(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】咀嚼する食感の海苔スナック及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240725BHJP
A23L 17/60 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
A23L5/00 K
A23L17/60 103A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508531
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2022012020
(87)【国際公開番号】W WO2023018252
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0106318
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ス・イム
(72)【発明者】
【氏名】フ・シク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ウク・パク
【テーマコード(参考)】
4B019
4B035
【Fターム(参考)】
4B019LE06
4B019LK01
4B019LK02
4B019LK04
4B019LK05
4B019LK06
4B019LK08
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4B019LP17
4B035LC03
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4B035LG44
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP34
4B035LP43
(57)【要約】
本出願は、ジャバン型海苔;糖類及びゲル化剤を含む結着剤;及び固形分副材料を含む海苔スナックを提供する。また、本出願は、糖類とゲル化剤が混合された結着剤、ジャバン型海苔及び固形分副材料を混合する段階;及び混合された結果物を成形して冷却する段階を含む海苔スナックの製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジャバン型海苔;(b)糖類及びゲル化剤を含む結着剤;及び(c)固形分副材料を含む、海苔スナック。
【請求項2】
前記ジャバン型海苔は、岩海苔を含む海苔をジャバン型に加工したものである、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項3】
前記ゲル化剤は、寒天、ゼラチン、ペクチン、アルジネート、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム及び変性澱粉より構成された群から選択されるいずれか1つ以上である、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項4】
前記ゲル化剤は、海苔スナックの全体100重量部を基準として0.5から20重量部で含むものである、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項5】
前記糖類は、砂糖、水飴、麦芽糖、ブドウ糖、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、エリスリトール、マルチトール、イソマルト、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖及びガラクトオリゴ糖より構成された群から選択されるいずれか1つ以上のものである、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項6】
前記糖類は、海苔スナックの全体100重量部を基準として20から40重量部で含むものである、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項7】
前記固形分副材料は、乾燥堅果、乾燥穀類、乾燥果物、肉ジャーキー及び魚ジャーキーより構成された群から選択されるいずれか1つ以上である、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項8】
前記固形分副材料は、海苔スナックの全体100重量部を基準として1から75重量部で含むものである、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項9】
前記ジャバン型海苔と固形分副材料の混合物と結着剤は、1:4から4:1の重量比で含まれるものである、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項10】
前記海苔スナックは、水分含量が5重量%以上である、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項11】
前記海苔スナックは、弾力性が65%以上である、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項12】
前記海苔スナックは、硬度が5000gから30000gである、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項13】
前記海苔スナックは、凝集性が0.25以上である、請求項1に記載の海苔スナック。
【請求項14】
糖類とゲル化剤が混合された結着剤、ジャバン型海苔及び固形分副材料を混合する段階;及び
前記混合された結果物を成形して冷却する段階;を含む、海苔スナックの製造方法。
【請求項15】
前記結着剤は、ゲル化剤を水和させて糖類と混合して製造されたものである、請求項14に記載の海苔スナックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、海苔スナック及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海苔は、一般の海藻類に比べてタンパク質の含有量が高く、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンなどのアミノ酸が多い。また、食物繊維の含有量も高いため健康食として知られており、成人病の抑制、皮膚美容、癌の予防などに役立つ栄養素を均一に取り揃えた非常に優れた海藻食品である。
【0003】
海苔スナックは、通常、主原料である海苔を乾燥させて表面にシーズニング、シロップなどをまぶしたり、センターにアーモンドなどの原物を入れてサンドの形態にしたりして揚げるなど、サクッとした食感を示す製品が大部分である。また、大部分の海苔スナック製品は板状に製作されるためよく崩れ、これを補完するために過度に包装するようになるが、これにより包装費用が高く、貯蔵及び流通時に効率性が落ちる問題がある。
【0004】
最近、消費者の新たな食感に対する要求と関心が増加するのに伴い、従来の海苔スナックとは異なる新たな食感の海苔スナックに対する開発が必要な実情である。また、よく崩れずに包装にかかる費用が少なくて包装及び保管の費用を減らすことができ、保管及び流通時にも製品破損の憂慮が少ない海苔スナックの開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0059440号公報(2020.05.29)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、既存のサクッとした食感から脱して柔らかく咀嚼性ある新たな食感の海苔スナックを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、前記海苔スナックを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本出願は、(a)ジャバン型海苔;(b)糖類及びゲル化剤を含む結着剤;及び(c)固形分材料を含む海苔スナックを提供する。
【0009】
また、本出願は、糖類及びゲル化剤を混合して結着剤を製造する段階;前記結着剤及びジャバン型海苔を混合する段階;及び前記混合された結果物を成形して冷却する段階;を含む海苔スナックの製造方法を提供する。
【0010】
以下、本出願を詳細に説明する。
【0011】
本出願の一側面は、海苔スナックを提供する。
【0012】
本発明の海苔スナックは、ジャバン型海苔;糖類及びゲル化剤を含む結着剤;及び固形分副材料を含む。
【0013】
前記海苔スナックは、ジャバン型海苔、結着剤及び固形分副材料が一定の位置に存在するのではなく無作為的に混合された形態であってよい。具体的には、前記海苔スナックは、ジャバン型海苔、結着剤及び固形分副材料が無作為的に分布された形態であって、ジャバン型海苔の間に固形分副材料が介在されている形態であってよい。前記海苔スナックは、板状の海苔の間に固形分副材料が位置して海苔と固形分副材料が一定に積層されたものとは区別される。
【0014】
また、前記海苔スナックの大きさはそれぞれ似ていても、外形は異なることがある。
【0015】
前記「ジャバン型海苔」は、一般的に、ジャバン用海苔を食用油で炒めたり揚げたりして製造したものを意味し、前記ジャバン用海苔とは、養殖された生海苔を洗浄、切断及び乾燥して製造したものであって、一般的なシート状の乾燥海苔と異なり、形態が無定形である海苔を意味する。ジャバン用海苔の元祖は、岩海苔、在来海苔、青海苔であってよいが、より具体的には、岩海苔が大部分であってよく、例えば、ジャバン用海苔には岩海苔が90%以上含まれてよい。ジャバン用海苔は、岩海苔の含量が高いため、食感が粗く硬いという特性がある。
【0016】
前記ジャバン型海苔は、海苔スナックの全体100重量部を基準として10から80重量部、10から75重量部、10から70重量部、または20から60重量部で含まれるものであってよいが、これに制限されるものではない。
【0017】
前記「結着剤」は、ジャバン型海苔と固形分副材料との間、ジャバン型海苔とジャバン型海苔との間、及び固形分副材料と固形分副材料との間に位置してこれらをよく結着させて一定の形状を維持できるようにするものを意味する。
【0018】
前記結着剤は、糖類及びゲル化剤を含む。
【0019】
前記ゲル化剤は、寒天、ゼラチン、ペクチン、アルジネート、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム及び変性澱粉より構成された群から選択されるいずれか1つ以上であってよい。
【0020】
前記ゲル化剤は、海苔スナックの全体100重量部を基準として0.5から20重量部、0.5から15重量部、0.5から10重量部、0.5から5重量部、3から30重量部、3から15重量部、または3から10重量部で含まれるものであってよい。
【0021】
前記ゲル化剤としてゼラチンまたは変性澱粉を用いる場合、海苔スナックの全体100重量部を基準として3から20重量部、3から15重量部、3から12重量部、3から10重量部、3から9重量部、6から20重量部、6から15重量部、6から12重量部、6から9重量部、9から20重量部、9から15重量部、または9から12重量部で含まれるものであってよい。
【0022】
前記ゲル化剤として寒天、カラギナン、またはペクチンを用いる場合、海苔スナックの全体100重量部を基準として0.5から5重量部、0.5から4重量部、0.5から3重量部、0.5から2.5重量部、0.5から2重量部、0.5から1.5重量部、0.5から1.2重量部、1から5重量部、1から4重量部、1から3重量部、1から2.5重量部、1から2重量部、1から1.5重量部、1.5から5重量部、1.5から4重量部、1.5から3重量部、または1.5から2.5重量部で含まれるものであってよい。
【0023】
ゲル化剤を前記範囲の含量で含む場合、弾力性と咀嚼性がある食感が具現さ得るだけでなく、成形性と作業性がさらに向上され得る。
【0024】
前記糖類は、砂糖、水飴、麦芽糖、ブドウ糖、液糖、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、エリスリトール、マルチトール、イソマルト、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖及びガラクトオリゴ糖より構成された群から選択されるいずれか1つ以上であってよい。
【0025】
前記糖類は、海苔スナックの全体100重量部を基準として10から40重量部、20から40重量部、10から30重量部、または20から30重量部で含まれるものであってよい。
【0026】
前記結着剤は糖類及びゲル化剤を含むものであって、結着剤内のゲル化剤の含量は、結着剤の総重量を基準として、0.01から5重量%、0、01から4重量%、0.01から3重量%、0.01から2重量%、0.01から1重量%、0.1から5重量%、0.1から4重量%、0.1から3重量%、0.1から2重量%、0.1から1重量%、0.3から1重量%、0.5から5重量%、0.5から4重量%、0.5から3重量%、0.5から2重量%、0.5から1重量%、1から5重量%、1から4重量%、1から3重量%、または1から2重量%であってよい。前記結着剤内のゲル化剤の含量は、ゲル化剤の種類により変更されてよい。
【0027】
前記ゲル化剤として寒天、カラギナン、またはペクチンを用いる場合、結着剤内のゲル化剤の含量は、結着剤の総重量を基準として、0.01から0.5重量%、0.01から0.4重量%、0.01から0.3重量%、0.01から0.2重量%、0.01から0.1重量%、0.05から0.5重量%、0.05から0.4重量%、0.05から0.3重量%、0.05から0.2重量%、または0.05から0.1重量%であってよい。
【0028】
前記ゲル化剤としてゼラチンまたは変性澱粉を用いる場合、結着剤内のゲル化剤の含量は、結着剤の総重量を基準として、0.5から5重量%、0.5から4重量%、0.5から3重量%、0.5から2重量%、0.5から1重量%、1から5重量%、1から4重量%、1から3重量%、または1から2重量%であってよい。
【0029】
結着剤内のゲル化剤の含量が前記範囲である場合、弾力性と咀嚼性ある食感が具現され得るだけでなく、成形性と作業性がさらに向上され得る。
【0030】
前記固形分副材料は、これに制限されるものではないが、乾燥堅果、乾燥穀類、乾燥果物、肉ジャーキー及び魚ジャーキーより構成された群から選択されるいずれか1つ以上であってよい。
【0031】
前記乾燥堅果は、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、黒ゴマ、クルミ、カシューナッツより構成された群から選択されるいずれか1つ以上の堅果を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
前記乾燥穀類は、玄米、玄米もち米、小麦、エンバク、麦、ライ麦、トウモロコシ、ソバ、キビ、ハトムギ、黒豆、白豆及び小豆より構成された群から選択されるいずれか1つ以上の穀類を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
前記乾燥果物は、クランベリー、イチゴ、マンゴー、杏、スモモ、モモ、ミカン、オレンジ、ブドウ、ブルーベリー、リンゴ、ナシ、バナナ、カキ、スイカ、マクワウリ、カリン、トマト、ザクロ、メロン、パイナップル、キウイ及びウメより構成された群から選択されるいずれか1つ以上の果物を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
前記肉ジャーキーは、牛肉、豚肉、羊肉、山羊肉、兎肉、鶏肉、鴨肉、雉肉、七面鳥肉及びカンガルー肉より構成された群から選択されるいずれか1つ以上の原肉から製造されたものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0035】
前記魚ジャーキーは、スルメイカ、ヤリイカ、イワシ、カワハギの干物、スケトウダラの幼魚、テナガダコ、イイダコ及びカタクチイワシより構成された群から選択されるいずれか1つの魚肉から製造されたものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0036】
前記固形分副材料は、海苔スナックの全体100重量部を基準として1から75重量部で含まれてよく、具体的には、海苔の特性をいかすために50重量部以下で含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0037】
前記ジャバン型海苔と固形分副材料の混合物と結着剤は、1:4から4:1の重量比、1:3から3:1の重量比、または2:3から3:2の重量比で含まれるものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
本出願の海苔スナックは、柔らかさ及び咀嚼性に関する物性が向上されたものであってよい。具体的に、海苔スナックは、硬度が低く、凝集性、弾力性及び水分含量が高いほど、既存の海苔スナックの有するサクサクした食感ではない、柔らかくてより弾力があり咀嚼性がある食感を具現し、新たな食感の海苔スナックを提供することができるという側面で有利である。
【0039】
前記硬度(Hardness)とは、所望の変形に到達するのに必要な力を意味し、海苔スナックにおいては、数値が低いほど、硬くなく柔らかい食感を維持していることを示す。本出願の海苔スナックの硬度は、ゲル化剤を含まないか、一定の含量で含む海苔スナックと比較して減少しており、測定された硬度は、5000から30000g、5000から29000g、5000から25000g、5000から20000g、10000から29000g、10000から25000g、または10000から20000gであってよい。
【0040】
前記凝集性(Cohesiveness)とは、物体がありのままの形態を維持しようとする力を意味し、海苔スナックにおいては、数値が高いほど、よく崩れずに形態を維持していることを示す。本出願の海苔スナックの凝集性は、ゲル化剤を含まないか、一定の含量で含む海苔スナックと比較して増加しており、測定された凝集性は、0.25以上であってよく、具体的には、0.25から1.0、0.25から0.8、0.25から0.6、または0.25から0.5であってよい。
【0041】
前記弾力性(Springiness)とは、物理的な力により変形された物体が、力が除去された後で本来の状態に戻ろうとする性質を意味し、海苔スナックにおいては、弾力性が高いほど、モチモチして咀嚼する食感が強化されることを示す。本出願の海苔スナックの弾力性は、ゲル化剤を含まないか、一定の含量で含む海苔スナックと比較して増加しており、測定された弾力性は、65%以上であってよく、具体的には、65から95%、65から90%、65から85%、または65から80%であってよい。
【0042】
前記水分含量は、海苔スナック内の海苔の水分含有量を意味し、海苔スナックにおいては、数値が高いほど、柔らかい食感を示すという側面で有利である。本出願の海苔スナック内の海苔の水分含量は5重量%以上であってよく、具体的には、5から20重量%、5から17重量%、5から15重量%、5から14重量%、5から13重量%、5から12重量%、5から10重量%、または5から9重量%であってよい。前記水分含量は、海苔スナック内の海苔を105℃で20時間放置する前と後の質量を測定して計算されたものであってよい。
【0043】
本出願の他の一側面は、海苔スナックを製造する方法を提供する。
【0044】
本出願の海苔スナックの製造方法は、糖類とゲル化剤が混合された結着剤、ジャバン型海苔及び固形分副材料を混合する段階;及び前記混合された結果物を成形して冷却する段階;を含む。
【0045】
前記結着剤、糖類、ゲル化剤、ジャバン型海苔、固形分副材料及びこれらの含量に関する内容は、前記で説明したとおりである。
【0046】
前記結着剤を製造する段階において、ゲル化剤を水和させた後、糖類を混合して撹拌するか、ゲル化剤と糖類を混合した後で加熱して完全に溶解させる過程を伴ってよいが、これに限定されるものではない。前記ゲル化剤と糖類の混合物を加熱して溶解させる場合、30℃から100℃で加熱することを含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
前記混合された結果物を成形して冷却する段階は、混合された結果物を成形モルドに注入して固める過程を意味し、前記成形は、所定の力を介して混合物を成形することを意味する。前記冷却は、常温または冷蔵温度で行うことなどを含んでよく、具体的には、常温の条件で十分な時間をおいて冷却させることができる。
【発明の効果】
【0048】
本出願の海苔スナックは、糖類及びゲル化剤を含む結着剤が添加されることにより、従来の海苔スナックと異なり、柔らかく咀嚼性ある食感が増進されるという効果がある。
【0049】
また、ゲル化剤の種類や含量により柔らかさとモチモチした食感を多様に具現することができる。
【0050】
本出願の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るはずである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本出願の方法で製造した海苔スナックを撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本出願を実施例及び実験例により詳細に説明する。但し、下記実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例及び実験例により限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
海苔スナックの製造
<実施例1-1>
先ず、下記[表1]のような組成及び配合比で海苔スナック用組成物を製造した。
【0054】
具体的には、砂糖、寒天、精製塩及び水飴に水を入れてよく交ぜた後、90℃の熱で水和させて結着剤を製造した。次に、フライパンにバターを溶かした後、アーモンド粉態を入れて炒めてから海苔ジャバン(ビビゴ韓食醤油海苔ジャバン、CJ第一製糖)を入れて混合し、前記結着剤で固めて海苔スナック用組成物を製造した。前記海苔スナック用組成物を成形枠を用いて成形した後、室温で冷却させて海苔スナックを完成した。
【0055】
<実施例1-2>
結着剤を製造する際に寒天の代わりにゼラチンを添加したことを除いては、実施例1-1と同一の方法で海苔スナック用組成物及び海苔スナックを製造した。
【0056】
<比較例>
結着剤を製造する際にゲル化剤を添加しないことを除いては、実施例1-1と同一の方法で海苔スナック用組成物及び海苔スナックを製造した。
【0057】
【0058】
<実施例2-1から2-4>
下記[表2]のような組成及び配合比に寒天の比率を変更したことを除いては、実施例1-1と同一の方法で海苔スナック用組成物及び海苔スナックを製造した。
【0059】
【0060】
<実施例3-1から3-5>
下記[表3]のような組成及び配合比にゼラチンの比率を変更したことを除いては、実施例1-2と同一の方法で海苔スナック用組成物及び海苔スナックを製造した。
【0061】
【0062】
[実験例1]
ゲル化剤を添加した海苔スナックの物理的特性及び食感改善効果の確認
1-1.海苔スナックの組織感の分析
前記実施例1-1、1-2及び比較例で製造された海苔スナックを対象として、物性分析機(TA.XT plus,Stable Micro Systems Ltd.,UK)を用いて、硬度(Hardness)、凝集性(Cohesiveness)及び弾力性(Springiness)を測定しており、同一の条件で総3回測定してその平均値を[表4]に示した。
【0063】
前記物性分析機は、人が口で二度咀嚼する行動を真似る。物性分析機のプローブ(cylinder metal probe)は、調節された距離から調節された速度で垂直に食品サンプルに降りる。その後、プローブは、再度予め調節された距離だけ上に上がり、二回目の咀嚼のために再度下に降りる。力を知覚する装置と変換器は、測定サンプルに適用された力を認知し、そのデータ(力値、作動時間、プローブ移動距離)をコンピューターに送る。物性測定用語の定義及び物性測定の条件は、下記のとおりである:
【0064】
[組織感測定用語の定義]
硬度(Hardness)は、所望の変形に到達するのに必要な力であって、物質の硬さと柔らかくなった程度を示す物理的性質を意味する。
【0065】
凝集性(Cohesiveness)は、物体がありのままの形態を維持しようとする力であって、食品の形態を構成する内部的結合に必要な力を意味する。
【0066】
弾力性(Springiness)は、変形されたサンプルが、力が除去された後で本来の状態に戻ろうとする性質を意味する。
【0067】
[測定条件]
プローブがサンプルまで降りる速度(pre-test speed)1.0mm/s、前記プローブが前記サンプルの表面に触れた後、前記サンプルに侵透して入る速度(test speed)1.0mm/s、前記プローブが前記サンプルを侵透した後、元の位置に戻る速度(post-test speed)1.0mm/s、strain mode 75%の条件で直径10mmの円筒状プローブを用いた。
【0068】
【0069】
その結果、ゲル化剤を添加していない比較例の場合、高い硬度と低い弾力性を示しているので、硬い食感を有して弾力性と凝集性が低くて崩れる食感を有することが分かる。一方、ゲル化剤を添加した実施例1-1及び1-2は、ゲル化剤の特性による有意な硬度の差を見せるが、比較例に比べて低い硬度と高い弾力性を示しているので、より柔らかくモチモチした食感を有していることが分かる。これは、従来の海苔スナックとは異なる食感である。
【0070】
1-2.海苔スナックの食感に対する官能評価
前記実施例1-1、1-2及び比較例で製造された海苔スナックを対象として、食感に対する官能評価を進めた。
【0071】
具体的には、前記比較例と実施例1-1、1-2の海苔スナックを訓練された専門パネル30名に食べさせた後、海苔スナックの硬さ、サクサク感、モチモチ感の嗜好度を評価するようにした。1つの試料の評価を終える度に水で口の中を洗浄して1分が経過した後に次の試料を評価し、0点から、嗜好度または強度が高いほど5点に近い点数を付与するようにした。その結果を[表5]に示した。
【0072】
【0073】
その結果、ゲル化剤を添加していない海苔スナック用組成物で製造した海苔スナックは、硬くてサクッとした食感を有する一方、ゲル化剤を添加した海苔スナック用組成物を用いて海苔スナックを製造すると、柔らかくモチモチした食感の海苔スナックを製造することができることを確認した。
【0074】
1-3.海苔スナックの水分含量の確認
前記実施例1-1、1-2及び比較例で製造された海苔スナックを対象として水分含量を測定しており、海苔スナックからアーモンドを除いた海苔部分を秤量皿に取ってドライオーブン(dry oven)を用いて測定した。
【0075】
具体的には、試料入りの皿を105℃で20時間放置した後、乾燥する前/後の質量を測定し、下記[数式1]により水分含量を計算した。また、海苔スナックに含有された固形分の含量を下記[数式2]により計算し、その結果を[表6]に示した。
【0076】
[数式1]
水分含量(%)=[(乾燥前の秤量皿と試料の質量)-(乾燥後の秤量皿と試料の質量)]/試料の質量×100
[数式2]
固形分の含量(%)=100-水分含量(%)
【0077】
【表6】
その結果、実施例1-1と比較例の水分含量が類似し、相対的に実施例1-2の水分含量の差があるにもかかわらず、前記[表4]及び[表5]に示された硬度と硬さは水分含量による有意な差がないので、各海苔組成物の水分含量が物性に影響を及ぼしていないことを示す。
【0078】
[実験例2]
寒天の添加量による海苔スナックの組織感及び食感改善効果の確認
1-1.海苔スナックの組織感の分析
前記実施例2-1から2-4で製造された海苔スナックを対象として、前記実験例1-1と同一の方法で組織感を評価した。その結果を[表7]に示した。
【0079】
【0080】
その結果、硬度(Hardness)は、ゲル化剤の含量が増加するほど増加する値を見せることが分かる。凝集性(Cohesiveness)は、実施例2-1を除いて類似の数値を見せることが分かる。弾力性(Springiness)は、ゲル化剤の含量が増加するほど増加する値を見せることが分かる。このことから、一定量以上の寒天を用いると、硬度と凝集性が類似する数値を示し、寒天の含量が増加するほど弾力性が増加することが分かる。また、実施例2-1の数値をみると、ゲル化剤の含量が少ないため、海苔と原物を結合する力が小さく、これにより全般的な数値が実施例2-2、2-3、2-4と差異を見せることが分かる。
【0081】
2-2.海苔スナックの水分含量の測定
前記実施例2-1から2-4で製造された海苔スナックを対象として、前記実験例1-3と同一の方法で水分含量を測定及び計算した。その結果を[表8]に示した。
【0082】
【0083】
その結果、ゲル化剤として寒天を添加した海苔スナックに含まれた海苔の水分含量は9.16から11.69重量%であるものと示されており、海苔の水分含量が前記範囲である場合、海苔スナックに含まれた海苔が柔らかい食感を示すことが分かる。
【0084】
[実験例3]
ゼラチンの添加量による海苔スナックの組織感及び食感改善効果の確認
3-1.海苔スナックの組織感の測定
前記実施例3-1から3-5で製造された海苔スナックを対象として、前記実験例1-1と同一の方法で組織感を評価した。その結果を[表9]に示した。
【0085】
【0086】
その結果、硬度(Hardness)は、ゲル化剤の含量が増加するほど低くなる値を見せることが分かる。これは、ゼラチンの水和のために実施例別の水分の比率に差があるので、表9の結果のように、水分の増加に伴って硬度が低くなるものとみられる。凝集性(Cohesiveness)は、ゲル化剤の含量が増加するほど増加する値を見せることが分かる。弾力性(Springiness)は、表9の結果を介し、ゲル化剤の含量が増加するほど増加する値を見せることが分かる。これを介し、ゼラチンの含量が増加するほど硬度は低くなり、凝集性、弾力性が増加してモチモチした咀嚼性を示し得ることが分かる。
【0087】
3-2.海苔スナックの水分含量の測定
前記実施例3-1から3-5で製造された海苔スナックを対象として、前記実験例1-3と同一の方法で水分含量を測定及び計算した。その結果を[表10]に示した。
【0088】
【0089】
その結果、ゲル化剤としてゼラチンを添加した海苔スナックに含まれた海苔の水分含量は5.78から13.46重量%であるものと示され、海苔の水分含量が前記範囲である場合、海苔スナックに含まれた海苔が柔らかい食感を示すことが分かる。
【0090】
前記実施例から、ゲル化剤を添加しないか低い含量で添加して製造した海苔スナックは、弾力性が落ちて凝集性が低く、結合力が低くて崩れる食感を示し、ゲル化剤の含量が高くなるほど、弾力性が高くなり咀嚼性ある食感を示すとみられる。また、ゲル化剤それぞれの特徴により、ゼラチンを適用した際は、弾性が強くてさらに咀嚼性ある食感を出すために適し、柔らかい食感と咀嚼性ある食感をともに付与するためには寒天を用いるのが適するとみられる。
【0091】
これにより、多様なゲル化剤を用いることにより多様な食感の咀嚼性ある海苔スナックを製造することができ、ゲル化剤を添加していない海苔スナックと画然とした物性の差異を示すことが分かる。
【国際調査報告】