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特表2024-529122金属箔、回路基板、及び回路基板の製造方法
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  • 特表-金属箔、回路基板、及び回路基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】金属箔、回路基板、及び回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20240725BHJP
   H05K 3/20 20060101ALI20240725BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H05K1/03 630H
H05K3/20 A
B32B15/08 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508440
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2022095914
(87)【国際公開番号】W WO2023016061
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110909511.5
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204482
【氏名又は名称】広州方邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU FANGBANG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.28, Dongzhi Road, Huangpu District Guangzhou,Guangdong 510530 China
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 美娟
(72)【発明者】
【氏名】朱 宇▲華▼
【テーマコード(参考)】
4F100
5E343
【Fターム(参考)】
4F100AB00
4F100AB00D
4F100AB01
4F100AB01A
4F100AB01B
4F100AB02
4F100AB02A
4F100AB13
4F100AB13A
4F100AB14
4F100AB14A
4F100AB15
4F100AB15A
4F100AB16
4F100AB16A
4F100AB17
4F100AB17A
4F100AB33
4F100AB33A
4F100AB33B
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100EJ15
4F100EJ15B
4F100GB43
4F100JK15
4F100JK15B
5E343AA11
5E343BB02
5E343BB24
5E343BB67
5E343DD56
5E343DD76
5E343GG20
(57)【要約】
本発明は、金属箔の技術分野に関し、導電層と担持層とを含む金属箔であって、導電層と担持層とは、積層して設けられ、導電層は、導電回路を製造するために用いられ、金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により担持層と導電層とを分離させ、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である金属箔を開示する。該金属箔で回路基板を製造する場合、担持層を除去した後の導電回路の表面と基板の表面とが基本的に面一となり、且つ導電回路の表面粗さが小さく、寸法精度に対する要求が高い製品需要を満たす。また、それに応じて本発明実施例は、回路基板及び回路基板の製造方法を更に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層と担持層とを含む金属箔であって、
前記導電層と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層とを分離させ、前記導電層は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である、ことを特徴とする金属箔。
【請求項2】
前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、1ミクロン以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項3】
前記担持層は、遷移層を含み、前記遷移層と前記導電層とは、積層して設けられ、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記担持層と前記導電層が分離するように、前記第1エッチング液により前記遷移層をエッチングする、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項4】
前記遷移層は、前記導電層をエッチングできる第2エッチング液に対して耐食性を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の金属箔。
【請求項5】
前記導電層は、銅層であり、前記遷移層は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の金属箔。
【請求項6】
前記担持層の厚さは、8~105ミクロンである、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項7】
前記担持層は、キャリア層を更に含み、前記遷移層は、前記キャリア層と前記導電層との間に設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の金属箔。
【請求項8】
前記キャリア層の材質は、金属、及び非金属から選択される少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項9】
前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、非剥離の方式で除去される、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項10】
前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、剥離の方式で除去される、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項11】
前記遷移層の材質は、第3エッチング液に対して耐食性を有し、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記第3エッチング液により前記キャリア層をエッチングする、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項12】
前記担持層は、前記キャリア層と前記遷移層との間に設けられる剥離層を更に含む、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項13】
前記導電層と前記遷移層の厚さの和は、0.2ミクロン以上である、ことを特徴とする請求項10又は12に記載の金属箔。
【請求項14】
基板及び請求項1~13のいずれか1項に記載の金属箔で製造される、ことを特徴とする回路基板。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の金属箔を用いて回路基板を製造する回路基板の製造方法であって、
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得るステップと、
前記導電回路と基板とを結合するステップと、
前記担持層を除去するステップと、を含む、ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記担持層を除去する前記ステップの後に、
前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあるように、前記導電回路に表面処理を行うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
マスクパターンによりマスクされていない領域が非導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、前記マスクパターンを得るステップと、
第2エッチング液を用いて前記非導電回路領域をエッチングするステップと、
前記マスクパターンを除去して、導電回路を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
マスクパターンによりマスクされていない領域が導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、前記マスクパターンを得るステップと、
前記導電回路領域を厚くするステップと、
前記マスクパターンを除去するステップと、
第2エッチング液を用いて高速エッチングを行って、前記導電層の厚くされていない領域を除去して、導電回路を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項19】
前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得る前記ステップの前に、
前記導電層を薄くするステップを更に含む、ことを特徴とする請求項18に記載の回路基板の製造方法。
【請求項20】
請求項14に記載の回路基板及び/又は請求項15~19のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法で製造された前記回路基板を含む、ことを特徴とする多層回路基板。
【請求項21】
請求項15~19のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法を含む、ことを特徴とする多層回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属箔の技術分野に関し、特に金属箔、回路基板、及び回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み回路基板とは、導電回路が回路基板内に埋め込まれる回路基板のことである。図1に示すように、回路の感度が要求される適用場面において、導電回路と他のデバイスが確実に接触し、それにより、信号を安定的に伝達することを確保するためには、導電回路の表面が平らであり且つ導電回路の表面が基板の表面と基本的に面一となり又は基板の表面からやや突出することを確保する必要がある。なお、寸法精度に対する要求が高い製品に対して、導電回路の表面と基板の表面との段差を一定の範囲内に収める必要がある。
【0003】
現在、導電回路の表面と基板の表面との段差を一定の範囲内に収めることを確保するためには、従来の製造回路基板の主なプロセスフローは、以下のとおりである。
(1)まず剥離可能な金属箔を製造する。該金属箔は、積層して設けられるキャリア層と導電層とを含む。
(2)マスクパターンによりマスクされる領域が非導電回路領域であり、マスクパターンによりマスクされていない領域が導電回路領域である導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得る。
(3)電気めっきして、前記導電回路領域を厚くする。
(4)金属箔の導電回路が形成された面を基板に圧着し、且つキャリア層を剥離の方式で除去する(即ち外力でキャリア層を引き裂く)。
(5)エッチング液を用いて導電層をエッチングして、前記剥離可能な金属箔における導電層を除去して、導電回路を形成する。
(6)導電回路の表面が基板の表面と基本的に面一となり又は基板の表面よりも一定の高さだけ高くなるように、上記導電回路に表面処理を行う。
【0004】
実際の応用では、ステップ(5)でエッチング液を用いて導電層をエッチングして前記剥離可能な金属箔における導電層を除去する時、厚く形成された導電回路の材質と剥離可能な金属箔における導電層の材質とは、同じであるため、エッチング液は、導電層をエッチングすることができるだけではなく、厚く形成された導電回路をエッチングすることもでき、また、基板の下部の導電層がきれいにエッチングされないことによる微小短絡の現象を回避し、基板の下部の導電層がきれいにエッチングされることを満たすために、導電層をエッチングする過程でオーバーエッチングにすることが多く、図1図2に示すように、エッチング終了後、導電回路が基板内に凹んでしまう。実際の生産において、導電回路の高さ方向での基板内における凹みは、0.5ミクロンよりも大きい。これにより、例えば、金めっき又はニッケルめっきなどにより導電回路を基板と面一にし又は基板から突出させるというステップ(6)のプロセスを実現することが困難になる。少なくとも従来のプロセスは、表面処理された導電回路が基板と面一になり又は基板から突出するように、そのような高い段差下で表面処理を行うことが困難である。また、基板内に凹んだ導電回路は、表面処理の原材料及び加工コストを著しく増加させる。更に、エッチング過程でエッチング部位の正確な制御が実現できないため、導電回路の各箇所及び基板の各箇所がオーバーエッチングされる度合いが一致せず、導電回路の各箇所と基板の各箇所の粗さに大きな差が生じてしまう。これにより、得られた回路基板は、寸法精度に対する要求が高い製品需要を満たすことができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明実施例の目的は、金属箔で回路基板を製造する場合、担持層が除去された導電回路の表面と基板の表面とが基本的に面一となり、且つ導電回路の表面粗さが小さく、寸法精度に対する要求が高い製品需要を満たすことができる金属箔、回路基板及び回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明実施例は、電層と担持層とを含む金属箔であって、前記導電層と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層とを分離させ、前記導電層は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である金属箔を提供する。
【0007】
好適な態様としては、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、1ミクロン以下である。
【0008】
好適な態様としては、前記担持層は、遷移層を含み、前記遷移層と前記導電層とは、積層して設けられ、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記担持層と前記導電層が分離するように、前記第1エッチング液により前記遷移層をエッチングする。
【0009】
好適な態様としては、前記遷移層は、前記導電層をエッチングできる第2エッチング液に対して耐食性を有する。
【0010】
好適な態様としては、前記導電層は、銅層であり、前記遷移層は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
好適な態様としては、前記担持層の厚さは、8~105ミクロンである。
【0012】
好適な態様としては、前記担持層は、キャリア層を更に含み、前記遷移層は、前記キャリア層と前記導電層との間に設けられる。
【0013】
好適な態様としては、前記キャリア層の材質は、金属、及び非金属から選択される少なくとも1つである。
【0014】
好適な態様としては、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、非剥離の方式で除去される。
【0015】
好適な態様としては、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、剥離の方式で除去される。
【0016】
好適な態様としては、前記遷移層の材質は、第3エッチング液に対して耐食性を有し、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記第3エッチング液により前記キャリア層をエッチングする。
【0017】
好適な態様としては、前記担持層は、前記キャリア層と前記遷移層との間に設けられる剥離層を更に含む。
【0018】
好適な態様としては、前記導電層と前記遷移層の厚さの和は、0.2ミクロン以上である。
【0019】
それに応じて、本発明実施例は、基板及び前記金属箔で製造される回路基板を更に提供する。
【0020】
それに応じて、本発明実施例は、前記金属箔で回路基板を製造する回路基板の製造方法であって、
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得るステップと、
前記導電回路と基板とを結合するステップと、
前記担持層を除去するステップと、を含む回路基板の製造方法を更に提供する。
【0021】
好適な態様としては、前記担持層を除去する前記ステップの後に、
前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあるように、前記導電回路に表面処理を行うステップを更に含む。
【0022】
好適な態様としては、前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
前記マスクパターンによりマスクされていない領域が非導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得るステップと、
第2エッチング液を用いて前記非導電回路領域をエッチングするステップと、
前記マスクパターンを除去して、導電回路を得るステップと、を含む。
【0023】
好適な態様としては、前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
前記マスクパターンによりマスクされていない領域が導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得るステップと、
前記導電回路領域を厚くするステップと、
前記マスクパターンを除去するステップと、
第2エッチング液を用いて高速エッチングを行って、前記導電層の厚くされていない領域を除去して、導電回路を得るステップと、を含む。
【0024】
好適な態様としては、前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得る前記ステップの前に、
前記導電層を薄くするステップを更に含む。
【0025】
好適な態様としては、前記回路基板を用いて多層回路基板を製造する。
【0026】
それに応じて、本発明実施例は、前記回路基板及び/又は前記回路基板の製造方法で製造された前記回路基板を含む多層回路基板を提供する。
【0027】
それに応じて、本発明実施例は、前記回路基板の製造方法を含む多層回路基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
従来技術に比べて、本発明実施例の有益な効果は、以下のとおりである。即ち、本発明実施例は、導電層と担持層とを含む金属箔であって、前記導電層と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層とを分離させ、前記導電層は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である金属箔を提供する。本発明実施例による金属箔における担持層の導電層に近い面の粗さが2ミクロン以下であり、これにより、導電層の担持層に近い面も小さい粗さを有し、本発明実施例による金属箔で導電回路を形成し、且つ金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液で前記担持層と前記導電層とを分離させ、導電層が第1エッチング液に対して耐食性を有するため、第1エッチング液で担持層と導電層とを分離させた後、最終的に形成された導電回路の表面が元の導電層の小さい面粗さを基本的に維持し、表面が平らな導電回路を得ることができ、また、担持層を除去した後に、導電回路の表面と基板の表面とが基本的に面一となることを確保し、それにより、導電回路の表面と基板の表面との段差を抑制しやすく、更に寸法精度に対する要求が高い製品需要を満たすことができる。また、それに応じて、本発明実施例は、回路基板及び回路基板の製造方法を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来の剥離可能な金属箔を用いて回路基板を製造する場合に導電回路の表面が基板の表面に凹んだ構造概略図である。
図2】従来の剥離可能な金属箔を用いて製造される回路基板の構造概略図である。
図3】本発明実施例1の金属箔の構造概略図である。
図4】本発明実施例1の回路基板の構造概略図である。
図5】本発明実施例1の導電回路が表面処理された回路基板の構造概略図である。
図6】本発明実施例2のキャリア層と、遷移層と、導電層とを含む金属箔の構造概略図である。
図7】本発明実施例2のキャリア層と、剥離層と、遷移層と、導電層とを含む金属箔の構造概略図である。
図8】本発明実施例1による回路基板の製造方法のフローチャートである。
図9】本発明実施例1による回路基板の製造方法のステップS101の第1実施形態のフローチャートである。
図10】本発明実施例1による回路基板の製造方法のステップS101の第2実施形態のフローチャート、
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明瞭で完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0031】
実施例1
図3を参照すると、本発明実施例の金属箔は、導電層1と担持層とを含み、前記導電層1と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層1は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層1とを分離させ、前記導電層1は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である。
【0032】
本発明実施例では、金属箔は、導電層1と担持層とを含み、前記導電層1と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層1は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層1とを分離させ、前記導電層1は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である。本発明実施例による金属箔における担持層の導電層に近い面の粗さが2ミクロン以下であり、これにより、導電層の担持層に近い面も小さい粗さを有し、本発明実施例による金属箔で導電回路を形成し、且つ金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液で前記担持層と前記導電層1とを分離させ、導電層が第1エッチング液に対して耐食性を有するため、第1エッチング液で担持層と導電層とを分離させた後、最終的に形成された導電回路の表面が基本的に元の導電層の小さい面粗さを維持し、表面が平らな導電回路を得ることができ、また、担持層を除去した後に、導電回路の表面と基板の表面とが基本的に面一となることを確保し、それにより、導電回路の表面と基板の表面との段差を抑制しやすく、更に寸法精度に対する要求が高い製品需要を満たすことができる。
【0033】
なお、前記導電層1が第1エッチング液に対して耐食性を有することとは、前記導電層1が前記第1エッチング液により腐食されないか腐食されにくいか、又はエッチング速度が遅いことを意味する。前記導電層1は、第1エッチング液に対して耐食性を有するため、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層1とを分離させると、前記導電層1は、前記第1エッチング液により腐食されないか腐食されにくいか、又はエッチング速度が遅く、本発明実施例では、適切なエッチング液を選択することにより、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層1とを分離させる場合、前記第1エッチング液により前記導電回路の表面が基板に凹んだ深さが0.5ミクロン以下であることを確保することができる。なお、第1エッチング液の具体的なタイプは、特に限定されず、当業者は、上記機能を実現できれば、実際の必要に応じて選択することができる。
【0034】
具体的な実施では、他の機能を実現するために、更に前記担持層と前記導電層1との間に他の構造を設けてもよく、例えば前記担持層と前記導電層1との間に前記酸化防止層などの構造を設けてもよい。なお、前記担持層と前記導電層1との間に他の構造を設ける態様も本発明の保護範囲内である。
【0035】
本発明実施例では、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下であり、例えば、2ミクロン、1.5ミクロン、1ミクロン、0.5ミクロン、0.2ミクロン、0.1ミクロンなど以下であってもよく、好適には、1ミクロン以下である。担持層の導電層に近い面の粗さが上記範囲内にある場合には、導電層の担持層に近い面の粗さも基本的に上記範囲内にあり、即ち導電層の担持層に近い面は、平らであり、また、本発明実施例では、導電層は、担持層と導電層とをエッチングし分離させる第1エッチング液に対して耐食性を有することで、担持層から分離された後、導電層の担持層に近い面の、第1エッチング液からの影響が小さく、最終的に形成された導電回路の表面は、元の導電層の担持層に近い面の面粗さを基本的に維持し、即ち導電回路の表面は、平らである。
【0036】
図3を参照すると、前記担持層は、遷移層2を含み、前記遷移層2と前記導電層1とは、積層して設けられ、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記担持層と前記導電層1が分離するように、前記第1エッチング液により前記遷移層2をエッチングする。本発明実施例では、第1エッチング液により前記遷移層2をエッチングして、前記遷移層2を除去することで、前記担持層と前記導電層1とを分離させ、また、前記導電層1は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、即ち第1エッチング液は、前記導電層1をエッチングしないかエッチングしにくいか、又はエッチング速度が遅い。
【0037】
なお、前記担持層が遷移層2のみを含む場合には、前記遷移層2が前記導電層1に一定の支持力を提供する必要があるため、前記遷移層2の厚さを大きくする必要がある。担持層が担持作用を果たすことができる他の構造を更に含む場合には、前記遷移層2の厚さを小さくしてもよく、例えば、遷移層2の導電層1から離れる面にキャリア層3が設けられる場合には、キャリア層3により導電層1に支持力を提供することができるため、遷移層2の厚さを小さくしてもよく、無論、このとき、更に導電層1に支持力を提供するために、遷移層2の厚さを大きくしてもよい。よって、遷移層2の具体的な厚さは、実際の使用要求に応じて設定することができ、ここでこれ以上の説明を省略する。
【0038】
1つの選択的な実施形態では、前記遷移層2は、前記導電層1をエッチングできる第2エッチング液に対して耐食性を有する。なお、前記遷移層2が第2エッチング液に対して耐食性を有することとは、前記遷移層2が前記第2エッチング液により腐食されないか腐食されにくいか、又はエッチング速度が遅いことを意味する。前記遷移層2は、第2エッチング液に対して耐食性を有するため、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記導電層1をエッチングする過程で、前記遷移層2は、前記第2エッチング液により腐食されないか腐食されにくいか、又はエッチング速度が遅い。なお、第2エッチング液の具体的なタイプは、特に限定されず、当業者は、上記機能を実現できれば、実際の必要に応じて選択することができる。
【0039】
1つの選択的な実施形態では、前記導電層1は、銅層であり、前記遷移層2は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含み、例えば、ニッケルクロム合金、ニッケルリン合金及びニッケル金属のうちの少なくとも1つを含む。本発明実施例では、前記導電層1は、銅層であり、主に銅から構成され、前記遷移層2は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含み、ニッケルクロム合金、ニッケルリン合金及びニッケル金属を例とすると、例えば主にニッケルクロム合金、ニッケルリン合金又はニッケル金属から構成されてもよく、主にニッケルクロム合金、ニッケルリン合金及びニッケル金属のうちのいずれか2つ以上の材料から構成されてもよく、主にニッケルクロム合金、ニッケルリン合金及びニッケル金属のうちの少なくとも1つの材料と他の材料とを混合されたものでもよい。前記遷移層2は、単層又は多層構造であり、前記遷移層2が多層構造である場合には、例えば1層のニッケル金属と1層のニッケルクロム合金とを積層して設けられたもの、又は1層のニッケル金属と1層のニッケルリン合金とを積層して設けられたもの、又は1層のニッケルリン合金と1層のニッケルクロム合金とを積層して設けられたものなどであってもよい。なお、実際の生産では、前記導電層1と前記遷移層2は、他の不純物が予期せず混入されている可能性があり、前記導電層1と前記遷移層2に不純物が予期せず混入されている場合も本発明の保護範囲内である。なお、本発明における前記導電層1は、銅層に限定されず、前記遷移層2の材料も、ニッケルクロム合金、ニッケルリン合金、ニッケル金属に限定されず、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含む他の材料を用いる導電層1と遷移層2も本発明の保護範囲内であり、導電層1と遷移層2の具体的な材料と層構造は、実際の使用要求に応じて設定することができ、導電層1が第1エッチング液に対して耐食性を有し、且つ遷移層2が第2エッチング液に対して耐食性を有することを確保すればよく、ここでこれ以上の説明を省略する。例示的には、導電層が銅層であり、遷移層がニッケルクロム合金、ニッケルリン合金、ニッケル金属のうちの少なくとも1つである場合には、第1エッチング液は、硫酸、過酸化水素及びチオ尿素を含んでもよく、又は硝酸、塩化ニッケル及びイミダゾール(又は窒素アゾール類)を含んでもよく、又はシアン化物を含んでもよく、第2エッチング液は、塩化アンモニウム、硫酸銅(II)五水和物及びアンモニア水を含んでもよい。
【0040】
1つの選択的な実施形態では、導電層1に十分な支持力を提供するために、本実施例における前記担持層の厚さは、8~105ミクロンであり、例えば8ミクロン、10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、25ミクロン、30ミクロン、35ミクロン、40ミクロン、45ミクロン、50ミクロン、55ミクロン、60ミクロン、65ミクロン、70ミクロン、75ミクロン、80ミクロン、85ミクロン、90ミクロン、95ミクロン、100ミクロン、105ミクロンなどであってもよい。無論、前記担持層の具体的な厚さは、実際の使用要求に応じて設定することができ、ここでこれ以上の説明を省略する。
【0041】
それに応じて、本発明実施例は、基板及び上記いずれかの実施形態の金属箔で製造される回路基板を更に提供する。
【0042】
図8を参照すると、本発明実施例は、前記金属箔で回路基板を製造する回路基板の製造方法であって、
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得るステップS101と、
前記導電回路と基板とを結合するステップS102と、
前記担持層を除去するステップS103とを含む回路基板の製造方法を更に提供する。
【0043】
1つの選択的な実施形態では、前記ステップS103の後、
前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあるように、前記導電回路に表面処理を行うステップS104を更に含む。
【0044】
具体的な実施では、導電回路に表面処理を行うことにより、酸化防止の作用を果たすとともに、前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあり、導電回路と他のデバイスが確実に接触することを更に確保し、それにより、信号を安定的に伝達することができる。
【0045】
1つの選択的な実施形態では、「前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあるように、前記導電回路に表面処理を行う」前記ステップS104は、具体的には、
前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあるように、電気めっきすることを含む。例えば、図5を参照すると、導電回路11の表面が前記基板5の表面から突出し且つ前記基板5の表面との段差hが予め設定される段差範囲にあるように、前記導電回路11の表面に1層の金を電気めっきしたが、無論、実際の使用要求に応じて導電回路に他の導電性材料を電気めっきしてもよく、ここでこれ以上の説明を省略する。更に、表面処理の具体的な形態は、特に限定されず、当業者は、実際の必要に応じて選択することができ、例えば、電気めっき、化学めっき、蒸着めっき、スパッタリングのうちのいずれか1つ、又はそれらの複合プロセスを選択してもよい。
【0046】
具体的な実施では、導電回路の酸化を防止するために、導電回路に表面処理を行う時、金などの高価な材料を電気めっきすることを選択するのが一般的であるが、従来技術では、表面処理時に金属を厚く電気めっきする必要があるため、生産コストを著しく増加させる。本願は、従来技術に比べて、金属を厚く電気めっきする必要がないため、生産コストを大幅に削減する。また、担持層を除去した後に導電回路の表面が平らであるため、表面処理された導電回路も平らな表面を有し、これにより、形成された回路基板は、寸法精度が高い製品を満たすことができる。
【0047】
図9を参照すると、1つの選択的な実施形態では、「前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る」前記ステップS101は、具体的には、
前記マスクパターンによりマスクされていない領域が非導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得る、ステップS111と、
第2エッチング液を用いて前記非導電回路領域をエッチングするステップS112と、
前記マスクパターンを除去して、導電回路を得るステップS113とを含む。
【0048】
図10を参照すると、別の選択的な実施形態では、「前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る」前記ステップS101は、具体的には、
前記マスクパターンによりマスクされていない領域が導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得るステップS121と、
前記導電回路領域を厚くし、例えば電気めっきにより前記導電回路領域を厚くするステップS122と、
前記マスクパターンを除去するステップS123と、
第2エッチング液を用いて高速エッチングを行って、前記導電層の厚くされていない領域を除去して、導電回路を得るステップS124とを含む。
【0049】
なお、更に実際の必要に応じて、「前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得る」前記ステップS121の前に、前記導電層を薄くしてもよい。
【0050】
更に、当業者は、実際の必要に応じて、前記回路基板を用いて多層回路基板を製造することができる。多層回路基板の層数及び埋め込み回路基板及び/又は導電回路が基板の表面に突出する回路基板を用いて多層回路基板を製造することは、本願ではあまり限定されず、当業者は、実際の必要に応じて選択することができる。
【0051】
実施例2
図6を参照すると、本実施例の金属箔と実施例1との違いは、本実施例における前記担持層が、キャリア層3を更に含み、前記遷移層2が前記キャリア層3と前記導電層1との間に設けられることである。
【0052】
本発明実施例では、前記キャリア層3を設けることにより、より大きい支持力を提供することができるため、前記遷移層2を薄くすることができる。具体的な実施では、電気めっきプロセス、スパッタリングプロセス、蒸着めっき、化学めっき又はこれらの複合プロセスなどの方式により前記キャリア層3上に遷移層2を形成することができる。なお、説明すべきこととして、前記遷移層2が十分な支持力を提供できるように大きい厚さを有する場合には、必要に応じてキャリア層3を設けるか否かを選択することができる。前記キャリア層3の材質は、金属、及び非金属から選択される少なくとも1つであり、例えば金属、合金、有機物、無機物から選択される少なくとも1つであってもよく、ドーピング物を含む上記物質であってもよく、無論、前記キャリア層3の厚さと材料は、実際の使用要求に応じて設定することができ、ここでこれ以上の説明を省略する。
【0053】
1つの選択的な実施形態では、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層3は、剥離の方式で除去される。例示的には、前記キャリア層3を剥離した後、第1エッチング液により前記遷移層2を除去してもよい。なお、前記キャリア層3が剥離の方式で除去されることとは、キャリア層3が外力により引き裂かれる(例えば手動による引き裂き又はツールによる引き裂きなどにする)ことを意味する。
【0054】
別の選択的な実施形態では、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層3は、非剥離の方式で除去される。なお、前記キャリア層3が非剥離の方式で除去されることとは、外力による引き裂き以外の方式によりキャリア層3が除去され、例えば物理的研磨、エッチング液によるエッチング、プラズマによるエッチング、レーザーによるエッチングのうちの少なくとも1つなどの方式によりキャリア層3が除去されることを意味する。例示的には、エッチング液によりエッチングする方式で、キャリア層3を除去し、具体的には、前記遷移層2の材質は、第3エッチング液に対して耐食性を有し、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記第3エッチング液により前記キャリア層3をエッチングする。なお、前記遷移層2が第3エッチング液に対して耐食性を有することとは、前記遷移層2が前記第3エッチング液により腐食されないか腐食されにくいか、又はエッチング速度が遅いことを意味する。前記遷移層2は、第3エッチング液に対して耐食性を有するため、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層3をエッチングする過程で、前記遷移層2は、前記第3エッチング液により腐食されないか腐食されにくいか、又はエッチング速度が遅い。更に、前記第3エッチング液は、前記導電層をエッチングできるエッチング液であってもよく、前記導電層をエッチングできないエッチング液であってもよく、当業者は、実際の必要に応じて選択することができ、同様に、前記第3エッチング液と前記第2エッチング液とは、同じであってもよく、異なってもよい。なお、第3エッチング液の具体的なタイプは、特に限定されず、当業者は、実際の必要に応じて選択することができ、例示的には、導電層が銅層であり、遷移層がニッケルクロム合金、ニッケルリン合金、ニッケル金属のうちの少なくとも1つであり、キャリア層が銅である場合には、第1エッチング液は、硫酸、過酸化水素及びチオ尿素を含んでもよく、又は硝酸、塩化ニッケル及びイミダゾール(又は窒素アゾール類)を含んでもよく、又はシアン化物を含んでもよく、第2エッチング液と第3エッチング液は、それぞれ独立して塩化アンモニウム、硫酸銅(II)五水和物及びアンモニア水を含んでもよい。
【0055】
更に、図7を参照すると、前記キャリア層3を剥離しやすくするために、前記担持層は、前記キャリア層3と前記遷移層2との間に設けられる剥離層4を更に含む。前記剥離層4を設けることによって、剥離の方式で前記キャリア層3を容易に除去することができる。なお、前記キャリア層3を剥離する時、前記剥離層4は、前記キャリア層3とともに剥離される可能性もあり、一部が前記遷移層2に残留されて別途に剥離する必要があり、一部がキャリア層3とともに剥離される可能性もある。具体的な実施において、回路基板の製造過程では、各層が予期せず脱落されることはない。
【0056】
更に、キャリア層が剥離可能な金属箔及び/又は剥離層を含む金属箔に対して、回路基板の製造過程でキャリア層及び/又は剥離層の剥離を実現しやすく、且つ後続の回路基板の製造に影響を与えないために、前記導電層1と前記遷移層2の厚さの和は、0.2ミクロン以上であってもよい。
【0057】
具体的な実施では、前記導電層1は、銅層であり、前記遷移層2は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含む。本発明実施例では、前記導電層1は、銅層であり、主に銅から構成され、前記遷移層2は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含み、ニッケルクロム合金、ニッケルリン合金又はニッケル金属を例として説明すると、例えば主にニッケルクロム合金、ニッケルリン合金又はニッケル金属から構成されてもよく、主にニッケルクロム合金、ニッケルリン合金及びニッケル金属のうちのいずれか2つ以上の材料から構成されてもよく、主にニッケルクロム合金、ニッケルリン合金及びニッケル金属のうちの少なくとも1つの材料と他の材料とを混合されたものでもよい。前記遷移層2は、単層又は多層構造であり、前記遷移層2が多層構造である場合には、例えば1層のニッケル金属と1層のニッケルクロム合金とを積層して設けられたもの、又は1層のニッケル金属と1層のニッケルリン合金とを積層して設けられたもの、又は1層のニッケルリン合金と1層のニッケルクロム合金とを積層して設けられたものなどであってもよい。なお、更に実際の必要に応じて遷移層2に他の材料をドーピングしてもよく、例えば前記遷移層2にケイ素をドーピングしてもよく、前記遷移層2にケイ素をドーピングすることによって、エッチング液を用いて前記キャリア層3をエッチングする時、前記遷移層2のバリア作用を増加させ、遷移層2から導電層1へのエッチング液の浸透を更に回避することができる。なお、実際の生産では、前記導電層1と前記遷移層2は、他の不純物が予期せず混入されている可能性があり、前記導電層1と前記遷移層2に不純物が予期せず混入されている場合も本発明の保護範囲内である。なお、本発明における前記導電層1は、銅層に限定されず、前記遷移層2の材料は、ニッケルクロム合金、ニッケルリン合金、ニッケル金属に限定されず、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含む他の材料を用いる導電層1と遷移層2も本発明の保護範囲内であり、導電層1と遷移層2の具体的な材料と層構造は、実際の使用要求に応じて設定することができ、導電層1が第1エッチング液に対して耐食性を有し、遷移層2が第2エッチング液に対して耐食性を有することを確保すればよく、ここでこれ以上の説明を省略する。
【0058】
それに応じて、本発明実施例は、基板及び上記いずれかの実施形態の金属箔で製造される回路基板を更に提供する。なお、実施例2の金属箔は、実施例1によるいずれかの回路基板の製造方法を用いて回路基板を製造してもよい。
【0059】
更に、当業者は、実際の必要に応じて前記回路基板を用いて多層回路基板を製造してもよい。多層回路基板の層数及び埋め込み回路基板及び/又は導電回路が基板の表面に突出する回路基板を用いて多層回路基板を製造することは、本願ではあまり限定されず、当業者は、実際の必要に応じて選択することができる。
【0060】
従来技術に比べて、本発明実施例の有益な効果は、以下のとおりである。即ち、本発明実施例は、導電層1と担持層とを含む金属箔であって、前記導電層1と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層1は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層1とを分離させ、前記導電層1は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である金属箔を提供する。本発明実施例による金属箔における担持層の導電層に近い面の粗さが2ミクロン以下であり、これにより、導電層の担持層に近い面も小さい粗さを有し、本発明実施例による金属箔で導電回路を形成し、且つ金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液で前記担持層と前記導電層1とを分離させ、導電層が第1エッチング液に対して耐食性を有するため、第1エッチング液で担持層と導電層とを分離させた後、最終的に形成された導電回路の表面が元の導電層の小さい面粗さを基本的に維持し、表面が平らな導電回路を得ることができ、また、担持層を除去した後に、導電回路の表面と基板の表面とが基本的に面一となることを確保し、それにより、導電回路の表面と基板の表面との段差を抑制しやすく、更に寸法精度に対する要求が高い製品需要を満たすことができる。また、それに応じて、本発明実施例は、回路基板及び回路基板の製造方法を更に提供する。
【0061】
以上は本発明の好適な実施形態にすぎず、当業者にとっては、本発明の技術原理を逸脱することなく、いくつかの改良及び置換を行うことができ、これらの改良及び置換も本発明の保護範囲と見なすべきであることを指摘すべきである。
【符号の説明】
【0062】
10、導電回路;20、基板;1、導電層;2、遷移層;3、キャリア層;4、剥離層;11、導電回路;5、基板。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層と担持層とを含む金属箔であって、
前記導電層と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層とを分離させ、前記導電層は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である、ことを特徴とする金属箔。
【請求項2】
前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、1ミクロン以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項3】
前記担持層は、遷移層を含み、前記遷移層と前記導電層とは、積層して設けられ、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記担持層と前記導電層が分離するように、前記第1エッチング液により前記遷移層をエッチングする、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項4】
前記遷移層は、前記導電層をエッチングできる第2エッチング液に対して耐食性を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の金属箔。
【請求項5】
前記導電層は、銅層であり、前記遷移層は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の金属箔。
【請求項6】
前記担持層の厚さは、8~105ミクロンである、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項7】
前記担持層は、キャリア層を更に含み、前記遷移層は、前記キャリア層と前記導電層との間に設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の金属箔。
【請求項8】
前記キャリア層の材質は、金属、及び非金属から選択される少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項9】
前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、非剥離の方式で除去される、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項10】
前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、剥離の方式で除去される、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項11】
前記遷移層の材質は、第3エッチング液に対して耐食性を有し、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記第3エッチング液により前記キャリア層をエッチングする、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項12】
前記担持層は、前記キャリア層と前記遷移層との間に設けられる剥離層を更に含む、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項13】
前記導電層と前記遷移層の厚さの和は、0.2ミクロン以上である、ことを特徴とする請求項10記載の金属箔。
【請求項14】
基板及び請求項1~13のいずれか1項に記載の金属箔で製造される、ことを特徴とする回路基板。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の金属箔を用いて回路基板を製造する回路基板の製造方法であって、
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得るステップと、
前記導電回路と基板とを結合するステップと、
前記担持層を除去するステップと、を含む、ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記担持層を除去する前記ステップの後に、
前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあるように、前記導電回路に表面処理を行うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
マスクパターンによりマスクされていない領域が非導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、前記マスクパターンを得るステップと、
第2エッチング液を用いて前記非導電回路領域をエッチングするステップと、
前記マスクパターンを除去して、導電回路を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
マスクパターンによりマスクされていない領域が導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、前記マスクパターンを得るステップと、
前記導電回路領域を厚くするステップと、
前記マスクパターンを除去するステップと、
第2エッチング液を用いて高速エッチングを行って、前記導電層の厚くされていない領域を除去して、導電回路を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項19】
前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得る前記ステップの前に、
前記導電層を薄くするステップを更に含む、ことを特徴とする請求項18に記載の回路基板の製造方法。
【請求項20】
請求項14に記載の回路基板及び/又は
金属箔を用いて回路基板を製造する回路基板の製造方法であって、
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得るステップと、
前記導電回路と基板とを結合するステップと、
前記担持層を除去するステップと、を含む回路基板の製造方法で製造された前記回路基板を含む、ことを特徴とする多層回路基板。
【請求項21】
請求項15記載の回路基板の製造方法を含む、ことを特徴とする多層回路基板の製造方法。


【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層と担持層とを含む金属箔であって、
前記導電層と前記担持層とは、積層して設けられ、前記導電層は、導電回路を製造するために用いられ、前記金属箔で回路基板を製造する場合、第1エッチング液により前記担持層と前記導電層とを分離させ、前記導電層は、前記第1エッチング液に対して耐食性を有し、前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、2ミクロン以下である、ことを特徴とする金属箔。
【請求項2】
前記担持層の前記導電層に近い面の粗さRzは、1ミクロン以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項3】
前記担持層は、遷移層を含み、前記遷移層と前記導電層とは、積層して設けられ、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記担持層と前記導電層が分離するように、前記第1エッチング液により前記遷移層をエッチングする、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項4】
前記遷移層は、前記導電層をエッチングできる第2エッチング液に対して耐食性を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の金属箔。
【請求項5】
前記導電層は、銅層であり、前記遷移層は、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト元素のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の金属箔。
【請求項6】
前記担持層の厚さは、8~105ミクロンである、ことを特徴とする請求項1に記載の金属箔。
【請求項7】
前記担持層は、キャリア層を更に含み、前記遷移層は、前記キャリア層と前記導電層との間に設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の金属箔。
【請求項8】
前記キャリア層の材質は、金属、及び非金属から選択される少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項9】
前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、非剥離の方式で除去される、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項10】
前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記キャリア層は、剥離の方式で除去される、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項11】
前記遷移層の材質は、第3エッチング液に対して耐食性を有し、前記金属箔を用いて回路基板を製造する場合、前記第3エッチング液により前記キャリア層をエッチングする、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項12】
前記担持層は、前記キャリア層と前記遷移層との間に設けられる剥離層を更に含む、ことを特徴とする請求項7に記載の金属箔。
【請求項13】
前記導電層と前記遷移層の厚さの和は、0.2ミクロン以上である、ことを特徴とする請求項10記載の金属箔。
【請求項14】
基板及び請求項1~13のいずれか1項に記載の金属箔で製造される、ことを特徴とする回路基板。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の金属箔を用いて回路基板を製造する回路基板の製造方法であって、
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得るステップと、
前記導電回路と基板とを結合するステップと、
前記担持層を除去するステップと、を含む、ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記担持層を除去する前記ステップの後に、
前記導電回路の表面と前記基板の表面との段差が予め設定される段差範囲にあるように、前記導電回路に表面処理を行うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
マスクパターンによりマスクされていない領域が非導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、前記マスクパターンを得るステップと、
第2エッチング液を用いて前記非導電回路領域をエッチングするステップと、
前記マスクパターンを除去して、導電回路を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得る前記ステップは、具体的には、
マスクパターンによりマスクされていない領域が導電回路領域である前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、前記マスクパターンを得るステップと、
前記導電回路領域を厚くするステップと、
前記マスクパターンを除去するステップと、
第2エッチング液を用いて高速エッチングを行って、前記導電層の厚くされていない領域を除去して、導電回路を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の回路基板の製造方法。
【請求項19】
前記導電層に膜貼り付け、露光及び現像操作を行って、マスクパターンを得る前記ステップの前に、
前記導電層を薄くするステップを更に含む、ことを特徴とする請求項18に記載の回路基板の製造方法。
【請求項20】
請求項14に記載の回路基板及び/又は
金属箔を用いて回路基板を製造する回路基板の製造方法であって、
前記導電層に回路製造を行って、導電回路を得るステップと、
前記導電回路と基板とを結合するステップと、
前記担持層を除去するステップと、を含む回路基板の製造方法で製造された前記回路基板を含む、ことを特徴とする多層回路基板。
【請求項21】
請求項15記載の回路基板の製造方法を含む、ことを特徴とする多層回路基板の製造方法。


【国際調査報告】