(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】自動車ロックの為の閉鎖装置
(51)【国際特許分類】
E05B 79/22 20140101AFI20240725BHJP
E05B 81/90 20140101ALI20240725BHJP
E05B 79/06 20140101ALI20240725BHJP
E05B 81/22 20140101ALI20240725BHJP
E05B 83/26 20140101ALI20240725BHJP
【FI】
E05B79/22 B
E05B81/90
E05B79/06
E05B81/22
E05B83/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508560
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 DE2022100529
(87)【国際公開番号】W WO2023016600
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021120893.9
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クレイチ, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロス, マーティン
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250JJ33
2E250JJ39
2E250JJ48
2E250KK02
2E250LL14
2E250QQ05
2E250QQ10
2E250RR13
(57)【要約】
本発明は、自動車ドア用ロックの閉鎖装置に関し、特に自動車ドア用ロックの閉鎖補助装置に関する。基本設計によれば、前記閉鎖補助装置は、実質的に回転ラッチ(1)と爪部(2)とからなるロック機構(1,2)を有する。さらに、電気モータ(5)と電気モータ(5)の下流の伝達装置(6,7,8,9)とを実施される。伝達装置(6,7,8,9)は、少なくとも閉鎖動作時には回転ラッチ(1)上で動作することが好ましい。本発明によれば、閉鎖動作を機械的に中断するためにロックハウジング(4)に装着されたハンドル(10)が提供され、該ハンドルは、伝達装置(6,7,8,9)の構成部品として選択的に係合および係合解除される力束要素(8)に突き当たる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ラッチ(1)と爪部(2)とからなるロック機構(1,2)と、さらに電気モータ(5)と、前記電気モータ(5)に追従する伝達装置(6,7,8,9)とを備える、閉鎖装置であって、
前記伝達装置(6,7,8,9)は、少なくとも前記回転ラッチ(1)の閉鎖動作中に動作することが好ましく、
前記閉鎖動作を機械的に遮断するためのハンドル(10)がロック用ハウジングに装着され、前記ハンドルが、前記伝達装置(6,7,8,9)の構成部品として選択的に係合及び係合解除可能な力束要素(8)に突き当たることを特徴とする、自動車ロック用閉鎖装置、特に自動車ドア用ロックの閉鎖補助装置。
【請求項2】
前記ハンドル(10)は、前記爪部(2)に直接または間接的に突き当たるように更に設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハンドル(10)は、少なくとも要素アーム(10a)及び爪部アーム(10b)を備えた複数のアームで設計されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハンドル(10)に突き当てアーム(10c)が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ハンドル(10)が、一体型またはマルチパート設計ンを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ハンドル(10)が前記力束要素(8)に直線状に突き当たることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記力束要素(8)は、バネ(12,13)によってその係合位置で予張力がかけられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記バネ(12,13)はが、前記力束要素(8)と前記ハンドル(10)の両方に突き当たることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記バネ(12,13)は、螺旋バネ(12)または板バネ(13)として設計されていることを特徴とする、請求項7又はは8に記載の装置。
【請求項10】
前記力束要素(8)は、歯付きホイール要素および/または結合要素として設計されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の閉鎖装置を特徴とする、自動車用ロック、特に自動車ドア用ロック、好ましくは、自動車トランク蓋用ロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、実質的に回転ラッチおよび爪部からなるロック機構と、さらに電気モータと、電気モータに追従する伝達装置とを備えた自動車ロックのための閉鎖装置、特に自動車ドア用ロック閉鎖補助装置に関し、伝達装置は、少なくとも閉鎖プロセス中、回転ラッチに動作することが好ましい。
【0002】
[0002]たとえば、DE 198 28 040 A1に従った一般的な先行技術によって、自動車ロックの為の閉鎖装置、特に、自動車ドア用ロック閉鎖補助装置がしばらくの間使用されてきた。この場合、モータシャフトとネジとを介して制御ディスクを回転させる電気モータが設けられる。これに関連して、回転ラッチは、閉鎖プロセス中に制御ディスクと相互作用する停止要素を有する。この場合、伝達装置は、モータシャフト、制御ディスクおよびその上に置かれたピンによって画定される。結果として、「伝達装置」という用語は、本出願の範囲内で広く解釈されるべきであり、すなわち、伝達装置は、典型的には、最も広い意味で、電気モータのモータシャフトの回転運動の伝達(またはギア減速)を確実にするという効果である。
【0003】
[0003]これは、制御ディスクおよびピンに関連するネジの複合効果によって実現および実施することができる。加えて、伝達装置の他の実施形態も考えられる。
【0004】
[0004]従って、DE 10,2019107845 A1による更なる同様に一般的な先行技術は、牽引機構上の電気駆動装置の助けを借りて働き、それは、閉鎖爪部を介して回転ラッチに必要な閉鎖力を加える。この時点でピンチ保護を実現し実施するために、電圧および/または電流パルスが閉鎖プロセス中に生成される。この機能として、コントローラは、電気駆動装置をスイッチオフすることができる。さらに、この場合、駆動装置を逆転させることができる。
【0005】
[0005]その結果、効果的なピンチ保護を実現し、実施することができる。けれども、設計は複雑である。しかしながら、このようなピンチ保護は、損傷を回避するために、このような閉鎖装置において実際には不可欠である。これは、回転ラッチの閉鎖プロセス中に、回転ラッチによって捕捉されたロック用ボルトも閉鎖の意味で作用されるという事実によって実質的に説明される。ロック用ボルトは、通常、関連する自動車ドアに接続されているので、当該自動車ドアの閉鎖運動は、これに直接対応する。この過程で、たとえば、操作者の指が自動車ドアと自動車本体との間の隙間に入ると、挟み込みが生じ得る。
【0006】
[0006]加えて、実質的に、そのような閉鎖装置は、閉鎖作動機構の中断を提供することが必要である。緊急のロック解除はこれに相当する。このような緊急のロック解除の助けを借りて、たとえば、使用者は、関連する車両用ロックをロック解除して、それを開放することができる。これは、閉鎖補助装置を備えたトランク蓋用ロックにとって特に重要である。これは、車両のトランクまたは後部区画に人がいる場合、緊急ロック解除が機能していなければ、実施例のケースではトランクの蓋を開放することができないからである。
【0007】
[0007]同時に、必要とされる有効性は、当然変更されずに提供されるべきであり、閉鎖装置は、特に、関連する自動車ドアと自動車本体との間で圧縮されるドアゴムによる閉鎖時に生じる反力を克服することができなければならない。
【0008】
[0008]したがって、本発明は、このような閉鎖装置を更に発展させるという技術的課題に基づいており、その結果、有効性は変わらず、構造的に単純で費用効果の高い実施形態が、緊急ロック解除および緊急開放のために提供される。
【0009】
[0009]この技術的問題を解決するために、自動車用ロックのための一般的な閉鎖装置は、ロック用ハウジングに装着されたハンドルが閉鎖動作を機械的に中断し、従って緊急ロック解除のために設けられ、このハンドルが、伝達装置の構成部品として選択的に係合および係合解除し得る力束要素に突き当たるという事実によって、本発明の範囲内で特徴付けられる。
【0010】
[0010]たとえば、DE 10,2019107845 A1による従来技術とは対照的に、本発明によれば、緊急ロック解除は純粋に機械的に実現され、複雑なセンサベースの解決策は明らかに省略される。ここで、ハンドルは、電気モータから伝達装置を介する回転ラッチへの力の発出(flow of force)が、センサの照会なしに非常に単純かつ純粋に機械的に遮断されることを確実にする。これは、ハンドルが、力束要素が伝達の構成部品として係合解除されることを確実にするためである。当該ハンドルは、典型的には、車両の内側またはトランクから動作することができ、一般的には、緊急ロック解除ハンドルとして設計され、構成される。その結果、本発明に係る車両ロックが緊急解除されることにより、その後にまたは一回の操作で車両ロックを開放することができる。有利に装備されるトランク蓋についても同様である。これは、本発明に係る車両用ロックの開閉装置は、一般的にはトランク蓋用ロックの開閉装置であるか、本発明の主題が、このようなトランク蓋用ロックであるからである。
【0011】
[0011]これに対して、ハンドルが作用されていない状態は、伝達装置と比較して係合している力要素に対応しており、その結果、電気モータから伝達装置を介して回転ラッチに力の発出が可能となり、このようにして、まず閉鎖動作が可能となる。これとは対照的に、力束要素の係合解除状態は、緊急ロック解除の過程における機械的中断に対応し、それによって関連する自動車ドアを開放することができる。
【0012】
[0012]これに関連して、設計はまた、使用者がハンドルを押すことによって緊急ロック解除を確実にすることができるように、車両用ロックに属するドアまたは車両ドアが開放しているときに、または車両内側からも、ハンドルがアクセス可能であるような設計である。全体として、ハンドルの設計および機械的接続は、ハンドルがロック用ハウジングに装着されているので、特に単純かつ有利な方法で実現される。
【0013】
[0013]この時点で、関連するロック用ハウジング上のハンドルの回転可能な装着が通常使用される。これは、ロック用ハウジングおよびハンドルの両方が通常はプラスチック製であるという点で、特に簡単な方法で実現および実施することができる。これにより、有利な摩擦状況、低コストおよび最小重量が得られる。
【0014】
[0014]加えて、設計は、通常、有利には、ハンドルが、伝達装置の構成部品として選択的に係合可能および係合解除可能な力束要素に突き当たるだけでなく、爪部に直接的または間接的に突き当たるように設定される。本発明は、閉鎖プロセスの機械的中断のために電気モータから回転ラッチへの伝達を介して力束を機械的に中断することは、さらに、機械的中断プロセス中に爪部が回転ラッチから持ち上げられる場合に、関連する車両ドアの妨げられない開放に対応するという知見に基づいている。
【0015】
[0015]換言すれば、閉鎖プロセスの機械的中断中の爪部に対する補足的または追加的な直接的または間接的な作用は、爪部が不注意に回転ラッチに落下して、たとえば、閉鎖プロセスの機械的中断に続く関連する車両ドアの開放プロセスを妨げることがないことを確実にする。その代わりに、当該車両ドアは、必要に応じて、操作者によって邪魔されることなく、開放するか又は移動させることができる。
【0016】
[0016]これは、閉鎖プロセスの機械的中断中に中断された、電気モータから伝達装置を介して回転ラッチへの力の発出が、または前述の緊急ロック解除の場合に、最初に回転ラッチの妨げられない移動を可能にするという事実に帰することができる。これは、対応する車両ドアに対しても保持されるが、対応する車両ドアは、通常、回転ラッチ内のロック用ボルトと係合するので、この場合にも抵抗なしに移動することができる。ここでロック用ボルトの運動、したがって回転ラッチの運動が妨げられないように、ハンドルは、一般的および追加的に、爪部が持ち上げられ、その結果、回転ラッチに落下できないこと、または回転ラッチが操作者によって導入されるその開放運動を妨げられないことを確実にする。これらが、主な利点である。
【0017】
[0017]設計という点では、ハンドルが複数のアームで設計されていることが証明されている。ハンドルは通常、少なくとも1つの要素アームおよび1つの爪部アームを有する。力束要素は、一般に、要素アームによって付き当てられる。対照的に、この文脈では、爪部アームは、爪部の付加的な突き当てを確実にする。ハンドルは通常、突き当てアームも有する。ハンドルは、突き当てアームを介して当該操作者によって作用されることが可能であり、たとえば、軸受として機能するロック用ハウジングに対して回転可能に旋回できる。
【0018】
[0018]これに関連して、ハンドルが一体に設計されている場合に有用であることがさらに証明されている。これは、ハンドルが有利にはプラスチック射出成形部品であるという点で、特に簡単な方法で実現することができる。しかしながら、ハンドルをマルチパートに設計することも可能である。この場合、手順は、通常、突き当てアームおよび爪部アームが、ハンドルの構成部品を代表し、ハンドルの設置中およびロックハウジングへの装着中、一般に、要素アームの形態の更なる第2の構成部品に回転可能に固定されて結合されるような手順である。この目的のために、対応する歯および対歯の形成は、回転的に固定された様式で互いに結合可能である。
【0019】
[0019]ハンドルは通常、力束要素に直線力を加えるために使用されるように設計される。力束要素への直線の突き当ては、力束要素が伝達装置内の力の発出を遮断することを簡単な方法で保証する。この目的のために、力束要素は典型的にはギア要素であり、通常はハンドルが負荷されていないときにト伝達装置の一部として係合位置をとり、したがって伝達装置の力束に一体化される。他方、力束要素またはギア要素の係合解除位置は、当該ギア要素がその隣接するギアから係合解除されることに対応し、それによって、伝達装置内側の力の発出が遮断される。
【0020】
[0020]しかしながら、原理的には、力束要素は、付加的にまたは代替的に結合要素であってもよい。ここで、結合要素は、ギア要素と同様に、その係合状態から係合解除状態に移行することができる。この目的のために、結合要素は、一般に、ハンドルによって直線的に作用される。結合要素の係合位置は、たとえば、伝達装置のギア間の接続が結合要素の助けを借りて確立されるという事実に対応する。一方、結合要素がその係合解除位置をとる場合には、関連する機械的接続が中断される。
【0021】
[0021]一般に、力束要素またはギア要素は、バネの助けを借りて、その係合位置で予張力がかけられる。すなわち、バネは、力束要素が係合位置をとることを確実にする。バネの力は、力束要素を係合解除位置に移動させるために、ハンドルの助けを借りて克服しなければならない。
【0022】
[0022]バネは、たとえば、力束要素上に設けられたピンを囲む螺旋バネとすることができる。代替的または追加的に、構成部品は、しかしながら、板バネとして設計することもできる。これに関連して、特に好ましい実施形態によれば、バネが力束要素およびハンドルの両方に突き当たる場合に好結果になることが証明されている。この場合、(単一の)バネは、力束要素がその係合位置の方向に確実に予張力がかけられるようにする。同時に、(単一の)バネは、ハンドルが突き当てられていないベース位置をとることを確実にする。
【0023】
[0023]したがって、閉鎖プロセスの機械的中断または緊急ロック解除のためにハンドルに作用する場合、ハンドルは、一方でハンドルをロック用ハウジングに対して変位させるために、他方で力束要素を係合解除し、さらに一般的に爪部を回転ラッチに対して持ち上げるために、(単一の)バネの力に抗して作用しなければならない。
【0024】
[0024]その結果、関連する自動車用ロックの緊急ロック解除を可能にし、原則的には、閉鎖プロセスの効果的な中断も可能にする閉鎖装置が提供されるが、この目的のために、驚くべき設計において、単純で費用効果の高い機械的解決策が提供される。この目的のために、選択的に係合および係合解除することができる力束要素が、伝達装置の構成部品として提供される。ロック用ハウジングに装着されたハンドルについても同様である。これにより、ハンドルは、異なる設計のロック用ハウジングおよび特定の要件に容易に適合させることができる。センサ、モータなどの追加的な装置は、明らかに不要である。代わりに、単純な機械的解決策が提供される。これらは、主な利点である。
【0025】
[0025]以下、例示的な実施形態のみを示す図面を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明によるラッチ装置の概要を示す。
【
図2】
図2は、2つの異なる実施形態における、開放されたハウジングを備えた
図1による閉鎖装置を示す。
【
図3】
図3は、2つの異なる実施形態における、開放されたハウジングを有する
図1による閉鎖装置を示す。
【
図4】
図4は、開放されたハウジングを備えた閉鎖装置を示しており、これも変形例である。
【0027】
【詳細な説明】
【0028】
[0026]図では、部分的にしか示されていない自動車用ロックまたは自動車ドア用ロックの為の閉鎖装置が示されている。これは、有利にはトランク蓋用ロックである。従って、自動車ドア用ロックの為の閉鎖補助装置をより詳細に説明し、図に示す。この目的のために、車両ドア用ロックの基本設計は、基本的に回転式ラッチ1と爪部2とからなるロック機構1、2を有しており、これは
図1では初歩的な形態でしか見ることができない。ロック機構1,2は、金属製ロック用ケース3に回転可能に装着されている。プラスチックで作られたロック用ハウジング4は、図示された自動車用ロックまたは自動車ドア用ロックのハウジングを提供する。
【0029】
[0027]閉鎖装置は、詳細には、電気モータ5と、電気モータ5に続く伝達装置6,7,8,9とを有する。このため、伝達装置6,7,8,9は、電気モータ5の出力シャフトに噛合する第1の伝達要素6と、第2の伝達要素7とから成る。2つの伝達要素6,7は、例示的な実施形態に従って互いにオフセットして配置されたギアとすることができる。ここで、力束要素8は特に重要であり、これは、
図1から
図3までの説明の文脈におけるギア要素である。対照的に、
図4による変形例では、力束要素8は結合要素として設計されている。
【0030】
[0028]力束要素8は、伝達装置6、7、8、9の構成部品であり、第1の伝達要素6及び第2の伝達要素7を出力側伝達要素9に結合し、出力側伝達要素9は、例示的な実施形態によれば、回転ラッチ1上で直接的又は間接的に動作する駆動爪部である。すなわち、出力側ギア要素側または駆動爪部9の回転運動により、たとえば、プレラッチ位置から始めて、回転ラッチ1がメインラッチ位置に旋回し、その結果、自動車ドア(図示せず)が閉鎖される。この目的のために、ギア機構6、7、8、9は、少なくともそのような閉鎖プロセスの間、回転ラッチ1に動作する。それに加えて、ここでは、電気モータ5から伝達装置6、7、8、9を介して回転ラッチ1への連続的な力の発出が観察される。しかしながら、原則的には、閉鎖装置または伝達装置6、7、8、9は、ロック用ボルト(図示せず)に動作することもできる。
【0031】
[0029]実際、当該自動車ドアは、明示的に示されていないが、ドアに固定された閉鎖用ボルトを装備しており、この閉鎖用ボルトは、回転ラッチ1によって(プレラッチ位置で)捕捉され、プレラッチ位置からメインラッチ位置までの回転ラッチ1の前述の閉鎖移動に追従する。これにより、対応する自動車ドアが閉鎖され、自動車ドアと自動車本体との間の隙間が閉鎖される。必要であり、関連する自動車用ロック、特に、トランク蓋用ロックが緊急時にロック解除されなければならず、従って関連するトランク蓋が開放されなければならない場合、本発明は、以下に説明する緊急ロック解除を提供する。
【0032】
[0030]本発明によれば、ロック用ハウジング4に装着されたハンドル10は、閉鎖プロセスを機械的に中断するために設けられている。ハンドル10は、伝達装置6、7、8、9の構成部品として、上述したように選択的に係合および係合解除可能な力束要素8に作用する。実際、ハンドル10は、一般に、力束要素8上で直線的に動作し、一点鎖線によって示される係合解除状態において、一方の力束要素8または上流側伝達要素6,7と他方の駆動爪部9との間の機械的接続が遮断されることを確実にする。この目的のために、ハンドル10は、
図2に示すように、ロック用ハウジング4に対して、その軸11を中心に反時計回りに作動される。実際に、ボルトまたはピンがロック用ハウジング4内またはロック用ハウジング4上に設けられ、このボルトまたはピンは、ハンドル10をロックハウジング4に回転可能に装着するための軸11を画定する。ここで、ボルトまたはピンは、プラスチック射出成形部品として設計されたロック用ハウジング4の構成部品を代表することができる。
【0033】
[0031]このようにして、力束要素8は、実線で示す典型的にとられる係合状態から、点線で示す係合解除状態に移行される。力束要素8の係合解除状態において、電気モータ5から伝達装置6、7、8、9を介する回転ラッチ1への力の発出が遮断される。これにより、緊急時には、回転ラッチ1と回転ラッチ1に捕捉されたロック用ボルトと、その結果、車両ドアを、前後に移動させることができ、それによって、ロック解除して開放することができる。
【0034】
[0032]このプロセスの間、爪部2が回転ラッチ1に不用意に係合しないことを確実にするために、例示的な実施形態において、ハンドル10は、上述のように、力束要素8が係合解除されることを確実にするだけではない。むしろ、ハンドル10は、爪部2に間接的にまたは直接的に突き当たるように更に設定される。ここで、爪部2は回転ラッチ1から持ち上げられる。
【0035】
[0033]このため、本実施形態に係るハンドル10は、複数のアームと、少なくとも1つの要素アーム10aと1つの爪部アーム10bとを装備している。突き当てアーム10cも見ることができる。操作者の手は、通常、突き当てアーム10cを把持し、ハンドル10が、ロック用ハウジング4に対して、その軸11を中心として
図2に示される反時計回りの移動を行うことを確実にする。これにより、一方では力束要素8が係合解除され、他方では爪部2が回転ラッチ1から持ち上げられる。その結果、上述した閉鎖プロセスの機械的な中断において、回転ラッチ1と、それによって捕捉されるロック用ボルトと、その結果、関連する自動車ドアは、力を有することなく前後に移動することができ、特に開放することができる。
【0036】
[0034]ハンドル10は、
図4に示されるように、全体として一体に設計することができる。また、原理的には、
図1~
図3の実施形態に対応したマルチパート設計も考えられる。この場合、ハンドルの一部は、爪部アーム10bと突き当てアーム10cとによって共に形成され、一方、マルチパート、この場合、2部品のハンドル10の他の一部は、要素アーム10aによって画定される。ここで、マルチパートまたは2部品のハンドル10の両方の部品は、ロック用ハウジング4上での組立中に、互いに回転可能に固定されて結合可能である。この目的のために、ハンドル10の一方の構成部品に接続されたピンは、ハンドル10の他方の構成部品と回転可能に固定された様式で係合する。同時に、ロック用ハウジング4の開口部が貫通されてシャフト11が画定される。
【0037】
[0035]
図1から
図3および
図4から、力束要素8は、バネ12,13によって、実線で示されるその係合位置で予張力がかけられていることが分かる。
図2による例示的な実施形態において、バネ12,13は、力束要素8のガイドピン8aを囲む螺旋バネ12である。実際には、力束要素8は、ガイドピン8aを介してその直線方向に案内され、その結果、係合解除状態において、ロック用ケーシング3に設けられた対応する開口部3aを通過できるように設計されている。
【0038】
[0036]対照的に、
図3の変形例によるバネ13は、板バネ13である。いずれの場合も、バネ12、13は、それぞれの場合において、力束要素8が実線で示される係合状態の方向に予張力がかけられることを確実にする。すなわち、力束要素8を点線で示す位置に係合解除するためには、関連するバネ12、13の力は、ハンドル10の助けを借りて克服されなければならない。
【0039】
[0037]
図4による変形例において、螺旋ばね12の形態の単一のバネ12のみが実現される。この場合、単一バネまたは螺旋バネ12は、一方で、力束要素8がその係合位置の方向に予張力がかけられ、他方で、ハンドル10がその偏向されていないベース位置の方向に予張力がかけられることを確実にする。これにより、特にコンパクトでコスト効果の高い設計が実現される。
【0040】
[0038]
図4に示す例示的な実施形態において、閉鎖プロセスを機械的に中断することができるようにするために、ハンドル10が、ここでは結合要素として設計されている力束要素8に直線的な力を加えることが分かる。
図4では、係合状態が実線で示され、係合解除状態が点線で示されている。これに関連して、結合要素または力束要素8は、第2の伝達要素7と駆動爪部9がその係合状態において互いに機械的に結合されることを確実にする。実線で示した係合状態はこれに属する。これにより、電気モータ5は、冒頭で説明したように、伝達装置6、7、8、9を介して回転ラッチ1に動作し、これに接近して突き当てることができる。
【0041】
[0039]図示された閉鎖補助装置の機械的な中断のために、従って、緊急ロック解除のために、突き当てアーム10c上のハンドル10は、力束要素8または結合要素が結果として係合解除されるように、操作者によって(反時計回りに)作動される。これにより、電気モータ5から伝達装置6、7、8、9を介した回転ラッチ1への力の発出が遮断され、回転ラッチ1はロック用ボルトに捕捉された状態で旋回可能となる。同時に、このプロセス中、ハンドル10の爪部アーム10bは、このプロセス中、爪部2が回転ラッチ1とラッチすることができず、むしろ回転ラッチ1から持ち上げられることを確実にする。
【0042】
【符合の説明】
【0043】
1…回転ラッチ、
2…爪部、
1、2…ロック機構、
3…ロック用ケース、
4…ロック用ハウジング、
5…電気モータ、
6、7、8、9…伝達装置、
6、7…伝達要素、
8…力束要素
8a…ガイドピン、
9…出力側伝達要素、
10…ハンドル、
11…軸、
10a…要素アーム、
10b…爪部アーム、
10c…突き当てアーム、
12、13…バネ、
12…螺旋バネ、
13…板バネ。
【国際調査報告】