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特表2024-529120非相反リレーと空間給電型中継器とを使用するワイヤレス通信
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】非相反リレーと空間給電型中継器とを使用するワイヤレス通信
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20240725BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240725BHJP
   H01Q 3/36 20060101ALI20240725BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20240725BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240725BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALI20240725BHJP
   H01Q 3/46 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H04B7/08 800
H01Q3/36
H01Q23/00
H01Q21/06
H01Q15/14 Z
H01Q3/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508434
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 IB2022057411
(87)【国際公開番号】W WO2023017412
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/230,969
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524052848
【氏名又は名称】レイティス インテリジェンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セチ、グルシムラン シン
(72)【発明者】
【氏名】エスマイリ、マブベ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェハブザデ ジャマイラン、ユセフ
(72)【発明者】
【氏名】トルナッタ ジュニア、ポール アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ヨスト、デニス
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA06
5J020BA16
5J020DA03
5J020DA10
5J021DB01
5J021FA06
5J021FA13
5J021FA25
5J021FA26
5J021GA02
5J021HA06
5J021JA08
(57)【要約】
ワイヤレス通信のための非相反空間給電型アンテナを使用する方法は、非相反空間給電型アンテナによって、第1のビーム方向において基地局から第1のワイヤレス信号を受信することと、非相反空間給電型アンテナによって、第2のビーム方向において第1のワイヤレス信号を送信することと、非相反空間給電型アンテナによって、第3のビーム方向において第2のワイヤレス信号を受信することと、非相反空間給電型アンテナによって、第4のビーム方向において基地局に向けて第2のワイヤレス信号を送信することとを含む。非相反表面及びアンテナ・アレイについても説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信のための非相反空間給電型アンテナを使用する方法であって、
前記非相反空間給電型アンテナによって、第1のビーム方向において基地局から第1のワイヤレス信号を受信することと、
前記非相反空間給電型アンテナによって、第2のビーム方向において前記第1のワイヤレス信号を送信することと、
前記非相反空間給電型アンテナによって、第3のビーム方向において第2のワイヤレス信号を受信することと、
前記非相反空間給電型アンテナによって、第4のビーム方向において前記基地局に向けて前記第2のワイヤレス信号を送信することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のビーム方向が第1の反射表面に向かう方向である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反射表面が非相反反射表面である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3のビーム方向が第2の反射表面に向かう方向である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の反射表面が非相反反射表面である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とが時間において少なくとも部分的に重複し、前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とが周波数において少なくとも部分的に重複する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基地局から前記第1のワイヤレス信号を受信することが、前記基地局の少なくとも1つの第1のアンテナから前記第1のワイヤレス信号を受信することを含み、
前記基地局に向けて前記第2のワイヤレス信号を送信することが、前記基地局の少なくとも1つの第2のアンテナに前記第2のワイヤレス信号を送信することを含み、
前記少なくとも1つの第1のアンテナが前記少なくとも1つの第2のアンテナから空間的に分離された、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のビーム方向と前記第4のビーム方向とが実質的に非平行である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非相反空間給電型アンテナがビーム・ステアラブルなメタ表面である、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
複数のアンテナ要素を備える非相反表面であって、各アンテナ要素が、前記アンテナ要素によって送信又は受信された信号の位相をシフトするための少なくとも1つの調整可能な位相シフタを有し、前記非相反表面が、
第1のビーム方向において基地局から第1のワイヤレス信号を受信することと、
第2のビーム方向において前記第1のワイヤレス信号を送信することと、
第3のビーム方向において第2のワイヤレス信号を受信することと、
第4のビーム方向において前記基地局に向けて前記第2のワイヤレス信号を送信することと
を行うように構成された、非相反表面。
【請求項11】
前記第2のビーム方向が第1の反射表面に向かう方向である、請求項10に記載の非相反表面。
【請求項12】
前記第1の反射表面が第1の非相反反射表面である、請求項11に記載の非相反表面。
【請求項13】
前記第3のビーム方向が第2の反射表面に向かう方向である、請求項11又は12に記載の非相反表面。
【請求項14】
前記第2の反射表面が第2の非相反反射表面である、請求項13に記載の非相反表面。
【請求項15】
前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とが時間において少なくとも部分的に重複し、前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とが周波数において少なくとも部分的に重複する、請求項10から14までのいずれか一項に記載の非相反表面。
【請求項16】
前記基地局から前記第1のワイヤレス信号を受信することが、前記基地局の少なくとも1つの第1のアンテナから前記第1のワイヤレス信号を受信することを含み、
前記基地局に向けて前記第2のワイヤレス信号を送信することが、前記基地局の少なくとも1つの第2のアンテナに前記第2のワイヤレス信号を送信することを含み、
前記少なくとも1つの第1のアンテナが前記少なくとも1つの第2のアンテナから空間的に分離された、請求項10から15までのいずれか一項に記載の非相反表面。
【請求項17】
前記第1のビーム方向と前記第4のビーム方向とが実質的に非平行である、請求項16に記載の非相反表面。
【請求項18】
前記非相反表面がビーム・ステアラブルなメタ表面である、請求項10から17までのいずれか一項に記載の非相反表面。
【請求項19】
ワイヤレス信号を送信及び受信するためのアンテナ・アレイであって、
入出力(I/O)ポートと、
2次元グリッドに構成された複数のアンテナ要素と
を備え、
前記複数のアンテナ要素の各アンテナ要素が、それぞれの振幅及び位相調整(MPA)モジュールを介して前記I/Oポートに接続され、
各MPAモジュールが送信経路と受信経路とを有し、前記MPAモジュールが、前記送信経路を介した前記I/Oポートから前記アンテナ要素への送信のみを許可するように構成され、前記MPAモジュールが、前記受信経路を介した前記アンテナ要素から前記I/Oポートへの送信のみを許可するように構成され、
前記送信経路が第1の増幅器と第1の位相シフタとを含み、
前記受信経路が第2の増幅器と第2の位相シフタとを含む、アンテナ・アレイ。
【請求項20】
各MPAモジュールが、
前記送信経路を介した前記I/Oポートから前記アンテナ要素への送信のみを許可するための第1のサーキュレータと、前記受信経路を介した前記アンテナ要素から前記I/Oポートへの送信のみを許可するための第2のサーキュレータとを備える、請求項19に記載のアンテナ・アレイ。
【請求項21】
前記第1の位相シフタが、前記複数のアンテナ要素によって送信されるべき信号の送信ビームフォーミングを実行するように調整可能である、請求項19又は20に記載のアンテナ・アレイ。
【請求項22】
前記第2の位相シフタが、前記複数のアンテナ要素によって受信された信号の受信ビームフォーミングを実行するように調整可能である、請求項19から21までのいずれか一項に記載のアンテナ・アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年8月9日に出願された「Full Duplex Transmissive and Reflective Relay System based on Spatially Fed Repeaters」という名称の米国仮特許出願第63/230、969号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ワイヤレス通信に関し、詳細には、空間給電型中継器を使用するワイヤレス通信に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス通信技術が開発され続けるにつれて、ワイヤレス・サービスの需要は増加し続けている。さらなるサービス、並びに既存のサービスのための容量及び地域カバレージの改善が常に望まれている。
【0004】
多くの改善は、Wi-Fiアクセス・ポイント(AP:access point)、第4世代(4G:fourth generation)発展型ノードB(eNB:evolved node-B)、第5世代gNodeB(gNB:gNodeB)などワイヤレス基地局(BS:base station)であり得る、ネットワーク側アクセス・ノードの動作に関係する。他の改善は、Wi-Fiステーション(STA:station)、スマートフォン又はタブレット、モノのインターネット(IoT:Internet-of-Things)デバイス、又はネットワークにワイヤレスでアクセスすることが可能な任意の他のデバイスなどワイヤレス・ユーザ機器(UE:user equipment)であり得る、ネットワークにアクセスするデバイスの動作に関係する。
【0005】
セルラー及びWi-Fi通信ネットワークの1つの達成困難な目標は、同時に同じ周波数を使用して信号を送信及び受信する基地局など、単一のデバイスに関係する、全二重(FD:full-duplex)通信である。達成された場合、FD通信は、(まとめて「半二重」又は「HD(half-duplex)」と呼ばれることがある)時分割複信(TDD:time division duplexing)又は周波数分割複信(FDD:frequency division duplexing)などの現在の技術と比較して、ネットワークのデータ容量を2倍にする可能性を有する。デバイスは、指定された受信間隔中にデータを送信することができないので、FDはまた、TDDと比較してレイテンシを低減し得る。
【0006】
しかしながら、同じデバイスによって送信される信号と受信される信号との間の干渉など、FD通信を実施するための技術的な問題は残る。FDデバイスは同じ周波数で送信及び受信するので、FDデバイスは、2つの信号を区別するための周波数選択性ハードウェアを使用することができない。さらに、受信される信号は、空中を伝わることによって減衰してしまっているので、送信される信号からの極めて小さい干渉成分だけで、受信される信号は圧倒され、不明瞭になるのに十分であり得る。
【0007】
したがって、ワイヤレス通信の改善、特に、全二重ワイヤレス通信の改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願公報第WO2022/094686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの欠点を改善する、ワイヤレス通信のためのシステム及び方法を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、全二重ワイヤレス通信のためのシステム及び方法を提供することである。
【0011】
本発明の目的は、半二重ワイヤレス・デバイスを使用して全二重ワイヤレス通信を可能にするためのシステム及び方法を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、非相反(non-reciprocal)アレイの使用によって改善されたTDMA又はFDMAシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の広い態様によれば、ワイヤレス通信のための非相反空間給電型アンテナを使用する方法は、非相反空間給電型アンテナによって、第1のビーム方向において基地局から第1のワイヤレス信号を受信することと、非相反空間給電型アンテナによって、第2のビーム方向において第1のワイヤレス信号を送信することと、非相反空間給電型アンテナによって、第3のビーム方向において第2のワイヤレス信号を受信することと、非相反空間給電型アンテナによって、第4のビーム方向において基地局に向けて第2のワイヤレス信号を送信することとを含む。
【0014】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第2のビーム方向は第1の反射表面に向かう方向である。
【0015】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、反射表面は非相反反射表面である。
【0016】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第3のビーム方向は第2の反射表面に向かう方向である。
【0017】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第2の反射表面は非相反反射表面である。
【0018】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とは時間において少なくとも部分的に重複し、前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とは周波数において少なくとも部分的に重複する。
【0019】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、基地局から第1のワイヤレス信号を受信することは、基地局の少なくとも1つの第1のアンテナから第1のワイヤレス信号を受信することを含み、基地局に向けて第2のワイヤレス信号を送信することは、基地局の少なくとも1つの第2のアンテナに第2のワイヤレス信号を送信することを含む。少なくとも1つの第1のアンテナは少なくとも1つの第2のアンテナから空間的に分離される。
【0020】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第1のビーム方向と第4のビーム方向とは実質的に非平行である。
【0021】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、非相反空間給電型アンテナはビーム・ステアラブルなメタ表面(metasurface)である。
【0022】
第2の広い態様によれば、非相反表面は複数のアンテナ要素を有し、各アンテナ要素は、アンテナ要素によって送信又は受信された信号の位相をシフトするための少なくとも1つの調整可能な位相シフタを有する。非相反表面は、第1のビーム方向において基地局から第1のワイヤレス信号を受信することと、第2のビーム方向において第1のワイヤレス信号を送信することと、第3のビーム方向において第2のワイヤレス信号を受信することと、第4のビーム方向において基地局に向けて第2のワイヤレス信号を送信することとを行うように構成される。
【0023】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第2のビーム方向は第1の反射表面に向かう方向である。
【0024】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第1の反射表面は第1の非相反反射表面である。
【0025】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第3のビーム方向は第2の反射表面に向かう方向である。
【0026】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第2の反射表面は第2の非相反反射表面である。
【0027】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とは時間において少なくとも部分的に重複し、前記第1のワイヤレス信号と前記第2のワイヤレス信号とは周波数において少なくとも部分的に重複する。
【0028】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、基地局から第1のワイヤレス信号を受信することは、基地局の少なくとも1つの第1のアンテナから第1のワイヤレス信号を受信することを含み、基地局に向けて第2のワイヤレス信号を送信することは、基地局の少なくとも1つの第2のアンテナに第2のワイヤレス信号を送信することを含む。少なくとも1つの第1のアンテナは少なくとも1つの第2のアンテナから空間的に分離される。
【0029】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第1のビーム方向と第4のビーム方向とは実質的に非平行である。
【0030】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、非相反表面はビーム・ステアラブルなメタ表面である。
【0031】
第3の広い態様によれば、ワイヤレス信号を送信及び受信するためのアンテナ・アレイは、入出力(I/O)ポートと、2次元グリッドに構成された複数のアンテナ要素とを含み、複数のアンテナ要素の各アンテナ要素は、それぞれの振幅及び位相調整(MPA:magnitude and phase adjustment)モジュールを介してI/Oポートに接続され、各MPAモジュールは送信経路と受信経路とを有し、MPAモジュールは、送信経路を介したI/Oポートからアンテナ要素への送信のみを許可するように構成され、MPAモジュールは、受信経路を介したアンテナ要素からI/Oポートへの送信のみを許可するように構成され、送信経路は第1の増幅器と第1の位相シフタとを含み、受信経路は第2の増幅器と第2の位相シフタとを含む。
【0032】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、各MPAモジュールは、送信経路を介したI/Oポートからアンテナ要素への送信のみを許可するための第1のサーキュレータと、受信経路を介したアンテナ要素からI/Oポートへの送信のみを許可するための第2のサーキュレータとを備える。
【0033】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第1の位相シフタは、複数のアンテナ要素によって送信されるべき信号の送信ビームフォーミングを実行するように調整可能である。
【0034】
任意選択で、前の態様のいずれかにおいて、第2の位相シフタは、複数のアンテナ要素によって受信された信号の受信ビームフォーミングを実行するように調整可能である。
【0035】
本発明の性質についてこのように全体的に説明したが、次に、例としてその例示的な実施例を示す添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来のセルラー・ネットワークの概略表現を示す図である。
図2】一実施例に従って実装されたセルラー・ネットワークの概略表現を示す図である。
図3】反射リレーと透過リレーとを有するセルラー・ネットワークの単一のセクタの概略表現を示す図である。
図4】反射非相反表面の概略表現を示す図である。
図5】単方向モードで動作する透過非相反表面の概略表現を示す図である。
図6】全二重非相反透過中継器の概略表現を示す図である。
図7】非相反フェーズド・アレイの概略表現を示す図である。
図8】スモール・セル実施例において示された非相反フェーズド・アレイの概略表現を示す図である。
図9】反射非相反表面のブロック図である。
図10】透過反射非相反表面のブロック図である。
図11】非相反フェーズド・アレイのブロック図である。
図12】振幅及び位相調整ブロックの回路図である。
図13図12の振幅及び位相調整ブロックを使用した非相反フェーズド・アレイ・アーキテクチャの実施例の回路図である。
図14】第1の実施例による、複数のセルとともに使用されている非相反表面の概略表現を示す図である。
図15】第2の実施例による、複数のセルとともに使用されている非相反表面の概略表現を示す図である。
図16】第5の実施例による、複数のセルとともに使用されている非相反表面の概略表現を示す図である。
図17】第6の実施例による、複数のセルとともに使用されている非相反表面の概略表現を示す図である。
図18】周波数ダイバース非相反アレイの概略表現を示す図である。
図19】周波数ダイバース・アレイを使用したネットワーク実装形態の概略表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1を参照すると、セルラー・ネットワーク100は、それぞれ、六角形に近いそれぞれのカバレージ・エリア104a、104b、104cを有する、複数の基地局(BS)102a、102b、102c(個々に又はまとめて102)を含む。各カバレージ・エリア104は複数の有角セクタ106に分割される。各BS102の有効カバレージ範囲、ネットワークにアクセスするユーザ・デバイスの予想される密度、及びネットワーク・カバレージが望まれる総面積など、ファクタに応じて、より多い又はより少ないBS102が使用され得る。
【0038】
1つ又は複数のデバイス108は、一般にそのカバレージ・エリアがデバイス108のロケーションを含むBS102を介して、セルラー・ネットワーク100にアクセスすることができる。デバイス108とBSとは、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP(登録商標):Third Generation Partnership Project)、第4世代(4G:fourth generation)ロングターム・エボリューション(LTE:Long-Term Evolution)又は第5世代(5G:fifth generation)ワイヤレス通信など、標準化された通信プロトコルを使用して通信し得る。デバイス108とBS102との間の通信は、一般に、デバイス108からBS102へのアップリンク(UL:uplink)送信と、BS102からデバイス108へのダウンリンク(DL:downlink)送信とを含む。通信は、いくつかの時間間隔がULのために確保され、他の時間間隔がDLのために確保される、時分割複信(TDD)であり得る。通信は、いくつかの周波数範囲がULのために確保され、他の周波数範囲がDLのために確保される周波数分割複信(FDD)であり得る。他の通信モードが使用され得る。
【0039】
デバイス108の空間分布に応じて、いくつかの領域110は過少利用され得、他の領域112は混雑し得る。これらの領域の各々は1つ又は複数のセクタ106に対応し得る。過少利用される領域110を含んでいるセクタ106はネットワーク・リソースの過少利用を生じ得、混雑した領域112を含んでいるセクタ106は、ネットワーク・リソースに過負荷をかけることによって、いくつかのデバイス108がサービス・レベルの低下を経験することを生じ得る。
【0040】
図2を参照しながら、一実施例による例示的なセルラー・ネットワーク200について説明する。この実例では、セクタ206に分割されたカバレージ・エリア204を有するただ1つのBS202が示されているが、図1に示されているように、より広いエリアにカバレージを与えるために複数のBS202が使用され得ることを理解されたい。
【0041】
いくつかのデバイス208は、直接、又は、1つ又は複数のスマート・レンズ210及び/又は1つ又は複数のスマート反射体212(まとめて「スマート表面」)など、1つ又は複数の非相反アレイを介して、BS202と通信する。スマート・レンズ210及びスマート反射体212は、たとえば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Nonreciprocal Beam Steerable Metasurfaces」という名称の国際特許出願公報第WO2022/094686号に記載されているものなど、非相反ビーム・ステアラブル・メタ表面などのアンテナ・アレイであり得る。BS202、デバイス208、スマート・レンズ210、及びスマート反射体212は、送信が所望のターゲットに向けられることを保証するために、並びに、干渉を低減し、キャリア周波数などのリソースが、異なるセクタにおいて再利用されることを可能にするために、任意選択で、ビームフォーミング及びビーム・ステアリングなど、指向性通信を使用し得る。スマート表面を使用することによって、BSとの直接通信が、場合によっては見通し線を必要とするであろうタイプ、たとえばミリメートル波(mmWave)通信である場合でも、その通信が建築物又は木などの障害物214によって妨害されているデバイス208のためのネットワーク・カバレージを与えることができる。スマート表面の使用はまた、たとえば、1つのセクタからのBS202通信を別のセクタ中のデバイス208に向けるためにスマート表面を使用することによって、BS202がセクタ206間のリソースをより良く割り振ることを可能にし得る。スマート表面は、信号を増幅することが可能であり得、それにより、BS202は、それのカバレージ範囲を拡張することが可能になり得る。各BS202のための拡張されたカバレージ範囲は、ネットワークが、同様のカバレージを達成するためにより少ないBSを使用することを可能にし得る。
【0042】
本明細書では実例についてセルラー・ネットワーク200に関して説明するが、説明する実施例は、プライベート5G、Wi-Fiネットワークなど、他のタイプのワイヤレス・ネットワークを用いて実施され得、接続されるデバイスは、Wi-Fiステーション、スマート・フォン、タブレット、又はIoTデバイスなど、任意のタイプのデバイスであり得る。
【0043】
次に図3を参照しながら、スマート・レンズ310とスマート反射体312a、312b及び312cとを使用した、スマート表面を使用したBS302と2つのデバイス308a及び308bとの間の例示的な対話について説明する。
【0044】
デバイス308aからのUL送信316aは、デバイス308aとBS302との間の見通し線を利用して、BS302に関連付けられたスマート・レンズ310に向けて直接送信される。デバイス308bは、障害物314によりBS302への見通し線を有せず、したがって、デバイス308bはそれのUL送信をスマート反射体312b及び312cを介してスマート・レンズ310に送信する。スマート・レンズ310は、以下でさらに詳細に説明する様式で、両方のUL送信316a、316bをBS302のほうに向ける。
【0045】
DL送信318a及び318bはBS302によってスマート・レンズ310に向けて送信され、スマート・レンズ310はそれらをスマート反射体312aのほうに向ける。スマート反射体312aは、DL送信318aをデバイス308aのほうに向け、DL送信318bをデバイス308bのほうに向ける。スマート反射体312aの非相反性は、デバイス308aがDL送信318bの逆方向経路上でUL通信を送信することを防ぐ。
【0046】
結果として、各デバイス308は、それのDL送信318のための空間経路とは異なる、それのUL送信316のための空間経路を有する。さらに、スマート表面310、312はビームステアラブルであり、ビームステアリング技法を使用することによって信号を任意の所望の方向にリダイレクトすることができる。これにより、スマート表面310、312は、以下でさらに詳細に説明するように、スマート表面310、312の指向性及び周波数選択性を利用することによって、時間及び周波数などネットワーク・リソースを再利用することが可能になる。
【0047】
スマート・レンズ310、並びにスマート反射体312a、312b及び312cの各々は、任意選択で、それが対話する送信を増幅し得る。
【0048】
次に図4を参照すると、例示的なスマート反射体412は、特定の角度からの着信ワイヤレス信号420を増幅し、発信信号422を異なる角度でリダイレクトすることができる非相反アンテナ・アレイ(図示せず)を含んでいる非相反表面である。着信信号の角度及び発信信号の角度はネットワーク・パフォーマンス基準に基づいて単独で動的に調整することができる。スマート反射体412は、物理レイヤ中のワイヤレス信号に対して作用し、着信信号420の変調方式と動作周波数とに対してアグノスティックである。スマート反射体412は、複数の同時着信信号を受信し、たとえば着信信号が異なる周波数であるか又は異なる角度からのものである場合に、異なるそれぞれの発信角でそれらの同時着信信号をリダイレクトし得る。スマート反射体412の非相反性質により、逆方向における信号はない。
【0049】
次に図5を参照すると、例示的なスマート・レンズ510は、2つの対向する面の各々上に、特定の角度からの着信ワイヤレス信号520を増幅し、発信信号522を異なる角度でリダイレクトすることができる非相反アンテナ・アレイ(図示せず)を含んでいる非相反表面である。着信信号の角度及び発信信号の角度はネットワーク・パフォーマンス基準に基づいて単独で動的に調整することができる。スマート・レンズ510は、物理レイヤ中のワイヤレス信号に対して作用し、着信信号520の変調方式と動作周波数とに対してアグノスティックである。スマート・レンズ510は、複数の同時着信信号を受信し、たとえば着信信号が異なる周波数であるか又は異なる角度からのものである場合に、異なるそれぞれの発信角でそれらの同時着信信号をリダイレクトし得る。スマート・レンズ510の非相反性質により、逆方向における信号はない。
【0050】
次に図6を参照すると、スマート・レンズ610は、2つの対向する面の各々上に、特定の角度からの着信RF信号を増幅し、発信信号を異なる角度でリダイレクトする非相反アンテナ・アレイを含む。着信信号の角度及び発信信号の角度はネットワーク・パフォーマンス基準に基づいて単独で動的に調整することができる。スマート・レンズ610は、第1の出力方向において第1の着信信号620aを発信信号622aとしてリダイレクトすることができ、同時に、第2の出力方向において第2の着信信号620bを発信信号622bとしてリダイレクトすることができる。スマート・レンズ610は発信信号622a、622bの方向を動的に単独で調整することができる。これは、スマート・レンズ610の周波数選択性とビーム・ステアリング機能とにより、着信信号620a、620bが同じ周波数を有する場合でも行うことができる。このようにして、スマート・レンズ610は全二重動作を可能にすることができる。図示されていないが、前に説明したスマート反射体は同様の全二重機能を有する。
【0051】
次に図7を参照すると、非相反フェーズド・アレイ712など、スマート表面を形成するアンテナ・アレイはBS702へのワイヤード接続724を有し得る。着信信号720はワイヤード接続724を介して非相反フェーズド・アレイ712からBS702に送信され得る。信号は、BS702から非相反フェーズド・アレイ712に送信され、次いで、所望のビーム方向において発信信号722として送信され得る。着信信号角と発信信号の両方は全角度範囲にわたって単独でビーム・ステアリングすることができる。信号は表面によって増幅され得る。逆方向において進行する信号は消去される。
【0052】
次に図8を参照しながら、スモール・セル実装形態について説明する。スモール・セル・アクセス・ポイント802は、図7に関して説明したように、スマート表面812へのワイヤード接続824を有する。スマート表面812は、図3に関して説明したように、スマート表面を使用して、UL及びDLにおいてデバイス808a及び808bと通信する。スマート表面812は、発信信号の方向を単独で動的に制御することができ、異なるビーム方向からの着信信号を受信することができる。
【0053】
次に図9を参照しながら、前に説明した実施例のいずれかにおいて使用され得る例示的なスマート反射体912について説明する。スマート反射体912は、そのうちの2つのみが図示されている受信アンテナ926のアレイと、そのうちの2つのみが図示されている送信アンテナ928のアレイとを含む。アンテナの各アレイは、均等に離間したアレイであり得、知られている様式で送信ビームフォーミング又は受信ビームフォーミングを実行するために、連続するアンテナ間の位相差を使用し得る。この目的で、各受信アンテナ926は、振幅及び位相検出ユニット930と、振幅及び位相調整ユニット932とを用いて、それぞれの送信アンテナ928に接続される。振幅及び位相検出ユニット930並びに振幅及び位相調整ユニット932は、着信信号920の受信ビームフォーミングのための、及び発信信号922の送信ビームフォーミングのための、並びに発信信号922の任意選択の増幅のための必要な計算を実行するプロセッサ934によって制御される。
【0054】
次に図10を参照しながら、前に説明した実施例のいずれかにおいて使用され得る例示的なスマート・レンズ1010について説明する。スマート・レンズ1010は、そのうちの2つのみが図示されている受信アンテナ1026のアレイと、そのうちの2つのみが図示されている送信アンテナ1028のアレイとを含む。アンテナの各アレイは、均等に離間したアレイであり得、知られている様式で送信ビームフォーミング又は受信ビームフォーミングを実行するために、連続するアンテナ間の位相差を使用し得る。この目的で、各受信アンテナ1026は、振幅及び位相検出ユニット1030と、振幅及び位相調整ユニット1032とを用いて、それぞれの送信アンテナ1028に接続される。振幅及び位相検出ユニット1030並びに振幅及び位相調整ユニット1032は、着信信号1020の受信ビームフォーミングのための、及び発信信号1022の送信ビームフォーミングのための、並びに発信信号1022の任意選択の増幅のための必要な計算を実行するプロセッサ1034によって制御される。
【0055】
次に図11を参照しながら、前に説明した実施例のいずれかにおいて使用され得る例示的なスマート反射体1112について説明する。スマート反射体1112は、そのうちの2つのみが図示されているアンテナ1126のアレイを含む。アンテナのアレイは、均等に離間したアレイであり得、知られている様式で送信ビームフォーミング又は受信ビームフォーミングを実行するために、連続するアンテナ間の位相差を使用し得る。この目的で、各受信アンテナ1126は、それぞれの振幅及び位相検出ユニット1130と、それぞれの振幅及び位相調整ユニット1132とに接続される。振幅及び位相検出ユニット1130並びに振幅及び位相調整ユニット1132は、着信信号1120の受信ビームフォーミングのための、発信信号1122の送信ビームフォーミングのための、並びに発信信号1122の任意選択の増幅のための必要な計算を実行するプロセッサ1134によって制御される。ワイヤード接続1124はスマート反射体1112をネットワークのワイヤード部分(図示せず)に接続する。
【0056】
次に図12を参照しながら、前に説明した実施例のいずれかにおいて使用され得る例示的な振幅及び位相調整ユニット1232について説明する。上部分岐は、右から左に進む信号のみが下部分岐を通って伝わり、左から右に進む信号のみが上部分岐を通って伝わるように構成された、3ポート・サーキュレータ1236のペアによって下部分岐から分離される。上部分岐は単方向増幅器1238と位相シフタ1240とを含む。位相シフタ1240は任意の好適な回路を用いて実装され得る。下部分岐は単方向増幅器1242と位相シフタ1244とを含む。位相シフタ1244は任意の好適な回路を用いて実装され得る。単方向増幅器1238、1242と位相シフタ1236、1240とを制御することによって、対向する方向(たとえば、送信方向と受信方向と)における信号の振幅及び位相を単独で制御することができ、それにより、望み通り増幅とビームフォーミングの両方が可能になる。
【0057】
次に図13を参照すると、非相反フェーズド・アレイ1310の構成が図示されている。スマート・ミラーは同様の構成を有するであろう。各アンテナ1326は、図12の振幅及び位相調整ユニット1232と同様に、振幅及び位相調整ユニット1332を介してトランシーバ・チェーン又はトランシーバ・ポート1334に接続される。アンテナ1326は、2次元格子に構成され得、個々の振幅及び位相調整ユニット1332の位相シフタは、格子にわたって2次元においてアンテナの位相を変動させ、それにより、送信ビームフォーミングと受信ビームフォーミングとを実行するように構成され得る。各振幅及び位相調整ユニット1332は送信経路と受信経路とのために別個の位相シフタを有するので、送信ビームフォーミング及び受信ビームフォーミングは単独で構成され得る。結果として、送信ビームから受信ビームに位相シフタを同調させることに関連する、送信と受信との間のレイテンシが低減され得る。したがって、この構成はTDD通信のために特に有利であり得る。各アンテナ1326が振幅及び位相調整ユニット1332を有する、5つ以上のアンテナ1326が使用され得ることが企図される。
【0058】
次に図14を参照しながら、全二重通信が可能な例示的なネットワーク・アーキテクチャ1400について説明する。第1のBS1402aは、1つ又は複数の受信アンテナ1448aから空間的に分離された1つ又は複数の送信アンテナ1446aを有する。第1のスマート・レンズ1410aは、たとえばBS1402aの近くに位置していることによって、BS1402aに関連付けられる。第2のBS1402bは、1つ又は複数の受信アンテナ1448bから空間的に分離された1つ又は複数の送信アンテナ1446bを有する。第2のスマート・レンズ1410bは、たとえばBS1402bの近くに位置していることによって、BS1402bに関連付けられる。
【0059】
第1の送信1450はスマート・レンズ1410aの方向においてアンテナ1446aから送信される。スマート・レンズ1410aは、任意選択で、送信1450を増幅し、スマート反射体1412aを介して送信1450をスマート・レンズ1410bに向けてリダイレクトする。スマート・レンズ1410bは送信1450をBS1402bのアンテナ1448bにリダイレクトする。スマート表面1410、1412の非相反動作のために、送信1450の逆方向に沿って反射されて戻る信号はない。
【0060】
第2の送信1452はスマート・レンズ1410bの方向においてアンテナ1446bから送信される。スマート・レンズ1410bは、任意選択で、送信1452を増幅し、スマート反射体1412bを介して送信1452をスマート・レンズ1410aに向けてリダイレクトする。スマート・レンズ1410aは送信1452をBS1402aのアンテナ1448aにリダイレクトする。スマート表面1410、1412の非相反動作のために、送信1452の逆方向に沿って反射されて戻る信号はない。障害物1414がない場合、送信1450、1452の一方又は他方は、任意選択で、スマート・レンズ1410a、1410b間で直接送信され得る。
【0061】
送信1450、1452は異なる経路を取るので、送信1452は、スマート・レンズ1410aが送信1450を送信する際の角度とは異なる角度でスマート・レンズ1410aに到着する。したがって、スマート・レンズ1410aの非相反性質は、送信1450、1452が同時に、同じ周波数を使用して送信される場合でも、スマート・レンズ1410aが、発信送信1450からの許容できない量の干渉なしに、すなわち、許容できる信号対干渉ノイズ比(SINR:signal to interference and noise ratio)で、送信1452を受信することを可能にする。スマート・レンズ1410aの非相反性質はまた、送信1450、1452が同時に、同じ周波数を使用して送信される場合でも、スマート・レンズ1410aが、異なる方向においてアンテナ1446から送信1450を受信しながら、送信1452をアンテナ1448aに送信することを可能にする。結果として、BS1402aは、送信1450を送信するアンテナとは異なるアンテナ上で送信1452を受信することができる。BS1402aは、したがって、送信1450、1452が同時に、同じ周波数を使用して送信される場合でも、発信送信1450からの許容できない量の干渉なしに、送信1452を復号することができる。したがって、スマート・レンズ1410aの使用は、HD通信のためにのみ構成された従来のBS1402aにおけるFD通信を可能にすることができる。
【0062】
スマート反射体1412のうちの1つ又は複数が非相反表面であり得ることが企図され、これは、送信された信号と受信された信号又は送信機に向かう送信された信号の反射との間の高度の分離を与え得、また、ビームフォーミング、ビーム・ステアリング、及び信号増幅のうちの1つ又は複数を可能にし得る。スマート反射体1412のうちの1つ又は複数は、パッシブ反射表面など、相反反射表面であり得るか、又は、そのような表面によって置き換えられ得ることが企図される。パッシブ反射表面は、電波を反射することが可能な金属物体を含み得る。パッシブ反射表面は、送信された信号と受信された信号との間の分離をあまり与えず、また、反射された信号の増幅を与えることが不可能であろうが、パッシブ反射表面はネットワーク機器のコスト及び複雑さを低減するであろう。
【0063】
次に図15を参照しながら、例示的なネットワーク・アーキテクチャ1500について説明する。第1のBS1502aは、たとえば、ワイヤード接続によって、送信ビームフォーミングと受信ビームフォーミングとが可能なアンテナ要素のフェーズド・アレイ1554に接続される。第1のスマート・レンズ1510aは、たとえばBS1502aの近くに位置していることによって、BS1502aに関連付けられる。第2のBS1502bは、たとえば、ワイヤード接続によって、送信ビームフォーミングと受信ビームフォーミングとが可能なアンテナ要素のフェーズド・アレイ1554bに接続される。第2のスマート・レンズ1510bは、たとえばBS1402bの近くに位置していることによって、BS1502bに関連付けられる。
【0064】
スマート・ミラー1512a、1512bを使用し、障害物1514を回避する、信号1550、1552の送信は図14の実施例と同様であるが、BS1502における送信及び受信がアンテナ1446、1448によって実行される代わりにフェーズド・アレイ1554によって実行される点が異なる。
【0065】
図14のネットワーク・アーキテクチャ1400と比較したネットワーク・アーキテクチャ1500の1つの利点は、フェーズド・アレイ1554が複数のアンテナ1446、1448よりも小さくなり、実装するにかかる費用が少なくなり得ることである。図14のネットワーク・アーキテクチャ1400と比較したネットワーク・アーキテクチャ1500の1つの欠点は、いくつかの実施例において、フェーズド・アレイ1554の要素が、BS1502とそれの関連付けられたスマート・レンズ1510との間のFD通信を可能にするのに十分に離間しないことがあることである。
【0066】
図16を参照すると、BS1602は、図14及び図15の実施例と同様の様式でデバイス1608と通信する。BS1602は、1つ又は複数の受信アンテナ1648から空間的に分離された1つ又は複数の送信アンテナ1646を有する。スマート・レンズ1410は、たとえばBS1602の近くに位置していることによって、BS1602に関連付けられる。デバイス1608は、デバイス1608に一体化された、送信ビームフォーミングと受信ビームフォーミングとが可能なアンテナ要素のフェーズド・アレイ1654を有する。一実例では、フェーズド・アレイ1654はmmWaveアレイであり得、デバイス1608はタブレット又はパーソナル・コンピュータであり得るが、他の実装形態も企図される。
【0067】
第1の送信1650はスマート・レンズ1610の方向においてアンテナ1646から送信される。スマート・レンズ1610は、任意選択で、送信1650を増幅し、スマート反射体1612aを介して送信1650をデバイス1608に向けてリダイレクトする。送信1650は、デバイス1608のフェーズド・アレイ1654によって受信され、デバイス1608によって復号され得る。第2の送信1652はフェーズド・アレイ1654からスマート反射体1412bを介してスマート・レンズ1610に向けて送信される。スマート・レンズ1610は送信1652をBS1602のアンテナ1648にリダイレクトする。
【0068】
次に図17を参照すると、それぞれのフェーズド・アレイ1754a、1754bを含んでいる2つのデバイス1708a、1708bは、スマート反射体1712a、1712bを介して互いに通信し、それにより、対向する方向の送信1750、1752のための異なる通信経路が可能になり、見通し線通信を妨げる障害物1714の存在下でも通信が可能になり得る。一実例では、デバイス1754aはワイヤレス・ゲーミング・コントローラであり得、デバイス1754bはゲーミング・コンソールであり得る。
【0069】
次に図18を参照しながら、非相反スマート表面1810のいくつかの特性について説明する。入射信号1856は、複数の周波数、たとえば3つの異なる周波数f1、f2、f3を含んでいる広帯域信号であり得る。スマート表面1810は、それぞれの周波数f1、f2、f3における出力信号1858a、1858b、1858cが異なる方向において送信されるように、周波数依存性応答を有する。周波数依存性応答は、国際特許出願公報第WO2022/094686号にさらに詳細に記載されているように、スマート表面1810の構成可能なパラメータを変動させることによって調整可能である。この周波数依存性応答を利用することによって、複数の周波数を含んでいる単一のビームを複数の異なる経路上にスプリットし、異なる受信機に送信することができる。スマート表面1810の非相反性質は、1858a、1858b、又は1858cの逆方向に沿った受信されたビーム、たとえば障害物によって引き起こされた反射が、必ずしも、信号1856の逆方向経路に沿ってスマート表面1810を通って伝搬されるとは限らないという効果を有する。
【0070】
周波数ダイバーシティのこの特性の適用例は図19に示されている。BS1902は、2つの異なる周波数f1、f2を含んでいるダウンリンク信号1960をスマート・レンズ1910に向けて送信する。スマート・レンズ1910は、受信された信号1960をそれのf1成分信号1962とそれのf2成分信号1964とにスプリットするように構成される。信号1962は、スマート反射体1912aのほうに向けられたビーム中で送信され、スマート反射体1912aは信号1962をデバイス1908aにリダイレクトする。信号1964は、スマート反射体1912bのほうに向けられたビーム中で送信され、スマート反射体1912bは信号1964をデバイス1908bにリダイレクトする。同時に又は異なる時間に、デバイス1908aは、周波数f3でアップリンク信号1966をスマート反射体1912aに向けて送信し、スマート反射体1912aは信号1966をスマート・レンズ1910に向けてリダイレクトする。スマート・レンズ1910は、周波数f3で信号1966をBS1902に向けてリダイレクトするように構成される。デバイス1908aは、周波数f4でアップリンク信号1968をスマート反射体1912bに向けて送信し、スマート反射体1912bは信号1968をスマート・レンズ1910に向けてリダイレクトする。スマート・レンズ1910は、周波数f4で信号1968をBS1902に向けてリダイレクトするように構成される。このようにして、スマート・レンズ1910の周波数応答を使用して、スマート・レンズ1910を再同調させる必要なしにBS1902に及びBS1902から複数のUL信号及び複数のDL信号を向けることができる。
【0071】
非相反スマート表面1810のさらなる特性は国際特許出願公報第WO2022/094686号に記載されている。
【0072】
上記で説明した実施例は実例にすぎないものである。本発明の範囲は、したがって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
【国際調査報告】