。CTLE回路410は、図2のCTLE回路216のものと同様に構成されている。例えば、CTLE回路410は、入力信号を受信し、図2のCTLE回路216に関して上述したように、入力信号から等化アナログ信号412を出力する。等化アナログ信号412は、差動信号である。
【0041】
電圧DAC回路430は、制御信号432を受信し、閾値基準電圧434を生成する。電圧DAC回路430は、図2の電圧DAC回路229と同様に構成されている。制御信号432は、適応回路(例えば、図2のCDR適応回路226)から受信され得る。制御信号432は、閾値基準電圧434を選択して出力するように電圧DAC回路430に指示する。
【0042】
スライサ回路420は、CTLE回路410から等化アナログ信号412を受信し、電圧DAC回路430から閾値基準電圧434を受信する。スライサ回路420は、CapFF回路422を含む。CapFF回路422はまた、スライサ又はサンプリング回路と称されることもある。CapFF回路422は、オフセット補償回路424を含む。オフセット補償回路424は、CapFF回路422内の不整合を補償する。不整合は、回路要素内の製造公差及びCapFF回路422内のルーティングに起因し得る。オフセット補償回路424は、制御信号426を受信し、制御信号426に基づいて、CapFF回路422に適用される補償を調整する。制御信号426は、適応回路(例えば、図2のCDR適応回路226)によって提供され得る。一例では、オフセット補償回路424の容量値は、制御信号426に基づいて調整され、CapFF回路422に適用される補償量を変化させる。
【0043】
CapFF回路422は、入力信号、閾値基準電圧434及び制御信号426に基づいて、データ信号428を生成する。一例では、データスライサ回路218のデータスライサ219及びエラースライサ回路220のエラースライサ221の各々は、CapFF回路422と同様に構成されている。そのような例では、データスライサ219及びエラースライサ221の各々は、等化アナログ信号412、それぞれの閾値基準電圧434及びそれぞれの制御信号426を受信する。更に、データ信号428は、デシリアライザ回路(例えば、デシリアライザ回路222又は224)に出力される。
【0044】
図5は、1つ以上の例による、CapFF回路422及びオフセット補償回路424を含むスライサ回路420の回路レベルの例を例解する。CapFF回路422は、閾値基準電圧434を受信するように構成された複数のトランジスタを含む。一例では、閾値基準電圧434は、それぞれ、トランジスタM3及びM4のゲートにおいて受信される信号utv_p及びutv_nである。閾値基準電圧434は、CapFF回路422の基準電圧レベルを設定する。更に、CapFF回路422のトランジスタM1及びM2は、等化アナログ信号412(例えば、入力信号)を受信する。等化アナログ信号412は、トランジスタM1及びM2のゲートで受信される差動信号である。等化アナログ信号412は、信号in_p及びin_nを含む。信号in_pは、正の極性を有し、信号in_nは、負の極性を有する。信号in_pは、トランジスタM1のゲートで受信され、信号in_nは、トランジスタM2のゲートで受信される。CapFF回路422は、基準電圧レベルと、オフセット補償回路424のオフセット値と、等化アナログ信号412と、に基づいて、データ信号を出力する。
【0045】
データ信号428は、対応する閾値電圧と関連付けられる。例えば、PAM4受信機では、データ信号428は、閾値基準DH、閾値基準DZ、閾値基準DL、エラー電圧レベルEHP、エラー電圧レベルELH、エラー電圧レベルELP又はエラー電圧レベルELNのうちの1つと関連付けられる。
【0046】
オフセット補償回路424は、CapFF回路422のルーティング及び回路要素の不整合を補償するように構成されている。不整合は、製造公差又は他のプロセス公差に起因し得る。オフセット補償回路424によって適用される補償量は、制御信号436に基づく。
【0047】
オフセット補償回路424は、CDAC424a及びCDAC424bを含む。CDAC424aは、CapFF回路422の正の電圧側に補償を適用し、CDAC424bは、CapFF回路422の負の電圧側に補償を適用する。一例では、CDAC424a及び424bは、CapFF回路422の不整合を補償するために、CapFF回路422の寄生容量を調整する。CDAC424a及び424bによって生成された寄生容量は同じであり得、又はCDAC424a及び424bの一方が他方より多くの寄生容量を生成し得る。
【0048】
CDAC424a及びCDAC424bの各々は、2つ以上のコンデンサを含む。一例では、CDAC424a及び424bは、5つのコンデンサを含む。他の例では、CDAC424a及び424bは、5つより多い又は少ないコンデンサを含むことができる。コンデンサは、PMOSコンデンサであり得る。他の例では、PMOSコンデンサ以外のコンデンサが使用され得る。CDAC424a及び/又はCDAC424bのコンデンサは、約10fFの容量値を有する。他の例では、CDAC424a及び/又はCDAC424bのコンデンサは、約10fFより大きい、又は約10fFより小さい容量値を有する。1つ以上の例では、CDAC424a及び424b内のコンデンサの各々は、同じ容量値を有し得る。別の例では、CDAC424a又は424b内の1つ以上のコンデンサは、CDAC424a又は424b内のコンデンサのうちの別の1つとは異なる容量値を有する。
【0049】
制御信号426は、CDAC424a及び424bの各々の容量値を制御する。例えば、CDAC424aのコンデンサは、制御信号426に基づいて、CDAC424aの出力ノードに結合されるか、又はCDAC424aの出力ノードから分離される。CDAC424aのコンデンサを選択的に結合及び分離することにより、CDAC424aの容量値と、CapFF回路422の正側(すなわち、正部分)に導入される寄生容量と、を制御する。CDAC424bのコンデンサは、制御信号426に基づいて、CDAC424bの出力ノードに結合されるか、又はCDAC424bの出力ノードから分離される。CDAC424bのコンデンサを選択的に結合及び分離することにより、CDAC424bの容量値と、CapFF回路422の負側(負部分)に導入される寄生容量と、を制御する。
【0050】
一例では、制御信号426は、制御信号426が、CDAC424a及び424bの容量値を同じ量だけ変更するように、CDAC424a及びCDAC424bを共通に制御する。そのような例では、同じ制御信号426がCDAC424a及び424bに印加される。別の実施形態では、制御信号426は、CDAC424bから独立してCDAC424aを制御する。そのような実施形態では、CDAC424aの容量値は、CDAC424bの容量値から独立して変更することができる。そのような例では、CapFF回路422の一方の側(例えば、正側又は負側)で他方の側よりも多くのオフセット補償が生じ得、CapFF回路422内のランダム不整合を補償する。一例では、CapFF回路422内の不整合は、約-30mV~約30mVの範囲内にある。他の例では、CapFF回路422内の不整合は、約-30mVより小さいか、又は約30mVより大きい。
【0051】
CDAC424a及び424bの容量値が変化すると、CapFF回路422の1つ以上の側(例えば、正側及び負側)に存在する寄生容量が変化する。例えば、CDAC424a又は424bの容量値を増加させることにより、CapFF回路422の対応する側に存在する寄生容量を増加させる。CDAC424a又は424bの容量値を減少させることにより、CapFF回路422の対応する側に存在する寄生容量を減少させる。
【0052】
CDAC424a及び424bの容量値は、CapFF回路422内のオフセット電圧に基づいて、決定される。一例では、適応回路(例えば、CDR適応回路226)は、CDAC424a及び424bの容量値を示す制御信号426を生成する。オフセット電圧は、CapFF回路422内のノードX及びノードYにおける負荷差分に基づいて、決定される。ノードXは、トランジスタM1のドレインにあり、ノードYは、トランジスタM2のドレインにある。一例では、オフセット電圧は、ΔC=C-Cに基づいて、決定される。C及びCは、ノードX及びノードYにおける容量負荷である。負荷差分は、CapFF回路422のトリップ点を変化させ得る。トリップ点は、データ信号416の値を値0から値1へ、又は値1から値0へ切り替える点である。トリップ点のシフトは、次式に基づいて決定される。
【0053】
【数1】
【0054】
は、CapFF回路422の総負荷容量であり、Iは、CapFF回路422の総電流であり、gm1は、CapFF回路422の総トランスコンダクタンスであり、Vod1は、CapFF回路422のオーバードライブである。
【0055】
図6は、1つ以上の例による電圧DAC回路430の例示的な実装形態を例解する。電圧DAC回路430は、CapFF回路422に対する閾値基準電圧434を生成する。一例では、電圧DAC回路430は、対応する受信機回路のCapFF回路(スライサ)に対する閾値基準電圧434を生成する。一例では、電圧DAC回路430は、差動電圧として、対応する受信機回路内の各データスライサ及びエラースライサに対する閾値基準電圧434を生成する。例えば、PAM4受信機に関して、電圧DAC回路430は、閾値基準電圧DHと関連付けられたデータ信号を生成するように構成されたデータエラースライサのための差動電圧dh_n及びdh_pと、閾値基準電圧DLと関連付けられたデータ信号を生成するように構成されたデータスライサのための差動電圧dl_n及びdl_pと、を生成する。更に、電圧DAC回路430は、エラー電圧値EHPと関連付けられたエラー信号を生成するように構成されたエラースライサのための差動電圧ehp_n及びehp_pと、エラー電圧値ELPと関連付けられたエラー信号を生成するように構成されたエラースライサのための差動電圧elp_n及びelp_pと、エラー電圧値EHNと関連付けられたエラー信号を生成するように構成されたエラースライサのための差動電圧ehn_n及びehn_pと、エラー電圧値ELNと関連付けられたエラー信号を生成するように構成されたエラースライサのための差動電圧eln_n及びeln_pと、を生成する。
【0056】
差動電圧dh_n及びdh_pは、閾値電圧基準Vdhに対応し、差動電圧dl_n及びdl_pは、閾値電圧基準Vdlに対応し、差動電圧ehp_n及びehp_pは、閾値電圧基準Vehpに対応し、差動電圧elp_n及びelp_pは、閾値電圧基準Velpに対応し、差動電圧ehn_n,及びehn_pは、閾値電圧基準Vehnに対応し、差動電圧eln_n及びeln_pは、閾値電圧基準Velnに対応する。更に、閾値基準電圧434が、閾値電圧基準Vdhを通信するために使用されると、閾値基準電圧434は、差動電圧dh_n及びdh_pを通信する。閾値電圧基準Vdzは、0ボルトの差を有する共通電圧に対応する。閾値基準電圧Vdh、Vdl、Vehp、Vehn、Velp及びVelnは、差動電圧としての閾値電圧基準434として通信される。
【0057】
電圧DAC回路430は、分圧器612及びマルチプレクサ回路630を含む。分圧器612は、抵抗器ストリング620、トランジスタ621及び622を含む。分圧器612は、開ループ分圧器である。トランジスタ621は、分圧器612の電力状態を制御するためのスイッチとして機能し、トランジスタ622は、分圧器612の中点(例えば、分圧器の中間電圧)が共通電圧Vcmであるように、トランジスタ621と整合する。
【0058】
抵抗器ストリング620は、複数の抵抗器を含む。一例では、抵抗器ストリングは、258個の個別抵抗器を含む。他の例では、抵抗器ストリング620は、258個より多い又は少ない個別抵抗器を含む。抵抗器R1~R256は、抵抗器ストリング620の内部領域を形成する。抵抗器R1~R256は、同じ抵抗値を有する。例えば、抵抗器R1~R256の各々は、約7オームの抵抗値を有する。他の例では、抵抗器R1~R256の抵抗は、7オームよりも小さい又は大きい抵抗値を有する。一例では、抵抗器R1~R256は、同一の寄生金属抵抗器である。
【0059】
抵抗器R0及びR257は、分圧器612を通る電流を制限する。分圧器612を通る電流を制限することにより、抵抗器R1~R256の各々の分解能を増加させる。抵抗R0及びR257は、抵抗R1~R256のものよりも大きい抵抗値を有する。一例では、抵抗器R0及びR257の抵抗値は同じである。別の例では、抵抗器R0及びR257のうちの1つは、別の抵抗器よりも大きい抵抗値を有する。抵抗器R0及びR257は、約2キロオームの抵抗値を有する。別の例では、抵抗器R0及びR257のうちの少なくとも1つは、約2キロオームより大きいか又は小さい抵抗値を有する。抵抗器R0及びR257は、分圧器612を通る直流(direct current、DC)電流を制限するために、面積に基づいて高いシート抵抗を有するHiR抵抗器であり得る。例えば、DC電流は、約180μAであってもよい。他の例では、DC電流は、180μAより大きくても小さくてもよい。
【0060】
電圧は、抵抗器R0~R257の隣接する抵抗器同士の間のタップ点で生成される。抵抗器ストリング620の抵抗器は、正の電圧dvp<1>~dvp<127>、共通電圧Vcm及び負の電圧dvn<1>~dvn<127>を生成する。抵抗器ストリング620は、128個の電圧を生成するが、他の例では、抵抗器ストリング620は、128個より多い又は少ない電圧を生成してもよい。生成される電圧の数は、抵抗器ストリング620内の抵抗器の数と、抵抗器間の選択されたタップ点と、に対応する。抵抗器ストリング620内の抵抗器の数及び/又はタップ点の数を増加又は減少させることにより、生成される電圧の数が増加又は減少され得る。
【0061】
電圧の極性は、共通電圧Vcmを基準とする。一例では、電圧dvp<1>及びdvn<1>の大きさは、電圧dvp<127>及びdvn<127>の大きさよりも小さい。電圧の大きさは、電圧vcmと電圧dvp<127>との間、及び電圧Vcmと電圧dnv<127>との間で徐々に増加する。
【0062】
一例では、抵抗器ストリング620の各抵抗器にかかる電圧は同じである。別の例では、抵抗器ストリングの抵抗器のうちの1つ以上にわたる電圧は、別の抵抗器のものとは異なる。抵抗器ストリング620の内部領域の抵抗器R1~R256の各々にかかる電圧は、約1.2mVである。別の言い方をすれば、抵抗器ストリング620の内部領域の抵抗器R1~R256の各々は、2.4mVの段差を生成する。一例では、分圧器612は128個の段(例えば、7ビット)を有し、出力電圧内に約+/-300mVの範囲を提供する。他の例では、抵抗器R1~R256の各々にかかる電圧は、1.2mVより大きくても小さくてもよく、抵抗器の抵抗値に基づく。更に、段の数は、128個より大きくても小さくてもよく(例えば、7ビットより大きいか又は小さい)、抵抗器ストリング620内の抵抗器の数及び使用されるタップ点の数に基づく。更に、電圧範囲は、+/-300mVより大きくても小さくてもよい。抵抗器R0とR1との間の電圧降下は、約360mVであり、抵抗器R256とR257との間の電圧降下は、約360mVである。他の例では、抵抗器R0とR1との間の電圧降下は、約360mVより大きくても小さくてもよく、抵抗器R256とR257との間の電圧降下は、360mVより小さくても大きくてもよい。
【0063】
抵抗器ストリング620によって生成される各電圧は、コードと関連付けられる。コードは、制御信号432に基づいて抵抗器ストリング620によって生成される電圧を選択するために、マルチプレクサ回路630によって使用され得る。
【0064】
抵抗器ストリング620は、マルチプレクサ回路630に接続される。マルチプレクサ回路630は、閾値基準電圧434の第1の差動電圧及び第2の差動電圧として出力されるように、抵抗器ストリング620によって生成された電圧から電圧対を選択する。マルチプレクサ回路630は、制御信号432に基づいて、電圧対を選択する。マルチプレクサ回路630は、2つ以上のマルチプレクサ632を含む。一例では、マルチプレクサ回路630は、各閾値基準電圧に対するマルチプレクサ632を含む。一例では、PAM4受信機の場合、差動電圧dh_n及びdh_p、dl_n及びdl_p、ehp_n及びehp_p、elp_n及びelp_p、ehn_n及びehn_p並びにeln_n及びeln_pを生成するために、マルチプレクサ回路630は、6つのマルチプレクサ632を含む。別の例では、NRZ受信機の場合、マルチプレクサ回路630は、対応するデータ及びエラー基準電圧を生成するために、2つ以上のマルチプレクサ632を含む。マルチプレクサ632は、各対の第1のマルチプレクサが、抵抗器ストリング620からの正の電圧を選択し、各対の第2のマルチプレクサが、抵抗器ストリング620からの負の電圧を選択するように、対にグループ化され得る。
【0065】
各マルチプレクサ632は、128対1マルチプレクサである。他の例では、マルチプレクサ632は、128対1マルチプレクサよりも大きくても小さくてもよい。更に、マルチプレクサ632の比は、分圧器612によって生成された電圧に基づく。例えば、分圧器612が128個より多い電圧を生成する場合、マルチプレクサ632の比は128対1より大きく、分圧器612が128個より少ない電圧を生成する場合、マルチプレクサ632の比は128対1より小さい。
【0066】
マルチプレクサ632は、制御信号432に基づいて、閾値基準電圧434を構成する電圧対を選択する。制御信号432は、抵抗器ストリング620によって生成されたどの電圧を選択して出力するかに関する指示を、マルチプレクサ632の各々に提供する。制御信号432は、選択対象である、抵抗器ストリング620によって出力された各電圧を示すコードを含む。
【0067】
制御信号432は、デコーダ回路634によって受信され、復号される。一例では、マルチプレクサ632は、各閾値基準電圧に対して2つのマルチプレクサ632が割り当てられるように、対にグループ化される。対のうちの第1のマルチプレクサ632は、正の電圧を選択し、対のうちの第2のマルチプレクサは、負の電圧を選択する。マルチプレクサ632の各対は、デコーダ回路634を共有する。デコーダ回路634は、バイナリデコーダ又は別の種類のデコーダであってもよい。デコーダ回路634内のビット数は、分圧器612によって生成される電圧の数に対応する。一例では、デコーダ回路634のサイズは、7ビットである。別の例では、デコーダ回路634のサイズは、7ビットより大きいか又は小さい。デコーダ回路634は、制御信号432を受信し、正の電圧に対応する第1のコードと、負の電圧に対応する第2のコードと、を生成する。第1のコードは、第1のマルチプレクサ対の第1のマルチプレクサに出力され、第2のコードは、第1のマルチプレクサ対の第2のマルチプレクサに出力される。第1のマルチプレクサ及び第2のマルチプレクサの各々は、第1のコード及び第2のコードに基づいて、抵抗器ストリング620から電圧を選択する。
【0068】
一例では、マルチプレクサの各対の各マルチプレクサ632は、正の電圧又は負の電圧に対応するコードを受信し、抵抗器ストリング620によって生成されたどの電圧を選択するかを、各マルチプレクサ632に指示する。一例では、デコーダ回路634は、制御信号432を復号し、コード0を出力する。コード0は、0差動に対応し、1対のマルチプレクサの各マルチプレクサ632に、共通電圧Vcmを選択するように指示する。別の例では、デコーダ回路634は、制御信号432からコード127を生成する。コード127は、第1の対のマルチプレクサの第1のマルチプレクサ632に出力され、電圧dvp<127>を選択し、第1の対のマルチプレクサの第2のマルチプレクサ632は、電圧dvn<127>を選択する。
【0069】
一例では、マルチプレクサ632の各対は、非オーバラップ期間中にデコーダ回路634によって復号されたコードに基づいて、抵抗器ストリング620から対応する電圧を選択する。他の例では、マルチプレクサ632の対のうちの2つ以上が、少なくとも部分的にオーバラップする期間中にデコーダ回路634によって復号されたコードに基づいて、抵抗器ストリング620からの電圧を選択する。
【0070】
図4図6は、オフセット補償が、各CapFF回路(例えば、CapFF回路422)内のオフセット補償回路(例えば、オフセット補償回路424)によって実行され、閾値基準電圧が、電圧DAC回路(例えば、電圧DAC回路430)によって生成される、例示的な受信機回路400を説明する。オフセット補償回路は、各CapFF回路と関連付けられ、オフセット補償は、各CapFF回路内で他の各CapFF回路から独立して実行される。したがって、オフセット補償は、CapFF回路に提供される前の各閾値基準電圧に対して実行されない。したがって、閾値電圧基準は、2つ以上のスライサ(例えば、異なるクロック位相と関連付けられたデータスライサ)によって共有され得る。受信機の複数のデータスライサ及びエラースライサでは、同じ閾値電圧基準を2つ以上のデータスライサに提供することにより、各データ及び/又はエラースライサに対する閾値電圧を独立して生成することと比較して、生成される閾値電圧基準の数を低減する。したがって、そのような受信機の回路は、他の受信機と比較して簡略化され得、例えば、DAC-FARM及びI2V回路が省略され得、対応する受信機回路の回路面積及び電力要件を低減する。
【0071】
図7は、1つ以上の例による、受信機回路を動作させるための方法700のフローチャートを例解する。受信機回路は、NRZ受信機又はPAM-N受信機の一部であってもよく、ここで、Nは、2以上である。ブロック710では、オフセット補償が、CapFF回路(例えば、スライサ)に適用される。一例では、オフセット補償回路424は、CapFF回路422に補償を適用する。オフセット補償回路424は、制御信号426を受信し、CDAC424a及び/又は424bの容量を調整して、CapFF回路422の対応する寄生容量を調整し、CapFF回路422内の不整合を補償する。一例では、適応回路(例えば、図2のCDR適応回路226)は、受信機回路400の電源投入時又はリセット時に、制御信号426を生成する。適応回路は、CapFF回路422の出力が値を(例えば、0から1に、又は1から0に)変更するまで、あるいは、CapFF回路422の出力が時間の約50パーセントで0の値であり、時間の約50パーセントで1の値であるまで、オフセット補償回路424によって適用される補償を調整するために、制御信号を送り続ける。CapFF回路以外のものを含む受信機回路では、各CapFF回路に対する補償回路は、非オーバラップ期間中に独立して調整される。他の実施形態では、2つ以上のそれぞれのCapFF回路に対する2つ以上の補償回路は、少なくとも部分的にオーバラップする期間中に調整され得る。
【0072】
ブロック720では、CapFF回路に対する閾値基準電圧が生成される。例えば、電圧DAC回路430は、制御信号432に基づいて、CapFF回路422に対する閾値基準電圧を生成する。一例では、デコーダ回路634は、制御信号432から1つ以上のコードを生成する。1つ以上のコードは、第1のマルチプレクサ632及び第2のマルチプレクサ632に出力される。一例では、コードは、図2のデシリアライザ回路222及び/又は図2のデシリアライザ回路224の出力に基づいて、図2のCDR適応回路226によって生成される。
【0073】
第1のマルチプレクサ632は、1つ以上のコードに基づいて、分圧器612の抵抗器ストリング620から第1の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧に対する第1の差動電圧を出力する。第2のマルチプレクサ632は、1つ以上のコードに基づいて、分圧器612の抵抗器ストリング620から第2の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧に対する第2の差動電圧を出力する。第1の差動電圧及び第2の差動電圧は、閾値基準電圧としてCapFF回路422に出力される。一例では、第1の差動電圧及び第2の差動電圧は、2つ以上のCapFF回路に出力される。例えば、第1の差動電圧及び第2の差動電圧は、各異なるクロック位相と関連付けられたCapFF回路に出力される。
【0074】
適応回路(例えば、CDR適応回路226)は、制御信号432を生成する。適応回路は、生成対象の各閾値基準電圧に対して異なる制御信号を生成し得る。適応回路は、各スライサ(例えば、CapFF回路)のオフセット補償の完了に基づいて、制御信号432を生成する。一例では、制御信号432は、対応する受信機回路の動作中に生成される。一例では、図2を参照すると、CDR適応回路226は、デシリアライザ回路222及び/又はデシリアライザ回路224の出力に基づいて、制御信号432を生成する。
【0075】
上記では、CapFF回路(又はスライサ)は、対応するオフセット補償回路を含む。オフセット補償回路は、対応するCapFF回路内の不整合を緩和する。CapFF回路内にオフセット補償回路を含むことにより、各CapFF回路の独立した調整と、各CapFF回路に対する閾値基準電圧を生成するための電圧DAC回路の使用と、を可能にする。したがって、他の受信機回路設計と比較して、上述のような受信機回路は、電力要件及び回路面積要件を低減している。
【0076】
以下の非限定的な例において、上で開示した技術を具現化し得る。
【0077】
実施例1.通信システムのための受信機回路であって、受信機回路が、データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、第1の閾値基準電圧を生成するように構成された電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路と、信号処理回路の出力に結合されたスライサ回路と、を備え、スライサ回路が、
処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信し、第1のデータ信号を生成するように構成された第1のキャプチャフリップフロップ(CapFF)回路であって、第1のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第1のオフセット補償回路を備える、第1のCapFF回路を備える、受信機回路。
【0078】
実施例2.電圧DAC回路が、複数の電圧を生成するように構成された分圧器回路と、分圧器回路に結合され、複数の電圧に基づいて、第1の閾値基準電圧を出力するように構成されたマルチプレクサ回路と、を備える、実施例1に記載の受信機回路。
【0079】
実施例3.マルチプレクサ回路が、複数の電圧のうちの第1の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧の第1の差動電圧として第1の電圧を出力するように構成された第1のマルチプレクサと、複数の電圧のうちの第2の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧の第2の差動電圧として第2の電圧を出力するように構成された第2のマルチプレクサと、を備える、実施例2に記載の受信機回路。
【0080】
実施例4.第1のオフセット補償回路が、第1のCapFF回路の第1のノードに接続され、第1のノードに第1の寄生容量を印加するように構成された第1のコンデンサDAC(CDAC)と、第1のCapFF回路の第2のノードに接続され、第2のノードに第2の寄生容量を印加するように構成された第2のCDACと、を備える、実施例1に記載の受信機回路。
【0081】
実施例5.第1のCDACが、第1の制御信号に基づいて、第1の寄生容量を増加させるように更に構成されており、第2のCDACが、第2の制御信号に基づいて、第1の寄生容量を増加させるように更に構成されている、実施例4に記載の受信機回路。
【0082】
実施例6.第1の寄生容量が、第2の寄生容量と異なる、実施例4に記載の受信機回路。
【0083】
実施例7.電圧DAC回路が、第2の閾値基準電圧を生成するように更に構成されており、スライサ回路が、処理されたデータ信号及び第2の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、第2のCapFF回路が、第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、実施例1に記載の受信機回路。
【0084】
実施例8.スライサ回路が、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、第2のCapFF回路が、第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、実施例1に記載の受信機回路。
【0085】
実施例9.通信システムであって、データ信号を送信するように構成された送信機回路と、チャネルを介して送信機回路に接続された受信機回路と、を備え、受信機回路が、データ信号を受信し、処理されたデータ信号を生成するように構成された信号処理回路と、第1の閾値基準電圧を生成するように構成された電圧デジタル/アナログ変換器(DAC)回路と、信号処理回路の出力に結合されたスライサ回路と、を備え、スライサ回路が、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信し、第1のデータ信号を生成するように構成された第1のキャプチャフリップフロップ(CapFF)回路であって、第1のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第1のオフセット補償回路を備える、第1のCapFF回路を備える、通信システム。
【0086】
実施例10.電圧DAC回路が、複数の電圧を生成するように構成された分圧器回路と、分圧器回路に結合され、複数の電圧に基づいて、第1の閾値基準電圧を出力するように構成されたマルチプレクサ回路と、を備える、実施例9に記載の通信システム。
【0087】
実施例11.マルチプレクサ回路が、複数の電圧のうちの第1の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧の第1の差動電圧として第1の電圧を出力するように構成された第1のマルチプレクサと、複数の電圧のうちの第2の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧の第2の差動電圧として第2の電圧を出力するように構成された第2のマルチプレクサと、を備える、実施例10に記載の通信システム。
【0088】
実施例12.第1のオフセット補償回路が、第1のCapFF回路の第1のノードに接続され、第1のノードに第1の寄生容量を印加するように構成された第1のコンデンサDAC(CDAC)と、第1のCapFF回路の第2のノードに接続され、第2のノードに第2の寄生容量を印加するように構成された第2のCDACと、を備える、実施例9に記載の通信システム。
【0089】
実施例13.電圧DAC回路が、第2の閾値基準電圧を生成するように更に構成されており、スライサ回路が、処理されたデータ信号及び第2の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、第2のCapFF回路が、第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、実施例9に記載の通信システム。
【0090】
実施例14.スライサ回路が、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信するように構成された第2のCapFF回路を更に備え、第2のCapFF回路が、第2のCapFF回路の寄生容量を調整するように構成された第2のオフセット補償回路を備える、実施例9に記載の通信システム。
【0091】
実施例15.受信機回路を動作させるための方法であって、方法が、データ信号を受信し、処理されたデータ信号をデータ信号から生成することと、電圧/アナログ変換器(DAC)回路を介して、第1の閾値基準電圧を生成することと、第1のCapFF回路において、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信することと、第1のCapFF回路の第1のオフセット補償回路を介して、第1のCapFF回路の寄生容量を調整することと、処理されたデータ信号から出力信号を生成することと、を含む、方法。
【0092】
実施例16.分圧器を介して、複数の電圧を生成することと、マルチプレクサ回路を介して、複数の電圧に基づいて、第1の閾値基準電圧を出力することと、を更に含む、実施例15に記載の方法。
【0093】
実施例17.第1の閾値基準電圧を出力することが、マルチプレクサ回路の第1のマルチプレクサを介して、複数の電圧のうちの第1の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧の第1の差動電圧として第1の電圧を出力することと、マルチプレクサ回路の第2のマルチプレクサを介して、複数の電圧のうちの第2の電圧を選択し、第1の閾値基準電圧の第2の差動電圧として第2の電圧を出力することと、を含む、実施例16に記載の方法。
【0094】
実施例18.第1のオフセット補償回路の第1のコンデンサ(CDAC)を介して、第1の寄生容量を第1のCapFF回路の第1のノードに印加することと、第1のオフセット補償回路の第2のCDACを介して、第2の寄生容量を第1のCapFF回路の第2のノードに印加することと、を更に含む、実施例15に記載の方法。
【0095】
実施例19.電圧DAC回路を介して、第2の閾値基準電圧を生成することと、第2のCapFF回路において、処理されたデータ信号及び第2の閾値基準電圧を受信することと、第2のCapFF回路の第2のオフセット補償回路を介して、第2のCapFF回路の寄生容量を調整することと、を更に含む、実施例15に記載の方法。
【0096】
実施例20.第2のCapFF回路において、処理されたデータ信号及び第1の閾値基準電圧を受信することと、第2のCapFF回路の第2のオフセット補償回路を介して、第2のCapFF回路の寄生容量を調整することと、を更に含む、実施例15に記載の方法。
【0097】
上記は特定の例を対象とするが、他の例及び更なる例が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の「特許請求の範囲」によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】