IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニューラ ロボティクス ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-529138誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム
<>
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図1
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図2
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図3
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図4
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図5
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図6
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図6a
  • 特表-誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム 図6b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G01D5/20 110H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508562
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022067425
(87)【国際公開番号】W WO2023016691
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021121052.6
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224955
【氏名又は名称】ニューラ ロボティクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NEURA ROBOTICS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シラキー、ヨーゼフ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA25
2F077AA46
2F077CC02
2F077FF03
2F077FF16
2F077FF39
(57)【要約】
複数の二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)を有する誘導式エンコーダシステム(10)の二次コイルアセンブリ(15)は、各二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が二次コイル導体トラック(23)を有し、二次コイル導体トラック(23)が交差することなく導線支持体に配置されている。及び変調領域(14)を有する少なくとも1つの一次コイル(12、12a、12b)と、少なくとも1つの受信線セット(44a、44b、44c、44d)及び上記の二次コイルアセンブリ(15)を有する少なくとも1つの受信コイル(42)とを備えた誘導式エンコーダシステム(10)は、二次コイルアセンブリ(15)が変調領域(14)内に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)を有する誘導式エンコーダシステム(10)の二次コイルアセンブリ(15)であって、各二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が二次コイル導体トラック(23)を有する、二次コイルアセンブリにおいて、
前記二次コイル導体トラック(23)が交差することなく導線支持体に配置されている、ことを特徴とする、二次コイルアセンブリ。
【請求項2】
各二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が二次コイル輪郭(34)を含む二次コイル面(32)を有し、前記二次コイル輪郭(34)は、正弦関数と余弦関数との間に45°~225°のインターバルで含まれる正弦余弦差分面を有する輪郭に相当することを特徴とする、請求項1に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項3】
前記二次コイルアセンブリ(15)は、互いに隣接して配置された複数の正弦余弦差分面によって形成される面を有する輪郭に少なくとも部分的に相当するアセンブリ輪郭(30)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項4】
前記二次コイルアセンブリ(15)が直線状、円形状、又は円環状に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項5】
前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が前記二次コイルアセンブリ(15)の長手方向(36)に互いに隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項6】
前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が前記長手方向(36)に互いに平行に配置された複数のブロック(52、54)に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項7】
前記導線支持体が少なくとも1つの導線支持体レベルを有し、前記互いに隣接する二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が同一の導線支持体レベルに配置されていること、又は前記互いに隣接する二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が様々に異なる導線支持体レベルに配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項8】
変調領域(14)を有する少なくとも1つの一次コイル(12、12a、12b)と、少なくとも1つの受信線セット(44a、44b、44c、44d)及び請求項1~7のいずれか一項に記載の二次コイルアセンブリ(15)を有する少なくとも1つの受信コイル(42)と、を備えた誘導式エンコーダシステム(10)であって、前記二次コイルアセンブリ(15)が前記変調領域(14)内に配置されている、誘導式エンコーダシステム。
【請求項9】
前記エンコーダシステム(10)が複数の二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)からなる少なくとも1つの二次コイルセット(39)を有し、前記少なくとも1つの二次コイルセット(39)の前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)は、同一の受信線セットに接触された前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が異なった流れ方向(56)を有するように、前記少なくとも1つの受信線セット(44a、44b、44c、44d)に接触されていることを特徴とする、請求項8に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの受信コイル(42)が第1の受信線セット(44a)及び第2の受信線セット(44b)を有することと、前記少なくとも1つの二次コイルセット(39)が第1の二次コイル(16)、第2の二次コイル(18)、第3の二次コイル(20)、及び第4の二次コイル(22)を有し、前記第1の二次コイル(16)と前記第3の二次コイル(20)が前記第1の受信線セット(44a)に接触されており、前記第2の二次コイル(18)と前記第4の二次コイル(22)が前記第2の受信線セット(44b)に接触されていることと、を特徴とする、請求項9に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの受信コイルが第3の受信線セット(44c)及び第4の受信線セット(44d)を有することと、前記少なくとも1つの二次コイルセット(39)が第5の二次コイル(16a)、第6の二次コイル(18a)、第7の二次コイル(20a)、及び第8の二次コイル(22a)を有し、前記第5の二次コイル(16a)と前記第7の二次コイル(20a)が前記第3の受信線セット(44c)に接触されており、前記第6の二次コイル(18a)と前記第8の二次コイル(22a)が前記第4の受信線セット(44d)に接触されていることと、を特徴とする、請求項10に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項12】
同一の受信線セット(44a、44b、44c、44d)に接触された前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)は、異なったブロック(52、54)において前記長手方向(36)にずらして配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の二次コイルアセンブリを備えた請求項9~11のいずれか一項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項13】
前記誘導式エンコーダシステム(10)は、第1の受信コイル(42)及び第2の受信コイル(42)を有し、前記第1の受信コイル(42)が複数の二次コイルセット(39)を有し、前記第2の受信コイル(42)がちょうど1つの二次コイルセット(39)を有することを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの一次コイル(12、12a、12b)が第1の導線支持体レベルに配置され、前記二次コイルアセンブリ(15)が第2の導線支持体レベルに配置されていることを特徴とする、請求項8~13のいずれか一項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの一次コイル(12、12a、12b)が円環状に形成されていることを特徴とする、請求項8~14のいずれか一項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項16】
前記変調領域(14)が外径(46)及び内径(48)を有する円環状に形成されており、前記外径(46)が第1の一次コイル(12a)により画定され、前記内径(48)が第2の一次コイル(12b)により画定されることを特徴とする、請求項15に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項17】
前記第1の一次コイル(12a)の電流方向(50)が前記第2の一次コイル(12b)の流れ方向(50)とは逆に形成されていることを特徴とする、請求項16に記載の誘導式エンコーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ及び誘導式エンコーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導式エンコーダシステムは、環境の影響に対するロバスト性により、極めて様々な適用分野で使用される。これは特に、ロータリエンコーダ又は長さ測定システムとして形成できる。
【0003】
基本的に、誘導式エンコーダシステムは、1次コイルが磁界を生成し、それにより1つ又は複数の2次コイルに電流が誘導されるような構造となっている。導電性ターゲットが存在すると、二次コイルに誘導される電圧が変化し、それにより二次コイルに対するターゲットの位置を決定することができる。
【0004】
好ましくは、誘導式エンコーダシステムの構造はプリント基板で実現され、コイルは導体トラックを用いてプリント基板に取り付けられる。距離又は角度の測定に好適に使用される正弦波信号を得るために、特に二次コイルのコイル形状を相応に設計する必要がある。例えば、特許文献1は、誘導式ロータリエンコーダを開示し、この誘導式ロータリエンコーダでは二次コイルのコイル形状が正弦波状及び余弦波状に形成されている。それによりもたらされる二次コイルから取得された測定信号の正弦波状及び余弦波状のプロファイルによって、逆正接関数を用いてターゲットの線形位置値を一定期間にわたって算出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10320990号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点は、導体トラック、特に二次コイル導体トラックが信号生成にとって重要な変調領域において互いに交差し、したがってスルーホール(Durchkontaktierung)を使用する必要があるということである。通常、導線支持体における接続部はスルーホールと呼ばれ、これは異なる導線支持体レベルに配置された導体トラック間に電気的接触を確立する。2つの導体トラックが互いに交差する場合、通常、交差領域における導体トラックの1つが別の導線支持体レベルに移され、それにより、交差するにもかかわらず、関連する導体トラック間に導電接触は形成されない。したがって、通常、各交差に2つのスルーホールが配置される。
【0007】
スルーホールは、通常、直径約0.3mmの円形面を必要とする。更に、傍らを通る導体トラックから少なくとも0.1mmの距離をとる必要がある。したがって、高分解能のエンコーダシステム、及びそのために必要な非常に小さい周期の実現は具現化できない。
【0008】
更に、必要なスルーホールの数が多いことにより、より小さい周期長を可能にするがスルーホールの実現が困難な製造技術は除外される。このような製造技術を用いたエンコーダシステムの製造は、経済的に具現化できない。例として、数マイクロメートルの導体トラック厚さでのガラス又はプラスチックへの導体トラックのスパッタリングが挙げられる。これにより、原理的には、100μmの範囲の周期長を実現できる。
【0009】
更に、変調領域に配置されたスルーホールは、二次コイルから取得される測定信号に高調波を発生させる。それによって、測定信号の品質に、特に正弦信号と余弦信号から算出される逆正接の直線性、したがって測定結果の精度に関して悪影響が及ぼされる。
【0010】
したがって、本発明は、フレキシブルに製造でき、かつ測定結果の品質を向上させる、誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリを提供するという課題に基づくものであり、それにより高分解能を達成できる。本発明の別の課題は、対応する誘導式エンコーダシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリ、及び請求項7の特徴を有する誘導式エンコーダシステムによって解決される。
【0012】
本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載されている。
本発明による誘導式エンコーダシステムの二次コイルアセンブリは、複数の二次コイルを有し、各二次コイルは、二次コイル導体トラックを有し、二次コイル導体トラックは、交差することなく導線支持体に配置されている。二次コイルが形成される導体トラックは、好ましくは二次コイル導体トラックと呼ばれる。例えば回路に結合するために、二次コイル導体トラックが接触する接続導体トラックは、好ましくは二次コイル導体トラックの一部と見なされない。二次コイルは、好ましくは、二次コイル軸の方向で上からみたとき、二次コイル導体トラックが互いに交差しないように配置されている。二次コイル導体トラックが交差することなく配置されることによって、二次コイル導体トラックがスルーホールを有さない二次コイルアセンブリを提供することができる。それによって、特に製造の手間を低減することができる。更に、それによって個々の導体トラック間の間隔を縮小することができ、これによって二次コイルアセンブリを有するエンコーダシステムの分解能を高めることができる。更に、二次コイルから取得される測定信号の品質を向上させることができる。導線支持体は、例えばプリント基板又はガラス板により形成することができる。特に、導線支持体がガラス板により形成される場合、導体トラックをその上にスパッタリングすることができる。
【0013】
好ましくは、各二次コイルは、二次コイル輪郭を含む二次コイル面を有し、二次コイル輪郭は、正弦関数と余弦関数との間に45°~225°のインターバルで含まれる面を有する輪郭に相当する。それによって、典型的な波動形状(geschwungene Form)の二次コイル輪郭を実現することができる。以下では、この形状を正弦余弦差分形状(Sinus-Cosinus-Differenzform)と呼ぶことにする。特に、このような二次コイルを用いて、従来の二次コイルアセンブリの特性を良好に再現することができる。
【0014】
特に好ましくは、二次コイルアセンブリは、互いに隣接して配置された複数の正弦余弦差分面(Sinus-Cosinus-Differenzflache)によって形成される面を有する輪郭に少なくとも部分的に相当するアセンブリ輪郭を有する。その場合、好ましくは、二次コイルアセンブリ全体によって覆われる面の輪郭がアセンブリ輪郭と呼ばれる。このような配置によって、二次コイルアセンブリを用いて正弦波状若しくは余弦波状プロファイルを有する測定信号を生成することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、二次コイルアセンブリは、直線状、円形状、又は円環状に配置されている。直線状の配置によって、特に長さ測定システムを実現することができる。二次コイルアセンブリの円形状又は円環状の配置は、好ましくはロータリエンコーダ、すなわち特に角度測定システムに使用される。二次コイルアセンブリの円形状又は円環状の配置の場合、好ましくは二次コイル輪郭若しくはアセンブリ輪郭が円形と重ねられる。そこから、典型的な花の形のアセンブリ輪郭が得られる。
【0016】
好ましくは、二次コイルは、二次コイルアセンブリの長手方向に互いに隣接して配置される。互いに隣接する配置は、好ましくは、2つの互いに隣接する二次コイルが相互に電気的に絶縁されるように実現されている。長手方向は、好ましくは、位置が決定されるべきターゲットが二次コイルアセンブリに対して移動することが企図される方向によって形成される。特に、円形状又は円環状の二次コイルアセンブリの場合、長手方向を、対応する円弧の方向に従って弓形に形成することができる。
【0017】
二次コイルが正弦余弦差分形状で形成される場合、二次コイルは、好ましくは、個々の二次コイルの間に90°の位相シフトが生じるように互いに隣接して配置される。したがって、二次コイルアセンブリは、特に4つの二次コイルの、特に繰り返す二次コイルセットを有することができる。第1の二次コイルを、上方の境界を定める輪郭線に従って正の正弦コイルと呼ぶ場合、その右側に隣接する第2の二次コイルを正の余弦コイルと呼ぶことができる。それには、第3の二次コイルとして負の正弦コイルが続き、第4の二次コイルとして負の余弦コイルが続く。好ましくは負の余弦コイルにもまた、別の二次コイルセットの正の正弦コイルが続く。
【0018】
本発明の一発展形態では、二次コイルは、長手方向に互いに平行に配置された複数のブロックに配置される。特に、それによって二次コイルを長手方向に互いにずらして配置することができる。それによって、単位長さ当たりの二次コイルの数を長手方向に増加することができる。これにより、二次コイルアセンブリを収容するエンコーダシステムの精度を向上させることができる。
【0019】
好ましくは、導線支持体が少なくとも1つの導線支持体レベルを有し、互いに隣接する二次コイルを同一の導線支持体レベル、又は様々に異なる導線支持体レベルに配置することができる。二次コイルを同一の導線支持体レベルに配置することによって、導線支持体の複雑さ、したがって特に製造の手間を低減することができる。二次コイルを様々に異なる導線支持体レベルに配置することによって、互いに隣接する二次コイル間に導電接触が生じず、互いに隣接する二次コイルを長手方向にずらすことなく配置することができる。
【0020】
本発明による誘導式エンコーダシステムは、変調領域を有する少なくとも1つの一次コイルと、少なくとも1つの受信線セット及び前述した二次コイルアセンブリを有する少なくとも1つの受信トラックとを備え、二次コイルアセンブリは変調領域内に配置されている。好ましくは、少なくとも1つの一次コイルによって囲まれた領域が変調領域と呼ばれる。好ましくは、少なくとも1つの一次コイルには、特に好ましくは交流電流として形成された一次電流が流れる。それによって、特に変調領域に配置された二次コイルに電圧を誘導することができる。それによって、二次コイルのうちの少なくとも1つの上方に導電性ターゲットを配置することにより、この少なくとも1つの二次コイルにおける電圧の誘導に影響を及ぼすことができる。
【0021】
エンコーダシステムは、複数の二次コイルからなる少なくとも1つの二次コイルセットを有することができ、少なくとも1つの二次コイルセットの二次コイルを少なくとも1つの受信線セットに様々に接触させることができる。少なくとも1つの受信線セットへの二次コイルの接触は、接続導体トラックを用いて行うことができる。好ましくは、受信線セットと、それに接触される二次コイルと、場合によってはそれぞれの接触に使用される接続導体トラックとによって受信回路が形成される。特に好ましくは、同一の受信線セットに接触される二次コイルが異なった流れ方向を有する。それによって、少なくとも1つの二次コイルセットの領域において、ターゲットの位置を絶対的に決定することができる。好ましくは、異なった流れ方向は、同一の受信線セットに接触される二次コイルが異なる極性を有することによって実現される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの受信コイルが第1の受信線セット及び第2の受信線セットを有し、少なくとも1つの二次コイルセットが第1の二次コイル、第2の二次コイル、第3の二次コイル、及び第4の二次コイルを有し、第1の二次コイルと第3の二次コイルが第1の受信線セットに接触されており、第2の二次コイルと第4の二次コイルが第2の受信線セットに接触されている。特に好ましくは第1~第4の二次コイルは、昇順に互いに隣接して配置されている。
【0023】
特に、二次コイルアセンブリの上方にターゲットが配置されていない場合、第1の二次コイル及び第3の二次コイルに誘導される電圧は、値が少なくともほぼ同じになり得る。好ましくは、第2の二次コイル及び第4の二次コイルに誘導される電圧にも同じことが当てはまる。同一の受信線セットに接触される二次コイルの異なった流れ方向によって、二次コイルアセンブリの上方にターゲットがない限り、それぞれの受信回路には、好ましくは少なくともほとんど電流が流れない。ターゲットが二次コイルのうちの1つの上方に少なくとも部分的に配置される場合、この二次コイルに誘導される電圧は、同一の受信回路に配置された他の二次コイルと比較して変化することができ、それにより対応する受信回路において電流が流れることができる。好ましくは、ターゲットは、二次コイルのうちの多くとも1つを完全に覆うことができるように形成されている。直接互いに隣接しない二次コイルがそれぞれ同一の受信回路に配置されていることによって、エンコーダシステムの分解能を高めることができる。
【0024】
エンコーダシステムが複数の連続した二次コイルアセンブリを有する場合、ターゲットは、好ましくは、複数のターゲット要素を有するように形成される。ターゲット要素は、好ましくは、2つの連続する二次コイルアセンブリの互いに対応する二次コイルを覆うことができるように互いに離間して配置されている。したがって、ターゲットを格子として形成することができる。それによって、ターゲットを互いに対応する二次コイルの上方に同時に配置することができる。
【0025】
本発明の別の発展形態では、エンコーダシステムは、少なくとも1つの受信トラック、第3の受信線セット、及び第4の受信線セットを有する。更に、少なくとも1つの二次コイルセットは、第5の二次コイル、第6の二次コイル、第7の二次コイル、及び第8の二次コイルを有することができ、第5の二次コイルと第7の二次コイルは第3の受信線セットに接触され、第6の二次コイルと第8の二次コイルは第4の受信線セットに接触される。それによって、二次コイルセットの領域、したがって好ましくはターゲットの位置を絶対的に決定できる領域は、特に大きく形成され、及び/又は二次コイルの特に高い密度を有することができ、それによりエンコーダシステムの分解能を高めることができる。
【0026】
本発明は、第1の受信線セットと第3の受信線セットが互いに導電接触するように、及び第2の受信線セットと第4の受信線セットが互いに導電接触するように形成され得る。それによって、エンコーダシステムを使用する場合に、2つの受信線セットを評価ユニットに接続することで十分であり得る。好ましくは、第1の受信線セットと第3の受信線セット、及び第2の受信線セットと第4の受信線セットは、互いに隣接する二次コイルが異なった流れ方向を有するように互いに接触される。
【0027】
好ましくは、同一の受信線セットに接触される二次コイルは、異なったブロックにおいて長手方向にずらして配置されている。それによって、特に、同じコイル寸法で、エンコーダシステムの分解能を高めることができる。その場合、このずれは、好ましくは二次コイルの長手方向の寸法の半分から2倍の間である。
【0028】
本発明の一発展形態では、誘導式エンコーダシステムは第1の受信トラック及び第2の受信トラックを有し、第1の受信トラックは複数の二次コイルセットを有し、第2の受信トラックはちょうど1つの二次コイルセットを有する。その場合、第1の受信トラックと第2の受信トラックは、好ましくは長手方向に並べて配置されている。第1の受信トラックによって、ターゲットの位置を比較的高い精度で決定できる。第2の受信トラックによって、エンコーダシステムの全長にわたってターゲットの位置を絶対的に決定できる。それによって、エンコーダシステムの全長にわたってターゲットの位置を比較的高い精度で絶対的に決定することができる。
【0029】
特に好ましくは、少なくとも1つの一次コイルは第1の導線支持体レベルに配置され、二次コイルアセンブリは第2の導線支持体レベルに配置される。更に、少なくとも1つの受信線セットを第2の導線支持体に配置することができる。特に、少なくとも1つの受信線セットが変調領域の外側に配置されている場合、スルーホールを必要とせずに、二次コイルを少なくとも1つの受信線セットに接触させることができる。
【0030】
誘導式エンコーダシステムの少なくとも1つの一次コイルを円環状に形成することができる。それによって、変調領域を円形状に形成することができる。好ましくは、二次コイルアセンブリが円形状又は円環状に配置されている場合、少なくとも1つの一次コイルは円環状に形成される。誘導式エンコーダシステムがロータリエンコーダとして形成される場合、少なくとも1つの一次コイルは、好ましくは円環状に形成される。
【0031】
本発明の一発展形態では、変調領域は、外径及び内径を有する円環状に形成され、外径は第1の一次コイルによって画定され、内径は第2の一次コイルによって画定される。それによって、変調領域の電磁界をより集中させて均一に形成することができ、それにより特に受信コイルで取得される測定信号の品質を向上させることができる。誘導式エンコーダシステムのこのような形態は、特に、一次コイル及び二次コイルアセンブリの直径が大きい場合に有利であり得る。
【0032】
第1の一次コイルの電流方向を第2の一次コイルの電流方向とは逆に形成することにより、変調領域における電磁界の集中度及び均一性を更に高めることができる。
以下の図をもとにして本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来技術の誘導式エンコーダシステムの例示的実施形態を示す。
図2】正弦余弦差分形状の二次コイルアセンブリの概略図を示す。
図3】直線状の二次コイルアセンブリを有する誘導式エンコーダシステムの第1の例示的実施形態の概略図を示す。
図4】円環状の二次コイルアセンブリを有する誘導式エンコーダシステムの第2の例示的実施形態の概略図を示す。
図5】円環状の二次コイルアセンブリ及び円環状の変調領域を有する誘導式エンコーダシステムの第3の例示的実施形態の一部の概略図を示す。
図6】誘導式エンコーダシステムの第4の例示的実施形態の概略図を示す。
図6a図6に示される例示的実施形態の第1の部分の概略図を示す。
図6b図6に示される例示的実施形態の第1の部分の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1図6bは、様々な例示的実施形態を示す。明確にするために、すべての図に参照記号が使用されるわけではない。同じ、及び機能的に同じ部品には、同じ参照符号が使用される。
【0035】
図1は、円形状の変調領域114を有する円環状の一次コイル112を備えた従来技術の誘導式エンコーダシステム110を示す。変調領域114において、第1の二次コイル116、第2の二次コイル118、第3の二次コイル120及び第4の二次コイル122を有する二次コイルアセンブリ115が円環状に配置されている。二次コイル116、118、120、122の各々は二次コイル導体トラック123を有する。二次コイル116、118、120、122が形成される導体トラックは、好ましくは二次コイル導体トラック123と呼ばれる。その場合、二次コイル116、118、120、122は、同一の導線支持体レベルに配置されている。各交差の前後には、それぞれ点として示されるスルーホール124が配置されている。4つの部分からなるターゲット125が二次コイルアセンブリ115の上方に示されている。
【0036】
誘導式エンコーダシステム10の本発明による二次コイルアセンブリ15は、複数の二次コイル16、18、20、22を有し、各二次コイル16、18、20、22は二次コイル導体トラックを有し、二次コイル導体トラック23は交差することなく導線支持体に配置されている。このようなエンコーダシステムの例示的実施形態が図3図5、及び図6に示されている。二次コイル導体トラック23が交差することなく配置されていることによって、二次コイル導体トラック23がスルーホール24を有していない二次コイルアセンブリ15を提供することができる。例えば回路に結合するために二次コイル導体トラック23が接触する接続導体トラック28(図3及び図4を参照)は、好ましくは二次コイル導体トラック23の一部とみなされない。
【0037】
特に好ましくは、各二次コイル16、18、20、22は、二次コイル輪郭34を含む二次コイル面32を有し、二次コイル輪郭34は、正弦関数と余弦関数との間に45°から225°のインターバルで含まれる面を有する輪郭に相当する。それによって、正弦余弦差分形状を有する二次コイル輪郭34を実現することができる。図2に示される二次コイルアセンブリ15の他に、図3図4、及び図5に示される例示的実施形態は、正弦余弦差分形状の二次コイル輪郭34を有する。
【0038】
図2に概略的に示されるように、二次コイルアセンブリ15は、好ましくは、互いに隣接して配置された正弦余弦差分面によって形成される面を有する輪郭に少なくとも部分的に相当するアセンブリ輪郭30を有する。その場合、アセンブリ輪郭30として、好ましくは、二次コイルアセンブリ15全体によって覆われる面の輪郭が示される。
【0039】
図3に示される例示的実施形態では、二次コイルアセンブリ15は直線状に配置されている。直線状の配置によって、特に長さ測定システムを実現することができる。図4及び図5に示される例示的実施形態では、二次コイルアセンブリ15は円環状に配置されている。その場合、好ましくは二次コイル輪郭15若しくはアセンブリ輪郭30に円形が重ねられる。その結果、図4及び図5に示されるように、典型的な花形のアセンブリ輪郭30にすることができる。二次コイルアセンブリ15の円環状アセンブリは、好ましくはロータリエンコーダ、すなわち特に角度測定システムに使用される。
【0040】
好ましくは、二次コイル16、18、20、22は、二次コイルアセンブリ15の長手方向36に互いに隣接して配置されている。隣接する配置は、好ましくは、2つの互いに隣接する二次コイル16、18、20、22が相互に電気的に絶縁されるように実現されている。特に図4及び図5に示されるように、2つの互いに隣接する二次コイル16、18、20、22の間に絶縁隙間38を配置することができる。長手方向36は、好ましくは、位置が決定されるべきターゲット25が二次コイルアセンブリ15に対して移動することが企図される方向によって形成される。特に、円環状の二次コイルアセンブリ15の場合、長手方向36を、対応する円弧の方向に従って弓形に形成することができる。
【0041】
二次コイル16、18、20、22が正弦余弦差分形状で形成される場合、二次コイル16、18、20、22は、好ましくは、個々の二次コイル16、18、20、22の間に90°の位相シフトが生じるように互いに隣接して配置される。第1の二次コイル16を、上方の境界を定める輪郭線40に従って正の正弦コイルと呼ぶ場合、その右側に隣接する第2の二次コイル18を正の余弦コイルと呼ぶことができる。それに対応して、これには第3の二次コイル20として負の正弦コイルが続き、第4の二次コイル22として負の余弦コイルが続くことができる。したがって、4つの二次コイル16、18、20、22は二次コイルセット39を形成することができる。二次コイルアセンブリ15において、複数の二次コイルセットを前後に配置することができる(図4及び図5を参照)。次いで、負の余弦コイルとして形成された第4の二次コイル22には、好ましくは正の正弦コイルとして形成された更なる二次コイルセット39の第1の二次コイル16が続く。
【0042】
図3及び図4に示されるように、誘導式エンコーダシステム10は、変調領域14を有する一次コイル12と、受信線セット44a、44b及び前述の二次コイルアセンブリ15を有する受信コイル42とを備え、二次コイルアセンブリ15は、変調領域内に配置されている。好ましくは一次コイル12によって囲まれた領域が変調領域14と呼ばれる。好ましくは、一次コイル12には、特に好ましくは交流電流として形成された一次コイル電流が流れる。それによって、特に変調領域14に配置された二次コイル16、18、20、22に電圧を誘導することができる。それによって、導電性ターゲット25を二次コイル16、18、20、22のうちの少なくとも1つの上方に配置することにより、この少なくとも1つの二次コイル16、18、20、22における電圧の誘導に影響を及ぼすことができる。図3において、例えば、ターゲット25は、第2の二次コイル18の上方に完全に配置され、第1の二次コイル16及び第3の二次コイル20の上方に部分的に配置されている。
【0043】
二次コイルセット39の二次コイル16、18、20、22を受信線セット44a、44bに様々に接触させることができる。その場合、特に好ましくは、同一の受信線セット44a、44bに接触する2つの二次コイル16、18、20、22が異なる極性を有する。異なる接触によって、二次コイルセット39の領域においてターゲット25の位置を絶対的に決定することができる。
【0044】
図3及び図4に示される例示的実施形態では、受信コイル42が、好ましくは第1の受信線セット44a及び第2の受信線セット44bを有し、二次コイルセットの各々は、第1の二次コイル16、第2の二次コイル18、第3の二次コイル20、及び第4の二次コイル22を有し、それぞれ第1の二次コイル16と第3の二次コイル20は第1の受信線セット44aに接触され、それぞれ第2の二次コイル18と第4の二次コイル22は第2の受信線セット44bに接触される。
【0045】
接触は、好ましくは接続導体トラック28を用いて行われる。第1の二次コイル16と第3の二次コイル20は、そこに配置された接続導体トラック28及び第1の受信線セット44aと共に第1の受信回路を形成することができる。それに応じて、第2の二次コイル18と第4の二次コイル22は、そこに配置された接続導体トラック28及び第1の受信線セット44aと共に第2の受信回路を形成することができる。それぞれ第1の二次コイル16と第3の二次コイル20が異なる極性を有し、それぞれ第2の二次コイル18と第4の二次コイル22が異なる極性を有する。第1~第4の二次コイル16、18、20、22は、昇順に互いに隣接して配置されることが好ましい。
【0046】
特に、二次コイルアセンブリ15の上方にターゲット25が配置されていない場合、第1の二次コイル16に誘導される電圧と第3の二次コイル20に誘導される電圧は、大きさが少なくともほぼ同じになり得る(特に図3を参照)。好ましくは第2の二次コイル18及び第4の二次コイル22に誘導される電圧にも同じことが当てはまる。同一の受信線セット44a、44bに配置された二次コイル16、18、20、22の極性が異なることによって、二次コイルアセンブリ15の上方にターゲット25が存在しない限り、それぞれの受信回路には電流が好ましくは少なくともほとんど流れない。ターゲット25が二次コイル16、18、20、22のうちの1つの上方に少なくとも部分的に配置されている場合、それによってこの二次コイルに誘導される電圧は、同一の受信線セット44a、44bに配置された更なる二次コイル16、18、20、22と比較して変化することができ、それにより対応する受信回路に電流が流れることができる。好ましくは、ターゲット25は、二次コイル16、18、20、22のうちの多くとも1つを完全に覆うことができるように形成されている。
【0047】
図3及び図4に示されるように、変調領域14内に、好ましくは、二次コイルアセンブリ15又は受信線セット44a、44bのスルーホール24が配置されていない。特に好ましくは、一次コイル12は第1の導線支持体レベルに配置され、二次コイルアセンブリ15は第2の導線支持体レベルに配置されている。それによって、図3及び図4に示されるように、一次コイル12と接続導体トラック28が交差する場合にスルーホール24の必要がない。受信線セット44a、44bも第2の導線支持体レベルに配置することができる。特に、受信線セット44a、44bが変調領域14の外側に配置されている場合、スルーホール24を必要とすることなく二次コイル16、18、20、22を受信線セット44a、44bに接触させることができる。
【0048】
エンコーダシステム10の一次コイル12は、図4に示されるように、円環状に形成することができる。それによって、変調領域14を円形状に形成することができる。図5に示される例示的実施形態では、変調領域14は、外径46及び内径48を有する円環状に形成されており、外径46が第1の一次コイル12aによって画定され、内径48が第2の一次コイル12bによって画定される。好ましくは、第1の一次コイル12aにおける電流方向50は、第2の一次コイル12bにおける電流方向50とは逆に形成されている。
【0049】
好ましくは4つの二次コイルセット39を有する図4に示される例示的実施形態と比較して、図5に示される例示的実施形態は32個の二次コイルセット39を有することができる。それに応じて、図5に示されるエンコーダシステムは、32部分からなるターゲット25を有することができる。多数の二次コイルセット39によって、エンコーダシステム10の分解能を格段に高めることができる。特に、変調領域14内にスルーホール24が配置されていないため、このように高い密度の二次コイルセット39が実現可能である。
【0050】
より明確にするために、図6に示される例示的実施形態の第1の部分が図6aに示される。第2の部分は図6bに示される。図6a及び図6bに示されるように、エンコーダシステム10は、第1の受信線セット44a及び第2受信線セット44bに加えて、第3の受信線セット44c及び第4の受信線セット44dを有することができる。更に、少なくとも1つの二次コイルセット39は、第5の二次コイル16a、第6の二次コイル18a、第7の二次コイル20a、及び第8の二次コイル22aを有することができ、好ましくは、第5の二次コイル16aと第7の二次コイル20aは、第3の受信線セット44cに接触され、第6の二次コイル18aと第8の二次コイル22aは、第4の受信線セット44dに接触される。その場合、第1の二次コイル16~第8の二次コイル22aは、好ましくはそれぞれ、正弦余弦差分形状で形成された二次コイル輪郭34を有する。図6図6bにおいて、この輪郭は、より簡単に示すために楕円形で示されている。
【0051】
好ましくは、同一の受信線セットに接触される二次コイルは、異なったブロックにおいて長手方向36にずらして配置されている。したがって、第1の二次コイル16を第1のブロック52に配置し、第3の二次コイル20を第2のブロック54に配置することができ、第1の二次コイル16と第3の二次コイル20の両方を第1の受信線セット44aに接触させ、長手方向36にずらして配置することができる。それに対応して、第2の二次コイル18を第1のブロック52に配置し、第4の二次コイル22を第2のブロック54に配置することができ、第1の二次コイル18と第3の二次コイル20の両方を第2の受信線セット44bに接触させ、長手方向36にずらして配置することができる。それに対応して、第5の二次コイル16aを第1のブロック52に配置し、第7の二次コイル20aを第2のブロック54に配置することができ、第5の二次コイル16aと第7の二次コイル20aの両方を第3の受信線セット44cに接触させ、長手方向36にずらして配置することができる。それに対応して、第6の二次コイル18aを第1のブロック52に配置し、第8の二次コイル22aを第2のブロック54に配置することができ、第6の二次コイル18aと第8の二次コイル22aの両方を第4の受信線セット44dに接触させ、長手方向36にずらして配置することができる。
【0052】
その場合、図6aは、第1の受信線セット44aと第2の受信線セット44bに接触させた二次コイル16、18、20、22を示す。図6bは、第3の受信線セット44cと第4の受信線セット44dに接触させた二次コイル16a、18a、20a、22aを示す。図6図6bにおいて、第1の導線支持体レベルに配置された二次コイル導体トラック23が実線で示されている。第2の導線支持体レベルに配置された二次コイル導体トラックは破線で示されている。
【0053】
図6において、図6a及び図6bに示されるエンコーダシステム10の2つの部分が組み合わせて示されている。この図示から特に、互いに隣接する二次コイル16、16a、18、18a及び20、20a、22、22aを様々に異なる導線支持体レベルに配置できることが分かる。その場合、好ましくは互いに隣接する二次コイル間にずれが設けられない。特に、二次コイル導体トラック23の互いに隣接する区分は、互いに重なり合うことができる。図示の理由から、及びより良い認識性のために、図6において、これらの区分は、部分的に並置して示されている。
【0054】
図6図6aにおいて二次コイルに部分的に配置された矢印は、ターゲット25が上方に配置されていない場合にそれぞれのコイルに誘導される電流の流れ方向56を例示的に示す。ターゲット25が存在しない場合、その結果として生じる受信線セット44a~44dにおける電流は少なくともほとんど相殺される。ターゲット25が二次コイル16~22aのうちの1つの上方に少なくとも部分的に配置されている場合、それぞれの受信線セット44a~44dにおいて電圧を測定することができる。
【0055】
エンコーダシステム10が複数の連続した二次コイルアセンブリ15を有する場合、ターゲット25は、図6に示されるように、好ましくは複数のターゲット要素を有するように形成される。ターゲット要素は、好ましくは、2つの連続する二次コイルアセンブリ15の互いに対応する二次コイル16、16a、18、18a、20、20a、22、22aを覆うことができるように互いに離間して配置されている。したがって、ターゲット25を格子として形成することができる。それによって、ターゲットを、互いに対応する二次コイル16、16a、18、18a、20、20a、22、22aの上方に同時に配置することができる。
【0056】
本発明は、第1の受信線セット44aと第3の受信線セット44cが互いに導電接触するように、及び第2の受信線セット44bと第4の受信線セット44dが互いに導電接触するように形成され得る。それによって、エンコーダシステム10を使用する場合に、受信線セット44a、44b、44c、44dのうちの2つを評価ユニットに接続することで十分であり得る。好ましくは、第1の受信線セット44aと第3の受信線セット44c、及び第2の受信線セット44bと第4の受信線セット44dは、互いに隣接する二次コイル16、16a、18、18a及び20、20a、22、22aが異なった流れ方向56を有するように互いに接触される。
【符号の説明】
【0057】
10 エンコーダシステム
12 一次コイル
12a 第1の一次コイル
12b 第2の一次コイル
14 変調領域
15 二次コイルアセンブリ
16 第1の二次コイル
16a 第5の二次コイル
18 第2の二次コイル
18a 第6の二次コイル
20 第3の二次コイル
20a 第7の二次コイル
22 第4の二次コイル
22a 第8の二次コイル
23 二次コイル導体トラック
24 スルーホール
25 ターゲット
28 接続導体トラック
30 アセンブリ輪郭
32 二次コイル面
34 二次コイル輪郭
36 長手方向
38 絶縁隙間
39 二次コイルセット
40 上方の境界を定める輪郭線
42 受信コイル
44a 第1の受信線セット
44b 第2の受信線セット
44c 第3の受信線セット
44d 第4の受信線セット
46 外径
48 内径
50 電流方向
52 第1のブロック
54 第2のブロック
56 流れ方向
110 エンコーダシステム
112 一次コイル
114 変調領域
115 二次コイルアセンブリ
116 第1の二次コイル
118 第2の二次コイル
120 第3の二次コイル
122 第4の二次コイル
123 二次コイル導体トラック
124 スルーホール
125 ターゲット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6a
図6b
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)を有する誘導式エンコーダシステム(10)の二次コイルアセンブリ(15)であって、各二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が二次コイル導体トラック(23)を有する、二次コイルアセンブリにおいて、
前記二次コイル導体トラック(23)が交差することなく導線支持体に配置されている、ことを特徴とする、二次コイルアセンブリ。
【請求項2】
各二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が二次コイル輪郭(34)を含む二次コイル面(32)を有し、前記二次コイル輪郭(34)は、正弦関数と余弦関数との間に45°~225°のインターバルで含まれる正弦余弦差分面を有する輪郭に相当することを特徴とする、請求項1に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項3】
前記二次コイルアセンブリ(15)は、互いに隣接して配置された複数の正弦余弦差分面によって形成される面を有する輪郭に少なくとも部分的に相当するアセンブリ輪郭(30)を有することを特徴とする、請求項に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項4】
前記二次コイルアセンブリ(15)が直線状、円形状、又は円環状に配置されていることを特徴とする、請求項に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項5】
前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が前記二次コイルアセンブリ(15)の長手方向(36)に互いに隣接して配置されていることを特徴とする、請求項に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項6】
前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が前記長手方向(36)に互いに平行に配置された複数のブロック(52、54)に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項7】
前記導線支持体が少なくとも1つの導線支持体レベルを有し、前記互いに隣接する二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が同一の導線支持体レベルに配置されていること、又は前記互いに隣接する二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が様々に異なる導線支持体レベルに配置されていることを特徴とする、請求項に記載の二次コイルアセンブリ。
【請求項8】
変調領域(14)を有する少なくとも1つの一次コイル(12、12a、12b)と、少なくとも1つの受信線セット(44a、44b、44c、44d)及び請求項1~7のいずれか一項に記載の二次コイルアセンブリ(15)を有する少なくとも1つの受信コイル(42)と、を備えた誘導式エンコーダシステム(10)であって、前記二次コイルアセンブリ(15)が前記変調領域(14)内に配置されている、誘導式エンコーダシステム。
【請求項9】
前記誘導式エンコーダシステム(10)が複数の二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)からなる少なくとも1つの二次コイルセット(39)を有し、前記少なくとも1つの二次コイルセット(39)の前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)は、同一の受信線セットに接触された前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)が異なった流れ方向(56)を有するように、前記少なくとも1つの受信線セット(44a、44b、44c、44d)に接触されていることを特徴とする、請求項8に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの受信コイル(42)が第1の受信線セット(44a)及び第2の受信線セット(44b)を有することと、前記少なくとも1つの二次コイルセット(39)が第1の二次コイル(16)、第2の二次コイル(18)、第3の二次コイル(20)、及び第4の二次コイル(22)を有し、前記第1の二次コイル(16)と前記第3の二次コイル(20)が前記第1の受信線セット(44a)に接触されており、前記第2の二次コイル(18)と前記第4の二次コイル(22)が前記第2の受信線セット(44b)に接触されていることと、を特徴とする、請求項9に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの受信コイルが第3の受信線セット(44c)及び第4の受信線セット(44d)を有することと、前記少なくとも1つの二次コイルセット(39)が第5の二次コイル(16a)、第6の二次コイル(18a)、第7の二次コイル(20a)、及び第8の二次コイル(22a)を有し、前記第5の二次コイル(16a)と前記第7の二次コイル(20a)が前記第3の受信線セット(44c)に接触されており、前記第6の二次コイル(18a)と前記第8の二次コイル(22a)が前記第4の受信線セット(44d)に接触されていることと、を特徴とする、請求項10に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項12】
同一の受信線セット(44a、44b、44c、44d)に接触された前記二次コイル(16、16a、18、18a、20、20a、22、22a)は、異なったブロック(52、54)において前記長手方向(36)にずらして配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の二次コイルアセンブリを備えた請求項8を引用する請求項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項13】
前記誘導式エンコーダシステム(10)は、第1の受信コイル(42)及び第2の受信コイル(42)を有し、前記第1の受信コイル(42)が複数の二次コイルセット(39)を有し、前記第2の受信コイル(42)がちょうど1つの二次コイルセット(39)を有することを特徴とする、請求項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの一次コイル(12、12a、12b)が第1の導線支持体レベルに配置され、前記二次コイルアセンブリ(15)が第2の導線支持体レベルに配置されていることを特徴とする、請求項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの一次コイル(12、12a、12b)が円環状に形成されていることを特徴とする、請求項に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項16】
前記変調領域(14)が外径(46)及び内径(48)を有する円環状に形成されており、前記外径(46)が第1の一次コイル(12a)により画定され、前記内径(48)が第2の一次コイル(12b)により画定されることを特徴とする、請求項15に記載の誘導式エンコーダシステム。
【請求項17】
前記第1の一次コイル(12a)の電流方向(50)が前記第2の一次コイル(12b)の流れ方向(50)とは逆に形成されていることを特徴とする、請求項16に記載の誘導式エンコーダシステム。
【国際調査報告】