(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】抗VEGFAとVEGFC二重特異性抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20240725BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240725BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240725BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240725BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240725BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240725BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240725BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240725BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240725BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240725BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240725BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240725BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C07K16/24 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P27/02
A61P3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508417
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2022111717
(87)【国際公開番号】W WO2023016516
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110932078.7
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519274183
【氏名又は名称】イノベント バイオロジクス(スーチョウ)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100225598
【氏名又は名称】桐島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】リー イーミン
(72)【発明者】
【氏名】フー スーイー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ピンリャン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ショアイシアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
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4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
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4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、VEGFCと特異的に結合する単一ドメイン抗体ポリペプチドおよびその構築物に関し、特に抗VEGFC/VEGFA二重特異性結合タンパク質に関する。本発明は、また、上記ポリペプチドとタンパク質をコードするポリヌクレオチド、発現ベクターと宿主細胞、およびその医薬組成物、ならびに血管新生関連疾患を治療する方法および使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトVEGFCと特異的に結合する単一ドメイン抗体(sdAb)ポリペプチドであって、3つのCDRと4つのFRとからなる下記の式で示されるVHHドメイン:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、
ここで、前記VHHドメインは、
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR1、配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR2、および配列番号3で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR3、
(ii)配列番号9で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR1、配列番号10で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR2、および配列番号11で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR3、
(iii)配列番号17で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR1、配列番号18で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR2、および配列番号19で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR3、あるいは
(iv)配列番号21で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR2、および配列番号23で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCDR3、
を含む、前記ポリペプチド。
【請求項2】
前記VHHドメインは、
(i)配列番号4、8、12、16、20および24から選ばれるアミノ酸配列、好ましくは配列番号20のアミノ酸配列、より好ましくは配列番号24のアミノ酸配列、あるいは
(ii)前記(i)のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列、あるいは
(iii)前記(i)のアミノ酸配列に対して少なくとも1個~30個、1個~20個、1個~15個、1個~10個、または1個~5個のアミノ酸変化(例えば、置換、欠失および/または挿入、好ましくは置換、より好ましくは保存的置換)のアミノ酸配列、
を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記VHHドメインはヒト化されたものである、
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記単一ドメイン抗体ポリペプチドは、前記VHHドメインからなる単鎖抗体ポリペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
少なくとも1つの請求項1に記載の単一ドメイン抗体ポリペプチドを含むタンパク質であって、例えば、融合タンパク質またはキメラポリペプチドであり、好ましくは、前記タンパク質はVHH-Fc抗体である、前記タンパク質。
【請求項6】
二重特異性結合タンパク質であって、
(i)ヒトVEGFCと特異的に結合する第1の抗原結合成分と、
(ii)ヒトVEGFAと特異的に結合する第2の抗原結合成分と、
を含み、
ここで、前記第1の抗原結合成分は、請求項1~4のいずれか1項に記載の単一ドメイン抗体ポリペプチドを含み、かつ
前記二重特異性結合タンパク質は、VEGFAとそのVEGF受容体の結合を抑制するとともに、VEGFCとそのVEGF受容体の結合を抑制する、
前記二重特異性結合タンパク質。
【請求項7】
前記第1の抗原結合成分は、リンカーを介して前記第2の抗原結合成分に連結され、好ましくは、前記リンカーは、G(G4S)nまたは(G4S)nアミノ酸配列を含み、n=1、2、3、4もしくは5の整数であり、好ましくはn=2、3もしくは4である、請求項6に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項8】
前記第2の抗原結合成分は、抗VEGFA抗体(例えば、単鎖Fv抗体、Fab抗体、Fab’抗体、(Fab)
2抗体、単一ドメイン抗体およびナノボディ)、VEGF-A トラップ分子、またはVEGFA結合ドメインを含むFc融合タンパク質から選ばれる、請求項6または7に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項9】
前記第2の抗原結合成分は、前記VEGF-A結合ドメインを含むFc融合タンパク質であり、好ましくは、ヒトIgG FcのN末端と融合したVEGF-A結合ドメイン、例えば、VEGFR1および/またはVEGFR2受容体由来のVEGF-A結合ドメインを含み、
好ましくは、前記VEGF-A結合ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
より好ましくは、VEGF-A結合ドメイン-Fc融合ポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項10】
VEGFAに結合する前記単一ドメイン抗体ポリペプチドは、前記Fc融合ポリペプチドのC末端に連結される、請求項9に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項11】
前記タンパク質は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含み、ここで、
前記第1のポリペプチド鎖と前記第2のポリペプチド鎖は、同じであるとともに、それぞれ配列番号40~41および44~47から選ばれるアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
好ましくは、前記第1のポリペプチド鎖と前記第2のポリペプチド鎖は、同じであるとともに、それぞれ配列番号47で示されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項12】
前記第2の抗原結合成分は、VH-CH1およびVL-CLからなる抗VEGF-A Fab抗体を含み、
好ましくは、前記VHは配列番号34~36のHCDR1~3のアミノ酸配列を含み、かつ前記VLは配列番号37~39のLCDR1~3のアミノ酸配列を含み、
より好ましくは、前記VHは配列番号29のアミノ酸配列を含み、かつ前記VLは配列番号32のアミノ酸配列を含み、
さらに好ましくは、前記Fab断片は配列番号28および配列番号31のアミノ酸配列を含む、請求項6または7に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項13】
前記単一ドメイン抗体ポリペプチドは、前記Fab抗体のVH-CH1および/またはVL-CLのC末端に連結され、好ましくはリンカーを介して連結される、請求項12に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項14】
前記タンパク質は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含み、ここで、
前記第1のポリペプチド鎖は、前記Fab抗体のVH-CH1ポリペプチドのC末端と融合した前記単一ドメイン抗体ポリペプチドを含み、かつ
前記第2のポリペプチド鎖は、前記Fab抗体のVL-CLポリペプチドのC末端と融合した前記単一ドメイン抗体ポリペプチドを含む、請求項13に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項15】
前記第1のポリペプチド鎖および前記第2のポリペプチド鎖は、
-配列番号42のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、および配列番号43のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、
-配列番号48のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、および配列番号49のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、
-配列番号50のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、および配列番号51のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、
から選ばれ、
好ましくは、前記第1のポリペプチド鎖は配列番号48で示されるアミノ酸配列を含み、かつ前記第2のポリペプチド鎖は配列番号49で示されるアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の二重特異性結合タンパク質。
【請求項16】
請求項1~4のいずれか1項に記載の単一ドメイン抗体ポリペプチド、請求項5に記載のタンパク質または請求項6~15のいずれか1項に記載の二重特異性結合タンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項17】
請求項16に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項18】
請求項17に記載のベクターをトランスフェクションした、宿主細胞。
【請求項19】
請求項1~4のいずれか1項に記載の単一ドメイン抗体ポリペプチド、請求項5に記載のタンパク質または請求項6~15のいずれか1項に記載の二重特異性結合タンパク質を産生する方法であって、請求項18に記載の宿主細胞を培養することと、産生された単一ドメイン抗体ポリペプチドまたは二重特異性結合タンパク質を回収することと、を含む、前記方法。
【請求項20】
請求項1~4のいずれか1項に記載の単一ドメイン抗体ポリペプチド、請求項5に記載のタンパク質または請求項6~15のいずれか1項に記載の二重特異性結合タンパク質と、薬学的に許容されるベクターと、を含む、医薬組成物。
【請求項21】
血管新生関連疾患を治療する方法であって、請求項1~4のいずれか1項に記載の単一ドメイン抗体ポリペプチド、請求項5に記載のタンパク質もしくは請求項6~15のいずれか1項に記載の二重特異性結合タンパク質またはその医薬組成物を、対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
前記疾患は固形腫瘍、好ましくは黒色腫であり、ここで、前記二重特異性結合タンパク質の投与により、腫瘍内の血管新生および/または腫瘍の増殖が抑制される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患は眼疾患であり、好ましくは加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、網膜血管閉塞および角膜血管新生である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~4のいずれか1項に記載の単一ドメイン抗体ポリペプチド、請求項5に記載のタンパク質あるいは請求項6~15のいずれか1項に記載の二重特異性結合タンパク質の、対象において疾患を治療および/または予防するための薬物を調製するため、ならびに/もしくは疾患を診断する診断ツールを調製するための使用であって、ここで、前記疾患は、好ましくは血管新生関連疾患であり、例えば固形腫瘍および眼疾患である、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VEGFCと特異的に結合する単一ドメイン抗体ポリペプチドおよびその構築物に関し、特に抗VEGFC/VEGFA二重特異性結合タンパク質に関する。本発明は、また、上記ポリペプチドとタンパク質をコードするポリヌクレオチド、発現ベクターと宿主細胞、およびその医薬組成物、ならびに血管新生関連疾患を治療する方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内皮増殖因子(VEGF)は、成人における健康時と疾患時の血管の発達と血液およびリンパ管の機能の主要な調節因子である。現在、VEGFファミリーは、VEGFA(VEGFA165とも呼ばれる)、VEGFB、VEGFC、VEGFD、および胎盤増殖因子(PlGF)という構造的に関連する5つの因子からなることが知られている。VEGFファミリーメンバーは、主にホモ二量体ポリペプチドの形態で存在し、関連するVEGF受容体と結合することにより、シグナル伝達を誘導し、対応する生物学的効果を引き出す。
【0003】
血管内皮増殖因子A(VEGF-A)は、血管新生サイトカインとして、2つの高親和性膜貫通型チロシンキナーゼ受容体(VEGFR-1およびVEGFR-2)との相互作用により、正常および異常な血管新生過程に関与する。現在、血管新生に関連する疾患が改善されるように、VEGF-A経路を阻害するためのさまざまな方法が提案されている。提案されたVEGF-A阻害剤/拮抗剤は、VEGF-Aを標的とする中和抗体、およびVEGF-Aとその正常な受容体の結合を妨げる可溶性デコイ受容体とトラップ分子を含む。例えば、ヒト化モノクローナル抗VEGF-A抗体であるbevacizumab(商品名Avastin)は、結腸直腸癌、乳癌および肺癌を治療するために承認された。Ranibizumab(ラニビズマブ、商品名Lucentis)は、bevacizumabと同じ親マウス抗体由来のモノクローナル抗体断片であり、親分子よりも遥かに小さいとともに、親和性成熟により、より強いVEGF-A結合特性を提供する(WO98/45331)。Ranibizumabは、湿性加齢黄斑変性症を治療するために承認された。Aflibercept(アフリベルセプトとも呼ばれ、VEGFA-トラップ、商品名Elyea)は、ヒトVEGF受容体1および2に由来するリガンド結合ドメインと、ヒトIgG1 Fc領域とを融合することにより形成された組換え融合タンパク質であり、加齢黄斑変性症などの血管新生関連網膜疾患を治療するために承認され、かつ臨床試験において固形腫瘍の治療のために使用されている。
【0004】
血管内皮増殖因子C(VEGF-C)は、リンパ管新生関連サイトカインとして同定され、チロシンキナーゼ受容体であるVEGFR2およびVEGFR3を介して作用する。VEGF-Cは、血管内皮細胞上のVEGFR2に結合することにより、血管新生過程に関与する。さらに、VEGF-Cは、受容体VEGFR3に結合することにより、リンパ管新生およびリンパ内皮細胞の増殖と遊走を刺激する。VEGFR3は、構造的にVEGFR1および2に類似しているが、VEGF-Aとは結合しない。VEGFR3は、リンパ管細胞に加えて血管内皮細胞にも高く発現していることが見出された。VEGF-C/VEGFR3シグナル伝達経路の阻害は、さまざまな転移性腫瘍モデルにおいて腫瘍のリンパ管新生および転移を抑制するために提案された。さらに、現在、脈管新生関連網膜症の治療のために、Opthea社によって開発されたOPT-032(VEGFR3由来のリガンド細胞外ドメインから構築されたVEGFC/D阻害剤)などのVEGF-C トラップ分子が開発された。
【0005】
多くの疾患過程では、脈管新生の発生に関連することが同定され、上記疾患過程は、例えば、癌、自己免疫疾患および網膜症などを含む。血管とリンパ管の増殖におけるVEGF-AおよびVEGF-Cの役割を考えて、脈管新生関連疾患、例えば、腫瘍の増殖および転移において、VEGF-AとVEGF-Cは、互いに相乗的な促進効果を有し得ることが提案されている。従って、本分野には、新たな抗脈管新生分子、特にVEGF-AおよびVEGF-Cの両方を同時に標的とすることができる二重特異性分子を開発する必要がある。そのような二重特異性分子は、血管内皮増殖因子AおよびCの両方を同時に阻害して脈管新生関連疾患の進行を抑制することに寄与することになる。独立した抗VEGF-A分子と抗VEGF-C分子の併用と比べて、そのような二重特異性分子は、投与にも利点をもたらすことになる。現在、眼疾患の治療において、アフリベルセプト、ラニビズマブおよびコンベルセプトなどの独立した抗VEGF-A分子の多くには限界があり、つまり、注射液剤型として、硝子体内投与が必要で、投与し難く、これによって、患者のコンプライアンスが悪く、治療負担が大きくなる。従って、この併用薬の代わりに、VEGF-AおよびVEGF-Cに同時に強力かつ特異的に結合して中和する二重特異性分子を設計することが有利である。
【発明の概要】
【0006】
上記の需要を満たすために、本発明者は、鋭意研究の結果、ファージディスプレイライブラリーのスクリーニングに基づき、ヒト化および親和性成熟により、新たな高親和性抗VEGF-C単一ドメインscAb抗体ポリペプチドを提供し、かつ上記単一ドメイン抗体ポリペプチドを構成要素として利用し、抗VEGF-A分子と結合して、優れたVEGF-AとVEGF-C二重拮抗活性および抗脈管新生効果を有する二重特異性分子を構築して産生した。
【0007】
従って、一態様において、本発明は、ヒトVEGF-Cと特異的に結合する単一ドメイン抗体(sdAb、single domain antibody)を提供する。一実施形態において、本発明の抗VEGF-C単一ドメイン抗体は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という式を有するVHHドメインを含み、ここで、上記CDR1~3は、それぞれ、
(1)配列番号1、2および3で示されるアミノ酸配列、
(2)配列番号9、10および11で示されるアミノ酸配列、
(3)配列番号17、18および19で示されるアミノ酸配列、ならびに
(4)配列番号21、22および23で示されるアミノ酸配列、
から選ばれるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0008】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも本発明の単一ドメイン抗体を含むタンパク質を提供し、好ましくは、上記タンパク質は、融合タンパク質またはキメラポリペプチド、例えば、VHH-Fc抗体である。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、
(i)ヒトVEGFCと特異的に結合する第1の抗原結合成分と、
(ii)ヒトVEGFAと特異的に結合する第2の抗原結合成分と、
を含む二重特異性結合タンパク質を提供する。
ここで、上記第1の抗原結合成分は、本発明の単一ドメイン抗体ポリペプチドを含み、かつ
上記二重特異性結合タンパク質は、二重拮抗活性を有し、VEGFAとそのVEGF受容体の結合を抑制するとともに、VEGFCとそのVEGF受容体の結合を抑制する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、本発明の分子(単一ドメイン抗体ポリペプチド、タンパク質または二重特異性結合タンパク質)をコードするポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、および本発明の分子を含む医薬組成物、薬物組合せと試薬キットを提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、本発明の分子(単一ドメイン抗体ポリペプチド、タンパク質または二重特異性結合タンパク質)により疾患を予防および/または治療する使用を提供し、上記疾患は、例えば、腫瘍および眼疾患などの脈管新生関連疾患である。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、また、本発明の分子(単一ドメイン抗体ポリペプチド、タンパク質または二重特異性結合タンパク質)の診断的使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1-1】anti-VEGFC VHH抗体によりVEGFCと受容体VEGFR2/VEGFR3の結合を阻害するELISA実験を示す。A:anti-VEGFC VHHのVEGFR2阻害実験、B:anti-VEGFC VHHのVEGFR3阻害実験。
【
図1-2】anti-VEGFC VHH抗体によりVEGFCと受容体VEGFR2/VEGFR3の結合を阻害するELISA実験を示す。C:anti-VEGFCヒト化VHHのVEGFR3阻害実験、D:anti-VEGFC親和性成熟VHHのVEGFR3阻害実験。
【
図2】anti-VEGFCVHH抗体によりVEGFC誘導性のHEK293 KDRレポーター分子の活性化を阻害する実験を示す。
【
図3】anti-VEGFCVHH抗体によりVEGFC誘導性のBaf3-FLT4の増殖を阻害する実験を示す。
【
図4】ヒト化anti-VEGFC VHH抗体によりVEGFC誘導性のHEK293 KDRレポーター分子の活性化を阻害する実験を示す。
【
図5】ヒト化anti-VEGFC VHH抗体によりVEGFC誘導性のBaf3-FLT4の増殖を阻害する実験を示す。
【
図6】親和性成熟分子anti-VEGFC VHH抗体によりVEGFC誘導性のHEK293 KDRレポーター分子の活性化を阻害する実験を示す。
【
図7】親和性成熟anti-VEGFC VHH抗体によりVEGF-C誘導性のBaf3-FLT4の増殖を阻害する実験を示す。
【
図8】二重特異性抗体分子によりVEGFA誘導性のHEK293 KDレポーター分子の活性化を阻害する実験を示す。
【
図9】二重特異性抗体分子によりVEGFC誘導性のHEK293 KDR reporterの活性化を阻害する実験を示す。
【
図10】二重特異性抗体分子によりVEGFC誘導性のBaF3-FLT4の増殖を抑制する実験を示す。
【
図11】二重特異性抗体分子によりVEGFA+C誘導性のHUVECの増殖を抑制する実験を示す。
【
図12】二重特異性抗体分子によりVEGFA+C誘導性のHUVEC管腔形成を抑制する実験を示す。A:管腔形成画像、B:管腔形成の統計結果。
【
図13】二重特異性抗体分子によりA375皮下腫瘍モデル血管新生を抑制する実験を示す。A:A375腫瘍質量の統計、B:A375腫瘍体積の統計、C:A375腫瘍CD31の染色画像。
【
図14】二重特異性抗体分子によりレーザー誘導性のCNVを抑制する実験を示す。
【
図15】anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によりレーザー誘導性の脈絡膜血管新生を抑制する眼底造影画像を示す。
【
図16】anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によりレーザー誘導性の網膜肥厚を抑制するOCT画像を示す。
【
図17】anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によりレーザー誘導性の脈絡膜血管新生モデルの病理学的変化を抑制することを示す。
【
図18】VEGF-A結合ドメイン-Fc融合タンパク質および抗VEGF-A Fab抗体を利用し、抗VEGF-C VHH抗体を構成要素として組み合わせて、構築した2種類の二重特異性抗体の構造模式図を示す。
【
図19】本発明の抗VEGF-C VHH単一ドメイン抗体のCDR1~3配列およびVHH配列を示す。
【発明の詳細な説明】
【0014】
特に断らない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の当業者に一般的に理解された意味を有する。本明細書に言及される全ての刊行物、特許出願、特許または他の参照文献は、引用により全体として組み込まれている。また、本明細書に記載の材料、方法および例は、単に説明するためであり、制限するものではない。本発明の他の特徴、目的および利点は、本明細書と図面から、かつ添付された特許請求の範囲から明らかになる。
【0015】
定義
「約」という用語は、数字または数値とともに使用される場合、下限として指定された数字または数値より5%小さく、上限として指定された数字または数値より5%大きい範囲内の数字または数値をカバーすることを意味する。
【0016】
本明細書に用いられるように、「包含する」または「含む」という用語は、記載される要素、整数またはステップを含むが、任意の他の要素、整数またはステップを排除しないことを意味する。
【0017】
「抗体」という用語は、本明細書において最も広い意味で使用されており、抗原結合部位を含むタンパク質を意味し、さまざまな構造の天然抗体および人工抗体を含み、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、全長抗体および抗体断片を含むが、これらに限定されない。
【0018】
「完全抗体」または「全長抗体」という用語は、本明細書において互換的に使用可能であり、天然の免疫グロブリン分子構造を有する抗体分子を指す。一般的な4鎖IgG抗体である場合、全長抗体は、ジスルフィド結合によって相互連結された2本の重鎖(H)および2本の軽鎖(L)を含む。重鎖のみを有して軽鎖を欠いた重鎖抗体である場合、全長抗体は、ジスルフィド結合によって相互連結された2本の重鎖(H)を含む。
【0019】
一般的な4鎖IgG抗体では、全長抗体重鎖は、一般的に重鎖可変領域(本明細書においてVHと略す)と重鎖定常領域とからなり、ここで、重鎖定常領域は、少なくとも3つのドメインCH1、CH2およびCH3を含む。全長抗体軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略す)と軽鎖定常領域とからなり、ここで、軽鎖定常領域は1つのドメインCLからなる。それぞれの重鎖可変領域VHおよびそれぞれの軽鎖可変領域は、3つのCDRと4つのFRとからなり、アミノ末端からカルボキシ末端へFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順に配列される。
【0020】
重鎖抗体では、全長抗体重鎖は、一般的に重鎖可変領域(本明細書においてVHHと略す)と重鎖定常領域とからなる。重鎖定常領域は、ドメインCH2およびCH3からなる。それぞれのVHHは、3つのCDRと4つのFRとからなり、アミノ末端からカルボキシ末端へFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順に配列される。
【0021】
抗体の「抗原結合断片」という用語は、完全抗体または全長抗体のアミノ酸残基数よりも少ない完全抗体または全長抗体の一部もしくは断片であるが、抗原に結合するか、または全長抗体(すなわち、抗原結合断片の由来する全長抗体)と競合して抗原に結合することができる。組換えDNA技術により、または酵素もしくは化学的手段により完全な抗体を切断して抗原結合断片を調製することができる。抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv、ダイアボディ(diabody)、単一ドメイン抗体(sdAb)、ナノボディを含むが、これらに限定されない。例えば、パパインで全長抗体を消化することによりFab断片を得ることができる。また、ペプシンを用いてヒンジ領域のジスルフィド結合の下方で完全抗体を消化して産生されたF(ab’)2は、Fab’の二量体であり、二価の抗体断片である。F(ab’)2は、中性条件でヒンジ領域におけるジスルフィド結合を破壊することにより還元されることができ、これによってF(ab’)2二量体がFab’単量体に変換される。Fab’単量体は、基本的にヒンジ領域を有するFab断片である。Fv断片は、抗体のシングルアームVLとVHドメインからなる。Fv断片の2つのドメインVLとVHは、独立した遺伝子によりコードされることができるが、組換え法により、合成連結ペプチドを利用してこの2つのドメインを1本のタンパク質鎖として産生されるように連結し、かつ上記1本のタンパク質鎖においてVL領域およびVH領域がペアリングすることで単鎖Fv(scFv)を形成することもできる。
【0022】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体と抗原の結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。例えば、重鎖抗体がラクダ科の重鎖抗体に由来する場合、単一のVHドメインは、抗原結合特異性を十分に付与することができる。天然重鎖抗体のVHHは、天然IgG抗体の重鎖可変領域VHと同様に、類似の構造を有し、すなわち、4つの保存的なフレームワーク領域(FR)および3つの相補性決定領域(CDR)を含むとともに、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という構造を有する。
【0023】
抗体の「相補性決定領域」、「CDR領域」、「CDR」または「超可変領域」は、抗体可変ドメイン(VHまたはVHH)における、配列において超可変であるとともに構造的に決定されたループ(「超可変ループ」)を形成し、かつ/または抗原接触残基(「抗原接触点」)を含む領域である。CDRは、主に抗原エピトープに結合する役割を果たす。重鎖および軽鎖のCDRは、N末端から順に番号付けされ、一般的にCDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれる。抗体の重鎖可変ドメイン内に位置するCDRはHCDR1、HCDR2およびHCDR3とも呼ばれ、抗体の軽鎖可変ドメイン内に位置するCDRはLCDR1、LCDR2およびLCDR3と呼ばれる。1つの所定の軽鎖可変領域または重鎖可変領域のアミノ酸配列において、当該分野で公知のさまざまな方案によってそのCDR配列を決定することができ、例えば、抗体の3次元構造およびCDRループのトポロジーに基づくChothia、抗体配列の可変性に基づくKabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th edition,U.S.Department of Health and Human Services,National Institutes of Health(1987))、AbM(University of Bath)、Contact(University College London)、国際ImMunoGeneTics database(IMGT)(国際免疫遺伝学情報システム、ワールドワイドウェブimgt.cines.fr/)、および大量の結晶構造が利用されるアフィニティ伝播クラスタリング(affinity propagation clustering)に基づくNorth CDR定義(North et al.,「A New Clustering of Antibody CDR Loop Conフォーマットions」,Journal of Molecular Biology,406,228~256(2011))などである。
【0024】
以下は、kabat、AbM、Chothia、ContactおよびIMGT方案で定義されたCDRの領域範囲である。
【表1】
【0025】
特に断りのない限り、本発明において、「CDR」または「CDR配列」という用語は、上記いずれか1つの方法で決定されるCDR配列をカバーする。
【0026】
CDRは、参照CDR配列と同じKabat番号付け位置を有することに基づいて決定されてもよい。特に断りのない限り、本発明において、抗体可変領域における残基位置(重鎖可変領域残基と軽鎖可変領域残基を含む)に言及する場合、Kabat番号付けシステム(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))に基づく番号付け位置を指す。
【0027】
「Fcドメイン」または「Fc領域」という用語は、本明細書において、少なくとも一部の定常領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。当該用語は、天然配列Fc領域および変異体Fc領域を含む。天然の免疫グロブリン「Fcドメイン」は、2つまたは3つの定常ドメイン、すなわち、CH2ドメイン、CH3ドメインおよび選択的なCH4ドメインを含む。例えば、天然抗体において、免疫グロブリンFcドメインは、IgG、IgAおよびIgD類抗体の2本の重鎖に由来する第2および第3の定常ドメイン(CH2ドメインおよびCH3ドメイン)を含み、またはIgMおよびIgE類抗体の2本の重鎖に由来する第2、第3および第4の定常ドメイン(CH2ドメイン、CH3ドメインおよびCH4ドメイン)を含む。本明細書において特に断りのない限り、Fc領域または重鎖定常領域におけるアミノ酸残基の番号は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載のEU番号付けシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に基づいて番号が付けられる。本明細書において、「Fc領域」、「Fc部分」および「Fc断片」という用語は、免疫グロブリンの重鎖可変領域VHと軽鎖可変領域VL、および重鎖定常領域CH1と軽鎖定常領域CLを含まないが、場合によっては、重鎖定常領域のN末端にあるヒンジ領域を含める。
【0028】
「キメラ抗体」という用語は、(a)定常領域またはその一部を変更、置換もしくは交換することによって、抗原結合部位が、異なるもしくは変化したタイプ、エフェクター機能および/または生物種供給源を有する定常領域に連結され、もしくはキメラ抗体に新しい性能を付与する完全に異なる分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物)などに連結され、あるいは(b)可変領域もしくはその一部を、異なるもしくは変化した抗原特異性を有する可変領域によって変更、置換もしくは交換させた抗体分子を指す。例えば、ラクダ重鎖抗体は、その定常領域をヒト免疫グロブリンに由来する定常領域に変更することによって修飾することができる。ヒト定常領域に変更したため、当該キメラ抗体は、その抗原認識における特異性を保持するとともに、元のラクダ抗体と比べて、ヒトにおいて低下した抗原性を有することができる。
【0029】
本明細書に用いられるように、「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体(例えば、アルパカモノクローナル抗体)の抗原特異性反応性を保持するとともに、治療剤としてヒトに投与する場合に免疫原性が低い抗体である。これは、例えば、非ヒト抗原結合部位を保持し、抗体の残りの部分をそれらに対応するヒト由来の部分に置き換える(すなわち、定常領域および可変領域における結合に関与しない部分をヒト抗体の対応する部分に置き換える)ことによって実現することができる。
【0030】
本明細書に用いられるように、「融合タンパク質」と「キメラポリペプチド」という用語は、互換的に使用可能であり、少なくとも2つの異種ポリペプチド配列が任意にリンカーを介して融合されることによって形成されたさらに大きなポリペプチドを指す。融合タンパク質は、組換え発現によって産生されることができる。
【0031】
「異種」という用語は、融合タンパク質またはキメラポリペプチドに関わる場合、上記融合タンパク質またはキメラポリペプチドが2つ以上のサブ配列を含み、これらのサブ配列が自然界において同一のタンパク質またはポリペプチドに存在しないことを意味する。
【0032】
「組換え」という用語は、本明細書においてポリペプチドまたはタンパク質が生体宿主により産生されることを指す。上記宿主は、哺乳動物発現系、昆虫細胞発現系、酵母発現系および細菌発現系から選ばれてもよいが、これらに限定されない。一実施形態において、本発明のポリペプチド/タンパク質は、原核生物(例えば、大腸菌細胞)または真核生物宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において発現して産生された組換えポリペプチド/タンパク質である。
【0033】
本明細書に用いられるように、「単一特異性」という用語は、1つまたは複数の抗原結合部位を有するポリペプチド/タンパク質分子を指し、上記部位のそれぞれは、同じ抗原の同じエピトープと結合する。本明細書に用いられるように、「多重特異性」という用語は、異なるエピトープ(同じ抗原上の異なるエピトープまたは異なる抗原上の異なるエピトープ)に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を有するポリペプチド/タンパク質分子を指す。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の単一ドメイン抗体を含む単一特異性結合分子を提供し、いくつかの実施形態において、上記分子は一価であり、例えば、単一のVHHドメインのみを有する単一のVHH-Fcポリペプチドであり、別のいくつかの実施形態において、上記分子は多価であり、例えば、Fc領域の二量体化により2つのVHH-Fcポリペプチドから形成される重鎖抗体である。いくつかの実施形態において、本発明は、二重特異性結合分子を提供し、上記分子の2つの抗原結合特異性は、それぞれ抗原VEGF-AおよびVEGF-C、特に、ヒトVEGFAおよびヒトVEGFCを標的とし、好ましくは、その中の少なくとも1つの抗VEGF-C特異性が、本発明の単一ドメイン抗体により提供される。
【0034】
本明細書に用いられるような「抗原結合部位」と「抗原結合ドメイン」という用語は、互換的に使用可能であり、分子における標的抗原と実際に結合する領域を示す。抗原結合部位の例としては、例えば、抗体の可変ドメイン、受容体の細胞外リガンド結合ドメインなどを含むが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の二重特異性結合タンパク質のためのVEGFC抗原結合部位は、抗VEGFC重鎖抗体の可変ドメイン(すなわち、「VHH」)によって提供され、本発明の二重特異性結合タンパク質のためのVEGFA抗原結合部位は、抗VEGFA抗体のペアリングされた重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)によって提供され、またはVEGFAに特異的に結合するVEGF受容体細胞外ドメインのポリペプチド断片によって提供され、または人工リガンド「トラップ」分子によって提供される。
【0035】
本明細書に用いられるように、リガンド「トラップ」分子という用語は、受容体のリガンド相互作用細胞外ドメインとヒトIgG Fc領域を含む融合タンパク質である。現在、VEGFAおよびVEGFCを含むVEGFリガンドを「捕捉」する種々のトラップ分子が既に開発された。これらのトラップ分子は、細胞外環境における対応するリガンドに結合してその濃度を低下させるために使用可能である。一実施形態において、本発明の抗VEGFA成分は、VEGFAを「捕捉」するFc融合タンパク質形態のトラップ分子を含む。当該トラップ分子は、天然VEGFA細胞受容体と競合してVEGFAに結合することにより、VEGFA誘導性のシグナル伝達を抑制することができる。一実施形態において、Fc融合タンパク質形態のトラップ分子は、配列番号25のアミノ酸配列を含む。当該VEGFA-トラップ分子は、VEGF受容体1および2からの細胞外リガンド結合ドメインをヒトIgG1のFc部分に融合することによって形成され、完全にヒトに由来するアミノ酸を有することで、人体における分子の免疫原性を最小限に抑える。
【0036】
本明細書に用いられるように、「VEGFA」または「VEGF-A」という用語は、血管内皮増殖因子A(例えば、登録番号UniProt P15692でのヒトVEGFAタンパク質)を指す。VEGFAは、受容体VEGFR1(FLT1とも呼ばれる)およびVEGFR2(KDRとも呼ばれる)に結合する。本明細書において、「VEGFAに対する抗原結合特異性」とは、ヒトVEGFAに特異的に結合する分子中の結合部位または結合ドメインを指す。
【0037】
「VEGFC」または「VEGF-C」という用語は、血管内皮増殖因子C(例えば、登録番号UniProt P49767でのヒトVEGFCタンパク質)を指す。VEGFCは、受容体VEGFR2(KDRとも呼ばれる)およびVEGFR3(FLT4とも呼ばれる)に結合する。本明細書において、「VEGFCに対する抗原結合特異性」とは、ヒトVEGFCに特異的に結合する分子中の結合部位または結合ドメインを指す。一実施形態において、バイオレイヤー干渉技術で検出されると、本発明の分子におけるVEGFCに結合するVHH抗原結合部位は、ヒトVEGFCに対して高い親和性結合活性、例えば、約1nM~10nMの一価結合親和性KD値、または約0.1nM~0.7nMの二価結合親和性を有する。
【0038】
「抗VEGF-C成分」は、本明細書においてVEGF-Cタンパク質に結合可能なポリペプチドを指す。例えば、抗VEGF-C成分は、本発明のVHHドメインを含むポリペプチドであってもよい。一実施形態において、抗VEGF-C成分は、VEGF-Cに結合する単一ドメイン抗体である。さらなる実施形態において、抗VEGF-C成分は、配列番号4、8、12、16、20、24から選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは約100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、上記抗VEGF-C成分は、配列番号4、8、12、16、20および24で示されるアミノ酸配列から選ばれるVHHドメインの3つのCDR配列を含み、ここで、上記CDR配列はKabatに従って定義され、またはChothiaに従って定義され、あるいは、ここで、CDR1はKabatとChothiaの組み合わせに従って定義され、CDR2およびCDR3はKabatに従って定義される。
【0039】
「抗VEGF-A成分」は、本明細書においてVEGF-Aタンパク質に結合可能なポリペプチドを指す。例えば、抗VEGF-A成分は、VEGFA受容体細胞外ドメインポリペプチドと、そのC末端に融合したFc部分とを含むキメラポリペプチド/融合タンパク質であってもよく、重鎖および軽鎖を含む抗VEGFA抗体、例えば、Fab抗体または他の全長抗体の断片であってもよい。一実施形態において、抗VEGF-A成分は、Fc融合タンパク質形態のトラップ分子によって提供され、かつFc領域の二量体化により二量体を形成する。別の実施形態において、抗VEGF-A成分は、Fab形態の抗VEGFA抗体によって提供され、ここで、Fabの重鎖(すなわち、重鎖定常領域を含むポリペプチド鎖)とFabの軽鎖(すなわち、軽鎖定常領域を含むポリペプチド鎖)はペアリングして二量体を形成する。
【0040】
「Fab断片」、「Fab」または「Fab抗体」は、本明細書において互換的に使用可能であり、2つのポリペプチド鎖からなり、免疫グロブリン重鎖可変ドメインVH、重鎖定常ドメインCH1、軽鎖可変ドメインVLおよび軽鎖定常ドメインCLを含む免疫グロブリン断片を指すためであり、ここで、一方のポリペプチド鎖は、N末端からC末端へVHと、CH1およびCLから選ばれる1つの定常領域とを含み、他方のポリペプチド鎖は、N末端からC末端へVLと、CLおよびCH1から選ばれる別の定常領域とを含み、ここで、上記VHドメインおよびVLドメインはペアリングして抗原結合部位を形成する。本明細書において、Fabの一方のポリペプチド鎖には、CLに連結されるVHが含まれるとともに、他方のポリペプチド鎖には、CH1に連結されるVLが含まれる場合、当該Fabは、crossFabとも呼ばれる。
【0041】
本明細書において、重鎖定常領域CH1を含むFabポリペプチド鎖はFab重鎖とも呼ばれ、それに応じて、軽鎖定常領域CLを含むFabポリペプチド鎖はFab軽鎖とも呼ばれる。従って、1つのFab抗体では、Fab重鎖においてCH1はVHまたはCLに連結可能であり、Fab軽鎖においてCLはVLまたはVHにに連結可能であり、ただし、上記VHとVLは、ペアリングして標的抗原に特異的に結合する抗原結合部位を形成することができることが条件となる。
【0042】
「VHHドメイン」という用語は、本明細書において、軽鎖を欠いた重鎖抗体(本明細書において、HcAb抗体と呼ばれる場合もある)から誘導された重鎖可変ドメインを指すためであり、単一可変ドメイン断片またはナノボディとも呼ばれる。従って、VHHドメインは4鎖免疫グロブリンの一般的なVHドメインとは異なり、抗原結合部位を形成するために、軽鎖可変ドメインとペアリングする必要がない。このようなVHHドメイン分子は、ラクダ科の種(例えば、ラクダ、アルパカ、ヒトコブラクダ、リャマ、グアナコ)で産生された抗体から誘導されてもよい。ラクダ科以外の種も天然の軽鎖欠如重鎖抗体を産生することができ、このようなVHHも本発明の範囲内にある。場合によっては、VHHドメインの治療的使用は、その免疫原性を低下させることが望ましい。従って、好ましくは、一実施形態において、本発明に使用されるVHHドメインは、ヒト化VHHドメインまたはそのさらなる配列最適化形態(例えば、結合親和性を増加させる親和性成熟形態)である。
【0043】
「単一ドメイン抗体」または「sdAb」は、本明細書において、単一の可変抗体ドメイン、例えば、VHHもしくは単一のVHまたは単一のVLにより、標的抗原を認識して、それに結合する抗体ポリペプチドを指すためである。単一ドメイン抗体の単一可変抗体ドメインは、別の抗体可変ドメインとペアリングすることなく、標的抗原を認識して、それに結合することができる。本明細書において、重鎖抗体の重鎖可変ドメイン(VHH)を含む単一ドメイン抗体は、VHH単一ドメイン抗体とも呼ばれる。本発明に使用されるVHH単一ドメイン抗体は、ラクダ科動物、例えば、アルパカ、またはそのヒト化形態もしくは配列最適化形態に由来することが好ましい。いくつかの実施形態において、本発明のVHH単一ドメイン抗体は、単一のVHHドメインから構成されるかまたは基本的に構成される一価の単一特異性ポリペプチド分子である。
【0044】
本発明の単一ドメイン抗体またはVHHドメインは、より大きなポリペプチド/タンパク質に含まれてもよい。挙げられ得る本発明の単一ドメイン抗体を含むポリペプチド/タンパク質の例としては、重鎖抗体(HcAb)、例えば、ラクダ科動物(ラマ、ラクダ、特にアルパカ)由来のフレームワーク領域および/または重鎖定常領域を有する重鎖抗体、そのヒト化形態もしくはその配列最適化形態(親和性成熟形態)、あるいはその断片(例えば、定常領域の少なくとも一部を含む断片);当該重鎖抗体由来のVHHドメインを構成要素として形成した融合タンパク質、例えば、(一部の)免疫グロブリン定常領域(例えば、Fc領域)との融合タンパク質を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、本発明のVHHドメインは、Fc領域、例えば、ヒトIgG1 Fc領域と融合してVHH-Fc抗体を形成する。
【0045】
本明細書において、「フレキシブル連結ペプチド」、「連結ペプチド」または「リンカー」という用語は、アミノ酸からなる短いアミノ酸配列、例えば、単独でもしくは組み合わせて使用されるグリシン(G)および/またはセリン(S)および/またはトレオニン残基(T)、あるいは免疫グロブリンに由来するヒンジ領域を指す。一実施形態において、連結ペプチドは、5~50アミノ酸長、例えば、10、15、20、25もしくは30アミノ酸長を有する。一実施形態において、連結ペプチドはアミノ酸配列(G4S)nを含み、式中、nは1以上の整数であり、例えば、nは2、3、4、5、6もしくは7の整数である。一実施形態において、連結ペプチドはアミノ酸配列TS(G4S)nを含み、式中、nは1以上の整数であり、例えば、nは2、3、4、5、6もしくは7の整数である。一実施形態において、連結ペプチドはアミノ酸配列G(G4S)nを含み、式中、nは1以上の整数であり、例えば、nは2、3、4、5、6もしくは7の整数である。さらなる実施形態において、連結ペプチドは、免疫グロブリンに由来するヒンジ領域であり、例えば、「CPPC」を含むヒンジ領域のアミノ酸配列、例えば、アミノ酸配列「EPKSCDKTHTCPPCP」または「EPKSSDKTHTCPPCP」である。本発明の抗体分子の各ドメインへの連結に使用可能な連結ペプチドは、例えば、GGG、DGGGS、TGEKP、GGRR、EGKSSGSGSESKVD、KESGSVSSEQLAQFRSLD、GGRRGGGS、LRQRDGERP、LRQKDGGGSERP、およびGSTSGSGKPGSGEGSTKGというアミノ酸配列であってもよいが、これらに限定されない。あるいは、コンピュータプログラムを使用してタンパク質およびペプチドの3次元構造をシミュレーションするか、またはファージディスプレイ法によって適切なフレキシブル連結ペプチドを合理的に設計してもよい。
【0046】
本明細書に用いられるように、「結合」または「特異的に結合」という用語は、結合作用が抗原に対して選択的であり、かつ不要または非特異的な相互作用と区別できることを意味する。特定の抗原に対する抗原結合部位の結合能力は、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)または本分野で公知の一般的な結合測定法により測定することができる。
【0047】
「親和性」または「結合親和性」は、結合対のメンバー同士間の相互作用を反映する固有結合親和性を指す。分子XのパートナーYに対する親和性は、一般的に解離定数(KD)で表すことができ、解離定数は、解離速度定数と会合速度定数(それぞれkdisとkon)の比である。親和性は、本分野で公知の一般的な方法により測定することができる。親和性を測定するための具体的な方法の1つは、本明細書におけるForteBio動力学的結合測定法である。
【0048】
アミノ酸配列の「同一性百分率(%)」とは、候補配列を本明細書に示される具体的なアミノ酸配列とアラインメントし、かつ必要に応じて最大の配列同一性百分率を実現するためにギャップを導入した後、また、いずれの保存的置換も配列同一性の一部として考慮されない場合、本明細書に示される具体的なアミノ酸配列のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基の、候補配列における百分率を指す。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の抗体分子の変異体を考慮し、上記変異体は、本明細書に具体的に開示された抗体分子およびその配列に対して相当の同一性、例えば少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有する。上記変異体は、保存的修飾を含んでもよい。
【0049】
ポリペプチド配列について、「保存的修飾」は、ポリペプチド配列の置換、欠失または添加を含むが、ポリペプチド配列の所望の機能的活性を実質的に変化させない。例えば、保存的置換は、あるアミノ酸の化学的に類似のアミノ酸への置換をもたらすことが多い。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、本分野でよく知られているものである。以下、互いに保存的置換となる8群のアミノ酸:1)アラニン(A)、グリシン(G)、2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、4)アルギニン(R)、リジン(K)、5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、7)セリン(S)、トレオニン(T)、および8)システイン(C)、メチオニン(M)が挙げられている。いくつかの実施形態において、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含む本発明の抗体分子もしくは結合タンパク質分子の標的抗原結合特性に顕著な影響または変化を与えないアミノ酸修飾を指すためである。例えば、保存的に修飾された変異体は、親抗体または結合タンパク質に対して、標的抗原への少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%もしくはそれ以上、例えば、100%~110%もしくはそれ以上の結合親和性を保持する。
【0050】
「宿主細胞」という用語は、既に外因性ポリヌクレオチドが導入された細胞を指し、かかる細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換された細胞」を含み、初代より形質転換された細胞およびそれらより誘導された子孫を含む。宿主細胞は、本発明の抗体分子の産生に使用可能な任意のタイプの細胞系であってもよく、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞などの真核細胞と、大腸菌細胞などの原核細胞とを含む。宿主細胞は、培養された細胞を含み、遺伝子組換え動物、遺伝子組換え植物または培養された植物組織もしくは動物組織の内部の細胞を含む。
【0051】
「発現ベクター」という用語は、組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指し、発現すべきヌクレオチド配列に効果的に連結された発現制御配列を含む。発現ベクターは、発現するために十分なシス作用要素を含み、発現のための別の要素は、宿主細胞により提供されるか、またはインビトロ発現系にあるものであってもよい。発現ベクターは、本分野で公知の全てのものを含み、組換えポリヌクレオチドが組み込まれたコスミド、プラスミド(例えば、ヌードなるものまたはリポソームに含まれるもの)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
【0052】
「個体」または「対象」という用語は、互換的に使用可能であり、哺乳動物を指す。哺乳動物は、家畜(例えば、乳牛、ヒツジ、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギおよびげっ歯類(例えば、マウスとラット)を含むが、これらに限定されない。特に、個体はヒトを指す。
【0053】
「治療」という用語は、治療を受けている個体における疾患の自然的過程を変えようとする臨床的介入を指す。所望の治療効果は、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患の如何なる直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の防止、病状の進行速度の低減、病的状態の改善または緩和、および予後の緩和または改善を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の抗体分子は、疾患の発症を遅延させるため、または疾患の進行を低下させるためのものである。
【0054】
「抗腫瘍作用」または「腫瘍抑制作用」という用語は、さまざまな手段により表示できる生物学的効果を指し、例えば、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少または腫瘍細胞の生存率の減少を含むが、これらに限定されない。「腫瘍」および「癌」という用語は、本明細書において互換的に使用され、さまざまな固形腫瘍を包含する。
【0055】
本明細書において、「脈管新生関連疾患」という用語は、疾患の発症、進行および/または経過が脈管新生(血管新生、リンパ管新生、および/または両方を含む)に関わる疾患、病症および/または病状を指す。そのような疾患、病症または病状は、VEGF-CもしくはVEGF-Aまたはその両方の生物活性の阻害から利益を得る。
【0056】
以下、本発明の各態様について詳しく説明する。
I.単一ドメイン抗体ポリペプチドおよびその誘導体
単一ドメイン抗体またはVHHドメインは、ヒトIgG分子の約10分の1の分子量およびわずか数ナノメートルの物理的直径を有する。分子サイズが小さいため、単一ドメインモノクローナル抗体は、一般的な4鎖抗体と比べて、高い安定性と溶解性、および隠れた抗原部位を認識できるという利点を有する。さらに、単一ドメイン抗体は、調製においても一般的な4鎖抗体よりも安価であり、大腸菌においてより高い発現レベルで容易に発現・精製することができる。別々の分子としての使用に加え、単一ドメイン抗体は、多重特異性分子の構築に適する構成要素でもある。
【0057】
鋭意研究の結果、本発明は、一態様において単一ドメイン抗体およびその誘導体を提供する。本発明の単一ドメイン抗体は、ヒトVEGFCと特異的に結合し、好ましくは、それと受容体の結合およびそれにより誘導されるシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明の単一ドメイン抗体は、
(i)高親和性でヒトVEGF-C(hVEGF-C)に結合することであって、好ましくは、バイオレイヤー干渉技術で測定し、例えば、実施例3に記載の方法で測定すると、一価結合親和性のKD値が約1nM~10nM、例えば、約5nM~6nMであり、二価結合親和性のKD値が約0.1nM~1nMの間にあり、例えば、約0.6nMであること、
(ii)hVEGF-Cと受容体VEGFR2の結合を阻害することであって、好ましくは、ELISA測定法、例えば、実施例4に記載の方法で測定すると、結合を阻害するIC50値が約0.1nM~0.5nM、より好ましくは約0.01nM~0.05nMであること、
(iii)hVEGF-Cと受容体VEGFR3の結合を阻害することであって、好ましくは、ELISA測定法、例えば、実施例4に記載の方法で測定すると、結合を阻害するIC50値が約0.1nM~0.5nM、より好ましくは約0.01nM~0.05nMであること、
(iv)VEGFC-CとVEGFR2の結合により仲介されるシグナル伝達経路の活性化を抑制することであって、好ましくは、受容体-レポーター分子系、例えば、実施例5に記載の方法で測定すること、
(v)VEGFC-CとVEGFR3の結合により仲介されるシグナル伝達経路の活性化を抑制すること、
(vi)VEGFCとVEGFR2の結合により誘導される血管内皮関連活性、例えば、血管内皮細胞の生存、増殖および/または遊走、血管新生および/または血管漏出を抑制すること、ならびに
(vii)VEGFCとVEGFR3の結合により誘導される血管内皮細胞および/またはリンパ管内皮細胞の生存および/または増殖を抑制すること、
から選ばれるいずれか1つまたは複数の生物学的活性を有する。
【0058】
構造的には、他の通常の抗体と同様に、本発明のsdAbはモジュール構造を有し、ここで、VHH可変領域配列は、3つのCDRと、高度に保存的な4つのフレームワーク領域とを含むとともに、一般的にFR1-CDR-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という式で示される構造を有し、式中、FR1~FR4はフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3は相補性決定領域1~3を指す。VHH可変領域中のCDR配列は、「定義」部分に記載された任意のCDR定義案に従って決定することができ、好ましくは、Kabat、Chothiaまたはその組み合わせによってsdAb可変領域配列における3つのCDRの境界を定義することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、本発明は、原核宿主細胞に、例えば、大腸菌に発現して単離される単一ドメイン抗体を提供する。さらなるいくつかの実施形態において、本発明は、真核宿主細胞に、例えば、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞または293細胞に発現して単離される単一ドメイン抗体を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明の単一ドメイン抗体は、ラクダ科動物(例えば、アルパカ)の免疫化によって産生されたラクダ科重鎖抗体由来のCDRアミノ酸配列および/またはフレームワーク領域(FR)アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ラクダ科重鎖抗体由来の本発明の単一ドメインモノクローナル抗体は、例えば、ヒトアミノ酸配列(すなわち、ヒト抗体)または他の非ラクダ科哺乳類種由来のフレームワーク領域および/または定常領域配列が含まれるように工学的に操作されてもよい。例えば、上記抗体には、ヒトまたは非ヒト霊長類由来のフレームワーク領域、一部もしくは全ての重鎖定常領域(例えば、別個のCH1、CH2もしくはCH3領域、またはその任意の組み合わせ、例えば、CH2-CH3領域)、免疫グロブリンFc領域またはその断片、および/またはヒンジ領域もしくは一部のヒンジ領域が含まれてもよい。一実施形態において、工学的に操作された抗体の特性(例えば、親和性)をさらに改善するために、工学的に操作された抗体において、1つまたは複数の位置(例えば、フレームワーク領域)で、復帰変異により、親ラクダ抗体において対応する位置にあるラクダアミノ酸残基を導入することができる。
【0061】
一実施形態において、本発明の単一ドメイン抗体またはVHHドメインは、ヒト化されたものである。ヒト化は、非ヒト由来の天然VHH配列(例えば、ラクダ科動物またはアルパカ免疫由来のVHH配列)中の1つまたは複数のアミノ酸残基、特にフレームワーク領域配列を、ヒト由来の通常の抗体の重鎖VHの対応する位置の残基で置換することにより達成することができる。単一ドメインモノクローナル抗体をヒト化する方法は、本分野においてよく知られているものである。典型的には、ヒト化置換は、単一ドメイン抗体の有利な結合特性が保持されるように行われる。適切なヒト化残基変異または変異の組み合わせを決定・選択するために、ヒト化単一ドメイン抗体の生物学的特性、例えば、結合親和性などを確認するための試験は、本分野においてよく知られている。
【0062】
いくつかの実施形態において、本発明のヒト化単一ドメイン抗体は、
(1) 親単一ドメイン抗体(例えば、ファージディスプレイライブラリーからスクリーニングされたラクダVHH抗体)のCDRループ構造を決定するステップと、
(2) ヒト生殖細胞系列配列データベースにおいて各V/J領域に最も近い相同配列を見つけるステップと、
(3) 重鎖と最もマッチングするヒト生殖細胞系列および最低量の復帰変異をスクリーニングするステップと、
(4) キメラ抗体のCDR領域をヒトの骨格領域に構築するステップと、
(5) 配列と構造特徴を使用して、骨格領域においてCDRを維持する機能を果たすアミノ酸位置を決定するステップと、
(6) 重要であると決定された配列位置で復帰変異を行う(入力アミノ酸タイプに戻す)ステップと、
(7) リスク部位のアミノ酸を最適化するステップと、
(8) ヒト化抗体を得て、任意に抗体VHH配列をシーケンシングするステップと、
を含む方法により得ることができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、本発明はまた、本発明の単一ドメイン抗体の機能的変異体を提供する。上記機能的変異体は、本発明のよく知れている方法により、例えば、ランダムまたは部位特異的変異誘発により、変異を本発明の例示的な単一ドメイン抗体のコード核酸配列、例えば、CDR配列および/またはFR配列に導入し、その後、所望の特性を保持した変異体をスクリーニングする(例えば、ファージディスプレイライブラリースによってクリーニングする)ことにより、機能的変異体を得ることができる。典型的に、機能的変異体は、親単一ドメイン抗体(またはVHHドメイン)と顕著な配列同一性を保持する。好ましくは、機能的変異体は、親単一ドメイン抗体(またはVHHドメイン)の所望の生物学的特性を保持し、例えば、親の生物学的活性と比べて、変異体は相当(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、好ましくは90%以上)の生物活性、または改善された生物活性(例えば、110%~150%もしくはそれ以上)を有する。上記所望の生物学的特性は、例えば、標的抗原結合親和性(例えば、KD値で計測)、標的抗原と受容体の結合を阻害する活性(例えば、IC50値で計測)、標的抗原誘導性のシグナル伝達経路の活性化を阻害する抑制活性(例えば、IC50値で計測)、インビトロまたはインビボ実験における血管新生および/または血管漏出への阻害、インビトロまたはインビボ実験における腫瘍の増殖/生存への抑制を含むが、これらに限定されない。
【0064】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の単一ドメイン抗体ポリペプチドの親和性変異体を提供する。好ましくは、上記親和性変異体は、その由来する親単一ドメイン抗体に対するアミノ酸配列における1つまたは複数のアミノ酸変化を示し、ここで、親和性変異体は、親抗体に比べて標的抗原への結合親和性が変化される。典型的に、親和性変異体は、親よりも優れる改善された抗原結合親和性を示す。上記改善は、低いKD値、より速い解離速度、または標的抗原の非ヒト種相同タンパク質との交差反応性の増加(もしくは低減)であってもよいが、これらに限定されない。親和性変異体は、親に比べてCDRに1つまたは複数のアミノ酸残基置換を有することが多い。当該置換は、保存的置換または非保存的置換であり得る。一実施形態において、本発明の親和性変異体は、親と比べてCDR1~3に合計で10個以下、6個以下、または1個~5個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは5個のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態において、親和性変異体は、親と比べてCDR2に変異が導入される。別の実施形態において、親和性変異体は、親と比べてCDR2およびCDR3に変異が導入される。親和性変異体は、変異CDR、大腸菌変異誘発株の使用、DNAシャッフリング、ファージディスプレイなどを含む、本分野で知られている種々の親和性成熟方法によって得ることができる。
【0065】
「相補性決定領域」、「CDR領域」または「CDR」(本明細書において、超可変領域「HVR」と互換的に使用可能である)は、抗体可変領域において主に抗原エピトープとの結合を担当するアミノ酸領域である。本明細書において、単一ドメイン抗体またはVHHドメインのCDRは、一般的にCDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれ、N末端から順に番号付けされる。いくつかの実施形態において、本発明は、抗VEGFC単一ドメイン抗体を提供し、ここで、上記抗体は、以下のCDR配列:
(i)配列番号4のVHH配列の3つのCDR配列、
(ii)配列番号8のVHH配列の3つのCDR配列、
(iii)配列番号12のVHH配列の3つのCDR配列、
(iv)配列番号16のVHH配列の3つのCDR配列、
(v)配列番号20のVHH配列の3つのCDR配列、および
(vi)配列番号24のVHH配列の3つのCDR配列、
を有するVHHドメインを含む。
【0066】
好ましくは、CDR配列はkabatに従って定義され、もしくはChothiaに従って定義され、または、CDR1はKabatとChothiaの組み合わせに従って定義され、CDR2およびCDR3はKabatcに従って定義され、
あるいは、
【0067】
ここで、上記抗体は、上記(i)~(vi)から選ばれるいずれか1つのCDR配列の変異体を含み、例えば、上記(i)~(vi)のいずれか1つのCDR配列に対して、上記変異体は、1個~8個、1個~5個、または1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個のアミノ酸変化、好ましくは保存的アミノ酸置換を有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明は、3つのCDRと4つのFRとからなる、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という式で示されるVHHドメインを含む抗VEGFC単一ドメイン抗体を提供し、式中、
(i)CDR1は配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、CDR2は配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、かつCDR3は配列番号3で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、
(ii)CDR1は配列番号9で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、CDR2は配列番号10で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、かつCDR3は配列番号11で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、
(iii)CDR1は配列番号17で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、CDR2は配列番号18で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、かつCDR3は配列番号19で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、または、
(iv)CDR1は配列番号21で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、CDR2は配列番号22で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、かつCDR3は配列番号23で示されるアミノ酸配列を含むかもしくはそれからなり、
あるいは、
ここで、上記抗体は、上記(i)~(vi)から選ばれるいずれか1つのCDR配列の変異体を含み、例えば、上記(i)~(vi)のいずれか1つのCDR配列に対して、上記変異体は、1個~8個、1個~5個、または1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個のアミノ酸変化、好ましくは保存的アミノ酸置換を有する。
【0069】
好ましくは、本発明の抗VEGFC単一ドメイン抗体は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という式で示されるVHHドメインを含み、式中、CDR1は配列番号17で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、CDR2は配列番号18で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、かつCDR3は配列番号19で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0070】
より好ましくは、本発明の抗VEGFC単一ドメイン抗体は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という式で示されるVHHドメインを含み、式中、CDR1は配列番号21で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、CDR2は配列番号22で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、かつCDR3は配列番号23で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0071】
単一ドメイン抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、単一ドメイン抗体における抗原結合に関与する領域である。単一ドメイン抗体における重鎖可変ドメインは、本明細書においてVHHドメインとも呼ばれる。本分野で既知のように、VHH可変領域中の1つまたは複数の残基を修飾し、例えば、1つもしくは複数のCDR領域に対して、および/または1つもしくは複数のフレームワーク領域に対して残基の修飾、特に保存的残基の置換を行うことができるが、修飾された抗体は、依然として、変化前の抗体分子の少なくとも1つの生物学的特性(例えば、抗原結合能力)を基本的に保持する。
【0072】
例えば、CDR領域の残基を変異させて、抗体の1つまたは複数の結合特性(例えば、親和性)を改善することができる。インビトロまたはインビボアッセイにおいて、変異後の抗体の抗原結合特性または他の機能特性を評価することができる。好ましくは、保存的置換が導入される。好ましくは、CDR領域に導入される残基変化は、1個、2個、3個、4個または5個を超えない。さらに、フレームワーク領域の残基を変異させることで、例えば、抗体の特性を改善するができる。例えば、1つまたは複数のフレームワーク残基を、対応する生殖細胞系列配列残基に「復帰変異」してもよい。
【0073】
CDR移植は、本分野で既知のもう1つの抗体可変領域修飾方法である。CDR配列は、ほとんどの抗体-抗原相互作用を担当するため、既知の抗体の特性をシミュレーションする組換え抗体変異体を構築することができる。当該抗体変異体において、既知の抗体からのCDR配列は、異なる特性を有する異なる抗体のフレームワーク領域に移植される。従って、一実施形態において、本発明は、
図19中の例示的なVHH単一ドメイン抗体の1つの重鎖可変領域由来のCDR配列を含むが、異なるフレームワーク領域配列を有する抗VEGFC単一ドメイン抗体に関する。生殖細胞系列抗体遺伝子配列を含む公共DNAデータベースから、または公開文献に報告されたVEGFC抗体配列から、置換のためのフレームワーク領域配列を得ることができる。例えば、GenBankデータベースから、ヒト重鎖可変領域遺伝子をコードする生殖細胞系列DNAを得ることができる。抗体タンパク質配列とデータベースにおけるタンパク質配列は、Gapped BLASTなどの配列類似性検索ツールにより比較することができる。好ましくは、置換のためのフレームワーク配列は、変化のために選択された本発明の抗体のフレームワーク配列と構造的類似性を有し、例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%以上の配列同一性を有するフレームワーク配列である。いくつかの実施形態において、実施例7の方法に従って抗体のヒト化を行うことができる。
【0074】
従って、一実施形態において、本発明は、配列番号4、8、12、16、20および24から選ばれるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなる抗VEGFC単一ドメイン抗体を提供する。
【0075】
別の実施形態において、本発明は抗VEGFC単一ドメイン抗体を提供し、上記抗体は、
(i)配列番号4で示されるアミノ酸配列のVHH配列またはその変異体を含み、あるいは
(ii)配列番号8で示されるアミノ酸配列のVHH配列またはその変異体を含み、あるいは
(iii)配列番号12で示されるアミノ酸配列のVHH配列またはその変異体を含み、あるいは
(iv)配列番号16で示されるアミノ酸配列のVHH配列またはその変異体を含み、あるいは
(v)配列番号20で示されるアミノ酸配列のVHH配列またはその変異体を含み、あるいは
(vi)配列番号24で示されるアミノ酸配列のVHH配列またはその変異体を含む。
【0076】
ここで、上記変異体は、アミノ酸配列において、参照VHH配列と比べて、(好ましくは、全長にわたって、またはCDR1、CDR2とCDR3の3つの領域において)、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有する。一実施形態において、変異体は、アミノ酸配列において、参照VHH配列と比べて、(好ましくは、全長にわたって、またはCDR1、CDR2とCDR3の3つの領域において)、少なくとも1個かつ30個以下、10個、または5個、4個、3個、2個、1個もしくは0個のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む。好ましくは、変異体と参照VHH配列の違いは、CDR領域にはない。
【0077】
好ましくは、本発明の抗VEGFC単一ドメイン抗体は、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含むか、または上記アミノ酸配列からなる。より好ましくは、本発明の抗VEGFC単一ドメイン抗体は、配列番号24で示されるアミノ酸配列を含むか、または上記アミノ酸配列からなる。
【0078】
II.融合タンパク質/キメラポリペプチド
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明の単一ドメイン抗体またはVHHドメインを含むポリペプチドを提供し、ここで、上記ポリペプチドは、本発明の単一ドメインモノクローナル抗体またはVHHドメインと、そのN末端もしくはC末端もしくはN末端およびC末端に連結される他のペプチド/ポリペプチド配列とを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明の単一ドメイン抗体またはVHHドメイン(例えば、ラクダVHHドメインまたはそのヒト化形態)を、ヒト抗体の定常領域、例えば、Fc領域に連結することで、VHH-Fcポリペプチドを産生することができる。一実施形態において、上記VHH-Fcポリペプチドは、本発明の単一ドメイン抗体と、そのC末端にあるFc部分とを含む。
【0080】
さらなる実施形態において、上記VHH-Fcポリペプチドは、ラクダ科動物由来のFc部分を含む。一実施形態において、アルパカなどの上記ラクダ科動物の免疫化により、VHH-Fcポリペプチドを産生して単離する。ラクダ科動物の免疫化、および産生された標的抗原に対するVHH抗体の単離のために、本分野では種々の方法が知られている。
【0081】
さらなるいくつかの実施形態において、上記VHH-Fcポリペプチドは、ヒトまたは非ヒト霊長類由来のFc部分を含む。さらなる実施形態において、上記VHH-Fcポリペプチドは、ヒトIgG Fc領域、例えば、ヒトIgG1 Fc領域を含み、例えば、配列番号27のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列のFc領域を含む。
【0082】
一実施形態において、本発明によるVHH-Fcポリペプチドは、連結ペプチド、例えば、ヒンジ領域を介して単一ドメインモノクローナル抗体のC末端に融合したFc部分を含む。
【0083】
さらなる実施形態において、本発明によるVHH-Fcポリペプチドは、Fc部分を介して、Fc部分を含む別のポリペプチド鎖(例えば、同じまたは異なる別のVHH-Fcポリペプチド)と二量体化することができる。従って、さらなる実施形態において、本発明は、本発明のVHH-Fcポリペプチドを含むホモまたはヘテロ多量体タンパク質も提供する。一好ましい実施形態において、好ましくは、上記タンパク質は、2つの同じVHH-Fcポリペプチド鎖がペアリングして形成した重鎖抗体を含む。
【0084】
上記VHH-Fcポリペプチドおよび重鎖抗体に加え、本発明は、少なくとも1つの本発明による単一ドメイン抗体ポリペプチドを含む他の融合タンパク質/キメラポリペプチドも提供する。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質/キメラポリペプチドは、1つの本発明による単一ドメイン抗体またはVHHドメインを含む。別の実施形態において、本発明の融合タンパク質/キメラポリペプチドは、複数の本発明による単一ドメイン抗体またはVHHドメインを含む。本発明による融合タンパク質は、単一特異性のものであってもよく、または多重特異性のものであってもよい。いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質/キメラポリペプチドは、VEGFCに対する特異性のみを含む。さらなる実施形態において、本発明の融合タンパク質/キメラポリペプチドは、VEGFCに対する本発明の単一ドメイン抗体またはVHHドメイン(1つまたは複数)を含むことに加え、別の抗原に対する特異性、例えば、VEGFAに対する特異性も含む。
【0086】
当業者に理解されるように、融合タンパク質中の各構成要素は、それぞれその所望の機能が発揮されるように、操作可能に連結される。一実施形態において、融合タンパク質の構成要素同士は、直接連結されてもよく、または連結ペプチドもしくはリンカーを介して連結されてもよい。いくつかの実施形態において、リンカーは、免疫グロブリンヒンジ領域に由来するアミノ酸配列を含むか、またはフレキシブルアミノ酸配列、例えば、グリシンとセリンからなる配列、例えば、(G4S)nまたはG(G4S)nを含み、式中、n=1、2、3、4、5、6もしくは7、好ましくは2、3もしくは4である。
【0087】
III.二重特異性結合分子
さらなる態様において、本発明は、
(i)VEGF-Cと特異的に結合する第1の抗原結合成分と、
(ii)VEGF-Aと特異的に結合する第2の抗原結合成分と、
を含む抗VEGFC/VEGFA二重特異性結合分子を提供する。
本発明の二重特異性分子は、VEGF-AおよびVEGF-Cに対する二重拮抗活性を提供する。
【0088】
いくつかの実施形態において、本発明の二重特異性結合分子は、
(i)hVEGF-A単独で誘導されるVEGFR2シグナル伝達経路の活性化を阻害することであって、好ましくは、KDRレポーターアッセイ、例えば、実施例10に記載の方法により抑制活性のIC50値を測定することで決定可能であり、ここで、上記IC50値は、例えば、0.1nM~10nM、例えば、約0.2nM~1nM、例えば、0.6nM、または約1nM~3nM、例えば約1nMであること、
(ii)hVEGF-C単独で誘導されるVEGFR2シグナル伝達経路の活性化を阻害することであって、好ましくは、KDRレポーターアッセイ、例えば、実施例10に記載の方法により抑制活性のIC50値を測定することで決定可能であり、ここで、上記IC50値は、0.1nM~1nM、例えば、約0.2nM~0.6nMであること、
(iii)hVEGF-C誘導性のリンパ管細胞増殖を抑制することであって、好ましくは、細胞増殖アッセイ、例えば、実施例11に記載の方法により抑制活性のIC50値を測定することで決定可能であり、ここで、上記IC50値は、0.01nM~0.5nM、例えば、約0.1nM~0.5nMであること、
(iv)hVEGF-CとhVEGF-Aにより共誘導される内皮細胞の生存および増殖を抑制し、抑制レベルが少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは約100%に達することであって、好ましくは、細胞増殖アッセイ、例えば、実施例12に記載の方法により抑制活性のIC50値を測定することで決定可能であり、ここで、上記IC50値は、0.1nM~0.5nM、例えば、約0.2nMであること、
(v)hVEGF-CとhVEGF-Aにより共誘導される血管構造新生を抑制し、抑制レベルが少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは約100%に達することであって、好ましくは、内皮細胞管腔形成試験、例えば、実施例13に記載の方法により抑制活性を測定することで決定可能であること、
(vi)腫瘍(例えば、固形腫瘍、例えば黒色腫)の血管新生を抑制すること、
(vii)腫瘍(例えば、固形腫瘍、例えば黒色腫)の増殖を抑制することであって、例えば、腫瘍担持動物モデル、例えば、実施例14に記載の腫瘍担持動物モデルにおいて、単剤投与による腫瘍抑制率が50%以上に達すること、ならびに
(viii)血管新生関連眼疾患の発症および/または進行を抑制し、例えば、血管新生のレベルの低下、血管漏出の低減、血管新生による眼底網膜の浮腫および/または肥厚の抑制であること、
から選ばれるいずれか1つまたは複数の生物学的活性を有する。
【0089】
従って、いくつかの実施形態において、本発明は、脈管新生関連疾患、例えば、癌(例えば、固形腫瘍)および眼疾患(例えば、黄斑変性AMD)の治療に使用可能な抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子を提供する。
【0090】
本発明による抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子の抗VEGFC成分は、上記任意の本発明の抗VEGFC単一ドメイン抗体ポリペプチド、または本発明による任意の抗VEGFC VHHドメインを含むことができる。好ましくは、上記抗VEGFC成分は、本発明による抗VEGFC VHHドメインを含むかまたはそれからなり、より好ましくは、上記VHHドメインはヒト化VHHドメインである。一実施形態において、上記VHHドメインは、それぞれ配列番号1、2および3で示されるCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含み、一実施形態において、上記VHHドメインは配列番号9、10および11で示されるCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含み、一好ましい実施形態において、上記VHHドメインは配列番号17、18および19で示されるCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含み、さらなる好ましい実施形態において、上記VHHドメインは配列番号21、22および23で示されるCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、上記VHHドメインは、(i)配列番号4、8、12、16、20もしくは24のアミノ酸配列、または(ii)(i)のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列、または(iii)(i)のアミノ酸配列に対して少なくとも1個~30個、1個~20個、1個~15個、1個~10個、もしくは1個~5個のアミノ酸変化(例えば、置換、欠失および/または挿入、好ましくは置換、より好ましくは保存的置換)を有するアミノ酸配列から選ばれるものを含む。一好ましい実施形態において、上記VHHドメインは、配列番号20もしくは24のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。一実施形態において、本発明による抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子は、少なくとも1つ、例えば、2つまたはそれ以上(好ましくは2つ)の本発明の抗VEGFC単一ドメイン抗体またはVHHドメインを含む。
【0091】
本発明による抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子の抗VEGFA成分は、VEGFA結合ドメインを含む任意の分子により提供可能であり、例えば、抗VEGFA抗体、例えば、単鎖Fv抗体、Fab抗体、Fab’抗体、(Fab)2抗体、単一ドメイン抗体とナノボディ;抗VEGFA トラップ分子、例えば、VEGFA受容体VEGFR1の細胞外ドメインを含むトラップ分子、VEGFA受容体VEGFR2の細胞外ドメインを含むトラップ分子、またはVEGFR1とVEGFR2の細胞外ドメインを含むトラップ分子;およびVEGFA結合ドメインと免疫グロブリンのFc部分の融合タンパク質またはキメラポリペプチドであるが、これらに限定されない。本発明による二重特異性抗体分子において、抗VEGFC成分は、抗VEGFA成分のC末端またはN末端に連結または融合される。いくつかの実施形態において、抗VEGFC成分は、直接的に、または、好ましくはリンカー配列を介して、抗VEGFA成分のN末端もしくはC末端、好ましくはC末端に共有結合可能である。いくつかの実施形態において、本発明による抗VEGFA成分は、ヒトVEGFAに結合してVEGFAとその受容体VEGFR1および/またはVEGFR2の結合ならびにそれで誘導されるシグナル伝達を抑制する。
【0092】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明による抗VEGFA成分は、VEGFA結合ドメインを含むFcキメラポリペプチドにより提供され、それにより、上記抗VEGFA成分は、Fc融合タンパク質形態のVEGFA結合ドメインを含む。別のいくつかの好ましい実施形態において、抗VEGFA成分は、抗VEGFA Fab抗体により提供され、それにより、上記抗VEGFA成分は、Fab抗体形態のVEGFA結合ドメインを含む。抗VEGFA成分がFc融合タンパク質である実施形態において、好ましくは、VEGFA結合ドメインはFc部分のN末端またはC末端にあってもよく、かつ抗VEGFC成分はFc部分の対向端に連結される。抗VEGFA成分がFab抗体である実施形態において、好ましくは、抗VEGFC成分はFab抗体のC末端に連結される。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明による本発明の二重特異性結合タンパク質は、抗VEGFA成分と抗VEGFC成分を連結するリンカーを含んでもよい。一実施形態において、リンカーは、約6~約30アミノ酸長さ、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30アミノ酸長のペプチドである。好ましくは、リンカーは、G(G4S)nまたはG(G4S)nアミノ酸配列を含み、n=1、2、3、4もしくは5の整数、好ましくはn=2、3もしくは4である。
【0094】
Fc融合タンパク質形態の二重特異性結合分子
いくつかの実施形態において、それに従って、本発明は、抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子を提供し、ここで、上記結合分子はFc融合タンパク質形態の抗VEGFA成分および抗VEGFC成分を含み、ここで、上記抗VEGFA成分は免疫グロブリンFc領域に融合したVEGF-A結合ドメインを含み、かつ上記抗VEGF-C成分は、本発明に記載される任意の抗VEGF-C単一ドメイン抗体ポリペプチド、特に本発明に記載される任意の抗VEGF-C VHHドメインからなるVHH単一ドメイン抗体ポリペプチドを含む。一実施形態において、上記抗VEGFC成分は、抗VEGFA成分のFc領域を介してそれに連結され、好ましくは共有結合され、より好ましくはリンカーを介して連結される。さらなる実施形態において、上記VEGF-A結合ドメインと上記抗VEGF-C VHHドメインは、それぞれFc領域の両端に位置する。いくつかの好ましい実施形態において、上記VEGF-A結合ドメインはFc領域のN末端に位置し、かつ上記抗VEGF-C VHHドメインはFc領域のC末端に位置する。
【0095】
一実施形態において、上記VEGF-A結合ドメインは、VEGF-A結合性ポリペプチドである。さらなる実施形態において、上記VEGF-A結合性ポリペプチドは、VEGFA受容体、例えば、VEGFR1および/またはVEGFR2に由来する細胞外VEGFA結合ドメインを含む。一実施形態において、上記VEGFA結合性ポリペプチドは、VEGFR1の第2のIgドメインに遺伝子的に融合されるVEGFR2の第3のIgドメインを含む。一実施形態において、上記VEGF-A結合性ポリペプチドは、配列番号26のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなる。好ましくは、上記VEGF-A結合性ポリペプチドは、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0096】
一実施形態において、上記Fc領域は、ヒトIgGのFc領域、例えば、ヒトIgG1 Fc領域であり、好ましくは配列番号27のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなる。
【0097】
一実施形態において、VEGFA結合性ポリペプチドおよびFc領域を含む抗VEGFA成分は、配列番号25のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなる。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明の抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子は、Fc領域の二量体化作用により二量体を形成する。
【0099】
一好ましい実施形態において、本発明の抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子では、本発明による抗VEGFA結合ポリペプチドおよび本発明による抗VEGFC VHHドメインは、それぞれ免疫グロブリンFc領域のN末端およびC末端に融合され、かつ、それで形成された融合ポリペプチド鎖は、Fc領域の二量体化により二量体を形成する。従って、一好ましい実施形態において、本発明は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含む抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子を提供し、ここで、上記第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖は、それぞれ、本発明による抗VEGFA結合ポリペプチドと本発明による抗VEGFC VHHドメインがそれぞれ免疫グロブリンFc領域のN末端およびC末端に融合して形成された融合ポリペプチドを含み、ここで、上記第1のポリペプチド鎖と2のポリペプチド鎖は、同じであっても異なってもよい。好ましくは、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は同じであり、本発明の抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含むホモ二量体タンパク質である。一実施形態において、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は同じであり、それぞれ、配列番号26のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるVEGF-A結合性ポリペプチドを含む。さらなる実施形態において、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は同じであり、それぞれ、配列番号4、8、12、16、20もしくは24のアミノ酸配列から選ばれるCDR1、CDR2およびCDR3の配列を含む抗VEGF-C VHHドメインを含み、好ましくは、上記VHHドメインは、配列番号1~3、配列番号9~11、配列番号17~19または配列番号21~23のCDR1、CDR2およびCDR3の配列を含み、より好ましくは、上記VHHドメインは、配列番号4、8、12、16、20もしくは24から選ばれるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなる。さらなる実施形態において、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は同じであり、それぞれ、ヒトIgG1由来のFc領域を含む。さらなる実施形態において、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は同じであり、かつここで、本発明による抗VEGFC VHHドメインは、リンカーを介して免疫グロブリンFc領域のC末端に融合される。一実施形態において、リンカーは、G(G4S)nまたはG(G4S)nアミノ酸配列を含み、n=1、2、3、4もしくは5の整数、好ましくはn=2、3もしくは4である。さらなる実施形態において、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、同じであるとともに、それぞれ配列番号40~41および44~47から選ばれるアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、同じであるとともに、それぞれ配列番号47で示されるアミノ酸配列を含む。
【0100】
Fab抗体形態の二重特異性結合分子
さらなるいくつかの実施形態において、本発明は、抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子を提供し、ここで、上記結合分子はFab抗体形態の抗VEGFA成分および抗VEGFC成分を含み、ここで、上記抗VEGFA成分は、ペアリングしてVEGF-A結合ドメインを形成する重鎖可変領域VHおよび軽鎖可変領域VLを含み、それらはそれぞれ、免疫グロブリン重鎖定常領域CH1および軽鎖定常領域CLと融合することで抗VEGFA Fab抗体を形成する。さらなるいくつかの実施形態において、抗VEGFC成分は、抗VEGFA Fab抗体のCH1および/またはCL定常領域C末端により、Fab抗体形態の抗VEGFA成分に連結され、好ましくは共有結合され、より好ましくはリンカーを介して連結される。さらなる実施形態において、抗VEGFA Fab抗体は、それぞれCH1定常領域およびCL定常領域のC末端に、それぞれ1つの抗VEGF-C成分に連結される。好ましくは、上記抗VEGF-C成分は、本発明に記載の任意の抗VEGF-C単一ドメイン抗体ポリペプチド、特に本発明に記載の任意の抗VEGF-C VHHドメインからなるVHH単一ドメイン抗体ポリペプチドを含む。
【0101】
本発明による二重特異性結合分子のいくつかの実施形態において、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、重鎖可変領域VHおよび免疫グロブリン重鎖定常領域CH1が連結して形成されるFab重鎖と、軽鎖可変領域VLおよび免疫グロブリン定常領域VLから形成されるFab軽鎖とを含む。別の実施形態において、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、重鎖可変領域VHおよび免疫グロブリン定常領域VLが連結して形成されるFab軽鎖と、上記軽鎖可変領域VLおよび免疫グロブリン重鎖定常領域CH1が連結して形成されるFab重鎖とを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、重鎖可変領域VHおよび軽鎖可変領域VLを含み、ここで、上記VHは配列番号34~36のHCDR1~3のアミノ酸配列を含み、かつ上記VLは配列番号37~39のLCDR1~3のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、抗VEGFA Fab抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体であり、好ましくはヒト化抗体である。さらなる実施形態において、上記VEGF Fab抗体は、重鎖可変領域VHおよび軽鎖可変領域VLを含み、ここで、上記VHは配列番号29のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ上記VLは、配列番号32のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、好ましくは、上記VHは配列番号29のアミノ酸配列を含み、かつ上記VLは配列番号32のアミノ酸配列を含む。
【0103】
さらなるいくつかの実施形態において、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、ヒト免疫グロブリンIgG1のCH1定常領域を含む。別の実施形態において、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、ヒトκ軽鎖定常領域CLを含む。一実施形態において、上記抗VEGFA Fab抗体は、配列番号30のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CH1定常領域を含む。さらなる実施形態において、上記抗VEGFA Fab抗体は、配列番号33のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CL定常領域を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、好ましくは、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、本発明によるVHおよびCH1からなるFab重鎖(VH-CH1鎖)と、本発明によるVLおよびCLからなるFab軽鎖(VL-CL鎖)とを含む。より好ましくは、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、配列番号28のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するFab重鎖と、配列番号31のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するFab軽鎖とを含む。より好ましくは、本発明による抗VEGFA Fab抗体は、配列番号28のアミノ酸配列および配列番号31のアミノ酸配列を含む。
【0105】
本発明による二重特異性結合分子のさらなるいくつかの実施形態において、本発明による抗Fab抗体は、CH1およびCLのC末端でそれぞれ、本発明の抗VEGFC単一ドメイン抗体または本発明の抗VEGFC VHHドメインに、直接的に、または好ましくはリンカーを介して連結される。従って、一実施形態において、本発明は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含む抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子を提供し、ここで、上記第1のポリペプチド鎖は、本発明による抗VEGFA Fab抗体のFab重鎖と、そのCH1のC末端に連結される抗VEGFC VHHドメインとを含み、第2のポリペプチド鎖は、本発明による抗VEGFA Fab抗体のFab軽鎖と、そのCLのC末端に連結される抗VEGFC VHHドメインとを含む。好ましくは、上記Fab重鎖はVHおよびCH1からなり(VH-CH1)、上記Fab軽鎖はVLおよびCLからなる(VL-CL)。
【0106】
一好ましい実施形態において、本発明は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含む抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子を提供し、ここで、第1のポリペプチド鎖はN末端からC末端へVH-CH1-リンカー-VHHを含み、かつ第2のポリペプチド鎖はN末端からC末端へVL-CL-リンカー-VHHを含み、ここで、上記VHHは本発明の抗VEGFA VHHドメインであり、上記VH-CH1およびVL-CLがペアリングして本発明の抗VEGF-A Fab抗体を形成し、任意に、ここで、CH1およびCLは、リンカーを用いることなく、VHHドメインに直接連結されてもよい。いくつかの実施形態において、上記VHHドメインは、配列番号4、8、12、16、20もしくは24のアミノ酸配列から選ばれるCDR1、CDR2およびCDR3の配列を含み、好ましくは、上記VHHドメインは、配列番号1~3、配列番号9~11、配列番号17~19または配列番号21~23のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含み、より好ましくは、上記VHHドメインは、配列番号4、8、12、16、20もしくは24から選ばれるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなり、さらに好ましくは、上記VHHドメインは、配列番号20または24のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記VHは、配列番号34~36のHCDR1~3のアミノ酸配列を含み、かつ上記VLは配列番号37~39のLCDR1~3のアミノ酸配列を含み、好ましくは、上記VHおよびVLはヒト化されたものであり、より好ましくは、上記VHは、配列番号29のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ上記VLは、配列番号32のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、さらに好ましくは、上記VHは配列番号29のアミノ酸配列を含み、かつ上記VLは配列番号32のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記CH1は、ヒト免疫グロブリンIgG1のCH1定常領域を含む。別の実施形態において、上記CLは、ヒトκ軽鎖定常領域CLを含む。一実施形態において、上記CH1は、配列番号30のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、上記CLは、配列番号33のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、リンカーは、G(G4S)nまたはG(G4S)nアミノ酸配列を含み、n=1、2、3、4もしくは5の整数、好ましくはn=2、3もしくは4である。
【0107】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含む抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子を提供し、ここで、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖は、
-配列番号42のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、および配列番号43のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、
-配列番号48のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、および配列番号49のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、
-配列番号50のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、および配列番号51のアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、
から選ばれ、
一好ましい実施形態において、上記第1のポリペプチド鎖は配列番号48で示されるアミノ酸配列を含み、かつ上記第2のポリペプチド鎖は配列番号49で示されるアミノ酸配列を含み、または、上記第1のポリペプチド鎖は配列番号42のアミノ酸配列を含み、かつ上記第2のポリペプチド鎖は配列番号43のアミノ酸配列を含み、または、上記第1のポリペプチド鎖は配列番号48のアミノ酸配列を含み、かつ上記第2のポリペプチド鎖は配列番号49のアミノ酸配列を含み、または、上記第1のポリペプチド鎖は配列番号50のアミノ酸配列を含み、かつ上記第2のポリペプチド鎖は配列番号51のアミノ酸配列を含む。より好ましくは、上記第1のポリペプチド鎖は配列番号48のアミノ酸配列を含み、かつ上記第2のポリペプチド鎖は配列番号49のアミノ酸配列を含む。
【0108】
本発明は、また、本発明の単一ドメイン抗体、融合タンパク質と二重特異性結合分子を含む免疫複合体(例えば、毒素または化学小分子に結合)、および医薬組成物ならびに薬物組合せを提供する。医薬組成物または薬物組合せにおいて、本発明の単一ドメイン抗体、融合タンパク質および二重特異性結合分子は、別の治療剤、例えば、本発明の単一ドメイン抗体、融合タンパク質と二重特異性結合分子の予想使用に利用可能な別の治療剤、例えば、化学療法剤、放射線治療剤、抗血管新生分子、免疫抑制薬、抗線維化薬、神経保護薬および腫瘍抑制分子を含んでもよい。
【0109】
IV.ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主
本発明は、上記任意の本発明の分子(単一ドメイン抗体、融合タンパク質および二重特異性結合分子)をコードする核酸を提供する。上記核酸を含むベクターをさらに提供する。一実施形態において、ベクターは発現ベクターである。上記核酸または上記ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。一実施形態において、宿主細胞は真核のものである。別の実施形態において、宿主細胞は、酵母細胞、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞または293細胞)から選ばれる。別の実施形態において、宿主細胞は原核のものである。
【0110】
一態様において、本発明は、上記任意の抗VEGFC単一ドメイン抗体またはVHHドメインをコードする核酸を提供する。適切な発現ベクターから発現される場合、上記核酸によりコードされたポリペプチドは、ヒトVEGFC抗原結合能力を示すことができる。いくつかの実施形態において、上記核酸は、インフレームにおいて別のペプチド/ポリペプチドをコードする核酸に操作可能に連結されることで、適切な発現ベクターから発現される場合、上記単一ドメイン抗体もしくはVHHドメインと別のペプチド/ポリペプチドとを含む融合タンパク質またはキメラポリペプチドを産生する。産生および精製を容易にするために、単一ドメイン抗体またはVHHドメインは、N末端で分泌シグナルペプチド、および/または精製に寄与するタグペプチド、例えば、ヘキサヒスチジンタグと融合してもよい。単一ドメイン抗体またはVHHドメインは、C末端で免疫グロブリンのFc部分と融合してVHH-Fc抗体を形成してもよい。
【0111】
さらなる態様において、本発明は、上記任意の抗VEGFA/VEGFC二重特異性結合分子をコードする核酸を提供する。適切な発現ベクターから発現される場合、上記核酸によりコードされたポリペプチドは、ヒトVEGFAおよびヒトVEGFC抗原結合能力を示すことができる。一実施形態において、二重特異性抗体分子の第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸は、同じベクターにあってもよく、または異なるベクターにあってもよい。さらなる実施形態において、二重特異性抗体分子の第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸は、同じまたは異なる宿主細胞を導入することで発現することができる。従って、いくつかの実施形態において、本発明の二重特異性結合分子の産生方法は、上記分子の第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖の発現に適する条件下で、上記第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖をコードする核酸を含む宿主細胞を培養し、本発明の二重特異性結合分子を産生するステップを含む。
【0112】
当業者に明らかなように、遺伝暗号の退化性のため、それぞれの抗体またはポリペプチドアミノ酸配列は、複数種の核酸配列によってコードすることができる。
【0113】
本発明の分子をコードする核酸配列は、本分野でよく知られている方法を利用し、例えば、新規固相DNA合成により、またはPCR増幅により産生することができる。
【0114】
一実施形態において、本発明の核酸を含む1つまたは複数のベクターを提供する。一実施形態において、ベクターは発現ベクター、例えば、原核発現ベクターまたは真核発現ベクターである。ベクターは、ウイルス、プラスミド、コスミド、λファージまたは酵母人工染色体(YAC)を含むが、これらに限定されない。
【0115】
一実施形態において、1種または複数種の本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。本明細書に用いられるように、「宿主細胞」という用語は、本発明の抗体分子が産生されるように工学的に操作可能な任意の種類の細胞系を指す。本発明の抗体分子の発現を複製およびサポートするのに適する宿主細胞は、本分野でよく知られているものである。必要に応じて、このような細胞は、特定の発現ベクターでトランスフェクションまたは形質導入することができるとともに、臨床応用に十分な量の本発明の分子が得られるように、大規模な発酵槽に接種するためにベクター含有細胞を大量に培養することができる。適切な宿主細胞は、大腸菌などの原核微生物、糸状真菌もしくは酵母などの真核微生物、または、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、昆虫細胞などのさまざまな真核細胞を含む。懸濁培養に適する哺乳動物細胞株を利用することができる。利用可能な哺乳動物宿主細胞株の例としては、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胎児腎臓株(HEK293または293F細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、CHO細胞、NSO細胞、骨髄腫細胞株、例えば、YO、NS0、P3X63およびSp2/0などが含まれる。タンパク質の産生に適する哺乳動物宿主細胞株についての概説は、例えば、Yazaki&Wu,Methods in Molecular Biology,第248巻(edited by B.K.C.Lo,Humana Press,Totowa,NJ),p255~268(2003)が参照される。一好ましい実施形態において、上記宿主細胞は、CHO、HEK293またはNSO細胞である。
【0116】
V.本発明の分子の産生および精製
さらなる態様において、本発明は、本発明の分子(単一ドメイン抗体、融合タンパク質および二重特異性結合分子)を産生するための方法を提供し、上記方法は、上記分子のポリペプチド鎖を発現するのに適する条件下で上記ポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養することと、上記ポリペプチド鎖を上記分子になるように組み立てるのに適する条件下でポリペプチド鎖を組み立てて上記分子を産生することとを含む。
【0117】
組換え産生のために、本発明の分子のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドを、宿主細胞においてさらにクローニングおよび/または発現されるように、1つまたは複数のベクターに挿入することができる。当業者によく知られている方法により発現ベクターを構築することができる。発現ベクターは、ウイルス、プラスミド、コスミド、λファージまたは酵母人工染色体(YAC)を含むが、これらに限定されない。本発明の1種または複数種のポリヌクレオチドを含む、発現のための発現ベクターが調製されると、発現ベクターを適切な宿主細胞にトランスフェクションまたは導入することができる。この目的を達成させるために、例えば、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム共沈殿、エレクトロポレーション、レトロウイルスの形質導入、ウイルストランスフェクション、パーティクルガン、リポソームに基づくトランスフェクションまたは他の一般的な技術のようなさまざまな技術を利用することができる。
【0118】
本明細書に記載の通り調製された抗体分子は、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなどの既知の従来技術により精製することができる。特定のタンパク質を精製するための実際の条件は、正味電荷、疎水性、親水性などの因素にも依存し、かつそれらは当業者にとって明らかである。
【0119】
一実施形態において、本発明の単一ドメイン抗体またはVHHドメインは、細菌、例えば大腸菌において産生可能である。一実施形態において、単一ドメイン抗体は、細菌のペリプラズム内で発現された後、本分野で既知の方法で単離され、かつ任意にさらに精製されることができる。さらに、単一ドメイン抗体、VHHドメイン、融合ポリペプチドおよび二重特異性分子は、真核細胞において発現されてもよい。一実施形態において、上記細胞は293細胞であり、発現された後、例えば、タンパク質Aカラムによって単離・精製される。
【0120】
よく知られている種々の分析方法のいずれか1つにより、本発明の抗体分子の純度を決定することができ、上記よく知られている分析方法は、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィーなどを含む。本分野で知られている種々の測定法により、本明細書に提供される抗体分子の物理的/化学的特性および/または生物学的活性を同定、スクリーニングもしくは特性評価することができる。
【0121】
VI.測定法
本分野で既知の種々の測定法により、本明細書に提供される分子(単一ドメイン抗体、融合タンパク質および二重特異性分子)についてその物理的/化学的特性および/または生物学的活性を同定、スクリーニングもしくは表現特性評価することができる。
【0122】
本発明の分子のヒトVEGFAおよび/またはヒトVEGFCへの結合は、例えば、ELISA、Westernブロットのような本分野で既知の方法、または本明細書の実施例に開示される例示的な方法により測定することができる。例えば、組換えVEGFAおよび/またはヒトVEGFCタンパク質を使用し、光干渉による生体測定法で分子の結合ダイナミクス(例えば、KD値)を測定することができる。いくつかの実施形態において、光干渉による生体測定法(例えば、Fortebio親和性測定)、例えば、実施例3に示される方法により、温度30℃で、分子のヒトVEGFAおよび/またはヒトVEGFCへの結合平衡解離定数、例えば、一価結合親和性または二価結合親和性を測定する。
【0123】
本発明の分子のVEGFAおよび/またはVEGFC拮抗/抑制活性は、本分野で既知の方法、例えば、ELISA阻害試験、受容体蛍光レポーター分子活性化試験、細胞増殖試験、または本明細書の実施例に開示された例示的な方法により測定することができる。例えば、ELISA阻害試験、例えば、実施例4に示される方法により、ヒトVEGFAおよび/またはヒトVEGFCとその関連受容体の結合を阻害する分子の阻害活性を測定することができる。細胞ベースの受容体レポーターアッセイ、例えば、実施例5または10に記載の方法により、例えば、NFAT-RE-luc2P/KDR HEK293細胞で、分子による、hVEGF-A単独もしくはhVEGF-C単独またはその組み合わせで誘導されたVEGFR2シグナル伝達経路の活性化への阻害を測定してもよい。細胞増殖アッセイ、例えば、CCK-8試験、例えば、実施例6または11に記載の方法により、リンパ球または内皮細胞で、分子による、hVEGF-A単独もしくはhVEGF-C単独またはその組み合わせで誘導された細胞の生存および/または増殖へのインビトロでの抑制を測定してもよい。
【0124】
本発明の分子の抗血管新生作用は、本分野で既知の方法、例えば、インビトロ試験および/またはインビボ動物実験により測定することができる。例えば、インビトロ内皮細胞管腔形成実験、例えば、実施例13に示される方法により、VEGFAおよびVEGFCを用いてヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)管腔形成を誘導し、分子によるVEGFAおよびVEGFC誘導性の初代細胞管腔形成への抑制作用を検出してもよい。例えば、腫瘍担持マウスモデルにおいて、例えば、実施例14に示される方法に従って、分子の抗血管新生および/または抗腫瘍作用を検出してもよい。あるいは、選択的には、例えば、レーザー誘導性の脈絡膜血管新生動物モデルを使用し、分子投与後に、例えば、眼底カラー写真撮影、フルオレセイン眼底血管造影、光干渉断層撮影により、分子の脈絡膜血管新生への抑制状況を観察してもよい。
【0125】
VII.医薬組成物、薬物組合せおよび試薬キット
一態様において、本発明は、医薬組成物などの組成物を提供し、上記組成物は、薬学的に許容可能なベクターとともに調製された本発明の分子(単一ドメイン抗体、融合タンパク質または二重特異性分子)を含む。本明細書に用いられるように、「薬学的に許容可能なベクター」は、生理学的に適合性がある溶剤、分散媒体、等張剤および吸収遅延剤などのいずれかまたはその全てを含む。本発明の医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、直腸、脊髄または表皮投与(例えば、注射または注入)に適する。一実施形態において、本発明の分子は、注射投与に適する医薬組成物として調製される。いくつかの実施形態において、本発明の分子は、腹腔内注射に適する医薬組成物として調製される。さらなるいくつかの実施形態において、本発明の分子は、眼注射投与(例えば、硝子体注射投与)に適する医薬組成物として調製される。いくつかの実施形態において、本発明の分子は、医薬組成物中の唯一の活性成分である。別のいくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の抗体分子と、1種以上の治療剤とを含んでもよい。
【0126】
別の態様において、本発明はまた、本発明の分子(単一ドメイン抗体、融合タンパク質または二重特異性分子)と、1種以上の治療剤とを含む薬物組合せを提供する。
【0127】
本発明の医薬組成物および薬物組合せに適用される治療剤は、(i)抗血管新生薬、(ii)免疫抑制薬、(iii)抗線維化薬、(iv)神経保護剤、および(v)腫瘍抑制作用を有する薬物、というクラスから選ばれるいずれか1つの治療剤であってもよい。
【0128】
本発明の組成物は、さまざまな形態であってもよい。これらの形態は、液体、半固体と固体の剤型、例えば、液体溶液剤(例えば、注射用溶液剤と注入用溶液剤)、分散体剤または懸濁剤、リポソーム剤および坐剤を含む。好ましい形態は、所望の投与モードと治療的使用によって決定される。一般的な好ましい組成物は、注射用溶液剤または注入用溶液剤の形態である。好ましい投与モードは、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内(i.p.)、筋肉内)注射である。一好ましい実施形態において、抗体分子は、静脈内注入または注射により投与される。別の好ましい実施形態において、抗体分子は、筋肉内、腹腔内または皮下注射により投与される。
【0129】
本明細書に用いられるような「非経口投与」および「非経口方式投与」という語句は、経腸投与および局所投与以外の投与モードを指し、一般的に注射により投与され、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、腹腔内、経気管、皮下注射および注入を含むが、これらに限定されない。
【0130】
治療用組成物は、一般的に滅菌であるとともに、調製と貯蔵条件において安定であるべきである。組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散体、リポソームまたは凍結乾燥形態に調製することができる。活性化合物(すなわち、抗体分子)を所定の量で適切な溶剤に加えてから、ろ過して消毒することにより、滅菌された注射用溶液剤を調製することができる。一般的に、上記活性化合物を滅菌溶媒に加えることによって分散体を調製し、上記滅菌溶媒は、基礎的分散媒体と他の成分を含む。レシチンなどのコーティング剤を用いることができる。分散体である場合は、界面活性剤を用いることで溶液剤の適切な流動性を維持することができる。吸収を遅延する物質、例えば、モノステアレートとゼラチンを組成物に含ませることにより、注射用組成物の吸収を延長させることができる。
【0131】
本発明の医薬組成物は、「治療有効量」または「予防有効量」の本発明の分子を含んでもよい。「治療有効量」とは、必要な期間にわたって必要な用量で所望の治療結果を効果的に実現するための量を指す。治療有効量は、病状、個体の年齢、性別と体重などの多くの要因によって変化することができる。治療有効量は、毒性または有害作用が治療による有益な効果に及ばないような任意の量である。未治療の対象と比べ、「治療有効量」は、好ましくは測定可能なパラメータ(例えば、腫瘍増殖率)を少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらに好ましくは少なくとも約60%、また一層好ましくは少なくとも約80%抑制する。測定可能なパラメータ(例えば、腫瘍体積)に対する本発明の分子の抑制能力は、ヒト腫瘍における効果を示す動物モデルシステムにおいて評価することができる。
【0132】
「予防有効量」とは、必要な期間にわたって必要な用量で所望の予防結果を効果的に実現するための量を指す。一般的に、予防的用量は対象において疾患の早期より前または疾患の早期に使用されるため、予防有効量は治療有効量を下回る。
【0133】
本明細書に記載の抗体分子を含む試薬キットも、本発明の範囲内にある。試薬キットは、1つまたは複数の他の要素を含んでもよく、例えば、取扱説明書、マーカーまたはカップリングのための試薬などの他の試薬、薬学的に許容可能なベクター、および対象への投与のための装置または他の材料を含む。
【0134】
VIII.本発明の分子の使用および方法
一態様において、本発明は、本発明の分子のインビボ・インビトロでの使用および適用方法を提供する。
【0135】
いくつかの実施形態において、本発明の使用および方法は、本発明の分子をインビボおよび/またはインビトロで、
-VEGFA抗原および/またはVEGFC抗原との結合、
-VEGFAおよび/またはVEGFCと、その関連受容体、例えばVEGFR2および/またはVEGFR3との結合への阻害、
-VEGFAおよび/またはVEGFC誘導性のVEGFR2および/またはVEGFR3細胞シグナル伝達の活性化への抑制、
-VEGFAおよび/またはVEGFC誘導性の血管内皮細胞の生存、増殖および/または遊走への抑制、
-VEGFC誘導性のリンパ球の生存および/または増殖への抑制、
-VEGFC誘導性のリンパ管新生およびリンパ内皮細胞の増殖と遊走への抑制、
-VEGFAおよび/またはVEGFC誘導性の血管新生および/または血管漏出への抑制、
-腫瘍の血管新生および/または増殖および/または転移への抑制、
に適用することに関する。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体分子または本発明の抗体分子を含む医薬組成物は、個体において疾患を治療および/または予防する薬物として使用され、あるいは疾患の診断ツールとして使用され、好ましくは、上記個体は哺乳動物、より好ましくはヒトである。
【0137】
いくつかの実施形態において、本発明は、血管新生関連疾患を治療する方法であって、対象に本発明の分子(単一ドメイン抗体ポリペプチドもしくはその融合タンパク質、または二重特異性結合タンパク質)またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記疾患は固形腫瘍、好ましくは黒色腫であり、ここで、上記二重特異性結合タンパク質の投与により、腫瘍内の血管新生および/または腫瘍の増殖が抑制される。別のいくつかの実施形態において、上記疾患は眼疾患、好ましくは加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、網膜血管閉塞および角膜血管新生である。
【0138】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において疾患を治療および/または予防する薬物を調製するため、ならびに/もしくは疾患を診断する診断ツールを調製するための本発明の単一ドメイン抗体ポリペプチドまたはその融合タンパク質あるいは本発明の二重特異性結合分子の使用を提供し、ここで、上記疾患は、好ましくは血管新生関連疾患であり、例えば固形腫瘍および眼疾患である。
【0139】
任意の上記実施形態にも、1種または複数種の別の活性剤、例えば、化学療法剤および/または癌治療剤もしくは抗血管新生療法は、さらに本発明の単一ドメイン抗体ポリペプチドまたは二重特異性結合タンパク質と併用投与することができる。併用投与の形態は、同時投与、並行投与、または任意の順番での逐次投与であってもよい。
【0140】
さらなる態様において、本発明はまた、インビトロまたはインビボで、生体試料、例えば、血清、精液、尿または組織生検試料(例えば、過剰増殖性または癌性の病巣に由来)における関連抗原の存在を検出する診断方法を提供する。当該診断方法は、(i)相互作用の発生を許容する条件下で、試料(および任意に、対照試料)を(標識または非標識の)本発明の分子(単一ドメイン抗体、融合タンパク質もしくは二重特異性結合分子)と接触させるか、または対象に上記抗体分子を投与することと、(ii)上記分子と試料(および任意に、対照試料)との間での複合物の形成を検出することとを含む。複合物の形成は、関連抗原の存在を表し、場合によっては、本明細書に記載の治療および/または予防の適合性または必要性を示すことができる。
【実施例】
【0141】
実施例1.ファージ免疫ライブラリーの調製
アルパカの免疫または合成ライブラリーの構築
1.1 健康な成体アルパカ(成都NBBIOLAB社)2頭を選択し、組換えタンパク質抗原ヒトVEGFC(北京Sino Biological社)0.5mgとフロイントアジュバントを1:1の比率で均一に混合し、背中皮下多点注射の方式でアルパクを合計4回免疫化し、免疫間隔を2週間とした。
1.2 アルパカ末梢血50mLを採取し、リンパ球を単離し、生細胞2.5×107個あたり1mLのTrizol試薬(THERMO社)を加え、クロロホルム/イソプロピルアルコール沈殿法により全RNAを抽出した。10μgのRNAをテンプレートとして取り、PrimeScript逆転写試薬キット(Takara社)を用いて逆転写を行った。cDNAをテンプレートとして、PCR増幅によりVHHをコードする核酸を産生した後、Flagタグおよびヘキサヒスチジンタグ付きのVHH断片とファージgpIIIタンパク質との融合ポリペプチドを発現してディスプレイするファージディスプレイベクターを挿入し、ディスプレイベクターで大腸菌TG1コンピテント細胞を形質転換し、VHH抗体ライブラリーを構築して産生した。
簡単に言えば、cDNAをテンプレートとして、1回目のPCR反応および2回目のPCR反応を行った(具体的な方法は、J Immunol Methods.2007 July 31;324(1-2):13~25を参照)。pC3-HFベクターと2回目のPCRの産物をそれぞれSacIとSalI(Thermo社)により二重酵素切断し、酵素切断産物にT4リガーゼ(Thermo社)を加えて反応させ、TG1コンピテント細胞を電気的形質転換し、VHH抗体ライブラリーを構築し、菌液を-80℃で凍結保存した。
蘇生した菌液を100mLのYT-AG培地(上海Sangon社)に接種し、ヘルパーファージを加えて感染させ、2×YT-AK培地(上海Sangon社)で菌体を再懸濁し、37℃、200rpmで一晩培養した。培養上清を収集し、PEG/NaCl沈殿法を用いて組換えファージを調製した。
1.3 組換えファージをビオチン標識抗原VEGFC(北京Sino Biological社)によりパニング実験を3回行った。各チューブに50μLのDynabeads(登録商標)M280磁気ビーズ(Thermo社)および適量のビオチン標識抗原を加え、室温で30minインキュベートした後、1×1012のcfu組換えファージを加えて室温で1hインキュベートした。得られた混合物を1mLのPBSTに加えて10回洗浄し、各回の洗浄時間が5minであった。最後に、pH2.5のグリシン緩衝液0.5mLを加え、抗原結合の組換えファージを溶離し、TG1に感染させて一晩培養し、ヘルパーファージで感染させ、組換えファージを調製して次回のパニング実験に供し、そして陽性VHHを含むTG1細菌クローンを同定した。
1.4 Binding ELISAにより結合活性を検出し、クローンのシーケンシングを行った。
予めVEGFC抗原(北京Sino Biological社)を取り、PBS緩衝液で0.5μg/mLに希釈し、96ウェルELISAプレートにコーティングし、4℃の冷蔵庫で一晩置いた。抗原でコーティングされたプレートをPBSTにより3回洗浄し、ブロッキング剤を300μL/ウェルまで加え、室温で1h静置してブロッキングした。PBSTで3回洗浄し、ブロッキング剤80μL+上記1.3で同定した陽性VHHのTG1菌の発現上清20μLを加え、室温で1h振とうした。
PBSTで3回洗浄し、ブロッキング剤を加えて希釈したAnti-Flag/HRP二次抗体(Sigma社)を100μL/ウェルで加え、室温で40min振とうした。PBSTで6回洗浄し、TMB発色液を100μL/ウェルまで加え、光を避けて5min~15min発色させた。さらに100μL/ウェルの停止液を加えた。マイクロプレートリーダーで値を読み取り、OD450nm吸光値を測定した。読取値が0.5より大きい細菌クローンを選択してシーケンシングのためにGENEWIZ社へ送り、各対応するVHH配列を含むTG1菌モノクローンを選択してグリセリンを加え、-80℃の冷蔵庫で凍結した。
【0142】
実施例2.原核抗体の産生および精製
上記の得られた陽性VHH含有のTG1モノクローンを用いて発現・精製してVHH抗体タンパク質を得た。
実施例1で同定されたVHH発現プラスミド含有のTG1菌を800mLのLB-Amp培地に接種し、37℃、200rpmでOD600値が0.5~0.6になるまで培養した。菌液に1mMのIPTGを加えてVHH断片の発現を誘導し、28℃、200cpmで一晩培養した。培養上清を収集し、遠心分離してから15mLのPB+1mg/mLのポリミキシンを加えて再懸濁し、細菌のペリプラズムを溶解し、再び遠心分離し、0.22μmのろ過膜でろ過した。ペリプラズム溶解液を1mLのNi Sepharoseプレカラムに流し、PBSを加えて2回洗浄し、0.5Mのイミダゾールを加えて標的タンパク質を溶離し、紫外線法によりタンパク質の濃度を測定した。溶離した標的タンパク質は紫外線法によりタンパク質の濃度を測定し、複数のチューブに分注して-40度の冷蔵庫で保存した。
アルパカVHHライブラリーでスクリーニングして、以下のHCDRモチーフ:
HCDR1:GSXFSXYAMG、
HCDR2:ATTSGGSTLYADSVKG、
HCDR3:XWRGSDPENY、
を共有する2つの抗VEGFC VHH抗体(LA49G9およびLA63G12)を得た。
得られたこの2つのVHH抗体を基にして、ヒト化VHH抗体(LA49G9.2とLA63G12.1)および親和性成熟のヒト化VHH抗体(am63G12-14B11とam63G12-5G8-18B9)を産生した。
本発明のVHH抗体のCDRアミノ酸配列とVHHアミノ酸配列、および配列番号は、配列表および
図19を参照されたい。
以下の実施例のVHH抗体生物活性検出実験において、ヒト化LA49G9.2およびLA63G12.1分子関連実験は、二量体化VHH-Fc抗体を使用して行い、残りはVHH単一ドメイン抗体を使用して行った。
【0143】
実施例3.バイオレイヤー干渉技術による本発明の抗体と抗原の結合ダイナミクスの測定
バイオレイヤー干渉測定技術(ForteBio)により、本発明の抗体のヒトVEGFCに結合する平衡解離定数(KD)を測定した。ForteBio親和性の測定は、従来の方法(Estep,P et al.,High throughput solution Based measurement of antibody-antigen affinity and epitope binning.MAbs,2013.5(2):p270~8)に従って行われた。
実験開始より30min前に、試料数に応じて、適切な数のAMQ(Pall、1506091)(試料検出用)またはAHQ(Pall、1502051)(陽性対照検出用)センサを取ってSD buffer(PBS 1×、BSA 0.1%、Tween(登録商標)-20 0.05%)に浸漬した。
100μLのSD緩衝液、抗体および抗原(ヒトVEGFC(北京Sino Biological))を取り、96ウェルの黒色ポリスチレン製のハーフエリアマイクロプレート(Greiner、675076)に加えた。試料の位置に応じてプレートを配置し、センサの位置を選択した。機器は、次のようにパラメータを設定した:Baseline、Loading~1nm、Baseline、AssociationおよびDissociationのステップを実行し、各ステップの実行時間は試料の結合と解離速度によって決められ、回転速度が400rpm、温度が30℃であった。ForteBio分析ソフトウェアを用いてK
D値を分析した。
上記測定法に記載の実験において、抗体の親和性は、表1に示される通りである。
【表2】
【表3】
上記試験において、抗体LA49G9、LA63G12は、ヒトVEGFCとの一価KD値がそれぞれ1.00E-08Mおよび1.64E-08Mであり、親和性成熟の抗体Am63G12-14B11およびAm63G2-5G8-18B9は、結合親和性がさらに向上し、一価KD値がそれぞれ6.21E-09Mおよび5.70E-09Mであった。抗体LA49G9、LA49G9.2、LA63G12およびLA63G12.1は、ヒトVEGFCとの二価親和性のKD値がそれぞれ6.13E-10M、6.45E-10M、6.56E-10Mおよび6.22E-10Mであった。
【0144】
実施例4.anti-VEGFC VHH抗体のELISA阻害実験
本発明の抗体によるhVEGFCと受容体KDRの結合への阻害作用を測定した。
SA(ストレプトアビジン、streptavidin)を1μg/mLに希釈し、100μL/ウェルでマイクロプレートに播いて4℃で一晩置いた。PBSTで3回洗浄し、3%のBSAを加えて1.5hブロッキングした。PBSTで3回洗浄し、50ng/mLのVEGFC-biotin(ビオチンで標識したヒトVEGFC)を加え、1.5hインキュベートした。予め抗体50μLおよびVEGFR2-Fc(最終濃度0.2μg/mL、北京Sino Biological)またはVEGFR3-Fc(最終濃度0.2μg/mL、北京Sino Biological)を20minインキュベートしてから、プレートに加えた。PBSTで3回洗浄し、抗human FcHRP抗体(1:10000で希釈、BETHYL)を加えて30minインキュベートした。PBSTで6回洗浄し、TMB(SOLARBIO)により5min発色させ、停止後、OD450nmを読み取った。
本発明で得られた抗VEGF VHH抗体の阻害結果は、
図1に示される通りである。候補分子LA49G9、LA63G12とヒト化抗体LA63G12.1および親和性成熟分子Am63G12-14B11とAm63G2-5G8-18B9抗体は、いずれもVEGFCとVEGFR2およびVEGFR3との結合を阻害することができ、2つの親和性成熟分子は、陽性対照分子OPT-302(VEGF-C-トラップ、配列番号52)と基本的に相当の阻害IC50値を有する。
【0145】
実施例5.anti-VEGFCVHH抗体によるVEGFC誘導性のHEK293 KDR reporterの活性化への阻害実験
VEGFCは、関連する受容体VEGFR2(KDR)に結合し、VEGFR2シグナル伝達経路を活性化し、血管内皮細胞の生存、増殖および遊走などの作用を誘導することができる。本研究は、KDR reporter実験系を利用し、NFAT-RE-luc2P/KDR HEK293細胞(Promega Cat CS181401)を用いて、勾配希釈した抗体によるVEGFC活性化関連受容体シグナル伝達経路への阻害作用を検出した。
実験方法については、供給元による説明を参照した:
3日前に実験培地(10%FBSを含むDMEM培地)に交換したNFAT-RE-luc2P/KDR HEK293細胞を取り出し、古い培地を吸引除去し、PBSで1回洗浄した後、1mLのAccutase solution(Sigma社)で、細胞が丸くなって壁から離れるまで細胞を消化し、5mLの希釈培地(10%FBSを含むDMEM培地)で反応を停止させ、細胞を遠心分離管に吸い取り、1000rpmで5min遠心分離し、培地を廃棄し、10mLの希釈培地を加えて細胞を再懸濁し、均一に混合した後に計数し、細胞生存率が90%以上になるべきである。希釈培地で細胞密度を0.8×10
6cell/mLに調整し、実験レイアウトに従って96ウェル白色細胞培養プレートに50μL/ウェルで加えた。
200ng/mLの濃度を有するhVEGFC(R&D)と勾配希釈した被検抗体(本発明のVHH抗体、陽性対照分子(OPT-302)および陰性対照抗体(IgGアイソタイプ対照抗体)を含む)の混合液を調製し、30min静置した後、細胞を含む96ウェル白色細胞培養プレートに50μL/ウェルで加え、37℃、5%炭酸ガスのインキュベーターに入れて6hインキュベートした。いずれの抗体やVEGFCも加えないブランク(blank)対照群と、VEGFCのみを加えるがいずれの抗体も加えないVEGF-C実験群とを同時に設けた。
6hインキュベートした96ウェル白色細胞培養プレートを炭酸ガスのインキュベーターから取り出し、室温まで10min~15min平衡化した。予め取り出して室温まで平衡化したBio-Glo Luciferase Assay System(Promega)を、実験レイアウトに従って96ウェル白色細胞培養プレートに100μL/ウェルで加え、室温で光を避けて5minインキュベートした。
多機能マイクロプレートリーダーにより蛍光値を読み取り、プレート読み取りモードとして化学発光モードを選択し、プレート読み取りタイプとしてエンドポイント法を選択し、波長を全波長に設定し、列ごとに蛍光を収集し、各列の収集時間は1000msであった。
結果は
図2に示すように、LA63G12およびLA49G9は、VEGFC誘導性のKDRシグナル伝達経路の活性化を完全に抑制することができる。
【0146】
実施例6.anti-VEGFC VHH抗体によるVEGFC誘導性のBaF3-FLT4細胞増殖への抑制実験
本研究は、抗体および組換えヒトVEGFCタンパク質を、FLT4(VEGFR3)を過剰発現するBaF3細胞(中国医学科学院基礎医学研究所)であるBaF3-FLT4と共インキュベートした。CCK-8試薬キット(同仁化学)により生細胞数を検出することで、異なる抗体によるVEGFC誘導性のBaF3-FLT4増殖への抑制作用を反映した。
FLT4遺伝子をもつレンチウイルスをBaF3細胞に感染させて、FLT4を過剰発現するBaF3細胞であるBaF3-FLT4を得た。
CCK-8試薬キットの取扱説明書に従って細胞増殖抑制試験を行った。10%FBSを含む1640培地を利用して実験培地を調製した。試験抗体(本発明のVHH抗体、陽性対照分子(OPT-302)および陰性対照抗体(IgGアイソタイプ対照抗体)を含む)は、20μg/mLの最大最終濃度を有し、順に1:3で等倍希釈した。いずれの抗体やVEGFCも加えないブランク対照群(blank)と、VEGFCのみを加えるがいずれの抗体も加えないVEGF-C実験群とを同時に設けた。試験系において、hVEGFC(R&D)は20ng/mLの最終濃度を有し、BaF3-FLT4細胞は2×10
5cell/mLの最終濃度を有する。96ウェルプレートにおいて1ウェルあたり系100μLを用いて、37℃、CO2のインキュベーターで72hインキュベートした。
その後、各ウェルに15μLのCCK-8を加え、37℃、CO2のインキュベーターで4hインキュベートした。二重波長により吸光度値を測定し、検出波長は450nm、参照波長は620nmであった。OD450~OD620値を測定した。
実験結果は、
図3に示される通りである。本発明の抗体LA63G12およびLA49G9は、いずれもインビトロでhVEGFC誘導性のBaF3-FLT4生存と増殖を効果的に抑制することができる。
【0147】
実施例7.anti-VEGFC VHH抗体のヒト化と活性検出およびタンパク質の発現・精製
LA49G9およびLA63G12抗体は、下記のステップによりヒト化された:
(1) CDRループ構造を決定し、
(2) ヒト生殖細胞系列配列データベースにおいて各V/J領域に最も近い相同配列を見つけ、
(3) 重鎖と最もマッチングするヒト生殖細胞系列および最低量の復帰変異をスクリーニングし、
(4) キメラ抗体のCDR領域をヒトの骨格領域に構築し、
(5) 配列と構造特徴を使用して、骨格領域においてCDRを維持する機能を果たすアミノ酸位置を決定し、
(6) 重要であると決定された配列位置で復帰変異を行い(入力アミノ酸タイプに戻す)、
(7) リスク部位のアミノ酸を最適化した。
ヒト化抗体LA49G9.2およびLA63G12.1を得て抗体の配列をシーケンシングした。
293細胞でのVHH単一ドメイン抗体またはVHH-Fc抗体のトランスフェクションおよび発現のために、抗VEGFC抗体をコードする核酸を含むプラスミドを調製した。必要なトランスフェクション体積に応じて、expi-293細胞(Invitrogen)を継代し、トランスフェクションの前日に細胞密度を1.5×10
6cell/mLに調整した。トランスフェクションの当日に細胞密度は約3×10
6cell/mLであった。最終体積の1/10のF17培地(Gibco、A13835-01)をトランスフェクション緩衝液として使用し、適切なプラスミドを加えて、均一に混合した。適切なポリエチレンイミン(PEI)(Polysciences、23966)をプラスミドに加え(プラスミドとPEIの割合は293F細胞で1:3である)、均一に混合してから室温で10minインキュベートして、DNA/PEI混合物を得た。DNA/PEI混合物で細胞を再懸濁した後、36.5℃、8%のCO2で、24hインキュベートした後、トランスフェクション体積の2%のFEED(Sigma)を補充し、36.5℃、120rpm、8%のCO2の条件下で培養した。6日目に連続培養し、または細胞活性≦60%になると、細胞上清を収集して精製した。
精製前に、収集した培地を4500rpmで30min遠心分離し、細胞を廃棄した。次に上清を0.22μLのフィルタでろ過した。10mLの結合緩衝液(リン酸ナトリウム20mM、NaCl 150mM、pH7.0)でProtein Aカラム(Hitrap Mabselect Sure 5×5mL、GE、11-0034-95)を平衡化した。ろ過後の上清を精製カラムに加えて結合緩衝液15mLで再平衡化した。溶離緩衝液5mL(クエン酸+クエン酸ナトリウム0.1M、pH3.5)を加えて溶離液を収集し、溶離液1mLあたりTris-HCl 80μLを加えた。収集した抗体を限外ろ過により濃縮してPBS(Gibco、70011-044)に交換し、濃度を検出した。
実施例3~6に記載の方法に従って、ヒト化抗体の活性を測定した。結果は、それぞれ上記の表1と表2および
図1、
図4と
図5に示されている。その結果から明らかなように、ヒト化抗体は、親抗体と相当の抗原hVEGFC結合活性およびVEGFR2/VEGFR3受容体阻害活性を有し、細胞ベースの試験においてVEGFC誘導性のVEGFR2シグナル伝達経路の活性化を阻害し(
図4)、かつVEGFCとVEGFR3の結合により誘導されるBaf3-FLT4細胞の増殖を阻害した(
図5)。
【0148】
実施例8.anti-VEGFC VHH親和性成熟
LA63G12.1ヒト化単一ドメイン抗体遺伝子をテンプレートとして選択し、抗原結合領域(CDR)にアミノ酸ランダム変異を導入し、NNK遺伝暗号を含む縮重プライマー(Genewiz社)、およびフレームワーク領域特異性プライマーを設計・合成した。オーバーラップ伸長PCR(OE-PCR)法により抗体変異体遺伝子ライブラリーを増幅した。実施例1と同じ方法でPCR断片とベクターの酵素切断を行い、連結し、TG1菌を形質転換し、組換えファージライブラリーを調製し、ファージパニングを3回行い、そして実施例2に従って原核タンパク質の発現を行い、ELISAによりクローン結合活性の検出およびシーケンシング・分析を行った。最後に、親和性が明らかに向上した2つの変異体を選択し、クローン番号がam63G12-14B11およびam63G12-5G8-18B9であった。実施例7に従って真核VHH単一ドメイン抗体の発現を行った。
親和性成熟VHH検出方法は、実施例4、実施例5および実施例6に記載されたように行われた。結果は、それぞれ
図1、
図6、および
図7に示されている。その結果から明らかなように、親和性成熟抗体は、親抗体に比べて抗VEGFC生物学的活性がさらに向上した。
【0149】
実施例9.anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体の構築
LA63G12、LA63G12.1、am63G12-14B11およびam63G12-5G8-18B9により抗VEGFA/VEGFC二重特異性抗体を構築し、実施例7に従って293細胞において真核タンパク質を発現した。簡単に言えば、
VHH単一ドメイン抗体をリンカーによりVEGF-トラップ(Aflibercept、Eylea、アフリベルセプト)のFc領域C末端に連結して、
図18Aに示される第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含む二重特異性抗体を構築した。VEGF-トラップは、ヒトVEGF受容体1と2由来のVEGF-A結合ドメイン部分(配列番号26)がC末端でヒトIgG1 Fc領域(配列番号27)と融合してなる組換え融合タンパク質(配列番号25)であり、二量体の形態で、高親和性VEGF_A結合を提供するとともに、VEGF_A誘導性のVEGFRシグナル伝達経路の活性化を阻害する。
VHH単一ドメイン抗体をリンカーにより抗VEGF_A抗体Lucentis(ranibizumab)のFab部分のC末端に連結して、
図18Bに示される第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含む二重特異性抗体を構築した。Lucentisは組換えヒト化IgG1 kappaアイソタイプモノクローナル抗体であり、ここで、配列番号28で示されるアミノ酸配列を有するVH-CH1ポリペプチド鎖は、配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するVL-CLポリペプチド鎖とペアリングしてFabを形成し、ヒトVEGF-Aに結合するとともに、その生物学的活性を抑制する。
以下の表3は、構築された二重特異性抗体およびその組成の一覧である。
【表4】
【0150】
実施例10.anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によるVEGFAまたはC誘導性のHEK293 KDR reporterの活性化への阻害実験
VEGFAまたはVEGFCは、関連する受容体VEGFR2(KDR)に結合し、VEGFR2シグナル伝達経路を活性化し、血管内皮細胞の生存、増殖および遊走などの作用を誘導することができる。本研究は、KDR reporter実験系を利用し、NFAT-RE-luc2P/KDR HEK293細胞(Promega Cat CS181401)を用いて、勾配希釈した抗体によるVEGFAおよびVEGFC活性化関連受容体シグナル伝達経路への阻害作用を検出した。実験方法は、基本的に実施例5に記載されたように行われた。簡単に言えば、NFAT-RE-luc2P/KDR HEK293細胞(0.8×10
6cell/mL、50μL/ウェル)を含む96ウェル白色細胞培養プレートを用意した。100ng/mLの濃度を有するhVEGFA(R&D)または200ng/mLの濃度を有するhVEGFC(R&D)と勾配希釈した被検抗体の混合液を調製し、30min静置した。50μL/ウェルの混合液を、NFAT-RE-luc2P/KDR HEK293細胞を含む96ウェル白色細胞培養プレートに加え、37℃、5%炭酸ガスのインキュベーターに入れて6hインキュベートした。いずれの抗体やVEGFCも加えないブランク対照群(blank)と、VEGFCのみを加えるがいずれの抗体も加えない実験群と、VEGFCおよびIgGアイソタイプ対照抗体を加える実験群とを同時に設けた。比較として、抗VEGFA分子IBI304(配列番号53)と二重特異性抗体Faricimab(抗Ang-2/抗VEGF-A)のVEGF-Aシグナル伝達経路への阻害活性、および抗VEGF-C分子OPT-302のVEGF-Cシグナル伝達経路への阻害活性も検出した。
6hインキュベートした96ウェル白色細胞培養プレートを炭酸ガスのインキュベーターから取り出し、室温まで10min~15min平衡化した。予め取り出して室温まで平衡化したBio-Glo Luciferase Assay System(Promega)を、実験レイアウトに従って96ウェル白色細胞培養プレートに100μL/ウェルで加え、室温で光を避けて5minインキュベートした。
多機能マイクロプレートリーダーにより蛍光値を読み取り、プレート読み取りモードとして化学発光モードを選択し、プレート読み取りタイプとしてエンドポイント法を選択し、波長を全波長に設定し、列ごとに蛍光を収集し、各列の収集時間は1000msであった。
検出結果は、
図8および
図9に示されている。試験されたanti-VEGFAおよびanti-VEGFC二重特異性抗体は、いずれもVEGFA(
図8)またはVEGFC(
図9)誘導性のKDRシグナル伝達経路の活性化を阻害することができる。
【0151】
実施例11.anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によるVEGFC誘導性のBaF3-FLT4増殖への抑制実験
本発明に記載の二重特異性抗体をBaF3-FLT4増殖実験系に使用して、抗体によるVEGFC誘導性のBaF3-FLT4増殖への影響を検出した。実験方法は、基本的に実施例6に記載されたように行われた。
10%FBSを含む1640培地を利用して実験培地を調製した。試験抗体は、10nMの最大最終濃度を有し、順に1:3で等倍希釈した。試験系において、hVEGFC(R&D)は20ng/mLの最終濃度を有し、BaF3-FLT4細胞は2×10
5cell/mLの最終濃度を有する。
測定において、いずれの抗体やVEGFCも加えないブランク対照群(blank)と、VEGFCのみを加えるがいずれの抗体も加えない実験群と、VEGFCおよびIgGアイソタイプ対照抗体を加える実験群とを設けた。同時に、比較として、抗VEGF-C分子OPT-302によるVEGFC誘導性のBaF3-FLT4細胞増殖への抑制活性も検出した。
検出結果は
図10に示すように、試験されたanti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体は、いずれもVEGFC誘導性のBaF3-FLT4細胞増殖を抑制することができる。
【0152】
実施例12.anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によるVEGFA+VEGFC誘導性のHUVEC増殖への抑制実験
VEGFAとVEGFCは、血管内皮細胞中のVEGFRなどの関連受容体に作用し、血管内皮細胞の生存、増殖および遊走を促進し、さらに血管新生を誘導することができ、本実験は、VEGFAおよびVEGFCを併用してヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生存と増殖を誘導し、抗体によるVEGFAとVEGFC誘導性の初代細胞の生存と増殖への抑制作用を検出した。本実施例は、CCK-8によりHUVECの生存と増殖を測定し、具体的な方法としては、1日前に細胞を処理し、2000cell/ウェルで96ウェル培養プレートに播き、37℃、5%炭酸ガスのインキュベーターに入れて24hインキュベートした。細胞が壁に付着した後、5ng/mLの最終濃度を有するVEGFAと50ng/mLの最終濃度を有するVEGFCおよび/または勾配希釈した抗体を含むかもしくは含まない実験培地(DMEM培地)を調製し、96ウェルプレート中の内皮細胞培地を置換し、37℃、5%炭酸ガスのインキュベーターに入れて72hインキュベートした。実験では、次のように群分けした:
Blank群:DMEM培地
VEGFA群:DMEM培地+5ng/mLのVEGFA
VEGFC群:DMEM培地+50ng/mLのVEGFC
VEGFA+VEGFC群:DMEM培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC
IgG群:DMEM培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC+アイソタイプ対照IgG
IBI304+OPT-302群:DMEM培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC+IBI304+OPT-302(IBI304とOPT-302が1:1のモル濃度比で配合)、
二重特異性抗体群:EGM-2培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC+被検二重特異性抗体。
細胞を実験培地でインキュベートした後、CCK-8検出液(同仁化学)を10μL/ウェルで加え、37℃、5%炭酸ガスのインキュベーターに入れて12h~24hインキュベートした。多機能マイクロプレートリーダーにより吸光度OD
450~OD
620の値を読み取った。
上記測定法に記載の実験において、検出結果は、
図11に示される通りである。試験されたanti-VEGFAおよびanti-VEGFC二重特異性抗体は、VEGFA+VEGFC誘導性のHUVEC細胞の増殖および生存を完全に抑制することができる。
【0153】
実施例13.anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によるVEGFA+VEGFC誘導性のHUVEC管腔形成への抑制実験
VEGFAおよびVEGFCは、血管内皮細胞に作用して、血管内皮細胞の管腔様構造の形成を促進し、さらに血管新生構造の形成を誘導することができる。本実験は、VEGFAおよびVEGFCを用いてヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の管腔形成を誘導し、抗体によるVEGFAおよびVEGFC誘導性の初代細胞管腔形成への抑制作用を検出した。
本実施例は、HUVECの管腔実験によりanti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によるHUVEC管腔形成への抑制を検出し、具体的な方法としては、1日前にmatrigel(BD)を氷上に置いて融解させ、96ウェルプレートに100μL/ウェルで加え、37℃、CO2のインキュベーターに入れて30min硬化させた。Accutase solutionで細胞を処理し、20000cell/ウェルで96ウェル培養プレートに播き、37℃、5%炭酸ガスのインキュベーターに入れて24hインキュベートした。10ng/mLの最終濃度を有するVEGFAと50ng/mLの最終濃度を有するVEGFCおよび/または勾配希釈した抗体を含むかもしくは含まない実験培地(EGM2)を調製した。異なる実験培地でHUVEC細胞を再懸濁し、20000cell/ウェルで96ウェル培養プレートに播き、37℃、5%炭酸ガスのインキュベーターに入れて24hインキュベートした。実験では、次のように群分けした:
Blank群:EGM-2培地
VEGFA群:EGM-2培地+5ng/mLのVEGFA
VEGFC群:EGM-2培地+50ng/mLのVEGFC
VEGFA+VEGFC群:EGM-2培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC
IgG群:EGM-2培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC+20nMのアイソタイプ対照IgG
IBI304+OPT-302群:EGM-2培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC+20nMのIBI304+20nMのOPT-302
IEX04-056群:EGM-2培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC+20nMのIEX04-056
IEX04-067群:EGM-2培地+5ng/mLのVEGFA+50ng/mLのVEGFC+20nMのIEX04-067。
顕微鏡による撮影画像から管腔数を算出した。検出結果は、
図12に示される通りである。
図12Aは管腔形成画像を示し、
図12Bは管腔形成の統計結果を示す。anti-VEGFAおよびanti-VEGFC二重特異性抗体は、VEGFA+VEGFC誘導性のHUVEC細胞管腔形成を完全に抑制することができる。
【0154】
実施例14.anti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体によるA375腫瘍血管新生への抑制実験
腫瘍細胞でのVEGFAおよびVEGFCの過剰発現は、インビボで血管新生の形成を誘導し、腫瘍の増殖を促進することができる。
本実施例は、A375ヒト悪性黒色腫細胞を3×10
6cellで各マウスに接種することにより、nudeマウスにおいて本発明の抗VEGFA/VEGFC抗体の抗血管新生と抗腫瘍作用を測定した。
ヒトnudeマウス:
雌のBALB/cバックグラウンドのnudeマウスは、北京維通利華実験動物技術有限公司から購入され、等級がSPFグレードである。マウスを受け入れた後、実験開始前に7日間飼育して順応させた。
細胞:
ヒトA375細胞はATCC(CAT#:CRL-1619)から購入され、取扱説明書に厳密に従って後続きのインビボ実験のために通常の継代培養が行われた。遠心分離して細胞を収集し、滅菌PBSにおいて細胞を再懸濁して細胞密度を1.5×10
7cell/mLに調整した。0日目に0.2mLの細胞懸濁液をマウスの脇の下に皮下接種してA375腫瘍担持マウスモデルを確立した。
投与:
マウスをランダムに群分けした(マウス6匹/群)。腫瘍細胞接種の7日および21日後、各マウスの腫瘍体積を検出した。投与量および方式は表4に示される通りであり、PBS(Gibcoから購入)を陰性対照として、それぞれ接種後の1日目、3日目、5日目、7日目、9日目、11日目、13日目、15日目、17日目、19日目に投与し、マウスの腫瘍体積および体重を週2回モニターした。毎回投与する前に体重および腫瘍体積を測定し、接種後の21日目に相対腫瘍抑制率(TGI%)を算出し、算出式は、TGI%=100%×(対照群腫瘍体積-治療群腫瘍体積)/(対照群腫瘍体積-対照群投与前腫瘍体積)である。腫瘍体積の測定:ノギスで腫瘍の最大長軸(L)および最大幅軸(W)を測定し、腫瘍体積をV=L×W
2/2という式により算出した。電子天びんを用いて体重を測定した。
【表5】
腫瘍抑制率の結果は、
図13Aと13Bおよび表5に示すように、接種後の21日目に、IEX04-056単剤は、異なる投与量のいずれでも腫瘍抑制効果を示した。接種後の21日目に1mg/kgの腫瘍抑制率は54%、5mg/kgの腫瘍抑制率はそれぞれ71%、25mg/kgの腫瘍抑制率はそれぞれ74%であった。従って、本発明のVEGFAおよびVEGFCに対する二重特異性結合分子は、腫瘍に明らかな抑制効果を有する。
【表6】
接種後の7日目および21日目の腫瘍組織に対して切片およびCD31(血管内皮マーカー)染色を行ったところ、腫瘍組織における微小血管新生を示した。OCT包埋剤で包埋された蝋の塊を凍結ミクロトームにセットし、6μmの厚さを有する切片に切った。
1. 室温で30min放置した後、予冷したアセトンにより4℃で固定し、室温で乾燥させた。
2. PBSTにより5min/回で3回浸してすすぎ(PBST:1XPBS+0.05%Tween(登録商標)20)、
3. パップペンにより円で囲んだ後、10%のヤギ血清(PBSTで希釈)でブロッキングし、各組織に100μL滴下し、室温でブロッキングし、
4. 100μLの一次抗体PE-anti-mouse CD31を直接滴下して4℃で一晩インキュベートし、
5. 翌日、PBSTにより5min/回で3回浸してすすぎ、
6. DAPIで細胞核を染色し、各組織に100μL滴下し、光を避けて5minインキュベートし、
7. DAPI染色液を廃棄し、PBSTで5min/回で3回浸してすすぎ、
蛍光褪色防止用封入剤(prolong diamond antifade mountant、Invitrogen)により封入した。その後、全自動定量分析スキャナーで走査した。結果は
図13Cに示すように、IEX04-056により治療された後、A375腫瘍の血管新生は顕著に減少された。
【0155】
実施例15.レーザー誘導性の脈絡膜血管新生の薬効試験
本実験は、カニクイザルのレーザー誘導性の脈絡膜血管新生モデルを利用し、本発明のanti-VEGFA/VEGFC二重特異性抗体の抗血管新生作用を測定した。
種属:カニクイザル、等級:普通グレード、年齢:2.5歳~5歳、体重:2.45kg~5.55kg、平均4.02kg、モデリング時の体重:3.35kg~4.35kg。
本試験は、レーザーを用いてカニクイザルの眼底黄斑の中心窩周辺に光凝固術を行い、眼底の脈絡膜血管新生を誘導して、ヒト脈絡膜血管新生に類似する動物モデルを確立した。光凝固前および光凝固後の20日目にフルオレセイン眼底血管造影を行い、モデリングの状況を判定した。モデリングに成功したカニクイザル16匹(雌雄半々)を選択して4群に分け、それぞれモデル対照群、IEX04-056群、IEX04-067群、Eylea+OPT-302群であり、1群4匹ずつとした。光凝固後の21日目に、それぞれ下記の表6中の用量に従って投与し、両眼の硝子体にIEX04-056、IEX04-067またはEylea+OPT-302を注射投与し、モデル対照群には同体積の0.9%の塩化ナトリウム注射液を投与した。各群の動物は、それぞれ投与後の7日、14日、21日と28日目に眼底カラー写真撮影、フルオレセイン眼底血管造影および光干渉断層撮影を行い、試験品による脈絡膜血管新生への抑制状況を観察した。投与後の29日目に安楽死させた後、両眼を取ってHE染色による組織学的検査を行った。
【表7】
眼底カラー写真撮影および蛍光造影検査
評価指標:
(1)蛍光スポットの等級付け
モデリング後の蛍光造影によって撮影されたスポットのグレード等級付け基準:
グレード1:スポットに強い蛍光が出ていない;
グレード2:スポットに強い蛍光があるが、フルオレセインの漏出がない;
グレード3:スポットに強い蛍光があり、フルオレセインが軽度に漏出され、漏出がスポットの縁を超えていない;
グレード4:スポットに強い蛍光があり、フルオレセインが顕著に漏出され、漏出がスポットの縁を超えている;
グレード1~4のスポットを統計し、検査するたびに眼底レーザースポットの等級を記録しなければならない。
(2)フルオレセイン漏出面積改善率(%)
フルオレセイン漏出面積改善率(%)=(投与前フルオレセイン漏出面積-投与後フルオレセイン漏出面積)/投与前フルオレセイン漏出面積×100%
(3)フルオレセイン漏出面積減少量
フルオレセイン漏出面積減少量=投与前フルオレセイン漏出面積-投与後フルオレセイン漏出面積
光干渉断層撮影(OCT)
評価指標:
(1)眼底網膜肥厚改善率
眼底網膜肥厚改善率(%)=投与前網膜厚-投与後網膜厚×100
投与前網膜厚-モデリング前網膜厚
(2)眼底網膜厚減少量
眼底網膜厚減少量=投与前網膜厚-投与後網膜厚
眼底カラー写真撮影および蛍光造影検査の結果は
図14~
図15に示される通りであり、その結果から明らかなように、本発明の抗体は投与の28日後に、顕著な抗血管新生作用を示したことで、本発明の抗体がレーザー誘導性の眼底血管新生に明らかな抑制効果を有する(P<0.001)とともに、血管完全性を保護する機能を有することが証明された。OCTの結果は
図16に示される通りであり、その結果から明らかなように、本発明の抗体は、投与後の14日~28日に網膜肥厚を顕著に抑制したこと(P<0.05)で、本発明の抗体が血管新生による網膜の浮腫と肥厚を抑制する機能を有することが証明された。
組織病理学的検査
カニクイザルへの投与の29日後に、体重に応じてペントバルビタールナトリウムで麻酔し(約30mg/kgで静脈内注射し、動物の体調によって用量が調整できる)、腹部大動脈または大腿動脈から瀉血して安楽死させ、大局観察を行い、両側の眼球を摘出した。
一部の動物の両眼を、改良したDavidson’s固定液で固定し、パラフィンで包埋して切片にして、レーザーモデリング領域を選択して通常のHE染色などの組織病理学的検査を行った。
本発明の抗体は、病理切片において、抗VEGFA分子Eyleaと抗VEGFC分子OPT-032の併用に比べて、レーザー傷害部位の浮腫、過形成、線維症などの病理変化をより良く改善することができ、より良好な網膜の形態学的改善を示した(
図17Aおよび
図17B)。
【0156】
配列表
LA49G9抗体CDR1配列 配列番号1
GSMFSMYAMG
LA49G9抗体CDR2配列 配列番号2
ATTSGGSTLYADSVKG
LA49G9抗体CDR3配列 配列番号3
YWRGSDPENY
LA49G9抗体VHH配列 配列番号4
QLQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSMFSMYAMGWYRQAPGKQRELVAATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNAENTVYLQMNSLKPEDTAVYYCYTYWRGSDPENYWGRGTQVTVSS
LA49G9.2抗体CDR1配列 配列番号5
GSMFSMYAMG
LA49G9.2抗体CDR2配列 配列番号6
ATTSGGSTLYADSVKG
LA49G9.2抗体CDR3配列 配列番号7
YWRGSDPENY
LA49G9.2抗体VHH配列 配列番号8
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSMFSMYAMGWYRQAPGKQRELVAATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCYTYWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
LA63G12抗体CDR1配列 配列番号9
GSSFSPYAMG
LA63G12抗体CDR2配列 配列番号10
ATTSGGSTLYADSVKG
LA63G12抗体CDR3配列 配列番号11
HWRGSDPENY
LA63G12抗体VHH配列 配列番号12
QLQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVAATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
LA63G12.1抗体CDR1配列 配列番号13
GSSFSPYAMG
LA63G12.1抗体CDR2配列 配列番号14
ATTSGGSTLYADSVKG
LA63G12.1抗体CDR3配列 配列番号15
HWRGSDPENY
LA63G12.1抗体VHH配列 配列番号16
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
am63G12.1-14B11抗体CDR1配列 配列番号17
GSSFSPYAMG
am63G12.1-14B11抗体CDR1配列 配列番号18
ATSEGGFTLYADSVKG
am63G12.1-14B11抗体CDR1配列 配列番号19
HWRGSDPENY
am63G12.1-14B11抗体VHH配列 配列番号20
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSEGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
am63G12.1-5G8-18B9抗体CDR1配列 配列番号21
GSSFSPYAMG
am63G12.1-5G8-18B9抗体CDR2配列 配列番号22
ATSSGGFTLYADSVKG
am63G12.1-5G8-18B9抗体CDR3配列 配列番号23
YYREYDPEMY
am63G12.1-5G8-18B9抗体VHH配列 配列番号24
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSSGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYTYYREYDPEMYWGQGTQVTVSS
Aflibercept全配列 配列番号25
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
Aflibercept VEGF-A結合ドメイン:配列番号26
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEK
AfliberceptヒトIgG1 Fc領域:配列番号27
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
ラニビズマブFab VH-CH1:配列番号28
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYDFTHYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPYYYGTSHWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHL
ラニビズマブFab VH:配列番号29
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYDFTHYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPYYYGTSHWYFDVWGQGTLVTVSS
ラニビズマブFab CH1:配列番号30
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHL
ラニビズマブFab VL-CL:配列番号31
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
ラニビズマブFab VL:配列番号32
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIK
ラニビズマブFab CL:配列番号33
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
ラニビズマブFab:HCDR1配列番号34
GYDFTHY
ラニビズマブFab:HCDR2配列番号35
NTYTGE
ラニビズマブFab:HCDR3配列番号36
YPYYYGTSHWYFDV
ラニビズマブFab:LCDR1配列番号37
QDISNYLN
ラニビズマブFab:LCDR2配列番号38
FTSSLHS
ラニビズマブFab:LCDR3配列番号39
QQYSTVPWT
IEX04-026 配列番号40
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSGGGGSQLQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVAATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-037 配列番号41
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-039 VH-CH1-リンカー-VHH配列番号42
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYDFTHYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPYYYGTSHWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHLGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-039 VL-CL-リンカー-VHH配列番号43
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-041 配列番号44
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-042 配列番号45
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATTSGGSTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-046 配列番号46
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSEGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-056 配列番号47
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSSGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYTYYREYDPEMYWGQGTQVTVSS
IEX04-067 VH-CH1-リンカー-VHH配列番号48
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYDFTHYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPYYYGTSHWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHLGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSEGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-067 VL-CL-リンカー-VHH配列番号49
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSEGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYMHWRGSDPENYWGQGTQVTVSS
IEX04-069 VH-CH1-リンカー-VHH配列番号50
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYDFTHYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPYYYGTSHWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHLGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSSGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYTYYREYDPEMYWGQGTQVTVSS
IEX04-069 VL-CL-リンカー-VHH配列番号51
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSFSPYAMGWYRQAPGKQRELVSATSSGGFTLYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCYTYYREYDPEMYWGQGTQVTVSS
陽性対照抗体 抗VEGF-C(VEGFR3-トラップ分子)OPT-302配列番号52
YSMTPPTLNITEESHVIDTGDSLSISCRGQHPLEWAWPGAQEAPATGDKDSEDTGVVRDCEGTDARPYCKVLLLHEVHAQDTGSYVCYYKYIKARIEGTTAASSYVFVRDFEQPFINKPDTLLVNRKDAMWVPCLVSIPGLNVTLRSQSSVLWPDGQEVVWDDRRGMLVSTPLLHDALYLQCETTWGDQDFLSNPFLVHITGNELYDIQLLPRKSLELLVGEKLVLNCTVWAEFNSGVTFDWDYPGKQAERGKWVPERRSQQTHTELSSILTIHNVSQHDLGSYVCKANNGIQRFRESTEVIVHEEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
IBI304分子配列 配列番号53
PFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKGGGGGGGGGGGGDKTHTCPLCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKATPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【配列表】
【国際調査報告】