(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】複数の心電図リード信号を獲得するウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/332 20210101AFI20240725BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240725BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61B5/332
A61B5/256 220
A61B5/02 310F
A61B5/256
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508634
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2022012211
(87)【国際公開番号】W WO2023018318
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0107569
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524054277
【氏名又は名称】ヘキサチェック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HEXACHECK INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ファン,イン-ドゥック
【テーマコード(参考)】
4C017
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA19
4C017AB02
4C017AB04
4C017AC15
4C017AC26
4C017BC11
4C017BC23
4C017DD14
4C017DD17
4C017FF17
4C127AA02
4C127BB03
4C127CC06
4C127EE03
4C127KK03
4C127KK05
4C127LL04
(57)【要約】
本発明は、複数の心電図リード信号を獲得するウェアラブルデバイスに関し、より詳しくは、携帯が便利で、時間と場所にかかわらず容易に使用することができ、同時に測定された2つの肢リード信号(Limb Lead Signals)によって6つの心電図リード信号を得ることができるように構成される個人が着用可能な複数の心電図測定装置(測定センサ)としてのウェアラブルデバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が片方の手首に着用するウォッチ;
前記ウォッチに結合される一つのバンド;
一つの前記バンドと結合され、前記ウォッチの底面と対向する位置に配置される第1心電計;および
前記ウォッチに含まれる第2心電計;を含み、
前記第1心電計は、
使用者の前記片方の手首に接触するように前記バンドの内側面に配置される第1電極、および使用者の左膝または左足首に接触することができるように、前記バンドの外面に配置される第2電極を含み、
前記第2心電計は、
使用者の前記片方の手首に接触するように前記ウォッチの底面に配置される第3電極、および使用者の他方の手に接触することができる第4電極を含む、ウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記第1心電計は、
前記第1電極と第2電極との間に誘導される第1心電図リード信号を測定し、測定した前記第1心電図リード信号を無線通信手段を介して前記第2心電計に送信し、
前記第2心電計は、
第3電極と第4電極を通じて第2心電図リード信号を測定し、
前記第1心電図リード信号を無線通信手段を介して受信し、
前記第1心電図リード信号と前記第2心電図リード信号が同じ時間にサンプリングされた2つの心電図リード信号になるように、受信された前記第1心電図リード信号に無線通信過程で発生した時間遅延を補償する、ことを特徴とする請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記ウェアラブルデバイスは、
同じ時間にサンプリングされた前記2つの心電図リード信号を利用して4つの心電図リード信号を追加的に算出して、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、リードaVFを含む6つの四肢誘導信号を得る、ことを特徴とする請求項2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記第1心電計は、
前記第1心電計を制御する一つのマイクロコントローラを含み、 前記マイクロコントローラは、
前記第1心電計が心電図リード信号を測定しない時にはスリップモードで動作して、前記第1心電計が含む増幅器、AD変換器、前記無線通信手段を電源オフさせ、
活性化モードに変更されると、前記増幅器、前記AD変換器、および前記無線通信手段を電源オンさせ、前記第1心電図リード信号を増幅し、AD変換して無線通信を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記第1心電計は、電力が供給される一つの電流感知器を含み、 前記電流感知器は、
前記第1電極が前記使用者の前記片方の手首に接触し、前記第2電極が前記使用者の左膝または左足首に接触すると、前記使用者の人体に電流が流れるようにし、
前記電流を感知すると、出力信号を発生させ、
前記マイクロコントローラは、前記電流感知器の出力信号を受信すると、スリップモードから活性化モードに変更される、ことを特徴とする請求項4に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項6】
下記(1)から(4)までの過程を利用して決められた時間遅延値を用いる、ことを特徴とする請求項2に記載のウェアラブルデバイス:
(1)一つの信号発生器の一つの出力信号を前記第1心電計と前記第2心電計に共通的に印加し;
(2)前記第1心電計と前記第2心電計は、前記出力信号を測定し;
(3)第1心電計は測定した信号を無線通信手段で送信し、第2心電計は前記送信された信号を受信し;
(4)前記第2心電計が測定した信号と前記第2心電計が受信した前記信号との波形を比較する。
【請求項7】
前記バンドは、前記第1心電計を配置するために、前記ウォッチを基準に一方のバンドの長さが他方のバンドの長さよりも長く形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記無線通信手段は、ブルートゥースローエネルギー方式である、ことを特徴とする請求項2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
片方の手首に着用されたウォッチに内蔵された心電計と前記ウォッチのバンドに付着された心電計を利用した複数の心電図リードを獲得する方法は、
前記バンドに付着された心電計の第1電極が腕首に接触し、第2電極が左足または左足首に接触するステップ;
前記バンドに付着された心電計に内蔵されたマイクロコントローラが活性化モードに変更されるステップ;
前記マイクロコントローラが活性化モードに変更されると、前記増幅器、前記AD変換器および前記無線通信手段を電源オンさせるステップ;
前記第1電極と第2電極との間の心電図リードを増幅するステップ;
増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するステップ;
前記デジタル信号に変換された第1心電図リードデータを前記無線通信手段を介して前記ウォッチに内蔵された心電計に送信するステップ;
前記ウォッチに内蔵された心電計は、送信された第1心電図リードデータを無線通信手段を介して受信するステップ;および
受信された前記第1心電図リード信号に無線通信過程などで発生した時間遅延を補償してウォッチに付着された電極を介して測定した第2心電図リード信号と前記第1心電図リード信号が同じ時間にサンプリングされた2つの心電図リード信号になるようにするステップ;を含む、ことを特徴とする複数の心電図リード信号を獲得する方法。
【請求項10】
前記バンドに付着された心電計に内蔵されたマイクロコントローラが心電図測定を所定時間実行した後、心電図測定を終了するか否かを判断するために、前記電流感知器に電流の流れがあるか否かを確認するステップ;をさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の複数の心電図リード信号を獲得する方法。
【請求項11】
同じ時間帯域でサンプリングされた前記2つの心電図リード信号を得るために、前記2つの心電図リード信号をサンプリングする時点の差がサンプリング周期よりも小さい、ことを特徴とする請求項3に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
一つのウォッチ本体に設置されて、リードIを測定する一つのウォッチ心電計;および
設置される位置によって、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計;を含むウェアラブルデバイスであって、
前記ウォッチ心電計が心電図測定を開始する命令(心電図測定開始命令)を前記一つの下向きリード心電計に無線で送信し、
前記ウォッチ心電計は、リードIを測定し、
前記心電図測定開始命令を無線で受信した前記一つの下向きリード心電計は、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定し、 前記一つの下向きリード心電計が測定された前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを前記ウォッチ心電計に無線で送信すると、前記ウォッチ心電計は、前記送信されたリードIIまたはリードIIIの中で一つを無線で受信して、
同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を獲得し、
前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を利用して4つの心電図リード信号を追加的に算出して、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、リードaVFで構成される6つの四肢誘導信号を得る、ことを特徴とするウェアラブルデバイス。
【請求項13】
前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計は、
前記一つのウォッチ本体に結合される一つのバンドと結合され、前記ウォッチ本体の底面と対向する位置に配置され、
使用者の片方の手首に接触するように前記バンドの内側面に配置される一つの電極と、
使用者の左膝または左足首に接触することができるように、前記バンドの外面に配置される一つの電極を含む、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項14】
前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計は、
一つの指に着用する指輪形態である、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項15】
前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計は、
パッチまたは胸バンド形態で、胸に接触される電極を含む、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項16】
前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、周波数応答特性が同一である、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項17】
前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、利得特性が同一である、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項18】
前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、最大振幅エラーが+/-5%以内である、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項19】
前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、同一サンプリング率でサンプリングされる、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項20】
前記ウォッチ心電計と一つの下向きリード心電計が通信する無線方式は、ブルートゥースローエネルギーである、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項21】
前記一つの下向きリード心電計は、
ブルートゥースローエネルギー連結成立後に、
一つの連結インターバルの間に心電図リード信号をサンプリングし、
前記サンプリングしたデータを前記サンプリングに従う一つの連結イベントの間に送信する、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項22】
前記連結インターバルは、
前記一つの下向きリード心電計が一つの心電図リード信号をサンプリングする時のサンプリング周期の整数倍である、ことを特徴とする請求項21に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項23】
前記ウォッチ心電計と一つの下向きリード心電計は、連結イベントから同じ時間が経過した後にそれぞれの心電図リード信号をサンプリングすることによって、同じ時刻にそれぞれの心電図リード信号をサンプリングする、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項24】
前記4つの心電図リード信号を追加的に算出する動作と6つの四肢誘導信号をディスプレイする動作をスマートフォンで実行する、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項25】
前記心電図測定開始命令を、
一つの心電計に搭載された光電式容積脈波計が心臓活動の異常を検出してアラームを発生させた後に、前記一つの心電計が発生する、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項26】
前記心電図測定開始命令を、
使用者が心電図を測定するために使用者の体を下向きリード心電計の2つの電極に接触させたことを感知した電流感知器が出力を発生させた後、前記下向きリード心電計またはウォッチ心電計が発生する、ことを特徴とする請求項12に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の心電図リード信号を獲得するウェアラブルデバイスに関し、より詳しくは、携帯に便利で、時間と場所にかかわらず容易に用いることができ、同時に測定された2つの肢リード信号(Limb Lead Signals)を介して6つの心電図リード信号を得ることができるように構成された個人が着用可能な複数の心電図測定装置(測定センサ)としてのウェアラブルデバイスに関する。
【0002】
本発明は、複数の心電図を測定するための装置として、International Patent Classification(IPC)によれば、体の生体電気信号を検出、測定、記録(Detecting、measuring or recording bioelectric signals of the body or parts thereof)が属するA61B 5/04クラスに分類されることができる。
【背景技術】
【0003】
心電計は、患者の心臓の状態を分析するために簡便に得ることができ、非常に有用な情報を含む電気信号の波形、すなわち心電図を提供する。
【0004】
すなわち、心電計は、患者の心臓状態を便利に診断することができる有用な装置である。心電計は、使用目的によって多様な種類に分類することができる。できるだけ多くの情報を得るための病院用心電計では、10個の湿式電極(wet electrodes)を用いる12チャンネル心電計が基準として用いられる。使用者が自ら移動しながら使用できるホルターレコーダ(Holter recorder)とイベントレコーダ(Event recorder)は、次のような必須的な特徴を有する。これらの特徴は、小型で、バッテリーを使用し、測定されたデータを記憶する記憶装置、およびデータを送信することができる通信装置を備えることを含む。
【0005】
一方、イベントレコーダは、使用者が携帯しており、心臓に異常を感じると即席で自らECGを測定することができるようにする。そのため、イベントレコーダは、小型で、電極を連結するためのケーブルを備えず、イベントレコーダの表面に乾式電極(dry electrodes)を備える。従来の技術によるイベントレコーダは、主に両手を2つの電極にそれぞれ接触して、1つのECG信号を測定する1チャンネルつまり1リード(lead)心電計である。
【0006】
本発明が追い求める心電図測定装置は、個人が便利に使用でき、正確で、豊かな心電図測定装置を提供する必要があり、容易に携帯するように小型である必要がある。個人が便利に使用するために要求される装置は、無線通信を介してデータを送信することが必要である。また、要求される装置はバッテリーで動作されなければならない。
【0007】
正確で豊かな心電図測定装置を提供するために、本発明では、同時に測定された2つの肢リード(Limb Leads)を獲得する。後述するように、本発明では、同時に測定した2つの肢リード測定装置から4つのリードを計算して提供することができる。通常、心電図に関連して、一つの「チャンネル」と一つの「リード」(lead)は同じ意味で用いられ、一つの心電図信号または心電図電圧を意味する。心電図に関連して、「同時に」という単語は非常に注意深く使用すべきである。具体的に記述すれば、リードI(lead I)電圧を所定のサンプリング周期でサンプリングしながらリードIIをサンプリングすると、リードIIをサンプリングする各時点は、リードIをサンプリングする各時点からサンプリング周期の半分よりも小さい時間内に行われてこそ同時に測定したとすることができる。また、「測定(measurement)」という単語の使用にも注意すべきである。「測定」という単語は、実際に物理的量を測定した時のみ測定と言うべきである。デジタル計測で一つの測定とは実質的に一つのAD変換を意味すべきである。後述するように、心電図測定で、例えばリードIとリードIIIを測定すると、キルヒホッフ電圧法則によってリードIIを計算することができる。この場合、リードIIは、「計算した」と表現した方が正確であり、「測定した」と表現すれば混乱を惹起する。
【0008】
心電図の測定で最も難しい問題の一つは心電図信号に含まれる電力線干渉(power line interference)を除去することである。電力線障害を除去するためによく知られたのは駆動右脚(Driven Right leg(DRL))方法である。
【0009】
最近、スマートウォッチに搭載された心電計が非常に有用に用いられている。しかしながら、スマートウォッチに搭載された前記心電計は、両手の間の心電図信号、すなわちリードI信号のみを提供して、提供する医学的情報が充分でないという問題点がある。そこで、より多い個数の心電図信号を提供することができる装置が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点と必要性に基づいて案出されたもので、心電計を搭載したウォッチを利用し、同時に測定された2つの肢リード信号(Limb Lead Signals)を獲得する心電図装置を提供することを目的とする。2つの肢リードを同時に測定することは医学的に非常に重要である。それは、2つのリードを順次測定するのにより時間がかかり、不便であるからである。また他の時期に測定された2つの肢リードは、互いに相関関係がないこともあり、正確で詳細な不整脈判別に混乱を与えることがあるからである。最も重要なことは、後述するように、4つの追加的な肢リードを算出して、総6つの肢リードを獲得するためには、2つの肢リード信号が同時に測定されたものである必要がある。
【0011】
スマートウォッチに搭載された心電計は、リードI信号を測定するので、後述する方法で総6つの肢リードを獲得するためには、リードIIとリードIIIの中で一つを測定して獲得する必要がある。また、リードIIとリードIIIの中で一つを測定する方法が使用者に便利である必要がある。また、リードIIとリードIIIの中で一つを測定する際に用いる装置の構造と電極の配置は、使用者に便利である必要がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決し、必要性を満たすために、ウォッチバンドに配置される心電計を採用する。
【0013】
しかしながら、本発明で採用する上記のバンドに配置される心電計は、測定した心電図信号をウォッチに搭載された心電計に伝達するためには、必ずウォッチに搭載された心電計と無線で通信しなければならない。ところが、無線通信では不可欠に時間遅延が発生するため、同時に測定された2つの心電図信号を獲得するためには、時間遅延を補償しなければならない。したがって、無線通信で発生した時間遅延値を分かる必要があるという問題がある。
【0014】
一方、一般的に、一つの携帯型測定装置はバッテリーを用い、バッテリーの電力消耗を制御するために、機械的電源スィッチを必要とする。しかしながら、機械的電源スィッチは、携帯型測定装置の体積や面積を増加させ、小型化の限界をもたらし、故障の可能性を高める。
【0015】
本発明は、上記の問題点と必要性によって案出されたもので、心電計を搭載したウォッチを利用して同時に測定された2つの肢リード(Limb Leads)を獲得する心電図装置を提供し、実施形態によって追加的な機械的スィッチを使用するか、または必要によって使用しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような目的を達するための本発明に係るウェアラブルデバイスは、非接触式心電図測定装置は、使用者が片方の手首に着用するウォッチ;前記ウォッチに結合される一つのバンド;一つの前記バンドと結合され、前記ウォッチの底面と対向する位置に配置される第1心電計;および前記ウォッチに含まれる第2心電計;を含み、前記第1心電計は、使用者の前記片方の手首に接触するように前記バンドの内側面に配置される第1電極、および使用者の左膝または左足首に接触することができるように、前記バンドの外面に配置される第2電極を含み、前記第2心電計は、使用者の前記片方の手首に接触するように前記ウォッチの底面に配置される第3電極、および使用者の他方の手に接触することができる第4電極を含んでもよい。
【0017】
また、前記第1心電計は、前記第1電極と第2電極との間に誘導される第1心電図リード信号を測定し、測定した前記第1心電図リード信号を無線通信手段を介して前記第2心電計に送信し、前記第2心電計は、第3電極と第4電極を通じて第2心電図リード信号を測定し、前記第1心電図リード信号を無線通信手段を介して受信し、前記第1心電図リード信号と前記第2心電図リード信号が同じ時間にサンプリングされた2つの心電図リード信号になるように、受信された前記第1心電図リード信号に無線通信過程で発生した時間遅延を補償することができる。
【0018】
また、前記ウェアラブルデバイスは、同じ時間にサンプリングされた前記2つの心電図リード信号を利用して4つの心電図リード信号を追加的に算出して、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、リードaVFを含む6つの四肢誘導信号を得ることができる。
【0019】
また、前記第1心電計は、前記第1心電計を制御する一つのマイクロコントローラを含み、前記マイクロコントローラは、前記第1心電計が心電図リード信号を測定しない時にはスリップモードで動作して、前記第1心電計が含む増幅器、AD変換器、前記無線通信手段を電源オフさせ、活性化モードに変更されると、前記増幅器、前記AD変換器、および前記無線通信手段を電源オンさせ、前記第1心電図リード信号を増幅し、AD変換して無線通信を実行することができる。
【0020】
また、前記第1心電計は、電力が供給される一つの電流感知器を含み、前記電流感知器は、前記第1電極が前記使用者の前記片方の手首に接触し、前記第2電極が前記使用者の左膝または左足首に接触すると、前記使用者の人体に電流が流れるようにし、前記電流を感知すると、出力信号を発生させ、前記マイクロコントローラは、前記電流感知器の出力信号を受信すると、スリップモードから活性化モードに変更されることができる。
【0021】
また、本発明に係るウェアラブルデバイスは、下記(1)から(4)までの過程を利用して時間遅延値を決める。
【0022】
(1)一つの信号発生器の一つの出力信号を前記第1心電計と前記第2心電計に共通的に印加する。
【0023】
(2)前記第1心電計と前記第2心電計は、前記出力信号を測定する。
【0024】
(3)第1心電計は測定した信号を無線通信手段で送信し、第2心電計は前記送信された信号を受信する。
【0025】
(4)前記第2心電計が測定した信号と前記第2心電計が受信した前記信号との波形を比較する。
【0026】
また、前記バンドは、前記第1心電計を配置するために、前記ウォッチを基準に一方のバンドの長さが他方のバンドの長さよりも長く形成されてもよい。
【0027】
また、前記無線通信手段は、ブルートゥース(登録商標)ローエネルギー方式で具現してもよい。
【0028】
また、片方の手首に着用されたウォッチに内蔵された心電計と前記ウォッチのバンドに付着された心電計を利用した本発明に係る複数の心電図リードを獲得する方法は、前記バンドに付着された心電計の第1電極が腕首に接触し、第2電極が左足または左足首に接触するステップ;バンドに付着された心電計に内蔵されたマイクロコントローラが活性化モードに変更されるステップ;前記マイクロコントローラが活性化モードに変更されると、前記増幅器、前記AD変換器および前記無線通信手段を電源オンさせるステップ;前記第1電極と第2電極との間の心電図リードを増幅するステップ;増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するステップ;前記デジタル信号に変換された第1心電図リードデータを前記無線通信手段を介して前記ウォッチに内蔵された心電計に送信するステップ;前記ウォッチに内蔵された心電計は、送信された第1心電図リードデータを無線通信手段を介して受信するステップ;および受信された前記第1心電図リードデータに無線通信過程などで発生した時間遅延を補償してウォッチに付着された電極を介して測定した第2心電図リードデータと前記第1心電図リードデータが同じ時間にサンプリングされた2つの心電図リードデータセットになるようにするステップ;を含んでもよい。
【0029】
また、複数の心電図リード信号を獲得する方法は、前記バンドに付着された心電計に内蔵されたマイクロコントローラが心電図測定を所定時間実行した後、心電図測定を終了するか否かを判断するために、前記電流感知器に電流が流れているか否かを確認するステップ;をさらに含んでもよい。
【0030】
言い換えれば、本発明の一実施形態において、リードIを測定する一つのウォッチ心電計と;設置される位置によってリードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計;を含む、ウェアラブルデバイスを提供する。
【0031】
一方、本発明は、同じ時間帯域でサンプリングされた前記2つの心電図リード信号を得るために、前記2つの心電図リード信号をサンプリングする時点の差がサンプリング周期よりも小さいことを特徴とする。
【0032】
一方、本発明は、上記の目的を達するために、一つのウォッチ本体に設置されて、リードIを測定する一つのウォッチ心電計;および設置される位置によって、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計;を含むウェアラブルデバイスであって、前記ウォッチ心電計が心電図測定を開始する命令(心電図測定開始命令)を前記一つの下向きリード心電計に無線で送信し、前記ウォッチ心電計はリードIを測定し、前記心電図測定開始命令を無線で受信した前記一つの下向きリード心電計は、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定し、前記一つの下向きリード心電計が測定された前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを前記ウォッチ心電計に無線で送信すると、前記ウォッチ心電計は、前記送信されたリードIIまたはリードIIIの中で一つを無線で受信して、同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を獲得し、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を利用して4つの心電図リード信号を追加的に算出して、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、リードaVFで構成される6つの四肢誘導信号を得ることを特徴とする、ウェアラブルデバイスを提示する。
【0033】
この時、前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計は、前記一つのウォッチ本体に結合される一つのバンドと結合され、前記ウォッチ本体の底面と対向する位置に配置され;使用者の片方の手首に接触するように前記バンドの内側面に配置される一つの電極、および使用者の左膝または左足首に接触することができるように、前記バンドの外面に配置される一つの電極を含んでもよい。
【0034】
一実施形態において、前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計は、一つの指に着用する指輪形態であってもよい。
【0035】
一実施形態において、前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計は、パッチまたは胸バンド形態で、胸に接触される電極を含むものであってもよい。
【0036】
一方、本発明で、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、周波数応答特性が同一であることを特徴とする。
【0037】
一方、本発明で、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、利得特性が同一であることを特徴とする。
【0038】
一方、本発明で、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、最大振幅エラーが+/-5%以内であることを特徴とする。
【0039】
一方、本発明で、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号は、同一サンプリング率でサンプリングされることを特徴とする。
【0040】
そして、前記ウォッチ心電計と一つの下向きリード心電計が通信する無線方式は、ブルートゥースローエネルギーであることを特徴とする。
【0041】
一方、前記一つの下向きリード心電計は、ブルートゥースローエネルギー連結成立後に、一つの連結インターバルの間に心電図リード信号をサンプリングし、前記サンプリングしたデータを前記サンプリングに従う一つの連結イベントの間に送信する。
【0042】
この時、前記連結インターバルは、前記一つの下向きリード心電計が一つの心電図リード信号をサンプリングする時のサンプリング周期の整数倍であることを特徴とする。
【0043】
一方、本発明で、前記ウォッチ心電計と一つの下向きリード心電計は、連結イベントから同じ時間が経過した後にそれぞれの心電図リード信号をサンプリングすることによって、同じ時刻にそれぞれの心電図リード信号をサンプリングすることを特徴とする。
【0044】
一方、本発明で、前記4つの心電図リード信号を追加的に算出する動作と6つの四肢誘導信号をディスプレイする動作をスマートフォンで実行することを特徴とする。
【0045】
一方、本発明で、前記心電図測定開始命令を、一つの心電計に搭載された光電式容積脈波計が心臓活動の異常を検出してアラームを発生させた後に、前記一つの心電計が発生することを特徴とする。
【0046】
一方、本発明で、前記心電図測定開始命令を、使用者が心電図を測定するために使用者の体を下向きリード心電計の2つの電極に接触させたことを感知した電流感知器が出力を発生させた後、前記下向きリード心電計またはウォッチ心電計が発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係るウェアラブルデバイスは、携帯に便利であり、時間と場所にかかわらず容易に用いることができ、6つの心電図リード信号を得ることができるので、保健医療的に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明に係るウェアラブルデバイスの一方向での斜視図。
【
図2】本発明に係るウェアラブルデバイスの他の方向での斜視図。
【
図4】本発明に用いられる指輪形態の心電計の斜視図。
【
図5】本発明に用いられるパッチ心電計を使用者の胸に付着した状態を示す図面。
【
図6】本発明に用いられる胸バンド心電計を使用者の胸に着用した状態を示す図面。
【
図7】本発明によって2つの心電計がブルートゥースローエネルギーで連結された状態で心電図リード信号をサンプリングし、サンプリングしたデータをそれぞれ送信および受信する動作を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、最善の形態として、一つのウォッチ本体に設置されて、リードIを測定する一つのウォッチ心電計;および設置される位置によってリードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計;を含むウェアラブルデバイスであって、前記ウォッチ心電計が心電図測定を開始する命令を前記一つの下向きリード心電計に無線で送信し、前記ウォッチ心電計はリードIを測定し、前記心電図測定開始命令を無線で受信した前記一つの下向きリード心電計は、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定し、前記一つの下向きリード心電計が、測定された前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを前記ウォッチ心電計に無線で送信すると、前記ウォッチ心電計は、前記送信されたリードIIまたはリードIIIの中で一つを無線で受信して、同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を獲得し、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を利用して4つの心電図リード信号を追加的に算出して、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、リードaVFで構成される6つの四肢誘導信号を得ることを特徴とする、ウェアラブルデバイスを提供する。
【0050】
実施形態
以下、添付図面を参照して本発明に係る複数の心電図リード信号を獲得するウェアラブルデバイスについて詳しく説明する。次に紹介される図面は、当業者に本発明の思想が充分に伝達されることができるようにするために例として提供されるのである。したがって、本発明は以下に提示される図面に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。また、明細書全般にわたって同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0051】
この時、用いられる技術用語および科学用語において、他に定義されない限り、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、下記の説明および添付図面で本発明の要旨を不必要に曖昧にする虞のある公知機能および構成に対する説明は省略する。
【0052】
本発明を説明する際に先たち、2つの肢リード信号を測定すると、以下に記述するように、4つのリードを計算して追加的に求めることができる。上記の測定方法は、最も便利に6つの心電図リード信号を得るために本発明で提供する方法である。本発明の原理は次の通りである。
【0053】
伝統的な12-lead ECGに対しては、例えば[ANSI/AAMI/IEC 60601-2-25:2011、Medical electrical equipment-part 2-25: Particular requirements for the basic safety and essential performance of electrocardiographs]に記述されている。伝統的な12-lead ECGの中で3つの肢リード(Limb lead)は、次のように定義される。リードI=LA-RA、リードII=LL-RA、リードIII=LL-LAである。上記式で、RA、LA、LLは、それぞれ右手(right arm)、左手(left arm)、左足(left leg)またはこれら肢と近い胴部位の電圧である。前記関係から一つの肢リードは他の2つの肢リードから求めることができる。例えば、リードIII=リードII-リードIである。増強肢リード(Augmented limb leads)3つは、次のように定義される。aVR=RA-(LA+LL)/2、aVL=LA-(RA+LL)/2、aVF=LL-(RA+LA)/2。したがって、3つの増強肢リードは、2つの肢リード(limb lead)から求めることができる。例えば、aVR=-(I+II)/2で求めることができる。したがって、2つの肢リードを測定すると、残り4つのリードを計算して求めることができる。
【0054】
以下、図面を参考して本発明に係る実施形態ついて説明する。
【0055】
図1は、本発明に係るウェアラブルデバイスの一方向での斜視図であり、
図2は、本発明に係るウェアラブルデバイスの他の方向での斜視図である。本発明に係るウェアラブルデバイスの構造と用いられる電極の配置に対して、
図1および
図2を参照して記述する。本発明に係るウェアラブルデバイスは、使用者が片方の手首に着用するウォッチ200、前記ウォッチ200に結合されるバンド300、前記一つのバンド300と結合され、前記ウォッチ200の底面と対向する位置370に配置される第1心電計100、および前記ウォッチ200に含まれる第2心電計200を含む。本発明で、前記第1心電計100をウォッチ200の底面と対向する位置370に配置させるために、前記バンド300は、バンド300’(
図1)よりも長さが長い必要がある。本発明で、ウォッチは第2心電計と関係ない他の要素250と260を含んでもよい。しかしながら、
図1および
図2を用いた本発明に対する記述で、ウォッチと第2心電計を便宜上同じ図面符号200で表記する。
【0056】
図1で、第1心電計100は、前記バンド300の内側面350に配置される第1電極110を含み、第2心電計200は、ウォッチ200を着用した手と他方の手に接触することができる第4電極220を含む。
図2で、第1心電計100は、前記バンド300の外側面360に配置される第2電極120を含み、第2心電計200は、ウォッチ200を着用した手首に接触する第3電極210を含む。
【0057】
本実施形態で、前記第1心電計100は、前記第1電極110と前記第2電極120との間に誘導される第1心電図リード信号を測定する。ウォッチ200を左手首に着用した場合、前記第2電極120を使用者の左膝または左足首に接触した時に測定される第1心電図リード信号はリードIIIである。
【0058】
本実施形態で、前記第2心電計200は、前記第3電極210と前記第4電極220との間に誘導される第2心電図リード信号を測定する。ウォッチ200を左手首に着用した場合、前記第4電極220を使用者の右手指に接触した時に測定される第2心電図リード信号はリードIである。
【0059】
本発明で、前記第1心電計100と前記第2心電計200は、互いに別途の独立した装置であり、互いに有線で連結されない。したがって、本発明で、前記第1心電計100と前記第2心電計200は、互いに無線通信のみで連結される。
【0060】
本実施形態で、前記第1心電計100は、測定した前記第1心電図リード信号を無線通信手段を介して前記第2心電計200に送信する。前記第2心電計200は、無線通信手段を介して前記第1心電図リード信号を受信する。
【0061】
本発明で、前記第1心電計100および前記第2心電計200は、それぞれ別途のバッテリーから電力が供給される。
図1および
図2で注目すべき事項の一つは、前記第1心電計100が何ら機械的スィッチを含まないということである。前記第1心電計100は、
図3で追加的に説明するように、前記第1電極110と前記第2電極120との間で電流が流れると、前記第1心電計100に内蔵されたマイクロコントローラが活性化モードに変更され、前記第1心電計100の内部の装置を電源オンさせるようになる。心電図測定をしない時には、前記第1心電計100の内部のバッテリーの電力消耗を防止するために、前記マイクロコントローラが前記第1心電計100の内部の装置を電源オフさせて、スリップモード(sleep mode)に入る。
【0062】
図3は、前記第1心電計100の内部構造を示すブロック図である。心電図リード信号は、第1電極110と第2電極120に入力される。増幅器310は、入力される心電図リード信号を増幅する。AD変換器320は、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。マイクロコントローラ330は、AD変換された心電図リード信号を受けて無線通信手段340とアンテナ350を介して送信する。
【0063】
電流感知器360は、常に内蔵されたバッテリーから電力が供給される。前記第1電極110が手首に接触した状態で前記第2電極120に左膝または左足が接触すると、前記電流感知器360は、前記第1電極110と前記第2電極120との間に電流が流れるようにし、スリップモードの前記マイクロコントローラ330を活性化モードに変更させる。それで、前記マイクロコントローラ330は、無線通信手段340を電源オンさせ、前記第2心電計200と通信して、前記第2心電計200が心電図測定を必要とするか否かを確認する。前記第2心電計200が心電図測定を必要とする場合、前記増幅器310と前記AD変換器320を電源オンさせて、心電図測定を実行する。
【0064】
心電図測定を所定時間実行した後には、心電図測定を終了するか否かを判断するために、前記電流感知器360の状態を確認する。通常、心電図の特定は約30秒行う。使用者は、ウォッチのディスプレイを通じて30秒が経過したか否かを確認して、心電図電極との接触を中止することができる。しかしながら、使用者が30秒よりも長く続いて測定を必要とする場合、使用者が電極を接触し続けていれば良い。前記電流感知器360に電流の流れが感知されない場合、前記マイクロコントローラ330は、前記増幅器310と前記AD変換器320を電源オフさせ、前記マイクロコントローラ330は、スリップモードに入る。以上で前記AD変換器320を前記マイクロコントローラ330と別途の装置で記述したが、前記AD変換器320は、前記マイクロコントローラ330内に内蔵されていてもよい。
【0065】
前記第2心電計200は、前記第1心電計100が送信した第1心電図リード信号を無線通信で受信する。このような場合、無線方式のプロトコルによる所定時間の時間遅延が発生する。2つの心電図リード信号を利用してキルヒホッフの法則を適用して、第3の心電図リード信号を算出しようとする場合、上記の2つの心電図リード信号は、同じ時間に測定されたものである必要がある。ここで、2つの信号が同じ時間に測定されたものであるということは、2つのサンプリングされた時点の差がアナログ信号をデジタル信号にサンプリングするサンプリング周期よりも小さい時間であるべきことを意味する。通常、心電図信号測定でサンプリング周期は3ms程度である。したがって、無線通信で時間遅延が約1ms以上発生すると、時間遅延を補償する必要がある。
【0066】
本発明に適する無線通信方式は、近距離と低電力特性を有するブルートゥースローエネルギー(BLE)方式である。BLE方式で発生する時間遅延を分かるためには、次の方法が利用され得る。
【0067】
(1)一つの信号発生器で出力される一つの出力信号を前記第1心電計と前記第2心電計に共通的に印加する。
【0068】
(2)前記第1心電計と前記第2心電計は、前記出力信号を測定する。
【0069】
(3)第1心電計は、測定した信号を無線通信手段で送信し、第2心電計は前記送信された信号を受信する。
【0070】
(4)前記第2心電計が測定した信号と前記第2心電計が受信した前記信号との波形を比較する。
【0071】
前記一つの信号発生器で出力される一つの出力信号の波形は、例えば、三角波であってもよい。時間遅延を正確に分かるためには、心電図の測定に用いるサンプリング周期よりも短いサンプリング周期を用いて前記第1心電計と前記第2心電計が前記出力信号を測定することができる。
【0072】
このような本発明に係るウェアラブルデバイスは、携帯に便利であり、時間と場所にかかわら容易に使用することができ、6つの心電図リード信号を得ることができるので、保健医療的に非常に有用である。
【0073】
上述したように、以上それぞれ一つの心電図リードを測定する2つの心電計を用いて6つの四肢誘導信号を得る第1実施形態について記述した。以下では、新しい実施形態について記述する。後述する新しい実施形態と上述した第1実施形態を統一した概念の発明で記述するために、第1実施形態で用いた用語および名称の代りにより適切な用語および名称を用いてもよい。
【0074】
第1実施形態において、第2心電計200はウォッチ本体に設置される。これは前の
図1を用いて記述された。また、第2心電計200が測定する第2心電図リード信号は、両手の間の心電図リード信号、つまりリードIであることは前述した。また、前でウォッチと第2心電計200を便宜上同じ図面符号200で表記した。したがって、第2心電計200という名称の代わりに、便宜上ウォッチ心電計200という名称を用いてもよい。ウォッチ心電計200はリードIを測定する。
【0075】
前の第1実施形態で、ウォッチを左手首に着用する場合に、第1心電計はリードIIIを測定すると記述した。一方、ウォッチを右手首に着用すると、第1心電計はリードIIを測定する。心電図に対する技術分野または文献で、リードII、リードIIIとaVFは、下向きリード(inferior lead)に分類される。したがって、第1実施形態で記述した第1心電計は、下向きリード心電計(inferior lead electrocardiograph)と呼んでもよい。かかる名称を用いると、第1実施形態を次のように表現し得る。すなわち、本発明によって6つの四肢誘導信号を得るウェアラブルデバイスを心電図測定装置(測定センサ)として、次のように記述することができる。
【0076】
一つのウォッチ本体に設置されて、リードIを測定する一つのウォッチ心電計200;および設置される位置によってリードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計100;を含むウェアラブルデバイスであって、前記ウォッチ心電計200が心電図測定を開始する命令を前記一つの下向きリード心電計100に無線で送信し、前記ウォッチ心電計200はリードIを測定し、前記心電図測定開始命令を無線で受信した前記一つの下向きリード心電計100は、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定し、前記一つの下向きリード心電計100が測定された前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを前記ウォッチ心電計200に無線で送信すると、前記ウォッチ心電計200は、前記送信されたリードIIまたはリードIIIの中で一つを無線で受信して、同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を獲得し、前記同じ時間帯域で測定された2つの心電図リード信号を利用して、4つの心電図リード信号を追加的に算出して、リードI、リードII、リードIII、リードaVR、リードaVL、リードaVFで構成される6つの四肢誘導信号を得ることを特徴とするウェアラブルデバイス。
【0077】
上記のように本発明を記述すると、第1実施形態の第1心電計100は、次のように記述することができる。
【0078】
前記リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する一つの下向きリード心電計100(第1心電計)は、前記一つのウォッチ本体200に結合される一つのバンド300と結合され、前記ウォッチ本体の底面と対向する位置に配置され、使用者の片方の手首に接触するように、前記バンドの内側面350に配置される一つの電極110(第1電極)、および使用者の左膝または左足首に接触することができるように、前記バンドの外面360に配置される一つの電極120(第2電極)を含む。
【0079】
以下、第2実施形態を記述する。第1実施形態で下向きリード心電計100は、ウォッチに結合されるバンド300に設置されたが、必ずこのように設置する必要はない。第2実施形態で、下向きリード心電計100は、一つの指に着用する指輪形態400である。第2実施形態でも下向きリード心電計100は、リードIIまたはリードIIIの中で一つを測定する。第2実施形態でもウォッチ心電計200は第1実施形態でのようにリードIを測定する。
【0080】
図4に指輪形態の下向きリード心電計400を示した。指輪形態の下向きリード心電計400は、指輪の内側の少なくとも一つの電極410、および指輪の下側外側の一つの電極420を含む。前記指輪形態の下向きリード心電計400を左手に着用し、外側電極420を左足に接触すると、前記指輪形態の下向き心電計400はリードIIIを測定する。前記指輪形態の下向きリード心電計400を右手に着用し、前記外側電極420を左足に接触すると、前記指輪形態の下向きリード心電計400はリードIIを測定する。
図4で指輪の内側の少なくとも一つの電極410を便宜上前記外側電極420と離れた位置に設置することに示したが、前記外側電極420と近い方に設置してもよい。そして、下向きリード心電計400は、右足電極(Driven Right Leg Electrode)430を含んでもよい。
【0081】
以下第3実施形態について記述する。第3実施形態において、下向きリード心電計は、パッチ形態の下向きリード心電計(パッチ心電計)500または胸バンド形態の下向きリード心電計(胸バンド心電計)600である。第3実施形態において、パッチまたは胸バンド形態の下向きリード心電計500、600は、胸に接触されて、類似リードIIを測定する。原リードIIは、右手と左足との間に誘導される心電図信号である。しかしながら、適当な胸部位に心電計を付着すると、リードIIとほぼ同様の心電図信号を得ることができ、この信号を類似リードIIとする。したがって、類似リードIIを測定するためには、パッチまたは胸バンド形態の下向きリード心電計500、600の接触部位をよく選定する必要がある。第3実施形態でもウォッチ心電計200は、第1実施形態と同様にリードIを測定する。
【0082】
図5に胸に付着されたパッチ心電計500を示した。パッチ心電計500は、胸に約2週間付着して心電図を測定し続けることもできる。
図6には胸に着用した胸バンド心電計600を示した。胸バンド心電計600は、弾力性のあるバンド610に設置される。胸バンド心電計600は、乾式電極を用いるので、着用が簡便で、長期間用いることができる。通常の胸バンド心電計600は、類似リードIIではない心電図信号を得ることもできる。しかしながら、本発明で用いる胸バンド心電計600は、類似リードIIを得て、これを利用して他のリードを算出することができる。前記パッチ心電計500または胸バンド心電計600は、必要によって、V1、V2、V3、V4、V5、V6などの1つ、2つの胸リードを測定することもできる。
【0083】
以上、第2実施形態および第3実施形態について記述した。前述した第1実施形態に対する内容は、第2実施形態および第3実施形態に対しても適用され得る。また、これから記述される内容は、すべての実施形態に対して適用されてもよい。本発明で同一時間帯域で測定するという意味は、測定の開始時点と終了時点が同一であるという意味である。一つの測定は、文脈によって心電図リード信号に対する一度のAD変換、つまり一度のサンプリングを意味することができる。
【0084】
本発明の目的の一つは、無線だけで通信する2つの心電計(ウォッチ心電計と下向きリード心電計)がそれぞれ測定する2つの心電図リード信号を利用して、4つの心電図リード信号を追加的に算出することである。以下、上記目的を達するために必要な条件、およびその条件を満たす装置および方法について記述する。
【0085】
まず、通常知られている6つの四肢誘導心電図リードに関する式を整理すれば、次の通りである。次の式1から式6は、国際医療機器基準であるANSI/AAMI/IEC 60601-2-25:2011、Medical electrical equipment-part 2-25: Particular requirements for the basic safety and essential performance of electrocardiographsに記述された基準12リードに関する式のうち四肢誘導6つに関する式である。RA、LA、LLは、それぞれ右手(right arm)、左手(left arm)、左足(left leg)またはこれら肢(limb)と近い胴部位で心電計が測定した電圧である。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
本発明で2つの心電計がそれぞれ測定した2つの心電図リード信号を利用して、4つの心電図リード信号を追加的に算出することは、以下で記述するように、非常に独創的である。後述する本発明の原理は既に
図1に対して記述した部分で簡略に記述された。
【0093】
本発明で2つの心電計がそれぞれリードIとリードIIを測定した場合には、次の式を利用して4つのリードを求める。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
本発明で、前記式7から式10まで利用することは非常に独創的である。トムソンなどは式8から式10までを公開した。(U.S.Patent Application Publication、Pub.No.:US2015/0018660 A1、Pub.Date:Jan.15、2015、Appl.No.:14/328,962、Claim 28)しかしながら、トムソンなどは、前記3つの式を利用するために、RA、LA、LLの3つの電圧を測定する。一方、本発明では、2つの心電図リード信号つまり心電図電圧を測定する。したがって、本発明は、トムソンなどよりも効果的である。また、トムソンなどは、式3、つまりIII=LL-LAを用いる。つまり、式7を使用しない。(以上で、トムソンなどは式8から式10までのみ用いることを記述した。)また、本発明は、式7から式10までに追加して、下式11から式14を公開する。よって、本発明は、トムソンなどとは異なる。また、トムソンなどは、一つの心電計を用いる。一方、本発明では、無線だけで連結される2つの心電計を用いる。本発明は無線だけで連結される2つの心電計を用いて2つのリードを測定して、6つの四肢誘導リードを求めるので、より効果的で、より独創的である。
【0099】
本発明で、2つの心電計がそれぞれリードIとリードIIIを測定した場合には、次の式を利用して、4つのリードを求める。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
独創的な本発明を具現するためには、様々な注意すべき点がある。前記式11の各項を時間の関数で表現すれば、次の通りである。
【0105】
【0106】
前記式15は、測定された2つのリードから他のリードを求めるためには、測定された2つのリードが同じ時点にサンプリングされるべきであることを意味する。前記式15で、Tはサンプリング周期(sampling period)、nはサンプリング番号を示す。心電図測定開始命令がt=0で発生したと仮定する。すると、toは、最初(n=0)サンプリングが行われる際に(t=to)まで経過した時間を示す。サンプリング総数がN+1である場合、NTは測定した総時間を示す。一つの実施形態でサンプリング率(sampling rate)が300sps(samples/second)である場合、T=3.333msである。30秒間測定すれば、N=30s/3.333ms=9,000である。
【0107】
式15は、2つの心電図リード信号、つまりリードIとリードIIが同じサンプリング率でサンプリングされたことを示す。したがって、本発明で前記式を利用する場合には、2つの心電計は、同じサンプリング率でそれぞれの心電図リード信号をサンプリングしなければならない。もちろんサンプリング率が異なる場合には、補間法(interpolation)を用いてサンプリング率が同一になるように変換して用いることが可能である。しかしながら、同一サンプリング率を用いることがずっと効果的である。
【0108】
式15は、好適な場合の表現で、実際状況では次のように表現され得る。
【0109】
【0110】
ここで、delは時間遅延である。時間遅延delは、2つ心電計が実行する無線通信過程で送信と受信の時間を正確に分かりにくいことから発生する。また、delは、2つの心電計の無線通信手段340、マイクロコントローラ330、AD変換器320の動作差などから発生し得る。時間遅延delは、結局2つの心電図リード信号をサンプリングする時点の差、つまり時間遅延を示す。無線通信過程で発生する時間遅延は、サンプリング時点の差を発生させることがある。
【0111】
本発明で式7から式10、または式11から式14を用いるためには、2つの心電図リード信号をサンプリングする時点の差delがサンプリング周期Tよりも小さい必要がある。好ましくは、2つの心電図リード信号をサンプリングする時点の差delがT/2より非常に小さい必要がある。本発明では、式15の形態で表現される式を用いることができる2つの心電図リード信号を得ることを目標とする。
【0112】
以下、本発明で式7から式10、または式11から式14を用いるために、本発明で用いられる2つの心電計または前記2つの心電計が測定した2つの心電図リード信号が満たすべき追加的な条件について記述する。
【0113】
本発明に係るウェアラブルデバイスは医療機器である。本発明を具現するために用いらっる2つの心電計は、それぞれ医療機器認証基準に適合しなければならない。この時に適用される国際基準は、ANSI/AAMI/IEC 60601-2-47:2012, Medical electrical equipment-part 2-47: Particular requirements for the basic safety and essential performance of ambulatory electrocardiographic systemsである。
【0114】
本発明を具現するためには、次の条件が必要である:本発明で用いられる2つの心電計の利得は同一である必要がある。利得が同一でない2つの心電計で測定された2つの心電図リード信号を前記式の何れか一つに適用すれば、好ましくない結果が得られる。ここで利得とは、心電計に用いられた増幅器の利得を含むが、AD変換された後にデジタル信号処理を行って得られる最終的な利得を意味する。前記デジタル信号処理は、前記AD変換を行った心電計で実行しなくてもよく、他の心電計またはスマートフォンで実行してもよい。また、同一であるという意味は、差の大きさが許容される範囲より小さいという意味である。前記国際基準によれば、利得の正確度は、最大振幅エラーが10%以内であるべきである。
【0115】
本発明を具現するためには、次の条件が必要である:本発明で用いられる2つの心電計の利得の正確度は、前記国際基準で要求する利得の正確度より優れる必要がある。例えば、最大振幅エラーが+/-5%以内である必要がある。そうではなければ、前記式7から式14までを適用した時に算出されるリードの正確度は最大振幅エラーが10%以上になれるからである。これに対して説明するために、表1を用いて事例を説明する。
【0116】
表1は、式10によってaVFを求める時のエラー分析事例を示す。
【0117】
【0118】
表1の事例は、テスト信号でリードIに0.60mVを、リードIIに1.00mVを印加する時、リードI=0.54mV、リードII=1.10mVに測定される場合である。この場合、測定の正確度は、前記国際基準で許容する範囲である。しかしながら、この測定値で式10を利用してaVFを計算すれば、0.83mVになり、これはエラーがない時の値0.70mVの119%である。この場合にエラーが19%発生した。これは、前記基準の許容範囲10%を超える。リードIとリードIIの測定エラー許容範囲を5%にすると、式10によるaVF=0.765mVになる。すなわち、エラーが9%発生して、前記国際基準を満たすことができる。したがって、本発明を具現する場合、2つの心電計の測定正確度は、国際基準よりも優れることが要求される。
【0119】
本発明を具現するためには、次の条件が必要である:本発明で用いられる2つの心電計の周波数応答特性は同一である必要がある。前記国際規格によれば、正弦波(sinewave)で試験する時の周波数応答要求事項は、次の通りである:周波数範囲0.67Hzから40Hzまでの振幅応答(amplitude response)は、5Hzでの振幅応答の140%と70%以内である必要がある。
【0120】
本発明を具現するためには、次の条件が必要である:本発明で用いられる2つの心電計の周波数応答特性は、前記国際基準の要求事項よりも優れる必要がある。その理由は前述した、より優れた利得の正確度が必要な理由と同様である。例えば、周波数範囲0.67Hzから40Hzまでの振幅応答は、5Hzでの振幅応答の120%と85%以内である必要がある。
【0121】
本発明で用いる2つの心電計は、互いに無線通信だけで連結される。本発明で用いる2つの心電計は有線で連結することが不便であるか、それぞれの心電計の製造社が一つの心電図リードのみ測定することができるように心電計を製造することができるからである。本発明の使用に適切な無線通信方式は、ブルートゥースローエネルギー(BLE)であることは前述した。ブルートゥースローエネルギーは、本発明のように相対的に送受信するデータが多くなくて、高速送受信が必要ない状況で、ウェアラブルデバイスに内蔵されたバッテリーの電力消耗を減少するのに適する。
【0122】
図7は、本発明でウォッチ心電計200と下向きリード心電計100、400、500、600がブルートゥースローエネルギー方式で通信する実施形態を示す。
図7で、時間の経過に伴って、下にはウォッチ心電計200の動作を、上には下向きリード心電計100、400、500、600の動作を示した。この実施形態で、2つの心電計は、例えば、サンプリング率が同一で、300spsであり、3.33msの周期Tでサンプリングする。ブルートゥースローエネルギーでマスター(master)とスレーブ(slave)の連結が成立された後、所定の連結インターバル(Connection Interval)ごとに連結イベント(Connection Event)が発生する。一度の連結イベントで送信および受信が行われる。
図7の実施形態で、下向きリード心電計100、400、500、600は、6つのサンプリングを20ms間の連結インターバルの間に実行して、サンプリングに従う一度の連結イベントで6つのサンプリングしたデータを送信する。ウォッチ心電計200は、下向きリード心電計100、400、500、600と同じ時点にサンプリングする。例えば、30秒の測定時間の間に連結イベントは20msごとに発生する。
【0123】
本発明を具現するためには、次の条件が必要である:下向きリード心電計100、400、500、600は、一度の連結イベントで所定の個数のサンプリングデータを送信する必要がある。そのため、サンプリングと連結イベントは、時間的に重なってはならない。注目すべき点は、サンプリングと連結イベントが時間的に重ならないためには、連結インターバルはサンプリング周期の正確に整数倍である必要がある。
図7の実施形態で、一度の連結インターバル間に一つの心電計で6回のサンプリングが実行される。また注目すべき点は、連続する2つのサンプリングの間に連結イベントの有無に関係なくサンプリング周期がTで、同じ値であるということである。
【0124】
上記のサンプリングとブルートゥースローエネルギー連結イベントが時間的に重ならないということは、本発明で非常に重要なことである。サンプリングと連結イベントが時間的に重ならないということは、連結イベントが発生した以後の最初のサンプリングが連結イベントが始まった後にサンプリング周期よりも短い時間内に実行されることを意味する。本発明で、2つの心電計は同じ時点にサンプリングすることが要求される。ブルートゥースローエネルギーでマスター(master)とスレーブ(slave)は、同じ時点に連結イベントが実行される。したがって、ウォッチ心電計200と下向きリード心電計100、400、500、600が連結イベントが始まった時点で同じ時間が経過した時にそれぞれサンプリングする。それで、前記2つの心電計は、同じ時間にサンプリングした2つのサンプリング値を得るようになる。
【0125】
図7での例えば一つの連結イベントが終わった後にサンプリングされた6つのデータは、一時メモリーに保存されてから後続連結イベントで送信される。前記送信された6つのサンプリングされたデータを受信した心電計は、前記6つのサンプリングされたデータを自分が同じ時間帯域でサンプリングした6つのサンプリングデータと一緒に式7から式10、または式11から式14に順次代入することができる。そこで、例えば4leads*6samples/lead=24samplesを生成することができる。
【0126】
以上、本発明で下向きリード心電計100、400、500、600が測定したデータをウォッチ心電計200に送信する例を記述した。しかしながら、ウォッチのディスプレイは大きさが小さくて、6つの心電図リードをディスプレイすることが困難である。したがって、ウォッチ心電計200が収集した2つの心電図リードデータをスマートフォンに送信し、スマートフォンで4つの心電図リード信号を算出して、6つの心電図リード信号をディスプレイしてもよい。或いは、最初から2つの心電計は測定したデータをスマートフォンに送信し、スマートフォンで4つの心電図リード信号を算出して、6つのリード信号をディスプレイしてもよい。この時にも
図7と同等な方法を採用し得る。
【0127】
以下、本発明で心電図測定開始命令(心電図測定を開始する命令)をいつなぜ発生するのか記述する。不整脈は、間歇的で、無症状であり得る。したがって、ウォッチに光電式容積脈波計(Photoplethysmograph:PPG)を搭載し、前記光電式容積脈波計を用いて連続的に脈搏または心臓活動を監視することができる。光電式容積脈波計は、片手に着用すれば測定可能であるという長所を有する。心臓活動を監視していたPPGが心臓活動の異常を検出すると、つまり不整脈の発現を検出すると、PPGがアラームを発生させることができる。アラームは、音、振動または光の形態であってもよい。使用者は、アラームを感知した後、心電図を測定することができる。特に、本発明で2つの心電計を用いて2つの心電図リード信号を測定することができる。したがって、ウォッチはPPGがアラームを発生した後、適切な時間が経過した後に心電図測定命令を下向きリード心電計100、400、500、600に送信することができる。
【0128】
アラームを感知した使用者は、ウォッチを着用した手の反対側の手をウォッチの当該電極に接触させる。したがって、ウォッチの電流感知器は、反対側手の接触を感知し、リードIの測定用意を終え、ブルートゥースローエネルギー連結を試みる。また、使用者が左足に下向きリード心電計(ウォッチ心電計100、指輪形態の心電計400)の当該電極を接触させる。すると、下向きリード心電計100、400の電流感知器の電流が左足と下向きリード心電計100、400を着用した手の間に流れる。そうすると、下向きリード心電計100、400の電流感知器が左足の接触を感知して出力を発生させると、下向きリード心電計100、400のマイクロコントローラは、心電図測定準備を終えてブルートゥースローエネルギー連結を試みる。一方、本発明の実施形態でパッチ形態の下向きリード心電計500と胸バンド形態の下向きリード心電計600のマイクロコントローラは、本発明に係る心電図測定を行うために機械的スィッチなどの方法で活性化されることができる。そして、前記マイクロコントローラは、本発明に適切な心電図測定準備を終え、ブルートゥースローエネルギー連結を試みることができる。
【0129】
ウォッチ心電計200と下向きリード心電計100、400、500、600との間にブルートゥースローエネルギー連結が実現されると、ウォッチ心電計200は、下向きリード心電計100、400、500、600に心電図測定命令を送信することができる。実施形態によって心電図測定命令は下向きリード心電計100、400、500、600がウォッチ心電計200に送信してもよい。
【0130】
ウォッチのPPGがアラームを発生しなくても使用者が心電図測定を希望する場合、本発明の原理によって、i)使用者がウォッチ心電計200と下向きリード心電計100、400、500、600の2つの電極に対応する体部位を接触させるか、機械的スィッチなどを作動させると、ii)2つの心電計はブルートゥースローエネルギー連結を確立し、iii)いずれか一つの心電計が心電図測定命令を発生させ、iv)前述した2つの心電図リード測定を行うことができる。
【0131】
以上、本発明の概念および原理を公開した。本発明の実施形態で記述した内容は、本発明の概念および原理に基づいて多様に実施され得る。
【0132】
上記のように、本発明では具体的な構成要素などのような特定事項と限定された実施形態図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0133】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に限定されて定められてはならなく、特許請求範囲だけでなく、特許請求範囲と均等または等価な変形を施したすべてのものなどは本発明の思想の範疇に属するとすべきである。
【国際調査報告】