(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】改良された第2ステージ凝縮器を備えた空冷式蒸気凝縮器
(51)【国際特許分類】
F28B 1/06 20060101AFI20240725BHJP
F28B 7/00 20060101ALI20240725BHJP
F28B 9/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F28B1/06
F28B7/00
F28B9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024508537
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 US2022040310
(87)【国際公開番号】W WO2023019010
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518276368
【氏名又は名称】エバプコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evapco, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】リベール,ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,マーク
(57)【要約】
1次凝縮器セクションと2次凝縮器セクションを備えた熱交換器パネルを有する大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。2次凝縮器セクションは、全熱交換器の10%以下を構成し、1次凝縮器セクションのチューブは、対応するチューブの断面積の50%以下の面積を有する狭い出口オリフィスを有する。本発明は、逆流を最小限に抑え、非凝縮物を一掃し、デッドゾーンの形成を防止するのに充分に出口ヘッダ圧力を減少させながら、2次凝縮器チューブの削減を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用蒸気製造施設に接続された大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器であって、
凝縮器モジュールの列を備える凝縮器ストリートを備え、
各凝縮器モジュールは、熱交換器セクション内に支持された複数の熱交換器パネルを経由して空気を引き込む単一のファンまたは複数のファンを含むプレナムセクションを備え、熱交換器パネルは、長手軸と、その長手軸に対して垂直な横軸を有し、
各熱交換器パネルは、複数のチューブと、前記複数のチューブの各々の上端に接続され流体連通する上部ボンネットと、前記複数のチューブの少なくともサブセットの下端に接続され流体連通する底部ボンネットとを備え、
前記底部ボンネットは、単一の蒸気入口を有し、
前記凝縮器ストリートはさらに、前記熱交換器セクションの下方にあり、前記熱交換器パネルの中間点において前記熱交換器パネルの長手軸に対して垂直な軸に沿って配置され、前記複数の熱交換器の下方で前記凝縮器ストリートの長さに延びている蒸気分配マニホールドを備え、
前記蒸気分配マニホールドは、その上面に複数の接続部を有し、前記複数の接続部の各々は、対応する前記単一の蒸気入口に接続するように構成され、
各熱交換器パネルは、1次凝縮器セクション、2次凝縮器セクション、および前記2次凝縮器セクションおよび前記1次凝縮器セクション内の各チューブの上端に接続され流体連通する上部ボンネットを備え、
前記1次凝縮器セクションの各前記上端は、前記1次凝縮器セクション内の対応するチューブの断面積よりも狭い面積を有する出口流れオリフィスを備え、
前記底部ボンネットは、前記1次凝縮器セクション内の各チューブの下端に接続され流体連通しており、
各熱交換パネルはさらに、前記2次凝縮器セクション内の各チューブの下端に接続され流体連通する底部ボンネットの内側に内部2次チャンバを備える、大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項2】
各前記出口流れオリフィスは、前記対応するチューブの断面積の50%以下である面積を有する、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項3】
前記1次凝縮器チューブの量は、全体熱交換器セクションの90%より大きく、
前記2次凝縮器チューブの量は、ACCの全体熱交換器セクションの10%未満である、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項4】
前記2次凝縮器セクションは、前記熱交換パネルに沿って中央に設置され、1次凝縮器セクションがその端部に位置している、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項5】
前記チューブは、5.2~7mmの断面幅を有する、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項6】
前記チューブは、6.0mmの断面幅を有する、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項7】
前記熱交換器パネル内の前記複数のチューブは、前記チューブの平坦な側面に取り付けられたフィンを有し、
前記フィンは、9~10mmの高さを有し、1インチあたり5~12個のフィンで離隔している、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項8】
前記熱交換器パネル内の前記複数のチューブは、前記チューブの平坦な側面に取り付けられたフィンを有し、
前記フィンは、隣接するチューブ間にある空間に渡る18mm~20mmの高さを有し、隣接するチューブに接触しており、前記フィンは、1インチあたり5~12個のフィンで離隔している、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項9】
逆流を最小化し、非凝縮性ガスを一掃し、1次凝縮器チューブ内でのデッドゾーンの形成を防止するために、出口ヘッダ圧力を削減しながら、ACC内の2次凝縮器チューブの量を低減する方法であって、
標準的な1次凝縮器チューブを、対応する1次凝縮器チューブの断面積の50%以下の面積を有する出口オリフィスを有する凝縮器チューブに置換するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却水の入手可能性の減少およびコスト上昇に起因して、蒸気タービンを組み込んだ発電所では、熱を環境に放散するために、間接蒸発冷却塔の代わりに直接空冷式蒸気凝縮器(ACC)が使用される。
【0003】
直接ACCでは、蒸気タービンを出た蒸気は、タービン排気ダクトおよび蒸気ダクトマニホールドを介して1次凝縮器チューブセット(第1ステージ凝縮器)に供給される。1次凝縮器チューブを出た残留蒸気が、2次凝縮器チューブセット(第2ステージ凝縮器、分縮器(dephlegmator)、または還流凝縮器)で凝縮される。第2ステージ、または2次凝縮器チューブは、1次チューブの出口マニホールドから1次チューブの一部の意図した出口への流れである逆流を最小化する。逆流は、1次チューブ間の圧力変動によって生ずる。より高い出口圧力を備えたチューブは、出口マニホールドを、より低い出口圧力を備えたチューブよりも大きい圧力に上昇させる。これにより蒸気は、出口マニホールドから、より低い出口圧力を備えたチューブに流れ込むようになる。1次チューブで逆流が発生すると、チューブは、実質的に2つの蒸気入口を有し、非凝縮性ガスの蒸気出口経路がなくなり、ポケットまたはデッドゾーンの中に蓄積する。凝縮器チューブ内でのデッドゾーンの形成により、ACCが蒸気を凝縮する能力を減少させ、チューブ内の凝縮液を凍結させる可能性がある。
【0004】
蒸気経路の1次凝縮器チューブ出口マニホールドの下流に位置する2次凝縮器チューブにより、1次凝縮器チューブを通る追加の蒸気の流れが可能になり、これにより1次チューブを通る圧力降下が増加し、出口マニホールド圧力が減少する。出口マニホールドの圧力が減少したときに逆流を生じさせるには、1次チューブ間でより大きい圧力変動が必要になる。従って、2ステージ凝縮器は、圧力変動およびデッドゾーンの形成に対してより耐性がある。2次凝縮器チューブは、1次チューブから非凝縮性ガスを収集して分離し、典型的には、真空ポンプまたは蒸気ジェット空気エジェクタ、またはその両方で構成される空気除去システムを通じて大気中に放出される。
【0005】
ACCは、典型的には、モジュールまたはセルの列状またはストリート状に配置され、それぞれが蒸気分配マニホールドと一列に整列している。いくつかの列またはストリートは、互いに隣接して配置され、セルまたはモジュールの長方形アレイを形成できる。各列またはストリートは、1次凝縮器チューブと2次凝縮器チューブを、別個のセルまたはモジュールとして、あるいは、これらの間に散在して組み込む。HEI規格のセクション2.29は、「第2ステージセルは、残留蒸気と非凝縮物を収集し、上部において空気除去システムと、底部において凝縮液ヘッダに接続される。これは、分縮器、または2次または還流セルとも称される。」と説明する。
【0006】
文献(K Wilber, K Zammit,(EPRIのACCガイドライン)によると,「セルまたはモジュールの合計数は、第1モジュールと第2モジュールの合計である。1次モジュールは、熱伝達と凝縮の大部分を担当し、2次セルは、残留熱伝達と非凝縮性の収集と排出を担当する。(…)第1モジュールの数は、典型的には、モジュールの合計数の約80%である。(…)第2モジュールの数は、典型的には、モジュールの合計数の約20%であり、典型的には、列(またはストリート)あたり1つのモジュールが存在する。」
【0007】
オーウェン(Owen)(ステレンボッシュ大学、空冷式蒸気凝縮器)は、「CFD、数値的、分析的、実験的手法の組合せを用いた実際の空冷式蒸気凝縮器の蒸気側動作」を研究しつつ、「1次凝縮器での蒸気流れ分布および分縮器性能。」に特別の注意を向けている。オーウェンは、「1次凝縮器内の蒸気の流れは、熱交換器チューブ間で不均一な分布を示すことが示される。(…)不均一な流量分布により、複数列の1次凝縮器バンドルの場合、列効果の要求に対して、分縮器の性能に対する追加の要求を課す。」ことを論証した。オーウェンは、複数列の凝縮器バンドルの影響と、チューブ入口損失係数の横方向変動の影響に研究を集中させた。オーウェンはさらに、「単列1次凝縮器バンドルの使用により、分縮器への要求を低減する最大の可能性を保持している。1次凝縮器での列効果を排除することによって、分縮器の負荷が最大で70%削減できる。非理想的な動作に対処するために得られた大きな安全マージンは、大規模ACCでのファンの性能と再循環に対する風による悪影響が十分に文書化されていることを考慮すると、極めて望ましい。」と結論付けた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
我々の実験は、単列凝縮器チューブバンドルを用いたとしても、ACCの凝縮能力に影響を与える外部パラメータのうち、熱交換器チューブ間の面空気速度の変化の結果、および熱交換器の表面を通過する突風の影響として、1次凝縮器チューブ内の蒸気流れの不均一な分布および得られる圧力変動が発生することを論証した。これらの非理想的な動作条件は、2次凝縮器チューブに負荷をかけ、これは、2次凝縮器チューブの割合を増加させることによってそれを改善するように当業者を導くであろう。しかしながら、2次チューブの割合が増加すると1次チューブの割合が減少し、1次チューブ内の蒸気速度と蒸気側圧力降下の対応する増加を導くことを我々は発見した。圧力損失の増加とそれに伴う凝縮温度の低下により、特に低い圧動作条件において、ACCの熱性能、または凝縮能力を減少させる。従って、ACCの全体的寸法とコストを削減し、1次凝縮器チューブの範囲を最大化し、2次凝縮器チューブの範囲を最小化することに関心がある。
【0009】
ここで提示される発明は、発電所などのための大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器のための新しく改良された設計であり、これは、先行技術のACCに比べて著しい改善および利点を提供する。本発明の革新技術は、各1次凝縮器チューブが、流れオリフィスを有するその出口端においてキャップまたはプレートを有し、そのため各オリフィスが蒸気側圧力損失を提供して、これは出口マニホールド圧力を減少させて、1次チューブ間の逆流を防止する。オリフィスを通る平均流量は、設計時の2次チューブの割合によって決定される。オリフィスのサイズと2次チューブの割合は、出口マニホールド圧力を所望の目標値まで減少させるように選択され、1次凝縮器チューブ全体に渡る蒸気の流れを調整してバランスを取り、逆流のリスクを排除し、1次凝縮器チューブの上部にあるデッドゾーンの形成を防止する。
【0010】
1次チューブ出口オリフィスは、チューブ自体の断面積の半分以下の面積を有してもよい。
【0011】
各1次凝縮器チューブの出口端におけるオリフィスを組み込みによって、逆流を最小化し、非凝縮性ガスを一掃し、デッドゾーンの形成を防止するために充分に出口ヘッダ圧力を減少させつつ、2次凝縮器チューブの量を大幅に低減できる。2次凝縮器チューブにより、非凝縮性ガスが分離され、空気除去システムを通じて大気中に排出される。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、熱交換器パネルは、熱交換器パネルの実質的に中心に位置決めされ、互いに同一でも同一でなくてもよい1次凝縮器セクションが両側に位置する一体型の2次凝縮器セクションを用いて構成される。底部ボンネットが、熱交換器パネルの底部長さに沿って延びており、蒸気を1次凝縮器チューブの下端に配給するために、底部チューブシートの底面に接続される。この構成では、凝縮の第1ステージは、逆流動作で発生する。チューブの上部は、上部チューブシートに接続され、続いてその上部側で上部ボンネットに接続される。例えば、米国特許第10982904号を参照(その開示は全体でここに組み込まれる)。本発明によれば、各1次凝縮器チューブは、その上部/出口端部においてキャップまたはプレートを組み込んでおり、キャップまたはプレートは、狭窄された流れオリフィスを有する。オリフィスは、長方形、丸楕円形、または円形でもよく、チューブ自体の断面積の約50%以下の面積を有してもよい。未凝縮蒸気および非凝縮物は、1次凝縮器チューブからオリフィスを通って上部ボンネットに流入し、熱交換器パネルの中心に向けて流れ、そこで2次凝縮器セクションのチューブの上部に入る。この配置では、凝縮の第2ステージが並流動作で発生する。非凝縮物および凝縮液は、2次チューブの底部を流出し、底部ボンネットの内側に設置された内部2次チャンバの中に流れ込む。非凝縮物および凝縮液は、出口ノズルを介して底部ボンネット2次チャンバから引き出され、非凝縮性ガスは分離されて、空気除去システムに送られ、凝縮液は引き出されて送られ、1次凝縮器セクションから収集された水と合流する。1次凝縮器チューブの割合は、ACCの合計熱交換器セクションの90%以上であり、2次凝縮器チューブの割合は、ACCの合計熱交換器セクションの10%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の好ましい実施形態に係る2ステージ熱交換器パネルの側面図である。
【
図2】
図1Aの断面B-Bに沿った1次凝縮器チューブの上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る2ステージ熱交換器パネルの側面図である。
【
図6】
図3に示す熱交換器パネルのC-C線に沿った断面図である。
【
図7】
図3に示す熱交換器パネルのD-D線に沿った断面図である。
【
図8】
図3に示す熱交換器パネルのE-E線に沿った断面図である。
【
図9】本発明の代替の実施形態に係る2ステージ熱交換器パネルおよび上側蒸気分配マニホールドの側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る、平坦なシールドプレートを備えた
図9に示すタイプの底部ボンネットの断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る、湾曲したシールドプレートを備えた
図9に示すタイプの底部ボンネットの断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の平面図である。
【
図14】
図13に示す大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の1つのセルの拡大側面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る、2次底部ボンネットからの任意の凝縮液配管を含む、蒸気分配マニホールドおよびその熱交換器パネルとの接続部の立面図である。
【
図16】
図14に示した大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の1つのセルの更なる拡大側面図であり、2ペアの熱交換器パネルの端面図を示す。
【
図17】蒸気分配マニホールドが、上昇したタービン蒸気ダクトに直接接続されている、本発明の一実施形態に係る大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の側面図である。
【
図18】蒸気分配マニホールドが、上昇したタービン蒸気ダクトに直接接続されている、本発明の代替の実施形態に係る大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の側面図である。
【
図20】蒸気分配マニホールドがエンドライザーを介して地上レベルタービン排気ダクトに接続された、本発明の一実施形態に係る大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の平面図である。
【
図21】
図20の実施形態のA-A断面に沿った立面図である。
【
図22】
図20の実施形態のB-B断面に沿った立面図である。
【
図23】事前組み立ての単一の凝縮器モジュールの上部斜視図を示し、そこから懸架された上部蒸気分配マニホールドを含む。
【
図24】事前組み立ての単一の凝縮器モジュールの底部斜視図を示し、そこから懸架された上部蒸気分配マニホールドを含む、
【
図25】
図23と
図24に示す凝縮器モジュールに対応する単一セル用のファンデッキおよびファン(プレナム)サブアセンブリの上部斜視図を示す。
【
図26】
図23と
図24に示す凝縮器モジュールに対応する単一セル用のファンデッキおよびファン(プレナム)サブアセンブリの底部斜視図を示す。
【
図27】
図23と
図24に示す凝縮器モジュールに対応する単一セル用のタワーフレームの斜視図を示す。
【
図28】
図25と
図26のファンデッキおよびファン(プレナム)サブアセンブリが
図23と
図24の凝縮器モジュールおよび
図27のタワーセクションの上部に設置された、完全に組み立てられたACCセルを示す。
【
図29】本発明の一実施形態に係るファンデッキプレートの図であり、各プレナムセクションモジュールは、複数のファンデッキプレートを支持し、各ファンデッキプレートは、複数のファンを支持する。
【
図30】本発明の実施形態を示す図であり、ファンデッキは、熱交換器の上方のファンデッキ構造上に支持された複数のファンデッキプレートを含み、各ファンデッキプレートは、複数のファンを含み、ファンデッキプレートは、その長手軸が熱交換パネルの長手軸に対して垂直になるように配置される。
【0014】
添付図面の構成は、下記の参照番号が付与される。
2 熱交換器パネル
3 1次チューブ出口オリフィス
4 1次凝縮器セクション
5 1次チューブ出口キャップ/プレート
6 2次凝縮器セクション
7 チューブ
8 凝縮器バンドル
10 上部チューブシート
12 上部ボンネット
14 下部チューブシート
15 リフト/サポートアングル
16 底部ボンネット
18 蒸気入口/凝縮液出口
20 シールドプレート
21 穿孔
22 波型(scallop)エッジ
24 2次底部ボンネット
26 ノズル(2次底部ボンネット用)
27 ACC凝縮器モジュール(セル)
29 Y字状ノズル
31 タービン排気ダクト(汎用)
34 ACCセルのストリート/列
36 フレーム(熱交換セクションの)
37 熱交換モジュール
40 偏向器シールド
42 凝縮液配管
50 ハンガー
62 下部構造モジュール
64 プレナムセクションモジュール
66 蒸気分配マニホールド(SDM)
68 上昇したタービン排気ダクト
72 ファンデッキプレート
74 小型ファン
76 地上レベルタービン排気ダクト(GLTED)
78 エンドライザー(GLTEDからSDMへ)
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の概要で概説したように、本発明の中心的な革新が、
図1Bに示すような出口オリフィス3を備えた1次チューブ出口キャップ/プレート5を有するACC用の1次凝縮器チューブである。オリフィスは、円形、長方形、卵形、楕円形など、任意の形状を有することができる。各チューブは、単一のオリフィスだけを備えた出口キャップ/プレートを有してもよく、各チューブの出口キャップ/プレートは、2つ以上のオリフィスを有してもよい。1つのチューブについて全ての出口オリフィス3の合計面積は、チューブの断面積の50%以下であることが好ましい。好ましい実施形態によれば、単一のチューブについて1つ以上の出口オリフィスの合計面積は、チューブの断面積の5%~50%である。より好ましい実施形態によれば、単一のチューブについて1つ以上の出口オリフィスの合計面積は、チューブの断面積の10%~40%である。さらにより好ましい実施形態によれば、単一のチューブについて1つ以上の出口オリフィスの合計面積は、チューブの断面積の20%~30%である。セル/モジュール内、セル/モジュールの列またはストリート内、またはACC全体に渡って、1次凝縮器チューブと2次凝縮器チューブの比率は、好ましくは90:10であり、85:15から95:5の範囲でもよい。上述のように、1次チューブ出口オリフィス3のサイズおよび2次チューブの割合は、1次凝縮器チューブを横断する蒸気流れを調節してバランスさせるために、出口マニホールド圧力を所望の目標値まで低減するように選択することができ、それによって逆流のリスク、1次凝縮器チューブの上部のデッドゾーンの形成を低減し、または排除できる。
【0016】
本発明の特徴は、任意の構成のACCとの組合せで使用できるが、
図3~
図30に示す種々の構成によるACCとの組合せで使用することが最も好ましい。
図3~
図8を参照すると、熱交換器パネル2は、一体化され中央配置された2次凝縮器セクション6の両側に位置する2つの1次凝縮器セクション4を含む。各熱交換器パネル2は、複数の別個の凝縮器バンドル8から構成され、凝縮器バンドル8の第1サブセットが、中央配置の2次セクション6を構成し、異なる凝縮器バンドル8の第2サブセットが、各隣接する1次セクション4を構成する。1次セクションおよび2次セクションのチューブ7の寸法および構造は、1次セクションのチューブの上部にある出口オリフィスを除いて、同一であることが好ましい。それらの上部では、1次セクション4および2次セクション6の両方のチューブ7の全てが上部チューブシート10に接合され、その上に、熱交換器パネル2の上部の長さに渡って延びている中空の上部ボンネット12が設置される。1次セクション4および2次セクション6の全てのチューブ7の底部は、底部ボンネット16の上部を形成する底部チューブシート14に接続される。底部ボンネット16も同様に、熱交換器パネル2の長さに渡って延びている。底部ボンネット16は、1次セクション4のチューブ7と直接に流体連通しているが、2次セクション6のチューブとは流体連通していない。底部ボンネット16は、その長さの中心点において単一の蒸気入口/凝縮液出口18が取り付けられており、これは、熱交換器パネル2のための全ての蒸気を受け入れて、1次セクション4から収集された凝縮液の出口として機能する。底部ボンネット16の底部は、ボンネット16の両端から熱交換器パネル2中央において、蒸気入口/凝縮液出口18に向かって水平に対して1°~5°、好ましくは約3°の角度で下向きに傾斜していることが好ましい。好ましい実施形態によれば、
図9~12を参照すると、底部ボンネット16は、蒸気流から凝縮液流を区分するためのシールドプレート20を含むことができる。シールド20は、穿孔21および/または波型(scallop)エッジ22を有してもよく、あるいは、シールド20の上部に落下した凝縮液がシールドの下方の空間に入り、シールドの下方を通って入口/出口18に向けて流れることができるための他の開口または構成を有してもよい。底部ボンネット16の端部から見た場合、シールドプレート20は、ほぼ水平の角度(水平と水平から斜め方向の12°の間)で取り付けられ、底部ボンネット16によって蒸気の流れに提供される断面積を最大化するようにしている。シールドプレート20は、
図11に示すように平坦でもよく、
図12に示すように折り曲げられてもよい。上部チューブシート10および下部チューブシート14には、熱交換器2を持ち上げたり、および/または、支持するためのリフト/サポートアングル15が装着されてもよい。
【0017】
内部2次チャンバ、または2次底部ボンネット24は、2次セクション6のチューブ7のみと直接に流体接続して底部ボンネット16の内側に装着され、2次セクション6の長さに渡って延びているが、それを超えないことが好ましい。この2次底部ボンネット24には、非凝縮性物質および凝縮液を取り出すためのノズル26が装着される。
【0018】
熱交換器パネル2の蒸気入口/凝縮液出口18、および同じACCセル/モジュール27内の熱交換器パネルの全ての蒸気入口/凝縮液出口18は、熱交換器パネルの下方に設置された蒸気分配マニホールド66に接続され、これは、これらの中間点において熱交換器パネル2の長手方向軸に対して垂直に延びている。例えば、
図23、
図24、
図30を参照。この実施形態では、蒸気分配マニホールド66は、セル/モジュール27の幅を横断して延びており、隣接するセル/モジュールまで続いている。蒸気分配マニホールド(SDM)66の上面は、各熱交換器パネル2の中心点の下方を通過しており、蒸気分配マニホールド66には、Y字状ノズル29が装着され、これは、熱交換器パネル2の各隣接ペアの底部(例えば、
図16を参照)において、蒸気入口/凝縮液出口18に接続する。
【0019】
この構造によれば、ACCの各セル27は、各熱交換器パネル2の中心点の直下に設置された蒸気分配マニホールド66から蒸気を受け取り、蒸気分配マニホールド66は、単一の蒸気入口/凝縮液出口18を介してセル27内の熱交換器パネル2の各々に蒸気を供給する。
【0020】
従って、工業プロセスからの蒸気は、地上レベルまたはその近くに、または現場レイアウトに適した任意の高さにおいて、タービン排気ダクト31に沿って進行する。蒸気ダクト31が本発明のACCに接近すると、それは、複数のサブダクト(蒸気分配マニホールド66)に分割され、ACCの各ストリート(セルの列)34につき1つずつである(例えば、
図13を参照)。各蒸気分配マニホールド66は、セル34の個々のストリートの下方で進行する。蒸気分配マニホールド66は、凝縮器モジュール37のフレーム36から懸架してもよく、下部構造モジュール62のフレーム内に支持されてもよく、別個の構造によって下方から支持されてもよい。蒸気分配マニホールド66は、複数のY字状ノズル29を経由して、熱交換器パネル2の各隣接ペアのボンネット入口/出口18のペアに蒸気を配給する(
図15と
図16)。蒸気は、底部ボンネット16に沿って、1次セクション4のチューブ7を通って上に進行し、空気が1次凝縮器セクション4のフィン付きチューブ7を通過するときに凝縮する。凝縮された水は、1次セクション4の同じチューブ7を蒸気とは逆流して下に進行して、底部ボンネット16に集まり、最終的に、蒸気分配マニホールド66およびタービン排気ダクト31を経由して凝縮液収集タンクに排出される(例えば、
図21を参照)。好ましい実施形態によれば、底部ボンネット16と蒸気分配マニホールド66との間の接続には、流入する蒸気から排出/落下する凝縮液を分離するための偏向器シールド40が装着されてもよい。
【0021】
未凝縮蒸気および非凝縮物は、上部ボンネット12に集められ、熱交換器パネル2の中心に引き込まれ、そこで形成される凝縮液と並流して2次セクション6のチューブ7を下に進行する。非凝縮物は、底部ボンネット16の内側に設置された2次底部ボンネット24の中に引き込まれ、出口ノズル26から排出される。2次セクション6内で形成された追加の凝縮液は、2次底部ボンネット24内に集まり、同様に出口ノズル26を通って進行し、そして凝縮液配管42を通って蒸気分配マニホールド66まで進行し、1次凝縮器セクション4から収集された水と合流する。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、熱交換器パネル2は、複数の可撓性ハンガー50によって凝縮器モジュール37のフレームワーク36から懸架されており、これにより熱負荷および天候に基づいた熱交換器パネル2の膨張および収縮を許容する。
図16は、ハンガー50が凝縮器モジュール37のフレーム36にどのように接続されるかを示す。
【0023】
熱交換パネル2はそれぞれ、熱交換モジュールフレームワーク36内に独立して装填され、支持できる。熱交換パネル2は、種々の構成のいずれかに従って熱交換モジュールフレームワーク36内に支持できる。
図14~16は、熱交換モジュールフレームワーク36内に独立して支持された熱交換パネル2を示しており、隣接する熱交換パネル2は、V字状ペアで垂直に対して反対方向に傾斜している。
【0024】
図17~19に示す本発明の一実施形態によれば、蒸気分配マニホールド66は、上昇したタービン蒸気ダクト68に直接接続でき、各蒸気分配マニホールド66は、凝縮器セル27のストリート/列34の長さに沿って、複数の熱交換モジュールの熱交換パネルの中心点の下方に延びている。蒸気分配マニホールド66は、前述したように、熱交換モジュールフレームから懸架してもよく、ACCフレームの他の部分によって支持してもよく、あるいは別個の構造によって下から支持してもよい。
【0025】
図20~27に示す本発明のさらに代替の実施形態によれば、複数の蒸気分配マニホールド(SDM)66は、エンドライザ-(riser)78を介して地上レベルタービン排気ダクト(GLTED)76に接続できる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明のACCはモジュール方式で構築される。種々の実施形態によれば、下部構造62、凝縮器モジュール37、およびプレナムセクション64は、地上で別々かつ同時に組み立て可能である。いったん凝縮器モジュール37が組み立てられると、それを持ち上げて、対応する完成した下部構造62の上部に置くことができる(例えば、
図23~
図28を参照)。
【0027】
各ACCモジュール27のためのプレナムセクション64は、プレナムセクションフレーム、プレナムセクションフレーム上に支持されたファンデッキ、ファンおよびファンシュラウド(shroud)を含み、
図13、14、
図17~
図22、
図25および
図28に示すように、単一の大型ファンとともに地上で組み立て可能であり、あるいは、
図29と
図30に示すように、複数の細長いファンデッキプレート72とともに(地上レベルでも)組み立て可能であり、それぞれが複数の小型ファン74を列状に支持する。
【0028】
ここで説明する組み立ては、平面で実行されるものとして説明しているが、計画および建設計画が許されれば、種々のモジュールの組み立ては最終位置で実行してもよい。
【0029】
本明細書の全ての特徴および代替の実施形態は、互換性のない実施形態を除いて、本明細書に記載される他の全ての特徴および実施形態とともに機能し、組み合わせて使用されることが意図されて想定されている。即ち、本明細書で説明する各熱交換モジュール構成、本明細書で説明する各熱交換パネル構成、本明細書で説明する各チューブタイプおよび各フィンタイプ、本明細書で説明する各蒸気マニホールド構成、および各ファン構成は、互換性のある実施形態の全ての組合せを備えた種々のACCアセンブリで使用されることを意図しており、本発明は、説明の目的で明細書および図面に反映されている実施形態の例示の組合せに限定されるとは本発明者は考えていない。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用蒸気製造施設に接続された大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器であって、
凝縮器モジュールの列を備える凝縮器ストリートを備え、
各凝縮器モジュールは、熱交換器セクション内に支持された複数の熱交換器パネルを経由して空気を引き込む単一のファンまたは複数のファンを含むプレナムセクションを備え、熱交換器パネルは、長手軸と、その長手軸に対して垂直な横軸を有し、
各熱交換器パネルは、
1次凝縮器セクションおよび2次凝縮器セクションを含み、それぞれが複数のチューブを
含み、
各前記熱交換器パネルはさらに、前記1次凝縮器セクションおよび前記2次凝縮器セクション内の前記複数のチューブの各々の上端に接続され流体連通する上部ボンネットと、
前記1次凝縮器セクション内の前記複数のチューブ
の下端に接続され流体連通する底部ボンネットとを備え、
前記底部ボンネットは、単一の蒸気入口を有し、
前記凝縮器ストリートはさらに、前記熱交換器セクションの下方にあり、前記熱交換器パネルの中間点において前記熱交換器パネルの長手軸に対して垂直な軸に沿って配置され、前記複数の熱交換器の下方で前記凝縮器ストリートの長さに延びている蒸気分配マニホールドを備え、
前記蒸気分配マニホールドは、その上面に複数の接続部を有し、前記複数の接続部の各々は、対応する前記単一の蒸気入口に接続するように構成され、
前記1次凝縮器セクション
内の前記複数のチューブの各々の前記上端は、前記1次凝縮器セクション内の
それぞれ対応するチューブの
残りの断面積よりも狭い面積を有する出口流れオリフィスを備え、
各熱交換パネルはさらに、前記2次凝縮器セクション内の各チューブの下端に接続され流体連通する底部ボンネットの内側に内部2次チャンバを備える、大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項2】
各前記出口流れオリフィスは、前記対応するチューブの断面積の50%以下である面積を有する、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項3】
前記1次凝縮器チューブの量は、全体熱交換器セクションの90%より大きく、
前記2次凝縮器チューブの量は、ACCの全体熱交換器セクションの10%未満である、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項4】
前記2次凝縮器セクションは、前記熱交換パネルに沿って中央に設置され、1次凝縮器セクションがその端部に位置している、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項5】
前記チューブは、5.2~7mmの断面幅を有する、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項6】
前記チューブは、6.0mmの断面幅を有する、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項7】
前記熱交換器パネル内の前記複数のチューブは、前記チューブの平坦な側面に取り付けられたフィンを有し、
前記フィンは、9~10mmの高さを有し、1インチあたり5~12個のフィンで離隔している、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項8】
前記熱交換器パネル内の前記複数のチューブは、前記チューブの平坦な側面に取り付けられたフィンを有し、
前記フィンは、隣接するチューブ間にある空間に渡る18mm~20mmの高さを有し、隣接するチューブに接触しており、前記フィンは、1インチあたり5~12個のフィンで離隔している、請求項1に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項9】
逆流を最小化し、非凝縮性ガスを一掃し、1次凝縮器チューブ内でのデッドゾーンの形成を防止するために、出口ヘッダ圧力を削減しながら、ACC内の2次凝縮器チューブの量を低減する方法であって、
標準的な1次凝縮器チューブを、対応する1次凝縮器チューブの断面積の50%以下の面積を有する出口オリフィスを有する凝縮器チューブに置換するステップを含む、方法。
【国際調査報告】