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特表2024-529130縫合糸埋植の直前に縫合糸を医薬化合物でコーティングするためのシステム、キット、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】縫合糸埋植の直前に縫合糸を医薬化合物でコーティングするためのシステム、キット、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 17/00 20060101AFI20240725BHJP
   A61L 17/06 20060101ALI20240725BHJP
   A61B 17/06 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61L17/00 100
A61L17/06
A61B17/06 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508489
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 IB2022057165
(87)【国際公開番号】W WO2023017364
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,696
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スカルゾ・ジュニア・ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ポクロピンスキー・ジュニア・ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】クリクスノフ・レオ
【テーマコード(参考)】
4C081
4C160
【Fターム(参考)】
4C081AC02
4C081BA16
4C081BB06
4C081CE01
4C081DA04
4C081DA05
4C081DB03
4C081EA02
4C160BB18
4C160BB27
4C160BB30
(57)【要約】
本発明は、縫合システムであって、針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、当該縫合糸が、薬剤溶液を収容する穿刺可能な容器とともにパッケージングされている、縫合システムに関する。本発明は更に、縫合システムであって、針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、当該縫合糸が、ウィッキング薬剤移送スポンジと、液体を収容する脆弱な容器とともにパッケージングされている、縫合システムに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、縫合システムであって、針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、当該縫合糸が、薬剤移送スポンジとともにパッケージングされており、当該システムが、液体を含む薬剤ディスペンサ容器を更に備える、縫合システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合システムであって、
針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、前記縫合糸が、薬剤溶液を収容する穿刺可能な容器とともにパッケージングされている、縫合システム。
【請求項2】
縫合システムであって、
針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、前記縫合糸が、ウィッキング薬剤移送スポンジと、液体を収容する脆弱な容器とともにパッケージングされている、縫合システム。
【請求項3】
縫合システムであって、
針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、前記縫合糸が、薬剤移送スポンジとともにパッケージングされており、前記システムが、液体を含む薬剤ディスペンサ容器を更に備える、縫合システム。
【請求項4】
前記縫合糸が、吸収性、非吸収性、モノフィラメント、編組、棘付き、又はそれらの組み合わせである、請求項1~3のいずれか一項に記載の縫合システム。
【請求項5】
前記薬剤が、抗微生物剤又は抗菌剤である、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項6】
前記薬剤が、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、オクテニジン、銀粒子、銀塩、トリクロサン、及びそれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の縫合システム。
【請求項7】
前記穿刺可能な容器が、穿刺可能なセプタムを備える、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項8】
前記薬剤溶液が、急速に蒸発する溶媒を含む、請求項5に記載の縫合システム。
【請求項9】
前記溶媒が、エタノールである、請求項8に記載の縫合システム。
【請求項10】
前記縫合糸及び前記容器が別々に滅菌される、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項11】
前記縫合糸及び前記穿刺可能な容器が、異なる滅菌技術によって滅菌される、請求項10に記載の縫合システム。
【請求項12】
前記縫合糸が、中空コアを有するコアレス編組体である、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項13】
前記縫合糸が、モノフィラメント縫合糸であり、前記縫合糸による前記薬剤溶液の取り込みを増加させるように構成された表面特徴を有する、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項14】
前記表面特徴が、溝、孔、空洞、表面粗化特徴、及びそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の縫合システム。
【請求項15】
前記縫合糸が、前記縫合糸による前記薬剤溶液の取り込みを増加させるように構成されたコーティングを含む、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項16】
前記縫合糸が、前記縫合糸による前記薬剤の取り込みを増加させる前記薬剤溶液の成分のいずれかと反応するコーティングを含む、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項17】
前記容器が、前記薬剤溶液中の第1の薬剤、薬剤の第1の組み合わせを収容し、前記縫合糸が、第2の薬剤によってプレコーティングされており、前記第2の薬剤が、前記第1の薬剤又は前記薬剤の第1の組み合わせと同じであり得るか又は異なり得る、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項18】
前記穿刺可能な容器が、穿刺可能なセプタムを備える、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項19】
前記穿刺可能な容器が、前記薬剤溶液で湿潤されたスポンジを更に収容する、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項20】
請求項1に記載の縫合システムの縫合糸をコーティングする方法であって、
1)前記針を手動で又は縫合糸グリッパで把持するステップと、
2)前記針で前記穿刺可能な容器を穿刺するステップと
3)前記針を前記穿刺可能な容器に入れ、前記針を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張るステップと、
4)異なるスポットにおいて前記針を前記穿刺可能な容器から出すステップと、
5)前記針の後ろにおいて前記縫合糸を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記穿刺可能な容器の内部の前記薬剤溶液に曝すステップと、
6)縫合糸全体を前記穿刺可能な容器から取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む、方法。
【請求項21】
前記針の後ろにおいて前記縫合糸を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張ると、前記穿刺可能な容器の壁との前記縫合糸の相互作用又は前記穿刺可能な容器を閉鎖する穿刺可能なセプタムとの前記縫合糸の相互作用を介して、前記縫合糸が前記穿刺可能な容器から出るときに前記縫合糸から過剰な前記薬剤溶液が除去されることになる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の縫合システムを使用する方法であって、
1)前記針を手動で又は縫合糸グリッパで把持するステップと、
2)前記針で前記穿刺可能な容器を穿刺することにより、
3)前記針を前記穿刺可能な容器に入れ、前記針を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張るステップと、
4)異なるスポットにおいて前記針を前記穿刺可能な容器から出すステップと、
5)前記針の後ろにおいて前記縫合糸を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記穿刺可能な容器の内部の前記薬剤溶液に曝すステップと、
6)縫合糸全体を前記穿刺可能な容器から取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
7)任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、
前記穿刺可能な容器を穿刺した後1時間以内に縫合外科処置において前記縫合糸及び前記針を使用するステップと、を含む、方法。
【請求項23】
前記脆弱な容器が、前記容器の破砕時に前記液体を前記スポンジ内に放出するように構成されており、前記スポンジが、前記液体が前記容器の破砕時に放出されると、前記液体を吸い上げて吸収するように構成されている、請求項2に記載の縫合システム。
【請求項24】
前記液体が、薬剤溶液を含む、請求項2又は3に記載の縫合システム。
【請求項25】
前記液体が、溶媒を含み、前記スポンジが、乾燥した薬剤を収容する、請求項2又は3に記載の縫合システム。
【請求項26】
前記脆弱な容器が、前記スポンジの内部に位置する、請求項2に記載の縫合システム。
【請求項27】
前記脆弱な容器が、前記スポンジに近接して位置する、請求項2に記載の縫合システム。
【請求項28】
前記接続端部に近接した前記縫合糸の一部分が、前記スポンジの内部に予め位置決めされている、請求項2又は3に記載の縫合システム。
【請求項29】
請求項2に記載の縫合システムの縫合糸をコーティングする方法であって、
1)前記脆弱な容器を破砕するステップと、
2)前記容器から前記液体を放出して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む、方法。
【請求項30】
薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張ると、前記縫合糸から過剰な前記薬剤溶液が除去されることになる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項2に記載の縫合システムを使用する方法であって、
1)前記脆弱な容器を破砕するステップと、
2)前記容器から前記液体を放出して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
5)任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、
薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張った後1時間以内に、縫合外科処置において前記縫合糸及び前記針を使用するステップと、を含む、方法。
【請求項32】
請求項3に記載の縫合システムの縫合糸をコーティングする方法であって、
1)前記ディスペンサ容器を開けるステップと、
2)前記液体を前記ディスペンサ容器から前記スポンジ上に移送して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む、方法。
【請求項33】
薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張ると、前記縫合糸から過剰な前記薬剤溶液が除去されることになる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項3に記載の縫合システムを使用する方法であって、
1)前記ディスペンサ容器を開けるステップと、
2)前記液体を前記ディスペンサ容器から前記スポンジ上に移送して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
5)任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、
薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張った後1時間以内に、縫合外科処置において前記縫合糸及び前記針を使用するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関連する技術分野は、モノフィラメント縫合糸又は編組縫合糸などのマルチフィラメントなどの吸収性又は非吸収性医療用装置であり、より具体的には、組織への縫合糸設置の直前に有益な作用剤又は薬剤をコーティングするか又は含浸させるように構成された手術用縫合糸である。
【背景技術】
【0002】
手術用縫合糸及び取り付けられた手術用針は、従来の様々な外科的処置において用いられることが、当該技術分野において周知である。例えば、そのような縫合糸を、表皮層及びその下の筋膜層の切開又は裂傷の周囲の組織に接近し、血管の端部を接合し、心臓弁などの医療用装置に組織を取り付け、身体器官を修復し、結合組織を修復することなどに使用することが可能である。従来の手術用縫合糸は、既知の生体適合性材料、特に合成及び天然の生体適合性ポリマー材料から作製可能であり、これらは非吸収性である場合も吸収性である場合もある。非吸収性縫合糸を製造するために有用な合成の非吸収性ポリマー材料の例は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、及びポリアミドを含む。非吸収性材料の更なる例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、及び同様のポリマーである。吸収性縫合糸を製造するための有用な合成吸収性ポリマー材料の例は、ラクチドなどのラクトン、グリコリド、p-ジオキサノン、イプシロン-カプロラクトン、及びトリメチレンカーボネートから作製されるポリマー及びコポリマーを含む。吸収性という用語は、生体又は組織において生体吸収性、再吸収性、生体再吸収性、分解性、又は生体分解性である埋植可能な装置も含み得る、総称的な用語であることを意味する。非吸収性という用語は、生体又は組織に恒久的に設置される埋植可能な装置を意味する。
【0003】
縫合糸は、そのような縫合糸が有するいくつかの利点及び特性ゆえに、多くの外科的処置における使用において、外科医により好まれている。吸収性縫合糸は、組織の効果的治癒が可能となるのに十分な期間にわたって、望ましい生体内抗張力を提供することが可能でなければならない。傷の治癒は、具体的な組織の性質に加え、外科的処置を受けた個人の治癒特性にも依存する。例えば、血管新生のうまくいかない組織は、血管新生がうまくいく組織と比べて治癒に時間がかかり、同様に、糖尿病の患者及び高齢者もまた、治癒に時間がかかる。したがって、様々な傷の治癒特性にマッチし得る縫合糸材料を提供する機会が存在することになる。縫合糸のように埋植されるものは何であれ、患者の免疫系にとっては異物として現れるものである。加えて、縫合糸を含む埋植可能な医療用装置は、細菌が付着し、バイオフィルムを形成するためのプラットフォームを提供し得るということが知られている。縫合糸が抗菌性を有することが有益であることが分かっている。
【0004】
手術用縫合糸は、望ましくかつ効き目のある生体内での挙動を確保するのに必要な物理的特性を有するように設計されている。吸収性縫合糸は、必要とされる治癒期間中、適切な抗張力を保つ必要があり、典型的にはこれは、破壊強度保持率(breaking strength retention、BSR)として特性評価されるものである。求められる設計特性を得るためには、求められる特性を有する吸収性縫合糸を作り出せるような吸収性ポリマー及び製造プロセスを提供することが必要となる。
【0005】
同様に、埋植後に、例えば引張強度及び結節強度を含む、機械的特性が保持できるということは、吸収性医療用装置にとっては重要かつ決定的な特徴である場合が多い。装置は、組織が十分に治癒するまで機械的完全性を保持しなければならない。身体組織によっては、治癒するのにより時間がかかり、機械的完全性をより長く保持する必要がある。前述のように、これは、血管新生が不十分である組織と関連している場合が多い。同様に、所与の患者(例えば、糖尿病患者)は、治癒が遅い傾向があり得るというような他の状況が存在する。
【0006】
米国特許第8997978号「Medical device package」は、医療用装置パッケージを開示しており、この医療用装置パッケージは、医療用装置と、カプセル、錠剤、ペレット、及び圧縮粉末からなる群から選択される形態の少なくとも1つの固形のセルフコンテインド型作用剤と、医療用装置及び少なくとも1つの固形のセルフコンテインド型作用剤を受け入れるように構成された領域を有する容器と、容器の外部と少なくとも1つの固形のセルフコンテインド作用剤との間の接触材料の滅菌通過を可能にするためのポートと、を備える。
【0007】
米国特許出願公開第2009/0209031(A1)号「MEDICAL DEVICE PACKAGE」は、医療用装置用のパッケージを開示しており、このパッケージは、生存細胞を持続させることができ、このパッケージは、医療用装置を受け入れ、少なくとも1つの生存細胞を持続させるように構成された第1の容器と、医療用装置への作用剤の滅菌通過を可能にし、細胞生存率を維持するための、第1の容器と連通する流体ポートと、を備える。
【0008】
米国特許出願公開第2007/0170080(A1)号「Medical device package」は、パッケージを開示しており、このパッケージは、医療用装置用の密封可能なパウチと、少なくとも1つの作用剤が密封可能なパウチの外部から、その中に収容された医療用装置へ通過することを可能にするための、密封可能なパウチの周囲に隣接して位置決めされた密封ポートと、を備える。
【0009】
米国特許第10632225(B2)号「Surgical sutures incorporated with stem cells or other bioactive materials」は、織り合わされたフィラメントのマトリックス又は多孔質モノフィラメントから構成された外面及び内部コアを有する手術用縫合糸又は細長い線状組織足場を作製する方法を開示しており、この方法では、外面が、長手方向軸に沿って間隔をおいて狭窄部を備え、生物学的細胞及び治療剤からなる群から選択されるある濃度の生物活性材料が、当該内部コア全体に分散され、方法が、織り合わされたフィラメント間の間隙又はモノフィラメントの孔を、当該生物活性材料が周囲の媒体から当該外面を横切って当該内部コア内へ移動するのを可能にするのに十分な第1のサイズ及び形状に変形するように、長手方向軸に沿って又は長手方向軸方向の周りで当該マトリックスを圧縮するか又は他の方法で操作するステップと、当該生物活性材料が当該内部コアから当該外面を横切って移動するのを制限するのに十分な第2のサイズ及び形状に当該間隙又は孔を収縮させるように、当該長手方向軸に沿って又は当該長手方向軸の周りで当該生物活性材料を操作するステップと、を含む。
【0010】
米国特許出願公開第2006/0287676(A1)号「Method of intra-operative coating therapeutic agents onto sutures,composite sutures and methods of use」は、縫合糸をコーティングするための装置を開示しており、この装置は、a)開放端、閉鎖端、及び内壁を有する容器と、b)容器の開放端を囲む多孔質体と、c)第1のチャンバ及び第2のチャンバを画定する容器の内壁上に配設された破壊可能なシールと、d)第2のチャンバ内に収容された流体と、e)多孔質体内又は多孔質体上に収容された治療薬と、を備える。
【0011】
手術後の感染の可能性を減らすために、抗菌剤などのある種の薬剤又は有益な作用剤を、迅速に放出するか又は長期間にわたって放出するように、縫合糸又はヘルニアメッシュなどの他の医療インプラント内に含めるか又はそれらの上に含めることが知られている。
【0012】
種々の医学的に有用な作用剤又は薬剤を埋植可能な縫合糸に適用するための現在の解決策は、例えば、(i)液相(水性、酢酸エチルなどを含む溶媒中の薬剤溶液)中の縫合糸のコーティングを介して適用され、その結果、コーティングされた縫合糸を乾燥させ、パッケージングし、かつ滅菌する、薬剤含有コーティング、並びに(ii)薬剤を移送して縫合糸パッケージ容器の内部からの蒸気相移動(例えば、昇華性トリクロサン)を介して縫合糸をコーティングすることに関する。縫合糸をコーティングする現在の方法は、以下を含むいくつかの制限を有する。これらの方法は、1つの作用剤のみに限定される場合があるか、又はコーティングとして適用され得、次いで縫合糸を使用する前にコーティングとしての縫合糸とともに長期間保存され得る薬剤に限定される場合がある。更に、これらの技術は、抗体などのタンパク質などの生物製剤などのいくつかの薬剤とともに使用することが困難である。また、そのようなコーティングされた縫合糸に適用することができる滅菌技術のタイプは限定されている。
【0013】
更に、上記のように、縫合糸材料自体への事前の組み込み、又は縫合糸の事前表面コーティングを介することのいずれかによって縫合糸に十分な抗菌性を提供するために必要とされる大量の薬剤の追加は、適用、加工、及びパッケージングが困難である場合がある。特に、薬剤を含有する縫合糸に適用され得る適切な滅菌方法を利用することは、薬剤及び縫合糸材料自体と、滅菌プロセス及び/又は滅菌化学作用を含む滅菌モダリティとの異なる相互作用に起因して、困難である場合がある。特定の薬剤は、縫合糸滅菌プロセスに曝されたときに無効にされ得る。特定の薬剤はまた、縫合糸滅菌プロセスに曝されたときに分解する可能性があり、したがって、これらの薬剤は縫合糸滅菌プロセスには不適合である。
【0014】
追加的に、いくつかの薬剤に関して、縫合糸と薬剤との間に保存寿命の不一致があり得、例えば、縫合糸は、保存寿命が5年である場合があるが、薬剤は、保存寿命が例えば1年など、より短い場合がある。更に、縫合糸と薬剤との間に保存条件の不一致が存在する可能性があり、例えば、縫合糸は室温で保存することができるが、薬剤は冷蔵する必要があるなどの不一致が存在する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
組織に挿入するために針に取り付けられ、組織を通して縫合糸を通す、手術用縫合糸などの埋植可能な医療用装置であって、手術用縫合糸が、組織内に設置される直前に有益な作用剤又は薬剤でコーティングされるように構成されている、埋植可能な医療用装置が提示される。縫合糸は、組織に設置する数秒から数分前以内、例えば設置の約5秒~約120分前に、有益な薬剤と接触させられる。好ましくは、縫合糸は、縫合糸及び薬剤の滅菌処理の後、最も好ましくは、組織内に設置される約5秒~約30分前に、有益な薬剤と接触させられる。
【0016】
一実施形態では、本発明の縫合システムは、針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、当該縫合糸は、薬剤溶液を収容する穿刺可能な容器とともにパッケージングされている。穿刺可能な容器は、任意選択で穿刺可能なセプタムを備えることができる。別の態様では、縫合糸をコーティングする方法が提供され、この方法は、針を手動で又は縫合糸グリッパを用いて把持するステップと、当該穿刺可能な容器に当該針を穿刺するステップと、当該穿刺可能な容器に当該針を入れ、当該針を、当該穿刺可能な容器を通して引っ張るステップと、異なるスポットにおいて当該針を当該穿刺可能な容器から出すステップと当該針の後ろにおいて当該縫合糸を、当該穿刺可能な容器を通して引っ張り、それによって、当該縫合糸を当該穿刺可能な容器の内部の当該薬剤溶液に曝すステップと、当該穿刺可能な容器から縫合糸全体を取り出し、それによって、当該薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を当該縫合糸上に保持するステップと、任意選択で、当該溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む。
【0017】
別の実施形態では、本発明の縫合システムは、針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、当該縫合糸は、ウィッキング医薬本移送スポンジと、液体を収容する脆弱な容器とともにパッケージングされている。脆弱な容器は、当該容器の破砕時に当該液体を当該スポンジ内に放出するように構成されており、当該スポンジは、当該液体が、当該容器の破砕時に放出されると、当該液体を吸い上げて吸収するように構成されている。別の態様では、縫合糸をコーティングする方法が提供され、方法は、当該脆弱な容器を破砕するステップと、当該容器から当該液体を放出するステップと、当該スポンジによって当該液体を吸収し、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、薬剤溶液で湿潤された当該スポンジを通して当該縫合糸を引っ張り、それによって、当該縫合糸を当該薬剤溶液に曝すステップと、薬剤溶液で湿潤された当該スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、当該薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を当該縫合糸上に保持するステップと、任意選択で、当該溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む。
【0018】
更に別の実施形態では、本発明の縫合システムは、針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、当該縫合糸は、薬剤移送スポンジとともにパッケージングされており、当該システムは、液体を含む薬剤ディスペンサ容器を更に備える。一態様では、液体は薬剤溶液を含む。別の態様では、液体は溶媒を含み、当該スポンジは乾燥した薬剤を収容する。いくつかの実施形態では、接続端部に近接した当該縫合糸の一部分は、当該スポンジの内部に予め位置決めされている。別の態様では、縫合糸をコーティングする方法が提供され、方法は、当該ディスペンサ容器を開けるステップと、当該液体を当該ディスペンサ容器から当該スポンジ上に移送するステップと、当該スポンジによって当該液体を吸収し、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、薬剤溶液で湿潤された当該スポンジを通して当該縫合糸を引っ張り、それによって、当該縫合糸を当該薬剤溶液に曝すステップと、薬剤溶液で湿潤された当該スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、当該薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を当該縫合糸上に保持するステップと、任意選択で、当該溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示には、様々な修正形態及び代替形態が考えられるが、その特定の例示的な実装形態を図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、特定の例示的な実装形態に関する本明細書における説明は、本開示を本明細書に開示された特定の形態に限定することを意図していないことを理解されたい。
【0020】
本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような全ての修正及び等価物を網羅するものである。また、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに本発明の例示的な実施形態の原理を明確に示すことに重点が置かれていることも理解されるべきである。更に、そのような原理を視覚的に伝えるのを助けるために特定の寸法が誇張されることがある。更に、適切と考えられる場合には、対応する要素又は類似の要素を示すために図面間で参照番号を繰り返すことがある。更に、図面において別個の又は別々のものとして示されている2つ又はそれ以上のブロック又は要素は、単一の機能ブロック又は要素に組み合わせることができる。同様に、図面に示されている単一のブロック又は要素は、複数のステップとして、又は協働する複数の要素によって実装され得る。
【0021】
本明細書にて開示した形態は、添付図面の図において、例として、また限定としてではなく図示され、同様の参照番号は、類似の要素を指す。
図1A】縫合糸及び針の概略側断面図を提示する。
図1B】縫合糸及び針の概略側断面図を提示する。
図1C】縫合糸及び針の概略側断面図を提示する。
図2A】薬剤を含む穿刺可能な容器の実施形態の概略側断面図を示す。
図2B】薬剤を含む穿刺可能な容器の実施形態の概略側断面図を示す。
図2C】互いに近接して固体支持体上に搭載された、薬剤を含む穿刺可能な容器と、縫合糸パッケージングボックス内の接続された縫合糸との実施形態の概略側断面図を示す。
図2D】縫合糸パッケージングボックス内の接続された縫合糸とともにパッケージングされた薬剤を含む穿刺可能な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、縫合糸及び容器はどちらも統合パッケージ内に密閉され、有益な薬剤を縫合糸に適用するためのキットを形成している。
図2E】薬剤を含む穿刺可能な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、容器は穿刺可能なセプタムで閉鎖されている。
図2F】液体溶液としての薬剤がスポンジ内に分配された穿刺可能な容器の実施形態の概略側断面図を示す。
図2G】液体溶液としての薬剤がスポンジ内に分配された穿刺可能な容器の概略側断面図を示しており、容器は穿刺可能なセプタムで閉鎖されている。
図3A】本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、穿刺可能な容器を使用中であり、針が外部から容器の壁を穿刺している。
図3B】本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、穿刺可能な容器を使用中であり、針が、外部から容器の壁を穿刺し、容器から出て、内部から容器壁を穿刺している。
図3C】容器を通して縫合糸を引っ張る間の使用中の穿刺可能な容器を有する、本発明の実施形態の概略側断面図を示す。
図3D】本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、穿刺可能な容器を使用中であり、針が、外部から容器のセプタムを穿刺し、容器の内部からセプタムを通って出ている。
図4A】薬剤を含む脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。
図4B】薬剤が多孔質スポンジの内部に実装された脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。
図4C】薬剤が多孔質スポンジと接触した状態で実装された脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。
図4D】薬剤が多孔質スポンジの内部に実装された脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、固体支持体は、窪み又は切り欠き又はベイスンを有する。
図4E】薬剤が多孔質スポンジの内部ではなく、ベイスン内に実装された脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。
図4F】薬剤が多孔質スポンジの内部に実装された脆弱な容器の一実施形態の概略側断面図を示しており、薬剤が、縫合糸パッケージングボックス内の接続された縫合糸とともに統合パッケージ内にともにパッケージングされ、縫合糸に有益な薬剤を適用するためのキットを形成している。
図5A】脆弱な容器の一実施形態の概略側断面図を示しており、多孔質スポンジの内部に実装された薬剤を使用中である。
図5B】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、多孔質スポンジの内部に実装された薬剤を使用中であり、脆弱な容器が変形され、破砕されている。
図5C】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、多孔質スポンジの内部に実装された薬剤を使用中であり、脆弱な容器が液体薬剤を放出しており、液体薬剤が、急速にスポンジ内に吸い上げられている。
図5D】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、薬剤を使用中である。容器は、スポンジに近接してベイスンの内部に搭載されている。
図5E】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、薬剤が使用中である。脆弱な容器は、スポンジに近接してベイスンの内部に搭載されており、液体薬剤をベイスン内に放出しており、薬剤はスポンジ内に迅速に吸い上げられている。
図5F】使用中の脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、脆弱な容器は、薬剤が多孔質スポンジの内部に実装された複数の脆く、容易に破壊可能なカプセル又はマイクロカプセルによって表されている。
図6A】使用中の本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、液体を収容するスポンジを通して縫合糸を引っ張ることによって縫合糸がコーティングされている。針は、外部からスポンジを穿刺することによってスポンジに入るように示されている。
図6B】使用中の本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、液体を収容するスポンジを通して縫合糸を引っ張ることによって縫合糸がコーティングされている。針は、スポンジから出ていくように示されている。
図6C】使用中の本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、液体を収容するスポンジを通して縫合糸を引っ張ることによって縫合糸がコーティングされている。縫合糸は、針の後ろにおいてスポンジを通して引っ張られるように示されている。
図7A】スポンジに形成されたスリット内に位置決めされた縫合糸を示す、本発明の実施形態の概略側断面図を示す。
図7B】スポンジに形成されたスリット内に位置決めされた縫合糸を示す、本発明の実施形態の概略斜視図を示す。
図7C】スポンジに形成されたスリット内に位置決めされた縫合糸を示す、本発明の実施形態の概略斜視図を示す。
図7D】スポンジに形成された非線形スリットを示す、本発明の実施形態の概略斜視図を示す。
図8A】溶媒を含む脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図8B】溶媒が固体支持体上の多孔質スポンジの内部に実装された、脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図8C】溶媒が多孔質スポンジと接触した状態で実装された、脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図8D】溶媒が多孔質スポンジの内部に実装された、脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、固体支持体が、窪み又は切り欠き又はベイスンを有し、スポンジ及び脆弱な容器が、ベイスン内に少なくとも部分的に位置決めされている。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図8E】溶媒が多孔質スポンジの内部ではなく、ベイスン内に実装された、脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示す。スポンジは、ベイスン内に少なくとも部分的に搭載されている。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図9A】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、多孔質スポンジの内部に実装された溶媒を使用中である。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図9B】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、多孔質スポンジの内部に実装された溶媒を使用中であり、脆弱な容器が変形され破砕されている。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図9C】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、多孔質スポンジの内部に実装された溶媒を使用中であり、脆弱な容器が溶媒を放出しており、溶媒がスポンジに急速に吸い上げられている。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図9D】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、多孔質スポンジの内部ではなく横に実装された溶媒を使用中であり、脆弱な容器及びスポンジの両方が、少なくとも部分的にベイスンの内部に位置決めされている。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図9E】脆弱な容器の実施形態の概略側断面図を示しており、溶媒を使用中であり、脆弱な容器が溶媒をベイスン内に放出しており、スポンジが溶媒をベイスンから急速に吸い上げている。スポンジは、溶媒に少なくとも部分的に溶解可能な乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸されている。
図10A】本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、縫合糸及び脆弱な容器が、統合パッケージ内にともにパッケージングされており、縫合糸の一部分が、多孔質スポンジ内に配設されている。脆弱な容器は、スポンジの内部に位置決めされている。
図10B】本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、縫合糸及び脆弱な容器が、統合パッケージ内にともにパッケージングされており、縫合糸の一部分が、多孔質スポンジ内に配設されている。脆弱な容器は、スポンジに近接して位置決めされている。
図11A】本発明の一実施形態の概略側断面図を示しており、縫合糸及び脆弱な容器が、統合パッケージにともにパッケージングされており、縫合糸は、予め多孔質スポンジ内に配設されていない。脆弱な容器は、スポンジの内部に位置決めされている。
図11B】本発明の一実施形態の概略側断面図を示しており、縫合糸及び脆弱な容器が、統合パッケージにともにパッケージングされており、縫合糸は、予め多孔質スポンジに配設されていない。脆弱な容器は、スポンジに近接して位置決めされている。
図12A】本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、縫合糸及びスポンジが、統合パッケージ内にともにパッケージングされており、縫合糸の一部分が、予め多孔質スポンジ内に配設されている。スポンジに適用するための有益な薬剤、又は乾燥した薬剤を含浸させたスポンジに適用するための溶媒のいずれかを収容するディスペンサ容器も示されている。
図12B】本発明の実施形態の概略側断面図を示しており、縫合糸及びスポンジが、統合パッケージ内にともにパッケージングされており、縫合糸は、事前に多孔質スポンジ内に配設されていない。スポンジに適用するための有益な薬剤、又は乾燥した薬剤を含浸させたスポンジに適用するための溶媒のいずれかを収容するディスペンサ容器も示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
簡単に説明すると、本発明の縫合糸システムは、有利には、任意の手術用縫合糸(モノフィラメント縫合糸、編組縫合糸、吸収性縫合糸、非吸収性縫合糸など)を使用して、組織閉鎖要素及び組織固定要素としての手術用縫合糸の材料、コーティング、及び機械的特性を変化させることなく、又は比較的わずかに変化させるだけで、有益な作用剤若しくは薬剤、又は追加量若しくは増加した量の薬剤、例えば、抗菌剤、抗微生物剤、抗感染薬、任意の薬物、例えば、がん治療薬、鎮痛剤、止血材料、治癒促進剤、抗体、又は同様のもの、及びそれらの組み合わせの、縫合された創傷又は組織への送達を可能にする。最も好ましくは、本発明による縫合糸に薬剤を適用する前に、既存の縫合糸及び針並びに使用が承認された縫合糸及び針が変更されることはない。薬剤はまた、膨潤性材料、並びに/又は作用を増強するか若しくは製剤化を容易にするために必要とされる任意の賦形剤及び添加剤を含むことができる。「薬剤」という用語は、本明細書では、限定されないが、医学的に有用な作用剤、取り扱い上有用な作用剤、画像化上有用な作用剤、膨潤性を有する作用剤、組織相互作用及び/又は組織結合上有用な作用剤、色素化合物、センシング薬、抗菌薬、治癒薬、生物活性剤などの、有益な作用剤、並びにそれらの組み合わせを含む、任意の有益な作用剤を示す。更に、「薬剤」という用語はまた、接着剤、封止剤、ポリマー膨潤剤、増粘剤(粘度増加剤)、化学的インジケータ、生物学的インジケータ、UVコーティング、特定の光波長で見えるコーティング、制御放出剤、縫合糸結び目強度増強化合物又は縫合糸結び目固定接着剤、及びそれらの組み合わせを指すことができる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、溶液中に有益な薬剤を収容する脆弱な容器及び/又は穿刺可能な容器が提供され、この容器は、縫合糸を組織内に設置する直前に手術用縫合糸と接触させられる。代替実施形態によれば、有益な薬剤を収容するスポンジ媒体中に放出される溶媒を収容する脆弱な容器が提供され、溶媒は薬剤を可溶化し、次いで、薬剤は、縫合糸を組織内に設置する直前に縫合糸と接触させられる。いくつかの実施形態によると、薬剤溶液又は溶媒を含む別個の非脆弱な容器が、提供され、縫合糸への移送のためにスポンジ媒体に適用するために使用される。薬剤の縫合糸への移送は、穿刺可能な容器内で直接行われるか、又は溶液で湿潤されたスポンジ媒体を介して行われ、縫合糸は、穿刺可能な容器内若しくはスポンジ内の薬剤溶液と接触したときにいくらかのそのような溶液を取り込み、及び/又はそのような溶液によってコーティングされる。
【0024】
縫合糸は、組織内に設置する数秒から数分前以内、例えば、設置の約5秒、10秒、30秒、50秒前、又は設置の約1分、3分、5分、10分、30分、60分、120分前以内に有益な薬剤と接触させられる。好ましくは、縫合糸は、縫合糸及び薬剤が物理的に接触していないときに縫合糸及び薬剤の滅菌処理が行われた後、有益な薬剤と接触させられ、すなわち、縫合糸及び薬剤の滅菌は、薬剤が縫合糸上にコーティングされ、かつ/又は縫合糸中に含浸される前に行われる。縫合糸は、最も好ましくは組織内に設置する約5秒~約30分前に有益な薬剤と接触させられる。
【0025】
有益な薬剤は、縫合糸によって取り込まれ、組織内に運ばれ、その後、縫合糸と組織との間の界面に作用し、任意選択で周囲組織内に放出され、抗感染、抗菌、疼痛緩和などの医学的に有益な効果、又は薬剤の任意の他の医学的に有益な効果若しくは作用が得られる。
【0026】
本発明の縫合糸及び方法はまた、滅菌及びパッケージングの前に薬剤でプレコーティングされた縫合糸と比較して、使用の直前に薬剤及び縫合糸を組み合わせることによって、より長い保存寿命を可能にし得ることを理解されたい。
【0027】
縫合糸及び針
概略的な側断面図を示す図1A図1Cを参照すると、これらの図は、細長い可撓性ストリング、フィラメント、糸、フィラメントの束、編組体、又は同様のものを備える縫合糸10を示しており、縫合糸10は、接続端部10b及び反対側の自由端部10aを有し、縫合糸10の接続端部10bは、針接続端部100bにおいて縫合針100に接続されている。図1A図1Bは、棘のない縫合糸10を示しており、図1Cは、棘13を有する棘付き縫合糸又は結び目なし縫合糸を示す。針100は、針接続端部100bの反対側に鋭利な端部100aを有する細長い直線状の又は湾曲した部材を備えている。縫合糸10の接続端部10bは、典型的には、針接続端部100bの開口部に挿入される。縫合糸10の接続端部10bは、針100をかしめること、接着剤を使用することなどによって、固定することができる。自由端部10aは、任意選択で、自由端部10aを組織内に固定する止め具又はタブ(図示せず)を有することができる。針100が取り付けられた縫合糸10は、+1を形成する。
【0028】
薬剤を含む穿刺可能な容器:実施形態、方法、及びキット
図2Aを参照すると、一実施形態では、穿刺可能な容器200は、穿刺可能な壁210によって形成され、溶媒、すなわち、水、生理食塩水、エタノール、又は同様のもの中の溶液などの液体溶液50として有益な薬剤を収容する。穿刺可能な壁210は、溶液50に対して不透過性であり、手術用針100によって容易に穿刺可能である。材料としては、可撓性及びエラストマー性のポリマー材料、フルオロエラストマー、シリコン、ゴム、合成ゴム、ネオプレンなどが挙げられる。容器200は、内部に空間を残さずに、すなわち気相(図示せず)なしで、溶液50で充填することができ、又は図2Aに示されるように、その中を気相202で充填することができる。
【0029】
図2Bを参照すると、穿刺可能な容器200は、固体の、好ましくは平面状の支持体220上に搭載され、したがって、容器200を固定し、針100による容器200の穿刺を簡略化する。
【0030】
図2Cを参照すると、接続された縫合糸1は、縫合糸パッケージングボックス2内に密閉される。図示のように、穿刺可能な容器200及び縫合糸パッケージングボックス2内に密閉された接続された縫合糸1の両方は、固体支持体220上に搭載され、したがって、容器200を接続された縫合糸1に近接させて固定し、有益な薬剤を縫合糸10に適用するためのキットを形成する。代替実施形態(図示せず)では、穿刺可能な容器200及び接続された縫合糸1は、同じ縫合糸パッケージングボックス2内に密閉されず、別々に供給される。
【0031】
図2Dは、接続された縫合糸1及び穿刺可能な容器200が固体支持体220上に搭載され、更に統合パッケージ3内に密閉された実施形態を概略的に示す。
【0032】
いくつかの実施形態では、図2Eを参照すると、液体溶液50として有益な薬剤を収容する穿刺可能な容器200は、概して穿刺不可能な壁211によって形成されており、手術用針100によって容易に穿刺可能な穿刺可能なセプタム212で閉鎖されている。壁211及びセプタム212は、液体溶液50に対して不浸透性を有する。セプタム材料としては、可撓性及びエラストマー性のポリマー材料、フルオロエラストマー、シリコン、ゴム、合成ゴム、ネオプレンなどが挙げられる。容器200は、(図示のように)内部に気相又は空間を残さずに溶液50で充填され得るか、又は容器200は、その中を気相で充填され得る(図示せず)。
【0033】
いくつかの実施形態では、図2Fを参照すると、穿刺可能な容器200は、穿刺可能な壁210によって形成され、スポンジ55内に分散された液体溶液として有益な薬剤を収容する。容器200は、溶媒中の液体溶液として有益な薬剤で湿潤されたスポンジ55によって少なくとも部分的に充填される。穿刺可能な壁210は、薬剤溶液に対して不浸透性であるが、手術用針100によって容易に穿刺可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、図2Gを参照すると、穿刺可能な容器200は、概して穿刺不可能な壁211によって形成されており、手術用針100によって容易に穿刺可能な穿刺可能なセプタム212で閉鎖されている。穿刺可能な容器200は、スポンジ55内に分配された液体溶液として有益な薬剤を収容する。容器200は、溶媒中の液体溶液として有益な薬剤で湿潤されたスポンジ55で少なくとも部分的に充填される。
【0035】
スポンジ55は、流体を受け入れて吸い上げ、スポンジ全体に流体を分配することができる任意の多孔質の不活性材料である。孔の少なくともいくつかは、主に連続気泡発泡体及びスポンジなどにおいて相互接続され、流体がスポンジ55を通って迅速に移動しかつ分配されることを可能にする。スポンジ55は、容易に浸透可能であり、針100によって容易に穿刺可能である。
【0036】
使用時に、図3Aを参照すると、医療従事者は、針100を使用して、外部から容器200の壁210を穿刺するか、又は代替的に、セプタム212(図3Aには示されていない)を穿刺し、針100を容器200に入れ、次いで、図3Bに示されるように、異なるスポットにおいて容器200から針100を出し、内部から容器壁210を穿刺させ、図3Cを見られるように、容器200を通して針100の後ろの縫合糸10を引っ張りながら、針100を容器200から取り出す。図3A図3Cの矢印は、容器200を通して針100及び縫合糸10を移動させるか又は引っ張る方向を示す。
【0037】
理解され得るように、縫合糸10は、容器200を通過し、その中の有益な薬剤50の溶液と接触し、溶液50とのそのような接触の後に容器200を出る。縫合糸10を、容器200を通して引っ張り続けると、最終的に、縫合糸10全体が容器200を通過して容器200から出て、自由端10aが最後に出る。この実施形態では、自由端10aは、自由端10aを組織内に固定するための任意の止め具又はタブを有していない。有利には、縫合糸10が針100によって穿刺された穴を通って容器壁210から出る際、壁210が縫合糸10の周りを取り囲むときに、過剰な薬剤溶液50が、壁210との相互作用を介して縫合糸10から拭き取られる。
【0038】
有利には、容器200を出た後、縫合糸10は、薬剤溶液50と接触し、薬剤溶液50でコーティング及び/又は湿潤されている。
【0039】
図3Dは、穿刺可能なセプタム212によって閉鎖され、有益な薬剤で湿潤された内部スポンジ55を有する容器200を示す別の実施形態を示す。図示のように、容器200を閉鎖する針穿刺可能なセプタム212及び容器200の内部のスポンジ55は、針100によって穿刺され、縫合糸10は、針100の後ろで引っ張られ、上記の実施形態と同様に動作する。針100は、セプタム212を通って出入りし、かつ/又は針100は、容器200の内部のスポンジ55に出入りし、縫合糸10は、針100に追従してセプタム212に出入りし、かつ/又はスポンジ55に出入りする。縫合糸10が針100によって穿刺された穴を通ってセプタム212から出る際、セプタム212が縫合糸10の周りを取り囲むときに。過剰な薬剤溶液50が、セプタム212との相互作用を介して縫合糸10から拭き取られる。
【0040】
上記の全ての実施形態において、縫合糸10を容器200から引っ張ると、最終的に縫合糸10全体が容器200を通過して容器200から出て、自由端10aが最後に出る。有利には、縫合糸10は、容器200から出た後、薬剤溶液50で湿潤及び/又はコーティングされている。
【0041】
接続された縫合糸1は、容器200から出た後、1秒、5秒、10秒、30秒、60秒、120秒以内など直ちに、組織内に設置するために使用され得る。代替的に又は追加的に、医療従事者は、溶媒が縫合糸10から少なくとも部分的に蒸発するのを待つことができ、この場合、接続された縫合糸1は、溶媒の部分的又は完全な蒸発後に組織内に設置するために使用され得、縫合糸10上又は縫合糸10内に有益な薬剤が残り、縫合糸10上又は縫合糸10内に溶媒が全く残らないか又は溶媒の一部しか残らない。この実施形態では、接続された縫合糸1は、容器200から出た後1分、2分、3分、5分、10分、20分、30分、60分、120分以内に組織内に設置するために使用され得る。有利には、縫合糸10は、その表面及び/若しくは縫合糸の孔、隙間、棘の下、縫合糸10の編組体を形成する糸若しくはフィラメントの間、又は縫合糸10若しくは縫合糸10のコーティング(もしあれば)の上若しくは内部のどこかに有益な薬剤を含む。縫合糸10を容器200から引っ張る速度は、縫合糸10全体を引っ張るのに約5~約60秒であり、例えば約5秒、10秒、20秒、30秒、45秒、60秒である。いくつかの実施形態では、縫合糸10は、毎秒約1cm、2cm、3cm、4cm、5cmの速度で引っ張られる。
【0042】
説明されるシステム、キット、及びプロセスは、有益な薬剤でコーティング及び/又は含浸された縫合糸が、組織内に設置される前にどのように形成されるかを示す。有益な薬剤は、縫合糸によって取り込まれ、組織内に運ばれ、その後、縫合糸と組織との間の界面に作用し、任意選択で周囲組織内に放出され、抗感染作用、抗菌作用などの医学的に有益な効果が得られる。いくつかの実施形態(図示せず)では、潜在的に互いに反応する異なる有益な作用剤又は薬剤を液体溶液50として収容する2つの穿刺可能な容器200が提供される。異なる有益な薬剤が反応する場合、このシステムは、二成分又は多成分コーティングシステムと呼ばれ、縫合糸は、2つの異なる有益な作用剤又は薬剤の各々と順次接触させられ、それによって、二成分システム成分が縫合糸上で反応する。そのような二成分システムの成分には、(i)縫合糸上に重合コーティングを形成するための、モノマー及び当該モノマーの重合の開始剤又は触媒、(ii)酸性及びアルカリ性化合物であって、そのような化合物が反応して塩組成、又は徐放のために粘性コーティング内に捕捉されるNなどのガス組成をもたらす、酸性及びアルカリ性化合物、(iii)コーティング、吸湿性化合物、又は同様のものを含めてもよく、コーティングは、使用までの滅菌中に吸湿性化合物を保護する。全ての場合において、二成分コーティングシステムの成分は、縫合糸の使用の直前に縫合糸上で混合され、有利には、縫合糸埋植の前、縫合糸埋植の間、又は縫合糸埋植の直後に互いに反応し得る。
【0043】
薬剤を含む脆弱な容器とウィッキングスポンジ:実施形態、方法、及びキット
図4Aを参照すると、一実施形態では、脆弱な容器300は、脆弱で容易に破壊可能な壁310によって形成され、有益な薬剤を、溶媒、すなわち水、生理食塩水、エタノール、又は同様のもの中の溶液などの液体溶液50として収容する。脆弱な壁310は、溶液50に対して不透過性であり、外科用器具、例えば、メス、ディセクタなどのハンドルなどの尖っていない道具を用いて、又は施術者の手袋をはめた指によって、脆弱な容器300に圧力を加えることによって、破壊されるか、亀裂を生じさせられるか、粉砕されるか、断片化されるか、又は破砕され得る。壁310のための材料としては、非可撓性及び非エラストマー性又は部分的に可撓性及び部分的にエラストマー性のポリマー材料、ガラス、ゼラチンなどが挙げられる。任意選択で、脆弱な壁310は、1つ又は2つ以上の窪み又は切り欠き315を有し、壁310の一部の材料が除去されて、圧力下で断片化及び亀裂がより生じやすくなり、液体溶液50が放出される。脆弱な容器300は、内部に空間を残さずに、すなわち気相(図示せず)なしで、溶液50で充填され得るか、又は図4Aに示されるように、その中を気相202で充填され得る。
【0044】
図4Bに示されるように、いくつかの実施形態では、脆弱な容器300は、多孔質移動スポンジ又は発泡体350の内部に搭載され、脆弱な容器300及び多孔質スポンジ350の両方が固体支持体225上に搭載され、任意選択でキットを形成する。スポンジ350は、流体を受け入れて吸い上げ、スポンジ全体に流体を分配することができる任意の多孔質の不活性材料である。孔の少なくともいくつかは、主に連続気泡発泡体及びスポンジなどにおいて相互接続され、流体がスポンジを通って迅速に移動することを可能にする。いくつかの実施形態では、スポンジ350は、液体と接触すると膨潤する。脆弱な容器300は、内部に空間を残さずに、すなわち図4Bに示されるように気相なしで、又はその中に気相(図示せず)を伴って、溶液50を充填することができる。
【0045】
図4Cに示されるように、脆弱な容器300は、多孔質スポンジ350の内部ではなく、多孔質スポンジ350と接触した状態で搭載され得るか、又は部分的にスポンジ350の内部に搭載され得、それによって、脆弱な容器300及び多孔質スポンジ350の両方が、固体支持体225上に搭載される。
【0046】
図4Dに示されるように、固体支持体225は、脆弱な容器300の破壊時に放出される液体溶液50を捕捉するための窪み又は切り欠き又はボウル226を有することができ、脆弱な容器300はボウル226内及び多孔質スポンジ350の内部に搭載される。
【0047】
図4Eに示されるように、固体支持体225は、脆弱な容器300の破壊時に放出される液体溶液50を捕捉するための窪み又は切り欠き又はボウル226を有することができ、脆弱な容器300は、多孔質スポンジ350の内部ではなくボウル226内又はその近くに搭載される。脆弱な容器300は、(図示のように)多孔質スポンジ350の近くに、多孔質スポンジ350に接触せずに搭載されるか、又は多孔質スポンジ350に接触した状態で搭載され得る(図4Eには示されていない)。スポンジ350は、好ましくは、図示のように、少なくとも部分的にベイスン226内に配設される。
【0048】
いくつかの実施形態では、図4Fに示されるように、縫合糸1は、縫合糸パッケージングボックス2内に密閉される。図示のように、脆弱な容器300、多孔質スポンジ350、及び縫合糸パッケージングボックス2に密閉された縫合糸1は、固体支持体225上に搭載され、したがって、容器300を縫合糸1に近接させて固定し、有益な薬剤を縫合糸10に適用するためのキットを形成する。縫合糸1、脆弱な容器300、多孔質スポンジ350は全て、任意選択で、統合パッケージ3内に密閉され得る。代替実施形態(図示せず)では、脆弱な容器300、多孔質スポンジ350、及び縫合糸1は、縫合糸パッケージングボックス2内に全てが密閉されるわけではなく、脆弱な容器300は、別々にパッケージングされている。いくつかの実施形態(図示せず)では、脆弱な容器300は、統合パッケージ3内には密閉されない。
【0049】
使用時には、図5Aを参照すると、医療従事者は、柔軟で圧縮可能な弾性多孔質スポンジ350を通して尖っていない滅菌道具360を脆弱な容器300に適用する。移動の方向は矢印で示されている。
【0050】
図5Bを参照すると、尖っていない道具360が、スポンジ350を圧縮することによって脆弱な容器300に到達する。容器300は変形し、亀裂が生じ、開放され、液体50を周囲のスポンジ350に放出する。次いで、道具360が引き出されて取り出される。
【0051】
図5Cを参照すると、脆弱な容器300の破砕に続いて、液体溶液50は、亀裂の入った容器300の外部に漏出し、スポンジ350内に急速に吸い上げられる。溶液50の移動方向は、矢印によって概略的に示されている。スポンジ350は溶液50を取り込み、溶液50によって湿潤されて、溶液50が注入されたスポンジ350を形成する。
【0052】
同様の方法が、脆弱な容器300、スポンジ350、及び支持体225の他の実施形態及び構成に適用可能である。一実施形態では、図5Dに示されるように、尖っていない道具360は、スポンジ350の外部に位置決めされている容器300に直接適用される。容器300に亀裂が生じると、容器300は液体溶液50をベイスン226内に放出し、放出された溶液は、図5Eにおいてベイスン226内の51として示されている。次いで、溶液51は、スポンジ350内に吸い上げられ、溶液51の移動方向は、図5Eにおいて矢印によって概略的に示されている。スポンジ350は、溶液50を吸い上げ、溶液50によって湿潤され、溶液50が注入されたスポンジ350を形成する。
【0053】
図5Fに示されるように、代替実施形態では、脆弱な容器は、液体溶液50として有益な薬剤を収容する複数の脆弱で容易に破壊可能なカプセル又はマイクロカプセル302によって表される。カプセル302は全てスポンジ350内に位置決めされ、圧縮可能な弾性スポンジ350上に尖っていない道具360を用いて圧力を加えることによって、破壊されるか、亀裂が生じさせられるか、粉砕されるか、断片化されるか、又は破砕され得る。
【0054】
上記に示されるように、スポンジ350が、脆弱な容器300から溶液50を注入された後、縫合糸10をスポンジ350から引っ張ることによって、縫合糸10が溶液50でコーティングされる。
【0055】
図6A図6B図6Cに示されるように、一実施形態では、針100は、外部からスポンジ350を穿刺し、スポンジ350に入り、次いでスポンジ350から出る一方で、針100の後ろの縫合糸10をスポンジ350から引っ張る。図6A図6Cの矢印は、針100及び縫合糸10を、スポンジ350を通して移動させるか又は引っ張る方向を示す。
【0056】
概略側面図(縫合糸10が図の平面に垂直に示されている)を示す図7A、及び概略斜視図を示す図7B図7Cに示されるように、別の実施形態では、縫合糸10は、スポンジ350内、スポンジ350の孔(図示せず)の内部、又は好ましくはスポンジ350に形成されたスリット355内に位置決めされる。スリット355は、スポンジ350の一部分を通して作られた直線状の切れ目又はスリットであり、スリット355内に縫合糸10を配置することによって縫合糸10をスポンジ350の内部に位置決めすることを可能にするように形成されている。スポンジ350は、スリット355の内部で縫合糸10の周りを取り囲み、縫合糸10は、溶液50が注入されたスポンジ350から引っ張られ得、縫合糸10とスポンジ350との接触を維持する。上記に示されるように、スポンジ350が、脆弱な容器300から溶液50を注入された後、縫合糸10をスポンジ350から引っ張ることによって、縫合糸10が溶液50でコーティングされる。
【0057】
図7Dは、スポンジ350の別の実施形態の概略斜視図を提示しており、縫合糸10は、図示されておらず、スリット355aは、スポンジ350の一部を通して作られた非線形切れ目又はスリットであり、非線形又は波状スリットは、有利には、スポンジ350を通る縫合糸10のより長い経路又は蛇行経路を提供し、したがって、縫合糸10とスポンジ350及び薬剤溶液50との接触を改善し、かつ/又はスポンジ350の内部の縫合糸10の滞留時間を延長させる。
【0058】
一実施形態において、縫合糸10は、脆弱な容器300を破壊する前、すなわち、スポンジ350に溶液50を注入する前に、スリット355内に位置決めされる。別の実施形態において、縫合糸10は、脆弱な容器300を破壊した後、すなわち、スポンジ350に溶液50を注入した後に、スリット355内に位置決めされる。有利には、縫合糸10がスポンジ350を通過するとき、縫合糸10は、有益な薬剤でコーティングされ、過剰な薬剤溶液50が、スポンジ350との相互作用を介して縫合糸10から拭き取られる。有利には、縫合糸10は、スポンジ350から出た後、溶液50で湿潤されている。
【0059】
接続された縫合糸1は、スポンジ350から出た後、1秒、5秒、10秒、30秒、60秒、120秒、180秒以内など直ちに、組織内に設置するために使用され得る。代替的に又は追加的に、医療従事者は、溶媒が縫合糸10から少なくとも部分的に蒸発するのを待つことができ、その場合、接続された縫合糸1は、溶媒が部分的又は完全に蒸発した後に組織内に設置するために使用され得、スポンジ350を出てから1分、2分、3分、5分、10分、20分、30分、60分以内などに、縫合糸10上又は縫合糸10内に大部分が残るか、又は有益な薬剤のみを残す。有利には、縫合糸10は、その表面及び/若しくは縫合糸の孔、隙間、棘の下、縫合糸10の編組体を形成する糸若しくはフィラメントの間、又は縫合糸10若しくは縫合糸10のコーティング(もしあれば)の上若しくは内部のどこかに有益な薬剤を含む。縫合糸10をスポンジ350から引っ張る速度は、縫合糸10全体を引っ張るのに約5~約60秒、例えば約5秒、10秒、20秒、30秒、45秒、60秒である。いくつかの実施形態では、縫合糸10は、毎秒約1cm、2cm、3cm、4cm、5cmの速度で引っ張られる。
【0060】
説明されるシステム、キット、及びプロセスは、有益な薬剤でコーティング及び/又は含浸された縫合糸が、組織内に設置される前にどのように形成されるかを示す。有益な薬剤は、縫合糸によって取り込まれ、組織内に運ばれ、その後、縫合糸と組織との間の界面に作用し、任意選択で周囲組織内に放出され、抗感染作用、抗菌作用などの医学的に有益な効果が得られる。
【0061】
溶媒を含む脆弱な容器;乾燥した薬剤を含むウィッキングスポンジ:実施形態、方法、及びキット
図8Aを参照すると、代替実施形態において、脆弱な容器300aは、脆弱で容易に破壊可能な壁310によって形成され、水、生理食塩水、エタノール、又は同様のものなどの溶媒50aを収容するが、薬剤は収容しない。脆弱な壁310は、溶媒50aに対して不透過性であり、外科用器具、例えば、メス、ディセクタなどのハンドルなどの尖っていない道具を用いて、又は施術者の手袋をはめた指によって圧力を加えることによって、破壊されるか、亀裂を生じさせられるか、粉砕されるか、断片化されるか、又は破砕され得る。材料としては、非可撓性及び非エラストマー性のポリマー材料、ガラスなどが挙げられる。任意選択で、脆弱な壁310は、1つ又は2つ以上の窪み又は切り欠き315を有し、壁310の一部の材料が除去されて、圧力下で断片化及び亀裂がより生じやすくなり、溶媒50aを放出する。
【0062】
図8Bに示されるように、一実施形態では、脆弱な容器300aは、多孔質スポンジ又は発泡体350aの内部に搭載されることが好ましく、脆弱な容器300a及び多孔質スポンジ350aの両方が固体支持体225上に搭載され、任意選択でキットを形成する。スポンジ350aは、流体を受け入れて吸い上げ、流体をスポンジ全体に分配することができる任意の多孔質の不活性材料である。孔の少なくともいくつかは、主に連続気泡発泡体及びスポンジなどにおいて相互接続され、流体がスポンジを通って迅速に移動することを可能にする。いくつかの実施形態では、スポンジ350は、液体と接触すると膨潤する。
【0063】
乾燥した有益な作用剤又は薬剤でコーティング又は含浸されたスポンジ350a
スポンジ350aは、図4図7の実施形態に示されるスポンジ350とは、1つの区別される態様において異なる。具体的には、スポンジ350aは、溶媒50aに少なくとも部分的に溶解可能である乾燥した有益な作用剤又は薬剤で全体的にコーティングされるか、又は含浸される。乾燥した薬剤は、2秒、5秒、10秒、30秒、60秒、120秒、180秒、240秒以内に溶解可能、完全に溶解可能、又は少なくとも部分的に溶解可能など、接触時に溶解可能など、溶媒50a中で急速に溶解可能であり、それによって、薬剤の少なくとも10%、25%、50%、75%が上記に示された時間内に溶解可能である。
【0064】
スポンジ350aは、溶媒50aに急速に溶解可能である乾燥した薬剤をスポンジ350aに含浸させる任意の既知の技術によって形成される。1つの方法では、スポンジ350は、任意の適切な溶媒中の薬剤の溶液で湿潤され、そのような溶液で完全に飽和させられ、次いで、(i)溶媒を蒸発させることによる乾燥、(ii)真空下での乾燥、(iii)凍結乾燥、(iv)加熱による乾燥、又は任意の類似の方法若しくはそれらの組み合わせなどによって乾燥させられる。スポンジ350aは、0.0001重量%~20重量%の乾燥した薬剤、例えば、0.0001重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、7重量%、10重量%、20重量%の薬剤を収容する。
【0065】
図8Cに示されるように、一実施形態では、図4Cに示す実施形態と同様に、脆弱な容器300aは、多孔質スポンジ350aの内部ではなく、多孔質スポンジ350aと接触した状態で搭載され得、それによって、脆弱な容器300a及び多孔質スポンジ350aの両方が固体支持体225上に搭載される。
【0066】
図8Dに示されるように、一実施形態では、図4Dに示される実施形態と同様に、固体支持体225は、脆弱な容器300aを破壊したときに放出される溶媒50aを捕捉するための窪み又は切り欠き又はベイスン226を有することができ、脆弱な容器300a及びスポンジ350aは、ベイスン226内に少なくとも部分的に搭載され、脆弱な容器300aは、多孔質スポンジ350aの内部に搭載されている。
【0067】
図8Eに示されるように、一実施形態では、図4Eに示す実施形態と同様に、固体支持体225は、脆弱な容器300aの破壊時に放出された溶媒50aを捕捉するための窪み又は切り欠き又はボウル226を有することができ、脆弱な容器300aは、多孔質スポンジ350aの内部ではなくボウル226内又はその近くに搭載されている。脆弱な容器300aは、多孔質スポンジ350aの近くに、(図示のように)多孔質スポンジ350aと接触せずに搭載されるか、又は多孔質スポンジ350aと接触した状態で搭載され得る(図8Eには示されていない)。脆弱な容器300a及びスポンジ350aは、少なくとも部分的にボウル226内に搭載されている。
【0068】
図4Fに示される実施形態と同様に、接続された縫合糸1は、縫合糸パッケージングボックス2内に密閉され得、脆弱な容器300a、多孔質スポンジ350a、及び縫合糸パッケージングボックス2内に密閉された接続された縫合糸1は、固体支持体225上に搭載され得、したがって、容器300aを接続された縫合糸1に近接させて固定し、有益な薬剤を縫合糸10に適用するためのキットを形成している。
【0069】
図9Aに示されるように、使用時に、一実施形態では、図5Aに示される実施形態と同様に、医療従事者は、柔軟な弾性多孔質スポンジ350aを通して尖っていない滅菌道具360を脆弱な容器300aに適用する。
【0070】
図9Bを参照すると、尖っていない道具360が脆弱な容器300aに到達している。容器300aは変形され、容器300aに亀裂が生じ、容器300aが開放され、溶媒50aを周囲のスポンジ350a内に放出する。次いで、道具360が引き出されて取り出される。
【0071】
図9Cを参照すると、脆弱な容器300aの破砕に続いて、溶媒50aは、亀裂が生じた容器300aの外部に漏出し、スポンジ350aの中に急速に吸い上げられる。溶媒50aの移動方向は、矢印によって概略的に示されている。スポンジ350aは溶媒50aを取り込み、溶媒50aによって湿潤され、溶媒50aが注入されたスポンジ350を形成する。
【0072】
同様の方法が、脆弱な容器300a、スポンジ350a、及び支持体225の他の実施形態及び構成に適用可能である。一実施形態では、図9Dに示されるように、尖っていない道具360は、容器300aに直接適用される。容器300aに亀裂が生じると、容器300aは、溶媒50aをベイスン226内に放出する。溶媒は、図9Eにおけるベイスン226内に51aとして示されている。次いで、溶媒50aは、スポンジ350a内に吸い上げられ、溶媒50aの移動方向は、図9Eの矢印によって概略的に示されている。スポンジ350aは、溶媒50aを取り込み、溶媒50aによって湿潤され、溶媒50aが注入されたスポンジ350aを形成する。
【0073】
代替実施形態では、図5Fに示される実施形態と同様に、脆弱な容器は、溶媒50aを収容する複数の脆弱な、容易に破壊可能なカプセル又はマイクロカプセル302によって表されている。カプセル302は全て、スポンジ350a内に位置決めされ、尖っていない道具360を用いてスポンジ350aに圧力を加えることによって、破壊されるか、亀裂を生じさせられるか、粉砕されるか、断片化されるか、又は破砕され得る。
【0074】
溶媒50aのスポンジへの注入中、及びスポンジ350aが脆弱な容器300aから溶媒50aを注入された後、上記に示されるように、乾燥した薬剤は、スポンジ350aの内部の溶媒50aに溶解するか又は可溶化され、溶媒50a中の薬剤の溶液を注入されたスポンジ350aを形成する。
【0075】
次いで、縫合糸10は、縫合糸10をスポンジ350aから引っ張ることによって、溶媒50a中の薬剤の溶液でコーティングされる。図6A図6B図6Cに示される実施形態と同様に、針100は、外部からスポンジ350aを穿刺し、スポンジ350aに入り、次いでスポンジ350aから出る一方で、針100の後ろの縫合糸10をスポンジ350aから引っ張る。有利には、縫合糸10は、スポンジ350aを通過するとき、有益な薬剤でコーティングされ、過剰な薬剤溶液が、スポンジ350aとの相互作用を介して縫合糸10から拭き取られる。有利には、縫合糸10は、スポンジ350aから出た後、溶媒50a中の薬剤の溶液で湿潤されている。
【0076】
図7A図7B図7C図7Dに示される実施形態と同様に、別の実施形態では、縫合糸10は、スポンジ350a内、スポンジ350aの孔の内部、又は好ましくはスポンジ350a内に形成されたスリット355内に位置決めされている。スポンジ350aは、スリット355の内部で縫合糸10の周りを取り囲み、縫合糸10は、溶媒50a中の薬剤の溶液が注入されたスポンジ350aから引っ張られ得、縫合糸10とスポンジ350aとの接触を維持する。上記に示されるように、スポンジ350aに溶媒50a中の薬剤の溶液が注入された後、縫合糸10は、縫合糸10がスポンジ350aを通して引っ張られることによって、溶媒50a中の薬剤の溶液でコーティングされる。
【0077】
いくつかの実施形態において、スリット355、355aは、スポンジ350、350aのスリット355、355a内に縫合糸10を容易に位置決めすることを可能にするような大きさである。スポンジ350、350aが湿潤すると、スポンジ350、350aは、膨潤し、縫合糸10の周りのスリット355、355aを閉じる。
【0078】
接続された縫合糸1は、スポンジ350aから出た後1秒、5秒、10秒、30秒、60秒、120秒以内など、組織内に設置するために直ちに使用され得る。代替的に又は追加的に、医療従事者は、溶媒が縫合糸10から少なくとも部分的に蒸発するのを待つことができ、この場合、接続された縫合糸1は、溶媒の部分的又は完全な蒸発後に組織内に設置するために使用され得、スポンジ350aから出た後1分、2分、3分、5分、10分、20分、30分、60分以内に縫合糸10上又は縫合糸10内に有益な薬剤のみ又はほとんど有益な薬剤のみを残す。有利には、縫合糸10は、その表面及び/若しくは縫合糸の孔、隙間、棘の下、縫合糸10の編組体を形成する糸若しくはフィラメントの間、又は縫合糸10若しくは縫合糸10のコーティング(もしあれば)の上若しくは内部のどこかに有益な薬剤を含む。縫合糸10をスポンジ350aから引っ張る速度は、縫合糸10全体を引っ張るのに約5~約60秒であり、例えば約5、10、20、30、45、60秒である。いくつかの実施形態では、縫合糸10は、毎秒約1cm、2cm、3cm、4cm、5cmの速度で引っ張られる。
【0079】
説明されるシステム、キット、及びプロセスは、有益な薬剤でコーティング及び/又は含浸された縫合糸が、組織内に設置される前にどのように形成されるかを示す。有益な薬剤は、縫合糸によって取り込まれ、組織内に運ばれ、その後、縫合糸と組織との間の界面に作用し、任意選択で周囲組織内に放出され、抗感染作用、抗菌作用などの医学的に有益な効果が得られる。
【0080】
統合容器へのパッケージング
図10A図10Bを参照すると、いくつかの実施形態では、針100に取り付けられた縫合糸10、スポンジ350又は350a、並びに脆弱な容器300又は300aは全て、統合パッケージ4内に一緒にパッケージングされており、針100に近接した縫合糸10の一部分は、スポンジ350、350a内のスリット(スリットは図示せず)内に位置決めすることによって、スポンジ350又は350a内に配設されている。使用時には、統合パッケージ4を開封した後、脆弱な容器300又は300aは、図5A図5E図9A図9Eにおいて上記に示されるように、尖っていない道具によって破砕され、したがって、薬剤溶液を脆弱な容器300からスポンジ350、350a内に放出するか、又は溶媒を脆弱な容器300aからスポンジ350、350a内に放出する。スポンジ350、350aがそれぞれ薬剤溶液又は溶媒で湿潤され、薬剤溶液で湿潤されたスポンジ350、350aを形成した後、縫合糸10が、スポンジ350、350aを通して引っ張られ、したがって、縫合糸10が薬剤溶液と接触し、縫合糸10が薬剤溶液で湿潤又はコーティングされる。
【0081】
図11A図11Bを参照すると、いくつかの実施形態では、針100に取り付けられた縫合糸10、スポンジ350又は350a、並びに脆弱な容器300又は300aは全て、統合パッケージ4内に一緒にパッケージングされ、縫合糸10は、スポンジ350又は350a内には配設されていない。使用時に、統合パッケージ4を開封した後、脆弱な容器300又は300aは、図4A図4E図9A図9Eに示されるように尖っていない道具によって破砕され、したがって、薬剤溶液を脆弱な容器300からスポンジ350、350a内に放出するか、又は溶媒を脆弱な容器300aからスポンジ350、350a内に放出する。スポンジ350、350aがそれぞれ薬剤溶液又は溶媒で湿潤され、薬剤溶液で湿潤されたスポンジ350、350aを形成した後、縫合糸10が、スポンジ350、350aを通して引っ張られ、したがって、縫合糸10が薬剤溶液と接触し、縫合糸10が薬剤溶液で湿潤又はコーティングされる。この実施形態では、縫合糸10を、スポンジ350、350a通して引っ張ることは、任意の好都合な技術によって行われる。1つの方法では、縫合糸10は、図7A図7Dの実施形態と同様に、スポンジ350、350aのスリット(スリットは図11A図11Bには示されていない)内に配置することができる。別の方法では、図6A図6B図6Cに示される実施形態と同様に、針100は、外部からスポンジ350、350aを穿刺し、スポンジ350、350aに入り、次いで、スポンジ350、350aから出る一方、針100の後ろの縫合糸10をスポンジ350、350aから引っ張る。有利には、縫合糸10は、スポンジ350、350aを通過するとき、有益な薬剤でコーティングされ、過剰な薬剤溶液が、スポンジ350、350aとの相互作用を介して縫合糸10から拭き取られる。有利には、縫合糸10は、スポンジ350、350aから出た後、薬剤の溶液で湿潤又はコーティングされている。
【0082】
薬剤又は溶媒を含む別個の容器を有し、脆弱な容器を有さない実施形態
図12A図12Bを参照すると、いくつかの実施形態では、針100に取り付けられた縫合糸10並びにスポンジ350又は350aは、統合パッケージ4内にパッケージングされている。脆弱な容器はない。
【0083】
図12Aに示されるように、針100に近接した縫合糸10の一部分は、スポンジ350、350aのスリット(スリットは図示せず)内に位置決めすることによって、スポンジ350又は350a内に配設されている。図12Bに示されるように、いくつかの実施形態では、縫合糸10は、スポンジ350又は350a内に配設されていない。
【0084】
有利には、キットの一部として、又は別々に、ディスペンサ容器400も提供され、ディスペンサ容器400は、スポンジ350に適用するための有益な薬剤、又は乾燥した薬剤を含浸させたスポンジ350aに適用するための溶媒のいずれかを収容する。図12A図12Bに示される実施形態では、使用時に、医療従事者は、ディスペンサ容器400を開け、有益な薬剤を含有する液体を容器400からスポンジ350上に分注し、それによって、有益な薬剤の溶液で湿潤されたスポンジ350を形成する。代替的に、使用時に、医療従事者は、ディスペンサ容器400を開け、乾燥した有益な薬剤が含浸されたスポンジ350a上に容器400から溶媒を分注し、それによって、ディスペンサ400から分注された溶媒中にスポンジ350aに収容された乾燥した薬剤が溶解すると、有益な薬剤の溶液で湿潤されたスポンジ350aが形成される。次いで、縫合糸10は、上記のように有益な薬剤で湿潤されたスポンジ350、350aを通して引っ張られることによって、薬剤でコーティングされる。図12Aの実施形態では、縫合糸10は、スポンジ350、350aを通して直接引っ張られる。図12Bの実施形態では、1つの方法において、縫合糸10は、スポンジ350、350aのスリット内に配置され、次いで、スポンジ350、350aを通して引っ張られ得る。別の方法では、針100は、外部からスポンジ350、350aを穿刺し、スポンジ350、350aに入り、次いで、スポンジ350、350aを出る一方で、針100の後ろの縫合糸10をスポンジ350、350aから引っ張る。いくつかの実施形態では、ディスペンサ容器400は、統合パッケージ4内に、若しくは統合パッケージ4の近くに、又は代替的に、統合パッケージ4とは別々に、パッケージングされるか若しくはともにパッケージングされ得る。
【0085】
有利には、縫合糸10は、スポンジ350、350aを通過するとき、有益な薬剤でコーティングされ、過剰な薬剤溶液が、スポンジ350、350aとの相互作用を介して縫合糸10から拭き取られる。有利には、縫合糸10は、スポンジ350、350aから出た後、薬剤の溶液で湿潤又はコーティングされている。
【0086】
いくつかの実施形態では、スポンジ350に適用するための異なる有益な薬剤又は異なる濃度の有益な薬剤を収容する2つ以上のディスペンサ容器400が存在する。異なる濃度を用いる場合、医療従事者は、どの濃度が特定の患者に最も適切であるかを選択し、次いで、その濃度の有益な薬剤溶液を適切なディスペンサ容器400からスポンジ350に適用することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、2つ若しくはそれ以上の異なる薬物又は作用剤が、2つ又はそれ以上のディスペンサ容器400内に収容される。次いで、医療従事者は、これらの作用剤のいずれか1つをスポンジ350に適用するか、又は2つ若しくはそれ以上の異なる薬物若しくは作用剤を同じスポンジ350に適用して、スポンジ350の内部に組み合わせ多剤薬剤を形成することができる。
【0088】
異なる担体上に位置する2つ又はそれ以上の薬剤を含む代替実施形態
上記に示されるように、2つ以上の薬剤が脆弱な容器300又はスポンジ350a内に存在し得る。代替実施形態では、脆弱な容器300は、溶媒中の第1の薬剤を収容し、スポンジ350aは、同じ溶媒に溶解可能な乾燥した第2の薬剤を収容する。上記の実施形態と同様に、脆弱な容器300が破砕されると、スポンジ350aには溶媒中の第1の薬剤の溶液が注入され、直ちに同じ溶媒中の第2の薬剤の溶液も形成され、この形成されたスポンジ350aには同じ溶媒中の2つ又はそれ以上の薬剤の溶液が注入される。
【0089】
いくつかの実施形態では、縫合糸10は、トリクロサン、CHG、銀、又は同様のものなどの第1の薬剤で既にコーティングされている。穿刺可能な容器200又は脆弱な容器300又は乾燥した薬剤を収容するスポンジ350a内の第2の薬剤は、a)抗菌剤若しくは任意の他の薬物若しくはそれらの組み合わせを含む異なる薬剤、又はb)縫合糸10上の第1の薬剤の濃度を増加させるために使用される第1の薬剤と同じ薬剤であり得る。
【0090】
有利には、医療従事者は、手術の性質、併存症、患者の健康状態などに起因して必要とされるときに縫合糸に第2の薬剤を添加すること、又は必要とされないときに第2の薬剤を添加しないことを選択することができる。有利には、2つの異なる薬剤を必要に応じて組み合わせることができ、又は上記b)の場合には、必要に応じて縫合糸上の同じ薬剤の濃度を増加させることができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、同じパッケージ内に、必要に応じて使用するための異なる薬剤又は異なる濃度の同じ薬剤を収容する、2つ若しくはそれ以上の穿刺可能な容器200又は2つ若しくはそれ以上の脆弱な容器300、又は2つ若しくはそれ以上の分注容器400、又は2つ若しくはそれ以上のスポンジ350aが提供され、医療従事者は、適切な穿刺可能な容器200若しくは脆弱な容器300、又はスポンジ350a若しくは分注容器400を使用することによって、どの薬剤を使用するかを選択する。
【0092】
いくつかの実施形態では、二重移送スポンジが提供され、それによって、第1の薬剤移送スポンジ350又は350aは、第1の薬剤を縫合糸10に適用するために使用され、第2の移送スポンジ(図示せず)は、第1の移送スポンジ350又は350aを出た後に第2の薬剤を適用するために使用される。いくつかの実施形態では、そのような二重移送スポンジの第1の薬剤及び第2の薬剤は、場合によっては互いに反応する。異なる有益な薬剤が反応する場合、このシステムは、二成分又は多成分コーティングシステムと呼ばれ、縫合糸は、2つの異なる有益な作用剤又は薬剤の各々と逐次接触させられ、それによって、上記で説明されたように二成分システム成分が縫合糸上で反応する。
【0093】
いくつかの実施形態では、二重スポンジが提供され、それによって、薬剤移送スポンジ350又は350aは、薬剤を縫合糸10に適用するために使用され、二次拭き取りスポンジ(図示せず)は、二次スポンジ内の縫合糸10から過剰な薬剤が拭き取られ得るように、移送スポンジ350又は350aを出た後、縫合糸10をそのようなスポンジを通過させるために使用される。
【0094】
滅菌
ガンマ線、X線、電子ビーム、エチレンオキサイド(Ethylene Oxide、ETO)、熱、及び任意の他の滅菌技術が、本発明の縫合糸、薬剤、及びパッケージのために利用され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、ETOの代わりにガンマ滅菌及び電子ビームの使用、並びに縫合糸上での広範囲の抗菌材料及び薬剤の使用を可能にする。任意の薬剤が使用され得、薬剤は、高エネルギー滅菌に曝される必要はない。薬剤滅菌は、ナノ濾過又は無菌充填などの他の方法を利用することによって実施され得る。薬剤滅菌は、縫合糸10の滅菌とは別々に、異なる技術によって実施され得る。
【0095】
縫合糸及び薬剤は、別々に保管され、使用直前に組み合わせられ得る。穿刺可能な容器又は脆弱な容器又はスポンジ350aは、縫合糸10と一緒に、又は有利には縫合糸10とは別々に、異なる技術によって、又は同じ技術によって異なるパラメータ(例えば、エネルギーレベル、温度)下で滅菌され得る。
【0096】
一実施形態では、本発明のシステムは、滅菌を受け、それによって、薬剤を収容する任意の構成要素、すなわち、穿刺可能な容器、脆弱な容器、スポンジ350a、ディスペンサ容器400は、同じ若しくは好ましくは別の滅菌技法によって、又は他のエネルギーレベル下で、例えば、エチレンオキサイドベース、ガンマ線照射ベース、X線、電子ビーム照射ベース、熱ベースなどによって、接続された縫合糸1とは別々に滅菌され得る。
【0097】
有利には、薬剤を収容する構成要素の滅菌は、薬剤に悪影響を及ぼさない好適な滅菌技術によって実施され、一方、縫合糸10及び針100の滅菌は、別の好適な滅菌技法によって別々に実施される。
【0098】
縫合糸
好ましい実施形態では、縫合糸10は、関連する規制当局によって使用が承認された任意の市販の縫合糸を備えている。したがって、縫合糸10は、本発明による薬剤の適用後に、承認され市販されている縫合糸に対応する、望ましい機械的特性、取り扱い特性、結節強度、及び吸収特性を維持する。有利には、縫合糸の機械的特性及び吸収特性は、本発明による薬剤の適用後に実質的に変化しない。
【0099】
縫合糸10は、合成又は天然の材料を含む任意の生体適合性材料で作製された、モノフィラメント若しくはマルチフィラメント若しくは編組の縫合糸、又は吸収性若しくは非吸収性若しくは部分的に吸収性の縫合糸、及びそれらの組み合わせを含む、当技術分野で既知の任意の縫合糸であり得る。いくつかの実施形態では、縫合糸10のポリマー材料は、生体再吸収性ポリエステル又は非生体再吸収性ポリプロピレンを含む。縫合糸10として特に好ましいものは、例えば、VICRYL(登録商標)(ポリグラクチン910)縫合糸、コーティングしたVICRYL(登録商標)(ポリグラクチン910)縫合糸;コーティングしたVICRYL(登録商標)+抗菌(ポリグラクチン910)縫合糸;VICRYL RAPIDE(商標)(ポリグラクチン910)縫合糸;MONOCRYL(登録商標)(ポリグレカプロン25)縫合糸;PDS(登録商標)(ポリジオキサノン)縫合糸;PDS(登録商標)+抗菌(ポリジオキサノン)縫合糸;ETHILON(登録商標)ナイロン糸;ETHIBOND(登録商標)ポリエステル縫合糸;MERSILENE(登録商標)ポリエステル繊維縫合糸;PRONOVA(登録商標)ポリ(ヘキサフルオロプロピレン-VDF)縫合糸;PROLENE(登録商標)ポリプロピレン縫合糸;NUROLON(登録商標)ナイロン糸、などの外科的処置での使用が承認された縫合糸であり、例えば、様々な商標名の下でEthicon,Inc.によって販売されている縫合糸である。縫合糸10は、任意選択で、STRATAFIX(商標)Spiral Knotless Tissue Control Device;STRATAFIX(商標)Symmetric Knotless Tissue Control Device、又は同様のもの、などの棘付き又は無結節の縫合糸であり得る。縫合糸10は、抗菌縫合糸であり得る。
【0100】
針100は、直線状の又は湾曲した針、様々な幾何学的形状の針の本体及び先端又は鋭利端部を有する針、潤滑性コーティングによってコーティングされた又はコーティングされていない針、及び鋼、タングステン合金、などの金属で作製された針、又はポリマー材料で作製された針を含む、当技術分野において既知の任意の手術用縫合針であり得る。例としては、EVERPOINT(登録商標)心臓血管針;ETHALLOY(登録商標)針合金ベースの針;HEMO-SEAL(商標)針縫合糸;ETHIGUARD(登録商標)鈍利点針;MULTIPLASS(登録商標)針;VISI-BLACK(商標)手術用針、などの、様々な商標名の下でEthicon,Inc.によって販売されている縫合針が挙げられる。テーパポイント針、テーパカット針、カッティングエッジ針、など、及び同様のものを利用することができる。
【0101】
縫合糸10自体は、抗菌剤、又は任意の他の医学的に有益な特性(例えば、傷の治癒を支援又は刺激するための作用剤又は薬剤、など)、又は膨張可能なコーティング、及び/又は抗菌剤、又は膨張可能な構成要素を縫合糸10内へ組み込むことができ、又は代替的に、いかなる抗菌又は膨張可能なコーティングも、及びいかなる抗菌又は膨張可能な構成要素も縫合糸10内へ組み込まないことができる。有利には、本発明のシステムは、有益な薬剤が存在するので、市販の承認された縫合糸と比較して、更なる医療作用又は抗菌作用又は膨張特性を提供する。
【0102】
一実施形態では、上記に示されるように適用される有益な薬剤は、設置中及び設置後に、得られる縫合糸の機械的特性に対して軽微な影響を及ぼすか、又は全く影響を及ぼさない。機械的特性としては、引張強度、BSR、完全吸収までの時間、及び/又は荷重下での伸び、及び/又は破壊強度、及び/又は結節強度及び/又は結節滑りが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
縫合糸10の材料は、当技術分野で既知の任意の縫合糸材料、特に合成及び天然の生体適合性ポリマー材料などの市販のかつ承認された縫合糸材料とすることができ、これらは非吸収性である場合も吸収性である場合もある。非吸収性縫合糸を製造するために有用な合成の非吸収性ポリマー材料の例は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、及びポリアミドを含む。非吸収性材料の更なる例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、及び同様のポリマーである。吸収性縫合糸を製造するための有用な合成吸収性ポリマー材料の例は、ラクチドなどのラクトン、グリコリド、p-ジオキサノン、イプシロン-カプロラクトン、及びトリメチレンカーボネートから作製されるポリマー及びコポリマーを含む。好適な生体適合性、生体分解性のポリマーが、合成ポリマー又は天然ポリマーであってもよい。好適な合成の生体適合性、生体分解性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル-エステル)、シュウ酸ポリアルキレン、チロシン由来ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(酸無水物)、ポリホスファゼン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーが挙げられる。本発明の目的のために、脂肪族ポリエステルとしては、ラクチド(乳酸、D-、L-、及びmesoラクチドを含む)、グリコリド(グリコール酸を含む)、イプシロン-カプロラクトン、p-ジオキサノン(1,4-ジオキサン-2-オン)、トリメチレンカーボネート(1,3-ジオキサン-2-オン)、トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体、並びにそれらの混合物のホモポリマー及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーは、ポリ(乳酸)(poly lactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone、PCL)、ポリ乳酸-グリコール酸(polylactide-glycolic acid、PLGA)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリジオキサノン(polydioxanone、PDS)、又はそのモノマーの組み合わせ若しくはコポリマーから選択することができる。好適な生体吸収性で生体適合性のエラストマーコポリマーには、限定するものではないが、イプシロン-カプロラクトンとグリコリドのコポリマー(イプシロン-カプロラクトンとグリコリドのモル比は、好ましくは約30:70~約70:30、好ましくは35:65~約65:35、より好ましくは45:55~35:65である);イプシロン-カプロラクトンと、L-ラクチド、D-ラクチド、それらの配合物又は乳酸コポリマーを含めたラクチドとのエラストマーコポリマー(イプシロン-カプロラクトンとラクチドとのモル比は、好ましくは約35:65~約65:35、より好ましくは45:55~30:70である);p-ジオキサノン(1,4-ジオキサン-2-オン)と、L-ラクチド、D-ラクチド及び乳酸を含めたラクチドとのエラストマーコポリマー(p-ジオキサノンとラクチドとのモル比は、好ましくは約40:60~約60:40である);イプシロン-カプロラクトンとp-ジオキサノンとのエラストマーコポリマー(イプシロン-カプロラクトンとp-ジオキサノンとのモル比は、好ましくは約30:70~約70:30である);p-ジオキサノンと炭酸トリメチレンとのエラストマーコポリマー(p-ジオキサノンと炭酸トリメチレンとのモル比は、好ましくは約30:70~約70:30である);炭酸トリメチレンとグリコリドとのコポリマー(炭酸トリメチレンとグリコリドとのモル比は、好ましくは約30:70~約70:30である);炭酸トリメチレンと、L-ラクチド、D-ラクチド、それらの配合物又は乳酸コポリマーを含めたラクチドとのエラストマーコポリマー(炭酸トリメチレンとラクチドとのモル比は、好ましくは約30:70~約70:30である)、並びにそれらの配合物が挙げられる。一実施形態では、エラストマーコポリマーは、グリコリドとイプシロン-カプロラクトンとのコポリマーである。別の実施形態では、エラストマーコポリマーは、ラクチドとイプシロン-カプロラクトンとのコポリマーである。非吸収性の、すなわち生物耐久性の縫合糸材料としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそのモノマー若しくはコポリマーを挙げることができる。好適な生物耐久性ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl-methacrylate、PMMA)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリトリフルオロクロロエチレン(polytrifluorochloroethylene、PTFCE)、ポリフッ化ビニル(polyvinylfluoride、PVF)、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、ポリアセタール、ポリスルホン、シリコン及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、縫合糸のコーティング及び薬剤の取り込みを容易にするために、特殊な縫合糸構造が本発明のシステムと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、縫合糸はコアレス編組縫合糸であり、内部空洞は薬剤を取り込むように構成されている。いくつかの実施形態では、縫合糸は、例えばコーティングとしてヒドロゲルを含有し、ヒドロゲルは、膨潤性を有し、かつ/又は薬剤を吸収する。いくつかの実施形態において、縫合糸は、高い吸収性を得るために凍結乾燥コーティングを有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、縫合糸は、親水性コーティング及び/又は界面活性剤コーティングを有することができ、それによって、縫合糸の湿潤及びウィッキング並びに薬剤の取り込みが改善され加速する。
【0106】
いくつかの実施形態では、モノフィラメント縫合糸は、薬剤を受け入れかつ/又は保持するように粗化/改質されたマイクロキャビティ又はマイクロコンパートメント/マイクロホール又は表面を備えている。マイクロホールは、様々な角度で掘削することができる。いくつかの実施形態では、縫合糸は、薬剤を取り込むためのマイクロキャビティ又は増加させた間隙を有する。
【0107】
薬剤
抗菌剤は、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド(polyhexamethylene biguanide、PHMB)、オクテニジン、銀粒子、銀塩、トリクロサン、及びそれらの組み合わせを含む、抗生機能又は抗生物質を有する任意の薬剤又は薬物であり得る。好適な抗菌剤は、ハロゲン化ヒドロキシエーテル、アシルオキシジフェニルエーテル、又はそれらの組み合わせから選択されてもよいが、これらに限定されるものではない。特に、抗菌剤は、ハロゲン化2-ヒドロキシジフェニルエーテル及び/又はハロゲン化2-アシルオキシジフェニルエーテルであってもよく、酢酸エステル、クロロ酢酸エステル、メチル又はジメチルカルバミン酸エステル、安息香酸エステル、クロロ安息香酸エステル、メチルスルホン酸エステル及びクロロメチルスルホン酸エステルが特に適している。いくつかの特に有利な抗菌剤は、一般にトリクロサンと称される2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、グルコン酸クロルヘキシジン、及びそれらの組み合わせである。
【0108】
上記に説明された抗菌剤に加えて、有益なフィラメントの薬剤は、エタノール及びイソプロパノールなどのアルコール類;グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類;トリクロロカルバニリドなどのアニリド類;クロルヘキシジンなどのビグアニド類;次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素及び酸性亜塩素酸ナトリウムなどの塩素放出剤;ポビドンヨード、ポロキサマーヨードなどのヨウ素放出剤;硝酸銀、スルファジアジン銀、他の銀剤、銅-8-キノレート及びビスマスチオールなどの金属;過酸化水素、過酢酸などの過酸素化合物;フェノール類;ベンザルコニウムクロリド、セトリミド、及びイオネン-ポリ第四級アンモニウム化合物などの第四アンモニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない、殺生物剤、消毒剤及び/又は防腐剤であってもよい。
【0109】
有益な薬剤には、アモキシシリン、オキサシリン、及びピペラシリンなどのペニシリン;セファゾリン、セファドロキシル、セフォキシチン、セフプロジル、セフォタキシム及びセフジニルなどの非経口的なセファロスポリン類;アズトレオナムなどのモノバクタム;クラブラン酸スルバクタムなどのβラクタマーゼ阻害剤;バンコマイシンなどの糖ペプチド;ポリミキシン;ナリジクス酸、シプロフロキサシン、レバキンなどのキノロン類;メトラニダゾール;ノボビオシン;アクチノマイシン;リファンピン;ネオマイシン、ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド類;ドキシサイクリンなどのテトラサイクリン;クロラムフェニコール;エリスロマイシンなどのマクロライド;クリンダマイシン;スルファジアジンなどのスルホンアミド;トリメトプリム;局所用抗生物質;バシトラシン;グラミシジン;ムピロシン;及び/又はフシジン酸を含むがこれらに限定されない、抗生物質などの薬物が組み込まれていてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、薬剤は、抗体、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、傷の治癒を高める作用剤、治療ペプチド、又は抗がん剤、鎮痛剤などを含む任意の薬物、及びそれらの組み合わせを更に含む。有益な薬剤は、その中に組み込まれた2つ又はそれ以上の異なる薬剤を含むことができる。
【0111】
以上、本発明についてその具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本明細書に開示される本発明の概念から逸脱することなく、多くの変更、修正、及び変形が可能であることは明白である。したがって、これは、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広義の範囲内にある、全てのかかる変更、修正、及び変形を包含するものとする。
【0112】
〔実施の態様〕
(1) 縫合システムであって、
針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、前記縫合糸が、薬剤溶液を収容する穿刺可能な容器とともにパッケージングされている、縫合システム。
(2) 縫合システムであって、
針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、前記縫合糸が、ウィッキング薬剤移送スポンジと、液体を収容する脆弱な容器とともにパッケージングされている、縫合システム。
(3) 縫合システムであって、
針に取り付けられた接続端部と、反対側の自由端部とを有する細長い可撓性縫合糸を備え、前記縫合糸が、薬剤移送スポンジとともにパッケージングされており、前記システムが、液体を含む薬剤ディスペンサ容器を更に備える、縫合システム。
(4) 前記縫合糸が、吸収性、非吸収性、モノフィラメント、編組、棘付き、又はそれらの組み合わせである、実施態様1~3のいずれかに記載の縫合システム。
(5) 前記薬剤が、抗微生物剤又は抗菌剤である、実施態様1に記載の縫合システム。
【0113】
(6) 前記薬剤が、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、オクテニジン、銀粒子、銀塩、トリクロサン、及びそれらの組み合わせを含む、実施態様5に記載の縫合システム。
(7) 前記穿刺可能な容器が、穿刺可能なセプタムを備える、実施態様1に記載の縫合システム。
(8) 前記薬剤溶液が、急速に蒸発する溶媒を含む、実施態様5に記載の縫合システム。
(9) 前記溶媒が、エタノールである、実施態様8に記載の縫合システム。
(10) 前記縫合糸及び前記容器が別々に滅菌される、実施態様1に記載の縫合システム。
【0114】
(11) 前記縫合糸及び前記穿刺可能な容器が、異なる滅菌技術によって滅菌される、実施態様10に記載の縫合システム。
(12) 前記縫合糸が、中空コアを有するコアレス編組体である、実施態様1に記載の縫合システム。
(13) 前記縫合糸が、モノフィラメント縫合糸であり、前記縫合糸による前記薬剤溶液の取り込みを増加させるように構成された表面特徴を有する、実施態様1に記載の縫合システム。
(14) 前記表面特徴が、溝、孔、空洞、表面粗化特徴、及びそれらの組み合わせを含む、実施態様13に記載の縫合システム。
(15) 前記縫合糸が、前記縫合糸による前記薬剤溶液の取り込みを増加させるように構成されたコーティングを含む、実施態様1に記載の縫合システム。
【0115】
(16) 前記縫合糸が、前記縫合糸による前記薬剤の取り込みを増加させる前記薬剤溶液の成分のいずれかと反応するコーティングを含む、実施態様1に記載の縫合システム。
(17) 前記容器が、前記薬剤溶液中の第1の薬剤、薬剤の第1の組み合わせを収容し、前記縫合糸が、第2の薬剤によってプレコーティングされており、前記第2の薬剤が、前記第1の薬剤又は前記薬剤の第1の組み合わせと同じであり得るか又は異なり得る、実施態様1に記載の縫合システム。
(18) 前記穿刺可能な容器が、穿刺可能なセプタムを備える、実施態様1に記載の縫合システム。
(19) 前記穿刺可能な容器が、前記薬剤溶液で湿潤されたスポンジを更に収容する、実施態様1に記載の縫合システム。
(20) 実施態様1に記載の縫合システムの縫合糸をコーティングする方法であって、
1)前記針を手動で又は縫合糸グリッパで把持するステップと、
2)前記針で前記穿刺可能な容器を穿刺するステップと
3)前記針を前記穿刺可能な容器に入れ、前記針を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張るステップと、
4)異なるスポットにおいて前記針を前記穿刺可能な容器から出すステップと、
5)前記針の後ろにおいて前記縫合糸を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記穿刺可能な容器の内部の前記薬剤溶液に曝すステップと、
6)縫合糸全体を前記穿刺可能な容器から取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む、方法。
【0116】
(21) 前記針の後ろにおいて前記縫合糸を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張ると、前記穿刺可能な容器の壁との前記縫合糸の相互作用又は前記穿刺可能な容器を閉鎖する穿刺可能なセプタムとの前記縫合糸の相互作用を介して、前記縫合糸が前記穿刺可能な容器から出るときに前記縫合糸から過剰な前記薬剤溶液が除去されることになる、実施態様20に記載の方法。
(22) 実施態様1に記載の縫合システムを使用する方法であって、
1)前記針を手動で又は縫合糸グリッパで把持するステップと、
2)前記針で前記穿刺可能な容器を穿刺することにより、
3)前記針を前記穿刺可能な容器に入れ、前記針を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張るステップと、
4)異なるスポットにおいて前記針を前記穿刺可能な容器から出すステップと、
5)前記針の後ろにおいて前記縫合糸を、前記穿刺可能な容器を通して引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記穿刺可能な容器の内部の前記薬剤溶液に曝すステップと、
6)縫合糸全体を前記穿刺可能な容器から取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
7)任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、
前記穿刺可能な容器を穿刺した後1時間以内に縫合外科処置において前記縫合糸及び前記針を使用するステップと、を含む、方法。
(23) 前記脆弱な容器が、前記容器の破砕時に前記液体を前記スポンジ内に放出するように構成されており、前記スポンジが、前記液体が前記容器の破砕時に放出されると、前記液体を吸い上げて吸収するように構成されている、実施態様2に記載の縫合システム。
(24) 前記液体が、薬剤溶液を含む、実施態様2又は3に記載の縫合システム。
(25) 前記液体が、溶媒を含み、前記スポンジが、乾燥した薬剤を収容する、実施態様2又は3に記載の縫合システム。
【0117】
(26) 前記脆弱な容器が、前記スポンジの内部に位置する、実施態様2に記載の縫合システム。
(27) 前記脆弱な容器が、前記スポンジに近接して位置する、実施態様2に記載の縫合システム。
(28) 前記接続端部に近接した前記縫合糸の一部分が、前記スポンジの内部に予め位置決めされている、実施態様2又は3に記載の縫合システム。
(29) 実施態様2に記載の縫合システムの縫合糸をコーティングする方法であって、
1)前記脆弱な容器を破砕するステップと、
2)前記容器から前記液体を放出して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む、方法。
(30) 薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張ると、前記縫合糸から過剰な前記薬剤溶液が除去されることになる、実施態様29に記載の方法。
【0118】
(31) 実施態様2に記載の縫合システムを使用する方法であって、
1)前記脆弱な容器を破砕するステップと、
2)前記容器から前記液体を放出して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
5)任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、
薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張った後1時間以内に、縫合外科処置において前記縫合糸及び前記針を使用するステップと、を含む、方法。
(32) 実施態様3に記載の縫合システムの縫合糸をコーティングする方法であって、
1)前記ディスペンサ容器を開けるステップと、
2)前記液体を前記ディスペンサ容器から前記スポンジ上に移送して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、を含む、方法。
(33) 薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張ると、前記縫合糸から過剰な前記薬剤溶液が除去されることになる、実施態様32に記載の方法。
(34) 実施態様3に記載の縫合システムを使用する方法であって、
1)前記ディスペンサ容器を開けるステップと、
2)前記液体を前記ディスペンサ容器から前記スポンジ上に移送して、薬剤溶液で湿潤されたスポンジを形成するステップと、
3)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張り、それによって、前記縫合糸を前記薬剤溶液に曝すステップと、
4)薬剤溶液で湿潤された前記スポンジから縫合糸全体を取り出し、それによって、前記薬剤溶液で湿潤された縫合糸を形成し、少なくともいくらかの薬剤を前記縫合糸上に保持するステップと、
5)任意選択で、前記溶液の少なくとも一部が蒸発することを可能にするステップと、
薬剤溶液で湿潤された前記スポンジを通して前記縫合糸を引っ張った後1時間以内に、縫合外科処置において前記縫合糸及び前記針を使用するステップと、を含む、方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
【国際調査報告】