(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 7/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B60K7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508594
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2022057367
(87)【国際公開番号】W WO2023017399
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512285801
【氏名又は名称】プロティアン エレクトリック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】リチャード フォード
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン アメイ
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB09
3D235CC42
3D235GA02
3D235GA13
3D235HH22
3D235HH25
(57)【要約】
乗員コンパートメント及び乗員コンパートメントに対して低減された耐衝撃性を有し、また乗員コンパートメントの前方に配置されるクランプルゾーンを有する車両であって、さらに、第1車輪を回転させるための第1回転軸を有する第1駆動源によって駆動されるように配置された第1車輪と、第2車輪を回転させるための第2回転軸を有する第2駆動源によって駆動されるように配置された第2車輪とを備え、第1車輪及び第2車輪は、車両上で互いに対して横方向に配置され、第1駆動源の第1軸及び第2駆動源の第2軸は、クランプルゾーンの前部と後部との間に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員コンパートメント及び前記乗員コンパートメントに対して低減された耐衝撃性を有し、また前記乗員コンパートメントの前方に配置されるクランプルゾーンを有する車両であって、さらに、第1車輪を回転させるための第1回転軸を有する第1駆動源によって駆動されるように配置された第1車輪と、第2車輪を回転させるための第2回転軸を有する第2駆動源によって駆動されるように配置された第2車輪とを備え、前記第1車輪及び前記第2車輪は、車両上で互いに対して横方向に配置され、前記第1駆動源の前記第1軸及び前記第2駆動源の前記第2軸は、前記クランプルゾーンの前部と後部との間における長手方向位置に配置される、車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両において、前記第1駆動源はインホイール電気モータであり、前記第2駆動源はインホイール電気モータである、車両。
【請求項3】
請求項2に記載の車両において、前記インホイール電気モータは、軸受を介して車両に結合されており、前記軸受の軸線は、前記クランプルゾーンの前部と後部との間に配置されている、車両。
【請求項4】
乗員コンパートメント及び前記乗員コンパートメントに対して低減された耐衝撃性を有し、また前記乗員コンパートメントの後方に配置されるクランプルゾーンを有する車両であって、さらに、第1車輪を回転させるための第1回転軸を有する第1駆動源によって駆動されるように配置された第1車輪と、第2車輪を回転させるための第2回転軸を有する第2駆動源によって駆動されるように配置された第2車輪とを備え、前記第1車輪及び前記第2車輪は、車両上で互いに対して横方向に配置され、前記第1駆動源の前記第1軸及び前記第2駆動源の前記第2軸は、前記クランプルゾーンの前部と後部との間における長手方向位置に配置される、車両
【請求項5】
請求項4に記載の車両において、前記第1駆動源はインホイール電気モータであり、前記第2駆動源はインホイール電気モータである、車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車両において、前記インホイール電気モータは、軸受を介して車両に結合されており、前記軸受の軸線は、前記クランプルゾーンの前部と後部との間に配置されている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に車両へのインホイール電気モータの取り付けに関する。
【背景技術】
【0002】
安全要件を満たすため、自動車には一般にクランプルゾーン又はクラッシュゾーンとして周知されている1つ又は複数の構造的安全機能が含まれており、これらは自動車の衝突時に、自動車の乗員に加わる合力をより長い時間に亘って分散させ、それにより乗員に加わるピーク力を低減し、負傷の可能性を低減するように設計されている。
【0003】
一般的にクランプルゾーンは、正面衝突や後面衝突の衝撃を吸収する目的で、車両の前部及び/又は後部に配置される。
【0004】
その結果、クランプルゾーンは、1つ以上のクランプルゾーンがない車両と比較して、車両の乗員を負傷からより良く保護する。
【0005】
クランプルゾーンがこの機能を果たすためには、車両の外側部分の弱体化を制御する一方で、ドライブトレイン及び乗員が存在する車両の内側部分の強度と剛性を高める必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その結果、制御された弱体化をもたらすために車両の外側部分と車両の内側部分とを分離すると、車両の乗員が利用できる空間が損なわれる可能性がある。
【0007】
この状況を改善することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、添付の特許請求の範囲による車両が提供される。
【0009】
特許請求される発明は、車両の乗員が利用できる空間を、車両内で使用されるクランプルゾーンに利用可能なスペースに対して増加させることができるという利点を有する。
【0010】
次に、添付図面を参照して、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による車両を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態で使用される電気モータの分解斜視図である。
【
図3】
図1の電気モータを別の角度から見た分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
説明する本発明の実施形態は、乗客コンパートメント及び1つ又は複数のクランプルゾーンを有する車両に関するものである。クランプルゾーンは、乗客コンパートメントに対して低減された耐衝撃性を有し、一実施形態の目的のために、乗客コンパートメントの前方に配置される。車両は、第1車輪を回転させるための第1回転軸を有する第1駆動源によって駆動されるように配置された第1車輪と、第2車輪を回転させるための第2回転軸を有する第2駆動源によって駆動されるように配置された第2車輪とを有する。第1車輪と第2車輪は、第1駆動源の第1軸線と第2駆動源の第2軸線がクランプルゾーンの前部と後部の間の長手方向における位置に配置され、第1駆動源と第2駆動源が車両を駆動させるように配置された状態で、車両上で互いに対して横方向に配置される。付加的に又は代替的に、クランプルゾーンは、乗客コンパートメントの後部に配置されてもよい。
【0013】
好ましくは、第1及び/又は第2駆動源は、インホイール電気モータである。
【0014】
図1は、本発明の実施形態による車両100を示す。車両100は、例えば自動車又は貨物自動車であり、4つの車輪(ホイール)101を有し、2つの車輪は、車両前方位置で左側(near side)及び右側(off side)の位置にそれぞれ配置されている。同様に、さらに2つの車輪が、従来の自動車の構成に典型的なように、車両後方位置で左側(near side)及び右側(off side)の位置にそれぞれ配置されている。しかし、当業者であれば理解できるように、車両は任意の数の車輪を有していてもよい。
【0015】
さらに、車両100は、乗客コンパートメントを含む安全ゾーン102と、安全ゾーンの長手方向前方に配置された第1クランプルゾーン103と、安全ゾーン102の長手方向後方に配置された第2クランプルゾーン104とを有する。本実施形態では、安全ゾーン102の前方及び後方にそれぞれ配置された2つのクランプルゾーンを有するものとして車両を説明しているが、車両は、安全ゾーン102の前方又は後方のいずれか一方に配置された1つのクランプルゾーンのみを有していてもよい。
【0016】
第1及び第2クランプルゾーンは、車両が物体に衝突した際に、安全ゾーン102に位置する車両の乗員に与えられる合力をより長い時間にわたって分散させるように配置されている。
【0017】
第1及び第2クランプルゾーンに対して、安全ゾーン102は、車両の乗員を収容するための剛性の高い非変形性の区画を形成する。
【0018】
車両の駆動源は、インホイール電気モータによって提供され、インホイール電気モータは、各車輪(ホイール)101内に組み込まれている。本実施形態では、車輪101の各々に関連付けられたインホイール電気モータを有する車両100について説明しているが、当業者には理解されるように、他の構成を採用することもできる。例えば、インホイール電動モータは、前輪2輪だけに配置することもできるし、後輪2輪に配置することもできる。さらに、本実施形態では、インホイール電気モータの使用について説明するが、例えば軸方向に取り付けられた電気モータなど、他の駆動源を使用することもできる。
【0019】
それぞれのインホイール電気モータは、
図1に示されるように、それぞれのインホイール電気モータの軸がそれぞれのクランプルゾーンの前部と後部との間に位置するように車両に取り付けられ、それにより、車両の駆動系が車両の安全ゾーン内に形成される必要性が取り除かれる。
【0020】
それぞれのインホイール電気モータは、後述するように、例えばホイール軸受を介して、任意の適切な手段で車両に取り付けることができる。
【0021】
本実施形態の目的のために、好ましい実施形態では、
図2に示されるように、それぞれのインホイール電気モータは、ヒートシンク253と、複数のコイル254と、コイルを駆動するためにステータの後部に取り付けられた電子機器モジュール255とを備えるステータ252を有する。コイル254は、後述するように、コイル巻線を形成するためにステータ歯積層体上に形成される。ステータカバー256がステータ252の後部に取り付けられ、電子機器モジュール255を囲んでステータ252を形成し、ステータ252は車両に固定され、使用中に車両に対して回転しない。
【0022】
電子機器モジュール255は、2つの制御装置400を有し、各制御装置400は、2つのインバータと、本実施形態では両方のインバータの動作を制御するためのプロセッサを含む制御ロジックとを有する。本実施形態では、電子機器モジュール255は2つの制御装置を有するが、同様に、電子機器モジュール255は単一の制御装置又は2つ以上の制御装置を有してもよい。
【0023】
ロータ240は、前部220と、ステータ252を実質的に取り囲むカバーを形成する円筒部221とからなる。ロータは、円筒部221の内側に配置された複数の永久磁石242を有する。本実施形態では、円筒部221の内側に32個の磁石対が取り付けられている。しかし、任意の数の磁石対を使用してもよい。
【0024】
磁石はステータ252のコイル巻線に近接しており、コイルによって発生した磁界がロータ240の円筒部221の内側に配置された磁石242と相互作用してロータ240を回転させるようになっている。永久磁石242は、電気モータを駆動するための駆動トルクの発生に利用されるため、永久磁石は通常、駆動磁石と呼ばれる。
【0025】
ロータ240は、軸受ブロック223によってステータ252に取り付けられている。軸受ブロック223は、このモータアセンブリが取り付けられる車両で使用されるような標準的な軸受ブロックでよい。軸受ブロックは、ステータに固定される第1部分と、ロータに固定される第2部分との2つの部分からなる。軸受ブロックは、ステータ252の壁の中央部分253に固定され、ロータ240のハウジング壁220の中央部分225にも固定される。従って、ロータ240は、それぞれのインホイール電気モータのロータの回転軸がそれぞれのクランプルゾーンの前部と後部との間に位置するように、ロータ240の中央部分225において軸受ブロック223を介して使用される車両に回転可能に固定される。これにより、通常のホイールボルトを使用して、ホイールリムをロータの中央部分に固定し、その結果、軸受ブロック223の回転可能な側にしっかりと固定するために、ホイールリムとタイヤを中央部分225でロータ240に固定できるという利点がある。 ホイールボルトは、ロータの中央部225を貫通して軸受ブロック自体に取り付けてもよい。ロータ240とホイールの両方が軸受ブロック223に取り付けられているため、ロータとホイールの回転角度は1対1に対応する。
【0026】
図2は、
図1と同じアセンブリを反対側から見た分解図であり、ステータ252とロータが示されている。ロータ240は、ロータ外壁220と磁石242が周方向に配置された周壁221とから構成されている。前述したように、ステータ252は、ロータ壁とステータ壁の中央部で軸受ブロックを介してロータ240に連結されている。
【0027】
ロータの周壁221とステータの外周縁の間には、V字型のシールが設けられる。
【0028】
ロータには、整流磁石として知られる位置検出用磁石227も有し、ステータに取り付けられたセンサと組み合わせてロータ磁束角を推定することができる。ロータ磁束角は、コイル巻線に対する駆動磁石の位置関係を定義する。あるいは、一組の独立した磁石の代わりに、ロータが一組の独立した磁石として機能する複数の極を持つ磁性体のリングを有していてもよい。
【0029】
ロータ磁束角の計算に整流磁石を使用できるようにするために、好ましくは、各駆動磁石は、関連する整流磁石を有し、ロータ磁束角は、測定された整流磁石磁束角を較正することによって、整流磁石のセットに関連する磁束角から導出される。整流磁石の磁束角とロータ磁束角との相関を単純化するために、好ましくは、整流磁石のセットは、駆動磁石対のセットと同じ数の磁石又は磁石極対を有し、整流磁石及び関連する駆動磁石は、互いにほぼ半径方向に整列する。従って、本実施形態の目的上、整流磁石のセットは32個の磁石対を有し、各磁石対はそれぞれの駆動磁石対とほぼ半径方向に整列する。
【0030】
本実施形態では、ホールセンサであるセンサがステータに取り付けられている。センサは、ロータが回転すると、整流磁石リングを形成する各整流磁石がそれぞれセンサを通過して回転するように配置されている。
【0031】
ロータがステータに対して相対的に回転すると、それに応じて整流磁石も回転してセンサを通過し、ホールセンサがAC電圧信号を出力する。このとき、センサは、センサを通過する各磁石ペアに対して360°の完全な電圧サイクルを出力する。
【0032】
位置検出を向上させるために、センサは、第1センサから電気的角度で90°ずらして配置された関連する第2センサを有することが好ましい。
【0033】
本実施形態における各インホイール電動モータは、4つのコイルセットを有し、各コイルセットは3つのコイルサブセットを有し、これらのコイルサブセットは3相サブモータを形成するためにY字構成で結合され、その結果、モータは、4つの3相サブモータを有する。第1制御装置が2つのコイルセットに結合され、第2制御装置が他のコイルセットに結合され、それぞれの制御装置の各インバータがそれぞれのコイルセットの電流を制御するように配置されている。しかしながら、本実施形態では、4つのコイルセット(すなわち、4つのサブモータ)を有する電動モータについて説明するが、モータは、関連する制御装置を有する1つ又は複数のコイルセット(すなわち、単一のモータ又は2つ以上のサブモータを有するモータ)を有していてもよい。例えば、好ましい実施形態では、モータ40は8つのコイルセットを含み、各コイルセットは、Y字構成で結合されて三相サブモータを形成する3つのコイルサブセットを有し、その結果、モータは8つの三相サブモータを有することになる。
【国際調査報告】